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妊娠可能年齢の女性と妊婦を守るワクチン 前編【今、知っておきたいワクチンの話】総論 第7回

本稿では「妊娠可能年齢の女性と妊婦を守るワクチン」について取り上げる。これらのワクチンは、女性だけが関与するものではなく、その家族を含め、「彼女たちの周りにいる、すべての人たち」にとって重要なワクチンである。なぜなら、妊婦は生ワクチンを接種することができない。そのため、生ワクチンで予防ができる感染症に対する免疫がない場合は、その周りの人たちが免疫を持つことで、妊婦を守る必要があるからである。そして、「胎児」もまた、母体とその周りの人によって守られる存在である。つまり、妊娠可能年齢の女性と妊婦を守るワクチンは、胎児を守るワクチンでもある。VPDs(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで予防ができる病気)は、禁忌がない限り、すべての人にとって接種が望ましいが、今回はとくに妊娠可能年齢の女性と母体を守るという視点で、VPDおよびワクチンについて述べる。ワクチンで予防できる疾患(疾患について・疫学)妊娠可能年齢・妊婦にとってワクチン接種が重要な理由は下記3つである。(1)妊婦がVPDに感染すると、重症化しやすい感染症がある。また、胎児に感染すると胎児に健康問題が生じ、最悪の場合、流産/早産を含め、胎児の生命に関わることがある。(2)一方で、あらかじめワクチンで予防できていれば、高確率でVPDによる上記の事態を免れる。(3)しかし、妊婦は生ワクチンを接種できないため、「妊娠前」に(計画的な)接種が必要である。上記の理由以外に、妊婦が免疫をつけておくと新生児のVPD感染や、それによる重症化を予防することにもつながるVPDもある。つまり、女性1人のワクチン接種の有無が、その女性(妊婦)以外に、胎児、産後の新生児の健康問題にまで関りうるという点において、本稿の重要性は高い。妊娠前に免疫をつけておくべきVPDを表に示す。表 感染症に罹患した場合の胎児および母体への影響画像を拡大する上記以外のあらゆる感染症でも、流早産のリスクが伴うどのワクチンも世界的に安全性と有効性が確かめられているワクチンの概要(効果・副反応・生または任意・接種方法)妊婦に生ワクチンの接種は禁忌である。そのため妊娠可能年齢の女性には、事前に計画的なワクチン接種が必要となる。しかし、妊娠は予期せず突然やってくることもある。そのため、日常診療やライフステージの変わり目などの機会を利用して、予防接種が必要なVPDについての確認が重要となる。一方、不活化ワクチンは妊娠中でも接種が可能である(詳細は後編で詳述する)。以下に生ワクチン(麻疹、風疹、水痘、ムンプス)について説明する。1)麻疹、風疹、水痘、ムンプス(生ワクチン)これら4つの生ワクチンはしばしばMMRV(Measles Mumps Rubella Varicella)と略して表現されることが多い、重要性の高いVPDである。MMRVそれぞれのワクチンについての共通点としては、1歳以上でそれぞれ計2回の接種を受けていることが必要であることが挙げられる。また、感染症としても基本再生産数(R0)*1が高く、麻疹・水痘は空気感染するなど、その感染性の高さも共通項といえる(R0:麻疹12-18、風疹6-7、水痘8-10、ムンプス4-7)。いずれも子供の感染症であるという印象を持つ医師も少なくないかもしれないが、現代においては、小児は定期接種で予防されている割合が格段に増えた。そして、幼少期に定期接種になっていなかったがために、ワクチンを接種する機会がなく、かつ、感染機会もないまま、キャッチアップの機会に恵まれなかった、「置いてけぼりの成人」が主に罹患する感染症であると心得たい。*1基本再生産数(R0:アールノート)集団にいるすべての人間が感染症に罹る可能性をもった(感受性を有した)状態で、1人の感染者が何人に感染させうるか、感染力の強さを表す。つまり、数が大きいほど感染力が強い。それぞれの疾患やワクチンの詳細については、本コンテンツのバックナンバーを参照していただきたい。MRワクチン(麻疹・風疹)水痘、帯状疱疹ワクチン流行性耳下腺炎(ムンプス)妊婦に関連する内容を下記に述べる。(1)麻疹麻疹は先進国でも死亡率0.1%の重症感染症である。また、命をとり止めたとしても、呼吸器(肺炎、中耳炎など)や消化器(下痢、口内炎)の合併症が多い。頻度は少ないが神経系合併症は予後不良で、感染してから数週間、数年、数十年後に発症するものもある。胎児が麻疹に感染しても奇形などを来すことはないが、妊婦が感染することで、妊婦の重症化やそれに伴う流・早産のリスクが伴う。わが国での麻疹発生数は、コロナ禍はその感染対策の影響で年間10例以下であったが、いわゆる「コロナ明け」に伴いその数は徐々に増加傾向にある。世界全体では継続的に毎年12~15万人の死者が出ている。麻疹感染の発端はそのほとんどが輸入麻疹(海外から持ち込まれた麻疹のこと:日本人が渡航先で感染して帰国するパターンや、麻疹に感染した海外の人がわが国で発症するパターンなどが代表例)である。インバウンド(海外からの旅行客)が確実に回復し、増加傾向である以上、再度感染者数が増えるのは想像に難くない(図)。図 麻疹累積報告数の推移 2017~2024年(第1~47週)画像を拡大する感染症発生動向 2024年第47週(2024/11/27) 国立感染症研究所より引用麻疹の年代別感染者の割合は、例年20~30代が約半数以上を占めており、女性では妊孕性の高い年代といえる。2000(平成12)年4月2日以降に生まれた人(2024年4月1日時点で23歳以下)は、予防接種制度で2回のワクチン接種を推奨されていた年代であるが、それ以外(24歳以上)は、接種回数が不足している可能性がある*2。妊娠可能年齢の女性には、日常診療での積極的なワクチン接種歴の確認が望ましい。*2 2008(平成20)年4月1日から行われた特例措置(5年間)では、1990(平成2)年4月2日~2000(平成12)年4月1日生まれの人に対して、MRワクチン2回目接種が行われた。そのため、この24~33歳(2024年4月1日時点)で特例措置を受けている人は2回接種していることになる。(2)風疹妊婦が妊娠初期に風疹に感染すると、高い確率で胎児にも感染し、先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrome:CRS)の赤ちゃんが生まれる可能性がある。CRSの3大症状は、難聴、心疾患、白内障だが、その他、精神や身体の発達の遅れなどもある。感染時期が、妊娠初期であればあるほど胎児に異常が認められる確率は高くなるが、妊娠20週以降では異常がないことが多いと報告されている1)。また、成人でも15%程度不顕性感染があるため、母親が無症状であってもCRSは発生し得ることにも留意したい。2012~13年の風疹大流行時には45例のCRSの赤ちゃんが生まれた。その後のフォローアップ調査でCRS児の致命率は24%、CRSを出生した母親の中で風疹含有ワクチンを2回接種した人は0人であった2)。CRSを出生した母親の多くは、単に「風疹ワクチンの必要性や重要性について知らなかった」「誰かが教えてくれていたら…」という、自身の無知に対する後悔の念を述べている3)。妊娠可能年齢の女性やそのパートナーへの事前の情報提供がいかに重要か、また、他人事ではなく、自分事として考えることの難しさについて考えさせられる体験談をぜひご一読頂きたい。なお、風疹流行時の首座は、幼少期に予防接種の機会がなかった40~50代の成人男性である。その年代に対して2019年4月から実施された風疹第5期定期接種は2024年度末まで延期されたが、2024年11月時点で抗体検査を受けた人は500万人弱(対象男性人口の32.4%)、ワクチン接種を受けた人は107万人強(対象男性人口の7.0%)*3と、目標には程遠い結果である。残りの期間(抗体検査は2月末、定期接種は3月末まで)でどこまで接種率が伸びるか、これにはわれわれ医療従事者の啓発力が試されるかもしれない。*3 風疹に関する疫学情報 2025年1月29日現在(3)水痘水痘は2014年10月に1~2歳児での2回の接種が定期接種化され、患者数は大幅に減少した。しかし、そんな中でも国立感染症研究所(感染研)のレポートでブレイクスルー水痘による集団感染事例が報告されるなど、気が抜けない感染症である。水痘は小児に比し、成人で重症化しやすく、中でも妊婦は重症化しやすいハイリスク者である。風疹は妊娠初期の感染でCRSとなるリスクが高いと述べたが、水痘は妊娠中だけでなく、周産期の母児に対しても大きな影響を及ぼす。たとえば、水痘に対する免疫がない妊婦が妊娠中に初感染すると、10~20%で水痘肺炎を発症し、時に致死的となる。その他、妊娠中期の感染で胎児が先天性水痘症候群(Congenital Varicella Syndrome:CVS)を発症するリスク(2%程度の頻度で出生)があり、周産期(分娩5日前~2日後)では重篤な新生児水痘を生じ得る。妊娠前のブライダルチェックなどで、麻疹・風疹についてはよく議論に上がりやすいが、水痘はなぜか忘れられがちである。妊娠前に接種記録を確認し、1歳以降で2回の接種歴が確認できない場合は不足分の接種を推奨したい。次回、後編では、不活化ワクチンなどの概要、接種のスケジュール、接種時のポイントなどを説明する。参考文献・参考サイト1)病原微生物検出情報 (IASR) 先天性風疹症候群に関するQ&A(2013年9月)2)2012~2014年に出生した先天性風疹症候群45例のフォローアップ調査結果報告. 国立感染症研究所.3)体験談「妊娠中に風疹になって~予防の大切さを伝えたい!~」(風疹をなくそうの会 「hand in hand」)講師紹介

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岐阜大学医学部 消化器外科・小児外科(附属病院消化器外科・乳腺外科・小児外科)【大学医局紹介~がん診療編】

松橋 延壽 氏(教授)田中 善宏 氏(准教授)佐藤 悠太 氏(講師)大川 舞 氏(特任助教)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴主治医制ではなくチーム制を敷くことで、夜間の呼び出し対応や休日の当番制などを行い、できるだけ拘束のない夜間・休日を過ごせるように心掛けています。ロボット手術も若い医師が執刀できるようにcertificate取得を順次行っています。また学会発表および誌上報告などは上級医の指導体制のもとで行い、出張費および投稿費は全額教室運営費で支援しています。また基本的に大学院への入学を推奨し、多種多様な研究を行いながら視野の広い外科医に成長できるような指導体制を構築しています。地域のがん診療における医局の役割若者の都会志向により、ハイボリュームセンター病院での研修が好まれるようになり、地方での研修を好む医師の減少は、地域外科医療を担うわれわれにとっては大きな問題となっています。地域では外科医に求められるがん診療に、救急医療、抗がん剤治療、がん緩和医療などがあり、スペシャリストでなくジェネラリストとしての人材も求められるため、幅広い外科診療を教育することが重要な役割と考えています。今後医局をどのように発展させていきたいか若い医師がそれぞれの領域でやりがいを持ち働き、人が集まる教室に発展させていきたいと考えます。医師の育成方針医は仁術という言葉のように、驕ることなく常に自分自身に謙虚であること。患者さんには常に優しく接し、患者さん個々にとって最高かつ最適な医療を提供できるよう日々自己研鑽を行える医師を育成したいと思っています。力を入れている治療/研究テーマ消化器外科では、解剖の座学・手術シュミレーション機器・キャダバー実習や臨床経験を通じてスキルを身に付け、内視鏡・ロボット手術に取り組んでいます。がんの系統的な手術手技・管理を学ぶことは、ひいては外傷・救急医療において自信につながります。小児外科でも、積極的に内視鏡手術を取り入れ、手術を行うだけでなく子供たちとその家族への心のケアも大切にしています。乳腺外科では、診断から治療、ラジオ波焼灼療法や乳房再建術などを体系的に学ぶことができます。すべてのチームが日本の臨床研究グループに参加し、多くのエビデンス創出に関わっています。本医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力トランスレーショナルリサーチとは、臨床現場での疑問を基礎研究し、その知見を実際の治療に活かすプロセスです。腫瘍の生物学的特性(糖鎖研究やゲノム解析など)に切り込み、新規医療体制の実現に向けた新しい治療法の開発に取り組んでいます。Baseとなる知識獲得のためには、限られた時間を有意義に! をモットーにオンラインでの抄読会を行っています。エビデンスを創出し海外に発信することは、みなさんの一生のレガシーです!医局の雰囲気、魅力外科医にどのようなイメージをお持ちでしょうか? 私たちはがんと戦う患者さんの命を預かり、その後の一生に関わっていきます。自らの手で患者さんの身体に傷を作る代わりに、体内に巣食う諸悪の根源の周りに、綺麗な切り取り線を描いて根治に挑みます。手術に限らず周術期管理や集学的治療にはチームワークも極めて重要です。ですから外科医は、石橋をたたいて渡る慎重派のアテンダントであり、相手の気持ちの機微を読み解くメンタリストであり、芸術家であり、職人であり、そして向上心を持ったチームの一員なのです。私たちの医局は岐阜大学以外の出身者が大半を占めながらも、医局に代々流れる「和を以て貴しとなす」、互助の精神に溢れています。女性外科医も多く所属しており、ライフワークバランスを尊重しながら、みな一線で活躍しています。医学生/初期研修医へのメッセージ外科はとても「楽しい」科です。手術はもちろん、外科学には数多の分野が存在し、そのすべてに無限の可能性があります。人生をかけて本気でやりたいと思える事が見つかるはずです。それを見つけた私たちが、次は皆さんの夢の続きをサポートします。本医局を選んだ理由出身大学かつ初期研修も県内で行っていたこともあり、医局選択には迷いませんでした。大学時代の実習では、手術参加から外来見学まで濃厚に指導いただきました。糸結び・縫合の手技や、第2助手での手術参加など、研修医と遜色ないくらい充実した実習でした。初期研修は当医局の関連施設でもある岐阜市民病院で行いました。外科での研修は多忙ではありましたが、優しく熱心な先生方ばかりでストレスなく充実感に満ちたものでした。乳腺外科はもちろんですが、消化器外科も含め、この先生方のもとで学びたいと思い、当医局に入局を決めました。現在学んでいること外科専攻医期間を終え、現在は乳腺外科診療を行っています。手術件数も多く、昨年度は83件の手術執刀機会をいただきました。乳房再建手術や、遺伝性乳がん卵巣がん症候群のリスク低減乳房切除術など、多彩な術式を経験できています。外来診療では、KEYNOTEレジメンや臨床試験参加など最新のトピックスを、臨床を通じて勉強しています。最近は臨床研究課題に取り組んでいます。まだ力不足ですが、ご指導いただきながら楽しく勉強させていただいています。岐阜大学大学院医学研究科医科学専攻外科学講座 消化器外科・小児外科(附属病院消化器外科・小児外科・乳腺外科)住所〒501-1194 岐阜県岐阜市柳戸1-1問い合わせ先tajima.jesse.yu.s4@f.gifu-u.ac.jp(田島 ジェシー雄)医局ホームページ岐阜大学大学院医学研究科医科学専攻外科学講座 消化器外科・小児外科専門医取得実績のある学会日本外科学会、日本消化器外科学会、日本内視鏡外科学会、日本消化管学会、日本大腸肛門病学会、日本食道学会、日本胸部外科学会、日本肝胆膵外科学会、日本救急医学会、日本腹部救急医学会、日本小児外科学会、日本周産期・新生児医学会、日本小児泌尿器科学会、日本乳癌学会、日本人類遺伝学会、日本遺伝性腫瘍学会、日本栄養治療学会、日本麻酔科学会、他多数研修プログラムの特徴(1)専門性の高い医療経験により、プロフェッショナルへの最短距離を提案します!臓器別に特化した専門医療を経験することは、一人前への近道です。将来目指すべき道、自分が本気でやりたいと思える事を、少しでも早く見つけるチャンスがたくさんあります。(2)一般病院に負けない場数を踏み、一般病院では得られない症例が経験できます!豊富な症例数があり、研修医でも執刀機会があります。珍しい術式や高難度手術、希少疾患を経験できる機会に溢れています。(3)研修が将来の資格獲得に直結します!外科医が最初に目指す資格は日本外科学会の外科専門医です。1ヵ月あれば、最低でも消化器15~20例、乳腺8~10例、小児外科5~10例、資格のための症例数を集められます。詳細はこちら岐阜大学医学部附属病院・医師育成推進センター

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2月14日 予防接種記念日【今日は何の日?】

【2月14日 予防接種記念日】〔由来〕1790(寛政2)年の今日、秋月藩(福岡県朝倉市)の藩医・緒方春朔が、初めて天然痘の人痘種痘を行い成功させたことから、「予防接種は秋月藩から始まった」キャンペーン推進協議会が制定した。関連コンテンツわが国初の経鼻弱毒生インフルワクチン「フルミスト点鼻液」【最新!DI情報】インフルワクチン、小児の救急外来・入院を50%減少/CDC高齢者への2価RSVワクチン、入院/救急外来受診リスクを低減インフルワクチン接種と急性腎障害の関連~高齢者での検討ワクチン接種、50年間で約1億5,400万人の死亡を回避/Lancet

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スポーツで子どもの学力がアップ?

 10代前半でスポーツを行っている子どもは、10代後半になった時点での学力が良好という有意な関連のあることが報告された。モントリオール大学(カナダ)のLinda Pagani氏らの研究によるもので、論文が「Children」に9月20日掲載され、同大学からニュースリリースが1月16日に発行された。構造化された競技に参加している子どもは性別を問わず、高校卒業資格を取得する割合が高く、また女子については審美系競技に参加している場合に学力も高くなるという関連も示されたという。 スポーツと学力との関連については既に複数の研究報告が存在するが、成績に良い影響を与えるとする結果もあれば、反対に成績の低下と関係しているという結果が混在している。また、これまでの研究の大半は横断研究であり、因果関係が不明。さらに、性別の違いが十分考慮されていないといった、解釈上の限界点があった。これを背景にPagani氏らは、カナダで行われている児童・青少年対象の縦断研究のデータを用いた解析を行った。 12歳の時点で何らかのスポーツを行っているか否かと、18歳時点での学業成績(自己申告に基づき満点を100%とした百分率で評価)、および、20歳までに高校を卒業またはそれと同等の資格を取得した割合との関連を検討した。解析対象者は2,775人で、男子が50.4%だった。なお、スポーツの種類は、構造化された競技(監督やコーチなどの指導の下で行われる競技)、審美系競技(ダンス、チアリーディング、および体操など)、構造化されていない身体活動(個人でスキルを磨くことの多い、スケートボード、サイクリングなど)という三つに分類した。 スポーツへの参加とその後の学力との関連の解析に際しては、家族構成、世帯収入、母親の教育歴・抑うつレベル、家族機能(家庭内の適切な役割分担や協力関係)、および、12歳時点での教師の判断による学力レベルなどの影響を統計学的に調整した。その結果、女子については複数の項目で有意な関連が認められ、男子は1項目のみが有意に関連していた。詳細は以下のとおり。 まず、12歳の時点で構造化された競技に参加していた女子は、スポーツを行っていなかった女子に比べて、18歳時点での学業成績が8.2%高く(P<0.01)、20歳時点で高校卒業資格を有している割合が7.1%高かった(P<0.05)。また、審美系競技に参加していた女子は、学業成績が22.8%高かった(P<0.001)。ただし、構造化されていない身体活動を行っていた女子は、学業成績が7.7%低かった(P<0.01)。一方、男子については、構造化された競技に参加していた場合において、20歳時点で高校卒業資格を有している割合が14.6%高かった(P<0.001)。 この結果について著者らは、「大人の監督下で行うことの多い団体競技に参加する子どもは、集団での行動、集中力の持続、リーダーシップなど、さまざまな重要なスキルを身に付けていき、それが学力にも生きてくるのではないか」と述べている。ただ、全ての子どもがスポーツ参加の恩恵を受けられるわけではない。本研究では、世帯収入の低さなどの環境要因が、子どものスポーツ参加の妨げとなっているという課題も示されている。

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第229回 高額療養費制度の自己負担の引き上げ案、政府が修正を検討/政府

<先週の動き>1.高額療養費制度の自己負担の引き上げ案、政府が修正を検討/政府2.医療存続のためJA県厚生連に19億円支援、経営改革が課題/新潟県3.東京女子医大元理事長を再逮捕 不正支出1.7億円、還流の疑い/警視庁4.若手医師の過労死、甲南医療センターの院長ら不起訴処分に/神戸地検5.維新の会、医療費4兆円削減と社保料6万円減を提案/国会6.28億円の診療報酬不正請求発覚、訪問看護で虚偽記録横行/サンウェルズ1.高額療養費制度の自己負担の引き上げ案、政府が修正を検討/政府政府は、高額な医療費の自己負担を軽減する「高額療養費制度」の見直し案について、修正を検討している。政府案では、2025年8月から3段階に分けて自己負担の上限額を引き上げる方針だったが、長期治療を必要とするがん患者などから「受診抑制につながる」との懸念が相次ぎ、負担軽減に向け、見直し案の修正が求められていた。高額療養費制度は、医療費が一定額を超えた場合に、患者の自己負担額に上限を設ける仕組み。政府の見直し案では、70歳未満の年収約370~770万円の層で、1ヵ月の自己負担限度額が現行の8万100円から最終的に13万8,600円に引き上げられる予定だった。さらに、12ヵ月以内に3回以上限度額を超えた場合、4回目以降は負担を軽減する「多数回該当」制度についても、上限額が4万4,400円から7万6,800円に引き上げられることになっていた。この見直し案に対し、全国がん患者団体連合会などの患者団体が強く反発し、12ヵ月以内に6回以上限度額を超えた場合、7回目以降の負担を現行水準に据え置く案を提案。政府はこれを参考に、長期治療を受ける患者の負担増を抑える方向で修正を検討している。また、患者団体からの意見聴取が行われなかったことも問題視され、国会では見直し案の凍結や再検討を求める声が上がった。これを受け、石破 茂首相は「患者の理解を得ることが必要」とし、福岡 資麿厚生労働大臣が患者団体との意見交換を行う方針を示した。野党側も見直し案に強く反対し、立憲民主党は高額療養費の負担引き上げを凍結する修正案を国会に提出予定。新型コロナウイルスワクチンの基金や予備費を財源に充当できると主張している。一方、政府は「制度の持続可能性を確保するために負担増は必要」との立場を維持しており、今後の調整が注目される。全国保険医団体連合会の調査では、がん患者の約半数が自己負担増による「治療の中断」を検討し、6割以上が「治療回数の削減を余儀なくされる」と回答。生活面では、8割以上が「食費や生活費を削る」とし、子供の教育への影響も懸念されている。政府は今後、長期治療を受ける患者の負担軽減を含めた修正案をまとめるが、財源確保の問題もあり、与野党の調整は難航する可能性が高い。高額療養費制度の持続性と患者負担のバランスをどう取るか、引き続き議論が続く見通し。参考1)「治療諦めろというのか」子育て中のがん患者 高額療養費見直し案に(毎日新聞)2)高額療養費引き上げ凍結を 立民、財源はコロナ基金(日経新聞)3)高額療養費の負担増なぜ見直し? 政府・与党、患者に配慮(同)4)高額療養費、負担引き上げで「治療断念」検討も がん患者ら調査(朝日新聞)5)子どもを持つがん患者さんに高額療養費アンケート 記者会見で中間報告(保団連)2.医療存続のためJA県厚生連に19億円支援、経営改革が課題/新潟県新潟県内で11病院を運営するJA県厚生連が経営危機に直面し、2025年度中にも運転資金が枯渇する恐れがあることを受け、県と病院所在の6市が総額19億円の財政支援を行う方針を決定した。6日に県庁で開かれた会合で、新潟県は国の交付金を活用しながら10億円程度を負担し、6市は約9億円を拠出することを表明。これにより、当面の資金不足は回避される見込みとなった。県厚生連は、人口減少に伴う患者数の減少が影響し、2023年度決算で35億9,000万円の赤字を計上。2024年度は職員の賞与削減など緊急対策を実施しているが、12月時点で45億6,000万円の赤字が見込まれている。病院運営に必要な運転資金は月額90億円に上るため、早急な財政支援が求められていた。会合では、県の花角 英世知事が「持続可能な経営には抜本的な改革が必要」と述べ、病院再編を含めた地域医療の効率化を求めた。6市を代表して糸魚川市の米田 徹市長は、「県として3ヵ年の財政支援を継続して欲しい」と要望し、国に対しても診療報酬制度の見直しを求める姿勢を示した。県厚生連の塚田 芳久理事長は「さらなる経営改革を進め、県民に安心できる医療を提供しながら安定経営の確保に努める」と表明。年度内に2025年度から3年間の経営計画を策定し、経営改善を図る方針という。しかし、長期的な経営安定には根本的な改革と継続的な財政支援が不可欠であり、今後の動向が注目されている。参考1)県厚生連へ19億円支援 県と6市方針 病院運営危機受け(読売新聞)2)JA県厚生連に19億円 25年度分 県と6市が支援表明(毎日新聞)3)新潟県、病院経営危機のJA県厚生連への支援を10億円規模で調整 2025年度の運転資金枯渇は回避できる見通し(新潟日報)3.東京女子医大元理事長を再逮捕 不正支出1.7億円、還流の疑い/警視庁東京女子医科大学の建設工事を巡る背任事件で、警視庁は3日、元理事長の岩本 絹子容疑者(78)を再逮捕した。岩本容疑者は2020年から翌年にかけて、足立区に新設された大学付属病院「足立医療センター」の建設工事に関連し、「建築アドバイザー報酬」名目で約1億7,000万円を大学から1級建築士の男性に支払わせ、損害を与えた疑いが持たれている。うち約5,000万円が岩本容疑者に還流されていたとみられる。岩本容疑者は1月、新校舎建設を巡る背任容疑で逮捕されていた。警視庁の調べによると、同様の手口で1億1,700万円の不正支出が行われ、そのうち約3,700万円が還流されたとされる。これにより、架空の「建築アドバイザー報酬」による大学の損害は総額3億円超に上る可能性がある。捜査関係者によると、建築士の男性は大学から受け取った資金の一部について元女子医大職員を通じて岩本容疑者に現金で渡していた。元職員の女性は岩本容疑者の直轄部署に所属しており、容疑者の指示の下、資金移動を担っていたとみられる。大学側が承認した建設に関係する稟議書によると、建築士への支払いは施工費(約264億円)の0.7%に相当し、理事会で承認されていた。しかし、実際には業務実態が乏しく、大学関係者からは「理事会での異議申し立てが困難な状況だった」との証言も出ている。さらに、内部文書の解析から、理事長自らが申請者兼承認者となっていたことも判明し、不正の組織的な側面が浮かび上がっている。警視庁は、還流資金がブランド品購入など私的な用途に充てられた可能性もあるとみており、資金の流れや関係者の役割について捜査を進めている。岩本容疑者の認否は明らかにされていないが、背任の疑いは一層強まっている。参考1)本日2/3(月)元理事長の再逮捕について(女子医大)2)東京女子医大元理事長、背任容疑で再逮捕…業務実態ない男性への報酬で1・7億円の損害与えた疑い(読売新聞)3)東京女子医大の女帝再逮捕 内部文書で明らかになった“デタラメやりたい放題”の仕組み「女子医大には元理事長の手足となって動いた人間たちがたくさんいる」(文春オンライン)4.若手医師の過労死、甲南医療センターの院長ら不起訴処分に/神戸地検2022年に神戸市の甲南医療センターで勤務していた専攻医・高島 晨伍さん(当時26歳)が長時間労働を苦に自殺した問題で、神戸地検は4日、労働基準法違反の疑いで書類送検されていた病院運営法人「甲南会」と院長ら2人を不起訴処分とした。検察は不起訴の理由を明らかにしていない。西宮労働基準監督署の調査では、高島さんの亡くなる直前の1ヵ月間の時間外労働が113時間を超えていたと認定されていた。高島さんの母は「非常に残念。この結果が若手医師の労働環境改善を阻むものであってはならない」とコメント。病院側は「事実に基づく捜査を経ての判断」と述べるにとどまった。この問題は、医師の働き方改革とも密接に関係し、2024年4月から医師の時間外労働に上限規制が導入され、基本的には年間960時間(月80時間)が上限とされた。しかし、研修医や特定の医療機関では、最大で年間1,860時間(月155時間)までの時間外労働が認められており、現場の実態との乖離が指摘されている。また、医療現場では「自己研鑽」として学会準備や研究活動が労働時間に含まれず、事実上の無償労働が横行しているとの批判もある。厚生労働省の通達では「上司の指示がある場合は労働」とされるが、実際には上司の関与が曖昧なケースも多く、勤務時間の過少申告につながる恐れがあると指摘されている。さらに、病院側は「宿日直許可制度」を利用し、夜間の長時間勤務を労働時間に含めない運用を行っている。この制度の適用件数は2020年の144件から2023年には5,000件を超え、病院経営の抜け道として使われているのが実情である。若手医師の過重労働は、医療の安全性や医師不足の深刻化にも影響を及ぼす。すでに「地域医療の維持よりも働きやすさを求め、美容医療などに転職する若手医師が増えている」との指摘もあり、医療界全体のモラルハザードが懸念さている。医師の長時間労働は、単なる労働問題ではなく、患者の安全にも直結する。自己犠牲を前提とした医療制度の見直しが急務となっている。参考1)甲南医療センター若手医師の過労自死 労基法違反疑いの院長ら不起訴処分 神戸地検(神戸新聞)2)若手医師の過労死、労基法違反疑いの病院運営法人や院長ら不起訴 神戸地検、理由明かさず(産経新聞)3)医師不足に拍車をかける「偽りの働き方改革」(東洋経済オンライン)5.維新の会、医療費4兆円削減と社保料6万円減を提案/国会日本維新の会は2月7日、政府の2025年度予算案への賛成条件として、医療費の年間約4兆円削減と国民1人当たりの社会保険料を約6万円引き下げる改革案を提示した。これにより、高校授業料無償化と並び、社会保障制度の見直しを求める構え。自民・公明両党は慎重な対応をみせており、今後の協議の行方が注目されている。維新の青柳 仁士政調会長は、自民・公明両党の政調会長との会談で、医療費削減策として「市販薬と類似する医薬品(OTC類似薬)の保険適用除外」「医療費窓口負担の見直し」「高額療養費の自己負担限度額の判定基準再検討」などを提案。さらに、社会保険加入が義務付けられる「年収106万円・130万円の壁」問題への対応も要請した。維新は、これらの改革を2025年度から実施すれば、年間4兆円の医療費削減が可能であり、国民の社会保険料負担を1人当たり年間6万円減らせると主張している。とくに、OTC類似薬の保険適用除外については、湿布や風邪薬など、処方薬として購入すれば1~3割の自己負担で済むが、全額自己負担とすることで約3,450億円の医療費削減が見込まれると試算。さらに、窓口負担割合の見直しでは、所得に加え、預貯金や株式などの金融資産を考慮する仕組みを導入し、資産の多い高齢者の負担を増やすことを提案した。また、電子カルテと個人の健康情報を統合する「パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)」の普及促進も掲げ、医療コストの効率化を狙う。一方、維新は医療費削減策だけでなく、社会保険料負担軽減のための年収の壁問題にも言及。現在、51人以上の企業に勤めるパート労働者は年収106万円を超えると社会保険加入が義務付けられ、130万円を超えると企業規模に関係なく加入が求められる。この制度が労働時間の抑制を生み、人手不足を助長しているとの指摘もあり、維新は政府に対策を求めた。自民党は、まずは高校授業料無償化の議論を優先し、維新の予算案への賛成を取り付けたい考えだが、維新は「高校無償化と社会保険料引き下げの両方が必要条件」と主張し、交渉は難航する可能性がある。自民・公明両党は改革案の具体的な影響を精査するとして回答を留保しており、維新の提案が実現するかは不透明だ。政府は社会保障費の増大に対応するため、医薬品の公定価格(薬価)引き下げによる財源捻出を続けている。しかし、薬価改定による削減効果は限界に達しつつあり、新たな医療費抑制策が求められる状況。維新の提案がこの課題にどう影響を与えるのか、今後の国会審議に注目が集まる。参考1)維新が医療費4兆円削減、社会保険料は6万円引き下げ提案 新年度予算案賛成の条件に(産経新聞)2)「市販品類似薬を保険外に」維新、社保改革で具体案 自公に提案、予算賛成の条件(日経新聞)3)高額療養費の「自己負担の上限引き上げ」見直しへ…政府・与党、がん患者らに反発広がり(読売新聞)4)少数与党国会、厚労省提出法案の「熟議」を注視(MEDIFAX)6.28億円の診療報酬不正請求発覚 訪問看護で虚偽記録横行/サンウェルズパーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」を運営する東証プライム上場のサンウェルズ(金沢市)が、全国のほぼ全施設で診療報酬の不正請求を行っていたことが、7日に公表された特別調査委員会の報告書で明らかになった。調査の結果、不正請求額は総額28億4,700万円に上ると試算されている。報告書によると、サンウェルズは全国14都道府県で約40ヵ所の「PDハウス」を運営。訪問看護事業において、実際には数分しか訪問していないにもかかわらず、30分間訪問したと虚偽の記録を作成し、診療報酬を請求するなどの不正が横行していた。また、実際には1人で訪問しているにもかかわらず、2人で訪問したと装い、加算報酬を請求するケースも確認された。さらに、特定の入居者に対し、必要がないにもかかわらず毎日3回の訪問を行い、過剰な請求を行っていたことも判明。現場の職員の間では「訪問回数を減らせばペナルティーが科される」という認識が広まり、不正が慣例化していた可能性が高い。経営陣はこうした問題について複数回の内部通報を受けていたものの、実態把握に動かなかったとされる。サンウェルズは当初、不正の疑惑を全面否定していたが、昨年9月の報道を受けて特別調査委員会を設置。今回の調査結果を受け、「多大なご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。再発防止策を速やかに策定し、信頼回復に努める」と謝罪のコメントを発表した。一方で、同社の経営陣にはインサイダー取引の疑惑も浮上している。昨年7月、サンウェルズは不正の指摘を受けながらも、東証プライム市場へ移行し、野村證券を主幹事とする株式の売り出しを実施。社長の苗代 亮達氏は個人で34億円の売却益を得ていた。市場関係者からは「不正を認識したまま株式を売却した可能性がある」として、金融商品取引法違反の疑いも指摘されている。今回の不正請求問題は、サンウェルズだけでなく、業界全体にも波紋を広げる可能性がある。ホスピス型老人ホームの需要が高まる中で、制度の見直しや行政のチェック体制の強化が求められている。参考1)特別調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ(サンウェルズ社)2)約28億4,700万円の不正請求と調査委が試算…金沢市に本社の「サンウェルズ」の訪問看護事業めぐり(石川テレビ)3)老人ホームのサンウェルズ、ほぼ全施設で不正請求 調査委が報告書(毎日新聞)4)ほぼ全施設で不正請求 PDハウス運営サンウェルズ 調査委報告書 過剰訪問看護で28億円(中日新聞)5)東証プライム上場サンウェルズが老人ホームほぼ全てで介護報酬不正請求!社長の「インサイダー取引」疑惑に発展か(ダイヤモンドオンライン)

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ハッチンソン・ギルフォード早老症候群〔HGPS:Hutchinson-Gilford progeria syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義ハッチンソン・ギルフォード早老症候群(Hutchinson-Gilford progeria syndrome:HGPS)は、1886年にJonathan Hutchinsonと1897年にHasting Gilfordが報告したことから命名された疾患である。遺伝性早老症の中でも、とくに症状が重篤な疾患であり、出生後半年頃より著しい成長障害、皮膚の強皮症様変化、禿頭、脱毛、小顎、老化顔貌、皮下脂肪の減少、四肢関節の拘縮を呈する。精神運動機能や知能は正常である。脂質代謝異常、動脈硬化性疾患、心血管系合併症により平均寿命は14.6歳と報告されている。■ 疫学全世界で350~400例の典型HGPS患者が報告されており、米国NPO法人のProgeria Research Foundationには、2024年12月末の時点で151例の典型HGPS患者が登録されている。また、2024年9月30日時点でアメリカのHGPS有病率は約2,000万人に1人と報告されている。中国からの論文では調査した17省の有病率(中央値)は5,300万人に1人で、最も頻度の高い海南省は約2,300万に1人と報告されている。筆者らが2023年に全国調査した結果ではわが国のHGPS有病率は約1,667万人に1人であった。■ 病因ラミンAは核膜を物理的に支える枠組みを構成する。ラミン分子が核構造を物理的に安定化させることでクロマチン構造を維持し、また、安定的な転写因子との共役が機能的にも重要である。変異ラミンAタンパクであるプロジェリン(またはファルネシル化プレラミンA)が蓄積すると核膜構造に異常を来し、物理的影響による損傷を受けやすくなる。また、ヘテロクロマチンの分布や量に変化が生じ、異常なテロメアが形成されることで染色体の機能が変化する。このエピジェネティックな変化はすべての遺伝子発現に大きな影響を与える。ラミンAは発生過程のさまざまな転写調節因子に結合し、種々の遺伝子発現に関与するため、プロジェリンは組織構築の過程に重要なNotchシグナル伝達経路の下流で機能する複数の因子の発現量を変化させ、胎児期から成人期まで細胞と臓器の機能分化に大きな影響を与える。また、HGPS患者において臨床的に最も重篤な合併症は小児期早期からの脳心血管障害である。これはプロジェリンの発現が血管平滑筋細胞に小胞体ストレスや炎症を引き起こし、その結果、アテローム性動脈硬化が進行すると報告されている。■ 病態:プロジェリン産生のメカニズムLMNA遺伝子の典型的変異c.1824C>Tは潜在的なスプライス部位ドナーを活性化することにより異常スプライシングを引き起こし、ラミンAタンパク質の中間部分に50アミノ酸が欠失した変異型プレラミンAが産生される。この変異はC末端CAAXモチーフに影響を与えないため、ZMPSTE24によりカルボキシル末端の3アミノ酸は切断され、末端のシステインはカルボキシメチル化される。ZMPSTE24が認識し切断する配列(RSYLLG)は、異常スプライシングにより欠失した50アミノ酸内に含まれるためエンドペプチダーゼZMPSTE24で切断されない。その結果、恒久的にファルネシル化とカルボキシメチル化された変異型プレラミンA、すなわちプロジェリンが産生される。同様にZMPSTE24が認識するプレラミンA内の配列(RSYLLG)内のミスセンスバリアントによりZMPSTE24で切断を受けない分子病態が報告されている。また、ZMPSTE24遺伝子異常により正常なZMPSTE24が産生されないため、プレラミンAの内部切断が起こらずプロジェリンが産生され、その結果、下顎末端異形成症を発症する。■ 症状正常新生児として出生するが、乳児期から著明な成長障害と皮膚の萎縮・硬化を呈する。乳幼児期から脱毛、前額突出、小顎などの早老様顔貌、皮膚の萎縮・硬化、関節拘縮が観察される。動脈硬化性疾患による重篤な脳血管障害や心血管疾患は加齢とともに顕在化し、生命予後を左右する重要な合併症である。悪性腫瘍は10歳以上の長期生存例に認められる重要な合併症である。■ 分類1)プロジェリンを産生する典型遺伝型を保有するHGPS(典型HGPS)LMNA遺伝子のエクソン11内の点突然変異c.1824C>T(p.Gly608Gly)が原因である。特徴的な臨床表現型のHGPS患者の約9割がこの病的バリアントを保有する。この変異によりスプライシング異常が生じ、変異ラミンAタンパク(プロジェリン)が合成される。2)プロジェリンを産生する非典型遺伝型を保有するHGPS(非典型HGPS)非典型HGPSの臨床的な特徴は典型HGPに類似する。LMNA遺伝子の典型病的バリアント(c.1824C>T)以外でプロジェリンを産生するエクソン11またはイントロン11の病的バリアントが原因である。c.1821G>A(p.Val607Val)、c.1822G>A(p.Gly608Ser)、c.1968+5G>C、c.1968+1G>A、c.1968+2T>A、c.1968+1G>Aなどが報告されている。3)プロセシング不全性のプロジェライド・ラミノパチー(PDPL)LMNA遺伝子内の特定の位置の病的ミスセンスバリアントによりZMPSTE24の認識部位を喪失するため、プレラミンAが内部切断されない。c.1940T>G(p.L647R)が報告されている。また、ZMPSTE24遺伝子のホモ接合性または複合ヘテロ接合性機能喪失型病的バリアント(ZMPSTE24欠損)によりプレラミンAが内部切断されない。いずれもプロジェリンが産生される。■ 予後典型HGPSは10歳代でほぼ全例が死亡し、生命予後は極めて不良である。一方で、非典型HGPSでは40歳以上の長期生存例も報告されているが、動脈硬化性疾患に加え、がんの発生(とくに多重がん)に留意する必要がある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)特徴的な臨床症状とLMNA遺伝子検査による。c.1824C>T(p.Gly608Gly)がヘテロ接合性に確認されれば、典型HGPSと診断される。過去にプロジェリン産生が証明されている病的バリアントがヘテロ接合性に確認されれば、非典型HGPSと診断される。ホモ接合性または複合ヘテロ接合性ZMPSTE24の機能喪失型バリアントによりZMPSTE24遺伝子異常と診断する。わが国の指定難病「ハッチンソン・ギルフォード症候群(告示番号333)」では、臨床症状と遺伝学的検査の組み合わせにより「Definite」と「Probable」を分けて診断する(令和7年に改訂が予定されている)。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)プロジェリンが原因であるHGPSに対して、ファルネシル転移酵素阻害薬ロナファルニブ(商品名:ゾキンヴィ)の臨床的効果が証明され、米国食品医薬品局(FDA)は2020年11月に世界で初めてロナファルニブを医薬品として承認した。以降、欧州やオーストラリア、中国でも承認され、わが国においても2024年1月に厚生労働省に薬事承認され同年5月より販売が開始されている。なお、本剤は、典型HGPS、非典型HGPSに加え、プロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチーも適応症となる。Gordonらは、本剤の内服治療により有意な死亡率の低下を認めたと報告している。4 今後の展望■ 診断法プロジェリンに対する特異的モノクロナル抗体を用いた血漿中プロジェリンの免疫測定法がGordon らの研究グループから報告されている。国内でもLC-MS/MSを用いたラミンAタンパク質バリアントの測定系の確立とその実用化に向けた準備が進められている。■ 治験プロジェリンとラミンAの結合阻害作用を有する低分子化合物Progerininの国際共同治験(Phase I)が2020年より進められている。ほかの国際治験の進捗については、Progeria Research Foundationのホームページで随時公開されている。5 主たる診療科小児科、皮膚科、整形外科、循環器内科、遺伝科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報令和6年度 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業「早老症のエビデンス集積を通じて診療の質と患者QOLを向上する全国研究」研究班(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)NPO法人 Progeria Research Foundation(英語のホームページで詳細な情報・資料を公開/一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Progeria Clinical Care Handbook(プロジェリアの子どもたちの家族と医療従事者のためのガイド第2版)(日本語版のガイドが無料ダウンロードできる/医療従事者向けのまとまった情報)1)Hutchinson J. Med Chir Trans. 1886;69:473-477.2)Gilford H. Med Chir Trans. 1897;80:17-46:25.3)Gordon LB, et al. GeneReviews [Internet]; 1993-2024.4)Wang J, et al. Pediatr Res. 2024;95:1356-1362.5)Gordon LB, et al. Circulation. 2023;147:1734-1744.公開履歴初回2025年2月7日

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食物アレルギーの原因食物

食物アレルギーの原因として多いのは?マカデミア ソバナッツ1.1%1.1%0歳大豆 1.3%キウイ1.3%エビ3.0%年齢別にみると…ピスタチオ0.8%1~2歳その他鶏卵 61.8%鶏卵10.6%牛乳 20.9%クルミ 19.6% イクラ 14.1%小麦 13.1%イクラ鶏卵26.7%カシューナッツ4.6%28.7% クルミ 34.5%13.0% 落花生 11.6%カシューナッツ落花生 7.4%9.2%カシューナッツ6.5%7~17歳イクラ5.7%小麦18.9%エビエビ16.5%大豆9.1%12.4%クルミイクラ 7.9%7.0%15.2%カシューナッツ 6.3%※各年齢群で5%以上を占めた原因食物※初発例のみ(n=3,981人)小麦n=6,033人※初発および誤食例を含む18歳以上クルミ 18.7%落花生8.1%3~6歳牛乳13.4%消費者庁「令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」掲載「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」から「即時型食物アレルギーの原因食物(品目別)」・「年齢群別原因食物(初発例)」を基に作成Copyright © 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.

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医師のスキルはお見合いでも生かせる!【アラサー女医の婚活カルテ】第7回

アラサー内科医のこん野かつ美です☆前回は、結婚相談所での活動期間を通じた筆者のお見合い回数や、オンラインお見合いと対面お見合いの比較について書きました。今回も引き続き、お見合いでの経験を皆さんにシェアしたいと思います。お見合いにも生かせる!「傾聴と共感」のスキル前回触れたように、私は活動期間を通じて「31回」のお見合いを経験しました。自慢ではありませんが(笑)、これは同年代の婚活女性に比べてかなり多い回数です。その中で、お見合い後にはほとんどのお相手から「交際希望」のお返事をいただき、「お断り」だったお相手はわずか2、3人だったと記憶しています。女性医師は、婚活市場で意外と(?)人気のようですよ!今回は、そんな私なりの、お見合いに臨むうえでの心掛けについて、少し触れておきたいと思います。お見合いをするうえで役立ったのが、意外にも医師としての仕事のスキルでした。われわれ医師は、学生時代に「傾聴と共感」の心構えを叩き込まれます。言わずもがな「患者さんの話をよく聴いて、その気持ちに寄り添う態度を見せることが、医師-患者間の円滑なコミュニケーションを実現するためには大切だ」ということですが…、お見合いも、突き詰めれば「人と人とのコミュニケーション」ですから、この「傾聴と共感」の姿勢が大いに役に立ちました。たとえば、お相手の職業がシステムエンジニア(SE)なら、こんな具合です。こん野「SEさんって、どんなお仕事ですか?」お相手「クライアントから依頼を受けてシステムをつくっています」こん野「システム……、、、畑違いなのでよくわからないのですが、システムって、具体的にはどんなものですか?」お相手「たとえば、工場にある材料の在庫を社内で共有できるようなソフトウエアを開発したり、メンテナンスしたりします」こん野「なるほど! それは重要なお仕事ですね。じゃあ、今まで一番つくるのが大変だったシステムって、何でしたか?」お相手「銀行のATMのシステムを担当していたときは、送金トラブルなどで夜中の呼び出しも多くて、激務でしたよ」こん野「わぁ、それは大変そう(共感)。医師にとっての、当直みたいなものですかね」こんなふうに、患者さんから症状や病歴を一つひとつ聞き出すような調子で会話をすれば、お相手はノリノリで話をしてくれます。仮に交際に至らないお相手でも、お見合いの1時間はお互いに気分良く過ごしたいものですし、畑違いの職業のことを知れば、良い社会勉強にもなります(後々、ほかのお見合い相手との雑談に生かせるかも!?)。お見合い相手の「カルテ」を作成お見合いが好感触で、私から「交際希望」を出す場合には、その人と話した内容を忘れないように、スマホのメモ帳アプリにお相手一人ひとりの「カルテ」をつくって、いつでも見返せるようにしました。外来での診察中、年配の患者さんに「そういえば、前にお話しされていた東京のお孫さん、お元気ですか?」などと雑談をすると、患者さんにとても喜んでもらえるものです。それと同じような感覚で、交際中のデート前には「カルテ」を確認し、「前にお好きだと仰っていた○○、私も食べてみましたよ!」などと、さりげなく話題を出すようにしました。また、何人もの方とお見合いや仮交際をする中で、話した内容がごちゃ混ぜになってしまっては相手に失礼です。実際、私も婚活中にお相手から、明らかに別の交際女性と混同しているであろう話題を振られたことがあって、表情にこそ出さなかったものの、スーッと気持ちが冷めてしまったことがありました。この時、私のほうからはこのような失礼なことをしないように気を付けよう、と心に決めました。このような事態を避けるためにも「カルテ」づくりは重要だと思います。「おごり・おごられ」問題、婚活中はどう対処?よく、男女の「おごり・おごられ論争」がSNS上で白熱しているのを見かけます。この連載では「男が○○、女が○○」というような“主語の大きな”一般論を持ち出すつもりはありませんが、私自身は、あくまで“個人の好み”として、男性からご飯をごちそうになればうれしいですし、大切に扱ってもらっているなぁと感じます。ただ、婚活中はお互いの条件を擦り合わせる期間でもありますから、おごってもらってばかりでは、お相手が将来の結婚生活のことを考えて、不安になってしまうかもしれません。そこで、ご飯をごちそうになった際には、次のカフェでは私がごちそうしたり、お礼にデパ地下の小さな菓子折を渡したり…、といった心遣いを、形にして表すように心掛けていました。いかがでしたか?今回は、私が婚活中に心掛けていたことをシェアさせていただきました。ご参考になれば幸いです。次回は、私がお見合いで遭遇した、(良くも悪くも)印象に残ったお相手を何人かご紹介したいと思います。お楽しみに。

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軽症例が多かった2023年の救急搬送の現状/消防庁

 総務省消防庁は、1月24日に「令和6年版 救急・救助の現況」を公表した。2023(令和5)年の救急出動件数(消防防災ヘリコプターを含む)は764万987件、搬送人員は664万3,379人だった。また、現場到着所要時間*1の平均は約10.0分だった。1)救急出動件数および搬送人員 救急出動件数は全体で764万987件(対前年比40万8,869件増、5.7%増)、搬送人員は664万3,379人(対前年比42万4,080人増、6.8%増)で前年と比較して救急出動件数、搬送人員ともに増加した。そのうち救急車による救急出動件数は763万8,558件(対前年比40万8,986件増、5.7%増)、搬送人員は664万1,420人(対前年比42万4,137人増、6.8%増)で救急出動件数、搬送人員ともに前年と比較して増加した。2)事故種別の救急出動件数および搬送人員 救急車による救急出動件数の内訳を事故種別ごとにみると、「急病」が517万4,494件(対前年比28万9,864件増、5.9%増)、「一般負傷」が118万5,397件(対前年比8万4,116件増、7.6%増)、「転院搬送」が55万6,367件(対前年比1万9,008件増、3.5%増)の順で多かった。また、事故種別ごとの搬送人員をみると、「急病」が449万5,904人(対前年比30万9,454人増、7.4%増)、「一般負傷」が105万9,922人(対前年比7万3,964人増、7.5%増)、「転院搬送」が55万2,422人(対前年比2万206人増、3.8%増)の順で多かった。 過去20年における事故種別の搬送人員と構成比の5年ごとの推移では、事故種別ごとの救急出動件数と同様に、「急病」と「一般負傷」が増加していた。3)年齢区分別の搬送人員 救急車による搬送人員の内訳を年齢区分別にみると、「高齢者」が409万3,552人(対前年比23万399人増、6.0%増)、「成人」が196万8,232人(対前年比10万5,844人増、5.7%増)、「乳幼児」が33万6,047人(対前年比6万1,907人増、22.6%増)の順で多かった。とくに高齢者では、65~74歳が93万627人(構成比14.0%)、75~84歳が155万3,433人(構成比23.4%)、85歳以上が160万9,492人(構成比24.2%)と年齢が上がるほど増加していた。4)傷病程度別の搬送人員 救急車による搬送人員の内訳を傷病程度別にみると、「軽症(外来診療)」が321万8,832人(対前年比27万8,726人増、9.5%増)、「中等症(入院診療)」が285万622人(対前年比14万7,825人増、5.5%増)、「重症(長期入院)」が48万1,993人(対前年比1,042人増、0.2%増)の順で多かった。また、過去20年における傷病程度別の搬送人員と構成比の5年ごとの推移をみると、「軽症(外来診療)」の構成比は減少しているが搬送人員は増加しており、「中等症(入院診療)」は搬送人員、構成比ともに増加していた。5)救急車による現場到着所要時間および病院収容所要時間 救急車による現場到着所要時間*1の平均は約10.0分(前年約10.3分)となっており、新型コロナ流行前の2019年の8.7分と比べ、約1.3分延伸していた。また、病院収容所要時間*2の平均は約45.6分(前年約47.2分)となっており、2019年の39.5分と比べ、約6.1分延伸していた。*1 現場到着所要時間:119番通報を受けてから現場に到着するまでに要した時間*2 病院収容所要時間:119番通報を受けてから医師に引き継ぐまでに要した時間

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自閉スペクトラム症の易怒性に対するメトホルミン補助療法の有用性

 糖尿病治療薬は、自閉スペクトラム症(ASD)の症状緩和に有効であることが示唆されている。しかし、メトホルミンがASDに伴う易怒性に及ぼす影響についての臨床研究は、不十分である。イラン・テヘラン医科大学のZahra Bazrafshan氏らは、小児ASD患者の易怒性に対するリスペリドン+メトホルミン補助療法の有効性および安全性を評価するため、10週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2024年12月15日号の報告。 本研究は、2024年3〜5月にイラン・Roozbeh Hospitalの小児自閉症外来で実施した。対象患者は、リスペリドン+メトホルミン(500mg/日)群またはリスペリドン+プラセボ群にランダムに割り付けられた。主要アウトカムは、易怒性とした。aberrant behavior checklist-community scale(ABC-C)を用いて、ベースライン、5週目、10週目に評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・最終分析には、55例を含めた。・メトホルミン群は、プラセボ群と比較し、易怒性の有意な減少が認められた(p=0.008)。・ABC-Cの4つのサブスケールのうち、多動性/ノンコンプライアンススコアは、ベースラインから5週目までに有意な低下を示した(p=0.021)。・メトホルミン群は、プラセボ群と比較し、ベースラインから5週目までの不適切な発言スコアの有意な減少が認められた(p=0.045)。・無気力/社会的引きこもり、常同行動スコアについては、統計学的に有意な差は認められなかった。 著者らは「メトホルミン補助療法は、ASD患者の易怒性軽減に有効であり、この結果は以前の研究と一致していたが、実臨床で推奨するためには、さらなる研究が必要である」と結論付けている。

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ネグレクトは子どもの発達にダメージを与え得る

 ネグレクトは身体的虐待や性的虐待、感情的虐待と同様に子どもの社会的発達にダメージを与え得ることを示した研究結果が明らかになった。基本的な欲求が満たされない子どもは、友人関係や恋愛関係を築く能力が生涯にわたって損なわれる可能性があるという。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校社会学分野のChristina Kamis氏と米ノートルダム大学社会学分野のMolly Copeland氏による研究で、詳細は「Child Abuse and Neglect」2024年12月号に掲載された。 Kamis氏らは、思春期の子どもの健康状態を成人期まで追跡調査している米連邦政府の長期研究(National Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health;Add Health)調査参加者9,154人のデータを分析し、マルトリートメント(ネグレクトや虐待などの不適切な養育)が参加者の社会性や仲間からの人気度、社会と強固なつながりを築く能力に及ぼす影響について調べた。参加者は、7~12年生時(1994〜1995年)に初回の調査を受け、その後、第3次調査(2001〜2002年)および第4次調査(2008〜2009年)も受けていた。 参加者の40.86%が12歳あるいは6年生(12歳)になるまでに、身体的虐待や性的虐待など何らかのマルトリートメントを受けた経験があると報告していた。そのうちの10.29%は、養育者が住居、食事、衣服、教育、医療へのアクセスや精神的サポートを与えないことで子どもを危険な状態に置くことを意味する身体的ネグレクトであった。参加者には、在学時に実施した調査で、参加者に最も親しい男女の友人を5人まで挙げるよう求めた。社会性は当時の友人の数に基づき測定した。一方、人気度は、その参加者の名前を友人の1人として挙げた仲間の数に基づき測定した。社会的つながりの強さは友人グループのネットワークに基づき測定した。 子どもが友人として挙げた仲間の数は平均で4.49人であり、1人につき平均4.54人がその子どもを友人として挙げていた。しかし、虐待やネグレクトを経験した子どもは、友人として挙げる仲間の数や、その子どもを友人として挙げる仲間の数が統計学的に有意に少ないことが示された。また、種類にかかわらず、マルトリートメントは子どもの社会性の発達に有害な影響を与えることも示された。例えば、性的虐待の経験は子どもを仲間から孤立させやすくする。一方、感情的虐待や身体的虐待の経験は、子どもの人気度を低下させたり、社会的なつながりを弱めたりする可能性のあることが明らかになった。ただし、これら3つの要素の全てに支障をもたらすのは身体的ネグレクトのみであった。 Kamis氏は、「マルトリートメントを受けた子どもは、しばしば羞恥心を感じ、それが自尊心や帰属意識を低下させ、結果的に仲間から孤立しやすくなる可能性がある。また、そうした経験から、仲間から拒絶されたり危害を加えられたりするのではないかと考えるようになり、他者との関わりを持とうとしなくなる可能性も考えられる」とイリノイ大学のニュースリリースの中で述べている。 Kamis氏らは、ネグレクトの経験がある子どもを友人として挙げる仲間が少ないという事実は、同級生がそうした子どもを避けたがっていたことを示唆していると考察している。Kamis氏は、「マルトリートメントそのものが偏見の対象となり、その経験の痕跡が目に見える形で残っていたり仲間に知られたりすると、仲間はその子どもを避けるようになる可能性がある」と説明している。また同氏は、「マルトリートメントによって感情のコントロールが難しくなったり、攻撃性が増したり、社会性に乏しい行動が見られたりすることで、友人としての望ましさを損なう行動が多くなる可能性もある」と述べている。 こうしたことを踏まえてKamis氏は、医師や教師が子どもに虐待やネグレクトの兆候がないか注意を払い、子どもたちにサポートを提供する準備をしておくことを勧めている。同氏は、「こうした子どもにとって、学校は厳しい場所となっている可能性がある。子どもが友人関係を築き、仲間との間の壁を取り払うためには、さらなるサポートが必要であることを認識することが重要だ」と結論付けている。

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第247回 フジテレビ問題は医療界と無縁ではない?その理由とは

メディアという存在は報道以外でも常にさまざまな人に影響を与えている。週刊誌を発行する出版社は、漫画・小説などのコンテンツも常時世に送り出しているし、テレビもドラマをはじめとするエンターテイメント番組を放送している。その意味で医療界に一定の影響を与えているコンテンツの1つに医療ドラマがあることに異論がある人はいないのではないだろうか?公益財団法人 川野小児医学奨学財団が2023年3月に行った「医学生の志望理由・学生生活・進路に関する意識調査」によると、「なぜ医学部に入りたいと思ったのですか?」(複数回答)との問いに、「映画やドラマ、本などを通じて興味を持ったから」との回答が19.9%で5番手に入っている。また、個人的な経験でも看護学部卒の知人から、ドクターヘリで活躍する医師をテーマにしたドラマ「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」に憧れてフライトナースになろうと思ったことがあるとの話を聞かされている。ちなみに医療ドラマというと、少なからぬ医療者からは「現実離れして荒唐無稽」との評価を受けることもあるが、昨今は医療監修も厳格化しているため、私が子供の頃、1970年代後半くらいに目にした「天地がひっくり返ってもあり得ない医療シーン」が登場することはほぼないと言ってよい。このように医療者を目指すきっかけになるほど影響を与える医療ドラマは、テレビ局内でどのような評価を受けているのか? あるテレビ局勤務の知人に聞いてみると、「やはり内容によりますが、基本的に数字(視聴率)は取れます。とくに水戸黄門みたいな医療ドラマだと数字が取れますね」とのこと。「水戸黄門」と言われ、「???」と思ったが、要は“悪い奴らを懲らしめる”という構図が加わると、視聴率に好影響なのだという。確かに医療ドラマではこの手の構図が多い。一例を挙げると、アメリカ帰りのナース・プラクティショナーの資格を有する看護師が主人公の「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系)は、経営最優先の院長や自分たちが最上位の医療者と自負する医師に看護師が立ち向かう設定である。また、このテレビ局勤務の知人は私見と断りながらも「病院は多くの人にとって身近な存在にもかかわらず、一般人ではわからない独特の世界感があること、患者さんという圧倒的弱者がいることも興味を引きやすいと思います」と語る。ちなみに知人は報道畑の人なのだが、「実は報道でも医療現場の映像やニュースは視聴率が下ブレしにくいコンテンツ」と教えてくれた。実際、ビデオリサーチの調べによる2024年連続ドラマ平均世帯視聴率(関東地区)のトップ3のうち、第1位は若手外科医を描いた「ブラックペアン シリーズ2」(TBS系)、第2位が前述の「ザ・トラベルナース2」だ。こうしたドラマの制作には一般人が考えるよりも多くの制作費が使われている。ざっと1話当たり3,000万円前後。通常の連続ドラマは、テレビ局のワンシーズン(3ヵ月)で完結することが多く、最大で約12話。つまり1つの連続ドラマで3億円以上の制作費を要する。医療ドラマが医療者の輩出にも貢献さて、私がなぜこんなことをつらつらと書いたかというと、2000年以降に放映された医療ドラマの一覧を眺め、何となく集計していたら興味深いことがわかったからだ。この中から「獣医ドリトル」を除くすべての放映キー局を集計すると、トップはフジテレビが28番組、以下は順にTBSが23番組、日本テレビとテレビ朝日がそれぞれ14番組、テレビ東京が5番組、NHKが2番組となった。いま話題の渦中のフジテレビが断トツのトップなのである。前述のコード・ブルーもまさにフジテレビ系であり、これ以外にも「Dr.コトー診療所」「チーム・バチスタ」など、多くの視聴者に影響を与えたであろう、極めて視聴率の高い著名医療ドラマが多い。だが、ご存じのように今のフジテレビは、引退を表明したタレントの中居 正広氏を巡る問題でCM差し止めを決定した企業は、判明しているだけで80社に迫ろうとしている。先日の10時間超にもおよんだ記者会見時(実は私はノンストップで見ていたが)に、財務的な影響についてはフジテレビ側は精査中として明らかにしなかったが、一部報道では最大数百億円規模にのぼる可能性も指摘されている。フジテレビの財務状況は、フジ・メディア・ホールディングスの決算説明資料を見ると、2024年3月期決算の単体の売上高は2,382億円で、このうちCM収入は1,473億円である。このうち数百億円が吹っ飛ぶとなれば、その影響は甚大である。当然ながら、若い医療者の輩出に貢献していた医療ドラマの“雄”の制作にも影響が及ぶだろう。その意味ではフジテレビの再生は医療業界にまったく無縁とは言えない。もっとも会見で明らかになったフジテレビの対応は、どこをどう突いてもいただけない。ここ数日はこの件に対する同社社員の関与を報じた週刊文春の記事が誤報だったことが話題の中心になっているが、少なくとも私個人は、その点は問題の枝葉だと思う。むしろ問題の中核は、フジテレビの仕事を通じなければ出会わなかったであろう被害女性と出演者という同社のステークホルダー間で起き、かつ被害申告まであった問題について、企業として主体的に解決に導けず、結果として当事者間の示談で終わらせてしまった事実上の不作為にあると考えている。

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血液検査でワクチン効果の持続期間が予測できる?

 幼少期に受けた予防接種が、麻疹(はしか)や流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)から、われわれの身を守り続けている一方、インフルエンザワクチンは、毎年接種する必要がある。このように、あるワクチンが数十年にわたり抗体を産生するように免疫機能を誘導する一方で、他のワクチンは数カ月しか効果が持続しない理由については、免疫学の大きな謎とされてきた。米スタンフォード大学医学部の微生物学・免疫学教授で主任研究員のBali Pulendran氏らの最新の研究により、その理由の一端が解明され、ワクチン効果の持続期間を予測できる血液検査の可能性が示唆された。 Pulendran氏は同大学が発表したニュースリリースで、「われわれの研究では、ワクチン接種後数日以内に現れる特徴的な分子パターンを特定することにより、ワクチン反応の持続期間を予測できる可能性が示唆された」と述べている。同氏らの研究結果は、「Nature Immunology」に1月2日掲載された。研究グループの説明によると、ワクチン効果の持続性は血液凝固に関与する巨核球と呼ばれる血小板の前駆細胞と密接な関係があることが示されたという。 この研究では、H5N1型鳥インフルエンザワクチンを接種した健常なボランティア50人を対象に追跡調査を行った。ワクチン接種後100日間の間に血液サンプルを12回採取し、各被験者の免疫反応に関連する全ての遺伝子、タンパク質、抗体を解析した。 その結果、ワクチンの接種から数カ月後の抗体反応の強さと、血小板に含まれる巨核球由来のRNA小片の量に正の相関があることが示された。血小板は、骨髄に存在する巨核球から分離された後、血流に乗って全身に運ばれる。この過程で、血小板中には巨核球由来のRNAの一部が含まれる。 研究グループはさらに、巨核球がワクチン効果の持続性に関係していることを証明するため、実験用マウスに鳥インフルエンザワクチンとトロンボポエチン(TPO)を投与した。TPOには骨髄内の活性化した巨核球の数を増やす働きがある。その結果、TPOを投与したマウスでは、2カ月以内に鳥インフルエンザに対する抗体産生量が6倍に増加したことが確認された。追加の研究で、巨核球が、抗体産生を担う骨髄細胞の生存を助ける物質を生成していることも判明した。 研究グループは、また、季節性インフルエンザ、黄熱病、マラリア、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)など7種類の感染症に対するワクチンを接種した244人のデータを収集解析した。その結果、いずれのワクチンにおいても、巨核球活性化の兆候が抗体産生期間の延長と関連していることが示された。 この結果は、巨核球の活性化を評価することで、どのワクチンの効果がより長く持続するか、またどのワクチン接種者がより長期にわたり免疫反応を持続できるかを予測できる可能性を示している。研究グループは、ワクチンによる巨核球の活性化レベルの違いを解明するため、さらなる研究を予定しているという。その研究から得られる知見は、より効果的で長期間効果が持続するワクチンの開発に貢献する可能性がある。 Pulendran氏は、「巨核球の活性化をターゲットとした簡易なPCR検査法が開発されれば、追加接種が必要な時期が予測できるため、個々人に個別化されたワクチン接種スケジュールを立てることも可能になるのではないか」と述べている。また、同氏はワクチン効果の持続期間は多くの複雑な要因に影響される可能性が高く、巨核球の役割はその全体像を構成する一部分にすぎないのではないかと付言している。

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第132回 出生者数が戦後最低、もう手遅れか

異次元で急減する出生数2024年の日本の出生数が70万人を初めて割る可能性が高まっています。これは厚生労働省が公表した人口動態統計の速報値に基づいており、2024年11月までの出生数は前年同期比5.1%減の66万1,577人という結果でした(※)1)。2023年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した計画では、2043年に出生数は69.2万人、2044年に68.3万人と予測されていたものの2)、残念ながら現実はこれを大きく上回るペースで減少が進んでいます。あまりにも事前予測が楽観的過ぎました。※この数字には外国人も含まれており、日本人のみの出生数は通年で約69万人と見込まれています。日本の出生数が減少し続ける理由は複合的ですが、未婚化・晩婚化の進行が挙げられます。結婚しない人が増えることで、結果的に子どもを持つ人が減少しています。COVID-19も、この未婚を後押ししてしまった気がします。社会的な後遺症まで残すとは、なんという感染症だ。また、都市部では、キャリア志向や経済的理由から結婚を躊躇する人も増えています。結婚しても子どもを持たない選択をする人も増加しています(図)。この背景には、教育費や住宅費などの子育てコストの上昇、さらには将来の年金不安などが影響しています。画像を拡大する図. 「結婚したら、子どもは持つべきだ」に肯定的な未婚者(国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」(2021年)をもとに筆者再作成)3)さて、政府は「異次元の少子化対策」を掲げています。しかし、皮肉なことに現実は約10年前から「異次元」で出生者が急減しています。対策は打っているが対策の多くはすでに子育てをしている家庭への支援に集中しています。児童手当の拡充や保育施設の整備が進められていますが、未婚者や結婚を考えている若者にとっての直接的な恩恵は少ないのが現状です。結婚を促進する政策や未婚者への支援が不足しているため、少子化対策が十分に効果を発揮していません。地方では若者が減少し、結婚や子育ての機会が減少しています。反面、都市部では高い生活コストが子育てを躊躇させています。地域ごとの課題に対応した政策も必要です。そして、医師の世界でも進められている「働き方改革」ですが、これはどこの業界でも同じ。子育てとキャリアを両立できる社会にしないといけません。テレワークの普及やフレックスタイム制度の導入が進めば、仕事と家庭の両立がしやすくなるのに、そのフレキシビリティが全然進まない。うちの会社はこれまでうまくやってきたから、今まで同じやり方でどうにかなるっしょーと思っている企業も多いです。24~32歳の人口は減少しておらず、ワンチャンこの層に子どもを産んでもらえるよう働きかけるしかないわけです。おそらく2030~35年あたりが最後の勝負どころになりますが、現段階で当該対策が功を奏していないということは、たぶん別のやり方を考えないといけないのでしょう。このフェーズで出生数を増やせないと、日本の人口は加速度的に減少していくと思われます。起死回生の手として、移民政策が挙げられますが、これは国民の反対意見も多いかもしれません。とはいえ、こんなことは政府の皆さんもわかっていることなので、私がこんなところで何を書いても豆腐にかすがい。社会全体で出生数を増やす機運が高まればよいですね。参考文献・参考サイト1)厚生労働省. 人口動態統計速報(令和6年11月分)(2025年1月24日発表)2)国立社会保障・人口問題研究所. 日本の将来推計人口 令和5年推計(2023年8月31日発表)3)国立社会保障・人口問題研究所. 第16回出生動向基本調査 結果の概要(2021年)

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小児の急性単純性虫垂炎、抗菌薬は切除に非劣性示せず/Lancet

 小児の急性単純性虫垂炎に対する治療について、抗菌薬投与の虫垂切除術に対する非劣性は示されなかった。米国・Children's MercyのShawn D. St. Peter氏らが、カナダ、米国、フィンランド、スウェーデンおよびシンガポールの小児病院11施設で実施した無作為化非盲検並行群間比較試験の結果を報告した。合併症のない虫垂炎に対して、手術治療よりも非手術的治療を支持する文献が増加していることから、研究グループは抗菌薬投与の虫垂切除術に対する非劣性を検討する試験を行った。Lancet誌2025年1月18日号掲載の報告。抗菌薬群vs.虫垂切除術群、1年以内の治療失敗率を比較 研究グループは、X線検査の有無にかかわらず単純性虫垂炎と臨床診断された5~16歳の小児を、抗菌薬群と虫垂切除術群に、性別、試験施設、症状持続時間(48時間以上vs.48時間未満)で層別化し、1対1の割合で無作為に割り付けた。 抗菌薬群では、観察のため入院した患児に、各施設の虫垂炎に対する標準治療に基づき選択した抗菌薬を最低12時間点滴静注にて投与し、通常食を摂食でき疼痛コントロールが良好でバイタルサインが正常範囲内であれば退院可とした。入院翌日に改善がみられない場合は、抗菌薬をさらに1日投与するか虫垂切除術を予定した。退院後は経口のアモキシシリン・クラブラン酸またはシプロフロキサシンおよびメトロニダゾールを10日分処方し、患児がこれらを7日間以上服用した場合に試験完了とした。家族には、1年以内に虫垂炎が再発した場合、虫垂切除術を行うことが事前に説明された。 虫垂切除術群では、輸液と抗菌薬の点滴を開始した後、腹腔鏡下虫垂切除術を行った。穿孔が認められなければ術後の抗菌薬投与は行わず、当日を含み可能な時点で退院とした。 主要アウトカムは、無作為化後1年以内の治療失敗。抗菌薬群では1年以内の虫垂切除、虫垂切除術群では陰性虫垂切除または1年以内の全身麻酔を要する虫垂炎関連合併症と定義した。 非劣性マージンは、治療失敗率の両群間差の90%信頼区間(CI)の上限が20%とした。治療失敗率、抗菌薬群34% vs.虫垂切除術群7% 2016年1月20日~2021年12月3日に9,988例がスクリーニングを受け、978例が登録された。このうち936例が抗菌薬群(477例)または虫垂切除術群(459例)に無作為に割り付けられた。 12ヵ月時点で、主要アウトカムのデータが得られたのは846例(90%)であった。このうち、治療失敗率は抗菌薬群34%(153/452例)、虫垂切除術群7%(28/394例)、群間差は26.7%(90%CI:22.4~30.9)であり、90%CIの上限が20%を超えており、抗菌薬群の非劣性は検証されなかった。 虫垂切除術群の治療失敗例は、1例を除きすべて陰性虫垂切除の患児であった。抗菌薬群で虫垂切除術を受けた患児のうち、13例(8%)は病理所見が正常であった。 いずれの群でも死亡や重篤な有害事象は認められず、抗菌薬群の虫垂切除術群に対する、治療に関連した有害事象発現の相対リスクは4.3(95%CI:2.1~8.7、p<0.0001)であった。

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「ニラ」と思って食べたら“悪心・嘔吐”、何の中毒?【これって「食」中毒?】第8回

今回の症例年齢・性別56歳・女性患者情報2月上旬に自宅の庭で栽培していた「ニラ」だと思って採取した植物の葉を、キャベツと一緒にみじん切りにして、豚の挽肉、摺り下ろしたニンニクやショウガ、調味料と混ぜて餃子にし、フライパンで焼いた。19時頃に食べ始めると、19時30分頃より口腔内が唾液で溢れ、嘔気が生じて、嘔吐を繰り返したため、20時50分に救急センターに搬送された。初診時は気道開通、呼吸数20/分、SpO2 98%(室内気)、血圧122/76 mmHg、心拍数84 bpm(整)、意識レベルJCS 0、瞳孔 左右3.5 mm同大、対光反射 迅速、体温36.6℃であった。発汗、流涎、悪心・嘔吐を認めた。検査値・画像所見末梢血では、WBC 6.40x103/mm3、Hb 11.8g/dL、Ht 34.6%、Plt 180x103/mm3、生化学検査では、TP 6.4g/dL、GOT(AST) 22IU/L、GPT(ALT) 18IU/L、LDH 284IU/L、CPK 98IU/L、AMY 326IU/L、Glu 106mg/dL、BUN 10mg/dL、Cr 0.8mg/dL、Na 142mEq/L、K 3.4mEq/L、Cl 106mEq/Lであった。胸腹部CTでは異常所見を認めなかった。問題画像を拡大する

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自閉スペクトラム症の世界的状況、20歳未満の健康負担のトップ10にランク

 自閉スペクトラム症(ASD)の疫学や健康ニーズに関する高品質の推定は、サービス計画者やリソース配分者にとって必要である。米国・Global Burden of Disease Study 2021 Autism Spectrum Collaboratorsは、疫学データと負担推定方法改善後の世界疾病負担研究(GBD)2021より、ASDの世界的な有病率および健康負担を報告した。The Lancet Psychiatry誌オンライン版2024年12月19日号の報告。 GBD 2021では、PubMed、Embase、PsycINFO、Global Health Data Exchangeより検索し、専門家との協議を含むシステマティック文献レビューにより、ASDの疫学に関するデータを特定した。適格データより有病率を推定するため、ベイズメタ回帰ツール(DisMod-MR 2.1)を用いた。モデル化された有病率および障害の重み付けを用いて、致死的でない健康負担(障害生存年数[YLD])および全体的な健康負担(障害調整生存年数[DALY])を推定した。民族別のデータは入手できなかった。本研究のデザイン、準備、解釈、執筆には、ASDの経験を有する人が関わった。 主な結果は以下のとおり。・2021年のASD推定患者数は、世界で6,180万人(95%不確実性区間:52.1〜72.2)、127人に1人であると推定された。・世界の年齢標準化有病率は、全体で10万人当たり788.3人(663.8〜927.2)、男性で10万人当たり1,064.7人(898.5〜1,245.7)、女性で10万人当たり508.1人(424.6〜604.3)。・ASDのDALY率は、1,150万DALY(7.8〜16.3)を占め、世界で10万人(年齢標準化)当たり147.6DALY(100.2〜208.2)相当であった。・地域レベルでの年齢標準化DALY率は、東南アジア、東アジア、オセアニアの10万人当たり126.5(86.0〜178.0)から高所得地域の204.1(140.7〜284.7)の範囲であった。・DALYは生涯を通じて明らかであり、5歳未満でみられ、年齢の増加に伴い減少した。【5歳未満】10万人当たり169.2DALY(115.0〜237.4)【20歳未満】10万人当たり163.4DALY(110.6〜229.8)【20歳以上】10万人当たり137.7DALY(93.9〜194.5)・ASDは、20歳未満の致死的でない健康負担のトップ10にランク付けされた。 著者らは「20歳未満におけるASDの有病率および致死的でない健康負担の高さは、世界におけるASDの早期発見および支援の重要性を強調している。地理的変動をより正確に把握できるよう、疫学データのカバー範囲をより広範囲にすることから始める必要がある。本結果は、今後の研究活動やASD患者のニーズにより適切に対応する医療サービスの決定指針に役立つ可能性がある」としている。

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ベースアップ評価料の届出様式を大幅に簡素化/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、1月22日に定例会見を開催した。 はじめに松本氏が阪神・淡路大震災から30年を迎え、これまでの医師会の活動を振り返った。この大震災から得た教訓が現在のさまざまな災害対策の基礎となったこと、日本医師会災害医療チーム(JMAT)の発足とともにチーム運営のためにさまざまな研修や関係政府機関や学会とも連携を進めていることなどを説明し、「南海トラフ地震に備え、医師会では地域の医師会とともに今後も取り組んでいく」と災害対策への展望を語った。 次に今冬のインフルエンザの流行について副会長の釜萢 敏氏(小泉小児科医院 院長)が、流行状況を説明するとともに、現在もインフルエンザの治療薬や検査キットが地域によっては不足していること、代用薬で工夫をしてほしいとお願いしていることを語った。インフルエンザの予防には、基本的な感染対策である「マスク着用、室内の換気、うがい・手指衛生」を励行するとともに、人混みへの注意のほか、高齢者の重症化予防にもワクチン接種の検討をお願いするとともに、医師会としても適切な情報を提供していくと説明を行った。低いクリニックのベースアップ評価料の届出へ追い風 つぎに「ベースアップ評価料の届出様式の大幅な簡素化について」をテーマに担当常任理事の長島 公之氏(長島整形外科 院長)が、今回の届出様式の変更点を説明した。 2024年6月の診療報酬改定で新設された医療関係職種(医師・歯科医師、事務職員除く)の賃上げを目的にした「ベースアップ評価料」は、各地域の厚生局への届出により算定が可能になる点数である。しかし、現状、病院の8割は届出ているものの、クリニックなどではまだ2割程度しか届出がなされていない。その原因として申請書式の煩雑さと作成の負担の大きさが指摘されていたが、医師会と厚生労働省との協議により今回簡素化されたことが説明された。今回変更された事項では、基本的には、直近1ヵ月間の初・再診料などの算定回数を調べるだけで、届出ができるようになった。長島氏は、この届出は職員の原資となる大事なものなので、できるだけ多くの医療機関やクリニックが届出をしてほしいと述べた。 最後に「医師資格証保有者10万人達成について」をテーマに担当常任理事の佐原 博之氏(さはらファミリークリニック 理事長)が、医師資格証(HPKIカード)の発行の現状と展望を説明した。HPKIカードは、2023年の電子処方箋の導入から急激に発行数が伸び、現在10万人が保有している(医師会員では34.5%、医師全体では29.1%)。HPKIカードは、今後「診療情報提供書」や「主治医意見書」、「死亡診断書」などの活用で重要なアイテムとなる。本カードは「医療DXのパスポート」となるので、今後も全医師に向けての普及とともに国にも利活用の働きかけを行っていきたいと展望を語った。

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「別れた後が地獄」職場内恋愛経験者は約半数!/医師1,000人アンケート

 医師は、結婚したい職業ランキングで上位の常連となっている。では、医師の結婚・恋愛事情は、どのようになっているのだろうか。CareNet.comでは、20~40代の医師1,003人を対象に、結婚・恋愛事情に関するアンケートを実施した(2024年12月25~31日実施)。本アンケートでは、パートナーの有無や出会いのきっかけ・取り組み、パートナーの方の職業、職場内恋愛の経験について聞いた。また、職場内恋愛のエピソードも募集した。特定のパートナーがいる割合は約85% 「配偶者を含む特定のパートナー(結婚/恋愛)の有無」を聞いたところ、「いる」と回答した割合は全体で84.7%であり、男性87.5%、女性73.6%であった。年代別にみると、20代68.3%、30代83.9%、40代90.1%であり、年代が上がるほど「いる」と回答した割合が高い傾向にあった。出会いのきっかけは職場や学校が多い 次に「パートナーとの出会いのきっかけ」を聞いた。その結果「職場の同僚」が最も多く、34.7%であった。次点で「学校(大学・高校)」が多く20.9%であった。「マッチングアプリ・婚活サイト」の割合は6.9%であり、20代では20.2%にのぼった。少数ながら「患者」という回答も得られた(0.2%)。 「パートナーの職業(交際当初)」については、約70%を医療者が占めた。内訳は「看護師」が27.3%、「医師」が26.2%、「薬剤師」が4.1%、「その他の医療者」が11.9%であった。男性では「看護師」が多く(33.1%)、女性では「医師」が多かった(52.7%)。 特定のパートナーはいないと回答した方の「パートナー探しの取り組み」について聞いたところ、約半数(46.5%)が「パートナーは求めていない」と回答した。パートナー探しの取り組みとして多かったものは「友人・知人に紹介を求める」「合コン・イベント・飲み会へ参加する」「マッチングアプリ・婚活サイトを利用する」であった。職場内恋愛経験者は約半数 また、「職場内恋愛の経験」についても聞いた。その結果、「ある」と回答した割合は47.8%にのぼった。男性50.1%、女性38.3%であり、男性のほうが職場内恋愛経験者が多い傾向にあった。年代別にみると、20代29.3%、30代45.0%、40代55.6%であり、年代が上がるほど職場内恋愛経験者が多い傾向にあった。 「職場内恋愛のエピソード(自身の経験以外でも可)」を募集したところ、「職業への理解があるし当直の大変さなども共有できる」といったポジティブなコメントも得られたが、「別れた後が地獄」などの職場内恋愛の難しさ・気まずさに関するコメントも得られた。そのほか、「看護師長に出禁を食らっていた」「医師がモテるというのは幻想」など、さまざまなコメントが寄せられた。【ポジティブな意見・エピソード】・仕事内容(忙しいこと)を理解してくれて助かる(40代男性、放射線科)・職業への理解があるし当直の大変さなども共有できる(20代女性、臨床研修医)・看護師である妻と同じ寮に住んでおり、インフルエンザに罹患したときにいろいろと世話をしてくれて恋に落ちた(30代男性、腫瘍科)【バレる/バレない】・秘密にしてたのに、コロナで濃厚接触者になりバレてしまった(30代男性、精神科)・研修医の頃、同期の研修医がこっそりと病棟看護師さんと付き合っていたが、周りには全員知れ渡っていた。院内でのゴシップは隠せないことを研修医のころに学んだ(30代男性、泌尿器科)・結婚するまでばれなかった(30代男性、血液内科)・指導が厳しいことで有名な先生が特定の研修医にのみ優しい、当直によく一緒に入っているなど噂があり、「あの先生に限って」とみんな笑っていたが、臨床研修終了後に入籍していて驚いた(40代女性、内科)【職場内恋愛の難しさ・気まずさ】・お互いのシフトを完全に把握しているため、閉塞感・圧迫感がすごかった。不安になることも多々あった(20代男性、腎臓内科)・部内恋愛をしたことがあるが、別れた後が地獄だったので二度としないと誓った(20代男性、糖尿病・代謝・内分泌科)・医局内で付き合ってる人が、ケンカや別れた時に正直、周りの人は空気が悪く、迷惑だと思う(40代女性、整形外科)・自分の周囲だと離婚率が高いので、その後が地獄。大抵は女性側が離れていくが、男性側も居心地は当然悪くなる(40代女性、内科)・同期の職員が付き合っていたが、別れた後の気まずさで片方は退職してしまった(30代男性、血液内科)【医師と看護師の関係】・看護師さんを一生懸命口説き落とした人がいる(30代男性、血液内科)・看護師さんから積極的に誘われる(30代男性、精神科)・看護師と医師で付き合っている人は多かった(30代男性、糖尿病・代謝・内分泌科)【不倫】・不倫バレ、職場追放の話を複数聞いて、自分では絶対しないと心に誓った(40代男性、総合診療科)・不倫している医師と看護師が忘年会で喧嘩を始め、なかなかの修羅場であった(40代男性、放射線科)・結婚しているにもかかわらず、いろんな若い女医さんに手を出している医師がいた。最終的には奥さんにばれて慰謝料を請求されたうえで離婚していた(30代女性、呼吸器内科)【交際や出会いのきっかけ】・行きつけの居酒屋が一緒で仲良くなり結婚した(30代男性、形成外科)・当直と夜勤が被ったのがきっかけ(40代男性、小児科)・院長の紹介(40代男性、耳鼻咽喉科)・研修医の同期同士で結婚した(40代男性、麻酔科)・受付のお姉さんに手を出してそのまま結婚した人がいた(30代女性、放射線科)・病院見学に来た学生と研修医が交際し、結婚(30代男性、放射線科)・医師同士での結婚は学生時代から付き合っていたパターンが多い(30代女性、精神科)・真面目に働いていると職場以外で出会う機会がない(40代男性、小児科)【その他のエピソード】・今まで朝早く来ていた人が来なくなって、気が付いたら看護師さんと2人でゆっくり出てくるようになって、当直も同じ日に合わせていた。その後、別の病院に同時に異動したがすぐに別れた(30代男性、呼吸器外科)・自分と別れた恋人が、1年後に後輩から届いた年賀状で結婚していて、驚いたと同時に複雑な感情となった(40代男性、精神科)・後輩女性医師は出入りしている担当MRと結婚し、夫は主夫となり、妻は専門医を取った(40代女性、外科)・同級生に各フロアに友達を作っていた猛者がいたが、看護師長に出禁を食らっていた(40代男性、呼吸器内科)・何もなさすぎて残念ながら書くことがない。巷で言われるような医師がモテるというのは幻想(20代男性、放射線科)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。https://www.carenet.com/enquete/drsvoice/cg005085_index.html

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