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ヒドロクロロチアジド使用量と口唇がんリスクが相関

 利尿薬であるヒドロクロロチアジドの使用により口唇がんリスクが高まることを示唆する報告がある。この関連を検討した南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らの症例対照研究において、ヒドロクロロチアジドの累積使用量と口唇がんリスクに強い相関が認められた。Journal of internal medicine誌オンライン版2017年5月8日号に掲載。 本研究は、デンマークの全国登録データを用いた症例対照研究である。がん登録(2004~12年)から、口唇の扁平上皮がん(SCC)633例を特定し、これらの症例をリスクセットサンプリングを用いて6万3,067人のコントロールにマッチさせた。また、処方箋登録からヒドロクロロチアジドの使用量(1995~2012年)を取得し、累積使用量により分類した。ヒドロクロロチアジド使用に関連するSCC口唇がんのオッズ比(OR)は、条件付きロジスティック回帰を用いて、人口統計学・処方箋・患者の登録から事前に定義された潜在的交絡因子を調整して計算した。 主な結果は以下のとおり。・ヒドロクロロチアジド使用によるSCC口唇がんの調整ORは2.1(95%信頼区間[CI]:1.7~2.6)で、累積使用量が多い場合(25,000mg以上)は3.9(同:3.0~4.9)に上昇した。・用量反応関係(p<0.001)が認められ、累積使用量が最も多いカテゴリー(100,000mg以上)のORは7.7(95%CI:5.7~10.5)であった。・ほかの利尿薬利尿薬以外の降圧薬では、口唇がんとの関連はみられなかった。・因果関係があると仮定すると、SCC口唇がん症例の11%がヒドロクロロチアジドの使用に起因すると推定された。

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眼圧と心血管薬の使用、関連せず

 眼圧は、血圧やほかの心血管リスク因子と関連していることがよく知られている。眼圧に対する全身性の心血管薬、とくに降圧薬の影響はいまだ論争の的であるが、非緑内障者では眼圧と心血管薬(とくにβ遮断薬)との間に関連はないことを、ドイツ・マインツ大学のRene Hohn氏らが、コホート研究にて明らかにした。著者は、「局所および全身性β遮断薬の長期のドリフト現象(drift phenomenon)が、この結果を説明するかもしれない」とまとめている。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年4月12日号掲載の報告。 研究グループは、ドイツ中西部の住民1万3,527例を対象とした前向き観察コホート研究(グーテンベルク健康研究)において、全身性の心血管薬の使用と眼圧との関連について検討した。 眼圧は、非接触圧平眼圧計で測定された。調査した薬剤の種類は、末梢血管拡張薬、利尿薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、レニン・アンジオテンシン系阻害薬、硝酸薬、ほかの降圧薬、アスピリンおよびスタチンである。薬剤の使用と眼圧との関連について、多変量線形回帰分析を用いて解析した(p<0.0038)。なお、眼圧欠測例、眼圧低下点眼薬使用歴または眼手術既往歴のある参加者は解析から除外された。 主な結果は以下のとおり。・選択的β遮断薬も非選択的β遮断薬も、眼圧低下との間に統計学的に有意な関連は認められなかった(それぞれ、−0.12mmHg、p=0.054および−0.70mmHg、p=0.037)。・BMI、収縮期血圧および中心角膜厚を調整後、ACE阻害薬の使用と眼圧は関連しなかった(0.11mmHg、p=0.07)。

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腎保護効果は見せかけだった~RA系阻害薬は『万能の妙薬』ではない~(解説:石上 友章 氏)-669

 CKD診療のゴールは、腎保護と心血管保護の両立にある。CKD合併高血圧は、降圧による心血管イベントの抑制と、腎機能の低下の抑制を、同時に満たすことで、最善・最良の医療を提供したことになる。RA系阻害薬は、CKD合併高血圧の治療においても、ファーストラインの選択肢として位置付けられている。RA系阻害薬には、特異的な腎保護作用があると信じられていたことから、糖尿病性腎症の発症や進展にはより好ましい選択肢であるとされてきた。一方で、CKD合併高血圧症にRA系阻害薬を使用すると、血清クレアチニンが一過性に上昇することが知られており、本邦のガイドラインでは、以下のような一文が付け足してある。 『RA系阻害薬は全身血圧を降下させるとともに、輸出細動脈を拡張させて糸球体高血圧/糸球体過剰ろ過を是正するため、GFRが低下する場合がある。しかし、この低下は腎組織障害の進展を示すものではなく、投与を中止すればGFRが元の値に戻ることからも機能的変化である。』(JSH2014, p71) 図は、この考えの根拠となるアンジオテンシンIIと、尿細管・平滑筋細胞・輸入輸出細動脈との間の、量-反応関係を示している。アンジオテンシンIIは、選択的に輸出細動脈を収縮させる。いわば、糸球体の蛇口の栓の開け閉めを制御しており、クレアチニンが上昇しGFRが低下する現象は、薬剤効果であり、軽度であれば無害であるとされてきた。糖尿病合併高血圧では、Hyperfiltration説(Brenner, 1996)に基づいた解釈により、RA系阻害薬は糸球体高血圧を解消することから、腎保護効果を期待され、第一選択薬として排他的な地位を築いている。 しかしながら、こうした考えはエキスパート(専門家)の"期待"にとどまっているのが実情で、十分なエビデンスによる支持があるわけではなかった。 RA系阻害薬の腎保護効果について、その限界を示唆した臨床試験として、ONTARGET試験・TRANSCEND試験があげられる[1, 2]。本試験は、ARB臨床試験史上、最大規模のランダム化比較試験であり、エビデンスレベルはきわめて高い。その結果は、或る意味衝撃的であった。ONTARGET試験では、ACE阻害薬とARBとの併用で、有意に33%の腎機能障害を増加させていた。TRANSCEND試験に至っては、腎機能正常群を対象にしたサブ解析で、実薬使用群での、腎機能障害の相対リスクが2.70~3.06であったことが判明した。他にも、RA系阻害薬の腎保護効果に疑問を投げかける臨床試験は、複数認められる。  eGFRの変化は、アルブミン尿・タンパク尿の変化よりも、心血管イベント予測が鋭敏である[3]。Schmidtらの解析による報告[4]は、RA系阻害薬による”軽微”とされていた腎障害が、腎保護効果はおろか、心血管イベントの抑制にも効果がなかったことを証明した。ガイドラインは、過去の研究成果を積み上げた仮説にすぎない。クリニカル・クェスチョンは有限とはいえ、無数にある。あらゆる選択肢の結果を保証するものではない。専門家の推論や、学術的COIに抵触するような期待に溢れた、あいまいな推奨を断言するような記述は、どこまで許容されるのか。この10年あまりの間、糖尿病合併高血圧や、CKD合併高血圧にRA系阻害薬がどれだけ使用されたのか。そのアウトカムの現実を明らかにした本論文の意義は、学術的な価値だけにとどまらず、診療ガイドラインの限界を示しているともいえる。 1)ONTARGET Investigators, et al. N Engl J Med. 2008;358:1547-1559.2)Mann JF, et al. Ann Intern Med. 2009; 151: 1-10.3)Coresh J, et al. JAMA. 2014; 311: 2518-2531.4)Schmidt M. BMJ. 2017;356:j791.

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急性心不全に対するトルバプタンの効果:大阪府立総合医療センター

 急性非代償性心不全(ADHF)の治療の主流は、利尿薬治療によるうっ血改善であるが、しばしば腎機能の悪化(WRF)と関連する。大阪府立急性期・総合医療センターの玉置 俊介氏らは、左室駆出率(LVEF)が保持されたADHF患者のWRFに対する選択的V2受容体アンタゴニストであるトルバプタンの効果について検討を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月16日号の報告。 入院時のLVEFが45%以上のADHF患者を50例連続で登録を行った。対象患者は、トルバプタン追加群26例と従来の利尿薬治療群24例にランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、WRFの発生とした。WRFの定義は、ランダム化後48時間以内に血清クレアチニン(Cr)0.3mg/dL以上またはベースラインより50%以上の上昇とした。 主な結果は以下のとおり。・ランダム化後48時間では、体重または総尿量に2群間で有意な差は認められなかった。・ランダム化後24、48時間におけるCrの変化(ΔCr)およびWRFの発生率は、トルバプタン群で有意に低く、尿素窒素排泄率(FEUN)は有意に高かった。・ランダム化後48時間で、ΔCrとFEUNとの間に逆相関が認められた。 著者らは「トルバプタンは、腎灌流の維持を通じて、LVEFが保持されたADHF患者において、有意なWRF低リスクを有しうっ血を軽減することができる」としている。関連医療ニュース CKD患者に対するトルバプタン、反応予測因子は:横浜市大センター病院

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夜間高血圧に対するARB/CCB併用の効果をICTモニタリングで証明~日本循環器学会

 夜間血圧の上昇は心血管イベントの増加につながることから、近年、夜間血圧が注目されている。自治医科大学の星出 聡氏は、2017年3月17~19日に行われた第81回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Clinical Trialセッションにおいて、情報通信技術(ICT)による夜間血圧モニタリングによって、コントロール不能な夜間高血圧症に対する2パターンのアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)併用療法を評価したNOCTURNE試験の結果を報告した。この結果は、Circulation Journal誌に同時掲載された。 患者はARB療法(イルベサルタン100mg/日)を行ってもベースライン時の夜間血圧が120/70mmHg以上の患者411例。患者はARB/カルシウム拮抗薬(CCB)併用群(イルベサルタン100mg+アムロジピン5mg)とARB/利尿薬併用群(イルベサルタン100mg+トリクロルメチアジド1mg)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、試験開始4週後(ベースライン)と12週後の夜間家庭血圧の変化である。 主な結果は以下のとおり。・夜間収縮期血圧は、ARB/CCB群は128.3mmHgから113.9mmHgに(p<0.0001)、 ARB/利尿薬群は128.3から117.9mmHg(p<0.0001)に、両群とも有意に低下した。・両群間の変化を比較すると、ARB/CCB群-14.4 mmHg、 ARB/利尿薬群-10.5mmHgと、ARB/CCB群で有意に低下していた(p<0.0001)。・サブグループ解析では、糖尿病、慢性腎臓病、高齢者(65歳超)を除き、ARB/CCB群で優れていた。・ICTベースの夜間家庭血圧モニタリングは、睡眠中も患者の客観的な夜間血圧測定を把握することができ、臨床試験に実用可能であった。

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CKD患者に対するトルバプタン、反応予測因子は:横浜市大センター病院

 バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンは、心不全患者の利尿作用を有する。しかし、慢性腎臓病(CKD)患者におけるトルバプタンの効果に関するデータは少ない。横浜市立大学附属市民総合医療センターの勝又 真理氏らは、慢性心不全およびCKD患者に対するトルバプタンの効果をレトロスペクティブに解析した。Clinical and experimental nephrology誌オンライン版2017年2月11日号の報告。 対象は、慢性心不全およびCKDを有する患者21例。トルバプタンは、ほかの利尿薬と同時に投与した。トルバプタン治療前後の臨床パラメータを比較した。さらに、ベースラインデータと体重変化との相関を調査した。 主な結果は以下のとおり。・トルバプタンは、体重を減少させ、尿量を増加させた(p=0.001)。・尿浸透圧は、試験期間を通じて有意に減少した。・尿中ナトリウム/クレアチニン比およびFENa(ナトリウム排泄分画)は、4時間後に有意に変化し、8時間後にはより顕著であった(各々:p=0.003)。・血清クレアチニンは、治療1週間後、わずかに増加した(p=0.012)。・試験期間中の体重変化は、ベースラインの尿浸透圧(r=-0.479、p=0.038)、尿量(r=-0.48、p=0.028)、下大静脈径(IVCD:r=-0.622、p=0.017)と負の関連が認められた。・低ナトリウム血症は正常値に改善し、ナトリウム濃度の増加は基礎ナトリウムレベルと負の関連が認められた(p=0.01、r=-0.546)。 著者らは「トルバプタンは、CKD患者においても利尿作用を高め、低ナトリウム血症改善に有効である。尿浸透圧、尿量、IVCDのベースライン値は、トルバプタンの利尿作用の有益な予測因子となりうる」としている。

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Dr.香坂のアカデミック・パスポート 「文献の引き方」から「論文の書き方」まで

第1回 「失神の鑑別疾患を知りたい」マニュアルや教科書の使い方を考える第2回 「利尿薬の量を決めたい」原著論文の使い方を考える第3回 論文を効率的に読む 第4回 前向き研究を読む 第5回 後向き研究を読む第6回 研究スタイルの使い分けの意味を知る第7回 学会発表、論文執筆にチャレンジ 学術的知見を臨床に、臨床の知見を研究に生かす。そんなアカデミックな医師を目指す方のために、臨床の第一線で活躍しながら、臨床研究のスペシャリストでもあるDr.香坂が道筋を指南します。広い話題・狭い話題の調べ方、効率的な論文・研究の読み方、そして、学会発表や論文執筆のやり方をシンプルかつ明快にレクチャーします。臨床が忙しい、現場主義という方に、見てほしい番組です。さあ、アカデミック・ドクターへの第一歩を踏み出してください。第1回 「失神の鑑別疾患を知りたい」マニュアルや教科書の使い方を考えるDr.香坂の研究室にアカデミック・ドクターを目指す1人の医師が「失神の鑑別疾患を知りたい!」と相談に訪れます。教科書、マニュアル、ガイドライン・・・・いろいろなものがあって何をどう調べればいいのかわからなくなったようです。そんな広い話題を調べるにはどうすればいいのか、Dr.香坂がお教えします。第2回 「利尿薬の量を決めたい」原著論文の使い方を考えるDr.香坂の研究室にアカデミック・ドクターを目指す1人の医師が「利尿薬の量を決めるのに、何を見ればいいですか!」と相談に訪れます。前回の広い話題のときにでた「マニュアル」や「ガイドライン」などもみたようですが・・・なかなか決められません。簡単過ぎる「マニュアル」、そして長過ぎる「ガイドライン」。こんな狭い話題を調べるのにちょうどいいこととは?現代ならではwebサービスでの調べ方や原著論文の使い方をDr.香坂が指南。英語が苦手な人でも大丈夫。第3回 論文を効率的に読むいよいよ医学論文の読み方です。有名な医学雑誌の傾向と特徴を紹介。医学絵論文の構成を考察。すると・・・論文は臨床家向けに書かれていない!?臨床に生かすための論文のどこを読むべきか、その読み方をDr.香坂が指南します。第4回 前向き研究を読むここまでで、論文を探し、そして読めるようになってきましたか?そこで、次は“統計”です。統計は複雑で難しく、誰もが1度はぶち当たる壁かもしれません。でも大丈夫!Dr.香坂がプライドをかけてお教えします!まずは、シンプルな比較研究すなわち前向きランダム化研究から始めてみましょう!第5回 後向き研究を読む手っ取り早く研究をするなら「後向き研究」?後向き研究では、条件をそろえてスタートする前向き研究とは異なり、エンドポイントを満たした時点からさかのぼって、データを分析するため、統計的にフェアな状況に当てはめることが重要となります。それが「交絡因子の補正」。えっ?「交絡因子って?」と思ったあなた、Dr.香坂がしっかりとお教えします。そのほか、「ロジスティック回帰分析」「Cox Hazard重回帰分析」など、統計やってる感満載でありながら、単純明快に解説します。第6回 研究スタイルの使い分けの意味を知るこれまで、前向き研究と後向き研究について解説してきました。やはり、前向き研究のほうがエビデンスレベルも高いから、スゴイ?後向き研究はすぐできるし、大したことない?そう思っていませんか?いやいやそんなことはありません!それぞれの研究に、得意・不得意があり、それぞれの研究にメリット・デメリットがあります。そしてそれらはお互いに相補的な役割を果たしています。そのあたりをスッキリとまとめてお教えします。第7回 学会発表、論文執筆にチャレンジアカデミック・ドクターを目指すDr.澤野が、いよいよ学会発表にチャレンジ!でも発表は1週間後。PCを片手に焦ってスライドを作ろうとするのですが、それにDr.香坂が待ったをかけます。そう、まずはPCから離れてアウトラインから始めること!スライド作成から発表の作法まで、学会発表の“キモ”をコンパクトにわかりやすく解説します。そして、学会発表のあとは論文へ。その方法も併せて指南します。

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あれは幻だったのか?RA系阻害薬の“降圧を超えた臓器保護作用”(解説:石上 友章 氏)-648

 米国・ニューヨーク大学のBangalore氏らは、“Renin angiotensin system inhibitors for patients with stable coronary artery disease without heart failure: systematic review and meta-analysis of randomized trials.”と題するメタ解析・システマティックレビューで、『改めて』RA系阻害薬に、降圧効果を超えて虚血性心疾患を抑制する効果がないことを明らかにした。 あえて『改めて』と紹介したのは、言うまでもない。一連のディオバン関連の臨床研究不正の不名誉な嚆矢の1つともいえる、KYOTO Heart Studyが発表された2009年ESC Hotline Commentaryとして、本試験に対する慎重な解釈を表明したのが、Bangalore氏ならびに、筆頭著者のMesserli氏であった1)。共著者の1人であるRuschitzka氏にいたっては、学会場で『These "wonderful" results "were almost too good to be true."』と言い放ったと伝えられている2)。  彼らの直感的なコメントは8年の時を経て、科学的に正当な手法によって堂々と証明された。不正を見抜く確かな洞察力と、洞察を洞察のままでおくことなく自らの手で科学的な手法を用いて証明する、真の科学的態度に最大限の敬意を表したい。本研究の成果は、アブストラクトの最後の一文に凝縮されている。“Evidence does not support a preferred status of RASi over other active controls. ” RA系阻害薬の降圧を超えた臓器保護作用は、作られたエビデンスにほかならなかったのではないのか?

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夜中のトイレ【Dr. 中島の 新・徒然草】(159)

百五十九の段 夜中のトイレ夜中に何回かトイレに起きる、という高齢患者さんの訴えを今までは聞き流していました。が、ついに自分にも夜中に1回はトイレに起きる時が来てしまったのです。周囲の話では、50代ならだいたいそんなもん。それを聞いて安心しておりました。ところが、いつの間にか夜中に3回もトイレに起きるようになってしまいました。2時、3時半、5時とか、そんな感じ。自分としては50代で夜中に1回、60代で2回、70代で3回くらいのトイレかな、と漠然と思っていたのに。完全に人生設計が狂った!50代で3回もトイレに起きていたら、70代になったらどないするねん。人として終わっちまったよ、これは。ところがある日のこと。夕食後にまとめてのんでいる薬のうちの1つが、降圧利尿薬であることに気付きました。ひょっとしてこれのせいか?そう思って、夜ではなく朝にのむようにしてみると。あら不思議、朝までグッスリ!気付いてみれば当たり前ですが、夕食後に降圧利尿薬をのんだら頻回トイレで眠れません。もしかして、そんな些細な事で患者さんたちを苦しめたりしていないか、自分が処方している薬のほうも確認しなくては、と思った次第です。最近は、便利な配合剤の中にそっと利尿薬が入れてあることもあるので、そちらにも注意しなくてはなりませんね。最後に1句利尿剤 夜にのんだら 眠れません

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ランダム化試験としては不十分、実用化にはさらなる検討が必要(解説:桑島 巖 氏)-645

 近年の高血圧治療の傾向として、降圧目標値が低くなっており、その達成のためには多剤併用は避けられなくなっている。そこで、RAS阻害薬、Ca拮抗薬、利尿薬、β遮断薬の標準用量の4分の1ずつを4剤組み合わせたQuadpillという薬剤を作り、その降圧効果をプラセボと二重盲検法で比較したのがこの論文である。 その結果、プラセボに比べて外来血圧は22/13mmHg、24時間血圧は19/14mmHg下降したという。 しかし、症例数が55例、追跡期間がたった4週間と、ランダム化試験としてはかなり不十分である。それをシステマティックレビューを追加して補っている。システマティックレビューといっても本試験と同じく4分の1用量を4剤組み合わせた論文は1論文に過ぎず、これも不十分である。Lancet誌に掲載されるレベルの論文ではないが、話題作りとしては悪くはない。 高齢者では降圧薬以外にも多くの薬を服用している例が多いことを考慮すると、配合剤で服薬錠数を減らすという発想は必要かもしれない。 本試験では症例数が不十分ながら18例中18例(100%)が140/90mmHgの降圧目標値を達成できたと述べている。 配合剤の問題点は、副作用が発現したときのさじ加減が困難なことであるが、おのおのが標準量の4分の1量であれば問題ないであろうというのがQuadpillである。 少量とはいっても、利尿薬、β遮断薬には有害事象の発現の懸念はある。さじ加減を重んじ、病態に応じた高血圧治療を推奨している専門家としては、この論文の結果を臨床医に推奨するには抵抗を感じる。単剤を増量した場合との降圧効果の比較データも欲しいところである。症例数を十分に増やし、もう少し追跡期間も延長して安全性を確認するなど、今後の慎重な研究が望まれる。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第35回

第35回:急性単関節炎の診断アプローチ監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 以前、多関節炎の鑑別(第29回)についての記事を掲載しましたが、今回は単関節炎の診断アプローチについて取り上げます。 単関節炎のcommonな原因としては変形性関節症・痛風・外傷が挙げられますが、プライマリ・ケア領域では全身性疾患の早期症状として単関節炎を診る可能性もあります。そのため、関節炎の評価に加えて「もう一歩踏み込んだ診察・病歴聴取」を行うことが診断の鍵となります。 以下、American Family Physician 2016年11月15日号 より1) 急性単関節炎の背景に潜む病態の手掛かりをつかむために、包括的な病歴と身体所見が必要となる。病歴聴取では次の項目がとくに大切である。年齢、随伴症状、併存疾患、内服歴、関節に関する既往症、外傷歴、ダニ刺傷の既往、静脈注射の使用歴、痛風の家族歴、性交歴、渡航歴、普段の食事内容、飲酒歴、職業歴など。また労作時に関節炎の症状が悪化するものの、安静時には改善する場合は物理的な原因が考えられる。一方、安静時でも症状が増悪する場合は炎症性疾患の可能性があり、その場合は朝のこわばりを認めることもある。以下、代表的な疾患やアプローチの仕方について述べる。1)頻度の多い疾患である変形性関節症は労作で症状増悪するのが典型的である。朝のこわばりを認めることがあるものの、30分以内に改善する。また安静時にこわばりの再発を認めることがある(Gelling現象)。しかし、関節リウマチと比較して変形性関節症における朝のこわばりの持続時間は短く、関節リウマチでは症状が45分以上も続く。2)典型的な痛風発作は夜間に始まり、24時間以内に症状はピークへ達する。また疼痛や発赤、腫脹を引き起こす。肥満、高カロリー食の摂取、アルコール摂取歴、そしてループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬の内服歴は、痛風発作を疑う手掛かりとなる。外傷を契機に痛風発作が起きる可能性もあり、化膿性関節炎と非常によく似た臨床症状を呈することがある。3)先行する関節痛症状が感染を示唆することがある。そのため本当に単関節の症状なのかどうか判断することは大切である。なお、淋菌性関節炎は遊走性の関節炎と腱鞘炎症状が先行する。4)末梢関節の炎症を伴う軸骨格の炎症性関節炎(例:仙腸関節炎)は、脊椎関節炎を示唆する。脊椎関節炎は、しばしば単関節炎として症状が現れ、遊走性または波及的に関節から関節へ進展する。その他の症状(筋腱付着部の痛みやソーセージ様に腫脹する指趾炎)がないかを患者へ尋ねることは重要である。またぶどう膜炎を認める患者や、尿道炎を認める患者(Reiter症候群)もいる。5)皮膚症状の病歴と乾癬の家族歴から、単関節炎を呈する乾癬性関節炎を病状早期に疑うこともある。以上のように、それぞれの疾患の特徴を押さえることで、診断につながる重要な手掛かりを得ることができる。※本内容にはプライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Becker JA, et al. Am Fam Physician. 2016;94:810-816.

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安定冠動脈疾患にRAS阻害薬は他剤より有効か/BMJ

 心不全のない安定冠動脈疾患の患者に対するレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の投与は、プラセボとの比較では心血管イベント・死亡のリスクを低減するものの、Ca拮抗薬やサイアザイド系利尿薬などの実薬との比較では、同低減効果は認められなかった。また、対プラセボでも対照集団が低リスクの場合は、同低減効果は認められなかった。米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らが、24の無作為化試験についてメタ解析を行い明らかにし、BMJ誌2017年1月19日号で発表した。心不全のない安定冠動脈疾患患者へのRAS阻害薬投与については、臨床ガイドラインでは強く推奨されているものの、最近の現行治療への上乗せを検討した試験結果では、対プラセボの有効性が示されなかった。非心不全・冠動脈疾患患者100例以上、追跡期間1年以上の試験を対象にメタ解析 研究グループは、PubMed、EMBASE、コクラン・ライブラリCENTRALを基に、2016年5月1日までに発表された、心不全のない(左室駆出分画率40以上または臨床的心不全なし)安定冠動脈疾患を対象に、RAS阻害薬とプラセボまたは実薬を比較した24の無作為化試験についてメタ解析を行い、RAS阻害薬の有効性を検証した。 対象とした試験は100例以上の該当患者を含み、また追跡期間は1年以上だった。アウトカムは死亡、心血管死、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、心不全、血行再建術、糖尿病発症、有害事象による服薬中止だった。RAS阻害薬は死亡率14.10/1,000人年超の集団で有効 分析対象とした試験の総追跡期間は、19万8,275人年だった。 RAS阻害薬群はプラセボ群に比べ、全死因死亡(率比:0.84、95%信頼区間[CI]:0.72~0.98)、心血管死(0.74、0.59~0.94)、心筋梗塞(0.82、0.76~0.88)、脳卒中(0.79、0.70~0.89)、また、狭心症(0.94、0.89~0.99)、心不全(0.78、0.71~0.86)、血行再建術(0.93、0.89~0.98)のリスクをいずれも低減した。一方で実薬との比較では、いずれのアウトカム発生リスクの低減は認められなかった。率比は全死因死亡1.05(95%CI:0.94~1.17、交互作用のp=0.006)、心血管死1.08(0.93~1.25、p<0.001)、心筋梗塞0.99(0.87~1.12、p=0.01)、脳卒中1.10(0.93~1.31、p=0.002)などだった。 ベイズ・メタ回帰分析の結果、RAS阻害薬による死亡・心血管死リスクの低減が認められたのは、対照群のイベント発生率が高値の集団(全死因死亡14.10/1,000人年超、心血管死7.65/1,000人年超)だった試験のみで、低値の集団だった試験では同低減効果は認められなかった。 著者は、「心不全のない安定冠動脈疾患患者において、RAS阻害薬の心血管イベントおよび死亡の抑制は、プラセボ対照群の試験でのみみられ、実薬対照群の試験ではみられなかった。またプラセボ対照群においても、RAS阻害薬の有益性は、主に対照群のイベント発生率が高かった試験では認められたものの、低い場合は認められなかった」と述べている。そのうえで、「その他の実薬対照を含めてRAS阻害薬が優れていることを支持するエビデンスはない」とまとめている。

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日本初のARB/CCB/利尿薬の3剤合剤降圧薬を発売

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野 吉晃、以下「日本ベーリンガーインゲルハイム」)とアステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長CEO:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は2016年11月18日、「ミカルディス錠」(AT1受容体拮抗薬(ARB)、持続性カルシウム拮抗薬(CCB)アムロジピンベシル酸塩およびチアジド系利尿薬ヒドロクロロチアジド(HCTZ)の3剤合剤「ミカトリオ配合錠」の発売を発表した。 ミカトリオ配合錠は、日本で初めてのレニンアンジオテンシン系阻害薬、カルシウム拮抗薬、少量利尿薬の3成分を含有した配合剤。従来のARB/CCB配合剤やARB/HCTZ配合剤に比べ、高い降圧効果が24時間持続することが期待できるという。 また、ミカトリオ配合錠は、これまでのテルミサルタン製剤と同様に、日本ベーリンガーインゲルハイムが製造し、アステラス製薬が販売を行い、両社で共同販促を行っていく。(ケアネット 細田 雅之)関連リンク新薬情報:ミカトリオ配合錠

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小規模試験で効果超大のときには要注意(解説:折笠 秀樹 氏)-607

 相対リスク0.2以下(リスク低下80%以上)という超大効果をもたらした統計学的有意のランダム化比較試験のうち、その後追試として大規模試験が実施されたケース44件について、統計学的有意結論の相違が調査された。 相対リスク0.2以下で統計学的有意(p<0.05)であっても、追試として実施された大規模試験で結論が覆った(非有意となった)ケースは43%(=19/44)もあった。ほぼ半数で、結論が後に覆ったことになる。なお、元の超大効果を示したのは小規模試験、すなわち例数中央値99例、イベント数中央値14件にすぎなかった。 追試の大規模試験でも結論が変わらなかったのは57%(=25/44)あり、関節リウマチに対する生物学的製剤、急性心筋梗塞に対する硝酸薬、高血圧に対するサイアザイド系利尿薬などが含まれていた。また、追試の大規模試験でも相対リスクが同じく0.2以下と超大だったのは、16%(=4/25)しかなかった。 100例程度の小規模試験で、しかも超大効果(リスク低下80%以上)を示す臨床試験は要注意ということだ。統計学的有意でないと出版されないこともあり、出版された小規模試験は超大効果を示していることが多い。超大効果は偶然だったかもしれないし、バイアスを含み試験の質が低かった可能性も否めないだろう。だから、小規模試験は注意しないといけない。

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プライマリケアでの高リスク処方を減らすには/BMJ

 プライマリケアでの高リスク処方減少に、どのような介入が有効か。英国・ダンディー大学のBruce Guthrie氏らは、教育的介入とフィードバックを行う介入、さらにフィードバックに行動変容を促す介入を加えた3つの方法を比較するクラスター無作為化試験を行った。結果、教育的介入では有意な減少効果はみられなかったが、フィードバックを加味した2つの介入は教育的介入との比較で12~14%減少し、高リスク処方減少に有効であることが認められたという。医療やアウトカムの質の向上や安全対策では、審査とフィードバックを行う介入が有効であることが示されているが、処方安全の観点ではエビデンスはほとんどなかった。また、これまでのフィードバック試験では、方法論的に限界があった。BMJ誌オンライン版2016年8月18日号掲載の報告。教育的介入 vs.フィードバックも実施 vs.さらに行動変容介入も 試験は、スコットランドの3つの衛生局区域からプライマリケア医262/278例(94%)が参加して行われた。被験者を3群に無作為に割り付け、第1(通常介入)群には、教育的介入として、患者特定の検索をサポートする教育的教材を電子メールで送付した(88例)。第2(フィードバック介入)群には、通常介入に加えて、高リスク処方の実施率が年4回、試験期間中計5回にわたって電子メールで送られた(87例)。第3(フィードバック+理論的行動変容介入)群には、前者2つの介入に加えてさらに、フィードバックの際に、行動変容要素が組み込まれた介入が行われた(87例)。 主要アウトカムは、患者レベルでみた、抗精神病薬、NSAIDs、抗血小板薬の高リスクに関する6つの処方(1:75歳以上の患者における経口抗精神病薬の処方割合、2:65歳以上で利尿薬とACE阻害薬またはARB治療を受ける患者における経口NSAIDの処方割合など)の複合であった。副次アウトカムは、6つの処方それぞれの評価であった。 主要解析は、15ヵ月時点で評価した、2つのフィードバック介入群の第1群と比較した高処方の割合であった。副次解析では、それぞれの介入による即時の変化傾向を調べた。フィードバックの有用性を確認 主要解析の結果、高リスク処方(主要アウトカム)は、通常介入群では6.0%(3,332/5万5,896例)から5.1%(2,845/5万5,872例)への減少であったが、フィードバック介入群では5.9%(3,341/5万6,194例)から4.6%(2,587/5万6,478例)への減少が認められた(通常介入と比較したオッズ比[OR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.80~0.96、p=0.007)。また、フィードバック+行動変容介入群では、6.2%(3,634/5万8,569例)から4.6%(2,686/5万8,582例)への減少が認められた(0.86、0.78~0.95、p=0.002)。 副次解析において、本試験の介入前に、高リスク処方が減少傾向にあったことが認められた。そのうえで各介入の介入前と介入後の影響を調べた結果、通常介入の教育的介入では、介入前にみられた減少傾向に影響を与えていないことが判明した。一方、フィードバックを求めた2つの介入では、介入前よりも介入後に、有意に急速な減少が認められた。 これらの結果を踏まえて著者は、「処方の安全性データのフィードバックは、高リスク処方減少に効果的である。介入は、電子カルテが一般的に使用されるようになっているかどうかで実施可能である」と述べている。

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スルホニル尿素(SU)薬と低血糖―essential drugとしてのグリクラジドを再考する―(解説:住谷 哲 氏)-577

 世界保健機関(WHO)が発行している資料に、Model lists of essential medicines(EML)がある。WHOが認定した必須医薬品(essential drugs)のリストで、1977年に初版が発行され、その後2年ごとに改訂されている。最新の19版は2015年に発行された1)。薬剤選択の基準は“disease prevalence and public health relevance, evidence of clinical efficacy and safety, and comparative costs and cost-effectiveness”とされ、血糖降下薬としてリストアップされているのは、ヒトインスリン、メトホルミン、そして本論文で議論されているSU薬のグリクラジドのみである。2011年の17版までは長らくSU薬としてグリベンクラミドが挙げられていたが、2013年の18版からグリクラジドに変更された。全世界的に高齢2型糖尿病患者数が激増していることが変更の背景にあり、SU薬の中で低血糖の頻度が少なく安全性が高いことが、グリクラジドが選択された主な理由である2)。 本論文は、その点について疑問を提出した点で意義がある。腎機能低下およびSU薬投与量の増加が低血糖のリスクとなるのはほぼ常識であり、いわば付け足しのデータと考えてよい。問題は、WHOのお墨付きを得たグリクラジドが、essential drugとしてふさわしくないのか否かである。 本論文は、英国のCPRDデータベースに基づく観察研究である。インスリン以外の血糖降下薬が投与された18歳以上の患者12万803例を約4年にわたり観察した。70~79歳が対象患者の24.0%、80歳以上が23.5%を占めており、対象患者の約半数は70歳以上の高齢者であった(原著 表1)。9万2,005例(76.2%)はメトホルミン単剤投与であったが、注目すべきは、全対象患者の中で80歳以上の76.7%、70~79歳の76.3%がメトホルミンの単剤投与であった(原著 付属表A)。低血糖はRead code(診療所での疾患登録のための符牒)において低血糖と登録された場合または随時血糖値<3.0mmol/L(54mg/dL)が記録された場合と定義した。その結果、低血糖の頻度は、腎機能にかかわらずSU薬よりメトホルミンが少ない、腎機能が低下すれば増加する、SU薬の投与量が増加すれば増加する、ことが確認された。前述のように、これらはほとんど常識である。おそらく著者らの主眼は、グリメピリド、グリベンクラミド、グリピジド、トルブタミドおよびグリクラジドそれぞれの低血糖リスクを比較した表4(原著)にあると思われる。 それぞれのSU薬のメトホルミンに対する調整後HRは、グリメピリド1.97[95%信頼区間:1.35~2.87]、グリベンクラミド7.48[同:4.89~11.44]、グリピジド2.11[同:1.24~3.58]、トルブタミド1.24[同:0.40~3.87]、グリクラジド2.50[同:2.21~2.83]であり、グリベンクラミドを除いた他のSU薬の低血糖リスクは同等であり、とくにグリクラジドが少ないとはいえない、とするのが著者らの主張である。 しかし、この多変量解析の結果には少し疑問が残る。グリクラジドは、その代謝産物が血糖降下作用を有さないことから(inactive metabolites)、腎機能低下患者(これは高齢者と言い換えてもよい)に対するSU薬の第1選択薬として推奨されている。このことは、SU薬を処方された患者の80%以上にグリクラジドが処方された結果にも反映されている(原著 表4)。したがって、腎機能低下患者(つまり低血糖のリスクが高い患者)においては他のSU薬ではなくグリクラジドが処方された可能性が高く、各SU薬の調整HRを計算する際には腎機能(eGFR)による調整が必要と考えられるが、なされていない。eGFRの代替として「ループ利尿薬の使用」が独立変数として組み込まれているが適切ではないと思われる。 わが国では「第3世代のSU薬」として一世を風靡したグリメピリドが、おそらく現時点においても最も処方されているSU薬と思われる。グリクラジドとグリメピリドのどちらが低血糖を起こしやすいか、との疑問に対してはランダム化比較試験(RCT)により厳密に評価することが必要である。これについて検討したものにGUIDE(GlUcose control In type 2 diabetes: Diamicron MR vs.glimEpiride)試験がある3)。両薬剤の安全性を評価するためにクレアチニンクリアランス>20mL/minの患者が対象とされた。使用されているのがグリクラジド徐放剤(Diamicron MR)であるのと研究資金供与がServier(Diamicron MRの発売元)である点には注意が必要であるが、厳密に評価した結果、グリクラジドの低血糖の頻度はグリメピリドの約50%と結論された。 低血糖のリスクはあるが、血糖コントロールのためにはどうしてもSU薬が必要な患者は少なからず存在する。しかし、低血糖は広義には1つのsurrogate endpointと考えられる。UKPDS33において細小血管障害を抑制することが証明されたことから4)、低血糖のリスクにもかかわらず、グリベンクラミドは血糖降下薬として長く使用されてきた。ADVANCE試験は、厳密にはグリクラジドの有効性を検討した試験ではないが5)、グリベンクラミドと同じくグリクラジドが細小血管障害を抑制することをほぼ証明したといってよい。グリメピリドには細小血管障害を抑制したエビデンスはない。したがって、筆者は本論文の結果に基づいて、グリクラジドをessential drugとするWHOの見解を変更する必要はないと考える。

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EMPA-REG OUTCOME試験のサブ解析:SGLT2阻害薬は糖尿病腎症の進展を抑制する(解説:吉岡 成人 氏)-561

エンパグリフロジンによる糖尿病腎症の進展阻止 SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンが、心血管イベントの既往がある2型糖尿病患者において心血管死、総死亡を抑止することを示したEMPA-REG OUTCOME試験のサブ解析が第76回米国糖尿病学会で発表され、その詳細がNew Engl J Med誌に掲載された(オンライン版2016年6月14日号)。 顕性腎症の発症(尿アルブミン>300mg/gCr)、推定GFR(eGFR)が45mL/min/1.73m 2以下となり血清クレアチニン値が倍増する、腎代替療法の導入、腎疾患による死亡の4つのアウトカムを「腎症の発症・進展」として、Cox比例ハザードモデルによる解析を行った結果、腎症の発症・進展がエンパグリフロジン投与群で12.7%(4,124例中525例)、プラセボ群18.8%(2,061例中388例)でエンパグリフロジンでの有意なリスク低下が確認された(ハザード比0.61、95%信頼区間:0.53~0.70、p<0.001)。対象者のeGFRは30mL/min/1.73m2以上で、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAS)阻害薬が80%に、利尿薬が58%に処方されている。顕性腎症への進行、血清クレアチニン値の倍加、腎代替療法導入の各項目単独でもエンパグリフロジンは有意にリスクを低下させた。しかし、腎症を伴わない患者が早期腎症(尿アルブミン≧30mg/gCr)に至るリスクは軽減されていない(エンパグリフロジン群:51.5%、プラセボ群:51.2%、ハザード比0.95、95%信頼区間:0.87~1.04、p=0.25)。腎症の進展と発症に関わるメカニズムは違うのか エンパグリフロジン投与群では、投与量(10mg、25mg)にかかわらず、一過性にeGFRが2~3mL/min/1.73m2低下するが、その後回復傾向を示している。一方、プラセボ群ではeGFRが経時的に緩やかに低下している。 糖尿病では、尿糖の排泄に伴い近位尿細管でのグルコース量が増加すると、SGLT2の作用によりグルコースとともにNa+の再吸収が活性化するため、遠位尿細管にある傍糸球体装置の緻密斑(macula densa)に到達するNa、Clが減少し、GFRの低下によるClの減少と同様な事態が生じる。そこで、尿細管糸球体フィードバック(TGF:tubuloglomerular feedback)機構のシグナルが作動し、糸球体の輸入細動脈を拡張させて糸球体内圧を上昇させるために糸球体過剰濾過がもたらされる。一方、SGLT2阻害薬が投与されると、グルコースの再吸収は阻害され、近位尿細管でのNa+の再吸収も減少し、緻密斑に到達するNa、Clが増加する。そのため、GFRの低下が改善された状態と同様な状況となり、輸入細動脈の拡張が解除されて糸球体内圧の過剰濾過が是正されるというのである。このTGF機構の回復が、腎症の進展を抑止したのではないかと推察されている。 心血管イベントの既往がある2型糖尿病患者における腎症の進展が、エンパグリフロジンで抑止されうることは示された。しかし、早期腎症の発症抑止にはつながらない可能性も同時に示唆された。今後は、その背景にある病態の解明が待たれる。

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SPRINT試験:frailな高齢者でも厳格な降圧が有用であることを示した点で画期的、ただし腎機能の悪化や有害事象も起こりやすい(解説:桑島 巖 氏)-540

 今回のSPRINTサブ解析では、75歳以上の高齢者高血圧では収縮期血圧140mmHg未満を目指す標準降圧群よりも、120mmHg未満の厳格降圧群のほうが生命予後の改善に良好であることを示した点で画期的である。サブ解析とはいえども対象数は2,636例と、解析には十分堪えられる症例数であり、信頼性は高い。 厳格降圧群で実際に達成された血圧値は、厳格群で123.4/62.0mmHgであることから、後期高齢者では収縮期血圧120~130mmHgが好ましく、拡張期血圧への配慮は不要であることを示唆している。かつて、拡張期血圧が80mmHg以下では死亡率が増加するというJ-カーブ仮説がまことしやかに流布していたことを考えると、今昔の感がある。 本試験の特徴は、frailtyについても詳細に検討しており、参加者の55%以上がless fit(頑強でない)であることや、歩行速度が遅い症例も28%前後含まれており、試験の対象のfrailtyが一般社会の後期高齢者の頻度とは差がないことが示されている。この点、頑強な高齢者ばかりを対象とした研究ではないといえるが、結果を読み解くうえで、frailな例や歩行速度の遅い症例は試験からの脱落率も高いことに注意が必要である。 全死亡を除いた1次エンドポイントは、厳格降圧群のほうが標準降圧群に比べて34%減少を示しており、NNTは27とかなり低い数値である。1次エンドポイントの中でも心不全抑制率が顕著である。しかし、もともとCKDを有していなかった症例において、厳格降圧群において腎機能悪化症例が、3倍以上増えたことは注意しておく必要がある。また、厳格降圧による有用性は心筋梗塞や脳梗塞といった一般的な心血管合併症ではなく、心不全というこれまでのトライアルではしばしば2次エンドポイントとされてきた疾患であることの解釈が難しい。おそらく、降圧利尿薬の有効性が発揮されているのであろう。 また、SPRINT試験では脳卒中既往例や糖尿病例は含まれていないことから、もともと心機能が低下している症例が高血圧という後負荷が軽減されたことで、心不全の抑制に有効であったとも解釈できる。 frailtyのサブ解析では、frailになるほどエンドポイント発症率が経過とともに高くなっていることが示されているが、興味あることにfrailな症例ほど厳格降圧の1次エンドポイント抑制効果が大きくなるという結果は、意外である。ただ、厳格治療群のほうが、低血圧、失神、電解質異常、急性腎障害が多いという結果は、後期高齢者ではただ積極的に血圧を下げるだけではなく、これらの有害事象が起こりやすいことを念頭に置きながら、きわめて慎重な対応が必要であることを示唆している。

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特発性拡張型心筋症〔DCM : idiopathic dilated cardiomyopathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義拡張型心筋症(idiopathic dilated cardiomyopathy: DCM)は、左室の拡張とびまん性の収縮障害を特徴とする進行性の心筋疾患である。心不全の急性増悪を繰り返し、やがて、ポンプ失調や致死性不整脈により死に至る。心筋症類似の病像を呈するが、病因が明らかで特定できるもの(虚血性心筋症や高血圧性心筋症など)、全身疾患との関連が濃厚なもの(心サルコイドーシスや心アミロイドーシスなど)は特定心筋症と呼ばれ、DCMに含めない。■ 疫学厚生省特発性心筋症調査研究班による1999年の調査では、わが国における推計患者数は約1万7,700人、有病率は人口10万人あたり14.0人、発症率は人口10万人あたり3.6人/年とされる。男女比は2.5:1で男性に多く、年齢分布は小児から高齢者まで幅広い。■ 病因DCMの病因は一様ではない。一部のDCMの発症には、遺伝子異常、ウイルス感染、自己免疫機序が関与すると考えられているが、その多くがいまだ不明である。1)遺伝子異常DCMの20~30%程度に家族性発症を認めるが、孤発例でも遺伝要因が関与するものもある。心機能に関与するどのシグナル伝達経路が障害を受けても発症しうると考えられており、心筋のサルコメア構成蛋白や細胞骨格蛋白をコードする遺伝子異常だけでなく、Caハンドリング関連蛋白異常の報告もある。2)ウイルス感染心筋生検検体の約半数に、何らかのウイルスゲノムが検出される。コクサッキーウイルス、アデノウイルス、C型肝炎ウイルスなどのウイルスの持続感染が原因の1つとして示唆されている。3)自己免疫機序βアドレナリン受容体抗体や抗Caチャネル抗体といったさまざまな抗心筋自己抗体が、患者血清に存在することが判明した。DCMの発症・進展に自己免疫機序が関与する可能性が指摘されている。■ 症状本疾患に疾患特異的な症状はない。初期には無症状のことが多いが、病状の進行につれて、労作時息切れ、易疲労感、四肢冷感などの左心不全症状を認めるようになり、運動耐容能は低下する。また、動悸、心悸亢進、胸部不快感といった頻脈・不整脈に伴う症状を訴えることもある。一般には、低心拍出所見よりもうっ血所見が前景に立つことが多い。両心不全へ至ると、全身浮腫、頸静脈怒張、腹水などの右心不全症状が目立つようになる。右心機能が高度に低下している重症例では、左心への灌流低下から、肺うっ血所見を欠落する例があり、重症度判断に注意を要する。■ 予後一般に、DCMは進行性の心筋疾患であり、予後は不良とされる。5年生存率は、1980年代には54%と低かったが、最近では70~80%にまで改善したとの報告もある。標準的心不全治療法が確立し、ACE阻害薬、β遮断薬、抗アルドステロン薬といった心筋保護薬の導入率向上がその主たる要因と考えられている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)DCMの診断は、特定心筋症の除外診断を基本とすることから、二次性心筋症を確実に除外することがDCMの診断に直結する。■ 身体所見一般に、収縮期血圧は低値を示すことが多く、脈圧は小さい。聴診所見では、心尖拍動の左方偏移、ギャロップリズム(III・IV音)、心雑音および肺ラ音の聴取が重要である。■ 胸部X線多くの症例で心陰影は拡大するが、心胸郭比は低圧系心腔の大きさに依存するため、正常心胸郭比による本疾患の除外はできない。心不全増悪期には、肺うっ血像や胸水貯留を認める。Kerley B line、peribronchial cuffingが、肺間質浮腫所見として有名である。■ 心電図疾患特異度の高い心電図所見はない。ST-T異常、異常Q波、QRS幅延長、左室側高電位、脚ブロック、心室内伝導障害など、心筋病変を反映した多彩な心電図異常を呈する。また、心筋障害が高度になると、不整脈を高頻度に認めうる。■ 血液生化学検査心不全の重症度を反映し、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)や脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびその前駆体N末端フラグメントであるNT-proBNPの上昇を認める。また、交感神経活性の指標である血中カテコラミンや微小心筋障害を示唆するとされる高感度トロポニンも上昇する。低心拍出状態が進行すると、腎うっ血、肝うっ血を反映し、クレアチニンやビリルビン値の上昇を認める。■ 心エコー検査通常、びまん性左室収縮障害を認め、駆出率は40%以下となる。心リモデリングの進行に伴い、左室内腔は拡張し、テザリングや弁輪拡大から機能性僧帽弁逆流の進行をみる。最近では、僧帽弁流入血流や組織ドップラー法を用いた拡張能の評価、組織ストレイン法を用いた収縮同期性の評価など、より詳細な検討が可能になっている。■ 心臓MRI検査シネMRIによる左室容積や駆出率計測は、信頼度が高い。ガドリニウムを用いた心筋遅延造影パターンの違いによるDCMと虚血性心筋症との鑑別が報告されており、心筋中層に遅延造影効果を認めるDCM症例では、心イベントの発生率が高く、予後不良とされる。■ 心筋シンチグラフィ123I-MIBGシンチグラフィによる交感神経機能評価では、後期像での心臓集積(H/M比)の低下や洗い出し率の亢進を認める。201Tlあるいは99mTc製剤を用いた心筋シンチグラフィでは、patchy appearanceと呼ばれる小欠損像を認め、その分布は、冠動脈支配に一致しない。心電図同期心筋SPECTを用いて、左室容積や駆出率も計測可能である。■ 心臓カテーテル検査冠動脈造影は、冠血管疾患、虚血性心筋症の除外を目的として施行される。血行動態の評価目的に、左室内圧測定や左室造影による心収縮能評価、肺動脈カテーテルを用いた右心カテーテル検査も行われる。左室収縮能(最大微分左室圧: dP/dtmax)の低下、左室拡張末期圧・肺動脈楔入圧の上昇、心拍出量低下を認める。■ 心筋生検DCMに特異的な病理組織学的変化は確立されていない。典型的には、心筋細胞の肥大、変性、脱落と間質の線維化を認める。心筋炎や心サルコイドーシス、心ファブリー病などの特定心筋症の除外目的に行われることも多い。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)DCMに対する根本的な治療法は確立していない。そのため、(1) 心不全、(2) 不整脈、(3) 血栓予防を治療の根幹とする。左室駆出率の低下を認めるため、収縮機能障害を伴う心不全の治療指針に準拠する。■ 心不全の治療1)心不全の生活指導生活習慣の是正を基本とする。適切な水分・塩分摂取量および栄養摂取量の教育、適切な運動の推奨、禁煙、感染予防などが指導すべきポイントとされる。2)薬物療法収縮機能障害を伴う心不全の治療指針に準拠し、薬剤を選択する。心臓のリバースリモデリングおよび長期予後改善効果を期待し、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬あるいはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)といったレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬とβ遮断薬、抗アルドステロン薬を導入する。原則として、β遮断薬は、カルベジロールあるいはビソプロロールを用い、忍容性のある限り、少量より漸増する。さらに、うっ血症状に応じて、利尿薬の調節を行う。急性増悪期には、入院下に、強心薬・血管拡張薬といったより高度な点滴治療を行う。3)非薬物療法(1)心室再同期療法(CRT)左脚ブロックなど、心室の収縮同期不全を認める症例に対し、心室再同期療法が行われる。除細動機能を内蔵したデバイス(CRT-D)も普及している。心拍出量の増加や肺動脈楔入圧の低下、僧帽弁逆流の減少といった急性期効果だけでなく、慢性期効果としての心筋逆リモデリング、予後改善が報告されている。CRTによる治療効果の乏しい症例(non-responder)も一定の割合で存在することが明らかになっており、その見極めが課題となっている。(2)陽圧呼吸療法、ASVわが国では、心不全患者に対するASV(adaptive servo ventilation)換気モード陽圧呼吸療法の有用性が多く報告されており、自律神経活性の改善、不整脈の減少、運動耐容能およびQOLの向上、心および腎機能の改善などが期待されている。しかし、海外で行われた大規模臨床試験ではこれを疑問視する研究結果も出ており、いまだ議論の余地を残す。(3)心臓リハビリテーション“包括的心臓リハビリテーション”の概念のもと、運動のみならず、薬剤、栄養、介護など各領域からの多職種介入による全人的心不全管理が急速に普及している。(4)和温療法遠赤外線均等温乾式サウナを用いた低温サウナ療法が、心不全患者に有用であるとの報告がある。心拍出量の増加、前負荷軽減、肺動脈楔入圧の低下といった急性効果のみならず、慢性効果として、末梢血管内皮機能の改善、心室性不整脈の減少も報告されている。(5)僧帽弁形成術・置換術、左室容積縮小術高度の僧帽弁逆流を伴うDCM例では、僧帽弁外科的手術を考慮する。しかしながら、その有効性は議論の余地を残すところであり、左室容積縮小術の1つに有名なバチスタ手術があるが、中長期的に心不全再増悪が多いことから、最近は推奨されない。(6)左室補助人工心臓(LVAD)重症心不全患者において、心臓移植までの橋渡し治療、血行動態の安定を目的として、LVAD装着が考慮されうる。2011年以降、わが国でも植込型LVADが使用可能となり、装着患者のQOLが格段に向上した。現在、植込型LVAD装着下に長期生存を目指す“destination therapy”の是非に関する議論も始まっており、今後、重症心不全治療の選択肢の1つとして臨床の場に登場する日も近いかもしれない。しかし、ここには医学的見地のみならず、医療倫理や医療経済、日本人の死生観も大きく関わっており、解決すべき課題も多い。(7)心臓移植重症心不全患者の生命予後を改善する究極の治療法である。わが国における原疾患のトップはDCMである。不治の末期的状態にあり、長期または繰り返し入院治療を必要とする心不全、β遮断薬およびACE阻害薬を含む従来の治療法ではNYHA3度ないし4度から改善しない心不全、現存するいかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈を有する症例が適応となる。(8)緩和医療高齢化社会の進行につれ、有効な治療効果の得られない末期心不全患者へのサポーティブケアが、近年注目されつつある。このような患者のエンドオブライフに関し、今後、多職種での議論・検討を重ねていく必要がある。■ 不整脈の治療致死性不整脈の同定と予防が重要となる。DCMによる心筋障害を基盤として発生し、心不全増悪期により出現しやすい。また、電解質異常も発生要因の1つである。そのため、心不全そのものの治療や不整脈誘発因子の是正が必要である。DCMにおける不整脈治療には、アミオダロンがよく使用される。カテーテルアブレーションが選択されることもあるが、確実に突然死を予防できる治療手段は植込型除細動器(ICD)であり、症候性持続性心室頻拍や心室細動既往を有する心不全患者の二次予防あるいは一部の心不全患者の一次予防を目的として適応が検討される。また、心房細動も高率に合併する。これまでリズムコントロールとレートコントロールで死亡率に差はないと考えられてきたが、近年これを否定するメタアナリシス結果もでており、さらなる研究結果が待たれる。■ 血栓予防治療非弁膜症性心房細動合併例では、ワルファリンのみならず、新規経口抗凝固薬の使用が考慮される。また、左室駆出率30%以下の低心機能例では、心腔内血栓の予防目的に抗凝固療法が望ましいとされるが、新規経口抗凝固薬の適応はなく、ワルファリンが選択される。4 今後の展望現在のところ、確立された根本治療法のないDCMにおける究極の治療法は、心臓移植であるが、わが国では、深刻なドナー不足により汎用性の高い治療法としての普及にはほど遠い。そのため、自己の細胞あるいは組織を用いた心筋再生治療の研究・臨床応用が進められている。しかしながら、安全な再生医療の確立には、倫理面などクリアすべき課題も多く、医用工学技術を応用した高性能・小型化した人工機器の開発研究も進められている。5 主たる診療科循環器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 特発性拡張型心筋症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)友池仁暢ほか. 拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症の診療に関するガイドライン. 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2009−2010年度合同研究班報告).2)奥村貴裕, 室原豊明. 希少疾患/難病の診断・治療と製品開発. 技術情報協会; 2012:pp1041-1049.3)奥村貴裕. 心不全のすべて.診断と治療(増刊号).診断と治療社;2015:103.pp.259-265.4)松崎益徳ほか. 慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版).循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2009年度合同研究班報告).5)許俊鋭ほか. 重症心不全に対する植込型補助人工心臓治療ガイドライン.日本循環器学会/日本心臓血管外科学会合同ガイドライン(2011-2012年度合同研究班報告).公開履歴初回2014年11月27日更新2016年05月31日

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eGFRが30未満は禁忌-メトホルミンの適正使用に関する Recommendation

 日本糖尿病学会「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」は、5月12日に「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」の改訂版を公表した。 わが国では、諸外国と比較し、頻度は高くないもののメトホルミン使用時に乳酸アシドーシスが報告されていることから2012年2月にRecommendationを発表、2014年3月に改訂を行っている。とくに今回は、米国FDAから“Drug Safety Communication”が出されたことを受け、従来のクレアチニンによる腎機能評価から推定糸球体濾過量eGFRによる評価へ変更することを主にし、内容をアップデートしたものである。メトホルミン使用時の乳酸アシドーシスの症例に多く認められた特徴1)腎機能障害患者(透析患者を含む)2)脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取など、患者への注意・指導が必要な状態3)心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者4)高齢者 高齢者だけでなく、比較的若年者でも少量投与でも、上記の特徴を有する患者で、乳酸アシドーシスの発現が報告されていることに注意。メトホルミンの適正使用に関するRecommendation まず、経口摂取が困難な患者や寝たきりなど、全身状態が悪い患者には投与しないことを大前提とし、以下の事項に留意する。1)腎機能障害患者(透析患者を含む) 腎機能を推定糸球体濾過量eGFRで評価し、eGFRが30(mL/分/1.73m2)未満の場合にはメトホルミンは禁忌である。eGFRが30~45の場合にはリスクとベネフィットを勘案して慎重投与とする。脱水、ショック、急性心筋梗塞、重症感染症の場合などやヨード造影剤の併用などではeGFRが急激に低下することがあるので注意を要する。eGFRが30~60の患者では、ヨード造影剤検査の前あるいは造影時にメトホルミンを中止して48時間後にeGFRを再評価して再開する。なお、eGFRが45以上また60以上の場合でも、腎血流量を低下させる薬剤(レニン・アンジオテンシン系の阻害薬、利尿薬、NSAIDsなど)の使用などにより腎機能が急激に悪化する場合があるので注意を要する。2)脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取などの患者への注意・指導が必要な状態 すべてのメトホルミンは、脱水、脱水状態が懸念される下痢、嘔吐などの胃腸障害のある患者、過度のアルコール摂取の患者で禁忌である。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害薬など)との併用時には、とくに脱水に対する注意が必要である。 以下の内容について患者に注意・指導する。また、患者の状況に応じて家族にも指導する。シックデイの際には脱水が懸念されるので、いったん服薬を中止し、主治医に相談する。脱水を予防するために日常生活において適度な水分摂取を心がける。アルコール摂取については、過度の摂取を避け適量にとどめ、肝疾患などのある症例では禁酒する。3)心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者 すべてのメトホルミンは、高度の心血管・肺機能障害(ショック、急性うっ血性心不全、急性心筋梗塞、呼吸不全、肺塞栓など低酸素血症を伴いやすい状態)、外科手術(飲食物の摂取が制限されない小手術を除く)前後の患者には禁忌である。また、メトホルミンでは軽度~中等度の肝機能障害には慎重投与である。4)高齢者 メトホルミンは高齢者では慎重に投与する。高齢者では腎機能、肝機能の予備能が低下していることが多いことから定期的に腎機能(eGFR)、肝機能や患者の状態を慎重に観察し、投与量の調節や投与の継続を検討しなければならない。とくに75歳以上の高齢者ではより慎重な判断が必要である。「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」からのお知らせはこちら。

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