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<先週の動き> 1.生活保護の頻回受診対策、指定の医療機関以外は原則紹介へ/厚労省 2.インフルエンザ全国で拡大、8月に流行入り ワクチン前倒しも可能に/厚労省 3.病床数適正化、1床当たり410万円補助 第2回申請は9月30日まで/厚労省 4.精神医療も地域医療構想へ、2028年度末までに策定/厚労省 5.病院建て替え・高額設備投資に支援要望 2027年度税制改正へ提言/日医 6.大学病院による地域病院承継へ 藤田学園と聖霊会が基本合意/愛知県 1.生活保護の頻回受診対策、指定の医療機関以外は原則紹介へ/厚労省厚生労働省は、生活保護受給者が指定された医療機関以外を受診する際、原則として紹介状を必要とする仕組みを検討することが明らかになった。生活保護受給者の過剰な受診を抑え、適正受診につなげる狙いで、2026年内に議論を取りまとめる方針。日本経済新聞の報道によると、現在も生活保護受給者の受診先は福祉事務所が指定しているが、受給者が別の医療機関を希望した場合、その受診が医学的に妥当かどうかを行政が判断することは難しかった。検討案では、日常的に受診する医療機関をあらかじめ定め、別の医療機関を受診する場合には、原則として日常的に受診する医療機関からの紹介を求める。受診先の選択に医師の判断を取り入れることで、頻回受診や重複受診の抑制と、継続的な健康管理の両立を図る。生活保護の医療扶助を巡っては、国会でも適正化を求める議論が続いている。6月の参院厚生労働委員会では、日本維新の会の猪瀬 直樹氏が、自己負担がないことが頻回受診や多剤・重複投薬につながっていると指摘し、制度の見直しを要求。生活保護受給者にも定額または定率の自己負担を求める案を示した。厚労省は自己負担導入には慎重な一方で、受診ルールや医療機関との連携を通じた適正化を進める方向だ。生活保護受給者は約200万人で、その半数以上が65歳以上。2024年度の医療扶助費は1兆8,600億円に上り、生活保護費全体の約半分を占めている。また、同じ病気で同一月に同一診療科を15日以上受診し、医師らが必要以上と判断した頻回受診者は9,371人だった。今後は、必要な医療へのアクセスを確保しつつ、紹介機能やかかりつけ医機能を活用して受診行動をどこまで適正化できるかが焦点となる。 参考 1) 生活保護の受給者、指定の受診先以外なら原則紹介必須に厚労省検討(日経新聞) 2) 医療費「生活保護受給者に自己負担を」維新・猪瀬氏上野厚労相「必要な受診抑制」と慎重(産経新聞) 3) 厚生労働省が「生活保護」最新調査結果を発表、2世帯に1世帯が高齢者世帯に。生活保護の「受給条件・保護費の決まり方・医療費の仕組み」を解説(LIMO) 2.インフルエンザ全国で拡大、8月に流行入り ワクチン前倒しも可能に/厚労省厚生労働省は、インフルエンザが例年より大幅に早く全国的な流行期に入ったとして警戒を呼びかけている。8月17~23日の定点医療機関当たり報告数は1.11人となり、流行開始の目安である1.00人を超えた。全国約3,000の定点医療機関からの報告患者数は4,094人で、前年同期の1,183人を大きく上回った。前シーズンからの流行が継続していた2023年を除外すると、1999年の現行統計開始以降で2009年に次ぐ2番目の早さとなっている。さらに8月24~30日は1.76人、患者数6,543人と前週の約1.6倍に増え、39都道府県で前週を上回った。地域別では沖縄県8.50人、岩手県4.33人、新潟県3.58人、神奈川県2.99人、青森県2.88人などで高く、局地的な夏季流行ではなく全国的な広がりがみられる。愛知県も1.10人で流行入りを発表し、前年より約1ヵ月半早い。京都府は2.26人、宮城県は2.44人で、学校では学級・学年閉鎖も相次いでいる。宮城県では0~14歳が患者の半数超を占め、夏休み明けの学校再開後の感染拡大が懸念されている。早期流行の原因は現時点で明らかではない。南半球など海外からのウイルス流入、冷房下の密閉空間、夏季にはインフルエンザを疑いにくく感染が見逃されやすいことなどが可能性として指摘されている。流行株についても現時点では確定しておらず、今後の全国的な病原体解析が必要となる。厚労省は、一時的に定点当たり1.00人を下回る可能性はあるものの、過去には一度流行入りすると冬のピークへ向かう例が多いとして推移を注視している。異例の流行を受け、厚労省は65歳以上と一定の基礎疾患がある60~64歳を対象とする定期接種について、自治体の判断で例年より繰り上げて実施するのは法令上可能である旨を周知した。9月中には今季供給見込みの6割超にあたる約3,147万回分が出荷される見通し。今季ワクチンはA型2種類、B型1種類の3価で、ワクチンの主目的は重症化予防。高齢者や基礎疾患患者などハイリスク層への接種が重要となる。医療機関では、発熱患者の増加を前提とした診療体制の確認に加え、手洗い、マスク、換気など基本的な感染対策の徹底が求められる。今季は冬の本格流行前から患者増加が始まっており、ワクチン接種時期や院内感染対策を例年の感覚で判断せず、早めに備える必要がある。 参考 1) インフルエンザ患者数 前週比1.6倍に増加“基本的な対策を”(NHK) 2) インフル、夏に異例の早さで全国流行入り 厚労省が警戒呼びかけ(Science Portal) 3) インフルエンザ予防接種「前倒し可能」 厚労省が自治体に周知(日経新聞) 3.病床数適正化、1床当たり410万円補助 第2回申請は9月30日まで/厚労省厚生労働省は9月1日、「病床数適正化緊急支援事業」の今後のスケジュールを示し、第2回の医療機関から都道府県への申請期限を9月30日とした。第3回は11月30日を予定しているが、申請状況や予算の状況によっては実施しない可能性があるとしており、活用を検討している医療機関は早めの対応が求められる。都道府県から厚労省への提出期限は、第2回が10月30日、第3回が12月28日。同事業は、2025年度補正予算で3,490億円を確保し、人口減少や医療需要の変化を踏まえて病床数の適正化を進める医療機関を支援するもの。病院の一般病床、療養病床、精神病床や有床診療所を対象に、削減する病床1床当たり410万4,000円を補助し、休床病床を削減する場合は半額の205万2,000円とする。第2回までの申請が多く、予算が枯渇すれば第3回目は行われない可能性もある。その一方で、厚労省は病床削減については参院の附帯決議などを踏まえ、「医療費削減ありき、数字ありき」で進めるものではないことを改めて強調している。各地域の医療の質の確保を前提に、人口減少に応じた合理的な病床数削減という考え方の下、地域の実情や医療提供体制への影響を十分に精査するよう求めている。さらに、医療機関の連携・再編・集約化を進める際にも、地域の医療ニーズを踏まえた対応が必要としている。また、制度に基づいて病床を削減した場合、厚生労働省令で定める場合を除き、都道府県は医療計画上の基準病床数を削減することになる。病床削減は個々の医療機関の経営改善だけでなく、地域全体の病床機能や将来の医療提供体制にも影響するため、地域医療構想との整合性を含めた慎重な判断が必要だ。病床再編を予定する医療機関は、第3回を待たず、第2回期限の9月30日を念頭に都道府県との調整を進める必要がある。 参考 1) 病床数適正化緊急支援事業の今後のスケジュールについて(厚労省) 2) 「削減病床1床あたり410万4000円」補助する病床適正化支援、2回目受付は「2026年9月30日まで」、3回目は実施しない可能性も(Gem Med) 4.精神医療も地域医療構想へ、2028年度末までに策定/厚労省厚生労働省は9月2日、2040年ごろを見据えた新たな地域医療構想に精神医療を位置付けるため、「精神医療に関する地域医療構想検討ワーキンググループ」の初会合を開いた。精神医療を含む地域医療構想の策定ガイドラインは2026年度末をめどに作成し、都道府県はこれを踏まえて2028年度末までに新たな構想を策定する。なお、一般医科の医療機関機能報告は2026年10月であるが、精神科医療機関を対象とした医療機関機能・病床機能の報告は2027年10月に始まる予定となっている。新たな地域医療構想に精神医療が位置付けられたのは、2025年12月の改正医療法成立を受けたもの。同ワーキンググループでは、精神医療の構想区域の設定、精神科病院の医療機関機能報告、必要病床数の推計方法などを議論し、2026年度内に結論を得る方針。背景には、高齢化に伴う身体合併症を持つ精神疾患患者の増加や、入院患者の年齢構成・疾病構造の変化がある。厚労省は精神科医療機関の対応力向上に加え、一般医療との連携強化を進め、精神症状を早期に安定させる体制や身体疾患を含めた診療体制の構築を目指す。また、病床や医療機関の役割を明確にし、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築も加速させる。初会合では「精神・身体合併症診療機能」の設定を求める意見が出たほか、一般医療の構想区域との整合性を重視すべきとの指摘もあった。その一方で、精神科病院や精神病床のない二次医療圏もあるため、複数の医療圏を一体として扱うなど柔軟な区域設定を求める声も出た。精神医療でも今後、単なる病床数の調整にとどまらず、急性期対応、身体合併症診療、外来・在宅支援、一般医療との連携を含めた地域での役割分担がより明確に求められることになる。人口減少に伴う患者数や病床利用率の変化も見据え、各精神科医療機関には、自院が地域で担う機能を早い段階から整理しておくことが重要となる 参考 1) 第1回精神医療に関する地域医療構想検討ワーキンググループ(厚労省) 2) 精神医療含む地域医療構想、28年度末までに策定へ ガイドラインは26年度末 厚労省(CB news) 3) 精神医療を含めた地域医療構想策定ガイドラインは今年度末に。精神医療を含めた医療機関機能報告は令和9年10月から(route “hckn”) 5.病院建て替え・高額設備投資に支援要望 2027年度税制改正へ提言/日医日本医師会は9月3日、2027年度の「医療に関する税制要望」を公表した。今回の要望では、病院の建て替えや高額設備投資に伴う消費税負担への「特段の対応」を新たに盛り込み、税制措置だけでなく補助金や融資など予算措置と一体で支援するよう求めている。要望は8月24日に厚生労働省へ提出された。現在、社会保険診療は消費税非課税のため、病院が建物や医療機器を購入した際の消費税は仕入税額控除の対象とならず、医療機関が負担する仕組みとなっている。日医は、とくに大規模な建て替えや設備投資では一時的な消費税負担がキャッシュフローを悪化させ、病院経営を圧迫すると指摘。診療所においては非課税のまま診療報酬上の補てんを継続しつつ、病院においては軽減税率による課税取引に改めることを求め、それまでの間、高額投資に別途支援措置を講じるよう要望している。設備投資関連では、地域医療構想に適合する病院建物の特別償却制度について、税額控除の導入や特別償却率の引き上げに加え、新たに病院・診療所用建物(鉄骨鉄筋コンクリート造など)の法定耐用年数について、現行の39年から31年へ短縮するよう求めた。高額医療機器についても、対象となる取得価額を160万円まで引き下げ、即時償却または10%の税額控除を選択できる制度への拡充を要望している。さらに、医療DXに伴う電子カルテや医療情報システムなどへの投資について、即時償却または10%の税額控除、固定資産税の軽減措置の創設を要求。働き方改革では勤務時間短縮用設備の税制優遇拡充、医師不足地域では医療従事者の所得税軽減なども盛り込んだ。日医は、物価や人件費、建築費が上昇する中、税制だけでは医療機関の投資余力を確保できないとしており、年末の与党税制改正大綱に向け政府・与党への働きかけを強める方針。 参考 1) 令和9年度医療に関する税制要望(日本医師会) 2) 令和9年度医療に関する税制要望について-今村英仁常任理事(同公式チャンネル)【動画】 3) 病院の高額投資に伴う消費税対応を要望 税制と予算セットで日医(CB news) 6.大学病院による地域病院承継へ 藤田学園と聖霊会が基本合意/愛知県愛知県の学校法人藤田学園と社会福祉法人聖霊会は、名古屋市昭和区の聖霊病院(194床、22診療科)の事業を藤田学園が承継することで8月31日に基本合意した。名古屋市の許認可など必要な手続きを経て、2027年4月1日の運営移行を目指す。病床数や診療科は原則維持し、訪問看護ステーションも引き継ぐ。残留を希望する職員は継続雇用する方針で、患者への診療提供を途切れさせずに経営基盤を強化する狙い。聖霊病院は1945年開院。内科、整形外科、精神科、緩和ケア科などを備え、初期医療から終末期医療まで担ってきた。約20年前の建て替えなどに伴う負債が2026年8月時点で約16億円残り、物価高や医療機器などへの投資負担、人材確保の難しさも重なって、自力での経営改善が困難となっていた。数年前から承継先を探し、緩和ケアやリハビリなど両法人の重点分野が重なることから協議が進んだ。藤田学園は藤田医科大学病院など複数の病院を運営し、グループ全体で計2,364床を有する。今回の承継は、地域医療再編の波が都市部にも及んでいることを示しており、厚生労働省の調査では、2024年度の一般病院の損益率はマイナス7.3%で、赤字施設は約7割。帝国データバンクによると、2026年上半期の医療機関倒産は39件と前年同期を上回った。物価・人件費の上昇、設備投資負担、医師・看護師不足が重なる中、中小病院単独での経営維持は難しさを増している。国も地域医療連携推進法人や病床削減支援などを通じ、病院間の連携・再編や経営効率化を後押ししている。藤田学園は愛知県内で地域医療連携推進法人の運営にも関わっており、今回の承継では大学病院グループの経営基盤と人材供給力を生かし、地域の診療機能を維持する考えだ。今後、都市部でも地域病院が大学病院や大規模医療法人の傘下・連携下に入る事例が増える可能性がある。 参考 1) 社会福祉法人聖霊会聖霊病院並びに聖霊病院訪問看護ステーションの事業承継について(聖霊病院) 2) 藤田学園 名古屋の聖霊病院を承継へ…基本合意 来年4月の移行目指す(読売新聞) 3) 名古屋 聖霊病院 藤田学園が運営引き継ぐ 経営基盤の改善へ(NHK) 4) 名古屋市昭和区の聖霊病院の事業、藤田学園が承継へ診療体制は維持(中日新聞)