サイト内検索|page:31

検索結果 合計:839件 表示位置:601 - 620

601.

本当にナッツが血糖改善するか?

ナッツ類が血糖値にもたらす影響を検討した試験はあるものの、ナッツ消費と糖尿病リスクの関連についてメタ解析は行われていなかった。そこで、2型糖尿病患者を対象にランダム化比較試験のメタ解析を行ったところ、ナッツ類は糖尿病患者のHbA1cを有意に低下させることが示された。方法:DM患者が対象の12のランダム化試験を抽出●対象試験:MEDLINE、EMBASE、CINAHL、コクランより抽出した12試験(n=450)(2014年4月6日時点まで)●データ抽出条件:・ナッツ類※を基調とした食事(含有中央値:56g/日)と等カロリーのナッツなしの食事の比較・糖尿病患者を対象に行われた3週間以上のランダム化比較試験 ・HbA1c、空腹時血糖値、空腹時インスリン値、HOMA-IRの評価あり※ナッツ類:アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、ピーカン、松の実、ピスタチオ、クルミ結果:ナッツ食で血糖値低下● ナッツ類を基調とした食事で下記指標の有意な低下が認められた。・HbA1c: 平均差  -0.07%(95% CI:-0.10、-0.03%)、p = 0.0003・空腹時血糖値: 平均差 -0.15 mmol/L(95%CI:-0.27、-0.02 mmol/L)、p = 0.03※ナッツ食群 vs コントロール群●空腹時インスリン値、HOMA-IRはナッツ類での好影響が示されたが、有意差は認められなかった。考察:長期の検討が求められる地中海食やDASH食などナッツ類を含む食生活は、2型糖尿病にも好影響をもたらすことが明らかになっている。著者は今回のメタ解析の結果から、2型糖尿病患者の食事療法にナッツ類を取り入れることを支持している。ただし、過去実施された試験の多くは短期間かつ限定的であり、今後は、長期の、より質の高い検討が求められる。

602.

2型糖尿病コントロール困難例におけるインスリンポンプ療法の有用性(解説:七里 眞義 氏)-231

強化インスリン療法によっても血糖コントロールに難渋する2型糖尿病患者は数多い。OpT2mise試験は1日平均100単位以上のインスリンを使用してもコントロール不良な331例を、インスリンポンプ療法群と頻回注射療法群に割り付けて比較した「無作為化並行群間比較試験」であるが、より少ないインスリン量で低血糖も増やさず、より良好な血糖コントロールを達成でき、CGMで計測した高血糖持続時間も大きく減少させることができた。 当然ながら医師・患者ともにポンプ療法に割り付けられているかどうかを知らずに治療を継続できるはずはないため、完全な「二重盲検試験」にはなっていないものの、この領域でのエビデンスの不足を補う重要な報告と評価したい。 インスリンポンプ療法が2型糖尿病で有効であるかどうかについては、より少数例での報告があるにすぎない。コントロールが不良な症例を対象とした2つの無作為化クロスオーバー試験では、ポンプ療法が頻回注射療法よりも良好な血糖コントロールをもたらすことが示唆されているが、HbA1cが8%程度の症例を対象とした2つの並行群間比較試験では両群の治療効果に差は認められなかった。今回のOpT2mise試験には北米、欧州、イスラエル、南アフリカの36施設が参加し、対象症例の平均BMIは33を越え、試験開始時のHbA1cは9%と高値であったが、インスリン分泌能などに関する詳細な記載はない。 低血糖を避けながら高血糖持続時間や急峻な血糖変動を抑制するという意味で、より良質な血糖コントロールを目指すための方策の1つとして考慮すべき論文ではあるが、本試験で対象となった肥満・コントロール不良の2型糖尿病においてSGLT2阻害薬の併用が可能になった現在、インスリンポンプ療法の有用性がどの程度、維持できるかについては、気になるところでもある。

603.

膵臓の働きを野球に例えて指導

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師 Aさんは、今までにインスリン注射を打ったことがありますか?患者 ありません。そんなに私の糖尿病は悪いのですか?医師 そうですね。今の血糖値のままでは合併症になるリスクが、かなり高まっていると思います。一度、インスリンで血糖を下げてみたらいいかと思います。患者 インスリンを始めたら、一生打たなければならないんじゃないですか?医師 そんなことはありませんよ。Aさんは野球がお好きでしたよね。患者 そうですね。阪神ファンです。画 いわみせいじ医師 先発して、外人選手(外食)なんかにバカスカ打たれたピッチャーでも、インスリンがリリーフに入って、休ませると次の試合ではいいピッチングをすることがありますよね。患者 なるほど。膵臓が先発、リリーフがインスリンということですか。医師 そうですね。少し、膵臓を休ませてあげると、また、いい働きができると思いますよ。患者 なるほど。膵臓を休ませるために、注射を打って暴飲暴食は止めるか。ポイント患者さんが興味を持っていることに例えることで、理解度が高まりますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

604.

糖尿病予防には歩くよりヨガ

ヨガは2型糖尿病の効果的な予防戦略となるかもしれない。糖尿病高リスク者に対するウォーキングとヨガの効果を比較したところ、ヨガ群で体重、腹囲の有意な低下がみられた。一方で、食後・空腹時血糖値などのリスク指標への影響に有意差は認められなかった。糖尿病リスク者のウエスト引き締め に「ヨガ」はウォーキングよりも有効 な可能性がある。方法:糖尿病高リスク者が対象● 被験者:インド在住、空腹時血糖高値(初診FBG≧5.6mmol/L)、41例● 期間:8週間● 試験:乱数を利用した無作為化試験 ・ヨガ群(21例):ヨガクラス(マインドレクチャー含め1クラス75分)週に3~6日 ・ウォーキング群(20例):ウォーキング(30分、休憩を含め1回75分)週に3~6日● 評価:intention-to-treat分析に基づいて評価。▼主要アウトカム▼BMI変化、腹囲、空腹時血糖値、食後血糖値、血清インスリン値、インスリン抵抗性、血圧、コレステロール値※その他、抑うつ、不安、自覚ストレスなどを含む心理的well-being尺度の変化結果:ヨガで腹囲が減少▼ヨガ群 vs. ウォーキング群▼● BMI: -0.2±0.8 vs. 0.6±1.6、p=0.05● 腹囲: -4.2±4.8 cm vs. 0.7±4.2 cm、p<0.01● 体重: -0.8±2.1 kg vs. 1.4±3.6 kg、p=0.02 2群間において、食後・空腹時血糖値、インスリン抵抗性などの糖尿病リスクに関する指標、および心理的well-beingの変化では有意な差は認められなかった。両群ともに、収縮期・拡張期血圧、総コレステロール値、不安や抑うつ、ネガティブな感情および自覚ストレスについて、有意な減少が認められた。考察:ヨガは有効な糖尿病の予防戦略となるかもしれない今回、空腹時血糖高値のインド人における8週間にわたる検討から、ヨガの介入が、体重や腹囲の減少をもたらすことが明らかになった。著者は今後、より長期かつサンプルサイズの大きい研究での検討の必要性を示している。未確定な部分は多いものの、ヨガは体重関連のリスク因子を減らし、心理的にも幸福感を高める、有効な糖尿病の予防戦略となるかもしれない。

605.

糖尿病は大腸がん治癒切除後の予後因子

 国立台湾大学医学院附設病院のKuo-Hsing Chen氏らは、治癒切除を受けた早期結腸がん患者において、糖尿病の有無と予後の関連性を調査した。その結果、早期結腸がん治癒切除後の患者では、糖尿病が全死亡率増加の予測因子であることが示唆された。Oncologist誌オンライン版2014年7月24日号に掲載。 著者らは、2004年1月1日~2008年12月31日にステージI/IIの結腸がんと新規に診断され、治癒切除を受けた結腸がん患者のコホートを、台湾における3つの患者データベースから選択した。また、2型糖尿病、糖尿病治療薬の使用、他の合併症、生存転帰に関する情報を収集し、糖尿病合併患者とそれ以外の患者における結腸がん特異的生存率(CSS)および全生存率(OS)を比較した。 主な結果は以下のとおり。・結腸がん6,937例が選択され、そのうち1,371例(19.8%)が糖尿病に罹患していた。・糖尿病を合併する結腸がん患者は、合併していない結腸がん患者に比べ、高齢で、補助化学療法を受けていることが少なかった。一方、腫瘍ステージおよびグレードは同等であった。・糖尿病を合併していない結腸がん患者に比べ、合併している結腸がん患者は、OS(5年OS:71.0%対81.7%)、CSS(5年CSS:86.7%対89.2%)ともに有意に低かった。・多変量解析で年齢、性別、ステージ、補助化学療法、合併症を調整後も、全死亡率においては、糖尿病は独立した予後因子であったが(調整ハザード比:1.32、95%信頼区間:1.18~1.49)、がん特異的死亡率においてはそうではなかった。・糖尿病の薬物療法を受けた結腸がん患者において、インスリンを使用していた患者は使用していない患者よりもCSSとOSが有意に低かった。

606.

コントロール不良の糖尿病にインスリンポンプ療法が有効/Lancet

 インスリンポンプ療法は、インスリン頻回注射療法で血糖コントロールが不良な2型糖尿病患者の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値を改善することが、フランス・カーン大学のYves Reznik氏らが行ったOpT2mise試験で示された。血糖コントロールが不良な患者に強化インスリン療法として基礎・追加インスリンによる頻回注射療法を行っても、約30%はHbA1c値が正常化せず、低血糖や体重増加のリスクが増大することから、新たな治療法が求められている。これまでに2つの無作為化クロスオーバー試験で、ポンプ療法が頻回注射療法よりも良好な血糖コントロールをもたらすことが示唆されているが、2つの並行群間比較試験では差は認められていない。Lancet誌オンライン版7月3日号掲載の報告。ポンプ療法への切り替えの有用性を無作為化試験で評価 OpT2mise試験は、インスリン頻回注射療法を行っても血糖コントロールが不良な2型糖尿病患者において、インスリンポンプ療法に切り替える群と頻回注射療法を継続する群を比較する二重盲検無作為化並行群間比較試験。 対象は、年齢30~75歳、導入期間終了後にHbA1c値が8.0~12.0%(64~108mmol/mol)の患者とし、2つの群に1対1の割合で無作為に割り付けた。主要評価項目は、平均HbA1c値のベースライン時からの変化の差とした。 試験期間は2010年12月~2014年2月であり、北米、欧州、イスラエル、南アフリカの36施設が参加した。2013年5月までに590例が登録され、331例が解析の対象となった。少ない総インスリン量で、より良好な血糖コントロールを達成 ポンプ療法群に168例(平均年齢55.5歳、男性56%、罹病期間14.9年、BMI 33.5)が、頻回注射療法継続群には163例(56.4歳、53%、15.3年、33.2)が割り付けられた。ベースラインの平均HbA1c値は両群ともに9.0%(75mmol/mol)だった。 6ヵ月後に、平均HbA1c値がポンプ療法群で1.1%、頻回注射療法群で0.4%低下した。両群間の差は-0.7%(95%信頼区間[CI]:-0.9~-0.4)であり、ポンプ療法群が有意に良好であった(p<0.0001)。 試験終了時の平均1日総インスリン量はポンプ療法群が97単位と、頻回注射療法群の122単位に比べ有意に少なかった(p<0.0001)。平均体重はそれぞれ1.5kg、1.1kg増加したが、有意差は認めなかった(p=0.322)。 入院を要する重篤な有害事象(高血糖、ケトーシス)が3例にみられ、2例がポンプ療法群、1例は頻回注射療法群であった。ケトアシドーシスは両群ともに認めなかった。頻回注射療法群の1例に重篤な低血糖がみられたが、入院治療で回復した。 著者は、「インスリン頻回注射療法で血糖コントロールが不良な2型糖尿病患者に対して、インスリンポンプ療法は安全に施行可能であり、有用な治療選択肢となる可能性がある」とまとめ、「総インスリン量が少ないポンプ療法で血糖コントロールが良好であった理由として、薬物動態/薬力学(PK/PD)が優れることが推察される。また、ポンプ療法は患者にとってより簡便で、用量の確認などの手間が少なく、アドヒアランスの改善も期待できる」と指摘している。

607.

エキスパートに聞く! 「SGLT2阻害薬」 パート2

日常診療で抱く疑問に、専門医がわかりやすく、コンパクトに回答するコーナーです。今回は「糖尿病診療」の中で今旬の話題である「SGLT2阻害薬」について、会員医師からの疑問にご回答いただきました。明日の診療から使えるコツをお届けします。体重を3kg程度減らすとされていますが、その現象がなぜ1年ほどで止まってしまうのか、ご教示ください。SGLT2阻害薬は、尿糖排泄を促進することによりエネルギー収支を負に傾け、体重を減少させます。その体重減少効果はおおむね6ヵ月で底値(平均約3kg減少)に達し、観察期間2年の報告では、その後有意な増加はなく維持されています。しかし、質問にありますように、投与後6ヵ月以降ではさらなる体重減少は認めにくいようです。観察期間2年の報告を見ても経過中の尿糖排泄量に変化はないようです。理論的には、一定の食事と運動を継続する限り、体重はどこかで安定すると考えられます。しかし、体重減少作用減弱の原因として摂食量の増加や糖の消費に伴うエネルギー消費効率の低下もある程度寄与する可能性は否定できません。SGLT2阻害薬投与マウスやSGLT2ノックアウトマウスでは、コントロール群と比較し観察期間を通して摂餌量が増加し、SGLT1、2ノックアウトマウスではさらに摂餌量が増加します。また、SGLT2阻害薬投与後のエネルギー消費を確認したヒトや動物での研究はまだ少ないですが、体重減少効果が減弱した時期に酸素消費量や呼吸商を検討した報告では、コントロール群とSGLT2阻害薬群で差はないとされています。(保険診療外において)糖尿病ではない患者に対し、体重減少を目的として使用した場合、その効果は期待できるのかどうか、ご教示ください。健常者にSGLT2阻害薬を投与した場合においても、尿糖排泄が増加します。通常使用量では25~60g/日の尿糖排泄が確認されており、100~240kcal/日のエネルギー喪失となるため、非糖尿病肥満者でも体重減少効果が認められると考えます。しかし、安易な使用は、中止後の体重のリバウンドや、尿糖排泄に伴う尿路・性器系感染症のリスクといった問題点を引き起こしかねず、非糖尿病者での使用は厳に慎むべきです。SGLT2阻害薬と併用薬による改善効果の違いはどの程度でしょうか、ご教示ください。SGLT2阻害薬は、既存の糖尿病治療薬とまったく異なる作用機序を有する薬剤であり、すべての糖尿病治療薬で併用効果があります。日本人2型糖尿病患者対象の、既存糖尿病治療薬との52週間併用試験の結果では、スルホニル尿素(SU)薬:-0.63~0.84%、グリニド薬:-0.59~0.76%、DPP-4阻害薬:-0.52~0.81%、ビグアナイド薬:-0.61~0.95%、チアゾリジン薬:-0.6~0.86%、α-グルコシダーゼ阻害薬:-0.68~0.84%と、既存薬間での違いは見られません。観察期間中の低血糖発現率は、SU薬:3.0~14.7%、グリニド薬:0~6.1%で、その他の薬剤:3%未満で、SU薬やインスリン製剤と併用する場合にはとくに低血糖に注意が必要です。体重減少効果は、SU薬とチアゾリジン薬で乏しい傾向ですが、52週時点でもSGLT2阻害薬投与前と比較し体重減少は少なく、SU薬とチアゾリジン薬のデメリットを低減すると考えます。その他既存薬との併用では-2.5~3.0kgの体重減少効果があります。腎機能が低下しつつある患者さんにも効果が期待できるでしょうか、ご教示ください。SGLT2阻害薬非投与時の2型糖尿病患者の尿糖排泄量(平均±標準偏差)は、腎機能低下に伴い、正常腎機能6.71±8.77g/日、軽度腎機能障害8.80±17.0g/日、中等度腎機能障害2.00±3.76g/日、重度腎機能障害0.553±0.247g/日と減少します(トホグリフロジン添付文書)。また、SGLT2阻害薬自体も腎機能低下に伴い、糸球体濾過量が減少します。このように、腎機能低下例では、糖およびSGLT2阻害薬の糸球体での濾過量が減少するため、SGLT2阻害薬投与時の2型糖尿病患者の24時間尿糖排泄量は、正常腎機能70~90g/日、軽度50~70g/日、中等度20~40g/日、重度腎機能障害10g/日と、腎機能低下とともに減少します。このような理由から、中等度腎機能低下例(30≦eGFR≦59mL/min/1.73 m2)のHbA1c改善度は-0.1~0.3%程度と減弱します。しかし、興味深いことに、腎機能正常例と比較し体重減少効果の減弱は認められず、その原因は現時点では不明です。また、高度腎機能低下または透析中の末期腎不全例では、効果がないことや副作用発現リスクを考慮し投与しないことになっています。副作用の発現時に、すぐに休薬すべきか、しばらく様子をみるかどうか、また、休薬時のポイントをご教示ください。●低血糖とくにインスリン製剤やスルホニル尿素(SU)薬と併用する場合に留意する必要があります。インスリン製剤やSU薬は血糖管理不良例で使用されていることが多いですが、SGLT2阻害薬の血糖低下作用は血糖管理不良例ほど大きく、インスリン製剤やSU薬と併用する場合には予期せぬ低血糖が起こる場合があり、低血糖リスク軽減のためインスリンやSU薬の減量を考慮する必要があります。ただし、インスリン製剤やSU薬使用例はインスリン分泌能低下例も多く、早めの受診を促し病態悪化阻止に努めるべきです。低血糖出現時には糖質摂取を促し、インスリンやSU薬を減量してください。●脱水投与早期(とくに1ヵ月以内)に多く、とくに、高齢者、利尿剤投与例、血糖コントロール不良例で注意が必要です。SGLT2阻害薬による尿量増加は200~600mL/日とされており、予防として500mL/日程度の飲水を促し、脱水を認めた場合は休薬と補液を考慮ください。●尿路/性器感染症とくに既往を有する例で注意が必要です。清潔を保持することで多くは予防可能ですが、症状出現時には速やかに受診するよう事前指導し、感染症治療を行うとともに、症状に応じて休薬を考慮ください。●ケトン体増加インスリン作用不足に起因する場合にはインスリン補充が必要であり、糖尿病性ケトアシドーシスの場合には、とくに速やかな対応が必要です。糖尿病性ケトアシドーシスでは3-ヒドロキシ酪酸が顕著に増加しますが、尿ケトン体定性検査は3-ヒドロキシ酪酸を検出できないため、過小評価となる危険性があるので注意してください。●休薬時の対応SGLT2阻害薬の休薬時には、病態に応じて薬剤の変更や追加が必要です。※エキスパートに聞く!「糖尿病」Q&A Part1はこちら

608.

ケアネット白書~糖尿病編2014

株式会社ケアネットでは、このほど「ケアネット白書~糖尿病編(以下、糖尿病白書2014)」をまとめた。本調査は、2型糖尿病患者を1ヵ月に1人以上診察している医師を対象に、2014年4月にインターネット調査を実施し、その回答をまとめたものである。2014年版では、この春発売となった「SGLT2阻害薬」の処方意向や処方患者像なども質問項目に加え、最新の糖尿病治療について調査した。以下、「糖尿病白書2014」の概要を紹介する。CONTENTS1.調査目的と方法2.結果1)回答医師の背景2)2型糖尿病の患者数3)薬剤の使用状況4)薬剤選択の際に重要視する項目5)新薬「SGLT2阻害薬」の評価・処方意向1. 調査目的と方法本調査の目的は、糖尿病診療に対する臨床医の意識を調べ、その実態を把握するとともに、主に使用されている糖尿病治療薬を評価することである。2型糖尿病患者を1ヵ月に10人以上診察している全国の医師500人を対象に、(株)ケアネットのウェブサイトにて、アンケート調査への協力を依頼し、2014年4月11日~4月15日に回答を募った。2. 結果1)回答医師の背景回答医師500人の主診療科は、一般内科が40.8%で最も多く、次いで糖尿病・代謝・内分泌科で32.8%、循環器科で10.8%である。それら医師の所属施設は、病院(20床以上)が65.4%、診療所(19床以下)が34.6%となっている。医師の年齢層は50-59歳が最も多く36.0%、次いで40-49歳が31.4%、39歳以下が22.6%と続く。40代から50代の医師が全体の7割近くを占めている(表)。表を拡大する2)2型糖尿病の患者数●1ヵ月に診察している2型糖尿病患者数最近(2014年4月基準)1ヵ月に、外来で診察している2型糖尿病患者は全体平均133.6人である。診療科別で見ると、糖尿病・代謝・内分泌科は平均258.3人、その他の診療科では平均72.7人であった。3)薬剤の使用状況●2型糖尿病に対する糖尿病治療薬の使用状況2型糖尿病に対する糖尿病治療薬をSU薬、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド)、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)、ビグアナイド(BG)薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、インスリン製剤、その他――のカテゴリーに分けて、食事・運動療法に加えて薬物療法を実施する際の第一選択薬を聞いた(図1)。図1を拡大する使用が最も多いのはDPP-4阻害薬で、回答した医師全体の40.5%が第一選択薬として使っている(図1下)。昨年の数値(40.1%)と比較するとほぼ横ばいの値であった。次いで多いのがBG薬で、23.3%。昨年の数値(20.5%)と比較すると約3ポイントの上昇が認められた。以下、α-GIが8.9%、SU薬が8.3%、速効型インスリン分泌促進薬が3.0%となっている。なかでもα-GI、SU薬は、昨年はともに10%強であったが、今年は数値を落としている。結果、第一選択薬はDPP-4阻害薬、BG薬で二分する形となった。図2を拡大する<糖尿病・代謝・内分泌科での第一選択薬>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合、最も選択の多いのはBG薬で、38.9%であった(図2中央)。昨年、BG薬から首位の座を奪ったDPP-4阻害薬は32.4%となり、BG薬の底力を見せつける結果となった。<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での第一選択薬>回答医師の属性がその他の診療科の場合、最も選択の多いのがDPP-4阻害薬で44.4%であった(図2下)。昨年と比較するとほぼ横ばいの結果である。以下、BG薬が15.6%、α-GIが10.9%、SU薬が9.2%などとなっている。その他の診療科の結果は、昨年とほぼ同じ傾向であった。4)薬剤選択の際に重要視する項目なお、薬剤を選択する際に重要視する項目についても聞いている(複数回答)。最も多いのは昨年に続き「低血糖を来しにくい」で、76.6%の医師が挙げている。以下、血糖降下作用が強い(65.8%)、重篤な副作用がない(63.0%)などが主なものである(図3左)。図3を拡大する<糖尿病・代謝・内分泌科での重要視項目>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合、薬剤選択で重要視する項目として最も多いのは「低血糖を来しにくい」で、80.5%の医師が挙げている(図3中央)。次に、「体重増加を来しにくい」(74.4%)などが続く。<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での重要視項目>回答医師の属性がその他の診療科の場合も、薬剤選択で重要視する項目として最も多いのは「低血糖を来しにくい」であった。一方、専門医での評価が高い「体重増加を来しにくい」は42.9%と、専門医と比べ、重要視項目としては低い結果であった(図3右)。全体的な傾向をまとめると、昨年同様、診療科を問わず「低血糖を来しにくい」薬剤が重要視されていることが明らかとなった。インクレチン関連薬登場以降に本項目の重要度は高まった。今春発売となったSGLT2阻害薬の登場が「体重増加を来しにくい」への評価にどう影響をもたらすかについては、来年度の白書にてレポートしたい。5)新薬「SGLT2阻害薬」の評価・処方意向2014年春、登場したSGLT2阻害薬※はその新しい作用機序ゆえに注目が集まっている。昨年に続き、SGLT2阻害薬の評価や今後の処方意向について調査した(図4)。※SGLT2阻害薬は、腎尿細管において糖の再吸収に関与するトランスポーターのナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)を阻害し、血糖値依存的に尿糖排泄を促すことで血糖低下作用を発揮する。低血糖のリスクは低く、体重減少作用を有すると注目されている。図4を拡大する●SGLT2阻害薬で評価できる特徴SGLT2阻害薬で評価できる特徴について質問したところ、「インスリン分泌を介さない血糖降下作用」が70.2%と最も高く、次いで、「体重減少作用」(69.0%)、「低血糖を来しにくい」(63.4%)であった(図4左)。<糖尿病・代謝・内分泌科での評価>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合、81.6%が「体重減少作用」を評価していた(図4中央)。以下、「インスリン分泌を介さない血糖降下作用」(68.7%)「低血糖を来しにくい」(60.7%)、と続いた。<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での評価>回答医師の属性がその他の診療科の場合は、「インスリン分泌を介さない血糖降下作用」が71.0%と最も多かった。次いで「低血糖を来しにくい」(64.8%)、「体重減少作用」(62.6%)であった(図4右)。全体的な傾向をまとめると、専門医はSGLT2阻害薬の体重減少作用をより評価しており、これは「薬剤選択の際に重要視する項目」とも関連が認められた。一方で、非専門医は「インスリン分泌を介さない血糖降下作用」を最も評価するという結果であった。SGLT2阻害薬の評価ポイントについて、専門医と非専門医で若干の違いがあることが浮き彫りとなった。●SGLT2阻害薬に対する処方意向SGLT2阻害薬の処方意向について質問したところ、「周りの医師の反応をみながら処方を検討してみたい」との回答が49.3%で最も多かった。次いで「発売時より処方を検討していきたい」(39.2%)との回答であった(図5上)。図5を拡大する<糖尿病・代謝・内分泌科での処方意向>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合、「発売時より処方を検討していきたい」との回答が59.4%と「周りの医師の反応をみながら処方を検討してみたい」(33.8%)を上回る高い処方意向が認められた(図5中央)。<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での処方意向>回答医師の属性がその他の診療科の場合は、「周りの医師の反応をみながら処方を検討してみたい」が57.9%と最も多く、1年目は様子見という状況が伺えた(図5下)。専門医では「発売時より処方を検討していきたい」の回答が6割弱と、SGLT2阻害薬の処方に前向きなことが明らかとなった。この結果をみる限り、SGLT2阻害薬は発売直後より2型糖尿病治療の新たな選択肢として注目を浴びると予想される。

609.

事例11 インスリン(IRI)検査の査定【斬らレセプト】

解説2型糖尿病の在宅自己注射指導管理料算定中の患者に対して、糖尿病関連の諸検査を行ったところ、インスリン(IRI)検査が診療報酬支払基金よりC(医学的理由により不適当と判断されるもの)を理由に査定となった。事例の患者には在宅自己注射指導管理料が算定されている。体外からインスリンの補給を行っている患者であることがわかる。IRI検査は、血中のインスリンを測定する検査であって、自己分泌のインスリンであるかないかの区別はできない。したがって、インスリン治療をすでに開始している患者へのIRI検査は疑問であり、CPRが同時算定されていることもあって査定になったものであろう。事例の原因は、医学的判断ではなく検査項目がひとまとめに指定できるところにあった。セット項目に入っていても、必要が無いと判断された検査は、省いていただけるようお願いするとともに、セット項目を必要最小限に組み直して誤入力防止の対策とした。

610.

新薬の説明を例えで簡単に

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 糖尿病の新しい薬が出たそうですね。医師 「DPP-4阻害薬」のことですね。患者 その薬はどんな薬なんですか?医師 糖尿病の飲み薬は今まで、5種類あったのですが、その中の2種類は膵臓を刺激してインスリンを出す薬で、よく効くのですが、食事の時間が遅れたりしたら低血糖になることがありました。患者 低血糖。それは怖いですね。医師 この新しい薬は、血糖を下げるインスリンというホルモンの出方をきめ細やかに調整してくれる薬なんです。画 いわみせいじ患者 インスリンの出方を調節?医師 つまり、蛇口から出る水をインスリンとすると、出しっぱなしになると低血糖になってしまいますが、この薬は血糖値が高い時はたくさん出してくれて、血糖値が低くなりはじめたら、蛇口を少し締めてくれます。患者 だから、高血糖にも低血糖になりにくいんですね。(納得した顔)ポイント水道の蛇口に例えることで、患者さんの理解が深まりますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

611.

メトホルミンへの追加薬、インスリンはSU薬よりも予後が不良/JAMA

 メトホルミン単剤で治療を開始した糖尿病患者にインスリン製剤を追加投与すると、スルホニル尿素(SU)薬を追加した場合に比べ、非致死的心血管疾患や全死因死亡のリスクが高いことが、米国・ヴァンダービルト大学のChristianne L Roumie氏らの検討で示された。糖尿病治療では、メトホルミンのみではHbA1c≦7%の達成が難しく、追加薬を要することが多いが、適切な薬剤選択のエビデンスは少ない。医師は、良好な血糖コントロールや膵β細胞保護作用への期待から早期にインスリン製剤を導入する傾向が高まっているが、患者は体重増加や低血糖への懸念から導入を遅らせたがることが多いという。なお、同氏らはインスリン製剤のほうがリスクが低いとの仮説のもとで本研究を開始している。JAMA誌2014年6月11日号掲載の報告。追加薬の違いによる転帰の差を後ろ向きに解析 研究グループは、メトホルミンで治療を開始し無効となった糖尿病患者において、追加薬剤としてインスリン製剤を導入した場合とSU薬を使用した場合の転帰をレトロスペクティブに評価した。 退役軍人健康庁(VHA)、メディケア、国民死亡記録(NDI)のデータベースを使用し、2001~2008年の糖尿病患者のデータを抽出した。患者の背景因子に基づく傾向スコアマッチング法を用い、メトホルミン+インスリン群とメトホルミン+SU薬群に1対5の割合でマッチングした。 Cox比例ハザード周辺構造モデルを用いて、治療群間の複合転帰(非致死的急性心筋梗塞[AMI]、脳卒中による入院、全死因死亡)のリスクを比較した。AMIと脳卒中の頻度は同等、全死因死亡に大きな差 2001~2008年に17万8,341例がメトホルミンで治療を開始し、そのうち2,948例がインスリン製剤を、3万9,990例がSU薬を追加していた。傾向スコアマッチング法でメトホルミン+インスリン群の2,436例とメトホルミン+SU薬群の1万2,180例がマッチングされた。 両群ともに、薬剤追加時の年齢中央値は60歳、男性が95%であり、メトホルミン単剤の投与期間中央値は14ヵ月、HbA1c中央値は8.1%であった。薬剤追加後のフォローアップ期間中央値は14ヵ月。 イベント発生数は、メトホルミン+インスリン群が172件、メトホルミン+SU薬群は634件で、1,000人年当たりの頻度はそれぞれ42.7件、32.8件であり、インスリンを追加したほうが転帰が不良であった(補正ハザード比[aHR]:1.30、95%信頼区間[CI]:1.07~1.58、p=0.009)。 AMIと脳卒中の頻度は両群間で同等であったのに対し、全死因死亡がインスリン追加群で高頻度に発生していた。すなわち、AMI+脳卒中のイベント発生数はそれぞれ41件、229件で、1,000人年当たり10.2件、11.9件(aHR:0.88、95%CI:0.59~1.30、p=0.52)、全死因死亡はそれぞれ137件、444件で、1,000人年当たり33.7件、22.7件(aHR:1.44、95%CI:1.15~1.79、p=0.001)であった。 副次評価項目であるAMI、脳卒中による入院、心血管死の複合転帰のイベント発生数は、メトホルミン+インスリン群が54件、メトホルミン+SU薬群は258件で、1,000人年当たりの頻度はそれぞれ22.8件、22.5件と両群で同等だった(aHR:0.98、95%CI:0.71~1.34、p=0.87)。 著者は、「インスリン製剤の使用に関連するリスクの原因を解明するためにさらなる検討を要する」とし、「この知見は、経口投与が可能な患者ではインスリン製剤とSU薬の効果は同等とする勧告に疑問を投げかけるもの」と指摘している。

612.

肥満の閉塞性睡眠時無呼吸患者へのCPAP+減量介入の効果は?/NEJM

 肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の治療において、持続陽圧呼吸療法(CPAP)と減量介入の併用療法は、それぞれの単独療法に比べC反応性蛋白(CRP)値を改善しないことが、米国・ペンシルバニア大学のJulio A Chirinos氏らの検討で示された。肥満と閉塞性睡眠時無呼吸は併存する傾向があり、炎症やインスリン抵抗性、脂質異常症、高血圧との関連が知られているが、その因果関係は解明されていない。これまでに行われた心血管リスクに関する減量介入の試験に閉塞性睡眠時無呼吸患者は含まれておらず、CPAPの試験で肥満への介入を含むものはないという。NEJM誌2014年6月12日号掲載の報告。併用による増分効果を無作為化試験で評価 研究グループは、肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の治療におけるCPAP、減量介入、CPAP+減量介入の効果を比較する無作為化試験を実施した。対象は、BMI≧30、中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸(無呼吸低呼吸指数[AHI]≧15回、AHI:睡眠1時間当たりの無呼吸、低呼吸の合計回数)、CRP>1.0mg/Lの患者とした。 CPAPは、個々の患者に合わせて機器を調整した後、毎晩施行した。減量介入は、週1回のカウンセリングを行い、カロリー摂取目標を体重114kg未満の患者は1,200~1,500kcal/日に、114kg以上の場合は1,500~1,800kcal/日に設定した。治療期間は24週であった。 ベースライン、8週、24週時に、CRP値(主要評価項目)、インスリン感受性(副次評価項目)、脂質値(同)、収縮期血圧(探索的評価項目)などを測定し、CPAPと減量介入の併用による各単独療法に対する増分効果の評価を行った。インスリン感受性の測定は、頻回採血ブドウ糖静注負荷試験で行った。CRP改善の増分効果はないが、厳格な治療遵守で収縮期血圧が改善 181例が登録され、併用群に62例(平均年齢49.0歳、男性53.2%、平均BMI 38.4、平均AHI 47.1回/時、高感度CRP中央値4.3mg/L)、CPAP群に58例(49.8歳、60.3%、39.8、41.2回/時、4.7mg/L)、減量群には61例(48.3歳、59%、38.1、39.7回/時、4.4mg/L)が割り付けられた。1回以上の評価が行われた146例が解析の対象となった。 24週の治療により、併用群と減量群ではCRP値(いずれもp<0.001)、インスリン抵抗性(p<0.001、p=0.01)、血清トリグリセライド(TG)値(p<0.001、p=0.03)が有意に改善したが、CPAP群ではこのような変化は認められなかった。収縮期血圧は3群のすべてで有意に低下した(併用群:p<0.001、CPAP群:p=0.02、減量群:p<0.007)。 併用群では、CPAP群や減量群に比べ、CRP値の有意な増分効果は認められなかったが、減量群ではCPAP群に比し有意に低下した(p=0.01)。また、併用群では、CPAP群に比べインスリン抵抗性(p=0.01)および血清TG値(p=0.046)が有意に改善したが、併用群と減量群には有意な差はなかった。 事前に規定されたアドヒアランスの基準を満たした90例(併用群:24例、CPAP群:39例、減量群:27例)を対象にper-protocol解析を行ったところ、併用群ではCPAP群、減量群に比べ、収縮期血圧(p<0.001、p=0.02)が有意に改善された。同様に、平均動脈圧も併用群が各単独群に比べ有意に改善した。 著者は、「CPAPと減量介入の併用によるCRP改善の増分効果は認めなかったが、併用レジメンの厳格な治療遵守により収縮期血圧で増分効果が得られる可能性がある」とまとめ、「肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の治療戦略では、減量介入が重要な要素であることが示唆される」と指摘している。

613.

「SGLT2阻害薬の適正使用を呼びかけるRecommendation」で副作用事例と対応策を公表

日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」は、SGLT2阻害薬の発売開始から約1ヵ月の副作用報告を受け、6月13日に「SGLT2阻害薬の適正使用を呼びかけるRecommendation」を公表した。発表によると、報告された副作用として、当初予想された尿路・性器感染症に加え、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹など重篤な副作用が発症しているとのことである。同委員会では、「現時点では必ずしも因果関係が明らかでないものも含まれている」としたうえで、「今の時点でこれらの副作用情報を広く共有することにより、今後、副作用のさらなる拡大を未然に防止することが必要と考えRecommendationと具体的副作用事例とその対策を報告した」としている。■Recommendation1.SU 薬などインスリン分泌促進薬やインスリンと併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。2.高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヵ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。3.脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。4.発熱・下痢・嘔吐などがあるとき、ないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には休薬する。5.本剤投与後、皮疹・紅斑などが認められた場合にはすみやかに投与を中止し、副作用報告を行うこと。6.尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。7.原則として、本剤はほかに2剤程度までの併用が当面推奨される。■副作用の事例と対策(抜粋)●重症低血糖24例(うち4例が重症例)の低血糖が報告され、多数の糖尿病薬を使用している患者にさらに追加されている場合が多くみられた。併用薬はSU薬、インスリンに加えて、ほかの作用機序の薬剤も含まれている。SGLT2阻害薬の添付文書にあるように、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤またはインスリン製剤と同剤を併用する場合は、低血糖のリスクを軽減するためあらかじめスルホニルウレア剤などの併用剤の減量を検討する必要がある。とくに、SU薬にSGLT2阻害薬を併用する場合には、DPP-4阻害薬の場合に準じて、以下の通りSU薬の減量を検討することが必要。グリメピリド2mg/日を超えて使用している患者は2mg/日以下に減じるグリベンクラミド1.25mg/日を超えて使用している患者は1.25mg/日以下に減じるグリクラジド40mg/日を超えて使用している患者は40mg/日以下に減じる●ケトアシドーシス1例の報告例。本例では極端な糖質制限が行われていた。SGLT2阻害薬の投与に際し、インスリン分泌能が低下している症例への投与では、ケトアシドーシス発現に厳重な注意を図るとともに、同時に栄養不良状態、飢餓状態の患者や極端な糖質制限を行っている患者への投与ではケトアシドーシスを発現させうることに注意が必要。●脳梗塞3例(うち2例重篤、1例非重篤)の報告。脱水が脳梗塞発現に至りうることに改めて注意を喚起し、高齢者や利尿剤併用患者などの体液減少を起こしやすい患者に対するSGLT2阻害薬の投与は、十分な理由がある場合のみとし、とくに投与初期には体液減少に対する十分な観察と適切な水分補給を必ず行い、投与中はその注意を継続する。また、脱水がビグアナイド薬による乳酸アシドーシスの重大な危険因子であることに鑑み、ビグアナイド薬使用患者にSGLT2阻害薬を併用する場合には、脱水と乳酸アシドーシスに対する十分な注意が必要。参考「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」からhttp://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=20●全身性皮疹・紅斑全身性皮疹が7例(うち6例は重篤)の報告、全身紅斑または紅斑性皮疹が4例(うち3例が重篤)の報告。SGLT2阻害薬投与後、1~12日目で発症。SGLT2阻害薬との因果関係が疑われ、投与に際しては十分な注意が必要。SGLT2阻害薬の使用にあたっては、「適応を十分考慮したうえで、添付文書に示されている安全情報に十分な注意を払い、また、本Recommendationを十分に踏まえて、とくに安全性を最優先して適正使用されるべき」と注意を喚起している。●詳しくは、「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」からhttp://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=48

614.

1年に1回自分の頑張りを振り返る

患者さん用1年に1回、世界糖尿病デー にこれまでの自分の頑張りを振り返りましょう!!画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 昨日は東寺がブルーになっていました。あれは何ですか?医師 実は昨日は「世界糖尿病デー」なんです。患者 世界糖尿病デー?医師 そうです。11月14日は世界糖尿病デーなんです。患者 どうして、11月14日なんですか?画 いわみせいじ医師 11月14日はインスリンを発見したカナダ人のバンティング先生の生まれた日なんです。みんなで糖尿病を克服していこう、という日なんです。患者 そうなんですか。どうしてブルーなんですか?医師 ブルーは国連や空を象徴するブルーみたいですね。みんなで糖尿病を克服していこうということで、ブルーの輪がシンボルマークとなっています。患者 わかりました。私も頑張ってみます。ポイント「今日は何の日」などの話題から、療養指導の話が広がりますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

615.

エキスパートに聞く! 「SGLT2阻害薬」 パート1

日常診療で抱く疑問に、専門医がわかりやすく、コンパクトに回答するコーナーです。今回は「糖尿病診療」の中で今旬の話題である「SGLT2阻害薬」について、会員医師からの疑問にご回答いただきました。明日の診療から使えるコツをお届けします。1日に尿に排泄される糖は、約60g程度と聞いています。この量は血糖コントロールの改善に差が出てくるのでしょうか、ご教示ください。健常人では糸球体から180g/日(血糖値100mg/dLの場合)の糖が濾過されますが、血糖値が尿糖排泄閾値160~180mg/dLを超えない限り、近位尿細管に発現するSGLT2(再吸収の約90%を担う)とSGLT1(再吸収の約10%を担う)の働きによりほぼ100%再吸収されるため、尿糖排泄はみられません。一方、健常人にSGLT2阻害薬を投与すれば、SGLT1による糖再吸収能が高まり、尿糖排泄量は糸球体濾過量の1/3程度にとどまると考えられています。尿糖排泄量は、血糖管理状況と腎機能の影響を受けるため、2型糖尿病患者にSGLT2阻害薬を投与した場合、尿糖排泄量のバラツキは大きくなり、各薬剤の添付文書によれば、70~140g/日まで増加します。すなわち血糖値が高いほど、尿糖排泄量が多くなり、HbA1c低下量は大きくなります。このようにSGLT2阻害薬による血糖改善効果の程度は、腎機能が正常である限り、使用時のHbA1c値によって変わってきます。具体的な投与対象患者像について、また、投与を避けたほうがよい患者像について、ご教示ください。SGLT2阻害薬は尿糖排泄促進により血糖を改善するため、腎機能低下がない限り血糖を低下させます。また、体重減少、血圧低下、中性脂肪低下、HDL-コレステロール上昇、尿酸低下、糖毒性改善に伴うインスリン分泌能およびインスリン抵抗性の改善といった多面的効果も期待できます。その一方で、(1) 浸透圧利尿による多尿、頻尿、脱水、血圧低下、(2) 尿糖排泄増加に伴う尿路/性器感染症、(3) 糖新生促進によるケトン体増加、筋組織の萎縮など今後の臨床応用において留意すべき多くの点があります。各々の留意点として、(1) 口渇を感じにくい高齢者、腎機能低下例、利尿剤使用例、脳梗塞既往例、自律神経障害例、乳酸アシドーシス危険因子の保有例、(2) 尿路/性器感染症の既往例、とくに女性、(3) インスリン分泌能低下例(ケトアシドーシスリスク)、やせ、筋肉量が少ない例が挙げられます。つまり、最も適切な投与患者像は、非高齢の、罹病期間が比較的短い、肥満2型糖尿病例と考えられます。これらの患者においてもSU薬やインスリンとの併用時には低血糖発現に留意すべきで、あらかじめSU薬、インスリンを減量することを勧めます。コントロール不良例で使用する場合の注意点についてご教示ください。血糖管理不良例では尿糖排泄量が増加するため、SGLT2阻害薬の有効性は高くなります。しかし、血糖管理不良時には内因性インスリン分泌能を見極める必要があり、さらに頻尿、脱水などの副作用の頻度や重症度が高くなる可能性があるため注意が必要です。新規2型糖尿病患者の場合、肥満でインスリン非依存状態にあればよい適応です。しかし、非肥満例では糖新生に伴う骨格筋萎縮の懸念が強く、不適と考えます。すでに他剤が投与されているインスリン非依存例では、前投薬がインスリン製剤もしくはSU薬の場合は低血糖に、ビグアナイド薬の場合は乳酸アシドーシスに注意する必要があります。他剤の使用の有無にかかわらず、インスリン依存状態(体重減少例、ケトーシス例)ではケトアシドーシスに注意する必要があり、インスリン製剤を先行投与すべきです。SGLT2阻害薬のHbA1cの低下効果はどの程度でしょうか、ご教示ください。2014年6月18日現在、わが国ではイプラグリフロジン(商品名:スーグラ)、ダパグリフロジン(同:フォシーガ)、ルセオグリフロジン(同:ルセフィ)、トホグリフロジン(同:アプルウェイ/デベルザ)が発売、カナグリフロジンが発売準備中、エンパグリフロジンが承認申請中の状態です。一般にHbA1cの低下効果は、ベースラインHbA1c値に依存します。すなわちHbA1cが高い患者ほどよく下がります。わが国での臨床試験結果から、HbA1c8%程度に使用した場合、0.7~1.0%の低下が期待できると思われます。この効果は薬剤間で有効性に差はないものと思われます。単独療法での各SGLT2阻害薬のHbA1c改善効果は、52週時点で-0.6~0.67%と大きな差はありません。IC50で評価した各SGLT2阻害薬のSGLT2阻害活性が1.3~6.7nmol/Lと大きな違いがないことからも有効性に大差はないと考えられます。(高齢者の)浸透圧利尿による脱水の程度、およびその対処法や泌尿器科領域の感染症の頻度とその重症度について、ご教示ください。SGLT2阻害薬は尿糖排泄増加に伴う浸透圧利尿により尿量を増加させ、継続投与による尿量増加は200~600mL/日程度とされています。そのため、通常より約500mL/日多く飲水を行えば脱水を回避できると予想されます。継続投与による体液量関連指標の変化は、ヘマトクリット:+1%、尿素窒素:+1.5mg/dL、血清クレアチニン値:腎機能正常例-0.05mg/dL、中等度腎機能低下例+0.1mg/dL程度です。また、多尿、頻尿、口渇の発現率は、各々0~1%、2~5%、0~2%です。しかし、前述した値はあくまでも平均値であり、各々の値の標準偏差は大きいため、実地臨床で使用する場合には注意が必要であり、とくに口渇感を感じにくい高齢者、利尿剤使用例、血糖管理不良例では注意を要します。SGLT2阻害薬では、尿糖排泄増加による尿路や性器感染症が懸念されています。発現頻度は各々1~5%、1~7%で、重症度は軽症から中等症にとどまり、重症例は現時点で報告されていません。これらの多くは既往を有する例であり、とくに女性では注意が必要です。※エキスパートに聞く!「糖尿病」Q&A Part2はこちら

616.

「SGLT2阻害薬の適正使用を呼びかけるRecommendation」を公表

 日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」は、SGLT2阻害薬の発売開始から約1ヵ月間の副作用報告を受けたことを踏まえ、6月13日に「SGLT2阻害薬の適正使用を呼びかけるRecommendation」を公表した。 発表によると、報告された副作用として、当初予想された尿路・性器感染症に加え、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹など重篤な副作用が発症しているとのことである。 同委員会では、「現時点では必ずしも因果関係が明らかでないものも含まれている」としたうえで、「今の時点でこれらの副作用情報を広く共有することにより、今後、副作用のさらなる拡大を未然に防止することが必要と考えRecommendationと具体的副作用事例とその対策を報告した」としている。Recommendation 1. SU 薬等インスリン分泌促進薬やインスリンと併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。2. 高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヵ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。3. 脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。4. 発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には休薬する。5. 本剤投与後、皮疹・紅斑などが認められた場合には速やかに投与を中止し、副作用報告を行うこと。6. 尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。7. 原則として、本剤はほかに2剤程度までの併用が当面推奨される。  さらに同委員会は、SGLT2阻害薬の使用にあたっては「適応を十分に考慮したうえで、添付文書に示されている安全情報に十分な注意を払い、また、本Recommendationを十分に踏まえて、とくに安全性を最優先して適正使用されるべき」と注意を喚起している。●詳しくは、「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」から■「SGLT2阻害薬」関連記事SGLT2阻害薬、CV/腎アウトカムへのベースライン特性の影響は/Lancet

617.

高力価スタチンが糖尿病発症リスクを増大させる/BMJ

 心血管疾患の二次予防治療としてのスタチン治療について、高力価スタチンのほうが低力価のものよりも、糖尿病の新規発症リスクが中程度だが増大することが報告された。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のColin R Dormuth氏らによる多施設共同観察研究の結果で、「臨床医は二次予防として高力価スタチンを使用する場合は、このリスクについて考慮すべきである」と提言している。スタチンが糖尿病の新規発症リスクを増大することは、先行研究のメタ解析で示されていたが(オッズ比1.09)、高力価vs. 低力価の比較によるリスク増大については確定していなかった。BMJ誌オンライン版2014年5月29日号掲載の報告より。40歳以上13万6,966例について、2年間服用中の発症率を比較 研究グループは共通分析プロトコルを用いて、8本の住民ベースコホート試験およびメタ解析を行った。試験データは、カナダの6行政区および2つの国際データベース(英国、米国)から組み込まれ、被験者は1997年1月1日~2011年3月31日に、新規にスタチン治療を開始した40歳以上の患者合計13万6,966例だった。 各コホート患者は、重大心血管イベントまたは処置のための入院治療後に新規にスタチンを処方された。これら患者についてコホート内症例対照分析にて、高力価スタチン使用患者と低力価スタチン使用患者の糖尿病発症を比較。条件付きロジスティック回帰分析にて、高力価vs. 低力価スタチン薬について服用期間別(2年以下、120日以下、120日超~365日以下、365日超~730日以下)に、糖尿病の新規発症率を算出し、メタ解析的手法にて全試験地点にわたる同発症への影響について評価した。 主要評価項目は、糖尿病新規発症による入院、またはインスリンあるいは経口血糖降下薬の処方とした。高力価のほうが1.15倍増大、リスクが最も高いのは処方開始4ヵ月間 スタチン使用開始2年以内の糖尿病発症率は、カナダ6行政区では2.12~3.40/100患者であった。米国データベースでは2.99/100患者、英国データベースでは1.95/100患者で、総計では13万6,966例のうち3,629例で糖尿病新規発症がみられた。 服用期間別の分析で、2年以内の糖尿病の新規発症率は、高力価スタチンのほうが低力価スタチンと比べて、有意に増大したことが観察された(率比1.15:95%信頼区間[CI]:1.05~1.26、p=0.003)。 その他の期間別では、120日(4ヵ月)以下が率比1.26(95%CI:1.07~1.47、p=0.004)と最も高かった。120日超~365日以下は1.19(同:1.02~1.38、p=0.03)、365日超~730日以下は1.08(同:0.93~1.25、p=0.33)だった。

618.

DYRK1Bは新規のヒトのメタボリックシンドローム原因遺伝子か?(コメンテーター:山下 静也 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(213)より-

米国Yale大学のKeramatiらは、ヒトのメタボリックシンドローム(MetS)関連遺伝子としてDYRK1Bの遺伝子変異をNEJMに報告した。 同グループはイラン人の3つの大家族において、中心性肥満、高血圧、糖尿病を有し、若年発症の冠動脈疾患の合併した家族を同定し、連鎖解析と全エクソーム配列決定によって、発端者からDYRK1Bの遺伝子突然変異であるDYRK1B R102C(102番目のアルギニン→システイン)変異を明らかにした。このDYRK1B R102C変異はgain-of-function変異で、ヘテロ接合体でもMetSの表現型を示す優性遺伝形式をとると考えられる。また、同グループは他の家系でDYRK1B H90P(90番目のヒスチジン→プロリン)変異もMetSの表現型を示すことを示した。 従来、ヒトMetSの関連遺伝子としては、これまでにレプチン、レプチン受容体、Melanocortin 4 receptor(MC4-R)、Proopiomelanocortin(POMC)、PCSK1、アディポネクチン、CD36などが報告されている。これらの遺伝子異常によって、ヒトでは高度肥満を呈する場合が多く、肥満関連の遺伝子異常ではあるものの、中心性肥満、高血圧、糖尿病などのMetSに特徴的な危険因子の遺伝的集積と、早発性冠動脈疾患を合併する遺伝子変異は本報告が初めてと考えられる。 では、なぜ、DYRK1Bの遺伝子のgain-of-function変異がMetSの表現型を引き起こすのであろうか? DYRK1Bは進化学的に保存されたprotein kinaseのグループであるDyrkファミリーに属する蛋白で、細胞の分化・生存や増殖に関与する。DYRK1Bはserine-threonine kinaseであり、マウスやヒトではユビキタスに発現する。DYRK1B遺伝子の発現は脂肪細胞の分化に伴って著しく増加する。脂肪形成過程では未分化の間葉系幹細胞から脂肪細胞への分化が起こる。DYRK1Bはsonic hedgehog(SHH)経路を抑制する結果、Wnt蛋白の発現を減らし、脂肪組織形成性のCCAAT/enhancer-binding proteinα(C/EBPα)やperoxisome proliferator-activated receptor γ(PPARγ)の発現を増加させ、これによって脂肪細胞への分化が促進されると考えられる。 したがって、DYRK1Bのgain-of-function変異は、本来のDYRK1Bよりもさらに脂肪細胞への分化を促進する活性が強いと考えられる。さらに、DYRK1Bは糖新生に重要な酵素であるglucose-6-phosphataseの活性を誘導することが知られているが、DYRK1Bのgain-of-function変異R102Cは、より強いglucose-6-phosphataseの活性の誘導効果を有することも示されている。このことから、変異を有する群での空腹時血糖の上昇は説明できよう。 日本人においても遺伝性MetSの家系が存在すると考えられるが、このDYRK1Bのgain-of-function変異がわが国でも発見されるのか否かは大変興味のあるところである。また、DYRK1BのR102C変異のキャリアの臨床像は、中心性肥満、2型糖尿病、早発性冠動脈疾患であるが、脂質異常症に関してはLDLコレステロールの高値傾向、トリグリセライド値の増加は示されているが、MetSの診断基準にも含まれる低HDLコレステロール血症の有無については記載がない。インスリン抵抗性に関するデータも示されておらず、内臓脂肪蓄積による症候性のMetSとの相違点があるのか否かについて、今後解明されることが期待される。

619.

1型糖尿病の約7割に皮膚疾患

 1型真性糖尿病患者の皮膚疾患に関するデータは十分ではない。インド・Postgraduate Institute of Medical Education and Research(PIMER)のSawatkar GU氏らは、同患者でみられる皮膚の症状の範囲を調べ、それらの症状と、罹病期間および長期血糖コントロールとの関連について検討した。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年4月28日号の掲載報告。 検討は、2011年7月~2012年6月に、事前に同意を得た500例の1型糖尿病患者を対象に行われ、臨床症状や関連試験を行った。統計的検定は、SPSS 16を使用して行われた。 主な結果は以下のとおり。・さまざまな皮膚の症状がみられ、糖尿病の罹病期間との関連性がみられた。・被験者500例のうち、339例(67.8%)が1つ以上の皮膚の症状を有していた。・患者の平均年齢は、16.9±6.9歳(範囲:1~25歳)、糖尿病の平均罹病期間は4.43±4.4年であった。・インスリンと関連した有害反応としての皮膚の症状は、リポハイパートロフィー(41%)、炎症後色素沈着(3%)、リポアトロフィー(0.6%)、黒色表皮腫(0.4%)の頻度が最も高かった。・また、関節可動域の制限(16.8%)、皮膚の硬化(15.8%)、強皮症様の皮膚の変化(10%)などもみられた。・患者の罹病期間が長いほど(4.4年超)、リポハイパートロフィー(p=0.000)、関節可動域の制限(p=0.000)、強皮症様の皮膚の変化(p=0.000)、糖尿病性皮膚障害(p=0.000)、黒色表皮腫(p=0.005)、スキンタグ(p=0.002)が有意に多くみられる傾向があった。・リポハイパートロフィー、関節可動域の制限、強皮症様の皮膚の変化は、血糖値との有意な関連も示された。・本検討により、若いアジア人の1型糖尿病患者では、皮膚に変化がみられることが一般的であることが示された。・患者、保護者への情報提供、教育およびカウンセリングと、医師における認識が、これら皮膚疾患の予防および早期治療の基本となる。

620.

CliPS -Clinical Presentation Stadium- @TOKYO2013

第1回「突然の片麻痺、構音障害」第2回「幸運にも彼女は肺炎になった」第3回「診断の目利きになる」第4回「Good Morning, NY!」第5回「不明熱」第6回「Ooops! I did it, again... 難しい呼吸困難の鑑別」第7回「Shock」第8回「外見の医療」第9回「What a good case!」第10回「首を動かすと電気が走る」第11回「木を診て森も診る」第12回「なぜキズを縫うのか」第13回「半年間にわたる間欠的な腹痛」第14回「高齢者高血圧管理におけるUnmet Medicak Needs: 『血圧変動』に対してどう考える?」第15回「患者満足度」第16回「ガイドラインって、そんなに大事ですか?」第17回「EBM or XBM?ーまれな疾患における診療方針決定の一例ー」第18回「原因不明を繰り返す発熱」第19回「脳卒中後の固定した麻痺 ―数年経過しても治療により改善するのか?―」第20回「眼科での恐怖の糖尿病」第21回「顔が赤くなるのは、すれてない証拠?」第22回「失神恐るるに足らず?」第23回「背部痛で救急搬送された82歳男性」第24回「免疫不全の患者さんが歩いてきた」第25回「初発痙攣にて搬送された 22歳女性  痙攣の鑑別に難渋した1例」【特典映像】魅せる!伝える!プレゼンの極意 『CliPS(Clinical Presentation Stadium)』は、限られた時間の中で、プレゼンター自身が経験した「とっておきの患者エピソード」や聞いた人が「きっと誰かに話したくなる」興味深い症例を「症例の面白さ(学び)」と「語りの妙(プレゼンスキル)」で魅せるプレゼンテーションの競演です。プレゼンターは、ケアネットでお馴染みの達人講師から若手医師・研修医まで。散りばめられたクリニカルパール。ツイストの効いたストーリー。ユーモアとウィットに富んだプレゼンの数々は、年齢、診療科にかかわりなく、医療者のハートをつかむことでしょう。あなたも『CliPS』の世界を楽しみ、学んで下さい!第1回「突然の片麻痺、構音障害」このタイトル『突然の片麻痺、構音障害』のような患者さんをみたとき、どのようなことを思い浮かべるでしょうか? おそらく診断は脳梗塞で良いだろうと。そして、治療計画、リハビリ、再発予防、介護状況など様々な側面にまで考えは及ぶでしょう。そういった様々な脳梗塞のマネージメントのうち、一番最初の診断のところでしていただきたい「あること」についてお話しします。患者さんの血液を採った時、一滴だけあることに使っていただきたいのです。第2回「幸運にも彼女は肺炎になった」近年、認知機能障害の患者さんに出会う機会は増えています。そして、その際にはしばしば「病歴のとりづらさ」や「診察への抵抗」に苦慮します。今回登場された伊藤先生も、正直言って、それらの患者さんには煩わしさや苦手意識を感じていたそうです。今回ご紹介する患者さんに出会うまでは・・・。治らないと思っていた病気が治るって素晴らしい!そんな症例です。第3回「診断の目利きになる」山中先生が日々の診断で気をつけていることはなんでしょうか?「はじめの1分間が何より大切」、「患者さんと眼の高さを合わせる」、「患者さんは本当のことを言ってくれない」、「キーワードから読み解く」、「診断の80%は問診による」、「典型的な症状をパッケージにして問う」など。診断の達人である山中先生の『攻める問診』メソッドの原点がここに表されています。患者さんの心をつかみ、効果的な病歴聴取や診察を行うためのさまざまなTIPSをご紹介いただきます。山中先生の話芸の素晴らしさにグイと引き込まれること必至です。第4回「Good Morning, NY!」岡田先生が、研修時代を過ごされたニューヨークでのお話。異国の病院で生き残るために、「日本人らしさ」と一貫した態度で信頼を勝ち得たそうです。2年目に出会った原因不明で発熱が続き、意識不明の患者さんとの感動的なエピソードを語っていただきます。第5回「不明熱」 不明熱をテーマに、膠原病科の岸本先生が、2ヶ月間も熱が下がらず、10kgの体重減、消化管に潰瘍、動脈瘤のある、36歳男性の症例をご紹介いただきます。学習的視点も踏まえた岸本先生の分かりやすいプレゼンテ-ションも必見です。第6回「Ooops! I did it, again... 難しい呼吸困難の鑑別」 呼吸困難をテーマに2つの症例を紹介いただきます。呼吸困難で典型的な疾患が心不全と肺炎。鑑別のキーポイントは、検査所見で十分でしょうか。一見ありふれた症例も、SOAPの順序を誤ると、、、非常に重要なメッセージが導き出されます。第7回「Shock」とびきり印象的なショックの症例を紹介します。イタリアンレストランに勤務されている61歳の男性。主訴は「気分が悪い」。ショック状態ですが、熱はなく、サチュレーションも正常。不思議なことに、毎年1回、同様の症状がでると。さて、この患者さんは?第8回「外見の医療」形成外科医の立場から人の「外見」という機能を語ります。顔の機能のうち「外見」という機能は、生命に直接関係ないものの、社会生活を営む上で需要な役割を果たしています。近い未来、「顔」の移植ということもあり得るのでしょうか?第9回「What a good case!」症例は29歳の女性。発熱と前胸部痛を主訴に見つかった肺多発結節影の症例。診断は?そして、採用された治療選択は?岡田先生の分かりやすいトークと意外性と重要な教訓に満ちたプレゼンテーションをお楽しみください。第10回「首を動かすと電気が走る」山中先生のかつて失敗して「痛い目」にあった症例です。60歳の男性で、主訴は「首を動かすと電気が走る」とのこと。しかし、発熱、耳が聞こえない、心雑音など異常箇所が増えていきます。せひ心に留めていただきたい教訓的なプレゼンテーションです。第11回「木を診て森も診る」46歳男性の糖尿病患者さん。 HbA1C が,この半年間で10.5%まで悪化。教育入院やインスリン導入を勧めるも、「それは出来ない」と強い拒絶。この背景にはいくつかの社会的・心理学的な要因があったのです。家庭医視点のプレゼンテーションです。第12回「なぜキズを縫うのか」なぜ傷を縫うのでしょうか? 額の傷を昨日縫合されたばかりの患者さんが紹介されてきたとき、菅原先生はすぐに抜糸をしてしまいました。なぜ?傷の治るメカニズムや、縫合のメリット/デメリットなどを形成外科のプロがわかりやすく解説します。第13回「半年間にわたる間欠的な腹痛」慢性的な下部腹痛の症例。半年前から明け方に臍周囲から下腹部の張るような痛みで覚醒するも、排便で症状は改善。内視鏡検査では大腸メラノーシスと痔を指摘されたのみで、身体所見も血液検査も異常なし。過敏性腸症候群?実際は・・・?第14回「高齢者高血圧管理におけるUnmet Medicak Needs: 『血圧変動』に対してどう考える?」高齢者の血圧の「日内変動」からいろいろなものが見えてくる。ある1ポイントの血圧だけでなく、幅広い視点からの血圧管理が必要。明日の高血圧治療にすぐに役立つプレゼンテーション!第15回「患者満足度」患者満足度にもっとも影響を与える因子は「医師」。その「医師」は患者満足度を上げるには、何をすればいいのでしょうか。岸本先生が研修医時代に学んだ心構えとは?第16回「ガイドラインって、そんなに大事ですか?」ガイドラインはどのくらい大切なのでしょうか。プラセボ効果の歴史を振り返りつつ、ガイドラインの背景にあるものに注目。第17回「EBM or XBM?ーまれな疾患における診療方針決定の一例ー」EBMだけでは対応できない稀なケースには、XBM(経験に基づく医療)で治療に臨まなければなりません。さて、今回の症例では?第18回「原因不明を繰り返す発熱」総合診療科の外来では「不明熱」の患者さんが多く訪れます。今回の「不明熱」に対して、記者出身の医師がしつこく問診を繰り返した結果、浮かび上がってきた答えは・・・。第19回「脳卒中後の固定した麻痺 ―数年経過しても治療により改善するのか?―」ボツリヌス療法と、経皮的電気刺激(TENS)とを併用して治療を行った症例についての報告です。さて、まったく動かすことのできなくなった患者さんの上肢には、どの程度の改善が見られたのでしょうか。第20回「眼科での恐怖の糖尿病」眼科医の視点から糖尿病を考えてみます。日本人の失明原因の第2位(1位の緑内障と僅差)が糖尿病網膜症となっています。内科医と眼科医の連携はまだまだ十分ではないと言えそうです。第21回「顔が赤くなるのは、すれてない証拠?」症例は70代男性の胸痛。1~2週間チクチクした鋭い痛みが一日中持続、緊急性は低そうです。検査をしても特徴的な所見に乏しく決め手に欠けました。さて、どんな疾患なのでしょう?実は大きなヒントがこの一見奇妙なタイトルに凝縮されているのです。第22回「失神恐るるに足らず?」患者が突然、目の前で意識を失って倒れたとします。まず一番最初に行うべきことは?「失神」は原因疾患によって予後が異なるため早期の正しい見極めが重要です。76歳女性の症例を題材に、日常臨床で遭遇する「失神」への対応を解説していただきます。第23回「背部痛で救急搬送された82歳男性」症例は82歳男性。背部痛を主訴に救急外来に搬送。しかしバイタルや検査では異常はなく痛み止めのみ処方。その一週間後に再び搬送された患者さんは激しい痛みを訴えているが、やはりバイタルは安定。ところが…。研修医時代の苦い経験を語ります。第24回「免疫不全の患者さんが歩いてきた」症例は59歳男性。悪性関節リウマチ、Caplan症候群という既往を持ち、強く免疫抑制をかけられている患者。発熱やだるさを主訴に歩いて外来受診。5日後、胸部CTで浸潤影があり入院。しかし肺炎を疑う呼吸器症状がありません。次に打つべき手とは?第25回「初発痙攣にて搬送された 22歳女性  痙攣の鑑別に難渋した1例」症例は22歳の女性。回転性めまいの後2分程度の初発痙攣があり救急搬送。診察・検査の結果、特記すべき所見はほぼ見あたらず、LAC5.1とやや上昇を認めるのみ。原因不明のまま「重篤な疾患はルールアウトされた」と判断。ところが全くの誤りでした。

検索結果 合計:839件 表示位置:601 - 620