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COVID-19に対する薬物治療の考え方 第7版を公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏[東邦大学医学部教授])は、2月1日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第7版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 本指針は、COVID-19の流行から約1年が経過し、薬物治療に関する知見が集積しつつあり、これまでの知見に基づき国内での薬物治療に関する考え方を示すことを目的に作成されている。 現在わが国でCOVID-19に対して適応のある薬剤はレムデシビルである。デキサメタゾンは重症感染症に関しての適応がある。また、使用に際し指針では、「適応のある薬剤以外で、国内ですでに薬事承認されている薬剤をやむなく使用する場合には、各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行う事とする。適応外使用にあたっては基本的にcompassionate useであることから、リスクと便益を熟慮して投与の判断を行う。また、治験・臨床研究の枠組みの中にて薬剤を使用する場合には、関連する法律・指針などに準じた手続きを行う。有害事象の有無をみるために採血などで評価を行う」と注意を喚起している。 抗ウイルス薬などの対象と開始のタイミングについては、「発症後数日はウイルス増殖が、そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反応が主病態であると考えられ、発症早期には抗ウイルス薬、そして徐々に悪化のみられる発症7日前後以降の中等症・重症の病態では抗炎症薬の投与が重要となる」としている。 抗ウイルス薬などの選択について、本指針では、抗ウイルス薬、抗体治療、免疫調整薬・免疫抑制薬、その他として分類し、「機序、海外での臨床報告、日本での臨床報告、投与方法(用法・用量)、投与時の注意点」について詳述している。紹介されている治療薬剤〔抗ウイルス薬〕・レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液100mgなど)・ファビピラビル〔抗体治療〕・回復者血漿・高度免疫グロブリン製剤・モノクローナル抗体〔免疫調整薬・免疫抑制薬〕・デキサメタゾン・バリシチニブ・トシリズマブ・サリルマブ・シクレソニド〔COVID-19に対する他の抗ウイルス薬(今後知見が待たれる薬剤)〕インターフェロン、カモスタット、ナファモスタット、インターフェロンβ、イベルメクチン、フルボキサミン、コルヒチン、ビタミンD、亜鉛、ファモチジン、HCV治療薬(ソフォスブビル、ダクラタスビル)今回の主な改訂点・レムデシビルのRCTを表化して整理・レムデシビルの添付文書改訂のため肝機能・腎機能を「定期的に測定」に変更(抗体治療薬の項目追加)・バリシチニブ+レムデシビルのRCT結果を追加・トシリズマブのREMAP-CAP試験などの結果を追加・シクレソニドの使用非推奨を追加

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「ω-3多価不飽和脂肪酸、ビタミンD、筋力トレーニング運動による治療は効かない」ってほんと?(解説:島田俊夫氏)-1341

 ω-3多価不飽和脂肪酸の中でもEPA、DHAが、心脳血管障害、がんの予防に効果があるか否かについては、議論の多いところである1)。しかしながら、ちまたではこれらのサプリメントへの嗜好が強くなっている。さらにビタミンDに関しても実臨床の中で、すでに骨粗鬆症の治療にあまねく使用されている2)。また、筋力トレーニングの運動プログラムは健康改善に寄与する3)との考えが生活の中に定着している。 このような状況の中で今回取り上げる2020年JAMA誌324巻18号に掲載されたBischoff-Ferrari HA等による論文は、有効と信じられている3つの因子を考慮した、二重盲検2×2×2要因無作為ランダム化比較試験デザインに基づく臨床研究論文である。研究対象者は、研究開始5年前から大病の既往のない70歳以上の、スイスとドイツからの健康成人2,157例であった。 介入はω-3脂肪酸投与、ビタミンD投与、筋力トレーニング運動プログラム実施のそれぞれの3因子の有/無を考慮した8グループ(コントロールを含む)で行われた。 標的アウトカムとして6項目が取り上げられた。3年間にわたる収縮期および拡張期血圧、運動能力(SPPB)、認知機能(MoCA)、非脊椎骨骨折および感染の発生頻度の6項目について評価された。2,157例(平均年齢74.9歳、女性が61.7%)中1,990例(88%)が研究を完遂した。観察期間の中央値は2.99年で、約3年にわたり、標的6アウトカムに関して個別または組み合わせ介入に対して、いずれのアームでも統計学的に有意な利便性を認めなかった。全体で25例の死亡が確認されたが、全アームにおいてもほぼ同様の結果であった。 大きな合併症のない70歳以上の成人中、ビタミンD、ω-3脂肪酸の補充療法、筋力トレーニング運動プログラムの実施グループでは、収縮期および拡張期血圧、非脊椎骨骨折、身体能力、感染率、認知機能の改善に統計学的有意差は認めなかった。これらの知見は、標的アウトカムに対する3つの介入の有効性を支持する結果と一致しなかった。 しかしながら、上記の結論を必ずしもうのみにすべきではない。 サプリメントを補充する類の研究では、対象者がビタミンD、ω-3脂肪酸欠乏、運動不足が背景にあるか否かで結果が大きく左右される。対象者がいわゆる高齢健常者である場合、欠乏状態は相対的に軽いと考えられる。このため、3つの要因のすべての組み合わせを考慮しても欠乏がわずかであれば研究対象として必ずしも適切ではなく、結果に差がないから有効でないと結論するのは早計である。 研究デザインを考えるときに、補充療法の効果を判定したければ欠乏確認済対象で研究するのが必要であり、今回の研究は3つの要因の臨床的利便性を否定するのに十分なデザインではない。本論文の結論は、欠乏の軽微な対象では効果が出にくいとのメッセージとして受け止めるべきではないか。

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COVID-19入院時、ビタミンD欠乏で死亡オッズ比3.9

 ビタミンD欠乏症と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の関連は、これまでもさまざまな報告があるが、依然として情報は不足している。今回、ベルギー・AZ Delta Medical LaboratoriesのDieter De Smet氏らが、入院時の血清ビタミンDレベルとCOVID-19の病期および肺炎の転帰との関連を調査した。その結果、COVID-19で入院した患者の59%がビタミンD欠乏症であり、COVID-19による死亡オッズ比は3.9であることが示された。American Journal of Clinical Pathology誌2020年11月25日号での報告。入院時のビタミンD欠乏症とCOVID-19起因肺炎による死亡率との関連 研究者らは、2020年3月1日~4月7日にAZ Delta General Hospitalに入院したSARS-CoV-2感染(PCR陽性)者186例を対象に、入院時の胸部コンピューター断層撮影(CT)と25(OH)D測定を組み合わせた後ろ向き観察試験を実施した。また、ビタミンD欠乏症(25(OH)D<20ng/mL)が交絡する併存疾患に関係なく生存率と相関するかどうかを調べるために、多変量回帰分析が実施された。 なお、CT結果による病期は、すりガラス状陰影(初期、病期1)、すりガラス状陰影内部に網状影を伴うcrazy-paving pattern(進行期、病期2)、浸潤影を呈するconsolidation(ピーク期、病期3)とした。COVID-19による肺炎の影響を受けた肺組織の割合は、CT重症度スコア(0~25)として表された。 入院時の血清ビタミンDレベルとCOVID-19の病期および肺炎の転帰との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・PCRで確認されたSARS-CoV-2感染者186例が入院し、そのうち男性が109例(58.6%)、女性が77例(41.4%)、年齢中央値はそれぞれ68歳(四分位範囲[IQR]:53~79歳)および71歳(IQR:65〜74歳)だった。・入院時に測定された結果によると、186例中85例(46%)は病期3(ピーク期)、病期2(進行期)は30%、病期1(初期)は25%で、男女比に差は見られなかった。・186例中109例(59%)は、入院時にビタミンD欠乏症(25(OH)D<20ng/mL)であり、男性では67%、女性では47%だった。・男性患者では、CTによる病期が進むにつれて徐々に25(OH)Dの中央値が低くなり、ビタミンD欠乏率は、病期1の55%から病期2では67%、病期3では74%に増加した(p=0.0010)。一方、女性患者ではそのような病期依存の25(OH)D値変動は見られなかった。・入院時の25(OH)D値と死亡率の関連を調べた結果、COVID-19患者186例のうち、27例(15%)が死亡し、そのうち67%が男性だった。・死亡した患者は生存者と比べて、年齢(中央値:81歳vs.67歳、p<0.0001)、慢性肺疾患有病率(33% vs.12%、p=0.01)、冠動脈疾患有病率(82% vs.55%、p=0.02)、CT重症度スコア(15 vs.11、p=0.046)が高く、25(OH)D値(中央値:15.2 vs.18.9ng/mL、p=0.02)は低かった。・二変量ロジスティック回帰分析によると、死亡率は年齢の上昇(オッズ比[OR]:1.09、95%信頼区間[CI]:1.03~1.14)、CT重症度スコアの上昇(OR:1.12、95%CI:1.01~1.25)、慢性肺疾患の存在(OR:3.61、95%CI:1.18~11.09)、およびビタミンD欠乏症の存在(OR:3.87、95%CI:1.30~11.55)とは独立して関連しており、性別、糖尿病および冠動脈疾患の有病率、CTによる病期とは関連していなかった。 著者らは、「本研究は、慢性肺疾患、冠動脈疾患、糖尿病など、ビタミンDの影響を受ける併存疾患とは無関係に、入院時のビタミンD欠乏症とCOVID-19起因肺炎による死亡率との関連を示した。これは、とくにビタミンD欠乏症の患者を対象とする無作為化比較試験の必要性を強調し、SARS-CoV-2パンデミックの安全かつ安価で実施可能な軽減策として、世間一般にビタミンD欠乏の回避を呼びかけるものだ」と結論している。※本文中に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2021年1月18日10時)。

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スタチン+降圧薬のポリピル、アスピリン併用で心血管イベント抑制/NEJM

 心血管疾患がなく、中等度以上の心血管リスクを有する集団において、スタチンと3つの降圧薬の合剤であるポリピル(polypill)とアスピリンの併用療法はプラセボ+プラセボと比較して、心血管イベントの発生率が約3割低いことが、カナダ・マックマスター大学のSalim Yusuf氏らが行ったTIPS-3試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年11月13日号に掲載された。世界では毎年、心血管疾患による死亡が約1,800万件発生しており、その80%以上を低~中所得国が占めるという。血圧上昇とLDLコレステロール値上昇は、心血管疾患の最も重要な修正可能なリスク因子であり、降圧薬と脂質低下薬を組み合わせたポリピルが有益な可能性が示唆されている。一方、アスピリンは、心血管疾患患者に対する有用性が証明されているが、心血管疾患の1次予防における単独での役割、あるいはポリピルに含まれる1剤としての役割は明らかにされていない。ポリピル単独とアスピリン単独とポリピル+アスピリン併用を比較 本研究は、2×2×2ファクトリアルデザインの二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、9ヵ国(インド、バングラデシュ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、コロンビア、カナダ、タンザニア、チュニジア)の86施設が参加し、2012年7月~2017年8月の期間に患者登録が行われた(Wellcome Trustなどの助成による)。 対象は、心血管疾患がなく、INTERHEARTリスクスコア(0~48点、点数が高いほど心血管リスクが高い)で中等度または高リスクの50歳以上の男性および55歳以上の女性であった。被験者は、ポリピル(シンバスタチン40mg、アテノロール100mg、ヒドロクロロチアジド25mg、ramipril 10mgを含有)またはプラセボを毎日、アスピリン75mgまたはプラセボを毎日、ビタミンDまたはプラセボを毎月投与する群に無作為に割り付けられた。 今回は、ポリピル単独とプラセボ、アスピリン単独とプラセボ、ポリピル+アスピリンとダブルプラセボの比較の結果が報告された。 ポリピル単独およびポリピル+アスピリンとそれぞれのプラセボとの比較における主要アウトカムは、主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心停止への蘇生術、心不全、動脈血行再建)の複合とした。アスピリンとプラセボの比較における主要アウトカムは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合であった。ポリピル+アスピリン併用群の主要アウトカム:4.1% vs.5.8% 5,713例が無作為化の対象となり、平均フォローアップ期間は4.6年であった。参加者はインドが47.9%と最も多く、次いでフィリピンが29.3%であった。ベースラインの平均年齢は63.9歳、52.9%が女性で、高血圧/血圧上昇が83.8%、糖尿病/血糖値上昇が36.7%で認められ、平均収縮期血圧は144.5mmHg、平均心拍数は77.0拍/分、平均LDLコレステロール値は120.7mg/dL(3.1mmol/L)だった。 試験期間中、ポリピル単独とポリピル+アスピリン併用を合わせた群はプラセボ群と比較して、平均収縮期血圧が5.8mmHg低く、平均心拍数が4.6拍/分少なく、平均LDLコレステロール値が19.0mg/dL(0.50mmol/L)低かった。 ポリピル比較の主要アウトカムは、ポリピル群(2,861例)が126例(4.4%)、プラセボ群(2,852例)は157例(5.5%)で発生した(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.63~1.00)。また、アスピリン比較の主要アウトカムは、アスピリン群(2,860例)が116例(4.1%)、プラセボ群(2,853例)は134例(4.7%)で発生した(HR:0.86、95%CI:0.67~1.10)。 ポリピル+アスピリン比較の主要アウトカム(初発)は、ポリピル+アスピリン群(1,429例)が59例(4.1%)、ダブルプラセボ群(1,421例)は83例(5.8%)で発生した(HR:0.69、95%CI:0.50~0.97)。初発と再発を合わせた主要アウトカムは、ポリピル+アスピリン群が64例、ダブルプラセボ群は93例で発生した(HR:0.68、95%CI:0.48〜0.96)。 副作用により試験を中止した参加者数は、ポリピル+アスピリン群とダブルプラセボ群で同程度であった(筋肉症状:5例、7例、消化管出血:3例、1例、胃腸症[dyspepsia]:3例、3例、胃炎:19例、22例、消化性潰瘍:3例、3例)。また、低血圧およびめまいの発生率は、ポリピルを投与された群が、それぞれに対応するプラセボ群に比べて高かった。低血圧およびめまいにより試験薬を中止した参加者は、ポリピル+アスピリン群が45例、ダブルプラセボ群は22例だった。大出血は、ポリピル+アスピリン群が9例、ダブルプラセボ群は12例で報告された。 著者は、「併用群の心血管イベントに関する有益性は、LDLコレステロール値と血圧の適度な低下に、アスピリンによる有益性が加わった場合に予測されたものと一致していた」としている。

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70歳以上、ビタミンD・ω3・運動による疾患予防効果なし/JAMA

 併存疾患のない70歳以上の高齢者において、ビタミンD3、オメガ3脂肪酸、または筋力トレーニングの運動プログラムによる介入は、拡張期または収縮期血圧、非脊椎骨折、身体能力、感染症罹患率や認知機能の改善について、統計学的な有意差をもたらさなかったことが、スイス・チューリッヒ大学のHeike A. Bischoff-Ferrari氏らが行った無作為化試験「DO-HEALTH試験」の結果で示された。ビタミンD、オメガ3および運動の疾患予防効果は明らかになっていなかったが、著者は「今回の結果は、これら3つの介入が臨床アウトカムに効果的ではないことを支持するものである」とまとめている。JAMA誌2020年11月10日号掲載の報告。8群に分けて3年間介入、血圧、身体・認知機能、骨折、感染症などへの影響を評価 研究グループは、ビタミンD3、オメガ3、筋力トレーニングの運動プログラムについて、単独または複合的介入が、高齢者における6つの健康アウトカムを改善するかを検討した。70歳以上で登録前5年間に重大な健康イベントを有しておらず、十分な活動性があり認知機能が良好な高齢者2,157例を対象に、二重盲検プラセボ対照2×2×2要因無作為化試験を実施した(2012年12月~2014年11月に登録、最終フォローアップは2017年11月)。 被験者は無作為に、次の8群のうちの1つに割り付けられ3年間にわたり介入を受けた。2,000 IU/日のビタミンD3投与・1g/日のオメガ3投与・筋力トレーニングの運動プログラム実施群(264例)、ビタミンD3・オメガ3投与群(265例)、ビタミンD3投与・筋トレ実施群(275例)、ビタミンD3投与のみ群(272例)、オメガ3投与・筋トレ実施群(275例)、オメガ3投与のみ群(269例)、筋トレ実施のみ群(267例)、プラセボ群(270例)。 主要アウトカムは6つで、3年間にわたる収縮期・拡張期血圧(BP)の変化、Short Physical Performance Battery(SPPB)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、非脊椎骨折および感染症罹患率(IR)であった。6つの主要エンドポイントを複合比較し、99%信頼区間(CI)を示し、p<0.01を統計学的有意差と定義した。いずれも有意な影響はみられず 無作為化を受けた2,157例(平均年齢74.9歳、女性61.7%)のうち、1,900例(88%)が試験を完了した。フォローアップ期間中央値は2.99年であった。 全体的に、3年間の個別の介入または複合介入について、6つの主要エンドポイントに対する統計学的に有意なベネフィットは認められなかった。 たとえば、収縮期BPの平均変化差は、ビタミンDあり群とビタミンDなし群の比較では-0.8(99%CI:-2.1~0.5)mmHgで有意差なし(p=0.13)、オメガ3あり群とオメガ3なし群の比較では-0.8(-2.1~0.5)mmHgで有意差なし(p=0.11)であった。拡張期BPの平均変化差は、オメガ3あり群とオメガ3なし群では-0.5(-1.2~0.2)mmHgで有意差なし(p=0.06)であり、また、オメガ3あり群とオメガ3なし群の感染症罹患率の絶対差は-0.13(-0.23~-0.03)、IR比は0.89(0.78~1.01)で有意差はなかった(p=0.02)。 SPPB、MoCA、非脊椎骨折のアウトカムへの影響は認められなかった。 全体で死亡は25例で、群間で差はなかった。

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第19回 高齢者の肥満、特有の問題と予後への影響は【高齢者糖尿病診療のコツ】

第19回 高齢者の肥満、特有の問題と予後への影響はQ1 高齢者の肥満、若年者とはちがう特徴とは?最近、高齢糖尿病患者でも肥満症が増えています。我が国の65歳以上の高齢糖尿病患者でBMI 25㎏/m2以上の頻度は2000年から2012年で28.4%から33.0%に増加したという報告もあります1)。こうした高齢者の肥満症の増加は1)加齢に伴う身体活動量の低下2)基礎代謝量の低下3)高齢者の食習慣の欧米化などが関係しているのでないかと思われます。高齢者の肥満症にはいくつかの特徴があります。加齢とともに内臓脂肪は増加し、除脂肪量(骨格筋量)が低下するという体組成の変化が起こり、BMI高値を伴わない腹部肥満、いわゆる隠れ肥満やメタボリックシンドロームが増加します。また、高齢者のBMIは体脂肪量を正確に反映しないことがあります。身長が低下することで、BMIは見かけ上増加することもあります。したがって、高齢者の肥満症の評価にはBMIだけでなく、ウエスト周囲長も測ることが大切です。ウエスト周囲長やウエスト・ヒップ比の高値の方がBMIよりも死亡のリスクの指標となることも知られています。また、高齢期の肥満症では死亡や心血管疾患のリスクが逆に減少するというobesity paradoxがみられる場合があります。これは、BMI低値の方が悪性疾患、サルコペニア、慢性感染症などの併存疾患によるリスクが増加することで、BMI高値におけるリスクが相対的に小さくなることが原因として考えられます。加齢とともに、肥満とサルコペニアが合併したサルコペニア肥満が増えます2)。サルコペニア肥満は糖尿病やメタボリックシンドロームの発症リスクも高いので、高齢者糖尿病でも注意すべきです。サルコペニア肥満では筋肉内の脂肪蓄積によるインスリン抵抗性、炎症、ビタミンD低下などが骨格筋量や筋力の減少をもたらし、身体機能低下をきたすと考えられ考えられています。サルコペニア肥満は、単なる肥満症と比べ、フレイル、ADL低下、転倒、骨粗鬆症、認知機能低下、および死亡をきたしやすいことが特徴です3)。サルコペニア肥満の定義は定まっていませんが、肥満の方は体脂肪%、ウエスト周囲長などで定義しています。われわれの調査では高齢糖尿病患者におけるDXA法による四肢骨格筋量と体脂肪量で定義したサルコペニア肥満の頻度は16.7%という結果でした2)。Q2 高齢者の肥満は身体機能や認知機能、死亡にどのような影響を及ぼしますか?高齢者のBMI 30kg/m2以上の肥満や腹部肥満は、ADL低下、歩行困難、フレイル、易転倒性などの身体機能低下と関連しています。Study of Osteoporosis Fracturesにおける高齢糖尿病患者でも家事や2~3ブロックの歩行が約2~2.5倍障害されると報告されています4)。また、高齢糖尿病患者がフレイルをきたしやすいことも腹部肥満によって一部説明できると報告されています5)。BMI 25kg/m2以上の肥満がある糖尿病患者では複数回の転倒を約3.5倍起こしやすくなります6)。とくにインスリン治療と過体重が重なると、何度も転倒しやすいとされています。中年期の肥満は認知症発症リスクになりますが、高齢期の肥満は認知症発症リスクに抑制的に働くことが知られています。しかしながら、高齢者の肥満患者の体重変化と認知症発症とはJカーブの関連が見られ、体重減少と体重増加の両者がリスクとなっています(図1)。画像を拡大する高齢糖尿病患者でも、BMI低値、体重減少(10%以上)と体重増加(10%以上)が認知症発症の危険因子であると報告されています7)。高齢糖尿病患者ではそれ自体が認知症発症のリスクですが、認知症発症のリスクとなる4つの肥満の中で、体重減少を伴った高齢者の肥満、メタボリックシンドローム(腹部肥満)、サルコペニア肥満に注意する必要があります(図2)。画像を拡大する一方、12の論文のメタ解析により、生活習慣の改善による意図的な体重減少は記憶力と注意力・遂行機能を改善することが明らかになっています8)。 Look Ahead研究では高齢者を含む2型糖尿病患者でもエネルギー制限と運動療法による介入によって、過体重の患者で認知機能の改善が見られています9)。糖尿病初期の肥満症患者を対象にリラグルチド1.8㎎/日を4ヵ月間投与した介入群と対照群で認知機能の変化を検討したRCTでは、両群とも7%の体重減少が得られたが、リラグルチド投与群では短期記憶と記憶複合スコアの有意な増加を認めたと報告されています10)。減量自体の効果よりも、GLP-1の脳のブドウ糖代謝の改善、可溶性AβによるIRS-1のセリンのリン酸化阻害によるインスリン情報伝達障害の改善などによる認知機能の改善効果の可能性もあります。いずれにせよ、高齢者の肥満症の患者では体重減少が意図的か否かに注意する必要があります。高齢糖尿病患者における肥満症と心血管疾患の発症や死亡に関しては、一致した結果が得られていません。肥満症合併の高齢糖尿病患者を対象に生活習慣改善と体重減少の介入を行ったLook AHAED研究では心血管疾患発症の減少は見られなかったと報告されています11)。我が国のJDCS研究とJ-EDIT研究の糖尿病患者のプール解析では、BMI 18.5未満の群で死亡リスクが上昇し、BMI 25㎏/m2以上の群では死亡リスクは増加していませんでした12)。とくに75歳以上ではBMI18.5未満の群の死亡リスクが8.1倍と75歳未満と比べてさらに高くなり、最も死亡リスクが低いBMIは25前後となりました。すなわち、低栄養による死亡リスクの方が増加し、肥満による死亡リスクが相対的に低下したと考えられます。1)Miyazawa I, et al. Endocr J. 2018;65:527-536.2)荒木 厚、周赫英、森聖二郎:日本老年医学会雑誌.2012;49:210-213.3)Batsis JA, et al. J Am Geriatr Soc. 2013;61:974-980.4)Gregg EW, et al. Diabetes Care. 2002; 25: 61-67.5)Volpato S, et al. J Gerontol A BiolSci Med Sci.2005; 60: 1539-1545.6)García-Esquinas E, et al. J Am Med Dir Assoc. 2015;16:748-754.7)Nam GE, et al. Diabetes Care. 2019;42:1217-1224.8)Siervo M, et al. Obes Rev. 2011;12:968-983.9)Espeland MA, et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2014;69:1101-1108.10)Vadini F, et al. Int J Obes (Lond). 2020 Jun;44:1254-1263.11)Wing RR, et al. N Engl J Med. 2013;369:145-154.12)Tanaka S, et al. J Clin Endocrinol Metab. 99: E2692-2696, 2014.

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高リスク喘息児、ビタミンD3補充は有益か/JAMA

 喘息を有するビタミンD値が低い小児において、ビタミンD3補充はプラセボと比較して重度の喘息増悪発生までの期間を有意に改善しないことが、米国・ピッツバーグ小児病院のErick Forno氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験「VDKA試験」の結果、示された。重度の喘息増悪は、重大な病的状態を引き起こし大幅なコスト増を招く。これまで、ビタミンD3補充が小児の重度の喘息増悪を低減するかは明らかになっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「所見は、今回の試験対象患児集団については、重度の喘息増悪の予防療法としてのビタミンD3補充を支持しないものだった」とまとめている。JAMA誌2020年8月25日号掲載の報告。血中ビタミンD値30ng/mLの喘息児を対象にプラセボ対照無作為化試験 VDKA(Vitamin D to Prevent Severe Asthma Exacerbations)試験は、6~16歳で低用量吸入コルチコステロイドを服用し、血漿中25-ヒドロキシビタミンD値が30ng/mL未満の、高リスクの喘息患児を対象とした。 米国7医療センターで参加者を募り、48週間のビタミンD3(4,000 IU/日)またはプラセボを受ける群に無作為に割り付け追跡評価した。なお、フルチカゾンプロピオン酸の服用は、176μg/日(6~11歳)、または220μg/日(12~16歳)にて継続された。 主要アウトカムは、重度の喘息増悪発生までの期間であった。副次アウトカムは、ウイルス誘発性重度増悪発生までの期間、吸入コルチコステロイドの服用量が試験期間中に半減した参加者の割合、試験期間中のフルチカゾン累積服用量などであった。 参加者の登録は2016年2月に開始。参加者数は400例を目標としたが、早期に無益性が明らかになり試験は2019年3月に中止となった。フォローアップの終了は2019年9月であった。重度増悪の頻度、発生までの期間ともにプラセボと有意差なし 合計192例(平均年齢9.8歳、女児77例[40%])がビタミンD3群(96例)またはプラセボ群(96例)に無作為に割り付けられ、そのうち180例(93.8%)が試験を完遂した。 ビタミンD3群は36例(37.5%)、プラセボ群は33例(34.4%)が、1回以上の重度増悪を呈した。プラセボ群と比較してビタミンD3群の、重度増悪までの期間は有意に改善しなかった。増悪までの平均期間は、ビタミンD3群240日、プラセボ群253日であった(平均群間差:-13.1日[95%信頼区間[CI]:-42.6~16.4]、補正後ハザード比[HR]:1.13[95%CI:0.69~1.85]、p=0.63)。 同様に、ビタミンD3群はプラセボ群と比較して、ウイルス誘発性重度増悪発生までの期間、試験期間中に吸入コルチコステロイドの服用量が減じた参加者の割合、またはフルチカゾン累積服用量についても、有意な改善は認められなかった。 重篤な有害事象の発生も両群で類似していた(ビタミンD3群11例、プラセボ群9例)。

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うつを予防する方法(解説:岡村毅氏)-1278

 ビタミンDにうつ病を予防する効果はないという残念な結果であった。これを深掘りしてみよう。 まず、前提としてさまざまなビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸等がうつ病を予防するのではないかという小さなエビデンスは集積されている。ビタミンDでも同様である。 ただし、たとえばビタミンDを摂っている健康な人は、運動もするし、友人も多いし、健康情報もよく知っているのでうつになりにくい可能性はあるだろう(これらを交絡因子という)。したがってうつ病の人と、そうでない人を比べるとビタミン摂取量に差がある可能性はある。 要するに「うつではない人はビタミンを摂っている」と「ビタミンを摂るとうつにならない」のとり違いの可能性である。 真実を知りたい。そこで、この研究のように、対象者をランダムにある地点で2つの同じようなグループに分けて、「その時点から」片方にはビタミンDを追加投与、片方には偽薬を与えるという研究をする。本研究は、なんと2万人近い50歳以上の人が対象になっている。もちろんうつ病だけを狙った研究ではなく、本研究はがんや心血管系の疾患を主な対象にしているのだが。 この結果を受けて、ビタミンDは関係ないのかというと、そうとも言い切れない。 これまでの研究で「ビタミンDは関係ある」という結果が出たのには理由がある。前述の「交絡」である。どんなものが考えられるだろうか? 以下は私の勝手な推測だが、ビタミンDを多く摂っている人は、1)健康に気を使っている【情報】、2)自分を大事にしている【自尊心】、3)(1人でカップラーメンを食べたりするのではなく)みんなで食卓を囲む機会が多い【ソーシャルネットワーク】、4)幼少期からきちんとしたご飯を食べる機会が多かったので習慣化している【安定した幼少期】、5)(野菜は高いので)経済的に困窮していない【経済】、といった可能性があるので、うつになりにくいのかもしれない。また、うつ病になると意欲が低下して食生活が乱れるので、ビタミンDも摂らなくなる、という逆の因果もあろう。 さて、臨床的には明らかに生活習慣が乱れていることが精神的不調の原因の人がいる。そういう人にはうつ病と診断して精神科治療を始める「前に」、まずはまともな生活をすることを指導する(獨協医科大学の井原先生のご著書で世間でもこのような考え方は広く知られるようになってきた)。毎日塩辛いものを食べまくっていて血圧が高い人には、まず適度の減塩を指導するのと同じである。 というわけで、本論文を読んで「ビタミンは関係ないのだ、明日からカップラーメンでいいや」というのは間違った解釈である。真実はとても地味だ。つまり、あえてサプリメントを摂ることはないが、健康に気を付けて、自分を大切にして、3食きちんと食べなさい、栄養バランスは考えて野菜も摂るのよ、夜は寝ろ、疲れたら休め、無理はするな、…帰省できなかった若者の皆さんに地元のおじさん(おばさん)みたいなアドバイスを送りたい。

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高用量ビタミンD3投与、50歳以上のうつ病発症を予防せず/JAMA

 米国の50歳以上のうつ病のリスクを有する集団において、ビタミンD3の長期投与はプラセボに比べ、うつ病の新規発生や再発を予防せず、長期的な気分の変化を改善しないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のOlivia I. Okereke氏らが行った「VITAL-DEP試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年8月4日号に掲載された。25-ヒドロキシビタミンDの低値は、人生の後半期におけるうつ病のリスクと関連するが、長期にわたる高用量ビタミンD3投与の大規模試験はほとんど行われていないという。うつ病イベントのリスクと、長期の気分スコアの変化を評価 本研究は、VITAL試験(米国の成人[男性50歳以上、女性55歳以上]2万5,871人を対象に、ビタミンD3とω-3脂肪酸の心血管疾患とがんに及ぼす影響を評価する無作為化臨床試験)の補助的な試験であり、2011年11月~2014年3月の期間に参加者の登録が行われた(米国国立精神保健研究所[NIMH]の助成による)。 対象は、年齢50歳以上、うつ病の既往歴がなく新規うつ病のリスクを有する集団(1万6,657人)と、うつ病の既往歴があるが、過去2年間に治療を受けておらず、うつ病再発のリスクがある集団(1,696人)であった。 被験者は、2×2ファクトリアルデザインにより、ビタミンD3(コレカルシフェロール2,000 IU/日)+魚油を投与する群、またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。フォローアップの最終日は2017年12月31日だった。 主要アウトカムは、うつ病イベント(うつ病または臨床的に重要な抑うつ症状)のリスク(初発と再発の総数)と、長期の気分スコアの平均差とした。気分スコアは、8項目の患者健康質問票うつ病尺度(PHQ-8)で評価した(0[最小の症状]~24[最大の症状]点、スコアの変化の臨床的に意義のある最小変化量0.5点)。初発と再発にも有意な差はない 1万8,353人(平均年齢67.5[SD 7.1]歳、女性49.2%)が無作為化の対象となり、ビタミンD3群に9,181人、プラセボ群には9,172人が割り付けられた。治療期間中央値は5.3年で、90.5%が試験を完遂した(試験終了時の生存者の93.5%)。アドヒアランスは両群とも90%を超えていた。 うつ病または臨床的に重要な抑うつ症状のリスクは、ビタミンD3群(609例[12.9/1,000人年])とプラセボ群(625例[13.3/1,000人年])の間に有意な差は認められなかった(補正後ハザード比[HR]:0.97、95%信頼区間[CI]:0.87~1.09、p=0.62)。 気分スコアの経時的変化についても、5年間で両群間に有意な差はみられず(気分スコアの変化の平均群間差:0.01点、95%CI:-0.04~0.05、p=0.72)、フォローアップ期間中のすべての評価時点で有意差はなかった。 初発うつ病(ビタミンD3群459例[10.7/1,000人年]vs.プラセボ群461例[10.8/1,000人年]、HR:0.99、95%CI:0.87~1.13)および再発うつ病(150例[37.6/1,000人年]vs.164例[39.3/1,000人年]、0.95、0.76~1.19)にも、両群間に有意な差はみられなかった。 著者は、「これらの知見は、成人のうつ病の予防におけるビタミンD3の使用を支持しない」としている。

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入院を契機にADLが低下した患者の処方薬見直し【うまくいく!処方提案プラクティス】第22回

 今回は、入院を契機にADLが低下し、それまでの服用薬を見直した事例を紹介します。患者さんの生活様式が変わることでそれまで必要だった薬剤が不要になるケースもありますので、処方薬を点検して、現在の状態と処方薬の必要性が合致しているかを確認しましょう。患者情報90歳、女性(施設入居)基礎疾患:心房細動、高血圧、骨粗鬆症訪問診療の間隔:2週間に1回副作用歴:エドキサバン服用による歯茎と鼻出血のため服用中止処方内容1.エルデカルシトールカプセル0.75μg 1カプセル 分1 朝食後2.テルミサルタン錠40mg 1錠 分1 朝食後3.アムロジピン錠5mg 1錠 分1 朝食後4.アレンドロン酸錠35mg 1錠 分1 起床時 週1回土曜日5.スボレキサント錠15mg 1錠 分1 夕食後6.酸化マグネシウム錠330mg 1錠 分1 夕食後7.経腸成分栄養剤(2−2)液 750mL 分3 朝昼夕食後(入院中の新規開始薬)本症例のポイント患者さんは施設入居中に急性巣状腎炎と細菌性誤嚥性肺炎を発症し、入院することになりました。入院前は車いすで生活していたものの、トイレや食事も自分で行っていましたが、入院中はほぼベッド上で過ごし、トイレや食事介助が必要になるなどADLが低下しました。また、食事摂取が進まず、嚥下機能も低下したため、末梢静脈栄養が行われましたが、退院に向けた内服への切り替えとして経腸成分栄養剤(2−2)液が開始されました。退院後の訪問診療の同行の際に気になる点がいくつかあったため、まとめることにしました。1.嚥下機能低下により錠剤の服用が困難嚥下機能が低下し、錠剤の服用が困難となりました。とくにアレンドロン酸錠を起床時に上体を起こして飲むことが難しく、無理な服用から食道潰瘍のリスクにもつながる懸念がありました。注射薬への変更、もしくは骨折リスクが低いようであれば中止を提案することにしました。なお、ビスホスホネート製剤を中止した場合、活性型ビタミンD3製剤単独での治療効果も限定的であることから両剤とも中止が望ましいと考えました。2.降圧薬の服用により低血圧に入院前の血圧は、おおむね収縮期/拡張期:130〜140/70〜80で推移していましたが、ADL低下に伴い食事摂取がほとんどなくなり、血圧の低下がありました。このまま服用を続けると低血圧を起こして転倒のリスクもあるため、降圧薬の中止が妥当と判断しました。3.日中の傾眠からスボレキサントを変更スボレキサントは湿度と光の影響を受けるため粉砕不可ですので、代替薬を考えることにしました。また、看護師より日中の傾眠が強くて食事摂取が安定しないので、もう少しマイルドな薬に変更できないかという相談もありました。そこで、睡眠−覚醒リズムの改善と昼夜のメリハリ、夜間睡眠に加えて朝や日中の症状改善効果のあるラメルテオン錠を粉砕して対応することを検討しました。処方提案と経過訪問診療同行時に、医師に上記3点について口頭で相談したところ、内服薬を少なくすることで誤嚥のリスクも減らすことができるから夕食後の薬のみにまとめよう、と了承を得ました。降圧薬に関しては、食事摂取量が安定してきたところで再度血圧評価をして、再開についてはそこで再検討することになりました。内服薬変更後の血圧推移は、収縮期/拡張期:120〜130/70〜80の幅で推移しており、夜間の中途覚醒や入眠障害などもなく経過しました。食事摂取量は、経腸成分栄養剤(2−2)液を70〜80%ほど摂れるようになってきました。現在、引き続き食事摂取量や血圧推移、内服薬の服用状況をモニタリングしています。Avenell A, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2014;2014:CD000227.Reid IR, et al. Lancet. 2014;383:146-155. 矢吹拓 編. 薬の上手な出し方&やめ方. 医学書院;2020.

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パチシラン継続投与でTTR型FAPの症状が改善/アルナイラム

 アルナイラム社は、欧州神経学会バーチャル会議2020でトランスサイレチン(TTR)型家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)のRNAi治療薬パチシラン(商品名:オンパットロ)の国際共同試験の長期結果と同所性肝移植後に病状が進行した患者を対象とした治療の中間データを発表した。 TTR型家族性アミロイドポリニューロパチーは、TTR遺伝子の変異が原因で生じる進行性の難治性疾患で、患者数は全世界で約5万人と推定される。障害発生率と死亡率はきわめて高く、診断からの生存期間の中央値は4.7年、心筋症を発症した患者では3.4年とさらに短くなる。 オープンラベル継続投与(OLE)国際共同試験では、パチシランを24ヵ月間継続および追加投与したところ、ポリニューロパチーの症状およびQOLの改善が維持されたことが報告された。2020年3月の時点で、OLE国際共同試験に継続登録された13例の患者は6年以上パチシランによる治療を継続し、RNAi治療の臨床経験としては最長の結果が得られているという。 また、同所性肝移植後の患者を対象とした試験の中間データでは、これら患者団においてもTTRノックダウンが示され、パチシラン治療が広範な患者にベネフィットをもたらす可能性が示唆された。24ヵ月継続でニューロパチーの進行を抑止 現在進行中のパチシランの長期有効性および安全性を評価するOLE国際共同試験は、適格とされた患者(n=211)で行われており、パチシランを42ヵ月間継続投与された患者では、補正神経障害スコアが+7(mNIS+7)スコアおよびNorfolk QOL-糖尿病性ニューロパチー(QOL-DN)スコアともに低下するなど、第III相試験のベースラインと比較してニューロパチー障害およびQOLの改善が維持された。また、第III相試験でプラセボ投与後に、OLE試験でパチシランを24ヵ月間投与された患者では、ニューロパチーの進行に対する顕著な抑止効果とQOLの改善が認められた。同所性肝移植後に病状が進行した患者でも血清TTR値を低下 欧州で行われている同所性肝移植(OLT)後に病状が進行したTTR型家族性アミロイドポリニューロパチー患者を対象にしたパチシランの安全性、有効性、および薬物動態(PK)を評価する第IIIb相オープンラベル試験の中間解析データも発表された。この試験は、OLT後に疾患進行した(多発神経障害性能力障害[PND]スコアに基づく)23例の患者に、パチシラン点滴静注(0.3mg/kg)を3週間ごとに投与したもの。パチシラン投与3週間後の血清TTR値のベースラインからの平均低下率は81.9%だった。中間安全性解析時(2019年12月9日時点のカットオフ)のパチシランの安全性プロファイルは、第III相試験で認められ、報告された安全性プロファイルと一貫していた。OLT 後のパチシラン投与の安全性、有効性、およびPKは、進行中の本試験で引き続き検討されるという。パチシランの特徴 パチシランは、遺伝性ATTRアミロイドーシスを適応として承認されたRNAi治療薬で、わが国ではTTR型家族性アミロイドポリニューロパチーを適応症に承認されている。同治療薬は、原因となるTTRを標的とし、TTRメッセンジャーRNAを分解し、TTRタンパク質が作られる前にその産生を阻害するように設計されている。肝臓でのTTRの産生を阻害し、体内組織でのTTRの蓄積を減少させることで、本疾患に伴うポリニューロパチーの進行を停止または遅延させる働きを持つ。 点滴薬のため潮紅、背部痛、悪心などのインフュージョン・リアクションが認められ、副作用としては上気道感染などが報告されているほか、治療ではビタミンAの補充も推奨されている。

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がん患者が過剰摂取しやすいサプリメントは?

 多くのがん患者は、がん診断後に栄養補助食品を使い始める傾向にある。そのため、がんではない人と比べ、どのような栄養補助食品が、がんサバイバーの総栄養摂取量に寄与しているかを検証する必要がある。今回、米国・タフツ大学のMengxi Du氏らは「がんではない人と比較した結果、がんサバイバーへの栄養補助食品の普及率は高く、使用量も多い。しかし、食品からの栄養摂取量は少ない」ことを明らかにした。研究者らは、「がんサバイバーは食品からの栄養摂取が不十分である。栄養補助食品の短期~長期的使用による健康への影響について、とくに高用量の摂取では、がんサバイバー間でさらに評価する必要がある」としている。Journal of Nutrition誌オンライン版2020年2月26日号掲載の報告。 研究者らは、がんサバイバーの総栄養摂取量のうち栄養補助食品から摂取されている栄養素を調べ、がんではない人との総栄養摂取量を比較する目的で、2003~16年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した成人がんサバイバー2,772人と、がんではない3万1,310人を調査。栄養補助食品の普及率、用量および使用理由について評価した。 主な結果は以下のとおり。・がんサバイバーとがんではない人の栄養補助食品の普及率は70.4% vs.51.2%と、がんサバイバーで高かった。同じく、マルチビタミン/ミネラルの普及率は48.9% vs.36.6%で、ビタミン系11種類、ミネラル系8種類の使用の多さが報告された。・全体的に、がんサバイバーは栄養補助食品からの栄養摂取量が有意に多く、大部分の栄養素は食品からは取れていなかった。・がんサバイバーは、がんではない人と比較して食品からの栄養摂取量が少ないため、葉酸、ビタミンB6、ナイアシン、カルシウム、銅、リンの摂取量が不十分な人の割合が高かった(総栄養摂取量<平均必要量[EAR:Estimated Average Requirement]または栄養所要量[AI:Adequate Intake])。・その一方で、がんサバイバーはビタミンD、ビタミンB6、ナイアシン、カルシウム、マグネシウムおよび亜鉛を栄養補助食品から多く取っていることから、これらを過剰摂取(総栄養摂取量≧許容上限摂取量[UL:tolerable upper intake level])している割合も高かった。・栄養補助食品を摂取するほぼ半数(46.1%)は、管理栄養士・栄養士に相談せずに独自に摂取していた。

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静注鉄剤による鉄欠乏性貧血治療、IIM vs.FCM/JAMA

 経口鉄剤に不耐・不応の鉄欠乏性貧血患者における静注鉄剤による治療では、iron isomaltoside(IIM、現在はferric derisomaltoseと呼ばれる)はカルボキシマルトース第二鉄(FCM)と比較して、低リン血症の発生が少ないことが、米国・デューク大学のMyles Wolf氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年2月4日号に掲載された。静注鉄剤は、鉄欠乏性貧血の迅速な改善を可能にするが、これらの製剤は線維芽細胞増殖因子23(FGF23)に関連する低リン血症を誘発する場合があるという。静注鉄剤であるIIMとFCMとで無作為化試験 研究グループは、静注鉄剤であるIIMとFCMとで、低リン血症のリスクおよびミネラル骨恒常性のバイオマーカーへの影響を比較する目的で、2つの同一デザインの非盲検無作為化臨床試験を行った(Pharmacosmosなどの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、鉄欠乏性貧血(ヘモグロビン値≦11g/dL、血清フェリチン値≦100ng/mL)で、経口鉄剤が1ヵ月以上不耐または不応の患者であった。腎機能低下例は除外された。 被験者は、IIM(1,000mg、1回[Day0])またはFCM(750mg、2回[Day0、7])を静注投与する群に無作為に割り付けられた。Day0、1、7、8、14、21、35に、血清リン濃度とミネラル骨恒常性のバイオマーカーの評価が行われた。 主要エンドポイントは、ベースラインから35日までの期間における低リン血症(血清リン濃度<2.0mg/dL)の発生とした。静注鉄剤の低リン血症の発生率はIIMがFCMに比べ低かった 2017年10月~2018年6月の期間に、米国の30施設で245例(試験A:123例[平均年齢45.1歳、女性95.9%]、試験B:122例[42.6歳、94.1%])が登録された。試験A(治療完遂率 95.1%)では、IIM群に62例、FCM群には61例が、試験B(同93.4%)では両群に61例ずつが割り付けられた。 2つの静注鉄剤の試験を合わせた35日の時点での低リン血症の発生率は、IIM群がFCM群に比べ低かった。試験AではIIM群が7.9%、FCM群は75.0%(補正後発生率の群間差:-67.0%、95%信頼区間[CI]:-77.4~-51.5、p<0.001)であり、試験Bではそれぞれ8.1%および73.7%(-65.8%、-76.6~-49.8、p<0.001)であった。 静注鉄剤による血清リン濃度は、ベースライン以降のすべての測定日において、IIM群に比べFCM群で低値であった(p<0.001)。尿中リン排泄分画は、試験期間を通じて、IIM群に比べFCM群で高く、Day14が最も高値であった(p<0.001)。 生物学的活性を有するintact FGF23の平均値は、FCM群では46.2pg/mLから151.2pg/mLに上昇し、Day8(2回目の投与[Day7]の24時間後)に頂値(343.6pg/mL)に達した後に漸減したが、すべての測定日でIIM群よりも有意に高かった(p<0.001)。また、C末端FGF23の濃度は、両群とも投与から24時間以内に低下したが、Day8~21には、FCM群がIIM群に比べ再上昇した(p<0.001)。 活性型の1,25-ジヒドロキシビタミンDは、両群とも低下したが、FCM群のほうが低下の程度が大きく、試験期間を通じて一貫していた(p<0.001)。また、非活性型の24,25-ジヒドロキシビタミンDは、Day7以降、IIM群よりもFCM群で有意に増加した(p<0.001)。 静注鉄剤による有害事象の頻度は、IIM群よりもFCM群で高かった(試験A:7/63例[11.1%]vs.27/60例[45.0%]、試験B:14/62例[22.6%]vs.28/57例[49.1%])。また、副甲状腺ホルモン上昇(IIM群3.2% vs.FCM群5.1%)、頭痛(3.2% vs.4.3%)、悪心(0.8% vs.6.8%)の頻度が高かった。 著者は、「これらの知見の臨床的重要性を評価するために、さらなる検討を要する」としている。

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ビタミンDとオメガ3脂肪酸は糖尿病性腎臓病の進展を抑制しない(解説:住谷哲氏)-1183

 ビタミンDまたはオメガ3脂肪酸が健常人の心血管イベントやがんの発症を抑制するか否かを検討した大規模無作為化試験VITALの結果はすでに報告されているが、残念ながらビタミンDおよびオメガ3脂肪酸の両者ともに心血管イベントもがんも抑制しなかった1,2)。本試験はこのVITALに組み込まれた糖尿病患者を対象としたsupplementary trial VITAL-DKDであり、主要評価項目は治療開始5年後のeGFRの低下である。 この試験の背景には動物実験でビタミンDの投与が(1)レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を抑制する、(2)腎臓での炎症および線維化を抑制する、(3)ポドサイトのアポトーシスを抑制する、(4)アルブミン尿および糸球体硬化の程度を軽減すること、ならびにオメガ3脂肪酸が抗炎症作用および抗血栓作用を有することがある。また多くの観察研究において血中25(OH)D3濃度低値、少ない魚摂取量、血中オメガ3脂肪酸濃度低値がアルブミン尿の程度およびeGFRの低下と相関することが報告されている。つまり動物実験と観察研究の結果からは、ビタミンDまたはオメガ3脂肪酸の投与による糖尿病性腎臓病の進展抑制の可能性が示唆されたことになる。 2×2要因デザインを用いてビタミンD3(2,000 IU/日)またはオメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸:1g/日)が投与された。主要評価項目である5年後のeGFRの低下はビタミンD3投与群、オメガ3脂肪酸投与群および両者の投与群とプラセボ群との間に有意な差は認められなかった。また副次評価項目である臨床的腎アウトカム(eGFRの40%以上の低下、腎不全、死亡からなる複合アウトカム)ならびに尿アルブミンについてもプラセボ群との間に有意差を認めなかった。 ビタミンDならびにオメガ3脂肪酸をサプリメントとして服用している糖尿病患者は少なくないと思われる。本試験の結果から考えると、糖尿病患者がこれらのサプリメントを摂取しても糖尿病性腎臓病進展の予防効果は期待できないだろう。やはりサプリメントに頼らず、エビデンスに基づいた治療と健康的な食生活とを目指すのが賢明だろう。

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第23回 意識しよう 免疫力を高めるビタミンDの食材一覧表【実践型!食事指導スライド】

第23回 意識しよう 免疫力を高めるビタミンDの食材一覧表医療者向けワンポイント解説ビタミンDは、紫外線(日光)を浴びることにより、皮膚で合成されるビタミンとしても有名です。しかし、皮膚合成だけでは不十分であるため、食事からの摂取が見直されつつあります。厚生労働省は、5年ごとに改定する「日本人の食事摂取基準」2020年版において、ビタミンDについても変更を加えています。ビタミンDの指標設定については、「骨折リスクを上昇させないビタミンDの必要量に基づき目安量を設定」とされ、2015年度に比べると18歳以上の男女ともに5.5μg/日から8.5μg/日に変更されています。ビタミンDの欠乏や不足におけるリスクは、くる病や骨軟化症のなどが有名ですが、ほかにも骨粗鬆症、感染症、自己免疫、炎症性疾患、心血管病変、がんなどが報告されています。また、ビタミンDは、自然免疫系を増強させ、獲得免疫系の制御をすると考えられ、風邪、インフルエンザ、肺炎など呼吸器感染症の予防が期待されています。また、ビタミンDの不足は糖尿病のリスクを高めるという報告もあります。しかし、糖尿病に関しては、「2型糖尿病の高リスク者に対して、ビタミンD補充をしても、リスクは低下しなかった」という報告*もあり、糖尿病に対して、ビタミンDを摂取すれば良いという考え方ではなく、日常の体づくりに対しての摂取を考えていくべきかもしれません。ビタミンDを食事から摂取しようとする場合、食材は限られており、多く含まれるのは、「魚」「きのこ類」「たまご」です。100gあたりのビタミンD量を比較すると、乾燥きくらげが圧倒的に多く85.4μgです。しかし、実際に1度の食事で摂取できる量は3g程度であり、ビタミンDに換算すると約2.6μgです。そのほか、きのこ類では、舞茸に多く含まれ、大きなパック1個分(100g)で約4.9μgとなります。魚では、サケなどが摂りやすく33μg/100gであり、切り身1枚(80g)程度でも約26.4μgと目安量を簡単に摂取することが可能です。しらす干しは大さじ1杯(5g)で約3μgのビタミンDが摂取できます。魚やきのこは嗜好や食生活の環境によって摂取量が左右されるため、毎日意識をして摂取することがカギとなります。*:Pittas AG, et al. N Engl J Med. 2019;381:520-530.

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海洋由来オメガ3脂肪酸と大腸がん予防効果/JAMA Oncol

 オメガ3脂肪酸には植物由来と海洋由来があるが、本稿は海洋由来オメガ3脂肪酸の話題。米国・ハーバード公衆衛生大学院のMingyang Song氏らは、「Vitamin D and Omega-3 Trial:VITAL試験」で事前に設定された補助的研究において、海洋由来オメガ3脂肪酸(1日1g)の摂取は大腸がん前がん病変リスクの減少と関連しないことを明らかにした。ただし副次解析で、ベースラインのオメガ3濃度が低い参加者やアフリカ系米国人に関しては有益性を示す結果がみられ、筆者は、これらの対象についてはサプリメントの有益性についてさらなる調査が必要であると述べている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年11月21日号掲載の報告。 研究グループは2011年11月~2014年3月に、がんおよび心血管疾患の既往がない米国の一般集団2万5,871例(うちアフリカ系米国人5,106例)を登録し、海洋由来オメガ3脂肪酸1g/日(エイコサペンタエン酸[EPA]460mgとドコサヘキサエン酸[DHA]380mgを含む)およびビタミンD3(2,000 IU/日)を投与する群と、プラセボ群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、大腸の通常型腺腫(管状腺腫、管状絨毛腺腫、絨毛性腺腫および高度異形成腺腫など)または鋸歯状病変(serrated polyp:SP)(過形成性ポリープ、鋸歯状腺腫およびsessile serrated polypなど)のリスクとした。追跡調査のアンケートでポリープの診断を受けたと報告した参加者(ポリープサブグループ)については、内視鏡および病理学的記録にて診断を確認。ロジスティック回帰分析を用い、年齢、性別、ビタミンD3治療群および内視鏡検査の使用について補正後、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・投与群とプラセボ群で患者背景は類似していた。女性50.6%、50.5%、黒人19.7%、19.8%、平均年齢は67.2歳、67.1歳。・介入は予定どおり2017年12月31日に終了。追跡期間中央値5.3年において、通常型腺腫が投与群294例、対照群301例(多変量OR:0.98、95%CI:0.83~1.15)、鋸歯状病変がそれぞれ174例、167例(OR:1.05、95%CI:0.84~1.29)が記録された。・ポリープサブグループにおいて、大きさ、位置、多発性または組織型で関連はなかった。・副次解析において、ベースラインの血漿中オメガ3指数が低い参加者で、海洋由来オメガ3脂肪酸の投与が通常型腺腫のリスク低下と関連していた(OR:0.76、95%CI:0.57~1.02、オメガ3指数による相互作用のp=0.03)。・サプリメントによる有益性は、アフリカ系米国人集団で示されたが(OR:0.59、95%CI:0.35~1.00)、他の人種/民族集団ではみられなかった(相互作用のp=0.11)。

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2型DMの腎機能維持、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の効果は?/JAMA

 2型糖尿病患者において、ビタミンD3あるいはオメガ3脂肪酸の補給は、プラセボと比較し、5年時の推定糸球体濾過量(eGFR)のベースラインからの変化に有意差は認められないことが示された。米国・ワシントン大学のIan H. de Boer氏らが、「Vitamin D and Omega-3 Trial:VITAL試験」の補助的研究として実施した2×2要因デザイン無作為化臨床試験の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「腎機能維持のためのビタミンDまたはオメガ3脂肪酸サプリメントの使用は支持されないことが示された」と述べている。慢性腎臓病(CKD)は2型糖尿病でよくみられる合併症で、末期腎不全につながり心血管高リスクと関連があるが、2型糖尿病でCKDを予防できる治療はほとんどないとされている。JAMA誌オンライン版2019年11月19日号掲載の報告。約1,300例で、ビタミンD3とオメガ3脂肪酸の有効性をeGFRの変化で評価 研究グループは、2011年11月~2014年3月の期間に全米50州から募集した2型糖尿病患者1,312例を、ビタミンD3(2,000 IU/日)+オメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸:1g/日)群370例、ビタミンD3(+プラセボ)群333例、オメガ3脂肪酸(+プラセボ)群289例、プラセボ群320例のいずれかに無作為に割り付け、5年間毎日投与した。 主要評価項目は、血清クレアチニンとシスタチンCから算出したeGFRのベースラインから5年時までの変化とした。5年後のeGFR変化量、プラセボと有意差なし 無作為化された1,312例(平均年齢67.6歳、女性46%)のうち、934例(71%)が試験を完遂した。ベースラインのeGFRは85.8(SD 22.1)mL/分/1.73m2であった。 5年時におけるeGFRのベースラインからの平均変化は、ビタミンD3群で-12.3mL/分/1.73m2(95%信頼区間[CI]:-13.4~-11.2)、対するプラセボ群で-13.1mL/分/1.73m2(95%CI:-14.2~-11.9)(群間差:0.9mL/分/1.73m2、95%CI:-0.7~2.5)であった。同様に、オメガ3脂肪酸群で-12.2mL/分/1.73m2(95%CI:-13.3~-11.1)、プラセボ群で-13.1mL/分/1.73m2(95%CI:-14.2~-12.0)(群間差:0.9mL/分/1.73m2、95%CI:-0.7~2.6)であり、2つの介入に有意な相互作用は確認されなかった。 有害事象は、腎結石が58例(ビタミンD3群32例、プラセボ群26例)、消化管出血が45例(オメガ3脂肪酸群28例、プラセボ群17例)発生した。

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12週間ごとに投与する新規乾癬治療薬「スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL」【下平博士のDIノート】第34回

12週間ごとに投与する新規乾癬治療薬「スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL」 今回は、ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤「リサンキズマブ(商品名:スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL)」を紹介します。本剤は、初回および4週時の後は12週ごとに皮下投与する薬剤です。少ない投与頻度で治療効果を発揮し、長期間持続するため、中等症から重症の乾癬患者のアンメットニーズを満たす薬剤として期待されています。<効能・効果>本剤は、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の適応で、2019年3月26日に承認され、2019年5月24日に発売されています。<用法・用量>通常、成人にはリサンキズマブとして、1回150mgを初回、4週後、以降12週間隔で皮下投与します。なお、患者の状態に応じて1回75mgを投与することができます。<副作用>尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の患者を対象とした国内外の臨床試験(国際共同試験3件、国内試験2件:n=1,228)で報告された全副作用は219例(17.8%)でした。主な副作用は、ウイルス性上気道感染27例(2.2%)、注射部位紅斑15例(1.2%)、上気道感染14例(1.1%)、頭痛12例(1.0%)、上咽頭炎10例(0.8%)、そう痒症9例(0.7%)、口腔ヘルペス8例(0.7%)などでした。150mg投与群と75mg投与群の間に安全性プロファイルの違いは認められていません。なお、重大な副作用として、敗血症、骨髄炎、腎盂腎炎、細菌性髄膜炎などの重篤な感染症(0.7%)、アナフィラキシーなどの重篤な過敏症(0.1%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、乾癬の原因となるIL-23の働きを抑えることで、皮膚の炎症などの症状を改善します。2.体内の免疫機能の一部を弱めるため、ウイルスや細菌などによる感染症にかかりやすくなります。感染症が疑われる症状(発熱、寒気、体がだるい、など)が現れた場合には、速やかに医師に連絡してください。3.この薬を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹、風疹、麻疹・風疹混合、水痘、おたふく風邪など)の接種はできないので、接種の必要がある場合には医師に相談してください。4.入浴時に体をゴシゴシ洗ったり、熱い湯船につかったりすると、皮膚に過度の刺激が加わって症状が悪化することがありますので避けてください。5.風邪などの感染症にかからないように、日頃からうがいと手洗いを心掛け、体調管理に気を付けましょう。インフルエンザ予防のため、流行前にインフルエンザワクチンを打つのも有用です。<Shimo's eyes>乾癬の治療として、以前より副腎皮質ステロイドあるいはビタミンD3誘導体の外用療法、光線療法、または内服のシクロスポリン、エトレチナートなどによる全身療法が行われています。近年では、多くの生物学的製剤が開発され、既存治療で効果不十分な場合や難治性の場合、痛みが激しくQOLが低下している場合などで広く使用されるようになりました。現在発売されている生物学的製剤は、本剤と標的が同じグセルクマブ(商品名:トレムフィア)のほか、抗TNFα抗体のアダリムマブ(同:ヒュミラ)およびインフリキシマブ(同:レミケード)、抗IL-12/23p40抗体のウステキヌマブ(同:ステラーラ)、抗IL-17A抗体のセクキヌマブ(同:コセンティクス)およびイキセキズマブ(同:トルツ)、抗IL-17受容体A抗体のブロダルマブ(同:ルミセフ)などがあります。また、2017年には経口薬のPDE4阻害薬アプレミラスト(同:オテズラ)も新薬として加わりました。治療の選択肢は大幅に広がり、乾癬はいまやコントロール可能な疾患になりつつあります。本剤の安全性に関しては、ほかの生物学的製剤と同様に、結核の既往歴や感染症に注意する必要があります。本剤の投与は基本的に医療機関で行われると想定できますので、薬局では併用薬などの聞き取りや、生活指導で患者さんをフォローしましょう。本剤は、初回および4週後に投与し、その後は12週ごとに投与します。国内で承認されている乾癬治療薬では最も投与間隔が長い薬剤の1つとなります。通院までの間の体調を記録する「体調管理ノート」や、次回の通院予定日をLINEの通知で受け取れる「通院アラーム」などのサービスの活用を薦めるとよいでしょう。参考日本皮膚科学会 乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2019年版)アッヴィ スキリージ Weekly 体調管理ノート

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(膿疱性)乾癬〔(pustular) psoriasis〕

1 疾患概要■ 概念・定義表皮角化細胞の増殖あるいは角質の剥離障害によって、角質肥厚を主な病態とする疾患群を角化症という。なかでも炎症所見の顕著な角化症、つまり潮紅(赤くなること)と角化の両者を併せ持つ角化症を炎症性角化症と称するが、乾癬はその代表的疾患である1)。乾癬は、遺伝的要因と環境要因を背景として免疫系が活性化され、その活性化された免疫系によって刺激された表皮角化細胞が、創傷治癒過程に起こるのと同様な過増殖(regenerative hyperplasia)を示すことによって引き起こされる慢性炎症性疾患である2)。■ 分類1)尋常性(局面型)乾癬最も一般的な病型で、単に「乾癬」といえば通常この尋常性(局面型)乾癬を意味する(本稿でも同様)。わが国では尋常性乾癬と呼称するのが一般的であるが、欧米では局面型乾癬と呼称されることが多い。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の75.9%を占める3)。2)関節症性乾癬尋常性(局面型)乾癬患者に乾癬特有の関節炎(乾癬性関節炎)が合併した場合、わが国では関節症性乾癬と呼称する。しかし、この病名はわかりにくいとの指摘があり、今後は皮疹としての病名と関節炎としての病名を別個に使い分けていく方向になると考えられるが、保険病名としては現在でも「関節症性乾癬」が使用されている。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の14.6%を占める3)。3)滴状乾癬溶連菌性上気道炎などをきっかけとして、急性の経過で全身に1cm程度までの角化性紅斑が播種状に生じる。このため、急性滴状乾癬と呼ぶこともある。小児や若年者に多く、数ヵ月程度で軽快する一過性の経過であることが多い。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の3.7%を占める3)。4)乾癬性紅皮症全身の皮膚(体表面積の90%以上)にわたり潮紅と鱗屑がみられる状態を紅皮症と呼称するが、乾癬の皮疹が全身に拡大し紅皮症を呈した状態である。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の1.7%を占める3)。5)膿疱性乾癬わが国では単に「膿疱性乾癬」といえば汎発性膿疱性乾癬(膿疱性乾癬[汎発型])を意味する(本稿でも同様)。希少疾患であり、厚生労働省が定める指定難病に含まれる。急激な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する重症型である。尋常性(局面型)乾癬患者が発症することもあれば、本病型のみの発症のこともある。妊娠時に発症する尋常性(局面型)乾癬を伴わない本症を、とくに疱疹状膿痂疹と呼ぶ。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の2.2%を占める3)。■ 疫学世界的にみると乾癬の罹患率は人口の約3%で、世界全体で約1億2,500万人の患者がいると推計されている4)。人種別ではアジア・アフリカ系統よりも、ヨーロッパ系統に多い疾患であることが知られている4)。わが国での罹患率は、必ずしも明確ではないが、0.1%程度とされている5)。その一方で、健康保険のデータベースを用いた研究では0.34%と推計されている。よって、日本人ではヨーロッパ系統の10分の1程度の頻度であり、それゆえ、国内での一般的な疾患認知度が低くなっている。世界的にみると男女差はほとんどないとされるが、日本乾癬学会の調査ではわが国での男女比は2:16)、健康保険のデータベースを用いた研究では1.44:15)と報告されており、男性に多い傾向がある。わが国における平均発症年齢は38.5歳であり、男女別では男性39.5歳、女性36.4歳と報告されている6)。発症年齢のピークは男性が50歳代で、女性では20歳代と50歳代にピークがみられる6)。家族歴はわが国では5%程度みられる6,7)。乾癬は、心血管疾患、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪肝、うつ病の合併が多いことが知られており、乾癬とこれらの併存疾患がお互いに影響を及ぼし合っていると考えられている。膿疱性乾癬に関しては、現在2,000人強の指定難病の登録患者が存在し、毎年約80人が新しく登録されている。尋常性(局面型)乾癬とは異なり男女差はなく、発症年齢のピークは男性では30~39歳と50~69歳の2つ、女性も25~34歳と50~64歳の2つのピークがある8)。■ 病因乾癬は基本的にはT細胞依存性の免疫疾患である。とくに、細胞外寄生菌や真菌に対する防御に重要な役割を果たすとされるTh17系反応の過剰な活性化が起こり、IL-17をはじめとするさまざまなサイトカインにより表皮角化細胞が活性化されて、特徴的な臨床像を形成すると考えられている。臓器特異的自己免疫疾患との考え方が根強くあるが、明確な証明はされておらず、遺伝的要因と環境要因の両者が関与して発症すると考えられている。遺伝的要因としてはHLA-C*06:02(HLA-Cw6)と尋常性(局面型)乾癬発症リスク上昇との関連が有名であるが、日本人では保有者が非常に少ないとされる。また、特定の薬剤(βブロッカー、リチウム、抗マラリア薬など)が、乾癬の誘発あるいは悪化因子となることが知られている。膿疱性乾癬に関しては長らく原因不明の疾患であったが、近年特定の遺伝子変異と本疾患発症の関係が注目されている。とくに尋常性(局面型)乾癬を伴わない膿疱性乾癬の多くはIL-36受容体拮抗因子をコードするIL36RN遺伝子の機能喪失変異によるIL-36の過剰な作用が原因であることがわかってきた9)。また、尋常性(局面型)乾癬を伴う膿疱性乾癬の一部では、ケラチノサイト特異的NF-κB促進因子であるCaspase recruitment domain family、member 14(CARD14)をコードするCARD14遺伝子の機能獲得変異が発症に関わっていることがわかってきた9)。その他、AP1S3、SERPINA3、MPOなどの遺伝子変異と膿疱性乾癬発症とのかかわりが報告されている。■ 症状乾癬では銀白色の厚い鱗屑を付着する境界明瞭な類円形の紅斑局面が四肢(とくに伸側)・体幹・頭部を中心に出現する(図1)。皮疹のない部分に物理的刺激を加えることで新たに皮疹が誘発されることをKoebner現象といい、乾癬でしばしばみられる。肘頭部、膝蓋部などが皮疹の好発部位であるのは、このためと考えられている。また、3分の1程度の頻度で爪病変を生じる。図1 尋常性乾癬の臨床像画像を拡大する乾癬性関節炎を合併すると、末梢関節炎(関節リウマチと異なりDIP関節が好発部位)、指趾炎(1つあるいは複数の指趾全体の腫脹)、体軸関節炎、付着部炎(アキレス腱付着部、足底筋膜部、膝蓋腱部、上腕骨外側上顆部)、腱滑膜炎などが起こる。放置すると不可逆的な関節破壊が生じる可能性がある。膿疱性乾癬では、急激な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する8)(図2)。膿疱が融合して環状・連環状配列をとり、時に膿海を形成する。爪病変、頬粘膜病変や地図状舌などの口腔内病変がみられる。しばしば全身の浮腫、関節痛を伴い、時に結膜炎、虹彩炎、ぶどう膜炎などの眼症状、まれに呼吸不全、循環不全や腎不全を併発することがある10)。図2 膿疱性乾癬の臨床像画像を拡大する■ 予後乾癬自体は、通常生命予後には影響を及ぼさないと考えられている。しかし、海外の研究では重症乾癬患者は寿命が約6年短いとの報告がある11)。これは、乾癬という皮膚疾患そのものではなく、前述の心血管疾患などの併存症が原因と考えられている。乾癬性関節炎を合併すると、前述のとおり不可逆的な関節変形を来すことがあり、患者QOLを大きく損なう。膿疱性乾癬は、前述のとおり呼吸不全、循環不全や腎不全を併発することがあり、生命の危険を伴うことのある病型である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)多くの場合、先に述べた臨床症状から診断可能である。症状が典型的でなかったり、下記の鑑別診断と迷う際は、生検による病理組織学的な検索や血液検査などが必要となる。乾癬の臨床的鑑別診断としては、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、亜鉛欠乏性皮膚炎、ジベルばら色粃糠疹、扁平苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、類乾癬、菌状息肉症(皮膚T細胞リンパ腫)、ボーエン病、乳房外パジェット病、亜急性皮膚エリテマトーデス、皮膚サルコイド、白癬、梅毒、尋常性狼瘡、皮膚疣状結核が挙げられる。膿疱性乾癬に関しては、わが国では診断基準が定められており、それに従って診断を行う8)。病理組織学的にKogoj海綿状膿疱を特徴とする好中球性角層下膿疱を証明することが診断基準の1つにあり、診断上は生検が必須検査になる。また、とくに急性期に検査上、白血球増多、CRP上昇、低蛋白血症、低カルシウム血症などがしばしばみられるため、適宜血液検査や画像検査を行う。膿疱性乾癬の鑑別診断としては、掌蹠膿疱症、角層下膿疱症、膿疱型薬疹(acute generalized exanthematous pustulosisを含む)などがある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)外用療法副腎皮質ステロイド、活性型ビタミンD3製剤が主に使用される。両者を混合した配合剤も発売されている。2)光線療法(内服、外用、Bath)PUVA療法、311~312nmナローバンドUVB療法、ターゲット型308nmエキシマライトなどが使用される。3)内服療法エトレチナート(ビタミンA類似物質)、シクロスポリン、アプレミラスト(PDE4阻害薬)、メトトレキサート、ウパダシチニブ(JAK1阻害薬)、デュークラバシチニブ(TYK2阻害薬)が乾癬に対し保険適用を有する。ただし、ウパダシチニブは関節症性乾癬のみに承認されている。4)生物学的製剤抗TNF-α抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル)、抗IL-12/23p40抗体(ウステキヌマブ)、抗IL-17A抗体(セクキヌマブ、イキセキズマブ)、抗IL-17A/F抗体(ビメキズマブ)、抗IL-17受容体A抗体(ブロダルマブ)、抗IL-23p19抗体(グセルクマブ、リサンキズマブ、チルドラキズマブ)、抗IL-36受容体抗体(スペソリマブ)が乾癬領域で保険適用を有する。中でも、スペソリマブは「膿疱性乾癬における急性症状の改善」のみを効能・効果としている膿疱性乾癬に特化した薬剤である。また、多数の生物学的製剤が承認されているが、小児適応(6歳以上)を有するのはセクキヌマブのみである。5)顆粒球単球吸着除去療法膿疱性乾癬および関節症性乾癬に対して保険適用を有する。4 今後の展望抗IL-17A/F抗体であるビメキズマブは、現時点では尋常性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬に承認されているが、関節症性乾癬に対する治験が進行中(2022年11月現在)である。将来的には関節症性乾癬にもビメキズマブが使用できるようになる可能性がある。膿疱性乾癬に特化した薬剤であるスペソリマブ(抗IL-36受容体抗体)は静注製剤であり、現時点では「膿疱性乾癬における急性症状の改善」のみを効能・効果としている。しかし、フレア(急性増悪)の予防を目的とした皮下注製剤の開発が行われており、その治験が進行中(2022年11月現在)である。将来的には急性期および維持期の治療をスペソリマブで一貫して行えるようになる可能性がある。乾癬は慢性炎症性疾患であり、近年は生物学的製剤を中心に非常に効果の高い薬剤が多数出てきたものの、治癒は難しいと考えられてきた。しかし、最近では生物学的製剤使用後にtreatment freeの状態で長期寛解が得られる例もあることが注目されており、単に皮疹を改善するだけでなく、疾患の長期寛解あるいは治癒について議論されるようになっている。将来的にはそれらが可能になることが期待される。5 主たる診療科皮膚科、膠原病・リウマチ内科、整形外科(基本的にはすべての病型を皮膚科で診療するが、関節症状がある場合は膠原病・リウマチ内科や整形外科との連携が必要になることがある)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 膿疱性乾癬(汎発型)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本皮膚科学会作成「膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン2014年度版」(現在、日本皮膚科学会が新しい乾癬性関節炎の診療ガイドラインを作成中であり、近い将来に公表されるものと思われる。一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報日本乾癬患者連合会(疾患啓発活動、勉強会、交流会をはじめとしてさまざまな活動を行っている。都道府県単位の患者会も多数存在し、本会のwebサイトから検索できる。また、都道府県単位の患者会では、専門医師を招いての勉強会や相談会を実施しているところもある)1)藤田英樹. 日大医誌. 2017;76:31-35.2)Krueger JG, et al. Ann Rheum Dis. 2005;64:ii30-36.3)藤田英樹. 乾癬患者統計.第32回日本乾癬学会学術大会. 2017;東京.4)Gupta R, et al. Curr Dermatol Rep. 2014;3:61-78.5)Kubota K, et al. BMJ Open. 2015;5:e006450.6)Takahashi H, et al. J Dermatol. 2011;38:1125-1129.7)Kawada A, et al. J Dermatol Sci. 2003;31:59-64.8)照井正ほか. 日皮会誌. 2015;125:2211-2257.9)杉浦一充. Pharma Medica. 2015;33:19-22.10)難病情報センターwebサイト.11)Abuabara K, et al. Br J Dermatol. 2010;163:586-592.公開履歴初回2019年9月24日更新2022年12月22日

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