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脳梗塞再発予防薬のアンダーユースに介入【うまくいく!処方提案プラクティス】第57回

 脳梗塞後の再発予防薬として、その塞栓機序に基づいて抗血小板薬やDOACなどが用いられますが、出血などの問題から導入が見送りになっているケースもあります。脳梗塞が再発した場合の患者さんやその介護者への負担は大きなものとなるため、適応とならなかった原因やリスクの評価が必要です。今回は、再発予防薬のアンダーユース(本来使うべき薬が処方されていない)にどのように介入したかを紹介します。患者情報80歳 女性(個人在宅)基礎疾患アテローム性脳梗塞、高血圧症、認知症既往歴2ヵ月前に虚血性腸炎で入院、血便もあったため抗血小板薬を中止介護度要介護2訪問診療の間隔2週間に1回介護サービスの利用週2回、通所介護主な介護者同居の長女、胃瘻からの経管投与処方内容1.カンデサルタンOD錠4mg 1錠 分1 朝食後2.アムロジピンOD錠5mg 1錠 分1 朝食後3.ランソプラゾールOD錠15mg 1錠 分1 朝食後4.ピタバスタチンOD錠1mg 1錠 分1 朝食後5.ピコスルファート内用液 便秘時 適宜調節(未排便3日で10滴)本症例のポイントこの患者さんの通院には元々長女が同行していましたが、2ヵ月前の虚血性腸炎の入院を契機に訪問診療を利用することとなりました。当薬局もそのタイミングで介入となり、服薬管理や血圧の状況、排便状況のモニタリングを開始しました。気になるポイントとしては、血便をきっかけにアテローム性脳梗塞の再発予防薬が中止になっていたことです。薬局スタッフがOP(観察計画)として、抗血小板薬の再開について確認と計画を立てていました。しかし、この計画を立てた後のアクションがなく、そのままになっていたので、訪問時に血便や排便の状況を改めて確認することにしました。訪問時に長女に話を聞いたところ、退院後は血便は1回も出ておらず、排便コントロールもブリストル便形状スケール3〜4の正常便が連日出ていたことが確認できました。出血していた頃はスケール1〜2の硬便が出ていたことから、肛門口を傷つけていたのではないかと医師から話があったことも聴取できました。いずれにしても、すでに血便は解消しています。このまま抗血小板薬が再開されないことで脳梗塞の再発を招いた場合、高次機能障害から患者本人と介護者への負担が増大するというリスクを抱えていたため、医師への確認が必要だと判断しました。ブリストル便形状スケールによる便の性状分類画像を拡大する処方提案と経過医師にトレーシングレポートで、現状は排便に問題がなく、血便もないことを伝え、抗血小板薬の再開を検討してみてはどうか提案しました。医師より返事があり、出血や貧血もなく、再開をどうするか検討していたので次回の訪問診療で再開について家族に話をします、と返答がありました。また、薬剤師にこのようにリマインドしてもらえるのは、処方漏れを回避できるのでとても助かるとコメントをいただきました。その後、この患者さんはクロピドグレル錠を再開する予定でしたが、肝機能や血球系の副作用を懸念して、低用量アスピリンが開始となりました。今後は脂質の評価を行い、必要に応じてスタチンの導入を提案したいと考えています。

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透析そう痒症を改善する初の静注薬「コルスバ静注透析用シリンジ」【最新!DI情報】第7回

透析そう痒症を改善する初の静注薬「コルスバ静注透析用シリンジ」今回は、静注透析そう痒症改善薬「ジフェリケファリン酢酸塩注射液(商品名:コルスバ静注透析用シリンジ17.5μg/25.0μg/35.0μg、製造販売元:丸石製薬)」を紹介します。本剤は、透析治療を受ける慢性腎不全患者に多く認められるかゆみを治療するわが国初の静注薬であり、患者QOLの向上が期待される新たな治療選択肢です。<効能・効果>血液透析患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)の適応で、2023年9月25日に製造販売承認を取得し、同年12月13日に発売されています。<用法・用量>通常、成人にはジフェリケファリンとして、ドライウェイト時における下記用量を週3回、透析終了時の返血時に透析回路静脈側に注入します。45kg未満:17.5μg45kg以上65kg未満:25.0μg65kg以上85kg未満:35.0μg85kg以上:42.5μg<安全性>国内の血液透析患者を対象とした試験(MR13A9-3、MR13A9-4およびMR13A9-5試験)における本剤投与群の副作用の発現割合は19.7%(50/254例)で、2.0%以上に発現した主な副作用は、傾眠(2.8%)、浮動性めまい(2.4%)、便秘(2.0%)および血圧低下(低血圧との合算で2.0%)でした。自動車運転および機械操作に対する影響または精神機能の障害に対する試験は実施していませんが、主な副作用として傾眠と浮動性めまいが確認されたことから、自動車の運転など危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意喚起が必要です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、血液透析における既存治療で効果が不十分なかゆみの改善に用いられます。2.抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などが効きにくいかゆみを抑えます。3.眠気、めまいなどが現れることがありますので、車の運転など危険を伴う機械の操作には従事しないでください。4.妊婦または妊娠している可能性のある人、授乳中の人は、医師または薬剤師に相談してください。<ここがポイント!>皮膚そう痒症は、血液透析治療を受ける慢性腎不全患者に多く認められる疾患で、かゆみの原因となる明らかな皮膚病変がないにもかかわらず、全身のあらゆる場所にかゆみが生じます。かゆみは断続的に生じてQOLを低下させるばかりでなく、睡眠障害やうつ病、死亡リスクの上昇などの悪影響を引き起こすこともあります。血液透析患者におけるそう痒症の緩和には、一般的に保湿剤やステロイド剤の外用治療、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬による外用または内服治療が行われます。これらの治療でも効果不十分の場合は、かゆみを抑制するκオピオイド受容体(KOR)の作動薬であるナルフラフィンが内服で用いられています。しかし、血液透析患者の約40%は、これらの治療を受けても中等度~重度のそう痒症が残存します。ジフェリケファリンは、ナルフラフィンに次ぐKOR作動薬であり、透析終了後の返血時に透析回路からボーラス投与するわが国初の静注のプレフィルドシリンジ製剤です。静注薬なので、透析患者の水分摂取制限や嚥下機能低下に影響されず、透析時に医師の管理のもとに投与されるため服薬アドヒアランスにも影響されません。既治療のそう痒症を有する血液透析患者178例を対象とした国内第III相臨床試験(MR13A9-5)の二重盲検期において、主要評価項目である「4週時の平均かゆみNRS(numerical rating scale)スコアのベースラインからの変化量」は、本剤投与群-2.06、プラセボ投与群-1.09、群間差-0.97(95%信頼区間:-1.52~-0.42)であり、プラセボ投与群に対して本剤投与群の優越性が示されました(p

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便通異常症 慢性便秘(2)二次性慢性便秘症【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q100

便通異常症 慢性便秘(2)二次性慢性便秘症Q100慢性便秘症の介入をする上で、まずは二次性の除外をすることが重要である。本邦の『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』でも除外すべき二次性の原因疾患として、慢性便秘症を来す基礎疾患がリスト化されている。2023年から追加となった基礎疾患は?

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便通異常症 慢性便秘(1)便秘の定義【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q99

便通異常症 慢性便秘(1)便秘の定義Q99慢性便秘については、『慢性便秘症診療ガイドライン2017』から、2023年に『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』としてガイドラインが改訂された。ガイドラインの改訂により、便秘および慢性便秘の定義に変更はあっただろうか?

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統合失調症、ムスカリン受容体作動薬KarXTは有効か?/Lancet

 xanomeline-trospium(KarXT)は統合失調症の陽性症状および陰性症状の改善に有効であり、概して忍容性は良好であった。米国・Karuna TherapeuticsのInder Kaul氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「EMERGENT-2試験」の結果を報告した。著者は、「今回の結果は、KarXTがD2ドパミン受容体遮断のメカニズムを有する現在のすべての抗精神病薬とは異なる、ムスカリン受容体の活性化に基づく有効かつ忍容性の高い、新たなクラスの抗精神病薬となる可能性を裏付けるものであった」とまとめている。KarXTは、現在承認されているすべての抗精神病薬とは異なり、D2ドパミン受容体を遮断しないムスカリンM1およびM4受容体選択的アゴニストであり、末梢性ムスカリン受容体に関連する有害事象を改善する目的で、xanomelineと末梢性ムスカリン性受容体拮抗薬であるtrospium chlorideを組み合わせたものである。統合失調症患者には新しいメカニズムを有する新たな治療法が緊急に必要とされていた。Lancet誌オンライン版2023年12月14日号掲載の報告。KarXTの有効性および安全性をプラセボと比較検証 研究グループは米国の22施設において、精神病が最近悪化して入院を必要としており、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)スコア80以上、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコア4以上の18~65歳の統合失調症患者を、KarXTまたはプラセボを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 KarXT群では、最初の2日間はxanomeline 50mgとtrospium 20mgを、3~7日目にはxanomeline 100mgとtrospium 20mgを1日2回投与し、8日目からは用量変更可としてxanomeline 125mgおよびtrospium 30mgを1日2回に増量、あるいは忍容性に応じてxanomeline 100mgとtrospium 20mgに戻すことも可能とした。 主要エンドポイントは、5週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量とし、修正ITT集団(無作為化された患者のうち、少なくとも1回試験薬を服用し、ベースライン以外でPANSS評価を少なくとも1回受けた患者)を有効性解析対象集団とした。5週間でKarXTは陽性症状と陰性症状を有意に軽減 2020年12月16日~2022年4月13日に407例がスクリーニングを受け、適格基準を満たした252例がKarXT群(126例)またはプラセボ群(126例)に無作為化された。ベースラインのPANSS合計スコアは、それぞれ98.3、97.9であった。 PANSS合計スコアのベースラインから5週時の変化量の平均値は、KarXT群-21.2ポイント(SE 1.7)、プラセボ群-11.6ポイント(1.6)であった(最小二乗平均群間差:-9.6、95%信頼区間[CI]:-13.9~-5.2、p<0.0001、Cohen’s d効果量=0.61)。 副次エンドポイントもすべて、プラセボ群よりKarXT群で有意に良好であった(p<0.05)。 主な有害事象(KarXT群vs.プラセボ群)は、便秘(27例[21%]vs.13例[10%])、消化不良(24例[19%]vs.10例[8%])、頭痛(17例[14%]vs.15例[12%])、悪心(24例[19%]vs.7例[6%])、嘔吐(18例[14%]vs.1例[1%])、高血圧(12例[10%]vs.1例[1%])、浮動性めまい(11例[9%]vs.4例[3%])、胃食道逆流症(8例[6%]vs.0[0%])、下痢(7例[6%]vs.4例[3%])であった。 治療中に発現した有害事象は、錐体外路症状(KarXT群0[0%]vs.プラセボ群0[0%])、アカシジア(1例[1%]vs.1例[1%])、体重増加(0[0%]vs.1例[1%])、傾眠(6例[5%]vs.5例[4%])であり、投与中止に至った有害事象(9例[7%]vs.7例[6%])と同様に、KarXT群とプラセボ群で同程度であった。 なお、同一のEMERGENT-3試験、52週間の非盲検試験であるEMERGENT-4およびEMERGENT-5試験を含む追加の試験により、統合失調症患者におけるKarXTの有効性および安全性に関する追加情報が提供される予定だという。

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過敏性腸症候群に対する1次治療が無効な患者に2次治療として抗うつ薬の低用量アミトリプチリンが有効(解説:上村直実氏)

 過敏性腸症候群(IBS)は便秘や下痢などの便通異常に加えて腹痛を伴う機能性の腸疾患である。IBSの診断について、一般的には国内外のガイドラインで示されるRome IV基準に従って『3ヵ月以上の腹痛と6ヵ月以上前からの便通異常を有する患者』とされるが、わが国における実際の診療現場においては、病悩期間にかかわらず『大腸がんなどの器質性疾患を除く便通異常と腹痛を伴う病態』をIBSとして取り扱うことが多い。 治療に関しては、1次治療として食事指導や生活習慣の改善および消化管運動改善薬や下剤・止痢剤など便通改善薬を用いた薬物治療を行い、症状に改善傾向を認めない場合には2次治療として抗不安薬や抗うつ薬などの抗精神薬が推奨されているが、IBSに対する抗うつ薬の有用性を示すエビデンスは乏しいのが現状であった。 今回、英国で三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンがIBSの2次治療として有効であるかどうかを評価するために、プライマリケアを中心として施行されたRCTの結果が2023年10月16日のLancet誌オンライン版に報告された。1次治療で効果のなかったIBS患者463症例を対象として低用量アミトリプチリンとプラセボを投与した結果、アミトリプチリン群において6ヵ月後のIBS重症度スコアが20%以上有意に改善した。この結果から、第一選択療法が無効なIBS患者に低用量のアミトリプチリンを提供すべきで、英国のガイドラインを更新する必要があると結論している。 日本の医療現場でIBS患者を最初に診療するのは診療所の実地医家や消化器内科医であり、心理状態を把握したうえで処方される抗うつ薬は副作用の問題などから使用されるケースは多くないと思われる。しかし、今回のRCTによるエビデンスから、消化管運動改善薬や便通異常改善薬に反応しない難治性IBSに対する2次治療として低用量の三環系抗うつ薬が使用されることが期待される。

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12月11日 胃腸の日【今日は何の日?】

【12月11日 胃腸の日】〔由来〕「いに(12)いい(11)」(胃にいい)の語呂合わせから日本大衆薬工業協会(現:日本OTC医薬品協会)が2002年に制定。師走に1年間を振り返り、大切な胃腸に負担をかけてきたことを思い、胃腸へのいたわりの気持ちを持ってもらうのが目的。胃腸薬の正しい使い方や、胃腸の健康管理の大切さなどをアピールしている。関連コンテンツ最新の便秘診療の知識【診療よろず相談TV】運動意欲を腸内細菌が支える【バイオの火曜日】短腸症候群【希少疾病ライブラリ】ESMO2023 レポート 消化器がんベジタリアン食で、胃がん罹患リスク6割減

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新規機序でリン吸収を阻害する高リン血症薬「フォゼベル錠」【最新!DI情報】第5回

新規機序でリン吸収を阻害する高リン血症薬「フォゼベル錠」今回は、高リン血症治療薬「テナパノル塩酸塩錠(商品名:フォゼベル錠5mg/10mg/20mg/30mg、製造販売元:協和キリン)」を紹介します。本剤は、腸管からのリン吸収を阻害することで高リン血症を改善する新たな作用機序の薬剤です。1日2回投与で服薬負荷を軽減し、長期的なリン管理が可能になると期待されています。<効能・効果>本剤は、透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善の適応で、2023年9月25日に製造販売承認を取得しました。なお、本剤は血中リンの排泄を促進する薬剤ではないので、食事療法などによるリン摂取の制限を考慮する必要があります。<用法・用量>通常、成人にはテナパノルとして1回5mgを開始用量として、1日2回、朝食および夕食直前に経口投与します。以後、症状や血清リン濃度の程度により適宜増減することができます。最高用量は1回30mgです。血液透析中に排便を催すことが懸念される患者では、透析直前での投与を控え、朝夕以外の食直前の投与も可能です。<安全性>透析中の慢性腎臓病患者を対象とした国内第III相臨床試験において、本剤投与群全体の76.6%(331/432例)に有害事象が発現しました。最も多く発現した有害事象は下痢で、61.3%(265/432例)に生じました。重症度は軽度のものが大半で、重篤な下痢は認められませんでしたが、下痢によって脱水に至る恐れがあるため注意が必要です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、食事に含まれるリンの吸収を抑制し、血中のリン濃度を低下させます。2.服用後に食事をとらなかった場合には、この薬の効果は期待できません。3.血中のリンの排泄を促す薬ではないので、リンを多く含む食事の制限が必要です。4.下痢に伴う口渇や手足のしびれ、強い倦怠感、血圧低下などが現れた場合は速やかにご連絡ください。5.透析中に排便を催す懸念があるときは、事前に申し出てください。<ここがポイント!>従来、透析患者における高リン血症の治療として、リン吸着薬が用いられてきました。リン吸着薬には、副作用として嘔気や下痢などの消化管障害、高カルシウム血症、鉄過剰症が現れることがあるため、リン輸送を阻害するリン吸収抑制薬が開発されました。本剤は腸管で局所的にナトリウム/プロトン交換輸送体3(NHE3)を阻害し、消化管からのNa+の吸収を低下させ、腸管上皮細胞内のH+濃度を上昇させます。細胞内のpHが低下するとリン吸収の主要経路である傍細胞経路(細胞間隙経路)からのリンの透過性が低下し、腸管からのリン吸収が低下します。本剤は、高リン血症治療に伴う既存のリン吸着薬による服薬負荷を軽減しつつ、長期間のリン管理が可能です。血液透析施行中の高リン血症患者を対象とした第III相プラセボ対照二重盲検ランダム化並行群間比較試験(試験番号:7791-004)において、主要評価項目である投与開始8週後の血清リン濃度のベースラインからの変化量の最小二乗平均値は、プラセボ群で0.05mg/dL(95%信頼区間:−0.25~0.36)、本剤群で−1.89mg/dL(同:−2.19~−1.60)でした。プラセボ群と本剤群との変化量の差(本剤群−プラセボ群)は、−1.95mg/dL(同:−2.37~−1.53)であり、本剤群ではプラセボ群に比べて血清リン濃度が有意に低下しました。なお、テナパノルは米国では便秘型の過敏性腸症候群(IBS-C)に対する治療薬として承認されていますが、わが国では未承認です。

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ESMO2023 レポート 肺がん

レポーター紹介2023年のESMOはスペインのマドリードで開催されました。昨年・一昨年以上に参加人数が多かったようで、ポストコロナ時代の学会として大変盛況でした。さて、肺がん領域においてはPractice Changeにつながる可能性の高い重要な演題が多く発表されました。とくに、ここ2年間で劇的に進歩した肺がん周術期治療やEGFR・RETなどのdriver mutation陽性の進行例に対する新たな知見が複数報告されております。今回はその中から、7つの演題を取り上げ概括したいと思います。CheckMate77T試験切除可能なIIA~IIIB(N2)期の非小細胞肺がんを対象として、術前の化学療法を標準治療として、術前のニボルマブ+化学療法および術後のニボルマブ療法の優越性を検証した無作為化比較第III相試験である。CheckMate816試験を基に現在保険承認されている術前のニボルマブ+化学療法に術後1年間のニボルマブ療法を加えた、いわゆるサンドイッチレジメンである。主要評価項目は中央判定での無イベント生存期間(EFS)で、副次評価項目は中央判定での病理学的完全奏効(pCR)、中央判定での病理学的奏効(MPR)、全生存期間(OS)、安全性プロファイルが設定されていた。患者背景として、病期やPD-L1発現などはCheckMate816試験と同様であった。主要評価項目の結果としては、CheckMate816試験やほかのサンドイッチレジメンと同様にEFSを有意に延長し(ハザード比:0.58、95%信頼区間[CI]:0.42~0.81)、副次評価項目であるpCRやMPRも化学療法と比較して有意に良好であった(pCR:25.3% vs.4.7%、MPR:35.4% vs.12.1%)。EFSのサブ解析を見ても、おおむねどの集団においてもニボルマブ併用群で良好な結果であった。また、ほかのサンドイッチレジメンと同様にpCRやMPR別でのEFSの解析も行われ、こちらも今までと同様にpCRやMPRの有無でEFSに大きな差が認められた。安全性のデータも報告されたが、目新しい有害事象(AE)の報告はなく、過去の周術期ICIのレジメンと同様であった。本レジメンも将来的に保険承認されると予想されるが、ほかのペムブロリズマブやデュルバルマブなどのサンドイッチレジメンとの差別化が図れるようなデータは今回の報告からは見られなかった。ALINA試験本年のASCOで、EGFR遺伝子変異陽性肺がん完全切除例に対するオシメルチニブによる術後補助療法が、プラセボと比較してOSを有意に延長したことが大きな話題となったが、ESMOではALK遺伝子転座陽性非小細胞肺がんに対するアレクチニブの術後補助療法の有効性が報告された。UICC-7版でのIB~IIIA期のALK陽性非小細胞肺がんが対象で、標準治療であるプラチナ併用化学療法による補助療法に対するアレクチニブを2年間内服する術後補助療法の有効性を検証する無作為化比較第III 相試験である。主要評価項目は無病生存期間(DFS)で、副次評価項目はCNSのDFS、OS、安全性であった。主要評価項目はII~IIIA期で評価された後、ITT集団を対象として階層的に評価されるデザインであった。257例が登録されており、アジア人が約半数でIIIA期が約半数登録された試験であった。主要評価項目であるII~IIIA期DFSは、標準治療と比較してアレクチニブ群のハザード比は0.24(95% CI:0.13~0.45)であり、ITT集団を対象とした解析でもハザード比は0.24(95% CI:0.13~0.43)と、ともに主要評価項目を達成した。サブ解析でもほぼすべての集団でアレクチニブ群のDFSが良好であった。副次評価項目の1つであるCNSのDFSも、アレクチニブ群は標準治療と比較してハザード比は0.22(95%CI:0.08~0.58)と良好であった。再発後の治療はアレクチニブ群の約半数、標準治療群では約75%でALK-TKIが投与されており、今回の発表のデータカットオフ時点ではOSのイベントはわずか6例しか認められなかった。安全性は、Grade3以上は30%で治療関連の死亡は認められなかった。主なAEは、CPK上昇(約40%)、便秘(約40%)、AST上昇・ALT上昇(約40%前後)と、過去のALEX試験やJ-ALEX試験と同様のプロファイルであった。今回、DFSの良好な結果が報告されたが、オシメルチニブと同様にOSの延長にも寄与するかが今後期待される。ただ、ALK陽性肺がんの予後を考えると、数年後まで結果は出てこない可能性が高い。今回の結果からは、今後バイオマーカーの結果によって周術期治療戦略も進行期と同様に細分化されると考えられる。MARIPOSA試験EGFR遺伝子変異陽性の進行・再発非小細胞肺がんに対する1次治療として確立しているオシメルチニブを標準治療とした、無作為化比較第III相試験である。試験治療群はEGFRとMETの二重特異性抗体であるamivantamabと第3世代EGFR-TKIであるlazertinibの2剤併用療法もしくはlazertinib単剤の3群の比較試験で、主要評価項目はamivantamab・lazertinib併用療法のオシメルチニブに対する中央判定によるPFSであった。 1,074例が登録され、amivantamab・lazertinib併用療法、オシメルチニブ療法、lazertinib療法に、それぞれ2:2:1に割り付けられた。EGFR変異の種別はExon19欠失が60%でL858R点変異が40%、約40%が脳転移を有していた。主要評価項目のPFSはamivantamab・lazertinib併用群で中央値23.7ヵ月、オシメルチニブ群で中央値16.6ヵ月、ハザード比0.70(95%CI:0.58~0.85)と、amivantamab・lazertinib併用群のオシメルチニブに対するPFS延長効果が証明され、主要評価項目を達成した。サブ解析では、おおむねどの集団においてもamivantamab・lazertinib併用群で良好な結果であったが、65歳以上の集団ではハザード比1.06であった。奏効率(ORR)は併用群およびオシメルチニブ群ともに約85%で、OSは今回の中間解析時点では2年時点で5%約の差(75% vs.69%)で併用群が良好であった。有効性について有望な結果が得られたamivantamab・lazertinib併用群であったが、AEが強く発現する点に注意する必要がある。Grade3以上のAEは75%で、皮膚障害・粘膜障害についてもGrade3以上がamivantamab・lazertinib併用群で強く発現していた。さらに特筆すべきは静脈血栓症(VTE)で、オシメルチニブ群の9%と比較して併用群では37%と高く、発症時期は中央値で84日と比較的早期に発症することが特徴である。現在実施されているamivantamab・lazertinib併用の治験では、治療開始後4ヵ月間は予防的抗凝固療法が推奨されているとのことであった。今回、オシメルチニブに対するPFS延長を示したamivantamab・lazertinib併用療法であるが、AEが強く発現する点から、個人的には今後オシメルチニブに完全に置き換わるよりは、使い分けが重要となってくると予想する。MARIPOSA-2試験先述したMARIPOSA試験と同じセッションで発表された本試験は、オシメルチニブに対して病勢増悪を来したEGFR遺伝子変異陽性例を対象として、カルボプラチン+ペメトレキセドによる化学療法を標準治療として、amivantamab+lazertinib+化学療法の4剤併用療法もしくはamivantamab+化学療法の3剤併用療法の3群に割り付ける無作為化比較第III相試験で、657例が登録された。主要評価項目は中央判定による4剤併用療法と化学療法を比較するPFSと、3剤併用療法と化学療法を比較したPFSである。登録前のオシメルチニブは、70%が1次治療、30%が2次治療で投与されていた。主要評価項目のPFSの結果は、4剤併用療法群の中央値が8.3ヵ月、3剤併用療法群の中央値が6.3ヵ月、化学療法群の中央値が4.2ヵ月で、それぞれハザード比が0.44(95%CI:0.35~0.56)、0.48(95%CI:0.36~0.64)と、4剤併用療法、3剤併用療法ともに化学療法に対する有意なPFS延長効果を証明した。サブ解析においても、すべての集団でPFSは良好な結果であった。ORRは両群63%程度(化学療法は36%)で頭蓋内のPFSも両群とも良好であった(4剤併用:12.8ヵ月、3剤併用:12.5ヵ月、化学療法:8.3ヵ月)。AEは先述したMARIPOSA試験同様に注意すべき点である。とくにlazertinibを加えた4剤併用療法では、Grade3以上のAEは92%、治療関連死亡は5%に認めた。3剤併用療法はGrade3以上のAEが72%であった。なかでも好中球減少や血小板減少などの血球減少は多く見られ、吐き気や倦怠感、食欲不振といった自覚症状として出てくるAEも4剤併用療法や3剤併用療法で多く認められた。血球減少が多く見られたことから、4剤併用療法のレジメンが見直され、lazertinibはカルボプラチン終了後に開始となるレジメンにmodifyされた。この修正後のレジメンの有効性・安全性データは今後評価予定となっている。今回、オシメルチニブ後の治療として有望な結果が得られたが、効果と安全性のバランスを考えると3剤併用療法がより使いやすい印象はある。先述したMARIPOSA試験と併せて、EGFR遺伝子変異陽性の最適な治療シークエンスが今後検討されることであろう。LIBRETTO-431試験本試験は肺腺がんの1~2%に認められるRET融合遺伝子陽性の非扁平上皮非小細胞肺がんを対象として、RET阻害薬であるセルペルカチニブを試験治療として、カルボプラチン+ペメトレキセド(+ペムブロリズマブ:investigator choice)療法を標準治療とした無作為化比較第III相試験である。標準治療群に割り付けられても病勢増悪後にセルペルカチニブにクロスオーバーが可能な試験である。主要評価項目は中央判定によるPFSであった。PFSはITT集団とITT-pembrolizumab(ITT-P)集団という2つの対象で評価された。261例が2:1に割り付けられた。約20%に脳転移を認め、40%強がPD-L1発現を認めた。主要評価項目であるPFSはITT-P集団でハザード比0.465(95%CI:0.309~0.699)、ITT集団で0.482(95%CI:0.331~0.700)と、規定された2つの集団でセルペルカチニブのPFSの有意な延長効果が証明された。サブ解析ではPD-L1陰性例よりも陽性例で良好な結果であった。セルペルカチニブのORRは83.7%(標準治療群:65.1%)、頭蓋内のORRも82.4%(標準治療群:58.3%)と、ともに良好な結果であった。CNS転移の累積発生率で見ても、12ヵ月時点で標準治療群が約20%であるのに対して、セルペルカチニブ群は5.5%とCNS転移をしっかりと抑えていることが示された。AEについては、セルペルカチニブの承認の元になった第I/II相試験であるLIBRETTO-001試験と同様のプロファイルであった。Grade3以上のAEは約70%に認められ、頻度の高いAEはAST上昇(Grade3以上13%)、ALT上昇(Grade3以上22%)、高血圧(Grade3以20%)、下痢(Grade3以上:1%)であった。約80%の症例でセルペルカチニブの用量変更が必要であったことも特筆すべきことである。今回の第III試験の報告で、RET融合遺伝子陽性例の1次治療としてセルペルカチニブは確立したものとなったと考える。本試験の結果は発表と同時にNew England Journal of Medicine誌にpublishされたことも報告された。TROPION-Lung01試験既治療の進行・再発非小細胞肺がんを対象として、ドセタキセル療法を標準治療としたdatopotamab deruxtecan(Dato-DXd)の優越性を検証する無作為化比較第III相試験である。Dato-DXdはTROP2を標的とした抗体薬物複合体である。EGFRやALKなどのdriver mutationを有する症例について、標的治療およびプラチナ併用化学療法(+ICI)の治療を終えた症例であれば組み込むことは可能であった。主要評価項目は中央判定によるPFSとOSであった。604例が1:1に割り付けられ、非扁平上皮がんが約80%、EGFR遺伝子変異陽性例は約15%登録されていた。主要評価項目のPFSはDato-DXd群で中央値が4.4ヵ月、ドセタキセル群で中央値が3.7ヵ月、ハザード比は0.75(95%CI:0.62~0.91)とDato-DXdの有意なPFS延長効果が示された。ORRはDato-DXd群は26.4%、ドセタキセル群では12.8%と、こちらもDato-DXd群で良好であった。PFSのサブ解析で特筆すべきは組織型での差であった。非扁平上皮がんではDato-DXd群のハザード比が0.63であったのに対して、扁平上皮がんでは1.38と組織型でDato-DXd療法の有効性が異なることが示唆された。今回の中間解析時点でのOSはDato-DXd vs.ドセタキセルで0.90(95%CI:0.72~1.13)であり、今後のフォローアップデータが待たれるところである。治療期間の中央値はDato-DXdが4.2ヵ月、ドセタキセルは2.8ヵ月であった。Dato-DXdのAEについて、Grade3以上のAEは25%、減量を要した症例の割合は20%と、どちらもドセタキセルと比較して低い傾向にあった。頻度の多いAEは口内炎(47%)、吐き気(34%)、脱毛(32%)であった。またDato-DXdに特徴的なAEとしてドライアイや流涙などの眼関連のAEが19%に発生した。また、ILDは8%で、7例(2%)にILDによる治療関連死亡が発生したことも注意すべきAEとして取り上げたい。これらの結果から、既治療の非扁平上皮がんに対してDato-DXdが重要な治療選択肢になりうると結論付けられた。ACHILLES/TORG1834試験最後に、本邦からの重要な第III相試験の報告を紹介する。TORGを中心に全国の臨床試験グループが参加して行われたインターグループスタディであるACHILLES試験の結果が、新潟県立がんセンター新潟病院の三浦 理氏より報告された。本試験は、EGFR遺伝子変異の中でExon19欠失もしくはL858R点変異を除く、いわゆるuncommon変異を有する未治療例を対象として、標準治療をプラチナ+ペメトレキセド、試験治療をアファチニブとして、PFSを主要評価項目に設定した無作為化比較試験である。109例が登録され、標準治療群とアファチニブ群に1:2に割り付けられた。変異の種類としてはG719Xが約40%と最も多く、L861Qが約18%であった。複数のuncommon変異を同時に有するcompound変異は約30%であった。ベースの脳転移は約30%に認めた。主要評価項目のPFSはアファチニブ群の中央値が10.6ヵ月、標準治療群では5.7ヵ月で、ハザード比は0.422(95%CI:0.256~0.694)であり、アファチニブの有意なPFS延長効果が示された。ORRはアファチニブで61.4%、標準治療で47.1%とアファチニブで良好であった。安全性は過去のLUX-Lung試験と同様のプロファイルであった。uncommon変異に対する初めての第III相試験であり、OSの結果が待たれるところであるが、同対象への標準治療としてアファチニブの地位はほかのEGFR-TKIよりリードしたものと考える。終わりに今回のESMOでは、取り上げた演題以外にもMini Oralやポスター発表で非常に興味深い発表が多かったです。今回のレポートが、多くの先生の臨床にお役に立てれば幸いです。

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抗精神病薬関連の流涎症に対する薬理学的介入~メタ解析

 抗精神病薬に関連する流涎症は大きな問題の1つであるが、エビデンスベースの治療ガイダンスは不十分である。イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のMichele Fornaro氏らは、抗精神病薬関連の流涎症に対する薬理学的介入について、ネットワークメタ解析を実施した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2023年10月11日号の報告。 成人患者を対象とした抗精神病薬誘発性流涎症に関するRCT研究(公開/非公開)をPubMed Central、PsycInfo、Cochrane Central database、Clinicaltrials.gov、WHO-ICTRP、中国電子ジャーナルデータベース(Qikan.cqvip.com)で検索した(2023年6月12日まで)。グローバル/ローカルでの不一致、出版バイアス、バイアスリスク(RoB2)、エビデンスの確実性を評価するため、サブグループ/感度分析を行った。主要有効性アウトカムは、唾液産生の変化(標準化平均差:SMD)、研究で定義された治療反応(リスク比:RR)とした。忍容性アウトカムは、すべての原因による中止(RR)をした。薬剤ごとに評価し、作用機序の評価は副次的なものとした。 主な結果は以下のとおり。・34件のRCTをシステマティックにレビューし、33件(1,958例)をネットワークメタ解析に含めた。・すべての介入は、精神疾患患者のクロザピン誘発性流涎症に対する介入であった。・プラセボと比較し、治療反応が良好であった薬剤は以下のとおりであった。 ●メトクロプラミド(RR:3.11、95%信頼区間[CI]:1.39~6.98) ●シプロヘプタジン(RR:2.76、95%CI:2.00~3.82) ●スルピリド(RR:2.49、95%CI:1.65~3.77) ●プロパンテリン(RR:2.39、95%CI:1.97~2.90) ●ジフェンヒドラミン(RR:2.32、95%CI:1.88~2.86) ●benzhexol(RR:2.32、95%CI:1.59~3.38) ●doxepin(RR:2.30、95%CI:1.85~2.88) ●amisulpride(RR:2.23、95%CI:1.30~3.81) ●クロルフェニラミン(RR:2.20、95%CI:1.67~2.89) ●アミトリプチリン(RR:2.09、95%CI:1.34~3.26) ●アトロピン(RR:2.03、95%CI:1.22~3.38) ●astemizole(RR:1.70、95%CI:1.28~2.26)・作用機序別の評価では(28研究、1,821例)、抗ムスカリン薬(RR:2.26、95%CI:1.91~2.68)、ベンズアミド(RR:2.23、95%CI:1.75~3.10)、三環系抗うつ薬(RR:2.23、95%CI:1.83~2.72)、抗ヒスタミン薬(RR:2.18、95%CI:1.83~2.59)は、プラセボよりも良好であった。・直接比較では、astemizoleとイプラトロピウムは、いくつかの介入において良好な成績が認められた。・作用機序別の継続的な有効性は、ベンズアミドを除き、プラセボよりも良好であった。・夜間流涎症に関して、ベンズアミド、アトロピンは、プラセボよりも良好な結果は認められなかった。・便秘または眠気は、プラセボと比較し有意な差は認められなかった。

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事例35 アミティーザカプセルの査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では、慢性便秘の患者に処方したルビプロストン(商品名:アミティーザ)カプセルが過剰を表すB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)を適用されて査定になりました。ルビプロストンの添付文書をみてみると、「慢性便秘症に、1回24μgを1日2回、朝食後及び夕食後に経口投与する。なお、症状により適宜減量する」とあります。ルビプロストン24㎍は、1日2回の服用に限定されています。1日3回の処方を行ったために1回分が過剰として査定となったことがわかります。また、1日量も定められた上限を超えており、明らかな過量であることがわかります。処方内容に対して、医師にお伺いしたところ、「慢性便秘のコントロールに難渋したため増量した。処方時点で、コメントを入力したところ薬剤処方登録システムではエラーが出なかったためにそのまま処方した」と説明がありました。医師には、医学的理由がありコメントにて意思表示されても、添付文書に「適宜減量」と記載されている薬剤における上限量を超えての処方は、査定対象になることをお話しいたしました。薬剤の処方システムには、「適宜減量」の薬剤において上限超えの処方をされた場合に警告が表示されるが、「コメント」を入力するとそのまま処方されてしまう仕様のため、再警告「査定対象の用法用量です」も表示されるように改修を行い、医療安全の向上と査定の対策としています。

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既治療の小細胞肺がんへのtarlatamab、奏効率40%/NEJM

 既治療の小細胞肺がん(SCLC)患者の治療において、tarlatamabは持続的な奏効を伴う抗腫瘍活性を発揮し、生存アウトカムも良好であり、新たな安全性シグナルは確認されなかったことが、韓国・成均館大学校のMyung-Ju Ahn氏らが実施した「DeLLphi-301試験」で示された。tarlatamabは、がん細胞上のδ様リガンド3(DLL3)とT細胞上のCD3を標的とする二重特異性T細胞誘導(BiTE)分子で、DLL3とCD3の両方に結合することでT細胞をがん細胞へと誘導し、がん細胞の溶解をもたらす標的免疫療法である。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年10月20日号で報告された。3つのパートから成る国際的な第II相試験 DeLLphi-301試験は、日本を含む17ヵ国56施設が参加した非盲検第II相試験であり、2021年12月~2023年5月の期間に患者の登録を行った(Amgenの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、SCLCと診断され、プラチナ製剤ベースの治療と少なくとも1つの他の治療を受け、全身状態が良好な患者(ECOG PSのGrade0または1)であった。 本試験は3つのパートで構成された。パート1では176例を登録し、tarlatamab 10mg(88例)または100mg(88例)を静脈内投与する群に無作為に割り付けた。パート2では、事前に規定されたパート1の中間解析の結果に基づいて選択されたtarlatamabの用量に患者を登録した(10mgを選択し12例を登録)。パート3では34例を登録し、tarlatamabの安全性を評価した。 全例に対しサイクル1の1日目にtarlatamab 1mgを、8日目および15日目に10mgまたは100mgを投与し、その後、28日を1サイクルとして病勢が進行するまで各用量を2週ごとに投与した(1サイクルに2回の投与)。 主要評価項目は奏効(完全奏効[CR]+部分奏効[PR])率とし、RECIST version 1.1に基づき、盲検下独立中央判定で評価した。10mg群で奏効率40%、全生存期間中央値14.3ヵ月 全体で220例がtarlatamabの投与を受けた。前治療ライン数の中央値は2であった。抗腫瘍活性と生存の評価の対象となった188例(パート1、2)の追跡期間中央値は、tarlatamab 10mg群(100例、年齢中央値64.0歳、男性72%)が10.6ヵ月、同100mg群(88例、62.0歳、70%)は10.3ヵ月だった。 奏効は、10mg群では100例中40例(40%、97.5%信頼区間[CI]:29~52)、100mg群は88例中28例(32%、21~44)で達成され、CRはそれぞれ1例、7例で得られた。 奏効が達成された68例中40例(59%)で奏効期間は6ヵ月以上に達しており、20例(29%)では9ヵ月以上であった。また、データカットオフ日(2023年6月27日)の時点で、10mg群の40例中22例(55%)、100mg群の28例中16例(57%)で奏効が持続していた。 無増悪生存期間中央値は、10mg群が4.9ヵ月(95%CI:2.9~6.7)、100mg群は3.9ヵ月(2.6~4.4)であった。また、全生存期間中央値は、10mg群が14.3ヵ月(10.8~評価不能[NE])、100mg群はNE(12.4~NE)であり、9ヵ月の時点での推定全生存率はそれぞれ68%、66%だった。 最も頻度の高い有害事象は、サイトカイン放出症候群(10mg群51%、100mg群61%)、食欲減退(29%、44%)、発熱(35%、33%)、便秘(27%、25%)、貧血(26%、25%)であった。サイトカイン放出症候群は、主としてサイクル1の期間中に発現し、ほとんどの患者がGrade1または2であった。Grade3のサイトカイン放出症候群は、100mg群で6%に発生したのに対し、10mg群では1%と頻度が低かった。 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)とその関連の神経イベントは、10mg群の11例(8%)と100mg群の24例(28%)で発生し、Grade3以上は10mg群では認めず、100mg群では4例(5%)にみられた。治療関連有害事象によるtarlatamabの投与中止の割合は、両群とも3%と低かった。 著者は、「40%という奏効率は、主要評価項目としての既存対照(historical control)の基準である15%をはるかに上回る。現在、SCLCの3次治療以降の治療法は承認されておらず、本試験の結果は、3次治療以降の実臨床研究の観点から好ましいものと考えられる」としている。現在、既治療の進展型SCLC患者において、tarlatamab(10mg、2週ごと)を標準治療と比較する第III相試験(DeLLphi-304試験)が進行中だという。

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日本人統合失調症患者の下剤使用開始と関連する要因は

 抗精神病薬の一般的な副作用の1つに便秘がある。しかし、便秘をターゲットとした研究は、これまで行われていなかった。獨協医科大学の川俣 安史氏らは、同じ統合失調症患者を20年間さかのぼり、下剤使用開始と関連する要因を特定しようと試みた。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年9月12日号の報告。 2021年4月より各病院に通院する統合失調症患者14例を登録した。対象患者の2016、11、06、01年4月1日時点でのすべての処方箋データをレトロスペクティブに収集した。下剤の使用頻度の違いと傾向を特定するため、Bonferroni補正コクランQ検定およびコクラン・アーミテージ検定を用いた。20年にわたる下剤使用開始と関連する要因を評価するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・下剤を使用していた患者の割合は、2001年で25.1%、2021年で34.1%であった。・下剤による治療を受けた患者数は20年で異なり、有意な増加傾向が認められた。・すべての下剤では、酸化マグネシウム、ルビプロストン、エロビキシバットで治療された患者数には差があり、有意な増加傾向が認められた。・20年間の下剤使用開始と関連が認められた要因は、女性、年齢、ジアゼパム換算量、レボメプロマジン、オランザピン、クエチアピン、ゾテピン、リチウム、カルバマゼピンの用量であった。 結果を踏まえ、著者らは「一部の抗精神病薬で治療されている統合失調症患者では、便秘に対する注意深いモニタリングの必要性が示唆された。治療ガイドラインに従い処方の最適化を行うことで、抗精神病薬による便秘を軽減できる可能性がある」としている。

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9月26日 大腸を考える日【今日は何の日?】

【9月26日 大腸を考える日】〔由来〕9の数字が大腸の形と似ていることと、「腸内フロ(26)ーラ」と読む語呂合わせから、健康の鍵である大腸の役割や生息する腸内細菌叢のバランスを健全に保つための方法を広く知ってもらうことを目的に森永乳業株式会社が制定。関連コンテンツ潰瘍性大腸炎【希少疾病ライブラリ】腸内細菌の医療への応用【慢性便秘症特集】潰瘍性大腸炎へのミリキズマブ、導入・維持療法で有効性示す/NEJMアルコール摂取、大腸がんリスクが上がる量・頻度は?加齢や疲労による臭い、短鎖脂肪酸が有効

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慢性便秘症ガイドライン改訂、非専門医向けに診療フローを明確に

 慢性便秘症は、2010年代にルビプロストン(商品名:アミティーザ)、リナクロチド(同:リンゼス)、エロビキシバット(同:グーフィス)、ポリエチレングリコール(PEG)製剤(同:モビコール)、ラクツロース(同:ラグノス)といった新たな治療薬が開発されている。このように、治療の進歩とエビデンスの蓄積が進む慢性便秘症について、約6年ぶりにガイドラインが改訂され、『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』が2023年7月に発刊された。そこで、本ガイドラインの作成委員長を務める伊原 栄吉氏(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学)に改訂のポイントを聞いた。生命予後にも関わる慢性便秘症、待望のガイドライン改訂 慢性便秘症は、QOLが低下するだけでなく、長期生命予後に影響するコモンディジーズである1)。慢性便秘症には、結腸運動機能(便の運搬機能)障害(排便回数減少型)と直腸肛門機能(便の排泄機能)障害(排便困難型)の2つの病態が存在するため、病態に基づいた治療が必要となる。また、2010年代には新たな慢性便秘症治療薬が複数開発されており、これらのエビデンスをまとめ、非専門医向けに診療フローチャートを作成する必要があった。さらに、オピオイド誘発性便秘症の治療法も明らかにする必要もあった。これらの背景から、新たなガイドラインの作成が求められており、今回『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』が作成された。また、便秘は下痢と表裏一体であることから、慢性下痢症のガイドラインも新しく作成することになり、『便通異常症診療ガイドライン』という形で、「慢性便秘症」と「慢性下痢症」に分けて作成された。2つの病型を考慮した定義、診断基準を策定 慢性便秘症には、上述のとおり「排便回数減少型」と「排便困難型」の2つの病態が存在する。伊原氏は「前版の慢性便秘症診療ガイドライン20172)では、排便困難型に重点が置かれていたため、バランスを取った便秘の定義を作成する必要があった」と述べた。そこで、今回の改訂では、これら2つの病態が考慮され、便秘は「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便、排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態(下線部が排便回数減少型に該当)」と新たに定義された。また、慢性便秘症は「慢性的に続く便秘のために日常生活に支障をきたしたり、身体にも種々の支障をきたしうる病態」と定義された。なお、便秘は状態名であり、(慢性)便秘症は疾患名である。つまり、「便秘のために日常生活に支障をきたしているものが便秘症(疾患)である」と伊原氏は述べた。 慢性便秘症の診断基準は、前版の『慢性便秘症診療ガイドライン2017』に準じており、内容には変更がない。しかし、ここでも「排便回数減少型」と「排便困難型」の2つの病態が考慮され、従来の6項目が排便中核症状(排便回数減少型に相当)と排便周辺症状(排便困難型に相当)に分けて記載された。 慢性便秘症の診療について、今回のガイドラインではフローチャートが作成されている。そこにも記載されているが、腫瘍性疾患や炎症性疾患が隠れている可能性もあるため、警告症状や徴候の有無を調べることの重要性を伊原氏は強調した。「警告症状にあてはまるものがあれば、大腸内視鏡検査などを実施してほしい。そこで、機能性便秘症であることがわかってから、慢性便秘症の治療に進んでいただきたい」と述べた。警告症状・徴候の詳細については、「CQ4-1:慢性便秘症における警告症状・徴候は何か?(p.55)」を参考にされたい。フローチャートで診療の流れが明確に、刺激性下剤はオンデマンド治療 伊原氏によると、機能性便秘症の多くが排便回数減少型であるという。そこで、排便回数減少型の治療について解説いただいた。 便秘症の治療薬について、今回のガイドラインで強い推奨(エビデンスレベルA)となったのは、「浸透圧性下剤(塩類下剤、糖類下剤、高分子化合物[PEG])」「上皮機能変容薬(ルビプロストン、リナクロチド)」「胆汁酸トランスポーター阻害薬(エロビキシバット)」であった。そこで、これらの薬剤を中心に機能性便秘症治療のフローチャートが作成された。ここでの基本的な治療の流れは「生活習慣の改善→浸透圧性下剤→上皮機能変容薬または胆汁酸トランスポーター阻害薬」である。エビデンスが十分でないと判断された「プロバイオティクス」「膨張性下剤」「消化管運動機能改善薬」「漢方薬」は代替・補助治療薬として記載され、「刺激性下剤」「外用薬(坐剤、浣腸)、摘便」はオンデマンド治療であることが明記された。また、このフローチャートは、2023年5月にAmerican Gastroenterological Association(AGA)およびAmerican College of Gastroenterology(ACG)によって発表された『AGA/ACG Clinical Practice Guideline3)』と細かな違いはあるものの、おおむね同様の内容となっている。 新規作用機序の治療薬の使い分けについても、関心が高いのではないだろうか。そこで、今回のガイドラインでは「FRQ 5-1:ルビプロストン、リナクロチド、エロビキシバットを用いるべき臨床的特徴は何か?(p103、104)」が設定された。回答は「ルビプロストン、リナクロチド、エロビキシバットを用いるべき臨床的特徴は明らかになっておらず、今後のさらなる検討が必要と考えられる」となっており、ガイドライン上では使い分けについて明確には示されなかった。しかし、「少しずつわかってきたこともある」と伊原氏は述べた。「ルビプロストンは若い女性で嘔気が起こりやすいため、若い女性にはエロビキシバットやPEG製剤を選択する」「痛みを伴う便秘症にはリナクロチドを選択する」「PPIを用いている患者は酸化マグネシウムの効果が落ちること、ルビプロストンには粘膜バリアを修復する機能があることから、NSAIDsやPPIを服用している患者にはルビプロストンを選択する」「糖尿病患者など、腸の運動が落ちている可能性がある患者には、腸の運動を亢進させるエロビキシバットを選択する」といった使い分けも考えられるとのことである。ただし、「実際に使用して、効果を判定しながら治療を行ってほしい」とも述べた。 今回、オピオイド誘発性便秘症に対する治療のフローチャートも作成された。ガイドラインには「オピオイド誘発性便秘症が疑われる患者には、浸透圧性下剤、刺激性下剤、ナルデメジン、ルビプロストンが有効である」と記載されているが、伊原氏は「ナルデメジンについては、オピオイドの副作用としての便秘に対する効果はあるが、それ以外の機能性便秘症には効果がないので、どちらが主体の便秘症であるか考えて選択する必要がある」と付け加えた。詳細については、「CQ5-4:オピオイド誘発性便秘症に対する治療法は何か?(p.101)」と「フローチャート5」を参考にされたい。病態評価は、まず排便回数減少型と排便困難型の分類を 慢性便秘症の病態評価において、放射線不透過マーカー法やMRI/CTの有用性が報告されており、今回のガイドラインにも取り上げられている(CQ4-3、4-4)。しかし、日常診療での実施は難しいのが現状である。そこで、注目されるのが直腸エコー検査(CQ4-2)であると伊原氏は述べた。「直腸エコーで直腸内に便の貯留がみられない場合は直腸感覚閾値の異常、柔らかい便がみられた場合は便排出障害、三日月状の固い便がみられた場合は坐剤や摘便により改善する可能性が考えられる」と解説した。また、「浣腸を行う前に直腸エコーを行うことで、浣腸の必要性がわかるのではないか」とも述べた。 また、病態評価について「病態評価が難しい現状にあるため、症状分類で構わないので『排便回数減少型』『排便困難型』の分類を行い、排便困難型で症状が重い場合は直腸視診や直腸エコーを実施してほしい。そこで明らかな便排出障害が認められる場合は、専門医への紹介を検討していただきたい」とまとめた。改訂のポイントのまとめ 伊原氏は、今回の改訂のポイントを以下のようにまとめた。(1)便秘と慢性便秘症の定義を改訂した(状態名を便秘、病態[疾患名]を[慢性]便秘症とした)(2)「病態(疾患名)」は、「症」を語尾につけることで、病気ではない「状態名」と区別した(3)定義、分類、診断、治療とすべてにわたり、便が直腸へ運搬できない結腸運動機能障害型(排便回数減少型)、直腸に貯留した便が排泄できない直腸肛門機能障害型(排便困難型)の2つの病態を念頭にいれて作成した(4)慢性便秘症の病態評価において直腸エコー(便秘エコー)の有用性を初めて記載した(5)オピオイド誘発性便秘症の治療法を初めて記載した(6)診療のフローチャートを初めて作成した

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腸閉塞を起こした進行がん患者の症状改善には手術が有効

 進行した腹腔内腫瘍、特に卵巣がんや大腸がんの患者に頻発する悪性腸閉塞(malignant bowel obstruction;MBO)に対しては、最善の治療法がいまだ明確になっていない。こうした中、MBO患者に対して手術による治療を行うことで、手術を行わない場合に比べて退院後生存期間が延長するわけではないが、MBO関連の症状は改善することが、ランダム化比較試験の要素も含むハイブリッドデザインの臨床試験で示された。米ペンシルベニア大学ペレルマン医科大学院外科学分野のRobert S. Krouse氏らが実施したこの研究は、「The Lancet Gastroenterology & Hepatology」に8月1日掲載された。 MBOは、嘔吐、疼痛、便秘などの大きな苦痛をもたらし、命を脅かす可能性もある。MBOの原因は、腫瘍による腸の閉塞や、手術や放射線治療の結果として生じた癒着やその他の合併症である。MBOが発生する患者は、概して末期がんに直面しており、生活の質(QOL)を改善し、症状や疼痛を軽減することを目的とした緩和ケアを受けている。 MBOに対する治療は、手術か薬物療法のどちらかであるが、どちらがより良いのかは明確になっていない。今回の試験は、この点を明らかにすることを目的に、米国、メキシコ、ペルー、コロンビアの研究機関で登録されたMBO患者221人(女性65%)を対象に実施された(解析対象者は199人)。ランダム化に同意した患者49人は、試験登録時に手術による管理を受ける群(24人)と非手術的な管理を受ける群(25人)に割り付けられた。ランダム化を希望しなかった残りの150人の患者は、患者の希望による治療を受けた(手術群58人、非手術群92人)。 その結果、主要評価項目とした、試験開始から91日時点での退院後生存期間の平均は、ランダム化を受けた患者では、手術群で42.6日、非手術群で43.9日、自分で治療法を決めた患者では、手術群で54.8日、非手術群で52.7日であった。複数の要因を考慮して検討すると、手術群では非手術群よりも試験開始から91日時点での退院後生存期間が平均2.9日長かったが、両群間に統計学的な有意差は認められなかった(P=0.50)。また、試験開始から5週目の時点での対象者の摂食能力についても、両群で同程度であった。 その一方で、手術群では、試験開始から4週目の時点での嘔吐、便秘、吐き気、疼痛の症状スコアが非手術群よりも良好であり、MBO関連症状が改善したことが示唆された。さらに、手術群では、退院後のMBO関連症状の報告数についても、非手術群より少なかった。 Krouse氏は、「この緊急性の高い問題を抱える患者をランダム化比較試験に登録するのが困難であることは、最初から分かっていた。それでも、MBOに対する最善の治療法を知ることは、臨床医、患者とその家族にとって非常に大きな意味を持つ」と述べる。そして、「得られた結果に基づき、われわれは、手術適応のMBO患者には、症状を改善するために、入院後なるべく早くに手術を行うべきだと考えている」と話している。 Krouse氏は本研究を主導したSWOG(Southwest Oncology Group)がんリサーチネットワークのニュースリリースの中で、「MBOに対する最善の治療法や、受ける治療の種類により影響を受ける可能性のあるQOL因子などについて、臨床医に推奨事項を提示できるよう、われわれは引き続きデータの解析を進めている。研究施設と研究者を結ぶわれわれのネットワークを利用することで、このがんサバイバー集団における他の重要な問題の検討も可能になるだろう」と述べている。

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便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘

便秘症の定義から治療まで最新知見を盛り込み、6年ぶりに改訂日本消化管学会編集による『便通異常症診療ガイドライン2023』の「慢性便秘症」編。Mindsの作成マニュアルに準拠し、臨床上の疑問をCQ(clinical question)、BQ(background question)、FRQ(future research question)に分けて解説。冒頭には診断・治療のためのフローチャートを掲載し、便秘症の定義・分類・診断基準から疫学、病態生理、診断検査、内科的治療について、前版以降の進歩や最新知見を盛り込み、日常診療に必携の1冊となっている。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症定価3,300円(税込)判型B5判頁数144頁発行2023年7月編集日本消化管学会電子版でご購入の場合はこちら

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選択的Nav1.8阻害薬VX-548、術後急性疼痛を軽減/NEJM

 電位依存性ナトリウム(Na)チャネルNav1.8の選択的阻害薬であるVX-548は、高用量においてプラセボと比較し、腹壁形成術ならびに腱膜瘤切除術後48時間にわたって急性疼痛を軽減し、有害事象は軽度~中等度であった。米国・Vertex PharmaceuticalsのJim Jones氏らが、2件の第II相無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。電位依存性NaチャネルNav1.8は、末梢侵害受容ニューロンに発現し、侵害受容シグナルの伝達に寄与していることから、選択的Nav1.8阻害薬VX-548の急性疼痛抑制効果が研究されていた。NEJM誌2023年8月3日号掲載の報告。腹壁形成術および腱膜瘤切除術後の急性疼痛患者で、VX-548vs.プラセボを評価 研究グループは、(1)腹壁形成術(軟部組織の痛みのモデル)、または(2)腱膜瘤切除術(外反母趾手術)(骨の痛みのモデル)術後の急性疼痛を有する患者を対象とした2件の第II相無作為化二重盲検比較試験を実施した。 (1)の腹壁形成術試験は2021年8月~2021年11月に米国内の7施設において、腹壁形成術終了後4時間以内で、数値的疼痛評価尺度(Numeric Pain Rating Scale[NPRS]、スコア範囲:0~10、数値が高いほど痛みが強いことを示す)のスコアが4以上、および口頭式疼痛評価尺度(Verbal Categorical Rating Scale[VRS]、痛みが「ない」から「重度」まで4段階で評価)で中等度または重度の痛みを有する18~75歳の患者を、高用量群(VX-548を100mg経口負荷投与後12時間ごとに50mgを維持投与)、中用量群(VX-548を60mg経口負荷投与後12時間ごとに30mgを維持投与)、実薬対照群(酒石酸水素ヒドロコドン5mg/アセトアミノフェン325mgを6時間ごとに経口投与)、プラセボ群(プラセボを6時間ごとに経口投与)に1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、48時間投与した。 (2)の腱膜瘤切除術試験は2021年7月~2022年1月に9施設において、術後1日目の膝窩坐骨神経ブロック除去後9時間以内に(1)と同様の痛みを有する18~75歳の患者を、高用量群、中用量群、低用量群(VX-548を20mg経口負荷投与後12時間ごとに10mgを維持投与)、実薬対照群、プラセボ群に2対2対1対2対2の割合で無作為に割り付け、48時間投与した。 主要エンドポイントは、NPRSスコアに基づく疼痛強度差(SPID)の48時間にわたる時間加重合計(SPID48)とした。NPRSスコアは、初回投与後0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、8、12時間後、以降は4時間ごとに合計19回測定した。主解析では、VX-548各投与群とプラセボ群を比較した。VX-548高用量群で術後急性疼痛が軽減 (1)腹壁形成術試験には計303例、(2)腱膜瘤切除術試験には計274例が登録された。 時間加重SPID48のVX-548高用量群とプラセボ群の最小二乗平均群間差は、腹壁形成術後で37.8(95%信頼区間[CI]:9.2~66.4)、腱膜瘤切除術後で36.8(95%CI:4.6~69.0)であった。両試験とも、中用量群または低用量群はプラセボ群と同様の結果であった。 有害事象はほとんどが軽度~中等度であり、主な有害事象は(1)腹壁形成術試験では悪心、頭痛、便秘、(2)腱膜瘤切除術試験では悪心および頭痛であった。

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