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国立長寿医療研究センターの木下 かほり氏らの研究グループは、地域在住高齢者を対象に、食事時間の不規則性と生物学的老化の潜在的バイオマーカーGrowth Differentiation Factor-15(GDF-15)との関連、およびそれに対する食事の質の媒介効果を評価した。その結果、食事時間が不規則な高齢者は、規則的な高齢者と比較して年齢が有意に若いにもかかわらず、血清GDF-15が高く、食事の質が低いことが明らかになった。本研究結果は、European Geriatric Medicine誌2026年6月16日号オンライン版掲載の報告。 近年、不規則な食事時間が健康に及ぼす影響について注目されているが、生物学的老化の指標であるGDF-15と食事時間の不規則性との関連については十分に解明されていない。そこで本研究は、食事時間の不規則性とGDF-15との関連を検討し、その関連が栄養素密度の低下といった食事の質の低さによって説明できるかどうかを明らかにすることを目的とした。 研究グループは、東浦研究1)に参加した65歳以上で障害のない地域在住高齢者378例を対象に横断研究を実施。対象患者の食事習慣(規則的/不規則)は面接により評価した。食事の質については、3日間の食事記録から算出したNutrient-Rich Food Index(NRF9.2)に基づく栄養素密度のスコアを用いて評価した。また、食事時間の不規則性、食事の質、血清GDF-15の関連について、年齢、性別、併存疾患数、睡眠時間、身体活動、喫煙状況、就労状況、総エネルギー摂取量を調整した媒介分析(Mediation analysis)を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり・食事時間が不規則な群の年齢は、規則的な群に比べて有意に若かった(平均年齢±SD:73.3±4.6歳vs.75.1±5.6歳、p=0.014)。・食事時間が不規則な群では欠食率が高く、最も欠食が多かったのは朝食で、昼食、夕食と続いた。・共変量調整後、食事時間が不規則な群は規則的な群と比較して、GDF-15が有意に高く(最小二乗平均値、95%信頼区間[CI]:1,161.4pg/mL[1,063.4~1,270.2] vs. 1,028.0pg/mL[988.4~1,068.9]、p=0.009)、細胞レベルでの老化が早いことが示された。・食事時間が不規則な群は、規則的な群に比べて食事の質(NRF9.2スコア)が有意に低かった(798.3点[781.7~815.0]vs. 823.2点[815.9~830.6]、p=0.008)。・媒介分析の結果、食事の質(栄養素密度)は食事時間の不規則性とGDF-15高値との関連を部分的に説明する要因であり、その媒介割合は14.5%であった(p=0.021)。・NRF9.2スコアの分散に対する各食品群の寄与をLMG(Lindeman-Merenda-Gold)法で評価したところ、野菜(24.2%)の寄与が最も大きく、次いで魚介類(14.5%)、卵(13.4%)の順であった。・魚介類の摂取量は、規則的な群と比較して不規則な群で有意に少なかった(32.0g/1,000kcal vs. 40.3g/1,000kcal、p=0.013)。 研究者らは「横断研究であるため因果関係を明らかにできなかったものの、食事時間が不規則な高齢者は血清GDF-15が高く、その関連の約15%が食事の質の低さ(魚介類などの摂取量の少なさ)によって説明できることを初めて示した」とし、「本結果は、仕事などで食事時間が不規則になる高齢者であっても、食事の質改善が生物学的老化の進行抑制に役立つかどうかを検証する縦断研究や介入研究にむけた重要な知見を提供している」と述べ、また「将来的には、食事時間が不規則な人々を対象とした食事戦略の構築を後押しする可能性がある」と結んでいる。