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EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

 米国・オークランド小児病院のRhonda P. Patrick氏らは、注意欠如・多動症、双極性障害、統合失調症などセロトニンが関与している脳機能障害患者では、ビタミンDおよび海洋性ω-3脂肪酸すなわちエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)のレベルがいずれも不十分であり、これらを適切に摂取することが脳機能障害の悪化を抑制・調節する可能性を報告した。FASEB Journal誌オンライン版2015年2月24日号の掲載報告。ビタミンDおよびEPAとDHAによる脳機能の調節メカニズムを提示 セロトニンは多岐にわたる脳機能と働きに関わっている。本報告では、セロトニンが実行機能、感覚ゲーティングおよび社会行動を制御していること、そして注意欠如・多動症、双極性障害、統合失調症、衝動的行動のすべてにおいて、これら脳機能の欠陥が共通して認められるというこれまでの知見を概括した。 概要は以下のとおり。・これらの脳障害において、ω-3脂肪酸とビタミンDの補給が認知機能と行動を改善する理由はいまだ解明されていない。・ビタミンDおよび2つの海洋性ω-3脂肪酸すなわちEPAとDHAによる、脳内のセロトニン合成や放出そして脳機能の調節メカニズムを提示する。・脳内セロトニンは、ビタミンDホルモンにより転写活性化される酵素、トリプトファンヒドロキシラーゼ2を介してトリプトファンから合成される。・脳障害患者では、ビタミンD(集団の~70%にみられる)レベルおよびω-3脂肪酸すなわちEPAとDHAレベルが不十分という所見が共通して認められ、これは脳内セロトニンの合成が最適でないことを示唆している。・著者らは、プロスタグランジンE2の減少に伴いEPAがシナプス前ニューロンからのセロトニン放出の増加を促し、シナプス後ニューロンにおける細胞膜透過性増大に伴いDHAがセロトニン受容体活性に影響を与えるというメカニズムを提案した。・発症の重要な過程においてビタミンD、EPA、DHAが不十分であることは、遺伝因子とも相まって、セロトニン活性および機能の障害へとつながり、神経精神疾患やうつ病の発症機序に寄与している可能性があった。・ビタミンDと海洋性ω-3脂肪酸すなわちEPAとDHAを適切に摂取することが脳機能障害の悪化を抑制・調節する可能性を示していた。関連医療ニュースうつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」統合失調症、ビタミンD補充で寛解は期待できるかEPA/DHAはADHD様行動を改善する可能性あり

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疾病負担大きい疾病の研究が必ずしも活発ではない/BMJ

 英国・オックスフォード大学のConnor A Emdin氏らは、世界疾病負担(global burden of disease)と無作為化試験との関連について分析した。その結果、同負担と試験数との関連は弱いことなどを報告した。以前の検討では、特定の疾病の同負担と試験のアウトプットおよび低所得地域との間で中程度の関連があることが示唆されていた。しかし、低所得地域の人々が影響を受ける疾病に向けられる研究投資は多くはない。そこで研究グループは、無作為化試験の発表件数と世界疾病負担とに関連性がみられるかどうか、また、負担に比して研究調査が少ない特定の疾病があるかどうか、さらに無作為化試験のアウトプットと世界疾病負担の関連について、高所得地域および低所得地域別に説明可能であるかについて分析を行った。BMJ誌オンライン版2015年1月28日号掲載の報告より。239傷病の無作為化試験数、被験者数と疾病負担との関連を調査 検討は断面調査手法にて、PubMedに2012年12月に発表され2013年11月17日までにインデックスが付されていた、すべての無作為化試験の主要報告を対象に行った。 主要評価項目は、239傷病それぞれに関する無作為化試験数、無作為化された被験者数とした。 レビューで特定した無作為化試験の各アウトカムを、総障害調整生命年(DALY)カテゴリーで分類して(世界疾病負担分類法)、各疾病の全体的な負担を評価した。また多変量回帰分析法を用いて高所得地域vs. 低所得地域のDALY比を算出して高所得地域住民に配慮した疾病の試験のほうが多いかどうかを評価した。高所得地域vs. 低所得地域の試験数格差は7倍弱だが、疾病ごとのばらつきは26% レビューによりアブストラクト4,190件、プライマリな無作為化試験1,351件が特定された。そのうち1,097件を、世界疾病負担分類法で層別化し検討した。 単回帰および多変量回帰モデルを用いたいずれの分析でも、各疾病の総DALYは無作為化試験数および被験者数の有意な予測因子であることは示唆されたが(p<0.001)、その関連性は単回帰分析において弱いことが示された(各Spearman'sのr=0.35、r=0.33)。 負担が低所得地域に多い疾病の試験数(/100万DALY)は、高所得地域に多い疾病の試験数に比べて約7分の1だった。しかし疾病ごとにみた試験数のばらつき(総DALYと高所得地域vs. 低所得地域のDALY比でみた)は26%であった。 また、高所得地域で多い頚部痛、糸球体腎炎などの疾病の無作為化試験数は、低所得地域で多い疾病(ビタミンA欠乏症など)と比べて少なかった。 以上を踏まえて著者は、「全体として、世界疾病負担と無作為化試験数の関連は弱いものであった。研究に対する世界的な観察により、無作為化試験のアウトプットと世界疾病負担との不一致について監視をし、これを減らすことが必要である」とまとめている。

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統合失調症、ビタミンD補充で寛解は期待できるか

 ビタミンD欠乏症は、統合失調症の発症に関与する病因の1つである。多くの統合失調症研究において、血清ビタミンD値が低い症例が報告されているが、疾患活動性と血清ビタミンD値との関連性は明らかになっていなかった。トルコ・Ankara Numune Egitim ve Arastirma HastanesiのRabia Nazik Yuksel氏らは、統合失調症とビタミンD欠乏症との関連を明らかにするため、寛解期および急性期の統合失調症患者の血清ビタミンDレベルを健常対照と比較検討した。その結果、急性期統合失調症患者の血清ビタミンD値は、寛解期の患者および健常対照に比べ有意に低いことを報告し、急性期統合失調症とビタミンD欠乏との関連を示唆した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2014年12月号の掲載報告。 研究グループは、疾患活動性の異なる2つの統合失調症グループの総ビタミンD量を比較し、血清総ビタミンD値と疾患活動性の関係を調べた。検討は、寛解期、急性期の統合失調症患者、および年齢と性別でマッチした重大な精神症状を認めない対照例を対象に行われた。疾患活動性は、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度)およびCGI-S(臨床全般印象・重症度尺度)を用いて評価し、年齢、性別、民族、体重、肌の色、日光曝露時間、栄養評価が網羅された人口統計データを使用した。すべての患者および対照者から血液標本を採取し、総ビタミンD(D2+D3)、カルシウム(Ca)、リン(P)、副甲状腺ホルモン(PTH)値を測定した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、寛解期統合失調症患者41例、急性期統合失調症患者40例、健常対照40例であった。・急性期患者のビタミンD値(中央値7.18)は、寛解期患者(同15.03)および健常対照(同15.02)に比べ、有意に低かった(p<0.001)。・ビタミンD値とCGIスコア(r=-0.624、p<0.001)、ビタミンD値とPANNSスコア(r=-0.508、p<0.001)の間に中等度の逆相関が認められた。・各群間で、血清P値、Ca値、PTH値について有意な差は認められなかった(それぞれp=0.099、p=0.943、p=0.762) 。・1週間当たりの日光曝露時間、肌の色、民族、栄養状態による、総ビタミンD値への有意な影響はみられなかった。・ビタミンD合成に関連する重要な因子に相違は認められなかったが、寛解期の患者と比べて急性期の患者では深刻なビタミンD欠乏症が認められ、寛解期の患者と有意な違いを認めた。・ビタミンD欠乏症は急性期エピソードの結果なのか、あるいは原因なのか? 本研究結果から、経路は不明ながら、ビタミンD欠乏症と統合失調症が相互に影響を及ぼし合っている可能性が示唆された。・現時点のデータでは、ゲノムレベルでの影響の可能性を指摘するにとどまった。・今後、臨床試験による長期フォローアップにより、これらの関係を調べることができると思われた。とくに、長期に治療を継続している統合失調症患者の血清ビタミンD値の状況が期待される。・ビタミンDを豊富に含むサプリメントおよび食事を加味した、適切な治療を考慮すべきと思われた。関連医療ニュース ビタミンD欠乏で統合失調症発症リスクが2倍に 統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学 ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか

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【医療ニュース トップ100】2014年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?

今年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心の高かった論文は何だったのでしょう? ここでは、アクセス数の多いものから100本を紹介します。 1位 日本男性の勃起硬度はアレと関連していた (2014/11/13) 2位 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 (2014/1/7) 3位 子供はよく遊ばせておいたほうがよい (2014/3/28) 4位 思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet (2014/1/27) 5位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 6位 メロンでかゆくなる主要アレルゲンを確認 (2014/4/15) 7位 新たな輸液プロトコル、造影剤誘発急性腎障害の予防に有効/Lancet (2014/6/9) 8位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 9位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 10位 スタチンと糖尿病リスク増大の関連判明/Lancet (2014/10/9) 11位 スルピリドをいま一度評価する (2014/5/16) 12位 米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA (2014/4/16) 13位 インフルエンザワクチン接種、無針注射器の時代に?/Lancet (2014/6/16) 14位 新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet (2013/12/25) 15位 アルコール依存症、薬物治療の減酒効果は?/JAMA (2014/5/29) 16位 SGLT2阻害薬「トホグリフロジン」の日本人への効果 (2014/2/28) 17位 大人のリンゴ病 4つの主要パターン (2014/7/29) 18位 脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet (2014/11/12) 19位 ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM (2014/9/8) 20位 アルツハイマーに有用な生薬はコレ (2014/11/14) 21位 塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM (2014/8/25) 22位 スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA (2014/4/14) 23位 食後血糖によい食事パターンは?(低脂肪vs低炭水化物vs地中海式) (2014/3/27) 24位 成人ADHDをどう見極める (2014/5/21) 25位 各種ダイエット法の減量効果/JAMA (2014/9/16) 26位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 27位 腰痛持ち女性、望ましい性交体位は? (2014/11/21) 28位 ロマンチックな恋愛は幸せか (2014/3/26) 29位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 30位 下肢静脈瘤、ベストな治療法は?/NEJM (2014/10/10) 31位 せん妄管理における各抗精神病薬の違いは (2014/9/18) 32位 降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA (2014/9/11) 33位 深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ (2014/3/20) 34位 StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404) (2014/2/26) 35位 たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる (2014/2/21) 36位 スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ (2014/8/7) 37位 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 (2014/8/29) 38位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 39位 統合失調症患者の突然死、その主な原因は (2014/4/18) 40位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 41位 帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ (2014/5/26) 42位 慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは? (2014/7/1) 43位 女性の顔の肝斑、なぜ起きる? (2014/5/8) 44位 DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet (2014/7/30) 45位 駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?/NEJM (2014/4/23) 46位 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は (2014/10/30) 47位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 48位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 49位 世界中で急拡大 「デング熱」の最新知見 (2014/10/17) 50位 円形脱毛症とビタミンDに深い関連あり (2014/4/10) 51位 不眠の薬物療法を減らすには (2014/7/23) 52位 オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認 (2014/11/6) 53位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 54位 ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM (2014/10/15) 55位 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット (2014/3/17) 56位 COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か (2014/1/13) 57位 座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか (2014/5/12) 58位 PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet (2014/8/22) 59位 気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ (2014/3/17) 60位 血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet (2014/6/19) 61位 マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ (2014/2/21) 62位 機能性便秘へのプロバイオティクスの効果 (2014/8/14) 63位 超高齢の大腸がん患者に手術は有用か:国内での検討 (2014/2/14) 64位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 65位 乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet (2014/3/31) 66位 75歳以上でのマンモグラフィ検診は有効か (2014/8/11) 67位 大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA (2014/1/23) 68位 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも (2014/5/13) 69位 食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ (2014/4/28) 70位 心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet (2014/9/19) 71位 薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet (2014/3/24) 72位 ピロリ除菌、糖尿病だと失敗リスク2倍超 (2014/8/21) 73位 認知症にスタチンは有用か (2014/7/25) 74位 RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ (2014/11/20) 75位 腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet (2014/8/6) 76位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 77位 うつになったら、休むべきか働き続けるべきか (2014/9/16) 78位 英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ (2014/10/1) 79位 総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA (2014/7/21) 80位 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン (2014/10/8) 81位 前立腺がん、全摘vs.放射線療法/BMJ (2014/3/10) 82位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 83位 高力価スタチンが糖尿病発症リスクを増大させる/BMJ (2014/6/16) 84位 乳がんの病理学的完全奏効は代替エンドポイントとして不適/Lancet (2014/2/27) 85位 Na摂取増による血圧上昇、高血圧・高齢者で大/NEJM (2014/8/28) 86位 抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か (2014/8/15) 87位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 88位 肩こりは頚椎X線で“みえる”のか (2014/3/19) 89位 地中海式ダイエットと糖尿病予防 (2014/4/7) 90位 閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM (2014/6/26) 91位 揚げ物は肥満遺伝子を活性化する?/BMJ (2014/4/3) 92位 6.5時間未満の睡眠で糖尿病リスク上昇 (2014/9/4) 93位 セロトニン症候群の発現メカニズムが判明 (2014/3/14) 94位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 95位 肥満→腰痛のメカニズムの一部が明らかに (2014/8/8) 96位 低炭水化物食 vs 低脂肪食 (2014/8/7) 97位 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは (2014/3/21) 98位 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか (2014/7/2) 99位 血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet (2014/8/20) 100位 小児BCG接種、結核感染を2割予防/BMJ (2014/8/21) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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抗精神病薬の代謝への影響、男性でとくに注意

 統合失調症における一炭素代謝(OCM)の異常は、これまでに繰り返し報告されている。しかし、統合失調症に対する抗精神病薬によるOCMへの選択的な影響を検討した研究は不足しているうえに、得られた結果に一貫性がなかった。ポーランド・ヴロツワフ医科大学のBlazej Misiak氏らは、初回エピソード統合失調症患者を対象とし、第二世代抗精神病薬(SGA)が血清総ホモシステイン(tHcy)、葉酸、ビタミンB12、リポ蛋白および血糖値に及ぼす影響を検討した。その結果、SGA投与後、BMI、血清総コレステロール(TC)、LDLコレステロール(LDL-C)、トリグリセライド(TG)およびtHcy濃度は有意に高値を示し、葉酸とビタミンB12濃度は有意に低値を示すこと、とくに男性において注意が必要であることを報告した。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2014年10月8日号の掲載報告。 本研究では、初回エピソード統合失調症患者39例を登録し、ベースライン時およびオランザピンやリスペリドンを単独で用いたSGA治療12週後の、血清tHcy、葉酸、ビタミンB12、リポ蛋白および血糖値を測定し評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療12週後、すべての患者でBMI、血清中TC、LDL-C、TGおよびtHcy濃度は有意に高値を示し、葉酸とビタミンB12値は有意に低値を示した。・SGA間の相違を解析したところ、オランザピン投与患者は全集団と同様の生化学的変動がみられたが、リスペリドン投与患者では血清中葉酸、ビタミンB12およびTG値に統計学的に有意な変化はみられなかった。・オランザピン投与患者はリスペリドン投与患者と比較して、BMI、TCが有意に高値を示した。・オランザピン投与患者はリスペリドン投与患者と比較して、ビタミンB12値が有意に低値を示した。・葉酸、ビタミンB12、tHcyおよびTC値の変動は、Bonferroni調整後、男性においてのみ有意であった。・多変量回帰解析により、tHcy値の変動は性別、ベースライン時の代謝パラメータ(BMI、血糖値、TC、LDLおよびHDL)に関連し、投与したSGAには関連しないことが明らかとなった。・とくに男性の初回エピソード統合失調症では、SGAがOCMに影響を及ぼす可能性があると考えられた。関連医療ニュース ビタミンD欠乏で統合失調症発症リスクが2倍に 日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 どの向精神病薬で有害事象報告が多いのか  担当者へのご意見箱はこちら

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ビタミンD欠乏患者への高用量VD3、効果みられず/JAMA

 ICU入室のビタミンD欠乏(20ng/mL以下)重病患者に対し、高用量ビタミンD3の投与はプラセボと比較して、入院期間、院内死亡率または6ヵ月死亡率を低減しなかったことが明らかにされた。オーストリア・グラーツ医科大学のKarin Amrein氏らが無作為化試験「VITdAL-ICU」の結果、報告した。12ng/mL以下の重度ビタミンD欠乏患者では、院内死亡率の低下がみられたが、この所見については、さらなる検討を要するものではないと著者は結論している。重病患者のビタミンD値低下は死亡率、罹患率増大に結び付くが、因果関係があるのかについては明らかにされていなかった。JAMA誌2014年10月15日号掲載の報告より。ビタミンD欠乏重症例へ、ビタミンD3vs. プラセボ VITdAL-ICUは無作為化二重盲検プラセボ対照の単施設試験で、ICU入室患者に対する、ビタミンD値の回復と正常値維持を目的としたビタミンD3投与レジメンがベネフィットをもたらすのかについて、6ヵ月間にわたって検討された。2010年5月~2012年9月に5施設のICUで行われ、被験者は、白人成人でビタミンD欠乏(20ng/mL以下)の重病患者492例であった。 249例がビタミンD3投与群に、243例がプラセボ投与群に割り付けられ、経口または鼻腔栄養チューブで、54万IU1回投与を受けた後、月に1回9万IUの投与を5ヵ月間にわたって受けた。 主要アウトカムは、入院期間であった。副次アウトカムは、ICU入室期間、7日時点でビタミンD値が30ng/mL超となった患者の割合、院内死亡率、6ヵ月死亡率などであった。なお、重度ビタミンD欠乏(12ng/mL以下)群についてのサブグループ解析が事前規定されていた。入院期間、院内死亡率、6ヵ月死亡率、有意差なし 最終解析には475例が組み込まれた(ビタミンD3群237例、プラセボ群238例)。 結果、入院期間の中央値(IQR)について両群で有意差はみられなかった(20.1日vs. 19.3日、p=0.98)。また、院内死亡率(28.3%vs. 35.3%、ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間:0.58~1.11、p=0.18)、6ヵ月死亡率(35.0%vs. 42.9%、HR:0.78、同:0.58~1.04、p=0.09)についても、有意差はみられなかった。 重度ビタミンD欠乏群のサブグループ解析(200例)では、入院期間の両群間の有意差はみられなかった(20.1日vs. 19.0日)が、院内死亡率は、ビタミンD3群のほうが有意な低下がみられた(28/98例[28.6%]vs. 47/102例[46.1%]、HR:0.56、95%CI:0.35~0.90、相互作用p=0.04)。しかし、6ヵ月死亡率の有意差は認められなかった(34.7%vs. 50.0%、HR:0.60、95%CI:0.39~0.93、相互作用p=0.12)。

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HARP-2試験:期待されていたスタチン、空振り(解説:倉原 優 氏)-262

スタチンがARDSの発症リスクを下げるのではないかと唱える研究者も少なからずいる。そのため、現在も世界各国でスタチンの研究が行われている。 スタチンが持つ抗炎症作用が注目され、数年前からあらゆる疾患においてトピックになった1)。 たとえば、私は呼吸器内科医でありCOPDを多数診療するが、COPD急性増悪の予防にも有効ではないかと考える医師も多かった。私が記憶する限りは、COPDの世界では5~6年前からスタチンが取り上げられる機会が増えてきた2)。分野を問わず、ビタミンDとスタチンの論文をやたら目にするようになったのだ。しかしながら、スタチンにはCOPD急性増悪を予防するパワーがないことがその後判明した3)。 そして、同時期に報告されたARDSに対するロスバスタチンのSAILS試験。この試験の結果も同様で、ロスバスタチンは敗血症に関連したARDSの予後を改善しなかった4)。 これらのNew England Journal of Medicine の臨床試験は、スタチンの抗炎症作用がCOPDやARDSに効く可能性があるとした複数の試験の結果をしっかりと検証することが目的だった。そのため、New England Journal of Medicineは論説の中で、世間で取り沙汰されているトピックが本当に正しいかどうか確認するために必要な試験だったと述べている5)。 今回のHARP-2試験も大方の予想通りの結果で、シンバスタチンは臨床アウトカムの改善をもたらさないことが明らかになった。ゆえに、現時点ではARDSに対するスタチンのルーチンの投与には臨床的な利益はないと考えられる。これでARDSに対するスタチンの過熱もいったんは収束するだろうか。

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UV曝露によるビタミンD値の高さ、季節差は?

 地方で暮らす人はUV曝露を過度に受け、皮膚がんリスクを増大する可能性がある。デンマーク・ビスペビヤ病院のM. Bodeker氏らは前向きコホート試験にて、農家の家族(屋外労働者の夫、屋内労働者の妻および子供)について、UV曝露を測定し、ビタミンD値を夏の終わりと同年の冬に測定した。結果、概してUV曝露は高かったが、冬場のビタミンD値は推奨値以下であったという。今回の結果について著者は、「UV曝露の違いは、ビタミンD値の違いに結びつかなかった」と述べている。Photochemical & Photobiological Sciences誌オンライン版2014年9月23日号の掲載報告。 ビタミンD産生がUVBに依存することから、若干の太陽光を浴びることが推奨されている。 研究グループはUV曝露とビタミンD値の関連について、UV曝露が高いと思われる農村部住民(屋外労働者の農夫、その屋内労働者の妻および子供)を対象に検討を行った。 2009年夏の間、各人のUV曝露と天気の動向について、線量計測と日記により記録。夏の終わりと同年冬にビタミンD値を測定した。 主な結果は以下のとおり。・リスク行動(肩/上半身の太陽光曝露)、海水浴、日焼け止め使用、日焼けの頻度は、いずれも低かった。・農夫と子供は、UV曝露値の最高日が仕事日においてであった(いずれも1.5 SED/日)。・仕事日でない日のUV曝露も、高値であった(最高2.0 SED/日)。・農夫、子供(男女児とも)は、妻と比べて慢性的にUV曝露を受けていた。妻はより間欠的にUV曝露を受けていた。・一方で、ビタミンD値は家族間で差はみられなかった。・夏の終わりにおいて、ビタミンD値が不足していた人は16%であり、冬場は61%であった。・いくつかのUV曝露変数は、ビタミンD値と明らかに相関していたが、関連性は弱かった。

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ビタミンD欠乏で統合失調症発症リスクが2倍に

 統合失調症はビタミンD欠乏と強く関連していることが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果、明らかにされた。統合失調症患者の65.3%でビタミンD欠乏が認められること、ビタミンD欠乏例はビタミンD充足例と比較して統合失調症である可能性が2.16倍高かったことを、イラン・エスファハーン医科大学のGhazaleh Valipour氏らが報告した。これまでに観察研究においてビタミンDの状態と統合失調症との関連が検討されているが、包括的なメタ解析は把握されていなかった。Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌オンライン版2014年7月22日号の掲載報告。 研究グループは、観察研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、血清ビタミンD濃度と統合失調症に関連する適用可能なデータをまとめた。2013年10月までに発表されたすべての公表記事をPubMed、ISI(Web of science)、SCOPUSおよびGoogle Scholarを用いて系統的に検索。統合失調症患者の血清ビタミンD濃度を測定した観察研究すべてについてシステマティックレビューを行った。除外基準を考慮した結果、19件の研究についてシステマティックレビューを行い、(1)25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]の平均濃度(13件)、(2)ビタミンD欠乏の頻度(8件)、(3)オッズ比(8件)の3つのメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者とコントロール群における血清25(OH)D平均濃度の差は、-5.91ng/mL(95%信頼区間[CI]:-10.68~-1.14)であった。サブグループ解析の結果、入院状況、研究の質、研究の場所は試験間の不均一性に関連していなかった。しかし、25-ヒドロキシビタミンD3 vs 25(OH)Dを評価したバイオマーカーの種類は不均一性にある程度関連していた。・統合失調症患者におけるビタミンD欠乏頻度は65.3%(95%CI:46.4~84.2%)であった。・ビタミンD欠乏例はビタミンD充足例と比較して、統合失調症である可能性が2.16倍(95%CI:1.32~3.56)高かった。不均一性を示すエビデンスは認められなかった。・結果を踏まえて著者は「今回の所見を明確にするため無作為化臨床試験が求められる」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター うつ病治療にビタミンD投与は有用か 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か  担当者へのご意見箱はこちら

190.

妊娠初期のうつ・不安へどう対処する

 うつ症状を有する妊娠中の女性について、妊娠初期に血清ビタミンD値が低いほどそのリスクが高い逆相関の関連性があることがエビデンスとして示された。また同関連は、身体活動度によって修正可能であることも示された。米国・ワシントン大学のJonathan Y. Huang氏らが報告した。Journal of Women's Health誌オンライン版2014年6月11日号の掲載報告。 本検討は、妊娠初期の血清ビタミンD値とうつ症状、不安症との関連、およびその潜在的修正因子との関連を明らかにすることを目的とし、妊婦コホート(498例)を対象に妊娠初期(平均15.4週)の血清25[OH]D値とうつ症状および不安症との関連について断面調査を行った。症状の評価は、Depression, Anxiety, and Stress Scales(DASS-21)とPatient Health Questionnaire Depression Module(PHQ-9)が用いられた。妊娠前BMI、余暇の身体活動度(LTPA)による適合・効果修正を行った回帰モデルを用い、相互作用と層別化解析にて評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・血清25[OH]D値の平均値は34.4ng/mLであった。・約12%が、「中等度」の不安症(スコア10以上)とうつ症状(スコア10以上)を有していた。・血清25[OH]D値1ng/mL低下につき、DASS-21 Anxietyスコアは0.043上昇(p=0.052)、PHQ-9は0.040上昇(p=0.029)と関連していた。・血清25[OH]D値の四分位範囲最低位(28.9ng/mL未満)群は、同最高位(39.5ng/mL以上)群よりも、PHQ-9スコアは1.11高かった(p<0.05)。・一方で、完全補正後モデルでは、関連性は弱まり統計的に有意ではなくなった。・血清25[OH]D値とうつ症状の逆相関の関連性は、LTPAを報告しなかった被験者においては有意であったが、同報告がある患者ではいずれの活動度においても有意差はみられなかった(相互作用p=0.018)。関連医療ニュース スタイルを気にしすぎる女性はうつに注意を 日本語版・産後うつ病予測尺度「PDPI-R-J」を開発 SSRIは月経前症候群の治療に有用か?  担当者へのご意見箱はこちら

191.

大腸がん診断後のカルシウム・牛乳摂取量が生存率に関連

 カルシウム、ビタミンD、乳製品の高い摂取量は大腸がん発生率の低下と関連しているが、大腸がんの生存率に及ぼす影響は不明である。米国がん協会(ACS)のBaiyu Yang氏らは、大腸がん患者において、がん診断前後のカルシウム(全体、食事由来、サプリメント)、ビタミンD(全体、食事由来)、乳製品(全体、牛乳のみ)の摂取量と、全死因死亡率および大腸がん特異的死亡率との関連を評価した。その結果、非転移性大腸がん患者では、がん診断後における総カルシウムと牛乳の高い摂取量が死亡リスクの低下に関連する可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年6月23日号に掲載。 がん予防研究II栄養コホートのうち、本研究の開始(1992年または1993年)から2009年までの間に侵襲性の非転移性大腸がんと診断された2,284例を前向きに調査した。死亡の追跡は2010年まで行った。参加者の平均年齢は開始時64歳、診断時73歳で、女性が56%であった。診断前の危険因子情報は開始時のアンケートで収集した。また、診断後の情報は1999年と2003年にアンケートで収集し、1,111人から回収した。 主な結果は以下のとおり。・参加者中949人が追跡期間中に死亡し、うち大腸がんによる死亡が408人であった。・多変量補正Cox比例ハザード回帰モデルにおいて、診断後の総カルシウム摂取量は、全死因死亡率と逆相関し(最低四分位と比べた最高四分位の相対リスク[RR] 0.72、95%CI:0.53~0.98、傾向のp=0.02)、大腸がん特異的死亡率の減少との間に有意傾向が認められた(RR 0.59、95%CI:0.33~1.05、傾向のp=0.01)。・全死因死亡率との逆相関は、診断後の牛乳摂取量でも認められた(RR 0.72、95%CI:0.55~0.94、傾向のp=0.02)。しかし、ビタミンD摂取量では認められなかった。・診断前のカルシウム、ビタミンD、乳製品の摂取量は、いずれの死亡率とも関連していなかった。

192.

ビタミンD補充でがん発症率は減少せず~メタ解析より

 これまでの観察研究で、ビタミンDは、がんの発症率に対する効果よりも死亡率に対する効果のほうが大きいことが示唆されている。しかし、ビタミンD補充に関する既存の無作為化比較試験では、1次エンドポイントががん発症率や死亡率ではなかったため、関連性の検討が限られていた。そこで、米・ハーバード大学公衆衛生学部N Keum氏らは、ビタミンD補充とすべてのがんの発症率および同死亡率の無作為化比較試験のメタ解析を行い、British Journal of Cancer誌オンライン版2014年6月10日号に報告した。 メタ解析の結果、2~7年間のビタミンD補充は、がんの発症率にはほとんど影響がなかった(400~1,100IU/日、サマリー相対危険度[RR]:1.00、95%CI:0.94~1.06、I2=0%、4試験、4,333例)。しかし一方で、がんによる死亡率を有意に減少させた(400~833IU/日、サマリーRR:0.88、95%CI:0.78~0.98、I2=0%、3試験、死亡1,190例)。 これらの結果から、2~7年間のビタミンD補充はがん死亡率への効果に限定される可能性が示唆された。

193.

喘息患者へのビタミンD3、治療失敗や増悪を改善しない/JAMA

 成人喘息患者に対するビタミンD3の投与は、ステップ1の吸入ステロイド薬治療の失敗や増悪を改善しなかったことが、米国・ワシントン大学のMario Castro氏らが行った無作為化試験VIDAの結果、示された。著者は「症候性の喘息患者に対するビタミンD3投与の治療戦略について、裏づけは得られなかった」とまとめている。喘息などの疾患において、ビタミンD不足と有害転帰との関連が示唆されている。しかし、経口ビタミンD3の摂取により、吸入ステロイド薬治療を受けているビタミンD不足の喘息患者のアウトカムが改善するかについては、明らかではなかった。JAMA誌2014年5月28日号掲載の報告より。全米9施設で、プラセボ対照試験 VIDA(Vitamin D Add-on Therapy Enhances Corticosteroid Responsiveness in Asthma)試験は、症候性喘息で、血清25ヒドロキシビタミンD値が30ng/mL未満であった成人患者を対象に、全米9施設[米国国立心肺血液研究所(NHLBI)喘息ネット関連の大学病院]で行われた無作為化二重盲検並行群間プラセボ対照試験。2011年4月から被験者の登録を開始し、吸入ステロイド薬など現行治療に関するrun-in期間後、408例が無作為化を受け、フォローアップは2014年1月に完了した。 無作為化された被験者は、吸入ステロイド薬のシクレソニド(商品名:オルベスコ)(320mg/日)+経口ビタミンD3(10万IUを1回、その後4,000 IU/日を28週間投与、201例)またはプラセボ(207例)の投与を受けた。 試験開始から12週時点で喘息コントロールを達成した患者は、シクレソニドを160mg/日とし8週間、その後もコントロールが維持された場合は80mg/日8週間に漸減した。 主要アウトカムは、喘息治療失敗初発までの期間で、肺機能低下、β2刺激薬や全身性ステロイド薬の投与、救急受診や入院で判定した。また、副次アウトカムには、増悪ほか14のアウトカムが事前に規定されていた。初回治療失敗率のハザード比は0.9、増悪は0.7 結果、28週間のビタミンD3治療は、初回治療失敗率を改善しなかった。ビタミンD3群28%(95%信頼区間[CI]:21~34%)、プラセボ群29%(同:23~35%)で、補正後ハザード比(HR)は0.9(同:0.6~1.3、p=0.54)であった。 副次アウトカムは9つの指標について分析した。そのうち増悪について、有意差はみられなかった(13%vs. 19%、HR:0.7、95%CI:0.4~1.2、p=0.21)。 唯一統計的有意差がみられたのは、コントロール維持のためのシクレソニドの全体投与量についてであり、ビタミンD3群111.3mg/日(95%CI:102.2~120.4mg/日)、プラセボ群126.2mg/日(同:117.2~135.3mg/日)で、両群差は14.9mg/日(同:2.1~27.7mg/日)とわずかであった。

194.

ビタミンDと透析患者の抑うつ症状との関連

 うつ病は、末期腎不全(ESRD)患者において最も広く知られている心理的問題である。また、うつ病とビタミンD不足との関連が示唆されていた。中国・浙江大学のJisheng Zhang氏らは、透析患者における高感度C反応性蛋白(HsCRP)値、ビタミンD値とうつ病との関連を検討した。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年4月28日号の掲載報告。 本検討では、透析患者におけるHsCRP値、ビタミンD値とうつ病との関連を前向きに検討すること、またうつ病透析患者へのビタミンD3製剤カルシトリオール投与の効果を明らかにすることを目的とした。中国南部の2病院から透析患者を登録し、中国版ベックうつ病調査表(BDI)を用いてうつ病の評価を行った。被験者は全員、夏季におけるうつレベルの評価に関するBDI質問票に回答。研究グループは、カットオフ値を16点として、非うつ病群(グループ1)とうつ病群(グループ2)に分類したうえで、両群被験者に、0.5μg/日のカルシトリオールを1年間投与した。その後、再度BDIスコアを測定した。社会人口統計学的および臨床的データや血清ビタミン値のデータも集めて分析した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、18~60歳の透析患者484例(血液透析患者382例、腹膜透析患者102例)で、うち男性は247例(51.0%)であった。・抑うつ症状が認められたのは、213例(44.0%)であった。・ベースライン時のビタミンD値(D2とD3の合計)は、17.6±7.7nmol/Lであった。・抑うつ症状がみられた患者は対照群と比較して、血清HsCRP値が有意に高く、血清ビタミンD値は有意に低かった。・追跡調査1年後、0.5ug/日のカルシトリオールの投与は、平均血清HsCRP値の低下、血清ビタミンD値の改善にみられるように微小な炎症性の状態をわずかに改善したことは示されたが、抑うつ症状を有意に改善しなかった。・以上より著者は、「カルシトリオールは、透析患者の抑うつ症状を有意に改善しなかった。一方で、血清ビタミンD値が低い透析患者では抑うつ症状がより強かったことが明らかになった」と結論している。・そのうえで、「さらなる前向き無作為化試験を行い、ビタミンD値と抑うつ症状の程度との因果関係、あるいはビタミンD値と透析患者の特定のサブタイプとの関連を明らかにすることが必要である」とまとめている。関連医療ニュース うつ病治療にビタミンD投与は有用か うつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき アルツハイマー病にビタミンD不足が関連

196.

円形脱毛症とビタミンDに深い関連あり

 円形脱毛症患者は、ビタミンD値が低いことが判明した。重症度とも関連しているという。トルコ共和国・Sisli Etfal教育研究病院のA. Aksu Cerman氏らが報告した。円形脱毛症は、炎症が毛包周辺で起きるT細胞媒介の自己免疫疾患である。一方で、近年、ビタミンD不足と種々の自己免疫疾患患者との関連が報告されており、また、毛包に関するビタミンDの効果も報告されていた。今回の結果を踏まえて著者は、円形脱毛症患者についてビタミンD値を調べることは、将来的なビタミンD補給に役立つと思われるとまとめている。 研究グループは、円形脱毛症患者におけるビタミンD値と、ビタミンD値と疾患重症度との関連について断面調査にて評価を行った。対象は、円形脱毛症患者86例、白斑患者44例、健常対照者58例であった。 被験者の血清ビタミンD値を、液体クロマトグラフィ/タンデム型質量分析により測定した。 主な結果は以下のとおり。・円形脱毛症患者群の血清25(OH)D値は、白斑患者群および健常対照者群よりも有意に低値であった(それぞれp=0.001、p<0.001)。・血清25(OH)D欠乏症患者の有病率は、円形脱毛症患者群90.7%に対し、白斑患者群70.5%(p=0.003)、健常対照者群32.8%(p<0.001)で、円形脱毛症患者群が有意に高かった。・また、円形脱毛症患者群では、疾患重症度と血清25(OH)D値に有意な逆相関の関連性が認められた(r=-0.409、p<0.001)。

197.

ビタミンD不足の成人、アトピー性皮膚炎罹患が1.5倍

 韓国の一般成人において、ビタミンD不足の人にはアトピー性皮膚炎が多くみられる傾向が判明した。ビタミンD値が十分な人と比較して約1.5倍であった。同関連は、喘息やアレルギー性鼻炎、IgE感作とのあいだではみられなかった。オーストラリア・ロイヤル・パース病院のHui Mei Cheng氏らが報告した。アレルギー性疾患におけるビタミンDの影響は明らかではなく、とくに成人アジア人について大規模住民ベースで検討された研究はなかったという。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2013年12月30日号の掲載報告。 韓国の一般成人におけるビタミンDとアレルギー性疾患との関連の評価は、断面調査にて行われた。具体的には、2008~2010年に国民健康栄養調査に参加した19歳以上の1万5,212人のデータを分析した。 交絡因子補正後血清25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]値とアレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎と、増大した総血清IgEおよびアレルゲン特異的血清IgE値を含む)との関連を、重回帰分析法を用いて比較した。 血清25(OH)D値が十分、不十分、不足であるかを、交絡因子補正後の多重ロジスティック回帰分析を用いた推定オッズ比(OR)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・交絡因子補正後、平均血清25(OH)D値は、アトピー性皮膚炎と診断されている被験者が同診断をされていない被験者よりも、有意に低値であった(平均±SE値:18.58±0.29ng/mL対19.20±0.15ng/mL、p=0.02)。・ビタミンD値が十分であった被験者と比較して、アトピー性皮膚炎の補正後ORは、不十分であった被験者(12~19.99ng/mL、OR:1.50、95%CI:1.10~2.06)、不足していた被験者(<12 ng/mL、同:1.48、1.04~2.12)で有意に高値であった(いずれもp=0.02)。・これらの関連は、他のアレルギー性疾患を有する被験者ではみられなかった。

198.

ビタミンDの補充はターゲットを絞って行うべきか(コメンテーター:細井 孝之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(150)より-

ビタミンDは「骨の健康」においてなくてはならないビタミンであるが、近年、筋肉・筋力や認知機能との関連も示唆されており、超高齢社会における注目度は上がっている。一方、ビタミンDの充足率は高くなく、日本人の少なくとも半数以上はビタミンD不足であることが推測されている。 ビタミンDの充足状況は血清中の25水酸化ビタミンD濃度を指標にして評価されるが、この測定は保険適用を受けていない。また、ビタミンD補充の効果も血清25水酸化ビタミンD濃度をもって評価することが可能であるが、さらに臨床的な効果を評価するためには骨密度、骨折発生率、筋肉量、転倒回数、生命予後などが指標になる。 本論文はこのうちの骨密度に関する効果をメタ解析の手法で検討したものである。その結果、一般住民におけるビタミンD補充の骨密度に対する効果は大腿骨近位部についてのみ認められた。とくにこの効果は、ベースラインの血清25水酸化ビタミンD濃度が低い場合に明らかであったことが示された。これらのことから、ビタミンDの補充は一般住民にあまねく補充することには疑問が呈された。 見方を変えれば、ビタミンDの補充が必要な集団を特定したうえで補充することの意義をあらためて確認すべきであると提言した、重要な論文である。

199.

ビタミンDは気管支喘息にも効果あり

 中等症から重症の気管支喘息の管理において、ビタミンDは標準治療の補助剤となることがインドのラオトゥーララム記念病院のMadhu Yadav氏らにより報告された。The Indian Journal of Pediatrics誌オンライン版2013年11月6日の掲載報告。 本研究の目的は、中等症から重症の気管支喘息を有する小児に対し、ビタミンDが標準治療の補助剤としてどのような治療的な役割を果たすのかを定義することである。 対象は、呼吸器または喘息のクリニックを受診した小児喘息の男女100例。喘息の診断は既往歴と臨床検査に基づき行い、割り付けは封筒法により無作為に行った。Global Initiative for Asthma(GINA)に基づいた治療に加え、一方のグループでは経口のビタミンD3製剤(コレカルシフェロール)60,000IU/月を6ヵ月間投与し、他方のグループでは、プラセボの粉末をオブラートに包み投与した(二重盲検)。 毎月の受診時に、重症度の変化、管理状況、最大呼気速度、ステロイドの投与量、増悪の回数、救急搬送の回数を調べた。 主な結果は以下のとおり。プラセボ投与群に比べて、ビタミンD投与群では・増悪の回数が有意に低かった(p=0.011)。・最大呼気速度が有意に増加した(p=0.000)。・ステロイドの使用と救急搬送が有意に低かった(それぞれ、p=0.013、p=0.015)。・より早期に症状が安定し、6ヵ月後の喘息重症度が有意に低下していた(p=0.016)。

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骨粗鬆症でない一般住民へのビタミンD補充/Lancet

 骨粗鬆症でない一般住民へのビタミンD補充はベネフィットが少ないことが、ニュージーランド・オークランド大学のIan R Reid氏らのシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。著者は「ビタミンD欠乏症に対する特異的なリスク因子のない一般住民は、骨粗鬆症予防目的でビタミンDを常用する必要がないことが示された」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年10月10日号掲載の報告より。一般住民に対するビタミンD補充が骨密度に及ぼす影響をメタ解析 レビューは、Web of Science、Embase、Cochrane Databaseをソースに、2012年7月8日までに公表された、ビタミンD(D3またはD2、ビタミンD代謝物は除く)の骨密度への影響について評価した無作為化試験を対象とした。試験は、異なるビタミンD含有量を比較している試験、被験者が骨粗鬆症などの代謝性骨疾患を有していない成人(平均年齢20歳超)を含む試験のみを対象とした。 主要エンドポイントは、ベースライン時からの骨密度の変化(%)。ベネフィットが示されたのは大腿骨頸部のみ 3,930試験が検索でヒットし、そのうち23試験(平均試験期間23.5ヵ月、被験者4,082例、女性92%、平均年齢59歳)が適格基準を満たし解析に組み込まれた。19試験は、主に白人集団を対象とした試験だった。 8試験・1,791例の被験者の、ベースライン時の平均血清25-ヒドロキシビタミンD値は50nmol/L未満だった。また、10試験・2,294例の被験者は、ビタミンDの1日投与量が800 IU未満だった。 各試験の骨密度の測定は、5部位(腰椎、大腿骨頸部、股関節、転子、全身、前腕)のいずれか1部位で行われていた。統計的有意差の検証試験は70種類にわたっていた。 結果、骨密度に有意なベネフィットがあることが示されていたのは6試験(うち複数部位でのベネフィットが示されていたのは1試験のみ)で、有意な有害性(全身、p≦0.05)が2試験で示され、残りの試験は有意性が示されていなかった。 部位別の解析では、大腿骨頸部でわずかなベネフィットが示された(13試験、加重平均差:0.8%、95%信頼区間[CI]:0.2~1.4、試験間の異質性:I2=67%、p<0.00027)。ただし著者は、本結果にはプラスのバイアスがかかっているとしている。同様のバイアスは股関節部位の解析においてもみられたが、同部位を含め、その他の部位ではベネフィットがあることは示されなかった。 また、良好なアウトカムを示していた5試験のうち3試験は、被験者のベースライン時の25-ヒドロキシビタミンD値が低値だった(26、29、36nmol/L)。

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