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ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法のNCSLS1次治療、2年フォローアップ(CheckMate 9LA)/ASCO2021

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法の無作為化第III相CheckMate9LA試験の2年間のフォローアップデータが米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。結果、同併用による生存ベネフィットが引き続き観察されている。・対象:未治療のStage IVまたは再発NSCLC患者(PS 0~1)・試験群:ニボルマブ360mg 3週ごと+イピリムマブ1mg 6週ごと+組織型別化学療法(シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド+ペメトレキセド維持療法またはカルボプラチン+パクリタキセル)3週ごと2サイクル(NIVO+IPI+Chemo群)・対照群:組織型別化学療法 3週ごと4サイクル(Chemo群)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)、BICR評価の全奏効率(ORR)、PD-L1発現別抗腫瘍効果 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は最低 24.4ヵ月であった。・NIVO+IPI+Chemo群は40%、Chemo群では47%が全身療法の後治療を受けていた。・OS中央値はNIVO+IPI+Chemo群の15.8ヵ月に対して、Chemo群11.0ヵ月と、NIVO+IPI+Chemo群で良好なOSを維持した (ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.61~0.86)、2年OS率はそれぞれ、38%と26%であった。・PFS中央値はNIVO+IPI+Chemo群6.7ヵ月に対し、Chemo群では 5.3ヵ月であった (HR:0.67、95%CI:0.56~0.79)。2年PFS率はそれぞれ、20%と8%であった。・ORRは、NIVO+IPI+Chemo群38.0%、Chemo群では25.4%であった。・奏効期間(DoR)中央値はNIVO+IPI+Chemo群13.0ヵ月、Chemo群5.6ヵ月、2年DoR率はそれぞれ、34%と12%であった。・PD-L1発現別にみると、PD-L<1%のOS HRは0.67、PFS HRは0.68、≧1%のOS HRは0.70、PFS HRは0.67、≧50%のOS HRは0.67、PFS HRは0.59と、いずれもNIVO+IPI+Chemo群で良好であった。・有効性はまた、組織形を問わずNIVO+IPI+Chemo群で良好であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)発現率は、NIVO+IPI+Chemo群92%、Chemo群88%。Grade3/4のTRAE発現率はそれぞれ、48%と38%であった。新たな安全性シグナルは確認されていない。・Post Hoc解析の結果、TRAEによって治療中止となったNIVO+IPI+Chemo群のNIVO+IPI+Chemo群の2年OS率は54%(全集団の2年OS率は38%)と、治療中止による生存への悪影響はみられなかった。 発表者のドイツ・Martin Reck氏は、この2年間のフォローアップ結果は、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法が、進行NSCLCに対する有効な1次治療であることを支持するものだと述べた。

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がん通院中患者の新型コロナ抗体量は低値、投与薬剤によって差も/国がん

 国立がん研究センターとシスメックスは、がん患者における新型コロナウイルスの罹患状況とリスクを評価するため、2020年8月から10月にかけて500人のがん患者と1,190人の健常人について新型コロナウイルスの抗体保有率と抗体量を調査した。 その結果、新型コロナウイルスの罹患歴のない対象では、がん患者、健常人共に抗体保有率は低く、両群で差がないことがわかった。一方、抗体の量は、健常人と比較し、がん患者で低いことが明らかになった。これは年齢、性別、合併症の有無、喫煙歴といった因子で調整しても有意な差を認めた。 さらに、がん治療が抗体量に与える影響を検証したところ、細胞障害性抗がん剤を受けている患者では抗体量が低く、免疫チェックポイント阻害薬を受けている患者では高いことが明らかになった。同研究結果から、がんの合併、ならびにがん薬物療法が抗体量に影響を与える可能性が示唆された。 本調査結果は、JAMA Oncology誌2021年5月28日号(オンライン版)に掲載された。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、悪性胸膜中皮腫に適応拡大/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2021年5月27日、ニボルマブ(商品名:オプジーボとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法について、切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に対する効能又は効果に対する製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。 今回の承認は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を標準治療の化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験(CheckMate-743試験)であらかじめ計画されていた中間解析の結果に基づいたもの。 同解析において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、主要評価項目である全生存期間の有意な延長を達成した。また、本試験で認められたニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、本併用療法でこれまでに認められているものと一貫していた。 悪性胸膜中皮腫に対する標準治療としては、ペメトレキセドとシスプラチンの併用療法が行われているが、今回の承認により、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が悪性胸膜中皮腫患者にとって新たな治療選択肢になるものと期待されている。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用の肺がん1次治療、ASCO2021で発表される2演題(CheckMate-9LA/227)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月19日、2021年米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2021)にて発表されるニボルマブ(商品名:オプジーボ)およびイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の2つの試験結果を発表した。 1つ目は、未治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)において化学療法2サイクルを追加したニボルマブとイピリムマブの併用療法と4サイクルの化学療法を比較した第III相CheckMate-9LA試験の2年間追跡調査結果。CheckMate -9LA試験の2年全生存(OS)率は、同併用療法群で38%、化学療法群は26%あった。追加の追跡調査における同試験の主要評価項目であるOS中央値は、免疫療法薬の2剤併用療法群で15.8ヵ月、化学療法群では11.0ヵ月であった(HR:0.72、95%CI:0.61~0.86)。同併用療法の新たな安全性シグナルや治療に関連する死亡は認められなかった。 そのほかの結果は以下のとおり。・2年PFSにおいて、同併用療法はリスクを33%低減した(HR:0.67;95% CI:0.56 - 0.79)。・ORRは併用療法群38% vs.化学療法群25%であった。・DORは併用療法群13.0ヵ月、化学療法では5.6ヵ月であった。これらのデータは、ASCO2021にて、6月4日、午後1時~4時(米国東部夏時間)、口頭発表される(抄録番号#9000)。 2つ目は、未治療の進行NSCLCにおいてニボルマブを含むレジメンと化学療法を比較した第III相CheckMate -227試験Part1の4年(49.4ヵ月)の追跡調査結果。CheckMate -227試験Part1におけるPD-L1 1%以上の4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群29%、化学療法群は18%であった(HR:0.76、95%CI:0.65~0.90)。ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の新たな安全性シグナルは認められなかった。 そのほかの結果は以下のとおり。・PD-L1 1%未満の探索的解析における4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群24%に対し、化学療法群10%であった(HR:0.64、95%CI:0.51~0.81)。・PD-L1高発現(50%以上)の4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群37%、ニボルマブ単剤群では26%であった。 完全なデータは、ASCO2021にて、同日午前9時(米国東部夏時間)にポスター・ディスカッション・セッションで発表される(抄録番号#9016)。

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進行悪性黒色腫患者におけるオプジーボ・イピリムマブ併用療法、6.5年の追跡調査(CheckMate-067)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月20日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法およびオプジーボ単剤療法が、イピリムマブ単剤療法と比較して、ファーストライン治療の進行悪性黒色腫患者において生存期間の持続的な改善を示した無作為化二重盲検第III相CheckMate-067試験の新たな6.5年データを発表した。 最短6.5年の追跡調査において、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の全生存期間(OS)中央値は72.1ヵ月であった。これは進行悪性黒色腫に対する第III相試験において報告された最長のOSの中央値である。ニボルマブ単剤群のOS中央値は36.9ヵ月、イピリムマブ単剤群では19.9ヵ月であった。また、ニボルマブ・イピリムマブ併用群の6.5年無増悪生存(PSF)率は34%(中央値11.5ヵ月)、ニボルマブ単剤群では29%(中央値6.9ヵ月)、イピリムマブ単剤群では7%(中央値2.9ヵ月)であった。追跡調査で生存していた併用群患者のうち、77%(145例中112例)が無治療であり、その後の全身療法を受けていなかった。同様の患者の割合は、ニボルマブ単剤群で69%(122例中84例)、イピリムマブ単剤群では43%(63例中27例)であった。 ニボルマブ・イピリムマブ併用群またはニボルマブ単剤群では、BRAF変異陽性、野生型、ベースライン時に肝転移を有する患者を含む関連サブグループ全体で、持続的な臨床ベネフィットが維持された。BRAF変異陽性患者における6.5年生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群57%、ニボルマブ単剤群43%、イピリムマブ単剤群25%であった。BRAF野生型患者における生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群46%、ニボルマブ単剤群42%、イピリムマブ単剤群で22%であった。肝転移を有する患者における生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群38%、ニボルマブ単剤群31%、イピリムマブ単剤群で22%であった。奏効期間(DoR)中央値は、併用療法群とニボルマブ単剤療法群で未達だったのに対し、イピリムマブ単剤療法群では19.2ヵ月であった。 ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の安全性プロファイルは、これまでの結果と一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。また、5年時点の解析以降、新たに発生した治療に関連する死亡例はなかった。 CheckMat -067試験の6.5年データは、6月4~8日に開催される2021年米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2021)にて、2021年6月6日、口頭抄録セッションで発表される(抄録番号#9506)。

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FDA、食道・胃食道接合部がんの術後補助療法にニボルマブ承認(CheckMate-577)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月20日、米国食品医薬品局(FDA)が、術前補助化学放射線療法(CRT)を受け病理学的残存病変を認めた完全切除後の食道がんまたは胃食道接合部(GEJ)がん患者の術後補助療法として、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)を承認したことを発表した。 この承認は、術前補助CRTおよび完全切除後に病理学的残存病変を認めた食道がんまたはGEJがん患者を対象に、オプジーボ(532例)とプラセボ(262例)を比較評価した第III相CheckMate-577試験の結果に基づいている。 同試験において、無病生存期間(DFS)中央値は、オプジーボ群22.4ヵ月、プラセボ群11.0ヵ月であった(HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、p=0.0003)。探索的解析における、腺がん患者のDFS中央値は、オプジーボ群19.4ヵ月、プラセボ群で11.1ヵ月(非層別HR:0.75、95% CI:0.59~0.96)、扁平上皮がん患者のDFS中央値は、オプジーボ群で29.7ヵ月、プラセボ群で11.0ヵ月であった(非層別HR:0.61、95% CI:0.42~0.88)。

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BRCA変異、免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカーとなるか

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果に関するバイオマーカーとしては、腫瘍遺伝子変異量(TMB)、PD-L1発現、DNAミスマッチ修復機能欠損が知られている。一方、BRCA1およびBRCA2はDNA修復において重要な役割を果たすが、免疫療法においてこれら遺伝子変異の役割は不明のままである。今回、米国・University of Oklahoma Health Sciences CenterのZhijun Zhou氏らは、BRCA1/2の変異がTMBに関連していると仮説を立て、コホート研究を実施した結果、TMBと組み合わせたBRCA2変異が、ICI治療のバイオマーカーとなる可能性が示唆された。JAMA Network Open誌5月3日号に掲載。 本研究では、BRCA変異のデータをcBioPortalプラットフォームから取得した。生存分析には、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)コホートでICI治療を受け、ゲノム配列を調べた各種がん患者が登録された。各がんにおけるTMBの上位10%を高TMB、下位90%を低TMBと定義した。主要評価項目は、ICI投与開始からの全生存期間(OS)で、BRCA1/2変異のある患者とない患者を比較した。データ分析は2020年7月~11月に実施した。 主な結果は以下のとおり。・BRCA1/2変異のある1,977例(5.3%)を含む3万7,259例の3万9,307の腫瘍サンプルを検討した。・BRCA1、BRCA2とも変異していたのは164例(0.4%)、BRCA1のみの変異は662例(1.8%)、BRCA2のみの変異1,151例(3.1%)だった。・BRCA1/2変異のある腫瘍のTMBの中央値は24.59(四分位範囲[IQR]:9.84~52.14)で、野生型(5.90、IQR:2.95~10.00)より高かった(p<0.001)。・BRCA1/2変異のある患者の49例(34.8%)が高TMBであるのに対し、野生型の患者の1,399例(92.0%)は低TMBであった(p<0.001)。・MSKCCコホートにおいてICI治療を受けゲノム配列が決定された1,661例のうち、141例(8.5%)でBRCA1/2変異を有していた。・BRCA1変異とOSの関連はみられなかった。・BRCA2変異のある患者のOS中央値は31.0ヵ月(IQR:10.0~80.0)で、変異のない患者(18.0ヵ月、IQR:6.0~58.0)より良好だった(p=0.02)。・低TMB でBRCA2変異のある患者のOS中央値は44.0ヵ月(IQR:10.0~67.0)で、高TMBの患者(41.0、IQR:13.0~80.0)と同等だった。どちらの群も、低TMBでBRCA2野生型の患者(16.0ヵ月、IQR:6.0~57.0)よりも良好だった(p<0.001)。

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DLBCL、研究・治療の最新状況を報告したNEJM論文をポイント解説【Oncologyインタビュー】第33回

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は悪性リンパ腫の一種であり、血液腫瘍の中で最も患者数が多い疾患である。2021年3月、NEJM誌に「Diffuse Large B-Cell Lymphoma」と題した、疾患名そのものをタイトルにした論文が掲載された。現在の初発・再発における治療戦略から今後の新薬の開発情報までがまとめられた、17ページにわたる本論文のポイントを、岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センターの遠西 大輔氏(血液・腫瘍内科 准教授)が解説する。インタビューはzoom形式で行われたこの論文は、著者2人がいずれも臨床医です。臨床医目線で病態の分類変更の背景など、最新知識をコンパクトにまとめたところに、まずは大きな価値があるでしょう。血液疾患の臨床に当たっている方であれば既知の情報も多いので、関心あるところと新たな知見の部分を重点的に読むとよいと思います。重要なポイントについて、パートごとに内容を読み解いていきましょう。Pathological Features and Molecular Classification最初は分子遺伝学的なまとめです。最近の分子の詳細な解析によって新たなサブタイプが登場している状況を解説しており、この内容はFigure 1Cにまとまっているのでこれを見るだけでもよいと思います。Staging and Response Assessment今後の臨床面で注目すべきは、一行だけ触れられている「リキッドバイオプシー」でしょう。世界的にも、血液腫瘍に対するリキッドバイオプシーを用いた遺伝子検査は保険承認されていませんが、数年内には臨床で使われるようになると予想されます。固形がん同様に、血液がんでも遺伝子変異のタイプに応じて治療戦略を選択し、効く薬剤を予測して使い分けるようになるかもしれません。ここで引用されている論文1)は、あまたあるDLBCLとリキッドバイオプシーに関する論文の中でも代表的なものなので、関心がある方はこちらの著者グループに注目するとよいと思います。Prognostic Factorsここでは長らく使われてきた、国際予後指標(International Prognostic Index:IPI)が改良され「NCCN-IPI」となったことが紹介されています。こちらの要旨はTable 3にまとまっているのでそれを確認するだけでもよいでしょう。Primary Managementここから進行期と限局期に分けて治療の話題に入っていきます。進行期の最適なレジメンを決めるまでのこれまでの経緯がまとめられていますが、CHOP療法にリツキシマブを追加したR-CHOP療法を6回投与、というのが現状の結論です。それに加え、現在進んでいるR-CHOPに他の薬剤を追加する複数の試験内容が紹介されています。この部分はこれからのDLBCL治療を考えるうえで非常に重要なポイントなのでじっくり読んでみてください。Management of Relapsed or Refractory Diseaseここでは、再発・難治のDLBCLに対する治療戦略が述べられています。若年層の患者には自家造血幹細胞移植(ASCT)を試みることがありますが、あまり成績がよくないことが示されています。次いで、現在の臨床を大きく変えつつあるCAR-T療法が紹介されています。CAR-T療法は国内では2年前に再発または難治性のDLBCLに対して承認され、ここでは臨床試験からリアルワールドまで最新のデータが紹介されています。承認当初に懸念されていた副作用についても想定より抑えられていることが示されています。そして最後は新薬の開発状況です。日本で今年3月に承認を受けたばかりの抗CD79bを標的とする抗体薬物複合体・ポラツズマブ ベドチンに関する臨床試験のデータをはじめ、現在開発中の新薬が、ターゲットとする分子や現状までの臨床試験の結果と共にまとまっています。それなりの数がありますが、今後臨床に登場してきそうな有望なものが選別されているのはさすがです(Table 4)。個人的には次世代の免疫チェックポイント阻害薬といわれる、マクロファージを使う抗CD47抗体にとくに注目しています。最終ページのfigure 2には、現在のDLBCL治療の全体がまとまっています。病態分類から始まり、再発や自家移植で寛解する割合や、それぞれの段階で行う治療戦略と薬剤が見やすくまとめられており、全体を俯瞰するうえで非常によくできた1枚です。図 原著論文のfigureを基にCareNet.com編集部作成画像を拡大する上部左の「High-Grade B-Cell Lymphoma」はWHO分類変更によって新たに登場したものです。特定の遺伝子変異を認める予後不良のものをDLBCLと分け、異なる治療戦略をとることになりました。真ん中の限局期・進行期では治療戦略には大きな変化はないものの、治験等で新たなレジメンを選択できる状況を示しています。そして右下のこれまで治療の手段がなかった2次・3次治療においても、CAR-T療法や免疫療法等によって治療を継続できる可能性が生まれており、今後も治療戦略は大きく進化していくでしょう。原著論文Sehn LH, et al. N Engl J Med. 2021;384:842-858.参考1)Kurtz DM, et al. J Clin Oncol. 2018;36:2845-2853.

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抗LAG-3抗体relatlimab+二ボルマブ、未治療の悪性黒色腫の第III相データを提示/BMS

 ブリストルマイヤーズスクイブは、2021年5月29日、第II/III相RELATIVITY-047試験の結果を発表した。ニボルマブと抗LAG-3抗体relatlimabの固定用量の組み合わは、未治療の切除不能悪性黒色腫において、ニボルマブ単独と比較して、統計的に有意かつ臨床的に意味のある無増悪生存期間(PFS)の改善を示した。 同試験における併用療法患者のPFS中央値は10.12ヵ月であったのに対し、ニボルマブ単剤では4.63ヵ月と、併用群で有意に良好であった(HR:0.75、95%CI:0.62~0.92、p=0.0055)。PFS改善は早期に観察され、時間経過しても一貫していた。PFS改善は、事前に指定されたサブグループおよび層別化因子にかかわらず認められた。 relatlimabとニボルマブの固定用量の組み合わせの安全性プロファイルは管理可能であり、既存の報告と一致していた。Grade3/4の薬物関連有害事象発現は、併用療法群18.9%、ニボルマブ群は9.7%であった。治療中止に至った薬物関連有害事象は、併用療法群14.6%に対し、ニボルマブ群は6.7%で発現した。 この抗LAG-3抗体を評価するの最初の第III相試験の結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2021)の口頭セッションで、6月6日(現地時間)に発表される(Abstract#9503)。

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第60回 昔なじみの抗うつ薬が抗がん免疫を助ける/持参のCOVID-19抗原検査で楽々帰国

昔なじみの抗うつ薬と抗PD-1薬の併用でいっそうの抗腫瘍効果抗うつ薬として昔なじみのモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)が免疫細胞によるがん駆除を助ける働きを担い、PD-1阻害薬と併用すればそれら単独投与以上の腫瘍抑制効果を発揮することがマウス実験で示されました1,2)。ペムブロリズマブやニボルマブ等のPD-1阻害薬は腫瘍細胞が免疫攻撃から逃れるために利用するT細胞表面分子を阻止します。PD-1阻害薬はうまくいけば何年も腫瘍を食い止めますが誰にでも効くというわけではなく、その効果を補う薬の標的探しが続けられています。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のがん免疫学者Lili Yang氏のチームもその一つで、抗腫瘍免疫との関わりがこれまで知られていなかったモノアミン酸化酵素(MAO)の一つ・MAO-A遺伝子が腫瘍のT細胞で意外にも発現していることを突き止め、どうやらPD-1阻害薬の併用薬の標的として有望なことを見出しました。MAO-Aはドパミンやセロトニンなどの気分向上神経伝達物質を分解します。MAO-A活性が低い男性と攻撃的な振る舞いの関連が示されていることからMAO-A遺伝子は戦士の遺伝子として知られます3)。Yang氏等の新たな研究によるとMAO-AはT細胞の戦士化にもどうやら寄与しているらしく、マウスのMAO-A遺伝子を封じたところT細胞の抗腫瘍免疫が強力となり、腫瘍増殖が抑制されました。MAO-A阻害薬フェネルジン(phenelzine)も同様の効果があり、マウスの腫瘍を増殖し難くしました。また、MAO阻害薬とPD-1阻害薬の併用はいっそうの抗腫瘍効果をもたらしました。T細胞はセロトニンを作って抗腫瘍免疫を底上げし、MAO-Aはそのセロトニンを分解することで腫瘍のT細胞回避を助けてしまうようです。その回避路を断つMOA阻害薬とPD-1阻害薬の併用が試験で検討されることをYang氏は望んでいます。安上がりでどこでも手に入るMAO阻害薬はあわよくばがん患者の抑うつもついでに取り去ってくれるかもしれません。そのような併用試験をするなら前立腺がんは候補の一つになりそうです。というのもMAO-A は前立腺がんで過剰発現し、がん細胞や腫瘍開始細胞(がん幹細胞)の増殖を促して前立腺がんの発生を促すことが示唆されているからです4)。ただしMAO-A は必ずがんに味方するというわけではなさそうで、肝細胞がん、胆管がん、褐色細胞腫、神経芽腫、腎細胞がん、肺腺がんなどでは逆にがんと敵対する腫瘍抑制因子として働くと示唆されています5)。MAO阻害薬の試験ではMAO-Aに備わるせっかくの腫瘍抑制効果を意図せず妨げることがないように注意する必要があるでしょう。ユナイテッド航空がアボット社のCOVID-19抗原検査で楽々帰国できるようにするユナイテッド航空がAbbott(アボット)社と手を組み、海外旅行者の米国帰還の際に必要な新型コロナウイルス感染(COVID-19)陰性証明をよりすんなり取得できる仕組みを提供します6)。ユナイテッド航空の乗客はアボット社の抗原検査BinaxNOW Home Testを携えて出国し、海外滞在中にわざわざ検査センターに赴かずともそれを使って検査することで米国に帰還可能かどうかを判断できるようになります。遠隔医療が使える環境で旅行者がBinaxNOW Home Testのような抗原検査を自ら実施し、海外から米国への飛行機に搭乗するのに必要な陰性証明にその検査結果を使うことを同国は最近許可しています。BinaxNOW Home Testは手帳ほどの大きさで軽量であり、バッグに場所を取らず収めることができます。どっちつかずの検査結果となってしまった場合に備えて1つきりではなく幾つか持っていった方が良いようです。参考1)Wang X, et al. Sci Immunol. 2021 May 14; 6:eabh2383.[Epub ahead of print]2)An old antidepressant helps the immune system fight tumors in mice / Science3)Mentis AA, et al.Transl Psychiatry. 2021 Feb 18;11:130.4)Liao CP, et al. Oncogene.2018 Sep;37:5175-5190.5)Huang Y, et al. Front Oncol. 2021 Mar 8;11:645821.6)United and Abbott Partner to Make Return to U.S. Worry Free for International Travelers with Home-Testing Kits / PRNewswire

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給料が上がらない時代、医師のための「超攻撃的な節約術」はコレ!【医師のためのお金の話】第44回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。資産形成を効率的に行うには、「攻め」だけではなく「守り」も固めなければいけません。守りとは、ずばり節約です。主婦・主夫にとって、節約は鉄板ネタです。皆さんあの手この手を使って節約しているので、そのあたりの工夫はネット上にあふれています。しかし、日々の生活ではなく資産形成という大きな目標を達成するには、日々のチマチマした節約では到底追いつきません。また、医師特有の事情によって、世間で一般的に行われている節約術が実践できないケースもあるでしょう。ここでは資産形成するに当たって私が実践してきた節約の工夫をご紹介しましょう!節約術の王道=固定費削減節約には基本的な考え方があり、日々の支出を固定費と変動費に分けることから始まります。固定費とは、住居費、生命保険、通信費のように、毎月必ず発生する支出です。一方、変動費は食費や被服費など、その時々で変動する支出です。ストレスなく大きな金額を節約するためには、固定費を削減することが王道です。確かに、変動費のほうを削減するため、外食の頻度を減らすなどもそれなりの効果は見込めます。しかし、継続的に変動費を抑制していると、ストレスがたまってしまいます。これに対し、住宅ローンや生命保険を見直すと、ストレスをためずに毎月節約できるため非常に効率的です。語り尽くされた感がありますが、やはり節約の王道は固定費削減である、と認識しましょう。住居費をタダにする方法それではどうやって固定費を削減するのかを具体的に考えていきましょう。節約というからには、「支出を削減する」ことをイメージする方が多いと思います。具体的には、住宅ローンであれば金利を交渉して減らす、賃貸であれば、賃料減額交渉が有効です。それなりの額の家賃であれば借り手が限られるため、貸し手も交渉に応じる可能性が高くなります。例えば20万円の賃料であれば、2万円ぐらい下げてくれる可能性があるでしょう。賃料減額のために引っ越しを検討するならば、まずは減額交渉がお勧めです。そして、これらも効果は高いですが、もっと劇的に支出を削減することが可能です。それは無料(タダ)で住んでしまう!という選択肢です。私の具体例を示しましょう。2004年 5,000万円で自宅を購入。銀行から35年返済で5,000万円の融資を受ける。2021年 自宅の時価評価額が1億5,000万円に上昇。現時点での残債は3,100万円。今自宅を売却すれば、税引後でも約1億円のキャッシュが手元に残ります。しかも、自宅前を月極駐車場として賃借しているため、17年間で約1,700万円の賃料収入がありました。このパターンであれば、ほぼタダで住んだうえに1億円ゲットするという、ぬれ手で粟の状況が実現します。「単にオマエがうまくやっただけだろう」と言われそうですが、2000~06年や2009~12年に都市部で自宅を購入した人は同じような状況です。単なる金利交渉や賃料減額交渉と比較しても、適切な時期に物件価格が上昇する見込みのあるエリアに自宅を購入するメリットがよくわかると思います。自動車費用削減の2つのポイント自動車関連費用はどうでしょうか。最近は自動車を持たないライフスタイルもメジャーになってきました。しかし、医師はアルバイト先も多く、クルマなしの生活は難しい人も多いでしょう。自動車の節約は下記2点に絞られます。1)長く乗り続ける2)中古車を購入する私は1997年にテラノレグラスを330万円で新車購入し、2014年にメルセデスEクラスを90万円で譲ってもらうまで17年間乗っていました。2018年にはランドクルーザーを140万円で譲ってもらったのですが、24年間で自動車本体には560万円しかかけていません。年換算でたったの23万円です。いずれのクルマも頑丈なので、修理費はさほどかかりませんでした。このような手法であれば、自動車関連費用を最小限に抑えられると思います。ちなみに私は事故したときのことを考えて、大きなクルマにしか乗るつもりはありません。生命保険はどうなのか最後は生命保険です。生命保険をかける目的は、残された家族の生活費です。このため生命保険が最も必要なのは第一子が生まれた瞬間です。独身者や子供のいない夫婦、そして十分な資産がある人は、極論すると生命保険は不要です。つまり、生命保険費を削減するには資産形成に励めということになります。ちなみに私は月額2,500円の共済保険のみです。さらに日本の医療制度を考えると、高額療養費制度があるため医療保険も不要かもしれません。私は、免疫チェックポイント阻害薬などの超高額医療を自費で受けるために、月額2,300円の自由診療保険に加入しています。しかし、薬価が急激に切り下がってきているので、保険の必要性は低下してきました。このため、保険に加入し続けるか否かを検討中です。キーワードは「自由な発想」これまで見てきたように、ちまたで喧伝されている節約術を踏襲するだけではなく、発想そのものを見直すことで、劇的な支出削減効果が得られるかもしれません。ここで述べた手法はあくまで一例です。皆さんの環境でできることを考えてみることをお勧めします。その際のキーワードは「自由な発想」です。既存の手法から一歩抜け出して、自分なりの節約を実践してみましょう。

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新型コロナで肺がん新規患者の受診減少、8,000人以上が診療機会喪失か/日本肺癌学会

 COVID-19の感染拡大により、がん検診およびがん診療の制限は、重大な懸念事項となってきた。日本肺癌学会では、COVID-19が肺がん診療におよぼした影響を見るために、第2波が収まりつつあ った2020年10月末、原発性肺がんと診断され初回治療を受けた患者数を2019年1~10月と2020年1~10月で比較検討した。アンケート対象は、日本肺癌学会の評議員が所属する施設およびがん拠点病院である。 主な結果は以下のとおり。・2020年1~10月の肺がん新規患者数は、前年同月と比べ6.6%減少していた(2019年1万9,878例、2020年1万8,562例)。・治療方法別の影響をみると、手術実施症例の減少は6.0%、薬物療法症例の減少は8.6%と双方とも減少していたが、例外的に免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用のみ増加(10.5%)していた。・新型コロナ治療が多い施設ほど、肺がん新規患者が減少していた(新型コロナ治療患者数0~5名の施設:-4.6%、6~50例の施設:-4.2%、51~100例施設:-8.3%、101例以上の施設:-8.6%)。・施設形態別にみると、減少は公立病院が最も顕著で14.3%。大学病院6.3%、がん専門病院6.6%、国立病院7.8%であった。・月別にみると、非常事態宣言が出された2020年4月以降、前年同月を下回っていた。 原発性肺がんの年間罹患数は約13万人。6.6%の減少から推定すると、約8,600人の新規患者が診療機会を逸したと考察される。

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食道がんの治療にニボルマブが大きな影響を与える可能性が示された(解説:上村直実氏)-1382

 食道がんおよび胃食道接合部がんに対する治療は、進行度により内視鏡的切除術、外科的手術および化学放射線治療による集学的治療が行われる。Stage II/IIIすなわち外科的切除可能な食道がんおよび胃食道接合部がんに対する標準治療は、術前の化学放射線療法と根治的手術とされている。比較的予後が良いとされているStage II/IIIの食道がんであっても、術後に再発する症例が多く、補助療法が必要であるケースも多い。しかし、わが国の『食道癌診療ガイドライン』においても、術後再発予防を目的とした術後補助療法に関しては有用性を示すエビデンスが乏しいために推奨されていないのが現状である。 今回、このステージの食道がん治療において術後補助療法として免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名:オプジーボ)単独療法の有用性を示す研究結果がNEJM誌に掲載された。無病生存期間をエンドポイントとした本研究の良好な結果は、ニボルマブ単独療法が食道がん治療を変える可能性を示唆するものである。すなわち、術前の化学放射線治療を行ったStage II/IIIの食道がんおよび胃食道接合部がん手術症例に対するニボルマブ単独投与が食道がんの再発遅延および予防に有用であることが明らかとなった。 この研究結果により術後の補助療法としてニボルマブが米国FDAにより承認されたが、わが国においても承認に向けて審査中であり、臨床現場で使用されることが期待される。さらに、食道がんに対する1次治療にニボルマブが組み込まれる可能性も期待される研究結果である。 最後に、食道がんに関する欧米の研究結果を参考にする際、日本と欧米の違いを理解しておく必要がある。一口に食道がんといっても、圧倒的に扁平上皮がんが多い日本と異なり、欧米では食道腺がんが多いことから研究対象の組織型に注意が必要である。さらに、日本の医療現場では、予後が悪い食道がんも内視鏡検査で早期発見が可能な時代になっている。内視鏡による小さながんの早期発見により、侵襲の大きい食道切除と異なりQOLが非常に高い内視鏡的切除術(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)で根治が可能な時代になっていることを忘れてはならない。

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ファイザー製ワクチン、免疫チェックポイント阻害薬投与がん患者での安全性

 全身薬物療法で治療後もしくは治療中のがん患者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが高いため、ワクチン接種の優先度が高いグループと見なされる。しかし、がん患者におけるワクチンの安全性および有効性データはない。また、一部の専門家から、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与患者において、ワクチンで免疫関連有害事象を誘発または増強する可能性が指摘されている。今回、イスラエル・Tel Aviv Sourasky Medical CenterのBarliz Waissengrin氏らは、ICIで治療されたがん患者におけるファイザー社製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)の安全性について調査した。Lancet Oncology誌オンライン版2021年4月1日号に掲載。 Tel Aviv Sourasky Medical CenterおよびBnei-Zion Medical Centerでは、積極的治療を受けているがん患者すべてに対し、病期、PS、余命に関係なくワクチン接種を推奨した(SARS-CoV-2感染歴のある患者、感染している患者、免疫関連有害事象が制御されていない患者は除外)。本調査では、この2施設において、ICIで治療された患者におけるBNT162b2mRNAワクチンの有害事象を対照群(性別および生まれ年をマッチさせた健康成人)と比較した。2021年1月11日~2月25日に、ICIで治療されていたがん患者170例のうち、副反応を恐れて接種を拒否した33例を除いた137例が初回のワクチン接種を受け、うち134例が2回目のワクチン接種を受けた。ワクチンは1日目と21日目に標準用量で接種し、アンケートは電話で行った。 主な結果は以下のとおり。・初回投与後に3例が死亡し、うちCOVID-19による死亡が1例、がんの進行による死亡が2例だった。初回投与後に最も多かった有害事象は注射部位の痛みで、134例中28例(21%)にみられた。全身性では倦怠感(4%)、頭痛(2%)、筋肉痛(2%)、悪寒(1%)などがみられた。・2回目の投与後の観察期間中に、134例中4例(3%)が入院した(がん関連の合併症3例、発熱1例)が、全例が治療後に退院した。初回より2回目のほうが、全身性および局所性の有害事象が多く観察された。主な有害事象は、局所性では注射部位の痛み(63%)、局所発疹(2%)、局所腫脹(9%)で、全身性では筋肉痛(34%)、倦怠感(34%)、頭痛(16%)、発熱(10%)、悪寒(10%)、消化器合併症(10%)、インフルエンザ様症状(2%)で、入院または特別な介入は必要な例はなかった。・がん治療はICIのみが116例(87%)、ICIと化学療法の併用が18例(13%)だったが、全身性の有害事象はどちらも同程度だった。免疫関連有害事象の新規発現、既存の免疫関連有害事象の悪化はみられなかった。・筋肉痛はがん患者で有意に多かったが、それ以外はがん患者群と対照群で類似していた。両群ともワクチン接種後に免疫関連筋炎はみられなかった。・ワクチン接種前に免疫関連有害事象を報告していた患者(54%)と報告しなかった患者で、2回目接種後に全身性の有害事象を報告した患者数に有意な差はなかった(p=0.94)。過去に免疫関連有害事象を経験した患者でもワクチン関連有害事象は軽度で、入院や治療中止に至らなかった。 著者らは、「これらのデータは、ICIで治療されたがん患者におけるBNT162b2 mRNAワクチンの短期的な安全性を示唆している」としている。

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FDA、ニボルマブ+化学療法による胃がん、胃食道接合部がん、食道腺がんの1次治療を承認/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年4月16日、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法で、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、PD-L1発現率にかかわらず、進行または転移のある胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの1次治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)に承認されたことを発表した。 この承認は、未治療の進行または転移を有する胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの患者を対象として、ニボルマブとmFOLFOX6またはCapeOXの併用療法を、化学療法(mFOLFOX6またはCapeOX)と比較評価した第III相CheckMate-649試験の結果に基づいたもの。 この試験において、ニボルマブと化学療法の併用療法は、化学療法と比較して、全生存期間(OS)に対して全無作為化患者(HR:0.80、95%CI:0.71~0.90、p=0.0002)およびPD-L1 CPS≧5の患者(HR:0.71、95%CI:0.61~0.83、p<0.0001)の両方において、良好な延長を示した。全患者の探索的解析における1年OS率は、ニボルマブと化学療法の併用療法群で55%、化学療法群で48%であった。また、無増悪生存期間(PFS)も有意に低減した(PD-L1 CPS≧5:PFS HR 0.68、p<0.0001)。

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ニボルマブ+化学療法の肺がん術前補助療法、pCRを改善(CheckMate-816)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年4月10日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)と化学療法を3サイクル投与する併用療法が、化学療法と比較して、切除可能なStage1b〜3aの非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法として、病理学的完全奏効(pCR)を有意に改善したと発表。 これは、切除可能なNSCLC患者の術前補助療法として、ニボルマブ(またはイピリムマブ)と化学療法の併用を化学療法単独と比較した第III相CheckMate-816試験の結果で、米国がん学会(AACR 2021)で発表されたもの(抄録番号:#5218)。 同試験におけるpCR率は、ニボルマブと化学療法の併用療法群では24%、化学療法群では2.2%であった(OR:13.94、99% CI:3.49〜55.75、p<0.0001)。ニボルマブと化学療法の併用療法の忍容性は良好であり、PD-L1発現レベル、組織型または病期にかかわらず一貫したpCRの改善を示した。

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 呼吸器

第1回 慢性閉塞性肺疾患(COPD) オーバーラップ症候群(ACO)第2回 特発性間質性肺炎(IIPs)第3回 咳嗽・喀痰第4回 喘息第5回 肺炎第6回 肺癌 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。呼吸器については、島根大学医学部附属病院の長尾大志先生がレクチャーします。ガイドラインの改訂がとくに顕著な呼吸器領域。疾患の概念や治療方針に関する大きな変更点、新たに採用された診断基準に注目します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 慢性閉塞性肺疾患(COPD) オーバーラップ症候群(ACO)タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じる慢性閉塞性肺疾患(COPD)。2018年のガイドライン改訂により、炎症だけでなく非炎症性機転も重視され、FEV1の数値と合わせて、各症状の程度を加味した総合的な重症度の判断が求められるようになりました。喘息とCOPDを合併したACOは、COPD全体の10~20%を占め、治療には吸入ステロイドを併用します。増悪した際の治療手順も試験で問われやすいポイントです。第2回 特発性間質性肺炎(IIPs)特発性間質性肺炎(IIPs)は、明らかな原因を特定できない間質性肺炎の総称。主要6疾患と、その他の希少疾患に分類されます。各疾患名だけでなく、対応する病理組織パターンもしっかり確認しておきましょう。中でも重要なのが特発性肺線維症(IPF)。IPFの診断は、病理診断は必須ではありませんが、アルゴリズムに沿って複数の項目をチェックします。他のIIPsと唯一異なるIPF治療のポイントは、ステロイドを使用しないこと。第3回 咳嗽・喀痰「咳嗽喀痰の診療ガイドライン2019」では、咳嗽と密接に関連している喀痰の項目を新たに追加。咳嗽と喀痰の原因疾患は、急性と慢性に大別されます。狭義の感染性咳嗽、いわゆる風邪には、抗菌薬は不要です。多彩な疾患が鑑別に上がる遷延性・慢性の咳嗽。鑑別診断では、結核や肺癌など危険な疾患を見逃すことなく、後鼻漏の原因となる好酸球性副鼻腔炎や、喘息、胃食道逆流症なども念頭に置きます。※この番組は2020年3月に収録したものです。新型コロナウイルス感染症については取り上げていません。第4回 喘息変動性を持った気道狭窄や咳などの症状を起こす喘息。これまで明確な診断基準は示されていませんでしたが、「喘息とCOPDのACO診断と治療の手引き2018」に、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)値が診断に有効な指標として記載されました。近年の重要な治療方針の変更点は、以前は重症のみに使用されていた抗コリン薬が、比較的初期から吸入ステロイドと併用可能になったこと。重症例に効果的な抗体医薬も増えているので、しっかり押さえておきましょう。第5回 肺炎市中肺炎、院内肺炎、医療・介護関連肺炎の3つの肺炎が統合されたガイドラインが2017年に発表されました。終末期の症例が含まれる院内肺炎と医療・介護関連肺炎を1つの診療群とし、市中肺炎と区別した診療プロセスが示され、終末期における患者の意志やQOLを尊重した治療・ケアのあり方が重要なトピックとなっています。肺炎の種別の重症度スコアリング法や、段階別の治療戦略、適応できる薬剤を解説します。第6回 肺癌今回は非小細胞肺癌について詳しく解説します。肺癌については新規薬剤の開発が盛んで、それに伴ってガイドラインもオンラインで頻繁に更新されています。まずTMN分類で、手術、放射線治療、または薬剤治療のどれを採用するか適応判断。キナーゼ阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場によって、生存期間の延長が見込めるようになりました。副作用に耐えられるか、患者さんの体力も考慮しながら使用できる薬剤を選択します。

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 神経

第1回 脳卒中 超急性期第2回 脳卒中 急性期~慢性期第3回 免疫性神経疾患(1)第4回 免疫性神経疾患(2)第5回 神経変性疾患第6回 機能性疾患 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。神経については、福島県立医科大学脳神経内科の井口正寛先生がレクチャーします。近年ガイドラインの変更が顕著な脳卒中の血栓溶解療法から、免疫系の希少疾患まで詳しく確認します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 脳卒中 超急性期神経の第1回のテーマは、超急性期の脳卒中。近年では血栓溶解療法や血管内治療が推奨されています。rt-PA静注血栓溶解療法は有効性のエビデンスが蓄積され、発症から治療可能な時間が延長されています。MRIの画像所見を評価スケールに照らし合わせて適応を判断することが重要です。血管内治療は、ステントリトリーバーの登場によって大幅に進歩しました。第2回 脳卒中 急性期~慢性期神経の第2回は、急性期から慢性期の脳卒中について解説します。急性期の脳卒中には、抗血小板薬による薬物療法を行います。重症度によって薬剤の種類と使用法が変わるので注意しましょう。慢性期の脳卒中には、再発防止のための治療をします。ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、潜因性脳梗塞といった病型に応じて、適用できる薬剤やデバイスが異なります。第3回 免疫性神経疾患(1)神経の第3回は、免疫性神経疾患のうち、多発性硬化症とその類縁疾患の視神経脊髄炎関連疾患について解説します。多発性硬化症は、時間的、空間的多発性のある、中枢神経系の脱髄を特徴とする炎症疾患です。近年のガイドラインでは、診断基準が変更されました。視神経脊髄炎関連疾患は、多発性硬化症と比較しながら診断基準や治療法を整理し、新規薬剤を確認します。第4回 免疫性神経疾患(2)神経の第4回は、免疫性疾患のうち、骨格筋の筋力低下を起こす重症筋無力症、急性の末梢神経障害であるギランバレー症候群、自己免疫性脳症について解説します。自己免疫性脳症の抗原には、抗NMDA受容体抗体だけでなく、その他多くの抗体が知られています。また、昨今話題の抗がん剤・免疫チェックポイント阻害薬によって、自己免疫性神経疾患が副作用として引き起こされることがあります。その機序や臨床像なども解説します。第5回 神経変性疾患神経の第5回は、神経変性疾患のパーキンソン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症、筋委縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病を取り上げます。パーキンソン病は、他疾患を除外して診断する必要があるため、進行性核上性麻痺や多系統萎縮症といった主な鑑別疾患の特徴を確認しましょう。各神経変性疾患の病態や診断基準、治療法を解説します。第6回 機能性疾患神経の第6回は、てんかん、片頭痛、群発頭痛、本態性振戦について解説します。てんかんを診断するための実用的臨床定義では、新しい概念が定義されました。分類に応じた薬剤選択、発作重積時の対応を確認しましょう。片頭痛は、発作時と予防治療に用いる薬剤を確認します。激しい痛みを伴う群発頭痛は、内服薬ではなく皮下注射と酸素吸入による治療を行います。本態性振戦は、パーキンソン病との鑑別が重要です。

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