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ひざの痛みの原因と治療に対する3つの誤解とは?

科研製薬株式会社と生化学工業株式会社が共同で運営している変形性ひざ関節症の疾患啓発サイト「ひざ科学研究所」(http://www.hizaken.com)は、「ひざの痛みと対処法に関するアンケート調査」の結果を発表した。アンケートの結果から、ひざの痛みの原因や治療に関してさまざまな誤解があることが明らかになった。調査は、2012年4月27日~5月1日の期間に、全国の40歳から79歳の男女10,000 名を対象にスクリーニング調査を行い、ひざの痛みの経験者800名、ひざの痛みの未経験者200名を抽出し、実施されたもの。その結果、「ひざの病気は高齢者だけのもの」「自己流の対処で痛みがとれれば大丈夫」「病院に行くほどのことではない」という3つの誤解があることが明らかになった。全体の60%を超える人がひざの痛みの原因は「年齢的なもの(ひざの痛みのある人60.1%、ない人64.9%)」であると考えていた。また、50代以上の約半数となる46%の人が、現在または過去にひざの痛みを経験していることがわかり、ひざの痛みのある人の25%が40代で痛みを感じ始めていることが浮き彫りになった。さらに、痛みの原因を「年齢的なもの」「運動不足」「肥満」と考える人に比べて、「ひざの病気」と認識する人はひざの痛みのある人(6.6%)・ひざの痛みのない人(19.5%)ともに少ないとの結果も得られた。ひざが痛いときの対処法とその選択理由を聞いたところ、ひざの痛みのある人では「サポーターをする(36.3%)」「病院に行く(29.8%)」「運動する(29.2%)」「市販の薬を使う(28.14%)」「サプリメントを飲む(24.2%)」と続き、ひざの痛みのない人には(痛くなったとき自分が選ぶと思われる対処法を選択してもらった結果、「病院に行く(27.5%)」「思いつかない(24.3%)」「整骨院やマッサージに行く(22.6%)」「減量する(19.9%)」「サポーターをする(19.8%)」と続いた。しかし、その選択理由については両方の人々ともに「なんとなく(ひざの痛みのある人47.4%、ない人70.3%)」と答えた人が最多となった。ひざの痛みの対処法として「病院に行く」を選ばなかった人に、なぜ病院に行かなかったのかを聞いたところ、一番多くの人が選んだ理由は「病院に行くほどではないと思ったから(56.7%)」であった。また、どのようになったら病院に行くかを聞いた設問では、「痛みがひどくなったら(45.3%)」「歩くのがつらくなったら(58.5%)」という回答が多く、症状が悪化するまで受診を見送る人が多い現状が認められた。その一方で、病院に行った人は、ひざの痛みの対処法として「病院に行く(67.1%)」ことを勧める割合が一番多いことがわかった。詳細はプレスリリースへ(PDF)※4ページからhttp://www.kaken.co.jp/nr/release/nr20120710.pdf

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「今後の透析医療を考える」プレスセミナーレポート

2012年5月31日、「今後の透析医療を考える」と題したプレスセミナー(バイエル薬品株式会社主催)が開催された。第1部として、秋澤忠男氏(昭和大学医学部 腎臓内科教授)が、「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドラインによって変わる透析医療」を、第2部として、宮本高宏氏(全国腎臓病協議会 会長)が、「透析患者の治療における実態とガイドライン改訂への期待」を講演した。その内容をレポートする。「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドラインによって変わる透析医療」 わが国の透析患者に対する治療は、世界でトップレベルにあり、日本の透析患者の死亡リスクは、米国の1/4、欧州の1/2.5である。しかし、一般人と比較すると透析患者の余命は半分で、とくに心不全などの脳・心血管系疾患による死亡リスクが高くなっている。この原因として、血中リン(P)濃度による血管の石灰化が考えられる。 日本透析医学会は、この度、慢性腎臓病に伴う『骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン(CKD-MBD)』を発表した。CKD-MBDは、2006年に発表されたガイドラインの改訂版で、主な変更点は、以下の通りである。○対象を透析患者だけでなく、保存期や移植期のCKDや小児CKDに拡大する○血管石灰化や透析アミロイドーシスなどの病態を加える○新規治療薬の評価・使用法を加える○エビデンスレベル評価とガイドライン推奨度を明示する また、CKD-MBDでは、P、カルシウム(Ca)、副甲状腺ホルモン(PTH)の管理目標値も示されるとともに(P:3.5-6.0 mg/dL、Ca:8.4-10.0 mg/dL、PTH:60-240 pg/mL)、P、Caの管理を優先することが推奨されている。そして、管理方法としては、炭酸Ca、Ca非含有P吸着薬、活性型ビタミンD、副甲状腺作動薬を組み合わせて管理目標を達成する『9分割図』といわれる方法が提唱されている。 演者の秋澤氏は、「CKD-MBDを活用したPの適切な管理が、透析患者の予後向上につながることを期待したい」として、講演を終えた。「透析患者の治療における実態とガイドライン改訂への期待」 透析患者を対象とした治療に関する調査結果が発表された。調査は、2012年4月に、インターネットで実施され、人工透析を受けている患者200名から回答を得た。主な調査結果は以下の通りである。○透析患者の不安項目としては、合併症への不安(73%)が最も多く、とくに、循環器疾患への不安を覚えている人が多かった。○透析の治療に関するガイドラインは、約40%の人が認知していた。○ガイドラインに沿った治療を希望する人は、60%であった(わからない:34%)。○自分の服用している薬に対する意識調査では、薬について十分理解している人が91%おり、自分で調べたり勉強している人の割合も73%であった。 演者の宮本氏は、自らも30年来の透析患者であることを明かしたうえで、透析患者の医療費負担に触れた。「透析にかかる医療費は年間約1兆5千万円で、国の医療財政を圧迫しているが、患者の自己負担額はほぼゼロに近い。この事実を鑑み、患者は、自分達が提供してもらっている医療に感謝し、自ら食事療法などの自己管理をしっかりと行うことが必要である」と強調した。

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バングラデシュ貧困地域の妊婦、妊娠早期からの微量栄養素補給で乳児死亡率などが大幅減少

バングラデシュの貧困地域に住む妊婦に対し、妊娠9週目からの複合微量栄養素補給(multiple micronutrient supplementation;MMS)をすることで、妊娠20週目からの栄養素補給に比べ、乳児死亡率や5歳未満死亡率が大幅に減少することが明らかにされた。スウェーデン・ウプサラ大学病院の、Lars Ake Persson氏らが、バングラデシュの貧困地域に住む約4,400人の妊婦を対象に行った試験の結果で、JAMA誌2012年5月16日号で発表した。妊娠30週目のヘモグロビン値や乳児死亡率を比較研究グループは、2001年11月11日~2003年10月30日にかけて、バングラデシュの妊婦4,436人について試験を開始し、2009年6月23日まで追跡した。研究グループは被験者を無作為に6群に分け、(1)鉄30mgと葉酸400μg、(2)鉄60mgと葉酸400μg(通常投与群)、(3)鉄30mgと葉酸400μgを含む微量栄養素15種から成るMMS(早期投与MMS群)の3種類のサプリメントについて、妊娠9週目(早期投与群)と妊娠20週目(通常投与群)から、二重盲検でそれぞれ投与を行った。主要アウトカムは、妊娠30週目のヘモグロビン値、出生体重、乳児死亡率だった。また5歳までの死亡率についても調査した。早期投与MMS群、通常投与群に比べ乳児死亡率は0.38倍、5歳未満死亡率は0.34倍結果、妊娠30週目の補正後ヘモグロビン平均値は約115.0g/Lと、群間で有意差はなかった。妊産婦ヘモグロビン平均値は、通常投与群が115.4g/Lに対し早期投与群が114.5 g/Lと、有意に低かった(p=0.04)。乳児死亡率については、通常投与の鉄60mgと葉酸400μg群44.1/1,000児に対し、早期投与MMS群は16.8/1,000児と、大幅に低率だった(ハザード比:0.38、95%信頼区間:0.18~0.78)。また5歳未満死亡率についても、通常投与群の鉄60mgと葉酸400μg群が54/1,000児に対し、早期MMS群は18/1,000児と、およそ3分の1だった(ハザード比:0.34、同:0.18~0.65)。そのほか通常投与MMS群は、自然流産率と乳児死亡率が最も高率だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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オメガ3脂肪酸サプリメントは心血管疾患の二次予防に有効か?

二重盲検比較試験のメタアナリシスの結果、オメガ3脂肪酸サプリメント(エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸)を投与しても心血管疾患の二次予防に有効でないことが示された。2011年4月にPubMed、EMBASE、Cochrane Libraryを用いて検索し、その結果、条件を満たした14の無作為化二重盲検プラセボ対照試験をメタアナリシスの対象として選定した。これらの試験には計20,845例の心血管疾患既往例が含まれていた。主な結果は下記のとおり。1. オメガ3脂肪酸サプリメントの投与によって心血管イベントの  有意な減少は認められなかった  (相対リスク:0.99; 95%信頼区間:0.89-1.09)。2. 心血管死については、わずかな減少が認められた  (相対リスク:0.91; 95%信頼区間:0.84-0.99)。  しかし、試験方法に大きな問題がある試験を除外した場合、  この有効性は消失した。3. 試験実施国、内陸地域/沿岸地域、心血管疾患歴、併用薬の有無、  プラセボの種類、試験方法の質、治療期間の違い、治療を  目的とした魚油の投与、エイコサペンタエン酸および  ドコサヘキサエン酸の投与量の違いによっても有効性を  認める患者群を見出せなかった。

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開発中のENB-0040酵素補充療法、重篤な低ホスファターゼ症を改善

重篤な低ホスファターゼ症の乳幼児に対し、開発中のENB-0040による酵素補充療法が、肺および身体機能を改善することが報告された。米国・シュライナーズ小児病院(ハワイ州)のMichael P. Whyte氏らによる多国間オープンラベル試験の結果で、治療24週でX線上の所見での骨格改善が認められた。くる病や骨軟化症に至る低ホスファターゼ症は、組織非特異型アルカリホスファターゼアイソザイム(TNSALP)の遺伝子変異により生じる。重篤な乳児では、進行性胸部変形を呈し呼吸機能不全を来し死亡に至ったり、また骨疾患が持続する場合が多いが、承認されている内科的治療法はいまだない。ENB-0040は、骨を標的とする遺伝子組換えヒトTNSALPで、マウス試験で低ホスファターゼ症の症状発現を抑えることが認められていた。NEJM誌2012年3月8日号掲載報告より。重度の低ホスファターゼ症患者11例を対象にオープンラベル試験被験者として応募したのは、生後2週~3歳の生命が危機的状態にあるまた衰弱が激しい低ホスファターゼ症の乳幼児11例(女児7例、男児4例)だった。そのうち10例が6ヵ月のENB-0040治療を完了し(1例は試験同意後撤回)、9例は1年間治療が行われた(1例は治療開始7.5ヵ月後に敗血症により死亡)。試験の主要目的はくる病の治癒とし、X線所見で評価した。運動と認知の発達、呼吸機能、安全性、ENB-0040の薬物動態と薬力学についても評価が行われた。6ヵ月治療でくる病治癒、発達指標と肺機能も改善6ヵ月治療を完了した9例ではくる病の治癒が認められ、発達指標および肺機能の改善も認められた。基線で高値であったTNSALP基質の無機ピロリン酸とピリドキサール5’-リン酸塩値も、ともに低下が認められた。また骨格の治癒とともに、血清副甲状腺ホルモンの上昇が認められ、頻繁に食事性カルシウム・サプリメントを必要とした。低カルシウム血症、異所性石灰化、薬物関連の重大有害事象の所見は認められなかった。4例に低値の抗ENB-0040抗体が出現したが、治療48週時点での明らかな臨床的、生化学的、自己免疫の異常は認められなかった。(朝田哲明:医療ライター)

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甲状腺機能低下症の妊婦への出産前治療、出生児の認知機能を改善せず

妊娠期間の平均が12週3日の妊婦を対象に甲状腺機能スクリーニングを行い、機能低下が認められた妊婦に治療を行っても、生まれた子どもの認知機能に改善は認められなかったことが報告された。英国・カーディフ大学のJohn H. Lazarus氏らが、約2万2,000人を対象とした無作為化試験の結果、報告した。胎児が甲状腺ホルモンを分泌するようになるのは在胎約18~20週以降で、それまでは母胎の遊離サイロキシン(T4)に依存して、中枢神経系の成熟を含む成長を遂げていくとされている。遊離T4にはヨウ素が不可欠で、妊娠前のヨウ素サプリメントの服用は認知機能を増強することや、一方で妊娠中の甲状腺刺激ホルモン高値は出生児の認知機能障害をもたらすことが知られ、甲状腺機能障害を出産前に検知し治療することは有益である可能性が示唆されていた。NEJM誌2012年2月9日号掲載報告より。出産前スクリーニングで陽性の妊婦にレボチロキシン投与試験は、英国10ヵ所、イタリア1ヵ所の医療機関から集められた、妊娠期間が15週6日未満の妊婦2万1,846人を対象とし、被験者から血液サンプルの提供を受け、甲状腺刺激ホルモンと遊離サイロキシン(T4)を測定して行われた。被験者は、スクリーニング群(直ちに測定:1万924人)と対照群(血清を保存し、分娩直後に測定:1万922人)に割り付けられ測定、追跡がされた。測定において、甲状腺刺激ホルモン値97.5パーセンタイル超か、遊離T4値2.5パーセンタイル未満、またはその両方の場合を「スクリーニング結果陽性」とした。スクリーニング群で陽性だった妊婦には、レボチロキシン(商品名:チラージンほか)150μg/日が投与された。主要評価項目は、スクリーニング陽性だった妊婦から生まれた子どもの3歳時のIQとした。評価は割り付け情報を知らされていない心理学者が測定した。甲状腺刺激ホルモン投与の効果みられず血液サンプルを提供した女性2万1,846例の妊娠期間中央値は12週3日だった。スクリーニングの結果が陽性だったのは、スクリーニング群390例、対照群404例だった。スクリーニング群陽性者へのレボチロキシン治療開始は、妊娠期間中央値13週3日で、投与は甲状腺ホルモン値0.1~1.0mIU/L達成を目標に必要に応じて調整された。スクリーニングの結果が陽性だった女性の出生児の平均IQスコアは、スクリーニング群99.2、対照群100.0だった(格差:0.8、95%信頼区間:-1.1~2.6、intention-to-treat解析によるP=0.40)。IQ 85未満の出生児の比率は、スクリーニング群12.1%、対照群14.1%であった(格差:2.1ポイント、95%信頼区間:-2.6~6.7、P=0.39)。on-treatment解析でも同様の結果が示された。(朝田哲明:医療ライター)

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子宮筋腫に対する経口ulipristal acetateの有効性と安全性

子宮筋腫に対する術前治療としての、経口ulipristal acetateの有効性と安全性について、プラセボとの比較による第3相の二重盲検無作為化試験の結果、13週間の治療で子宮筋腫の症状の一つである出血過多を有効にコントロールし、筋腫サイズも縮小したことが報告された。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学のJacques Donnez氏らによる検討で、NEJM誌2012年2月2日号で発表された。子宮筋腫は生殖年齢にある女性の20~40%に起こり得る良性腫瘍であるが、出血過多や貧血、痛みなどでQOLや妊娠への悪影響が問題となる。治療を望む女性の多くは子宮摘出回避を願うが、一方で子宮摘出の最も多い適応症ともなっている。13週間にわたる二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施研究グループは、2008年10月~2010年8月の間に6ヵ国38の大学病院を通じて、18~50歳までの生殖年齢にあり、症候性子宮筋腫で出血過多、貧血を呈する242例を対象に試験を行った。出血過多の状態は、出血量の客観的評価法PBAC法(1ヵ月の出血量範囲を0~>500とし、高いほど出血量が多いことを示す)によるスコアが>100とした。貧血は、ヘモグロビン値が≦10.2g/dLとした。被験者は、無作為に、経口ulipristal acetateを5mg/日投与される群(96例)、同10mg/日投与される群(98例)とプラセボを投与される群(48例)に割り付けられ、13週間治療を受けた。また全員、鉄剤のサプリメントを服用していた。共同主要有効性エンドポイントは、13週時点で、子宮出血がコントロールされたこと(PBACスコア<75)、および筋腫の縮小であった。被験者はその後、手術を受けることが可能だった。出血コントロールを改善、筋腫も縮小結果、13週時点で子宮出血のコントロールが、5mg群で91%、10mg群で92%に認められた。プラセボ群は19%で、ulipristal acetateの有意なコントロール達成が示された(いずれの投与群もプラセボ群と比較してP<0.001)。無月経の発生は、それぞれ73%、82%、6%だった。ulipristal acetateを受けていた被験者の大半は、10日以内で無月経を来した。総筋腫体積の変化の中央値は、それぞれ-21%、-12%、+3%だった(5mgのプラセボ群に対するP=0.002、10mg群のプラセボ群に対するP=0.006)。ulipristal acetate群では、組織的な子宮内膜変化が誘発されたが、治療期間終了後6ヵ月までに回復した。治療期間中の重篤な有害事象は、10mg群で子宮出血が1例、プラセボ群で子宮頸部からの筋腫突出が1例に認められた。ulipristal acetateと関連する最も頻度の高い有害事象は頭痛と乳房圧痛だったが、プラセボとに有意な頻度の差は認められなかった。(武藤まき:医療ライター)

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超早産児無呼吸へのカフェイン療法、長期5年での無障害生存に有意な改善を示さず

超早産児無呼吸に対するカフェイン投与は、生後18ヵ月における脳性麻痺や認知機能遅延リスクを低下する効果があるが、生後5年時点では、死亡と機能障害を合わせた発生率はプラセボ群と同等で、同療法が長期的には障害のない生存率の改善にはつながらないことが報告された。運動障害や認知障害などの個別の発症率についても、カフェイン投与による低下は認められなかった。米国・ペンシルベニア大学のBarbara Schmidt氏らが、約1,600例を対象とした無作為化プラセボ対照試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年1月18日号で発表した。出生児体重500~1,250gの1,640人について5歳まで追跡Schmidt氏らは、1999~2004年に行われた超早産児無呼吸へのカフェイン療法に関する無作為化プラセボ対照試験「Caffeine for Apnea of Prematurity」の被験者のうち1,640例について、2005~2011年にかけ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ、イスラエルの31ヵ所の教育病院を通じ追跡調査を行った。Caffeine for Apnea of Prematurityの被験児は、出生児体重500~1250gで、担当医がカフェイン投与の必要性があると判断した新生児で、同試験では、被験児を無作為に二群に分け、一方にはクエン酸カフェイン(当初20mg/kg/日、その後5mg/kg/日、無呼吸が持続した場合には10mg/kg/日まで増加)を投与し、もう一方の群にはプラセボが投与された。投与期間の中央値は、カフェイン群が37日、プラセボ群が36日だった。死亡・機能障害の統合発生率、カフェイン群が21%、プラセボ群が25%で有意差は見られず主要評価項目は、生後5年での死亡または障害が1つ以上伴う生存の複合アウトカムとした。障害の定義は、粗大運動機能分類システム(GMFCS)レベル3~5の運動障害、全検査IQで70未満の認知障害、行動障害、健康状態不良、聴覚消失、失明だった。その結果、複合アウトカムの発生率は、カフェイン群が21.1%、プラセボ群24.8%で、両群で有意差はなかった(p=0.09)。また、死亡率、運動障害、行動障害、健康状態不良、聴覚消失、失明のいずれの発生率についても、両群で有意差はなかった。認知障害の発生率は、18ヵ月時点よりも5歳時点のほうが低かったが、プラセボ群と有意差は認められなかった(4.9%対5.1%、オッズ比:0.97、95%信頼区間:0.61~1.55、p=0.89)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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妊娠初期の葉酸摂取で、子どもの重度言語発達遅延リスクがおよそ半減

妊娠初期に葉酸を摂取することで、生まれた子どもの3歳時点における、重度言語発達遅延リスクが、およそ半減することが明らかにされた。ノルウェー国立保健院(Norwegian Institute of Public Health)のChristine Roth氏らが行った前向きコホート試験の結果、報告したもので、JAMA誌2011年10月12日号で発表した。これまでの研究結果から、妊娠中の葉酸摂取は、神経管欠損リスクを減少することなどが知られているが、生後の神経発生に関連する症状発症のリスクとの関連についての研究はほとんど行われていなかったという。被験児約4万人のうち、重度言語発達遅延発症率は0.5%研究グループは、1999~2008年末の間に妊娠中で、子どもが2008年中に誕生し、3年間の追跡調査票に回答した人とその子どもについて、2010年6月まで調査を行った。妊娠の時点から4週~8週までの期間の葉酸サプリメント摂取と、子どもの3歳時点での言語発達遅延との関連を調べた。言語発達の評価には、言語・文法に関する6ポイント尺度(6-point ordinal language grammar scale)を用い、言葉が一つしか話せないといった言語表現能力が最低レベルの子どもを、重度言語発達遅延と判断した。調査対象となった子どもは3万8,954人だった。そのうち3歳の時点で重度言語発達遅延だったのは、204人(0.5%)だった。葉酸や葉酸を含むサプリ摂取で、重度言語発達遅延リスクは0.55倍に妊娠4~8週の間にサプリメントをまったく摂取しなかった人は9,052人(24.0%、対照群)で、そのうち重度言語発達遅延を発症したのは81人(0.9%)だった。同期間に葉酸以外のサプリメントを摂取した群(2,480人)では、同発症率は0.9%(22人)で、対照群に対するオッズ比は1.04(95%信頼区間:0.62~1.74)と同等だった。一方、同期間に葉酸のみを摂取した群(7,127人)では、同発症率は0.4%(28人)で、同オッズ比は0.55(同:0.35~0.86)と有意に低下した。また、同期間に葉酸を含むサプリメントを摂取した群(1万9,005人)でも、同発症率は0.4%(73人)で、同オッズ比は0.55(同:0.39~0.78)と有意に低かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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子癇前症ハイリスクの妊婦にL-アルギニン+抗酸化ビタミンサプリ食提供で発生率減少

子癇前症ハイリスクの妊婦に、L-アルギニンと抗酸化ビタミンを含むサプリメント食を摂取させることで、疾患の発生率が減少したことが無作為化単盲検プラセボ対照試験によって示された。抗酸化ビタミンだけの摂取群では子癇前症に対する保護作用は認められなかったという。メキシコ国立大学医学校基礎医学部門のFelipe Vadillo-Ortega氏らが行った試験の結果で、BMJ誌2011年5月28日号(オンライン版2011年5月19日号)で掲載された。既往か一親等親族に子癇前症歴のある672例を3群に無作為化試験は、メキシコシティの公立第3病院で行われた。被験者は、出産経験がある妊婦で、以前の妊娠時に子癇前症を有した人、また母親・姉妹で子癇前症歴のある人で、疾患再発リスクが高いと考えられる妊娠14~32週の妊婦を登録して行われ、分娩時まで追跡した。被験者には棒状のメディカルフード(L-アルギニンと抗酸化ビタミンを含む、抗酸化ビタミンだけ、プラセボ)が支給された。主要評価項目は、子癇前症か子癇症の発症とした。抗酸化ビタミン単独では有意な減少認められずプラセボ群には222例が、L-アルギニン+抗酸化ビタミン群には228例が、抗酸化ビタミン単独群には222例が割り付けられた。被験者は、メディカルフードを受けている間に、4~8回外来受診をした。子癇前症の発生率は、プラセボ群との比較で、L-アルギニン+抗酸化ビタミン群で絶対リスクは0.17(95%信頼区間:0.12~0.21)低下し、有意な減少が認められた(p<0.001)。抗酸化ビタミン単独群でもベネフィットは認められたが、統計的には有意でなかった[p=0.052、絶対リスク低下:0.07(同:0.005~0.15)]。L-アルギニン+抗酸化ビタミン群の効果は、抗酸化ビタミン単独群との比較でも有意であった[p=0.004、絶対リスク低下:0.09(同:0.05~0.14)]。

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軽症バセドウ病、セレン投与で進行抑制、QOL改善

 日本ではバセドウ病と称されるグレーブス病眼症(GO)の軽症患者に対する治療として、健康栄養素セレンの投与が、QOL改善、眼症減少、GO進行抑制に寄与することが報告された。欧州グレーブス病眼症グループ(EUGOGO)を代表してイタリア・ピサ大学内分泌・代謝学部門のClaudio Marcocci氏らが、同グループに参加する4ヵ国6施設の患者を対象に二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った結果による。軽症GO患者には症状が悪化するまで積極的な治療を行わないが、QOLの低下が問題視されていた。Marcocci氏らはGOの発症機序から、抗酸化作用を有するセレンと、抗炎症作用や種々の免疫調整作用を有するペントキシフィリンの可能性に着目。ペントキシフィリンが小規模パイロット試験でGO患者にベネフィットがあることが示唆されたことを踏まえ、本検討を行った。NEJM誌2011年5月19日号掲載報告より。セレン、ペントキシフィリン、プラセボで二重盲検無作為化試験 試験は2005年1月~2009年1月、イタリアとドイツ各2施設、スイスとギリシャ各1施設の計6施設で、軽症GO患者159例を対象に行われた。 被験者は無作為に、セレン投与群(セレンサプリメント、100μgを1日2回、54例)、ペントキシフィリン投与群(Trental、600mgを1日2回、48例)、プラセボ投与群(1日2回、50例)に割り付けられ6ヵ月間にわたる経口投与を受け、投与を中止した後6ヵ月間追跡された。 主要アウトカムは、6ヵ月時点での、治療割り付けを知らされていない眼科医による眼の全般的評価と、患者によるGO特異的QOL質問票による評価とした。またCAS(Clinical Activity Score)と複視スコアを副次的アウトカムとした。セレン群、プラセボとの比較でQOL改善、眼症減少、GO進行抑制 6ヵ月時点の評価でプラセボと比較して、セレン投与群は、QOLが改善(P<0.001)、眼症状がより少なく(P=0.01)、GO進行の抑制(P=0.01)が認められた。一方、ペントキシフィリン投与群ではいずれも認められなかった。 CASは3群とも低下が認められたが、セレン投与群での変化(平均3.5)が有意に大きかった。ペントキシフィリン投与群とプラセボ群の低下は有意差が認められなかった(平均3.0)。 これらの結果は、12ヵ月時点の探索的評価においても確認された。 なお、プラセボ群2例とペントキシフィリン投与群1例の患者で、病態悪化による免疫抑制療法が必要となった。有害事象は、セレン投与群ではそれとわかる事象が認められなかったが、ペントキシフィリン投与群では高頻度の胃腸症状が認められた。

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ピロリ菌除菌効果、ビスマス製剤を含む4剤併用が標準治療を凌駕

 ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori:以下、ピロリ菌)の除菌効果は、プロトンポンプ阻害薬オメプラゾールと次クエン酸ビスマス+メトロニダゾール+テトラサイクリンの4剤併用レジメンが、標準的な3剤併用療法よりも優れることが、ドイツ・Otto-von-Guericke大学のPeter Malfertheiner氏らの検討で示された。ピロリ菌は、消化性潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫など上部消化管の良性/悪性疾患を引き起こすが、先進国では国民の20~50%が、開発途上国では最大で80%が感染しているとされる。日本を含め国際的なガイドラインでは、標準的な1次治療としてオメプラゾールにアモキシシリンとクラリスロマイシンを併用する方法が推奨されるが、最近の耐性菌の増加に伴い新たなレジメンの開発が求められているという。Lancet誌2011年3月12日号(オンライン版2011年2月22日号)掲載の報告。除菌率を比較する非劣性試験、優越性も評価 研究グループは、ピロリ菌の除菌治療における標準治療とオメプラゾール+3つの抗菌薬を含有するカプセル薬併用療法の有効性および安全性を比較するオープンラベルの無作為化第III相非劣性試験を行った。 2008年6月~2009年6月までに、7ヵ国(フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ポーランド、スペイン、イギリス)の39施設から、ピロリ菌感染が確認され、上部消化管症状を呈する18歳以上の患者が登録された。 これらの患者が、オメプラゾール20mg(1カプセルを朝夕食後の1日2回)+3剤含有カプセル薬(次クエン酸ビスマス140mg、メトロニダゾール125mg、テトラサイクリン125mg、3カプセルを毎食後と就寝前の1日4回)を10日間服用する群(4剤併用群)、あるいはオメプラゾール20mg+アモキシシリン500mg+クラリスロマイシン500mg(朝夕食前の1日2回)を7日間服用する群(標準治療群)に無作為に割り付けられた。 主要評価項目はピロリ菌除菌率とし、治療終了後28日以降と56日以降に13C尿素呼気試験(UBT)を行い、2回とも陰性の場合に「除菌」と判定した。本研究は非劣性試験としてデザインされたが優越性の検出能も備えていた。非劣性の評価ではper-protocol(PP)解析を行い、優越性についてはintention-to-treat(ITT)解析を実施した。除菌率:PP解析で93% vs. 70%、ITT解析で80% vs. 55% ITT集団の440例(4剤併用群:218例、標準治療群:222例)のうち、UBT非施行例など101例(それぞれ40例、61例)を除く339例(178例、161例)がPP集団となった。 PP解析における除菌率は、4剤併用群が93%(166/178例、95%信頼区間:88.5~96.5%)、標準治療群は70%(112/161例、同:61.8~76.6%)であった。両群間の差の95%信頼区間は15.1~32.3%(p<0.0001)であり、4剤併用群の95%信頼区間の下限値は事前に規定された非劣性の境界値である-10%よりも大きく、標準治療に対する非劣性が確認された。 ITT解析でも、4剤併用群の除菌率は80%(174/218例)と、標準治療群の55%(123/222例)に比べ有意に優れていた(p<0.0001)。 安全性プロフィールは両群で同等であり、主な有害事象は消化管および中枢神経系の障害であった。著者は、「ピロリ菌の除菌治療においては、標準的な3剤併用レジメンの7日間服用よりも、ビスマス製剤を含む抗菌薬3剤+オメプラゾールの4剤併用レジメンの10日間服用のほうが有意に優れる」と結論し、「4剤併用は安全性と耐用性が標準治療と同等で、除菌効果は有意に優れるため、クラリスロマイシン耐性ピロリ菌増加の観点からは、4剤併用レジメンを1次治療として考慮すべき」と指摘している。

373.

ビタミンDサプリメントは健常小児の骨密度を改善するか?

ビタミンDサプリメントは、ビタミンDが正常レベルの小児、青少年の骨密度にベネフィットをもたらさないが、欠乏している場合は一定の改善効果が得られることが、オーストラリア・タスマニア大学のTania Winzenberg氏らが行ったメタ解析で明らかとなった。ビタミンDの欠乏はごく一般的にみられる状態だが、小児における潜在的なビタミンD欠乏は骨に悪影響を及ぼす可能性があるという。これまでの小児や青少年を対象としたビタミンDサプリメントの無作為化対照比較試験では、相反する結果が報告されている。BMJ誌2011年1月29日号(オンライン版2011年1月25日号)掲載の報告。ビタミンDサプリメントのプラセボ対照無作為化試験のメタ解析研究グループは、小児、青少年の骨密度に及ぼすビタミンDサプリメントの効果を検討し、用量などの因子による効果の変動について評価する系統的レビューとメタ解析を行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、Embase などのデータベース(最終アップデート2009年8月)や主要専門誌に掲載された学会抄録を検索し、生後1ヵ月から20歳未満までの健常小児、青少年を対象に、ビタミンDサプリメントを3ヵ月以上投与して骨密度のアウトカムを評価したプラセボ対照無作為化試験を抽出した。2名の研究者が別個に試験の質やデータの評価を行った。両群の前腕、股関節、腰椎の骨密度および全身骨塩量のベースラインからの変化率の標準化平均差を算出し、性別、思春期ステージ、ビタミンDの用量、ベースラインの血清ビタミンD濃度に関するサブグループ解析を行った。コンプライアンスや割り付けの隠蔵も、異質性の原因となる可能性がある因子として考慮された。ビタミンD欠乏者には一定の効果抽出された1,653試験の中から選択基準を満たした6試験がメタ解析の対象となった(プラセボ群343例、ビタミンD群541例)。全身骨塩量、股関節・前腕の骨密度に対するビタミンDの有意な効果はみられなかった。腰椎の骨密度に対しては、わずかに有効な傾向が認められた(標準化平均差:0.15、95%信頼区間:−0.01~0.31、p=0.07)。血清ビタミンD濃度別の比較では、高値例と低値例で効果は同等であったが、全身骨塩量については低値例で効果が大きい傾向がみられた(差の検定:p=0.09)。血清ビタミンD濃度低値例では、全身骨塩量と腰椎骨密度に対するビタミンDの有意でおおよそ同等な効果を認めた(ビタミンD群におけるベースラインからの変化率:全身骨塩量2.6%、腰椎骨密度1.7%)。著者は、「ビタミンDサプリメントは、ビタミンDが正常レベルの小児、青少年の骨密度にベネフィットをもたらす傾向は認めなかった」と結論し、「事前に計画されたベースラインの血清ビタミンD濃度によるサブグループ解析では、ビタミンDが欠乏した小児、青少年において、サプリメントは特に腰椎骨密度と全身骨塩量に対する臨床的な改善効果を示したが、これについてはさらなる検証が求められる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

374.

ビタミンB類、ω-3脂肪酸は、心血管疾患を予防しない:SU. FOL. OM3試験

 虚血性心疾患や虚血性脳卒中の既往歴を有する患者における心血管疾患の予防では、ビタミンB類やオメガ(ω)-3脂肪酸を含むサプリメントのルーチンな使用は推奨されないことが、フランス・パリ第13大学衛生医学研究所(INSERM)のPilar Galan氏らが実施した「SU. FOL. OM3」試験で示された。心血管疾患の発症は、ビタミンB類(葉酸、ビタミンB6)やω-3多価不飽和脂肪酸の摂取あるいはその血漿濃度と逆相関を示すことが観察試験で報告されている。しかし、無作為化試験ではビタミンB類の血管疾患に対する有意な作用は確認できず、ω-3多価不飽和脂肪酸の臨床試験では相反する結果が得られているという。BMJ誌2011年1月1日号(オンライン版2010年11月29日号)掲載の報告。サプリメント摂取による2次予防効果を評価するプラセボ対照試験 研究グループは、虚血性心疾患あるいは虚血性脳卒中の既往歴を有する患者に対するサプリメントとしてのビタミンB類およびω-3脂肪酸の、心血管イベント予防効果を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った。 フランスの257施設417名の循環器、神経科などの医師のネットワークを介して、45~80歳の心筋梗塞、不安定狭心症、虚血性脳卒中の既往歴を有する患者2,501例が登録された。 これらの患者が、5-メチルテトラヒドロ葉酸(560μg)、ビタミンB6(3mg)、ビタミンB12(20μg)を含むサプリメントを毎日摂取する群(622例)、ω-3脂肪酸(600mg中にエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸を2対1の割合で含有)を含むサプリメントを毎日摂取する群(633例)、双方を摂取する群(620例)、プラセボ群(626例)に無作為に割り付けられた。 摂取期間中央値は4.7年であった。主要評価項目は主な心血管イベントであり、非致死的心筋梗塞、脳卒中、心血管疾患による死亡の複合エンドポイントと定義した。いずれのサプリも、主要評価項目にプラセボ群との差を認めず ビタミンB類群は、血漿ホモシステイン濃度がプラセボ群に比べ19%低下したが、重篤な血管イベントの発症頻度には差を認めなかった(ハザード比:0.90、95%信頼区間:0.66~1.23、p=0.50)。 ω-3脂肪酸群は、血漿ω-3脂肪酸濃度がプラセボ群に比し37%増加したが、重篤な血管イベントの発症頻度は同等であった(ハザード比:1.08、95%信頼区間:0.79~1.47、p=0.64)。 著者は、「虚血性心疾患や虚血性脳卒中の既往歴を有する患者の心血管疾患の予防において、ビタミンB類やω-3脂肪酸を含むサプリメントのルーチンな使用は推奨されない」と結論し、「特に、初回イベントの急性期が経過した後にサプリメントを開始する際、これらは使用すべきでない」としている。

375.

週6回の血液透析、週3回と比べて良好な転帰と関連

週6回の血液透析は、週3回の同実施と比べて、転帰が良好であることが、北米のFrequent Hemodialysis Network(FHN)の試験グループが行った多施設共同前向き無作為化試験の結果、示された。透析が必要な患者は米国では約40万人おり、90%が血液透析を一般に週3回受けているという。試験グループは、透析技術開発から40年以上が経つが、技術改善や新薬開発にもかかわらず死亡率は高く(約18~20%/年)、生命を維持することはできるが健康が回復することはまれで、合併症が多く、身体的機能や健康関連QOLが低いままなこと、また至適な実施回数について明らかにはなっていないことを受けて、血液透析の頻度と転帰について検討した。NEJM誌2010年12月9日号(オンライン版2010年11月20日号)掲載より。多施設共同で245例を12ヵ月間、週6回群と週3回群に無作為化試験は、北米にある65の透析施設(うち11は大学付属)で、被験者245例を12ヵ月間にわたり、週6回血液透析を受ける群(頻回透析群、125例)か週3回血液透析を受ける群(従来透析群、120例)に無作為に割り付け行われた。主要転帰は、死亡または左室体積の変化(MRI評価によるベースラインから12ヵ月までの変化)と、死亡または身体的健康ヘルススコア(RAND-36項目健康調査による)の変化の、二つの複合転帰が設定された。副次転帰には、認知機能、自己申告によるうつ症状、栄養・ミネラル代謝・貧血に関する検査マーカー、血圧、バスキュラーアクセスに関する入院および介入の割合などが含まれた。二つの主要複合転帰に有意なベネフィット認められる頻回透析群の透析治療は平均週5.2回で、1週間の標準Kt/Vurea量(尿素クリアランス×透析時間を尿素分布容積で標準化)は、頻回透析群が3.54±0.56、従来透析群が2.49±0.27で、頻回透析群が有意に高かった(P<0.001)。二つの主要複合転帰に関して、いずれも頻回透析群の有意なベネフィットが認められた。死亡または左室体積増加のハザード比は0.61(95%信頼区間:0.46~0.82、P<0.001)、死亡または身体的健康ヘルススコア低下の同値は0.70(同:0.53~0.92、P=0.007)だった。また頻回透析群の方が、バスキュラーアクセスに関する介入頻度が高い傾向が認められた(ハザード比:1.71、95%信頼区間:1.08~2.73)。頻回透析群は、高血圧、高リン血症のコントロール改善との関連も認められた。しかし認知機能、自己申告によるうつ症状、血清アルブミン濃度、赤血球造血刺激因子製剤使用との関連については、頻回透析の有意な影響は認められなかった。試験グループは、「頻回透析は、死亡または左室体積の変化、死亡または身体的健康ヘルススコアの変化という二つの主要複合転帰については良好な結果と関連していた。ただし、バスキュラーアクセス関連の介入頻度も高めていた」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

376.

ビタミンEは脳卒中を予防するか?:約12万人のメタ解析

ビタミンEの摂取により、虚血性脳卒中のリスクは10%低下するが、出血性脳卒中のリスクはむしろ22%増大することが、米国ブリガム&ウィメンズ病院のMarkus Schurks氏らが行ったメタ解析で明らかにされた。ビタミンEは、観察研究で冠動脈心疾患の予防効果が示唆されているが、無作為化対照比較試験では冠動脈リスクの抑制効果は示されず、サブグループ解析では出血性脳卒中のリスクを増大させる可能性が報告されている。また、メタ解析では高用量のビタミンEが全死因死亡率を増大させる可能性が示され、高い関心を呼んでいるという。BMJ誌2010年11月13日号(オンライン版2010年11月4日号)掲載の報告。2010年1月までに報告された無作為化プラセボ対照試験のメタ解析研究グループは、虚血性脳卒中および出血性脳卒中に対するビタミンEサプリメントの効果を評価するために、2010年1月までに報告された無作為化プラセボ対照試験の系統的なレビューとメタ解析を行った。データベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials)を検索し、論文の文献リストを調査して、ビタミンEの脳卒中に対する効果を検討した追跡期間が1年以上の無作為化プラセボ対照試験を抽出した。選ばれた論文の適格性を2人の研究者が別個に判定し、見解が異なる場合は合議によって解決した。2人の研究者が別個にデータを抽出し、個々の試験のリスク比とその95%信頼区間を算出した。見境のない使用に対しては警告を発すべき9つの試験に参加した11万8,765人(ビタミンE群:5万9,357人、プラセボ群:5万9,408人)が解析の対象となった。7試験には脳卒中全体のデータが含まれ、5試験には出血性脳卒中と虚血性脳卒中に分けたデータが記載されていた。解析の結果、ビタミンEには、全脳卒中のリスクを抑制する効果は認められなかった(相対リスク:0.98、95%信頼区間:0.91~1.05、p=0.53)。対象的だったのは、ビタミンEは虚血性脳卒中のリスクは抑制した(同:0.90、同:0.82~0.99、p=0.02)が、出血性脳卒中のリスクは増大させた(同:1.22、同:1.00~1.48、p=0.045)。試験間の不均一性はほとんど認められず、メタ回帰分析では、盲検化、ビタミンEの用量、罹病状況は不均一性の原因としては同定されなかった。絶対リスクに換算すると、476人がビタミンEを摂取すると1人の虚血性脳卒中が予防され、1,250人が摂取するごとに1人が出血性脳卒中を発症すると推定された。著者は、「今回のメタ解析では、ビタミンEは虚血性脳卒中のリスクを10%低下させ、出血性脳卒中のリスクを22%増大させることが示された。脳卒中全体のリスクのパターンは明確ではなかった」と結論し、「虚血性脳卒中のリスク低下は相対的に小さなものであり、一般的には出血性脳卒中の方が重篤なアウトカムの可能性が高いことを考慮すると、ビタミンEの見境のない広範な使用に対しては警告を発するべきである」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

377.

アルツハイマー病へのDHA投与、認知能力低下の減速効果なし

軽度~中等度のアルツハイマー病患者に対し、ドコサヘキサエン酸(DHA)サプリメントを投与しても、認知能力の低下を減速する効果はないという。脳の萎縮率の低減についても効果はなかった。米国オレゴン健康科学大学神経内科部門のJoseph F. Quinn氏らが、アルツハイマー病の患者400人超について行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2010年11月3日号で発表した。これまでの疫学試験では、DHA摂取がアルツハイマー病罹患率の減少と関連することが示唆されており、動物実験では実証されていた。18ヵ月追跡し、ADAS-cog、CDR-SBスコアの変化を比較研究グループは、2007年11月~2009年5月にかけて、米国51ヵ所の医療機関で、Mini Mental State Examination(MMSE)スコアが14~26の、軽度~中等度のアルツハイマー病患者について試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方にはDHAサプリメント2g/日を、もう一方にはプラセボを投与した。追跡期間は18ヵ月だった。主要評価項目は、アルツハイマー病評価スケールの認知機能指標(Alzheimer’s Disease Assessment Scale:ADAS-cog)の変化と、臨床的認知症尺度の下位尺度(Clinical Dementia Rating sum of boxes:CDR-SB)の合計スコアの変化だった。またサブグループ分析として、被験者102人に対しMRIを行い、脳萎縮を測定した。ADAS-cog、CDR-SBスコア、MRIによる脳萎縮率も両群で同等被験者のうち試験を終了したのは295人、うちDHA群は171人、プラセボ群は124人だった。ADAS-cogスコアの変化は、DHA群で平均増加幅7.98(95%信頼区間:6.51~9.45)ポイントに対し、プラセボ群で同8.27(同:6.72~9.82)ポイントと、両群に有意差はなかった(p=0.41)。CDR-SBスコアも、平均増加幅がDHA群で2.87(同:2.44~3.30)ポイントに対し、プラセボ群では同2.93(同:2.44~3.42)ポイントと、有意差はなかった(p=0.68)。また、脳萎縮についても、DHA群(53人)が24.7cm3(年率1.32%)減少したのに対し、プラセボ群(49人)では同24.0cm3(年率1.29%)で、有意差は認められなかった(p=0.79)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

378.

妊婦へのDHAサプリメント、産後うつや子どもの発達に効果みられず

妊婦に対し、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含むサプリメントを投与しても、産後うつ病の改善や、子どもの認知・言語能力の発達には効果がみられないことが明らかにされた。オーストラリアWomen’s and Children’s Health Research InstituteのMaria Makrides氏らが、約2,400人の妊婦を対象に行った、無作為化二重盲検試験「DHA to Optimize Mother Infant Outcome」(DOMInO)の結果によるもので、JAMA誌2010年10月20日号で発表されている。産後6ヵ月までの母親のうつ状態と、生後18ヵ月の子どもの発育状態を評価研究グループは、2005年10月31日~2008年1月11日にかけて、オーストラリア国内5ヵ所の医療機関で、単体児妊娠21週未満の妊婦2,399人について試験を開始した。また、生まれた子ども726人についても、2009年12月16日まで追跡した。被験者妊婦は無作為に2群に分けられ、一方にはDHA 800mg/日を含む魚油サプリメントを、もう一方にはDHAを含まない野菜油カプセルを投与した。産後6週目と6ヵ月後に、エジンバラ産後うつ病評価スケール(EPDS)で、うつ状態を評価。生まれた子どもについては、ベイレイ乳幼児発達スケール(Bayley Scales of Infant and Toddler Development)で、生後18ヵ月に認知・言語能力を評価した。登録された妊婦は、96.7%が試験を完了した。産後のうつ病リスクや子どもの認知・言語能力スケールに、両群で有意差なし結果、産後6ヵ月にEPDSスコアが12超だった人の割合は、DHA群9.67%、対照群11.19%で、両群に有意差はみられなかった(相対リスク:0.85、95%信頼区間:0.70~1.02、p=0.09)。子どもの認知能力スケール総合スコアについても、両群間の補正後平均値格差は、0.01(95%信頼区間:-1.36~1.37、p=0.99)と有意差がなかった。言語能力スケール総合スコアの両群間の補正後平均値格差も、-1.42(同:-3.07~0.22、p=0.09)で有意差がなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

379.

グルコサミンとコンドロイチンは単独・併用でも関節痛への効果はない

グルコサミン、コンドロイチンのサプリメントを単独または併用服用しても、股関節痛や膝関節痛を和らげることはなく、関節腔狭小化への影響もないことが、スイスのベルン大学社会・予防医療研究所のSimon Wandel氏らが行ったネットワーク・メタ解析の結果、明らかにされた。Wandel氏は、「保健衛生を担う当局および健康保健事業者は、これらの製剤コストをカバーすべきではない。そしてまだ投与を受けていない患者への新たな処方を阻止しなければならない」と提言している。BMJ誌2010年10月2日号(オンライン版2010年9月16日号)掲載より。プラセボとの比較で、グルコサミン、コンドロイチン単独・併用の関節痛への効果を判定Wandel氏らは、関節痛とX線診断で股関節炎や膝関節炎の病勢進行が認められた症例に対し、グルコサミン、コンドロイチンを単独または併用の効果を判定することを目的に、ネットワーク・メタ解析を行った。Cochrane、Medline、Embaseなどの電子データベースを検索、および専門家へのヒアリング、関連ウェブサイトから適格試験を選定し、試験内直接比較を、異なるタイムポイントの統合を可能とするベイズモデルを使って、他の試験の間接エビデンスと結びつけた。主要アウトカムは疼痛強度とし、副次アウトカムは関節腔狭小化とした。製剤とプラセボとの臨床的に意義ある差異を示す最小値は、10cmビジュアル・アナログ・スケールで-0.9cmと事前特定された。疼痛強度、関節腔狭小化とも臨床的意義ある差異は認められず解析には、10試験・3,803例が含まれた。結果、10cmビジュアル・アナログ・スケールで、プラセボと比較して、疼痛強度の差異は、グルコサミン群は-0.4cm(95%信頼区間:-0.7~-0.1 cm)、コンドロイチン群は-0.3cm(同:-0.7~0.0 cm)、併用群は-0.5cm(同:-0.9~0.0 cm)だった。95%信頼区間値が、臨床的意義ある差異を示す最小値(-0.9)を越えたものはなかった。企業から資金提供を受けて行われた試験結果に比べて、独立して行われた試験では、より小さい効果量が示されていた(相互作用のP=0.02)。また副次アウトカムの関節腔狭小化の差異も、95%信頼区間値が0値に重なり合うほどわずかだった。(武藤まき:医療ライター)

380.

心筋梗塞のリスクがカルシウム・サプリメントで増大

 サプリメントとしてのカルシウムの使用(ビタミンDは併用しない)により、心筋梗塞のリスクが有意に増大することが、ニュージーランド・オークランド大学のMark J Bolland氏らが行ったメタ解析で判明した。カルシウムは高齢者の骨格系の健康維持を目的としたサプリメントとして一般的に用いられている。ところが、カルシウム・サプリメントは心筋梗塞や心血管イベントのリスクを増大させる可能性があることが、プラセボを対照とした無作為化試験で示唆されているという。BMJ誌2010年8月7日号(オンライン版2010年7月29日号)掲載の報告。カルシウム・サプリメントと心筋梗塞などの心血管イベントの関連をメタ解析 研究グループは、カルシウム・サプリメントと心血管イベントのリスク増大の関連の評価を目的に、患者レベルおよび試験レベルのデータに関してメタ解析を行った。 1966年~2010年3月までのデータベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials)などを用いて、100例以上、平均年齢40歳以上、試験期間1年以上のカルシウム・サプリメント(≧500mg/日)に関するプラセボ対照無作為化試験を抽出した。 これらの試験の筆頭著者からデータの提供を受け、心筋梗塞などの心血管アウトカムは患者自身の報告、入院記録、死亡診断書で確認した。心筋梗塞リスクがカルシウム・サプリメント群で約30%増大 15試験が適格基準を満たした。患者レベルのデータは5試験[8,151例、フォローアップ期間中央値3.6年(四分位範囲2.7~4.3年)]で得られ、試験レベルのデータは11試験(1万1,921例、平均試験期間4.0年)から得られた。 5試験の患者レベルのデータの解析では、心筋梗塞の発症はカルシウム・サプリメント群が143例と、プラセボ群の111例に比べリスクが有意に31%増加していた(ハザード比:1.31、95%信頼区間:1.02~1.67、p=0.035)。 脳卒中(ハザード比:1.20、95%信頼区間:0.96~1.50、p=0.11)、心筋梗塞/脳卒中/突然死の複合エンドポイント(同:1.18、同:1.00~1.39、p=0.057)、死亡(同:1.09、同:0.96~1.23、p=0.18)については有意なリスクの増大を認めなかった。 試験レベルのデータの解析でも同様の結果が示された。すなわち、心筋梗塞を発症した296例のうち、166例がカルシウム・サプリメント群で、プラセボ群は130例であり、リスクはサプリメント群で有意に27%増加していた(ハザード比:1.27、95%信頼区間:1.01~1.59、p=0.038)。 著者は、「カルシウム・サプリメント(ビタミンDの併用なし)は心筋梗塞のリスクを有意に増大させることが明らかとなった」と結論し、「この大きいとは言えない心筋梗塞のリスク増大も、カルシウム・サプリメントの使用の拡大に伴って、膨大な疾病負担をもたらす可能性がある。骨粗鬆症の治療におけるカルシウム・サプリメントの役割の再評価が急務である」と指摘する。

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