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PCV13はPCV7よりも広範な防御を提供する可能性

 韓国・延世大学校医療院セブランス病院のKim DS氏らは、同国の小児ワクチン定期接種における小児肺炎球菌ワクチンについて、7価(PCV7)と13価(PCV13)の免疫原性と安全性に関して比較した。その結果、「PCV13の免疫原性と安全性が認められた。PCV13はPCV7よりも広範な防御を提供するだろう」と結論している。Pediatr Infect Dis J誌オンライン版2012年9月24日号の掲載報告。 健常な乳児180例を、無作為に1対1の割合でPCV13またはPCV7の接種群に割り付けた。接種は、生後2、4、6ヵ月+12ヵ月齢で行われた(3回接種+追加接種1回)。 3回接種後および追加接種後に、ELISA、オプソニン作用活性(OPA)アッセイを用いて免疫応答を測定し、IgG抗体価幾何平均濃度(GMCs)とOPA機能的抗体価幾何平均力価(GMTs)を算出し検討した。また、安全性について評価した。 主な内容は以下のとおり。・3回接種後、両ワクチンに共通する7つの血清型に関しては、IgG濃度≧0.35μg/mLレスポンダーの割合は、両群間で匹敵した値が示された(≧97.6%)。・IgG GMCsとOPA GMTsは、おおよそ同程度であったが、一部の血清型についてはPCV13群で、より低い傾向がみられた。・PCV13群に特有の6つの血清型については、IgG GMCsとOPA GMTsは、PCV13群で顕著に高かった。・PCV7はPCV13血清型の5および19AのIgG抗体価を上昇させたが、OPA反応はごくわずかだった。血清型の6Aは、IgGとOPA反応がともに上昇した。・これらの所見は、PCV7による防御が最少で一部であったこと、すなわち血清型6Aによる侵襲性肺炎球菌感染症の防御は認められたが、血清型5と19Aについては交差防御が認められなかったことと、整合性がとれていた。・4回目の接種後は、ほとんどの血清型が、3回接種後よりも高いIgG、OPA反応を示した。ただし血清型3と14のOPA反応のみ、4回目の接種後に上昇した。・ワクチンの安全性プロファイルは、同程度であった。

1942.

ロタウイルスワクチン接種、親の承認決定因子とは?

 カナダのロタウイルスワクチン接種率は、2008~2009年のサーベイ時点で20%未満であったという。カナダ・ケベック州国立公衆衛生研究所のDube E氏らは、ロタウイルスワクチン接種の親の承認に関する決定因子を調べた。主な決定因子は親の意向(intention)であり、個人的基準に基づく信用(personal normative beliefs)が影響を与えていることなどが明らかとなった。著者は「ヘルスプロモーションが、疾患やワクチンに関する親の知識や態度、信条に向けて行われるならば、ロタウイルスワクチン接種に対する受容性は高まるだろう」と提言した。Health Educ Res誌オンライン版2012年8月20日号の報告。 サーベイは、計画的行動理論(Theory of Planned Behavior)に基づき行われた。データは2相で収集された。 主な結果は以下のとおり。・初回インタビューを受けた親は413例、うち2回目も受けた親は394例であった(残存率95%)。・ほとんどの親(67%)が、ロタウイルスワクチン接種を受けさせようと思っていた。・親の意向と有意に関連する因子(第1相)として次のことが挙げられた。 1)子どもがワクチン接種を受けることが倫理的に正しいという認識(個人的基準に基づく信用) 2)ワクチン接種を受ける行動を配偶者が承認しているという認識(主観的基準) 3)子どもがワクチン接種を受けることの認知能力(行動コントロール感) 4)世帯収入・子どもにワクチン接種を受けさせたと報告した親(第2相)は、165例(42%)であった。・ワクチン接種行動(behavior)の主な決定因子は親の意向(intention)であり、個人的基準に基づく信用が、意向や行動に影響を与えていた。

1943.

ロタウイルスワクチン承認後、胃腸炎関連の救急コールサービスが減少

 ロタウイルスワクチン承認前後の地域救急コールサービスの変化を調べた結果、承認後は胃腸炎関連コールが減少し、そのピークが従来のロタウイルスシーズンよりも前倒しとなり、ノロウイルスとの関連を示すものに変化していたことが報告された。米国・ヴァンダービルト医科大学のWilliams DJ氏らがテネシー州で調べた結果で、「現在の地域の胃腸炎の病原体はノロウイルスであることが強調されるところとなった」と述べている。Pediatrics誌オンライン版2012年9月10日号の報告。 テネシー州の広域電話トリアージ・サービスにおける胃腸炎関連コールについて、ロタウイルスワクチン接種導入の影響を評価した。2004年5月1日~2010年4月30日の間、Vanderbilt Telephone Triage Programによる全コールサービスおよび胃腸炎関連コールサービスを受けた5歳未満児について調べた。 時系列ポアソン回帰モデルを用いて、ワクチン承認前(2004年5月~2007年4月)と承認後(2007年5月~2010年4月)の胃腸炎関連コールの週間比率を比較した。また独立モデルで、ロタウイルスシーズン(2~4月)と非ロタウイルスシーズン(5~1月)についても比較した 主な結果は以下のとおり。・全コール件数は15万6,362件、胃腸炎関連コールは1万9,731件であった。・胃腸炎関連コールの年間比率は、ロタウイルスワクチン承認後8%(95%信頼区間:3~12%)減少した。承認後3年間のロタウイルスシーズン期間中に31%から23%へと低下した。・非ロタウイルスシーズンには、低下は起きていなかった。・ワクチン承認後、ロタウイルス活性の低下と、胃腸炎関連のコール比率低下との関連が認められた。・ワクチン承認後の胃腸炎関連コール比率のピークは、ワクチン承認以前よりも早い段階に起きていた。またロタウイルスとの強い関連は認められず、代わってノロウイルス流行とかなり相関関係があることが示された。

1944.

新規ワクチン導入後の安全性を適正に検討するには?

 デンマーク・Aarhus大学病院のRasmussen TA氏らは、ワクチン接種と時間的関連はあるが起因とはなっていない背景疾患の発生数を予想し、小児の大規模ワクチン接種後に発生する有害事象の因果関係評価を補足するため、全デンマーク集団ベースのコホート研究を行った。同種の検討はこれまで行われていなかったという。結果を踏まえて著者は、「年齢、性、季節分布に基づく正確な背景疾患の発生率を組み込むことは、ワクチンの安全性評価を強化することにつながる。また新規ワクチン導入後に増大するリスクを議論するうえで、エビデンスベースの論点を提供することにもなる」と述べている。BMJ誌オンライン版9月17日号の掲載報告。 1980年1月1日以降出生の全新生児を対象とし、出生日から開始して、アウトカム設定した疾患で入院した日まで、または死亡、移住、18歳時点あるいは2009年12月31日まで追跡した。ワクチン接種率は82~93%であった。 急性伝染性または感染後多発性神経炎(ギラン・バレー症候群)、急性横断性脊髄炎、多発性視神経炎、顔面神経麻痺、アナフィラキシーショック、けいれん発作、多発性硬化症、自己免疫性血小板減少症、1型糖尿病、若年性関節炎または関節リウマチ、ナルコレプシー、原因不明の死亡の各発生率をアウトカムとして設定した(性、年齢、季節性で階層化)。 主な結果は以下のとおり。・新生児230万227人を追跡した。フォローアップ総計3,726万2,404人・年、追跡期間中央値16.8人・年であった。・アウトカム設定疾患の発生率は、自己免疫性血小板減少症0.32/100万人・年から、けいれん発作189.82/100万人・年までと、かなりの差があった。・最も頻度の高かったけいれん発作の発生率は、100万人・年当たり、1歳未満児475.43、1~3歳が593.49とピークで、その後は低下した(4~9歳47.24、10~17歳30.83)。・季節的な変動が最も顕著であったのは、アナフィラキシーショック(第1四半期と比べて第3四半期がほぼ3倍)、けいれん発作および多発性硬化症(冬に高率に発生)であった。・発生が稀なアウトカムおよびワクチンとの因果関係がないアウトカムも、仮定的ワクチンコホートにおいて多くのイベントを予想した。・たとえば、ワクチン接種後42日以内に起こる可能性として、100万児につき、1型糖尿病20例、若年性関節炎または関節リウマチ19例、顔面神経麻痺8例、多発性硬化症5例を予測した。

1945.

細胞培養インフルエンザワクチンの製造販売承認を申請

 バクスター株式会社は2日、細胞培養H5N1インフルエンザワクチンおよび細胞培養プロトタイプワクチンについて、9月19日付で厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを発表した。これは、武田薬品工業株式会社との細胞培養法によるインフルエンザワクチンの日本における共同開発と、同社による国内生産・供給に向けた取り組みの一環とのこと。 今回の製造販売承認申請は、国内において実施した第II/III相試験および世界11ヵ国において実施した臨床試験の結果に基づいて行われた。これらの試験では、細胞培養H5N1インフルエンザワクチンの安全性および免疫原性が評価されたという。 今回申請された細胞培養H5N1インフルエンザワクチンおよび細胞培養プロトタイプワクチンは、いずれも希少疾病用医薬品に指定されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.baxter.co.jp/news_room/news_releases/2012/20121002.html

1946.

「小児の肺炎球菌」PCV7ワクチン導入で大きく減少

 欧州における7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)導入後の状況について、フランス・Denis Diderot大学のWeil-Olivier C氏らが、レビュー報告を行った。欧州では2006~2008年の間に16ヵ国が順次、PCV7の定期接種(2~3回+ブースター1回)を導入し、現在は、PCV10、PCV 13の定期接種導入も進んでいる。BMC Infect Dis誌オンライン版9月7日号の掲載報告。 レビューは、2011年6月に欧州小児感染症学会(ESPID)が発表したサーベイランスデータに基づいた。PCV7導入後の欧州における肺炎球菌感染症の動向、PCV10および13の導入とその影響、小児市中肺炎(CAP)へのインパクト、蓄膿症や急性中耳炎(AOM)との関連、そしてPCV接種の役割とベネフィットなどについて考察した。 主な内容は以下のとおり。・PCV7定期接種導入により、小児の肺炎球菌感染症の疾患負荷は大きく減少した。(たとえば、英国<5歳IPD報告: 400件(2006年) →25件(2010年)、CAP入院19%減少など、ドイツ<2歳IPD報告: 20例/10万人・年(1997-2003年) →10例/10万人・年(2007-2008年)。・PCV7に含まれる血清型(4、6B、9V、14、18C、19F、23F)の分離株がみられることが大きく減った。(たとえば、2009年のドイツ<2歳全IPD例のうちPCV7血清型は12%)・一方で、非PCV7の血清型(例:1、7F、19A)の有病率が増加した。(たとえば、英国<5歳 非PCV7血清型例報告: 150例(2006年) →375例(2010年) など)・非PCV7血清型例の増加を受けて、PCV10、PCV13によって残る疾患負荷を減らす可能性を強調した。PCV7そしてPCV10、PCV13導入(2009年ドイツを皮切りに各国順次導入)は、侵襲性の疾患負荷および市中肺炎負荷を引き続き減少させる傾向がみられた。・肺炎球菌保菌のさらなる減少と、早期AOM感染予防の取り組み増大により、重症または難治性のAOMを予防できる可能性がみられた。・直近のサーベイランスは、より高価のワクチン(PCV10、PCV13)によって、非PCV血清型をカバーし肺炎およびAOMを予防することが、より有意に公衆衛生上の間接的ベネフィットをもたらすことを強調した。

1947.

DTaPワクチン5回接種後のワクチン効果持続期間は?

 ジフテリア・破傷風・無細胞性百日咳(DTaP)混合ワクチンの5回目接種後、その効果は時間経過に伴い低下し、1年経過するごとに百日咳に罹患するリスクは平均42%増加することが報告された。米国・Kaiser Permanente Vaccine Study CenterのNicola P. Klein氏らがケースコントロール試験の結果、明らかにした。米国では、小児に対し、DTaPワクチンの5回接種を行っているが、5回接種後のワクチン効果の持続期間については不明だった。NEJM誌2012年9月13日号掲載の報告。百日咳が確認された277例と、そのコントロール群2種を比較研究グループは、米国カリフォルニア州の健康保険プラン「Kaiser Permanente Northern California」の加入者で、2006~2011年にDTaPの5回接種を受けており、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)検査を受けた子どもを対象にケースコントロール試験を行った。PCRで百日咳の陽性が確認された277例と、そのコントロール群として、(1)DTaPワクチンの5回接種を受けたPCR陰性の小児3,318例、(2)年齢や性別、人種などをマッチングさせた小児6,086例を設定し、比較した。なお、調査期間中の2010年には大規模発生が起きており、その対象児も含まれている。百日咳に対する防御能は5年間で減弱結果、PCR陽性群はPCR陰性群やマッチング群に比べ、DTaPワクチン5回目接種を受けてから、より長い日数が経過していた(それぞれ、p<0.001、p=0.005)。DTaPワクチン5回目接種を受けてから、時間の経過とともにPCR陽性者の割合は増加し、接種後1~2年で2.4%、3~4年で10.4%、6~8年で18.5%だった。PCR陽性群とPCR陰性群を比較した場合、DTaPワクチン5回目接種を受けてから1年経過するごとに、百日咳罹患に関するオッズ比は1.42(95%信頼区間:1.21~1.66)と、同罹患リスクは毎年42%増加することが示された。著者は、「DTaPワクチン5回接種後、百日咳に対する防御能は5年間で減弱した」と結論している。

1948.

ロタウイルスワクチン接種、小児の胃腸炎による入院予防に効果

 ロタウイルスワクチン(商品名:ロタリックス、ロタテック)接種は、ロタウイルス胃腸炎小児の入院の予防に有効なことが、ベルギー・アントワープ大学のTessa Braeckman氏らの検討で示された。ロタウイルスは世界的に、小児の重篤な急性胃腸炎の最大の原因であり、高所得国では死亡例はまれだが、WHOはすべての国がロタウイルスワクチンを導入するよう勧告している。低・中所得国ではワクチンのルーチン接種の有効性が示されているが、高所得国におけるエビデンスは少なく、ベルギーはEUで最初のルーチン接種導入国だという。BMJ誌2012年9月1日号(オンライン版2012年8月8日号)掲載の報告。ロタウイルスワクチンの有効性を症例対照研究で評価研究グループは、小児のロタウイルス胃腸炎に対するロタウイルスワクチン接種の有効性を評価するために症例対照研究を実施した。2008年2月~2010年6月までに、ベルギーの39病院に入院したロタウイルス胃腸炎の小児215人(年齢中央値11ヵ月、男児51%)と、年齢、施設をマッチさせた対照276人(同:12ヵ月、54%)について解析を行った。ロタウイルス胃腸炎の診断はPCR法で確定した。すべての小児はロタウイルスワクチンの接種が可能な年齢(2006年10月1日以降に出生、生後14週以上)に達していた。ロタウイルス胃腸炎で入院した小児およびマッチさせた対照におけるロタウイルスワクチンの接種状況について検討した。単価ワクチン2回接種の入院予防率は90%1回以上のワクチン接種率は、ロタウイルス胃腸炎で入院した小児が48%(99人)と、対照群の91%(244人)に比べ有意に低かった(p

1949.

インフルエンザワクチン優先接種戦略、高齢化と獲得免疫が鍵

 世界各国にインフルエンザパンデミックへの対策プランがあり、ワクチン供給が不足した場合の優先接種方法が決められている。大半の国のプランは、他国やWHOの計画を基に作成されているが、オランダ・感染症疾病対策センターのAnna K Lugner氏らは、「各国の事情(人口構造、社会的接触パターン、医療システム、医療費構造)が異なるなかで、どのような優先接種方法が最も費用対効果に優れるのかは、これまで検証されていなかった」として、ドイツ、オランダ、イギリス3ヵ国を対象に4つの異なるワクチン戦略の費用対効果について比較検討する経済的疫学モデル研究を行った。BMJ誌2012年8月4日号(オンライン版2012年7月12日号)掲載報告より。想定パンデミック下で4つの戦略について3ヵ国の費用/QALYを算出し比較研究グループが検証したのは、異なる国で想定されるあらゆるインフルエンザパンデミックにおいても単一のインフルエンザワクチン接種戦略が費用対効果に優れるのかどうか、どの年齢群が資源注入によるベネフィットが最も高くワクチン接種を受けるべきか、また異なる国では異なる戦略が適用されるのかどうかについてだった。近接するが社会・文化的背景の異なるドイツ、オランダ、イギリス各国の社会的接触パターンや人口構造データを入手し、数理モデルを作成して解析した。各国で想定されるインフルエンザAウイルス伝播が描出された、ウイルス感受性・曝露・感染・リカバリー伝播を加味して作成した年齢群モデルを用いて、4つのワクチン接種戦略[ワクチン非接種、全員へワクチン接種、65歳以上高齢者へ接種、高伝播群(5~19歳)へ接種]を比較した。4つの戦略は、ワクチンがパンデミックの早期に接種可能だったかピーク時となったか、また全員がウイルス感受性が高く感染しやすい状態だったか、高齢者は免疫を獲得していたかについても評価された。主要評価項目は、1QALY(生活の質を調整した生存年)獲得に要する費用(費用/QALY)だった。高齢社会が顕著なドイツは65歳以上に、オランダとイギリスは5~19歳への接種戦略に軍配解析の結果、すべてのワクチン接種戦略が費用対効果に優れており、費用/QALYは非介入群と比較して介入群のほうが大きかった。費用/QALYの割合が大きかったのは、ワクチン接種がパンデミックピーク時となった場合、また高齢者が免疫を獲得していた場合だった。各国の1QALY獲得に要する費用は、ドイツが7,325ユーロ、オランダ1万216ユーロ、イギリス7,280ユーロだった。最も費用対効果に優れる至適戦略は、想定シナリオによってばかりでなく国によっても異なった。特にワクチンがパンデミック早期に接種可能な場合、また獲得免疫がなかった場合、最も費用効果に優れる接種戦略は、ドイツでは高齢者への接種戦略だったが(1QALY獲得に940ユーロ)、オランダとイギリスでは高伝播群への接種戦略だった(各国同525ユーロ、163ユーロ)。この違いは、ドイツでは高齢者の割合がオランダとイギリスに比べて有意に高いという各国人口構造の違いによるものだった。結果を踏まえLugner氏は、「どの国においても費用対効果に優れるという単一のワクチン接種戦略はなかった。今後、インフルエンザパンデミック緩和のための費用対効果に優れる選択肢の決定には、特に高齢者割合と獲得免疫が重要になるだろう」と結論している。

1950.

ロタウイルス胃腸炎疾患啓発サイト「産後ロタ.jp」オープン

MSD株式会社は24日、7月20日の5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン「ロタテック内用液」の発売を機に、ロタウイルス胃腸炎疾患啓発サイト「産後ロタ.jp」(PCサイト:http://35-rota.jp/、携帯サイト:http://35-rota.jp/m/)を開設した。産後ロタ.jpでは、ロタウイルス胃腸炎の症状やその原因となるロタウイルスに関する解説のほか、予防ワクチンに関する情報提供や体験談、Q&Aなどを紹介している。また、ロタウイルス胃腸炎とワクチンに関する用語をわかりやすく解説する用語辞典もある。さらに、子どもが罹患した際の家族の負担などをマンガでわかりやすく紹介した「とある家庭のロタウイルス胃腸炎」や、実際に子どもがロタウイルス胃腸炎に罹った母親の声なども掲載している。詳細はプレスリリースへhttp://www.msd.co.jp/newsroom/msd-archive/2012/Pages/product_news_0724.aspx

1951.

妊婦への新型インフルエンザワクチン接種、出生児のリスク増大認められず

妊娠中へのアジュバント新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種は、重大な先天異常や早産、胎児発育遅リスクを、非接種と比べて増大しないことが報告された。デンマーク・Statens Serum InstitutのBjo rn Pasternak氏らが、新生児5万例超の国内登録コホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月11日号で発表した。妊娠第1期の予防接種での重大先天異常リスクは接種群5.5%、非接種群4.5%研究グループは、2009年11月2日~2010年9月30日にデンマークで生まれた単胎児5万3,432例を対象とする登録コホート試験を行った。傾向スコアによるマッチング解析を行い、妊娠中のアジュバント新型インフルエンザワクチン(Pandemrix)接種の有無による、致死的転帰発生リスクを比較した。主要アウトカムは、重大な先天異常、早産、在胎齢に対する過少体重だった。母親が妊娠中にインフルエンザ予防接種を受けていたのは、13.1%(6,989例)だった。そのうち妊娠第1期の接種は345例、第2~3期接種は6,644例だった。妊娠第1期接種者についての傾向スコアマッチング(330例曝露群、330例非接種群)の結果、重大な先天異常が認められたのは接種群18例(5.5%)に対し、非接種群では15例(4.5%)だった(有病割合オッズ比:1.21、95%信頼区間:0.60~2.45)。早産、在胎齢に対する過少体重ともに、妊娠中ワクチン接種によるリスク増大認められず早産の発生についても、曝露群31例(9.4%)、非接種群24例(7.3%)と、有意なリスク増大は認められなかった(有病割合オッズ比:1.32、同:0.76~2.31)。早産については妊娠第2・第3期についても比較したが、同発生は第2・第3期接種群6,543例中302例(4.6%)、非接種群6,366例中295例(4.6%)と、リスク増大は認められなかった(有病割合オッズ比:1.00、同:0.84~1.17)。在胎齢に対する過少体重は、妊娠第1期では接種群25例(7.6%)、非接種群31例(9.4%)に認められた(有病割合オッズ比:0.79、同:0.46~1.37)。妊娠第2・第3期接種群では、6,642例中641例(9.7%)、同非接種群6,642例中657例(9.9%)だった(有病割合オッズ比:0.97、同:0.87~1.09)。

1952.

新型インフルエンザワクチン接種によるギラン・バレー症候群発症リスクは?

新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種によるギラン・バレー症候群発症リスクは、小さいながら有意にあることが報告された。カナダ・Laval大学のPhilippe De Wals氏らが、ケベック州で地域住民対象のコホート試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月11日号で発表した。ケベック州では2009年秋に新型インフルエンザのパンデミックを受けてワクチン接種キャンペーンを展開した。その際多くの人がAS03アジュバントワクチン(Arepanrix)の接種を受け、年度末までに住民780万人のうち57%が同ワクチン接種を受けたという。ギラン・バレー症候群71人中、8週間以内のワクチン接種は25人研究グループは、2009年10月~10年3月の6ヵ月間、カナダのケベック州で住民ベースのコホート試験を行った。試験期間中にギラン・バレー症候群が疑われた、または診断された患者について、地域の医師からの報告と病院の退院報告書で確認した。インフルエンザワクチン接種については、地域の予防接種登録名簿などで確認し、ギラン・バレー症候群発症との関連を、ポアソンモデルと自己対照ケースシリーズ法で分析した。その結果、6ヵ月の試験期間中、ギラン・バレー症候群が83人に認められ、そのうち71人はブライトン分類評価で1~3であった。そのうち、発症前8週間以内に新型インフルエンザワクチンの接種を受けていたのは25人、そのうち19人が同4週間以内に接種を受けていた。発症リスク、ワクチン接種後8週間は1.8倍、4週間は2.75倍ポアソンモデル解析の結果、接種群のギラン・バレー症候群の確定診断に関する非接種群に対する年齢・性別補正後相対リスクは、接種後8週間は1.80(95%信頼区間:1.12~2.87)、同4週間は2.75(同:1.63~4.62)だった。自己対照ケースシリーズ法では、接種群のギラン・バレー症候群の確定診断(42人)に関する非接種群に対する年齢・性別補正後相対リスクは、接種後4週間は3.02(同:1.64~5.56)だった。ブライトン分類評価1~3(36人)についてみた場合のリスクは2.33(同:1.19~4.57)だった。ワクチン接種のギラン・バレー症候群発症への寄与リスクは、100万人当たり2人だった。Wals氏は、「ワクチン接種によるベネフィットは、リスクを上回るようだ」と結論している。

1953.

帯状疱疹ワクチン、生物製剤服用者への安全性と効果示す

関節リウマチなど自己免疫疾患で生物学的製剤を服用している患者への帯状疱疹ワクチン接種は、同発症予防に有効であることが明らかにされた。同ワクチン接種直後の帯状疱疹発症リスクについても、増大は認められなかったという。米国・アラバマ大学のJie Zhang氏らが、46万人超を対象に行った後ろ向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月4日号で発表した。抗腫瘍壊死因子(抗TNF)療法やその他の生物学的製剤を服用している患者への、帯状疱疹弱毒生ワクチンの効果や安全性は検証データが限られており明らかになっておらず、接種は禁忌とされている。46万人超を2年間追跡研究グループは、米国高齢者向け公的医療保険「メディケア」の60歳以上受給者46万3,541人について、2006年1月1日~2009年12月31日のデータを用い、後ろ向きコホート試験を行った。被験者は、関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患のいずれかの診断を受けていた。被験者の追跡開始時の平均年齢は74歳で、72.3%が女性だった。主要アウトカムは、帯状疱疹ワクチン接種後42日以内と43日以降の、それぞれの帯状疱疹発症率で、ワクチン非接種群と比較し検討した。追跡期間の中央値は2.0年(四分位範囲:0.8~3.0)、被験者のうち帯状疱疹ワクチンを接種したのは1万8,683人(4.0%)だった。ワクチン接種で帯状疱疹発症リスクは0.61倍に、生物学的製剤服用者で発症例はなしワクチン接種後42日以内の帯状疱疹発症率は、7.8/1,000人・年(95%信頼区間:3.7~16.5)だった。接種後43日以降の帯状疱疹発症率は、6.7/1,000人・年(同:5.7~7.9)で、ワクチン非接種群の同発症率は11.6/1,000人・年(同:11.4~11.9)と比べ、大幅に低率だった(罹患率比:0.58、p<0.001)。疾患や服用薬などで多変量補正を行った後の、同ハザード比は0.61(同:0.52~0.71)だった。また、ワクチン接種時または接種後42日以内に生物学的製剤を服用していた633人で、帯状疱疹や水痘を発症した人はいなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

1954.

5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン 7月20日より販売開始

MSD株式会社は13日、5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン「ロタテック内用液」(以下「ロタテック」)の販売を、7月20日より開始すると発表した。ロタテックは、ロタウイルスの感染によって引き起こされる乳幼児のロタウイルス胃腸炎を予防する5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン。ロタウイルスには多くの血清型があると報告されているが、そのうちG1P[8]、G2P[4]、G3P[8]、G4P[8]およびG9P[8]の5種類の血清型の組み合わせで、ロタウイルス胃腸炎の原因の約90%を占めている。ロタテックは、G1、G2、G3、G4およびP1A[8]型の5つの血清型のロタウイルス株を含む5価のワクチンであり、G1P[8]、G2P[4]、G3P[8]、G4P[8]およびG9P[8]に起因するロタウイルス胃腸炎に対して予防効果が示唆されている。また、疫学研究において、ロタウイルスに複数回感染することで、ロタウイルス胃腸炎に対する自然免疫をより高く獲得することも報告されている。その研究結果から、ロタテックは3回接種のロタウイルスワクチンとして開発されたという。ロタテックは、Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.によって開発され、2005年にメキシコで承認されて以来、2012年3月時点で、世界107の国と地域で承認されている。日本では、2012年1月18日に厚生労働省より製造販売承認を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://www.msd.co.jp/newsroom/msd-archive/2012/Pages/product_news_0713.aspx

1955.

タダ(無料)ほど高い物はない~医療の無駄について~

つくば市 坂根Mクリニック坂根 みち子 2012年6月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 福島県が独自に18歳以下の子供の医療費を無料にするという。これについて全国保険医団体連合会や著名人たちが中心となって福島の子供たちの医療費をタダにすべしと国にも訴えている。大変言いにくいが反対である。一見聞こえのいいスローガンだが、タダほど高い物はない。結局子供たちのためにならない。ただには多くの無駄がもれなくセットで付いてくる。これから先、福島原発に関連してお金は果てしなく掛かる。貴重な財源は本当に必要な時に必要な人に届くような制度設計にしなくていけない。医療に携わっている者なら、ただ(無料)の分野にいかに無駄が多いか知っているはずである。右肩上がりの社会ならば無駄も含めて許容することもあるだろう。だが現実を見て欲しい。今の日本にそのゆとりはない。結局必要な人に使われるべき財源が無駄な部分に使われ、真に必要な人に医療が届かなくなる。今回と同じように子供の医療費無料をうたう自治体や政治家が多い。選挙民の受けはいいがコンビニ受診を誘発している。時間外の医療費は通常の1.2倍から1.5倍掛かるがタダだと使う方にもその認識がない。自分の懐が痛まなければ、仕事を早く切りあげて時間内の病院に行こうというインセンティブが働かない。税金の無駄使いである。過重労働の勤務医対策としても逆行する。時間外のコンビに受診は医療者をとても疲労させる。まして福島県は医師や看護師が足りず四苦八苦している。どうしてもやるなら子供の時間内の医療費無料とすべきである。身体障害者の1級は医療費が掛からない。例えば心臓弁膜症で手術を受けた場合やペースメーカーを入れた場合は、現在では手術前より元気になってまったく普通に暮らせる人が多いが、術後は無条件で身体障害者1級となる。以後の医療費は生涯すべて無料である。疾患に関連する部分のみ無料とか、元気になって普通に暮らせるようになるまで無料という制度ではない。一度1級になると生涯無条件に更新される。一見誰も困らないのでこちらもずっとおかしいと言われながら放置されたままである。透析患者についても同様のことが言える。 以前は腎炎からの透析が多く、透析導入されると田畑を売ってお金を工面しなければいけない時期があった。多くの先人たちの苦労の末、透析はお金の心配をしなくても受けられるようになった。ところが、現在の透析導入理由は糖尿病が一位である。外来もしくは入院で食事や運動療法の指導をしても、まったく聞く耳を持たずに結局最後は透析導入、心筋梗塞、脳梗塞となっていく人もいる。この方々も透析となった時点で身障者1級、医療費はほぼ無料となるが、糖尿からの透析は様々な合併症が出てくるために一人当たりの医療費がと突出して多くなる。生活保護の人たちは医療費が掛からない。最近ようやく統計的にも明らかにされたが、軽症でも繰り返し病院に掛かる人たちがいる。病院側でも確実にお金が取れるので、外来のみならず、入院させて隅々まで検査を繰り返し、3カ月毎に転院してまた繰り返すといういわゆる貧困ビジネスに手を染める病院が後を絶たない。そこまでいかずとも、経営的に苦しい病院では阿吽の呼吸で生保の人たちに少しずつ余分な検査をして稼ぐのは日常茶飯事である。取りっぱぐれがなく、一見誰の懐も痛まないのでこの制度には付け入る隙があるのである。国は医療に営利化を促す点数をつけている。民間の医療機関は赤字になるくらいなら点数の取れる検査や治療をするのは当たり前である。不安定狭心症で心臓カテーテル治療をした人がいた。治療して元気になったがその間一旦職を失ってしまった。同時にやる気も失ってしまったらしい。本人は職探しをするより生活保護を申請した。こちらは労務の可否欄に当然可と書いた。面談に来た役所の人にも、生保より仕事を斡旋して欲しいと話した。すると、役所では話はするが自分でハローワークに行って仕事を捜す以外斡旋はできないと言われた。結局その人は生保をもらい続け、日がな一日テレビを見て糖尿病は悪化していった。健康に不安を持つ人は多い。病院に来てあれもこれも調べて欲しいという方はよくいる。それが病院にとっても利益となり患者の負担にもならなければ、いったい誰がそれを拒むというのだろう。そこで訴訟のリスクも負ってまで余分な検査はすべきでないと患者を説得する医師がどれほどいるだろうか。大学病院をはじめとする公立病院では働く方のコスト意識も低い。大学病院のような高度医療を提供するところに対して医療の内容を吟味するには、相当の専門的力量が要る。従って支払基金も高度医療提供病院の医療内容に関してはかなり素通りが多い。だが、レセプト上位 1%の人が総医療費の30%近くを消費し、レセプト上位 10%の人が総医療費の実に7割を占めているという。総額の医療費が事実上決まっている中で、高額医療費を使い続ける人が増えれば、一方で必要な医療が届かない人たちがでる。問題は目の前の患者に医療費という観点からは無自覚に医療を提供し続ける医療者側にもあるし、枝葉末節にばかり目を向けて、本来その医療が必要かどうかチェックする体制を作ってこなかった支払基金や厚労省にもある。聖域は要らない。すべて公開して欲しい。本質的な点検をやるには支払い側も専門的知識が必要になり、そうなると医療者側にも緊張感がもたらされる。書類さえ整っていれば素通りで、貧困ビジネスにも無料の医療分野にも踏み込まない、枝葉末節にばかり神経を使う今の支払い基金はない方がましである。同時に厚労省の不作為ぶりも目に余る。保険は互いの支え合いのシステムである。医療費の無料という大きな権利を手に入れる時には、医療費は謙抑的に大事に使わなくてはならないという義務も一緒に知って頂かなくてはならない。小学生の頃から社会保障のシステムと使い方を繰り返し教育しなくてはいけない。医療費は無料の人でも明細書を受け取りいくらかかったのか知らなくてはいけない。自分の医療が皆の保険料と税金に支えられていることを理解しなければならない。厚労省は、権利ばかり教えて守らなければいけないルールについて周知する努力はしているのだろうか。まさかそれは文科省の仕事と考えているわけではあるまいか。作家の曽野綾子氏が著書「老いの才覚」の中で、健康保険を出来るだけ使わないようにすることが目標の一つです。幸い健康なら、保険を使わずに病気の方におまわしできてよかったなと思うと述べられていた。この精神が医療保険を維持するために不可欠だが、残念ながらこう考えられる人はとても少ない。先日99才でペースメーカーを入れている人の家族から間接的に相談があった。もうすぐペースメーカーの電池が切れる可能性があるが電池交換に主治医が難色を示していると、家族は希望しているのにどうしたらいいでしょう、ということだった。なんといっていいのか返答に詰まった。セーフティーネットとしての保険の意味を理解していない。電池交換は、最低でも100万円かかる。身体障害者1級なので本人と家族の負担はない。保険は助け合いのシステムです。ペースメーカーのおかげで99歳まで心臓が止まらずに生きてこられたのならもう十分でしょう。どうぞそのお金は後進に譲ってください。そこまで言わないといけないか。この場合自費なら交換してくれと言うだろうかという意地悪な考えも浮かんでくる。罹る疾患によって医療格差が大きくなっている。特定疾患の指定を受けていない難病や高価な抗がん剤を毎月飲み続けなければいけない人にとって、医療費の工面が死活問題となっている。子供たちのワクチン接種も先進国の中で大きく後れを取っているが、財源がネックとなっている。一方、身障者の認定や生保など医療費が無料となる制度では、医療の進歩や相互扶助の精神が制度に反映されず、結果として一部の人たちは野放図に医療費が使えることになっている。透析や身障者であっても払える方には払っていただきたい。生保の人にも一旦払っていただきたい。身体障害者の認定は今の時代に合ったものに改定し本当に必要な人だけに出してほしい。今、医療費は決定的に足りない。医療機関は原価計算をしない公定価格のために慢性の赤字体質であり、医療費のかなりの部分が医療機関を通り越して営利企業に行っている。連続勤務の夜勤を寝ている扱いにして労働基準法違反からも賃金面からもスルーされている勤務医の労働環境もいつまで経っても手当てされない。健康保険は助け合いのシステムであるという啓蒙もなく、無料の医療費を使うときのチェック体制もなく、施された医療の内容を検証する体制がない今のシステムのままでこれ以上無料を増やしてはいけない。モラルハザードが増え大切な医療費が垂れ流されている。今の日本は生活保護者が200万人を越え、団塊の世代は退職し、子供が減って高齢者が増え、若者は就職できずにいる。つまり無産層が増え税金を払う人が減っているということである。その少ない納税者にとってほぼ恒久化した復興増税を含め、近年は実質増税が続き可処分所得は減り続け生活は真綿で首を絞めるように苦しくなっている。東電の賠償金も廻り回って納税者が払うことになるだろう。国に請求するということは、納税者全員で分担しましょうと同意義語である。国も自治体も安易に無料をうたってはいけない。口にする方は気持ちがいいかもしれないが、それはあなた達のお金ではない。本当は子供たちの借金である。今、福島の子供たちの未来を考えてすることは医療費を無料にすることではない。必要な人にはあとから還付すればいい。そこに必ずセットで付いてくる無駄がもったいない。結局子供たちのつけを大きくしてしまう。今の日本にそれだけのゆとりはない。子供たちの未来を考えるからこそ、1円たりとも無駄にしてはいけないのである。

1956.

妊婦への新型インフルエンザワクチン接種、胎児死亡との関連認められず

妊婦への不活化新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種に関して、胎児死亡リスク増大のエビデンスは見つからなかったことが、デンマーク・Statens Serum InstitutのBjorn Pasternak氏らによる約5.5万人の妊婦を被験者とするデンマーク全国登録コホート研究の結果、示された。2009パンデミック当時、新型インフルエンザに罹患した妊婦の罹病率、死亡率が増大し、妊娠アウトカムが不良となることが認められたことから、その後、多くの国で、新型インフルエンザワクチン接種キャンペーンのターゲットに妊婦を含んでいる。Pasternak氏らは、ワクチン接種が胎児死亡と関連しないかを国民ベースで検証した。BMJ誌2012年5月19日号(オンライン版2012年5月2日号)掲載報告より。妊婦5万4,585例を対象に、ワクチン接種群と非接種群の胎児死亡等リスクを比較対象となったのは、2009年11月~2010年9月に単胎児妊娠中の妊婦5万4,585例であった。AS03パンデミックA/H1N1 2009インフルエンザワクチン不活化新型インフルエンザワクチン(Pandemrix)接種状況および潜在的交絡因子を結びつけて調査が行われた。主要アウトカムは、ワクチン非接種妊婦と比較したワクチン接種妊婦の、傾向スコア補正後の胎児死亡(特発性流産と死産を含む)リスクとした。副次アウトカムは、流産(妊娠7~22週)、死産(22週過ぎ以降)とした。主要、副次アウトカムともにリスク増大の関連認められず妊婦5万4,585例のうち、ワクチン接種者は7,062例(12.9%)。胎児死亡発生は、1,818例(特発性流産1,678例、死産140例)だった。解析の結果、ワクチン接種と胎児死亡リスク増大との関連は認められなかった(補正後オッズ比:0.79、95%信頼区間:0.53~1.16)。副次アウトカムについても、流産(同:1.11、0.71~1.73)、死産(同:0.44、0.20~0.94)ともに増大は認められなかった。また共存症あり(同:0.82、0.44~1.53)、共存症なし(同:0.77、0.47~1.25)で検討した結果も、推定胎児死亡リスクは同程度であった。

1957.

子宮頸がん検出の最善のスクリーニングは?

子宮頸がん検出を目的としたスクリーニングテストについて、ヒトパピローマウイルス(HPV)検査は細胞診よりも有益なのか、オランダ・Erasmus MC大学メディカルセンターのInge M C M de Kok氏らによるシミュレーション研究が行われた。費用対効果に着目して、女性の生涯での適切なスクリーニング回数についても検証された。病変部検出にHPV検査は細胞診よりも感受性が高いが特異度は低い。HPVスクリーニングについての既存の報告では、費用対効果の結果は千差万別で、de Kokらは、オランダモデルを各種条件が異なる欧州各国と適合させて検討した。BMJ誌2012年3月10日号(オンライン版2012年3月5日号)掲載報告より。プライマリHPVスクリーニングかプライマリ細胞診かをシナリオ戦略に基づき検証研究グループは、欧州で1932~1992年に生まれたHPVワクチン非接種の女性を対象とし、オランダモデルに基づく費用対効果の解析を行った。ベース症例解析では、ミクロシミュレーションモデルで1,500通り以上のスクリーニング政策の費用対効果を調べた。その後、スクリーニング政策を異なる5つの想定シナリオ(子宮頸がんリスク、既往スクリーニング、検査特性関連の質、検査費用、HPV有病率について起こり得る可能性が異なるシナリオ)で比較した。主要評価項目は、HPV検査の感度とコストについての増分費用効果比(寿命獲得に要する費用)に関する最善のスクリーニング戦略とした。プライマリHPVスクリーニングが好ましいが、組織的に実施することが重要結果、想定シナリオのほとんどで、HPVスクリーニングは30歳以上ではプライマリ検査として好ましいとする結果だった。細胞診が好ましいとされたのは、低コストが好ましいとするシナリオの場合と、HPVの有病率が高く費用が高いHPV検査と合わせて行うとするシナリオの場合であった。Kok氏は、「欧州の国の多くは、子宮頸がんに対してプライマリ細胞診からプライマリHPVスクリーニングに考え方の切り替えるべきである」と結論。シミュレーションの結果から、重要なことはプライマリHPVスクリーニングを組織的に実施することで、それが低コストに結びつくとし、「HPVスクリーニングは、スクリーニングがよりよくコントロールされている状況で実施されなければならない」と結論している。

1958.

成人への肺炎球菌ワクチン接種、23価よりも13価のほうが費用対効果が大きい

 成人への肺炎球菌ワクチン接種に関して、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)と23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23)との費用対効果について比較した結果、PCV13接種に高い費用対効果があることが報告された。ただし報告では、前提条件次第で逆転もあり得ることも示されている。米国・ピッツバーグ医科大学のKenneth J. Smith氏らが、50歳成人の仮定コホート群を対象として行った解析の結果で、JAMA誌2012年2月22・29日号で発表した。同種の検討はこれまで行われていなかった。65歳でPCV13接種、2万8,900ドル/QALYとPPSV23接種より費用対効果が大きい 研究グループは、米国人50歳の仮定コホートを用いて、PCV13接種とPPSV23接種についての費用対効果についてシミュレーションを行った。 ワクチン戦略と推定される有効性については、デルフォイ専門家委員会によって呈された。乳幼児へのPCV13ワクチン接種による間接的な(集団免疫)効果は、PCV7で観察された効果に基づいて推定された。 モデル・パラメータのためのデータ・ソースには、疾病管理予防センター(CDC)Active Bacterial Coreサーベイランス、国立病院Discharge Survey、全国入院患者標本データと国民健康保険Interview Surveyが含まれていた。 主要アウトカムは、予防できた肺炎件数と、質で調整した生存年数(QALY)増加にかかる費用だった。 結果、現行推奨基準(例えば65歳時のワクチン接種、共存症がある場合はそれより低年齢でのワクチン接種)のPPSV23接種に代わってPCV13を接種した場合のQALY獲得にかかる費用は、全く接種しない場合との比較で、2万8,900ドルで、PPSV23接種戦略(同3万4,600ドル)よりも費用対効果に優れていた。PCV13の非菌血性肺炎球菌肺炎への有効性など、前提を変えることで結果は逆転も また、50歳と65歳でPCV13を接種した場合のQALY獲得にかかる費用は、PPSV23接種に代わってPCV13を接種した場合との比較で、4万5,100ドルだった。さらに、50歳と65歳でPCV13を接種した上で、75歳でPPSV23を接種した場合のQALY獲得にかかる費用は49万6,000ドルだった。 Smith氏は、「費用対効果の絶対基準はないが、一般的にQALY獲得の介入コストが2万ドル未満なら採用エビデンスは強いとみなされ、2万~10万ドルなら中等度、10万ドル以上なら弱いとみなされている」と述べている。 一方こうした結果は、感受性解析でも強固であったが、前提となる、PCV13の非菌血性肺炎球菌性肺炎に対する有効性を下げたり、乳幼児へのワクチン接種による集団免疫効果を上げれば逆転した。その場合は、現行推奨されるPPSV23接種のほうが、費用対効果が高かった。

1959.

無細胞百日咳を含む混合ワクチンの熱性痙攣リスク、てんかんリスクは?

ジフテリア・破傷風・無細胞百日咳/ポリオ/ヘモフィルスインフルエンザb型菌(DTaP-IPV-Hib)混合ワクチンの接種後リスクについて、接種当日の熱性痙攣のリスクが、3ヵ月齢での接種第1回目、5ヵ月齢での接種第2回目当日のリスクは4~6倍に増大することが報告された。しかし、絶対リスクは小さく、てんかんのリスクについては増大は認められなかった。デンマーク・Aarhus大学のYuelian Sun氏らが、約38万人の乳幼児について行ったコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月22・29日号で発表した。これまで、全細胞百日咳ワクチンは熱性痙攣リスクを増大することが知られていたが、無細胞百日咳ワクチンについての同リスクとの関連は明らかではなかった。ワクチン接種後の熱性痙攣リスクと初回接種後てんかんリスクを評価研究グループは、デンマークで2003年1月1日~2008年12月31日に生まれた37万8,834人を対象に、2009年末まで追跡調査を行った。主要アウトカムは、生後3ヵ月、5ヵ月、12ヵ月で接種されるDTaP-IPV-Hibワクチン接種後7日以内(0、1~3、4~7日)の熱性痙攣発症と、初回ワクチン接種後のてんかんの発症(ハザード比)についてであった。自己対照ケースシリーズ法(SCCS)を用いて、相対罹患率を割り出した。結果、被験者のうち、生後18ヵ月以内に熱性痙攣を発症したのは7,811人だった。そのうち初回ワクチン接種後7日以内に発症したのは17人(0.8人/10万人・日)、第2回接種後の同発症は32人(1.3人/10万人・日)、第3回接種後の同発症は201人(8.5人/10万人・日)だった。初回ワクチン接種当日の熱性痙攣リスクは6倍、第2回接種当日の同リスクは4倍に全体として、ワクチンの1~3回接種後7日以内の熱性痙攣発症リスクは、参照コホートと比べて有意な増大は認められなかった。しかし、初回ワクチン接種当日(ハザード比:6.02、95%信頼区間:2.86~12.65)、第2回接種当日(同:3.94、2.18~7.10)で同リスクは有意に増大することが認められた。ただし、第3回接種当日の同発症リスクの増大はみられなかった。SCCSによる分析結果も、同様だった。てんかんの発症については、7年間の追跡調査期間中、ワクチン非接種群で131人、ワクチン接種群で2,117人の発症が認められた。ワクチン接種後3~15ヵ月に、てんかんであると診断されたのは813人(1,000人・年当たり2.4)、その後に診断されたのは1,304人(同1.3)だった。接種群と非接種群との比較で、てんかん発症リスクは、ワクチン接種後3~15ヵ月では低く(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.50~0.79)、その後は同等だった(同:1.01、0.66~1.56)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

1960.

ロタウイルスワクチン、腸重積罹患率を増大せず

乳幼児への5価ロタウイルス(RV5)ワクチン接種は、接種後1~7日、同1~30日後の腸重積罹患率を増大しないことが報告された。米国・ハーバード公衆衛生大学院のIrene M. Shui氏らが、米国のワクチン安全データリンク(VSD)に登録された、RV5接種を受けた乳幼児について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月8日号で発表した。RV5ワクチン接種後の腸重積発症は、開発試験段階では報告されなかったが、承認後の国際的なトライアルで、特に1回目の接種後1週間以内の低レベルのリスク上昇の可能性が示唆されていた。約79万回のRV5接種について追跡調査研究グループは、2006年5月~2010年2月の間に、VSDに登録された、生後4~34週にRV5ワクチン接種を受けた乳幼児について、その後の腸重積罹患率について追跡調査を行った。主要アウトカムは、接種後1~7日、同1~30日間の、それぞれの腸重積罹患率だった。対照群として、RV5以外の推奨ワクチンを接種した乳幼児の同罹患率について比較した。試験期間中に被験者が受けたRV5ワクチン接種回数は、78万6,725回で、うち初回接種は30万9,844回だった。接種後7日、30日までのそれぞれの腸重積罹患率に増大なしその結果、RV5接種群で、非RV5接種群と比べ、接種後1~7日、同1~30日後の腸重積罹患率の有意な増大は認められなかった。具体的には、接種後1~30日後の腸重積発症数は、RV5接種群で21人に対し、非RV5接種群の期待値は20.9人だった(標準化罹患比:1.01、95%信頼区間:0.62~1.54)。また初回接種後1~30日後の同発症数も、それぞれ7人と5.7人だった(同:1.23、同:0.5~2.54)。接種後1~7日後の腸重積発症数は、RV5接種群が4人に対し、非RV5接種群期待値は4.3人(同:0.92、同:0.25~2.36)、初回接種後はそれぞれ1人と0.8人(同:1.21、同:0.03~6.75)であり、いずれも有意差はなかった。なお、この初回接種後1~7日での発症に関する標準化罹患比の95%信頼区間上限値の6.75は、初回接種者6万5,287人につき1例の発症リスクを示すものだった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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