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禁煙をサポートするウェブサイト「すぐ禁煙.jp」

ファイザー株式会社は、経口禁煙補助薬「チャンピックス錠」の発売に合わせて、禁煙にチャレンジしたい喫煙者の禁煙治療をサポートするウェブサイト「すぐ禁煙.jp」(http://sugu-kinen.jp)を2008年5月8日にオープンする。禁煙治療のシミュレーションや禁煙カウンター、医療機関検索などのメニューを用意。

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日本初の経口禁煙補助薬「チャンピックス錠」新発売

ファイザー社は、5月8日(木)にニコチン依存症の喫煙者に対する新しい禁煙補助薬「チャンピックス錠」(一般名:バレニクリン酒石酸塩)を発売すると発表した。チャンピックスは日本初の経口禁煙補助薬。既存の禁煙補助薬がタバコの代わりにニコチンを補充することによって禁煙に伴うイライラや集中できないといった離脱症状を軽減する「ニコチン代替療法」であるのに対し、チャンピックスは脳内のニコチン受容体に選択的に働き、離脱症状やタバコに対する切望感を軽減するとともに、喫煙による満足感を抑制する。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_04_22_02.html

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禁煙成功率が2倍以上に、喫煙者に対する「肺年齢」の告知

喫煙者にスパイロメトリー検査に基づく「肺年齢」を伝えると、禁煙率が有意に改善されることが、英国Limes Surgery(ハートフォードシャー州ホデスドン)の一般医(GP)Gary Parkes氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。喫煙者の1/4が罹患するとされる慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界的な死因の第4位を占める。英国には150万人のCOPD患者がいると推計されるが、その半数は診断されておらず、発症から診断までの期間は平均20年に及ぶという。BMJ誌2008年3月15日号(オンライン版2008年3月6日号)掲載の報告。肺年齢を告知する群とFEV1の数値を伝える群を比較研究グループは、禁煙の動機付けとして患者にスパイロメトリー検査で推計された肺年齢を告知し、その有効性を評価するための無作為化対照比較試験を行った。肺年齢とは、被験者のスパイロメトリー検査による1秒量(FEV1)と同等の肺機能を示す標準的な健常者の年齢である。ハートフォードシャー州の5つのGP診療所に、35歳以上の喫煙者561名が登録された。すべての参加者に対しスパイロメトリーによる肺機能の評価が行われた。介入群(280例)には肺年齢が告知され、対照群(281例)にはFEV1の数値がそのまま伝えられた。両群に禁煙のアドバイスを行い、国民保険サービス(NHS)の地域禁煙サービスを受けるよう提案した。主要評価項目は12ヵ月後の唾液コチニン検査で確認された禁煙、副次評価項目は1日喫煙本数の変化および新規に診断されたCOPDとした。禁煙成功率:13.6% vs. 6.4%89%が12ヵ月間のフォローアップが可能であった。禁煙成功率は対照群の6.4%に対し、介入群は13.6%と有意な改善効果が認められた(p=0.005)。1名の禁煙成功者を得るのに要する介入人数(NNT)は14名であった。両群とも、肺年齢が低い参加者のほうが正常な者に比べ禁煙率が優れるという傾向は認めなかった。禁煙に要する費用は1人当たり280ポンド(366ユーロ、556ドル)と推計された。COPDの新規診断率は介入群が17%、対照群が14%であり、全体では16%(89/561人)であった。Parkes氏は、「喫煙者に対する肺年齢の告知は禁煙率の改善に有効であるが、そのメカニズムは不明」と結論し、「35歳以上の喫煙者のスクリーニングにより、喫煙率を低下させ、COPDの早期診断率を改善する可能性がある。喫煙の重い健康負担と医療費負担を考慮すれば、この簡便な介入法の経済効果を評価する研究を優先的に進めるべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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「BMI」だけで心血管系リスクの予測は可能:NHEFS

心血管系リスクの評価にあたり「肥満」を評価項目にすれば、必ずしも「コレステロール値」を測定しなくとも心血管系リスクの予測ができる可能性が出てきた。採血のためだけに医療機関を訪れる必要が減るのであれば、患者サイドにとっては朗報だろう。Lancet誌2008年3月15日号でBrigham & Women’s Hospital(米国)のThomas A Gaziano氏らが報告した。「採血なし」のCHDリスク評価の正確性を検討Gaziano氏らが今回検討したのは「採血なしで心血管系リスクをどこまで正確に評価できるか」という点である。そのため、「性別」「年齢」「収縮期血圧」「糖尿病」「喫煙習慣の有無」「高血圧治療の有無」に加え「総コレステロール値」を組み込んだ心血管系リスク予測モデル(コレステロール・モデル)と、「総コレステロール値」を「BMI」で置き換えた「BMIモデル」による心血管系リスク予測の正確性を比較した。検討に用いられたコホートはNHEFS(NHANES I Epidemiologic Follow-up Study)、1971~75年にかけて実施された全国的調査NHANES Iの対象から当時25~74歳だった14,407例を前向きに追跡しているコホートである。今回はNHANES Iの時点で心血管系疾患既往を認めなかった6,186例が対象となった。  コレステロール値を用いなくともリスク予知の正確性は同等21年間の追跡期間中、1,529例に心血管イベントが発生し、うち578例が死亡した。「コレステロール・モデル」と「BMIモデル」のイベント予知正確性に差はなかった。すなわち、リスクモデルの正確性の指標であるc-statisticを比較すると、女性では「コレステロール・モデル:0.829」 vs. 「BMIモデル:0.831」(p=0.116)。男性では「コレステロール・モデル:0.784」 vs. 「BMIモデル:0.783」(p=0.457)だった。ROCカーブも両モデルは、ほぼ同一に重なっていた。WHO(世界保健機関)は心血管系リスク評価からコレステロール値をすでに取り除いているが、その正当性を強く示唆するデータであるとGaziano氏らは述べ、前向きコホート研究のデータを持つ国はすべて、このような検討を行う価値はあるとしている。わが国でも、医療経済的考察を含む検討は興味深いのではないだろうか。(宇津貴史:医学レポーター)

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第6回日本臨床腫瘍学会学術集会プレスセミナー

2008年3月20、21日に福岡国際会議場において開催された「第6回日本臨床腫瘍学会学術集会」に先立ち、19日にプレスセミナーが開催された。そのなかで、「承認相次ぐ分子標的治療薬-世界標準を見据えて-」についてレポートする。初めに、東京医科大学病院呼吸器外科の坪井正博氏より、非小細胞肺癌:エルロチニブ<上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤>が紹介された。国内外の臨床成績、ガイドラインの位置づけ、ゲフィチニブとの違いを紹介した。両剤とも、効果の得られやすい症例に使用したほうが良いと考えられ、その効果が期待できる集団として女性、非喫煙者などをあげたが、まだ明確な根拠はないという。エルロチニブは2次、3次治療として期待できる薬剤ではあるが、肺障害のリスクなどもあるため、リスクとベネフィットのバランスを患者さんと相談しながら薬剤選択することが重要とまとめた。続いて、東京慈恵会医科大学腫瘍・血液内科の薄井紀子氏より慢性骨髄性白血病(以下CML):分子標的療法の現状と課題が紹介された。薄井氏は、CMLの病態・治療についての概要、分子標的薬イマチニブ<ABLチロシンキナーゼ阻害剤>の治療成績、耐性の問題を紹介した。続いて新規チロシンキナーゼ阻害剤、ダサチニブ、ニロチニブなどについて、それぞれの特徴を交えて解説した。最後に薄井氏は、イマチニブをきちんと使うことが一番重要であり、イマチニブ耐性・無効例には変異に応じた薬剤を選択する時代になってくるだろう、その治療法はデータに基づき、きちんと選択しなければならないと結んだ。次に、国立がんセンター東病院内科の大津敦氏より、大腸がん:セツキシマブが紹介された。セツキシマブは2008年3月現在、未承認であることを冒頭に述べ、EGFRについて解説した。続いてセツキシマブの作用機序、特徴、海外・国内臨床成績、安全性を紹介し、大腸がん領域において、アバスチン、セツキシマブの登場により、本邦も海外と同じレベルの治療が出来るようになる、とまとめた。まとめとして、癌研究会有明病院化学療法科の畠清彦氏が、それぞれの講演におけるポイントを紹介し、さらに新規分子標的薬承認に向けて今後わが国において必要とされる対応について述べた。最後のディスカッションにおいては、韓国に比べて日本における申請から承認までの期間が長いこと、治験が中国や韓国に流れていること、分子標的治療薬では医療費が高額となり治療を続けられない患者さんが存在することなど、今後、解決していくべき問題があがった。

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I期肺癌の早期再発はDNAメチル化が関与

非小細胞肺癌(NSCLC)は、最適で早期の外科的治療にもかかわらず、多くの患者が再発性のNSCLCで死亡している。ジョンズ・ホプキンス病院(米国メリーランド州ボルティモア)のMalcolm V. Brock氏らは、遺伝子のメチル化が腫瘍再発に関与しているのではないかと調査し、遺伝子のプロモーター領域のメチル化が関与していることを突き止めた。NEJM誌2008年3月13日号より。167例で7遺伝子のメチル化と腫瘍再発の関係を評価I期のNSCLCで治癒切除を受け、術後40ヵ月以内に再発した51例の患者(症例患者)と、同じくI期のNSCLCで治癒切除を受け、40ヵ月以内に再発しなかった116例(対照群)について、年齢、NSCLCのステージ、性別、手術時期をベースにマッチングを行った。調査では、腫瘍とリンパ節の7つの遺伝子のメチル化が腫瘍再発と関係しているかどうかを検討の対象とした。腫瘍および縦隔リンパ節でのp16とCDH13のメチル化が再発と強い相関多変量解析の結果、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A遺伝子p16、H-カドヘリン遺伝子CDH13、Ras関連ドメインファミリー1遺伝子RASSF1A、大腸腺腫性ポリポーシス遺伝子APC――これら4遺伝子におけるプロモーター領域のメチル化が、腫瘍および組織学的に腫瘍陰性であるリンパ節における腫瘍再発と関連していることが認められた。NSCLCの病期、年齢、性別、人種、喫煙歴、腫瘍の組織学的特徴とは関係ない。腫瘍および縦隔リンパ節のp16とCDH13のプロモーター領域のメチル化は、癌の再発と強く相関していた。治癒切除を受けた群167例のオッズ比は15.50。これにI期のNSCLCをもつ検証群20例を統合した場合のオッズ比は25.25に上ったと報告している。(武藤まき:医療ライター)

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糖尿病患者教育プログラムの有用性が無作為化試験で証明される

「DESMONDプログラム」と名付けられた1回の糖尿病集団教育により、1年後の血糖値改善傾向、体重や喫煙習慣が有意に減少し、病態への漠然たる不安やうつ症状も軽減され得ることが英国における無作為化研究の結果明らかになり、BMJ誌HPにて早期公開された(2008年2月14日付、本誌には2008年3月1日号に収載)。筆頭筆者は University of LeicesterのMelanie J Davies氏。一方通行ではない、患者の主体性を引き出すプログラム本試験の対象は、207件の一般診療所で2型糖尿病と新規に診断された成人824例。診療所ごとに「DESMONDプログラム実施」群と行なわない「対照」群に無作為割り付けされた。実施群では診断から12週間以内にプログラムを受講させた。「プログラム」は集団教育の形をとり、所要時間は6時間。1日、ないし2回に分けて受講することとした。訓練された専門家2名により行われ、食品選択や身体活動、また心血管系リスクファクターに関する教育が行われた。この教育は講師からの一方通行ではなく、主として受講者とのやりとりにより進められた。このプログラムにより受講者は、自らのリスクファクターと、改善できそうな生活習慣を認識できるようになっている。 体重減少、メンタルも改善1年後、プログラム実施群では対照群に比べ、有意に「体重」が有減少し(-2.98kg vs. 1.86kg、p=0.027)、「非喫煙率」は増加した(オッズ比:3.56、p=0.033)。ただし、HbA1c低下は「実施群」で1.49%と対照群の1.21%よりも高値だったが、有意差には至らなかった。メンタルな側面を見ると、「何か非常に悪いことが起きている」との認識(illness belief)は「実施群」で有意(p=0.001)に軽くなり、抑うつの程度も有意(p=0.032)に改善されていた。また興味深いことに、「体重」と「自己責任感」の間に有意な正の相関が認められた。Davies氏らも述べているが、試験開始時に平均92kgだったこれらの患者において、抑うつをもたらさず体重を減少し得るという点が、このプログラムの最大のメリットだろう。(宇津貴史:医学レポーター)

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PTSD発症率は非派遣兵の3倍、戦闘に曝露したイラク/アフガニスタン帰還兵

米軍のイラク/アフガニスタン帰還兵のうち実際に戦闘に曝露した兵士の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症率は非派遣兵の約3倍にも達することが、BMJ誌2008年2月16日号(オンライン版2008年1月15日号)に掲載された米国海軍健康研究所(サンディエゴ)のTyler C Smith氏らの研究結果で明らかとなった。最近の報告では帰還兵の10%にPTSDの症状が見られるとされるため、同氏らは大規模な米軍コホートにおいて自己報告によるPTSDの実態調査を行った。約5万人の兵士のデータを解析本試験は、イラク/アフガニスタン戦争に先立つ2001年7月~2003年6月に7万7,047人の米軍兵士および予備兵/州兵を登録したミレニアムコホートのデータを用いたプロスペクティブな大規模コホート研究。2004年6月~2006年2月に実施されたフォローアップにより、5万184人から健康関連のアウトカムに関するデータが収集された。主要評価項目は自己報告によるPTSD発症率とし、PTSDチェックリストとして“Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders”第4版の一般向け判定規準を用いた。派兵そのものよりも戦闘への曝露が重大な影響2001~2006年にミレニアムコホートの40%以上が派兵され、ベースラインとフォローアップの間に初めての派兵としてイラク/アフガニスタン戦争の支援に赴任したのは24%であった。ミレニアムコホートのうち、1,000人年当たりのPTSDの新規発症率は10~13人であった。自己報告によるPTSDの症状発現率あるいは診断率は、戦闘に曝露したと報告した兵士が7.6~8.7%、戦闘に曝露しなかったと報告した兵士が1.4~2.1%、派遣されなかった兵士は2.3~3.0%であった。ベースライン時にPTSDの症状を報告した兵士においては、派兵が症状の持続に影響を及ぼすことはなかった。また、全般に女性兵士、離婚経験者、下士官兵、およびベースライン時に喫煙あるいはアルコール依存を報告した兵士で新たにPTSDの症状を訴えるリスクが高かった。Smith氏は、「ベースライン時の背景因子で補正したところ、派兵されて戦闘に曝露した兵士における自己報告によるPTSDの新規症状発現/診断率は、非派遣兵の約3倍にものぼった」と結論している。また、「これらの知見は、戦闘曝露兵におけるPTSDの重要性を明確化し、派兵後のPTSDの発症には派兵そのものもよりも特定の戦闘への曝露が有意な影響を及ぼすことを強調するものだ」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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下肢血管形成術でパクリタキセル・コーティング・バルーン使用は再狭窄を有意に減少

薬剤溶出ステントは冠動脈の再狭窄を減少させるものの、末梢動脈での有効性は臨床試験では証明されていなかった。そのため下肢血管形成術における、パクリタキセルでコーティングされた血管形成術用バルーンと、血管造影剤に溶解したパクリタキセルの効用について調査が、エーベルハルト・カール大学(ドイツ)Gunnar Tepe氏らによって行われた。NEJM誌2008年2月14日号より。大腿膝下動脈で遠隔期損失径を比較調査は、大腿膝窩動脈の狭窄、または閉塞を伴う患者154例を、パクリタキセルでコーティングされた標準的バルーンカテーテルによる治療群、コーティングなしのバルーン+造影剤に溶解したパクリタキセル治療群、コーティング・バルーンも含有造影剤もなしの群(対照群)にランダムに割り付け、小規模の多施設共同試験を行った。主要評価項目は6ヵ月後の遠隔期損失径。患者の平均年齢(±SD)は68歳(±8)、喫煙者が24%、そして糖尿病が49%だった。病変の27%は完全閉塞、36%は再狭窄であった。平均の病変長は7.4±6.5 cmで、治療群間のベースライン特性には有意差がなかった。パクリタキセル・コーティングに起因する有害事象は認められなかった。パクリタキセル・コーティング・バルーンで有意な効果6ヵ月後の対照群の遠隔期損失径の平均値は1.7±1.8mm、一方、パクリタキセル・コーティング・バルーンによる治療群は0.4±1.2mm(P

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大麻吸引は歯周疾患の危険因子

たばこ喫煙が歯周病の危険因子であることは広く知られているが、たばこだけでなく長期間の大麻吸引も歯周組織に有害で、たばことは独立した危険因子の可能性があるという。ニュージーランド・John Walsh 歯科大学口腔科のW. Murray Thomson氏がまとめ、JAMA誌2008年2月6日号に掲載された。ダニーデン生まれ1,015例の前向きコホート研究本研究は前向きコホート研究で、対象は1972~1973年にダニーデン市(ニュージーランド)で生まれた1,015例。出生後の18、21、26、32歳検診時に大麻吸引有無の確認が取れ、26、32歳時の歯科検診のデータが得られた者(対象の96%)が分析された。被験者32歳時点の最新データは2005年6月に収集されたもの。分析が完全にできたデータは903例(89.0%)だった。歯周病の症状は、26歳からの変化も含めて32歳時点で、1本の歯につき3ヵ所で歯肉付着位置の深さを測定する複合アタッチメント・ロス(combined attachment loss=CAL)を行い判断された。大麻曝露が高度なほど歯周病の症状が進行大麻曝露の状況は、非曝露群32.3%(293例)、中程度曝露群47.4%(428例)、高度曝露群20.2%(182例)だった。CALについては全体の29.3%(265例)にCAL 4mm以上が1ヵ所以上で認められ、12.3%(111例)はCAL 5mm以上が1ヵ所以上に認められた。3mm以上の新しいCALが1ヵ所以上の付随的アタッチメント・ロス(incident attachment loss)が認められたのは、非曝露群6.5%、中程度群11.2%、高度曝露群23.6%だった。たばこ喫煙と性差、不定期に行われた歯科治療と歯垢除去の有無を補正後、高度曝露群は大麻を吸引したことがない群と比較して、CAL 4mm以上が1ヵ所以上できるリスクは1.6(95%の信頼区間:1.2-2.2)、CAL 5mm以上が1ヵ所以上できるリスクは3.1(同1.5-6.4)、付随的アタッチメント・ロスは2.2(同1.2-3.9)だった。Thomson氏らは、「大麻吸引はたばこ喫煙とは独立した歯周疾患の危険因子である可能性があり、大麻吸引の蔓延を抑制する公衆衛生対策が、市民の歯周健康維持に貢献できることを示す」と結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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嚢胞性線維症患者への悪影響は間接喫煙曝露と遺伝子変異が相互に連関

嚢胞性線維症(CF)は白人に高頻度でみられる単一遺伝子疾患だが、Johns Hopkins医科大学遺伝学部門のJ. Michael Collaco氏らは、本疾患をめぐる遺伝子-環境の相互連関を調べることで疾患変異の洞察を試みた。具体的に間接喫煙曝露とCF患者の肺機能やその他転帰との関連性、また間接喫煙曝露と肺疾患重症度との社会経済学的側面からみた関連性、肺機能に影響を与える間接喫煙曝露は特異的な遺伝子-環境なのかを検証。JAMA誌2008年1月30日号で結果が掲載された。2000年10月~2006年10月の米国人CF患者を調査対象はUS Cystic Fibrosis Twin and Sibling Studyから集められ、2000年10月から2006年10月の間にCFと診断された主として米国人。欠落データについては嚢胞性線維症財団の登録データで補完された。このデータについて、環境因子および遺伝的因子で階層化し、肺機能に関するレトロスペクティブな評価を実施。主要評価項目は、横断的および縦断的肺機能測定時の疾患特異性。間接喫煙曝露群は横断・縦断的肺機能とも有意に低下家庭での間接喫煙有無が確認できた812例のうち188例(23.2%)が曝露群。妊娠期間中に母親の能動喫煙有無が確認できた780例のうちでは129例(16.5%)が曝露群だった。家庭での間接喫煙曝露群は非曝露群と比較して、横断的評価でも(パーセンタイル値9.8ポイント減、P<0.001)、縦断的評価でも(同6.1ポイント減、P=0.007)有意に肺機能が低かった。また回帰分析の結果、肺機能への間接喫煙曝露の有害性は社会経済的背景とは関連性は認められなかった。変異遺伝子と間接喫煙曝露の相互連関が肺機能の有意な低下を招いていることも明らかとなった(嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子CFTR non-ΔF508 ホモ接合体はパーセンタイル値12.8ポイント(P=0.001)、トランスホーミング増殖因子TGFβ1-509 TTホモ接合体は同22.7ポイント(P=0.006)、トランスホーミング増殖因子TGFβ1codon10CCホモ接合体も同20.3ポイント(P=0.005)それぞれ低下)。このため「どのような間接喫煙曝露もCF患者の肺機能に悪影響を及ぼす。またCF遺伝子(CFTR)とCF変異遺伝子(TGFβ1)は、間接喫煙曝露の負の影響を増幅する」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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依然と低いCOPD(慢性閉塞性肺疾患)認知度

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社とファイザー株式会社が行ったCOPDに対する一般市民の意識調査(全国で40歳以上の男女を対象にインターネット調査、回答を得た4,744名を集計した結果)によると、COPDの認知度は34.0%と前回調査(2007年5月)時34.3%とほぼ横ばいの結果だった。咳、痰、息切れなどの自覚症状や喫煙暦の有無からCOPDが疑われる人でも、自分の症状を医師に相談しない人は82.1%にのぼり、その理由として、60.4%の人が「自分はCOPDではない」と回答、35.8%の人が「医師に相談するほど、自分の症状は深刻ではない」と回答している。さらに、COPDの重要なサインのひとつである咳が長引いた場合、COPDを疑う人は15.0%にとどまることが判明した。長引く咳の場合、68.9%の人が慢性気管支炎を、56.5%の人が肺炎を、44.8%の人がぜんそくを疑うと回答し、咳、痰、息切れといったCOPDの初期症状が充分に認知されていない実態が明らかとなった。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/news/p-release/08_0125.html

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コレステロール低値の脳卒中死リスクは必ずしも低くない

観察研究のメタ解析としては最も信頼性の高いProspective Studies Collaboration(PSC)が、血清脂質と心血管系イベントに関する解析をLancet誌12月1日号で公表した。虚血性心疾患死のリスクは予想通り、血清総コレステロール(TC)低値例で年齢を問わず低かった。一方、脳卒中死では、TC高値がリスクとなっていたのは、相対的若年者と収縮期血圧がほぼ正常である場合のみだった。約90万例、1千万例・年のデータを解析解析対象となったのは、観察開始時に心血管系疾患の既往がなかった40~89歳の89万2,337人。前向きコホート研究61件のデータが集められた。わが国からのデータも含まれているが、主として欧米人の成績である。また一般的なメタ解析と異なり、PSC解析では原則として、オリジナルデータが入手可能だった。1,160万人・年のサンプル(平均追跡期間13年)中、55,262例が血管系イベントで死亡していた。内訳は「虚血性心疾患死」が33,744例、「脳卒中死」11,663例、「その他の血管死」が9,855例である。虚血性心疾患リスクはTC低値に従い減少性別、年齢と参加した試験で補正後、血清脂質と死亡リスクの関係を検討すると、以下が明らかになった。まず虚血性心疾患死のリスクだが、リスク対数値とTC値の間に正の相関を認めた。年齢の高低、性別を問わず、TC値が37.8mg/dL(1mmol/L)低いと虚血性心疾患死のリスクも有意に低かったが、相対リスクの減少率は若年者で顕著であり、高齢になるに従ってTC低値による相対リスク減少率は小さくなっていた。また、このTC低値における虚血性心疾患リスクの減少は、収縮期血圧の高低、喫煙習慣の有無、BMIの高低を問わず認められた。脳卒中リスクは血圧145mmHg以上では有意に大きい一方、脳卒中死リスク(対数値)とTC値は、40~59歳で弱い正の相関が認められるのみで、それより高齢では相関していなかった。試験開始時の収縮期血圧別に検討すると、「145mmHg未満」ではTC値が37.8mg/dL低値であれば脳卒中死リスクは有意に低くなっていたが、「145mmHg以上」であった場合、リスクは逆に有意に大きくなっていた。この脳卒中と総コレステロールの関係については、更に検討する必要があると著者らは記している。なお本コホートにおける「非血管系死亡」は42,865例。TCが37.8mg/dL低値だとリスクは相対的に10%有意に増加していた(95%信頼区間:1.08~1.11)。この結果を著者らは、TCを低下させる基礎疾患などによりリスクが増加した結果であろうと記している。TC値と総死亡の関係は示されていないが、TC低値は「虚血性心疾患死」のリスクは低いが、血圧コントロール不良例では「脳卒中」抑制に注力が必要であり、また一般的にTC低値例では続発性の低コレステロール血症を除外する重要性が示された。 (宇津貴史:医学レポーター)

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心血管系リスクは「妊娠中毒症」のリスク

Pre-eclampsia(妊娠高血圧症候群:PIH、旧「妊娠中毒症」)患者における心血管系リスク増悪はこれまでも報告されてきたが、このたび、妊娠前・妊娠時の心血管系リスクがPIHのリスクであるとの報告がなされた。Norwegian University of Science and Technology(ノルウェー)のElisabeth Balstad Magnussen氏らが明らかにしたもので、11月1日付けBMJホームページにて早期公開、同誌11月10日号に掲載された。地域住民女性3,500名で検討検討対象となったのは住民研究Nord Tr〓ndelangヘルス・スタディ(〓:Oの中に/、以下同じ)に参加し、出生届が確認された3,494名。Nord Tr〓ndelangヘルス・スタディには、1995~1997年に20歳以上だった全地域女性に登録を呼びかけていた。出生は22週以降の分娩とし、新生児の体重500g以上で9ヵ月以上生存した場合を検討対象とした。母体の健康状態は、Nord Tr〓ndelangヘルス・スタディにおける問診と出生届記載の情報を参照した。PIH例では代償機転が必要以上に大きく作用?3,494名中、133例(3.8%)がPIHだった。PIH群では背景因子中に心血管系リスクが多く認められた。すなわち、出産時母体年齢、妊娠期間、PIH既往と喫煙で補正後、PIHオッズ比は、収縮期血圧、拡張期血圧、総コレステロール値、LDLコレステロール値、非HDLコレステロール値──が上昇するに従い有意に増加していた。また、BMI、腹囲径の上昇もPIHオッズ比を増加させる有意な傾向が認められた。また両親いずれかの既往症との関係では、高血圧と糖尿病がPIHリスクを有意に増加させていたが、虚血性心疾患、また(これまで相関が報告されている)脳卒中とは有意な相関がなかった。Magnussen氏らは「妊娠前・妊娠時の心血管系リスクはPIH発症リスクと相関している」と結論すると同時に、正常な妊婦でもインスリン抵抗性の軽度上昇や軽度の脂質代謝異常は認められるため、PIH例ではこれらの妊娠に対する代償機転が必要以上に大きく作用しているのではないかと考察している。(宇津貴史:医学レポーター)

1595.

経口避妊薬の長期使用により子宮頸癌のリスクが倍増、中止後は漸減

混合型経口避妊薬は、国際がん研究機関(IARC)により子宮頸癌の原因とされている。この関連性の公衆衛生学的な意義は、子宮頸癌は加齢とともに増加することから、経口避妊薬使用中止後における作用の持続性の影響を強く受ける。 「子宮頸癌の疫学に関する国際共同研究」の研究グループは、世界各国で実施された試験のデータをプールし、子宮頸癌と経口避妊薬の使用パターンの関連について検討した。11月10日付Lancet誌掲載の報告から。24試験の子宮頸癌、非子宮頸癌女性の経口避妊薬の使用状況を解析解析の対象となった24試験には26ヵ国が参加しており、その約半数は開発途上国であった。子宮頸癌16,573例[浸潤癌11,170例、子宮頸部上皮内腫瘍grade 3(CIN3)5,403例]および非子宮頸癌女性35,509名(対照)のデータを集積して再解析した。子宮頸癌の相対リスクはconditional logistic regressionを用いて解析し、試験、年齢、性交パートナー数、初回性交年齢、喫煙、スクリーニング法などで層別化した。使用期間5年以上で相対リスクが倍増、中止後は漸減経口避妊薬の現使用者においては、使用期間が長くなるに従って浸潤性子宮頸癌のリスクが増大し、使用期間5年以上の女性の相対リスクは非使用女性の約2倍に達した(相対リスク:1.90、95%信頼区間:1.69~2.13)。一方、使用中止後はリスクが低下し、10年以上が経過すると非使用者と同等のリスクに戻った。浸潤癌およびCIN3とも同じリスクパターンがみられ、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染リスクの高い女性でも同様であった。また、患者背景の異なる女性間で、相対リスクの実質的な違いはみられなかった。長期使用により、累積発症率は開発途上国、先進国ともに上昇研究グループは、「子宮頸癌の相対リスクは経口避妊薬の使用により増加するが、中止後は低下する」と結論している。さらに、「20歳代の10年間、経口避妊薬を使用すると、50歳までの浸潤性子宮頸癌の累積発症率が開発途上国では1,000人当たり7.3人から8.3人へ、先進国では3.8人から4.5人へ上昇する」と解析している。(菅野 守:医学ライター)

1596.

COPD患者の生の声

COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ(販売:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社)承認取得3周年記念記者会見(2007年10月23日)で、COPD患者の尾崎さんご夫妻(北海道日高郡在住)が患者の立場で、COPDが生活に与える影響、およびCOPD診療のあり方に対する感想を話した。尾崎さんは、20歳ごろから47年間喫煙し、多い時には、煙草を一日60本程度吸っていた。6年前に、COPDと診断されたことをきっかけに、禁煙した。尾崎さんは建設会社を経営するため、60歳になってからも現役で仕事をされた。しかし、ある時期から、約1年間かけて体重が55kgから47kgまでと急激に低下した。朝起きる時、「ドキドキ」、「ハーハー」のような動悸症状が見られた。体が疲れやすく、やる気もなくなり、一日中家でテレビを見ている日が多くなった。万歩計で計ると、1日250歩ぐらいしか歩かなかった日もあった。ある日、息子の嫁が偶然に週刊誌で木田厚瑞氏(日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長)のCOPDに関する記事を目にし、尾崎さんの症状とほぼ同じことに気づいた。尾崎さんはすぐに木田氏の施設を受診し、COPDと診断され、治療を開始した。その後、地元の病院に通いながら、年2回木田氏の施設に診察を受けている。現在、スピリーバ(チオトロピウム;長期間作用型抗コリン薬)などの吸入薬を毎日服用している。今では食事がおいしく感じ、体重は以前とほぼ同じ54.5kgにまで戻った。また、散歩、園芸作業のほか、フルコースのパークゴルフまでできるようになった。尾崎さんによると、周りの多くの友人は自分と同じ病気を侵しているにもかかわらず、病院に行っても、COPDと診断されず、COPDの治療薬をもらえなかった。自分は運がよく、たまたまCOPDのことを知り、治療によって元気になった。会見で木田氏は、COPDは、まだあまり知られていないため、多くの患者はいまだに治療受けていないか、違う疾患と診断され、苦しんでいることを指摘、早急にCOPDの概念を普及する必要性を訴えた。(ケアネット:呉 晨)

1597.

COPD――多彩な併存症を持つ全身性疾患

2007年10月23日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ(販売:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社)承認取得3周年記念記者会見で、日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏はCOPDの多彩な併存症について講演を行った。COPDは虚血性心疾患、肺がん、骨粗鬆症、糖尿病、うつなど多彩な併存症をもつことで注目を浴びています。木田氏が以前、解剖になった4,552名の患者を対象に、COPDの主要病態である肺気腫の合併疾患の頻度を調べたところ、脳血管障害70.9%、肺炎61.0%、胃潰瘍43.9%、肺結核24.1%、肺がん21.5%が認められ、いずれも肺気腫なしの患者より有意に高かった。また、COPD患者の死因の35%は肺炎、27%は心血管疾患、21%はがんであった(*1)。COPD患者は、呼吸機能の低下に従って、骨粗鬆症の発生頻度が大幅に増加することが知られている(*2)。COPDにおける骨粗鬆症のリスクファクターとしては、喫煙、活動量の低下、体重減少と筋肉量の減少、およびステロイド治療などが考えられている(*3)。また、COPD患者の41%にうつがあり、死亡率が高いとの報告がある(*4)。一方、COPD患者の13~17%に貧血が起こり、貧血が併存する場合、運動機能が落ち、生存率も下がる(*5,6)。このように、COPDの併存症は、多彩であるため、プライマリ・ケアと専門性の高い医療機関との連携(紹介・逆紹介)が望ましいと木田氏が強調した。一方、木田氏は、併存症を治療すると同時に、COPDに対し、効果の乏しい不適切な薬物処方をやめ、適切な治療を行うことで、患者QOLの向上、医療費の抑制につながると話した。【文献】*1 Rabe KF. N Engl J Med 2007; 356: 851.*2 Bolton CE. Am J Respir Crit Care Med 2004; 170:1286.*3 lonescu AA. Eur Respir J 2003; 22(suppl 46): 64s.*4 Fan VS, et al. Gender, depression, and risk of hospitalization and mortality in COPD*5 John M, et al. Chest 2005; 127: 825-829.*6 Cote C, et al. Eur Respir J 2007; 29: 923-929.(ケアネット 呉 晨)

1598.

抗酸化物質は、早期の加齢黄斑変性症の一次予防に有効か

 加齢黄斑変性症(AMD)は、先進国の50歳以上の集団における重篤な視力障害の主要原因である。抗酸化物質は、網膜に対する酸化的障害を減弱するとの仮説があるが、AMDの一次予防における食物抗酸化物質の効果は不明である。 メルボルン大学眼疾患研究所(オーストラリア)のElaine W-T Chong氏らは、AMDの一次予防における種々の食物抗酸化物質(αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン、リコピン)の役割について体系的なレビューおよびメタ解析を行った。BMJ誌10月8日付オンライン版、10月13日付本誌掲載の報告から。選択基準を満たす12試験のデータを抽出して解析 標準化された判定基準に基づいて2名の研究者が別個に7つのデータベースを検索して関連文献を選び出した。抽出された4,192の抄録のうち12試験(プロスペクティブなコホート研究:9試験、無作為化臨床試験:3試験)が選択基準を満たした。 次いでデータ抽出および試験の質の評価が2名の研究者によって別個に行われ、得られた結果はメタ解析の手法を用いて定量的にプールされた。コホート研究、無作為化試験とも抗酸化物質によるAMD予防効果は示せず 9つのプロスペクティブなコホート研究には合計149,203名が登録され、そのうち早期AMDは1,878例であった。検討された食物抗酸化物質は個々の試験で異なっており、必ずしも全試験が個々の抗酸化物質のメタ解析の対象とはならなかった。 これらのコホート研究のプール解析では、ビタミンA、C、E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチン、αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン、リコピンは、早期AMDの一次予防においてほとんど効果がないか、あるいは無効であった。 3つの無作為化臨床試験においても、抗酸化物質補助食品の早期AMDに対する予防効果は認められなかった。 Chong氏は、「食物抗酸化物質および抗酸化物質補助食品は、栄養状態が良好な西欧人の早期AMDの一次予防においてほとんど効果がないか、あるいは無効であった」と結論している。なお、今回の解析では、AMDの一次予防に影響を及ぼす可能性があるリスク因子は喫煙のみであったという。

1599.

肺の生活習慣病COPD

2007年10月23日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ承認取得3周年を機に、発売元である日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社が日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏(写真)およびCOPD患者ご夫妻を迎え、記念記者会見を開いた。講演および会見の内容を「肺の生活習慣病COPD」、「多彩な併存症を持つ全身性疾患であるCOPD」、「COPD患者の生の声」の3回に分けて掲載する。わが国の喫煙率は高く、主に喫煙を原因とするCOPDは、まさしく「肺の生活習慣病」である。COPDは世界の死亡原因第4位に挙げられ(*1)、わが国でも2000年に死因の第10位に初めて登場した(*2)。木田氏によると、COPDは初めに断続的な咳、痰が生じ、やがて息切れの出現、息切れの増悪を経て、呼吸困難のため在宅酸素療法に頼り、死亡する経過を辿る。特に進行は非常に緩徐であるため、歳のせいなどと誤解され、医師も、患者も気づかないことが多い。そのため、わが国の推定COPD患者が530万人いるにもかかわらず(*3)、実際に22.3万人しか治療を受けていない(*4)。またCOPDが進行すると、患者のQOLが大きく低下し、運動能力が落ち、やがて寝たきりとなり、大きな問題となる。一方、COPDは急性増悪と呼ばれる急激な症状の悪化が繰り返し起こり、COPDの進行を助長させる恐れがある。中等症以上の患者は急性増悪が起きると、多くの場合は入院治療が必要となり、その費用は1回平均69万円で、医療費を考えても早期な診断と治療が望ましい。木田氏は、COPDの診療には、基幹病院とプライマリ・ケアの医療連携が必要と力説した。さらに、木田氏はCOPDが喘息と誤診されることがしばしばあるが、両者の発症原因はまったく異なる疾患で、異なった治療が必要と説明した。3年前、1日1回吸入する抗コリン薬であるスピリーバ(チオトロピウム)の登場で、COPD患者のQOLを大きく改善することが可能になった。その主な治療効果は、気管支拡張効果により、息切れ回数の減少、身体活動の向上、急性増悪の軽減をもたらす。また抗炎症作用によって、全身性炎症反応を阻害することも考えられる。最後に、木田氏はCOPDが治療できる病気、予防できる病気とのWHOのメッセージを紹介し、COPD治療の必要性を訴えた。(ケアネット 呉 晨)

1600.

経口避妊薬はむしろ発癌リスクを低下させる

経口避妊薬は、1960年代初期に導入されて以来、3億人以上の女性が使用していると考えられる。経口避妊薬使用者は非使用者に比べ乳癌、子宮頸癌、肝癌のリスクが増大するとの研究結果がある一方で、子宮内膜癌、卵巣癌、結腸・直腸癌のリスクが低下するとの報告もあり、全体としての発癌リスクへの影響は明確でない。 イギリス・アバディーン大学一般医療・プライマリケア科のHannaford氏らは、経口避妊薬に関する長期試験のデータを用い、非使用者に比べ使用者では全体として発癌のリスクが低下するとの仮説の検証を行った。BMJ誌9月11日付オンライン版、9月30日付本誌掲載の報告。1968年に開始された試験のデータを用いて発癌リスクを評価解析にはRoyal College of General Practitioners’ oral contraception studyのデータを用いた。本試験は1968年に開始され、14ヵ月にわたりイギリス全土の約1,400名の一般医が23,377名の経口避妊薬使用者と23,796名の非使用者を登録した。2004年までの主要データセットと、1996年までのより小さなデータセットについて解析した。婦人科癌の併発癌をはじめ種々の癌について経口避妊薬使用者と非使用者における補正相対リスクの評価を行った。標準化変数は年齢、喫煙歴、社会的地位、ホルモン補充療法などであり、サブ解析として、使用者の背景因子、使用期間、使用中止後の経過時間による相対リスクの変化について評価した。経口避妊薬は発癌リスクを増大させず、むしろベネフィットをもたらす非使用者に比べ使用者では、大腸/直腸、子宮体部、卵巣、部位不明の癌、婦人科癌の併発癌などの発現率が有意に低下していた。使用期間が長くなるに従って、子宮頸癌、中枢神経系あるいは下垂体癌のリスクは有意に増大し、子宮体部癌、卵巣癌のリスクは有意に低下していた。より小さなデータセットでは発癌全体の相対リスクの低下には有意差はなかった。卵巣癌および子宮体部癌の相対リスクの低下は使用中止後も長期間にわたって観察されたが、部分的には有意差を認めなかった。主要データセットでは、使用者における発癌の絶対リスクの予測低下率は45/10万人年であり、加齢に伴ってベネフィットはむしろ増大した。より小さなデータセットの予測低下率は10/10万人年であった。これらの知見をふまえ、Hannaford氏は、「経口避妊薬は全体として発癌のリスクを増大させず、むしろベネフィットをもたらす可能性が示唆された」と結論し、「発癌のリスクとベネフィットのバランスは経口避妊薬の使用パターンや個々の癌の発症率などによって各国ごとに異なる可能性があり、死亡率への影響も含めさらなる検討が必要である」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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