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食べるコラーゲン、UVBダメージ皮膚に効果

 コラーゲン加水分解物の摂取は、紫外線B波(UVB)照射によるダメージを受けた皮膚のバリア機能や弾力性(ハリ)に効果があることが、マウス試験の結果、示された。株式会社明治のChisato Oba氏ら同社研究チームが報告した。UVB照射は皮膚に深刻なダメージを引き起こす。コラーゲン加水分解物およびコラーゲンペプチドが皮膚機能に効果があることは、in vivoおよびin vitroの試験において示されていたが、UVBですでにダメージを受けた皮膚への効果についての検討は、ほとんど行われていなかった。Photodermatology, Photoimmunology & Photomedicine誌2013年8月号の掲載報告。 研究グループは、UVB照射を行い皮膚のバリア機能および弾力性が障害された無毛マウスに、コラーゲン加水分解物を与える実験研究を行った。 具体的には、マウスの背側皮膚にUVBを単回照射(20mJ/cm2)もしくは複数回照射(10~30mJ/cm2、週3回を6週間)し、コラーゲン加水分解物を経口にて投与した。両群マウスについて皮膚測定と組織検査を行い解析した。 主な結果は以下のとおり。・対照マウスにおいて、単回UVB照射は、経表皮水分蒸散量(TEWL)と表皮過形成の増加、および皮膚角層水分量の減少などの皮膚バリア機能障害を引き起こした。・コラーゲン加水分解物の投与は、有意にTEWLと皮膚肥厚を減少し、皮膚角層水分量を増大した。・UVB複数回照射は、対照マウスにおいては皮膚の弾力性と皮膚のヒアルロン酸(HA)を減少したが、一方でコラーゲン加水分解物を投与したマウスにおいては、TEWLの増加および皮膚角層水分量の減少のいずれをも有意に抑制し、皮膚の弾力性と皮膚のHA量を改善した。

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睡眠に関する記事 まとめ

 高知県四万十市で国内の観測史上最高の41℃が観測されるなど、2013年は例年にない猛暑に見舞われている。連日の熱帯夜に寝苦しい思いをされている方も多いのではないか。医学論文にも睡眠にまつわる文献が多数投稿されている。今回は睡眠に関する記事をまとめて紹介する。寝室での夜間光曝露がうつ病に関連 現代生活では夜間光曝露が増加しているが、夜間光曝露はサーカディアンリズム(生体の概日リズム)の変調に関連している。しかし、家庭における夜間光曝露がうつ病と関連しているかどうかは不明である。今回、奈良県立医科大学地域健康医学講座の大林 賢史氏らが高齢者を対象とした研究の横断解析を行った結果、一般の高齢者において自宅の夜間光曝露が抑うつ症状に有意に関連することが示唆され、寝室を夜間暗く保つことによってうつ病のリスクが低下する可能性が示された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月12日号に報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/35649境界性パーソナリティ障害と睡眠障害は密接に関連 Edward A. Selby氏は、境界性パーソナリティ障害(BPD)と睡眠障害の関連について、レトロスペクティブに検討を行った。その結果、BPDと睡眠障害との間に関連が認められ、両者が相互に悪影響を及ぼし合っている可能性が示唆された。これまで、BPDにおける慢性睡眠障害の状況を検討した研究は少なかった。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/35263閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と閉塞性肺疾患の有病率の関係は? 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と閉塞性肺疾患の有病率に関係はあるのか。OSAを有する成人患者とOSAのない成人患者において、COPD、喘息、COPDと喘息の合併、それぞれの有病率を検討した。http://www.carenet.com/news/population/carenet/35168メラトニン分泌の低下が2型糖尿病発症リスクを増大/JAMA メラトニン分泌の低下と2型糖尿病発症リスクの増大が独立して関連していることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のCiaran J. McMullan氏らが行った症例対照研究の結果で、夜間のメラトニン分泌低下とインスリン抵抗性の増大との関連も明らかになったという。メラトニンは体内時計のコントロール下にあり、一般的には夜間の就寝後3~5時間で分泌はピークに達し日中はほとんど産生されない。先行研究において、メラトニンの糖代謝における役割の可能性が示唆され、またゲノムワイド研究ではメラトニン受容体の機能喪失と2型糖尿病発症率との関連などが報告されていたが、メラトニン分泌と2型糖尿病との関連を前向きに検討した報告はなかった。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34333長距離ドライバーのカフェイン摂取、事故リスク減少と関連/BMJ 商業用自動車の長距離ドライバーにとって、お茶やコーヒー、カフェイン錠剤などの法的に認められているカフェイン添加物は、事故のリスクを6割強減少することが、オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のLisa N Sharwood氏らによる症例対照研究の結果、明らかになった。長距離ドライバーに関しては、疲労対策として違法な刺激物(コカインなど)の使用が知られる。一方で、カフェインは法的に認められた刺激物で広く消費されており、シミュレーションでは運転者の敏捷性や作業効率を亢進することが示されていたが、リアルワールドでの研究は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月18日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34105閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療、プライマリ・ケアでも提供可能/JAMA 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療について、プライマリ・ケアでの提供が、睡眠専門医療施設での提供に匹敵することが、オーストラリア・フリンダース大学のChing Li Chai-Coetzer氏らによる無作為化非劣性試験の結果、示された。睡眠障害への気づきと受診を促す啓発活動や肥満者の増大でOSA治療のために専門施設を受診する患者が増え、戦略的な外来治療への関心が高まってきている。プライマリ・ケア受診患者の約3分の1にOSAの疑いがあるとの報告もあり、Chai-Coetzer氏らは、適切な訓練と簡便なマネジメントツールで、プライマリ・ケアでのOSA治療が提供可能か本検討を行った。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告より。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33989ナルコレプシーのリスクが約16倍に、インフルワクチン接種の子ども/BMJ ASO3アジュバント添加パンデミックA/H1N1 2009インフルエンザワクチン(Pandemrix)の接種を受けた英国の子どもで、接種後6ヵ月以内に睡眠障害であるナルコレプシーを発症するリスクが約16倍に増大したことが、同国健康保護局(HPA)のElizabeth Miller氏らの調査で明らかとなった。2010年8月、フィンランドとスウェーデンで同ワクチンの接種とナルコレプシーの関連を示唆するデータが提示され、2012年にはフィンランドの疫学調査により、ワクチン接種を受けた小児/青少年でリスクが13倍に増大したことが判明した。現在、北欧諸国以外の国での検証が進められている。BMJ誌オンライン版2013年2月26日号掲載の報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33889統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か 統合失調症の研究では、臨床的な不均一性が混乱を招いていることを踏まえ、米国・ウェイン州立大学のNash N. Boutros氏らは、Deficit Syndrome(DS)を考慮した統合失調症の陰性症状集団の特定を試みた。統合失調症症候群に含まれる疾患として欠損型統合失調症(deficit schizophrenia)が提唱されており、欠損症候群診断基準(SDS;Scale for the Deficit Syndrome)の活用により持続的な陰性症状を特徴とするサブグループの特定が可能とされている。しかし長年にわたり、統合失調症の陰性症状集団の電気生理学的な相互作用を検討した研究は報告されているが、DSに焦点を当てた研究はごくわずかしかないのだという。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2013年2月21日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33732てんかん患者の50%以上が不眠症を合併! てんかん患者では睡眠障害が頻繁にみられるものの、不眠症とてんかんとの関係はほとんど明らかとなっていない。ボストン大学のMartina Vendrame氏らは、てんかん患者における睡眠状態に関して調査した。Journal of clinical sleep medicine誌オンライン版2013年2月1日号の報告。http://www.carenet.com/news/population/carenet/33636むずむず脚症候群と統合失調症、遺伝子の関連が示唆 脚がむずむずして眠れない、といった症状を呈するむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)。その原因は明らかになってはいないが、脳内のドパミン調節機能障害や鉄分の不足が大きく影響していると言われている。また、ゲノムワイド関連解析やいくつかのレプリケーション研究により、RLSとBTBD9遺伝子の一塩基多型との関連も示されている。韓国のSeung-Gul Kang氏らは抗精神病薬誘発性のRLSと統合失調症患者のBTBD9遺伝子多型との関連を調査した。Human psychopharmacology誌オンライン版2013年1月30日号の報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33516低用量ゾルピデム舌下錠、不眠症患者における中途覚醒後の入眠潜時を短縮 米国・ヘンリーフォード病院(デトロイト)のThomas Roth氏らは、中途覚醒後の入眠困難を訴える不眠症患者を対象に、新規低用量ゾルピデム舌下錠の有用性をプラセボと比較検討した。その結果、低用量ゾルピデム舌下錠は中途覚醒後の入眠潜時を有意に短縮することを報告した。Sleep誌2013年2月1日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/head/carenet/33494検証!統合失調症患者の睡眠状態とは 統合失調症患者では、睡眠状態に問題を抱えることがしばしば見られる。また、睡眠状態が統合失調症の各症状に影響を及ぼす可能性もある。ポルトガル・リスボン精神病院センターのPedro Afonso氏らは、睡眠パターンや睡眠の質、QOLに関して、統合失調症患者と健常者で違いがあるかを検討した。The world journal of biological psychiatry : the official journal of the World Federation of Societies of Biological Psychiatry誌オンライン版2013年1月15日号の報告。http://www.carenet.com/news/head/carenet/33323

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原発性骨髄線維症〔 primary myelofibrosis 〕

1 疾患概要■ 概念・定義原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis)は、造血幹細胞レベルで生じた遺伝子異常により骨髄で巨核球と顆粒球系細胞が増殖し、骨髄に広範な線維化を来す骨髄増殖性腫瘍である。本疾患は骨髄組織における異型性のある巨核球の過形成を伴う、広範かつ過剰な反応性の膠原線維の増生による造血巣の縮小と骨硬化、および脾腫を伴う著明な髄外造血を特徴とする。■ 疫学わが国における推定新規発症例は年間40~50例で、患者数は全国で約700人と推定される。本疾患は高齢者に多く、発症年齢中央値は65歳、男女比は1.96:1である。■ 病因原発性骨髄線維症の40~50%には、サイトカインのシグナル伝達に必須なチロシンキナーゼであるJAK2において、617番目のアミノ酸がバリンからフェニルアラニンへ置換(V617F)される遺伝子変異が生じ、JAK2の活性が恒常的に亢進する。その結果、巨核球が腫瘍性に増殖し、transforming growth factor-β(TGF-β)やosteoprotegerin(OPG)を過剰に産生・放出し、二次的な骨髄の線維化と骨硬化を生じるものと考えられる。JAK2以外には、c-MPL(トロンボポエチンのレセプター)に遺伝子変異を有する症例が5~8%存在し、ほかにはTET2、C-CBL、ASXL1、EZH2などの遺伝子変異が報告されている。■ 症状初発症状のうち最も多いのが動悸、息切れ、倦怠感などの貧血症状であり、40~60%に認められる。脾腫に伴う腹部膨満感、食欲不振、腹痛などの腹部症状を20~30%に認め、ときに臍下部まで達する巨脾を来すことがある。ほかには紫斑、歯肉出血などの出血傾向や、発熱、盗汗、体重減少が初発症状になりうる。一方、20~30%の症例は診断時に無症状であり、健康診断における血液検査値異常や脾腫などで発見される。■ 分類骨髄線維症は骨髄に広範な線維化を来す疾患の総称であり、骨髄増殖性腫瘍に分類される原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis)と、基礎疾患に続発する二次性骨髄線維症(secondary myelofibrosis)に分けられる。二次性骨髄線維症は、骨髄異形成症候群、真性多血症、原発性血小板血症などの血液疾患に続発することが多く、ほかには固形腫瘍、結核などの感染症、SLEや強皮症などの膠原病に続発することもある。本稿では原発性骨髄線維症を中心に述べる。■ 予後わが国での原発性骨髄線維症466例(1999~2009年)の後方視的な検討では、5年生存率38%、平均生存期間は3.4年である。しかし、原発性骨髄線維症の臨床経過は均一ではなく、症例間によるばらつきが大きい。わが国での主な死因は、感染症27%、出血6%、白血化15%である。2008年にInternational Working Group for Myelofibrosis Research and Treatmentから発表された予後不良因子と、後方視的に集積したわが国での70歳以下の症例を用いた特発性造血障害に関する調査研究班(谷本ほか)による解析を表1に示す1,2)。画像を拡大する2 診断 (検査・鑑別診断も含む)増殖した巨核球や単球から産生される種々のサイトカインが骨髄間質細胞に作用し、骨髄の線維化、血管新生および骨硬化、髄外造血による巨脾、無効造血、末梢血での涙滴状赤血球(tear drop erythrocyte)の出現、白赤芽球症(leukoerythroblastosis)などの特徴的な臨床症状を呈する。骨髄穿刺の際、骨髄液が吸引できないことが多く(dry tap)、このため骨髄生検が必須であり、HE染色にて膠原線維の増生を、あるいは鍍銀染色にて細網線維の増生を証明する。2008年のWHO診断基準を表2に示す。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)低リスク群は支持療法のみでも長期の生存が期待できるために、無症状であればwatchful waitingの方針が望ましい。中間群および高リスク群では、適切なドナーが存在する場合には、診断後早期の同種造血幹細胞移植を念頭に治療にあたる。■ 薬物療法症状を有する低リスク群、移植適応のない中間群および高リスク群では、貧血や脾腫の改善などの症状緩和を期待して薬物療法を選択する。蛋白同化ホルモンであるダナゾール(商品名: ボンゾール:600mg/日)や酢酸メテノロン(同: プリモボラン:0.25~0.5mg/kg/日)は、30~40%の症例で貧血改善に有効である。少量メルファラン(同:アルケラン、1日量2.5mg、週3回投与)、サリドマイド(同:サレド、50mg/日)+プレドニゾロン(0.5mg/kg/日)、レナリドミド(同:レブラミド、5~10mg/日、21日間投与、7日間休薬)+プレドニゾロン(15~30mg/日)は、貧血、血小板減少、脾腫の改善効果が報告されている(保険適用外)。■ 脾臓への放射線照射・脾臓摘出脾腫に伴う腹部症状の改善を目的に脾臓への放射線照射を行うと、93.9%に脾腫の縮小が認められ、その効果は平均6ヵ月(1~41ヵ月)持続した。主な副作用は血球減少であり、23例中10例(43.5%)に出現した。脾摘に関しては、脾腫による腹部症状の改善や貧血に対し効果が認められているが、周術期の死亡率が9%と高く、合併症も31%に生じていることから、適応は慎重に判断すべきである。■ 同種造血幹細胞移植原発性骨髄線維症は薬物療法による治癒は困難であり、同種造血幹細胞移植が唯一の治癒的治療法である。しかし、移植関連死亡率は27~43%と高く、それに伴い全生存率は30~40%前後にとどまっている。治療関連毒性がより少ない骨髄非破壊的幹細胞移植(ミニ移植)は、いまだ少数例の検討しかなされておらず長期予後も不明ではあるが、移植後1年の治療関連死亡は約20%、予測5年全生存率も67%であり、期待できる成績が得られている。現時点では、骨髄破壊的前治療と骨髄非破壊的前治療のどちらを選択すべきかの結論は出ておらず、今後の検討課題である。4 今後の展望今後、わが国での臨床試験を経て実地医療として期待される治療としては、pomalidomide、JAK2阻害薬などがある。新規のサリドマイド誘導体であるpomalidomideの第II相試験が行われており、pomalidomide(0.5mg/日)+プレドニゾロン投与により、22例中8例(36%)に貧血の改善がみられた。現在開発中のJAK2阻害薬であるINCB018424(Ruxolitinib)は、腫瘍クローンの著明な減少・消失は来さないものの、脾腫の改善、骨髄線維症に伴う自覚症状の改善がみられている。ただし、生命予後の改善効果の有無は、今後の検討課題である。わが国での臨床試験が待たれる薬剤として、ほかにはCEP-701(Lestautinib)、TG101209などがある。5 主たる診療科血液内科、あるいは血液・腫瘍内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)特発性造血障害調査に関する調査研究班(診療の参照ガイドがダウンロードできる)1)Cervantes F, et al. Blood. 2009; 113: 2895-2901.2)Okamura T, et al. Int J Hematol. 2001; 73: 194-198.

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境界性パーソナリティ障害と睡眠障害は密接に関連

 Edward A. Selby氏は、境界性パーソナリティ障害(BPD)と睡眠障害の関連について、レトロスペクティブに検討を行った。その結果、BPDと睡眠障害との間に関連が認められ、両者が相互に悪影響を及ぼし合っている可能性が示唆された。これまで、BPDにおける慢性睡眠障害の状況を検討した研究は少なかった。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。 睡眠と感情の制御およびストレス管理との関連を明らかにしてこれらの関係を立証することは、現在の治療の向上につながりうる。本研究で著者は、パーソナリティ障害と睡眠障害について評価しているNational Comorbidity Survey-Replication(NCS-R)Part IIの母集団(Kessler & Merikangas、2004のデータ[5,692例])を解析し、慢性睡眠障害の程度(入眠困難、睡眠維持困難、早期覚醒)と、その結果としての浅眠について検討した。 慢性的な健康の問題、Axis Iの合併症、過去1年間の自殺企図および社会人口統計学的な項目を踏まえたうえで、BPDの診断項目と症状を用いてロジスティックおよび線形回帰解析を行い、睡眠と関連する問題の予測を行った。 主な結果は以下のとおり。・BPDは、慢性の睡眠に関連する3つの問題すべてと有意に関連しており、その結果として不眠症とも関連していた。・BPDと睡眠の問題との関連の程度は、従来より示されているAxis I障害と睡眠の問題との関連の程度に匹敵するものであった。・BPDの症状は慢性の睡眠の問題と相互に作用し、社会的/感情障害、認知障害、自己管理障害に関連していることが予測された。・以上より著者は、「睡眠障害とBPD症状との間には一貫した関連がみられ、日中の浅眠につながっている。そして浅眠によりBPD症状が悪化するという悪循環が、高レベルの機能障害につながっている」とまとめ、「BPD患者の睡眠状況を日常的に評価すべきであり、慢性の睡眠問題の解決は、感情コントロールの改善、治療スキルの実施を通して治療の向上につながる可能性がある」と考察している。関連医療ニュース 境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには 双極性障害の自殺予防に求められるのは・・・ 検証!統合失調症患者の睡眠状態とは

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脳卒中およびTIAのリスク評価に有効な新アルゴリズム「Q Strokeスコア」/BMJ

 英国・パーク大学のJulia Hippisley-Cox氏らは、脳卒中やTIA非既往の一般集団の同リスクを推定するための新たなアルゴリズム「Q Strokeスコア」を開発した。同スコアは、プライマリ・ケアで用いることを目的としたもので、従来のCHADS2などと比較検証した結果、より有効であることを報告した。特に抗凝固療法が必要となる可能性がある心房細動を有する患者においてリスクスコアを改善することが示された。今後は、プライマリ・ケアでの使用に値するのか費用対効果の検証が必要であるとまとめている。BMJ誌オンライン版2013年5月2日号掲載の報告より。初発脳卒中を定量化することを目的とした新たなアルゴリズム CHADS2やCHA2DS2VAScなどは統計学的モデルに基づいたものではなく、確立したリスク因子が少なく、脳卒中の絶対推定リスクを提供できるものではないことから、研究グループは、新たなリスクアルゴリズムの開発を試みた。 新たなアルゴリズムは、初発脳卒中を定量化することを目的としたもので、心血管疾患アルゴリズム「QRISK2」を参考にデザインした。 本検討では、新たに開発した「Q Stroke」について、(1)心房細動患者においてCHADS2およびCHA2DS2VAScスコアとの比較を行うこと、(2)脳卒中またはTIAを有さない一般集団においてフラミンガム脳卒中スコアと比較したパフォーマンスを調べることを目的とした。 アルゴリズムの開発は、全英QResearchデータベースにリンクしているイングランドとウェールズの451人の開業医(GP)のデータに基づき行われ、検証は同データベースから異なる225人のデータを用いて行った。 主要評価項目は、フォローアップ中のGPの脳卒中またはTIA発生の診断記録あるいは死亡診断記録とした。Q Strokeアルゴリズムは心房細動患者についても従来スコアよりも識別を改善 開発コホートには、25~84歳の350万人の患者、計2,480万人・年が組み込まれた。脳卒中イベント件数は7万7,578件であった。検証コホートには、25~84歳の190万人の患者、計1,270万人・年が組み込まれた。試験登録時に、脳卒中またはTIAの既往がある患者、経口抗凝固薬の処方記録がある患者は除外した。 リスク因子は、「自己申告の人種」「年齢」「性」「喫煙状態」「収縮期血圧」「血清総コレステロール/HDL比」「BMI」「冠動脈心疾患の家族歴(一親等60歳未満)」「タウンゼンドうつ病スコア」「高血圧症治療歴」「1型糖尿病」「2型糖尿病」「腎疾患」「関節リウマチ」「冠動脈心疾患」「うっ血性心不全」「心臓弁膜症」「心房細動」の有無とした。 結果、Q Strokeアルゴリズムにより、脳卒中非既往の女性では57%、男性では55%の生存データに関する変動が示された。 D統計値は、女性2.4、男性2.3で、識別が改善されたことが明らかになった。 脳卒中非既往患者においてフラミンガムスコアと比較して、QStrokeはすべての識別および検定において改善が示された。 心房細動患者においては、QStrokeの識別能は低かったが、CHADS2およびCHA2DS2VAScよりもすべての識別指標についてパフォーマンスの改善が示された。

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治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は?

 双極性障害患者では認知機能障害を呈することが少なくないが、これらの関係については十分に報告されていない。Ute Kessler氏らは、治療抵抗性の双極性障害I型およびII型の患者における、神経認知障害を評価した。その結果、認知障害はII型と比べてI型患者でより多く、とくに処理速度に関する障害の頻度が高かった。所見を踏まえて著者は「本結果は、臨床家は、とくに双極性障害I型の治療抵抗性の患者において神経認知障害が重度であることに留意すべきであることを示すものである」と述べている。BMC Psychiatryオンライン版2013年4月号の掲載報告。 本研究は、治療抵抗性の急性双極性障害が認められた入院患者の神経認知プロファイルを評価し、同I型とII型患者の神経認知について比較を行い、人口統計学的および臨床的疾患特性と認知機能との関連を特定することを目的とした。DSM-IV-TRで大うつ病エピソードが認められた急性期の双極性障害I型(19例)と同II型(32例)の入院患者について、MATRICS Consensus Cognitive Battery(MCCB)、Wechsler Abbreviated Scale of Intelligence(WASI)、National Adult Reading Testなどで評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・神経認知障害は、MCCBの全評価において双極性障害I型およびII型の患者で明らかであった。・すべてのMCCB測定スコアが、II型群よりI型群で低値であった。あるカテゴリーについて名詞をどれだけ言えるか(category fluency)についての測定スコアは有意差が認められた。・I型患者の68.4%で、2つ以上の領域で障害(標準平均値より>1.5 SD低下)がみられ、これはII型患者の37.5%と比べて有意に多かった(p=0.045)。・発症前から直近にかけてのIQ低下は、I型患者では有意であったが、II型患者では有意ではなかった。・年齢が高いと、神経認知障害は年齢調整後標準値に比して大きかった。関連医療ニュース ・難治性双極性障害患者への併用療法は? ・双極性障害の再発予防に対し、認知療法は有効か? ・双極性障害の治療アドヒアランスを改善するには?

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閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療、プライマリ・ケアでも提供可能/JAMA

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療について、プライマリ・ケアでの提供が、睡眠専門医療施設での提供に匹敵することが、オーストラリア・フリンダース大学のChing Li Chai-Coetzer氏らによる無作為化非劣性試験の結果、示された。睡眠障害への気づきと受診を促す啓発活動や肥満者の増大でOSA治療のために専門施設を受診する患者が増え、戦略的な外来治療への関心が高まってきている。プライマリ・ケア受診患者の約3分の1にOSAの疑いがあるとの報告もあり、Chai-Coetzer氏らは、適切な訓練と簡便なマネジメントツールで、プライマリ・ケアでのOSA治療が提供可能か本検討を行った。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告より。同一の介入について6ヵ月時点の睡眠障害改善を専門施設と比較 先行研究では、専門施設でのOSAの外来治療について、受診治療と自宅でのモニタリングおよび自動持続的気道陽圧法(CPAP)による治療との比較は行われている。しかしそうした外来アプローチについて、プライマリ・ケアでの提供の可能性については不明であった。 Chai-Coetzer氏らは本検討で、簡易診断・ケアモデルの効果とコストについて、プライマリ・ケアと、専門医がいる睡眠医療センターとを比較することを目的とした。コストについては本試験限定とした。 対象は、2008年9月~2010年6月の間、南オーストラリア州の州都アデレードと同州3つの地方都市のプライマリ・ケア施設(16のプライマリ・ケアクリニックと5つの地域看護師クリニック)で治療を受けたOSA患者81例と、アデレードの大学病院で治療を受けたOSA患者74例の合計155例であった。両群ともに、CPAP、OSA治療用マウススプリント(mandibular advancement splints)、保存療法のみの計画で介入を受けた。 主要アウトカムは、Epworth Sleepiness Scale(ESS)スコア[範囲:0(日中に眠気がない)~24(日中の眠気が高レベル)]の6ヵ月間の変化とした(非劣性マージン-2.0)。副次アウトカムは疾患特異的・一般的QOL、OSA症状、CPAP使用のアドヒアランス、患者満足度、医療コストなどだった。ESSスコアの平均変化値に有意差なし 結果、6ヵ月時点のESSスコアは両群とも大きく改善していた。プライマリ・ケア群は、平均スコアがベースラインの12.8から7.0に減少し(p<0.001)、専門医群は同12.5から7.0へ減少した(p<0.001)。ESSスコアの補正後の平均変化値は、プライマリ・ケア群は5.8であり、専門医群の同値5.4に対して非劣性であることが示された(補正後格差:-0.13、95%信頼区間下限値:-1.5、p=0.43)。 副次アウトカムについても両群間で有意な差はなかった。 ただし、試験途中での脱落が、プライマリ・ケア群で17例(21%)、専門医群で6例(8%)みられた。

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グルタミン酸トランスポーター遺伝子と統合失調症・双極性障害の関係

 米国・ニューヨーク州立大学SUNYアップステート医科大学のMarina Myles-Worsley氏らは、統合失調症と双極性障害の間に遺伝的な重複がみられることに着目し、グルタミン酸トランスポーター遺伝子であるSLC1A1遺伝子変異について検討を行った。その結果、SLC1A1遺伝子の欠失が認められ、家系内で共分離していることを報告した。American Journal of Medical Genetics Part B: Neuropsychiatric Genetics誌2013年3月号(オンライン版2013年1月22日号)の掲載報告。 統合失調症と双極性障害の間に遺伝的な重複がみられるというエビデンスが蓄積されており、疾患発症リスクに大きな影響を及ぼす原因変異は、従来から診断の境界とされる部分とクロスしている可能性が示唆される。研究グループは、多世代にわたり統合失調症と双極性障害の両方を有する家系は、背景にある遺伝子破壊の自然経過およびその表現型を明らかにできるため、疾患の発症に関連する共通の生物学的経路を明らかにするうえで有意義な対象であるとして、本検討を行った。5世代のパラオ人家系が保有する遺伝子コピー変異としてしばしば特定される、グルタミン酸トランスポーター遺伝子「SLC1A1遺伝子」の欠失について検討を行った。家系内の21人の検体を用いて定量PCR法を実施した。 主な結果は以下のとおり。・精神障害を有する7人全員で遺伝子欠失を確認した。内訳をみると、「両親が絶対保因者」が3人、「表現型を有さない兄弟姉妹」が1人、「両親が非保因者」が4人であった。・常染色体優性モデルを用いた連鎖解析により、LOD値3.64という結果が得られ、精神障害者においては遺伝子欠失が共分離していることが判明した。・遺伝子欠失の正確な局在を明らかにするため、1人の欠失保因者に対して次世代シーケンスデータ配列を用い、PCR産物であるアンプリコンすべての欠失遺伝子座を評価して正確な欠失エンドポイントを決定した。・その結果、欠失spanは84,298 bpであり、翻訳開始部位の全プロモーター領域が欠落していることが示唆された。その部位は、タンパク質を構成する59アミノ酸の先端であり、グルタミン酸輸送作用を示すドメインの1つである膜貫通Na2+/ジカルボキシル酸共輸送体ドメインを含んでいた。・機能的に関連するSLC1A1変異の発見と、多世代にわたり共分離がみられる家系の存在は、精神障害の病態生理においてグルタミン酸伝達が重要な役割を果たしていることをさらに支持する知見と言えた。関連医療ニュース ・グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性 ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」 ・グルタミン酸作動性システムは大うつ病の効果的な治療ターゲット

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統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か

 統合失調症の研究では、臨床的な不均一性が混乱を招いていることを踏まえ、米国・ウェイン州立大学のNash N. Boutros氏らは、Deficit Syndrome(DS)を考慮した統合失調症の陰性症状集団の特定を試みた。統合失調症症候群に含まれる疾患として欠損型統合失調症(deficit schizophrenia)が提唱されており、欠損症候群診断基準(SDS;Scale for the Deficit Syndrome)の活用により持続的な陰性症状を特徴とするサブグループの特定が可能とされている。しかし長年にわたり、統合失調症の陰性症状集団の電気生理学的な相互作用を検討した研究は報告されているが、DSに焦点を当てた研究はごくわずかしかないのだという。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2013年2月21日号の掲載報告。 研究グループは、PubMedおよびMedlineにて、「陰性症状」および「Deficit Syndrome」、電気生理学的評価ツール(「脳波検査(EEG)」「Evoked Potentials(EPs)」「睡眠ポリグラフ(PSG)」のうち1つ)が、インデックスとして付けられているすべての研究報告を検索した。 主な知見は以下のとおり。・この研究はまだ揺籃期にあるが、2つの有意な傾向が明らかになった。・第1に、EEGのスペクトル研究により、覚醒中の徐派(slow wave)活性の増大と陰性症状の有病率が結び付くこと。・第2に、睡眠研究が、徐波睡眠(slow-wave sleep)の減少と陰性症状の有病率との関連を示していることである。・また、数例の研究で陰性症状とα派活性の低下との関連も示されていた。・感覚情報のゲーティングやP300 attenuationなどその他の異常については、ほとんど報告がなかった。・DSの電気生理学的特性を対象としていた研究は2件であった。いずれの研究も、DSは統合失調症とは異なる疾患であり、単なる重症型ではない可能性を示唆するエビデンスが示されていた。関連医療ニュース ・抗精神病薬投与前に予後予測は可能か? ・長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与 ・統合失調症患者の再発を予測することは可能か?

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てんかん患者の50%以上が不眠症を合併!

 てんかん患者では睡眠障害が頻繁にみられるものの、不眠症とてんかんとの関係はほとんど明らかとなっていない。ボストン大学のMartina Vendrame氏らは、てんかん患者における睡眠状態に関して調査した。Journal of clinical sleep medicine誌オンライン版2013年2月1日号の報告。 対象はてんかん患者152例(平均年齢:46歳)。目的は(1)てんかん患者における不眠症の有病率や程度を分析する(2)臨床的特徴と不眠症との相関を調査する(3)質の低い睡眠がQOLに及ぼす影響を検討する。調査項目は不眠重症度評定尺度、ピッツバーグ睡眠質問票、ベック抑うつ質問票、てんかん患者用QOL質問票(QOLIE-31)によるQOL評価とした。除外対象は閉塞性睡眠時無呼吸症候群など他の睡眠障害を有する患者。年齢、てんかんの罹病期間、抗てんかん薬の数、併存疾患、抑うつスコアで調整し、回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・てんかん患者の半数以上(55%)は不眠症であった。また、70%以上の患者は睡眠の質が低下していた。・不眠症や睡眠の質の低下は、抗てんかん薬の数や抑うつスコアと有意な相関が認められた。・不眠症や睡眠の質の低下は、QOL低下の有意な予測因子であった(共変量にて調整)。・これらの結果から、てんかん患者では、不眠症や睡眠の質の低下を有しており、QOLに悪影響を与えることが示唆された。・さらなる研究により、てんかん患者における睡眠の改善が発作のコントロールやQOL向上につながるかを検討する必要がある。関連医療ニュース ・検証!統合失調症患者の睡眠状態とは ・不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは ・睡眠薬、長期使用でも効果は持続

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低用量ゾルピデム舌下錠、不眠症患者における中途覚醒後の入眠潜時を短縮

 米国・ヘンリーフォード病院(デトロイト)のThomas Roth氏らは、中途覚醒後の入眠困難を訴える不眠症患者を対象に、新規低用量ゾルピデム舌下錠の有用性をプラセボと比較検討した。その結果、低用量ゾルピデム舌下錠は中途覚醒後の入眠潜時を有意に短縮することを報告した。Sleep誌2013年2月1日号の掲載報告。ゾルピデム舌下錠は中途覚醒後の入眠潜時を短縮するとともに睡眠の質を改善 本研究は、中途覚醒後の入眠困難に対するゾルピデム酒石酸塩舌下錠3.5mgの有効性と安全性を評価することを目的に実施された多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であった。対象は、原発性不眠症で中途覚醒後の入眠困難を訴える成人295例(年齢中央値43歳、女性が68.1%)であり、スクリーニング期間中、1週間に3回以上の中途覚醒を認める患者を適格とした。2週間の単盲検プラセボ適格期間終了後、中途覚醒時にゾルピデム酒石酸塩舌下錠3.5mg を頓用する群とプラセボを頓用する群に1対1に無作為化し、28日間観察した。自動音声応答システムを用いて試験薬の服用状況を判定し、有効性評価項目として睡眠/覚醒を記録した。 ゾルピデム舌下錠の有用性をプラセボと比較検討した主な結果は以下のとおり。・4週間にわたり、ゾルピデム酒石酸塩舌下錠群の入眠潜時(ベースライン時:68.1分、試験薬服用:38.2分)は、プラセボ群(ベースライン時:69.4分、プラセボ服用:56.4分)に比べ有意に短かった(p<0.0001)。・4週間のうち試験薬が服用された日数の割合は、ゾルピデム酒石酸塩舌下錠群が62%、プラセボ群が64%であった。・ゾルピデム酒石酸塩舌下錠群において、夜間に使用した場合は使用しなかった場合に比べ、朝の眠気/覚醒の状況が有意に良好であった(p=0.0041)。・有害事象は概して軽度で、発現頻度は両群で同程度であった(19.3%)。治療関連の重篤な有害事象は認められず、プラセボ群の1例で試験中止に至る有害事象が出現した。・試験期間を通して増量された例はなかった。・ゾルピデム酒石酸塩舌下錠3.5mgの頓用は中途覚醒後の入眠潜時を短縮するとともに睡眠の質を改善し、忍容性も良好であった。関連医療ニュース ・不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは ・夢遊病にビペリデンは有望!? ・慢性不眠症患者の中途覚醒の原因は?

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月1回のペギネサチド、週1~3回のエポエチンに非劣性/NEJM

 貧血を伴う血液透析患者に対し、赤血球造血刺激因子製剤(ESA製剤)のペギネサチド(本邦未承認)の月1回投与が、エポエチン週1~3回の投与と同程度の効果であることが明らかにされた。米国・Hofstra North Shore–LIJ School of MedicineのSteven Fishbaneらが第3相オープンラベル無作為化試験「EMERAL1、2」を行った結果、報告した。NEJM誌2013年1月24日号掲載より。ペギネサチド月1回投与とエポエチン週1~3回投与を比較 研究グループは、血液透析患者1,418例を対象にした、2つのオープンラベル無作為化試験(EMERAL 1:693例、EMERAL 2:725例)を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはペギネサチドを月1回投与し、もう一方の群には継続してエポエチンを週1~3回投与した。投与量は、ヘモグロビン値を10.0~12.0g/dLに維持するように調節し、52週以上継続した。 主要エンドポイントは、試験開始時のヘモグロビン値から評価期間(29~36週)の平均ヘモグロビン値への変化量の平均値とした。 また、心血管イベントに関する安全性について、EMERAL 1、2と、血液透析をしていない患者を対象にした別の2つの試験を併せて評価した(被験者総数2,591例)。同安全性評価に関するエンドポイントは、総死亡、心筋梗塞と、うっ血性心不全、不安定狭心症、不整脈による重度有害事象の複合とした。安全性に関する複合イベント発生リスクも、有害事象リスクも同等 その結果、ペギネサチドはエポエチンと比較してヘモグロビン値の維持について、事前に規定した基準により非劣性であることが認められた。主要エンドポイントのヘモグロビン値の平均群間差は、EMERAL 1が-0.15g/dL(95%信頼区間:-0.30~-0.01)、EMERAL 2が0.10g/dL(同:-0.05~0.26)だった。 また安全性に関する複合エンドポイント発生率も、非透析患者も合わせた4試験の結果では、ペギネサチド群22.3%に対し、エポエチン群21.6%と、ハザード比は1.06(同:0.89~1.26)だった。EMERAL1、2の結果では、同ハザード比は0.95(同:0.77~1.17)だった。 有害事象、重度有害事象の発生率も、EMERAL試験の各治療群で同程度だった。プールコホート解析でも、心血管安全性についてペギネサチドと対照ESAは同程度であった。

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不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは

 不眠症の人にはリラクゼーショントレーニングが推奨されるが、実際にどのように利用されているのかは明らかとなっていない。米国・ハーバードメディカルスクールのSuzanne M. Bertisch氏らは、不眠症の米国成人が、どのようなリラクゼーション法や補完代替医療(CAM)を利用しているのかについて、全米調査の結果を解析した。その結果、リラクゼーション法やCAMの利用はあるが、不眠症のために利用している人は少ないことが判明したという。結果を踏まえて著者は、「リラクゼーション法についてディカッションを促すことが、不眠症のための利用を促進することにつながるのではないか」と提案している。Journal of Clinical Sleep Medicine誌2012年12月15日号の掲載報告。 研究グループは、不眠症の人のリラクゼーション法およびCAMの利用パターンと、それを利用している理由を調べるため、2007全米健康インタビューサーベイ(2万3,358人)の結果を分析した。サーベイで不眠症を申告した成人(4,415人)を有病者と推定し、リラクゼーション法などの利用状況・理由や医療関係者に自分の利用状況を開示しているかについて調べた。ロジスティック回帰分析にて、リラクゼーション法およびCAMの利用と不眠症状との補正後関連を評価した。 主な内容は以下のとおり。・不眠症を申告した4,415人のうち、23%がリラクゼーション法を、45%がCAMを利用していた。・不眠症を申告した人は申告しなかった人よりも、リラクゼーション法(補正後OR:1.48、95%CI:1.32~1.66)やCAM(同:1.29、1.15~1.44)の利用傾向が高かった。・最もよく利用されていたリラクゼーション法は、深呼吸エクササイズであった。・不眠症緩和を目的にCAMを利用している不眠症の人は、2%足らずであった。・不眠症の人で、医療関係者に自分が利用しているリラクゼーション法を開示している人は26%のみであった。・リラクゼーション法の利用傾向が低い不眠症の人は、男性、低教育レベル、低身体活動度、収入2万ドル未満、南部に居住、高血圧の人であった。関連医療ニュース ・慢性不眠症患者の中途覚醒の原因は? ・夢遊病にビペリデンは有望!? ・睡眠薬、長期使用でも効果は持続

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慢性不眠症患者の中途覚醒の原因は?

 これまで、慢性不眠症患者の中途覚醒の原因調査はほとんど行われていなかった。この度、米国・Sleep and Human Health InstituteのBarry Krakow氏らが慢性不眠症患者を前向きに調査した結果、報告した。Sleep誌2012年12月1日号の掲載報告。 調査は、地域密着型の民間睡眠医療センターで、不眠症患者を対象に、中途覚醒の原因を主観的および客観的に、前向きに評価し行われた。対象は、2008年4月~2010年2月の間に登録された慢性不眠症患者(不眠症疾患診断基準を満たす)20例、これまで睡眠専門医や睡眠検査の受診歴がなく、睡眠を障害する典型的な呼吸器症状もみられなかった患者である。被験者の不眠症、眠気、機能障害、不安、うつ症状、QOLについて規定スケールで評価し、覚醒に関する主観的理由をインタビューで評価するとともに、覚醒や不眠の誘発について客観的に評価した。 主な内容は以下のとおり。・主観的および客観的データは、臨床的に認められる不眠症の存在(主に睡眠維持障害)を示した。・自己申告による覚醒理由のうち、最も頻度が高かったのは、「原因不明(50%)」であり、次いで「悪夢(45%)」「夜間頻尿(35%)」「寝室が騒がしい(20%)」「疼痛(15%)」であった。また、呼吸器症状が原因であると回答した患者はいなかった。・客観的評価では、全サンプルから531件の覚醒エピソードが観察され、478件(90%)において睡眠時の呼吸イベント(無呼吸、低呼吸、呼吸努力に関連したイベント)が認められた。その他の覚醒因子は下肢の痙攣(7例)、特発性(14例)、ラボ誘発性(32例)であった。・5分間以上の覚醒(不眠エピソードの傾向といえる)は30例で、いずれも呼吸イベントに続いてみられた。関連医療ニュース ・睡眠薬、長期使用でも効果は持続 ・夢遊病にビペリデンは有望!? ・睡眠時間が短いと脂質異常症のリスク上昇―日本の男性労働者を対象とした研究―

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Dr.岡田の膠原病大原則

第1回「超単純!膠原病診療(前編)」第2回「超単純!膠原病診療(後編)」第3回「膠原病を見逃さない日常診療」〜患者さんの100人に1人は膠原病を持っています 第1回「超単純!膠原病診療(前編)」膠原病というと、「自分には関係がない」とか、「面倒だな」などと思っていないでしょうか。しかし、不明熱や関節炎のみならず、ちょっとした日常の血液検査異常、腰痛、痒くない皮疹から不定愁訴と疑われる症例まで、あらゆるところに膠原病は隠れているため、いつ出合ってもおかしくありません。そこで、膠原病20種類以上をまず整理します。第1回は、膠原病全体を、抗核抗体関連膠原病、血管炎、脊椎炎関連疾患に大きく分け、抗核抗体をいつオーダーし、どのように判断すべきかといった点から臨床的に役立つ方法で解説します。これまで何度読んでも頭に残らなかった膠原病をマスターしましょう!第2回「超単純!膠原病診療(後編)」後編は、膠原病全体を病態生理の観点から整理します。膠原病のそれぞれの核となる主役を知れば、診断も治療も自然と見えてきます。例えば「膠原病」とひとくくりに病態を考えるのではなく、SLEはB細胞、筋炎はT細胞、ANCA関連血管炎は好中球とマクロファージ、ベーチェットは好中球、全身性硬化症は筋線維芽細胞と大まかに分けてみます。そうすると、膠原病だからといって、安易に全身性硬化症にはステロイドを使ってはいけないことが自然と感覚的にわかります。そして、血管炎についても超単純化してお送りします。その症状は血管が破れる(出血)か潰れる(虚血)かのいずれかですが、次に、それがどの大きさの血管で起こっているのかが分かれば診断は簡単です。次回からの実践編に備えて、しっかり基本を理解しておきましょう!第3回「膠原病を見逃さない日常診療」〜患者さんの100人に1人は膠原病を持っています少なくとも100人に1人の疾患者に潜んでいるといわれる膠原病。しかし多くの場合は、複数の医療機関を経てから、数ヵ月、数年かかってようやく診断されている実状があります。膠原病に詳しい医師が赴任した途端に、一般内科外来で膠原病の診断が数倍に増えたというのは、決して患者が急に増えたわけではなく、何年も見逃されていただけに過ぎないのです。腎臓が悪くなったり、肺高血圧が進んだりしてから診断をつけるのでは遅すぎます。第3回では、日常診療で行う問診や一般的な血液検査で、膠原病を見逃さないコツをマスターしていただきます。先ずは、血算と白血球分画、血沈、CRPから始めます。

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Dr.岡田の膠原病大原則

第7回「実践!ステロイドの有害事象対策」第8回「大胆解説!欧州リウマチ学会SLE診療指針」第9回「手で診断!日常診療で膠原病を見逃すな」 第7回「実践!ステロイドの有害事象対策」「ステロイドの副作用を10個挙げなさい」。指導医がよくする質問のひとつですが、大切なのは副作用を予防するための適切な対策を取ることです。そのためには、どの副作用がいつ出現しやすいかを理解すること、そして有害事象に対する検査を適切に行い、検査値を正しく解釈することが必要です。 今回は、一歩進んだ骨粗鬆症対策として、実際のDXA(二重エネルギーX線吸収法)の読み方のコツに加え、消化器、心臓血管、免疫、眼、皮膚、内分泌・代謝、精神神経、皮膚の副作用に関して、実践的な視点から解説します。 本当は防げたかもしれないステロイドの有害事象で後悔しないために、ルーチン対策をもう一度しっかりと押さえておきましょう!第8回「大胆解説!欧州リウマチ学会SLE診療指針」自己免疫疾患は、膠原病のみならず、消化器内科、内分泌科、神経内科など多くの診療科で見受けられます。全身型自己免疫疾患の代表であるSLEの病態をしっかり把握することによって、臓器別自己免疫疾患に関しても理解を深められます。 今回は、臨床医が知っておくと役立つ免疫系の仕組みを、豊富な図とともに解説。そして、SLEの症例を用いながら、2008年に出された欧州リウマチ学会のSLE診療指針に沿って詳しく見ていきます。 これまでは断片的に理解されがちだった臨床免疫を、明快で二度と忘れないビジュアル免疫学としてマスターしましょう!また、ループス腎炎を例に、臨床医として即役立つ腎臓疾患の考え方について、単純化した図解でお届けします。第9回「手で診断!日常診療で膠原病を見逃すな」手を見て診断をつけられる膠原病は実はたくさんあります。爪周囲紅斑、爪床毛細血管異常、爪上皮延長、ゴットロン徴候、強皮などは、臨床症状と組み合わせれば特異度の高い所見となります。皮膚筋炎、全身性硬化症は決して珍しい疾患ではないのです。 また早期診断で、間質性肺炎、肺動脈性肺高血圧症を発見し、早期治療できれば予後が改善します。特発性と思われていた間質性肺炎が治療に反応の良い膠原病肺であったり、年のせいだと思っていた息切れが肺高血圧症であったり。有効な治療が確立した現在では、早期診断は患者さんのQOLに大きく影響します。 「何かおかしい」と思った時は、“絨毯爆撃検査”をする前に身体所見で検査前確率をアップさせましょう

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Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線  -膠原病シリーズ-

「膠原病 case1」―84歳男性・・退院間近の不明熱―「膠原病 case2」―70歳女性・・上気道症状と不明熱―「膠原病 case3」―68歳男性・・紫斑を伴う不明熱― 「膠原病 case1」 ―84歳男性・・退院間近の不明熱―おなじみの岸本先生を迎えて、膠原病とその関連疾患による不明熱を検証していきます。「不明熱の5人に1人は膠原病」と言われるように、原因としては比較的高率な膠原病についての知識は不明熱を考える上で欠かすことができません。膠原病と言えば“リウマチ因子”“抗核抗体”“ANCA”などの検査を思い浮かべる方も多いと思いますが、まずは「丁寧な病歴聴取と身体診察が重要」と岸本先生は力説しています。また、関節炎を伴う不明熱の考え方も合わせて解説します。「膠原病 case2」 ―70歳女性・・上気道症状と不明熱―もしかしたら膠原病かも知れない不明熱・・・。そんなとき、専門医に紹介する前にできることがあります。もちろん診断には専門的な検査が必要なこともありますが、多くの膠原病疾患の診断基準からもわかるように、病歴聴取、身体診察という一般的な検査だけで、ある程度診断を絞り込めるのです。そのためにはやはり何回でも繰り返して聞く病歴聴取と丁寧な身体診察が重要になってきます。非専門医には少々敷居が高そうなSLE(全身性エリテマトーデス)や成人スティル病についても分かりやすく解説。一般診療でも出来る診断のヒントなど、明日の診療で使える知識が満載です!「膠原病 case3」 ―68歳男性・・紫斑を伴う不明熱―不明熱の鑑別疾患の中でも、非常に診断が難しい血管炎。種類も病態もいろいろで分かりにくい?どうぞご心配なく。血管炎がすっきり分かる分類法を解説します。この分類に則って考えていけば、日常診断の中でもある程度、診断が見えてきます。また、検査結果がリウマチ因子も抗核抗体もANCAも陰性だったとき、「血管炎はないだろう」と考えてしまうと、それは大きな間違いです !まずはこうした検査がそれぞれどのような意味があるのかを覚えてください。そして診断には検査だけでなく、病歴と身体診察も合わせて総合的な診察が必要になります。「即、紹介」ではなく出来るところまで、是非挑戦してみてください !

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睡眠薬、長期使用でも効果は持続

 一般的に睡眠薬の長期使用にあたっては耐性や依存などに留意すべきである。また、長期使用時に効果の減弱が認められることもある。Randall氏らは世界で汎用されている睡眠薬であるゾルピデムの長期有効性を無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験で検証した。Sleep誌2012年11月1日号の報告。 対象は、DSM-IV-TRにて原発性不眠症の基準を満たす健康成人91例(年齢23~70歳)。毎夜就寝30分前にゾルピデム10㎎(60歳超の患者では5㎎)またはプラセボを8ヵ月間投与した。1ヵ月目および8ヵ月目の2夜に睡眠ポリグラフ検査と朝の睡眠の評価を行った。主な結果は以下のとおり。・1ヵ月目と8ヵ月目の評価において、ゾルピデム群はプラセボ群と比較し、総睡眠時間と睡眠効率は有意に増加し、睡眠潜時と入眠後の覚醒は減少した。・全体として、効果の主観的評価は治療群間で差が認められなかった。・ゾルピデムの治療効果は8ヵ月間の継続使用期間においても維持された。関連医療ニュース ・【学会レポート】2012日本臨床精神神経薬理学会・日本精神神経薬理学会合同年会 ・不眠症に対する“はり治療”そのエビデンスは? ・寝不足は事故のもと!不眠による経済損失は他疾患より高い

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概論:慢性疼痛治療(2)

痛みをとるのが難しい疾患確実な診断がついているにも関わらずなかなか治りにくい痛みは、神経障害性疼痛の要素を持っている慢性疼痛である。脊柱管狭窄症はいろいろな要素が混在しているので治りにくい。痛みがとれてもしびれが強いので患者はなかなか満足しない。手術後に、いつまでも痛みがとれない患者も多い。術創はすっかり治っているが傷跡が痛いという患者が結構いる。とくに肺野の手術では肋骨と肋骨の間を切り開くので、肋間神経が損傷され慢性疼痛となるケースが多い。手術は必要不可欠なものであるが、それ自体が慢性痛の発生源となってしまうこともあり、当然であるがその施行は慎重であるべきといえる。お年寄りに多いのは変形性膝関節症である。レントゲンをとれば確実に診断はつくが、なかなか痛みは治りにくい。程度によって薬物療法、装具療法、筋力増強、ヒアルロン酸関節内投与、人工関節置換術という治療体系となっている。さらによく遭遇する痛みで治りにくいのは、帯状疱疹後の神経痛である。確実に診断はつくのだがなかなか治らない。また、脳梗塞や脳出血を発症後に痛みが出現することがあるが、これも治りにくい。痛み経路の神経細胞が障害され、体中のどこにでもやっかいな痛みが出現する。これらの非常に治りにくい慢性疼痛の治療では、痛みを完全に取り除くことはなかなか困難なので、患者個々に治療ゴールを設定することが必要である。ゴールは痛みをゼロとすることではなく、QOLの向上にある。VASによる評価で20~30くらいが目安であることを患者に認識してもらうことで、満足度の向上を目指したい。解明されてきた神経障害性疼痛のメカニズム神経障害性疼痛の病態はこの10年間で研究が進み、痛みが発生するメカニズムがかなりわかってきた。それにより、ただ神経が障害されて痛みが生じるだけではなく、体内から神経障害を起こす物質が分泌されることが明らかになった。リン脂質から出るリゾホスファチジン酸や、ケガをすると必ず生じる神経成長因子が神経障害性疼痛の要因になる。神経障害性疼痛時に増えてくるTRP受容体の存在もわかってきた。TRP受容体は熱を痛みとして感じる受容体だが、神経障害があると通常なら反応しないような37℃のお湯でもTRP受容体が過敏になり痛みとして感じる。神経は神経線維がばらばらにならないようにグリアというバンドで束ねられている。グリアは神経を束ねる役目だけでなく、痛みの信号がくると活性化し、神経を刺激して痛みを起こす要因になることもわかってきた。また慢性の痛みは、脊髄より上位の視床、帯状回、前頭前野、扁桃体などを巻き込んでいることが判明してきた。このように痛みにはさまざまな要素がある。今後の疼痛治療は、これらの具体的な発生メカニズムに焦点を当てたものになっていくだろう。画像を拡大する進む医療者の疼痛教育疼痛治療の発展に寄与することを目的とした非営利団体JPAP®(Japan Partners Against Pain)は、2003年11月に設立され今年で活動10年になる。主な活動方針は次の2つである。(1)疼痛における最新知見や薬剤の適正使用等に関する情報を広く提供し、医療に貢献する。(2)疼痛に関する社会的理解と協力を得るための教育および啓発活動を実施する。現在会員数は約2500名で、緩和ケアに従事する医師、看護師、薬剤師、理学療法士などが会員である。現在の活動の中心は、がん患者の痛み治療である。講演会や症例検討会の実施、関連学会で展示ブースの出展などを行っている。緩和ケアチームの病院内外でのアピールやネットワークづくりのために、各地の優れた緩和ケアチームを表彰する活動も行っている。会員は現在募集中で、入会者には、がん性疼痛の適切な治療について解説したスライドキットを提供している。痛みの治療に関心のある医療者は、ぜひJPAPにご入会いただければと思う。JPAP®(Japan Partners Against Pain)

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てんかん発作には乳幼児早期からの積極的な症状コントロールが重要

 非コントロールのてんかん発作は認知機能を障害し、その影響は発症が乳児期の場合に最も大きく、発症年齢の上昇とともに減弱することが、米国・ノースウエスタン大学小児記念病院のBerg AT氏らによる前向きコホート研究の結果、明らかにされた。この知見を踏まえて、著者は「てんかん発作に対し、乳幼児期の早期からの積極的な治療と発作コントロールが必要であることを強調するものである」と述べている。Neurology誌2012年9月25日号(オンライン版2012年9月12日号)の掲載報告。 非コントロールのてんかん発作が、とくに脳の発達期において、認知や行動に悪影響をもたらすことを示唆するエビデンスの増加を検証することを目的とした。 てんかん発作の新規発症を認めた8歳未満児198例を含む地域ベースのコホートを前向きに追跡し、8~9年後にWechsler Intelligence Scales for Children Third Edition(WISC-III)で再評価した。 発症年齢と薬物抵抗性の相互作用の線形回帰分析を用いて、早期の発症が、非コントロールのてんかん発作の影響に対して、より大きな脆弱性をもたらしたかを調べた。Full-scale IQ(FSIQ)と4つのサブ領域スコアを用いて調査し、サブセットでは行動順応スコアを補正し検討した。試験されなかった子ども、とくに試験を受けることができなかった子どもについては、IQ<80または≧80を評価指標とすることを認めた。主な結果は以下のとおり。・FSIQは、年齢と関連しなかった。・薬物抵抗性は、FSIQの有意な低下と関連した(11.4ポイント低下、p=0.002)。同様にWISC-IIIの各領域の減少とも関連した。・FSIQと3つの領域に対して、かなりの年齢-薬物抵抗性の相互作用が認められたが、年齢の上昇とともに薬物抵抗性の影響の減少が示された。・IQ評価では、薬物抵抗群において発症年齢との強い関連が示された(p<0.0001)、非薬物抵抗群ではそうした関連はみられなかった。・行動順応スコアを補正した検証でも結果は変わらなかった。関連医療ニュース ・小児におけるレベチラセタム静注の有効性と安全性を確認 ・成人で認められた抗てんかん薬の効果、小児でも有効か? ・神経内科医の注目が集まる「てんかん診療」高齢者のてんかん患者が増加!

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