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重症感染症児への輸液ボーラス投与、48時間死亡率を上昇

 ショック患者への急速早期の輸液蘇生術は、救急治療ガイドラインに示されており、小児科における生命維持訓練プログラムでも支持されている。しかし、処置法、用量、輸液の種類に留意したエビデンスはなく、集中ケア施設がまず利用できないアフリカのような、医療資源が限られた環境下でのショック患児や生命に関わるような重症感染症児への治療に対する輸液蘇生の役割は確立されていない。そこでケニア中央医学研究所(KEMRI)のKathryn Maitland氏らは、アフリカ東部3ヵ国で輸液蘇生の効果を調べる無作為化試験を行った。NEJM誌2011年6月30日号(オンライン版2011年5月26日号)掲載より。アルブミンボーラス、生食ボーラスと対照群の3群に無作為化し48時間後の転帰を比較 研究グループは、ウガンダ、ケニア、タンザニアで、重症熱性疾患と循環不全で入院した小児を、5%アルブミン溶液20~40mL/kg体重ボーラス投与(アルブミンボーラス群)もしくは0.9%生食液20~40mL/kg体重ボーラス投与(生食ボーラス群)する群か、ボーラス投与しない群(対照群)の3群に無作為に割り付け検討した(A層試験)。このA層試験では、重症低血圧の小児は除外されB層試験にて、いずれかのボーラス投与群に無作為に割り付けられ検討された。 >被験児は全員、ガイドラインに基づく、適切な抗菌薬治療や静脈内維持輸液ならびに生命維持のためのトリアージや救急療法を受けた。なお、栄養失調または胃腸炎の患児は除外された。 主要エンドポイントは、48時間時点の死亡率とし、副次エンドポイントには、肺水腫、頭蓋内圧亢進、4週時点の死亡または神経学的後遺症の発生率などが含まれた。 A層試験は3,600例の登録を計画していたが、3,141例(アルブミンボーラス群1,050例、生食ボーラス群1,047例、対照群1,044例)が登録された時点でデータ安全モニタリング委員会の勧告により補充が停止された。 マラリアの保有率(全体で57%)、臨床的重症度は全群で同程度だった。ボーラス後48時間死亡率が有意に上昇 A層における48時間死亡率は、アルブミンボーラス群10.6%(1,050例中111例)、生食ボーラス群10.5%(1,047例中110例)、対照群7.3%(1,044例中76例)だった。生食ボーラス群 vs. 対照群の相対リスクは1.44(95%信頼区間:1.09~1.90、P=0.01)、アルブミンボーラス群vs.生食ボーラス群の相対リスクは1.01(同:0.78~1.29、P=0.96)、両ボーラス群vs.対照群の相対リスクは1.45(同:1.13~1.86、P=0.003)だった。 4週時点の死亡率は、それぞれ12.2%、12.0%、8.7%だった(両ボーラス群vs.対照群の相対リスクは1.39、P=0.004)。神経学的後遺症発生率は、2.2%、1.9%、2.0%だった(同1.03、P=0.92)だった。肺水腫または頭蓋内圧亢進の発生率は、2.6%、2.2%、1.7%だった(同1.46、P=0.17)。 B層では、死亡率がアルブミンボーラス群69%(13例中9例)、生食ボーラス群56%(16例中9例)だった(アルブミンボーラスの相対リスク:1.23、95%信頼区間:0.70~2.16、P=0.45)。 これらの結果は、施設間、サブグループ間(ショック重症度や、マラリア、昏睡、敗血症、アシドーシス、重症貧血の状態に基づく)で一貫して認められた。 研究グループは「医療資源が限られたアフリカでの重症循環不全児に対する輸液ボーラスは、48時間死亡率を有意に高める」と報告をまとめている。

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発熱小児の重篤感染症の診断or除外診断に有用な臨床検査値はCRP、PCT

発熱で外来受診した小児の重篤感染症を診断するための臨床検査値について、英国・オックスフォード大学プライマリ・ヘルスケア部門のAnn Van den Bruel氏らは、システマティックレビューにてエビデンス照合を行った。結果、炎症マーカーのC反応性蛋白(CRP)とプロカルシトニン(PCT)が、診断に有用である可能性が認められた。ただしそれらのカットオフ値については、診断(rule in)と除外診断(rule out)の値が異なることが示され、また、白血球数は重篤な感染症の診断には有用でないことが示されたという。BMJ誌2011年6月11日号(オンライン版2011年6月8日号)掲載報告より。14研究を対象に、臨床検査値の診断価値を検証研究グループは、電子データベース、参考文献、専門家によるコンサルテーションにて次の6つの判定基準に基づいて選択された研究を分析し、エビデンス照合を行った。(1)研究デザイン(診断精度や予測ルールの研究)、(2)参加者(健康な生後1ヵ月~18歳の小児および若者を含む)、(3)研究環境(初回治療が外来診療であること)、(4)アウトカム(重篤な感染症)、(5)評価された所見(初回診療について)、(6)記録されたデータ(2×2テーブル作成に十分であること)。抽出したデータの質評価は、診断精度研究質評価ツール(QUADAS)の判定基準に基づいて行われ、メタ解析が、二変量ランダム効果法と階層化サマリーROC曲線を用いて複数の閾値について検討された。選定基準に基づき、14研究が選定された。しかし、いずれも方法論的な質が高くなく、また救急治療部もしくは小児科で評価が行われたもので、重篤感染症の罹患率は4.5%から29.3%にわたっていた。エビデンス照合が行われた臨床検査値は、CRP(5研究)、PCT(3研究)、血沈(1研究)、インターロイキン(2研究)、白血球数(7研究)、好中球絶対数(2研究)、バンド数(3研究)、左方推移(1研究)についてだった。白血球数は炎症マーカーほど「診断」に有用ではなく、「除外診断」には役立たない最も診断価値があると認められた臨床検査値は、CRPとPCTだった。CRPに関する二変量ランダム効果メタ解析(5研究、小児1,379例)の結果は、プール陽性尤度比は3.15(95%信頼区間:2.67~3.71)、プール陰性尤度比は0.33(0.22~0.49)だった。重篤感染症の診断には、PCTのカットオフ値は2ng/mL(2研究、各試験の陽性尤度比は13.7と3.6、それぞれの95%信頼区間は7.4~25.3と1.4~8.9)、CRPのカットオフ値は80mg/L(1研究、陽性尤度比:8.4、95%信頼区間:5.1~14.1)が推奨値として挙げられた。一方で、重篤感染症の除外診断するためのカットオフ値を、PCTは0.5ng/mL、CRPは20mg/L以下とする必要があった。白血球数の指標は、重篤感染症の診断価値が炎症マーカーよりも低く(陽性尤度比:0.87~2.43)、また除外診断の価値は認められなかった(陰性尤度比:0.61~1.14)。最もパフォーマンスの高い診断決定法(最新独立データセットで検証された)は、CRP、PCTと尿検査の組み合わせで、陽性尤度比は4.92(3.26~7.43)、陰性尤度比は0.07(0.02~0.27)を示した。これらの結果からBruel氏は、「救急治療部門での炎症マーカー測定は重篤感染症の診断に有用なようだが、臨床医は、診断または除外診断にそれぞれ異なるカットオフ値を用いる必要がある。白血球数の測定は、重篤感染症の診断にはあまり有用ではなく、除外診断には役立たない」と結論。同時に、「臨床検査値の評価のため、プライマリ・ケア設定、バイタルサインを含む臨床診断を含む、より厳密な研究が必要である」とまとめた。

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新生児CMVスクリーニングに唾液検体リアルタイムPCR法が有用

難聴の重大原因である先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の新生児スクリーニングについて、リアルタイムPCR法が有用であることが示された。米国・アラバマ大学バーミングハム校小児科部門のSuresh B. Boppana氏ら研究グループが行った前向き多施設共同スクリーニング研究による。新生児CMV感染症スクリーニングの標準アッセイは出生時に採取した唾液検体による迅速培養法とされているが、自動化ができず大規模スクリーニングに不向きであった。そこでリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)をベースとし、出生時に採取した液体の唾液検体もしくは乾燥させた唾液検体を用いる2種のリアルタイムPCR法が開発された。研究グループはその有用性について検討した。NEJM誌2011年6月2日号掲載報告より。新生児3万4,989例を対象に前向きスクリーニング研究2008年6月~2009年11月の間に、米国内7施設で生まれた新生児3万4,989例が、出生時に採取した唾液検体を用いて迅速培養法と2種のリアルタイムPCR法のうち1種以上の検査を受けた。リアルタイムPCR法の有用性の検証は、第1相群(液体唾液PCR群)と第2相群(乾燥唾液PCR群)の前向き研究にて行われた。第1相群は迅速培養と液体唾液PCRを受けた1万7,662例で、第2相群は迅速培養と乾燥唾液PCRを受けた1万7,327例だった。感度および特異度、液体唾液PCRは100%・99.9%、乾燥唾液PCRは97.4%・99.9%結果、全被験児のうち177例(0.5%、95%信頼区間:0.4~0.6)が、3種の検査法のうち1種以上でCMV陽性だった。第1相群で陽性だったのは93例。そのうち85例(第1相群の0.5%、95%信頼区間:0.4~0.6)は、液体唾液PCR、迅速培養ともに陽性だった。残る8例は、液体唾液PCRは陽性だったが迅速培養は陰性だった。迅速培養との比較による液体唾液PCRの感度は100%、特異度は99.9%であり、陽性適中率は91.4%、陰性適中率は100%だった。第2相群で陽性だったのは84例だった。そのうち迅速培養陽性は76例(第2相群の0.4%、95%信頼区間:0.3~0.5)だった。うち乾燥唾液PCRも陽性だったのは74例で、2例は乾燥唾液PCR陰性だった。また乾燥唾液PCR陽性だが迅速培養陰性は8例あった。迅速培養との比較による乾燥唾液PCRの感度は97.4%、特異度は99.9%であり、陽性適中率は90.2%、陰性適中率は99.9%だった。Boppana氏は「液体唾液検体でも乾燥唾液検体でもリアルタイムPCR法は、CMV感染症検出に高い感度と特異度を示した。したがって新生児CMV感染症スクリーニングの強力なツールとなりうるとみなすべきである」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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小児の細菌性髄膜炎に対するCTRX、5日間投与vs. 10日間投与/Lancet

発展途上国の小児において重大な疾病であり死亡の原因となっている細菌性髄膜炎に対して、静注の抗菌薬セフトリアキソン(CTRX、商品名:ロセフィンなど)が多くの国で推奨されているが、その至適な投与期間について確立されていない。アフリカ南東部のマラウイ共和国・マラウイ大学医学校小児科のElizabeth Molyneux氏らは、CTRXの投与期間について、5日間投与と10日間投与との同等性を検証する国際共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験を、2ヵ月~12歳児を対象に行った。Lancet誌2011年5月28日号(オンライン版2011年5月26日号)掲載より。細菌学的治療失敗、再発を主要アウトカムに無作為化試験試験は2001年9月~2006年12月にかけて、バングラデシュ、エジプト、マラウィ、パキスタン、ベトナムの5ヵ国10小児科病院の協力を得て行われた。いずれの病院も年間150例以上の細菌性髄膜炎患児を受け入れていた。対象は、細菌性髄膜炎の原因菌として肺炎レンサ球菌、インフルエンザ菌b型、髄膜炎菌を有した2ヵ月~12歳児。無作為化は、5日間のCTRX治療で臨床的に安定したと診断された1,027例を、均等にコンピュータ配分で、さらに5日間治療を行う群とプラセボ群とに割り付ける方法で行われた。割り付け情報は患児、保護者、また医療スタッフにも知らされなかった。主要アウトカムは、細菌学的治療失敗(脳脊髄液または血液培養検査で陽性)および再発。分析は、パー・プロトコール解析にて行われた。5日間で症状が安定したら投与を打ち切って問題ない解析に含まれたのは、1,004例(5日間治療群:496例、10日間治療群:508例)だった。治療失敗例は、5日間治療群、10日間治療群ともに0例だった。再発は、5日間治療群で2例が報告、うち1例はHIVを有する患児だった。10日間治療群では再発はみられなかった。抗菌薬投与の副作用は、両群とも軽度で同等に認められた。Molyneux氏は、「肺炎レンサ球菌、インフルエンザ菌b型または髄膜炎菌による細菌性髄膜炎を発症した2ヵ月~12歳児で、CTRXの5日間投与で症状が安定した患児は、問題なく投与を打ち切ってよい」と結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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乳幼児の急性細気管支炎、アドレナリン単剤の有効性示すエビデンス

2歳以下の乳幼児の急性細気管支炎に救急部外来で対処する場合、第1日の入院リスクを最も低減する治療法はアドレナリン(エピネフリン)単剤であることが、カナダAlberta大学小児科のLisa Hartling氏らの検討で示された。急性細気管支炎の治療法は世界中で大きなばらつきがみられ、それぞれの事情に基づいて異なる気管支拡張薬やステロイド薬が使用されている。系統的なレビューがいくつか実施されているが、個々の治療選択肢に関する信頼性の高いエビデンスはいまだに確立されていないという。BMJ誌2011年4月9日号(オンライン版2011年4月6日号)掲載の報告。乳幼児の急性細気管支炎の至適治療法に関するメタ解析研究グループは、2歳以下の乳幼児の細気管支炎の急性期管理における気管支拡張薬とステロイド薬の単剤あるいは併用療法の有効性と安全性について系統的にレビューし、メタ解析を行った。データベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Scopus、PubMed、LILACS、IranMedEx)、関連学会プロシーディング、臨床試験登録を検索して、喘鳴を伴う細気管支炎を初めて発症した生後24ヵ月以下の乳幼児を対象に、気管支拡張薬とステロイド薬の単剤あるいは併用療法を、プラセボあるいは他の介入法(別の気管支拡張薬やステロイド薬、標準治療)と比較した無作為化対照比較試験を抽出した。2名のレビューワーが、患者選択基準やバイアスのリスクなどに関して各試験の評価を行った。主要評価項目は、外来患者の入院(第1日、第7日まで)および入院患者の入院期間であった。メタ解析には変量効果モデル(random effects model)を用い、全介入法を同時に比較するためにベイジアン・ネットワーク・モデル(Bayesian network model)による混合治療比較法(mixed treatment comparison)を使用した。1週間までの入院リスクの低減にはアドレナリン+デキサメタゾン併用療法が有用48試験(4,897例)が解析の対象となった。バイアスのリスクは、「低い」が17%(8試験)、「高い」が31%(15試験)、「不明」が52%(25試験)であった。プラセボとの比較において第1日の入院を有意に低減したのはアドレナリン単剤のみであった[920例のプール解析によるリスク比:0.67、95%信頼区間(CI):0.50~0.89、ベースラインの入院リスクが20%の場合に1例の入院を回避するのに要する治療例数(NNT):15、95%CI:10~45]。第7日までの入院の有意な低減効果を認めたのは、バイアスのリスクが低いと判定された1つの大規模試験(400例)で示されたアドレナリン+デキサメタゾン併用療法であった(リスク比:0.65、95%CI:0.44~0.95、ベースラインの入院リスクが26%の場合のNNT:11、95%CI:7~76)。混合治療比較法による解析では、外来患者に対する好ましい治療法としてアドレナリン単剤(第1日の入院を基準とした場合に最良の治療法である確率:45%)およびアドレナリン+ステロイド薬併用療法(同:39%)が示された。有害事象の報告に治療法による差は認めなかった。入院患者の入院期間については、明確な効果を示した介入法は確認されなかった。著者は、「急性細気管支炎の乳幼児に救急部外来で対処する場合、第1日の入院リスクを最も低減する治療法はアドレナリン単剤であり、アドレナリン+デキサメタゾン併用療法は第7日までの入院リスク低減に有用であることを示すエビデンスが得られた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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教授 福島統 先生の答え

診療所医師による医学教育のためのシステム人口8万都市で小児科医を開業している者です。診療所で研修医の「地域保健研修」を、また、出身医大で「外来小児科学」の講義を行っています。先生のご意見、医学生をプライマリ・ケアの場に出す動きには全面的に賛同します。診療の質を上げるためには、診療を人に見せて教える必要があると考えますが、この波が拡がるためにはどうすればよいでしょうか?優秀な開業医が医学教育に関わることができずにいる環境があります。初期研修が始まった時に医師会が率先してシステムを作ればよかったのでしょうが…全国レベルでの医学部でのプライマリ・ケア実習の動きはありますでしょうか。あるいは今後の、それぞれの学会に依存しない医学部としてのシステム作りは可能でしょうか。ことば足らずで回答しにくいかと思いますが、医学部の変化がないことには診療所医師の関与は難しいと思いましたので。すでに医学部という大学と特定機能病院という大学附属病院のみでは、国民が求める医療を教えることはできないことは自明です。大学は医学教育をコーディネートする「教育機関」です。医学部が様々な医療ニーズを学生に見せ、学生一人ひとりが自分の仕事を知る機会を作ることがcommunity-based medical education です。このcommunity-based medical education は世界的な流れです。日本が遅れているだけです。医学部の中には専門医療だけでなく、地域が求める医療を学生に見せようとカリキュラムを工夫するところが増えてきています。医療の世界では、どの医療機関に所属する人も「教育」をしていかなければなりません。教育の場は大学と附属病院だけではありません。診療所も、地域病院も、在宅で頑張っている医師も、医師とは本質的に医師を育てる人たちだと思います。大学で医学教育を考える人たちが、自分の専門だけでなく、「医療」を学ぶ学生のことを考える日は近いと思います。その時に、地域の医師が「医師の役割の一つ」としての教育に夢を持って欲しいと思います。政治と現場で意見反対なのは何故ですか?福島先生の解説を読んで、医師不足問題について大変理解が深まりました。まだ私は医学生なので考察が甘いかもしれませんが、福島先生の意見が正論だと思いました。ただ、福島先生の意見が正論だと思う一方で、では何故、日本は医学部新設に向かっているのか?というところが分かりません。政治と現場で意見が対立しているのでしょうか?何故、日本は医学部新設の流れにあるのでしょうか?昭和45年に秋田大学医学部と北里大学医学部、杏林大学医学部、川崎医科大学が出来ました。昭和46年は私立医大がさらにできた後に、昭和47年からの1県1医大が始まります。この時、私立医大ができたのは、戦後の医専の卒業の大量の医師(開業医)たちの後継者問題があったからです(昭和20年の医学部入学定員は1万人を超えていました)。この時、裏口入学の問題が世間を騒がせました。1県1医大政策は田中角栄首相が押し進めました。その時の理由は東北・北海道の医師不足、医師の地域偏在、診療科偏在、基礎医学者と公衆衛生に関わる医師の不足が問題となりました。まさに今、政治が論じている問題と全く同じです。医師数をただ増やせばこの問題が解決するというのは幻想です。問題があるから、「何かを」しなければいけないという風潮になり、医学部を新設すれば「きっとよくなる」という積極策の幻想(ペーター・センゲ)になっていると思います。何かをすればそれが解決へつながるという言い訳でもあります。これは危険な考え方です。今こそ、なぜ日本の医療がうまくいかないのかをみんなで考えるべきです。学外実習に必要な開業医の数は?私も、現場で学ぶ機会は多い方がよいと考えます。学外実習に協力している開業医の先生が65名いらっしゃるとのことですが、慈恵さんレベルの大学ではその人数で十分なのでしょうか?理想としてはどのくらいの先生方を確保するべきなのでしょうか?数年前、韓国の医学教育学会で慈恵医大の「家庭医実習」の話をしました。その時、どうやって指導医を集めているのか、との質問を受けました。私は次のように答えました「医者には二通りの医者がいる、good doctors とnot good doctors だ」。会場に大きな笑いを誘いました。でも、私はこれが真実だと思います。そして、いい医者は良い医者が誰かを知っています。慈恵医大では、素敵な指導医と学生が評価した開業医に、「良い開業医を紹介してください」とお願いし、指導医を集めました。素敵な指導医が最低30人いれば、1年間で100名の学生の臨床実習を行うことができます。でも、無理をしないで1年間で100名の臨床実習をするには、60名必要と経験的に考えています。 トータルの実習成果は?学生の中には学外実習が苦手というか社交的ではない者も多いかと。皆がみな学外実習で何かを掴んで帰ってくるとは思えないのですが、実際はいかがでしょうか?個別には成果をあげる学生もいるでしょうが、トータルでみたときの実習成果について、差し支えなければご教示ください。昔、私が学生時代は先生が「あの学生は口下手だが、まじめでいい子だよ」と言っていました。私は、それは間違いだと思います。臨床医になるなら、どうにかして口下手を克服すべきだと思いますし、口下手を拡幅するために大学はその学生に手をかけるべきだともいます。人と話ができない医者を作るのではなく、たとえ上手ではなくても患者さんの話を聞く態度を持つ医師に育て上げるべきと思います。今までの初等、中等教育では、「職場の中で学ぶ」力を生徒に養ってきませんでした。しかし、医師になる者には「職場の中で学ぶ」力が必要です。医学部がただ知識と技能を教えていればいいのではありません。その学生が病棟で、患者さんから医療チームのメンバーから「人から学ぶ」ことのできる力を持てるようにしなければなりません。学外実習に行って、多くの学生は「自分に足りないもの」を見つけてくるように思います。自分に足りないもの、これこそが学習課題です。学習課題に気づいた人は自ら学習するでしょう。でも気づくチャンスがなければ学習は進行しません。そして気づきは異文化の中で起こることが多いのです。学生を学外に出し、「無理やりさせられ体験」をさせることで医学部の中にいるだけでは気づけない自分自身の学習課題を知って欲しいと思います。しかしながら、気づきはその学生のレディネスに負うところが多いことも事実です。スキャモンの成長曲線を思い出してください。大器晩成型も、早熟型もあります。学生に気づきの機会を与えますが、その学生が気づくまで待つことも大事です。学生の成長を待つだけでなく、成長を促すためにも「無理やりさせられ体験」は必要だと考えます。学生の反応は?医学生であれば目の前の国試対策に意識が集中して、学外実習は二の次ではないかと思います。実際、学外実習に対する医学生の反応はどうでしょうか?学生を説得して実習に出す感じでしょうか?※医師として患者を診ている今となれば、慈恵さんの学外実習が如何に素晴らしいかよく分かります!本当人間って勝手ですよね(笑)学生は医者になりたがっています。決して国家試験のプロになろうとはしていません。これは真実だと信じます。そして学生は実り多い自分の人生を求めています。人間とは自分自身の成長に気づいたとき、それを嬉しいと思う存在です。しかし、学生には今どのような体験をすべきか自分では分からないと思います。カリキュラムで必修とするのは、「無理やりさせられ体験」として学生が理解できなくても「行かせる」ためです。もちろん、オリエンテーションはたくさんしますが、実体験のない学生には理解は困難だと思います。学外実習は3年か4年しないと安定しません。教員がいくら大事だと言っても学生が理解しませんが、先輩の学生は「行ってみろよ、経験になるぜ」と言ってくれるようになったら実習が安定します。彼らは身近な先輩の言うことは素直に信じるのでしょう。実習を経験し、臨床実習に出たときにこの実習の意味を理解してくれれば学生は「無理やりさせられ体験」から「意味のある経験学習」へと認識を変えてくれます。国試対策について場違いな質問であれば無視していただきたいのですが、現在息子の入学先を検討している者です。私は地方の国立大卒です。私大医学部出身の友人もおらず、私大医学部のことがよく分かりません。慈恵医大ならではの特別な国試対策カリキュラムなどあるのでしょうか?学外実習は完璧だと思いました。親として心配なのは国試対策だけです。宜しくお願いします。慈恵医大は特別な国試対策はしません。むしろ6年生の後半には学生に自由な時間を与えるようにしています。学習で重要なのは、自分自身の能力を自分で評価し、自分の不足しているところを自分が認識して、自分の方法で学ぶことです。医学部6年生に「教え込み」は通じません。彼らは立派な「成人学習者」ですから。自分の不足を振り返り、自律的に学習する機会と時間を与えれば、医師になれるものは「国家試験」に合格します。何時までも教え込まれなければ勉強できない人はむしろ医者になるべきではありません。医者に必要な能力は生涯学習力ですから。私が医学教育の仕事をするようになった時、留年者や国試浪人の人にインタビュー調査をしたことがありました。彼らの欠点は明らかでした、解剖と生理学、すなわち基礎医学を知らないのです。国家試験のための勉強は基礎医学にあります。基礎医学をまなんだ人は病態を暗記ではなく、論理として理解します。そして今の国家試験は昔と違い、病態を理解してそのうえで薬理学の知識を応用した治療の選択を聞いてきます。国家試験は既に暗記の世界から、理解の世界へと変わってきているのです。国家試験は心配なら、基礎医学教育をしっかりしている医学部を受験させるべきと思います。医学を学ぶ者の自由とは、それを否定する理由はなんですか義務のみで自由はないのでしょうか、腑に落ちません。一人の学生が医師になるためには6年間に約1億円の経費がかかります。国公立であろうが私立であろうが多量の税金を使って医者になります。私は納税者です。自分が払った税金が「金儲けしか考えない医師」の養成に使われたとした、損害賠償請求をします。私は献体者です。死んだら、この体は解剖学実習に使われます(それまでには痩せようと思っています)。阿部正和慈恵医大元学長が講義のたびに学生に言っていました「患者こそ最高の師」と。医者になるためにたくさんの期待がかけられています。だから医学生はエリートだと思います。もし、自由に学びたいのなら、その経費は自分で払うべきです。税金とご遺体の行為と患者さんの協力を頂いて医師になるなら、国民から期待される医師になる責任があると思います。自分の自由のために他者の心もお金も使う必要はないと思います。この道に進まれたきっかけを教えて下さい。先生が、臨床でもなく研究でもなく教育を専門にされた「きっかけ」に興味があります。産婦人科開業の長男として生まれ、私立医大に入学してっきり産婦人科開業医になると思っていました。しかし、卒業時には少子高齢化が始まっており、産婦人科開業医の道はなくなり、面白そうと思った解剖学に進みました。解剖で業績を上げている最中に、急に大学から医学教育の仕事をしろ!と命令されました。いざ、医学教育の世界に入ってみたら、したいことがたくさんあったのです。だからそれをしただけです。多分、どの分野に行っても良かったのでしょう。今したいことを、今の立場で出来れば何でもよかったのかもしれません。いまは、この分野の仕事ができることを嬉しいと思っています、そしてもっとしたいと思っています。実習を阻む障害に関して1年生から地域実習へ出すとなると結構大変だと思います。受け入れ先を探す他にも障害が多かったと推察しますが、どのような障害がありましたでしょうか?1年生の福祉体験実習を作るとき、最も困ったことは「医学部と地域福福祉」があまりにも遠かったことです。特定機能病院には、知的障害や精神障害者の就労支援のことを知っている人がいませんでした。2年生の重症心身障害児の実習を作るときも地域で子どもがどのように生活しているかを考えている小児科以外の医師はほとんどいませんでした。3年生の訪問看護ステーションの実習に至っては、一部の神経内科医は理解を示したものの、多くの専門医たちは在宅医療の存在すら想像してくれませんでした。でも低学年の学外実習は臨床医たちの利害とは離れていたので実習を作りことができました。実習を作るためには何足もの靴が必要でした。医学部とは遠い福祉や在宅には、足を運び理想を話し、夢を共有してもらい一緒に医師を作ろうと説得しまわりました。多くの実習施設は共感を示してくださり、快く学生実習を受けてくださいました。特に福祉施設では、「良い医者を私たちもメンバーさんのために作ってください」と励ましていただきました。臨床実習での「家庭医実習」を必修化できたのはひとえに、阿部正和元学長のおかげです。慈恵医大は全国に先駆けて昭和61年に選択科目として開業医実習を導入していました。阿部正和先生という方が、素晴らしい指導医がたくさんいる実地医家の会との連携を作ってくれていたので、解剖上がりの臨床を知らない私が「家庭医実習」を必修化できたのだと思います。実習先になりうる開業医とは?実習を引き受ける開業医に必要な素質はありますが?また高い理想とは?もう少し具体的にご教示ください。該当する先生がいたら是非紹介したいと考えます。良い医者は誰が見ても「良い医者」です。それは誰もそう思うと思います。教授 福島統 先生「国民のための医者をつくる大学 この理念の下に医師を育成する」

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教授 富田剛司 先生の答え

緑内障手術を受けた患者さんの細菌感染について日本緑内障学会からの災害時の注意を読みました。緑内障手術を受けた患者様では、衛生環境の悪化や抵抗力の低下によって細菌感染(濾過胞炎・眼内炎)を生じる危険があります。とありますが、術後どのくらいの期間までを指すのでしょうか?術後1年以上であれば危険がないのか、そもそも緑内障手術を受けた患者さんは常に細菌感染のリスクがあるのか?教えていただけると助かります。私の地域でも被災地からの避難者(疎開?)が増えてきました。整形外科(クリニック)をやっていますが、できることは全てやって差し上げようと他の領域についても勉強を始めた次第です。初歩的なことかとは思いますが宜しくお願いします。緑内障手術の中でも術部位に濾過胞が形成される線維柱帯切除手術後の、濾過胞関連感染症の発症頻度は、報告にもよりますが、1から3%とされており、感染のリスクは濾過胞が形成されている限り(これがあるために眼圧が下がるのですが)続きます。濾過胞の壁(結膜)が非常に薄くそこから房水が漏出しているような状況の場合、濾過胞が眼球下方に形成されている場合は、特に感染のリスクは高くなります。逆に、十分に壁の厚い(厚い結膜で覆われている)濾過胞の場合はリスクはほとんど無くなります。眼科医にすぐ診察を受けられないような状況下で緑内障術後の患者さんがいらした場合は、点眼中止が可能かどうかの判断は難しいと思いますので、念のため抗生物質の点眼薬を継続して使用していただく方がよいと思います。 眼底三次元画像解析装置について眼底三次元画像解析装置については3,4年前に記事を読んだ記憶があります。(確か富田先生の記事でした。)まだ完成に至ってないとのことですが、完成度としてはどの程度まできているのか教えてください。眼底三次元画像解析装置は、すでに検査技術料が保険収載されており、そういう意味では眼科診療に一般的に受け入れられています。完成に至っていないとの記事内容ですが、画像解析装置のみを用いて緑内障を100%自動診断するには至っていない、という意味で書きました。画像解析装置の使用目的として、健康診断などで眼科医がいないような状況下においても緑内障を早期に自動診断することが究極的な目標の一つに挙げられています。しかし、今のところ装置のみによる診断精度は80%から90%くらいであり、現時点では画像解析結果の最終判断は眼科専門医に委ねられるべきであると考えています。心身不安からくる疾患(眼科領域)について災害時などでは心身不安から急性緑内障発作をおこす方がいるとのことですが、他にも気をつけるべき疾患はありますでしょうか?眼科分野において、緑内障の急性発作以外に急激に発症し早急な治療を要する疾患としては、網膜剥離、網膜中心動脈あるいは静脈閉塞症、視神経炎(眼を動かすと眼の奥が痛いなどの症状を伴って、強い視力低下を自覚する)、ぶどう膜炎の発作(ベーチェット病など)等々がありますが、自覚症状としては通常、眼の症状に限定されるので、少なくとも眼疾患であることは比較的分かりやすいと思います。災害時の心身不安ということを考えた場合、逆に目に関する不定愁訴のようなものが増える可能性もあると思います。緊急性を見分ける検査としては、やはり視力検査が重要と思いますので、どこかに視力表があるとよいと思います。この場合、メガネを掛けた状態で矯正視力を評価するのが重要な点です。急性緑内障先生の記事大変勉強になりました。大橋病院さんで、救急に運ばれてきて、結果、急性緑内障だったケースは年間何例くらいあるのでしょうか?私は、強い頭痛、吐き気を訴えてきた患者さんは、まず近くの脳神経外科に直ぐ行かせていました。今のところ、結果急性緑内障と診断されたことはないのですが、先生の記事を拝見する限りでは、眼科もある病院を紹介した方がよいのでは?と考え直しているところです。緑内障の発作であると最初はわからなくて体調不良として救急を受診される方はさすがに少なくて、ほとんどがすでに眼科医を受診された上で緊急紹介されるか、救急で受診されても眼の症状ということで最初から眼科に廻されてくることが多いです。大橋病院で救急に運ばれてきて、最初はわからなくて脳外科的検査も受けた後、結果、急性緑内障だったケースは私の記憶では、この5年間でお一人くらいだったと思います。なので、ほとんどの場合は問題とはならないと思いますが、眼科医が眼をみて初めて、「あ、緑内障の発作だ」という事例はありますので、やはり、可能であれば眼科もある施設にご紹介されるのがベストと考えます。40歳からの眼科健診先生が推奨されている「40歳からの眼科健診」は私も賛成です。先生も他でご指摘されているように、生活習慣病に焦点があてられている住民健診では眼科健診を取り入れることは難しい、と考えますが…。しかし一方で、全ての自治体が動き、住民健診の中に眼科健診が取り入れられた場合、現状の眼科医でさばけるのでしょうか?緑内障の診断は難しいと聞きます。健診を標準化できるように眼底三次元画像解析装置など開発されているかと思いますが、住民健診の場全てにその装置を配備することは難しいのでは?と思います。この点について先生の見解をお聞かせいただければと思います。先生のご指摘はまったくその通りだと思います。先の眼底画像解析装置のご質問にもお答えしましたが、画像解析装置での眼底スクリーニングには限界がありますので、住民健診の場で使用できる現状にはまだ至っていません。現時点で私が考える最も効率的な緑内障を含めての眼底疾患スクリーニング法は、無散瞳眼底写真撮影です。考え方としては、胸部レ線による疾患のスクリーニングに近いと思います。眼底カメラの価格は300から500万円くらい。熟練した技師であれば眼底写真撮影は数分ですみますので、畳一畳分くらいの暗室があればOKです。写真はカラープリント(あるはスライド)にして眼底読影医(眼科専門医が望ましい)が判定することになります。したがって、健診の場に眼科医がかならずしも常駐する必要はありません。問題は、先生もご指摘のように、眼科医が対応できるのか、ということです。眼底読影という点については、各健診地区で読影の拠点施設(眼科医会の協力が必要か)を確立できれば良いように思いますが、スクリーニングで精密検査が必要となった場合が問題となります。緑内障で言うと有病率は5%であり、おそらく日本人全体で350万人くらいの緑内障が患者いると想定されます。日本眼科学会に登録している眼科医は現在1万5千名くらいですので、単純計算で眼科医すべて(後期研修医も含め)が200人強の緑内障患者を受け持つことになります。残念ながらこれは眼科医からみれば無理な数字です。誰が緑内障を診るのか、ということについては今後の議論を待たねばなりませんが、"40歳以降の目の健診"については、現在は会社の健康診断や各病院の人間ドックメニューに眼底写真撮影を取り入れてもらうようにすることから健診者を増やしていければと思っています。手術時の患者さん対応について目の手術となると患者さんの不安は大きく(当然ながらメスが近づいてくるのが見えるんですよね?)、しかも局所麻酔なので、周囲の音も聞こえ、ますます不安が大きくなるのかと想像します。手術の時に患者さんをリラックスさせるために行っていることや、気をつけていることがあればご教示ください。大変重要なご質問です。手術前の患者さんをリラックスさせるための手段として、多くの眼科施設でBGMを流しています。私の施設でもクラッシックやヒーリング系の音楽を流すようにしています。子供や若い患者さんには、あらかじめ自分の好きなCDなどを持ってきてもらって、それを流しています。また、洗眼などの手術準備中はできるだけ声を掛けながら、場合によっては世間話をしながら、患者さんの緊張をほぐすようにしています。富田先生は最初から眼科医を目指していたのでしょうか?富田先生は最初から眼科医を目指していたのでしょうか?また眼科医を目指そうと思ったきっかけなどあれば教えていただければと思います。私は学生の頃は、循環器内科に興味を持っていました。心電図を読むのが好きで、先生に褒められたのも一因です。ただ、眼科のポリクリの時に、アメリカのNIHでの留学から帰ってきたばかりの講師の先生が、眼科の疾患の説明はそっちのけで、人間の眼と、魚やカタツムリの眼の構造上の違いや類似点を楽しそうに話してくれたのが強い印象となって、父が眼科医であることもありましたが、眼科医の道を選びました。日本人と欧米人の眼の違い外科系の先生からは日本人と欧米人では体質が違う(肉食系の欧米人は血がドロドロ、でも止まりやすい、日本人は臓器が小ぶりなので欧米人よりも手術に気を遣う)ので、注意するようにと教わりました。眼もそのような質の違いがあるのでしょうか?(医学生)確かに日本人の眼と欧米人の眼で違いがあるように感じます。眼球は、眼窩という頭蓋骨のくぼみの中に収まっていますが、欧米人の眼窩は広くゆったりしており、日本人の眼窩はそれよりは狭い感じがあります。眼球の大きさはさほど違わないので、日本人の眼は眼窩周囲の組織に圧迫されているような感じがあります。したがって、硝子体圧が高めです。これは、白内障手術などをする場合、水晶体がせりあがってくる感覚があり、やや、手術がやりにくいと感じる場合があります。ただ、日本人の眼で慣れてしまうと、逆に白人の手術をする場合、眼球内がふにゃふにゃしている感じがあります。したがって、白人の眼はそっと丁寧に扱う必要性があるように思います。ただ、これは微妙な違いなので、ものすごく問題になることはありません。眼科医以外が眼科のことを学べる取り組み「どの科の専門であっても医師ならば必ず眼科の講義は受けているはずですが、眼の疾患がおざなりになっている現状を危惧せずにはいられません。」全くその通りです。私も講義を受けた記憶はありますが…。数年前から大学を離れ、診療所で患者を診るようになり、今更ながら後悔しています。プライマリー・ケア医に役立つ眼科セミナーや、勉強会など、眼科医以外が眼科のことを学べる取り組みがあれば参加したいと思います。もしご存知でしたらご教示お願いします。真摯なご姿勢に敬意を表します。大変重要なポイントをご指摘いただいたと思います。残念ながら、日本眼科学会や眼科医会には、他科の医師を対象とした眼科プライマリー・ケアに関する講習プログラムはこれまで存在しておりません。今回のような大震災を経験しますと、専門科を超えて医師が最低限知っておくべきプライマリー・ケアの知識と技量の生涯教育の必要性を痛感します。他科医師を対象とした眼科のプライマリー・ケア―のセミナーに関して、一度、学会に提言してみたいと思います。海外と日本の違い富田先生は海外留学のご経験も豊富とのこと。富田先生が思う、世界で一番眼科医療が進んでいる国はどこでしょうか?またその理由もご教示ください。失明率(一定人口中の失明者の数)や人口あたりの眼科医の数、眼科診療器械の普及度、眼科手術の件数、等々でその国の眼科医療を評価した場合、日本の眼科医療が実は世界一という結果が出ています。これは、日本の保険医療制度が大きく貢献しているとも言われていますが、日本の眼科医の質の高さを示す、誇るべきことであると思っています。近年、岐阜県の多治見市と沖縄の久米島で緑内障に関する疫学調査が行われましたが、それに付随するデーターとして、両地域間の失明率に違いはないことが明らかになりました。このことは、すくなくとも眼科医療に関しては、日本のどの地域であっても遜色なく普遍的に行われていることが示されており、日本の眼科医療が世界一であることを裏付けるものであると思います。総括大変多くの方からご質問をいただき感激しました。今回の質問にもありましたが、何と言っても、東日本大震災に関することで、眼科医療の重要性が再認識されていることをお伝えしたいと思います。今回、被災地から点眼薬やコンタクトレンズ用品、眼科医の不足を訴える声が大きいと聞きます。災害地が広範囲にわたるため、とりあえず近隣の眼科医を受診するということが出来なくなっているのです。災害では救急救命が重要なことは言うまでもありませんが、避難生活が長期化しだすと、やはり慢性疾患や、視覚などの生活の質を左右する要素に関するする対応も重要であることが痛切に感じられました。現在、産科医や小児科医の不足が問題になっていますが、実は、眼科医の数も年々減っています。今後日本が超高齢化社会を迎えるにあたり、物がみえているという最低限の生活のクオリティーを守るべき人がもっと増えてもいいのではないかと思っています。教授 富田剛司 先生「全身の疾患が眼に現れることは明確 眼を診るのは診断の第一歩である」

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小児入院の約3%が退院後1年以内に4回以上再入院、小児入院医療費の約23%に:米国

米国小児病院の入院患児の約3%が、退院後1年以内に4回以上の再入院を繰り返し、それにかかる医療費は小児入院医療費全体の約23%、入院件数にして約19%に上ることが明らかにされた。また再入院を繰り返す小児の大半は、同一器官系の問題によるものだったという。米国・ハーバード・メディカルスクールのボストン小児病院総合小児科のJay G. Berry氏らが、全米の小児病院に入院した32万児弱について行った、後ろ向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月16日号で発表した。全米37の小児病院への入院患児を約5年間追跡Berry氏らは、2003年に全米37ヵ所の小児病院に入院した31万7,643児(入院件数:57万9,504件)について、2008年まで追跡した。主要評価項目は、追跡5年の間の、各365日以内での最大再入院回数。結果、退院後365日以内に1回以上の再入院をしたのは、全体の21.8%にあたる6万9,294児だった。退院後365日以内に4回以上の再入院を繰り返したのは、全体の2.9%にあたる9,237児で、退院から次の入院までの期間の中央値は、37日(四分位範囲:21~63)だった。これらの患児の入院件数は10万9,155件と、全体入院件数の18.8%を占めた。またこれらの患児の入院医療費については、追跡期間中の被験児全体にかかった入院医療費の23.2%(34億ドル)に上った。再入院件数増加につれ、複雑慢性症状の罹患率、技術的サポートは増加1年以内の再入院件数増加に伴い、神経節の障害など複雑な慢性症状の罹患率は増加する傾向がみられた。再入院回数0の22.3%(24万8,349児中5万5,382児)から再入院回数4回以上では89.0%(9,237児中8,225児)へと増加が認められた(p<0.001)。その他、消化や神経などに関する技術的サポートを要する患児の割合は、同5.3%から52.6%へ(p<0.001)、公的保険加入者の割合は、同40.9%から56.3%へ(p<0.001)へ、また非ヒスパニック・黒人患者児は、同21.8%から34.4%へ(p<0.001)増加する傾向が認められた。一方で、1年以内の再入院件数増加に伴い、喘息や蜂巣炎といった外来治療が可能な疾患による再入院率は、23.1%から14.0%へと減少する傾向がみられた(p<0.001)。1年以内に4回以上再入院した患児のうち、28.5%にあたる2,633児は、すべての入院が同じ器官系の問題によるものだった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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教授 川合眞一先生の答え

関節リウマチの診断基準現場では忠実に7項目のうち4項目以上の診断基準を満たせば診断されているのでしょうか?だとしたら3項目、2項目が陽性の患者にはどのように対応しておられるのでしょう?たとえばリウマトイド因子のみが高値の患者が診断されないとしたら、本来の早期発見の意味から解離してはいきませんか?Webでも紹介させていただいたように、関節リウマチ(RA)のお馴染の7項目の1987年の分類基準は、23年ぶりに改訂されました[Arthritis Rheum. 2010;62:2569-81、「今日の治療薬2011」(南江堂)の抗リウマチ薬の解説部分(p.298)に私が紹介しています]。その新分類基準の目的は、より早期の患者をRAと診断しようとするものですが、それでもご指摘のように点数が足りずにRAに分類できないということはあり得ます。しかし、ご理解いただきたいのは、これらは分類基準であって診断基準ではないことです。即ち、臨床研究を前提として一定の所見を持つ患者群を選び出すのが分類基準の本来の目的ですので、ある専門家が分類基準に当てはまらない例をRAと診断することを否定するものでは決してありません。ということで、実際にはかなり稀なことではありますが、私も分類基準を満足しない例をRAと診断することもございます。分類基準を満たさない患者にRA治療を行うか行わないかは患者によって異なりますが、一方でRAと診断しても治療を要さない例もある訳で、診断と治療とは別の問題です。なお、ご指摘のようなリウマトイド因子(RF)のみが高力価陽性という所見だけでしたら、私はRAと診断することはありません。RFは元々特異性が低い検査ですので、関節症状が全くなければ、むしろ他の自己免疫疾患や肝疾患などを考えた方が良いかもしれません。もちろん、健常者でもRF陽性の患者は将来的にRAなどの自己免疫疾患を発症する確率は若干高いという報告はありますので、他疾患も否定できるようなら、将来RAなどを発症する可能性はRF陰性の方よりは若干高いというご説明だけはしています。避難所での関節痛対処(関節リウマチの見分け方)について避難所を回っています。避難所では高齢者は座りっぱなしなので、関節痛を起こしています。単なる関節痛の方が多いとは思いますが、念のため、関節リウマチも念頭にいれて疑ってかかりたいです。自分で調べればよい話ですが、少し余裕がありません。なんかしらのチェックリストがあるとありがたいです。ご教示宜しくお願いします。高齢者に最も多い関節疾患は変形性関節症ですが、もちろん関節症状を訴える患者に関節リウマチ(RA)が含まれているかもしれません。しかしそういった場合には、通常、既にRAと診断された方が多いと思いますので、患者の訴え(既往歴)を聞くのが最も良い方法と思います。避難所で初発例に遭遇する可能性もないとは言えませんが、その場合は極めて早期の発症例ですので、診断はしばしば困難なことがあります。その場合は、チェックリストというよりは、前のご質問にお応えしたようにRA分類基準などを参考に診断することになります。前述しましたように「今日の治療薬2011」(南江堂)のp.298に紹介しております。薬がない関節リウマチ患者の応急対応について現在、薬剤を取り寄せてはいますが、薬が不足しています。薬がないからあきらめろとは言えません。薬がくるまでの間にできることはあるのでしょうか?私はリウマチ専門外です。アドバイスいただけると幸いです。関節症状が非常に強いときには原則として関節局所の安静を取る必要があります。ただし、あまり長く(数日間でも)極端な安静が続きますと筋力が低下し、動きが悪くなります。当然、長期的には関節可動域が減少してしまいます。そのため、痛い中でも若干は動かして関節可動域を保つことが必要ですが、その場合は「翌日痛みが増すようなら動かし過ぎ」という判断が宜しいように思います。なお、最近のRA治療は抗リウマチ薬が中心ではありますが、適切な効果・副作用モニタリングができる環境がなければ、投与はし難い薬です。薬がなければ仕方がないですが、ステロイドやNSAIDが手に入るようになりましたら、低用量のステロイド(プレドニゾロンでなるべく5 mg/日以下が望ましい)やNSAID(消化管潰瘍の既往がある方や高齢者ではプロトンポンプ阻害薬などを併用)で当面の痛みのコントロールをする方が安全かもしれません。もちろん、その後十分な環境が整えば、抗リウマチ薬を併用してステロイドとNSAIDは減量・中止を目指すことになります。皮膚科との連携私は大学病院で皮膚科医をしています。皮膚科でも膠原病の患者さんを診察することが多いです。膠原病は全身症状を合併することが多いため、治療はほぼ膠原病内科医にお任せしているのが現状です。皮膚科医として治療に参画できないのが非常にジレンマで、膠原病内科を勉強するために国内留学も考えたぐらいでした。膠原病内科医が皮膚科医に求める要素を教えてください。同じ疾患を違う専門家が診るのは非常に大事で、内科医の視点と皮膚科医の視点とは違うことがあります。例えば、臓器障害があるような例ではご指摘のように治療は内科が担当するかもしれませんが、皮膚科医の視点は内科医にとって非常に参考になりますので、病理所見も含めた皮膚所見のプロの視点を内科医にご教示いただければと存じます。もちろん、皮膚科の先生の内科での研修は膠原病内科の立場からは大歓迎です。併用についてメトトレキサート 使用時のステロイド NSAIDの併用について教えてください。メトトレキサート(MTX)は関節リウマチ(RA)の基本的な治療薬ですので、ステロイドやNSAIDと併用される可能性は高いと思います。まず、ステロイドとは直接の薬物相互作用は知られていませんが、共に免疫抑制作用がありますので、両者の併用は単独よりは感染症が増加する可能性が考えられます。ただ、実際には大きな問題は生じません。一方、NSAIDとMTXの併用は、特にMTXの高用量を使用する癌治療では相互作用が指摘されています。NSAIDは腎血流量を減少させますので、両者の併用によりMTXの腎排泄が遅れ、血中濃度が高くなって骨髄抑制などの副作用を合併しやすくなるからです。ただ、RAにおけるMTX療法は週1-2日だけ、しかも少量投与です。その用法・用量範囲内では、仮にNSAID常用量を連日投与したとしても、明らかなMTXの副作用増加はみられないとされています。そうではありますが、NSAIDは既にRA治療に必須の治療薬ではなく、症状の緩和にのみ使われる対症療法薬という概念になっています。仮にMTXで十分な効果が得られた場合、最初に減量・中止すべきはNSAIDであると考えて治療に当たるべきと思います。若年性関節リウマチと成長痛との見分け方について町医者をやっている者です。専門は内科医ですが、小さな町なので幅広い症状をみています。特に中学生ですが、「成長痛」を訴えてくることが多々あります。昨年、少し様子がおかしい子がいたので、県立病院のリウマチ専門医を紹介して診てもらったところ、若年性関節リウマチと診断されました。それ以来、関節痛を訴えてくる中学生には、念のため、朝のこわばりはないか?聞くようにはしていますが、他に診察時に気をつけてみておいた方が良いことはありますでしょうか?ご教示お願いします。若年性関節リウマチ(JRA)は、最近ではより広い概念である若年性特発性関節炎(JIA)と呼ばれるようになりました。JIAは臨床所見でいくつかの群に分類され、治療法や予後などが異なっています。成長痛などと異なる診察時の特徴は、やはり明らかな関節腫脹が数週間持続することでしょう。中には発熱などの全身症状の強く出る患児もいます。血液検査をすれば、赤沈値や血清CRP濃度の増加などの全身性炎症所見がみられます。それらの所見からJIAが疑われたら、早い時期に先生がされたようにご専門の小児科医に紹介されるのが宜しいかと存じます。なお、リウマトイド因子は陰性であることが多いのですが、陽性の患児もいますので、JIAか否かの診断には役立ちません。関節リウマチの治療とリハビリについて関節リウマチの治療とリハビリについて教えてください。症状によって個人差はあるかと思いますが、一般的に「週に何回くらい診察があるのか?」「週に何回くらいリハビリを行うのか?」を知りたいと思っております。基本的な質問で恐縮ですが、最近田舎でクリニックを始めたばかりなので……。患者に聞かれて困っています。(ずっと大学にいました。一歩外に出ると専門外は何も分からないことに今更気づきました。。お恥ずかしい限りです。)メトトレキサート(MTX)などの抗リウマチ薬を開始する場合は、私はまず2~4週毎の受診を患者に勧めます。もちろん、次の診察日前に何か副作用が疑われる症状を自覚したら、必ず予約外でも受診するようにも説明しています。その後症状が安定し、治療薬も変える必要がなくなったら、症状や薬によって若干違いますが1~3か月毎に診察しています。来院時には必ず採血や検尿で副作用や効果をモニタリングすることが重要で、我々の病院では診察前の採血および検尿結果をチェックしながら診察し、診察所見と検査結果に問題ないようなら治療を継続するようにしています。クリニックなどで当日の検査結果が得られない場合は診察のみで方針を決定するしかありませんが、その場合でも検査会社から例えば翌日検査結果が送られてきたら、なるべく早く内容をチェックし、好中球減少や肝機能障害などを調べる必要があります。心配な結果があれば患者に電話などで連絡し、臨時の受診をお勧めするなどの対策を取った方が安全です。リハビリについては決まった方法はありません。一般には自宅でのリウマチ体操をお勧めしていますが、Webなどで参照できますのでご確認ください。ここでは、公益財団法人日本リウマチ財団のホームページ (http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/taisou/taisou.html) を紹介いたします。もちろん専用のリハビリ施設をお持ちでリハビリ指導を積極的にされている施設もあり、そこでは症状に応じて週1~5回の外来指導が行われていることが多いと思います。さらに、入院でリハビリ治療を積極的に行っている病院もございます。 早期リウマチのMMP-3抗CCP抗体、CARF高値でMMP-3正常の早期リウマチではまだ関節滑膜の変化が少ない時期と考えてよろしいでしょうか。血液検査値だけでは関節滑膜の状態を判断することはできません。まずは、早期でも変化があることがあるのでレントゲン検査で骨・軟骨変化を診るのが基本と思います。さらに最近では超音波、ときにMRIなどで形態的な変化を診ることにより、総合して滑膜や骨・軟骨の変化を診断すべきと思います。早期リウマチの治療若い女性(22歳)、朝のこわばり(これは1時間以上)、両手指の第2,3PIPに痛みあります。検査は抗CCP抗体陽性、MMP-3やCRPは軽度上昇。最初に行う治療を教えてください。まず関節症状が痛みだけではなく腫れがあるかどうかを診察で確認します。ご質問には罹病期間の記載がありませんが、症状が1週間以内でしたら、私ならNSAIDを投与して経過をみます。明らかな腫れが2週間以上続いているようでしたら、重症度にもよりますが、サラゾスルファピリジン(SASP)を試みることもあります。関節腫脹や疼痛がかなり強いようでしたら最初からメトトレキサート(MTX)を始めることもありますが、妊娠を希望されている方には使えませんので、特に22歳という若い患者ではその点は十分に聞く必要があります。なお、MTXの胎児毒性は妊娠前に3か月の休薬をすることで回避できると言われています。仮に、MTX治療を開始後に患者が妊娠を希望されたら、MTXを中止してもその後3か月は避妊するように指導します。総括RA治療薬は最近の進歩が著しいので、治療に困ったらなるべく早く専門医に相談された方が良いように思います。また、RAと鑑別すべき類縁疾患は少なくありません。その意味では、診断に迷う患者についても、早い時期に専門医に相談されることをお勧めします。教授 川合眞一先生「関節リウマチ治療にパラダイムシフトをもたらした生物学的製剤」

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急性中耳炎児へのアモキシシリン-クラブラン酸治療は有効か―その1

2歳未満の急性中耳炎について、即時に抗菌薬治療を行うべきか、それとも経過観察をすべきか、国によって勧告は異なっている。米国ピッツバーク大学小児科部門のAlejandro Hoberman氏らは、無作為化プラセボ対照試験の結果、生後6~23ヵ月の2歳未満の急性中耳炎に対する抗菌薬アモキシシリン-クラブラン酸(商品名:オーグメンチン)の10日間投与は、症状消失期間の短縮など短期的ベネフィットをもたらすと報告した。NEJM誌2011年1月13日号掲載より。7日間の症状スコア、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低い試験は、発症48時間以内で両親によるAOM-SOS(Acute Otitis Media Severity of Symptoms)スコア評価が3以上、中耳滲出液が認められ、中等度、鼓膜隆起、耳痛を伴う腫脹があるなど厳密な診断基準で急性中耳炎と診断された生後6~23ヵ月児291例を無作為に、10日間アモキシシリン-クラブラン酸を投与される群(144例)もしくはプラセボ投与群(147例)に割り付け、症状についての反応と臨床的失敗率を評価した。結果、初期症状の消失は、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の小児については、投与2日で35%に、4日までに61%、7日までに80%に認められた。一方プラセボ投与群では、初期症状の消失は2日で28%、4日で54%、7日で74%に認められるという結果であった(全体の比較のP=0.14)。症状の持続的な消失も同様の傾向が認められた。アモキシシリン-クラブラン酸投与群の小児については、投与2日で20%に、4日までに41%、7日までに67%に認められる一方、プラセボ投与群では、同14%、36%、53%であった(全体の比較のP=0.04)。治療7日間の症状スコアの平均値は、プラセボ群よりもアモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低かった(P=0.02)。厳密な基準で診断された患児への短期的ベネフィットは大きい臨床的な失敗(耳鏡検査で急性感染症の徴候の持続していることを確認)率も、プラセボ群と比べてアモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低かった。具体的には、4~5日もしくはそれ以前の受診時の失敗率は4%対23%(P<0.001)、10~12日もしくはそれ以前の受診時の失敗率は16%対51%(P<0.001)であった。有害事象については、乳様突起炎がプラセボ群で1例認められた。また、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が、下痢、おむつ皮膚炎が多くみられた。鼻咽頭の非感受性肺炎球菌Streptococcus pneumoniaeの保菌率については、両群とも有意な変化は認められなかった。これら結果を受けてHoberman氏は、「重症度に関係なく、アモキシシリン-クラブラン酸の10日間投与は、相当な短期的ベネフィットをもたらす」と結論。その上で、「このベネフィットについては、有害事象だけでなく耐性菌出現のことも重視し、治療は厳密な基準で診断された患児に限定して行うことが強調される」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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急性中耳炎児へのアモキシシリン-クラブラン酸治療は有効か―その2

急性中耳炎児への抗菌薬治療の有効性については、なお議論が続いている。フィンランド・トゥルク大学病院小児科部門のPaula A. Tahtinen氏らは、二重盲検無作為化試験の結果、3歳未満の急性中耳炎に対する抗菌薬アモキシシリン-クラブラン酸(商品名:オーグメンチン)投与は、プラセボと比べて有害事象は多いがベネフィットがあると報告した。NEJM誌2011年1月13日号掲載より。8日間の治療失敗62%低下、レスキュー治療の必要性81%低下試験は二重盲検無作為化試験で、(1)耳鏡検査で中耳滲出液が認められ隆起や可動性の喪失・制限など二つ以上の鼓膜所見があり、(2)鼓膜に紅斑など一つ以上の急性炎症性徴候が認められ、(3)発熱、耳痛など小児が急性症状を呈する、といった厳密な基準で急性中耳炎と診断された生後6~35ヵ月児319例を対象とした。被験児は、無作為に、7日間アモキシシリン-クラブラン酸を投与される群(161例)もしくはプラセボ投与群(158例)に割り付けられ、治療開始から終了までの8日間における治療失敗までの期間を主要転帰に評価が行われた。治療失敗の定義は、有害事象を含む小児の病態全般と耳鏡検査下での急性中耳炎の徴候とした。結果、治療失敗は、アモキシシリン-クラブラン酸投与群は18.6%であったが、プラセボ群は44.9%に認められた(P

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副院長 教授 加藤良二 先生「人を助けるために何かをしたい。その動機が医師の原点となる」

1952年9月25日生まれ。79年群馬大学医学部卒業。専門分野は消化器外科、呼吸器外科、外科免疫。平成21年東邦大学医療センター佐倉病院副院長就任。日本外科学会認定医・指導医、日本胸部外科学会認定医、日本消化器外科学会認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医であり、日本気管食道科学会理事、日本癌治療学会代議員、日本臨床外科学会評議員、日本肺癌学会評議員他。理想とするこれからの外科手術外科手術の習得は決して平易ではありません。人の身体にメスを入れても平常心でいられるまでに十数年はかかります。さらに、外科の手技を習熟するまでは、寝ても覚めても頭の中でシミュレーションを繰り返し、開腹して速やかに対処できるようになるまでは、十数年はかかるでしょう。それまでは、実は怖いのです。正直に言えば最初の1、2年は怖くてしょうがない。5年、6年と経験を積んで後輩を指導する立場になっても、恐怖感をすべて拭えるわけではなく、一つの臓器担当チームのチーフになったとしても怖いという感覚はあります。そのチーフたちを束ねられるようになって、ようやく一人前の外科医になれたかな、と実感するのではないでしょうか。外科は守備範囲の広い分野です。近年では臓器別に守備範囲が細分化されています。しかし、私はむしろ広くあるべきで、外科医は昔のように、一人でどの臓器でもこなせるレベルを目指してほしいと思います。最初から限られた分野だけで臨床トレーニングを行っていると、他分野の進歩についていけず、総合的な臨床力が育成されないことが問題となります。これからの医療は複合的な疾患を持つ高齢者の割合が増えるため、広い臨床的視野が求められます。当科では外科学全般を習熟した後、それぞれの専門分野で臨床・研究活動を行うことが最善と考えております。これが、当外科の最大の特徴です。呼吸器でも消化器でも、外科手術全般においてまず学ぶ。つまり、外科手術の分野においてすべての症例に対応できる医師の育成という日本でも珍しいシステムを構築しています。消化器でも心臓でも当病院の外科に来れば何でも対応できるようになると自負しています。これこそ私の目指す外科医像であり、端的に言えば無医村へ行っても一人で対応できる外科医なのです。私が目指している「患者さんに優しい手術」の具体的なイメージは、笑われるかもしれませんが心霊手術です。患部を撫でたらスーッと切れて、腫瘍だけを取り除いて、またスーッと撫でたら傷も何も残らない。荒唐無稽と思うかもしれませんが、切られる方としては理想です。痛くないのですから。だから「こんなのができたら患者さんの負担がなくていいな、理想だな」と思っていました。すると内視鏡手術が発達してきた。昔だったら30cmも切っていたのに、今では1から3cm程度で済んでしまうことも多い。回復も早く理想に近づいていますよね。映画の『ミクロの決死圏』(20世紀フォックス)では、外科医(この場合は脳外科医)が小さくなって人体に入り込んで治療してしまいます。これはすごい。患者さんにとっては理想の低侵襲手術です。現実の世界では、人は小さくなれませんが、カプセル型の内視鏡を飲み込ませたり、血管の中をカテーテルで進んだりと、映画の世界にどんどん近づいてきています。外科医は法の下に人を切ることができるのです。いかに痛みの少ない手術をするか、それを考えることが外科医の使命でもあるわけです。「あれはオカルトだ」とか「SF映画だからだ」などと馬鹿にしないで、実現したら患者さんのためになることは、常に理想として頭の中に置いておき、少しでもそれに近づける努力をしなければいけないと思っています。模倣とシミュレーションで手術を構築する若手医師には「いい手術だと思ったら、そっくりまねをしなさい」と指導しています。立ち位置からものの言い方まで、すべてその人になりきって覚える。上手いと思った先生の模倣をしろ、ということです。物まねが上手というのもひとつの才能で、早く上手になる秘訣でもあります。なぜならば、より具体的なイメージがつかみやすいからです。上手だと思った先生のイメージを描いて自分の中でシミュレーションし、実践する。実践した中で"なんかおかしいな"と感じたら、そこで修正することができるようになるのです。もしもイメージシュミレーションができなかったとしたら、手術中に何か問題が起きたときに頭の中が真っ白になって、瞬時の対応ができなくなります。こんな時、あの先生だったらどうするかな?と考えられることが大事なのです。だからこそいろいろな場面に立ち会うことが大事で、少しでも多くの手技を学んで、覚えてほしいです。たとえば、初めて虫垂炎の手術を任されたとして、そのシミュレーションが即座に描けなければ実際の手術を遂行するのは無理でしょう。もしも手術を任される場面があったとして、1時間の手術だったとしたら、5分以内に収まるようなシミュレーションをする。もちろん実際に始めると1時間かかりますけどね。(笑)今の若い医師ができないのは、教えてもらうことに慣れてしまっていて、想像力が働かない。現在の教育の弊害というか、勉強とは自分で興味があるから覚えよう、役に立つから覚えようという明確なモチベーションがあってこそ学びますが、今はさしたる動機もなく「さぁ、覚えますから教えてください」というスタンスなのです。学びに対するハングリーさがないのは残念ですね。では、どうしたらいいか?自身の動機付け。なぜ医師になろうと思ったのか?自分の持っている医師としての理想の姿。それを思い出してほしい。そこから始めなければならないと思います。医師になったということは、人のために何かしたい、何かしなくちゃいけない、と思ったはずです。その気持ちを大事にしてもらいたい。その上で人の役に立つためには自分は何をすべきなのかを考えるようにして欲しいです。習得したことはすべて伝播したいこれから私のなすべきことは、教育です。この先教授でいられるのは、あと7、8年。その間に自分の技術を伝えること。今まで私が培ってきたものを、瞬時にして伝えることができたらどんなにいいだろうか、と思います。若手には、気兼ねなくどんどん質問してきてほしいです。何でも教えます。先ほども触れましたが、よいと思ったことはどんどんまねて欲しいです。実は、教えている方も、若い人の手術を見ていて「あっ、こいつは俺のまねをしているな」ってわかった瞬間、すごく嬉しいものなのです。これまで私は、年間約300例、一時は約500例の手術をこなしてきました。それこそ首からお尻まで何でもやりました。消化器だけとか、肺だけとか区切りをつけずにやってきました。今年の正月も、腹腔鏡下虫垂切除術と大腸穿孔の手術をしました。腹腔鏡下虫垂切除術は1月1日、除夜の鐘を聞きながらの執刀でした。何も特別な疾患があって私が執刀したのではなく、当直が一番若い医師だったので「ちょうどいい機会だから直接指導できるな」と思ったのです。昼間のスケジュールに組み込まれた手術は、時間が限られていますが、この場合のようにイレギュラーですと急ぐ必要もないからじっくりと丁寧に指導できるのです。このような機会を得たときに「自分はラッキーだ」と後輩が思ってくれれば嬉しいですね。私達が若いときは、みんな進んで当直しました。多いときで26日、平均20日間くらいは医局に寝泊まりしていました。もう、下宿なんか引き払おうと思ったくらいでしたよ(笑)。たくさんの患者さんを診たい、その一心でした。もちろん毎晩患者さんが来るわけではないのですが、だからこそ毎晩でも当直したかった。昼間の手術なら新人は術野もまともに見られないような手伝いでしたが、夜なら重要な役割をさせてもらえたからです。そういう機会を少しでも得たいと思っていました。今の学生にもそんな気持ちを持ってほしいですね。だからといって無理はいけません。過労死したら元も子もありませんからね。これからも私は"人を助けるために仕事をしている"という初心を忘れない。そして私の理想とする医療を実現するために、常に自身を新陳代謝させて、よいと思ったことは何でも取り入れるように心がけています。大親友の死を期に決意した医師への道医師になろうと思ったきっかけは、小学校の低学年のときに読んだ野口英世の伝記でした。ただ、私が感銘したのは英世にではなく、彼の手を治した医師(現在の形成外科医?)でした。英世の母親は、自分がちょっと目を放した隙に大事な息子の手に大火傷を負わせてしまった。そのことに責任を感じ、悔やみます。そして、少しでも楽に手が使えるように……と願います。後に英世の恩人となる医師によって手の機能が回復し、英世の人生は大きく変わります。つまり、医学の力で手の機能が回復したことによって、その人の人生が大きく変化しただけでなく、母親の気持ちまでをも救えた医師に感動したのです。その事実に気付いたとき、私は医師になりたいと思いました。また、私の出身地である大分県国東半島では、当時風土病とまで言われるほど成人のT細胞白血病発症者が多い地域で、1学年で同級生が1人、2人と亡くなっていました。その頃の治療法は輸血しかなく、採血したばかりの血を直接患者さんに輸血していました。輸血された同級生が「温かい、温かいよ、良ちゃん、ありがとう」って力なく言うのです。その姿を見てますます医師になることへの使命感が高まりました。決して忘れることができないのは、高校生のときに喘息を患っていた大親友がいました。彼とは毎晩一緒に受験勉強をしていました。高校生最後の運動会に、私が応援団長で、彼が私のために太鼓を叩く役を買って出てくれました。そのおかげか、優勝して終えることができました。その夜、夕食時に彼の家族から電話があって「息子は、今日は具合が悪いから一緒に勉強できない」という伝言を受けたのです。1ヵ月前には民間療法の断食道場に行っていて「調子がよくなった」と言っていた矢先だったのですが、運動会の疲れが出たのでしょうか。脱水から来る喘息の重積発作を起こしてその日のうちに亡くなりました。悔しかった。当時の自分は何もできなくてね。この時、医師になると決心しました。深刻な外科医不足と医療の安全管理の問題点深刻なのは外科医不足であること。今は産婦人科医や小児科医の減少が社会問題となっていますが、実は一番減少率が高いのは18%と報告された外科医です。日本外科学会の会員数は約3万5千人で、現役の医師が多く活躍していることから、今まで減少率はあまり問題視されていませんでした。しかし、あと10年もすれば外科医の多い私たちの世代が引退となるので、外科医不足になるのは明らかです。これは由々しき問題です。もしこの先、私に手術が必要になったら誰にやってもらうのだろうと思うと、自分にとっても切実な問題です。人気不足の原因は3K (きつい、汚い、危険)にあるといわれています。以前は、3Kを上回るステイタスがありました。外科医はキング・オブ・ドクターと呼ばれることもありましたが、現在はどうでしょう? 外科は平均的にみて、裁判で訴えられるリスクが比較的高いというデータが検証されています。 けれども、医療ほど不確かなものはない。先進医療ほど不確かです。病院へ行けば皆助かると思っているけれども、病院は亡くなるところでもあるのです。手術がうまくいったからといって助かるとは限らないのです。では、その保障は誰がするのかというと、これは難しい問題です。たとえば、航空機に乗って事故が起きれば保険がおりますが、病気にはこのような事故に対する補償制度はありません。医療保険や医師賠償制度は別として、医療過誤や過失でなく合併症や偶発症によって亡くなった場合の補償がありません。家族あるいは遺族が無念さや怒りのやり場を病院や医療関係者に向けているのが現状です。それはマスコミの煽りによるものも少なくないでしょう。患者さんもしくはそのご家族に何かしてあげたいと思っても、個人の力ではどうしようもありません。そこで、もし過失もないのに招いてしまう不幸な結果に対して何か補填する制度があれば、訴訟も少なくなると思います。その怒りや憤り、悲しみの矛先が、世界に誇れる日本の医療を支えている医師をはじめとした医療従事者に向けられているのは残念です。医療保険制度や政策を充実させて、少しでも患者さん本人や家族の痛みを和らげることができればと思っています。非常に不確かな医療であるからこそ無過失責任補償制度というのも考えるべき一つの方向であると思います。若い医師が訴訟を恐れて萎縮したり、本来の医療ができなくなるのは嘆かわしいことであり、患者さんやその家族が納得のいく方法を考えなければ、と思っています。これは、これからの医療にとって重大かつ深刻な問題です。だからこそ、最善の道を探るのも私自身の大きな課題と考えております。質問と回答を公開中!

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液状経口の米国小児用OTCの付属計量器、約99%が説明書の単位と不一致など不適切表示

米国で、液状経口の小児用市販薬(OTC)について調べたところ、調査対象で付属計量器が付いていた製品のうち約99%で、付属の計量器と説明書で示されている投与量単位とが一致しておらず、また投与量単位が製品によって異なり、複数の単位が使われていることが認められたという。米国ニューヨーク医科大学/ベルビュー・ホスピタルセンター小児科のH. Shonna Yin氏らが、2009年時点で最も売れている200製品について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年12月15日号(オンライン版2010年11月30日号)で発表した。付属計量器が付いていたのは74%米国食品医薬品局(FDA)では液状経口小児用OTCを過剰服薬するケースが頻発している事態を受け、2009年11月、業界に対し、計量器を付属することや計量器の単位と説明書の単位を一致するなどを盛り込んだ自主規制ガイドラインを発表した。本調査は、このガイドライン発表に合わせて行われたもので、Yin氏らは、2009年10月30日までの52週間にわたり、米国で最も売れている液状経口小児用OTCについて、付属計量器の有無や説明書に書かれた投与量単位との整合性、使用されている計量単位、省略形の定義の有無などについて調査を行った。調査対象となったのは200製品で、12歳未満への投与量に関する説明があり市場の99%を占める、鎮痛薬、咳・かぜ薬、アレルギー薬、胃腸薬であった。結果、調査対象200製品のうち、付属計量器が付いていたのは、74.0%にあたる148製品であった。81%の付属計量器に余計な印付属計量器の付いていた148製品のうち、説明書の投与量と計量器の印が一致していないものが、98.6%にあたる146製品あった。具体的には、計量器の印が欠けているものが36製品(24.3%)、余計な印がついているものが120製品(81.1%)だった。投与量の単位としては、ミリリッター単位を使っていたのは調査対象の71.5%にあたる143製品、ティースプーンが77.5%の155製品、テーブルスプーンが18.5%の37製品だった。その一方で、通常は使われない「ドラム」(drams)や「cc」といった単位を使っていたのが、5.5%にあたる11製品あった。また、「mL」以外の通常は使用しないミリリッター単位の省略形を使っていたのは、97製品あった。投与量単位の省略形を使っていた165製品のうち、省略形の定義を一つ以上示していなかったものは163製品に上った。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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教授 鈴木康夫先生の答え

気分転換方法について潰瘍性大腸炎やクローン病などは、ある意味患者さんと一生の付き合いかと思います。私も慢性疾患を診ていますが、患者、家族とのコミュニケーション疲れから、医局を去る後輩もいます。先生のところでは、息抜きといいますか、コミュニケーション疲れを取り除くような気分転換について、何か取り組まれているでしょうか?もし極秘のノウハウ等あれば是非ご教示ください!残念ながら特別なノウハウはありませんし、特別な息抜き法もありません。確かに慢性疾患患者さん特有の気質があり、外来診療時間は長く神経を使う度合いも多いのはそれぞれ担当医の辛いところかもしれません。しかし、教科書や論文では判らない知識を個々の患者さんとの直接的対話や診療で初めて会得できることが未だ多くあるのも炎症性腸疾患の特徴ではないかと感じています。患者さんは日々の辛い思いを主治医に吐き出した時に初めて救われるのだ、と自分を納得させ、目の前の患者さんこそが生きた教材と知識の源だ、と思い日々の診療を楽しんでください。幸い、炎症性腸疾患は治療法が適切であれば患者さんは明らかに改善し満足いたします。患者さんが寛解し喜ぶ瞬間こそが我々主治医にとっての本当の息抜きを与えてくれる瞬間なのです。講演会の予定について是非先生の講演会に参加させていただきたいのですが、どこかに講演会のスケジュールなど掲載されているのでしょうか?ホームページなどがあれば教えていただきたく思います。宜しくお願いします。残念ながら、私個人の講演会のスケジュールをまとめてホームページでは掲載してはおりません。ただし、各市町村保健所が主催する講演会に関しては、各市町村の難病ホームページで開示している筈ですので参考にしてください。また、炎症性腸疾患に関するサイトがいくつか設立運営されており、そのようなサイト上に講演会の日程などが開示される場合もあるかもしれませんので、チェックして参考にしてください。患者・家族対応慢性疾患、特に難病だと、診断結果を患者・家族へ伝える瞬間が特に重要かと思います。先生が診断結果を伝えるときに気をつけていることや工夫していることをご教示ください。突然、難病と言い出すのは大変な誤りです。炎症性腸疾患患者さんに対して、いきなり難病ですと切り出すことは絶対にしてはならないことです。まずは病気の特徴や一般的な長期経過、そして治療法の説明をすること、個々の患者さんによって病状は様々であることを告げることも必要です。そして最終的には、現状では病因が不明であり完治が難しいという意味で、俗にいう難病に指定されている、ということを説明するべきです。難病といえども、以前に比べ格段に治療法は進歩し完治に近い治癒も可能であることも教えてあげる必要があります。後期研修について後期研修医は募集しておりますでしょうか?卒後4年目、肛門科にいますが、炎症性腸疾患の患者を多くみるようになり、興味を持っています。できれば専門としたいと考えております。情報あれば教えていただきたく存じます。当科では後期研修医制度を設け、積極的な受け入れ態勢を十分に準備しております。詳細は佐倉病院内科のホームページを参考にしてください。判りにくい場合には、ご連絡いただければいつでも対応いたしますし、参考のために来院され見学することや体験学習も可能です。 研究について現在行われている研究について教えてください。ホームページには、C型慢性肝疾患の発表資料は掲載されていますが、それ以外の情報がありません。他に何の研究を行っているのか教えてください。(医学部5年)炎症性腸疾患に関しては、基礎研究・臨床研究を含め多くの様々な研究を行なっています。その主な研究は:遺伝子工学技術を応用した細菌分析法により潰瘍性大腸炎・クローン病患者における腸内細菌叢変動の分析、その研究法を応用したprobioticsとsynbioticsの治療効果の解析、顆粒球吸着除去療法における有効性発現機序の解明、潰瘍性大腸炎病態形成と顆粒球機能異常の関連性、抗TNF-α抗体測定キットの開発、炎症性腸疾患患者抗TNF-α抗体製剤二次無効発現機序の解明、クローン病におけるre-set therapyの開発、免疫抑制剤至適投与法の開発、サイトメガロウイルス腸炎の診断と治療、新規内視鏡画像診断法の開発などを実施しています。その他、肝臓癌・膵臓癌に対する多剤併用カクテル療法の開発、肝炎・肝硬変に対するインターフェロン療法の開発なども行なっています。小児潰瘍性大腸炎記事拝見しました。毎日100人ほどの診察、恐れ入ります。外来患者のうち、小児潰瘍性大腸炎の患者さんはどの位いるのでしょうか?最近は小児潰瘍性大腸炎が増えてきたと聞くのですが、やはり増加傾向にあるのでしょうか?実際に診療されている先生の感覚値をお聞きしたく思います。私自身は内科医で小児科が専門ではありませんので、特段に潰瘍性大腸炎小児患者を多く診ているわけではありません。しかし、近隣の病院から小学生高学年以上の中学生・高校生で潰瘍性大腸炎・クローン病と診断された場合に私のところへ紹介されてくる場合が多いようです。最近では、以前に比べそのような若年者潰瘍性大腸炎患者さんの紹介率が増加傾向にあると感じています。以前には詳細な統計が存在していなかったようですが、最近炎症性腸疾患を専門にしている小児科の先生達が集計した全国統計では、小児潰瘍性大腸炎患者数は近年増加傾向にあり、重症化・難治化しやすい特徴があると報告されています。潰瘍性大腸炎罹患後の瘢痕症例は24歳男性。12年前潰瘍性大腸炎に罹患し、ステロイドパルスなどの治療を受け、現在は緩解。内服薬も必要としない。2年前のCFで、罹患時の影響か(?)5cmくらいの線状の瘢痕を認めた。この部分は将来、悪性化の可能性が他の部分に較べて高くなるのでしょうか。よろしくお願い致します。重症の潰瘍性大腸炎では、治癒寛解後も強い炎症部位に一致して瘢痕が残る場合があります。そのような部位が完全に瘢痕化したままで再燃を生じない限り、癌化の心配は通常はありません。潰瘍性大腸炎に関連した大腸癌の発生は、慢性的炎症が持続する結果として癌化を生じることが推測されています。従って、瘢痕化した部位は通常炎症が全く消失していますので特段に癌化の恐れはありません。潰瘍性大腸炎と他の腸炎との鑑別、治療方針について30代女性が粘血便で外来受診し、大腸内視鏡検査実施、所見としては盲腸と直腸にやや易出血性の発赤した粘膜があり、数か所を生検しました。病理診断は潰瘍性大腸炎の寛解期に矛盾しないがUCとの確定診断はできずとのことでした。ペンタサの投与で患者さんの症状は一旦軽減しましたが、ペンタサを中止して半年後くらいから、時に粘血便があり、なんとなく腹がすっきりしないとの訴えです。下痢はなく著名な下血はありません。再度CF生検でもUCの寛解期に矛盾せずとの診断です。現在、ペンタサを再度処方して様子を見ております。特に悪化するわけではありませんが、すっきりと良くなるわけでもなく、診断もはっきりせず、対応に苦慮しております。今後どのような方針あるいは検査、治療で臨めばよいのかご教示いただけるとありがたくよろしくお願いいします。実際の大腸内視鏡写真がないので明確なお答えは困難ですが、文面から推測すると直腸炎型潰瘍性大腸炎と診断されます。直腸炎型では盲腸にも同時に炎症所見を伴うことがよく観察されますので、潰瘍性大腸炎としては矛盾がありません。潰瘍性大腸炎では多くの患者さんが寛解後も再燃を繰り返しますので、症状が改善しても直ぐに服用は中止せずそのまま継続することが望まれます。直腸炎型でペンタサ服用によっても改善を認めない場合には、ペンタサ注腸剤の併用をお勧めいたします。ペンタサ剤の特性として病変部位に直接到達作用する必要があり、直腸炎型では注腸剤によるペンタサあるいはステロイド剤の直接的注入法が内服に比べ副作用が少なく有効性をさらに発揮してくれる可能性があります。潰瘍性大腸炎の食事私は管理栄養士です。先日潰瘍性大腸炎の患者さんから「生寿司を食べたい」の質問を受けました。潰瘍性大腸炎の症状にもよると思いますが時節がらノロウィルスの流行している時期であり、ノロウィルスに感染し下痢をすることは潰瘍性大腸炎にとって好ましくないと考えます。果物、大根おろし等は生で食べてもおかずになるものは原則加熱して食べることが必要と考えますがいかがでしょうか。アドバイスを頂きたく投稿しました。潰瘍性大腸炎の患者さんが、ウイルス・細菌感染による各種感染性腸炎や抗生剤・消炎鎮痛剤服用に伴う薬剤性腸炎の発症に注意することは、病状の再燃予防には重要であります。しかし、通常の感染予防・衛生管理を怠らなければ必要以上に過剰な食事管理をすることが医学的な意味を持つとは思えません。本来生で食することが可能である、新鮮で衛生的な食材であれば、加熱など必要ないと考えます。個々の患者・個々の病状に応じて適切な食事指導を実施すべきであり、科学的根拠のない画一的食事指導は人生の大事な要素である食の楽しみを奪いストレスを誘引してむしろマイナスになることを肝に銘じるべきです。潰瘍性大腸炎の合併症について潰瘍性大腸炎を発症3ヶ月で大腸の全摘出を受けた患者さん術後、膵炎を発症されたとのこと医師からは潰瘍性大腸炎の合併症で免疫性の膵炎だろうと診断されたとのことです現在は症状も治まっており、ときおりある自覚症状にフオイパンの服用をしているとのことでしたただ、膵炎が悪化した場合はステロイドを再開する必要がでてくるかもしれないと医師より言われているそうですせっかく大腸を全摘出しステロイドを中止することができたのにまた服用しなければならないのかと心配されています大腸を全摘出しても合併症は軽減されないのでしょうかまた、膵炎が悪化した場合の治療方法について伺えれば幸いですよろしくお願いいたします通常は膵炎を含めた様々な潰瘍性大腸炎の腸管外合併症は大腸全摘術によって改善するものですが、稀に大腸全摘術後に発症する場合もあります。その様な場合は、発現している症状・臓器に応じ限定した治療法も考慮されますが一般的にはステロイド剤を中心にした全身的治療薬の投与が必要となってきます。そして、ステロイド剤投与を避けたい場合には代わりに免疫抑制剤・免疫調節薬投与が有効性を発揮します。今回の場合、仮にフォイパンを服用しているにも関わらず自己免疫性膵炎が悪化しステロイド剤投与を避けたいとお考えであれば、主治医と相談し免疫抑制剤治療をご考慮してはいかがでしょうか。総括炎症性腸疾患は多彩な病像を形成する複雑な疾患群です。画一的にならず個々の患者さんの病状・病態を的確に判断し、適切な判断に基づいたきめ細かな医療の実践が望まれます。最近、炎症性腸疾患に関する情報が氾濫し一部には不適切な情報も含まれて患者さんに誤解を生んでいます。炎症性腸疾患における診療レベルは近年、著しいスピードで進化しています。我々主治医は勿論、薬剤師・看護師や栄養士といった患者さんに関わる全ての医療人は、科学的根拠に基づいた正確な情報を患者さんに対して迅速に適切に開示する努力を怠ってはなりません。教授 鈴木康夫 先生「最先端の治療で難病患者を支える、グローバルな医療現場」

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会員の皆様方へお知らせ NPO法人 日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会のご案内

NPO法人 日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会とは近年、産科、小児科などの医師不足、診療科の偏在化が問題視されていますが、その影で外科崩壊も進んでいます。日本は将来、外科医が激減し、手術を受けられない患者さんがあふれるという事態に陥りかねません。2009年に発足されたNPO法人日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会(略称:若手外科系医師を増やす会)は、外科系医師の待遇改善と志望者の増加を目指し、「教育」「広報」「行政対応」の3本柱を軸に日々活動しています。詳細は日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会ホームページへ代表者のご挨拶近年、医師の偏在が社会的問題として取り上げられ、日本学術会議や日本医師会からも声明や要望が出されています。医師・診療科の偏在に対して厚労省は医学部定員の増加などの対応をしていますが、現状を改善するためには十分とは言えません。特に医学生は3K(きつい、汚い、厳しい)の科には進まず、現在では3無し(当直がない、救急がない、癌がない)の科に進路を進めています。その結果、小児科、産科のみならず外科医の希望者も減少し、同時に政府の医療費削減等は外科医の労働環境を悪化させて、リスクの高い外科を選択しない事に拍車をかけているのです。この状況では何十年先に本邦に於いて、癌、心臓および移植手術等が受けられなくなる日が来るかもしれません。我々は日本から外科医がいなくなることを憂い、我々の考えに賛同してくださった多くの方の支援を得て、このNPO法人を設立することにしました。そして皆様の共に行動を起こし、この危機を解決し国民の健康に貢献していきたいと願っています。理事長 松本晃 副理事長 北島政樹画像を拡大する画像を拡大する日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会は、ご賛同いただける皆様のご支援をいただくために協力会員を広く募集しています。協力会員募集ページへ外科医の魅力とは?外科系先輩医師からの熱いメッセージを動画で視聴いただけます。動画メッセージのページへ「きみが外科医になる日」 2010年11月19日発売日本の将来のためには外科医が必要だ!日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会著者「きみが外科医になる日」が講談社から発売されました。若い外科医を目指す若者たちに向けた名医からのメッセージ、若手外科医から先輩医師としての外科医のナマの生活を公開、巻頭対談としてソフトバンク王貞治会長と理事北島先生の対談と盛りだくさんな内容です。ご興味のある方はぜひお手にとってみてください。Amazonで購入する© 株式会社 講談社 2010 Printed in Japan <内 容>■第一章「世界の王を支える外科医」医療対談 王貞治×北島政樹(主治医)■第二章明日の手術の担い手たち「今日だけは、私も外科医だ」これが外科医の仕事場だ臨床研修の現場から若手外科医インタビュー■第三章名医からのメッセージ■第四章外科医を取り巻く社会環境■第五章近未来の外科医療低侵襲化への挑戦注目される手術支援ロボット ほか■付 録診療報酬改定表日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会 主な活動内容ほかケアネットは、「NPO法人日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会」を応援しています

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ADHDの遺伝学的なエビデンスが全ゲノム解析で示された

注意欠陥・多動性障害(ADHD)では巨大なコピー数多型(copy number variant:CNV)が増加していることを示す遺伝学的なエビデンスが、イギリス・カーディフ大学のNigel M Williams氏らによる全ゲノム解析によってもたらされた。ADHDは高い遺伝性を示すが、特異的な感受性遺伝子は同定されていないため、疾患ではなく主に社会的構成概念であるとする主張も消えていない。ADHDに類似の神経発達障害では、CNVとして知られる巨大で希少な染色体の欠失や複製の関連がすでに確認されているという。Lancet誌2010年10月23日号(オンライン版2010年9月30日号)掲載の報告。ADHD患児410例と対照1,156人の全ゲノム解析を実施研究グループは、ADHDの発症におけるCNVの影響を評価し、同定されたCNVがすでに自閉症や統合失調症で同定されている遺伝子座に及ぼす影響について検討した。ADHD患児410例および1958 British Birth Cohortから人種をマッチさせて抽出した対照1,156人について全ゲノム解析を行った。地域の小児精神病および小児科外来クリニックから、5~17歳の白人イギリス人家系の子どもで、ADHDあるいは多動性障害の診断基準を満たすが、統合失調症や自閉症ではない患児が登録された。ADHD群および対照群の一塩基多型(SNP)の遺伝子型を二つのアレイを用いて決定した。CNV解析は二つのアレイに共通のSNPに限定し、高品質のデータを持つサンプルだけを対象とした。ADHD群のCNVはcomparative genomic hybridization(CGH)法で確定した。全ゲノムにおける巨大で(>500kb)、希少な(集団当たりの頻度<1%)CNVの負荷は、サンプルごとのCNV数の平均値に従って評価し、有意性の評価はpermutation法で行った。同定された全CNVおよび自閉症や統合失調症との関連が確認されている20の遺伝子座の確定された領域において、特異的な関連性の検査を行った。得られた結果につき、アイスランド人のAHDH患児825例および対照3万5,243人で検証した。ADHDは単なる社会的構成概念ではないすべての解析用のデータが得られたのは、ADHD群366例および対照群1,047人であった。巨大で希少なCNVは、ADHD群で57が、対照群では78が同定され、その頻度はADHD群が対照群よりも有意に多かった(0.156 vs. 0.075、p=0.000089)。このCNVの増加は、特に知能障害がみられる患児で大きかった(0.424、p=0.000002)が、このような障害がない場合でも有意差が認められた(0.125、p=0.0077)。ADHD群では、すでに統合失調症で同定されている染色体16p13.11の過剰な複製がみられ(複数の検査で補正後のp=0.0008)、アイスランド人のサンプルでも同様の知見が得られた(p=0.031)。ADHD群で同定されたCNVは、自閉症および統合失調症の双方で報告されている遺伝子座で有意に増強されていた(それぞれp=0.0095、p=0.010)。著者は、「本研究により、ADHDでは巨大なCNVが増加していることを示す遺伝学的なエビデンスがもたらされた。これは、ADHDが単なる社会的構成概念ではないことを示唆する」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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研修医時代の自己犠牲の思い出が、メーカーからの金品受理を寛容に

医師の、医薬品・医療機器業界からの金品受理に対する許容度は、研修医時代に費やした自己犠牲を思い出すと増大するという。この傾向は、自己犠牲について思い出させた上で、それが金品受理の根拠になるとの合理的理由を提示すると、さらに強まるという。米国Carnegie Mellon大学のSunita Sah氏らが、米国レジデント医約300人について行った無作為化比較対照試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2010年9月15日号で発表した。小児科医と家庭医のレジデントを3群に分け調査Sah氏らは、2009年3~7月にかけて、小児科と家庭医のレジデント医、合わせて301人を無作為に3群に分け、企業からの金品受理に関して調査を行った。一群には、研修医時代に払った自己犠牲を再確認してもらうような質問をした上で、企業からの金品受理に関する許容度の質問をした(自己犠牲群:120人)。別の一群には、同様に自己犠牲に関する質問をした上で、それが企業からの金品受理の合理的理由付けになると示唆する質問を行い、金品受理に関する許容度の質問をした(合理性群:121人)。さらに対照群として、企業からの金品受理に関する許容度の質問のみを行った(対照群:60人)。金品受理の寛容さ、自己犠牲再確認で1.8倍、合理性提示でさらに1.5倍にその結果、自己犠牲群では、企業からの金品を許容するとした医師の割合が47.5%(57人)と、対照群の21.7%(13人)に比べ有意に大きかった(オッズ比:1.81、95%信頼区間:1.27~2.58、p=0.001)。さらに金品受理の合理性を示した合理性群では、医師の多くが質問項目に示された合理性の理由には同意しなかったものの、自己犠牲群よりも金品を許容するとした割合は大きく、60.3%(73人)だった(自己犠牲群に対するオッズ比:1.45、同:1.22~1.72、p

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青少年の飲酒と暴力、救急外来受診時にカウンセリング介入で行動が改善

病院救急外来部門を受診した14~18歳の青少年で、飲酒経験および暴力行動を起こしたことがあると自己申告した者に対しカウンセリングを行うことで、それら行動が改善することが、米国ミシガン大学精神科部門のMaureen A. Walton氏らにより報告された。米国では年間約2,000万人の15~24歳の青少年が救急外来を受診し、青少年への、特に無保険・制限付き被保険者への重要な医療提供の場となっている。Walton氏らは、同部門を利用し、学校にきちんと通っていない、かかりつけ医がいない、年老いすぎた小児科医にしか診てもらっていない、定期健診を受けていない青少年への予防医療が提供可能ではないかと考え、救急外来を受診した3,000人超の青少年を対象に、無作為化試験を行った。JAMA誌2010年8月4日号掲載より。コンピュータor心理療法士によるカウンセリング介入と、パンフレット配布のみの対照群同研究グループは、2006年9月~2009年9月にかけて、ミシガン州Flintにある病院救急外来を訪れた(日時問わず)、14~18歳の3,338人について調査を行った(男性43.5%、アフリカ系アメリカ人55.9%)。そのうち、過去に飲酒および暴力行動があったと自己申告したのは約25%(829人)おり、726人について、無作為化試験「SafERteens」を行った。研究グループは被験者を3群に分け、一群には35分間のコンピュータによるカウンセリングを(コンピュータ群)、別の群には心理療法士によるカウンセリングを(心理療法士群)、残りの一群は対照群としてパンフレットを手渡すのみ(対照群)との介入をそれぞれ行った。 主要評価項目は、仲間への攻撃性(敵意を抱く)、暴力をふるう、暴力転帰(負傷させるなど)と、飲酒、過度な飲酒、飲酒転帰(退学や仲間とトラブルなど)に関する自己報告とした。対照群に比べカウンセリング群、暴力関連3割減、飲酒転帰は半減結果、暴力の項目に関して、介入3ヵ月時点での心理療法士群の、対照群と比べての有意な改善が認められた。仲間への攻撃性についての報告は、心理療法士群-34.3%、対照群-16.4%で相対リスクは0.74(95%信頼区間:0.61~0.90)、仲間に対する暴力は同-10.4%、+4.7%で0.70(同:0.52~0.95)、暴力転帰については同-30.4%、-13.0%で0.76(同:0.64~0.90)だった。また6ヵ月時点での飲酒転帰の報告例は、心理療法士群-32.2%だったのに対し、対照群-17.7%でオッズ比0.56(同:0.34~0.91)と、心理療法士による介入効果がパンフレット配布の対照群と比べて倍近かった。この指標の結果についてはコンピュータによる介入についても、報告例-29.1%対-17.7%でオッズ比0.57(同:0.34~0.95)であった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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主任教授 森田峰人先生の答え

子宮内膜症と低用量ピルについて子宮内膜症の治療で低用量ピルを使用することもあるかと思いますが、副作用の発現はどうでしょうか?私自身は内膜症を診るわけではないのですが、患者さんから相談を受けることがあるので、症例数が多いであろう大学病院臨床現場での状況を知りたいです。宜しくお願いします。OC(ピル)はエストロゲン+プロゲストーゲンの配合剤であることはご存じと思います。これらのホルモン依存性に副作用が発生すると考えられます。一般的にエストロゲンとしてエチニルエストラジオールが、プロゲストーゲンとしてノルエチステロン、デソゲストレル、レボノルゲストレルがあり、OCの種類によってこれらの組み合わせや1相性、2相性、3相性が存在します。一般的にエストロゲン依存性の副作用としては、悪心・嘔吐、頭痛、水分貯留、帯下増加などが、プロゲストーゲン依存性の副作用としては、倦怠感、抑うつ感、乳房緊満感などが、アンドロゲン依存性(プロゲストーゲンには男性ホルモン活性があります)の副作用として、体重増加、ニキビ、食欲亢進、性欲亢進、男性化兆候などがあります。これらの副作用発現率は各種プロゲストーゲンの種類により異なるとは思いますが、全体的な副作用発現率として、悪心・嘔吐は1.2~29.2%、頭痛は3.4~15.7%、体重増加は0.8~2.2%、乳房緊満感は0.1~20%等となっており、これらのマイナートラブルは、通常、3か月以内で消失するともいわれています。子宮内膜症患者さんの月経痛改善のための効果ですが、ほとんどの場合効果はあると感じています。しかしながら、OCの各種副作用の発現により、継続しての服用が困難になる場合もあります。そのような場合には、OCの種類を変更することで継続服用が可能になる場合が多々あり、1種類のOCがダメであってもあきらめる必要はありません。子宮頸がんワクチンの効果・副反応について最近、子宮頸がんワクチン接種に関して助成金が出るとか出さないとか、何かと話題になっていますが、そもそもこのワクチン、実際の効果は如何なものなのでしょうか?「日本人には合わない」などおっしゃっている先生もいるようです。また、副反応についても現場の見解を知りたいと思っています。差し支えない範囲で結構ですのでご教授お願いします。現在使われているワクチンはHPVの遺伝子型が16と18に対するものです。日本人の子宮頸がんに関連するHPV遺伝子型が16と18であるものは58.8%(16型44.8%+18型14.0%)と報告されています。海外の報告では16/18が70.7%(16型53.5%+18型17.2%)で、その他31,33,35,51,52,53,56,58,59,68の10の型が31.2%に検出され、その他の型が9.0%であったとなっています。日本人の統計で、このワクチンでHPV16/18型の感染による子宮頸がんの発生を予防できる全体に占める割合は60%弱ということになります。よって、16/18による子宮頸がん発生を100%抑制できるとして、ハイリスクHPV感染者の0.15%ががんになるのを防げる場合の、費用対効果がどうなるのかは現在のところはっきりしていません。さらに大切な事として、日本における子宮頸がん検診率は23%程度であり、この健診率を先進国並みの60~82%に持って行く方法を考える必要があると思います。副反応に関しましては、全てのワクチンに言えることですが、何らかの重篤な合併症が引き起こされる可能性は否定できません。一般的な副反応として、局所の疼痛や発赤は90%程度に認められておりますが、当院での接種に際しては、幸いなことに重篤な副反応には遭遇しておりません。今後、これらの副反応に関しましても日本におけるデータが集積されてくるものと思います。研修について産婦人科医を目指している医学生です。産婦人科医になるにあたり、小児科(NICU)を経験した方が良いと聞きます。また、病院によっては一定期間NICUへ行かせてくれるところもあると聞きます。大森病院さんでも、このように小児科(NICU)のことを勉強したり、経験したりする機会はあるのでしょうか?ホームページを拝見しましたが、その辺の情報がなかったので教えて頂ければと思います。東邦大学医療センター大森病院でも小児科(NICU)のことを勉強したり、経験したりすることになります。産婦人科のホームページで「入局希望の方へ」を見て頂くと「後期研修プログラム」として1年目に「産科・周産期」と記載してありますが、この期間に3か月間、新生児科(NICU/GCU)の研修を行うことになります。また、後期研修期間中に、「腫瘍」「生殖内分泌」を専門医レベルまで習得してもらうために、2年目「腫瘍」、3年目「生殖内分泌」を主な研修期間としてトータルで3年間での研修計画をたてています。その後に、さらに新生児科での研修を希望される場合には、適時相談により、更に高度な新生児科での研修を行うことも可能です。産科婦人科の専門領域について初期研修中の者です。最近、産婦人科医に興味を持つようになりました。産婦人科の専門領域を大きく分けると、周産期、婦人科腫瘍、生殖医学の3つと教わりましたが、どれを専門にするのか?を決めるのは、通常どの位のタイミングなのでしょうか?また、森田先生はいつ頃、どんな理由で今の専門(婦人科腫瘍でしょうか?)に決めたのでしょうか?場違いな質問でしたら申し訳ありません。宜しくお願いします。後期研修として産婦人科に進んだ場合、まず目指していただくのは産婦人科専門医です。当院でもまずはそれを第1目標にしています。通常、後期研修3年間(初期研修2年とあわせて卒後5年)が終了した時点で専門医の受験資格ができます。それまでは、「周産期」「腫瘍」「生殖内分泌」の3本の柱をしっかりと研修し、専門医取得を目指します。通常は、その後に専門性のあるサブスペシャリティの各種指導医や認定医取得、および研究などを行うことになります。自分自身の場合は、卒業が27年前ですので、現在のような初期研修、後期研修制度はなく、卒業して直ちに医局に入局し、2年間の研修医、その後2年間の関連病院での研修の後に、卒後5年目に大学に帰局して研究を始めるとともに、当時、黎明期であった婦人科内視鏡に興味を持ち、臨床では生殖医療や関連する子宮内膜症、子宮筋腫などの診療に携わってきました。自身のおかれている環境によっても、これら専門領域選択に適切な時期や場所が大きく異なる可能性もあります。まずは、興味を持ち、かつ、その領域にすすむ事ができる環境にあるかどうかの見極めは大切なことでないかと思います。また、産婦人科としてのジェネラリストを目指すという道もあります。妊娠糖尿病患者を診るときに気をつけること妊娠糖尿病患者を診るときに気をつけていることがありましたらご教授下さい。特に糖尿病専門医との連携方法で気をつけていることや、こうすると上手く行く!といったノウハウをお聞きしたいと思っております。私の病院には糖尿を診れる医師はいないため、いつも他院の先生方との連携になってしまいます。どのように連携するのが良いのか毎日模索している日々です。ご教授お願いします。ご質問いただきました内容に関して、的確にお応えできる回答を持ち合わせておりませんが、他院の先生と連携をとって妊娠糖尿病患者を診ておられるご苦労は大変かと思います。ご存じの対応であるとは思いますが、妊娠糖尿病患者に対しては、食事指導、運動療法からはじまり、妊娠中の運動療法は比較的制限を受けることから、食事療法のみで血糖コントロールが目標に到達しない場合には、迷うことなくインスリン療法を開始する、ということに尽きると思います。男性産婦人科医が気をつけること産婦人科は、女性医師と違って男性医師は色々と気を遣わないといけない科だと思います。先生が男性産婦人科医として気をつけている点を教えてください。産婦人科の診察対象は女性生殖器であることから、最近は、女性医師の診察を希望する患者さんも増加しています。まず、大切なことは、不安を抱いている患者さんに対して、出来るだけその不安を取り除き、適切な診療ができる環境を作り出すことにあります。一言で言い表すのは難しいですが、常に、そのような気持ちで患者さんと接するよう心がけています。また、男性医師は、診察の場面では必ず女性の看護師を同席させることも忘れてはならない事です。日本の産婦人科領域の臨床研究レベルについて海外に比べた時、日本の産婦人科領域の臨床研究はどの位の位置にいるのでしょうか?また、海外への留学は必要なのでしょうか?僕はまだ医学生なのですが、将来は先生のように研究も臨床もでき、多くの患者さんのライフスタイルにあった治療提案ができるドクターになりたいと思っています。日本の産婦人科領域の臨床研究レベルは決して諸外国に劣っているとは思いません。しかし、日本人であるが故の不利な点があります。世界で研究に対する評価を得るためには英文論文の執筆は不可欠です。しかしながら、日本ではやはり主に日本語による論文執筆が先になり、英文は後回しになる傾向があるように思えます。もちろん、英文の論文を多数輩出している優れた日本人研究者もたくさんいらっしゃいますが、大変な努力が必要であることは事実です。海外への留学に関する事ですが、この留学は研究留学のことと理解してコメントします。留学には、研究留学と臨床留学がありますが、現在、大多数を占めるのは大学医局からの研究留学です。しかし、研究留学は目的意識を高く持たないと得るものは少ないと思われます。必ずしも留学が必要である理由は存在しないと思います。臨床遺伝について大森病院さんのホームページで、臨床遺伝についての記載がありますがもう少し教えて頂けないでしょうか?今大学病院では、具体的にどんな研究や取り組みが行われているのか?どのような成果を上げているのか興味あります。是非宜しくお願いします。近年、疾患に限らず生命現象ほとんどが遺伝子によって制御されていることが解明され、注目を浴びています。臨床遺伝学は、基礎遺伝学(いわゆる遺伝学)と臨床をつなぐ重要な分野として発展してきています。さらに最近では、生活習慣病などの多因子疾患も、遺伝子が関与している事が判明しています。しかし、遺伝学的検査を行うときに、十分な説明がなされず、施行されたり、結果を適切に判断することが出来ず、誤った説明などがなされ、時に、患者、その家族に誤解を招く場合があります。大森病院には、日本人類遺伝学会、遺伝カウンセリング学会認定の、臨床遺伝専門医が2名(いすれも産婦人科医)がおり、専門医研修施設に認定されています。産婦人科領域、生殖遺伝(挙児希望、習慣流産など)、周産期遺伝(出生前診断、高齢妊娠など)を中心に、火曜日午後、遺伝相談外来として対応しています。また、内科、外科など他科の担当医と協力し、横断的に、遺伝学的検査施行時、結果説明時など患者、その家族と話し合う機会を設けています。窓口は、産婦人科外来となっており、電話にて担当医と受診の予約についてお話しいただけます。妊娠を控えている慢性腎臓病実臨床にて妊娠を控えている慢性腎臓病の患者に対してどのような降圧剤を選択するのがベストか、臨床研究などの結果があれば教えていただければ幸いです.まず、慢性腎臓病合併妊婦では早期に妊娠高血圧症候群をおこして、母児共に予後が悪い事はよく知られております。したがいまして、妊娠前に十分に腎機能検査を行い、GFR 50ml/分以下、血清クレアチニン1.5mg/dl以上、血清尿酸値6.0ng/ml以上、降圧剤投与での血圧160/110mmHg以上、あるいは腎生検にて活動性病変のある者には妊娠を許可すべきではありません。これらの条件をクリアして、血圧の管理を行い、拡張期血圧を90~100mmHgの範囲に、収縮期血圧155~160mmHgを超えない事を目標に、妊娠が成立しても継続して投与が可能な薬剤を選択する事が望まれます。第1選択はヒドララジンもしくはメチルドパになります。また、妊婦に対してはACE阻害剤、アンギオテンシン受容体拮抗薬は禁忌であり、妊娠前にこれらの薬剤によりコントロールされている場合には薬剤の変更が必要になります。したがいまして、妊娠を目指して降圧剤を使用する場合にはヒドララジンもしくはメチルドパによる良好なコントロールがその後の管理が行いやすい状況にすると思われます。月経か否か性器出血が主訴の患者さんで性成熟期で子宮がある場合、どれが月経なのか不正性器出血なのか分からないと言われます。まず頚部・内膜の細胞診はとり、経膣エコーを見るかと思いますが、産婦人科として出血が月経かどうかを判断する術はあるでしょうか。産後の不正出血などでも(明らかな遺残ではなく)それが月経なのか何なのか判断に迷うことがあります。お教えいただけないでしょうか。 性器出血の様子だけから判断することは困難です。出血の様子に加え経腟超音波所見は重要で、特に子宮内膜の状態は評価に大きく役立ちます。患者さんのもともとの月経周期や体型なども判断材料になる機会は少なくありません。総合的に評価することとなります。総括たくさんの、また様々な内容のご質問をいただきありがとうございました。産婦人科の3本柱は、「周産期」「腫瘍」「生殖内分泌」であり、まだまだ伝えきれないほどの魅力ある診療および研究分野がたくさんあります。少しでも興味を持って、産婦人科の世界に入ってきてくれる人たちが増えてくれることを願っています。主任教授 森田峰人先生「産科婦人科最先端治療は患者個々への対応が決め手」

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准教授 平山陽示先生「全人的医療への入り口」

平山先生は循環器内科医を20年経験後、総合診療科の道に入る。医師が自分の専門領域しか診察しない今の医療体制を変化させるべく、総合的に診察して患者さんのメンタル面を含む治療アプローチを実践。東京医科大学病院における「総合診療科」の設立に尽力し現在活躍中である。プライマリ・ケアの重要性から総合診療へ大学病院での初期研修は、通常各診療科目をラウンドしますが、それだけではプライマリ・ケアの習得は困難です。専門診療科のラウンドでは入院患者ばかりを診察、外来患者を診察することがほとんどありません。大部分の患者さんは既に診断がついています。しかし、多くの患者さんは「疾患名」ではなく「主訴」で病院の外来を訪れます。そこでは患者さんの訴えから病気を診断していく重要なプロセスがあります。「症候論」といってもいいし、「診断学」「診断推論」と言っても構いませんが、この初期の段階では幅広い知識と技術が必要です。そして、この研修にはプライマリ・ケアを扱う部門が必要となります。例えば、循環器内科をラウンドすれば心筋梗塞の入院患者さんを診察。しかし、この患者さんが病院を訪れたのは「胸が痛かった」からであり、実際にはこの「胸痛」という症候から正しく診断しなければならないわけです。「胸痛」を主訴とする患者は心臓が原因であれば循環器科、肺が原因でならば呼吸器科、肋骨骨折ならば整形外科、帯状疱疹ならば皮膚科、心因性の胸痛ならば精神科に紹介することもあるわけです。循環器医は心臓由来の胸痛ではないと診断するだけではなく、その患者の胸痛の原因がなんであるのかを推論、院内でたらい回しをせずに適切な診療科に橋渡しするべきです。だからこそ専門治療のスぺシャリストを目指ししている医師にもプライマリ・ケアの知識が必要なのです。幅広いジェネラリストの上にスペシャリストが立つのです。ジェネラリストとしての地固めをしないと良いスペシャリストにはなれません。以前は、プライマリ・ケアを学ぶ場はあまりありませんでした。アクセスのよい都心にある東京医科大学は市民病院的な役割も果たしており、紹介状の有無に限らず、単なる風邪や下痢で来院する患者さんも比較的多く、プライマリ・ケアを学ぶ環境が揃っていました。それも総合診療科が育った要因です。また、この領域では全国的に有名な大滝純司教授をお迎えすることが出来たのも幸運でした。なぜ総合診療なのか東京医科大学病院総合診療科設立のきっかけは新医師臨床研修制度の始まりでした。新制度の目的がプライマリ・ケアの習得であるので、当院では初期研修医に総合診療科のラウンドが義務付けられています。最近では後期研修で総合診療科を希望する人が増えてきており、総合診療科が役に立つ診療科目であることを研修医たちが認知し始めているのを実感しています。総合診療科は、文字どおり総合的に患者さんを診る診療科であり、患者さんが訴えている症状を読み取り、身体所見や検査所見を加味して推論した診断で次なる専門診療科への道筋をつけるチーム医療と同時に、専門医の手を煩わせることもない一般的な疾患(Common disease)は総合診療科で治療をしています。また、総合診療では専門診療科との連携を図りながら、プライマリ・ケアを通して診療のの基礎を固めることができます。ですから、総合診療科の役割のひとつは、研修医に病気を診るのではなく患者さんを診るという態度を身に付けさせることでもあるのです。例えば、MUS(Medically unexplained symptom:医学的に説明できない症状)を訴えてくる患者さんにはメンタルな要因も多いわけですが、そのときに身体疾患がみつからなくとも"症状"まで否定することなく、その症状を現す意味について、患者さんの社会的環境要因も考えるぐらいのことが医師の頭の中にないといけません。いわゆる「全人的医療」、つまり病気を診るのではなく患者さんを診ることの教育が必要なのです。診療科目が細分化されすぎて専門的な知識のみで症状を追うのではなく、幅広いプライマリ・ケアの知識を持った上での診察が求められています。東京医科大学病院の研修医にこの意識を持たせることも総合診療科の重要な役割です。総合診療科という立場への理解不足総合診療科として専門診療科の医師と連携がうまくとれているかと言えば、必ずしもそうではありません。それは臓器専門医にプライマリ・ケアが十分に理解されてないからだと思います。総合診療科は初期診療の担い手ですが、決してスーパーマンではないので、専門診療科で診ないと言った患者さんを何でも引き受けることが出来るわけではありません。極端な例を挙げれば、原発不明がんの患者さんは、いくつかの臓器にがんが見つかっても原発巣が同定されないと、どの診療科も主治医になろうとはせず院内でたらい回しにされてしまう危険があります。だからといってプライマリ・ケアの総合診療科がこのような患者を受け持つことは適切ではありません。現に専門診療科からの患者さんの押し付けで疲弊している総合診療科も多々あるように聞いています。また、総合診療の場合、各診療科目との連携が重要となるのでコミュニケーション能力は極めて重要です。しかし、連携を図るのが容易でない時があります。その場合相手の診療科に患者さんを押し付けるのではなく「一緒に診てほしい」「相談に乗ってほしい」とお願いする心がけを指導しています。連携をとる苦労はどこにでもあると思いますが、難しいですね。総合医の果たす役割今の医療体制では、患者さんが自ら診療科を探すことが多いため、自ら選んだ診療科では病気が分からず帰宅するケースがあります。その意味では総合診療科は医療の玄関口として、その先に専門性の高い医師に依頼して先端治療へ導くなど役割は大きいです。また、プライマリ・ケアを通して診療の基本を研修医に教えるのも総合医であり総合診療科の役割です。現在では、総合的に診療ができるジェネラリストが求められています。総合診療科を目指すドクターがもう少し多くならなくては、今の医療体制の変革には限界があると思います。英国では家庭医制度が確立されており、患者がいきなり総合病院や大学病院に行くことはまずありません。家庭医に診てもらってから専門医へ紹介され診療を受けます。そのため家庭医になるためのプログラムが確立しています。我々の総合診療科でも家庭医養成プログラムを用意しており、何人かの後期研修医がそのプログラムに則って研修しています。家庭医はメンタル面を含めた総合的な診察をします。家族全員を診るため、大人は内科、子どもは小児科などの振り分けを行わず、家族に同じ症状があれば家庭内での原因も探ります。家族全体を診ていくという姿は医療の理想のひとつの型でもあります。もし、そういう家庭医を大学病院でも育てていくとしたら総合診療科がなくてはできないと思います。総合医認定制度がスタート総合診療科がしっかりとプライマリ・ケアを実践するには、専門医に委ねるべき患者を臓器別専門科がしっかり請け負ってくれることが大切です。総合診療と専門診療がうまく連携できていれば、より少ない専門医でも病院は機能するはずですし、それが本来の病院の姿だと私は思っています。厚生労働省も総合医を推進、「総合医認定制度」を視野に入れて検討しているようです。日本プライマリ・ケア学会、日本総合診療医学会、日本家庭医療学会の3学会は、今春にひとつにまとまって総合医(家庭や総合診療医)の育成プログラムと認定に向けてすでに準備が進んでいます。この認定制度により、首都圏はもとより地域医療も大きく変化、そして患者さん側の医療に対する意識も変化していくでしょうね。多くの総合医(ジェネラリスト)が活躍すれば患者さんは単なる風邪や下痢などの一般的な疾患で大病院を受診することも少なくなり、医療費削減にもつながります。私は東京医科大学病院において、総合診療科の第一線で活動してきました。現在取材も多く、注目を浴びている診療科目です。ぜひ、総合医(ジェネラリスト)を目指す人が多くなることを期待します。質問と回答を公開中!

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