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第307回 特定健診は初の6割台 メタボ該当・予備群は880万人で横ばい/厚労省

<先週の動き> 1.特定健診は初の6割台 メタボ該当・予備群は880万人で横ばい/厚労省 2.熊本地震で病院船が初出動 DMAT・JMATなど災害医療チームも活動/熊本県 3.OTC類似薬「薬剤費25%」が患者負担に、長期処方での配慮対象は限定的/厚労省 4.医療・介護AIに重点投資 AX・DX推進本部を設置/厚労省 5.国立大学の経営危機、東大にも波及 研究力低下への懸念強まる/東大ほか 6.正常な脳組織を誤って摘出 50代女性が自発呼吸不能の重篤状態/京大 1.特定健診は初の6割台 メタボ該当・予備群は880万人で横ばい/厚労省厚生労働省は、2024年度の特定健康診査・特定保健指導の実施状況を公表した。特定健診の対象者は約5,142万人、受診者は約3,161万人で、実施率は61.5%となり、前年度から1.6ポイント上昇した。2008年度の制度開始時は38.9%で、今回初めて6割を超えた。国は2029年度までに70%以上の実施を目標としている。性別では男性65.9%、女性57.0%で、男性が8.9ポイント高かった。年齢別では45~49歳が66.8%で最も高く、60歳未満ではおおむね6割台を維持した一方で、65~69歳は52.8%、70~74歳は47.5%まで低下した。保険者別では健康保険組合83.8%、共済組合83.3%に対し、全国健康保険協会60.6%、市町村国保38.8%と大きな差がみられた。特定保健指導は、対象者約524万人のうち約148万人が終了し、実施率は28.3%。前年度から0.7ポイント上昇し過去最高を更新したものの、2029年度目標の45%以上とはなお大きな開きがある。保険者別では単一健康保険組合が46.1%で最も高く、小規模市町村国保が45.3%で続いた。メタボリックシンドロームの該当者・予備群は約880万人で、2008年度比では17.2%減少しており、減少幅は前年度から横ばい推移となった。また、特定健診受診者の31.1%は高血圧症、糖尿病、脂質異常症の治療薬を1種類以上服用していた。受診率は着実に改善しているが、年齢や保険者による格差の縮小に加え、健診後の保健指導や必要な治療へ確実につなげることが今後の課題となる。 参考 1) 2024年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況(厚労省) 2) 特定健診、実施率は61.5%に上昇 24年度、保健指導は28.3%(MEDIFAX) 3) 特定健診実施率、初の6割超え24年度 29年度までに7割以上目標 厚労省(CB news) 2.熊本地震で病院船が初出動 DMAT・JMATなど災害医療チームも活動/熊本県政府は8月5日、7月28日に発生した令和8年熊本地震で多数の医療機関が被災した熊本県八代市の八代港で、防衛省による民間船舶(PFI船)を活用した医療提供(船舶活用医療)を初めて実施した。熊本県知事が8月1日に国へ要請したもので、2021年成立の「災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律」に基づく初の船舶活用医療となる。内閣府、防衛省、熊本県に加え、日本赤十字社、DMAT、JMATなどが連携。船内では発熱などの内科診療、熱中症や軽傷への対応、薬の処方などを行い、併せて被災者への入浴支援も実施した。8月5日午後2時から医療提供を開始し、初日の医療利用者は13人、活動した医療従事者は23人だった。その一方で、「はくおうII」への乗船者は187人、うち182人が入浴支援を利用した。台風13号の接近に伴い、同船は6日午前6時に八代港を出港し、医療提供も一時中断している。被災地ではDMAT、DPAT、日赤救護班、災害支援ナース、JMATなども活動を継続している。透析は一時13施設で実施が困難となったが、8月6日時点で実施困難な2施設についても他院での透析が手配済みとなった。船舶は陸上の医療機関やライフラインが被災した際にも、医療、衛生、生活支援を一体的に提供できる新たな災害医療拠点として期待される一方で、今回の台風による中断は、気象条件に左右される運用上の課題も示した。 参考 1) 令和8年熊本地震に係る被害状況等について(内閣府) 2) 令和8年熊本地震における船舶活用医療の実施について(同) 3) 熊本の被災地にあすから「病院船」、防衛省の船舶活用し初の取り組み…内科診療や熱中症治療・薬の処方も(読売新聞) 4) 防衛省チャーター舶「はくおうII」が入浴や医療提供 断水や猛暑に苦しむ熊本の被災者支援(産経新聞) 5) 避難者支援で医療チームが相次ぎ活動 熊本地震 DMAT・DPAT・災害支援ナースなど(CB news) 3.OTC類似薬「薬剤費25%」が患者負担に、長期処方での配慮対象は限定的/厚労省厚生労働省は8月5日、「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」で中間とりまとめを了承した。2027年3月から、市販薬と成分・投与経路が同一で1日最大用量も異ならないOTC類似薬について、薬剤費の25%相当を保険給付の対象外とし、通常の1~3割の自己負担とは別に「特別料金」として患者が負担する。8月時点の対象は77成分1,042品目で、解熱鎮痛薬、抗アレルギー薬、湿布、保湿剤など日常診療で使用頻度の高い薬剤が含まれる。ただし、一定の患者や使用場面には配慮措置を設ける。がんや指定難病の患者、公費負担医療の対象者は、原疾患や治療に関連する症状への処方であれば追加負担の対象外とする一方で、花粉症など原疾患と無関係な症状への処方は対象となる。18歳未満の子供や入院中・退院時の処方も対象外。外来・在宅でも、生検、処置、手術など侵襲的医療行為に伴い新たに処方する薬は原則14日分まで対象外とする。長期使用の扱いも焦点となる。内服薬は年間おおむね50週の処方が目安で、診療情報提供書、お薬手帳、オンライン資格確認の薬剤情報などで処方歴を確認する。初診で過去の処方歴が確認できない場合は、少なくとも6ヵ月間の症状の持続・反復と薬剤使用を確認した上で、医師が通年使用を必要と判断する。外用薬はさらに条件が厳しく、湿布などの鎮痛消炎外用薬は長期使用でも原則追加負担となる。ただし2028年度末までは、画像検査で重度の変形性膝関節症などが確認され、医師が毎日の継続使用を必要と判断する場合に限り対象外とする。アトピー性皮膚炎に対するヘパリン類似物質や尿素の通年使用は対象外となる。また、医療用薬とOTC薬で効能・効果が一致しない場合は追加負担を求めない。たとえばフェキソフェナジンは、OTCにない蕁麻疹や皮膚疾患に伴うそう痒への使用では対象外となる一方で、アレルギー性鼻炎では原則対象となる。7月にOTC薬が発売された睡眠薬ラメルテオンも対象成分に追加された。今回の制度変更は現場にも大きく影響する。医療機関には対象外と判断した根拠を診療報酬請求書などに記載することが求められる方向で、処方箋様式の変更や電子カルテ、レセコン改修も見込まれる。検討会でも、医師や薬剤師の確認業務が過度に複雑にならない簡素な運用を求める声が相次いだ。厚労省は8月6日から中間とりまとめへのパブリック・コメントを実施しており、8月20日が締め切りとなっている。全国保険医団体連合会(保団連)は、慢性疾患でも配慮対象にならないケースが多いうえ、対象外か否かを判断する医療現場の負担が大きいとして、医療関係者らに厚労省のパブコメへ意見を提出するよう呼びかけている。意見はe-Govのパブリック・コメントから提出できる。厚労省は今後、さらに医療保険部会や中医協で議論し、今秋に省令・告示、関連通知などを取りまとめる予定。 参考 1) 第4回OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会(厚労省) 2) 「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ」について(同) 3) 入院患者は追加負担対象外 OTC類似薬で厚労省案 がんの主たる疾患や副作用の薬も(産経新聞) 4) OTC類似薬の技術的検討会が中間取りまとめ 湿布薬は慢性・重度の変形性膝関節症は除外 対象1042品目(ミクスオンライン) 5) OTC類似薬保険除外 厚労省が配慮措置(中間とりまとめ)のパブコメ募集開始 8月20日まで(保団連) 6) 湿布は長期使用でもOTC類似薬の追加負担に 厚労省検討会で了承(朝日新聞) 7) OTC類似薬の患者特別負担の詳細固まる、アトピーへの「ヘパリン類似物質・尿素」通年処方は特別負担対象外-厚労省技術的検討会(Gem Med) 8) OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ」に関する意見公募の実施について(パブリック・コメント) 4.医療・介護AIに重点投資 AX・DX推進本部を設置/厚労省厚生労働省は8月5日、医療・介護・福祉分野でAIやデジタル技術の活用を推進する「厚生労働省ヘルスケアAX・DX推進本部」の初会合を開いた。本部長を務める上野 賢一郎厚労相は、従来の医療DXに加え、AIトランスフォーメーション(AX)も省を挙げて戦略的、総合的に推進する方針を示し、各部局に2027年度予算の概算要求へ必要な事業や経費を盛り込むよう指示した。推進本部は、これまで各部局で進めてきたAI・DX関連施策を一元的に把握し、全省的に加速させる司令塔として4日に発足した。本部長に厚労相、副本部長に事務次官、厚生労働審議官、医務技監などを置き、関係部局長が参加するほか、「AI for ヘルスケア成長戦略室」を新設し、迫井 正深医務技監を室長として、具体的施策の検討や関係省庁との調整を行う。背景には、政府が日本成長戦略で「AI・半導体」を17の戦略分野の1つに位置付けたことがある。医療・介護ではAIロボットなどの「フィジカルAI」、医療・介護・福祉では領域特化型の「バーティカルAI」の開発・導入を進める。政府はフィジカルAIで2040年に世界シェア3割超、市場規模20兆円、バーティカルAIでは2030年までに世界で5兆円超の市場獲得を目標に掲げる。看護記録などの文書作成や福祉相談業務を支援するAIの普及、研究開発・実証、AI活用に必要なデータ基盤の整備などが想定される。創薬・先端医療でも、AIやデータ活用による研究開発プロセスの高度化・効率化を推進する。政府は成長戦略で新設した、予算要求上限を設けない「『強く豊かな日本』投資枠」も活用し、官民投資を促す方針。厚労省は今後、8月末の概算要求に向けて施策を具体化する。 医療DXが電子化や情報連携を中心としてきたのに対し、今後は診療・看護・介護など実務そのものをAIで変革するAXへ政策領域が広がることになる。 参考 1) 第1回厚生労働省ヘルスケアAX・DX推進本部 資料(厚労省) 2) 医療や介護のAI活用を支援 厚労省が推進本部設置(日経新聞) 3) 厚労省 ヘルスケアAX・DX推進本部が初会合 上野厚労相「日本成長戦略実現に向け概算要求へ」(ミクスオンライン) 4) 政府が医療・介護分野でAI活用推進へ「ヘルスケアAX・DX推進本部」初会合(CB news) 5.国立大学の経営危機、東大にも波及 研究力低下への懸念強まる/東大ほか東京大学が2026年度に2年連続の最終赤字となる見通しであることがわかった。国立大学法人化した2004年度以降、2年連続の赤字は初めて。25年度は数十億円、26年度は約40億円の赤字を見込み、大学の「貯金」に当たる繰越金も数年で枯渇する可能性がある。財務状況が改善しなければ、研究者数の削減など研究・教育体制の縮小も避けられないという。東大の年間収入は約3,000億円で国立大学最大規模。24年度は運営費交付金や補助金が約969億円、附属病院収入が約585億円、企業との共同研究や大型研究事業などの外部資金が約1,160億円だった。その一方で、実験機器・材料などの物件費は約1,794億円、人件費は約1,105億円に上る。人事院勧告に伴う給与上昇で人件費は5年間で約100億円増加し、物価高による研究機器や資材価格の上昇も経営を圧迫している。背景には国立大学法人全体の構造問題がある。国からの運営費交付金は26年度で1兆971億円と、法人化した04年度から1,445億円減少。科研費は増えたものの、その増加は649億円にとどまり、基盤的経費の減少を補えていない。わが国の大学の研究開発費も2000年から23年までに1.2倍にとどまり、米国の2.1倍、中国の16.5倍と大きな差がある。大学病院の経営難も大学本体に影響する。国立大学病院44施設のうち25年度は31病院が赤字となる見通しで、経常赤字は計244億円。高度医療や希少疾患診療では高額医薬品・資材の使用が避けられず、診療収入だけではコスト増を吸収しにくい。東大は国際卓越研究大学への認定を目指しているが、文部科学省による審査が継続中となっており、認定見送りとなれば財政改善はさらに厳しくなる。国立大学の研究力と高度医療を維持するため、安定した基盤財源の確保が改めて問われている。 参考 1) 東大が2年連続赤字へ 「貯金」数年で枯渇、研究者の削減不可避(日経新聞) 2) 国立大学法人モデル、岐路に 東大も自立運営困難 収入増、規制が足かせ 研究開発費は20年横ばい(日経新聞) 6.正常な脳組織を誤って摘出 50代女性が自発呼吸不能の重篤状態/京大京都大学医学部附属病院は8月7日、50代女性の脳腫瘍摘出手術で、腫瘍ではない正常な脳組織を誤って摘出し、脳幹などを損傷する医療事故があったと発表した。患者は術後、自発呼吸ができず人工呼吸器による管理が続き、手足も動かない重篤な状態となっている。病院によると、患者はめまいやふらつきはあったものの、手術前は生活に大きな支障はなく通常の生活を送っていた。検査により小脳橋角部に約3cmの良性腫瘍「髄膜腫」が疑われ、7月末に全身麻酔下で開頭手術を受けた。執刀したのは40代の脳神経外科医で、医師として20年以上の経験があり、同様の手術を約100例担当していた。手術中には、摘出した組織の一部を調べる術中病理診断が行われ、「腫瘍ではない」との結果が2度示された。それでも執刀医は、腫瘍の端の組織を採取したため腫瘍成分が含まれていなかった可能性があるなどと判断し、摘出を継続したという。約10時間の手術後も患者の意識や呼吸が十分に回復しなかったためMRI検査を実施したところ、本来摘出する予定だった腫瘍は残存しており、右小脳扁桃や呼吸機能に関わる脳幹の側面から背側にかけて大きな損傷があることが判明した。脳幹には呼吸など生命維持に不可欠な機能を担う神経中枢が集まっており、患者は現在も人工呼吸器を必要としている。京大病院は医療事故として患者と家族に謝罪し、厚生労働省や京都府警など関係機関にも報告した。高折 晃史病院長は「患者と家族に心よりおわび申し上げる」と陳謝。病院側は、執刀医の判断ミスや思い込みが影響した可能性にも言及しており、今後、外部有識者を含む事故調査委員会を設置し、手術中の判断過程や安全確認体制を検証し、原因究明と再発防止を進める方針だ。 参考 1) 脳腫瘍摘出術中の誤認による摘出部位誤り事例について(京大医学部附属病院) 2) 京都大病院、正常部位摘出し脳幹損傷 患者は重篤な状態(日経新聞) 3) 京大病院で医療事故 脳腫瘍の手術で誤って正常な脳の一部摘出(NHK) 4) 京都大病院が脳腫瘍手術で誤って正常な組織摘出、50代女性患者は呼吸に関わる脳幹損傷・人工呼吸器装着つづく(読売新聞)

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アトピー性皮膚炎への抗ヒスタミン薬、ルーチン使用を支持せず/BMJ

 アトピー性皮膚炎患者において、ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)の追加投与は、重症度およびかゆみについて臨床的に意義のある改善には至らない可能性があり、睡眠障害やアトピー性皮膚炎の増悪も軽減しないことが示唆された。また、第1世代の同薬剤は認知機能障害の増加および有害事象による治療中断を増加させる可能性があり、第2世代の同薬剤では認知機能障害リスクに差異があることも示された。カナダ・マクマスター大学のAlexandro W.L. Chu氏らが無作為化試験のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析の結果を報告した。著者は、「これらの知見は、アトピー性皮膚炎の治療における抗ヒスタミン薬のルーチンな使用を支持しないことの根拠となり、臨床ガイドラインの改訂に資するものである」と述べている。BMJ誌2026年7月29日号掲載の報告。システマティックレビューおよびネットワークメタ解析で評価 アトピー性皮膚炎(湿疹)患者の治療における経口抗ヒスタミン薬の使用は、近年の英国では5人に1人、米国では約半数に上ると推定されている。研究グループは、これらのOTC薬の有益性と有害性を調べ、アトピー性皮膚炎の患者にとって重要なアウトカムに対処するために包括的な解析が必要であり、最適な治療には経口抗ヒスタミン薬の科学的根拠に基づく評価が必要として本検討を行った。 開設から2025年5月5日までのMedline、Embase、CENTRALおよび米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)のデータベースを検索し、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。 適格試験は、抗ヒスタミン薬、H2受容体拮抗薬、肥満細胞膜安定化薬(nedocromil sodium、クロモグリク酸ナトリウム)あるいはそれらの併用の追加投与を評価した無作為化試験とした。2人のレビュアーがそれぞれ、記録のスクリーニング、データの抽出および改訂Cochrane Risk of Bias 2ツールを用いたバイアスリスクの評価を行った。 ベイズ流ランダム効果ネットワークメタ解析により、アトピー性皮膚炎の重症度(oSCORAD、客観的スコア:0~83点、臨床的に意義のある最小差は8.2点、低スコアほど良好)、かゆみの重症度(数値評価スケール:0~10、臨床的に意義のある最小差は3、低値ほど良好)、睡眠障害、アトピー性皮膚炎に関連した生活の質(QOL)、および有害事象の統合解析を行った。エビデンスの確実性(質)の評価には、ネットワークメタ解析のためのGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)およびCore GRADEアプローチが用いられた。第1世代抗ヒスタミン薬は認知機能障害を増加 解析には、主に中等症~重症の小児および成人6,230例(報告された平均年齢の中央値20歳[平均値の範囲:1~43])が登録された47試験が組み入れられた。27試験(57%)が小児を対象に含んでおり、31試験(66%)はプラセボ対照試験で、37試験(79%)は並行群間比較試験であった。また、36試験(77%)が全被験者に基礎的な併用治療(保湿剤または外用コルチコステロイド)が行われていた。 中程度のエビデンスの確実性があるものとして、プラセボと比較し、第1世代または第2世代の抗ヒスタミン薬の追加投与は、アトピー性皮膚炎の重症度(平均群間差:-1.87、95%信用区間[CrI]:-3.47~-0.27)およびかゆみの重症度(平均群間差:-0.89、95%CrI:-1.41~-0.37)を、わずかに軽減したに過ぎない可能性が示唆された。統計的検出は可能であったが、これらの効果は、確立された意義のある最小差(患者が重要だとするアウトカムの最小変化量)を大きく下回るものであった。 エビデンスの確実性は低かったが、すべての試験で検討された介入は、睡眠障害の改善やアトピー性皮膚炎増悪の軽減にはつながらない可能性が示唆された。 第1世代の抗ヒスタミン薬の追加投与は、認知機能障害を増加させ(リスク差は被験者1,000人当たり66人増、95%CrI:0~231、エビデンスの確実性は中程度)、有害事象による治療中断も増加(リスク差は被験者1,000人当たり29人増、95%CrI:1~131、エビデンスの確実性は低い)させる可能性が示唆された。 第2世代の抗ヒスタミン薬の追加投与は、認知機能障害のリスクについて差が認められた。平均的な影響の範囲は、ロラタジンが1,000人当たり0人増、レボセチリジンが1,000人当たり16人増、セチリジンが1,000人当たり17人増であった。

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軽症~重症の成人アトピーへのデルゴシチニブクリーム、用量反応的な有効性を示す/BJD

 アトピー性皮膚炎(AD)患者において、デルゴシチニブ軟膏0.5%は基剤軟膏と比較して有効性の改善をもたらし、良好な安全性プロファイルを示している。今回、デルゴシチニブクリーム製剤の用量反応関係、有効性、および安全性を検討するため、米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I Silverberg氏らは、軽症から重症の成人AD患者を対象に二重盲検基剤対照第IIb相試験を実施した。結果を、British Journal of Dermatology誌オンライン版2026年7月22日号に報告した。 本研究(NCT03725722)では、軽症~重症の成人AD患者を、1、3、8、20mg/gのデルゴシチニブクリームまたは基剤クリームの各群へ1:1:1:1:1の割合で無作為に割り付けた。参加者は、デルゴシチニブまたは基剤を、AD病変部に1日2回、8週間にわたり塗布した。 主要評価項目は、ベースラインから8週時の湿疹面積・重症度指数(EASI)の変化量とした。探索的主要副次評価項目には、8週時の試験担当医によるADの総合評価(vIGA-AD)における治療成功(ベースラインから2段階以上の改善を伴い、スコアが0[消失]または1[ほぼ消失]と定義)およびEASI-75(ベースラインからEASIが75%以上改善)が含まれた。安全性は試験期間を通じて評価された。  主な結果は以下のとおり。・251例が無作為化された(デルゴシチニブ群:201例、基剤群:50例)。ベースラインの患者特性は、平均年齢40.5(SD 17.0)歳、女性が68.5%を占め、EASIスコア平均値は10.0(SD 6.8)であった。・8週時において、EASIスコアのベースラインからの変化量は、デルゴシチニブ群では基剤群と比較して、用量反応的な差が示された(1mg/g:-5.0、3mg/g:-4.9、8mg/g:-5.8、20mg/g:-7.6、いずれも基剤[-1.9]に対しp<0.05)。・8週時において、vIGA-ADの治療成功を達成した患者の割合は、デルゴシチニブ群(1mg/g:18.4%、3mg/g:29.2%、8mg/g:30.0%、20mg/g:48.0%)で、基剤群(10.4%)よりも高かった。・8週時において、EASI-75達成率は、デルゴシチニブ群(1mg/g:40.8%、3mg/g:43.8%、8mg/g:56.0%、20mg/g:66.0%)で、基剤群(20.8%)よりも高かった。・有害事象の発現率はデルゴシチニブ群(44.5%)と基剤群(56.0%)で同程度であり、最も頻繁に報告された有害事象(いずれかの投与群で5.0%以上)は、上気道感染症、AD(アトピー性皮膚炎の悪化)、ざ瘡、頭痛、および塗布部位そう痒感であった。 著者らは、「デルゴシチニブクリームによる治療は、主要および副次評価項目において、用量反応的に基剤よりも高い有効性を示した」とし、「忍容性は良好であり、安全性に関する懸念は認められなかった」と結論付けている。

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アトピーは学業成績に影響するか

 アトピー性皮膚炎(AD)は、睡眠障害や併存疾患、あるいは心理社会的影響により学業成績を低下させる可能性があるが、集団ベースの縦断的研究によるエビデンスは限られている。英国・London School of Hygiene & Tropical MedicineのRita J. Iskandar氏らは、デンマークおよび英国の小児約78万人を対象とした並行コホート研究において、ADは学業成績の低下と関連するか、またその関連は疾患表現型や社会経済的背景によって異なるかどうかを検討した。JAMA Dermatology誌オンライン版2026年4月8日号掲載の報告。 本研究は、デンマークおよび英国における、ADを有する小児および有さない小児を対象とした集団ベースの並行コホート研究。デンマークでは、全国的なレジストリから1986~2000年に出生した小児を抽出し、2018年まで追跡調査を行った。英国では、Avon親子縦断研究(ALSPAC)から得られた1991~92年に出生した小児データを、国立生徒データベース(National Pupil Database)と連携させ、2009年まで追跡調査を行った。データ解析は2022年10月~2024年4月に実施された。 ADは、13歳未満での診断(デンマーク)または11.5歳までの母親から2回以上のADの報告(イングランド)と定義した。デンマークの分析では、遺伝的因子を考慮するため、AD罹患状況が異なり両親を同じくする兄弟姉妹を対象とした反復解析を実施した。 主要評価項目は、16歳時の義務教育修了時の全国統一試験における不合格の成績(2値アウトカム;ポアソン回帰による割合比)および平均学業成績スコア(連続アウトカム;線形回帰による平均差)であった。 主な結果は以下のとおり。・両研究を合わせて、計78万2,837人の小児が対象となった。・デンマーク(n=77万6,214人、AD患者1万259人、女児38万6,408人[49.8%])では、AD患者と非AD患者の間で、不合格率(12.0%vs.11.2%、調整割合比[aPR]:1.06、95%信頼区間[CI]:1.01~1.12)および平均学業成績(調整平均差:-0.06ポイント、95%CI:-0.11~-0.01)に差は認められなかった。・活動性AD患者では、非AD患者と比較して不合格率の高さとの関連がみられた(aPR:1.19、95% CI:1.03~1.37)。・兄弟姉妹間における解析でも同様の結果が得られた。・イングランド(n=6,623人、AD患者2,967人、女児3,332人[50.3%])では、AD患者は非AD患者に比べて、不合格率がわずかに低く(37.7%vs.47.4%、aPR:0.88、95%CI:0.83~0.93)、平均学業成績が高かった(調整平均差:10.48ポイント、95%CI:6.49~13.86)。・表現型分析によると、中等度-寛解型(moderate-declining)および中等度-頻発型(moderate-frequent)AD患者の成績が優れることがこれらの結果を主に説明しており、軽度-間欠型(mild-intermittent)または重度-頻発型(severe-frequent)AD患者の成績は、非AD患者または症状のほとんどないAD患者と同程度であった。・全体として、学業成績について、表現型や社会経済的背景による一貫した差異はみられなかった。 著者らは、「2つの大規模コホートにおけるトライアンギュレーション(triangulation)アプローチによる検討と多重解析により、ADは義務教育修了時の全国統一試験における学業成績の著しい低下とは関連がない可能性が高いことが示された」とし、「本結果はADを有する小児やその家族、教員や臨床医にとって安心材料となるもの」とまとめている。

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小児のアトピー性皮膚炎、確実な予防方法はないが治療の選択肢は豊富

 小児のアトピー性皮膚炎の発症を予防するために親ができることは極めて少ないことが、新たなガイドラインで示された。特別な食事療法、入浴を控えること、母乳育児、プロバイオティクスのサプリメントといった広く知られている対策が小児のアトピー性皮膚炎の予防に有効であることを示すエビデンスは見つからなかったという。一方、既にアトピー性皮膚炎を発症している小児には、皮膚のかゆみを和らげるための効果的な治療法が多くあるとしている。米国皮膚科学会(AAD)が作成したこのガイドラインは、「Journal of the American Academy of Dermatology」に4月7日掲載された。 AADによると、これは同学会が発表した初めての小児のアトピー性皮膚炎に関するガイドラインであるという。AAD会長のMurad Alam氏は、「アトピー性皮膚炎に罹患している小児は極めて多いが、症状の現れ方や経過は必ずしも成人と同じではない。アトピー性皮膚炎は小児や家族の生活の質(QOL)を低下させる可能性があるため、最善の治療が確実に行われるようにするためには、小児に特化したガイドラインが必要である」とニュースリリースで述べている。 ガイドラインを作成した研究グループが既存の医学的エビデンスを検討した結果、小児のアトピー性皮膚炎の発症を予防できる真に有効な方法はないとの結論に至った。ただし、保湿剤のみは生後6カ月~3歳の小児のアトピー性皮膚炎の発症を減少させるという目的で「条件付き推奨」の治療法として位置付けられた。条件付き推奨は、その治療法のベネフィットとリスクが拮抗している場合に示される。一方、食事療法や入浴を控えること、ビタミンDやプロバイオティクスのサプリメント、離乳食の早期導入、母乳育児、硬水の軟化、ダニなどのアレルゲンへの曝露を減らすといった他の予防法に関しては、十分なエビデンスがないと結論付けられた。 一方で、小児のアトピー性皮膚炎の治療に関しては、多くの治療法が「強い推奨」として位置付けられた。有効性が明らかにされている治療法には以下が含まれる。・皮膚の乾燥やかゆみの軽減を目的とした保湿剤・再燃時の第一選択薬となるステロイド外用薬・再燃の管理を目的としたカルシニューリン阻害外用薬(pimecrolimus〔国内未承認〕またはタクロリムス軟膏)・かゆみ軽減と再燃頻度の抑制を目的としたホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(crisaborole軟膏、roflumilastクリーム〔いずれも国内未承認〕)・軽症~中等症の患者の乾燥やかゆみの重症度の軽減を目的とした外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(ルキソリチニブクリーム〔日本ではアトピー性皮膚炎に対する適応は未承認〕、タピナロフクリーム)・軽症〜重症患者における炎症軽減、皮膚バリア機能の改善、乾燥やかゆみを伴う皮膚症状の軽減を目的とした局所用アリル炭化水素受容体(AhR)アゴニスト(タピナロフクリーム)・中等症~重症の患者の症状の重症度低下、再燃の減少、かゆみの軽減を目的としたモノクローナル抗体(デュピルマブ、トラロキヌマブ、レブリキズマブ、ネモリズマブ〔外用薬と併用〕)・中等症~重症の患者の症状の重症度低下、かゆみの軽減を目的としたJAK阻害薬(ウパダシチニブ、アブロシチニブ、バリシチニブ) ガイドラインではまた、入浴、ウェットラップ療法、光線療法についても小児のアトピー性皮膚炎の治療法として条件付きで推奨している。一方で、ステロイドの経口薬や注射薬の使用については急激で重度の再燃が見られた患者に限定すべきであり、長期的には使用しないことを強く推奨するとされている。さらに、外用抗菌薬の使用や薬剤と光線療法を組み合わせたPUVA療法についても実施しないことが条件付きで推奨された。 AADのアトピー性皮膚炎ガイドライン作業部会の共同委員長であるDawn Davis氏は、「このガイドラインは、患者やケア提供者、そして医学会を教育し、彼らを支援することで、アトピー性皮膚炎の小児ができる限り最善の治療を受けられるようにするために作成された。早期からの積極的な介入によって、患者やその家族は症状やQOLの改善が期待できる」と述べている。

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若年成人期の過敏性腸症候群のリスク因子を特定

 16歳時に過敏性腸症候群(IBS)を有することは、24歳時にIBSを有することを予測する最も強いリスク因子であり、16歳時にIBSであった人の33.6%は24歳時でも診断基準を満たすとする研究結果が、「Gastroenterology」に1月30日掲載された。 ヨーテボリ大学(スウェーデン)サールグレンスカアカデミーのJessica Sjölund氏らは、1990年代半ばに出生した4,089人を若年成人期まで追跡したスウェーデンのBAMSE出生コホートのデータを用い、24歳時のIBSの有無に関連する思春期のリスク因子、および16歳から24歳にかけてのIBSの持続に関連する因子を検討した。曝露因子の大半は16歳時に評価されていた。 対象者2,539人のデータを解析した結果、24歳時のIBS有病率は10.0%であり、女性であること、知覚ストレスの高値、アトピー性皮膚炎、片頭痛またはうつ病の既往、健康関連QOLの低値がIBSと関連していた。16歳時のIBSは、24歳時のIBSに対する最も強いリスク因子であった。また、機能性腹痛、自己評価による心理的苦痛および全般的な健康状態不良、食物過敏、短い睡眠時間も、成人期のIBSのオッズ上昇と関連していた。16歳時にIBSであった人のうち33.6%が、24歳時においてもIBSの診断基準を満たしていた。IBSの持続と強く関連していた因子は親のIBS症状であり、それ以外の因子は統計学的に有意ではなかった。 Sjölund氏は、「思春期のIBSは固定した状態ではないことが示された」と述べている。 なお、複数の著者がバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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診断エラーを防ぐ-小児科の落とし穴

迷いのない診断、日常診療に潜む誤診の回避体験を読んで積み上げる臨床は知識と経験に基づく連続したタスクであり、状況によって変化する。そのため正確な診断には常に誤診のリスクが付きまとう。本書は国立成育医療研究センターの医師60人が総力を挙げて執筆。診断エラーを回避するため、コミュニケーション技術に基づく問診、身体診察、検査、家族説明、鑑別疾患、診断のステップを通して、落とし穴の回避術をシステマティックに展開。収載された、教科書では得られないニアミス症例、ピットフォール症例が心に刻み込まれる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する診断エラーを防ぐ-小児科の落とし穴定価4,400円(税込)判型A5判(並製)頁数296頁発行2026年3月編集窪田 満(国立成育医療研究センター)/永井 章(国立成育医療研究センター)ご購入はこちらご購入はこちら

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桂枝湯の派生処方 生薬の±で方剤を覚える【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第5回

桂枝湯の派生処方 生薬の±で方剤を覚える前回 、桂枝湯(けいしとう)が麻黄湯(まおうとう)や葛根湯(かっこんとう)に比べて虚証向きの漢方薬で、お腹に優しいということを述べました。その理由としては、桂枝湯には麻黄(まおう)が含まれていないこと、代わりに芍薬(しゃくやく)、大棗(たいそう)、生姜(しょうきょう)といった胃腸の調子を整える生薬が含まれていることが関係しているのでした(図1)。今回は、この話を芍薬、あるいは芍薬と甘草(かんぞう)のコンビに着目して掘り下げていこうと思います。図1 桂枝湯の構成生薬画像を拡大する桂枝湯±芍薬芍薬が入っている桂枝湯がお腹に優しいということは、芍薬を「もっと」増やすとお腹にも「もっと」優しくなりそうですよね。では、桂枝湯を芍薬マシマシにしてみましょう。すると、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)ができあがります。これは、過敏性腸症候群で腹痛と下痢に悩まされている患者に使うといい薬です。しかし、過敏性腸症候群は下痢型だけではありません。便秘型もありますよね。そうしたら、センノシドを含む生薬をブレンドすればいいのです。大黄(だいおう)という生薬がちょうどセンノシドを含むため、桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)を使えばいいという話になるわけです。逆に、桂枝湯から芍薬を抜いてくるとどうなるか。すると、桂枝去芍薬湯(けいしきょしゃくやくとう)という漢方薬になります。これは、お腹への優しさが減る代わりに、胸に優しくなります。感冒の患者の中には、肺炎や痰詰まりがなくても、胸が苦しいという方がたまにいらっしゃいますよね。そういった患者には、桂枝去芍薬湯が効いてきます。もっとも、桂枝去芍薬湯はエキス製剤がないので、実臨床で使うのにはハードルが高いという問題があります。桂枝去芍薬湯のニュアンスを丸ごと含む漢方薬としては、炙甘草湯(しゃかんぞうとう)という漢方薬があって、これはちょうど「東洋の抗不整脈薬」に相当するもので、動悸・息切れに効く漢方薬なんですね。やはり胸に優しいという話になってくるわけです。ここまでを図2にまとめます。図2 桂枝湯±芍薬に派生する漢方薬画像を拡大する建中湯シリーズの派生いったん話題を戻して、桂枝加芍薬湯まで戻ってきましょう。漢方薬の味が苦手だという患者もいると思います。そのような場合は、桂枝加芍薬湯に水飴を加えてやると、子供にも飲みやすい漢方薬ができると思いませんか。そこで、桂枝加芍薬湯に水飴、厳密には膠飴(こうい)という生薬ですが、これを入れてしまいます。そうすると、なんと小建中湯(しょうけんちゅうとう)ができあがります。これは、虚弱体質の小児が体調不良になった時に使う薬です。体調不良でエネルギー不足なので、お腹に優しい漢方薬と飴から得られるエネルギーで消化管から体調をたて直そうというコンセプトの漢方薬です(図3)。図3 小建中湯への派生画像を拡大するさらにさらに! 小建中湯からいわゆる「建中湯」シリーズを派生させることができます。たとえば、小建中湯から飴を抜いて、補血作用のある当帰(とうき)を加えると、当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)になって、消化管だけでなく女性器由来の腹痛にも対応しやすくなります(図4)。図4 当帰建中湯への派生画像を拡大するまた、小建中湯に黄耆(おうぎ)というお肌を引き締めてくれる生薬を加えると、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)になって、虚弱体質の小児で寝汗がひどい場合や、アトピー性皮膚炎に悩まされている場合に対応できる漢方薬になります(図5)。図5 黄耆建中湯への派生画像を拡大する大建中湯(だいけんちゅうとう)は小建中湯と生薬の組み合わせが大きく異なるため(図6)、そこだけ注意していただきたいのですが、このように、生薬に着目することで建中湯シリーズを一気にたくさんインプットすることができるのです。この勉強法は知っておいて損はないかと思います。図6 小建中湯と大建中湯の構成生薬画像を拡大するまとめ桂枝湯は芍薬など胃腸を整える生薬が複数含まれていて、この部分を強化すると漢方薬の派生形を生み出すことができます。たとえば、胃腸を整える生薬のひとつとして芍薬がありますが、芍薬を桂枝湯に加えることで、いわゆる建中湯と呼ばれる漢方薬のグループを生み出すことができます。生薬を足し引きすることで、漢方薬を芋づる式にインプットする。これも漢方上達の近道だと個人的には考えています。次回は、小柴胡湯を取り上げ、感冒の初期段階が終わった後の漢方治療のお話をします。お楽しみに!

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貧血を伴わない鉄欠乏は、中等度~重度のアトピー性皮膚炎で高頻度に認められる

 中等度~重度のアトピー性皮膚炎(AD)では、貧血を伴わない鉄欠乏が高頻度に認められるとする研究結果が、「Nutrients」に11月28日掲載された。 ヴロツワフ医科大学(ポーランド)のMalgorzata Ponikowska氏らは、AD患者における鉄代謝の状態を評価し、疾患重症度および生活の質(QOL)との関連を検討した。解析対象は、中等症~重症のAD成人患者86人であった。 解析の結果、ヘモグロビン値は概ね正常であるにもかかわらず、鉄欠乏を示す鉄バイオマーカーの異常が、AD患者に多く認められた。具体的には、患者の45%はトランスフェリン飽和度が低く(Tsat 20%未満)、37%はフェリチン値が低く、26%は血清鉄が低値であった。さらに、高感度C反応性蛋白5mg/L超で定義される炎症性活性化が認められる患者では、血清鉄およびTsatの低下、可溶性トランスフェリン受容体の上昇を特徴とするパターンが認められた。多変量解析において、血清鉄の低下は皮膚疾患に関連したQOL評価(Dermatology Life Quality Index;DLQI)のスコア悪化と独立して関連していた。また、トランスフェリン高値は、湿疹面積・重症度指数(Eczema Area and Severity Index;EASI)およびアトピー性皮膚炎重症度評価(SCORing Atopic Dermatitis;SCORAD)で測定した疾患重症度の増大と関連した。 著者らは、「本研究により、鉄代謝の調節異常すなわち鉄欠乏が、ADにおける全身性の特徴として高頻度に認められることが示された。これらの異常は疾患重症度やQOL低下と関連しており、鉄代謝の変化はADの臨床像に関連する修正可能な全身性因子である可能性がある。今後の研究では、鉄欠乏を標的とした介入が患者のアウトカムを改善し得るかどうか検討する必要がある」と述べている。

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デュピルマブ、水疱性類天疱瘡の適応追加/サノフィ

 サノフィは2026年3月23日、水疱性類天疱瘡に対するデュピルマブ(商品名:デュピクセント)の製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。水疱性類天疱瘡は、自己免疫性の表皮下水疱を生じるまれな疾患で、本邦では指定難病とされている。全身に強い痒みや水疱、紅斑、びらん、痛みを伴い、再発を繰り返すため、日常生活に深刻な影響を及ぼす。主に高齢者に発症し、標準治療にはステロイド薬や免疫抑制薬が使用されるが、長期使用による合併症や副作用への影響が指摘されている。 今回の承認は、中等症~重症の成人水疱性類天疱瘡患者106例を対象とした第II/III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(ADEPT試験)の結果に基づいている。被験者はプラセボ群とデュピルマブ群に1:1で割り付けられ、治療開始時より経口ステロイド薬(OCS)を基礎治療として投与された。治療期間中は、すべての被験者について治験実施計画書で定義したOCS減量レジメンに従い、デュピクセント投与開始後6~16週にかけて疾患活動性が2週間コントロールされていればOCSの漸減を進めた。 主要評価項目である36週時に寛解持続を達成した患者の割合は、デュピルマブ群は18.2%、プラセボ群は4.0%であった(p=0.0250)。寛解持続の達成は、16週までに完全寛解かつOCS漸減を完了し、36週までの投与期間中に再燃が生じることなく、レスキュー療法を必要としないことと定義された。安全性データは、これまでデュピルマブで確立されている安全性プロファイルと同様であった。なお、水疱性類天疱瘡の適応症について、2025年3月にデュピルマブは希少疾病用医薬品に指定されている。<製品概要> ※下線は変更箇所商品名:デュピクセント皮下注300mgペン/同300mgシリンジ、デュピクセント皮下注200mgペン/同200mgシリンジ一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え)効能又は効果:<300mgペン、300mgシリンジ>既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患・アトピー性皮膚炎注)・結節性痒疹・特発性の慢性蕁麻疹・中等症から重症の水疱性類天疱瘡・気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)・慢性閉塞性肺疾患(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)<200mgペン、200mgシリンジ>既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患・アトピー性皮膚炎注)・特発性の慢性蕁麻疹・気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)注)適使用推進ガイドライン対象用法及び用量(抜粋):〈水疱性類天疱瘡〉通常、成人にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。

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子どもの食物アレルギー、原因は遺伝だけではない

 子どもが食物アレルギーを発症するかどうかを決める要因は、遺伝子だけではないようだ。新たな研究で、抗菌薬の使用や他の免疫疾患の存在、アレルゲンとなる食品の導入が遅れることも、子どもの食物アレルギーの発症に関与している可能性のあることが示された。マクマスター大学(カナダ)のDerek Chu氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Pediatrics」に2月9日掲載された。Chu氏は、「われわれの研究結果は、食物アレルギーの傾向を遺伝だけで完全に説明することはできず、遺伝子、皮膚の健康、マイクロバイオーム、環境要因が重なり合って食物アレルギーの発症に関与していることを示している」とニュースリリースで述べている。 この研究では、6歳未満の子どもを対象にした世界40カ国の190件の研究データ(対象者は総計280万人)が分析された。食物経口負荷試験を用いた16件の研究を統合して解析した結果、IgE媒介性アレルギーの6歳までの平均発症率は4.7%と推定された。176件の研究で342種類のリスク因子が特定されていたが、エビデンスの確実性が高く、IgE媒介性アレルギーとの関連が最も強いと判断されたのは、乳児期のアレルギー性疾患の既往であった。具体的には、生後1年以内のアトピー性皮膚炎(オッズ比3.88)、アレルギー性鼻炎(同3.39)、喘鳴(同2.11)が、いずれも大幅なリスク上昇と関連していた。 また、食物アレルギーの家族歴もリスク因子であり、特に、両親(同2.07)やきょうだい(同2.36)にアレルギーがある場合にはリスクが2倍以上に上昇した。さらに、ピーナッツ、ナッツ類、卵などのアレルゲン食品の導入が遅いことも関連因子であり、例えば、1歳を過ぎてからピーナッツを食べた場合にピーナッツアレルギーになるオッズは2倍以上であった(同2.55)。このほか、妊娠中の母親の抗菌薬使用(同1.32)や、生後1カ月以内(4.11)、または1年以内(1.39)の乳児の抗菌薬使用でもリスク上昇が見られた。 一方で、食物アレルギーに関与すると疑われていた多くの要因、例えば低出生体重や予定日超過の出産、母乳育児をしていないこと、母親の妊娠中の食事やストレスとIgE媒介性アレルギーとの間に有意な関連は認められなかった。 研究グループは、「これらの結果は、食物アレルギーのリスクがある乳児を特定し、早期予防に役立つ可能性がある」と述べている。また、Chu氏は、「この結果は、食物アレルギーに対するわれわれの理解を広げるものだ。今後の研究では、同じ主要因子を測定・調整し、より多様な集団を対象とし、食物経口負荷試験をもっと活用すべきだ」と述べている。さらに同氏は、「今回の発見を実際に活かすためには、新たなランダム化臨床試験とガイドラインを早急に更新することが必要だ」と付け加えている。

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喘息への活用に期待、『アレルゲン免疫療法の手引き2025』

 アレルギー性鼻炎は、スギやヒノキを原因とする季節性アレルギー性鼻炎と、ダニなどが原因の通年性アレルギー性鼻炎に大別される。本邦では2014年頃からアレルゲン免疫療法(以下、AIT)の手軽な手法である舌下免疫療法(以下、SLIT)が臨床導入されたが、近年のエビデンス蓄積により、ダニアレルゲンによって症状が出現しているアトピー型喘息へのダニSLITの有効性が示されているという。2025年6月には日本アレルギー学会より『アレルゲン免疫療法の手引き2025』が発刊され、最新の知見に基づき、治療の意義や位置付けが刷新されたことから、今回、本書の作成委員長を務めた永田 真氏(埼玉医科大学呼吸器内科 教授/埼玉医科大学病院アレルギーセンター センター長)にAITの基礎と推奨される患者像などについて話を聞いた。アレルゲン免疫療法の意義  以前に日本では“減感作療法”とも呼ばれたAITは、「アレルギー疾患の病因アレルゲンを投与していくことにより、アレルゲンに曝露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療」と定義付けられ、アレルギー疾患の根本的な体質改善を期待できる唯一の治療法である。本邦オリジナルの手法である皮下免疫療法(SCIT)は諸外国と比べ格段に普及が遅れていた。しかし2014年に舌下免疫療法(SLIT)が承認され、スギ花粉症を中心にその普及が始まった。 『アレルゲン免疫療法の手引き』の2022年版*からの主な改訂ポイントについて、永田氏は「『喘息予防・管理ガイドライン 2024』および『鼻アレルギー診療ガイドライン 2024年版』との整合性を図り、最新の臨床知見を反映した。とくにこれまでの理念を覆す免疫病態や、またAITの新規の効果が近年明らかになってきたため、新たに判明した作用をブラッシュアップしている。たとえば、ダニSLITが喘息患者の呼吸機能を改善させ長期的に維持させ得ることや、重症患者(喘息併存)への生物学的製剤(抗IgE抗体オマリズマブや抗IL-4受容体α鎖抗体デュピルマブなど)との併用効果に関するエビデンスなどを盛り込んだ。さらに、現段階での適応拡大はないが、アトピー性皮膚炎に対しても部分的に効果があることも報告されている。さらに、スギアレルゲンによる治療がヒノキアレルギーに対しても一定の効果を示す可能性が指摘されている」など、治療標的の広がりについても言及した。また、医療経済的な観点として、AITによる医療費抑制効果が確認されていることにも触れた。*2013年に「スギ」「ダニ」別の指針として発刊されていた前身の出版物を統合・刷新したもの AITの機序についてはいわゆる脱感作現象の寄与は極めて限られ、したがって“減感作療法”という呼称は科学的に誤っている。実際には生体にとって有益な免疫応答を能動的に誘導することの寄与が大きいと判明している。同氏は喘息患者において、「AITが気道上皮細胞のインターフェロン産生能力を高め、ウイルス感染に対する抵抗性を増強する作用が報告されている。これは、感染を契機とした増悪を抑制する効果を意味する」と、その免疫学的メリットを強調した。小児期からの介入と喘息発症予防 AITの適応は、IgE依存性アレルギーであることが正確に診断されたダニアレルギーまたはスギ花粉症患者で、とくに重要なことは全身的・包括的な効果を期待して行われる点である。施行にあたっては、「アレルゲン免疫療法に精通した医師」が条件であり、とくにSCITは効果が高いものの、アナフィラキシーあるいは喘息増悪(発作)などに対する迅速な対応が可能な施設においてのみ実施される。 AITの普及状況について、「成人のスギ花粉症治療でのSLITの応用が活発な一方、通年性鼻炎や喘息に影響をもたらすダニアレルギーへの介入は欧米に比べ依然として不十分」と同氏は指摘した。とくに小児においては、小児喘息の多くが難治化のリスクを抱える中、AITの追加が予後改善に寄与することが確認され、『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023』にも5歳以上に対するダニ免疫療法の重要性が示されている。「小児期からの介入は、将来的な喘息の新規発症を予防し、すでに発症済みの小児喘息の改善も期待することができる」と同氏はコメントした。 アレルギー性鼻炎の鑑別疾患としては、非アレルギー性・非感染性の鼻粘膜過敏症(血管運動性鼻炎や好酸球増多性鼻炎、また鼻かぜ[急性鼻炎]など)が挙げられる。このほかの注意点として、同氏は「海外では喘息でダニSLITが適応となる一方で、日本の場合には“適応がない”点は留意したいが、日本人の約8割の喘息患者はアレルギー性鼻炎も併発している」と喘息患者は治療対象となる場合が多い点を指摘した。<処方医が診療時に注意するべきポイント>・リスク管理:アナフィラキシーリスク評価と迅速な対応ができること・禁忌/慎重投与:「自己免疫疾患の合併や既往、または濃厚な家族歴を有する」「%FEV1(1秒量)が70%未満、または不安定な喘息患者」「全身性ステロイド薬の連用や抗がん剤の使用」に関する状況確認・SLITに関する歯科連携: 腔内の傷や炎症、抜歯などの予定は吸収率や局所反応に影響するため、休薬を含めた指導を実施・環境整備:ダニアレルギーの場合、ダニの繁殖を防ぐため、床のフローリング化やこまめな清掃など、また喘息ではとくに完全禁煙を指導治療中断後の再開は?ほかのアレルゲンへの適応は? AITの治療期間について、世界保健機関(WHO)は3~5年を推奨しているが、さらなる長期継続も許容される。患者が中断してしまった場合やいったん中止後に再発した場合の再開基準について、永田氏は次のような見解(私見)を述べた。「スギSLITの場合、投与開始から3年が経過していれば、免疫寛容の誘導が進んでいる時期。一時的に中断しても2年は効果が持続すると判明しているが、中止後の再発に伴う再開に際しては『改めて最低3年』を目標に仕切り直すことを推奨する。」 なお、ほかのアレルゲンへのAITの展開については、ハチ毒でのSCIT、食物アレルゲンでの経口免疫療法、一部の薬剤(NSAIDs、抗酸菌薬など)に対する脱感作療法が存在する。ピーナッツなどの食物アレルギーに対する経口・経皮免疫療法は研究が進んでいるが、現時点で本邦での承認予定はない。そのため、最新の手引きではこれらについての詳細な解説は見送られている。

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コロナ禍で新規診断が増えた疾患・減った疾患/BMJ

 英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMark D. Russell氏らによる、OpenSAFELY-TPPを用いたコホート研究の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降、うつ病、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、骨粗鬆症の新規診断は予測値を下回ったのに対し、慢性腎臓病は2022年以降に診断数が急増し、サブグループ解析ではとくに認知症に関して民族および社会経済的状況により新規診断数の回復パターンに差があることが示された。著者は、「本研究は、日常診療で収集される医療データを用いた疾病疫学のほぼリアルタイムのモニタリングの可能性を示すとともに、症例発見の改善や医療の不平等を検討するための戦略立案に寄与する」とまとめている。BMJ誌2026年1月21日号掲載の報告。イングランドの約3千万例対象、COVID-19パンデミック前後の慢性疾患の新規診断と有病率を解析 研究グループは、2016年4月1日~2024年11月30日に、OpenSAFELY-TPPプラットフォームにデータを提供している一般診療所に登録され、かつ診療所に対して直接の医療に関与しない組織への個人データの共有を希望しない旨の登録をしていない患者2,999万5,025例を対象として、19の慢性疾患について年齢・性別標準化発症(新規診断)率および有病率の経時推移を検討した。 19の慢性疾患は、喘息、アトピー性皮膚炎、冠動脈心疾患、慢性腎臓病(ステージ3~5)、セリアック病、COPD、クローン病、認知症、うつ病、2型糖尿病、てんかん、心不全、多発性硬化症、骨粗鬆症、リウマチ性多発筋痛症、乾癬、関節リウマチ、脳卒中/一過性脳虚血発作、潰瘍性大腸炎。 COVID-19パンデミックが、これら慢性疾患の診断に与えた影響を評価する目的で、パンデミック前のパターンから予測された期待診断率に基づく季節変動自己回帰和分移動平均(seasonal autoregressive integrated moving average:SARIMA)モデルを用い、パンデミック発生後の予測診断率と実際の観察診断率の差を比較した。パンデミック初年度に新規診断が急減、4年後もうつ病などは減少したまま パンデミック発生後の新規診断率はパンデミック前と比較し、初年度(2020年3月~2021年2月)に19疾患のすべてで急減した。ただし、その後の回復傾向は疾患ごとに異なった。 2024年11月時点でも、いくつかの疾患では新規診断数が予測値を下回っており、とくにうつ病(予測より-73万4,800件[-27.7%]、95%予測区間[PI]:-76万6,400~-70万3,100)で減少幅が最も大きく、喘息(-15万2,900件[-16.4%]、95%PI:-16万8,300~-13万7,500)、COPD(-9万100件[-15.8%]、-9万8,900~-8万1,400)、乾癬(-5万4,700件[-17.1%]、-5万9,200~-5万100)、骨粗鬆症(-5万4,100件[-11.5%]、-6万1,100~-4万7,100)も大きく減少した。 一方、慢性腎臓病の診断数は、パンデミック初期に減少したものの、2022年以降はパンデミック前の水準を上回る増加を示した(予測より35万9,000件[34.8%、95%PI:33万3,500~38万4,500]増加)。 人種および社会経済的状況で層別化したサブグループ解析の結果、パンデミック初期の減少後、白人および社会経済的困窮度が低い地域では、認知症の診断率がパンデミック前の水準を上回って増加したが、他の人種および困窮度が高い地域では増加しなかった。

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アトピー性皮膚炎治療薬のネモリズマブがかゆみを迅速に軽減

 最近承認された注射型のアトピー性皮膚炎(AD)治療薬ネモリズマブ(商品名Nemluvio)が、悩ましいこの疾患に苦しむ患者に迅速なかゆみの緩和をもたらすことが、新たな研究で示された。スイスの製薬会社であるガルデルマ社の研究者らの報告によると、治療開始からわずか2日でかゆみが軽減した患者の割合は、ネモリズマブを投与された群でプラセボを投与された群の3倍以上に上ることが示された。さらに、ネモリズマブ群では睡眠も改善した。ガルデルマ社治療用皮膚科学プログラム責任者であるChristophe Piketty氏らによるこの研究結果は、「Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology」に12月16日掲載された。 Piketty氏は、「今回の結果は、ネモリズマブがかゆみを迅速に軽減し、結果としてADや結節性痒疹(PN)患者の睡眠改善にもつながるという理解を強化するものだ」とニュースリリースで述べている。ガルデルマ社はネモリズマブの開発企業であり、本研究への資金提供も行っている。 米食品医薬品局(FDA)は2024年に、中等症〜重症のADおよびPNの治療薬としてネモリズマブを承認した。ADは、免疫系の異常によりアレルゲンや刺激物に対する皮膚の防御機能が低下することで発症する。モノクローナル抗体であるネモリズマブは、かゆみやその他のADの症状の原因となるサイトカインのIL-31が受容体に結合するのを阻害し、かゆみのシグナル伝達を遮断する。 この研究では、FDAが承認の根拠とした4件の臨床試験のデータの事後解析を実施し、投与初期(最初の14日間)のかゆみの改善について評価した。解析対象は、AD患者1,728人(ARCADIA1、2試験)とPN患者560人(OLYMPIA1、2試験)であった。対象者は毎日かゆみと睡眠障害の強さを自己報告した。かゆみはpeak pruritus numerical rating scale(PP-NRS)で、睡眠はsleep disturbance numerical rating scale(SD-NRS)で評価し、スコアがベースラインから4点以上低下した場合を改善と見なした。 その結果、投与2日目にPP-NRSに改善が認められたAD患者の割合は、ネモリズマブ群で10.7%であったのに対し、プラセボ群では2.9%にとどまっていた。同様に、投与2日目に改善が認められたPN患者の割合はそれぞれ17.2%と3.7%であった。SD-NRSに改善が認められた割合についても、AD患者ではネモリズマブ群9.9%、プラセボ群4.6%、PN患者ではそれぞれ13.4%と4.3%であり、ネモリズマブ群で有意な改善が見られた。さらに、投与14日目にPP-NRSに改善が認められたAD患者の割合は、ネモリズマブ群で25.5%、プラセボ群で8.9%、PN患者の割合は37.0%と10.2%であり、群間差は投与14日目まで拡大していた。 研究グループは、「かゆみは中等症〜重症のADおよびPN患者が最も苦痛に感じる症状であり、かゆみの迅速な改善は重要な治療目標だ」と指摘している。また、「かゆみを迅速に軽減し、疾患の重症度や患者の生活の質(QOL)に臨床的に有意な改善をもたらす治療法は、ADおよびPNの現在の治療選択肢において重要だ」と述べている。

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小児診療ガイドラインのダイジェスト解説&プログレス2025

ガイドライン50点、6,449ページ分の要点がわかる「小児科」66巻12号(2025年12月臨時増刊号)小児診療にかかわる重要なガイドラインについて、作成委員の先生方が、一般小児科医が知っておくべき部分をダイジェスト形式で解説。さらに使用上の注意やガイドライン発表後に得られた知見も併せて紹介します。この1冊で、各領域における最新版のガイドライン情報をアップデート!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する小児診療ガイドラインのダイジェスト解説&プログレス2025定価9,350円(税込)判型B5判頁数316頁発行2025年12月編集「小児科」編集委員会ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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オールラウンド外来診療ガイドブック

診療にすぐ活かせる知識と判断力を集約自身の専門外の疾患に遭遇した時、あるいは患者から専門外の愁訴を相談された際に、医師は、(1)何をすべきか? (2)何をすべきでないか? (3)どの段階で専門医に紹介すべきか? という視点で、500の疾患・症状を、24分野の診療科のスペシャリスト474名が見開き2ページで解説する。病態の理解から診療のエッセンス、患者さんへの説明の工夫に至るまで「明日からの診療にすぐに活かせる知識と判断」が集約されている。ジェネラリストの診療の迷いを解き、明日からの外来診療に差がつくスペシャリストからの珠玉の処方箋。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大するオールラウンド外来診療ガイドブック定価13,200円(税込)判型B5判(並製)頁数1,064頁発行2025年12月総編集宮地 良樹(京都大学名誉教授/静岡社会健康医学大学院大学学長)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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デュピルマブ、6~11歳の気管支喘息の用法・用量追加/サノフィ

 サノフィは2025年12月22日、デュピルマブ(商品名:デュピクセント)について、6~11歳の小児の気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症または難治の患者に限る)に関し、製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。 本承認は、既存治療でコントロール不良の中等症から重症の喘息を有する6~11歳の小児を対象とした海外第III相試験「LIBERTY ASTHMA VOYAGE(EFC14153試験)」、EFC14153試験を完了した患者を対象に実施した海外第III相試験「LTS14424試験(main study)」、国内第III相試験「LTS14424試験(Japan substudy)」の結果などに基づくものである。 EFC14153試験において、2型炎症性喘息(呼気中一酸化窒素濃度[FeNO]:20ppb以上または好酸球数150/μL以上)集団の年間増悪発現率(回/人年)は、デュピルマブ群0.305、プラセボ群0.748であり、デュピルマブ群で有意な改善が認められた(p<0.0001)。 電子化された添付文書の改訂後の「効能又は効果」「用法及び用量」の記載は、以下のとおり(下線部が変更箇所)。4. 効能又は効果300mgペン、300mgシリンジ既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患 ○アトピー性皮膚炎注) ○結節性痒疹 ○特発性の慢性蕁麻疹○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)○慢性閉塞性肺疾患(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)○鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)200mgペン、200mgシリンジ既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患 ○アトピー性皮膚炎注) ○特発性の慢性蕁麻疹○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)注)最適使用推進ガイドライン対象6. 用法及び用量(一部抜粋)〈気管支喘息〉通常、成人及び12歳以上の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。通常、6歳以上12歳未満の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として体重に応じて以下を皮下投与する。 15kg以上30kg未満:1回300mgを4週間隔 30kg以上:1回200mgを2週間隔

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「まずは金属除去」ではない? 金属アレルギー診療と管理の手引きを公開/日本アレルギー学会

 本邦では初となる金属アレルギーに特化した手引き『金属アレルギー診療と管理の手引き 2025』1)が、2025年9月26日に公開された。そこで、手引きの検討委員会の代表を務める矢上 晶子氏(藤田医科大学ばんたね病院 総合アレルギー科 教授)が、第74回日本アレルギー学会学術大会(10月24~26日)において、手引きの作成の背景と概要を紹介した。なお、手引きはアレルギーポータルの医療従事者向けページで公開されている。アレルギー疾患対策基本法の対象疾患に含まれない金属アレルギー 本邦では「アレルギー疾患対策基本法」が定められており、喘息やアトピー性皮膚炎などの6疾患が重点的な対象疾患となっている。しかし、現状では金属アレルギーは対象疾患に含まれていない。この理由について、矢上氏は「若年で発症し、後年に金属製材料を使用するときに苦慮する人がいる」「患者は複数の診療科を受診するが連携した診療体制が不十分」「患者数が未知」といった背景があったと述べる。そこで「厚生労働科学研究事業で、それらを補う情報をまとめたほうがよいのではないかということで研究が始まり、疫学調査結果や検査法などをまとめて、手引きを作成する方向となった」とのことだ。これらの研究成果を集約した『金属アレルギー診療と管理の手引き2025』には、診療の流れや検査・管理の要点、多診療科・多職種が連携した診療体制の構築の重要性などが記載されている。女性が多く、全身型の疑い例も少なくない 1章「総論」では、金属アレルギーの定義や本邦における金属アレルギーの実態調査結果、局所型・全身型金属アレルギーの概要が記されている。 「本邦の一般人を対象とした調査では、金属アレルギーの自覚者は女性が7割を占め、医療機関を受診しても検査を受けているのは3割にとどまっていた」と矢上氏は述べる。金属アレルギーは、局所型と全身型に分けられるが「全身型の疑いがある国民は少なくないのではないかということもわかってきた」とも指摘する。全身型では、食物、水、歯科金属などに含まれる金属が体内に入っていくことで、全身性の症状や手掌の症状、口唇炎などが発現するが、一般人を対象とした調査でも、局所型の症状の接触皮膚炎だけでなく、これらの症状が多く報告されていた。パッチテストとin vitro検査の現状 第2章「金属アレルギーの診断」では、問診で聞くべきことや各種検査の概要、金属負荷試験などの解説が記載されている。問診については、医科および歯科の問診票がそれぞれ掲載されているため、参考にされたい。 金属アレルギー診断のゴールドスタンダードはパッチテストであるが、現在保険収載されている試薬は「パッチテスト試薬金属:金属16種類(鳥居薬品)」と「パッチテストパネル:金属4種類(佐藤製薬)」に限られている。とくに臨床現場でのニーズが高い「チタン」の試薬は保険適用外であり、特定臨床研究などでしか実施できない現状がある。 研究班では、より範囲が広く精度の高いパッチテスト金属試薬シリーズの選定を目指し「新金属シリーズ」を作成した。その結果、保険適用外の金属についても陽性を示したが、チタンが陽性となったのは331例中1例であった。本検討の結果の詳細は、手引きに記載されている。なお、「新金属シリーズ」の試薬は保険適用外であるため、特定臨床研究などでのみ貼付可能であることを矢上氏は強調した。 血液検体を用いてアレルギー反応を評価するリンパ球刺激試験について、矢上氏は慎重な見解を示す。その理由として、検査会社によって実施件数に大きな差(年間数百件から数件)があり、使用される試薬も標準化されていないことを挙げた。手引きでは「現時点では、金属アレルギーの診断における日常診療で使用可能な十分な感度・特異度を備えた簡便で正確なin vitro検査はなく、今後の症例の集積と臨床的検討の継続が不可欠である」と結論付けている。薬剤の塗布方法やうがいの方法を記載 3章「金属アレルギーの治療」では、症状に対する具体的な治療方法が示されている。手引きの特徴として、矢上氏は薬剤の塗布方法やうがいの仕方まで具体的に記載していることを挙げ、医師・歯科医師のみならず、看護師や歯科衛生士にも活用してほしいと強調した。 全身型金属アレルギーとの関連が報告されている皮膚疾患の1つに掌蹠膿疱症がある。これについても、現在ではさまざまな治療薬が登場しており、手引きにも具体的な治療方法が記載されている。また、掌蹠膿疱症における歯科金属アレルギーの関与と金属除去の是非が議論されているが、これについて手引きの第1章では「歯性病巣の関与の可能性が否定された後に金属アレルギーを考慮する」と記載されている。これは『掌蹠膿疱症診療の手引き2022』2)において、歯性病巣の治療を優先することが推奨文として示されていることと一致する。また『掌蹠膿疱症性骨関節炎診療の手引き2022』3)でも歯科金属との関係が記載されているため、参考にされたい。金属を多く含む食品の一覧表も掲載 第4章「金属アレルギー患者に対する生活指導」では、パッチテストで陽性となった場合の対応について、具体的な指導内容が盛り込まれている。 金属アレルゲンとの経皮的な接触の回避のみで改善しない全身型金属アレルギーでは、食事の管理が重要となる場合もある。そこで、手引きではニッケル、コバルト、クロムといった主要なアレルゲンについて、これらを多く含む食品の一覧が掲載された。さらに、缶詰や調理器具の使用に関する注意点など、患者が日常生活で実践できるワンポイントアドバイスも記載されている。医科と歯科の連携がきわめて重要 第5章「金属アレルギーの診療の流れ」では、金属アレルギー診療・治療においてきわめて重要な「医科歯科連携」について解説されている。現状の課題として、矢上氏は「医師は歯科から患者の紹介を受けて歯科へと戻すが、その後の経過はフォローアップできていない」と指摘する。そのため、医科と歯科が連携したフォローアップ体制の構築が重要である。 その重要性について、矢上氏は実例を挙げて紹介した。皮膚科治療によって皮膚症状の改善が得られなかった掌蹠膿疱症の患者の例では、歯科で差し歯を交換したところ、皮膚症状が著明に軽快したという。この改善は金属除去によるものか、歯性病巣の治療によるものかは明らかではなかったとのことであるが、医科と歯科の連携の重要性が理解できる。 また、近年の研究では、パッチテストで金属試薬が陽性であっても、ただちに金属を除去するのではなく、まずは歯性病巣の治療を行うことで皮膚症状が改善する場合があることも報告されている4)。この知見に基づき、安易な金属除去を避けるためにも、医科と歯科が密に連携し、経過観察結果を共有する体制の構築が求められる。 手引きには、歯科金属アレルギーを疑う患者に対する診断・治療フローチャートが掲載されており、ここでも「パッチテストで金属試薬が陽性であっても、まずは歯性病巣への対応を基本とし、歯科金属の除去は可能な限り優先しない」と記載されている。まとめ 手引きの作成を通じて、これまでに見落とされてきた課題や、依然として解決されていない問題点が明らかになったという。それを踏まえ、矢上氏は「国民の多くの方が金属アレルギーに苦慮している一方で、受診しない人も多いと考えられる。そのため、関連学会や専門団体を通じて手引きの周知を行うことで、医療現場での活用を促進し、診療体制の発展に寄与することを期待している。そして、いずれはニッケルの使用などのさまざまな規制などに繋がっていくことを願っている」と講演を締めくくった。

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アトピー性皮膚炎患者に最適な入浴の頻度は?

 アトピー性皮膚炎患者にとって入浴は判断の難しい問題であり、毎日の入浴が症状の悪化を引き起こすのではないかと心配する人もいる。こうした中、新たなランダム化比較試験で、入浴の頻度が毎日でも週に1~2回でも、入浴がアトピー性皮膚炎の症状に与える影響に違いはないことが明らかになった。 この試験を実施した英ノッティンガム大学臨床試験ユニットのLucy Bradshaw氏は、「アトピー性皮膚炎の人でも自分に合った入浴頻度を選べることを意味するこの結果は、アトピー性皮膚炎の症状に苦しむ人にとって素晴らしい知らせだ」と述べている。この臨床試験の詳細は、「British Journal of Dermatology」に11月10日掲載された。 アトピー性皮膚炎は、皮膚の水分保持力の低下や外的刺激や病原体から体を守る力(バリア機能)の低下により、皮膚の乾燥、かゆみ、凹凸などが生じる疾患である。今回の試験では、438人のアトピー性皮膚炎患者(16歳未満108人)を対象に、入浴の頻度が症状に与える影響が検討された。入浴は、シャワーだけを浴びる場合とバスタブに身体を浸す場合の双方を含めた。対象者は、4週間にわたり、週に1〜2回入浴する群(220人)と毎日(週に6回以上)入浴する群(218人)にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、週に1回、POEM(patient oriented eczema measure)を使って患者が報告したアトピー性皮膚炎の症状であった。 その結果、ベースライン、および1、2、3、4週目の平均POEMスコアは、毎日入浴した群でそれぞれ14.5点、11.7点、12.2点、11.7点、11.6点、週1〜2回入浴した群ではそれぞれ14.9点、12.1点、11.3点、10.5点、10.6点であった。両群間の4週間の平均POEMスコアの調整差は−0.4(95%信頼区間−1.3~0.4、P=0.30)であり、有意な差は認められなかった。 共著者の1人であり、自身もアトピー性皮膚炎に罹患しているノッティンガム大学Centre of Evidence Based Dermatology(CEBD)のAmanda Roberts氏は、「この研究結果には非常に安心した」と話す。同氏は、「日常生活の中にはアトピー性皮膚炎の症状に影響する可能性があるものがたくさんある。そのため、入浴やシャワーの頻度はそこに含まれないと知っておくのは、心配事が一つ減って喜ばしいことだ」と話している。 研究グループは次の研究で、アトピー性皮膚炎の再発の治療において、ステロイド薬をどのくらいの期間使用すべきかを調べる予定だという。Bradshaw氏は、「アトピー性皮膚炎患者と緊密に協力しながらこの研究を共同設計できたことは素晴らしい経験だった。われわれは、これまでの研究では十分に注目されてこなかった、アトピー性皮膚炎患者の生活にまつわる疑問に答えを見つけ始めたところだ」と述べている。

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アトピー性皮膚炎へのウパダシチニブ、増量および減量の有効性と安全性/BJD

 成人の中等症〜重症のアトピー性皮膚炎に対する、JAK1阻害薬ウパダシチニブのこれまでの主要な臨床試験では、15mg(UPA15)および30mg(UPA30)の固定用量1日1回投与による有効性と安全性が評価されてきた。カナダ・クイーンズ大学のMelinda Gooderham氏らは、日本を含む第IIIb/IV相無作為化国際多施設共同盲検treat-to-target試験を実施し、12週間の治療後の臨床反応に基づくUPA30への増量およびUPA15への減量の有効性と安全性を検討した。British Journal of Dermatology誌2025年12月号掲載の報告より。 18歳以上65歳未満の中等症〜重症のアトピー性皮膚炎患者461例が1:1の割合でUPA15群またはUPA30群に無作為に割り付けられ、12週間の二重盲検期間中1日1回経口投与された。UPA15群では、12週時点でEczema Area and Severity Index(EASI)-90未達成の患者は30mgに増量し(UPA15/30群)、EASI-90を達成した患者は15mgの投与を継続した(UPA15/15群)。UPA30群では、12週時点でEASI-90未達成の患者は30mgの投与を継続し(UPA30/30群)、EASI-90を達成した患者は15mgに減量した(UPA30/15群)。 主要有効性評価項目は、24週時点におけるEASI-90達成率で、安全性についても評価された。 主な結果は以下のとおり。・UPA15群に229例、UPA30群に232例が割り付けられた。・24週時点で、UPA15/30群の48.1%(64/133例、95%信頼区間[CI]:39.6~56.6)がEASI-90を達成し、UPA30/15群の68.5%(89/130例、95%CI:60.5~76.4)がEASI-90を維持していた。・24週時点で、UPA15/15群では74.6%(53/71例、95%CI:64.5~84.8)、UPA30/30群では29.3%(24/82例、95%CI:19.4~39.1)がEASI-90を維持していた。・24週時点で、UPA15/30群の32.5%(27/83例、95%CI:22.5~42.6)およびUPA30/15群の38.0%(38/100例、95%CI:28.5~47.5)が最悪のかゆみの数値評価尺度(WP-NRS)0または1を達成し、それぞれ20.7%(17/82例、95%CI:12.0~29.5)および35.0%(35/100例、95%CI:25.7~44.3)がEASI-90かつWP-NRS 0/1を達成した。・24週時点における試験治療下での有害事象の発現率は、UPA15/15群では43.1%(31/72例)、UPA15/30群では54.2%(78/144例)、UPA30/30群では61.5%(56/91例)、UPA30/15群では48.9%(65/133例)であった。悪性腫瘍、中央判定された静脈血栓塞栓症イベント、死亡は報告されていない。 著者らは、「12週時点のEASI-90達成状況に応じたウパダシチニブの用量漸増/減量戦略により、24週時点でのEASI-90達成および維持が可能であることが示された」とし、安全性についても既知のウパダシチニブの安全性プロファイルと一致し、新たな安全性上の懸念は確認されなかったとまとめている。

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