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進行食道扁平上皮がん1次治療、化療にsintilimab併用でOS延長/BMJ

 進行または転移のある食道扁平上皮がんの1次治療において、シスプラチン+パクリタキセル併用療法へのsintilimab上乗せは、プラセボと比較し全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間を有意に延長することが示された。中国・Peking University Cancer Hospital and InstituteのZhihao Lu氏らが多施設共同無作為化二重盲検第III相試験「ORIENT-15試験」の結果を報告した。進行または転移のある食道扁平上皮がんの1次治療は、これまで標準ガイドラインに従いプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法に限られてきたが、一部の無作為化試験では、1次化学療法後に進行した食道扁平上皮がんに対して抗PD-1抗体単剤療法が有効であることが示されていた。BMJ誌2022年4月19日号掲載の報告。進行食道扁平上皮がん患者659例においてOSを評価 研究グループは、2018年12月14日~2021年4月9日の期間に、中国の66施設および中国外(フランス、スペイン、米国、オーストラリア)の13施設において、18歳以上の未治療進行または転移のある食道扁平上皮がん成人患者659例を、化学療法に加えてsintilimab(体重60kg未満は3mg/kg、体重60kg以上は200mg)またはプラセボを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた(sintilimab群327例、プラセボ群332例)。化学療法は、当初、シスプラチン75mg/m2+パクリタキセル175mg/m2の3週間ごと併用投与であったが、後に治験担当医師がシスプラチン+パクリタキセルまたはシスプラチン+5-FU(800mg/m2、1~5日目)のいずれかを選択できるよう修正された。 主要評価項目は、全患者およびPD-L1陽性(CPS≧10)患者におけるOSであった。 無作為化された659例中、616例(93%)がシスプラチン+パクリタキセル、43例(7%)がシスプラチン+5-FUの投与を受けた。sintilimab+化学療法群のOS期間、4ヵ月以上有意に延長 中間解析(データカットオフ日2021年4月9日)において、OS期間中央値は全患者でsintilimab群16.7ヵ月、プラセボ群12.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.51~0.78、p<0.001)、PD-L1陽性患者でそれぞれ17.2ヵ月、13.6ヵ月(0.64、0.48~0.85、p=0.002)であり、いずれもsintilimab群で有意に延長した。 また、PFS期間中央値も、全患者でsintilimab群7.2ヵ月、プラセボ群5.7ヵ月(HR:0.56、95%CI:0.46~0.68、p<0.001)、PD-L1陽性患者でそれぞれ8.3ヵ月、6.4ヵ月(0.58、0.45~0.75、p<0.001)であり、いずれもsintilimab群で有意に延長した。 治療関連有害事象の発現率は、sintilimab群98%(321/327例)、プラセボ群98%(326/332例)、Grade3以上の治療関連有害事象の発現率はそれぞれ60%(196/327例)、55%(181/332例)であった。

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de novo転移の去勢抵抗性前立腺がん、3剤併用でPFSとOS改善/Lancet

 de novo転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対し、アンドロゲン除去療法+ドセタキセルにアビラテロンを追加したトリプレット療法は、画像診断による無増悪生存(PFS)および全生存(OS)を改善することが示された。有害事象については、主に高血圧症の発生率が上昇したが、好中球減少症、神経障害などの発生率は増加しなかった。フランス・パリ・サクレー大学のKarim Fizazi氏らが、欧州7ヵ国1,173例を対象に行った第III相の非盲検無作為化2×2因子デザイン試験「PEACE-1試験」の結果を報告した。転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対する現行標準治療は、ドセタキセル、第2世代ホルモン療法もしくは放射線療法いずれかとアンドロゲン除去療法による併用療法となっている。今回の結果を踏まえて著者は「トリプレット療法は標準治療となりうるものだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2022年4月8日号掲載の報告。ベルギー、フランスなどでオープンラベル無作為化2×2因子デザイン試験 研究グループは、放射線治療の有無を問わず、標準治療+アビラテロン+プレドニゾンの有効性と安全性を評価する目的で、2013年11月~2018年12月にかけて、欧州7ヵ国(ベルギー、フランス、アイルランド、イタリア、ルーマニア、スペイン、スイス)の77病院で「PEACE-1試験」を行った。 組織学的または細胞学的に確認されたde novo転移のある前立腺がんで、ECOGパフォーマンス・ステータス0~1(または骨痛による2)の18歳以上の男性を無作為に4群に分け、(1)標準治療(アンドロゲン除去療法単独または同療法とドセタキセル75mg/m2静注3週ごと)、(2)標準治療+放射線治療、(3)標準治療+アビラテロン(経口アビラテロン1,000mg/日+経口プレドニゾン5mgを1日2回)、(4)標準治療+放射線治療+アビラテロンをそれぞれ実施した。研究者と患者は、治療割り付けをマスキングされなかった。 主要評価項目は2つで、画像診断によるPFSおよびOS。アビラテロンの有効性は、まず被験者全集団で行い、次に標準治療としてアンドロゲン除去療法+ドセタキセル投与を行った集団で評価された。アビラテロン群のPFSハザード比0.54 2013年11月27日~2018年12月20日に、1,173例が登録され(その後1例がデータ解析について承諾を取り下げ)、(1)標準治療(296例)、(2)標準治療+放射線治療(293例)、(3)標準治療+アビラテロン(292例)、(4)標準治療+放射線治療+アビラテロン(291例)を受けた。 画像診断によるPFSに関する追跡期間中央値は3.5年(IQR:2.8~4.6)、OSに関する追跡期間中央値は4.4年(3.5~5.4)だった。 補正後Cox回帰モデルにより、アビラテロンと放射線治療に相互作用が認められなかったため、アビラテロンの有効性についてはプール解析が行われた。被験者全集団では、アビラテロン群(583例)は、非アビラテロン群(589例)に比べ、画像診断によるPFS期間(ハザード比[HR]:0.54、99.9%信頼区間[CI]:0.41~0.71、p<0.0001)、OS期間(0.82、95.1%CI:0.69~0.98、p=0.030)のいずれにおいても延長が認められた。 アンドロゲン除去療法+ドセタキセルが投与された被験者(アビラテロン投与・非投与を含む355例)においても、画像診断によるPFSのHR(0.50、99.9%CI:0.34~0.71、p<0.0001)、同OSのHR(0.75、95.1%CI:0.59~0.95、p=0.017)に一貫性が認められた。 アンドロゲン除去療法+ドセタキセルが投与された被験者において、Grade3以上の有害事象の発生は、アビラテロン追加群217/347例(63%)、アビラテロン非追加群181/350例(52%)で、なかでも高血圧症の発生率の差が最も大きかった(76例[22%]vs.45例[13%])。一方で、アンドロゲン除去療法+ドセタキセルにアビラテロンを追加投与した群は、アビラテロンを追加しなかった群に比べ、好中球減少症、発熱性好中球減少症、疲労感、神経障害の発生率が増加しなかった。

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転移性ホルモン感受性前立腺がんでダロルタミドはOSを延長(解説:宮嶋哲氏)

 ダロルタミドはアンドロゲン受容体阻害薬の1つであり、現在、国内では転移のない去勢抵抗性前立腺がんに対して適応となる薬剤である。本論文は、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象に、アンドロゲン除去療法とドセタキセルをベースとした治療においてダロルタミドの有効性を検討した国際第III相試験(ARASENS試験)に関する報告である。 ダロルタミドとプラセボを1:1に割り付け、主要評価項目はOSである。1,306例の患者が対象でダロルタミド群651例、プラセボ群655例であり、初期診断の段階で86.1%の患者が転移を有しており、その約80%が骨転移症例であった。死亡リスクにおいて、ダロルタミド群はプラセボに比べ32.5%低下し(ハザード比:0.68、p<0.001)、去勢抵抗性獲得までの期間もダロルタミド群はプラセボに比べ有意に延長していた(ハザード比:0.36、p<0.001)。コホートの80%以上がGleason score 8以上と悪性度が高い中、去勢抵抗性獲得までの期間をこれほどまでに延長した点は評価に値する。なお、有害事象に関しては両群で63~66%と比較的高い数値で有意差を認めなかったが、両群ともにドセタキセルを投与していることに起因していると思われる。 現在、国内で使用可能な新規アンドロゲン受容体阻害薬の中で本薬剤は副作用が少なく使用しやすい薬剤の1つであり、今後、適応拡大によってホルモン感受性前立腺がん患者に投与可能となれば、臨床実地で前立腺がん患者にもたらす恩恵は大きいと考える。今後ARASENS試験のサブ解析に注目したい。

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薬物性味覚障害マニュアルが11年ぶりに改定、注意すべき薬剤と対策は?/厚労省

 『重篤副作用疾患別対応マニュアル』は77項目に細分化され、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページに掲載されているが、今回、「薬物性味覚障害」の項が11年ぶりに改定された。薬剤性味覚障害は味覚障害の原因の約20%を占めていること、多くの薬剤の添付文書の副作用に記載されていることから、以下に示すような薬剤を服用中の患者の訴えには十分注意が必要である。<添付文書に口腔内苦味の記載がある薬剤の一例>・ニコチン(禁煙補助剤)・フルボキサミンマレイン酸塩(選択的セロトニン再取り込み阻害薬[SSRI])・ラベプラゾールナトリウム(PPI)・レバミピド(胃炎・胃潰瘍治療薬) ・レボフロキサシン水和物(ニューキノロン系抗菌薬)・炭酸リチウム(躁病・躁状態治療薬)*そのほかは重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬物性味覚障害)参照<添付文書に味覚障害の記載がある薬剤の一例>・アロプリノール(キサンチンオキシダーゼ阻害薬・高尿酸血症治療薬)・ジクロフェナクナトリウム(フェニル酢酸系消炎鎮痛薬)・レトロゾール(アロマターゼ阻害薬・閉経後乳癌治療薬)・ロサルタンカリウム(アンギオテンシンII受容体拮抗薬)*そのほかは重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬物性味覚障害)参照<添付文書に味覚異常の記載がある薬剤の一例>・アカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬)・アプレピタント(選択的NK1受容体拮抗型制吐薬)・イリノテカン塩酸塩水和物(I型DNAトポイソメラーゼ阻害型抗悪性腫瘍薬)・インスリンデグルデク[遺伝子組換え]・リラグルチド[遺伝子組換え](持効型溶解インスリンアナログ/ヒトGLP-1アナログ配合薬)・エルデカルシトール(活性型ビタミンD3)・オロパタジン塩酸塩(アレルギー性疾患治療薬)・チアマゾール(抗甲状腺薬)・テルビナフィン塩酸塩(アリルアミン系抗真菌薬)・バルサルタン(選択的AT1受容体遮断薬)・フェンタニル(経皮吸収型持続性疼痛治療薬)・ボリコナゾール(トリアゾール系抗真菌薬)・メトトレキサート(抗リウマチ薬/葉酸代謝拮抗薬)*そのほかは重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬物性味覚障害)参照 上記のような薬剤を服用している患者が症状を訴えた場合、まずは(1)原因薬剤の中止・減量を行うが、原疾患の治療上、中止などの対応ができない場合、または味覚障害を起こす可能性のある薬剤を複数服用して特定が困難な場合もある。そのような場合でも(2)亜鉛剤の補給[低亜鉛血症がある場合、味蕾の再生促進を期待して補給]、(3)口腔乾燥の治療などで唾液分泌を促進させる、(4)口腔掃除とケアで対応することが必要で、とくに(1)(2)は重要度が高いと記載されている。<早期に認められる症状>薬物性味覚障害は高齢者に多く、複数の薬剤を服用しており、また発症までの時間や症状もまちまちで、初期の症状を捉えることは困難なことが多い。初期症状を含め、よく訴える症状に以下のようなものがある。 1:味(甘・塩・酸・苦)が感じにくい 2:食事が美味しくない3:食べ物の好みが変わった 4:金属味や渋味など、嫌な味がする 5:味のしないところがある 6:口が渇く<患者が訴えうる自覚症状>1:味覚減退:「味が薄くなった、味を感じにくい」2:味覚消失・無味症:「まったく味がしない」 3:解離性味覚障害:「甘みだけがわからない」4:異味症・錯味症:「しょう油が苦く感じる」 5:悪味症:「何を食べても嫌な味になる」6:味覚過敏:「味が濃く感じる」 7:自発性異常味覚:「口の中に何もないのに苦みや渋みを感じる」 8:片側性味覚障害:一側のみの味覚障害 本マニュアルには医師、薬剤師などの医療関係者による副作用の早期発見・早期対応に資するため、ポイントになる初期症状や好発時期、医療関係者の対応などが記載されている。 また、患者が読みやすいように、患者やその家族に知っておいてもらいたい副作用の概要、初期症状、早期発見・早期対応のポイントをできるだけわかりやすい言葉で記載してもいるので、ぜひ参考にしていただきたい。

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早期TN乳がん、術前PEM+化学療法と術後PEMでEFS改善(解説:下村昭彦氏)

 2月10日のNew England Journal of Medicine誌に、早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)術前化学療法にペムブロリズマブを上乗せすることの効果を検証したKEYNOTE-522(KN522)試験の無イベント生存(EFS)の結果が報告された。ペムブロリズマブの上乗せによって病理学的完全奏効(pCR)率が改善することはすでに報告されていたが(Schmid P, et al. N Engl J Med. 2020;382:810-821.)、長期的な予後の改善が期待できるかどうかは、実臨床で広く使われるようになるかに大きく影響する。 結果は報告のとおりであり、ペムブロリズマブ上乗せによるEFSの改善が示され、統計学的有意差は示されなかったものの全生存(OS)についてもペムブロリズマブ群で良好な結果であった。術前化学療法の効果ごとの成績は、pCRを達成した群でnon-pCRよりも予後が圧倒的に良く、pCR群ではペムブロリズマブの有無による大きなEFSの差は認められなかったものの、non-pCR群では統計学的な有意差をもってペムブロリズマブ群でEFSが良好であった。KN522試験では術後9コースのペムブロリズマブ投与が規定されており、この試験結果をもって、術前化学療法へのペムブロリズマブ上乗せと、術後ペムブロリズマブ療法が標準治療となった。 一方、この試験結果はいくつかの新たな臨床的課題を私たちに突き付ける。ひとつは、pCR群における術後ペムブロリズマブ療法の意義である。EFSにおいて統計学的有意差はついておらず、またペムブロリズマブを含む免疫チェックポイント阻害剤は不可逆な甲状腺機能低下症など、患者の生活の質(QOL)に直結する有害事象がそれなりの頻度で発生する(Balibegloo M, et al. Int Immunopharmacol. 2021;96:107796.)。pCRを達成できた場合に術後ペムブロリズマブ療法を省略することが可能かどうか、臨床試験による確認が必要であろう。 もうひとつはnon-pCRの際の術後治療である。CREATE-X試験では、術前化学療法を実施したHER2陰性乳がんでnon-pCRの場合に術後治療としてカペシタビンを追加することの意義が示された(Masuda N, et al. N Engl J Med. 2017;376:2147-2159.)。日本では術後治療としての保険適用はないが、臨床では広く使用されている。また、OlympiA試験ではBRCA1/2生殖細胞系列の変異がある際に術後治療としてオラパリブを実施することの意義が示され、TNBCでnon-pCRだった症例も含まれている(Tutt ANJ, et al. N Engl J Med. 2021;384:2394-2405.)。したがって、術前化学療法を行ってnon-pCRだったTNBCの術後治療としての選択肢は、カペシタビン、オラパリブ(BRCA1/2変異あり)に、ペムブロリズマブが加わったことになる。これらのいずれを選択すべきかという疑問は今後解決していくべき課題のひとつである。さらには、カペシタビン+ペムブロリズマブ、オラパリブ+ペムブロリズマブについてはすでに安全性のデータが存在する。併用することでよりEFSを改善することができるのか、あるいはBRCA1/2変異のないTNBCに対してもオラパリブ+ペムブロリズマブは有効であるのか等、議論すべき話題は尽きない。

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ダロルタミド、転移を有する前立腺がんに適応追加申請/バイエル

 バイエル薬品は、2022年3月11日、経口アンドロゲン受容体阻害薬(ARi)ダロルタミド(製品名:ニュベクオ)について、遠隔転移を有する前立腺がんの適応追加を厚生労働省に申請した。 今回の申請は、転移を有する前立腺がん患者を対象とした第III相ARASENS試験のデータに基づくもの。ARASENS試験のデータでは、アンドロゲン遮断療法(ADT)+ドセタキセルにダロルタミドを加えた併用療法が、ADT+ドセタキセルの併用療法と比較して全生存期間(OS)を有意に延長することが示された。 このデータは、2022年2月にサンフランシスコで開催された米国臨床腫瘍学会泌尿器生殖器がんシンポジウム(ASCO GU)で発表されると同時にNEJM誌に掲載された。 同剤は転移を有するホルモン感受性前立腺癌(mHSPC)を対象とした第III相試験(ARANOTE試験)や、再発リスクが高い限局性前立腺がんの術後補助療法としてダロルタミドを評価するANZUP主導の第III相試験(DASL-HiCaP試験、ANZUP1801)など、さまざまな病期の前立腺がんを対象とした検討が進められている。

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ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法のNSCLC1次治療、アジア人でも有用(CheckMate9LA)

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法の無作為化第III相CheckMate9LA試験の日本人含むアジア人サブセット解析の結果がInternational Journal of Clinical Oncology誌に発表された。アジア人患者においても全集団と同様に、同レジメンの有用性が示されている。CheckMate9LA試験ではアジア人患者においても全集団と同様に有用性を示した[CheckMate9LA試験]・対象:未治療のStage IVまたは再発NSCLC患者(PS 0~1)・試験群:ニボルマブ360mg 3週ごと+イピリムマブ1mg 6週ごと+組織型別化学療法(シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド+ペメトレキセド維持療法またはカルボプラチン+パクリタキセル)3週ごと2サイクル(NIVO+IPI+Chemo群)・対照群:組織型別化学療法 3週ごと4サイクル(Chemo群)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)、BICR評価の全奏効率(ORR)、PD-L1発現別抗腫瘍効果 CheckMate9LA試験の主な結果は以下のとおり。・アジア人患者の割り付けは、NIVO+IPI+Chemo群28例、Chemo群30例であった。・追跡期間は12.7ヵ月であった。・OS中央値は、NIVO+IPI+Chemo群では未到達、Chemo群13.3ヵ月であった(HR:0.47、95%CI:0.24〜0.92)。・ORRはニNIVO+IPI+Chemo群では57%、Chemo群では23%であった・Grade3/4の有害事象はNIVO+IPI+Chemo群の57%、Chemo群の50%で発現した。 CheckMate9LA試験でニボルマブ+イピリムマブ+化学療法レジメンはアジア人患者においても全集団と同様に有用性を示した。筆者は、ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法レジメンはアジア人サブセットにおいても有効性を改善し、安全性についても管理可能であり、アジア人の進行NSCLC患者の1次治療への使用を支持するものだと述べている。

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ナノリポソーム型イリノテカン、膵がん2次治療の新しい選択肢/日本臨床腫瘍学会

 膵がん治療においては、1次治療でゲムシタビンを含む化学療法を行った場合、2次治療の選択肢はFOLFIRINOX療法もしくはS-1単独療法の2つが選択肢であった。 昨年、イリノテカンをリポソームのナノ粒子に封入したオニバイドが発売されたことで、膵がんの2次治療に新しい選択肢が加わった。長期間新薬の承認がなかった膵臓がん領域における新規治療薬の実力は? 日本臨床腫瘍学会メディカルセミナーにおいて、国立がん研究センター東病院の今岡 大氏がオニバイドの海外第III相試験であるNAPOLI-1試験について解説した。 NAPOLI-1試験ではゲムシタビンを含む化学療法後に増悪した遠隔転移を有する膵がん患者417例を対象に、オニバイド+5-FU/LV群と5-FU/LV群を比較した。 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は治験担当医指標化に基づく無増悪生存期間(PFS)などであった。 主な結果は以下のとおりである。 OS中央値はオニバイド+5-FU/LV群で6.1ヵ月、5-FU/LV群で4.2ヵ月であり、オニバイド+5-FU/LV群で有意な延長が検証された。[ハザード比0.67(95%CI:0.49~0.92)] また、PFS中央値はオニバイド+5-FU/LV群で3.1ヵ月、5-FU/LV群で1.5ヵ月であり、PFSにおいてもオニバイド+5-FU/LV群で有意な延長が検証されている。[ハザード比0.56(95%CI:0.41~.75)]待望の新治療、気を付ける点は? 医療従事者だけでなく患者からのニーズも高かった新しい治療選択肢であるオニバイドであるが、適切な副作用マネジメントが必要である。 NAPOLI-1試験での副作用は5-FU/LV群で134例中93例、69.4%に対してオニバイド+5-FU/LV群では117例中107例、91.5%に認められている。オニバイド+5-FU/LV群での主な副作用は下痢、悪心、嘔吐であった。 Grade3以上の有害事象はオニバイド+5-FU/LV群で117例中90例、76.9%で認められ、主なGrade3以上の有害事象は好中球減少症や疲労、下痢などであった。 対応について、適切な支持療法を行うとともに、患者の状態を見極めて適宜オニバイドの減量を考慮する。その際の投与量について添付文書に記載されており、それらを参考に投与量を決定できる点もイリノテカンとの違いだと今岡氏は述べている。

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ダロルタミド、転移前立腺がんのOS延長/NEJM

 転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)の治療において、標準治療であるアンドロゲン除去療法(ADT)+ドセタキセルに、経口アンドロゲン受容体阻害薬であるダロルタミドを併用すると、プラセボの併用と比較して、全生存期間が有意に延長し、有害事象の発現は増加しないことが、米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのMatthew R. Smith氏らが実施した「ARASENS試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年2月17日号で報告された。23ヵ国286施設のプラセボ対照無作為化第III相試験 研究グループは、mHSPCの治療における、標準治療へのダロルタミド追加の有用性を評価する目的で、国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施し、2016年11月~2018年6月に日本を含む23ヵ国286施設で参加者の登録を行った(BayerとOrion Pharmaの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、組織学的または細胞学的に前立腺がんと確定され、画像検査で転移病変が検出され、担当医によってADT+ドセタキセルによる治療が予定されている患者であった。 被験者は、ADT+ドセタキセルに加え、ダロルタミド(600mg[300mg錠剤2錠]、食事と共に1日2回経口投与)またはプラセボを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは全生存期間とされた。副次エンドポイントも5項目で改善 1,306例が登録され、このうち1,305例が最大の解析対象集団(FAS)に含まれた(ダロルタミド群651例、プラセボ群654例)。全体の年齢中央値は67歳で、71.1%はECOG PSスコアが0点であり、78.2%はGleasonスコアが8点以上であった。ベースラインで全例が転移病変を有しており、79.5%は骨転移(M1b)、17.5%は臓器転移(M1c)であった。86.1%は初回診断時に転移病変が認められた。血清前立腺特異抗原(PSA)中央値は、ダロルタミド群が30.3ng/mL、プラセボ群は24.2ng/mLであった。 主解析のデータカットオフ日(2021年10月25日)の時点において、ダロルタミド群はプラセボ群より治療期間中央値が長く(41.0ヵ月、16.7ヵ月)、治療継続中の患者の割合が高かった(45.9%、19.1%)。全生存期間のフォローアップ期間中央値は、ダロルタミド群が43.7ヵ月、プラセボ群は42.4ヵ月だった。 全生存期間中央値は、ダロルタミド群が評価不能、プラセボ群は48.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:44.4~評価不能)であり、死亡リスクがダロルタミド群で32.5%低下した(ハザード比[HR]:0.68、95%CI:0.57~0.80、p<0.001)。4年全生存率は、ダロルタミド群が62.7%、プラセボ群は50.4%だった。 副次エンドポイントの階層的検定では、次の主な5項目についてダロルタミド群で有意に良好な結果が得られた。去勢抵抗性前立腺がん発現までの期間(HR:0.36、95%CI:0.30~0.42、p<0.001)、疼痛増悪までの期間(0.79、0.66~0.95、p=0.01)、症候性骨関連事象のない生存期間(0.61、0.52~0.72、p<0.001)、症候性骨関連事象発現までの期間(0.71、0.54~0.94、p=0.02)、他の全身性の薬物療法開始までの期間(0.39、0.33~0.46、p<0.001)。 有害事象の発現は両群で同程度であった。最も頻度の高い有害事象の発生率は、両群ともドセタキセル投与と重なった時期に高かった。Grade3/4の有害事象は、ダロルタミド群66.1%、プラセボ群63.5%で認められ、最も頻度が高かったのは好中球減少症(33.7%、34.2%)であった。重篤な有害事象はそれぞれ44.8%および42.3%で発現し、試験薬の恒久的な投与中止をもたらした有害事象の割合は13.5%および10.6%、有害事象による死亡は4.1%および4.0%であった。 著者は、「ダロルタミドの生存ベネフィットは、プラセボ群で後治療として延命のための全身療法を受けた患者の割合が高かったにもかかわらず観察され、ほとんどのサブグループで一致して認められた」としている。

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食道扁平上皮がん、術前の3剤併用化学療法でOS延長(JCOG1109)/日本臨床腫瘍学会

 切除可能局所進行食道がんの術前療法は、日本では5-FU+シスプラチン(CF療法)が標準療法だが、欧米においては化学放射線療法が標準となっている。日本と海外は術式や組織型が異なるため、海外の臨床試験の結果をそのまま受け入れるのは難しいと考えられていたが、CF療法にドセタキセルを加えたDCF療法が頭頸部がんなどで有望な効果を示しており、食道がん術前治療でも有望な成績が報告されている。JCOG1109試験が食道扁平上皮がんの術前DCF療法の有用性を世界で初めて示唆 これを受け、切除可能な局所進行扁平上皮食道がん患者を対象に、術前療法としてCF療法、DCF療法、CF療法+放射線療法(CF-RT)の3群を比較したJCOG1109試験が行われ、その結果を第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で加藤 健氏(国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科)が発表した。[JCOG1109試験]・対象:治療歴のない切除可能局所進行食道がん患者(PS0~1)・試験群:以下の3群に1対1対1の割合で無作為に割り付けCF群:シスプラチン+5-FU(3週ごと2コース)DCF群:ドセタキセル+シスプラチン+5-FU(3週ごと3コース)CF-RT群:シスプラチン+5-FU+放射線(4週毎2コース)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率、安全性など 切除可能局所進行扁平上皮食道がんの術前療法としてCF療法、DCF療法、CF療法+放射線療法を比較したJCOG1109試験の主な結果は以下のとおり。・2012年12月~2018年7月に日本の44施設から601例が登録され、CF群:199例、DCF群:202例、CF+RT群:200例に無作為に割り付けられた。・3年生存割合は、CF群62.6%(95%信頼区間:55.5~68.9%)に対しDCF群72.1%(95%信頼区:65.4~77.8%)と10%近く高く、ハザード比0.68(95%信頼区間:0.50~0.92、p=0.006)とDCF群の優越性が示された。また、CF+RT群の3年生存割合は68%(61.3~74.3%)で、CF群との比較においてハザード比0.84(0.63~1.12、p=0.12)と、CF+RT群の優越性は示されなかった。・有害事象については、Grade3以上の発熱性好中球減少がDCF群で16.3%とやや多かったが、支持療法を適切に行うことで対応可能な範囲だった。また周術期合併症発生割合については明らかな違いは見られなかった。 加藤氏はJCOG1109試験の結果は「1月に開催された米国臨床腫瘍学会消化器シンポジウム(ASCO-GI)で発表され、今後の食道扁平上皮がんに対する術前DCF療法の有用性を世界で初めて示した試験となった。今後同対象に対する新たな標準治療になると考えられる」とした。さらに免疫チェックポイント阻害薬を術前DCF療法に併用する研究(JCOG1804E)が進行中だという。

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HR+HER2-転移・再発乳がん、ベバシズマブ+パクリタキセル導入療法後に内分泌療法+カペシタビン維持療法の戦略で長期のOSを確認/日本臨床腫瘍学会

 ホルモン受容体陽性(HR+)HER2 陰性(HER2-)転移・再発乳がんに対するベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法後の維持療法の有効性を検討した国内多施設無作為化第II相試験(KBCSG-TR1214)において、内分泌療法+カペシタビン併用維持療法が内分泌療法単独に比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことがすでに報告されている。今回、この治療戦略の全生存期間(OS)への影響を評価するために、本試験を事後解析した結果について、大阪大学の吉波 哲大氏が第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。[KBCSG-TR1214試験]・対象:HR+HER2-の遠隔転移があるか手術適応とならない再発乳がん(PS 0または1)で、転移・再発がんへの化学療法歴が1レジメン以下の患者・方法:導入化学療法としてベバシズマブ+パクリタキセルを4~6サイクル実施し、病勢進行を認めなかった90例を、維持療法として内分泌療法+カペシタビン(EC群)または内分泌療法(E群)に無作為に割り付けた。維持療法で病勢進行した場合は、ベバシズマブ+パクリタキセル再導入療法を実施した。・評価項目:[主要評価項目]維持療法のPFS[副次評価項目]無作為化からのTime to failure of strategy(TFS)、導入療法からの全生存期間(OS)、再導入療法からのPFSなど 事前に計画された解析には無作為化に至らなかった26例は含まれておらず、今回は、ベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法を開始した116例(E群46例、EC群44例、非無作為化26例)のデータを解析した。 主な結果は以下のとおり。・116例全例におけるOS中央値は34.5ヵ月(95%CI:28.0~43.2)だった。・主に病勢進行のため無作為化されなかった26例におけるOS中央値は15.7ヵ月(95%CI:7.75~30.8)で、E群34.9ヵ月(同:23.3~NA)、EC群43.8ヵ月(同:33.7~NA)より短い傾向があった。・本治療を1次治療で受けた102例のOS中央値は36.0ヵ月(95%CI:29.2~46.2)、2次治療で受けた14例では25.7ヵ月(同:17.6~37.5)だった。 本解析から、ベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法後に維持療法を実施する治療戦略により、導入化学療法での病勢進行例を含めても長期のOSが達成されることが示された。

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早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブによるEFS、アジア人での解析(KEYNOTE-522)/日本臨床腫瘍学会

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を対象に、術前補助療法としてペムブロリズマブ+化学療法併用を化学療法単独と比較、さらに術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較した第III相KEYNOTE-522試験において、4回目の中間解析までにペムブロリズマブ群が術前補助療法による病理学的完全奏効率(pCR)および無イベント生存期間(EFS)を有意に改善した。今回、本試験のアジア人集団の 4 回目の中間解析結果について、北海道大学/国立病院機構北海道がんセンターの高橋 將人氏が、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。KEYNOTE-522試験、アジアから216 例が組み入れられた[KEYNOTE-522試験]・対象:治療歴がなく、原発巣の腫瘍径2cm以下でリンパ節転移あり(T1c、N1~2)またはリンパ節転移に関係なく腫瘍径2cm超(T2~4d、N0~2)で、遠隔転移がない(M0)ECOG PS 0/1のTNBC患者・試験群:術前に化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルを4サイクル後、ドキソルビシン/エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル)+ペムブロリズマブ(3週ごと)、術後にペムブロリズマブ(3週ごと)を9サイクルあるいは再発または許容できない毒性発現まで投与(ペムブロリズマブ群)・対照群: 術前に化学療法+プラセボ、術後にプラセボを投与(プラセボ群)・評価項目:[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、EFS[副次評価項目]pCR(ypT0 ypN0およびypT0/Tis)、全生存期間(OS)、PD-L1陽性例におけるpCR・EFS・OS、安全性 KEYNOTE-522試験のアジア人集団における主な結果は以下のとおり。・アジア(韓国、日本、台湾、シンガポール)からKEYNOTE-522試験には216 例が組み入れられた(ペムブロリズマブ群136例、プラセボ群80例)。・データカットオフ(2021年3月23日)時点で、観察期間中央値は39.7ヵ月(範囲:10.0~46.9)、ペムブロリズマブ群およびプラセボ群でEFSイベントは13例(9.6%)および20 例(25.0%)で観察された。・EFSのハザード比(HR)は、全集団の0.63(95%信頼区間[CI]:0.48~0.82)に対し、アジア人集団では0.35(95% CI:0.17~0.71)だった。・術前補助療法でpCRを達成した患者と得られなかった(non-pCR)患者に分けて評価した場合、3年EFSは、pCR達成患者ではプラセボ群94.4%に対してペムブロリズマブ群100%、non-PCR患者ではプラセボ群62.8%に対してペムブロリズマブ群77.7%であった。・安全性プロファイルは、アジア人集団において各レジメンや以前の解析と同様であった。 高橋氏は、KEYNOTE-522試験でEFSの結果がアジア集団でより有効に見えることについて、「アジア人集団は症例数が少ないので差があるとは言えず、ただ全集団と少なくとも同等の効果が期待できると言える」と述べた。また、non-pCRの場合の術後補助療法におけるカペシタビンの使用については、「ペムブロリズマブにカペシタビンを追加するのか、ペムブロリズマブを中止してカペシタビンを投与するのかは、トランスレーショナルに検討していく必要がある」とした。

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IPF合併肺がんに対するニンテダニブ+化学療法(J-SONIC)/日本臨床腫瘍学会

 特発性肺線維症(IPF)は高率に肺がんを合併する。IPF合併肺がんの大きな問題はIPFの急性増悪であり、ときに急速な呼吸不全から致死的となる。しかし、IPF合併例は進行非小細胞肺がん(NSCLC)の臨床試験のほとんどで除外されている。ニンテダニブ+化学療法はIPF合併肺がんに対する治療オプションとなる 北九州市立医療センターの大坪孝平氏らは、IPF合併進行NSCLCに対し、ニンテダニブ+化学療法と化学療法単独を比較したJ-SONIC試験を、わが国の複数の臨床試験グループ間で行った。J-SONIC試験はIPF合併肺がんでは、世界初となる第III相無作為化比較試験である。・対象:化学療法未施行のIPF合併進行NSCLC(IPF GAP stage I~II:%FVC50%以上、%DLco36〜79%)・試験薬群:化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)3週ごと4サイクル+ニンテダニブ・対照群:化学療法(同上)単独群 3週ごと4サイクル・評価項目:[主要評価盲目]IPF 無増悪生存期間(EPF)[副次評価項目]全奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存率(OS)、安全性など IPF合併肺がんに対してニンテダニブ+化学療法と化学療法単独を比較したJ-SONIC試験の主な結果は以下のとおり。・2017年5月~2019年2月に、全国72施設から243例が登録され、ニンテダニブ併用群(121例)と化学療法単独群(122例)に無作為に割り付けられた。・主要評価項目のIPF EPF中央値は、化学療法+ニンテダニブ群で14.6ヵ月、化学療法群で11.8ヵ月、ハザード比(HR)は0.89(90%信頼区間[CI]:0.67~1.17)であった(p=0.24)。・ORRはニンテダニブ+化学療法群69%、化学療法群56%であった(p=0.04)・PFS中央値は、化学療法+ニンテダニブ群6.2ヵ月、化学療法群5.5ヵ月、HRは0.68(95%CI:0.50~0.92)、とニンテダニブ併用による改善を認めた。・OSは非扁平上皮がんにおいて改善を示し、ニンテダニブ+化学療法群では16.1ヵ月、化学療法群では13.1ヵ月、HRは0.61(95%CI:0.40~0.93)であった。・ニンテダニブ併用により発熱性好中球減少症や下痢、蛋白尿が多く認められたが、QOLは両群で差はなかった。 J-SONIC試験では主要評価項目は達成されなかったものの、ニンテダニブと化学療法の併用はIPF合併進行NSCLC(とくに非扁平上皮癌がん)に対する治療オプションとなるものと考えられる、と大坪氏は述べた。

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アテゾリズマブによるNSCLCアジュバント アジア人の成績(IMpower010)/日本臨床腫瘍学会

 完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)における化学療法アジュバント後のアテゾリズマブを評価した無作為化第III相非盲検試験IMpower010のアジア人解析を、静岡県立静岡がんセンターの釼持広知氏が第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表。全体集団と同じく、アジア人集団でもアテゾリズマブの良好な成績が示された。・対象:Stage IB~IIIAで術後化学療法(プラチナ+ペメトレキセド/ドセタキセル/ゲムシタビン/ビノレルビン)、21日ごと最大4回サイクル)受けた完全切除NSCLC患者(ECOG PS 0~1)・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日 3週ごと16サイクル(Atezo群)・対照群:ベストサポーティブケア(BSC群)・評価項目[主要評価項目]治験責任医評価の無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)[副次評価項目]Stage II~IIIAのPD-L1(TC)≥1%のDFS、Stage II~IIIA全患者の DFS、ITT集団(Stage IB-IIIA)のDFS、ITT集団のOS(階層的に検証)、安全性 主な結果は以下のとおり。・アジア人集団(日本、中国、台湾、韓国、香港)は223例で全体の23.2%を占めた。・アジア人集団のPFS中央値はAtezo群42.3ヵ月、BSC群で31.4ヵ月、ハザード比(HR)は0.63(95%CI:0.37〜1.09)であった。また、この成績は全体集団の結果と同様であった。・OS中央値は未到達であった。・アジア人集団におけるAetzo群の安全性プロファイルは、全集団と同様に既知のものであったが、肝炎、皮疹はアジア人集団で多い傾向にあった。

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cemiplimab、再発子宮頸がんに有効/NEJM

 プラチナ製剤を含む化学療法による1次治療後に再発した子宮頸がん患者の治療において、完全ヒトプログラム細胞死1(PD-1)阻害モノクローナル抗体cemiplimabは単剤の化学療法と比較して、全生存期間が延長し、無増悪生存期間への効果は明確ではないものの、客観的奏効率や奏効期間も良好であることが、米国・カリフォルニア大学アーバイン校のKrishnansu S. Tewari氏らが実施した「EMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年2月10日号に掲載された。全生存期間を評価する国際的な無作為化第III相試験 研究グループは、再発・転移を有する子宮頸がんの治療におけるcemiplimabの有効性と安全性の評価を目的に、日本を含む14ヵ国が参加する非盲検無作為化第III相試験を実施し、2017年7月~2020年8月の期間に患者の登録を行った(Regeneron PharmaceuticalsとSanofiの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、プラチナ製剤を含む化学療法による1次治療後に病勢が進行した再発・転移を有する子宮頸がん患者で、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)の発現の有無は問われなかった。 被験者は、cemiplimab(350mg、3週ごと、静脈内投与)の投与を受ける群、または担当医が選択した単剤化学療法(ペメトレキセド、トポテカン、イリノテカン、ゲムシタビン、ビノレルビンのいずれか)を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは全生存期間とされ、無増悪生存期間や安全性の評価も行われた。 本試験は、予定されていた2回目の中間解析(追跡期間中央値16.8ヵ月)で、扁平上皮がんにおける有効性に関する事前に規定された基準に則り、中止となった。死亡リスクが31%低減、奏効率と奏効期間は2倍以上に 608例の女性患者が登録され、2つの群に304例ずつが割り付けられた。全体の年齢中央値は51歳(範囲22~87)で、473例(77.8%)が扁平上皮がん、135例(22.2%)は腺がんまたは腺扁平上皮がんであった。また、259例(42.6%)が再発病変に対する全身治療を2ライン以上受けており、296例(48.7%)はベバシズマブによる治療歴を有していた。 治療期間中央値は、cemiplimab群が15.2週(範囲1.4~100.7)、化学療法群は10.1週(1.0~81.9)で、全体の追跡期間中央値は18.2ヵ月(6.0~38.2)だった。 全生存期間中央値は、cemiplimab群が12.0ヵ月と、化学療法群の8.5ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.56~0.84、両側検定のp<0.001)。化学療法群の全生存期間中央値は、トポテカンの6.5ヵ月からイリノテカンの11.9ヵ月までの幅が認められた。 組織型別の全生存期間中央値は、扁平上皮がん(11.1ヵ月vs.8.8ヵ月、HR:0.73、95%CI:0.58~0.91、両側検定のp=0.006)および腺がん/腺扁平上皮がん(13.3ヵ月vs.7.0ヵ月、0.56、0.36~0.85)のいずれにおいても、cemiplimab群で良好であった。 また、無増悪生存期間中央値は、両群間に大きな差はなかったものの、有意差がみられ、cemiplimab群で良好であった(HR:0.75、95%CI:0.63~0.89、両側検定のp<0.001)。扁平上皮がん(0.71、0.58~0.86、同p<0.001)では有意差があったが、腺がん/腺扁平上皮がん(0.91、0.62~1.34)では差がなかった。 客観的奏効率は、cemiplimab群が16.4%(95%CI:12.5~21.1)と、化学療法群の6.3%(3.8~9.6)に比し、有意に優れた(両側検定のp<0.001)。cemiplimabの投与を受けた患者のうち、腫瘍細胞のPD-L1の発現が1%以上の患者の客観的奏効率は18%で、発現が1%未満の患者でも11%であった。また、奏効期間中央値は、cemiplimab群が16.4ヵ月(95%CI:12.4~未到達)、化学療法群は6.9ヵ月(5.1~7.7)だった。 Grade 3以上の有害事象は、cemiplimab群が45.0%、化学療法群は53.4%で発現した。最も頻度の高いGrade 3以上の有害事象は、貧血(cemiplimab群12.0%、化学療法群 26.9%)、尿路感染症(5.0%、2.8%)、好中球減少(1.0%、9.0%)であった。治療中止の原因となった有害事象は、それぞれ26例(8.7%)および15例(5.2%)で発現した。免疫関連有害事象の発現率は、15.7%および0.7%だった。 著者は、「この試験では、腫瘍細胞のPD-L1の発現が1%未満の患者でも客観的奏効が得られた。PD-L1の発現状況の評価が可能な患者が少なく、cemiplimab治療の奏効におけるPD-L1の役割をどう解釈するかは、評価が難しい問題ではあるが、PD-L1陰性例にもcemiplimabが奏効する患者が存在する可能性があることが示唆される」としている。

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TN乳がん1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法、アジア人解析結果(KEYNOTE-355)/日本臨床腫瘍学会

 未治療の手術不能または転移を有するPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比較して、全生存(OS)期間を有意に改善したことが、ESMO 2021で発表されている。同試験のアジア人サブグループの解析結果を、がん研有明病院の高野 利実氏が、第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。なお本邦では、PFSを有意に改善した同試験の中間解析結果を基に、2021年8月に承認されている。[KEYNOTE-355試験]・対象:18歳以上の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん(ECOG PS 0/1)・試験群(2:1の割合で下記2群に無作為に割り付け):ペムブロリズマブ群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+化学療法(ナブパクリタキセルパクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンの3種類のうちいずれか)プラセボ群:プラセボ+化学療法 ・層別化因子:化学療法の種類(タキサンかゲムシタビン/カルボプラチン)、PD-L1発現(CPS≧1かCPS<1)、術前/術後化学療法の有無・評価項目:[主要評価項目]PD-L1陽性患者(CPS≧10およびCPS≧1)およびITT集団におけるOSと無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性 アジア人サブセットにおける主な結果は以下のとおり。・データカットオフは2021年6月15日。ITT集団における追跡期間中央値は43.8ヵ月だった。・アジア人サブセットには160例(ペムブロリズマブ群113例、プラセボ群47例)が含まれた(日本人は87例)。・ベースライン特性を全体集団と比較すると、ECOG PS1の患者および化学療法としてタキサンの投与を受けた患者の割合が若干少なく、同クラスの化学療法歴のある患者がプラセボ群に若干多かった。[OS中央値]CPS≧10:ペムブロリズマブ群26.7ヵ月 vs.プラセボ群17.4ヵ月(ハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.28~1.04)全体集団では23.0ヵ月 vs.16.1ヵ月(HR:0.73、95% CI:0.55~0.95、p=0.0093)CPS≧1:22.0ヵ月 vs.16.9ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.40~0.97)全体集団では17.6ヵ月 vs.16.0ヵ月(HR:0.86、95% CI:0.72~1.04、p=0.0563)ITT集団:24.1ヵ月 vs.17.2ヵ月(HR:0.57、95%CI:0.39~0.84)全体集団では17.2ヵ月 vs.15.5ヵ月(HR:0.89、95% CI:0.76~1.05)[PFS中央値]CPS≧10: 17.3ヵ月 vs. 5.6ヵ月(HR:0.48、95% CI:0.24~0.98)全体集団では9.7ヵ月 vs.5.6ヵ月(HR:0.66、95% CI:0.50~0.88)CPS≧1:7.7ヵ月 vs.5.6ヵ月(HR:0.58、95%CI:0.37~0.91)全体集団では7.6ヵ月 vs.5.6ヵ月(HR:0.75、95% CI:0.62~0.91]ITT集団:8.8ヵ月 vs.6.7ヵ月(HR:0.66、95%CI:0.44~0.99)全体集団では7.5ヵ月 vs.5.6ヵ月(HR:0.82、95% CI:0.70~0.98)・Grade3以上の治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群77.9% vs.プラセボ群78.7%と全体集団と比較して若干多く報告された(全体集団では68.1% vs. 66.9%)が、安全性について全体の傾向は同様で、管理可能であった。 高野氏は、ペムブロリズマブ群におけるベネフィットがアジア人でより大きい傾向がみられることについて、症例数の限られたサブグループ解析であり、慎重に解釈する必要があるとの見解を示しつつ、新たな臨床研究で検討すべき重要なポイントであると述べた。

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化学療法+ニボルマブ+ベバシズマブによるNSCLC1次治療の全生存期間(TASUKI-52)/日本臨床腫瘍学会

 非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するニボルマブとプラチナダブレットおよびベバシズマブ併用の1次治療を評価する国際無作為化二重盲検第III相TASUKI-52試験の全生存期間(OS)の成績が、第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表された。同併用群はOSについても改善を示した。・対象:未治療のStage IIIB/IVの非扁平上皮NSCLC患者(PD-L1発現問わず)・試験群:ニボルマブ(360mg)+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(3週間ごと6サイクル)→ニボルマブ+ベバシズマブ(ニボルマブ群)・対照群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ→プラセボ+ベバシズマブ(プラセボ群) ニボルマブ/プラセボ+ベバシズマブは、疾患進行または許容できない毒性発現まで継続・評価項目:[主要評価項目]独立放射線審査委員会(IRRC)評価の無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・最小追跡期間は19.4ヵ月であった。・OS中央値はニボルマブ群30.8ヵ月、プラセボ群24.7ヵ月、とニボルマブ群で有意に良好であった(HR:0.74、95%CI:0.58~0.94、p=0.0135)・18ヵ月OS率はニボルマブ群69.0%、プラセボ群61.9%、24ヵ月OS率はそれぞれ59.8%と50.3%で、その差は開いている。・OSのサブグループ解析では、ほとんどの項目でニボルマブ群が優位であった。・PD-L1発現レベルによるOSのHRはPD-L1<1%集団で0.84、1~49%集団で0.59、≧50%で0.83、と発現レベルをとわずニボルマブ群で良い傾向であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は、ニボルマブ群98.5%に対しプラセボ群99.6%、治療中止にいたったTRAEはそれぞれ16.5%と4.4%であった。 この結果は、非扁平上皮NSCLCの1次治療におけるニボルマブとプラチナ含有化学療法およびベバシズマブの併用をさらに支持するものだと発表者は述べている。

218.

早期TN乳がん、術前PEM+化学療法と術後PEMでEFS改善/NEJM

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、術前補助療法でペムブロリズマブ+化学療法→術後補助療法でペムブロリズマブによる治療は、術前補助療法での化学療法のみと比較して、無イベント生存期間(EFS)を有意に延長することが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らが21ヵ国181施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「KEYNOTE-522試験」で示された。すでに本試験の最初の解析において、術前補助化学療法にペムブロリズマブを追加することで、根治的手術実施時に病理学的完全奏効(pCR)(乳房内に浸潤がんがなく、リンパ節転移陰性と定義)を得られた患者の割合が有意に増加することが報告されていた。NEJM誌2022年2月10日号掲載の報告。術前化学療法へのPEM追加+術後PEMの有効性を、プラセボと比較 研究グループは、未治療の早期TNBC患者(AJCC/TNM分類でT1c N1-2またはT2-4 N0-2、ECOG PS 0/1)を、ペムブロリズマブ+化学療法群とプラセボ+化学療法群に2対1の割合で無作為に割り付けた。 ペムブロリズマブ+化学療法群では、術前補助療法としてペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、週1回)+カルボプラチン(AUC 1.5、週1回またはAUC 5、3週ごと)を4サイクル投与後、ペムブロリズマブ+シクロホスファミド(600mg/m2)+ドキソルビシン(60mg/m2)またはエピルビシン(90mg/m2)を3週ごとに4サイクル投与し、術後補助療法としてペムブロリズマブを3週ごとに9サイクル投与した。プラセボ+化学療法群では、術前補助療法でプラセボ+化学療法(同上)、術後補助療法でプラセボを投与した。 主要評価項目は、pCRおよびEFS(無作為化から、根治的手術不能となる病勢進行、局所または遠隔再発、2次原発がんの発生、または全死因死亡までの期間と定義)とし、安全性についても評価した。3年EFS率は84.5% vs.76.8% 2017年3月~2018年9月に計1,174例が割り付けられた(ペムブロリズマブ+化学療法群784例、プラセボ+化学療法群390例)。 計画されていた今回の第4回中間解析(データカットオフ日:2021年3月23日)における追跡期間中央値は39.1ヵ月(範囲:30.0~48.0)で、EFSのイベントはペムブロリズマブ+化学療法群で123例(15.7%)、プラセボ+化学療法群で93例(23.8%)に認められた。 3年無イベント生存率は、ペムブロリズマブ+化学療法群84.5%(95%信頼区間[CI]:81.7~86.9)、プラセボ+化学療法群76.8%(72.2~80.7)であった(イベントまたは死亡のハザード比:0.63、95%CI:0.48~0.82、p<0.001)。 有害事象は主に術前補助療法期に発現し、ペムブロリズマブおよび化学療法ですでに確立されている安全性プロファイルと一致していた。

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再発卵巣がん、トラメチニブでPFS有意に延長/Lancet

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのDavid M. Gershenson氏らは、再発低悪性度漿液性卵巣がん患者を対象とした多施設共同非盲検無作為化第II/III相試験「GOG 281/LOGS試験」において、MEK阻害薬トラメチニブが標準治療と比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、新たな治療選択肢となる可能性があることを示した。卵巣または腹膜の低悪性度漿液性がんはMAPKシグナル伝達経路の異常が特徴であり、高悪性度漿液性がんに比べ化学療法に対する感受性が低い。これまでの研究で、MEK阻害薬は有効性が期待される治療戦略であることが示唆されていた。Lancet誌2022年2月5日号掲載の報告。トラメチニブの有効性および安全性を医師選択の標準治療と比較 研究グループは、米国および英国の84施設において、RECIST ver.1.1に基づく測定可能病変を有する18歳以上の再発低悪性度漿液性がん患者を、トラメチニブ群または標準治療群のいずれかに、地域(米国、英国)、前治療レジメン数(1、2、3以上)、PS(0、1)、計画された標準治療を層別因子として、1対1の割合で無作為に割り付けた。5つの標準治療薬すべてではなく、少なくとも1つのプラチナ製剤を含むレジメンによる治療を受けたことがある患者を適格とし、化学療法歴のレジメン数は問わなかった。また、漿液性境界型腫瘍、または低悪性度漿液性がんと高悪性度漿液性がんを含む腫瘍を有する患者は除外した。 トラメチニブ群は2mgを1日1回経口投与し、標準治療群は次の5つのうち医師が選択した治療を行った。パクリタキセル(80mg/m2を1、8、15日目に静脈内投与、28日ごと)、ペグ化リボソームドキソルビシン(40~50mg/m2を4週に1回静脈内投与)、トポテカン(4mg/m2を1、8、15日目に静脈内投与、28日ごと)、レトロゾール(2.5mg 1日1回経口投与)、タモキシフェン(20mgを1日2回経口投与)。 主要評価項目は、intention-to-treat集団における無作為化された治療を受けている間のPFS(治験責任医師評価)とし、ベースライン、続く15ヵ月間は8週ごと、それ以降は3ヵ月ごとに画像診断を行った。トラメチニブ群でPFS中央値が約6ヵ月有意に延長 2014年2月27日~2018年4月10日の期間に260例が登録され、トラメチニブ群(130例)と標準治療群(130例)に無作為化された。観察期間中央値は、トラメチニブ群31.5ヵ月(IQR:18.1~43.3)、標準治療群31.3ヵ月(15.7~41.9)であった。 主要解析において、PFSイベントは217例確認され、トラメチニブ群101例(78%)、標準治療群116例(89%)であった。PFS期間中央値は、トラメチニブ群13.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.9~15.0)、標準治療群7.2ヵ月(5.6~9.9)で、ハザード比は0.48(95%CI:0.36~0.64、p<0.0001)であった。 主なGrade3/4の有害事象は、トラメチニブ群(128例)が皮疹(17例、13%)、貧血(16例、13%)、高血圧(15例、12%)、下痢(13例、10%)、悪心(12例、9%)、疲労(10例、8%)であり、標準治療群(127例)が下腹部痛(22例、17%)、悪心(14例、11%)、貧血(12例、10%)、嘔吐(10例、8%)であった。治療に関連した死亡は確認されなかった。

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子宮内膜がん、レンバチニブ+ペムブロリズマブでPFS/OSを延長/NEJM

 進行子宮内膜がん患者において、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法は化学療法と比較し、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長した。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのVicky Makker氏らが、21ヵ国167施設で実施した非盲検第III相試験「Study 309/KEYNOTE-775試験」の結果を報告した。プラチナ製剤による化学療法後の進行性子宮内膜がんに対する治療選択肢は、限られていた。NEJM誌オンライン版2022年1月19日号掲載の報告。レンバチニブ+ペムブロリズマブvs.ドキソルビシンまたはパクリタキセル 研究グループは、少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による化学療法の治療歴のある進行子宮内膜がん患者を、レンバチニブ(20mg、1日1回経口投与)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと静脈投与)併用群、または化学療法(治験医師選択によるドキソルビシン60mg/m2の3週ごと静脈投与、またはパクリタキセル80mg/m2の週1回静脈投与3週・1週休薬)群のいずれかに、1対1の割合で無作為に割り付けた。 有効性の主要評価項目は、RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央画像判定によるPFS、およびOSで、全体集団およびミスマッチ修復機構を有する(mismatch repair proficient:pMMR)集団を対象としてintention-to-treat解析を行った。安全性についても同様に評価した。 2018年6月11日~2020年2月3日に計827例(pMMR患者697例、ミスマッチ修復機構欠損患者130例)が、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群(411例)および化学療法群(416例)に割り付けられた。データカットオフ日は2020年10月26日。レンバチニブ+ペムブロリズマブでPFSおよびOSが有意に延長 PFS期間中央値は、全体集団(7.2ヵ月vs.3.8ヵ月、ハザード比[HR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.47~0.66、p<0.001)、pMMR集団(6.6ヵ月vs.3.8ヵ月、0.60、0.50~0.72、p<0.001)のいずれにおいても、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群が化学療法群より有意に延長した。 OS期間中央値も同様に、全体集団(18.3ヵ月vs.11.4ヵ月、HR:0.62、95%CI:0.51~0.75、p<0.001)、pMMR集団(17.4ヵ月vs.12.0ヵ月、0.68、0.56~0.84、p<0.001)のいずれにおいても、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群が化学療法群より有意に延長した。 Grade3以上の有害事象の発現率は、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群88.9%、化学療法群72.7%であった。

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