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コロナ感染の抑制、政府・対人信頼度と関連/Lancet

 パンデミックの発生以来、各国の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)死亡率は大きく変動している。それらの変動の要因を検証したところ、パンデミックへの事前対策指標の高低とは関連が認められなかった一方で、政府への信頼度や対人信頼度が高いこと、また政府内の汚職が少ないことが、同感染率の低下と関連していたことを、米国・ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)のJoseph L. Dieleman氏らCOVID-19 National Preparedness Collaboratorsが、177の国と地域のデータを基に検証し明らかにした。本検討は、将来のパンデミックへのより効果的な準備と対応のために不可欠な取り組みを明らかにする目的で行われたものだが、著者は、「今回の結果は、主要な修正可能なリスクに関する健康増進は、個々人が公衆衛生ガイダンスに抱く信頼を高めるようなリスクコミュニーケションやコミュニティ戦略へ、より大きな投資をすることで、死亡抑制に結びつくことを示唆するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年2月1日号掲載の報告。12のパンデミック事前準備指標、7つの医療体制能力指標などとの関連を検証 研究グループは177の国と地域および181の行政区画について、IHMEモデリング・データベースを基に、SARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率を抽出し、累積感染率や感染致死率(IFR)を予測し、環境要因、人口統計学的要因、生物学的要因、経済学的要因について標準化し検証した。 感染率については、季節環境(肺炎のリスク比で測定)、人口密度、1人当たり国内総生産(GDP)、標高100m未満の居住人口割合、その他のβコロナウイルス曝露の代理変数を因子として盛り込んだ。 IFRについては、人口年齢分布、平均BMI値、大気汚染曝露、喫煙率、他のβコロナウイルス曝露の代理変数、人口密度、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・がんの年齢標準化罹患率、1人当たりGDPを因子とした。 これらを、間接年齢標準化および多変量線形モデルを用いて標準化。標準化全国累積感染率とIFRについて線形回帰を用いて、12のパンデミック事前対策指標、7つの医療提供体制能力指標、その他10項目の人口統計学的・社会的・政治的状況との関連を検証した。 さらに、SARS-CoV-2感染率に影響を与える可能性のある重要な要因の経路を調べるため、対人信頼度、政府への信頼度や汚職の状況、人々の移動パターンの変化やCOVID-19ワクチン接種率との関連性についても検証した。デンマークレベルの対人信頼度に改善されれば世界の感染率は40.3%減少 2020年1月1日~2021年9月30日の、SARS-CoV-2累積感染率の変動の主な要因は、標高100m未満の居住人口割合(変動の5.4%[95%不確定区間[UI]:4.0~7.9])、1人当たりGDP(4.2%[1.8~6.6])、季節変化に起因する感染の割合(2.1%[1.7~2.7])だった。国別の累積感染率の変動については、その大部分が説明不能だった。 同期間のCOVID-19のIFRの変動に関する主な要因は、国の年齢構成(変動の46.7%[95%UI:18.4~67.6])、1人当たりGDP(3.1%[0.3~8.6])、国平均BMI(1.1%[0.2~2.6])だった。国別のIFR変動の44.4%(29.2~61.7)は、説明不能だった。 国の医療保障の目安となるパンデミック事前対策指標については、標準化感染率やIFRとの関連は認められなかった。 一方、政府への信頼度や対人信頼度、政府の汚職が少ないことと、低い標準化感染率について、強い統計的に有意な関連が認められた。これらの因子は、COVID-19ワクチンが広く普及する中~高所得国において、高いワクチン接種率とも関連していた。また、汚職が少ないことは移動の減少とも関連していた。  こうしたモデルの関連性に因果関係があると仮定した場合、すべての国の政府への信頼度または対人信頼度が、デンマークのレベル(全体の75パーセンタイルに相当)に達すれば、世界の感染率は、政府への信頼度の改善により12.9%(95%UI:5.7~17.8)、対人信頼度の改善では40.3%(24.3~51.4)、それぞれ減少できると予測された。同様に、すべての国のBMIが全体の25パーセンタイルに該当するよう抑制されれば、世界の標準化IFRは11.1%減少するとも予測された。

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第95回 昨年の医学部入試で男女別合格率が逆転!医師が「An Unsuitable Job for a Woman」でなくなる日は本当に来るか(後編)

岸田首相、「1日あたり100万回のワクチン接種」を指示こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。オミクロン株の感染拡大の勢いが弱まりません。昨年末の時点で、オミクロン株急拡大の予測はできていたのに、3回目接種を前倒しで本格化させなかったツケが回ってきた印象です。岸田 文雄総理大臣は2月7日、後藤 茂之厚生労働大臣ら関係閣僚に対し、2月中のできるだけ早い時期に1日あたり100万回のワクチン接種を達成できるよう取り組みの強化の指示を出しました。やっと、という感じです。ただ、私が住む自治体では、「2回目から8ヵ月以上空けろ」という政府の昨年の指示の“後遺症”のためか、65歳以下のほとんどの人には接種券がまだ届いていないようです。私にも未着です。ということで今週末も外出を極力控え、前回の原稿を書きながらふと思い出した、女探偵映画の名作をDVDで2本ほど観て時間を潰しました。その映画とは、キャスリーン・ターナー主演の『私がウォシャウスキー』(監督:ジェフ・カニュー)と、ジーナ・ローランズ主演の『グロリア』(監督:ジョン・カサヴェテス)。『グロリア』は厳密には探偵映画とは言えませんが、どちらも女性のタフさを描いたハードボイルド映画で、女性に限らず、男性にもお薦めです。「医師の働き方改革」遅々として進まずさて、前回の続きです。前回、2021年度の医学部入試では、全体の男性の合格率(合格者数/受験者数)が13.51%、女性の合格率が13.60%と、医学部の男女別合格率が公表されている2013年度以降、初めて女性の合格率が男性を上回った、と書きました。この数字が示すように、今後、女性医師が今まで以上に数多く誕生する流れとなっていくでしょう。しかし一方で、女性の働き方やキャリアパスの改革を後押しすると期待されている「医師の働き方改革」が遅々として進んでいない状況も明らかとなっています。厚生労働省は1月24日、医師の働き方改革の推進に関する検討会の作業部会に、勤務医に対して行ったアンケートの結果を報告しました。報告では、業務内容に応じた各上限水準の内容や宿日直許可基準の内容については、「全く知らない」という回答が約半数を占めていました。このアンケートは、作業部会の構成員が所属する医療機関の協力を得て、「勤務医自身の働き方に関する考えを把握する」「働き方改革に関する勤務医の現時点の知識・認識度を把握する」「勤務医に向けての効果的な情報発信に関するヒントを得る」ことを目的に実施されたものです。2次救急医療機関以上の10医療機関の勤務医が対象で、調査期間は2021年12月24日~2022年1月13日。有効回答数は1,175、男性72%・女性27%でした。アンケートの概況によれば、医師の働き方改革の制度認知について、2024年度から制度が開始することや労働時間の上限の意味、自己研鑽の考え方については、回答者の半数以上が「よく知っている」「ある程度知っている」と回答した一方で、各上限水準や宿日直許可基準の内容については、「全く知らない」という回答が約半数を占めていました。また、若年層ほど認知度が低い結果でした。2022年度からはB水準、連携B水準、C水準について第三者評価始まる「医師の働き方改革」について、簡単におさらいしておきます。制度の基本的な骨格は、2019年3月に厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」が取りまとめた最終報告書に基づいています。それによれば、2024年4月からの「医師の時間外労働規制」の概要は次のようなものです。A水準…時間外労働が年960時間以下B水準(地域医療確保暫定特例水準)…年間時間外労働が960~1,860時間(兼業等により960時間を超える場合は連携B水準、2035年度末には解消予定)C水準(集中的技能向上水準)…研修医等はC-1、高度技能の習得を目指す医師はC-2水準この「医師の時間外労働規制」に則った病院運営ができるよう、各医療機関は労務管理の一層の適正化や、タスクシフト・タスクシェア推進、育児支援などさまざまな改革に着手する、ということになっています。2022年度からはいよいよ、B水準、連携B水準、C水準については第三者評価の取り組みが始まります。具体的には、2022年4月より「医療機関勤務環境評価センター」による第三者評価を受け、労働時間実績や時間短縮取り組み状況が評価された後、地域医療への影響等を踏まえ各都道府県の判断により指定を受けることになります。C-1水準では研修プログラムにおける時間外労働時間の明示が求められ、C-2水準においては高度技能に関する教育研修環境を審査組織にて討議されることになります。しかし、先のアンケート結果のように、勤務医への周知すら十分に進んでおらず、コロナ禍もあって現場の取り組みも想定よりも遅れているのが現状です。「女にこそ向いた職業」に向けてそんな中、2月2日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」では、新専門医資格の取得を目指す専攻医や臨床研修医を対象とするC-1水準については、専攻医等が勤務先病院を選択しやすくするために「病院や研修プログラムが、想定される時間外労働はどの程度か、過去の時間外労働の実際はどの程度であったのか」を明示する、という方針が固まりました。さらに、「専攻医が育児休業等を取得しやすくする環境整備」に向けた議論も開始するとのことです。制度開始までわずか2年となって、やっと詳細な運用にまで目が届き出した感はあります。しかし、一方で日本医師会は2024年度から予定されている医師の時間外労働の上限規制適用に伴う罰則について、「数年程度猶予する」よう求める方針を打ち出しています。2月2日の記者会見で日本医師会の松本 吉郎常任理事は、上限規制適用で宿日直を担う医師の応援が途絶えれば、周産期医療の崩壊につながるとし、調査を基に宿日直許可基準の運用緩和策をまとめ、「上限規制の罰則を数年程度、猶予することを考えていただきたい」と述べたとのことです。「宿日直許可基準の取得」は、医師の「労働時間」と「労働時間以外」を切り分ける重要な機能です。この基準を取得することで、医師の労働時間のカウントを減らすことができるからです。しかし、労働基準監督署によって、許可基準の解釈や運用にバラツキがあることが問題視されており、現在、多くの病院がその対応に苦慮しているようです。許可基準の解釈や運用のバラツキは確かに大きな問題です。しかし、この期に及んで罰則の猶予などの例外ルールをどんどん作っていったら、それこそ本来の形の「医師の働き方改革」がいつになったら本格スタートできるかわかりません。医師が行っている業務のタスクシフトやタスクシェア、あるいはITを活用した業務効率化など、現場でできる工夫はまだまだ多くありそうです。医師を「女には向かない職業」から、「女にこそ向いた職業」にするためにも、「医師の働き方改革」の円滑な推進を期待したいところです。ニック・カサヴェテス監督の2本の医療映画最後に、映画の話を補足しておきます。ジョン・カサヴェテス監督の『グロリア』をご覧になってもし気にいったら、同監督とジーナ・ローランズ(『グロリア』の主演女優)の息子であるニック・カサヴェテスが監督した2本の医療映画、『ジョンQ-最後の決断-』と『私の中のあなた』もぜひ観てみて下さい。『ジョンQ-最後の決断-』は主演のデンゼル・ワシントンが息子の心臓移植のためにERに立て籠もるというストーリーで、米国の医療保険制度を強烈に皮肉った快作です。米国では、加入する医療保険によって治療費をカバーする範囲が全く異なります。昨年9月26日のCNNのニュースは、米国で新型コロナウイルスに感染し、入院した場合の平均的な費用は約7万5,000ドル(当時のレートで約833万円)であり、入院に至らない感染事例で医療保険に入っていない患者が負担する費用は平均2,500ドル、保険に加入していても保険会社や患者自身が支払う総額は平均約1,000ドルである、と報じていました。米国人がコロナに感染しても、気安く医療機関にかからない理由がこの映画を見ると理解できます。一方、『私の中のあなた』は、姉専用ドナーとして生み出された妹が、姉への臓器提供を拒んで両親を訴えるという話で、2人の母親役をキャメロン・ディアスが演じています。こちらは、終末期医療のあり方について深く考えさせられる作品です。ニック・カサヴェテス自身も心臓病の娘を育ててきた経験があるとのことで、それが医療映画を得意とする一因かもしれません。

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オミクロン株への感染リスク、ワクチン未接種者は3回接種者の約5倍/CDC

 米国・CDCが新型コロナウイルスデルタ株出現前・出現時・優勢期およびオミクロン株出現時における、ワクチン3回接種(ブースター接種)の効果を調べた結果、3回接種者でデルタ株優勢期に高い感染予防および死亡抑制効果がみられ、オミクロン株出現期においても高い感染予防効果が認められた。とくに50~64歳と65歳以上でブースター接種による影響が大きかった。Amelia G. Johnson氏らがMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年1月28日号に報告した。 これまでに、デルタ株の出現とワクチンによる中和抗体の減少で、ワクチンの感染予防効果が低下し、一部の集団ではCOVID-19重症化も確認されている。CDCでは、ワクチンの2回接種および3回接種による効果を評価するため、米国の25の州・地域において、デルタ株出現前(2021年4~5月)、デルタ株出現時(2021年6月)、デルタ株優勢期(2021年7~11月)、オミクロン株出現時(2021年12月)の各時期で、年代(18~49歳、50~64歳、65歳以上)、ワクチン(ファイザー製、モデルナ製、Johnson & Johnson製)ごとに、未接種者、2回接種者(Johnson & Johnson製では1回)、3回接種者(Johnson & Johnson製では2回)における感染率、死亡率、発生率比(IRR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・米国25の州・地域において、2021年4月4日~12月25日に、18歳以上の新型コロナ感染が未接種者で681万2,040人、2回接種者で286万6,517人報告された。12月4日までに、未接種者では9万4,640人、2回接種者で2万2,567人がCOVID-19関連で死亡した。・2回接種者に対する未接種者の週平均感染IRR(未接種者の感染発生率/2回接種者の感染発生率)は、デルタ株出現前の13.9から、デルタ株出現時に8.7、デルタ株優勢期には5.1に減少し、2回接種者の感染予防効果が低下していた。・デルタ株優勢期の終盤(10~11月)において、未接種者の感染リスクは3回接種者の13.9倍、2回接種者の4.0倍だった。また、未接種者のCOVID-19関連死亡リスクは3回接種者の53.2倍、2回接種者の12.7倍だった。・オミクロン株出現時(12月)には、未接種者の感染リスクは3回接種者の4.9倍、2回接種者の2.8倍だった。・感染および死亡に対して3回目接種による影響が最も高かった年代は、50~64歳および65歳以上だった。

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第98回 オミクロン株ワクチンは必要なさそう

サルへの投与試験の結果、Moderna社の目下の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)元祖ワクチンmRNA-1273追加接種はオミクロン(Omicron)株に合わせたワクチンmRNA-1273.529(mRNA-Omicron)追加接種に比肩して同株を含むどの変異株への抗体反応も有意に高めました1)。肺感染予防効果も同等でした。サルの鼻や気管にオミクロン株を投与して肺検体(肺胞洗浄液)を調べたところ培養可能なウイルスはmRNA-1273追加接種群とmRNA-Omicron追加接種群のどちらからも検出されず、かたや対照群では全頭から検出され、抗体などの免疫反応に有意差が無かったのと同様にmRNA-1273はmRNA-Omicronに引けを取らず肺感染を予防しました。それらの結果によると、オミクロン株仕様ワクチンを接種してもModernaの今のワクチンmRNA-1273を上回る免疫反応や感染予防効果はどうやら期待できそうにありません。人に投与する臨床試験での結果が必要ですが、今あるワクチンを作り変えてオミクロン株仕様ワクチンを何が何でも揃える必要はないと研究の代表者Daniel Douek氏は言っています2)。人での検討はすでに始まっており、Moderna社のオミクロン株仕様ワクチンの臨床試験が最初の投与に至ったことが先月26日に発表されています。時を同じくしてPfizerのオミクロン株仕様ワクチンの試験も先月末に始まっており、結果は今年前半には判明する見込みです3)。それらの臨床試験でのオミクロン株仕様ワクチン追加接種はサルでの試験と同様の結果になりそうとコーネル大学のウイルス学者John Moore氏は予想しています3)。オミクロン流行中、ワクチン非接種でのCOVID-19入院率は追加接種済みの23倍実際、現在使われているワクチンの追加接種でオミクロン株感染やその重症化を減らすことができていることが米国の最近の動向で示唆されています4)。米国・カリフォルニア州ロサンゼルス郡で去年2021年11月の最後の週に初めて確認されたオミクロン株感染はその後急激に増え、今年1月8日までの一週間には調べた検体のほぼすべて(99%)を占めるようになりました。同郡での今年1月8日までのその一週間のSARS-CoV-2感染(COVID-19)はワクチン接種未完了(ワクチン接種の記録がないか1回目投与から14日未満)の人に比べて決まりの回数接種済みの人は2分の1、追加接種もした人はさらに低くおよそ4分の1で済んでいました。また、COVID-19入院も同様でワクチン接種未完了の人に比べて決まりの回数接種済みの人はおよそ5分の1、追加接種もした人は実に23分の1で済んでいました。その結果はCOVID-19ワクチンがオミクロン株を含む変異株感染の重症化を防ぐことを先立つ幾つかの試験と同様に示しており、COVID-19ワクチンの一通りの接種と追加接種を促す取り組みがCOVID-19関連の入院や重病を防ぐのに不可欠と著者は言っています。ワクチン非接種でのCOVID-19死亡率は追加接種済みより97倍高い米国政府の感染症対策の顧問Anthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏をして“COVID-19ワクチン追加接種の大事さは強烈に明らか(really stunningly obvious)”と言わしめたデータが先週2日に大統領官邸で発表されました5,6)。発表されたのは去年2021年12月4日までの1週間の米国25地区のCOVID-19ワクチン非接種、一通り接種済み、追加接種済みの人の死亡率の比較結果です。COVID-19で死亡した人の割合は非接種だと10万人当たり9.7人、一通り接種済みだと10万人当たり0.7人、追加接種済みでもあると10万人当たりほぼ皆無の0.1人であり、非接種の人に比べて一通り接種を済ませた人のCOVID-19死亡率は14分の1、追加接種も済ませた人ではさらに低く非接種の人の実に97分の1で済んでいました。米国のオミクロン株感染は減少に転じており、先月1月末までの1週間の1日当たりのCOVID-19例数平均はその前の週に比べて36%少ないおよそ45万人(44万6,355人)でした6,7)。1日当たりのCOVID-19入院数平均は14%減って1万7,133人となりました。しかし1日当たりのCOVID-19死亡数平均は2,288人へと約4%上昇しており、その死亡を防ぐワクチン追加接種の重要さをファウチ氏が強調するのも無理ありません。参考1)mRNA-1273 or mRNA-Omicron boost in vaccinated macaques elicits comparable B cell expansion, neutralizing antibodies and protection against Omicron. bioRxiv. February 04, 2022 2)Omicron-specific booster may not be needed, U.S. monkey study finds / Reuters3)Study suggests Omicron-specific booster may not provide more protection. STAT4)Danza P, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022 Feb 4;71:177-181.5)Press Briefing by White House COVID-19 Response Team and Public Health Officials / White House6)White Houseでの発表に使われたスライド(2022年2月2日)7)Boosted Americans 97 times less likely to die of virus than unvaccinated; CDC predicts 75,000 more deaths by Feb. 26: Live COVID-19 updates / USA Today

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ブースター接種、9種の組み合わせを評価~第I/II相試験/NEJM

 3種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(mRNA-1273[Moderna製]、Ad26.COV2.S[Johnson & Johnson-Janssen製]、BNT162b2[Pfizer-BioNTech製])は、最初の連続2回接種(Johnson & Johnson-Janssen製は1回接種)での種類を問わず、12週間以上の間隔をあけた追加接種にどのワクチンを用いても、安全性プロファイルは許容範囲内であり、明らかな免疫原性をもたらすことが、米国・ベイラー医科大学のRobert L. Atmar氏らが実施した「DMID 21-0012試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年1月26日号に掲載された。9つの組み合わせを評価する米国10施設の非無作為化試験 本研究は、適応的デザインを用いた非盲検非無作為化第I/II相臨床試験であり、米国の10施設が参加し、2021年5月29日~8月13日の期間に参加者の登録が行われた(米国国立アレルギー感染症研究所[NIAID]の助成による)。 対象は、米国食品医薬品局(FDA)による緊急使用許可(EUA)の下で、12週以上前に、3種のCOVID-19ワクチンのいずれかの最初の連続接種を受け、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染歴やモノクローナル抗体の投与歴がない健康な成人であった。参加者の登録を迅速化するために、SARS-CoV-2検査は行われなかった。 被験者は、追加接種として、mRNA-1273(100μg)、Ad26.COV2.S(ウイルス粒子5×1010)、BNT162b2(30μg)のいずれかの接種を受けた(最初の連続接種とブースター接種で9つの組み合わせ)。 主要エンドポイントは、追加接種から15日目と29日目の安全性、反応原性、液性免疫原性とされた。 458人が登録され、追加接種として154人がmRNA-1273、150人がAd26.COV2.S、153人はBNT162b2を受けた(初回にAd26.COV2.Sの接種を受けた1人が、追加接種として予定されていたBNT162b2の接種を受けなかった)。9つの接種の組み合わせの平均年齢は48~57歳に、女性の割合は33~63%にそれぞれわたった。安全性プロファイルは最初の連続接種時とほぼ同様 追加接種の反応原性は、最初の連続接種で報告されたものとほぼ同様であった。重篤な有害事象は2件認められたが、いずれもワクチン接種とは関連がないと判定された。とくに注意すべき有害事象として、重度の嘔吐が1人(Ad26.COV2.S接種者)で発現した。 ワクチン接種と関連があると判定された有害事象は、mRNA-1273接種者で24人(16%)、Ad26.COV2.S接種者で18人(12%)、BNT162b2接種者では22人(14%)にみられたが、ほとんどが軽度または中等度であった。ワクチン接種関連の重篤な有害事象は4人で発現した(mRNA-1273接種者の1人で嘔吐、Ad26. COV2.S接種者の1人で嘔吐、同接種者の1人で疲労、同接種者の1人で異常感覚と不眠)。 注射部位の有害事象は頻度が高く、局所痛や圧痛が、mRNA1273接種者で75~86%、Ad26.COV2.S接種者で71~84%、BNT162b2接種者では72~92%に認められた。大部分が軽度で、重度は2人(mRNA-1273接種者とAd.26COV2.S接種者で1人ずつ)のみだった。倦怠感、筋肉痛、頭痛の頻度も高かった。 重度の全身性症状として、倦怠感/疲労が2.0~4.5%、筋肉痛が0~3.3%、頭痛が0.7~3.3%、吐き気が0~2.7%、悪寒が0~3.3%、関節痛が0.6~2.0%、発熱が0.7~2.7%でみられた。ほとんどの有害事象は、追加接種から3日以内に発現し、最初の連続接種のワクチンの種類や年齢層の違いで、発生頻度に明確なパターンはなかった。結合抗体価、中和抗体価、スパイク特異的Th1応答が増強 追加接種から15日までに、結合抗体価の幾何平均は9つの組み合わせで5~55倍に増加し、最初の連続接種がAd26.COV2.Sで、追加接種としてBNT162b2(34倍)またはmRNA-1273(55倍)の接種を受けた集団で増加が大きかった。 また、追加接種から15日までに、SARS-CoV-2 D614G変異の擬似ウイルスに対する中和抗体価の幾何平均は、9つの組み合わせで4~73倍に増加し、最初の連続接種がAd26.COV2.Sで、追加接種としてBNT162b2(36倍)またはmRNA-1273(73倍)の接種を受けた集団で大きく増加した。最初の連続接種と追加接種に同じワクチンを接種した集団では、中和抗体価の増加が4~20倍であったのに対し、異なるワクチンを接種した集団では6~73倍に増加した。 15日までに、SARS-CoV-2スパイク特異的1型ヘルパーT細胞(Th1)の応答は、最初の連続接種と追加接種ともAd26.COV2.Sを接種した集団を除く、8つの組み合わせで増強した。また、CD8陽性T細胞レベルは、最初の連続接種がAd26.COV2.S接種者でより持続的であり、最初の連続接種としてmRNAワクチンを接種し、追加接種としてAd26.COV2.Sを接種した集団では、スパイク特異的CD8陽性T細胞の大幅な増加が認められた。 著者は、「これらのデータは、COVID-19ワクチンの追加接種では、最初の連続接種と追加接種で同じワクチンを用いても、異なるワクチンを使用しても、症候性SARS-CoV-2感染症に対する感染予防効果が増強することを強く示唆する」としている。

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第88回 「みなし感染者」21都道府県が実施/搬送困難3週連続で過去最高

<先週の動き>1.濃厚接触者の発症など検査なしの「みなし感染者」、21都道府県が実施2.救急車の搬送困難事案、3週連続で過去最高に/総務省3.電子処方箋の運用、来年1月開始を目途/厚労省4.紹介受診重点医療機関、紹介状なしの初診で7,000円以上の負担導入へ5.原因不明の重症新生児41例の病名、ゲノム解析で判明/慶応大6.来年2月で経営終了の東海大学大磯病院、徳洲会が承継1.濃厚接触者の発症など検査なしの「みなし感染者」、21都道府県が実施コロナ感染拡大による医療機関や保健所の業務逼迫を緩和するため、同居家族などの濃厚接触者が発症した場合、抗原検査やPCR検査なしで医師が感染者とみなして保健所に届け出る運用を、東京・大阪をはじめ21都道府県が実施している。このうち、秋田、高知を除く19都道府県は、まん延防止等重点措置の適用地域である。神奈川県では、6~49歳までの重症化リスクの低い人や妊娠していない人を対象に、公費検査や抗原検査キットで陽性が判明した場合は、医療機関の受診を待たずに「自主療養」を選べる制度を1月28日から開始し、4日正午までに3,230人の患者が自主療養している。4日から、全国のCOVID-19重症患者は昨年9月以来1,000人を上回っており、6日は新規陽性者数が10万870人と日曜日としては過去最高を記録。厚生労働省はワクチンの3回目接種などの対策推進を指示している。(参考)早期治療狙う・保健所の負担軽減…検査せず診断、「みなし感染」21都道府県で運用(読売新聞)全国で初 自己申告による「自主療養」3200人余が申請 神奈川(NHK)新型コロナウイルス感染症 国内の発生状況(厚労省)2.救急車の搬送困難事案、3週連続で過去最高に/総務省消防庁は1日、救急搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」が、1月30日までの1週間で全国5,303件と過去最高を3週連続で更新したことを明らかにした。同庁によると、このうちコロナ感染が疑われる人は1,833件で、これまで最多だった第5波の1,679件(2021年8月15日までの週)を上回った。地域別で最多は東京消防庁(2,668件)で前週比1%の微増だが、コロナ疑いは22%増の806件だった。大阪市消防局は全体では28%増の527件で、コロナ疑いは43%増の205件。横浜市消防局は全体が4%増の297件、コロナ疑いは26%増の155件だった。(参考)救急搬送困難、3週連続で過去最多 コロナ疑いの困難事案も最多に(朝日新聞)救急搬送困難は5303件 3週連続で最多更新(日経新聞)3.電子処方箋の運用、来年1月開始を目途/厚労省厚労省は、31日に開催した社会保障審議会医療部会で、2023年1月に電子処方箋の運用を開始する方針を明らかにした。電子処方箋は、現在運用しているオンライン資格確認等システムを拡張し、処方箋の運用を電子で実施することで、直近の処方内容の閲覧や複投薬チェックなどの確認が可能となる。なお、利用に当たってはオンライン資格確認を導入している必要があるため、医療情報化支援基金の積み増しを行うなど未導入の医療機関に対して導入を働きかける。(参考)電子処方箋23年1月から、厚労省が関連法制を整備(日経新聞)電子処方箋 概要案内(厚労省)4.紹介受診重点医療機関、紹介状なしの初診で7,000円以上の負担導入へ厚労省は31日に開催した社会保障審議会医療部会で、患者の流れの円滑化を図るため、医療資源を重点的に活用する外来機能を持つ病院について、紹介患者への外来を基本とする医療機関(紹介受診重点医療機関)を明確にすることとし、外来機能報告制度を活用して、病院の外来機能による機能分化を図ることとした。これにより、病院における外来患者の待ち時間短縮や勤務医の外来負担の軽減、医師の働き方改革に寄与することが期待される。紹介受診重点医療機関になった200床以上の病院では、かかりつけ医からの紹介状を持参しない初診患者から7,000円以上の特別負担を徴収する義務が課されることになる(救急患者等の例外あり)。「紹介受診重点医療機関」の指定は、今春の外来機能報告制度によるデータ提出後に検討を行うため、2023年以降となるだろう。(参考)紹介受診重点医療機関や電子処方箋、国民に仕組みやメリットを十分に説明せよ―社保審・医療部会(Gem Med)紹介受診重点医療機関を定額負担の徴収対象に(日経メディカル)資料 紹介受診重点医療機関の検討について 第85回社会保障審議会医療部会(厚労省)5.原因不明の重症新生児41例の病名、ゲノム解析で判明/慶応大原因不明の病気を抱えた重症の新生児85例について、ゲノム(全遺伝情報)の解析を行い、そのうち41例の病名を突き止めたことを慶応大学が発表した。この41例は遺伝性疾患にかかっていることが判明し、約半数の20例で検査や治療方針の変更が行われた。この研究は新生児科医と遺伝学研究者からなる全国17の高度周産期医療センターからなるネットワークにより行われ、研究成果は小児科学分野を代表する国際誌The Journal of Pediatricsに掲載された。(参考)病気の原因がわからない赤ちゃんに対するゲノム解析の有用性を確認-全国で診断に難渋した85名の約半数で原因が判明(慶應義塾大学)原因不明の重症赤ちゃん、ゲノム解析で病名判明 慶大など、治療を改善(日経新聞)6.来年2月で経営終了の東海大学大磯病院、徳洲会が承継東海大学は、このほど神奈川県大磯町にある医学部附属大磯病院の経営を来年2月末で終了すると発表した。その翌月からは、医療法人 徳洲会が事業を継承し、引き続き地域の医療体制を維持するとしている。本病院は昭和59年に東海大学により開設され、21の診療科からなる大学附属病院として運営していたが、高齢化や人口減少のため、この10年で患者数が3割余り減少した。(参考)東海大、大磯病院を移譲 来年3月から徳洲会に事業継承へ(神奈川新聞)東海大学医学部付属大磯病院 来年2月末に事業終了へ(NHK)

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ブレークスルー感染、女性・30歳以上で起こりやすい?

 ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のJing Sun氏らが新型コロナワクチン接種後のブレークスルー感染*の発生率と発生率比(IRR)を特定することを目的とし、後ろ向きコホート研究を実施。その結果、患者の免疫状態に関係なく、完全ワクチン接種がブレークスルー感染のリスク低下と関連していることが示唆された。また、ブレークスルー感染が女性や30歳以上で起こりやすい可能性も明らかになった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2021年12月28日号掲載の報告。*本研究ではブレークスルー感染を、ワクチン接種の14日目以降に発症した新型コロナウイルス感染症と定義しており、2回目完了後の発症としていない。 本研究は、全米の新型コロナに関する臨床データを一元化しているNational COVID Cohort Collaborative(N3C)1)のデータに基づいて分析した。2020年12月10日~2021年9月16日の期間に新型コロナワクチンを1回以上接種した症例がサンプルに含まれた。また、ワクチン接種、新型コロナの診断、免疫機能障害の診断(HIV感染、多発性硬化症、関節リウマチ、固形臓器移植、骨髄移植)、そのほかの併存疾患、人口統計データを検証するにあたり、N3C Data Enclaveを介した。 この研究ではFDAが認可した3つの新型コロナワクチン(ファイザー製[BNT162b2]、モデルナ製[mRNA-1273]、J&J製[JNJ-784336725])と、そのほかのワクチン(アストラゼネカ製など)接種者が含まれた。また、完全ワクチン接種というのは、mRNAワクチンとそのほかのワクチン接種の場合は2回接種、J&J製の場合は1回接種と定義。部分ワクチン接種というのは、mRNAワクチンやそのほかのワクチンを1回のみ接種と定義付けた。2回接種または1回のみ接種後のリスクは、ポアソン回帰を使用して免疫機能障害の有無にかかわらず評価された。 主な結果は以下のとおり。・N3Cのサンプルには計66万4,722例が含まれていた。・患者の年齢中央値(IQR)は51歳(34~66)で、そのうち女性は37万8,307(56.9%)と半数以上を占めていた。・全体として、新型コロナのブレークスルー感染の発生率は、完全ワクチン接種者で1,000人月あたり5.0だった。しかし、デルタ変異株が主要株になった後は高かった(2021年6月20日以前と以降の1,000人月あたりの発生率は、2.2(95%信頼区間[CI]:2.2~2.2)vs. 7.3(95%CI:7.3~7.4)だった。・部分ワクチン接種者と比較し完全ワクチン接種者では、ブレークスルー感染のリスクが28%減少した(調整済みIRR [AIRR]:0.72、95%CI:0.68~0.76)。・完全ワクチン接種後にブレークスルー感染した人は、高齢者や女性が多かった。また、HIV感染者(AIRR:1.33、95%CI:1.18~1.49)、関節リウマチ(AIRR:1.20、95%CI:1.09~1.32)、および固形臓器移植を受けた者(AIRR:2.16、95%CI:1.96~2.38)では、ブレークスルー感染の発生率が高かった。・具体的には、ブレークスルー感染リスクは18〜29歳と比較して30歳以上で30〜40%増加した。・ブレークスルー感染リスクは併存疾患の数が増えるにつれて増加したが、このリスクは免疫機能障害の状態に関連しており、とりわけそれによってAIRRが弱められた。 免疫機能障害のある人は完全ワクチン接種しても、そのような状態ではない人よりもブレークスルー感染リスクはかなり高かったことを受け、研究者らは「免疫機能障害のある人は、ワクチン接種を完遂してもマスク着用やワクチンの代替となるような戦略(例:追加接種や免疫原性試験)が推奨される」としている。

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第94回 コロナ禍3年目、人類の敵はコロナじゃなかった…

実はこの1週間で2度も「ええーーー!!!!」と思う経験をした。私の場合、昼食は自分の個人事務所の近傍にある飲食店を利用している。「この時期に?」と思われるかもしれないが、常にほぼ年中無休の一人仕事であるため、そのくらいしか気分転換はない。もっとも完全な黙食で、オーダーした料理が届くまではマスクをし、食べ終わったらマスクを装着してさっさと事務所に戻っている。本音を言うと、4人掛けテーブル席のような隣席との距離が保てるところに座りたいのだが、一人客だとカウンター席に案内されることが多い。最近では飲食店のカウンター席も隣のスペースとはアクリル板で仕切られていることがほとんどだが、言い訳程度の仕切りも少なくないので本音ではやや不安だ。先日の日曜日、近所のカフェに入った時は運よくテーブル席に座ることができた。もっともカウンター席からほど近いテーブル席。カウンター内にいる従業員とカウンター席に座る客との会話は丸聞こえだ。まあ、通常はそんなのも聞き流しているのだが、女性従業員が客に語っていたある一言が耳に入り、フリーズしてしまった。「まあ、私はさ、しっかり予防しているから。毎週イベルメクチン飲んで」医療従事者の多くがご存じのとおり、今回の新型コロナが流行した当初、治療薬がほとんどなかった際にドラッグ・リポジショニングとして注目された物の一つが駆虫薬のイベルメクチン(商品名:ストロメクトール)だ。これは北里大学特別栄誉教授の大村 智氏が発見した放線菌が生産する物質の化学誘導体で、大村氏はこの研究で2015年のノーベル医学生理学賞を受賞している。新型コロナに関しては北里大学による医師主導の臨床試験と国内製薬企業の興和による臨床試験が実施され、前者はすでに試験を終了してデータの解析中である。イベルメクチンに関しては発展途上国を中心に新型コロナに関する研究報告は数多い。しかし、その中身はかなり小規模の観察研究がほとんど。しかも、投与方法や併用薬も統一したものではなく、有効と断言できるエビデンスは、はっきり言って乏しい。しかし、SNS上では、一部の人がこの薬を「新型コロナの特効薬」と持ち上げ、同時に既存の新型コロナワクチンや治療薬に関する重箱の隅を突いたかのようなネガティブ情報の発信を行っている。表現は悪いがもはや「イベルメクチン真理教」である。手に負えないのは、こうした「信者」の考えに一部の研究者や政治家までも賛同を示していることだ。彼らのイベルメクチン支持には、「日本発の薬」だからというある意味ナショナリズム的な思考も見え隠れする。昨年、私はイベルメクチンについてSNS上でネガティブな言及をした際には、ほぼ丸2日も「信者」たちに絡まれるプチ炎上を経験したほどだ。一部の「信者」がわざわざ個人輸入までしてイベルメクチンの予防内服をしているとの投稿もSNS上では時々目にしていたが、私は人口1億人超の日本でのノイジー・マイノリティぐらいにしか思っていなかった。そのためリアルで当事者に遭遇してやや驚いたのだ。それでもノイジー・マイノリティにたまたま遭遇したのだろうと思って納得していた。この翌日、別の飲食店のカウンター席で昼食を取っていた最中、一つ離れた席に座っていた男性客と従業員の会話を聞いて再び驚いた。従業員「しかし、本当に感染の勢い止まらないですよね」男性客「自分は外回りで人に会うからさ、やれる対策は何でもやろうと思ってね。先月中旬から2週間に1回、イベルメクチンという薬を飲み始めたんですよ」私がたまたまノイジー・マイノリティに連日遭遇しただけという可能性は十分にある。とはいえ、気になったのは最初に遭遇した飲食店の女性従業員も、客との会話で今年に入ってから服用し始めたと話していたことだ。つまり私が遭遇した2人とも、オミクロン株による感染拡大に自身で対処しようと思い、ネットサーフィンで得た情報からイベルメクチンの服用に至ったということなのだろう。そうでもない限り、素人が新型コロナに対してイベルメクチン服用を思い立つことはほぼあり得ない。ちなみに『信者』らはイベルメクチンに関して“安全性の高さ”をやたらと強調するが、医療従事者の多くが知っているように、既存のイベルメクチンの安全性データの多くが、腸管糞線虫症への2回服用、あるいは疥癬への単回服用のデータであって、慢性的に服用する際の安全性は明らかではない。玉石混交の情報から「自分が見たい」あるいは「自分にとって耳触りの良い」情報のみを抽出できるネットの罪の部分が顕在化している一例といえばそれまでだ。しかし、前述のようにイベルメクチン問題では、この薬に好意的な一部の研究者、政治家がさらに「権威付け」してしまっているという最悪の構図も存在する。人の上に立つ、あるいは人前に出がちな人の科学リテラシーの程度次第で社会に計り知れない影響を与える可能性を街角で思い知らされた週となった。これがコロナ禍3年目の市中の様子の一端である。改めて肝に銘じておこうと思う。

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mRNAワクチンの心筋炎リスク、年齢・男女別に2億人を解析/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種後の心筋炎リスクは、男女とも複数の年齢層で上昇し、とくに12~24歳の男性で2回目接種後に高かった。米国疾病予防管理センター(CDC)のMatthew E. Oster氏らが、米国の受動的なワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)を基にした解析結果を報告した。著者は、「心筋炎のリスクは、COVID-19ワクチン接種のメリットに照らして検討する必要がある」とまとめている。JAMA誌2022年1月25日号掲載の報告。米国VAERSへの心筋炎の報告を検証 研究グループは、2020年12月14日~2021年8月31日に、mRNAワクチン(BNT162b2[Pfizer/BioNTech製]またはmRNA-1273[Moderna製])を接種した米国の12歳以上の1億9,240万5,448例を対象に、接種後に発生した心筋炎のVAERSへの報告について解析した(データカットオフ日2021年9月30日)。 主要評価項目は心筋炎、副次評価項目は心膜炎の発生。VAERSへの心筋炎の報告は、CDCの医師および公衆衛生の専門家が検討し、CDCの心筋炎(疑いまたは確定)の定義を満たしているかを確認し、すべての年齢層についてまとめた。 年齢別および男女別に、粗報告率を算出するとともに、心筋炎の予測率を2017~19年の医療費請求データを用いて算出した。また、30歳未満で心筋炎の疑いあるいは確定した症例については、医学的評価および臨床医のインタビューを行い、可能な限り臨床経過(発症前の症状、確定診断検査の結果、治療、早期転帰など)をまとめた。2回目接種後の16~17歳・男性で心筋炎報告率が最も高く約1万人に1人 調査期間中、mRNAワクチンの接種は1億9,240万5,448例において計3億5,410万845回行われた。VAERSへの心筋炎の報告は1,991例で、このうちCDCの定義を満たした心筋炎患者1,626例が解析対象となった。心筋炎患者の年齢中央値は21歳(IQR:16~31)、症状発現までの期間中央値は2日(IQR:1~3)で、1,334例(82%)が男性であった。 mRNAワクチン接種後7日以内の心筋炎の報告は、BNT162b2ワクチン接種者が947例、mRNA-1273ワクチン接種者が382例であった。接種後7日以内の心筋炎粗報告率は、ワクチンの種類、性別、年齢層、1回目または2回目接種で異なっていたが、男女とも複数の年齢層で予測率を越えた。 ワクチン接種100万回当たりの心筋炎報告率は、12~15歳男性(BNT162b2ワクチン70.7)、16~17歳男性(BNT162b2ワクチン105.9)、18~24歳男性(BNT162b2ワクチン52.4、mRNA-1273ワクチン56.3)において2回目接種後に高かった。 詳細な臨床情報が得られた30歳未満の心筋炎患者は826例で、そのうちトロポニン値上昇が98%(792/809例)、心電図異常が72%(569/794例)、MRI所見異常が72%(223/312例)に認められた。96%(784/813例)が入院し、このうち87%(577/661例)は退院までに症状が消失した。最も多かった治療は、非ステロイド性抗炎症薬が87%(589/676例)であった。 なお、著者は研究の限界として、VAERSは受動的な報告システムであるため、心筋炎の報告が不完全で情報の質が多様であり、過少報告または過剰報告の両方があり得ること、ワクチン接種のデータはCDCへ報告された者に限られているため不完全であった可能性があることなどを挙げている。

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コロナワクチン、5歳未満への緊急使用をFDA申請へ/ファイザー

 米・ファイザーは2月1日付のプレスリリースで、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの緊急使用許可を、5歳未満の乳幼児にも拡大するよう求める申請手続きを開始したことを発表した。米国では、オミクロン株まん延下で小児COVID-19症例と入院が急増し、中でも4歳未満の乳幼児の感染例が160万超に上るという。米国では現在5歳以上がワクチン接種の対象だが、FDAが承認すれば、新たに生後6ヵ月~5歳未満への接種が可能になる。 本申請は、生後6ヵ月~5歳未満の小児に対し、3μg(12歳以上を対象としたワクチン30μgの10分の1用量)を2回接種するもの。ファイザーは、現在および潜在的な将来の変異株に対する高いレベルの保護を達成するためには、3回目の追加接種も必要になるとの考えだ。したがって、今回は想定されている3回接種のうち、初回として初めの2回接種について承認を求めているが、3回目の追加接種に関する試験データについても順次FDAに追加提出し、さらに承認の拡大を目指す方針。 翻って日本では、1月21日、ファイザー製の「コミナティ筋注 5~11歳用」の製造・販売が特例承認され、3月以降で接種が始まる見通しが立ったばかりの段階。諸外国では、イスラエルなどが5歳未満への接種を計画しているが、実施に至っている国はなく、世界に先駆けたFDAの判断が注目される。

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mRNAワクチン3回接種、オミクロン株とデルタ株への有効性は?/JAMA

 2021年12月10日~2022年1月1日に新型コロナウイルス感染症様(COVID様)症状を有し検査した人において、mRNAワクチンの3回接種は未接種および2回接種と比較し、オミクロン変異株およびデルタ変異株の両方に対して感染予防効果があることが認められた。米国疾病予防管理センター(CDC)のEmma K. Accorsi氏らが、症例対照研究の結果を報告した。ただし、その効果は、デルタ変異株に比べてオミクロン変異株で低いことが示唆された。JAMA誌オンライン版2022年1月21日号掲載の報告。2021年12月に米国の4,666施設で検査を受けた7万155例について解析 研究グループは、COVID-19のmRNAワクチン3回接種と症候性SARS-CoV-2感染との関連性を、変異株(オミクロン株およびデルタ株)別に推定する目的で、2021年12月10日~2022年1月1日に全米の薬局における検査プログラム(49州のCOVID-19検査施設4,666施設)で検査を受けた18歳以上のCOVID様症状を有する成人7万155例を対象に、診断陰性デザイン(test-negative design)を用いた症例対照研究を行った。 BNT162b2(Pfizer/BioNTech製)またはmRNA-1273(Moderna製)ワクチン3回接種(3回目の接種は検査の14日以上前かつ2回目の接種から6ヵ月以上経過)と、ワクチン未接種および2回接種のみ(2回目接種は検査の6ヵ月以上前、すなわちブースター接種の対象)を比較した。 主要評価項目は、オミクロン変異株またはデルタ変異株による症候性SARS-CoV-2感染。S遺伝子が検出されなかった(S gene target failure:SGTF)感染をオミクロン変異株陽性、非SGTF感染をデルタ変異株陽性とした。すなわち、N遺伝子およびORF1ab遺伝子のPCRサイクル閾値(Ct値)がありS遺伝子のCt値がないをSGTF、それ以外を非SGTFとした。 多変量多項ロジスティック回帰分析により、症例と対照における3回接種vs.未接種および3回接種vs.2回接種のオッズ(OR)を比較することにより、症候性感染とワクチン接種との関連を推定した。また、陽性例において、副次評価項目として、3つのウイルス遺伝子のCt値(ウイルス量に反比例)中央値を、変異株別およびワクチン接種の有無別で比較した。対未接種:オミクロン株67%、デルタ株93.5%、対2回接種:66%、84% 解析対象は、感染例が2万3,391例(オミクロン変異株1万3,098例、デルタ変異株1万293例)、検査陰性(対照)が4万6,764例(平均[±SD]年齢40.3±15.6歳、女性4万2,050例[60.1%])であった。 ワクチン3回接種者の割合は、オミクロン変異株感染例では18.6%(2,441例)、デルタ変異株感染例では6.6%(679例)であり、検査陰性では39.7%(1万8,587例)であった。また、2回接種者はそれぞれ55.3%(7,245例)、44.4%(4,570例)、41.6%(1万9,456例)であり、ワクチン未接種者はそれぞれ26.0%(3,412例)、49.0%(5,044例)、18.6%(8,721例)であった。 3回接種vs.未接種の補正後ORは、オミクロン変異株が0.33(95%信頼区間[CI]:0.31~0.35)、デルタ変異株が0.065(0.059~0.071)、3回接種vs.2回接種の補正後ORは、オミクロン変異株が0.34(0.32~0.36)、デルタ変異株が0.16(0.14~0.17)であった。 Ct値中央値は、オミクロン変異株およびデルタ変異株共に3回接種者で2回接種者より有意に高かった(オミクロンN遺伝子:19.35 vs.18.52、オミクロンORF1ab遺伝子:19.25 vs.18.40、デルタN遺伝子:19.07 vs.17.52、デルタORF1ab遺伝子:18.70 vs.17.28、デルタS遺伝子:23.62 vs.20.24)。

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デルタ株流行期前後の比較では患児のICU入院が多い/成育研・国際医研

 国立成育医療研究センターと国立国際医療研究センターの合同研究チームは、デルタ株流行期における小児新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院例の疫学的・臨床的な特徴を、デルタ株が流行する以前と比較検討した。今回、その結果を庄司 健介氏(国立成育医療研究センター)らのグループが発表した。 この研究は、2020年10月~2021年5月までをデルタ株以前、2021年8月~10月までをデルタ株流行期とし、それぞれの期間に登録された18歳未満の小児COVID-19入院例1,299人(デルタ株以前:950人、デルタ株流行期:349人)を対象に実施。その結果、デルタ株流行期は、デルタ株以前に比べて患者年齢が低いこと(中央値7歳vs.10歳)、基礎疾患のある患者の割合が高いこと(12.6%vs.7.4%)、集中治療室(ICU)入院を要した患者が多いこと(1.4%vs.0.1%)などが明らかとなった。 なお、研究では国内最大のCOVID-19レジストリ「COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)」を利用した。(※本研究は、オミクロン株がまだ存在しなかった時期に実施されているため、その影響は検討できていないことなどに留意願いたい)デルタ株流行期ではICU入院の小児患者が増加【背景・目的】 COVID-19の第5波では、小児患者数も増加したが、小児患者の臨床的特徴や重症度がデルタ株の流行により変化があったのか、どのような小児患者が重症化していたのかなどの情報は限られ、解明が求められていた。これらを明らかにすることを目的とした。【研究対象・方法】・研究対象:2020年10月~2021年5月(デルタ株以前)と2021年8月~10月(デルタ株流行期)の間にCOVIREGI-JPに登録された18歳未満のCOVID-19患者・研究方法:COVIREGI-JPに登録されている、患者の背景や臨床経過、予後などのデータを集計・分析【研究結果】・期間中に研究対象となった18歳未満の患者はデルタ株以前950名、デルタ株流行期349名。・入院患者の年齢の中央値はデルタ株以前が10歳、デルタ株流行期が7歳と、デルタ株流行期の方が若年化している傾向にあった。・入院患者に占める無症状の患者の割合はデルタ株以前が25.8%、デルタ株流行期が10.3%と、デルタ株流行期にはより症状のある患者が多く入院していたことがわかった。・ICUに入院した患者の数と割合は、デルタ株以前1名(0.1%)、デルタ株流行期5名(1.4%)と、いずれもデルタ株流行期で高かったことがわかった。症状があった患者に限って同様の解析を行ったところ、デルタ株以前1名(0.1%)、デルタ株流行期5名(1.6%)と患者全体での解析とほぼ同様の結果だった。・ICUに入院した患者のうち、半数(3/6名)は基礎疾患(喘息または肥満)のある患者だった。 研究グループでは、「今後、小児の入院適応やワクチン接種の対象などを考えていく上で、本研究の結果がその基礎データとして利用されることが期待できる」と感想を寄せ、「オミクロン株の与える影響など、引き続き検討していく必要があると考えられる」と研究の展望を語っている。また、「小児のCOVID-19患者の絶対数が増えると、集中治療を要するような小児患者も増えることが予想され、オミクロン株が流行している現在においても、小児患者について注意深く診ていくことが求められる」と注意を促している。

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国内データで見るオミクロン株へのワクチン2回接種の効果

 新型コロナワクチンの3回目のブースター接種が昨年12月から始まっているものの、初回接種(当初規定された2回目接種まで)時のような進捗が見られない。しかし一方で、オミクロン株の急拡大に歯止めが掛からないのが現状だ。多くが初回接種にとどまっている中、まん延するオミクロン株にはどれほどの効果があるのだろうか。長崎大学などの研究チームが、国内4都県5ヵ所の医療機関において、今年1月1日~21日までに新型コロナウイルス感染症が疑われる症状で検査を受けた患者400例超を解析したところ、ファイザー製もしくはモデルナ製ワクチンの2回接種の発症予防効果は51.7%で、昨年の第5波に流行したデルタ型と比べ大幅に低下していたことがわかった。本結果は、研究チームが進めているVaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2(VERSUS)Studyの暫定データで、 1月26日付で発表された。 本報告は、新型コロナウイルスのオミクロン株が全国で広がり始めた2022年1月1日~21日までに、全国4都県(東京、神奈川、埼玉、愛知)計5ヵ所の医療機関において、COVID-19が疑われる症状で受診した16歳以上を対象に、患者基本情報、症状、新型コロナワクチン接種歴(接種の有無、接種回数、接種日、接種したワクチンの種類)、新型コロナウイルス検査結果のデータを収集し、このうち417例について解析した暫定値。それによると、16~64歳において、ファイザー製あるいはモデルナ製いずれかのワクチンの2回接種完了(2回接種後14日以上経過)による、未接種者と比較した発症予防における有効性は51.7%(95%信頼区間[CI]:2.0~76.2%)と推定された。デルタ株が流行した2021年7月1日~9月30日における同値は88.7%(95%CI:78.8~93.9%)であり、新型コロナワクチンの有効性は低下していると考えられるという。 解析対象者の年齢中央値は32歳(四分位範囲:24~43歳)で、男性は227例(54.4%)、416例(99.8%)は自宅生活者であり、43例(10.3%)に基礎疾患があった。また、67例(16.1%)にCOVID-19患者との接触歴があった。ワクチン接種歴は、未接種53例(12.7%)、1回のみ接種完了5例(1.2%)、2回接種完了346例(83.0%)、接種歴不明1例(0.2%)だった。

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死に至る薬剤耐性菌感染症、最も多い疾患と原因菌は/Lancet

 薬剤耐性(AMR)は、世界中で人々の健康を脅かす主要な原因となっている。これまでのAMR研究は、特定の地域における限られた病原体と薬剤の組み合わせについて、感染症の発生率や死亡数、入院期間、医療費に及ぼすAMRの影響の評価を行い、広範な地域や、病原体と薬剤の網羅的な組み合わせに関する包括的な検討は行われていないという。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏らAntimicrobial Resistance Collaboratorsは、今回、AMR負担に関して現時点で最も包括的な検討を行い、2019年に世界で495万人が細菌のAMRに関連する感染症で死亡し、このうち127万人は薬剤耐性菌感染症が直接の原因で死亡したことを明らかにした。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年1月18日号に掲載された。204の国と地域で、88件の病原体と薬剤の組み合わせを評価 研究グループは、2019年時点の204の国と地域における、23種の病原体および、88件の病原体と薬剤の組み合わせについて、細菌のAMRに起因する死亡と、これによる障害調整生存年数(DALY)などを推算した(ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの助成を受けた)。 データは、文献の系統的レビュー、病院やサーベイランスのシステム、その他の情報源から収集された。解析には4億7,100万件の患者記録や分離株が含まれ、調査地の数×年数は7,585であった。 予測統計モデルを用いて、データのない場所を含むすべての地域のAMR負担の推定値が算出された。AMR負担には、次の5つの一般的な要素が含まれた。(1)感染症に起因する死亡数、(2)特定の感染性症候群に起因する感染性の死亡の割合、(3)特定の病原体に起因する感染性症候群による死亡の割合、(4)対象となる抗菌薬に対する特定の病原体の耐性の割合、(5)この耐性に関連する死亡または感染期間の過剰リスク。 これらの要素を用いて、2つの反事実的シナリオ(AMR菌に起因する死亡、AMRに関連する死亡)に基づく疾病負担が推定された。世界全体および地域別の最終的な推定値とその95%不確実性区間(UI)が算出された。負担は下気道感染症、関連死は大腸菌、死亡はMRSAで多い 2019年、世界全体における細菌のAMRに関連する死亡数は495万件(95%UI:3.62~6.57)であり、このうちAMR菌に直接起因する死亡数は127万件(91万1,000~171万)と推定された。 地域別のAMR負担は、サハラ以南のアフリカ西部で最も高く、AMR関連の全年齢死亡割合は10万人当たり114.8件、AMR菌に起因する死亡割合は10万人当たり27.3件であった。これに対し、AMR負担が最も低かったのはオーストララシアで、AMR関連の死亡割合は10万人当たり28.0件、AMR菌に起因する死亡割合は10万人当たり6.5件だった。 また、2019年の世界全体のAMR負担は、主に3つの感染性症候群(下気道感染症/胸部感染症、血流感染症、腹腔内感染症)の割合が大きく、AMR菌に起因する死亡の78.8%をこれらが占めた。さらに、下気道感染症だけで、AMR関連死亡が150万件以上、AMR菌に起因する死亡は40万件以上に達し、最も負担の大きい感染性症候群だった。 世界全体のAMR関連死亡の最も多い原因となった病原体は大腸菌で、次いで黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、肺炎球菌、Acinetobacter baumannii、緑膿菌の順であった。これら6つの主要な病原体による2019年のAMR関連死亡は357万件(全495万件中)で、AMR菌に起因する死亡は92万9,000件(全127万件中)に達していた。 一方、2019年にAMR菌に起因する死亡数が10万件を超え、DALYが350万年以上であった病原体と薬剤の組み合わせは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)(12万1,000件)だけであった。 また、AMR菌に起因する死亡数が5万~10万件の組み合わせは6つあり、死亡数が多い順に、超多剤耐性菌(XDR)を除く多剤耐性(MDR)結核菌(6万4,600件)、第3世代セファロスポリン耐性大腸菌(5万9,900件)、カルバペネム耐性Acinetobacter baumannii(5万7,700件)、フルオロキノロン耐性大腸菌(5万6,000件)、カルバペネム耐性肺炎桿菌(5万5,700件)、第3世代セファロスポリン耐性肺炎桿菌(5万100件)であった。 著者は、「AMRは、世界各地で主要な死因であり、低医療資源環境では最大の負担となっている。AMR負担と、その原因となる病原菌と薬剤の組み合わせを理解することは、とくに感染予防や管理計画、必須抗菌薬の評価、新たなワクチンや抗菌薬の研究開発に関して、十分な情報を得たうえで地域ごとの施策を決定する際にきわめて重要である。低所得国の多くでは深刻なデータ不足があり、この重要な健康上の脅威に関する理解を深めるためには、微生物学研究所の能力とデータ収集システムの拡充が必要である」と指摘している。

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COVID-19経口治療薬「モルヌピラビル」の有効性(解説:小金丸博氏)

 モルヌピラビルはSARS-CoV-2や他のRNAウイルスに対して活性を有するリボヌクレオシドアナログである。RNA依存性RNAポリメラーゼに作用することによりウイルスRNAの配列に変異を導入し、ウイルスの増殖を阻害する。今回、重症化リスクを有する非重症COVID-19患者に対するモルヌピラビルの有効性と安全性を検討した第III相プラセボ対象ランダム化二重盲検試験の結果がNEJM誌オンライン版に報告された。被験者1,433例を対象とした解析では、プラセボ投与群(699例)の重症化が68例(9.7%)だったのに対し、モルヌピラビル投与群(709例)では48例(6.8%)であった(相対リスク減少率:30%)。死亡者数はプラセボ投与群9例(1.3%)に対してモルヌピラビル投与群では1例(0.1%)であり、モルヌピラビル投与群で少数であった。劇的な効果とはいえないものの、非重症COVID-19に対して一定の重症化予防効果を示した。 サブグループ解析の結果をみてみると、発症4~5日目の患者、肥満患者(BMI 30以上)、ベースラインのSARS-CoV-2抗体陰性の患者(未感染者)でモルヌピラビルの有効性を認めた。既感染者より未感染者に対してモルヌピラビルが有効性を示す理由が明確でないが、発症時のウイルス量が多い方が有効性を期待できる結果となっており、関連が推察される。 高濃度酸素投与が必要な重症患者、発症6日目以降の患者、新型コロナウイルスワクチン接種者、人工透析患者等は、本試験から除外された。これらの患者に対する有効性は確立していないことに注意が必要である。 本試験の結果を参考に、本邦においても2021年12月24日に特例承認された。発症早期の重症化リスク因子を有するCOVID-19患者に対して適応があり、妊婦、または妊娠している可能性のある女性には投与できない。本薬剤は非重症COVID-19患者に対する国内初の経口抗ウイルス薬である。治療の選択肢が増えたこと、外来患者に対して投与できることは、医療者側にとっても大きなメリットとなる。副反応についての情報はまだ不十分であり、さらなる知見の集積が必要である。

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小児用の新型コロナワクチン「コミナティ筋注5~11歳用」【下平博士のDIノート】第91回

小児用の新型コロナワクチン「コミナティ筋注5~11歳用」今回は、小児用のSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)ワクチン「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(商品名:コミナティ筋注5~11歳用、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。これまで新型コロナワクチンの接種対象外であった5~11歳の小児が適応となるため、小学校などでの集団感染や子供が発端となる家庭内感染を抑えることが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の予防の適応で、2022年1月21日に特例承認されました。接種対象は5歳以上11歳以下の小児です。なお、本剤の予防効果の持続期間は確立していません。<用法・用量>日局生理食塩液1.3mLで希釈し、1回0.2mLを合計2回、通常3週間の間隔で筋肉内に接種します。1回目の接種から3週間を超えた場合には、できる限り速やかに2回目の接種を実施します。本剤は2回接種により効果が確認されているため、原則として、同一の効能・効果をもつ他ワクチンと混同することなく2回接種します。<供給・保管に関する注意>本剤は冷蔵庫(2~8℃)で解凍後、10週間の保存が可能であり、超低温冷凍庫の設備は必須ではありません。30℃を超えない室温で解凍する場合は、解凍開始から24時間以内(一度針を刺した後の時間を含む)に使用します。希釈後は2~30℃で12時間までの保存が可能となっています。<安全性>臨床試験で報告された主な副反応は、注射部位疼痛84.3%、疲労51.7%、頭痛38.2%、発赤・紅斑26.4%、腫脹20.4%、筋肉痛17.5%、悪寒12.4%などでした。また、重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー、心筋炎、心膜炎(いずれも頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.このワクチンを接種することで新型コロナウイルスに対する免疫ができ、新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。2.本剤の接種当日は激しい運動を避け、接種部位を清潔に保ってください。3.医師による問診、検温および診察の結果から、接種できるかどうかが判断されます。発熱している人などは、本剤の接種を受けることができません。4.合計2回を3週間の間隔で筋肉内に接種します。1回目の接種から3週間を超えた場合は、できる限り速やかに本剤の2回目の接種を受けてください。5.本剤の接種直後または接種後に、心因性反応を含む血管迷走神経反射として、失神が現れることがあります。接種後一定時間は接種施設で待機し、帰宅後もすぐに医師と連絡を取れるようにしておいてください。6.接種後は健康状態に留意し、接種部位の異常や体調の変化、高熱、痙攣など普段と違う症状がある場合には、速やかに医師の診察を受けてください。7.心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸など)が認められた場合には、すみやかに医師の診察を受けてください。<Shimo's eyes>本剤は12歳以上が対象のmRNAワクチン「コミナティ筋注」(2021年2月承認)と同一有効成分であり、11歳以下であっても使用できる小児用新型コロナワクチンとして初めて特例承認されました。5~11歳を対象に行った海外の臨床試験では、90.7%の有効性が確認されています。本剤は、希釈後の濃度が従来製剤の半分になるように調整されており、0.2mLで有効成分10μg(12歳以上への投与量の3分の1)が投与されます。従来製剤とは希釈液量が異なるので代用はできません。デッドボリュームの少ない注射針またはシリンジを使用した場合、10回分を採取することができます。1回量0.2mLを採取できない場合は、残量は使わずに廃棄します。従来製剤のバイアルキャップは紫色ですが、取り違えを防ぐため、小児用の本剤はオレンジ色となっています。そのほか、両剤の違いは「適正使用ガイド」にまとめられています。

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第97回 COVID-19後遺症様の症状が稀にワクチン接種後にも生じうる

イスラエルでもワクチンのCOVID-19後遺症予防効果あり去年9月に発表された英国での試験1)と同様に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種済みの人のSARS-CoV-2感染後の長引く症状(COVID-19後遺症)の主なものはどれも非接種の人に比べて少ないことがイスラエルでの試験でも示されました2,3)。もっと言うと、ワクチン接種済みの人のそれらの症状はSARS-CoV-2に感染したことのない人より多くもありませんでした。COVID-19後遺症全般についてはワクチンによる予防効果が認められなかった試験報告4)もありますが、エール大学の岩崎明子(Akiko Iwasaki)氏によれば今回のイスラエルでの試験や英国での試験結果はともあれ吉報です。「COVID-19後遺症は悲惨で、消耗を強いる。そうならないようにする手立ては何であれCOVID-19後遺症がこれ以上増えるのを防ぐのに必要であり、(その手立てを担いうるという)ワクチン接種理由がまた1つ増えた」と同氏は言っています2)。ワクチン接種後にも稀ながら生じうる後遺症ワクチンがCOVID-19後遺症を予防しうるとの期待がある一方で、その後遺症に似た症状がワクチン接種後に生じることが稀ながらあるようです5)。かつて幼稚園の先生をしていたBrianne Dressen氏は2020年11月にSARS-CoV-2ワクチンを接種し、その日の晩までに目がぼやけはじめました。また、貝殻を耳に当てているように音が変になりました。症状は急激に悪化し、やがては心拍異常や筋肉の脱力に見舞われ、電気ショックのような感覚を被るようになりました。Dressen氏はいまやそのほとんどの時間を暗い部屋で過ごし、歯を磨くことや幼い我が子に触れられるのさえ耐えることができません。医師がDressen氏を不安症と診断してからときが過ぎ、今から1年前の2021年1月になると米国国立衛生研究所(NIH)の研究者はDressen氏に降り掛かったような事態を把握し始め、Dressen氏や他の患者をNIH施設に招いて検査し、時には治療も施しました。しかし手がかりは少なく、Dressen氏が被ったような長く続く体調不良をワクチンが引き起こしたのかどうかは分からずじまいでした。NIHと患者のやり取りは昨年2021年の遅くまでに途絶えてしまいました。内々で研究は続いているとDressen氏等の調査を率いたNIHの研究者Avindra Nath氏は言うものの、唯一の頼みの綱であったNIHが手を引いたことに患者は困惑し、がっかりしています。NIHの研究は尻すぼみとなりましたが、ワクチン接種後の後遺症を理解することはそれらで悩む人の助けになるでしょうし、もしワクチンとの関連の仕組みが明らかになれば次世代のワクチン開発の参考になるに違いありません。また、そういう後遺症の恐れがある人を事前に同定可能になるかもしれません。カリフォルニア大学の免疫学者William Murphy氏はSARS-CoV-2スパイクタンパク質が誘発する自己免疫で感染後とワクチン接種後のどちらの長患いも説明できるかもしれないとの論説をNEJM誌に去年11月に発表しました6)。感染後やワクチン接種後の好ましい抗ウイルス効果と生じて欲しくない副作用の両方に免疫反応がどう寄与しているかをもっと基礎から調べる必要があります。Murphy氏はワクチン接種の支持者ですが、ワクチンを皆に安心して接種してもらうにはワクチン接種に安全性の心配はないと言って済ますのではなくワクチンについて隈なく調べ尽くすことが必要だと述べています5)。しかしMurphy氏の期待とは裏腹にNIHのNath氏が率いた患者研究は長続きしませんでした。NIHの研究には患者34人が参加し、そのうち14人がNIHで診られ、残り20人は血液検体、それに何人かは脳脊髄液(CSF)検体を提供しました。しばし治療も受けた患者もおり、たとえばステロイド高用量投与や免疫グロブリン静注(IVIG)が施されました。そのようにNIHは初めこそ患者を助けようとしていたにもかかわらずやがて患者との接触を断つようになりました。去年の9月のDressen氏の神経検査の予定は遠隔面談となり、12月になるとNath氏は患者を来させないようにしました。多くの患者を長期間治療するようにNIHは設えられておらず、患者の地元の担当医が手当てにあたるのが最良だとNath氏は言っています。しかしNath氏の言い分とは裏腹に医師には何もしてもらえないという患者もいますし、気のせいだと決めつけられることもあります。そうして表向きは梯子を外したNIHですが、エール大学の岩崎 明子氏はNIHのNath氏の協力を仰いでワクチン接種後の反応とCOVID-19後遺症がどう関連するかを調べることを計画しています。すでに患者との話が始まっており、血液や唾液などの検体を患者から集めるつもりです。また自己抗体を疑うドイツの研究者Harald Pruss氏はマウスへのSARS-CoV-2ワクチン接種後の自己抗体の特定に取り掛かっています。Pruss氏は感染後やワクチン接種後の患者の治療にもあたっており、患者の血液から抗体のほとんどを取り除く治療を調べる臨床試験を近々開始したいと考えています。自己抗体などの免疫系の関与は患者の体験でも示唆されており、ワクチン接種後に不調に陥った患者の何人かはScienceの取材に応じて免疫抑制剤でいくらか良くなったと言っています。NIHのNath氏も同様の効果を把握しており、免疫抑制/調節作用があるIVIGやステロイドによるCOVID-19後遺症治療を調べているNIH主催臨床試験結果がワクチン関連の合併症にも役立つことを期待しています。岩崎氏がワクチン開発にも着手COVID-19研究で何かと目に耳にすることが多いエール大学の岩崎氏の取り組みは今やワクチン開発にも及んでいます。先週26日にbioRxiv誌に発表された同氏率いるチームのマウス実験の結果、mRNAワクチン筋肉注射に続くSARS-CoV-2スパイクタンパク質やそのmRNAの点鼻投与で呼吸器粘膜の免疫を安全に底上げして感染や発病を防ぎうることが示されました7)。次の段階として、より大きな動物や臨床試験での安全性や有効性の検討が必要です8)。将来的には他の粘膜ウイルス病原体にも今回と似た手段が通用しそうであり、岩崎氏の活躍を見聞きすることは今後ますます多くなりそうです。参考1)Antonelli M,et al.Lancet Infect Dis. 2022 Jan;22:43-55. 2)Long-COVID symptoms less likely in vaccinated people, Israeli data say / Nature3)Association between vaccination status and reported incidence of post-acute COVID-19 symptoms in Israel: a cross-sectional study of patients tested between March 2020 and November 2021. medRxiv. January 17, 20224)Six-month sequelae of post-vaccination SARS-CoV-2 infection: a retrospective cohort study of 10,024 breakthrough infections. medRxiv. November 08, 20215)In rare cases, coronavirus vaccines may cause Long Covid-like symptoms. Science.6)Murphy WJ, et al. N Engl J Med. 2022 Jan 27;386:394-396. 7)Unadjuvanted intranasal spike vaccine booster elicits robust protective mucosal immunity against sarbecoviruses. bioRxiv. January 26, 20228)岩崎 明子氏のTwitter投稿(2022年1月27日)

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新型コロナ、スーパースプレッダーとなりうる人の特徴/東京医科歯科大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、すべての患者が等しく感染を広げるのではなく、高いウイルスコピー数をもつ特定の患者がとくに感染を広げていくことが知られる。東京医科歯科大学の藤原 武男氏らによるRT-PCR検査によるウイルスコピー数を用いたCOVID-19入院患者の後ろ向き解析の結果、3つ以上の疾患の既往歴および、糖尿病、関節リウマチ、脳卒中の既往がスーパースプレッダーのリスク因子となることが示唆された。Journal of Infection誌オンライン版2021年12月30日号にレターとして掲載の報告より。 2020年3月~2021年6月に、中等症から重症のCOVID-19で東京医科歯科大学病院に入院し、少なくとも1回以上RT-PCR検査が行われた患者が解析対象とされた。入院患者の電子カルテの情報を基に、高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症・関節リウマチ・がん・慢性腎不全・脳卒中・心疾患・呼吸器疾患・アレルギーといった基礎疾患の有無とウイルスコピー数について関連が調査された。 主な結果は以下の通り。・計379例が適格となり、解析対象とされた。年齢中央値は59歳で、約33%が女性だった。・PCRテスト回数の中央値は2(1~26)回。複数回PCRテストを実施した患者の90%以上で、ウイルス量は1回目または2回目でその個人の最大値を示した。・約59%に基礎疾患があり、約21%に3つ以上の基礎疾患があった。・基礎疾患について詳細は、高血圧症が38.5%、糖尿病が21.6%、がんが18.7%、脂質異常症が18.5%、呼吸器疾患が10.8%、心疾患が9.0%、高尿酸血症が7.7%、慢性腎臓病が6.6%、脳卒中が5.0%、関節リウマチが2.1%だった。・1人を除きワクチンは未接種だった。・性別、年齢、喫煙状況について調整後の多変量回帰分析の結果、上記基礎疾患を3つ以上重複して有する患者では、基礎疾患のない患者と比較して、ウイルスコピー数が87.1倍(95%信頼区間[CI]:5.5~1380.1)高く、ウイルスコピー数の多さと有意に関連していた。・また、関節リウマチ患者では1659.6倍(95%CI:1.4~2041737.9)、脳卒中患者では234.4倍(95%CI:2.2~25704.0)倍、糖尿病患者では17.8倍(95%CI:1.4~ 223.9)ウイルスコピー数が高く、ウイルスコピー数の多さと有意に関連していた。・入院時の血液検査結果における血小板数とCRPレベルの低さも、ウイルスコピー数の多さと関連していた。 著者らは、軽症患者が解析に含まれていない点、変異株による影響が不明な点等の本研究の限界を挙げたうえで、基礎疾患の有無や検査値などの入院時に得られる情報に基づき、スーパースプレッダーとなる可能性の高い患者に対しては、とくに感染の初期において注意深い感染管理措置が必要なことが示されたとまとめている。

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JSMO2022の注目演題/日本臨床腫瘍学会

 2022年1月21日、日本臨床腫瘍学会はオンラインプレスセミナーを開催し、会長の国立がん研究センター中央病院の大江 裕一郎氏らが、第19回学術集会の注目演題などを発表した。 今回の学術集会のテーマは「Inspiring Asian Collaboration and the Next Generation in Oncology」。アジアとの協力関係と若手の活性化を目指したものだという。2022年2月17~19日に、現地(京都国際会館およびザ・プリンス京都宝ヶ池)開催を基本とし、webライブとオンデマンド配信を組み合わせたハイブリッド形式で行われる。演題数は1,000を超え、4分の1は海外からの演題とのこと。4つのPresidenstial Session 選ばれた優秀演題が発表されるPresidentialは1~4までのsessionで行われる。 Session1は乳がんと婦人科がんで2月17日午前、Session2は肺がんで2月17日午後、Session3は消化器がんで2月18日午前、Session4は造血器腫瘍と希少がんのトピックで2月19日の午前に開催される。COVID-19関連演題 COVID-19関連は、主に2つの合同シンポジウムと2つの一般演題セッションで取り上げられる。 同学会と日本癌学会/日本癌治療学会のがん関連3学会の合同シンポジウム「COVID-19流行のがんマネジメント」が2月17日午後に行われる。ここでは、新型コロナの流行によるがんのマネジメントへの影響について、さまざまな観点から議論する。 ESMO(欧州臨床腫瘍学会)との合同シンポジウム「Oncology Trial and Practice with/post COVID-19 era」が上記シンポジウムに引き続いて行われる。ここでは海外演者と日本の演者が登壇し、コロナ禍でのがん臨床および治療開発をどのように行うべきかディスカッションが行われる。 一般演題ではCOVID-19関連Mini Session1と2で国内外の演者による発表が行われる。HPV関連がん 2020年にワクチンの積極的勧奨が再開されたHPV関連がんについては、会長企画「HPV関連がんの予防と治療~日本とアジアの現状から見えてくるものとは~」で取り上げる。 ここではHPVワクチンの安全性や近年増加しているHPV関連中咽頭がんについての新たな知見が紹介される。

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