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添付文書改訂:アクテムラが新型コロナ中等症II以上に適応追加/ジャディアンスに慢性心不全追加/エフィエントに脳血管障害の再発抑制追加/アジルバに小児適応追加/レルミナに子宮内膜症の疼痛改善追加【下平博士のDIノート】第92回

アクテムラ点滴静注用:新型コロナ中等症II以上に適応追加<対象薬剤>トシリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:アクテムラ点滴静注用80mg/200mg/400mg、製造販売元:中外製薬)<承認年月>2022年1月<改訂項目>[追加]効能・効果SARS-CoV-2による肺炎酸素投与、人工呼吸器管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うこと。[追加]用法・用量通常、成人には、副腎皮質ステロイド薬との併用において、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを点滴静注します。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、同量を1回追加投与できます。<Shimo's eyes>本剤は、国産初の抗体医薬品として、2005年にキャッスルマン病、2008年に関節リウマチの適応を取得して、現在は世界110ヵ国以上で承認されているヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体です。今回、新型コロナによる肺炎の効能が追加されました。これまで中等症II以上の患者に適応を持つ、レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注用)、バリシチニブ(同:オルミエント錠)、デキサメタゾン(同:デカドロン)の3製剤に本剤が加わり、新たな治療選択肢となります。新型コロナ患者の一部では、IL-6を含む複数のサイトカインの発現亢進を特徴とする炎症状態により呼吸不全を起こすことが知られており、同剤投与による炎症抑制が期待されています。参考中外製薬 薬剤師向けサイト アクテムラ点滴静注用80mg・200mg・400mgジャディアンス:慢性心不全(HFrEF)の適応追加<対象薬剤>エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス錠10mg、製造販売元:日本ベーリンガーインゲルハイム)<承認年月>2021年11月<改訂項目>[追加]効能・効果慢性心不全ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。[追加]用法・用量通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前または朝食後に経口投与します。<Shimo's eyes>SGLT2阻害薬としては、すでにダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が慢性心不全の適応を2020年11月に追加しており、本剤は2剤目の薬剤となります。2022年1月現在、添付文書には「左室駆出率の保たれた慢性心不全(HFpEF)における本剤の有効性および安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者(HFrEF)に投与すること」と記載されていますが、HFpEF患者を対象とした第III相試験においても、2021年8月に良好な結果1)が報告されています。なお、本剤25mg錠には慢性心不全の適応はありません。参考エンパグリフロジンの慢性心不全への承認取得/日本ベーリンガーインゲルハイム・日本イーライリリー1)エンパグリフロジン、糖尿病の有無を問わずHFpEFに有効/NEJMエフィエント:脳血管障害後の再発抑制が追加<対象薬剤>プラスグレル塩酸塩(商品名:エフィエント錠2.5mg/3.75mg、製造販売元:アストラゼネカ)<承認年月>2021年12月<改訂項目>[追加]効能・効果虚血性脳血管障害(大血管アテローム硬化または小血管の閉塞に伴う)後の再発抑制(脳梗塞発症リスクが高い場合に限る)[追加]用法・用量通常、成人には、プラスグレルとして3.75mgを1日1回経口投与する。<Shimo's eyes>『脳卒中治療ガイドライン2021』では、非心原性脳梗塞の再発抑制に対しては抗血小板薬(クロピドグレル、アスピリンまたはシロスタゾール)の投与が勧められていますが、本剤の適応は、「大血管アテローム硬化または小血管の閉塞を伴う虚血性脳血管障害後の再発抑制」に限定されました。なお、適応追加の対象は2.5mg錠および3.75mg錠のみです。今回の改訂で、空腹時は食後投与と比較してCmaxが増加するため、空腹時の投与は避けることが望ましい旨の記載が追記されました。用法に「食後投与」は明記されていないので注意しましょう。既存薬のクロピドグレルは、主にCYP2C19によって代謝されるため、遺伝子多型による影響を受けやすいことが懸念されていますが、本剤は、ヒトカルボキシルエステラーゼ、CYP3AおよびCYP2B6などで代謝されて活性体となるプロドラッグであり、遺伝子多型の影響を受けにくいとされています。参考第一三共 医療関係者向けサイト エフィエント錠アジルバ:小児適応追加、新剤型として顆粒剤が登場<対象薬剤>アジルサルタン(商品名:アジルバ顆粒1%、同錠10mg/20mg/40mg、製造販売元:武田薬品工業)<承認年月>2021年9月<改訂項目>[追加]用法・用量<小児>通常、6歳以上の小児には、アジルサルタンとして体重50kg未満の場合は2.5mg、体重50kg以上の場合は5mgを1日1回経口投与から開始します。なお、年齢、体重、症状により適宜増減が可能ですが、1日最大投与量は体重50kg未満の場合は20mg、体重50kg以上の場合は40mgです。<Shimo's eyes>アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)であるアジルサルタンに、小児に対する用法および用量が追加されました。また、新剤型として顆粒剤も発売されました。顆粒剤は、成人にも小児にも適応がありますが、小児の開始用量である2.5~5mgを投与する際に便利です。参考武田薬品工業 医療関係者向けサイト アジルバレルミナ:子宮内膜症に基づく疼痛改善の適応が追加<対象薬剤>レルゴリクス(商品名:レルミナ錠40mg、製造販売元:あすか製薬)<承認年月>2021年12月<改訂項目>[追加]効能・効果子宮内膜症に基づく疼痛の改善<Shimo's eyes>本剤は、経口GnRHアンタゴニストであり、2019年1月に子宮筋腫に基づく諸症状(過多月経、下腹痛、腰痛、貧血)の改善で承認を取得しています。子宮筋腫に続き、子宮内膜症患者を対象とした第III相試験の結果が報告されたことから、今回新たな適応が承認されました。本剤は下垂体のGnRH受容体を阻害することにより、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を阻害します。その結果、エストロゲンおよびプロゲステロンが抑制され、子宮内膜症の主な症状である骨盤痛を改善します。参考あすか製薬 医療関係者向け情報サイト レルミナ錠40mg

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乳がんリスクの高い9遺伝子、腫瘍サブタイプや悪性度との関連は?/JAMA Oncol

 乳がんとの関連が報告されている9つの生殖細胞系列の遺伝子変異について、それぞれ腫瘍サブタイプや悪性度にどんな特徴があるのか? 多施設共同症例対照研究(BRIDGES研究)の結果を、英国・ケンブリッジ大学のNasim Mavaddat氏らがJAMA Oncology誌オンライン版2022年1月27日号に報告した。 本研究は1991~2016年の間に実施され、遺伝子解析と分析は2016~21年に行われた。ATM、BARD1、BRCA1、BRCA2、CHEK2、PALB2、RAD51C、RAD51D、およびTP53の9つの遺伝子変異について、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ERBB2の状態および腫瘍の悪性度(組織型、サイズ、TNM病期、リンパ節転移)によって定義された5つの乳がんサブタイプ(HR+ERBB2-低悪性度、HR+ERBB2+、HR+ERBB2-高悪性度、HR-ERBB2+、トリプルネガティブ)との関連が解析された。 主な結果は以下のとおり。・ヨーロッパまたは東アジアの38の研究から、家族歴とは無関係にサンプリングされた18~79歳の女性で構成される4万2,680人の乳がん患者と4万6,387人の対照参加者が含まれた。・面接(対照者)および診断(乳がん症例)時の平均(SD)年齢は、それぞれ55.1(11.9)歳および55.8(10.6)歳だった。・遺伝子変異別のサブタイプの分布にはかなりの不均一性がみられた。・RAD51C(OR:6.19、95%信頼区間[CI]:3.17~12.12)、RAD51D(OR:6.19、95%CI:2.99~12.79)、およびBARD1(OR:10.05、95%CI:5.27~19.19)の変異は、主にトリプルネガティブ乳がんと関連していた。・CHEK2の変異は、トリプルネガティブ乳がんを除くすべてのサブタイプ(OR:2.21~3.17)に関連していた。・ATMの変異は、HR+ERBB2-高悪性度サブタイプとの関連が最も強かった(OR:4.99、95%CI:3.68~6.76)。・BRCA1の変異はすべてのサブタイプのリスク増加と関連していたが、オッズ比は大きく異なり、トリプルネガティブ乳がんで最も高かった(OR:55.32、95%CI:40.51~75.55)。・BRCA2およびPALB2の変異もトリプルネガティブ乳がんと関連していた。・TP53の変異は、HR+ERBB2+およびHR-ERBB2+サブタイプと最も強く関連していた。・病的バリアント保持者で発生する腫瘍は、より高悪性度だった。・ほとんどの遺伝子変異とサブタイプでは、年齢が高くなるごとにオッズ比の低下が観察された。・9つの遺伝子変異は40歳以下の女性におけるトリプルネガティブ乳がんの27.3%に関連していた。

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更年期障害のHRTに保険適用を有する黄体ホルモン製剤「エフメノカプセル100mg」【下平博士のDIノート】第88回

更年期障害のHRTに保険適用を有する黄体ホルモン製剤「エフメノカプセル100mg」今回は、天然型黄体ホルモン製剤「プロゲステロン(商品名:エフメノカプセル100mg、製造販売元:富士製薬工業)」を紹介します。本剤は、更年期障害および卵巣欠落症状のホルモン補充療法(HRT)に使用される卵胞ホルモン剤による子宮内膜増殖症の発症を抑制することが期待されています。<効能・効果>本剤は、更年期障害および卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時の子宮内膜増殖症の発症抑制の適応で、2021年9月27日に承認され、同年11月29日に発売されました。<用法・用量>卵胞ホルモン剤との併用において、以下のいずれかを選択します。持続的投与法:卵胞ホルモン剤の投与開始日からプロゲステロンとして100mgを1日1回就寝前に経口投与。周期的投与法:卵胞ホルモン剤の投与開始日を1日目として、卵胞ホルモン剤の投与15~28日目までプロゲステロンとして200mgを1日1回就寝前に経口投与。これを1周期とし、以後この周期を繰り返す。<安全性>国内第III相試験において報告された主な副作用は、不正子宮出血117例(33.5%)、乳房不快感16例(4.6%)、頭痛11例(3.2%)、下腹部痛、浮動性めまい各10例(2.9%)、腹部膨満、便秘各8例(2.3%)、腟分泌物7例(2.0%)などでした。なお、重大な副作用として、血栓症(頻度不明)が報告されており、心筋梗塞、脳血管障害、動脈または静脈の血栓塞栓症(静脈血栓塞栓症または肺塞栓症)、血栓性静脈炎、網膜血栓症が現れることがあります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、更年期障害などに伴う症状を軽減する目的で投与される卵胞ホルモン剤とともに服用することで、卵胞ホルモン剤による子宮内膜への影響を軽減します。2.ふくらはぎの痛み・腫れ、手足のしびれ、鋭い胸の痛み、突然の息切れなどの症状が現れた場合、血栓症を引き起こしている可能性があるので、直ちに医師・薬剤師に連絡してください。自己判断での中止や量の調節はしないでください。3.眠気や浮動性めまいを引き起こすことがあるので、自動車などの危険を伴う機械の操作には注意してください。4.突然服用を中止すると、不安や気分変化を引き起こす恐れがあります。<Shimo's eyes>本剤は、更年期障害および卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時の子宮内膜増殖症の発症抑制を目的とした天然型黄体ホルモン製剤です。経口投与では吸収されにくい天然型黄体ホルモンをマイクロナイズド化(微粒子化)することで吸収率を上げています。ホルモン補充療法(HRT)は、エストロゲン欠乏に伴う更年期障害などの諸症状や疾患の予防・治療に有用です。しかし、エストロゲン製剤を単独投与すると、子宮内膜増殖作用により子宮内膜がんを発症する懸念が高まります。エストロゲン製剤に黄体ホルモン製剤を併用することで、子宮内膜がんの発症が抑制されるという報告を踏まえ、現在では子宮を有する患者にHRTを行う際には、黄体ホルモン製剤を併用することが一般的です。国際閉経学会などでは、天然型黄体ホルモンは乳がんリスクや血栓症リスクが低いことが示唆されています。しかし、わが国では子宮内膜増殖抑制に関する適応のある経口剤はなく、これまで適応外で合成黄体ホルモン製剤が使用されてきました。このような背景から、日本産科婦人科学会および日本更年期医学会(現:日本女性医学学会)から開発の要望書が提出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の評価に基づき、厚生労働省が製薬企業を募集し、開発されました。用法としては、エストロゲン製剤と本剤を初めから併用する「持続的投与法」と、最初の2週間はエストロゲン製剤単独で、あとの2週間は本剤も併用する「周期的投与法」のいずれかを選択します。本剤は食後投与では絶食下に比べてAUCとCmaxが上昇し、服用後1~3時間は一過性の傾眠・めまいを起こす可能性があるため、就寝前に服用します。副作用では、不正性器出血が高い頻度で報告されています。継続服用に伴い徐々に軽減してゆくので、服薬を中断しないように前もって説明する必要があります。重大な副作用としては、血栓症に注意が必要です。血栓症の初期症状について説明するほか、定期的に体を動かしてこまめに水分補給をするなどの生活上の工夫も伝えましょう。参考1)PMDA 添付文書 エフメノカプセル100mg

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CKD4/6阻害薬、HER2低発現の進行乳がんでの有効性は?

 CDK4/6阻害薬はホルモン受容体陽性(HR+)/HER2-進行・再発乳がん(MBC)の1次/2次治療において、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間を大幅に改善する。しかしながら、表現型および遺伝子解析では、有効性に関連する予測マーカーは特定されていない。今回、香港・クイーンエリザベス病院のKelvin K. H. Bao氏らは、CDK4/6阻害薬で治療されたHR+/HER2-MBC患者のHER2低発現と予後の関連を調査した結果、HER2低発現例ではCDK4/6阻害薬の有効性が低いことが示唆された。JAMA Network Open誌2021年11月1日号に掲載。 本研究では、香港・クイーンエリザベス病院において、2017年3月~2020年6月にレトロゾールもしくはフルベストラントとの併用でCDK4/6阻害薬を投与されたHR+/HER2-MBCの患者について調べた。HER2-低発現はIHCスコア1+もしくは2+かつISH陰性とした。また、PFSはCDK4/6阻害薬投与開始日から病勢進行または死亡までの期間とした。 主な結果は以下のとおり。・解析対象のMBCの女性患者は106例で、治療時の年齢中央値(範囲)は58.0(23.0~91.4)歳、90例(84.9%)がパルボシクリブ、16例(15.1%)がリボシクリブを投与されていた。54例(50.9%)が1次治療で投与されていた。・乳管組織型が88例(83.0%)、エストロゲン受容体Hスコア200以上が76例(71.7%)、プロゲステロン受容体陽性が81例(76.4%)だった。・PFS中央値は、HER2低発現の82例(77.3%)では8.9ヵ月(95%CI:6.49~11.30)で、HER2 IHCスコア0の24例における18.8ヵ月(95%CI:9.44~28.16)より短かった(p=0.01)。・多変量解析において、治療ライン(2次治療以降のラインに対する1次治療のHR:0.30、95%CI:0.18~0.53、p

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世界初となるがん悪液質に対する栄養・運動・薬物の併用療法:NEXTAC-THREE試験 シリーズがん悪液質(8)【Oncologyインタビュー】第34回

がん悪液質は、薬剤をはじめとする治療の開発が進まず、長年にわたり問題となっていた。しかし2021年、アナモレリンが治療薬として認可され、がん悪液質は一躍注目を浴びることとなる。そのような中、栄養・運動療法にアナモレリンによる薬物療法を組み合わせた、がん悪液質治療の研究「NEXTAC-THREE試験」が始まる。栄養・運動療法に薬物療法を加えることで、どのような可能性があるのか。NEXTAC-THREE試験の責任者である静岡県立静岡がんセンターの内藤 立暁氏に聞いた。有効な治療法を模索するがん悪液質―がん悪液質の病態と、研究がどのように進んできたのか教えていただけますか。がん悪液質は、European Palliative Care Research Collaborative(EPCRC)で「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、骨格筋量の持続的な減少を特徴とし、進行性の機能障害に至る、多因子性の症候群」と定義されています。通常、食事から摂取する栄養素は筋肉や脂肪になります。しかし、がん悪液質では、栄養素が豊富にあっても、代謝障害により活用できずに痩せていきます。がん悪液質の代謝障害は、腫瘍由来のさまざまな液性因子で生じます。また、がんを異物と見なした宿主が生体反応として慢性の炎症を生じ、炎症性サイトカインによって食欲が減退し、体の痩せをさらに助長します。がん悪液質は、病理や画像所見などの肉眼で病因を確認することができない機能的疾患であるため、長く疾病として認識されず治療の進歩を妨げていたともいえます。画像を拡大するがん悪液質については世界的に多くの研究が行われてきましたが、有効性が確認されたものは非常に少ないのが現状です。1966~2019年の無作為化比較試験をレビューした2020年のASCOがん悪液質ガイドライン(Management of Cancer Cachexia: ASCO Guideline)は、今までのがん悪液質エビデンスが集約されたものです。ガイドラインの中で、栄養カウンセリングについていくつかの研究が取り上げられていますが、有効性のエビデンスレベルは「Low」という評価です。運動療法については、ほとんどエビデンスがありません。薬物療法についても、多数の研究が行われています。プロゲステロン、ステロイドなど、一時的に食欲改善、体重増加、QOL向上などを示すものもありますが、長期使用では有効性の低下や毒性の問題が出てしまうなど、総合的にみて推奨できるものはありませんでした。その中で、アナモレリンについては、身体機能の改善こそ証明されていませんが、複数の試験で食欲、体重、骨格筋量について、プラセボに対する有意な改善が認められ、2021年1月に日本で製造販売承認を取得しました。―わが国で行われている「NEXTAC研究」は、がん悪液質の集学的治療についての研究ですね。そのとおりです。栄養と運動のプログラムについては、皆が重要だと思っているものの標準プログラムがないため、この2つを組み合わせたオリジナルの栄養・運動プログラムを作ろうというプロジェクトです。NEXTAC(Nutrition and Exercise Treatment for Advanced Cancer)は、がん悪液質のリスクを有する患者さんの身体機能の維持・回復を目的とし、多職種の介入で進行がんの診断後に早期から運動療法と栄養療法を導入する集学的介入の名前です。2016年(平成28年)から国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成を受けて開発を始めました。海外で開発中の栄養・運動プログラムでは、高強度の介入のため患者さんが継続できず、多くが治療中に脱落してしまうため、NEXTACプログラムは高齢者が自宅で毎日行えるよう、低強度の運動と、患者教育を中心に設計されているのが特徴です。これまでに、NEXTAC-ONE試験(安全性と忍容性を見る第I相試験)とNEXTAC-TWO試験(効果を検証する第II相試験)を実施しています。画像を拡大するまず、NEXTAC-ONE試験についてです。この試験は、安全性・忍容性試験として京都府立医科大学、静岡県立静岡がんセンター、新潟県立がんセンター、国立がん研究センター東病院の4施設で行われ、すでに最終結果が公表されています。主要評価項目であるNEXTACプログラムへの参加率(栄養・運動療法の計6回のセッションのうち4回以上参加した患者数の割合)は97%、プログラムのコンプライアンス(サプリメント服用、筋トレ実施、歩数計装着)はいずれも9割を超えて良好でした。さらに、7割の患者さんが屋外活動を、8割の患者さんが屋内活動を増やし、教育的な介入の成果が行動変容に現れたことはとても重要な結果と感じています。次にNEXTACプログラムが健康寿命(自立した生存期間)を延長するか否かを検証する無作為化第II相試験のNEXTAC-TWO試験を行い。国内の16施設から131例の症例登録を完遂し、本年度中に主解析の結果を公表予定です。―栄養・運動療法に薬物療法を加えたNEXTAC-Three試験がスタートするそうですね。NEXTAC-ONEやNEXTAC-TWO試験では、がん悪液質の高リスクの患者さんに対する治療開発を行いました。一方で、がん悪液質を発症してしまった患者さんに対しては、別の戦略が必要です。がん悪液質の病態には多因子が関与しますので、栄養・運動・薬物療法それぞれ単独で行っても、効果が出づらいからです。そこで、薬剤を組み合わせた栄養・運動介入のプログラムを検討する、NEXTAC-THREE試験が開始されることとなりました。これはアナモレリンの発売を見込み、当初から計画していたものです。今まで行ってきたNEXTACの栄養・運動介入プログラムに薬物を組み合わせたらどうなるかを検討します。―3つのモダリティを併せることで予想される効果は?アナモレリンが骨格筋量を増やしても握力などの身体機能が改善しなかったのは、作った筋肉を有効に活用するための運動という介入がないことが主たる理由と推定されます。アナモレリンで骨格筋を増やし、そこに栄養療法で良質の蛋白質を摂取し、さらに継続的なトレーニングを加えることで、進行がんを有する高齢者で、すでにがん悪液質があったとしても、身体機能を改善できるのではないか、というのがNEXTAC-THREE試験の仮説です。3モダリティの併用は、がん悪液質の有効な介入プログラムとなるか―NEXTAC-THREEの試験デザインを教えてください。NEXTAC-THREE試験の正式名称は、「高齢者進行非小細胞肺がん/膵がんに対する早期栄養・運動介入とアナモレリン塩酸塩の併用療法の多施設共同ランダム化第二相試験」です。試験の対象は70歳以上の新規化学療法を開始する患者さんで、全員がん悪液質を有しています。コホート1は非小細胞肺がん(NSCLC)で、サンプルサイズは60例。コホート2は膵がんで、サンプルサイズは30例です。NSCLC患者さんは1次治療で、初回化学療法時からアナモレリンを投与した群と、そこにNEXTACプログラムの栄養・運動療法を併用した群を比較します。評価項目は歩行障害の発生率です。「6分間歩行距離40m以上減少」は臨床的意義のある歩行障害といわれ、身体機能の状態を表します。この障害の発生率を減らすかを見ることで、アナモレリンと栄養・運動療法の組み合わせが身体機能を改善するかを評価します。膵がんについては、今までの研究データがないため、2次治療患者でのアナモレリンと栄養・運動療法の組み合わせの安全性を評価項目としています。画像を拡大する―NEXTAC-THREE試験はどのようなスケジュールで進んでいく予定ですか。NEXTAC-THREE試験は、2021年、AMEDの助成を受けて開始されます。倫理審査で承認をうけ、試験担当者の研修や設備の準備を行い、9月以降に試験開始の予定です。患者さんはすべてがん悪液質を有する方ですし、初回治療なので治験も競合するため、患者登録も苦労すると予想されます。2023年度までに試験を完了し、2024年に主解析を報告の予定です。―今後、参加施設を拡大していくのですか。まずはは、静岡がんセンター、京都府立医科大学、国立がん研究センター東病院、新潟県立がんセンターの4施設で行い、その後、参加施設を徐々に拡大していく予定です。また、国際協力者として、英国のエディンバラ大学、グラスゴー大学と相互に協力していくこととしています。彼らは欧州を中心とした研究グループで、栄養・運動療法(MENACプログラム)を開発しているグループです。NEXTAC-ONEからTHREEまでの結果がそろう時期に、彼らの集学的治療の研究と統合解析して、国際的ながん悪液質のガイドラインを作ろうという計画をしています。日本が世界をリードするがん悪液質研究―CareNet.com会員の方にメッセージをお願いします。がん悪液質は昔からある病気ですが、病態が複雑でわかりにくいため、がんに対する薬物療法や制吐療法などと比べ、治療の開発が遅れていました。しかし、近年の科学の進歩によりその病態が次第に解明され、また2021年のアナモレリンの承認によりスポットライトが当たりました。アナモレリンは、世界に先駆け日本で承認された薬剤です。つまり、日本は一番の先進国といえます。若い研究者の方々には、この機会を活かして、一緒に世界に研究を発信していただければと思います。がんサポーティブケア学会には世界でも少ないがん悪液質に特化した研究グループがありますので、まずは、そこに参加していただきたいと思います。参考1)NEXTAC-TWO試験(UMIN)2)NEXTAC-THREE試験(jRCT)

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個別に投与量を設定するFSH製剤「レコベル皮下注12μg/36μg/72μgペン」【下平博士のDIノート】第81回

個別に投与量を設定するFSH製剤「レコベル皮下注12μg/36μg/72μgペン」今回は、ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤「ホリトロピン デルタ(遺伝子組換え)(商品名:レコベル皮下注12μg/36μg/72μgペン、製造販売元:フェリング・ファーマ)」を紹介します。本剤は、血清抗ミュラー管ホルモン値(AMH)および体重に基づいた個別の投与量アルゴリズムにより、患者ごとの投与量設定が可能なペン型注入器付き注射薬です。<効能・効果>本剤は、生殖補助医療における調節卵巣刺激の適応で、2021年3月23日に承認されました。投与の適否は、患者およびパートナーの検査を十分に行った上で判断されます。原発性卵巣不全が認められる場合や妊娠不能な性器奇形または妊娠に不適切な子宮筋腫の合併などがある場合には使用できません。また、甲状腺機能低下、副腎機能低下、高プロラクチン血症および下垂体または視床下部腫瘍などが認められた場合は、当該疾患の治療を優先します。<用法・用量>通常、ホリトロピン デルタとして、投与開始前の血清抗ミュラー管ホルモン値および体重に基づき、下表に従い算出した投与量を、月経周期2日目または3日目から1日1回皮下投与します。なお、1日投与量は6~12μgの範囲内とします。超音波検査および血清エストラジオール濃度の測定によって、十分な卵胞の発育が確認されるまで本剤の投与を継続します。本剤の最終投与後、卵胞成熟を誘起した後、採卵します。なお、本剤投与時に卵巣反応の不良または過剰(卵巣過剰刺激症候群またはその徴候を含む)が認められた患者における調節卵巣刺激には、他剤の使用を考慮します。<安全性>日本人女性を対象に行われた臨床試験において、本剤投与群の副作用発現率は18.8%(32/170例)であり、主な副作用は卵巣過剰刺激症候群10.6%(18例)、卵巣腫大2.9%(5例)、骨盤液貯留2.4%(4例)などでした。重大な副作用として、卵巣過剰刺激症候群(10.6%)が現れることがあります。<患者さんへの指導例>1.この薬はFSH製剤と呼ばれ、女性の卵巣に作用して、黄体形成ホルモンと共に卵胞を育てます。2.凍結を避け、2~8℃で保管してください。使用開始後は室温(30℃以下)で保管し、使用開始後28日を超えたものは使用しないでください。3.医療機関において、在宅自己注射教育を受けた人または家族の方のみ自己注射できます。注射部位は腹部の皮下とし、毎日少しずつ場所をずらしてください。自己判断で使用を中止したり、量を加減したりしないでください。4.使用し忘れた場合は、気が付いたときにすぐ1回分を使用してください。ただし、次に使用する時間が近い場合はその回は使用せず、次の指示された時間に1回分を使用し、後日、医師に報告してください。決して2回分を一度に使用しないでください。5.悪心・嘔吐、下腹部の強い痛み、腹部の張り、尿量の減少、急激な体重増加などが認められた場合は、すみやかに医療機関へ連絡してください。<Shimo's eyes>FSHは卵胞の発育を促すため、生殖補助医療における調節卵巣刺激に広く用いられています。しかし、標準用量を投与した場合、卵巣予備能が高い患者では卵巣過剰刺激症候群に至る可能性がある一方、卵巣予備能が低い患者では十分な採卵数が期待できない可能性があります。そのため、生児の獲得が達成可能な採卵数を得つつも、卵巣過剰刺激症候群の発現リスクを最小限に抑えることが課題となっています。卵巣過剰刺激症候群は、卵胞が過剰に刺激されることによって、卵巣の肥大や腹水・胸水の貯留などの症状が起こります。重症例では、腎不全や血栓症などさまざまな合併症を引き起こすことがあるため、早期に発見し処置を行うことが重要です。日本人女性における発現割合は20%以上との報告もあり、多くの場合は投与後7~10日に症状が重くなります。本剤は、血清抗ミュラー管ホルモン値および体重に基づいた個別の投与量アルゴリズムにより、患者ごとに投与量を設定します。至適用量を投与することで、しっかりと卵胞を発育しつつ、安全性リスクを軽減することが期待できます。海外では欧州で2016年12月に承認されて以来、2020年11月までに63の国と地域で承認されています。服薬指導では、お腹の張りや悪心・嘔吐、体重の増加など卵巣過剰刺激症候群の自覚症状について十分に説明を行い、安全に治療を進められるようにサポートしましょう。参考1)PMDA 添付文書 レコベル皮下注12μgペン/レコベル皮下注36μgペン/レコベル皮下注72μgペン

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非浸潤性乳管がん、浸潤性がんへの進展リスク因子は?日本人患者の分析から

 乳房の非浸潤性乳管がん(DCIS)は、浸潤性乳管がん(IDC)の前駆病変と臨床的には位置づけられ、DCISが見つかった場合、現在では一様に切除手術が行われている。しかしこのDCIS集団中には、真に浸潤性がんに進展するDCIS(真のDCIS 群)だけでなく、浸潤性がんには進展しない症例が含まれることが明らかになってきており、両群を区別する因子の同定が求められている。東京大学学大学院新領域創成科学研究科の永澤 慧氏らは、DCISの進展に関係する候補因子として、臨床病理学的因子に加え、遺伝子因子としてGATA3遺伝子の機能異常を同定した。Communications biology誌オンライン版2021年4月1日号の報告より。 主な結果は以下のとおり。・2007~2012年に聖マリアンナ医科大学で手術を受けたDCIS患者431例(年齢中央値:48歳、追跡期間中央値:6.1年、ER陽性:87.0%/HER2陽性:18.8%、4.6%が追跡期間中にIDCに進行)のデータが分析された。その結果、年齢(45歳未満)とHER2陽性が浸潤性がん再発と関連するリスク因子であると示された。・21症例のDCIS原発病変と再発前後のペア検体を用いた全エクソンシークエンスを実施した結果、GATA3遺伝子変異が浸潤性がんへの進展に関与する遺伝子候補とされた。・この結果を、全エクソンシークエンスの結果より作成した180遺伝子ターゲットパネルを用いて、72例のターゲットシークエンスを行い確認した(オッズ比[OR]:7.8、95%信頼区間[CI]:1.17~88.4)。・GATA3遺伝子変異をもつDCIS症例の空間トランスクリプトーム解析を行った結果、GATA3遺伝子変異をもつDCIS細胞では、異常を持たない細胞に比べて上皮間葉転換(EMT)や血管新生などのがん悪性化関連遺伝子の活性化を認め、浸潤能を獲得していることが明らかとなった。・GATA3遺伝子変異をもつDCIS細胞におけるPgR(プロゲステロンレセプター)の発現量を確認したところ、有意にその発現が低下していることがわかった。・ER陽性症例をPgRの発現レベルで2群にわけて再発予後を検討したところ、ER陽性かつPgR陰性のDCISでは有意に予後が悪いことが明らかになった(ハザード比[HR]:3.26、95%CI:1.25~8.56、p=0.01)。・これらの結果から、ER陽性DCISにおけるGATA3遺伝子変異は、PgR発現がそのサロゲートマーカーになる可能性が示唆された。

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前立腺がんの心血管・死亡リスク、経皮エストロゲンvs.LHRHa/Lancet

 進行前立腺がん患者において、エストラジオールの経皮投与(tE2)パッチによる治療と黄体形成ホルモン放出ホルモン作動薬(LHRHa)による治療で、心血管疾患または死亡の発生に差は示唆されなかった。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのRuth E. Langley氏らが、英国の52施設で実施した多施設共同無作為化第II/III相試験「Prostate Adenocarcinoma Transcutaneous Hormone trial:PATCH試験」における長期的な心血管追跡調査データを報告した。アンドロゲン抑制は前立腺がん治療の柱であるが、長期毒性が問題となる。tE2は肝初回通過効果を受けないため、経口エストラジオールでみられる心血管毒性や、LHRHaでみられるエストロゲン枯渇効果を避けられると考えられていた。Lancet誌2021年2月13日号掲載の報告。局所進行・転移のある前立腺がん患者1,694例を追跡 研究グループは、局所進行・転移のある前立腺がん患者1,694例を、LHRHa群またはtE2パッチ群のいずれかに、病期、年齢、喫煙状況、心血管疾患の家族歴などで層別化し無作為に割り付けた(2007年8月14日~2011年2月17日までは1対2、その後は1対1)。 LHRHaは各施設の診療に従って投与し、tE2パッチは100μg/24時間パッチ4枚を最初の4週間は週2回交換、4週後にテストステロンが去勢レベル(≦1.7nmol/L)に達した場合は3枚を週2回交換に減量した。 主要評価項目は、心血管疾患(心不全、急性冠症候群、血栓塞栓性脳卒中、および他の血栓塞栓性イベントなど)および死亡であった。tE2パッチとLHRHaで心血管転帰に有意差なし 2007年8月14日~2019年7月30日の期間に、計1,694例がLHRHa群(790例)またはtE2パッチ群(904例)に無作為に割り付けられた。追跡期間中央値は3.9年(四分位範囲2.4~7.0年)であった。 1ヵ月および3ヵ月時点での去勢率は、LHRHa群でそれぞれ65%および93%、tE2パッチ群で83%および93%であった。 事前に定義された基準を満たす心血管イベントは、153例・計167イベントが報告された。致死的心血管イベントは、1,694例中26例(2%)に認められた(LHRHa群15例[2%]、tE2パッチ群11例[1%])。心血管イベントの初回発生までの期間は、治療間で差はなかった(検視報告書なしの突然死を含む場合のハザード比[HR]:1.11、95%信頼区間[CI]:0.80~1.53、p=0.54、検視報告書が確認された場合のみのHR:1.20、95%CI:0.86~1.68、p=0.29)。 tE2パッチ群での心血管イベント89件中30件(34%)が、tE2パッチを中断あるいはLHRHaへ変更後3ヵ月以降に発生した。主な有害事象(全グレード)は、女性化乳房(LHRHa群38% vs.tE2パッチ群86%、p<0.0001)、ホットフラッシュ(LHRHa群86% vs.tE2パッチ群35%、p<0.0001)であった。

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男性乳がんにおける内分泌療法の第II相無作為化試験/JAMA Oncol

 ホルモン受容体(HR)陽性の男性乳がん患者において、標準的内分泌療法によるエストラジオール値の変化は不明である。今回、ドイツ・Kliniken Essen-MitteのMattea Reinisch氏らが第II相無作為化試験で調べたところ、アロマターゼ阻害薬(AI)またはタモキシフェンにゴナドトロピン放出ホルモンアナログ(GnRHa)を併用した群では、エストラジオール値が持続的に低下することが示された。JAMA Oncology誌オンライン版2021年2月4日号に掲載。 本研究の対象は、ドイツ国内のブレストユニット24施設から2012年10月~2017年5月に組み入れられたHR陽性乳がんの男性患者56例で、タモキシフェン単独、タモキシフェン+GnRHa、AI+GnRHaの3群に無作為に割り付けた。主要評価項目はベースラインから3ヵ月後のエストラジオール値の変化、副次評価項目は6ヵ月後のエストラジオール値の変化と、他の内分泌パラメータ、有害事象、性機能、生活の質の3ヵ月および6ヵ月後の変化とした。 主な結果は以下のとおり。・男性患者(年齢中央値:61.5歳、範囲:37~83歳)56例中52例が治療を開始し、3例(各群1例)が早期に治療中止した。50例が主要評価項目について評価可能であった。・3ヵ月後のエストラジオール値の中央値は、タモキシフェン群では67%増加(+17.0 ng/L)、タモキシフェン+GnRHa群では85%減少(-23.0ng/L)、AI+GnRHa群では 72%減少(-18.5ng/L)がみられた(p<0.001)。・6ヵ月後のエストラジオール値の中央値は、タモキシフェン群では41%増加(+12 ng/L)、タモキシフェン+GnRHa群では61%減少(-19.5ng/L)、AI+GnRHa群では64%減少(-17.0ng/L)がみられた(p<0.001)。

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HR+閉経後乳がんへのAI延長投与、至適治療期間は?~メタ解析

 5年間の内分泌療法終了後、ホルモン受容体陽性(HR+)の閉経後早期乳がん患者に対するアロマターゼ阻害薬(AI)延長投与の至適治療期間を検討したメタ解析結果が報告された。中国・北京協和医学院のJuan Chen氏らが、Breast Cancer誌オンライン版2021年1月2日号で発表した。 著者らは、適格基準を満たした無作為化比較試験を、内分泌療法の全期間に応じて3つのカテゴリーに分類(10年 vs.5年/7~8年 vs.5年/10年 vs.7~8年)。各カテゴリーについて、無増悪生存期間(DFS)と全生存期間(OS)のハザード比(HR)、および有害事象の発生率のリスク比(RR)のプール解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・計9件のRCT、HR陽性乳がんの閉経後女性計2万2,313例が対象とされた。・内分泌療法の治療期間を5年から7~8年に延長すると、DFSの改善がみられた(HR:0.79 [0.69~0.91])。この傾向は特にタモキシフェンのみの投与(HR:0.40 [0.22~0.73])、タモキシフェン後のAI投与(HR:0.82 [0.71~0.95])、リンパ節転移陽性(HR:0.72 [0.56~0.93])、エストロゲン受容体(ER)陽性およびプロゲステロン受容体(PR)陽性(HR:0.61 [0.47~0.78])、および腫瘍径≧2cm(HR:0.72 [0.51~0.98])の患者でみられた。・一方、内分泌療法の治療期間を7~8年から10年に延長しても、DFSの改善はみられなかった(HR:0.79 [0.69~0.91])。・内分泌療法の延長はOSの改善とは関連しなかったが、骨折と骨減少症/骨粗鬆症リスクの増加と関連した。 著者らは、AIによる5年間の治療後、リンパ節転移陰性、ER+/PR-またはER-/PR+、腫瘍径2 cm未満の患者は、長期のAI延長投与を実施する必要はなく、タモキシフェンのみあるいはタモキシフェン後AIによる計5年間の治療後、リンパ節転移陽性、ER+/PR+、腫瘍径2 cm以上の患者では、2~3年のAI延長投与が必要で、期間はそれで十分である可能性が示されたと結論づけている。

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ホルモン補充療法の乳がんリスク、治療法と期間で異なる/BMJ

 英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らの同国コホート内症例対照研究で、ホルモン補充療法(HRT)の乳がんリスクのレベルは、HRTの種類により異なり、併用療法および長期投与で高いことが示された。ただし、メタ解析と比較し、長期のHRTに関連した乳がんのリスク増加は小さく、治療の中止でリスクは顕著に低下することも示されている。先行研究では、長期的なHRTは乳がんのリスク増加と関連しており、治療中止後はリスク増加が減るものの数年間はリスクが高いままであることが、また最近の大規模メタ解析ではHRTに関連した乳がんリスクが予想よりも高いことが示されていた。BMJ誌2020年10月28日号掲載の報告。治療法と期間別に乳がんリスクをコホート内症例対照研究で評価 研究グループは、異なるHRTの種類および投与期間と乳がんリスク増大との関連を評価するため、英国のプライマリケア研究データベース、QResearchおよびClinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを用いたコホート内症例対照研究を行った。これらのデータベースは、入院、死亡、社会的剥奪およびがん登録(QResearchのみ)と連携している。 解析対象は、1998~2018年の期間に乳がんの初回診断を受けた50~79歳の女性9万8,611例(症例群)、およびこの集団と年齢、一般診療、index dateを一致させた女性45万7,498例(対照群)であった。 主要評価項目は、一般診療記録、死亡記録、入院記録、がん登録に基づく乳がんの診断とし、HRTの種類ごとに患者背景、喫煙状況、アルコール摂取、併存疾患、家族歴、他の処方薬で補正したオッズ比(OR)を算出し評価した。長期のエストロゲン単独療法とエストロゲン+プロゲステロン併用療法で増加 症例群3万3,703例(34%)および対照群13万4,391例(31%)が、index dateの1年前にHRTを受けていた。 HRT使用歴なしと比較し、最近(過去5年未満)の長期(5年以上)使用者では、エストロゲン単独療法(補正後OR:1.15、95%信頼区間[CI]:1.09~1.21)およびエストロゲン+プロゲステロン併用療法(1.79、1.73~1.85)のいずれも乳がんのリスク増加と関連していた。併用するプロゲステロンについては、乳がんのリスク増加はノルエチステロンが最も高く(1.88、1.79~1.99)、ジドロゲステロンが最も低かった(1.24、1.03~1.48)。 過去(5年以上前)のエストロゲン単独療法の長期使用、および過去の短期(5年未満)エストロゲン+プロゲステロン併用療法は、乳がんのリスク増加との関連は認められなかった。しかし、過去の長期エストロゲン+プロゲステロン併用療法では乳がんのリスクは高いままであった(補正後OR:1.16、95%CI:1.11~1.21)。 HRT使用歴なしと比較した乳がん発症例の増加(1万人年当たり)は、最近のエストロゲン単独療法使用者では3例(若年女性)~8例(高齢女性)、最近のエストロゲン+プロゲステロン併用療法使用者では9例~36例、過去のエストロゲン+プロゲステロン併用療法使用者では2例~8例と予測された。 結果を踏まえて著者は、「われわれの研究は、英国におけるさまざまなHRTの使用と乳がんリスク増大に関する一般化可能な新たな推定値を提供するものである」と述べている。

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第25回 脳の“女性”が雄の性欲の原動力~バイアグラ発売時の熱狂を雄弁に語る映画

男性ホルモン・テストステロンを女性ホルモン・エストロゲン(エストラジオール)に変える酵素・アロマターゼを発現している脳領域が雄マウスの性欲を支える原動力の一翼を担うと分かりました1,2)。脳に限ってアロマターゼを発現しない雄マウス(脳アロマターゼ欠損雄マウス)を調べたノースウエスタン大学の今回の成果はテストステロンが性欲を増進させる仕組みを初めて明らかにしました。雄マウスは雌マウスと一緒にいると正常であれば雌マウスを追いかけて交尾を試みます。しかし脳アロマターゼ欠損雄マウスは性活動に熱心ではなく、血中のテストステロン濃度が充分にもかかわらず正常マウスの半分しか性活動に取り組みませんでした。交尾の頻度は低下し、著者曰く性に“無関心”になっていました。脳アロマターゼ欠損雄マウスを去勢してテストステロンを投与しても性行動の完全な回復は認められませんでした。一方テストステロンとエストラジオールの両方を投与すると性活動が完全に回復し、脳のアロマターゼがテストステロンを発端とする雄の完全な性活動に必要なことが裏付けられました。今回の結果によると病的な性欲衝動を抑えるのに既存のアロマターゼ阻害剤が有効かもしれません。しかし骨粗鬆症などの副作用の心配があります。脳のアロマターゼ遺伝子プロモーター領域のみ抑制する薬が将来的に開発できれば既存のアロマターゼ阻害剤につきものの副作用を引き起こすことなく目当ての効果を引き出すことができそうです。また、逆にアロマターゼ活性を上げる治療は性欲減退に有効かもしれません。性欲減退はよくあることであり、うつ病を治療する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの広く使われている薬剤で生じることもあります。そのような性欲減退に対してアロマターゼ活性を底上げする性欲増進治療が可能かもしれないと今回の研究を率いたSerdar Bulun氏は言っています。男性の性機能改善薬の先駆けバイアグラ発売時の熱狂ぶりがわかる映画ところで男性の性活動を助ける薬といえばおよそ20年前の1998年に米国FDAに承認されたPfizer(ファイザー)のバイアグラ(Viagra)3)が先駆けです。実話に基づく2011年の映画「ラブ&ドラッグ」ではバイアグラの米国での発売時の熱狂ぶりを垣間見ることができます4)。物語はバイアグラのセールスマンと若くしてパーキンソン病を患う女性を中心に進み、アン・ハサウェイが演じる女性・マギーはパーキンソン病患者やその家族の困難や希望を映し出します。性的な描写があるR15+指定(15歳以上鑑賞可)の映画で一緒に見る相手を選びますし好みが分かれると思いますが、美男美女2人の恋愛成就までの道のりを通じてバイアグラ発売の頃のアメリカの医療の実際を伺い知ることができる作品となっています。参考1)Site of male sexual desire uncovered in brain / Eurekalert2)Brooks DC,et al. Endocrinology. 2020 Oct 01;161.3)VIAGRA PRESCRIBING INFORMATION4)「ラブ&ドラック」公式ホームページ

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閉経後ホルモン補充療法、乳がんへの長期影響は?/JAMA

 2件の無作為化試験の長期フォローアップの解析から、子宮摘出術を受けた女性において、結合型エストロゲン(CEE)単独療法を受けた患者群はプラセボ群と比較して、乳がん発生率および乳がん死亡率の低下と有意に関連していることが明らかにされた。また、子宮温存療法を受けた女性において、CEE+メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)療法を受けた患者群はプラセボ群と比較して、乳がん発生率は有意に高く、乳がん死亡率に有意な差はみられなかった。米国・Harbor-UCLA Medical CenterのRowan T. Chlebowski氏らによる報告で、これまで閉経後ホルモン療法の乳がんへの影響は、観察研究と無作為化試験の所見が一致せず結論には至っていなかったことから、一般閉経後女性を対象としたホルモン補充療法の大規模前向き無作為化試験「Women's Health Initiative」参加者の長期追跡評価試験を行い、CEE+MPA療法またはCEE単独療法の乳がん発生・死亡への影響を調べる検討を行った。JAMA誌2020年7月28日号掲載の報告。CEE単独またはCEE+MPA療法の対プラセボ評価を20年超追跡 2件のプラセボ対照無作為化試験の長期追跡評価は、乳がんの既往がなく、ベースラインのマンモグラフィで陰性が確認された50~79歳の閉経後女性2万7,347例を対象に行われた。対象者は、1993~98年に米国内40ヵ所のセンターで登録され、2017年12月31日まで追跡を受けた。 このうち、子宮が温存されている1万6,608例を対象とした試験では、8,506例がCEE 0.625mg/日+MPA 2.5mg/日を投与され、8,102例がプラセボを投与された。また、子宮摘出術を受けていた1万739例を対象とした試験では、5,310例がCEE 0.625mg/日単独投与を、5,429例がプラセボ投与を受けた。 CEE+MPA試験は、中央値5.6年後の2002年に中止となり、CEE単独試験は中央値7.2年後の2004年に中止となっている。 主要評価項目は、乳がんの発生(プロトコールは有害性についての主要モニタリングアウトカムと規定)、副次評価項目は、乳がん死および乳がん後の死亡であった。 対象者2万7,347例はベースラインの平均年齢63.4(SD 7.2)歳で、累積フォローアップ中央値20年超において98%以上の死亡情報の入手・利用が可能であった。子宮摘出CEE単独は発生率・死亡率とも低下、子宮温存CEE+MPAは発生率上昇 子宮摘出術を受けていた1万739例において、CEE単独療法はプラセボと比較して、統計学的に有意に乳がんの発生率が低かった(238例[年率0.30%]vs.296例[0.37%]、ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.65~0.93、p=0.005)。また、乳がん死も統計学的に有意に低率だった(30例[0.031%]vs.46例[0.046%]、0.60、0.37~0.97、p=0.04)。 対照的に、子宮が温存されていた1万6,608例において、CEE+MPA療法はプラセボと比較して、統計学的に有意に乳がんの発生率が高く(584例[年率0.45%]vs.447例[0.36%]、HR:1.28、95%CI:1.13~1.45、p<0.001)、乳がん死の有意差はみられなかった(71例[0.045%]vs.53例[0.035%]、1.35、0.94~1.95、p=0.11)。

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GnRHアンタゴニストはadd-back療法併用でも子宮筋腫による過多月経改善に効果あり、使用時に合併する更年期様症状改善の可能性も(解説:前田裕斗氏)-1197

 過多月経を伴う子宮筋腫の根本治療はあくまで手術であり、投薬治療にはさまざまな問題点がある。たとえば低エストロゲン・プロゲステロン合剤(LEP)や子宮内レボノルゲストレル放出システムなどについて子宮筋腫患者の過多月経改善に明確なエビデンスはなく、中枢に働きかけ性ホルモン分泌を抑えるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストには、むしろ一時的に性ホルモンが増えることで大量出血するflare up現象などの問題点があった。そこで登場したのがGnRHアンタゴニストであり、flare up現象もなく、内服のため使いやすい利点があり、本邦でも2019年3月に子宮筋腫への適応が通り使われ始めている。一方GnRHアンタゴニストにも当然性ホルモンを抑えることで更年期様の症状が出ることが知られており、そうした副作用を抑えるために女性ホルモンを少量加えるadd-back療法が検討されていたが、これまでにその効果・安全性についてのエビデンスは乏しかった。そこでGnRHアンタゴニストであるelagolixと、elagolix+add-back併用療法、プラセボの3群に割り付け効果をみたのが今回の研究である。結果は別稿に譲るが、簡単には、最終月の月経血量がプラセボ群と比較して併用療法群で有意に減少し、ホットフラッシュなどの更年期症状はプラセボ群より併用療法群で有意に高頻度であった。elagolixによるエストロゲン低下作用、とくに骨密度の低下はadd-back療法で軽減された。 前述のとおり、本邦でもレルゴリクスというGnRHアンタゴニストが子宮筋腫に対して適応が通っており使用され始めている。そのため今回の研究結果を実臨床へ適応するのは比較的容易であるといえるが、当然異なる薬剤であり、対象集団も異なるためデータの蓄積が求められる。また、実臨床へ適応するうえでの使用方法として(1)子宮筋腫手術前の出血量減少、貧血改善、筋腫サイズの縮小目的(2)過多月経患者について、手術療法を選択しない場合の姑息的治療の2つが考えられるが、(1)については半年以内の継続使用がほとんどのため今回の研究結果が適応できるが、(2)については安全面でさらに検討が必要だ。つまり、今回の試験では併用療法群とプラセボ群を比較して骨塩量の有意な減少を認めなかったが、繰り返し使用した場合、たとえ3ヵ月程度の休薬期間を置いたとしても骨塩量の減少が有意となる可能性は十分ある。このため、長期使用、反復使用についてのadd-back療法併用については今後の研究が待たれる分野といえるだろう。いずれにしても、GnRHアンタゴニスト使用時の更年期様症状で悩める患者さんにとっては朗報といえる論文である。

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elagolix+add-back療法、子宮筋腫の過多月経に有効/NEJM

 経口ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬elagolixは、ホルモン補充を行うadd-back療法との併用により、子宮筋腫に伴う過多月経の軽減に有効であることが示された。米国・トーマス・ジェファソン大学のWilliam D. Schlaff氏らが、elagolix+add-back療法の有効性と安全性を検証する2つの独立した6ヵ月間の無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「Elaris Uterine Fibroids(UF)-1試験」および「UF-2試験」の結果を報告した。子宮筋腫は過多月経と関連するホルモン感受性腫瘍であり、卵巣性ホルモンを迅速かつ可逆的に抑制するelagolixは、子宮筋腫による出血を軽減する可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年1月23日号掲載の報告。elagolix+add-back療法を2件の臨床試験で評価 研究グループは、子宮筋腫による出血のある女性を、elagolix(300mgを1日2回)+add-back療法(内因性ホルモン低下を補うため、本試験ではエストラジオール1mgおよび酢酸ノルエチステロン0.5mgを1日1回投与)(併用療法)群と、elagolixのみ投与(単独)群、およびプラセボ群に2対1対1の割合で無作為に割り付けた。elagolix単独群は、elagolixのエストロゲン低下作用へのadd-back療法の影響を評価するために組み込まれた。 主要評価項目は、投与最終月の経血量が80mL未満で、最終月の経血量がベースライン時から50%以上減少した患者の割合とした。欠損データは多重代入法により補完し、ロジスティック回帰モデルを用いて解析した。 UF-1試験で412例、UF-2試験で378例が無作為化され、elagolixまたはプラセボの投与を受け、本解析に組み込まれた。elagolix+add-back療法の主要評価項目達成率はプラセボより有意に高い 主要評価項目を達成した患者の割合は、elagolix+add-back併用療法群がUF-1試験(206例)で68.5%、UF-2試験(189例)で76.5%であったのに対し、プラセボ群ではUF-1試験(102例)で8.7%、UF-2試験(94例)で10%であった(両試験ともp<0.001)。また、elagolix単独群では、UF-1試験(104例)で84.1%、UF-2試験(95例)で77%であった。 ホットフラッシュは両試験で、不正出血はUF-1試験で、elagolix+add-back併用療法群がプラセボ群より有意に高頻度であった。elagolixによるエストロゲン低下作用、とくに骨密度の低下はadd-back療法で軽減された。 なお著者は、elagolix単独療法とelagolix+add-back併用療法を比較した場合の、骨密度以外のアウトカムへの影響については結論付けられないと述べている。

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第33回 大豆製品摂取と乳がん、月経との影響を患者さんに聞かれたら【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 以前、乳がんのホルモン療法中の患者さんに、「納豆や豆乳などの大豆製品を摂取しても大丈夫?」と聞かれたことがあります。多くの乳がんはエストロゲンの作用で増殖しますので、大豆イソフラボンが女性ホルモン様作用を有すると聞いて疑問に思ったようです。似たような趣旨で、月経痛への影響を懸念される患者さんもいらっしゃいました。確かに、大豆に含まれるイソフラボンは、αおよびβエストロゲン受容体に結合できる17‐β‐エストラジオールと構造が類似しており、エストロゲン活性を有することが知られています1)。エストロゲンとの構造類似から植物エストロゲンと呼ばれることもありますが、実際のところ影響はあるのでしょうか。今回は大豆製品の疑問に関連する研究を紹介します。血清エストロゲン濃度や月経痛への影響は不明まず、豆乳摂取による血清エストロゲン濃度への影響についてです。閉経前の日本人女性を対象として、連続した3月経周期に毎日400mLの豆乳(約109mgのイソフラボンを含有)を摂取する豆乳補充食群(31例)と、対照の通常食群(29例)にランダムに割り付けて調査した岐阜大学の研究があります。結果として、各群間で血清エストロゲン濃度の変化や月経周期の長さに統計的な有意差はありませんでした2)。後に、同じ研究グループは19~24歳の日本人女性276例を対象に、月経痛と大豆製品、脂肪、食物繊維摂取との関係性についても横断研究をしています。食物繊維摂取量は有意に月経痛スケールと逆相関でしたが、大豆製品、脂肪の摂取量は月経痛スケールとの相関が見いだされませんでした3)。食物繊維のほうが月経痛に有用という何とも言い難い結果ですが、食品から大豆製品を通常摂取する分には月経周期や月経痛への影響はあまりなさそうです。大豆消費と乳がんのリスクは逆相関多目的コホート研究(JPHC研究)は、生活習慣とがんなどの生活習慣病との関連について日本の人口ベースで長期追跡調査を行い、これまでに多くの成果を発表しています。その中の1つで、大豆製品およびそこから摂取されるイソフラボン量と乳がんの発生率を調査したものがあります。同研究では、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県石川の4地域に在住している40〜59歳の女性2万1,852人を約10年間追跡しています。その結果、みそ汁とイソフラボンの摂取が乳がんリスクと逆相関することが示唆されました。イソフラボン摂取量が最低四分位数のものと比較して、第2四分位、第3四分位、最高四分位数の乳がんリスク比はそれぞれ0.76(95%信頼区間[CI]:0.47~1.2)、0.90(95%CI:0.56~1.5)、0.46(95%CI:0.25~0.84)でした。とくに、みそ汁を1日2杯以上飲む群では乳がんリスクが低い傾向にありました4)。乳がん内分泌療法中の患者の再発リスクも低下2002年8月~2003年7月の間に乳がんの手術を受け、その後内分泌療法を行っている患者524例を対象に中央値5.1年追跡し、大豆イソフラボンの食事摂取と乳がんの再発および死亡との関連を調べた研究もあります。アンケートにより食事状況を調査し、ハザード比(HR)を推定し、ER/PRのステータスと内分泌療法別(タモキシフェンまたはアナストロゾール)により層別化しています。閉経前患者では、全体の死亡率(30.6%)は大豆イソフラボンの摂取とは相関がありませんでした(HR:1.05、95%CI:0.78~1.71、最高四分位[>42.3mg/日]vs.最低四分位[<15.2mg/日])が、閉経後患者では最低四分位と比較して、最高四分位の再発リスクは有意に低いという結果でした(HR:0.67、95%CI:0.54~0.85)。閉経後ER+/PR+の患者およびアナストロゾールによる治療を受けている患者でも、大豆イソフラボンの食事摂取量が多いと再発リスクが低下していました5)。ほかにも、35件の研究のメタ解析では、大豆摂取が閉経前後双方において乳がん再発リスクと逆相関することも示唆されていますし6)、HER2の発現状態によらず大豆摂取が乳がんリスクと逆相関するとする中国人女性を対象とした研究もあります7)。また、前向き研究のメタ解析で、大豆イソフラボン摂取量が10mg/日増加するごとに、乳がんのリスクが3%(95%CI:1~5%)減少する用量依存性も示唆されています8)。大豆イソフラボンは理論的には乳がんなどのリスクを上げるように思いますが、これらの文献ではそうとも言えないようです。さまざまな情報を入手するにつれ不安に思われる患者さんもいらっしゃいますので、回答の参考になれば幸いです。1)Vitale DC , et al. Eur J Drug Metab Pharmacokinet. 2013;38:15-25.2)Nagata C , et al. J Natl Cancer Inst. 1998 2;90:1830-1835.3)Nagata C , et al. Eur J Clin Nutr. 2005;59:88-92.4)Yamamoto S, et al. J Natl Cancer Inst. 2003;95:906-913. 5)Kang X, et al. CMAJ. 2010;182:1857-1862.6)Chen M, et al. PLoS One. 20140;9:e89288.7)Baglia ML, et al. Int J Cancer. 2016;139:742-748.8)Wei Y, et al. Eur J Epidemiol. 2019 Nov 21. [Epub ahead of print]

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初潮や出産年齢と乳がん患者の死亡リスク:日本人前向きコホート

 初潮、閉経、出産など女性の生殖要因は乳がんの発症だけでなく、進行や予後とも関連する可能性があるが、そのエビデンスは限られている。東北大学の南 優子氏らは、日本人乳がん患者における生殖要因と、腫瘍特性や死亡リスクの関連を前向きに検討した。Breast Cancer誌2019年11月号の報告より。 1997年から2013年の間に日本の単施設で乳がんと診断された患者1,468例を対象として、生殖要因と腫瘍特性、死亡リスクの関連が分析された。2016年までの追跡期間中央値8.6年において、全死因死亡272例、乳がんによる死亡199例が報告されている。 主な結果は以下のとおり。・症例間比較において、初潮年齢の遅さは乳がんの進行と逆相関していた。・出産経験のない患者では、エストロゲン受容体(ER)陽性あるいはプロゲステロン受容体(PR)陽性の腫瘍を有する傾向がみられた。・Cox比例ハザードモデルを用いた解析の結果、腫瘍特性による調整後、出産回数と全死因死亡リスクとの間にU字型の関連がみられた([出産回数1回と比較して]出産経験なし:ハザード比[HR]=2.10、2回:HR=1.28、3回以上:HR=1.50)。・ER陰性およびPR陰性の腫瘍を有する患者においては、初潮年齢と最終出産年齢の遅さが、全死因死亡リスクと相関していた([初潮年齢12歳以下と比較して]15歳以上:HR=2.18、傾向のp=0.03、[最終出産年齢29歳以下と比較して]35歳以上:HR=3.10、傾向のp=0.01)。・ER陽性およびPR陽性の腫瘍を有する経産患者においては、最終出産からの期間の短さが死亡リスクと関連していた([10年以上と比較して]4年以下:HR=5.72、傾向のp=0.004)。 著者らは、初潮や出産のタイミングは乳がん患者の生存に重要な影響を与え、女性のライフコースと乳がんアウトカムの関連を理解するための手がかりになると考えられると結論付けている。

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遠隔オリゴ転移再発乳がんの予後および予後因子/日本癌治療学会

 進行乳がん(ABC)のガイドラインの定義によるオリゴ転移がん(OMD)がNon-OMD(NOMD)と比べて有意に予後良好であり、通常の再発乳がんの予後因子である「遠隔転移巣の根治切除の有無」「転移臓器個数」「転移臓器部位」「無病期間(DFI)」「周術期の化学療法の有無」がOMDにおいても予後因子であることが示唆された。がん研有明病院/隈病院の藤島 成氏が第57回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)で発表した。 一部の進行乳がんにおいて長期予後が得られる症例があり、そのような症例としてOMDやHER2陽性乳がんが挙げられる。ABCのガイドラインにおけるOMDの定義は、転移個数が少なくサイズが小さい腫瘍量の少ない転移疾患とされており、その転移個数は5個以下となっているが、転移臓器の個数は定義されていない。OMDの転移臓器の個数は1つにすべきというドイツのグループからの意見もあり、その定義について議論されている。今回、藤島氏らはABCのガイドラインの定義によるOMDの予後を評価し、さらにOMDの予後因子を検討した。 対象は、がん研有明病院で原発性乳がんの手術を受け2005~14年に遠隔再発を来した患者612例のうち、重複がん、両側乳がん、追跡不能例を除いた437例。ABCのガイドラインに基づき分類したOMDとNOMDの予後を比較し、さらにOMDの予後因子を分析した。脳転移および転移個数5個以下でも根治切除不能と判断した症例はNOMDに分類した。 主な結果は以下のとおり。・OMDは133例、NOMDは304例であった。・再発時年齢中央値、DFI中央値、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体、HER2の発現は両群に有意差はなかった。・サブタイプ別では全体として両群に有意差はなかったが、トリプルネガティブ(TN)についてOMDが10.5%、NOMDが20.4%と、OMDのほうが少なかった。・転移部位について、肝転移、肺転移では両群に差はなかったが、骨転移、遠隔リンパ節転移はNOMDよりOMDで少なかった(どちらもp<0.01)。・再発後の初回全身療法はNOMDで化学療法が有意に多く(p<0.01)、OMDは内分泌療法が有意に多かった(p<0.01)。・OMD症例の14例(10.5%)に遠隔転移巣の根治切除術が実施されており、14例中13例が1臓器のみの転移であった(肺転移:9例、肝転移:3例、骨転移:1例、子宮・卵巣:1例)。・追跡期間中央値は40ヵ月(範囲:0~150)、遠隔再発後の全生存期間(OS)中央値は、OMD(76ヵ月)がNOMD(33ヵ月)よりも有意に予後が良好だった(p<0.01)。・OMDにおけるサブタイプ別のOS中央値は、luminalが92ヵ月、luminal/HER2が126ヵ月と、HER2の59ヵ月、TNの52ヵ月より予後良好な傾向が認められた。・OMDにおけるOSに関する単変量比例ハザードモデル解析によると、ER陽性(p=0.02)、周術期の化学療法なし(p=0.01)、遠隔転移巣の根治切除あり(p=0.04)、1臓器のみの転移(p<0.01)、DFI 2年以上(p<0.01)、肝転移なし(p=0.04)、サブタイプがluminalもしくはluminal/HER2(p=0.03)が有意な予後良好因子であった。再発時年齢が50歳未満も予後良好な傾向がみられた(p=0.07)。・多変量比例ハザードモデル解析によると、周術期の化学療法なし(p=0.04)、遠隔転移巣の根治切除あり(p=0.03)、1臓器のみの転移(p<0.01)、DFI 2年以上(p<0.01)、肝転移なし(p=0.05)が有意な予後良好因子であった。・予後良好因子が2個以下と3個以上で分類すると、遠隔転移後のOS中央値は3個以上が106ヵ月で、2個以下の34ヵ月に比べて有意に予後が良好であった(p<0.01)。 藤島氏は、「ABCのガイドラインに基づいてOMDとNOMDに分類すると、OMDは有意に予後良好である。しかし、OMD患者の予後は臨床的因子によって異なるため、OMD患者の中でも臨床的因子を考慮した異なる治療戦略が必要ではないか」と述べた。

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Evidence Based Medicine追求への神髄を見た(解説:岡慎一氏)-1092

 ホルモン薬を使った避妊方法はいくつかある。その中で、黄体ホルモン製剤であるメドロキシプロゲステロン酢酸エステル剤の筋注薬(DMPA-IM)は、避妊には有効であるが、30年来の観察研究からHIV感染のリスクを高める可能性があるとされていた。とくに、2つのメタアナリシスの結果では、この避妊法は他の方法に比べ40~50%もHIV感染リスクを高めるとされていた。しかし、WHOの見解では、対象となった多くの論文は、重大なlimitationを抱えており、有効で安全な避妊法の質の高いエビデンスを出すためには、追加の研究が必要であると結論付けた。 問題はここからである。この研究では、Evidenceを追究するために、どの避妊法がHIV感染率を高めるのかを比較するRCTを行ったのである。対象者は、避妊を希望するsexually activeな若い女性である。倫理的な問題はかなり議論されたようである。3つの方法を比較しているが、各群2,600人以上を組み入れている。もちろん、HIVに感染しないためのsafer sex promotion packageも十分行っている。DMPA-IM群には、4.19/100PYのHIV感染が起こり、他の2群3.94/100PY、3.31/100PYよりやや高めに見えるが、3群間に有意な差はなかった。この結果から、EBMとしてガイドラインには、3つの避妊法はいずれも有効で、HIV感染予防を一緒に行うことが推奨されるであろう。アフリカの女性にとって避妊も大事である。あっぱれな研究である。

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最もOSが良好な乳がんのサブタイプは?

 乳がん治療について、ステージ分類に加えて腫瘍サブタイプの重要性を強調するエビデンスが報告された。現行の乳がん治療では、これまで各ステージにおける腫瘍サブタイプの寄与は明らかになっていなかったが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJose P. Leone氏らが、Surveillance Epidemiology and End Results(SEER)プログラムのデータを解析し、臨床病理学的特徴が良好であるのはホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)乳がんであること、しかしながら、ほとんどのステージで全生存(OS)が最も良好だったのはHR+/HER2+乳がんであることを報告した。乳がんの4つの各ステージにおいて、OSは腫瘍サブタイプにより有意に異なっており、多変量モデルにおいても有意なままであったことも明らかにした。American Journal of Clinical Oncology誌2019年7月号掲載の報告。各ステージでの腫瘍サブタイプ別にOSは有意に異なる 研究グループは、各ステージでの腫瘍サブタイプ別によるOSの違いを分析する目的で、SEERプログラムに登録された乳がん患者のうち、2010~13年の間に診断され、エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体(HR)ならびにHER2の状態が既知の患者を対象に、患者特性を腫瘍サブタイプ別に比較した。 単変量および多変量解析により、OSに対する各変数の影響を明らかにするとともに、乳がん特異的生存についても解析した。 腫瘍サブタイプ別に患者特性を比較した、主な結果は以下のとおり。・解析対象は16万6,054例で、腫瘍サブタイプの分布はHR+/HER2-が72.5%、HR+/HER2+が10.8%、HR-/HER2+が4.8%、トリプルネガティブ(TN)が12%であった。・HR+/HER2-の患者は、年齢が高く、グレードが低く、ステージは早期であった(すべてp<0.0001)。・OSは、各ステージにおいて、腫瘍サブタイプにより有意に異なっていた(交互作用のp<0.0001)。・StageIで最もOSが高かった腫瘍サブタイプは、HR+/HER2-で、3年OSは97.2%であった。・StageII、StageIII、StageIVで最もOSが高かった腫瘍サブタイプは、HR+/HER2+で、3年OSはそれぞれ94.5%、87.8%、54.8%であった。・SageIVでは、腫瘍サブタイプのTNとHR+/HER2+との間で3年OSに40.1%の差があった。・これらの結果は年齢、人種、グレード、組織型および配偶者の有無について調整した多変量解析によって確認された。

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