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ASCO2024 レポート 血液腫瘍

レポーター紹介はじめにASCO2024の年次総会(5月31日~6月4日)は、今年も現地参加に加えWEBでの参加(視聴)も可能であり、私は昨年までと同様に現地参加はパスして(円安と米国のインフレ問題があり、現地参加は費用的に無理があります)、オンデマンドで注目演題を聴講したり発表スライドを閲覧したりしました。それらの演題の中から、今年は14演題を選んで、発表内容をレポートしたいと思います。以下に、悪性リンパ腫関連4演題、多発性骨髄腫関連6演題、白血病/骨髄増殖性腫瘍(MPN)関連4演題を紹介します。悪性リンパ腫関連Upfront allo-HSCT after intensive chemotherapy for untreated aggressive ATL: JCOG0907, a single-arm, phase 3 trial. (Abstract #7001)本演題は日本のJCOGからの発表で、ATLに対するアップフロントの同種移植の前向き試験の成績をまとめたものである。研究開始当初は、55歳以下で骨髄破壊的前処置(MAST)を行う患者のみをエントリー基準としたが、2014年9月以降は56~65歳の患者に対し骨髄非破壊的前処置(RIST)も許容された。2010年9月~2020年6月に110例の患者(72例:急性型、27例:リンパ腫型、10例:予後不良慢性型、1例:その他)がエントリーされ、92例が移植を受けた。41例がプロトコルどおりの治療を受け、51例はプロトコル治療外での移植であった(アップフロント同種移植は76例となった)。主要評価項目の3年OS(110例)は44.0%(90%CI:36.0~51.6)であり、仮説にメットした。プロトコル治療を受けた41例のうち、治療関連死(TRD)は血縁ドナー16.7%、非血縁ドナー20.7%であった。また、死亡した70例の死亡原因は、ATL 34例、TRD 30例、その他6例であった。結論として、ATLに対するアップフロント同種移植はアグレッシブATLに対し1つの治療オプションとなりうるが、生存期間の延長に関しては不明とされた。以下の3題はマントル細胞リンパ腫(MCL)に関する演題です。MCLは、悪性リンパ腫の中では比較的まれな疾患で、中悪性度に分類されますが、インドレントな経過を示す症例もあります。また、従来の免疫化学療法だけでは治癒が難しく、最近では、分子標的薬のBTK阻害薬やBCL-2阻害薬の有用性が示されています。Benefit of rituximab maintenance after first-line bendamustine-rituximab in mantle cell lymphoma. (Abstract #7006)初発MCLに対し、BR(ベンダムスチン-リツキシマブ)療法の後のR維持療法(RM)の意義については、PFS・OSを延長しない(Rummel, et al. ASCO 2016)、PFS・OSを延長する(Martin, et al. JCO 2023)という異なるデータが示されてきた。本研究では、米国で大規模な観察研究が実施され、RMの意義が検証された。BR療法(自家移植なし)後3ヵ月時点でPRあるいはCRの患者がエントリーされ、RM実施の有無で、無イベント(再発、次治療開始、死亡)率(EFS)が比較された。さらに、次治療開始例の無イベント率(EFS2)も比較された。613例がエントリーされ、318例がRMを受け、295例がRMを受けなかった。RM群では年齢が若く(69歳vs.71歳)、男性の割合が高く(78% vs.69%)、進展期の割合が高かった(95.2% vs.89.0%)が、リスク因子(MIPI)、組織型、Ki-67、TP53変異、複雑型染色体異常、BR療法の実施年代、BR療法の効果には差を認めなかった。追跡期間中央値が61.3ヵ月の時点で、RM群で有意にEFS(47.1ヵ月vs.29.7ヵ月)、EFS2(89.1ヵ月vs.48.3ヵ月)、OS(136.1ヵ月vs.74.3ヵ月)の延長を認めた。BR療法によりCRが得られた患者においても、RMにより有意にEFS、EFS2、OSの延長が示された。以上より、初発MCLに対するBR療法後のRMの有用性が明らかとなった。Efficacy and safety of ibrutinib plus venetoclax in patients with mantle cell lymphoma (MCL) and TP53 mutations in the SYMPATICO study. (Abstract #7007)SYMPATICO試験はMCL患者に対するイブルチニブ+ベネトクラクス(I-V)の効果を検証した試験であり、再発・難治(R/R)MCLに対しイブルチニブ+プラセボと比較した第III相試験では、有意にI-VのPFSがI単剤よりも延長することが報告されている(Wang M, et al. ASH 2023)。本発表では、R/R MCLに対するI-V療法の第I相試験、上記の第III相試験、また、初発MCLに対する第II相試験にエントリーされたTP53変異を有するMCL患者に対するI-V療法の効果が報告された。合計74例の患者(初発:29例、R/R:45例)が解析対象となり、年齢中央値67歳、HighリスクMIPI 43%、bulky 36%、骨髄浸潤64%、脾腫39%であった。治療期間中央値が40.1ヵ月時点で、PFS中央値20.9ヵ月、全奏効率84%、CR率57%、OS中央値47.1ヵ月であった。PFSは初発とR/Rにて差を認めなかった。I-V併用療法は、TP53変異陽性のHighリスクMCL患者にも有用であることが示された。Glofitamab monotherapy in patients with heavily pretreated relapsed/refractory (R/R) mantle cell lymphoma (MCL): Updated analysis from a phase I/II study. (Abstract #7008)CD20XCD3の二重特異性抗体であるglofitamab(Glof)単剤でのR/R MCLに対する臨床試験のフォローアップ(中央値:19.6ヵ月)のデータが報告された。Glofは固定期間(約8.5ヵ月間)の治療である。Glof治療を受けた60例のR/R MCL患者が解析された。前治療のライン数は2(1~5)、73.3%が最終治療に抵抗性、前治療にBTK阻害薬の投与を受けた31例中29例がBTK阻害薬に抵抗性であった。Glofは、中央値12サイクル投与され、全奏効率85.0%、CR率78.3%であり、CRが得られた患者の治療奏効期間(DOCR)の中央値は15.4ヵ月であった。とくに、BTK阻害薬の前治療歴のある患者の全奏効率は74.2%、CR率71.0%であり、DOCRは12.6ヵ月であった。R/R MCLの治療、とくにBTK阻害薬に抵抗性の患者に対し、Glofは有望な治療薬であることが示された。多発性骨髄腫関連今年の多発性骨髄腫(MM)の演題は、初発MMに対する4剤併用の試験の3演題とR/R MMに対するCAR-T細胞治療の3演題を紹介します。Phase 3 study results of isatuximab, bortezomib, lenalidomide, and dexamethasone (Isa-VRd) versus VRd for transplant-ineligible patients with newly diagnosed multiple myeloma (IMROZ). (Abstract #7500)移植非適応初発MM患者に対するVRd-Rd療法とIsaVRd-IsaRd療法を比較した第III相試験(IMROZ試験)の結果が報告された。80歳以上は除外され、VRd-Rd療法に181例、IsaVRd-IsaRd療法に265例が割り当てられた。主要評価項目はPFS、主な副次評価項目はCR率、MRD陰性率、VGPR以上率、OSであった。追跡期間中央値59.7ヵ月時点でのPFSは、54.3ヵ月vs.未達(HR:0.596)、CR率は64.1% vs.74.7%、MRD陰性CR率は40.9% vs.55.5%と、いずれもIsaVRd-IsaRd療法の有効性が優れた。Isa併用によりVRdのRDIの低下は認めず、安全性も問題とはならなかった。Phase 3 randomized study of isatuximab (Isa) plus lenalidomide and dexamethasone (Rd) with bortezomib versus IsaRd in patients with newly diagnosed transplant ineligible multiple myeloma (NDMM TI). (Abstract #7501)移植非適応初発MM患者に対するIsaRd(12サイクル)-IsaR療法とIsaVRd(12サイクル)-IsaVR(6サイクル)-IsaR療法を比較した第III相試験(BENEFIT/IFM2020-05試験)の結果が報告された。対象患者は65~79歳のnon-frail患者であった。両群135例ずつの患者が割り当てられた。主要評価項目は18ヵ月時点のMRD陰性率(NGS:10-5)であった。結果、MRD陰性率は26% vs.53%と、有意にボルテゾミブを追加した治療の効果が優れた。ただし、24ヵ月時点のPFS、OSは差を認めなかった。また、治療継続率には差を認めず安全性には問題がなかった。本研究では、主要評価項目でIsaVRd-IsaVR-IsaR療法が優れたため、対象の患者には本治療法が新たな標準療法となる可能性が示された。Daratumumab (DARA) + bortezomib/lenalidomide/dexamethasone (VRd) in transplant-eligible (TE) patients (pts) with newly diagnosed multiple myeloma (NDMM): Analysis of minimal residual disease (MRD) in the PERSEUS trial. (Abstract #7502)移植適応初発MM患者に対するDVRd療法とVRd療法、その後、DRとRによる維持療法を比較したPERSEUS試験の維持療法期のMRD陰性率についての結果が報告された。DVRd-DR群に355例、VRd-R群に354例が割り付けられた。治療開始後、12ヵ月、24ヵ月、36ヵ月時点のMRD陰性率(10-5)は、それぞれ65.1% vs.38.7%、72.1% vs.44.9%、74.6% vs.46.9%とDara併用群で有意に高い割合であり、また、経時的に陰性率の上昇を認めた。移植適応MM患者に対するDRによる維持療法の意義が示された。MRD陰性を持続できた患者のPFS、OSがどうなるか本試験の長期フォローアップの結果が注目される。Efficacy and safety of ciltacabtagene autoleucel±lenalidomide maintenance in newly diagnosed multiple myeloma with suboptimal response to frontline autologous stem cell transplant: CARTITUDE-2 cohort D. (Abstract #7505)自家移植治療(±地固め)を受けた後CRに到達しなかったMM患者を対象に、Cilta-Cel治療単独(最初の5例)とCilta-Cel治療21日以降から最長2年間レナリドミドを併用した12例の安全性、有効性が検証された。主要評価項目はMRD陰性率(10-5)であった。MRD評価が行えた15例中12例(80%)でMRD陰性が達成され、MRD陰性達成までの期間の中央値は1ヵ月であった。追跡期間の中央値が22ヵ月時点で、奏効期間の中央値は未到達、18ヵ月時点のPFSは94%(17例中16例)であった。CRSは14例でみられたが、すべてG1/2であった。ICANSは1例(G1)でみられた。また、レナリドミド併用による遷延する血球減少の有害事象の増加はみられていない。自家移植後にCRが得られない患者へのCilta-Celの投与は深い奏効が望める治療法である。Ciltacabtagene autoleucel vs standard of care in patients with functional high-risk multiple myeloma: CARTITUDE-4 subgroup analysis. (Abstract #7504)1~3ラインの前治療歴のあるR/R MM患者に対するCilta-Celと標準治療を比較したCARTITUDE-4試験に参加した患者(初期治療開始後18ヵ月以内に再発を認めたFunctional Highリスク患者を含む)の中で、セカンドラインでの治療効果を post hoc解析し、PFS、CR率、MRD陰性率を比較している。全体では、未到達vs.17ヵ月、71% vs.35%、63% vs.19%であり、Functional Highリスク患者では、未到達vs.12ヵ月、68% vs.39%、65% vs.10%であった。標準治療と比較し、Cilta-Celの有意な有効性が示された。R/R MM患者(とくにFunctional Highリスク患者)に対する早いラインでのCilta-Celの有用性が認められた。Impact of extramedullary multiple myeloma on outcomes with idecabtagene vicleucel. (Abstract #7508)髄外腫瘤(EMD)を有するMM患者に対するIde-Celの効果は不明である。Ide-Cel治療を受けた351例のR/R MM患者のうち、84例(24%)にEMDを認めた。EMD患者とEMDを有さない(Non-EMD)患者での患者背景で差を認めた因子は、年齢(62歳 vs.66歳)、PS 0-1(78% vs.89%)、ペンタドラッグ抵抗性(46% vs.32%)、リンパ球除去前の血清フェリチン値(591 vs.242)、CRP(2.1 vs.1.0)であった。治療効果は、全奏効率(@Day30)58% vs.69%(p=0.1)、全奏効率(@Day90)52% vs.82%(p<0.001)、PFS 5.3ヵ月vs.11.1ヵ月(p<0.0001)、OS 14.8ヵ月 vs.26.9ヵ月(p=0.0064)であった。また、EMD患者では、血球減少が多く認められた。EMDはIde-Cel治療の効果がNon-EMD患者と比較し、明らかに不良であることが示された。白血病/MPN関連Ponatinib (PON) in patients (pts) with chronic-phase chronic myeloid leukemia (CP-CML) and the T315I mutation (mut): 4-year results from OPTIC. (Abstract #6501)OPTIC試験の4年のフォローアップが報告された。OPTIC試験は、2剤以上のTKI治療抵抗性を有するか、T315I変異を有するCP-CML患者をポナチニブ45/30/15mgで開始し、IS-PCRが1%以下で45/30mg開始群は15mgに減量する治療法の有効性、安全性を検討した試験である。23.8%の患者がT315I変異を有していた。4年時点でのIS-PCRが1%以下率、PFS、OSを比較した。45mg→15mgの投与法で、T315I変異を有する患者で最も、IS-PCRの低下、PFSの延長がみられた。動脈閉塞の合併症率は同等であり、本試験の対象となった患者(とくにT315I変異を有する患者)に対しては、有効性、安全性の面から45mg→15mgのポナチニブの投与法が推奨される。A retrospective comparison of abbreviated course “7+7” vs standard hypomethylating agent plus venetoclax doublets in older/unfit patients with newly diagnosed acute myeloid leukemia. (Abstract #6507)メチル化阻害薬+ベネトクラクス(VEN)の併用治療は、通常の化学療法の実施が難しいfrail AML患者の標準療法となっている。VENの投与期間を28日/サイクルから短縮することで骨髄抑制は軽減されるが、有効性が失われないかどうかは不明である。VENの投与期間を7日間に短縮した7+7を実施したフランスの患者82例と通常の21~28日で投与したMDACC(USA)の患者166例をレトロスペクティブに比較した。CR+CRi率、CR率は両治療法で差を認めなかったが、CRに到達するためのサイクル数は7+7治療で、1サイクル多かった(2 vs.1サイクル)。OS中央値は11.2ヵ月 vs.10.3ヵ月、2年OSは28% vs.34%で差を認めなかった。8週時点での死亡率は6%と16%で有意に7+7で少なく、また、血小板輸血も少なかった。以上より、7+7の投与期間は、有効性、安全性の面でも十分に許容されると思われた。Updated safety and efficacy data from the phase 3 MANIFEST-2 study of pelabresib in combination with ruxolitinib for JAK inhibitor treatment-naive patients with myelofibrosis. (Abstract #6502)pelabresib(PELA)は新規のBET阻害薬であり、骨髄線維症(MF)の遺伝子発現を抑制する。MANIFEST-2試験はJAK阻害薬治療を受けたことがないMF患者に対するルキソリチニブ(Rux)+PELA(214例)とRux+プラセボ(216例)を比較した第III相比較試験である。DIPSSスコアがInt-1以上のMF患者が対象であり、主要評価項目は24週時点での脾臓体積の35%減少(SVR35)率であり、副次評価項目として症状スコア(TSS)の改善を検討している。結果、Rux+PELA群でSVR35率が65.9%(vs.35.2%)と、有意に多くの患者で脾腫の縮小が認められた。また、Rux+PELA群で、脾腫の縮小は早くみられ、その効果は長く維持された。TSSの改善も、Rux+PELA群で良い傾向が示された。また、貧血、骨髄線維化の改善がRux+PELA群で有意に多くみられた。有害事象としては、血小板減少と下痢がやや多かったが、総じてRux単独と変わりなかった。MFに対し、Rux単独と比較し、Rux+PELA併用が有効であることが示されている。ASC4FIRST, a pivotal phase 3 study of asciminib (ASC) vs investigator-selected tyrosine kinase inhibitors (IS TKIs) in newly diagnosed patients (pts) with chronic myeloid leukemia (CML): Primary results. (Abstract #LBA6500)初発CML患者に対し、既存のTKIとアシミニブ(ASC)を比較した第III相試験(ASC4FIRST試験)の最初の解析結果がLBAにて報告された。TKIの種類はランダム化前に主治医と患者の判断で選択された(IS-TKI)。また、ランダム化前に2週間以内であれば、TKIの服用が許容された。本試験の目的は、48週時点でのASC群のMMR達成率がIS-TKI群と比較して優れていることを示すことであった。ASC群に201例、IS-TKI群に204例(IM:102、第2世代[2G]:102[NI:48%、DA:41%、BO:11%])がエントリーされた。結果、48週時点のMMR達成率はASC群67.7%、IS-TKI群49.0%であり、有意にASC群で優れた。データカットオフ時点での治療薬の継続率は、ASC群86%、IM群62%、2G群75%であり、中止理由として、効果不十分が6%、21%、10%、有害事象が5%、11%、10%であった。以上の結果より、ASCは既存のTKIと比較し、初発CML患者に対する有効性、安全性に優れていることが示された。おわりに以上、ASCO2024で発表された血液腫瘍領域の演題の中から14演題を紹介しました。過去3年間のASCO2021、2022、2023では10演題ずつを紹介しましたが、今年発表された演題もこれまでと同様に、今後の治療を変えていくような結果であるように思いました。来年以降も現地開催に加えてWEB開催を継続してもらえるならば、ASCO2025にオンライン参加をしたいと考えています(1年前にも書きましたが、もう少しWEBでの参加費を安くしてほしい、さらに円安が続く今日この頃[笑])。

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オシメルチニブのEGFR陽性NSCLC1次治療、化学療法との併用で添付文書を改訂/AZ

 アストラゼネカは2024年6月25日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の「用法及び用量に関連する注意」などにおける記載を変更し、電子化された添付文書(電子添文)を改訂したと発表した。EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬としてオシメルチニブと化学療法との併用療法が可能となる。 今回の改訂は、EGFR変異陽性NSCLC1次治療におけるオシメルチニブと化学療法の併用治療とオシメルチニブ単剤治療を比較した第III相FLAURA2試験の結果に基づくもの。試験の結果、同剤と化学療法の併用が可能と判断された。 FLAURA2試験ではオシメルチニブと化学療法の併用がオシメルチニブ単剤に対し、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した(ハザード比:0.62、95%信頼区間:0.49~0.79、p<0.0001)。 EGFR変異陽性NSCLCの1次治療において、オシメルチニブ投与により臨床転帰は改善するものの、大部分の患者では病勢進行が認められる。オシメルチニブの耐性化を抑制できるより有効性・安全性の高い治療法が求められるなか、オシメルチニブ併用療法群は単剤療法を上回るPFSが認められたこととなる。 「用法及び用量に関連する注意」の改訂「他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない」の記載を削除し、「本剤を他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合、併用する他の抗悪性腫瘍剤は「17.臨床成績」の項の内容を熟知し選択すること」に変更。

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T1N0のHER2+乳がんへの術後トラスツズマブ、生存ベネフィットは

 腫瘍径が小さく、リンパ節転移のないHER2陽性乳がん患者において、化学療法の有無にかかわらず術後トラスツズマブ療法が無浸潤疾患生存期間(iDFS)を有意に改善することが、米国臨床腫瘍学会のデータベースを用いた多施設共同後ろ向き解析により示された。米国・オハイオ大学のKai C. C. Johnson氏らによるNPJ Breast Cancer誌2024年6月19日号への報告より。 米国臨床腫瘍学会のCancerLinQデータベースを用いて、2010~21年の間に診断され、局所療法のみまたは局所療法+術後トラスツズマブ療法(+/-化学療法)を受けたT1a~c、N0のHER2陽性乳がん患者の生存転帰が比較された。主要評価項目はiDFSと全生存期間(OS)であった。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした1,184例のうち、436例は局所療法のみ、169例は術後トラスツズマブ単剤療法、579例は術後トラスツズマブ+化学療法を受けていた。・ベースライン特性は3群でバランスがとれており、年齢中央値が60.4(18.9~95.4)歳、ホルモン受容体陽性が54.9%、T1mic:1.2%/T1a:17.1%/T1b:27.4%/T1c:51.9%であった。・単変量解析の結果、化学療法の有無にかかわらず術後トラスツズマブ療法を受けた場合、iDFS(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.57~0.93、p=0.003)およびOS(0.63、0.41~0.95、p=0.023)の有意な改善が認められ、多変量解析においても有意な改善が認められた。・3群単変量解析の結果、局所療法のみと比較して術後トラスツズマブ単剤療法(HR:0.51、95%CI:0.33~0.79、p=0.003)および術後トラスツズマブ+化学療法(0.75、0.58~0.97、p=0.027)でiDFSの有意な改善が認められた。・サブグループ解析の結果、T1b/T1cの患者ではiDFSとOSのいずれにおいても明らかなベネフィットがみられたが、T1aの患者ではみられなかった。

404.

局所進行食道がんの術前補助療法、3剤併用がOSを改善/Lancet

 局所進行食道扁平上皮がん(OSCC)の術前補助療法において、シスプラチン+フルオロウラシルによる2剤併用化学療法(NeoCF)と比較して、これにドセタキセルを追加した3剤併用化学療法(NeoCF+D)が全生存率を有意に改善し、日本における新たな標準治療となる可能性がある一方で、NeoCFに比べNeoCF+放射線(NeoCF+RT)では全生存率の有意な改善効果を認めないことが、国立がん研究センター中央病院の加藤 健氏らが実施した「JCOG1109試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年6月11日号に掲載された。日本の44施設の無作為化第III相試験 JCOG1109試験は、日本の44施設で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2012年12月~2018年7月に参加者を募集した(日本医療研究開発機構[AMED]などの助成を受けた)。 年齢20~75歳、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group performance status(ECOG PS)が0または1で、未治療の局所進行OSCC(StageIB、II、III[T4は含まない])の患者601例を登録し、NeoCF群に199例(年齢中央値65歳[範囲:38~75]、女性11%)、NeoCF+D群に202例(64歳[41~75]、12%)、NeoCF+RT群に200例(65歳[30~75]、14%)を無作為に割り付けた。 NeoCF群ではCF療法を2コース、NeoCF+D群ではCF+D療法を3コース、NeoCF+RT群ではCF療法を2コース施行後に総線量41.4Gyの放射線照射を行った。引き続き、全例で食道切除術と局所リンパ節郭清を実施した。 主要評価項目は、ITT集団における全生存率とした。無増悪生存率、客観的奏効率、病理学的完全奏効率も良好 追跡期間中央値50.7ヵ月の時点における3年全生存率は、NeoCF群が62.6%(95%信頼区間[CI]:55.5~68.9)であったのに対し、NeoCF+D群は72.1%(65.4~77.8)と有意に優れた(ハザード比[HR]:0.68、95%CI:0.50~0.92、p=0.006)。一方、NeoCF+RT群の3年全生存率は68.3%(95%CI:61.3~74.3)であり、NeoCF群の62.6%(55.5~68.9)に比べ有意な差を認めなかった(HR:0.84、95%CI:0.63~1.12、p=0.12)。また、全生存期間中央値は、NeoCF+D群で未到達、NeoCF群で5.6年であった。 3年無増悪生存率は、NeoCF群の47.7%(95%CI:40.6~54.4)に比べNeoCF+D群は61.8%(54.7~68.1)と良好であった(HR:0.67、95%CI:0.51~0.88)。無増悪生存期間中央値は、NeoCF+D群で未到達、NeoCF群で2.7年だった。 測定可能病変を有する患者における客観的奏効率は、NeoCF群の42.4%(95%CI:30.3~55.2)と比較して、NeoCF+D群は76.4%(64.9~85.6)と高率であり、病理学的完全奏効の割合も、NeoCF群の2.0%(95%CI:0.6~5.1)に対しNeoCF+D群は19.8%(14.5~26.0)と良好だった。手術前後の安全性プロファイルはNeoCF+Dで比較的管理しやすい Grade3以上の発熱性好中球減少は、NeoCF群で193例中2例(1%)、NeoCF+RT群で191例中9例(5%)に発現したのに比べ、NeoCF+D群では196例中32例(16%)と頻度が高かった。また、術前補助療法の中止の原因となった治療関連有害事象は、NeoCF群(8/199例[4%])およびNeoCF+RT群(12/200例[6%])に比べNeoCF+D群(18/202例[9%])で高頻度であった。術後補助療法期間中の治療関連死は、NeoCF群で3例(2%)、NeoCF+D群で4例(2%)、NeoCF+RT群で2例(1%)に認めた。 Grade2以上の術後の肺炎、食道吻合部漏出、反回神経麻痺が、NeoCF群で185例中それぞれ19例(10%)、19例(10%)、28例(15%)に、NeoCF+D群で183例中18例(10%)、16例(9%)、19例(10%)に、NeoCF+RT群で178例中23(13%)、23例(13%)、17例(10%)に発現した。術後の院内死亡は、NeoCF群3例、NeoCF+D群2例、NeoCF+RT群1例であった。 著者は、「手術前後のNeoCF+D群の安全性プロファイルは、NeoCF群やNeoCF+RT群よりも管理しやすいものであった。本試験の目的は、NeoCF+D群とNeoCF+RT群の直接比較ではなく、この2つの群の優越性を認めた場合に、より大規模な比較試験に進む計画であった」と述べたうえで、「各治療群のリスクとベネフィットを明らかにするには、より長期の追跡による最新のデータの解析が必要である」としている。

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NSCLC患者への周術期ペムブロリズマブ、QOLの評価(KEYNOTE-671)/ASCO2024

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としたKEYNOTE-671試験では、術前補助療法としてペムブロリズマブ+化学療法、術後補助療法としてペムブロリズマブを用いた場合、術前補助療法として化学療法を用いた場合と比較して、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)などが有意に改善したことが報告されている1)。今回、本試験における健康関連QOL(HRQOL)の解析結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で、イタリア・Fondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのMarina Garassino氏より発表された。 KEYNOTE-671試験では、対象患者797例を以下のとおり試験群と対照群に1対1で無作為に割り付けた。・試験群(397例):ペムブロリズマブ200mg+化学療法(シスプラチン[75mg/m2]+ゲムシタビン[1,000mg/m2を各サイクル1、8日目]またはペメトレキセド[500mg/m2])を3週ごと最大4サイクル→手術→ペムブロリズマブ200mgを3週ごと最大13サイクル・対照群(400例):プラセボ+化学療法(同上)を3週ごと最大4サイクル→手術→プラセボを3週ごと最大13サイクル HRQOLの変化は副次的評価項目であり、患者はベースライン、術前補助療法フェーズ(手術前最後の受診時)、術後補助療法フェーズ(術後補助療法の1~4、7、10、13サイクル目)、術後補助療法後のフォローアップ期間中に、EORTC QLQ-C30およびQLQ-LC13の調査票に回答した。 主な結果は以下のとおり。・調査票への回答率は、両群ともに術前補助療法フェーズの11週目で87%以上(コンプライアンス87%以上)、術後補助療法フェーズの10週目で62%以上(コンプライアンス92%以上)であった。・ベースラインから術前補助療法フェーズの11週目までの変化および術後補助療法フェーズの10週目までの変化は、QLQ-C30の全般的な健康状態/QOL、機能尺度(身体、役割)、症状尺度/項目(呼吸困難)、QLQ-LC13の症状尺度/項目(咳、胸痛)において、両群間に差はなかった。・QLQ-C30の全般的な健康状態/QOL、機能尺度(身体、役割)は両群ともに術前補助療法フェーズで低下が認められたが、術後補助療法フェーズでおおむねベースラインレベルまで上昇した。 Garassino氏はKEYNOTE-671試験におけるHRQOLの結果について「OSとEFSの改善、新たな安全性シグナルが認められなかったことと併せて、術前および術後補助療法におけるペムブロリズマブの使用が新しい標準治療であることを裏付けている」とまとめた。

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進展型小細胞肺がん、アテゾリズマブ+化学療法へのベバシズマブ上乗せの有用性は?(BEAT-SC)/ASCO2024

 進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)の標準治療の1つに、アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド(ACE療法)がある。非小細胞肺がんでは、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法は、アテゾリズマブ+化学療法と比較して優れた治療効果を有し、アテゾリズマブとベバシズマブには相乗効果があることが示されている1)。そこで、ED-SCLC患者を対象に、ACE療法へのベバシズマブ上乗せ効果を検討する「BEAT-SC試験」が、日本および中国で実施された。本試験において、ベバシズマブ上乗せにより無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したが、全生存期間(OS)の改善はみられなかった。大江 裕一郎氏(国立がん研究センター中央病院 副院長/呼吸器内科長)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)において、本試験の結果を報告した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:未治療のED-SCLC患者333例・試験群(ACE+ベバシズマブ群):ACE療法(アテゾリズマブ+カルボプラチン/シスプラチン+エトポシド)+ベバシズマブを3週ごと4サイクル→アテゾリズマブ+ベバシズマブを3週ごと 167例(日本人66例)・対照群(ACE+プラセボ群):ACE療法+プラセボを3週ごと4サイクル→アテゾリズマブ+プラセボを3週ごと 166例(日本人75例)・評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価に基づくPFS[副次評価項目]OS、治験担当医師評価に基づく奏効割合(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など・解析計画:PFSとOSは階層的に検定し、PFSが有意に改善した場合にOSの解析を実施することとした。OSについては3回の中間解析が予定され、今回は第1回中間解析の結果が報告された。・層別化因子:性別、ECOG PS、プラチナ製剤の種類(カルボプラチン/シスプラチン) 主な結果は以下のとおり。・患者背景は両群で同等であったが、過去の試験と比較して喫煙歴のない患者や脳転移を有する患者が多く、シスプラチンを用いる患者が少なかった。・主要評価項目の治験担当医師評価に基づくPFSの中央値は、ACE+ベバシズマブ群5.7ヵ月、ACE+プラセボ群4.4ヵ月であり、ACE+ベバシズマブ群がACE+プラセボ群と比較して有意に改善した(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.54~0.90、p=0.0060)。・事前に規定したPFSのサブグループ解析では、現喫煙者のサブグループを除いてACE+ベバシズマブ群が良好な傾向にあった。・OSのデータは未成熟であったが、OS中央値はACE+ベバシズマブ群13.0ヵ月、ACE+プラセボ群16.6ヵ月であった(HR:1.22、95%CI:0.89~1.67、p=0.2212)。・ORRはACE+ベバシズマブ群81.9%、ACE+プラセボ群73.3%であった。DOR中央値はそれぞれ4.3ヵ月、4.0ヵ月であった。・治療関連有害事象の内訳は両群で同等であったが、蛋白尿と高血圧はACE+ベバシズマブ群に多く発現した。治療中止に至った有害事象は、ACE+ベバシズマブ群20.5%、ACE+プラセボ群16.5%に発現した。 大江氏は、本結果について「ACE+ベバシズマブ群はACE+プラセボ群と比較してPFSを有意に改善し、主要評価項目を達成した。OSは本解析時点では未成熟であり、ACE療法へのベバシズマブ上乗せによる改善はみられなかった。ACE療法へのベバシズマブ上乗せの忍容性はおおむね良好であり、新たな安全性に関するシグナルはみられなかった」とまとめた。なお、OSについては、解析が継続される予定となっている。■関連記事ABCP療法、肺がん肝転移例に良好な結果(IMpower150)/ASCO2019

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ALK陽性NSCLCにおける術後アレクチニブ、健康関連QOLへの影響(ALINA)/ASCO2024

 ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアレクチニブの術後補助療法における有用性を検討したALINA試験では、アレクチニブがプラチナベースの化学療法と比較して、無病生存期間(DFS)を有意に改善したことが報告されている1)。今回、本試験における健康関連QOL(HRQOL)を解析した結果、精神的、身体的項目のベースラインからの改善が認められ、投与期間中維持されたことが米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で、がん研有明病院の西尾 誠人氏より発表された。 ALINA試験では、対象患者257例をアレクチニブ群(600mgを1日2回、2年間または再発まで)と化学療法群(3週ごと4サイクルまたは再発まで)に1対1で無作為に割り付けた。探索的評価項目であるHRQOLはベースライン、3週間ごと(ベースラインから12週目まで)、12週間ごと(12週目以降)に測定された。測定にはSF-36v2を用い、機能的健康状態を8つのドメインとそれらをまとめた身体的側面のサマリースコア(Physical component summary:PCS)および精神的側面のサマリースコア(Mental component summary:MCS)で評価した。スコアは米国の国民標準値に基づいて採点され、数値が高いほどQOLが良好であることを示す。臨床的に意味のある最小重要差(MID)を各項目のベンチマークとした。 主な結果は以下のとおり。・両群ともにHRQOLの測定完了率は高く、試験期間を通じておおよそ90%を超えていた。・ベースラインのスコアは両群で類似しており、「活力」以外のドメイン、PCSおよびMCSは米国の国民標準値を下回っていた。・ベースラインから12週までのスコアの平均変化は、アレクチニブ群において「身体の痛み」「日常役割機能(身体)」「心の健康」「社会生活機能」「活力」の5つのドメインとMCSにおいてMIDを上回る改善が認められた。化学療法群においては、すべてのドメイン、PCSおよびMCSのいずれも改善が認められず、「全体的健康感」「活力」の2つのドメインではMIDを上回る悪化が認められた。・MCSとPCSは、アレクチニブ群において96 週目までに改善、治療期間中維持され、米国の国民標準値と同等のレベルに到達した。化学療法群においては、化学療法終了後(12週目以降)から改善が認められ、米国の国民標準値と同等のレベルに到達した。 西尾氏は、術後患者のQOLは臨床的に考慮すべき重要な事項であるとしたうえで、今回の結果を「DFS改善のベネフィットと併せて、アレクチニブの術後補助療法としての使用が重要な新規治療戦略であることを支持するデータである」とまとめた。

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造血幹細胞移植後GVHDにROCK2阻害薬ベルモスジル発売開始/Meiji Seikaファルマ

 2024年5月、Meiji Seikaファルマは造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対する新薬、選択的ROCK2阻害薬ベルモスジル(商品名:レズロック)を発売開始した。本薬剤はKadmon(現サノフィ)が開発したもので米国では2021年に発売されており、今回国内治験が終了し、保険承認、販売開始に至った。6月6日には慢性GVHDと本薬剤についてのプレスセミナーが行われ、北海道大学大学院 血液内科の豊嶋 崇徳氏が「造血幹細胞移植の最新動向と移植後の健康問題」と題した講演を行った。 「造血幹細胞移植には、患者自身の細胞を使う自家移植と、血縁者や白血球の型が合う他人の細胞を使う同種移植があり、近年では自家移植が年間約2,000件超の一方で、同種移植は4,000件弱と倍近く行われている。この背景には、骨髄バンク・さい帯血バンクなどが充実したことや、以前は移植不適とされたHLA(ヒト白血球抗原)が半合致の人からも新たなGVHD予防法の開発によって移植できるようになったことがある。 造血幹細胞移植は化学療法不応の造血器腫瘍、とくに急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病の患者にとって「最後の砦」といえるもので、実際に約30~40%の患者が移植後に治癒に至るという強力な治療法だ。しかし、同種移植後の患者にとってしばしば問題になるのが、ドナー由来の免疫細胞が患者の体を非自己と認識して攻撃することで発症するGVHDだ。移植後数ヵ月内に生じる急性GVHDと3ヵ月~2年程度で発症する慢性GVHDがあり、全身に炎症や組織の線維化など膠原病と同様の症状が出て、患者のQOLを著しく落とす。GVHD予防のため移植後に免疫抑制剤を投与するが、完全に防ぐことはできず、移植後患者の約3分の1が発症する。全身症状に苦しみ、社会復帰も叶わず、「移植などしなければよかった」と訴える患者さんに、対峙するわれわれもつらい状況だった。 慢性GVHDの第1選択は副腎皮質ステロイドによる治療だが、効果があるのは半数程度で、長年ステロイド耐性の慢性GVHD患者には承認された薬剤がない状況だった。しかし、ここ数年で状況が変わった。2021年にBTK/ITK阻害薬イブルチニブ(商品名:イムブルビカ)、2023年にはJAK1/2阻害薬ルキソリチニブ(商品名:ジャカビ)が慢性GVHD薬として承認された。いずれも他疾患の治療薬として開発されたものの転用だ。そして今回ROCK2阻害薬ベルモスジルが加わった。3剤はそれぞれ作用機序が異なり、1剤で効果がなくても他剤を試すことができる。患者にとって選択肢が増えたことは喜ばしい。 ベルモスジルの承認根拠となった国内試験ME3208-2は慢性GVHD 患者21例を対象としたもので、全奏効率85.7%(すべて部分奏効)と高い効果を示した。慢性GVHDは全身に症状が出るため完全奏効例はなかったものの、臓器別では口腔症状や皮膚症状に高い有効性を認めた。重篤な副作用がほとんどなく、とくにほかの免疫抑制剤で頻繁にみられる血球減少、感染症が少ないことが評価できる」。 講演後の質疑応答では、ベルモスジルの1次治療からの投与や小児への適用、先行する2剤との使い分けや併用効果などについて質問が出た。豊嶋氏は「どれもあり得る選択だろうが、まずは臨床現場で使いながら患者ごとの最適な治療法をディスカッションし、今後の開発や承認につなげたい」とした。

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EGFR-TKI治療後の再発NSCLC、ivonescimab追加でPFSが改善/JAMA

 上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による治療後に病勢が進行したEGFR変異陽性の局所進行または転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、化学療法単独と比較してivonescimab(抗プログラム細胞死-1[PD-1])/血管内皮細胞増殖因子[VEGF]二重特異性抗体)+化学療法は、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、安全性プロファイルは忍容可能であることが、中国・中山大学がんセンターのWenfeng Fang氏らHARMONi-A Study Investigatorsが実施した「HARMONi-A試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年5月31日号で報告された。上乗せ効果を評価する中国の無作為化プラセボ対照第III相試験 HARMONi-A試験は、中国の55施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2022年1~11月に参加者を登録した(Akeso Biopharmaの助成を受けた)。 年齢18~75歳で、EGFR-TKI療法後に病勢が進行したEGFR変異陽性の局所進行または転移のあるNSCLC(AJCC病期分類[第8版]のStageIIIB、IIIC、IV)の患者322例を登録した。 これらの患者を、ivonescimab+化学療法(ペメトレキセド+カルボプラチン)を受ける群に161例(年齢中央値59.6歳[範囲:32.3~74.9]、女性52.2%)、プラセボ+化学療法を受ける群に161例(59.4歳[36.2~74.2]、50.9%)を無作為に割り付けた。試験薬の投与は3週ごとに4サイクル行い、引き続き維持療法としてそれぞれivonescimab+ペメトレキセド、プラセボ+ペメトレキセドを投与した。 主要評価項目は、独立画像審査委員会(IRRC)の評価によるITT集団におけるPFSとした。今回は、予定されていた初回中間解析の結果を報告した。奏効率も良好 データカットオフ日(2023年3月10日)の時点での追跡期間中央値は7.89ヵ月であった。IRRCの評価によるPFS中央値は、プラセボ群が4.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.2~5.6)であったのに対し、ivonescimab群は7.1ヵ月(5.9~8.7)と有意に延長した(群間差:2.3ヵ月、ハザード比[HR]:0.46[95%CI:0.34~0.62]、p<0.001)。 事前に規定されたサブグループ解析では、大部分のサブグループにおいてプラセボ群よりもivonescimab群でPFSに関する有益性が示され、たとえば第3世代EGFR-TKIの投与中に病勢が進行した患者のHRは0.48(95%CI:0.35~0.66)、脳転移を有する患者では同0.40(0.22~0.73)といずれも良好だった。 また、IRRC評価による奏効率は、プラセボ群の35.4%(95%CI:28.0~43.3)に対し、ivonescimab群は50.6%(42.6~58.6)と有意に高率であった(群間差:15.6%、95%CI:5.3~26.0、p=0.006)。OSのデータは未成熟 全生存期間(OS)のデータは初回中間解析時には未成熟で、データカットオフ日の時点で69例(21.4%)が死亡した(ivonescimab群32例[19.9%]、プラセボ群37例[23%])。 試験期間中の治療関連有害事象は、ivonescimab群で99例(61.5%)、プラセボ群で79例(49.1%)に発現し、化学療法関連の有害事象が最も多かった。Grade3以上の免疫関連有害事象は、ivonescimab群で10例(6.2%)、プラセボ群で4例(2.5%)に、Grade3以上のVEGF関連の有害事象は、それぞれ5例(3.1%)および4例(2.5%)に認めた。 著者は、「ivonescimab+化学療法は、TKI抵抗性の患者における新たな治療選択肢となる可能性がある」とし、「VEGF阻害薬ベバシズマブはNSCLC患者における脳転移の進行を遅延または予防する可能性があることから、本試験の脳転移患者におけるPFSの改善は、二重特異性抗体ivonescimabによるVEGFの阻害または抗PD-1/VEGFの複合的な効果に起因する可能性がある」と指摘している。 現在、NSCLCの治療においてivonescimab単剤と併用療法を比較する複数の第III相試験が進行中だという。

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末期がん患者に対する全身療法は効果なし

 化学療法、免疫療法、標的療法、ホルモン療法は、がんが進行して終末期に近い状態になったがん患者の生存率を改善しないことが、新たな研究で明らかになった。米イエール大学がんセンターのMaureen Canavan氏らによるこの研究結果は、「JAMA Oncology」に5月16日掲載された。Canavan氏は、「末期がん患者に治療を施しても生存率の改善は認められなかった。がん専門医はこの研究結果を患者に説明し、治療目標に関する話し合いを見直すべきだ」と述べている。 末期がん患者に対する全身性抗がん療法(SACT)は、入院率や集中治療室の利用率の増加、ホスピスへの移行の遅れ、生活の質(QOL)の悪化、医療費の増加と関連することが示されている。米国臨床腫瘍学会(ASCO)と全国品質フォーラム(NQF)は、このことを踏まえ、末期がん患者の終末期ケアを改善するために、「死亡前14日以内に化学療法を受けた患者の数」をNQF 021と呼ぶ指標として設定した。NQF 021の対象は、化学療法以外にも免疫療法や標的療法など全ての全身療法に拡大されつつある。 Canavan氏らは、電子健康記録のデータベースを用いて、死亡前14日以内に末期がん患者に実施されたSACTと患者の全生存期間(OS)との関連を検討した。対象患者は、2015年1月1日から2019年12月31日までの間に米国の280カ所のがんクリニックでステージIVのがん(乳がん、大腸がん、非小細胞肺がん、膵臓がん、腎細胞がん、尿路上皮がん)の治療を受けた18歳以上の成人患者7万8,446人(平均年齢67.3歳、女性52.2%)であった。患者は、死亡前14日以内および30日以内のSACT実施率に基づき、がん種ごとに、実施率の最も低いQ1群から最も高いQ5群の5群に分類された。 対象患者の中で最も多かったのは非小細胞肺がん患者3万4,201人(43.6%)、次いで多かったのは大腸がん患者1万5,804人(20.1%)であった。解析の結果、がん種にかかわりなく、生存率についてQ1群とQ5群の間に統計学的に有意な差は認められないことが明らかになった。 Canavan氏はイエール大学のニュースリリースの中で、「われわれは、末期がん患者に対する腫瘍学的治療が生存率の改善と関連しているのか、あるいは治療継続は無駄であり、緩和ケアや支持療法に重点を移すべき時期があるのかを調べたかった」と述べている。 研究グループは、2022年に発表した研究で、末期がん患者に対する全身療法では、抗がん薬の使用が徐々に減少しつつある一方で免疫療法の使用が増加していることを報告していた。研究グループは、「SACTの実施状況は全体的には変わっておらず、死期が近い末期がん患者の約17%が、本研究で無駄な可能性が示唆された治療を今も受けている」と述べている。 研究グループは、「医師は、追加治療がいつ無駄になるのかを見極め、終末期近くのケアの目標について患者と話し合うことで、患者により良いサポートを提供することができる」と結論付けている。一方Canavan氏は、「この情報が、がん専門医が治療を継続するのか否か、あるいは転移を有する患者を支持療法に移行させるか否かを決める際に役立つことを願っている」と述べている。

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島根大学医学部 内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学(附属病院 呼吸器・化学療法内科)【大学医局紹介~がん診療編】

礒部 威 氏(教授/診療科長)津端 由佳里 氏(診療教授/副診療科長)奥野 峰苗 氏(医科医員)津田 洸旬 氏(医科医員)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴われわれの教室は、増加する呼吸器疾患と、がん医療の均てん化を推進するため、全国的に不足している呼吸器専門医・がん薬物療法専門医の育成を行ってきました。その特徴は呼吸器病学・腫瘍内科学・感染症学をベースとした、総合内科医の育成に取り組み、患者さんを疾患横断的、全人的に診療する力の養成にあります。肺がんは高齢化が進み、診断時に50%以上が75歳以上の高齢者です。高齢者は複数の慢性疾患を抱え、薬物の代謝や排泄が低下しているため、高齢者機能評価による適切な評価と介入ががん薬物療法を行う際には重要となります。教室の主要な臨床・教育・研究テーマが高齢者機能評価の普及と実践です。すでに高齢者機能評価の有用性を検討する多施設共同研究(ENSURE-GA)が終了し、現在は肺がん薬物療法時における高齢者機能評価の有用性を検討する多施設共同研究が始まったところです。また、呼吸器診療において持続可能な開発目標(SDGs)を掲げ、島根県の呼吸器診療、がん診療の基盤を整え、健康増進に寄与することを目的としたクラウドファンディングを開始しました。今後の教室の発展にご注目ください。我が医局のエースを紹介!津端はじめに自己紹介と医局の雰囲気の実際を教えてください。奥野医師10年目の奥野 峰苗です。もともと薬剤師でしたが、がんのエビデンスを作る臨床研究に興味があり、医学部に入りました。入局時は個別のキャリアプランを具体的に提案してくれ、ここなら自分の夢がかなえられる! と思い決めました。院外研修など自身のキャリアプランについてもトップダウンでなく、希望を聞いてもらえる医局だと思います。津田医師4年目の津田 洸旬です。大阪大学の人間科学部で学んでいましたが、医学こそ人間を科学する学問だ! と気が付き医学部へ入りました。研修医のころから薬物療法に興味があり、肺がん症例では診断から薬物療法、人生の最終段階まで寄り添えることにやりがいを感じました。趣味は美味しいごはんとお酒です(笑)。医局の雰囲気は一言で言うと「明るい」。若手から専門医まで在籍していて、カンファレンスは若手も発言しやすいです。津端では、当科でのがん診療/研究のやりがいはどんなところに感じていますか?奥野私はチームリーダーなのですが、一緒に考える、お互い刺激を受け合うチームを目指しています。研究は自身で立案したCQを、実際に臨床研究に結び付けることを医局がサポートしてくれます。先日、初めて国際学会(ATS)で発表してきました。語学の壁は感じましたが、今後もどんどんチャレンジしていきたいです。津端国立がん研究センターでの国内留学も終えられ、臨床試験の立案から実施、そして学会発表まで行えるよう成長できているという証拠ですね。津田肺がん診療が日進月歩であることを最前線で感じられ、とてもやりがいを感じますし、高齢者が多く併存疾患への対応にも携わることができています。診断・治療だけではなく、大学に緩和ケア病棟があって看取りまで担当できるのも当科の特色です。先輩方からサポートいただきつつ入局1年目から多施設共同試験のPIも経験でき、勉強になっています。津端それでは最後に、今後の目標と医学生/研修医の皆さんへメッセージをどうぞ!奥野さらにたくさんの臨床研究を立案することが目標です。肺がん患者さんの予後は延長し、新しい治療もたくさん出てきていますがまだまだ奥深い世界です。当科は少し迷っている方でも、サポートして一緒にやりたいことを見つけてもらえます。津田まずは専門医を取得する。そのうえで、肺がんを中心として専門性を高め、国内外の留学も目標です。がん診療、とくに肺がんは難しいという印象があるかもしれませんが、個々の症例と向き合うことで理解は深まりますし、患者さんに最期まで寄り添える、とてもやりがいのある領域です。津端今日はありがとうございました、これからも一緒に当科を盛り上げていきましょう!島根大学医学部 内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学(附属病院 呼吸器・化学療法内科)住所〒693-8501 島根県出雲市塩冶町89-1問い合わせ先koka-nai@med.shimane-u.ac.jp医局ホームページ島根大学医学部 内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学専門医取得実績のある学会日本内科学会日本呼吸器学会日本臨床腫瘍学会日本呼吸器内視鏡学会日本結核・非結核性抗酸菌症学会日本老年医学会日本アレルギー学会日本喘息学会日本がん治療認定医機構 ほか研修プログラムの特徴(1)ガイドラインに準拠した診療スタイルを身につけることができる(2)チームによる教育・研修体制を組み、常に上級医からの指導を受けることができる(3)完全当直、待機医師制度のため、オン・オフが明確化される詳細はこちら

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切除不能大腸がん肝転移に対する肝移植の有効性(TransMet)/ASCO2024

 切除不能な肝転移のある大腸がん(uCLM)に対する現在の標準療法は化学療法(CT)だが、近年肝移植(LT)が有望な結果を示している。こうした背景からLT+CTの併用療法をCT単独と比較した初のランダム化試験TransMetが実施された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)において、フランス・パリ・サクレー大学のRene Adam氏が本試験の中間解析結果を報告し、LT+CT併用療法が生存率を改善するとの結果に話題が集まった。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:65歳以下、PS 0-1、化学療法で3ヵ月以上、部分奏効もしくは安定が得られている。CEAが80mg/mlもしくはベースラインより50%以上の減少、血小板8万超、白血球2,500超のuCLM患者・試験群(LT+CT群):LT+CT併用、最終CTから2ヵ月以内にLT実施・対照群(CT群):CT単独・評価項目:[主要評価項目]5年全生存率(5年OS率)[副次評価項目]3年OS率、3・5年時点の無増悪生存期間(PFS)、再発率 主な結果は以下のとおり。・2016年2月~21年7月、94例(年齢中央値54歳、四分位範囲:47~59)がCT+LT群(47例)、CT群(47例)に1:1でランダムに割り当てられた。CT+LT群の36例が適格となった(病勢進行のため9例脱落)。・ITT解析の5年OS率はCT+LT群で57%、CT単独群で13%だった(p=0.0003、ハザード比[HR]:0.37、95%信頼区間[CI]:0.21~0.65)。プロトコル解析の5年OS率は73%と9%だった(p=0.0001、HR:0.16、95%CI:0.07~0.33)。・PFSの中央値はCT+LT群で17.4ヵ月 、CT単独群6.4ヵ月(HR:0.34、95%CI:0.20~0.58)だった。・CT+LT群のうち、26/36例(72%)が再発した。再発箇所は肺(14例)が多く、12/26例(46%)がオプションで手術または局所アブレーションによる治療を受けた。15/36例(42%)が最終的に無病生存だった。・CT群は37/38例(97%)が病勢進行し、新たなレジメンでCTが行われた。最終的に1/38例(3%)が無病生存だった。 Adam氏は「LTとCTを併用すると、CT単独の場合と比較して、特定のuCLM患者の生存率が大幅に改善した。これらの結果により、肝転移大腸がんの治療戦略を変える可能性のある新しい標準オプションとしてLTを検証する必要性が示唆される」とした。 この発表と結果を受け、消化器がんを専門とする相澤病院・がん集学治療センター化学療法科の中村 将人氏はケアネットの運営する医療系キュレーションサイトDoctors’Picks(医師限定)に下記コメントを寄せた。 「発表後のディスカッションでは、選択された症例のうち40%は不適格であったこと、LT+C群の47例中9例で病勢進行により肝移植が行われなかったことから、症例選択の難しさが指摘されていた。また、肝移植を行った症例の68%で術後に化学療法が行なわれたことが情報として追加された。unanswered questionsとして症例選択の難しさや術後の化学療法について、免疫抑制剤の使用や合併症の管理が挙げられていた。私の見解としては、本試験は大腸がんの肝限局転移に対してLT+CT併用 がCT単独に比して予後を改善したというclinical changeになり得る発表だ。ただし、『肝限局なら肝移植が有効』という結論や5年OS率の57%(ITT解析)、73%(プロトコル解析)という数字だけでなく、どのような適格基準で、どのような患者選択のプロセスがあったのかはきちんと理解しておく必要がある。また、肝移植後の8%に再肝移植が行われたことや1例(3%)の術後死亡例もあったこと、術後合併症や免疫抑制剤の調整、有害事象の管理が必要であること、68%の症例で術後に化学療法が行われたこと、72%の症例で再発を認めたことも知っておく必要がある。 また、私が疑問に思ったのが、CT群では47例中7例で腫瘍が縮小し切除が行われたのに対し、LT+CT群では1例も腫瘍縮小から切除された症例がおらず、病勢進行以外は全例肝移植が行われたことだ。患者背景のバランスは取れており、LT+CT群でも肝移植ではなく肝切除にいけた症例はなかったのか。この点も今後の追加解析や論文化される時に明らかにされるだろう」

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導入化学療法後の転移HER2-乳がん、ペムブロリズマブ維持療法で効果持続

 転移のあるHER2-炎症性乳がんおよび炎症性乳がんではないトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者において、導入化学療法後、ペムブロリズマブ単剤での維持療法で治療効果が持続したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンター/ハワイ大学の岩瀬 俊明氏らによる第II相試験で示された。さらにバイオマーカー試験で、ベースライン時にT細胞クローナリティーが高い患者では、ペムブロリズマブ維持療法により病勢コントロール期間の延長がみられた。Clinical Cancer Research誌2024年6月3日号に掲載。 本試験では、3サイクル以上の化学療法で完全奏効、部分奏効、病勢安定(SD)を達成したHER2-乳がん患者を対象に、PD-L1発現の有無にかかわらずペムブロリズマブ200mgを2年間、もしくは進行/忍容できない毒性発現まで3週ごとに投与した。評価項目は、4ヵ月病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間、血中反応バイオマーカーなどであった。 主な結果は以下のとおり。・43例中11例が転移のあるHER2-炎症性乳がん、32例が炎症性乳がん以外のTNBCであった。・4ヵ月DCRは58.1%(95%信頼区間:43.4~72.9)、全患者のPFS中央値は4.8ヵ月(同:3.0~7.1)であった。・毒性プロファイルは以前のペムブロリズマブ単剤療法試験と同様であった。・ベースライン時にT細胞クローナリティーが高い患者は低い患者よりもペムブロリズマブ治療でのPFSが長かった(10.4ヵ月vs.3.6ヵ月、p=0.04)。・SDを達成した患者は達成しなかった患者よりT細胞クローナリティーが治療中に有意に増加した(平均増加率:20% vs.5.9%、p=0.04)。

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ASCO2024 レポート 消化器がん

レポーター紹介本レポートでは、2024年5月31日~6月4日に行われた2024 ASCO Annual Meetingにおける消化管領域におけるトピックスを解説する。1.【食道がん】ESOPEC trial(#LBA1)最初に解説するのは、今年消化管領域でPlenary Sessionに選ばれたESOPEC trialである。欧米ではわが国をはじめとする東アジアと異なり、食道がんにおいては下部食道から接合部にできる腺がんが中心である。cT2-4a、cN+/-の切除可能進行食道腺がんにおける現在の標準治療は、CROSS trialで用いられたパクリタキセル+カルボプラチン+41.4Gyの術前化学放射線療法(CRT)とFLOT4 trialで用いられた術前・術後のFLOT(5-FU、LV、オキサリプラチン、ドセタキセル)療法の両者が併存しており、それぞれ開発が行われたオランダではCROSSレジメンが、ドイツではFLOTレジメンが主流である。ESOPEC trialでは両者の直接比較が第III相試験として行われた。2016年2月~2020年4月に438例のcT1N+ or cT2-4a、cN0/+、cM0の食道および接合部腺がんが登録された。年齢中央値は63歳、男性が89.3%、cT3/4の症例が80.5%、リンパ節転移陽性症例が79.7%であった。主要評価項目である全生存期間(OS)でハザード比(HR)が0.70、p=0.012、OS中央値がFLOT群66ヵ月、CROSS群39ヵ月、3年OS率がFLOT群54.7%、CROSS群50.7%と有意にFLOT群が優れていた。また、計画された術前治療を完遂できたのはFLOT群で87.3%、CROSS群で67.7%と差を認めた。無増悪生存期間(PFS)では、HR:0.66、p=0.001、3年PFS率がFLOT群51.6%、CROSS群35.0%と有意にFLOT群が優れていた。病理学的完全奏効(pCR)もFLOT群で16.8%、CROSS群で10.0%とFLOT群のほうが良好であった。術後合併症は両群で差を認めない結果であった。本試験結果をもって、切除可能局所進行食道・接合部腺がんにおいてFLOTレジメンの有意性が示された。本邦でも切除可能局所進行食道・接合部腺がんに対してFLOTやDCS(ドセタキセル、シスプラチン、S-1)をはじめとする術前化学療法が主流であり、本結果は受け入れられると考える。一方、術前CRT後pCRとならなかった症例にはCheckMate 577のエビデンスから術後ニボルマブ1年が無病生存期間(DFS)を有意に改善することが検証されているが、KEYNOTE-585やATTRACTION-5の結果より、術前・術後の化学療法に対して免疫チェックポイント阻害薬の有効性は検証されていない。今後FLOTとCROSSの直接比較のみならず、CRT後のニボルマブの有効性も含めた結果の解釈が必要になる。2.【大腸がん】切除不能大腸がん肝転移に対する肝移植の有効性(#3500)切除可能性のない大腸がん肝転移症例に対する標準治療は化学療法であるが、根治は困難である。今回、フランスの研究者から化学療法(C)に対する肝移植+化学療法(LT+C)の優越性を検証するTransMet試験が報告された。適格基準は65歳以下、PS 0-1、化学療法で3ヵ月以上部分奏効もしくは安定が得られている、CEAが80mg/mLもしくはベースラインより50%以上の減少、血小板8万超、白血球2,500超と厳格な基準で行われた。157例がスクリーニングされ、そのうち94例がランダム化された。LT+C群の47例のうち11例がPer protocolから外され(9例が病勢進行のためLTせず)、C群の47例のうち9例がPer protocolから外された(7例が肝切除実施のため)。主要評価項目の5年OS(ITT)はLT+C群が57%、C群が13%(HR:0.37、p=0.0003)であり、LT+Cが実施された36例のうち、26例に再発を認めた(一番多い部位は肺転移の14例)が、その後手術および焼灼療法が12例(46%)に実施され15例で最終的にがんがない状態を維持できていた。副次評価項目である3年・5年PFSは、LT+C群とC群で3年PFSがそれぞれ33%と4%、5年PFSがそれぞれ20%と0%(HR:0.34、p<0.0001)とLT+C群が有意に優れている結果であった。適切な症例選択をすることで、切除不能大腸がん肝転移症例に対してLT+Cは有意にOSとPFSのそれぞれを改善することが示された。長期予後が期待できない切除不能肝転移症例に対して根治の可能性を届けられることが示された。3.【大腸がん】CheckMate 8HW(#3503)CheckMate 8HW試験は1次治療におけるニボルマブ+イピリムマブ(NIVO+IPI)と標準治療(mFOLFOX6/FOLFIRI+/-ベバシズマブ/セツキシマブ)のPFSのデータがすでに2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumで報告されているが、前回と同様のdMMR/MSI-H切除不能大腸がんにおいて1次治療でNIVO+IPIを行った202例と標準治療を行った101例の追加情報が報告された。観察期間中央値は31.6ヵ月と延長したが、PFS中央値でNIVO+IPI群は到達せず、標準治療群は5.9ヵ月(HR:0.21、p<0.0001)とNIVO+IPI群が圧倒的に優れている結果であった。サブ解析でもNIVO+IPI群が肝転移症例、BRAF V600E変異症例、RAS変異症例など、免疫チェックポイント阻害薬の効果が乏しいとされる症例でも良好なHRを認めていた。また、本試験では標準治療群は増悪後NIVO+IPIを試験治療で行うことが可能になっており、今回2次治療までのPFS(PFS2)が報告された。標準治療群では試験治療とそれ以外を合わせて67%の症例がcross overされたが、PFS2中央値でNIVO+IPI群が未到達である一方、標準治療群は29.9ヵ月(HR:0.27)と後治療の実施も含め1次治療でNIVO+IPIを実施する有効性が示された。免疫関連有害事象については一定数認められたが、Grade3以上はいずれも5%以下であり、臨床的には許容できると解釈された。dMMR/MSI-H切除不能大腸がんの1次治療としてNIVO+IPIが重要な選択肢であることが検証されたが、NIVO単剤との比較データは今回報告されておらず、どちらを第1選択にするかの最終判断は、今後の報告を見てからになると考える。4.【大腸がん】PARADIGM試験のバイオマーカー解析(#3507)本邦からもRAS野生型切除不能大腸がんに対してパニツムマブ(Pmab)+mFOLFOX6とベバシズマブ(Bmab)+mFOLFOX6を1対1で比較したランダム化比較試験であるPARADIGM試験のバイオマーカー解析が報告された。治療前と治療後に血漿検体を採取してNGS解析を行った556例のうち、病勢進行(PD)で中止となった276例で治療開始時とPD時のゲノムの変化を解析した。PD症例のOSや増悪後の生存期間(PPS)は両群で差を認めず、PD時のacquired alterationsに注目すると、Pmab群で2つ以上のalterationsが52.4%の症例に認められた一方、Bmab群では43.3%に認められた。Pmab群で2つ以上のalterationsを認めた症例はalterationsを認めなかった症例よりも有意にPPSが短く、Pmab症例において獲得alterationsがPD後の生存に影響している可能性が示された。さらに獲得alterationsをpathwayごとに分けて解析すると、RTK/RAS経路のalterationsを認める症例はPmab群でPPSが不良である一方、CIMPやPI3K経路のalterationsを認める症例はBmab群でPPSが不良な結果であった。RTK/RAS経路とCIMP経路はOSでも同様の結果が認められ、獲得耐性のパターンがレジメンにより異なり、またそれが増悪後の生存に影響する可能性が示唆された。現在の臨床では、治療前後の血漿を用いたNGS解析は実施できないが、科学的には重要な示唆を持つ結果であった。5.【大腸がん】CodeBreaK 300のOSの報告(#LBA3510)CodeBreaK 300試験は前治療のあるKRAS G12C変異結腸直腸がんに対して、ソトラシブ960mg/日+Pmab群、ソトラシブ240mg/日+Pmab群、主治医選択(トリフルリジン・チピラシルまたはレゴラフェニブ)群を1対1対1で比較した第III相試験である。主要評価項目である盲検独立中央判定によるPFSは2つのソトラシブ+Pmab群が主治医選択群よりも有意に優れていることが検証されているが、副次評価項目であるOSの報告が、OSのイベントが50%を超えた今回のタイミングで行われた。症例数からOSの検証はできないが、観察期間中央値13.6ヵ月の段階で2つのソトラシブ+Pmab群が主治医選択群よりも良好な傾向が認められ、有意差はないもののソトラシブ960mg/日+Pmab群はHR:0.70と良好な結果であった。後治療として主治医選択群はその後31%がKRAS G12C阻害薬の治療を受けていた。その他の結果もupdateが報告され、ソトラシブ960mg/日+Pmab群は奏効割合が30%、Duration of Response中央値が10.1ヵ月、PFS中央値の再解析では5.8ヵ月(HR:0.46)の結果であった。これらの結果は、ソトラシブ960mg/日+PmabがKRAS G12C変異大腸がんの新たな選択肢であることを示すものであり、本邦でも今後早期の承認が期待される。6.【直腸がん】切除可能dMMR/MSI-H直腸がんに対するPD-1抗体の医師主導治験の長期治療効果(#LBA3512)スローン・ケタリング記念がんセンターから報告された切除可能dMMR/MSI-H直腸がんに対するdostarlimab(PD-1抗体)の医師主導治験は、14例という少数例の結果であったものの全例に臨床的完全奏効(cCR)が認められるという優れた結果であった。今回さらなる症例集積と治療効果の継続について報告がなされた。今回の報告では48例までの登録がなされており、Lynch症候群の確定検査がなされた41例のうち21例(51%)がLynch症候群の診断であった。またTumor Mutation Burdenの中央値が53.6、BRAF V600E変異が1例に認められた。PD-1抗体薬であるdostarlimabの投与が終わった42例で主要評価項目であるcCRが100%に認められ、観察期間中央値17.9ヵ月の時点で1例も再増悪を認めていなかった。もう1つの主要評価項目である12ヵ月cCRについても26.3ヵ月の観察期間中央値で100%の結果であった。Grade3以上の有害事象は認めず、安全性についても大きな懸念事項は認めなかった。すでにNCCNガイドラインでは、切除可能dMMR/MSI-H直腸がんに対する第1選択は免疫チェックポイント阻害薬6ヵ月となっており、企業主導の検証治験として行われているAZUR-1が進行中である。また本邦でも医師主導治験としてStageI~III直腸がんまでを対象にNIVOの有効性・安全性をみるVOLTAGE-2試験が進行中である。7.【大腸がん】c-Metをターゲットとした新規Antibody-Drug Conjugate(ADC)製剤であるABBV-400の安全性・有効性(#3515)ABBV-400はc-Metをターゲットとした抗体薬であるtelisotuzumabとtopoisomerase-1阻害薬のADC製剤である。BRAF野生型かつMSSの切除不能大腸がんの3次治療以降の症例を対象にdose escalation/expansionが行われた。1.6mg/kg、2.4mg/kg、3.0mg/kgと増量が行われ、Grade3以上の主な有害事象は貧血(35%)、好中球減少(25%)、血小板減少(13%)であった。すべてのGradeで嘔気(57%)、疲労(44%)、嘔吐(39%)が認められた。治療継続期間中央値は4.1ヵ月であり、1.6mg/kgではRelative Dose Intensity(RDI)が100%であったが、3.0mg/kgでは86.5%であった。奏効割合は16%であり、Duration of Response中央値は5.5ヵ月であった。用量が増えるに従って奏効率は上昇し、3.0mg/kgでは24%であった。C-Metタンパクの発現を≧10% 3+をcut offとして検討すると、2.4mg/kg以上で投与された症例のうちcut off以上の症例は奏効割合37.5%、PFS中央値5.4ヵ月と有望な結果であった。2.4mg/kgと3.0mg/kgを比較すると、2.4mg/kgのほうが、RDIが保たれ毒性は許容される結果であった。ABBV-400は大腸がん領域のADC製剤としては有望と考えられており、現在本試験の中でABBV-400とベバシズマブの併用が検討されている。

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高リスク早期TN乳がんに術後アベルマブ1年投与でOS改善、DFSは改善せず(A-BRAVE)/ASCO2024

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における抗PD-L1抗体アベルマブ1年投与の術後補助療法は、観察群と比べ無病生存期間(DFS)を有意に改善しなかったが、全生存期間(OS)を有意に改善した。医師主導で実施された多施設共同無作為化第III相A-BRAVE試験の結果について、イタリア・Padova大学のPierfranco Conte氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。・対象:治癒目的で手術および術前/術後化学療法を完了した高リスクのTNBC A層-手術後、pN1/pT2、pN0-3/pT3-4、pN2-3/any pT B層-術前化学療法後、乳房/腋窩リンパ節に浸潤性残存病変あり・試験群:アベルマブ(10mg/kg静注)を2週ごと52週間投与・対照群:観察・評価項目:[主要評価項目]DFS、B層におけるDFS[副次評価項目]OS、PD-L1陽性例におけるDFS、安全性 主な結果は以下のとおり。・2016年6月~2020年10月にイタリアの64施設および英国の6施設から477例が登録され、無作為に割り付けられた。直後に11例が同意を取り下げたため、アベルマブ群235例、対照群231例で試験開始した。A層はアベルマブ群40例/対照群43例、B層はアベルマブ群195例/対照群が188例だった。・追跡期間中央値52.1ヵ月において、3年DFS率はアベルマブ群が68.3%と対照群63.2%より5.1%増加したが、DFSの有意な改善はみられなかった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.61~1.09、p=0.172)。B層における3年DFS率についても、6.2%増加したが有意な改善はみられなかった(HR:0.80、95%CI:0.58~1.10、p=0.170)。・3年OS率はアベルマブ群が84.8%と対照群76.3%より8.5%増加し、OSの有意な改善が認められた(HR:0.66、95%CI:0.45~0.97、p=0.035)。・事後探索的解析の遠隔無病生存期間(DDFS)において、3年DDFS率がアベルマブ群で7.5%改善し、有意な改善が認められた(HR:0.70、95%CI:0.50~0.96、p=0.0277)。・アベルマブ群における有害事象による投与中止は20例(30.8%)で、そのうち免疫関連有害事象による投与中止は17例だった。 Conte氏は、「遠隔転移リスクが30%減少し、死亡リスクが34%減少したことから、術前療法後に浸潤性残存病変あり、もしくは術後に高リスクの早期TNBC患者において、アベルマブが役割を有する可能性が示唆される」とまとめた。

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aggressive ATLに対する同種造血幹細胞移植の有効性(JCOG0907)/ASCO2024

 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)のうち、急性型、リンパ腫型、予後不良因子を有する慢性型のATL(aggressive ATL)は予後不良で、化学療法による生存期間中央値は約1年と報告されている。一方、aggressive ATLへの同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)による3年全生存割合(OS)は約40%とされるが、その多くが後ろ向き解析に基づくものである。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)では、aggressive ATLに対するallo-HSCTの有効性と安全性を検証するため、第III相単群検証的試験(JCOG0907)を実施。琉球大学の福島 卓也氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で結果を発表した。・対象:allo-HSCTの実施に前向きな、未治療のaggressive ATL患者(血清抗HTLV-I抗体陽性、≦65歳[試験開始時は≦55歳に対する骨髄破壊的移植(MAST)のみであったが、2014 年9月にプロトコルを改訂し56~65歳に対する骨髄非破壊的移植(RIST)を組み込んだ]、ECOG PS≦3、十分な臓器機能を維持、中枢神経系浸潤なし)・治療プロトコル:1)導入化学療法(VCAP/AMP/VECP 療法※2014年9月に一時的にモガムリズマブ併用も可としたがその後不可とした)2)allo-HSCT[血縁ドナー]MAST:ブスルファン12.8mg/kg+シクロホスファミド120mg/kg、GVHD予防(シクロスポリン+short termメトトレキサート[sMTX])RIST:ブスルファン12.8mg/kg+フルダラビン180mg/m2、GVHD予防(シクロスポリン)[非血縁ドナー]MAST:全身放射線照射(12Gy)+シクロホスファミド120mg/kg、GVHD予防(タクロリムス+sMTX)RIST:ブスルファン+フルダラビン+全身放射線照射(2Gy)、GVHD予防(タクロリムス+sMTX)・評価項目:[主要評価項目]全登録患者における3年OS 主な結果は以下のとおり。・2010年9月~2020年6月に、110 例(急性型72例、リンパ腫型27例、予後不良因子を有する慢性型9例、予後不良因子のない慢性型1例、ホジキンリンパ腫1例)が登録された。年齢中央値は55(33~65)歳、男性/女性=54/56例、PS 0/1/2/3=56/49/3/2例であった。・何らかのallo-HSCTを受けた全92例の患者のうち、試験治療としてのallo-HSCT実施は41例(MAST 19例/RIST 22例、血縁12例/非血縁29例[試験移植群])、後治療としてのallo-HSCT実施は51例(MAST11例/RIST40例、血縁11例/非血縁15例/臍帯血25例[非試験移植群])で、後者のうち 35例が初回寛解中、16例が進行/再発後のallo-HSCT 実施であった。・登録された110例の3年OSは44.0%(90%信頼区間[CI]:36.0~51.6)で、目標とする閾値(両側90%CIの下限値25%)を上回り主要評価項目は達成された。・移植実施までの期間中央値は、試験移植群4.7ヵ月、非試験移植群4.3ヵ月で、両群に差を認めなかった。・年齢とPSで調整し、移植実施の有無を時間依存共変量とした多変量解析によるOSハザード比は、試験移植群vs.非試験移植群が0.92(95%CI:0.55~1.51)で試験移植群に延命効果を認めなかったが、upfront移植(試験移植群と非試験移植群のうち初回寛解中の移植実施例)vs.移植非実施群が0.65(0.33~1.31)で、upfront allo-HSCTは延命効果を示した。・ドナーソース別にみたOSハザード比は、非血縁vs.血縁が0.94(95%CI:0.49~1.79)、臍帯血vs.血縁が1.20(0.59~2.46)で、ドナーソース間で生存に有意差を認めなかった。・試験移植群41例のうち、治療関連死は血縁者間移植16.7%、非血縁者間移植20.7%で、一時的に試験中止とする基準を下回った。死亡全70例の死因は、原病34例、試験移植関連9例、非試験移植関連21例、その他の疾患6例であった。 福島氏は、未治療のaggressive ATLに対するallo-HSCT について、本試験で採用した移植法は延命効果が明確でなかったが、初回寛解時にできる限り早期に移植を実施する治療戦略であるupfront allo-HSCTは推奨されると結論付けた。

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切除可能なdMMR大腸がん、ニボルマブ+イピリムマブ術前補助療法が有用/NEJM

 ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の局所進行大腸がん患者において、ニボルマブ+イピリムマブによる術前補助療法の忍容性および安全性は良好であり、高い病理学的奏効を得られたことが、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMyriam Chalabi氏らによる第II相多施設共同単群試験「NICHE-2試験」の結果で示された。dMMR腫瘍は、転移のない大腸がん患者の10~15%に認められ、化学療法の有効性は限られている。小規模なNICHE試験でニボルマブ+イピリムマブによる術前補助療法の有用性が示唆されていたが、さらに多くの症例において有効性と安全性を検討する目的でNICHE-2試験が行われた。NEJM誌2024年6月6日号掲載の報告。計115例を対象に安全性と3年無病生存率を評価 研究グループは、未治療で遠隔転移のない切除可能な局所進行dMMR直腸腺がんで、最初のNICHE試験ではStageI~III、2020年10月のプロトコール改訂後のNICHE-2試験ではcT3以上かつ/またはN+の18歳以上の患者を登録し、1日目にイピリムマブ1mg/kgとニボルマブ3mg/kgを、15日目にニボルマブ3mg/kgを投与した後、試験登録後6週間以内に手術を行うこととした。 主要評価項目は、適時手術(治療関連有害事象による手術の遅延が2週間以内)で定義された安全性および3年無病生存率(DFS)、副次評価項目は病理学的奏効とゲノム解析であった。 本報告では、NICHE試験に登録された32例、およびNICHE-2試験に登録された83例を合わせた115例(登録期間2017年7月4日~2022年7月18日)の解析結果が示されている。手術遅延なしが98%、病理学的著効が95%、病理学的完全奏効が68% 115例の患者背景は、年齢中央値60歳(範囲:20~82)、58%が女性、67%がStageIII、64%がcT4であった。 適時手術が行われた患者は、115例中113例(98%、97.5%信頼区間[CI]:93~100)で、2週間以上の手術遅延に至った治療関連有害事象は2例(2%)のみであった。免疫関連有害事象は全Gradeで73例(63%)、Grade3または4が5例(4%)に発現したが、治療中止に至った有害事象は認められなかった。 有効性解析対象111例のうち、109例(98%、95%CI:94~100)に病理学的奏効が認められた。105例(95%)が病理学的著効(MPR:残存腫瘍が10%以下と定義)、75例(68%)が病理学的完全奏効(pCR:原発巣およびリンパ節のいずれも残存腫瘍なし)であった。 追跡期間中央値26.2ヵ月(範囲:9.1~65.3)時点で、再発は認められなかった。追跡期間が3年を超えた37例は、全例、無病のままである。 なお著者は研究の限界として、大腸がんの放射線学的Stage判定は不正確であることが多く、過剰治療につながる可能性があることなどを挙げている。

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治療の選択肢の提示【医療訴訟の争点】第1回

症例肝細胞がん患者に対する治療法(肝切除 or シスプラチンの肝動注化学療法[ Transhepatic Arterial Infusion:TAI])の選択について、“どこまで説明をすべきか”という「説明義務違反」が争われた東京地裁平成26年11月27日判決(診療時は平成18年)を紹介する。争点は多岐にわたるが、治療法の選択肢の説明の点に絞ることとする。<登場人物>患者77歳・女性平成7年以降、肥満症、高血圧症で継続的に被告病院を受診し、血液検査を実施していた。原告患者の子被告大学附属病院、担当医(消化器内科医)事案の概要は以下の通りである。平成18年6月被告病院での血液検査で、γ-GTP高値を指摘された。受診時、左季肋部痛と心窩部圧痛の訴えあり。7月被告病院にて腹部エコー検査と腹部造影CT検査を受け、肝左葉S3に径約14×7cmの巨大腫瘍を認め、肝細胞がんの疑いとなった。8月8日被告病院におけるカンファレンスにて、シスプラチンのTAIが最適と判断され、治療法につき患者と家族に説明がなされた。8月9日消化器内科にてシスプラチンのTAI施行。治療時の腫瘍径は17cmであった。8月15日腹部造影CT検査にて、腫瘍径の増大(20×11cm)がみられた。8月18日消化器内科から消化器外科へ院内紹介され、肝切除術を行う方針となった。9月4日肝切除術施行。11月22日腹部造影CT検査にて、残肝に門脈腫瘍栓を伴う多発再発巣がみられた。以降、他院にて放射線療法や肝動脈化学塞栓術(TACE)を受けるも、平成19年4月27日に死亡した。実際の裁判結果裁判所は、治療の選択肢の説明義務違反につき、シスプラチンのTAIは確立した治療法ではなく、臨床的にも本件のような巨大な肝細胞がんに対する奏効率は低いこと、直ちに肝切除を実施する治療方針も十分に採り得たことなどを指摘した。そして裁判所は、医師らは「治療方針を説明した際、直ちに肝切除するという治療方針も採り得ることを説明すべき義務を負っていた…(中略)シスプラチンのTAIを施行するとその作用によって肝切除を行うまでに4~6週間の間隔を空けなければならないことについても説明すべき義務を負っていた」として、この点を説明していなかったことに対して、説明義務違反(慰謝料200万円)を認めた。なお、“直ちに肝切除をしなかったことが注意義務違反に当たるか”については、裁判所は、「腫瘍径の大きさなどからすれば、平成18年7月31日の時点で肝内転移や門脈侵襲を起こしていた可能性が相当高く…(中略)同日の時点で直ちに肝切除を行うという方針を採っても、その後早期に再発することが予想され、肝切除による予後の改善はほとんど期待し難いものと判断される状況にあった」と指摘し、「早期に肝切除をすること自体にどれほどの意義があったかについては疑問を持たざるを得ない」として注意義務違反はないと判断した。注意ポイント解説本件は、肝切除やシスプラチンのTAIといった複数の治療選択肢があった。当時、一般的に肝切除が行われていた一方で、シスプラチンのTAIは有効性を示すエビデンスが乏しく、診療ガイドラインや学会編集の診療マニュアルでも積極的に推奨されているものではなかった。このような中、直ちに肝切除するという治療法の選択肢が説明されておらず、また、シスプラチンのTAIを施行すると肝切除を行うまでに4~6週間の間隔を空ける必要がある、という医師の提示した治療法に付随する制約の説明もされていなかった。このため、これらの説明がなされていた場合には、患者が肝切除を選択することも合理的と考えられたことから、治療法の選択に関する患者の自己決定権を奪ったと判断された。治療法の有効性や安全性は時代と共に評価が変化しうるが、選択可能な治療法が複数存在する場合(とくに、一般的に行われている治療法と異なる治療法を勧める場合や、ガイドラインなどにおける治療法判断のアルゴリズムの当てはめに疑義が生じうる場合)においては、患者が、医師が最適と判断した治療法とは別の治療法を希望する可能性があることから、別の治療法についても患者に提示し、それぞれの治療法のメリットとデメリットなどを説明することが必要である。医療者の視点医師は最新の治療法に関する知識を常時アップデートする必要があります。また、限られた勤務時間の中で十分な説明を行うことは難儀です。しかし、複数の治療選択肢がある以上、医師は各治療法の特徴を熟知した上で、推奨する治療法以外についても患者に説明をしなければならないことを再認識しましょう。昨今では、医療者でなくても各種ガイドラインに容易にアクセス可能となりました。医師が推奨した治療方針とガイドラインとの間で齟齬がある場合、トラブルに繋がる可能性がある点にも留意しましょう。Take home message複数の治療選択肢が存在する症例では、各治療法のメリットやデメリットを患者に提示する必要がある。キーワード説明義務違反とは…患者の自己決定権の尊重の見地から、医師は、患者に対し、“治療方法などについて患者が自己決定するための情報(患者の状態、考え得る治療の選択肢とそのメリット・デメリット等)を説明する義務”を負う。医師がこの説明義務を怠った場合には、患者の自己決定権を侵害したものとして、これにより生じた損害を賠償する責任を負うこととなる。なお、医師の説明義務違反が問われる多くは上記のような“治療法の選択に関する説明”であるが、このほかにも“療養方法の指導としての説明”や“治療等が終了した場合の説明”の適否が争われることもあるので、この点も注意を要する。

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早期乳がん術前Dato-DXd+デュルバルマブ、33%が化学療法をスキップ可(I-SPY2.2)/ASCO2024

 70遺伝子シグネチャー(MammaPrint)で高リスクのStageII/IIIの早期乳がんの術前療法として、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)+デュルバルマブ併用療法を4サイクル投与した第II相I-SPY2.2試験の結果、33%の患者が化学療法を行わずに手術が可能となったことを、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRebecca A. Shatsky氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。 I-SPY2.2試験は、高リスク早期乳がんの術前療法を評価する多施設共同第II相プラットフォーム連続多段階ランダム割付試験(Sequential Multiple Assignment Randomized Trials:SMART)※で、患者が最大の病理学的完全奏効(pCR)を得るための個別化医療を提供することを目的としている。ブロックAでDato-DXd+デュルバルマブを4サイクル投与し、MRIと生検でpCRが予測された場合は早期に手術を受けることができ、予測されない場合は化学療法や標的療法を行うブロックB/Cに進む。今回は、ブロックAの結果が報告された。※連続多段階ランダム割付試験:連続する多段階のランダム割り付けを通して、一連の動的治療計画を立てるためのデザイン 患者(すべてHER2-)は、免疫反応、DNA修復不全(DRD)、ホルモン受容体の状況に基づいて、(1)HR陽性/免疫陰性/DRD陰性、(2)HR陰性/免疫陰性/DRD陰性、(3)免疫陽性、(4)免疫陰性/DRD陽性、(5)HR+、(6)HR-の6つの腫瘍反応予測サブタイプ(RPS)に分類された。主要評価項目はpCRの達成であった。 主な結果は以下のとおり。・2022年9月~2023年8月に106例がブロックAに登録された。年齢中央値は50.0歳(範囲:25.0~77.0)、HR-が60.4%であった。・ブロックA終了後、33%(35例)が化学療法を受けることなく早期に手術に進むことができた。・Dato-DXd+デュルバルマブ治療後のRPS分類によるpCR率(95%信頼区間)と事前に設定された閾値は下記のとおり。 (1)HR陽性/免疫陰性/DRD陰性(25例):3%(0~7)、閾値15% (2)HR陰性/免疫陰性/DRD陰性(23例):13%(3~23)、閾値15% (3)免疫陽性(47例):65%(47~83)、閾値40% (4)免疫陰性/DRD陽性(11例):24%(4~44)、閾値40% (5)HR+(42例):18%(6~30)、閾値15% (6)HR-(64例):44%(32~56)、閾値40%・(3)の免疫陽性のサブタイプ(HR+もHR-も含む)のみが第III相試験へ進むための「卒業」の閾値に到達した。・安全性プロファイルは既知のものと同様であった。多く発現した有害事象(AE)は、悪心、口内炎、疲労、発疹、便秘、脱毛などで、Grade3以上のAEはまれであった。間質性肺疾患は1例に発現した。

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早期子宮体がんへのホルモン療法、40歳未満では全摘術と長期予後に差がない可能性/ASCO2024

 子宮体がんの罹患者が増加し、女性の出産年齢の高年齢化が進む中で、妊孕性を温存するためにホルモン療法への関心が高まっているが、長期予後に関するデータは限られている。米国のNational Cancer Database(NCDB)登録データを用いて、ホルモン療法と子宮全摘術の長期予後を比較した後ろ向き解析結果を、米国・コロンビア大学の鈴木 幸雄氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で報告した。・対象:NCDBに登録された、18~49歳、臨床病期I、Grade1~2で、1次治療としてホルモン療法あるいは子宮全摘術を受けた早期子宮体がん患者(ホルモン療法あるいは子宮全摘術前に放射線療法あるいは化学療法を受けている患者は除外)・評価項目:ホルモン療法の使用傾向(全体集団:1万5,849例)、生存期間(傾向スコアマッチングコホート:2,078例) 主な結果は以下のとおり。・2004~20年に診断され、1次治療としてホルモン療法を受けた1,187例(7.5%)、子宮全摘術を受けた1万4,662例(92.5%)の、計1万5,849例の患者が特定された。・ホルモン療法の使用は、2004年の5.2%から2020年には13.8%に増加した(p<0.0001)多変量モデルでは、年齢の若さ、診断年の新しさ、非白人、腫瘍悪性度の低さ、臨床病期早期がホルモン療法の使用と関連していた(すべてp<0.05)。・診断時の年齢、人種、診断年、臨床病期、腫瘍悪性度などを共変量とした傾向スコアマッチング後の2,078例を対象として、1次治療としてホルモン療法を受けた患者と子宮全摘術を受けた患者の予後が比較された。・2年生存率はホルモン療法群98.6% vs.子宮全摘術群99.4%、5年生存率は96.8% vs.98.5%、10年生存率は92.7% vs.96.8%で子宮全摘術群で有意に高かった(ハザード比[HR]:1.84、95%信頼区間[CI]:1.06~3.21)。・年齢別にみると、40~49歳では2年生存率は96.0% vs.100.0%、5年生存率は90.4% vs.99.4%、10年生存率は79.1% vs.97.1%で子宮全摘術群で有意に高かった(HR:4.94、95%CI:1.89~12.91)。一方で40歳未満では、2年生存率は99.2% vs.99.4%、5年生存率は98.2% vs.98.5%、10年生存率は95.6% vs.96.5%で両群の差はみられなかった。・臨床病期および腫瘍悪性度別に層別化したサブグループ解析の結果、ホルモン療法と子宮全摘術の予後に有意な差はみられなかった。 鈴木氏は、ホルモン療法の適応が不明であることや、がん特異的生存をみているわけではないことなど本研究の限界を挙げたうえで、40歳未満ではホルモン療法と子宮全摘術の10年生存率に差はみられず、一方で40~49歳ではホルモン療法の予後は不良であったとまとめている。

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