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FDA(米国食品医薬品局)が先陣を切るかFDA(米国食品医薬品局)の本決定はまだですが(この記事が出る日に話し合われる予定)、新型コロナワクチンは、インフルエンザと同じく、健康な人は年1回の接種にする方針のようです。ただし、高齢者、子供の一部、免疫が低下している人については年2回の接種となる見込みです。基本的に2価ワクチンが勧奨される見込みです。年1回接種にするとしても、いつの変異ウイルスに合わせてワクチンを改変していくのか難しいところですが、mRNAワクチンはそういった改変を速やかに行えるメリットがあり、たとえば春~夏に流行した変異ウイルスに合わせて秋に接種などのような形が想定されています。エビデンスがあるというよりも、そういう落としどころでウィズコロナしましょうという側面が強く、年1回がベストとは限りません。今後の研究によっては、全員年2回のほうがよいというデータが出てくるかもしれません。FDAが勧奨するであろう2価ワクチンを提供しているのは、現在ファイザー社とモデルナ社の2社だけになると思われます。もう他の企業は追随できませんね、差が付いてしまった。XBB.1.5は日本ではまれご存じのとおりワクチンの感染予防効果は経時的に減衰していきますが、現在接種されているオミクロン株対応の2価ワクチンは、とりわけ高齢者では高い入院予防効果を有しています。イスラエルにおける65歳以上の高齢者に対するオミクロン株対応ワクチンは、入院予防効果81%、死亡予防効果86%と報告されています1)。オミクロン株対応ワクチンを追加接種しても、XBB.1株は免疫逃避が従来株やBA.5株よりかなり高いことが報告されています2)。また、中和活性についても従来株、BA.2系統、BA.5系統よりも顕著に低いことがわかっています3)。中和抗体の上昇が期待できるとされつつも3,4)、基本的にmRNAワクチンの改変が必要とされている状況です。XBB.1.5株は現在アメリカで猛威を振るっていますが、日本でもXBB.1.5株がいつか優勢になってくるかもしれません(図)。画像を拡大する図. ゲノム解析結果の推移(週別)(東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議・分析資料より5))mRNAワクチンは、新型コロナとインフルエンザの両方に適用可能な技術であるため、将来的には1本のワクチンで両方を予防できるなんて時代が来るかもしれませんね。参考文献・参考サイト1)Arbel R, et al. Effectiveness of the Bivalent mRNA Vaccine in Preventing Severe COVID-19 Outcomes: An Observational Cohort Study. Preprints with The Lancet. 2023 Jan 3.2)Miller J, et al. Substantial Neutralization Escape by SARS-CoV-2 Omicron Variants BQ.1.1 and XBB.1. N Engl J Med. 2023 Jan 18. [Epub ahead of print]3)Uraki R, et al. Humoral immune evasion of the omicron subvariants BQ.1.1 and XBB. Lancet Infect Dis. 2023 Jan;23(1):30-32.4)Davis-Gardner ME, et al. Neutralization against BA.2.75.2, BQ.1.1, and XBB from mRNA Bivalent Booster. N Engl J Med. 2023 Jan 12;388(2):183-185.5)東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議・分析資料 変異株調査(令和5年1月19日12時時点)