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コロナ重症化リスクを低減、パキロビッドパック第II/III相試験結果/NEJM

 重症化リスクがあるワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者に対し、ニルマトレルビル+リトナビル(商品名:パキロビッドパック)はプラセボと比較し、入院または死亡のリスクを約89%低下させ、安全性に明らかな懸念は認められなかった。米国・ファイザー社のJennifer Hammond氏らが、国際共同第II/III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験「EPIC-HR試験」の結果を報告した。ニルマトレルビルは、経口投与可能なSARS-CoV-2のメインプロテアーゼ(Mpro)阻害剤で、in vitroにおいて幅広い種類のコロナウイルスに対し強力なMpro阻害活性およびウイルス複製阻害作用を示し、マウスモデルにおいて経口投与により肺のSARS-CoV-2力価がプラセボに比べ有意に低下することが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。ニルマトレルビル+リトナビル5日間併用投与、発症後5日以内に治療を開始 EPIC-HR試験の対象は、SARS-CoV-2陽性が確認され、無作為化の5日前までに症状が発現し、かつ無作為化時点でCOVID-19の徴候または症状が少なくとも1つあり、COVID-19の重症化リスクを有する18歳以上の成人患者であった。SARS-CoV-2感染歴、無作為化後48時間以内に入院を要することが想定される患者、ワクチン接種歴のある患者などは除外した。 対象患者を、ニルマトレルビル群(ニルマトレルビル300mgおよびリトナビル100mgを12時間ごとに5日間経口投与)またはプラセボ群に、1対1の割合で割り付けた(リトナビルは、ニルマトレルビルの主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害することから、ニルマトレルビルの血漿中濃度を維持する目的で併用される)。 主要評価項目は、mITT集団(症状発現後3日以内に治療が開始され、モノクローナル抗体未投与)における28日目までのCOVID-19関連入院または全死因死亡のイベントが認められた患者の割合で、ウイルス量および安全性についても評価した。入院/死亡の患者の割合、プラセボと約6.3%差、相対リスク減少率は約89% 2021年7月16日~12月9日の期間に、世界343施設で合計2,246例がニルマトレルビル群(1,120例)およびプラセボ群(1,126例)に無作為化され、治療を受けた。 事前に計画された中間解析(全解析対象集団1,361例、このうち774例がmITT集団)では、主要評価項目のイベントが認められた患者の割合は、ニルマトレルビル群が0.77%(3/389例、死亡0)、プラセボ群が7.01%(27/385例、死亡7例)で、ニルマトレルビル群がプラセボ群より6.32%低かった(95%信頼区間[CI]:-9.04~-3.59、p<0.001、相対リスク減少率89.1%)。 最終解析(全解析対象集団2,246例、このうち1,379例がmITT集団)でも有効性は維持されており、主要評価項目のイベントが認められた患者の割合はニルマトレルビル群が0.72%(5/697例、死亡0)、プラセボ群が6.45%(44/682例、死亡9例)で、群間差は-5.81%(95%CI:-7.78~-3.84、p<0.001、相対リスク減少率88.9%)であった。 症状発現後3日以内に治療を開始した場合、治療開始5日目のウイルス量はニルマトレルビル群がプラセボ群よりも低く、群間差(補正後平均値)は-0.868 log10コピー/mLであった。 安全性解析対象集団(ニルマトレルビル群1,109例、プラセボ群1,115例)において、有害事象の発現率は両群で同等であった(有害事象:22.6% vs.23.9%、重篤な有害事象:1.6% vs.6.6%、投与中止に至った有害事象:2.1% vs.4.2%)。ニルマトレルビル群でプラセボ群より高頻度に発現した有害事象は、味覚障害(5.6% vs.0.3%)および下痢(3.1% vs.1.6%)で、死亡はプラセボ群でのみ13例認められ、すべてCOVID-19に関連した死亡であった。副作用の発現頻度は、ニルマトレルビル群(7.8%)がプラセボ群(3.8%)より高かったが、この差は主に味覚障害(4.5% vs.0.2%)と下痢(1.3% vs.0.2%)によるものであった。

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第97回 “アジャイル思考”を得ない限り、日本は今のコロナ対策から抜けられない!?

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の流行の主流がオミクロン株になって以降、よく耳にするようになったのが「オミクロン株による感染はただの風邪」という理屈だ。これはある意味では正しいかもしれない。少なくとも基礎疾患のない若年者にとっては、風邪に近いと言っても差し支えはないだろう。もっともこの一部の人にとっての「風邪」もワクチンの2回接種完了者が国内総人口の約8割を占めるワクチン効果が加味されている可能性が高いことも念頭に置かねばならない。この昨今、声高に語られる「オミクロン株感染風邪論」の背後には、過去2年以上の度重なる行動規制に対する恨み節が籠っていることは否定できない。なんせ、今回のコロナ禍によって発出された緊急事態宣言やまん延防止等重点措置(以下、まん防)に伴う経済損失総額は、野村総合研究所による試算で20兆円超。これは先日、衆議院予算委員会を通過した過去最大の2022年度予算の歳出総額107兆5,964億円の約20%に相当する。これ以外に数字に表れない損失もあることは周知のことで、いずれにせよ国民に大きな犠牲を強いていることは明確である。それ故に若年層を中心に「風邪ごときのとばっちりを食らうのはまっぴらごめん」との理屈が支持を受けるのも分からないわけではない。とはいえ、医学的に見れば、高齢者での新型コロナはただの風邪ではなく、その一撃で命を奪われる危険性は明らかにほかの感染症よりも高い。このように言うと、「残りの人生が少ない高齢者のために、なぜ前途ある若者が苦渋を強いられなければならない」という反論が常に飛び出してくる。実際、私の身近でもそうした声はよく聞く。こうした時に私は「重症化した高齢者にかかる莫大な医療費を負担するのは、結局若年層なので高齢者を感染から守ることは若年者を守ること」と伝えている。もっとも目に見えにくい負担を実感してもらうのはなかなか難しいのが現実だ。そうした中で「オミクロン株感染風邪論者」が最近引き合いに出すのが、欧州連合内で初めて新型コロナの感染拡大阻止関連規制のほぼすべてを撤廃したデンマークの事例だ。この措置は2月1日からスタートし、公共交通機関利用時のマスク着用義務、飲食店利用時などでのデジタル証明「コロナパス(ワクチン接種証明・PCR or抗原検査陰性証明)」の提示義務などが撤廃された。規制撤廃発表の記者会見では、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相が「さよなら規制、ようこそコロナ前の生活」と宣言したほど。ところが今のデンマークでは毎日3万人程度の新規感染者と30~40人の死者が報告されている。総人口約580万人のデンマークのこの状況を日本に当てはめると、毎日約65万人の感染者と700人前後の死者が発生している計算だ。現在1日の新規感染者8万人前後で、31都道府県に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づくまん防を発令中の日本から考えれば驚くような決断である。デンマークの決定は感染者が増加していながら、重症者が増加していない同国内の感染状況データを根拠としている。ちなみに現在、デンマークでの感染の主流は、日本の報道では「ステルス・オミクロン」と称されるオミクロン株の亜種BA.2である。確かにオミクロン株はデルタ株と比較して重症化しにくいとは言われているが、感染者が増えれば、当然ながら重症者も増える。にもかかわらず、今回の決定に至った背景には、デンマーク国内の総人口に占める新型コロナワクチンの2回接種完了率が81.0%と日本と大差ないにもかかわらず、ブースター接種完了率が61.7%(2月22日付)と日本とは比較にならないほど高い現状を加味していると言われている(2月22日付の日本国内での2回接種完了率は79.1%、ブースター接種完了率は15.3%)。さらにデンマークの場合、現時点で65歳以上の高齢者のブースター接種完了率は約95%。重症化のハイリスク者に対しては4回目接種を計画し、新たな変異株の登場次第では4回目接種の対象を全人口に拡大することを視野に入れている。要は現状と将来の備えは日本とは比較にならず、デンマークを事例に挙げながら日本国内の対応を単純批判する「オミクロン株風邪論者」は自分の主張に合わせてファクトを都合良く切り貼りしているに過ぎない。だが、それ以上にデンマークと日本には根本的に大きな差があると個人的には考えている。というのもデンマークはすでに昨年9月に今回のような規制の大幅な解除を行いながら、その後の感染者増加に伴って規制を復活。そして再び今回の規制撤廃に至っている。要は状況に応じてアジャイルな対策を行っているのだ。「アジャイル」は、英語で「機敏な」という意味。最近ではソフトウェア開発などに関連してよく耳にするようになった言葉で、要は基本機能を実装したソフトウェアはすぐに実用を開始し、必要に応じて徐々にアップデートしていくということ。スマートフォン用アプリなどが代表例だ。ところが最初に何らかの商品やサービスを市場に出す際に完璧さを求めがちな日本ではこうした手法はあまり馴染みがない。私はもう一つの取材領域である国際紛争関係でこうした違いを実感したことがある。海外の紛争地域では、旧西側を中心とする欧米各国の軍が停戦監視などの平和維持活動(PKO)のために派遣されることが少なくない。そこで見かける各国の軍用車両は、基本型を軸にさまざまな派生型がある。派遣地域の地勢や気候の違い、技術革新に応じて基本型への追加改修キットがあり、結果として派生型の軍用車両が数多く存在するのである。何とも合理的だと思っていたが、日本の自衛隊ではこうしたケースは見かけない。ある時にこの点を防衛省関係者に尋ねたところ次のような答えが返ってきた。「新装備の予算要求の際、国会をはじめとする関係各方面からは考えられうる最上スペックを求められます。それが数年後に状況に合わなくなり、また新装備を導入しようとすると、『あの時、君たちは最上のものだと言ったじゃないか。じゃあ、あの時の提案は不備や間違いだったのか』と言われてしまうのです。ベストのものはその時々で変わるものなのですが…」新興感染症では、時間の経過とともに不明点が明らかになり、それに伴い対応策も大きく変更を迫られることが多い。しかし、前述のように日本ではもともとこうした変更に対する国民的許容幅は広くはない。アジャイルに過ぎないことが時に「場当たり」「なし崩し」と表現される。もっと端的に言えば、オール・オア・ナッシングな傾向とも言えるかもしれない。そしてこうした傾向は、オミクロン株登場後の新型コロナワクチンに対する世間の評価でも垣間見られる。オミクロン株に対する既存の新型コロナワクチンの感染予防と発症予防の効果がかなり低下したことは事実である。だが、2回目接種完了直後あるいは3回目接種終了後ならば、それでも6割程度の感染予防・発症予防効果はあることが分かっている。しかし、これを機にもともとワクチンに否定的ではなかった人からも「ワクチンに意味はない」「いまやワクチンは無効だ」という言説が目につくようになった。そして、国などが新型コロナ対策でマイナーチェンジをする時なども、「完璧さ」を目指す社会的雰囲気を受けたばつの悪さなのか、歯切れの悪い説明が目立つ。結局のところ、現在の「オミクロン株風邪論」や「感染症法での新型コロナの扱いは2類か5類か論争」も日本人のアジャイル感のなさゆえの結果とも思えてきて仕方がない昨今だ。

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痛み止めの使い過ぎによる頭痛の有病率調査~糸魚川研究

 一般的な日本人を対象とした痛み止めの使い過ぎによる頭痛(MOH)の有病率に関する調査は十分に行われていない。新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、MOHの有病率およびその特徴を明らかにするため、アンケート調査を実施した。また、クラスタリングを実施し、MOHのサブグループ化を行った。Neurological Sciences誌オンライン版2022年1月19日号の報告。 新潟県・糸魚川市において、COVID-19のワクチン接種後の待機時間を利用して15~64歳の住民を横断的に調査した。MOHの定義は、1ヵ月当たり15回以上の頭痛、過去3ヵ月間で1ヵ月当たり10日または15日以上の鎮痛薬の使用とし、自己報告により情報を収集した。ウォード法およびK-means++法を用いて、MOHのクラスタリングを行った。 主な結果は以下のとおり。・有効回答者5,865例中、MOHの有病率は2.32%(136例)であった。・MOHは、女性および中年期により多く認められた。・鎮痛薬の併用(多くはOTC薬)は、頻繁に認められた。・MOH患者は、非MOH患者と比較し、日常生活の身体活動の悪化、中等度~重度の疼痛、片頭痛が認められた。・MOH患者136例は、3つのクラスターに分類された。・クラスタリングの重要な因子は、急性薬物使用の年齢および頻度であった。 著者らは「本研究は、日本で初めて実施されたMOHの有病率調査である。MOHの特徴は、世界各国の報告と同様であった。適切な頭痛治療に関する知識の習得は、重要であると考えられる。急性薬物使用の年齢および頻度は、既知の臨床サブタイプとは別に、社会的観点からのサブタイプのグループ化を行ううえで重要である可能性が示唆された」としている。

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LINEチャットボットでコロナの隔離期間を自動計算

 新型コロナワクチンに関する情報提供を行う医師らが組織する「一般社団法人コロワくんサポーターズ」は提供するLINEボットサービス(関連記事:副反応は大丈夫?新型コロナワクチンの疑問に答えるLINEボット)の新機能として「コロナ待機期間 自動計算システム」を追加した。コロナの隔離期間や待機期間を計算 これまでワクチン接種の対象者や副反応の不安に対し、チャットボット機能を使った情報提供をしてきたが、今回の新機能「コロナ待機期間 自動計算システム」は「コロナ陽性者・濃厚接触者」「症状あり・なし」「陽性判定日」等の情報を入れることで隔離解除日を自動計算して教えてくれる。コロナ待機期間の自動計算システムの利用はLINE上で「コロワくんの相談室」を検索して友達追加するだけ、と簡便だ。 「コロワくんサポーターズ」の中心メンバーの1人である山田 悠史氏(マウントサイナイ医科大学 老年医学科フェロー)は、新サービス提供にあたり下記コメントを寄せている。 「『コロワくんの相談室』のLINE上で無料で使えるチャットボットで、新型コロナウイルスやワクチンの疑問に対する答えを最新の科学的知見に基づいて提供しています。20名ほどからなるチームがボランティアで作成やアップデートを行っており、最新のオミクロン株の情報なども検索できます」。 「今回の『隔離解除日の自動計算機能』は、オミクロン株の影響で感染者が増加し、多忙を極めているであろう医療従事者や保健所のスタッフの方、そして感染や濃厚接触後にお困りの方の助けになればという思いで作成しました。『隔離や自宅待機の解除の日はいつか?』という質問は、日々の診療の中でもよく聞かれる質問の一つでしょう。日本国内の基準は少し複雑なので、毎回それを確認する作業は忙しい日々の診療の負担になっているかと想像します。本サービスはコロナ感染者にも濃厚接触者にも対応しており、多くの医療機関や行政で活用頂ければ幸いです」。

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国内オミクロン株感染者139例の臨床的特徴/感染研

 国立感染症研究所は、国内におけるオミクロン株の疫学的・臨床的特徴を迅速に把握することを目的として、検疫および国内にて初期に探知されたオミクロン株症例について、積極的疫学調査を行った。18日、第5報として収集されたすべての結果が報告された。【対象症例】 2021年11月29日~2022年1月12日までに本調査の協力医療機関に入院し診療を行った新型コロナウイルス感染者の中から、ゲノム解析によりオミクロン株感染が確定した139例。【調査方法】 退院後に調査票を用いて、基本情報、渡航情報、ワクチン接種歴、基礎疾患、入院時のバイタルサイン・臨床症状、入院期間中に観察された臨床症状、合併症、入院中の治療、入院経過・退院時転帰などの情報を収集し、疫学的記述を行った。【主な結果】・調査対象139例の内訳は、男性91例(65.5%)、女性48例(34.5%)であり、年齢の中央値は33歳(0-81)。20~50代が7割を占め、10代以下が2割、60代以上は1割だった。・BMIの中央値(四分位範囲)は22.3kg/m2(19.1-25.3)で、33例(23.7%)に喫煙歴、73例(52.5%)に飲酒歴を認めた。・5例(3.6%)に過去のSARS-CoV-2感染歴が認められた。発症から入院までの期間の中央値(四分位範囲)は3日(2-4)であった。・ワクチン接種歴は3回が3例(2.2%)、2回が86例(61.9%)、1回が4例(2.9%)、接種なしが46例(33.1%)。未接種者(1回接種・接種なし)50例は10歳未満が32%と多くを占めた。・何らかの基礎疾患を有した症例は30例(21.6%)であり、高血圧(12.2%)、脂質異常症(7.9%)、肥満(4.3%)の頻度が高かった。・入院時の体温、脈拍数、呼吸数の中央値(四分位範囲)は、それぞれ36.8℃(36.5-37.2)、86回/分(77-98)、18回/分(16-20)だった。酸素飽和度の中央値(範囲)は98%(95-100)で、1例が酸素2L/分の投与を必要とした(基礎疾患を有する80代のワクチン未接種者)。・入院時、106例(76.3%)が何らかの症状を認めていた一方、無症状者は33例(23.7%)で、うち5例が入院後に何らかの症状を認めた。・COVID-19診断による入院時の主な症状は、咳嗽(46.0%)、咽頭痛(33.8%)、37.5℃以上の発熱(30.9%)、鼻汁(18.0%)で、味覚障害・嗅覚障害はそれぞれ1例(0.7%)に認められた。・入院時、139例中124例が胸部X線検査もしくはCT検査を受け、7例(5.6%)に肺炎像を認めた(X線:3/108例、CT:5/45例)。血液検査所見は概ね正常範囲内だった。・139例中26例(18.7%)にCOVID-19への直接的な効果を期待して治療介入が行われ、113例(81.3%)が対症療法のみであった。ICUでの加療や、人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)の使用といった重症治療を受けた者は認めなかった。・全入院期間の中央値(四分位範囲)は11日(9-14)で、細菌性肺炎や急性呼吸切迫症候群(ARDS)の合併例は認めなかった。・発症から退院までの期間に観察された主な症状は、咳嗽(56.8%)、37.5℃以上の発熱(56.1%)、咽頭痛(41.7%)、鼻汁(32.4%)、味覚障害(7.2%)、嗅覚障害(5.8%)だった。・28例(20.1%)が退院まで無症状で経過し、133例(95.7%)が自宅退院した。残りのうち4例(2.9%)は医療機関へ転院し、2例(1.4%)が医療機関以外の施設へ入所した。・ワクチン接種者、未接種者ともに死亡例は認めなかった。 なお、本調査結果はワクチン接種者と未接種者の比較を目的としたものではない。

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COVID-19入院患者へのロナプリーブ、血清抗体の有無で有効性に差/Lancet

 COVID-19入院患者において、カシリビマブ・イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法は、血清陰性患者(液性免疫反応が起きていなかった患者)の28日死亡率を低下させたが、血清陽性患者の28日死亡率は低下しなかった。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果を、英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏らRECOVERY試験共同研究グループが報告した。カシリビマブ・イムデビマブは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン上にあるそれぞれ異なる部位に非結合的に結合することにより、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害するモノクローナル抗体で、COVID-19外来患者における有効性が報告されていた。Lancet誌2022年2月12日号掲載の報告。COVID-19入院患者9,785例において、28日の全死因死亡率を比較 研究グループは、2020年9月18日~2021年5月22日に、英国の127施設において、RECOVERY試験に登録された患者のうち適格患者、すなわち臨床的にSARS-CoV-2感染が疑われるかまたは検査で感染が確認された12歳以上の入院患者9,785例を、標準治療群または標準治療+カシリビマブ・イムデビマブ群(カシリビマブ4gとイムデビマブ4gを単回点滴静注投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。治験責任医師とデータ評価者は、試験期間中、データの解析については盲検化された。 主要評価項目は28日の全死因死亡率で、まず、無作為時にSARS-CoV-2感染に対する抗体が検出されなかった患者(血清陰性患者)について評価し、その後、無作為化された全例を対象にintention-to-treat解析を行った。安全性は、カシリビマブ・イムデビマブの投与を受けた全例について評価した。血清陰性患者でのみ28日死亡率が低下 無作為化された計9,785例(標準治療群4,946例、カシリビマブ・イムデビマブ群4,839例)の患者背景は、平均(±SD)年齢61.9±14.6歳、症状発現からの期間は中央値9日(IQR:6~12)で、血清陰性が3,153例(32%)、血清陽性が5,272例(54%)、入院時の抗体の有無が不明な患者が1,360例(14%)であった。812例(8%)は少なくとも1回SARS-CoV-2ワクチンを接種していた。 血清陰性患者集団を対象とした主要有効性解析では、28日死亡率はカシリビマブ・イムデビマブ群24%(396/1,633例)、標準治療群30%(452/1,520例)であった(率比[RR]:0.79、95%CI:0.69~0.91、p=0.0009)。ベースライン時の抗体の有無にかかわらず無作為化された全例を対象とした解析では、28日死亡率はカシリビマブ・イムデビマブ群19%(943/4,839例)、標準治療群21%(1,029/4,946例)であった(RR:0.94、95%CI:0.86~1.02、p=0.14)。死亡率に対するカシリビマブ・イムデビマブの比例効果は、血清陽性患者と血清陰性患者で有意差が認められた(異質性のp=0.002)。 治療に起因する死亡は認められず、事前に規定した安全性評価項目(死因別死亡率、不整脈、血栓症、大出血イベント)について、意味のある群間差は確認されなかった。重篤な有害事象は7例(<1%)報告され(アレルギー反応3例、痙攣2例、急性飽和度低下1例、一過性意識消失1例)、いずれも治験責任医師によりカシリビマブ・イムデビマブ投与と関連ありと判定された。

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第97回 「ブースター効果は5ヵ月」報道前に、メーカー幹部らが保有株を大量売却

新型コロナワクチンのブースター接種による重症化予防効果は、5ヵ月後に約30%に低下するという米疾病予防管理センター(CDC)の研究結果が報じられる間近に、米モデルナの経営陣が保有株を売却していたことがわかった。各国でブースター接種が進められる中、5ヵ月後に実質的な効果が失われるという研究結果もさることながら、公表される直前での保有株売却は、経営陣への不信感を招きかねない。米『ニューヨーク・タイムズ』の2月11日の報道によると、CDCが公表した研究結果は「新型コロナウイルス感染症ワクチンは、ブースター接種によって重症化を予防する効果は87%に達するが、5ヵ月後には31%に低下する」というものだった。ワクチン関連株価の下落にCDC研究結果が拍車をかける米メルクの新型コロナ経口治療薬モルヌピラビルが各国で承認されたり、世界で感染のピークアウトが指摘されたりした影響で、新型コロナワクチン需要を巡る減速観測が強まり、ワクチン関連株価は下落傾向にある。そのような状況下、CDCの研究結果がさらに株価下落に追い打ちをかけた。モデルナの株価は、2月14日だけで13%下落し、過去10ヵ月間の最安値(140ドル)を割り込んだ。デルタ株流行の最中にあった昨年8月の最高値から70%以上も株価を下げることになった。また、米ファイザーも同日、日本も特例承認した経口治療薬パクスロビド(パキロビッドパック)が期待されているにもかかわらず、株価が2%下落した。モデルナCEOら経営幹部が報道前に保有株を売り抜ける株価下落の原因は、ほかにもある。2月11日に開示された報告書で、モデルナの最高経営責任者(CEO)のステファン・バンセル氏(49歳)を含む4人の幹部が、前週に自社株を売却していたことが発覚したのだ。米国のCEOの報酬は超高額で有名だ。報酬として自社株やストック・オプション(自社株購入権)が提供され、固定報酬よりも短期~長期インセンティブの割合が圧倒的に大きい。とはいえ、CDCの研究結果公表の間近に保有株を売却したタイミングは、株式市場に不信感をもたらした。売却額が最も多いバンセル氏は、1株当たり約155ドルで約1万9,000株を売却し、税引き前で約300万ドル(3億4,500万円)を得たほか、これまでのコロナ・パンデミック期間に計200万株近くを売却したという。バンセル氏はフランス出身で、米イーライリリー・アンド・カンパニーのベルギー責任者や、フランスの体外診断薬メーカー・ビオメリューCEOを経て、2011年にモデルナCEOに就任、同社株式の9%を保有した。ちなみに、ファイザーCEOのアルバート・ブーラ氏(60歳)も2020年11月、コロナワクチンへの期待から株価が上昇する中、保有株13万株を売却して560万ドル(約5億9,000万円)を手にした。米国の経営者はビジネスライクだとはいえ、世界では累積感染者数が4億人を超え、累積死亡者数が600万人に上る状況下、自社製品のマイナス評価を前提に、保有株を売り抜けて巨額の私的利益を確保する経営陣の姿勢は、到底納得できるものではない。4次接種を見通したワクチン接種政策が必要ところで、コロナワクチン開発企業の株価が下がる傾向は、コロナ禍の終息を示唆しているのかもしれない。また、日本政府の専門家からは「感染拡大は2月上旬にピークアウトした」という指摘もある。しかし油断は禁物だ。感染後の後遺症や、基礎疾患を持つ人や高齢者の重症化・死亡リスクを考えると、やはりワクチン接種による感染予防の重要さに変わりはない。ワクチン開発企業トップのマネーゲームの動向にかかわらず、ブースター接種が遅れている日本では、その推進が急務だ。ワクチンの有効期間や新たな変異株の発生可能性などを踏まえれば、4回目接種を見通したワクチン施策をも考えなくてはいけないかもしれない。日本の政治家には、どうか目先のことに追われず、大局的な視点で政策を考えてほしい。国や国民の危機管理を担うことは、ビジネスとは違うのだ。

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コロナ感染での獲得免疫、ワクチン接種で1年以上持続/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのSARS-CoV-2感染予防効果について、英国・Health Security AgencyのVictoria Hall氏らが、医療従事者約3万6,000例を対象に行った前向きコホート試験の結果、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の2回接種の有効率はChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)と比べて高率だが短期間であり、6ヵ月を過ぎると大きく低下することが示された。また、感染者の獲得免疫は、感染後1年で減衰するものの、ワクチン接種によって1年以上高率のままであることも示された。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。ワクチンと既感染による感染予防効果を検証 SARS-CoV-2への感染とワクチン接種による免疫獲得と感染予防の期間と有効性を明らかにするため、研究グループは、英国内でルーチンのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を受けていた医療従事者3万5,768例を対象に前向きコホート試験を行った。 ワクチン初回接種から10ヵ月以内のワクチン有効性と、既感染による獲得免疫について、感染確定者のワクチン接種の有無別、また既感染で階層化することで評価した。 既感染の有無、ワクチンの種類と接種間隔、人口統計学的特性、および職場におけるSARS-CoV-2曝露で補正を行ったCox回帰モデルを用いて評価した。BNT162b2ワクチン、接種後約中央値201日後の有効性は51% 被験者3万5,768例のうち、SARS-CoV-2既感染者は27%(9,488例)だった。被験者のワクチン2回接種率は97%と高く、うちBNT162b2ワクチン2回接種を6週間以上の長期間隔で接種した人は78%、同6週間未満の短い間隔で接種した人は9%、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンを接種した人は8%だった。 2020年12月~2021年9月に、SARS-CoV-2初回感染は2,747件、SARS-CoV-2再感染210件が報告された。 非感染・BNT162b2ワクチンの長期間隔接種者の補正後ワクチン有効率は、2回目接種後14~73日は85%(95%信頼区間[CI]:72~92)であったが、2回目接種から中央値201日後(四分位範囲:197~205)は51%(95%CI:22~69)だった。同有効性は、接種間隔が長期の場合と短期の場合では有意な差はなかった。 ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種者では、2回接種後14~73日の補正後ワクチン有効率は58%(95%CI:23~77)と、BNT162b2ワクチン接種群に比べかなり低率だった。 既感染による獲得免疫は、ワクチン未接種者では1年後に低下したが、18ヵ月以上前の感染者でもワクチン接種を行うことで、有効性は90%以上を維持し続けていた。

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第100回 COVID-19ワクチン接種後の90分間の運動で抗体反応が増す

アイオワ州立大学の研究チームが実施した無作為化試験の結果、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)ワクチンやインフルエンザワクチン接種後すぐから心拍数およそ120~140/分の運動を1時間半(90分間)したところその後数週間の検査でのそれらワクチンへの抗体反応が一貫して非運動群を上回りました1,2)。ワクチン接種前の運動が抗体反応を改善することは先立つ研究ですでに知られており、去年スペインの研究者Pedro Valenzuela氏等は運動がCOVID-19ワクチンのアジュバント(増強役)を担いうる可能性を示唆し、接種前の運動習慣や接種直前の単発の運動のCOVID-19ワクチン免疫反応への効果を調べることを提案しました3)。アイオワ州立大学のJustus Hallam氏等はその提案を受けて上述の試験を実施したわけですが、一捻り加えています。ワクチンの接種後に身体に負荷をかけると抗体反応が増すことが示されていることを頼りに、接種前の運動の効果ではなく接種後の有酸素運動が抗体反応にどう影響するかを検討しました。試験は週に2回以上の程々にきついかきつめ(moderate or vigorous)の運動習慣がある人を募って実施され、Pfizer/BioNTechのSARS-CoV-2ワクチン接種後に90分間の軽め~程々にきつめ(light- to moderate-intensity)の運動をした群のその後の検査での抗体反応は接種後に運動しなかった群を上述の通り上回りました。重要なことにCOVID-19ワクチン接種後に運動しても副反応は増えませんでした。ワクチン接種後の運動が抗体反応を上向かせる効果はどうやらCOVID-19ワクチンに限ったことではないらしく、インフルエンザワクチン2種類を接種した42人の検討でも同様の抗体反応増強効果が認められています。抗体生成を増やす役割を担う1型インターフェロン(1型IFN)を誘発するアジュバントはワクチンへの抗体反応を促すことが知られており、試験の運動時間を90分としたことはその長さの運動が1型IFNの一種・インターフェロンα(IFNα)を有意に増やすことが未発表ながら確認されていることを根拠の一つとしています。Hallam氏等はマウスの実験でその根拠がどうやら正しいことを確認しています。運動がワクチン接種の抗体反応を高める効果がIFNα阻害抗体をワクチン接種時に投与したマウスでは弱く、運動のワクチン抗体反応増強にはIFNαがどうやら貢献しているようです。インフルエンザワクチンの試験では接種後90分間の運動に加えてその半分の45分間の運動の効果も検討されました。というのも齢を重ねた成人には90分間の運動より45分間の運動のほうがより容易いであろうからです。結果はというと残念ながら45分間の運動のワクチン効果増強は認められず、運動しなかった群の抗体反応を上回りませんでした。研究者は1時間の運動ならどうかを調べるつもりです2)。試験では運動習慣がある人を募ったように、日頃運動していない人がCOVID-19ワクチン接種後に運動するという選択肢を選ぶことはおそらく土台無理な話で、その選択肢を選べるようにするにはまずは日頃の運動習慣を身に付けてもらう必要がありそうです。COVID-19患者およそ5万人を調べた試験4)では運動習慣がCOVID-19重症化を防ぐ効果があることが示されています。常に運動不足な人は必要とされる運動を日頃こなしている人に比べてCOVID-19入院、集中治療、死亡をより多く被っており、運動を促す保健の取り組みを優先し、いつもの診療で運動を後押しすることが必要と著者は結論しています。体力をつけることは若いころから始めるに越したことはありません。スウェーデンでの試験の結果、若かりし18歳ごろの心肺機能が高かった男性は低かった男性に比べてSARS-CoV-2感染しても大事に至ることは少なく、入院、集中治療、死亡をより免れていました5,6)。心肺機能が良好だった男性のCOVID-19死亡率は最も悪かった男性のおよそ半分であり、若いころの筋力が高いこともCOVID-19重症化し難いことと関連しました。COVID-19重症化を防ぎ、ワクチンの効果も高めうる運動で世間みんなの体力を底上げすることは感染流行の阻止に大いに貢献するでしょう5)。参考1)Exercise post-vaccine bumps up antibodies, new study finds / Iowa State University2)Hallam J,et al. Brain Behav Immun. 2022 Feb 5;102:1-10. [Epub ahead of print]3)Valenzuela PL, et al. Brain Behav Immun. 2021 May;94:1-3. 4)Sallis R, et al.Br J Sports Med. 2021 Oct;55:1099-1105. 5)Af Geijerstam A, et al. BMJ Open. 2021 Jul 5;11:e051316. 6)Highly fit teenagers coped better with COVID-19 later in life / Eurekalert

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60歳以上への交互接種vs.同種接種、感染率・重症化率は/JAMA

 日本と同様に国民の多くがファイザー社およびモデルナ社製のCOVID-19ワクチンによる1回目および2回目接種(初回シリーズ)を受けているシンガポールで、60歳以上を対象に3回目接種での交互接種と同種接種後の感染・重症者の発生状況が調査された。シンガポール国立大学のSharon Hui Xuan Tan氏らによる、JAMA誌オンライン版2022年2月11日号リサーチレターでの報告。 シンガポールでは人口の8割以上がCOVID-19ワクチンを2回接種していたにもかかわらず、2021年9月に社会的距離と検疫についての措置が緩和され、感染者が急増した。これを受けて政府は、6ヵ月以上前に2回目接種を終えた60歳以上の成人に追加接種を受けるよう呼びかけ、30μgのBNT162b2(ファイザー社)と50μgのmRNA-1273(モデルナ社)のいずれかを選択するようにした。 本研究では、2021年9月15日~10月31日に追加接種を受けた人を対象に、SARS-CoV-2感染率と重症化率を、シンガポール保健省に報告された公式データに基づいて分析した。症例は、有症者、無症状の高リスク労働者および濃厚接触者の検査によって特定された。評価項目はPCR検査で確認された感染および重症化(酸素投与が必要、集中治療室への入院、COVID-19による死亡)であった。 抗体価の上昇に要する時間を考慮し、追加接種を受けた12日後に追加接種群に分類された。ポアソン回帰を用いて,初回シリーズでのワクチンの種類(BNT162b2またはmRNA-1273)別に、追加接種群と非追加接種群の感染と重症化の発生率比(IRR)を推計。共変量には、性別、人種、社会経済状態の指標となる住居形態、年齢層、2回目のワクチン接種日、調査期間中の感染力の変化を調整するための暦日別ダミー変数などが含まれていた。また、追加接種として同メーカーのワクチンを接種した人(同種接種;homologous boosted)と異なるワクチンを接種した人(交互接種;heterologous boosted)のIRRも算出された。 主な結果は以下の通り。・70万3,209人の対象者のうち、調査期間中に57万6,132人が追加接種を受けた。・研究対象となったのは、追加接種群933万9,981人日、非追加接種群2,264万3,521人日だった。・人日別では、60~69歳が59%、70~79歳が29%、80歳以上が11%で、女性が53%を占めていた。[初回シリーズでBNT162b2を接種]・非追加接種群で(100万人日当たり)感染:600.4件、重症化:20.5件。・追加接種での同種接種群で(100万人日当たり)感染:227.9件、重症化:1.4件、感染確定症例のIRR(非追加接種群を対照)は0.272(95%信頼区間[CI]:0.258~0.286)、重症例のIRRは0.047(95%CI:0.026~0.084)。・追加接種での交互接種群で(100万人日当たり)感染:147.9件、重症化:2.3件、感染確定症例のIRRは0.177(95%CI:0.138~0.227)、重症例のIRRは0.078(95%CI:0.011~0.560)。[初回シリーズでmRNA-1273を接種]・非追加接種群で(100万人日当たり)感染:507.0件、重症化:4.5件。・追加接種での同種接種群で(100万人日当たり)感染:133.9件、IRRは0.198(95%CI:0.144~0.271)。・追加接種での交互接種群で(100万人日当たり)感染:100.6件、IRRは0.140(95%CI:0.052~0.376)。・初回シリーズでmRNA-1273の投与を受けた人の重症者数は少なく、IRRは評価されなかった。 著者らは、短い追跡期間、mRNA-1273投与後の感染数が少ないことなどの本研究における限界を挙げたうえで、交互接種は同種接種と比較してSARS-CoV-2感染率を低下させたとしている。本結果は、追加接種の推奨を支持し、また交互接種がCOVID-19に対するより大きな予防効果をもつ可能性を示唆しているとまとめている。

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第96回 行政や官公庁はなぜ気づかない!?国民がワクチン3回目接種したくなるひと手間

オミクロン株による新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染拡大は新規感染者報告数だけを見ればややピークを過ぎつつあるようだ。もっともまだ気を緩められる状況ではないだろう。たとえば、東京都は過去1週間の各曜日の新規感染者報告数が前週同一曜日と比べて減少しているものの、後続指標である重症者数は一貫して増加している。国基準での重症病床使用率は2月16日現在、46.5%である。その中で数少ない切り札になりそうなのがワクチンの3回目接種だが、国内の3回目接種率は2月16日現在11.1%に止まり、先進国の中ではほぼ最低クラスと言ってよい。そんな最中、これを執筆中の私自身も3回目接種を終え丸1日が経過した。私の場合は過去2回の接種はファイザー製を選択したが、今回は交互接種でモデルナ製を選択した。私の住む自治体の場合、区の集団接種会場はモデルナ、個別接種医療機関はおおむねファイザーという住み分けがされており、接種券が届いた際はどちらも相当の余裕があった。たぶん、細かいことにこだわらなければ2週間前には接種は完了していただろう。しかし、自称『ワクチンマニア』のこだわりのため遅れてしまった。そのこだわりとは、ワクチンの種類としては「交互接種になるようモデルナを選択したい」というのが第一。次いで私自身は接種歴が記録されたイエローカードを2種類(米・CDC版とWHO版)保有しており、「接種後にカードへの英語記入をお願いしたい」。さらに欲を言えば「自分の接種風景を写真に収めておきたい」、この3つだ。イエローカードの記入を考えると、区の集団接種会場でお願いされても、接種実施者の項目に「○○区」と記入するのかどうかという問題もあるし、それ以上に集団接種会場のオペレーションは個別医療機関と違って現場に裁量がないはずなのでカード記入や写真撮影をお願いされても困るだろう。予約システムを見ると、区内のあるクリニックならばモデルナ製の接種が可能だったが、最寄り駅が7つも離れていることと、一見さんが写真撮影をお願いしてOKしてもらえるかどうかわからないので予約を躊躇してしまった。どうしようかと思いながら、1、2回目を接種したクリニックのホームページを念のため覗いてみたところ、ワクチン在庫の関係で特定週だけモデルナ製を接種すると記述がある。ここでは前回、イエローカード記入も写真撮影も了承してもらえたので、早速予約を入れた。接種当日、クリニックに到着すると、前回の接種時の補助をしていた看護師さんと目が合い「ああ、村上さん。今回もイエローカードと写真?」と先回りで言われてしまう始末。接種担当医師も前回と同じで「前回は副反応どうでした?」と聞かれたので、「まったくと言っていいくらい何もなく、仕込んだネタを外して笑ってもらえない芸人の気分でした」と答えると大笑いされた。ちなみに丸1日経っているが、今のところ注射部位を指で押せば軽い痛みがある程度で発熱もない。今回も「ネタを外した」ようだ。さて前置きが長くなってしまったが、3回目接種が進展していないことへの批判を受けて岸田 文雄首相は、菅 義偉前首相時代と同じく「1日100万回接種」の目標を掲げた。しかし、この実現に当たって目下障害になるものがある。それは当初定めた3回目接種の目標時期である「2回目接種から8ヵ月以上経過」という条件である。この件は本連載の第84回でも触れたが、あくまで行政的な判断である。医学的には各ワクチンで承認された追加接種適応にあるように「6ヵ月以上」である。第84回の執筆時に私は行政的判断としては妥当ではないかとの見解だったが、それはあくまで執筆時点での推定在庫を念頭に置いたもので、すでに状況は変わっている。地域差はあるものの当時と比べれば在庫はある。その意味ではもはや8ヵ月以上の条件はほぼ不要と言っていい。厚生労働省もホームページでも「追加接種の予約枠に空きがあれば、一般の方も順次前倒しで3回目のワクチン接種を受けられるようになりました」と但し書きをしているが、その下にまるで残骸のように過去の接種基準を付記したままである以上混乱を招きやすい。もちろん最近の目まぐるしい情勢変化があるため、ある種の「アリバイ」表記は必要だろうが、こうした表記は紛らわしく、誤解を生むことが多いもの。ならば、国から今まで以上に積極的に“予約枠次第で前倒しは可能”と情報発信すべきだ。結局、今はヒトも予算も国よりも限られる自治体がその負荷を追う形となり、あちこちの自治体で接種券に表記された接種可能時期と国の方針変更に応じた最新の接種時期を反映した各自治体ホームページでの情報の不一致が散見される。接種券を印刷し直している余裕がないため致し方ない措置だが、これではインターネット弱者は置き去りにされてしまう。一方で自治体も改善可能な点はある。一部では2回目接種から6ヵ月以上が経過したことで接種券が送付されているが、目下の予約状況に空きがあるにもかかわらず、予約開始日がかなり先の日時に固定されているという自治体もあるのだ。こうした自治体に居住している人によると、この件を区に問いただしても「あくまで区の方針なので」で押し切られ、予約開始日前の空き枠を指を咥えて見ているしかないそうだ。自治体も柔軟な対応が必要だろう。3回目接種になってから今回私が選択したモデルナ製は不人気で、そのことが3回目接種推進のハードルになっているかのようなことが書かれた記事がやけに目立つ。確かにファイザー製と比べ、心筋炎なども含めやや副反応の頻度が高いという報告もあり、避けられている側面はあるだろう。その意味では確かに足かせの一つかもしれないが、ここに挙げたもの以外にも、あちこちに目詰まりの要素は散見されるはずだ。その一つ一つを丁寧に解きほぐしていかない限り、3回目の接種率は思ったように上昇しないのではないかと内心危惧している。

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コロナワクチン有効性、4ヵ月超で明らかに低下/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを2回接種後、日数経過によりワクチン有効性は低下し、その低下速度はワクチンの種類によって異なることが示された。スウェーデン・Umea大学のPeter Nordstrom氏らが、84万人超のワクチン接種者と、同数のマッチングコントロールについて後ろ向き全住民コホート試験を行い明らかにした。ChAdOx1 nCoV-19(Oxford-AstraZeneca製)、mRNA-1273(Moderna製)、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の2回接種後、症状の程度を問わない新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染に対するワクチン有効性は、BNT162b2は4~6ヵ月で47%に減少、7ヵ月後には有意な有効性が認められなかったが、mRNA-1273では6ヵ月以降も59%を維持していた。入院や死亡などを伴う重症COVID-19に対する予防効果は、いずれかのワクチンとも2回接種後、比較的長期にわたり維持されてはいたが、4ヵ月以降は64%と明らかな低下が認められ、著者は「今回の結果は、エビデンスに基づく3回目のブースター接種に関する根拠を強化するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年2月4日号掲載の報告。感染予防と重症化予防効果の減少について検証 研究グループは、スウェーデンの全国登録名簿を基に、COVID-19ワクチン、ChAdOx1 nCoV-19、mRNA-1273、BNT162b2のいずれかの2回接種者と、ワクチン未接種者のマッチングコントロール試験を行い、2021年10月4日まで追跡した。 評価アウトカムは2つで、(1)2021年1月12日~10月4日の重症度を問わないあらゆるSARS-CoV-2感染、(2)2021年3月15日~9月28日の重症COVID-19(COVID-19による入院またはSARS-CoV-2感染確定後の30日全死因死亡で定義)とした。ChAdOx1 nCoV-19ワクチン、接種後4ヵ月超の予防効果認められず 2020年12月28日~2021年10月4日に、COVID-19ワクチン2回接種者84万2,974例と、同数のマッチングコントロールについて分析を行った。 あらゆる重症度のSARS-CoV-2感染に対するワクチン有効性は、BNT162b2では接種から日数の経過に従い低下し、接種後15~30日で92%(95%信頼区間[CI]:92~93、p<0.001)、121~180日で47%(39~55、p<0.001)、211日以降で23%(同:-2~41、p=0.07)だった。 mRNA-1273の同有効性の低下はやや緩やかで、接種後15~30日で96%(95%CI:94~97、p<0.001)、181日以降で59%(18~79、p=0.012)だった。ChAdOx1 nCoV-19とmRNA-1273のそれぞれ1回接種群でも同有効性の低下はやや緩やかで、接種後15~30日で89%(79~94、p<0.001)、121日以降で66%(41~80、p<0.001)だった。 対照的にChAdOx1 nCoV-19については、接種後15~30日のワクチン有効性は68%(95%CI:52~79、p<0.001)で、121日以降は有効性を検出できなかった(有効性:-19%、95%CI:-98~28、p=0.49)。 重症COVID-19に対する全種ワクチンの有効性は、接種後15~30日は89%(95%CI:82~93、p<0.001)であったものから、121日以降は64%(同:44~77、p<0.001)に低下していた。 また、全体として女性よりも男性のほうがワクチンの有効性は低く、若年者よりも高齢者のほうがワクチン有効性が低いとのエビデンスも認められた。

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追加接種でオミクロン株での入院が未接種の23分の1/CDC

 米国・カリフォルニア州ロサンゼルス郡での調査によると、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株優勢期におけるCOVID-19による入院率は、ワクチン未接種者では2回接種+追加接種者の23.0倍、2回接種者の5.3倍だった。ロサンゼルス郡公衆衛生局のPhoebe Danza氏らが、CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年2月4日号に報告。 ロサンゼルス郡公衆衛生局は、COVID-19サーベイランスおよびCalifornia Immunization Registry 2のデータを用いて、2021年11月7日~2022年1月8日の年齢調整14日間累積感染率と入院率について、新型コロナワクチン接種状況および各変異株の優勢期ごとに調査した。SARS-CoV-2感染は、核酸増幅検査もしくは抗原検査で確認した。対象は18歳以上の成人で、BNT162b2(ファイザー製)、mRNA-1273(モデルナ製)、Ad.26.COV2.S(Johnson & Johnson製)の最初の連続接種が終了した日から14日後に2回接種完了とみなした。また、2回接種完了者が追加接種を受けた日から14日後に追加接種完了とみなした。 主な結果は以下のとおり。・2021年11月7日~2022年1月8日に報告されたSARS-CoV-2感染者42万2,966人のうち、ワクチン未接種者は14万1,928人(33.6%)、2回接種+追加接種者は5万6,185人(13.3%)、2回接種者の22万4,853件(53.2%)だった。・デルタ株優勢期の最終期である2021年12月11日までの14日間で、ワクチン未接種者の感染率は、2回接種+追加接種者の12.3倍、2回接種者の3.8倍で、入院率は、2回接種+追加接種者の83.0倍、2回接種者の12.9倍であった。・オミクロン優勢期(2022年1月8日で終わる週)では、ワクチン未接種者の感染率は、3回接種者の3.6倍、2回接種者の2.0倍で、入院率は、2回接種+追加接種者の23.0倍、2回接種者の5.3倍であった。・全解析期間において、ICU入院、人工呼吸器装着、死亡は、ワクチン未接種者が2回接種+追加接種者、2回接種者より多かった(p<0.001)。・感染率、入院率とも、いずれの時期においても未接種者が最も高く、2回接種+追加接種者が最も低かった。

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第89回 経口コロナ薬パキロビッドパックが特例承認、その注意点は?

<先週の動き>1.経口コロナ薬パキロビッドパックが特例承認、その注意点は?2.診療報酬改定、湿布制限や紹介状なし受診の徴収額など詳細が明らかに3.4月からのオンライン診療は初診料251点、再診料・外来診療料73点4.視覚障害者の就労保護のため指圧師養成施設の設置制限は合憲/最高裁5.コロナワクチン接種、小児への義務は課さず、妊婦は努力義務へ1.経口コロナ薬パキロビッドパックが特例承認、その注意点は?厚生労働省は10日、米・ファイザーが開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)を特例承認した。日本国内では軽症者向けの経口薬としてモルヌピラビルに次ぐ2剤目となるが、作用機序は異なり、本剤は12歳以上で使用可能。臨床試験において、重症化リスクのある患者に投与した場合、非投与群に比べて入院・死亡リスクが88%減少したと報告されている。発症後5日以内の使用が推奨され、オミクロン株への効果も期待される。パキロビッドパックには5シートのPTP包装が含まれ、1シートに朝・夕服用分としてニルマトレルビル錠150mgが4錠(1回2錠)およびリトナビル錠100mgが2錠(1回1錠)で構成されている。2剤のうち、ニルマトレルビルはSARS-CoV-2のメインプロテアーゼ阻害薬であり、HIV治療薬としても使用されるリトナビルはSARS-CoV-2に対して抗ウイルス活性を示さないが、ニルマトレルビルのCYP3Aによる代謝を阻害し、血漿中濃度を維持させる。リトナビルは各薬物代謝酵素やトランスポーターの強力な阻害作用を有するため、パキロビッドパックでは降圧薬、高脂血症治療薬、抗凝固薬など38成分と食品1つ(セイヨウオトギリソウ)が併用禁忌とされる。しかし、注意すべき薬剤はこれにとどまらず、国立国際医療研究センター病院が国内外の資料を基に作成した「パキロビッドパックとの併用に慎重になるべき薬剤リスト」を公開しており、当面の参考になるだろう。なお、今月27日までは全国約2,000医療機関での院内処方を原則として提供され、その間で適正使用の推進に向けた情報収集が行われる見込み。配分を希望する対象の医療機関は、ファイザーが開設する「パキロビッドパック登録センター」に登録し、同センターを通じて配分依頼を行う必要がある。(参考)新型コロナウイルス治療薬の特例承認について(厚労省)厚労省 ファイザーの経口新型コロナ治療薬パキロビッドを特例承認 段階的に医療現場に提供(ミクスonline)ファイザー新型コロナウイルス『治療薬』医療従事者専用サイト パキロビッドパック2.診療報酬改定、湿布制限や紹介状なし受診の徴収額など詳細が明らかに今年度の診療報酬改定について、処方箋を3回まで繰り返し利用できる「リフィル処方箋」の導入が決定した。高血圧や糖尿病などの慢性疾患において、症状が安定した患者が継続服用している場合に対応して、医師の診療なしで薬の受け取りが可能となる。一方で、投与量に限度がある湿布薬や向精神薬などは対象外となる。なお、今回の改定では湿布の処方上限が70枚から63枚に引き下げられた。また、紹介状を持たずに大学病院などを受診した患者に対する特別負担徴収の拡大についても、初診の場合は現在の5,000円から7,000円に、再診の場合は2,500円から3,000円にそれぞれ引き上げる方針となった。実施は10月1日から。対象となる医療機関は、これまでと同様に大学病院などの特定機能病院に加えて、地域医療支援病院のうち200床以上の病院も徴収の対象となる。わが国は国際的に見ても外来受診回数が多いとされるが、高度医療を担う外来にかかりつけ医を持たない患者が受診するのを抑制するとともに、来年度から開始される外来機能報告制度を用いて基幹病院を明確化し、機能分化を促進するのが狙いと考えられる。(参考)リフィルは1回29日以内で処方箋料の減算なし(日経ドラッグインフォメーション)大病院、紹介状なしなら初診7000円 診療報酬改定(日経新聞)外来機能報告制度 高度な外来を担う基幹病院を明確化し機能分化を促進(Beyond Health)3.4月からのオンライン診療は初診料251点、再診料・外来診療料73点9日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会で2022年度診療報酬改定の答申が行われ、焦点の1つだったオンライン診療の初診料は251点と、特例的対応の214点から対面診療の水準との中間程度まで引き上げられた。同様に、電話など情報通信機器を用いた再診料・外来診療料はいずれも73点とされた。これに伴い、現行のオンライン診療料(月1回71点)は廃止となる。通常診療の初再診料は据え置きとなった。これに対して、日本医師会の中川会長は「対面診療を提供できる体制を有すること」「患者の状況によってオンライン診療では対応が困難な場合には、他医療機関と連携して対応できる体制を有すること」が堅持されたことに言及。オンライン診療が対面診療と適切に組み合わせた上で実施されるよう注視していくとするとともに、患者の安心・安全が損なわれたり、地域医療の秩序を混乱させるような事象が生じた場合には、期中であっても、すみやかに診療報酬要件の見直しを要請する考えを示した。(参考)オンライン初診料、4月から値上げへ 厚労省「診療報酬」見直し案(朝日新聞)オンライン診療に係る診療報酬について(日本医師会)中医協・22年度診療報酬改定を答申 オンライン診療で患者の受診機会増に期待 営利追及への懸念も(ミクスonline)4.視覚障害者の就労保護のため指圧師養成施設の設置制限は合憲/最高裁視覚障害者の就労先を保護するために、健常者向けの「あん摩マッサージ指圧師」の養成施設の新設を認めないとする厚労省の規制について、違憲性を争った訴訟の上告審の判決で、最高裁第2小法廷は7日に、視覚障害者の「自立と社会経済活動への参加を促す積極的な意義がある」として合憲であるとした。視覚障害者の団体は判決後、記者会見において「あん摩マッサージ指圧師の職は自立した社会参加の命綱。それを残すような判断が示されたことに大きな意味がある」と話した。厚労省の統計では、2020年末のあん摩マッサージ指圧師は約11万8,000人、うち視覚障害者は約2万6,000人となっている。(参考)指圧師養成、新設規制は「合憲」 最高裁初判断(日経新聞)指圧師 養成施設の設置規制 最高裁「憲法違反とはいえない」(NHK)5.コロナワクチン接種、小児への義務は課さず、妊婦は努力義務へ厚労省は10日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会を開催し、5~11歳の小児に対する新型コロナワクチン接種について議論を行い、ファイザー製ワクチンは一定の有効性が期待できるとしながらも、最終的に「努力義務」を課さない方針を正式に決めた。小児に対するファイザー製ワクチンの接種について、米国、カナダ、フランス、イスラエル、EUではすべての小児に対して接種を推奨している。わが国では予防接種法上の「臨時接種」に位置付けられ、小児用ワクチンは21日から各自治体に配布される。一方で、以前から努力義務の適応外とされていた妊婦への接種については、有効性や安全性のデータが確認され、妊娠後期に感染すると早産率が高くなったり、重症化リスクが高いとする報告もあることから、新たに努力義務の適用となった。(参考)新型コロナワクチンの接種について(厚労省)小児は努力義務適用外 コロナワクチン、妊婦は対象に―厚労省(時事通信)5~11歳の接種「努力義務の対象外」了承 厚労省分科会(毎日新聞)

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新型コロナ既感染者におけるワクチンの効果

 新型コロナ既感染者におけるワクチンの効果について、米国・Cleveland ClinicのNabin K. Shrestha氏らが検討した結果、オミクロン株出現後の期間で、ワクチン接種により発症リスクが64%低下したことが示された。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2022年1月13日号に掲載。 本研究の対象は、新型コロナワクチン接種が開始された2020年12月16日にオハイオのCleveland Clinicで働いていた従業員で、接種開始前に一度でも拡散増幅検査で新型コロナウイルス陽性となったことがあれば既感染者とした。ほとんどの従業員はファイザー製もしくはモデルナ製のmRNAワクチンを接種しており、どちらも初回接種から28日後に2回目を接種し、2回目接種14日以降をワクチン接種者とみなした。新型コロナウイルス陽性、発症、入院の累積発生率を2021年12月まで調査した。 主な結果は以下のとおり。・5万2,238人の従業員中、既感染者は4,718人(9%)で、研究終了までに3万6,922人(71%)がワクチン接種を受けていた。・新型コロナウイルス陽性の累積発生率は、ワクチン未接種の未感染者が他のすべての群に比べて終始大幅に高く、ワクチン接種者が未接種者より低く、既感染者が未感染者より低かった。・オミクロン株出現後、すべての群で新型コロナウイルス陽性率が大幅に増加した。・多変量Cox比例ハザード回帰では、既感染とワクチン接種の両方が独立して、新型コロナウイルス陽性リスクが低いことと有意に関連していた。・既感染者がワクチン接種を受けた場合、オミクロン株出現前(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.40~0.90)とオミクロン株出現後(HR:0.36、95%CI:0.23~0.57)のどちらも、新型コロナ発症リスクは有意に低下した。新型コロナウイルス陽性リスクの低下はみられなかった。

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第95回 国会議員も特例承認薬より未承認の国産薬に期待大!?その理由とは…

オミクロン株による新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)は留まるところを知らない。2月5日には国内での検査陽性者数は初めて10万人を超えた。もっとも暗いニュースばかりではない。本連載でも取り上げたモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)が昨年末に承認されたのに続き、この記事の公開日である2月11日にはファイザー製の3CLプロテアーゼ阻害薬のニルマトレルビル・リトナビル(商品名:パクスロビド)も特例承認されている見込みだ。3CLプロテアーゼ阻害薬に関しては、国内でも塩野義製薬が1日1回5日間投与の経口薬S-217622を開発中。2月7日には第II/III相臨床試験のPhase IIa partの結果が公表された。主要評価項目ではS-217622投与群はプラセボ群と比較し、投与開始4日目までにウイルス力価とウイルスRNA量を有意に減少させ、4日目のウイルス力価の陽性患者割合はプラセボ群と比較して約60~80%減少させたという。また、服用期間中の安全性については、臨床検査値の異常などは認められたものの、いずれも軽微なものだったと報告されている。今後、新型コロナの治療選択肢が増えるならば非常に喜ばしいニュースだが、この3日前、Twitter上でこの件に関するツイート(つぶやき)が炎上していたのをご存じの方も多いと思う。そのツイートは以下のようなものだ。塩野義製薬が開発中のワクチンと治療薬の治験報告に来ました。日本人対象の治験で副作用は既存薬より極めて少なく効能は他を圧しています。アメリカ政府からも問合せがある様です。ワクチンは5月めど治療薬は2月中にも供給は出来ます。外国承認をアリバイに石橋を叩いても渡らない厚労省を督促中です。ツイートの主は労働相、経産相の経験もある自民党前幹事長の甘利 明衆議院議員。甘利氏と言えば、2016年に道路建設をめぐり都市再生機構(UR都市機構)に対する口利きを依頼された千葉県の建設会社から現金などを受け取っていた疑惑で、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)を辞任に追い込まれている。そうした「前科」とツイートの最後の一文の政治家による「圧力」とも受け取られかねない文言が相まって物議をかもした。いろいろな見方はあると思うが、さすがに看過できないと思い、私自身も引用リツイートという形でかなり批判的に反応した。ちなみに引用リツイートでどのようなことを書いたかというと、以下のようなものだ。「元経産相が上場企業のこの種の情報が株価に影響することをお考えにならないのですか?薬の効能は臨床試験結果の論文化か審査当局の承認がない限り、政治家が軽々しく口にすべきではありません。安倍元首相がアビガンでフライングな言及をした後に臨床試験結果が無残なものだったことに学んでください」厳密に言えば甘利氏のツイート内容はインサイダー情報にはならない。少なくとも塩野義製薬の3CLプロテアーゼ阻害薬に関する成績は、具体的なデータは示されなかったものの1月31日付の同社第3四半期決算の時に概要が公表されており、7日の発表では1月31日発表のベースになったデータが示されている。いわばこの間に甘利氏ら国会議員のところに塩野義製薬がこの内容を説明に行った際のことがツイートされたのだと考えられる。つまりほぼ公知の情報である。それでもなお、私が上記のように引用リツイートしたのはいくつか理由がある。まず、ツイートの140字で上記のようなざっくりとした情報を発信すると、ツイートを見た人の中には「政治家だから何か公になっていないこの薬のポジティブな情報を得られたのかもしれない」と妙な期待感を持つ人が出てくる可能性がある。また、ツイートの中にある「アメリカ政府からも問合せがある様です」は公知の情報では確認されていない。結局のところ、このツイートはインサイダー情報ではなくとも目にしたものの期待などを結果として煽り、株価の不適正な上昇を引き起こしかねない危ういものだ。実際、この直後に塩野義製薬の株価は3%弱上昇している。さらに、甘利氏がツイートで言及している「(塩野義製薬の候補化合物が)他を圧している」ことを示すデータは今のところ存在しない。この辺はたぶん説明に行った塩野義製薬側がややオーバーな説明をしたか、甘利氏が勝手に思い込んだのかのどちらかだろう。だが、いずれだとしても軽率だ。私が引用リツイートで言及したように、ドラッグ・リポジショニングで新型コロナへの適応拡大を試みた新型インフルエンザ治療薬のファビピラビル(商品名:アビガン)はご存じの通り、後の臨床試験で十分な効果を示せず承認は保留状態。現在新たな臨床試験を進めている。ところが、まだファビピラビルについてin vitroや少数例の観察研究ぐらいしか明らかにされていなかった2020年5月、当時の安倍 晋三首相が「今月中の承認を目指したい」と発言。この結果、後に新型コロナへのファビピラビルの有効性が怪しくなった段階でも、新型コロナ患者が主治医に「アビガンを処方してほしい」と哀願し、現場は困惑するという出来事が少なからず存在したと言われている。いずれにせよ、政治家はその一挙手一投足が周囲の注目を集める。法令に抵触するか否かにかかわらず、物言いは慎重にしなければならないのは言うまでもないことなのだ。そして今回の甘利氏のツイートで改めて認識したのが「治療薬の国粋主義思想」がいかに巷にはびこっているかである。前回取り上げた駆虫薬のイベルメクチンもなぜこんなに「盛り上がる」のかといえば、発見者が日本人でなおかつこの件でノーベル賞を受賞しているからである。また、昨秋の衆議院選挙での各政党の政策集では、右も左も「国産治療薬の実現」を唱えていたことは記憶に新しい。だが、今一度考えるべきことがある。医薬品が低分子化合物の枠を超え、生物学的製剤、核酸医薬、再生医療製品など先端技術を駆使した多様な形態に及んでいる今、日本国内に有する技術のみで新規の治療薬やワクチンの開発が可能だろうか? 答えは否だ。たとえば、今使用されている新型コロナのmRNAワクチンで考えてみよう。俗にファイザーのワクチンと言われる「コミナティ筋注」は独・ビオンテック社がオリジンである。ビオンテック社の創業者はトルコ人であり、今回のワクチン開発に重大な貢献をしたとされる同社上級副社長のカタリン・カリコ氏はハンガリー人である。要は世界を揺るがす医薬品開発では、とっくの昔に国境という概念が消えているのだ。そんな最中、国内の製薬企業の治療薬が臨床試験でやや良い成績を出したくらいで浮かれる勢力が、それなりに目立ってしまう日本の精神的な立ち遅れは相当なものと言わざるを得ない。そもそもこの「治療薬の国粋主義思想」の中身は「日本は優秀な国だから」の裏返しでもある。もちろん極めてざっくりした言い方をすれば、日本の科学技術は世界的には上位のほうに位置するだろう。しかし、万能とは言えず、歴史的な背景や種々の環境の結果としての得意不得意もある。不得意分野を自国で強化するのは結構なことではあるが、それではスピード的遅れを取ってしまうことも少なくない。不得意なものは少なくとも当座は得意な相手から助力を得ればいいこと。ただ、その助力を得るためには自分たちも得意なものを提供し、互いを理解するコミュニケーションに心を砕かねばならないということである。正直、このコロナ禍を通じた治療薬、ワクチンの「一に国産、二に国産」という考え方は、山奥に引きこもって天に向かって空威張りする意味不明なカルトのようにしか見えない、というのは言い過ぎだろうか?

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爆笑マンガ付き感染対策本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第51回

【第51回】爆笑マンガ付き感染対策本感染対策の医学書って難しいです。医療従事者向けの書籍だと、どうしてもウイルスの学問的な話になってしまうので、気楽に読める本というのがなかなかないのです。『ねころんで読めるウィズコロナ時代の感染対策』矢野 邦夫/著. メディカ出版. 2022年2月発売メディカ出版からのこの本、気楽に読めること読めること。何なら、ねころんだ状態で、漫画でゲラゲラ笑うこともできます。まぁ、もともとそういうコンセプトの本なのですが。この「ねころんで読める」シリーズ、漫画が本当に面白くて、私はファンなので、おそらく全種類持っていると思います。私も実は、呼吸器シリーズを書いています!空気感染とエアロゾル感染の説明のくだりで、「人間は空を飛ぶことはできるのか?」という質問にどう答えるかという比喩が紹介されており、溜飲が下がります。オリンピックなどで、走り高跳びをすれば2.4m以上飛ぶかもしれませんが、棒高跳びにいたっては6mも飛べます。要は、物は言いようということですが、「新型コロナウイルスが空気感染する!」という話題が報道されたとき、ビビっていた医療従事者も多かったのではないでしょうか。うちのコロナ病棟でもザワついていました。新型コロナに関しては、とにかくデマゴーグがたくさん爆誕しました。堂々とデマをSNSで流しているインフルエンサーの下に、今でもプチデマゴーグがねずみ算式に生まれている状況です。私の勤務先にも、1年前よりも現在のほうが怪文書が届きやすくなりました。「ワクチンを接種するな、PCR検査をやめろ、間違った情報発信をやめろ」という内容が多いです。怪文書だけならともかく、一番許しがたいのは、グツグツ煮込んだ誤情報を書籍として刊行してしまう出版業界のモラルハザードです。ファクトチェックがまったく機能していないんですよね。アフターコロナについては、私も矢野先生と同じように考えています。ウィズコロナがいつの間にかアフターコロナになるのでしょう。もうコロナ禍に入って2年以上経つので、早く平和な時代が訪れてほしい。『ねころんで読めるウィズコロナ時代の感染対策』矢野 邦夫 /著.出版社名メディカ出版定価本体2,000円+税サイズA5判刊行年2022年

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オミクロン株、ブースター接種後の感染例を分析/Lancet

 世界的な流行を見せている新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株は、mRNAワクチンの3回目接種(ブースター接種)後の感染例も報告されている。感染例の患者背景や臨床像の詳細が、Lancet誌オンライン版2022年1月18日号のCORRESPONDENCEで報告されている。 2021年11月下旬~12月上旬に、SARS-CoV-2ワクチン(少なくとも2回のmRNAワクチンを含む)を3回接種したドイツ人のグループが、南アフリカのケープタウンでオミクロン株によるブレークスルー感染を経験した。このグループは、5人の白人女性と2人の白人男性で構成され、平均年齢は27.7歳(範囲:25~39)、平均肥満度は22.2kg/m2(範囲:17.9~29.4)、関連病歴はなかった。 このうち4人はケープタウンの異なる病院で臨床研修を受けており、その他は休暇中だった。また、これらの人々は2つの無関係なグループに所属し、ケープタウンでCOVID-19に関するルールに則った通常の社会生活を送っていた。2021年11月上旬にケープタウンに到着した際、各人のPCR検査は陰性で、同種(n=5)または異種(n=2)ワクチンによる、ブースターまたは3回目接種の完了記録を提出していた。 6人がBNT162b2(ファイザー製)の2回(完全)接種を受け、うち5人が2021年10月または11月初旬にファイザー製の3回目(ブースター)接種を受けていた。残り1人は2021年10月初旬にモデルナ製の全量接種を受けていたが、これは当時の欧州医薬品庁の半量接種の推奨に則ったものではなかった。 7人目はChAdOx1-S(アストラゼネカ製)の初回接種後、1次免疫完了のためにBNT162b2を接種し、同ワクチンのブースター接種を受けた。モデルナ製のブースター接種例を除き、全接種が勧告に従ったものだった。一部の1次およびブースター接種時期が早かったのは医療関係者であったためで、SARS-CoV-2感染歴を報告した人はいなかった。 西ケープ州でSARS-CoV-2感染が著しく増加していた時期に、7人は2021年11月30日~12月2日に呼吸器症状を発症し、認定の診断機関がSARS-CoV-2感染症の陽性判定を行った。 症状が出てから2~4日後に綿棒と血清を採取した。すべての患者は国内で隔離され、21日間の観察期間中、毎日症状日記を用いて病気の経過を記録した。 病状は、米国国立衛生研究所のCOVID-19治療ガイドラインに従って、軽症(n=4)または中等症(n=3:息切れあり)に分類された。観察期間終了時(21日目)には2名が無症状となった。血中酸素飽和度(SpO2)は例外なく正常範囲(94%以上)を維持し、入院を必要とした患者はいなかった。 7人全員がオミクロン株の感染であった。綿棒溶出液のウイルス量は、4.07~8.22(平均値:6.38)log10コピー/mlであった。抗スパイク抗体のレベルは1万5,000~4万AU/ml以上の範囲であり、血清における平均値は約2万2,000AU/mlであった。 2回目のワクチン接種から21~37週間後にブースターワクチンが接種され、その22~59日後にブレークスルー感染が発生した。これは、2回目のワクチン接種から4週間後に報告されているレベルと同様であり、ブースターワクチンの接種後に期待されるレベルでもあった。 今回の調査結果は比較的若く、その他疾患のない人(n=7)の少数症例に限られているが、オミクロン株が生体内でmRNAワクチンによって誘導される免疫を回避できる、という証拠をさらに追加するものとなった。 ブースター接種は、オミクロン株による症候性感染を十分に防ぐことはできなかったが、病気の経過が軽度~中等度であったことから、重症化を防ぐことができると考えられる。しかし、長期的な後遺症の可能性は除外できない。 これらの結果は、オミクロン株の症候性感染をより確実に予防するためには、最新のワクチンが必要であること、医薬品以外の対策も継続すべきであることを示している。

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第6波での発症から悪化までの日数は/厚労省アドバイザリーボード

 第5波と比較して第6波では、発症から中等症II以上(中等症II、重症、死亡)への移行までの日数(最頻値)が4日短縮され、移行率は低いものの、移行例ではより短期間に悪化が進む可能性が示唆された。2月2日に開催された第70回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、広島県健康福祉局の木下 栄作氏が「広島県新型コロナウイルス感染症J-SPEEDデータからの知見~第6波データ分析(速報)」を報告した。 分析に使われたデータは広島県内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者データで、第5波は2021年7月1日~10月31日公表患者について、第6波は2021年12月22日~2022年1月29日公表患者(デルタ株感染患者を含む)のデータを用いて分析している。広島県では1月上旬から急速な感染拡大がみられ、12月30日~1月4日での県内のスクリーニング検査では、オミクロン株の疑いのある割合が約8割と報告されている。第5波と比べ中等症II以上は顕著に減少、移行までの日数は短縮傾向 年代別に中等症II以上の割合をみると、第5波と比較して第6波ではすべての年代で顕著に減少。第5波で中等症II以上の割合が最も多かった60代以上(22.7%、234/1,031人)について第6波ではその割合が6.1%(225/3,678人)に、40~50代では第5波12.3%(361/2,936人)に対し第6波0.3%(20/5,904人)となっている。 発症(無症状や発症日不明の場合は陽性判明)から中等症II以上への移行までの日数を比較すると、第5波では最頻値が7日だったのに対し、第6波では3日と4日短縮している。中等症II以上に悪化した患者の8割は10日以内に悪化しており、50代以下ではより短く、8割が7日以内に悪化していた。 中等症II以上には高齢・性別・ワクチン接種(2回以上)が有意に関連 多変量解析により中等症II以上と関連するリスク因子をみた結果、第6波の解析対象データ(319例)では65歳以上(オッズ比[OR]:9.4、95%信頼区間[CI]:3.7~23.5、p<0.01)、男性(OR:2.2、95%CI:1.0~4.9、p=0.04)が有意に関連していた。また、ワクチン接種(2回以上)が中等症II以上に対する予防効果と有意に関連(OR:0.3、95%CI:0.1~0.7、p<0.01)していた。 65歳以上、男性、BMI25以上、高血圧・心疾患、糖尿病、認知症・精神疾患という6つのリスク因子についてその保有数と中等症II以上となるリスクの関連についてみると、リスク因子の数が多いほど中等症IIの割合が高く、全体の移行率は第6波で低いものの、その傾向は第5波と第6波で変わらなかった。第6波での60歳以上の重症化率は1.45%、致死率は0.96%(暫定値) そのほか、広島県のデータを使用し、2022年1月1日~1月14日の期間における新型コロナウイルス感染者7,542人を対象に、年齢階級別、ワクチン接種歴別に重症化率および致死率を暫定版として算出した結果も報告された。なお、人工呼吸器の使用、ECMOの使用、ICU等で治療のいずれかの条件に当てはまる患者を重症者と定義し、重症者には、経過中重症に至ったが、死亡とならなかった患者、重症化して死亡した患者、重症化せず死亡した患者が含まれる。また、ワクチン接種歴ありはワクチンを1回以上接種した者、ワクチン接種歴なしは未接種および接種歴不明の者が含まれる(1月26日時点でのステータスに基づき算出しており、重症者数や死亡者数は増加する可能性がある)。 全体として、60歳未満の重症化率は0.04%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は1.45%/致死率は0.96%と算定された。ワクチン接種状況別にみると、ワクチン接種歴あり(1回以上)では、60歳未満の重症化率は0.02%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は0.96%/致死率は0.55%。ワクチン接種歴なしでは、60歳未満の重症化率は0.09%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は5.05%/致死率は4.04%だった。

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塩野義の経口コロナ治療薬、第IIa相試験で良好な結果確認

 2022年2月7日、塩野義製薬は開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の第II/III相試験 Phase 2a partの結果速報に関する説明会を開催し、抗ウイルス効果に関してプラセボ群と比較して良好な結果が確認されたことを報告した。 第II/III相試験Phase 2a partでは、12歳以上70歳未満の軽症/中等症および無症候/軽度症状のみのSARS-CoV-2感染者を対象にS-217622の1日1回、5日間の経口投与による有効性および安全性が評価された。intention-to-treat(ITT)集団はS-217622低用量群16例、高用量群14例、プラセボ群17例の計47例であり、各群におけるワクチン接種者は14例(87.5%)、12例(85.7%)、12例(70.6%)であった。 主要評価項目である各時点におけるSARS-CoV-2のウイルス力価のベースラインからの変化量、ならびにウイルスRNA量のベースラインからの変化量について、S-217622低用量群・高用量群ともプラセボ群に対する速やかな減少が確認された。ウイルス力価についてはDay4(3回投与後)にはウイルス力価陽性(≧0.8 Log10[TCID50/mL])患者の割合をプラセボ群に比較して約60~80%減少させたほか、ウイルス力価陰性(<0.8 Log10[TCID50/mL])が最初に確認されるまでの時間(中央値)をプラセボ群の111.1時間(95%信頼区間[CI]:23.2~158.5)に対してS-217622低用量群61.3時間(95%CI:38.0~68.4)、高用量群62.7時間(95%CI:39.2~72.3)と約2日短縮した。 重症化抑制効果については、治験開始後に病態が悪化し、担当医師により入院、あるいは入院に準ずる治療が必要と判断された症例(Ordinal Scale 3以上への増悪)はプラセボ群2/14例(14.3%)に対し、S-217622投与群では認められなかった。 また、安全性についてはS-217622投与群において高比重リポ蛋白(HDL)減少例の発現が多い傾向が認められたが、ほぼ全ての有害事象は軽度なものであった。 今後、軽症/中等症については2月9日よりPhase 3 partに移行予定、無症候/軽度症状のみについてはPhase 2b/3 partを継続する。S-217622については今回得られた試験結果をもとに、引き続き国内における最速の承認を目指すという。

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