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タバコ1箱1000円で若者の7割が禁煙に変わる

タバコ税の引き上げが議論されているが、パソナグループの20代を中心とした意識調査によると、タバコが1箱1000円なら70.9%の若者が禁煙するという結果が出た。具体的には喫煙者の40.3%が「すぐに禁煙する」、30.6%が「本数を減らし、いずれ禁煙する」と回答。一方、タバコ税の引き上げには55.6%が賛成。賛否が分かれた。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.pasonagroup.co.jp/company/koyou/pdf/report23.pdf

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高齢者の肺炎に対するインフルエンザワクチンの効果は予想よりも低い

インフルエンザ流行時期の高齢者肺炎に対するインフルエンザワクチンの効果は予想よりも低い可能性があることが、地域住民をベースとした調査で明らかとなった。肺炎は高齢者のインフルエンザ感染における最も頻度の高い合併症であり、それゆえインフルエンザワクチンは肺炎の予防に有効な可能性がある。しかし、これまでに報告されたワクチンの有効性を示唆する検討には根本的なバイアスが含まれるため信頼性は高くないという。米国シアトル市のGroup Health Center for Health StudiesのMichael L Jackson氏が、Lancet誌2008年8月2日号で報告した。ワシントン州西部の地域住民をベースとしたnested case-control study本研究は、2000年、2001年、2002年のインフルエンザ流行前および流行時期に、ワシントン州西部の健康維持組織である“Group Health”に登録された65~94歳の免疫応答が正常な高齢者を対象に実施された地域住民ベースのnested case-control studyである。症例は市中肺炎で外来通院中あるいは入院中の患者(診療記録あるいは胸部X線所見で確定)とし、それぞれの症例群に対し年齢および性別をマッチさせた2つの対照群を無作為に選択した。診療記録を評価して、交絡因子として喫煙歴、肺疾患および心疾患への罹患とその重症度などを規定した。ワクチンは高齢者の市中肺炎のリスクを低減させない1,173例の市中肺炎症例および2,346人の対照が登録された。診療記録審査に基づいて規定された併存疾患の存在および重症度で補正したところ、インフルエンザ流行期間中にインフルエンザワクチンを接種しても、高齢者の市中肺炎のリスクは低減しないことが示された(オッズ比:0.92、95%信頼区間:0.77~1.10)。著者は、「インフルエンザ流行時期の高齢者肺炎に対するインフルエンザワクチンの効果は予想よりも低い可能性がある」と結論したうえで、1)インフルエンザ感染を原因とする高齢者の肺炎はわずかであり、そのため感染リスクを低減しても肺炎は減少しない、あるいは2)ワクチンは、肺炎のリスクを有する高齢者におけるインフルエンザ感染リスクの低減にはそれほど有効ではないという2つの可能性を示唆し、「これらの可能性はワクチン開発およびその接種勧告においてまったく異なる意義を持つことから、基礎研究で確定されたエンドポイントを用いた臨床試験を行う必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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急性心筋梗塞の最良の脂質関連リスク因子が解明された:INTERHEART試験

急性心筋梗塞(AMI)の最も優れた脂質関連のリスク予測因子は非空腹時のアポリポ蛋白B100(Apo B)/Apo A1比であることが、国際的な症例対照研究(INTERHEART試験)で明らかとなった。同試験では、修正可能な9つのリスク因子(喫煙、運動、果物/野菜、アルコール、高血圧、糖尿病、腹部肥満、心理社会的状態、Apo B/Apo A1比)で心筋梗塞の人口寄与リスク(PAR)のほとんどを説明できることがすでに示されており、なかでもApo B/Apo A1比はPARの半分に関与しているという。カナダMcMaster大学のMatthew J McQueen氏がLancet誌2008年7月19日号で報告した。52ヵ国から約2万7,000人が登録された大規模な症例対照研究INTERHEART試験は標準化された大規模な症例対照研究であり、世界52ヵ国からAMI 1万2,461例と、年齢、性をマッチさせた対照1万4,637人が登録された。非空腹時の血液サンプルはAMI群 9,345例、対照群1万2,120人から得られた。脂質、リポ蛋白、アポリポ蛋白の血漿濃度を測定し、コレステロールおよびアポリポ蛋白の比を計算した。オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)、PARは個々の測定項目ごとに算出し、五分位の上位4群と最下位群を比較することで人種ごとに推算した。非空腹時Apo B/Apo A1比をAMIの実地診療に導入すべきApo B/Apo A1比のPAR(54%)が最も高く、ORも最高値を示した(1.59、95%CI:1.53~1.64)。LDLコレステロール(LDL-C)/HDL-C比のPARは37%であった。総コレステロール(TC)/HDL-C比のPARは32%であり、Apo B/Apo A1比に比べ有意に低値であった(p<0.0001)。これら結果は、すべての人種、男性および女性、全年齢層において一致していた。McQueen氏は、「非空腹時のApo B/Apo A1比は、全人種、男女、全年齢層でAMIのリスク予測因子として、いずれのコレステロール比よりも優れていた」と結論し、「世界中でAMIの実地診療に導入すべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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ネガティブ感情は心疾患イベントに関連:Whitehall IIスタディ

心疾患イベントのリスク増加に心理的因子(不安、敵意/怒り、うつ)が関わっていることを示す研究がいくつかあるが、ポジティブな感情、ネガティブな感情それぞれを独立因子とし、二次的な冠動脈性心疾患イベントとの関連(影響およびリスク)を検討する研究が報告された。イギリスでのWhitehall IIスタディからの報告。同スタディは1985年にセットされ追跡調査されている、健康と疾患の社会経済的傾向を探るための経時的研究である。BMJ誌2008年6月30日号掲載より。1万308人を12年以上追跡調査追跡期間12年以上の前向きコホート研究としてデザインされた試験には、ロンドンに本部事務所を置く20の行政機関に属する1万308人(1985年登録時35~55歳)が参加した。主要転帰項目は、致死性冠動脈性心疾患、非致死性心筋梗塞、狭心症(n=619、追跡期間12.5年)。年齢、性、民族性、社会経済的位置づけで調整したコックス回帰分析の結果、ポジティブ感情と、バランスがとれた感情(バランス・スコアに着目した指標で評価した感情)は、冠動脈性心疾患との関連は見出せなかった。ハザード比はそれぞれ1.01(95%信頼区間:0.82~1.24)、0.89(0.73~1.09)。ポジティブ感情、バランスのとれた感情との関連は見られなかったがさらに行動のリスク因子(喫煙、飲酒、1日の果物と野菜摂取量、運動、BMI)、生物学的リスク因子(高血圧、血中コレステロール、糖尿病)、仕事による精神的ストレスの因子で補正をしても、結果は変わらなかった。しかし、ネガティブ感情を有する区分に分類された参加者には、冠動脈性心疾患イベント増が見られた(ハザード比:1.32、95%信頼区間:1.09~1.60)。この相関は、複数の交絡因子の調整後も変わらなかった。この結果を踏まえ、「ポジティブ感情と、バランスのとれた感情は、男女ともスタディ加入時に冠動脈性心疾患と診断されなかった場合、将来的な発症を予測する因子とはならないようだ。ネガティブ感情には弱い相関が見られる。さらなるスタディで確認する必要があるだろう」と結論している。

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QRISK2は心血管系イベントのハイリスクの予測に優れている

心血管系イベントの予測ツールとして、英国人データを基に開発されたQRISK(10年間心血管系イベント率予測スコア)(2007年8月10日配信号参照)。その進化バージョンQRISK2(心血管疾患リスクアルゴリズム)の開発・検証報告が、英国ノッチンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らにより発表された。QRISK2は、英国立医療技術評価機構(NICE)が推奨するFraminghamスコア補正バージョンよりもパフォーマンスが優れたもの、イングランドとウェールズ特異の人種コホートを鑑み心血管リスクの正確な推定値を提供できることを目的とし開発された。BMJ誌2008年6月28日号(オンライン版2008年6月23日号)掲載より。英国のQRESEARCHで登録された230万人を基にツール開発は、QRESEARCHでデータベース登録された35~74歳の230万人(1,600万人 年超)、心血管イベント14万件を基とする。全母集団(開発コホートと検証コホート合わせて)のうち、222万人が白人または人種不明の集団で、22,013人が南アジア人、11,595人がアフリカ系黒人、10,402人がカリブ系黒人、19,792人が中国系またはその他アジア系で構成されていた。主要評価項目は、心血管疾患(虚血性心疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作)の初回診断(インシデント報告)記録。リスク因子は、自己申告を含む民族性、年齢、性、喫煙状態、収縮期血圧、血清総コレステロール、BMI、60歳未満家族(一親等)の虚血性心疾患歴、貧困スコア、および高血圧、2型糖尿病、腎疾患、心房細動、関節リウマチの治療歴。Framinghamスコアよりも優れている検証の結果、QRISK2はFraminghamスコアよりも優れていることを示した。R2乗検定によるモデル適合度は、QRISK2(女性43% 、男性38%)vs. Framingham(39%、35%)。ハイリスク群(10年リスクが20%以上)にFraminghamで分類されたのは112,156人だったが、QRISK2で検証するとそのうちの46,094人(41.1%)にとどまる。そしてこのうち実際の10年リスクは16.6%で、20%閾値以下だった。一方QRISK2でハイリスクに分類されたのは78,024人。Framinghamで分類できたのはそのうち11,962(15.3%)人、実際の10年リスクは23.3%で20%閾値を上回っていた。検証コホートにおいて、年間インシデント20%以上と予測されたのは、QRISK2では女性で30.6/1,000人年、男性で32.5/1,000人年。一方、Framinghamでは、26.4/1,000人年、25.7/1,000人年で、実際の20%以上のイベント発生はQRISK2で予測された集団のほうが高かった。これらからCox氏は「QRISK2は特に“20%”を閾値とするハイリスク群の選定に優れ、心血管疾患の第一次予防のためのより効果的なツールである」と結論した。また、検証グループの属性を変えてさらなる妥当性の検証を行う必要性も述べている。

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地中海式ダイエットは糖尿病予防効果あり

大量のバージンオリーブオイルを使い食物繊維なども豊富な地中海沿岸地方の伝統的な食習慣(地中海式ダイエット)に、心血管疾患の予防効果があることはこれまで多くの調査によって示されている。では、糖尿病に対する予防効果はどうなのか。ナバラ大学(スペイン)医学部予防医学・公衆衛生部門のM A Martinez-Gonzalez氏らは、地中海式ダイエットを嗜好する人々とそうでない人で、糖尿病発生率との相関関係を検討した。「地中海式ダイエットは糖尿病発生率を低減する」との結果を報告している。BMJ誌2008年6月14日号(オンライン版2008年5月29日号)掲載より。1万3,380例の食習慣を4.4年間追跡本研究は前向きコホート研究。性、年齢、大学教育年数、総エネルギー摂取量、BMI指数、身体活動度、座りっきりの習慣、喫煙、糖尿病の家族歴と高血圧の個人歴を調整した推定相対リスク値で検討された。参加者は、スペイン大学の卒業生で糖尿病歴のない1万3,380例。中央値4.4年間追跡調査が行われた。ベースライン時に参加者に、136種類の地中海式ダイエットメニューの摂取頻度アンケート(9ポイント制)を行い、2型糖尿病発病とスコアとの関連をみた。糖尿病発症者には、診断をした医師から送られた医療レポートと詳細な食習慣アンケート調査によって確認された。摂取頻度が高いほど糖尿病リスク低減結果、地中海式ダイエットの摂取頻度が高い参加者は、糖尿病リスクが低かった。発症率比率(性・年齢で調整済)は、摂取頻度が最も低い群(スコア

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粘液溶解薬カルボシステインが、COPDの増悪予防に有効

粘液溶解薬であるカルボシステインが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪の予防に有効なことが、中国で実施された臨床試験で明らかとなった。COPDは気道制限を特徴とし、粘液過剰分泌、酸化ストレス、気道炎症など多くの構成因子を有する。カルボシステインは、喀痰を伴う呼吸器疾患の治療に広く用いられる粘液溶解薬のひとつであり、抗炎症作用および抗酸化作用を持つためCOPDの増悪の抑制に有効な可能性があるという。広州医科大学第一病院広州呼吸器疾患研究所のJin-Ping Zheng氏らの報告で、Lancet誌2008年6月14日号に掲載された。中国の22施設から709例が登録された二重盲検プラセボ対照無作為化試験PEACE試験は二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2005年1~9月に中国の22施設から709例が登録された。気管支拡張薬吸入後の1秒量(FEV1)と努力肺活量(FVC)の比(FEV1/ FVC)<0.7、FEV1の予測値が25~79%の場合にCOPDと診断し、年齢40~80歳、最近2年間に2回以上のCOPD増悪の既往歴を有し、試験前4週間以上は臨床的に病態が安定していた症例を適格例とした。症例は、カルボシステイン(1,500mg/日、1年間投与)あるいはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、主要評価項目は1年増悪率とした。1例当たりの1年増悪回数が有意に低下354例がカルボシステイン群に、355例がプラセボ群に割り付けられた。1例当たりの1年増悪回数は、プラセボ群に比しカルボシステイン群で有意に低下した[1.01(SE 0.06) vs. 1.35(SE 0.06)、リスク比:0.75(95%信頼区間:0.62~0.92、p=0.004)]。カルボシステインの予防効果は、吸入ステロイドの併用、COPDの重症度、喫煙との間に有意な相関を認めなかった。また、有害事象は胃腸障害が4例、肺炎、上気道感染、疲労感、倦怠感がそれぞれ1例ずつ見られたが、耐用性は良好であった。Zheng氏は、「カルボシステインなどの粘液溶解薬は、COPDの中国人症例における増悪の予防に用いる価値のある治療法とみなすべき」と結論している。なお、本試験ではカルボシステインによるQOLの改善効果も確認されている。また、治療3ヵ月の時点ではプラセボとの間に有効性の差は見られなかったことから、COPDの増悪予防には長期投与が有効なことが示唆されるという。(菅野守:医学ライター)

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ひょっとして抗うつ薬のほうが禁煙補助薬より有効かも?

世界中で一般的に用いられている禁煙治療の薬剤は3つある。1つは経口禁煙補助薬バレニクリン酒石酸塩(チャンピックス;2008年1月承認)、あとの2つは抗うつ薬で、bupropionとノルトリプチリン(ノリトレン)である。このうちノルトリプチリンをめぐる試験結果で、禁煙補助剤+ノルトリプチリンが、禁煙補助剤単独よりも有効とする報告があり、「それが事実なら、禁煙補助剤+ノルトリプチリンはバレニクリンよりも有効では」と、英国バーミンガム大学プライマリ・ケア/公衆衛生部門のPaul Aveyard氏らが、最適治療選択を目的とするプラセボ対照無作為化試験を実施した。BMJ誌2008年5月31日号(オンライン版2008年4月27日号)掲載より。禁煙補助剤+ノルトリプチリンをプラセボ対照無作為化試験試験は英国の国民健康保険NHS(National Health Service)対象の禁煙治療クリニックで行われた。1日10本以上喫煙する18歳以上の禁煙希望者を試験適格者として参加者を募集。ノルトリプチリン・禁煙補助剤禁忌や他の抗うつ薬を服用している者を除外し対象として901例が選定された。参加者は無作為で禁煙補助剤+ノルトリプチリン(445例)もしくはプラセボ服用群(456例)に割り付けられた。禁煙補助剤の選択は対象者に行ってもらい、服薬を厳守してもらえるよう書面での情報提供や看護師による電話相談サポートを提供して実施。服薬は、禁煙開始日の1~2週前から開始。最初の3日間は25mg/日、続く4日は50mg/日、以後最大投与量として75mg/日を最大6週間、その後1週間減量投与し、試験トータル8週間として行われた。主要評価項目は6ヵ月時点で禁煙が続いているか、副次評価項目は12ヵ月時点で禁煙が続いているか、薬物の使用状況、副作用重症度評価、ニコチン離脱症状と喫煙衝動。併用療法の有効性確認できず6ヵ月時点で禁煙できていたのは、ノルトリプチリン群72例(16%)、プラセボ群55例(12%)、相対リスクは1.34(95%信頼区間:0.97~1.86)だった。 12ヵ月時点では、ノルトリプチリン群49例(11%)、プラセボ群40例(9%)で、相対リスクは1.87(0.84~1.26)。禁煙開始日以降に禁煙補助剤+薬剤(両群中央値75mg/日)を行っていたのは、ノルトリプチリン群337例(79%)、プラセボ群325例(75%)で、服薬の割合はプラセボ群のほうがノルトリプチリン群よりも低かった。副作用に関しては、口渇や便秘を訴えたのはノルトリプチリン群のほうがプラセボ群よりも顕著に高かった。ただし発汗や薬物効果への疑念を呈した割合については僅差だった。喫煙衝動は両群ともほぼ変わらない。ただしノルトリプチリン群のほうが抑うつ感や不安が抑えられていたが、離脱症状のスコアは全体として相違はなかった。これらからAveyard氏は、「ノルトリプチリン、禁煙補助剤はいずれもそれぞれに禁煙治療に効果的である。しかし組み合わせての併用療法は単独療法ほどの効果はなく、併用療法が単独療法より効果的であるとのエビデンスは得られなかった」と結論づけた。

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酸化LDLが高値ほどメタボ発症率上昇

実験レベルでは、酸化LDLとメタボリックシンドロームの関与説が支持されているが、ヒトレベルではどうなのか。メタボリックシンドロームと酸化LDLの関係を検証していたオランダ・ルーヴァン・カトリック大学のPaul Holvoet氏らは、「血中の酸化LDLレベルが高いとメタボリックシンドロームの発症率は上昇する」との報告を行った。JAMA誌2008年5月21日号より。米国の都市住民1889例を20年間追跡調査住民ベースで前向きの観察研究「The coronary artery risk development in young adults」(CARDIA)に、1985~1986年に登録された、米国4大都市圏に居住する18歳~30歳の参加者1,889例(アフリカ系アメリカ人41%、女性56%)を対象に、登録から15年目(2000-2001年、年齢33~45歳)および20年目(2005-2006年)の時点で、血中酸化LDLレベルとメタボリックシンドローム発症の頻度を比較した。酸化LDLレベルは、モノクロナール抗体による検定法で測定。メタボリックシンドロームの定義は、米国の「Cholesterol Education Program」が規定した「Adult Treatment Panel III」によった。当初ゼロから20年後には12.9%が発症追跡調査15年時点ではメタボリックシンドローム事象が見られなかった参加者だが、20年時点では12.9%(1,889例中243例)がメタボリックシンドロームと診断された。この5年間の調査結果を、年齢、性別、人種、検査センター、喫煙、BMI、身体活動度、LDLコレステロール濃度で補正して、酸化LDLレベル5分位ごとに分け、メタボリックシンドローム発症オッズ比を対最小値(<55.4 U/L)群で見たところ 第2分位(55.4~69.1 U/L)では2.1(95%信頼区間:1.1~3.8) 第3分位(69.2~81.2 U/L)では2.4(1.3~4.3) 第4分位(81.3~97.3 U/L)では2.8(1.5~5.1) 第5分位(97.4 U/L以上)では3.5(1.9~6.6)とレベルが上がるほど高くなる相関が確認された。メタボリックシンドロームの各構成要素のオッズ比は、第1分位 vs 第5分位では腹部肥満が2.1(95%CI:1.2~3.6)、高血糖が2.4(95%CI:1.5~3.8)、高TG血症は2.1(95%CI:1.1~4.0)だった。しかし、LDLコレステロール値とメタボリックシンドローム発症との相関関係は確認されなかった。また、酸化LDLを組み込んだ完全調整モデルで構成要素の関連は確認されなかったが、Holvoet氏らは上記結果を踏まえ「血中の酸化LDLレベルが高いほど、個々の症状だけでなく、全体としてメタボリックシンドロームの発症増加に関係する」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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複数バイオマーカーの使用が心血管系の死亡リスク予測に有用

心血管系に起因する高齢者の死亡リスクを予測するために、スウェーデン・ウプサラ大学のBjorn Zethelius氏らは、確立したリスク因子の他に、異なる疾患経路に複数のバイオマーカーを加えることの有用性を検討。心血管だけでなく腎の異常についてのバイオマーカーも加えると、心血管系の死亡リスクの層別化が改善されると報告している。NEJM誌2008年5月15日号より。高齢男性対象に腎不全と炎症のマーカーも追加高齢男性を対象とした地域ベースのコホート研究である「ウプサラ成人男性縦断研究」(ULSAM)のデータを使い、参加者1,135例(ベースラインの平均年齢71歳)について、追跡調査(中央値10.0年)を行った。心筋細胞傷害、左室機能不全、腎不全および炎症を反映するバイオマーカー(それぞれトロポニンI、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド、シスタチンC、C反応性蛋白)の組み合わせが、すでに確立している心血管疾患のリスク因子(年齢、収縮期血圧、降圧剤使用の有無、総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール、脂質降下剤使用の有無、糖尿病の有無、喫煙状態、肥満度指数)に基づく評価より、個人のリスク層別化を改善するかどうかを検討した。心血管疾患の有無にかかわらずリスク予測を改善追跡調査の間に1,135例中315例が死亡し、うち136例は心血管疾患による死亡だった。確立したリスク因子で補正したコックス比例ハザードモデルでは、すべてのバイオマーカーが、心血管系の原因による死亡リスクを有意に予測した。前記の4バイオマーカーを、確立したリスク因子のモデルに組み込むと、C統計量は、全コホート(バイオマーカー有:0.766対バイオマーカー無:0.664、P

1551.

英国移民女性、在住期間が長くなるに従い妊娠中の喫煙が増加し母乳哺育が低下

英国移民女性の母親としての健康行動は、在住期間が長くなるに従って悪化していることが、UCL小児保健研究所小児疫学・生物統計学センターのSummer Sherburne Hawkins氏らの調査により判明した。英国/アイルランド系の白人女性に比べ、少数民族出身の女性は子どもを母乳で育てる傾向があるが、妊娠中の喫煙やアルコール飲用、文化変容に伴う健康行動の変化に関する情報はこれまでなかったという。BMJ誌2008年5月10日号(オンライン版2008年4月10日号)掲載の報告。妊娠中および出産後の母親の健康行動を比較するコホート研究本試験は、妊娠中および出産後の母親の健康行動を英国/アイルランド系白人女性と少数民族出身女性で比較することを目的に、Millennium Cohort Study Child Health Groupが実施したプロスペクティブなコホート研究である。妊娠中の健康行動としては喫煙とアルコール飲用、出産後は母乳哺育の開始と継続期間について評価し、少数民族出身の母親では文化変容の指標(世代構成、家庭での会話に用いる言語、英国在住期間)がこれらの健康行動に及ぼす影響を検討した。英国/アイルランド系白人の母親6,478人と少数民族出身の母親2,110人が解析の対象となった。1世よりも2世、3世で。1世も在住期間が長くなるに従い健康行動が悪化英国/アイルランド系白人の母親に比べ、少数民族出身の母親は妊娠中の喫煙率(15% vs 37%)およびアルコール飲用率(14% vs 37%)が低く、母乳哺育の開始率(86% vs 69%)および母乳哺育の4ヵ月以上の継続率(40% vs 27%)が高かった。社会人口学的な背景因子で補正すると、少数民族出身の女性においては、1世に比べ2世、3世で妊娠中の喫煙率が高く[それぞれオッズ比:3.85(95%信頼区間:2.50~5.93)、4.70(2.49~8.90)]、母乳哺育の開始率[それぞれ0.92(0.88~0.97)、0.86(0.75~0.99)]および継続率[それぞれ0.72(0.62~0.83)、0.52(0.30~0.89)]が低かった。アルコール飲用については一貫性のある差は認めなかった。1世の女性でも、在住期間が5年経過するごとに、妊娠中の喫煙率が31%増加(4% vs 66%)し、母乳哺育継続率が5%低下(0% vs 10%)していた。Hawkins氏は、「少数民族出身の女性は、英国/アイルランド系白人の女性に比べ全般に母親としての健康行動が良好であったが、文化変容の指標である英国在住期間が長くなるに従って妊娠中の喫煙率、母乳哺育の継続率が悪化していた」と結論し、「医療従事者は、女性がリスクの高い健康行動をとる傾向について、民族を理由に過小評価すべきでない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

1552.

同級生に影響力をもつ生徒の教室外での働きかけが、青少年の喫煙を抑制する

同級生に影響力をもつ生徒が教室外で友人に喫煙しないよう働きかける喫煙予防プログラムの有効性が確認された。青少年期の喫煙が中高年期における喫煙関連疾患への罹患、死亡をもたらすが、ニコチン依存症は青少年期に急速に確立されることを示すエビデンスがある。多くの国では学校が喫煙予防プログラムを行っているが、友人の働きかけによるアプローチの多くが教室内に限定されており、厳密な評価は少ないという。英国Bristol大学社会医学科のR Campbell氏がLancet誌2008年5月10日号で報告した。influential studentの働きかけによる喫煙抑制効果を評価研究グループは、中学校における喫煙予防を目的とした友人の働きかけによる介入の効果を評価するためにクラスター無作為化対照比較試験を実施した。対象は、イングランド/ウェールズの59校に通学する12~13歳の生徒1万730人。29校(5,372人)が通常の禁煙教育を継続する対照群に、30校(5,358人)が介入群に無作為に割り付けられた。介入法はASSIST(A Stop Smoking In Schools Trial)プログラムと呼ばれ、教室外での形式張らない交流の際に、友人が喫煙しないよう働きかける支援者として行動する生徒(influential student)を養成するものである。フォローアップは介入直後、1年後、2年後に実施した。ASSISTプログラムにより、喫煙率が22%低下対照群の学校に比べ、介入群の学校の生徒が喫煙者となるオッズ比は、介入直後(9,349人)が0.75(95%信頼区間:0.55~1.01)、フォローアップ1年後(9,147人)が0.77(0.59~0.99)、2年後(8,756人)が0.85(0.72~1.01)であった。高リスク群(ベースライン時に非習慣的喫煙者、試行的喫煙者、元喫煙者とされた群)のオッズ比は、介入直後(3,561人)が0.79(0.55~1.13)、フォローアップ1年後(3,483人)が0.75 (0.56~0.99)、2年後(3,294人が)0.85(0.70~1.02)であった。3回のフォローアップの全データを用いたマルチレベルモデルによる解析では、対照群の生徒に比べ介入群の生徒が喫煙者となるオッズ比は0.78(0.64~0.96)であり、介入群で22%低かった。Campbell氏は、「ASSISTプログラムを地域住民ベースで実施した場合、公衆衛生学的に重要な青少年の喫煙を低減できることが示唆された」と結論し、「このプログラムを毎年継続的に繰り返せば、学校全体の喫煙行動を取り巻く文化的規範に影響を及ぼし、介入の効果を増強する可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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喫煙女性の肺疾患リスク、禁煙後20年で非喫煙者レベルに低下

喫煙は全体として死亡率上昇に関係しているが、喫煙継続あるいは禁煙後の、死亡率低下との関連については不確かで、とりわけ女性の喫煙と卵巣癌および結腸直腸癌との因果関係を推論する十分な証拠はなかった。米国ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院のStacey A. Kenfield氏らは、全米の看護師約10万5千人を対象に前向き観察研究を行った。その結果、癌死亡率のリスク増大に喫煙が関係していること、ただし禁煙によって改善する可能性があることを報告している。JAMA誌2008年5月7日号より。全米の看護師10万5千人弱を追跡調査研究は、1976年にスタートした「The Nurses’ Health Study」に基づくもので、1980~2004年の参加者10万4,519人を追跡調査したもの。参加女性の全死因(血管・呼吸器系疾患、肺癌、その他癌、その他)における喫煙と禁煙の関係を評価した。調査対象の死亡コホートは1万2,483例で、このうち全く喫煙経験のなかった者は4,485例(35.9%)、死亡時まで継続的に喫煙していた者は3,602例(28.9%)、過去に喫煙経験のあった者は4,396例(35.2%)だった。血管系疾患のリスクは禁煙後急激に低下喫煙群の総死亡率のリスクは非喫煙群と比較してハザード比は2.81で(95%信頼区間:2.68~2.95)、主要原因の死亡率についてもすべて同様に高かった。2004年版公衆衛生総監報告書(2004 surgeon general's report)の分類に基づく、喫煙に関連する癌リスクのハザード比は7.25(95%信頼区間:6.43~8.18)に達し、その他癌も1.58(1.45~1.73)だった。喫煙の結腸直腸癌リスクは非喫煙群と比較してハザード比1.63(1.29~2.05)、元喫煙群(現在は喫煙していない)との比較では1.23(1.02~1.49)だったが、卵巣癌については有意な関連が認められなかった。また喫煙を始めた年齢が若かった者について、全死亡率(P=0.003)、呼吸器疾患死亡率(P=0.001)、喫煙関連の癌の死亡率(P=0.001)に有意な傾向が認められた。なお、全死因死亡率の超過リスクは、禁煙後20年で非喫煙者のレベルに低下することがすべての転帰で観察された。おおむね死亡原因が喫煙に起因していたのは、喫煙者で約64%、元喫煙者では28%。Kenfield氏らは「喫煙女性の血管系疾患による死亡率の超過リスクは、禁煙すると急速に低下し、肺疾患でも20年以内に改善する可能性がある。喫煙開始年齢が遅いほど、呼吸器疾患や肺癌、その他喫煙関連の癌死リスクは低下するが、その他の疾患による死亡率にはほとんど影響が認められなかった」と結論した。

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喫煙者の7割がニコチン依存症

ファイザー株式会社が全国47都道府県の喫煙者9400人に対して行ったインターネット調査によると、7割が「ニコチン依存症」と判明した、という。そのうち、6割はニコチン依存症の自覚があるにもかかわらず、実際に医療関係者に禁煙について相談したのは1割以下だった。都道府県別にみると、ニコチン依存症の割合が最も高いのは鳥取県の79.5%で、最も低いのは京都府63.5%。 また、ニコチン依存症を最も自覚しているのは大阪府(78.9%)、最も自覚していないのは徳島県(48.9%)だった。 詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_05_15.html

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インドの急性冠症候群はSTEMIが多く、貧困層の30日死亡率が高い

インドの急性冠症候群(ACS)患者は先進国に比べST上昇心筋梗塞(STEMI)の割合が高く、貧困層はエビデンスに基づく治療を受けにくいために30日死亡率が高いことが、インドSt John's医科大学のDenis Xavier氏が実施したCREATE registryにより明らかとなった。2001年には世界で710万人が虚血性心疾患で死亡したが、そのうち570万人(80%)が低所得国の症例であった。インドは世界でACSによる負担がもっとも大きい国であるが、その治療およびアウトカムの実態はほとんど知られていない。Lancet誌2008年4月26日号掲載の報告。心筋梗塞疑い例を対象としたレジストリー研究CREATE registryは、インドの50都市89施設で実施されたプロスペクティブなレジストリー研究である。対象は、明確な心電図上の変化(STEMI、非STEMI、不安定狭心症)が見られ急性心筋梗塞(MI)が疑われる症例、あるいは心電図上の変化は見られないが虚血性心疾患の既往を有しMIが疑われる症例とした。臨床的アウトカムおよび30日全原因死亡率の評価を行った。70%以上が貧困層~中間所得下位層2002~2005年の間に2万937例が登録され、明確な心電図上の変化により診断がなされた2万468例のうち1万2,405例(60.6%)がSTEMIであった。全体の平均年齢は57.5歳であり、非STEMI例/不安定狭心症(59.3歳)よりもSTEMI例(56.3歳)のほうが若年であった。1万737例(52.5%)が中間所得層の下位層であり、3,999例(19.6%)が貧困層であった。症状発現から来院までの所要時間中央値は360分、来院から血栓溶解療法開始までの時間は50分。糖尿病が6,226例(30.4%)、高血圧が7,720例(37.7%)、喫煙者は8,242例(40.2%)であった。30日死亡率はSTEMI例および貧困層で有意に高いSTEMI例は非STEMI例よりも血栓溶解薬(96.3%がストレプトキナーゼ)(58.5% vs 3.4%)、抗血小板薬(98.2% vs 97.4%)、ACE阻害薬/アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)(60.5% vs 51.2%)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)(8.0% vs 6.7%)の施行率が有意に高かった(いずれもp<0.0001)。逆に、STEMI例は非STEMI例/不安定狭心症に比べβ遮断薬(57.5% vs 61.9%)、脂質低下薬(50.8% vs 53.9%)、冠動脈バイパス移植術(CABG)(1.9% vs 4.4%)の施行率が有意に低かった(いずれもp<0.0001)。STEMI例の30日アウトカムが死亡8.6%、再梗塞2.3%、心停止3.4%、脳卒中0.7%であったのに対し、非STEMI例/不安定狭心症ではそれぞれ3.7%、1.2%、1.2%、0.3%と有意に良好であった(いずれもp<0.0001)。富裕層は貧困層に比べ血栓溶解療法(60.6% vs 52.3%)、β遮断薬(58.8% vs 49.6%)、脂質低下薬(61.2% vs 36.0%)、ACE阻害薬/ARB(63.2% vs 54.1%)、PCI(15.3% vs 2.0%)、CABG(7.5% vs 0.7%)の施行率が有意に高かった(いずれもp<0.0001)。貧困層の30日死亡率は富裕層よりも有意に高かった(8.2% vs 5.5%、p<0.0001)。治療法で補正するとこの差は消失したが、リスク因子およびベースライン時の患者背景で補正した場合は維持された。Xavier氏は、「インドのACSは先進国に比べSTEMI例が多かった。これらの患者の多くは貧困層であり、それゆえにエビデンスに基づく治療を受けにくく、30日死亡率が高かった」と結論し、「貧困層における病院へのアクセスの遅れを解消し、高額すぎない治療法を提供できれば、罹患率および死亡率が低減する可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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禁煙をサポートするウェブサイト「すぐ禁煙.jp」

ファイザー株式会社は、経口禁煙補助薬「チャンピックス錠」の発売に合わせて、禁煙にチャレンジしたい喫煙者の禁煙治療をサポートするウェブサイト「すぐ禁煙.jp」(http://sugu-kinen.jp)を2008年5月8日にオープンする。禁煙治療のシミュレーションや禁煙カウンター、医療機関検索などのメニューを用意。

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日本初の経口禁煙補助薬「チャンピックス錠」新発売

ファイザー社は、5月8日(木)にニコチン依存症の喫煙者に対する新しい禁煙補助薬「チャンピックス錠」(一般名:バレニクリン酒石酸塩)を発売すると発表した。チャンピックスは日本初の経口禁煙補助薬。既存の禁煙補助薬がタバコの代わりにニコチンを補充することによって禁煙に伴うイライラや集中できないといった離脱症状を軽減する「ニコチン代替療法」であるのに対し、チャンピックスは脳内のニコチン受容体に選択的に働き、離脱症状やタバコに対する切望感を軽減するとともに、喫煙による満足感を抑制する。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_04_22_02.html

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禁煙成功率が2倍以上に、喫煙者に対する「肺年齢」の告知

喫煙者にスパイロメトリー検査に基づく「肺年齢」を伝えると、禁煙率が有意に改善されることが、英国Limes Surgery(ハートフォードシャー州ホデスドン)の一般医(GP)Gary Parkes氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。喫煙者の1/4が罹患するとされる慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界的な死因の第4位を占める。英国には150万人のCOPD患者がいると推計されるが、その半数は診断されておらず、発症から診断までの期間は平均20年に及ぶという。BMJ誌2008年3月15日号(オンライン版2008年3月6日号)掲載の報告。肺年齢を告知する群とFEV1の数値を伝える群を比較研究グループは、禁煙の動機付けとして患者にスパイロメトリー検査で推計された肺年齢を告知し、その有効性を評価するための無作為化対照比較試験を行った。肺年齢とは、被験者のスパイロメトリー検査による1秒量(FEV1)と同等の肺機能を示す標準的な健常者の年齢である。ハートフォードシャー州の5つのGP診療所に、35歳以上の喫煙者561名が登録された。すべての参加者に対しスパイロメトリーによる肺機能の評価が行われた。介入群(280例)には肺年齢が告知され、対照群(281例)にはFEV1の数値がそのまま伝えられた。両群に禁煙のアドバイスを行い、国民保険サービス(NHS)の地域禁煙サービスを受けるよう提案した。主要評価項目は12ヵ月後の唾液コチニン検査で確認された禁煙、副次評価項目は1日喫煙本数の変化および新規に診断されたCOPDとした。禁煙成功率:13.6% vs. 6.4%89%が12ヵ月間のフォローアップが可能であった。禁煙成功率は対照群の6.4%に対し、介入群は13.6%と有意な改善効果が認められた(p=0.005)。1名の禁煙成功者を得るのに要する介入人数(NNT)は14名であった。両群とも、肺年齢が低い参加者のほうが正常な者に比べ禁煙率が優れるという傾向は認めなかった。禁煙に要する費用は1人当たり280ポンド(366ユーロ、556ドル)と推計された。COPDの新規診断率は介入群が17%、対照群が14%であり、全体では16%(89/561人)であった。Parkes氏は、「喫煙者に対する肺年齢の告知は禁煙率の改善に有効であるが、そのメカニズムは不明」と結論し、「35歳以上の喫煙者のスクリーニングにより、喫煙率を低下させ、COPDの早期診断率を改善する可能性がある。喫煙の重い健康負担と医療費負担を考慮すれば、この簡便な介入法の経済効果を評価する研究を優先的に進めるべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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「BMI」だけで心血管系リスクの予測は可能:NHEFS

心血管系リスクの評価にあたり「肥満」を評価項目にすれば、必ずしも「コレステロール値」を測定しなくとも心血管系リスクの予測ができる可能性が出てきた。採血のためだけに医療機関を訪れる必要が減るのであれば、患者サイドにとっては朗報だろう。Lancet誌2008年3月15日号でBrigham & Women’s Hospital(米国)のThomas A Gaziano氏らが報告した。「採血なし」のCHDリスク評価の正確性を検討Gaziano氏らが今回検討したのは「採血なしで心血管系リスクをどこまで正確に評価できるか」という点である。そのため、「性別」「年齢」「収縮期血圧」「糖尿病」「喫煙習慣の有無」「高血圧治療の有無」に加え「総コレステロール値」を組み込んだ心血管系リスク予測モデル(コレステロール・モデル)と、「総コレステロール値」を「BMI」で置き換えた「BMIモデル」による心血管系リスク予測の正確性を比較した。検討に用いられたコホートはNHEFS(NHANES I Epidemiologic Follow-up Study)、1971~75年にかけて実施された全国的調査NHANES Iの対象から当時25~74歳だった14,407例を前向きに追跡しているコホートである。今回はNHANES Iの時点で心血管系疾患既往を認めなかった6,186例が対象となった。  コレステロール値を用いなくともリスク予知の正確性は同等21年間の追跡期間中、1,529例に心血管イベントが発生し、うち578例が死亡した。「コレステロール・モデル」と「BMIモデル」のイベント予知正確性に差はなかった。すなわち、リスクモデルの正確性の指標であるc-statisticを比較すると、女性では「コレステロール・モデル:0.829」 vs. 「BMIモデル:0.831」(p=0.116)。男性では「コレステロール・モデル:0.784」 vs. 「BMIモデル:0.783」(p=0.457)だった。ROCカーブも両モデルは、ほぼ同一に重なっていた。WHO(世界保健機関)は心血管系リスク評価からコレステロール値をすでに取り除いているが、その正当性を強く示唆するデータであるとGaziano氏らは述べ、前向きコホート研究のデータを持つ国はすべて、このような検討を行う価値はあるとしている。わが国でも、医療経済的考察を含む検討は興味深いのではないだろうか。(宇津貴史:医学レポーター)

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第6回日本臨床腫瘍学会学術集会プレスセミナー

2008年3月20、21日に福岡国際会議場において開催された「第6回日本臨床腫瘍学会学術集会」に先立ち、19日にプレスセミナーが開催された。そのなかで、「承認相次ぐ分子標的治療薬-世界標準を見据えて-」についてレポートする。初めに、東京医科大学病院呼吸器外科の坪井正博氏より、非小細胞肺癌:エルロチニブ<上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤>が紹介された。国内外の臨床成績、ガイドラインの位置づけ、ゲフィチニブとの違いを紹介した。両剤とも、効果の得られやすい症例に使用したほうが良いと考えられ、その効果が期待できる集団として女性、非喫煙者などをあげたが、まだ明確な根拠はないという。エルロチニブは2次、3次治療として期待できる薬剤ではあるが、肺障害のリスクなどもあるため、リスクとベネフィットのバランスを患者さんと相談しながら薬剤選択することが重要とまとめた。続いて、東京慈恵会医科大学腫瘍・血液内科の薄井紀子氏より慢性骨髄性白血病(以下CML):分子標的療法の現状と課題が紹介された。薄井氏は、CMLの病態・治療についての概要、分子標的薬イマチニブ<ABLチロシンキナーゼ阻害剤>の治療成績、耐性の問題を紹介した。続いて新規チロシンキナーゼ阻害剤、ダサチニブ、ニロチニブなどについて、それぞれの特徴を交えて解説した。最後に薄井氏は、イマチニブをきちんと使うことが一番重要であり、イマチニブ耐性・無効例には変異に応じた薬剤を選択する時代になってくるだろう、その治療法はデータに基づき、きちんと選択しなければならないと結んだ。次に、国立がんセンター東病院内科の大津敦氏より、大腸がん:セツキシマブが紹介された。セツキシマブは2008年3月現在、未承認であることを冒頭に述べ、EGFRについて解説した。続いてセツキシマブの作用機序、特徴、海外・国内臨床成績、安全性を紹介し、大腸がん領域において、アバスチン、セツキシマブの登場により、本邦も海外と同じレベルの治療が出来るようになる、とまとめた。まとめとして、癌研究会有明病院化学療法科の畠清彦氏が、それぞれの講演におけるポイントを紹介し、さらに新規分子標的薬承認に向けて今後わが国において必要とされる対応について述べた。最後のディスカッションにおいては、韓国に比べて日本における申請から承認までの期間が長いこと、治験が中国や韓国に流れていること、分子標的治療薬では医療費が高額となり治療を続けられない患者さんが存在することなど、今後、解決していくべき問題があがった。

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