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1941.

インフルエンザ予防、不活化ワクチン vs. 弱毒性ワクチン、どっちが有効?

季節性インフルエンザワクチンの効力は、種々の因子(接種される人の年齢や健康状態、同型であってもワクチン株のタイプと実際に流行したタイプの抗原性の違いなど)によって異なるのではと言われている。また、認可されているワクチンには不活化ワクチンと弱毒性ワクチンがあり、その違いによる効力の違いも言われている。そこで米国ミシガン大学公衆衛生校疫学部門のArnold S. Monto氏らは、不活化ワクチンと弱毒性ワクチンの効力の違いに関する調査を、2004~2005年インフルエンザシーズンより開始した。18~48歳の健康な男女を対象とする無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、本論は、調査4シーズン目で、インフルエンザA型(H3N2)ウイルスが流行した、2007~2008年期からの報告。NEJM誌2009年9月24日号掲載より。2007~2008年期は、A型(H3N2)が大流行調査は、2007年秋に試験ワクチンを接種し登録した1,952例(平均年齢23.3歳)を対象に行われた。インフルエンザ流行期は、2008年1~4月。流行ウイルスの型は、A型(H3N2)約90%、B型が約9%だった。調査は、組織培養によるウイルス分離、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、もしくは両法の併用によって、ワクチンの絶対効果と相対効果を推定評価し行われた。A型(H3N2)では、不活化ワクチンの相対効果が60%結果、ワクチンの絶対効果は、不活化ワクチン68%(95%信頼区間:46~81)、弱毒性ワクチン36%(同:0~59)だった。また、インフルエンザ発症例(ウイルス培養もしくはPCR法で確認された)は、不活化ワクチンを受けた被験者が、弱毒性ワクチンを受けた被験者の半分だった。A型に対する絶対効果は、不活化ワクチンでは72%(同:49~84)だったのに対し、弱毒性ワクチンでは29%(同:-14~55)で、不活化ワクチンの相対効果は60%(同:33~77)だった。Monto氏は、「2007~2008期に最も罹患率の高かったA型(H3N2)に対しては、不活化ワクチンが予防に有効だった。弱毒性ワクチンも予防効果はあったが、不活化ワクチンよりも低かった」と結論している。(医療ライター:武藤まき)

1942.

医療従事者の新型インフルエンザワクチン接種希望は50%以下:香港

香港大学のJosette S Y Chor氏らは、香港の医療従事者を対象に、プレパンデミックの新型インフルエンザワクチン接種(インフルエンザA型のH5N1またはH1N1)に対する意向について、アンケート調査を行った。調査の目的は、医療従事者の接種希望が、WHO(世界保健機構)が発する警戒レベルによってどれぐらい変化するかを評価することにあったが、警戒レベルによって大きく変わるということはなく、総じて低調だったと報告している。BMJ誌2009年9月12日号(オンライン版2009年8月25日号)より。香港の病院医療従事者2,255人にアンケートChor氏らは、自己管理型のRepeated cross sectional studiesの手法で匿名形式のアンケート調査を、2回にわたって実施(2009年1~3月、同年5月)した。アンケートには、香港病院局下の31病院の、内科、小児科、救急部門で働く医師、看護師、コ・メディカルスタッフ、計2,255人が応じた。アンケートの評価は、プレパンデミックのインフルエンザワクチン接種(インフルエンザA型のH5N1またはH1N1)希望状況とその動機を主要評価項目とし解析された。フェーズ3で28.4%、フェーズ5でも47.9%WHOのインフルエンザパンデミックの警戒レベルが、フェーズ3であった2009年1~3月期のアンケート結果では、H5N1ワクチン接種の希望者は、28.4%にすぎなかった。その後段階的に警戒レベルは引き上げられフェーズ5になったが、H5N1ワクチン接種の希望は有意に増えることはなかった。H1N1ワクチン接種の希望者も、フェーズ5の段階時に行われたが、47.9%だった。接種動機で最も多かったのは、「身を守りたい」と、「当局のアドバイスに従って」だった。接種を希望しない理由は主に、副作用に対する懸念と効果に対する疑念だった。なお回答者の半数以上が、「看護師が最優先に接種を受けるべき」と考えていることも明らかになっている。また、接種動機で最も強かったのは、季節性インフルエンザワクチン接種の歴史と、感染拡大リスクへの認識だった。こうした医療従事者のワクチン接種希望が低い状況を踏まえ、Chor氏は「意向が低い根底にある理由を解明するため、さらなる調査が必要だ」と報告をまとめている。

1943.

新型インフルエンザH1N1ワクチン「Pandemrix」にCHMPが肯定的見解 承認勧告も

英国グラクソ・スミスクラインplcは29日、2009年9月25日にGSKの新型インフルエンザ(H1N1)候補ワクチンであるアジュバント(免疫増強剤)添加ワクチン「Pandemrix」の認可に向けた肯定的見解と承認勧告を欧州医薬品委員会(CHMP)より受けたことを発表した。同ワクチンの適応症は2009年新型インフルエンザ(H1N1)の予防。同ワクチンの1回分の接種には2009年新型インフルエンザ(H1N1)ウイルス株の抗体が3.75μg(マイクログラム)とGSKのアジュバントAS03が含まれており、2回の接種を3週間以上の間隔で接種する必要がある。今回の肯定的見解は、2008年5月に欧州で承認され、H5N1抗体を使用した「Pandemrix」のモックアップ承認申請に基づいているという。このモックアップ申請には、忍容性、副反応の面、また免疫原性や交差免疫などについて検証された様々な臨床および前臨床試験のデータが含まれている。H5N1型ワクチンは、概ね良好な忍容性を示し、一般的な副作用として頭痛、関節痛、筋肉痛、注射部位の副反応(痛み・発赤)、発熱と倦怠感(疲労感)であった。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000579.html

1944.

2000年のHib感染による5歳未満死亡児、世界で推定37万1,000人

2000年にヘモフィルス・インフルエンザb型菌(Hib)への感染が原因で死亡した5歳未満児は、全世界で推定37万1,000人にも上ることがわかった。米国Johns Hopkins大学のJames P Watt氏らの調べで明らかになったもので、Lancet誌2009年9月12日号で発表した。Hibは小児の細菌性髄膜炎や肺炎などの大きな原因となっているが、予防接種でそのほとんどが予防できる。小児へのHibワクチン接種実施の徹底が急務のようだ。Hib罹患率や致死率を文献調査、HIV罹患率などで補正Watt氏らは、Hibの罹患率や致死率、年齢層、Hibワクチンの効果などについて、徹底した文献調査を行った。また、ワクチン試験データから、Hib感染による肺炎発症率や肺炎死亡率を得た。そのデータと、WHO(世界保健機関)の国別肺炎罹患率や肺炎死亡率を用いて、Hibによる肺炎発症・死亡率を推定した。また、髄膜炎などの重症例については、これまでのサーベランス結果などを元に推定を行った。推定結果については、HIV罹患率や医療ケア整備の程度について補正を行った。Hib感染重症例は813万児その結果、2000年に5歳未満児でHib感染による重症疾患を発症したのは、世界で推定813万人(不確定範囲:733~1,320万)に上った。そのうち月齢1~59ヵ月児で死亡したのは、37万1,000人(同:24万7,000~52万7,000)、うちHIV陽性だったのは8,100人(同:5,600~1万)、HIV陰性だったのは36万3,000人(同:24万2,000~51万7,000)だった。同研究グループは、世界的なHibによる被害は大きく、Hibワクチンの接種促進によって子供の肺炎や髄膜炎、死亡率を減らすことができると結論づけた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

1945.

GSKと化血研、国内細胞培養技術による新型インフルエンザワクチンの共同開発で契約締結

グラクソ・スミスクライン株式会社は18日、同社とグラクソ・スミスクライン・バイオロジカルズ(ベルギー)と財団法人化学及血清療法研究所が、8月31日付けで日本において新型インフルエンザワクチンを含む細胞培養技術によるインフルエンザワクチンを共同開発するための契約を締結したと発表した。同契約においては、GSK、化血研双方が所有またはライセンス供与を受けている(GSKがVivalis社からライセンス供与されているEB66細胞系の技術を含む)細胞培養の技術・ノウハウとGSKのアジュバント技術を持ちより、細胞培養による新型インフルエンザワクチンを共同開発し、早期に国内生産および供給することを目的としている。GSKは欧州におけるH5N1型(プレ)パンデミックインフルエンザワクチンの経験から、アジュバントは免疫応答をより強く、より長く持続させる効果があるという。今回のアジュバントを活用したインフルエンザワクチンは少ない抗原量でもウイルスに対する高い免疫応答を誘導することができ、ワクチン1接種当たりの抗原量を節約できる事が期待されるとのこと。また、アジュバントの添加により、ウイルスが小さな変異(ドリフト)をおこしても免疫が発揮できる、いわゆる交叉免疫性に優れていることも示されているという。アジュバントの安全性は大規模な臨床試験によって確認されているとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000577.html

1946.

GARDASIL FDAが男性への使用承認を推奨

Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A. は、米国食品医薬品局(FDA)ワクチンおよび関連生物製剤諮問委員会が、少年・成人男性に対するGARDASILの使用承認を推奨したと発表した。子会社である万有製薬株式会社が16日に報告した。同社は、2008年12月に、HPV 6,11,16,18型に起因する9~26歳の少年・成人男性の尖圭コンジローマ(性器疣贅)予防を目的としたGARDASILの使用について、生物製剤認可追加申請(sBLA:supplemental Biologics License Application)をFDAに提出している。今回の諮問委員会の推奨は、米国での男性への適応拡大に向けて大きく前進したものと言えるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/merck_0916.html

1947.

H1N1新型インフルエンザワクチンの治験開始

ノバルティス ファーマ株式会社は、16日より日本国内で、H1N1新型インフルエンザワクチン(海外での製品名:Celtura)の治験(臨床試験)を自主的に開始したと発表した。この治験が、同社の治験用H1N1新型インフルエンザワクチンとしては、日本で初めての接種となる。16日に鹿児島市内の医療機関で100人の成人を対象に本ワクチンの接種を開始し、18日から大阪市内の医療機関で、残り100人の成人への接種が開始される予定だという。今回治験を行うワクチンは、アジュバント(免疫賦活剤、MF59)を添加した最新の技術を用いた細胞培養による新型インフルエンザ(ブタ由来インフルエンザA/H1N1)ワクチン。治験では本ワクチンを2回注射し、200人の健康成人を対象に行い、安全性を確認後、120人の小児(生後6カ月~19歳)の治験を開始する予定だ。今回の治験の主な評価項目は、有効性(免疫原性)と安全性を評価し適切な接種量と回数を検討する。治験の終了は、成人で11月、小児で12月を予定している。なお、このワクチンについては、先日、英国で100名を対象に実施した臨床試験において、7.5μgの接種により抗体反応が1回目の接種で80%の被験者に、2回目の接種後は90%以上の被験者で確認されるなど、その高い有効性が報告されている。また、もっとも頻度が高かった副反応は注射部位の疼痛で、良好な忍容性を示したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090916.html

1948.

FDA諮問委員会が子宮頸がん予防ワクチン「Cervarix」の承認を勧告

グラクソ・スミスクライン株式会社は16日、グラクソ・スミスクラインplc(本社:ロンドン、以下GSK)が、米国食品医薬品局(FDA)のワクチンならびに関連生物製剤に関する諮問委員会(VRBPAC)における投票の結果、GSKの子宮頸がん予防ワクチン「Cervarix」について、その有効性・安全性を支持する結果が得られたと発表した(有効性:賛成12、反対1、安全性:賛成11、反対1)。「Cervarix」は、子宮頸がん発症の原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、子宮頸がんの原因として最も頻度が高いHPV16型と18型に起因する子宮頸がんおよび前がん病変の予防において、優れた有効性と良好な忍容性が示されているという。諮問委員会では、この2つの型以外の発がん性HPVに対する予防効果に関するデータについても討議が行われた。諮問委員会の承認勧告には拘束力はないが、生物学的製剤承認申請(BLA)の提出されたワクチンについて、FDAが最終的な審査をする参考とされる。FDAは、承認後に、最終的な添付文書を決定する。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000576.html

1949.

ブラジル政府に新型インフルエンザA 型(H1N1)ワクチンを供給予定

サノフィ・アベンティスグループ(EURONEXT:SANおよびNYSE:SNY)のワクチン事業部門であるサノフィパスツールは7日(現地時間)、新型インフルエンザA型(H1N1)ワクチンのブラジル政府に対する製造、供給に関して、ブタンタン研究所と契約を締結したことを発表した。今回のブラジル保健省からの発注は、初回分として新型インフルエンザA型(H1N1)ワクチン1,800万回接種分に関するもの。そのうち100万回接種分は最終製剤として、また1,700万回接種分はバルク状態で供給されるという。今回の契約には、世界保健機関(WHO)からワクチンメーカーに対して、通常の南半球向け季節性インフルエンザワクチンから新型インフルエンザA型(H1N1)ワクチンへの切り替え要請があった場合に、さらに1,500万回接種分を追加発注できるというオプション事項も含まれるとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/3F7948F2-EA4E-4C50-BA49-AF37A6F5A8D6.pdf

1950.

新型インフルエンザ(A/H1N1)用アジュバント(MF59)添加細胞培養ワクチンの臨床試験、高い免疫原性を示す

スイス・ノバルティス社は4日、アジュバント(免疫賦活剤)を添加した細胞培養による新型インフルエンザ(ブタ由来インフルエンザA/H1N1)ワクチンのパイロット試験で、ノバルティスのワクチンが強い抗体反応と良好な忍容性を有することが示されたと発表した。日本法人のノバルティス ファーマ株式会社が報告した。この試験は英国のLeicester大学および同大学病院で実施されたもの。Celturaと名付けられる予定のこのワクチンのパイロット試験は、18歳から50歳までの100名の健康成人ボランティアを対象に実施された。この試験は、異なる投与間隔でワクチン接種を実施したときのワクチンの忍容性と免疫原性を評価した。細胞培養によるA/California/2009株の表面抗原7.5μgを含有するアジュバントを添加した新型インフルエンザワクチンを1回または2回接種し評価したところ、2回の接種を受けたグループに最も高い血清抗体反応が確認されただけでなく、1回の接種を受けたグループでもインフルエンザ予防が可能と判断できる同様の抗体反応が確認されたという。また、1回接種グループでは80%、2回接種グループでは90%以上の被験者で赤血球凝縮抑制抗体価が40またはそれ以上に達したことが示された。これは欧州および米国の規制当局が規定する免疫原性基準を満たすと考えられるという。この結果は、アジュバント添加ワクチンが低用量で1回接種後2週間以内に新型インフルエンザ(A/H1N1)に対する抗体を産生させる可能性があることを示しているとのこと。この試験ではアジュバントを添加しないワクチンのグループは評価されなかった。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090904_02.html

1951.

インフルエンザだけじゃない!―赤ちゃんを脅かす秋冬の感染症

 8月27日、大手町ファーストスクエアにて開催された「周産期医療最前線 ―インフルエンザより早く来る!ママの知らないRSウイルス感染症」セミナーの第2報をお届けする。福島県立医科大学の細矢光亮氏は、RSウイルス(RSV)感染症の特徴や疫学、治療について述べ、罹患しやすい2歳未満の乳幼児の状況に加え、後年に及ぼす影響に関しても言及した。 RSVは、チンパンジーの鼻炎例から初めて分離され、その後呼吸器疾患の患児からも同様のウイルスとして分離された。細胞変性効果としてsyncytiumが特徴的に見られることから、Respiratory Syncytial Virusと命名されている。 感染経路は接触および飛沫であり、生体外でも長時間感染力を保つ(カウンターで6時間後でもウイルス分離可能)。通常は鼻炎などの上気道炎の原因となるが、乳児や高齢者では、細気管支や肺胞で増殖して下気道炎を起こすことが問題となっている。 2歳までにほぼ100%が初感染するRSVであるが、およそ30%が下気道炎を起こし、3%が重症化して入院加療を要する。細矢氏によれば、1歳までの患児の月齢別分布は、3~6ヵ月齢が比較的多いものの大きな差はなく、母親からの移行抗体で完全には防御できないとのことである。さらに、在胎32週未満の早産児では移行抗体が少ないため、重症化のリスクが高い。 また、3ヵ月齢未満と3ヵ月齢以上を比較すると、主な症状の出現率はほぼ同等であったが、陥没呼吸や喘鳴などの持続期間は3ヵ月齢未満で有意に延長しており、呼吸管理や入院加療を必要とした例も有意に多かった。 ワクチンや有効な治療法がないRSV感染症の重篤化を抑制する唯一の薬剤として、RSVのF蛋白特異的な中和抗体であるパリビズマブ(商品名:シナジス)がある。第1報でも触れたように、早産児など高リスクのRSV感染症における入院率が、パリビズマブによって非投与群の半分以下に減少したと報告されている。 ここで、RSV感染による細気管支炎と、後年の喘鳴・喘息の発症の有意な関連性がこれまでの複数の調査結果で示された。細矢氏は、免疫学的な見地から、その機序について述べた。 まず、新生児~乳幼児では相対的にTh-2優位である。その上で、細矢氏は、RSV感染児におけるTh-2/Th-1バランスを非感染群と比較すると、有意にTh-2優位となっているデータを示した。さらに、RSV感染症の回復期には、他のインフルエンザ感染症などと異なり、好酸球数が有意に増加し、アレルギー性炎症に関与するケモカインであるRANTESも有意に濃度上昇するとのことである。すなわち、もともとアレルギーリスクの高い新生児期にRSV感染すると、リスクはさらに増大すると考えられる。 一方、乳児期のRSV感染と、81ヵ月後までの喘鳴および91ヵ月後の喘息の有意な関連が報告されている。細矢氏は、RSV感染によってTh-2優位となり、気道過敏状態が持続することで、反復性喘鳴を呈すると述べた。 そこで、パリビズマブによる喘息発症予防を検討した、WOO-353 Studyが紹介された。その結果であるが、パリビズマブ投与群における反復性喘鳴の発症率は、非投与群の半分程度と有意に減少した。 細矢氏は、パリビズマブによって、3歳までの早期喘鳴の罹患率を減らせるだけでなく、5歳ごろをピークとする後年の非アトピー性反復性喘鳴の罹患率も減ずることができるであろうとし、講演を締めくくった。

1952.

四価HPVワクチン、市販後調査で失神と静脈血栓塞栓症が他種ワクチンより高率

米国で四価ヒトパピローマウイルス組換えワクチン(qHPV)の市販後調査で、ワクチン投与後の有害事象発生率について2年半の調査の結果、失神と静脈血栓塞栓症の発生率が、他のワクチン投与後と比べ高率であることが明らかになった。米国疾病予防対策センター(CDC)のBarbara A. Slade氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年8月19日号で発表した。米国食品医薬品局(FDA)は2006年6月にqHPVを承認、その後CDCの予防接種に関する委員会Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)では、女児の11~12歳に対する投与と、13~26歳の追加投与を勧告している。2年半で1万2,000件超の有害事象報告、うち772件が重度Slade氏ら研究グループでは、予防接種後の有害事象に関する、任意で報告を受動的に受け取る全米調査システム、「US Vaccine Adverse Event Reporting System」(VAERS)をもとに調査を行った。それによると、2006年6月から2008年末までに、1万2,424件の接種後有害事象の報告が寄せられていた。全報告件数の6.2%に当たる772件が重度有害事象で、うち32件が死亡だった。有害事象の症状別の報告率は、10万qHPV接種当たり、失神が8.2件、局所反応が7.5件、めまいが6.8件、吐き気が5.0件、頭痛が4.1件、過敏反応が3.1件、蕁麻疹が2.6件、静脈血栓塞栓症、自己免疫障害、ギラン・バレー症候群は各0.2件、アナフィラキシーと死亡が各0.1件などだった。失神と静脈血栓塞栓症は、承認前データと比べても高率このうち、ほとんどの有害事象発生率は、他種のワクチンの有害事象発生率と同等だったが、失神と静脈血栓塞栓症については、他種ワクチンと比べて発生率が高率で、また承認前のデータと比べても高率だった。なおこれら所見について同研究グループは、VAERSは受動的な報告をもとにしているため、過小報告の可能性もぬぐえないことについても言及している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

1953.

インフルエンザより早く来る!―予防の一歩は『知る』ことから

8月27日、大手町ファーストスクエアにて開催された「周産期医療最前線 ―インフルエンザより早く来る!ママの知らないRSウイルス感染症」セミナー(主催:アボット ジャパン株式会社)について、2回に分けてお届けする。東京女子医科大学の楠田聡氏は、2歳未満の子を持つ母親の、RSウイルス(RSV)に関する意識調査の結果を発表した。日本において、早産児(在胎22~36週)の割合は増加傾向にあり、中でも32~36週での出生率が年々上昇している。一方、2歳までにほぼ100%の乳幼児が罹患するといわれるRSV感染症は、特に早産児や生後6ヵ月齢以下において、細気管支炎や肺炎などの重篤な下気道炎を引き起こし、緊急入院となったり、最悪の場合は死に至ることもある。RSV感染症に予防ワクチンおよび有効な治療法はなく、発症した場合は重篤化させないことが肝要である。楠田氏は、早産児のRSV感染による入院の割合が10%前後であり、入院児の死亡率が1%以上という日米のデータを示した。RSV感染症は9月から流行し始め、12月にピークを迎えて4月ごろ収束する。現在、RSVに対する特異的モノクローナル抗体であるパリビズマブ(商品名:シナジス)がRSV感染による重篤な呼吸器疾患(下気道疾患)の発症を抑制する唯一の薬剤であり、早産児など高リスク群での入院率を半分以下に下げることが報告されている。そのような現状を踏まえ、楠田氏はまず、2歳未満の子を持つ母親約1万名にインターネット調査を行った結果を述べた。子が在胎35週以下をハイリスク群とし、対象の4%弱が該当した。また、それ以外を一般群とした。母親の疾患認知は、インフルエンザや水痘などではほぼ100%であったが、RSVは一般群で約30%、ハイリスク群でも約50%という結果であった。また、子がRSV感染症にかかったことがある群とかかったことがない群の比較では、RSV感染症が気になる割合はそれぞれおよそ90%と60%であった。しかし、RSV感染症において、早産児が重症化しやすいことや、パリビズマブの事前投与で重症化が防止できることについては、どちらも同じ程度の認知度であった。母親に疾病情報を提示した前後を比較すると、「RSV感染症が健康に重大な影響を及ぼすと思う」とした割合が増えた。中でも、提示前にRSVを知らなかった群では、25%から80%以上に増加した。一方、パリビズマブの認知度は、ハイリスクの在胎33週群においては比較的高かった。しかし、RSV感染症による入院率が33週群とほぼ同じである在胎35週群では、その半分以下にとどまった。パリビズマブ非投与の理由としては、「パリビズマブを知らない」「医師に薦められなかった」「RSVを知らない」がほとんどを占め、価格や副作用など他の理由は少なかった。以上より、楠田氏は、早産児では重症RSV感染症のリスクが高く、パリビズマブでその重症化を抑制できることを知らせていくことが重要であるとまとめた。(ケアネット 板坂 倫子/呉 晨)

1954.

新型インフル、感染防止対策はまず若年層に集中するべき

本論は、米国NIHのGerardo Chowell氏らによる、NEJM誌オンライン版2009年6月29日に発表された論文。2009年春、メキシコから重症肺炎の集団発生が報告された同時期に、新型インフルエンザのウイルス株分離の報告がされたことを踏まえ、ウイルスがもたらす重症疾患のリスク因子に関する情報や、感染管理を見通す方法を得るため、メキシコ発の重症肺炎について解析を行ったもの。本誌では2009年8月13日号にて掲載された。死亡例、重症肺炎例は5~59歳に集中2009年3月24日から4月29日にかけて、メキシコ保健省には合計2,155例の重症肺炎患者(入院821例、死亡100例を含む)が報告された。同時期、国立Epidemiological Reference Laboratoryに提出された8,817件の鼻咽頭標本のうち、2,582件がブタ由来の新型インフルエンザA型(H1N1)ウイルス(S-OIV)陽性が報告された。Chowell氏らは、これら重症肺炎患者の死亡率と罹患率における年齢分布の偏りを、これまで報告されたインフルエンザ流行時の患者の年齢分布とで比較した。その結果、5~59歳の死亡率は87%、重症肺炎罹患率は71%だったのに対し、同じ年齢層の対照期間(報告例が寄せられた春季)の死亡率、罹患率はそれぞれ17%と32%だった。また、今回の新型インフルエンザに関して、過去における新型インフルエンザウイルスの伝播と同様、第一波が季節外れの時期に、かつ若年層を襲ったという点で類似していたという。過去のパンデミックと類似点が多いChowell氏らは、「今回の新型インフルエンザ・パンデミックは、初期の段階で、重症肺炎の割合が急増し、さらにこれら疾患患者の年齢分布に顕著な偏りがあったことから、過去のパンデミックとの類似性を想起させた。さらに、1957年のパンデミック以前に生まれ、幼児期にH1N1株に曝されていた中高年者は、若年者と比べて相対的に免疫作用をもつことが示唆された」と報告。これら所見から「医療資源やワクチンの供給に限りがある場合、感染予防をより若い世代に集中させることが妥当性である」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

1955.

新型インフルエンザA 型(H1N1)ワクチンを米国FDA に一変申請

サノフィ・アベンティスグループ(EURONEXT:SANおよびNYSE:SNY)のワクチン事業部門であるサノフィパスツールは7日、米国食品医薬品局(FDA)に、2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチンの承認事項の一部変更承認申請(以下「一変申請」という)を行ったことを発表した。この一変申請は、2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチンについては、季節性インフルエンザワクチンに含まれる新ウイルス株を承認する場合と同じ薬事手続きで審査するという、最近のFDA勧告を受けて行われたもの。今回のサノフィパスツールの2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチン一変申請は、非アジュバントワクチンに限定するという。これらのウイルス株変更の一変申請では、新たな臨床データによって裏付けを行う必要はないとのことだが、免疫原性と安全性に関するデータは、臨床研究を通じて検討されるとのこと。サノフィパスツールは、米国において6日から、2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチンの免疫原性と安全性を臨床試験で検討する予定だ。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/EDCCEFFC-8AD2-40D6-B5F7-EF5D80EEDE10.pdf

1956.

A/H1N1新型インフルエンザワクチンの初回製造を完了

バクスターインターナショナルインク(NYSE: BAX)は8月5日、A/H1N1型パンデミックワクチン「CELVAPAN」の初回製造を7月末に完了し、出荷について各国の保健当局と協議中であることを発表した。当該ワクチンは、保健当局の許可を得て出荷される予定。 「CELVAPAN」は、バクスターのA/H1N1型パンデミックインフルエンザワクチンの製品名であり、同社独自のヴェロ細胞培養技術を用いて製造されたもの。詳細はプレスリリースへhttp://www.baxter.co.jp/about_baxter/news_room/news_releases/2009/090806.html

1957.

子どもの病気で1年に10日以上仕事を休むお母さんは4人に1人

ワイス株式会社は8月5日、首都圏・京阪神に住む仕事を持つ母親1,000人を対象に、女性の仕事の継続に子供の病気がどのように影響しているのか、子供の病気を予防することについてどのように意識をもっているのか等について行ったインターネット調査の結果を発表した。それによると、働く母親の4人に1人がこの1年間に子供の病気で10日以上仕事を休んだ経験を持っていた。さらに、子供の病気を理由に休暇をとると職場に対して、「迷惑をかける」、「申し訳ない」、「気まずい」などと精神的な負担を感じている女性は89%に上ったという。また、「期待してもらえない」「仕事を頼まれなくなり、やりがいがない」など、働く意欲の高い女性にとって、安定的に働き続ける上で、子供の病気が大きな精神的負担になっている実態も明らかになった。また、病気にならないためには、ワクチン接種が大事だと考えている母親は92%おり、実際に自費接種である「みずぼうそう」や「おたふくかぜ」のワクチンを集団生活に入る前に子供に接種した母親は51%だった。一方で、自費でもワクチンを接種させたいと考える人が70%に上るにもかかわらず、実際にみずぼうそうやおたふくなどの任意接種ワクチンを接種した人が20ポイント下回っている状況からは、まだまだワクチンで防げる病気の重要性の認知が広がっていない可能性や、大事だとは思っていても実際には行動が伴わない現状が示唆されているとも考えられる。詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2009/0805.asp

1958.

がんワクチン 胆道がんに対する第II相臨床試験を開始

扶桑薬品工業株式会社は3日、同社とオンコセラピー・サイエンス㈱(OTS 社)が平成17年4月4日に契約を締結し、OTS 社において開発中の、がん治療用「新生血管阻害剤OTS102」の胆道がんに対する第II相臨床試験を開始したと発表した。胆道がん(胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がん)は、非切除例における5年生存率が胆管がんで1%、胆嚢がんで2%、乳頭部がんで8%と非常に低く、極めて予後が不良であるがん種と言われていて、有効な新規治療法が必要とされている。OTS社において開発中の新生血管阻害剤OTS102は、腫瘍新生血管内皮細胞を標的とするがんワクチン療法剤。今回、開始する臨床試験は、切除不能進行胆道がん及び再発胆道がん患者を対象とし、その有効性及び安全性を検証する第II相臨床試験とのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.fuso-pharm.co.jp/news_topics/pdf/2009_08_03.pdf

1959.

乳幼児向けの13価肺炎球菌結合型ワクチン「Prevenar 13」世界で初の承認

米国ワイス (本社:米国ニュージャージー州マディソン)の医療用医薬品事業部門であるワイス・ファーマシューティカルズは、7月14日、乳幼児向けの13価肺炎球菌結合型ワクチン「Prevenar 13」が世界で初めて、チリ保健省より承認されたことを発表した。Prevenar13は生後6週間から5歳までの乳幼児に対し、13種の肺炎球菌血清型に起因する侵襲性の肺炎球菌感染症、肺炎、中耳炎を予防するワクチン。肺炎球菌感染症は、世界的にみて5歳以下の子どもにおけるワクチンで予防できる死亡の主要原因であり、その死亡者数は毎年最大100万人と推定されている。Prevenar13は、7価肺炎球菌結合型ワクチンPrevenarを基に、より幅広い血清型をカバーできるように開発。Prevenar13にはPrevenarに含まれる7種(4,6B,9V,14,18C,19F,23F)の血清型に加え、重い侵襲性感染症に関わる6種(1,3,5,6A,7F,19A)の血清型が含まれている。なかでも、血清型19Aは世界の多くの地域で高い頻度で認められ、また、薬剤耐性化が進んでいるという。なお、日本において、7価肺炎球菌結合型ワクチンは現在承認申請中で、また13価肺炎球菌結合型ワクチンは第II/III相試験中とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2009/0724.asp

1960.

サノフィパスツール、フランス政府より新型インフルエンザA型(H1N1)ワクチンの製造を受注

サノフィ・アベンティスグループ(EURONEXT:SAN、NYSE:SNY)のワクチン事業部門であるサノフィパスツールは、フランス保健省より、新型インフルエンザA型(H1N1)ワクチンの製造要請を受けたと発表した。今回のフランス保健省からの発注は、初回分として新型インフルエンザA型(H1N1)ウイルスに対するワクチン2,800万回接種分に関するものであり、追加の2,800万回接種分を発注するオプションも含まれているという。なお、今回の発注は、パンデミックと宣言された、あるいはパンデミックの可能性があるとして世界保健機関(WHO)によって特定されたウイルスに対するワクチンをフランス保健省が購入することを規定した、パンデミックインフルエンザワクチンの供給に関するサノフィパスツールとフランス政府間の既存契約に従って行われたとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/88FAC59A-4479-4168-850B-583303D89427.pdf

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