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免疫不全者へのブースター接種、推奨事由と対象者/CDC

 米国・疾病対策センター(CDC)は免疫不全者を対象としたCOVID-19ワクチンの追加接種(ブースター接種)の承認を受け、8月16日付でサイトの情報を更新した。主な内容は以下のとおり。・中等度から重度の免疫不全状態にある人はCOVID-19に感染しやすく、重症化、長期化するリスクも高いとされる。これらの人にはワクチンの追加接種が有効であり、接種を推奨する。・mRNAワクチン(ファイザー製およびモデルナ製)の2回目の接種から少なくとも28日経ってから追加接種を行うことを推奨する。・現時点では、他の集団に対する追加接種は推奨しない。 中等度から重度の免疫不全者は成人人口の約3%を占めており、ワクチン接種後の抗体価が十分でないケースが報告1)されている。小規模な研究2)では、ワクチン接種完了後に感染するブレークスルー感染における入院患者の大多数を免疫不全者が占め、免疫不全者が家庭内の接触者にウイルスを感染させる可能性が高いことが示唆されている。 免疫不全者の定義は以下のとおり。・腫瘍や血液のがんに対する積極的ながん治療を受けている。・臓器移植を受け、免疫抑制剤を服用している。・過去2年以内に造血幹細胞移植を受けた、または免疫抑制剤を服用している・中等度または重度の原発性免疫不全症(DiGeorge症候群、Wiskott-Aldrich症候群など)。・進行または未治療のHIV感染症患者・大量のコルチコステロイドまたは免疫抑制の可能性のある薬剤を服用1)Science Brief: COVID-19 Vaccines and Vaccination/CDC2)Data and clinical considerations for additional doses in immunocompromised people/CDC

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ヘパリン増量では対応できない重症新型コロナウイルス感染症(解説:後藤信哉氏)

 新型コロナウイルス感染に対して1~2年前よりは医療サイドの対策は進んでいる。肺を守るステロイド、ECMOなどは状況に応じて広く使用されるようになった。しかし、血栓性合併症についての十分な治療が確立されていない。われわれの経験した過去の多くの血栓症ではヘパリンが有効であった。ヘパリンは内因性のアンチトロンビンIIIの構造を変換して効果を発揮するので、人体に凝固系が確立されたころから調節系として作用していたと想定される。心筋梗塞、不安定狭心症、静脈血栓症など多くの血栓症にヘパリンは有効であった。ヘパリンの有効性、安全性については重層的な臨床エビデンスがある。ヘパリンを使えない血栓症は免疫性ヘパリン惹起血小板減少・血栓症くらいであった。 重症の新型コロナウイルス感染症では、わらにもすがる思いで治療量のヘパリンを使用した。しかし、治療量と予防量のヘパリンを比較する本研究は1,098例を登録したところで中止された。最初から治療量のヘパリンを使用しても生存退院は増えず、ECMOなどの必要期間も変化しなかった。 新型コロナウイルス肺炎が注目された当初、ECMO症例の予後改善の一因にヘパリン投与の寄与が示唆された。本試験は治療量のヘパリンへの期待を打ち砕いた。 本研究は比較的軽症の新型コロナウイルス感染症に対する予防量、治療量のヘパリンのランダム化比較試験と同時に発表された。筆者の友人のHugo ten Cate博士が両論文を包括して「Surviving Covid-19 with Heparin?」というeditorialを書いている。Hugo ten Cate博士が指摘するように、重症化した新型コロナウイルス感染では免疫、細胞、など凝固系以外の因子が複雑に関与した血栓になっているのであろう。早期の血栓にはそれなりに有効なヘパリンも複雑系による血栓には無力であるとの彼の考えは、揺らぎの時期とpoint of no returnを超えた時期を有する生命現象の本質を突いていると思う。

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乾癬治療の生物学的製剤、重篤感染症リスクの違いは?

 乾癬治療の生物学的製剤と重篤感染症リスクについて、生物学的製剤を選択する際に有用な研究報告が、フランス医薬品・保健製品安全庁(ANSM)のLaetitia Penso氏らによる中等症~重症の乾癬患者を対象としたコホート研究で示された。 エタネルセプト新規使用者を比較対照とした重篤感染症リスクは、インフリキシマブ、アダリムマブでは高い一方、ウステキヌマブでは低かった。またIL-17およびIL-23阻害薬やアプレミラストでは重篤感染症リスクの増大は認められなかったものの、非ステロイド性抗炎症薬や全身性コルチコステロイドとの併用によって増大したという。著者らは、「さらなる観察研究で、最新の薬剤に関する結果を確認する必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年7月21日号掲載の報告。 研究グループは、フランス国民の約99%をカバーする国民健康データシステム(National Health Data System)のデータを用いて、エタネルセプトを比較対照薬として、乾癬治療に使用される生物学的製剤およびアプレミラストの重篤感染症のリスクを評価するコホート研究を行った。 2008年1月1日~2019年5月31日にデータベースに登録された、2年以内に2つ以上の局所ビタミンD誘導体の処方を受けた成人乾癬患者を適格と定義し、試験対象集団には、生物学的製剤またはアプレミラストの新規使用者(すなわち前年に生物学的製剤またはアプレミラストの処方がなかった)を包含した。HIV感染症やがん、移植、または重篤感染症の既往者は除外した。フォローアップ終了は2020年1月31日であった。 主要エンドポイントは重篤感染症の発生で、傾向スコア加重Cox比例ハザード回帰モデルを用いたtime-to-event解析で、加重ハザード比(wHR)と95%信頼区間(CI)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・生物学的製剤の新規使用者計4万4,239例が特定された。平均年齢は48.4(SD 13.8)歳、男性が2万2,866例(51.7%)、追跡期間中央値は12ヵ月(四分位範囲:7~24)だった。・計2万9,618例(66.9%)が初回に腫瘍壊死因子阻害薬を、6,658例(15.0%)がIL-12/23阻害薬を、4,093(9.3%)がIL-17阻害薬を、526例(1.2%)がIL-23阻害薬を、そして3,344例(7.6%)がアプレミラストの処方を受けた。・重篤感染症の発生は計1,656件で、全体の粗発生率は1,000人年当たり25.0(95%CI:23.8~26.2)だった。・最も頻度の高い重篤感染症は消化管感染症であった(645例・38.9%)。・時間依存共変数を調整後、重篤感染症のリスクはエタネルセプトの新規使用者と比べて、アダリムマブ(wHR:1.22、95%CI:1.07~1.38)またはインフリキシマブ(1.79、1.49~2.16)の新規使用者では増大した。・同様の評価で、ウステキヌマブの新規使用者では低下した(wHR:0.79、95%CI:0.67~0.94)。・同様の検討で、IL-17およびIL-23阻害薬グセルクマブまたはアプレミラストの新規使用者では、増大は認めらなかった。・重篤感染症リスクは、非ステロイド性抗炎症薬または全身性コルチコステロイドの併用で増大することが認められた。

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免疫チェックポイント阻害薬:“予後に影響大”の心筋炎を防ぐには? 【見落とさない!がんの心毒性】第5回

はじめにこれまでの連載ではアントラサイクリン心筋症、そしてHER2阻害薬やVEGFR-TKIといった分子標的薬による心毒性が取り上げられてきました。今回は、免疫チェックポイント阻害薬について、塩山と向井が解説します。この薬は患者さん自身の免疫系を活用することによってがん細胞を攻撃するという新しい概念の治療法です。自然免疫と獲得免疫免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の作用機序を理解するために、まずは昔に勉強した(はずの)基本的な免疫システムの復習から始めましょう。免疫系には、「自然免疫」と「獲得免疫」の2つがあります。自然免疫とは生まれつき持っている免疫反応で、細菌やウイルス、がん細胞といった異物を最初に攻撃するシステムです。病原体(抗原)を好中球やマクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞といった食細胞が認識して攻撃します。それに引き続いて樹状細胞が活性化します。抗原を取り込んだ樹状細胞は、異物の断片(ペプチド)を主要組織適合遺伝子複合体(MHC :major histocompatibility complex)分子に結合してヘルパーT細胞に提示(抗原提示)します。そしてヘルパーT細胞から指令を受けたB細胞が抗体を産生し、またキラーT細胞が誘導されることで異物を攻撃するシステムが獲得免疫です(図1)。(図1)自然免疫と獲得免疫画像を拡大する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)免疫システムには免疫反応を活性化するアクセル(共刺激分子)と、抑制するブレーキ(共抑制分子)が存在します。共抑制分子は自己に対する不適切な免疫応答や過剰な免疫反応を抑制し、免疫システムが暴走することを防いでいます。T細胞上にはPD-1(Programmed cell death 1)やCTLA-4(Cytotoxic T lymphocyte- associated antigen 4)といった免疫チェックポイント分子が存在し、共抑制分子として作用しています。がん細胞に発現しているPD-L1や樹状細胞(抗原提示細胞)に発現しているB7といったリガンドがPD-1、CTLA-4にそれぞれ結合することによりT細胞の活性化が抑制され、免疫系からの攻撃を回避しています(図2:左)。ICIは免疫チェックポイント分子もしくはそのリガンドに結合してT細胞の抑制シグナル(ブレーキ)を解除することによってT細胞の活性化を誘導し、がん細胞に対する免疫応答を高めます(図2:右)。(図2)免疫チェックポイント阻害薬の作用機序画像を拡大するこの仕組みをつきとめ、がん免疫療法という新たな分野を開拓した京都大学の本庶 佑博士ならびにテキサス大学のジェームズ・アリソン博士に2018年ノーベル生理学・医学賞が授与されたことは記憶に新しいですね。現在承認されているICIには、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体の3種類があります(表1)。適応症は年々拡大しており、手術、化学療法、放射線治療に次ぐ第4の治療法として期待されています。(表1)本邦で使用可能な免疫チェックポイント阻害薬画像を拡大する免疫関連有害事象(irAE)ICIによる免疫系の活性化に伴って、自己免疫疾患に類似した副作用を引き起こすことが知られています。従来の殺細胞性抗がん剤や分子標的薬による副作用とは異なる作用機序であり、免疫関連有害事象(irAE :immune-related adverse event)と呼ばれます。irAEは、皮膚、消化器、呼吸器、内分泌、神経など、全身のあらゆる臓器に発現することが報告されています1)(図3)。(図3)ICIによる有害事象[irAE]画像を拡大する心臓におけるirAEも心筋炎、心筋症、心膜疾患、不整脈など多岐にわたりますが、中でも心筋炎は予後に影響するため注意が必要です。心筋炎の発症頻度は~1%程度と決して多くはありませんが、中には劇症化する症例が存在し、致死率は50%に達すると報告されています2)。そのため早期に発見して適切に対応することが重要です。ICIによる心筋炎の発症機序として、心筋細胞に発現しているPD-L1と、T細胞上のPD-1の結合を阻害することで過剰な免疫応答が生じている可能性が考えられますが、それ以外にもいくつかの機序が推定されており、正確なメカニズムは明らかになっていません。irAE心筋炎の診断心筋炎に特異的な症状はなく、軽微な検査値異常のみで自覚症状をまったく認めないものから、劇症型心筋炎に進行して急変する症例まで多岐にわたります。有害事象の重症度は有害事象共通用語規準(CTCAE :Common Terminology Criteria for Adverse Events) ver. 5.0に基づいてGrade 1~5に分類されています(表2)。(表2)CTCAEによる心毒性の評価画像を拡大するICI投与中には、定期的にバイオマーカー(トロポニン、BNP)、心電図、心臓超音波検査のチェックが必要です。心筋炎の発症はICI開始3ヵ月以内が多いと言われていますので、投与初期にはとくに注意する必要があります。心筋炎を発症した症例のうち、9割以上にトロポニン上昇を認めますが、約半数では左室収縮能が正常であったという報告もあり3)、心臓超音波検査はあくまで補助的な診断ツールです。現時点では心筋生検が診断のゴールドスタンダードであり、病理組織学的にCD8陽性細胞障害性T細胞(キラーT細胞)、CD68陽性マクロファージ、CD4陽性ヘルパーT細胞の浸潤が特徴とされています。ただし感度があまり高くなく、またウイルス性心筋炎との鑑別が難しいことも念頭におく必要があります。近年では心臓MRI検査によるガドリニウム遅延造影(LGE)所見やT2-STIR画像が有用とされていますが、心筋生検と同様に偽陰性が存在するため、結果の解釈には注意する必要があります4)。最終的にはこれらの所見を組み合わせて総合的に診断します5)(表3)。(表3)ICI関連心筋炎の診断画像を拡大するirAE心筋炎の治療ICI投与中にトロポニンの上昇や心電図異常が出現した場合(Grade 1)、あるいは軽微な症状の場合(Grade 2)にはICIを休薬します。休薬のみで検査値異常や自覚症状が改善すれば投与再開も考慮しますが、十分なエビデンスがあるわけではありません。息切れなどの症状が増強すれば(Grade 2-3)、ICIを休薬した上でステロイドによる治療が必要です。基本的にはプレドニゾロン1~2mg/kgで治療を行いますが、循環動態が悪化していれば(Grade 4)ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1g/日)を3日間先行します。さらに病態に応じて、心臓ペーシングや機械的な循環動態の補助が必要な症例もあります。ステロイド治療に反応しない場合には、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、インフリキシマブ、アバタセプトなどの免疫抑制剤や免疫グロブリン大量療法が有効であったという報告がありますが、エビデンスに乏しく、わが国では保険適応外です。おわりに2014年に登場したニボルマブは、がん免疫療法のブレークスルーとなり、今後もICIの開発は加速すると思われます。また2019年には患者さん自身のT細胞に遺伝子改変を行い、がん細胞を攻撃するキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor: CAR)-T細胞療法が血液がんに対して保険承認され、個別化医療への期待が高まっています。近年ではさらなる相乗効果を期待して、ICIと標準治療(手術・化学療法・放射線療法)の併用療法や、2種類のICIによる併用療法も行われています。しかし複数の薬剤を併用することでirAEが増加することが懸念されていますので、循環器内科医とがん治療医の連携が今後益々重要になってくるでしょう。1)Wang DY, et al. JAMA Oncol. 2018;4:1721-1728.2)Salem JE, et al. Lancet Oncol. 2018;19:1579-1589.3)Mahmood SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71:1755-1764.4)Zhang L, et al. Eur Heart J. 2020;41;1733-1743.5)Bonaca MP, et al. Circulation. 2019;140:80-91講師紹介

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ワクチン接種後の感染例、疫学的・ウイルス学的特徴は?/感染研

 日本国内で確認されたワクチン接種後の感染例130例について、積極的疫学調査が実施され、2回目のワクチン接種後14日以降が経過した症例でも、一部で感染性のあるウイルスが気道検体中に検出された。7月21日開催の第44回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、国立感染症研究所感染病理部の鈴木 忠樹氏が、「新型コロナワクチン接種後に新型コロナウイルス感染症と診断された症例に関する積極的疫学調査(第一報)」について報告した。 本調査の主な目的は、1)ワクチン接種後感染の実態把握、2)ワクチンにより選択された(可能性のある)変異株の検出、3)ワクチン接種後感染者間でのクラスターの探知であり、今回の報告は2021年6月30日時点における疫学的・ウイルス学的特徴の暫定的なまとめと位置付けられている。[調査方法]・2021年4月1日~6月30日までに1)医療機関・自治体からワクチン接種後感染として感染研に直接報告があった症例2)新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム(HER-SYS)に登録のあった感染者(ワクチン2回目接種日を0日として最初に検査陽性検体が採取された日まで14日以上経過)で、感染研から医療機関・自治体への問い合わせで協力が得られた症例について、患者・疫学情報や検体を収集した。・症例情報については本調査独自の症例報告書様式を作成し収集した。・気道検体は、N2領域のPCR再検での陽性例について、N501Y(アルファ株、ベータ株、ガンマ株等で認める)、E484K(ベータ株、ガンマ株等で認める)、L452R(デルタ株等で認める)変異を検出するPCRスクリーニング(変異検出PCR)およびウイルス分離試験を実施し、検体中のウイルスN2領域のPCRの結果、ウイルスRNA量が十分量あると判断された検体については、ウイルスゲノム解析を実施した。・1回目接種後14日~2回目接種後13日まで、2回目接種後14日以降について分けて解析した。※ただし現状では、集団の違い(医療従事者および高齢者の割合、接種時期、感染時期等)から、単純にこれらの2群を比較して解釈すべきではない。  主な結果は以下のとおり。・27都道府県から130例(うち2回目接種後14日以降67例)が報告された。医療従事者が106例(81.5%)を占める。・年齢中央値は44.5(20~98)歳、男性37例(28.5%)、女性93例(71.5%)であった。 ・免疫不全のある者(原発性免疫不全症、後天性免疫不全症候群など、[狭義の]免疫不全の診断を受けた者)はいなかったが、ステロイド等の免疫抑制剤の使用歴は3例(2.4%)で認めた。・接種していたワクチンは、121例(97.6%)がファイザー社製であった。・接触歴ありが92例(75.4%)を占めた(うち2回目接種後14日以降50例)。・症例報告書提出時点での重症度は、65例(50%)が無症状、60例(46.2%)が軽症、5例(3.8%)が中等症で、重症例はいなかった。・6月30日時点で、気道検体については101例(うち2回目接種後14日以降50例)が収集され、N2領域のPCR再検で68例が陽性となり、Ct値の中央値(範囲)は29.4(15.9~38.4)であった。・ウイルス分離可能であったのは分離を試行した58例中16例。変異検出PCRは68例で実施し、ウイルスゲノム解析が完了したのは39例であった。・ウイルスゲノム解析を実施した39例中、B.1.1.7系統(アルファ株)30例(うち2回目接種後14日以降12例)、R.1系統4例(0例)、B.1.617.2系統(デルタ株)4例(2例)、P.1系統(ガンマ株)1例(0例)を認めた。また、各系統特異的なスパイクタンパクの変異を除いては、免疫を逃避する可能性のあるスパイクタンパクへの新規の変異は認めなかった。 中間解析時点では、特殊な疫学的特徴はみられず 本報告では症例の大多数が優先接種対象の医療従事者であり、若年層が多く、無症状でも検査対象となる機会が比較的多いことなどもあり、多くが軽症および無症状であったと考察。高齢者への接種も現在では進んでおり、今後はそれらの知見も収集していくことが重要としている。 男女比については、内閣官房HPに公開されているワクチン接種記録システムの集計値において4月12日~4月25日の2週間で、(医療従事者が想定される)65歳未満の男女比は1:3程度と本報告の男女比と同程度であった。免疫不全や免疫抑制剤を使用している者は1割未満であった。 上記より、中間解析の時点では、特殊な疫学的特徴をもつ集団ではないことが示唆されたと考察されている。2回目接種後も感染性のあるウイルス検出 ワクチン1回目接種後のみならず2回目接種後14日以降においても、一部の症例では感染性のあるウイルスが気道検体中に検出されたことから、二次感染リスクも否定できないことがわかった。また、ワクチン接種後感染例から検出されたウイルスは、ワクチン接種により付与された免疫を回避できる新規の変異を有するウイルスではなく、同時期に国内各地域で流行しているウイルスであった。これらの結果より、ワクチン接種後であっても、その時点で流行しているウイルスに感染することがあること、および、ワクチン接種後感染例の一部では二次感染しうることが示唆され、ワクチン接種者における感染防止対策の継続は重要と考えられた。 今後は、ワクチン接種後であっても、新型コロナウイルス感染の疑いがある場合(有症状・接触者等)は積極的に検査を実施し、陽性検体の一部については、免疫逃避能を有する新たな変異ウイルスの出現の監視など、病原体解析を継続して実施していく必要があるとしている。

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初の軽症~中等症COVID-19の抗体カクテル療法「ロナプリーブ点滴静注セット300/1332」【下平博士のDIノート】第79回

初の軽症~中等症COVID-19の抗体カクテル療法「ロナプリーブ注射液セット300/1332」今回は、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「カシリビマブ(遺伝子組み換え)/イムデビマブ(遺伝子組み換え)(商品名:ロナプリーブ注射液セット300/1332、製造販売元:中外製薬)」を紹介します。本剤は、2種類の中和抗体を組み合わせて投与する抗体カクテル療法であり、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害し、ウイルスの増殖を抑制すると考えられています。※本剤の販売名は、販売当初は「ロナプリーブ点滴静注セット300/1332」でしたが、2021年11月添付文書改訂による用法の変更に伴い、「ロナプリーブ注射液セット300/1332」と変更されました。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2021年7月19日に特例承認され、7月22日に発売されました。また、SARS-CoV-2による感染症の発症抑制の適応が2021年11月5日に追加されました。なお、本剤の適用は、臨床試験における経験を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者が対象となります。<用法・用量>通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、カシリビマブ(遺伝子組み換え)およびイムデビマブ(遺伝子組み換え)としてそれぞれ600mgを併用により単回点滴静注します。また、2021年11月の適応追加と同時に、単回皮下注射の用法が追加されました。臨床試験において、症状発現から8日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていないため、SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与する必要があります。<安全性>重大な副作用として、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症(頻度不明)、infusion reaction(0.2%)が現れることがあります。上記が認められた場合には、投与速度の減速、投与中断または投与中止し、アドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬を投与するなど適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察します。<患者さんへの指導例>1.本剤は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬です。1回の点滴で2種類の中和抗体を投与し、ウイルスの増殖を抑えます。2.過去に薬剤などで重篤なアレルギー症状を起こしたことのある方は必ず事前に申し出てください。3.投与中または投与後に、発熱、悪寒、吐き気、不整脈、胸痛、脱力感、頭痛のほか、過敏症やアレルギーのような症状が現れた場合は、すぐに近くにいる医療者または医療機関に連絡してください。<Shimo's eyes>わが国ではこれまで、COVID-19治療薬としてレムデシビル(商品名:ベクルリー)、デキサメタゾン(同:デカドロン)、バリシチニブ(同:オルミエント)の3剤が承認されています。いずれも別の疾患で承認されていた薬剤が転用されたものであり、対象は重症患者に限られています。本剤は、国内で初めて軽症から中等症患者を対象とするCOVID-19治療薬です。2021年11月に「SARS-CoV-2による感染症の発症抑制」の適応が追加され、初の予防的治療薬となりました。患者との濃厚接触者や無症状陽性者に対して、静脈内投与および皮下投与で予防的に投与されます。ただし、COVID-19の予防の基本はワクチン接種であり、本剤はワクチンに置き換わるものではありません。COVID-19の原因となるSARS-CoV-2は、その表面に存在するスパイクタンパク質(Sタンパク質)が宿主細胞表面の酵素に結合することで宿主細胞に侵入し、感染に至ります。本剤は、このSタンパク質と宿主細胞表面の酵素との結合を阻害し、宿主細胞への侵入を阻害することでウイルスの増殖を抑制します。変異を繰り返すウイルスに対しては、抗体が1種類だけでは期待する効果が得られにくいことから、2種の抗体が組み合わされました(抗体カクテル療法)。本剤は、アルファ株(B.1.1.7系統)、ベータ株(B.1.351系統)、ガンマ株(P.1系統)、デルタ株(B.1.617.2系統)などのSタンパク質の主要変異にも中和活性を保持していることが示唆されています。投与対象者は「重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者(軽症~中等症I)」とされています。厚生労働省の事務連絡により、当初は入院治療を要する患者に限られましたが、2021年8月より、対象が宿泊療養中の患者にも拡大されました。なお、臨床試験において、高流量酸素や人工呼吸器管理を要する患者では症状が悪化したという報告があり、重症患者は対象ではありません。《COVID-19の重症化リスク因子》65歳以上の高齢者悪性腫瘍慢性閉塞性肺疾患(COPD)慢性腎臓病2型糖尿病高血圧脂質異常症肥満(BMI30以上)喫煙固形臓器移植後の免疫不全妊娠後期引用:新型コロナウイルス感染症 診療の手引き第5.1版より海外の第III相試験では、重症化リスク因子を有し、酸素飽和度93%(室内気)以上の患者が対象とされました。主要評価項目である入院または死亡に至った割合は、本剤群(736例)では1.0%、プラセボ群(748例)では3.2%であり、リスクが70.4%減少しました。症状消失までの期間短縮も示されています。なお、別の臨床試験では感染予防効果を示す報告もありますが、今回の適用は感染した患者への投与に限られています。薬剤調整時は、希釈前に約20分間室温に放置します。11.1mLバイアルには、2回投与分(1回5mL)の溶液が含まれ、1回分の溶液を抜き取った後のバイアルは、25℃以下の室温で最大16時間、または2~8℃で最大48時間保存可能で、最大保存期間を超えた場合は廃棄することとされています。新しいCOVID-19治療薬の登場により感染患者の重症化を防ぐことができ、ひいては医療機関の負担が軽減されることが期待されます。※2021年8月と11月、厚生労働省の情報などを基に、一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 ロナプリーブ注射液セット300/ロナプリーブ注射液セット1332

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コロナワクチンで注目される解熱鎮痛薬への2つの懸念【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第72回

新型コロナウイルスワクチンの接種が若年層へ拡大する中、副反応に対する不安をよく耳にします。接種後に発熱や痛みが生じやすいというのはよく報告されていますが、それ以外にも根拠が不明な眉唾物の副反応情報が拡散していて、接種を躊躇する方もいらっしゃいます。逆に、接種後の発熱や痛みが少なかった高齢者の方が、「私には効いているのか?」と不安になって薬局に尋ねてくることもあったと聞きます。回答に困る質問は多々あると思いますが、厚生労働省が3月末に開設した「新型コロナワクチンQ&A特設サイト」では随時新たな情報が更新されているため、そのような際に参考になります。このサイトのQ&Aでは、ワクチン接種後の発熱や接種部位の痛みは高齢者では少し発症頻度が低いものの、しっかりと有効性が確認できている旨が掲載されています。先述の高齢者の方にはこの回答をお伝えしたいですね。また、副反応への対処法の1つとして、「市販の解熱鎮痛薬で対応することも考えられる」とし、「市販されている解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただける」といったように、成分名も記載した回答を掲載しています。さて、このワクチン接種後の発熱や痛みの対応について、2つの懸念が生じています。1つ目は、このような情報を見て、「ワクチン接種には解熱鎮痛薬の準備が必要!」と解釈された可能性があることです。薬局では一時的にOTC薬の解熱鎮痛薬が品薄になり、解熱鎮痛薬を配布した接種会場もあったと聞きます。OTC薬を1箱購入して家族で使いまわすこともあると思いますが、アレルギー歴のある方や病気治療中の方の服用に薬剤師は関わることができているでしょうか。そして、緊急時といえども、医薬品の販売および譲渡のルールに変更はありませんので、医薬品の販売に当たっては医薬品販売業の許可が必要で、原則として無償での譲渡はできません。患者さんのことを思ってのことでしょうが、医薬品の提供については通常時と変わらないことに注意が必要です。2つ目としては、副反応の症状が出る前に解熱鎮痛薬を予防的に繰り返し内服している人がいることです。これについては現在のところ推奨されていません。予防的な服用を希望する患者さんには、解熱鎮痛薬の副作用の説明をするとともに、Q&Aを参考に「副反応の大部分は接種後数日以内に回復することがわかっている」と過度に心配する必要はないことを説明して安心してもらいましょう。このサイトを見ると、その回答自体はやわらかい言葉で書いてあるのですが、その根拠としてワクチンの審査報告書が閲覧できたり、CDC(米国疾病予防管理センター)の論文へのリンクが貼り付けてあったりと、一般の方向けとしてはかなり専門的な内容だなぁと思います。ぜひ一度ざっと見て、一般の方がどのような疑問を持つ可能性があるのか予習してみてはいかがでしょうか。

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第26回 アナフィラキシー? 迅速に判断、アドレナリンの適切な投与を!【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)アナフィラキシーか否かを迅速に判断!2)アドレナリンの投与は適切に!アナフィラキシーに関しては以前(第15回 薬剤投与後の意識消失、原因は?)も取り上げましたが、大切なことですので、今一度整理しておきましょう。今回の症例は、新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーとして報告された事例*からです。この経過をみて突っ込みどころ、ありますよね?!*第53回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会令和2年度第13回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会【症例】30歳女性。ワクチン接種後待機中、呼吸困難を自覚。咳嗽が徐々に増悪し、体中の掻痒感を自覚した。接種5分後、SpO2が85~88%まで低下。酸素負荷、その後ネオフィリン注125mg、リンデロン注2mg点滴を開始。接種後20分緊急入院。眼瞼浮腫、喘鳴、SpO2100%(酸素4L)、血圧収縮期150mmHg程度、脈拍70~80/分、体幹に丘疹。接種55分後、アドレナリン0.3mL皮下注。その後、喘鳴は徐々に改善。接種4時間後酸素負荷終了。翌日午前中に一般病棟に転出。午後になり呼吸困難を自覚、サルブタモール吸入も効果なし。喘鳴は徐々に増強。その後も、リンデロン1.0mg投与効果なし、SpO2は98~100%、心拍70~80/分であった。オキシマスク2L投与併用。意識障害はなかったが、発語は困難であった。数時間後にリンデロン3mgを投与したところ、徐々に呼吸状態は改善。その後会話が可能な程度にまで回復した。翌朝、意識清明、会話可能、喘鳴なし、SpO2低下なし、リンデロン投与を継続し、経過観察したところ再燃なし、数日後自宅退院とした。はじめにアナフィラキシーは、どんな薬剤でも起こりえるものであり、初期対応が不適切であると致死的となるため、早期に認識し、適切な介入を行うことが極めて大切です。救急外来で診療をしているとしばしば出会います。また、院内でも抗菌薬や造影剤投与後にアナフィラキシーは一定数発生するため、研修医含め誰もが初期対応を理解しておく必要があります。新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種も全国で進んでおり、勤務先の病院やクリニック、大規模接種センターなどでアナフィラキシーに対して不安がある医療者の方も多いと思います。今回はアナフィラキシーの初期対応をシンプルにまとめましたので整理してみてください。アナフィラキシーを疑うサインとはアナフィラキシーか否かを判断できるでしょうか。そんなの簡単だろうと思われるかもしれませんが、意外と迷うことがあるのではないでしょうか。薬剤投与後に皮疹と喘鳴、血圧低下を認めれば誰もが気付くかもしれませんが、皮疹を認め喉の違和感や嘔気を認めるもののバイタルサインは安定している、皮疹は認めないが投与後に明らかにバイタルサインが変化しているなど、実際の現場では悩むのが現状であると思います。アナフィラキシーの診断基準は表の通りですが、抗菌薬や造影剤、さらにワクチン接種後の場合には、「アレルゲンと思われる物質に曝露後」に該当するため、皮膚や呼吸、循環、消化器症状のうち2つを認める場合にはアナフィラキシーとして動き出す必要があります。「血圧が保たれているからアドレナリンまでは…」「SpO2が保たれているからアドレナリンはやりすぎ…」ではないのです。皮膚症状もきちんと体幹部や四肢を直視しなければ見落とすこともあるため、薬剤使用後に呼吸・循環・消化器症状を認める場合、さらには頭痛や胸痛、痙攣などを認めた場合には必ず確認しましょう。表 アナフィラキシーの診断基準画像を拡大する(Sampson HA, et al. J Allergy Clin Immunol. 2006;117:391-397.より引用)ワクチン接種後のアナフィラキシーは、普段通りの全身症状で打つことに問題がない方が打っているわけですから、より判断がしやすいはずです。抗菌薬や造影剤の場合には、細菌感染や急性腹症など、全身状態が良好とはいえない状況で使用しますが、ワクチンは違いますよね。筋注後に何らかの症状を認めた場合にはアナフィラキシーを念頭にチェックすればいいわけですから、それほど判断は難しくありません。痛みや不安に伴う反射性失神によるもろもろの症状のこともありますが、皮疹や喘鳴は通常認めませんし、安静臥位の状態で様子をみれば時間経過とともによくなる点から大抵は判断が可能です。ここで重要な点は、「迷ったらアナフィラキシーとして対応する」ということです。アナフィラキシーは1分1秒を争い、対応の遅れが病状の悪化に直結します。アナフィラキシー? と思ったらアナフィラキシーと判断したらやるべきことはシンプルです。患者を臥位にしてバイタルサインの確認、そしてアドレナリンの投与です。アナフィラキシーと判断したらアドレナリンは必須なわけですが、投与量や投与方法を間違えてしまっては十分な効果が得られません。正確に覚えているでしょうか?アドレナリンは[1]大腿外側に、[2]0.3~0.5mg、[3]筋注です。肩ではありません、1mgではありません、そして皮下注ではありません。OKですね? アドレナリンの投与量に関しては、成人では0.5mgを推奨しているものもありますが、エピペンは0.3mgですから、その場にエピペンしかなければ0.3mgでOKです。何が言いたいか、「とにかく早期にアナフィラキシーを認識し、早期にアドレナリンを適切に投与する」、これが大事なのです。救急医学会が公開した、アナフィラキシー対応・簡易チャート(図)を見ながらアプローチをきっちり頭に入れておいて下さい。アナフィラキシー対応・簡易チャート画像を拡大する間違い探しさぁそれでは今回の症例をもう1度みてみましょう。この患者は基礎疾患に喘息などがあり、現場での対応が難しかったことが予想されますが、ちょっと突っ込みどころがあります。まず、ワクチン接種後、掻痒感に加え呼吸困難、SpO2も低下しています。この時点でアナフィラキシー症状の所見ですから、なる早でアドレナリンを投与する準備を進めなければなりません。よくアナフィラキシーに対して抗ヒスタミン薬やステロイドを投与しているのをみかけますが、これらの薬剤は使用を急ぐ必要は一切ありません。そして、アドレナリンは皮下注ではありません、筋注です! 重症喘息の際のアドレナリン投与は、なぜか皮下注も選択肢となっていますが筋注でよいでしょう。本症例では特にアナフィラキシーが考えられるため0.3~0.5mg筋注です。位置は大腿外側ですよ!さいごにアナフィラキシーはどこでも起こりえます。アナフィラキシーショックや死亡症例の多くは、アドレナリンの投与の遅れが大きく影響しています。迅速に判断し、適切なマネジメントができるように、今一度整理しておきましょう。1)Sampson HA, et al. J Allergy Clin Immunol. 2006;117:391-397.2)救急医学会. ワクチン接種会場におけるアナフィラキシー対応簡易チャート

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第67回 例外だらけのコロナ治療、薬剤費高騰と用法煩雑さの解消はいずこへ?

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に対するワクチン接種の進行状況が注目を浴びている陰で、治療薬開発もゆっくりではあるが進展しつつある。中外製薬が新型コロナの治療薬として6月29日に厚生労働省に製造販売承認申請を行ったカシリビマブとイムデビマブの抗体カクテル療法(商品名:ロナプリーブ点滴静注セット)が7月19日に特例承認された。この抗体は米国のリジェネロン・ファーマシューティカルズ社が創製したものを提携でスイス・ロシュ社が獲得、ロシュ社のグループ会社である中外製薬が日本国内での開発ライセンスを取得していた。両抗体は競合することなくウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合部位に結合することで、新型コロナウイルスに対する中和活性を発揮する薬剤。日本での申請時には、昨年11月に米国食品医薬品局(FDA)で入院を要しない軽度から中等度の一部のハイリスク新型コロナ患者に対する緊急使用許可の取得時にも根拠になった、海外第III相試験『REGN-COV 2067』と国内第I相試験の結果が提出されている。「REGN-COV 2067」は入院には至っていないものの、肥満や50歳以上および高血圧を含む心血管疾患を有するなど、少なくとも1つの重症リスク因子を有している新型コロナ患者4,567例を対象に行われた。これまで明らかになっている結果によると、主要評価項目である「入院または死亡のリスク」は、プラセボ群と比較して1,200mg静脈内投与群で70%(p=0.0024)、2,400mg静脈内投与群で71%(p=0.0001)、有意に低下させた。また、症状持続期間の中央値は両静脈内投与群とも10日で、プラセボ群の14日から有意な短縮を認めた。安全性について、重篤な有害事象発現率は1,200mg静脈内投与群で1.1%、2,400mg静脈内投与群で1.3%、プラセボ群で4.0%。投与日から169日目までに入手可能な全患者データを用いた安全性評価の結果では、新たな安全性の懸念は示されなかったと発表されている。今回の承認により日本国内で新型コロナを適応とする治療薬は、抗ウイルス薬のレムデシビル、ステロイド薬のデキサメタゾン、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のバリシチニブに次ぐ4種類目となった。従来の3種類はすべて既存薬の適応拡大という苦肉のドラッグ・リポジショニングの結果として生み出されたものであったため、今回の薬剤は「正真正銘の新型コロナ治療薬」とも言える。「統計学的に有意に死亡リスクを低下させる」とのエビデンスが示されたのはデキサメタゾンについで2種類目であり、これまでに行われた臨床試験の結果からは、なんと家族内感染での発症予防効果も認められている。発症予防効果は米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)と共同で実施した第III相試験『REGN-COV 2069』で明らかにされた。本試験は4日以内に新型コロナ陽性と判定された人と同居し、新型コロナウイルスに対する抗体が体内に存在しない、あるいは新型コロナの症状がない1,505例が対象。プラセボと1,200mg単回皮下注射で有効性を比較したところ、主要評価項目である「29日目までに症候性感染が生じた人の割合」は、プラセボ群に比べ、皮下注射群で81%減少したことが分かった。また、皮下注射群で発症した人の症状消失期間は平均1週間以内だったのに対し、プラセボ群の3週間と大幅な期間短縮が認められている。死亡率低下効果に予防効果もあり、なおかつ限定的とはいえ軽度や中等度の患者にも使用できるというのは、やや手垢のついた言い方だが「鬼に金棒」だ。もっとも冷静に考えると、そう単純に喜んでばかりもいられない気がしている。まず、そもそも今回の抗体カクテル療法も含め、新型コロナを適応として承認された治療薬は、いずれも従来の感染症関連治療薬とは毛並みが異なり、現実の運用では非専門医が気軽に処方できるようなものではない。今後承認が期待される薬剤も含めてざっと眺めると、もはや従来の感染症の薬物治療からかけ離れたものになりつつある。もちろん現行では非専門医がこうした薬剤を新型コロナ患者に処方する機会はほとんどないが、専門医でも慣れない薬剤であるため、それ相応に臨床現場で苦労をすることが予想される。その意味では治療選択肢の増加にもかかわらず、新型コロナの治療自体は言い方が雑かもしれないが、徐々にややこしいものになりつつある。一方、隠れた問題は治療費の高騰である。現在、新型コロナは指定感染症であるため、医療費はすべて公費負担である。そうした中でデキサメタゾンを除けば、薬剤費は極めて高額だ。レムデシビルは患者1人当たり約25万円、バリシチニブも用法・用量に従って現行の薬価から計算すると最大薬剤費は患者1人当たり約7万3,900円。今回の抗体カクテル療法は薬価未収載で契約に基づき国が全量を買い取り、その金額は現時点で非開示だが、抗体医薬品である以上、安く済むわけはない。しかも、これ以前の3種類がいずれも中等度以上であることと比べれば、対象患者は大幅に増加する。本来、疾患の治療は難治例の場合を除き、疾患の解明が進むほど、選択肢が増えて簡便さが増し、時間経過に伴う技術革新などで薬剤費や治療関連費は低下することが多い。ところが新型コロナでは世界的パンデミックの収束が優先されているため、今のところ治療が複雑化し、価格も高騰するというまったく逆を進んでいる。そうした現状を踏まえると、やはりワクチン接種のほうがコストパフォーマンスに優れているということになる。こうした時計の針がどこで逆に向くようになるのか? 個人的にはその点を注目している。

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その症状もアナフィラキシーですよ!【Dr.山中の攻める!問診3step】第4回

第4回 その症状もアナフィラキシーですよ!―Key Point―皮膚や粘膜に症状がなくてもアナフィラキシーを診断するある日、中学2年生の女生徒が息苦しさを主訴に、学校から救急車で搬送されてきました。頻呼吸と喘鳴があり、唇がひどく腫脹しています。あどけない少女が救急室でおびえながら涙を流している姿を見てショックを受けました。学校で解熱鎮痛薬を飲んだ後に症状が出現したとのことです。アナフィラキシーによる呼吸器症状と血管浮腫です。改めて恐ろしい病気だと思いました。この連載では、患者の訴える症状が危険性のある疾患を示唆するかどうかを一緒に考えていきます。シャーロックホームズのような鋭い推理ができればカッコいいですよね。◆今回おさえておくべき原因はコチラ!【原因と病態生理】1)アナフィラキシーはIgEを介した即時型(I型)アレルギー反応によることが多い(薬剤、食物、虫刺され、ラテックス)。アレルゲンが肥満細胞や好塩基球の表面に存在するIgEと抗原抗体反応を起こすと、ヒスタミンやトリプターゼ、ブラジキニンなどのケミカルメディエーターが放出され全身反応が起こるIgEが介在せずに補体の活性化や未知の機序により肥満細胞が活性化されることもある(アスピリン、バンコマイシン、造影剤、運動、寒冷)【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】診断へのアプローチ【診断】アナフィラキシーは頻繁に見逃されている可能性がある皮膚や粘膜に症状がなくてもアナフィラキシーと診断できる(下図)アニサキスもアナフィラキシーに関与しているとの報告がある2)(図)画像を拡大する【STEP3】治療や対策を検討する【治療】大腿前外側にアドレナリンを筋注する(大人では0.3~0.5mg、子供では0.01mg/kg)必要なら筋注を5~20分毎に繰り返すβブロッカーを内服しているとアドレナリンの反応が悪くなる。この場合はグルカゴン1A(1mg)を静注する下肢を挙上し、十分な補液(生食1000mL)をする死亡の多くの原因は循環血漿量の減少である(empty heart syndrome)軽快後に再び症状が起こる(ニ相性反応)ことが10~20%あるので、中等症以上では入院させる。帰宅する場合も4時間は院内での滞在を勧めるH1受容体拮抗薬(例:d-クロルフェニラミン[商品名:ポララミン ほか])とH2受容体拮抗薬(例:ファモチジン[同:ガスター ほか])を投与するステロイドが二相性反応を抑制するという明確なエビデンスはない3)。しかし、効果を期待してメチルプレドニゾロン(同:メドロール ほか)1~2mg/kgを静注することもある【予防】アレルゲンを明らかにするためには病歴を繰り返し聴取することが重要アナフィラキシーを起こすことが予想される患者にはエピペンを処方し携帯させる<参考文献・資料>1)Goldman L, et al. Goldman-Cecil Medicine. 16th. Elsevier. 2019. 1654-1658.2)国立感染症研究所:IASR.アニサキスアレルギーによる蕁麻疹・アナフィラキシー3)Cochrane:Glucocorticoids for the treatment of anaphylaxis

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COVID-19入院患者へのIL-6受容体拮抗薬、メタ解析で全死亡抑制/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者を対象とした臨床試験の前向きメタ解析の結果、IL-6受容体拮抗薬は通常の治療やプラセボと比較し、28日全死因死亡率の低下と関連していることが認められた。WHO Rapid Evidence Appraisal for COVID-19 Therapies(REACT)Working Groupメンバーで、英国・St Thomas' HospitalのManu Shankar-Hari氏らが報告した。COVID-19入院患者へのIL-6受容体拮抗薬の有効性を評価した臨床試験では、有益、有効性なし、有害とさまざまな報告がされていた。JAMA誌オンライン版2021年7月6日号掲載の報告。27試験の1万930例について、前向きメタ解析を実施 研究グループは、2020年10月~2021年1月に、電子データベースを検索して試験を特定し(試験状況や言語による制限なし)、さらに専門家への連絡を介して追加の試験を特定した。適格としたのは、COVID-19入院患者を対象に、IL-6受容体拮抗薬投与群と、IL-6受容体拮抗薬あるいはコルチコステロイドを除く他の免疫調整薬のいずれも投与しない群に無作為に割り付けた試験とした。 可能性のある適格試験72件のうち、27件(37.5%)が試験の選択基準を満たした。 主要評価項目は、無作為化後28日全死因死亡率、副次評価項目は侵襲的人工換気への移行または死亡、28日までの2次感染リスクなど9項目である。 Cochrane Risk of Bias Assessment Toolを使用してバイアスリスクを評価し、試験結果の不一致はI2統計量を用いて評価した。主要解析は、28日全死因死亡率のオッズ比(OR)の逆分散加重固定効果メタ解析とした。 27試験の計1万930例(年齢中央値61歳[中央値の範囲52~68]、女性3,560例[33%])が解析に組み込まれた。IL-6受容体拮抗薬群で、通常治療またはプラセボ群と比較し28日全死因死亡率が低下 無作為化後28日間に、IL-6受容体拮抗薬群6,449例中1,407例、通常治療またはプラセボ群4,481例中1,158例が死亡した(要約OR:0.86、95%信頼区間[CI]:0.79~0.95、固定効果メタ解析のp=0.003)。 これはIL-6受容体拮抗薬群の絶対死亡リスクは22%、通常治療またはプラセボ群の推定死亡リスクは25%に相当し、対応する要約ORは、トシリズマブが0.83(95%CI:0.74~0.92、p<0.001)、サリルマブは1.08(0.86~1.36、p=0.52)であった。 コルチコステロイドの投与を受けた患者では、通常治療またはプラセボ群と比較した死亡の要約ORは、トシリズマブ0.77(95%CI:0.68~0.87)、サリルマブ0.92(0.61~1.38)であった。 侵襲的人工換気への移行または死亡のORは、通常治療またはプラセボ群と比較して、IL-6受容体拮抗薬群全体で0.77(95%CI:0.70~0.85)であり、トシリズマブで0.74(0.66~0.82)、サリルマブで1.00(0.74~1.34)であった。 28日目までの2次感染の発生率は、IL-6受容体拮抗薬群21.9%、通常治療またはプラセボ群17.6%であった(OR:0.99、95%CI:0.85~1.16)。

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JAK阻害薬フィルゴチニブ、潰瘍性大腸炎の寛解導入・維持に有効(解説:上村直実氏)

 潰瘍性大腸炎(UC)は特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、最近の全国調査によると18万人以上の患者が存在している。UCに対する薬物治療については、寛解導入および寛解維持を目的として5-ASA製剤、ステロイド製剤、免疫調節薬、生物学的製剤が使用されている。なかでも生物学的製剤については、抗TNF阻害薬、インターロイキン阻害薬ウステキヌマブ、インテグリン拮抗薬ベドリズマブ、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬など、異なる作用機序を有する分子標的薬が次々と開発され、それぞれの臨床試験結果が報告されている。なお、本邦のIBD診療ガイドライン2020において、血球成分除去療法や生物学的製剤の適応はステロイド依存例で免疫調節薬も効果のない患者やステロイド抵抗性の患者に限定されている。さらにJAK阻害薬と免疫調節薬チオプリン製剤との併用が原則禁忌となっている。 今回は中等度から重度の難治性UCを有する成人患者を対象として、10週間での寛解導入と58週間の寛解維持に対するJAK阻害薬フィルゴチニブの有効性と安全性に関する、第III相臨床試験(SELECTION試験)の結果がLancet誌に報告された。わが国では慢性関節リウマチ(RA)に対して承認されている経口剤フィルゴチニブが、TNF阻害薬やベドリズマブの治療歴の有無にかかわらず、難治性UCの寛解導入と寛解維持においてプラセボに比べて有意な有効性と同等の安全性を示したとされている。 今回の研究結果から、フィルゴチニブはステロイド依存性や抵抗性の難治性UCに対して有用性の高い経口治療薬として期待される。しかし、わが国においてRAに対して保険承認されている5種類のJAK阻害薬の中で唯一UCに対して保険適用を得ているトファシチニブに関しては、RA患者を対象とした安全性臨床試験の予備結果において、TNF阻害薬や低用量トファシチニブと比べて高用量のトファシチニブが心血管血栓イベントと死亡のリスク上昇を認めた結果、FDAにより慎重な使用に関する警告が発出されている。同じJAK阻害薬であるフィルゴチニブに関してもRAに加えてUCの適応が追加された場合、一般診療現場における長期間のリスクに注意した慎重な使用が必要と思われる。

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病棟マスターになれる医学書【Dr.倉原の“俺の本棚”】第44回

【第44回】病棟マスターになれる医学書指示簿、入院サマリー、手技や手術の記録、コンサルテーションの仕方、対応に困る患者の対処法、維持輸液の処方、カンファレンスの症例プレゼンテーションの喋り方、保険の自己負担、死亡診断書(死体検案書)の書き方、介護保険意見書の書き方、DPCの仕組み、各診断・治療の保険点数、文献検索の方法……研修医になってから、何度ググったかわかりませんよね。どこの医学書にも、こういうノウハウが全然書いてないんだもの。誰かわかりやすくまとめてくれないかな~と、医局の机に突っ伏しているそこのアナタ!『総合内科病棟マニュアル 病棟業務の基礎(赤本)』筒泉 貴彦, 山田 悠史, 小坂 鎮太郎/編. メディカルサイエンスインターナショナル. 2021年え……?そんな医学書あるんですか?はい、あるんです!それが、『総合内科病棟マニュアル』の赤本です。上記のような総論的なことだけでなく、病棟の患者さんや病棟の看護師さんから相談されることが多い、コモンな徴候から輸血・ステロイド・ワクチン・血糖管理まで、臓器横断的な項目がこの赤本にムギュっと凝縮されています。密度がすごいです、密度が。情熱の密度がすご過ぎて、ページをめくる手がヤケドしてしまいますわ、ホント!「赤血球輸血したらどのくらいヘモグロビンの改善が予想されますか?」「ステロイドの副作用を予防するエビデンスは?」こういうこともしっかり書かれています。これを読めば、病棟マスターになれる気がしますね。そして、7月に青本が出ます。青本は、疾病や病態の各論的なことが書かれています。このクオリティで続編が出るとか、どないなってんねんレベルです。赤本が縦斬り!青本が横斬り!で、難解な医学の世界を"サイコロステーキ先輩※"にしてやりましょう。※『鬼滅の刃』に登場する隊士。敗北・死亡フラグを立てて、あっという間に回収してあの世へ旅立つ弱さから、「お前さんをボッコボコにしてやんよ」と言いたいときに使う。『総合内科病棟マニュアル 病棟業務の基礎(赤本)』筒泉 貴彦, 山田 悠史, 小坂 鎮太郎/編出版社名メディカルサイエンスインターナショナル定価本体4,400円+税サイズB6変刊行年2021年

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日本人進行乳がん患者でのアベマシクリブの安全性(MONARCH2、3)/日本乳癌学会

 ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんに対するアベマシクリブの国際共同第III相試験であるMONARCH2試験(内分泌療法既治療例におけるフルベストラントとの併用)とMONARCH3試験(1次治療における非ステロイド性アロマターゼ阻害薬との併用)で、日本人集団で多く発現した有害事象を詳細に検討した結果について、国立病院機構大阪医療センターの増田 慎三氏が第29回日本乳癌学会学術総会で発表した。 2つの試験における日本人の割合は、MONARCH2試験では14.2%(669例中95例)、MONARCH3試験では10.8%(493例中53例)であった。アベマシクリブ群でみられた有害事象において、日本人集団では下痢、好中球減少症、ALT上昇、AST上昇が比較的多く観察されている。増田氏らは、実地診療でアベマシクリブを使用する際の毒性管理に有用な情報を見いだすために、これらの有害事象について詳細に検討した。 主な結果は以下のとおり。・日本人集団において、有害事象により減量した患者の割合は、MONARCH2試験(200mgで開始した症例を含む)、3試験の順に54.0%、55.3%、途中休薬は82.5%、60.5%、投与中止は11.1%、5.3%だった。・下痢について、最初の発現までの期間の中央値は、MONARCH2試験(150mg開始症例のみ)、3試験の順に4.0日、6.0日、Grade 2の下痢の発現期間の中央値は9.0日、6.0日、減量した患者の割合は20.0%、16.7%、減量対応を要した期間の中央値は32.0日、39.5日だった。また、サイクルごとのGrade 2以上の下痢の発現をみると、1サイクル目の発現が多く、2サイクル目以降の発現は少なかった。・好中球減少症について、Grade 3発現までの期間の中央値は、MONARCH2試験(150mg開始症例のみ)、3試験ともに29.0日だった。Grade 3以上の発現期間の中央値は、MONARCH2試験、3試験の順に17.0日、12.0日だったが、好中球減少症で減量した患者の割合は14.7%、15.4%と少なかった。なお、発熱性好中球減少症は認めていない。・好中球数のサイクルごとの変化をみると、治療開始後に一定レベル減少するが、2サイクル後にプラトーに達し、観察期間終了後に速やかにベースラインまで回復していた。・ベースラインの好中球数が3.0×103/μL未満の場合、Grade 3以上の好中球減少症の発現頻度はMONARCH2試験(150mg開始症例のみ)、3試験の順に60.0%、41.7%であったのに対し、3.0×103/μL以上の場合は26.1%、11.5%と、3.0×103/μL未満の場合に好中球減少リスクが高いことが示唆された。・ALT上昇については、4割に発現し、Grade 3以上が18.5%、最初の発現までの期間の中央値は、MONARCH2試験(150mg開始症例のみ)、3試験の順に36.0日、48.0日だった。サイクルごとのGrade2以上のALT上昇をみると、最初の2~3サイクルまでの発現が目立つが、6サイクル以降も発現がみられた。・AST上昇についてもALT上昇と同様の傾向であった。 最後に、増田氏は「MONARCH2および3試験における日本人のアベマシクリブの安全性プロファイルは全集団とほぼ一致し、よくみられた有害事象は、下痢、好中球減少症、肝機能障害であった。これらの有害事象は、治療初期に多く発現し、適切な介入と用量調節で概ね管理可能であった」とまとめた。

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AZ製ワクチン接種後の血栓症の診療の手引き・第2版/日本脳卒中学会・日本血栓止血学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まり、全国で一般市民に対しても接種が急速に進んでいる。その一方で、2021年3月以降、アストラゼネカ社アデノウイルスベクターワクチン(商品名:バキスゼブリア)接種後に、異常な血栓性イベントおよび血小板減少症を来すことが報道され、4月に欧州医薬品庁(EMA)は「非常にまれな副反応」として記載すべき病態とした。また、ドイツとノルウェー、イギリスなどからもバキスゼブリア接種後に生じた血栓症のケースシリーズが相次いで報告され、ワクチン接種後の副反応として血小板減少を伴う血栓症が問題となった。この血栓症は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と類似した病態と捉えられ、VITTやVIPITという名称が用いられた(本手引きでは血小板減少症を伴う血栓症[TTS]を用いる)が、本症の医学的に適切な名称についてはいまだ議論があるところである。 海外では、国際血栓止血学会、米国血液学会などからTTSに関する診断や治療の手引きが公開されており、WHOからも暫定ガイドラインが発表された。海外と医療事情が異なるわが国には、これまで本疾患に対する診療の手引きは存在しなかったため、日本脳卒中学会と日本血栓止血学会は、COVID-19ワクチンに関連した疾患に対する診断や治療をまとめ、日常診療で遭遇した場合の対応方法を提言するために2021年6月に「アストラゼネカ社COVID-19ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き・第2版」(2021年6月)を作成、公開した。まれだが発症すると致死的なTTS TTSの特徴は1)ワクチン接種後4~28日に発症する、2)血栓症(脳静脈血栓症、内臓静脈血栓症など通常とは異なる部位に生じる)、3)血小板減少(中等度〜重度)、4)凝固線溶系マーカー異常(D-ダイマー著増など)、5)抗血小板第4因子抗体(ELISA法)が陽性となる、が挙げられる。TTSの頻度は1万人~10万人に1人以下と極めて低いが、これまでに報告されたTTSの症例は、出血や著明な脳浮腫を伴う重症脳静脈血栓症が多く、致死率も高い。また、脳静脈血栓症以外の血栓症も報告されているので、極めてまれな副反応であるが、臨床医はTTSによる血栓症を熟知しておく必要がある。目次はじめに1 TTSの診断と治療の手引きサマリー 1)診断から治療までのフローチャート 2)候補となる治療法2 TTSの概要 1)TTSとは 2)ワクチン接種後TTSの発症時期と血栓症の発症部位3 TTSとHITとの関連4 TTSの診断 1)TTSを疑う臨床所見  2)検査 3)診断手順 4)鑑別すべき疾患と見分けるポイント5 TTSの治療 1)免疫グロブリン静注療法 2)ヘパリン類 3)ヘパリン以外の抗凝固薬 4)ステロイド 5)抗血小板薬 6)血小板輸血 7)新鮮凍結血漿 8)血漿交換 9)慢性期の治療おわりに 付1)血栓症の診断 付2)脳静脈血栓症の治療 血栓溶解療法(局所および全身投与)/血栓回収療法/開頭減圧術/抗痙攣薬 付3)COVID-19ワクチンとは 文献 同手引きでは「おわりに」で「TTSは新しい概念の病態であり、確定診断のための抗体検査(ELISA法)の導入、治療の候補薬の保険収載、さらにはワクチンとの因果関係の解明など、多くの課題が残されている。今後、新たな知見が加わる度に、本手引きは改訂していく予定」と今後の方針を記している。

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関節リウマチ診療ガイドライン改訂、新導入の治療アルゴリズムとは

 2014年に初版が発刊された関節リウマチ診療ガイドライン。その後、新たな生物学的製剤やJAK阻害薬などが発売され、治療方法も大きく変遷を遂げている。今回、6年ぶりに改訂された本ガイドライン(GL)のポイントや活用法について、編集を担った針谷 正祥氏(東京女子医科大学医学部内科学講座膠原病リウマチ内科学分野)にインタビューした。日本独自の薬物治療、非薬物治療・外科的治療アルゴリズムを掲載 本GLは4つの章で構成されている。主軸となる第3章には治療方針と題し治療目標や治療アルゴリズム、55のクリニカルクエスチョン(CQ)と推奨が掲載。第4章では高額医療費による長期治療を余儀なくされる疾患ならではの医療経済的な側面について触れられている。 関節リウマチ(RA)の薬物治療はこの20年で大きく様変わりし、80年代のピラミッド方式、90年代の逆ピラミッド方式を経て、本編にて新たな治療アルゴリズム「T2T(Treat to Target)の治療概念である“6ヵ月以内に治療目標にある『臨床的寛解もしくは低疾患活動性』が達成できない場合には、次のフェーズに進む”を原則にし、フェーズIからフェーズIIIまで順に治療を進める」が確立された。 薬物治療アルゴリズムの概略は以下のとおり。<薬物治療アルゴリズム>(対象者:RAと診断された患者)◯フェーズI(CQ:1~4、26~28、34を参照)メトトレキサート(MTX)の使用を検討、年齢や合併症などを考慮し使用量を決定。MTXの使用が不可の場合はMTX以外の従来型抗リウマチ薬(csDMARD)を使用。また、MTX単剤で効果不十分の場合は他のcsDMARDを追加・併用を検討する。◯フェーズII(CQ:8~13、18、19、35を参照)フェーズIで治療目標非達成の場合。MTX併用・非併用いずれでの場合も生物学的製剤(bDMARD)またはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の使用を検討する。ただし、長期安全性や医療経済の観点からbDMARDを優先する。また、MTX非併用の場合はbDMARD(非TNF阻害薬>TNF阻害薬)またはJAK阻害薬の単剤療法も考慮できる。◯フェーズIII(CQ:14を参照)フェーズIIでbDMARDまたはJAK阻害薬の使用で効果不十分だった場合、ほかのbDMARDまたはJAK阻害薬への変更を検討する。TNF阻害薬が効果不十分の場合は非TNF阻害薬への切り替えを優先するが、その他の薬剤については、変更薬のエビデンスが不足しているため、future questionとしている。 このほか、各フェーズにて治療目標達成、関節破壊進行抑制、身体機能維持が得られれば薬物の減量を考慮する仕組みになっている。過去にピラミッドの下部層だったNSAIDや副腎皮質ステロイド、そして新しい治療薬である抗RANKL抗体は補助的治療の位置付けになっているが、「このアルゴリズムは単にエビデンスだけではなく、リウマチ専門医の意見、患者代表の価値観・意向、医療経済面などを考慮して作成した推奨を基に出来上がったものである」と同氏は特徴を示した。新参者のJAK阻害薬、高齢者でとくに注意したいのは感染症 今回の改訂で治療のスタンダードとして新たに仲間入りしたJAK阻害薬。ただし、高齢者では一般的に有害事象の頻度が高いことも問題視されており、導入の際には個々の背景の考慮が必要である。同氏は、「RA患者の60%は65歳以上が占める。もはやこの疾患では高齢者がマジョリティ」と話し、「その上で注意すべきは、肝・腎機能の低下による薬物血中濃度の上昇だ。処方可能な5つのJAK阻害薬はそれぞれ肝代謝、腎排泄が異なるので、しっかり理解した上で処方しなければならない」と強調した。また、高齢者の場合は感染症リスクにも注意が必要で、なかでも帯状疱疹は頻度が高く、日本人RA患者の発症率は4~6倍とも報告されている。「JAK阻害薬へ切り替える際にはリコンビナントワクチンである帯状疱疹ワクチンの接種も同時に検討する必要がある。これ以外にも肺炎、尿路感染症、足裏の皮下膿瘍、蜂窩織炎などが報告されている」と具体的な感染症を列挙し、注意を促した。非薬物療法や外科的治療―患者は積極的?手術前後の休薬は? RAはQOLにも支障を与える疾患であることから、薬物治療だけで解決しない場合には外科的治療などの検討が必要になる。そこで、同氏らは“世界初”の試みとして、非薬物治療・外科的治療のアルゴリズムも作成した。これについては「RAは治療の4本柱(薬物療法、手術療法、リハビリテーション、患者教育・ケア)を集学的に使うことが推奨されてきた。今もその状況は変わっていない」と述べた。 非薬物治療・外科的治療アルゴリズムの概略は以下のとおり。< 非薬物治療・外科的治療アルゴリズム>◯フェーズI慎重な身体機能評価(画像診断による関節破壊の評価など)を行ったうえで、包括的な保存的治療(装具療法、生活指導を含むリハビリテーション治療、短期的ステロイド関節内注射)を決定・実行する。◯フェーズII保存的治療を十分に行っても無効ないし不十分な場合に実施。とくに機能障害や変形が重度の場合、または薬物治療抵抗性の少数の関節炎が残存する場合は、関節機能再建手術(人工関節置換術、関節[温存]形成術、関節固定術など)を検討する。場合によっては手術不適応とし、可能な限りの保存的治療を検討。 患者の手術に対する意識については「罹病期間が短い患者さんのほうが手術をためらう傾向はあるが、患者同士の情報交換や『日本リウマチ友の会』などの患者コミュニティを活用して情報入手することで、われわれ医療者の意見にも納得されている。また、手術によって関節機能やQOLが改善するメリットを想像できるので、手術を躊躇する人は少ない」とも話した。 このほか、CQ37では「整形外科手術の周術期にMTXの休薬は必要か?」と記載があるが、他科の大手術に関する記述はない。これについては、「エビデンス不足により盛り込むことができなかった。個人的見解としては、大腸がんや肺がんなどの大手術の場合は1週間の休薬を行っている。一方、腹腔鏡のような侵襲が少ない手術では休薬しない場合もある。全身麻酔か否か、手術時間、合併症の有無などを踏まえ、ケース・バイ・ケースで対応してもらうのが望ましい」とコメントした。患者も手に取りやすいガイドライン 近年、ガイドラインは患者意見も取り入れた作成を求められるが、本GLは非常に患者に寄り添ったものになっている。たとえば、巻頭のクイックリファレンスには“患者さんとそのご家族の方も利用できます”と説明書きがあったり、第4章『多様な患者背景に対応するために』では、患者会が主導で行った患者アンケート調査結果(本診療ガイドライン作成のための患者の価値観の評価~患者アンケート調査~)が掲載されていたりする。患者アンケートの結果は医師による一方的な治療方針決定を食い止め、患者やその家族と医師が共に治療方針を決定していく上でも参考になるばかりか、患者会に参加できない全国の患者へのアドバイスとしての効力も大きいのではないだろうか。このようなガイドラインがこれからも増えることを願うばかりである。今後の課題、RA患者のコロナワクチン副反応データは? 最後に食事療法や医学的に問題になっているフレイル・サルコペニアの影響について、同氏は「RA患者には身体負荷や生命予後への影響を考慮し、肥満、骨粗鬆症、心血管疾患の3つの予防を掲げて日常生活指導を行っているが、この点に関する具体的な食事療法についてはデータが乏しい。また、フレイル・サルコペニアに関しては高齢RA患者の研究データが3年後に揃う予定なので、今後のガイドラインへ反映させたい」と次回へバトンをつないだ。 なお、日本リウマチ学会ではリウマチ患者に対する新型コロナワクチン接種の影響を調査しており、副反応で一般的に報告されている症状(発熱、全身倦怠感、局所反応[腫れ・痛み・痒み]など)に加えて、関節リウマチ症状の悪化有無などのデータを収集している。現段階で公表時期は未定だが、データ収集・解析が完了次第、速やかに公表される予定だ。

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妊婦、子供は?各学会のワクチン接種に対する声明まとめ

 新型コロナワクチンの接種が進む中、疾患等を理由として接種に対して不安を持つ人を対象に、各学会が声明を出している。主だったものを下記にまとめた。■日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」対象:全般要旨:ワクチンの開発状況、作用機序、有効性、安全性等の基本情報■日本小児科学会「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」対象:子供(12歳以上)要旨:まずは子どもの周囲への成人の接種を進める。そのうえで、12歳以上の子供へのワクチン接種は本人と養育者が十分に理解したうえで進めることが望ましく、個別接種を推奨する。■日本産科婦人科学会「―新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて―」対象:妊婦要旨:妊娠初期を含めワクチンは妊婦・胎児双方を守る。希望する妊婦はワクチンを接種できる。持病のある妊婦はとくに接種を検討すべきである。■日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会「女性のみなさまへ 新型コロナウイルスワクチン(mRNA ワクチン)Q & A」対象:女性全般要旨:ワクチン接種で不妊になったり、流産したりといった情報に科学的根拠は全くない。生理中や経口避妊薬服用中でもワクチン接種に対する問題はない(7/26情報追加)。■日本血液学会「新型コロナウィルス感染症蔓延下における血液疾患診療について」対象:血液疾患患者要旨:基本的にワクチン接種は推奨されるものの、治療の状況に応じてワクチン接種の効果が減じる可能性があるため、主治医と適切なタイミングを相談する。■日本神経学会「COVID-19 ワクチンに関する日本神経学会の見解」対象:神経疾患患者要旨:現時点では神経疾患(脳卒中、認知症、神経難病)を対象としたエビデンスはないが、海外のデータから副反応は一過性のものに限られ、アナフィラキシー以外には重篤な健康被害はみられていないことから、リスクは小さいものと考えられる。■日本骨髄腫学会「骨髄腫患者に対する新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種について」対象:骨髄腫患者要旨:骨髄腫患者は重篤化と死亡のリスクが高いと推測され、ワクチン接種による罹患率と重篤化防止が期待できるが、接種タイミングは患者ごとの免疫不全状態をみながらの判断となる。■日本リウマチ学会「COVID-19ワクチンについて」対象:リウマチ性疾患患者要旨:ステロイドをプレドニゾロン換算で5mg/日以上または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の患者は他の人たちよりも優先して接種したほうがよい。通常のワクチン接種の場合、免疫抑制剤やステロイドを中止・減量することはない。■日本麻酔科学会「mRNA COVID-19 ワクチン接種と手術時期について(5月18日修正版)」対象:手術予定患者要旨:待機手術もワクチン接種後すぐに行うことができるが、数日間(最大1週間)空けることで、術後の発熱などの症状が副反応か手術によるものかが区別できる。■日本癌治療学会、日本癌学会、日本臨床腫瘍学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療について Q&A-患者さんと医療従事者向け ワクチン編 第1版-」対象:がん患者要旨:がん患者における重症化の可能性を考慮すると、ワクチン接種はベネフィットがリスクを上回ると思われ、接種が推奨される。

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COVID-19入院患者へのトシリズマブを緊急使用許可/FDA

 中外製薬は6月25日、同社創製の関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可したと発表した。コルチコステロイドの全身投与を受けており、酸素補給、非侵襲的もしくは侵襲的な人工呼吸、またはECMOが必要な入院中の成人および2歳以上小児がその対象となる。 今回の緊急使用許可は、4つのランダム化比較試験におけるCOVID-19入院患者、計5,500例超の成績に基づいており、酸素補給または呼吸補助を必要とするコルチコステロイド投与中の患者の転帰を改善する可能性があることが示唆された。 これらの試験のいずれにおいても、トシリズマブに対する新たな安全性シグナルは認められなかった。主な副作用(発現率3%以上)は、便秘、不安、下痢、不眠、高血圧、悪心。 トシリズマブは、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、中外製薬創製の国産初の抗体医薬品。国内では2005年6月に販売を開始し、点滴静注用製剤では関節リウマチなど6つの適応症、皮下注製剤では3つの適応症で承認を取得している。 中外製薬では、日本国内においても新型コロナ治療薬の適応について、年内の承認申請を目指し準備を進めている。

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片頭痛の急性期治療、オピオイドは有効性示されず/JAMA

 片頭痛の急性期治療において、トリプタン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、アセトアミノフェン、ジヒドロエルゴタミン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬、lasmiditan(5-HT1F受容体作動薬)による薬物療法のほか、いくつかの非薬物療法は、痛みや機能の改善をもたらすが、これらを支持するエビデンスの強さ(SOE)にはばらつきがみられ、オピオイドなど他の多くの介入のエビデンスには限界があることが、米国・メイヨークリニックのJuliana H. VanderPluym氏らの調査で示された。著者は、「現行のガイドラインでは、片頭痛の急性期治療にオピオイドやブタルビタール含有配合薬は推奨されていないが、オピオイドはさまざまな病態の急性期患者に頻繁に処方されている。今回の解析では、オピオイドは全般にSOEが低いか不十分であり、他の治療法やプラセボに比べ有害事象の割合が高いことが示された。したがって、現行のガイドラインのオピオイド非推奨に変更はない」と述べている。JAMA誌2021年6月15日号掲載の報告。急性期治療の有益性と有害性をメタ解析で評価 研究グループは、反復性片頭痛の急性期治療の有益性と有害性を評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(米国医療研究品質庁[AHRQ]の助成による)。 9つのデータベースを用いて、その設立から2021年2月24日の時点までに登録された文献を検索した。対象は、成人(年齢18歳以上)患者の片頭痛発作の急性期治療について、治療終了後4週以内の短期的な有効性と有害性を評価した無作為化試験および系統的レビューの論文であった。 試験の背景因子を抽出するために、標準化されたデータ抽出用の書式が開発され、これを用いてレビュアーが個別に各試験の詳細なデータを抽出した。別のレビュアーが抽出データをレビューし、矛盾の解決を行った。 メタ解析では、治療法を直接比較した試験を統合するために、解析に含まれる試験数が4件以上の場合は、DerSimonian-Laird法による変量効果モデルとHartung-Knapp-Sidik-Jonkman法による分散補正が使用され、試験数が3件以下の場合はMantel-Haenszel法に基づく固定効果モデルが用いられた。 主要アウトカムは、無痛、痛みの軽減、持続的な無痛、持続的な痛みの軽減、有害事象とされた。SOEは、AHRQ Methods Guide for Effectiveness and Comparative Effectiveness Reviewsで評価し、「高」「中」「低」「不十分」に分類された。オピオイドのSOEは低または不十分 トリプタンとNSAIDのエビデンスは、15の系統的レビューから要約された。これ以外の介入の解析には、115件の無作為化臨床試験(121論文、2万8,803例)が含まれた。 プラセボと比較して、トリプタンとNSAIDは2時間後および1日後の痛みが統計学的に有意に軽減し(SOE:中~高)、軽度または一過性の有害事象のリスクが増加した。 また、プラセボに比べ、CGRP受容体拮抗薬(SOE:低~高)、lasmiditan(高)、ジヒドロエルゴタミン(中~高)、エルゴタミン+カフェイン(中)、アセトアミノフェン(中)、制吐薬(低)、ブトルファノール(低)、トラマドール+アセトアミノフェン(低)は有意に痛みを軽減し、軽度有害事象が増加した。オピオイドに関する知見は、SOEが低または不十分であった。 非薬物療法では、遠隔電気神経調節(REN)(SOE:中)、経頭蓋磁気刺激(TMS)(低)、外部三叉神経刺激(eTNS)(低)、非侵襲的迷走神経刺激(nVNS)(中)が、有意に痛みを改善した。非薬物療法と偽刺激(sham)には、有害事象について有意な差は認められなかった。

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第59回 コロナワクチン接種後の発熱・痛みにNSAIDsも使用可/厚労省

<先週の動き>1.コロナワクチン接種後の発熱・痛みにNSAIDsも使用可/厚労省2.ワクチン予診で、初・再診療、外来診療料の算定不可/厚労省3.職域接種診療所、管理者は常勤医でなくとも開設可/厚労省4.次の感染拡大に向け、都道府県の新たな病床確保計画を公表/厚労省5.9月からレセプト審査でAI稼働、ローカルルール廃止へ/支払基金6.こども庁創設、オンライン診療の恒久化を明記/骨太の方針1.コロナワクチン接種後の発熱・痛みにNSAIDsも使用可/厚労省厚生労働省は、特設サイト「新型コロナワクチンQ&A」で、新たな質問「Q.ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか」を更新した。回答の下に「市販されている解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます」と記載され、参考資料としてCDCのページが示されている。巷では、「ワクチン後の解熱鎮痛にNSAIDsは使えない」などと誤った認識が広まっている可能性があり、アセトアミノフェン単剤の市販薬が売り切れるなどの影響が出ているため、これを機に正確な情報発信に努めたい。(参考)ワクチン接種後に発熱や頭痛が…市販薬は飲んでいいの?<新型コロナ>(東京新聞)【新型コロナウイルス感染症】気になるワクチン接種後の発熱 解熱鎮痛剤の使用について(感染症・予防接種ナビ)ワクチン接種後に発熱…どうする? アセトアミノフェンが人気 市販薬“正しい使い方”〈宮城〉(仙台放送)2.ワクチン予診で、初・再診療、外来診療料の算定不可/厚労省新型コロナワクチン接種の予約に当たり、予診を事前に行ったとして診療報酬を請求する事例があったため、厚労省は17日に、「注射をする前の予診実施に対して初診料、再診料、外来診療料などの診療報酬を算定することは不可」とする通知を発出した。なお、接種後の救急対応を行ったなど、処置や検査、投薬などに対応する項目について、それぞれ算定要件を満たした場合には、その分の診療報酬を算定できる。(参考)ワクチン接種、病院で代金請求に疑問の声「無料のはず」でも再診料請求のなぜ?(京都新聞)コロナワクチン接種のための「予診」、初診料や再診料・外来診療料の算定は「不可」―厚労省(GemMed)3.職域接種診療所、管理者は常勤医でなくとも開設可/厚労省厚労省は、職場でのワクチン接種を推進するため、医療法上の臨時的な取り扱いをまとめ、14日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの迅速な接種のための体制確保に係る医療法上の臨時的な取扱いについて(その4)」を発出した。職域単位でのワクチン実施に当たっては、都道府県知事が、適正かつ安全なワクチン接種に係る医療を提供するための医療法に規定される義務を果たすことが可能か確認した上で、「職域接種診療所」の開設を許可する。また、管理者は必ずしも常勤医でなくても可能となっている。さらに厚労省は、来年2月までの特例措置として、接種会場での看護師不足に対して、看護師の人材派遣を解禁している。5月14日時点で、全国の自治体から5,095人の看護師を確保しており、ワクチン接種加速のためにさまざまな規制緩和がなされる。(参考)「職域でのコロナワクチン接種」促進に向け、診療所開設・変更など届け出を臨時特例的に柔軟化―厚労省(GemMed)特例解禁の看護師派遣、151自治体で計5095人確保(読売新聞)4.次の感染拡大に向け、都道府県の新たな病床確保計画を公表/厚労省17日、厚労省は、各都道府県が次の新型コロナウイルス感染拡大に備えて作成した「病床・宿泊療養施設確保計画」を発表した。今年1月第3波の患者数の2倍を上回る想定で、これまでより約4,800床多い3万5,000床を確保。また、看護師不足にも対応するために、広域派遣が可能な看護師73人を確保した。(参考)13.6万人の療養者想定 全国の病床確保計画―厚労省集計(時事ドットコム)コロナ病床、全国で4800積み上げ3万5千床を確保(朝日新聞)「第3波の2倍」想定 都道府県の新たな病床確保計画公表 厚労省(NHK)5.9月からレセプト審査でAI稼働、ローカルルール廃止へ/支払基金社会保険診療報酬支払基金による改革の一環で、今年9月審査分より、AI(人工知能)を用いた新しい審査システムが導入される。これにより、8割程度をAI、2割程度を人による審査に振り分け、2年以内にレセプト全体の9割程度をコンピューターチェックで完結することを目指す。また、9月の新システム稼働までに、支払基金の各支部にある独自のチェックルール(ローカルルール)が、原則すべて集約または廃止される。都道府県間における審査結果の不合理な差異の解消や、審査業務の効率化・高度化の推進を進める。(参考)支払基金、人による審査8割減目指し今年9月審査分からレセプト審査にAI導入(ワタキューメディカルニュース)資料 社会保険診療報酬支払基金の審査事務 集約化に向けた取組と今後の課題6.こども庁創設、オンライン診療の恒久化を明記/骨太の方針菅内閣は、18日に開催された臨時閣議において、「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太の方針)」を閣議決定した。感染症の克服と経済の好循環を目指し、希望する高齢者へのワクチン接種を今年7月末に完了し、希望する全対象者への接種を本年10~11月にかけて終えることを目指す。効果的な治療法、国産治療薬の研究開発・実用化の支援および国産ワクチンの研究開発体制・生産体制の強化を行い、感染症有事に備える取り組みとして、より実効性のある対策を講じることができるよう、法的な整備を行う。また、少子化の克服、子供を産み育てやすい社会の実現のためにこども庁の創設や、行政手続のオンライン化によりデジタルガバメントの推進を図ること、さらにオンライン診療を幅広く活用するため、初診からの実施は原則かかりつけ医によるものと限定しつつ、事前に患者の状態が把握できる場合にも認める方向で、具体案を検討することが打ち出されている。(参考)骨太方針、成長戦略、規制改革実施計画を閣議決定 ワクチン接種「10~11月完了」(NHK)「経済財政運営と改革の基本方針2021」(内閣府)

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