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1.

高齢者における大腸ポリープ切除後サーベイランスの検査間隔は?(解説:上村直実氏)

 大腸内視鏡検査(CS)は全大腸を観察して、大腸がん(CRC)の早期発見とポリープの発見・切除によるCRC予防を主たる目的としているが、検査や鎮静に伴うリスクが増加する高齢者に対する有用性に関しては不明な部分もあり、臨床現場で検査の実施に迷うこともある。今回、米国の65~74歳でCSを受けたことのある75歳以上の高齢退役軍人を対象として10年間の後ろ向きコホート研究を行ったところ『過去のCSで腺腫が認められた75歳以上の成人は、腺腫のなかった成人と比較して、その後のCRC発症率、CRCによる死亡率が有意に高いものの両群の差はわずか0.1%(累積死亡率0.4%vs.0.5%)であり、CRC以外の原因による死亡リスク50%弱のほうがはるかに高率であったことから、患者個々の健康状態を重視した対応が必要』との結果が2026年4月のJAMAに報告された。腺腫を切除した高齢者に対する定期的なCSは慎重に判断すべきとされたわけである。 日本の診療現場では便潜血検査(FIT)陽性や腹部症状などにより必要とされたCSで発見されたポリープ・腺腫が内視鏡的に切除されることが多く、その後の経過観察として年齢にかかわらずCRCの早期発見を目的として頻回なサーベイランスが行われている。2020年のGutに報告されたJapan Polyp Study(JPS)の結果を基にして作成された「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン」によると、内視鏡的に異常なしとされた『クリーンコロン』が確認された場合には3年ごとのCSが推奨されている。 一方、米国のガイドラインでは、1993年のNEJMに報告された『National Polyp Study』の結果から質の高いCSにより『クリーンコロン』とされた場合は10年に1回のフォローとされているが、最近ではさらに、高齢者に対するCSに関する鎮静のリスクやコストパフォーマンスを考慮した経過観察の必要性やCSの間隔が議論の的になっている。日本でも超高齢者に対するCSによる頻回の経過観察に疑問を持つ担当医も少なくないと思われる。 このような米国と日本の違いは医療保険制度の違いのみでなくスクリーニングに対する考え方の相違に由来している。米国では死亡リスクをアウトカムとするエビデンスが優先するため、CSにより死亡リスクの統計学的な低下を認めた研究結果から臨床現場でも10年に1回のフォローで十分とされているのに対して、日本では内視鏡的切除可能な病変の早期発見を目的とすることが多く、『クリーンコロン』に対して3年後の進行性病変の発見率をアウトカムとしたJPSの研究結果を用いて、実臨床でも切除後は3年後が適切であるとされているのが現状である。しかし、医療費の高騰が問題となりコストパフォーマンスに重点が置かれつつある現在、高齢者の検査間隔は日本でも考慮すべき課題となっている。

2.

1回の大腸内視鏡検査により大腸がんの死亡率は減少するか?(解説:上村直実氏)

世界と日本の大腸がん検診の動向について 世界で毎年200万件の新規症例が発生する大腸がんは3番目に多いがんであり、世界中で早期発見のための検診が盛んに行われている。日本における2024年の大腸がん死亡者数は、男性約2万8,800例、女性約2万5,600例、合計約5万4,400例で、全がん死亡者数の約14%を占めているが、重要なのは検診および大腸内視鏡検査(CS)による早期発見で予防可能な疾患という点である。 検診方法は、主に直接CSを行う米国に対して、日本・欧州・オーストラリアなどでは最初に免疫学的便潜血検査(FIT)を用いる検診が主流である。いずれの方法においても、大腸がん死亡率の減少には検診の受診率が最も重要であることが明らかとなっている。ちなみに、最近大腸がん死亡者数の低下を認めている米国の受診率は70%で、日本の40%を大きく上回っている。大腸内視鏡検査の有用性を示す報告について 大腸がん検診におけるCSの有用性を示した有名な臨床研究は、1993年NEJM誌に報告された米国発の「National Polyp Study」である。この研究は、内視鏡的に発見された腺腫を切除した後の長期追跡調査により大腸がんの発症率および死亡率が著明に低下し、大腸がん予防に対するCSの有用性を示したのみならず、大腸がんのadenoma-carcinoma sequence説を実際に証明したものとされている。日本で2006年から経過観察された日本版の「Japan Polyp Study」では、「腺腫切除による大腸がん予防」および「CSの適切な間隔は3年間が妥当」との結論が2020年のGUT誌と2024年のCGH誌に報告されており、大腸がん予防にCSによるポリープ切除が確立したものとなっている。その他、観察研究によりCSを用いる検診法の有効性が数多く報告されているものの、検診におけるCS勧奨の有用性を検証するための直接的な大規模無作為化比較試験(RCT)はなかった。 一般住民を対象としたCS勧奨群と通常診療群による世界初の大規模RCTは、ノルウェー、ポーランド、スウェーデンで行われたNordICC試験である。このNordICC試験の10年経過観察の結果は2022年にすでにNEJM誌に報告されている(CLEAR!ジャーナル四天王「大腸内視鏡検診が大腸がんおよび関連死亡のリスクに及ぼす影響」筆者解説)。今回は、さらに3年後の追跡調査の結果が2026年5月のLancet誌に報告された。その結果は前回の報告と同様、「1回のCSは大腸がん発生率を減少させたが、死亡率に対する影響は有意なものではなくCSを受けなかった人とほぼ同じ」であり、研究グループには少し期待外れのものだった。大腸がん死亡率に有意な影響を与えない結果となった最大の要因は、「CS勧奨群のうち実際にCSを受けた者が42%と低率であった」と考察されており、ここでも受診率を上げる工夫が課題となっている。日本の実臨床における対処 日本の臨床現場においてCSは有症状者やFIT陽性者に対して施行されているが、筆者の個人的経験では、CSを行った患者が大腸がんで死亡したという話に遭遇したことはほとんどなく、大腸がん死亡の予防には何らかの機会に一度だけでもCSを受けることが最善の方法だと考えている。最善の検診法と思われるCSにはコストやマンパワーの課題があるため、現在考慮すべきはFIT検診の陽性者に対する精密検査であるCS受診率を100%とするための種々の努力であろう。ちなみに企業検診の受診率は70%と高率になっていることから、住民検診のほうも受診率を上げるための制度設計を考慮すべき時代になっていると思われる。一方、臨床現場においては、消化器領域のみではなく循環器や糖尿病などの診療医師にも、血便や貧血などの症状から可能であればFITの実施を習慣とすることも重要である。

3.

1回の大腸内視鏡検査、長期の罹患率と死亡率を改善するか/Lancet

 1回の大腸内視鏡スクリーニングは、13年にわたり大腸がんの罹患率を有意に抑制するが、死亡率には影響を及ぼさないことが、ポーランド・Maria Sklodowska-Curie National Research InstituteのMichal F. Kaminski氏らが実施した「NordICC試験」の長期追跡調査で示された。研究の成果は、Lancet誌2026年5月9日号で報告された。欧州の約8.5万例のデータを解析 NordICC試験は、欧州4ヵ国(ノルウェー、ポーランド、スウェーデン、オランダ)で実施した住民ベースの無作為化対照比較試験(Norwegian Research Councilなどの助成を受けた)。 2009年6月~2014年6月に、各国レジストリから55~64歳の8万4,583例を抽出した(今回の解析にはオランダのデータは含まなかった)。 被験者を、大腸内視鏡によるスクリーニングを受ける群(2万8,217例)または受けない群(5万6,366例)に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、大腸がん罹患率および死亡率とした。初回解析は10年後に行い(報告済み)、それ以降は2年以上の間隔を空けて解析を繰り返した。13年大腸がん罹患率、スクリーニング群1.46%vs.非スクリーニング群1.80% 追跡期間中央値13年の時点で、大腸がんの発生は、ITT解析でスクリーニング群が2万8,217例中375例(1.46%)であり、非スクリーニング群の5万6,366例中912例(1.80%)と比べて有意に低かった(リスク比[RR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.71~0.90)。per-protocol解析でも、スクリーニング群で大腸がん罹患率が有意に低かった(1.00%vs.1.80%、RR:0.55、95%CI:0.33~0.81)。 近位大腸がんは、スクリーニング群で129例(0.51%)、非スクリーニング群で283例(0.56%)に発生し、両群間に差を認めなかった(RR:0.91、95%CI:0.71~1.09)。一方、遠位大腸がんは、非スクリーニング群で563例(1.11%)に発生したのに対し、スクリーニング群は224例(0.87%)と有意に頻度が低かった(RR:0.79、95%CI:0.65~0.89、交互作用のp<0.0001)。 また、男性では、大腸がんは非スクリーニング群の2万8,247例中541例(2.19%)に発生したのに比べ、スクリーニング群は1万4,154例中214例(1.69%)と有意に低かった(RR:0.77、95%CI:0.64~0.88)。一方、女性では、スクリーニング群の1万4,063例中161例(1.24%)、非スクリーニング群の2万8,119例中371例(1.43%)に発生し、両群間に差はみられなかった(RR:0.87、95%CI:0.70~1.02、交互作用のp<0.0001)。非スクリーニング群の死亡率は予想より大幅に低い 13年の時点における大腸がんによる死亡は、ITT解析でスクリーニング群2万8,217例中106例(0.41%)、非スクリーニング群5万6,366例中236例(0.47%)に認めた(RR:0.88、95%CI:0.68~1.08)。また、per-protocol解析ではそれぞれ0.33%および0.47%(RR:0.70、95%CI:0.26~1.25)であった。いずれの解析でも両群間に差はなかった。 なお、非スクリーニング群で観察された大腸がん死亡率(0.47%)は、試験デザイン作成時に予想されていた値(0.82%)に比べ大幅に低かった。 著者は、「これらの知見に基づくと、1回の大腸内視鏡検査により、13年間の追跡期間中に大腸がんのリスクが0.3~0.8%低下する」「非スクリーニング群の大腸がん死亡率がきわめて低かったため、さらに追跡期間を延長してもこれ以上のスクリーニングによる有益性は望めないかもしれない」としている。 また、「死亡リスクを低減せずとも、がんの発症を防ぐことができるのであれば、スクリーニングは正当化される可能性がある」と指摘している。

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糞便微生物移植で重症C. difficile感染症の生存率が改善か

 生命を脅かすClostridioides difficile感染症(C. difficile感染症)の患者では、糞便微生物移植(fecal microbiota transplantation;FMT)を迅速に行うことで生存率が改善する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。FMTは、健康なドナーの腸内細菌を患者の消化管に移植し、腸内細菌叢のバランス回復を目指す治療法である。米ミネソタ大学医学部マイクロバイオータ治療プログラムディレクターのAlexander Khoruts氏らによるこの研究結果は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に4月6日掲載された。 C. difficile感染症は、抗菌薬の使用によって腸内細菌叢が乱れると、日和見病原菌であるC. difficileが増殖して発症する。主な症状は重度の下痢や大腸炎などである。米疾病対策センター(CDC)によれば、抗菌薬の使用中または使用後3カ月以内では、C. difficileに感染するリスクが最大で10倍に高まる。米国では、C. difficile感染症により年間約1万5,000人が死亡しているという。 今回の研究では、C. difficile感染症の重症患者18人を対象に、ミネソタ大学で開発された「重症患者向けの標準化されたFMTプロトコル」の有効性が検討された。患者の平均年齢は74歳で、集中的な抗菌薬治療にもかかわらず病状が悪化し続けており、手術が困難なほど状態が不安定だった。 医師は大腸内視鏡を用いてFMTを実施し、健康な腸内細菌を患者の腸管内に移植した。移植前24時間は抗菌薬の投与を中止し、移植後約3日で再開した。この点について研究グループは、FMT後に4日以上抗菌薬を中断すると、C. difficileの再増殖リスクが高まる可能性があるためだと説明している。その結果、FMT後にC反応性蛋白(CRP)や白血球数などの炎症マーカーが急速に低下し、30日後の生存率は78%であった。 Khoruts氏は、「今回の研究結果には重要な注意点がある。それは、C. difficile感染症の重症患者は極めて重篤であることが多く、FMT介入のタイミングは非常に限られているため、FMT製剤は、すぐに使用できる状態でなければならないという点だ。当大学には、医薬品基準に準拠したFMT製品製造施設が備わっており、凍結保存バンクに治療用ユニットを常備している点で、類を見ない環境が整っている」とニュースリリースで述べている。 研究グループは、C. difficile感染症に対するFMTの有効性を十分に検証するためには、より大規模な研究が必要であると強調している。

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腺腫あり高齢者の定期大腸内視鏡検査、優先順位を下げてよい/JAMA

 75歳以上の高齢者において、75歳前に大腸内視鏡検査で腺腫が認められた人は腺腫が認められなかった人と比べ、その後10年間の大腸がん発症および大腸がん死の発生率は高かったものの、その累積リスクは大腸がん以外の要因による死亡リスクよりはるかに低かった。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のSamir Gupta氏らが、同国の退役軍人を対象とした後ろ向きコホート研究の結果で報告した。これまで、腺腫が認められた高齢者の大腸がんのリスクは不明であった。著者は、「高齢者では、他の健康上の懸念事項を優先し、経過観察のための大腸内視鏡検査の優先順位を下げることを検討してよいだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2026年4月9日号掲載の報告。65~74歳の大腸内視鏡検査の腺腫有無で、75歳以降の大腸がん発症や死亡リスクを比較 研究グループは、2006年1月1日~2019年12月31日に米国退役軍人省において大腸内視鏡検査を受けた退役軍人を対象に、電子カルテを用いて後ろ向きコホート研究を行った。 解析対象は、65~74歳で大腸内視鏡検査を受けたことのある75歳以上の高齢者であった。追跡調査は、対象者の75歳の誕生日から開始し、大腸がんの新規発症、死亡または2019年12月31日のいずれか早い時点まで継続した。75歳になる前に大腸がんまたは炎症性腸疾患と診断された人、腺腫を伴わない鋸歯状病変の既往者などは除外した。 主要アウトカムは、大腸がん発症、大腸がん死、非大腸がん死、全死因死亡の推定累積発生率で、75歳になる前の直近の大腸内視鏡検査において1つ以上の腺腫が認められた高齢者と認められなかった高齢者で比較した。 大腸がん発症および大腸がん死の発生率の比較にはGray検定を用いた。また、腺腫が認められた高齢者における大腸がんおよび非大腸がん死の発生率は、全死因死亡リスクが増加する5つの退役軍人省フレイル指数カテゴリー(非フレイル0.10以下、プレフレイル0.11~0.20、軽度フレイル0.21~0.30、中等度フレイル0.31~0.40、重度フレイル0.40超)に基づいて層別化した。腺腫ありの大腸がん死累積発生率0.5%、非大腸がん死は約47~48% 解析対象は計9万1,952例(75歳到達前の直近の大腸内視鏡検査時の年齢中央値71歳[四分位範囲[IQR]:69~73]、男性98%)で、このうち腺腫ありが2万5,538例(27.8%)、腺腫なしが6万6,414例(72.2%)であった。 10年間の推定累積発生率は、大腸がん発症については腺腫あり集団1.1%(95%信頼区間[CI]:0.8~1.3)、腺腫なし集団0.7%(95%CI:0.5~0.8)であり(Gray検定のp<0.001)、大腸がん死についてはそれぞれ0.5%(95%CI:0.3~0.7)、0.4%(95%CI:0.3~0.5)であった(Gray検定のp=0.005)。一方、非大腸がん死はそれぞれの集団で48.2~48.4%、46.9~47.0%であり、大腸がん発症率より非大腸がん死の累積発生率が大幅に上回っていた。 また、フレイルのすべてのカテゴリーにおいて、10年時点の腺腫あり集団の大腸がん累積発症率は低く(非フレイル1.7%、他のすべてのカテゴリー1%未満)、非大腸がん死の累積発生率(非フレイル34.2%~重度フレイル82.0%)が大腸がん発症率を大きく上回っていた。

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入院患者の栄養管理とウェルニッケ脳症【医療訴訟の争点】第20回

症例昨今、入院患者の栄養管理の重要性は広く認識されており、多くの医療機関では栄養サポートチーム(NST)などを中心として体系的な栄養評価が行われている。本稿では、入院時の栄養評価および静脈栄養管理の適否が争われた名古屋高裁令和6年9月5日判決を紹介する。<登場人物>患者(P1)直腸切除術後、幽門狭窄により経口摂取困難となった患者(66歳・男性)原告患者P1およびその妻被告県立病院(地方独立行政法人)事案の概要は以下の通りである(なお、いずれも平成27年)。◆入院前経過(体重減少の進行)4月15日患者P1は、直腸がんの疑いで大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を受けるため、本件病院に入院し、この時の体重は62.3kgであった。8月25日P1は胃痛および嘔吐を主訴として本件病院外科・消化器外科を受診し、幽門狭窄症と診断され入院した。この時の体重は55.4kgであり、4月の受診時から約7kgの体重減少がみられていた。9月28日本件病院外科・消化器外科の受診時、食事は少しずつ時間をかけて取っている旨を述べた。10月26日本件病院外科・消化器外科の受診時、食事はセーブしている旨を述べた。◆入院時の栄養評価10月30日水を飲んでも吐き戻す絶食状態が数日続いたとして受診。幽門狭窄による経口摂取不良疑いの精査のため入院。入院時、病院では栄養状態の評価が行われたが、体重測定は実施されなかった。その結果、患者の栄養状態については「明らかな栄養不良は認められない」と判断された。しかし、その後(入院から6日目の11月4日)の測定で48.1kgであったため、入院当時の体重は約48kg程度であったと推定されている。これは「約6ヵ月で20%以上の体重減少」「約2ヵ月で10%以上の体重減少」に相当する著しい体重減少であった。◆入院後の栄養管理患者は幽門狭窄による嘔吐のため、入院後も十分な経口摂取ができない状態が続いた。そのため病院では静脈栄養による栄養管理が行われたが、その際ビタミンB1の投与は行われなかった。このこともあり「ブドウ糖を含む輸液が継続された」という状況であった。◆ウェルニッケ脳症の発症11月4日頃患者はウェルニッケ脳症を発症した。その後、患者はコルサコフ症候群を発症し、重篤な後遺障害が残存した。 実際の裁判結果名古屋高裁は、病院の栄養管理には過失があったと認定し、患者側の請求を一部認容した。裁判所は、以下の点を指摘し「本件病院は、自ら規定した本件マニュアルに従い、患者P1の体重測定を行い、最近6ヵ月および最近2週間の体重の変化を把握すべきであった」とした。SGA(Subjective Global Assessment)を含む一般に妥当性が承認されている複数の栄養状態評価の方法においては、体重変化が最も重要な指標であるとされていること 本件病院においては、入院患者に対してはSGAに基づく栄養状態評価を行うことを定め、その具体的な内容を本件マニュアルで定めて、これが運用されていたこと患者P1は、本件病院で直腸切除の手術を受け、その後、摂食障害により被控訴病院に幽門狭窄症と診断されて入院し、退院後も通院している中で、時間をかけても十分に食事を摂取することができなくなったことを述べるようになっていたことそして、裁判所は、以下の点を指摘し、「本件病院が患者P1について「明らかに栄養不良がない」との栄養評価をして、体重測定を行うことなく、重大な栄養障害が生じている可能性が高いことを把握しなかったことは、当時の医療水準を逸脱するものであったと言わざるを得ず、不法行為法上の過失があった」とした。栄養障害が存在するときには、とくに体内貯蔵量の少ないビタミンB1などの水溶性ビタミンの欠乏症が起こりやすく、ビタミンB1は18日から20日間で枯渇することビタミンB1が欠乏すると、死亡または重大な後遺障害を遺す蓋然性の高いウェルニッケ脳症を発症することは、いずれも本件入院時において広く知られていたこと平成27年当時、ビタミン欠乏のおそれのない患者に対して、無条件にビタミン剤を投与することは消極的とされていたことから、本件病院が、摂食不良を訴える患者P1の入院時に体重測定をせず、体重変化を把握しないまま、「明らかに栄養不良がない」との栄養評価をすれば、ビタミンB1を投与せずにブドウ糖のみを投与することとなり、ビタミンB1が欠乏し、ウェルニッケ脳症を発症する。このことは、患者P1が直腸切除術後であること、摂食障害により幽門狭窄症と診断されて入通院していること、時間をかけても十分な食事摂取ができなくなり、水を飲んでも吐き戻す絶食状態が数日続き再入院している患者P1の既往、経過および状態にあることを把握していた本件病院において、予見することが十分に可能であったこと患者P1の妻が本件入院で来院の際、本件病院の外来看護師に対して患者P1の摂食状況が2週間前から極端に悪化していることを伝えていたこと患者P1は、本件病院に着くまでは自ら歩いており、本件病院到着後も立位を保持して検査を受けることが可能であり、本件病院が患者P1の体重を測定することは容易であったこと本件当時も、ビタミンB1があらかじめ添加された栄養輸液製剤は広く普及しており、本件病院においてビタミンB1を投与することも容易であったことその上で、裁判所は、以下の点を指摘し、「本件病院が患者P1に本件入院当初からビタミンB1を投与していれば、ウェルニッケ脳症およびコルサコフ症候群を発症しなかったであろう高度の蓋然性がある」として、過失と損害の因果関係を認めた。患者P1の本件入院時の体重は、同年11月4日の測定結果とほぼ同様の48.1kgと考えられるところ、患者P1は同年4月15日には62.3kg、同年8月25日には55.4kgであったのだから、最近約6ヵ月の体重減少率は20%を超える約22.8%、最近約2ヵ月の体重減少率は10%を超える約13.2%であり、病的な体重減少であったこと本件病院の作成している本件マニュアルに照らせば、重大な栄養障害である可能性があるものに当たるだけでなく、その基準をはるかに超えて体重が減少していることから、体重の増減を把握していれば、患者P1に重大な栄養障害が生じている可能性があるものと判断したはずであること重大な栄養障害が生じている患者にビタミンB1を投与することなくブドウ糖を投与すると、急激にビタミンB1が消費されてウェルニッケ脳症を発症することウェルニッケ脳症は高い割合で重篤な後遺障害が残存しまたは死亡するという重大な疾患である一方で、ビタミンB1の投与による特段の副作用はないとされており、ウェルニッケ脳症は症状が出てから対応する疾患ではなく、予防的に対応する疾患であるとされていることウェルニッケ脳症は、ビタミンB1の欠乏により発症するものであり、コルサコフ症候群はウェルニッケ脳症の慢性期に発症するものであること注意ポイント解説本判決の特徴は、入院患者の栄養管理に関する医療水準を比較的具体的に示した以下の点にある。第1に、栄養評価において体重変化が基本的指標であることを明確にし、体重測定を行わないまま栄養状態を判断したことを問題視した点第2に、摂食不良患者ではビタミンB1欠乏が生じ得るという医学的知見を前提とし、そのような患者に対するビタミンB1投与の必要性を指摘した点第3に、ビタミンB1欠乏状態でのブドウ糖投与がウェルニッケ脳症の発症につながる可能性を踏まえ、予防的なビタミンB1投与を行わないことの不合理性を認めた点また、本判決は、消化管疾患による摂食不良患者や末梢静脈栄養の症例であってもウェルニッケ脳症の発症リスクが生じ得ることを示した点に特徴がある。加えて、本件病院が患者P1の入院時の栄養状態を「明らかな栄養不良がない」としたことにつき、本判決は“本件病院では、「明らかに栄養不良がない」という場合がどのような場合であるのかについては明示されていなかったのであるから、少なくとも、ディティールスクリーニングの項目のいずれかに該当することがうかがわれる場合には、「明らかに栄養不良がない」と判断することは許されない”としており、本件病院に栄養評価に関するマニュアルがあり栄養サポート体制が存在していたにもかかわらず、基本的な栄養評価が十分に行われなかったことが過失認定の背景となっている。この点からすると、本判決は単にビタミンB1投与の問題にとどまらず、入院患者の栄養管理体制そのものの重要性を示したものと評価できる。医療者の視点本判決は、入院契機となった主訴や疾患の治療に注力するだけでなく、栄養状態を含めた「患者全体の全身管理」に目を向けることの重要性を改めて浮き彫りにしました。実際の臨床現場でも、NST(栄養サポートチーム)などを通じて体系的な栄養評価が行われており、体重変化の把握やビタミンB1欠乏への注意喚起は広く認識されているため、裁判所の見解と実臨床の認識は概ね一致しています。一方で、実臨床との相違点や課題もあります。本件では入院時に体重測定を実施しなかったことが過失と認定されました。臨床現場では、患者の全身状態が不良で、立位での体重測定が困難なケースに直面することが多々あります。しかし、本件の患者は自立歩行が可能であり、測定は容易であったと判断されました。状態が悪く測定が困難な場合であっても、ベッドスケールを活用するなど、客観的な指標である体重を可能な限り把握する姿勢が求められます。本件から得られる教訓は、入院契機となった主訴や原疾患の治療にのみ目を奪われるのではなく、患者の栄養状態を含めた全身管理に広く目を向けることの重要性です。実臨床においては、目の前の症状に対処するだけでなく、患者の既往や経過から潜在的なリスクを予測し、予防的な介入を行うという包括的な視点を持つことが、予期せぬ合併症や医療事故を防ぐ上で不可欠といえます。また、実臨床では、短期の末梢静脈栄養においてビタミンB1を含まないブドウ糖輸液を選択する場面も少なくありません。しかし、消化管疾患などで摂食不良の経過がある患者に対しては、ブドウ糖投与がウェルニッケ脳症を誘発するリスクを常に念頭に置き、予防的にビタミンB1を投与することが不可欠です。Take home message栄養評価では体重測定と体重変化の把握が基本である摂食不良患者ではビタミンB1欠乏を想定する必要があるビタミンB1欠乏状態でのブドウ糖投与はウェルニッケ脳症を誘発し得るウェルニッケ脳症は予防可能な医療事故であるキーワード体重変化、摂食不良、ビタミンB1欠乏、ウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群

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多疾患併存に迷わない:高齢者診療の「5つの型」実践フレーム【こんなときどうする?高齢者診療】第17回

CareNeTVスクール「Dr.樋口の老年医学オンラインサロンアーカイブズ」から、高齢者診療に役立つトピックをお届けします。今回はマルモ(多疾患併存)患者の治療に向き合うための型を学びます。高齢者の多疾患併存(マルモ)は、“ガイドラインの足し算”では解けません。(1)意向 (2)エビデンス適用 (3)予後×時間 (4)実行可能性 (5)最適化の5項目で落としどころを構造化しましょう。今回は、初めに皆さんも出合ったことがあるかもしれない典型的なマルモの症例を5つ挙げてみます。(1)90歳男性 心房細動があるものの、抗凝固薬を飲みたくない(2)85歳女性 高脂血症に対して長年スタチンを服用している(3)80歳女性 大腸がん検査の大腸内視鏡を勧められている既往症糖尿病、心不全、慢性腎機能不全(4)88歳女性 15種類の薬を服用中既往症認知症・心不全・骨粗鬆症・糖尿病・慢性腰痛(5)92歳男性 再発する心不全急性増悪発作に対して、埋め込み式除細動器を勧められている既往症認知症・慢性変形性関節症、抑うつ、不安症挙げたケースはいずれも、高齢者診療で頻繁に遭遇する場面です。65歳以上の2人に1人は、3つ以上の慢性疾患を有する状態・マルモ(多疾患併存)です。そして、同じ疾患であっても、AさんとBさんでは、併存疾患の状況や本人の価値観、自立度や家族との関係・住んでいる土地や利用できるサービスなどの条件がまったく異なります。1人の患者が持つ疾患の複雑性に加えて、身体認知機能・心理社会的な複雑性も考慮したうえで、患者それぞれに適した医療やケアの落としどころを見つけることが高齢者を診るときに欠かせません。ですが、複数の疾患ガイドラインをあてはめて治療してもよいアウトカムにつながらないのは皆さんもすでにご経験なさっていると思います。また高齢者やマルモ患者は臨床研究の対象から除外されていることが多く、ガイドラインの適応範囲に入っていないことがほとんどです。つまり65歳以上の約半数が3疾患以上のマルモ。併存疾患だけでなく家族・住環境・利用資源が異なる。ガイドライン合算=最適とは限らない(除外基準・一般化の限界)。ではどうしたらいいのか?頭を抱えて動けなくなって当たり前です。だからこそ落としどころを「5つの型」で探ることが思考停止に陥らないために重要なのです。マルモに向きあう5つの型そこで今回は、米国老年医学会が出している1)、高齢者のマルモに向き合う型をご紹介します。状況に応じて、以下の5つの項目を確認することで落としどころを見つけやすくなります。1:意向(What Matters)- 患者の意向・希望・気がかりなこと患者が何を望んでいるか。あるいは何はしたくないか。たとえば自立した生活や症状がコントロールされること、身体認知機能の維持を望む方は多くいます。逆にしたくないことやこうなったら死んだほうがまし、ということを聞くことで理由が明らかになる場合もあります。2:エビデンス適用の可能性 - エビデンスが目の前の患者に使えるか?参照しようとしているガイドラインや研究において、その推奨は誰を対象に、どのアウトカムに、どの時間軸で価値があるか。除外基準や外的妥当性を確認し、目の前の患者に適用できるか?患者の優先事項と統合することができるか、を検討しましょう。3:予後×時間 - 患者の予後は?患者の希望する治療/ケアと、その治療の効果が発現するまでにかかる時間を考慮にいれることは不可欠です。4:実行可能性 - ケアは実行可能か?負担は大きすぎないか?継続できるか?治療やケアの負担が大きすぎないか、本人や介護者が継続できるケアの範囲に治療方針は収まっているかを確認することが必要です。5:最適化 - 最適化のために何ができるか?患者のおかれた状況において、ベネフィットを増やしリスクを小さくするために何をしたらいいかを考えることです。最初に挙げた5つの症例に、これらの型から必要な項目を使うとどうなるか、みてみましょう。(1)90歳男性 抗凝固薬NO!心房細動があるものの、抗凝固薬を飲みたくない→1:意向を深掘りし、抗凝固薬を飲みたくないという意向の背後にどんな希望や気がかりがあるのかを探るのが近道です。それにより本人は頻回採血や通院の負担を懸念していることが明らかになり、選択肢として、生活背景に合う抗凝固法(採血不要のDOAC等)を検討し、転倒・出血リスク評価、目標の再設定が挙がってきます。このケースでは一時的にアスピリン投与としましたが、定期的に再検討し、本人の価値観×安全性の最適点を探る視点が必要です。(2)85歳女性 高脂血症に対して長年スタチンを服用してきた…これからも続ける?→2:エビデンス適用可能性と、3:予後×時間 の2項目が判断のポイントです。高脂血症に対するスタチンは、二次予防や高リスク群の一次予防では有益ですが、高齢者(75~80歳以降)の一次予防はエビデンスが限定的です2)。さらに、スタチンのベネフィットの発現は2~5年後とされています。予後や本人の優先事項と照合し、減量/中止を含めて再評価するのが妥当です3)。とすると、この方が長年スタチンを服用してきたとしても、現在のエビデンスに照らし合わせると効果が見込めない薬として中止にするほうが妥当でしょう。(3)80歳女性 既往は糖尿病・心不全・慢性腎機能不全。大腸がん検査のために大腸内視鏡を勧められている→3:予後×時間を見積もり、治療介入の効果発現の時間と併せて考えるのが適当です。大腸がん検診が利益になるのはおよそ10年後。この方の既往症から予測すると、検査のメリットが発生する前に予後が障害される可能性が高く、大腸内視鏡は不適当と考えられます。娘さんを含めて、予後予測をもとに話合いを設定するとよいでしょう。(4)88歳女性 15種類の薬を服用中。マルモ(認知症・心不全・骨粗鬆症・糖尿病・慢性腰痛)。→4:ケアの実行性について確認する認知機能が低下してきている状態で15種類を飲み続けるのは現実的ではありません。それぞれの疾患に対してガイドライン通りに処方すると15種類になりますが、本人や介護者の負担が大きすぎて服薬自体ができないならば、残す薬を絞る、あるいは服用しないといった選択肢も視野にいれた調整を行うのが妥当でしょう。(5)92歳男性 再発する心不全急性増悪発作があり、埋め込み式除細動器を勧められる。認知症・慢性変形性関節症、抑うつ、不安症の既往。→5:最適化を考えるこの患者の場合、認知症や不安症に加えて変形性関節症があり、家を出て入院し、手術でデバイスを埋め込むという一連の流れに、身体的・心理的負担が大きいことが予想できます。入院から退院までの間にパニックに陥り転倒するといったリスクも考えられます。ガイドラインではデバイス埋込みが推奨されますが、”この患者”にとってデバイスを埋め込むことが、本当にQOLの向上につながるのか、患者にメリットがあるのか、あるとすれば何か、延命することが本当にベネフィットか?といったゴールの再確認をする必要があると考えます。このように、一つの項目をあてはめるだけでも、すべきことがクリアになると思います。ケースによっては5つすべてを検討する場合もあるかもしれません。日ごろ5つのMを使うときに、これらの項目を少しずつ加えて確認することをおすすめします。明日のカンファで(1)意向 (2)エビデンス適用 (3)予後×時間 (4)実行 (5)最適化を確認してみましょう。迷いが整理され、次の一手が見えてきます。 ※今回のトピックは、2022年10月度、2024年11月度の講義・ディスカッションをまとめたものです。CareNeTVスクール「Dr.樋口の老年医学オンラインサロンアーカイブズ」でより詳しい解説やディスカッションをご覧ください。参考 1) Cynthia Boyd,et al. J Am Geriatr Soc. 2019 Apr;67(4):665-673. 2) Han BH, et al. JAMA Intern Med. 2017;177(7):955-965. 3) Yourman LC, et al. JAMA Intern Med. 2021;181(2):179-185.

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45〜49歳の成人において局所限局期大腸がんの罹患率が上昇

 45〜49歳の成人において、局所限局期の大腸がん(CRC)の罹患率が2019年から2022年にかけて上昇し、CRCスクリーニング検査の受診率も2019年から2023年にかけて上昇したことを示す2報の研究結果が、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に8月4日掲載された。 米国がん協会(ACS)のElizabeth J. Schafer氏らは、55歳未満の成人(合計21万9,373人)におけるCRC罹患率の傾向を検討した。解析の結果、20〜39歳のCRC罹患率は、2004年以降一貫して年率1.6%で上昇し、40〜44歳および50〜54歳では、2012年以降年率2.0%~2.6%で上昇していた。45〜49歳では、2004〜2019年は年率1.1%増であったが、2019〜2022年は年率12.0%増に加速していた。この急増は局所限局期での診断の増加が主因であり、その罹患率は2019年が10万人当たり9.4人、2021年には11.7人、2022年には17.5人へと増加した。 一方、同協会のJessica Star氏らは、45〜49歳の成人における2019年から2023年にかけてのCRCスクリーニング受診率の変化を検討した。解析の結果、スクリーニング受診率は、2019年の20.8%、2021年の19.7%から、2023年には33.7%に上昇していた(2019年と比較した2023年の調整受診率比〔APR〕1.62)。より詳しくは、大腸内視鏡検査の実施率はそれぞれ19.5%、17.8%から27.7%に上昇し(APR 1.43)、便検査は1.3%、2.7%から7.1%に上昇していた(APR 5.37)。 Star氏は、「若年成人における大腸がんスクリーニング検査の受診率の上昇は好ましいことであり、早期診断の増加につながっている可能性がある。しかし道のりはまだ長い。45〜49歳における大腸がんのスクリーニング受診率は依然として理想的とは言えず、教育歴や保険加入状況が受診率上昇の公平性を妨げている」と述べている。

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トイレでのスマホ使用は痔のリスクを高める

 トイレにいる間にスマートフォン(以下、スマホ)でニュースや電子メール、ソーシャルメディアをチェックしている人は、注意した方が良いようだ。トイレでのそのような行動は、痔の発症リスクを高める可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。トイレでスマホを使う人は使わない人に比べて、痔の発症リスクが46%高いことが示されたという。米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのTrisha Pasricha氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に9月3日掲載された。 研究グループは、トイレでスマホを使用していると、無意識のうちに滞在時間が長くなって肛門への圧力が高まり、それが痔の原因になる可能性があると説明している。Pasricha氏は、「スマホと現代の生活様式が健康に及ぼすさまざまな影響については、まだ全てが判明しているわけではない。トイレの中での使用など、スマホの使い方や使う場所によっては予期せぬ結果をもたらす可能性がある」と話している。 痔は肛門または直腸周辺の静脈が腫れた状態であり、しばしば痛みや出血を伴う。痔は妊娠中、過体重、または排便時のいきみによる圧力の上昇が原因で発生すると考えられている。 今回の研究でPasricha氏らは、同医療センターで大腸内視鏡検査を受けた成人125人を対象に、トイレでのスマホ使用と痔の有病率との関連を検討した。対象者のスマホの使用習慣を調査するとともに、Rome IV診断質問票による便通・排便症状の評価、排便時のいきみ、食物繊維の摂取量、運動習慣などを確認した。また、痔の有無を内視鏡で確認した。 その結果、対象者の66%にトイレでスマホを使用する習慣があり、痔の有病率は43%であることが明らかになった。トイレでのスマホ使用の内容は、ニュース閲覧(54.3%)とSNS(44.4%)が特に多かった。トイレでのスマホ使用習慣がある人は、ない人に比べて年齢が有意に若く(平均年齢55.4歳対62.1歳、P=0.001)、トイレでの滞在時間も有意に長く、1回当たり5分以上滞在する人の割合は、前者で37.3%に上ったのに対し、後者では7.1%にとどまっていた(P=0.006)。さらに、年齢、性別、BMI、運動習慣、排便時のいきみ、食物繊維の摂取量を調整して解析しても、トイレでのスマホ使用は痔の発症リスクを46%増加させることが示された(調整オッズ比1.46、P=0.044)。 Pasricha氏は、「スマホをスクロールしていると、信じられないほど簡単に時間を忘れてしまう。人気アプリは、まさにそのためだけに設計されているのだ。しかし、スマホに気を取られて便座に座っている時間が長くなると、痔の発症リスクが高まる可能性がある」と話す。 さらにPasricha氏は、「スマホをトイレの中に持ち込まず、排便は数分以内に済ませるように心がけるべきだ。トイレでの滞在時間がもっと長い人は、本当に排便自体に時間がかかったのか、それとも他のことに気を取られていたからなのかを自問してみてほしい」と助言している。

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第286回 過度のランナーは大腸がんを生じやすいかもしれない

過度のランナーは大腸がんを生じやすいかもしれない長い距離を走る過度のランナーの多くに、意外にも大腸がんの前駆病変が認められました1)。米国のバージニア州のがんセンターInova Schar Cancer Instituteの胃腸がん治療部門を率いる医師の1人のTimothy Cannon氏は、1年ほどの間によく似た3例の患者に遭遇しました。全員が比較的若く、単なる健康体にとどまらず長い距離を走る極端なアスリートでもありました。そして全員がStageIVの大腸がんでした2)。3人ともランニングを習慣としているという奇妙な一致に触発されて、Cannon氏らはマラソンやそれ以上の距離を走るウルトラマラソンの経験者を調べることを思い立ちます。Cannon氏らの試験には50km以上のウルトラマラソンを少なくとも2回走っているか、フルマラソンを5回以上走っている35~50歳のランナー100人が参加しました。全員が試験の一環で大腸内視鏡検査を受けました。すると研究者が驚いたことに7例に1例ほど(15%)もの多くの人に大腸がんの前駆病変の進行腺腫(advanced adenoma)が認められました1)。その割合は一般人口をだいぶ上回るようです。米国で大腸内視鏡検診を受けた50歳までの約13万人を調べた結果によると、60歳前に大腸がんや進行腺腫を生じた一等親血縁者がいない平均的リスクの40歳代の人の進行腺腫を含む進行新生物(advanced neoplasia)の有病率は5%でした3)。Cannon氏らの試験結果は今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表されました。査読済み論文としての発表にはまだ至っていません。被験者の人数は少なく、がんの素因となりうる情報が限られているという欠点もあります。それに非ランナーを含む対照群を設けておらず、ランナーであるかどうかと関係ない進行腺腫の割合を考慮できていません。そういう不備もあって、長い距離を走ることが大腸がんを生じやすくすると今回の試験で結論することは当然ながらできません。しかし、もしそうだと仮定してランニングと大腸がんを関連付けうるいくつかの仕組みが考えられそうです。たとえば長い距離をへとへとになって走っているときには、筋肉の働きを助けるように血流が胃腸を一時的に迂回するようになります4)。その状態を長く続ける極端なランナーはがんを生じやすくする生理的な変化を被るかもしれません。また、ランナーとそうでない人の腸内微生物の違いが大腸がんの生じやすさに関わるかもしれません。ランナーは今回のCannon氏らの結果を心配するかもしれませんが、自身もランナーである同氏はランニングをやめるつもりはないと言っています2)。運動の有益効果が言わずもがな数多く報告されており、その中にはがんを予防しうる効果も含まれます。われわれにとってより重大な健康懸念は運動が不十分ということであり、運動は間違いなく続けたほうがよいとCannon氏は述べています。ただし、アスリートはとても健康なのでがんとは無縁であろうとみるのは問題で、誰もがそうであるように長い距離を走るランナーも大腸がん検診を確実に受け、血便などの異常があれば詳しく検査する必要があります2)。 参考 1) Cannon TL, et al. JCO. 2025 May 28. [Epub ahead of print] 2) Marathon Runners Face Unexpected Colon Cancer Risk, New Study Suggests / Health 3) Liang PS, et al. Gastroenterology. 2022;163:742-753. 4) Al-Beltagi M, et al. World J Gastroenterol. 2025;31:106835.

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9月26日 大腸を考える日【今日は何の日?】

【9月26日 大腸を考える日】〔由来〕9の数字が大腸の形と似ていることと、「腸内フロ(26)ーラ」と読む語呂合わせから、健康の鍵である大腸の役割や生息する腸内細菌叢のバランスを健全に保つための方法を広く知ってもらうことを目的に森永乳業が制定。関連コンテンツ中等症~重症の活動性クローン病、グセルクマブ導入・維持療法が有効/Lancetコーヒー摂取量と便秘・下痢、IBDとの関連は?PPI・NSAIDs・スタチン、顕微鏡的大腸炎を誘発するか?日本人大腸がんの半数に腸内細菌が関与か、50歳未満で顕著/国立がん研究センターほか大腸がん死亡率への効果、1回の大腸内視鏡検査vs.2年ごとの便潜血検査/Lancet

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若年者の大腸がん検診受診率を上げる方法は?(解説:上村 直実 氏)

 わが国における2023年の部位別がん死亡数は、男性では肺がん、大腸がん、胃がん、膵臓がんの順に多く、女性では大腸がん、肺がん、膵臓がんの順となっている。同年の大腸がん罹患者数は推定14万8,000例で死亡者数が5万3,000例とされており、罹患者のうち3例に1例が死亡すると推測される。大腸がんの場合、早期がんの完治率は90%以上であり、早期発見とくに検診ないしはスクリーニングの整備が喫緊の課題となっている。 西欧諸国では免疫学的便潜血検査(FIT)、便中の多標的RNA検査、直接の大腸内視鏡検査などさまざまな検診方法の有効性を比較する臨床研究が盛んに報告されている。しかし、いずれの検診方法を行っても、大腸がんの死亡率低下には検診の受診率がキーポイントとなっている。今回、大腸がんの著明な増加が報告されているものの検診受診率がきわめて低い若年者(45~49歳)を対象として、最も効果的なリクルート法を模索した臨床研究が施行された結果、電子媒体を用いてFITのみまたは大腸内視鏡検査のみの推奨に対して受諾または拒否を選択する方法に比べて、FITと大腸内視鏡検査2種類を送付したものから患者が能動的に選択する方法の検診受診率が有意に高く、さらにFITのキットを直接郵送して患者に受諾または拒否を選択してもらう方法が最も有効であることが2025年8月のJAMA誌に報告された。 人口が日本の約3倍である米国と本邦の年間大腸がん死亡者数は5万例強でほぼ同数で、大腸がん死亡率は本邦のほうが著明に高いことが明らかになっているが、その原因は検診受診率の差であるとされている。すなわち、米国は自由診療のため大腸内視鏡検査は数十万円を要するが、50歳を過ぎた国民に大腸内視鏡検査を1回のみ無償で提供しており、便潜血検査による検診と合わせると、大腸がん検診受診率は約70%とされている。一方、本邦の1次検診受検率は20%で、便潜血検査の陽性者のうち精査の大腸内視鏡検査を受けているのは60%であり(日本大腸肛門病学会)、検診受診率は10%強にすぎず米国と比較して著しく低いといえる。このように、米国と本邦の大腸がん死亡率の差は検診受診率の差によるものと考えられる。 今回の論文にある臨床研究に関しては、方法自体が電子媒体を用いた患者伝達法など日本の現状とは大きく異なるものがあり、一概に参考にならないと思われるが、上述したように大腸がんは早期発見により90%以上が完治可能な疾患であることから、日本で行われている1次検診(FIT)から精密検査の大腸内視鏡検査へ誘導する過程でも便潜血キットの送付による方法も考慮して、大腸がん死亡者を減らすために住民検診や企業健診で用いられているFITによる1次検診の参加率を向上する新たな方策を検討すべき時である。

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45~49歳の大腸がん検診、受診率を上げるには/JAMA

 米国の45~49歳の大腸がん検診において、既定の郵送型免疫化学的便潜血検査(FIT)と比較して参加者自身の能動的選択(FITまたは大腸内視鏡検査を3種類のアウトリーチ戦略で選ぶ)に基づく検査はいずれも、6ヵ月後の検診の受診率が劣ることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のArtin Galoosian氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年8月4日号に掲載された。能動的選択と既定の検査を比較する無作為化試験 米国では、2021年、大腸がんの検診開始年齢が45歳に引き下げられたが、この年齢層における最適な受診促進法は明らかでない。研究グループは、45~49歳の年齢層における大腸がん検診の受診を促進するための、集団健康施策(population health)上の最も効果的なアウトリーチ戦略を決定する目的で、研究者主導の無作為化臨床試験を行った(UCLA Melvin and Bren Simon Gastroenterology Quality Improvement Programなどの助成を受けた)。 本研究は、南カリフォルニア地方の都市部の大規模な学術的統合保健システムであるUCLA Health(患者42万例超、50ヵ所の外来プライマリケア施設が参加)において、2022年5月2~13日に行われ、同年11月13日まで追跡調査を実施した。 平均的な大腸がんリスクを有する45~49歳の集団を対象とし、大腸がん検診の受診を促す次の4つのアウトリーチ戦略を受ける群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。検査法の選択肢として、(1)FIT、(2)大腸内視鏡、(3)FITまたは大腸内視鏡の提示を受ける、または(4)通常の既定の郵送型FIT。 各群の適格者に、参加者ポータルを介して受診を促す案内を送付した。(1)(2)(3)の参加者は、当該の検査を受けるか、今回は検診を受けないかを能動的に選択してその旨を返信し、(4)はこのような選択肢なしにFITの検査キット一式を郵送で受け取った。(1)と(4)の唯一の違いは、(1)が自発的にFITを選択したのに対し、(4)はFITを自ら選んでいない点である。 主要アウトカムは、受診案内を受けてから6ヵ月の時点での検診(FITまたは大腸内視鏡)の受診であった。1種類よりも2種類からの選択で、受診率が高い 2万509例(平均[SD]年齢47.4[1.5]歳、女性53.9%、黒人4.2%、非ヒスパニック系白人50.8%、アジア系13.7%)の参加者を登録した。このうち3,816例(18.6%)が検診を受けた。 受診率は、通常FIT群が26.2%(1,342/5,126例)であったのに対し、FIT群は16.4%(841/5,131例)(受診率の通常FIT群との群間差:-9.8%[95%信頼区間[CI]:-11.3~-8.2]、p<0.001)、大腸内視鏡群は14.5%(743/5,127例)(-11.7%[-13.2~-10.1]、p<0.001)、FIT/大腸内視鏡群は17.4%(890/5,125例)(-8.9%[-10.5~-7.4]、p<0.001)と、3つの能動的選択群のいずれもが有意に低かった。 1種類の検査法のみを選択する群(FIT群と大腸内視鏡群)の受診率が15.4%(1,584/1万258例)であったのに比べ、2種類の検査法から選択する群(FIT/大腸内視鏡群)の受診率は17.4%(890/5,125例)であり、有意に高かった(受診率の群間差:-1.8%[95%CI:-3.0~-0.1]、p=0.004)。FITから大腸内視鏡へのクロスオーバーが多い 2種類の検査法から選択する群(FIT/大腸内視鏡群)の5,125例では、FITを受診した参加者(5.6%[288例])よりも、大腸内視鏡を受診した参加者(12.0%[616例])のほうが多かった(受診率の群間差:-6.4%[95%CI:-7.5~-5.3]、p<0.001)。 また、FITから大腸内視鏡へのクロスオーバーが多かった(FIT群の9.8%[502/5,131例]、通常FIT群の9.8%[501/5,126例])のに対し、大腸内視鏡からFITへのクロスオーバーは少なかった(大腸内視鏡のみ群の2.7%[137/5,127例])。 著者は、「45~49歳で最も効果的な集団健康施策上の大腸がん検診戦略は、従来の既定の郵送型FITであった。全体として検診の受診率は低く、この年齢層の受診率の向上には、より効果的な戦略の導入が必要と考えられる」「今後は、多様な集団や他の医療環境において検診への参加を促進するために、郵送型FITアウトリーチのいっそうの最適化と個別化を進める必要がある」としている。

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第256回 新型コロナ感染者8週連続増 「ニンバス株」拡大とお盆の人流が影響/厚労省

<先週の動き> 1.新型コロナ感染者8週連続増 「ニンバス株」拡大とお盆の人流が影響/厚労省 2.SFTS感染、全国拡大と過去最多ペース 未確認地域でも初報告/厚労省 3.AI医療診断を利用した大腸内視鏡検査、システム活用によるデメリットも明らかに/国立がん研ほか 4.医療DX推進体制整備加算、10月から基準引き上げへ/厚労省 5.医師・歯科医師20人に行政処分 強制わいせつ致傷で免許取消/厚労省 6.人口30万人以下の地域の急性期は1拠点化? 医療機能の再編議論が本格化/厚労省 1.新型コロナ感染者8週連続増 「ニンバス株」拡大とお盆の人流が影響/厚労省新型コロナウイルスの感染が全国で再び拡大している。厚生労働省によると、8月4日~10日の1週間に全国約3,000の定点医療機関から報告された新規感染者数は2万3,126人で、1医療機関当たりの平均患者数は6.13人となり、8週連続の増加となった。前週比は1.11倍で、40都道府県で増加。宮崎県(14.71人)、鹿児島県(13.46人)、佐賀県(11.83人)と、九州地方を中心に患者数が多く、関東では埼玉、千葉、茨城などで上昇が顕著だった。増加の背景には、猛暑による換気不足、夏季の人流拡大に加え、オミクロン株派生の変異株「ニンバス」の流行がある。国内の感染者の約4割がこの株とされ、症状として「喉にカミソリを飲み込んだような強い痛みを訴える」のが特徴。発熱や咳といった従来の症状もみられるが、強烈な喉の痛みで受診するケースが多い。医療機関では、エアコン使用で喉の乾燥と勘違いし、感染に気付かず行動する患者もみられる。川崎市の新百合ヶ丘総合病院では、8月14日までに陽性者70人を確認し、7月の100人を上回るペース。高齢者の入院も増加しており、熱中症と区別が付きにくいケースもある。都内の感染者数も8週連続で増加し、1医療機関当たり4.7人。東京都は、換気の徹底や場面に応じたマスク着用などの感染対策を呼びかけている。厚労省は「例年、夏と冬に感染者が増える傾向がある」として、基本的な感染対策の継続を求めている。とくに高齢者や持病のある人は重症化リスクが高いため、早期の受診や感染予防の徹底が重要とされる。 参考 1) 2025年8月15日 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について(厚労省) 2) 新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数の推移(同) 3) 新型コロナ 東京は8週連続で患者増加 医師「お盆に帰省した人が発熱し感染広がるおそれも」(NHK) 4) 新型コロナウイルス 1医療機関当たり平均患者数 8週連続で増加(同) 5) 新型コロナ「ニンバス」流行 カミソリを飲んだような強烈な喉の痛み(日経新聞) 6) 新型コロナ変異株「ニンバス」が流行の主流、喉の強い痛みが特徴…感染者8週連続増(読売新聞) 2.SFTS感染、全国拡大と過去最多ペース 未確認地域でも初報告/厚労省マダニ媒介感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の国内感染者数は、2025年8月3日時点で速報値で124人に達し、すでに昨年の年間120人を超え、過去最多の2023年(134人)を上回るペースで増加している。感染報告は28府県に及び、高知県14人、長崎県9人など西日本が中心だが、北海道、茨城、栃木、神奈川、岐阜など従来未確認だった地域でも初感染が報告された。SFTSはマダニのほか、発症したイヌやネコや患者の血液・唾液からも感染する。潜伏期間は6~14日で、発熱、嘔吐、下痢を経て重症化すると血小板減少や意識障害を起こし、致死率は10~30%。2024年には抗ウイルス薬ファビピラビル(商品名:アビガン)が承認されたが、治療は主に対症療法である。高齢者の重症例が多く、茨城県では70代男性が重体となった事例もあった。感染拡大の背景には、里山の消失による野生動物の市街地進出でマダニが人の生活圏に侵入していること、ペットから人への感染リスク増大がある。とくにネコ科は致死率が約60%とされる。富山県では長袖・長ズボン着用でも服の隙間から侵入した事例が報告された。専門家や自治体は、草むらや畑作業・登山時の肌の露出防止、虫よけ剤の使用、ペットの散歩後のブラッシングやシャンプー、マダニ発見時の医療機関受診を呼びかけている。SFTSは全国的な脅威となりつつあり、従来非流行地域でも警戒が必要。 参考 1) マダニ対策、今できること(国立健康危機管理研究機構) 2) マダニ媒介の感染症 SFTS 全国の患者数 去年1年間の累計上回る(NHK) 3) 感染症SFTS 専門医“マダニはわずかな隙間も入ってくる”(同) 4) 致死率最大3割--“マダニ感染症”全国で拡大 「ダニ学者」に聞く2つの原因 ペットから人間に感染する危険も…対策は?(日本テレビ) 3.AI医療診断を利用した大腸内視鏡検査、システム活用によるデメリットも明らかに/国立がん研などポーランドなどの国際チームは、大腸内視鏡検査でAI支援システムを常用する医師が、AI非使用時に前がん病変(腺腫)の発見率を平均約20%低下させることを明らかにした。8~39年の経験を持つ医師19人を対象に、計約2,200件の検査結果の調査によって、AI導入前の腺腫発見率は28.4%だったが、導入後にAI非使用で検査した群では22.4%に低下し、15人中11人で発見率が下がったことが明らかになった。AI支援システムへの依存による注意力・責任感低下など「デスキリング」現象が短期間で起きたとされ、とくにベテラン医師でも回避ができなかった。研究者はAIと医師の協働モデル構築、AIなしでの定期的診断訓練、技能評価の重要性を強調している。一方、国立がん研究センターは、新たな画像強調技術「TXI観察法」がポリープや平坦型病変、SSL(右側結腸に好発する鋸歯状病変)の発見率を向上させると発表した。全国8施設・956例の比較試験では、主解析項目の腫瘍性病変発見数で有意差はなかったが、副次解析で発見率向上が確認された。TXIは明るさ補正・テクスチャー強調・色調強調により微細な変化を視認しやすくする技術で、見逃しがんリスク低減と死亡率減少が期待される。ただし、恩恵を受けるには検診受診が前提で、同センターは便潜血検査と精密内視鏡検査の受診率向上を強く訴えている。両研究は、大腸内視鏡の質向上におけるAI・新技術の有用性とリスクを示すものであり、機器性能の進化と医師技能の維持を両立させる体制構築が今後の課題となる。 参考 1) AI利用、 医師の技量低下 大腸内視鏡の質検証(共同通信) 2) AI医療診断の落とし穴:医師のがん発見能力が数ヶ月で低下(Bignite) 3) Study suggests routine AI use in colonoscopies could erode clinicians’ skills, warns/The Lancet Gastroenterology & Hepatology(Bioengineer) 4) 大腸内視鏡検査における「TXI観察法」で、ポリープや「見逃しがん」リスクとなる平坦型病変の発見率が向上、死亡率減少に期待-国がん(Gem Med) 5) 大腸内視鏡検査の新規観察法の有効性を前向き多施設共同ランダム化比較試験で検証「見逃しがん」のリスクとなる平坦型病変の発見率改善に期待(国立がん研) 4.医療DX推進体制整備加算、10月から基準引き上げへ/厚労省厚生労働省は8月7日付で、2024年度診療報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」について、2025年10月と2026年3月の2段階でマイナ保険証利用率の実績要件を引き上げる通知を発出した。小児患者が多い医療機関向けの特例や、電子カルテ情報共有サービス参加要件に関する経過措置も2026年5月末まで延長する。改正後の施設基準では、マイナ保険証利用率の基準値は上位区分で現行45%から10月に60%、来年3月に70%へ、中位区分で30%から40%・50%へ、低位区分で15%から25%・30%へ段階的に引き上げる。小児科特例は一般基準より3ポイント低く設定され、10月以降22%・27%となる。いずれも算定月の3ヵ月前の利用率を用いるが、前月または前々月の値でも可とする。加算はマイナ保険証利用率と電子処方箋導入の有無で6区分に分かれ、電子処方箋導入施設には発行体制や調剤結果の電子登録体制の整備を新たに求める。未導入施設は電子処方箋要件を課さないが、加算区分によっては算定不可となる場合がある。電子カルテ情報共有サービスは本格稼働前のため、「活用できる体制」や「参加掲示」を有しているとみなす経過措置を来年5月末まで延長。在宅医療DX情報活用加算についても同様の延長措置が適用される。通知では、これらの要件は地方厚生局長への届出不要で、基準を満たせば算定可能と明記。厚労省は、マイナ保険証利用率向上に向けた患者への積極的な呼びかけや掲示の強化を医療機関・薬局に促している。 参考 1) 「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」及び「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の一部改正について(医療 DX 推進体制整備加算等の取扱い関係)(厚労省) 2) 医療DX推進体制整備加算、マイナ保険証利用率基準を「2025年10月」「2026年3月」の2段階でさらに引き上げ-厚労省(Gem Med) 5.医師・歯科医師20人に行政処分 強制わいせつ致傷で免許取消/厚労省厚生労働省は8月6日、医道審議会医道分科会の答申を受け、医師12人、歯科医師8人の計20人に行政処分を決定した。発効は8月20日。別途、医師8人には行政指導(厳重注意)が行われた。処分理由は刑事事件での有罪確定や重大な法令違反が中心で、医療倫理や信頼を揺るがす事案が目立った。免許取り消しは三重県松阪市の58歳医師。2015年、診察室で製薬会社MRの女性に対し胸を触る、額にキスをする、顔に股間を押し付けようとするなどの強制わいせつ行為を行い、逃れようとした被害者が転落して視神経損傷の重傷を負った。2020年に懲役3年・執行猶予5年の有罪判決が確定していた。医師の業務停止は最長2年(麻薬取締法違反)から2ヵ月(医師法違反)まで幅広く、過失運転致傷・救護義務違反、児童買春、盗撮、迷惑行為防止条例違反、不正処方などが含まれた。戒告は4人に対して行われた。歯科医師では、最長1年10ヵ月(大麻取締法・麻薬取締法・道交法違反)から2ヵ月(詐欺幇助)までの業務停止が科され、診療報酬不正請求や傷害、廃棄物処理法違反も含まれた。戒告は2人だった。厚労省は、これら不正行為は国民の医療への信頼を損なうとし、再発防止と医療倫理向上を求めている。 参考 1) 2025年8月6日医道審議会医道分科会議事要旨(厚労省) 2) 医師と歯科医20人処分 免許取り消し、業務停止など-厚労省(時事通信) 3) 医師、歯科医師20人処分 厚労省、免許取り消しは1人(MEDIFAX) 4) 医師12名に行政処分、MRに対する強制わいせつ致傷で有罪の医師は免許取消(日本医事新報) 6.人口30万人以下の地域の急性期は1拠点化? 医療機能の再編議論が本格化/厚労省厚生労働省は8月8日、第2回「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」を開催し、2026年度からの新たな地域医療構想の柱として「医療機関機能報告」制度の導入を提案した。各医療機関は、自院が地域で担うべき4つの機能(急性期拠点、高齢者救急・地域急性期、在宅医療連携、専門など)について、救急受入件数や手術件数、病床稼働率、医師・看護師数、施設の築年数といった指標をもとに、役割の適合性を都道府県へ報告する。中でも議論を呼んだのが、救急・手術を担う「急性期拠点機能」の整備基準である。厚労省は人口規模に応じた整備方針を示し、人口100万人超の「大都市型」では複数の医療機関の確保、50万人規模の「地方都市型」では1~複数、30万人以下の「小規模地域」では原則1ヵ所への集約化を目指すとした。しかし、専門病院や大学病院がすでに存在する中核都市などでは、1拠点に絞るのは非現実的との声も上がっている。また、医療機関の築年数も協議指標として活用する案に対しては、公的病院と民間病院の間で資金力に格差がある中、基準化すれば民間病院の淘汰を招く恐れがあるとして、慎重な検討を求める意見も出た。実際、病院建築費は1平米当たり2011年の21.5万円から2024年には46.5万円と倍増し、全国には築40年以上の病棟が約1,600棟(16万床分)存在する。このほか、在宅医療連携機能には訪問診療・看護の実績や高齢者施設との協力体制、高齢者救急機能には診療所不足地域での外来1次救急や施設搬送の体制が求められる。人材面では、医師の地域偏在や診療科偏在だけでなく、今後10年で最大4割減少も予測される看護師不足が最大の制約要因として指摘された。 参考 1) 新たな地域医療構想策定ガイドラインについて(厚労省) 2) 急性期拠点機能の指標に「築年数」厚労省案 救急・手術件数や医療従事者数も(CB news) 3) 人口規模に応じた医療機関機能の整備を提示(日経ヘルスケア)

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事例28 胃潰瘍などでの狭帯域光強調加算(NBI)の査定【斬らレセプト シーズン4】

解説事例では、「D308 胃・十二指腸ファイバースコピー」時に行った「D308 注4 狭帯域光強調加算」にD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)が適用されて査定になりました。狭帯域光強調加算にかかる診療報酬点数表の算定要件を振り返ってみました。特段の留意事項は記載されていませんでした。支払基金の「審査の一般的な取り扱い」も参照してみました。その事例405に「狭帯域光観察(NBI)は狭帯化された2つの波長の光を照射し(中略)、拡大内視鏡を用いて、病変部の悪性腫瘍の鑑別を目的に行う検査である。本加算は、上記を目的に検査を実施した場合にのみ算定できる」と、悪性腫瘍の鑑別に使われるものと定義されていました。傷病名欄をみると、悪性腫瘍またはその疑いを表す病名が表示されていません。そのために、算定要件に合致しないと判断されて査定となったものと推測ができます。カルテを確認すると、「胃ポリープ」が記載されているだけでした。医師には、悪性腫瘍を鑑別する検査を行った場合は疑いもしくは確定された病名を付与していただけるようにお願いしました。レセプトチェックシステムには、悪性腫瘍またはその疑いの病名がない場合には、アラートを発するように登録して査定対策としています。なお、この加算は、内視鏡検査のうち「D306 食道ファイバースコピー」、「D308 胃・十二指腸ファイバースコピー」および「D313 大腸内視鏡検査 1ファイバースコピーによるもの」ならびに「K803 膀胱悪性腫瘍手術 6 経尿道的手術」のみに設定されていることを申し添えます。

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大腸がんスクリーニング、CT検査が便中DNA検査よりも有用か

 大腸がんのスクリーニングにおいては、マルチターゲット便中DNA検査(mt-sDNA検査)よりも大腸CT検査(CT Colonography;CTC)の方が、臨床的有効性と費用対効果の点で優れていることが、新たな研究で示された。米ウィスコンシン大学医学部・公衆衛生学部放射線医学・医学物理学分野のPerry Pickhardt氏らによるこの研究結果は、「Radiology」に6月10日掲載された。 大腸がんのスクリーニングでは、現在も大腸内視鏡検査が主流であるとPickhardt氏は説明する。大腸内視鏡検査は侵襲性が高いものの、検査中に前がん状態のポリープを切除できるため、依然として検診のゴールドスタンダードであるという。しかし、鎮静薬を使い、細くて柔軟なチューブを肛門から結腸に挿入するこの検査に不安を感じ、mt-sDNA検査かCTCを選択する患者は少なくない。mt-sDNA検査は、患者から採取した便サンプルに含まれるDNAを解析して腫瘍細胞に由来する変異遺伝子や異常なメチル化パターンなどを検出する。一方、CTCでは、肛門から炭酸ガスなどを注入して大腸を膨らませた状態でCT撮影を行い、ポリープなどの病変の有無を調べる。 メディケアは現在、mt-sDNA検査とCTCの両方をカバーしている。このことからPickhardt氏らは、これらの侵襲性の低い2種類の検査方法の臨床的有効性と費用対効果を直接比較することにした。そのために同氏らは、米疾病対策センター(CDC)の2017年のデータを基にマルコフモデル(ある状態の別の状態への変化を確率的に予測するモデル)を構築し、45歳の米国人口を代表する1万人の仮想的なコホートを対象に、3つの大腸がんスクリーニング戦略を評価した。3つの戦略とは、1)3年ごとのmt-sDNA検査、2)従来型CTC戦略(6mm以上のポリープは全て内視鏡的切除を行い、検査を5年間隔で実施)、3)CTCサーベイランス戦略(6〜9mmのポリープに対しては3年ごとにCTCで経過観察を行い、10mm位以上のポリープは内視鏡的切除を行う)であった。 その結果、大腸がんの累積発症率は、スクリーニングを受けない場合での7.5%(752人)から、mt-sDNA検査を受けることで59%(310人)、従来型CTC戦略を受けることで75%(190人)、CTCサーベイランス戦略を受けることで70%(223人)減少することが示された。 また、全ての戦略において増分費用効果比(ICER)が支払い許容額の基準である10万ドル/1QALY(質調整生存年)を大きく下回り、これらの戦略はスクリーニングを受けない場合と比べて費用対効果が高いと考えられた。1QALY獲得するのにかかる費用は、mt-sDNA検査で8,878ドル(1ドル145円換算で約128万7,000円)であった。一方、CTCの両戦略は、スクリーニングを行わない場合よりも1人当たりの総医療費が少なく(スクリーニングなし:4,955ドル〔約71万8,500円〕、CTCサーベイランス戦略:3,913ドル〔約56万7,000円〕、従来型CTC戦略:4.422ドル〔約64万1,000円〕)、費用対効果が優れているとともに医療費の節約にもつながることが示された。 研究グループは、「これらの結果は、CTCが従来の大腸内視鏡検査やmt-sDNA検査の中に「正当な最前線のスクリーニングオプション」として加わることができることを示している」と結論付けている。 ただし、CTCを受けるには、検査の前に強力な下剤を使用して結腸を空にする必要がある。それでもPickhardt氏は、「CTCは骨粗鬆症や動脈硬化などの他の問題を調べるのにも有用だ」とメリットを強調している。 研究グループはまた、今回のシミュレーションはこれまでの研究結果と一致しているものの、シミュレーションでは検査方法と大腸がん発症率の低下との間の直接的な因果関係を証明することはできないことにも言及している。

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7月14日 内視鏡の日【今日は何の日?】

【7月14日 内視鏡の日】〔由来〕「7(な)」と「14(いし)」と読む語呂合わせから内視鏡医学のさらなる発展と普及を願い、内視鏡医学研究振興財団が2006年に制定。1950年に世界で初めてわが国で胃カメラによる胃内撮影に成功した。それ以来、内視鏡は消化管のがんなどの早期発見・治療のために大切な役割を果たしている。また、内視鏡は、泌尿器科、呼吸器科、耳鼻咽喉科など幅広く用いられ、進化発展している。関連コンテンツマスクが胃カメラの飛沫拡散を予防【患者説明用スライド】上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の略語はどれが正しい?【知って得する!?医療略語】H. pylori検査と除菌後胃がん、知っておくべき7つのQ&A肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ検査時間帯で異なる大腸内視鏡の精度、解決策は?

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マルチターゲット便DNA検査は免疫学的便潜血検査よりも大腸がん発見のコストが高い

 マルチターゲット便DNA検査(MSDT)および次世代MSDT(N-G MSDT)を用いたスクリーニングは、免疫学的便潜血検査(FIT)と比較して、発見できるAdvanced neoplasiaや早期大腸がん(CRC)1例当たりのコストが高いというリサーチレターが、「Annals of Internal Medicine」に5月13日掲載された。 ドイツがん研究センターのHermann Brenner氏らは、MSDTがFITと比較して高感度であり、米国でCRCスクリーニングに使用される機会が増えていることに着目し、2件の研究の結果に基づいて、FIT、MSDT、N-G MSDTを用いたCRCスクリーニングにおいて発見できる標的所見1件当たりのコストを比較検討した。 その結果、便検査で陽性となった場合の大腸内視鏡検査実施率を60%と仮定した場合、発見されるAdvanced neoplasiaまたは早期CRC1例当たりのスクリーニングコストは、MSDTおよびN-G MSDTを用いたスクリーニングで、FITを用いたスクリーニングよりも約7~9倍高くなることが分かった。FITを用いたスクリーニングと比較して、MSDTあるいはN-G MSDTにより追加で早期発見されるCRC1例当たりのコストはいずれも70万ドルを超え、これはFITで発見されるCRC1例当たりの約40倍および30倍に相当した。MSDTおよびN-G MSDTの1回当たりのコストが100ドル(現在のコストの20%未満)に引き下げられたとしても、MSDTまたはN-G MSDTにより追加で発見されるCRCまたはAdvanced neoplasia1例当たりのコストは、依然としてFITより何倍も高くなると考えられる。 著者らは、「今回の結果は、米国におけるFIT使用率の低下とMSDT使用率の上昇という現在の傾向を逆転させることができれば、得られるものが非常に大きい可能性を示している」と述べている。

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PPI・NSAIDs・スタチン、顕微鏡的大腸炎を誘発するか?

 顕微鏡的大腸炎は、高齢者における慢性下痢の主な原因の1つであり、これまでプロトンポンプ阻害薬(PPI)や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、スタチンなどの一般的に用いられる薬剤との関連が指摘されてきた。しかし、スウェーデンで実施された全国調査の結果、これらの薬剤のほとんどは顕微鏡的大腸炎のリスクを増加させない可能性が示唆された。本研究は、Hamed Khalili氏(米国・マサチューセッツ総合病院)らの研究グループによって実施され、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2025年7月1日号で報告された。 研究グループは、スウェーデンの65歳以上の住民280万例超の処方、診断、生検データなどを用いて本研究を実施した。本研究ではtarget trial emulationのデザインを用いて、顕微鏡的大腸炎との関連が指摘されているPPI、NSAIDs、SSRI、スタチン、ACE阻害薬、ARBの各使用群と非使用または代替薬使用群を比較した。主要評価項目は12ヵ月、24ヵ月時点における顕微鏡的大腸炎の累積発症率とした。 主な結果は以下のとおり。・すべての群において、12ヵ月、24ヵ月時点の顕微鏡的大腸炎の累積発症率は0.5%未満であった。・PPI(vs.非使用)、NSAIDs(vs.非使用)、スタチン(vs.非使用)、ACE阻害薬(vs.カルシウム拮抗薬)、ARB(vs.カルシウム拮抗薬)の使用は、顕微鏡的大腸炎の発症リスクを上昇させなかった。・12ヵ月時点における顕微鏡的大腸炎の発症リスクは、SSRI群がミルタザピン群と比較してわずかに高かった(リスク差:0.04%、95%信頼区間:0.03~0.05)。ただし、SSRI群は大腸内視鏡検査の施行率が高く、サーベイランスバイアスの可能性が示唆された。 本研究結果について、著者らは「顕微鏡的大腸炎の引き金となることが疑われてきた薬剤の大半について、因果関係を示すエビデンスは得られなかった」と述べている。

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血中循環腫瘍DNA検査は大腸がんスクリーニングに有用か/JAMA

 平均的リスクの大腸がんスクリーニング集団において、血液ベースの検査(血中循環腫瘍DNA[ctDNA]検査)は大腸がん検出の精度は許容範囲であることが実証されたが、前がん病変の検出にはなお課題が残ることが、米国・NYU Grossman School of MedicineのAasma Shaukat氏らPREEMPT CRC Investigatorsによる検討で示された。大腸がん検診は広く推奨されているが十分に活用されていない。研究グループは、血液ベースの検査は内視鏡検査や糞便ベースの検査に比べて受診率を高める可能性はあるものの、検診対象の集団において臨床的に実証される必要があるとして本検討を行った。結果を踏まえて著者は、「引き続き感度の改善に取り組む必要がある」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年6月2日号掲載の報告。大腸内視鏡検査を参照対照法として、大腸がんに対する感度などを評価 研究グループは、大腸がんの平均的リスク集団において、開発中のctDNA検査の臨床パフォーマンスを、参照対照法として組織病理学的な大腸内視鏡検査を用いて評価する前向き多施設共同横断観察研究を行った。 対象は、大腸がんリスクが平均的で、標準的な大腸がんスクリーニングを受ける意思がある無症状の45~85歳。参加者には、採血後に大腸内視鏡検査を受けることが求められた。 試験は、米国49州とアラブ首長国連邦の計201施設で行われ、参加者は2020年5月~2022年4月に登録された。血液検体は試験地での採血およびモバイル採血にて収集された。 参加者、スタッフ、病理医は血液検査結果が盲検化され、臨床検査も大腸内視鏡検査の所見を盲検化して実施された。 事前に規定された主要エンドポイントは4つで、ctDNA検査の大腸がんに対する感度、進行大腸腫瘍(大腸がんまたは進行前がん病変)に対する特異度、進行大腸腫瘍の陰性的中率、進行大腸腫瘍の陽性的中率であった。副次エンドポイントは、進行前がん病変に対する感度であった。大腸がんの感度79.2%、進行大腸腫瘍の特異度91.5%だが、進行前がん病変の感度は12.5% 臨床検証コホートには結果が評価された2万7,010例が包含された。年齢中央値は57.0歳、55.8%が女性であった。73.0%が白人で、アジア系は8.8%。 ctDNA検査の大腸がんに対する感度は79.2%(57/72例、95%信頼区間[CI]:68.4~86.9)、進行大腸腫瘍に対する特異度は91.5%(2万2,306/2万4,371例、95%CI:91.2~91.9)であった。進行大腸腫瘍の陰性的中率は90.8%(2万2,306/2万4,567例、95%CI:90.7~90.9)、進行大腸腫瘍の陽性的中率は15.5%(378/2,443例、95%CI:14.2~16.8)で、すべての主要エンドポイントが、事前に規定した受容基準を満たした。 進行前がん病変に対する感度は12.5%(321/2,567例、95%CI:11.3~13.8)で、事前に規定した受容基準を満たさなかった。

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