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NOAC併用で大出血リスクが増大する薬/JAMA

 非弁膜症性心房細動で非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)を服用する患者において、アミオダロン、フルコナゾール、リファンピシン、フェニトインの併用は、NOAC単独と比較して、大出血リスクの増大と関連する。台湾・桃園長庚紀念医院のShang-Hung Chang氏らが、台湾の全民健康保険データベースを用いて非弁膜症性心房細動患者計9万1,330例について後ろ向きに分析した結果を報告した。NOACは、代謝経路を共有する薬物と併用して処方される頻度が高く、大出血リスクを高める可能性がある。今回の結果を踏まえて著者は、「NOACを処方する臨床医は、他剤との併用によるリスクの可能性を考慮しなければならない」とまとめている。JAMA誌2017年10月3日号掲載の報告。台湾の非弁膜症性心房細動患者9万1,330例について分析 研究グループは、台湾の全民健康保険データベースを用いて、2012年1月1日~2016年12月31日(最終フォローアップ)の間に、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンのNOAC処方を1種以上受けた非弁膜症性心房細動患者9万1,330例を対象に、後ろ向きコホート研究を行った。被験者は、NOAC単独または併用(アトルバスタチン、ジゴキシン、ベラパミル、ジルチアゼム、アミオダロン、フルコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール、posaconazole、シクロスポリン、エリスロマイシンまたはクラリスロマイシン、dronedarone、リファンピシン、フェニトイン)投与を受けていた。 主要アウトカムは大出血で、頭蓋内出血、消化管、泌尿器またはその他部位での出血と診断を受けて入院または緊急部門を受診した症例と定義した。 NOAC単独または他剤併用のperson-quarter(暦年の各四半期における各被験者の曝露時間)における大出血の補正後発生率の差を、Poisson回帰分析を用いた推算で評価。また、傾向スコアを用いて治療重み付けの逆数を算出し評価した。アミオダロン、フルコナゾール、リファンピシン、フェニトイン併用で有意に増大 対象の9万1,330例は、平均年齢74.7歳(SD 10.8)、男性55.8%、NOACの処方内訳は、ダビガトラン4万5,347例、リバーロキサバン5万4,006例、アピキサバン1万2,886例であった。 大出血を呈したのは、NOAC処方44万7,037 person-quarterにつき4,770件であった。全person-quarterにおいて、最も併用が多かったのはアトルバスタチン(27.6%)で、ジルチアゼム(22.7%)、ジゴキシン(22.5%)、アミオダロン(21.1%)と続いた。 NOACとアミオダロン、フルコナゾール、リファンピシン、フェニトインとの併用は、NOAC単独と比較し、大出血の補正後発生率比(1,000人年当たり)が有意に増大した。NOAC単独38.09 vs.アミオダロン併用52.04(差:13.94[99%信頼区間[CI]:9.76~18.13])、NOAC単独102.77 vs.フルコナゾール併用241.92(138.46[80.96~195.97])、NOAC単独65.66 vs.リファンピシン併用103.14(36.90[1.59~72.22])、NOAC単独56.07 vs.フェニトイン併用108.52(52.31[32.18~72.44])であった(すべての比較のp<0.01)。 大出血の補正後発生率比は、NOAC単独と比較して、アトルバスタチン(差:-14.38[99%CI:-17.76~-10.99])、ジゴキシン(-4.46[-8.45~-0.47])、エリスロマイシンまたはクラリスロマイシン(-39.78[-50.59~-28.97])の併用群では有意に低下した。 ベラパミル、ジルチアゼム、シクロスポリン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール、posaconazole、dronedaroneの併用群では有意な差は認められなかった。

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「覚醒」から「睡眠」へ 新機序の不眠症治療薬

2014年9月26日、MSD株式会社は新規作用機序の不眠症治療薬スボレキサント(商品名:ベルソムラ錠15mg、同20mg)の製造販売承認を取得した。本剤は、世界初のオレキシン受容体拮抗薬で、過剰な覚醒状態を抑制することにより、生理的なプロセスで眠りに導く。本剤の登場によって、新たなアプローチからの不眠症治療が可能となる。本稿では、不眠症治療の現状および課題、新薬への期待について紹介する。不眠症とは不眠症は、入眠障害、中途覚醒などの夜間不眠の訴えがあり、その結果として日中の精神・身体機能に影響が生じる疾患である。不眠症の原因は多岐にわたるが、「睡眠」と「覚醒」のバランスが乱れて、体を「覚醒」させるという機能が「睡眠」を誘う機能よりも上回った場合に生じると考えられている。このバランスを乱す要因としては、ストレスなどの心理的要因、うつ病などの精神疾患、不適切な睡眠環境や生活習慣などの生理学的要因、アルコールなどの薬理学的要因、痛みなどの身体的要因などが挙げられる。近年、不眠症の患者ではうつ病の発症リスク、高血圧や糖尿病などの生活習慣病発症リスクが高まることも報告されており、睡眠習慣の改善や薬物による治療の必要性が高まっている。不眠症の治療診断基準(睡眠障害国際分類第2版[ICSD-2]など)により、不眠症を疑った場合には、まず身体・精神的疾患や薬物の影響が不眠症状の原因となっていないか確認を行う。  そのうえで睡眠環境や生活習慣の改善や薬物治療を行う。現在、不眠症治療薬としては、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬などのGABA受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬などが一般的に用いられている。それぞれの薬剤の特徴や作用時間などを考慮して治療薬が選択されるが、翌日への持ち越し効果や耐性・依存・離脱症状などの懸念、それらに対する患者側の心理的抵抗感が課題であった。世界初の作用機序の不眠症治療薬起きている状態を保つオレキシンオレキシンは視床下部のニューロンから産生される神経ペプチドで、睡眠-覚醒システムのバランスを調整する脳内物質である。オレキシンが分泌されると、覚醒システムが活性化されて覚醒の維持に働いて、眠りにくくなる。逆に、眠りに誘われるときはオレキシンの分泌が減り、睡眠システムが優位になっている。なお、睡眠システムにはGABAが深く関わっている。スボレキサントの特徴不眠症の患者では、夜になっても脳の覚醒が亢進することによって不眠が生じると考えられるが、スボレキサントはオレキシンが受容体へ結合することをブロックし、過剰に働いている覚醒システムを抑制する。つまり、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させるという、体が本来持っている生理的なプロセスによって、本来の眠りをもたらす。用法・用量1日1回20mg(高齢者は15mg)を就寝前に服用する。入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、食事と同時または食直後の服用は避ける(食後投与では、投与直後の血漿中濃度が低下することがある)。なお、臨床試験では単剤で処方されていたため、他の不眠症治療薬と併用したときの有効性および安全性は確立されていないので注意が必要となる。※CYP3Aを強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル、テラプレビル、ボリコナゾール)を服用中の患者では、本剤の作用が増強されるおそれがあるため禁忌である。臨床成績・試験:日本人を含む国際共同プラセボ対照試験・対象:原発性不眠症患者638例(成人370例、高齢者268例)・方法:スボレキサント通常用量(成人:20mg、高齢者:15mg)またはプラセボを3ヵ月間、1日1回就寝前に投与・結果:主観的睡眠潜時(患者申告による入眠までの時間)および主観的総睡眠時間(患者申告による睡眠時間の合計)は、スボレキサント群において、1週時からプラセボ群に比べて有意な改善がみられた。安全性上記試験において、6ヵ月間の副作用は53例(20.9%)に認められた。主な副作用は傾眠(4.7%)、頭痛(3.9%)、疲労(2.4%)であった。スボレキサント投与による翌朝の認知機能テストへの影響や、投与中止による反跳性不眠はみられなかった。なお、オレキシンの受容体への結合を阻害して、オレキシンの作用を抑制するという作用機序からナルコレプシーが生じること懸念されるが、臨床試験では認められなかった。ナルコレプシーではオレキシン神経が脱落することが報告されている。一方で、スボレキサントはオレキシン受容体を阻害するものの一過性であるため、機序が異なると考えられる。日本が世界をリードするようなエビデンス構築をスボレキサントについて、MSD株式会社の製品担当者に話を聞いた。「本剤は、世界に先駆けて日本で発売される新規作用機序の薬剤なので、できるだけ慎重に使用していただきたい。まずは臨床試験で有効性・安全性が確認された、未治療またはウォッシュアウト期間のある原発性不眠症患者に使用していただき、スボレキサント本来の有効性・安全性を確認していただきたい」としたうえで、「スボレキサントは不眠症治療の標準薬の1つとなりうる薬剤だと考えている。日本が世界をリードするようなエビデンスや使い方を構築し、現在の不眠症治療の課題克服に貢献したい」と語った。本剤の登場によって、覚醒状態を抑制することで睡眠を導くという、新たなアプローチからの不眠症治療が可能となる。これにより、症状に合わせた薬剤選択、体本来の生理的な睡眠を導く治療が可能になると期待される。

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股部白癬、体部白癬の治療エビデンスは?

 オランダ・ライデン大学医療センターのE J van Zuuren氏らは、股部白癬と体部白癬の局所治療の有効性および安全性のエビデンスを評価するコクラン系統的レビューを行った。129試験、被験者1万8,086例を包含し分析した結果、薬剤塗布による積極的治療はいずれも大半は効果的であることが示されたが、臨床意思決定に役立つエビデンスを示すには、さらに質の高い無作為化試験の必要性が判明したと報告している。股部白癬、体部白癬は一般開業医、皮膚科医がいずれも最もよく遭遇する真菌感染症である。British journal of dermatology誌オンライン版2014年10月7日号の掲載報告。 股部白癬、体部白癬の大半は、さまざまな外用抗真菌薬による治療が行われている。 検討は、Cochrane Skin Group Specialised Register、CENTRAL in The Cochrane Library、MEDLINE、EMBASE、LILACSなどを2013年8月時点で検索して行われた。 主な結果は以下のとおり。・129試験、被験者1万8,086例が参加した無作為化試験を包含して介入評価を行った。・介入の大半は、アゾール系薬によるものであった。・プールできたアウトカムのデータは、2つの治療についてのみであった。・テルビナフィン(商品名:ラミシールほか)は5試験におけるデータから、プラセボと比較して統計的に有意な臨床的治癒率が認められた(RR:4.51、95%CI:3.10~6.56)。・真菌別の治療データは、不均一性が大きくプールすることができなかった。・真菌学的治癒率は、ナフチフィン1%含有薬(国内未発売)がプラセボと比較して良好であることを支持するデータであった(3試験、RR:2.38、95%CI:1.80~3.14)。しかし、エビデンスの質は低かった。・アゾール+コルチコステロイド系薬は、アゾール系薬単独よりもわずかではあるが効果的であった。しかし、真菌学的治癒率に関する統計的な有意差は認められなかった。・65試験が「不明」であるとの評価を、また64試験は「バイアスリスクが高い」との評価をしていた。被験者は大半が20歳超であり、試験デザインが不十分で、報告も不十分であった。

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日本初“外用”爪白癬治療剤の特徴と有用性

 2014年9月2日(火)、爪白癬治療剤エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン爪外用液10%)が発売された。本剤は、日本初の外用爪白癬治療剤で、科研製薬が創製した新規トリアゾール系化合物エフィナコナゾールを有効成分とする。 本剤の発売によって治療選択肢が増えた爪白癬治療。その現状および課題、新薬への期待について紹介する。爪白癬とは 爪白癬とは、皮膚糸状菌(白癬菌)が爪および爪の下の皮膚(爪床)に入って生じた感染症で、日本の有病者は1,100万人ともいわれている。 爪白癬はかゆみなどの症状はなく、主に爪の混濁、肥厚、変形などの外見上の変化を来す。病態が進行すると、肥厚した爪が靴で押さえられて痛くなったり、歩きづらくなったりすることもある。 また、身体の他部位や家族などへ感染が広がることもあるので、速やかに治療する必要がある。これまでの爪白癬治療と課題 これまで、日本国内で爪白癬に適応のある治療薬は、経口抗真菌薬のみであった。経口抗真菌薬のメリットとして、血流に乗って爪床で抗真菌作用を示すこと、他部位の白癬菌感染にも効果が期待できるといったことが挙げられる。 しかし、肝障害などの副作用や他剤との薬物相互作用が生じることがあるため、高齢者や合併症によって複数の薬剤を服用している患者さんでは、注意が必要となる。 経口抗真菌薬を服用できない場合は、適応外とはなるが、爪を削ったうえで外用抗真菌薬が塗布されることもあった。これまでの外用抗真菌薬は、爪床まで浸透しにくく、爪白癬には効果が期待できないためである。爪床まで浸透する外用抗真菌剤特徴 エフィナコナゾールは、エルゴステロールの生合成を阻害することで、抗真菌活性を発揮する。ケラチン親和性が低いため、爪の表面に塗るだけで爪床まで浸透し、爪白癬に効果が期待できる薬剤である。 なお、処方の際は、直接鏡検または培養などにより確定診断を行い、他疾患と鑑別する必要がある。有効性 日本人を含む国際共同第III相試験および海外第III相試験で、感染面積が20~50%(中等度)の爪白癬患者を対象とし、基剤群との二重盲検比較を行った。 エフィナコナゾールまたは基剤を48週間投与し、投与開始後52週目の完全治癒率、真菌学的治癒率、臨床的有効率などを評価した。その結果、エフィナコナゾール群は基剤群に比べて、有意な差が認められた。 なお、52週目の真菌学的治癒率(KOH直接鏡検と真菌培養検査がともに陰性の割合)は55.2%であった。安全性 上記の2試験における臨床検査値異常を含む副作用発現は、安全性評価対象例1,227例中78例(6.4%)であった。頻度の高いものは皮膚炎、水疱、紅斑、そう痒などで、主に適用部位にみられた。 血中移行性は低いため、経口抗真菌薬で問題となる全身性の副作用や薬物相互作用を回避できるという点でも期待が高い。使用方法 1日1回、罹患爪全体に塗布する。爪がひどく濡れている状態での塗布は避け、清潔な状態での塗布が望ましい。 爪の表面全体および皮膚との境界部まで塗布するが、皮膚に付着すると刺激を感じることがあるため、周囲の皮膚に付着した薬剤は拭き取る。完全に治癒するまで継続使用が大切 本剤は、爪の白癬菌に作用するもので、すでに変化した爪の外観を改善するものではない。爪が生え変わるまでは白癬菌が爪の中に残っていることもあるため、健康な爪に生え変わるまで継続して治療を続ける必要がある。 完全に治癒する前に自己判断で中断すると、再発・悪化、他部位や他者へ感染するおそれがある。また、すでに家族が罹患している場合は、白癬菌の移し合いにならないように全員で治癒を目指したい。早期治療、継続治療のために 最後に、クレナフィン爪外用液について、科研製薬株式会社の製品担当者に話を聞いた。「これまで、日本では外用の爪白癬治療剤はなく、経口抗真菌薬ではカバーしきれない症例も多くみられた。本剤の登場により、より安全・簡便に有効性が期待できるため、新たな選択肢として先生方や患者さんのお役に立てるのではないかと考えている」としたうえで、「爪白癬の症状は外見の変化が主で、痛みやかゆみが少ないので、病気と認識していない患者さんも少なくない。早期治療、継続治療の必要性を説明するため、情報を提供していきたい」と語った。 新たな治療選択肢であるクレナフィン爪外用液によって、患者さんのQOLおよび全身性副作用や薬物相互作用への懸念が少ない爪白癬治療の実現につながるものと考えられる。また、外用剤という利便性から良好なアドヒアランスが見込まれ、治療の継続につながることが期待される。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第8回

第8回:爪甲真菌症:疑えば繰り返し検査を、治療は適切な抗真菌薬と期間で 日本医真菌学会の調査によると、爪甲真菌症を含むすべての皮膚真菌症は皮膚科の新患患者の12.3%を占め、皮膚科医としても頻度の高い皮膚感染症であるとされます1)。 またプライマリ・ケア医が関わる診療現場でも、直面する頻度の高い皮膚疾患であります。他の疾患をフォロー中に見つける場面は少なからずあり、診断・治療については現場で悩みながら、もしくは経験的に治療する場面もあるかもしれません。 以下、本文 American Family Physician 2013年12月1日号2)より爪甲真菌症1.概要爪甲真菌症は手指爪や足指爪の真菌感染症で、変色・肥厚・爪床からの分離を来す。爪甲真菌症は人口の10%程度に生じるが高齢者に多くみられ、60歳以上では20%、70歳以上ともなると50%もの有病率に至る。高齢者の有病率が増える背景としては末梢血管疾患、免疫異常、糖尿病との関連がいわれている。糖尿病があると1.9〜2.8倍にリスクが増加するともいわれる。HIVを基礎疾患に持つ人では15〜40%の有病率といわれる。2.微生物学的原因さまざまな原因菌があるが、最も多いのはTrichophyton(白癬菌属)の中の皮膚糸状菌である。他の菌種は、Candidaで手指爪に多く、慢性の粘膜皮膚カンジダ症でみられる。3.分類形態学的な観点からいくつかの種類に分類される。 遠位側縁爪甲下爪真菌症(DLSO):下爪皮から爪甲・爪床へ向かい広がっていく。爪は肥厚し崩れ、萎縮する。色調は黄〜白色もしくは褐色〜黒色へ変化する。頻度は最多。 全層性爪真菌症:爪が乳白色変化し、でこぼこで、層状に分裂した状態。稀である。DLSOの亜系とも考えられる。 近位爪甲下爪真菌症(PSO):爪の近位部の下で沈殿が積み重なった状態。近位から遠位へ進行し白色変化する。免疫抑制状態を示唆する。 表在性皮膚真菌症(SO):爪表面に線状横断するような粉状の変化がみられる。 全異栄養性爪真菌症(TDO):長期の感染により爪構造が完全に破壊される。4.診断爪の変色・変形・肥大・角化、爪下沈殿あり:爪甲真菌症疑い  ↓70%イソプロピルアルコールで消毒し、切り落とした爪や爪下沈殿からの検体を採取  ↓KOHを使用し検鏡  ↓陽性:治療開始:起因微生物を同定するための検査も考慮  ↓培養確認、またPAS染色でも評価(陰性の際もこの過程を)(※PAS染色の感度:82%培養[ 53%、KOH法 46%])(※培養とPAS染色を合わせることで感度を96%まで上げられる)  ↓陽性:治療開始陰性:他の部位からの検体採取を検討5.治療と効果 臨床的治癒:爪の80〜100%が正常形態になっていること 真菌的治癒:培養、検鏡で病原体が検出されないこと フルコナゾール 100〜300mg/週 3〜6ヵ月(手指)、6〜12ヵ月(足指)カンジダ種に対して効果。副作用は嘔気・嘔吐・下痢・腹痛・頭痛・発疹。臨床的治癒率 41%、真菌的治癒率 48%。 イトラコナゾールパルス法 200mg 2回/日を1週間内服/月 2ヵ月(手指)3ヵ月(足指)持続法 200mg 1回/日 6週間(手指)12週間(足指)カンジダ種、皮膚糸状菌、アスペルギルス種などに効果。副作用は嘔気・嘔吐・低カリウム・トランスアミナーゼ上昇・中性脂肪上昇・発疹。臨床的治癒率 70%、真菌的治癒率 パルス法 63% / 持続法 69%。 テルビナフィン 250mg 1回/日を6週間(手指)12週間(足指)糸状菌、酵母菌(カンジダなど)の一部に効果。副作用は胃腸障害・発疹・頭痛。臨床的治癒率 66%、真菌的治癒率 76%。※本内容は、プライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 日本皮膚科学会雑誌.皮膚真菌症診断・治療ガイドライン 2) Westerberg DP, et al. Am Fam Physician. 2013 Dec 1;88:762-770.

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脂漏性皮膚炎への経口抗真菌薬の使用実態が明らかに

 カナダ・トロント大学のA.K. Gupta氏らは、脂漏性皮膚炎に対する経口薬治療について発表された文献数とその質について系統的レビューを行った。脂漏性皮膚炎は通常、局所ステロイドまたは抗真菌薬による治療が行われ、重症例もしくは治療抵抗性の場合には経口薬治療が可能とされている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌2014年1月号の掲載報告。 Gupta氏らによる系統的レビューは、MEDLINE、Embaseのデータベースおよび文献参照リストを探索して行われた。脂漏性皮膚炎の経口薬治療に関するあらゆる報告を対象とした。 文献の質について、Downs&Black修正27項目チェックリストを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・検索により、8つの経口薬治療(イトラコナゾールテルビナフィン、フルコナゾール、ケトコナゾール、プラミコナゾール、プレドニゾン、イソトレチノイン(国内未承認)、ホメオパシー療法)をカバーした21本の報告(無作為化対照試験、非盲検試験、症例報告)が特定された。・大半の報告は、経口抗真菌薬について検討していたが、その質は概して低かった。・臨床的有効性アウトカムは、試験間でかなりのばらつきがあり、統計解析と治療間の直接比較は難しかった。・その中で、ケトコナゾール治療は、ほかの経口薬治療と比較して脂漏性皮膚炎再発との関連がより大きかった。・イトラコナゾールの投与量は通常、最初の1ヵ月の第一週は200mg/日、2~11ヵ月は、月初めの2日間に200mg/日が投与されていた。・テルビナフィンは、250mg/日を連続投与(4~6週)もしくは間欠投与(月に12日間を3ヵ月)で処方されていた。・フルコナゾールは、連日投与(50mg/日を2週間)もしくは毎週投与(200~300mg)を2~4週で設定されていた。・ケトコナゾールの投与レジメンは1日200mgを4週間であった。・プラミコナゾールは、200mg単回投与であった。・著者は、「今回のレビューにより、将来、試験をデザインする際に考慮すべきキー領域が明らかになった」とまとめている。

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爪真菌症にアルバコナゾールが奏効

 新たなトリアゾール系経口抗真菌薬アルバコナゾール(国内未承認)について、足親指の遠位爪甲下型爪真菌症に対する高い有効性と安全性が確認されたことが報告された。アイスランド大学のBarour Sigurgeirsson氏らによる4つの用量レジメンについて検討した第2相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の結果、示された。爪真菌症に対する有効な治療としては、テルビナフィン(商品名:ラミシールほか)、イトラコナゾール(同:イトリゾールほか)があるが、頻繁な反復投与を必要とする頻度が高く、肝・心臓の有害事象を引き起こす可能性がある。今回の試験ではアルバコナゾールの4レジメンともに肝・心臓の重大有害事象はみられなかったという。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年9月号(オンライン版2013年5月22日号)の掲載報告。 研究グループは、足親指の遠位爪甲下型爪真菌症に対するアルバコナゾール週1回投与の有効性と安全性について検討した。試験は、584例の患者を、アルバコナゾール100~400mg、またはプラセボをそれぞれ週1回投与する二つの群に割り付け行われた。治療期間は24週間または36週間であった。 有効性の指標は、52週時点での菌学的治癒および爪が透明またはほぼ透明であることとした。 主な結果は以下のとおり。・52週時点の有効率は、4つの用量レジメンすべての治療群(21~54%)がすべてプラセボ(1%)よりも有意に高かった(すべての群のp<0.001)。・ほとんどの群で患者の5%以上が、治療奏効を24週時点で達成していた。・有害事象の大部分は軽度~中程度であった。・治療関連の有害事象は3%以内であった。また、治療関連の肝・心臓の重大有害事象はみられなかった。・今回の試験は、追跡調査期間が短く有効性の最大値を評価することができなかったこと(治癒率が試験終了時点で増大していた)、アルバコナゾールの有効性と忍容性についてほかの治療薬との比較は行われなかったこと、目標病変の足指の爪の変化は主観的評価であったという点について限界があった。・以上を踏まえて著者は、「アルバコナゾールは爪真菌症に対して、いずれの用量でも忍容性は良好で高い治癒率を示した」と結論している。

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深在性真菌症治療薬 カスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス)

深在性真菌症治療薬のカスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス点滴静注用50mg、同点滴静注用70mg)が2012年1月18日に製造承認を取得した。適応は「(1)真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症(FN)、(2)カンジダ症(食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症)、アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)」となっている。深在性真菌症の現状深在性真菌症は、主に、白血病をはじめとした血液疾患やがんに対する化学療法、造血幹細胞移植における好中球減少時など、免疫力が低下している患者において、深部組織や臓器にカンジダ属やアスペルギルス属などが日和見感染することで感染を引き起こす疾患である。一般に重症化しやすく、治療が難しい感染症である。我が国における深在性真菌症の患者数は年々、増加傾向にあり、その中でもアスペルギルス症の増加が著しいとの報告がある1)。カスポファンギンの承認これまで、アゾール系、ポリエン系、フロロピリミジン系、キャンディン系などの深在性真菌症治療薬が使用されてきた。この度、承認されたカスポファンギンは、国内で2剤目となるキャンディン系抗真菌薬で、2000年12月に世界初のキャンディン系として承認されて以来、これまでに世界84ヵ国(2011年9月現在)と、多くの臨床現場で使用されてきた。カスポファンギンは既に、IDSA(米国感染症学会)のガイドラインをはじめ、さまざまな海外のガイドラインで推奨されている。このため、深在性真菌症治療に携わる医療関係者からの認知度は高く、国内での承認が待ち望まれてきた薬剤である。特に、カスポファンギンがキャンディン系で初めて「真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症」の適応を取得した意義は大きい。発熱性好中球減少症におけるエンピリック治療発熱性好中球減少症とは好中球が1,000/μL未満で且つ、500/μL未満になる可能性がある状況下で、腋窩で37.5℃以上(口腔内温≧38℃)の発熱が生じ、薬剤熱、腫瘍熱、膠原病、アレルギーなど原因がはっきりわかっているものを除外できる疾患をいう。発熱性好中球減少症は血液培養で10%程度の陽性率と低く、臨床的に感染巣が明らかなものは10~20%程度に留まり、70~80%で原因不明の発熱がおこる2)。このようなことから発熱性好中球減少症では、起因菌が特定できないまま、細菌や真菌感染を疑い、エンピリック治療が行われることが多い。しかしながら、これまで、キャンディン系には、発熱性好中球減少症の適応はなかった。この度、カスポファンギンが適応を取得したことにより、深在性真菌症治療に新たな選択肢が加わることは、患者や医療関係者にとって福音となるであろう。まとめ医療技術の発展による、骨髄・臓器移植、がんに対する化学療法などといった高度医療の普及や高齢化社会の進行により、患者の免疫低下リスクが高まる要因は増えていくと考えられる。そして、免疫低下患者の増加に伴い、深在性真菌症も増加することが予想される。このような背景の中、カスポファンギンが新たな選択肢となり、深在性真菌症治療の幅が広がることは、医療関係者にとって新たな治療戦略となる。そして、それは患者やその家族の明日への希望につながるといえよう。

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爪白癬治療薬の国内第II相臨床試験結果

 久光製薬株式会社は25日、開発中の爪白癬治療薬HTU-520(テルビナフィン塩酸塩 貼付剤)の国内第II相臨床試験の結果を発表した。 今回実施した第II相臨床試験は、爪白癬患者にHTU-520 またはプラセボを24週間反復投与した二重盲検比較試験。症状の改善を主要評価項目として本剤の有効性について検討した。 データ解析の結果、HTU-520 の有効性に関して主要評価項目でプラセボ投与群との間に改善傾向を認めることができ、さらに、安全性に関して重篤な副作用は認められなかったとのこと。 なお、今後は第III相臨床試験を進めていくとのこと。 詳細はプレスリリースへ(PDF) http://www.hisamitsu.co.jp/company/pdf/HTU_090825.pdf

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