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95)いきなり禁煙の前に1歩置く【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師先日の頸動脈エコー検査の結果をみると、動脈硬化が進んでいるようですね。 患者そうなんですか(驚きの声)。動脈硬化を進ませないためには、どうしたらいいですか? 医師血圧と血糖コントロール、そして何よりも大切なのは禁煙です! 患者その禁煙が、なかなかできないんですよね。 医師なるほど。それでは、禁煙準備の方はいかがですか? 患者禁煙の準備!?たしかに、禁煙の準備はいつからでもできますね。 医師そうです。禁煙成功者の話を聞いたり、情報を集めたり、禁煙のパンフレットを読んだりすることは、いつからでもできます。ほかにもカートン買いを止めたり、灰皿を少しずつ減らしたり、喫煙の機会を徐々に減らすこともできます。 患者それじゃあ、今日から禁煙準備を始めます(うれしそうな顔)。●ポイントなかなか禁煙の決意ができない人には、「禁煙準備の話」をすることで、禁煙への関心度が高まります

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精神疾患患者の認知機能と炎症マーカーとの関連が明らかに

 統合失調症および双極性障害における認知障害の基礎メカニズムについては、ほとんど明らかになっていないが、両障害における免疫異常が明らかになっており、炎症メディエーターが認知機能に関与している可能性が示唆されている。ノルウェー・オスロ大学のSigrun Hope氏らは、炎症マーカーと一般的認知能との関連を調べた。その結果、考えられる交絡因子で補正後も、両者間には有意な負の関連があることが示された。著者らは、「示された所見は、神経生理学的認知障害における炎症の役割を、強く裏付けるものであった」と述べている。Schizophrenia Research誌2015年7月号の掲載報告。 検討は、統合失調症スペクトラム障害121例、双極性スペクトラム障害111例、健常対照241例を対象に行われた。ウェクスラー成人知能検査(WASI)を用いて一般的知能を評価した。また、免疫マーカーとして、可溶性腫瘍壊死因子レセプター(sTNF-R1)、インターロイキン1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、オステオプロテゲリン(osteoprotegerin)、フォンウィルブランド因子(von Willebrand factor)、C反応性蛋白、インターロイキン6、CD40リガンドの血中濃度を測定した。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性、診断群で補正後、一般認知能との重大な負の関連が、sTNF-R1(p=2×10-5)、IL-1Ra(p=0.002)、sCD40リガンド(p=0.003)について見つかった。・その関連は、教育、喫煙、精神病および情動症状、BMI、コルチゾール、薬物治療、血液サンプリングの時間など考えられる交絡因子で補正後も、有意なままであった(p=0.006、p=0.005、p=0.02)。・サブグループ分析において、統合失調症患者では、一般認知能とIL-1Ra、sTNF-R1との関連が有意であった。また双極性障害患者では、sCD40リガンドとIL-1Raとの関連が有意であり、健康対照では、sTNF-R1との関連が有意であった。関連医療ニュース 統合失調症の症状、インターロイキン-2の関与が明らかに 双極性障害の認知障害にインターロイキン-1が関与 統合失調症治療に抗炎症薬は有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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問診のみで5年以内の死亡を予測可能?50万人の前向き研究/Lancet

 身体的な検査を行わなくても、通常の問診のみで得た情報が、中高年者の全死因死亡を最も強力に予測する可能性があることが、英国のバイオバンク(UK Biobank)の約50万人のデータを用いた検討で明らかとなった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のAndrea Ganna氏とウプサラ大学のErik Ingelsson氏がLancet誌オンライン版2015年6月2日号で報告した。とくに中高年者の余命を正確に把握し、リスクを層別化することは、公衆衛生学上の重要な優先事項であり、臨床的な意思決定の中心的課題とされる。短期的な死亡に関する予後指標はすでに存在するが、これらは主に高齢者や高リスク集団を対象としており、サンプルサイズが小さい、リスク因子数が少ないなどの限界があるという。地域住民ベースの前向き研究で問診の予測スコアを開発 2人の研究者は、UK Biobankのデータを用いて全死因および死因別の5年死亡の評価を行い、個別の死亡リスクを推定するために、患者の自己申告による情報のみを用いて5年死亡の予後指標に基づく予測スコアを開発し、その妥当性の検証を行った。 UK Biobankへの参加者の登録は、2007年4月~2010年7月の間に、イングランド、ウェールズ、スコットランドの21施設で、標準化された方法を用いて行われた。約50万人から、採血、質問票、身体検査、生体試料に基づくデータが収集された。 血液検査、人口統計学、健康状態、生活様式などに関する10群、655項目のデータと、全死因死亡および6つの死因別の死亡カテゴリー(新生物、循環器系疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患、意図的自傷行為や転倒などの外因によるもの、その他)の関連を、Cox比例ハザードモデルを用いて男女別に評価した。参加者の80%以上で欠損した測定値や、サマリデータが得られなかったすべての心肺健康検査の測定値は除外した。 予測スコアの妥当性の検証は、スコットランドの施設で登録された参加者で実施した。英国の生命表と国勢調査の情報を用いて、スコアを英国の全人口に換算した。重篤な疾患がない場合の最大の死亡リスク因子は喫煙 37~73歳の49万8,103例が解析の対象となった。女性27万1,029例(平均年齢56.36歳)、男性22万7,074例(56.75歳)であった。 追跡期間中央値4.9年の間に8,532例(39%[3,308例]が女性)が死亡した。最も多い死因は、男性が肺がん(546例)、女性は乳がん(489例)だった。 男性では、自己申告による健康状態が最も強力な全死因死亡の予測因子であった(C-index:0.74、95%信頼区間[CI]:0.73~0.75)。女性では、がんの診断歴が全死因死亡を最も強力に予測した(0.73、0.72~0.74)。 重篤な疾患を有する者(Charlson comorbidity index:>0)を除外した35万5,043例(55%が女性)のうち、4.9年間に3,678例が死亡し、この集団における最も強力な全死因死亡の予測因子は男女とも喫煙習慣であった。 予測スコアは、男性が13項目、女性は11項目の自己申告による予測因子から成り、男女とも良好な識別能が達成された(男性のC-index:0.80、95%CI:0.77~0.83、女性は同:0.79、0.76~0.83)。死亡率は英国の一般人口より低かったため、生命表と国勢調査の情報に基づいて予測スコアを調整した。 専用のウェブサイト(http://ubble.co.uk/)では、対話形式のグラフ(Association Explorer)で655項目の変数と個々の死因の関連性を閲覧できると共に、オンライン問診票により5年死亡の個別のリスク計算(Risk Calculator)が可能である(正確な予測は40~70歳の英国居住者のみ)。 著者は、「この研究からはさまざま重要なメッセージが読み取れるが、最も重要な知見は、身体的な検査なしに通常の口頭での問診で得られる情報(たとえば、患者の自己申告による健康状態や日常的な歩調など)が、中高年者の全死因死亡の最も強力な予測因子であることが示唆される点である」と結論している。 また、「この予測スコアを用いれば、看護師などの医療者は、患者の自分の健康状態への認識を高め、医師は、死亡リスクの高い患者を同定して特定の介入の対象を絞り込み、政府や保健機関は、特定のリスク因子の負担を軽減することが可能と考えられる」と指摘している。

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肺気腫の進行抑制にA1PI増強治療は有効か/Lancet

 重症α1アンチトリプシン欠損症を有し肺気腫を合併した患者について、α1プロテイナーゼ阻害薬(A1PI)増強治療は、肺気腫の進行抑制に有効であることが示された。カナダのユニバーシティ・ヘルス・ネットワークのKenneth R Chapman氏らが、多施設共同二重盲検無作為化並行群間プラセボ対照試験RAPIDの結果、明らかにした。α1アンチトリプシン欠損症に対するA1PI増強療法の有効性について、これまで無作為化プラセボ対照試験による検討は行われていなかった。研究グループは今回、スパイロメトリーよりもα1アンチトリプシン欠損症での肺気腫進行度の測定感度が高い、CT肺密度測定法を用いた評価で検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年5月27日号掲載の報告より。TLCとFRCの単独および複合で有効性を評価 試験は13ヵ国、28ヵ所の国立研究センターで、18~65歳の非喫煙者で、重症α1アンチトリプシン欠損症(血清濃度<11μM)を有し、1秒量(1秒間の努力肺活量;FEV1)が予測値の35~70%の患者を試験適格とした。肺移植、肺葉切除術もしくは肺容量減少術を施行または施行予定であった患者、または選択的IgA欠損症患者は除外した。 被験者はコンピュータを用いて1対1の割合で、A1PI静注60mg/kg/週またはプラセボを受ける群に無作為に割り付けられ、24ヵ月治療を受けた。 全患者および試験担当者(アウトカム評価者含む)は試験期間中、治療割り付けを認識していなかった。 主要エンドポイントは、CT肺密度測定による全肺気量(TLC)および機能的残気量(FRC)の、複合および個々の測定値で、0、3、12、21、24ヵ月時に評価(1回以上評価)した。 なお、本試験は、2年間の非盲検延長試験も完了している。TLC単独評価で有意な進行抑制効果を確認 2006年3月1日~2010年11月3日に、A1PI増強治療群に93例(52%)、プラセボ群に87例(48%)が無作為に割り付けられた。解析はそれぞれ92例、85例が組み込まれた。 年率でみた肺密度低下は、TLCとFRCの複合評価では、両群間で差はみられなかった。A1PI群-1.50(SE 0.22)g/L/年、プラセボ群-2.12(同0.24)g/L/年で、差は0.62g/L/年(95%信頼区間[CI]:-0.02~1.26)だった(p=0.06)。 しかしながらTLC単独でみた場合は、A1PI群の肺密度低下が有意に少なかった(差:0.74g/L/年、95%CI:0.06~1.42、p=0.03)。一方でFRC単独でみた場合は、有意な差はみられなかった(同:0.48g/L/年、-0.22~1.18、p=0.18)。 治療により出現した有害事象の頻度は両群で同程度だった。A1PI群は92例(99%)で1,298件が、プラセボ群は86例(99%)で1,068件の発生であった。また重篤な治療関連有害事象は、A1PI群は25例(27%)で71件、プラセボ群は27例(31%)で58件の発生であった。 試験中止となった重篤な治療関連有害事象は、A1PI群は1例(1%)で1件、プラセボ群は4例(5%)で10件の発生であった。 死亡は、A1PI群は1例(呼吸不全)、プラセボ群は3例(敗血症、肺炎、転移性乳がん)が報告された。 結果を踏まえて著者は、「CT肺密度測定法によるTLC単独評価で、A1PI治療が肺気腫の進行を抑制するというエビデンスが示された。FRC単独または両指標を併せたた評価において同様の所見は示されなかったが、今回示された所見は、重症α1アンチトリプシン欠損症を有し肺気腫を合併した患者について、肺構造を温存するために増強療法を検討すべきであることを示すものである」とまとめている。

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禁煙を始める患者さんの励まし方

禁煙治療開始≠今日からやめる禁煙治療を始めたからと言って、今すぐ絶対にタバコをやめる必要はありません。来週からがんばるぞ!とくに飲み薬を選択した場合には、内服を開始してから1週間(以上)の助走期間を置くことができます。約束の日にやめられなくても構いません。よほどの副作用がなければ薬を飲みつつ、喫煙も続けてください。そして、次の外来受診時に主治医に報告して、今後のことを相談しましょう。貼り薬を選択したら、パッチを貼り始めた時からタバコを吸わないようにしますが、どうしても吸いたければ吸っても構いません。よほど副作用が強くなければ、パッチはそのまま貼り続けてください。そして、次の外来受診時に主治医に報告し、今後のことを相談しましょう。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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気管支鏡の肺がん診断、遺伝子スコアで精度改善/NEJM

 気管支鏡検査による肺がん診断の精度改善に、気管支上皮細胞の遺伝子発現分類を加味することが有用であることが、米国・南カリフォルニア大学のGerard A. Silvestri氏らが行った2つの多施設共同前向き試験(AEGIS-1、AEGIS-2)の結果、示された。米国では年間約50万例の気管支鏡検査が行われているが、そのうち約半数例は肺がんの診断が不能で、それらの多くで追加の侵襲的検査が行われ、結果として良性病変であることが多いという。研究グループは、気管支の遺伝子発現分類を用いることで気管支鏡検査の診断が改善することを確認するため本検討を行った。NEJM誌オンライン版2015年5月17日号掲載の報告より。2つの前向き試験でスコアを作成、検証 2つの試験は、米国、カナダ、アイルランドの28施設で、肺がん疑いで気管支鏡検査を受けた現在または元喫煙者を登録して行われた。 被験者の正常とみられた主気管支から採取した上皮細胞を用いて遺伝子発現分類を作成し、肺がんの可能性について評価した。 遺伝子発現分類は、AEGIS-1に登録された患者を、試験セット群と確認セット群に無作為に割り付け、試験セット群から遺伝子発現分類アルゴリズム(23遺伝子と年齢から成る)を抽出。これを用いて、AEGIS-1の確認セット群とAEGIS-2の全被験者のスコア分類を行い、事前規定の閾値を用いて、陽性スコアと陰性スコアに分類したものであった。 各試験の被験者は、気管支鏡検査後、肺がんと診断されるまで、もしくは12ヵ月間フォローアップを受けた。中リスク患者、遺伝子発現分類スコアで多くが侵襲的検査を回避可能 検討には、包含基準を満たした639例(AEGIS-1試験298例、AEGIS-2試験341例)が組み込まれた。そのうち43%(272例)は、肺がんの診断が不能であった。このうち侵襲的検査を受けたことが確認された患者は170/267例(64%)だった。最終的に良性病変であった患者で侵襲的検査を受けていたのは、35%(52/147例)であった。 AEGIS-1試験における遺伝子発現分類のROC曲線下分類(AUC)は0.78(95%信頼区間[CI]:0.73~0.83)、感度は88%(同:83~92%)、特異度は47%(同:37~58%)であった。AEGIS-2試験についてはそれぞれ、0.74(95%CI:0.68~0.80)、89%(同:84~92%)、47%(同:36~59%)であった。 遺伝子発現分類と気管支鏡検査結果を合わせた場合、病変サイズや部位にかかわらず、感度はAEGIS-1試験で96%(95%CI:93~98%)、AEGIS-2試験は98%(同:96~99%)で、各試験の気管支鏡検査単独による感度(それぞれ74%、76%)と比べて有意な改善が認められた(両比較のp<0.001)。 また、医師の評価に基づくがん見込み分類(低:10%未満、中:10~60%、高:60%超)で中リスク群とされた患者101例についても検討した。そのうち83%が気管支鏡検査で診断不能で、肺がんの診断感度は41%(95%CI:26~58%)であったが、同患者の遺伝子発現分類による陰性適中率は91%(同:75~98%)、陽性適中率は40%(同:27~55%)であり、遺伝子発現分類と気管支鏡検査の結果を組み合わせた診断感度は93%(同:80~98%)であった。 これらを踏まえて著者は、「気管支鏡検査で診断不能であった中リスク群の患者には、陰性の遺伝子発現分類スコアを加味することで、より多くの侵襲的検査アプローチの回避につながる」とまとめている。

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1回の健診で26年後の心疾患やがんを予測可能?

 1回の健康診断の結果から、26年後の心血管疾患やがん、糖尿病を予測することは可能だろうか。スウェーデン・Habo健康管理センターのLars-Goran Persson氏らは、ベースライン時33~42歳の若年男性のコホートにおいて、1回の健康診断で得られた生活習慣および生物学的リスクマーカーの結果と26年後の心血管疾患やがんの罹患率・死亡率、糖尿病の罹患率との関連を検討した。その結果、1回の検査で確認されたリスク因子(とくに喫煙、BMI、血清コレステロール)により、26年後における心血管疾患、がん、糖尿病を予測できる可能性が報告された。BMJ Open誌2015年5月6日号に掲載。 対象は、1985年にHaboに住んでいた男性(757人)のうち、1985~1987年に健康診断を受けた男性652人。健康プロファイルを調査・測定し、健康に関する看護師との対話を実施、さらに高リスク群には医師との対話と検査を実施した。介入プログラムは、プライマリケア医療機関および地元関連機関の協力の下、実施した。心血管疾患およびがんの罹患はスウェーデン保健福祉庁のデータから、糖尿病については薬局での医薬品販売データから評価した。健康プロファイルより、生活習慣(喫煙、身体活動、飲酒)と生物学的リスクマーカー(BMI、血圧、血清コレステロール)に関する項目を選び、そのリスクポイントの合計で参加者を3群に分け比較した。 主な結果は以下のとおり。・リスクポイントの合計が最も低い群は、最も高い群と比較して、心血管疾患およびがんのリスクが有意に低かった。・生活習慣に関するリスクポイントが最も低い群は、最も高い群に比べて、心血管疾患リスクが有意に低く、生物学的リスクマーカーに関するリスクが最も低い群は、心血管疾患およびがんの両方のリスクが有意に低かった。喫煙と血清コレステロールは、最も重要なリスク因子であった。・糖尿病においては、BMIと喫煙が最も重要なリスク因子であった。

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ニコチンパッチの使い方とその効果

ニコチンパッチの効果ニコチン切れの症状が出ないように、皮膚からじわじわとニコチンを補うのがニコチンパッチです① 市販薬と処方薬があり、それぞれニコチン含有量や基材の性質が異なりますが、基本的な使い方は同じです。② 身体を慣らしながら、徐々に小さなパッチに変更していき、数週間から数ヵ月かけてパッチの使用もやめていきます。ニコチンパッチを貼っていない場合ニコチンの血中濃度ニコチンパッチを貼った場合③ かゆみやかぶれなど副作用が出ることがありますが、塗り薬などで対応します。喫煙④ あまり症状が強いときには使用をやめ、飲み薬に切り替えることもあります。喫煙喫煙これよりニコチン濃度が低くなると離脱症状が出る(イライラ、そわそわ)社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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禁煙プログラム、成功報酬型が効果的/NEJM

 禁煙継続のためのインセンティブプログラムは、デポジット方式(預託金+報酬型)よりもリワード方式(成功報酬型)のほうが多くの人に受け入れられ、禁煙継続率が高い。また、集団指導のほうが個人指導よりも禁煙率は高率であったが有意な差はなかったことが、米国・ペンシルベニア大学のScott D. Halpern氏らによる無作為化試験の結果、報告された。インセンティブプログラムは、種々の健康行動を促進するために取り入れられているが、効果的な方法については明らかにされていない。禁煙プログラムについては、これまでデポジット方式とリワード方式を比較したことがなく、また集団指導のほうが競争心をあおり効果的だと考えられてきたという。NEJM誌オンライン版2015年5月13日号掲載の報告より。リワードvs. デポジッド受け取り方式、集団vs. 個人指導の介入について無作為化試験 研究グループは、通常の禁煙セッションと4タイプの報酬プログラムを比較検討する無作為化試験を行った。被験者は、米国薬局チェーンのCVSケアマーク社の従業員とその関係者・友人で、(1)通常ケアのみ、(2)個人指導・リワード方式、(3)集団指導・リワード方式、(4)個人指導・デポジッド方式、(5)集団指導・デポジッド方式の5群に無作為に割り付けられた。集団指導は6人制であった。  4群とも支払スケジュール(禁煙開始14日、30日、6ヵ月のタイムポイント時に支払われる)とボーナスがあることは同一だったが、報酬受取の誘因や受け取り方法が異なっていた。たとえば個人・リワード方式群は、禁煙開始後14日、30日、6ヵ月に生化学的検査で禁煙が確認されればそれぞれ200ドルずつがもらえ、6ヵ月間の禁煙継続者にはボーナス200ドルが受け取れた。デポジット方式群は預託金として150ドルを拠出し、タイムポイントでの禁煙継続有無等によってその預託金150ドル+650ドルの報酬を受け取る仕組みになっていた。集団と個人は同等、リワード方式のプログラムのほうが禁煙継続に優れる? 試験には合計2,538例が登録され、そのうち報酬プログラム4群の被験者は計2,070例であった。 2つのリワード方式のプログラムに割り付けられた被験者のほうが、2つのデポジット方式のプログラムに割り付けられた被験者より割り付け介入を受け入れた割合が有意に高率であった(90.0% vs. 13.7%、p<0.001)。 intention-to-treat解析の結果、6ヵ月間の禁煙継続率は、通常ケア群(6%)よりも4つの介入群のほうが高率(範囲:9.4~16.0%)だった(すべての比較のp<0.05)。またリワード方式のプログラムのほうが、12ヵ月間の禁煙継続が優れていた。 集団指導と個人指導のプログラム間の、6ヵ月間の禁煙率は同等であった(13.7% vs. 12.1%、p=0.29)。 また、リワード方式のほうが、デポジット方式のプログラムよりも禁煙率が高率であった(15.7% vs. 10.2%、p<0.001)が、実際の介入を受けた割合の違いを反映し、介入を受けた被験者を両群とも13.7%と推定して行った操作変数解析においては、リワード方式群よりもデポジット方式群のほうが、6ヵ月時点の禁煙率は13.2ポイント(95%信頼区間:3.1~22.8ポイント)高率であった。

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心房細動の有病率4倍に、転帰は改善~フラミンガム研究50年/Lancet

 欧米では、人口の高齢化に伴い心房細動の増加が予測されているが、その傾向に関する包括的な長期データは十分でないという。米国国立心肺血液研究所(NHLBI)のRenate B Schnabel氏らは、フラミンガム心臓研究の50年の心房細動に関するデータを解析した。その結果、この50年間で心房細動の有病率は4倍以上に、罹患率は3倍以上に増加したが、発症後の脳卒中の発生率や死亡率は大きく改善していたという。Lancet誌オンライン版2015年5月7日掲載の報告。罹患率はルーチンの心電図検査では増加せず 研究グループは、1958~2007年にフラミンガム心臓研究に登録された9,511例を対象に、心房細動の罹患率、有病率、リスク因子を調査し、発症後の脳卒中や死亡との関連について解析した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 10年単位で5つの時期に分け(1958~67年、1968~77年、1978~87年、1988~97年、1998~2007年)、男女別の傾向を解析した。50年間(20万2,417人年)の観察期間中に、1,544例が新規に心房細動を発症した。このうち723例(47%)が女性であった。 心房細動の年齢調整有病率は、男性が1958~67年の20.4/1,000人年から、1998~2007年には96.2/1,000人年へ、女性は13.7/1,000人年から49.4/1,000人年へと、全体で約4倍にまで増加した(いずれも傾向のp<0.0001)。また、同時期の1,000人年当たりの年齢調整罹患率は、男性が3.7から13.4へ、女性は2.5から8.6へと有意に増加した(いずれも傾向のp<0.0001)。 一方、フラミンガム研究のルーチンの心電図検査に限定すると、心房細動の1,000人年当たりの年齢調整有病率は、男性が1958~67年の12.6から1998~2007年には25.7(傾向p=0.0007)へ、女性は8.1から11.8(傾向p=0.009)へと有意に増加した。これに対し、年齢調整罹患率は、男性が1.83から3.75(傾向p=0.06)、女性は1.31から1.58(p=0.13)と上昇したものの、有意な変化は認めなかった。 これらのデータからは、臨床症状がみられなくても、生命を脅かす疾患としての心房細動に対する認識の向上が影響している可能性が示唆される。50年で発症後の脳卒中が74%、死亡は25%減少 多くの心房細動のリスク因子(加齢、喫煙、アルコール摂取、BMI、収縮期血圧、高血圧治療、糖尿病など)の保有率は経時的に変動していたが、心房細動への影響はほとんどなかった。 また、多変量で補正後の比例ハザードモデルによる解析では、心房細動発症から20年後までの脳卒中の発症率は、1958~67年に比べ1998~2007年には74%減少した(1958~67年の1998~2007年に対するハザード比[HR]:3.77、95%信頼区間[CI]:1.98~7.20、傾向p=0.0001)。同様に、心房細動発症20年後の死亡率は25%低下した(1.34、0.97~1.86、傾向p=0.003)。 このような心房細動発症後の転帰の改善には、治療法の進歩のほか、認識の向上およびサーベイランスの強化に基づく続発症の早期発見が寄与している可能性がある。 著者は、「男女双方の有病率の増加は、発症後の生存期間の延長で説明可能であろう。これに対し、罹患率の増加には、過去50年間における心房細動に対する認識の向上や画一的な診断法の改善などの影響もあると考えられる」とし、「有病率を抑制するには、より効果的なスクリーニング法の研究を促進し、心房細動とその有害な転帰への予防的介入が必要である」と結論している。

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妊娠中の抗精神病薬、母親や胎児への影響は?/BMJ

 妊娠中の抗精神病薬の使用が、妊婦や胎児の転帰に及ぼす影響は小さいことが、カナダ・トロント大学のSimone N Vigod氏らによる調査で明らかとなった。その一方で、一般人口に比べると妊娠高血圧や早産などの頻度が高いことから、妊娠中や周産期には注意深い健康評価を要することも示された。抗精神病薬は、妊婦の代謝性合併症(妊娠糖尿病など)や、その結果としての胎児の発育異常などの原因となる可能性が示唆されている。近年、妊婦の抗精神病薬の使用が増加しているが、評価が行われているのは、現在ではあまり使用されていない古い定型抗精神病薬がほとんどだという。BMJ誌オンライン版2015年5月13日掲載の報告より。曝露群と非曝露群を高次元傾向スコアマッチング法で比較 研究グループは、妊娠中の抗精神病薬の使用が妊婦および胎児に及ぼす影響を評価するコホート試験を行った。対象は、2003~2012年にオンタリオ州で単胎児(生児、死産児)を出産し、受胎から分娩までの間に抗精神病薬を2回以上処方され、そのうち少なくとも1回は妊娠27週以前の女性であった。 データの収集には、トロント市のInstitute for Clinical Evaluative Sciences(ICES)に集約された公衆衛生管理関連の複数のデータベースが用いられた。高次元傾向スコア(HDPS)によるマッチング法を用いて、妊娠中に抗精神病薬に曝露した妊婦と非曝露妊婦のベースラインの背景因子をマッチさせ、転帰の比較を行った。  母親の主な医学的転帰は、妊娠糖尿病、妊娠高血圧、静脈血栓塞栓症、主な周産期転帰は早産(<妊娠37週)および不良な出生児体重とし、性別・妊娠期間別の出生時体重が<3パーセンタイルに相当する場合に不当軽量体重(small for gestational age)、>97パーセンタイルの場合に不当重量体重(large for gestational age)と定義した。非定型抗精神病薬に限定しても差はない 背景因子をマッチさせたコホートとして、両群に1,021例ずつが登録された。両群とも、平均年齢は28.8歳、経産回数中央値は1回であった。妊娠前の精神医学的診断名は、精神病性障害が曝露群31.2%、非曝露群15.7%、双極性障害/大うつ病がそれぞれ74.2%、65.9%、アルコール/薬物性障害(喫煙を含む)が44.9%、40.7%、パーソナリティ障害が28.9%、22.6%であった。 妊娠糖尿病の発生率は、曝露群が7.0%、非曝露群は6.1%であった。未補正の相対リスク(RR)は1.15(95%信頼区間[CI]:0.82~1.61)、妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、非SSRI、気分安定薬、ベンゾジアゼピンの処方で補正後のRRは1.10(95%CI:0.77~1.57)であり、いずれも有意な差を認めなかった。また、非定型抗精神病薬(クエチアピン、オランザピン、リスペリドン)に限定した解析でも、結果は変わらなかった。 妊娠高血圧(4.7 vs. 4.1%、未補正RR:1.14、95%CI:0.76~1.73、補正RR:1.12、95%CI:0.70~1.78)および静脈血栓塞栓症(1.2 vs. 1.3%、0.92、0.42~2.02、0.95、0.40~2.27)の発生率も同様の結果であり、非定型抗精神病薬のみの結果にも変化はなかった。また、これらの疾患はいずれも一般人口に比べると頻度が高い傾向がみられた。 早産(14.5 vs. 14.3%、未補正RR:1.01、95%CI:0.81~1.27、補正RR:0.99、95%CI:0.78~1.26)の発生率は両群とも一般人口の約2倍に達したが、群間にリスクの差はみられなかった。不当軽量体重(6.1 vs. 5.1%、1.22、0.84~1.77、1.21、0.81~1.82)および不当重量体重(3.6 vs. 2.3%、1.64、0.96~2.78、1.26、0.69~2.29)についても、両群間にリスクの差はなかった。さらに、非定型抗精神病薬のみの解析でも同様の結果であった。

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禁煙治療薬チャンピックスについて

タバコをやめる飲み薬日本の禁煙外来で最もよく使われているのが、脳に作用してニコチンをブロックするタイプの飲み薬(商品名:チャンピックス)です。①脳にニコチンが作用しないのでタバコを吸ってもおいしいと感じなくなります。( A )Aチャンピックスによってニコチンがブロックされ、作用しなくなりますニコチン②同時に、ニコチンの代わりに快楽物質を持続的に放出させるので、タバコを吸わなくてもイライラしにくくなります。( B )③嘔気などの副作用が出ることが知られているので、副作用出現時には、B主治医・薬剤師等へ相談してください。チャンピックスα4β2ニコチン受容体チャンピックスの作用で快楽物質が出ます中枢神経社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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乾癬の生物学的製剤、各製剤の重篤な感染症発生率は?

 乾癬患者において、高齢、糖尿病、喫煙、感染症既往歴、インフリキシマブ投与、アダリムマブ投与が重篤な感染症の増加に関係していたことが、Robert E. Kalb氏らによって明らかにされた。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年5月13日号の掲載報告。 Kalb氏らは乾癬患者において、重篤な感染症リスクが治療に及ぼす影響について調査を行った。 調査には皮膚科における多施設、縦断的、疾患レジストリのPSOLAR(Psoriasis Longitudinal Assessment and Registry)が使用された。被験者は成人乾癬患者で、従来の全身的療法または生物学的製剤を投与中/投与可能な患者であった。レジストリは2007年7月20日に運用が開始され、すべてのデータは2013年8月23日まで収集された。 被験者らは標準療法として規定の乾癬治療薬を投与され、最大8年間追跡を受けた。データ収集と重篤な有害事象(重篤な感染症を含む)は定期的に評価された。 コホートの分析はレジストリ開始時の評価に基づいて実施された。重篤な感染症の累積発生率の調査は、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、非生物学的製剤の治療コホートごとに行われた。なお、メソトレキサートの併用有無は問わなかった。 非メソトレキサート/非生物学的製剤群を対照として、最初の重篤な感染症が発現する時期の予測因子を特定するため、コックス比例ハザード回帰モデルを用いた多変量回帰分析が用いられた。 主な結果は以下のとおり。・乾癬患者1万1,466例から分析された(2万2,311患者年)。・生物学的製剤使用群と非メソトレキサート/非生物学的製剤群では、年齢、性別、BMI、疾患特性など、患者特性に違いがみられた。・インフリキシマブ群では乾癬性関節炎の有病率が高いなど、各生物学的製剤群の間でも患者特性に違いがみられた。・重篤な感染症の累積発生率は100患者年当たり1.45であった(計323例)。・生物学的製剤ごとの重篤な感染症の累積発生率は、ウステキヌマブ0.83、エタネルセプト1.47、アダリムマブ1.97、インフリキシマブ2.49であった。・対照群の重篤な感染症の累積発生率は、非メソトレキサート/非生物学的製剤群1.05、メソトレキサート使用/非生物学的製剤群1.28であった。・最も多く報告された重篤な感染症は、肺炎と蜂窩織炎であった。・高齢、糖尿病、喫煙、重大な感染症既往歴、インフリキシマブ投与、アダリムマブ投与が重篤な感染症の増加に関係していた。

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喫煙女性の大腿骨近位部骨折リスクが明らかに

 喫煙により、女性の大腿骨骨折リスクは増加するのか。中国・蘇州大学附属第二医院のGuang Si Shen氏らは、その関連性を明らかにするため、10件の前向きコホート試験のメタ解析を行った。その結果、喫煙は女性の大腿骨近位部骨折リスクと関連すること、禁煙後10年以上経つとリスクへの影響は減少することなどが判明した。著者らは、さらなる検討の必要性を示唆している。Injury誌オンライン版2015年4月20日号の掲載報告。 PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、ISI Web of Scienceを検索し関連論文を抽出、10件の試験を基にメタ解析が行われた。ランダム効果モデルおよび固定効果モデルを用い、リスクのプール推定値を求めた。研究間の不均一性および出版バイアスについても評価した。統計解析にはSTATA (version 12.0)ソフトウエアを用いた。 主な結果は以下のとおり。・現在喫煙している女性において、相対リスク(RR)の有意な増加が認められた(pooled RR 1.30、95%CI:1.16~1.45)。この関連性は、1日15本以上喫煙する女性においては有意であったが、1日15本未満の女性においてはそうではなかった。・プール推定値は、単一試験を除外してもほぼ変わらなかった。・過去喫煙者における股関節骨折の相対リスクは発表論文で類似していた(RR 1.02、95%CI:0.93~1.11)。・10年以上前に禁煙した女性では、リスクの影響は有意に減少した。

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ニコチンの依存性、強い?弱い?

ニコチンの依存性、強いの?弱いの?しばらくタバコを吸わないでいると、多くの喫煙者がイライラ、そわそわ……ニコチンの禁断症状に襲われることになります。そのことが禁煙を難しくしている理由とされています。ニコチンの禁断症状は非常に弱く、幻覚が見えたり、幻聴が聞こえたりするようなことはありません。ニコチンは脳内で生理活性物質※ときわめてよく似た働きをするため、余計な作用が起こりにくいのです。※アセチルコリンそれだけに、ニコチンは身体になじみやすく、医者から「死ぬぞ!」と脅かされたくらいではやめられないくらい強い依存性を示すことになります。ニコチンの脳への作用メカニズムから判断すると、禁断症状が弱いことと、依存性が強いことは矛盾しないのです。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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喫煙は人工股関節全置換術後合併症の有意なリスク因子

 喫煙は人工股関節全置換術(THA)後にインプラント関連合併症の頻度を増加させる可能性があるとの報告が増えてきている。ドイツ・ハノーバー医科大学のSongsong Teng氏らは、メタ解析にてその関連を調べた。結果、喫煙はTHA後の無菌性のゆるみ、深部感染症および再置換術のリスク増加と関連していることを報告した。PLoS One誌オンライン版2015年4月24日号の掲載報告。 研究グループは、THA後のインプラント関連合併症のリスクと喫煙との関連を定量的に評価する目的で、2014年8月15日までに発表された論文をPubMed、EMBASEおよびCochrane libraryにて検索した。 該当した6件のコホート研究(合計8,181例)についてメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・喫煙歴のない患者と比較して、喫煙者では無菌性のゆるみ(要約リスク比[RR]:3.05、95%信頼区間[CI]:1.42~6.58)、深部感染症(要約RR:3.71、95%CI:1.86~7.41)およびあらゆる原因による再置換術(要約RR:2.58、95%CI:1.27~5.22)のリスクが有意に増加することが認められた。・脱臼のリスク(要約RR:1.27、95%CI:0.77~2.10)、在院期間(加重平均差:0.03、95%CI:-0.65~0.72)については、有意差はみられなかった。

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タバコとストレスの妙な関係!?

タバコとストレスの妙な関係!?吸えないとイライラするタバコ……では、吸うのをやめたらどうなるのでしょうか?(点)15ストレスチェックリストの平均点の変化12実は、ストレスが減ることがわかっています。10■9.550女性男性4.1■2.7初診時禁煙3ヵ月時矢野直子.日禁煙会誌.2007;2:51-61.タバコをやめれば「タバコを吸いたい」というストレスから解放されるのですから、当たり前の話ですね。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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梅雨の季節。原因不明の咳は真菌のせい!?

 4月21日、東京都内において「梅雨から要注意!カビが引き起こす感染症・アレルギー  -最新の研究成果から導く“梅雨カビ”の対策ポイント-」(主催:株式会社衛生微生物研究センター、協力:ライオン株式会社)と題し、メディアセミナーが開催された。 これから梅雨の季節を迎え、家中のさまざまなところで発生するカビについて、その性質と健康に及ぼす影響を概説し、具体的にどのような疾患を生じさせるかをテーマに講演が行われた。カビを吸い込むことで喘息やアレルギー性疾患を誘発 はじめに「カビ」の研究者である李 憲俊氏(衛生微生物研究センター所長)が、「身の回りのカビと、人体への影響」と題して、家カビの発生とその影響について解説を行った。 カビは、水の溜まるシンク周りや浴室に多く繁殖し、また、湿気のこもる下駄箱、押し入れ、結露する北側の壁、窓枠、浴室天井などに多く発生する。とくに天井のカビは、思いのほか気が付きにくく、掃除も難しい。また、胞子が舞い落ちることで人が吸い込む可能性もある。そして、カビを吸い込むことで、喘息、アレルギー性疾患を誘発、悪化させるほか、肺炎などの感染症の原因ともなる。李氏は「現在のように密封性の高い家屋では、カビの増殖が容易なため、いかにカビを発生させないか対策が大事」とまとめた。原因不明の咳はカビによるアレルギー性疾患の疑い 続いて、「カビが引き起こす感染症・アレルギー」と題して、亀井 克彦氏(千葉大学真菌医学研究センター 臨床感染症分野 教授)が、カビ(真菌)が原因となる呼吸器疾患のレクチャーを行った。 真菌が原因となる病気は、水虫が広く知られているが、その他にも感染症、アレルギー、(食物摂取による)中毒症などがある。そして、私たちは1日に1万個以上の真菌を吸い込んでおり、真菌が原因の疾患で亡くなる方も現在増加中だという。 原因不明の咳などの診療でのポイントとしては、「古い木造一戸建てに引っ越した」「梅雨ごろから症状が始まった」「しつこい乾いた咳」「家の外だと軽快」「次第に息切れする」「中年女性」といったファクターがあった場合、「夏型過敏性肺臓炎」や「カビによるアレルギー性疾患」などが疑われ、早期の検査と治療が必要となる。とくに「夏型過敏性肺臓炎」は、わが国独特の疾患であり、風邪などと区別がつきにくいために見過ごされ、治療が遅れることも散見されるので、注意が肝要とのことである。 また、頻度は少ないが、喫煙者や糖尿病などの慢性疾患を持つ人が罹りやすい「慢性壊死性肺アスペスギルス症」などは治療薬も効果が弱く、進行すると予後不良となるため、定期健診での早期発見が大切だという。 真菌感染症は、容易に感染しないものが多いが、一度感染すると難治性となり、治療薬も効果が弱く副作用も強い。また、再発しやすく、アレルギーなどのさまざまな疾患の原因ともなるので、原因不明の咳などで「前述の疾患を疑ったら呼吸器科の中でもアレルギー疾患領域に明るい専門医の受診が必要」とのことだった。 最後に、患者に指導できる予防策として、肺の老化予防のために「禁煙の実施」、住宅内の「カビの排除」(とくにエアコン、水まわりなど)、原因不明のしつこい咳や息苦しさがあれば「専門医師への受診」を患者に伝えることが重要だと亀井氏は述べ、「カビについて過度に神経質になる必要はないが、適度な心配はしてほしいと患者に指導をお願いしたい」とレクチャーを終えた。

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高齢者の喫煙リスク~50万例でのエビデンス/BMJ

 高齢者においては、喫煙は心血管イベントや心血管死の独立した強力なリスク因子であるとの従来のエビデンスを、あらためて裏付ける知見が、ドイツがん研究センター(DKFZ)のUte Mons氏らCHANCESコンソーシアム(http://www.chancesfp7.eu/)が実施したメタ解析で得られた。一般に、喫煙は疾患や死亡の修正可能な主要リスク因子であり、禁煙は喫煙関連リスクの抑制に有効とされる。一方、心血管イベントのほとんどが高齢者で発現しており、この年齢層のデータを代用して一般化されているが、高齢者に焦点を当てた検討は少ないという。BMJ誌オンライン版2015年4月20日号掲載の報告より。25コホートのデータをメタ解析、RAPを算出 1964年に、男性喫煙者は冠動脈心疾患による死亡リスクが非喫煙者よりも高いとの研究結果が米国で初めて報告されて以降、その因果関係を支持する強力なエビデンスが蓄積されてきた。この50年間に、先進国ではタバコの消費量の減少に伴い心血管死亡率が低下しているものの、心血管疾患は主要な死亡原因であり続けている。 心血管疾患の発症率は加齢と共に増加し、イベントの多くは高齢者にみられる。現在の人口統計学的な傾向を考慮すると、心血管疾患の疾病負担を抑制するには、高齢者のリスク因子の管理による予防がきわめて重要とされる。 そこで、CHANCESコンソーシアムは、60歳以上のコホートにおける心血管死、急性冠イベント、脳卒中イベントに及ぼす喫煙および禁煙の影響の評価を目的にメタ解析を行った(欧州委員会DG-RESEARCHの第7次枠組計画などの助成による)。従来の疫学的な相対リスクに加え、心血管死の「リスク進展期間(risk advancement period:RAP)」を算出した。 喫煙のリスクや禁煙の効果を一般社会に伝えることは、禁煙の促進に有効な手段であるが、一般人にとって相対リスクは把握が難しい可能性があり、リスク情報伝達(risk communication)においてRAPが有用な方法として提唱されている。RAPは、「あるリスク因子に曝露した集団において、曝露していない集団と比較し、そのリスク因子に起因するイベント(たとえば疾患の発症や死亡)の発生が早まる期間」と定義される。 解析には、CHANCESコンソーシアムに参加する25のコホート(欧米23ヵ国)のデータを使用した。Cox比例ハザード回帰モデルを用いてコホートごとに解析を行い、メタ解析により統合した。喫煙者は心血管死が5.5年早まる、禁煙はリスク抑制に有効 60歳以上の50万3,905例が解析の対象となった。60~69歳が86.6%、70歳以上が13.4%で、男性が56.0%であり、生涯非喫煙者が40.2%、元喫煙者が47.4%、現喫煙者は12.4%であった。このうち3万7,952例が心血管疾患で死亡した。5,966例が急性冠イベントを、5,497例が脳卒中を発症した。 ランダム効果モデルによる非喫煙者に対する喫煙者の心血管死のハザード比(HR)は2.07(95%信頼区間[CI]:1.82~2.36)、元喫煙者のHRは1.37(95%CI:1.25~1.49)であり、喫煙者、元喫煙者ともリスクが有意に高かった。 RAPは喫煙者が5.50年(95%CI:4.25~6.75)、元喫煙者は2.16年(95%CI:1.38~2.93)であり、いずれも心血管死が非喫煙者に比べ有意に早く発生した。また、喫煙者の心血管死のリスクはタバコの消費量が多いほど高く、元喫煙者のリスクは禁煙開始以降の時間が長いほど低かった。 これら喫煙関連の心血管死の相対リスクと同様のパターンが、急性冠イベントと脳卒中イベントにも認められたが、心血管死よりもわずかにリスクが低かった。 著者は、「これらの知見は、高齢者でも喫煙が心血管イベントおよび心血管死の独立の強力なリスク因子であるとの従来のエビデンスを支持し、さらに発展させるものである」とし、「禁煙は依然として過度のリスクの抑制に有効であることが示された」と指摘している。

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妊娠糖尿病は子供の自閉スペクトラム症のリスク/JAMA

 妊娠26週までに妊娠糖尿病(GDM)と診断された母親から出生した子供は、母親が糖尿病でない場合に比べ自閉スペクトラム症(ASD)を発症するリスクが高いことが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のAnny H Xiang氏らの検討で示された。胎児における母親の高血糖への曝露は、臓器の発達や機能に長期に影響を及ぼす可能性が示唆され、妊娠前の糖尿病だけでなく妊娠期間中の高血糖(=GDM)と、子供の肥満や代謝異常の長期的リスクとの関連が確認されている。一方、母親の糖尿病と子供のASDとの関連を検討した研究は少なく、GDMの発症時期を重視した報告はこれまでなかったという。JAMA誌2015年4月14日号掲載の報告より。診断時期を妊娠26週前後で分けて後ろ向きに評価 研究グループは、子供のASDのリスクと、子宮内での2型糖尿病やGDMへの曝露、妊娠中のGDM診断時期との関連について検討する目的で、レトロスペクティブな縦断的コホート研究を実施した。対象は、1995年1月1日~2009年12月31日までにKPSCで単胎妊娠、妊娠期間28~44週で出生した子供32万2,323例であった。 子供は、出生から以下のいずれかの日まで追跡された。ASDの診断、KPSC健康計画の登録期限、全死因による死亡、2012年12月31日。出生年で補正したCox回帰モデルを用いてハザード比(HR)を算出し、ASDの相対リスクを推定した。 母親を既存の2型糖尿病(6,496例[2.0%]、平均年齢32.7歳)、GDM(2万5,035例[7.8%]、32.4歳、妊娠期間26週までに診断:7,456例、26週以降に診断:1万7,579例)、非糖尿病(29万792例[90.2%]、29.2歳)に分けて解析した。 主要評価項目は子供の臨床的なASDの診断であった。母親、兄/姉のASDや、母親の喫煙、体重の影響はない 出生後のフォローアップ期間中央値は5.5年で、この間に3,388例の子供がASDと診断された。そのうち、既存の2型糖尿病の母親から生まれた子供が115例、26週までにGDMと診断された母親の子供が130例、26週以降に診断された母親の子供が180例であり、非糖尿病の母親の子供は2,963例であった。 1,000人当たりの非補正年間ASD発症率は、既存2型糖尿病群が3.26件、26週以内診断GDM群が3.02件、26週以降診断GDM群が1.77件、非糖尿病群は1.77件であった。出生年で補正したHR(非糖尿病群との比較)は、既存2型糖尿病群が1.59(95%信頼区間[CI]:1.29~1.95)、26週以内診断GDM群が1.63(95%CI:1.35~1.97)、26週以降診断GDM群は0.98(0.84~1.15)であった。 母親の出産年齢、経産回数、教育歴、世帯収入、人種/民族、併存疾患歴および子供の性別で補正後の子供のASDリスクは、母親の既存の2型糖尿病とは関連がなかった(HR:1.21、95%CI:0.97~1.52、p=0.09)が、26週以内のGDM診断とは有意な関連がみられた(HR:1.42、95%CI:1.15~1.74、p<0.001)。抗糖尿病薬の投与はASDのリスクとは関連がなかった。 全コホートでは、母親または兄/姉のASD診断で補正しても結果に影響はなく、またデータが得られた6万8,512例においては、母親の喫煙、妊娠前のBMI、妊娠中の体重増加で補正しても結果は変わらなかった。 著者は、「多彩な民族からなる集団において、母親の既存の2型糖尿病は子供のASDとは関連がないが、妊娠26週までにGDMと診断された母親の子供のASDリスクは共変量で補正後も有意に高いことが示された」とまとめ、「本研究では、すべてのデータが統合された患者ケアシステムから得られ、子供は1歳までにKPSC健康計画に登録されて電子カルテにより継続的にフォローアップが行われたため、スクリーニングバイアスや診断バイアスが回避されたと考えられる」と考察している。

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