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乳房温存術後の局所再発率、70遺伝子シグネチャーで予測可能か(MINDACT)/JCO

 乳房温存手術を受けた早期乳がん患者の局所再発リスクは、70遺伝子シグネチャー(MammaPrint)によるリスクと独立して関連しないことが、EORTC 10041/BIG 03-04 MINDACT試験の探索的サブ解析で示された。また、術後8年間の局所再発率は3.2%と推定された。オランダ・Netherlands Cancer Institute-Antoni van Leeuwenhoek HospitalのSena Alaeikhanehshir氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年1月19日号で報告。 本解析は、EORTC 10041/BIG 03-04 MINDACT試験において、乳房温存手術を受け、臨床的リスクおよび70遺伝子シグネチャーによるリスクが判明している女性を評価した。主要評価項目は累積発生率で推定した8年の局所再発率だった。 主な結果は以下のとおり。・登録患者6,693例中5,470例(81.7%)が乳房温存手術を受け、そのうち98%が放射線治療を受けていた。・8年間で189例に局所再発が発生し、8年累積発生率は3.2%(95%信頼区間[CI]:2.7~3.7)であった。・70遺伝子シグネチャーによる低リスク患者における8年累積発生率は2.7%(95%CI:2.1~3.3)であった。・単変量解析では、化学療法で調整後、12変数のうち70遺伝子シグネチャーを含む5変数が局所再発と関連した。多変量解析では、術後内分泌療法、腫瘍径、悪性度と関連していた。 著者らは「この探索的解析では、局所再発イベント数が少なかったためか、70遺伝子シグネチャーは独立して局所再発を予測するものではなく、現在のところ、局所再発に関する臨床的意思決定には使用できない」とした。

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固形がん治療での制吐療法、オランザピン2.5mgが10mgに非劣性/Lancet Oncol

 オランザピンは効果的な制吐薬であるが、日中の傾眠を引き起こす。インド・Tata Memorial CentreのJyoti Bajpai氏らは、固形がん患者における催吐性の高い化学療法後の低用量オランザピン(2.5mg)と標準用量オランザピン(10mg)の有効性を比較することを目的に、単施設無作為化対照非盲検非劣性試験を実施。結果をLancet Oncology誌2024年2月号に報告した。 本試験はインドの3次医療施設で実施され、固形がんに対しドキソルビシン+シクロホスファミドまたは高用量シスプラチン投与を受けているECOG PS 0~2の13~75歳が対象。患者はブロックランダム化法(ブロックサイズ2または4)により2.5mg群(1日1回2.5mgを4日間経口投与)または10mg群(1日1回10mgを4日間経口投与)に1:1の割合で無作為に割り付けられ、性別、年齢(55歳以上または55歳未満)、および化学療法レジメンによって層別化された。研究スタッフは治療の割り当てを知らされていなかったが、患者は認識していた。 主要評価項目は、修正intent-to-treat(mITT)集団における全期間中(0~120時間)の完全制御(催吐エピソードなし、制吐薬追加なし、悪心なしまたは軽度の悪心で定義)。日中の傾眠は関心のある安全性評価項目とされた。非劣性は治療群間における完全制御割合の差の片側95%信頼区間(CI)の上限値が非劣性マージン10%未満の場合と定義された。 主な結果は以下のとおり。・2021年2月9日~2023年5月30日に、356例が適格性について事前スクリーニングを受け、うち275例が登録され、両群に無作為に割り付けられた(2.5mg群:134例、10mg群:141例)。・267例(2.5mg群:132例、10mg群:135例)がmITT集団に含まれ、うち252例(94%)が女性、242例(91%)が乳がん患者であった。・2.5mg群では132例中59例(45%)、10mg群では135例中59例(44%)が全期間において完全制御を示した(群間差:-1.0%、片側95%CI:-100.0~9.0、p=0.87)。・全期間において、2.5mg群では10mg群に比べ、Gradeを問わず日中の傾眠が認められた患者(65% vs.90%、p<0.0001)および1日目に重篤な傾眠が認められた患者(5% vs.40%、p<0.0001)が有意に少なかった。 著者らは、催吐性の高い化学療法を受けている患者においてオランザピン2.5mgは10mgと比較して制吐効果が非劣性で、日中の傾眠を減少させることが示唆されたとし、新たな標準治療として考慮されるべきとしている。

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CAR-T療法ide-cel、多発性骨髄腫の早期治療に承認の意義/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2023年12月に同社のCAR-T細胞療法イデカブタゲン ビクルユーセル(ide-cel、商品名:アベクマ)が、再発または難治性の多発性骨髄腫の早期治療に承認されたことを受け、2024年1月31日にメディア向けプレスセミナーを開催した。セミナーでは日本赤十字社医療センター・血液内科の石田 禎夫氏が「早期ラインとしての CAR-T 細胞療法(アベクマ)が多発性骨髄腫(MM)の治療にもたらすもの」と題した講演を行い、新たな承認が臨床に与える意味について解説した。 多発性骨髄腫は抗体を産生する形質細胞ががん化し、骨病変、腎障害、免疫不全などを引き起こす疾患。10万人当たり6.2人(2017年)が罹患、高齢者に多い疾患で、高齢化に伴い患者数は増加傾向にある。 多発性骨髄腫の治療戦略は、65歳未満の初発患者は化学療法+自家造血幹細胞移植となり、65歳以上や移植不適患者、再発時には複数薬剤を併用する化学療法の適応となる。2次治療以降に使われる薬剤は、大きく分けてプロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗体薬、HDAC阻害薬があり、これらにステロイド薬デキサメタゾンを組み合わせ、3剤にして投与するレジメンが主流となっている。承認されているレジメンは複数あり、これまで多発性骨髄腫治療におけるCAR-T療法の承認は、これらの薬剤クラスの組み合わせがすべて不適となった4次治療以降だった。 今回の3次治療における承認は、第III相KarMMa-3試験の中間解析結果に基づいたもの。同試験はプロテアソーム阻害薬、免疫調整薬、抗CD38モノクローナル抗体を含む2~4レジメンの前治療歴を有する患者を対象とし、ide-celと標準療法の有用性を比較した。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、ide-cel群13.3ヵ月に対し標準療法群4.4ヵ月と、ide-cel群でPFSの有意な延長が認められ、かつ新たな安全性シグナルは認められなかった。 石田氏は「CAR-T療法は自身のT細胞を使うオーダーメードの治療法であり、投与までに2ヵ月ほどかかる。進行の速い患者さんでは手遅れになることもあり、早期段階で使えることには大きな意味がある。また、大量化学療法を受けて疲弊する前のリンパ球を使えることもメリットだ」とした。さらに「CAR-T療法が奏効した場合は、治療を停止することが可能となり、標準療法と比較して患者のQOLが上がることも大きな利点となる」と説明した。 今後、造血器腫瘍において広がりが見込まれる新規薬剤BiTE抗体(二重特異性T細胞誘導抗体)とCAR-T療法の使い分けについては、「BiTE抗体薬の作用機序として投与後に抗体が変異し、その後にCAR-T療法を行っても意味をなさない可能性がある。よってCAR-T療法を優先し、治療抵抗となったらBiTE抗体薬にスイッチする戦略が現実的ではないか」とした。

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TN乳がんの治療薬SG、日本での製造販売承認を申請/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは、2024年1月30日付のプレスリリースで、全身療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性かつHER2陰性(HR-/HER2-)乳がん治療薬として開発を進めている抗体薬物複合体(ADC)sacituzumab govitecan(SG)について、同日に日本における製造販売承認申請を行ったと発表した。 HR-/HER2-(IHCスコア0、IHCスコア1+またはIHCスコア2+/ISH陰性)乳がん(トリプルネガティブ乳がん)は、最も悪性度の高いタイプの乳がんで、乳がん全体の約10%を占めるといわれている。HR-/HER2-乳がんの細胞は、エストロゲンとプロゲステロンの受容体の発現がなく、HER2の発現も限定的もしくはまったく認められない。HR-/HER2-乳がんはその性質上、他の乳がんに比べて有効な治療法がきわめて限られており、再発や転移の可能性が高く、他の乳がんにおける転移・再発までの平均期間が5年であるのに対し、HR-/HER2-乳がんでは約2.6年、5年生存率は、一般的な再発乳がんの女性においては28%、HR-/HER2-再発乳がんにおいては12%とされている。 SGは、90%以上の乳がんを含む複数のがん種で高発現する細胞表面抗原であるTrop-2蛋白を標的とするADCである。Trop-2が発現したがん細胞に取り込まれると、トポイソメラーゼI阻害薬であるSN-38を直接届けるとともに、バイスタンダー効果により周辺のがん細胞のDNAにも作用し、がん細胞を死滅させる。 今回の承認申請は、2つ以上の化学療法レジメンによる前治療後に再発した切除不能な局所進行または転移・再発のHR-/HER2-乳がん患者を対象に海外で実施した第III相試験(ASCENT試験)および国内第II相臨床試験(ASCENT-J02試験)の結果に基づく。

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切除可能III期NSCLC、toripalimab併用で無イベント生存期間が改善/JAMA

 切除可能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療では、周術期の化学療法にtoripalimab(プログラム細胞死タンパク質1のヒト化IgG4Kモノクローナル抗体)を追加すると、化学療法単独と比較して、無イベント生存期間が有意に改善し、安全性プロファイルは管理可能であることが、中国・上海交通大学のShun Lu氏らが実施した「Neotorch試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年1月16日号に掲載された。中国50施設の無作為化プラセボ対照第III相試験 Neotorch試験は、中国の50施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2020年3月12日~2023年6月19日に参加者を登録した(中国・Shanghai Junshi Biosciencesの助成を受けた)。 年齢18~70歳、切除可能なStageII/IIIのNSCLC患者(非扁平上皮がんの場合はEGFRまたはALK遺伝子変異のない患者)を、術前補助療法として担当医が選択したプラチナ製剤ベースの化学療法(3サイクル)との併用で3週ごとにtoripalimab(240mg)またはプラセボを投与し、術後補助療法として同レジメンを1サイクル施行した後、維持療法として3週ごとにtoripalimab(240mg)単独またはプラセボを最長で13サイクル投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。病理学的奏効率も優れる 今回の中間解析(データカットオフ日:2022年11月30日)では、StageIIを除外したStageIIIのNSCLC患者404例(年齢中央値62歳、男性92%)を対象とした(toripalimab群202例、プラセボ群202例)。 主要評価項目である無イベント生存期間中央値は、プラセボ群が15.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:10.6~21.9)であったのに対し、toripalimab群は評価不能(NE)(95%CI:24.4~NE)であったが、統計学的に有意に優れた(ハザード比[HR]:0.40、95%CI:0.28~0.57、p<0.001)。 もう1つの主要評価項目である病理学的奏効(major pathological response、腫瘍床の生存腫瘍細胞が10%以下)の割合は、プラセボ群が8.4%(95%CI:5.0~13.1)であったのに比べ、toripalimab群は48.5%(41.4~55.6)と有意に高率であった(群間差:40.2%、95%CI:32.2~48.1、p<0.001)。予期せぬ治療関連毒性は認めない 副次評価項目である全生存期間中央値(NE vs.30.4ヵ月、HR:0.62、95%CI:0.38~1.00、p=0.05)、独立病理評価委員会の盲検下の判定による病理学的完全奏効(24.8% vs.1.0%、群間差:23.7%、95%CI:17.6~29.8、p<0.001)、担当医判定による手術を受けた患者の無病生存期間中央値(NE vs.19.3ヵ月、HR:0.50、95%CI:0.33~0.76、p<0.001)は、いずれもtoripalimab群で優れた。 試験期間中のGrade3以上の治療関連有害事象(toripalimab群63.4% vs.プラセボ群54.0%)、投与中止をもたらした治療関連有害事象(9.4% vs.7.4%)、致死的な有害事象(3.0% vs.2.0%)の発現率は両群で同程度であった。また、投与中止をもたらした有害事象(28.2% vs.14.4%)、免疫関連有害事象(42.1% vs.22.8%)はtoripalimab群で頻度が高かった。予期せぬ治療関連毒性は認めなかった。 著者は、「併用療法は、根治手術の割合が高く、R0切除率には影響を与えず、手術関連有害事象を増加させなかった」とし、「これらの知見は、切除可能なStageIIIのNSCLCに対する新たな治療選択肢として、toripalimabとプラチナ製剤ベースの化学療法との併用を支持するものである」と指摘している。

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膵がん患者に合併する静脈血栓塞栓症への対応法【見落とさない!がんの心毒性】第28回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別60代・女性既往歴虫垂炎術後服用歴テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(ティーエスワン配合OD錠T20)(2錠分2 朝夕食後)、クエン酸第一鉄Na錠50mg(1錠分1 朝食後)、ランソプラゾールOD錠15(1錠分1 朝食後)喫煙歴なし現病歴X年10月に食欲不振と食後嘔吐を主訴に消化器内科を受診した。腹部骨盤部造影CTで十二指腸水平脚の圧排を伴う膵鈎部がんおよび多発肝転移を認め、上部消化管内視鏡で十二指腸水平脚に腫瘍の直接浸潤に伴う潰瘍性病変を認めた(写真1、2)。画像を拡大する進行膵鈎部がん(T4,N1,M1 StageIVb)と診断し、十二指腸ステントを挿入し、同年11月に化学療法(ゲムシタビン[GEM]単剤)を開始した。その後、食欲は改善し、同年12月に退院した。外来で同化学療法計4クールを施行したが、X+1年3月にはPD判定となり、同月よりTS-1単剤での化学療法に変更となった(Performance Status[PS]3)。同年5月に、突然の呼吸困難を主訴に救急外来を受診し、バイタルは体温36.5℃、脈拍数111/分、血圧93/56mmHg、SpO2 94%(室内気)で、左下腿浮腫を認めた。血液検査でDダイマー46μg/mL、BNP 217pg/mLと上昇し、心エコー図検査で右室拡大によるD-shapeを認めた。造影CTで両側肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)、両下肢深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)と診断し、入院となった(写真3)。画像を拡大する循環器内科と連携し、入院時Hb 8.3mg/dLと貧血を認めたことから、出血リスクを考慮し、未分画ヘパリン10,000単位/日の低用量で抗凝固療法を開始した。入院2日目に明らかな吐下血は認めなかったものの、Hb 6.7mg/dLと貧血の悪化を認めた。【問題】下記のうち、この患者の静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)管理の方針や膵がん患者に合併するVTEに関する文章として正しいものはどれか。a.日本において膵がん患者におけるVTE予防目的に、低分子ヘパリン(LMWH)皮下注や直接経口抗凝固薬(DOAC)の予防投与が保険承認されている。b.本症例におけるVTEの初期治療として、DOAC単剤による抗凝固療法がより適切である。c.本症例では抗凝固療法の開始後、貧血の悪化を認めたが、明らかな出血事象が確認されない限り、抗凝固療法は継続すべきである。d.進行膵がんは診断後、3ヵ月以内のVTE発症が多く、定期的なDダイマー測定がVTEの診断に有用である。まとめ膵がん患者では予防的抗凝固療法による生存期間延長の利益について、一定の見解は得られていない。自施設の日本人の膵がん患者432名を対象とした検討では、膵がん診断後の生存期間は、VTE群と非VTE群で有意差はなかった。膵がん自体の予後が不良で、VTEの発症は予後悪化に寄与しない可能性がある5)。しかし、VTEはひとたび発症すると致命的な病態となり得ることや、他臓器のがんではVTE発症により生存期間が短縮するという研究が多いため、今後、膵がん治療・患者管理の進歩により、VTE発症の生命予後への影響が明確化する可能性ある。1)Khorana AA, et al. Cancer. 2013;119:648-655.2)Schunemann HJ, et al. Lancet Haematol. 2020;7:e746-755.3)Wang Y, et al. Hematology. 2020;25:63-70.4)Maraveyas A, et al. Eur J Cancer. 2012;48:1283-1292.5)Suzuki T, et al. Clin Appl Thromb Hemost. 2021;27:1-6.講師紹介

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PARP阻害薬タラゾパリブ、BRCA変異陽性乳がん、前立腺がんに承認/ファイザー

 ファイザーは2024年1月18日、PARP阻害薬タラゾパリブ(商品名:ターゼナ)について、同剤の単剤療法による「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」、および同剤とエンザルタミドとの併用による「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」の治療薬として、国内における製造販売承認を取得した。  今回の承認は、乳がんについての海外第III相試験(EMBRACA試験)および国内第I相試験の結果等、前立腺がんについては国際共同第III相試験(TALAPRO-2試験の結果等に基づいている。 EMBRACA試験は、化学療法歴がある生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性の転移を有する乳がんを対象に、同剤と化学療法を比較する第III相非盲検無作為化並行2群多施設共同試験である。タラゾパリブ群は化学療法群と比較して、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)の延長を示し、忍容性は良好であった。  TALAPRO-2試験は、全身治療歴がない転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(相同組換え修復遺伝子変異の有無を問わず)を対象に、同剤とエンザルタミドの併用を評価する第III相二重盲検無作為化プラセボ対照多施設共同試験である。同剤とエンザルタミド併用群は、エンザルタミド群と比較して、主要評価項目の画像診断に基づくPFSの延長を示した。

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プラチナ治療歴のある進行TN乳がんの維持療法、オラパリブ±デュルバルマブが有効(DORA)

 プラチナ製剤ベースの化学療法に感受性のある進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する維持療法として、オラパリブ±デュルバルマブの有効性を検討した第II相DORA試験において、デュルバルマブ併用/非併用のいずれの群も化学療法による維持療法のヒストリカルコントロールより無増悪生存期間(PFS)が長く、BRCA野生型プラチナ製剤感受性の進行TNBCの患者集団において、化学療法なしの維持療法で持続的な病勢コントロールが可能なことが示唆された。シンガポール・国立がんセンターのTira J. Tan氏らがClinical Cancer Research誌オンライン版2024年1月18日号で報告した。 本試験は国際多施設第II相試験で、プラチナ製剤ベースの化学療法による1次治療もしくは2次治療で病勢安定(SD)持続または完全/部分奏効(CR/PR)が得られたTNBC(エストロゲン/プロゲステロン受容体発現率10%以下)患者を対象とし、オラパリブ単独群(オラパリブ300mg1日2回)とデュルバルマブ併用群(4週ごとにデュルバルマブ1,500mgを併用)に1:1で無作為に割り付けた。主要評価項目はPFSで、化学療法を継続するヒストリカルコントロールと比較した。 主な結果は以下のとおり。・計45例をオラパリブ単独群23例、デュルバルマブ併用群22例に無作為に割り付けた。・追跡期間中央値9.8ヵ月の時点で、無作為化からのPFS中央値はオラパリブ単独群で4.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:2.6~6.1)、デュルバルマブ併用群で6.1ヵ月(同:3.7~10.1)であり、いずれもヒストリカルコントロールより有意に長かった(順にp=0.0023、p<0.0001)。・臨床的有用率(SDが24週以上またはCR/PR)は、オラパリブ単独群で44%(95%CI:23~66)、デュルバルマブ併用群で36%(同:17~59)であった。・生殖細胞系列BRCA遺伝子変異やPD-L1発現にかかわらず、持続的な臨床的有用性が認められ、とくにオラパリブ単独群ではプラチナ製剤の前治療に対するCR/PRと関連する傾向がみられた。・安全性に関する新たなシグナルは報告されなかった。

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ROS1融合遺伝子陽性NSCLC、repotrectinibが有望/NEJM

 ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、repotrectinibはROS1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療歴を問わず、持続的な臨床活性を示したことが、米国・スローンケターリング記念がんセンターのAlexander Drilon氏らが行った第I/II相試験(「TRIDENT-1試験」)で示された。有害事象は主にグレードが低く、長期の投与に適するものであった。ROS1融合遺伝子陽性NSCLCの治療に承認されている初期世代のROS1 TKIは、抗腫瘍活性を有するが、耐性が生じ、頭蓋内活性が最適とはいえない。repotrectinibは、前臨床試験においてROS1 G2032Rなどの耐性変異を含むROS1融合遺伝子陽性がんに対する活性が示された次世代のROS1 TKIであり、研究グループは承認申請のため本検討を行った。NEJM誌2024年1月11日号掲載の報告。奏効率、奏効期間、無増悪生存期間などを評価 研究グループは、ROS1融合遺伝子陽性NSCLCを含む進行固形がん患者を対象に、repotrectinibの有効性と安全性を評価する第I/II相試験を行った。 第II相試験の有効性の主要評価項目は奏効率だった。有効性の解析は、第I相および第II相試験の被験者を対象に行った。第II相試験の副次評価項目は、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、および安全性であった。ROS1 TKI未治療患者のDOR中央値は34.1ヵ月 第I相試験の結果に基づき、第II相試験でのrepotrectinibの推奨用量は、160mg/日を14日間投与後、160mgを1日2回とされた。 ROS1 TKI未治療のROS1融合遺伝子陽性NSCLC患者において、奏効が認められたのは71例中56例(79%、95%信頼区間[CI]:68~88)であり、DOR中央値は34.1ヵ月(95%CI:25.6~推定不能)、PFS中央値は35.7ヵ月(27.4~推定不能)だった。 1種類のROS1 TKIによる治療歴があり、化学療法歴のないROS1融合遺伝子陽性NSCLC患者において、奏効が認められたのは56例中21例(38%、95%CI:25~52)であり、DOR中央値は14.8ヵ月(95%CI:7.6~推定不能)、PFS中央値は9.0ヵ月(6.8~19.6)だった。 ROS1 G2032R変異陽性の患者において、奏効が認められたのは17例中10例(59%、95%CI:33~82)だった。 第II相試験用量の投与を受けた426例のうち、頻度が高かった治療関連有害事象は、めまい(58%)、味覚障害(50%)、錯感覚(30%)であった。治療関連有害事象のためrepotrectinibを中止したのは3%だった。

410.

炎症性乳がんへのNAC、1ラインvs.2~3ラインで転帰の差は

 多くのStageIII炎症性乳がん患者は、第1選択治療として術前化学療法(NAC)を受け、十分な反応を示し手術可能となるが、追加のNACが必要となるケースもある。米国・ハーバード大学医学大学院のFaina Nakhlis氏らは、1ラインvs.2~3ラインのNACを受けた患者における臨床転帰を評価した。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年12月28日号への報告。 2施設において、1ラインまたは2~3ラインのNACを受けたStageIII炎症性乳がん患者が特定された。ホルモン受容体とHER2の状態、グレード、および病理学的完全奏効(pCR)が評価され、乳がんのない生存期間(BCFS)および全生存期間(OS)はKaplan-Meier法により評価された。多変数Coxモデルを用いてハザード比(HR)が推定された。 主な結果は以下のとおり。・808例の適格患者が特定された(1997~2020年、年齢中央値:51歳、追跡期間中央値:69ヵ月)。・733例(91%)が1ライン、75例(9%)が2~3ラインのNACを受けていた。2~3ラインのNACを受けた患者において、グレード3、トリプルネガティブ、HER2陽性の乳がんがより多かった。・1ラインの患者178例(24%)、2~3ラインの患者14例(19%)でpCRを達成した。・5年BCFSは2~3ラインの患者で不良であったが(33% vs.46%、HR:1.37、95%信頼区間[CI]:0.99~1.91)、pCRを達成した192例では同様であった(1ラインの患者:76% vs.2~3ラインの患者:83%)。・308例(1ラインの患者:276例、2~3ラインの患者:32例)が死亡した。・5年OSは1ラインの患者:60% vs.2~3ラインの患者:53%(HR:1.32、95%CI:0.91~1.93)、 pCR達成例では1ラインおよび2~3ラインの患者でともに83%であった。 著者らは、「StageIII炎症性乳がん患者において、pCR率はNACのライン数によらず同様であり、pCRを達成した患者におけるBCFSおよびOSは同程度であった」としている。

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高齢者肺がんに対するアテゾリズマブの有用性(IMpower130・IMpower132統合解析)/ESMO Asia2023

 高齢者および腎機能が低下した非扁平非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、アテゾリズマブ+化学療法の有用性を評価した第III相試験の統合解析が示された。 肺がん患者は高齢者が多くを占めるが、高齢進行NSCLCに対する第III相臨床試験は少ない。そのような中、75歳以上のNSCLC患者におけるアテゾリズマブ+化学療法の有効性と安全性を評価した事後解析が、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2023)で発表された。 この探索的研究は、非扁平NSCLCにおけるアテゾリズマブ+化学療法を評価した第III相試験であるIMpower130試験とIMpower132試験の統合解析から、75歳以上の患者を抽出したものである。75歳以上の生存ベネフィットと共に、腎機能による評価が試験ごとに行われた。有効性評価は1,181例、安全性評価は1,202例で行われ、75歳以上は131例(アテゾリズマブ含有群80例、化学療法群51例)であった。 主な結果は以下のとおり。<75歳以上の生存成績、全集団との比較>・解析全集団の無増悪生存期間(PFS)中央値はアテゾリズマブ+化学療法群7.2ヵ月、化学療法群5.3ヵ月(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.54〜0.71)、75歳以上ではそれぞれ8.4ヵ月と7.1ヵ月(HR:0.59、95%CI:0.40〜0.88)であった。・解析全集団の全生存期間(OS)中央値はアテゾリズマブ+化学療法群18.6ヵ月、化学療法群13.9ヵ月(HR:0.81、95%CI:0.68〜0.95)、75歳以上ではそれぞれ28.2ヵ月と15.9ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.39〜1.07)であった。・解析全集団の奏効率はアテゾリズマブ+化学療法群57.6%、化学療法群40.3%、75歳以上ではそれぞれ58.8%と39.2%であった。<腎機能と生存成績:試験(レジメン)ごとの比較>[IMpower130:アテゾリズマブ+カルボプラチン+nabパクリタキセル(CnP)]・CCr≧60mL/minにおけるアテゾリズマブ+CnP群のPFS中央値は7.0ヵ月、CnP群5.6ヵ月(HR:0.64、95%CI:0.53〜0.78)、45≦CCr<60ではそれぞれ7.0ヵ月と2.9ヵ月(HR:0.46、95%CI:0.25〜0.86)、CCr<45ではそれぞれ8.3ヵ月と6.1ヵ月(HR:0.49、95%CI:0.16〜1.52)であった。・CCr≧60mL/minにおけるアテゾリズマブ+CnP群のOS中央値は18.6ヵ月、CnP群14.2ヵ月(HR:0.80、95%CI:0.64〜1.01)、45≦CCr

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転移乳がんへのnab-PTX、3投1休vs.2投1休

 HER2陰性転移乳がん患者を対象に、nab-パクリタキセルの2投1休と3投1休スケジュールを比較した無作為化第II相試験の結果、2投1休スケジュールでより良好な抗腫瘍活性と安全性プロファイルが示された。中国・北京大学のYaxin Liu氏らによるOncologist誌2023年12月11日号への報告。 本試験では、HER2陰性転移乳がん患者がnab-パクリタキセルの2投1休群(1・8日目に125mg/m2、1週間休薬)および3投1休群(1・8・15日目に125mg/m2、1週間休薬)に1:1で無作為に割り付けられた(病勢進行または治療不耐性まで投与)。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)。許容できない毒性がみられた患者では、維持療法として内分泌療法もしくは経口化学療法を受けることが認められた。 主な結果は以下のとおり。・94例が組み入れられ、各群に47例ずつ割り付けられた。・2投1休群では、3投1休群と比較してより長いPFS中央値が観察された(未達vs.6.8ヵ月、ハザード比:0.44、p=0.029)。・全生存期間(28.0ヵ月vs.25.8ヵ月)、客観的奏効率(51.1% vs.48.9%)、および病勢コントロール率(93.6% vs.80.9%)は両群で同様であった。・2投1休群では、毒性による治療中止(8.5% vs.29.8%)および投与延期(6.4% vs.23.4%)が少なかった。

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2023年、がん専門医に読まれた記事は?Doctors’Picksランキング

 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」は、2023年の1年間で、がん専門医によく読まれた記事ランキングを発表した(対象期間は2023年1月1日~12月19日)。 昨年まで上位に入っていた新型コロナ関連の話題はトップ10から姿を消し、国内外の臨床腫瘍に関する学会の話題や、注目の臨床試験の結果を掲載したジャーナルの紹介記事が上位にランクインしている。【1位】第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023|CareNet.com(2/22公開) 2023年3月16~18日に開催された日本臨床腫瘍学会学術集会。2月16日に開催されたプレスセミナーで、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが注目演題を発表した。【2位】Doctors' Picks 2023 ASCO特設サイト|CareNet.com(5/31公開) 2023年6月2~6日(現地時間)、世界最大の腫瘍学会であるASCO2023(米国臨床腫瘍学会年次総会)が米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催。がん種別のお勧め演題をエキスパートのコメントと共に紹介。【3位】EGFR陽性NSCLCの術後補助療法としてのオシメルチニブ/ADAURA試験OS解析|ASCO(4/27公開) EGFR陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法としてのオシメルチニブはすでに有用な結果が報告されているが、この第III相ADAURA試験の全生存期間(OS)の解析結果が国臨床腫瘍学会(ASCO2023)のPlenary Sessionで発表された。【4位】ASCO2023 FLASH 消化器がん/国立がん研究センター中央病院 大場 彬博氏|CareNet.com(6/6公開) 2023年6月2日から6日まで開催された2023 ASCO Annual Meetingで発表されたplenary sessionのPROSPECT試験をはじめとした消化器腫瘍のトピックを、国立がん研究センター中央病院の大場 彬博氏が動画でレビュー。【5位】Guardant360 CDxリキッドパイオプシー検査が保険償還|GUARDANT(7/11公開) 米国Guardant Healthは、同社のGuardant360 CDxリキッドバイオプシー検査について、7月24日付で日本国内における保険償還が承認される見通しだと発表した。 6~10位は以下のとおり。【6位】ESMO2023、肺がん領域の注目演題/新潟県立がんセンター新潟病院 三浦 理氏|ESMO(10/16公開)【7位】MSI-High固形がんに対するペムブロリズマブ/KEYNOTE-164最終解析|Clinical Cancer Research(5/16公開)【8位】神経内分泌がん、化学療法耐性後のFOLFIRI vs.FOLFIRI+ベバシズマブ|Lancet Oncology (2/7公開)【9位】IO+Chemo後のラムシルマブ+ドセタキセルの評価/NEJ-051|Eur J Cancer(3/14公開)【10位】ASCO2023 FLASH 肺がん/神奈川県立循環器呼吸器病センター 池田 慧氏|CareNet.com(6/8公開)

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移植適応多発性骨髄腫の1次治療、ダラツムマブ上乗せでPFS延長/NEJM

 新規に診断された移植適応多発性骨髄腫患者において、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd)の導入/地固め療法+レナリドミド維持療法へのダラツムマブ皮下投与上乗せにより、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長した。オランダ・エラスムスMCがん研究所のPieter Sonneveld氏らが、欧州およびオーストラリアの14ヵ国115施設で実施された多施設共同無作為化非盲検第III相試験「PERSEUS試験」の結果を報告した。ヒト型抗CD38モノクローナル抗体のダラツムマブは、多発性骨髄腫に対する標準的な治療レジメンとして承認されているが、新規診断の移植適応多発性骨髄腫患者におけるダラツムマブ皮下投与とVRd併用療法の評価が求められていた。NEJM誌オンライン版2023年12月12日号掲載の報告。ダラツムマブ皮下投与+VRd(D-VRd)vs.VRd単独に無作為化 研究グループは、2019年1月19日~2020年1月3日に、18~70歳で新たに多発性骨髄腫と診断され、大量化学療法および自家造血幹細胞移植の適応があるECOG PS 0~2の患者709例を、移植前VRd導入療法+移植後VRd地固め療法+レナリドミド維持療法にダラツムマブ皮下投与を併用する群(D-VRd群)と、併用しない群(VRd群)に、国際病期分類(I、II、III)および細胞遺伝学的リスク(標準、高)で層別化し1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。 主要評価項目はPFSとし、重要な副次評価項目は完全奏効以上の患者の割合(CR率)、微小残存病変が陰性(閾値10-5)の患者の割合(MRD陰性化率)、全生存期間(OS)であった。D-VRd群でPFSが有意に延長、疾患進行または死亡のリスクはVRd群より58%低下 追跡期間中央値47.5ヵ月(範囲:0~54.4)の時点で、D-VRd群では355例中50例(14.1%)、VRd群では354例中103例(29.1%)に病勢進行または死亡を認めた。 48ヵ月無増悪生存率は、D-VRd群84.3%(95%信頼区間[CI]:79.5~88.1)、VRd群67.7%(62.2~72.6)、D-VRd群のVRd群に対する病勢進行または死亡のハザード比(HR)は0.42(95%CI:0.30~0.59、p<0.001)であった。 CR率はD-VRd群がVRd群より高く(87.9% vs.70.1%、p<0.001)、MRD陰性化率も同様であった(75.2% vs.47.5%、p<0.001)。少なくとも12ヵ月間MRD陰性状態が持続した患者の割合は、D-VRd群64.8%、VRd群29.7%であった。 死亡はD-VRd群34例、VRd群44例であった。 Grade3または4の有害事象の発現率はD-VRd群91.5%、VRd群85.6%で、主な事象は好中球減少症(それぞれ62.1%、51.0%)、血小板減少症(29.1%、17.3%)、下痢(10.5%、7.8%)、肺炎(10.5%、6.1%)、発熱性好中球減少症(9.4%、10.1%)であった。重篤な有害事象はD-VRd群で57.0%、VRd群で49.3%に発現した。

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高リスクHER2+乳がん、術前療法へのアテゾリズマブ追加でpCR改善は(APTneo)/SABCS2023

 HER2陽性高リスク乳がんに対する術前補助療法として、トラスツズマブ(H)+ペルツズマブ(P)+化学療法は標準治療となっている。また、抗HER2療法に対する免疫系の寄与を示すデータが報告され、免疫チェックポイント阻害薬と抗HER2抗体の組み合わせが裏付けられている。イタリア・Fondazione MichelangeloのLuca Gianni氏らは、HP+化学療法へのアテゾリズマブ(±アントラサイクリン)の追加を評価することを目的として、第III相APTneo試験を実施。サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で病理学的完全奏効(pCR)についてのデータを報告した。・対象:HER2陽性の切除可能または局所進行乳がん患者(化学療法未治療)・試験群AC+アテゾリズマブ併用群:AC(ドキソルビシン+シクロホスファミド)+アテゾリズマブ(1,200mg 3週ごと静脈内投与)×3サイクル→HPCT(トラスツズマブ+ペルツズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル)+アテゾリズマブ×3サイクル→手術→HP+アテゾリズマブ 218例アテゾリズマブ併用群:HPCT+アテゾリズマブ×6サイクル→手術→HP+アテゾリズマブ 220例・対照群:HPCT×6サイクル→手術→HP 223例・評価項目:[主要評価項目]試験群vs.対照群の無イベント生存期間(EFS)[副次評価項目]pCR、忍容性、予測マーカーの評価など 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおける患者特性は3群でバランスがとれており、年齢中央値は49~50歳、局所進行乳がんは44.1~45.3%、PD-L1陽性は29.8~30.9%、ホルモン受容体陽性は61.0~69.1%であった。・副次評価項目のpCR率は、対照群52.0%に対し試験群57.8%で有意な改善はみられなかった(p=0.091)。AC+アテゾリズマブ併用群のpCR率は61.9%で対照群と比較して有意に改善したが(p=0.022)、アテゾリズマブ併用群のpCR率(53.6%)と比較して有意な差はみられなかった(p=0.089)。・重篤な有害事象(SAE)は、対照群で6.8%、試験群で14.1%に発生した。AC療法による血液毒性のため、アテゾリズマブ併用群(11.6%)よりもAC+アテゾリズマブ併用群(16.7%)で頻度が高かった。・免疫関連のSAEはAC+アテゾリズマブ併用群で4.7%、アテゾリズマブ併用群で7.8%と頻度が高いわけではなく、臨床的にコントロール可能なものであった。 Gianni氏は、「HER2陽性の早期高リスクおよび局所進行乳がん患者において、HP+化学療法へのアテゾリズマブの追加は、数値としてpCR率の5.8%増加が確認されたものの統計学的有意差は得られなかった。探索的解析において、AC+アテゾリズマブ併用群におけるpCR率は統計学的に有意に高いことが示されており、アントラサイクリンの直接効果あるいはアテゾリズマブによるAC療法の機構的増強のいずれかが示唆されるのではないか」と結論付けている。同試験はEFSの解析まで現在も進行中。

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TN乳がん術前免疫化療前・後のニボルマブ単剤、pCRに有意差なし(BCT1902/IBCSG 61-20 Neo-N)/SABCS2023

 StageI~IIBのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対して、12週間のニボルマブ+非アンスラサイクリン系抗がん剤の術前免疫化学療法の前または後にニボルマブ単剤治療を組み合わせた第II相BCT1902/IBCSG 61-20 Neo-N試験の結果、ニボルマブ単剤治療の順番にかかわらず有望な病理学的完全奏効(pCR)率を示したことを、オーストラリア・Newcastle大学のNicholas Zdenkowski氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023、12月5~9日)で発表した。 これまで、早期TNBC患者に対する抗PD-L1抗体薬+化学療法の術前免疫化学療法では、すべての薬剤を同時に開始するよりも、抗PD-L1抗体薬を先行して投与したほうがより良好なpCRが得られたという報告1)がある。pCRは良好な予後と関連し、化学療法の期間の短縮が期待されていることから、研究グループはTNBC患者に対するニボルマブ単剤とニボルマブ+化学療法併用の治療戦略を明らかにするために研究を行った。・対象:StageI~IIBのTNBC患者 108例・試験群:ニボルマブ(240mg、2週間)→ニボルマブ(360mg、21日ごと)+カルボプラチン(AUC5、21日ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、21日ごとの1・8・15日目)を4サイクル→手術【ニボ先行群:53例】・対照群:ニボルマブ(360mg、21日ごと)+カルボプラチン(AUC5、21日ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、21日ごとの1・8・15日目)を4サイクル→ニボルマブ(240mg)→手術【ニボ後行群:55例】・評価項目:[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)[副次評価項目]腫瘍残存率(RCB)、安全性、PD-L1陽性(≧1%)集団および腫瘍浸潤リンパ球(TIL)高値(≧30%)集団におけるpCR、無イベント生存期間(EFS)・層別化因子:年齢(40歳未満/以上) 主な結果は以下のとおり。・2020年7月~2022年4月に110例が両群に無作為に割り付けられ、治療を開始した108例が解析対象となった。追跡期間中央値は12ヵ月であった。・ベースライン時のニボ先行群およびニボ後行群の患者特性は、年齢40歳未満が26%/16%、閉経周辺期が53%/55%、StageIが34%/35%、TIL高値が34%/33%、PLD1陽性が43%/51%、Ki67中央値がそれぞれ70%であった。・pCR率は全体で53%(90%信頼区間:44~61)、ニボ先行群は51%(39~63)、ニボ後行群は55%(43~66)で、ニボルマブ単剤治療の先行によるpCRの優位性は認められなかった。・PD-L1発現状況によるpCR率は、陽性集団では71%、陰性集団では33%であった。・TIL値によるpCR率は、高値集団では67%、低値集団では47%であった。・全体のRCB 0~1の割合は69%で、ニボ先行群は64%、ニボ後行群は73%であった。・忍容性は良好で、新たな安全性シグナルは認められなかった。・EFSは未成熟であった。

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日本人コロナ患者で見られる肥満パラドックス

 日本人では、肥満は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスク因子ではない可能性を示唆するデータが報告された。肥満ではなく、むしろ低体重の場合に、COVID-19関連死のリスク上昇が認められるという。下関市立市民病院感染管理室の吉田順一氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Medical Sciences」に9月11日掲載された。 古くから「肥満は健康の敵」とされてきたが近年、高齢者や心血管疾患患者などでは、むしろ太っている人の方が予後は良いという、「肥満パラドックス」と呼ばれる関連の存在が知られるようになってきた。COVID-19についても同様の関連が認められるとする報告がある。ただし、それを否定する報告もあり、このトピックに関する結論は得られていない。吉田氏らは2020年3月3日~2022年12月31日までの同院の入院COVID-19患者のデータを用いて、この点について検討した。 解析対象は1,105人でほぼ全員(99.3%)が日本人であり、半数(50.1%)が男性だった。主要評価項目は入院から29日以内の全死亡(あらゆる原因による死亡)とし、副次的評価項目として侵襲的呼吸管理(IRC)の施行を設定。年齢、性別、BMI、体表面積、ワクチン接種の有無、レムデシビル・デキサメタゾンの使用、化学療法施行、好中球/リンパ球比(NLR)などとの関連を解析した。なお、IRCは酸素マスクによる5L/分以上での酸素投与にもかかわらず、SpO2が93%未満の場合に施行されていた。また、年齢、BMI、NLRなどの連続変数は、ROC解析により予後予測のための最適な値を算出した上で、年齢は72.5歳、BMIは19.6、NLRは3.65をカットオフ値とした。 入院後29日目までに死亡が確認された患者は32人(2.9%)であり、COVID-19による死亡が20人、細菌性肺炎7人、心血管イベント3人、および敗血症性ショック、尿路感染症が各1人だった。年齢と性別の影響を調整後に、BMI別に死亡者数をプロットすると、死亡者数のピークはBMI11~15の範囲にあり、BMI22にも小さなピークが認められた。多変量解析から、死亡リスク低下に独立した関連のある因子として、BMI19.6超(P<0.001)とレムデシビルの使用(P=0.040)という2項目が特定された。反対に、年齢72.5歳超(P<0.001)、化学療法施行中(P=0.001)、NLR3.65超(P=0.001)は、死亡リスクの上昇と有意に関連していた。 IRCが施行されていたのは37人(3.3%)だった。年齢と性別の影響を調整後に、BMI別にIRC施行者数をプロットすると、BMI11~25の範囲で施行者数の増加が認められた。多変量解析から、IRC施行リスクの上昇と有意な関連のある因子として、年齢72.5歳超(P=0.031)、デキサメタゾンの使用(P=0.002)、NLR3.65超(P=0.048)が特定された。IRC施行リスクの低下と有意な関連のある因子は抽出されなかった。 著者らは、BMI19.6以下がCOVID-19患者の全死亡リスク増大に独立した関連があるという結果を基に、「日本人COVID-19患者で認められる肥満パラドックスは、BMI高値が保護的に働くというよりも、BMI低値の場合にハイリスクである結果として観察される現象ではないか」との考察を述べている。また、レムデシビルが死亡リスク低下の独立した関連因子である一方、デキサメタゾンがIRC施行リスク上昇の独立した関連因子であったことについては、「サイトカインストームに伴う呼吸不全にデキサメタゾンが使用された結果であり、同薬がIRC施行リスクを高めるわけではない」と解説している。

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進行胃がん1次治療、CapeOXへのsintilimab上乗せでOS改善(ORIENT-16)/JAMA

 切除不能な局所進行または転移のある胃・胃食道接合部がんの1次治療において、化学療法へのsintilimabの上乗せはプラセボと比較して、すべての患者およびPD-L1複合陽性スコア(CPS)5以上の患者の全生存期間(OS)を有意に改善したことが示された。中国・Chinese PLA General HospitalのJianming Xu氏らが同国の62病院で行った第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ORIENT-16試験」の結果を報告した。胃・胃食道接合部がんと診断される人は、世界で年間100万人以上に上るが有効な治療はほとんどない。sintilimabは、プログラム細胞死1(PD-1)に結合する組換えヒトIgG4モノクローナル抗体で、化学療法との併用による有望な有効性が示されていた。JAMA誌2023年12月5日号掲載の報告。化学療法+sintilimab併用のOSを評価 研究グループは、切除不能な局所進行または転移のある胃・胃食道接合部がん患者について、sintilimab+化学療法vs.プラセボ+化学療法のOSを比較した。また、CPS(スコア範囲:1~100)が5以上の患者のサブグループについても比較した。 2019年1月3日~2020年8月5日に、中国の62病院で切除不能な局所進行または転移のある胃・胃食道接合部がん患者650例を登録。最終フォローアップは2021年6月20日であった。 被験者は1対1の割合で無作為に2群に割り付けられ、カペシタビン+オキサリプラチン(CapeOXレジメン)にsintilimabまたはプラセボの併用投与を受けた(3週ごとに最大6サイクル)。維持療法として、sintilimabまたはプラセボ+カペシタビンの併用は最長2年間投与された。 主要評価項目は、全無作為化患者およびCPS5以上の患者におけるOSであった。全患者およびCPS5以上の患者で、sintilimab併用によりOSが有意に延長 650例(平均年齢59歳、男性483例[74.3%])のうち、327例がsintilimab+化学療法群に、323例がプラセボ+化学療法群に無作為化された。 無作為化された患者650例において、397例(61.1%)がPD-L1 CPS5以上の腫瘍を有しており、563例(86.6%)が試験を中断、388例(59.7%)が死亡となった。追跡不能は1例(<0.1%)。 全無作為化患者において、sintilimabはプラセボと比べてOSを有意に改善したことが示された(中央値15.2ヵ月vs.12.3ヵ月、層別ハザード比[HR]:0.77[95%信頼区間[CI]:0.63~0.94]、p=0.009)。 CPS5以上の患者においても、sintilimabはプラセボと比べてOSを有意に改善した(中央値18.4ヵ月vs.12.9ヵ月、層別HR:0.66[95%CI:0.50~0.86]、p=0.002)。 最も多くみられたGrade3以上の治療関連有害事象は、血小板数の減少(sintilimab併用群24.7% vs.プラセボ併用群21.3%)、好中球数の減少(20.1% vs.18.8%)、貧血(12.5% vs.8.8%)であった。

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FRα高発現プラチナ抵抗性卵巣がん、FRα標的ADC MIRVがOS・PFS改善(MIRASOL)/NEJM

 葉酸受容体α(FRα)高発現プラチナ製剤抵抗性の高異型度漿液性卵巣がん患者において、mirvetuximab soravtansine-gynx(MIRV)は、化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)および客観的奏効率(ORR)を有意に改善したことが、米国・オクラホマ大学ヘルスサイエンスセンターのKathleen N. Moore氏らにより21ヵ国253施設で実施された無作為化非盲検第III相試験「MIRASOL試験」の結果で示された。MIRVは、FRα抗体に微小管阻害剤を結合させたFRαを標的とするファーストインクラスの抗体薬物複合体で、米国では2022年11月14日に「SORAYA試験」の結果に基づき、1~3レジメンの前治療のあるFRα高発現プラチナ製剤抵抗性卵巣がんの治療薬として、迅速承認されている。NEJM誌2023年12月7日号掲載の報告。MIRV vs.化学療法、PFSで有効性を主要評価項目に検討 研究グループは、1~3レジメンの前治療があるFRα高発現(腫瘍細胞の75%以上で染色強度が2+または3+)のプラチナ製剤抵抗性高悪性度漿液性卵巣がん患者を、MIRV群(補正後理想体重1kg当たり6mgを3週ごと静脈内投与)または化学療法単剤群(パクリタキセル、ペグ化リポソームドキソルビシンまたはトポテカン:治験責任医師が選択)に、1対1の割合に無作為に割り付けた。 主要評価項目は治験責任医師評価によるPFS、重要な副次評価項目はORR、OSおよび患者報告アウトカムで、ITT集団を対象として解析した。 2020年2月3日より登録が開始され(主要解析のデータカットオフ日は2023年3月6日)、計453例が無作為化された(MIRV群227例、化学療法群226例)。MIRV群でPFS、OSが有意に延長、ORRも有意に改善 PFS中央値は、MIRV群5.62ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.34~5.95)、化学療法群3.98ヵ月(2.86~4.47)であり、MIRV群が有意に延長した(層別log-rank検定のp<0.001)。 ORRもMIRV群(42.3%、95%CI:35.8~49.0)が化学療法群(15.9%、11.4~21.4)より有意に高く(オッズ比:3.81、95%CI:2.44~5.94、p<0.001)、OSもMIRV群(中央値16.46ヵ月、95%CI:14.46~24.57)が化学療法群(12.75ヵ月、10.91~14.36)よりも有意に延長した(死亡のハザード比:0.67、95%CI:0.50~0.89、p=0.005)。 治療期間中のGrade3以上の有害事象の発現率はMIRV群(41.7%)が化学療法群(54.1%)より低く、重篤な有害事象(23.9% vs.32.9%)および投与中止に至った有害事象(9.2% vs.15.9%)も同様であった。

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二重特異性抗体エプコリタマブ、LBCL3次治療以降の大きな選択肢に/ジェンマブ・アッヴィ

 2023年11月、二重特異性抗体エプコリタマブ(商品名:エプキンリ皮下注4mg、同48mg)の販売が開始された。適応は、再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)のうち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫(HGBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、および再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(FL)。 販売開始に伴い、同薬剤を共同開発するジェンマブとアッヴィは11月28日にメディアセミナーを行った。本薬剤の承認根拠となったEPCORE NHL-3試験の治験責任者である国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科長 伊豆津 宏二氏が、「再発・難治性LBCLの治療戦略とアンメットメディカルニーズ」と題した講演を行い、疾患と治療の現状と薬剤の作用機序を解説し、メディアからの質問に答えた。――LBCLはリンパ系に発生するがんである非ホジキンリンパ腫(NHL)の1つ。日本において悪性リンパ腫の90%以上を占めるNHLの総患者数は約12.4万人と推定されており、NHLのうち30%強をDLBCLが占めるとされる。好発年齢は65~75歳と高齢者に多い疾患だ。――LBCLの標準初回治療は、多剤併用の化学療法(R-CHOP療法、Pola-R-CHP療法)であり、6割程度の患者はこれで治癒するが、残りは再発難治となる。2次以降の治療戦略は自家移植の適応があるかで異なるが、移植で治癒に至る患者は限られ、1)再発難治後は多剤併用化学療法が奏効しにくい、2)移植後の再発が多い、3)年齢等の要因で自家移植適応の患者自体が限られる、といった要因から、2次治療不応例の効果的な治療選択肢がないことが問題となっていた。――2019年にDLBCL 3次治療にCAR-T療法が承認され、国内では3剤が使えるようになっているが、CAR-T療法にも1)実施できる施設が限られる、2)製剤と治療開始までに時間を要する、3)CAR-T療法後でも半数以上が再発難治となる、といった課題が残されている。――こうした状況で登場したエプコリタマブは、T細胞上のCD3とB細胞上のCD20に同時に結合する二重特異性抗体薬であり、海外第I/II相臨床試験(EPCORE NHL-1/GCT3013-01試験)および国内第I/II相臨床試験(EPCORE NHL-3/GCT3013-04試験)の結果に基づいて承認された。――EPCORE NHL-3試験の奏効率は55.6%、完全奏効率は44.4%だった。主な有害事象はサイトカイン放出症候群(CRS)で全体の83%で発生し、Grade3はうち8%であったが、治療中止に至った例はなかった。初回、2回目までごく少量を投与し、3回目にfull doseを投与するステップアップ投与を行い、有害事象の多くが3回目の治療直後に起こるためマネジメントがしやすい。 講演後の質疑応答では、CAR-T療法との使い分けに関する質問が多く出た。伊豆津氏は「エプコリタマブは承認直後でエビデンスに乏しく、現時点ではガイドラインも含め、CAR-T療法が優先される。しかし、CAR-T療法が実施できない施設、CAR-T療法の実施を待てないケースなどでは、エプコリタマブも選択肢となりうるだろう。また、エプコリタマブ承認に至った治験にはCAR-T療法治療歴のある患者も含まれており、奏効率に大きな差はなかったことから、CAR-T療法不応例への治療選択肢となりうる点も魅力だ」とした。さらに「二重特異性抗体の単剤投与、あるいは化学療法やCAR-T療法との併用戦略は今後の大きなテーマであり、長期データの蓄積が待たれる」とした。

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