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オシメルチニブのEGFR陽性非小細胞肺がんアジュバントによるDFS改善、最終解析でも維持(ADAURA)/JCO

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の第III相ADAURA試験。初回解析では、オシメルチニブとプラセボの臨床的に有意な無病生存率(DFS)の利点が実証された(DFSハザード比[HR]:0.20、99.12%信頼区間[CI]:0.14~0.30、p<0.001)。Journal Of Clinical Oncology誌オンライン版2023年1月31日号では、DFSの最終的な分析データが発表されている。・対象:EGFR変異陽性(ex19del/L858R)のStageIB/II/IIIAの完全切除された非扁平上皮NSCLC患者(術後化学療法は許容)・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間治療・対照群:プラセボ・評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価によるStageII/IIIA患者のDFS、推定HR=0.70[副次評価項目]全集団のDFS、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL[事前に指定された探索的研究]再発パターン、中枢神経系病変(CNS)の再発または死亡(CNS DFS) 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2022年4月11日)、StageII〜IIIA集団の追跡期間中央値は、オシメルチニブ群44.2ヵ月、プラセボ群19.6ヵ月であった。・主要評価項目であるStageII~IIIAのDFS HRは0.23(95%CI:0.18〜0.30)、4年DFS率はオシメルチニブ群70%、プラセボ群29%であった。・全集団のDFS HRは0.27(95%CI:0.21〜0.34)、4年DFS率はオシメルチニブ群73%、プラセボ群38%であった。・StageII~IIIAの頭蓋内DFSのHRは0.24(95%CI:0.14〜0.42)であった。・オシメルチニブの長期安全性プロファイルは、初回解析と一致していた。

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扁平上皮非小細胞肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法1次治療5年アップデート(KEYNOTE-407)/JCO

 転移を有する扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ+化学療法による1次治療の第III相試験KEYNOTE-407の5年追跡結果が発表された。持続的な有効性と安全性が報告されている。KEYNOTE-407の5年アップデートでOSはより改善対象:転移を有する未治療の扁平上皮NSCLC試験薬群:ペムブロリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル/nab-パクリタキセル(3週間ごと4サイクル)→ペムブロリズマブ35サイクルまで(n=278)対照薬群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル/nab-パクリタキセル(3週間ごと4サイクル)→プラセボ35サイクルまで(n=281)・評価項目[主要評価項目]:盲検独立中央審査(BICR)評価の全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]:BICR評価の客観的奏効率、奏効期間、安全性など KEYNOTE-407の5年アップデートの主な結果は以下のとおり。・無作為化からデータベースのカットオフまでの期間中央値は、56.9ヵ月であった。・OSは、プラセボ+化学療法群に比べ、ペムブロリズマブ+化学療法群でより改善された(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.59~0.85)。5年OS率はそれぞれ、18.4%と9.7%であった。・PFSは、プラセボ+化学療法群に比べ、ペムブロリズマブ+化学療法群でより改善された(HR:0.62、95%CI:0.52〜0.7)。5年PFS率はそれぞれ、10.8%と3.5%であった。・OSおよびPFSのHRは、PD-L1レベル(TPS)を問わず、ペムブロリズマブ+化学療法群で良好であった。・毒性は管理可能であった。・ペムブロリズマブ35サイクル投与を完了した55例の客観的奏効率は90.9%、35サイクル完了後の3年(無作為割付後からは約5年)OS率は69.5%であった。

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ソトラシブ、KRASG12C変異陽性NSCLCのPFSを延長/Lancet

 既治療のKRASG12C変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、KRASG12C阻害薬ソトラシブは標準治療であるドセタキセルと比較して、無増悪生存期間(PFS)を延長し、安全性プロファイルも優れることが、オランダがん研究所のAdrianus Johannes de Langen氏らが実施した「CodeBreaK 200試験」で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2023年2月7日号で報告された。22ヵ国148施設の実薬対照第III相試験 CodeBreaK 200試験は、日本を含む22ヵ国148施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2020年6月~2021年4月の期間に患者の登録が行われた(Amgenの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、KRASG12C変異を有する進行NSCLCで、プラチナ製剤を用いた化学療法か、PD-1またはPD-L1阻害薬による前治療後に病勢が進行した患者であった。 被験者は、ソトラシブ(960mg、1日1回、経口)またはドセタキセル(75mg/m2、3週ごと、静脈内)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目はPFSであり、盲検下の独立した中央判定によりintention-to-treat解析が行われた。 345例が登録され、ソトラシブ群に171例(年齢中央値64.0歳[範囲:32~88]、男性63.7%、脳転移の既往34%)、ドセタキセル群に174例(64.0歳[35~87]、54.6%、35%)が割り付けられた。それぞれ169例(99%)、151例(87%)が少なくとも1回の試験薬の投与を受けた。ドセタキセル群のうち、最終的に59例(34%)がKRASG12C阻害薬を投与された(ソトラシブ群へのクロスオーバーが46例、試験薬中止後の後治療としての投与が13例)。全奏効率、奏効期間、QOLも良好 全体の追跡期間中央値は17.7ヵ月(四分位範囲[IQR]:16.4~20.1)で、治療期間中央値はソトラシブ群が19.9週(範囲:0.4~101.3)、ドセタキセル群は12.0週(3.0~101.0)であった。 PFS中央値は、ドセタキセル群の4.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:3.0~5.7)に比べ、ソトラシブ群は5.6ヵ月(4.3~7.8)と、統計学的に有意に長かった(ハザード比[HR]:0.66、95%CI:0.51~0.86、p=0.0017)。1年PFS率はソトラシブ群が24.8%、ドセタキセル群は10.1%だった。 全奏効率は、ドセタキセル群13.2%に比し、ソトラシブ群28.1%であり、有意な差が認められた(群間差:14.8%、95%CI:6.4~23.1、p<0.001)。奏効までの期間はソトラシブ群で短く(1.4ヵ月vs.2.8ヵ月)、奏効期間はソトラシブ群で長かった(8.6ヵ月vs.6.8ヵ月)。全生存(OS)率は両群間に差がなく(HR:1.01、95%CI:0.77~1.33、p=0.53)、OS中央値はソトラシブ群が10.6ヵ月、ドセタキセル群は11.3ヵ月だった。 ソトラシブ群は忍容性も良好で、ドセタキセル群に比べGrade3以上の有害事象(56例[33%]vs.61例[40%])および重篤な治療関連有害事象(18例[11%]vs.34例[23%])の割合が低かった。 最も頻度の高いGrade3以上の治療関連有害事象は、ソトラシブ群が下痢(20例[12%])、ALT値上昇(13例[8%])、AST値上昇(9例[5%])であり、ドセタキセル群は好中球数減少(13例[9%])、倦怠感(9例[6%])、発熱性好中球数減少(8例[5%])であった。患者報告アウトカム(QOL[全般的健康、身体機能]、症状[呼吸困難、咳嗽、胸痛])は、全般にソトラシブ群で良好だった。 著者は、「これらの知見は、ソトラシブが、予後不良でアンメットニーズの高いこの患者集団における新たな治療選択肢となることを示すものである」としている。

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第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023

 2023年2月16日、日本臨床腫瘍学会はプレスセミナーを開催し、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが、第20回学術集会(2023年3月16~18日)の注目演題などを発表した。 今回のテーマは「Cancer, Science and Life」で、科学に基づいた知⾒ががん医療の進歩を支え、患者さんが満⾜できる⽣活、実りある⼈⽣を送る助けになることを目的とする。演題数は1,084であり、うち海外演題数は289と過去2番⽬の多さになる。プレジデンシャルセッション プレジデンシャルセッションでは発表者の他に、国内外の専門家がディスカッサントとして研究成果の意義を解説する。演題は学術企画委員会が厳正に審査を行い、全分野より合計19演題が選定された。<呼吸器>2023年3月16日(木)15:10〜17:101.既治療の進行・再発非小細胞肺癌に対するニボルマブ(NIV)対NIV+ドセタキセルのランダム化比較第II/III相試験:TORG1630 古屋 直樹氏(聖マリアンナ医科大学病院呼吸器内科)2.First Report of Cohort3 and Mature Survival Data From the U31402-A-U102 Study of HER3-DXd in EGFR-Mutated NSCLC  林 秀敏氏(近畿大学医学部腫瘍内科)3.完全切除されたII-IIIA期の非扁平上皮非小細胞肺癌に対するPEM/CDDPとVNR/CDDPを比較する第III相試験:JIPANG最終解析 山崎 宏司氏(国立病院機構九州医療センター呼吸器外科)4.Adjuvant osimertinib in resected EGFR-mutated stageII-IIIA NSCLC:ADAURA Japan subgroup analysis 釼持 広知氏(静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科)5.Sotorasib versus Docetaxel for Previously Treated Non-Small Cell Lung Cancer with KRAS G12C Mutation:CodeBreaK 200 Phase3 Study 岡本 勇氏(九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学)<その他がん>2023年3月17日(金)8:20〜10:201.MOMENTUM:Phase3 Study of Momelotinib vs Danazol in Symptomatic and Anemic Myelofibrosis Patients post-JAK Inhibition Jun Kawashima氏(Sierra Oncology, a GSK company, San Mateo, CA, USA)2.Brexucabtagene Autoleucel in Relapsed/Refractory Mantle Cell Lymphoma(R/R MCL) in ZUMA-2:Durable Responder Analysis  Javier Munoz氏(Banner MD Anderson Cancer Center, Gilbert, AZ, USA)3.Pembrolizumab+chemoradiation therapy for locally advanced head and neck squamous cell carcinoma(HNSCC):KEYNOTE-412 田原 信氏(国立がん研究センター東病院頭頸部内科)4.APOBEC signature and the immunotherapy response in pan-cancer Ya-Hsuan Chang氏(Institute of Statistical Science, Academia Sinica, Taipei, Taiwan)5.FGFR2融合/再構成遺伝子を有する肝内胆管がん患者に対するFutibatinibの第2相試験:FOENIX-CCA2試験の日本人サブグループ解析結果 森実 千種氏(国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科)<乳腺>2023年3月17日(金)16:25〜18:051.Overall survival results from the phase3 TROPiCS-02 study of sacituzumab govitecan vs chemotherapy in HR+/HER2-mBC Hope Rugo氏(Department of Medicine, University of California-San Francisco, Helen Diller Family Comprehensive Cancer Center, San Francisco, CA, USA)2.HER2低発現の手術不能又は再発乳癌患者を対象にT-DXdと医師選択治療を比較したDESTINY-Breast04試験のアジアサブグループ解析 鶴谷 純司氏(昭和大学先端がん治療研究所)3.T-DM1による治療歴のあるHER2陽性切除不能及び/又は転移性乳癌患者を対象にT-DXdと医師選択治療を比較する第III相試験(DESTINY-Breast02) 高野 利実氏(がん研究会有明病院乳腺内科)4.Phase1/2 Study of HER3-DXd in HER3-Expressing Metastatic Breast Cancer:Subgroup Analysis by HER2 Expression 岩田 広治氏(愛知県がんセンター乳腺科部)<消化器>2023年3月18日(土)9:45〜11:451.切除不能局所進行食道扁平上皮癌に対する化学放射線療法後のアテゾリズマブの有効性・安全性をみる第II相試験:EPOC1802 陳 勁松氏(がん研究会有明病院消化器化学療法科)2.PD-1 blockade as curative intent therapy in mismatch repair deficient locally advanced rectal cancer Andrea Cercek氏(Memorial Sloan Kettering Cancer Center, USA)3.RAS野生型切除不能進行再発大腸癌に対するm-FOLFOXIRI+cetuximab vs. bevacizumabの生存解析:DEEPER試験(JACCRO CC-13) 辻 晃仁氏(⾹川⼤学医学部臨床腫瘍学講座)4.PARADIGM試験における早期腫瘍縮小割合および最大腫瘍縮小割合に関する検討 室 圭氏(愛知県がんセンター薬物療法部)5.Efficacy and safety of fruquintinib in Japanese patients with refractory metastatic colorectal cancer from FRESCO-2  小谷 大輔氏(国立がん研究センター東病院消化管内科) また、プレスセミナーでは、他の注目演題として下記が紹介された。がん免疫療法ガイドライン 下井 ⾠徳氏(国⽴がん研究センター中央病院)によるがん免疫に関するレクチャーの後、3月発刊予定の「がん免疫療法ガイドライン第3版」のアウトラインが紹介された。昨今注目されているがん免疫療法において、医療者へ適切な情報を提供するためのがん種横断的な治療ガイドラインの改訂版である。学術大会では委員会企画として、第3版改訂のポイント、新しいがん免疫療法、がんワクチン療法と免疫細胞療法のエビデンスが解説される。委員会企画4(ガイドライン委員会2)第1部:がん免疫療法ガイドライン改訂第3版の概要3⽉16⽇(⽊)15:50〜17:20(第1部 15:50〜16:35)がんゲノム医療 田村 研治氏(島根大学医学部附属病院)によって、がん治療におけるゲノム医療の流れや課題などが紹介された。学術大会では、マルチコンパニオン検査とCGP検査の使い分けについて解説した上で、近未来の「がんゲノム医療」はどうあるべきかを専門医が討論する。解決すべき問題の例として「コンパニオン診断薬として承認されている遺伝子異常と、ゲノムプロファイリング検査としての遺伝子異常を同じ遺伝子パネルで検査すべきか?区別すべきか?」などが挙げられた。シンポジウム8遺伝子異常特異的かつ臓器横断的な薬剤の適正使用、遺伝子パネルの在り方とは?3月16日(木)8:30〜10:00患者支援の最前線 佐々木 治一郎氏(北里大学医学部附属新世紀医療開発センター)によって、わが国におけるがん患者支援の現状が紹介された。より総合的ながん患者支援が求められる中、支援活動の質の担保や最低限のルールの確立などのための教育研修が必要となっている。学術大会では、国、学会、NPOの演者ががん患者支援者への教育研修について発表・議論される。会長企画シンポジウム4患者支援者の教育研修:我が国における現状と課題3月16日(木)14:00〜15:30デジタル化が進めるがん医療 佐竹 晃太氏(日本赤十字医療センター)によって、治療用アプリとヘルスケアアプリとの違い、実臨床における活用方法、国内における開発状況などが紹介された。治療用アプリの活用により、重篤な有害事象の減少、QOLの改善、生存期間の改善などが期待されている。学術大会では、新しい治療アプローチの昨今の動向や、臨床導入する上での潜在的課題について議論される。シンポジウム4将来展望:予防・治療を目的としたモバイルアプリの開発3月16日(木)15:50~17:20

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免疫チェックポイント阻害薬の開始後6日目に出現した全身倦怠感【見落とさない!がんの心毒性】第18回

※本症例は、実臨床のエピソードに基づく架空のモデル症例です。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。2014年9月のニボルマブの販売開始から8年半が経過した2023年2月現在、本邦では6種類の免疫チェックポイント阻害薬(ICIs:immune checkpoint inhibitors)が承認されています。これまで、再発、遠隔転移、難治性、切除不能のがん症例に対しては、悪性黒色腫を皮切りに、肺、消化管、乳腺、腎・尿路、子宮、リンパ腫、頭頚部、原発不明のがんに承認されてきました。近年は根治性を高め、再発・転移を予防する目的で、悪性黒色腫、腎細胞がん、非小細胞肺がん、トリプルネガティブ乳がんにおいて適応が拡大しています。ICIsは今やがん薬物療法における標準治療薬の地位を確立しつつあります。一方で、思いがけない副作用で大変な思いをする患者さんもいます。今回、その一例をご紹介しましょう。《今回の症例》70代・男性。進行期食道がんに対し、ペムブロリズマブ、シスプラチンおよび5-FUによる化学療法開始後6日目に嘔気と全身倦怠感を訴えた。既往歴特記すべきことなし。現症血圧80/56mmHg、脈拍110/分・整、体温35.5℃、SpO2 96%(室内気)、冷汗をかいている。心音でIII音を聴取する。呼吸音に異常はない。腹部は平坦・軟で、圧痛はない。下腿浮腫は認めない。検査所見[血液検査]白血球 1万1,500/μL、赤血球466万/μL、ヘモグロビン15.3g/dL、血小板36.1万/μL[血液生化学]総蛋白6.1g/dL、アルブミン2.7g/dL、AST 21U/L、ALT 17U/L、LDH 139U/L、総ビリルビン0.6 mg/dL、CPK 314U/L(正常値59~248U/L)、Na 131mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 97mEq/L、クレアチニン 0.95mg/dL、尿素窒素21mg/dL、CRP 2.16mg/dL、SCC 6.6ng/mL(正常値2.0ng/mL未満)、心筋トロポニンI 178pg/mL(正常値26.2pg/mL未満)、NT-proBNP 1,560pg/mL(心不全除外のカットオフ値125pg/mL未満)、血糖値180mg/dL、TSH 2.5μU/mL、FT4 1.3ng/dL、コルチゾール 23.6μg/dL(正常値6.2~18.0μg/dL)治療開始前と心不全発症時の12誘導心電図と、発症時の経胸壁心エコー図(左室長軸像)を以下に示す。治療開始前と心不全発症時の12誘導心電図画像を拡大する発症時の経胸壁エコー図(左室長軸像)画像を拡大する※所見(1)~(3)は解説をご覧ください【問題】本症例は免疫関連有害事象(irAE:immune-related Adverse Events)による急性心不全と診断された。本症例のirAEついて正しいものを選べ。a.患者数は増加傾向にある。b.ICIs投与後1ヵ月以内の発症はまれである。c.本症例の心電図には予後不良の所見を認める。d.本症例の心エコー図所見は当irAEのほとんどの症例で認められる。e.診断したら速やかにステロイドパルス療法を開始する。今日、がん薬物療法においてICIsは多くのがん種で標準治療薬としての地位を確立しています。適応は進行がんのみならず術後補助化学療法にも拡大してきており、近い将来、がん患者の40%以上が免疫療法の対象となる可能性が指摘されています10)。早期発見、ICIs中止、かつステロイドパルス療法が救命のポイントですが、一部の医師だけによる場当たり的な対応には限界があります。“がん治療に携わる医師が心筋炎を疑い、循環器医が遅滞なく診断をし、速やかに患者をICUに収容し、厳重な循環監視(または補助)下でステロイドパルス療法を開始する”という、複数の診療科間と病院間の連携体制を事前に確立しておく必要があります11)。腫瘍循環器領域を担う医師は、ICIs関連心筋炎患者の救命のための連携体制を構築すべく、リーダーシップを発揮することが期待されています。心筋炎の検査体制が整備されるにつれ、きちんと診断される患者が増え、適切な治療により本疾患による死亡率が低下することを期待しましょう。1)Mahmood SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71:1755-1764.2)Furukawa A, et al. J Cardiol. 2023;81:63-67.3)Salem JE, et al. Lancet Oncol. 2018;19:1579-1589.4)Hasegawa S, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2020;29:1279-1294.5)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022:43:4229-4361. 6)Power JR, et al. Circulation. 2021;144:1521-1523. 7)Awadalla M, et al. J Am Coll Cardiol. 2020;75:467-478. 8)Zhang L, et al. Circulation. 2020;141:2031-2034.9)Axelrod ML, et al. Nature. 2022;611:818-826.10)Haslam A, et al. JAMA Netw Open. 2019;2:e192535.11)大倉裕二ほか. 新潟県医師会報2023年2月号. 診療科の垣根を越えてノベル心筋炎に備える.講師紹介

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BRCA変異陽性転移乳がんへのオラパリブ、1次治療で高い効果(OlympiAD)

 生殖細胞系列BRCA変異陽性(gBRCAm)HER2陰性転移乳がんにおいて、オラパリブは医師選択の化学療法(TPC)に対し主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間(OS)中央値はオラパリブ群19.3ヵ月vs.TPC群17.1ヵ月(p=0.513)と報告されている。今回、従来の報告より25.7ヵ月長いOSの延長フォローアップ解析結果を、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのMark E. Robson氏らがEuropean Journal of Cancer誌オンライン版2023年2月14日号に報告した。 OlympiAD試験では、gBRCAmかつHER2陰性で、アントラサイクリン系およびタキサン系薬剤の治療歴を有し、転移疾患に対する化学療法歴≦2ラインの患者を、オラパリブ群またはTPC群(医師の選択によりカペシタビン、エリブリンまたはビノレルビンのいずれかを使用)に2:1の割合で無作為に割り付けて比較検討している。延長フォローアップ期間中、OSは層別log-rank検定(全体集団)およびCox比例ハザードモデル(事前に指定されたサブグループ)を用いて6ヵ月ごとに分析された。 今回報告された主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値はオラパリブ群18.9ヵ月vs.TPC群15.5ヵ月だった。・全体集団(302例)におけるOS中央値はオラパリブ群19.3ヵ月vs.TPC群17.1ヵ月だった(ハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.67~1.18)。・3年生存率は、オラパリブ群27.9% vs.TPC群21.2%だった。・3年以上試験治療を受けた患者はオラパリブ群で8.8%だったのに対し、TPC群では0%だった。・転移疾患に対する1次治療(1L)の患者において、OS中央値はオラパリブ群でTPC群よりも長く(22.6ヵ月vs.14.7ヵ月、HR:0.55、95%CI:0.33~0.95)、3年生存率はオラパリブ群40.8% vs.TPC群12.8%となった。オラパリブに関連する新たな重篤な有害事象は認められていない。 著者らは、今回の追加解析でのOS結果はOlympiAD試験の過去の解析結果と一致していたとし、とくに1Lにおけるオラパリブによる長期生存ベネフィットの可能性を支持するものだとまとめている。

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疼痛に有効な抗うつ薬は?/BMJ

 オーストラリア・シドニー大学のGiovanni E. Ferreira氏らは、成人の疼痛において抗うつ薬とプラセボを比較した試験に関する26件の系統的レビューのデータの統合解析を行った。抗うつ薬の有効性を示す確実性が「高」のエビデンスは得られなかったが、4種の疼痛において、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)の有効性を示す確実性が「中」のエビデンスが確認された。研究の成果は、BMJ誌2023年2月1日号に掲載された。系統的レビューのデータを統合して要約 研究グループは、病態別の疼痛に対する抗うつ薬の有効性、安全性、忍容性に関して、包括的な概要を提示する目的で、系統的レビューのデータを統合して要約した(特定の研究助成は受けていない)。 医学関連データベース(PubMed、Embase、PsycINFO、Cochrane Central Register of Controlled Trials)に、その創設から2022年6月20日までに登録された文献を検索した。対象は、成人の疼痛について、抗うつ薬とプラセボを比較した系統的レビューとされた。 主要アウトカムは疼痛であった。疼痛の連続アウトカムは、0(痛みなし)~100(最悪の痛み)の尺度に変換され、平均差(95%信頼区間[CI])が示された。また、2値アウトカムはリスク比(95%CI)が提示された。副次アウトカムは、安全性と忍容性(有害事象による投与中止)であった。 得られた結果は、「有効」「有効でない」「結論に至らない」に分類された。エビデンスの確実性は、GRADE(grading of recommendations assessment, development, and evaluation)で評価した。痛みへの抗うつ薬処方では、より微妙なアプローチが必要 2012~22年に発表された26件の系統的レビュー(156試験、参加者2万5,000例以上)が解析の対象となった。これらのレビューには、22種の疼痛について、8クラスの抗うつ薬とプラセボの42の比較が含まれた。疼痛に対する抗うつ薬の有効性に関して、確実性が「高」のエビデンスを示すレビューは認められなかった。 9件のレビューで、11の比較において、9種の疼痛に対していくつかの抗うつ薬がプラセボと比較して「有効」とのエビデンスが示された。その多くはSNRIの有効性を示すもので、6件のレビューで7種の疼痛に有効であった。 このうち確実性が「中」のエビデンスが得られたのは、いずれもSNRIの有効性が示された次の4つの疼痛であった。背部痛(平均差:-5.3、95%CI:-7.3~-3.3)、術後疼痛(多くが整形外科手術)(-7.3、-12.9~-1.7)、神経障害性疼痛(-6.8、-8.7~-4.8)、線維筋痛症(リスク比:1.4、95%CI:1.3~1.6)。 これ以外の31の比較のうち、5の比較で抗うつ薬は「有効でない」、26の比較では「結論に至らない」であった。 安全性および忍容性のデータのほとんどは不明確だった。SNRIは、化学療法による疼痛、背部痛、坐骨神経痛、変形性関節症の患者において、あらゆる有害事象のリスクを増加させたが、術後疼痛や緊張型頭痛では、そのようなことはなかった。 また、背部痛、坐骨神経痛、変形性関節症、機能性ディスペプシア、神経障害性疼痛、線維筋痛症のレビューでは、SNRIはプラセボより忍容性が低かった。 著者は、「これらの知見は、痛みに対して抗うつ薬を処方する際には、より微妙なアプローチが必要であることを示唆する」としている。

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がんと共に生きる人々を支えるために、医師ができること/武田

 がん治療の進歩は目覚ましく、新たな治療法が続々と登場している。しかし、がん患者の精神・心理的苦痛に対する支援はどうだろうか。がん患者が抱える課題と、それに対する取り組みについての理解を深めることを目的に、武田薬品工業は「がんになっても“誰一人取り残されない社会”を作るために」をテーマとして、2023年1月27日にメディアセミナーを開催した。 セミナーの前半では、大西 秀樹氏(埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 診療部長・教授)が「がん患者さん・ご家族の心理社会的支援の必要性」をテーマに、心理支援の重要性を語った。後半では、坂本 はと恵氏(国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター 副サポーティブケアセンター長)が「がん相談支援センターの役割と現状」をテーマに、がん相談支援センターの具体的な業務内容を紹介し、医療者・患者への周知の重要性を述べた。セミナーの座長は、悪性リンパ腫の罹患経験を有する天野 慎介氏(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事長)が務めた。がん患者の約半数は精神科診断がつく 病気には固有のイメージがある。がんであれば「死」だという。大西氏は「がんの診断は患者の大きなストレスとなり、約5割に精神科診断がつく。このことを確実に知っておいていただきたい。それは、精神科疾患のうち、うつ病は薬物治療により改善することが多く、適応障害であれば、医療者が関わることで改善することが多いからである」と話した。精神症状は、治療にも影響を及ぼす。乳がん患者では、抑うつがない患者の92.2%が術後化学療法を受けたのに対し、抑うつがあるとその割合は51.3%にとどまったと報告されている1)。また、自殺も懸念される。本邦の調査では、がんと診断後1年以内の自殺のリスクが23.9倍と報告されているのである2)。 それでは、がん患者のうつ病はどのように見つけたらよいのだろうか。大西氏は「たとえば、がん患者が倦怠感や食欲不振を訴えたとき、副作用やがんの進行を疑うだろう。しかし、もう少し質問してみると、『眠れない』『気分が滅入る』『意欲が低下する』と訴えることがあり、うつ病が判明する場合もある」と具体例を示した。加えて、「うつ病が判明した患者にうつ病治療を行うと、副作用やがんの進行が原因と考えていた倦怠感や食欲不振などの身体症状も改善することがある」と述べた。 がん患者の家族のケアも忘れてはいけない。がん患者の家族にも抑うつが多くみられ、身体面(不眠、せん妄、心疾患など)や社会面(失業、貯蓄減少など)にも影響が出るという。したがって「腫瘍精神科やがん相談支援センターは、がん患者の家族も利用できることを周知してほしい」と述べた。がん相談支援センターの積極的な活用を がん相談支援センターは、全国453施設に設置され、がんの疑いから旅立ちまで、具体的には「治療場所の選択」「治療選択の迷い」「住居、食べ物、日常生活や移動手段などのニーズ」「子供の世話」「雇用や学校の問題」「医療費負担」「残される家族の生活の再設計」など、さまざまな相談に応じている。坂本氏は「がん相談支援センターは、一人ひとりの『希望』に橋をかけることのお手伝いをしたいという思いで支援を行っている」と話した。 しかし、がん相談支援センターの認知には課題があるという。平成30年度の患者体験調査3)では、がん相談支援センター自体の認知率は66.4%にのぼったものの、「がん相談支援センターを知っている」と回答した人のうち、「利用したことがある」と回答した割合は14.4%にとどまった。また、利用しなかった人のうち、15.9%が「何を相談する場所かわからなかった」「プライバシーの観点から利用しにくかった」という理由で利用しなかったという。したがって、「がん相談支援センターはどのような機能を持っている場所なのか、医療者に理解いただき、患者へ伝えていただくことが重要である」と強調した。 坂本氏は、“ひとりもとりこぼすことなく”の実現のためには、「がん患者がどのような困難に直面しているのかを聞いたうえで、日々の臨床に生かすことが重要」とまとめ、「オンラインも活用しながら、多施設連携、社会協働で“知らなかったが故の不利益”を減らしたい」と語った。

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ペムブロリズマブ+化学療法による胆道がん1次治療、生存期間を延長(KEYNOTE-966)/Merck

 2023年1月25日、Merck社は、第III相KEYNOTE-966試験の最終解析結果を公表。ペムブロリズマブと標準化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)の併用は、進行または切除不能な胆道がんの1次治療において全生存期間(OS)を統計学的に有意に改善した。また、同試験におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは、これまでの試験の結果と一貫していた。 この結果については、今後さまざまな腫瘍関連学会で発表するとともに、各国の規制当局へ承認申請する予定。 KEYNOTE-966試験は、進行または切除不能な胆道がんの1次治療としてペムブロリズマブ+ゲムシタビン・シスプラチン併用を、プラセボ+ゲムシタビン・シスプラチン併用と比較する無作為化二重盲検第III相試験である。主要評価項目はOSで、副次評価項目は無増悪生存期間、客観的奏効率、奏効期間、安全性などであった。 胆道がんは肝臓がんの15%を占め、毎年21万1,000例が世界で新たに胆道がんと診断され、17万4,000例が死亡すると推定されている。胆道がんの予後は非常に不良で、5年生存率は5〜15%と報告されている。

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toripalimabのNSCLC周術期治療が主要評価項目を達成/Junshi Biosciences

 Junshi Biosciences社は、2023年1月18日、抗PD-1抗体toripalimabによる非小細胞肺がん(NSCLC)の周術期治療が、第III相試験Neotorchの中間解析で主要評価項目を達成したと発表した。 Neotorch試験は、肺がんの術前・術後補助療法において、プラチナダブレット化学療法単独と、toripalimab+プラチナダブレット化学療法の有効性と安全性を比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相研究。 中間解析の結果、NSCLCへのtoripalimab+化学療法の手術前後の補助療法とtoripalimab単剤の地固め療法の組み合わせは、化学療法単独と比較して無病生存期間(EFS)を有意に延長する可能性を示した。toripalimabの安全性データは既知のリスクと一致しており、新たな安全性シグナルは確認されていない。 世界保健機関の発表によると、2020年、中国における肺がんの新たな発症は 81万6,000例で、がん全体の17.9%を占める。また、肺がんによる死亡者は71万5,000例で、全がん死亡者の23.8%を占めた。

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がん診断後の急速な身体機能低下はいつまで続く?

 高齢がん患者の身体機能の推移をがん診断の前後10年にわたって調査したところ、がん患者の身体機能はがん診断後に加速度的に低下し、5年後であっても非がん患者のコントロール群と比べて低いままであることが、Elizabeth M. Cespedes Feliciano氏らによって明らかになった。JAMA Oncology誌オンライン版2023年1月19日号掲載の報告。 これまで、非がん患者と比較して、がん患者のがん部位や進行度、治療が身体機能へ与える長期的な影響を調べた研究はなかった。そこで研究グループは、がん診断の前後10年間の身体機能を調査するために前向きコホート研究を実施した。 研究には、一般閉経後女性を対象とした臨床試験である「The Women's Health Initiative」から9,203例のがん患者(乳がん5,989例、大腸がん1,352例、子宮体がん960例、肺がん902例)と年齢でマッチさせた非がん患者(コントロール群)4万5,358例が組み込まれた。参加者は1993~98年に登録され、2020年12月まで追跡された。がん診断時と1年後のRAND-36項目健康調査(0~100、点数が高いほど身体機能が良好)による身体機能を線形混合モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・がん患者群のがん診断時の平均年齢は73.0歳(±7.6歳)であった。・臨床進行度が限局のがん患者の身体機能の低下は、がん診断前はコントロール群と同程度であったが、がん診断後はコントロール群と比較して加速度的に低下し、RAND-36項目健康調査のスコアは年1~2ポイント低下した。・がん診断の翌年の身体機能の低下は、臨床進行度が領域浸潤のがん患者で最も顕著であった(限局の乳がん患者−2.8ポイント/年[95%信頼区間[CI]:−3.4~−2.3]vs.領域浸潤の乳がん患者−5.3ポイント/年[同:−6.4~−4.3])。・また、全身療法を受けている患者でも身体機能の低下が顕著であった(何らかの化学療法を受けている限局の子宮体がん患者−7.9ポイント[95%CI:−12.2~−3.6]vs.放射線療法単独の限局の子宮内膜がん患者−3.1ポイント[同:−6.0~−0.3])。・がん患者の身体機能の低下は診断後の追跡後期に緩徐になったが、5年後であってもコントロール群の身体機能を大幅に下回っていた。 これらの結果から、研究グループは「本前向きコホート研究において、がん患者群ではがん診断後に加速度的に身体機能が低下し、数年後であってもコントロール群よりも低かった。がん患者には身体機能を維持するための支持的介入が有用である可能性がある」とまとめた。

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tTMBがPD-L1陽性NSCLCに対するペムブロリズマブ単剤の治療効果を予測(KEYNOTE-042)/Ann Oncol

 ペムブロリズマブ単剤は、PD-L1陽性(TPS≧1%)の進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、1次治療に用いられている。中国・香港中文大学のT. S. K. Mok氏らは、ペムブロリズマブ単剤の化学療法に対する治療効果を予測するバイオマーカーの探索を行った。その結果、腫瘍組織の遺伝子変異量(tTMB)が1エクソームあたり175個以上(tTMB≧175mut/exome)の集団において、ペムブロリズマブ単剤は化学療法と比べて、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を改善したが、tTMB<175mut/exomeではいずれも改善しなかった。Annals of Oncology誌オンライン版2023年1月25日掲載の報告。 EGFR遺伝子変異陰性、ALK融合遺伝子陰性かつPD-L1陽性(TPS≧1%)の進行・再発のNSCLC患者を対象に、1次治療としてペムブロリズマブ単剤または化学療法による治療を行ったKEYNOTE-042試験の後ろ向き解析。ペムブロリズマブ単剤による治療効果の予測における、tTMB、STK11、KEAP1、KRAS遺伝子変異の有用性を検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者793例中、tTMB≧175mut/exomeが43.5%(345例)、tTMB<175mut/exomeが56.5%(448例)であった。・PD-L1の発現状況とtTMBには関連が認められなかった。・tTMBの値は、ペムブロリズマブ単剤群でOS、PFSの改善と関連していた(片側検定のp<0.001、Wald検定)。一方、化学療法群では、関連が認められなかった。・tTMB≧175mut/exomeの集団では、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSとPFSが改善した(OSのハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.48~0.80、PFSのHR:0.75、95%CI:0.59~0.95)。・一方、tTMB<175mut/exomeの集団では、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSとPFSが改善しなかった(OSのHR:1.09、95%CI:0.88~1.36、PFSのHR:1.27、95%CI:1.04~1.55)。・STK11、KEAP1、KRAS変異の有無にかかわらず、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSを改善した。

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肺がんゲノム医療の実態を探る:REVEAL(WJOG15421L)試験【肺がんインタビュー】 第92回

肺がんは個別化医療が進んでいるが、実臨床ではまだ十分に普及しておらず、活用拡大の余地がありそうだ。西日本がん研究機構(WJOG)では、実臨床での遺伝子検査活用状況を調査するREVEAL(WJOG15421L)試験を行っている。2022年の日本肺癌学会で同試験の初回解析結果を報告した鳥取大学の阪本智宏氏と、ESMO-Asiaで追加解析を報告した北九州市立医療センターの松原太一氏、研究代表者である近畿大学の高濱隆幸氏に、試験実施の結果と臨床現場での評価を聞いた。左から、松原氏、高濱氏、阪本氏現場のゲノム検査はドライバー遺伝子の解明に追い付いているか肺がんでは、次々にドライバー遺伝子が解明され、ターゲット治療薬も続々と開発されている。最近では、初期診断から複数の遺伝子を測定できる、マルチプレックス検査(以下、マルチ検査)が可能となっている。一方、ドライバー遺伝子の解明に、遺伝子検査の普及が追い付いていないのではないか、疑問が浮上している。このような中、遺伝子検査と標的治療についての実地臨床での状況と課題を明らかにするためにREVEAL試験が開始された。「本来届けられるべき治療が患者に届けられていないのではないか、その原因は何かを明らかにしたい」と阪本氏は述べる。高濱氏は「今までも状態の良い症例を対象にした試験はあったが、REVEAL試験ではPS不良な患者も含め、リアルワールドでどこまで検査をしているのか明らかにできた」と振り返る。マルチプレックス検査は予想以上に少ないが、日本の肺がん治療を反映している可能性もREVEAL試験では、WJOG登録の29施設で進行非小細胞肺がんと診断された1,500例を登録し(登録期間:2020年1月1日〜2021年6月30日)、後ろ向きに解析している。遺伝子検査は、解析対象となった1,479例中86%の1,273例に行われた。内訳をみると、マルチ検査は47.7%(705例)に、シングルプレックス検査(以下、シングル検査)は57.3%(848例)に、シングル・マルチ併用は18.9%(280例)で実施されていた。マルチ検査の実施状況について阪本氏は「マルチ検査は、検査成功率や検体の量・質の確保といった問題があるが、この実施率は少ないと感じる」と述べる。松原氏も「この試験は、マルチ検査の保険償還から1年経過したときのもの。その時点でマルチ検査の割合が半分以下だとは予想しなかった」と言う。この試験はWJOG登録施設であり、遺伝子検査への意識は高いといえる。全国的な普及率はもっと下がる可能性もありそうだ。画像を拡大するマルチ検査が避けられる「PS不良」「合併症あり」「扁平上皮がん」多変量解析による、マルチ検査の非実施因子は、「PS不良」「合併症あり」「扁平上皮がん」の3つであった。PS不良例については、「確かに診断時すでに治療が適用できないほどPSが悪化しているケースはある。ただ、ターゲット治療薬であれば、PS不良例でも改善できるケースもある。検体を採取している症例なので、PS不良例だからといって一元的に調べなくてよい理由にはならないだろう」と阪本氏は言う。また、合併症については、ILDなどがベースにあるとターゲット治療薬が使えない場合もあるものの、「合併症があるときは調べても意味がない」という医師の意識が反映されている可能性もある、と指摘する。組織を採ってもゲノム検査に出さないケースもドライバー変異ごとの検査実施率を見ると、EGFRは84.2%、ALKは78.8%、ROS1は72.8%、BRAFは54.3%、METexon14スキッピング(以下、MET)は54.4%であった。この結果について高濱氏は「組織まで採って診断したのに、EGFRやALKでさえ出していないのは問題」と指摘する。阪本氏は「EGFRとALK以外は“レア”、まずはEGFRとALKだけ調べておけばよい、と考える医師が一部にはいる。しかし、医師にとっては“レア”だが、陽性患者にとっては100%」だと言う。BRAF、METについてはほかの3遺伝子と比べて、検査実施率が大きく下がる。また、この2つの変異は大部分マルチプレックスで検査されている点が、ほかの3遺伝子とは異なる。この点について阪本氏は「BRAFもMETもシングル検査はどちらもNGS。NGS用の検体量を採るのであれば、マルチ検査をしてしまう可能性もある」と推測する。画像を拡大する潜在患者がいるか? METexon14スキッピング前述のとおり、METはマルチ検査が多く、かつ検査実施率が低い。一方、組織型別の陽性率を見ると、ほかの4遺伝子と異なり、非腺がんでも腺がんと同等あるいはそれ以上に高い傾向にある(腺がん陽性率1.7%、非腺がん陽性率2.1%)。また、METはほとんどマルチ検査で行われているが、前出のとおり、扁平上皮がんではマルチ検査が行われない傾向にある。「マルチ検査が普及すると、METの陽性率は今以上に増えるかもしれない」と阪本氏は述べる。画像を拡大するドライバー変異が陽性でも治療薬が届いていない?松原氏はESMO-Asiaで同試験の追加解析を発表した。結果を見ると、陽性が判明していても、すべての症例にターゲット治療が提供されているわけではない。1次治療でターゲット治療薬を使用したのは、EGFR 94.6%、ALK 71.1%、ROS1 66.7%、BRAF 75.0%、MET 60.0%だった。ターゲット治療以外の治療法を見ると、ALKとROS1では、それ以外の標的治療(下図のOther therapyに相当)が、BRAFとMETではIO単剤およびIO+化学療法が目立つ。松原氏が、このOther therapyの内訳を調査したところ、2つの要因が明らかになった。1つは、IHCではALK陽性だがFISHでは陰性といったケース。こういった場合、臨床的にはALK陽性ととられない。もう1つは、ALK陽性かつEGFRも陽性といったケース。こういうケースでは、EGFRが最優先で評価され、EGFR-TKIが投与される。このようなケースでは「EGFR-TKIが有効であったか評価が必要」と松原氏は述べる。一方、BRAFとMETにおけるターゲット治療以外の手段はほとんどがIOである。バイオマーカー陽性が出たら対応するターゲット治療が最優先だが、この2つのドライバーでは、比較的高いICIの有効性を反映しているのではないか、と松原氏。今後は、ターゲット治療が入ったケースと入らなかったケースの治療効果を調べ、最適な治療シークエンスの発信につなげていきたいという。画像を拡大するプロファイリング検査も不足している肺がん肺がん領域はゲノム検査、分子標的薬のトップランナーといわれているが、実際は婦人科がんや消化器がんのほうが、網羅的遺伝子解析の実績は多くなっている、と高濱氏は指摘する。同氏はまた「肺がんでは、初期治療から遺伝子検査を行えるが、逆にこの限られた遺伝子の世界だけで治療している。つまり、初回検査の結果だけでPDになり、そのまま亡くなってしまう。“本当の遺伝子解析”を受けていない患者を増やしてしまっているのではないか」と警鐘を鳴らす。リキッドバイオプシー検査も精度が上がっているので、組織検体が採れなくても、積極的にプロファイリング検査を活用し、少しでも治療を届けられるよう検討することが重要であろう。高濱氏は最後に、「NGS検査は生涯1回しかできない。初回から網羅的遺伝子解析をすれば、貴重な検体を有効に活用できる」と訴えた。遺伝子検査の可能性を引き出し、より多くの肺がん患者を最適な治療に結び付ける肺がんでは、ドライバー遺伝子が次々に発見され、それに対応した標的治療薬も開発されている。近年では、初期診断からマルチ遺伝子検査が適用できるようになったものの、REVEAL試験の結果からは、実臨床ではまだ十分に普及しておらず、活用拡大の余地がありそうだ。このような研究から、遺伝子検査のさらなる可能性を引き出し、治療に結び付くことを期待したい。(ケアネット 細田 雅之)参考1)UMIN-CTR 臨床試験登録情報(UMIN000046079)

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HR+/HER2+進行乳がん1次治療、ペルツズマブ+トラスツズマブ+AIの長期解析結果(PERTAIN)

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陽性(HER2+)の転移を有する/局所進行閉経後乳がん患者における1次治療として、トラスツズマブとアロマターゼ阻害薬(AI)に化学療法を併用/併用せずペルツズマブを追加することにより、無増悪生存期間(PFS)が大幅に改善されたことが第II相PERTAIN試験の主要解析(追跡期間中央値31ヵ月)で示されている。今回、同試験の最終解析結果(追跡期間中央値6年超)を、イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のGrazia Arpino氏らがClinical Cancer Research誌オンライン版2023年1月30日号に報告した。 PERTAIN試験では、258例が下記2群に1対1の割合で無作為に割り付けられた(導入化学療法は治験責任医師の判断で実施)。ペルツズマブ群:ペルツズマブ840mg(維持期:420mg)+トラスツズマブ8mg/kg(維持期:6mg/kg)3週間間隔で投与+AI(アナストロゾール1mgまたはレトロゾール2.5mg/日)対照群:トラスツズマブ+AI 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、主な副次評価項目は全生存期間(OS)、安全性。 今回報告された主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値はペルツズマブ群73.2ヵ月vs.対照群71.1ヵ月。・PFS中央値は、20.6ヵ月vs.15.8ヵ月(層別ハザード比[HR]:0.67、p=0.006)。・OS中央値は、60.2ヵ月vs.57.2ヵ月(層別HR:1.05、p=0.78)。・導入化学療法を行わなかった患者において、ペルツズマブによる治療効果が高い傾向がみられた(PFS中央値:26.6ヵ月vs.12.5カ月)。・全Gradeの有害事象は各群122例で発生し(96.1% vs.98.4%)、Grade3以上の有害事象は72例(56.7%)vs.51例(41.1%)、重篤な有害事象は46例(36.2%)vs.28例(22.6%)で発生した。 著者らは、最終解析においてもペルツズマブ併用によるPFSベネフィットは維持され、OSは両群間で同等であったとし、化学療法の適応がない患者においてペルツズマブ併用により活性が高まる可能性があると結論付けている。安全性に関する新たな懸念は報告されていない。

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タモキシフェンが乳がん診断後の体重増加に関連していた

 乳がん診断後には体重が増加することが多い。体重増加の予測因子を同定するため、オーストラリア・Western Sydney UniversityのCarolyn Ee氏らは、オーストラリア人女性における乳がん診断後の体重増加に関連する因子を調査した。その結果、タモキシフェン投与、身体活動の減少、テレビ視聴時やコンピューター使用時の食事の自己効力感の低下が、臨床的に有意な体重増加に関連することがわかった。Breast誌オンライン版2023年1月25日号に掲載。タモキシフェン投与患者には体重増加抑制のための介入が必要 本研究では、2017年11月~2018年1月にオーストラリア在住の乳がんまたは非浸潤性乳管がん(DCIS)と診断された女性を対象に横断的オンライン調査した。絶対的な体重増加および臨床的に有意な(5%以上)体重増加の予測因子を、それぞれステップワイズ線形回帰モデルおよびロジスティック回帰モデルを用いて評価した。 乳がん診断後の体重増加に関連する因子を調査した主な結果は以下のとおり。・276例のデータを分析した。ほとんどが白人で、92%がStage0~IIIだった。・絶対的体重増加は、ホットフラッシュ、診断時に更年期への移行期であること、診断時よりも身体活動が少ないこと、テレビ視聴時やコンピューター使用時の食事の自己効力感(self-efficacy)が低いこと、不安や緊張時の自己効力感が高いことと関連していた(F比=3.26、調整R2=0.16、p<0.001)。・臨床的に有意な体重増加は、タモキシフェン投与(オッズ比[OR]:2.7)、診断時よりも身体活動が少ないこと(OR:3.1)、テレビ視聴時やコンピューター使用時の食事の自己効力感が低いこと(OR:0.82)と関連していた(χ2=64.94、自由度:16、p<0.001)。・体重増加は、化学療法、放射線療法、アロマターゼ阻害薬の使用、切除リンパ節数、診断時のBMIとは関連していなかった。 これらの結果から、著者らは「タモキシフェン投与患者には、乳がん診断後の体重増加抑制のための介入、とくに身体活動の維持を目的とした介入が必要である。乳がん診断後の体重管理における食事の自己効力感、とくに食物に注意を向けた食べ方(attentive eating)の役割について調べる必要がある」と考察している。

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胆道がん、S-1による術後化学療法でOS延長/Lancet

 胆道がんの術後補助療法において、経口フッ化ピリミジン系薬剤S-1(テガフール・ギメラシル・オテラシル カリウム)は、経過観察と比較して、全生存期間(OS)を延長し忍容性も良好であることが、栃木県立がんセンターの仲地 耕平氏ら日本臨床腫瘍研究グループの肝胆膵腫瘍グループ(JCOG-HBPOG)が実施した「ASCOT試験(JCOG1202試験)」で示された。研究の成果は、Lancet誌2023年1月21日号で報告された。日本の38施設の非盲検無作為化第III相試験 ASCOT試験は、日本の38施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2013年9月~2018年6月の期間に患者の登録が行われた(国立がん研究センターと厚生労働省の助成を受けた)。 対象は、年齢20~80歳、切除標本で組織学的に肝外胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がん、あるいは肝内胆管がんと確定され、局所残存腫瘍切除または顕微鏡的残存腫瘍切除が行われていない患者であった。 被験者は、術後に経過観察を行う群またはS-1を投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。S-1は、体表面積により40、50または60mgを、1日2回、4週間経口投与後に2週休薬する6週を1サイクルとし、最大4サイクルが投与された。 主要評価項目はOSとされ、無作為割り付けされた全患者を対象とするintention-to-treat解析が行われた。アジア人の標準治療となる可能性 440例が登録され、経過観察群に222例(年齢中央値70歳[四分位範囲[IQR]:40~80]、女性32%)、S-1群に218例(68歳[33~80]、26%)が割り付けられた。データカットオフ日は2021年6月23日で、追跡期間中央値は45.4ヵ月だった。試験期間中に経過観察群の100例(45%)と、S-1群の79例(36%)が死亡した。 OSは、経過観察群よりもS-1群のほうが長かった(死亡のハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.51~0.94、層別log-rank検定の片側p=0.0080)。3年OS率は、経過観察群が67.6%(95%CI:61.0~73.3)、S-1群は77.1%(70.9~82.1)であった。また、OS中央値は、経過観察群が6.1年(95%CI:4.2~評価不能[NE])、S-1は評価不能(5.2~NE)だった。 経過観察群の115例(52%)、S-1群の96例(44%)で再発がみられた(再発または死亡のHR:0.80、95%CI:0.61~1.04、log-rank検定の両側p=0.088)。3年無再発生存率は、経過観察群が50.9%(95%CI:44.1~57.2)、S-1群は62.4%(55.6~68.4)であり、無再発生存期間中央値はそれぞれ3.5年(95%CI:2.0~NE)、5.3年(4.1~6.1)だった。 S-1群(207例)で頻度の高い(≧30%)全Gradeの有害事象として、白血球数減少、好中球数減少、貧血、血小板数減少、低アルブミン血症、アルカリホスファターゼ上昇、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇、アラニン・アミノトランスフェラーゼ上昇などが認められた。また、S-1群で頻度の高いGrade3/4の有害事象は、好中球数減少(29例[14%])と胆道感染症(15例[7%])であった。 著者は、「確定的な結論を得るには、長期間の臨床的有用性が求められるが、S-1はアジア人の胆道がん切除例における標準治療と考えられる」としている。

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サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)レポート

レポーター紹介2022年12月6日から10日まで5日間にわたり、SABCS 2022がハイブリッド形式で実施された。海外の学会はかなりコロナ以前に戻っている感じで、日本からも多数の医療従事者が参加したようである。私は今回もオンライン参加であったが、日常臨床にインパクトを与える、あるいは今後の治療開発において重要な試験がいくつも発表された。多くの演題の中から、とくに臨床に影響を与えそうな演題ならびに日本からの参加のある演題を中心に5演題を紹介する。DESTINY-Breast03試験DB-03試験の結果はすでにみなさまご存じのとおりであるが、今回は全生存期間(OS)のアップデートが発表され、同時にLancetに論文が掲載された。DB-03試験は、HER2陽性乳がん2次治療におけるトラスツズマブ・デルクステカン(T-DXd)とトラスツズマブ・エムタンシン(T-DM1)を直接比較した第III相試験である。524例のHER2陽性転移乳がん患者がリクルートされ、T-DXd群とT-DM1群に1:1に割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、中央値は28.8 vs.6.8ヵ月 (ハザード比[HR]:0.33、95%信頼区間[CI]:0.26~0.43)とT-DXd群で圧倒的に良好であった。副次評価項目のOSはいずれの群も未到達であったが、HR:0.64(95%CI:0.47~0.87、p=0.0037)であり、統計学的有意にT-DXd群で良好であった(前回の解析時点では有意差が示されなかった)。サブグループ解析でもすべてのサブグループでT-DXd群で良好な傾向を示し、T-DXdがHER2陽性乳がん2次治療の標準治療として確立した。本試験はアジアを中心に患者のリクルートが行われた(約60%)。T-DM1、T-DXdが承認されていない国も参加しているため、T-DXd後のT-DM1は35%、T-DM1後のT-DXdは17%しか投与されておらず、クロスオーバー率は高くない。毒性においては一般にT-DXdで頻度が高く、とくに薬剤性肺障害(ILD)はその後の治療に影響することが懸念される。本発表でILDの発生はT-DXdで15%、T-DM1で3%であり、Grade4/5のILD発症は認めなかった。しかしながら、ILDの頻度は日本から治験に参加した人では2倍の頻度であることが報告されていることから、とくに私達が日常臨床で使用する場合はILDを早期発見し、ILDによって後治療に影響が出ないように、細心の注意が必要である。CAPItello-291試験capivasertibはAKT阻害薬である。CAPItello-291試験はホルモン受容体陽性HER2陰性転移乳がん(術後ホルモン療法終了後12ヵ月以内/術後ホルモン療法中再発を含む)の2次あるいは3次治療として、フルベストラント単剤に対するcapivasertibの上乗せ効果を見た第III相試験である。708例の患者がリクルートされ、capivasertib群とプラセボ群に1:1に割り付けられた。主要評価項目として、全体集団におけるPFS、AKT経路(PIK3CA、AKT1、PTENのいずれか1つ以上)に変化のある集団におけるPFSとされた。内分泌耐性として1次抵抗性が40%前後、2次抵抗性が60%であった。閉経後の患者が70~80%を占めた。転移乳がんに対する内分泌療法を受けた患者が85~90%、CDK4/6阻害薬は70%の患者で治療歴があった。AKT経路の変化はPIK3CAが30%、AKT1が5%、PTENは6%であった。全体として40%の患者が何らかのAKT経路変化を有していた。全体集団のPFSは7.2 vs.3.6ヵ月(HR:0.60、95%CI:0.51~0.71、p<0.001)とcapivasertib群で有意に良好であり、AKT経路変異を有する群では7.3 vs.3.1ヵ月(同:0.50、95%CI:0.38~0.65、p<0.001)とより差が顕著になる傾向にあった。探索的項目であるAKT経路に変化のない集団におけるPFSは7.2 vs.3.7ヵ月(同:0.70、95%CI:0.56~0.88)であり、ややハザード比は大きくなるもののAKT経路変化の有無にかかわらずcapivasertibの上乗せ効果があることが示された。サブグループ解析ではすべてのサブグループでcapivasertibの効果が期待され、肝転移有無やCDK4/6阻害薬治療歴有無にかかわらなかった。OSについては全体集団、AKT経路変化集団のいずれもcapivasertib群で良好な傾向を認めたが、統計学的有意差はなかった。有害事象としては下痢が72.4%と高頻度であり、Grade3も9.3%に認めた。下痢や皮疹のコントロールが重要である。capivasertibは現在トリプルネガティブ乳がんを対象に化学療法への上乗せが検証されており(CAPItello-290試験)、その結果が期待される。SERENA-2試験経口選択的エストロゲン受容体分解薬(oral SERD)は各社がしのぎを削っている開発領域である。最近ではamcenestrantが転移乳がんに対する試験でネガティブとなったことからすべての開発が中止となったことが記憶に新しい。camizestrantはoral SERDの1つであり、注射剤のフルベストラントに対する優越性が期待できるかを検討した第II相試験がSERENA-2試験である。SERENA-2試験では閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんでフルベストラント単剤療法が治療選択肢となる患者240例が、camizestrant 75mg、camizestrant 150mg、フルベストラント群に1:1:1に割り付けられた(当初camizestrant 300mg群が存在したが、20例がリクルートされた段階で中止となっている)。主要評価項目はPFSであった。患者背景は年齢中央値が60歳、白人が90%以上、肝転移が60%、ESR1変異のある患者が30~50% であった。転移乳がんに対する化学療法歴は10~25%であり、50%がCDK4/6阻害薬による治療を受けていた。主要評価項目のPFSは、camizestrant 75mg群で7.2ヵ月(フルベストラントに対するHR:0.58、95%CI :0.41~0.81、p=0.0124)、camizestrant 150mg群で7.7ヵ月(同:0.67、95%CI:0.48~0.91、p=0.01619)、フルベストラント群で3.7ヵ月と、camizestrant群で用量にかかわらず統計学的有意に良好であった。CDK4/6阻害薬治療歴がある集団においても同様の傾向であった。臓器転移別の探索的解析では、肺転移または肝転移を有する群ではcamizestrantが用量にかかわらず良好であったが、肺/肝転移のない群ではフルベストラントとの差を認めなかった。ESR1変異の有無でみた探索的解析ではベースラインESR1変異のある群でcamizestrantが容量にかかわらず良好であり、ない群ではフルベストラントとの差を認めなかった。有害事象はcamizestrant 150mgで最も多く、Grade3以上を21.9%で認めた。camizestrant 75mg、フルベストラントではそれぞれ12.2%、13.7%と大きな差は認めなかった。camizestrantに特徴的な有害事象として視力障害や徐脈に注意が必要であるが、これらはいずれもGrade3は認めていない。camizestrantは1次治療としてパルボシクリブ併用下でアロマターゼ阻害薬(AI)に対する優越性を評価するSERENA-4試験、AI+CDK4/6阻害薬治療中にESR1変異をモニタリングし、ESR1変異が検出された患者を対象にAI継続かcamizestrantにスイッチするかを評価するSERENA-6試験が行われており、SERENA-2試験の結果はこれらの第III相試験の期待が高まるものであった。POSITIVE試験ここからは少しユニークな試験を2つ紹介したい。1つ目が、ホルモン受容体陽性乳がん術後ホルモン療法中に、ホルモン療法を休薬して妊娠、出産を試みることが安全であるかどうかについて、無乳がん生存期間(BCFI)を主要評価項目として検討したPOSITIVE試験である。本試験では18~30ヵ月の術後ホルモン療法を受けた42歳以下の患者を対象として、3ヵ月のウォッシュアウト期間後に最大2年間ホルモン療法を休薬して妊娠、出産、授乳を試みた後、ホルモン療法を再開するという試験である。日本では国立国際医療研究センター病院の清水 千佳子先生を国内研究責任者としてJBCRGで試験が実施された。518例の患者が登録され、516例が解析に進んだ。年齢分布は35歳未満が34%、35~39歳が43%と最多、40~42歳が23%であった。出産歴のない患者が75%であり、病期はI期が47%、II期が47%であった。ホルモン療法としては選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)単剤が42%、SERM+卵巣機能抑制(OFS)が36%、AI+OFSが16%であった。62%の患者が周術期化学療法歴を有した。36ヵ月時点のBCFIイベントは8.9%であり、遠隔転移イベントは4.5%であった。これらのイベントをSOFT/TEXT試験のものと比較したところいずれも差を認めず、妊娠のためにホルモン療法を休薬することの安全性が示された。サブグループ解析でも、点推定値ではリンパ節転移の個数が多い、腫瘍径の大きい症例ではややリスクの高い傾向を認めたが、統計学的に有意に明確にリスクが高いと言える集団は指摘できなかった。妊娠歴の有無でもBCFIに有意差を認めなかった。全患者のうち74%が少なくとも1回以上妊娠し、全体の64%、1回以上妊娠したうちの86%が出産した。8%が低出生体重児で、2%に先天異常を認めた。これらは乳がん治療の影響との明らかな因果関係はないと考えられた。POSITIVE試験は妊娠出産年齢の罹患が多い乳がん患者にとって、非常に重要な試験である。長期フォローアップの結果を今後も注視していく必要はあるが、ホルモン療法を休薬して妊娠出産を試みることの安全性が示されたことは、妊娠を望む乳がん患者にとって重要な選択肢が増えたことになる。RESQ試験最後にCSPORで行われたRESQ試験を紹介する。RESQ試験はHER2陰性乳がんの1次/2次化学療法として、S-1に対するエリブリンの非劣性について健康関連QOL(HRQOL)を主要評価項目として評価した第III相試験である。302例がエリブリン群とS-1群に1:1に割り付けられた。HRQOLはEORTC QLQ-C30の全般的健康(GHS)を用いて評価された。ベースラインと比較して10ポイント以上のGHS変化をイベントとし、治療開始1年以内に最初にイベントが起きた割合の非劣性についてカプランマイヤー法を用いて評価した。ハザード比における非劣性マージンは10%と設定された。患者背景は、年齢中央値が60歳、ホルモン受容体陽性が80%、肝転移を47%に認めた。DFIは2年以上が50%、手術を受けていない患者が24~27%であった。GHSイベントフリー生存期間中央値はエリブリン群で5.64ヵ月、S-1群で5.28ヵ月(HR:1.07、95%CI:0.79~1.45、p=0.667)と95%信頼区間は非劣性マージンを超えており、非劣性は示されなかった。副次評価項目ではPFSでは両群間には有意差を認めず、OSでは有意差を認めた。これまでの乳がんや肉腫のエリブリンの試験と同様であり、PFSでは有意差を認めなくともOSでは有意差を認めるというエリブリンの特徴が再現された。本試験はQOLをエンドポイントとして行われた非常にユニークな試験である。日本からのエビデンスとしてポスターディスカッションに取り上げられた。残念ながら主要評価項目は達成されなかったが、薬剤の有効性としては過去の報告と同様の傾向が認められた。QOLをエンドポイントとした試験で良好な成績が得られた場合、有効性に乖離が見られた場合は解釈が困難になる場合が想定される(QOLはAという薬剤で良好であったが、有効性はBが有効であった場合など)。QOLをエンドポイントとした試験のデザインや解釈については今後も議論を深める必要があるだろう。

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FDA、ペムブロリズマブの非小細胞肺がん術後補助療法を承認

 米国食品医薬品局(FDA) は、2023年1月26日、ペムブロリズマブをStageIB(T2a≧4cm)〜IIIAの切除後非小細胞肺がん(NSCLC)に対する化学療法後の補助療法として承認した。 今回の承認は、多施設無作為化三重盲検プラセボ対照試験であるKEYNOTE-091に基づくもの。試験の主要評価項目は、治験担当医師の評価による無病生存率(DFS)であった。 試験の結果、ペムブロリズマブ群は全集団におけるDFSを統計学的有意に改善し、主要評価項目を達成している。 KEYNOTE-091では術後化学療法の投与は任意。無作為に割り付けた1,177例中1,010例(86%)が完全切除後にプラチナベースの補助化学療法を受けている。探索的解析では、補助化学療法を受けた患者のDFS中央値は、ペムブロリズマブ群58.7ヵ月、プラセボ群34.9ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.60〜0.89)。また、化学療法を受けなかった患者では、プラセボ群に対するペムブロリズマブ群のDFSのHRは1.25(95%CI:0.76~2.05)であった。

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futibatinib、既治療のFGFR2融合/再構成陽性肝内胆管がんに有望/NEJM

 既治療のFGFR2融合または再構成陽性の肝内胆管がん患者の治療において、次世代共有結合型FGFR1~4阻害薬であるfutibatinibは、測定可能な臨床的有用性をもたらし、奏効や生存が過去の化学療法のデータより優れ、QOLも良好であることが、米国・スタンフォード大学医学大学院のLipika Goyal氏らが実施した「FOENIX-CCA2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年1月19日号に掲載された。13ヵ国の多施設共同非盲検単群第II相試験 FOENIX-CCA2は、日本を含む13ヵ国47施設が参加した非盲検単群第II相試験であり、2018年4月~2019年11月の期間に患者登録が行われた(Taiho OncologyとTaiho Pharmaceuticalの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、切除不能または転移性のFGFR融合陽性またはFGFR再構成陽性の肝内胆管がんを有し、1ライン以上の全身療法(FGFR阻害薬を除く)を受けた後に病勢が進行し、全身状態が良好な患者(Eastern Cooperative Oncology Group[ECOG] performance-status[PS]スコア0~1)であった。 被験者は、21日を1サイクルとする継続投与レジメンで、futibatinib 20mg(4mg錠剤×5錠)を1日1回経口投与された。 主要評価項目は、独立の中央判定による客観的奏効(完全奏効、部分奏効)であった。奏効率42%、無増悪生存期間(PFS)9.0ヵ月、全生存期間(OS)21.7ヵ月 日本人14例を含む103例(年齢中央値58歳[範囲:22~79]、女性56%)が登録された。前治療として53%が2つ以上の全身療法を受けていた。追跡期間中央値は17.1ヵ月(範囲:10.1~29.6)、治療期間中央値は9.1ヵ月であった。画像上または臨床的な病勢進行で72例(70%)が投与中止となったが、有害事象による投与中止は5%と少なかった。 奏効は、43例(42%、95%信頼区間[CI]:32~52)で達成され、完全奏効が1例含まれた。病勢コントロールは85例(83%)で得られた。奏効期間中央値は9.7ヵ月(95%CI:7.6~17.0)で、奏効例43例のうち31例(72%)は6ヵ月以上、6例(14%)は12ヵ月以上奏効が持続した。奏効は、年齢65歳以上、前治療ライン数3以上、TP53変異が共存する患者を含むサブグループのすべてで認められた。 無増悪生存期間中央値は9.0ヵ月であり、6ヵ月無増悪生存率は66%、12ヵ月無増悪生存率は40%であった。また、全生存期間中央値は21.7ヵ月で、12ヵ月全生存率は72%だった。 最も頻度の高い全Gradeの治療関連有害事象は、高リン血症(85%)、脱毛(33%)、口腔乾燥(30%)、下痢(28%)、皮膚乾燥(27%)、倦怠感(25%)であった。また、最も頻度の高いGrade3の治療関連有害事象は、高リン血症(30%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇(7%)、口内炎(6%)、倦怠感(6%)だった。 futibatinibの恒久的な投与中止の原因となった治療関連有害事象は2例(2%)で認められた(Grade2の口内炎+Grade3の口腔異常感+Grade2の咽頭炎が1例、Grade3の食道炎が1例)。治療関連死はみられなかった。QOLについては、9ヵ月の治療期間を通じてEORTC QLQ-C30スコアが安定していた。 著者は、「これらのデータは、futibatinibが本症における測定可能な臨床的有用性を有することを確証し、FGFR2阻害に反応する可能性のある腫瘍の同定における分子プロファイリングの価値を示すものである」と指摘している。

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mobocertinib、EGFR exon20挿入NSCLCに中国で承認/武田

 武田薬品工業は、2023年1月13日、プラチナベース化学療法で進行したEGFR exon20挿入変異陽性(exon20 ins)の進行非小細胞肺がん(NSCLC)治療に対するmobocertinibの適応を、中国国家食品薬品監督管理局(NMPA)が承認したと発表。 mobocertinibは、exon20挿入変異を標的として設計された経口TKIで、NMPAのブレークスルーセラピーとして審査された。 この承認は、プラチナ化学療法既治療のEGFR exon20 ins NSCLCを対象にしたmobocertinibの第I/II相試験の結果に基づいたもの。同試験では、確定奏効率28%、奏効期間中央値15.8ヵ月、全生存期間中央値20.2ヵ月、無増悪生存期間中央値7.3ヵ月を示した。一般的な治療関連有害事象は、下痢(92%)、発疹(46%)、爪周囲炎(38%)、食欲減退(37%)であった。 肺がんは中国で最も多く診断されるがんである。また、exon20 insはEGFR変異NSCLCの10%とされている。

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