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高リスク初回再発B-ALL小児の地固め療法、ブリナツモマブが有望/JAMA

 高リスクの初回再発B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の小児の治療において、同種造血幹細胞移植前のブリナツモマブの1サイクル投与は、標準的な多剤併用強化化学療法による地固め療法と比較して、無イベント生存割合が有意に優れ、安全性も良好であることが、イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のFranco Locatelli氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年3月2日号に掲載された。ブリナツモマブは、CD3/CD19を標的とする二重特異性T細胞誘導(BiTE)分子であり、T細胞を動員してCD19発現B細胞を溶解する。再発・難治性B-ALLの小児を対象とする第I/II相試験で、ブリナツモマブは抗白血病活性が示され、分子レベルでの抵抗性を有するB-ALLの成人および小児において、微小残存病変の高い完全寛解率を誘導したと報告されている。13ヵ国47施設の非盲検無作為化第III相試験 本研究は、高リスクの初回再発B-ALL小児の治療において、同種造血幹細胞移植前に残存白血病負担を軽減することで、移植後の転帰の改善を目指すアプローチにおけるブリナツモマブの有効性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、13ヵ国47施設が参加し、2015年11月~2019年7月の期間に患者登録が行われた(Amgenの助成による)。 対象は、生後28日~18歳未満の小児で、フィラデルフィア染色体陰性の高リスク初回再発B-ALLであり、M1 marrow(骨髄の芽球が<5%)またはM2 marrow(骨髄の芽球が≧5~<25%)の患者であった。 被験者は、3回目の地固め療法として、ブリナツモマブ(15μg/m2/日、4週間、持続静注)を1サイクル投与する群または化学療法を施行する群に無作為に割り付けられた。ブリナツモマブ群では、第1日のブリナツモマブ投与前にデキサメタゾン(5mg/m2)が投与された。 主要エンドポイントは無イベント生存割合とした。イベントは、再発、死亡、2次性悪性腫瘍、完全寛解導入の失敗と定義された。重要な副次エンドポイントは全生存(OS)割合であり、他の副次エンドポイントには微小残存病変の寛解(芽球<10-4)や有害事象が含まれた。死亡・再発のリスクが低く、微小残存病変の寛解割合が高い 108例(年齢中央値5.0歳[IQR:4.0~10.5]、女子51.9%、M1 marrow 97.2%)が無作為化の対象となり、ブリナツモマブ群に54例、化学療法群に54例が割り付けられた。事前に規定された中止規則に従い、ブリナツモマブの有益性により患者登録は早期中止となった。 フォローアップ期間中央値22.4ヵ月(IQR:8.1~34.2)の時点で、主要エンドポイントのイベントはブリナツモマブ群が31%(17/54例)、化学療法群は57%(31/54例)で発生し、無イベント生存割合はそれぞれ69%(37/54例)および43%(23/54例)であり、有意な差が認められた(ハザード比[HR]:0.33、95%信頼区間[CI]:0.18~0.61、log-rank検定のp<0.001)。すべてのサブグループで、HRはブリナツモマブ群が良好であった。 死亡は、ブリナツモマブ群で8例(14.8%)、化学療法群で16例(29.6%)発生した。OS割合のHRは0.43(95%CI:0.18~1.01)であった。また、再発は、ブリナツモマブ群が24.1%(13/54例)、化学療法群は53.7%(29/54例)で認められた。再発の累積発生の層別HRは0.24(0.13~0.46)だった。 第2完全寛解期の同種造血幹細胞移植は、ブリナツモマブ群で48例(88.9%)、化学療法群で38例(70.4%)に施行された。移植関連死は、それぞれ4例(8%)および4例(11%)で発生し、再発/病勢進行による死亡は3例(6%)および8例(21%)でみられた。 微小残存病変の寛解割合は、ブリナツモマブ群が90%(44/49例)と、化学療法群の54%(26/48例)に比べて高かった(群間差:35.6%、95%CI:15.6~52.5)。 致死的有害事象の報告はなかった。重篤な有害事象の発生は、ブリナツモマブ群が24.1%、化学療法群は43.1%、Grade3以上の有害事象の発生は、それぞれ57.4%および82.4%で認められた。ブリナツモマブ群で頻度の高いGrade3以上の有害事象は、血小板減少(18.5%)、口内炎(18.5%)、好中球減少(16.7%)、貧血(14.8%)であった。投与中止の原因となった有害事象は、ブリナツモマブ群で2例報告された。 著者は、「この患者集団において、移植前のブリナツモマブ投与は従来の化学療法よりも有効性が高く、有益な地固め療法となる可能性がある」としている。

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副腎白質ジストロフィー〔ALD:adrenoleukodystrophy〕

1 疾患概要■ 概念・定義副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy:ALD)は、1923年に副腎萎縮を伴う進行性脱髄疾患として報告された。X連鎖性遺伝形式をとり、臨床的には男性患者で大脳半球の進行性の炎症性脱髄を特徴として、5〜10歳に発症して数年で寝たきりになる小児大脳型や、思春期以降に痙性歩行で発症するadrenomyeloneuropathy(AMN)など、遺伝子型と相関しない複数の臨床型を有している。大脳型の唯一の治療法は発症早期の造血幹細胞移植であり、予後改善には早期診断が極めて重要である。また、女性保因者でも加齢とともにAMN類似の脊髄症を発症することがある。■ 疫学2016年度に厚生労働省難治性疾患政策研究班において実施した全国調査で260人程度の国内患者の存在が推測されている。一方、米国・ニューヨーク州の3年間の新生児スクリーニングからは男女15,000出生に1人の患者が報告されている。■ 病因ペルオキシソーム膜に存在するトランスポータータンパク質をコードするABCD1の遺伝子異常によるX連鎖性の遺伝性疾患である。ABCD1タンパクは飽和極長鎖脂肪酸のペルオキシソーム内への輸送に関与し、患者では極長鎖脂肪酸のβ酸化が障害され、全身の臓器に蓄積を認める。しかし、病態はほとんど解明されておらず、脱髄の発症機序や飽和極長鎖脂肪酸蓄積による病態への関与も不明である。■ 病型分類と症状男性患者では遺伝子型や極長鎖脂肪酸値と相関しない複数の臨床病型を有している。また女性保因者発症も相関せず、いずれも同一家系内であっても発症前の予後の予測は難しい。1)小児大脳型(CCALD)発症年齢は3~10歳で、6、7歳にピークがある。性格・行動変化、視力・聴力低下、知能の障害、歩行障害などで発症し、数年で寝たきりに至ることが多い。最も多い臨床病型である。2)思春期大脳型(AdolCALD)発症年齢は11~21歳。小児大脳型に類似も、やや緩徐に進行する傾向にある。3)adrenomyeloneuropathy(AMN)10代後半~成人。痙性対麻痺で発症し、緩徐に進行する。軽度の感覚障害を伴うことがある。軽度の末梢神経障害、膀胱直腸障害、陰萎を伴うこともある。4)成人大脳型(ACALD)性格変化、認知機能低下、精神症状で発症し、小児型と同様に急速に進行して植物状態に至る。精神病、脳腫瘍、他の白質ジストロフィー、多発性硬化症などの脱髄疾患との鑑別が必要。AMNや小脳・脳幹型からACALDに進展する場合もある。5)小脳・脳幹型小脳失調、下肢の痙性などを示し、脊髄小脳変性症様の臨床症状を呈する。6)アジソン型無気力、食欲不振、体重減少、皮膚の色素沈着など副腎不全症状のみを呈する。神経症状は示さない。大脳型やAMNに進展する場合もある。7)女性発症者女性保因者の一部は加齢とともにAMNに似た臨床症状を呈する場合があり、下肢の痙縮、痛みから歩行障害を来すこともある。また、末梢神経障害や尿・便失禁の症状を呈することもある。8)発症前男性生下時より極長鎖脂肪酸は増加しており、診断は可能であるが、予後予測は不可能である。■ 予後男性大脳型患者では無治療の場合、急速に進行して数年で寝たきりになることもあるため、早く疑い、診断して、速やかに移植を実施することがその後のQOLの向上につながる。一方、AMNは緩徐に進行するが一部で大脳型に進展して急速に進行する。すべての男性ALD患者では、副腎機能を定期的に評価し、早期にステロイド補充計画を進めることは生命予後に重要である。女性保因者では、加齢とともに脊髄症状を来すことがあり、オランダの報告では軽微な症状を含めると60歳以上では80%の女性保因者で神経症状を来しているとの報告もある。一方で、副腎不全や大脳型を来すことはほとんどまれである。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)男性患者では病型ごとに発症時期や症状も多彩であるため、以下の臨床所見に留意した上で、早期に診断検査を行うことが重要である。■ 臨床所見1)高次脳機能障害小児・思春期大脳型では幼稚園や学校等での落ち着きのなさや行動異常、成績低下、書字やしゃべり方の異常から注意欠陥/多動性障害(ADHD)や学習困難として対応されている症例がみられる。成人大脳型では社会性の欠如や性格変化、行動異常、認知機能低下などの症状で発症する。2)眼科的症状(視知覚異常)小児大脳型では途中から気付く斜視や、見づらそうな様子から眼科を受診する症例もみられる。斜視や視線が合わない、見えにくそうにしている以外に、物や人にぶつかりやすい、転びやすいなどの視覚性注意障害としての症状がみられることもある。3)耳鼻科的症状(聴覚異常)聞き返しが多い、電話などでは会話が理解できないなどの症状から耳鼻科を受診する症例もみられる。4)歩行障害歩行障害は大脳型やAMN、女性発症者など比較的広くみられる。錐体路症状としての痙性麻痺以外に、視覚性注意障害として転びやすいなどの症状や小脳・脳幹型では両下肢の痙性歩行や小脳失調によるふらつき歩行がみられる。5)自律神経障害AMNや女性発症者では排尿・排便障害、AMNでは陰萎がみられることがある。6)副腎不全症状非特異的な症状である易疲労感、全身倦怠感、脱力感、筋力低下、体重減少、低血圧などさまざまな症状を訴える。■ 検査1)脳MRI検査大脳型では脳MRIで異常が検出される。典型例ではT2強調、またはFLAIR法にて後頭葉の側脳室周囲の白質から脳梁膨大部に左右対称の病変が確認される。また、ガドリニウム造影にて病変境界部が線状に造影される。一方、前頭葉から後方に進展する例も10%程度みられる。2)副腎機能検査副腎不全症状がなくても男性ALD患者の80%に副腎皮質機能不全を認めるとの報告もあり、非ストレス刺激下での早朝ACTH、コルチゾール値と迅速ACTH負荷試験を行う。3)血中極長鎖脂肪酸検査(保険収載)副腎白質ジストロフィー男性患者では血中極長鎖脂肪酸の増加を認める。一方、女性保因者では10%程度は正常範囲に入るため、極長鎖脂肪酸検査が正常だけでは保因者を否定することはできず、発端者で同定されたABCD1遺伝子変異の有無を確認する必要がある。2020年度の保険診療の改定により衛生検査所でも保険診療による検査が可能である。4)ABCD1遺伝子検査(保険収載)2020年度より副腎白質ジストロフィー遺伝学的検査が保険収載されている。かずさ遺伝子検査室などの衛生検査所以外に、岐阜大学でも「ALDペルオキシソーム病ホームページ」にて極長鎖脂肪酸検査とABCD1遺伝学的検査を病的意義などのコメントを添えて保険診療で受託しており、大脳型発症早期疑い例では数日で解析結果を提供して迅速な治療に繋げている。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)大脳型の唯一の治療法は発症早期の造血幹細胞移植で、移植の可否や時期は知的・生命予後を左右する。また、アジソン型でも早期のステロイド補充療法が予後に繋がるため早期介入が重要である。1)ステロイド補充療法副腎不全は病状や生命予後にも深くかかわるため、負荷試験も実施して定期的に副腎機能を評価しながら治療を管理していく必要がある。これは移植施行後も含めたすべてのALD男性患者に対して必要である。2)造血幹細胞移植現在、大脳型ALDに対して、唯一有効な治療法は発症早期の造血幹細胞移植で、小児・思春期以外に成人大脳型にも有効との報告がある。また、骨髄非破壊的前処置による低リスクの移植や、臍帯血による移植例も比較的良好な治療成績を挙げている。その機序はドナー由来の単球から分化したマクロファージ系細胞が脳内で機能する可能性が示唆されている。3)遺伝子改変造血幹細胞移植2009年にフランスのグループが、適合する移植ドナーが得られなかった2例の大脳型ALD患者に対して、患者本人から血液幹細胞を採取して、レンチウィルスベクターにより正常ABCD1遺伝子を導入した自己造血幹細胞移植を施行し、その後の観察にて進行停止を確認し、従来の造血幹細胞移植と同等の効果を得たことを報告した。その後、米国Bluebird bio社の支援により治験が実施されている。4 今後の展望■ 新生児スクリーニングの導入大脳型や副腎不全の進行を阻止して予後改善に繋げるにはできる限り早期の診断が望まれる。海外では新生児スクリーニングがすでに実施されており、米国・ニューヨーク州では2013年末から新生児スクリーニングが開始され全米に広がりつつあり、オランダも2019年10月より男児のみのパイロット研究が開始されている。国内でも令和3年度より一部の自治体で有償での選択的スクリーニングがパイロット研究として開始が検討されている。■ 予後予測法の開発大脳型発症の病態はほとんど解明されておらず、発症前患者の予後予測が不可能なため、定期的なMRI検査で異常を確認してから治療を施行している現状にあり、確実な発症阻止に繋げるためには、大脳型発症因子の探索から発症予測法の開発、さらには大脳型発症動物モデルの開発が重要になる。5 主たる診療科小児科、神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報ALD info(医療従事者向けのまとまった情報)岐阜大学ALD&ペルオキシソーム病ホームページ(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 副腎白質ジストロフィー(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)ALDの未来を考える会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)日本先天代謝異常学会編. 副腎白質ジストロフィー(ALD)診療ガイドライン2019. 診断と治療社.東京.2019.2)Kato K, al. Mol Genet Metab Rep. 2018;18:1-6.3)Cartier N, et al. Science. 2009;326:818-823.公開履歴初回2021年03月08日

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「手伝うよ」、開業時の家族サポートにありがちなワナ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第13回

第13回 「手伝うよ」、開業時の家族サポートにありがちなワナ漫画・イラスト:かたぎりもとこ医院開業に当たって、家族・親族のサポートを受けることは非常に重要です。とくに開業直後は、家族が診療以外の間接業務を支援してくれることで、スムーズな立ち上がりにつながることも多いようです。家族のサポートを受けるためにも、家族の意見をうまく開業に組み込むことが必要でしょう。その際には、一点、注意が必要です。今回にも当てはまることですが、家族が理想とする住環境や子供の教育環境を重視するあまり、診療所の経営といったビジネス観点ではない意見や主張をして、当事者もそれに基づいた物件選定を行ってしまう、というケースです。実際に、私たちが担当した案件でも、下記のようなケースがありました。家族が「どうしても東京の世田谷区に住みたい」と主張。診療圏で見ると診療所の数が飽和しているにもかかわらず、無理に物件を見つけて開業してしまい、集患に苦労する内装を設計する際に、患者視点でのデザイン(安心・落ち着く)ではなく、家族が主張するデザイン(スタイリッシュ・非日常)を選択し、スタッフや患者から不評医師の親がアドバイスし、開業当初から高額な什器や備品をそろえた結果、その後の資金繰りに苦しむもちろん、ビジネス観点からの合理的な判断であれば、家族のサポートやアドバイスを受け入れることに問題はありません。ビジネス観点とは、具体的には下記のような項目となるでしょう。収支が見合うか競合医院との差別化につながるか患者にとってメリットがあるかスタッフの採用しやすさや、離職防止策につながるか上記のようなケースに気を付けながら、家族・親族をうまく巻き込み、開業することをお勧めします。

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食物アナフィラキシー、20年で入院は3倍も死亡率は低下/BMJ

 英国では、1998~2018年の20年間に、食物によって誘発されたアナフィラキシーによる入院が3倍以上に増加したが、死亡率は低下しており、就学児童で最も頻度の高い致死的なアナフィラキシーの単一の誘因は牛乳であることが、同国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAlessia Baseggio Conrado氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年2月17日号で報告された。アナフィラキシーは全身性の重篤な過敏反応で、通常、急速に発症し、死に至る可能性もある。食物アナフィラキシーによる入院は世界的に増加しており、イングランドとウェールズでは1998~2012年の期間に倍増したが、致死的アナフィラキシーの発生率はこの間安定していたという。英国の20年間の経時的な傾向を調査 研究グループは、英国における過去20年間の食物アナフィラキシーによる入院および死亡の経時的な傾向を明らかにする目的で、全国的な調査を行った(英国医学研究協議会[MRC]などの助成による)。 解析には、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドにおけるアナフィラキシーによる入院と死亡に関連するデータと、アドレナリン(エピネフリン)自己注射器の処方データを用いた。アドレナリン自己注射器の処方率は336%上昇 1998~2018年の期間に10万1,891人がアナフィラキシーで入院した。これらの入院のうち3万700人(30.1%)が、食物が誘因のアナフィラキシーであった。食物アナフィラキシーによる入院は、1998年の年間10万人当たり1.23人から、2018年には4.04人へと増加し、年間増加率は5.7%(95%信頼区間[CI]:5.5~5.9、p<0.001)であった。 入院率が最も高かった年齢層は15歳未満であり、1998年の年間10万人当たり2.1人から、2018年には9.2人へと増加しており、年間増加率は6.6%(95%CI:6.3~7.0)であった。他の年齢層の年間増加率は、15~59歳が5.9%(5.6~6.2)、60歳以上は2.1%(1.8~3.1)だった。 1998~2018年の期間に、食物を誘因とするアナフィラキシーが原因の可能性がある致死的イベントによる死亡は152件認められた。致死的食物アナフィラキシーは、1998年の0.70%から、確定例は0.19%へと減少し(率比:0.931、95%CI:0.904~0.959、p<0.001)、疑い例は0.30%へと低下した(0.970、0.945~0.996、p=0.024)。 1992~98年の35件を含む合計187件の死亡のうち、少なくとも86件(46%)は、ピーナッツまたはナッツ類(tree nut)が誘因の死亡であった。また、就学児童(16歳未満)の66件の死亡のうち、17件(26%)は牛乳によるものであった(成人は5%)。 同時期の20年間に、アドレナリン自己注射器の処方率は336%上昇した(率比:1.113、95%CI:1.112~1.113、年間増加率:11%)。 著者は、「アレルギーを持つ人々に牛乳がもたらす固有のリスクを浮き彫りにし、食品製造企業の意識を高めるには、より多くの教育を要する」とし、「若年成人における重症アナフィラキシーに対する年齢関連の脆弱性のエビデンスを評価し、その結果として食物アレルギー患者のリスクを層別化し、致死的な転帰のリスクを低減するわれわれの能力を向上させるための研究が必要である」と指摘している。

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第49回 米国FDAの大忙しの週末~ネアンデルタール人から授かったCOVID-19防御

米国FDAはこの週末大忙しだったに違いなく、25日木曜日にはPfizer/BioNTechの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)予防ワクチン接種施設を増やしうる保管方法を許可し、25日と翌日26日には稀な病気2つの新薬と運動選手の脳を守る首輪を承認し、27日土曜日には大方の予想通りJohnson & Johnson(J&J)のCOVID-19ワクチンを取り急ぎ許可しました。25日に報告された興味深い研究成果、ネアンデルタール人から授かったと思しきCOVID-19防御因子の発見も併せて紹介します。COVID-19ワクチンをいっそう推進溶解前の冷凍状態のPfizerワクチンの保管温度はこれまで超低温の零下80~60℃とされてきましたが、より一般的な冷凍庫の温度である零下25~15℃で最大2週間保管することが許可されました1,2)。また、零下25~15℃での保管後に一回のみ零下80~60℃に戻すことが可能です。超低温冷凍庫をわざわざ購入する負担が減ってワクチンを扱える場所が増えるだろうとFDAの審査部門(Center for Biologics Evaluation and Research)長Peter Marks氏は言っています1)。Pfizerワクチンと違って受け取り後に冷凍不要のJ&JのCOVID-19ワクチンは26日金曜日の諮問委員会での満場一致の賛成の翌日27日土曜日に18歳以上の成人への使用が早々と取り急ぎ認可されました3)。J&Jのワクチンバイアルの針刺し前の保管温度は2~8℃であり、冷凍してはならず、最大12時間は9~25℃で保管可能です4)。J&Jは接種1回のそのワクチン2,000万人超への投与分を今月末までに出荷できる見込みです5)。また、今年前半には米国人口の約3分の1相当の1億人への投与分が出荷される予定です。稀な病気の新薬FDAは25日に稀な病気・デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療薬Amondys 45(casimersen)、翌日26日には世界での診断数150人未満の超稀な病気・モリブデン補因子欠損症(MoCD)A型の治療薬Nulibry(fosdenopterin)を承認しました。Amondys 45は筋肉細胞に必要なタンパク質ジストロフィンをエクソン45スキッピングという作用機序を介して増やします。その作用が通用する変異を有するDMD患者への同剤使用が承認されました6)。DMD患者のおよそ8%がその変異を有します。MoCD A型は男児3,600人あたりおよそ1人に生じるDMDよりさらに稀で、世界で確認されている患者数は150人未満です。Nulibry(fosdenopterin)はFDAが承認した初のMoCD A型治療薬となりました7)。10万人あたり0.24~0.29人の発生率と推定されるMoCD A型患者は遺伝子変異のせいでcPMP(環状ピラノプテリン一リン酸)という分子が作れません7,8)。Nulibry はcPMPを供給することで尿中の神経毒Sスルホシステインを減らします。Nulibryの生存改善効果が13人への投与で示されています。それらの患者の84%は3年間生存し、非投与群18人のその割合は55%でした。MoCD A型の患者数は診断数より多いらしく、米国と欧州(EU)で毎年22~26人が診断されないままと推定されています9)。運動選手の脳を守る”首輪”運動選手の頭部の衝撃から脳を守る首輪Q-Collarは26日に米国FDAに承認されました10)。頭部が衝撃を受けると頭蓋内で脳が揺れて神経が捻れたり切れたりして脳が傷みます。首にはめたQ-Collarは頸静脈を圧迫することで頭蓋内の血液量を増やして脳をより固定させ、衝撃を受けてもグラグラと揺れないようにします。米国の13歳以上のフットボールチーム員284人が参加した試験などでQ-Collarの効果や安全性が示されています。その試験でQ-Collarを使用した139人の脳のMRI写真を調べたところおよそ8割(77%)107人の神経信号伝達領域(白質)は無事でした。一方、非使用群145人では逆にほとんどの73%(106/145人)に有意な変化が認められ、Q-Collarの脳保護効果が示唆されました。Q-Collar使用に伴う有意な有害事象は認められませんでした。ネアンデルタール人から授かったらしいCOVID-19防御COVID-19患者最大1万4,134人と対照群最大128万人を調べたところ、RNAウイルスに対する自然免疫の一部を担うオリゴアデニル酸シンセターゼ(OAS)の一つ・OAS1の血中量が多いこととCOVID-19になり難いことやたとえCOVID-19になっても入院、人工呼吸器使用、死に至り難いことが示されました11,12)。さらに504人の経過を調べたところ血漿OAS1量が多いことは後にCOVID-19になり難いことやCOVID-19による入院や重病に至り難いことと関連しました。OAS1はいくつかの種類(アイソフォーム)があります。興味深いことに、数万年前にネアンデルタール人と交わったときに受け継いだp46というアイソフォームがどうやらCOVID-19防御作用を担うと示唆されました。幸いなことにOAS1を増やす前臨床段階の化合物13)が存在するのでそれらを最適化してCOVID-19への効果を臨床試験で調べうると著者は言っています。参考1)Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Allows More Flexible Storage, Transportation Conditions for Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine / PRNewswire2)EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF THE PFIZER-BIONTECH COVID-19 VACCINE TO PREVENT CORONAVIRUS DISEASE 2019 (COVID-19) / FDA3)FDA Issues Emergency Use Authorization for Third COVID-19 Vaccine / PRNewswire4)EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF THE JANSSEN COVID-19 VACCINE TO PREVENT CORONAVIRUS DISEASE 2019 (COVID-19) / FDA5)Johnson & Johnson COVID-19 Vaccine Authorized by U.S. FDA For Emergency Use / PRNewswire6)FDA Approves Targeted Treatment for Rare Duchenne Muscular Dystrophy Mutation / PRNewswire7)FDA Approves First Treatment for Molybdenum Cofactor Deficiency Type A / PRNewswire8)Nulibry PRESCRIBING INFORMATION9)BridgeBio Pharma and Affiliate Origin Biosciences Announce FDA Approval of NULIBRYTM (fosdenopterin), the First and Only Approved Therapy to Reduce the Risk of Mortality in Patients with MoCD Type A / GLOBE NEWSWIRE10)FDA Authorizes Marketing of Novel Device to Help Protect Athletes' Brains During Head Impacts / PRNewswire11)Zhou S,et al.Nat Med. 2021 Feb 25. [Epub ahead of print]12)Discovery: Neanderthal-derived protein may reduce the severity of COVID-19 / EurekAlert13)Wood ER, et al. J Biol Chem. 2015 Aug 7;290:19681-96.

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妊娠28週時の母親の心血管状態が子供の心血管リスクと関連/JAMA

 妊娠28週時の母親の良好な心血管系の健康状態(CVH)は、その子供の10~14歳時のCVHが良好であることと関連することが、米国・ノースウェスタン大学のAmanda M. Perak氏らが実施した「HAPO Follow-Up試験」で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2021年2月16日号で報告された。妊娠は、母親のCVHを最適化し、子供の生涯にわたるCVHに影響を及ぼす重要な機会とされる。また、母体の劣悪な健康状態への胎内曝露は、たとえば心臓代謝調節遺伝子のエピジェネティックな修飾を介して、子供に継続的に心血管疾患(CVD)のリスクが高い状態をもたらす可能性があるという。9地域2,302組の母子のコホート研究 研究グループは、妊娠中の母親のCVHと子供のCVHの関連を評価する目的で、国際的なコホート研究を行った(米国ユーニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健発達研究所[NICHD]などの助成による)。 Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome(HAPO)試験(2000年7月~2006年4月)と、HAPO Follow-Up試験(2013年2月~2016年12月)のデータを使用した。解析には、補助的なCVH研究として、HAPO Follow-Up試験の参加者の48%に相当する2,302組の母子が含まれた。 参加者は、米国(ベルフラワー、シカゴ、クリーブランド)、バルバドス(ブリッジタウン)、英国(マンチェスター、ベルファスト)、中国(香港)、タイ(バンコク)、カナダ(トロント)の9地域で登録された。 妊娠28週時の母親のCVHが、5つの評価基準(BMI、血圧、総コレステロール値、血糖値、喫煙)に基づいて評価された。個々の評価基準は、妊娠ガイドラインを用いて、「良好」「中間的」「不良」の3つに分類された。総CVHスコアは、「すべて良好」「中間的が1つ以上で不良がない」「不良が1つ」「不良が2つ以上」の4つに分類された。 主要アウトカムは、子供の10~14歳時のCVHとし、4つの評価基準(BMI、血圧、総コレステロール値、血糖値)で評価された。総CVHスコアは、母親と同様に分類された。母親のCVH分類の悪化とともに、子供の「すべて良好」の割合が低下 2,302組の母子の平均年齢は、母親が29.6(SD 2.7)歳、子供は11.3(1.1)歳であった。妊娠期間中の母親の平均CVHスコアは10点満点の8.6(1.4)点で、32.8%が「すべて良好」であったのに対し、6.0%は「不良が2つ以上」であった。子供の平均CVHスコアは8点満点の6.8(1.3)点で、37.3%が「すべて良好」、4.5%が「不良が2つ以上」だった。 母親のCVH分類が悪化するに従って、子供のCVH分類が「すべて良好」の割合が低くなった。すなわち、母親が「すべて良好」の子供が「すべて良好」の割合は42.2%であったが、母親が「不良が2つ以上」の子供が「すべて良好」の割合は30.7%に低下した。また、母親が「すべて良好」の子供が「不良が1つ」の割合は18.4%で、母親が「不良が2つ以上」の場合に子供が「不良が1つ」の割合は30.7%に増加し、母親が「すべて良好」の子供が「不良が2つ以上」の割合は2.6%で、母親が「不良が2つ以上」になると子供が「不良が2つ以上」の割合は10.2%に増加した。 補正済みのモデルでは、母親のCVH分類が「すべて良好」と比較して悪化するほど、子供のCVH分類が「不良が1つ」「不良が2つ以上」となる相対リスクが高かった。すなわち、母親のCVH分類が「すべて良好」の場合に比べ、母親が「不良が1つ」の子供が「不良が1つ」の相対リスクは1.66、母親が「不良が2つ以上」の子供が「不良が1つ」の相対リスクは2.02であり、母親が「不良が1つ」の子供が「不良が2つ以上」の相対リスクは3.32、母親が「不良が2つ以上」の子供が「不良が2つ以上」の相対リスクは7.82だった(これらの相対リスクはいずれも包括検定でp<0.001)。 一方、明確な出生因子(妊娠高血圧腎症など)で追加補正を行っても、これらの有意な関連は十分には説明できなかった。たとえば、拡大された出生因子で補正後の、母親の「不良が2つ以上」と子供の「不良が2つ以上」の関連の相対リスクは6.23(95%信頼区間[CI]:3.03~12.82)だった。 著者は、「われわれの知る限り、これは母親の妊娠中のCVHとその後の子供のCVHの関連を評価した初めての研究である」としている。

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事例021 未成年患者の心身医学療法の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例では、16歳の心身症の患者に 「I004 心身医学療法」を算定し、請求したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となりました。心身医学療法の項には、「心身症の患者に対して一定の治療計画に基づいて、診察とカウンセリングなどの心身医学療法に該当する療法を行った場合に算定でき、初診時には、医師自らが、診察と理学的所見の収集および心身医学療法を30分超えて行った場合に算定できる」とあります。事例のカルテを確認すると、20歳未満の患者に、家族も交えて指導が行われていました。算定要件に合致しているはずと再度レセプトを見直すと、傷病名欄に「心身症」としか記載されていません。算定留意事項の「4」には、レセプト傷病名欄において、「心身症による当該身体的傷病の傷病名の次に『(心身症)』と記載する」と記載されています。「胃潰瘍(心身症)」のように記入するとも例示されています。D事由査定の理由が判明し、電子カルテの写しを添えて、再審査請求をしましたが、原審通りに復活となりませんでした。電算レセプトの病名コードの入力誤りに気付かずに、そのまま請求してしまったことが原因でした。レセプトチェックシステムの設定を、心身医学療法が実施されていた場合、「心身症」のみの病名だとエラーとなるように設定を変更し、今後の査定防止対策としました。

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低用量アスピリンも、NSAIDsに使用上の注意改訂指示

 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課は2月25日付の課長通知にて、妊婦全般が禁忌になっていない非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)について添付文書改訂を指示した。 改訂内容は妊婦への使用に関するもので、妊婦全般が禁忌になっていないNSAIDsによる胎児の腎障害出現や羊水過少リスク上昇について、国内での論文報告などを受けて行われた。 米国では昨年10月、広く使用されている鎮痛薬を妊娠20週以降に服用すると合併症のリスクが高まる可能性があるとして、食品医薬品局(FDA)が「妊娠20~30週の妊婦に対するNSAIDsの処方は限定的にし、必要な場合にも、最小限の用量で可能な限り最短期間の処方とする旨の注意喚起を行う」と改訂を指示していた。ただし、日本国内において、妊娠時期に関する明記は現段階では避けている。 対象薬剤はシクロオキシゲナーゼ阻害作用を有するNSAIDs(妊婦を禁忌とする薬剤を除く)で、ロキソプロフェンナトリウム水和物(商品名:ロキソニン ほか)、セレコキシブ(商品名:セレコックス ほか)などが含まれ、経口剤や坐剤のみならず、外用剤も該当する。妊婦、産婦、授乳婦等への投与を新たに新設 製剤ごとの追記は以下のとおり。・妊婦全般が禁忌になっていないNSAIDs シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)の妊婦への使用により、胎児の腎機能低下及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が認められている旨、使用する際には必要最小限の使用とし適宜羊水量を確認する旨の注意喚起を追記。・低用量アスピリン製剤及び局所製剤 シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)の妊婦への使用により、胎児の腎機能低下及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が認められている旨を追記。

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統合失調症患者における小児期の心理行動特性~日本のレトロスペクティブ研究

 統合失調症は、初期発達障害のフレームワークに適応することを示唆する科学的エビデンスが、疫学的研究や遺伝学的研究によって報告されているが、将来統合失調症を発症する子供の心理的行動の特徴は、十分に解明されていない。京都女子大学の濱崎 由紀子氏らは保護者による報告を通じて、小児期統合失調症患者に特有の特徴を明らかにするため、検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月26日号の報告。 対象は、DSM-IV-TR基準を満たした20代の統合失調症外来患者54例および性別と年齢をマッチさせた健康対照者192例。すべての対象の6~8歳時の特徴を評価するため、対象者の保護者に対する子供の行動チェックリスト(CBCL)のレトロスペクティブ評価質問票を用いた。小児期統合失調症に特有の心理行動の特徴を推定するため、t検定、ロジスティック回帰、ROC曲線解析を用いた。得られたロジスティック回帰モデルを使用して、CBCLスコアに基づいてリスク予測アルゴリズムのプロトタイプを作成した。 主な結果は以下のとおり。・8つのCBCLサブスケールのtスコアのうち、その後の統合失調症診断と有意な関連が認められた項目は、以下のとおりであり、これらの平均スコアは、小児期の臨床範囲に該当しなかった。 ●引きこもり(p=0.002) ●思考の問題(p=0.001) ●攻撃的行動の欠如(p=0.002)・8つのCBCLサブスケールに基づくロジスティック回帰モデルのアルゴリズムは、ROC曲線下の面積が82.8%(95%CI:76~89)であった。このことは、統合失調症の晩年発症に関して、アルゴリズムの予測精度が中程度であることを示唆している。 著者らは「保護者の報告によると、統合失調症の発症を予測する小児期の心理的行動の特性に違いがあることが示唆された。この新たに開発されたアルゴリズムは、その有効性をさらにテストするうえで、将来の研究に使用することが望まれる」としている。

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小児がん患者の悪心嘔吐予防に対するパロノセトロンの有効性/日本臨床腫瘍学会

 小児がん患者での化学療法に伴う悪心嘔吐(CINV)は、催吐性の抗がん剤治療を受けた約70%発現することが報告されているが、研究結果は少ない。第2世代5-HT3受容体拮抗薬パロノセトロンは、とくに遅発期(抗がん剤投与後 24〜120時間)におけるCINV抑制効果が確認されており、本邦では成人での使用にて承認されているが、小児のCINV予防の制吐薬としては承認されていない。そこで、わが国の小児がん患者を対象にパロノセトロンの有効性と安全性を検討する第III相試験が実施され、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)において、九州大学病院の古賀 友紀氏がその結果を発表した。・対象:生後28日~18歳の高度または中等度催吐性抗がん剤を含む初回化学療法が計画または実施されている小児がん患者・介入:抗がん剤投与開始30分~直前にパロノセトロン(PALO)20μg/kg(最大1.5mg)とデキサメタゾン(DEX)を投与。DEXは2および3日目も投与・評価項目:化学療法1サイクル目における全期間(抗がん剤投与後0~120時間)の嘔吐完全抑制率(嘔吐・空嘔吐の発現がなく、制吐処置を実施していない状態、以下CR)率。CR率の閾値は事前に30%に設定 主な結果は以下のとおり。・2016年12月~2019年6月に60例が登録され、PALOが投与された58例にて有効性、安全性が評価された。・全期間CR率は58.6%(95%CI:44.9~71.4、p

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あなたに決めたけど破談もアリ!? 基本合意契約は「結納」だ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第12回

第12回 あなたに決めたけど破談もアリ!? 基本合意契約は「結納」だ漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継において避けて通れないのが「基本合意契約」です。基本合意契約とは、「最終契約に先立って締結する契約」です。この契約を締結する目的は「医院の引き継ぎ(最終契約)に向けて、現時点での合意事項を確認する」ことです。売り手側の事情によっては(院長が急逝し、患者さんの引き継ぎを考えて、早期に医院承継する必要がある場合など)、基本合意契約を締結せずに最終契約のみ締結する場合もありますが、ほとんどのケースにおいては先に基本合意契約を締結し、その後で最終契約を締結します。というのも、基本合意契約を締結する際には、合意事項の確認のみでなく、医業承継の仲介会社などに数十万円の中間金を支払うことが多く、その分、相手方の「本気度」を測ることができるためです。勘違いされる方も多いのですが、基本合意契約はこれをもって契約成立とはならず、法的拘束力も発生しません。つまり、基本合意契約を締結した後でも、何らかの事情により、売り手または買い手が辞退し、破談となるケースもあるのです。とはいっても、破談はまれなケースで、弊社の実績では、基本合意契約を締結した場合は9割以上の確率で成約しています。基本合意契約に記載される代表的な事項が「独占交渉権」です。独占交渉権とは、複数の買い手候補がいる場合、売り手がその中から1人を選び、一定期間内はその人だけと交渉を行う、と定めた事項です。この独占交渉権、売り手側はその期間設定に注意が必要です。独占交渉権の期間は「3ヵ月以内」とするケースが多いのですが、これを長く設定すると、売り手側としては1人の買い手候補に拘束された挙げ句、最終的に辞退されてしまうとまたゼロから候補者探しを行わなければならず、なかなか契約にたどり着かない、という事態に陥ります。こうした売り手側の事情から、最近では独占交渉権の期間を1ヵ月と短く設定するケースも増えています。基本合意契約を締結後、買い手側が行うのが「買収監査」です。買収監査とは、売り手が提示した決算書の内容や負債額に実態との乖離がないかを確認するプロセスです。買い手側が会計事務所などの第三者に費用を払って委託し、その会計事務所の職員が売り手側の税理士事務所へ入って調査を行う、というやり方が一般的です。ここで、決算書の内容に乖離があった場合は、譲渡額の条件も大きく変わりますし、最悪の場合は破談につながることもあります。売り手側は、売り上げや患者数といった条件を良く見せて譲渡額を高く設定したいと思うものですが、基本合意契約締結と買収監査というステップは避けて通れません。このステップを見据え、最初から正確な情報を提示することが大切です。

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Withコロナにおける希少疾病診療

出演:瀬川記念小児神経学クリニック 星野 恭子氏コロナ禍でさらに期待が高まる「オンライン診療」、その実際の取り組みや患者さんの声について、小児神経難病のエキスパートである瀬川記念小児神経学クリニックの星野恭子氏にご解説いただきました。

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商用ビデオゲームによるうつ病予防の可能性

 うつ病や抑うつ症状は、多くの青年や若年成人に影響を及ぼす主な公衆衛生上の問題である。さまざまな研究が行われているにもかかわらず、若者を対象としたうつ病予防プログラムの効果に関する報告は、限定的である。また、うつ病予防プログラムをベースとした若者に対する心理療法は、潜在的に最も重要であると考えられる。メンタルヘルスに不可欠な感情的および社会的スキルを若者が実践するうえで、商用ビデオゲームは魅力的な代替方法となる可能性がある。オランダ・ラドバウド大学のMarlou Poppelaars氏らは、抑うつ症状の悪化を予防するため商用ビデオゲームの可能性について調査を行った。Frontiers in Psychology誌2021年1月12日号の報告。 対象は、抑うつ症状を有する15~20歳の244例(平均年齢:17.11±1.76歳、女性の割合:66.4%)。商用ビデオゲームJourneyのうつ病予防に対する有効性を評価するため、Journey(ソーシャルアドベンチャーゲーム、平均時間:3時間20分)群、Flower(リラックスできる1人用ゲーム:平均時間:2時間36分)群、対照(ゲームなし)群にランダムに割り付け、4週間プレーした。また、ビデオゲームを用いたうつ病予防のための潜在的なアクションメカニズムを調査した。 主な結果は以下のとおり。・介入後12ヵ月までに、若者の抑うつ症状の変化に対しJourneyをプレーすることの有用性は認められなかった。・また、Journey特有のアクションメカニズムも認められなかった。・しかし、研究期間を通じて、対象者の抑うつ症状の軽減、拒否感の低下、希望や楽観性の増加が認められた。・拒否感または沈思黙考が減少した人、希望や楽観性または気晴らしや問題解決が増加した人では、抑うつ症状の改善が最も高かった。 著者らは「効果的なうつ病予防戦略として商用ビデオゲームJourneyの有用性は示されなかったが、拒否感、希望、楽観性、沈思黙考、気晴らし、問題解決が、今後のうつ病予防のターゲットとなりうる可能性が示唆された。メンタルヘルスを促進するためのゲームに関する今後の研究では、ゲームの潜在的なアクションメカニズムが、誰にどのように効果的であるかを調査するため、慎重に検討した研究デザインが求められる」としている。

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第45回 新型コロナワクチン承認の恩恵にあやかりたいHPVワクチンの今

「ワクチン、ようやくここまで来たか」との感慨に浸っている。そう書くと多くの皆さんは新型コロナワクチンのことだと思うだろう。もちろんそれもある。だが、それよりも感慨深いのは、9価のヒトパピロ―マウイルス(HPV)ワクチン「シルガード9」が今月24日に正式に発売となることだ。ご存じのように日本では2013年4月にHPVワクチンが小学校6年生から高校1年生の女子を対象に予防接種法に基づく定期接種化されながら、それからわずか2ヵ月後の同年6月14日の厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)で一部の接種者が訴えた接種後の疼痛などの報告を審議し、厚生労働省(以下、厚労省)が「積極的な接種勧奨の差し控え」を通達、現在に至っている。日本では定期接種化時点で、180種類以上のジェノタイプがあるHPVのうち、子宮頸がんになりやすいハイリスクな16型、18型への感染を防ぐ2価ワクチン「サーバリックス」と、この2つに加えて性感染症の尖圭コンジローマの原因である6型、11型への感染も防ぐ4価ワクチン「ガーダシル」が承認されていた。一方、海外の状況を見ると、2014年12月に4価のガーダシルに、さらに子宮頸がんハイリスクのジェノタイプである31型、33型、45型、52型、58型への感染を防ぐ9価ワクチン「ガーダシル9」がアメリカで承認され、同ワクチンは2015年6月に欧州連合(EU)とオーストラリアで承認され、現在までに全世界のうち70ヵ国以上で承認されている。今回、発売されることになるシルガード9はご覧のとおり商品名が違うだけで、ガーダシル9と同じものである。従来の2価、4価ワクチンが子宮頸がんの6~7割を防げると言われるのに対し、シルガード9では約9割の子宮頸がんが防げるといわれている。すでに日本同様の定期接種化が行われている国では、この9価ワクチンを接種するのが一般的となっている。しかし、日本での今回の発売に至るまでの道のりは異常なまでに長いものだった。すでに製薬企業側からの承認申請は2015年7月に行われていながら、まったく審議が行われない棚ざらしのまま時間が経過し、審議入りはようやく昨年4月で承認取得は昨年7月。そして発売は今年2月と実に5年7ヵ月も要した。厚労省側は表向きでは無関係と称しているものの、この背景には前述の副反応を訴える人々の一部が製薬企業や国を相手取って民事訴訟を起こしていることと無縁ではないと考えられている。もっともいま現在に至るまで「積極的な接種勧奨の差し控え」ではあっても定期接種対象であることに変わりはないわけで、国民全般への目配りが求められる中央官庁としては多方面に気を遣わねばならないのは分からないではないものの、この間の審議なき棚ざらし状態に対し私はサボタージュに等しいと考えている。さて、ただ正式にシルガード9が発売されたとしても、そこからはまた先の長いことになるかもしれない。まず、現在の積極的な接種勧奨の差し控え状態のまま定期接種のワクチンにシルガード9を加えることできるかどうかが第一関門である。すでにそれに関わる審議は昨年8月の厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会)の「ワクチン評価に関する小委員会」でスタートしている。シルガード9を順調に定期接種へ加えることができたとしても、最大にして最後の難事業である「積極的な接種勧奨の差し控え」の中止、すなわち通常の定期接種に戻すことが残されている。ただ、厚労省関係者に定期接種の正常化に関して水を向けると、「そのためにはHPVワクチンに関して国民の理解がもう一歩進むことが必要」という答えが返ってくることがほとんど。中にはより慎重な「現在進行中の民事訴訟で原告側が副反応と訴えている症状とワクチンの因果関係が否定される判決が出ること」という意見まで出てくることさえある。本連載でも触れたように、この件では副反応を訴える人たちの登場とそれを検証不十分なまま報じたメディアの責任は問われて当然である。しかし、昨今の少なくとも大手の新聞社の報道を見る範囲では、HPVワクチンに関して接種者の一部が訴える症状をワクチンの副反応と捉えて煽るような報道は皆無に等しい。そしてたとえば全国紙4紙で「HPV」で検索し、HPVワクチンに関して直接的に報じている記事を最新から2本あげると次にようになる。<朝日新聞>「HPVワクチン接種、男性も」(2020年12月5日)「子宮頸がん死亡4千人増と推計 阪大、ワクチン接種減で」(2020年11月4日)<毎日新聞>「HPVワクチンへの不安を取り除き、女性を守りたい/上」(2021年2月18日)「子宮頸がん予防、拡充目指す 元俳優の三原じゅん子副厚労相」(2020月11月19日)<読売新聞>「HPVワクチン、男性への使用可能に…厚労省部会が了承」(2020年12月5日)「子宮頸がんワクチン 7割前向き…大阪府内の小児科医調査」(2020年11月21日、有料読者のみ閲覧可)<日本経済新聞>「子宮頸がんワクチン普及に光明、日本の接種率0.3%」(2020年11月15日)「子宮頸がんワクチン 発症リスク約6割減、スウェーデン」(2020年10月19日)見出しの一覧だけでもわかるとおり、ワクチンの否定的な記事は一本もなく、実際に各記事に目を通してもHPVワクチンに否定的な内容ではない、むしろ肯定的と言ってもいい。その意味ではHPVワクチンについては空気が大きく変わっているのが現状、あと一歩とも言える。そして個人的なことを話せば、私自身がシルガード9の定期接種ワクチンへの追加と定期接種の正常化を願う、現高校2年生の女子の父親である。前々回の連載でも書いたように私はワクチンというワクチンはほぼ打ち尽くしている自称「ワクチンマニア」だが、そんな私にある時、高校1年生当時の娘が相談してきた。「あのさ、自分もさ、あのなんていうの子宮頸がんのワクチンって言うの? 打ったほうがいいのかな?」私は娘にはHPVワクチンのことは一度も話したことはない。実はこれには明確な理由がある。別に接種させたくないわけではないし、むしろ接種させたい。ただ、それは9価ワクチン一択である。この時は娘には率直に4価ワクチンと9価ワクチンの医学的なメリットとデメリット、また現在のHPVワクチンをめぐる現状も話した。このHPVワクチンを巡る現状では、現在国内で騒がれている副反応と呼ばれる症状はこれまでの研究結果からはワクチンとの因果関係がないであろうと強く推認されるということも伝えた。そのうえで、娘には現時点であなたは定期接種対象者で4価ワクチンは無料で接種できることを話し、次の選択肢を提示した。(1)4価ワクチンを定期接種で接種してそれで終了にする(2)4価ワクチンを定期接種で接種し、9価ワクチンの承認後にそれを再接種(3)9価ワクチンの承認と定期接種組み入れを待って接種ちなみに最初にこの3つを話した段階で娘が即時に却下したのは(2)である。答えは簡単、「合計6回も注射はしたくない」ということだ。残るは(1)と(3)、娘は結構悩んでいいたが、ほぼ(3)を選びかけた。ところがこの時点で娘が私に聞いてきた。「あのさ、この9価ワクチンの承認とかが自分が高校2年生以上の時期になった場合、費用どうなるの?」おお、意外と勘が鋭い。そこでこのように説明した。「1回3万円強のワクチンを3回、合計10万円弱をお父さんが払うことになる」これには娘が絶句。ただ、私は「もし今後数年以内に9価ワクチンの承認と定期接種の組み入れ、さらには定期接種の正常化が実現すれば、高校2年生以降でも無料で受けられる可能性がある」と伝えた。なぜそう伝えたのか? これは日本脳炎ワクチンの事例を踏まえたものである。多くの医療従事者はご存じのように定期接種である日本脳炎ワクチンでは、重篤な副反応が発生した影響で、今回のHPVワクチンのように2005年度から2009年度までの間、積極的な接種勧奨が差し控えられた。その後、製法を改良して作られたワクチンで定期接種が正常化された際、この勧奨差し控え期間中に接種対象だった児童は、補償的な措置として20歳まで定期接種として無料接種が可能という措置が取られている。私はHPVワクチンについても同様の措置が取られると可能性が高いと踏んでいる。娘にもそのように伝えた。その結果、娘は(3)を選択し、私もそれを追認した。そしてこの選択にはさらに父親として「お父さん補償措置」を追加し、娘に伝えた。それは「9価ワクチンの承認と定期接種の組み入れ、さらには定期接種の正常化が実現した段階で補償措置がなかったり、その対象外となった場合、さらにはあなたが高校2年生以降、そうした政策的決定がなされる前に自分でやはり接種したいと思った時はすべてお父さんが費用を負担して9価ワクチンを接種すること」というものである。そんなこんなで私も娘も9価ワクチンの定期接種の組み入れと定期接種の正常化を待っている。いや、もしかしたら娘は待っていないかもしれない。というのも「ワクチンは痛いからなるべくなら打ちたくない」と言っているからである。実際、今回のコロナ禍に際してインフルエンザワクチンは接種しておこうと言った私に対してギリギリまで抵抗し、自分が欲しい宝塚のDVDを買うことをインフルエンザワクチン接種の条件として提示してきたくらいである(仕方なく了承したが)。まあ、そういう私も「9価ワクチン3回で10万円弱だと、居酒屋で何回飲めるだろう」と暗算したくらいなので、娘のことは非難できない。なお、もしかしたら「娘の健康のために10万円を惜しむのか?」というご批判もあるかもしれないが、緊急事態宣言下に会員クラブに行けるほどの余裕がある一部のお偉いさんと違って、ド庶民の私にとって10万円は超大金なのでご理解いただきたい、としか答えようがないのである。

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スマホで糖尿病管理ができるアプリ登場/アボットジャパン

 アボットジャパン合同会社は、スマートフォンでスキャンすることで糖尿病患者の日常の糖尿病管理に用いることができる、わが国初のスマートフォンアプリ「FreeStyleリブレLink」の提供を2月10日より開始した。 “FreeStyleリブレ”(以下「リブレ」)は、持続グルコース測定技術を用いたデバイスで、50ヵ国(250万人以上)の人々がすでに使用している測定デバイス。わが国では2016年5月に製造販売承認を取得し、2017年1月に発売された。現在リブレは、糖尿病の病型を問わず「入院中の患者以外であって、強化インスリン療法を行っているものまたは強化インスリンを行った後に混合型インスリン製剤を1日2回以上使用しているもの」を対象に血糖自己測定器加算「C1507」が適用されている。また、その他のインスリン療法を施行中の患者がリブレを使用する際、月当たりの血糖自己測定(SMBG)回数を基に、血糖自己測定器加算「c1501-6」が適用されている。 今回提供が開始されたFreeStyleリブレLink(以下「アプリ」)は、リブレのセンサーと連動するよう設計されたモバイルアプリ。このアプリを搭載した互換性のあるスマートフォンでグルコース値を測定することができ、アプリを起動した互換性のあるスマートフォンでセンサーをスキャンすることで、グルコース値などのデータは、近距離無線通信によりスマートフォン上に表示される。 このアプリを利用することで、現在のグルコース値、血糖の変動傾向を示す矢印、および直近8時間の血糖変動(血糖トレンド)の把握ができ、最大90日分のデータによる血糖変動のトレンドや変動パターンを示すAGP(Ambulatory Glucose Profile)レポートを含む詳細な血糖データの表示をすることができる。また、インスリン投与のタイミング、食事や運動など、さまざまな出来事をノートとして追加することもできる。 同社では、このアプリの提供が「今後生活に関わるさまざまなデータを一体化させた血糖管理の実現に向けた、大きな1歩になると考えている」と期待を述べている。

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COVID-19関連小児多系統炎症性症候群、IVIG+ステロイドが有効/JAMA

 小児多系統炎症性症候群(MIS-C)の初期治療は、免疫グロブリン静注療法(IVIG)とメチルプレドニゾロンの併用療法がIVIG単独と比較し有効であることが、フランス国内のサーベイランスシステムのデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果で明らかとなった。同国・パリ大学のNaim Ouldali氏らが報告した。MIS-Cは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染に関連する最も重症の小児疾患で、死に至る可能性もあるが、最適な治療戦略はわかっていない。JAMA誌オンライン版2021年2月1日号掲載の報告。フランス全例調査、IVIG+メチルプレドニゾロン併用療法vs.IVIG単独の有効性を比較 2020年4月に欧州と米国で小児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と関連すると思われるMIS-Cが報告されて以降、フランスではMIS-Cが疑われる症例はすべて同国の公衆衛生局に報告された。 研究グループは、このサーベイランスシステムのデータを用い、MIS-Cの初期治療としてのIVIG+メチルプレドニゾロン併用療法とIVIG単独の有効性について、傾向スコアマッチング法により後ろ向きに解析した。研究期間は2020年4月1日~2021年1月6日。 主要評価項目は、初期治療開始2日後の発熱持続、または7日以内の発熱再発で、これらを治療失敗と定義した。副次評価項目は、2次治療、血行動態補助、初期治療後の急性左心室機能不全および小児集中治療室在室期間であった。併用療法群で治療失敗リスクが有意に低い MIS-Cが疑われる小児患者は181例で、このうち111例が世界保健機関(WHO)の定義を満たした(女児58例[52%]、年齢中央値8.6歳[四分位範囲:4.7~12.1])。111例中5例は、併用療法およびIVIG単独療法のいずれも受けていなかった。 治療失敗は、併用療法群34例中3例(9%)、IVIG単独群72例中37例(51%)に認められた。併用療法群はIVIG単独群と比較して、治療失敗のリスク低下と関連していた(絶対リスク差:-0.28[95%信頼区間[CI]:-0.48~-0.08]、オッズ比[OR]:0.25[95%CI:0.09~0.70、p=0.008])。 併用療法群はIVIG単独群と比較して、2次治療実施のリスクも有意に低下した(絶対リスク差:-0.22[95%CI:-0.40~-0.04]、OR:0.19[95%CI:0.06~0.61、p=0.004])。また、血行動態補助(同:-0.17[-0.34~-0.004]、0.21[0.06~0.76])、初期治療後の急性左心室機能不全(-0.18[-0.35~-0.01]、0.20[0.06~0.66])、および小児集中治療室在室期間(中央値4日vs.6日、群間日数差:-2.4、95%CI:-4.0~-0.7)についても同様であった。

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頬粘膜投与でてんかん重積発作を抑える「ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg」【下平博士のDIノート】第68回

頬粘膜投与でてんかん重積発作を抑える「ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg」今回は、抗けいれん薬「ミダゾラム(商品名:ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg、製造販売元:武田薬品工業)」を紹介します。本剤を使用することで、医療機関外であっても18歳未満のてんかん重積状態患者の発作を速やかに抑えることができます。<効能・効果>本剤は、てんかん重積状態の適応で、2020年9月25日に承認され、2020年12月10日より発売されています。<用法・用量>通常、ミダゾラムとして、修正在胎52週(在胎週数+出生後週数)以上1歳未満の患者には1回2.5mg、1歳以上5歳未満の患者には1回5mg、5歳以上10歳未満の患者には1回7.5mg、10歳以上18歳未満の患者には1回10mgを頬粘膜投与します。シリンジ液剤の全量を片側の頬粘膜に緩徐に投与しますが、体格の小さい患者や用量が多い場合は、必要に応じて両側の頬粘膜に半量ずつ投与することができます。なお、18歳以上の患者に対する有効性および安全性は確立されていません。<安全性>国内第III相試験(SHP615-301試験、SHP615-302試験)において、副作用は25例中5例(20.0%)で報告されており、主なものは、鎮静、傾眠、悪心、嘔吐、下痢各1例(いずれも4.0%)でした。なお、重大な副作用として、呼吸抑制が1例(4.0%)で報告されており、無呼吸、呼吸困難、呼吸停止などが注意喚起されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、歯ぐきと頬の間に投与することで、脳内の神経の過剰な興奮を鎮めて、てんかん重積状態の発作を抑えます。2.発作が開始してすぐに本剤を投与せず、自然に発作がおさまるかどうか観察し、投与判断の目安は医師の指示に従ってください。患者さんに嘔吐やよだれがある場合は、投与前に拭き取ってください。3.投与する際は、片側の頬をつまみ広げ、シリンジの先端を下の歯ぐきと頬の間に入れ、ゆっくりと全量を注入します。体格が小さい場合や使用量が多い場合は、医師の指示によって両側の頬に半量ずつ注入することもできます。4.この薬は頬粘膜から吸収されるため、可能な限り飲み込まないように注意してください。5.投与後は、原則救急搬送の手配を行い、医療者がこの薬の使用状況を確認できるように使用済みのシリンジを提示してください。6.保管時は、プラスチックチューブに封入された状態でふた側を上向きにして立てた状態にしてください。ふた側を下向きまたは水平にして保管すると、含量が低下する恐れがあります。<Shimo's eyes>通常、てんかん発作の多くは1~2分でおさまりますが、30分以上持続すると脳への長期的な後遺障害に至る可能性が高くなります。そのため、発作が5分以上持続する場合はてんかん重積状態と判断して、治療を始めることが国内外のガイドラインで推奨されています。2020年2月時点で、ミダゾラム口腔用液は欧州を中心に世界33ヵ国で承認されていますが、わが国で発売されているのは注射製剤(商品名:ミダフレッサ)のみで、ほかの小児を含む早期てんかん重積状態の第1選択薬として推奨されている薬剤もジアゼパムやロラゼパムの注射製剤でした。注射製剤は医療機関で投与されますが、救急搬送に時間を要して治療開始までに30分以上経過してしまう例が多く、患者団体や関連学会から非静脈経路で利便性および即効性の高い薬剤の開発が要望されていました。本剤は、国内初のてんかん重積状態に対する頬粘膜投与用のプレフィルドシリンジ製剤で、医療機関外でも家族や介護者などによって投与することができます。第III相臨床試験では、5分以内に64%、10分以内に84%で持続性発作が消失するという速やかな効果が認められました。適応があるのは18歳未満の患者さんで、年齢別に4種類の投与量のシリンジがあり、ラベルで色分けされています。主成分であるミダゾラムはCYP3A4の基質であり、本剤はCYP3A4を阻害あるいは誘導する薬剤との併用は禁忌です。副作用として呼吸抑制および徐脈などが現れる恐れがあるため、本剤の投与時は患者さんの呼吸や脈拍数に異常がないかなどを注意深く観察するとともに、救急車の手配も並行して行うなど冷静な対応が求められます。近年、アナフィラキシーに対するアドレナリン注射液(同:エピペン)に加え、糖尿病の低血糖状態に対する点鼻グルカゴン製剤(同:バクスミー点鼻粉末剤)、そして本剤など、患者さんの緊急時に身近な人が対応できる製剤が増えてきました。薬局では、患者さんや家族・介護者がいざというときに正しく安全に使えるよう、使用方法について理解度の確認が重要です。※2022年7月より、学校・保育所等で児童がてんかんを発症した場合、教職員が当該児童生徒等に代わって投与可能となりました。参考1)PMDA 添付文書 ブコラム口腔用液2.5mg/ブコラム口腔用液5mg/ブコラム口腔用液7.5mg/ブコラム口腔用液10mg

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若年成人におけるノモフォビア(スマホ依存症)と不眠症や食物依存症との関連

 スマートフォンや携帯電話などの端末を使用することができないことに対して恐怖を抱く状態をノモフォビアという。バーレーン・Arabian Gulf UniversityのHaitham Jahrami氏らは、ノモフォビアと食物依存症および不眠症状との関連について調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2021年1月15日号の報告。 対象は、18~35歳のバーレーン若年成人654人(男性:304人、女性350人[女性の割合:54%])。基本的な人口統計学的および身体測定の特徴、ノモフォビア質問票(NMP-Q)、不眠症重症度質問票(ISI)、Yale食物依存症尺度(YFAS)を含む自己評価型の構造化されたオンライン質問票を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・重度のノモフォビア、中等度~重度の不眠症状、食物依存症は、個別または合併ともに、女性では一般的に認められた。しかし、統計学的な有意性は認められなかった。・重度のノモフォビアの有症率は、女性で21.7%(76例)、男性で18.8%(57例)であった(p=0.9)。・中等度~重度の不眠症状の有症率は、女性で16%(56例)、男性で11.84%(36例)であった(p=0.1)。・食物依存症の有病率は、女性で20.29%(71例)、男性で17.43%(53例)であった(p=0.3)。・ノモフォビアと不眠症状との間に統計学的に有意な関連が認められた(r=0.60、p<0.001)。・ノモフォビアと食物依存症との関連は認められなかった。 著者らは「ノモフォビアは若年成人、とくに女性において頻度が高かった。ノモフォビアは、不眠症状との関連が認められたが、食物依存症との関連は認められなかった」としている。

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コロナ禍の花粉症対策にも有用、「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版」

 今年の花粉症シーズンはコロナ禍ということもあり、耳鼻咽喉科医だけではなく、多くの非専門医にも花粉症について再認識してもらうことが重要ではないだろうか。そこで、2020年7月に改訂第9版として発刊された『鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版』の作成委員長を務めた岡野 光博氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学 教授)に鼻アレルギー診療ガイドライン2020の改訂内容やコロナ禍で注意すべき点を伺った。小児・若年層の花粉症有病率が増加、その背景とは 近年、有病率が増加傾向のアレルギー性鼻炎。その原因は未だに不明な点も多いが、日本人の生活様式の変化(マンションなど気密性の高い住居など)によるダニや昆虫の増殖、ペットの屋内飼育、花粉症産生能力が高い樹齢スギの増加などが原因で抗原量が増えているためと考えられている。 アレルギー性鼻炎のなかでも有病率の高いスギ花粉症は、「とくに20歳未満での早期発見・早期治療が重要」だと岡野は強調した。というのも、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした疫学調査(1998年・2008年・2019年に調査)結果から、10~19歳の約半数がスギ花粉症をすでに発症していたことが明らかになり、また、経時的に見た場合にも5~9歳の小児や若年層のスギ花粉症有病率割合が増えていたからである(第2章 疫学の図2、3参照)。「鼻アレルギー診療ガイドライン2020内のグラフをみると30歳以降のスギ花粉有病率も増加しているが、増加率は若年層で著しい。とくに5~9歳の約3割は10年後にスギ花粉症を新規に発症することが確認された」と同氏は説明した。 また、同氏は「アレルギー性鼻炎は50歳まで発症させないことが重要である。小児の段階でしっかり治療を行い、発症を抑えることができれば将来的にも身体への負担が少なくなる。一方で50歳以上は新規にアレルギー性鼻炎を発症しづらいことが今回の疫学調査で確認できた」とも話した。コロナと花粉症、どちらの対策にも“鼻閉”を見逃すな 風邪とアレルギー性鼻炎との鑑別には、“鼻漏時の鼻の痒み”有無の確認が有用であるが、「新型コロナとの鑑別にも有用」だという。また、問診の際には「鼻閉症状に注意することは意義がある」とも同氏は話し、「鼻閉は口呼吸につながり、口が乾燥することで新型コロナに感染しやすい環境が整ってしまう。鼻アレルギー診療ガイドライン2020の『第4章 検査・診断』(表9.アレルギー性鼻炎症状の重症度分類)にも示されているように、鼻閉の強さを口呼吸の時間で分類しているため、この症状に注目することも肝心」と解説した。口腔アレルギー症候群も視野に診断を 食物アレルギーの一種である口腔アレルギー症候群(OAS:Oral allergy syndrome)は花粉症患者に合併することが多い疾患で、主にフルーツや野菜などの食物の摂取時に口腔・咽頭粘膜を中心に生じる即時型食物アレルギーである。このなかでもシラカンバの花粉症患者がリンゴやサクランボなどのバラ科食物に交差反応してアレルギー症状を示すのは有名な話である。しかし、「小児の場合は、親御さんがこの交差反応に関する知識を持っていないと、食わず嫌いと勘違いしてしまうため、親御さんからのヒアリングに十分注意してもらいたい」とコメントした。 このほか、鼻アレルギー診療ガイドライン2020の第4章の検査・診断の項には、日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票が、第5章の治療の項にはアレルギー性鼻炎の問診票や鼻アレルギー日記のテンプレートが掲載されており、日常診療に役立つツールをたくさん備えたガイドラインに仕上がっている。

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