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前立腺がん治療薬で初 カソデックスOD錠が承認取得

 アストラゼネカは20日、前立腺がん治療薬「カソデックス(一般名:ビカルタミド)錠80mg」の新たな剤形として口腔内崩壊錠(以下、OD錠:Orally Disintegrating Tablet)を採用した「カソデックスOD錠80mg」の承認を8月15日に取得したと発表した。 カソデックス錠80mgは1日1回1錠投与の非ステロイド性抗アンドロゲン剤。前立腺がんの治療における内分泌療法の中心的な薬剤として10年を超える臨床実績を有している。今回、新たな剤形として承認を取得したカソデックスOD錠80mgは、前立腺がんの治療薬では初めてのOD錠となる。  カソデックスOD錠80mgは、唾液または水で飲み込んで服用する。口の中で溶けるため通常の錠剤よりも服用しやすいのが特徴となっている。高齢の患者の場合はとくに薬剤を飲み込むことが難しくなるほか、複数の薬剤を服用する機会も増えるため、そのような患者のコンプライアンスの向上を期待できるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.astrazeneca.co.jp/media/pressrelease/Article/20130820

1002.

違法な美白化粧品の迅速検出法を開発

 EU市場では昨年、インターネット上のいわゆる“闇市場”と呼ばれる購入サイト上に違法化粧品が氾濫する事態が生じた。その大半を占めたのが、美白化粧品であったという。ベルギー国立保健科学研究所のB. Desmedt氏らは、流通する美白化粧品が合法なものか違法なものかを迅速に検出するため、新たに超高速液体クロマトグラフィー‐ダイオードアレイ検出法(UHPLC-DAD)というスクリーニング法を開発し検証を行った。その結果、12分間で詳細な成分の同定が可能であることが示されたという。Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis誌2013年9月号(オンライン版2013年5月4日号)の掲載報告。 氾濫していた違法な美白化粧品には、EUの現行の化粧品に関する法律(Directive 76/768/EEC)で規制されている、ハイドロキノン、トレチノイン、コルチコステロイドなど複数の違法な活性成分が含まれていた。それらは、局所ばかりでなく全身性に毒性作用をもたらすことから、EU市場では禁止成分の対象とされている。 Desmedt氏らは、市場統制のために、多様な違法成分を迅速に検出できる新たなスクリーニング法を開発し検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・開発・検証したのは、UHPLCの手法を用いたスクリーニング法であった。・同スクリーニング法によって、主要な違法成分(ハイドロキノン、トレチノイン、6つの皮膚外用性コルチコステロイド)と合法的な美白成分を検出可能なだけでなく、合法成分(コウジ酸、アルブチン、ニコチンアミド、サリチル酸)の濃度や適用に関する制限についても検出可能であった。また、これらを12分間で定量化することも可能であった。・スクリーニング法は、ISO-17025準拠の検証要件に即した「トータルエラー」アプローチに基づき実効性が確認された。・検証において、クリーム、ローション、石鹸など多様なコスメティック商品が考慮すべき対象であることが明らかになった。

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欧州では小児アトピーに免疫抑制薬を処方

 難治性小児アトピー性皮膚炎の処方薬について、欧州8ヵ国で行われたインターネットサーベイの結果、全身性の免疫抑制薬が幅広く多岐にわたって用いられていることが明らかにされた。英国・Guy's and St Thomas' NHS Foundation TrustのL.E. Proudfoot氏ら、ヨーロッパ皮膚疾患疫学ネットワーク(EDEN)のヨーロッパ重症小児アトピー性皮膚炎治療タスクフォース(ヨーロッパTREAT)が報告した。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年7月16日号の掲載報告。 従来療法に対し難治性を示す小児アトピー性皮膚炎において、全身性治療薬を用いることのエビデンスは不足している。そのため、患者の治療は、バリエーションが多いものになっている。 ヨーロッパTREATサーベイは、臨床における最新の処方データを集めて、特定の全身性治療薬の使用に影響している因子を特定すること、および適切な介入による臨床試験を行うための情報提供を目的に行われた。 Webベースで行われたサーベイには、ヨーロッパ8ヵ国の小児皮膚科学会および団体に所属する専門医が参加した。複数回答形式の質問票で、一般的診療データと同時に、難治性小児アトピー性皮膚炎での全身性治療薬に関する詳細な情報が集められた。 主な結果は以下のとおり。・サーベイ参加を呼びかけたeメールに対し、765人のうち343人(44.8%)から回答を得られた。回答者のうち、89.2%が皮膚科医であった。・重症アトピー性皮膚炎の子どもに対して、71%が全身性免疫抑制薬による治療を開始していた。・第一選択薬は、シクロスポリン(43.0%)、経口コルチコステロイド(30.7%)、アザチオプリン(21.7%)であった。・第二選択薬も、シクロスポリンが最も多かった(33.6%)。・第三選択薬は、メトトレキサートが最も多かった(26.2%)。・53.7%は、ルーチンで皮膚感染について調べ、全身性治療薬投与の開始に先立って皮膚感染症の治療を行うと回答した。・ヨーロッパ8ヵ国全体で、ペニシリンは抗菌薬の第一選択薬であった(78.3%)。・以上の結果を踏まえて著者は、「明らかなエビデンスベースがない中で、ヨーロッパTREATサーベイにより、難治性小児アトピー性皮膚炎において全身性の免疫抑制薬の処方が幅広く多岐にわたって用いられていることが確認された。この結果は、ヨーロッパ全体の患者の治療に関連する無作為化試験のデザインに活用すべきであろう」と結論している。

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重症薬疹

薬剤性とウイルス性の発疹症の鑑別法について教えてください。これは難しい質問です。薬剤によって出来る発疹とウイルスによって出来る発疹はメカニズムが似ています。薬剤もウイルスもMHC(主要組織適合遺伝子複合体)を介してT細胞に抗原認識されるという点では同じであり、実際の鑑別も簡単ではありません。ただ、ウイルスには流行がありますし、麻疹や風疹などウイルスでは抗体価が上がります。鑑別では、これらの情報を有効活用すべきだと思います。重症薬疹の、ごく初期の場合の見分け方を教えてください。初期段階での重症化予測については盛んに研究を行っているものの、まだ結論にはたどり着かない状態です。“軽く見える薬疹が2日後に非常に重症になる”といった症例を臨床の場でも経験することがあります。実際、初期であればあるほど見分けは難しく、大きな問題です。しいてコツをあげれば、思い込みを捨てて経過を良く観察する事でしょう。経過を良く見ていると、問題の発疹の原因や悪化要因となっている病気の本態やその赴く方向・勢いが顕になり、おかしいと点に気づくようになります。そこが非常に大事な点だと思います。重症化する薬疹の診断基準や早期診断の項目で、とくに重要な項目はありますか?粘膜疹と高熱の発現は重要です。とくに熱については、高熱がなければウイルス関与の薬疹ではない事が多いといえます。いずれにせよ、この2項目が出た場合は、注意しなければいけないと思います。また一般検査では、白血球増多と白血球減少のどちらも要注意で、血液像で核左方移動を伴う好中球増多がるのなのか、異形リンパ球の出現とその増加があるのか、また特殊検査になりますがTh2の活性化を示唆する血清TARC値の上昇が見られるのかも、薬疹の病型・重症度・病勢を推定・判定する上で重要です。マイコプラズマ感染症に続発する皮疹と薬疹を鑑別する方法はありますか?この2つはきわめて似ています。しかしながら、マイコプラズマに続発する場合は、気道が障害される傾向がありますし、胸部所見からの情報も得られます。また子供よりも大人の方が鑑別難しい症例が多いといえます。これも一番のコツは経過をじっと観察し、通常の定型的薬疹と違うことに気づくことだと思います。同じ薬剤でも薬疹の臨床型には個人差があるが、その要因を知りたい。難しい質問ですが、その患者さんの持っている免疫応答性とそれに影響を及ぼす遺伝的・非遺伝的な各種要因に関係した患者さんの持っている特性などが影響するのでしょう。SJSからTENへの移行とありますが、病理組織学的に両者は別疾患と聞いたことがあります。疾患連続性について御教授ください。これにはいろいろな意見があります。SJSは、通常SJSの発疹の拡大と病勢の伸展・進行によりTENに移行します。しかし、TENの場合、SJSを経ないで現れるものもあります。そのため、現時点ではSJSからTENに移行するものは一群として考えているといってよいと思います。免疫グロブリンは、軽症でも粘膜疹があれば早期投与した方が良いのでしょうか?免疫グロブリンを用いるのは、通常の治療で治らない場合と明らかにウイルス感染があるなど免疫グロブリンの明らかな適応がある場合などに限ります。このような症例を除いては、早期に使わないのが原則だと考えます。また、高価であり保険の問題もありますので、当然ながら安易な処方は避けるべきでしょう。AGEPにおける、ステロイド投与適応の指標は?AGEPには原因薬を中止して治る例とそうでない例があります。ステロイド適応は原因薬をやめて治らない場合ですね。なお、AGEPの場合は、TENやSJSとは異なり比較的低用量のステロイドでも治る症例があることに留意すべきものと思われます。初期に判断が難しい際には、全身ステロイドは控えるべきですか?判断が困難な場合は、第一の選択肢は、まず専門医に紹介するべきでしょう。中途半端な治療の後、悪化してわれわれの施設に来られる患者さんも少なくありません。こういった医療が最も良くないといえるでしょう。そういう意味で、病気に寄り添い、責任を持ってとことん病気を見切ることが重要です。その経過中に無理だと判断したら専門の医師に紹介した方が良いといえます。重症薬疹の原因薬剤として意外なもの(あまり認識されていないもの)はありますか?抗痙攣薬、消炎鎮痛解熱薬(NSAIDs)、抗菌薬、痛風治療薬などが原因薬としてよく取り上げられますが、どんな薬剤でも起こり得ると思った方が良いと思います。被疑薬の特定が困難である場合、治療のために全て薬剤を中止することが多いですが、どのように因果関係を証明したらよいでしょうか?とくに多剤内服中の方について病気の程度によりますが、軽くて余裕があれば、怪しい薬剤から抜いていって、良くなったらその薬剤が原因である可能性が高いわけです。一方、薬疹の進行が激しく一刻の猶予もない場合は、すべて中止したほうが良いと考えます。そして、その症状が治るか収まるかして、ステロイドなどの治療薬を中止できるか、ある程度まで減量できた時に、推定される原因薬剤を用いて、患者さんの末梢血に由来するリンパ球の刺激培養(in vitroリンパ球刺激試験)を実施し、出来れば、in vivoのパッチテストも行い、原因薬を診断・推定することは今後の予防という視点からも重要です。

1005.

Dr.岩田の感染症アップグレードBEYOND

第5回「尿路感染を舐めていないか?」第6回「解剖学(アナトミー)で考えるSSTI、骨・関節の感染症」第7回「スピードで勝負する髄膜炎」第8回「実は難しくない院内感染症」第9回「僕たちはそこで何ができるのか?被災地での感染症対策」 第5回「尿路感染を舐めていないか?」尿路感染は「難しくない」と思っている先生方はとても多いのですが、実はそこに落とし穴があります。尿路感染だと思って治療していたら実は○○だった…、という例には枚挙にいとまがありません。特にベテランの先生ほど、このピットフォールには陥りがちなのです。また、尿路感染=ニューキノロンという考え方も誤りです。実際、岩田先生のプラクティスで尿路感染にニューキノロンが使われることはほとんどありません。では、どうしたらいいのでしょうか?この回を見てしっかり学んでください。第6回「解剖学(アナトミー)で考えるSSTI、骨・関節の感染症」日常診療でもしばしば遭遇する、皮膚や軟部組織の感染症SSTI(Skin and Soft Tissue Infection)、骨、関節の感染症。実は、内科系のドクターはこれらが苦手な方が多いといいます。それは、感染した部位を外科的な視点で解剖学的に見ることが必要だから。単に、「腕」「足」の関節ではなく、その詳しい場所と、組織を特定しなければいけません。また、SSTIによく使われる第三世代セファロスポリンは明らかな誤用です。診断と治療の正しいアプローチを詳しく解説します。第7回「スピードで勝負する髄膜炎」頻度は高くないが、細菌性であれば命に関わる髄膜炎。全ての医師が少なくとも診断のプロセスを理解しておきたい疾患です。スクリーニング、腰椎穿刺、CT、抗菌薬の選択・投与、ステロイド使用の流れを覚えましょう。原因微生物も典型的なものだけでなく例外的な微生物に注意を払う必要があります。スピードを要求される対応のノウハウを身に付けましょう。第8回「実は難しくない院内感染症」入院中の患者さんが熱発した!担当医にとってこれほど気分の悪いことはありません。分からない原因、悩む抗菌薬の選択、耐性菌の不安。しかし岩田先生は、「外来の発熱患者さんに比べれば何百倍も簡単」と一刀両断。なぜなら、実は、感染症以外の鑑別を含めても、考えられる原因は数えるほどしかなく、それらを「ひとつずつ丁寧に精査していけば良い」だけのことだからです。院内感染症に使われる、カルバペネム、バンコマイシン、ピペラシリンといった広域抗菌薬についての誤用、誤解も明快に解説します。耐性菌に対する考え方もしっかり身に付けましょう。第9回「僕たちはそこで何ができるのか?被災地での感染症対策」2011年3月11日以来、岩田先生の医療に対する考え方は大きく変わったといいます。未曾有の大災害に対し、医師一人がいかに無力であるかを思い知り、しかし、それでもなお、何か出来ることがあるはずと、模索する日々。今回は、被災地での岩田先生自らの経験を踏まえて、避難所での感染症対策を解説します。非常時に感染症医として、医師として何が出来るか。それは、決して災害が起ってからだけの問題ではなく、常日頃のあなたの診療においても、考え、実践すべきことなのです。

1006.

心肺蘇生でのVSEコンビネーション療法、神経学的に良好な生存退院率を改善/JAMA

 心停止患者の蘇生処置について、心肺蘇生(CPR)中のバソプレシン+エピネフリンとメチルプレドニゾロンの組み合わせ投与および蘇生後ショックに対するヒドロコルチゾン投与は、プラセボ(エピネフリン+生理食塩水)との比較で、神経学的に良好な状態で生存退院率を改善することが明らかにされた。ギリシャ・アテネ大学のSpyros D. Mentzelopoulos氏らが無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験の結果、報告した。先行研究において、バソプレシン-ステロイド-エピネフリン(VSE)のコンビネーション療法により、自発的な血液循環および生存退院率が改善することが示唆されていたが、VSEの神経学的アウトカムへの効果については明らかではなかった。JAMA誌2013年7月17日号掲載の報告より。20分以上の自発的な血液循環、CPCスコア1もしくは2での生存退院率を評価 研究グループは、昇圧薬を必要とした院内心停止患者について、CPR中のバソプレシン+エピネフリン投与と、CPR中またはCPR後にコルチコステロイドを投与する組み合わせが、生存退院率を改善するかを、脳機能カテゴリー(Cerebral Performance Category:CPC)スコアを用いて評価を行った。同スコアの1、2を改善の指標とした。 試験は2008年9月1日~2010年10月1日の間に、ギリシャの3次医療センター3施設(病床数計2,400床)を対象に行われた。被験者は、蘇生ガイドラインに従いエピネフリン投与を必要とした院内心停止患者で、364例が試験適格について評価を受け、そのうち268例が解析に組み込まれた。 被験者は、バソプレシン(CPRサイクル当たり20 IU)+エピネフリン(同1mg;約3分間隔で)投与群(VSE群、130例)か、生理食塩水+エピネフリン(同1mg;約3分間隔で)投与群(対照群、138例)に無作為化され、初回CPRを5サイクル受けた。必要に応じてエピネフリンの追加投与を受けた。無作為化後の初回CPR中、VSE群はメチルプレドニゾロン(40mg)も受けた。対照群は生理食塩水を受けた。 また、蘇生後ショックに対しては、VSE群(76例)に対してはヒドロコルチゾンをストレス用量で投与し(最大量300mg/日を7日間投与したあと漸減)、対照群(73例)には生理食塩水を投与した。 主要評価項目は、20分以上の自発的な血液循環(ROSC)、CPCスコア1もしくは2での生存退院率とした。CPCスコア1もしくは2での生存退院率改善は、VSE群が対照群の3.28倍 全蘇生患者についてフォローアップは完遂された。 VSE群の患者は対照群と比べて、20分以上のROSCの達成患者が有意に高率だった(83.9%対65.9%、オッズ比[OR]:2.98、95%信頼区間[CI]:1.39~6.40、p=0.005)。 CPCスコア1もしくは2で生存退院した患者の割合も有意に高率だった(13.9%対5.1%、OR:3.28、95%CI:1.17~9.20、p=0.02)。 蘇生後ショックの処置について、ヒドロコルチゾン投与を受けたVSE群のほうが、プラセボ投与を受けた対照群と比べて、CPCスコア1もしくは2で生存退院した患者の割合が有意に高率だった(21.1%対8.2%、OR:3.74、95%CI:1.20~11.62、p=0.02)。 有害イベントの発現率は、両群で同程度だった。

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募集した質問にエキスパートが答える!骨粗鬆症診療 Q&A (Part.2)

今回、骨粗鬆診療に関連する3つの質問に回答します。「骨折ハイリスク例の見分け方」「薬剤の併用療法」。日頃の悩みがこれで解決。骨折のハイリスク例の見分け方について教えてください。既存椎体骨折、大腿骨近位部骨折の既往は骨折ハイリスク例となります。今年、改訂された「原発性骨粗鬆症診断基準(2012年度改訂版)」と「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン(2011年版)」ではこれらの骨折既往がある場合には骨密度検査をせずに骨粗鬆症と診断し薬物治療を開始することが推奨されています(図)。その他のハイリスク例として、ステロイド性骨粗鬆症があげられます。プレドニン換算で5mg/日を3ヵ月以上投与する患者には、ステロイド開始と同時にビスホスホネート製剤などの薬物治療を開始することが推奨されています。図画像を拡大する併用療法について教えてください。現在の薬剤は単剤治療の効果のエビデンスに基づいているので、原則的には単剤治療を行うべきでしょう。併用にはいろいろなパターンがありますが、複数薬を併用する場合には互いに薬剤効果が相殺されないこと、有害事象がおきないこと、単剤使用の場合よりも明らかに相乗効果が認められることが条件になります。近年、活性型ビタミンD3はビスホスホネート製剤と併用すると、重症患者ではビスホスホネート製剤単独で使用するより骨折予防効果が高いことが報告されています(A-TOP研究)。

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アスピリン喘息の患者に対し解熱消炎薬を投与し、アナフィラキシーショックで死亡したケース

自己免疫疾患最終判決判例タイムズ 750号221-232頁、786号221-225頁概要気管支喘息の検査などで大学病院呼吸器内科に入院していた42歳女性。入院中に耳鼻科で鼻茸の手術を受け、術後の鼻部疼痛に対し解熱消炎薬であるジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン)2錠が投与された。ところが服用後まもなくアナフィラキシーショックを起こし、呼吸困難から意識障害が進行、10日後に死亡した。詳細な経過患者情報42歳女性経過1979年(39歳)春痰を伴う咳が出現し、時に呼吸困難を伴うようになった。12月10日A病院に1ヵ月入院し、喘息と診断された。1981年夏安静時呼吸困難、および喘鳴が出現し、歩行も困難な状況になることがあった。8月11日再びA病院に入院し、いったんは軽快したがまもなく入院前と同じ症状が出現。1982年2月起坐呼吸が出現し、夜間良眠が得られず。体動による喘鳴も増強。6月近医の紹介により、某大学病院呼吸器内科を受診し、アミノフィリン(同:ネオフィリン)などの投与を受けたが軽快せず。9月7日A病院耳鼻科を受診し、アレルギー性鼻炎を基盤とした重症の慢性副鼻腔炎があり、鼻茸を併発していたため手術が予定された(患者の都合によりキャンセル)。9月27日咽頭炎で発熱したためA病院耳鼻科を受診し、解熱鎮痛薬であるボルタレン®、およびペニシリン系抗菌薬バカンピシリン(同:バカシル、製造中止)の処方を受けた。帰宅後に両薬剤を服用してまもなく、呼吸困難、喘鳴を伴う激しいアナフィラキシー様症状を起こし、救急車でA病院内科に搬送された。入院時にはチアノーゼ、喘鳴を伴っていて、薬剤によるショックであると診断され、ステロイドホルモンなどの投与で症状は軽快した。担当医師は薬物アナフィラキシーと診断し、カルテに「ピリン、ペニシリン禁」と記載した。この時の発作以前には薬物による喘息発作誘発の既往なし。1983年2月3日A病院耳鼻科を再度受診して鼻茸の手術を希望。この時には症状および所見の軽快がみられたので、しばらくアレルギー性鼻炎の治療が行われ、かなり症状は改善した。5月10日気管支喘息の原因検索、およびコントロール目的で、某大学病院呼吸器内科に1ヵ月の予定で入院となった。5月24日不眠の原因が鼻閉によるものではないかと思われたので同院耳鼻科を受診。両側の鼻茸が確認され、右側は完全閉塞、左側にも2~3の鼻茸があり、かなりの閉塞状態であった。そこで鼻閉、およびそれに伴う呼吸困難の改善を目的とした鼻茸切除手術が予定された。5月25日教授回診にて、薬剤の既往症をチェックし、アスピリン喘息の可能性を検討するように指示あり。6月2日15:12~15:24耳鼻科にて両側鼻茸の切除手術施行。15:50病室へ戻る。術後に鼻部の疼痛を訴えた。17:00担当医師が学会で不在であったため、待機していた別の当番医によりボルタレン®2錠が処方された。17:30呼吸困難が出現。喘鳴、および低調性ラ音が聴取されたため起坐位とし、血管確保、およびネオフィリン®の点滴が開始された。17:37喘鳴の増強がみられたため、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム(同:サクシゾン)、ネオフィリン®の追加投与。17:40突然チアノーゼが出現し気道閉塞状態となる。ただちに気管内挿管を試みたが、筋緊張が強く挿管困難。17:43筋弛緩薬パンクロニウム(同:ミオブロック4mg)静注し再度気管内挿管を試みたが、十分な開口が得られず挿管中止。17:47別の医師に交代して気管内挿管完了。17:49心停止となっため心臓マッサージ開始。エピネフリン(同:ボスミン)心注施行。17:53再度心停止。再びボスミン®を心注したところ、洞調律が回復。血圧も維持されたが、意識は回復せず、まもなく脳死状態へ移行。6月12日07:03死亡確認となる。当事者の主張患者側(原告)の主張1.問診義務違反アスピリン喘息が疑わる状況であり、さらに約8ヵ月前にボルタレン®、バカシル®によるアナフィラキシーショックを起こした既往があったのに、担当医師は問診を改めてやっていないか、きわめて不十分な問い方しかしていない2.過失(履行不完全)問診により発作誘発歴が明らかにならなくても、鼻茸の手術前に解熱鎮痛薬を使用してよい患者かどうか確認するために、スルピリンやアスピリンの吸入誘発試験により確実にアスピリン喘息の診断をつけるべきであった。さらに、疼痛に対しいきなりボルタレン®2錠を使用したことは重大な過失である3.救命救急処置気管内挿管に2度失敗し、挿管完了までに11分もかかったのは重大な過失である病院側(被告)の主張1.問診義務違反アスピリン喘息を疑がって問診し、風邪薬などの解熱鎮痛薬の発作歴について尋ねたが、患者が明確に否定した。過去のアナフィラキシーショックについても、問題となった薬剤服用事実を失念しているか、告知すべき事実と観念していないか、それとも故意に不告知に及んだかのいずれかである2.過失(履行不完全)スルピリン吸入誘発試験によるアスピリン喘息確定診断の可能性、有意性はきわめて少ない。アナフィラキシーショックを予防する方法は、適切な問診による既往症の聴取につきるといって良いが、本件では問診により何ら薬物によるアナフィラキシー反応の回答が得られなかったので、アナフィラキシーショックの発生を予測予防することは不可能であった3.救命救急処置1回で気管内挿管ができなかったからといって、けっして救命救急処置が不適切であったことにはならない裁判所の判断第1審の判断問診義務違反患者が故意に薬剤服用による発作歴があることを秘匿するとは考えられないので、担当医師の質問の趣旨をよく理解できなかったか、あるいは以前の担当医師から受けた説明を思い出せなかったとしか考えられない。適切な質問をすれば、ボルタレン®およびバシカル®の服用によってショックを起こしたことを引き出せたはずであり、問診義務を尽くしたとは認めがたい。このような担当医師の問診義務違反により、アスピリン喘息の可能性を否定され、鼻茸の除去手術後にアスピリン喘息患者には禁忌とされるボルタレン®を処方され、死亡した。第2審の判断第1審の判断を翻し、入院時の問診で主治医が質問を工夫しても、鎮痛薬が禁忌であることを引き出すのは不可能であると判断。しかし、担当医師代行の当番医が、アスピリン喘息とは断定できないもののその疑いが残っていた患者に対してアスピリン喘息ではないと誤った判断を下し、いきなりボルタレン®2錠を投与したのは重大な過失である。両判決とも救命救急処置については判断せず。6,612万円の請求に対し、3,429万円の支払命令考察本件では第1審で、「ボルタレン®、バシカル®によるアナフィラキシーショックの既往歴を聞き出せなかったのは、問診の仕方が悪い」とされました。この患者さんは弁護士の奥さんであり、「患者は知的で聡明な女性であり、医師のいうことを正しく理解できたこと、担当医師との間には信頼関係が十分にあった」と判決文にまで書かれています。しかも、この事件が起きたのは大学病院であり、教授回診で「薬剤の既往症をチェックし、アスピリン喘息の可能性を検討するように」と具体的な指示までありましたので、おそらく担当医師はきちんと問診をしていたと思われます。にもかかわらず、過去にボルタレン®およびバシカル®でひどい目にあって入院までしたことを、なぜ患者が申告しなかったのか少々理解に苦しみますし、「既往歴を聞き出せなかったのは、問診の仕方が悪い」などという判決が下るのも、ひどく偏った判断ではないかと思います。もっとも、第2審ではきちんとその点を訂正し、「担当医師の問診に不適切な点があったとは認められない」とされました。当然といえば当然の結果なのですが、こうも司法の判断にぶれがあると、複雑な思いがします。結局、本件はアスピリン喘息が「心配される」患者に対し、安易にボルタレン®を使ったことが過失とされました。ボルタレン®やロキソプロフェンナトリウム(同:ロキソニン)といった非ステロイド抗炎症薬は、日常臨床で使用される頻度の高い薬剤だと思います。そして、今回のようなアナフィラキシーショックに遭遇することは滅多にないと思いますので、われわれ医師も感冒や頭痛の患者さんに対し気楽に処方してしまうのではないかと思います。過去に薬剤アレルギーがないことを確認し、そのことをカルテにきちんと記載しておけば問題にはなりにくいと思いますが、「喘息」の既往症がある患者さんの場合には要注意だと思います。アスピリン喘息の頻度は成人喘息の約10%といわれていますが、喘息患者の10人に1人は今回のような事態に発展する可能性があることを認識し、抗炎症薬はなるべく使用しないようにするか、処方するにしてもボルタレン®やロキソニン®のような酸性薬ではなく、塩基性非ステロイド抗炎症薬を検討しなければなりません。自己免疫疾患

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韓国人女性の髪と頭皮の変化の特性、日本やその他の国とは一部で異なる可能性

 韓国・Advanced Hair Research LaboratoryのS.N. Kim氏らは、韓国人女性の髪と頭皮の加齢に伴う変化の特性について調べた。その結果、40代以降に多様に変化する特性が示され、他国の女性の髪の変化とは一部異なる可能性が示されたことを報告した。これまでに、白人女性および日本人女性において、年齢が髪の性質に与える影響については報告があったが、韓国人女性について調べた報告はなかった。British Journal of Dermatology誌2013年6月号の掲載報告。 本研究は、韓国人女性の髪の年齢特性について、身体的およびバイオロジカルな因子の影響を十分な被験者数で調べることを目的とした。 合計150人のソウル在住の健康な韓国人女性が参加した。被験者の年齢は23~69歳で、5つの年齢階層群に分類して分析した。 評価は、頭皮と毛幹のさまざまな年齢関連の特色を調べるため、髪密度、髪の毛の直径、張りの強さ、つや、白髪の比率を測定した。 毛幹については高速液体クロマトグラフィーを用いて、ミネラル、アミノ酸、ステロイドホルモンの含有成分の測定も行った。 主な結果は以下のとおり。・脱毛症の指標(髪密度、髪直径、張力)および髪のつやは、年齢とともに有意に減少した。これら減少の開始は40代であった。・白髪は年齢とともに有意に増大した。白髪の比率が増加するのは60代からであった。・カルシウムとマグネシウムの値は、参考値を大きく上回っていたが、年齢依存的に減少していくことが認められた。一方でカリウムとリンの値は、年齢とともに増大していた。・毛幹のアミノ酸の年齢に関係する変化は、明白ではなかった。・ステロイドとその代謝物(コレステロール、デスモステロール、ラノステロール、プレグネノロン)の含有量は、年齢とともに有意に増大していた。しかし、性別(男性、女性)ホルモンと年齢との関連性はみられなかった。

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腰部硬膜外ステロイド注射によって椎体骨折のリスクが増加

 腰部硬膜外ステロイド注射(LESI)は神経根障害や脊髄神経の圧迫から生じる神経性跛行の治療に用いられるが、副腎皮質ステロイドは骨形成を低下し骨吸収を促進することで骨強度に悪影響を及ぼすことが示唆されている。米国・ヘンリーフォード ウェストブルームフィールド病院のShlomo Mandel氏らは、後ろ向きコホート研究において、LESIが椎体骨折の増加と関連していることを明らかにした。LESIの使用はこれまで考えられていたより大きなリスクを伴う可能性があり、骨粗鬆症性骨折のリスクを有する患者には慎重に行わなければならないとまとめている。The Journal of Bone & Joint Surgery誌2013年6月5日の掲載報告。 本研究の目的は、LESIが、椎体骨折のリスクを増加するのかについて評価をすることであった。 ヘンリーフォード ウェストブルームフィールド病院のデータベースから、ICD-9診断コードを用いて、椎間板障害など脊椎に関連した疾患を有する患者計5万345例(うち1回以上のLESIを受けていた患者は3,415例)を特定した。 LESI施行例3,000例を無作為に抽出するとともに、傾向スコアマッチングによりLESI非施行例3,000例を選び出し、両群における椎体骨折の発生率を生存時間分析にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・LESI施行群と非施行群で、年齢、傾向スコア、性別、人種、甲状腺機能亢進症、ステロイド使用に差はなかった。・生存時間分析の結果、注射回数の増加は骨折リスクの増加と関連していた。・注射が1回増えるごとに、骨折リスク(共変量調整後)は1.21倍(95%信頼区間:1.08~1.30)増加した(p=0.003)。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説

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特発性間質性肺炎の経過中に肺がんを見落としたケース

呼吸器最終判決判例タイムズ 1739号124-129頁概要息切れ、呼吸困難を主訴に総合病院を受診し、特発性間質性肺炎、連発型心室性期外収縮などと診断された75歳男性。当初、右肺野に1.5cmの結節陰影がみられたが、炎症瘢痕と診断して外来観察を行っていた。ところが初診から6ヵ月後、特発性間質性肺炎の急性増悪を契機に施行した胸部CTで右肺野の結節陰影が4cmの腫瘤陰影に増大、骨転移を伴う肺小細胞がんでステージIVと診断された。特発性間質性肺炎の急性増悪に対してはステロイドパルス療法などを行ったが、消化管出血などを合併して全身状態は悪化、治療の効果はなく初診から7ヵ月後に死亡した。詳細な経過患者情報75歳男性、1日30本、50年の喫煙歴あり経過1994年3月29日息切れ、呼吸困難、疲れやすいという主訴で某総合病院循環器科を受診。医学部卒業後1年の研修医が担当となる。胸部X線写真:両肺野の微細な網状陰影呼吸機能検査:拘束性換気障害心電図検査:二段脈と不完全右脚ブロック血液検査:肝・胆道系の酵素上昇、腫瘍マーカー陰性4月5日胸部CTスキャン:肺野末梢および肺底部に強い線維性変化、蜂窩状陰影。続発性の肺気腫と嚢胞、右肺の胸膜肥厚。なお、右肺下葉背側(segment 6)に1.0×1.5cmの結節陰影が認められたが、炎症後の瘢痕と読影。慢性型の特発性間質性肺炎と診断した腹部CTスキャン:異常なし4月6日ホルター心電図:連発型の非持続性心室性期外収縮があり、抗不整脈薬を投与開始。以後胸部については追加検査されることはなく、外来通院が続いた11月頃背部痛、腰痛、全身倦怠感を自覚。12月8日息苦しさと著しい全身倦怠感が出現したため入院。胸部X線写真、胸部CTスキャンにより、右肺下葉背側に4.0×3.0cmの腫瘤陰影が確認された(半年前の胸部CTスキャンで炎症瘢痕と診断した部分)。諸検査の結果、特発性間質性肺炎に合併した肺小細胞がん、骨転移を伴うステージIVと診断した。12月20日特発性間質性肺炎が急性増悪し、ステロイドパルス療法施行。ところが消化管出血を合併し、全身状態が急速に悪化。1995年1月13日特発性間質性肺炎の悪化により死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張1.特発性間質性肺炎に罹患したヘビースモーカーの患者に、胸部CTスキャンで結節性陰影がみつかったのであれば、肺がんを念頭においた精密検査を追加するべきであった2.肺がんのような重大な疾患を経験の浅い医師が受け持つのであれば、経験豊かな医師が指導するなど十分なバックアップ体制をとる注意義務があった病院側(被告)の主張1.精密検査ができなかったのは、原告が健康保険に加入していなかったので高い診療費を支払うことができなかったためである2.死因は特発性間質性肺炎の急性増悪であり、肺がんは関係ない。たとえ初診時に肺がんの診断ができていたとしても、延命の可能性は低かった裁判所の判断1.診察当初の胸部CTスキャンで結節性陰影がみつかり、喫煙歴が1日30本、約50年というヘビースモーカーであり、慢性型の特発性間質性肺炎と診断し、肺がんがその後半年間発見されなかったという診断ミスがあった2.直接死因は特発性間質性肺炎の急性増悪であり、肺小細胞がんが直接寄与したとはいえない。しかし、早期に肺小細胞がんの確定診断がつき、化学療法を迅速に行っていれば、たとえ特発性間質性肺炎が急性増悪を来してもステロイドの治療効果や胃潰瘍出血などの副作用も異なった経過をたどり、肺小細胞がんの治療も特発性間質性肺炎の治療も良好に推移したと考えられ、少なくとも約半年長く生存できたはずである。したがって、原告の精神的苦痛に対する慰謝料を支払うべきである原告側2,200万円の請求に対し、550万円の支払命令考察今回の事件は、ある地方の基幹病院で発生しました。ご遺族にとってみれば、信頼できるはずの大病院に半年間も通院していながら、いきなり「がんの末期で治療のしようがない」と宣告されたのですから、裁判を起こそうという気持ちも十分に理解できると思います。それに対し病院側は、たとえ最初からがんと診断しても死亡とは関係はなかった、それよりも、きちんと国民健康保険に加入せず治療費が高いなどと文句をいうので、胸部CTスキャンなどの高額な検査はためらわれた、と反論しましたが、裁判官には受け入れられず「病院側の注意義務違反」として判決は確定しました。あとから振り返ってみると、多くの先生方は「このような肺がんハイリスクの患者であれば、診断を誤ることはない」という印象を持たれたと思いますが、やはり原点に返って、どうすれば最初から適切な診断ができたのか、そして、その後の定期外来通院中になぜ肺がん発見には至らなかったのか、などについて考えてみたいと思います。1. 研修医もしくは若手医師の指導今回当事者となったドクターは、医学部を卒業後1年、そして、当該病院に勤務してから3ヵ月しか経過していない研修医でした。このような若いドクターが医師免許を取得して直ぐに医事紛争に巻き込まれ、裁判所に出廷させられるなどということは、できる限り避けなければなりませんが、今回の背景には、指導医の監督不十分、そして、当事者のドクターにも相当な思い込みがあったのではないかと推測されます。おそらく、当初の胸部CTスキャンで問題となった「右肺下葉背側(segment 6)に1.0×1.5cmの結節陰影」というのは、放射線科医が作成したレポートをこの研修医がそのまま信用し、結節=炎症瘢痕=がんではない、と半ば決めつけていたのだと思います。しかし、通常であれば「要経過観察」といった放射線科医のコメントがつくはずですから、最初につけた診断だけで安心せず、次項に述べるようなきちんとした外来観察計画を立てるべきであったと思います。そして、指導医も、卒後1年しか経過していないドクターを一人前扱いとせずに、新患のケースでその後も経過観察が必要な患者には、治療計画にも必ず関与するようにするべきだと思います。従来までの考え方では、このような苦い経験を踏まえて一人前の医師に育っていくので、最初から責任を負わせるようにしよう、とされていることが多いと思いますし、実際に多忙をきわめる外来診療で、そこまで指導医が配慮するというのも困難かもしれません。しかし、今回のような医師同士のコミュニケーション不足が原因で紛争に発展する事例があるのも厳然たる事実ですから、個人の力だけでは防ぎようのない事故については、組織のあり方を変更して取り組むべきだと思います。2. 定期的な外来観察計画上気道炎の患者さんなど短期間の治療で終了するようなケースを除いて、慢性・進行性疾患、場合によっては生命を脅かすような病態に発展することのある疾患については、初期の段階から外来観察計画を取り決めておく必要があると思います。たとえば、今回のような特発性間質性肺炎であれば(肺がんの合併が約20%と高率なので)胸部X線写真は6ヵ月おきに必ずとる、血液ガス検査は毎月、血算・生化学検査は2ヵ月おきに調べよう、などといった具合です。一度でも入院治療が行われていれば、退院後の外来通院にも配慮することができるのですが、ことに今回の症例のようにすべて外来で診ざるを得なかったり、複数の医師が関わるケースでは、なおさら「どのような治療方針でこの患者を診ていくのか」という意思決定を明確にしておかなければなりません。そして、カルテの見やすいところに外来観察計画をはさんでおくことによって、きちんと患者さんをフォローできるばかりか、たとえ医事紛争に巻き込まれても、「適切な外来管理を行っていた」と判断できる重要な証拠となります。今回の症例は、やりようによっては最初から肺がん合併を念頭においた外来観察をできたばかりか、けっして軽い病気とはいえない特発性間質性肺炎の経過観察を慎重に行うことで、結果が悪くても医事紛争にまでは至らなかった可能性も考えられます。裁判官の判断は、「がんが発見されていれば別の経過(=特発性間質性肺炎の急性増悪も軽くすんだ?)をたどったかもしれない」ことを理由に、たいした根拠もなく「半年間は延命できた」などという判決文を書きました。しかし、一般に特発性間質性肺炎の予後は悪いこと、たとえステロイドを使ったとしても劇的な効果は期待しにくいことなどの医学的事情を考えれば、「半年間は延命できた」とするのはかなり乱暴な考え方です。結局、約半年も通院していながら末期になるまでがんをみつけることができなかったという重大な結果に着目し、精神的慰謝料を支払え、という判断に至ったのだと思います。呼吸器

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デュシェンヌ型筋ジストロフィー〔DMD: duchenne muscular dystrophy〕

1 疾患概要■ 概念・定義筋ジストロフィーは、骨格筋の変性・壊死を主病変とし、臨床的には進行性の筋力低下をみる遺伝性の筋疾患の総称である。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)はその中でも最も頻度が高く、しかも重症な病型である。■ 疫学欧米ならびにわが国におけるDMDの発症頻度は、新生男児3,500人当たり1人とされている。有病率は人口10万人当たり3人程度である。このうち約2/3は母親がX染色体の異常を有する保因者であることが原因で発症し、残りの1/3は突然変異によるものとされている。まれに染色体転座などによる女児または女性のDMD患者が存在する。ジストロフィン遺伝子のインフレーム欠失により発症するベッカー型筋ジストロフィー(BMD:becker muscular dystrophy)はDMDと比べ、比較的軽症であり、BMDの有病率はDMDの1/10である。■ 病因DMDはX連鎖性の遺伝形式をとり、Xp21にあるジストロフィン遺伝子の異常により発症する。ジストロフィン遺伝子の産物であるジストロフィンは、筋形質膜直下に存在し、N端ではF-アクチンと結合し、C端側では筋形質膜においてジストロフィン・糖タンパク質と結合し、ジストロフィン・糖タンパク質複合体を形成している(図1)。ジストロフィン・糖タンパク質複合体に含まれるα-ジストログリカンは、基底膜のラミニンと結合する。したがって、ジストロフィンは、細胞内で細胞骨格タンパク質と、一方ではジストロフィン・糖タンパク質複合体を介して筋線維を取り巻く基底膜と結合することにより、筋細胞(筋線維)を安定させ、筋収縮による形質膜のダメージを防いでいると考えられている。DMDではジストロフィンが完全に欠損するが、そのためにジストロフィン結合糖タンパク質もまた形質膜から欠損する。その結果、筋線維の形質膜が脆弱になり、筋収縮に際して膜が破綻して壊死に陥り、筋再生を繰り返しながらも、徐々に筋線維組織が脂肪組織へと置き換わっていく特徴を持っている。画像を拡大する■ 症状乳児期に軽度の発育・発達の遅れにより、処女歩行が1歳6ヵ月を過ぎる例も30~50%いる。しかしながら、通常、異常はない。2~5歳の間に転びやすい、走るのが遅い、階段が上れないなど、歩行に関する異常で発症が明らかになる。初期より腰帯部が強く侵されるため、蹲踞(そんきょ)の姿勢から立ち上がるとき、臀部を高く上げ、次に体を起こす。進行すると、膝に手を当て自分の体をよじ登るようにして立つので、登はん性起立(Gowers徴候)といわれる。筋力低下が進行してくると脊柱前弯が強くなり、体を左右に揺するようにして歩く(動揺性歩行:waddling gait)。筋組織が減少し、結合組織で置換するため、筋の伸展性が無くなり、関節の可動域が減り、関節の拘縮をみる。関節拘縮はまず、足関節に出現し、尖足歩行となる。10~12歳前後で歩行不能となるが、それ以降急速に膝、股関節が拘縮し、脊柱の変形(脊柱後側弯症:kyphoscoliosis)、上肢の関節拘縮もみるようになる。顔面筋は初期には侵されないが、末期には侵され、咬合不全をみる。10代半ばから左心不全症状が顕性化することがあり、急性胃拡張、イレウス、便通異常、排尿困難などを呈することもある。外見的な筋萎縮は初期にはあまり目立たないが、次第に躯幹近位筋が細くなる。本症では、しばしば下腿のふくらはぎなどが正常よりも大きくなる。これは一部筋線維が肥大することにもよるが、主に脂肪や結合組織が増えることによるもので、偽(仮)性肥大(pseudohypertrophy)と呼ばれる。知能の軽度ないし中等度低下をみることがまれでなく、平均IQは80前後といわれている。しかし、病理学的に中枢神経系に異常はない。最終的に呼吸障害や心障害を合併するが、近年の人工呼吸器の進歩により40歳位まで寿命を保つことが可能となっている。■ 分類X連鎖性の遺伝形式をとる筋ジストロフィーとしては、DMDやジストロフィン遺伝子のインフレーム欠失によって発症するBMDのほかにX染色体長腕のエメリン遺伝子異常によって発症するエメリ・ドレフュス型筋ジストロフィー(EDMD:emery-dreifuss muscular dystrophy)がある。■ 予後発症年齢は2~5歳、症状は常に進行し10~12歳前後で歩行不能となる。自然経過では20代前半までに死亡する。わが国では呼吸不全、感染症などに対する対策が進み、40歳以上の生存例も増えている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断本症が強く疑われる場合は、遺伝子検査を遺伝カウンセリングの下に行う。MLPA(Multiplex ligation-dependent probe amplification)法では、比較的大きな欠失/重複(DMD/BMD患者の約70%)が検出できる。微細な欠失/重複・挿入・一塩基置換による変異(ミスセンス・ナンセンス変異)の検出には、ダイレクトシークエンス法が必要となる。遺伝子検査で異常がみつからない場合も、筋生検で免疫組織学的にジストロフィン染色の異常が証明されれば診断できる。■ 検査1)一般生化学的検査血清クレアチンキナーゼ(creatine kinase: CK)が中程度~高度上昇(そのほか、ミオグロビン、アルドラーゼ、AST、ALT、LDHなども上昇)する。発症前に高CK血症で気付かれるケースがある。そのほか、血清クレアチンの上昇、尿中クレアチンの上昇、尿中クレアチニンの減少をみる。2)筋電図筋原性変化(低振幅・単持続・多相性活動電位、干渉波の形成)を確認する。3)骨格筋CTおよびMRI検査4歳以降に大臀筋の脂肪変性、引き続き大腿、下腿の障害がみられる。大腿直筋、薄筋、縫工筋、半腱様筋は比較的保たれる。4)筋生検筋線維の変性・壊死、大小不同像、円形化、中心核線維の増加、再生筋線維、間質結合組織増加、脂肪浸潤の有無を確認する(図2(A))。ジストロフィン抗体染色で筋形質膜の染色性の消失(DMD)(図2(B))、低下がみられる。また、骨格筋のイムノブロット法で、DMDでは427kDaのジストロフィンのバンドの消失、BMDでは正常より分子量の小さい(もしくは大きい)バンドが確認される。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)DMDに対するステロイド治療以外は、対症的な補助治療にとどまっているが、医療の進歩と専門医の努力、社会的なサポート体制の整備などにより、DMDの寿命は平均で約10年延長した。このことはQOLや社会への参加など、患者の人生全体を見据えた取り組みが必要なことを強く示唆している。1)根本治療開発の状況遺伝子治療、幹細胞移植治療、薬物治療など精力的に基礎・臨床研究が進められている。モルフォリノや2'O-メチルなどのアンチセンス化合物を用いたエクソン・スキップ薬の開発に期待が集まっている。2011年初頭から、エクソン51スキップ薬開発のための国際共同治験に日本も参加し、これ以外のエクソンをターゲットにした治療も開発研究が進んでいる。また、リードスルー薬、遺伝子治療や幹細胞移植治療も北米・欧州を中心に、臨床研究がすでに始まっており、早期の臨床応用が望まれる。2)ステロイド治療DMDにおいてステロイド治療は筋力、運動能力、呼吸機能の面で有効性を認める。一般に5~15歳の患者に対して、プレドニゾロンの投与を行う。事前に水痘ワクチンを含む予防接種は済ませておくように指導する。ADL(日常生活動作)や運動機能、心機能、呼吸機能の評価と共に、ステロイドの副作用(体重増加、満月様顔貌、白内障、低身長、尋常性ざ瘡、多毛、消化器症状、精神症状、糖尿病、感染症、凝固異常など)についても十分評価を行う。ステロイドの投与量は必要に応じて増減する。なお、DMDに対するプレドニゾロンの効能・効果については、2013年2月に公知申請に係る事前評価が終了し、薬事承認上は適応外であっても保険適用となっている。3)呼吸療法DMDの呼吸障害の病態は、一義的には呼吸筋の筋力低下や側弯などの骨格変形による拘束性障害である。肺活量は9~14歳でプラトーに達し、以降低下する。深呼吸ができないため肺・胸郭の可動性(コンプライアンス)の低下によって肺の拡張障害と、さらに排痰困難のため気道閉塞による窒息のリスクが生じる。進行に応じ、呼吸のコンプライアンスを保つことが重要である。(1)舌咽頭呼吸による最大強制呼吸量の維持訓練に加え(2)気道クリアランスの確保(徒手的咳介助、機械的咳介助、呼吸筋トレーニングなど)を行うことは、換気効率の維持や有効な咳による喀痰排出につながる(3)車いす生活者もしくは12歳以降に車いす生活になった患者は定期的に(年に2回)呼吸機能評価を行う(4)必要に応じ、夜間・日中・終日の非侵襲的陽圧換気療法の導入を検討する4)心合併症対策1970年代には死因の70%近くが呼吸不全や呼吸器感染症であったが、人工呼吸療法と呼吸リハビリテーションの進歩により、現在では60%近くが心不全へと変化した。心不全のコントロールがDMD患者の生命予後を左右する。特徴的な心臓の病理所見は線維化であり、左室後側壁外側から心筋全体に広がる。進行すると心室壁は菲薄化、内腔は拡大し、拡張型心筋症様の状態となる。定期的な評価が重要で、身体所見、胸部X線、心電図、心エコー(胸郭の変形を念頭におく)、血漿BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)測定、心筋シンチグラフィー、心臓MRIなどを行う。薬物治療としては、心筋リモデリング予防効果を期待してACE阻害薬、β遮断薬の投与が広く行われている。5)栄養幼少期から学童初期は、運動機能低下と骨格筋減少によるエネルギー消費の低下、偏食による栄養障害の助長、ステロイド治療などによる肥満が問題となることが多い。体重のコントロールがとくに重要であり、体重グラフをつけることが推奨される。呼吸不全が顕著化する時期に急激な体重減少を認める場合、努力呼吸によるエネルギー消費量の増加、摂食量の減少など複数の要因の関与が考えられる。咬合・咀嚼力の低下に対しては、栄養効率の良い食品(チーズなど)や濃厚流動食を利用し、嚥下障害が疑われる場合は、嚥下造影などを行い状態を評価して対応を検討する。経鼻経管栄養は、鼻マスク併用時にエアーリークや皮膚トラブルの原因になることがある。必要に応じて経皮内視鏡的胃瘻造設術などによる胃瘻の造設を検討する。6)リハビリテーション早期からのリハビリテーションが重要である。筋力の不均衡や姿勢異常による四肢・脊柱・胸郭変形によるADLの障害、座位保持困難や呼吸障害の増悪、関節可動域制限を予防する。適切な時期にできる限り歩行・立位保持、座位の安定、呼吸機能の維持、臥位姿勢の安定を目指す。7)外科治療病気の進行とともに脊柱の側弯と四肢の関節拘縮を呈する頻度が高くなる。これにより姿勢保持が困難になるのみならず、心肺機能の低下を助長する要因となる。脊柱側弯に対して外科治療の適用が検討される。側弯の発症早期に進行予防的な外科手術が推奨され、Cobb角が30°を超えると適応と考えられる。脊柱後方固定術が一般的で、術後早期から座位姿勢をとるように努める。関節拘縮に対する手術も、拘縮早期に行うと効果的である。8)認知機能DMD患者の平均IQは80~90前後である。学習障害、広汎性発達障害、注意欠陥多動障害(ADHD)など、軽度の発達障害の合併が一般頻度より高い。健常者と比較して言語性短期記憶の低下がみられる傾向があり、社会生活能力、コミュニケーション能力に乏しい傾向も指摘されている。精神・心理療法的アプローチも重要である。4 今後の展望DMDの根本的治療法の開発を目指し、遺伝子治療、幹細胞移植治療、薬物治療などの基礎・臨床研究が進められているが、ここではとくに2013年現在、治験が行われているエクソン・スキップとストップコドン・リードスルーについて取り上げる。1)エクソン・スキップエクソン欠失によるフレームシフトで発症するDMDに対し、欠失領域に隣接するエクソンのスプライシングを阻害(スキップ)してフレームシフトを解消し、短縮形ジストロフィンを発現させる手法である。スキップ標的となるエクソンに相補的な20~30塩基の核酸医薬品が用いられ、グラクソ・スミスクライン社とProsensa社が共同開発中のDrisapersen(PRO051/GSK2402968)は2'O-メチル製剤のエクソン51スキップ治療薬として、現在日本も含め世界23ヵ国で第3相試験が進行中である。副作用として蛋白尿を認めるが、48週間投与の結果、6分間歩行距離の延長が報告されている。(http://prosensa.eu/technology-and-products/exon-skipping)また、Sarepta therapeutics社が開発中のEteplirsen(AVI-4658)はモルフォリノ製剤のエクソン51スキップ治療薬で、現在米国で第2a相試験が進行中である。これまで投与された被験者数はDrisapersenより少ないものの臨床的に有意な副作用は認めず、74週投与の時点で6分間歩行距離の延長が報告されている。(http://investorrelations.sareptatherapeutics.com/phoenix.zhtml?c=64231&p=irol-newsArticle&id=1803701)2)ストップコドン・リードスルーナンセンス点変異により発症するDMDに対し、リボゾームが中途停止コドンだけを読み飛ばす(リードスルー)ように誘導し、完全長ジストロフィンを発現させる手法である(http://www.ptcbio.com/ataluren)。アミノグリコシド系化合物にはこのような作用があることが知られており、PTC therapeutics社のAtaluren(PTC124)は、世界11ヵ国で行われた第2b相試験の結果、統計的に有意ではないもののプラセボよりも歩行機能の低下を抑制する作用を示した。現在欧州での条件付き承認を目的とした第3相試験が計画されている。なお、日本ではアルベカシン硫酸塩のリードスルー作用を検証する医師主導治験が計画されている。5 主たる診療科小児科、神経内科、リハビリテーション科、循環器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本小児科学会(医療従事者向けの診療、研究情報)日本小児神経学会(医療従事者向けの診療、研究情報)日本神経学会(医療従事者向けの診療、研究情報)国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部(研究情報)患者会情報日本筋ジストロフィー協会(筋ジストロフィー患者と家族の会)

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炎症性バイオマーカー上昇、COPDの増悪リスク増大と関連/JAMA

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪の指標として、炎症性バイオマーカー(C反応性蛋白[CRP]、フィブリノゲン、白血球数)が有用な可能性があることが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMette Thomsen氏らの検討で示された。COPDにおける呼吸器症状の増悪は、長期に持続する重篤な有害作用をもたらし、増悪が気道感染症の原因となることも多い。急性発作時は循環血中の急性期蛋白質や炎症細胞が増加するとの報告の一方で、安定期COPDでは全身性の炎症反応は低いものの炎症性バイオマーカーの上昇がみられる場合があるとのエビデンスや、炎症性バイオマーカーの上昇が不良な転帰と関連するとの研究結果もあるという。JAMA誌2013年6月12日号掲載の報告。マーカー上昇とリスク増大との関連を前向きコホート試験で検証 研究グループは、安定期COPD患者における炎症性バイオマーカーの上昇が増悪のリスク増大と関連するとの仮説を立て、これを検証するためにプロスペクティブなコホート試験を実施した。 解析の対象は、Copenhagen City Heart Study(2001~2003年)およびCopenhagen General Population Study(2003~2008年)の参加者のうち、スパイロメトリー検査(6万1,650例)でCOPDと判定された6,574例[年齢中央値67歳、男性47%、2回以上の増悪歴あり127人、GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)のGrade A/B 6,016例、C/D 558例、GOLDのGrade 1/2 6,109例、3/4 465例]であった。 増悪症状の未発現時に、ベースラインのCRP、フィブリノゲン、白血球数の測定を行った。増悪は、経口コルチコステロイド薬の単剤または抗菌薬との併用による短期的治療が行われた場合、およびCOPDで入院となった場合と定義した。CRPは3mg/L、フィブリノゲンは14μmol/L、白血球数は9×109/Lをカットオフ値として高値と低値に分類した。軽度、増悪歴なしでも有意な増悪リスク因子に フォローアップ期間中に3,083回のCOPD増悪が認められた(1人当たり平均0.5回)。 フォローアップ1年目のバイオマーカー上昇なし(9/1,000人・年)との比較における増悪の多変量調整済みオッズ比[OR]は、1つのバイオマーカー上昇の場合は1.2(95%信頼区間[CI]:0.7~2.2、17回/1,000人・年)、2つ上昇の場合は1.7(95%CI:0.9~3.2、32回/1,000人・年)、3つでは3.7(95%CI:1.9~7.4、81回/1,000人・年)であり、上昇マーカー数が増えるに従って増悪リスクが増大した(傾向性検定:p=2×10-5)。 全フォローアップ期間を通じてのORは、1つのバイオマーカー上昇の場合が1.4(95%CI:1.1~1.8)、2つ上昇で1.6(95%CI:1.3~2.2)、3つでは2.5(95%CI:1.8~3.4)であった(傾向性検定:p=1×10-8)。 基本モデルに炎症性バイオマーカーを加えることで、C統計量が0.71から0.73へ改善された(p=9×10-5)。また、軽度COPDや増悪歴のないCOPD患者においても、全体的な相対リスクとの一致が認められた。 3つのバイオマーカー上昇を認める場合の増悪の5年絶対リスクは、GOLD Grade C/Dの患者が62%(バイオマーカー上昇なしでは24%)、増悪歴ありの患者は98%(同:64%)、GOLD Grade 3/4の患者は52%(同:15%)であった。 著者は、「CRP、フィブリノゲン、白血球数の上昇はCOPDの増悪リスクの増大と相関を示し、この関連は軽度COPDや増悪歴のないCOPD患者にも認められた」とまとめ、「リスクを層別化するには、今後、これらのバイオマーカーの臨床的な価値についてさらに検討を進める必要がある」としている。

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「寄り道」呼吸器診療 ―呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス

ひそかな人気ブログ「呼吸器内科医」を書籍化!! 呼吸器診療において多くの医師が悩んでいる、でも成書を調べても答えが見つからない―77の疑問。本書では、この疑問に真正面から取り組み、関連するエビデンス、著者の思い、診療で役立つポイントが示されています。著者は人気ブログ「呼吸器内科医」の倉原優先生(近畿中央胸部疾患センター呼吸器内科)。ブログ「呼吸器内科医」:http://pulmonary.exblog.jp内容例(詳しくは目次をご参照ください):気管支鏡時の抗菌薬にエビデンスはあるのか?結核患者さんとどのくらい接触したら自分にも感染してしまうのか?気管支喘息発作に対する全身性ステロイドの最適量は?胸腔ドレーン抜去前のクランプテストにエビデンスはあるのか?癌以外の呼吸困難感にモルヒネを使用してよいか?鎮咳薬で最も効果的なものは?吃逆の治療のエビデンスは?―など計77の疑問を解説!画像をクリックすると、一部がPDFでご覧いただけます。 「寄り道」呼吸器診療―呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス 定価 本体4,500円+税判型 A5判頁数 415頁発行 2013年5月編集 倉原 優(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科)Amazonでご購入の場合はこちら

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「内科で遭遇する皮膚疾患」に関するアンケート結果 part 2

Q1皮膚疾患を診療する上で困っていることがありましたら教えてください<診断・治療について>「このほくろは大丈夫ですか」と聞かれることが多いが、皮膚科医へわざわざ紹介すべきか、経過観察でよいかの判断がつかない。 患者さんとしては、受診したついでに質問されていることなので、それを全例「皮膚科へ行ってください」では患者さんのニーズにこたえていないと思う。しかし実際のところ判断がつかないので「大丈夫です」とも言えない。(勤務医・内科)ステロイドを使用するかどうか迷う時がある。(勤務医・内科)どういう湿疹や病状なら皮膚科に紹介すべきか悩む。(開業医・内科)患者さんから皮膚科医の処方の継続を依頼されるが、薬剤の中止や変更の判断が困る。(開業医・内科)感染性の皮膚疾患が診断できなくて、困っている。(勤務医・内科)緊急性の有無がよく分からない。(開業医・内科)黒色の色素斑が、悪性なのかどうか聞かれることがあるが、難しい。かといって、すべてを紹介するわけにもいかず、悩むことが多い。(開業医・内科)初期の病状は何とかなるが、しばらくたってからの皮膚病変をどのようしたらよいかわからない。(開業医・内科)他の医師で比較的安易にステロイド含有剤を内服処方しているので、離脱が大変である。(開業医・内科)皮膚科と違い、内科では、外来でKOHなど迅速に検査することができず、白癬として抗真菌薬を処方すべきか、ステロイド外用薬を処方すべきなのか、悩むことがある。(勤務医・内科)風疹などの感染症との鑑別。とくにウィルス性のカゼや溶連菌などで出てくる皮疹との鑑別。また、薬疹が疑われる場合の原因物質の究明。(開業医・内科)薬疹の原因薬剤が最終的に絞りきれない症例がある。(勤務医・内科)蕁麻疹と思われるが長期化している症例や受診時には皮疹が消失している症例がある。(勤務医・内科)<患者さんについて>あきらかに皮膚科的専門性のある疾患で、皮膚科受診を勧めるも、行きたがらないこと。(開業医・内科)皮膚に関して相談されたときは基本的に皮膚科に紹介している。ところがなぜか患者は”皮膚が悪いのは内臓から来ているのではないか”と内科を先に受診されることがままあり、困っている。(勤務医・内科)皮膚科受診を勧めても、当方での治療を希望される方が少なからずいる。今のところ大きなミスはないが、やはり専門医に行ってほしい。(開業医・内科)<その他>気軽に相談できる皮膚科医がそばにいない。(開業医・内科)当院は、総合病院でないため皮膚科医が在籍しない。外来患者で診断に困る場合や難治性の場合には他院の皮膚科専門医に紹介できるが、入院の場合には紹介しにくい。出来るだけ自分自身の診断能力の向上に努めているが限界がある。(勤務医・内科)疥癬など、急いで診断治療しないといけない疾患や薬疹を疑った時など、皮膚科にすぐコンサルトできる時は良いが、できないときに困る。(勤務医・内科)

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エキスパートに聞く!「内科医がおさえるべき皮膚診療ポイント」Q&A part2

CareNet.comでは『内科で診る皮膚疾患特集』を配信するにあたり、事前に会員の先生より質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、三橋善比古先生にご回答いただきましたので、全2回でお届けします。患者さんから黒色の色素斑が良性か悪性か聞かれ、判断が難しいことがあります。すべてを皮膚科専門医に紹介するわけにもいかず困ります。どのように対処したらよいでしょうか?黒色の悪性皮膚疾患の代表は悪性黒色腫と考えます。臨床診断の目安としてABCDE基準を紹介します。Aはasymmetry、非対称性かどうかです。鑑別対象になる良性の色素細胞性母斑は、同じ速度でゆっくりと拡大するので円型が基本です。悪性黒色腫は拡大する速度が方向によって異なるので非対称性になることが多いのです。Bはborder、境界が明瞭でないことです。一方、母斑は明瞭であることが多いのです。Cはcolor、色調です。母斑は均一ですが、悪性黒色腫は黒色調にムラがあるほか、脱色素を生じて白い部分や、炎症のため赤いところなど、多彩な色調になるのです。Dはdiameter、直径です。母斑は先天性のものを除けば小さいものが多く、手掌と足底では4mm以下、それ以外では6mm以下がほとんどです。この大きさを超えたものは悪性黒色腫の可能性があります。最後のEはElevation、隆起に注意します。ただ、母斑も真皮内の母斑細胞が増加するとドーム状に隆起しています。平坦だった色素性病変が隆起してきたら、急速に細胞増殖が生じていると考えられます。悪性黒色腫の徴候です。基底細胞癌も黒色の悪性腫瘍です。中高年者の顔面や体の正中部に好発します。角化がみられず、表面がつるっとしています。良性で、中高齢者に好発する脂漏性角化症(老人性疣贅)と区別する必要があります。脂漏性角化症は角化していて、表面がくすんだ感じがあります。悪性黒色腫と色素細胞性母斑、基底細胞癌と脂漏性角化症は、ダーモスコピー検査で区別できることが多いです。慣れてくれば、基底細胞癌は直径1~2mm程度でも疑うことができるようになります。2種の塗り薬の重ね塗りはどんな場合に意味があるのでしょうか?外用薬の重ね塗りは、外用薬の相乗効果を期待して行われます。保湿薬とステロイド薬、ステロイド薬と亜鉛化軟膏などの組み合わせがあります。前者は乾燥皮膚で湿疹もみられるときに、乾燥した面に保湿薬を塗り、その後、湿疹性変化が見られる部分にステロイド薬を塗ってもらいます。相乗効果のほか、ステロイド薬の塗り過ぎを防ぐ効果も期待できます。後者は湿潤した湿疹性病変に、まずステロイド薬を塗り、その上に亜鉛化軟膏をかぶせて滲出液を軽減する効果を期待します。一方、2回塗ることは、患者には時間や労力の負担になり、コンプライアンスを下げる欠点があります。そのため、初めから2種類の外用薬を混合して処方することがあります。こちらの欠点は、組み合わせによってはpHや組成に変化を来して、期待した効果が得られなくなる可能性があることです。食物アレルギーと皮膚疾患にはどのような関連があるのでしょうか?食物アレルギーはI型アレルギーです。I型アレルギーの皮膚症状は蕁麻疹です。したがって、食物アレルギーでは蕁麻疹を生じ、重篤な場合はショックを引き起こします。一方、アトピー性皮膚炎でも食物の関連が指摘されています。しかし、アトピー性皮膚炎の皮膚病変は湿疹です。湿疹はIV型アレルギーで生じます。したがって、アトピー性皮膚炎における食物の関与は、単純なI型アレルギーとしてではないと考えられます。ただし、アトピー性皮膚炎患者が純粋な食物アレルギーを合併していることがあります。そのような、合併ではないアトピー性皮膚炎に対する食物の関与は、I型アレルギーの特殊型である遅延相反応や、IV型アレルギーの特殊型であるTh2型反応などで生じている可能性があります。これらの反応では、純粋なI型アレルギーのように蕁麻疹やショックを生じることはありません。分子標的薬の副作用対策とその予防法について教えてください薬剤がいったん体内に入った後で全身に生じる副作用は、従来は薬疹と呼ばれ、その対応は当該薬剤を中止することでした。中止する理由は、皮膚に生じた症状はアレルギーや中毒によるもので、そのまま薬剤摂取を続けると、いずれ障害は体内の全臓器に波及する可能性があると考えられるためでした。ところが、分子標的薬登場後、この考えを修正する必要が出てきました。分子標的薬は特定の分子を標的にしているため、アレルギーや中毒ではなく、作用の一つとして皮膚に症状が現れることが多いのです。ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)、エルロチニブ塩酸塩(同:タルセバ)などのEGFR阻害薬の場合は、EGFRが毛嚢細胞に大量に発現しているため、薬の作用として毛嚢を破壊し、その結果、毛嚢炎、ざ瘡、ざ瘡様発疹などと表現される皮膚病変を生じます。この場合、皮膚病変は薬の効果の一つと考えることもできます。そのため、中止する必要はないことになります。薬疹ではなく、皮膚障害と呼んで区別しているのはこのためです。皮膚病変を対症的に治療して、我慢できる程度であれば原疾患の治療を続けることになります。ところが、ここで大きな問題があります。このような分子標的薬も、従来通りのアレルギー性の薬疹を起こすことがあることです。中毒性表皮壊死症(TEN)やStevens-Johnson症候群などの重篤な病型も報告されています。発疹出現時、各分子標的薬に特有の皮膚障害か従来の薬疹かを区別することが大事です。これは、時に皮膚科専門医にも難しいことがあります。生検してはいけない皮膚病変にはどのようなものがあるのでしょうか?生検してはいけない皮膚病変はないと思います。生検のデメリットと生検で得る可能性がある情報のどちらが大きいかで決定するべきです。たとえば悪性黒色腫は生検すべきではない、とする考えがあります。しかし、生検しなければ診断できないことがあります。また、治療を決定するための深さを知るためには生検が必要です。悪性黒色腫が考えられるときの生検は、できる限り、病変内を切開するincisional biopsyではなく、病変全体を切除するexcisional biopsyを行います。また、生検の結果、悪性黒色腫の診断が確定することを考えて、1ヵ月以内に拡大切除ができることを確認しておきます。血管肉腫も必要最小限の生検にとどめるべき疾患です。生検によって転移を促進する可能性があります。しかし、診断確定のための生検は必要です。治療する環境を整えてから生検するのがよいでしょう。爪の生検は悪性疾患が考えられるときや、炎症性疾患でも、診断確定することで大きな利益がある場合にとどめるべきです。爪に不可逆的な変形を残す可能性があることをよく説明して、患者の同意を得て行うことが必須です。前胸部の生検は大きな瘢痕を残したり、ケロイド発生の危険性があります。組織検査のメリットがあるかどうか考え、患者に説明してから行うべきでしょう。

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肺炎随伴性胸水を吸入ステロイドが減少させる?

 これまでCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者に吸入ステロイドを投与することは市中肺炎発症リスクの増加と関連するとされてきた。しかしながら、その一方で、吸入ステロイドは肺の合併症や肺関連死のリスクを減少させるということも報告されている。 スペインの Jacobo Sellares氏らは過去の吸入ステロイド投与の有無が、異なる呼吸器疾患の背景を有する肺炎随伴性胸水にどのような影響を及ぼすのかを調べた結果、吸入ステロイドによる治療を受けた群で肺炎随伴性胸水が減少していたことを報告した。 American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌2013年6月1日号の掲載報告。肺炎随伴性胸水が有意に少なかった 市中肺炎と診断された3,612例に対し、臨床的検査、放射線学的検査、胸水生化学検査、微生物学的検査を実施し(単一施設コホート)、過去の吸入ステロイドによる治療の有無で2群に分け、解析した。 過去の吸入ステロイド投与の有無が肺炎随伴性胸水にどのような影響を及ぼすのかの主な結果は以下のとおり。・対象の17%にあたる633例が、肺炎と診断される前に吸入ステロイドによる治療を受けていた(COPD 54%、喘息 13%)。・吸入ステロイドによる治療を受けていた群では、そうでない群に比べ、肺炎随伴性胸水が有意に少なかった(5% vs12%、p<0.001)。・傾向スコアによりマッチングさせた640例においても、同様の傾向が認められた(オッズ比: 0.40、95%信頼区間[CI]0.23~0.69、p=0.001)。・吸入ステロイドによる治療を受けていた群では、胸水中のグルコースとpHが有意に高く(それぞれ、p=0.003、p=0.02)、タンパクと乳酸脱水素酵素(LDH)は有意に低かった(それぞれ、p=0.01、p=0.007)。

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NSAIDsは血管・消化管イベントリスクを増大、心不全は約2倍に/Lancet

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与により、血管・消化管イベントリスクは増大することが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のColin Baigent氏らCoxib and traditional NSAID Trialists’(CNT)共同研究グループが、メタ解析の結果、報告した。これまでCOX-2選択的阻害薬や従来型NSAIDs(tNSAIDs)を含むNSAIDsの血管・消化管への影響は、とくに血管疾患を有する患者において明らかではなかった。Lancet誌2013年5月30日号掲載の報告より。合計754件のプラセボ対照試験とNSAIDs間比較試験についてメタ解析 研究グループは、NSAIDsとプラセボについて行った無作為化プラセボ対照比較試験280件(被験者総数12万4,513例)と、NSAIDs間(1種類対その他種類)について行った無作為化比較試験474件(同22万9,296例)について、メタ解析を行い、NSAIDsの血管・消化管イベントリスクへの影響について分析した。 主要アウトカムは、重大血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致的死脳卒中、血管死)、重大冠動脈イベント(非致死的心筋梗塞または冠動脈死)、脳卒中、死亡、心不全、上部消化管合併症(穿孔、閉塞、出血)とした。ナプロキセンは重大血管イベントが増加せず 解析の結果、重大血管イベント発生率は、プラセボとの比較で、COX-2とジクロフェナクで3割増しと増大が大きく、率比はそれぞれ1.37(95%信頼区間[CI]:1.14~1.66、p=0.0009)と1.41(同:1.12~1.78、p=0.0036)だった。同リスクの増加は主に、重大冠動脈イベントリスクの増大によるもので、COX-2とジクロフェナクの同イベント率比は1.76(p=0.0001)と1.70(p=0.0032)だった。 プラセボとの比較で、COX-2とジクロフェナクに割り付けられた被験者1,000例のうち、年間で3例以上が重大血管イベントを発症し、うち1例は致死的であった。 イブプロフェンは、重大冠動脈イベントの発生リスクは有意に増大したが(率比:2.22、95%CI:1.10~4.48、p=0.0253)、重大血管イベント発生リスクは有意な増大は認められなかった(同:1.44、95%CI:0.89~2.33)。ナプロキセンも、重大血管イベント発生リスクについて、有意な増大はみられなかった(同:0.93、0.69~1.27)。 血管死リスクは、COX-2(率比1.58、99%CI:1.00~2.49、p=0.0103)とジクロフェナク(同:1.65、0.95~2.85、p=0.0187)で有意な増大がみられた。イブプロフェンでは有意差はみられず(同:1.90、0.56~6.41、p=0.17)、ナプロキセンでは、同リスクが増大しなかった(同:1.08、0.48~2.47、p=0.80)。 なお、重大血管イベントへの影響の割合は、ベースラインでの特性(血管リスクを含む)とは関連していなかった。 心不全発症リスクについては、すべてのNSAIDsでおよそ2倍に増大した。 またすべてのNSAIDsで、上部消化管合併症リスクの増大がみられた。各率比はそれぞれCOX-2が1.81(p=0.0070)、ジクロフェナク1.89(p=0.0106)、イブプロフェン3.97(p<0.0001)、ナプロキセン4.22(p<0.0001)だった。 著者は「高用量のジクロフェナクとおそらくイブプロフェンは、COX-2と比べて血管リスクが高いこと、一方で高用量ナプロキセンはその他のNSAIDsと比べて血管リスクは低いことが示された。NSAIDsは血管・消化管イベントリスクを増大する。しかしそのリスクの大きさは予測可能であり、臨床意思決定に役立つだろう」と報告をまとめている。

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エキスパートに聞く!「内科医がおさえるべき皮膚診療ポイント」Q&A part1

CareNet.comでは『内科で診る皮膚疾患特集』を配信するにあたり、事前に会員の先生より質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、三橋善比古先生にご回答いただきましたので、全2回でお届けします。皮膚科専門医に紹介すべき疾患の見分け方、緊急性のある皮膚疾患の見分け方のポイントがあれば教えてください。発熱がある場合は緊急性があることが多いと思います。皮膚所見では、全身が赤い紅皮症状態、水疱形成や粘膜症状がある例が重症疾患のことが多いと思います。数日間観察して悪化傾向があれば、その後も悪化することが考えられるので紹介すべきです。この悪化傾向は必ずしも面積の拡大を意味しません。中毒疹は体幹に始まり、軽快するときに四肢に拡大していくことが多いのです。面積が拡大しているので悪化していると解釈されることが多いですが、実際は軽快していることもあります。この場合、色調や浸潤に注意すると、面積は拡大しても赤みが薄くなって浸潤が改善していることがあります。これは軽快の徴候です。プライマリ・ケアで注意すべき皮膚疾患はどのようなものがあるでしょうか?湿疹・皮膚炎群、蕁麻疹、表在性白癬で、全皮膚疾患患者の半分程度を占めるとされています。これらの疾患に対応できればかなりの部分をカバーできると思われます。白癬を疑うケース:内科外来では顕微鏡やKOH検査ができません。そのような場合、どのように対処すべきでしょうか? まず抗真菌薬を処方すべきか、ステロイド外用薬を処方すべきかなど悩みます。皮膚科でKOH検査を行っても湿疹か白癬か判別できないことがあります。このような場合は、必ず後日再来する約束をしてステロイド薬の外用を行い、再度、真菌鏡検を行って診断を確定することがあります。この場合、ステロイド薬外用は、湿疹性病変を治療することで白癬病変を明瞭化すること、かゆみを取り除くという意味があります。真菌鏡検ができないときはこの手は使えませんので、まず抗真菌薬を外用する方がよいと思います。ステロイド外用で真菌病変が悪化してしまうことを避けるためです。蕁麻疹について:受診時には皮疹が消失している症例にはどのように対処したらよいでしょうか?蕁麻疹は膨疹を特徴とする疾患です。膨疹は短時間で出没することが特徴です。出たり消えたりしているわけです。全体としては続いていることもあるし、全体が消えてしまうこともあります。従って、診察の時に発疹がまったくないことは珍しくありません。むしろこれが、他の疾患ではみられない蕁麻疹の特徴です。蕁麻疹はアレルギー性のほか、運動誘発性、寒冷、温熱、コリン性など原因は多彩です。蕁麻疹の治療は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服が第一選択です。ステロイド外用はあまり意味がありません。もし外用薬を処方する場合は、ジフェンヒドラミン(商品名:レスタミンコーワクリーム)などのステロイドを含まないものがよいでしょう。複数の皮膚病変が合併している場合の対処法について教えてください。複数の皮膚病変の合併と聞いて、真っ先に、水虫(足白癬)に細菌の二次感染が合併している状態を思い出しました。このような患者は、これから暑くなってくると毎日のように来院されます。また、足白癬の治療のための外用薬による接触皮膚炎を合併している患者もおられます。これら3疾患を併発していることもあります。このようなときの治療は、後で生じたものから治療するという原則があります。白癬に細菌感染では、細菌感染から治療します。接触皮膚炎を合併していたら、まず接触皮膚炎を治療します。原則にこだわるよりも、急を要するものから治療すると考えるのがいいかも知れません。いずれにしても、白癬の治療は最後でよいのです。

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COPDの配合薬治療、肺炎リスクに薬剤クラス内差を確認/BMJ

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対する吸入副腎皮質ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬の配合薬による治療の肺炎リスクは、フルチカゾン/サルメテロール配合薬がブデソニド/ホルモテロール配合薬よりも高いことが、スウェーデン・ウプサラ大学のChrister Janson氏らが行ったPATHOS試験で示された。肺炎はCOPDで高頻度にみられる合併症であり、罹病率や死亡率の上昇、医療費の増大をもたらす。COPDに対する吸入副腎皮質ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬の固定用量配合薬による治療は肺炎のリスクを増加させる可能性があるが、個々の配合薬のリスクの違いは知られていなかった。BMJ誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告。2つの配合薬の肺炎リスクを後ろ向きコホート試験で評価 PATHOS試験は、傾向スコアでマッチさせたコホートを用いたレトロスペクティブな観察コホート試験で、2種類の吸入副腎皮質ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬の配合薬による治療を受けたCOPD患者における肺炎または肺炎関連イベントの発生状況の評価を目的とした。 1999~2009年のスウェーデンの病院、薬剤、死因の登録データと関連づけられたプライマリ・ケア診療記録のデータを用いた。 COPDの診断でブデソニド/ホルモテロール配合薬またはフルチカゾン/サルメテロール配合薬を処方された患者を解析の対象とし、主要評価項目は年間肺炎イベント発症率、肺炎による入院、死亡とした。肺炎発症の率比1.73、入院の率比1.74、肺炎関連死のHR 1.76 9,893例(フルチカゾン/サルメテロール配合薬群:2,738例、ブデソニド/ホルモテロール配合薬群:7,155例)がマッチングの対象となり、マッチさせた2つのコホートはフルチカゾン/サルメテロール配合薬群が2,734例(平均年齢67.6歳、女性53%、喫煙者48%)、ブデソニド/ホルモテロール配合薬群も2,734例(67.6歳、53%、49%)であった。これらの患者のうち、試験期間中に2,115例(39%)に肺炎エピソードが認められた。 肺炎の発症(率比:1.73、95%信頼区間[CI]:1.57~1.90、p<0.001)および入院(同:1.74、1.56~1.94、p<0.001)のリスクは、いずれもフルチカゾン/サルメテロール配合薬群がブデソニド/ホルモテロール配合薬群に比べ有意に高かった。 100人年当たりの肺炎イベント発症率は、フルチカゾン/サルメテロール配合薬群が11.0(95%CI:10.4~11.8)、ブデソニド/ホルモテロール配合薬群は6.4(同:6.0~6.9)であり、入院率はそれぞれ7.4(同:6.9~8.0)、4.3(同:3.9~4.6)であった。 肺炎関連の平均入院期間は両群で同等であったが、肺炎関連死はフルチカゾン/サルメテロール配合薬がブデソニド/ホルモテロール配合薬群よりも有意に多かった(97 vs 52例、ハザード比[HR]:1.76、95%CI:1.22~2.53、p=0.003)。全死因死亡は、両群間に有意な差を認めなかった(HR:1.08、95%CI:0.93~1.14、p=0.59)。 著者は、「COPD患者の治療における肺炎および肺炎関連イベントのリスクに関し、吸入副腎皮質ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬の固定用量配合薬には、薬剤クラス内の差が認められた」と結論し、「フルチカゾン/サルメテロール配合薬の高い肺炎リスクは、ブデソニドとフルチカゾンの免疫抑制能および薬物動態学/薬力学(PK/PD)の違いに関連する可能性がある」と指摘している。

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