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第79回 新たなコロナウイルス変異株「オミクロン型」に警戒を/WHO

<先週の動き>1.新たなコロナウイルス変異株「オミクロン型」に警戒を/WHO2.子宮頸がんワクチン積極的勧奨、来年4月から/厚労省3.医療費適正化に向け、リフィル処方箋の導入求める声も/経済諮問会議4.コロナ赤字を抱える病院、診療報酬改定をめぐる攻防の行方は?5.サイバー攻撃を受けた電子カルテ、約2億円をかけ復旧目指す/徳島県1.新たなコロナウイルス変異株「オミクロン型」に警戒を/WHO世界保健機関(WHO)は26日、南アフリカで新たに見つかった新型コロナウイルスの変異型を最も警戒レベルが高い「懸念される変異型(VOC)」に分類し、「オミクロン型」と名付けた。アフリカ以外に、香港やイギリス、オランダ、ベルギーなどでも感染が確認されており、多くの国が南アフリカとその周辺地域からの直行便の運航を禁止するなど、各国で対応を急いでいる。わが国でも国際便を運航する空港で水際対策強化を進めている。(参考)WHO、新変異型「オミクロン」と命名 警戒最大に(日経新聞)新変異ウイルス「オミクロン株」 懸念される変異株に指定 WHO(NHK)オミクロン株、英独伊で検出 ジョンソン首相、行動規制の復活発表(毎日新聞)成田や羽田で「オミクロン株」対策始まる、誓約書記入も…帰国の男性「細かいが仕方ない」(読売新聞)2.子宮頸がんワクチン積極的勧奨、来年4月から/厚労省厚生労働省は26日に、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス感染を防ぐHPVワクチンについて、従来行ってきた定期接種ではなく、積極的に個別勧奨することを自治体に向けて通知した。これまでの積極的勧奨の差し控えを求めていた2013年の勧告は廃止した。接種の再開時期は2022年4月としているが、体制が整った自治体では前倒しも可能としている。(参考)子宮頸がんワクチン積極勧奨 来春再開、空白世代も救済 公費での接種調整(日経新聞)子宮頸がんワクチン 来年4月 接種の積極的呼びかけ再開 厚労省(NHK)ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の今後の対応について(厚労省)3.医療費適正化に向け、リフィル処方箋の導入求める声も/経済諮問会議政府は25日に開催した経済諮問会議(議長:岸田首相)で、来年度の予算編成に向けて、社会保障改革や今後の財政運営について議論を行った。この中で、諮問会議民間委員は「診療報酬本体のメリハリのある見直しを行い、国民負担を軽減すべき」とし、通院回数を減らすことによる感染症拡大中の患者負担軽減や医療費の抑制、さらに残薬の削減に向け、かかりつけ薬剤師による適切な服薬指導の下、リフィル処方を導入すべきとの意見を出した。また、一人当たり医療費・介護費の地域差半減・縮減の推進のために、地域医療構想のPDCAサイクルの強化や医療費適正化計画の在り方の見直しを求めた。(参考)諮問会議で鈴木財務相 22年度改定は「“医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし”の姿勢で臨む」(ミクスonline)令和3年11月25日 経済財政諮問会議(首相官邸)4.コロナ赤字を抱える病院、診療報酬改定をめぐる攻防の行方は?厚労省は24日の中央社会保険医療協議会の総会において、医療機関の経営状況を調べた医療経済実態調査の結果を公表した。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により受診控えが生じたため、一般病院の損益は6.9%の赤字となり、前年度の赤字(3.1%)を上回ることが明らかとなった。政府が行った新型コロナウイルス対策で、一般病院に対して1施設当たり平均約2.4億円、コロナ専用病棟を持つ重点医療機関には約10億円を支払った補助金を含めると0.4%の黒字となったものの、2021年6月に至っても感染拡大の影響が残り、赤字基調のままだった。医療界は診療報酬のプラス改定を求めているが、財務省はコロナ対策を契機に医療費適正化のため診療報酬の引き上げに対しては否定的であり、年末まで各団体との調整が続くと見られる。(参考)診療報酬めぐり「日医」「財務省」攻防激化(産経新聞)来年度の改定“診療報酬 引き下げを” 健保連など厚労省に要請(NHK)病院の利益率、マイナス6.9% コロナ補助金で黒字化 20年度(毎日新聞)5.サイバー攻撃を受けた電子カルテ、約2億円をかけ復旧目指す/徳島県 徳島県つるぎ町(人口7,877人)にある町立半田病院の電子カルテが、10月31日にサイバー攻撃を受け、カルテ情報が暗号化されアクセスできなくなって約1ヵ月、病院側はランサムウェア攻撃の犯行声明を出した国際的なハッカー集団に身代金を支払うことなく、約2億円をかけて新システムによる電子カルテの復旧を行うことになった。これまでのサイバー犯罪は企業をターゲットにした犯行が多かったが、電子カルテについても今後増えていく可能性が高く、対策強化が必要となる。(参考)消えた電子カルテ、お産もできない…田舎の病院を襲ったサイバー攻撃(朝日新聞)身代金払わず2億円で新システム 徳島サイバー被害病院(日経新聞)サイバー被害の徳島・半田病院、通常診療を一部再開 小児科と産科部門を先行(徳島新聞)

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J-CLEAR特別座談会(4)「COVID-19:治療薬の現状と展望~エビデンスからの検証」

J-CLEAR特別座談会(4)「COVID-19:治療薬の現状と展望~エビデンスからの検証」出演東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巖 氏東京医科大学呼吸器内科客員教授、健康医学会附属東都クリニック 山口 佳寿博 氏東海大学医学部内科学系循環器内科学教授、J-CLEAR理事 後藤 信哉 氏琉球大学大学院医学研究科臨床薬理学、横浜市立大学ヘルスデータサイエンス専攻 植田 真一郎 氏「CLEAR!ジャーナル四天王」執筆メンバーら4氏が、「COVID-19:治療薬の現状と展望~エビデンスからの検証」をテーマに、各々の専門領域の知見を基に議論を交わしたウェブ座談会の模様を前・後編でお届けします。なお、この番組は2021年10月21日に収録したもので、当時の情報に基づく内容であることをご留意ください。

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新型コロナとインフルワクチンの同時接種は安全か/Lancet

 新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種できれば、医療現場の負担減少につながる。米国ではワクチン接種率を高めるために同時接種も可としているが、日本では現時点で互いに片方のワクチンを受けて2週間後に接種可となっている。今回、英国のComfluCOV Trialグループによる多施設共同無作為化第IV相試験で、新型コロナウイルスへのアストラゼネカ製ワクチン(ChAdOx1)もしくはファイザー製ワクチン(BNT162b2)とインフルエンザワクチンの同時接種により安全性の懸念は引き起こされなかったことが示された。また、両ワクチンに対する抗体反応も維持されていた。英国・University Hospitals Bristol and Weston NHS Foundation TrustのRajeka Lazarus氏らが、Lancet誌オンライン版2021年11月11日号で報告した。 本試験では、2021年4月1日~6月26日に英国における12施設で、新型コロナワクチン(ChAdOx1またはBNT162b2)の初回接種を受けた成人679人を登録し、以下の6グループに分けて検討した。・ChAdOx1+培養細胞4価インフルエンザワクチン:129人・BNT162b2+培養細胞4価インフルエンザワクチン:139人・ChAdOx1+MF59Cアジュバント添加3価インフルエンザワクチン:146人・BNT162b2+MF59Cアジュバント添加3価インフルエンザワクチン:79人・ChAdOx1+遺伝子組換え4価インフルエンザワクチン:128人・BNT162b2+遺伝子組換え4価インフルエンザワクチン:58人 その後、新型コロナワクチンの2回目接種と一緒にインフルエンザワクチンもしくはプラセボを接種し、その3週間後にインフルエンザワクチン接種者にはプラセボを、プラセボ接種者にはインフルエンザワクチンを接種し、6週間観察した。前者には340人、後者には339人が無作為に割り付けられた。主要評価項目は、インフルエンザワクチンもしくはプラセボの接種後7日間に参加者から報告された1つ以上の特定全身反応であり、差が25%未満であれば非劣性とした。また、局所および非特定全身反応、液性応答も評価した。 主な結果は以下のとおり。・6グループのうち、ChAdOx1+細胞培養4価インフルエンザワクチン(インフルエンザワクチン群とプラセボ群のリスク差:-1.29%、95%信頼区間:-14.7~12.1)、BNT162b2+培養細胞4価インフルエンザワクチン(6.17%、-6.27~18.6)、BNT162b2+MF59Cアジュバント添加3価インフルエンザワクチン(-12.9%、-34.2~8.37)、ChAdOx1+遺伝子組換え4価インフルエンザワクチン(2.53%、-13.3~18.3)の4グループでは非劣性を示した。一方、ChAdOx1+MF59Cアジュバント添加3価インフルエンザワクチン(10.3%、-5.44~26.0)、BNT162b2+遺伝子組換え4価インフルエンザワクチン(6.75%、-11.8~25.3)では、95%CIの上限が非劣性マージンを超えた。・ワクチン接種による全身反応のほとんどが軽度もしくは中等度だった。・局所および非特定全身反応の割合は、無作為に割り付けられた2群間で同様だった。・重篤な有害事象は重度の頭痛による入院の1件で、試験的介入に関連していると考えられた。・免疫応答への影響はなかった。 研究者らは「来シーズンに、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを一緒に接種することで、ワクチン接種のための医療現場の負担が軽減され、ワクチンが必要な人々へのタイムリーなワクチン投与とCOVID-19とインフルエンザの予防を可能になる」と考察している。専門家はこう見る:CLEAR!ジャーナル四天王COVID-19ワクチンと季節性インフルエンザワクチン同時接種における安全性と免疫原性(解説:小金丸 博 氏)-1476 コメンテーター:小金丸 博( こがねまる ひろし ) 氏東京都健康長寿医療センター 感染症内科医長

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新型コロナウイルスワクチン接種者のブレークスルー感染(既感染者と未感染者の比較)(解説:小金丸博氏)

 新型コロナウイルスワクチン接種後にブレークスルー感染が起こることはすでに知られた事実である。今回、mRNAワクチンである「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)または「mRNA-1273」(Moderna製)の接種者を対象に、ブレークスルー感染発生率を既感染者と未感染者で比較した観察研究がJAMA誌に報告された。 BNT162b2接種群の累積感染発生率(追跡期間120日)は既感染者で0.15%(95%信頼区間[CI]:0.12~0.18)、未感染者で0.83%(同:0.79~0.87)、mRNA-1273接種群では既感染者で0.11%(同:0.08~0.15)、未感染者で0.35%(同:0.25~0.48)だった。既感染者は感染により自然免疫を獲得できているため、感染発生率が低いのは予想できる結果である。今回の研究では、既感染者の中でワクチン接種群と非接種群を比較したデータはなく、既感染者にワクチンを接種することによるワクチン免疫の上乗せ効果がどれだけあったかは不明である。 また、既感染者のうち、初回ワクチン接種が感染後6ヵ月以上経過していた人の方が6ヵ月未満だった人よりも、ブレークスルー感染率が低いという結果が得られた。興味深い結果ではあるが、このような結果が得られた理由は説明できていない。既感染者に対するワクチンの適切な接種時期、スケジュールは確立されておらず、今後の課題の1つである。 本研究はカタールで実施された全国レベルの大規模なコホート研究である。注意すべきLimitationとしては、未感染者の中に見逃された感染者が含まれている可能性があること、対象に小児や高齢者の割合が少なく一般化できないこと、基礎疾患に関してマッチングをできていないこと、2種類のワクチンの直接比較はできなかったこと、などが挙げられる。 ワクチンの効果は患者側の要因(年齢、基礎疾患など)に加えて、ウイルスの要因(変異株の種類など)の影響を受けると考える。ブレークスルー感染が起こる原因を特定し、有効性の高いワクチンの開発やブースター接種スケジュールの確立が望まれる。

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第85回 今度は野党の代表選、各氏の新型コロナ対策はやはり痛し痒しだった!?

先の衆議院選中に各政党の政策比較をしたが、選挙の結果は周知のように与党である自民党と公明党がやや議席を減らしながらも安定多数を確保し、野党は日本維新の会が躍進するものの、野党第1党である立憲民主党が議席減となり、枝野 幸男代表が辞任を表明。現在同党は代表選挙の真っ最中だ。代表選に出馬したのは4人。以前、自民党総裁選に出馬した4人の政策を俯瞰したが、ここでも一応、「平等性」を鑑み、例のごとく、各人の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に関する政策(経済支援は除く)を「独断と偏見」で俯瞰してみようと思う。ちなみに私個人はそもそもこの間に立憲民主党が提案していた新型コロナに関する政策にはやや否定的。最大の理由は、同党が6月に提出した「新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案」(通称:日本版EUA整備法案)」に対しての評価が低いからだ。この法案は今回の新型コロナ対応として、一部で有効性があると指摘される適応外医薬品を厚生労働大臣が指定し、その生産・安定供給確保と医師が処方した際に万が一起きた副作用被害について公的救済制度を適用するという内容だ。一見すると非常時に機動的な法案のようにも思えるが、そもそも根幹にある日本国内での医療用医薬品の承認審査制度を揺るがしかねない問題であり、そう単純な話ではない。また、コロナ禍に入ってから、駆虫薬のイベルメクチン(商品名:ストロメクトール)やインフルエンザ治療薬のファビピラビル(商品名:アビガン)のように新型コロナに対するエビデンスが薄弱なものを臨床で使用すべきという声が市中の一部で加熱し、臨床現場にも混乱を与えている状況がある。そうした中で、同法案提出の中心的な存在でもある外科医で同党衆議院議員である中島 克仁氏が、強力なイベルメクチン信奉者であることにもかなり疑問を感じている。さて前置きが長くなったが、そうしたことから代表選に出馬している各氏が今後新型コロナに関してどのような政策を訴えているかは、今後の同党の行方を占う上で一定の評価軸になると考えている。もっとも今回の代表選が自民党総裁選と違う点は、各人の代表選用ページがあまりにも貧弱なこと。これは与党議員と野党議員の資金力とマンパワーの違いも影響しているのだろうか? また、立憲民主党自体は各地で積極的に4候補の演説会や会見、討論会を割とシステマティックに実施しているのだが、逆にシステマティック過ぎて各候補者の持ち時間が少なく、十分な話が聞けないという点もある。それを前提に各候補者のホームページと新型コロナ対策がメインテーマの1つだった札幌市での公開討論会から各氏の意気込みを拾い上げてみたい。なお取り上げる順番は五十音順に従う。政策はスローガン止まりか? 泉氏まず、衆議院議員の泉 健太氏(47)。北海道生まれで同党の福山 哲郎幹事長の秘書を経て、2003年衆議院選に旧民主党から出馬し初当選(京都3区)。民主党政権時代は内閣府大臣政務官を務め、希望の党、国民民主党を経て立憲民主党に合流し、現在8期目である。泉氏は自身のホームページでは以下のような新型コロナ対策を掲げている。国の責任で、宿泊療養も含めた医療体制を強化。いつでもどこでも誰でも安く検査を受けられる体制の確立を前提に、ワクチン接種済者・検査陰性者の行動の自由を拡大。3回目ワクチン接種の確実な実施、国産ワクチン・治療薬開発へ強力な支援。ちなみに札幌市での討論会では次のように語っている。「とにかく自宅療養は事実上の医療放棄だと言われてしまった。本当に不安の中でパルスオキシメーターはあるかもしれないけれど、電話をすればいいかもしれないけど、やはり自宅療養というのはあってはならないことだと思っております。その意味でしっかりとサポート体制を作っていく、これをまず訴えています。ワクチン接種済み者、検査陰性者の行動の自由を確保することに当たっては、いつでもどこでも誰でも安く検査を受けられる体制が重要。四国に選挙の応援で行った時、ある女性の方からやはりどうしてもアレルギーで(ワクチンを)打てないと、そういう中で女性から『あなた打ちましたか?』という(周囲からの)問いかけこそが心理的負担になるんだというお話を伺った。そんなことが変に問われる社会をつくるのではなく、皆さんが過ごしやすい社会を作っていくということだと思います」この医療体制の確保は今般与野党問わず政治家がほぼ口にすることだが、残念ながら泉議員の政策や肉声からは、そのためにどのようなことに取り組もうとしているのかはまったく聞こえてこない。もはやこの点はスローガンのみで良いステージは過ぎており、その点では具体策に欠くと言わざるを得ない。一方、ワクチン接種と行動制限緩和に関する件では、確かに医学的に受けられない人はいるため、その点に対する何らかの救済が必要な点と、個人の選択が尊重されるべきことは同意する。念のため言っておくと、私はなるべくワクチンは接種すべきと考えているし、自己選択で接種しない人に対して一定の懸念も有している。しかし、現行の法制度で強制ではない以上、その点は尊重されなければならないというものだ。もっとも現時点の医学的エビデンスを考えれば、個人にとっても社会全体にとってもワクチンの有用性は明らかであり、自己選択によるワクチン非接種者の陰性確認のための検査に公費を投入することには、やや疑問も感じている。ただ、泉議員が「無償」と主張していない点は一定程度評価してもいる。国産ワクチン・治療薬について、私は以前から与野党の議員とも軽々しく口にし過ぎであると感じる。やや乱暴な言い方をすれば、「国内でワクチン開発が可能な3~4社の製薬企業に1社当たりワクチン関連研究開発支援金を年2,000億円、20年間提供し、20年後のパンデミック時にいずれかの企業によって世界3番手のワクチン製造ができたら大成功」と言っていいくらい困難なものと考えている。唯一の医療系出身者、逢坂氏次が衆議院議員の逢坂 誠二氏(62)。今回の候補者では最年長である。北海道大学薬学部を卒業し、地元のニセコ町役場に就職。後に同町の町長選に出馬し、史上最年少の35歳で町長に就任した。2005年に旧民主党から衆議院選に出馬し初当選(比例北海道ブロック)。旧民主党政権では内閣総理大臣補佐官、総務大臣政務官を歴任。希望の党騒動時は無所属となり、その後立憲民主党に合流。現在5期目だ。経歴を見ればわかる通り、逢坂氏は医療畑出身で、これは今回の4候補者でただ1人であるが、自身のホームページには残念ながら今回の代表選用の特設ページや政策集はない。一応、新型コロナ対策について、それ以前に掲げた政策があるので以下に箇条書きするとワクチンの円滑な接種に全力を尽くす。コロナ禍によって明らかになった日本の医療や福祉の弱点を強化するため、医療福祉従事者の処遇の改善、地域ごとに偏った医療や福祉資源の改善に取り組む。ともにスローガンのみで具体策はない。そして札幌での討論会では次のように語っている。「政府の対策の一番の問題は、感染症は科学的な根拠をもって対策をしなければならないのに、科学的な根拠を優先せずに専門家の意見を聞く前に政府のほうで方針を決めたり、政府がいろんなことを押し付けたりしていた。だから科学的な根拠を持ってコロナ対策をしっかりやれるようにしていく。われわれが政権をとっていたら、私は総理ならばその方向でやっていたと思います」さてここで逢坂氏がこれまでの政府の新型コロナ対策が科学的ではないという総論は同意する。私は以前に何度も指摘しているが、とくに第4波の際の政府の緊急事態宣言解除時期の判断は明らかに科学的な根拠を欠き、それが多数の自宅療養者が発生した第5波につながっていると考えている。もっとも逢坂氏がどの点を科学的根拠に欠くと考えているのかは分からない。そこでネットを検索すると、次のような記事がヒットした。「科学的裏付けも国民の信頼もなかった安倍・菅政権のコロナ対策<立憲民主党衆議院議員 逢坂誠二>」(日刊SPA!/月刊日本)ここで言われているのはPCR検査体制の不十分さ、感染経路追跡のためのゲノム解析の拡大、「市中感染を徹底的に封じ込める」「感染経路が追跡可能な範囲まで感染を抑制する」という意味での『ゼロコロナ政策』である。少なくとも昨春のパンデミック発生当初、国内のPCR検査体制が不十分だったことは事実だが、この記事が公開された10月の段階でもなおその体制が不十分だという認識はいささか疑問を感じる。となると、逢坂氏は保険適応のPCR検査の対象をどこまで拡大すべきと考えているのだろうか? この点が不明で何とも判断がつきかねる。一方、逢坂氏は前述の日本版EUA整備法案の提案者の一人になっていることはやや懸念を感じる。念のため検索すると、逢坂氏自身はイベルメクチンやファビピラビルについて賛同の言及をしている痕跡はネットサーフィンをしている範囲では見つからない。特定の薬剤を極度に信奉しているわけではなく、同法案に総論的な賛成の立場なのかもしれない。しかし、概して言っても逢坂氏が主張する「科学的根拠に基づくコロナ対策」に私個人は納得感が得られていない。内容薄め?小川氏3番手は衆議院議員の小川 淳也氏(50)。旧自治省の出身で2005年の衆議院選で初当選(香川1区、比例復活)。旧民主党政権時代は総務大臣政務官を務め、希望の党、無所属を経て立憲民主党に合流している。現在は6期目。小川氏のホームページには代表選の政策としてコロナ対策に言及がある。それは以下のようなものだ。ワクチン接種の推進医療提供体制の充実治療薬や国産ワクチンの開発普及推進経済活動との両立についてはワクチン接種証明等を活用して経済刺激策を検討する一方で、体質や心情等に十分配慮し、無償の検査並びに無償の陰性証明をセットで提供そして札幌での討論会では次のように語っている。「幸かな、今比較的落ち着いた状況にありますが、しかし、第6波がないとはいえません。この完全収束に向けて政治は全力を挙げるべきです。その際ワクチンのさらなる接種と治療薬の承認普及、それともちろん医療提供体制と同時に経済も少しずつ動かしていかねばなりません。政府はGo Toキャンペーンなどと言っていますが、ワクチンの接種完了証明と併せての経済活動、さらにその時にやっぱりワクチン受けたくない、体質の問題と心情的に非常に抵抗感あるという方、結構いらっしゃる。やっぱり無償の検査と無償の陰性証明、これはぜひセットにすべきではないか」上記政策のうち上から3つは、言っては悪いが美辞麗句を並べただけにしか映らない。そしていわゆる「ワクチン・検査パッケージ」では検査無料を訴えている。この点について私の見方は泉氏のところで触れたとおりだ。独断と偏見で恐縮だが、全候補者の中で最も中身が薄い。厚労副大臣の経験がものを言う?西村氏そして最後が女性唯一の候補者である衆議院議員の西村 智奈美氏(54)。大学院で法学修士号を取得し、複数の大学で講師を務める傍ら、国際協力のNPO法人を創設し事務局長を務め、1999年に旧民主党から新潟県議会議員選挙に立候補し当選。2003年に衆議院選初当選(新潟1区)。旧民主党政権では外務大臣政務官、厚生労働副大臣を歴任。希望の党騒動時から立憲民主党に参加した。現在6期目。自身の代表選特設ホームページでは、新型コロナ対策として「新型ウイルス対策の司令塔の強化」を掲げているものの、現在の司令塔のどこに問題があり、本人はどのように強化しようとしているかはまったく言及がない。そのほかには以下のようなことも訴えている。新型ウイルス禍などで医療崩壊の事態を二度と繰り返さない病床数削減などの公立公的病院の縮小・再編を見直す保健所やケアワーカー、介護保育福祉の現場などで働くエッセンシャルワーカーの待遇改善札幌での討論会の発言は以下のようなものだ。「この間自民党政権は小さな政府を追い求め続けてしまったと思います。保健所の体制が大きく弱ってしまいました。感染症は終わったということで、およそ30年前から生活習慣病へと保健所の仕事がシフトしてきてしまった。感染症のお医者さんも足りません、感染症のベッドは今回のウイルスの感染が起きるまでは1,800床ぐらいしか全国にありませんでした。このことを契機にしっかりと見直していく。一には検査そして隔離・治療、こんなウイルスで治療を受けることができずに亡くなる方を今後は一人たりとも生まないように医療の体制もしっかり立て直していきたい」少なくとも厚労副大臣を務めたこともあってか、この発言の前段のように一定の見識は持っているようだ。もっとも保健所機能も含め日本全体の医療体制が生活習慣病へとシフトしたのは、もはや避けられない少子高齢化が進行しているためであり、日本全体の針路を考えると、この方向性そのものは大きく変えられない。そうした中で、感染症専門医も感染症対応病床も掛け声だけで増えるわけもない以上、災害のような感染症対策のために日本の医療にどの程度エクストラな余裕を持たせるかについては、もう少し具体策への言及が必要だろう。政治に期待しても無駄と言われてしまうかもしれないが、今回のコロナ禍ではやはり政治の重要性と日本国内でのその迷走ぶりが際立っただけに、やはり無視はできない。とはいえ、ここまでざっと触れてきた野党第1党の各候補とも「帯に短し襷に長し」というか…。

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HPVワクチン接種行動は変わったか?

 HPVワクチンは2010年の接種開始以降、副反応忌避が続き接種率1%未満が続いていたが、昨年自治体から接種対象者への個別通知が再開し、今年は積極的受診勧奨再開に向けた検討会が開かれるなど動きが出てきた。 現在どのように接種行動や意識は変化しているのだろうか。HPVワクチンの普及啓発活動を行う一般社団法人みんなで知ろうHPVプロジェクト(通称みんパピ!)が、現在のHPVワクチンに対する意識・実態調査を行った。接種率は約14% 調査はインターネット上で行われた。9,219名の回答者から無料接種対象年齢の本人として高校1年生の女子473名を抽出しHPVワクチン接種の有無を尋ねたところ、接種した、もしくは接種中が14.4%だった。接種へのハードルは情報提供 未接種者の接種意向とどのような情報提供が必要か知るために、高校1年生の女子245名(以下本人)と高校1年生の女子を子供に持つ女性245名(以下親)を対象にアンケートを行った。そのうち未接種者の接種意向は、本人(32.4%)、親(12.6%)で、本人の接種意向がより高い傾向にあった。接種意向のある本人におけるハードルは、安全性への懸念(約16%)や副反応への懸念(約13%)が多く、次いでHPVワクチンの情報不足(約11%)や申し込み方法がわからない(約11%)といった手続き上の不安が挙がった。手続きについての不安は自治体からの個別通知が有効である可能性が高い。接種意欲を向上させる情報は? 上記の不安を踏まえ、どのような情報が接種を促すだろうか。アンケート内でHPVワクチンに関して無料接種対象年齢やHPV感染率、ワクチンの有効性、安全性といった情報提供を行い、再度接種意向を聞いたところ示唆に富む結果が出ている。 本人では「HPV感染率-生涯で約8割がHPVに感染する」ことの認知度は接種者・未接種者ともに低かった。そしてこの情報提供後に未接種者の約56%が接種意向を示した。 親ではHPV感染率の情報提供で約32%が接種意向を示した。本人に比べて情報提示後の変化は少ないが、本人・親ともにHPV感染率についての情報提供が接種への寄与度が高いといえる。 さらに有効性に関する詳細な情報提供も行った中でも本人と親に違いがみられた。本人では子宮頸がんを発症した場合9割は子宮摘出などの侵襲治療が必要という情報の認知度が低く、情報提供後の接種意向の上昇に寄与している。 親ではHPVワクチンが中咽頭がんや肛門がんなどほかのがん予防になるという情報が意向に寄与した。情報の入手経路 子供は学校とSNS、親はテレビや病院から知りたい ワクチンに関する情報入手経路は、本人は親からが最多。親はテレビ新聞などのオールドメディアや自治体広報が上位を占めた。今後どのような媒体からの情報を希望するかという問いに対して多い回答は、本人は約40%が学校から、約25%がSNSからの情報提供を望んでいた。SNSの中ではYouTubeの希望度が高かった。親は約40%がテレビ番組やCM、約38%が病院や医療機関からの情報入手を望んでいることがわかった。 同団体は昨年クラウドファンディングで資金調達し、説明に時間のかかる安全性情報の提供をサポートするパンフレットの無償配布や学校での情報提供などで啓発を行っている。クラウドファンディングは継続しており、アンケートで希望があったYouTubeをはじめとしたSNSでの展開拡大などを予定している。 結果の詳細はみんパピ!ホームページで確認できる。

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第85回 インフルワクチン・後発薬の供給不足招いた薬剤費削減政策のツケ

新型コロナウイルスの新規感染者数は急減しているが、喜んでばかりもいられない状況になっている。インフルエンザワクチンでは製造で使う部品が新型コロナ用に回されて確保が難しくなっている上、ジェネリック医薬品も供給停止・出荷調整問題や新型コロナ感染症による需要の変化が影響し、供給不足に拍車が掛かっている。ジェネリック医薬品の使用率は2020年9月時点で78.3%と大きく、医療現場にも影響を及ぼしている。このような状況下、大阪府保険医協会は現状を把握するため、会員を対象にアンケートを実施し、11月18日に結果を公表した。厚生労働省にも実態を伝え、12月に要望書を提出する予定だ。アンケートは11月8日に会員4,407件にファクスを送信し、15日までに470件の回答を得た。主に院内処方は156件、院外処方は286件だった。インフルワクチン納入、8割超が「減った」まず、インフルエンザワクチンの当初入荷量について、397件(84.5%)が「昨年より少ない」と回答。そのうち、一番多かったのは「昨年比70%」だった。現在の入荷状況については「既に入荷」が171件、「12月までに入荷予定」が147件、「入荷数が減り目途が立たない」が144件だった(「12月まで」「目途が立たない」の重複回答が若干あり)。11月上旬時点では不安定な入荷状況が伺える。現在のインフルエンザワクチンの接種対応は「予約制」が270件、「ワクチンがあれば接種」が201件。一方で、「今季は終了した」も7件あった。また、ジェネリック医薬品については「納入がなくなった」「薬局に在庫がないと言われた」は374件(79.6%)に上った。具体的な医薬品名として175品目が挙げられ、なかでも骨粗鬆症に関わる医薬品が上位を占めた。次いで抗アレルギー薬、高血圧や消化器系の医薬品が多かった。後発薬不足による薬剤変更で副作用・症状悪化も医薬品の供給不足による影響は、「薬剤への切り替えに手間がかかる」(214件)、「他剤に切り替えたことへの弊害」(104件)、「休薬せざるを得なかった」(130件)などが挙がった。薬剤の形状や色が変わることや、医薬品不足でたびたび薬剤を変更することへの不安などから患者に対する説明が増え、薬局からの問い合わせ、代替薬の検討などの業務が診療にも影響を与えている状況が伺えた。また、頭痛・めまい・不眠などの副作用、中には圧迫骨折や発作の再発など深刻な症状悪化の報告もあった。このほか「患者負担が増えた」との報告も少なくなかった。安定供給への国の支援求める一方、政策に疑問の声一連の問題に対して国・厚生労働省が取るべき対応については、「単にメーカーの問題とせず安定供給への国の支援」(280件)がトップに挙げられた。次いで「医薬品供給状況の迅速な情報開示」(194件)、「ジェネリック医薬品の品質管理に対する規制強化」(191件)などが挙がった。会員からは、これまでの国のワクチン行政やジェネリック医薬品誘導政策への疑問の声も上がった。「毎年10月1日から全国の自治体でワクチン接種が始まることが決まっているのに、なぜ毎年、入荷が遅れたり、ワクチンが不足したりするのか」「ジェネリック医薬品の過度な誘導が今回の結果を招いている」などだ。菅 義偉政権が2年に一度だった薬価改定を毎年実施(事実上の引き下げ)に転換するなど、国の薬価切り下げ政策が医薬品メーカーの開発力や品質、安定供給体制などを低下させてはいないか。医療を巡る緊縮財政策が国民の安心安全を脅かしてはいけない。

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3回目のワクチンは2回目完了から8ヵ月/厚労省

 11月17日、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンについて、今後のCOVID-19ワクチンの追加接種などに関する自治体向け説明会を開催した。追加接種については11月15日開催のワクチン分科会を踏まえた対応方針をもとに行われる。本稿では資料より抜粋した主要項目を示す。ワクチン追加接種のスケジュール(1)3回目の追加接種について【ワクチンの対象者】・感染拡大防止及び重症化予防の観点から、1回目・2回目の接種が完了していない者への接種機会の提供を継続するとともに、2回接種完了者すべてに対して追加接種の機会を提供する。・18歳以上の者に対する追加接種としてファイザー社ワクチンが薬事承認されたことを踏まえ、まずは18歳以上の者を予防接種法上の特例臨時接種に位置付ける。・重症化リスクの高い者、重症化リスクの高い者と接触の多い者、職業上の理由などによりウイルス曝露リスクの高い者については、とくに追加接種を推奨する。【使用するワクチン】・1回目・2回目に用いたワクチンの種類にかかわらず、mRNAワクチン(ファイザー社ワクチンまたモデルナ社ワクチン)を用いることが適当。(※mRNAワクチン以外のワクチンの使用は科学的知見を踏まえ引き続き検討)・当面は、薬事承認されているファイザー社ワクチンを使用することとし、追加接種にモデルナ社ワクチンを使用することに関しては、薬事審査の結果を待って改めて議論する。【2回目接種完了からの接種間隔】・2回目接種完了から原則8ヵ月以上とする。(2)小児(5~11歳)の新型コロナワクチンの接種について 小児の感染状況、諸外国の対応状況および小児に対するワクチンの有効性・安全性を整理した上で、議論する。(3)特例臨時接種の期間について 現行の期間(令和4年2月28日まで)を延長し、令和4年9月30日までとする。小児への接種では学校集団接種は推奨せず 小児への接種体制については、事前承認前であり、すべて予定の情報である。【小児用(5~11歳用)ファイザー社ワクチンの特性について】 5~11歳用のファイザー社ワクチンは、12歳以上用の(既存の)ファイザー社ワクチンとは濃度や用量が異なる。5~11歳の方には、必ず5~11歳用のワクチンを使用のこと。 とくに希釈が必要(1.3mLの薬液を1.3mLの生理食塩液で希釈)で、1回当たり0.2mLを接種する。小分けルールは12歳以上用の製剤と同様。【基本的な考え方】 小児への接種についても、(1)1機関で複数ワクチンを取り扱うことを許容するほか、(2)12歳以上と同様に小児用ワクチンを取り扱う医療機関間での小分け配送が可能。 また、12歳以上用と小児用で取扱いルールが異なることから、別種類のワクチンとして扱う。複数ワクチンを取り扱う場合には、混同しないような接種体制が必要。 (3)学校集団接種については、「保護者への説明機会が乏しい」「体調不良時の対応の困難性」などの制約から現時点では推奨するものではない。若年に多い副反応報告 アナフィラキシーなどの副反応に関する報告を次のようにまとめている。【アナフィラキシーについて】(1)引き続き国際的な基準(ブライトン分類)に基づく評価を実施。(2)ファイザー社ワクチンのアナフィラキシー疑いとして報告されたものは、接種開始から10月24日までに2,922件(うちブライトン分類で555件がアナフィラキシー)と評価された。(3)武田モデルナ社ワクチンは10月24日までに製造販売業者報告は491件だった(うちブライトン分類に基づく評価においては、アナフィラキシーと評価されたものは50件)。(4)アストラゼネカ社ワクチンは10月24日までに医療機関報告は3件あり、いずれもブライトン分類4だった。(5)年齢、性別別の解析結果では、若年の女性においてアナフィラキシーの報告頻度が多い傾向がみられている。(6)アナフィラキシー疑いとして報告され、転帰が確認されたほとんどの例で軽快したことが判明している。【心筋炎関連事象について】(1)集団としての分析に関し、以下の状況が認められる。・COVID19感染症により心筋炎を合併する確率は、ワクチン接種後に心筋炎を発症する確率と比較して高い。ワクチン接種後の心筋炎については、国内外において、若年男性で2回目接種後4日以内の発症報告が多い。・(ワクチン間の被接種者の属性が異なることに留意が必要として)国内における年齢、性別別の報告頻度に係る集団的な解析で、10歳代および20歳代男性の報告頻度が多く、10歳代および20歳代男性についてファイザー社ワクチンに比べて、モデルナ社ワクチン接種後の報告頻度が高い。・心筋炎関連事象疑い事例の死亡の報告頻度は一般人口と比べて高かったが、若年の年代別の死亡全体の報告頻度は一般人口と比べて低かった。(2)心筋炎関連事象の転帰は、発症しても軽症であることが多いとされている。国内で報告があった若年男性の事例では、死亡例や重症例も報告されているが、引き続き、転帰が確認可能であった多くの事例で、軽快または回復が確認されている。【血小板減少症を伴う血栓症について】 ファイザー社ワクチンについては12件、モデルナ社ワクチンについては2件、アストラゼネカ社ワクチンについては1件が、ブライトン分類に基づき血小板減少症を伴う血栓症と評価された。【年齢・性別に関して】(1)mRNAワクチンにおいては、アナフィラキシーおよび心筋炎関連事象以外の副反応疑い報告全体の報告頻度についても、若年者において報告頻度が多い傾向がみられている。(2)死亡報告については高齢者において報告頻度が多い傾向がみられてれいる。 なお、上記の報告内容は発表時点の内容であり、接種対応などについては、12月1日以降の改正された省令・大臣指示により行われる。

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コロナワクチン3回接種、抗体はどのくらい増える?/JAMA

 新型コロナのファイザー製ワクチン(BNT162b2:以下、ワクチン)の60歳以上での抗体価の持続については、まだ不明瞭な点が多い。そこで今回、イスラエル・テルアビブ大学のNoa Eliakim-Raz氏らは、60歳以上を対象に3回目ワクチンの接種前後の抗体価を調査した。その結果、3回目接種が接種10~19日後のIgG抗体価の増加と有意に関連していることが明らかになった。JAMA誌オンライン版11月5日号のリサーチレターに掲載された。ワクチン3回目接種前と接種10~19日後のIgG抗体価をを測定 ワクチンを2回接種した人の免疫応答を年齢で見た場合、65~85歳では18~55歳よりも低いことが明らかになっている。さらに、2回目のワクチンを接種した4,868人の医療従事者でとくに65歳以上では、2回目接種から6ヵ月以内に液性免疫(IgG抗体、中和抗体)の有意な低下が観察されている。また、イスラエルのある研究1)で、3回目接種が新型コロナウイルス感染と重症者の発生率低下との関連性を示唆していたことから、本研究では60歳以上の3回目接種による免疫反応を見るために、血清学的検査データを評価項目として追加した。 イスラエルでのワクチン3回目接種が世界で初めて承認後、Rabin Medical Center(RMC)のワクチン接種センターで60歳以上の研究参加者を募集、97例が適格だった。除外基準は、新型コロナウイルス既感染者と活動性の悪性腫瘍を有する者だった。IgG抗体価を3回目の接種前(2021年8月4~12日)と接種10~19日後(2021年8月16〜24日)にSARS-CoV-2 IgG II Quant assayを用いて測定した。血清陽性は、50任意単位(AU:arbitrary units)/mL以上と定義された。 ワクチン3回目接種前と接種10~19日後の抗体価を調査した主な結果は以下のとおり。・97例の年齢中央値は70歳(四分位数[IQR]:67~74)で、61%が女性だった。・3回目の投与前(最初のワクチン接種後の中央値:221日、IQR:218~225)の段階で、94例(97%)が陽性だった。・IgG抗体価の中央値は、3回目接種後に有意に増加し、440AU/mL(IQR:294~923)から2万5,468AU/mL(IQR:1万4,203~3万6,618、p

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第84回 コロナワクチン3回目、エビデンスによる“2回目から6ヵ月以上”が選ばれない理由

非常事態の行政対応はかくも難しいものか。ニュースを眺めていて、ふとそう思った。そのニュースとは新型コロナウイルス感染症の3回目のワクチン接種を巡る問題である。この件についてはNHKの以下の報道が良くまとまっている。「3回目ワクチン接種『2回目からの間隔 原則8ヵ月以上で』厚労省」(NHK)今回とりわけ問題になったのは、3回目の追加接種を2回目から「8ヵ月以上」か「6ヵ月以上」かという点だ。これについてSNS上では「『8ヵ月以上』とはどんなエビデンスなんだ」との声も聞かれるが、上記記事にもある通り厳格なエビデンスに基づいたものではなく、行政的判断である。具体的には9月17日に開催された第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で事務局を担当する厚生労働省健康局健康課予防接種室が、先行して3回目接種を開始あるいは決定した各国はおおむね2回接種の7~8ヵ月後から開始しているとの資料(リンク先P42)を提示して8ヵ月以上を提案し、参加した各委員がこれを了承したものである。しかし、この後、ファイザーやモデルナといった各社が第3四半期決算発表時にそれまで解析した自社調査によるデータを公表。2回接種完了から半年後に思ったよりも抗体価が低下していることが明らかになり、それとともに国内外で「6ヵ月以上が適切かも」という声が増えてきたという次第だ。どちらかと言えばこちらのほうが医学的なエビデンスと言えるが、ワクチン販売企業のデータゆえ、利益相反(COI)を考慮しなければならないだろう。結局、前述の記事や各種報道にあるように「2回目接種完了から8ヵ月以上」を原則とし、当初は地域の感染状況に応じて自治体の判断で「2回目接種完了から6ヵ月以上」でも対応可能としたものの、最終段階で後者の選択を取る場合は「国への事前相談」が必要となった。個人的には今回の決定はある意味妥当な着地点を見いだせたのではないかと感じる。NHKの記事を読むと、自治体側は「6ヵ月以上」となると想定していた準備の前倒しにより混乱が起きるため「8ヵ月以上」を歓迎しているようだ。一方、私個人が「妥当」と考えたのはワクチンの供給量の観点からだ。今回、主軸となるファイザー製ワクチンは年内に約1億9,000万回分が供給見込みで、すでに約1億7,584万回分が接種済み。年内の残りは1,400万回分だが、現時点で1回目接種完了者の2回目接種分約360万回分が必要なため、年内に3回目接種に回せる可能性があるのは最大でも1,000万回分強である。そして3回目接種は、当初の優先接種者で、すでに接種完了から8ヵ月以上が経過しているエッセンシャルワーカー最上位の医療従事者から始まるのは確実。すでに公表されているデータから医療従事者の追加接種分を算出すると約490万回が必要となる。もっとも現時点でもまだ1回目接種に辿り着いていない若年者はいるため、前述の1,000万回分すべてが3回目の接種に回せるわけではないのは周知のこと。このように考えると、地方自治体が担当する3回目接種の最初の対象者となる高齢者に回せる可能性があるワクチンは多くとも全国で300万回分程度である。接種完了済みの高齢者で概算すると、もし年内に高齢者に追加接種をするとなると、10人に1人しかできない計算になる。このため自治体判断で「6ヵ月以上」を援用できるようにすると、それこそ自治体間で醜いワクチン獲得競争が生じてしまう恐れもある。ただし、一定の柔軟性は必要とも考えている。というのも、どのように配分したとしても自治体によってはワクチン在庫に余剰が生じる可能性があり、「8ヵ月以上」あるいは「感染状況悪化時の6ヵ月以上」という基準を金科玉条にすると、期限切れで無駄に廃棄するワクチンが生じてしまう恐れがあるからだ。この辺は厚生労働省と自治体の柔軟な対応に期待したいところだ。一方で、「そこを柔軟にする?」と思った点もある。それは今回、同一医療機関でファイザー製とモデルナ製を取り扱えるとした点である。ご存じのように両ワクチンは原理がほぼ同じだが、保管管理や接種前の準備が異なる。これでは悪気がなくとも誤った接種が行われる確率は従来よりも高くなると考えられる。その意味で今回の3回目接種のさまざまな基準は、細かいようだが柔軟性が必要なところにそれが欠け、逆により厳格化すべきところが柔軟になるという「要る時に要らない。要らない時に要る」風呂の蓋のようなちぐはぐさも感じてしまうのである。

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英語で「予防接種を受けましたか」は?【1分★医療英語】第3回

第3回 英語で「予防接種を受けましたか」は?Did you receive a measles shot as a child?(子供のころに麻疹の予防接種を受けましたか?)Yes, I did. And I think all my vaccines are fully up-to-date.(はい、受けました。必要なワクチンはすべて受けていると思います)《例文1》I’ll get vaccinated against the flu tomorrow.(明日、インフルエンザのワクチンを受けます)《例文2》The patient has just received the second COVID shot/jab.(その患者は2回目のコロナワクチンを接種したばかりだ)《解説》予防接種を受ける行為やプログラムのことを“vaccination”と表現します。日本でもよく聞く“vaccine”のほうは、予防接種時に投与する薬剤そのものを指します。また、簡易的な表現として米国では“shot”、英国では“jab”という表現もよく使われます。注射全般を指す“injection”も文脈次第でワクチンを意味することがあり、「予防」という意味の“protection”もワクチンを指すことがあります。また、抗体検査をしてワクチンの効果を確認したり、必要なワクチン接種を追加接種したりすることを“To update one’s vaccine status”ということがあります。“Which of my vaccines need to be updated?”(受け直したほうがいい予防接種はありますか?)などのように使います。講師紹介

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ワクチン接種はコロナ重症化リスクを減らすか?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種は、COVID-19による入院ならびにCOVID-19入院患者の死亡/人工呼吸器装着への進行を有意に低下させる可能性が認められた。米国疾病予防管理センターのMark W. Tenforde氏らが、米国の21施設で実施した症例コントロール研究の結果を報告した。COVID-19ワクチン接種の有益性を包括的に理解するためには、ワクチン接種にもかかわらずCOVID-19を発症した人の疾患重症度が、ワクチン未接種者よりも低いかどうかを判断する疾患軽減について検討する必要があった。著者は、「今回の結果は、ワクチン未接種の場合と比較すればワクチン接種後のブレークスルー感染のリスクが低いことと一致している」とまとめている。JAMA誌オンライン版2021年11月4日号掲載の報告。死亡/人工呼吸器装着のデータがある入院患者4,513例について解析 研究グループは、2021年7月14日までに登録され、2021年3月11日~8月15日の期間に入院し、死亡と人工呼吸器装着の28日転帰に関するデータを入手できた成人4,513例について解析した。最終追跡調査日は2021年8月8日。 主要評価項目は、(1)COVID-19による入院(症例:COVID-19の診断で入院した患者、対照:他の診断で入院した患者)、(2)COVID-19で入院した患者の疾患進行(症例:死亡または人工呼吸器を装着した患者、対照:それらへの進行なしの患者)で、これらとワクチン接種との関連について多重ロジスティック回帰を用いて検討した。 解析対象4,513例の患者背景は、年齢中央値59歳(IQR:45~69)、女性が2,202例(48.8%)、非ヒスパニック系黒人23.0%、ヒスパニック系15.9%、また免疫抑制状態の患者20.1%などであった。COVID-19入院患者、疾患重症化はワクチン接種者で有意に低下 4,513例中、COVID-19入院患者が1,983例、他の診断による入院患者が2,530例であった。COVID-19入院患者1,983例のうち、84.2%(1,669例)がワクチン未接種者であった。 COVID-19による入院は、ワクチン接種より未接種と有意に関連しており(症例15.8% vs.対照54.8%、補正後オッズ比[aOR]:0.15、95%信頼区間[CI]:0.13~0.18)、SARS-CoV-2がアルファ株(8.7% vs.51.7%、0.10、0.06~0.16)、デルタ株(21.9% vs. 61.8%、0.14、0.10~0.21)でも同様に認められた。 また、この関連性は、免疫正常者(11.2% vs.53.5%、aOR:0.10、95%CI:0.09~0.13)のほうが、免疫抑制患者(40.1% vs.58.8%、0.49、0.35~0.69)より強く(p<0.001)、BNT162b2ワクチン(Pfizer/BioNTech製)接種後120日以降(5.8% vs.11.5%、0.36、0.27~0.49)のほうが、mRNA-1273ワクチン(Moderna製)接種後120日以降(1.9% vs.8.3%、0.15、0.09~0.23)より弱かった(p<0.001)。 COVID-19入院患者のうち2021年3月14日~7月14日に登録された1,197例において、28日までの死亡または人工呼吸器装着は、ワクチン接種よりワクチン未接種に有意に関連していた(12.0% vs.24.7%、aOR:0.33、95%CI:0.19~0.58)。

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5~11歳へのファイザー製ワクチンの安全性と有効性~第II/III相試験/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の5~11歳への投与(21日間隔で10μgを2回投与)は、安全で、免疫原性を有し、有効率も約91%と高いことが示された。米国・Duke Human Vaccine InstituteのEmmanuel B. Walter氏らによる、5~11歳を対象とした第I相および進行中の第II/III相の無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2021年11月9日号で発表された。第I相で投与量を10μgに、第II/III相で有効率を評価 第I相無作為化試験は2021年3月24日~4月14日に米国内4地点でスクリーニングをして包含した5~11歳の48例を対象に行われた。1対1対1の割合で3群に無作為に割り付け、BNT162b2ワクチン10μg、20μg、30μgをそれぞれ投与し、安全性と免疫原性の所見から適切な投与量を決定した。 そのうえで、2021年6月7日~19日に計2,316例の5~11歳児についてスクリーニングを行い第II/III相無作為化試験を開始。対象児を2対1の割合で2群に割り付け第I相試験で同定した投与量のBNT162b2ワクチンまたはプラセボを投与し、有効率などを検証した。 BNT162b2ワクチン2回投与後1ヵ月の免疫応答を、16~25歳を対象に30μgを投与した主研究とイミュノブリッジングし、免疫原性データから有効率を推測した。COVID-19に対するワクチン有効率は、BNT162b2ワクチン2回投与後7日以降について評価した。5~11歳児2,268例を中央値2.3ヵ月追跡 第I相試験の反応原性と免疫原性に基づき、5~11歳への投与量は10μgが選定された。 第II/III相試験では、5~11歳児2,268例が無作為化され、BNT162b2ワクチン(10μg、1,517例)、またはプラセボ(751例)を、21日間隔で投与された。2021年9月6日のカットオフ時点で、追跡期間中央値は2.3ヵ月だった。 他の年齢と同様5~11歳でも、安全性プロファイルは良好で、ワクチン関連の重篤な有害イベントは認められなかった。 ワクチン2回投与から1ヵ月後の、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)中和抗体価の、16~25歳群に対する5~11歳群の幾何平均比は1.04(95%信頼区間[CI]:0.93~1.18)で、事前に規定した免疫原性の成功基準(両側95%CIの下限値:0.67超、推定幾何平均比:0.8以上)を満たした。 2回投与後7日以降のCOVID-19の発症は、BNT162b2群3例、プラセボ群16例が報告された(ワクチン有効率:90.7%、95%CI:67.7~98.3)。

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第84回 診療報酬改定シリーズ本格化、「躊躇なくマイナス改定すべき」と財務省、 「躊躇なくプラス改定だ」と日医・中川会長(前編)

政府、新型コロナ第6波に向けた対策決定こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。日本のプロ野球も、今週末からいよいよ日本シリーズです。クライマックスシリーズは、東京ヤクルトスワローズ、オリックスバッファローズ共に大胆かつ手堅い戦い方で、どちらにもリーグ覇者の強さを感じました。気になったのは、ヤクルトと戦った読売ジャイアンツです。メディアの多くは打線の弱さを指摘していましたが、私は野手の守備の杜撰さが目に留まりました。練習をちゃんとしているのかな、と疑うようなプレーがいくつかあり、「これが今の巨人なのか?」と正直驚いた次第です。ベンチには原 辰徳監督以下、かつてのスター選手がコーチとして居並んでいたのですが、ヤクルトと比べるとなんとなく時代遅れの感も。金にあかせて強い選手を外から持ってくるだけでは、本当に強いチームをつくることは難しいのかもしれません。さて、政府は11月12日、新型コロナ感染症の第6波に向けた対策の全体像を決定しました。全体像は、1)医療提供体制の強化、2)ワクチン接種の促進、3)治療薬の確保、4)日常生活の回復の4本柱で構成。医療提供体制については、第5波で最大で2万8,000人の入院が必要になったことから、第6波ではさらに3割増えた場合を想定し、3万7,000人分の病床を用意することとしました。“器”は十分だが、スタッフは集められるか?医療提供体制としては、「第81回 国立病院機構とJCHOに法律に基づく病床確保要求、民間への『要求』法制化の“前哨戦”か?」で書いた、国立病院機構や地域医療機能推進機構(JCHO)は約2,700人の患者受け入れ増を確保したとのことです。また、重症化リスクのある患者向けの臨時の医療施設や入院待機施設は今夏と比べ4倍弱の3,400人を受け入れられる体制を築く、としています。軽症者の宿泊療養施設も今夏より3割増しの6万1,000室を準備。さらに、全国3万2,000ヵ所の医療機関などと連携してオンライン診療や訪問看護を実施する体制も整える、としています。確保しているにもかかわらず、コロナ病床に患者を受け入れない、いわゆる「幽霊病床」対策としては、病院ごとの病床稼働状況を12月から毎月公表し、ピーク時の使用率を8割以上に高める、としています。第5波の反省を踏まえ、今回の全体像では、重症病床から臨時の医療施設、宿泊療養施設、訪問看護まで、満遍なく医療提供体制を整えたと言えるでしょう。ただ、気になるのは、本当に第6波が到来した時に、病床をはじめとするそれぞれの“器”に、十分な医療スタッフを配置できるかどうかです。「幽霊病床」が生じた一因としては、重症者対応などで人手不足が生じたことも指摘されています。今回、国立病院機構やJCHOなど公立・公的病院に病床の確保要求が行われましたが、民間病院に対しても病床や医療スタッフの供出を、要請ではなく要求できる法的な仕組みの整備はまだです。この点についても、流行が沈静化している今のうちになんらかの手を打っておいたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。診療報酬改定率巡り、財務省が強烈なジャブさて、現場の医療機関が今後のコロナ対応を模索する中、来年の診療報改定に向けての議論も本格化しています。今回は、11月に入りこちらも恒例のバトルがスタートした、来年の診療報酬改定を巡る動きを追ってみました。財務省主計局は11月8日の財政制度等審議会・財政制度分科会で、来年度の診療報酬改定について、「まずは改定前の診療報酬(本体)の伸びがどのような水準かということを出発点として改定の議論を行うことが適当であり、そこが高止まりしているのであれば、躊躇なく『マイナス改定』をすべきである。そうしたプロセス抜きに、診療報酬(本体)の改定率を論う意義は乏しい」と断言、日本医師会をはじめとする医療関係団体に強烈なジャブをかましました1)。さらに、「診療報酬(本体)改定率について医療費の適正化とは程遠い対応を繰り返してきたと言わざるを得ず、診療報酬(本体)の『マイナス改定』を続けることなくして医療費の適正化は到底図れない」とも言い切りました。診療報酬改定を翌年に控えたこの時期、財務省がマイナス改定を主張するのは恒例行事とも言えますが、今年はその真剣度が違う気がします。今回の改定は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって医療提供体制の脆弱さや地域医療構想の進捗遅れが顕になった中で行われます。さらに国の財政もコロナの余波で大幅に悪化したことを考えると、改定率がどうなるか(本体プラスとなるか)は予断を許さない状況です。「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」を再度強調振り返れば、財務省主計局は今年4月15日にも、財政制度等審議会・財政制度分科会(分科会長=榊原 定征・前経団連会長)において2022年度診療報酬改定に向けての方針を説明しており、「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」との方向性を示しました(「第56回 コロナで“焼け太り”病院続出? 厚労省通知、財務省資料から見えてくるもの」参照)。そして今回、医療提供体制についても改めて言及、「新型コロナ禍では、病院数・病床数の多さに比して医療従事者が少なく、医療資源が散在し、手薄な人的配置により『低密度医療』となっている。医療機関相互の役割分担や連携が不足している」と指摘、「国民が必要な時に必要な医療にアクセスできる医療提供体制に改革していくためには、医療機関の再編・統合を含む地域医療構想の実現、医療従事者の働き方改革、医師偏在対策の三位一体での推進が重要」として、「こうした改革の進捗がないまま、あるいは改革の進行を視野に入れることなく、診療報酬改定を行う意義は乏しく、財政資源の散財となりかねない」と、再度「医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし」のスローガンを強調しています。国民医療推進協議会はプラス改定を強く要望財政制度分科会が開かれた翌日、すぐさま医療関係団体が財務省の主張に反論しました。日本医師会など医療関連41団体で構成する国民医療推進協議会は11月9日、次期改定において財源の確保を求める決議文を採択しました。決議文の内容は、「新型コロナウイルス感染症禍において、今後も緊張感を持った徹底的な感染防止対策が必要である。国民の生命と健康を守るため、新型コロナウイルス感染症対策における有事の医療提供体制と、新型コロナウイルス感染症対策以外の平時の医療提供体制は、車の両輪として何としても維持しなくてはならない。よって、適切な財源を確保するよう、本協議会の総意として、強く要望する」とシンプルなもので、新型コロナ対策における有事とそれ以外の平時の医療提供体制を車の両輪として維持するために、次期診療報酬本体のプラス改定財源の確保を求める内容です。同協議会終了後の記者会見で、中川 俊男会長(日本医師会会長)は、「新型コロナウイルス感染症禍において、地域の医療提供体制は依然として厳しい状況にさらされている。マイナス改定は到底あり得えず、当然プラス改定にすべきであると考えている」と述べ、財務省の「躊躇なく」の言葉を自身も用い、「躊躇なくプラス改定だ」と強く語ったとのことです。診療報酬改定シリーズはまさに本格化の様相です。次回は、今後の動きを少し予想してみたいと思います(この項続く)。参考1)財政制度分科会(令和3年11月8日開催)資料一覧

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第78回 HPVワクチン積極的勧奨がついに再開、キャッチアップ接種も検討

<先週の動き>1.HPVワクチン積極的勧奨がついに再開、キャッチアップ接種も検討2.コロナワクチン3回目接種を特例承認、12月から実施へ/厚労省3.大手医薬品卸6社の談合疑惑で立ち入り検査/公取委4.介護・保育職で3%の賃上げ、看護師なども給与水準UPを5.急性期医療の集約化をめぐって議論白熱/中医協6.財務省、診療報酬のマイナス改定を求める/財政制度等審議会1.HPVワクチン積極的勧奨がついに再開、キャッチアップ接種も検討厚生労働省は、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会を開催し、子宮頸がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種の呼びかけ再開について検討された。海外の大規模調査で子宮頸がんに対する予防効果が示されたことや、接種後の副反応について診療・相談体制など強化を行っていること、ワクチンの安全性と有効性について十分な情報提供が行われるようになっていることから、再開を妨げる要素はないとし、HPVワクチン接種の積極的勧奨の再開を了承した。2013年6月以降、定期接種の機会を逃した人へのキャッチアップ接種などの対応についても、予防接種・ワクチン分科会において引き続き議論を行っていくことになった。(参考)HPVワクチン、積極的勧奨の再開を了承 厚労省の審議会(buzzfeed)HPVワクチン接種の積極勧奨再開へ 専門部会が了承、厚労省近く決定(CBnewsマネジメント)子宮頸がんワクチン、8年ぶりに積極勧奨再開 自民の一部「性の乱れ」と抵抗、コロナ追い風に(東京新聞)資料 HPVワクチンについて(厚労省)2.コロナワクチン3回目接種を特例承認、12月から実施へ/厚労省厚労省は11日、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン「コミナティ筋注」について、3回目接種の用法・用量追加を特例承認した。2回目のワクチン接種後8ヵ月以上経った18歳以上の希望者に来月から3回目の接種を行うため、本日より全国の自治体や医療機関に配送が開始される。(参考)3回目接種用のワクチン 約400万回分 あすから全国に配送(NHK)厚労省 新型コロナワクチン「コミナティ」の3回目接種を特例承認(ミクスonline)ファイザー製ワクチン、18歳以上のブースター接種を厚労省が承認(ケアネット)3.大手医薬品卸6社の談合疑惑で立ち入り検査/公取委独立行政法人「国立病院機構」が発注する医薬品の入札をめぐり談合を繰り返した疑いがあるとして、公正取引委員会が大手医薬品卸会社の福岡支店などに立ち入り検査したことが明らかになった。検査を受けたのは、九州シェア首位のアステム(本社・大分市)、アトル、翔薬、九州東邦(いずれも同・福岡市)、富田薬品(同・熊本市)、アルフレッサ(同・東京)の九州拠点。関係者によると、6社は2016年度以降、国立病院機構本部が発注する医薬品の一般競争入札で、事前に話し合って受注者を決めていた疑いがある。公取委は昨年12月、別の独占禁止法発注の入札を巡る談合容疑で大手卸系の3社を刑事告発しており、これを調べる過程で今回の容疑が新たに浮上したとみられる。(参考)医薬品の入札めぐり談合容疑 卸会社の支店などに立ち入り検査(NHK)国立病院機構など発注の医薬品、6社で談合か…公取委が立ち入り検査(読売新聞)地方の卸にもメス、公取委の狙いは 医薬品卸に再び談合容疑(朝日新聞)4.介護・保育職で3%の賃上げ、看護師なども給与水準UPを政府は介護職員や保育士の処遇改善策として、賃金の引き上げ幅を現行月収の3%程度とする方針を決めた。看護師も同程度の引き上げを検討し、幼稚園教諭などの賃金も上げる。19日に決定する経済対策に盛り込むこととなった。現在の介護職や看護職の給与水準については、全職種平均と比べて低い状況であり、岸田首相も、介護職員や保育士らの収入増を最優先課題に掲げており、早急な手当てが必要としてきた。(参考)保育士や介護職、3%賃上げへ…事業者支援は最大250万円(読売新聞)介護・保育・看護の賃金3%アップへ 政府調整、一部対象絞る案も(朝日新聞)介護・保育3%賃上げ、看護師も検討 経済対策政府検討 困窮世帯に30万円の再支給も(日経新聞)5.急性期医療の集約化をめぐって議論白熱/中医協厚労省は、来年度に実施される診療報酬改定に向けて中医協の総会を13日に開催し、急性期医療や地域包括ケア病棟について議論を行った。支払い側からは、医療・看護必要度や重症度患者割合を厳格化し、高度急性期について集約化を求める意見が出されたが、診療側からはコロナ禍の影響を受けている中でのデータを元にした見直しに慎重な姿勢を示した。また、地域包括ケア病棟では、「自院の急性期病棟から転棟」の患者が中心となっているなど、受け入れ患者が大きく偏っている病棟があり、次の診療報酬改定にどのように行っていくか議論が佳境に入っている。(参考)中医協総会で支払側 コロナ禍での脆弱性是正へ急性期入院医療で「医療資源の集約化」求める(ミクスonline)地ケア病棟、機能の差で「評価のめりはり付けを」中医協・支払側が要望、診療側は反対姿勢(CBnewsマネジメント)ICU看護必要度のB項目廃止案、支払側は理解示すが、診療側は反対し入院医療分科会の批判も―中医協総会(Gem Med)看護必要度、一般病棟用「心電図モニター」等の除外を巡り意見が対立 支払い側は賛成、診療側は「2022年度改定での削除はあり得ない」と猛反発(日経ヘルスケア)6.財務省、診療報酬のマイナス改定を求める/財政制度等審議会財務省は財政制度等審議会財政制度分科会を8日に開催し、2022年度の予算編成に当たって、これまでの診療報酬改定は医療費の適正化とは程遠い対応を繰り返してきたとし、引き続き医療費の適正化を図るため、躊躇なく「マイナス改定」をすべきと主張した。症状が安定している患者については、医療機関に行かずとも、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方についても時機を逸することなく導入すべきだとした。なお、リフィル処方の導入に当たっては向精神薬等については避けるべきであり、生活習慣病等に対象を限るべきだと方向性が示された。(参考)財務省ふくらむ医療費に注文 診療報酬の「マイナス改定」も想定(朝日新聞)診療報酬本体、財務省「ためらわず下げを」高止まりを指摘、DRG導入も主張(CBnewsマネジメント)資料 財政制度分科会(令和3年11月8日開催)

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コロナワクチン、高齢ほど感染・入院リスク低下/Lancet

 米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種プログラムの導入の初期段階に、高齢者におけるCOVID-19患者数やCOVID-19による救急診療部受診数、入院者数が減少し、ワクチン接種の寄与は不明なものの死者数も減少したことが、米国疾病予防管理センターのLucy A. McNamara氏らの調査で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年11月3日号で報告された。米国50歳以上を対象に生態学的研究 米国では、2020年12月中旬に、緊急使用許可(EUA)下に最初のCOVID-19ワクチンの使用が可能となった。2021年6月8日の時点で、全人口の52%が少なくとも1回のワクチン接種を受け、42%は2回の接種を完了しており、このうち65歳以上の接種率はそれぞれ86%および76%に達している。 本研究は、2020年11月1日~2021年4月10日の期間に、米国の初期段階のCOVID-19ワクチン接種プログラムが、全米の50歳以上の集団におけるCOVID-19患者、救急診療部受診、入院、死亡に及ぼした影響の評価を目的とする生態学的研究である(米国疾病予防管理センターの通常の運営資金で行われ、外部からの研究助成は受けていない)。 特定の年齢集団のワクチン接種率が初めて基準年齢集団(50~64歳または50~59歳)の接種率を1%以上上回った週を基点として、ワクチン接種前と接種後の高齢集団と若年の基準集団における各評価項目の発生率の相対的な変化を算出した。引き続き、ワクチン接種前と接種後の期間を比較して、これらの相対的な変化の比が両期間で異なるかを評価した。接種率向上の重要性を強調する結果 ワクチン接種後と接種前のCOVID-19患者の発生率比の変化を比較した相対的な変化の比は、50~64歳と比較して、65~74歳で53%(95%信頼区間[CI]:50~55)、75歳以上では62%(59~64)それぞれ減少した。 同様にCOVID-19による救急診療部受診者数は、50~64歳と比較して、65~74歳で61%(95%CI:52~68)、75歳以上では77%(71~78)減少した。また、COVID-19による入院者数は、50~59歳と比較して、60~69歳で39%(29~48)、70~79歳で60%(54~66)、80歳以上では68%(62~73)低下した。 COVID-19による死亡も、50~64歳と比較して、65~74歳で41%(95%CI:−14~69)、75歳以上では30%(-47~66)減少したが、ワクチン接種の普及が死亡にどの程度の影響を及ぼしたかは不明であった。 著者は、「本研究の結果は、既存のワクチンのすでに確立されている有効性のデータと一致しており、対象者全員の接種率を高めることの重要性を強調するものである」としている。

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第83回 街中の会話にヒントが!?若者や副反応経験者に3回目ワクチンを促す策とは

つい先日、昼食のために入ったラーメン屋で私の右側のカウンターに座っていた男性3人組の会話が耳に入ってきた。この3人を私から近い順にA君、B君、C君としよう。ちょうど私のすぐ隣にいたA君が「どうだった?」とB君とC君に尋ねていた。B君うん、めっちゃ熱出て、体もだるくてきつかったA君3回目の接種もあるって話じゃんB君いや、もう3回目はいいやC君俺も3回目はなしだな職業病のせいか、ついつい周囲の会話に聞き耳を立ててしまう癖はなかなか抜けない。この時もそうだったのだが、会話の内容も内容だったから余計のこと真剣に聞き耳を立ててしまった。多くの人にとって察しはついただろうが、新型コロナワクチン接種に関してである。このラーメン屋の近傍には複数の大学がある。その後も彼らの会話に聞き耳を立てていたが、どうやら彼らは付近のある私大の学生で、大学でモデルナ製ワクチンによる職域接種が行われ、B君とC君は接種、A君は様子見で今も接種するかどうかを迷っているらしい。私はファイザー製ワクチンの接種者だが、周知のようにモデルナ製ワクチンは投与量が多いため、効果もやや高い分、副反応も強めと言われ、モデルナ接種者での副反応に関する愚痴はよく耳にする。新型コロナに限らず、ワクチンでは接種者が効果を実感できることは稀で、むしろ自覚できる副反応があれば、そちらのほうの印象が強くなるのは必然のこと。いわゆる反ワクチン派の存在も多分にそうした現実に由来している。その意味で副反応の最小化はワクチン接種の浸透では必須事項となるが、そもそも個々のワクチンの特性により一定の頻度の副反応は避けがたい。たとえば今回の新型コロナのmRNAワクチンでは、極めて高頻度な発熱や倦怠感は減らそうと思って減らせるものではない。あとは症状が発現した際の適切な軽減策の周知であり、今回はすでに解熱鎮痛薬の使用推奨はかなり行われている。だが、それでも前述の学生の反応は非常に気になった。ワクチン接種完了者が国民のほぼ4分の3に達し、新規感染者数報告も小康状態とは言え、今後の新型コロナの動向はまだ完全に読み切れていない。そのうえで3回目接種も現実となった今、「3回目はもういいや」という人が一定数出ることは感染拡大の火種になる。そんなこんなを抱えながらネットサーフィンをしたら思いもかけないレポートに遭遇した。モデルナ製ワクチンの職域接種を行った岡山大学のアンケート調査結果である。ざっくりまとめると、学生を中心とした接種後のアンケート調査で副反応は局所性、全身性とも98%以上が1週間以内に消失し、90%弱が接種に満足、80%強が身近な人への接種を勧め、かつ3回目の接種を希望するというもの。非常に喜ばしい結果だ。また、副反応の発熱で解熱薬を服薬した人は66.0%で、これと別に予防内服を行った人が4.8%。私が一番驚いたのは、予防内服をした人が思ったよりも少なかったことだ。報道やSNSを通じて新型コロナワクチンでの発熱の副反応が周知され、それゆえに逆に接種前にやや怖くなっていた人も少なくなかったはず。一方で副反応回避策としての予防的解熱薬服用は推奨されていない。その中で予防内服が少なかった現実は若年層もかなりしっかりとした情報入手をしていた傍証でもある。では不安材料はないかと言えば、そうとは言えない。たとえば「インフルエンザワクチンと比べて副反応が重かった」との回答者が84.9%だった一方で、「打つ前の想像と比べて(副反応が)重かった」との回答者が43.3%だったことから、「副反応の重さがある程度周知されていたと思われる」との分析を示しているが、本当にそうだと言えるだろうか?前述の身近な人に勧めるか、あるいは3回目接種を希望するかとの問いに、否定的な回答は5%に満たないが、「どちらとも言えない」という動揺層が10数%いる現実は副反応の結果と推定される。また、3回目接種を希望するかについて「ワクチンの種類は検討するが希望する」が 22.0%もいたことも見逃せない。これはご存じのようにモデルナ製ワクチンで報告されている若年層での心筋炎の副反応を恐れてのことだろう。また、本レポートではワクチン接種との因果関係は不明ながらも、極めてごくわずかな人たちが接種1ヵ月後にも不調を訴えており、そのケアの必要性を強調している。こうした不安に単純に「みんな経験する副反応だから」あるいは「それは科学的に見て副反応ではない」と対処することは科学的には正しくとも、後々のワクチン不信を増幅させる可能性がある。こう訴える人たちに医療従事者だけでなく、行政、メディアもどのように対処すべきかはまだ課題は少なくないだろう。俗な言い方になるが、恐怖心を抱く人への寄り添いは最低限必要と感じる。また、そんなこんなを考えていた矢先、以下のような新たな情報も飛び出してきた。【独自】大規模会場2930人の急性期副反応、9割が不安に伴うストレス原因…若者が3割強(読売新聞)要は防衛省が運営していた大規模接種会場で、接種への不安などが原因の迷走神経反射などの急性副反応がインフルエンザワクチンなどより高頻度で発生しており、その中心は若年者だったという現実である。こうした急性反応は一定程度医学的にも対処可能なものである。すでに年代別の接種率を見ると50代以降は接種完了率が85%以上に達する中、1回以上接種が70%台の10~30代はまだまだ接種率向上の余地は高い。こうした層の底上げと全国民の確実な3回目接種の実現のため、医学的にも社会的にもまだまだやれることは残されていると言えそうだ。

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避けたいワクチン接種時のケアレスミス/厚労省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が全国で順調に行われ、満12歳以上への接種も始まり、3回目の接種についても細部が決まりつつある。また、インフルエンザの流行を控え、COVID-19ワクチンとインフルエンザワクチンの接種というケースも散見されるようになってきた。こうした環境の中ではワクチン接種時の事故は避けたいものである。 厚生労働省は、令和3年9月30日までに報告された予防接種の間違いの概要をまとめた「新型コロナ予防接種の間違いの防止について(その3)」を10月29日に全国の自治体に発出し、注意を喚起した。 同省では、インフルエンザワクチンが多く接種される時期でもあり、これらの留意点を参考に、あらためて予防接種の手順を再確認することにより、間違いの発生防止とCOVID-19ワクチン接種の適切な実施に向けた取り組みを進めてほしいと記している。一番多い接種上の間違いは「接種間隔」1)間違いとして報告のあった回数(10万回当たり数)延べ接種回数163,738,220回のうち・間違い報告件数:1,805回(1.102)・重大な報告件数:739回(0.451)・上記以外の報告件数:1,066回(0.651)2)間違いの態様別の上位5つ(10万回当たり数)(1)接種間隔の間違い:526件(0.321)(2)接種器具の扱いが不適切:350件(0.214)(3)不必要な接種:246件(0.15)(4)血液感染を起こし得る間違い:170件(0.104)(5)接種量の間違い:99件(0.06)トレイを分ける、声を出すなどでミスを防ぐ COVID-19ワクチン接種の具体的な3つの事例と対策、これら問題の背景を下記に紹介する。〔事例1〕1日の同じ時間帯の中で、COVID-19ワクチンの接種と他のワクチンの接種の両方が行われていた。〔対策〕可能な限り、COVID-19ワクチンと他のワクチンを接種する曜日や時間帯を分ける。〔事例2〕次のようなさまざまな理由により、同一の診察室内に、COVID-19ワクチンと他のワクチンが持ち込まれ、接種者の手が届く範囲に複数種類のワクチンが置かれた。・同一の診察室で、新型コロナワクチンと他のワクチンの両方を接種している。・本来は、COVID-19と他のワクチンと接種用の診察室を分けていたが、院内の都合でCOVID-19ワクチン仕様になり他のワクチンが持ち込まれた。・本来は、ワクチンにより接種用の診察室を分けていたが、たまたま誘導員が間違えて誤った診察室に案内してしまった。〔対策〕1トレイに1種類(可能な限り、1トレイに1人分)のワクチンを準備することとし、診察室内において、接種者の手が届く範囲に異なる種類のワクチンを置かない。〔事例3〕接種者は、予診票の確認を行い他のワクチンの接種を受ける者であることを認識しながらも、無意識にCOVID-19ワクチンを手にとり接種してしまった。〔対策〕接種直前は一呼吸おき、接種者と被接種者とで接種するワクチン名を声に出して確認する。【間違いの背景】・同じ時間帯に新型コロナワクチンと他のワクチンの予約を受け付けており、物理的に患者が混在していた。・接種者の手が届く範囲に、複数の異なる種類のワクチンが置かれていた。・新型コロナワクチンの接種数が多く、接種に慣れてしまっていた(無意識、惰性で打ってしまった)。・接種者が、接種直前に接種するワクチン名を確認していなかった。※インフルエンザワクチンなどのバイアル製剤だけでなく、シリンジ製剤でも接種間違いは起こっている。

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ファイザー製ワクチン有効性、3回接種vs.2回接種/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)の3回接種は、2回接種(5ヵ月以上前に接種完了)と比較して、COVID-19の重症化予防に有効であることが認められた。イスラエル・Clalit Research InstituteのNoam Barda氏らが、同国半数超の国民が加入する健康保険データを基に解析を行い報告した。多くの国でSARS-CoV-2のデルタ(B.1.617.2)変異株によるCOVID-19の再流行が発生しており、これらの国では、経時的に免疫が減弱しデルタ変異株に対する有効性が低下する可能性があるため、ワクチン3回目接種を検討している。Lancet誌オンライン版2021年10月29日号掲載の報告。イスラエルのデータを基に、COVID-19関連入院、重症化、関連死のリスクを解析 研究グループは、イスラエル国民の半数以上が加入している同国最大の医療保険組織「Clalit Health Services」のデータを用い、2020年7月30日~2021年9月23日にBNT162b2ワクチンの3回目接種を受けた人(3回接種群)、ならびに人口統計学的および臨床的特徴をマッチングさせた3回目ワクチン未接種者(対照群)について解析した。 適格基準は、5ヵ月以上前に2回接種を完了しており、SARS-CoV-2感染歴がなく、直近3日以内に医療施設を受診していないこととし、医療従事者、長期療養施設の居住者および自宅療養者は除外された。 主要評価項目は、COVID-19関連の入院、重症化およびCOVID-19関連死であった。Kaplan-Meier法を用いて各アウトカムのリスクを推定し、リスク比とリスク差を算出、3回接種の有効性は1-リスク比(相対リスク減少率)として推定した。3回接種群、入院93%、重症化92%、COVID-19関連死81%減少 調査期間中の3回接種者は115万8,269例であった。マッチングの結果、解析には3回接種群および対照群それぞれ72万8,321例が含まれた。年齢中央値は52歳(IQR:37~68)、51%が女性で、3回目または2回目接種後の観察期間(接種後7日以降)は、両群とも中央値13日(IQR:6~21)であった。 3回接種群の有効性(3回目接種後7日以降に評価)は、対照群(5ヵ月以上前に2回目接種を受けたのみ)と比較し、入院を93%(95%信頼区間[CI]:88~97、イベント件数:3回接種群29 vs.対照群231)、重症化を92%(95%CI:82~97、イベント件数:17 vs.157)、COVID-19関連死を81%(95%CI:59~97、イベント件数:7 vs.44)減少すると推定された。

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ファイザー製ワクチン、18歳以上のブースター接種を厚労省が承認

 ファイザーは11月11日、同社の新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン「コミナティ」について、国内の18歳以上に対する追加接種(追加免疫)の承認を取得したと発表した。米国本社が先月発表したプレスリリースによると、3回目のブースター接種の効果を検証した第III相臨床試験の結果、95.6%の有効性を示したという。 コロナワクチンのブースター接種を巡っては、米国においてはコミナティが9月より、65歳以上および重症化リスクが高い18〜64歳、SARS-CoV-2への頻繁な曝露を伴う18〜64歳へのブースター接種が実施されており、11月9日には接種対象を全成人に拡大するようFDAに申請した。このほか、モデルナ社および米・ジョンソンエンドジョンソン社のワクチンについても10月に米国で追加接種が認められたところだ。<添付文書情報> ※下線部分が今回の主な追加・変更箇所6. 用法及び用量 本剤を日局生理食塩液1.8mLにて希釈する。 初回免疫の場合、1回0.3mLを合計2回、通常、3週間の間隔で筋肉内に接種する。 追加免疫の場合、1回0.3mLを筋肉内に接種する。7.2 追加免疫7.2.1 接種対象者 18歳以上の者。SARS-CoV-2の流行状況や個々の背景因子等を踏まえ、ベネフィットとリスクを考慮し、追加免疫の要否を判断すること。7.2.2 接種時期 通常、本剤2回目の接種から少なくとも6ヵ月経過した後に3回目の接種を行うことができる。7.2.3 初回免疫として他のSARS-CoV-2ワクチンを接種した者に追加免疫として本剤を接種した臨床試験は実施していない。

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