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ペルツズマブはHER2陽性乳がんの再発を有意に減少させる(解説:下村 昭彦 氏)-706

 HER2陽性乳がんに対する術後薬物療法としてのトラスツズマブの有用性については広く知られており、実臨床で必須の標準治療となっている。また、ペルツズマブの上乗せはHER2陽性転移再発乳がんの1次治療として、ドセタキセル+トラスツズマブに対して有意に予後を改善させることが広く知られている1)。 今回の大規模臨床試験は、HER2陽性乳がんに対する標準術後薬物療法である化学療法+トラスツズマブに対し、ペルツズマブの上乗せを検証した二重盲検ランダム化比較第III相試験である2)。腫瘍径1cm以上、または腫瘍径0.5~1.0cmでハイリスクの条件を満たすもの(組織/核Grade3、ホルモン受容体陰性、35歳未満)を対象とした。中間解析でイベント数が少ないことが予想されたため、3,655例の症例が登録された段階で、リンパ節転移陽性のみを適格とするようプロトコール変更が行われた。主要評価項目は3年無浸潤疾患生存率(invasive disease free survival:IDFS)で、プラセボ群の89.2%に対しペルツズマブ群が91.8%(ハザード比:0.75)を仮説とし、各群379イベントが必要とされた。 2011年11月~2013年8月に2,400例がペルツズマブ群に、2,405例がプラセボ群に割り付けられた。3年IDFSはペルツズマブ群で94.1%、プラセボ群で93.2%(ハザード比:0.81、95%CI:0.66~1.00、p=0.045)であり、ペルツズマブ群で有意に良好であった。サブグループ解析では、リンパ節転移陰性では97.5% vs.98.4%(ハザード比:1.13、p=0.64)、リンパ節転移陽性では92.0% vs.90.2%(ハザード比:0.77、p=0.02)と、リンパ節転移陽性ではペルツズマブ群で有意に良好であったものの、陰性では両群に差は認めなかった。 術後薬物療法におけるペルツズマブの有効性が示されたものの、その絶対リスク減少は3年IDFSで0.9%であり、真に上乗せ効果の期待できる症例の絞り込みが必要である。

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PD-L1高発現NSCLC1次治療、ペムブロリズマブKEYNOTE-024試験の日本人データ/日本臨床腫瘍学会

 KEYNOTE-024試験は、未治療のPD-L1高発現(TPS50%以上)非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブの1次治療を評価する国際共同無作為化第III相試験。全集団の解析では、無増悪生存期間(PFS)のHRが0.50(p<0.001)、全生存期間(OS)のHRも0.60(p=0.005)と、標準化学療法(SOC)群に対するペムブロリズマブ群の優越性が示されている。第15回日本臨床腫瘍学会では、同試験の日本人患者集団の解析結果が、兵庫県立がんセンター里内美弥子氏より発表された。 KEYNOTE-024試験では、全集団305例が登録された。そのうち日本人は40例で、ペムブロリズマブ群に21例、SOC群に19例が割り付けられた。患者背景は全集団と同様であった。フォローアップ期間(中央値11.2ヵ月)の化学療法からペムブロリズマブへのクロスオーバーは、全集団の44%に対し、日本人では37%であった。 日本人集団のPFSは、ペムブロリズマブ群で未達、SOC群で4.1ヵ月(HR:0.35、95%CI:0.14~0.91、p=0.013)であった。日本人集団のOSは、ペムブロリズマブ群で未達、SOC群では21.5ヵ月で、HRは0.40(95%CI:0.10~1.61)であった。また、最新のOS中間解析によれば、HRは0.36(95%CI:0.12~1.01)と、クロスオーバーの多さにも関わらず、その差は大きくなっている。長期使用により、ペムブロリズマブ群でさらに有望な結果が得られる可能性が示唆される。奏効率(ORR)は、全集団でペムブロリズマブ群44.8%、SOC群27.8%であったのに対し、日本人集団では、ペムブロリズマブ群57.1%、SOC群21.1%という結果であった。 Grade3~4の有害事象は、全集団ではペムブロリズマブ群26%、SOC群51%であったのに対し、日本人集団ではペムブロリズマブ群33%、SOC群47%であった。 KEYNOTE-024試験においては、全集団の結果と同様、日本人集団でも未治療のPD-L1高発現の非小細胞肺がんに対し、ペムブロリズマブの有効性と安全性が示された結果となった。■参考KEYNOTE-024試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効KEYNOTE-024試験/NEJMPD-L1高発現NSCLCの初回治療はペムブロリズマブ?KEYNOTE-024のPFS2データ/ASCO2017肺がん特集

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肺がんMYSTIC試験、durvalumab・tremelimumab併用の一部結果を発表

 AstraZenecaとその生物製剤研究開発拠点MedImmuneは2017年7月27日、未治療のStageIV非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療選択において、抗PD-L1抗体durvalumab単独療法またはdurvalumab・tremelimumab(抗CTLA-4抗体)併用療法と、プラチナベースの標準化学療法(SoC)をそれぞれ比較した、第III相MYSTIC試験の無増悪生存期間(PFS)の結果を発表。 durvalumab・tremelimumab併用療法は、PD-L1発現25%以上の患者におけるSoCとの比較で、主要評価項目であるPFSの改善を達成しなかった。また、正式には検証されていないが、副次評価項目であるdurvalumab単独療法のPFSベネフィットも閾値を満さない可能性がある、としている。 MYSTIC試験は、無作為化オープンラベル多施設共同試験。主要評価項目は、durvalumab・tremelimumab併用療法のPFSおよびOS、durvalumab単独療法のOSの3つ(いずれもSoCとの比較)である。今回の発表は、そのうちの1つ併用療法のPFS。残り2つの主要評価項目も引き続き評価され、最終のOSデータは、2018年前半に発表される予定。 AstraZenecaのGlobal Medicines Development and Chief Medical OfficerであるSean Bohen氏はプレスリリースの中で、StageIVのNSCLCにおけるMYSTIC試験のPFSの結果は残念なものだが、この試験はOSを評価するよう設計されており、残りの主要評価項目である単独療法と併用療法双方のOSの評価に期待している、としている。 MYSTIC試験は、本邦も含む欧米およびアジアの世界17ヵ国167施設で実施されている。■参考AstraZeneca(グローバル)プレスリリースMYSTIC試験(ClinicalTrials.gov)

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新たなエビデンスを生み続けるMAMS(解説:榎本 裕 氏)-704

 STAMPEDE試験といえば、2016年のLancet誌に出た報告が記憶に新しい。未治療の進行前立腺がんに対し、標準的なADTにドセタキセル(DTX)化学療法を6コース追加することで全生存率の有意な改善を示したものである。前年に同様の結果を報告したCHAARTED試験とともに、未治療進行前立腺がんの治療を変容しつつある(本邦では保険適応の問題から、普及にはまだ遠いが)。 STAMPEDE(Systemic Therapy in Advancing or Metastatic Prostate cancer: Evaluation of Drug Efficacy)は、初回ホルモン治療(ADT)を行う局所進行ないし転移性前立腺がん患者を対象とした前向き臨床試験で、複数のRCTを同時進行で行うMAMS(multiarm, multistage)プラットフォームを特徴としている。今回の報告は、ADT単独療法を対照として、アビラテロン(ABI)+プレドニゾロン(PSL)の追加がOSを改善するかどうかを検討した。 STAMPEDEでは、未治療転移性がんだけではなく、未治療局所進行がん、さらには前立腺全摘や根治照射後の再発例も対象に含んでいる。今回の解析対象患者のうち再発症例は4~7%のみであるが、遠隔転移がなく根治照射を予定している患者が41%程度含まれていることは注意が必要だ。遠隔転移のある症例では病勢進行までADT(またはADT+ABI+PSL)が継続されるが、遠隔転移がなく根治照射を行った例では病勢進行がない場合、薬物治療は最長2年間となっている。 今回の試験結果では、転移性がんではABI+PSLの追加が有意なOS改善をもたらした(HR:0.61)。この結果は、同時に発表されたLATITUDE試験の結果を再現している。転移のない症例でもOSは改善傾向であったが、40ヵ月という追跡期間では十分な差を出せていない。転移性がんについていえば、ADT+DTXが引き続き今後の標準治療になるのか、ADT+ABI+PSLが取って代わるのか、はたまたADT+DTX+ABI+PSLの併用に進んでいくのか、今後の研究に期待したい。

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転移性前立腺がんの初期治療の行方は?(解説:榎本 裕 氏)-702

 1941年のHuggins and Hodgesの報告以来、転移性前立腺がん治療の中心はアンドロゲン除去療法(ADT)であった。近年、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に対する治療薬が次々に登場し、治療戦略が大きく変容しているが、転移性前立腺がんの初期治療に関しては70年以上にわたってほとんど進歩がなかった。第1世代の抗アンドロゲン薬(ビカルタミド、フルタミドなど)を併用するMAB(maximum androgen blockade)療法が広く行われているが、OSに対するベネフィットを示す報告は少ない。 この状況に風穴をあけたのが2015-16年に報告されたCHAARTED試験、STAMPEDE試験である。未治療の進行前立腺がんに対し、標準的なADTにドセタキセル(DTX)化学療法を6コース追加することで全生存率の有意な改善を示した。CRPCに対して予後改善効果のある薬剤をホルモン感受性のうちに「前倒しして」投与することでPFSのみならずOSまで改善するという報告は強いインパクトを与えた。 今回の報告は、ホルモン感受性の転移性前立腺がんに対し、第2世代の抗アンドロゲン薬であるアビラテロンをADTに併用するプラセボ対照の前向きRCTである。アビラテロンの追加は、死亡リスクを有意に低下させた(HR:0.62)。直接比較はできないものの、この数値はDTX追加によるベネフィット以上である可能性があり、非常に有望なアプローチといえる。一方、長い治療期間(DTX 6コースは18週間だが、アビラテロンは2年以上)による副作用とコスト増は懸念されるところであろう。とくにアビラテロンではプレドニゾロンの併用が必須であり、ステロイドによる副作用も懸念される。より長期間の追跡調査が必要である。 さらに、ADTにアビラテロンとDTX両方を上乗せする臨床試験が行われている。作用機序の異なる薬剤の併用は、さらなる予後改善をもたらすのか? 続報に期待したい。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第42回

第42回:新たな肺がんレジメン、カルボ・ペム・ペムとは?キーワードペムブロリズマブMSI-H固形がん肺がんNSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017Langer CJ,et al.Carboplatin and pemetrexed with or without pembrolizumab for advanced, non-squamous non-small-cell lung cancer: a randomised, phase 2 cohort of the open-label KEYNOTE-021 study.Lancet Oncol.2016;17:1497-1508.MERCK社 KEYTRUDA prescribing information

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inotuzumab ozogamicin、CD22+前駆B細胞性ALLに欧州で承認

 米国ファイザー社は2017年6月30日、inotuzumab ozogamicinが「再発または難治性のCD22陽性前駆B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)」の成人患者に対する単剤療法として欧州委員会より承認を受けたことを発表した。今回の適応には、フィラデルフィア染色体陰性(Ph-)だけでなく、同陽性(Ph+)の再発または難治性の前駆B細胞性ALLも含まれている。Ph+のCD22陽性前駆B細胞性ALLの場合、少なくとも1種類以上のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による治療が奏効しなかった成人患者を適応とする。 inotuzumab ozogamicinは、ファイザー社とセルテック社(現UCB社)が協力して生み出した抗体薬物複合体(ADC)。ほぼすべてのB細胞性ALLに発現するCD22を標的とするモノクローナル抗体および細胞傷害性化合物で構成されており、悪性腫瘍のCD22抗原と結合すると、細胞障害性を有するカリケアマイシンが放出されて細胞を破壊する。 欧州委員会によるinotuzumab ozogamicinの承認は、再発または難治性の前駆B細胞性ALL成人患者326例を対象に、inotuzumab ozogamicinを標準化学療法と比較し第III相INO-VATE ALL試験の結果に基づく。本試験では、2つの独立した主要評価項目(血球数の回復の有無を問わない血液学的完全寛解率(CR/CRi)および全生存期間(OS))が設定された。 ALLは、未治療のままでは数ヵ月のうちに致死的となりうる。再発または難治性(抵抗性)ALLにおける治療目標は、生存率の延長が期待できる治療法として現在最も支持されている造血幹細胞移植や維持療法などに移行できるよう、過度の毒性を伴わずに完全寛解を達成すること。再発または難治性の患者における現在の標準治療は強力な化学療法だが、化学療法が有効である患者は50%にも及ばない。また、これらの治療は長期生存率が低い、毒性が高い、入院期間が長い、持続点滴時間が長いといったことも指摘されている。■参考ファイザー株式会社プレスリリース

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【JSMO2017見どころ】緩和・支持療法

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。 このうち、「緩和・支持療法」については西森 久和氏(岡山大学病院 血液・腫瘍内科 助教)が登壇した。以下、西森氏のコメントと注目演題を紹介する。【西森 久和氏コメント】 緩和・支持療法とは、がんに伴うさまざまな苦痛や症状、抗がん薬の副作用などを和らげるための治療である。がんを告知された患者さんは、がんに伴う痛みだけでなく、精神的にも不安やいらだちを感じ、社会的にも仕事を継続できなくなるなどの問題を抱えており、医療者は「苦痛」を全人的に捉えたうえで、サポートをしていく必要がある。がん対策基本法での緩和ケアの推進により、よりよい緩和医療が提供されるようになってきているが、いまだ不十分な点も多いのが現状といえる。本学会では、最新の緩和ケアに関するトピックスに加え、現状を直視したうえでよりよい方向性を見出すためのシンポジウムを数多く準備している。 医学の進歩により、さまざまな抗がん薬が開発され、それに伴う副作用も多様化している。一般的な抗がん薬による治療のイメージは、吐き気や嘔吐がつらい、脱毛など美容上の問題がある、などネガティブなものが多いかと思われるが、新しい制吐薬の開発など支持療法の分野も進歩しており、より効果的な抗がん薬をより安全に、やさしく患者さんに投与できる時代になってきている。本学会では支持療法に関しても、エビデンスに基づき患者さんの生活の質を保つことのできる情報を多く提供する予定である。 また、会期中神戸国際会議場では「患者・家族向けプログラム~いつでも、何処でも、最適のがん医療を受けるために~」が開催され、その模様がJunko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)でライブ中継される。各日午後には、両会場で相互交流を図る患者発のプログラムが予定されており、医療者にとっても「患者目線」を知ることができる機会となっている。 【注目演題】合同シンポジウム(日本緩和医療学会 / 日本臨床腫瘍学会)「緩和ケアに関わるガイドラインの変更と解説」日時:7月28日(金)10:20~12:20場所:Room 4(神戸国際展示場1号館2F Hall A)セミプレナリーセッション「「予後2年」の望ましい伝え方:どのようながん患者がどのような台詞を好むか?」日時:7月29日(土)8:20~10:20場所:Room 4(神戸国際展示場1号館2F Hall A)シンポジウム「症状スクリーニングと緩和治療―早期からの緩和ケアを目指して―」日時:7月27日(木)14:50~16:30 場所:Room 3(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール北)「口腔のケア・がん口腔支持療法を推し進めるために―論拠に基づいた実践を目指して」日時:7月28日(金)8:20~10:20場所:Room 5(神戸国際展示場1号館2F Hall B)「口腔のケア・がん口腔支持療法を推し進めるために―人材を養成する体制から在り方を問う」日時:7月28日(金)10:20~12:20 場所:Room 5(神戸国際展示場1号館2F Hall B)「Whole Person Care 〜 Care for cancer patients 〜」日時:7月28日(金)17:00~18:30 場所:Room 4(神戸国際展示場1号館2F Hall A)「チームで取り組む分子標的薬の副作用マネジメント 患者へベネフィットをもたらす支持療法」日時:7月29日(土)10:20~12:20 場所:Room 2(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール南)「外来がんリハビリテーション エビデンス&プラクティス」日時:7月29日(土)15:00~17:00場所:Room 2(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール南)ワークショップ「緩和ケア病棟転院時の患者・家族の見捨てられ感について~安心して転院できますか」日時:7月27日(木)9:20~11:00 場所:Room 3(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール北)「がん治療中の患者の decision making のサポート―がん治療する?しない?―」日時:7月27日(木)13:00~14:40 場所:Room 3(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール北)教育講演「がん患者とのコミュニケーション」日時:7月27日(木)14:00~14:30場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)「緩和ケアにおける EBM」日時:7月29日(土)9:20~9:50 場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)「がん化学療法後のB型肝炎ウイルス再活性化のリスクとその対策」日時:7月29日(土)9:50~10:20 場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)「がん連携における在宅支持療法」日時:7月29日(土)10:20~10:50 場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)「がんのリハビリテーション」日時:7月29日(土)10:50~11:20 場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)「がん患者の家族へのサポート」日時:7月29日(土)11:20~11:50 場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)【第15回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2017年7月27日(木)~29日(土)■会場:神戸コンベンションセンター、Junko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)■会長:谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科 特任教授)■テーマ:最適のがん医療— いつでも、何処でも、誰にでも —第15回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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バイオマーカーが大きな意義を持つ、今後の大腸がん治療

 2017年6月、Lilly Oncology大腸がんメディアセミナーにて、静岡県立静岡がんセンターの山崎健太郎氏が、大腸がんの遺伝子関連検査と治療最前線について、解説した。増える大腸がんバイオマーカーの重要性 1990年代後半から、多くの新規薬剤が臨床導入され、大腸がんの治療は大きく変化した。さらに、分子標的薬の登場が拍車をかけ、世界の大腸がん予後は今では30ヵ月を超える。とはいえ、分子標的治療薬もすべての大腸がん患者に奏効するわけではない。バイオマーカーの探索が重要になっている。大腸がんのバイオマーカーとしては、RAS変異検査が最も普及しており、抗EGFR抗体の効果予測因子として切除不能例に日米欧で推奨されている。それ以外に最近注目されているのが、BRAF V600遺伝子変異とMSI(マイクロサテライト不安定性)である。BRAF V600E変異、MSIと大腸がん BRAF V600E変異は、大腸がんの8%程度に認められ、効果予測因子・予後因子である。同変異を有する患者は化学療法の効果が乏しい。また、予後不良で、同変異を有していると、増悪リスクは34%、死亡リスクは91%増加し、全生存率(OS)は約1年という報告がある。しかし、近年ではBRAF変異例へのFOLFOXIRI+ベバシズマブの4剤併用療法で、増悪リスク、死亡リスク共に4割以上減少するという研究も出てくるなど、治療法の開発も進んでいる。 MSIは、DNA複製時の塩基の不対合であるミスマッチを修復する、MMR(mismatch repair)機能の欠損をみる指標である。マイクロサテライト不安定性が高度(MSI-H)になると、遺伝子の異常が蓄積し、がん化が促進される。MSI-Hは、遺伝性大腸がんであるリンチ症候群の9割に認められるが、大腸がん全体でも一定の割合で存在する。欧米では、12~16%、本邦では6~7%の大腸がんがMSI-Hだといわれている。MSI-Hは遺伝性大腸がんの指標だけではなく、広く大腸がんの予後規定因子でもある。MSI-Hを有する切除可能なStageII大腸がんでは、予後良好である(術後アジュバントを行うと逆に予後が悪化するという報告がある)。一方、切除不能例では、非常に予後が悪いことが明らかになっている。このように、BRAFやMSIといった検査情報を得るだけでも、治療方針は大きく変わる可能性がある。患者への提言にも変化を及ぼす。大腸がんバイオマーカーの臨床応用の実情 大腸がんバイオマーカーの臨床応用は、どういう状況なのだろうか。BRAF検査は、効果予後予測因子・予後因子として、欧米では全大腸がん患者で推奨されている。MSIについても、欧米では大腸がんと診断された患者全員にリンチ症候群のスクリーニング目的として推奨されている。一方、本邦では大腸がんに対するBRAF検査は保険適応になっておらず、MSIについても、遺伝性大腸がんであるリンチ症候群が疑われた場合のみ適応となっている。ドラッグ・ラグも解消され、海外と同様の治療が実施できるようになったものの、バイオマーカーの臨床導入は遅れているのが、本邦の状況である。大腸がんに診療おける遺伝子検査のガイダンスの発刊 このような状況のなか、日本臨床腫瘍学会は「大腸がんに診療おける遺伝子検査のガイダンス(第3版)」を発刊した。このガイダンスではBRAF検査、MMR機能欠損に対するMSI検査について、どのように実施し、治療に反映するのか、基本的要件を明らかにした。具体的には、切除不能・再発大腸がん1次治療前のBRAF検査、切除後のStageII結腸がんへのMSI検査、切除不能・再発大腸がん1次治療前のMSI検査などが盛り込まれている。 大腸がんの治療は、今後、バイオマーカー等で細分化されていくであろう。今回発刊されたガイダンスが、現状とのギャップを埋める一助になれば、と山崎氏は述べる。

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【JSMO2017見どころ】プレナリーセッション、免疫・細胞療法

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。 はじめに、本学術集会会長の谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)より、未発表の結果が発表されるプレナリーセッション3題の紹介がなされた。プレナリーセッション日時:7月28日(金)15:30~17:00場所:Room1(ポートピアホール)※Room 10(神戸際会議場メインホール)にて中継(1)「切除不能大腸癌に対するmFOLFOX6/CapeOX+BmabとS-1/CPT-11+Bmabとの第3相試験:TRICOLORE試験」蒲生 真紀夫(大崎市民病院 腫瘍内科)(2)「全身化学療法治療歴のない切除不能な肝細胞がん患者を対象としたレンバチニブの臨床第Ⅲ相試験の日本人部分集団解析」池田 公史(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)(3)「PD-L1高発現の未治療非小細胞肺癌に対するペムブロリズマブの国際共同ランダム化第Ⅲ相試験(KEYNOTE-024)の日本人集団解析」里内 美弥子(兵庫県立がんセンター 呼吸器内科) 続いて、「免疫・細胞療法」分野の最新動向・注目演題について前田 嘉信氏(岡山大学病院 血液・腫瘍内科 講師)が登壇した。以下、前田氏のコメントと注目演題を紹介する。【前田 嘉信氏コメント】 免疫・細胞療法は、手術療法、放射線療法、化学(薬物)療法に続く第4の治療法として近年大きな注目を集めている。とくに免疫チェックポイント阻害薬は、2014年に進行悪性黒色腫に対して抗PD-1抗体が国内承認を得て臨床応用されて以来、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、大腸がんなどに次々に応用されている。 最も広く用いられている肺がんに関しては、インターナショナルシンポジウムをはじめ、免疫療法に関する一般口演の大半を占めるほど多くの発表が予定されている。免疫チェックポイント阻害薬に関する最新情報は教育講演で、また、免疫チェックポイント療法を最適化するための大きなテーマとして、副作用の対策がシンポジウムで取り上げられている。ここでは、各分野からの副作用対策が提案され、議論される。さらに、最適化のために効果を予測するバイオマーカーの研究や免疫チェックポイントの基礎的研究がインターナショナルシンポジウムで討論される予定となっている。 免疫チェックポイント療法を超えて免疫・細胞療法の今後の展開を考えるうえで、「免疫制御とがん治療」と題した特別講演と、インターナショナルシンポジウム「Cancer Immunotherapy -What's the next?」が予定されている。【注目演題】シンポジウム「免疫チェックポイント阻害薬の副作用とその対策」日時:7月27日(木)9:00~11:00場所:Room1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)International Symposium「Immunotherapy for head and neck cancer: Future direction」日時:7月27日(木)14:30~16:30場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「Emerging evidence of immunocheckpoint inhibitors in non-small cell lung cancer」日時:7月28日(金)8:20~10:20場所:Room 2(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール南)「The future of immune checkpoint therapy」日時:7月28日(金)17:00~19:00場所:Room 2(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール南)「Cancer Immunotherapy -What's the next?」日時:7月29日(土)8:20~10:30場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)一般口演「免疫療法 1」日時:7月28日(金)8:20~9:20 場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「免疫療法 2(非小細胞肺がん)」日時:7月28日(金)9:20~10:20 場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「免疫療法 3(有害事象)」日時:7月28日(金)10:20~11:20 場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「呼吸器 4(免疫療法)」日時:7月29日(土)8:20~9:20場所:Room 5(神戸国際展示場1 号館2F Hall B)教育講演「免疫チェックポイント阻害剤最新情報」日時:7月29日(土)16:30~17:00場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)特別講演「免疫制御とがん治療」日時:7月29日(土)15:00~16:00場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)【第15回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2017年7月27日(木)~29日(土)■会場:神戸コンベンションセンター、Junko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)■会長:谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)■テーマ:最適のがん医療— いつでも、何処でも、誰にでも —第15回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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多くのがん種で開発中、ペムブロリズマブの最新トピックス

 2017年7月4日、MSD株式会社はメディアラウンドテーブルを開催し、同社グローバル研究開発本部オンコロジーサイエンスユニット統括部長の嶋本 隆司氏が、ASCO2017の発表データを中心にキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の最新トピックスを解説するとともに、併用療法を含めた今後の開発戦略について語った。 本邦において、ペムブロリズマブは2016年に「根治切除不能な悪性黒色腫」および「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対する適応を取得。2015年に「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」に対して「先駆け審査指定品目」の指定を受けているほか、現在は「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」および「局所進行性または転移性の尿路上皮がん(優先審査対象)」が承認申請中、13がん種以上で後期臨床開発プログラムが進んでいる。米国でNSCLCは適応拡大、尿路上皮がんとMSI-H/dMMR固形がんで承認取得 ASCO2017では、ペムブロリズマブについて16のがん種に対する50以上のデータが発表された。肺がん領域は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2016)の続報が中心となった。初回治療でEGFRまたはALK変異がなく、かつPD-L1発現不問の進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、化学療法との併用を評価したKEYNOTE-021試験(コホートG)では、統計学的な有意差は得られなかったものの、長期フォローアップで全生存期間(OS)の延長傾向が示された。米国ではすでにPD-L1発現を問わず、化学療法との併用でNSCLCの1次治療に適応が拡大され、現在、日本も参加して第III相試験(KEYNOTE-189試験)を実施中という。 米国で2017年5月に相次いで承認された、尿路上皮がん(1次治療、2次治療)、高度マイクロサテライト不安定(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)を示す進行固形がんに対する試験結果も発表された。がん種によらない、バイオマーカーに対する初の薬剤承認として注目されたMSI-H/dMMR固形がん患者に対する単剤療法を評価した試験としては、1レジメン以上の治療歴のある大腸がん以外の進行固形がん患者対象のKEYNOTE-158試験、2レジメン以上の治療歴のある進行大腸がん患者対象のKEYNOTE-164試験の結果が発表され、それぞれ全奏効率(ORR)が38%(29/77例)、28%(17/61例)、病勢コントロール率が58%(45/77例)、51%(31/61例)という結果が得られている。進行胃がん、トリプルネガティブ乳がんでも有望な結果 2ライン以上の治療歴のある進行胃がん患者(259例)を対象に単剤療法を評価したKEYNOTE-059試験(コホート1)では、42.4%の患者で何らかの腫瘍縮小効果がみられ、ORRは11.6%であった。この結果を基に、米国では優先審査の対象に指定され承認審査が進んでいる。嶋本氏は「ORRだけをみると目を見張るような結果ではないが、治療の選択肢がすでに非常に限られた対象であること、多くの患者で腫瘍縮小効果がみられたことが評価され、優先審査につながったと考えている」と話した。 また、トリプルネガティブ乳がん患者を対象に、術前化学療法との併用を評価したKEYNOTE-173試験では、病理学的完全奏効率(pCR)がコホートA(ペムブロリズマブ+パクリタキセル→ペムブロリズマブ+ドキソルビシン/シクロホスファミド[AC])で50~60%、コホートB(ペムブロリズマブ+パクリタキセル+カルボプラチン→ペムブロリズマブ+AC)で80%という結果が得られた。「従来の術前化学療法のpCRは20~30%であることから、ペムブロリズマブの乳がんに対する効果を示す有望な予備データといえる」と嶋本氏。同じく術前化学療法との併用を評価したI-SPY2試験では、トリプルネガティブ乳がん患者において、ペムブロリズマブ群(ペムブロリズマブ+パクリタキセル→AC)の推定pCRがコントロール群(パクリタキセル→AC)の3倍となるという結果が得られている。この結果を受け、現在、日本も参加して第III相試験が進行中という。IDO阻害薬との併用、単剤よりも高い奏効率 IDO(indoleamine 2,3-dioxygenase)阻害薬epacadostatとの併用を評価したECHO-202試験の結果も発表されている。本試験は複数のがん種に対して行われているが、そのうちNSCLC、転移性または再発性の扁平上皮頭頸部がん(SCCHN)、進行性尿路上皮膀胱がん(UC)、進行性腎細胞がん(RCC)の結果が紹介された。NSCLCでORRが35%(14/40例)、SCCHNで34%(13/38例)、UCで35%(14/40例)、RCCで33%(10/30例)と、いずれもペムブロリズマブ単剤よりも高い奏効率が得られている。日本人を含む第III相試験が進行中または準備を進めている段階で、早期の承認取得を目指すという。安全性については、本試験の安全性解析対象集団である進行がん患者294例を対象としたプール解析の結果、Grade 3以上の有害事象は患者の18%に認められ、最も高頻度のものはリパーゼ上昇(無症候性)4%、次いで発疹3%であった。この結果について嶋本氏は、「単剤と比較して大きく毒性が増すものではないとみられる」と話した。 IDO阻害薬のほか、化学療法や分子標的治療薬、新規ワクチンなどとの併用療法について、現在300以上の臨床試験が進行中だという。嶋本氏は、「がん種ごと、さらには肺がんのように多様性のあるがん種では患者背景ごとにアプローチしていくことも視野に入れて、ペムブロリズマブを核に、それぞれ適切な併用薬を検証していく」と結んだ。■関連記事ペムブロリズマブ、尿路上皮がんの優先審査対象に指定:MSDNSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017尿路上皮がんにペムブロリズマブを承認:FDAペムブロリズマブ、臓器横断的ながんの適応取得:FDA進行胃がん、ペムブロリズマブの治療効果は?KEYNOTE-059/ASCO2017早期乳がんにおける免疫療法の役割の可能性

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PD-L1高発現NSCLCの初回治療はペムブロリズマブ?KEYNOTE-024のPFS2データ/ASCO2017

 PD-L1高発現(TPS50%以上)SageIV非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ペムブロリズマブ単剤と化学療法を比較したKEYNOTE-024試験。初回解析で、無増悪生存期間(PFS)のハザードレシオ(HR)は0.50(p<0.001)、全生存期間(OS)のHRは0.60(p=0.005)と、ペムブロリズマブの優越性が示された。ASCO2017では、その後の追跡によるPFS2と、アップデートされたOSについて、米国The Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのJulie Brahmer氏が発表した。 PFS2の定義は、無作為化から2次治療のPD、または死亡、いずれかが最初に生じるまでの期間とした。なお、初回治療が化学療法の患者はPD後のペムブロリズマブへのクロスオーバーが許容された。追跡期間の中央値は19.1ヵ月であった(データカットオフ2017年1月5日)。 結果、1次治療の中断は、ペムブロリズマブ群では154例中107例、化学療法群では151例中120例であった。中断後に2次治療に移行した患者は、ペムブロリズマブ群で48例(31.2%)、化学療法群では97例(64.2%)と、ペムブロリズマブ群で少なかった。ペムブロリズマブ群の後治療の内訳をみると、プラチナダブレットが48例中42例と多くを占め、なかでもカルボプラチン+ペメトレキセド±ベバシズマブが最多であった。化学療法群の後治療は、ペムブロリズマブへのクロスオーバーが97例中79例、クロスオーバー外での抗PD-1療法が97例中12例(うちペムブロリズマブが3例)を占めた。 PFS2は、ペムブロリズマブ群で18.3ヵ月(12.7~NE)、化学療法群で8.4ヵ月(6.8~9.8)と、ペムブロリズマブ群で有意に長かった(HR:0.54、95%CI:0.40~0.72、p<0.001)。アップデートOSは、ペムブロリズマブ群では未達(19.4~NE)、化学療法群では14.5ヵ月(9.8~19.6)と、ペムブロリズマブ群で有意に改善した(HR:0.63、95%CI:0.46~0.88、p=0.003)。化学療法からの高いクロスオーバー率にもかかわらず、ペムブロリズマブ群が一貫した優越性を維持した。PD-L1高発現NSCLCにおける初回治療は、ペムブロリズマブから行うことで、化学療法に比べ生命予後の改善がみられた。■参考ASCO2017AbstractKEYNOTE-024試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効/NEJMペムブロリズマブ、非小細胞肺がん(PD-L1高発現)1次治療に承認:FDAペムブロリズマブ、肺がん1次治療でQOLを改善肺がん特集

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HER2陰性乳がん術前化学療法後のカペシタビン術後補助療法は生存率を改善する-CREATE-X(JBCRG-04)(解説:矢形 寛 氏)-698

 これは、サン・アントニオ乳がんシンポジウム2015で報告された日韓合同第III相臨床試験の結果が論文化されたものである(サン・アントニオ2015 レポート)。本学会時には、あまり大きな話題として取り上げられなかったように思われる。それは過去のカペシタビン追加の臨床試験でその有効性が示されてこなかったことと、アジア人のみの報告だったからであろうか。今回正式に論文化されたことで、より注目を浴びてくる可能性はある。 そもそも過去の報告とは根本的に異なる試験であり、適格基準が異なる、トリプルネガティブ乳がんの割合が30%と高い、タキサンなどとの同時併用ではなく逐次投与である、カペシタビンの標準投与量が使われ、6から8サイクルと十分量の投与が行われている、といったことが挙げられる。この結果は今までの標準治療を変えるものである。  問題点は2つ挙げられる。1つは、中間解析の結果から早期に試験が終了となったことである。そのため短期に再発し生存率に関わりやすいサブタイプにおける生存率への影響をみている可能性が高く、やや遅れて再発してくるものは十分に評価しきれていないだろう。 もう1つは、今後術前化学療法の適応を再考しなければならないということである。術前から化学療法の適応と考えられる場合には、できるだけ術前化学療法を行って効果を判定しないことには、その後のカペシタビン使用の是非を決定できないことになる。各施設で十分な議論が必要である。 有害事象も多く、かなりの率で減量や中止となっている例がみられる点からも、やみくもに使うというよりは、ある程度適応を考えたほうがよいだろう。サブ解析をみても明らかなように、全般的に治療効果は一定していることから、より予後不良な群に対して使う価値がある。1つの提案として、術前化学療法の効果が低い(かなりの腫瘍が残存している)、リンパ節転移が残存している、もともと増殖の速い高悪性度乳がん (再発も早いだろう)の非pCR(ごく少量のみの残存は除く)では積極的に行ったほうがよいのではないか。■「カペシタビン」関連記事カペシタビンによる術後補助化学療法でHER2陰性乳がんの予後を改善/NEJM

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進行ALK遺伝子陽性肺がんの治療について(解説:小林 英夫 氏)-693

 元来、anaplastic lymphomaや炎症性筋線維芽細胞性腫瘍で報告されていた受容体チロシンキナーゼであるALKは、肺がんの数%程度で遺伝子変異が認められ、とりわけ腺がんで検出されやすい。そして、ALK阻害薬は従来の化学療法に比べ、ALK遺伝子を有する肺がんに大きな治療効果をもたらしている。初めて上梓されたクリゾチニブ(ザーコリ)はマルチキナーゼ阻害薬でALK阻害活性も有する薬剤だが、一方、アレクチニブ(アレセンサ)はALKを標的として創薬された二番目のALK阻害薬である。日本肺癌学会編 肺癌診療ガイドライン2016では、ALK遺伝子転座陽性でPS(performance status)2までのIV期非小細胞肺がんに対する一次治療は、アレクチニブ(グレードA)またはクリゾチニブ(グレードB)が推奨されている。 本論文(ALEX試験)はNEJMに発表されたもので、切除不能ALK陽性肺がんに対して両薬剤のいずれが有効性、認容性、中枢神経病変制御に優れるかを比較した国際共同無作為化非盲検第III相試験の途中報告である。全生存期間の解析が終了していないため、あくまで中間報告的論文であることを意識しておきたい。また、分子標的治療薬のなかでもEGFR(epidermal growth factor receptor、上皮成長因子受容体)阻害薬の効果には人種差があるが、ALK阻害薬に明確な人種差はないようで欧米からの報告を本邦でも取り入れることが可能と思われる。 結果はある程度予想されたように、PFS(無増悪生存期間)中央値はアレクチニブ群未到達、クリゾチニブ群11.1ヵ月であり、アレクチニブ群でPFSの有意な延長が認められた。また、中枢神経病変の進行は、アレクチニブ群18例(12%)、クリゾチニブ群68例(45%)で確認され、アレクチニブ群で有意に低かった。さらに薬剤関連有害事象もアレクチニブ群で少なかった。加えて、日本でも同様の比較試験(J-ALEX試験)が実施されており、その中間報告が2017年5月10日にLancetにEpub掲載された。やはりアレクチニブ投与群で明確なPFS延長が示されたため、中間解析において早期有効中止に至っている。なお、J-ALEXのアレクチニブ投与はALEXの半量である。 現時点で、進行したALK遺伝子陽性肺がん治療のファーストラインがアレクチニブであることはほぼ確実と思われる。ただし、本論文も肺癌診療ガイドラインもALK阻害薬投与対象はPS 2までであり、PS不良例については確認できていない。また、本邦で三番目のALK阻害薬セリチニブ(ジカディア)はクリゾチニブ既投与症例でも効果が期待できることが特性とされ、今後、アレクチニブとの有効性比較が待たれるところである。

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NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療における、化学療法+ペムブロリズマブ群と化学療法群を比較した第II相試験KEYNOTE-021コホートGの更新結果が、米国MD Anderson Cancer CenterのVassiliki Papadimitrakopoulou氏らによりASCO2017で発表された。 同試験では、Stage IIIB~IVで化学療法未治療の非扁平上皮NSCLC(EGFR変異またはALK転座を伴わない)123例を、カルボプラチン+ペメトレキセド(CP)群とペムブロリズマブ追加(pembro+CP)群に、無作為に割り付けて比較している。初回解析では、主要評価項目の客観的奏効率(ORR)(55%対29%、p=0.0016)、主たる副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)(HR:0.53、p=0.0102)共に、pembro+CP群で有意に改善されている。全生存期間(OS)は、両群とも6ヵ月OSで92%と同等であった。 今回の発表は2016年12月31日時点でのもので、フォローアップ中央値は14.5ヵ月(0.8~24.0)である。ORRはpembro+CP群56.7%(43.2~69.4)、CP群30.2%(19.2~43.0)で、初回解析と同様にpembro+CP群で有意に高かった(p=0.0016)。 PFSはpembro+CP群は未達(9.7~NR)、CP群では8.9ヵ月(6.2~10.3)で、pembro+CP群で有意に長かった(HR:0.49、95%CI:0.2~0.83、p=0.0035)。OS については、CP群の75.0%がクロスオーバーしたという条件の下、12ヵ月推定値はpembro+CP群76.0%、CP群69.3%と、統計的有意ではないものの、pembro+CP群で高い傾向であった(HR:0.69、95%CI:0.36~1.31、p=0.13)。また、9ヵ月推定値のpembro+CP群84.6%、CP群82.3%と比較すると、OSの差は拡大傾向にあった。奏効期間は、pembro+CP群では中央値に達しておらず(1.4+〜18.6+)、CP群では16.2ヵ月(2.8〜20.7+)であった。■参考ASCO2017 AbstractKEYNOTE-021試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMOペムブロリズマブ、化学療法併用でPD-L1発現問わず肺がん1次治療に承認:FDA

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ニボルマブ、転移・再発NSCLCの1次治療で予後改善せず/NEJM

 未治療のStage IVおよび再発の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、抗PD-1抗体製剤ニボルマブは標準的な化学療法と比較して予後を改善しないことが、米国・オハイオ州立大学総合がんセンターのDavid P. Carbone氏らが行ったCheckMate 026試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年6月22日号に掲載された。ニボルマブは、既治療の転移のあるNSCLCの2つの第III相試験でドセタキセルよりも全生存(OS)期間が優れ、未治療のNSCLCの第I相試験では持続的奏効や良好な安全性プロファイルが報告されている。一方、PD-L1を超えるバイオマーカーの探索が進んでおり、腫瘍の遺伝子変異負荷(tumor-mutation burden:TMB)が高度な患者は、免疫療法からベネフィットを得る可能性が高いことが示唆されている。541例で有用性を直接比較する無作為化試験 本研究は、Stage IV・再発NSCLCの1次治療におけるニボルマブの安全性と有効性を評価する国際的な非盲検無作為化第III相試験である(Bristol-Myers Squibb社などの助成による)。 対象は、組織学的に扁平上皮がんまたは非扁平上皮がんが確認されたStage IV・再発NSCLCで、全身状態(ECOG PS)が0/1、登録前6ヵ月以内の生検で採取された検体のPD-L1発現が、中央判定で1%以上の患者であった。 被験者は、ニボルマブ3mg/kgを2週ごとに静脈内投与する群または担当医が選択したプラチナ製剤ベースの2剤併用化学療法を3週ごとに4~6サイクル施行する群に、1対1の割合でランダムに割り付けられた。化学療法群の患者は、病勢進行後、ニボルマブへのクロスオーバーが可能とされた。 主要評価項目はPD-L1の発現が≧5%の患者における無増悪生存(PFS)とし、評価は独立審査委員会によって盲検下の中央判定で行われた。また、探索的検討として、TMB別の有効性の解析も行った(全エクソームシーケンスで検出された腫瘍の体細胞ミスセンス変異数が0~99個の場合を低TMB、100~242個を中TMB、243個以上を高TMBと定義)。 2014年3月~2015年4月に1,325例が登録され、541例(41%)がランダム化の対象となった。ニボルマブ群に271例が、化学療法群には270例が割り付けられた。実際に治療を受けたのは530例(98%)だった。ベースラインの全体の年齢中央値は64歳(範囲:29~89歳)、女性が39%であった。Stage IVが92%、再発は8%だった。PFS期間中央値、ニボルマブ群4.2ヵ月、化学療法群5.9ヵ月  PD-L1≧5%の423例(ニボルマブ群:211例、化学療法群:212例)の解析では、PFS期間中央値はニボルマブ群が4.2ヵ月と、化学療法群の5.9ヵ月に比べむしろ短かった(ハザード比[HR]:1.15、95%信頼区間[CI]:0.91~1.45、p=0.25)。1年PFS率は、それぞれ24%、23%であった。 PD-L1≧5%の患者のOS期間中央値にも、有意な差は認めなかった(14.4 vs. 13.2ヵ月、HR:1.02、95%CI:0.80~1.30)。1年OS率は、それぞれ56%、54%だった。なお、化学療法群212例のうち128例(60%)が、後治療としてニボルマブの投与を受けていた。 PD-L1≧5%の患者の最良総合効果は、ニボルマブ群が26%(完全奏効[CR]:4例、部分奏効[PR]:51例)、化学療法群は33%(1例、70例)であった。奏効までの期間中央値は両群でほぼ同様であった(2.8 vs. 2.6ヵ月)のに対し、奏効期間中央値はニボルマブ群が2倍以上長かった(12.1 vs. 5.7ヵ月)。 TMB別の探索的解析では、高TMB例においてニボルマブ群が化学療法群に比べ奏効率(47 vs. 28%)、PFS期間中央値(9.7 vs. 5.8ヵ月)が良好であった。しかし、OS期間に差は認めなかった。 治療関連有害事象は、ニボルマブ群が71%、化学療法群は92%に発現した。このうちGrade 3/4は、それぞれ18%、51%であった。ニボルマブ群で最も頻度の高い有害事象は疲労(21%)であり、次いで下痢(14%)、食欲減退(12%)、悪心(12%)、皮疹(10%)の順であり、皮疹は免疫学的原因による可能性が示唆された。 著者は、「化学療法群は、患者の多くがニボルマブによる後治療を受け、ベースラインの背景因子のうちいくつかが良好な予後と関連した可能性が高い(わずかだが肝転移例が少なく、標的病変径和が小さく、女性が多い)が、ニボルマブ群は、ニボルマブ治療で予後が良好となる可能性が高い因子(PD-L1≧50%、高TMB)を持つ患者が少なかったことが、これらの結果に影響を及ぼした可能性がある」と考察している。

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進行期大腸がん、1次治療での最適な分子標的薬とは/JAMA

 未治療の進行期または転移のある大腸がんでKRAS野生型遺伝子を有する患者において、化学療法と組み合わせる分子標的治療として、セツキシマブ(商品名:アービタックス)とベバシズマブ(同:アバスチン)を比較検討する無作為化試験が、米国・カリフォルニア大学のAlan P. Venook氏らにより行われた。結果、全生存期間(OS)について有意な差は認められなかった。分子標的治療の上乗せは、進行期または転移のある大腸がんの患者に臨床的有益性をもたらすが、いずれの分子標的薬が未治療患者への至適な選択であるかは不明であった。JAMA誌2017年6月20日号掲載の報告。セツキシマブ上乗せ vs.ベバシズマブ上乗せの無作為化試験 研究グループは、KRAS野生型遺伝子を有する進行期または転移性大腸がんの初回治療として、mFOLFOX6レジメン(ロイコボリン+フルオロウラシル+オキサリプラチン)またはFOLFIRIレジメン(ロイコボリン+フルオロウラシル+イリノテカン)に、セツキシマブとベバシズマブのどちらを上乗せすることが優れるかを検討した。 2005年11月~2012年3月に、米国およびカナダのNational Clinical Trials Networkを通じて、地域および大学のセンターで18歳以上の患者1,137例を登録し、無作為にセツキシマブ上乗せ群(578例)またはベバシズマブ上乗せ群(559例)に割り付けた。担当医と患者の選択によるmFOLFOX6レジメンまたはFOLFIRIレジメンに、それぞれの試験薬を併用して投与し追跡した。 主要評価項目はOSであった。また、副次評価項目は、無増悪生存(PFS)、全奏効率、各部位の完全もしくは不完全奏効または部分奏効などであった。OSはセツキシマブ群30.0ヵ月、ベバシズマブ群29.0ヵ月で有意差なし 被験者1,137例は、年齢中央値59歳、女性が440例(39%)。このうち1,074例(94%)が適格基準を満たした。 最終追跡日の2015年12月15日時点で、生存患者(263例)の追跡期間中央値は47.4ヵ月(範囲:0~110.7ヵ月)であった。また、82%(938/1,137例)の患者で疾患進行が認められた。 OS中央値は、セツキシマブ群30.0ヵ月、ベバシズマブ群29.0ヵ月で、層別化ハザード比(HR)は0.88(95%信頼区間[CI]:0.77~1.01、p=0.08)であった。 PFS中央値はセツキシマブ群10.5ヵ月、ベバシズマブ群10.6ヵ月で、層別化HRは0.95(95%CI:0.84~1.08、p=0.45)であった。奏効率も有意差はみられず、セツキシマブ群59.6%、ベバシズマブ群55.2%であった(差:4.4%、95%CI:1.0~9.0、p=0.13)。

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レゴラフェニブ、肝細胞がん2次治療の適応承認:バイエル薬品

 バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:ハイケ・プリンツ)は2017年6月26日、抗悪性腫瘍剤レゴラフェニブ(商品名:スチバーガ)が、厚生労働省より「がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌」に対する効能・効果の承認を取得した旨を発表した。本邦において、切除不能な肝細胞がん(HCC)の全身療法として承認を得ている治療選択肢は、ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)しかなく、同剤による治療後に病勢進行した場合の2次治療薬は8年もの間、アンメット・メディカル・ニーズとなっていた。 レゴラフェニブのHCCに対する本承認は、ソラフェニブ治療後に病勢進行が認められた切除不能なHCC患者を対象とする国際共同多施設プラセボ対照第Ⅲ相臨床試験RESORCE試験から得られたデータを根拠資料としている。同試験における全生存期間(OS)は、レゴラフェニブ群の10.6ヵ月に対してプラセボ群は7.8ヵ月と、レゴラフェニブ群で統計的に有意に延長したことが示された(HR:0.63、95%CI:0.50~0.79、p<0.0001)。また、安全性と忍容性はレゴラフェニブの既知プロファイルとおおむね一貫しており、被験者において多く見られたGrade3/4の副作用は、高血圧(レゴラフェニブ群15%、プラセボ群5%)、手足症候群(同13%、同1%)、疲労(同9%、同5%)、下痢(同3%、同0%)であった。 バイエル薬品は、2016年10月にHCCに対するレゴラフェニブの製造販売承認事項一部変更承認申請を厚生労働省に行い、2017年1月に同省より優先審査に指定されていた。本邦におけるレゴラフェニブの効能・効果は、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍(GIST)」に続き、今回のHCCで3つ目のとなる。■参考バイエル薬品株式会社プレスリリース

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ADTにアビラテロンの併用で、ホルモン療法未治療の前立腺がんの生存延長/NEJM

 新たに診断されたホルモン療法未治療の転移のある前立腺がん患者において、アンドロゲン除去療法(androgen-deprivation therapy:ADT)に、アンドロゲン合成酵素(CYP17)の選択的阻害薬であるアビラテロン酢酸エステル(アビラテロン[商品名:ザイティガ])とprednisoneを併用することにより、全生存期間(OS)と画像評価による無増悪生存期間(rPFS)が有意に延長することが示された。フランス・パリ第11大学のKarim Fizazi氏らが、34ヵ国235施設で実施された第III相国際共同無作為化二重盲検比較試験「LATITUDE」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2017年6月4日号掲載の報告。前立腺がん患者をADT+アビラテロン+prednisone群とADT+プラセボ群に割り付け LATITUDE試験の対象は、無作為化前の3ヵ月以内に新たに診断された転移のある前立腺がん患者で、18歳以上、EOCG PS 0~2、ハイリスク(Gleasonスコア8以上、骨病変3つ以上、測定可能な内臓転移のこれら3つのリスク因子のうち2つ以上を有する)の患者1,199例。被験者は、アンドロゲン除去療法+アビラテロン(1,000mg/日[250mg×4錠]、1日1回)+prednisone(5mg/日、1日1回)投与群(アビラテロン群)と、アンドロゲン除去療法+プラセボ投与群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目はOSおよびrPFSの2つで、Cox比例ハザードモデルを用いて解析された。ADT+アビラテロン+prednisone群で前立腺がん患者の死亡リスク38%低下 予定された1回目の中間解析(406例が死亡した後)は、追跡期間中央値30.4ヵ月で行われた。 OS中央値はADT+アビラテロン+prednisone群未達、ADT+プラセボ群34.7ヵ月で、ADT+アビラテロン+prednisone群において有意な延長を認めた(死亡のハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.51~0.76、p<0.001)。rPFS中央値も、ADT+アビラテロン+prednisone群33.0ヵ月、ADT+プラセボ群14.8ヵ月で、ADT+アビラテロン+prednisone群で有意に延長した(病勢進行または死亡のHR:0.47、95%CI:0.39~0.55、p<0.001)。また、疼痛増悪までの期間、次治療開始までの期間、化学療法開始までの期間、前立腺特異抗原(PSA)増悪までの期間(いずれもp<0.001)、症候性骨関連事象までの期間(p=0.009)のすべての副次評価項目についても、ADT+アビラテロン+prednisone群の結果が有意に良好であった。これらの結果から、独立データおよび安全性モニタリング委員会は、試験を非盲検化し、プラセボ群の患者にアビラテロンをクロスオーバー投与することを全会一致で推奨した。 安全性については、Grade 3の高血圧および低カリウム血症の有害事象の発現が、ADT+アビラテロン+prednisone群で多かった。 今回のアンドロゲン除去療法へのアビラテロン併用結果について著者は、「ホルモン療法未治療の転移のある前立腺がんに対する初回全身療法において、アンドロゲン受容体シグナル伝達のより効果的な阻害が、予後の改善につながるという仮説を支持するものであった」と述べている。

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