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子宮頸がん撲滅に向けて:HPVワクチン接種の意義とは

 2022年3月29日、MSD株式会社は子宮頸がん予防に関するメディアセミナーを開催した。 今回のセミナーでは、「子宮頸がん予防の重要性ついて」を近藤 一成氏が、「ワクチン接種を検討する方へ伝えるべきポイント」について勝田 友博氏が説明した。若年女性で多い子宮頸がん 主要先進7ヵ国、G7の中で日本は子宮頸がん罹患率が最も高く、年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、約3,000人が死亡している。2019年の1年間であれば、死亡者のうち571人が25~49歳と若年の女性であった。つまり、子宮頸がん予防の遅れが課題となっている。 「子宮頸がんは人生を変えてしまう疾患である」。子宮頸がんが原因で離婚することになった患者、幼い子供がいながら余命宣告をされた患者など多くの患者を診てきた近藤氏は、子宮頸がんをそう評価する。子宮頸がん撲滅のために 子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)感染によるものであり、HPVは性交経験のある女性のうち約80%が感染しているとされ、誰にでも起こりえるといえる。実際に、HPVに感染していない子宮頸がんはほとんどないといわれている。 子宮頸がんはHPVに感染した後、軽度異形成から中等度、高度異形成、そして上皮内がんへと進行する。がん検診で早期発見できるのは、高度異形成以上であるため、検診率が80%台になっても罹患率の減少は35%程度しか見込めないと近藤氏は指摘する。さらに、細胞診の感度は53~78%であり、一定の割合で偽陰性が生じることや、最近増加傾向にある子宮頚部腺がんは検出が難しい。そのため、子宮頸がんの予防戦略としては1次予防でHPVワクチン、検診は2次予防である、と近藤氏は訴えた。 実際にHPVワクチンの接種率向上によって、スコットランドでは子宮頸がんやその前段階である異形成が減少したと報告されており、スウェーデンやイングランドにおいても同様の報告がなされている。 「このままでは子宮頸がんは日本の風土病になってしまう」、諸外国の状況と日本の現状を比べて近藤氏はそう語った。HPVワクチンの積極的勧奨が再開された今、早期のHPVワクチン接種が望まれる、と述べて近藤氏は講演を終えた。正確な情報をもとに判断する 続いて、「ワクチン接種を検討する方に伝えたい留意点」と題して勝田 友博氏が講演を行った。 HPVワクチンと聞くと真っ先に思い浮かぶのが、接種後の痛みや手足の動かしにくさ、不随意運動などの身体機能症状である。これらの身体機能症状がHPVワクチンによるものなのではないか、という点を気にしてHPVワクチンを接種しない選択をした方も多くいることが想像できる。 しかし、HPVワクチンと多様な身体機能症状の関連について調査した名古屋Studyでは、月経量の異常だけが接種群において非接種群よりも頻度が増加していた。また、『青少年における疼痛または運動障害を中心とする多様な症状の受領状況に関する全国疫学調査』によると、HPVワクチンの接種歴がなくても接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を呈するものが一定数存在することが報告されている。 HPVワクチンに関する情報が溢れている昨今、その中から正確な情報をもとに接種希望者には判断をしてもらう必要がある。とくに医療従事者は正確で透明性の高い情報をわかりやすく提供し、判断の助けをする必要がある、と勝田氏は語った。今後のHPVワクチン接種体制 現在、日本国内で2000年度以降に生まれた女性におけるHPVワクチン接種率がかなり低い状況にある。そのため、キャッチアップ接種の必要性があるとされており、対象は1997~2005年生まれの女性となる。 HPVワクチンは接種年齢が遅れるとワクチンの効果が低下するため、接種機会を得たら速やかに接種することを勝田氏は推奨している。 ワクチン接種の重要性も接種する本人、または保護者に伝わらないと意味がない。将来「知らなかった」で後悔しないよう、ワクチン接種するかどうかを、本人や保護者に正確な情報をもとに判断してもらうためにも、国や医療従事者が正確かつ透明性の高い情報をわかりやすく提供することが重要だ、と勝田氏は述べ、講演を締めくくった。

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「急ぎ」のお宝承継をゲットできる医師は…?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第38回

第38回 「急ぎ」のお宝承継をゲットできる医師は…?漫画・イラスト:かたぎりもとこ前回の仲介業者が考える「お宝物件」の記事では、「伸び代が大きい」「リスクを最小化できる」という観点を紹介しました。今回はまた少し違った観点の「お宝物件」の探し方を紹介します。それは、一言で説明すれば「急ぎの案件」です。「売り主が急いで承継相手を探している」という案件には、大きく分けて下記のケースがあります。(1)院長が体調不良などの事情から、急いで買い手を探す(2)分院展開をする法人で管理医師が退職し、次が見つからずに急いで買い手を探す(1)院長が体調不良などの事情から、急いで買い手を探す院長が急病、ときには急逝された、という状況で相談を頂くケースは非常に多くあります。このような場合、家族や親族が主体となって医業承継を検討しますが、早く買い手を見つけなければ閉院となり患者や従業員に大きな影響が出てしまう、といった事情から大急ぎで後継者探しをしているのです。2021年に弊社が受けたご相談全体のうち、このパターンが2割程度を占めていました。急ぎであることに加え、医業や経営に詳しくない家族・親族の意向として「譲渡額はさほどこだわらなくてよいので、患者や従業員の引き継ぎをしてほしい」というケースが多く、相場の半額以下で成約することも多くあります。(2)分院展開をする法人で管理医師が退職し、次が見つからずに急いで買い手を探す3月末や12月末まで、といったように年や期の変わり目に多い相談です。医師が転職する時期で最も多いのが4月で、この時期に多くの医師が新しい環境へ移りますが、その中には分院長を務めていた管理医師もいます。分院長が辞める場合、雇用していた医療法人は次の管理医師候補を探しますが、医師は圧倒的な売り手市場で、新たな管理医師を3ヵ月や半年の期間で探すことは大変です。ここで管理医師候補を探すことができず、「分院を切り離し、開業したい医師へ譲渡したい」というケースが出てくるのです。こうした背景から、「急ぎ」を理由としたお宝物件が発生するのですが、買い手候補の医師の多くはこれらの話を受けることができません。それは「医局に所属しており、退局や引き継ぎに1年はかかる」という方が大半だからです。一方、数は少ないながら、開業を決意し、医局を辞めてフリーランスの立場になって承継案件を真剣に探す方もいます。「お宝物件」は、こうした覚悟と準備のできた方が承継するケースがほとんどなのです。

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会員医師の昨年度の最多年収帯は?/1,000人アンケート

 ケアネットでは、3月10日(木)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その結果、82%の医師が昨年度の年収額を1,000万円以上と回答し、その中で最も多い年収帯は2,000~2,500万円であった(全体の15%)。また、全体の58%の医師が1,000~2,000万円の年収帯に分布し、2,000~3,000万円は20%、3,000万円以上は4%であった。46~65歳では6割以上が1,600万円以上と回答 最多年収帯を年代別にみると、35歳以下が1,000~1,200万円(21%)、36~45歳が1,200~1,400万円(17%)、46~55歳が1,600~1,800万円および2,000~2,500万円(ともに19%)、56~65歳および66歳以上が2,000~2,500万円(22%、14%)だった。 年収1,000万円以上が占める割合は、35歳以下が64%、36~45歳が87%、46~55歳が91%、56~65歳が92%と年齢が上がるごとに増加したが、66歳以上では76%と減少した。また、46~65歳では6割以上が1,600万円以上と回答した。診療科別の傾向は? 診療科別に昨年度の年収が1,600万円以上と回答した医師の割合をみると、内科系と比較して外科系で多い傾向がみられた(以下は30人以上の回答が得られた診療科から抜粋):内科系循環器内科(54%)精神科(54%)内科(48%)消化器内科(45%)神経内科(38%)小児科(37%)呼吸器内科(36%)糖尿病・代謝・内分泌内科(30%)外科系消化器外科(67%)外科(60%)脳神経外科(50%)整形外科(47%)耳鼻咽喉科(40%) その他の診療科、男女別、病床数別、勤務先別の医師の年収分布についても、以下のページで結果を発表している。医師の年収に関するアンケート2022【第1回】昨年度の年収

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妊娠中のコロナワクチン接種、周産期アウトカムへの影響は?/JAMA

 妊娠中の女性に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種しても、妊娠終了後の接種や非接種と比較して、母子における有害な周産期アウトカムのリスクの増加はほとんどみられないことが、カナダ・オタワ大学のDeshayne B. Fell氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年3月24日号に掲載された。オンタリオ州の後ろ向きコホート研究 研究グループは、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種の、周産期のアウトカムに及ぼす影響の評価を目的に、人口ベースの後ろ向きコホート研究を行った(カナダ公衆衛生庁の助成を受けた)。 解析には、カナダ・オンタリオ州のCOVID-19予防接種データベース(COVaxON)と連携させた出生レジストリ(Better Outcomes Registry & Network[BORN] Ontario)の2020年12月14日~2021年9月30日のデータが用いられた。 被験者は、妊娠中に少なくとも1回のCOVID-19ワクチン接種を受けた群、妊娠終了後に接種を開始した群、接種の記録がない群の3群に分けられた。 主要アウトカムは、母親では分娩後出血、絨毛膜羊膜炎、帝王切開による分娩(全体および緊急時)、新生児では新生児集中治療室(NICU)入室、分娩5分後の新生児Apgarスコア低値(7点未満)の発生とされた。リスク増大なし、ほとんどがmRNAワクチンである点に留意 9万7,590人(平均年齢 31.9[SD 4.9]歳)の妊婦が解析に含まれた。2万2,660人(23%)が妊娠中に少なくとも1回のワクチン接種を受け、このうち63.6%は妊娠第3期(妊娠期間中央値213日[在胎週数30週])に1回目の接種を受けており、99.8%(BNT162b2[Pfizer-BioNTech製]79.9%、mRNA-1273[Moderna製]19.9%)がmRNAワクチンであった。 これら妊娠中接種群は、妊娠終了後接種群(4万4,815人)と比較して、5つの有害な周産期アウトカムについて、統計学的に有意なリスクの増加は認められなかった。 すなわち、分娩後出血の発生率は、妊娠中接種群が3.0%、妊娠終了後接種群も3.0%(補正後群間リスク差:-0.28/100人[95%信頼区間[CI]:-0.59~0.03]、補正後リスク比:0.91[95%CI:0.82~1.02])で、絨毛膜羊膜炎はいずれも0.5%(-0.04/100人[-0.17~0.09]、0.92[0.70~1.21])と両群に差はなく、帝王切開による分娩は30.8%および32.2%(-2.73/100人[-3.59~-1.88]、0.92[0.89~0.95])と、妊娠中接種群のほうが低かった。また、新生児の2つのアウトカムはいずれも妊娠中接種群でリスクが低く、NICU入室は11.0%および13.3%(-1.89/100人[-2.49~-1.30]、0.85[0.80~0.90])、分娩5分後Apgarスコア低値は1.8%および2.0%(-0.31/100人[-0.56~-0.06]、0.84[0.73~0.97])だった。 また、非接種群(3万115人)と比較した場合の、妊娠中接種群における有害な周産期アウトカムの発生のリスクは以下のとおりであり、妊娠終了後接種群との比較とほぼ同程度であった。 分娩後出血(3.0% vs.3.4%、補正後リスク差:-0.32/100人[95%CI:-0.64~-0.01]、補正後リスク比:0.90[0.81~1.00])、絨毛膜羊膜炎(0.5% vs.0.3%、0.07/100人[-0.04~0.19]、1.20[0.90~1.59])、帝王切開による分娩(30.8% vs.28.5%、-0.97/100人[-1.81~-0.14]、0.97[0.94~1.00])、NICU入室(11.0% vs.12.8%、-0.93/100人[-1.52~-0.35]、0.92[0.87~0.97])、分娩5分後Apgarスコア低値(1.8% vs.2.0%、-0.23/100人[-0.47~0.02]、0.88[0.77~1.01])。 著者は、「これらの結果を解釈する際は、妊娠中のワクチン接種の多くは妊娠第2~3期に接種されたmRNAワクチンである点に留意する必要がある」としている。

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高齢成人のうつ、不安、PTSDに対する性的虐待の影響

 性的暴力は、メンタルヘルスに重大な影響を及ぼすとされる。小児期の性的虐待は、その後の人生における内在化障害と関連しており、高齢の成人においては、性的暴力がこれまで考えられていた以上に多く発生している。後の人生における性的暴力への医療従事者の対応スキルは十分であるとは言えず、生涯(小児期、成人期、老年期)における性的暴力のメンタルヘルスへの影響に関する研究も不十分である。ベルギー・ゲント大学のAnne Nobels氏らは、高齢成人を対象に、性的虐待とメンタルヘルスへの影響について調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2022年2月28日号の報告。 2019年7月~2020年3月、ベルギー在住の高齢成人513人を対象に構造化された対面式インタビューを実施した。ランダムウォーク検索アプローチを用いて、クラスターランダム確立サンプリングを行った。うつ病、不安神経症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の評価には検証済みの尺度を用いた。対象者には、生涯および過去12ヵ月間の自殺企図および自傷行為について質問した。性的暴力は、広範な性的暴力の定義に基づくbehaviourally specific questionsを用いて測定した。 主な結果は以下のとおり。・各発症率は、うつ病27%、不安神経症26%、PTSDが6%であり、過去12ヵ月間における自殺企図の割合は2%、自傷行為の割合は1%であった。・生涯における性的暴力の経験は44%以上で認められ、過去12ヵ月間でも8%であった。・生涯における性的暴力は、うつ病(p=0.001)、不安神経症(p=0.001)、慢性疾患を有する(p=0.002)または低学歴である(p<0.001)試験参加者のPTSDと関連が認められた。・生涯における性的暴力と過去12ヵ月間の自殺企図または自傷行為との間に関連は認められなかった。 著者らは「生涯における性的暴力は、後の人生におけるメンタルヘルスの問題と関連しており、性的暴力歴を有する高齢成人に個別に対応したメンタルヘルスケアが求められる。そのためには、専門家への教育促進や臨床ガイドラインの開発、ケア手順の策定が重要である」としている。

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HPVワクチン積極的勧奨再開にあわせたイベント&患者説明用フライヤー

 HPVワクチンは2013年に定期接種の対象となったが、その後に相次いで副反応疑いの事例が報告されたため、厚労省は接種を個別に呼びかける「積極的勧奨」を中断していた。その後、ワクチンの有効性に関するエビデンス1)が蓄積し、さらにはワクチン接種後の多様な症状とワクチン接種の関係を否定する報告2)などを背景に、今年4月より9年振りに積極的勧奨が再開されている。 今回の勧奨再開によって、定期接種の対象となる小学校6年生~中学3年生相当年齢の女子に対し、自治体から接種の案内が送付されるようになる。無料接種が可能なのは2価・4価ワクチンで、9価ワクチンや男性の接種は自費となる。併せて、積極的勧奨中断で接種機会を逃した1997~2006年生まれの女性が無料で接種を受けられる「キャッチアップ接種」や、定期接種の対象期間を過ぎて自費で接種を受けた人へ接種費用を払い戻す制度も用意されている。 HPVワクチンの普及啓発活動を行う一般社団法人みんなで知ろうHPVプロジェクト(通称みんパピ!)は、2020年8月の設立以来、HPV感染症について正確な知識を伝えるための活動を展開してきた。今回の積極的勧奨の再開にあたり、 4月9日の「子宮の日=子宮頸がん予防の日」に合わせ、さまざまな啓蒙活動を展開している。 具体的な活動は以下のとおり。人気医療マンガ『コウノドリ』の子宮頸がん編を限定無料公開 鈴ノ木 ユウ氏の人気医療漫画『コウノドリ』の「子宮頸がん」編(13巻40話・14巻41話)を出版社の協力により、「みんパピ!」サイト上で4月22日(金)まで限定無料公開。交通広告の展開 東京の渋谷駅、大阪の難波駅の大型ビジョンにワクチンについての、対象者向けのメッセージ広告を展開。4/9にYou Tubeライブを開催 医療政策などをテーマとした有識者を招いたYou Tubeライブを複数開催。患者説明用フライヤーを更新 従来から作成・配布してきた、医療機関に向けた患者説明用フライヤーの内容を更新(「みんパピ!」サイトでダウンロード可)。 みんパピ!の副代表を務める医師の木下 喬弘氏はプレスセミナーの中で「日本のHPVワクチンの接種率は2019年度で1.9%と他国に比べて恐ろしいほど低い。みんパピ!が昨年行った独自調査(参考記事)では14.4%と上昇してきたが、それでも他先進国の6~9割という接種率には程遠い。今後の急速な接種率回復が今後の子宮頸がんの罹患率・死亡率を下げることは明らかで、メディアとも協力しつつ、対象者と親、学校等への啓蒙活動を続けていきたい」とした。

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妊婦への新型コロナワクチン、胎児への悪影響なし/JAMA

 妊娠中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチンの接種は、非接種者と比べて有害妊娠アウトカムのリスク増大と有意に関連しないことが示された。ノルウェー・Norwegian Institute of Public HealthのMaria C. Magnus氏らが、スウェーデンとノルウェーの妊婦約16万人を対象に行った、後ろ向きコホート試験の結果を報告した。結果について著者は「ワクチン接種の大多数は、妊娠第2~3期にmRNAワクチンを使用して行われており、今回の調査結果で考慮すべき点である」と述べている。妊娠中の新型コロナワクチンの安全性に関するデータは限定的であった。JAMA誌オンライン版2022年3月24日号掲載の報告。スウェーデン10万人超、ノルウェー5万人超を対象に試験 研究グループはスウェーデンとノルウェーでレジストリベースの後ろ向きコホート試験を行い、妊娠中の新型コロナワクチン接種後の有害妊娠アウトカムのリスクを調べた。被験者は、スウェーデンで2021年1月1日~2022年1月12日に、またノルウェーで2021年1月1日~2022年1月15日に、妊娠22週以降で単胎児を出産した妊婦15万7,521人(スウェーデン:10万3,409人、ノルウェー:5万4,112人)。 Pregnancy Register in SwedenとMedical Birth Registry of Norwayを、ワクチン接種およびその他のレジストリと結びつけ、ワクチン接種情報や被験者背景に関する情報を入手し解析した。mRNAワクチン(BNT162b2[Pfizer-BioNTech製]、mRNA-1273[Moderna製])および1バイアルベクターワクチン(AZD1222[AstraZeneca製])に関するデータは、全国ワクチンレジストリから得た。 主要評価項目は、早産と死産リスクで、妊娠日齢やワクチン接種(時間依存性曝露)を変数に用いたCox回帰モデルを用いて評価し、低出生体重児、アプガー指数低スコア、新生児入院のリスクは、ロジスティック回帰分析で評価。ランダム効果モデルメタ解析で、2国間の結果を統合した。妊娠中COVID-19ワクチン接種率は18% 被験者の分娩時平均年齢は31歳だった。妊娠中に新型コロナワクチンを接種したのは2万8,506人(18%)で、うちBNT162b2が12.9%、mRNA-1273が4.8%、AZD1222が0.3%だった。接種時期の内訳は、妊娠第1期が0.7%、第2期が8.3%、第3期が9.1%だった。 妊娠中の新型コロナワクチン接種は、早産(非接種群6.2/1万妊娠日vs.接種群4.9/1万妊娠日、補正後ハザード比[aHR]:0.98[95%信頼区間[CI]:0.91~1.05]、I2=0%、異質性のp=0.60)、死産(2.1 vs.2.4/10万妊娠日、aHR:0.86[95%CI:0.63~1.17])、低出生体重児(7.8% vs.8.5%、群間差:-0.6%[95%CI:-1.3~0.2]、補正後オッズ比[aOR]:0.97[95%CI:0.90~1.04])、アプガー指数低スコア(1.5% vs.1.6%、群間差:-0.05%[95%CI:-0.3~0.1]、aOR:0.97[95%CI:0.87~1.08])、新生児入院(8.5% vs.8.5%、群間差:0.003%[95%CI:-0.9~0.9]、aOR:0.97[95%CI:0.86~1.10])の有害妊娠アウトカムについて、いずれもリスク増大との有意な関連は認められなかった。

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小児へのファイザー製ワクチン、オミクロン株でも重症化に有効/NEJM

 BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)ワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株に関連した入院リスクを、5~11歳の小児で約3分の2に低減することが示された。12~18歳の青少年では、2回接種の入院に対する保護効果は、デルタ変異株よりもオミクロン変異株で低下したが、いずれの変異株についてもワクチン接種による重症化を予防する効果が認められたという。米国疾病予防管理センター(CDC)のAshley M. Price氏らによる診断陰性症例対照試験の結果で、NEJM誌オンライン版2022年3月30日号で発表された。5~11歳、12~18歳のCOVID-19入院・重症化に対するワクチン有効性を推定 研究グループは、診断陰性デザインによる症例対照試験で、検査で確定した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院および重症化(生命維持装置使用や死亡に結び付くなど)へのワクチンの有効性を評価した。 2021年7月1日~2022年2月17日にかけて、米国23州・31ヵ所の病院で、COVID-19患者とその対照(非COVID-19患者)を登録。COVID-19患者と対照における、ワクチン完全接種群(mRNAワクチンBNT162b2を2回接種から2週間以上経過)と非接種群のオッズ比を比較し、ワクチン有効性を推定した。オッズ比比較は、12~18歳の患者でワクチン接種からの経過期間別に、また5~11歳と12~18歳の患者ではデルタ変異株流行期間(2021年7月1日~12月18日)とオミクロン変異株流行期間(2021年12月19日~2022年2月17日)それぞれについて行った。デルタ変異株流行期、12~18歳の入院に対するワクチン有効性は92~93% COVID-19患者群1,185例(1.043例[83%]がワクチン未接種、生命維持装置使用291例[25%]、死亡14例)、対照群1,627例が試験に登録された。 デルタ変異株流行期間中、12~18歳のCOVID-19入院に対するBNT162b2ワクチン有効性は、ワクチン接種後2~22週間で93%(95%信頼区間[CI]:89~95)、23~44週間で92%(80~97)だった。 オミクロン変異株流行期間中、12~18歳(ワクチン接種からの経過日数中央値:162日)のCOVID-19入院に対するワクチン有効性は40%(95%CI:9~60)、重症化に対しては79%(51~91)であり、非重症化に対しては20%(-25~45)だった。 オミクロン変異株流行期間中の5~11歳のCOVID-19入院に対するワクチン有効性は、68%(95%CI:42~82、ワクチン接種からの経過日数中央値:34日)だった。

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挿管早産児へのヒドロコルチゾン、気管支肺異形成症を抑制せず/NEJM

 気管支肺異形成症は超早産の生存児の約半数にみられる合併症で、機械的人工換気による炎症もその発症に寄与している可能性があるという。米国・ニューメキシコ大学健康科学センターのKristi L. Watterberg氏らEunice Kennedy Shriver国立小児保健・人間発達研究所(NICHD)新生児研究ネットワーク(NRN)は、出生後に挿管を受けた早産児を対象に出生から2週以降にヒドロコルチゾンの10日間漸減治療を開始する方法の有効性を検討し、プラセボと比較して中等度または重度の気管支肺異形成症のない生存割合を改善しなかったと報告した。研究の詳細はNEJM誌2022年3月24日号に掲載された。米国19施設のプラセボ対照無作為化試験 本研究は、米国の19施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2011年8月22日~2018年2月4日の期間に新生児の登録が行われた(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 対象は、在胎週数が30週未満と推定され、生後14~28日に少なくとも7日間、気管内チューブによる機械的人工換気を受けた乳児であった。これらの乳児が、ヒドロコルチゾン(4mg/kg体重/日で開始し、10日間で漸減)を静脈内あるいは経口投与する群、またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。抜管の閾値が規定され、抜管はこれに基づき担当医の裁量で行われた。 有効性の主要アウトカムは、最終月経から36週の時点における中等度または重度の気管支肺異形成症(酸素飽和度>90%の維持に酸素補給または陽圧換気、あるいはこれら両方を使用)のない生存であった。安全性の主要アウトカムは、修正月齢22~26ヵ月時の中等度または重度の神経発達障害(Bayley乳幼児発達検査第3版[Bayley-III]の認知複合スコア<85点など)のない生存とされた。降圧薬治療を要する高血圧の頻度が高い 800例の乳児が登録され、ヒドロコルチゾン群に398例、プラセボ群に402例が割り付けられた。全体の平均(±SD)出生時体重は715±167g、平均在胎週数は24.9±1.5週であった。プラセボ群で男児が多かった(46.7% vs.58.5%)が、これ以外のベースラインの背景因子に大きな差は認められなかった。 最終月経後36週時の中等度または重度の気管支肺異形成症のない生存割合は、ヒドロコルチゾン群が16.6%(66/398例)、プラセボ群は13.2%(53/402例)であり、両群間に差はみられなかった(補正後率比:1.27、95%信頼区間[CI]:0.93~1.74)。また、36週までの死亡(ヒドロコルチゾン群4.8% vs.プラセボ群7.0%、補正後率比:0.66、95%CI:0.38~1.16)および中等度または重度の気管支肺異形成症の発生(82.6% vs.85.8%、0.96、0.91~1.02)にも差はなかった。 2年後のアウトカムのデータは91.0%の乳児で得られた。22~26ヵ月時の中等度または重度の神経発達障害のない生存割合は、ヒドロコルチゾン群が36.9%(132/358例)、プラセボ群は37.3%(134/359例)であり、両群間に差はなかった(補正後率比:0.98、95%CI:0.81~1.18)。 治療期間中の抜管成功の割合はヒドロコルチゾン群で高かった(44.7% vs.33.6%、補正後率比:1.54、95%CI:1.23~1.93)。また、機械的人工換気の日数中央値は、最終月経後36週以内(37日vs.40日、群間差中央値:-3日、95%CI:-5~-1)および生後120日以内(37日vs.41日、-4日、-7~-1)のいずれもヒドロコルチゾン群で良好だったが、36週以内の抜管乳児数や総酸素補給期間、入院期間には差がなかった。 一方、降圧薬治療を要する高血圧はヒドロコルチゾン群で多かった(4.3% vs.1.0%、補正後率比:4.27、95%CI:1.45~12.55)。これ以外の有害事象の頻度は両群でほぼ同等であった。プロトコル違反の割合もほぼ同等で、最も頻度が高かったのは投与または飲み忘れ(7.0% vs.8.0%)と、14日以内のデキサメタゾン投与(6.8% vs.5.7%)だった。 著者は、「大多数の乳児(634/753例、84.2%)は最終月経後36週の時点で中等度または重度の気管支肺異形成症と診断されており、これは機械的人工換気を36日以上受けた乳児に関する先行研究と同程度であった。したがって、今回の結果は、抜管が早いほど中等度または重度の気管支肺異形成症および死亡の発生は減少するとのわれわれの仮説を支持するものではなかった」としている。

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小児の乳製品摂取量と片頭痛との関連

 片頭痛は、病因が明らかになっておらず、理解不十分な病態生理学的経路を伴う疾患である。乳製品の摂取量と小児の慢性的な症状および片頭痛との関係についてのデータを充足するため、イラン・テヘラン医科大学のShadi Ariyanfar氏らは本研究を実施した。Iranian Journal of Child Neurology誌2022年冬号の報告。 3次医療圏の頭痛クリニックにおける人口ベースのケースコントロール研究を実施した。対象は7~14歳の小児290例。片頭痛の診断は、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)の基準を用いて神経内科医が行った。人口統計学的および人体測定学的特性を収集した。食事摂取量の調査には、検証済みの半構造化された食事摂取頻度調査票(food frequency questionnaire:FFQ)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ケースグループの小児は、平均年齢、平均BMIが有意に高かった(p=0.000)。・セカンド回帰モデルでは、片頭痛のオッズ比(OR)は、低脂肪乳製品の摂取量が第2三分位で48%(OR:0.52、95%信頼区間[CI]:0.27~1.00)、第3三分位で53%(OR:0.47、95%CI:0.24~0.92)の減少が認められた(P trend=0.03)。・完全に調整されたモデルにおける片頭痛のORは、第2三分位で0.48(95%CI:0.24~0.95)、第3三分位で0.46(95%CI:0.21~0.96)であった(P trend=0.04)。・高脂肪乳製品の摂取量がより多い小児は、エネルギー、ペストリー、単糖、スナック菓子、硬化油の摂取量も多かった(p<0.05)。 著者らは「低脂肪の乳製品をより多量に摂取すると、小児および青年期の片頭痛リスク低下に寄与することが示唆された。これらは、食事成分の微量栄養素や生物活性含有量に起因する可能性がある」としている。

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インターネット・ゲーム依存に対する治療の有効性比較~メタ解析

 インターネット・ゲーム依存は、小児や若年成人に負の影響を及ぼす可能性のある精神疾患の1つである。台湾・中央研究院のChuan-Hsin Chang氏らは、インターネット・ゲーム依存に対する薬物療法および心理社会的介入の推定効果を包括的に比較するため、ランダム化比較試験や最新メタ解析を用いて、メタ回帰分析を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2022年2月24日号の報告。 インターネット依存およびインターネット・ゲーム依存に対する介入を検討した研究(2000~17年)をPubMed、MEDLINE、Cochrane Library、Airiti Libraryより検索した。選択された29論文より124研究が抽出された。対象は、小児、若年成人のインターネット依存およびインターネット・ゲーム依存患者5,601例。 主な結果は以下のとおり。・プールされた標準化平均差(SMD)のメタ解析では、インターネット依存およびインターネット・ゲーム依存に対する治療介入の高い効果が示唆された(予備的ランダム効果:1.399、95%信頼区間:1.277~1.527)。・交絡リスク(年齢、出版年、対象者の種類、研究の種類)で調整した後、最も効果的な治療オプションは、薬物療法と認知行動療法(CBT)またはマルチレベルカウンセリング(MLC)の併用療法であることが明らかとなった。・より効果的な測定方法は、オンラインで過ごす時間(p=0.006)またはインターネット依存の重症度(p=0.002)に関する尺度を使用することであった。・うつ病を合併している患者では、他疾患を合併している若年患者と比較し、アウトカム不良であった。・対応するモデルの適合度指数は、τ2=1.188、I2-Residual=89.74%、Adjusted-R2=16.10%であった。 著者らは「インターネット・ゲーム依存の若年患者にとって、薬物療法とCBTまたはMLCの併用療法は、効果的な治療戦略である可能性が示唆された」としている。

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ちびまる子ちゃん(続々編)【その教室は社会の縮図? 男子校と女子校の危うさとは?(恋愛能力)】Part 1

今回のキーワード中学受験男女別学恋愛(生殖)における非認知能力恋愛心理の臨界期「反応性恋愛障害」恋愛の機能男性の恋愛能力女性の恋愛能力昨今、中学受験のための教育熱が加熱しているようです。その中でも、とくに男子校と女子校のエリート中学校は人気があります。その理由は、異性を意識せずに学業に専念して、将来的にエリート大学に入学してエリート職に就くことを多くの親が見越しているからでしょう。または、同性同士で切磋琢磨して、「個性が際立つ」という意見もあるようです。とくに女子は、リーダーシップを育むことができるという意見もあるでしょう。そのベネフィットがある一方で、そのリスクはないでしょうか? ベネフィットばかりに目が向き、そのリスクをあまり気にしていない親が多いようです。そして、そのリスクについて、アカデミックに掘り下げた記事があまり見当たりません。この答えを探るために、今回も、アニメ「ちびまる子ちゃん」のキャラクターを使います。このアニメのキャラクターたちは、前回の記事で、小学校のエリート教育のリスクの考察のために登場してもらいました。今回は、ちびまる子ちゃんのクラスメイトを選抜した男子校と女子校を想定し、そこから男女別学のリスクを、恋愛心理の視点で明らかにします。そして、その根拠を、脳科学的に、発達心理学的に、そして進化心理学的に掘り下げます。さらに、恋愛を「能力」として捉え直し、恋愛の機能を解き明かします。最後に、共学であっても別学であっても、私たち(または私たちの子どもたち)はどうすればいいのかという恋愛の本質に迫ってみましょう。なお、今回は、異性愛に焦点を当てています。同性愛や性別違和(性同一性障害)については、割愛します。男子校と女子校に進学しそうなキャラクターは?ちびまる子ちゃんのクラスメイトは、まる子をはじめとするさまざまなキャラクターがいました。その中で、男子校と女子校のエリート中学校に進学しそうなキャラクターは誰でしょうか?エリート中学校が選ぶ基準は、基本的に試験の学力(認知能力)と小学校の内申点(学校活動)です。これを踏まえて、誰が合格するかを一緒に想像してみましょう。(1)エリート男子校最も合格する可能性が高いのは、丸尾君です。彼は、生真面目キャラで、勉強熱心であることに加えて、学級委員になることに執着する典型的な優等生です。前回の記事で彼と一緒にエリート小学校にいそうであると考察した花輪クンも合格する可能性はあります。ただし、花輪クンは、学校活動に丸尾君ほど積極的ではない点で、どちらかで言うと、丸尾君が選ばれるでしょう。そもそも、花輪クンは、セレブキャラで、語学力がすでにあるため、海外のエリート学校に行ってしまうかもしれません(2)エリート女子校最も合格する可能性が高いのは、みぎわさんです。彼女は、思い込みキャラですが、丸尾君と同じく、勉強もできて、学級委員を務めあげる優等生です。ちなみに、前回の記事で彼女と一緒にエリート小学校にいそうであると考察した城ヶ崎さんは、みぎわさんほど合格の可能性は高くないです。その理由は、城ヶ崎さんは、お嬢様キャラで、とくに勉強熱心ではなく、学校活動もみぎわさんほどしていないからです。むしろ、城ヶ崎さんは、エリート中学校にいるとしたら、エリート小学校からエスカレーター式に上がってきている場合でしょう。そして、そのまま女子大まで進学しそうなキャラクターでしょう。なお、たまちゃんは、しっかり者キャラで優等生であるため、合格する可能性はあります。前回の記事で、彼女は、小学校受験では、頑張ったとしても、父親が変わり者であるため、親子面接で惜しくも落とされると考察しました。中学受験では、親子面接がないことが多いため、可能性が出てきます。ただし、彼女は、友達を大事にするキャラクターなので、まる子と一緒に公立中学校に進学する道を選ぶでしょう。男女別学のリスクとは?ちびまる子ちゃんのキャラクターの中で、エリート男子校にいる典型的なキャラクターは丸尾君で、エリート女子校にいる典型的なキャラクターはみぎわさんであることがわかりました。それでは、ここから、この2人のキャラクターをイメージしながら、男女別学のリスクを大きく3つ挙げ、脳科学的に解釈してみましょう。(1)身近にいる異性を好きになれない-消極性エリート男子校に進学した思春期の丸尾君、エリート女子校に進学した思春期のみぎわさんは、勉強に部活(おそらく文化系)に励むでしょう。しかし、1日に多くの時間を過ごすその学校には、異性はいません。その代わりとして、ネット・アニメ・マンガなどに出ている理想化された異性のアイドルやキャラクターへの思い入れを強めてしまうでしょう。理想化された男性は、昔から「王子様」と呼ばれています。最近、理想化された女性は「女神」と呼ばれているようです。そして、その分、必然的に、実際の現実的な異性を好きになる経験が少なくなるでしょう。男女別学のリスクの1つ目は、身近にいる異性を好きになれない、つまり恋愛への消極性です。実際に、ある結婚相談所でのアンケート調査で、「(実は)結婚したくない」と回答した人は、共学出身の男性が18%であるのに対して、男子校出身者は28%であることがわかっています。また、共学出身の女性が8%であるのに対して、女子校出身者は11%であることがわかっています。つまり、とくに男子校出身者は結婚に消極的になりがちであることが示唆されました。女性よりも男性にこの傾向が見られる原因として、もともと男性は女性よりも共感性が低いという性差が考えられます。これは、恋愛の量的な問題と言えます。なお、「結婚したくないけど、身近にいる異性を好きになる」人は、そもそも結婚相談所に入らないことが想定されますので、除外します。「(実は)結婚したくない」のに結婚相談所に入っている理由は、親など周りからの推奨(または圧力?)が推測されます。自分の意に反して親などに従ってしまう点で、自分らしい人生を送ることへの消極性も、伺えます。また、現実的な異性との結婚には消極的ですが、相変わらず「王子様」や「女神」との結婚を夢見ていることも、伺えます。しかしながら、男子校出身者については、この婚活における内面的なディスアドバンテージが、エリートになることによる社会的地位や経済力などの外面的なアドバンテージによって、ある程度緩和または相殺されている可能性はあります。つまり、エリート男性になった丸尾君は、実は結婚に消極的ですが、婚活ではモテてしまうということです。男女別学は、それだけ現実の異性への「惚れ慣れ」ができなくなるリスクがあると言えます。この「惚れ慣れ」は、恋愛(生殖)における自発性(非認知能力)とも言い換えられます。脳科学的に言えば、これは、現実的な異性を好きになる経験の積み重ねによる快感(ドパミン活性化)によって高まると考えられます。(2)異性をそのまま受け止められない-ストレス脆弱性思春期の丸尾君は、女子たちが時に情緒的になるのを見慣れることはありません。一方で、思春期のみぎわさんは、男子たちが理屈っぽくなるのを見慣れることはありません。そして、そんな2人は、異性を好きになって告白してフラれたり、付き合って喧嘩別れしたり、仲直りしたりする経験を積み重ねることはありません。一方で、「王子様」や「女神」は、当然ながらアイドルビジネスであるため、彼らを気持ち良くさせる都合の良いリアクションを徹底的に演じます。そんな「王子様」にみぎわさんは、かなりハマってしまいそうです。そして、その分、必然的に、実際の現実的な異性を理解する経験が少なくなるでしょう。男女別学のリスクの2つ目は、異性をそのまま受け止められない、つまり恋愛へのストレス脆弱性です。実際に、結婚相談所でのアンケート調査の結婚相手に求める条件において、「性格」「金銭感覚」の項目の割合は、共学出身の男性と女性のどちらも、男子校出身者と女子校出身者を上回ったのに対して、「家柄」「同じ出身地」の項目の割合は、男子校出身者と女子校出身者のどちらも、共学出身の男性と女性を上回ることがわかっています。さらに、男子校出身者は「収入」「仕事内容(勤務先)」、女子校出身者は「自分の両親との良好な関係」「容姿」の項目を重視する傾向があることがわかりました。つまり、共学出身の男性と女性はより内面を、男子校出身者と女子校出身者はより外面を重視する傾向があることが示唆されました。この原因として、男子校出身者と女子校出身者は、相手選びにおいて、わかりにくい内面よりも、わかりやすい外面(スペック)に頼ってしまうことが考えられます。さらに、恋愛において、異性を理解する経験が少ないと、自分自身を理解する経験も少なくなる、つまり自分自身をそのまま受け止められないリスクもあります。なぜなら、恋愛は、自分が受け止めるだけでなく、相手から受け止めてももらう「合わせ鏡」(相互作用)で成り立っているからです。つまり、丸尾君は「女神」を求め続ける永遠の「少年」になってしまい、みぎわさんは「王子様」を待ち続ける永遠の「お姫様」になってしまうということです。結果的に、大人と大人の関係として、内面的に自分に合う(釣り合う)相手を見極めることを軽視してしまい、相手選びの外面的なハードルばかりが上がってしまいます。また、フラれた場合、納得ができず、ついストーカー行為をしてしまう場合もあるでしょう。これは、恋愛の質的な問題と言えます。男女別学は、それだけ現実の「異性慣れ」ができないリスクがあると言えます。この「異性慣れ」は、生殖におけるセルフコントロール(非認知能力)とも言い換えられます。脳科学的に言えば、これは、現実的な異性を受け止める経験(曝露)の積み重ねによるストレス耐性(セロトニン不活性化の抑制)によって高まると考えられます。(3)異性と一緒にいて楽しめない-排他性思春期の丸尾君とみぎわさんは、それぞれの男子校と女子校で、同性のクラスメイトたちとの連帯感(同調性)を強めるでしょう。これは、「男子校ノリ」「女子校ノリ」と呼ばれています。また、丸尾君やみぎわさんがそれぞれ思い入れるアニメやマンガで登場する「女神」や「王子様」は、どんどん積極的にアプローチしてくるので、丸尾君やみぎわさんは何もしなくても良いことになります。これは、多くの人が望む性的ファンタジーです。だからこそ、そういうストーリーがよく作られるわけです。そして、よく売れます。そしてまたよく作られるというからくりがあります。現実の異性は違うことを、実体験として理解することが難しくなります。つまり、同性同士の連帯感と理想化した異性との性的ファンタジーが高まる分、必然的に、実際の異性と一緒にいる時間を積極的に楽しむ経験が少なくなるでしょう。男女別学のリスクの3つ目は、異性と一緒にいて楽しめない、つまり恋愛への排他性です。実際に、イギリスの研究調査において、共学出身の男性よりも、男子校出身者のほうが、42歳までに離婚や別居に至るリスクがやや高いということがわかっています。この原因として、異性と一緒にいて楽しむ経験を積むことがなく、楽しもうと積極的になっていないことにより、一緒にいることがむしろ苦痛に感じてしまうことが考えられます。たとえば、男性はどうしていいかわからずに楽しく思えない、女性は受け身になって不満に感じるだけで楽しく思えないことです。さらに、「男性なんだから女性の気持ちを考えてリードしてほしい(察してほしい)」「女性が急に怒るのはやめてほしい(説明してほしい)」など、相手の問題にすり替えてしまい、許せなくなってしまうことです(認知的不協和)。とくに、女性は、男性から性的に見られることに慣れていない場合は、一緒にいることがただの苦行になってしまいます。そして、結果的に、ますます恋愛経験を積むチャンスが減ってしまいます。男女別学は、それだけ現実の異性との「交際慣れ」ができないリスクがあると言えます。この「交際慣れ」は、恋愛(生殖)における共感性(非認知能力)とも言い換えられます。脳科学的に言えば、これは、異性と一緒にいる経験の積み重ねによる同調(オキシトシンとドパミンが連動的に活性化)によって高まると考えられます。次のページへ 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ちびまる子ちゃん(続々編)【その教室は社会の縮図? 男子校と女子校の危うさとは?(恋愛能力)】Part 2

どうやって恋愛能力を高めるの?男女別学のリスクとは、身近にいる異性を好きになれない(消極性)、異性をそのまま受け止められない(ストレス脆弱性)、異性と一緒にいて楽しめない(排他性)であることがわかりました。言い換えれば、現実の異性への「惚れ慣れ」(自発性)、「異性慣れ」(セルフコントロール)、「交際慣れ」(共感性)という恋愛(生殖)における非認知能力が高まらないことがわかりました。つまり、恋愛を「能力」として、捉え直すことができます。名付けるなら、恋愛能力です。これは、心理学者フロムの「愛するという技術(art of loving)」という名言を裏付けます。それでは、どうやってこの恋愛能力を高めましょうか? 言い換えれば、どうやって異性を好きになり、受け止め、一緒にいて楽しめるのでしょうか?その答えは、現実の異性への「惚れ慣れ」「異性慣れ」「交際慣れ」をとくに思春期にすることです。つまり、思春期にこそ、この生殖における非認知能力を高める練習をする必要があるということです。この理由を、愛着形成や性格形成のメカニズムをヒントにして、癖になりやすさ(嗜癖性)の臨界期の観点から、発達心理学的に掘り下げてみましょう。なお、臨界期とは、特定の刺激に対して脳(脳神経回路)が反応しやすい(可塑性が高い)特定の時期です。これは、反応しやすくなる時期と反応しにくくなる期限があることを意味します。期限があるのは、次のステップ(発達段階)に進むために必要な脳のメカニズムであると考えられています。(1)愛着という能力は乳児期に高まる愛着とは、乳児が授乳する母親にくっついていたいと思うことです。これは、抱っこや愛撫などの親との肌の触れ合いの刺激に繰り返し曝されることで、乳児の脳内のオキシトシンとドパミンが連動的に活性化され、親を後追いする愛着行動として発達していきます。このメカニズムがなければ、乳児はおっぱいをもらうアピールができずに餓死してしまうかもしれません。この点で、愛着は、依存行動(嗜癖)であると同時に能力であると言えます。名付けるなら、愛着能力です。この依存形成(愛着形成)の期間(臨界期)は、生後半年から2歳までの乳児期であることがわかっています。つまり、授乳期に一致します。この期間で、愛着能力が高まり、特定の親への愛着が固定化されるのです。逆に言えば、臨界期がなければ、次々と違う大人への愛着行動を示してしまい、親子の絆が定まらなくなります。また、この期間に、ネグレクト(虐待)によって愛着行動をしていないければ、愛着は充分に形成されません。これは、反応性愛着障害と呼ばれます。なお、愛着の嗜癖性の詳細については、関連記事1をご覧ください。(2)性格という能力は児童期・思春期で高まる性格とは、周りの人に対しての、その人の感じ方、考え方、行動の仕方です。これは、学校環境(社会環境)での友達とのかかわりの刺激に繰り返し曝されることで、子どもの脳内のドパミン、セロトニン、オキシトシンが主に活性化され、周りの人たちにうまくつながっていようとする社会適応行動として発達していきます。このメカニズムがなければ、子どもは社会に出て周りとうまくやっていきたいと思えず、社会生活をするのが難しくなります。この点で、性格も、愛着と同じく、依存行動(嗜癖)であると同時に能力であると言えます。名付けるなら、社会適応能力です。この依存形成(性格形成)の期間(臨界期)は、児童期と思春期であると考えられます。つまり、義務教育の期間にほぼ一致します。この期間で、社会適応能力が高まり、アイデンティティという性格が固定化されるのです。それ以降は30歳くらいまでに徐々に可塑性がなくなっていくと考えられます。逆に言えば、臨界期がなければ、自分の性格も相手の性格も定まらず、人間関係を安定して築くのが難しくなるでしょう。また、この期間に、不登校、いじめ、非行などによって社会適応行動をしていなければ、性格は適応的には形成されないリスクがあります。これは、パーソナリティ障害と呼ばれます。なお、性格の嗜癖性の詳細については、関連記事2をご覧ください。(3)恋愛という能力は思春期に高まる恋愛とは、すでにご説明した通り、異性を好きになり、受け止め、一緒にいて楽しめることです。そして、これは、実際の異性とのかかわりの刺激に繰り返し曝されることで、思春期特有の性ホルモンが活性化され、脳内のドパミン、セロトニン、オキシトシンの活性化とあいまって、異性に近づこうとする恋愛行動として発達していくことが考えられます。この点で、恋愛も、愛着や性格と同じように考えれば、依存行動(嗜癖)であると同時に能力であると言えます。この依存形成(恋愛心理の形成)の期間(臨界期)は、まさに思春期であると推定されます。その一番の根拠は、性ホルモンを分泌する生殖器の発達が10~20歳までの思春期に限定されていることです。実際に、初恋の年齢で最も多いのは10歳前後で、その初恋相手で最も多いのはクラスメイトであることがわかっています。逆に、10歳以降にクラスメイトなどの実際の異性からの刺激を極端に排除すれば、先ほどのアンケート調査で示されたように、量的にも質的にも恋愛行動での問題が現れるというわけです。つまり、この期間で、恋愛能力が高まり、見た目や性格などの異性の好みのタイプ(恋愛心理)が固定化されるのです。それ以降は30歳くらいまでに徐々に可塑性がなくなっていくと考えられます。逆に言えば、臨界期がなければ、新しく別のタイプの異性を好きになる可能性があり、特定の好みの異性とのパートナーシップを安定して築くのが難しくなるでしょう。ちょうど、友情は、児童期で不特定多数の友達たちによって量的に育まれますが、思春期になると同じ好みや考え方の特定少数の親友によって質的に育まれていきます。同じように、恋愛心理は、思春期である程度の異性のクラスメイトたちによって量的に育まれますが、成人期になると好みのタイプの特定の交際相手によって質的に育まれていくと言えるでしょう。これは、成人期の発達段階(エリクソンによる)である親密性を裏付けます。ちなみに、不倫については、まったく別の生殖戦略になります。この心理の詳細については、関連記事3をご覧ください。よって、男女別学だけでなく、共学であっても、この期間に、恋愛行動をある程度していなければ、恋愛能力が充分に高まらないと言えます。この状態は、名付けるなら「反応性恋愛障害」です。なお、これは、理想化した異性は好きだけど実際の異性は好きになれないという葛藤がある場合に限定します。そもそも異性そのものが好きではない同性愛や無性愛(アセクシャル)は除外します。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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ちびまる子ちゃん(続々編)【その教室は社会の縮図? 男子校と女子校の危うさとは?(恋愛能力)】Part 3

なんで恋愛は「ある」の?恋愛能力が高まるのがとくに思春期である理由は、性ホルモンを分泌する生殖器の発達がこの思春期に限定されているからであることがわかりました。それでは、そもそもなぜ恋愛は「ある」のでしょうか? 言い換えれば、そもそもなぜ異性を好きになり、受け止め、一緒にいて楽しめる心が「ある」のでしょうか?進化心理学的に言えば、その答えは、セックスだけでなく、セックスの先にある子育ても含めた包括的な生殖の適応度を上げるために必要だからです。これは、恋愛の機能と言えます。この根拠として、思春期の女性の妊娠のしにくさ(妊娠能力の低さ)が挙げられます。これは、初潮直後(平均12歳)から15歳までの妊娠能力はほぼ0で、15歳以降に徐々に高まり、22歳で最大になることです。つまり、思春期の女性はたとえ頻繁にセックスをしても妊娠率が極端に低い現象です。もちろん、原始の時代に避妊具はありません。この現象は、類人猿にある程度存在すると考えられていますが、ほかの哺乳類には見られないことがわかっています。この訳は、この時期に妊娠しないことで、より生殖に有利な相手選び(配偶者選択)ができるからであると考えられています。たとえば、それは体格や運動能力などの身体的特徴です。さらに、人間の場合は、子育てで協力関係を築くことができるという性格的特徴も挙げられます。また、自分自身も協力関係を築く練習ができるからであると考えられます。もしも、この時期にあっさり妊娠してしまったら、恋愛能力の高い相手探しも自分の恋愛能力を高める練習もできないために、その後の子育てで協力関係が築けず、生殖の適応度を下げてしまう可能性があります。なお、思春期の男性の妊娠のさせにくさ(妊娠能力の低さ)については、不明です。おそらく、男性については、妊娠能力は低くなっていないことが推測されます。その理由として、男女の生殖戦略の違いが挙げられます。それは、男性(精子)はなるべく多くの女性(卵子)を求める一方、女性(卵子)はなるべく優れた男性(精子)を求めることです。なぜなら、精子は小さくコストがかからないのでたくさんつくれるのに対して、卵子は大きくコストがかかるので限られているからです。ただし、思春期の男性の妊娠能力が低くなくても、その相手となる思春期の女性の妊娠能力が低いだけで、子どもはできないので、結果的には、思春期の男性も恋愛能力を高める練習ができると考えられます。グラフ2に示すように、初恋(平均10歳)が初潮(平均12歳)や精通(平均14歳)よりも先行しており、恋愛心理の形成の臨界期(10~20歳)が女性の妊娠能力が最大になる時期(22歳)よりも先行しています。つまり、恋愛心理の形成と妊娠能力の高まりにはタイムラグがあることがわかります。逆に、もしも、恋愛心理そのものが「ない」としたら、初恋のタイミングで初潮や精通が来るはずです。そして、そのタイミングで妊娠ができるはずです。これは、ほかの哺乳類に当てはまります。そうならなかったのは、そうした人類の種は、長い進化の歴史の生殖の適応度を下げて、淘汰されたことが示唆されました。なんで思春期の恋愛は軽んじられているの?進化心理学的に言えば、恋愛が「ある」のは、セックスだけでなく、セックスの先にある子育ても含めた包括的な生殖の適応度を上げるために必要だからであることがわかりました。この恋愛心理は、約700万年前に人類が誕生して、約300万年前に夫婦で子育てをするようになってから、長い時間の中で進化してきました。にもかかわらず、現在、思春期の恋愛は軽んじられているようです。なぜでしょうか?その答えは、日本で約1000年前の平安時代から近代まで続いた封建社会の文化(権威主義的パーソナリティ)の影響が残っているからです。この心理の詳細については、関連記事4をご覧ください。この文化は、個人よりも社会の秩序、つまり上下関係に重きを置きます。よって、結婚相手は、個人の意思よりも親(社会)の意向が優先されます。つまり、個人の意思(恋愛能力)がなくて受け身であっても(むしろ受け身であったほうが)、結婚できたのでした。しかし、時代は変わりました。現代は、封建社会の文化とは対照的な個人主義の文化(民主主義的パーソナリティ)が広がっています。この社会構造では、逆に受け身(恋愛能力を高めていない)ままだと、結婚がうまく行かないリスクが出てきてしまったのでした。結局、恋愛にどうすればいいの?恋愛能力が軽んじられる原因は、封建社会の文化(権威主義的パーソナリティ)の影響が残っているからであることがわかりました。この状況を踏まえて、結局、私たち(私たちの子どもたち)は、恋愛にどうすればいいのでしょうか? 言い換えれば、男子校にいる丸尾君と女子校にいるみぎわさんはどうすればいいのでしょうか?その答えは、とくに思春期に恋愛の練習をすることです。そのために、学校は、勉強する(認知能力)だけでなく、性格(社会適応能力)、そして恋愛心理(恋愛能力)を育む場所であることを再認識することです。そして、勉強、部活、恋愛のバランスをもっと意識することです。たとえば、丸尾君とみぎわさんは校外の活動でより積極的に出会う必要があります。そして、18歳で卒業したら、積極的にお付き合いをして、それ以降に、恋愛のリハビリをする必要があります。共学に進むまる子とはまじをお手本にすることもできます。この2人が付き合ったとしたら、言いたいことを言い合いながらも、一緒にいて楽しんでいる様子は目に浮かぶでしょう。なお、恋愛能力の男女別の具体的なスキルについては、関連記事5、関連記事6をご覧ください。そんな丸尾君とみぎわさんの恋愛を思春期から大人になるまで温かく見守る親、そして社会の恋愛への在り方が望まれます。そうすることで、丸尾君とみぎわさんは、誰もがうらやむ「女神」や「王子様」を見つけられないけれど、自分だけのほど良い「女神」や「王子様」をパートナーに見いだすことができることに気付けるのではないでしょうか?1)「男子校/女子校出身者と婚活の関係性」についてアンケート調査:(株)パートナーエージェント2)大学生を対象とした出身高等学校の共学・別学体験に関する質問紙調査P12:茂木輝順3)進化と人間行動P224:長谷川寿一・長谷川眞理子、東京大学出版会、2000<< 前のページへ■関連記事そして父になる(その1)【もしも自分の子じゃなかったら!?(親子観)】Part 2ちびまる子ちゃん(続編)【その教室は社会の縮図? エリート教育の危うさとは?(社会適応能力)】Part 2昼顔【不倫はなぜ「ある」の?どうすれば?】Part 2半沢直樹【なんでやられたらやり返すの?逆に手を組むには?(ゲーム理論)】Part 3CM「あたらしい英雄、はじまる。」【対人魅力(男性編)】 CM「サントリー角」【対人魅力(女性編)】

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人口の何%が感染?コロナの“いま”に関する11の知識(2022年3月版)/厚労省

 厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2022年3月版)」を3月11日に公開した。これは、日本の新型コロナウイルス感染症の感染者数・重症化率・病原性、感染性、検査・治療、変異株について、現在の状況とこれまでに得られた科学的知見を11の知識としてとりまとめたもの。主な更新内容は以下のとおり。日本のコロナ感染率は2022年3月1日時点で全人口の約4.0%Q 日本では、どれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。2022年3月1日0時時点で499万4,387人が新型コロナウイルス感染症と診断され、全人口の約4.0%に相当する。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。2021年7~10月に新型コロナウイルス感染症と診断された人における重症化率は0.98%(50代以下0.56%、60代以上5.0%)、死亡率は0.31%(50代以下0.08%、60代以上2.5%)だった。Q 新型コロナウイルス感染症はどのようにして治療するのですか。2022年3月1日時点で国内で承認されている治療薬一覧、重症度別の治療薬の一覧を掲載。Q 接種の始まった新型コロナワクチンはどのようなワクチンですか。接種はどの程度進んでいますか。初回(1、2回目)接種と追加(3回目)接種における接種可能なワクチンの種類と対象者、ワクチンの効果と主な副反応、年齢階級別の接種実績(2022年2月28日公表時点)の一覧表を掲載。Q 新型コロナウイルスの変異について教えてください。現在はB.1.1.529系統のオミクロン株が日本を含む世界各地で主流であることなどを記載。上記のほか、以下の6項目についてまとめられている。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化しやすいのはどんな人ですか。Q 海外と比べて、日本で新型コロナウイルス感染症と診断された人の数は多いのですか。Q 新型コロナウイルスに感染した人が、他の人に感染させる可能性がある期間はいつまでですか。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、どれくらいの人が他の人に感染させていますか。Q 新型コロナウイルス感染症を拡げないためには、どのような場面に注意する必要がありますか。Q 新型コロナウイルス感染症を診断するための検査にはどのようなものがありますか。※追記(2022年4月8日)本資料は4月8日に2022年4月版に更新された。4月版では、新型コロナウイルス感染症に診断されたのは2022年4月1日0時時点で653万8,890人(全人口の約5.2%に相当)となっている。

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子供への新型コロナワクチンの説明用リーフ配布/新潟県医師会

 2022年1月より5~11歳への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンの接種が承認され、接種が開始された。とくに第6波のオミクロン株は、ワクチン未接種の学童期の子供などを中心に感染拡大していることもあり、接種が急がれるところであるが、COVID-19は子供では重症化することは少なく、無症状で過ごすことも多いとされ、接種は成人ほど進んでいない。また、さまざまなワクチンの情報や考え方の流布で、接種について戸惑っている保護者や子供たちも多いという。 そこで、新潟県医師会は、新潟大学医学部小児科学教室からも協力を得て、子供に対してワクチンの接種についてどうしたらよいか、その考え方や対応の仕方について取りまとめ、5~11歳および12~15歳への新型コロナワクチン接種についての説明資料を作成し、医師会のホームページで公開した。よくあるCOVID-19やワクチンへの質問22問に回答 説明用のリーフレットは、「5~11歳の子供」と「12~15歳の子供」と2つに分けられ、それぞれ保護者向けの「子どもへのワクチンの説明リーフレット 簡略版/詳細版」と医療機関・保護者向けの「子どもへのワクチンQ&A」の3種類(全6種類)が公開されている。 リーフレットの簡略版では、ワクチン接種の回数、安全性、副反応の態様、有効性などがコンパクトに記載されている。また、Q&Aでは、よくある質問として「COVID-19感染症について」、「ワクチンについて」など22問の質問に作成時点のエビデンスを基に制作が行われている(データなどは2022年2月14日時点のもの)。 医師会では、「接種に際しては、かかりつけ医にも相談し、これらの資料についても、検討の際の参考として活用いただきたい」と期待を寄せている。

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新型コロナワクチンからリスクとベネフィットを考える【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第46回

第46回 新型コロナワクチンからリスクとベネフィットを考える新型コロナとの闘いが続きます。3回目のワクチン接種の普及が鍵といわれています。小生もワクチン接種会場の問診係として何度か協力しております。接種に当たり皆に配布されるワクチンについての説明用紙に、「接種に当たっては、リスクとベネフィットをご理解いただき、納得したうえで接種してください」と記載してあることに気づき驚きました。リスクとベネフィットに基づいて、ワクチンを接種するかしないかを選択することは難しいことだと感じたからです。これは、医師や医療関係者にも難しいことで、一般市民の方々には本当に困難なことに思えます。私たちは日々の生活をしていく中でも、毎日多くのことを選択しています。晩御飯はなににするか? 肉か魚か? 肉は高価だが国産にするか外国産にするか? 休日にはどこに行こう? ディズニーランドか田舎の温泉宿か? 自分の車で行くか電車で行くか? などなど…です。選択の結果、良い結果になることもあれば悪い結果になることもあります。しかし、この程度の選択では生命を左右するほどの差異に至ることはないので気楽です。人生に大きく関わる選択もあります、この人と結婚して良いのか? もっと良い次の出会いがあるかもしれない。この課題では、選択が正しかったのか間違っていたのかの評価が困難であることと、いったん解消してリセットすることも可能な社会システムも準備されています。しかし、医療における選択は命に関わるだけに重大です。なによりも、いったん失われた命はリセットして回復させることはできません。ワクチンの接種によって得られる利益つまりベネフィットと、副反応などのリスクを比較し判断するのは、なぜ難しいのでしょうか。ワクチンは、感染症の抗菌薬や対症療法薬ではありません。すでに感染し発熱や呼吸困難に苦しむ患者の治療薬であれば、その薬剤の効果を評価することは比較的容易です。ワクチンは予防薬ですから、すでに疾患をもつ患者への治療薬のような目に見える効果がありません。ワクチンを接種して健康な生活を続ける人々は、「俺はワクチンを打たなくても感染もしなかったし元気でいた」と思うのです。責めるわけではありません。それが人間です。健康な人は、感染症予防や感染症拡大の抑制といったワクチンの役割に気づくことはありません。ワクチンのベネフィットは、ワクチンを接種した人としなかった人での、感染率や死亡率の差異などの疫学的に正確に収集したデータに拠らなければ判明しません。こういったデータに基づく地味な情報を粛々と報じて、わかりやすく解説する成熟した報道機関が期待される由縁です。一方で、ワクチンの副反応などのリスクは可視化が容易です。ワクチン接種後の、心筋炎や心膜炎などの個々の症例の情報はソーシャルメディアなどを通して拡散しがちです。これにより、ワクチン接種を躊躇したり、懸念を示したり、あるいは接種に強く反対したりする人々が増える可能性があります。実際に、ワクチン後の心筋炎はゼロではありません。その点について、日本循環器学会は声明を発表しています。一部を紹介します(2022年3月12日日本循環器学会ホームページ確認)。新型コロナウイルスワクチン接種後の急性心筋炎と急性心膜炎の発症率は、新型コロナウイルス感染後の急性心筋炎と急性心膜炎の発症率に比較して極めて低い。新型コロナウイルスワクチン接種後に発症する急性心筋炎と急性心膜炎の大半は軽症である。新型コロナウイルスワクチン接種による利益は、ワクチン接種後の急性心筋炎と心膜炎の危険性を大幅に上回る。さらにワクチン接種のリスクとベネフィットを複雑にするのが集団免疫という概念です。ワクチンは集団免疫として働きますので、ワクチンの接種率も重要です。例えば、自分勝手な独裁者は、ワクチンを接種しなくとも自分以外の全員にワクチンを強制的に接種させればワクチンの利益を享受することができます。ワクチンは、背景因子によって医学的に接種できない人が一定数いますので、可能な人は受けていただきたい理由です。ワクチンを接種しないという意思決定は個人的な選択のように見えますが、集団免疫のため他者への影響を伴うものであることを認識すべきです。ワクチン接種は幅広い社会における義務の一部という考えの背景です。今回は、新型コロナのワクチンをめぐってのリスクとベネフィットを考えてみました。話を変えます。とっても変な夢を見ました。オリンピックの開会式などで鳩が一斉に放たれ競技場から飛び去る状況はイメージできると思います。自分の見た夢を紹介します。世の中の人すべてがマスクをはずし捨て去ると、そのマスクがあたかも鳩が離散するかのようにヒラヒラと天高く消え去っていくシーンです。これは、きっと正夢に違いありません。コロナ収束を願っております。

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関節型若年性特発性関節炎〔pJIA:Polyarticular Juvenile Idiopathic Arthritis〕

1 疾患概要■ 定義・分類若年性特発性関節炎(JIA)は16歳未満に発症し6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎の総称である。発症から6ヵ月までの臨床像から、(1)全身型、(2)少関節炎、(3)rheumatoid factor(RF)陰性多関節炎、(4)RF陽性多関節炎、(5)乾癬性関節炎、(6)腱付着部炎関連関節炎、(7)分類不能型の7病型に分類され1)、また治療の視点から、全身型、関節型、症候性の3つに整理されている(図1)。図1 JIAの病型分類と関節型JIAの位置付け画像を拡大する6歳未満に発症した原因不明の慢性関節炎は、発症から6ヵ月以内の臨床症状や検査所見から7病型に分類される。また、治療の観点から、全身型JIA、関節型JIA、症候性JIAの3つに分類するが、このうち関節型JIAとは、主に少関節炎JIA、RF陰性およびRF陽性多関節炎JIAを指し、全身型JIAで発症し、全身症状が消退しても関節炎が遷延するものも含まれる。関節型JIAとは、主に(2)少関節炎JIAと(3)RF陰性および(4)RF陽性多関節型JIAの3病型を指す。少関節炎JIAと多関節炎JIAは炎症関節の数で区分されており、前者は4関節以下、後者は5関節以上と定義されている。また、(1)全身型JIAの約20%は、その後、全身症状(発熱、皮疹など)を伴わず関節炎が遷延する経過をとるため(全身型発症多関節炎)、関節型JIAに含められている。■ 疫学わが国のJIAの有病率は小児10万人当たり8.8~11.6と報告され、推定患者数は2,893人である。また、JIAの病型の比率2)は、全身型41.2%、少関節炎20.2%、RF陰性多関節炎13.7%、RF陽性多関節炎18.2%であることから、関節型JIAの患者数は約1,700人程度と推定される。■ 病因関節型JIAの病因は不明であるが、抗核抗体陽性例が多い少関節炎JIAやRF陽性多関節炎JIAは自己免疫疾患の1つと考えられている。また、後述する生物学的製剤biologic disease modifying anti-rheumatic drugs(bDMARDs)の有効性から、関節型JIAの病態形成にTNFやIL-6などの炎症性サイトカインや、T細胞活性化が関与していることは明らかである。■ 症状1)関節症状関節は腫脹・発赤し、疼痛やこわばり、痛みによる可動域制限を伴う。関節炎は、少関節炎JIAでは大関節(膝、足、手)に好発し、多関節炎JIAではこれに小関節(指趾、頸椎など)が加わる。しかし、小児では本人からの関節症状の訴えは少ない。これは小児では痛みを具体的に説明できず、痛みを避ける動作や姿勢を無意識にとっているためと考えられる。そのため、起床時の様子や午前中の歩行容姿、乳児ではおむつ交換時の激しい啼泣などから、保護者が異常に気付くことが多い。2)関節外症状関節症状に倦怠感や易疲労感を伴う。関節症状と同様、倦怠感は起床時や午前中に強いが、午後には改善して元気になる。そのため、学校では午前中の様子をさぼりや無気力と誤解されることがある。微熱を伴うこともあるが高熱とはならず、皮疹もみられない。少関節炎JIAを中心に、JIAの5~15%に前部ぶどう膜炎(虹彩毛様体炎)がみられる。関節炎発症から6年以内に発症することが多く、発症リスクとして、4歳未満発症と抗核抗体陽性が挙げられている。また、発症早期には自覚症状(眼痛、羞明)に乏しい。そのため、早期診断には眼症状がなくても定期的な眼科検診が欠かせない。■ 予後適切な治療により長期寛解が得られれば、JIAの約半数は無治療寛解(off medication寛解)を達成する。ただその可能性は病型で異なり、少関節炎JIAやRF陰性多関節炎では過半数が無治療寛解を達成するが、RF陽性多関節炎JIAや全身型発症多関節炎JIAでは、その達成率は低い(図2)。完治困難例の関節予後は不良であり、不可逆的な関節破壊による機能障害が進行し、日常生活に支障を来す。しかし、わが国では2008年にJIAに対する最初のbDMARDsが認可され、今後は重篤な機能障害に至る例は減少することが期待されている。少関節炎JIAに好発するぶどう膜炎は治療抵抗性であり、ステロイド点眼で寛解しても減量や中止後に再燃を繰り返す。そのため、眼合併症(帯状角膜変性、白内障、緑内障など)が経過とともに顕在化し、視機能が障害される。ぶどう膜炎についても、2016年にbDMARDsの1つであるアダリムマブ(adalimumab:ADA)が非感染性ぶどう膜炎で認可され、予後の改善が期待されている。図2 JIAの病型別累積無治療寛解率画像を拡大する鹿児島大学小児科で治療した全身型89例および多関節型JIA196例、合計285例のうち、すべての治療を中止し、2年間寛解状態を維持したものを、無治療寛解と定義し、その累積達成率を病型毎に検討した。その結果、JIA285例全体の累積無治療寛解率は罹病期間5年で33.1%であったが、病型別の達成率では、RF陽性多関節炎JIAと全身型発症多関節型JIAで低値であった。* 全身型で発症し、全身症状消失後も関節炎が遷延する病型**全身型で発症し、疾患活動期には関節炎と全身症状を伴う病型2 診断 (検査・鑑別診断も含む)持続する原因不明の関節炎がJIAの必須要件であるが、特異的な所見に乏しいために診断基準は確立されていない。したがって、臨床症状や検査所見を参考にJIAの可能性を検討し、鑑別疾患を除外して初めて診断される。■ 臨床症状関節炎は固定性・持続性で、しばしば倦怠感や易疲労性を伴う。関節症状(関節痛、こわばり感)は起床時や朝に強く、時間とともに改善する。高熱や皮疹はみられない。■ 検査所見抗環状シトルリン化ペプチド抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibody :ACPA)が陽性であればRF陽性多関節炎JIAの可能性が高い。一方RFは、RF陽性多関節炎JIAでは必須であるが、他のJIA病型では陰性であり、むしろシェーグレン症候群や混合性結合組織病での陽性率が高い。したがって、ACPAやRFが陰性でもJIAを否定できず、少関節炎JIAやRF陰性多関節炎JIAの可能性を検討する必要がある。MRIや関節エコー検査における肥厚した関節滑膜や炎症を示唆する所見は、関節型JIAの早期診断に有用であるが、JIAに特異的な所見ではない。一方、X線検査による関節裂隙の狭小化や骨糜爛などの破壊像はJIAに特異性が高いものの、早期診断には役立たない。MMP-3の増加は関節炎の存在や関節破壊の進行予知に有用である。しかし、健康幼児のMMP-3はほとんどが測定感度以下であるため、正常値であっても慎重に判断する。また、MMP-3の評価にはステロイドの影響を除外する必要がある。■ 鑑別疾患小児の関節痛に対する鑑別疾患を、疼痛部位や臨床経過、随伴症状、検査所見を含めて図3に示す。図3 疼痛部位や経過、臨床所見からみた小児の関節痛の鑑別疾患画像を拡大する年齢別には、乳幼児では悪性疾患(白血病)や自己炎症性疾患、年長児では他の膠原病やリウマチ性疾患、線維筋痛症、悪性疾患(骨肉腫)などを中心に鑑別する。一方、感染症や若年性皮膚筋炎との鑑別は全年齢にわたって必要である。関節炎に発熱や皮疹を伴う場合は、皮膚筋炎や全身性エリテマトーデスなどの膠原病疾患だけでなく、全身型JIAやブラウ症候群などの自己炎症性疾患を鑑別する。特に白血病や悪性疾患については、JIAとして治療を開始する前に除外しておくことは重要である。白血病を含む小児腫瘍性疾患1,275例を検討した報告では、発症時に関節炎を伴う例が102例(8%)存在し、これを関節型JIA 655例と比較したところ、「男児」、「単関節炎」、「股関節炎」、「全身症状」、「夜間痛や背部痛」が悪性疾患のリスク所見であった。特に白血病の初期は末梢血が正常であることが多く、骨髄検査で除外しておくことが必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 治療目標関節型JIAの治療目標は関節炎病態に寛解を導入し、破壊性関節炎の発生や進行を抑止することである。一方、JIAの約半数は、治療寛解を長期維持した後に治療中止が可能で、その後も再燃せずに無治療寛解を維持する(図2)。そのため、関節型JIAにおいても、その最終的な治療目標は永続性のある無治療寛解(完治cure)であり、この点がRAとの最も大きな違いである。■ 治療評価1)診察時の評価関節痛や倦怠感、朝のこわばりの持続時間などで評価する。小児では訴えが不明確で評価が難しため、保護者からもたらされる日常生活の情報(歩行容姿や行動量などの変化)が参考になる。理学所見では、活動性関節炎(関節腫脹や圧痛)の数や、関節可動域の変化で評価する。検査では、炎症指標(CRP、赤沈、血清アミロイドA)やMMP-3、関節エコー所見などが参考になる。2)疾患活動性の総合評価27関節を評価するJuvenile Arthritis Disease Activity Score(JADAS)27が臨床評価に用いられている(図4)3)。RAで用いられるDAS28と異なり、少関節炎JIAで好発する足関節炎の評価が可能である。JADAS27の評価項目はVisual analog scale (VAS、0-10cm)による(1)医師および(2)患児(または保護者)の評価、(3)活動性関節炎数(0-27)、(4)標準化赤沈値([1時間値-20]/10、0-10)の4項目からなり、その合計スコア値(0-57)で評価する。なお、活動性関節炎とは、関節の腫脹または圧痛がある関節、圧痛がない場合は伸展屈曲負荷をかけた際に痛みがある関節と定義されている。また、JADAS27から標準化赤沈値を除いたスコア値を用いて、疾患活動性を寛解、低度、中等度、高度の4群にカテゴリー化するcut-off値も定義されている。3)寛解の種類と定義臨床寛解(clinical inactive disease)の定義は、(1)活動性関節炎、(2)活動性のぶどう膜炎、(3)赤沈値およびCRP値の異常、(4)発熱、皮疹、漿膜炎、脾腫、リンパ節腫脹がなく、(5)医師による総合評価が最小値で、(6)朝のこわばりが5分以下の6項目をすべて満たした状態である。また、この臨床寛解を治療により6ヵ月以上維持していれば治療(on medication)寛解、治療中止後も1年以上臨床寛解を維持していれば、無治療(off medication)寛解と分類される。図4 JADASを用いた関節型JIAの疾患活動性評価画像を拡大する医師および患児(または保護者)による総合評価、活動関節炎数、標準化赤沈値の集計したスコア値で疾患活動性を評価する。JADASには評価関節の数により、JADAS71、JADAS27、JADAS10の3つがあるが、臨床現場ではJADAS27が汎用されている。JADAS27では、DAS28で評価しない頸椎、両股関節、両足関節を評価する一方、DAS28で評価する両側の4-5MP関節、両肩関節は評価しない。疾患活動性を寛解、低活動性、中等度活動性、高度活動性の4群に分類する場合、標準化ESR値を除いた3項目の合計スコア値を用いる。その際のスコア値は、関節炎数が4関節以下の場合は、それぞれ0~1、0~1.5未満、1.5~8.5未満、8.5以上、関節炎数が5関節以上の場合は、それぞれ0~1、0~2.5未満、2.5~8.5未満、8.5以上と定義されている。■ 治療の実際(図5)4)関節型JIAの3病型のいずれも、以下の手順で治療を進める。また、治療開始後の臨床像の変化を、症状、理学所見、検査値、関節エコー、JADAS27などで評価し、治療の有効性と安全性を確認しながら治療を進める。図5 関節型JIAの治療手順画像を拡大する治療目標は無治療寛解である。予後不良因子のあるhigh risk群では、初期治療からNSAIDsにcsDMARDs(第1選択薬はMTX)を併用し、無効であれば生物学的製剤bDMARDsの追加併用を検討する。1)初期治療(1)1stステップ関節痛に対し、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を開始するとともに、予後不良因子(RF、ACPA、関節破壊像、日常生活に重要な頸椎・股・手関節などの関節炎)の有無を検討する。JIAに保険適用のあるNSAIDsは、イブプロフェン(30~40mg/kg/日、分3、最大2,400mg/日)とナプロキセン(10~20mg/kg/日、分2、最大1,000mg/日)に限られている。また、NSAIDsで疼痛コントロールが不十分でQOLが著しく低下している場合、少量ステロイド薬(glucocorticoid:GC)を併用することがある。ただ、GCはその強い抗炎症作用でCRP値や関節痛を改善させても、関節炎病態を寛解させない。そのためGCは2ndステップの治療効果が確認されるまでの橋渡し的な使用に限定すべきであり、漫然と継続してはならない。予後不良因子がある場合は、速やかに2ndステップの治療を開始する。予後不良因子がない場合はNSAIDsのみで経過を診るが、2週間経過しても改善が得られなければ、2ndステップの治療に移行する。(2)2nd ステップ従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(conventional synthetic disease modifying anti-rheumatic drugs:csDMARDs)をNSAIDsに追加併用する。第1選択薬はメトトレキサート(methotrexate:MTX)であり、globalな標準投与量は有効血中濃度(ピーク値5.8×10-7moles/L以上)が得られる10~15 mg/m2/週(分1、空腹時投与)である5)。しかし、わが国でのJIAでの承認投与量は4~10mg/m2/週であるため、MTX10mg/m2を週1回、空腹時に分1で投与するのが一般的な投与法である。また、副作用軽減を目的にフォリアミン5mgをMTX投与翌日に投与する。このMTXの投与量10mg/m2は、平均的な体格の小学生1年生で8mg、中学生1年生で15mgに相当する。RAでの上限投与量が16mgであることを考えれば、成人より相対的に高用量であるが、これは小児では、MTXの腎排泄が成人と比べて早いためである。そのため、小児では腎障害や骨髄抑制の発生は少ない。また、高齢者に多いMTXによる肺障害も極めてまれである。小児での主な副作用は嘔気や気分不良で、中学生以降の年長児ではほぼ必発である。そのため、訴えの強い小児では制吐剤の併用、就寝前の服用、剤型の変更などを検討する。なお、DMARDsには既感染の結核やB型肝炎ウイルス(HBV)を再活性化させる可能性がある。そのため、投与開始前に結核(T-spotや胸部Xp/CT)やHBV関連抗原/抗体(HBsAg、HBsAb、HBcAb)の検査を行って感染の有無を確認する。また、トキソプラズマやサイトメガロウイルス、ニューモシスチス肺炎や他の真菌感染症(β-D-glucan)の有無を検討しておくことも必要である。MTX開始後2ヵ月経過しても十分な効果が得られない場合、MTXを他のcsDMARDs (サラゾスルファピリジン[sulfasalazine]やイグラチモド[iguratimod/商品名:ケアラム]など)へ変更する選択肢もある。しかし、海外でその推奨度は低く、またcsDMARDsの効果発現までさらに数ヵ月を要すること、わが国ではJIAに保険適用のあるcsDMARDsはMTX以外にはないこともあり、他のcsDMARDsへの変更は現実的ではない。したがって、次の治療ステップである生物学的製剤(bDMARDs)の追加併用を検討する。(3)3rdステップ関節型JIAに保険適用のあるbDMARDsは、TNF阻害薬のエタネルセプト(Etanercept :ETA)とアダリムマブ(Adalimumab:ADA)、IL-6阻害薬のトシリズマブ(Tocilizumab :TCZ/同:アクテムラ)、T細胞選択的共刺激調整剤のアバタセプト(Abatacept:ABT/同:オレンシア)の4製剤のみである(表)。表 関節型JIAに保険適用のある生物学的製剤画像を拡大するa)TNF阻害薬ETNはTNF受容体(TNF-R2)とヒトIgG1Fcとの融合蛋白製剤であり、血中のTNFα/βと結合することで標的細胞表面上のTNF R2との結合を阻害し、TNFによる炎症誘導シグナルの伝達を抑制する。半減期が短く、0.4mg/kgを週2回皮下注で投与する。JIAで認可された剤形はETNを凍結乾燥させたバイアル製剤のみであり、家族が投与前に溶解液を調合する必要があった。その後、2019年にETN注射液を容れた目盛付きシリンジ製剤(同:エタネルセプトBS皮下注シリンジ「TY」が、また2022年にはエタネルセプトBS皮下注シリンジ「日医工」)がバイオシミラー製剤としてJIAで保険適用を取得し、利便性が向上した。ADAはTNF-αに対する完全ヒト型モノクローナル抗体で、中和抗体として標的細胞上のTNFα受容体へのTNF結合を阻害する。また、TNF産生を担う活性化細胞膜上に発現したTNFαとも結合し、補体を介した細胞傷害性(ADCC)によりTNF産生を抑制する。投与量は固定量で、体重30kg未満では20mgを、体重30kg以上では40mgを、2週毎に皮下注で投与する。わが国のJIA375例を対象とした市販後調査では、投与開始24週後のDAS寛解(DAS28-4/ESR<2.6)達成率は、治療開始時の21.7%から74.7%に増加し、また難治性のRF陽性多関節炎JIAや全身型発症多関節炎JIAにおいても、それぞれ61.9%、80.0%まで増加した。この市販後調査は、前向きの全例調査であることから、臨床現場(real world)での治療成績と考えられる。b)IL-6阻害薬TCZはIL-6受容体に対するヒト化モノクローナル抗体である。細胞膜上のIL-6受容体および流血中のsoluble IL-6受容体と結合し、IL-6のシグナル伝達を阻害し、炎症病態を制御する。4週ごとにTCZ 8mg/kgを点滴静注で投与する。RAに保険適用のある皮下注製剤や、TCZと同じ作用機序をもつサリルマブ(sarilumab/同:ケブザラ)はJIAでは未承認である。多関節型JIA132例を対象とした市販後調査(中間報告)では、投与開始28週後の医師による全般評価は、著効53%、有効42%であり、あわせて90%を超える例が有効と判断された。また、投与前と投与28週後の関節理学所見の変化を57例で検討すると、疼痛関節数(平均)は5.3から1.5へ、腫脹関節数(平均)は5.6から1.6へ減少し、赤沈値も32mm/時間から5mm/時間へと改善した。c)T細胞選択的阻害薬ABTはcytotoxic T lymphocyte associated antigen-4(CTLA-4)とヒトIgG1-Fcとの融合蛋白(CTLA-4-Ig)であり、抗原提示細胞(antigen presenting cell:APC)のCD80/86と強力に結合する。そのため、APCのCD80/86とT細胞のCD28との結合で得られる共刺激シグナルが競合的に遮断され、T細胞の過剰な活性化が抑制される。1回10mg/kgを4週ごとに点滴静注で投与する。皮下注製剤はJIAでは未承認である。1剤以上のcsDMARDに不応な関節型JIA190例を対象とした海外での臨床試験では、ACRpedi 50/70/90改善の達成率は投与4ヵ月時点でそれぞれ50/28/13%であった。また、引き続き行われた6ヵ月間のdouble blind期間においてABT群はプラセボ群と比較して有意な寛解維持率を示した。さらにその後の長期投与試験では、4年10ヵ月の時点でのACRpedi 50/70/90改善達成率はそれぞれ34/27/21%であり、有効性の長期継続が確認された。2)bDMARDs不応例の治療bDMARDs開始後は、その有効性と安全性を監視する。初めて導入したbDMARDsの投与開始3ヵ月後のDAS28が2.49以下であれば、2年以上の寛解が期待できるとした報告がある。しかし、臨床所見やJADASやDAS28スコアの改善が不十分で、bDMARDs不応と思われる場合は、治療変更が必要である。その際は、作用機序の異なる他のbDMARDsへのスイッチが推奨されている。Janus kinase(JAK)阻害薬は、分子標的合成(targeted synthetic:ts)DMARDsに分類され、bDMARDs不応例に対するスイッチ薬の候補である。JAKは、IL-2、 IFN-γ、IFN-αs、IL-12、IL-23、IL-6などの炎症性サイトカインの受容体に存在し、ATPと結合してそのシグナルを伝達する。JAK阻害薬はこのATP結合部位に競合的に結合し、炎症シグナル伝達を多面的に阻害することで抗炎症作用を発揮する。また、低分子化合物であるため内服で投与される。Rupertoらは、多関節炎JIA225例(関節型JIA184例、乾癬性関節炎20例、腱付着部炎関連関節炎21例)を対象にトファシニチブ(tofacitinib:TOF/同:ゼルヤンツ)の国際臨床試験を行った。まず18週にわたりTOF5mgを1日2回投与し、ACR30改善達成例を実薬群72例とプラセボ群70例の2群に分け、その後の再燃率を44週まで検討した。その結果、TOF群の再燃率は29%と低く、プラセボ群の53%と有意差を認めた(hazard比0.46、95%CI 0.27-0.79、p=0.0031)。現在、JIAに保険適用のあるJAK阻害薬はないが、バリシチニブ(baricitinib)の国際臨床試験がわが国でも進行中である。4 今後の展望疫学研究では、JIAを含む小児リウマチ性疾患の登録が進められている(PRICURE)。臨床研究では、前述のように関節型JIAに対するJAK阻害薬のバリシチニブの国際臨床試験が進行中である。5 主たる診療科小児科であるが、わが国の小児リウマチ専門医は約90名に過ぎず、また専門医のいる医療機関も特定の地域に偏在している。そのため、他の領域に専門性を持つ多くの小児科専門医が、小児リウマチ専門医と連携しながら関節型JIAの診療に携わっている。日本小児リウマチ学会ホームページの小児リウマチ診療支援MAPには、小児リウマチ診療に実績のある医療機関が掲載されている。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本小児リウマチ学会 小児リウマチ診療支援MAP(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 若年性特発性関節炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児リウマチ性疾患国際研究組織(PRINTO)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報JIA家族会「あすなろ会」(患者とその家族および支援者の会)1)Petty RE, et al. J Rheumatol. 2004;31: 390-392.2)武井修治,ほか. 小児慢性特定疾患治療研究事業の登録・管理・評価・情報提供に関する研究, 平成19年度総括・分担研究報告書2008.2008.p.102-111.3)Consolaro A, et al. Arthritis Rheum. 2009;61:658-666.4)小児リウマチ調査検討小委員会. 全身型以外の関節炎に対する治療、若年性特発性関節炎初期診療の手引き2015. メディカルレビュー社;2015.p.59-66.5)Wallace CA, et al. Arthritis Rheum. 1989;32:677-681.公開履歴初回2022年3月23日

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第104回 心筋炎経験者へのCOVID-19ワクチン接種は安全らしい

心筋炎を経た人への新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種はどうやら安全らしいことがフランスでの試験1)で示唆されました。世間一般での心筋炎の有病率は10万人当たり10~106人、全世界での年間の発現数は180万件と推定されています2,3)。心筋炎の主な原因はウイルス感染で、SARS-CoV-2感染(COVID-19)患者にも認められることがあり、とくに若い男性に多く生じるようです。米国の20歳未満の若者を調べた試験によるとCOVID-19と診断された12~17歳の男性の心筋炎の発現率は100万人当たり450人と推定されています4)。COVID-19ワクチン接種に伴う心筋炎も稀ながら報告されており、その発現率は10万人当たり2.1人ほどです1)。COVID-19 mRNAワクチン接種後の心筋炎もCOVID-19に伴う心筋炎と同様に若い男性により生じ易いようで、2021年5月までに米国FDAに報告されている有害事象記録によると2回目接種後の心筋炎の発現率は12~29歳の男性では100万人当たり40.6人、30歳以上の男性では100万人当たり2.4人となっています3)。それらの年齢層の女性での割合は100万人当たりそれぞれ4.2人と1人でした。そのようにCOVID-19やそのワクチン接種後の心筋炎の生じやすさの把握は進んでいる一方で心筋炎を経た人のCOVID-19ワクチン接種後に心筋炎がどれだけ再発しやすいかは分かっていません。そこでフランスのリヨンの病院のIyad Abou Saleh氏等はCOVID-19ワクチンを接種しても心筋炎は再発しやすくならないとの仮説を立て、同病院で先立つ5年間に急性心筋炎と診断された142人に電話をかけてその仮説を検証しました1)。それら142人からCOVID-19ワクチン接種の有無、接種したとすればそのワクチンの種類、接種回数、副反応があったかどうか等を尋ねた結果、接種済みの55人に心筋炎再発を含む深刻な有害事象は幸いにも認められませんでした。非接種16人の大半の12人(75%)は心筋炎再発を恐れて接種しないままであり、果たして心筋炎再発の心配がワクチン回避の主な理由となっていました。今回の結果は心筋炎の経験がある人のCOVID-19ワクチン接種を促すかもしれないとAbou Saleh氏は言っています。今回の結果を参考にするうえで注意することがあります。接種されていたのはほとんどがPfizer/BioNTechのmRNAワクチンBNT162b2であり(ワクチン接種済みの55人中53人)、他のワクチンの参考にはならないかもしれません1)。参考1)COVID-19 vaccination is safe in patients with previous myocarditis / Eurekalert2)ACC issues clinical guidance on cardiovascular consequences of COVID-19 / Eurekalert3)2022 ACC Expert Consensus Decision Pathway on Cardiovascular Sequelae of COVID-19 in Adults. J Am Coll Cardiol. 2022 Mar 16.4)Risk of Myocarditis from COVID-19 Infection in People Under Age 20: A Population-Based Analysis. medRxiv. July 27, 2021.

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