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Stage IV胃がん2次治療、ペムブロリズマブ対パクリタキセル(KEYNOTE-061)/ASCO2018

 現在、Stage IV胃がんでは、国際的には1次治療としてフッ化ピリミジン系抗がん剤と白金製剤の併用、2次治療ではタキサン系抗がん剤のパクリタキセルと分子標的治療薬のラムシルマブの併用、あるいはパクリタキセルドセタキセル、塩酸イリノテカンの単剤が用いられている。 一方、ペムブロリズマブは、KEYNOTE-059試験で、2ライン以上の治療歴のあるPD-L1陽性の胃/胃・食道接部がんで良好な効果と安全性を示している。こうしたことを受けて、進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者を対象に2次治療でペムブロリズマブとパクリタキセルの効果を比較する第III相試験 KEYNOTE-061が実施された。その初回解析の結果を国立がん研究センター東病院消化器内科の設樂紘平氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 対象はフッ化ピリミジン系抗がん薬と白金製剤の併用の1次治療を終了したStageIVの切除不能進行・転移性の進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者。登録患者はペムブロリズマブ(1回200mg)3週ごとの群とパクリタキセル(1日目、8日目、15日目に投与)4週ごとの群に割り付けられた。 登録患者では治療前検体で、22C3抗体を用いた免疫組織染色でPD-L1発現を測定。CPS(Combined Positive Score)1%以上をPD-L1陽性と規定した。主要評価項目はCPS1%以上の患者での全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)とし、副次評価項目は同じくCPS1%以上の患者での全奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)、安全性・忍容性とした。 登録総患者数は592例でペムブロリズマブ群とパクリタキセル群が各296例。このうちCPS1%以上はペムブロリズマブ群が196例、パクリタキセル群が199例だった。 主要評価項目であるPD-L1陽性でのOS中央値は、ペムブロリズマブ群で9.1ヵ月(6.2~10.7ヵ月)、パクリタキセル群で8.3ヵ月(7.6~9.0ヵ月)で、両群間に有意差はなかった(HR:0.82、95%CI:0.66~1.03、p=0.04205[片側])。またPFS中央値はペムブロリズマブ群で1.5ヵ月(1.4~2.0ヵ月)、パクリタキセル群で4.1ヵ月(3.1~4.2ヵ月)だった(HR:1.27、95%CI:1.03~1.57)。 副次評価項目では、ORRがペムブロリズマブ群で15.8%、パクリタキセル群で13.6%、DOR中央値がペムブロリズマブ群で18.0ヵ月(1.4~26.0ヵ月)、パクリタキセル群で5.2ヵ月(1.3~16.8ヵ月)。 Grade3以上の治療に伴う有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群が14.3%、パクリタキセル群が34.8%。Grade1以上の有害事象全体で主なものは、ペムブロリズマブ群が疲労感(15.8%)、食欲不振(8.2%)、パクリタキセル群が脱毛(40.2%)、疲労感(23.2%)。 また、Grade3以上の免疫関連有害事象や注射部位反応の発現率は、ペムブロリズマブ群が3.4%、パクリタキセル群が1.8%で、ペムブロリズマブ群で多かった免疫関連有害事象は甲状腺機能低下症(7.8%)、甲状腺機能亢進症(4.1%)となっていた。 OS、PFSは両群間で有意差は認められなかったが、サブグループで解析すると、PD-L1陽性患者でECOG PS0の場合、OS中央値はペムブロリズマブ群で12.3ヵ月(9.7~15.9ヵ月)、パクリタキセル群で9.3ヵ月(8.3~10.5ヵ月)であり(HR:0.69、95%CI:0.49~0.97)、PD-L1陽性でもCPS10%以上ではペムブロリズマブ群で10.4ヵ月(5.9~17.3ヵ月)、パクリタキセル群で8.0ヵ月(5.1~9.9ヵ月)と(HR:0.64、95%CI:0.41~1.02)ともにペムブロリズマブが良好な傾向を示した。 また、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)陽性の患者のみに限定すると、OSはペムブロリズマブ群が未達成、パクリタキセル群が8.1ヵ月(2.0~16.7ヵ月)であり(HR:0.42、95%CI:0.13~1.31)、ORRはペムブロリズマブ群が46.7%、パクリタキセル群が16.7ヵ月と、ペムブロリズマブ群で良好な傾向を示した。 設樂氏は「今回のデータからペムブロリズマブ単独療法でベネフィットを得られる患者集団の特定に向けた研究が必要である」との見解を示している。■参考KEYNOTE-061試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ASCO2018消化器がんオンサイトレポート進行胃がん、ペムブロリズマブの治療効果は?KEYNOTE-059/ASCO2017〔6月19日 記事の一部に誤りがありましたので、修正いたしました。〕

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非扁平上皮肺がんの1次治療、アテゾリズマブ追加でPFS、OS延長/NEJM

 前化学療法歴のない転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(non-Sq NSCLC)の治療において、標準治療のベバシズマブ+化学療法にアテゾリズマブを追加すると、標準治療単独に比べ、PD-L1の発現やEGFR変異、ALK変異の有無にかかわらず、無増悪生存(PFS)および全生存(OS)が改善することが、米国・フロリダ・ホスピタル・キャンサー・インスティテュートのMark A. Socinski氏らが実施した「IMpower150試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年6月14日号に掲載された。抗PD-L1抗体製剤アテゾリズマブは、前化学療法歴のない患者において、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法との組み合わせで有望な有効性と許容可能な安全性プロファイルを有することが報告されている。また、アテゾリズマブのがん細胞殺傷特性は、ベバシズマブによる血管内皮増殖因子(VEGF)介在性の免疫抑制の遮断作用によって増強される可能性があるという。3群のうちABCP群とBCP群の比較の結果を報告 研究グループは、VEGF遮断は免疫療法の有効性を増強するか、免疫療法と化学療法の併用は有効かという2つの課題に答えるための検討を行った(F. Hoffmann-La Roche/Genentech社の助成による)。今回は、前者の課題に関して、PFSの最終解析およびOSの中間解析の結果を報告した。 前化学療法歴のない転移を有する再発non-Sq NSCLCで、全身状態(ECOG PS)が0~1の患者を対象とした。被験者は、アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(ACP)、ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(BCP)、アテゾリズマブ+BCP(ABCP)を3週ごとに4または6サイクル投与後に、アテゾリズマブまたはベバシズマブ、あるいは双方による維持療法を行う群に、無作為に割り付けられた。 2つの主要エンドポイントは、1)野生型(WT)のintention-to-treat(ITT)集団(WT集団[EGFR変異およびALK変異を有する患者は除外])と、腫瘍のエフェクターT細胞(Teff)の遺伝子シグニチャーが高発現のWT集団(高Teff WT集団)における治験担当医の評価によるPFS、2)WT集団における治験担当医の評価によるOSであった。ACP群とBCP群の比較に先だって、ABCP群とBCP群の比較を行った。 2015年3月~2016年12月の期間に、日本を含む26ヵ国240施設に1,202例(ITT集団)が登録され、ACP群に402例、ABCP群に400例(年齢中央値:63歳、<65歳:53.8%、男性:60.0%)、BCP群に400例(63歳、56.5%、59.8%)が割り付けられた。WT集団は1,040例(86.5%)で、ACP群が348例、ABCP群が356例、BCP群は336例だった。追加により死亡リスクが22%低減 WT集団におけるPFS期間中央値は、ABCP群が8.3ヵ月と、BCP群の6.8ヵ月に比べ有意に延長した(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.52~0.74、p<0.001)。1年PFS率は、ABCP群が36.5%であり、BCP群の18.0%の約2倍であった。 また、高Teff WT集団のPFS期間中央値は、ABCP群が11.3ヵ月と、BCP群の6.8ヵ月と比較して有意に長かった(0.51、0.38~0.68、p<0.001)。EGFR変異、ALK変異例を含む全体のITT集団でも、PFS期間中央値はABCP群がBCP群よりも優れ(8.3 vs.6.8ヵ月、層別化HR:0.61、95%CI:0.52~0.72)、PD-L1が低発現または陰性の患者(8.0 vs.6.8ヵ月、非層別化HR:0.68、0.56~0.82)やTeff遺伝子シグネチャー低発現例(7.3 vs.7.0ヵ月、非層別化HR:0.76、0.60~0.96)、肝転移例(7.4 vs.4.9ヵ月、非層別HR:0.42、0.26~0.66)も同様であった。 WT集団におけるOS期間中央値は、ABCP群が19.2ヵ月と、BCP群の14.7ヵ月に比し有意に延長した(死亡のHR:0.78、95%CI:0.64~0.96、p=0.02)。客観的奏効率は、ABCP群が63.5%、BCP群は48.0%であった。 ABCP群の安全性プロファイルは、個々の薬剤の既報のリスクと一致していた。Grade 3/4の治療関連有害事象は、ABCP群が55.7%、BCP群は47.7%に発現し、頻度の高いものとして、ABCP群では好中球減少(13.7%)、好中球数の減少(8.7%)、発熱性好中球減少(8.4%)が、BCP群では好中球減少(11.2%)、好中球数の減少(6.3%)、高血圧(6.3%)がみられた。Grade 5の有害事象として、ABCP群で発熱性好中球減少が3例に認められた。 著者は、「Teff遺伝子シグネチャーは、PD-L1発現および既存の免疫能のサロゲートマーカーとされ、その高発現は優れたPFSベネフィットをもたらしたが、ベネフィットの程度はPD-L1高発現の場合と同等であった」と指摘している。

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扁平上皮肺がん1次治療、アテゾリズマブ+化学療法でPFS延長。高PD-L1群で顕著(IMpower131)/ASCO2018

 Stage IV扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療に対するアテゾリズマブと化学療法の併用に関する第III相試験IMpower131の結果が、米国・シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。 IMpower131試験は、化学療法未治療のStage IVの扁平上皮NSCLCを対象とし、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセルまたはパクリタキセル)の併用と、化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)単独の有効性および安全性を比較検討する、オープンラベル多施設共同無作為化第III相試験である。本試験には、下記の3群に1:1:1に無作為に割り付けた1,021例が登録された。・対象患者:化学療法未治療のStage IVの扁平上皮NSCLC・試験薬群 ・A群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(Atezo+CP) ・B群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル(Atezo+CnP)・対照群 ・C群(対照群):カルボプラチン+nab-パクリタキセル(CnP)・主要評価項目:B群対C群の治験担当医評価によるITT集団における無増悪生存(PFS)およびITT集団における全生存期間(OS)。今回はB群対C群のPFSの発表。 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値は、Atezo+CnP群6.3ヵ月に対し、CnP群5.6ヵ月(HR:0.71、p=0.0001)、12ヵ月PFS率はそれぞれ24.7%と12.0%であった。・PD-L1サブグループによるPFS  PD-L1高発現(TC3またはIC3)では、Atezo+CnP群10.1ヵ月に対し、CnP群5.5ヵ月であった(HR:0.44)。  PD-L1低発現(TC1/2またはIC1/2)では、それぞれ6.0ヵ月と5.6ヵ月であった(HR:0.70)。  PD-L1発現陰性(TC0かつIC0)では、それぞれ5.7ヵ月と5.6ヵ月であった(HR:0.81)。・奏効率は、Atezo+CnP群49%に対し、CnP群41%であった。・奏効期間は、Atezo+CnP群7.2ヵ月に対し、CnP群5.2ヵ月であった。・全有害事象発現率は、Atezo+CnP群99%に対し、CnP群97%。各治療法における既知の事項と同様であった。 OSベネフィットは次回の中間解析で発表される。■参考ASCO2018 AbstractIMpower131試験(Clinical Trials.gov)■関連記事アテゾリズマブと化学療法の併用、扁平上皮肺がん1次治療でPFS延長(IMpower131)アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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進行肺がん1次治療へのアテゾリズマブ併用療法 、OSハザード比0.78(IMpower150)/ASCO2018

 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、アテゾリズマブの第III相臨床試験IMpower150における全生存期間(OS)の中間解析結果を、フロリダ・ホスピタル・キャンサー・インスティテュートのMark A. Socinski氏が発表した。IMpower150は、Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)±ベバシズマブへのアテゾリズマブ併用療法の有効性と安全性を検討するオープンラベル無作為化多施設共同試験。 本試験では、1,202例の患者を以下の3群に1:1:1の割合で無作為に割り付け、各群の投与レジメンに従い3週に1回間隔で薬剤を投与した。A群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)B群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)C群:カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg) 主要評価項目は、EGFRまたはALKの遺伝子変異陽性患者を除くITT解析集団(ITT-WT)ならびにT細胞活性調整因子(Teff)の遺伝子発現により層別化した集団におけるPFS、およびITT-WT におけるOS。 主な結果は以下のとおり。・A群に349例、B群に359例、C群に337例、ITT-WTの患者が組み入れられた。年齢中央値は63歳、62%が男性、85%が現在あるいは過去の喫煙者で、42%がECOG PS:0であった。・データカットオフ(2018年1月22日)の追跡期間中央値は約20.0ヵ月。・B群とC群の比較において、OS期間中央値は、B群が19.2ヵ月と、C群の14.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.64~0.96、p=0.0164)。 ・PD-L1高発現患者(TC3またはIC3;136例)のOSは、B群25.2ヵ月、C群15.0ヵ月 (HR:0.70)、低発現患者(TC1/2またはIC1/2;226例)のOSは、それぞれ 20.3ヵ月と16.4ヵ月(HR:0.80)、発現なし(339例)のOSは、それぞれ 17.1ヵ月と14.1ヵ月(HR:0.82)であった. ・EGFR/ALK遺伝子変異陽性患者(104例)のOSは、B群NE、C群 17.5ヵ月であった(HR:0.54)。 ・ITT-WT集団のうちベースライン時に肝転移のあった患者(94例)におけるOSは、 B群13.2ヵ月、C群9.1ヵ月であった(HR:0.54)。・A群とC群の比較において、OSは、A群が19.4ヵ月と、C群14.7ヵ月に比べ延長傾向が確認された(HR:0.88、95%CI:0.72~1.08、p=0.2041)。・全患者において、Grade3以上の治療関連有害事象発現率は、A群43%、B群57%、C群49%であった。 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考ASCO2018 AbstractSocinski MA, et al.N Engl J Med. 2018 Jun 4.[Epub ahead of print]■関連記事アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でPD-L1発現、遺伝子ステータスに関わらずPFSの改善示す(IMpower-150)/AACR2018抗PD-L1抗体アテゾリズマブ国内発売、肺がん治療に※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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胃がん術後化療、S-1+ドセタキセルがプラクティス変える?(JACCRO GC-07)/ASCO2018

 Stage II/IIIの治癒切除胃がんに対する標準治療として、本邦ではS-1による術後補助化学療法が用いられるが、Stage IIIにおけるアウトカムは十分とはいえない。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、名古屋大学医学部附属病院の小寺 泰弘氏が、Stage III の上記患者に対するS-1/ドセタキセル併用療法とS-1単独療法を比較したJACCRO GC-07(START-2)試験の結果を発表した。S-1/ドセタキセル併用の術後補助化学療法は安全で管理可能な治療法 同試験は、本邦の138施設が参加した第III相ランダム化比較試験。対象はD2リンパ節切除症例のうちR0手術後のStage III治癒切除胃がん患者で、施設、Stage(IIIA、IIIB、またはIIIC)および組織型(分化または未分化)によって層別化され、S-1/ドセタキセル併用療法群(併用群)とS-1単独療法群(対照群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、併用群における3年無再発生存期間(RFS)の7%増加(ハザード比[HR]:0.78、2-sidedα=0.05、β=0.2)で、その検出に必要な症例数は1,100例とされた。副次評価項目は、全生存期間(OS)、治療成功期間(TTF)、および安全性であった。 両群のレジメンは以下のとおり。・S-1/ドセタキセル併用群 サイクル1(3週間):S-1(80mg/m2)を1日2回、14日間連続投与し、7日間休薬 サイクル2~7(3週間ずつ):ドセタキセル(40mg/m2)を各サイクル初日に投与 し、S-1(80mg/m2)を1日2回、14日間連続投与し、7日間休薬 サイクル8以降(6週間ずつ):S-1(80mg/m2)を1日2回、28日間連日投与し、 14日間休薬 → 手術1年後まで繰り返す・S-1 単独療法群 S-1(80mg/m2)を1日2回、28日間連続投与し、14日間休薬を1サイクル (6週間)として手術1年後まで繰り返す 2017年4月に実施された、あらかじめ計画されていた2回目の中間解析の時点で、S-1/ドセタキセル併用群456例、対照群459例が本試験に組み入れられた。中間解析の結果、S-1/ドセタキセル併用群の3年RFSは対照群と比較して有意に良好であった(HR:0.632、95%信頼区間[CI]:0.400~0.998、p=0.0007)。そのため、独立の効果安全性評価委員会により、試験の有効中止が勧告された。S-1/ドセタキセル併用群では対照群と比較して、血行性、リンパ性および播種性を含むすべてのタイプで再発を抑制した。 Grade3以上の有害事象は、白血球減少症と好中球減少症、発熱性好中球減少症について併用群で頻度が高かったが、全体として、S-1/ドセタキセル併用の術後補助化学療法は安全で管理可能な治療法といえる。※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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肺がん1次治療、PD-L1低発現でもペムブロリズマブ単剤?(KEYNOTE-042)/ASCO2018

 非扁平上皮および扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、ペムブロリズマブ単剤の1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE-042試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。 KEYNOTE-042は、局所進行または転移を有するPD-L1陽性のNSCLC患者において、標準治療のプラチナベース化学療法とペムブロリズマブ単剤治療を比較する国際無作為化オープンラベル第III相試験。対象患者:PD-L1発現1%以上の局所進行または転移を有するNSCLC患者(いずれの組織型も含む)試験薬:ペムブロリズマブ3週ごと35サイクル対照薬:カルボプラチン+パクリタキセルまたはペメトレキセド3週ごと6サイクル評価項目:主要評価項目は全生存期間(OS)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)。副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)と奏効率(ORR)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)、安全性(TPS1%以上) 主な結果は以下のとおり。・1,274例の患者が、ペムブロリズマブの単剤治療またはプラチナベース化学療法に1:1で無作為に割り付けられた。・2年OS率は、TPS50%以上では、ペムブロリズマブ群44.7%に対して化学療法群30.1%(HR:0.69、p=0.0003)、20%以上では40.5%対29.6%(HR:0.77、p=0.0020)、1%以上では39.3%対28.0%であった(HR:0.81、p=0.0018)。・探索的研究での、TPS1~49%の2年OS率は、ペムブロリズマブ群34.6%に対して化学療法群26.5%であった(HR:0.92)。・2年PFS率はTPS50%以上では、ペムブロリズマブ群37.4%に対して化学療法群27.3(HR:0.81、p=0.017)、20%以上では32.4%対28.8%(HR:094)、1%以上では28.0%対26.6%であった(HR:1.07)。・ORRは、TPS50%以上では、ペムブロリズマブ群39.5%に対して化学療法群32.0%、20%以上では33.4%対28.9%、1%以上では、27.3%対26.5%であった。・治療関連有害事象発現は、ペムブロリズマブ群62.7%に対して化学療法群89.9%、免疫関連有害事象発現は、27.8%対7.2%であった。 ペムブロリズマブ単剤治療群は、PD-L1発現NSCLCの1次治療において、PD-L1の発現の程度にかかわらず、化学療法群に比べOSを有意に改善した。■参考ASCO2018 AbstractKEYNOTE-042試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブ、PD-L1発現肺がんの1次治療に単剤でOS改善(KEYNOTE-042)※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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Stage III 肺がん、化学放射線療法+免疫療法が期待される理由

 2018年5月25日、第11回アストラゼネカ・オンコロジーサイエンス・メディアセミナー「肺がんの早期治療における免疫治療への期待」が開催された。山本 信之氏(和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科 教授)、髙山 浩一氏(京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 教授)が登壇し、Stage III切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)治療における課題と免疫療法による可能性、およびこれまでほとんど明らかにされてこなかった、Stage III肺がん患者の心理的負担感をテーマに講演した。化学放射線療法と免疫療法の併用による可能性 はじめに山本氏は、NSCLC患者の約2割を占めるStage IIIの患者に対する治療では、根治を目指し、化学療法と根治的胸部放射線療法の併用が標準治療として推奨されていることを説明。第2世代レジメン(MVP)から、第3世代レジメン(カルボプラチン+パクリタキセル、シスプラチン+ドセタキセル等)へと新しい抗がん剤が登場しているものの、放射線と併用したときの生存期間延長という意味では、約20年間ほぼ治療の進歩がないことを指摘した。 一方、標準治療が化学療法のみとなるStage IVでは、分子標的治療薬と免疫チェックポイント阻害薬による治療の進歩が著しい。このうち分子標的治療薬については、「放射線との併用でベネフィットがある可能性はゼロではないが、薬剤性肺炎のリスクがあることから、大規模な臨床試験を実施してその効果を確かめることは難しい」と山本氏は語った。 そこで期待されるのが、免疫チェックポイント阻害薬だ。山本氏は、Stage IV肺がん患者対象の複数の試験で、腫瘍のPD-L1発現率が高いほど免疫チェックポイント阻害薬の奏効率が高いと確認されていること(KEYNOTE-0011)、CheckMate017/0572))、マウスによる実験段階ではあるが、放射線治療によりPD-L1発現が高まり、抗PD-L1抗体と放射線療法を併用すると、各単独療法よりも生存期間が延長すると示唆されていること3)から、「放射線療法が免疫療法の効果を高める可能性がある」と話した。 続いて山本氏は、放射線療法と免疫療法の併用により、放射線照射部位のみでなく、遠方の転移巣においても抗腫瘍免疫反応が活性化される“アブスコパル効果”について言及。悪性黒色腫に対する試験では、イピリムマブ+放射線療法によるアブスコパル効果が確認され、放射線を照射していない部位でも腫瘍縮小効果が確認されている4)という。免疫療法そのものの効果も、早期でより高い? 「腫瘍量が少ないほど免疫療法による治療効果が高いと示唆されていることも5)、Stage IIIでの免疫療法に期待ができる理由の1つ」と山本氏。より早期でより腫瘍量の少ない、手術適応の肺がん患者に対し、術前に免疫チェックポイント阻害薬を投与した結果、ほぼ全例で腫瘍縮小効果が確認されたデータ6)を紹介し、「早期の腫瘍量の少ない病変や微小転移に対し、免疫療法の効果はStage IVよりもさらに高いのではないかと期待される」と話した。心理的な不安感、進行期よりもStage IIIの患者でより強い傾向 続いて髙山氏は、インターネットによる患者調査の結果7)を基に、Stage III肺がん患者における心理的負担感について講演した。「進行期であるStage IVの患者さん対象の調査は行われてきたが、Stage IIIの患者さんの心理的負担感についてはほとんどわかっていなかった」と髙山氏。本調査では、心理的ストレスを数値化するための尺度として、HADS質問票を使用。この質問票は、不安7項目、抑うつ7項目の計14項目からなり、それぞれの状態を点数化して評価する。 調査の結果、化学放射線療法を受けた肺がん患者は、薬物療法を受けた肺がん患者と比較してHADSスコアが高くなる傾向がみられ、特に不安の度合いが高いことが確認された。なかでも、“だんだんと不安が大きくなっていくように感じた”という項目で化学放射線療法を受けた患者の負担感が高かったことに髙山氏は着目。「分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬が使われるStage IVよりも、従来の抗がん剤が使われるStage IIIの治療でより副作用による負担が大きい場合があること、また放射線療法後半における、食事摂取への影響などが背景にあるのではないか」と推察した。 さらに、「Stage IIIでは、初回治療後に無治療で経過観察をする期間が続く。いつ再発するかという不安を抱えながら、“何もしない”ことは大変なストレスだろう」と話し、「免疫療法を含め、このタイミングで何らかの治療の選択肢が生まれれば、心理面でも大きなプラスなのではないか。そしてもちろん、生存期間延長につながる治療法の登場が、病気と治療に直面する患者さんたちにとって、何よりの励みになると期待している」と結んだ。■参考1)Garon EB, et al. N Engl J Med.2015;372;2018-2028.2)Felip E, et al. ESMO 2017.3)Dovedi SJ, et al. Cancer Res.2014;74:5458-5468.4)Postow MA, et al. N Engl J Med.2012;366;925-931.5)Huang AC, et al. Nature.2017;545;60-65.6)Forde PM, et al. N Engl J Med. 2018;378;1976-1986.7)アストラゼネカ株式会社プレスリリース

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アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でPD-L1発現、遺伝子ステータスに関わらずPFSの改善示す(IMpower-150)/AACR2018

 米国がん研究会議年次集会(AACR2018)で、アテゾリズマブの第III相臨床試験IMpower-150の主要なサブグループの解析結果が発表され、非扁平上皮非小細胞肺がん(NCSLC)の1次治療において、アテゾリズマブの化学療法への追加によって、PD-L1発現、EGFR、ALKステータスに関わらないPFSの改善が示された。 IMpower-150試験はオープンラベル無作為化多施設共同試験・対象:転移を有する非扁平上皮NSCLC 1次治療患者(EGFR変異・ALK再構成陽性=EGFR+/ALK+含む)・試験群 A群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(Atezo+CP)→アテゾリズマブ B群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(Atezo+CP+Bev)→アテゾリズマブ+ベバシズマブ・C群(コントロール):カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(CP+Bev)→ベバシズマブ・評価項目:複合主要評価項目は治験担当医によるPFSおよびOS(ともにEGFR/ALK野生型のITT解析対象患者)、副次評価項目は治験担当医評価によるPFS(全ITT解析対象患者)、独立評価機関(IRF)評価によるPFS、その他ORR、DOR、安全性であった。 ESMO Immuno Oncology 2017おいて、EGFR/ALK野生型のITT解析対象(692例)でのPFSデータが報告され、Atezo+CP+Bev群の8.3ヵ月に対しCP+Bev群6.8ヵ月(HR:0.62、p<0.0001)という結果であった。今回はAtezo+CP+Bev群対CP+Bev群における、PD-L1発現、エフェクターT細胞の関連遺伝子(Teff)発現、EGFR変異・ALK再構成、肝転移の有無といった主要なサブ解析の結果が発表された。 主な結果は以下のとおり。・PD-L1高発現患者(TC3またはIC3)のPFSは、Atezo+CP+Bev群12.6ヵ月、CP+Bev群6.8ヵ月(HR:0.39)、低発現患者(TC1/2またはIC1/2)のPFSは、それぞれ8.3ヵ月と6.6ヵ月(HR:0.56)、発現なしのPFSは、それぞれ7.1ヵ月と6.9ヵ月(HR:0.77)であった・Teff高発現患者のPFSは、Atezo+CP+Bev群11.3ヵ月、CP+Bev群6.8ヵ月(HR:0.51)、低発現患者のPFSは、それぞれ7.3ヵ月と7.0ヵ月(HR:0.76)であった・EGFR+/ALK+患者を含むITT解析対象全体(800例)のPFSは、Atezo+CP+Bev群8.3ヵ月、CP+Bev群6.8ヵ月(HR:0.61)であった・EGFR+/ALK+患者のみ(108例)のPFSは、Atezo+CP+Bev群9.7ヵ月、CP+Bev群6.1ヵ月(HR:0.59)であった・肝転移陽性(110例)のPFSは、Atezo+CP+Bev群8.2ヵ月、CP+Bev群5.4ヵ月(HR:0.40)であった。肝転移陰性(690例)のPFSは、それぞれ、8.3ヵ月と7.0ヵ月(HR:0.64)であった 一方、本年(2018年)3月にEGFR/ALK野生型におけるOSの改善が公表されたが、今回の会議では、具体的な数値は明らかにされなかった。■参考IMpower150試験(Clinical Trials.gov)■関連記事atezolizumab併用療法、進行肺がん1次治療の第III相試験でPFSに有意差(IMpower150)/ESMO Immuno Oncology 2017

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RAS変異大腸がんに対するFOLFOXIRI+ベバシズマブの1次治療(JACCRO CC-11)/Oncotarget

 FOLFOXIRI+ベバシズマブは、転移のある大腸がん(mCRC)の1次治療標準レジメンの1つである。しかし、RAS変異mCRC患者において、同レジメンの前向き試験はほとんどない。 また、本邦におけるこのトリプレット+ベバシズマブレジメンの用量についても議論が残る。イタリアの研究グループGONO(Gruppo Oncologico Nord Ovest)の用量を用いたFOLFOXIRIによる、本邦のmCRC1次治療の試験では、好中球減少や発熱性好中球減少症が高頻度に出現した。一方、修正用量を用いたFOLFOXIRI(mFOLFOXIRI)による、本邦のmCRC 1次治療の試験では、抗腫瘍効果を損なうことなく、実用可能な結果となった。 JACCRO CC-11試験は、本邦のRAS変異mCRCの1次治療におけるmFOLFOXIRI+ベバシズマブの有効性と安全性を評価する第II相試験である。Oncotarget誌2018年第9巻に結果が発表された。・調査対象:20~75歳のKRAS、NRAS変異を有する切除不能な転移のある大腸がん患者・治療 ・導入相:mFOLFOXILI(イリノテカン150mg/m2、オキサリプラチン85mg/m2、レボホリナート200mg/m2、フルオロウラシル2,400mg/m2 46時間持続注day1、2週ごと)およびベバシズマブ(5mg/kg、day1、2週間ごと)。最大12サイクル。 ・維持相:レボホリナート200mg/m2、フルオロウラシル2,400mg/m2 day1、2週ごと)PDとなるまで継続・主要評価項目:外部レビュー委員会評価による客観的奏効率(ORR)・副次評価項目:無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、早期腫瘍縮小(ETS)、奏効の深さ(DpR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2014年10月~2016年8月に64例の患者が登録された(有効性評価は62例、安全性評価は63例)。・患者の平均年齢は62.5歳、右側腫瘍が27%を占めた。・mFOLFOXIRI+ベバシズマブのORRは75.8%(95%CI:65.1~86.5)、病勢コントロール率は、96.8%(95%CI:92.4~100)であった。・PFS中央値は11.5ヵ月(95%CI:9.5~14.0)、ETSは73.8%、DpRは49.2%であった。・Grade3/4の有害事象は、好中球減少(54%)、高血圧(32%)、下痢(13%)、食欲不振(11%)、末梢神経障害(2%)、発熱性好中球減少症(5%)であった。 この第II相試験試験の結果から、FOLFOXIRI+ベバシズマブは、RAS変異mCRC患者の1次治療に有効なレジメンであることが初めて示された。さらに、用量修正したmFOLFOXIRIは本邦におけるトリプレットレジメンとして有用であることが提案された。■参考Satake H, et al. Oncotarget. 2018; 9:18811-18820■関連記事大腸がんの最新薬物療法

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ペムブロリズマブ、PD-L1発現肺がんの1次治療に単剤でOS改善(KEYNOTE-042)

 メルク社は2018年4月9日、非扁平上皮、扁平上皮を含む非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、ペムブロリズマブ単剤での1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE-042試験で、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成したと発表。独立データモニタリング委員会(DMC)による中間解析で、PD-L発現1%以上の患者において、ペムブロリズマブの単剤治療が、プラチナベースの化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)と比べ、OSの有意な改善を示した。この試験におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは、進行NSCLC患者の単独療法試験で以前に報告されたものと一致していた。 KEYNOTE-042は、局所進行または転移性のPD-L1陽性(TPS≧1%)のNSCLC患者における標準治療のプラチナベース化学療法に対し、ペムブロリズマブ単独療法を評価する国際無作為化オープンラベル第III相試験。主要評価項目はOSで、TPS50%以上、20%以上、および1%以上で順次評価される。副次評価項目は、PFSおよび奏効率(ORR)。1,274例の患者が、ペムブロリズマブの単独療法または治験担当医の裁量で選択されたプラチナベース化学療法に1:1で無作為化された。DMCの勧告に基づき、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)の評価も継続する。※TPS:Tumor Proportion Score 腫瘍細胞のうちPD-L1発現陽性細胞の割合 メルク社のニュースリリースのなかで、香港中文大学のTony Mok氏は、「OSの改善は、進行肺がんの治療における究極の目的である。KEYNOTE-042は、PD-L1陽性NSCLCの1次治療に対し免疫療法単剤で、OSを主要評価項目とし、さらに有意な効果を示した、初めての無作為化第III相試験である」と述べている。 メルク社のプレスリリースでは、具体的な数値は明らかにされておらず、今後の医学学会で発表される予定だという。■参考KEYNOTE-042試験(Clinical Trials.gov)

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アテゾリズマブと化学療法の併用、扁平上皮肺がん1次治療でPFS延長(IMpower131)

 ロシュ社は2018年3月20日、第III相臨床試験であるIMpower131試験において、2つの主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)について、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)と化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)の併用療法により、化学療法単独と比較して、進行扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療における病勢進行または死亡リスクが低下(PFS延長)したことを発表した。アテゾリズマブと化学療法の併用における安全性は、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性のシグナルは確認されなかった。今回の中間解析の時点では、統計学的に有意な全生存期間(OS)の延長は観察されておらず、試験は計画どおり継続する。これらの成績は、今後開催されるがん関連学会で発表される予定。 IMpower131試験は、化学療法未実施のStage IVの扁平上皮NSCLCを対象とし、アテゾリズマブとカルボプラチン+nab-パクリタキセル、またはアテゾリズマブとカルボプラチン+パクリタキセルの併用療法と、化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセルの併用)単独の有効性および安全性を比較検討するオープンラベル多施設共同無作為化第III相臨床試験である。本試験には、下記の3群に1:1:1に無作為割り付けた1,021例が登録された。・A群:アテゾリズマブとカルボプラチン+パクリタキセルの併用・B群:アテゾリズマブとカルボプラチン+nab-パクリタキセルの併用・C群(対照群):カルボプラチン+nab-パクリタキセル2つの主要評価項目は、治験参加医師がRECIST v1.1を用いて評価したITT集団におけるPFS(B群対C群)およびITT集団におけるOS(B群対C群)である。 IMpower131試験の統計解析計画では、C群(カルボプラチン+nab-パクリタキセルの)に対するB群(アテゾリズマブとカルボプラチン+nab-パクリタキセルの併用)の統計学的に有意なOSの延長が認められた場合に、C群に対するA群(アテゾリズマブとカルボプラチン+パクリタキセルの併用)の解析(PFSおよびOS)を実施することがあらかじめ計画されている。 現在、ロシュ社はアテゾリズマブ単独または他剤との併用において、肺がんを対象とした8つの第III相臨床試験を実施しており、そのうちの5つの試験成績について本年発表する予定である。■参考IMpower131試験(Clinical Trials.gov)■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でOS有意差(IMpower150)

 F. ホフマン・ラ・ロシュ社は3月26日、第III相臨床試験IMpower150試験に関し、中間解析において主要評価項目の一つである全生存期間(OS)の延長が示され、進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療におけるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)とベバシズマブ、カルボプラチン、パクリタキセル(化学療法)の併用により、ベバシズマブ、カルボプラチン、パクリタキセルの併用に比べ、生存期間の延長が示されたことを発表した。OSの延長は、PD-L1発現状況によって層別化されたグループを含む、主要なサブグループに共通して認められた。アテゾリズマブとベバシズマブ、カルボプラチン、パクリタキセルの安全性は、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。これらの成績は、今後開催されるがん関連学会で発表される予定。 IMpower150試験は、化学療法未施行のStageIV非扁平上皮NSCLC患者を対象に、アテゾリズマブとカルボプラチン、パクリタキセルの併用に、ベバシズマブを追加または追加しない場合の有効性と安全性を、カルボプラチンとパクリタキセル、ベバシズマブとの併用療法と比較検討した、オープンラベル無作為化多施設共同第III相臨床試験。主要評価項目は、ALKまたはEGFRの遺伝子変異患者を除くITT解析集団、ならびにT細胞活性調整因子(Teff)の遺伝子発現により層別化した集団におけるPFSおよびITT解析集団のOS。1,202例の患者を以下のA~C群に1:1:1の割合で無作為化し、各群の投与レジメンに従い3週に1回間隔で薬剤を投与した。A群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)B群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)C群:カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg) アテゾリズマブは国内で、本年1月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応症において、承認を取得している。■関連記事atezolizumab併用療法、進行肺がん1次治療の第III相試験でPFSに有意差(IMpower150)/ESMO Immuno Oncology 2017アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(下巻)

第7回 頭頸部がん 第8回 食道がん 第9回 肝胆膵がん 第10回 婦人科がん 第11回 泌尿器がん 第12回 造血器腫瘍 第13回 脳腫瘍 第14回 緊急症 第15回 緩和ケア がん化学療法が一般的な治療となり、一般内科でもがん患者を診る機会が多くなりました。この番組では、がん種ごとに、基本的知識、ステージ、主な治療法、化学療法とその副作用をコンパクトに解説。下巻では7つのがんとオンコロジックエマージェンシー、緩和ケアを収録。すべての医療者が自信を持ってがん患者と向き合えるための知識を、腫瘍内科 大山優先生がレクチャーします!第7回 頭頸部がん 咽頭、口腔、鼻腔など発現部位によって予後や治療法が異なる頭頸部がん。技術的・機能的に可能な場合は外科的切除、不可能な場合はケモラジ、すなわち放射線治療と化学療法の合わせ技で対応します。発見前には舌の違和感や出血などで来院することもあり、治療後には口腔内の合併症など、一般医のフォローも必要ですので、ぜひポイントを押さえてください。 第8回 食道がん 食道がんの手術後には、吻合部が狭窄し、嚥下障害を起こすことがあります。唾液が飲み込めないなど、生活に支障を来す患者のQOL改善には一般内科医のフォローが必須!食道がんは気管、大動脈、心膜、椎体に接するため、浸潤しやすいのが恐ろしい点です。症状のある患者は進行している場合が多く、治癒率も高くないなど、基礎知識も押さえておきましょう。第9回 肝胆膵がん 肝胆膵がんは病態が多様で、患者ごとの治療選択がとても重要です。肝がんは慢性肝炎や肝硬変の進行具合によって治療が異なり、殺細胞薬はほとんど効果がないこと、膵がんは早期発見が難しく約4%の患者しか完治できないことなど、一般内科医でもこれだけは知っておきたい肝胆膵がんの基本的知識、治療方法、副作用をコンパクトに解説します。第10回 婦人科がん 今回は子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんをぎゅっとまとめてレクチャー。この3つは共通してカルボプラチンとパクリタキセルを使用した化学療法を行います。これだけでも覚えておきたいポイントです。そのほかHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)など、一般内科医にも最低限知っておいてほしい婦人科がん知識をお伝えします!第11回 泌尿器がん 今回は腎がん、尿路上皮がん、前立腺がん、精巣がんをまとめてレクチャーします。泌尿器がんは患者によって進行のスピードや薬剤反応性などに大きな個人差があるのが特徴です。とくに前立腺がんは緩徐進行性のため治療不要となる場合があり、PSA検診の可否が問題となっています。新薬開発の目覚しい化学療法や、QOL確保のための膀胱温存療法、ホルモン療法など、一般内科医でも知っておきたいがん知識が満載です!第12回 造血器腫瘍 造血器腫瘍は遺伝子レベルで病型が細分化され、新薬の登場とともに、治療も複雑化しています。急性白血病や悪性リンパ腫でも、化学療法は比較的有効で、的確な治療と全身管理によって完治できるタイプもあります。初診時に見逃してはならない、メディカルエマージェンシーのポイントを解説します!第13回 脳腫瘍 脳腫瘍は原発性と転移性に分けられます。原発性の悪性腫瘍は境界が不明瞭なため完全摘出が難しく、手術後に化学放射線療法を行います。転移性脳腫瘍は、原発腫瘍の部位や状態によって治療方法が異なります。なかでも、EGFR遺伝子変異性肺がんのように化学療法高度感受性の原発腫瘍の場合は、転移巣も化学療法が有効となるケースがあります。このように最近は脳腫瘍でも長期予後が期待できる場合もあるので、脳腫瘍治療のエッセンスを一通り覚えておきましょう!第14回 緊急症 がん患者の容態悪化、Oncologic Emergencyに対応できますか?一般内科でも外来でがん治療中の患者に遭遇する機会が多くなりました。専門医でなくとも、抗がん剤の副作用や合併症に対応しなければなりません。今回は一般内科医でも是非知っておいてほしい、経過観察してはいけないがんの緊急症について解説します!第15回 緩和ケア 最終回はがん診療においては必須となる緩和ケア。とくに疼痛治療の要となるオピオイドについて、開始方法や副作用を説明します。一般内科でも疼痛ケアや術後のフォローなどを行う機会が増えています。これだけは知っておきたい緩和ケア知識をぜひチェックしてください。

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ASCO-GI2018レポート

レポーター紹介2018年1月18日から1月20日まで米国サンフランシスコにて米国臨床腫瘍学会消化器がん会議(ASCO-GI)が開かれた。初日こそ雨であったものの、2日目、3日目は快晴であり過ごしやすい日程であった。学会ではOral Presentation、Poster Presentation、Rapid-Fire Abstract Session、Trials in Progress Sessionなどに分けられ、大規模臨床試験の結果だけでなく、小規模なデータや現在試行中の臨床試験の紹介も行われた。本稿では、そのなかのいくつかを紹介する。RAINFALL試験 抗VEGFR-2抗体であるラムシルマブ(RAM)は、RAINBOW試験、REGARD試験により胃がんに対する有効性が証明され、現在では本邦、NCCN、ESMOの胃がん治療ガイドラインにおいて、標準的な2次化学療法として位置付けられている。RAINFALL試験はRAMを1次治療として使用したときの効果、安全性を検証する第III相無作為化比較試験である。対象は、前治療歴のないHER2陰性胃がん・胃食道接合部がん症例であり、RAM+カペシタビン+CDDP(RAM群)、Placebo+カペシタビン+CDDP(Placebo群)に1:1に無作為割り付けされた。主要評価項目はPFSであり、副次評価項目はOS、RR、Safety、QOL、PK profileであった。全体で645例が登録され、326例がRAM群、319例がPlacebo群に割り付けられた。主要評価項目であるPFSは、RAM群5.72ヵ月、Placebo群5.39ヵ月(HR:0.75、95%CI:0.61~0.94、p=0.011)であり、統計学的に有意な結果であった。副次評価項目であるOSは、RAM群11.17ヵ月、Placebo群10.74ヵ月(HR 0.98、95%CI:0.80~1.16、p=0.68)であり両群に有意差を認めなかった。有害事象の解析では、高血圧、血小板減少、食思不振、消化管穿孔、出血、蛋白尿の比率がRAM群で高く認められた。後治療の導入率はRAM群46%、Placebo群51%であり、いずれの群でも2次治療以後にRAMを使用した症例が認められた。PFSはpositiveであったものの、その差はMedianでわずか0.3ヵ月であり、また、OSの延長効果は認められず、全体としてnegativeという趣旨の発表であった。興味深かったのが2次治療導入からのOSの解析であり、2次治療以後でRAMを使用した場合のOSは、RAM群7.7ヵ月、Placebo群8.8ヵ月、また2次治療以後でRAMを使用しなかった場合のOSは、RAM群6.5ヵ月、Placebo群6.7ヵ月であり、2次治療以後でRAMを使用したほうがOSは良好な傾向であった。Discussantはコストについても言及し、今回得られたPFSの延長0.3ヵ月(=9日)のためにかかるコストは、体重70kgの場合、1サイクルで7,457ドル、9サイクルで6万7,112ドルであり、その意義について疑問を呈していた。胃がんに対する1次治療としてのRAMはnegativeであったわけだが、今後の胃がん1次治療の新たな展開としては現在、免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験が進められており、本学会においても、ニボルマブ+イピリムマブ、ニボルマブ+化学療法(XELOX or FOLFOX)、化学療法の3群の比較試験 (CheckMate-649, TPS 192)や 、FOLFOX、XELOXでInduction治療を行った後に維持療法として同じ治療を継続するか、抗PD-L1抗体であるアベルマブに変更するかを比較するJAVELIN試験(TPS 195)などが、Trials in Progress Sessionにおいて紹介されていた。RAINFALL: A randomized, double-blind, placebo-controlled phase III study of cisplatin (Cis) plus capecitabine (Cape) or 5FU with or without ramucirumab (RAM) as first-line therapy in patients with metastatic gastric or gastroesophageal junction (G-GEJ) adenocarcinoma. (Abstract No.:5)Charles SREVERCE試験 本邦で行われたREVERCE試験がRapid-Fire Sessionで報告された。現在、進行再発大腸がんにおけるガイドラインにおいては、セツキシマブ(C)などの抗EGFR抗体の後にレゴラフェニブ(R)を使用することが勧められている。一方、治療早期にRを使用することにより良好な効果が得られることも報告されており、CとRのより適正な投与順序を探索する本試験が行われた。対象は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンなどの標準治療に不耐、不応となった、KRASもしくはRAS野生型の進行再発大腸がんであり、R→Cの順番で治療を行うR-C群と、C→Rの順番で治療を行うC-R群に無作為化割り付けされた。主要評価項目はOS、副次評価項目はTTF、PFS、RR、DCR、AE、QOLであった。当初180例の登録と132のイベントが必要とされたが、101例で登録終了となり、今回その結果が報告された。主要評価項目のOSは、R-C群17.4ヵ月、C-R群11.6ヵ月であり、R-C群において有意に良好であった(HR:0.61、95%CI:0.39~0.96、p=0.029)。先に行う治療のPFS(PFS1)は、R-C群(R)2.4ヵ月、C-R群(C)4.2ヵ月であり、後に行う治療のPFS(PFS2)はR-C群(C)5.2ヵ月、C-R(R)群1.8ヵ月であった。奏効率はRでは4.0%(R-C群)、0.0%(C-R群)、Cは20.4%(R-C群)、27.9%(C-R群)と、それぞれほぼ既報の通りであった。RをCの前に投与することでOSの延長がみられた、ということが今回の結果である。その機序であるが、PFSの比較をみるとR後のCのPFSが良好な印象である。Rの投与により、AKT系などさまざまな分子生物学的な変化が腫瘍細胞に起こることが基礎研究で明らかになっており、これらの変化がCの効果を増強した可能性は考えられるかもしれない。試験としては予定された症例数に満たず、Under Powerであることは念頭に置く必要があるが、これまで広く行われてきた治療方針と違う結果が示されたということは、その機序も含め、非常に興味深いところである。Reverce: Randomized phase II study of regorafenib followed by cetuximab versus the reverse sequence for metastatic colorectal cancer patients previously treated with fluoropyrimidine, oxaliplatin, and irinotecan.)(Abstract No.:557)Kohei ShitaraSAPPHIRE試験 RAS野生型進行再発大腸がんにおいてパニツムマブ(pani)+mFOLFOX6は標準治療の1つであるが、オキサリプラチン継続に伴う末梢神経障害は、患者のQOLを低下させるだけでなく、治療意欲の減退、治療継続性にも影響しうる重要な有害事象である。本試験は6コースのpani+mFOLFOX6を行った後に、そのまま同じ治療を継続するA群と、7コース目からはオキサリプラチンを休薬し、pani+5-FU+LVとして治療を継続するB群との2つの群を設定した無作為化第II相試験である。主要評価項目は無作為化後9ヵ月時点での無増悪生存率(PFS rate)であり、副次評価項目はPFS、OS、TTF、Safetyが設定された。本試験は2つの治療群のそれぞれの成績を検証するParallel-group studyという形がとられ、閾値30%、期待値50%、片側 α 値 0.10として各群50例、全体で100例の無作為化が必要な統計学的計算であった。164例が登録され、6コースのpani+FOLFOX後に腫瘍進行や手術移行などによる脱落を除いた113例がA群(56例)とB群(57例)に無作為化割り付けされた。主要評価項目である無作為化後9ヵ月(治療開始から約12ヵ月)時点でのPFS rateは、A群46.4%(95%CI:38.1~54.9、p=0.0037)、B群47.4%(95%CI: 39.1~55.8、p=0.0021)であり、両群ともに主要評価項目を満たした。副次評価項目であるPFSはA群9.1ヵ月、B群9.3ヵ月、RRはA群80.4%、B群87.7%であり、両群で近似した治療成績であった。Grade2末梢神経障害は、A群10.7%に対してB群1.9%であり、オキサリプラチンを早期で終了したB群において少なかった。昨年publishされたPan-Asian adapted ESMO consensus guidelinesにおいて、RAS野生型進行再発大腸がんにおいて原発巣が左側であれば1次治療からの抗EGFR抗体+doubletの使用が推奨され、本邦の各施設において同治療を行う機会は増えてくると予想される。そのときに、効果、有害事象をみながらであるが、早期にオキサリプラチンを中止し、pani+5-FU+LVという形で治療を継続しても、効果は大きくは落ちないことを示唆した結果であり、臨床での応用性は高いと考えられる。SAPPHIRE: A randomized phase II study of mFOLFOX6 + panitumumab versus 5-FU/LV + panitumumab after 6 cycles of frontline mFOLFOX6 + panitumumab in patients with colorectal cancer.(Abstract No.:729)Masato Nakamuraまとめ本稿では殺細胞薬、分子標的治療薬の演題につき報告したが、免疫チェックポイント阻害剤の話題も多くあり消化管、肝胆膵領域の化学療法も新たな時代に移ろうとしているのを実感した学会であった。

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NSCLC2次治療以降のS-1、ドセタキセルに非劣性(East Asia S-1Trial in Lung Cancer)/Ann Oncol

 最近の分子標的療法や免疫療法の進歩にもかかわらず、化学療法は依然として進行非小細胞肺がん(NSCLC)治療における実質的な選択肢である。進行NSCLC患者の2次または3次治療において、S-1の有効性をドセタキセルと比較した、軒原 浩氏らによるEast Asia S-1Trial in Lung Cancer試験の結果が、Annals of Oncology誌2017年11月1日号に掲載された。 East Asia S-1 Trial in Lung Cancer試験は無作為化オープンラベル第III相非劣性試験。日本、中国、香港、シンガポール、台湾などの84施設で行われた。・対象患者:1回以上のプラチナベース化学療法を受けた進行NSCLC患者。・試験薬:S-1(80~120mg /日)6週間サイクル1〜28日目投与。・対象薬:ドセタキセル(75mg/m2、日本のみ60mg/m2)3週間サイクル1日目投与。・評価項目:全生存期間(OS)。非劣性マージンはハザード比(HR)1.2。 主な結果は以下のとおり。・1154例の患者が登録され、S-1群とドセタキセル群に1対1に無作為に割り付けられた。・患者背景は両群で同等であった(日本人が6割以上を占め、前治療例は1回が6割超、2回が3割超)。・OS中央値は、S-1群12.75ヵ月、ドセタキセル群12.52ヵ月であった(HR:0.945、95%CI:0.833~1.073、p=0.3818)。・HRの95%CIの上限1.2を下回り、ドセタキセルに対するS-1の非劣性を確認した。・無増悪生存期間は、S-1群2.86ヵ月、ドセタキセル群2.89ヵ月で、両群間で差はなかった(HR:1.033、95%CI:0.913~1.168、p=0.6080)。・奏効率はS-1群8.3%、ドセタキセル群9.9%であった(p=0.3761)。・EORTC QLQ-C30によるQOLは、全観察時点でS-1群が上回っていた。・頻度の高い有害事象はS-1群では食欲不振(50.4%)、悪心(36.4%)、下痢(35.9%)、ドセタキセル群では好中球減少症(54.8%)、白血球減少症(43.9%)、脱毛(46.6%)であった。

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NSCLCのニボルマブ、2年後もドセタキセルに対しOS改善(CheckMate-017、057プール解析)/JCO

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)においてニボルマブとドセタキセルを比較した2つの第III相試験(扁平上皮がんでのCheckMate-017非扁平上皮がんでのCheckMate-057)のプール解析の更新結果が報告され、ニボルマブはドセタキセルと比較し全生存期間(OS)を延長していることが示された。 患者はプラチナベース化学療法で進行したStageIIIB / IVのNSCLC。ニボルマブ(3mg/kg 2週間ごと)とドセタキセル(75mg / m2 3週間ごと)に1対1に割り付けられ、扁平上皮がん272例、非扁平上皮がんは582例、追跡期間は24.2ヵ月以上であった。 主な結果は結果のとおり。・扁平上皮がんの2年OS率は、ニボルマブ23%(16~30%)に対し、ドセタキセル8%(4~13%)であった。・非扁平上皮がんの2年OS率は、ニボルマブ29%(24~34%)に対しドセタキセルは16%(12~20%)であった。・ニボルマブでは扁平上皮がんの27例中10例(37%)、非扁平上皮がんの56例中19例(34%)で2年後も奏効が持続したが、ドセタキセル群ではいずれの組織型でも奏効持続はみられなかった。・ニボルマブのドセタキセルに対する相対的死亡リスク減少は、28%(HR:0.72、95%CI:0.62~0.84)であった。・治療関連有害事象発現は、全Gradeでニボルマブ68%、ドセタキセル88%。Grade3/4でニボルマブ10%、ドセタキセル55%と、ニボルマブで少なかった。

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卵巣がんアジュバント、腹腔内温熱化療で生存延長/NEJM

 StageIII上皮性卵巣がんの患者において、術前補助化学療法後の中間期腫瘍減量手術に、シスプラチンによる腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加することで、無再発生存期間、全生存期間ともに延長することが示された。副作用の発現率も有意に高率とはならなかった。オランダ・Netherlands Cancer InstituteのWillemien J.van Driel氏らが、245例を対象に行った第III相多施設共同非盲検無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年1月18日号で発表した。新規診断の進行卵巣がんでは、通常、腫瘍減量手術と全身化学療法が行われる。中間期腫瘍減量手術+シスプラチンによるHIPEC 研究グループは、2007年4月~2016年4月に、オランダとベルギーの8施設で、StageIII上皮性卵巣がんで術前補助化学療法としてカルボプラチン(曲線下面積5~6mg/mL/分)とパクリタキセル(175mg/m2)の投与を3サイクル実施後、病勢が安定以上だった245例を登録して試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、中間期腫瘍減量手術に追加して、一方にはシスプラチン(100mg/m2)によるHIPECを行い、もう一方には行わなかった。 無作為化は、手術で肉眼的病変が消失すると判断された症例(完全腫瘍減量手術)や、術後に径10mm以下の腫瘍が1つ以上残存すると判断された症例(最善の腫瘍減量手術)を対象に、手術が実施可能とみなされた時点で行った。術後に、カルボプラチンとパクリタキセルの投与をさらに3サイクル行った。 主要評価項目は無再発生存期間。キー副次評価項目として、全生存期間と副作用プロファイルを評価した。再発・死亡リスクはHIPEC追加群で約0.66倍に intention-to-treat解析の結果、再発または死亡の発生は、非HIPEC(手術単独)群89%(123例中110例)に対し、HIPEC(手術+HIPEC)群は81%(122例中99例)だった(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.50~0.87、p=0.003)。 無再発生存期間の中央値は、手術単独群10.7ヵ月、手術+HIPEC群は14.2ヵ月だった。 中央値4.7年の追跡期間中、死亡の発生は手術単独群76例(62%)、手術+HIPEC群は61例(50%)だった(HR:0.67、95%CI:0.48~0.94、p=0.02)。全生存期間中央値は、手術単独群33.9ヵ月、手術+HIPEC群は45.7ヵ月だった。 なお、Grade3または4の有害事象の発現頻度は、手術単独群25%、手術+HIPEC群27%で同程度だった(p=0.76)。

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チェックポイント阻害薬でOSを得られる2次治療の肺がん患者

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)2次治療における、チェックポイント阻害薬の生存ベネフィットに関する臨床的・分子的な予測因子はどのようなものか。この研究は、チェックポイント阻害薬とドセタキセルの効果の関係を、全体的な観点および臨床病理的特徴によって定義されたサブグループにおいて予測するため、システマティックレビューが行われた。JAMA Oncology誌オンライン版2017年12月21日号掲載のオーストラリア・シドニー大学による研究。・データソースはMEDLINE、Embase、PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trialsから検索した1996年1月1日~2017年1月30日に英語で発表された無作為化臨床試験。・その中からチェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、atezolizumab)とドセタキセルを比較した試験が選択された。・2名の査読者によって研究選択、データ抽象化、バイアスリスク評価が実施された。・全体集団およびサブグループについて、ハザード比(HR)および95%信頼区間を抽出。・治療の統合推定値は逆分散加重法を用いて算出した。 主な結果・進行NSCLC患者3,025例を対象とした合計5件の試験がレビュー対象となった。・これらの試験で、患者はチェックポイント阻害薬であるニボルマブ427 例(14.1%)、ペムブロリズマブ691例(22.8%)、atezolizumab569例(18.8%)とドセタキセル1,338例 (44.2%)に無作為に割り付けされていた。・チェックポイント阻害薬は、ドセタキセルと比べOSを延長した(HR:0.69、95%CI:0.63~0.75、p<0.001)。・EGFR野生型サブグループではチェックポイント阻害薬によるOSの延長が確認されたが(HR:0.67、95%CI:0.60~0.75、p<0.001)、EGFR変異サブグループでは認められなかった(HR:1.11、95%CI:0.80~1.53、p=0.54、interaction p=0.005)。・チェックポイント阻害薬によるOSの延長は、KRAS変異サブグループでもみられたが(HR:0.65、95%CI:0.44~0.97、p=0.03)、KRAS野生型サブグループでは認められなかった(HR:0.86、95%CI:0.67~1.11、p=0.24、interaction p=0.24)。・喫煙、PS、年齢、組織形、性別による治療ベネフィットの相関はみられなかった。

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アテゾリズマブ、既治療の尿路上皮がんでOS延長せず/Lancet

 PD-L1高発現のプラチナ製剤抵抗性の局所進行/転移性尿路上皮がん患者において、化学療法と比較し、PD-L1阻害薬アテゾリズマブによる全生存期間(OS)の有意な延長は認められなかった。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のThomas Powles氏らが、多施設共同無作為化非盲検第III相試験「IMvigor211試験」の結果を報告した。プラチナ製剤併用化学療法後に増悪した、局所進行/転移性尿路上皮がんに対する治療の選択肢はほとんどないが、近年、免疫チェックポイント阻害薬の登場により転移性尿路上皮がんの治療は変化してきていた。Lancet誌オンライン版2017年12月18日号掲載の報告。アテゾリズマブ vs.vinflunine/パクリタキセル/ドセタキセルのいずれかで、OSを比較 IMvigor211試験は、主に欧州、北米、アジア太平洋地域の大学病院および地域腫瘍専門病院217施設が参加して実施された。 対象は、プラチナ製剤併用化学療法後に増悪した18歳以上の局所進行/転移性尿路上皮がん患者で、音声自動応答/web登録システム(IXRS)を介し置換ブロック法(ブロックサイズ4)を用いて、3週ごとにアテゾリズマブ(1,200mg静注投与)または化学療法(医師の選択による、vinflunine 320mg/m2静注、パクリタキセル175mg/m2静注、ドセタキセル75mg/m2静注のいずれか)を行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。割り付けは、PD-L1発現状態(腫瘍浸潤免疫細胞におけるPD-L1発現が1%未満[IC0]または1%以上5%未満[IC1]vs.5%以上[IC2/3])、化学療法の種類(vinflunine vs.タキサン系)、肝転移(あり vs.なし)、予後因子の数(0 vs.1~3)で層別化した。患者と試験担当医は、割り付けは認識していた。また、PD-L1発現状態については、患者と試験担当医およびスポンサーは盲検化された。 主要エンドポイントはOSで、事前に規定した母集団について順を追って検証した(IC2/3→IC1/2/3→intention-to-treat集団)。アテゾリズマブと化学療法でOSに有意差なし 2015年1月13日~2016年2月15日に、198施設からの患者931例が無作為化された(アテゾリズマブ群467例、化学療法群464例)。 PD-L1発現5%以上(IC2/3)の患者234例におけるOS中央値は、アテゾリズマブ群11.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:8.6~15.5、116例)、化学療法群10.6ヵ月(95%CI:8.4~12.2、118例)で、有意差は認められなかった(層別化ハザード比[HR]:0.87、95%CI:0.63~1.21、p=0.41)。 同IC2/3集団における客観的奏効率(ORR)も、アテゾリズマブ群23%(26/113例)、化学療法群22%(25/116例)と同等であった。奏効期間中央値は、アテゾリズマブ群15.9ヵ月(95%CI:10.4~推定不可)、化学療法群8.3ヵ月(95%CI:5.6~13.2)で、アテゾリズマブ群が数値的には長かった(HR:0.57、95%CI:0.26~1.26)。 intention-to-treat集団において、Grade3~4の治療関連有害事象の発現頻度は、アテゾリズマブ群(91/459例、20%)が化学療法群(189/443例、43%)より少なく、治療中止に至った有害事象も少なかった(34例[7%]vs.78例[18%])。アテゾリズマブの安全性プロファイルは化学療法と比較して良好であり、intention-to-treat集団での予備解析の結果は同様の対象集団で実施された第II相試験と一致しており、忍容性が良好で効果の持続が示唆された。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第50回

第50回:免疫チェックポイント阻害薬はアジュバントに使えるか?キーワード非小細胞肺がんdurvalumabメラノーマニボルマブイピリムマブ動画書き起こしはこちら こんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井 敬祐です。僕が担当している肺がんとメラノーマの領域で最近話題になったのはスペインのマドリードで行われた欧州臨床腫瘍学会ESMOですね。肺がんでは2つ、メラノーマでも同じように大きな話題がありました。PACIFIC trial。StageIIIの肺がん…縦郭リンパ節が陽性になると自動的にStageIIIになるのですが…は、現在5年生存率が15~25%。良くても25%程度で、根治は望めるけれど頻度が非常に低いという病期なのですが、そこでchemo-radiationが終わったあとに、効果があった患者さん、あるいはSDの患者さんに対し、アストラゼネカの抗PD-L1抗体durvalumabを2週間おきに12ヵ月使った群とプラセボ群を使った結果が発表されました。そこではPFSが16ヵ月以上と6ヵ月程度とほぼ3倍に延びたという結果でした。StageIIIの肺がんというのは、いろいろな抗がん剤を使ったり、chemo-radiationが終わった後にドセタキセルなどをconsolidationとして使ったり、エルロチニブを使ったり、あるいは放射線の照射の量や仕方を変えるなど工夫されたものの、ぱっとした結果が出ていなかったなか、ここ20年で初めてStageIIIの肺がん治療が大きく変わる可能性があるという結果が発表されました。なかには「コントロールアームのPFSが5.6ヵ月と非常に悪い」と、言う人もいますが、これはランダマイズドの、しかもプラセボコントロールの試験なので、やはり陽性なのでしょうね。早いことに、NCCNのガイドラインには既にdurvalumabのことが載っています。FDAにはまだ認可されていないのですが、僕も2人ほどchemo-radiationが終わった患者さんがいて、その患者さんに、こういう治療があるので、保険会社がオーケーしてくれるかどうか申請してみましょうかと、申請を始めたばかりです。ちょっと下世話な話になるのですが、MYSTIC試験…StageIVの肺がんで同じアストラゼネカの抗CTLA-4抗体tremelimumabとdurvalumabを組み合わせてどうなるかというPhaseIII試験…が残念ながらネガテイブな結果だったんですね。アメリカの医者の中に、ブログでその時に株価が一気に下がったと言うことを書いている人がいました。株価が下がってから、ESMOでポジティブな結果の2つの臨床試験が発表されて、株価がどうなったか書いているんです。本当にいろいろなことを、いろいろな観点から発信する人がいるんだな、と思いながら面白く読んでいました。彼によると、「アストラゼネカの株価自体はMYSTICで下がる前のレベルには戻っていないが、回復しています」ということです。臨床試験が株価に反映される。Conflict of Interest、COIとはもう離れられない世界であることは確実ですね。それ以外には、僕が担当しているメラノーマの領域でイピリムマブとニボルマブをStageIIIB、StageIIIC、resected StageIVのアジュバントの患者さんに使った試験の結果が発表されました。それもNew England of Journalに載りましたが、ニボルマブを使ったほうがイピリムマブを使うよりもRelapse Free Survivalが有意に改善しました。StageIIIのchemo-radiation後の肺がん患者さんと同じように、アジュバントで使うというのは、この患者さんのがんが残っているか残ってないかわからない状況で、がん抗原の発現がはっきりしない時にimmune checkpointを使うということで、意味があるのが非常に議論の対象になっていました。面白いことに今回、2つのstudyのどちらもアジュバントで再発生存期間を伸ばしたということが報告されたのは、臨床的にあるいはscienceとしても面白いことだと思います。実際そういう治療後の患者さんで、circulating tumor cellあるいはがん抗原がどのように、どういう場所で発現しているか、というのは非常に興味のあるところです。Antonia SJ, et al.Durvalumab after Chemoradiotherapy in Stage III Non–Small-Cell Lung Cancer.N Engl J Med.2017;377:1919-1929.durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017J Weber, et al. Adjuvant Nivolumab versus Ipilimumab in Resected Stage III or IV MelanomaN Engl J Med.2017; 377:1824-1835.

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