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血液透析患者に対するロスバスタチン、心血管イベントの発症抑制効果なし

透析患者にロスバスタチン(商品名:クレストール)を投与しても心血管イベント発症の抑制効果はないことが、AURORA試験から報告された。LDL-Cは低下するも、主要複合エンドポイント(心血管系の原因による死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)に有意な効果は認められなかったという。NEJM誌2009年4月2日号で発表されている。主要複合エンドポイント、全死亡への効果も認められずAURORA試験は、血液透析治療を開始し3ヵ月以上が経っている50~80歳の患者2,776例が、25ヵ国280施設から参加し行われた大規模な多国間多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験。患者は、ロスバスタチン10mg/日投与群とプラセボ群とに無作為に割り付けられ、中央値3.8年追跡された。LDL-Cは、3ヵ月で、ベースライン時平均100mg/dL(2.6mmol/L)から平均43%低下した。追跡期間中の主要複合エンドポイントは、ロスバスタチン群396人(9.2イベント/100患者・年)、プラセボ群408人(9.5イベント/100患者・年)で、ハザード比は0.96(P=0.59)でロスバスタチンによる効果は認められなかった。主要エンドポイントの各項目別に見ても、心血管系の原因による死亡(1.00)、非致死的心筋梗塞(0.84)、非致死的脳卒中(1.17)と効果は認められなかった。また、副次エンドポイントとした全死因による死亡についても、ロスバスタチン群636人(13.5イベント/100患者・年)、プラセボ群660人(14.0イベント/100患者・年)で、ハザード比は0.96(P=0.51)と有意な効果は認められなかった。(武藤まき:医療ライター)

562.

LDL-C値、高感度CRP値ともに低下すると心血管イベント発症リスクが65%減少 JUPITER試験結果より

アストラゼネカと塩野義製薬は2日、クレストール(ロスバスタチン)の1次予防効果を検討した試験JUPITER(ジュピター)試験の新たな解析の結果、LDL-C値、高感度CRP値ともに低下すると心血管イベント発症リスクを65%減少させることがわかったと発表した。JUPITER試験全患者数の87%にあたる約15,500人のLDL-Cと高感度CRPの到達値に対する心血管イベントの発症抑制効果を解析した結果(サブ解析)、LDL-Cが70mg/dL未満に低下した群はプラセボ投与群に比べて55%(p

563.

日本人の安定期冠動脈疾患患者において初めて動脈硬化退縮を実現

アストラゼネカ株式会社は、第73回日本循環器学会総会・学術集会において、日本人の安定期の冠動脈疾患を有する高コレステロール血症患者を対象に、クレストール(ロスバスタチン)による動脈硬化退縮効果を検討したCOSMOS(コスモス)試験が発表されたとプレスリリースした。COSMOS試験の結果、一次エンドポイントである冠動脈プラーク体積は5.07%の減少が確認され(p

564.

HDLコレステロールは動脈硬化を予防するのか?

HDLコレステロール(HDL-C)を増やすことが虚血性心疾患を予防する、とのエビデンスについてはなお論争が続いている。システマティックレビューの一部解析(2001年までに公表されたスタチン治療に焦点を当てた無作為化試験の解析)では、HDL-Cと患者アウトカムの相対リスク減とに有意な関連を見いだすことはできなかったが、McMaster大学(カナダ)臨床疫学・生物統計学部門のMatthias Briel氏らは、スタチンに限らずすべての脂質異常症の治療薬に関連した無作為化試験を対象に、HDL-C値と、全死亡、虚血性心疾患死および同イベント(虚血性心疾患死と非致死的心筋梗塞)との関連について、最新の系統的なシステマティックレビューとメタ回帰解析を行った。BMJ誌2009年2月28日号(オンライン版2009年2月16日号)より。108の無作為化試験、参加者29万9,310人分のデータをメタ回帰解析Briel氏らは、2006年10月までに、分野専門家とのコンタクトで追補されたMedline、Embase、Central、CINAHL、AMEDからスタディ選択を行った。2チームが独立して、無作為化試験の適格性(心血管リスクを減じるための脂質改善の介入が検討された試験、HDL-Cと死亡率や心筋梗塞の関連を独立した治療群で検討した試験、少なくとも6ヵ月治療や参加者フォローが行われた試験)を評価し選択。評価者は標準化されあらかじめ用意されたフォーマットを用いて、各論文から関連情報を取得し、脂質と臨床アウトカムの加重リスク比の変化のデータを解析した。メタ回帰解析は、108の無作為化試験、参加者(心血管イベントリスクを有する)29万9,310人のデータを含み行われた。HDL-C増大よりもLDL-C減少をLDL-C値補正後全解析の結果、HDL-Cの変化と、リスク比(虚血性心疾患死、同イベント、全死亡)との関連は認められなかった。この結果は、HDL-C値にほとんど変化がなかった(<1%)試験でも同様だった。また、LDL-CおよびHDL-Cの変化が、LDL-C単独の変化によるもの以上に、アウトカムに影響を与えることは確認できなかった。逆にHDL-C値および薬剤クラス補正後LDL-C指数が10mg/dL(0.26mmoL/L)減少した場合の相対リスク減は、虚血性心疾患が7.2%(95%信頼区間:3.1%~11%、P=0.001)、同イベントは7.1%(4.5%~9.8%、P

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サンドスタチンLARが消化器腫瘍の増殖を抑制することを確認

ノバルティス ファーマ株式会社は5日、サンドスタチンLAR (一般名:酢酸オクトレオチド)が、中腸の転移性神経内分泌腫瘍(NET)患者に対し抗腫瘍効果を示したという試験の中間データを、1月13日に2009年米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム(2009 Gastrointestinal Cancer Symposium of the American Society of Clinical Oncology)で発表した。発表内容によると、サンドスタチンLARの投与を受けた患者の疾患進行リスクは、プラセボ投与群の患者に比べて66%減少している(P=0.000072)。また、治療開始から6ヵ月の時点における腫瘍増殖の抑制が、プラセボ投与群の37%に対し、サンドスタチンLAR投与群の患者では67%で認められた。無増悪期間は、プラセボ群の患者の6ヵ月間に対し、サンドスタチンLAR投与群の患者さんは14.3ヵ月間(中央値)だった。この効果は、機能性(ホルモン分泌性)または非機能性(非分泌性)NETの患者の両方でみられたという。この試験は、これまでに報告されてきた、サンドスタチンLARによる治療がさまざまな由来のNETを持つ患者の最大50%において腫瘍増殖をコントロールすることを示唆する知見を検証した、初めてのプラセボ対照試験である。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090205_02.html

566.

リピトールに心血管イベントリスク低下と腎機能改善の相関が認められる

ファイザー株式会社は11月28日、米国心臓協会(American Heart Association)の年次学術総会で発表された5年間にわたるTreating to New Targets(TNT)試験の事後サブ解析の結果によると、心血管疾患の既往のある患者にリピトール(一般名:アトルバスタチンカルシウム)を投与したところ、腎機能の改善と主要な心血管イベントのリスク低下に強い相関があることが認められたと発表した。リピトールが心疾患患者の推算糸球体濾過量(eGFR:estimated glomerular filtration rate)を用量依存的に増加させることはこれまでの研究からも明らかにされている。今回の新たな解析結果から、リピトールが投与されている心疾患患者では、eGFRが1mL/min/1.73m2増加するごとに、主要な心血管イベントの相対リスクが2.7パーセント低下することが認められ、主要な冠動脈イベント、非致死的心臓発作、致死的・非致死的脳卒中などの二次エンドポイントについても、eGFRが1mL/min/1.73m2増加するごとに同程度のリスク低下が認められたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_11_28.html

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ロスバスタチン、健康そうな人にも有益:JUPITER

高脂血症治療薬ロスバスタチン(商品名:クレストール)について、高脂血症ではない(LDL-C値が正常か低値)が高感度CRP(C反応性蛋白)が上昇している健康そうな人も、投与によって利益が得られることが報告された。高感度CRPは炎症バイオマーカーで、心血管イベントを予測できる。スタチンがコレステロールだけでなくCRPも低下することから検証されたJUPITER試験の結果で、NEJM誌2008年11月20日号(オンライン版2008年11月9日号)にて掲載された。LDL正常か低値で、高感度CRP高値の男女17,802例を1.9年追跡JUPITER(Justification for the Use of statins in Primary prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin)試験は、2003年2月~2006年12月の間に26ヵ国1,315地点から参加者が集められた大規模な無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験。心血管イベントの既往がなく、LDL-Cが130mg/dL(3.4mmol/L)未満、高感度CRPが2.0mg/L以上の一見健康な男女17,802例が参加した。参加者は、ロスバスタチン20mg/日投与群とプラセボ群に無作為に割り付けられ、心筋梗塞、脳卒中、動脈血行再建または不安定狭心症による入院、心血管系起因の死亡を1次複合エンドポイントとし、中央値1.9年(最長5.0年)追跡調査された。主要心血管イベントの発生率が有意に低下無作為化後12ヵ月時点の比較で、ロスバスタチン群はプラセボ群に比べ、LDL-C値の中央値は50%、高感度CRPの中央値は37%低かった。1次エンドポイントの発生率は、ロスバスタチン群(0.77/追跡100人年)がプラセボ群(1.36/追跡100人年)に比べ0.56倍(95%信頼区間:0.46~0.69、P

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クレストールが心血管イベント発症リスクを大幅に減少する ~JUPITER試験結果より~

塩野義製薬とアストラゼネカは11月10日、アメリカ・ニューオーリンズで開催されている2008年米国心臓協会(American Heart Association)学術集会でJUPITER(ジュピター)試験が9日、Late Breaking Clinical Trials Sessionにて発表されたことを伝えた。JUPITER試験は、LDL-Cは正常か低値であるものの炎症マーカーとして知られている高感度CRPが高値の、心血管疾患リスクを有する男女を対象にクレストール(ロスバスタチン)の1次予防効果を検討したもの。クレストール20mg/日投与群ではプラセボ投与群に比べて、わずか1.9年(中央値)という短い試験期間で、一次エンドポイントの心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、血行再建術施行、入院を要する不安定狭心症および心血管死の複合リスク)の発症が44%(p

569.

ロスバスタチンは慢性心不全にも有効か?:GISSI-HF試験

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)であるロスバスタチンは、慢性心不全において安全に投与可能であるが、臨床的な予後改善効果はないことが、イタリアで実施されたGISSI-HF試験で明らかとなった。スタチンは慢性心不全にも有効な可能性があることが、大規模な観察試験、小規模なプロスペクティブ試験および無作為化試験の事後解析で示されていたが、これらの試験は方法論的に弱点があったという。Lancet誌2008年10月4日号(オンライン版8月31日号)掲載の報告。ロスバスタチンの評価を行うプラセボ対照無作為化試験GISSI(Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell’Insufficienza cardiaca)-HF試験の研究グループは、心不全におけるロスバスタチンの有効性および安全性の評価を行った。本試験はイタリアの326の循環器施設および31の内科施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験である。対象は18歳以上のNYHAクラスII~IVの慢性心不全とし、その原因および左室駆出率は問わなかった。2002年8月~2005年2月に、これらの患者がロスバスタチン10mg/日を投与する群(2,285例)あるいはプラセボ群(2,289例)に無作為に割り付けられた。フォローアップ期間中央値は3.9年、主要評価項目は全原因による死亡までの期間および心血管疾患による死亡あるいは入院までの期間とした。主要評価項目は両群で同等全死亡率はロスバスタチン群29%(657例)、プラセボ群28%(644例)と両群間に差はみられなかった(補正ハザード比:1.00、p=0.943)。心血管疾患による死亡あるいは入院も、ロスバスタチン群57%(1,305例)、プラセボ群56%(1,283例)と同等であった(補正ハザード比:1.01、p=0.903)。もっとも頻度の高い有害事象は、両群とも消化器障害であった[ロスバスタチン群:1%(34例)、プラセボ群:2%(44例)]。研究グループは、「ロスバスタチン10mg/日は慢性心不全患者において安全に投与可能であるが、臨床的な予後改善効果は確認できなかった」と結論している。また、研究グループは本試験から導かれる臨床的知見として次の3点を挙げている。  1)非虚血性心不全にはスタチンを投与しない。2)虚血性心不全に対するスタチン投与は、主治医が無効と判断した場合は中止する。多剤の使用を回避し、心不全に対する有効性が確立している併用薬の合併症を増悪させないためである。3)虚血性心不全では、主治医がスタチンを有効とみなし、安全性が確立されているため投与しても危険がないと考えられる症例では投与を継続する。(菅野守:医学ライター)

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RAD001単独投与あるいはサンドスタチンLARとの併用で膵内分泌腫瘍の増殖を抑制

ノバルティス ファーマ株式会社は、スウェーデンのストックホルムで開催された「第33回欧州臨床腫瘍学会(ESMO: European Society for Medical Oncology)」において、RAD001(一般名:エベロリムス)とサンドスタチンLAR(一般名:酢酸オクトレオチド)の併用、あるいはRAD001の単独投与によって、稀少疾患で難治性のがんである膵臓の神経内分泌腫瘍(膵内分泌腫瘍: Pancreatic Neuroendocrine Tumors)の患者の腫瘍の増殖が抑制されるという新しいデータが示されたと発表した。化学療法が奏効しなくなった膵内分泌腫瘍の患者を対象にRAD001の1日1回投与とサンドスタチンLARの月1回投与の併用、またはRAD001の1日1回の単独投与を行った結果、併用療法群の患者の82%、単独療法群の患者の77%において、腫瘍の縮小または安定が認められたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2008/pr20080929_03.html

571.

欧州心臓病学会にて大規模臨床試験「TRANSCEND」発表される

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、欧州心臓病学会(European Society of Cardiology: ESC)において高血圧治療薬ミカルディス(テルミサルタン)のアウトカム試験TRANSCENDの結果が報告され、ミカルディス群はプラセボ群と比較して、心血管イベント高リスク患者での心血管死、心筋梗塞、脳卒中発症リスクの抑制効果が13%高いことが証明されたと発表した。TRANSCEND(Telmisartan Randomised AssessmeNt Study in ACE-iNtolerant subjects with cardiovascular Disease)は、ONTARGET試験に並行して実施された試験で、ACE阻害薬に忍容性の認められない心血管イベント高リスク患者5,926人(40ヵ国)を対象に、ミカルディス群のプラセボ群に対する心血管イベント抑制効果および忍容性を検討したもの。抗血小板薬、スタチンなどの標準的治療が施された上に、ミカルディスまたはプラセボ群ともにRAS抑制薬以外の降圧薬の併用が認められていたことも、試験の特徴として挙げられる。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/news/p-release/08_0902.html

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スタチン誘発性ミオパチーと関連する遺伝子変異を同定

高LDLコレステロール血症治療薬として広範に用いられているスタチンは、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールを低下させ、心血管イベントを大幅に減少させる。高用量ほどコレステロール低下作用も大きいが、高用量で他の特定薬物と併用された場合、まれにミオパチーが生じて筋力が低下することがある。これに関して英国・オックスフォード大学のゲノム全域研究チーム「SEARCH Collaborative Group」が「スタチン誘発性ミオパチーと強く関連する遺伝子変異を同定した」との報告が、NEJM誌2008年8月21日号(オンライン版2008年7月23日号)に掲載された。スタチン療法に際して遺伝子検査を行うことで、スタチン用量を個別化し安全性を向上できる可能性があるとしている。患者90例と対照85例のゲノム全域連鎖を解析ミオパチーと確認されたか初期症状の患者90例と、対照群85例に対して、約30万種類のマーカーの使用と精密マッピング追加することで、ゲノム全域連鎖解析を実施した。対象者全員が、1万2,000例が参加した別の試験の一環として、シンバスタチンを1日80mg服用していた。結果の再現性は、参加者2万例の試験(シンバスタチン1日40mg投与)で試された。SLCO1B1内の変異体確認でスタチン治療の安全性向上もこれにより、12番染色体上にある遺伝子SLCO1B1内の一塩基多型(SNP)rs4363657が、ミオパチーと強く関連することが示された(P = 4×10(-9))。SLCO1B1は有機陰イオントランスポーターOATP1B1をコード化し、それがスタチンの肝取り込みを調整することが知られている。スタチン代謝に関連している非同義rs4149056 SNPと、非コードrs4363657 SNPはほぼ完全に連鎖不平衡だった(r(2)= 0.97)。対象集団におけるrs4149056 C対立遺伝子の有病率は15%で、ミオパチーのオッズ比は、C対立遺伝子1コピーにつき4.5(95%信頼区間:2.6~7.7)、CCホモ接合体とTTホモ接合体の比較では16.9(4.7~61.1)だった。ミオパチー症例の60%以上は、C変異体によると考えられる。ミオパチーとrs4149056の関連は、シンバスタチン毎日40mg投与試験で再現され、rs4149056とシンバスタチンのコレステロール低下作用との関連も示された。他のいかなる領域のSNPも、ミオパチーとの明らかな関連を示さなかった。これらを踏まえ研究グループは「スタチン誘発性ミオパチーのリスク増加と強く関連するSLCO1B1で、よく見られる変異体を確認した。これらの変異体の遺伝子型が判明すれば、スタチン治療をより安全で効果的に実施する一助になる可能性がある」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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シンバスタチンは神経線維腫症1型の認知機能障害を改善しない

神経線維腫症1型(NF1)は、学習障害(LD)の発症頻度が最も高い遺伝病の1つだが、近年、NF1マウス・モデルで、HMG-CoA還元酵素(3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase)のスタチンが認識欠損を修復できることが示された。このため、オランダ・ロッテルダムのエラスムス大学NF1研究チームのLianne C. Krab氏らが、NF1の小児におけるスタチン系薬剤シンバスタチンの効果を検証する無作為化試験を行ったが、結果は「認知機能障害は改善されなかった」と報告されている。JAMA誌2008年7月16日号より。62例について12週間にわたり無作為化二重盲検プラセボ対照試験オランダの大学病院で2006年1月20日~2007年2月8日に、無作為二重盲検プラセボ対照試験登録されたNF1患児114例のうち62例(54%)に、12週間にわたり1日1回、シンバスタチンまたはプラセボが投与された。主要評価項目は、Rey complex figure testによる記憶想起の遅延度、cancellation testによる記憶速度、プリズム適応、MRIによる平均脳ADC(apparent diffusion coefficient)の各スコア。副次評価項目を、cancellation testの標準偏差値、認知機能のためのStroop color word test、block design、object assembly、RCFTによる模写、Beery発達機能検査による視覚統合などのスコアとして、各スコアを基線パフォーマンスと年齢、性別で補正した。有意な改善はobject assemblyスコアのみシンバスタチン群とプラセボ群の間では、Rey complex figure test(β=0.10、95%信頼区間:-0.36~0.56)、cancellation test(β=-0.19、-0.67~0.29)、プリズム適応(オッズ比:2.0、0.55~7.37)、平均脳ADC(β=0.06、-0.07~0.20)のいずれの主要評価尺度でも、全く有意差は観察されなかった。副次評価項目では、シンバスタチン群でobject assemblyスコアのみ有意な改善が見られ(β=0.54、0.08~1.01)、その傾向は、基線パフォーマンスの貧弱な小児で特によく観察された(β=0.80、95%CI:0.29~1.30)。しかし、ほかの副次評価項目は、シンバスタチン投与による有意な効果は明らかにならなかった。Krab氏は「12週間の試験では、シンバスタチンはNF1の患児の認知機能を改善しなかった」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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新たな脳卒中の再発予防手段の誕生か? ~EPAが脳卒中の再発リスクを抑制(JELISサブ解析)~

高純度EPA製剤の有用性を検討したJELIS*(Japan EPA Lipid Intervention Study)のサブ解析が、雑誌『Stroke』のオンライン版に掲載された(1)。今回発表されたサブ解析は、脳卒中の発症抑制効果を調べたものである。結果、脳卒中の初発予防に関して、EPA投与群で8,841例中133例(1.5%)、EPA非投与群で8,862例中114例(1.3%)の発症率となり、統計学的な有意差は認められなかった。一方、脳卒中の再発予防に関しては、EPA投与群で485例中33例(6.8%)、EPA非投与群で457例中48例(10.5%)の発症率となり、相対リスクは20%減少した。わが国では、降圧療法の普及などにより、脳卒中の死亡者数が大きく減少したことは有名である。しかし、ここ数年その減少は下げ止まり、再び上昇に転じる様相も見せている。また脳卒中の慢性期患者は増加し、「寝たきりの原因の第一位」、「医療費第一位」という新たな問題を生み出している。そのようなことから、現在、降圧に次ぐ新たな治療手段が求められていた。これまで、アトルバスタチンを用いたSPARCL(Stroke Prevention by Aggressive Reduction of Cholesterol Lowering)で、脳卒中の再発抑制が認められたことから、新たな脳卒中再発抑制手段としてアトルバスタチンによるLDLコレステロールの管理が期待されていた(2)。今回発表されたJELISサブ解析の結果は、アトルバスタチンに続き、脳卒中再発予防に対する新たな手段としての「高純度EPA製剤」を提案したと言えるのではないだろうか。*JELIS(Japan EPA Lipid Intervention Study)日本人の高コレステロール血症18,645例(1次予防:14,931例、二次予防:3,664例)を対象とした無作為化非盲検化比較試験で、スタチン療法に加え、EPAの投与により心血管イベントの発症が抑制されるかを検討した試験。約5年間の追跡調査の結果、1次エンドポイント(主要な冠動脈イベント)はEPA投与群で有意に19%減少した(3)。既にスタチンが投与されている患者に対してもEPAを投与することにより、さらに心血管イベントを抑制できることを示した。 (1) Tanaka K et al. Stroke. 2008, [Epub](2) Amarenco et al. N Engl J Med. 2006; 355: 549-559(3) Yokoyama M et al. Lancet. 2007; 369: 1090-1098(ケアネット 鈴木 渉)

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複数バイオマーカーの使用が心血管系の死亡リスク予測に有用

心血管系に起因する高齢者の死亡リスクを予測するために、スウェーデン・ウプサラ大学のBjorn Zethelius氏らは、確立したリスク因子の他に、異なる疾患経路に複数のバイオマーカーを加えることの有用性を検討。心血管だけでなく腎の異常についてのバイオマーカーも加えると、心血管系の死亡リスクの層別化が改善されると報告している。NEJM誌2008年5月15日号より。高齢男性対象に腎不全と炎症のマーカーも追加高齢男性を対象とした地域ベースのコホート研究である「ウプサラ成人男性縦断研究」(ULSAM)のデータを使い、参加者1,135例(ベースラインの平均年齢71歳)について、追跡調査(中央値10.0年)を行った。心筋細胞傷害、左室機能不全、腎不全および炎症を反映するバイオマーカー(それぞれトロポニンI、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド、シスタチンC、C反応性蛋白)の組み合わせが、すでに確立している心血管疾患のリスク因子(年齢、収縮期血圧、降圧剤使用の有無、総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール、脂質降下剤使用の有無、糖尿病の有無、喫煙状態、肥満度指数)に基づく評価より、個人のリスク層別化を改善するかどうかを検討した。心血管疾患の有無にかかわらずリスク予測を改善追跡調査の間に1,135例中315例が死亡し、うち136例は心血管疾患による死亡だった。確立したリスク因子で補正したコックス比例ハザードモデルでは、すべてのバイオマーカーが、心血管系の原因による死亡リスクを有意に予測した。前記の4バイオマーカーを、確立したリスク因子のモデルに組み込むと、C統計量は、全コホート(バイオマーカー有:0.766対バイオマーカー無:0.664、P

576.

リピトールの高用量投与群、慢性腎臓病患者の心臓発作および脳卒中発症リスクを低下

米国ファイザー社は、心疾患を有する慢性腎臓病患者において、リピトール(アトルバスタチンカルシウム)80mg投与群が、リピトール10mg投与群と比較し、心臓発作および脳卒中発症リスクを32%低下させたと発表した。この解析は、5年間にわたるTreating to New Targets(TNT)試験の終了後に計画され、完了したもので、米国心臓病学会誌(JACC:Journal of the American College of Cardiology)に発表されている。TNT試験の主要評価項目は、主要な心血管疾患(心疾患による死亡、心臓発作(非致死的なもの)、心停止(蘇生が行われたもの)、および脳卒中(致死的または非致死的なもの)など)の低減。サブ解析では、標準的な腎機能測定法で中等度から重度に分類された慢性腎臓病患者3,107名を対象とした。リピトールは、80mgと10mgのいずれの用量でも忍容性は良好で、リピトール80mgは開始用量ではないが、慢性腎臓病患者におけるリピトール80mgの安全性は、TNT試験の全患者群で報告された安全性と同様であり、予期しない安全性に関する問題は認められなかった、とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_04_28.html

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エゼチミブの動脈硬化抑制効果は確認できず

日本では昨年発売となった高脂血症治療剤エゼチミブ(国内商品名:ゼチーア錠)。スタチン系薬剤シンバスタチンとの併用でのアテローム性動脈硬化症に対する効果について、臨床試験「ENHANCE」の結果が公表された。Academic Medical Center(オランダ)John J.P. Kastelein氏らによる試験結果の公表は米国心臓学会で席上と同時に、同日発行のNEJMオンライン版(2008年3月30日付)で世界に伝えられた。本誌では2008年4月3日号にて掲載。家族性高コレステロール血症患者720例を2年間追跡「ENHANCE」は北米、西欧、南アフリカの18施設で2002年8月から2006年4月の間に、家族性高コレステロール血症患者720例が参加した。各対象者には24ヵ月間にわたり連日、シンバスタチン80mg+(エゼチミブ10mgまたはプラセボ)を併用投与し、効果を比較する二重盲検無作為試験で、頸動脈壁と大腿動脈壁の内膜中膜の厚さをBモード超音波検査法によって評価した。主要評価項目は頸動脈内膜中膜厚の平均値の変化。左右の総頸動脈と頸動脈球部、内頸動脈それぞれの遠位壁における内膜中膜厚を測定し、各平均値の平均を主要評価項目と定義付けた。LDL-C値は低下したが頸動脈壁の厚さに有意差なし主要評価項目である頸動脈内膜中膜厚の平均値(±SE)の変化は、シンバスタチン単独群では0.0058±0.0037mmだったが、シンバスタチン+エゼチミブ併用群では0.0111±0.0038mm(P=0.29)。頸動脈に大腿動脈も含めた内膜中膜厚の他の変数からなる副次的評価項目でも、2群間に有意差はなかった。試験終了時のLDLコレステロールの平均値(±SD)は、シンバスタチン単独群が192.7±60.3mg/dL(4.98±1.56mmol/L)だったのに対して、併用群では141.3±52.6mg/dL(3.65±1.36mmol/L)で群間差は16.5%だった(P

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DUAAL試験、慢性安定狭心症においてリピトールが予想以上に狭心症発作を抑制

米ファイザーは、慢性安定狭心症(胸痛)患者において、リピトール(アトルバスタチンカルシウム)80mgが心筋虚血(心臓への血液供給と酸素が不十分な状態)に対する想定以上に強力な減少効果を示した、と発表した。それによると、リピトールは試験開始より第18週目までの虚血性の心臓発作数を平均70%近く減らし、心臓発作の総持続時間を60%以上減らした。また第26週まで維持した。リピトール治療群に割付けられた患者の60%は、すべての虚血性の心臓発作が試験終了まで全くなかった。その結果、狭心症の発作が実質的に減少し、ニトログリセリン治療の必要性も大きく減少した。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_04_07.html

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スタチンは慢性腎疾患患者の心血管死を低減する

スタチンは、慢性腎疾患(CKD)患者の心血管死を一般人口と同程度にまで低減することが、無作為化試験のメタ解析の結果から明らかとなった。オーストラリアSydney大学公衆衛生学腎臓臨床研究センターのGiovanni F M Strippoli氏らが、BMJ誌2008年3月22号(オンライン版2008年2月25日版)で報告した。CKD患者は心血管病のリスクが増大している。スタチンは一般人口において心血管死や全原因死亡を低減することがわかっているが、CKD患者におけるスタチンの役割については不明な点が多い。CKDを対象としたスタチンの無作為化/準無作為化対照比較試験を抽出研究グループは、CKD患者(血清クレアチニン上昇、透析、腎移植)に対するスタチンのベネフィットおよび有害作用の評価を目的としたメタ解析を実施した。データベース(Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、Embase、Renal Health Library)を検索して、CKDを対象にスタチンをプラセボあるいは他のスタチンと比較した無作為化/準無作為化対照比較試験を抽出した。2名の研究者が別個に、個々の試験の症例選択基準や得られたデータを検討し、試験の質を評価した。見解が異なる場合は協議により解決した。治療効果は、変量効果モデル(random effects model)を用いて相対リスクあるいは加重平均差(WMD)で表し、95%信頼区画を算出した。心血管イベントが低下、全原因死亡の改善効果は不明50試験に登録された3万144例が解析の対象となった。プラセボに比べ、スタチンは総コレステロール、LDL-コレステロール、蛋白尿を低下させたが、糸球体濾過値は改善しなかった。致死的および非致死的心血管イベントもスタチンにより低下したが、全原因死亡に対する有意な効果は認めなかった。メタ回帰分析では、CKDのステージによる有意な治療効果の差は確認されなかった。また、スタチンの副作用プロフィールはプラセボと同等であった。解析した試験の多くが小規模で質が高いものではなく、死亡に関するデータの拠出は少数の大規模試験に限られた。Strippoli氏は、「スタチンは、CKD患者の心血管死をステージにかかわりなく一般人口と同程度にまで低減する」と結論し、「腎保護効果が明確にならなかった原因は、相対的なデータ不足およびアウトカム報告バイアスによると考えられる。全原因死亡の改善効果や1次予防効果は現在進行中の無作為化試験(SHARP、AURORA)の結果によりある程度明らかになるだろう」と考察している。(菅野守:医学ライター)

580.

レビトラの高脂血症併発ED患者への効果 

バイエル ヘルスケア社は、第23回欧州泌尿器科学会年会(EAU2008)において、レビトラ(塩酸バルデナフィル)が脂質代謝障害を有するED(勃起不全)患者に対する治療として有効であることが報告されたと発表した。約400名の男性が参加した二重盲検プラセボ比較試験で、高脂血症を伴うED患者へのレビトラの安全性及び効果をプロスペクティブ(前向き介入)に評価したもの。試験参加者全員がスタチン製剤による高脂血症の治療を受けていたが、12週間後、レビトラ錠はプラセボ(偽薬)群に比べて挿入の成功率と勃起の維持を有意に改善した。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2008%2Fnews2008-04-03.html

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