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下痢型過敏性腸症候群、新規オピオイド受容体作動薬が有効/NEJM

 下痢型過敏性腸症候群(IBS)に対し、新規経口薬eluxadolineは男女を問わず下痢症状を軽減し新たな治療薬となりうることが、Anthony J. Lembo氏らによる2件の第III相試験(多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験)の結果、示された。100mgの1日2回投与で6ヵ月間の持続効果が確認された。eluxadolineは混合型オピオイド作用(μ/κオピオイド受容体アゴニストとδオピオイド受容体アンタゴニスト)を有する製剤。対プラセボの100mg、200mg用量(いずれも1日2回)の検討が行われた第II相試験では、200mg用量の効果に優位性はなく、むしろ有害事象が多かったことから、第III相試験では75mg、100mg用量について対プラセボの有効性(26週)、安全性(52週)を評価した。NEJM誌2016年1月21日号掲載の報告。eluxadoline75mgまたは100mg/1日2回とプラセボを比較 試験は2,427例の下痢型IBS成人患者を、eluxadoline(75mgまたは100mg)またはプラセボを1日2回投与する群に無作為に割り付けて、26週間(IBS-3002試験)または52週間(IBS-3001試験)の治療を行った。 主要エンドポイントは、腹痛の軽減(ベースライン平均スコアより30%以上軽減)、便性状の改善(便性状スコアが5未満)の両効果が同一日に確認された患者(レスポンスあり)の割合とした。レスポンスありの定義は、初期12週間(米国FDA規定のエンドポイント)、26週間(欧州医薬品庁[EMA]エンドポイント)のそれぞれの評価期間中50%以上(最低60日、110日)効果ありの記録日があった患者とした。12週間評価、26週間評価とも100mg群の効果が優れる 第1~12週では、eluxadoline(75mgまたは100mg)群のほうがプラセボ群よりも、主要エンドポイントを達成した患者の割合が多かった。IBS-3001試験被験者ではプラセボ群17.1%に対し、75mg群23.9%(p=0.01)、100mg群25.1%(p=0.004)。IBS-3002試験被験者ではプラセボ群16.2%に対し、75mg群28.9%(p<0.001)、100mg群29.6%(p<0.001)であった。 第1~26週の評価については、IBS-3001試験被験者ではプラセボ群19.0%に対し、75mg群23.4%(p=0.11)、100mg群29.3%(p<0.001)。IBS-3002試験被験者ではプラセボ群20.2%に対し、75mg群30.4%(p=0.001)、100mg群32.7%(p<0.001)であった。 安全性の評価(IBS-3002試験とIBS-3001試験の両被験者データ)では、プラセボ群と比較して75mg/100mg群で最も多く共通してみられた有害事象は、悪心(5.1% vs.8.1%/7.5%)、便秘(2.5% vs.7.4%/8.6%)、腹痛(4.1% vs.5.8%/7.2%)であった。膵炎の発症は、安全性評価集団(1,666例)中5例(0.3%)であった(75mg群2例、100mg群3例)であった。

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排便時の姿勢、理想は「考える人」

 排便の際、通常の座位姿勢よりも、彫刻「考える人」の姿勢がより効率的になりうることを、米国・クリーブランドクリニックフロリダ 大腸外科のS.Takano氏らが報告した。Techniques in Coloproctology誌2016年2月号の掲載。排便時の姿勢「考える人」による影響を評価 著者らは、上体を曲げて「考える人」の姿勢を取ると、排便が容易になるという仮説のもと、排便時の「考える人」の姿勢による影響を評価した。 本研究は、単一グループの前向き研究であり、2013年1月~6月の期間、シネデフェコグラフィー中に、通常の座位姿勢でペーストを排泄できなかった患者が登録された。シネデフェコグラフィーは、初めに座った姿勢で行われたが、もし患者が、ペーストを排泄できなかった場合には、「考える人」を模擬した姿勢を取らせた。通常の座位姿勢でペーストを排泄することができた患者は、本研究から除外し、両方の姿勢(通常の座位、および「考える人」)で、いきんでいる間の肛門直腸角(ARA)、会陰面の距離(PPD)、恥骨直腸筋の長さ(PRL)をX線写真から測定した。 排便時の「考える人」の姿勢による影響評価の主な結果は以下のとおり。・22人の患者が、通常の座位姿勢ではバリウムペーストを排泄できず、「考える人」の姿勢でシネデフェコグラフィーを受けた。・22人中、17人の患者は、平均56歳(22~76歳)の女性であった。・「考える人」の姿勢は、通常の座位姿勢よりも、いきんでいる間のARAが有意に広く(113° vs. 134°、それぞれp=0.03)、PPDが有意に長く(7.1cm vs. 9.3cm、それぞれp=0.02)、PRLが有意に長かった(12.9cm vs. 15.2cm、それぞれp=0.005)。・22人中、11人の患者は、「考える人」の姿勢を取ることで、完全に排泄することができた。 著者らは、便秘患者を再教育する際、「考える人」の排便姿勢を取らせるという方法が役立つかもしれないとまとめている。

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日本人における便秘と心血管疾患死のリスク

 大阪大学の久保田 康彦氏らは、排便頻度および下剤使用と心血管疾患(CVD)との関連について、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、便秘はCVD危険因子への曝露を示すマーカーとなる可能性があり、下剤使用は冠動脈疾患と虚血性脳卒中による死亡の危険因子となりうることが示唆された。Journal of epidemiology誌オンライン版2015年12月26日号に掲載。 本研究では、1988~90年にCVDやがんの既往のない7万2,014人(40~79歳、男性2万9,668人、女性4万2,346人)について、排便頻度(毎日・2~3日に1回・4日以上に1回)と下剤使用(はい・いいえ)に関する情報を含むライフスタイルのアンケートを開始時に実施し、2009年まで追跡した。 主な結果は以下のとおり。・116万5,569人年のフォローアップの間に死亡した参加者は、冠動脈疾患が977人(男性561人、女性416人)、脳卒中全体が2,024人(男性1,028人、女性996人)、虚血性脳卒中が1,127人(男性606人、女性521人)、出血性脳卒中が828人(男性388人、女性440人)であった。・CVDの危険因子(糖尿病、ストレス、うつ病、運動不足など)の保有率は、下剤使用者と排便頻度の低い人で高かった。・多変量解析による下剤使用者のハザード比(95%CI)は以下のとおり。 冠動脈疾患:1.56(1.21~2.03) 脳卒中全体:1.27(1.08~1.49) 男性における虚血性脳卒中:1.37(1.07~1.76) 女性における虚血性脳卒中:1.45(1.17~1.79)・追跡期間初期の死亡を除外しても同様の結果が認められた。・排便頻度とCVDによる死亡の間に有意な関連は認められなかった。

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嚢胞性線維症〔CF : cystic fibrosis〕

1 疾患概要■ 概念・定義嚢胞性線維症(cystic fibrosis:CF)は、欧米白人の出生2,000~3,000人に1人と、比較的高い頻度で認められる常染色体劣性遺伝性疾患であるが、日本人にはきわめてまれとされている。1938年にAndersonにより、膵外分泌腺機能異常を伴う疾患として初めて報告されて以来、現在では全身の外分泌腺上皮のCl-移送機能障害による多臓器疾患として理解されている。近年のCFに関する遺伝子研究の進歩により、第7染色体長腕にあるDNAフラグメントの異常(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator:CFTR遺伝子変異)がCFの病因であることがわかってきた。このCFTR遺伝子変異は、世界中で400種類以上報告されており、△F508変異(エクソン10上の3塩基欠失によるCFTR第508番アミノ酸であるフェニルアラニンの欠失)が、欧米白人におけるCF症例の約70%に認められている。■ 疫学かつては東洋人と黒人にはCFはみられないと考えられていたが、現在では約10万人に1人と推測されている。わが国では厚生省特定疾患難治性膵疾患調査研究班によってCFの実態調査が行われ、1952年にわが国での第1例の報告以来、1980年の集計で46例が報告された。その後、当教室における1993年までの集計によって、104例(男57例、女47例)のCF患者の報告を認めている。単純に計算すると、わが国におけるCF患者の頻度は出生68万人に1人の割合となるが、CFに対する関心が高まったことなどから、1980年以降の頻度は出生35万人に1人の割合となり、確定診断に至らなかった例や未報告例などを考慮すると、真の頻度はさらに高いものと思われる。また、2009年の全国調査では、過去10年間の患者数は44例程度と報告されている。日本人CF症例の遺伝子解析の検討は少なく、王らは3例のCF患児に、花城らはCF患児1例にそれぞれ△F508変異の有無を検索したが、この変異は認められなかった。また、古味らは、△F508変異に加えてCFTR遺伝子のエクソン11に存在するG542X、G551D、およびR553X変異の有無も検索したが、いずれの変異も認められなかった。筆者らは、NIH(米国国立衛生研究所)のgenctic research groupとの共同研究により5例のCF患者およびその家族の遺伝子解析を行い、興味ある知見を得ている。すなわち全例において、△F508変異をはじめとする16種類の既知のCFTR遺伝子変異は認められなかったが、single stand conformational polymorphism analysisにより4例においてDNAシークエンスの変異を認めた(表1)。この変異が未知のCFTR遺伝子変異であるのか、あるいはCFTR遺伝子とは関係しないpolymorphismであるのかの検討が必要である。画像を拡大する■ 病因1985年にWainwrightらによって、第7染色体上に存在することが確認されたCF遺伝子が、1989年にMichigan-Toronto groupの共同研究により初めて単離され、CFTRと命名された。RiordanらによりクローニングされたCFTR遺伝子は、長さ250kbの巨大な遺伝子で、1,480個のアミノ酸からなる膜貫通蛋白をコードしている(図1)。翻訳されたCFTR蛋白の構造は、2つの膜貫通部(membrane spanning domain)、2つのATP結合構造(nucleotide binding fold:NBF 1、NBF 2)、および調節ドメイン(regulatory domain)の5つの機能ドメインからなっている。1991年にはRichらの研究により、CFTR蛋白自身がCl-チャンネルであることが証明され、最近では、NBF1とNBF2がCl-チャンネルの活性化制御に異なる機能を持つことが報告されている。このCFTR遺伝子の変異がイオンチャンネルの機能異常を生じ、細胞における水・電解質輸送異常という基本病態を形成していると考えられている。CFTR遺伝子のmRNA転写は、肝臓、汗腺、肺、消化器などの分泌および非分泌上皮から検出されている。CFTR遺伝子変異のなかで過半数を占める主要な変異が、CF患者汗腺のCFTR遺伝子のクローニングにより同定された△F508変異である。この△F508変異は欧米白人におけるCF症例の約80%に認められているが、そのほかにも、400種類以上の変異が報告されており、これらの変異の発生頻度および分布は人種や地域によって異なっている(表2)。△F508変異の頻度は、北欧米諸国では70~80%と高く、南欧諸国では30~50%と低いが、東洋人ではまだ報告されていない。画像を拡大する画像を拡大する■ 症状最も早期に認められ、かつ非常に重要な症状として、胎便性イレウスによる腸閉塞症状が挙げられる。粘稠度の高い胎便が小腸を閉塞してイレウスを惹起する。生後48時間以内に腹部膨満、胆汁性嘔吐を呈し、下腹部に胎便による腫瘤を触れることがある。腸管の狭窄や閉塞がみられることもある。わが国におけるCF症例の集計では、27.9%が胎便性イレウスで発症している(表3)。膵外分泌不全症状は約80%の症例で認められ、年齢とともに症状の変化をみることもある。食欲は旺盛であるが、膵リパーゼの分泌不全による脂肪吸収不全のため多量の腐敗臭を有する脂肪便を排泄し、栄養不良による発育障害を来してくる。低蛋白血症による浮腫、ビタミンK欠乏による出血傾向、低カルシウム血症によるテタニーなどの合併症を認める場合もある。粘稠な分泌物の気管および気管支内貯留と、それに伴うブドウ球菌や緑膿菌などの感染により、多くは乳児期から気管支炎、肺炎症状を反復して認めるようになる。咳嗽、喘鳴、発熱、呼吸困難などの症状が進行性にみられ、気管支拡張症、無気肺、肺気腫などの閉塞機転に伴う病変が進展し慢性呼吸不全に陥り、これが主な死亡原因となる。胸郭の変形、バチ状指、チアノーゼなども認められる。CF患者では汗の電解質、とくにCl濃度が異常に高く、多量の発汗によって電解質の喪失を来し、発熱や虚脱などの“heat prostration”と呼ばれる症状を呈することが知られている。その他の症状として、閉塞性黄疸、胆汁性肝硬変、耐糖能異常、副鼻腔炎症状などをはじめとする種々の合併症状が報告されている。画像を拡大する2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ CFの一般的な診断法表4にわが国のCF患者104例における確定診断時の年齢分布を示した。全症例の半数以上である64例(61.5%)が1歳までにCFと診断されており、新生児期にCFと診断された30例(28.8%)のうち29例が胎便性イレウスにて発症した症例であった。したがって、胎便性イレウス症候群では、常にCFの存在を念頭におき、メコニウム病(meconium ileus without CF)との鑑別を行っていく必要がある。CFの診断には、汗の電解質濃度の測定が必須であり、Cl濃度が60mEq/L以上であればCFが疑われる。Pilocarpine iontophoresis刺激による汗の採取法が推奨されているが、測定誤差が生じやすく、複数回測定する必要がある。当教室では米国Wescor社製の発汗刺激装置および汗採取コイルを使用し、ほとんど誤差なく簡便に汗の電解質濃度を測定している。CFを診断するうえで、膵外分泌機能不全の存在も重要であり、その診断は、脂肪便の有無、便中キモトリプシン活性の測定、PFD試験やセクレチン試験などによって行っていく。X線検査により、気管支拡張症、無気肺、肺気腫などの肺病変の診断を行う。画像を拡大する■ CFのマス・スクリーニング欧米において、1973年ごろよりCFの新生児マス・スクリーニングが試みられるようになり、1981年にCrossleyらが乾燥濾紙血のトリプシン濃度をradioimmunoassayにて測定して以来、CFの新生児マス・スクリーニング法として、乾燥濾紙血のトリプシン濃度を測定する方法が広く用いられるようになった。さらに1987年にはBowlingらが、より簡便で安価なトリプシノーゲン濃度を測定し、感度および特異性の点からもCFの新生児マス・スクリーニング法として非常に有用であると報告している。筆者らも、わが国におけるCFの発生率を調査する目的で東京都予防医学協会の協力を得て、CFの新生児マス・スクリーニングを行った。方法は、先天性代謝異常症の新生児マス・スクリーニング用の血液乾燥濾紙を使用し、Trypsinogen Neoscreen Enzyme Immunoassay Kitにて血中トリプシノーゲン値を測定した。結果は、3万2,000例のトリプシノーゲン値は、31.8±8.9ng/mLであり、Bowlingらが示した本測定法におけるカットオフポイントである140ng/mLを超えた症例はなかった(図2)。画像を拡大する■ CFの遺伝子診断CFの原因遺伝子が特定されたことにより、遺伝子診断への期待が高まったが、CF遺伝子の変異は人種や地域によってまちまちであり、本症の遺伝子診断は足踏み状態であると言わざるを得ない。欧米白人では、△F508変異をはじめとするいくつかの頻度の高い変異が知られており、これらの検索はCFの診断に大いに役立っている。しかしながら、わが国のCF症例における共通のCF遺伝子の変異は、まだ特定されておらず、PCR-SSCP解析と直接塩基配列解析を用いて遺伝子変異を明らかにすることが必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 対症療法新生児期にみられる胎便性イレウスに対しては、ガストログラフィンによる浣腸療法などが試みられるが、多くは外科手術が必要となる。膵外分泌不全による消化吸収障害に対しては、膵酵素剤の大量投与を行う。しかし近年、膵酵素剤の大量投与による結腸の炎症性狭窄の報告も散見され、注意が必要である。胃酸により失活しない腸溶剤がより効果的である。栄養障害に対しては高蛋白、高カロリー食を与え、症例の脂肪に対する耐性に応じた脂肪摂取量を決めていく。中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)は、膵酵素を必要とせずに吸収されるため、カロリー補給には有用である。必須脂肪酸欠乏症に対しては、定期的な脂肪乳剤の経静脈投与が必要である。脂溶性ビタミン類の吸収障害もみられるため、十分量のビタミンを投与する。呼吸器感染に対しては、気道内分泌物の排除を目的としてpostural drainageと理学訓練(physiotherapy)を行い、吸入療法および粘液溶解薬や気管支拡張薬などの投与も併せて行っていく。感染の原因菌としてはブドウ球菌と緑膿菌が一般的であるが、検出菌の感受性テストの結果に基づいて投与する抗菌薬の種類を決定していく。1~2ヵ月ごとに定期的に入院させ、2~3剤の抗菌薬の積極的な予防投与も行われている。抗菌作用、抗炎症作用、線毛運動改善作用などを期待してマクロライド系抗菌薬の長期投与も行われている。肺機能を改善する組み換えヒトDNaseの吸入療法や気道上皮細胞のNa+の再吸収を抑制するためのアミロイド、さらに気道上皮細胞からのCl-分泌促進のためのヌクレオチド吸入療法などが、近年試みられている。4 今後の展望まずは早期に診断して、適切な治療や管理を行うことが大切であり、その意味から早期診断のための汗のCl-濃度を測定する方法の普及が望まれる。さらに遺伝子検索を行うにあたっての労力と費用の負担が軽減されることが必要と思われる。適切な治療を行うためには、今後も肺や膵臓および肝臓の機能を改善させたり、呼吸器感染症を予防する新薬の開発が望まれる。さらに遺伝子治療や肺・肝臓移植が可能となり、生存年数が欧米並みに30歳を超えるようになることを期待したい。5 主たる診療科小児科、小児外科、呼吸器内科、消化器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報第4回膵嚢胞線維症全国疫学調査 一次調査の集計(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業)難病情報センター:膵嚢胞線維症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報難病患者支援の会(内閣府認定NPO法人、腎移植や肝移植などの情報提供)Japan Cystic Fibrosis Network:JCFN(嚢胞性線維症患者と家族の会)1)成瀬達ほか.第4回膵嚢胞線維症全国疫学調査.厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「難治性膵疾患に関する調査研究」平成21年度 総括・分担研究報告書. 2010; 297-304.2)Flume PA, et al. Am J Respir Care Med. 2007; 176: 957-969.3)清水俊明ほか.小児科診療.1997; 60: 1176-1182.4)清水俊明ほか.小児科. 1987; 28: 1625-1626.5)Wainwright BJ, et al. Nature. 1985; 318: 384-385.公開履歴初回2013年08月15日更新2015年12月15日

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NASHへのリラグルチド、第II相試験で有望/Lancet

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対するリラグルチドの有効性と安全性が、第II相多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、報告された。組織所見の改善が認められ、安全性および良好な忍容性が確認されたという。英国・バーミンガム大学のMatthew James Armstrong氏らが報告した。結果を踏まえて著者は「長期試験を行う根拠が得られた」と述べている。GLP-1アナログ製剤については、マウスモデルで肝脂肪、肝酵素濃度、インスリン抵抗性の改善が確認されている。製剤は2型糖尿病治療薬としては承認されているが、非アルコール性脂肪性肝炎に対する有効性は明らかになっていない。Lancet誌オンライン版2015年11月19日号掲載の報告。プラセボ対照でベースラインから48週の治療終了時の肝組織所見改善を評価 試験は、2010年8月1日~13年5月31日に、英国の4医療施設で行われた。被験者は無作為に2群に分けられ、一方にはリラグルチド1.8mg/日静注投与、もう一方にはプラセボが投与された。被験者は、過体重で臨床的に非アルコール性脂肪性肝炎と認められた52例で、割り付けは1対1の割合でコンピュータを使用し中央管理下で行われた。なお、試験施設別および糖尿病有無別の層別化も行われた。 本試験のデザインには、A'Hern's single-group法が用いられ、リラグルチドの有効性については、同群38%(8/21例)の臨床的に意義のある効果が認められた場合とした。 患者、研究者、臨床試験施設スタッフ、病理医は試験期間中、治療割り付けを知らされなかった。 主要評価項目は、ベースラインから治療終了時(48週)の線維化無増悪で非アルコール性脂肪性肝炎の組織所見消失とし、中央施設で2人の病理医がそれぞれ評価した。39%で改善を確認、線維化進行は9%に留まる 試験薬投与を受け試験終了時に肝生検を受けた被験者で、組織所見の改善は、リラグルチド群では23例のうち9例(39%)で認められたのに対し、プラセボ群は22例のうち2例(9%)であった(相対リスク:4.3、95%信頼区間[CI]:1.0~17.7、p=0.019)。 また、線維化進行は、リラグルチド群が23例のうち2例(9%)であったのに対し、プラセボ群は22例中8例(36%)であった(同:0.2、0.1~1.0、p=0.04)。 有害事象はGrade1(軽症)~2(中等度)の頻度が最も高く、いずれも一過性で、両群の発現頻度は類似していた。ただし、消化器障害については、リラグルチド群21/23例(81%)でみられた。プラセボ群は17/22例(65%)。症状としては、下痢(リラグルチド群38%、プラセボ群19%)、便秘(27%、なし)、食欲不振(31%、8%)などが報告された。

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~プライマリ・ケアの疑問~  Dr.前野のスペシャリストにQ!【消化器編】

第1回 帰してはいけない腹痛の見分け方は? 第2回 専門医でもヒヤリとした腹痛の症例を教えてください! 第3回 腹痛の部位で疾患の鑑別はできる? 第4回 虫垂炎を見逃さないコツは? 第5回 ピロリ菌検査は何を使うのがよい? 第6回 ピロリ菌除菌後にすべきことはある? 第7回 胃潰瘍治療のベストな処方は? 第8回 PPIが効かないとき、プライマリ・ケア医はどうするべき? 第9回 便秘の治療、どうしたらいい? 第10回 便秘症状から重篤な疾患を疑うことはできる? 第11回 GERDの診断と治療について教えてください! 第12回 止瀉薬を出してはいけない下痢の見分け方は? 第13回 過敏性腸症候群、診断のコツは? 第14回 プライマリ・ケアで膵臓がんを早期発見するコツは? 腹痛や虫垂炎、胃潰瘍にGERD。日常臨床でよく遭遇する消化器疾患の診察・検査・治療に関する14の質問を、番組MCを務める総合診療医の前野哲博先生が経験豊富な消化器科専門医 西野徳之先生にぶつけます。プライマリケア医視点のまとめも加え、すぐに現場で役立つ知識を詰め込みました!第1回 帰してはいけない腹痛の見分け方は?プライマリケアで日常的にみるからこそ油断してはいけないのが腹痛。軽症の患者のなかに緊急手術が必要な患者が埋もれていることも。今回はズバリ、帰していい腹痛の条件・帰してはいけない症例をお教えいただきます。精度が高く、診療所でも使える診断ツールは必見です。第2回 専門医でもヒヤリとした腹痛の症例を教えてください!第1回の帰してはいけない腹痛の鑑別に続き、今回も腹痛を取り上げます。腹部の痛みは局在性に乏しいうえ、鑑別疾患も多種多様。専門医ですら重篤な症例を見逃しかけてヒヤっとしたことはあるといいます。今回は西野先生に症例を提示いただき、見逃さないコツを教わります。第3回 腹痛の部位で疾患の鑑別はできる? 腹痛の部位で疾患を鑑別する方法は複数知られていますが、局在性に乏しい腹部疾患では思っているほど役立たないことも。今回は実臨床で使えるひとつの考え方をレクチャーします。前野先生がこれなら研修医にもわかりやすい!と太鼓判を押したスペシャリスト西野先生のノウハウをお見逃しなく!第4回 虫垂炎を見逃さないコツは? この腹痛は虫垂炎?それとも?虫垂炎は決して見逃せない疾患ですが、典型的な症状をきたす患者ばかりでなく、鑑別に苦慮することも多いのではないでしょうか。今回は、確定診断でなくとも虫垂炎を見逃さないコツをズバリお教えいただきます。第5回 ピロリ菌検査は何を使うのがよい? ピロリ菌感染の検査には、呼気試験、血液、便などの様々な検査法があります。どのように検査法を選択し、結果を解釈すればよいのか?専門医が勧める検査方法、またピロリ菌についての最新トピックも交えて明日から使えるノウハウをお届けします。第6回 ピロリ菌除菌後にすべきことはある? ピロリ菌感染が明らかになった際に、何をどんな手順で行うべきか?除菌治療と治療後の注意点を簡潔にレクチャー。また除菌が成功しなかったとき、プライマリケアでどう対応すべきかも解説します。第7回 胃潰瘍治療のベストな処方は? 今回は胃潰瘍の治療がテーマです。胃潰瘍の治療には、主流であるPPIのほかに、H2ブロッカーや粘膜保護薬などの薬が使われています。それぞれの薬の使い分けや注意点はどのように考えればよいのか、薬剤選択についての疑問にズバリお答えします。第8回 PPIが効かないとき、プライマリ・ケア医はどうするべき?胃潰瘍のファーストチョイスとして使われるPPIですが、その効果がなかったとき、プライマリケア医はどのように考えればいいのでしょうか。今回は西野先生に症例を提示いただき、臨床に役立つヒントを見つけていきます。第9回 便秘の治療、どうしたらいい? 今回のテーマは便秘です。便秘は日常臨床で頻繁にみられる症状ですが、生活に支障のある「便秘症」の診断は実は難しいもの。プライマリケア医はどのように情報を集め、どう評価し、どのように治療方針を立てればよいでしょうか。診断、治療についてスペシャリストの知恵を伝授してもらいましょう!第10回 便秘症状から重篤な疾患を疑うことはできる? 実際は重篤な疾患でも、患者の自覚症状は「便秘」ということは往々にしてあります。今回は西野先生が遭遇した症例を例に、便秘を訴える患者の中から異常を見逃さないためのポイントを学びます。第11回 GERDの診断と治療について教えてください! 今回はGERDがテーマです。GERDはプライマリケアできわめてよく遭遇する疾患のひとつですが、どのように診断し、治療すればよいのでしょうか。診断の際に気を付けるべきことなどを解説します。第12回 止瀉薬を出してはいけない下痢の見分け方は? 今回は下痢の治療がテーマです。安易に下痢を止めてはいけないといわれますが、実際には患者さんは薬を希望することもよくあります。どんな条件ならば止瀉薬を出していいのか?処方するときの注意点は?日常診療で感じる疑問にズバリ回答します!第13回 過敏性腸症候群、診断のコツは?今回は過敏性腸症候群がテーマです。過敏性腸症候群は訴えが多彩で、コントロールに難渋することもしばしばある疾患。IBSを治療するうえで必ず除外したい疾患は?どの薬を初めに処方すべきか?コントロール不良の場合、どうやって薬剤を変更していくのか?様々な疑問に答えていきます。第14回 プライマリ・ケアで膵臓がんを早期発見するコツは?自覚症状が出にくく、早期発見が難しいといわれる膵臓がん。しかし発見する機会がないわけではなく、プライマリケアでこそ特に注意して疑ってほしいと西野先生は強調します。今回は異変に気付くためのポイントや考え方についてレクチャーします!

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FDA、ダビガトランの中和剤idarucizumabを承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、抗凝固薬ダビガトラン(商品名:プラザキサ)の特異的中和剤idarucizumab(商品名:Praxbind)を迅速承認した。対象はダビガトラン服用中で緊急に抗凝固作用の中和を要する患者。 idarucizumabは初めて承認されたダビガトランの特異的中和薬。ダビガトランに結合し、その作用を無効化する。 idarucizumabの効果と安全性は、ダビガトランを服用した283例の健康成人(抗凝固治療を必要としない成人)による3つの試験で検討された。その結果、idarucizumabが投与された健康成人において、ダビガトランの血中量(非結合型ダビガトランの血漿中濃度を測定)は迅速に減少し、その作用は24時間持続した。また、ダビガトラン服用中で、止血困難な出血が発生した、あるいは緊急手術が必要となった123例の患者による試験が行われた。この進行中の試験では、89%の患者でダビガトランの抗凝固作用が完全に中和され、その作用はidarucizumab投与後 4時間以上持続した。同試験において、idarucizumabの頻度の高い副作用は高カリウム血症、意識錯乱、便秘、発熱、肺炎であった。 ダビガトランの作用中和により、患者は血栓や心房細動による脳卒中のリスクにさらされることになる。そのため、idarucizumabの添付文書では、医療者が医学的に適切だと判断し次第、すみやかに抗凝固療法を再開することを推奨している。FDAのプレスリリースはこちら。

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台詞は三択【Dr. 中島の 新・徒然草】(089)

八十九の段 台詞は三択医師をしていると、友人・知人から病気についてのいろいろな相談を受けます。中学校や高校時代の友人から遠慮がちの連絡があったり、病院職員から深刻な表情で悩みを聞かされたり。読者の皆さんも数多くの経験があることと思います。ところが、「3ヵ月ほど前から頭痛が続いていて」とか「脳ドックで脳動脈瘤と診断されたんだけど」とか、いかにも脳外科的な相談は少数です。むしろ、医療職からの「ウチの母がもう10日も便が出ていなくて心配で心配で」といった「何で私に?」と驚かされる相談のほうが多いくらいです。しかし、そのようなことを思っても口には出さないように私は努めています。ここで間髪を入れずに言うべき台詞は三択。 それは大変だ。今すぐ連れてきなさい それは大変だ。明日の朝に連れてきなさい それは大変だ。来週の私の外来に連れてきなさいつい「便秘だったら消化器内科で診てもらったほうが…」とか言いそうになるのですが、私はなるべく自分の目で診るように心掛けています。その上で、「腹痛もあり、吐き気もある」ということなら消化器内科に紹介します。でも、「配偶者が亡くなってから食欲がなくなり、10キロも痩せた。ずっと家にひきこもっている」ということなら、むしろ精神科に紹介することになると思います。結局、相談してきた職員が悩んでいることというのは、「母親を治してほしい」というよりも、「この程度のことで受診してもいいのだろうか」「どこの科に行ったらいいのかがわからない」ということだと思います。その結果、「この漠然とした不安を中島先生に聞いてもらおう」という結論になるわけです。なので、相談を受けた私が言うべき台詞は、 それは大変だ(=「受診すべきだ」と、正当化する) すぐに連れてきなさい(=「まず脳外科外来に」と、決めてしまう)となります。実際のところ又聞きでは何もわからないので、患者さんの話をよく聴いてから本来かかるべき診療科を判断し、治療のレールの上に乗せてあげましょう。ということで、大変喜ばれる三択台詞、読者の皆さまもぜひお使いください。最後に1句大変だ 連れてきなさい 今すぐに

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神経障害性疼痛、ノルトリプチリンとモルヒネは単剤より併用が有効

 神経障害性疼痛に対し、三環系抗うつ薬を含む1次治療は必ずしも有効ではないため、2次治療としてオピオイドが推奨されている。カナダ・クイーンズ大学のIan Gilron氏らは、三環系抗うつ薬であるノルトリプチリンとモルヒネの併用療法ついて有効性および安全性を評価する目的で、各単独療法と比較する無作為化二重盲検クロスオーバー試験を行った。その結果、併用療法において便秘、口乾および傾眠の副作用発現頻度が高かったものの、有効性は各単独療法と比較して優れていることが明らかとなった。Pain誌2015年8月号の掲載報告。 研究グループは、2010年1月25日~2014年5月22日の間に単施設にて神経障害性疼痛患者52例を登録し、経口ノルトリプチリン、モルヒネおよび併用療法に1対1対1の比で無作為に割り付けた。各治療期間は6週間とし、用量は最大耐用量(MTD)に漸増した。 主要評価項目は、MTDにおける1日の平均疼痛(0~10で評価)、副次評価項目は他の疼痛、気分、QOLおよび副作用などであった。 主な結果は以下のとおり。・39例が少なくとも2つの治療期間を完遂した。・平均1日疼痛スコアはベースライン時5.3で、MTD時は併用療法が2.6、ノルトリプチリン単独療法が3.1(p=0.046)、モルヒネ単独療法が3.4(p=0.002)であった。・簡易疼痛調査票(BPI)スコアも、各単独療法に比べ併用療法で有意に低かった。・中等度~重度の便秘の発現率は、併用療法43% vs.モルヒネ単独療法46%(p=0.82)、vs.ノルトリプチリン単独療法5%(p<0.0001)であった。・中等度~重度の口渇の発現率は、併用療法58% vs.モルヒネ単独療法13%(p<0.0001)、vs.ノルトリプチリン単独療法49%(p=0.84)であった。

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糖尿病性腎症に合併する高K血症、patiromerが有効/JAMA

 糖尿病性腎症で高カリウム血症の合併がありRAAS阻害薬を服用している患者に対し、patiromerを4.2~16.8g、1日2回投与することで、血中カリウム値は有意に低下し、52週にわたり維持されたことが報告された。米国・シカゴ大学のGeorge L. Bakris氏らが、306例の患者を対象に行った、patiromerの用量範囲探索、無作為化非盲検第II相試験「AMETHYST-DN」の結果、報告した。JAMA誌2015年7月14日号で発表した。軽度/中程度群ごとに3通りの投与量について、4週間後の変化を比較 試験は2011年6月~2013年6月にかけて、ヨーロッパ48ヵ所の医療機関を通じて、2型糖尿病患者306例を対象に行われた。被験者のeGFRは15~60mL/分/1.73m2で、血中カリウム値は5.0mEq/L超であり、治験開始前からRAAS阻害薬を服用していた。 ベースライン時の血中カリウム値に応じて、被験者を軽度または中程度高カリウム血症に分類。patiromerの投与量について各群の被験者を無作為に3群に分け、軽度群では4.2g、8.4g、12.6gを、中程度群では8.4g、12.6g、16.8gを、いずれも1日2回投与した。 主要有効性エンドポイントは、ベースラインから4週時(または初回patiromer滴定)の平均血中カリウム値の変化だった。また副次有効性エンドポイントは、52週間の平均血中カリウム値の変化などとした。主要安全性エンドポイントは、52週間の有害事象であった。いずれの投与量でも血中カリウム値が有意に低下 結果、主要エンドポイントの平均血中カリウム値(最小二乗平均減少幅)は、軽度群の4.2g群が0.35(95%信頼区間[CI]:0.22~0.48)mEq/L、8.4g群が0.51(0.38~0.64)mEq/L、12.6g群が0.55(0.42~0.68)mEq/Lだった。 中程度群では、8.4g群が0.87(0.60~1.14)mEq/L、12.6g群が0.97(0.70~1.23)mEq/L、16.8g群が0.92(0.67~1.17)mEq/Lだった(ベースライン時からの変化に関するp<0.001)。 4~52週にかけて、毎月の血中カリウム値の有意な低下は維持された。 治療に関連する最も多く認められた有害事象は、低マグネシウム血症(7.2%)、消化管関連では便秘(6.3%)だった。低カリウム血症(<3.5mEq/L)は5.6%だった。

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オキシコドン/ナルトレキソン徐放性製剤、中~重度の慢性腰痛を改善

 オキシコドンの乱用防止製剤であるナルトレキソン含有オキシコドン徐放性製剤ALO-02は、中等度~重度の慢性腰痛を有意に改善し、安全性プロファイルは他のオピオイドと類似していることが、米国・Carolinas Pain InstituteのRichard L Rauck氏らによる第III相臨床試験で示された。Pain誌オンライン版2015年5月16日号の掲載報告。 研究グループは、中等度から重度の慢性腰痛に対するALO-02の有効性および安全性を検討する目的で多施設二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。 非盲検用量調整期として全例にALO-02を投与した後、治療効果判定基準を満たす患者を二重盲検治療期に移行しAOL-02固定用量群またはプラセボ群に割り付けた。 評価項目は1日平均腰痛強度で、11段階の数値的評価スケールを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングされた663例中、410例が非盲検用量調整期にALO-02の投与を受け、そのうち281例が二重盲検治療期に移行した(ALO-02群147例、プラセボ群134例)。・治療期の最終2週間における平均疼痛スコアの無作為化時(ベースライン)からの変化量は、プラセボ群と比較してALO-02群が有意に大きかった(p=0.0114)。・治療期の最終2週間における週間平均疼痛スコアのスクリーニング時からの改善が30%以上を達成した患者の割合は、ALO-02群57.5%、プラセボ群44.0%であった。・治療期における有害事象の発現率は、ALO-02群56.8%およびプラセボ群56.0%であった。・治療期においてALO-02に関連した有害事象で発現頻度が高かったのは悪心、嘔吐および便秘で、従来のオピオイド治療と変わらなかった。

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耐性菌が増加する尿路感染症に有望な抗菌薬/Lancet

 複雑性下部尿路感染症や腎盂腎炎に対し、新規抗菌薬セフトロザン/タゾバクタム配合薬は、高用量レボフロキサシンに比べ高い細菌学的効果をもたらすことが、ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学のFlorian M Wagenlehner氏らが実施したASPECT-cUTI試験で示された。尿路感染症は生命を脅かす感染症の発生源となり、入院患者における敗血症の重要な原因であるが、抗菌薬耐性の増加が治療上の大きな課題となっている。本薬は、新規セファロスポリン系抗菌薬セフトロザンと、βラクタマーゼ阻害薬タゾバクタムの配合薬で、多剤耐性緑膿菌のほか、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌などのグラム陰性菌に対する効果がin vitroで確認されている。Lancet誌オンライン版2015年4月27日号掲載の報告。セフトロザン/タゾバクタム配合薬の有効性を非劣性試験で評価 ASPECT-cUTI試験は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬の高用量レボフロキサシンに対する非劣性を検証する二重盲検ダブルダミー無作為化試験。対象は、年齢18歳以上、膿尿を認め、複雑性下部尿路感染症または腎盂腎炎と診断され、治療開始前に尿培養検体が採取された入院患者であった。 被験者は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬(1.5g、8時間ごと、静脈内投与)または高用量レボフロキサシン(750mg、1日1回、静脈内投与)を7日間投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、治療終了後5~9日における細菌学的菌消失と臨床的治癒の複合エンドポイントであった。細菌学的菌消失は、治癒判定時の尿培養検査におけるベースラインの尿路病原菌の104コロニー形成単位(CFU)/mL以上の減少と定義した。また、臨床的治癒は、複雑性下部尿路感染症または腎盂腎炎の完全消失、著明改善、感染前の徴候、症状への回復であり、それ以上の抗菌薬治療を必要としない場合とした。 非劣性マージンは10%とし、両側検定による群間差の95%信頼区間(CI)の下限値が-10%より大きい場合に非劣性と判定した。また、95%CIの下限値が0を超える場合は優位性があるとした。セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性を確認 2011年7月~2013年9月に、25ヵ国209施設に1,083例が登録され、800例(73.9%)が解析の対象となった(セフトロザン/タゾバクタム配合薬群:398例、レボフロキサシン群:402例)。 656例(82.0%)が腎盂腎炎で、274例(34.3%)が軽度~中等度の腎機能障害を有し、199例(24.9%)が65歳以上であった。菌血症の62例(7.8%)の原因菌のほとんどは大腸菌で、多くが腎盂腎炎患者であった。また、776例(97.0%)が単一菌感染で、629例(78.6%)が大腸菌、58例(7.3%)が肺炎桿菌、24例(3.0%)がプロテウス・ミラビリス、23例(2.9%)が緑膿菌だった。 複合エンドポイントの達成率は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群が76.9%(306/398例)、レボフロキサシン群は68.4%(275/402例)であった(群間差:8.5%、95%CI:2.3~14.6)。95%CIの下限値が>0であったことから、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性が確証された。 副次的評価項目であるper-protocol集団における複合エンドポイントの達成率にも、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性が認められた(83.3% vs. 75.4%、群間差:8.0%、95%CI:2.0~14.0)。セフトロザン/タゾバクタム配合薬の優位性は複雑性尿路感染症でも セフトロザン/タゾバクタム配合薬群で治癒判定時の複合エンドポイントの優位性がみられたサブグループとして、65歳以上、複雑性尿路感染症、レボフロキサシン耐性菌、ESBL産生菌、非菌血症が挙げられ、他のサブグループもレボフロキサシン群に比べ良好な傾向にあり、いずれも非劣性であった。 有害事象の発現率は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群が34.7%、レボフロキサシン群は34.4%であった。最も頻度の高い有害事象は、両群とも頭痛(5.8%、4.9%)および便秘(3.9%、3.2%)、悪心(2.8%、1.7%)、下痢(1.9%、4.3%)などの消化管症状であった。 重篤な有害事象はそれぞれ15例(2.8%)、18例(3.4%)に認められた。セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の2例(クロストリジウム・ディフィシル感染)は治療関連と判定されたが、いずれも回復した。同群の1例が膀胱がんで死亡したが治療とは関連がなかった。 著者は、「この新規配合薬は、複雑性尿路感染症や腎盂腎炎の薬物療法の有用な手段に加えられるだろう。とくに、治療が困難なレボフロキサシン耐性菌やESBL産生菌の治療に有望と考えられる」としている。

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ひと・身体をみる認知症医療

第1回 「これまで」「いま」「これから」の認知症医療 第2回 誰のため・何のための認知症医療か 第3回 地域の医師と認知症医療 (1)診療とモニタリング 第4回 地域の医師と認知症医療 (2)認知症医療と地域力 第5回 認知症の身体への影響(1) 自律神経機能の低下 第6回 認知症の身体への影響(2) 錐体外路症状 第7回 認知症の人にみられる一般症状 第8回 つくられるBPSD 第9回 認知症の薬物治療 真の認知症医療とは何か。明日から診療が楽しくなる実践の秘密。☞教科書に載っていないことを知りたい☞認知症の人の頼りになる診療がしたい☞認知症が身体に影響するってホント?☞身体をどのように診たらいいのかそうした声に全力で応えます。脳神経の変化を読み解く。ひと・暮らしを支える実感。――そんな、認知症医療の第一線で活躍する6人の医師が、地域で認知症医療を実践するうえで備えておきたい考え方と手法を解説します。監修:木之下 徹(こだまクリニック)第1回 「これまで」「いま」「これから」の認知症医療 これからの認知症医療。その羅針盤はどこに向いているのか――。3人の医師が語る歴史と未来。【高橋幸男先生】「あんた、なんちゅう医療しとるのか」目を開かされた、認知症の人のつぶやきとは。【山崎英樹先生】「デスメーキング」「専門家支配」といった切り口で語られる認知症医療。今後備えるべき専門性と意識とは。【本間昭先生】過去と今。認知症の人と家族の姿。QOLは果たして変化したのか?真に変わるべきものとは。第2回 誰のため・何のための認知症医療か 本編より――当初、僕は、認知症の方を前にして「困ってることはありませんか」と聞くようにしてたんです。大体認知症の方から返ってくる言葉は、「困ってることはありません」。なんで困ってることを喋ってくれないんだろうと、その時僕は思ってたわけです。それは、今思うと――“認知症医療を認知症の人に届ける”それを阻むものに神戸医師が鋭く切り込む。一方、認知症医療の秘めたる可能性を提示する。第3回 地域の医師と認知症医療 (1)診療とモニタリング 認知症の症状と思い込みがちな所見。実は、一歩踏み込んで診ることによって、治療すべき疾患が隠れていることも多い。ふだんからその人に関わっている地域の医師だからこそ可能な医療とは?着目のポイントと、具体的な手段を八森淳先生が解説する。【事例】アルツハイマー型認知症 一週間前から幻視・37.2℃の微熱 食事の量が減っていた→幻視と微熱にどんな関係が? 他2つの事例を紹介。第4回 地域の医師と認知症医療 (2)認知症医療と地域力 一人暮らしをしながら、公共交通機関を使って通院する朗らかな72歳の女性。しかし、その暮らしには生命の危機が迫っていた。――診察室からは見えにくい暮らしのありようを知り、「認知症と生きる人」を支えるために必要なものとは?問題解決だけではなく、これからも続く暮らしに伴走する認知症医療を八森淳先生が提示する。第5回 認知症の身体への影響(1) 自律神経機能の低下 日常診療の中でよく見かける、認知症による「身体への影響」。暮らしに大きく関わり、時に重大な事故に繋がるもののひとつに、自律神経機能の低下があります。今回は、最低限押さえておきたい5項目、「血圧の変動」「排尿障害」「便秘」「発汗減少と発汗過多」そして「高炭酸喚起応答障害」に的を絞り、織茂智之先生がずばり診療のポイントをお伝えします。第6回 認知症の身体への影響(2) 錐体外路症状 認知症による「身体への影響」のひとつである錐体外路症状は、ひとの暮らしを大きく左右する「動くこと」「食べること」に深く関係しています。暮らしを支える視点を軸に、日常診療でよく見かける錐体外路症状の基本的知識と治療のポイント、さらに認知症の人や家族へのアドバイスを神戸泰紀先生がお伝えします。第7回 認知症の人にみられる一般症状 知っているようで、まだまだ知られていない認知症の症状。医学が積み上げてきた認知症症候学と、認知症と生きる人の体験を併せて山崎医師が解説します。「誰でも体験すること」「認知症の人の体験」が多く紹介される本編は、診察室での対話を深めるのに役立つだけでなく、家族やケアに関わる人たちに「認知症を伝える」ヒントとなるでしょう。第8回 つくられるBPSD 「BPSD」は、認知症医療の一大テーマです。しかし、高橋医師は言います。「BPSDは、我々がつくるべくして、つくっている、というのが大きい」と。BPSDをどう捉え、どうアプローチすればよいのか。臨床でよく出会うケースを豊富に紹介しながら、解説する。第9回 認知症の薬物治療「抗認知症薬が効いた」「効かない」としばしば話題になりますが、その本当の意味をご存知でしょうか?本間医師がズバリ答えます。さらに、本間医師は問います。――認知症医療の目標はなんだと思いますか?「ひと・身体をみる認知症医療」ここに完結!

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原因不明の神経障害→もしかして●●●?

 2015年2月28日は「Rare Disease Day 2015世界希少・難治性疾患の日」である。これに先駆けて、2015年2月13日、都内にてファイザー株式会社が「家族性アミロイドポリニューロパチー」をテーマにプレスセミナーを開催した。本セミナーでは、演者に安東 由喜雄氏(熊本大学大学院生命科学研究部 神経内科学分野 教授)を迎え、希少疾患である同疾患について、診断方法と治療方法を中心に講演が行われた。 本疾患は他の疾患との鑑別に苦慮することが多く、診断時には手遅れであることも多い。安東氏は、適切な鑑別と専門医への早期紹介の重要性を強調した。以下、セミナーの内容をレポートする。家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)とは 家族性アミロイドポリニューロパチー(familial amyloidotic polyneuropathy:FAP)は遺伝性・進行性の致死的な神経疾患である。20代後半から30代に発症するケースが多く、10:1の比率で男性が大多数を占める。症状は緩徐進行性で、肝移植を行わない場合は、発症からの平均余命は約10年である。現在、国内の推定患者数は1,000人程度と考えられており、厚生労働省による難治性疾患克服研究事業の対象疾患に指定されている。 FAPは末梢神経、自律神経系、心、腎、消化管、眼などにアミロイドが沈着することで臓器障害を起こす、予後不良のアミロイド症である。常染色体優性遺伝を示すため、通常家族歴が認められるが、孤発例も少なくない。日本では熊本・長野に患者が集中しており、長年風土病とされてきた背景がある。 FAPの臨床症状は末梢神経障害、自律神経障害、臓器障害の3つからなる。初発症状として最も多いものは、多発神経炎による下肢の感覚障害である。そのほかには、自律神経障害による下痢、便秘、吐気、嘔吐などの消化器症状、起立性低血圧による失神、男性では勃起不全など多彩な症状を呈し、患者はFAPと診断されるまでにさまざまな診療科を受診している。不整脈、手根管症候群による上肢の感覚障害や、硝子体混濁による視力低下を初発症状とする症例も少なくなく、初診時の診断は困難である。家族性アミロイドポリニューロパチーの診断・標準治療とその問題点 家族性アミロイドポリニューロパチーの確定診断には胃、十二指腸、腹壁の生検組織のコンゴーレッド染色、抗TTR抗体を用いた免疫染色などの組織診断、血清診断、遺伝子診断が行われる。現在、なかでも遺伝子診断が注目されており、熊本大学・信州大学の2施設で行うことができる。 FAPの進行を抑制する手段として、肝移植と、経口剤であるタファミジスメグルミン(商品名:ビンダケル)の2つがある。肝移植は、FAPが早期発見された、若い患者には第1選択となる。しかし、深刻なドナー不足や、全身状態が不良な患者では施行できないなど問題点もある。肝移植ができない患者や、肝移植を行ったが症状が出現した患者には、経口剤を使用する。経口剤は、侵襲性がない治療方法であるが、1人につき年間約3千万円と非常に高額な薬剤である。 しかし、いずれの治療法もFAPの根治療法ではないため、根治療法の出現が望まれている。また、現在の治療法は進行したFAPには効果がないため、FAPという疾患自体を啓発し、手遅れになる前に患者自身による自発的な早期受診を促していく必要もある。家族性アミロイドポリニューロパチー治療の今後の展望 2016年をめどに家族性アミロイドポリニューロパチーの抗体医薬が臨床治験に入るとされている。この抗体医薬は臓器に蓄積したアミロイドを溶かす効果があるとされており、FAPの根治療法となる可能性がある。安全な抗体医薬の登場は、FAP患者にとって希望の光となる可能性があり、実用化が強く期待されている。家族性アミロイドポリニューロパチーを早期発見するために大切なこと 家族性アミロイドポリニューロパチーは進行性・難治性の疾患の疾患であり、進行が進むと死に至ることもある。しかし、早期に発見した場合、肝移植や経口剤により、進行を遅らせることもできる。よって、いかに早く本疾患を鑑別するかが重要である。 「日常診療において、原因不明の多発神経炎などを含む種々の臓器症状に遭遇した際はFAP を疑い、漫然と治療を行う前に早期に専門医へ紹介をすることが大切である」と安東氏は強調した。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第17回

第17回:慢性腰痛に対してのオピオイド~短期間は有効だが、長期間投与の効果と安全性ははっきりしない監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 慢性腰痛は、外来で多い訴えの1つです。慢性腰痛を持つ患者さんが疼痛コントロールに苦しんで受診されることが多く、総合診療外来医師、整形外科医師が治療に難渋していることも多いです。 2011年4月にトラムセット(トラマドール+アセトアミノフェン合剤)が承認されてから、NSAIDsで対応困難なケースなどに対して、わが国でもオピオイドの使用が以前よりも身近なものになってきています。また、他のオピオイド内服もしくは、パッチ剤(フェンタニル剤)を貼付されているケースも散見します。 オピオイドは疼痛コントロールに有効といわれますが、便秘や嘔気といった副作用などに悩み、長期に投与してよいものかと考えることがたびたびあります。長期使用の安全性は明らかになっておらず1), 2)、個人的には慎重に使用したいと考えます。日本では、慢性腰痛に対して、日本ペインクリニック学会が作成した神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン3)もあり、参考になると思います。 以下、American Family Physician 2014年8月15日号1)、The Cochrane database of systematic reviewsオンライン版 2013年8月27日版2)よりオピオイドは、慢性腰痛の治療に有効か?randomized controlled trialsのMeta-analysis 慢性腰痛には、オピオイドが短期間の疼痛の緩和と機能改善に多少有効であると一般的に考えられている。しかしながら、長期間のオピオイド使用でのデータは、ほとんど存在していない。長期間のオピオイド使用については、議論の分かれるところである。医師は、患者に疼痛の緩和を求められるが、長期間のオピオイドを使う際には投薬調節と安全性への配慮も求められる。トラマドールとプラセボを比較した5つの研究には、方法論的なバイアスがあったが、概して患者はプラセボより多くの痛みが減り、機能的なアウトカムもより改善することを示した。痛みの改善はSMD(標準化平均差)、-0.55( 95% CI -0.66~-0.44、low quality evidence)、機能の改善は SMD、-0.18( 95% CI -0.29~-0.07、moderate quality evidence)であった。2つの研究では、経皮ブプレノルフィンとプラセボを比較した。ブプレノルフィンの2つの研究では、エビデンスレベルは低く、プラセボより痛みが減るが、機能は改善しないことが判明した。痛みの改善はSMD、-2.47( 95% CI -2.69~-2.25、very low quality evidence)、機能の改善はSMD、-0.14( 95% CI -0.53~0.25、very low quality evidence) であった。5つの強オピオイドの研究では、痛みが減り、機能改善することが判明した。痛みの改善はSMD、-0.43( 95% CI -0.52~-0.33、moderate quality evidence)機能の改善はSMD、-0.26(95% CI -0.37~-0.15、moderate quality evidence)であった。いずれのトライアルも研究の質は低~中等度で、中断率が高く、観察期間が短く、機能改善の定義が限定されている。オピオイドの長期使用に関するトライアルは、さまざまなリスクを総合的に評価するなど慎重に行うべきである。慢性腰痛に対するオピオイドの長期間の効果と安全性を示しうるRCTはない。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) HENRY C. BARRY. Am Fam Physician. 2014; 90: 259B-C. 2) Chaparro LE, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2013; 8: CD004959. 3) 日本ペインクリニック学会神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン作成ワーキンググループ 編. 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン. 真興交易医書出版部. 2011. 

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単一成分のヒドロコドン徐放性製剤、慢性疼痛に有効

 ヒドロコドン徐放性製剤「Zohydro」(国内未承認)は、米国FDAに最初に承認された単一成分のヒドロコドン徐放性製剤である。米国・カンザス大学メディカルセンターのSrinivas Nalamachu氏らは多施設非盲検臨床試験において、中~重度の慢性疼痛を有しオピオイドの効果が不十分もしくは忍容性がなかった患者に対し、本剤の長期投与が概して安全かつ有効であったことを示した。著者は、ヒドロコドンの速放性製剤を服用している患者やアセトアミノフェンによる肝毒性が懸念される患者にとって新しい治療選択肢となりうるとまとめている。Journal of Pain Research誌オンライン版2014年11月21日の掲載報告。 本試験は、6週間以内のヒドロコドン徐放性製剤への変更・用量調整期と48週間の維持期で構成されて行われた。 対象は変形性関節症、腰痛、神経障害性および筋骨格系の慢性疼痛患者638例で、ヒドロコドン徐放性製剤を1日2回投与した(範囲:20~300mg)。 主要評価項目は安全性であり、副次的評価項目は長期有効性(平均疼痛スコアの変化量:0~10で評価)であった。 主な結果は以下のとおり。・試験開始時のヒドロコドン等価用量平均値は68.9±62.2mg/日で、維持期開始時には139.5±81.7mg/日まで増量した。・主な有害事象は変更・用量調整期/維持期でそれぞれ、便秘11.3%/12.5%、悪心10.7%/9.9%、嘔吐4.1%/9.7%、傾眠7.7%/4.2%であった。・試験中に4例が死亡したが、本試験の治療とは関係していないと考えられた。また、試験終了13ヵ月後に1例の死亡が報告された。・変更・用量調整期において84%の患者で臨床的に意味のある疼痛改善(平均疼痛スコアが30%以上改善)を認め、維持期においては平均疼痛スコアの平均値は安定していた。

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【GET!ザ・トレンド】カプセル内視鏡の最新事情

カプセル内視鏡の登場内視鏡は、人体内部、とくに胃腸などの病気を診断するために用いられる医療機器であり、通称「胃カメラ」とか「大腸カメラ」と言われている。現在では電子内視鏡が世界的に広く利用され、胃がんや大腸がんの診断、治療に大きく貢献してきた。ところが、2001年、Natureという科学誌に、カプセル内視鏡が報告され、世界をあっと驚かせた。薬のカプセルよりやや大きい程度の大きさの内視鏡で、苦痛を伴わない安全な内視鏡だったからである。この内視鏡を用いることによって、それまで診断が難しかった小腸の病気を容易に見つけ出すことができるようになった。その結果、これまでの内視鏡で診断可能だった食道や胃、そして大腸などに出血源が発見できず、小腸が原因かもしれないと推測するしかなかった小腸の病気が、容易に診断できるようになった。そして、小腸に予想以上に病気が多いことも判明したのである。最近では、食道や大腸のがんなどの病気を診断するカプセル内視鏡も登場した。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する検査の概要カプセル内視鏡は、カプセルを飲み込むだけで検査が始まり、撮影した画像はワイヤレスで体外の記録装置に送られ、ビデオ画像で解析、診断する。カプセルは、胃腸の動きに伴って進み、8~10時間後に排泄される。このカプセルはディスポーザブルで、再利用はしない。検査の前には、小腸の場合、一晩の食事止めでいいが、大腸の場合には、少々大量の(2~4リットル)の下剤を飲まなければならない。そうすれば、通常の内視鏡と同様の写真を撮ることが可能で、診断性能もほぼ同じである。撮影された画像は特殊なソフトで解析されるが、現在のところ、やや時間がかかり過ぎて、医師の負担となっている。日本カプセル内視鏡学会では、読影支援技師を養成してこの問題を解決しようとしている。画像を拡大する問題点問題点の1つは、小腸などに手術後、腸管が狭くなっているところがある場合、カプセルがそこにとどまって体外に出ないことがあり(滞留)、この場合は特殊な内視鏡で取り出さなければならないことである。1~2%のケースでこのような問題が生じるが、現在では、前もってパテンシーカプセルというダミーを用いて、狭いところがあるかどうかを診断できるようになった。大腸用のカプセル内視鏡は、世界で初めて健康保険の適用が認められた。とはいえ、その適応範囲は意外に狭く、単に「お尻を見せるのが恥ずかしい」とか、通常よく聞かれる「内視鏡が怖いから」といったような心理的な理由では、保険の適用は認められない。今後、その適用範囲は広げられていく予定であるが、このことは皆さんにご理解いただきたいところである。その他の問題としては、体外から自由にコントロールできないこと、診断はできるが、がんの切除など内視鏡治療ができないことがある。したがって、現在のところ、カプセル内視鏡は主にスクリーニングに用いられており、がんなどが発見されれば、これまでの内視鏡による治療あるいは手術が行われている。カプセル内視鏡とこれまでの内視鏡とのすみ分けが検討されている。今後への期待このように、カプセル内視鏡は、苦痛を伴わない簡便な診断方法であるが、限界もあり、今後わが国から、これらの問題点を解決する優れた研究が世界に向けて発信されることを希望している。参考文献日本カプセル内視鏡学会(JACE)アトラス作成委員会編.動画でわかるカプセル内視鏡テキスト.コンパス出版局;2014.

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CKD患者の高K血症に新規K吸着薬が有効/NEJM

 RAAS阻害薬服用中の慢性腎臓病(CKD)患者で高カリウム血症を呈した患者について、新規開発経口薬のカリウム吸着薬パチロマー(patiromer)はプラセボと比較して、血清カリウム(K)値を低下し、再発頻度も低下することが示された。米国・メリーランド大学医学部のMatthew R. Weir氏らが国際共同単盲検前向き試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2014年11月21日号掲載の報告より。RAAS阻害薬服用中CKD・高K血症患者を対象に有効性、安全性を検討 試験は、RAAS阻害薬服用中CKD患者で、高カリウム血症(5.1~6.5mmol/L未満)を呈した患者243例を対象に、2相にわたって行われた。1相は単群の盲検試験(4週間)、2相は無作為化プラセボ対照試験(8週間)であった。 被験者243例は、1相試験でパチロマーを1日2回4.2gまたは8.4gを受け、血清K値(平均値)のベースラインから治療4週時点の変化について評価(1相主要有効性エンドポイント)を受けた。次に、1相試験で血清K値がベースライン時5.5~6.5mmol/L未満から4週時点3.8~5.1mmol/L未満に低下した患者を2相に組み入れて、パチロマー継続投与群(55例)またはプラセボに切替投与群(52例)に無作為に割り付けて8週間治療した。2相主要有効性エンドポイントは、同相初期4週間の血清K値変化(中央値)の両群間の差とした。4週時点で76%が3.8~5.1mmol/L未満に低下 1相試験の被験者243例は、東欧24施設、EU21施設、米国14施設で登録された。男性が多く(58%)、平均年齢は64.2±10.5歳、CKDステージ3が46%、ステージ4が約45%であった。 同試験期間中、血清K値の測定は5回行われた(3日目、1、2、3、4週時)。そのうち3日目およびその後に1回以上測定を受けた237例について分析した。 結果、ベースラインから4週時の血清K値の変化中央値は-1.01±0.03mmol/Lで、有意な変化が認められた(p<0.001)。2相試験組み込みへの適格条件(3.8~5.1mmol/L未満に低下)に達した患者は76%(95%信頼区間[CI]:70~81%)であった。 2相試験の開始時の各群の血清K値は、継続群4.49mmol/L、プラセボ群4.45 mmol/Lであった。開始後最初の4週間で、継続群では変化がみられなかったが、プラセボ群は0.72mmol/L上昇し、両群間で有意差が認められた(p<0.001)。 8週間の試験期間中、5.5mmol/L以上に少なくとも1回以上の高カリウム血症の再発を認めた患者は、プラセボ群60%、継続群15%で、プラセボ群の有意な増大が示された(p<0.001)。 1相・2相試験を通じて、有害事象を経験した患者は114例(47%)。最も頻度が高かったのは、軽度~中等度の便秘で26/114例(11%)であった。低カリウム血症の発生は8/114例(3%)だった。

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【医療ニュース トップ100】2014年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?

今年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心の高かった論文は何だったのでしょう? ここでは、アクセス数の多いものから100本を紹介します。 1位 日本男性の勃起硬度はアレと関連していた (2014/11/13) 2位 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 (2014/1/7) 3位 子供はよく遊ばせておいたほうがよい (2014/3/28) 4位 思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet (2014/1/27) 5位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 6位 メロンでかゆくなる主要アレルゲンを確認 (2014/4/15) 7位 新たな輸液プロトコル、造影剤誘発急性腎障害の予防に有効/Lancet (2014/6/9) 8位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 9位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 10位 スタチンと糖尿病リスク増大の関連判明/Lancet (2014/10/9) 11位 スルピリドをいま一度評価する (2014/5/16) 12位 米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA (2014/4/16) 13位 インフルエンザワクチン接種、無針注射器の時代に?/Lancet (2014/6/16) 14位 新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet (2013/12/25) 15位 アルコール依存症、薬物治療の減酒効果は?/JAMA (2014/5/29) 16位 SGLT2阻害薬「トホグリフロジン」の日本人への効果 (2014/2/28) 17位 大人のリンゴ病 4つの主要パターン (2014/7/29) 18位 脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet (2014/11/12) 19位 ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM (2014/9/8) 20位 アルツハイマーに有用な生薬はコレ (2014/11/14) 21位 塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM (2014/8/25) 22位 スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA (2014/4/14) 23位 食後血糖によい食事パターンは?(低脂肪vs低炭水化物vs地中海式) (2014/3/27) 24位 成人ADHDをどう見極める (2014/5/21) 25位 各種ダイエット法の減量効果/JAMA (2014/9/16) 26位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 27位 腰痛持ち女性、望ましい性交体位は? (2014/11/21) 28位 ロマンチックな恋愛は幸せか (2014/3/26) 29位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 30位 下肢静脈瘤、ベストな治療法は?/NEJM (2014/10/10) 31位 せん妄管理における各抗精神病薬の違いは (2014/9/18) 32位 降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA (2014/9/11) 33位 深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ (2014/3/20) 34位 StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404) (2014/2/26) 35位 たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる (2014/2/21) 36位 スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ (2014/8/7) 37位 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 (2014/8/29) 38位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 39位 統合失調症患者の突然死、その主な原因は (2014/4/18) 40位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 41位 帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ (2014/5/26) 42位 慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは? (2014/7/1) 43位 女性の顔の肝斑、なぜ起きる? (2014/5/8) 44位 DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet (2014/7/30) 45位 駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?/NEJM (2014/4/23) 46位 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は (2014/10/30) 47位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 48位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 49位 世界中で急拡大 「デング熱」の最新知見 (2014/10/17) 50位 円形脱毛症とビタミンDに深い関連あり (2014/4/10) 51位 不眠の薬物療法を減らすには (2014/7/23) 52位 オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認 (2014/11/6) 53位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 54位 ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM (2014/10/15) 55位 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット (2014/3/17) 56位 COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か (2014/1/13) 57位 座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか (2014/5/12) 58位 PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet (2014/8/22) 59位 気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ (2014/3/17) 60位 血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet (2014/6/19) 61位 マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ (2014/2/21) 62位 機能性便秘へのプロバイオティクスの効果 (2014/8/14) 63位 超高齢の大腸がん患者に手術は有用か:国内での検討 (2014/2/14) 64位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 65位 乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet (2014/3/31) 66位 75歳以上でのマンモグラフィ検診は有効か (2014/8/11) 67位 大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA (2014/1/23) 68位 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも (2014/5/13) 69位 食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ (2014/4/28) 70位 心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet (2014/9/19) 71位 薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet (2014/3/24) 72位 ピロリ除菌、糖尿病だと失敗リスク2倍超 (2014/8/21) 73位 認知症にスタチンは有用か (2014/7/25) 74位 RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ (2014/11/20) 75位 腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet (2014/8/6) 76位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 77位 うつになったら、休むべきか働き続けるべきか (2014/9/16) 78位 英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ (2014/10/1) 79位 総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA (2014/7/21) 80位 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン (2014/10/8) 81位 前立腺がん、全摘vs.放射線療法/BMJ (2014/3/10) 82位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 83位 高力価スタチンが糖尿病発症リスクを増大させる/BMJ (2014/6/16) 84位 乳がんの病理学的完全奏効は代替エンドポイントとして不適/Lancet (2014/2/27) 85位 Na摂取増による血圧上昇、高血圧・高齢者で大/NEJM (2014/8/28) 86位 抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か (2014/8/15) 87位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 88位 肩こりは頚椎X線で“みえる”のか (2014/3/19) 89位 地中海式ダイエットと糖尿病予防 (2014/4/7) 90位 閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM (2014/6/26) 91位 揚げ物は肥満遺伝子を活性化する?/BMJ (2014/4/3) 92位 6.5時間未満の睡眠で糖尿病リスク上昇 (2014/9/4) 93位 セロトニン症候群の発現メカニズムが判明 (2014/3/14) 94位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 95位 肥満→腰痛のメカニズムの一部が明らかに (2014/8/8) 96位 低炭水化物食 vs 低脂肪食 (2014/8/7) 97位 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは (2014/3/21) 98位 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか (2014/7/2) 99位 血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet (2014/8/20) 100位 小児BCG接種、結核感染を2割予防/BMJ (2014/8/21) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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