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冠動脈インターベンション時の血栓性の人工コントロールは可能か?(解説:後藤 信哉 氏)-460

 トロンビン、Xaなどの凝固因子の機能を薬剤により阻害すると、重篤な出血イベントが増え、血栓イベントは減少する。血液凝固第VIII因子、第IX因子の欠損は、重篤な出血イベントを起こす血友病ではあるが、血友病の血栓イベントは少ないと想定される。止血、血栓形成に必須の役割を演じる血液凝固因子を、血栓イベントリスクの高い短時間のみ阻害し、血栓イベントリスクの低下に合わせて凝固因子を正常化する調節ができれば、出血イベントリスクの増加を伴わない抗血栓療法が可能となると期待された。 本研究では、血液凝固第IX因子の機能を阻害して人工的に血友病をつくるpegnivacoginが使用された。本研究は、血液凝固第IX因子阻害薬使用時のアナフィラキシーの増加により早期に中止された。それでも、3,000例以上の症例がランダム化され、血液凝固第IX因子阻害群では108/1,616例(7%)、欧米にて承認された選択的なトロンビン阻害薬bivalirudin群では103/1,616例(6%)に心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントが発現した。本研究のアイデアは、人工的に血友病をつくり出してでも血栓イベント予防を目指す凄まじいコンセプトであった。血液凝固第IX因子阻害効果を、人工的に中和できる薬剤を同時に使用するとはいっても、生体の複雑性には未知の部分が多い。本研究は、チャレンジングなコンセプトであったが、比較的単純な血液凝固系であっても人工的な制御は難しいことを示したともいえる。 現時点の医療の科学は、帰納的なエビデンスベースドメディシンである。構成論的予測は不可能ではないが、未知の部分が多すぎる。エビデンスベースドメディシンの世界を脱却して、構成論的、予測的、個別特異的な医療の世界をつくるのが21世紀の医学、生物学のチャレンジである。

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抗Xaの囮療法の評価をどうする?(解説:後藤 信哉 氏)-459

 血液凝固検査は、細胞の存在しない液相で施行される。しかし、生体内の血液凝固反応は活性化細胞膜上、白血球上などのリン脂質膜上にて主に起こる。ワルファリンは、血液凝固因子第II、VII、IX、X因子と生体膜のphosphatidylserineの結合を阻害する効果を有した。ワルファリン服用下では、液相での血液凝固検査における凝固系の機能異常以上に、生体内における細胞膜を介した凝固系も効率的に予防した。いわゆる新規の経口抗トロンビン薬、抗Xa薬は、凝固因子のトロンビン産生、フィブリン産生の酵素作用を可逆的に阻害する。ワルファリンとは作用メカニズムが異なるので、中和作用も異なる。抗トロンビン薬ダビガトランは、液相、細胞膜上の両者にてフィブリノーゲンからフィブリンを産生するトロンビンの作用を阻害している。トロンビンに結合するダビガトランを単純に失活させれば、中和薬としての効果を期待できた。 抗Xa薬も、液相ではXaの酵素活性部位から抗Xa薬を除いて失活させることを目標とすればよい。その方法は、ダビガトランの中和薬と同様でよい。しかし、トロンビンを産生するプロトロンビナーゼ複合体を形成するXaが、液相のXaと同じ動態をとるか否かは未知である。Xaに類似した構造を持ちつつ、Xaとして酵素作用がなく、かつ活性化血小板膜に集積できないXaデコイ(囮)が中和薬として開発された。液相のXa活性を指標とすれば、Xaデコイ(囮)により抗Xa薬の薬効は中和できることが本論文にて示された。 しかし、血小板細胞上などでのプロトロンビナーゼ活性阻害を中和したか否かは明確ではない。本研究は出血、血栓リスクの高い症例に対する研究ではなく、健常人を対象とした研究である。本研究の結論は、液相中の抗Xa活性を中和したことのみを支持すると考えるべきである。 抗血栓薬を中和すると、逆に血栓リスクが増すと想定される。実際、トロンビン産生のマーカーであるF1+2、線溶の指標であるD-dimerは中和薬投与後に上昇している。本研究は、バイオマーカーの計測を精緻に行った研究である。抗Xa薬に対する「Decoy(囮)」療法は科学的には新規のチャレンジである。臨床的インパクトの有無の評価は、今後の課題である。

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鋭い論文解説が勢ぞろい!【CLEAR!ジャーナル四天王 2015年トップ30発表】

臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、日本の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しているNPO法人です。本企画『CLEAR!ジャーナル四天王』では、CareNet.comで報道された海外医学ニュース『ジャーナル四天王』に対し、鋭い視点で解説します。コメント総数は約450本(2015年11月時点)。今年掲載された150本以上のコメントの中から、アクセス数の多かった解説記事のトップ30を発表します。1位高齢者では、NOACよりもワルファリンが適していることを証明した貴重なデータ(解説:桑島 巖氏)(2015/5/20)2位LancetとNEJM、同じデータで割れる解釈; Door-to-Balloon はどこへ向かうか?(解説:香坂 俊氏)(2015/1/9)3位FINGER試験:もしあなたが、本当に認知症を予防したいなら・・・(解説:岡村 毅氏)(2015/3/20)4位降圧は「The faster the better(速やかなほど、よし)」へ(解説:桑島 巖氏)(2015/4/3)5位MRIが役に立たないという論文が出てしまいましたが…(解説:岡村 毅氏)(2015/7/22)6位DAPT試験を再考、より長期間(30ヵ月)のDAPTは必要か?(解説:中川 義久氏)(2015/1/8)7位やはり優れたワルファリン!(解説:後藤 信哉氏)(2015/8/19)8位ヘパリンブリッジに意味はあるのか?(解説:後藤 信哉氏)(2015/7/8)9位市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博氏)(2015/2/18)10位CKD合併糖尿病患者では降圧治療は生命予後を改善しない?(解説:浦 信行氏)(2015/6/9)11位ワルファリン出血の急速止血に新たな選択肢?(解説:後藤 信哉氏)(2015/4/6)12位SPRINT試験:厳格な降圧が心血管発症を予防、しかし血圧測定環境が違うことに注意!(解説:桑島 巖氏)(2015/11/13)13位なんと!血糖降下薬RCT論文の1/3は製薬会社社員とお抱え医師が作成(解説:桑島 巖氏)(2015/7/14)14位COSIRA試験:血管を開けるのか?それとも、閉じるのか? 狭心症治療に新たな選択肢(解説:香坂 俊氏)(2015/3/27)15位SORT OUT VI試験:薬剤溶出性ステント留置は成熟した標準治療となった!(解説:平山 篤志氏)(2015/2/10)16位心血管リスクと関係があるのはHDL-C濃度ではなくその引き抜き能(解説:興梠 貴英氏)(2015/1/21)17位SPRINT試験:75歳以上の後期高齢者でも収縮期血圧120mmHg未満が目標?(解説:浦 信行氏)(2015/11/18)18位鼻腔から集中治療を行える時代へ:ハイフロー鼻腔酸素療法(解説:倉原 優氏)(2015/6/3)19位働き過ぎは、脳卒中のリスク!(解説:桑島 巖氏)(2015/8/31)20位CLEAN試験:血管内カテーテル挿入時の皮膚消毒はクロルヘキシジン・アルコール(解説:小金丸 博氏)(2015/10/30)21位IMPROVE-IT試験:LDL-コレステロールは低ければ低いほど良い!(解説:平山 篤志氏)(2015/6/22)22位なぜ心房細動ばかりが特別扱い?(解説:後藤 信哉氏)(2015/10/5)23位LDL-コレステロール低下で心血管イベントをどこまで減少させられるか?(解説:平山 篤志氏)(2015/4/21)24位EMPA-REG OUTCOME試験:試験の概要とその結果が投げかけるもの(解説:吉岡 成人氏)(2015/10/1)25位DPP-4阻害薬の副作用としての心不全-アログリプチンは安全か…(解説:吉岡 成人氏)(2015/4/14)26位食後血糖の上昇が低い低glycemic index(GI)の代謝指標への影響(解説:吉岡 成人氏)(2015/1/6)27位抗うつ薬、どれを使う? 選択によって転帰は変わる?(解説:岡村 毅氏)(2015/3/3)28位治療抵抗性高血圧の切り札は、これか?~ROX Couplerの挑戦!(解説:石上 友章氏)(2015/2/20)29位デブと呼んでごめんね! DEB改めDCB、君は立派だ(解説:中川 義久氏)(2015/9/30)30位問診と自己申告で全死亡が予測できる?(解説:桑島 巖氏)(2015/7/6)今回ご紹介しました「CLEAR!ジャーナル四天王」とは他にも、人気のランキングはこちらをどうぞ

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2015年、人気を集めた記事・スライド・動画は?【2015年コンテンツ閲覧ランキング TOP30】

2015年も、日常診療に役立つ情報を、記事やスライド、動画などで多数お届けしてまいりました。その中でもアクセスの高かった人気コンテンツは、何だったのでしょうか?トップ30をご紹介いたします。1位わかる統計教室第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション1 生存率を算出する方法2位特集:アナフィラキシー 症例クイズ(1)3回目のセフェム系抗菌薬静注後に熱感を訴えた糖尿病の女性3位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(3)知っておくべき初期治療4位1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより~第16回 犬猫咬傷~傷は縫っていいの? 抗菌薬は必要なの?5位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(1)誘因と増悪因子を整理6位CLEAR!ジャーナル四天王高齢者では、NOACよりもワルファリンが適していることを証明した貴重なデータ(解説:桑島 巖 氏)7位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ9.急性腎盂腎炎の標準的治療期間、10~14日の根拠を教えてください。8位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(2)診断のカギ9位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ1.急性上気道炎での抗菌薬投与は本当に不要なのでしょうか?10位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ20.尿路感染症にアンピシリン・スルバクタム、正しいですか?11位臨床に役立つ法的ケーススタディ【ケース1】「入院拒否後、自宅で死亡。家族対応はどうすべき?」(後編)12位わかる統計教室第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション2 よくあるオッズ比の間違った解釈13位わかる統計教室第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション2 カプランマイヤー法で累積生存率を計算してみる14位わかる統計教室第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション3 オッズ比の使い道15位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(4)再発予防と対応16位特集:アナフィラキシー 症例クイズ(2)海外出張中に救急搬送されたアレルギー体質の35歳・男性の例17位わかる統計教室第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション1 分割表とリスク比18位Dr.倉原の“おどろき”医学論文第45回 急性心筋梗塞に匹敵するほど血清トロポニンが上昇するスポーツ19位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ7.抗菌薬を投与する際、内服・点滴のどちらにするか悩むことがたびたびあります。20位診療よろず相談TV シーズンII第10回「脂質異常症」(回答者:寺本内科歯科クリニック / 帝京大学臨床研究センター長 寺本 民生氏)Q3.LDL、下げ過ぎによるリスクは?21位特集:成人市中肺炎 症例クイズ(2)「何にでも効く薬」は本当に「何にでも効く」のか?22位CLEAR!ジャーナル四天王LancetとNEJM、同じデータで割れる解釈; Door-to-Balloon はどこへ向かうか?(解説:香坂 俊 氏)23位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ5.インフルエンザ感染で、WBCやCRPはどのように変化するか?24位斬らレセプト ―査定されるレセプトはこれ!事例61 「初診料 休日加算」の査定25位Cardiologistへの道@Stanford第6回 会員からのリクエスト「米国医師の給与について」26位アリスミアのツボQ22. 発作性心房細動はやがてどうなるの?27位わかる統計教室第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション4 カプランマイヤー法の生存曲線を比較する28位スキンヘッド脳外科医 Dr. 中島の 新・徒然草五十五の段 責任とってねテレビ局29位Dr.小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~テレビなど健康番組を見る患者さんへの説明用資料30位患者向けスライド期外収縮の患者さんへの説明

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心房細動の抗血栓療法時の消化管出血後、再開による死亡リスクは?/BMJ

 心房細動患者の消化管出血後の抗血栓療法再開による全死因死亡などのリスクについて調べた結果、再開しなかった患者群との比較で、再開レジメン別にみると経口抗凝固薬単独再開群の全死因死亡および血栓塞栓症のアウトカムが良好であったことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のLaila Staerk氏らによるコホート試験の結果、明らかにされた。消化管出血は、経口抗凝固療法を受ける心房細動患者の出血部位として最も多いが、同出血後に抗血栓療法を再開するのか見合わせるのかに関してはデータが不足していた。BMJ誌オンライン版2015年11月16日号掲載の報告。全死因死亡、血栓塞栓症、重大出血、消化管出血再発リスクを検討 検討は、デンマークコホート(1996~2012年)の抗血栓療法を受ける心房細動患者で、入院中に消化管出血を呈しその後退院した全患者を対象に行われた。試験集団には4,602例(平均年齢78歳、女性45%)が組み込まれた。これら患者が消化管出血発症前に受けていた抗血栓療法の内訳は、経口抗凝固薬単独23.9%、抗血小板薬単独53.3%、経口抗凝固薬+抗血小板薬の併用19.4%、アスピリン+アデノシン二リン酸(ADP)受容体拮抗薬の併用2.5%、その他3剤併用0.9%であった。 同集団について、時間依存的Cox比例ハザードモデルや比較リスクモデル[抗血栓療法の非再開群 vs.再開群(単独または併用療法)]を用いて、全死因死亡、血栓塞栓症、重大出血、消化管出血再発の各アウトカム発生リスクを調べた。なお、比較リスクモデルの検討では既往処方薬の使用による交絡を回避するため、フォローアップ開始を退院後90日時点からとした。非再開群との比較では経口抗凝固薬単独群のアウトカムが良好 試験集団全体における消化管出血後2年時点の各アウトカムの累積発生率は、全死因死亡が39.9%(95%信頼区間[CI]:38.4~41.3%、1,745例)、血栓塞栓症12.0%(同:11.0~13.0%、526例)、重大出血17.7%(同:16.5~18.8%、788例)、消化管出血再発12.1%(同:11.1~13.1%、546例)であった。全死因死亡、重大出血、消化管出血再発は、集団への包含1ヵ月以内に顕著な増大がみられた一方、血栓塞栓症の発生は、2年の間、一定して増大していた。 比較リスクモデルの検討には3,409例が組み込まれた。このうち抗血栓療法を再開しなかった患者は27.1%(924例)であった。また再開群のレジメン内訳は、経口抗凝固薬単独21%(725例)、抗血小板薬単独38.5%(1,314例)、経口抗凝固薬+抗血小板薬併用11.3%(384例)、アスピリン+ADP受容体拮抗薬併用1.5%(51例)であった。 非再開群との比較で、全死因死亡リスクの低下が認められた再開レジメンは、経口抗凝固薬単独(ハザード比[HR]:0.39、95%CI:0.34~0.46)、抗血小板薬単独(同:0.76、0.68~0.86)、そして経口抗凝固薬+抗血小板薬併用(同:0.41、0.32~0.52)であった。 また、血栓塞栓症リスクの低下が認められたのは、経口抗凝固薬単独(同:0.41、0.31~0.54)、抗血小板薬単独(同:0.76、0.61~0.95)、経口抗凝固薬+抗血小板薬併用(同:0.54、0.36~0.82)であった。 一方で、単独療法において経口抗凝固薬単独のみが、重大出血リスクの増大と関連していた(同:1.37、1.06~1.77)。 消化管出血再発リスクについては、レジメン間で有意差はみられなかった。

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2015年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?【医療ニュース 年間ランキングTOP30】

2015年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心が高かった論文は何だったのでしょう?アクセス数順にトップ30を発表します!1位本当だった!? 血液型による性格の違い(2015/6/2)2位脳梗塞の発症しやすい曜日(2015/4/3)3位心房細動へのジゴキシン、死亡増大/Lancet(2015/3/30)4位緑茶で死亡リスクが減る疾患(2015/4/30)5位学会発表後になぜ論文化しない?(2015/3/3)6位食道がんリスクが高い職業(2015/2/4)7位「朝食多め・夕食軽く」が糖尿病患者に有益(2015/3/4)8位アルツハイマー病への薬物治療、開始時期による予後の差なし(2015/10/28)9位片頭痛の頻度と強度、血清脂質と有意に相関(2015/10/13)10位パートナーがうつ病だと伝染するのか(2015/5/14)11位コーヒー摂取量と死亡リスク~日本人9万人の前向き研究(2015/5/11)12位長時間労働は多量飲酒につながる/BMJ(2015/1/26)13位急性虫垂炎は抗菌薬で治療が可能か?/JAMA(2015/6/30)14位2型糖尿病と関連するがんは?/BMJ(2015/1/23)15位脳梗塞と脳出血の発症しやすい季節(2015/10/19)16位胃がん切除予定例のピロリ除菌はいつすべき?(2015/7/16)17位ジゴキシンは本当に死亡を増大するのか/BMJ(2015/9/14)18位甘くみていませんか、RSウイルス感染症(2015/10/9)19位認知症、早期介入は予後改善につながるか(2015/2/6)20位肺炎球菌ワクチン 接種間隔はどのくらい?(2015/4/22)21位新規経口抗凝固薬の眼内出血リスク、従来薬との比較(2015/8/12)22位5歳までのピーナッツ摂取でアレルギー回避?/NEJM(2015/3/9)23位軽度認知障害からの進行を予測する新リスク指標(2015/1/7)24位若白髪のリスク因子(2015/1/19)25位社会生活の「生きにくさ」につながる大人のADHD(2015/9/16)26位内科診療「身体診察」の重要性を再認識(2015/6/5)27位性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大(2015/8/20)28位心不全患者へのASV陽圧換気療法は死亡を増大/NEJM(2015/9/18)29位低GI食、インスリン感受性や収縮期血圧を改善せず/JAMA(2015/1/5)30位唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ(2015/8/17)

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第Xa因子阻害薬の中和薬、抗凝固活性の抑制効果を確認/NEJM

 第Xa因子阻害薬の抗凝固作用に対する中和薬として開発が進められているandexanet alfaについて、カナダ・マックマスター大学のDeborah M. Siegal氏らによる健常高齢者ボランティアを対象に行った臨床試験の結果が報告された。アピキサバン、リバーロキサバンのいずれの抗凝固薬に対しても数分以内で中和作用を示し、臨床的毒性作用は認められなかったという。第Xa因子阻害薬治療では出血の合併症が伴うことから、中和薬の開発が期待されている。NEJM誌オンライン版2015年11月11日号掲載の報告。アピキサバン、リバーロキサバンに対する中和作用を評価 試験は、50~75歳の健常高齢者ボランティアに、アピキサバン5mgを1日2回またはリバーロキサバン20mgを1日1回投与して行われた。2段階の無作為化プラセボ対照試験にて、andexanetのボーラス投与またはボーラス投与+2時間静注を評価した。 主要アウトカムは、平均%でみた抗第Xa因子活性の変化とし、抗凝固薬ごとに抑制効果を評価した。 2014年3月~15年5月に、計101例の被験者(アピキサバン試験48例、リバーロキサバン試験53例)がandexanet投与を、44例(アピキサバン試験17例、リバーロキサバン試験27例)がプラセボ投与を受けるよう無作為に割り付けられた。被験者の平均年齢は57.9歳、女性が39%であった。抗凝固活性、ボーラス投与でアピキサバンは94%、リバーロキサバンは92%抑制 結果、抗第Xa因子活性は、andexanetボーラス投与群においてプラセボ投与群と比べて、急速(2~5分以内)に抑制された。 アピキサバン試験のボーラス投与群(24例)の抑制効果は94%に対し、プラセボ投与群(9例)は21%であった(p<0.001)。また、非結合アピキサバンの血中濃度は9.3ng/mLと有意に抑制され(プラセボ群1.9ng/mL、p<0.001)、トロンビン生成は被験者の100%で2~5分以内に完全に回復した(プラセボ群11%、p<0.001)。 リバーロキサバン試験では、ボーラス投与群(27例)の抑制効果は92%、プラセボ投与群(14例)は18%であった(p<0.001)。また非結合リバーロキサバン血中濃度は23.4ng/mLに有意に抑制され(プラセボ群4.2ng/mL、p<0.001)、トロンビン生成は被験者の96%で完全に回復した(プラセボ群7%、p<0.001)。 同様の効果は、andexanetのボーラス投与+2時間静注の検討においても維持されていた。 サブグループにおいて、Dダイマー値、プロトロンビンフラグメント1、2の一過性の上昇がみられたが、24~72時間で回復した。なお、有害事象や血栓性イベントの報告はなかった。

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新規抗血栓システムREG1、開発中止に/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時の新規抗血栓システムとして開発中のREG1は、重篤なアレルギー反応と関連することが明らかとなり、試験が早期に中止となったことが報告された。米国・クリーブランドクリニック研究センターのA Michael Lincof氏らがbivalirudinに対する優越性を検討していた。なお、試験の早期中止により統計的検出力に限りがあるものの、REG1がbivalirudinと比較して虚血性イベントや出血を抑制するとのエビデンスは示されなかったという。Lancet誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。北米とヨーロッパの225病院でbivalirudinに対する優越性を検討 REG1は、第IXa凝固因子阻害薬pegnivacoginと中和薬anivamersenを組み合わせた新規開発中の抗血栓システム。研究グループは、bivalirudinと比較して同システムは、PCI施行時は第IXa因子をほぼ完全に阻害し、その後anivamersenの局所中和作用によって、出血を増大することなく、虚血性イベントを抑制すると仮定し検討を行った。 北米とヨーロッパの225病院で、多施設共同無作為化非盲検実薬対照試験にて、REG1のbivalirudinに対する優越性を検討した。試験は、PCI施行患者1万3,200例をREG1群[PCI後にpegnivacoginを1mg/kgボーラス投与し(>99%第IXa因子を抑制)、anivamersenで80%中和]またはbivalirudin群に、無作為に割り付けて評価するよう計画された。なお、48時間以内のST上昇型心筋梗塞患者は除外された。 主要有効性エンドポイントは、無作為化後3日時点までの全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、予定外の標的病変血行再建の複合。主要安全性エンドポイントは、重大出血であった。重篤アレルギー反応が報告され早期に中止 試験は3,232例が登録後、重篤アレルギー反応が報告され早期に中止された。同時点で、1,616例がREG1群に、1,616例がbivalirudin群に割り付けられており、それぞれ、1,605例、1,601例が治療を受けていた。 重篤アレルギー反応は、REG1群で10/1,605例(1%)、bivalirudin群で1/1,601例(1%未満)で報告された。 複合主要エンドポイントの発生は、REG1群108/1,616例(7%)、bivalirudin群は103/1,616例(6%)が報告され、両群間で差はみられなかった(オッズ比[OR]:1.05、95%信頼区間[CI]:0.80~1.39、p=0.72)。 重大出血の発生も同程度の発生で、REG1群7/1,605例(1%未満)、bivalirudin群2/1,601例(1%未満)であった(OR:3.49、95%CI:0.73~16.82、p=0.10)。ただし、重大・小出血の発生はREG1群の有意な増大がみられた(104例[6%] vs.65例[4%]、OR:1.64、95%CI:1.19~2.25、p=0.002)。

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英国プライマリケアでの処方の安全性、施設間で差/BMJ

 英国一般診療所の代表サンプル526施設を対象に処方の安全性について調べた結果、患者の約5%に不適切処方がみられ、また約12%でモニタリングの記録が欠如していることが、英国・マンチェスター大学のS Jill Stocks氏らによる断面調査の結果、明らかになった。不適切処方のリスクは、高齢者、多剤反復処方されている患者で高く、著者は、「プライマリケアにおいて、とくに高齢者と多剤反復投与患者について処方のリスクがあり適切性について考慮すべきであることが浮かび上がった」と述べている。英国では、プライマリケア向けに処方安全指標(prescribing safety indicator)が開発されているが、これまで試験セットでの検討にとどまり、大規模なプライマリケアデータベースでの評価は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月3日号掲載の報告。英国一般診療所526施設のデータを分析 研究グループは、英国一般診療所における複数タイプの潜在的有害処方の有病率を調べ、また診療所間にばらつきがあるかどうかについて調べた。2013年4月1日時点でClinical Practice Research Datalink(CPRD)に登録された526施設において、診断と処方の組み合わせで特定した潜在的処方リスクやモニタリングエラーの可能性がある全成人患者を包含した。 主要アウトカムは、抗凝固薬、抗血小板薬、NSAIDs、β遮断薬、glitazone(チアゾリジン系糖尿病薬:TZD)、メトホルミン、ジゴキシン、抗精神病薬、経口避妊薬(CHC)、エストロゲンの潜在的に有害な処方率。また、ACE阻害薬およびループ利尿薬、アミオダロン、メトトレキサート、リチウム、ワルファリンの反復処方患者の、血液検査モニタリングの頻度が推奨値よりも低いこととした。不適切処方、モニタリング欠如は指標によりばらつき、診療所間のばらつきも高い 全体で94万9,552例のうち4万9,927例(5.26%、95%信頼区間[CI]:5.21~5.30%)の患者が、少なくとも1つの処方安全指標に抵触した。また、18万2,721例のうち2万1,501例(11.8%、11.6~11.9%)が、少なくとも1つのモニタリング指標に抵触した。 同処方率は、潜在的処方リスクタイプの違いでばらつきがみられ、ほぼゼロ(静脈または動脈血栓症歴ありでCHC処方:0.28%、心不全歴ありでTZD処方:0.37%)のものから、10.21%(消化器系潰瘍または消化管出血歴ありで消化管保護薬処方なし、アスピリンやクロピドグレル処方あり)にわたっていた。 不十分なモニタリングは、10.4%(75歳以上、ACE阻害薬やループ利尿薬処方、尿素および電解質モニタリングなし)から41.9%(アミオダロン反復処方、甲状腺機能検査なし)にわたっていた。 また、高齢者、多剤反復処方患者で、処方安全指標の抵触リスクが有意に高かった一方、若年で反復処方が少ない患者で、モニタリング指標の抵触リスクが有意に高かった。 さらに、いくつかの指標について診療所間での高いばらつきもみられた。 なお研究グループは、処方安全性指標について、「患者への有害リスクを増大する回避すべき処方パターンを明らかにするもので、臨床的に正当なものだが例外も常に存在するものである」と述べている。さらに、検討結果について「いくつかの診療について、CPRDで捕捉できていない情報がある可能性もあった(ワルファリンを投与されている患者のINRなど)」と補足している。

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心筋梗塞のNSAIDsに関連した上部消化管出血に対するPPIの役割(解説:上村 直実 氏)-449

 日本とは異なり欧米では、心筋梗塞(MI)の再発予防のために抗血栓薬を内服している患者の中で、心血管リスクを伴うにもかかわらず、関節痛などの疼痛緩和目的で非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を併用しているものが非常に多い。抗血栓薬とNSAIDsの併用は、消化管とくに上部消化管出血のリスクが増大することが知られており、消化管出血のハイリスク患者に対してプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用が推奨されているが、リスクが不明な通常患者に対するPPIの有用性は明らかになっていない。 今回、デンマーク全土の入院データベース(DB)のうち30歳以上の初発MIで入院し、退院後30日時点で生存していた患者データを用いた解析研究が報告されている。 入院DBのうち、抗血栓療法を受けていたMI後患者8万2,955例(平均年齢67.4歳、男性64%)のうち、3万5,233例(42.5%)がNSAIDsを1回以上処方されており、3万7,771例(45.5%)がPPI投与を受けていた。平均追跡期間5.1年の間に、消化管出血の発生は3,229例(3.9%)であった。NSAIDs+抗血栓薬における出血の粗発生率(イベント/100人年)は、PPI服用患者1.8、PPI非服用患者2.1であり、抗血栓治療のレジメン、NSAIDsおよびPPIの種類にかかわらず、PPI使用群における補正後消化管出血リスクの低下が認められた(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.54~0.95)。以上の結果から、MI後で抗血栓薬とNSAIDsを併用する場合、薬剤の種類や消化管リスクの高低にかかわらずPPIの併用により消化管出血のリスクを軽減することが示唆された。 最近、欧米や台湾ではおなじみとなってきた全国データベースを用いた大規模コホート研究の結果であり、現状の課題を大ざっぱに把握することに有用である。しかし、臨床現場では、個々の患者背景は千差万別であり、個別化した対応が重要である。

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静脈血栓塞栓症が経口剤単剤で治療可能に

 深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PE)は密接に関連するため、総称して静脈血栓塞栓症(VTE)と呼ばれる。このVTEの治療および再発抑制に対して、選択的直接作用型第Xa因子阻害薬のイグザレルト(一般名:リバーロキサバン)が9月24日に適応追加承認を取得したことを受け、プレスセミナーが10月28日、都内で開催された(主催:バイエル薬品株式会社)。そのなかで、三重大学医学部附属病院 循環器内科科長 山田 典一氏が、日本初の経口シングルドラッグアプローチの有効性と、治療戦略の変化について解説した。VTE治療戦略のパラダイムシフト VTEの発症初期3週間は、PEまたはDVT再発の危険性が高く、初期治療をしっかり行うことが重要である。 従来の治療では、初期治療期にヘパリンなどを静注し、維持治療期から慢性期(長期2次予防)に、唯一の経口抗凝固薬であったワルファリンを投与していた。しかし、ワルファリンの効果発現には5~7日かかるため、投与開始時はヘパリンと併用(ブリッジング)しなければならないことから、山田氏はこの治療について「投与方法が煩雑で、また納豆など食事における注意も必要」と指摘した。 現在、経口剤はワルファリン以外に非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)が発売され、血中濃度の立ち上がりが早いエドキサバンとリバーロキサバンの2剤が、VTEの治療および再発抑制に使用可能となっている。 先にVTEに承認されたエドキサバンの投与スケジュールは、初期治療期にヘパリンなどを投与した後、エドキサバンにスイッチする。一方、リバーロキサバンは初期治療期にヘパリンなどを投与せず、最初からリバーロキサバンのみを投与するという、日本で初めての「経口シングルドラッグアプローチ」を可能にした。経口シングルドラッグアプローチの臨床成績 海外で実施されたEINSTEIN PE/DVT試験は、PE 4,833例とDVT 3,449例を、リバーロキサバン群4,150例と標準療法群(エノキサパリンとビタミンK拮抗薬併用)4,131例の2群に無作為化割り付けした非劣性試験である。この試験で、リバーロキサバン群は、有効性主要評価項目である「症候性VTEの累積再発率」において非劣性を示し(HR 0.89、95%CI:0.66~1.19、p<0.001)、また、安全性主要評価項目である「重大な出血または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象」の累積事象発現率について、HR 0.93(95%CI:0.81~1.06)で、リバーロキサバンの有効性と安全性が示された。 なお、本試験におけるリバーロキサバンの用法・用量は、初期強化療法では15mg 1日2回、維持療法では20mg 1日1回であった。しかし、PE/DVT患者での推定曝露量は、白人20mg 1日1回と日本人15mg 1日1回が同程度であることから、日本人のPE/DVT患者におけるJ-EINSTEIN PE/DVT試験での維持療法は15mg 1日1回で実施されている。 このJ-EINSTEIN PE/DVT試験では、投与3週間後および予定期間終了時の血栓消失した患者の割合が、リバーロキサバン群で標準療法群の約2倍であったことから、山田氏は、「症例数は限られているが、より高い血栓消失効果が期待できる」と強調した。経口シングルドラッグアプローチにより外来治療が増加 近年、海外ではDVT患者の外来治療が増加しており、現在は半数以上が外来で治療されている。山田氏は「わが国でも、経口シングルドラッグアプローチが可能になり、DVT治療については外来治療が増えていくだろう。入院期間が短縮され入院費用も削減できる」と新しい治療戦略に期待を示し、講演を締めくくった。

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心筋梗塞後の患者にPPIは有益か/BMJ

 心筋梗塞(MI)後で抗血栓薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与を受ける患者において、プロトンポンプ阻害薬(PPI)投与は、消化管出血リスクの低下と関連することが示された。抗血栓薬、NSAIDs、PPIの種類にかかわらず関連がみられたという。デンマーク・コペンハーゲン大学のAnne-Marie Schjerning Olsen氏らが、同国入院患者データを分析し報告した。著者は今回の結果について、「観察非無作為化試験であり限定的である」としたうえで、MI後でNSAIDs服用を必要とする患者について、PPI投与はベネフィットをもたらす可能性があると述べている。BMJ誌オンライン版2015年10月19日号掲載の報告より。抗血栓薬+NSAIDs服用MI後患者で、PPI服用時の消化管出血リスクを調査 MI後患者へのNSAIDs投与は、心血管リスクを理由に認められていないが、疼痛症状などを理由に広く使用されている。一方で、MI後患者には抗血栓薬およびNSAIDs投与と関連した出血合併症が認められているが、PPIの消化管出血リスクへの影響については明らかではない。 研究グループは、PPIの影響を調べるため、1997~2011年にデンマーク全病院からの入院レジストリデータを集約して分析した。30歳以上の初発MIで入院し、退院後30日時点で生存していた患者を包含。PPIと、抗血栓薬+NSAIDsによる消化管出血リスクの関連を、補正後時間依存的Cox回帰モデルを用いて調べた。PPI非服用患者と比べて出血リスクは0.72 結果、抗血栓治療およびNSAIDs治療を受けるMI後患者それぞれにおいて、PPI使用による消化管出血リスクの低下が認められた。 単剤または2剤抗血栓療法を受けていたMI後患者8万2,955例(平均年齢67.4歳、男性64%)のうち、42.5%(3万5,233例)がNSAIDsを1回以上処方されており、45.5%(3万7,771例)がPPI投与を受けていた。 平均追跡期間5.1年の間に、消化管出血の発生は3,229例であった。NSAIDs+抗血栓療法における出血の粗発生率(イベント/100人年)は、PPI服用患者1.8、PPI非服用患者2.1で、抗血栓治療のレジメン、NSAIDsおよび使用PPIのタイプにかかわらず、PPI使用群における補正後出血リスクの低下が認められた(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.54~0.95)。 これらの結果について著者は、「観察非無作為化試験であり限定的である」と述べたうえで、「結果は、消化管リスクの有無にかかわらず、PPI投与が有益な効果をもたらす可能性があることを示唆するものである。また、MI後患者でNSAIDsを回避できないときは、医師はPPIを処方しても差し支えないことが示唆された」と述べている。

700.

高齢者の服薬、併存疾患の組み合わせの確認を/BMJ

 米国・イェール大学医学部のMary E Tinetti氏らは複数の慢性疾患を有する高齢者の、ガイドラインに基づく服薬と死亡の関連を調べた。その結果、とくに心血管薬の生存への影響は、無作為化試験の報告と類似していたが、β遮断薬とワルファリンについて併存疾患によりばらつきがみられたことを報告した。また、クロピドグレル、メトホルミン、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、生存ベネフィットとの関連がみられなかったという。結果を踏まえて著者は、「併存疾患の組み合わせによる治療効果を明らかにすることが、複数慢性疾患を有する患者の処方せんガイドになるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年10月2日号掲載の報告より。頻度の高い4疾患併存の高齢者の服薬と死亡の関連を調査 研究グループは、65歳以上の代表的サンプルを全米から集約した住民ベースコホート研究Medicare Current Beneficiary Surveyで、複数慢性疾患を有する高齢者のガイドライン推奨による服薬と死亡を調べる検討を行った。 被験者は、2つ以上の慢性疾患(心房細動、冠動脈疾患、慢性腎臓病、うつ病、糖尿病、心不全、脂質異常症、高血圧症、血栓塞栓症)を有する高齢者8,578例で、2005~2009年に登録、2011年まで追跡した。 被験者は、β遮断薬、Ca拮抗薬、クロピドグレル、メトホルミン、RAS系阻害薬、SSRI、SNRI、スタチン薬、サイアザイド系利尿薬、ワルファリンを服用していた。 主要評価項目は、疾患を有しガイドライン推奨薬を服用していた患者の、非服用患者と比較した死亡に関する補正後ハザード比で、頻度の高い4疾患を有していた患者における死亡補正後ハザード比とした。単疾患では抑制効果が高くても4併存疾患では減弱があることを確認 全体で、各疾患を有する患者の50%以上が、併存疾患にかかわらずガイドライン推奨薬を服用していた。 3年間の追跡期間中の死亡例は、1,287/8,578例(15%)であった。 心血管薬では、β遮断薬、Ca拮抗薬、RAS系阻害薬、スタチンは、対象疾患に関する死亡を抑制することが認められた。たとえば、β遮断薬の補正後ハザード比は、心房細動を有する患者では0.59(95%信頼区間[CI]:0.48~0.72)、心不全患者では0.68(同0.57~0.81)であった。 これら心血管薬の補正後ハザード比は、4つの併存疾患を有する被験者でも類似した値がみられたが、β遮断薬は4併存疾患の組み合わせによりばらつきがみられた。0.48(心房細動/冠動脈疾患/脂質異常症/高血圧)から、0.88(うつ病/冠動脈疾患/脂質異常症/高血圧)にわたっていた。 一方、クロピドグレル、メトホルミン、SSRI、SNRIでは、死亡の抑制効果はみられなかった。 また、ワルファリンは、心房細動(補正ハザード比:0.69、95%CI:0.56~0.85)、血栓塞栓症(0.44、0.30~0.62)を有する患者で、死亡リスクの抑制が認められたが、頻度の高い4併存疾患患者では、その抑制効果が減弱することが確認された。0.85(心房細動/冠動脈疾患/脂質異常症/高血圧)から、0.98(心房細動/うつ病/脂質異常症/高血圧)の範囲にみられた。

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