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近年、紙巻タバコに代わり加熱式タバコ(HTP)での喫煙が増えている。HTPの健康への影響のエビデンスはまだ少ないが、糖尿病罹患との関連はあるのだろうか。このテーマについて、国立健康危機管理研究機構(JIHS)の胡 歓氏らの研究グループは職域多施設研究(J-ECOHスタディ)から約3万人を追跡調査した。その結果、HTPのみで喫煙している人は、紙巻タバコのみで喫煙している場合と比較し、2型糖尿病発症のリスク低下と関連していなかったことがわかった。American Journal of Preventive Medicine誌オンライン版4月7日号に掲載。喫煙者の糖尿病罹患リスクは非喫煙者と比べ高い 研究グループは、J-ECOHスタディのベースライン時(2018年4月~2019年3月)に2型糖尿病を有していなかった参加者2万9,584人(男性82.5%、平均年齢45.9歳[標準偏差9.9])を対象に調査を行った。参加者は、自己申告によるタバコの喫煙状況に基づき、非喫煙者、元喫煙者、紙巻タバコのみで喫煙する者、HTPのみで喫煙する者、および紙巻タバコとHTPの両方で喫煙する者の5群に分類した。2型糖尿病の新規発症は、2019~25年に実施された健康診断で特定された。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の推定はCox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・14万797人年の追跡期間中、2,141人が2型糖尿病を発症した(1,000人年当たり15.2)。・喫煙する群(1,000人年当たり18.5~21.7)では、喫煙歴のない群(1,000人年当たり11.3)と比較し、糖尿病の罹患率が高かった。・喫煙歴のない群と比較して、HTPのみで喫煙する群(HR:1.61、95%CI:1.39~1.86)、紙巻タバコとHTPの両方で喫煙する者(HR:1.76、95%CI:1.48~2.09)、および紙巻タバコのみで喫煙する者(HR:1.53、95%CI:1.34~1.74)は、糖尿病罹患のリスクが高かった。・喫煙歴のある人の中で、HTPのみで喫煙する人の糖尿病リスクは、紙巻タバコのみで喫煙する人とほぼ同等だった(HR:1.01、95%CI:0.86~1.18)。これは、追跡期間中にリスクの有意な低下が認められなかったことを示唆している。・すべてのタバコ喫煙グループで、1日当たりのタバコ製品の喫煙量と糖尿病リスクとの間に用量反応関係が認められた。 研究グループは、この結果から「HTPのみで喫煙している人(そのほとんどが過去に紙巻タバコの喫煙経験あり)において、追跡期間中、HTPのみでの喫煙は紙巻タバコのみでの喫煙と比較して、2型糖尿病のリスク低下とは関連していなかった。本研究の結果では、リスクの上昇がHTP使用の独立した影響によるものか、あるいは過去の紙巻タバコ曝露の残留効果によるものかを区別できないため、HTP使用者と紙巻タバコ喫煙者との間で糖尿病リスクが時間経過とともに異なるかどうかを評価するには、より長期の追跡調査が必要である」と結論付けている。