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絵本「ねないこだれだ」【なんでお化けは怖いの?なんで親は子どもにお化けが来るぞと言うの?(お化けの起源)】Part 4

どう子供にお化けを怖がらせる?お化けを怖がる起源とは、目の前にいないものを認識する→目の前にいないものの意図を考える→目の前にいないものを怖がり怖がらせることであることがわかりました。そして、心の進化において、お化けを怖がることと抽象的思考(概念化)には密接な関係があることもわかりました。これを踏まえて、どう子供にお化けを怖がらせればいいでしょうか?それは、やはり子供に読み聞かせをするたびに、怖がることを一緒に楽しむことでしょう。そうすることで、人類の心が進化していったのと同じように、子供の心がより豊かに発達していきます。これは、サンタクロースを信じることにも通じます。「ねないこだれだ」のお化け本のシリーズには、怖そうでありながら、同時に友達になれそうな親近感のあるかわいらしいお化けがたくさん出てきます。よくよく見ると、実は子供と同じ身長と体型です。これこそこの本が、子供に「怖いけど、好き」と言わせ、永遠に愛され続けている最大の理由でしょう。1)「オバケ?」p.29、p.68:オバケ研究所編、ブルーシープ、20242)「幼児期における恐怖対象の発達的変化」p.131:富田昌平ほか、三重大学教育学部研究紀要(第68巻)教育科学、20173)「幼児はお化けをどのように認識しているのか?」p.316:富田昌平ほか、三重大学教育学部研究紀要(第71巻)教育科学、2020<< 前のページへ■関連記事伝記「ヘレン・ケラー」(前編)【何が奇跡なの? だから子供は言葉を覚えていく!(象徴機能)】Part 2映画「アバター」【私たちの心はどうやって生まれたの?(進化心理学)】Part 2昔話「うらしまたろう」(その2)【隠された陰謀とは?そして精神医学的に解釈するなら?(シン浦島太郎)】Part 2

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早期初潮がうつ病と関連〜メタ解析

 早期初潮とうつ病との関連におけるエビデンスには、一貫性がない。中国・北京師範大学のLing Jiang氏らは、早期初潮とうつ病との関連性を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年10月9日号の報告。 2024年6月17日までに公表された研究を複数のデータベースより検索した。プールされたエフェクトサイズを算出するため、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・22研究、8万7,798例をメタ解析に含めた。・22研究のNewcastle-Ottawa Scale(NOS)スコアの範囲は4〜8、中央値は6。・早期初潮群は、非早期初潮群と比較し、うつ病スコア(標準平均差:0.13、95%信頼区間[CI]:0.04〜0.21)、うつ病発症率(オッズ比:1.37、95%CI:1.23〜1.52)が有意に高かった。・ただし、中程度の異質性が認められた(うつ病スコア:I2=54%、p=0.03、うつ病発症率:I2=61%、p=0.001)・サブグループ解析では、うつ病スコアと研究の種類(コホート研究:I2=57%、p=0.071、ケースコントロール研究:I2=61%、p=0.051)および研究の質(6以上:I2=58%、p=0.065、6未満:I2=62%、p=0.052)との有意な関連が認められた。 著者らは「早期初潮とうつ病との関連が明らかとなった。両親、学校、医療者は、より早期に初潮を迎えた女児のメンタルヘルスを注意深くモニタリングする必要がある」と結論付けている。

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第121回 高額過ぎて新型コロナワクチン接種が進まない

各学会から見解2024年10月に、日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会の3学会から合同で、「2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解」が発出され1)、「高齢者における重症化・死亡リスクはインフルエンザ以上であり、今冬の流行に備えて、10月から始まった新型コロナワクチンの定期接種を強く推奨」と記載されました。そして、日本小児科学会から「2024/25シーズンの小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」も発出され2)、「生後6ヵ月~17歳のすべての小児への新型コロナワクチン接種(初回シリーズおよび適切な時期の追加接種)が望ましい。特に、重症化リスクが高い基礎疾患のある児への接種を推奨」という文面になりました。こうした学会の見解は、これまでのエビデンスに裏付けられたものであり、一定の合理性を感じます。「変異ウイルスに効かない説」いまだによく聞く言説として、今年のワクチンはもう新しいKP.3系統に効果がないというものがあります。これは誤解です。確かに、従来のワクチン(起源株の1価ワクチン、BA.4・BA.5を含む2価ワクチン、XBB.1.5の1価ワクチン)やXBB以前の獲得免疫については、現在の主流株であるKP.3にはやや劣る側面があるかもしれません。しかし、現在定期接種で用いられているJN.1の1価ワクチンは、ここよりも下位系統に対して中和抗体の誘導が可能で、現在主流のKP.3系統も含めて発症予防効果があると考えられています3)。この冬に流行するのは、おそらくXEC株というものですが、これはKS.1.1(JN.13.1.1.1)とKP.3.3(JN.1.11.1.3.3)の組み換え体であるため4)、これもJN.1対応の現行ワクチンで効果があると思われます。ちなみに、JN.1対応ワクチンを接種した場合、KP.3株およびXEC株に対する中和抗体価は、JN.1株ほどではないものの有意に向上したという査読前論文があります5)。この冬に流行しそうな株は、現行ワクチンで十分と考えられます。現状、過去のワクチン接種の後、効果がなくなってしまった人がほとんどなので、とくに定期接種対象者についてはどこかで接種を検討する形でよいかと理解しています。高額過ぎて打てない自治体によって対応に差はありますが、ほとんどの子供は定期接種対象者ではありません。そのため、新型コロナワクチンの接種費用はガチでかかります。約1万5,000円です。家族4人で打つと6万円ということになるので、それなら感染予防を心掛けて今年の冬を乗り切ろうというご家庭が多いかもしれません。この費用負担が、新型コロナワクチンの接種を妨げる一因ともいえます。インフルエンザワクチンは接種するものの、コロナワクチンは見送る──そんなご家庭が増えているのが現状です。さらに、レプリコンワクチンに関する誤情報も影響している可能性があります。実際、Meiji Seika ファルマは、こうしたデマに対して訴訟を起こすなど、厳しい対応を行っています。諸外国では無料で接種できる国も多く、日本の現状は「予防医学の理想」からは遠い位置にあります。将来的にインフルエンザとの混合ワクチンが実現する際には、この費用の問題も解決されることが期待されます。参考文献・参考サイト1)日本感染症学会, 日本呼吸器学会, 日本ワクチン学会. 2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解(2024年10月17日)2)日本小児科学会. 2024/25シーズンの小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方(2024年10月27日)3)厚生労働省. 第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会資料. 資料1「2024/25シーズン向け新型コロナワクチンの抗原組成について」(2024年5月29日)4)Kaku Y, et al. Virological characteristics of the SARS-CoV-2 XEC variant. bioRxiv. 2024 Oct 17. [Preprint]5)Arona P, et al. Impact of JN.1 booster vaccination on neutralisation of SARS-CoV-2 variants KP.3.1.1 and XEC. bioRxiv. 2024 Oct 04. [Preprint]

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高リスク網膜芽細胞腫の術後CEV療法、3サイクルvs.6サイクル/JAMA

 片眼性の病理学的高リスク網膜芽細胞腫の術後補助療法において、6サイクルの化学療法(CEV:カルボプラチン+エトポシド+ビンクリスチン)に対して3サイクルのCEV療法は5年無病生存率が非劣性であり、6サイクルのほうが有害事象の頻度が高く、QOLスコアの低下が大きいことが、中国・中山大学のHuijing Ye氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年10月21日号に掲載された。中国の非盲検無作為化非劣性試験 本研究は、病理学的高リスク網膜芽細胞腫患者に対する術後CEV療法の有効性に関して、6サイクルに対する3サイクルの非劣性の検証を目的とする非盲検無作為化試験であり、2013年8月~2024年3月に中国の2つの主要な眼治療施設で患者を登録した(Sun Yat-Sen University Clinical Research 5010 Programなどの助成を受けた)。 高リスクの病理学的特徴(高度な脈絡膜浸潤、視神経後方への進展、強膜浸潤)を有する片眼性の網膜芽細胞腫に対する摘出術を受けた患者187例(年齢中央値25ヵ月[四分位範囲[IQR]:20.0~37.0]、女児83例[44.4%])を対象とした。これらの患児を、術後CEV療法を3サイクル行う群(94例)またはこれを6サイクル行う群(93例)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は5年無病生存率とし、非劣性マージンを12%に設定した。無病生存は、無作為化から、局所再発、領域再燃、遠隔転移、対側眼の網膜芽細胞腫、2次原発がん、全死因死亡のいずれかが最初に発生するまでの期間と定義した。5年全生存率には差がない 全例が試験を完了し、追跡期間中央値は79.0ヵ月(IQR:65.5~102.5)であった。無病生存イベントは19例(3サイクル群9例[9.6%]、6サイクル群10例[10.8%])発生した。局所領域の治療失敗を7例(4例[4.3%]、3例[3.2%])、遠隔転移を15例(7例[7.4%]、8例[8.6%])に認めた。 主要評価項目の推定5年無病生存率は、3サイクル群が90.4%、6サイクル群は89.2%(群間差1.2%、95%信頼区間[CI]:-7.5~9.8)であり、非劣性基準を満たした(非劣性のp=0.003)。ハザード比(HR)は0.89(95%CI:0.36~2.20)だった(p=0.81)。 5年全生存率(3サイクル群91.5% vs.6サイクル群89.3%、HR:0.78[95%CI:0.31~1.98]、p=0.61)は両群間に差はなかった。2歳以上の111例における健康関連QOLの評価では、術後6ヵ月時の身体機能、精神的機能、社会生活機能の低下が、3サイクル群で少ない傾向がみられた。 また、総費用、直接費用、間接費用は、いずれも6サイクル群に比べ3サイクル群で有意に少なかった(それぞれ42.4%、41.2%、43.0%低い、すべてp<0.001)。Grade1/2の有害事象が有意に少ない 有害事象は、3サイクル群で93例中75例(80.6%)に282件、6サイクル群で93例中89例(95.7%)に681件発現した。Grade1/2の有害事象は3サイクル群で有意に少なかった(78.5% vs.95.7%、p<0.001)。治療関連死は両群とも認めなかった。 著者は、「3サイクルのCEV療法は、片眼性の病理学的高リスク網膜芽細胞腫の術後補助化学療法として6サイクルCEVに代わる有効な治療法となる可能性がある」「3サイクルCEVは、治療期間の短縮に伴うQOLの向上や経済的負担の軽減に寄与すると考えられる」「本試験は非盲検デザインであり、非劣性マージンは12%と大きめに設定されているため、慎重な解釈が求められる」としている。

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血圧測定、腕の位置により過大評価も

 自宅で血圧を測定する際には、腕の位置に注意する必要があるようだ。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部小児科臨床研究副委員長のTammy Brady氏らによる新たな研究で、血圧測定の際には、腕の位置によって測定値が過大評価され、高血圧の誤診につながる可能性のあることが明らかになった。この研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に10月7日掲載された。 米国心臓協会(AHA)によると、米国では成人の半数近くが高血圧であるという。高血圧を治療せずに放置すると、脳卒中、心筋梗塞やその他の重篤な心疾患のリスクが高まる。AHAのガイドラインでは、血圧は、適切なサイズのカフを用いて、背もたれのある椅子などで背中を支え、足は組まずに床につけた状態で、適切な腕の位置で測定することを求めている。「適切な腕の位置」とは、血圧計のカフが心臓の高さになるようにして、腕はテーブルなどの上に置くことだと説明している。しかしBrady氏らは、診察の際に、患者が腕をほとんど支えられていない状態で血圧を測定されることが多いことを指摘する。 このことを踏まえてBrady氏らは今回の研究で、血圧測定中の腕の位置(机の上に乗せた状態、膝の上に置いた状態、脇にぶら下げた状態)が測定値に与える影響を調査した。対象者の18〜80歳の成人133人(平均年齢57歳、女性53%)は、測定時の腕の位置の順序が異なる6つの群にランダムに割り付けられた。まず、全員が膀胱を空にし、2分間の歩行を行い、5分間休憩した。その後、上述の3種類の腕の位置で、上腕に合ったサイズのカフを装着して、30秒間隔で3回の測定を1セットとする血圧測定を3セット受けた。セットとセットの間には2分間の歩行と5分間の休憩をはさんだ。また、腕を机に乗せた状態で4セット目の測定も受けた。 その結果、腕を膝の上に置いた状態で血圧を測定すると、机に乗せた状態での測定に比べて収縮期血圧の平均値が3.9mmHg、拡張期血圧の平均値が4.0mmHg高くなることが明らかになった。また、腕を支えずに脇にぶら下げた状態で測定した場合には、机に乗せた状態での測定に比べて収縮期血圧の平均値は6.5mmHg、拡張期血圧の平均値は4.4mmHg高くなっていた。 論文の筆頭著者であるジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のHairong Liu氏は、「常に腕を支えずに血圧を測っていると、収縮期血圧の値が実際よりも6.5mmHg高くなる可能性がある。これはつまり、123mmHgであるはずの収縮期血圧が130mmHgに、あるいは133mmHgが140mmHgになる可能性があるということだ。収縮期血圧140mmHgはステージ2の高血圧に分類される値だ」と話す。 ただし研究グループは、これらの結果は自動血圧計による測定に限定されるもので、他の機器による測定に当てはまらない可能性があるとしている。それでもBrady氏は、「この研究結果は、臨床医がベストプラクティス・ガイドラインにもっと注意を払う必要があることを示唆している」と、ジョンズ・ホプキンス大学のニュースリリースの中で述べている。

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英語で「熱はありません」は?【1分★医療英語】第155回

第155回 英語で「熱はありません」は?《例文1》He is afebrile, and vital signs are stable.(彼は熱がなく、バイタルサインは安定しています)《例文2》She spiked a fever overnight.(彼女は夜間に高熱がありました)《解説》「熱がない」状態は“afebrile”(エイフェブライル)という形容詞を使って表現することができます。発音は少し複雑で、カタカナで表現すると「エイフェブライル」のようになり、医療者同士の会話で頻繁に登場します。この単語は「熱がある」を表す“febrile”に、否定を表す接頭辞の“a”が付いた単語で、「熱がない状態」を指します。一方、急に熱発したときには、“spike a fever”という表現をよく使います。これは体温をグラフにするとスパイク(鋭い突起)の形になる状態、つまり体温が急激に上がるような熱発のことを指します。講師紹介

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“風邪”への抗菌薬処方、医師の年齢で明確な差/東大

 日本における非細菌性の急性呼吸器感染症に対する抗菌薬の処方実態を調査した結果、高齢院長の診療所、患者数が多い診療所、単独診療の診療所では抗菌薬を処方する割合が高く、とくに広域スペクトラム抗菌薬を処方する可能性が高かったことを、東京大学大学院医学系研究科の青山 龍平氏らがJAMA Network Open誌2024年10月21日号のリサーチレターで報告した。 日本では2016年より薬剤耐性(AMR)対策アクションプランなど、適切な抗菌薬処方を推し進める取り組みが行われているが、十分な成果は出ていない。そこで研究グループは、急性呼吸器感染症が不適切な抗菌薬処方を受けることが多い疾患の1つであることに注目し、非細菌性の急性呼吸器感染症に対する抗菌薬処方とそれに関連する診療所の特性を調査した。 研究グループは、電子カルテデータベースを用いて、2022年10月1日~2023年9月30日に非細菌性の急性呼吸器感染症(ICD-10のJ00~J06またはJ20~J22)と診断された外来の成人患者を抽出し、診療所の特性(院長の年齢や性別、患者数、グループ診療か単独診療か)と抗菌薬処方との関連を分析した。なお、成人のプライマリケアに従事する診療所に焦点を当てるため、耳鼻咽喉科および小児科の診療所と、研究期間中の非細菌性の急性呼吸器感染症の診療が100例未満の診療所は除外した。 主な結果は以下のとおり。・1,183軒の診療所を受診した97万7,590例(平均年齢:49.7[SD 20.1]歳、女性:56.9%)の非細菌性の急性呼吸器感染症患者を解析した。・抗菌薬は17万1,483例(17.5%)に処方され、広域スペクトラム抗菌薬は抗菌薬処方全体の88.3%を占めた。・最も多く処方されたのはクラリスロマイシン(30.7%)で、レボフロキサシン(12.2%)、セフジトレン(11.2%)、アジスロマイシン(11.1%)、セフカペン(9.2%)、アモキシシリン(7.9%)と続いた。・高齢の院長の診療所、患者数が多い診療所、単独診療の診療所では、抗菌薬の処方が有意に多かった。 【院長の年齢が60歳以上vs.45歳未満】調整オッズ比(aOR):2.14、95%信頼区間(CI):1.56~2.92、p<0.001 【患者数が年間中央値58例/日以上vs.35例/日以下】aOR:1.47、95%CI:1.11~1.96、p=0.02 【グループ診療vs.単独診療】aOR:0.71、95%CI:0.56~0.89、p=0.01・院長の性別では統計学的に有意な差は認められなかった。・広域スペクトラム抗菌薬の処方に限定した解析でも、上記すべての特性で同様の傾向が認められた。 研究グループは「患者数の多い診療所は、時間的なプレッシャーや決断疲れのために抗菌薬を過剰に処方している可能性がある」と示唆したうえで、「今回の結果は抗菌薬の適正使用に向けて、より的を絞った介入の実施に役立つだろう」とまとめた。

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女性医師の未来を開くリーダー育成とキャリア展望/日本血液学会

 第86回日本血液学会学術集会では、10月12日(土)に『リーダーシップと女性のキャリア形成促進』と題して、女性医師キャリアシンポジウムが開催された。このシンポジウムは、三谷 絹子氏(獨協医科大学 内科学[血液・腫瘍])が女性初の会長を務めた2016年の第78回日本血液学会学術集会より続けられている。そうした背景もあり、現在、本学会における女性会員の比率は25%を超え、女性評議員が14%を占めるまでになっている。しかし一方で、「日本の女性は本来あるべき地位をいまだ得ていない」「管理職における男女格差は依然大きい」といった指摘もある。熱田 由子氏(日本造血細胞移植データセンター)は、「女性医師がいかにリーダーシップを発揮し、自身のキャリアを築き上げていくのかを、お招きした先生方にご教授賜りたい」と、本シンポジウムの開会を宣言した。女性活躍のこれからを考える―九州大学における取り組み 女性の活躍は、多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包括性(Inclusion)の推進における重要な要素である。これは、第一次世界大戦時の労働力として注目されたことに始まり、第二次世界大戦やベトナム戦争での同様の動きが女性の参政権獲得や社会進出へとつながった。そして現在、SDGs(持続可能な開発目標)にジェンダー平等が重要なテーマとして盛り込まれ、さまざまな施策が進められている。 このような歴史的変遷をたどる中、赤司 浩一氏(九州大学医学部 第一内科)がかつて在籍していたハーバード大学・ダナ・ファーバーがん研究所では、女性のエンパワーメントに関する問題が報告された。これにより女性限定の研究助成プログラムが開始され、2016年には初の女性プレジデントLaurie H. Glimcher氏の取り組みによって、今では女性研究者が40%以上を占めるまでになっている。ただ、「各大学のSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の女性教員比率は、日本はもとより米国においても依然として低水準」と、赤司氏は指摘する。 こうした問題解決の糸口を探るべく、九州大学では2007年より『女性活躍促進プロジェクト』が開始される。2009〜18年の「女性優遇ではなく、均等な機会を与える」との考え方に基づく独自事業によって女性教員は順調に増加するも、昇格による他大学への転出が早く、2016年以降の伸びは停滞に転じる。赤司氏は「女性研究者の上位職への早期登用の必要性を痛感した」という。 そこで2019年、ダイバーシティ・スーパーグローバル教員育成研修(SENTAN-Q)を開始。将来のリーダー候補となる多様で秀逸な女性および若手人材を対象に、2~3年以内の上位職登用ならびに学内ネットワーク形成やアンコンシャス・バイアスのない環境醸成といった組織改革を目指した研修やメンターシップ、海外研修などにより、着実な成果を生んでいるとのことである。 なお、女性比率の上昇は意思決定への影響やリーダーシップの可能性につながり、絶対数の増加は女性同士のサポートネットワーク形成やリーダーの持続的確保につながるという。そのため赤司氏は、「組織における女性の活躍は、短期的には比率を上げ、長期的には絶対数を増やすといった相乗効果で達成」され、「縦割り組織に起因する女性の孤立は当面の問題」としつつも、「組織改革による女性リーダーの育成は大学のみならず、病院単位でも必要」と強調した。順天堂大学 血液内科における女性リーダー育成に向けた取り組み リーダーシップには生まれつきの素質もあるが、学習と実践によって身に付けられるものでもある。また、リーダーシップの本質は、意思決定者として自分の信念を見極め、それに従って勇気を出して行動し、人のために価値を作り出そうと努力する“心構え”とされる。 ところが、わが国の国立大学医学部における女性教員の上位職比率は低く、職位が上がるにつれて低下傾向が認められる1)。安藤 美樹氏(順天堂大学 血液内科)は、「2023年度でも女性教授の比率は6.9%にすぎず、いまだ改善の余地がある」と指摘する。 また、女性研究者が少ない理由として、研究と家庭生活の両立の困難さ、男性中心の組織文化、アンコンシャス・バイアスという3つの要因が挙げられている。つまり、研究キャリアの重要な時期の出産・子育てといったライフイベント、家庭よりも仕事優先といった根強い考え方、それに自身の能力を過小評価する傾向が、女性研究者の活躍や上位職へのキャリアアップを阻んでいる。 安藤氏はこれらを踏まえ、「当科では当直の免除や柔軟な研修プログラムを採り入れることで、ワークライフバランスの確保と女性医師のキャリア支援に努めている。また、男性医師の意識改革と共に、女性医師には長期的なキャリア志向を促すことで、活躍の場を広げようとしている」と述べた。 「子育てしながらキャリアアップを図ることは難しい時期もあるが、ジレンマに苦しんでいる女性や将来に不安を感じている女性には私の米国での体験を伝え、どのような形でも常に復帰を意識し、積極的に上位職を目指してほしい。そして、ロールモデルとなる先輩医師の存在も、困難を乗り越えて活躍し続けるために重要」とした。 キャリアの継続には家族の理解と支援が欠かせない。また、システム整備や意識改革と共に、女性リーダーとしての明るさや強さ、公平な視野、優しさが大切で、時には組織を守るための厳しさも必要だ。安藤氏は、「聡明で患者や同僚に優しい医師を育てることが当科の目標」と結んだ。女性医師のキャリア形成とリーダーシップの在り方 キャリアとは生涯を通しての人間の生き方・表現である。厚生労働省の定義では「職業経験を通して職業能力を蓄積していく過程の概念」であり、キャリア形成とは「関連した職務経験の連鎖を通して職業能力を形成していく」こと、そしてそのプロセスは「職業を通して自己実現を図っていく」こととされる2)。また、人間は“自分が人生の中でやるべき仕事は何か”という目的意識に強く動機付けられ、そのために努力をし、結果として心理的・客観的成功を得ることができるという3)。 医師のキャリア形成について酒井 リカ氏(神奈川県立がんセンター 血液・腫瘍内科)は、「専門職の取得がまず思い浮かぶだろう。これは医師が高い専門性を持つ職能集団であり、プロフェッショナリズムの成熟をイメージすることが多いためである。しかし、“女性”という枕詞が付くと、仕事と家庭の両立、職業継続支援や復職支援といったテーマが重視される」とする。 そして、「女性医師がキャリア形成の中で、出産・子育てによりキャリアの中断を余儀なくされる背景には、アンコンシャス・バイアスやジェンダー・ステレオタイプといった考えが社会の中で刷り込まれていることが影響している。これらを常に意識し、自身の考えがゆがめられていないかどうかに注意を払う必要がある」とした。 なお、チーム全員がビジョンを持ち、全員がリーダーシップを執りながら互いに啓発し合い、知識・意見を交換するスタイルが、組織に最良の結果をもたらすとされる。酒井氏は、「自分のビジョンをしっかり持つことが、キャリア形成においても、リーダーシップにおいても重要」という。 1年半前に現職に就き、臨床の現場から管理職へと転身した酒井氏。「この35年間、多くの仕事仲間や家族に支えられながら臨床の道を歩んできた中で思うのは、わが国の医療の継続にはジェンダーを超えたプロフェッションとライフを考えながらのキャリア形成が必要であるということだ」と結論した。女性リーダーを増やすための本学会への提言 中高一貫校で男女分け隔てのない教育を受けた橋井 佳子氏(大阪国際がんセンター 小児科)は、医学部に入るとジェンダーの違いによる差別や偏見に悩まされ、自信を失いかけたという。 女性がリーダーを目指すものの、徐々にその意欲が低下する理由として、社会的要因の影響は大きい。つまり、リーダーに期待されるのは、タフさ、自立性、責任感、行動力であり、これは男性に求められる特性に近い。こうしたジェンダー・ステレオタイプにさらされ続けたことで、「不安や懸念が喚起されて従属的な立場に固定された結果、自信の低さや自己効力感の低下につながった」と、橋井氏は考える。 そのため、「女性がリーダーになるには覚悟と自己効力感の確立が必要」で、「リーダーシップに対する自信の低さは、リーダーシップ能力の欠如を意味するものではない」と付け加えた。そもそも女性と男性で能力に差はなく、リーダーとしての能力にも差はないのである。 橋井氏は、「小児がんに対する免疫療法というニッチな場所を見つけて自信を取り戻し、リーダーとしての地位を得ることができた。若い女性医師には思い切って“ファーストペンギン”になってほしい」という。 そして、本学会に期待したいこととして、ジェンダー・バイアスやステレオタイプに関するスキルトレーニング・セミナーの開催、リーダーシップ育成セミナーの開催、クォータ制を含めた女性活躍推進の検討を提言した。女性医師の活躍をこれからも後押しするために 最後に三谷氏は、「熱田先生が企画されたこのシンポジウムは、女性のリーダーシップを考えるものであり、これまでにない異色の試みであった。学会の各種委員会にさらに多くの女性を登用させることで多様な意見を反映させ、より成熟した社会を目指す改革が進むことに期待したい」と締めくくった。

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長いスクリーンタイムは子どものメンタルヘルス症状と関連

 9歳と10歳の子ども約1万人を2年間追跡した研究で、テレビやその他のスクリーンの視聴時間(以下、スクリーンタイム)の長さは抑うつなどのメンタルヘルス症状のリスク上昇と関連することが明らかにされた。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のJason Nagata氏らによるこの研究の詳細は、「BMC Public Health」に10月7日掲載された。Nagata氏は、「スクリーンタイムにより、身体活動、睡眠、対面での交流、抑うつや不安を軽減するその他の行動に費やされる時間が失われている可能性がある」と述べている。 Nagata氏らは、ティーンの間でメンタルヘルスに問題を抱える者が増えていると話す。同氏らによると、2000年代初期に比べると現代のティーンはうつ病になる可能性が50%高く、2000年から2018年にかけて自殺リスクは30%も上昇したという。一方、スクリーンタイムも増加傾向にあり、トゥイーン(8~12歳の子ども)の1日当たりのスクリーンタイムは平均5.5時間であるが、ティーンになるとそれが8.5時間に増えるという。 研究グループは、メンタルヘルスに問題を抱える若年者の増加とスクリーンタイムの増加が関係しているのではないかと考えた。それを調べるために、米国の大規模研究であるABCD(Adolescent Brain Cognitive Development)研究に2016年から2018年の間に参加した9歳と10歳の子ども9,538人(平均年齢9.9±0.6歳、男児51.2%、白人52.4%)の2年間のデータを用いて、ベースライン時のスクリーンタイムと、親が子どもの行動チェックリストを用いて評価した過去6カ月間のメンタルヘルス症状との関連を検討した。 その結果、長いスクリーンタイムはあらゆるメンタルヘルス症状と関連していることが明らかになった。特に関連が強かったのは抑うつで、そのほか、行動障害、身体的症状、注意欠如・多動症(ADHD)との関連も強かった。抑うつ症状とスクリーンタイムとの関連を、スクリーンタイムのタイプ別に検討すると、ビデオ通話、テキストメッセージのやりとり、YouTubeなどの動画視聴、ビデオゲームとの間に有意な関連が認められた。スクリーンタイムと抑うつ症状、ADHD、反抗挑発症(反抗挑戦性障害)の症状との関連は、黒人よりも白人において、また、スクリーンタイムと抑うつ症状との関連は、アジア系よりも白人において、より強かった。 Nagata氏は、「人種/民族的マイノリティに属する子どもにとって、スクリーンやソーシャルメディアは、同じような背景や経験を持つ仲間とつながるための重要なプラットフォームとして、白人の子どもとは異なる役割を果たしている可能性がある」と話す。そして、「テクノロジーは、対面での人間関係に取って代わるのではなく、子どもが身近な環境を超えてサポートネットワークを拡大するのに役立つかもしれない」との考えを示している。 一方でNagata氏は、「もちろん、親が子どもをスクリーンから遠ざけ、より健康的な活動に向かわせる方法もある」とし、「米国小児科学会(AAP)は、それぞれの子どものニーズを考慮した家族メディア利用計画を作成することを推奨している」と述べている。

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子供の睡眠時間の目安は?

子供の睡眠時間の目安⚫ 睡眠時間の不足によって、肥満のリスクが高くなること、抑うつ傾向が強くなること、学業成績が低下すること、幸福感や生活の質(QOL)が低下することが報告されています⚫ 朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化を避けるようにしましょう年齢別の推奨睡眠時間1~2歳児3~5歳児小学生中学生高校生11~14時間10~13時間9~12時間8~10時間夜ふかしを習慣化させないために…日中はからだを動かし、スクリーンタイムはほどほどに朝起きたら日光浴を••乳幼児期は朝起きる時間を決め、カーテンを開けて部屋を明るくしましょう小学生以降は登校時や学校で日光を十分に浴び、休日もできるだけ普段と同じ時間に起床しましょう•小・中・高校生は1日当たり60分以上からだを動かし、スクリーンタイムは2時間以下にすることが推奨されています出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」Paruthi S, et al.J Clin Sleep Med. 2016;12:785-786.Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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医師の働き方改革後、小児・救急などで実際に縮小・撤退/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催。はじめに松本氏が「財政制度等審議会財政制度分科会の議論を受けて」をテーマに医師会の考え方などを説明した。その中で、「財務省などの試案では、さらなるコストカットが示されているが、すでにその施策も現場では限界に来ていること、この12年間で医療従事者は賃金が抑えられていること、また、新型コロナ以後も患者は戻っておらず、関連の補助金もカットされたことで全国の診療所などは厳しい経営状況にあること」を説明した。松本氏は「今後も政府や関係省庁へ地域の安全を担保するインフラである医療や医療産業の充実のために財政上の手当てを要望する」と語った。改革後は小児医療、救急医療、手術、宿日直などで大きな影響 「『医師の働き方改革と地域医療への影響に関する日本医師会調査』(制度開始後調査)の結果について」をテーマに、担当常任理事の城守 国斗氏(医療法人三幸会 理事長)がアンケート調査の結果について説明した。 この調査は、4月に施行された改正医療法(いわゆる「医師の働き方改革」)の前後で、医師会所属の医療機関に行ったもので、調査は2024年8月20日~9月2日に全国の1万4,216施設で実施された。回答施設数は4,082施設(回答率28.7%)だった(前回調査の回答施設数は3,574施設)。 「自院の医療提供体制における影響」では、「管理者(病院長)の業務負担が増加している」(27.3%)、「手術件数が減少している」(10.8%)、「外来診療体制の縮小を行っている」(5.3%)の順で多かった。【制度開始直前調査より影響が小さくなっている項目】(1)管理者の業務負担の増加について 制度開始前は「増加する可能性がある」(36.5%)だったものが、制度開始後に「増加した」は27.3%だった。(2)教育指導体制 制度開始前に「維持できなくなる可能性がある」(8.9%)だったものが、制度開始後に「維持できなくなっている」は4.1%だった。(3)周産期医療体制 制度開始前に「縮小・撤退を検討している」(1.9%)だったものが、制度開始後に「縮小・撤退を行っている」は1.8%だった。【制度開始直前調査より影響が大きくなっている項目】(4)小児医療体制 制度開始前に「縮小・撤退を検討している」(1.8%)だったものが、制度開始後に「縮小・撤退を行っている」は2.3%だった。(5)救急医療体制 制度開始前に「縮小・撤退を検討している」(4.3%)だったものが、制度開始後に「縮小・撤退を行っている」は5.3%だった。(6)手術件数 制度開始前に「減少する可能性がある」(9.8%)だったものが、制度開始後に「減少している」は10.8%だった。(7)宿日直体制 制度開始前に「縮小・撤退を検討している」(6.2%)だったものが、制度開始後に「縮小・撤退を行っている」は8.2%だった。(8)外来診療体制 制度開始前に「縮小・撤退を検討している」(7.1%)だったものが、制度開始後に「縮小・撤退を行っている」は9.3%だった。【医師の派遣・受け入れの状況:派遣している医療機関(672施設)】(1)医師の引き揚げによる影響 制度開始前に「引き揚げる医師数が昨年より増加している」(8.8%)だったものが、制度開始後に「引き揚げる医師数が増加する見込み」は8.5%と減少した。(2)宿日直の応援医師の派遣 制度開始前に「応援医師派遣を制限する事例が昨年より増加している」(7.0%)だったものが、制度開始後に「応援医師派遣を制限する事例の増加が見込まれる」は9.5%と減少した。【医師の派遣・受け入れの状況:受け入れている医療機関(2,927施設)】(1)医師の引き揚げによる影響 制度開始前に「引き揚げにより昨年より医師数が減少している」(11.2%)だったものが、制度開始後に「引き揚げにより昨年より医師数が減少してする見込み」は15.6%と増加した。(2)宿日直の応援医師の派遣 制度開始前に「宿日直の応援医師の確保が昨年より困難」(21.6%)だったものが、制度開始後に「宿日直の応援医師の確保が昨年より困難になることが見込まれる」は23.9%と微増した。【宿日直許可の取得状況】 有床診療所(1,122施設)では「宿日直許可の取得は検討していない」が63.5%、病院(2,960施設)では「宿日直許可の取得あり(部分的な宿日直許可も含む)」が93.9%で1番回答が多かった。【地域の医療提供体制における影響について】(1)地域の医療提供体制で実際に生じていると考えている問題点について 有床診療所(1,122施設)、病院(2,960施設)ともに「救急搬送の受入困難(断り)事例の増加」(11.2%/17.3%)の回答が1番多かった。(2)地域の医療提供体制で懸念される問題について 同様に有床診療所(1,122施設)、病院(2,960施設)ともに「救急医療体制の縮小・撤退」(33.8%/29.8%)の回答が1番多かった。

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大田原症候群〔OS:Ohtahara syndrome〕

1 疾患概要■ 定義大田原症候群は、1976年に大田原俊輔らが“特異な年齢依存性てんかん性脳症:The Early-Infantile Epileptic Encephalopathy with Suppression-Burst”として日本小児神経学研究会(現 日本小児神経学会)機関誌に報告し1)、2001年に国際抗てんかん連盟(ILAE)によって公式に“Ohtahara syndrome”と称された。乳児早期(多くは新生児期)に発症し、頻回の強直発作もしくはてんかん性スパズムとサプレッション・バーストとよばれる脳波所見を特徴とする。■ 疫学発生頻度は、ウエスト症候群の約1/40以下と推測され、国内の患者数は数百人と考えられる。■ 病因遺伝素因が最も多く、次いで脳形成異常が多い(表)。2007年に介在ニューロンの発生に関与するARX遺伝子の変異が2家系で同定され、その後、STXBP1、KCNQ2、SCN2A、GNAO1など多数の原因遺伝子が同定されている。脳形成異常では、片側巨脳症や限局性皮質異形成、孔脳症などが多い。ミオクロニー発作主体だが、サプレッション・バーストの脳波所見が共通する早期ミオクロニー脳症は、非ケトン性高グリシン血症、ミトコンドリア異常症、ビタミンB6依存性脳症などの代謝障害が多い(後述の分類の項を参照)。表 大田原症候群の病因画像を拡大する■ 症状新生児期にてんかん発作を来し、その後発達遅滞が現れる。てんかん発作は強直発作とてんかん性スパズムが特徴である。てんかん性スパズムは、群発(シリーズ形成)よりも単発が多い。発作は1日に数〜数十回、時に数百回と頻回で、睡眠・覚醒を問わず認められる。焦点性運動発作が1/3から約半数に認められる。ミオクロニー発作はまれであり、早期ミオクロニー脳症との鑑別点になっている。しかし、同一症例でも経過中にスパズム主体の時期とミオクローヌス主体の時期が前後することもあり、時期によって大田原症候群と早期ミオクロニー脳症の併発もあり得る。てんかん発作の他に、知的障害、運動障害を併発することが多い。また、基礎疾患による併発症状を示す。■ 分類2022年にILAEによるてんかん症候群の分類が大幅に改訂された。新生児期にサプレッション・バーストを示し、ミオクロニー発作を主体とする早期ミオクロニー脳症と強直発作を主体とする大田原症候群が統合され、「早期乳児発達性てんかん性脳症:early infantile developmental and epileptic encephalopathy(EIDEE)」と呼ばれる2)。■ 予後てんかん発作は難治であり、乳児期にはてんかん性スパズムの群発傾向が強くなり、脳波はヒプスアリスミアに変容し、約3/4の症例はウエスト症候群(現在の呼称は「乳児てんかん性スパズム症候群」)に移行する。てんかん発作が抑制された場合でも、知的障害を併発することが多く、その程度も一般に重度である。また、自閉症や多動など併発症も多い。重症例では運動障害を呈し、全介助が必要になる。少数ながら正常発達例も報告されている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)検査で最も重要なのは、「サプレッション・バースト」と呼ばれる発作間欠期の脳波パターンである(図)。数秒間のサプレッション(平坦)相と数秒間の150~300μVの不規則な高振幅徐波に棘波が混入するバースト(群発)相が交互に出現する。通常は広汎性であるが、脳梁欠損を伴うアイカルディ症候群などでは左右で非同期性に認められる。ヒプスアリスミアへの移行過程では、平坦相にθ波やδ波が混入し、持続時間が短くなり、ヒプスアリスミアの脱同期desynchronizationと区別が難しくなる。原因検索として頭部MRIと代謝スクリーニングが必須である。代謝異常の鑑別として、ミトコンドリア異常に対する髄液の乳酸/ピルビン酸とグリシン脳症に対する髄液/血漿グリシン濃度比を確認する。MRIと代謝に異常がなければ、遺伝子検査(国内では厚労科研の研究班で実施)が望ましい。図 大田原症候群でみられる脳波のサプレッション・バーストパターン画像を拡大する双極誘導。9秒間の平坦なサプレッション相の前後に3秒間の棘波や徐波のてんかん様放電が群発するバースト相が認められる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)現時点では特定の治療薬はないが、症例によってビタミンB6、フェノバール大量療法、バルプロ酸Na、ケトン食が有効である。片側巨脳症や限局性皮質異形成は、早期に外科手術を考慮する。KCNQ2変異による大田原症候群では、大田原症候群の治療には一般に用いられないカルバマゼピンやフェニトインなどNaチャネルの阻害作用を有する薬剤がてんかん発作の抑制に有効である3)。4 今後の展望原因によって、分子標的治療薬や遺伝子治療、アンチセンスオリゴヌクレオチド治療の開発が行われている4)。5 主たる診療科小児科、神経小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 大田原症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病 大田原症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本小児神経学会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚労科研難治性疾患政策研究事業「稀少てんかんの診療指針と包括医療の研究」班 てんかんの難病ガイド(医療従事者向けのまとまった情報)1)大田原俊輔ほか. 脳と発達. 1976;8:270-280.2)Zuberi SM, et al. Epilepsia. 2022;63:1349-1397.3)Kato M, et al. Epilepsia. 2013;54:1282-1287.4)Kato M, et al. Ann Clin Transl Neurol. 2022;9:181-192.公開履歴初回2024年10月24日

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子供がコロナで入院すると子供も親も精神衛生に影響/国立成育医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連するスティグマは、抑うつ、不安、孤独感などの心身の苦痛を引き起こすことが世界的な問題となっている。しかし、COVID-19のスティグマと、それに関連する子供や親のメンタルヘルスへの影響を調査した研究はほとんどないのが現状である。 国立成育医療研究センター総合診療部の飯島 弘之氏らの研究グループは、COVID-19に感染した子供とその親に対して、COVID-19に関わるスティグマ(患者に対する「差別」や「偏見」)と、メンタルヘルスへの影響について調査を実施した。その結果、主観的スティグマがある子供と推定スティグマがある親は、1ヵ月後もメンタルヘルスにネガティブな影響がみられた。本研究結果は、Pediatrics International誌2024年1~12月号に掲載された。COVID-19に感染した親子は1ヵ月後も精神衛生に影響 対象は2021年11月~2022年10月までにCOVID-19に感染し、国立成育医療研究センターに入院した4~17歳の子供および0~17歳の子供の親。COVID-19に関わるスティグマとメンタルヘルス(抑うつ、不安、孤独感)に関する質問票調査を実施した。 対象者は47例の子供と111例の親で、そのうち入院中の調査では子供43例(91%)と親109例(98%)が質問票に回答し、1ヵ月後の追跡調査では、それぞれ38例(81%)と105例(95%)が回答した。 スティグマについては、隠ぺいスティグマ(ここでは覆い隠すことによって偏見や差別を回避しようとするスティグマのことを指す)と回避スティグマ(ここでは個人や集団が感染を回避しようとするスティグマのことを指す)についてそれぞれに、主観的スティグマと推定スティグマを確認するアプローチを採用した。メンタルヘルスを評価する質問として、抑うつ、不安、孤独について調査した。 主な結果は以下のとおり。【スティグマの保有】・入院中の調査では、COVID-19に感染した子供の79%、親の68%が高スティグマに該当し、1ヵ月後の調査でも、子供の66%、親の64%が高スティグマに該当していた。・推定スティグマの方が、主観的スティグマよりも、高スティグマグループの割合が高くなっていた。【メンタルヘルスへの影響】・子供の抑うつと孤独感、親の抑うつと不安は、いずれも、入院中と比べ、1ヵ月後の追跡調査で有意に低下していた。しかし、次のとおり、主観的スティグマがある子供と推定スティグマがある親においては、1ヵ月後においても、メンタルヘルスにネガティブな影響がみられた。(1)子供のスティグマと孤独感・抑うつとの関係・子供の主観的スティグマは、入院中の孤独感(平均差[MD]:2.32、95%信頼区間[CI]:0.11~4.52)と1ヵ月後の追跡調査での抑うつ(MD:2.44、95%CI:0.40~4.48)と関連していた。・推定スティグマは、メンタルヘルスとの間に有意な関係はみられなかった。(2)親のスティグマと抑うつ・不安・孤独感との関係・親の推定スティグマは、1ヵ月後の追跡調査で抑うつ、不安、孤独感と関連していた(MD:2.24[95%CI:0.58~3.89]、1.68[0.11~3.25]、1.15[0.08~2.21])。・主観的スティグマとメンタルヘルスとの間に有意な関係はみられなかった。 研究グループは、これらの調査結果から、「COVID-19に関連するスティグマは、退院後1ヵ月以上にわたって精神衛生に影響を及ぼし続けること、スティグマが精神衛生に与える影響は子供と親で異なることが示された」と結論付けている。

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肥厚性皮膚骨膜症〔PDP:pachydermoperiostosis〕

1 疾患概要■ 概念・定義肥厚性皮膚骨膜症(pachydermoperiostosis:PDP)は、ばち指、長管骨を主とする骨膜性骨肥厚、皮膚肥厚性変化(頭部脳回転状皮膚を含む)を3主徴とする単一遺伝性疾患である。特発性肥大性骨関節症(primary hypertrophic osteoarthropathy:PHO)と原因遺伝子が同一の疾患である。■ 疫学2011年の厚生労働省研究班による全国調査では、全国推定患者数42例であった。その後、遺伝子診断により確定診断できた症例のみを渉猟した44例の集計ではHPGD変異は1例のみ、女性例は1例のみであった。SLCO2A1遺伝子変異例43例中、変異の種類は17種類検出された。これら変異の頻度を日本人集団のゲノムデータベースより集計したところ、0.5%(1/200)だった。したがって、日本人SLCO2A1遺伝子変異によるPDP患者は、(1/200)×(1/200)×(1/4)=1/160,000と推定された。2023年発表の全国調査でのわが国の人口は1億2,200万人であることより、推計患者数は762.5人であった。患者のほとんどが男性であり、日本人男女比1:1から推計患者数は388人であった。■ 病因2つの原因遺伝子が知られている。HPGD(プロスタグランジンE2分解酵素)遺伝子、およびSLCO2A1(プロスタグランジンE2輸送蛋白)遺伝子による常染色体潜性(劣性)遺伝形式が報告されている。両者の確定診断時の臨床症状には大きな差はないが、いくつか経過、検査値、合併症に違いがある(表1)。また、両者ともばち指のみの症例が報告されている(isolated digital clubbing)。表1 肥厚性皮膚骨膜症における原因遺伝子による比較画像を拡大する■ 症状(図)1)皮膚症状手足の太鼓ばち指(ばち指)、皮膚肥厚性変化(皮膚肥厚;主に前額に生じるが進行すると顔全体にみられ、獅子様顔貌を呈する)、頭部脳回転状皮膚(cutis verticis gyrata[CVG];ばち指や皮膚肥厚に続いて生じる症例がある。CVGのみ生じる症例はPDPと鑑別する)は診断基準になっている。その他、(広義の皮膚症状として)掌蹠多汗症、眼瞼下垂、脱毛斑に加え、皮膚症状というより結合組織の症状として下腿肥大(膝から足関節までが肥大し、正座ができなくなる)、下腿潰瘍などがある。2)骨・関節症状主に長管骨を主体とした骨膜性骨肥厚および骨関節炎を生じる。前者はPDPの診断基準の1つであり、後者はPHOの診断基準となっている3)皮膚外症状低カリウム血症、貧血、骨髄線維症、胃・十二指腸巨大皺襞、SLCO2A1遺伝子関連腸症(chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene:CEAS)などがある。症状(図)画像を拡大する■ 分類(後掲表2:診断のカテゴリー)(1)完全型(complete form)後述の診断基準4症状をすべて発症した症例。(2)不全型(incomplete form)診断基準のうちCVGを欠く症例を指す。(3)初期型(fruste form)骨変化が欠如または軽度で(ばち指と)皮膚肥厚のみを有する■ 予後いまだ予後を確実に改善する治療法は確立されていない。20代をピークとし30代になると活動性が低下するといった報告もあるが40代以降の経過について記載はみられない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)表2に厚生労働省科学研究班で策定した診断基準を示す。確定診断は3主徴をみたすことにより可能である。2項目の場合は除外診断と皮膚生検、遺伝子診断を組み合わせることにより正確な診断に近付けることができる。同じく表2、3に鑑別すべき疾患を示した。鑑別の手順を以下に記す。1)完全型鑑別すべき疾患がない(特異度が高い)ので4つの症状を正確に診断していけば確定できる。今のところ厚生労働省科学研究班で渉猟した完全型症例の内HPGD、SLCO2A1遺伝子変異がみつからなかった症例は経験していない。2)不全型診断基準項目1~3のみが該当する症例には、2次性肥大性骨関節症が含まれてしまうため除外診断が必要である。ただし、女性例では閉経以降に不全型で発症する例があるので、遺伝子診断が有用である。3)診断基準2項目以下(probable, possible)これらの症例には前述の初期型を含んでいるが、鑑別診断に挙げた他の疾患である可能性が高いので丁寧に確認していく必要がある。初期型の場合には、次第に不全型または完全型に移行する。ただし、完全型は必ず不全型を経るとは限らない。除外診断が完了すれば遺伝子診断が有用である。表2 厚生労働省による肥厚性皮膚骨膜症の診断基準(2015)Definite、Probableを対象とする。■ 肥厚性皮膚骨膜症の診断基準A 症状1.太鼓ばち状指(ばち指)2.長管骨を主とする骨膜性骨肥厚3.皮膚肥厚性変化4.頭部脳回転状皮膚B 鑑別診断以下の疾患を鑑別する。(1)2次性肥大性骨関節症(secondary hypertrophic osteoarthropathy):疾患リストは別掲表3を参照(2)成長ホルモン過剰症および先端肥大症(3)骨系統疾患(3)-1高アルカリフォスファターゼ血症(3)-2骨幹異形成症(Camurati-Engelmann病)C 遺伝学的検査1.HPGD、SLCO2A1遺伝子の変異D 合併症(括弧内は2011年全国調査結果より)【皮膚症状】脂漏・油性光沢(69%)、ざ瘡(65.5%)、多汗症(34,5%)、脂漏性湿疹(16.7%)【関節症状】関節痛(51.7%)[運動時関節痛(30.3%)、安静時関節痛(9.1%)]、関節腫脹(42.4%)、関節水腫(24.2%)、関節の熱感(9.1%)、骨折歴(6.3%)【その他】貧血(18.2%)、発熱(15.6%)、胃・十二指腸潰瘍(9.4%)、低カリウム血症(9.1%)、自律神経症状(9.1%)、易疲労性(6.1%)、思考力減退(3%) <診断のカテゴリー>Definite完全型Aのうち4項目すべてを満たすもの不全型A1~3がみられ、B(1)に該当する基礎疾患を除外したものProbable初期型A1、3を満たしBの鑑別すべき疾患を除外し、Cを満たすものPossibleAのうち2項目以上を満たしBの鑑別すべき疾患を除外したもの診断に際しての諸注意「不全型」「初期型」は年余にわたり進行し、「完全型」に移行することがあるため遺伝子診断が有用であるが、症状がそろうまで「完全型」とは呼ばない。D合併症は診断の参考になるが確定診断に用いてはならない。表3 二次性肥大性骨関節症の原因疾患画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)発熱や関節痛などの急性期症状については非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)が奏効する。最近では、皮膚肥厚に選択的COX-2阻害薬が奏効したとの報告が複数ある。ただし、長期服用例の報告にはいたっていない。顔面皮膚皺襞、眼瞼下垂、CVGには形成外科的なアプローチが試みられている。4 今後の展望選択的COX-2阻害薬の長期使用例や家族歴のある患者での早期介入試験などが待たれる。5 主たる診療科ばち指の鑑別診断:内分泌内科、小児科骨膜性骨肥厚:整形外科、小児放射線診断医皮膚肥厚、頭部脳回転状皮膚:皮膚科(皮膚生検のため)消化器症状:消化器内科、小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 肥厚性皮膚骨膜症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター 肥厚性皮膚骨膜症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)新関寛徳. 新薬と臨牀. 2018;67:1117-1123.2)三森経世. 日本内科会誌. 1994;83:1943-1947.3)Shakya P, et al. J Dermatol Sci. 2018;90:21-26.4)Yuan L, et al. J Orthop Translat. 2018;18:109-118.公開履歴初回2024年10月17日

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乳児への肺炎球菌ワクチンの減量接種、免疫原性への影響/NEJM

 英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のKatherine E. Gallagher氏らは、生後6週以上8週未満児において、10価および13価肺炎球菌結合型ワクチン(それぞれPCV10[GSK製]、PCV13[ファイザー製])の減量接種による免疫原性について検討し、PCV13の40%用量の3回接種(初回免疫2回、追加免疫1回)は全量接種に対し全血清型で非劣性が認められたことを報告した。PCVワクチンは、定期予防接種の中でも高価なワクチンであることから、減量接種レジメンがワクチン接種プログラムの持続可能性を高める1つの選択肢となりうることが期待されていた。NEJM誌オンライン版2024年9月26日号掲載の報告。PCV10およびPCV13の各40%用量と20%用量を全量と比較 研究グループは、ケニアのキリフィおよびモンバサの9施設において、生後6週以上8週未満の健康な新生児を以下の7群へ無作為に均等に割り付け、生後18ヵ月まで追跡調査を行った。A群:PCV13全量接種B群:PCV13の40%用量接種C群:PCV13の20%用量接種D群:PCV10全量接種E群:PCV10の40%用量接種F群:PCV10の20%用量接種G群:既存スケジュールでPCV10全量接種 A~F群では、初回免疫2回(1回目:登録時、2回目:56日後)、追加免疫1回(生後約9ヵ月時)の計3回接種し、G群では初回免疫3回(登録時、28日後、56日後)を接種し、追加免疫はなしとした。A~F群は、児の保護者およびワクチン接種チーム以外の全試験スタッフが割り付けを盲検化されたが、G群のみは盲検化できなかった。 初回免疫完了後、4週間ごとに4回血液検体を採取するとともに、8週間ごとに2回鼻咽頭スワブを採取し(生後約9ヵ月および約18ヵ月時)、免疫原性を評価した。 非劣性の基準は、3回目接種の4週後に各減量群の全量群に対するIgG幾何平均抗体濃度(GMC)の比の95%信頼区間(CI)の下限が0.5超であり、初回免疫完了の4週後(参加者が生後約18週になった時)に血清型特異的IgG抗体濃度0.35μg/mL以上に達した参加者の割合の差の95%CIの下限が-10%超とした。また、ワクチンの用量は、PCV10群では血清型10種中8種以上、PCV13群では血清型13種中10種以上で非劣性基準を満たした場合に、非劣性が示されると事前に規定した。抗体保有率は生後約9ヵ月および約18ヵ月時に評価した。PCV13の40%用量の3回接種は、全量接種に対して非劣性 2019年3月~2021年11月(2020年3月~10月はCOVID-19パンデミックのため中断)に計2,100例の乳児が登録され、2,097例が無作為化された。生後18ヵ月時のper-protocol解析集団は計1,572例(75%)であり、抗体保有率の解析対象は生後9ヵ月時が1,439例(69%)、生後18ヵ月時が1,364例(65%)であった。 per-protocol解析の結果、PCV13の40%用量(B群)は、初回免疫2回接種後に13血清型中12血清型、追加免疫後に13血清型中13血清型について非劣性基準を満たした。PCV13の20%用量(C群)、PCV10の40%用量(E群)および20%用量(F群)については、全量接種に対する非劣性は示されなかった。 生後9ヵ月時および18ヵ月時におけるワクチン血清型の抗体保有率は、PCV13の各群間で同程度であった。

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ADHDの薬物関連心血管疾患による世界的負担〜WHO薬物安全性データ分析

 注意欠如多動症(ADHD)の治療薬は、心血管系に対する交感神経刺激作用を有していることが知られているが、包括的な世界的データを用いた評価は、あまり行われていない。韓国・慶熙大学校のHanseul Cho氏らは、世界的な医薬品安全性監視データを用いて、ADHD治療薬と心血管疾患との関連を調査した。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2024年8月30日号の報告。 分析には、1967〜2023年のWHO国際医薬品安全性監視データーベースからのレポート1億3,125万5,418件を用いた。各薬剤と特定の心血管疾患との関連を評価するため、報告オッズ比(ROR)およびinformation component(IC)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ADHD治療薬に関連する報告14万6,489件のうち、心血管疾患は1万3,344件であった。・ADHD治療薬に関連する累積報告数は、2010年以降、とくに成人において増加が認められた。・ADHD治療薬は、全体的に心血管疾患リスクの上昇と関連がみられ(ROR:1.60、95%信頼区間:1.58〜1.63、IC:0.63、IC0.25:0.60)、この関連性は、男性よりも女性において強く関連していた。・特定の心血管疾患では、すべての薬剤において、トルサード・ド・ポアント/QT延長、心筋症、心筋梗塞のリスク上昇と関連が認められた。・心不全、脳卒中、心臓死/ショックとの関連が認められた薬剤は、アンフェタミンのみであった。・リスデキサンフェタミンは、アンフェタミンと比較し、心血管疾患との関連性が弱かった。・メチルフェニデートは、心血管疾患との関連性が最も低かった。・アトモキセチンは、トルサード・ド・ポアント/QT延長との関連性が2番目に高かった。 著者らは「心血管疾患とADHD治療薬との関連は、さまざまであり、アンフェタミンはリスクが高いものの、リスデキサンフェタミンおよびメチルフェニデートは、安全性が良好であることが示唆された」と結論付けている。

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母乳育児は乳児の喘息リスクを低下させる

 生後1年間を母乳で育てると、乳児の体内に健康に有益なさまざまな微生物が定着し、喘息リスクが低下する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この研究によると、生後3カ月を超えて母乳育児を続けることにより、乳児の腸内微生物叢の段階的な成熟が促されることが示唆されたという。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のLiat Shenhav氏らによるこの研究結果は、「Cell」に9月19日掲載された。 母乳には、健康に寄与する腸内微生物の増殖を促進するさまざまな栄養素が含まれている。乳児期における母乳育児と微生物の定着は、乳児の発達にとって重要な時期に行われ、どちらも呼吸器疾患のリスクに影響を与えると考えられている。しかし、母乳育児の保護効果や微生物の定着を調節するメカニズムについては、まだ十分に理解されていない。 今回の研究では、CHILDコホート研究に参加した2,227人の乳児を対象に、生後3カ月時と1歳時の鼻腔および腸内の微生物叢、母乳育児の特徴(完全母乳/混合育児/粉ミルク)、および母乳成分の調査を行い、母乳育児が腸内微生物の定着に与える影響、さらにその定着の仕方が呼吸器疾患リスクに与える影響を検討した。 その結果、生後3カ月を超えて母乳育児を行うと、乳児の腸内および鼻腔の微生物叢が徐々に成熟することが示された。逆に、生後3カ月未満で母乳育児をやめると、微生物叢の発達ペースが乱れ、就学前の喘息リスクが上昇することが明らかになった。例えば、生後3カ月未満で母乳育児をやめた乳児の腸内には、ルミノコッカス・グナバス(Ruminococcus gnavus)と呼ばれる細菌種が非常に早期の段階から認められたという。R. gnavusは、喘息などの免疫系の問題に関連するアミノ酸であるトリプトファンの生成と分解に関与していることが知られている。 研究グループはさらに、微生物の動態と母乳の成分に関するデータを用いて、喘息リスクを予測する機械学習モデルを構築し、さらに因果関係を特定するための統計モデルを用いて、母乳育児が乳児の微生物叢の形成を通じて喘息リスクを低下させることを確認した。 研究グループによると、母乳には、ヒトミルクオリゴ糖(母乳に含まれるオリゴ糖の総称)と呼ばれる独自の成分が含まれている。ヒトミルクオリゴ糖は、特定の微生物の助けを借りなければ乳児の体では消化できないため、これらの糖を分解できる微生物は、腸内での生存競争において優位性を得ることになる。一方、生後3カ月未満で断乳して粉ミルクで育てた場合には、粉ミルクの成分を消化するのに役立つ別の微生物群が増加する。これらの微生物の多くは、最終的には全ての乳児の腸内や鼻腔に定着するようになるものの、早期に定着した場合には喘息リスクが増加するのだという。 Shenhav氏は、「ペースメーカーが心臓のリズムを調整するのと同じように、母乳育児は乳児の腸内と鼻腔に微生物が定着するペースと順序を、秩序正しく適切なタイミングで起こるように調節している」と説明する。同氏はさらに、「健康な微生物叢の発達には、適切な微生物が存在するだけでは不十分だ。適切なタイミングと順序で微生物が定着することも必要なのだ」と付け加えている。 Shenhav氏は、「本研究結果は、母乳育児が乳児の微生物叢に及ぼす重大な影響と、呼吸器の健康をサポートする上での母乳育児の重要な役割を浮き彫りにしている。われわれは、この研究で実証されたように、母乳の保護効果の背後にあるメカニズムを解明し、データに基づき母乳育児と断乳に関する国のガイドラインを策定することを目指している」と述べている。同氏はまた、「さらに研究を重ねることで、本研究結果は、母乳育児の期間が3カ月未満だった乳児の喘息を予防する戦略の開発にも貢献する可能性がある」との見方も示している。

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慢性下痢症(12)食物起因性の下痢:食物蛋白誘発性腸炎症候群(FPIES)【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q125

慢性下痢症(12)食物起因性の下痢:食物蛋白誘発性腸炎症候群(FPIES)Q125FPIES(Food Protein-induced-enterocolitis syndrome:食物蛋白誘発性腸炎症候群)は乳幼児の疾患概念である。○か×か?

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英語で「まだ安心できない」は?【1分★医療英語】第152回

第152回 英語で「まだ安心できない」は?《例文1》The jury is still out on whether the treatment is fully effective.(その治療が完全に効果的かどうかは、まだ結論が出ていません)《例文2》Don’t count your chickens before they hatch - we can’t assume success just yet.(まだ結果が出ていないので、確定する前に安心してはいけません)《解説》日本語で「まだ安心できない」という表現は、進行中の困難や不安を示すときに使います。英語にも同じようなニュアンスを伝える表現がいくつかあります。たとえば、冒頭の“We are not out of the woods yet.”という表現は、直訳すれば「まだ森を抜けていない」という意味ですが、「まだ困難を完全に乗り越えていない」というニュアンスで使われています。また、《例文1》の“The jury is still out.”という表現もあり、これは「まだ結論が出ていない」という意味で、状況によっては「まだ安心できない」という意味でも使われます。《例文2》も類似表現です。冒頭の医師の会話にある“keep our (your) guards up.”は「心のガードを下げない」という意味で、同じ文脈で併用されることが多い表現です。“catch someone off guard”(不意を突かれる)という表現も一緒に覚えておきましょう(第140回 参照)。講師紹介

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掌蹠角化症〔PPK:palmoplantar keratoderma〕

1 疾患概要■ 概念・定義掌蹠角化症は、手掌と足底の高度な過角化を主な臨床症状とする疾患群である。主として遺伝的素因により生じるが、非遺伝性の病型もある。掌蹠角化症の中には、掌蹠角化症の皮膚症状に加えて、がんあるいは他臓器の異常を伴うまれな遺伝性疾患も存在し、このような疾患群は掌蹠角化症症候群と呼ばれる。これらの合併症が重篤になると生命予後が悪化する。臨床所見ならびに病理組織像の検討のみから病型を決定するのは困難な場合が多く、遺伝歴の詳細な聴取、最終的には遺伝子変異の同定が必要となる。■ 疫学長島型掌蹠角化症の頻度は、日本および中国ではそれぞれ1万人当たり1.2人ならびに3.1人と見積もられている。ボスニア型掌蹠角化症の頻度はスウェーデンの北部(ボスニア湾沿岸地域)で、一般人口当たり0.3~0.55%(1万人当たり30~55人)と報告されている。筆者らは、2015年に掌蹠角化症の患者数についての全国1次アンケート調査を行った。全国の500床以上の病院の皮膚科ならびに小児科にアンケート用紙を送付して掌蹠角化症全国疫学調査を施行した。この調査では、過去5年間に期間を限定し、掌蹠角化症患者の家系の数、患者数を回答してもらうようにした。型が明らかな家系についてはそれぞれの型の家系の数、患者数の記載を依頼した。また、自由記載欄も設け、アンケート調査についての感想・要望などを記載も求めた。全国690施設の皮膚科ならびに小児科にアンケート用紙を送付した。うち325施設より回答を得た。病型が明らかな家系は113家系、患者数は147例(人口100万人当たり1.2人)であった。約9割は大学病院にて診断されていた。人口100万人当たりの患者数でみると、青森県が最多で、100万人当たり30.6人であった。■ 病因掌蹠角化症を構成するそれぞれの疾患は、大部分が遺伝性疾患である。原因遺伝子に遺伝子変異が生じることにより個々の疾患が引き起こされる。現在、個々の疾患の遺伝子変異は(掌蹠角化症を構成する)大多数の疾患において同定されている。■ 症状手掌と足蹠の過角化が存在する。過角化の程度や罹患部位は、個々の病型により異なる。過角化の状態も病型によりさまざまである。過角化の臨床症状に加え、手掌と足蹠の潮紅を伴う病型(わが国では最も多い病型である長島型掌蹠角化症)もある。■ 分類日本皮膚科学会作成の「掌蹠角化症診療の手引き」では、(1)びまん性角化を示す掌蹠角化症、(2)限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症、(3)掌蹠角化症症候群の3群に分類している。びまん性角化を示す掌蹠角化症には8疾患、限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症には9疾患、掌蹠角化症症候群には22疾患が含まれている。■ 予後びまん性角化を示す掌蹠角化症、限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症は、生命予後は良い。掌蹠角化症症候群のうち、がん、拡張型心筋症を合併するものがあり、これらの疾患を合併すると予後不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)図の病型診断アルゴリズムにしたがって、おおよその病型の見当を付ける。これは外来において視診で行える。Transgrediensとは、掌蹠を超えて、指趾背側や手首、足首、アキレス腱部にまで皮疹が拡大していることである。日本皮膚科学会の掌蹠角化症診療の手引きを参考にすると、調べるべき原因遺伝子が判明する。上記の臨床的診断に引き続いて、患者より採血を行い、白血球よりDNAを抽出、病型の原因遺伝子の塩基配列を決定する。病因遺伝子変異を同定することが出来れば、病型が診断できる。可能であれば、家族の遺伝子変異同定も診療上非常に有益である。。家系図を描くことができれば、遺伝形式が判明し、確定診断に役立つとともに、患者ならびに家族に対して遺伝カウンセリングを行うことができる。図 (遺伝性・非症候性)掌蹠角化症の病型診断アルゴリズム画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)掌蹠角化症は症例数が少なく、大規模な治験が不可能である。そのためエビデンスレベルの高い治療法は確立されていない。現在、有効とされている治療法は、症例報告に基づくものである。1)外用療法サリチル酸ワセリンや尿素軟膏などの角質溶解剤の塗布やカルシポトリオール含有軟膏の塗布を行う。2)皮膚切削術コーンカッター、長柄カミソリ、生検用パンチ、眼科剪刀などを用いて肥厚した角質を除去する。3)内服療法レチノイド内服を行う。ただし、この薬剤には催奇形性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与してはならない。また、エトレチナートに対し、過敏症の既往歴のある患者、肝障害のある患者、腎障害のある患者、ビタミンA製剤投与中の患者、ビタミンA過剰症の患者には禁忌である。エトレチナートを処方するときには、処方のたびに所定の様式の文書での同意を得る。4)合併症に対する治療絞扼輪や皮膚がんなどの合併症に対しては早期発見に留意し、外科的に対処する。難聴、食道がん、歯周病、心筋症、真菌症、細菌感染症などの合併症に対しては専門医に治療を依頼すると同時に適切な抗真菌薬や抗生物質の投与などを行う。5)患者自身によるケア掌蹠に亀裂ができて疼痛をともなう場合、長柄カミソリなどを用いて、角質を削り、就寝時にワセリンを使用して密封療法(ODT)を行う。掌蹠の亀裂がなくなり、疼痛がやわらぐ。4 今後の展望核酸医薬低分子干渉RNA(siRNA)を用いる治療法も報告されている。KRT6A遺伝子に対するsiRNAを用いて、培養ヒト表皮角化細胞とマウスの皮膚におけるケラチン6aタンパク質の発現を抑制したという報告もある。この治療法は、先天性爪甲厚硬症患者にも使用されており、将来実行可能な方法であるがいまだ明らかになっていない部分もある。リードスルー薬を治療に用いたという報告もある。5例の長島型掌蹠角化症の患者に対してリードスルー薬としてゲンタマイシンを使用して有効であったという報告もあるが、報告例が少なく現時点ではその有効性についての結論は出ていない。ただ、ゲンタマイシンは安全かつ簡便に使用が可能で、本症以外の疾患でも効果が期待されているので、将来有望な治療薬であろう。5 主たる診療科皮膚科、小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 掌蹠角化症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)掌蹠角化症診療の手引き(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2024年10月14日

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