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若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき

 男子大学生を対象としたケースコントロール研究の結果、うつ病の学生は果物、マメ科植物、ナッツ・種子類、ビタミンC、βカロテン、ルテインなど抗酸化物質を含む食事の摂取が、健常人と比較して少ないことが明らかになったという。イラン・Jundishapur University of Medical SciencesのMohammad Prohan氏らが、うつ病患者にみられる酸化ストレスや炎症の亢進が食事に起因しているか否かを明らかにすることを目的に検討を行い報告した。Redox Report誌オンライン版2014年2月14日号の掲載報告。 うつ病症例における食事と血清中の抗酸化状態との関連を評価することを目的としたケースコントロール研究は、男子大学生60例(うつ病と診断された30例とマッチさせた健常対照30例)を対象に行われた。ベックうつ病自己評価尺度II(BDI-II)を用いて大うつ病性障害(MDD)の診断を行い、食事の状況については、半定量的食物摂取頻度調査票と2日間24時間の食事内容を思い出してもらうことで評価した。さらに、血清総抗酸化能(TAC)および高感度C反応性蛋白(hs-CRP)濃度を測定した。 主な結果は以下のとおり。・MDD群は対照群に比べ、果物(p<0.05)、マメ科植物(p<0.001)、ナッツ・種子類(p=0.003)、ビタミンC(p=0.005)、βカロテン(p<0.001)、ルテインおよびゼアキサンチン(p=0.006)の摂取が少なかった。・うつ病群は対照群に比べ、血清TAC濃度が低かった(p<0.05)。・血清hs-CRP濃度および食事中TACレベルに、2群間で有意差は認められなかった。・うつ病の学生は抗酸化物質を含む食事の摂取が有意に少なかったが、食事中TACおよび血清hs-CRP濃度においては健常人と有意な差は認められなかった。抗酸化物質を豊富に含む食事の摂取が、男子学生に奨励される。■関連記事日本人のうつ病予防に期待、葉酸の摂取量を増やすべき1日1杯のワインがうつ病を予防少し歩くだけでもうつ病は予防できる

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イレウスに高圧浣腸・摘便を行ってS状結腸が穿孔し死亡したケース

消化器最終判決判例時報 1050号118-124頁概要便秘と尿閉を訴えて受診した57歳男性。触診により糞石の存在を認め、糞便性イレウスと診断し、即刻入院させて用指的摘出と高圧浣腸とにより糞石の除去・排便促進に当たったが、病状は改善されなかった。翌日になり腹部膨満・激痛などの症状が発するに及んで、転医の措置を取り、転医先で即日開腹手術を受けたが、糞塊によるS状結腸圧迫壊死および穿孔に原発する汎発性腹膜炎により死亡した。詳細な経過患者情報57歳男性経過1975年4月18日10:00便秘のためおなかが張るという主訴で近医受診。初診時、便秘と尿閉による怒責で体を揺すっていた。腹部を触れてみると下腹部の真ん中から左側の方に凹凸不整の固い腫瘤が認められ、腹が少し張っており、肛門から指を入れると糞石をたくさん触れることができた。血圧は120/80mmHg、脈拍も悪い状態ではなかった。問診によると吐いたことはなかったが、排便、排ガスがなく痛みがあったことがわかり、糞便性イレウスと診断した。約1kgの糞石を摘出し、500mLの高圧浣腸を行ったところ、自力で排便がなされガスも大量に出た。腹部を触るとなお糞石がたくさん存在したが、怒責もなくなり顔色も良くなった。11:00ブドウ糖、ビタミン剤の点滴を1,500mLにより怒責は止み、一般状態が著しく改善したため、帰宅を申し出たが、なお相当量の糞石、大便が残っていることが認められたので入院となった。14:00再び怒責様の訴えがあったので、約100gの糞石を摘出し、再度500mLの高圧浣腸を行ったところ、怒責は消失し、腹部の所見は良好となり自然排尿も認められ、翌朝6:00頃までに自然排便が3回あり、夕食では大量ではないがお粥を食べた。4月19日08:00診察を行ったが前日に比べとくに変化は認められず、朝食にお粥を少量摂取したが、吐き気そのほかの症状は認められなかった。糞石を6個摘出し、腸蠕動促進剤を投与し、高圧浣腸を500mL行ったがまだ疼痛が残っており腹はぺしゃんこにならなかった。しかし、患者からは格別の訴えはなく、食事もお粥を摂取し便通も5回あった。なお1,500mLの点滴を行った。4月20日08:30診察を行ったが特別の変化はなく、午前中点滴を1,500mL行い、この日も症状の悪化もなく食事も3回とり便通も2回あった。4月21日08:30前日同様に診察を行い肛門より指を入れて摘便を行おうとしたが指の届く範囲に便はなかった。腸蠕動促進剤を投与し、高圧浣腸、点滴を行った。12:40妻が病院からの連絡で駆けつけたところ、相当苦しがっており、胃液状のものを嘔吐した。14:30担当医師は急性胃拡張の疑いがあると考え、胃ゾンデを挿入し、胃の検査をしたが異常は認めなかった。さらに腹部が従来にもまして膨満してきた。15:30担当医師は知り合いの病院へ転院を勧めたが、妻は大学病院への転院を希望して担当医師の指示に従わなかった。16:15激痛を訴えたため、鎮痛薬を注射し、大学病院の病床が確保できたという連絡があった。17:00家族の希望通り大学病院に到着後、X線室で呼吸および心停止に陥り、気管内に挿管して蘇生した。19:30大学病院で開腹手術が行われた。術中所見では、横行結腸肝屈曲部、下行結腸、S状結腸に4cm四方角多面体の糞石がぎっしり詰まり、そのため結腸の血流が悪くなってS状結腸が壊死状態となって、直径2cm大および同1cm大の穿孔が2個ずつ発生し、そこから便、あるいはそれに含まれる大腸菌などの細菌類が腹腔内へ流出したために汎発性腹膜炎を併発。4月22日17:15死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張入院初日に肛門部の糞石約1kgを指で排出しているが、その後はほとんど排出していないのだから4月18日、19日の経過によってX線撮影をしたり、手術に移行する手筈を取るべきであったのにしなかった。S状結腸に壊死を起こした患者に高圧浣腸を多用すれば、穿孔を起こすことは十分予測され、容態が変化した場合、白血球数測定などの平易な検査によって容易に判明するのにこれを施行しなかったために腸管の穿孔から汎発性腹膜炎を発症し、死亡した。容態の急変後も胃拡張が原因ではないかと疑い胃の検査をしているが、穿孔の事実をまったく発見できず、それに対する処置および適切な時期に転院が遅れたため、手術が施行されるも手遅れであった。病院側(被告)の主張X線単純撮影によっても糞石が横行結腸まで詰まっていることを確実に知ることは不可能である。また、X線単純撮影はあくまで診断の補助手段にすぎず、糞便による充塞性イレウスとの診断を得ているのだから、X線単純撮影の必要性はとくに認められない。糞が腸に詰まったための充塞性イレウスの場合、治療法としてまず高圧浣腸をかけて排便を促すことが一般的であり、成果も上がっていたのだから高圧浣腸を続けることは当然であって回数からいっても特段の問題となるものではない。また、高圧浣腸による穿孔は非常にまれであり、男性Aの場合、その治療経過からして高圧浣腸が死亡の重要な原因をなしたものとは到底考えられない。容態の急変まではイレウスの手術の絶対的適応ではなかった。そして、担当医師は容態悪化後ただちに他院に転院して手術が行えるように手筈を整えたにもかかわらず、患者の家族がその指示に従わなかったため、大学病院での手術の結果が実を結ばなかったものであり、転院の遅れについては担当医師に責任がない。裁判所の判断1.イレウスにおけるX線単純撮影では、糞石そのものは写らないものの、腸管内のガスは写るものであり、そのガスを観察することにより糞石の詰まっている部位、程度を、触診、打診、聴診に比べて、相当はっきり診断することができるため、X線単純撮影は非常に有効で、かつ実行すべき手段である2.入院時には男性Aの苦痛を取り除くことが先決であってX線撮影をする暇がなかったとしても、その後、容態が急変するまでの間に撮影することは可能であったはずである。内科的治療によって確実に病態の改善がみられたとはいえないにもかかわらず、X線撮影を怠ったためにイレウスの評価を誤り、外科的治療に踏み切らなかった、あるいはそれが可能な病院に転院させなかったために死亡したので、担当医師の過失と死亡との間に相当因果関係がある3.S状結腸の穿孔の原因については、担当医師が腸管の壊死に気づかずに高圧浣腸を行ったために発生した可能性はあるが、それ以上に高圧浣腸が明らかに穿孔の原因となったとする証拠はない4.転院については、担当医師はまったくの素人である患者の家族に重篤な病勢を十分に説明し、できるだけ速やかに転院することを強く勧告するべきであったにもかかわらず、そうした事実が認められないから、家族が転院の指示に従わなかった事実があったとしても担当医師の過失が軽減されることはない原告側合計2,650万円の請求に対し、請求通りの判決考察日常診療において、腹痛を訴える患者にはしばしば遭遇します。こうした場合、詳細な問診と診察により、ある程度診断がつくことが多いと思いますが、中には緊急手術を要するケースもあり、診断および治療に当たっては慎重な対応が要求されることはいうまでもありません。とくに、投薬のみで帰宅させた後に容態が急変した場合などは、本件のように医療過誤に発展する可能性が十分にあります。本件でも問診、触診による診断そのものは誤りではありませんでしたが、その後の治療方針を決定し、経過観察をするうえで、必要な検査が施行されていなかったことが問題となっています。確かに、患者の症状を軽減することが医師としての勤めでありますが、症状が落ち着いた時点で、原疾患の検索のために必要な検査はぜひとも行うべきであり、イレウスで4日間の入院中に一度もX線撮影を行わなかったことはけっして受け容れられることではありません。患者の検査漬けが取り沙汰されている中では、確かに過剰な検査は迎合できるものではありませんが、本件の場合、X線撮影、血算、検尿、心電図、腹部超音波検査、腹部CTなどの実施が必要であったと思われます。これらすべての検査がどの施設でも緊急にできるとは限らないので、裁判でもそこまでは言及していません。だからといって検査をしなくてもよいということにはならず、必要であれば、それらが実施できるほかの病院へ早期に紹介することが求められています。他院への転送義務については、通常、適切な時期に適切な病院へ転院させたかということが裁判では問題になります。しかし、本件のように医師が転院を勧めたにもかかわらず、家族がその指示に従わなかった場合、まったくの素人である患者および患者家族に対して、医師の勧告の方法に問題があり、過失が減じられなかったことは、医師の立場からいえば少々厳しすぎる裁定ではないかと思います。本件の充塞性イレウスとは、糞石による単純性イレウスのことですが、イレウスの中でも比較的まれな症例です。ましてやその糞石が肛門から横行結腸に至るまで詰まっていたのですから、患者は重篤な状態であったことに疑いはありません。外来や病棟でイレウスの患者を治療するにあたって重要なことは、絞扼性イレウスの患者を放置あるいは誤診して、腸管壊死に陥り、汎発性腹膜炎になった場合には、今日の医療をもってしても患者を救うことができない可能性が高いということです。近年、輸液療法の進歩とともに非絞扼性イレウスの保存的療法が広く行われるようになりましたが、治療しているイレウスが絶対に絞扼性でないという確信が持てない場合には、一刻も早く開腹手術を決断すべきです。また、非絞扼性イレウスと診断され、保存的治療で病状の増悪が認められない場合には、イレウスの自然寛解を期待して手術を見合わせることはできますが、保存的治療の限度はせいぜい1週間程度で、それ以上待ってもイレウスが自然寛解する頻度は少なく、大抵の場合手術しないと治らない原因が潜んでいると考えた方がよいと思います。消化器

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統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学

 順天堂大学の勝田 成昌氏らは、急性期統合失調症患者における末梢血のカルボニルストレスマーカー測定の意義について、横断および縦断的研究にて検討した。これまで、慢性統合失調症患者について横断研究による同検討は行われており、末梢カルボニルストレスマーカーの変化、すなわち血清ペントシジンが高値であることはカルボニルストレスが蓄積されていることを示し、またピリドキサール(ビタミンB6)が低値であることはカルボニル化合物活性の緩和を示すことが知られていた。しかし、そうした変化について縦断的な検討はされていなかった。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2014年1月21日号の掲載報告。 本検討は、日本人急性期統合失調症患者を対象に、カルボニルストレスマーカーが統合失調症の臨床経過のバイオマーカーとして有用であるかについて、横断および縦断的研究にて明らかにすることが目的であった。 主な結果は以下のとおり。・137例の患者が登録され、53例について急性期から寛解期まで経過観察した。・急性期において一部の患者(14例、10.2%)で、血清ペントシジン値が極度に高値であった。・同値は、症状の重症度とは関連していなかったが、抗精神病薬の用量総計と関連していた。・ピリドキサール値は、統合失調症では低値であり、臨床経過とともに増加がみられた。・また、同値が臨床経過とともに減少した18例は、減少値が大きいほど症状改善が乏しいことが認められた。・以上のように、一部の患者におけるペントシジン値の極端な高値は、抗精神病薬の1日服薬量が高値であることによって引き起こされた可能性があった。一方で、ピリドキサール値は統合失調症では低値であり、臨床経過とともに増加した。臨床経過中にピリドキサール値が低下した患者では、症状の改善が乏しかった。・カルボニルストレスマーカーは、統合失調症患者において治療のためのバイオマーカーとなる可能性が示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の診断・治療に期待!新たなバイオマーカー 統合失調症の発症は予測できるか、ポイントは下垂体:富山大学 統合失調症患者の再発を予測することは可能か?

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ビタミンD不足の成人、アトピー性皮膚炎罹患が1.5倍

 韓国の一般成人において、ビタミンD不足の人にはアトピー性皮膚炎が多くみられる傾向が判明した。ビタミンD値が十分な人と比較して約1.5倍であった。同関連は、喘息やアレルギー性鼻炎、IgE感作とのあいだではみられなかった。オーストラリア・ロイヤル・パース病院のHui Mei Cheng氏らが報告した。アレルギー性疾患におけるビタミンDの影響は明らかではなく、とくに成人アジア人について大規模住民ベースで検討された研究はなかったという。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2013年12月30日号の掲載報告。 韓国の一般成人におけるビタミンDとアレルギー性疾患との関連の評価は、断面調査にて行われた。具体的には、2008~2010年に国民健康栄養調査に参加した19歳以上の1万5,212人のデータを分析した。 交絡因子補正後血清25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]値とアレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎と、増大した総血清IgEおよびアレルゲン特異的血清IgE値を含む)との関連を、重回帰分析法を用いて比較した。 血清25(OH)D値が十分、不十分、不足であるかを、交絡因子補正後の多重ロジスティック回帰分析を用いた推定オッズ比(OR)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・交絡因子補正後、平均血清25(OH)D値は、アトピー性皮膚炎と診断されている被験者が同診断をされていない被験者よりも、有意に低値であった(平均±SE値:18.58±0.29ng/mL対19.20±0.15ng/mL、p=0.02)。・ビタミンD値が十分であった被験者と比較して、アトピー性皮膚炎の補正後ORは、不十分であった被験者(12~19.99ng/mL、OR:1.50、95%CI:1.10~2.06)、不足していた被験者(<12 ng/mL、同:1.48、1.04~2.12)で有意に高値であった(いずれもp=0.02)。・これらの関連は、他のアレルギー性疾患を有する被験者ではみられなかった。

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脳梗塞を正中神経麻痺と誤診したケース

整形外科最終判決判例時報 1631号100-109頁概要右手のだるさ、右手関節の背屈困難を主訴に整形外科を受診し、右正中神経麻痺と診断された47歳男性。約3ヵ月間にわたってビタミン剤投与、低周波刺激による理学療法を受けたが目立った効果はなく、やがて右顔面のしびれも顕著となったため患者は別の総合病院内科を受診した。諸検査の結果、脳梗塞と診断されたが、右手の症状は改善されずに高度の障害が残存した。詳細な経過患者情報とくに既往症のない47歳男性経過1991年11月頃右手が少しだるく感じるようになる。12月12日近所の接骨院を受診、マッサージおよび電気治療を受ける。しかし右手のだるさは改善せず、やがて右手を伸ばすことができなくなり、右手第3-第5指も動かなくなったため整形外科受診を勧められる。1992年1月6日某病院整形外科受診。症状が右手に限局していたため、正中神経麻痺と診断してビタミン剤の注射および内服を指示した。連日の通院により右手が少し動くようになり、痛みも減少したが、依然として右手のだるさ、動かしにくさは残存した。1月21日第1指、第3指の屈曲は可能であったが、伸展は不完全であり、内転もできないことが確認されたので、ビタミン剤に加えて低周波刺激による理学療法が追加された。2月右上腕から前腕にかけてしびれ感、痛みが生じる。3月6日右握力13kg、左握力41kg3月16日右顔面にしびれ感が生じ医師に申告したが、診断・治療内容に変更なし。4月8日なかなか症状が改善されないため、別の総合病院内科を受診。諸検査の結果脳梗塞が疑われたため、入院を勧められる。4月9日この時はじめて担当の整形外科担当医師は、末梢神経系の異常のみならず中枢神経系の異常を疑って頭部CTスキャンを施行。その結果、左側頭葉に脳梗塞を確認し、入院治療を勧めた。しかし前日に別の総合病院からも入院の必要性を説明されていたので患者は入院を拒否。4月14日総合病院内科に入院。右手の握力低下、右頬のしびれ、右上腕の突っ張る感じは脳梗塞(左後側頭葉)の後遺症であり、すでに慢性期となっていたのでこれ以上の改善は期待できず、抗血小板抑制剤などを内服しながら自宅でのリハビリを指示された。また、入院中に頸椎の後縦靱帯骨化症を指摘されたが、部分的なもので占拠率は低く、症候的ではないと判断された。さらに頸部MRIでは第5-第6頸椎椎間板ヘルニアを指摘されたが、手術は不要と判断された。4月24日さらに別病院に入院して脳血管撮影施行。左頸動脈の一部に狭窄が確認された。6月13日脳梗塞による右手手指の機能の著しい障害に対し、身体障害者4級の認定を受けた。当事者の主張患者側(原告)の主張初診当初から脳血管障害を疑うべき中枢性運動障害があったのに、右手のしびれ、手指のIP関節、MP関節の局所症状を正中神経麻痺と誤診したため、脳梗塞に対する早期の内科的、外科的治療のチャンスを失い、脳梗塞が治癒せずに後遺障害が残った病院側(被告)の主張当初は右手関節の背屈不能、しびれ感を主訴に受診したため正中神経麻痺と診断した。その後次第に改善傾向にあり、4月9日になってはじめて「口がしびれる」と訴えたため頭部CTスキャンを施行し脳梗塞が確認されたので、診断の遅延はない(なおカルテには3月16日に顔面のしびれが出現と記載)画像所見の脳梗塞(後側頭葉大脳皮質1.3×3.0cm三角形の病変)は、運動領野と知覚領野にまたがるほど広範囲ではないため、上肢と顔面に障害が及ぶとは考えにくい中枢性運動障害(錐体路障害)では手指のIP関節、MP関節に限局した局所症状は起こり得ない大脳皮質の脳梗塞では疼痛は起こり得ないため、顔面のしびれを訴え始める前の原告の症状(右上肢のしびれや疼痛、運動障害)は後縦靱帯骨化症もしくは椎間板ヘルニアに起因する症状である裁判所の判断各病院のカルテ記載、原告の申告内容から判断して、右上肢の障害発症は平成3年11月ないし12月であり、初診当初から中枢性運動障害であって脳血管障害を疑うべき状態であった画像所見で問題となった左後側頭葉以外に、左内包後脚にも低吸収域を疑う病変がある(患者側鑑定人の意見を採用)。各病院で撮影したMRI上左内包後脚に病変を指摘できないからといって、本件の脳梗塞が左後側頭葉の大脳皮質に生じた小さなものと即断できない。MRIの読影には読影者の経験・技量によるものが大きい中枢性運動障害(錐体路障害)によって手指のIP関節、MP関節に限局した局所症状は起こり得ないとは限らない原告が訴えた右上肢の疼痛は、脳血管障害に起因する運動障害により四肢を動かさないことによる拘縮の痛みである可能性がある以上から、たとえ被告の専門が神経内科ではなく整形外科であったとしても、脳梗塞であったことに3ヵ月も気付かず正中神経麻痺の診断ならびに治療を継続したことは、医師として軽率であったとの誹りを逃れることはできない。原告側合計6,000万円の請求に対し3,999万円の判決考察本件では(1)発症時の年齢が47歳と脳梗塞のケースとしてはやや若年齢であったこと(2)初診時の症状が右上肢だけに限局し、それも手指のIP関節、MP関節の局所症状であり正中神経麻痺でも説明可能と思われるなど、脳梗塞としては非典型的であり、診断が困難なケースであったと思います。しかし、初診から約3ヵ月もビタミン剤を投与し続けてあまり効果が得られなかったことに加えて、右顔面のしびれという新たな症状を申告したにもかかわらず担当医師は取り合わなかったことは、注意義務違反とされても仕方がないと思います。裁判でもその点に注目していて、「カルテには日付および診察した医師名以外何も記載されていないことが多く、仮に記載されていたとしてもきわめて簡潔にしか記載されていない場合が多いので、原告が訴える症状が忠実にカルテに記載されていたかどうか疑問である」とされました。つまり、カルテの記載がお粗末な点をみて「きちんと患者を診ていないではないか」という判断が優先したような印象です。ことにこの病院では5名の医師が代わる代わる診察に当たっていて、一貫して症状を追跡していた医師がいなかったことも問題を複雑にしています。この5名の医師のなかにはアルバイトの先生も含まれていたでしょうから、そのような医師にとっては、いったん「正中神経麻痺」という診断がついて毎日のようにビタミン剤の注射や理学療法を受けている患者に対し、改めて検査を追加したり症状を細かくみるといったことは省略されやすいと思います。したがって、病院側の対応が遅れたという点に関しては同情する面もありますが、やはり患者の申告にはなるべく耳を傾けるようにしないと、予期せぬ事態を招くことになると思います。一方で、裁判官の判断にも疑問点がいくつかあります。1. この患者さんは脳梗塞にもっと早く気付いていたら本当に回復の可能性があったのでしょうか?本件では左後側頭葉大脳皮質に発生した3cm程度の「脳血栓」であり、脳血管撮影では(詳細な部位は不明ですが)左頸動脈に狭窄病変が確認されたとのことです。しかも発症は急激ではなく、初診の約2ヵ月前から「少し右手がだるい」という症状で始まりました。裁判所は脳梗塞の教科書的な説明を引用して、「脳梗塞の患者は発症初期から入院させ精神的かつ身体的安静を与え、脳梗塞とそれによる脳浮腫を軽減させるための薬物療法を行うとともにリハビリを開始し、慢性期には運動療法および脳循環代謝改善薬の投与などを行わなければ運動障害などの後遺症を回避することは困難である」ため、早く脳梗塞に気付かなかったのは病院側が悪い、残った後遺障害はすべて医者の責任だ、と短絡しています。脳梗塞を数多く診察されている先生ならばすでにお気づきのことと思いますが、脳梗塞はいったん発症すると完全に元に戻るような治療法はなく、むしろ再発予防のほうに主眼がおかれると思います。本件では発症が緩徐であったために初診時にはすでに1ヵ月以上経過していたため、裁判所のいうような「脳浮腫」は初診時にはほとんど問題にはなっていなかった可能性が高いと思います。つまり、最初から脳梗塞と診断されていたとしても結果はあまり変わらなかった可能性のほうが高いということです。2. 病院側の主張を否認するためにかなり強引な論理展開をしている点たとえば、「患者が主張した「右上肢の疼痛」は脳梗塞ではおきないので、この時の症状には後縦靱帯骨化症もしくは頸椎椎間板ヘルニアによるものと考えるのが妥当である」という病院側の主張に対し、「右上肢の疼痛は、脳血管障害に起因する運動障害により四肢を動かさないことによる拘縮による痛みである」と判断しています。もちろん、脳梗塞によって高度の片麻痺が生じた患者さんであれば、拘縮による疼痛がみられることもしばしば経験されます。しかし、本件ではあくまでも「軽度の運動障害、軽度の握力低下」を来した症例ですので、関節が拘縮して救急車を呼ばなければならないような痛みが出現するとは、とても思えません(痛みに対しては心因的な要素も疑われます)。また、「画像所見の脳梗塞は運動領野と知覚領野にまたがるほど広範囲ではないため、上肢と顔面に障害が及ぶとは考えにくい」という病院側の主張を、「MRIの読影には読影者の経験・技量によるものが大きい」ことを理由に退けているのはかなり恣意的な判断といわざるを得ません。このような納得のいかない判決に対しては、医学的に反論する余地も十分にあるとは思うのですが、カルテ記載などがお粗末で患者をよくみていない点をことさら取り上げられてしまうと、「医者が悪い」という結論を覆すのは相当難しいのではないかと思います(本件は第1審で確定)。整形外科

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軽~中等度アルツハイマー病にもビタミンEが有効/JAMA

 軽度~中等度のアルツハイマー病(AD)に対するビタミンE(α-トコフェロール)の投与は、身体機能の低下を遅延する効果があることが示された。米国・ミネアポリスVAヘルスケアシステムのMaurice W. Dysken氏らが、AD患者600例超を対象に行った、二重盲検プラセボ対照並行群間無作為化臨床試験「TEAM-AD VA共同無作為化試験」の結果、報告したもので、JAMA誌2014年1月1日号で発表した。なお、ビタミンE+メマンチン投与およびメマンチン単独投与ではプラセボ群と比べて有意差はみられなかったという。これまでの研究で、中等度~重度ADに対するビタミンEの効果は示されていたが、軽度~中等度ADについては、その効果に関するエビデンスは限定的だった。被験者を4群に分け、平均2.27年追跡 研究グループは、2007年8月~2012年9月にかけて、軽度~中等度ADの患者613例を対象に試験を行った。被験者を、(1)α-トコフェロールを2,000 IU/日、(2)メマンチンを20mg/日、(3)(1)と(2)を併用、(4)プラセボをそれぞれ投与する4群に無作為化した。 主要アウトカムは、Alzheimer's Disease Cooperative Study/Activities of Daily Living (ADCS-ADL) 評価尺度(0~78点)のベースライン時からの変化だった。副次アウトカムには、認知力、神経精神医学的評価、機能評価、介護者評価などを含んだ。 追跡期間の平均値は2.27年(標準偏差:1.22)で、追跡を完了したのは、ビタミンE群140例、メマンチン群142例、ビタミンE+メマンチン群139例、プラセボ群140例だった。ビタミンE群、プラセボ群より年間19%の臨床的な進行遅延 追跡期間中のADCS-ADLスコアは、プラセボ群と比べてビタミンE群では、3.15低下(95%信頼区間[CI]:0.92~5.39、補正後p=0.03)したが、メマンチン群では、1.98低下(同:-0.24~4.20、p=0.40)にとどまった。 ビタミンE群のADCS-ADLスコアのベースライン時からの最小二乗平均差は-13.81であり、プラセボ群の-16.96に比べ有意に小さかった。この違いは、ビタミンE群ではプラセボ群に比べ、年間19%の臨床的進行の遅延、追跡期間では平均6.2ヵ月の遅延に相当した。 メマンチン群とビタミンE+メマンチン群では、ADCS-ADLスコアの減少幅に有意差はなかった。 介護者が費やした時間も、ビタミンE群が最も増加しなかった。 一方、全死亡率と安全性の解析では、感染症または寄生虫感染の重症有害事象発生についてのみ、メマンチン群(23例・31イベント)、ビタミンE+メマンチン群(31例・44イベント)が、プラセボ群(11例・13イベント)に比べ有意に高率であることが示された。 著者は、「軽度~中等度ADへのビタミンE投与は、機能低下を緩やかにし、介護者の負担を軽減するという点でベネフィットが認められることが示された」と結論している。

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胃酸分泌抑制薬によるビタミンB12欠乏症の危険性(コメンテーター:上村 直実 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(168)より-

本論文では、米国の大手保険会社に加入している330万人のデータベースを用いて、1997年~2011年にビタミンB12欠乏症の診断を受けた2万5,956例をCase群、同疾患と診断されていない者から、性・年齢および人種をマッチさせた18万4,199例をControl群として、両群におけるプロトンポンプ阻害薬(PPI)とH2ブロッカー(H2RA)の処方状況を比較検討した。 その結果、2年以上PPIの処方を受けていた者はCase群3,120例(12.0%)・Control群1万3,210例(7.2%)であり、H2RAの処方はCase群1,087例(4.2%)・Control群5,897例(3.2%)であった。 この解析から、PPIまたはH2RAを2年以上内服すると、ビタミンB12欠乏症の発症リスクが、PPIで1.65倍(95%CI:1.58~1.73)、H2RAで1.25倍(同:1.17~1.34)に増大する可能性が示唆されている。 最近、海外から大規模データベースを用いたCase-Controlやコホート研究が盛んに報告されている。大規模データベースを用いた研究の利点はサンプルサイズが大きい点であるが、逆に個々の症例に関する詳細な情報が乏しいものも散見される。本研究でも、ビタミンB12に関する血液検査の頻度がControl群に比べてCase群で多いバイアスも否定できない。また、ビタミンB12の血中濃度に影響する多くの因子を含む多変量解析も必要であろう。 したがって、本研究結果の解釈は『胃酸分泌抑制薬を長期に用いる際にはビタミンB12の欠乏症に注意するように!』が妥当と思われる。日本でもNational Data Baseが待望されているが、今後大規模データベースを用いた臨床研究を行う際には、研究デザイン、対象の取り方、方法の精度および解析方法に、細心の注意が必要である。

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統合失調症患者への抗精神病薬追加投与、うまくいくポイントは

 統合失調症に対する抗精神病薬の治療効果を妨げる要因として脂質代謝と酸化還元レギュレーションが関係する可能性が示唆されている。ノルウェー・Diakonhjemmet病院のH Bentsen氏らは、急性エピソード統合失調症患者に、抗精神病薬を追加投与する場合、ω-3脂肪酸とビタミンE+Cの両剤を追加することが安全であるという研究結果を報告した。どちらか単剤の追加からはベネフィットは得られず、血中多価不飽和脂肪酸(PUFA)値が低い患者では精神病性症状が誘発されることが示された。Translational Psychiatry誌オンライン版2013年12月17日号の掲載報告。 研究グループは、抗精神病薬にω-3脂肪酸おまたはビタミンE+C(あるいはその両方)を追加投与した場合の臨床効果について調べた。検討に当たっては、ベースライン時のPUFA値が低値の患者では、追加投与でより多くのベネフィットが得られると仮定した。 試験は、多施設共同の無作為化二重盲検プラセボ対照2×2要因配置にて、ノルウェーの精神医療施設に入院した統合失調症または関連する精神疾患を有する18~39歳の連続患者を対象に行われた。被験者には、抗精神病薬とは別に1日2回2剤ずつ、実薬またはプラセボの、EPAカプセル(2g/日)とビタミンE(364mg/日)+ビタミンC(1,000mg/日)が16週間にわたって与えられた。追加投与する薬剤により被験者は、EPAとビタミン剤いずれもプラセボ(グループ1)、EPAは実薬(グループ2)、ビタミン剤は実薬(グループ3)、両剤とも実薬(グループ4)に分類された。主要評価項目は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の総スコアとサブスケールスコアで、線形混合モデルにより分析した。 主な結果は以下のとおり。・被験者数は99例であった。そのうち97例が、ベースライン時の血中PUFA値が測定されていた。・EPAとビタミン剤が単剤追加投与されたグループ2とグループ3は、脱落者の割合が高かった。一方、両剤を追加投与したグループ4の脱落率は、両剤プラセボのグループ1と変わらなかった。・ベースライン時PUFAが低値の患者では、EPAのみ追加した場合に、PANSS総スコア(Cohen's d=0.29、p=0.03)、精神病性症状(d=0.40、p=0.003)、とくに被害妄想(d=0.48、p=0.0004)が悪化した。・また同じくPUFA低値の患者においてビタミン剤のみ追加した場合では、精神病性症状(d=0.37、p=0.005)、とくに被害妄想(d=0.47、p=0.0005)の悪化がみられた。・一方、ビタミン剤とEPAの両剤を追加した場合は、精神疾患への有害な影響の中和がみられた(相互作用のd=0.31、p=0.02)。・ベースライン時PUFAが高値の患者では、試験薬の有意な影響がPANSS尺度ではみられなかった。関連医療ニュース 日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学 うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが

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胃酸分泌抑制薬の長期服用、ビタミンB12欠乏症リスク増大/JAMA

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)やヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)の長期服用は、ビタミンB12欠乏症の発症リスクを、1.25~1.65倍に増大することが明らかになった。米国の大手保険会社・カイザーパーマネンテのJameson R. Lam氏らが、同社保険プランの加入者データを用い、ビタミンB12欠乏症の診断を受けた約2万6,000例とその対照群について行った症例対照試験の結果、報告した。結果を受けて著者は、「胃酸分泌抑制薬を処方する際は、リスクとベネフィットのバランスを考慮すべきであることが示唆された」とまとめている。JAMA誌2013年12月11日号掲載の報告より。ビタミンB12欠乏症の約2万6,000例と対照群約18万4,000例を比較 研究グループは、米国の保険プラン「北カリフォルニア・カイザーパーマネンテ」の加入者のうち、1997~2011年にビタミンB12欠乏症の診断を受けた2万5,956例について、同診断を受けなかった18万4,199例を比較する症例対照研究を行った。ビタミンB12欠乏症と、それ以前のPPI、H2RAの処方との関連について分析を行った。 分析には、薬剤処方、臨床検査、診断のそれぞれデータベースを使用した。ビタミンB12欠乏症リスク、2年以上PPI処方で1.65倍、同H2RA処方で1.25倍 その結果、ビタミンB12欠乏症と診断された人のうち、2年以上PPIの処方を受けていた人は3,120例(12.0%)、同H2RAの処方を受けていた人(PPI処方はなし)は1,087例(4.2%)だった。いずれも受けていなかった人は、2万1,749例(83.8%)だった。 一方、ビタミンB12欠乏症の診断を受けていなかった人で、2年以上PPIの処方を受けていた人は1万3,210例(7.2%)、同H2RAの処方を受けていた人は5,897例(3.2%)だった。いずれも受けていなかった人は16万5,092例(89.6%)。 2年以上PPIまたはH2RAの処方を受けていた人は、いずれもビタミンB12欠乏症リスクの増大が認められた。オッズ比は、PPI群が1.65(95%信頼区間:1.58~1.73)、H2RA群は1.25(同:1.17~1.34)だった。 また、PPIの処方が1.5錠/日超の人は、0.75錠/日未満の人に比べ同リスクが高く、オッズ比は1.95(同:1.77~2.15、p=0.007)だった。 著者は、「胃酸分泌抑制薬服用の既往および現在使用は、ビタミンB12欠乏症と有意な関連があった」と結論し、そのうえで「この結果は、胃酸分泌抑制薬の処方についてリスクとベネフィットのバランスを考慮すべきであることを示唆するものである」と述べている。

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ピーナッツを食べると長生き(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(162)より-

アーモンド、ピーナッツ、栗、クルミ、落花生などのナッツ類は、不飽和脂肪が豊富で、かつカリウム、マグネシウム、カルシウムといったミネラル、それにビタミンも多く含まれる栄養価の高い食べ物であることが知られている。 事実、内皮機能の改善やインスリン抵抗性を改善するという報告もある。本論文はナースヘルス追跡研究という約7万6,000人の女性を対象とした追跡調査と、ヘルスプロフェッショナル研究という約4万2,000人の男性を対象とした追跡研究という2つの大規模な疫学研究をまとめた結果で、ナッツ消費量多いほど死亡率が少ないという結論を示した。 ナッツを多く食べる人は、摂取量が少ない人にくらべて、ビタミン剤や果物、野菜の摂取が多く、かつ肥満が少なく、活動量も多いなどの交絡因子が数多くあるが、これらの因子で補正してもなお、死亡率は少ないという結果であった。また不健康な人、慢性疾患のある人はナッツなどは食べることができないといった因果の逆転もありうるが、本試験では悪性腫瘍や心疾患を有する例は試験参入から除外しているという。 ナッツはカロリー価が高いために、肥満を恐れて避ける人もいるが、本研究での結果は意外にも、ナッツ消費量の多い人ではむしろ体重は減少していたという。 DASH食はカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルを多く摂り、飽和脂肪酸接収を減らすことで高血圧を予防することが知られているが、ナッツはそれと類似の効果があると考えられる。ただし今回の試験では塩分の摂取量は調査されておらず、テレビをみながら塩ピーナッツにビールの効果には言及していない。

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ビタミンDの補充はターゲットを絞って行うべきか(コメンテーター:細井 孝之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(150)より-

ビタミンDは「骨の健康」においてなくてはならないビタミンであるが、近年、筋肉・筋力や認知機能との関連も示唆されており、超高齢社会における注目度は上がっている。一方、ビタミンDの充足率は高くなく、日本人の少なくとも半数以上はビタミンD不足であることが推測されている。 ビタミンDの充足状況は血清中の25水酸化ビタミンD濃度を指標にして評価されるが、この測定は保険適用を受けていない。また、ビタミンD補充の効果も血清25水酸化ビタミンD濃度をもって評価することが可能であるが、さらに臨床的な効果を評価するためには骨密度、骨折発生率、筋肉量、転倒回数、生命予後などが指標になる。 本論文はこのうちの骨密度に関する効果をメタ解析の手法で検討したものである。その結果、一般住民におけるビタミンD補充の骨密度に対する効果は大腿骨近位部についてのみ認められた。とくにこの効果は、ベースラインの血清25水酸化ビタミンD濃度が低い場合に明らかであったことが示された。これらのことから、ビタミンDの補充は一般住民にあまねく補充することには疑問が呈された。 見方を変えれば、ビタミンDの補充が必要な集団を特定したうえで補充することの意義をあらためて確認すべきであると提言した、重要な論文である。

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ビタミンDは気管支喘息にも効果あり

 中等症から重症の気管支喘息の管理において、ビタミンDは標準治療の補助剤となることがインドのラオトゥーララム記念病院のMadhu Yadav氏らにより報告された。The Indian Journal of Pediatrics誌オンライン版2013年11月6日の掲載報告。 本研究の目的は、中等症から重症の気管支喘息を有する小児に対し、ビタミンDが標準治療の補助剤としてどのような治療的な役割を果たすのかを定義することである。 対象は、呼吸器または喘息のクリニックを受診した小児喘息の男女100例。喘息の診断は既往歴と臨床検査に基づき行い、割り付けは封筒法により無作為に行った。Global Initiative for Asthma(GINA)に基づいた治療に加え、一方のグループでは経口のビタミンD3製剤(コレカルシフェロール)60,000IU/月を6ヵ月間投与し、他方のグループでは、プラセボの粉末をオブラートに包み投与した(二重盲検)。 毎月の受診時に、重症度の変化、管理状況、最大呼気速度、ステロイドの投与量、増悪の回数、救急搬送の回数を調べた。 主な結果は以下のとおり。プラセボ投与群に比べて、ビタミンD投与群では・増悪の回数が有意に低かった(p=0.011)。・最大呼気速度が有意に増加した(p=0.000)。・ステロイドの使用と救急搬送が有意に低かった(それぞれ、p=0.013、p=0.015)。・より早期に症状が安定し、6ヵ月後の喘息重症度が有意に低下していた(p=0.016)。

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骨粗鬆症でない一般住民へのビタミンD補充/Lancet

 骨粗鬆症でない一般住民へのビタミンD補充はベネフィットが少ないことが、ニュージーランド・オークランド大学のIan R Reid氏らのシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。著者は「ビタミンD欠乏症に対する特異的なリスク因子のない一般住民は、骨粗鬆症予防目的でビタミンDを常用する必要がないことが示された」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年10月10日号掲載の報告より。一般住民に対するビタミンD補充が骨密度に及ぼす影響をメタ解析 レビューは、Web of Science、Embase、Cochrane Databaseをソースに、2012年7月8日までに公表された、ビタミンD(D3またはD2、ビタミンD代謝物は除く)の骨密度への影響について評価した無作為化試験を対象とした。試験は、異なるビタミンD含有量を比較している試験、被験者が骨粗鬆症などの代謝性骨疾患を有していない成人(平均年齢20歳超)を含む試験のみを対象とした。 主要エンドポイントは、ベースライン時からの骨密度の変化(%)。ベネフィットが示されたのは大腿骨頸部のみ 3,930試験が検索でヒットし、そのうち23試験(平均試験期間23.5ヵ月、被験者4,082例、女性92%、平均年齢59歳)が適格基準を満たし解析に組み込まれた。19試験は、主に白人集団を対象とした試験だった。 8試験・1,791例の被験者の、ベースライン時の平均血清25-ヒドロキシビタミンD値は50nmol/L未満だった。また、10試験・2,294例の被験者は、ビタミンDの1日投与量が800 IU未満だった。 各試験の骨密度の測定は、5部位(腰椎、大腿骨頸部、股関節、転子、全身、前腕)のいずれか1部位で行われていた。統計的有意差の検証試験は70種類にわたっていた。 結果、骨密度に有意なベネフィットがあることが示されていたのは6試験(うち複数部位でのベネフィットが示されていたのは1試験のみ)で、有意な有害性(全身、p≦0.05)が2試験で示され、残りの試験は有意性が示されていなかった。 部位別の解析では、大腿骨頸部でわずかなベネフィットが示された(13試験、加重平均差:0.8%、95%信頼区間[CI]:0.2~1.4、試験間の異質性:I2=67%、p<0.00027)。ただし著者は、本結果にはプラスのバイアスがかかっているとしている。同様のバイアスは股関節部位の解析においてもみられたが、同部位を含め、その他の部位ではベネフィットがあることは示されなかった。 また、良好なアウトカムを示していた5試験のうち3試験は、被験者のベースライン時の25-ヒドロキシビタミンD値が低値だった(26、29、36nmol/L)。

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日焼けマシーン、体内がんリスクとは無関係

 日焼けマシーンと体内がんリスクとは無関係であることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMingfeng Zhang氏らが20年間、7万人以上の看護師コホートを追跡調査した結果、報告した。屋内での日焼けが皮膚がんリスクを増大するという知見は人々の注目を集めたが、一方で日焼けマシーンの使用はビタミンD産生を増大することが実証され、体内がんを予防する可能性もあった。Cancer Epidemiology, Biomarkers& Prevention誌オンライン版2013年10月15日号の掲載報告。 研究グループは、看護師健康調査IIの20年間(1989~2009年)の女性被験者7万3,358例を追跡し、高校・大学時代と25~35歳時の日焼けマシーン使用の頻度を調べ、すべてのがん(皮膚がんは除く)の発生との関連を調べた。 多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、すべてのがんおよび100例以上を認めた主要がんについて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡調査期間中、4,271例が体内がんを診断されていた。・日焼けマシーン使用と全がんリスクとの関連はみられなかった(多変量補正後HR:0.99、95%CI:0.95~1.04/高校・大学時代と25~35歳時の日焼けマシーン使用の頻度は年平均4回)。・主要ながん(乳がん、甲状腺がん、大腸がん、非ホジキンリンパ腫、子宮体がんなど)との関連もみられなかった。・結果を踏まえて著者は、「日焼けマシーン使用による、皮膚がんリスク増大の強いエビデンスと体内がんリスク減少のエビデンスはないという結果に基づいて、屋内での日焼けに対する警告を市民にすることが重要である」と述べている。

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栄養補助食品は産後のうつ病予防に有用か

産後の抑うつ症状を予防するとされる代表的な栄養補助食品として、ω-3脂肪酸、鉄、葉酸、s-アデノシル -L-メチオニン、コバラミン、ピリドキシン、リボフラビン、ビタミンD、カルシウムなどが挙げられる。オーストラリア・Flinders Medical CentreのBrendan J Miller氏らは、産前・産後における抑うつ症状の予防に有益な栄養補助食品を探索するため、Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerから抽出した2件の無作為化対照試験のデータをレビューした。その結果、セレニウム、DHAあるいはEPAに関する産後抑うつ予防におけるベネフィットは示されず、現時点において、推奨されるエビデンスのある栄養補助食品はないと報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年10月24日号の掲載報告。 2013年4月30日時点のCochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerを用い、妊娠中の女性または出産後6週以内の女性で、試験開始時に抑うつ症状なし、または抗うつ薬を服用していない者を対象とした無作為化対照試験を検索した。栄養補助食品の単独使用、またはその他の治療と併用して介入した場合の成績を、その他の予防治療、プラセボ、標準的なケアと比較した。主な結果は以下のとおり。・2件の無作為化対照試験が抽出された。【試験1の概要】・酵母由来セレニウム錠100µgとプラセボを、妊娠初期3ヵ月から出産まで経口投与した際の有用性を検討した比較試験。・179人が登録され、セレニウム群とプラセボ群にそれぞれ83人が無作為化された。アウトカムデータが得られたのは85人にとどまった。 ・セレニウム群では61人が試験を完了し、44人でエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)による評価が得られた。プラセボ群では64人が試験を完了し、41人でEPDSによる評価が得られた。・セレニウム群ではEPDSスコアに影響がみられたが、統計学的に有意ではなかった(p=0.07)。・産後8週間以内の自己報告EPDSにおける平均差(MD)は、-1.90(95%信頼区間[CI]:-3.92~0.12)であった。・脱落例が多かったこと、EPDSを完了しなかった者が多数であったため、大きなバイアスが確認された。・副次アウトカムに関する報告はなかった。 【試験2の概要】・EPA、DHA、プラセボの比較試験。・産後抑うつのリスクにさらされている126人を、EPA群42人、DHA群42人、プラセボ群42人の3群に無作為化した。・EPA群の3人、DHA群の4人、プラセボ群の1人は追跡不能であった。登録時に大うつ病性障害、双極性障害、薬物乱用または依存、自殺企図または統合失調症を有する女性は除外された。ただし、介入中止例(EPA群5人、DHA群4人、プラセボ群7人)は、追跡可能であったためintention-to-treat解析に含めた。・服用期間(栄養補助食品またはプラセボ)は、妊娠12~20週から最後の評価時である出産後6~8週までであった。主要アウトカムは、5回目(出産後6~8週)の受診時におけるベックうつ病評価尺度(BDI)スコアであった。・産後抑うつの予防について、EPA-リッチ魚油サプリメント(MD:0.70、95%CI:-1.78~3.18)、DHA-リッチ魚油サプリメント(同:0.90、-1.33~3.13)のベネフィットは認められなかった。・産後抑うつへの影響について、EPAとDHAの間で差はみられなかった(同:-0.20、-2.61~2.21)。・副次アウトカムは「出産後6~8週時における大うつ病障害の発症」、「抗うつ薬を開始した女性の人数」、「分娩時における母親の出血」、または「新生児特定集中治療室(NICU)への入室」としたが、いずれにおいてもベネフィットはみられず、有意な影響も認められなかった。【結論】・セレニウム、DHAあるいはEPAが産後抑うつを防ぐというエビデンスは不十分である。・現時点において、産後抑うつの予防に推奨されるエビデンスのある栄養補助食品はない。関連医療ニュース 1日1杯のワインがうつ病を予防 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき 日本語版・産後うつ病予測尺度「PDPI-R-J」を開発

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果物や野菜の摂取量と乳がんリスクの関連~日本人女性での前向き研究

 果物や野菜の乳がんリスクへの影響について、日本人での疫学データは少ない。東京保健医療大学の鈴木 礼子氏らは、日本人女性4万7,289人における果物や野菜の摂取量と乳がん罹患リスクの関連を評価した。その結果、果物・野菜全体の摂取量と乳がんリスクとの間に全体的な関連はないが、閉経前女性においてアブラナ科の野菜の摂取量が乳がんリスク低下と有意に関連していたことを報告した。Cancer Causes Control誌オンライン版2013年10月4日号に掲載。 本研究は人口ベースの前向きコホート研究で、食事評価は食物摂取頻度調査票を用いた。相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)をCox比例ハザード回帰モデルにより算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間10.2年の間に、452人が新たに乳がんと診断された。・女性全体および閉経後女性において、果物・野菜全体、アブラナ科の野菜、緑色葉野菜、黄色野菜、トマト加工品の摂取量について、乳がんリスクとの関連は認められなかった。・アブラナ科の野菜の摂取量は、閉経前女性の乳がんリスクの有意な減少と関連し(多変量RR Q4vs.Q1:0.64、95%CI:0.38~1.10、傾向のp=0.046)、エストロゲン受容体陽性およびプロゲステロン受容体陽性の乳がんとわずかな逆相関が認められた(100g増加あたりのRR=0.64、95%CI:0.41~1.00)。・女性全体および閉経前女性において、果物全体および柑橘類の摂取量と乳がんリスクには正の相関が認められた。しかし、果物におけるこれらの相関はビタミンC摂取量の調整により減少した。

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新生児のアトピーにビタミンAとBCGが関与?

 アトピー性皮膚炎またはアトピー性疾患に関して、接種時期が早期か否かにかかわらずBCGワクチンの有意な影響はなかったが、新生児へのビタミンA補給はアトピー性皮膚炎の増加と関連していることが、無作為化比較試験の長期追跡調査の結果、明らかになった。また調査ではBCG瘢痕があることとアトピー性皮膚炎減少との関連も明らかになったという。オーストラリア・Indepth NetworkのN. Kiraly氏らが報告した。Allergy誌2013年9月号(オンライン版2013年8月31日号)の掲載報告。 最近の報告で、ワクチン接種や微量栄養素補給などの免疫原性介入が、アトピー感作やアトピー性疾患に影響を及ぼす可能性があるというエビデンスが示唆されていた。そこで研究グループは、無作為化試験の長期追跡調査から、新生児へのBCG接種、ビタミンA補給、その他のワクチン接種が小児期のアトピー性皮膚炎に影響を及ぼすかについて評価を行った。 試験は、アフリカ西部のギニアビサウで行われた。BCG接種については、低体重出生児を早期接種群(介入群)または後期接種群(通常群)に無作為化し、さらにサブグループについて2×2要因配置でビタミンAまたはプラセボの補給群に無作為に割り付けた。 被験者は3~9歳時まで追跡し評価した。主要アウトカムは、皮膚プリックテスト結果3mm以上を定義としたアトピー性皮膚炎の発症とした。副次アウトカムは、湿疹、喘息、食物アレルギーの症状が認められたこととした。 主な結果は以下のとおり。・281例の小児が、評価が有効な皮膚プリックテストを受けた。そのうち14%(39/281例)でアトピー性皮膚炎が認められた。・BCGの接種時期の違いによるアトピー性皮膚炎発症の有意差はみられなかった(OR:0.71、95%CI:0.34~1.47)。・BCG瘢痕を有する小児では、アトピー性皮膚炎の有意な減少が認められた(同:0.42、0.19~0.94)。・ビタミンA補給は、アトピー性皮膚炎増大と関連していた(同:2.88、1.26~6.58)。とくにBCGを同時投与された例での関連が大きかった(同:5.99、1.99~18.1、ビタミンA補給とBCGの相互作用のp=0.09)。・BCG接種はアトピー性疾患と関連していなかった。しかしビタミンA補給は、過去12ヵ月以内の喘息オッズ比増大と関連していた(同:2.45、1.20~4.96)。

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疫学研究は交絡との戦い(コメンテーター:景山 茂 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(134)より-

疫学研究に交絡因子はつきもので、結果の解釈は困難なことが多い。本研究では、考えられる交絡因子は調整しているが、それでもなお補正できない因子が存在するかもしれないことには留意が必要である。 そもそも、2型糖尿病の発症を抑制するとされたブルーベリーを好んで食べる人と、抑制効果のないとされたプルーン、メロン、オレンジ、イチゴを好む人との間に、2型糖尿病発症に影響し得る要因があるかもしれないことは否定しえない。ブルーベリー含有成分の何が効果を発揮しているのか さて、3つのコホート研究すべてに共通して2型糖尿病発症を抑制したのはブルーベリーのみである。これが交絡によるものでなく真実を物語っているのであれば、その原因を考える必要がある。ブルーベリーに多く含まれる物質に何らかの作用があるのかもしれない。 食品は医薬品と異なり、作用はあってもmildである。このため、期間の限られた介入試験によって2型糖尿病の発症を抑制するとされた果物の作用を検討することは困難である。本研究は果物の選択に影響を与える程のものではないであろう。果物はビタミンCやカリウムを含有することが多い。また、本論文でも論じられているように、アントシアニン、レスベラトロールなど、さまざまな物質を含んでいる。しかし、果物は基本的には美味しいから食べるのであって、薬理作用を期待するものではないであろう。果物とジュースは同一には論じられない 果物の一部には2型糖尿病の発症抑制効果が認められたが、ジュースにはその効果がみられなかった。ジュースには甘味料が添加されていることがあり、ジュースでは食物繊維が少ないのではないだろうか。どのようなジュースかを限定しなければ、果物との比較は困難である。

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新旧抗凝固薬とアスピリンの効果比較:静脈血栓症の二次予防/BMJ

 近年発売された抗凝固薬と抗血小板薬は、プラセボや経過観察と比較して静脈血栓症(VTE)の二次予防効果が認められることが、カナダ・オタワ大学のLana A Castellucci氏らによる、12試験・被験者総数1万例超のシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかになった。同解析において効果が最も高かったのは標準補正用量ビタミンK拮抗薬だったが、一方で重大出血リスクも最も高かった。また、効果が最も低かったのはアセチルサリチル酸であったという。これまで抗凝固薬・抗血小板薬の静脈血栓症二次予防効果については、意見が分かれていた。BMJ誌オンライン版2013年8月30日号掲載の報告より。抗凝固薬4種と抗血小板薬1種の無作為化試験をメタ解析 研究グループはMedline、Embase、Cochrane Register of Controlled Trialsなどをデータソースに、抗凝固薬のダビガトラン(商品名:プラザキサ)、リバーロキサバン(同:イグザレルト)、アピキサバン(同:エリキュース)、ビタミンK拮抗薬(ワルファリン)と、抗血小板薬のアセチルサリチル酸(アスピリン)の、VTEの二次予防効果に関する試験(プラセボか経過観察で比較検討)を検索した。そのうち、採択基準を満たした12の無作為化比較試験について解析を行った。 主要アウトカムは、VTEの再発と重大出血の発生とした。 試験全体で、有効性の評価に関わる被験者総数は1万1,999例、安全性の評価では1万2,167例のデータが解析に組み込まれた。すべての抗凝固薬群と抗血小板薬群でVTEの再発リスクが減少 解析の結果、プラセボ群または経過観察群と比較して、すべての抗凝固薬群と抗血小板薬群においてVTEの再発リスク減少が認められた。 プラセボ群や経過観察群に比べ、同リスク減少が最大だったのは、標準補正用量(目標国際標準化比[INR]:2.0~3.0)のビタミンK拮抗薬だった(オッズ比[OR]:0.07、95%確信区間[CI]:0.03~0.15)。反対に同減少が最小だったのは、アセチルサリチル酸だった(同:0.65、0.39~1.03)。 また重大出血リスクも、標準補正用量ビタミンK拮抗薬が、プラセボ群・経過観察群に比べ高かった(OR:5.24、95%CI:1.78~18.25)。致死的VTEの再発はいずれもまれだった。 これらの結果を踏まえて著者は、「VTE二次予防について異なる治療戦略の有効性と安全性を評価する際は、VTE再発と重大出血イベントの割合を考慮すべきである。そして抗凝固薬治療を患者に適応する際は、患者個々のリスク因子、死亡症例、コスト、ライフスタイルの修正、検査モニタリングの負担、患者の価値観と選択なども考慮すべきである」とまとめている。

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