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熱いお茶を飲む人ほど食道がんリスクが高い

熱いお茶を飲む人ほど食道がんのリスクが高いことが、イラン北部のGolestan州での大規模な住民ベースの症例対照研究の結果、報告された。同地域は世界的にも食道有棘細胞がんの発病率が高い地域の1つだが、欧米とは異なるユニークな疫学的特徴があること――主要なリスク因子とされる喫煙率や飲酒率が低く、また発病率に男女差があまりない――で知られていた。テヘラン大学(イラン)シャリーアティー病院消化器疾患リサーチセンターのFarhad Islami氏らは、同地域が、食道がん発病率の低い地域と比べるとお茶がとても飲まれていて、しかも熱いお茶が好まれているという特徴に着目し、飲茶パターン・温度と、食道がん発病との関連について調査を行った。BMJ誌2009年4月11日号(オンライン版2009年3月26日号)より。4万8,582人が参加した住民ベースの症例対照研究住民ベースの症例対照研究は、飲茶パターン(緑茶と紅茶各々の飲茶量、お茶を注いでから飲むまでの時間)、飲茶温度[症例群は主観的評価(ぬるいor温かいお茶、熱いお茶、とても熱いお茶)、対照群は温度を実測(75℃、70℃、以下-5℃ずつで普段飲んでいるお茶の温度を計測)]などが調べられた。症例群は同地域唯一の胃腸専門クリニックで集められ、2003年12月~2007年4月に、300例が組織学的検査で食道有棘細胞がんが認められた。これらと、住民コホート(4万8,582人が参加)で対照群としてマッチした571例とで検討が行われた。とても熱いお茶を飲んでいる人の食道がんリスクは8.16倍増住民コホート参加者のほぼ全員(98%)が紅茶を飲む習慣があった。飲茶量は1日平均1リットル以上。温度は、60℃未満が39.0%、60~64℃が38.9%、65℃以上が22.0%(うち70℃以上は5.4%)だった。温度と食道がんリスクとの関連について、ぬるいor温かいお茶を飲んでいる人のリスクを基準とした場合、熱いお茶を飲んでいる人は2.07倍(95%信頼区間:1.28~3.35)、とても熱いお茶を飲んでいる人は8.16倍(3.93~16.9)に上った。同様に、お茶を注いでから4分以上経ってから飲む人を基準にした場合、2~3分で飲む人の食道がんリスクは2.49倍(1.62~3.83)、2分未満で飲む人は5.41倍(2.63~11.1)と有意な増大が見られ、熱いお茶を飲むことと食道がんは強く関連しているとIslami氏は結論している。

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ニコチン補充療法、禁煙したくない・できそうもない人にも効果

ニコチン補充療法は、禁煙したくない・できそうもないと考えている人にも、有効かつ安全に禁煙できる方法だという。英国バーミンガム大学Health and Population Sciences校のDavid Moore氏らが行ったシステマティックレビューのメタ解析の結果で、BMJ誌2009年4月11日号(オンライン版2009年4月2日号)で報告された。介入開始から6ヵ月時点での禁煙状況など評価Cochrane Library、Medlineなど6ソースで行われたシステマティックレビューは、発表・未発表を問わず、短期的に禁煙する意志はないことを断言した喫煙者も登録されており、ニコチン補充療法(動機付け支援あるなしにかかわらず)との比較が、プラセボ、未治療、その他薬物療法、あるいは動機付け支援のような心理的介入とで行われている無作為化試験で(現在進行中の試験、参照リストに登録されている試験、スポンサーが製薬会社のもの、臨床専門医のものいずれも含む)、喫煙率が報告されていることが適格条件とされた。解析の主要評価項目は、介入開始から6ヵ月時点での禁煙状況。また、追跡終了時点での禁煙状況もしくは減煙状況、および有害事象についても評価された。6ヵ月間禁煙できた割合は、プラセボ群の2倍適格条件を満たしたプラセボ対照無作為化試験は7試験(4試験はニコチンガム、2試験はニコチン吸入器、1試験はガム・吸入器・パッチから自由に選択)。いずれも禁煙については副次評価項目だった。被験者総計2,767例が、6~18ヵ月にわたり介入が行われ、12~26ヵ月間追跡されていた。6ヵ月間禁煙できていた人は、ニコチン置換療法群は6.75%で、プラセボ群3.28%の約2倍の達成率だった。また追跡終了時点で、禁煙できていた人(介入後6週目以降持続して)は、ニコチン置換療法群は1.6%、プラセボ群は0.4%。減煙できていた人は、ニコチン置換療法群は21.8%、プラセボ群は16.5%(持続的に減煙できていた人は、各6.3%、1.6%)。すべての評価項目で、ニコチン置換療法の有効性が認められた。有害事象に関しては、死亡(オッズ比:1.00)、重篤な有害事象(1.16)、有害事象による介入中断(1.25)について有意差はなかったが、悪心がニコチン置換療法群で有意に多かった(1.69)。これらからMoore氏は、ニコチン置換療法は効果的な介入であると結論したが、「今回得られたエビデンスは、定期的な行動支援とモニタリングが前提となっており、定期的支援がなくてもニコチン置換療法が効果的なものかどうかは不明である」とも述べている。

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1年間で喫煙者の4人に1人が禁煙に挑戦するも、その内7割が禁煙に失敗

ファイザー株式会社は、昨年実施した「ニコチン依存度チェック」の追跡調査から、この1年間で禁煙に挑戦した喫煙者のうち、7割が失敗に終わっていることがわかったと発表した。調査は同社が昨年実施した「ニコチン依存度チェック」の回答者9400人を対象に、今年3月から4月にかけて、インターネットを通じて追跡調査を実施したもので、74.9%に当たる7042人から回答を得た。禁煙に失敗した人のうち、約半数が1週間以内に挫折。その主な理由は、「耐え難いイライラ」(37.9%)と「ストレス解消」(21.8%)で、ニコチン離脱症状が禁煙の失敗に深く関与していることが浮き彫りになったという。また、失敗したけどやっぱり禁煙したい。禁煙に失敗した人の8割以上が、すぐにでも禁煙に再挑戦したいと回答した。さらに、「ニコチン依存症」と判定された喫煙者の3人に1人が禁煙に挑戦、その内8割が禁煙に失敗。一方、非ニコチン依存症の喫煙者は、5人に1人が禁煙に挑戦し、約半数が禁煙に成功した。●詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2009/2009_04_22.html

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2型糖尿病の10年リスク予測スコアの決定版!? QDScore

広く認められ日常診療でも使用可能な2型糖尿病のリスク予測スコアのアルゴリズムは、いまだ開発されていない。イギリス、ノッティンガムの一般開業医Julia Hippisley-Coxらは、これまで開発されたアルゴリズムの反省点を踏まえ、人種および社会経済的に多様な集団を対象に、10年間の2型糖尿病診断結果を基にした新たな糖尿病10年リスク予測スコアのアルゴリズム(QDScore)を開発した。BMJ誌2009年4月4日号(オンライン版2009年3月17日号)で発表している。人種および社会経済的に多様な集団を対象に開発開発には、イングランドとウェールズの一般開業医が協力。スコア開発群として355人がデータを提供、一方で、スコア検証群として176人がデータを提供する前向きオープンコホート研究の方法を用いて行われた。最も関心が寄せられた転帰は、カルテに記された2型糖尿病のインシデント情報だった。また、Cox比例ハザードモデルを使い、リスク因子影響の評価と、リスク因子の男女差が調べられた。評価されたQDScoreの予測変数は、人種、年齢、性、BMI、喫煙状態、糖尿病の家族歴、T-スコア、高血圧と心血管疾患の治療歴、コルチコステロイドの現在使用である。開発群コホートに集まったデータは、25~79歳の254万753人(1,643万6,135人・年)。そのうち、7万8,081人が2型糖尿病のインシデントケースと診断された。一方、検証群コホートには、123万2,832人(764万3,037人・年)のデータが集まり、インシデントケースは、3万7,535人だった。WEBにあるので、いつでも誰もが気軽に評価の結果、2型糖尿病のリスクの人種間格差は、4倍から5倍に上ることが明らかになった。白人を基準とすると、バングラディッシュ人・女性は4.07倍(95%信頼区間:3.24~5.11)、同男性は4.53倍(3.67~5.59)、またパキスタン人・女性は2.15倍(1.84~2.52)、同男性は2.54倍(2.20~2.93)に上る。パキスタン人とバングラデシュ人の男性のリスクは、インド人の男性より有意に高率だった。アフリカ系黒人男性と中国人女性のリスクも、対応する白人の基準群と比較して高かった。また検証群のデータを使っての検定の結果、QDScoreの予測変数が、より優れていることが確認された。Hippisley-Cox氏は、「QDScoreは、前向きコホート研究を基礎とし、そして社会的格差や民族性を考慮した初の、2型糖尿病のための10年リスク予測アルゴリズムである。臨床検査を必要とせず、日常診療で使用でき、さらに、WEB(http://www.qdscore.org)上にもあるので、いつでも誰もが利用することができるものだ」とまとめている。

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【医師限定記事】6割の医師が「医師は禁煙すべき」と回答!

医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」にて行ったアンケート「医師は禁煙すべき!それとも個人の自由?」の結果によると、6割の医師が「医師は禁煙すべき」と回答していた。アンケートは2009/03/05から2009/04/05の間に実施、605名の医師の方から回答をいただいた。その結果、「医師は禁煙すべき」64%、「医師の喫煙も個人の自由」34%、「わからない・その他」2%となった。医師の喫煙に対しては厳しいコメントが多数あり、個人の自由という声でも患者の前では吸ってはならないなど、医師間でも禁煙意識が高い結果となっている。詳細は結果画面をご覧ください。 ●「医師は禁煙すべき!それとも個人の自由?」結果画面はこちらhttp://www.carenet.com/click/voice/result.php?eid=11

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BMI最適値が判明、90万人の解析から

BMIは単独で死亡の強力な予測因子であり、死亡率は22.5~25.0kg/m2で最も低く、この範囲以上でも以下でも死亡率が上昇することが、Prospective Studies Collaboration(PSC)の研究グループが実施した共同解析で明らかとなった。BMIは肥満の優れた指標であり、虚血性心疾患、脳卒中、大腸癌、腎臓病、子宮内膜症、閉経後乳癌による死亡のリスク因子として確立されている。Lancet誌2009年3月28日号(オンライン版2009年3月18日号)掲載の報告。なお、PSCは心血管リスク因子と死亡の関連をプロスペクティブに検討している61の試験のメタ解析を目的とした研究グループであり、対象は世界で100万人に及ぶという。今回の研究を含めその成果はウェブサイト上に公開されている(http://www.ctsu.ox.ac.uk/projects/psc)。BMIデータを含む57試験のメタ解析PSCの研究グループは、61の試験のうちBMIデータを含む57のプロスペクティブ試験に登録された894,576人を対象にベースライン時のBMIと死亡の関連について解析した。登録時の平均年齢は46(SD 11)歳、登録年の中央値は1979年(IQR 1975~85年)、平均BMIは25(SD 4)kg/m2であった。因果関係の逆転を回避するためにフォローアップ期間の最初の5年間のデータは除外し、平均8(SD 6)年のフォローアップ期間中に死因が特定された66,552例(血管疾患:30,416例、糖尿病:2,070例、腎・肝疾患:22,592例、新生物:3,770例、その他:7,704例)について解析した。BMI高値の場合の死亡には血管疾患が、低値では喫煙の影響が大きい男女ともに、死亡率はBMI 22.5~25.0kg/m2で最も低かった。この範囲を上回るといくつかの特定の死因と正相関を示したが、負の相関を示す因子は認めなかった。BMIが5 kg/m2増加するごとに全死亡率が平均で約30%ずつ上昇した(5 kg/m2増加ごとのハザード比:1.29)。原因別には、BMIが5 kg/m2増加すると、血管死が約40%、糖尿病死が約120%、腎臓病死が約60%、肝臓病死が約80%、新生物死が約10%、呼吸器病死が約20%、その他の疾患による死亡が約20%上昇した。BMIが22.5~25.0kg/m2を下回る場合も全死亡が上昇しており、これはおもに呼吸器疾患や肺癌との関連が大きく影響していた。喫煙者ごとのたばこ消費量は各BMI群でほとんど変わらないにもかかわらず、非喫煙者に比べ喫煙者は死亡率が高かった。これらの結果をふまえ、著者は「ウエスト周囲長やウエスト/ヒップ比などの指標にBMIを加味したり、逆にBMIにこれらの因子を加えて判断することもできるが、BMIは単独で死亡の強力な予測因子であり、死亡率から見た生存の最適値は22.5~25.0kg/m2である」と結論している。また、「BMIがこの範囲以上でも以下でも死亡率は上昇していた。上回る場合の主要な原因は血管疾患であり、生存期間中央値はBMI 30~35 kg/m2(中等度肥満)で2~4年、40~45 kg/m2(高度肥満)で8~10年(喫煙の影響に匹敵)短縮した。下回る場合の死亡率の増分には喫煙の関与が大きいものの、喫煙だけで十分に説明できるわけではない」としている。(菅野守:医学ライター)

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社会的地位や健康の「格差」を是正したいのなら禁煙を

NHSスコットランドのLaurence Gruer氏らが、男性・女性それぞれの社会的地位と喫煙率が生存率にどのような影響をもたらすのか、イギリス・スコットランド地方で行った長期間にわたるコホート観察研究の結果が、BMJ誌2009年3月14日号(オンライン版2009年2月17日号)にて発表されている。編者によれば、これまでイギリスでは、1930年以前生まれの高齢のイギリス人男性医師に関する調査で、喫煙習慣がある人の生存率が大幅に低かったことや、また社会的地位が低い人々の間で、喫煙率の高さが健康格差の重大な一因であり、社会的地位と結びついていることなどが明らかにされていた。喫煙群・非喫煙群を28年間追跡観察本研究は、スコットランド中西部の2つの町、レンフルーとペイズリーで行われた。参加者は1972~1976年にかけて募集された45~64歳の女性8,353人と男性7,049人で、この年齢層の集団のほぼ80%をカバー。参加者は、性(男、女)、喫煙状態(喫煙中、過去に喫煙、非喫煙)、社会的地位(職業分類に基づき「クラスI+II」「クラスIII」のノンマニュアル層、「クラスIII」のマニュアル層、「クラスIV+V」)もしくは居住地カテゴリー(deprivation category)によって24集団に分けられた。主要評価項目は、年齢と他のリスクファクターで補正した各群の相対死亡率とし、 28年時点のカプラン・マイアー生存曲線と生存率で表した。社会的地位よりも喫煙の有無が生存率に影響28年間の死亡は、女性では7,988人中4,387人、男性は6,967人中4,891人だった。死亡率が最も低い「クラスI+IIの非喫煙女性群」と比較して、「喫煙群」の補正後相対死亡率は1.7(95%信頼区間:1.3~2.3)から4.2(3.3~5.5)までにわたった。「過去に喫煙群」の死亡率は、「非喫煙者群」よりも「喫煙者群」の死亡率と近似だった。28年時点の年齢補正後生存率を、社会的地位が高い順に見ると、女性非喫煙者では65%、57%、53%、56%、女性喫煙者では41%、42%、33%、35%、男性非喫煙者では53%、47%、38%、36%、男性喫煙者では24%、24%、19%、18%だった。居住地カテゴリーによる解析からも同様の結果が得られたという。これらから研究グループは、男女の性差や社会的地位にかかわらず、非喫煙者は喫煙者よりはるかに高い生存率を維持しているとともに、喫煙はそれ自体が社会的地位よりも大きな健康格差の原因であり、男性に対する女性の生存率の優位性をさえ無効にすると述べている。さらに、社会的地位の低い多くの喫煙者は、禁煙しない限り、地位・健康格差を是正する余地はないと結論づけている。

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早死にの原因は喫煙よりも肥満

青年後期で、太りすぎ(過体重)や肥満症になると、喫煙の有無や程度にかかわらず死亡リスクを増大することが、Karolinska大学病院(スウェーデン)臨床疫学部門のMartin Neovius氏らによって報告された。スウェーデン人男性を対象とした本調査の結果は、BMJ誌2009年3月14日号(オンライン版2009年2月24日号)で発表されている。徴兵制を敷くスウェーデンでは、男子は概ね16~20歳の間に徴兵テストを受ける。本調査は、1969~1970年に徴兵テストを受け登録された4万5,920人(平均18.7歳、SD:0.5)の体重と身長、自己申告による喫煙状況のデータをベースに活用し、38年間追跡した。死亡リスクはBMI標準群に対し、過体重群1.33倍、肥満症群2.14倍主要評価項目は、BMI(低体重:10本/日)]、全原因死亡率。38年、170万人・年のうち、死亡は2,897人だった。そのうちBMI標準体重群(17人/10,000人・年、95%信頼区間:16~18)と比べて、過体重群の死亡率は1.33倍、肥満症群の死亡率は2.14倍だった。一方、低体重群は0.97倍と死亡リスクの増大は見られなかったが、さらに階層化したBMIが17未満の群では、1.33倍と増大していた。喫煙因子に注目した同類項比較の解析では、喫煙者間では標準体重群1に対して過体重群1.35倍、肥満症群2.23倍、非喫煙者間では同1.37倍、2.16倍、軽度喫煙者間では同1.44倍、1.88倍、ヘビースモーカー間では同1.23倍、2.27倍だった。青年期の肥満と喫煙は、世界規模での公衆衛生ターゲットまた、BMIと喫煙との相互作用によるリスク増加を検証したところ、「肥満症でヘビースモーカー」で死亡率が1.5倍とリスクの増大が見られたが、それ以外はわずかで有意な結果は見いだされなかった。非喫煙者との比較で見た場合の、軽度喫煙者の死亡リスクは1.54倍、ヘビースモーカーの場合は2.11倍だった。これらからNeovius氏は、青年後期での太りすぎ(過体重)や肥満症は、喫煙の有無や程度にかかわらず死亡リスクを増大すると述べ、太りすぎや肥満症であることのリスクは、喫煙における、非喫煙者に対する軽度、ヘビーと同じようなリスクレベルを呈するとし、また両要因の相互作用は確認されなかったものの、「世界的な青年期の肥満傾向と喫煙嗜好は、引き続き公衆衛生の重要なターゲットである」と結論している。

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冠動脈性心疾患、もっと日常診療での予防に重点を

急性心筋梗塞、虚血性心疾患という冠動脈性心疾患(CHD)を低減するには、日常診療においてより強制力のある指導が必要であり、予防に重点を置くべきことが、ヨーロッパで3回にわたって実施された聞き取り調査(EUROASPIRE I、II、III)で判明した。1回および2回目の調査では、CHD患者においては心血管疾患の修正可能なリスク因子の頻度が高いことが示されている。イギリスImperial College London国立心肺研究所のKornelia Kotseva氏らが、Lancet誌2009年3月14日号で報告した。ヨーロッパ8ヵ国における横断的な聞き取り調査研究グループは2006~07年に3回目の調査を行い、予防循環器学の進展状況および心血管疾患の予防に関するヨーロッパの共同勧告の一般診療における遵守状況について検討した。EUROASPIRE I、II、IIIは、チェコ、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、オランダ、スロベニアの同一地域の病院で実施された横断的研究である。急性心筋梗塞あるいは虚血性心疾患で冠動脈バイパス移植術(CABG)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)もしくは入院となった70歳以下の患者を対象に、6ヵ月以上が経過したのち聞き取り調査を行った。女性喫煙者、肥満者、糖尿病が増加、高コレステロールは低下EUROASPIRE Iの聞き取り調査の対象は3,180例、IIは2,975例、IIIは2,392例であった。全体として、喫煙者の割合はIが20.3%、IIは21.2%、IIIは18.2%と各調査で同等であった(p=0.64)が、50歳未満の女性喫煙者は増加していた。肥満者(BMI≧30kg/m2)の頻度も、Iの25.0%からIIは32.6%、IIIでは38.0%と有意に増加した(p=0.0006)。高血圧患者(非糖尿病患者:≧140/90mmHg、糖尿病患者:≧130/80mmHg)の割合は、Iが58.1%、IIは58.3%、IIIは60.9%と同等であった(p=0.49)のに対し、高コレステロール(総コレステロール値≧4.5mmol/L)の頻度はIの94.5%からIIは76.7%、IIIでは46.2%と有意に低下した(p<0.0001)。糖尿病(自己申告による)は、Iの17.4%からIIは20.1%、IIIは28.0%と有意に増加した(p=0.004)。著者は、「降圧薬や脂質低下薬の使用量が実質的に増加したにもかかわらず、高血圧患者の割合に変化はなく、患者の約半数は推奨される脂質の目標値を上回っていた。これらの経時的な傾向は、CHD患者のライフスタイルをより効果的に管理するには、もっと強制力のある指導が必要なことを示している」と結論し、「疾患の根本原因を解決せずに急性の虚血に陥った心筋を救済しても無意味である。予防に資金を投入すべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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女性でも、安静時心拍数が冠動脈イベントの予測因子になることを確認

安静時心拍数が冠動脈イベントの予測因子となることは、男性では知られているが、女性ではその関連性が明らかにされていなかった。そこでジョージ・ワシントン大学のJudith Hsia氏らが、全米の40施設で前向きコホート研究WHI(Women's Health Initiative)を実施。男性同様、独立予測因子になることが確認された。BMJ誌2009年3月7日号(オンライン版2009年2月3日号)より。閉経後女性で心拍数が冠動脈イベントの独立予測因子に参加者は12万9,135例の閉経後女性で、主要評価項目は臨床上の心血管イベント。平均7.8年(SD 1.6)の追跡期間中、2,281例が心筋梗塞または冠動脈関連死と診断され、1,877例が脳卒中と診断された。安静時心拍数と心血管イベントとの関連について、共変量調整後のCox回帰モデルを使い多重比較を試みた結果、安静時心拍数の高値が冠動脈イベントの独立予測因子となることが確認された。最大五分位群(≧76拍/分)対最小五分位群(≦62拍/分)のハザード比は1.26(95%信頼区間:1.11~1.42、P=0.001)。一方、脳卒中では相関は認められなかった。心拍数と冠動脈イベントとの関連は、人種間(白人女性群と他の人種群)、糖尿病の有無でも差は認められなかった(それぞれP=0.45、P=0.31)。ただしベースライン時において、50~64歳群が65~79歳群よりもより強い関連が認められた(P=0.009)。ローテクで簡便な測定法でイベント予測は可能研究グループは、「安静時心拍数と心血管イベントの関連の強さについて、最小・最大五分位の比較は喫煙や糖尿病との関連ほどではないが、臨床的に十分意味があるだろう」と述べている。また、自律神経系の評価をするには、時間とコストをかけられれば、より精巧な方法も利用可能だが、自律神経系の緊張の指標である安静時心拍数を、単純に、ローテクで、安価に測定するだけでも、心筋梗塞や冠動脈死といったイベントの独立予測因子が得られることを証明できたと報告している。

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住宅ラドン対策の費用対効果:イギリス

肺がんの原因として最も多いのはタバコだが、次いで世界的に多いのがラドン曝露によるものである。患者の多くは家で曝露していることから、公費を投入してのラドン対策を施行している国は多い。WHOでも対策を勧告しているラドンは、大気中にごく普通に存在する天然ガスで、外気中では拡散しているため曝露リスクが低いが、屋内、特に一般住宅や小規模ビルなど気密性の高い空間ほど高濃度となる。そこで防床シートなどの対策実施の基準は測定濃度でという国が多く、イギリスも例外ではなく、全住宅に公費補助の対策が行われている。しかしオックスフォード大学保健経済学調査センターのAlastair Gray氏は、補助対象の基準の検証がきちんとなされいないと指摘、「濃度だけでなく喫煙リスクも含めた疫学的データから費用対効果を検証し対策を講じるべき」と調査を実施した。BMJ誌2009年1月24日号(オンライン版2009年1月6日号)掲載より。補助基準の曝露ラドン濃度を見直すべきGray氏は、英国のラドン予防および対策コストと有効性に関するデータを集め、屋内ラドン関与の肺がん死亡、さまざまなラドン対策介入前後の生涯死亡リスク、投じたラドン対策の費用によってQARY(生活の質を補正した生存年)に違いはあるのか、肺がん死減少のための施策のポテンシャルについて評価を行った。まず、英国の一般家庭の平均ラドン濃度を調べた結果、21 Bq/m3だった。現行のイギリスのラドン対策は、大半の住民の曝露濃度は低いのだが、それを無視してラドン濃度200 Bq/m3に重点を置き基準を設けている。毎年肺がん死亡のうち1,100例(3.3%)以上がラドン曝露と関連していたが、それらのうち200 Bq/m3以上の曝露濃度と関連していたのは5%に満たなかった。85%以上は100 Bq/m3以下の曝露濃度で、また大半の患者の要因はラドンと喫煙の両方にあった。またイギリスでは、新築家屋(一部地域限定)と既存家屋では、ラドン対策の基準が異なる(設定濃度基準が新築家屋は低・中・高、既存家屋は低・高)。それぞれの費用対効果(QARYを増すのに必要なコスト)および肺がん死亡減少への寄与を検証したところ、新築家屋施策(全英に拡充したとして)では1万1,400ポンド、死亡減少への寄与が認められたが、一方の既存家屋施策では3万6,800ポンドが必要で、死亡減少へ寄与も認められなかった。Gray氏は、「新築家屋に対する施策基準を全英の住宅に適応拡大することが必要で、従来の喫煙減少対策を補完することにもなるだろう。既存家屋施策では大半のラドン関連死を予防することはできない」と述べ、「本研究結果は、英国よりラドン曝露濃度が高い開発途上国にも適用できる」と結論している。

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妊娠予定の女性はカフェイン摂取を100mg/日未満に

カフェイン摂取は、妊娠中に消費される最も多い生体異物である。300mg/日以上のカフェイン摂取が低体重児出産のリスクを増大することが明らかにされているが、わずか141mg/日以上でもリスクを増大とするとの知見もあり、英国「食品中の化学物質に関する委員会(Committee on Toxicity of Chemicals in Food)」が2001年に発表した論文レビューに基づく見解でも、300mg/日以上が自然流産と関連している可能性があるとしながらエビデンスは不明としていた。加えて近年、摂取量よりもカフェイン代謝の変動が胎児発育遅延と密接に関わるとの研究報告も寄せられている。それら知見を踏まえ本論は、リード大学とレスター大学の2つのティーチングホスピタルを基点に参加者を募り行われた大規模な前向き観察研究「CARE Study」の結果で、BMJ誌2008年12月6日号(オンライン版2008年11月3日号)にて報告された。妊娠8~12週の低リスク妊婦2,635人のカフェイン習慣と出生時体重を調査CARE Studyは、2003年9月から2006年1月に参加を募った18~45歳13,071人のうち、同意を得た妊娠8~12週の低リスク妊婦2,635人が参加し調査された。妊娠(受胎)前4週から出産時までのカフェイン摂取量(<100、100~199、200~299、≧300;mg/日)を、公認された評価ツール(リード大学作成の習慣性を問うアンケート、各製造メーカー公表のカフェイン成分値など)を用いて定量化し評価。アンケートは、カフェイン摂取が食事性からかOTCからかがわかるものとなっており、潜在的交絡因子(喫煙、アルコール摂取、つわり等)の詳細も評価できるものだった。またカフェイン半減期(クリアランスの代用値として)の評価をカフェイン負荷試験で実施。喫煙評価は自己申告および唾液ニコチンテストで、アルコールは自己申告で評価。主要評価項目は、アルコール飲酒、喫煙で補正した出生時体重に基づく胎児発育遅延の有病率とした。妊娠したら減らせばよいというものではない胎児発育遅延の有病率は全体で13%(343/2635)。妊娠中のカフェイン消費量と胎児発育遅延との関連オッズ比(対

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心電図検査の予後評価は病歴聴取の域を出ない

狭心症疑いの外来患者への心電図検査(ECG)の予後評価は、病歴聴取で得られる情報に基づく予後評価の域を出ず、将来的に虚血性心疾患を発症するか否かにECGは、ほとんど役に立たない、Newham University Hospital(イギリス)のNeha Sekhri氏らがコホート調査の結果として報告した。ECGはイギリスの胸痛クリニックでは59%の実施率、最近のEuro heart surveyでは76%と臨床現場では慣例化している。BMJ誌2008年11月29日号(オンライン版2008年11月13日号)掲載より。8,176例を登録し追跡調査はイギリスの6つの胸痛クリニックに狭心症疑いで紹介されてきた、心疾患の既往のない外来患者8,176例を登録し追跡した。全例に安静時ECGと、年齢、性別、症状の継続期間、喫煙有無、高血圧歴、服用薬など通常の臨床評価を行い記録。また運動負荷ECGも行った患者(4,873例)については、そのうち4,848例で結果(虚血性:陽性、陰性、不明)の「サマリー」を記録、1,422例では結果の「詳細」を記録し、追跡期間中央値2.46年の間の、虚血性心疾患による死亡、非致死性の急性冠動脈症候群発症との複合を評価した。もっと効果的な適用患者の層別化を検討すべきROC曲線解析によるC統計量での評価で、臨床評価のみのモデルと安静時ECGの結果を有するモデルとはほとんど違いが見られなかった。運動負荷ECGのC統計量については、「サマリー」記録群は0.74(同群で臨床評価のみの場合0.70)、「詳細」記録群は0.78(同0.74)であった。しかし、「臨床評価のみ」「臨床評価+安静時ECG」「臨床評価+安静時/運動負荷ECG」のいずれにおいても、1年時点、6年時点の主要エンドポイントのリスク層別化の累積確率はほとんど相違が示されなかった。Sekhri氏は「安静時ECGと運動負荷ECGの予後評価は、基本的な臨床評価の域を出ない」と結論。「ECG検査は広く一般的に行われているが、もっと有意義となるよう適用患者の層別化を検討するべきだ」と提言している。

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冠動脈性心疾患、うつ症状による心血管イベントリスクの増大は運動不足などが原因

冠動脈性心疾患でうつ症状のある人は、心血管イベントのリスクが高いことは知られているが、その原因は、運動不足などのうつ症状に付随する行動的要因にあるようだ。米サンフランシスコVA Medical CenterのMary A. Whooley氏らが、安定冠動脈性心疾患の1,000人超について追跡し、明らかにしたもので、JAMA誌2008年11月26日号で発表した。これまで、うつ症状が心血管イベントリスクを増大することは明らかになっていたが、その要因については不明だった。1,017人を約5年間追跡同研究グループは、2000~2008年にかけて、安定冠動脈性心疾患の1,017人について前向き調査を行った。平均追跡期間は4.8年(標準偏差:1.4)。調査開始時点で、うつ症状の評価指標であるPatient Health Questionnaire(PHQ)を用い、症状の有無や程度を評価した。追跡期間中に発生した心血管イベントは、4,876患者・年中で341件だった。年齢補正後の、うつ症状のある人(PHQスコア10以上、199人)の心血管イベント発症率は10.0%、ない人(818人)は同6.7%だった(ハザード比:1.50、95%信頼区間:1.16~1.95、p=0.002)。また、合併症状や疾患の重症度を補正した後、同ハザード比は1.31(95%信頼区間:1.00~1.71、p=0.04)になった。運動量などを補正後、うつ症状と心血管イベントリスクの有意な関連性が消失ところが、心拍数の変動性などといった、生物的要因の補正を行った後、同ハザード比は下がり、p値も0.12と有意差が見られなくなった(ハザード比:1.24、95%信頼区間:0.94~1.63)。さらに、運動量や喫煙の有無などの行動的要因の補正を行うと、ハザード比はさらに下がり、同じく有意差もなかった(ハザード比:1.05、95%信頼区間:0.79~1.40、p=0.75)。行動的要因の中でも、運動量の影響が最も大きかった。同研究グループは、研究対象となった外来の安定冠動脈性心疾患に関して、うつ症状による心血管イベントリスクの増大は、行動的要因、なかでも運動不足によって説明可能だとしている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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他人のタバコの煙を約7割が不快に感じた経験あり

ファイザー株式会社は2日、飲食店での受動喫煙に関する意識調査を2008年10月4日~10月5日にかけてインターネット上で実施し、その結果を発表した。この調査は、飲食店の利用が多くなる年末年始の宴会シーズンを前に、週に1度以上飲食店を利用する全国の800人(喫煙者・非喫煙者/各400人)を対象に実施されたもの。主な結果は以下の通り。「これまで、飲食店で他の客のタバコの煙によって不快な思いをしたことがありますか?」という質問には、67.3%(538人)が「不快な思いをしたことがある」と回答した。喫煙者400人も、46.5%(186人)が「不快な思いをしたことがある」と回答していることから、飲食店では非喫煙者のみならず、喫煙者も他人の喫煙を不快に感じている現状がうかがえるという結果が出た。また「飲食店で他の客のタバコの煙を不快に感じたことがある」と回答した538人に「利用した飲食店でタバコの煙で不快な思いをした場合、その店を次回も利用すると思いますか?」と尋ねたところ、「利用する」と答えたのは22.3%(120人)にとどまった。この調査の結果から、多くの非喫煙者が飲食店におけるタバコの煙を不快に感じているのに加え、喫煙者であっても他人の煙を不快に感じている現状が明らかになった。しかし、実際には不快に感じながらもほとんどの人が何も言わずに我慢しており、飲食店利用者のほぼ全員が何かしらの受動喫煙対策を飲食店側に望んでいるという結果が出た。一方、禁煙席を選んだにも関わらず、タバコの煙が流れてきて不快な思いをしたことがあると回答した人が多くいることからも、現在一般的な受動喫煙対策である分煙は実際には不完全であり、不満を感じている人が多いことがうかがえる。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_12_02.html

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BMIに加え腹囲、ウエスト・ヒップ比も

肥満と死亡リスクの関連を評価する際、従来の研究では主に身長と体重から算出するBMIに依り、体脂肪の分布はほとんど検討されていない。しかし臀大腿部肥満よりも腹部肥満のほうが慢性疾患リスクと密接に関連し、腹囲あるいはウエスト・ヒップ比がBMIよりも予測因子として優れている可能性が示唆されてもいる。そこで、独Institute of Human NutritionのT. Pischon氏らは、欧州における癌と栄養に関する大規模な前向き調査(EPIC)参加者を対象に、BMIに腹囲、生活習慣などを加え死亡率との関係について分析を行った。NEJM誌2008年11月13日号掲載より。死亡リスクが最も低いのは男女ともBMI 25前後分析は、EPIC参加者(1992~2000年に10ヵ国23施設にて男女25~70歳が登録)から9ヵ国35万9,387例を対象に、BMI、腹囲、ウエスト・ヒップ比と死亡リスクとの関連について行われた。年齢を時間変数とし、施設および参加時の年齢でモデルを層別化して、教育レベル、喫煙状況、アルコール摂取状況、身体活動、身長で補正したうえでCox回帰分析を行った。平均追跡期間は9.7年。この間に14,723例が死亡していた。これらを分析した結果、BMIに関連する死亡リスクが最も低かったのは、男性がBMI 25.3、女性が24.3だった。腹囲、ウエスト・ヒップ比は死亡リスクと有意に関連BMIで補正後、腹囲およびウエスト・ヒップ比と死亡リスクとを検討したところ強い関連が見られた。腹囲の最大五分位群の相対リスクは、男性で2.05倍(最大五分位群:≧102.7cm、最小五分位群:<86.0cm)、女性で1.78倍(同、≧89.0cm、<70.1cm)。ウエスト・ヒップ比の相対リスクは、男性1.68倍、女性1.51倍であった。腹囲あるいはウエスト・ヒップ比を含むモデルで、BMIは死亡リスクと有意に関連していた(P

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たばこ1箱千円に向けて ―超党派議員が決議採決―

2008年11月20日、参議院議員会館にて、慢性呼吸器疾患対策推進議員連盟(会長:坂口力公明党・衆議院議員)がたばこ価格及びたばこ税の引き上げに関する決議を採決した。採決に先立って、日本呼吸器疾患患者団体連合会・遠山和子副代表幹事、日本呼吸器学会・貫和敏博理事長などが要望・声明を発表した。決議した決議の内容は以下の通り。1.患者数が約500万人、年間死亡者数が約1万4,000人と推計されるCOPDに係る医療費は、30年後には、3兆円を超えると推測されており、また、在宅酸素を使用する場合には、患者1人当たり月8万円もの負担が生じている。2.COPDは、大多数の要因が喫煙であると言われており、発症前であれば、たばこを吸わないことや喫煙をやめることで、その予防が可能であり、当該疾患のリスクと負担を大幅に軽減できる。3.以上の効果をもたらす効果的な手段であり、こうした喫煙率低減効果は、たばこ規制枠組条約に明記され、国際的にも認知されている。4.たばこ税の引き上げにより得られた貴重な財源は、生活習慣病対策を始め、社会保障の維持・強化のために充当することが期待される。(ケアネット 呉 晨)

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満腹・早食いの人が肥満になる割合は3倍超:阪大調査結果

満腹・早食いの人は、肥満(BMI 25以上)になる割合が、そうでない人と比べて3倍以上に上ることが、大阪大学公衆衛生学教授の磯博康氏らの研究グループによる、肥満と食習慣との関連を目的とする調査の結果、報告された。BMJ誌2008年11月8日号(オンライン版2008年10月21日号)掲載より。「満腹食い」:男性50.9%、女性58.4%、「早食い」:男性45.6%、女性36.3%調査対象は、秋田県井川町および大阪府八尾市に住む住民で、2003~2006年に行われた心血管リスクに関する調査に参加した30~69歳の男女、計3,287人(男1,122人、女2,165人)。男性は平均年齢55.3歳、肥満(BMI 25以上)の人は379人(33.8%)だった。女性は同52.4歳、472人(21.8%)。「満腹まで食べる」(満腹食い)と回答したのは男性571人(50.9%)、女性1,265人(58.4%)。「食べるのが早い」(早食い)と回答したのは男性523人(45.6%)、女性785人(36.3%)だった。「非満腹・非早食い」の人に比べ男性3.13倍、女性3.21倍「満腹・早食い」の人は男女とも「非満腹・非早食い」の人に比べ、平均年齢、身長、体重、BMI、エネルギー摂取量ともに高値だった。「満腹・早食い」の男性(313人)の各値は、51.4歳、166.6cm、69.6kg、25.0、2,296kcal、女性(553人)は50.9歳、154.7cm、57.5kg、24.0、1,840kcal。「非満腹・非早食い」の男性(352人)の各値は、58.1歳、164.8cm、63.1kg、23.2、2,190kcal、女性(668人)は54.6歳、153.5cm、51.6kg、21.9、1,693kcal。「満腹食い」の人が肥満になる割合は、男性で2倍、女性は1.92倍。「早食い」だと肥満になる割合は、男性で1.84倍、女性2.09倍であった。これらのオッズ比は、エネルギー摂取量、食物繊維摂取量、飲酒、喫煙、身体活動度、地域性で補正後も変化はなかった。「満腹・早食い」の人が「非満腹・非早食い」の人に比べ肥満になる割合は、男性3.13倍、女性3.21倍であった。「満腹食いと早食いが、日本の男性、女性いずれの肥満とも関連していることが明らかとなった。特に満腹・早食いが肥満に重大な影響を及ぼしているようだ」と結論している。

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乳幼児期のタバコの副流煙は喘息の早期発症を増大

大規模な家族ベースの遺伝子解析データをもとに、遺伝子変異と喘息との関連、さらにタバコの副流煙曝露との関連について検証していた、フランス国立医学衛生研究所Emmanuelle Bouzigon氏らのグループは、変異遺伝子の喘息発症リスクは早期発症に限定されること、またその場合、乳幼児期の喫煙曝露がリスクを増大することを明らかにした。NEJM誌2008年11月6日号(オンライン版2008年10月15日号)より。早発喘息は一部のSNP、乳幼児期の副流煙曝露と有意に相関すでに、変異遺伝子と喘息リスク増大については、染色体17q21変異の関与が明らかになっている。研究グループはこの遺伝子に着目し、喘息の遺伝要因および環境要因に関する疫学研究から得られた表現型と、大規模な環境関連データを含む家族ベースのゲノムデータから、被験者372家族1,511例について、17q21領域の一塩基多型(SNP)36個について喘息との関連を検証した。同様に変異遺伝子と、乳幼児期にタバコの副流煙に曝露したかどうかで喘息発症年齢が異なるかどうかについても検証した。その結果、11個のSNPが喘息との有意な関連を示した(P

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喫煙、固形燃料使用の抑制で、COPD、肺癌、結核の疾病負担が低下

喫煙および固形燃料の使用を抑制すれば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と肺癌の疾病負担が低下し、結核の効果的なコントロールが可能になることが、中国で行われた多リスク因子モデル研究で判明した。2002年の調査によれば、COPDは中国人の死因の第2位を占め、肺癌は第6位、結核は第8位であり、約200万人(全死亡の20.5%)がこれらの疾患で死亡している。一方、中国人男性の半数が喫煙者であり、一般家庭の70%以上が薪、作物残渣、石炭などの固形燃料を暖房や調理に用いているという。アメリカHarvard大学公衆衛生学部疫学科のHsien-Ho Lin氏が、Lancet誌2008年10月25日号(オンライン版2008年10月4日号)で報告した。リスク因子の動向により将来の死亡率や発生率が受ける影響のシナリオを構築本研究の目的は、リスク因子の動向によってCOPD、肺癌、結核の死亡率や発生率にどのような影響が生じるかを予測することである。典型的なデータソースを用いて過去の喫煙および家庭の固形燃料使用の傾向を推定し、将来にわたる一連のシナリオを構築した。中国で実施された疫学研究のメタ解析や大規模試験のデータから、病因としてのリスク因子が疾患に及ぼす影響を評価した。COPDと肺癌に及ぼすリスク因子の有害な影響の経時的な累積、および結核感染リスクへの疾患罹患率の依存度を考慮したうえで、将来のCOPDと肺癌による死亡率および結核の発生率をモデル化した。試験方法およびデータ選択に対する試験結果のsensitivityを定量化した。30年間で2,600万人のCOPD死、630万人の肺癌死が回避可能中国では、現在の喫煙および固形燃料使用の状況が2003~2033年も維持されると仮定した場合、この間に6,500万人がCOPDで、1,800万人が肺癌で死亡すると予測される。COPDによる死亡の82%、肺癌死の75%が喫煙と固形燃料の複合的な影響を受けると考えられた。2033年までに喫煙および固形燃料の使用が段階的に完全に停止されれば、2,600万人のCOPD死および630万人の肺癌死が回避可能と推算された。中等度の介入を行えば、COPD死が6~31%、肺癌死は8~26%低減されると考えられる。2033年の結核の予測年間発生率は、2033年までに喫煙と固形燃料の使用が完全に停止されると仮定した場合に、対象の80%に直接監視下短期化学療法(DOTS)が継続的に施行されれば14~52%低減され、DOTS継続施行率が対象の50%であれば27~62%、20%であれば33~71%低減されると予測された。研究グループは、「喫煙および固形燃料の使用を抑制すれば、COPDと肺癌の疾病負担の予測値が実質的に低下し、結核の効果的なコントロールに寄与する可能性がある」と結論し、「次なる重要なステップは、地域住民ベースの介入試験を実施するとともに、経済、エネルギー、健康部門の関連機関の政策対話を進めることである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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