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希少疾病の診断ラグへの提言を入れた希少疾病白書を刊行/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、希少疾患領域での貢献を目指すため、ヘルスエクイティ(医療の公平性)の実現に向けて大きな課題となっている診断の遅れ(診断ラグ)の分析、およびその解決策を提示した『希少疾患白書「診断ラグ」の実態と解消に向けての提言~最新テクノロジーと社会の力で実現するヘルスエクイティ~』を刊行した。 希少疾患患者は、確定診断されるまで長い時間がかかることが多く、その影響は患者本人だけでなく、医療システム全体にも及んでいる。この実情を踏まえ、診断ラグが希少疾患患者の医療の公平性の実現における大きな障壁であると問題提起し、わが国における希少疾患患者を取り巻く現状と課題を整理する。 同書では、診断ラグが、希少疾患患者にもたらす負担について、直接的な医療費を含め定量的なデータで示しているほか、診断の迅速化や医療アクセスの公平性を高めるために、中長期的な視点に立った現実的かつ実行可能な提言も記載している。 同書が明示する主なデータは以下のとおり。・希少疾患患者の診断までに要した期間が平均3.4年間・診断に5年以上かかるケースは全体の35%(おおよそ3人に1人)・希少疾患患者の59%が誤診を経験している・希少疾患患者の医療費は一般対照群と比較して約3.4倍、通院日数は約2.2倍に達する こうした事情を踏まえて同書では、希少疾患患者が直面する実態とさまざまな課題を分析するとともに、診断ラグの解消に向けた下記の6つの提言を行っている。(提言1)新生児マススクリーニング検査対象疾患を拡大するとともに、重症新生児に全ゲノム検査を取り入れるための環境整備を推進する(提言2)医師が早期に疾患に気付けるためのAI診断支援ツール(SaMDなど)の活用を促進する(提言3)希少疾患の“Center of Excellence”を構築し、非専門医・専門医のつながりを強化する(提言4)希少疾患に関するデータが早期診断に活用される環境整備を推進する(提言5)患者の声が反映された社会の実現に向け、患者団体などの意見の政策への反映の推進、およびそれに必要となる資金基盤の強化を支援する(提言6)政府が推進する中核的取り組みに、希少疾患の診断ラグ/診断ロス解消に向けた施策を組み込む 同社では、「この白書が、希少疾患および診断ラグについて考えるきっかけとなり、社会全体での対話を促すとともに、希少疾患に関わる多様な関係者が連携し、迅速な診断、治療、ケアの実現に向けた具体的な解決策の実行へとつながることを願っている。誰もが正確な診断と適切な支援を受けられる未来を実現するためには、関係者の協働が不可欠と考える」とコメントしている。【白書の主な目次】・背景・希少疾患患者のヘルスエクイティの現状・希少疾患の診断ラグ/診断ロスの解消に向けた提言・診断ラグ/診断ロスの解消によるヘルスエクイティの実現・補足資料・主な用語・略語の説明・参考文献

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近視の進行を抑制する点眼薬「リジュセアミニ点眼液0.025%」【最新!DI情報】第39回

近視の進行を抑制する点眼薬「リジュセアミニ点眼液0.025%」今回は、近視進行抑制点眼薬「アトロピン硫酸塩水和物(商品名:リジュセアミニ点眼液0.025%、製造販売元:参天製薬)」を紹介します。本剤は、わが国で初めて近視の進行抑制を効能・効果として製造販売承認を取得した薬剤です。<効能・効果>近視の進行抑制を適応として、2024年12月27日に製造販売承認を取得し、2025年4月21日より発売されています。本剤は薬価基準未収載医薬品であり、健康保険などの公的医療保険の給付対象外です。<用法・用量>通常、1回1滴、1日1回就寝前に点眼します。<安全性>副作用として、羞明(5%以上)、視力障害、霧視、瞳孔障害、頭痛(1~5%未満)、調節障害、眼瞼湿疹、グレア(1%未満)があります。緑内障および狭隅角や前房が浅いなどの眼圧上昇の素因のある患者には禁忌です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、近視の進行を抑制する点眼薬です。この薬は、眼球の前後の長さが伸びるのを抑えることで、近視の進行を抑制することが期待できます。2.現在の近視を進みにくくすることを目的としており、近視を治して裸眼視力を回復させる薬剤ではありません。3.この薬は、自己判断で使用を中止すると近視が急激に進行することがあります。指示どおりに使用し続けてください。4.開封後、最初の1~2滴は点眼せずに捨ててください。5.保存剤を含んでいないため、開封後は1回きり(両眼に点眼する必要がある場合は両眼点眼)の使用としてください。点眼後、薬液が残っていても後で点眼せずに必ず捨ててください。<ここがポイント!>近視は、「平行光線が無調節状態の眼に入射したとき、網膜の前方に像を結ぶか、または眼前有限距離にある点から発散する光線が網膜上に結像する眼の屈折状態」と定義されています。すなわち、近視の目では、遠くの物(平行光線)を見ようとすると、光が網膜の前で焦点を結んでしまうため、物がぼやけて見えます。一方、近くの物(発散する光線)では網膜上で正しく焦点を結ぶので、はっきり見えます。近年、近視の発症は低年齢化が進んでおり、スマートフォンやタブレットの使用、屋外での活動時間や睡眠時間の減少などがリスク要因とされています。学童期における近視の多くは、不可逆的に眼軸長が伸びる軸性近視であり、その進行を抑えるには眼軸長の伸長を抑制することが重要です。近視進行抑制治療薬としては、海外では低濃度アトロピン点眼が使用されていますが、2024年11月時点において、国内では近視の進行抑制を効能・効果に有する治療薬は承認されていませんでした。リジュセアミニ点眼液0.025%は、有効成分としてアトロピン硫酸塩水和物を1mL中に0.25mg含有する、日本で初めての近視進行抑制点眼薬です。アトロピンは、網膜または胸膜に存在するムスカリン受容体を介して直接または間接的に胸膜のリモデリングに関与することで眼軸の伸長を抑制すると考えられています。5~15歳の近視患者を対象とした第II/III相プラセボ対照二重遮蔽比較試験において、本剤群は投与24ヵ月後の調節麻痺下他覚的等価球面度数の変化量をプラセボ群と比較して有意に抑制しました(p<0.0001、MMRM分散分析)。これにより、本剤がプラセボ群に対して優越性を持つことが検証されました。また、投与24ヵ月後の眼軸長の投与前からの変化量についても、プラセボ群に対して有意差が認められました(名目上のp<0.0001、MMRM分散分析)。本剤を用いた治療は、健康保険などの公的医療保険の給付対象外となるため、2025年4月11日に日本眼科医会から通達が出されています1)。近視の治療は、検査から投薬まですべてが自由診療となり、同じ疾患に対して保険診療と自由診療を併用することはできません。また、同日に自由診療と別の保険診療を併せて行った場合でも、1枚の処方箋に自由診療と保険診療の薬剤を記載することはできず、処方箋や領収書はそれぞれ別々に発行する必要があります。点眼によるアレルギーなどの有害事象への治療なども自由診療の扱いとなりますので注意が必要です。なお、使用に際しては、臨床試験に組み入れられた患者の背景(年齢、近視の状態など)を十分に理解した上で、適応患者を選択する必要があります。 参考 1) 日本眼科医会:低濃度アトロピン点眼液による近視進行抑制治療を行う際の注意点

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モデルナのコロナワクチン、生後6ヵ月からの追加免疫の一変承認を取得

 モデルナ・ジャパンは5月19日付のプレスリリースにて、新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス筋注」について、生後6ヵ月以上4歳以下を対象とした追加免疫に関する承認事項の一部変更を厚生労働省から取得したと発表した。 これまで「スパイクバックス筋注」は、生後6ヵ月以上5歳未満に対して初回免疫のみ承認されており、追加免疫は5歳以上が対象であったが、今回の承認により、生後6ヵ月から追加免疫としても接種できるようになる。 COVID-19は、高齢者や免疫不全を有する高リスク者だけでなく、乳幼児においても重症化のリスクが高く、肺炎などの入院を要する疾病を引き起こす可能性がある。同社は、今回の承認が、幅広い世代のCOVID-19感染症予防に貢献すると期待を示している。

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治療法もワクチンもない伝染性紅斑

治療法もワクチンもない伝染性紅斑(リンゴ病)とは●原因と感染経路伝染性紅斑(リンゴ病)は、子供を中心に流行するヒトパルボウイルスB19を原因とする感染症で、患者の咳やくしゃみなどのしぶきに触れることで感染(飛沫・接触感染 )します。●主な症状約10日間の潜伏期間の後、両頬に紅い発疹が出現し(下図)、続いて体や手・足に網目状の発疹が出現、1週間程度で消失します。発疹が淡く、他疾患との区別が難しい場合もあります。多くの場合、両頬に発疹が出現する7~10日前に、微熱や風邪様の症状があることが多く、この時期が1番人に感染させやすくなります。発疹出現期には、感染力はほぼ消失します。●治療や予防法特別な治療方法はなく、対症療法が行われます。予防ワクチンもありません。このウイルスはアルコール消毒の効果が乏しいため、流水と石けんによる手洗いが大切です。また、感染拡大防止のために患者さんはマスクをしましょう 。●とくに注意が必要な人妊娠中あるいは妊娠の可能性がある女性は注意が必要です。胎児にも感染し、胎児水腫などの重篤な状態や、流産のリスクとなる可能性があります。周囲で患者発生がみられた場合 、感冒様症状の人や患者との接触をできる限り避けるよう注意をしてください。国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト 伝染性紅斑より引用(2025年5月14日閲覧)https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ta/5th-disease/010/5th-disease.htmlCopyright © 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.

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10~18歳へのBCGワクチン再接種は有用か?/NEJM

 QuantiFERON-TB(QFT)検査陰性・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陰性の思春期児において、カルメットゲラン菌(BCG)ワクチン再接種により、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の持続感染に対する防御効果は得られなかった。米国・Gates Medical Research InstituteのAlexander C. Schmidt氏らBCG REVAX Study Teamが第IIb相の二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究の第II相試験で、BCGワクチン再接種による、結核菌の初回感染に対する防御効果は示されなかったが、副次エンドポイントである持続感染(初回QFT検査で陽転、さらに3ヵ月時点および6ヵ月時点の陽転持続で定義)予防へのワクチン効果(有効性45%、95%信頼区間[CI]:6~68)が観察されていた。NEJM誌2025年5月8日号掲載の報告。プラセボと比較し、結核菌の持続感染に対する防御効果を評価 試験は南アフリカ共和国5施設で、QFT検査陰性・HIV陰性の思春期児(10~18歳)を対象に、プラセボと比較したBCGワクチン再接種の結核菌の持続感染に対する防御効果(主要エンドポイント)を評価した。被験者は、BCGワクチン(Danish 1331)またはプラセボを皮内接種するよう1対1の割合で無作為に割り付けられた。BCGワクチンにはQFT検査で用いられる抗原が含まれておらず、71日時点のQFT検査陰性者は、ワクチンの有効性評価のための修正ITT集団に組み入れ可能であった。 有害事象は副次解析で、免疫原性は探索的解析にて評価した。ワクチンの有効性は修正ITT集団で評価した。集団には、無作為化されBCGワクチンまたはプラセボを接種され、接種後10週時のQFT検査が陰性(本基準は接種時に結核菌に感染していた被験者を除外するために追加された)であった全被験者を組み入れた。 層別Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)と95%CIを推定して評価した。追跡期間中央値30ヵ月後の陽転持続、BCGワクチン群7.1%、プラセボ群7.0% 2019年10月16日~2021年7月22日に、1,836例が無作為化された(BCGワクチン群918例、プラセボ群917例)。 修正ITT集団(BCGワクチン群871例、プラセボ群849例)において、追跡期間中央値30ヵ月後、QFT検査に基づく陽転持続はBCGワクチン群で62/871例(7.1%[95%CI:5.4~8.8])、プラセボ群で59/849例(7.0%[5.2~8.7])に認められた(片側p=0.58)。BCGワクチン群vs.プラセボ群のQFT検査に基づく陽転持続のHRは1.04(95%CI:0.73~1.48)で、ワクチン有効率のポイント推定値は-3.8%(95%CI:-48.3~27.4)であった。 有害事象の発現頻度は、BCGワクチン群がプラセボ群よりも高かったが、ほとんどは注射部位反応(疼痛、発赤、腫脹、潰瘍形成)であった。BCGワクチン再接種は、サイトカイン陽性の1型CD4ヘルパーT細胞を誘導した。

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ニンテンドースイッチを何時間プレイすれば幸福?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第282回

ニンテンドースイッチを何時間プレイすれば幸福?今さらですが、子供たちが「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」にハマっていて、父親である私も付き合わされています。私はまだ始めてから2ヵ月の初心者ですが、カービィを主に使っており、世界戦闘力は600万くらいの平均的なところにいます。すいません、どうでもいい話ですね。ゲーム時間って、私が子供の頃は1日1時間とか2時間に限定されていましたが、最近はどうなんでしょうね。Ballou N, et al. Perceived value of video games, but not hours played, predicts mental well-being in casual adult Nintendo players. R Soc Open Sci. 2025 Mar 12;12(3):241174.この研究では、ニンテンドースイッチ(Nintendo Switch)でゲームをしている成人703人について、どれくらいゲームを遊んでいるかと、その人たちのメンタルヘルス(気分の良さ、抑うつの傾向、人生満足度など)との関係を調べました。結論から言うと、「ゲームをたくさん遊んだからといって、気分が良くなったり悪くなったりするわけではない」という結果になりました。たとえば、「ここ2週間で1日1時間多くゲームした人は、気分がどうなっていたか?」という問いに対して、何かはっきりした傾向は見られませんでした。気分が良くなってもいないし、悪くなってもいません。これは時間を長くしても同じでした。1日、1週間、1ヵ月、6ヵ月、1年と、どの時間のスパンで見ても、ゲーム時間とメンタルヘルスに明確な関係はなかったのです。ただし、1〜2時間前にゲームをしていた人については、ほんの少しだけ「気分が良かった」「抑うつが少なかった」といった傾向がみられました。でもこれは、たまたまゲームをした直後だったから、リラックスしていた可能性もあるし、因果関係があるとは言いきれません。一方で、もっとはっきり関係がみられたのは、「ゲームが自分の生活にとって価値あるものだと感じているかどうか」という点でした。これを「gaming life fit(ゲーム生活適合度)」と呼んでいます。 ゲームが日常生活に「合っている」と感じている参加者(life fitが高い者)ほど、プレイ時間にかかわらず精神的健康指標が良好であることが示されました(β=0.153~0.321、すべてp<0.001)。この相関は、プレイ時間とウェルビーイングとの関係よりもはるかに大きな効果量を示しました。任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」を対象に、過去2週間のプレイ時間とメンタルヘルス(ウェルビーイング)との関係が過去に調べられています1)。そしてその研究でも、「プレイ時間が長い=気分が良くなる」とは言い切れない、という結論を出しています。量より質が大事!1)Johannes N, et al. Video game play is positively correlated with well-being. R Soc Open Sci. 2021;8(2):202049.

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記念日「多様な性にYESの日」(その1)【なんで性は多様なの?(性スペクトラム)】Part 1

今回のキーワード性的指向性自認LGBTQ+性別不合(ICD-11)、性別違和(DSM-5)性分化疾患性スペクトラムクロスドレッシング心理的特性のモザイク5月17日は、「多様な性にYESの日」ですね。正式名称は、ちょっと堅苦しいのですが、「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日(IDAHO)」です。1990年のこの日、WHO(世界保健機関)が「同性愛」をICD(国際疾病分類)から除外したことを記念して定められました。当時、差別や偏見に苦しむ人たちがたくさんいたわけですが、現在、世の中では性の多様性を自然に受け入れる流れが加速しています。それでは、性はどのように多様なのでしょうか? そもそもなぜ性は多様なのでしょうか? 今回は、シネマセラピーのスピンオフ、「記念日セラピー」と称して、これらの性についての謎に、進化心理学の視点から迫ります。性はどのように多様なの?―LGBTQ+性のあり方(セクシュアリティ)は、大きく4つの要素が挙げられます。1つ目は、身体的性(sex)です。いわゆる生まれた時の性別で、簡単に言えば「体の性」です。2つ目は、性的指向(sexual orientation)です。性的魅力を感じる性で、簡単に言えば「好みの性」です。3つ目は、性自認(gender identity)です。自分が認識する性で、簡単に言えば「心の性」です。最後の4つ目は、性表現(sexual expression)です。ファッション、仕草、言葉遣いなど表現したい性で、いわゆる「男らしさ」「女らしさ」、簡単に言えば「らしさの性」です。つまり、性のあり方とは、この4つの要素が組み合わされたものと考えられています。それでは、実際に性はどのように多様なのでしょうか? 性的指向と性自認の組み合わせから、以下の表にまとめてみました。なお、この2つの要素は、この2つの頭文字をそれぞれ取って合わせてSOGIと呼ばれます。まず、性的指向が異性の状態はストレートと呼ばれ、人口の約92%います。一方で、これ以外の性的少数者(セクシャルマイノリティ)は約8%いて、それぞれの頭文字を取って、LGBTQ+と総称されます。性的指向が同性の状態は、女性ならレズビアン(L)、男性ならゲイ(G)と呼ばれます。両性の状態はバイセクシュアル(B)と呼ばれます。これらのL、G、Bは合わせて人口の約3%強います1)。さらに、性的指向がない状態はアセクシュアル、不明の場合はクエスチョニングと呼ばれます。次に、性自認が身体的性と同じ状態はシスジェンダーと呼ばれます。反対の場合は、トランスジェンダー(T)と呼ばれ、人口の約2%弱います1)。トランスジェンダーの性的指向の多くは、心の性(性自認)に対しての異性、体の性(身体的性)に対しての同性ですが、その逆や両性もいます。つまり、同性愛トランスジェンダー(※本人にとっては異性愛)だけでなく、異性愛トランスジェンダー(※本人にとっては同性愛)、両性愛トランスジェンダー、そして性的指向がクエスチョニングのトランスジェンダーもいます。さらに性自認が、男女どちらにもなりうる状態はジェンダーフルイド、どちらでもない状態はノンバイナリー(Xジェンダー、アジェンダー)、不明の場合はクエスチョニングと呼ばれます。これらの性的指向も、トランスジェンダーと同じく細かく分けられます。以上のうち、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)を除いた残りの性的少数者(Q+)、つまりアセクシュアル、ジェンダーフルイド、ノンバイナリー、そしてクエスチョニングは、人口の約3%います1)。なお、トランスジェンダーとノンバイナリーは、本人たちが苦痛を感じている場合、性別不合(ICD-11)、性別違和(DSM-5)と精神医学的に診断され、ホルモン治療や性別適合手術の対象になります。ちなみに、遺伝子や性ホルモンの異常などの医学的な原因によって、そもそも体の性(身体的性)がはっきりしない状態は、これまでインターセックスと呼ばれていました。しかし、この疾患の当事者たちの多くが、実は性的少数者に含まれることを望んでいません。このような事情からも、インターセックスという呼び名は、ネガティブなニュアンスがあるとの理由で、現在は避けるべきとされています2)。もちろん、当事者たちが困っていたり苦痛を感じている場合、性分化疾患と医学的に診断され、ホルモン治療や外科手術の対象になります。次のページへ >>

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記念日「多様な性にYESの日」(その1)【なんで性は多様なの?(性スペクトラム)】Part 2

なんで性は多様なの?―性スペクトラムそれでは、なぜ性は多様になっているのでしょうか? 進化の視点から、身体的性、性的指向、性自認、性表現の4つの起源に迫り、その答えを解き明かしてみましょう。(1)身体的性の起源―体の性分化の進化約5億年ちょっと前、海綿のような無脊椎動物が有性生殖をするようになり、オスとメスが誕生しました。実際に、現在のメダカやカエルをはじめとする生物から性決定遺伝子が10種類以上発見されています3)。1つ目の段階は、身体的性の起源、つまり体の性分化の進化です。しかし、脳の性分化はまだ進化していません。実際の魚の実験3)では、未成熟のオスは、成熟したメスと一緒にいても性行動をしません。しかし、このオスは男性ホルモンが与えられると性行動をします。さらに、メスが男性ホルモンを与えられるとオス型の性行動をします。つまり、性的指向は、オスメスどちらにも固定化されておらず、性ホルモン(性腺の性)によって両性的であることがわかります。なお、魚類や爬虫類の多くは、受精卵の周りの温度によって性別(身体的性)が決まります4)。しかし、クロダイやクエのように年齢によって性転換する(身体的性を変える)種、カクレクマノミ(熱帯魚)のように周りの群れとの大きさの違いによって性転換する種もいます2)。つまり、魚類において、身体的性が固定化されていない種もいることから、オスとメスは連続的であり多様であることがわかります。これは、身体的性における性スペクトラムと呼ぶことができるでしょう。(2)性的指向の起源―脳の性分化の進化約3億年前に哺乳類が誕生してY染色体が進化し、約1.5億年前に哺乳類(真獣類)特有の性決定遺伝子(SRY遺伝子)が進化したと推定されています4)。この遺伝子によって、胎児期(デフォルト)はもともとメスとして誕生して、遺伝的にメスの場合はそのままメスとして生まれます。一方、遺伝的にオスの場合は、オスにあるY染色体の発現によって自分の精巣から男性ホルモンが分泌され(ホルモンシャワー)、脳を男性化させてオスとして生まれます。そして、この性的指向は一生涯変わることはありません。2つ目の段階は、性的指向の起源、つまり脳の性分化の進化です。体の性分化だけでなく、脳の性分化にも臨界期があり、出生後の性的指向は固定化されるようになります。これは、実際のネズミの実験2)が根拠になります。この実験では、出生前後(ネズミのホルモンシャワーの時期)に、メスは男性ホルモンを与えられると大人になって性周期(脳活動の1つ)は出てこず、さらに男性ホルモンを与えられるとオス型の性行動をします。つまり、オス型の脳(メスへの性的指向)になります。一方、出生前後にオスは精巣を切除されて男性ホルモンをなくしてしまい、大人になって女性ホルモンを与えられると、性周期が出てきてメス型の性行動をします。つまり、メス型の脳(オスへの性的指向)になります。しかし、出生前後の時期を過ぎてからメスが男性ホルモンを与えられても、オスが精巣を切除されて男性ホルモンをなくして女性ホルモンを与えられても、性周期や性行動に変化はありません。また、先ほど触れた性分化疾患の病態も根拠になります。たとえば、遺伝子の異常によって男性ホルモンの受容体がまったく反応しない病態(アンドロゲン不応症)では、男性の場合、胎児期に男性ホルモンが分泌されても体と脳が男性化せず女性傾向になります。性的指向は男性になり性自認は女性になることが多く、その場合の性別は女性とされます。一方、遺伝子の異常によって男性ホルモンの分泌が副腎皮質から出すぎている病態(先天性副腎過形成症)では、女性の場合、体と脳が男性傾向になります。性別は女性のままとされますが、性自認が男性になる人(トランスジェンダー)が5%(一般人は2%)に増え、性的指向が女性になる人(同性愛)が11%(一般人は3%)に増えています5)。以上を根拠として、体の性分化の不具合がなくても、胎児期に何らかの原因で、男性ホルモンが働かなかった男性の性的指向は男性(同性愛)、男性ホルモンが働きすぎた女性の性的指向は女性(同性愛)、男性ホルモンが中程度に働いた男性または女性の性的指向はともに男女どちらとも(両性愛)になると考えられています6)。なお、性的指向を司る脳部位は前視床下部間質核(INAH)であることが特定されています6)。それが何らかの原因で働かない場合、性的指向は男女どちらでもなくなる可能性が考えられます。つまり、哺乳類において、胎児期の男性ホルモンの量によって性的指向はオスとメスで連続的であり多様であることがわかります。これは、性的指向における性スペクトラムと呼ぶことができるでしょう。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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記念日「多様な性にYESの日」(その1)【なんで性は多様なの?(性スペクトラム)】Part 3

(3)性自認の起源―社会性の進化約3億年前に哺乳類が誕生してから、単独行動ではなく群れ行動をする種が現れました。そして、近親相姦を回避するために、基本的に同性だけの群れになるように進化しました。たとえば、リス(ベルディングジリス)は、大人になるとオスは親元を離れますが、メスは親元に残り、メスだけで血縁のある群れ(母系家族)をつくります。その後に誕生した真猿類もそうです。一方、チンパンジーは、大人になると逆にメスが親元を離れて他の群れに加わり、オスは親元に残り、オスたちだけで血縁のある群れ(父系家族)をつくります。このように、同性で群れ行動をするためには、自分がどちらの性なのかの認識(性自認)をする必要があります。逆に、これができなければ、オスだけかメスだけかに偏った群れをつくることができません。3つ目の段階は、性自認の起源、つまり同性の群れ行動のための社会性の進化です。性自認とはそもそも社会的なもので、個人のなかだけでは生まれません。性的指向が出生後に固定化されるのに対して、この性自認は大人になるまで(思春期)に遅れて発達して固定化されるようになります。これは、子供の心理発達の性差が根拠になります。実際に、小学校3、4年から、男の子は男の子同士で集まって対戦や冒険をして、女の子は女の子同士で噂話などのガールズトークを好むように、自然と同性同年代の集団をつくるようになります。この時期はギャングエイジと呼ばれています。また、画像研究も根拠になります。実際に、性自認を司る脳部位(性自認中枢)は分界条床核(BSTc)であることが特定されており、これは男性ホルモンの影響を受けないことも確認されています6)。そして、とくに思春期にその変化が確認できることもわかっています7)。性自認中枢は男性ホルモンの影響を受けないことから、女性が胎児期に男性ホルモンを浴びて性的指向が変わっても、必ずしも性自認は変わらないことがわかります。実際に、先ほども触れたように、胎児期に男性ホルモンが出すぎた女性(先天性副腎過形成症)は性的指向が女性になる人は11%でしたが、そのなかで性自認が男性に変わる人は5%、変わらない人は11-5=6%いることになります。つまり、胎児期の男性ホルモンの量の変化の影響を受けて性的指向が変わっても、性自認中枢が十分に働いていればシスジェンダーのままにとどまり、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルになります。しかし、性自認中枢が十分に働いていなければ、トランスジェンダーになり、同時に同性愛(※本人にとっては異性愛)や両性愛になります。逆に、性自認中枢が十分に働いていなくてトランスジェンダーになりながらも、胎児期の男性ホルモンの量の変化の影響がなければ、性的指向は変わらずに異性愛のまま(※本人にとっては同性愛)になる可能性が考えられます。そして、性自認中枢が安定して働かないと、ジェンダーフルイドとなり、まったく働かないとノンバイナリーになる可能性が考えられます。つまり、群れ行動をする哺乳類において、性自認中枢の機能によって、性自認はオスとメスで連続的であることがわかります。これは、性自認における性スペクトラムと呼ぶことができるでしょう。なお、同性の群れ行動の詳細については、関連記事1をご覧ください。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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記念日「多様な性にYESの日」(その1)【なんで性は多様なの?(性スペクトラム)】Part 4

(4)性表現の起源-社会脳の進化約700万年前に人類が誕生して、約300万年前に家族、その後に血縁でつながった部族をつくるようになりました。そして、男性たちは同性集団で狩りをして、女性たちは同性集団で子育てをするようになりました。これは、集団における性役割(性別役割分業)の起源です。この時、子供は思春期になるころ、大人の同性集団に好意を持って迎え入れてもらえるように、男の子は男らしく、女の子は女らしくして、同性の大人のまねをしたでしょう。同時にこれは、同年代の異性への性的アピールになっていたでしょう。逆に言えば、異性のまねはしなくなるということです。これは、集団でうまくやっていくための能力(社会脳)の1つと言えます。4つ目の段階は、性表現の起源、つまり社会脳の進化です。性表現とは、見た目や印象の性差を際立たせることで、集団としての生存戦略であり、個人としての生殖戦略であったというわけです。たとえば、男性なら狩りの能力の高さをほのめかす筋肉質な体型やこだわり(システム化)の仕草であり、女性なら妊娠出産や子育ての能力の高さをほのめかすふくよかな体型や共感的な仕草です。なお、システム化と共感性の起源の詳細については、関連記事2をご覧ください。やがて、約20万年前に言葉を話すようになってから、男性的な話し方、女性的な話し方の性差が生まれました。さらに、約7万年前に、服を着るようになってから、男性的な服装、女性的な服装の性差が生まれました。また、化粧が発明されてから、とくに女性は化粧をして、性的にアピールするようになりました。こうして、男性はより男性らしく、女性はより女性らしく振舞うようになり、この性表現は文化的に固定化されるようになりました。そんななか、現代、性自認が性別と同じで性的指向が異性のマジョリティであっても、性表現において同性ではなく異性の服を着たがる人がとくに男性でいます。サブカルチャーでは、いわゆる 「女装家」「女装子(じょそこ)」「男の娘(おとこのこ)」などと呼ばれていますが、正式にはクロスドレッシングと呼ばれています。これも、本人たちが苦痛を感じている場合、異性装障害(DSM-5)と精神医学的に診断され、精神科治療の対象になります。なお、この診断基準には、自分が女性になることへの性的な興奮(自己女性化性愛)の有無を特定する項目があり、将来的にトランスジェンダーになる可能性の高さが指摘されています1)。このことから、クロスドレッシングは、もともと性自認が中性(ジェンダーフルイド)寄りの人が無意識にも一時的にも異性になりきろうとする行動と捉えることができるでしょう。ちなみに、男性の自己女性化性愛とは対照的に、女性の自己男性化性愛も理屈としては存在するはずですが、臨床的にはまれであるため、診断基準には記載されていません。つまり、原始の時代に性別役割分業をしていた人類において、その文化によって、性表現は男性と女性で連続的であることがわかります。これは、性表現における性スペクトラムと呼ぶことができるでしょう。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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記念日「多様な性にYESの日」(その1)【なんで性は多様なの?(性スペクトラム)】Part 5

男性の同性愛は女性化脳、女性の同性愛は男性化脳?性が多様である原因を、進化の視点から解き明かしました。身体的性、性的指向、性自認、性表現のそれぞれにおいて、男性らしさ(男性性)と女性らしさ(女性性)が連続してつながっているからであることがわかりました。これを踏まえると、男性の同性愛は女性化脳、女性の同性愛は男性化脳と言えそうです。実際に、パーソナリティ特性(ビッグファイブによる)の研究8)において、同性愛の男性は平均的な異性愛の女性に近くなる一方、同性愛の女性は平均的な異性愛の男性に近くなります。また、認知能力において、同性愛の男性は男性特有の知覚能力が低く女性特有の言語能力が高くなる一方、同性愛の女性は女性特有の言語能力が低く知覚能力が高くなっています。さらに、脳の画像研究9)においても、大脳の左右差、前交連や脳梁の大きさ、恐怖刺激への偏桃体の興奮パターン、性フェロモンへの視床下部の興奮パターンは、同性愛の男性は異性愛の女性に似ており、逆に同性愛の女性は異性愛の男性に似ています。しかし、その一方で、同性愛の男性のペニスは、女性化して短くなるかと思いきや、逆に異性愛の男性よりも平均的に長いことがわかっています9)。このわけは、ペニスを長くするのは、メインの男性ホルモン(テストステロン)ではなく、その一段階先の生成物であるもう1つの男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)だからです。また、同性愛の男性は平均的に性的パートナーの数がとても多く、異性愛の女性のように性的パートナーを限定するわけでないです。このことから、同性愛であるからと言って、必ずしも反対の性別の脳になるわけではなく、典型的な特徴が当てはまりつつも、当てはまらない特徴も織り交ざった心理的特性のモザイクであると考えられています8)。もちろん、個人によって、そのモザイクの「模様」は違います。この点からも、性は多様であると言えるでしょう。ちなみに、男性が同性愛になるのは胎児期に男性ホルモンが働き足りなかったわけですが、逆に働きすぎると男性らしさ(システム化)が際立ち、自閉症になります。一方、女性が同性愛になるのは胎児期に男性ホルモンが働きすぎたわけですが、逆に働き足りない(相対的に女性ホルモンが働きすぎる)と女性らしさ(共感性)が際立ち、情緒不安定性パーソナリティ障害になることが考えられます。この詳細については、関連記事3をご覧ください。このことから、同性愛の男性は、男性ホルモンが働き足りない(相対的に女性ホルモンが働きすぎる)ために共感性が高まり、情緒不安定性パーソナリティ障害になりやすいと推定できます。実際に、異性愛の男性に比べて同性愛の男性は、自傷行為(情緒不安定性パーソナリティ障害の特徴の1つ)が1.6~2倍と高くなっています10)。同じように、同性愛の女性は男性ホルモンが働きすぎるためにシステム化が高まり、自閉症になりやすいと推定できます…と言いたいところですが、よくよく考えると、自閉症は異性を含む他人への興味関心が乏しいという主症状(社会的コミュニケーションの障害)があります。つまり、自閉症になるくらい男性ホルモンが働きすぎているなら、そもそも同性愛にも異性愛にも性的指向が発達せず、むしろ無性愛(性的指向なし)になることが考えられます。この点でも、同性愛は、男性ホルモンの働き具合だけで単純化できない、心理的特性のモザイクと言えるでしょう。1)「性別違和・性別不合へ」p.61、p.106:針間克己、緑風出版、20192)「LGBTQ+ 性の多様性はなぜ生まれる?」pp.7-10、p.29、p.44、p.48、pp.82-83:小林牧人、恒星社厚生閣、20243)「オスとは何で、メスとは何か?」pp.89-91、pp.166-167:諸橋憲一郎、NHK出版新書、20224)「性の進化史」p.133、p.176、p.180:松田洋一、新潮選書、20185)「同性愛は生まれつきか?」pp.69-70:吉源平、株式会社22世紀アート、20206)「LGBTを正しく理解し、適切に対応するために」pp.1004-1007:精神科治療学、星和書店、2016年8月7)「進化が同性愛を用意した」p.92:坂口菊恵、創元社、20238)「進化精神病理学」p.77:マルコ・デル・ジュディーチェ:福村出版、20239)「同性愛の謎」pp.23-24、pp.138-139、pp.143-146:竹内久美子、文春新書、201210)「LGBTを正しく理解し、適切に対応するために」p.1017:精神科治療学、星和書店、2016年8月<< 前のページへ■関連記事女性誌「STORY」(その2)【そもそもなんで溺愛は気持ち悪いの?どうすればいいの?(家族療法)】Part 2海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 1海外番組「セサミストリート」(続編・その2)【じゃあなんでコミュニケーションの障害とこだわりはセットなの?(共感)】Part 1

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アトピー性皮膚炎への新規外用薬、既存薬と比較~メタ解析

 アトピー性皮膚炎に対する治療薬として、2020年1月にデルゴシチニブ、2021年9月にジファミラストが新たに承認された。長崎大学の室田 浩之氏らは、これらの薬剤と既存の標準的な外用薬について、臨床的有効性および安全性を評価するためシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施し、結果をDermatology and Therapy誌2025年5月号で報告した。 Medline、Embase、Cochrane、ならびに医中誌から対象となる文献を選定し、有効性の評価項目として、Eczema Area and Severity Index(EASI)スコアおよびInvestigator Global Assessment(IGA)スコアを使用した。安全性の評価項目には、重篤な有害事象、ざ瘡、および皮膚感染症が含まれた。 固定効果モデルを用いたベイジアン多重処理ネットワークメタ解析が実施され、アトピー性皮膚炎に対する各種外用薬(プラセボを含む)の転帰を比較するために、オッズ比(OR)および95%信用区間(CrI)が用いられた。 主な結果は以下のとおり。・アトピー性皮膚炎の成人患者(重症度は異なる)を対象とした、11件の無作為化比較試験がネットワークメタ解析に組み入れられた。・システマティックレビューの結果、ジファミラスト0.3%および1%、タクロリムス0.1%においてEASIスコアの改善が認められた。また、ジファミラスト1%、デルゴシチニブ3%、およびタクロリムス0.1%でIGAスコアの改善が認められた。・ネットワークメタ解析の結果、4週時点において、ジファミラスト1%(1日2回投与、BID)はプラセボと比較して、IGAスコアおよびベースラインからのEASIスコア変化率のいずれにおいても有意な改善を示した。一方で、ほかの治療薬との比較においては、点推定値は数値的にはジファミラスト1%に有利であったものの、統計学的な有意差は認められなかった。・ジファミラスト1%(BID)は、デルゴシチニブ0.3%(BID)と比較して、ざ瘡の発生率が有意に低かった。・重篤な有害事象、ざ瘡、および皮膚感染症の発生率において、プラセボやほかの治療薬との間で統計学的に有意な差は認められなかった。

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子宮頸がんワクチンの接種率は近隣の社会経済状況や地理に関連か

 子宮頸がんはほとんどの場合ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により発症する。HPVにはワクチンが存在していることから、子宮頸がんは「予防できるがん」とも呼ばれる。この度、HPVワクチンの接種率が近隣地域の社会経済状況、医療機関へのアクセスに関連するという研究結果が報告された。近隣地域の社会経済状況が高く、医療機関へのアクセスが容易なほどHPVワクチンの接種率が高かったという。大阪医科薬科大学総合医学研究センター医療統計室の岡愛実子氏(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室)、同室室長の伊藤ゆり氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に3月13日掲載された。 子宮頸がんは女性で4番目に多く、ステージが上がるほどその予後は悪くなる。よって、早期のHPVワクチンの接種が必要とされるが、日本におけるHPVワクチンの接種率は高所得国の中で最も低い。これは、厚生労働省がメディアの報道を受けて、2013~2021年にかけて接種勧奨を停止していたことに起因する。2022年度より接種勧奨を再開し、停止期間に接種を受けられなかった女性に対して、無料のHPVワクチン接種(キャッチアップ接種)を行ってきたが、接種率は勧奨停止前のレベルまで回復していない。 これまでの海外の研究で、裕福な地域や都市部に住む女性でHPVワクチンの接種率が高いことが報告されている。一方で、日本のHPVワクチンの接種率を向上させるには、国内の接種状況や、それに影響を及ぼすと考えられる地域要因に関する研究が必要とされていた。このような背景から、岡氏らはワクチンの定期接種プログラムが導入された2013年からのデータが保管されている大阪市のデータを用い、累積接種率と地域ベースの社会経済指標およびアクセス指標との関連を調査した。 調査には、大阪市から提供された2013~2022年度の定期接種およびキャッチアップ接種データを含む個別のHPVワクチン接種データを利用した。対象は、1997年度から2010年度に生まれ、大阪市でHPVワクチン接種を受けた女性とした。地域の社会経済指標(Areal Deprivation Index: ADI)を近隣地域の社会経済状況の指標、各地域の代表地点から500mの範囲内にあるHPVワクチン接種を提供する医療機関の数をアクセス指標として、それぞれ用いた。HPVワクチン接種の累積率とADIおよび医療施設へのアクセスとの関連は、ロバスト誤差分散を用いたポアソン回帰モデルによって評価した。 大阪市では18万5,373人の女性がHPVワクチンの接種対象であり、そのうち1万8,688人(10.1%)が接種を受けた。最も貧困度の高い地域に住む女性(2万8,078人中2,539人〔9.0%〕)と比較して、最も貧困度の低い地域に住む女性(4万2,170人中5,862人〔11.6%〕)の累積HPVワクチン接種率は高かった(Prevalence Ratio PR1.25〔95%信頼区間1.16~1.34〕)。さらに、医療施設へのアクセスが低い地域に住む女性(5万5,055人中5,128人〔9.3%〕)と比較して、アクセスが良好な地域に住む女性(5万4,740人中5,862人〔10.7%〕)で累積ワクチン接種率は高くなっていた(PR1.09〔1.03~1.16〕)。 累積HPVワクチン接種は、定期接種ではADIと有意に関連していたが(最富裕層 vs 最貧困層:PR1.46〔1.33~1.61〕)、キャッチアップ接種では関連していなかった(最富裕層 vs 最貧困層:PR1.01〔0.92~1.11〕)。 本研究について著者らは、「今回の横断研究では、社会経済状況が高く、医療施設へのアクセスが高いほど、累積HPVワクチンの接種率が高くなることが示された。これらの知見はHPVワクチン接種の不平等を減らすために、社会環境アプローチを含むさらなる戦略が必要であることを示唆している」と総括した。 本研究の限界点として、対象者の健康リテラシーやHPVワクチンに対する認識などの潜在的な交絡因子を調整していないこと、政府が接種勧奨を停止する前にワクチンを受けていた1994~1996年度生まれの対象者を含む2012年度までの接種者が除外されていたため、大阪市の累積接種率が過小に評価された可能性があることなどを挙げている。

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喘息治療における吸入薬投与の最適なタイミングとは

 喘息患者は、1日1回の吸入ステロイド薬を遅めの午後に使用することで、夜間の症状を効果的にコントロールできる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。英マンチェスター大学のHannah Jane Durrington氏らによるこの研究結果は、「Thorax」に4月15日掲載された。 薬物投与のタイミングを体内時計に合わせる治療法はクロノセラピー(時間治療)と呼ばれ、薬の治療効果を高めることが期待されている。Durrington氏らによると、喘息には明確な日内リズムがあり、気流閉塞と気道炎症の主要な影響は夜間にピークに達する。実際、致死的な喘息発作の約80%は夜間に発生しているという。 このことを踏まえてDurrington氏らは、25人の喘息患者を対象にランダム化クロスオーバー試験を実施し、クロノセラピーの効果を検討した。対象患者は、吸入ステロイド薬のベクロメタゾンプロピオン酸エステルを、以下の3通りの投与法でランダムな順序で投与した。1)午前8〜9時の間に400μgを1日1回投与(午前投与)、2)午後3〜4時の間に400μgを1日1回投与(午後投与)、3)午前8〜9時の間と午後8〜9時の間の2回に分けて200μgずつ投与(2回投与)。投与期間は28日であり、各投与法の間には2週間のウォッシュアウト期間を設けた。 25人中21人が全ての投与法を完了した。治療により肺機能は全ての投与法でベースラインより改善していたが、改善のタイミングは投与法により異なり、午後10時のFEV1(1秒量)については、午後投与での改善が最も大きかった。FEV1とは、最大限に息を吸った後、できるだけ強く、速く息を吐き出した際の最初の1秒間の呼出量のこと。具体的には、午後投与では中央値で160mLの改善が認められたのに対し、2回投与では中央値で80mLの改善にとどまっており、午前投与では中央値で−20mLと改善は認められなかった。また、午後投与は夜間(午後10時と午前4時)の血中好酸球数の抑制に最も効果的だった。好酸球の増加は、気道の炎症や過敏性、狭窄の原因として知られている。 研究グループは、「これらの結果は、人の体内時計に合わせて投与のタイミングを調整するクロノセラピーの有効性を裏付けるものだ」と述べている。研究グループは、喘息の症状に関連する炎症の連鎖は午後半ばに始まる傾向があり、そのときに予防的な吸入薬を投与すると効果が高まる可能性がある」と指摘している。 一方、本論文の付随論評では、午後投与では肺機能と好酸球数の点で臨床的に重要な違いが確認されたものの、全体的な症状のコントロールが優れていたとは言えないことが指摘されている。ただし、それは対象者数の少なさと追跡期間の短さが原因である可能性はある。付随論評の著者の1人である英キングス・カレッジ・ロンドンのRichard Edward Russell氏は、「これらの研究結果を臨床実践に応用する場合、最大の課題は喘息治療の遵守になるだろう。一般人口の約30~40%が吸入ステロイド薬を指示通りに使用することに苦労している現状を考えると、使用時間を限定することは事態をさらに複雑にする可能性がある」と述べている。 研究グループは、本研究で確認された吸入ステロイド薬の投与のタイミングが夜間の発作に与える影響を確認するために、より大規模な試験の実施を推奨している。

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小児・保護者との関わり方【すぐに使える小児診療のヒント】第2回

小児・保護者との関わり方前回は、小児の採血やルート確保についてお話しました。採血やルート確保の手順を身につけることはとても大切です。しかし、それ以上に重要なのは、小児や保護者の心理に寄り添いながら対応することです。実際、技術的な部分よりも、泣いて暴れる小児や不安そうな保護者への対応に苦手意識を持っている先生も多いのではないでしょうか。今回は、そうした場面での具体的な関わり方についてお話しします。症例3歳、男児6日間持続する発熱を主訴に受診。活気は保たれているが、眼球結膜充血や口唇発赤を認める。川崎病を疑い、採血をする方針とした。子「いたいのいやだーーー!!」母「この子、注射が本当に苦手で…。暴れないか心配です。」小児への声掛けの工夫処置前には小児の気持ちに共感して、年齢に応じた声掛けをします。そして、終わったあとには自信を持てるように褒めてあげましょう。大事なことは、(1)嘘をつかないこと、(2)一人前の人間として接することです。つい「痛くないよ~」と声掛けをしてしまいがちですが、誰しも注射は痛いものです。小児だって人間ですから、騙されたと思うと今後は協力してくれません。伝え方としては、「どうして〇〇になって(例:熱が出て)いるか調べてみようね。そして検査して早く治ろうね。みんな〇〇君に早くよくなってほしいと思っているよ」といったように声掛けしてみましょう。およそ2歳以上の小児であれば、多くの場合は理解してくれると思います。たまに耳にしますが、「言うこと聞かないと注射するよ!」という脅しはもってのほかです。脅すのではなく、「嫌だ」という気持ちに共感し、その上で頑張る気持ちを尊重しましょう。「嫌だから頑張れない自分」ではなく、「嫌だけど頑張ろうと思えた自分」を褒めてあげるのです。そうすれば実際に処置が終わると、「やられた」のではなく「できた」という自信に繋がります。この経験がその後の医療への向き合い方や自己肯定感に影響を与えることがあるからこそ、一つひとつの機会を大切にしたいものです。言葉で伝えるだけではなく、ごっこ遊びやおもちゃを活用して、病気や治療に関する理解を促す方法もあります。たとえば、おもちゃの注射器を持たせたり、人形に注射をするまねをしてもらったりしながらごっこ遊びをすることもあります。これを「プレパレーション」といい、2~7歳の小児にはとくに有用であるとされていますが、年齢にかかわらず理解できるように説明する必要があります。また、保護者に協力してもらって、おもちゃやDVDなどで小児の注意をそらして心理的負担を軽減させることを「ディストラクション」といいます。小児が感じている不安や恐怖を軽減し、前向きに治療を受けられるようにするための大切なプロセスであるといえます。保護者との関わり方保護者とは、まずは「なぜ処置が必要なのか/必要ないのか」を共有しましょう。安易に処置を行うことは不要な苦痛を生みかねません。「まぁ、採血ぐらいしとこうかな」と思っても、難しくて何度も穿刺することになってしまった、ということは容易に想像がつきますね。また、理由を説明しなかったり、保護者に言われるがままに処置をしたりすると、「前の先生はやってくれたのに、どうして今回はしてくれないんですか!」といった今後のトラブルにも繋がりかねません。そもそも、検査や処置の要否について、判断を保護者に委ねることは医師としての矜持に欠けるのではないでしょうか。「何を重要だと思っているか」を互いに理解し合おうとする姿勢が大切であるように思います。小児をお預かりするor保護者が付き添う多くの小児科外来では、「では、検査をするのでお子さんをお預かりします。お母さん(お父さん)はお外でお待ちください」と、処置の際は保護者は付き添わずにお預かりするスタイルが主流です。保護者が見ている前で泣き叫ぶ小児のルートをとる、という医療者側のプレッシャーは大きいでしょう。小児が処置を受けている様子を見るのがつらいという保護者の意見もあるかもしれません。しかし、日本ユニセフの「小児の権利条約」の第9条に「児童が父母の意に反してその父母から分離されない」と掲げられていることを受けて、保護者同伴で処置をする場面が少しずつ増えてきているように感じます。私は普段、よほど切迫している状況でなければ「どちらを選んでもいいですよ」と保護者に選択権を渡すようにしています。保護者が一緒に付いてくれているほうが、小児が安心して頑張れるというパターンをよく経験します。わが子が必死に助けを求めていたのに助けてあげられなかった、という意識になってしまう保護者に対しては、「お母さん(お父さん)が付いていてくれたおかげで心強かったと思います。助かりました、ありがとうございます」とぜひ伝えてください。小児の採血や点滴は難しいと感じるかもしれませんが、適切な準備と関わり方を知ることで、確実に成功率を上げることができます。処置の必要性は、小児の状態を的確に評価した上で判断し、不要な侵襲を伴う手技を避けることが大切です。また、小児には正直かつ前向きな声掛けを行い、保護者には処置の目的を丁寧に説明することで、不安を和らげ、協力を得ることができます。採血を「嫌な記憶」ではなく、「頑張れた経験」として残せるよう、ぜひ実践してみてください。本コラムでは、疾患の診断や治療だけでなく、診療の際の小児や保護者への関わり方についても毎回考えていきます。次回は、よく遭遇する生後3ヵ月未満児の発熱について、一緒に学んでいきましょう。 参考資料 1) Tomas-Jimenez M, et al. Int J Environ Res Public Health. 2021;18:7403. 2) Constantin KL, et al. J Pediatr Psychol. 2023;48:108-119. 3) ユニセフ:子どもの権利に関する条約 4) 国際成育医療センター:お子さんが注射を受けることになったとき

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中等度早産児へのカフェイン投与継続、入院期間を短縮するか/JAMA

 中等度早産児(在胎期間29週0日~33週6日で出生)に対するカフェイン投与の継続は、プラセボ投与と比較して入院期間の短縮には至らなかったことが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のWaldemar A. Carlo氏らEunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development Neonatal Research Networkによる無作為化試験「MoCHA試験」の結果で示された。中等度早産児に最も多くみられる疾患の1つに未熟児無呼吸発作がある。カフェインなどのメチルキサンチン製剤が非常に有効だが副作用が生じる可能性があり、必要以上に投与を継続すべきではないとされる。2024年に発表されたメタ解析では、早産児へのカフェイン中止戦略の有益性と有害性に関するデータは限定的であることが示され、カフェイン投与の短期的および長期的な影響のさらなる評価が求められていた。JAMA誌オンライン版2025年4月28日号掲載の報告。無作為化後の退院までの期間を評価 研究グループは、2019年2月~2022年12月に米国の29病院で、カフェイン療法の延長が入院期間を短縮するかを評価する無作為化試験を行った。対象は、在胎期間29週0日~33週6日で出生し、(1)無作為時の月経後年齢が33週0日~35週6日、(2)カフェイン投与を受けており投与中止の計画があり、(3)120mL/kg/日以上の経口栄養および/または経管栄養を受けている新生児とした。 対象児は退院後28日まで、経口カフェインクエン酸塩(10mg/kg/日)投与を受ける群またはプラセボ投与を受ける群に無作為に割り付けられ、追跡評価を受けた(フォローアップ完了は2023年3月20日)。 主要アウトカムは、無作為化後の退院までの期間。副次アウトカムは、生理的発達(無呼吸発作が連続5日間なく、完全経口栄養を受けており、少なくとも48時間保育器から出ている)までの日数、退院時の月経後年齢、あらゆる要因による再入院およびあらゆる疾患による受診、安全性アウトカム、死亡などであった。補正後群間差中央値0日、生理的発達までの日数も短縮せず 事前に規定された無益性閾値の検出に必要とされた被験者登録は878例であったが、計827例(在胎期間中央値31週、女児414例[51%])が無作為化(カフェイン群416例、プラセボ群411例)された時点で登録は早期に中止された。 無作為化から退院までの入院日数は、カフェイン群18.0日(四分位範囲[IQR]:10~30)、プラセボ群16.5日(10~27)で群間差はなく(補正後群間差中央値:0日[95%信頼区間[CI]:-1.7~1.7])、また生理的発達までの日数も差は認められなかった(14.0日vs.15.0日、補正後群間差中央値:-1日[95%CI:-2.4~0.4])。 カフェイン群の新生児は無呼吸発作消失までの期間が短縮したが(6.0日vs.10.0日、補正後群間差中央値:-2.7日[95%CI:-3.4~-2.0])、完全経口栄養を受けるようになるまでの期間は同程度であった(7.5日vs.6.0日、0日[-0.1~0.1])。再入院および疾患による受診は両群で差はなかった。 有害事象については、両群間で統計学的有意差は認められなかった。

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外遊びやスポーツで子どもの運動能力が向上

 家の外で遊んで時間を過ごしたり、さまざまなスポーツ活動に参加したりしている子どもは運動能力が高く、特に複数のスポーツを行っている場合にその関連が顕著であることが報告された。ユヴァスキュラ大学(フィンランド)のNanne-Mari Luukkainen氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of Sports Sciences」に2月1日掲載された。女児に限れば平日に1日30分強、屋外で過ごすことも、スポーツ実施の有無にかかわらず、運動能力の高さと有意な関連が認められるという。 論文の筆頭著者であるLuukkainen氏は、この研究結果を、「幼少期に2種類以上のスポーツ活動に参加していることは、その後の学齢期における運動能力向上の予測因子である」と総括。また、「この結果に基づき、体育教師やコーチは、子どもたちの発達における組織的なスポーツ活動と非組織的な身体活動の双方の重要性を認識し、それらの活動への参加を奨励する必要がある」と提言している。 この研究では2015~2016年に、フィンランド国内の人口の分布を考慮し特定した24地域から募集された、3~8歳の子ども627人(平均年齢5.5±1.1歳、女児51.0%)を3年間追跡。子どもたちが6~11歳になった時点で運動能力を評価し、ベースライン時における「屋外で過ごす時間」および「組織化されたスポーツへの参加の有無」との関連性を検討した。なお、組織化されたスポーツへの参加の有無は、スポーツ関連団体やクラブ活動に参加しているか否かで判断した。 解析の結果、複数の組織化されたスポーツに参加している子どもは、3年後の運動能力が有意に高いことが明らかになった。性別に見ると、女児については、横跳び、移動スキル、ボール等のコントロールスキル(object control skills;OCS)、基本的動作スキルという、評価した4項目全てと有意な関連があり、男児についてはOCSを除く3項目で有意な関連が認められた。単一の組織化されたスポーツに参加していることも、女児の横跳びとOCSという2項目と有意な関連が認められた(男児では非有意)。 また、屋外で過ごす時間の長さは、女児の横跳び、OCS、基本的動作スキルの高さと有意に関連していた。例えば、平日の屋外で過ごす時間が30~60分であっても、30分未満の子どもとの間に、3年後のスキルの有意差が観察された。ただし、男児ではこのような関連が見られなかった。女児でのみこの関連が有意である理由として著者らは、男児は総じて屋外で過ごす時間が長いのに対して、女児は屋外で過ごす子どもとそうでない子どもの差が大きいためではないかとの考察を述べている。 Luukkainen氏らは、「これまでにも、屋外で過ごす時間と多様な身体活動が、子どもたちの運動能力の発達に良い影響を与える可能性が報告されていた。われわれの研究結果も、そのような先行研究の結果と一致している」と述べている。

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第242回 糖尿病薬の適正使用について、医師と患者に注意喚起/PMDA

<先週の動き> 1.糖尿病薬の適正使用について、医師と患者に注意喚起/PMDA 2.百日咳患者が前年比3倍に急増、ワクチン接種と耐性菌対応が急務に/厚労省 3.国立大学病院の6割が赤字見通し、医師の働き方改革と物価高が直撃/国立大学病院長会議 4.子どもの数、過去最少に 出生数減少が深刻化/総務省 5.地方公務員の医師が無許可で副業、2,740万円報酬で免職/静岡県 6.「逆子」施術で医療事故、書類送検の医師に謝罪なし/京都府 1.糖尿病薬の適正使用について、医師と患者に注意喚起/PMDA近年、2型糖尿病治療薬として承認されているGLP-1受容体作動薬リラグルチド(商品名:ビクトーザ)およびGIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(同:マンジャロなど)を、痩身や美容目的で適応外使用するケースが急増しており、重大な健康被害も報告されている。これを受け、製薬企業各社および医薬品医療機器総合機構(PMDA)、日本糖尿病学会が相次いで注意喚起を行っている。これらの薬剤は、本来「2型糖尿病」に限定して承認されたものであり、減量や美容目的での使用は認められていない。また、肥満症の適用を取得しているGLP-1受容体作動薬セマグルチド(ウゴービ皮下注)についても、適用患者はBMI27以上で、2つ以上の肥満に関連する合併症(高血圧、脂質異常症、2型糖尿病、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、心血管疾患など)を有する、またはBMI35以上の成人の肥満症に対して、6ヵ月以上の食事療法・運動療法を行い、効果不十分の患者に処方可能とされている。実際、ダイエット目的で処方された患者が、嘔吐・下痢・意識喪失などの副作用を訴える事例も相次いでいる。オンライン診療や美容クリニックにおいて「簡単に痩せる薬」として紹介されて処方されるケースが多く、安易な使用が健康リスクを高めている。日本糖尿病学会は、適用外使用によって本来の患者への供給が妨げられる問題も深刻だとし、2023年11月に見解を改訂。不適切な広告や処方を厳しく戒め、医師による慎重な対応を求めている。また、PMDAは、承認効能外での使用を助長する広告や診療が確認された場合には、速やかに規制当局へ報告する体制をとると発表した。さらに、GLP-1作動薬を肥満症治療に用いるには、セマグルチドのように、厚生労働省が定めた適正使用推進ガイドラインに基づいて、施設側には専門医の所属あるいは専門医が所属する施設と適切な連携体制の確立のほか、常勤の管理栄養士による適切な栄養指導ができることが条件になっており、適切な処方が求められている。製薬会社、医療機関、学会のいずれもが「安全性と有効性が確認された範囲での適正使用」を強調しており、医療関係者および患者に対し、安易なダイエット目的での使用を控えるよう改めて強く呼びかけている。 参考 1) GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用に関するお知らせ(PMDA) 2) GLP-1受容体作動薬及び GIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について(同) 3) 最適使用推進ガイドライン セマグルチド(厚労省) 4) GLP-1受容体作動薬および GIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解(糖尿病学会) 5) 糖尿病治療薬の「ダイエット薬」としての使用の危険性を改めて強調、医療関係者・患者ともに「適正な使用」に協力を!-PMDA(Gem Med) 6) GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用に関するお知らせ(ノボ) 7) 【GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬】ダイエット目的での使用に関する注意喚起について(リリー) 2.百日咳患者が前年比3倍に急増、ワクチン接種と耐性菌対応が急務に/厚労省国立健康危機管理研究機構(JIH)によれば、百日咳の感染が全国的に拡大していることが明らかになった。今年の累計患者数は5月初旬時点で1万1,921人に達し、前年(4,054人)の約3倍に上っている。4月21~27日の1週間だけで2,176人の新規患者が報告され、5週連続で過去最多を更新した。新潟県では感染者が全国最多となるなど、各地で過去に例のない規模で流行が続いている。百日咳は細菌による呼吸器感染症で、激しい咳が長期間続き、とくに生後6ヵ月未満の乳児が感染すると重症化して肺炎や脳症、死亡のリスクもある。主な感染経路は飛沫感染で、家庭や学校などでの拡大が指摘されている。今シーズンは、抗菌薬が効きにくい「耐性菌」の感染例も報告されており、治療が難航するケースもある。各自治体では手洗いやマスク着用など基本的な感染対策の徹底を呼びかけており、日本小児科学会は、生後2ヵ月以降の定期接種ワクチンの速やかな実施を推奨。宮城県では追加接種や妊婦へのワクチン接種で母子の抗体を高める対策も紹介されている。10代や小学生を中心とした感染の広がりが目立ち、学校などでの集団感染の可能性も懸念されている。大型連休明けの今後、さらなる拡大を防ぐには、予防接種と日常的な感染対策の両立が鍵となる。 参考 1) 百日せきの累計患者1万人超、5週連続最多…治療薬効きにくい耐性菌が広がったか(読売新聞) 2) 都内の百日咳報告数 連休で前週比3割減 132人、累計は1千人に迫る(CB news) 3) 百日せき ことしの患者が1万人超える 去年1年間の倍以上に(NHK) 4) 百日せき 症状や注意点は? 2025年は流行中 乳児は特に注意を 患者増加で過去最多5週連続に(同) 5) 百日せき感染状況MAP(同) 3.国立大学病院の6割が赤字見通し、医師の働き方改革と物価高が直撃/国立大学病院長会議国立大学病院長会議は2025年5月9日、全国42の国立大学病院のうち6割に当たる25病院が、2024年度決算で赤字になる見通しであると発表した。赤字総額は、前年度の約26億円から大幅に膨らみ、213億円に達する。国立大病院全体として赤字となるのは2年連続となり、経営の悪化が深刻化している。赤字の主な要因は、物価やエネルギー価格の上昇と、「医師の働き方改革」や人事院勧告対応に伴う人件費の急増。2023年度と比較して人件費は284億円増加した一方、診療報酬改定などによる増収は111億円に止まり、コスト増を賄いきれていない。診療材料や医薬品費も20~40%上昇し、高度な医療を提供すればするほど赤字が膨らむ構造となっている。加えて、診療報酬は公定価格で柔軟な調整が難しく、物価高騰に制度が追いついていない状況。赤字幅は一部基金による支援で抑えられたが、根本的な改善には至っていない。大鳥 精司会長(千葉大学病院長)は「診療数を増やしても材料費が高騰しており、やればやるだけ赤字になる」と語り、報酬の引き上げと財政支援の必要性を訴えている。現場ではすでに節約努力が限界に達しており、「あと1~2年で資金が枯渇する病院も出る」との懸念も示された。病院の経営悪化は大学本体の財政にも波及しかねず、国立大病院全体の存続に関わる危機として注視が必要だ。 参考 1) 国立大病院の6割が赤字見通し 2024年度「働き方改革」による人件費増や物価高影響(産経新聞) 2) 国立大病院213億円の赤字、24年度収支 6割の病院が赤字(CB news) 3) 国立大病院、6割が赤字 前年度を大幅に上回る 24年度決算(毎日新聞) 4.子どもの数、過去最少に 出生数減少が深刻化/総務省総務省が子どもの日にあわせて公表した統計によると、今年4月1日時点の15歳未満の子どもの数は1,366万人で、前年より35万人減少し、過去最少を更新した。減少は44年連続で、総人口に占める割合も11.1%と過去最低を記録している。1975年以降、51年連続で割合が低下しており、少子化の進行に歯止めがかかっていないことが鮮明になった。年齢別では、0~2歳が222万人(全体の1.8%)、3~5歳が250万人(2.0%)と、年少層ほど人口が少ない構造が続いている。将来的な労働力や社会保障の担い手が着実に減少していることがうかがえる。都道府県別でもすべての地域で子どもの数が前年を下回り、割合が最も高かったのは沖縄県の15.8%、最も低かったのは秋田県の8.8%だった。少子化は医療や社会保障、教育など多方面に影響を及ぼす。とくに医療では、出生数の減少とともに産婦人科や小児科の診療体制の維持が課題となっており、地方では分娩施設そのものが減少している現状がある。出生率は近年1.3%前後で推移しており、同時に65歳以上の高齢者が総人口の29%を超える中、医療ニーズの変化への対応も急務となっている。地域における出産医療の体制は、今後さらに集約・再編が進むとみられ、自治体による子育て支援や住環境整備といった包括的な政策とあわせて、医療資源の再配分と効率的な活用が要望されている。また、医療関係者にも、地域の実情を踏まえた持続可能な体制構築への関与が求められている。 参考 1) 我が国のこどもの数-「こどもの日」にちなんで-(総務省) 2) 15歳未満の子ども数は44年連続、人口に占める子どもの割合は51年連続で減少-総務省(Gem Med) 3) 子どもの数1,366万人、44年連続減で最低更新 1,400万人割る(日経新聞) 4) 15歳未満の子ども、人口の11.1%に 日本で進む人口危機(CNN) 5) 「世界一安全」な医療が崩れる!? 少子化に苦しむ“産婦人科”「出産費用の保険適用化」がもたらす“負”のシナリオとは(弁護士JPニュース) 6) 地元の病院で産めない…なぜ?いま何が?(NHK) 7) 子どもの数 44年連続減少 手厚い住宅支援に取り組む自治体も(同) 5.地方公務員の医師が無許可で副業、2,740万円報酬で免職/静岡県静岡県は2025年5月9日、健康福祉部の男性理事(62)を、地方公務員法に違反する無許可の兼業行為により懲戒免職とした。部長級職員の懲戒免職は県政史上初めてとなる。理事は、2019年10月~2024年12月までの約5年間、県外の複数の医療機関で診療業務に従事し、25の医療法人から計約2,740万円の報酬を得ていた。理事は県職員であることを伏せ、有給休暇などを使って少なくとも310日勤務。内部通報により発覚し、県が調査を進めたが、本人は一貫して否定。しかし、医療機関への聞き取りなどで事実が判明した。理事は2021年にも同様の無許可診療で文書訓告を受けていたが、再発し、反省もみられなかったことから、最も重い懲戒免職処分とされた。医師は医療提供体制や災害医療、医師確保事業の中核を担っており、県庁内では「県民への裏切り」との批判とともに「穴は大きい」との懸念も出ている。県は税務署や警察にも情報提供し、後任には地域医療課技監を専任配置した。地方公務員についても兼業を原則容認する国の方針はあるが、現状、地方公務員法第38条では今も営利活動には許可が必要であり、無許可の副業は懲戒対象となる。今回の事例は制度の運用とモラル両面での課題を浮き彫りにしている。 参考 1) 兼業許可得ず診療 医師免許持つ静岡県幹部職員を懲戒免職(NHK) 2) 静岡県理事を無許可兼業で懲戒免職…県外の医療機関に勤務、部長級の懲戒免職処分は県政史上初(読売新聞) 3) 副業で計2,740万円あまりの収入…医師免許を持つ県幹部が兼業許可を受けずに県外の医療機関で診療業務に従事し報酬得る 複数の医療法人から給与の受領も 事情聴取に事実を否定も懲戒免職(テレビ静岡) 4) 地方公務員の兼業について(総務省) 5) 地方公務員の兼業・副業促す 総務省が自治体に基準明示(日経新聞) 6.「逆子」施術で医療事故、書類送検の医師に謝罪なし/京都府京都第一赤十字病院(京都市東山区)で、「逆子」の胎児に対して行われた医療行為に関して、施術を担当した50代の男性医師が業務上過失傷害の疑いで京都府警に書類送検された。医師は2020年12月、当時妊娠中だった女性(当時37歳)に対し、腹部を圧迫して胎児を正常な向きに戻す「外回転術」を2度実施。その際、胎児が低酸素状態に陥ったにもかかわらず、緊急帝王切開などの適切な処置を怠った疑いが持たれている。その後、女性は別の医師による帝王切開で出産したが、生まれた男児(現在4歳)は脳の大部分に損傷を受け、脳性麻痺などの重度障害が残った。母親は2023年7月、医師を刑事告訴。京都府警が捜査を進めていた。病院側は「医療過誤があった」と認め、再発防止に取り組むとしているが、医師個人からの謝罪はなく、すでに同病院を退職し、他の医療機関に勤務しているという。母親は「息子の人生にどれほど重いものを残したか。正面から受け止めてほしい」「この件が医療の在り方を見直すきっかけになれば」とコメントしている。今回の事案は、出産医療におけるリスク対応と説明責任のあり方を問い直す事例となっている。 参考 1) 逆子の治療で重い障害負わせた疑い、医師を書類送検(朝日新聞) 2) 「逆子矯正」で胎児に障害、適切な処置怠った疑いで医師を書類送検(読売新聞) 3) 逆子の胎児を回転処置で低酸素状態に 帝王切開せず脳性まひなど障害残す 医師を書類送検(産経新聞)

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小児期ワクチン接種率低下で、麻疹など再流行の可能性/JAMA

 小児期のワクチン接種率の低下は、ワクチンで予防可能な、かつて排除された感染症(eliminated infectious diseases)のアウトブレイクの頻度と規模を増加させ、最終的には再びエンデミック(endemic)レベルに戻る可能性があることが、米国・スタンフォード大学のMathew V. Kiang氏らによるシミュレーションモデルの解析の結果で明らかとなった。米国では、小児期のワクチン接種の普及により多くの感染症が排除されてきたが、近年、ワクチン接種率は低下傾向にあり、小児期のワクチン接種のスケジュールを縮小する政策議論も続いている。そのため、かつて排除された感染症の再流行が懸念されていた。著者は、「流行がエンデミックレベルに再び戻る時期と閾値は感染症によって大きく異なり、麻疹が最初にエンデミックレベルに戻る可能性が高く、現在のワクチン接種率でも対策が改善されなければその可能性がある」と指摘している。JAMA誌オンライン版2025年4月24日号掲載の報告。麻疹・風疹・ポリオ・ジフテリアの予防接種率低下と感染者数、シミュレーションモデルで推定 研究グループは、ワクチンで予防可能な4つの感染症(麻疹、風疹、ポリオ、ジフテリア)について、小児期のワクチン接種率が低下した場合の感染者数および感染関連合併症数を推定するシミュレーションモデルを構築し、米国50州とコロンビア特別区におけるこれら感染症の輸入(importation)と動的伝播(dynamic spread)を評価した。 このモデルは、人口動態、集団免疫状態、感染症の輸入リスクに関する地域別推定値に基づくデータを用いてパラメーター化され、25年間にわたる異なるワクチン接種率のシナリオを評価した。現在のワクチン接種率は、2004~23年のデータを用いた。 主要アウトカムは、米国の麻疹、風疹、ポリオ、ジフテリアの推定感染者数、副次アウトカムは感染関連合併症(麻疹後神経学的後遺症、先天性風疹症候群、麻痺性ポリオ、入院、死亡)の推定発生率、および感染症が再びエンデミックレベルとなる可能性とその時期とした。現在の接種率でも、麻疹が再びエンデミックレベルとなる可能性 シミュレーションモデルにおいて、現在の州レベルのワクチン接種率では、麻疹が再びエンデミックレベルとなる可能性は83%、エンデミックレベルとなるまでの平均期間は20.9年、25年間で推定感染者数は85万1,300例(95%不確実性区間[UI]:38万1,300~130万)に上ることが予想された。 麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)ワクチン接種率が10%減少した場合、麻疹の感染者数は25年間で1,110万例(95%UI:1,010万~1,210万)となり、一方、接種率が5%増加した場合は5,800例(3,100~1万9,400)にとどまると予測された。 他の感染症については、現在のワクチン接種率ではエンデミックレベルとなる可能性は低いが、小児期の定期接種が50%減少した場合、25年間で麻疹5,120万例(95%UI:4,970万~5,250万)、風疹990万例(640万~1,300万)、ポリオ430万例(4~2,150万)、ジフテリア197例(1~1,000)が発生すると予測された。 この場合、エンデミックレベルとなるまでの期間は麻疹が4.9年(95%UI:4.3~5.6)、風疹は18.1年(17.0~19.6)であり、ポリオについてはエンデミックレベルとなる可能性は56%で、エンデミックレベルとなるまでの期間は19.6年(95%UI:4.0~24.7)と予測された。 なお、米国内での影響には大きなばらつきがみられた。

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尋常性ざ瘡の短時間接触療法薬「ベピオウォッシュゲル5%」【最新!DI情報】第38回

尋常性ざ瘡の短時間接触療法薬「ベピオウォッシュゲル5%」今回は、尋常性ざ瘡治療薬「過酸化ベンゾイル(商品名:ベピオウォッシュゲル5%、製造販売元:マルホ)」を紹介します。本剤は、わが国初の尋常性ざ瘡の短時間接触療法薬であり、外用薬の患部への接触を短時間にすることで、副作用を軽減しながら治療効果を発揮することが期待されています。<効能・効果>尋常性ざ瘡の適応で、2025年3月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布し、5~10分後に洗い流します。<安全性>副作用として、紅斑(5%以上)、皮膚剥脱(鱗屑・落屑)、刺激感、そう痒、皮膚炎、接触皮膚炎(アレルギー性接触皮膚炎を含む)、びらん、皮脂欠乏性湿疹、AST増加(いずれも5%未満)、乾燥、湿疹、蕁麻疹、間擦疹、乾皮症、脂腺機能亢進、腫脹、ピリピリ感、灼熱感、汗疹、違和感、皮脂欠乏症、ほてり、浮腫、丘疹、疼痛、水疱、口角炎、眼瞼炎、白血球数減少、白血球数増加、血小板数増加、血中ビリルビン増加、ALT増加、血中コレステロール減少、血中尿素減少、呼吸困難感(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、にきび(尋常性ざ瘡)を治療する塗り薬です。2.にきびの原因菌(アクネ菌など)が増えるのを抑え、にきびの原因となる毛穴のつまりを改善します。3.1日1回、洗顔後、患部に塗布し、5~10分後に洗い流してください。眼、口唇、その他の粘膜や傷口は避けてください。4.この薬には漂白作用があるので、髪や衣料などに付着しないように注意してください。5.この薬を使用中は、強い日光に当たるのをなるべく避けるようにしてください。6.過敏反応や強い皮膚刺激症状が現れたときは使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。<ここがポイント!>尋常性ざ瘡は、一般的に「にきび」として知られる炎症性疾患です。好発部位は顔面や胸背部などの脂漏部位で、思春期以降に発生しやすく、病因にはホルモンバランスの乱れ、皮脂の過剰産生、角化異常、Cutibacterium acnes(C. acnes)などの細菌の増殖が複雑に関与しています。過酸化ベンゾイルは強力な酸化作用を持ち、尋常性ざ瘡の原因菌であるC. acnesなどの細菌に対する抗菌作用と、閉塞した毛漏斗部での角層剥離作用を有しています。国内では2.5%のゲルおよびローション製剤が販売されていますが、1日1回洗顔後に患部に塗布する必要があり、刺激やかぶれなどの副作用に加え、衣類に対する脱色作用に注意が必要です。本剤は、国内初の短時間接触療法(Short contact therapy)用ゲル製剤であり、既承認医薬品のゲル製剤(商品名:ベピオゲル2.5%)の新用量医薬品として開発されました。本剤は過酸化ベンゾイルを5%含有しており、外用薬の患部への接触を短時間にすることで副作用を軽減しながら治療効果を発揮します。商品名に「ウォッシュ」とあるように、1日1回、洗顔後に患部に塗布したのち、5~10分後に洗い流すという用法が特徴です。本剤は、高濃度の主薬成分を含む製剤を塗布部位から手早く除去できるように、洗浄力の高いアニオン性界面活性剤2種類を配合しています。顔面に尋常性ざ瘡を有する患者を対象とした第III相プラセボ対照試験(M605110-05試験)において、主要評価項目である治療開始12週後のベースラインからの総皮疹数の減少率(最小二乗平均値)は、本剤群55.90%(両側95%信頼区間:49.89~61.90)であり、プラセボ群の43.85%(38.06~49.64)と比較して統計学的に有意な差が認められました。この結果により、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。

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