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7月13日開催、講習会『イノベーション委員会プログラム』【ご案内】

 日本抗加齢医学会の新たな試みとなる講習会『イノベーション委員会プログラム』が、7月13日(日)に日本橋ライフサイエンスハブで開催される。「アンチエイジングからイノベーションを起こす」をテーマに、医療現場の第一線で活躍する医師・研究者でありながら、実際にビジネスを立ち上げた“起業家ドクター”が多数登壇する。彼らのリアルな体験と挑戦、そして事業化へのヒントが凝縮された、ここでしか聞けない貴重な講演が行われる。 終了後には、登壇講師や関係者と直接話せる懇親会を同会場にて開催。講師への相談や名刺交換など、貴重なネットワーキングの場として活用することができる。 主催の日本抗加齢医学会 イノベーション委員会は「日々の診療や研究から課題解決のアイデアを形にしたい方、起業や事業化に興味がある方、医療×経営・ビジネスに関心がある方、医師や起業家と直接交流し人脈を広げたい方は、ぜひ参加登録をお願いしたい」と呼び掛ける。 開催概要は以下のとおり。開催日時:7月13日(日)10:00~15:00 ※講習会終了後に懇親会を実施開催場所:日本橋ライフサイエンスハブ    〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-5-5 室町ちばぎん三井ビルディング8階開催形式:現地開催参加費 :3万3,000円(日本抗加齢医学会会員 2万2,000円)申込締切:7月4日(金)まで■参加登録はこちら【プログラム】オープニングリマークス:坪田 一男氏(イノベーション委員会)座長:新村 健氏 (イノベーション委員会) 10:00~10:50 「大学発スタートアップの意義と実例」 森下 竜一氏(大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学 寄附講座)10:50~11:40 「未定」 坪田 一男氏(株式会社坪田ラボ)11:40~12:20 休憩 座長:坪田 一男氏(イノベーション委員会)12:20~13:10 「未定」 石見 陽(メドピア株式会社)座長:森下 竜一氏(イノベーション委員会)13:10~14:00 「究極のアンチエイジングとしての心筋再生医療は心不全治療に革命を起こせるか?」 福田 恵一氏(Heartseed株式会社)14:00~14:10 休憩14:10~15:00 「デジタル技術による持続可能な医療」 上野 太郎氏(サスメド株式会社)クロージングリマークス:森下 竜一(イノベーション委員会)15:00~ 懇親会(同会場内ホワイエにて)【主催】 日本抗加齢医学会 イノベーション委員会【お問い合わせ先】 日本抗加齢医学会事務局 TEL:03-5651-7500 E-mail:seminar@anti-aging.gr.jp 学会ホームページはこちら

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不眠症へのベンゾジアゼピン中止のための介入策の効果は?/BMJ

 ベンゾジアゼピン系および類似の催眠鎮静薬(BSH)を中止するための介入について、有効性に関するエビデンスの確実性は低く、患者教育、薬剤の見直し、薬剤師主導の教育的介入がBSHを中止する患者の割合を増加させる可能性はあるが、現状ではエビデンスの確実性が低いため、さらなる質の高い研究が求められるという。カナダ・McMaster UniversityのDena Zeraatkar氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。多くの患者が、転倒、認知機能障害、依存などのリスクがあるにもかかわらず、不眠症の治療にBSHを使用している。しかし、BSHの代替療法に関する知識は限られており、その有害性が明確ではなく、中止を支援する最適な戦略に関するエビデンスは不十分であることが報告されていた。BMJ誌2025年6月17日号掲載の報告。無作為化比較試験49試験、計3万9,336例についてメタ解析 研究グループは、5つのデータベース(MEDLINE、Embase、CINAHL、PsycInfo、CENTRAL)を検索し、不眠症にBSHを使用している成人を対象に、BSHの減薬または中止を目的とした介入、医療機関でこれらの介入を実施するための戦略と、通常ケアあるいはプラセボを比較した無作為化試験について、2024年8月まで発表された論文(言語は問わず)を特定した。さらに、特定された研究論文と類似のシステマティックレビューの引用文献も調査した。 複数の評価者がそれぞれ独立して、検索結果の確認、データ抽出、バイアスリスク評価を行った。類似の介入をグループ化して、制限最尤法を用いた頻度論的ランダム効果メタ解析を実施し、GRADEアプローチを用いてエビデンスの確実性を評価した。 検索の結果、3万件以上が抽出され、このうち適格基準を満たした58報(49試験、計3万9,336例)が解析対象となった。患者教育、薬剤見直し、薬剤師主導の教育的介入はBSH中止を増加させる可能性があるもエビデンスの確実性は低い 介入は、「減量」「患者教育」「医師教育」「患者および医師教育の併用」「認知行動療法」「薬剤の見直し」「マインドフルネス」「動機づけ面接」「薬剤師主導の教育的介入」「薬剤を用いた減量および中止」のカテゴリーに分類された。 確実性「低」のエビデンスでは、通常ケアと比較しBSHを中止する患者の割合(1,000例当たり)が、「患者教育」で144例(95%信頼区間:61~246)、「薬剤の見直し」で104例(34~191)、「薬剤師主導の教育的介入」で491例(234~928)それぞれ増加する可能性が示唆された。 確実性「中」のエビデンスでは、「患者教育」は身体機能、精神的健康、不眠症の徴候や症状に対して、ほとんどまたはまったく影響を与えない可能性が高いことが示唆された。「薬剤の見直し」や「薬剤師主導の教育的介入」に関しては、これらの他のアウトカムに関するエビデンスは得られなかった。 その他の介入が患者のBSH中止に有効であるという説得力のあるエビデンスは確認されなかった。また、いずれかの介入が脱落の増加を引き起こしたという、確実性「高」または「中」のエビデンスはなかった。 さらに、確実性「低」のエビデンスとして、複数の要素を組み合わせた介入が、単一の要素による介入と比較してBSHの中止を促進する可能性があることが示唆された。

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後発薬の供給が需要に追いつくのはなんと2029年!?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第154回

ここ数年の後発医薬品の不足問題は、薬局にとって大きな負担になっています。しかし、まだまだ後発医薬品の供給不足は続きそうです。後発薬(ジェネリック医薬品)メーカーの業界団体である日本ジェネリック製薬協会は18日、後発薬の安定供給に向けた業界の対応方針の中間報告書について報道向け説明会を開いた。川俣知己会長(日新製薬代表取締役社長)は、後発薬の供給が需要に追いつくのは2029年度になるとの予測を示した上で、「(予測より前の)27年度には供給不安の解消を目指す」と強調。加盟企業に設備投資の前倒しを要請するとした。(2025年6月18日付 日本経済新聞)後発医薬品は、医療費の増大を抑えるために2002年ごろから加算などで使用が後押しされ、市場が伸びてきました。ようやく患者さんが後発医薬品を使用することに対して抵抗がなくなってきた今、使いたいのに使えない…というなんとも皮肉な状況が続いています。「もうそろそろどうにかしてほしい」という医療者の叫びが飛び交う中、ようやく出てきた供給不足解消の予測はなんと「2029年」。まだまだこの状況は続くのだなと落胆の気持ちを隠せません。冒頭の記事でも、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)から会員会社に対し、2027年度を目標に事業計画を見直し、増産施設への投資を前倒しするよう要請すると報じられています。しかし、これは現状の使用量がすでに頭打ちとなっていることが前提となっており、今後さらにシェアが拡大すれば供給不足の解消が後ろ倒しになる可能性もあるとのことなので、予断は許されない状況です。ただ、製薬会社は民間の会社なんですよね。各社の事業計画の見直しに関しては、あくまでGE協会からの「お願い」であって、実施に踏み切るかは各社の判断によります。各社さまざまな事情があるでしょうし、新たな借入金が発生する場合もあるでしょう。現実的に前倒しになることは期待できないように思います。一方で、製造所を変更するための一変申請は、今まで申請から承認まで1年程度かかっていたものを、1.5ヵ月で承認することができるという「医療用医薬品の品目統合等に伴う製造方法等の変更手続に係る手続の迅速化について」という通知が今年の2月に発出されるなど、製薬企業が増産を検討したり、製薬企業同士が品目を集約したりしやすくするための措置が始まっています。薬局にとっては日々の業務に直結することですので1日も早い解消を強く望みますが、期待しすぎずに供給不安の解消を待ちたいと思います。

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CLLの1次治療、I-V併用vs.イブルチニブ単独vs.FCR/NEJM

 慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、イブルチニブ+ベネトクラクス(I-V)併用療法はイブルチニブ単独またはフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ(FCR)療法と比較して、測定可能残存病変(MRD)陰性および無増悪生存期間(PFS)延長の達成割合が高かったことが示された。英国・Leeds Cancer CentreのTalha Munir氏らUK CLL Trials Groupが第III相の多施設共同非盲検無作為化試験「FLAIR試験」の結果を報告した。同試験のPFSの中間解析では、MRDに基づいて投与期間を最適化するI-V併用療法はFCR療法に対する優越性が示されていたが、イブルチニブ単独と比較した有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2025年6月15日号掲載の報告。2年以内の骨髄MRD陰性、PFSなどを評価 FLAIR試験は英国の99病院で行われ、18~75歳、未治療のCLLまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)で、治療担当医師によりFCR療法の適応と判定された患者を対象とした。 被験者は、I-V群、イブルチニブ単独群、FCR群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、追跡評価を受けた。 主要評価項目は、イブルチニブ単独群と比較したI-V群の2年以内の骨髄MRD陰性、およびFCR群と比較したI-V群のPFSであった。 検出力のある副次評価項目は、イブルチニブ単独群と比較したI-V群のPFSとした。その他の副次評価項目は全生存期間などであった。I-V群の2年以内の骨髄MRD陰性率はイブルチニブ単独群と有意差 2017年7月20日~2021年3月24日に、786例が無作為化された(I-V群260例、イブルチニブ単独群263例、FCR群263例)。被験者の人口統計学的および臨床特性は3群間でバランスが取れていた。被験者の年齢中央値は62歳(四分位範囲:56~67)、65歳以上の割合が31.4%で、男性が71.1%であった。 2年以内の骨髄MRD陰性を達成した患者は、I-V群172/260例(66.2%)に対し、イブルチニブ単独群0/263例(p<0.001)、FCR群は127/263例(48.3%)であった。 追跡期間中央値62.2ヵ月で、病勢進行または死亡の報告は、I-V群18例(6.9%)であったのに対し、イブルチニブ単独群59例(22.4%)であり(ハザード比[HR]:0.29、95%信頼区間[CI]:0.17~0.49、p<0.001)、FCR群112例(42.6%)であった(0.13、0.08~0.21、p<0.001)。5年PFS率は、I-V群93.9%、イブルチニブ単独群79.0%、FCR群58.1%だった。 死亡は、I-V群11例(4.2%)であったのに対し、イブルチニブ単独群26例(9.9%)であり(HR:0.41、95%CI:0.20~0.83)、FCR群39例(14.8%)であった(0.26、0.13~0.50)。突然死は、I-V群3例、イブルチニブ単独群8例、FCR群4例で報告された。

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臨床区域麻酔科学書

区域麻酔の幅広い内容を取り上げ、日常臨床をサポート!超音波ガイド下区域麻酔を行うにあたり、各区域麻酔がどのような外科手術に適応となるのか、穿刺手技はどうしたら良いかなど、必要な解剖、適応、穿刺法、起こりうる合併症とその対策について解説。また神経生理や薬理、必要機器の基本的知識、抗凝固療法、および区域麻酔の応用として小児区域麻酔、無痛分娩、Awake craniotomy、心臓血管麻酔についても取り上げた。安全な区域麻酔の実臨床に必須の1冊。【特長】1)区域麻酔の幅広い内容を取り上げ、日常臨床をサポートする。2)手技の理解や実践に役立つアドバイス、注釈、コラムなどの補足情報が充実。3)最新のエビデンス、最近の傾向や注意点を的確にフォロー。4)紙面の二次元コードから端末機器で穿刺動画等を見ながら手技の実際を学べる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する臨床区域麻酔科学書定価14,300円(税込)判型B5判(並製)頁数368頁発行2025年6月編集日本麻酔科医会連合出版部編集主幹廣田 和美(日本麻酔科医会連合理事/青森県立中央病院 院長)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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第269回 「骨太の方針2025」の注目ポイント(前編) 社会保障関係費は「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という“目安”対応が見直され、「経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分も加算」と明記

今年の骨太のキャッチコピーは「『今日より明日はよくなる』と実感できる社会へ」こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は話題の映画、『国宝』(監督:李 相日)を観てきました。都内の映画館、土曜・日曜のお昼の回はどこもほぼ満席で、中央中段の席が空いていた日本橋の映画館までわざわざ足を運びました。1年半稽古をしたという吉沢 亮、横浜 流星の歌舞伎の演技もさることながら、吉田 修一の長編小説をうまく刈り込んで、3時間の映画にまとめあげた李監督の力量に感服しました。おそらく今年度の映画賞(ひょっとしたら海外も)を総なめにすることでしょう。映画のジャンルとしては昔からある「芸道もの」で、古くは溝口 健二監督の『残菊物語』、成瀬 巳喜男監督の『芝居道』などが有名です。李監督もそうした「芸道もの」の定石に法って、女性を踏み台(あるいは犠牲)に、芸の道を極めようとする主人公を描いています。今なら批判が出てもおかしくないようなシチュエーションや描写に対して今のところ大きな批判が出ていないのは、美男2人の迫真の演技ゆえかもしれません。DVD発売や配信を待つのではなく、できるだけ大きなスクリーンの映画館での鑑賞をお薦めします。さて、今回は、6月13日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025~『今日より明日はよくなる』と実感できる社会へ~」(骨太の方針2025)について書いてみたいと思います。『今日より明日はよくなる』とは、どこかで聴いた歌謡曲の歌詞のようなベタなコピーですが、それぐらい国民の経済状況が“悪い”と政府が実感している証とも言えます。医療・介護など社会保障関連の予算については、従来の「高齢化による増加分に相当する伸び」に加えて、「経済・物価動向等」を踏まえた増額を行う方針が明示され、日本医師会はじめ医療関係団体もいつになく「骨太の方針」に対し「評価」のコメントを出しています。「経済・物価動向等を踏まえた対応」という文言が原案の脚注から本文に格上げ「骨太の方針2025」において医療や社会保障関連の内容は、主に「第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現」の「2.主要分野ごとの重要課題と取組方針」の中の「(1)全世代型社会保障の構築」に書かれています。全体の章立ては基本、「骨太の方針2024」と同じで、「重要課題」の筆頭が「全世代型社会保障の構築」になっている点も変わっていません。昨年の「骨太の方針2024」では、かかりつけ医機能が発揮される制度整備、新たな地域医療構想、医師の偏在解消に向けた総合的な対策のパッケージなどが明記され、それぞれ制度の創設等が2024年度内に決定したことを考えると、「骨太の方針」に何がどのように記述されるかは依然、重要な意味を持っています(「第218回 2040年に向けさまざまな改革が本格始動、「骨太の方針2024」から見えてくる医療提供体制の近未来像」参照)。まず、最重要と考えられる2027年度の予算編成に向けての方針ですが、社会保障関係費については「医療・介護等の現場の厳しい現状や税収等を含めた財政の状況を踏まえ、これまでの改革を通じた保険料負担の抑制努力も継続しつつ、2025年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う」とされ、続いて「具体的には、高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と記されました。この「具体的に…」以降の一文の内容は、6月6日に公表された「骨太の方針2025(原案)」では脚注に記されていたものです(文言は一部変更)。日本医師会をはじめとする医療関係団体は、かねてから「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という従来からあった社会保障予算の“目安”対応の見直しを求めていましたが、今回、原案に「経済・物価動向等を踏まえた対応」という文言が脚注として入り、さらにその内容が正式な「骨太の方針2025」の本文に格上げされたわけで、来年度の診療報酬改定率などの方向性を考えると、その意味はとても大きいと言えるでしょう。「社会保障費の増加は高齢化による伸びだけに抑える」というこれまでの“目安”の対応を見直し社会保障予算の“目安”対応とは、「骨太の方針2021」に記述された「社会保障関係費については、基盤強化期間においてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること、経済・物価動向等を踏まえ、その方針を継続する」という文言に基づいて政府が継続してきた対応のことで、「社会保障費の増加は高齢化による増加分に相当する伸びだけに抑える」という方針を指します。2021年段階では物価高がここまで進むとは政府も考えていなかったのでしょう。現実と乖離し、医療機関経営にも大きな影響を与えてきたと考えられる“目安”対応に医療関係団体は大きな不満を抱いてきたわけです。2021年度以降続いたこの方針は、「骨太の方針2024」では全体の予算編成に関して、「歳出改革努力を継続しつつ、経済・物価動向等を踏まえ、各年度の予算編成において適切に反映する」と記述され、「経済・物価動向」という文言が入りました。しかし、具体的な社会保障関係費についての記述にこの文言はなく、“目安”対応の方針は継続中であると捉えられていました。今回、社会保障関係費について、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と明記され、“目安”対応が正式に見直されることになったことで、2026年度診療報酬改定からは高齢化による伸びに加え、経済・物価対応による増加分も考慮されることが期待されます。「年末の予算編成における診療報酬改定に期待できる書きぶりとなった」と日医会長なお、以上の“目安”対応の方針変更を踏まえ、「(1)全世代型社会保障の構築」の項では、「医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある。このため、これまでの歳出改革を通じた保険料負担の抑制努力も継続しつつ、次期報酬改定を始めとした必要な対応策において、2025年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う」と記述されています。日本医師会の松本 吉郎会長は6月18日の定例記者会見で「骨太の方針2025」について「歳出改革の中での引き算ではなく、物価・賃金対応分を加算するという足し算の論理となり、年末の予算編成における診療報酬改定に期待できる書きぶりとなった」と評価するコメントを出しています。「骨太の方針2025」のその他の注目点は、「骨太の方針2025」(原案)の段階では言及がなかった、自民党・公明党・日本維新の会の「3党合意」の内容がどの程度反映されるかでした。個人的には、「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し」、「新たな地域医療構想に向けた病床削減」がどの程度詳細に記述されるかが気になっていました。では、どんな形で盛り込まれたのでしょうか。(この項続く)

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術後の吐き気、AI解析による最大のリスク因子は「総出血量」【論文から学ぶ看護の新常識】第20回

術後の吐き気、AI解析による最大のリスク因子は「総出血量」人工知能(AI)を用いて術後悪心・嘔吐(Postoperative nausea and vomiting:PONV)のリスク因子を解析した研究で、最大のリスク因子は「総出血量」である可能性が示されました。星島 宏氏らの研究で、PLOS One誌2024年8月号に掲載された。人工知能を用いた成人の術後悪心・嘔吐のリスク因子の特定研究チームは、人工知能(AI)を用いて術後悪心・嘔吐(PONV)のリスク因子を特定することを目的に、2010年1月1日から2019年12月31日までに東北大学病院で全身麻酔下手術を受けた成人患者37,548例のデータを分析した。PONVの評価は術後24時間以内に悪心・嘔吐を経験、または制吐薬を使用した患者とし、術後の診療録および看護記録から抽出した。機械学習アルゴリズムの1つである勾配ブースティングツリーモデルを用いて、PONVの発生確率を予測するモデルを構築した。モデルの実装にはLightGBMフレームワークを使用した。主な結果は以下の通り。最終的に、データが利用可能であったのは33,676例であった。総出血量がPONVへの最も強力な寄与因子として特定され、次いで性別、総輸液量、患者の年齢が続いた。その他に特定されたリスク因子は、手術時間(60~400分)、輸血なし、デスフルランの使用、腹腔鏡手術、術中の側臥位、プロポフォールの不使用、腰椎レベルの硬膜外麻酔であった。麻酔時間、およびセボフルランまたはフェンタニルの使用は、PONVのリスク因子として特定されなかった。術中総出血量は、手術時間や循環血液量不足と相関する可能性はあるものの、PONVと最も強く関連する潜在的なリスク因子として特定された。今回ご紹介する研究は、AIを使ってPONVのリスク因子を分析し、予測モデルを構築した興味深い論文です。研究では、LightGBMという機械学習モデルを使用し、各因子が予測にどれだけ「貢献」したかを評価するためにSHAP値(SHapley Additive exPlanations)を用いています。SHAP値が0より大きい場合、その因子はPONVのリスクを高める方向に影響した、つまりリスク因子として働いたと解釈されます。PONVのような多様な要因が複雑に絡みあう事象では、このような機械学習での評価が、従来の統計的手法よりも各因子の影響を適切に示せる可能性があります。このSHAP値を用いた分析から、従来のリスク因子として報告されている「女性」、「若年(20~50歳)」、「デスフルランの使用」、「プロポフォールの不使用」なども本研究でリスク因子として確認されました。そして、今回の解析でPONVの予測に最も強く貢献した因子は「術中の総出血量」であることが特定されました。研究では、とくに総出血量が1~2,500mlの範囲でPONVのリスクが高まる関連が示されています。これは、出血による循環血液量不足や術中低血圧がPONVに関与している可能性を示唆しています。また、従来リスク因子とされている「麻酔時間」、「セボフルランの使用」や「フェンタニルの使用」は、今回のAI分析ではリスク因子として特定されませんでした。その一方で、「手術時間(60~400分)」はリスク因子であることが示されています。この結果は、麻酔そのものの時間よりも、手術侵襲などといった手術自体の身体的負担がPONVに関与している可能性を示唆しています。これらの知見を踏まえて、侵襲が多い手術では全身管理がもっとも大事ですが、同時にPONVの発生にも一層の注意が必要です。頭部付近への防水シーツの設置、ガーグルベースンなどの嘔吐物を受ける容器の準備、いつでも制吐剤が投与できるような事前準備をしておきましょう。最後に、本研究は単施設の研究であるため、一般化できるかは今後さらなる検証が必要です。しかし、今回のPONVのように、今後AI解析によって既存の報告以外のリスク因子が報告される可能性があります。常に最新の知識をアップデートしていきましょう!論文はこちらHoshijima H, et al. PLoS One. 2024;19(8):e0308755.

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弘前大学医学部 腫瘍内科学講座【大学医局紹介~がん診療編】

佐藤 温 氏(教授)斎藤 絢介 氏(助教)陳 豫 氏(助手)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴がんを抱える患者という「ひと」に目を向けた診療を行うことを大切にしています。医学知識の習得と、研究開発といった科学力はもちろん、患者の社会背景から生じる課題への対応力、そしてケアのための対話力といったさまざまな視点からの医療を統合して提供することを大切にしています。先進的医療の実践と同時に、がんを抱える患者の人生に深く関わり、さらには、小中高等学校におけるがん教育など、社会活動にも積極的に取り組んでいます。臨床開発から本質的医療の実践までの広範な領域を、こんな小さな医局がこの広大な地域で展開している、そんな一生懸命な姿勢が特徴です。地域のがん診療における医局の役割全診療科と連携して、全領域のがん症例に対する治療方針の検討のため、週2回のキャンサーボードを開催しています。また、がんゲノム医療拠点病院としての指定を受け、がんゲノム外来を通して全圏内からゲノムパネル検査を受け、毎週エキスパートパネルを開催しています。幅広い領域の医療者が集う多職種カンファレンスも定期開催しています。また、地域の病院に赴き、治療困難症例や希少がん症例などの相談を含めた診療を積極的に行っています。地域全体において腫瘍内科医がかなり不足する中、院内の横断的連携から、圏内医療施設でのがん医療連携までの幅広い領域で中心的役割を担っています。今後医局をどのように発展させていきたいか家族みたいな医局です。仕事は楽しく、患者を含めたひとには謙虚に、そして学問には貪欲に、をモットーにして、わたしも含めた教室員全員の総力で日々の診療・教育・研究に向き合っています。正直なところ、仲間を増やすことが最重要課題です。各診療科からも切望されている需要過多の医局です。活躍の場は、医療現場に留まらず一般社会にも広げていきたいと思います。生命が満ち溢れるこの地だからこそ、医療の本質を見極めることができ、それを臨床で展開することができる医局です。医師の育成方針地域全体での医師不足の状況の中、専門性を備えた専門医師不足はかなり切実な問題です。専門性を高めるのみでは地域医療貢献にはまったく不十分です。予防医療からゲノム医療そして終末期医療までの幅広い臨床過程を患者/家族の視点からコーディネートして、がん医療のリーダーとして活躍できる、次世代の医療人材を育成します。研修はOn-the-Job Trainingが中心となりますが、がん医療におけるprofessional playerとしてだけではなく、total coordinatorとしての両能力を遺憾なく発揮できるよう個別に丁寧な指導をします。医局でのがん診療のやりがいと魅力弘前市は青森県第3の人口を有する地方都市であり、地理的には津軽平野の中央に位置します。春は桜、夏はねぷた祭り、秋はリンゴ、冬は雪まつりと四季折々を堪能できることが魅力です。青森県は農業、漁業といった第1次産業に従事される方々が多いのも特徴です。一方、少子高齢化、人口減少が最も進んでいる県の1つでもあり、紹介されるがん患者さんの多くが高齢者であることも事実です。交通手段は、鉄道網の整備が悪いため、自家用車移動が中心となる地方都市ならではの生活環境を有しています。さらに、自然環境の影響も大きく、冬期は雪のため交通手段が閉ざされてしまうことさえもあります。ただし、一見問題の多い地域としてだけに見られがちですが、この少子高齢化と人口減少は、日本全体の問題であり、単に青森県が先進県であるだけです。この地域での学びと経験は、今後の日本の高齢社会を考えるうえにおいて1つの強みになります。困難な問題ではありますが、最も重要な課題に立ち向かう魅力は大きいです。医学生/初期研修医へのメッセージ医師として最先端医療に関わり続けることはとても魅力的です。教室では、臨床試験に積極的に参加しています。でも、地方に根付いた医療を経験し、患者一人ひとりの生き方や生活環境に触れ、十分な会話を通して、その人らしいがん治療を行うことができることが当科の強みだと思います。一緒にがん医療をしましょう。同医局を選んだ理由出身は中国河南省です。腫瘍内科を志した動機は、抗がん剤治療を受けながらがんと戦った母親の苦しみを深く痛感し、そしてがんで家族を失うという辛い経験をしたことから萌え出ました。あの時から、がんで闘病している人の苦しみを和らげる医者になることを決断しました。弘前大学を卒業して、長男が生まれました。初期研修を終え、腫瘍内科に入局後長女が生まれ、子供は2人となりました。子育ても家事も苦労の連続でしたが、家族や両親のおかげもあって臨床一筋に取り組むことができ、無事がん薬物療法専門医を取得し、腫瘍内科医として充実した日々を送っています。現在学んでいること教室のスタッフ、病棟/外来の看護師、薬剤師、さらに心理士、栄養士、理学療法士等々たいへん多くのメディカルスタッフらと真摯にかつとても楽しく仕事に取り組んでいます。がん化学療法はもちろん緩和医療を含め、さまざまな有害事象から合併症まで、内科全般的な診療が行えることが日々勉強になっています。「答えは患者にある」の教えをもとに、初心を忘れず謙虚な姿勢で多くのことを学び、人の苦しみを和らげる医者になるため日々精進しています。弘前大学大学院医学研究科 腫瘍内科学講座住所〒036-8562 青森県弘前市在府町5問い合わせ先shuyo@hirosaki-u.ac.jp医局ホームページ弘前大学大学院医学研究科 腫瘍内科学講座専門医取得実績のある学会日本内科学会日本臨床腫瘍学会日本肉腫学会日本消化器病学会日本消化器内視鏡学会日本がん治療認定医機構研修プログラムの特徴(1)弘前大学医学部附属病院内科専門研修プログラム 腫瘍内科重点コース地域医療を含めた幅広い研修を通じて、標準的かつ全人的な内科領域全般にわたる医療の実践に必要な知識と技能とを修得する。詳細はこちら(トップページ/医科後期研修 専門研修)(2)東北広域次世代がんプロ養成プラン 地域がん医療 次世代リーダー育成コース地域がん医療のリーダーとなり、次世代の医療人の育成ができる人材を育成する。詳細はこちら(東北広域次世代がんプロ養成プラン・弘前大学)

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夏の追い込みに備えて下地を作れ【研修医ケンスケのM6カレンダー】第3回

夏の追い込みに備えて下地を作れさて、お待たせしました「研修医ケンスケのM6カレンダー」。この連載は、普段は初期臨床研修医として走り回っている私、杉田研介が月に1回配信しています。私が医学部6年生当時の1年間をどう過ごしていたのか、月ごとに振り返りながら、皆さんと医師国家試験までの1年をともに駆け抜ける、をテーマにお送りして参ります。この原稿を書いているただいまは2025年6月18日で、梅雨入りして雨が続くと思いきや、蒸し暑い日が続いています。熱中症の患者さんも全国的に増えてきたとか。みなさまいかがお過ごしでしょうか。6月にやるべきこと(ジメジメした暑い日はテラス席でシャンパン飲みながら過去問開いて、と…)先月は「急がば回れ」をテーマに実習を疎かにしないこと、マッチングの書類を準備し始めることの2つのメッセージをお伝えしました。3ヵ月目となる6月。今月も大きく次の2つのテーマを取り上げます。1.マッチングに必要な書類を仕上げて提出しよう2.夏に向け試験対策資料と情報を集めよう書類準備の天王山実習やマッチング準備に追われ、存分に卒試国試対策に時間を割くことができず、もどかしい思いをしている医学生さんが多いのではないでしょうか。ですが、慌てない慌てない。6月はマッチング応募がスタート。締め切りだって案外7月頭のところも。マッチングの面接は定番の質問もありますが、提出した履歴書、志望動機から尋ねられることがほとんどです。小論文がある場合も。そして多くの学生にとっては書き慣れない書類ばかり。なので先月号では早めに手をつけてね、とお伝えしたのです(まだ手をつけてなくても間に合うぞ!諦めない!)。すなわち、6月はマッチングにおける書類準備の天王山とも言える月なのです。すでに準備に取り掛かっている方が多いはずですが、書類準備で最後に時間をかけることができる機会になり得るのです。作成が終わっている方は必ず第三者に添削してもらいましょう。できれば先生や志望病院の先輩に見てもらうとなお良いです。また、志望する病院のホームページは必ずもう一度目を通して、提出する書類に共感した感想や意見、価値観を書き留める箇所がないかを探りましょう。7・8月の夏の追い込みに備えよ(ジェラートにかぶりつきたい!!)マッチングの観点から6月が書類準備のヤマであることはお伝えした通りです。ここからは一転、視点を変えてみます。医師国家試験対策業界として、6月は最新版の試験対策資料が発行される月です。そして、卒業試験については問題作成の締め切りまたは編集時期でもあります。1つひとつ見ていきましょう。最新版の試験対策資料を入手せよ7・8月になると、マッチングも面接試験対策に落ち着き、実習も終了することで、比較的試験対策に時間をかける余裕が生まれる方が増えると思います。模擬試験が控える方もいれば、9月以降の卒業試験や模擬試験に向けてひたすら追い込むという方もいらっしゃることでしょう。6月は最新版の試験対策教材が出揃う時期でもあるため、早めに購入しておき夏に備えましょう。少し齧っておくのもよし、敢えて焦らして、手をつけるまでの準備目的で過去問演習をもう1回、なんてのも個人的にはありだと思います。それこそ、自分自身の進捗だけでなく、勉強会メンバーでまっさらな教材として同じペースで学習を深めるのも選択肢として大いに結構です。卒業試験のヤマを探れ(「教授〜今度の卒業試験の問題作成手伝いましょうか?」なんちゃって)近年、卒業試験形態を医師国家試験に類似させる大学が増えてきました。一部の大学では解答を公開するところも。(オフレコ:個人的には解答なんて頼らず調べて…と言う意見はもう古いと思います。解答がわからないことで、自分がどこを間違えたのかわからないまま、あやふやな情報が出回って正しくない医学知識が定着してしまうデメリットの方が大きいというのが1番の理由です。今はChat GPTに投げれば正解を簡単に教えてくれるかもしれませんが…)とはいえ、大学の卒業試験は大学の先生方が作成するオリジナルの試験です。「どこが出ますか?」なんてナンセンスな質問はしないことは大前提ですが、何故か毎年ヤマ情報が出回りますよね。邪道かもしれませんが、ヤマを探ることは重要なスキルだと思います。この時期によくあるシチュエーションとしては実習先で卒業試験作成情報を仕入れる、です。「〇〇先生が5年生へのミニ講義で言ってた!」とか「今年から実習中に話すようにしたらしい」が風物詩の1つですね。そこだけ勉強しても合格はできませんが、先生方も情報をアップデートして講義や問題作成をされています。実習で回ったときには耳にしなかった最新情報を仕入れる、という観点では良い学習になると思います。実際に数年前に卒業試験で問われたことが、去年の国試に出た、ということもあります。なので、情報を集める、敏感になることは決して損ではないです。問題作成の今だからこそ、先生方も何を出そうか、出したのか覚えていらっしゃるので、今月は狙い目です。今月のまとめいかがだったでしょうか。梅雨の季節は体調を崩す方が多いです。1年の半分を駆け抜けていますし、ジメジメと暑かったり、雨が降ったりで引きこもりがちになるのもあるのでしょう。息抜きの機会が少なくなるこの時期、私のオススメは映画館に行くことです。宣伝ではありませんが、最近見た「フロントライン」という医療映画は臨場感があって良かったです。予告ですが、次回7月号は今回触れなかったマッチング攻略についてまとめます!お楽しみに!

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男女の認知症発症リスクに対する性ホルモンの影響

 認知症は、世界的な公衆衛生上の大きな問題であり、そのリスクは性別により異なることが知られている。女性のアルツハイマー病およびその他の認知症発症率は、男性の約2倍であるといわれている。テストステロン値は、高齢者の認知機能に影響を及ぼすと考えられているが、これまでの研究では一貫性のない結果が報告されており、性ホルモンと認知症との関係は、依然として明らかになっていない。中国・山東大学のYanqing Zhao氏らは、大規模データベースを用いて、男女の認知症発症リスクに対する性ホルモンの影響を検討した。Clinical Endocrinology誌オンライン版2025年5月11日号の報告。 英国バイオバンクのデータを用いて、検討を行った。血清中の総テストステロン値および性ホルモン結合グロブリン(SHBG)値の測定には、免疫測定法を用いた。血清中の遊離テストステロン値の算出には、vermeulen法を用いた。認知症およびアルツハイマー病の発症は、入院患者のデータより抽出した。性ホルモンと認知症との関連性を評価するため、年齢およびその他の変数で調整したのち、Cox比例ハザード回帰分析を実施した。用量反応関係を定量化するため、制限付き3次スプラインモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、男性18万6,296人(平均年齢:56.68±8.18歳)、閉経後女性12万6,109人(平均年齢:59.73±5.78歳)。・12.0年間(四分位範囲:11.0〜13.0)のフォローアップ調査後、認知症を発症した対象者は、男性で3,874例(2.08%)、女性で2,523例(2.00%)。・遊離テストステロン値の最高五分位の男性は、最低五分位と比較し、すべての原因による認知症(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.56〜0.71)およびアルツハイマー病(HR:0.49、95%CI:0.60〜0.72)リスクの低下が認められた。・一方、SHBG値の最高五分位の男性は、最低五分位と比較し、すべての原因による認知症(HR:1.47、95%CI:1.32〜1.64)およびアルツハイマー病(HR:1.32、95%CI:1.11〜1.58)リスクの上昇が認められた。・閉経後女性では、遊離テストステロン値が第4五分位の際、すべての原因による認知症(HR:0.84、95%CI:0.78〜0.95)およびアルツハイマー病(HR:0.76、95%CI:0.63〜0.91)リスクの低下が認められた。・更年期女性では、SHBG値の上昇は、すべての原因による認知症(HR:1.35、95%CI:1.28〜1.55)およびアルツハイマー病(HR:1.52、95%CI:1.25〜1.85)リスクの上昇との関連が認められた。 著者らは「SHBG値の上昇および遊離テストステロン値の低下は、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症率上昇と関連している可能性が示唆された。これらの因果関係を明らかにするためにも、さらなる研究が求められる」と結論付けている。

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男女の身長差、遺伝子で説明できる?

 男性は通常、女性よりも平均で13cmほど背が高いが、その理由についてはこれまで明らかにされていなかった。しかし新たな研究で、「SHOX(short stature homeobox)」と呼ばれる遺伝子により、この現象を部分的に説明できる可能性のあることが示された。米ガイジンガー医科健康科学大学の遺伝学研究者であるMatthew Oetjens氏らによるこの研究の詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)」に5月19日掲載された。 男女の身長差を説明する仮説の一つは、身長に関わるSHOX遺伝子に関するものだ。SHOX遺伝子は、X染色体とY染色体の間で配列が相同な領域である偽常染色体領域1(PAR1)に位置する。これまで、哺乳類の雌の細胞では2本のX染色体のうちの1本が不活性化され(不活性化X〔Xi〕染色体)、多くの遺伝子の機能が損なわれるが、PAR1に位置する遺伝子はその影響を免れると考えられてきた。ところが近年の研究で、Xi染色体のPAR1に位置するSHOX遺伝子やその他の遺伝子は、実際には発現が抑制されていることが示された。一方、男性はX染色体とY染色体を1本ずつ持っており、双方の染色体のSHOX遺伝子が活性化されている。このため、男性の方がSHOX遺伝子の発現量が高く、これが身長の伸びを促進している可能性があると考えられる。 この仮説を検証するためにOetjens氏らは、米国と英国の3つの大規模バイオバンクから収集した92万8,605人のデータの解析を行った。研究グループが着目したのは、X染色体やY染色体が1本多い、あるいは1本少ない(例:45,X、47,XXY、47,XYY、47,XXX)まれな染色体構造を持つ小規模集団だった。これらの集団を対象に、SHOX遺伝子の発現量が身長にどのような影響を及ぼしているのか調べた。 その結果、Y染色体が1本増えると、Xi染色体が1本増える場合に比べて身長が平均3.1cm高くなることが明らかになった。また、このY染色体の遺伝子発現効果だけで、男女の平均身長差の22.6%を説明できることが示された。 なお、残りの身長差は他の遺伝子や男性ホルモンの影響によるものである可能性が高いとOetjens氏は付け加えている。 米マウント・サイナイ病院の遺伝学の専門家であるEric Schadt氏は、この研究結果について、「これは、まだ謎が多く残る問題を解明するためにバイオバンクを活用した素晴らしい例だ。たとえ影響がわずかであっても、身長差の約20%を説明していることは重要だ」と話している。

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世代を超えた自閉スペクトラム症と認知症との関係

 自閉スペクトラム症(ASD)患者は、認知機能低下や認知症のリスクが高いことを示唆するエビデンスが報告されている。この関連性が、ASDと認知症の家族的因子によるものかは不明である。スウェーデン・カロリンスカ研究所のZheng Chang氏らは、ASD患者の親族における認知症リスクを調査した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2025年5月14日号の報告。 スウェーデンのレジスターにリンクさせた家族研究を実施した。1980〜2013年にスウェーデンで生まれた個人を特定し、2020年までフォローアップを行い、ASDの臨床診断を受けた人を特定した。このASD患者と両親、祖父母、叔父/叔母をリンクさせた。ASD患者の親族における認知症リスクの推定には、Cox比例ハザードモデルを用いた。認知症には、すべての原因による認知症、アルツハイマー病、その他の認知症を含めた。親族の性別およびASD患者の知的障害の有無で層別化し、解析を行った。 主な内容は以下のとおり。・ASD患者の親族は、認知症リスクが高かった。・認知症リスクは、両親で最も高く、祖父母、叔父/叔母では低かった。【両親】ハザード比(HR):1.36、95%信頼区間(CI):1.25〜1.49【祖父母】HR:1.08、95%CI:1.06〜1.10【叔父・叔母】HR:1.15、95%CI:0.96〜1.38・ASD患者と母親の認知症リスクには、父親よりも強い相関が示唆された。【母親】HR:1.51、95%CI:1.29〜1.77【父親】HR:1.30、95%CI:1.16〜1.45・ASD患者の親族において、知的障害の有無による差はわずかであった。 著者らは「ADSとさまざまな認知症は、家族内で共存しており、遺伝的関連の可能性を示唆する結果となった。今後の研究において、ASD患者の認知症リスクを明らかにすることが求められる」としている。

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第268回 NHKが医療問題を徹底特集、日本医師会色を廃した番組編成から見えてきたものは?(後編) 「ミスやトラブルを起こす一部の医師にも頼らざるを得ない」病院のドキュメンタリー番組、日本医師会が要請文書をNHKに送付

「どう守る 医療の未来」をテーマにさまざまな番組で医療問題を取り上げたNHKこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。やっとこさ1勝あげた後、右肩の痛みのためケガ人(IL)リスト入りしていたロサンゼルス・ドジャースの佐々木 朗希投手が、どうやら今シーズンの戦力の構想から外れたようです。6月16日付のNHKニュースなどの報道によれば、現地時間15日、デーブ・ロバーツ監督は報道陣に対して佐々木投手が現在ボールを投げずに調整していることを明かし、「今シーズンは彼なしで編成を考えることが妥当だ」と述べました。ドジャースは現在、佐々木投手のほかサイ・ヤング賞を2回受賞したブレイク・スネル投手や昨シーズン開幕投手のタイラー・グラスナウ投手など先発陣を中心にケガ人が相次いでいます。ドジャースの独走状態だったナショナル・リーグ西地区の順位も混戦気味で、ポストシーズン進出に黄信号が灯りはじめています(大谷 翔平選手の突然の登板の理由の1つとも考えられます)。ガラスの肩でファンをやきもきさせる佐々木投手に対して、毛の生えた心臓(?)でメジャー復帰をかけるのが、制球難から3Aでの調整が続いている藤浪 晋太郎投手です。藤浪投手はシアトル・マリナーズ傘下3Aタコマに所属しており、現在8試合連続無失点を記録、最速158キロも記録しています。近々、再びメジャーの舞台に戻って来るかもしれません。それにしても、佐々木投手の肩と藤浪投手の肩の違いは何なのでしょう。佐々木投手は夏の高校野球岩手県大会決勝で肩を温存して登板せず、一方の藤浪投手は甲子園で春夏連覇を達成しています。育てられ方やキャリアがまったく異なる2人の豪速球投手のこれからが気になります。さて、NHKが先月末から6月頭にかけて「どう守る 医療の未来」をテーマにさまざまな番組で医療問題を取り上げました。今回もその中の番組についての感想を書いてみたいと思います。6月1日にNHK総合で放送された『NHKスペシャル ドキュメント 医療限界社会 追いつめられた病院で』は、島根県江津市の済生会江津総合病院を舞台に、「ミスやトラブルを起こす一部の医師にも頼らざるを得ないほど現場は追い詰められている」実態を赤裸々に追ったドキュメンタリーです。なんと日本医師会はこの番組に対し「不適切と思われる部分があった」として、医療の正しい情報を報道するよう求める要請文書を送付したそうです。前回書いた『日曜討論』に日医の役員が出ていなかったのも気になりましたが、番組内容に対し「正しい情報を報道するよう求める」というのも穏やかではありません。一体何が日医の気に障ったのでしょうか?「心電図も読めない」「電気ショックを行っていいかわからない」「自分に誤って刺した注射針を患者に使い回す」「気管カニューレの装着で患者の喉を傷つけても報告しない」医師たち済生会江津総合病院は地域の中核病院で、19科240床の病院で2次救急を担ってきましたが、2004年に28人いた常勤医は2024年には12人まで減っていました。番組によれば、「ある病院からの切実な訴え」が(NHKに)届き、病院は「医療の質が維持できなくなっている実態を知って欲しい」とNHKの取材を受け入れたそうです。そうした経緯から、同病院の院長、医局長、看護師らから話を聞き、現場で起きた「あってはならない事態」をリポートしたのが同番組です。そこで語られたのは、「心電図も読めない」医師、「電気ショックを行っていいかわからないから指示を出せない」医師、「薬を違う患者に出してしまう」医師、「自分に誤って刺した注射針を患者に使い回す」医師、「希釈するべきアスパラギン酸カリウム注なのに希釈のオーダーを出さない」医師、「気管カニューレを無理やり引っこ抜き(あるいは挿入して)患者の喉を傷つけても報告しない」医師たちです。番組は「頭を悩ませているのは一部の医師が起こすトラブル」、「医師の高齢化が進行中で不注意によるミスも相次いでいる」と一部の高齢医師がトラブルやミスの元凶であることを暗に示唆しており、院長は「この人ダメだから(といって)外すことは難しい」と診療体制維持の難しさを吐露していました。医療機関で働く医師や看護師が、同じ病院で働く同僚医師を(報道などで)表立って非難することはなかなかないことです。そうした言葉をあえて現場から引き出して放送したこと自体、ある意味医療界のタブーを破ったと言えるでしょう。済生会本部がよく取材を了承したものです。番組は次いで、こうした高齢医師が最前線の救急の現場で働かざるを得ないのは常勤医師数減少が原因だとして、2004年に始まった新医師臨床研修制度の影響を挙げ、「昔はミスやトラブルが目立つ医師がいてもカバーする余力があったが、ここまで医師が減るとそれが難しくなる。医師確保は全部失敗。大学も医師がいないので派遣する余力がない」という院長の言葉を紹介しています。新医師臨床研修制度は一因だが、病院の機能分化やダウンサイジング、集約化の必要性に気付かなかった経営者自身にも少なからぬ責任新医師臨床研修制度が大学医局の医師派遣機能を削いだ、というのは一面の真理ではありますが、それが最大の原因だとは言い切れません。地域ではそれなりに医師を確保できている病院もあるからです。結果として、今盛んに言われるようになった病院の機能分化やダウンサイジング、集約化の必要性に気が付かなかった経営者自身にも少なからぬ責任があるでしょう。地域医療構想は10年も前にスタートしていますが、いわゆる「協議の場」で病院長がそれぞれの病院存続に向けて建設的な”協議”をしてこなかったことも、今の地域医療の崩壊につながっているからです。とは言え、この番組も後半で指摘していますが、医師不足に対し、医師の養成数増だけに注力し、医師の偏在対策(地域偏在、医療機関間偏在)にほとんど対応してこなかった国(厚生労働省)の責任も大きいと言えます。日医は診療看護師が医師の処置などに対する自身の見解を述べた場面に対して強い懸念さて、この番組に対し、日本医師会が不適切と思われる部分があったとして要請文書を送付したという報道がありました。6月5日付のメディファクスによれば、日医の広報担当の黒瀬 巌常任理事は同紙に対して、6月3日に黒瀬氏の名前で要請文書をNHKに送付したことを明らかにしました。同紙によれば「(日医は)医療の正しい情報と、さまざまな考え方に基づく選択肢を国民に提示することができる組織として、正しい医療の現状を発信するために協力したい」というのがその趣旨だそうです。なお、要請文書そのものの内容は明らかにされていません。また同紙によれば、黒瀬氏は番組が特定の病院への取材や視聴者などの声を基にした構成となっていたと指摘、「個別の事例により、国民に誤った印象を与えることがないよう注意すべき」とも語っています。中でも、診療看護師が医師の処置などに対する自身の見解を述べた場面について、「こうした場面を公共放送で紹介することにより、全国の医師に対する国民・患者の信用やチーム医療の推進が損なわれないか、強い懸念を感じざるを得ない」との認識を示したとのことです。また、番組が、「医師偏在」「医療機関経営」といった日本の医療にとって極めて大きなテーマを取り上げたにもかかわらず、日医の意見が聞かれなかったことについても遺憾の意を示したそうです。医師がトラブルやミスの元凶であり、それを看護師チームがフォローしているという構図が強過ぎる「特定の病院への取材や視聴者などの声を基にした構成」なのは、ドキュメンタリーなのだから仕方ありません。そこをとやかく言うのは明らかに筋違いでしょう。ただ、一方で「診療看護師が医師の処置などに対する自身の見解を述べた場面」への指摘の一部は理解できます。これは冒頭でも書いた「気管カニューレを無理やり引っこ抜き(あるいは挿入して)患者の喉を傷つけても報告しない」医師に関する場面への指摘と考えられます。「診療看護師」という肩書のテロップが出た男性看護師が登場し、意思疎通ができない神経難病の患者の喉に見つかった内出血について、「多分抵抗があるのを(気管カニューレを)無理やり抜いて、力でぎゅっと入れるから、毛細血管とか皮下の静脈を傷つけた恐れがある」と自身の見解(見立て)を述べています。こうしたある意味“越権行為”について、日医はおそらくカチンと来たのではないでしょうか。私自身も、番組全体として同病院では医師がトラブルやミスの元凶であり、それを看護師チームがフォローしているという構図(医師=悪、看護師=正義)が強過ぎる印象を受けました。トラブルやミスを起こすのは一部の高齢医師であるというナレーションはありますが、そうした医師が何人いるかについては示されません。もしそれが仮に1、2人の問題だとしたら、「医師不足」というよりも、「医師の質・能力」や「経営者(院長)の問題医師の取り扱い・処遇」の問題となってしまいます。問題医師が実際は何人いる(いた)のか、そこが明示されなかったのは、このドキュメンタリーの弱い部分でもあります。ただ、そこが明示され、問題が「医師の質・能力」となっても日医としてはやはりまずいことになります。“越権行為”についての指摘に留めたのも、そうした理由からかもしれません。『ETV特集 “断らない病院”のリアル』では3次救急の大病院の苦悩を伝える番組は後半で、同病院の「さらなる危機」として「年間4億7,000万円の赤字」経営によって非常勤医師の確保が困難になったことや、「看護師全体の1割15人の一斉退職」を描きます。そして、最終的に病床削減、診療科の削減といった撤退戦に舵を切り、医師については救急医療にも対応できる総合診療医の確保に向かう、というところで終わっています。200床規模の病院では現時点で生き残るにはその道しかないでしょう。今後、さらに人口減少が進めば、もっと徹底したリストラが必要になると思われます。NHKが「どう守る 医療の未来」をテーマにさまざまな番組で医療問題を取り上げた中、もう一つ興味深く見た番組は、5月31日夜に教育テレビで放送された『ETV特集 “断らない病院”のリアル』です。こちらの舞台は済生会江津総合病院とは対象的な大病院、3次救急として年間3万人の救急患者を受け入れる神戸市立医療センター中央市民病院でした。こちらはこちらで、「断らない救急」という理想と、働き方改革という現実のあいだで現場の医師は疲弊し、院長は経営難という宿題も抱え、ほぼお手上げの状態でした。最後に院長が、「従業員を守ること、患者の安全、病院の収支、この三つ巴の状態を良い方向に回せるか、私には自信がない」と語っていたのが印象的でした。今こそ診療所の診療報酬を抑え、病院の入院医療に回すことを真剣に検討すべきNHKが一連の番組で一番伝えたかったのは、規模にかかわらず病院全体が直面している苦境でしょう。前回、「第267回 NHKが医療問題を徹底特集、日本医師会色を廃した番組編成から見えてきたものは?(前編)元厚労官僚・中村 秀一氏の『入院医療と外来医療の配分を考えてもらう必要がある』発言の衝撃」で、中村氏の「医療界全体として自分たちも協力する部分は協力するということで、入院医療と外来医療の配分も考えてもらう必要がある」との発言を紹介しましたが、今こそ診療所の診療報酬を抑え、病院の入院医療に回すことを真剣に検討しないと、地域の医療は壊滅してしまうでしょう。日本医師会がそうした改革に本気でコミットしていくかが大きなポイントだと言えます。もはや、病院の診療看護師の言動に目くじらを立てている時代ではないのです。

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看護師主導の早期緩和ケアが、がん患者のQOLを改善【論文から学ぶ看護の新常識】第19回

看護師主導の早期緩和ケアが、がん患者のQOLを改善早期緩和ケアとして行われた看護師主導の強化支持療法に、がん患者のQOLを改善させる効果があることが示された。Yun Y. Choi氏らの研究で、International Journal of Nursing Studies誌オンライン版2025年5月1日号に掲載された。進行がん患者に対する早期一次緩和ケアアプローチとしての看護師主導強化支持療法の効果:ランダム化比較試験研究チームは、進行がん患者に対する早期一次緩和ケアとして、看護師主導による強化支持療法の効果を評価することを目的に、ランダム化比較試験を実施した。緩和的化学療法を開始する進行がん患者258例を、トレーニングを受けた看護師による強化支持療法(各化学療法サイクル前の症状管理および対処能力向上のカウンセリング)を行う介入群と、症状のモニタリングのみを行う対照群に、1:1の比率で無作為に割り付けた。主要評価項目は、3ヵ月時点での生活の質(EORTC QLQ-C30)、症状(ESAS)、対処行動(Brief COPE)。副次評価項目は、6ヵ月時点での生活の質、症状、対処行動に加えて、3ヵ月および6ヵ月時点のがんへの対処に関する自己効力感(CBI 3.0-K)、がん患者と家族介護者の抑うつ状態(HADS-D)を評価した。データは線形混合モデルを用いて分析した。介入群では、以下の項目において統計的に有意な効果が認められた。生活の質(QOL):3ヵ月時点での役割機能ドメイン(1.01±2.34 vs.−8.37±2.07、p=0.003、95%信頼区間[CI]:−15.57~−3.18、調整済みp=0.044)。対処行動:3ヵ月時点での積極的対処(0.27±0.16 vs.−0.34±0.14、p=0.006、95%CI:−1.04~−0.18、調整済みp=0.044)およびセルフディストラクション(0.22±0.17 vs.−0.42±0.15、p=0.004、95%CI:−1.08~−0.20、調整済みp=0.044)。がんへの対処に関する自己効力感:3ヵ月時点での活動性と自立性の維持(1.45±0.47 vs.−0.31±0.42、p=0.006、95%CI:−2.99~−0.52、調整済みp=0.044)。一方、患者の症状や抑うつ、または家族介護者の抑うつの軽減には、有意な効果は認められなかった(調整済みp>0.05)。早期の一次緩和ケアとしての看護師主導による強化支持療法は、進行がん患者の生活の質における役割機能ドメイン、コーピング方法の活用、および活動性と自立性を維持する自己効力感の向上に有効であることが示された。本研究で検証された看護師主導の強化支持療法は、進行がん患者のQOLにおける役割機能ドメイン(仕事や家事、趣味など、その人本来の「役割」がどのくらい妨げられているかを評価する項目)、積極的なコーピング戦略の活用、および活動と自立の維持に関する自己効力感を統計的に有意に改善しました。看護師が中心となって行う早期からの一次緩和ケアが、これらの項目に有効であった点は特筆すべきです。なぜなら、看護の本質は端的にいって対象者の主観的な幸せに貢献すること(People-Centered Care)だからです。役割を果たせることや、問題に自ら対処できること、そして自分ならできると思える自己効力感は、患者本人が幸せだと感じられる生活を支える上で、非常に重要だと考えます。一方で、症状の軽減や、患者や介護者の抑うつの軽減においては、直接的な効果が認められませんでした。しかし、本研究は、困難な臨床環境に直面する進行がん患者のQOL向上に対し、実用的かつ効果的な看護師主導の早期一次緩和ケアの可能性を、ランダム化比較試験(RCT)という質の高い研究手法により力強く示しました。そしてその結論は、トレーニングを受けた看護師によって提供される早期からの一次緩和ケアを、日常的ながん看護実践に組み込むべきであるという、今後のがん看護におけるきわめて重要な提言になると考えられます。論文はこちらChoi YY, et al. Int J Nurs Stud. 2025 May 1. [Epub ahead of print]

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秋田大学 臨床腫瘍学講座(腫瘍内科)【大学医局紹介~がん診療編】

柴田 浩行 氏(教授)福田 耕二 氏(講師)松本 朋大 氏(医員)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴2009年2月に秋田大学に臨床腫瘍学講座が開設されました。当初は化学療法部のマネージメントのみでしたが、腫瘍内科として病床を持って直接患者を診ることが私の願望で、翌年4月に待望の診療科を開設できました。まず2床からのスタートでしたが、2018年までには10床に増え、2025年6月に13床に増えました。入院患者は開設時の約5倍、年間のべ4,823人に達しました。外来患者も開設時の約3倍、年間のべ3,522人に達しています。高齢化日本一の秋田県では進行がん患者が増えています。これは近未来の日本の縮図です。日本の疾病構造はどんどん変化し、患者が集まらない診療科があるなかで、進行がん患者を担当する腫瘍内科医のニーズは年々高まっています。私の着任以前、秋田県ではがん薬物療法の専門医はゼロ、がん拠点病院すらも初年度には1つも指定されないという、まさに「がん薬物療法不毛の地」でした。今では県内のすべての二次医療圏に腫瘍内科医を派遣しています。2024年度は県内8病院で、のべ5,952人の患者の診療にあたりました。ウチは秋田県のがん医療の主力です。これまでに8名の仲間が秋田大学腫瘍内科の発展に貢献してくれました。現在の在籍者は7名と少数ではありますが、各人が重責を認識した精鋭揃いです。ここは密度の高い臨床経験を積める場だと自負しています。総回診だけでなく、私も指揮官先頭で毎日若手と病棟を回り、日々、臨床腫瘍学の新たな発見に遭遇し、自らの進歩も自覚しています。力を入れている治療・研究テーマ私は、消化器がんを中心に診療を行っております。また、原発不明がんや軟部肉腫といった希少がん、さらには同時多発がんなど、より高度な専門知識が求められる分野にも積極的に取り組んでいます。秋田県は全国6位の面積を持つ一方で、人口密度は全国で3番目に低く、医療へのアクセスが困難な地域です。臨床腫瘍学講座では、県内のがん治療の均てん化を重要なテーマとして掲げています。私は地域の中核病院でキャンサーボードやミニカンファレンスを通じて、治療方針の決定や副作用対策に関する助言を行うなど、地域医療の質の向上に努めています。医局の雰囲気・魅力当講座は、柴田教授を含めて7名の比較的小規模な医局であり、風通しの良い、働きやすい環境が整っています。各医師の研究活動や臨床での取り組みを把握しやすく、診療上の疑問点も気軽に相談・解決できるため、診療スキルを高める場として最適です。医局員の半数は、消化器内科や消化器外科から腫瘍内科に転向して専門医資格を取得しており、さまざまなキャリアパスを示すロールモデルとなっています。また、有給休暇の取得率向上にも積極的に取り組んでおり、ワークライフバランスを重視した働き方が可能です。医学生・初期研修医へのメッセージがん治療は、2019年にゲノム医療が導入されて以降、急速に専門性が求められる分野へと進化しています。高い専門知識と判断力が必要とされる一方で、社会的ニーズも増加しており、今後ますます重要性が高まる領域です。現在、日本では腫瘍内科医がまだまだ不足しています。この分野を専門にし、がん医療の未来を担う存在として活躍してみませんか?これまでの経歴私は医学部入学以前、別の大学でがんに関わる基礎研究に携わっていました。基礎研究を通じてがんの奥深さを知るとともに、基礎領域のみでなく、より臨床に近い立場で、実際の病態と関連させながら進めていくことが重要であると考えるようになり、秋田大学医学部に学士編入しました。医学部で過ごすうちに自然豊かな秋田の魅力に触れ、卒業後は秋田に残ることを決意しました。卒業後は、秋田県内の市中病院の初期研修で3次救急とcommon diseaseを学びました。その後、同院の内科専攻医として1年間一般内科と抗がん剤治療を学び、4年目で大学病院に赴任しました。同医局を選んだ理由秋田大学臨床腫瘍学講座は秋田県全県のがん診療を担っており、幅広い領域のがん治療を学ぶことができると考えました。また、基礎研究の領域においても、スパイスの一種であるクルクミンの抗がん作用を調べ、さらにクルクミンアナログを用いたがんを予防するカレーの開発という非常にユニークな研究を行っております。がん予防は今後の医療において重要な役割を果たすと考えられ、ぜひ研究に携わりたいと考えました。今後のキャリアプラン秋田県のがん診療に携わりながら、臨床で得られた知見を活かして基礎研究を行えればと思います。また、機会があればぜひ留学を経験し、学んだことを秋田で活かして仕事をしたいと考えています。秋田大学 臨床腫瘍学講座(腫瘍内科)住所〒010-8543 秋田県秋田市本道1-1-1問い合わせ先hiroyuki@med.akita-u.ac.jp医局ホームページ秋田大学大学院医学系研究科 医学専攻 腫瘍制御医学系 臨床腫瘍学講座専門医取得実績のある学会日本内科学会日本臨床腫瘍学会日本消化器病学会日本消化器内視鏡学会日本肉腫学会研修プログラムの特徴(1)初期研修から社会人大学院生(がんプロ)として学位取得も目指せる。(2)腫瘍内科領域の総合医(ジェネラル・オンコロジスト)を目指す。(3)ユニークなオリジナル研究を展開し、フィジシャン・サイエンティストを目指す。詳細はこちら秋田大学医学部附属病院がん薬物療法専門医取得プログラム

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米国では30年でアルコール関連がんの死亡が倍増/ASCO2025

 米国では、1990年から2021年までの30年間でアルコール摂取に関連するがん(以下、アルコール関連がん)による死亡数がほぼ倍増しており、男性の死亡数がこの急増の主な原因であることが、新たな研究で明らかになった。米マイアミ大学シルベスター総合がんセンターのChinmay Jani氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO25、5月30日~6月3日、米シカゴ)で発表された。 米国公衆衛生局(PHS)長官は2025年初頭に勧告を発出し、飲酒ががんのリスクを高めることに関する強力な科学的エビデンスがあると米国民に警告した。米国立がん研究所(NCI)によると、アルコールは1987年以来、国際がん研究機関(IARC)によって発がん物質に分類されている。また、米国立毒性学プログラム(NTP)も2000年以来、アルコールはヒトに対する既知の発がん物質とする認識を示している。 Jani氏らは、世界疾病負担(GBD)研究のデータを用いて、1990年から2021年の米国における大量飲酒に起因するがんによる年齢調整死亡率(ASMR)を推定した。大量飲酒は、理論上の最小リスク曝露量を超える飲酒と定義した。がんは、あらゆるがんに加え、食道がん、肝臓がん、喉頭がん、乳がん、大腸がん、口唇・口腔がん、鼻咽頭がん、その他の咽頭がん(中咽頭・下咽頭がん)を対象とした。 その結果、アルコール関連がんによる死亡数は、1990年の1万1,896件から2021年には2万3,207件へと約2倍に増加していた。また、2021年のアルコール関連がんによる死亡の約70%は男性に生じたもので、その数は1万6500件を超えていた。 年齢層別に見ると、男女ともに55歳以上の人では20〜54歳の人に比べてASMRが有意に高かった。がんのASMRに占めるアルコール起因のASMRの割合は、55歳以上の男性における肝臓がんを除き、性別や年齢層を問わず増加傾向を示した。 2021年において、55歳以上の男性でがんのASMRに占めるアルコール起因のASMRの割合が最も高かったのは肝臓がん(38.5%)、次いで鼻咽頭がん(31.8%)、55歳以上の女性では、鼻咽頭がん(18.9%)、中咽頭・下咽頭がん(18.4%)であった。20〜54歳においてこの割合が最も高かったのは男女とも口唇・口腔がんであり、男性で41.8%、女性で26.9%であった。アルコール関連がんによるASMRの年間推定変化率(EAPC)は、55歳以上では男女ともに上昇傾向を示し、男性では2008〜2021年のEAPCが+0.5、女性では2006〜2021年のEAPCが+1.1であった。 Jani氏は、「これは憂慮すべき大幅な増加だ。一般の人だけでなく医療現場でも、飲酒とがんリスクの関連について認識を高める必要がある。喫煙とがんの関連については多くの人が認識しているが、飲酒との関連についての認識はまだ十分に浸透していない」と危機感を表している。なお、NCIの2019年の調査では、米国人の89%が喫煙によりがんリスクが上昇することを認識している一方で、アルコールも同様のリスク因子であることを知っている人はわずか45%に過ぎなかったという。 研究グループによると、アルコールはDNAに損傷を与え、ホルモンレベルを変化させることで、がんリスクを高める可能性があるという。しかし、人々の生物学的差異がアルコール関連がんのリスクにどう影響するかについてはさらなる研究が必要だとしている。マイアミ大学シルベスター総合がんセンターのGilberto Lopes氏は、「アルコールが個人のがんリスクに与える影響は潜在的に修正可能なのだから、この研究がアルコールの持つがんリスクに関する人々の理解を深めるのに役立つことを期待している」とASCOのニュースリリースで述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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COVID-19パンデミック期の軽症~中等症患者に対する治療を振り返ってみると(解説:栗原宏氏)

Strong points1. 大規模かつ包括的なデータ259件の臨床試験、合計約17万例の患者データが解析対象となっており、複数の主要データベースが網羅的に検索されている。2. 堅牢な研究デザイン系統的レビューおよびネットワークメタアナリシス(NMA)という、臨床研究においてエビデンスレベルの高い手法が採用されている。3. 軽症~中等症患者が対象日常診療において遭遇する頻度の高い患者層が対象となっており、臨床的意義が高い。Weak points1. 元研究のバイアスリスク各原著論文のバイアスリスクや結果の不正確さが、メタアナリシス全体の精度に影響している可能性がある。2. 重大イベントの発生数が少ない非重症患者が対象であるため、入院・死亡・人工呼吸器管理といった重篤なアウトカムのイベント数が少なく、効果推定の精度が制限される可能性がある。3. アウトカム評価の不均一性「症状消失までの時間」などのアウトカムは、原著における測定方法や報告形式が不統一であり、統合評価が困難である。その他の留意点1. ワクチン普及の影響は考慮されていない。2. ウイルスのサブタイプは考慮されていない。――――――――――――――――――― 本システマティックレビューでは、Epistemonikos Foundation(L·OVEプラットフォーム)、WHO COVID-19データベース、中国の6つのデータベースを用い、2019年12月1日から2023年6月28日までに公表された研究が対象とされている。当時未知の疾患に対し、様々な治療方法が模索され、そこで使用された40種類の薬剤(代表的なもので抗ウイルス薬、ステロイド、抗菌薬、アスピリン、イベルメクチン、スタチン、ビタミンD、JAK阻害薬など)が評価対象となっている。 調査対象となった「軽症~中等症」は、WHO基準(酸素飽和度≧90%、呼吸数≦30、呼吸困難、ARDS、敗血症、または敗血症性ショックを認めない)に準じて定義されている。 入院抑制効果に関してNNTを算出すると、ニルマトレルビル/リトナビル(NNT=40)、レムデシビル(同:50)、コルチコステロイド(同:67)、モルヌピラビル(同:104)であり、いずれも劇的に有効と評価するには限定的である。 標準治療に比して、症状解消までの時間を短縮したのは、アジスロマイシン(4日)、コルチコステロイド(3.5日)、モルヌピラビル(2.3日)、ファビピラビル(2.1日)であった。アジスロマイシンが有症状期間を短縮しているが、薬理学的な作用機序は不明であること、耐性菌の問題も踏まえると、COVID-19感染を理由に安易に処方することは望ましくないと思われる。 パンデミック当時に一部メディアやインターネット上で有効性が喧伝されたイベルメクチンについては、症状改善期間の短縮、死亡率の低下、人工呼吸器使用率、静脈血栓塞栓症の抑制といったアウトカムにおいて、いずれも有効性が認められなかった。 著者らは、異なる変異株の影響は限定的であるとしている。COVID-19に対する抗ウイルス薬の多くはウイルスの複製過程を標的としており、株による薬効の変化は理論上少ないとされる。ただし、ウイルスの変異により病原性が低下した場合、相対的な薬効の低下あるいは見かけ上の効果増強が生じる可能性は否定できない。 本調査は、非常に多数の研究を対象とした包括的なシステマティックレビューであり、2019年から2023年当時におけるエビデンスの集約である。パンデミックが世界的に深刻化した2020年以降と、2025年現在とでは、COVID-19は感染力・病原性ともに大きく様相を変えている。治療法も、新薬やワクチンの開発・知見の蓄積により今後も変化していくと考えられるため、本レビューで評価された治療法はあくまでその時点での知見に基づくものであることに留意が必要である。

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第86回 相関と回帰って?【統計のそこが知りたい!】

第86回 相関と回帰って?医療の現場で臨床試験の結果を解釈する上で、統計学の知識は不可欠です。とくに、「相関」と「回帰」という2つの基本的な統計手法は、臨床デ-タの分析において重要な役割を果たします。今回は、基本的な統計の道具である「相関」と「回帰」をはっきり区別して、理解しておきましょう。これらの概念を簡潔に解説し、その臨床現場での応用例についても解説します。■相関とは?相関は、「2つの変数間の関係の強さと方向を示す統計的尺度」です。この尺度は、一方の変数の変化が他方の変数の変化とどのように関連しているかを示します。主に相関は、変数間に直線的な関連性があるかどうかを調べるために用いられます。■相関係数相関関係の度合いは、相関係数によって数値化されます。この係数は、-1~+1までの範囲で表され、+1は完全な正の相関を意味し、-1は完全な負の相関を意味します。係数が0に近いほど、変数間の相関は弱いことを示します。正の相関一方の変数が増加すると、もう一方の変数も増加します。負の相関一方の変数が増加すると、もう一方の変数が減少します。無相関 2つの変数間には関連性はみられません。■相関の見方と限界相関は関係の存在を示すものであり、因果関係を意味するものではありません。「相関関係は因果関係を示さない」という原則は、デ-タ解析において非常に重要です。つまり、2つの変数が相関しているからといって、一方が他方を引き起こしているわけではない可能性があります。■相関の利用例医療分野では、さまざまな生理的指標や病状の間に相関を見つけ出すことで、潜在的な健康リスクを予測する手がかりを得ることができます。たとえば、体重と糖尿病のリスクとの間には正の相関があることが知られています。相関分析は、医療研究だけでなく、経済学、社会科学、工学など幅広い分野で応用されています。これにより、研究者は複雑なデ-タセットの中から意味のあるパタ-ンを抽出し、有効な介入策の策定に役立てることが可能です。このように、相関はデ-タの関連性を理解する上で基本的かつ強力なツ-ルですが、その解釈には慎重な分析が必要です。相関が高いからといって、それが直接的な原因と結び付くわけではなく、第三の変数や他の多くの要因によって影響を受けることがあります。■回帰とは?回帰分析は、「従属変数と1つまたは複数の独立変数の間の関係をモデル化して分析する統計的方法」です。回帰の主な目的は、独立変数の値に基づいて従属変数の値を予測することです。この方法は、医学を含むさまざまな分野で広く使用されており、結果を理解し予測するために重要です。■回帰の種類1)線形回帰これは最も単純な形式の回帰で、従属変数と独立変数の間に線形関係を仮定します。従属変数が連続的で正規分布している場合に使用されます。線形回帰の方程式はY=a+bXです。ここで、Yは従属変数、Xは独立変数、aは切片、bは傾きです。このモデルは、デ-タにみられる線形関係に基づいてYを予測します。2)ロジスティック回帰従属変数がカテゴリ-デ-タで、通常は二値です(例:病気の有無)。ロジスティック回帰は、独立変数に基づいて二値反応の確率を推定します。リスクモデリングや診断テストにおいて、臨床現場でとくに有用です。3)重回帰1つ以上の独立変数を含み、複数の予測因子を扱うことができる、より複雑なモデルを提供します。臨床研究において、結果は多くの要因によって影響を受けるため、非常に関連性が高いです。■臨床研究での応用回帰分析は、どの因子が結果の重要な予測因子であり、これらの異なる因子がどのように相互作用するかを理解するのに役立ちます。たとえば、臨床試験では、研究者は重回帰を使用して、さまざまな人口統計学的およびライフスタイルの変数が新薬の有効性にどのように影響するかを決定することがあります。■回帰が重要である理由1)予測と意思決定回帰モデルは予測のための強力なツ-ルです。変数がどのように相互接続されているかを理解することにより、医療専門家は患者ケアに関する情報に基づいた決定を下すことができます。2)リスク要因の特定疾患のリスク要因を特定し、定量化するには回帰分析が不可欠です。たとえば、ロジスティック回帰を使用して、喫煙が肺がんのリスクをどの程度増加させるかを研究者が見つけ出すことができます。3)治療効果の向上回帰を使用して臨床試験デ-タを分析することにより、研究者は治療プロトコルを最適化し、反応パタ-ンに基づいて患者のサブグル-プに治療を調整することができます。4)資源の配分予測因子を理解することで、医療設定での効率的な資源配分が可能になります。たとえば、高リスク患者をより集中的なケアやフォロ-アップのために優先するなどです。回帰分析は、このように医療研究の分野で欠かせないツ-ルです。これにより、臨床医と研究者はデ-タから意味のある結論を導き出すことができ、ケアの質と治療の効果を高めることが可能になります。■相関と回帰の臨床での応用臨床現場では、これらの統計手法を用いて、さまざまな健康指標間の関連を明らかにし、効果的な治療法を導き出します。たとえば、高血圧患者における薬剤の効果を評価する際に回帰分析が用いられることがあります。また、相関分析を通じて、特定の症状と生活習慣の間の関連を探ることができます。■統計の理解が臨床に役立つ理由統計手法を理解することは、臨床試験の結果を正確に解釈し、それを基に適切な医療判断を下すために不可欠です。相関や回帰分析によって、デ-タからより確かな情報を引き出し、患者さん一人一人に最適な治療を提供するための強力な道具となります。このように、相関と回帰は単なる統計的概念に止まらず、臨床医が日々直面する課題を解決するための重要なツ-ルです。統計学が提供する洞察を活用することで、より質の高い医療を実現することが可能となります。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問12 重回帰分析とは?質問18 ロジスティック回帰分析とは?統計のそこが知りたい!第42回 相関分析とは?第46回 単相関係数とは?第48回 単回帰式の求め方は?

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認知症になる人 ならない人 全米トップ病院の医師が教える真実

認知症予防&治療の易しくて信頼できるバイブル「部屋の換気をしない」「晩酌は缶ビール2本以上」「家から出ないで座っている」「一人暮らしをしている」「塩分大好き」……これ全部、認知症になる確率が高い生活習慣だと知っていますか?軽度の症状の人も入れたら、日本では65歳以上の4人に1人が認知症になる現代。しかし、認知症になってしまう人がいる一方、80代、90代でも認知症にならず元気な人はたくさんいます。こうした生活習慣が、前者と後者を分けている可能性が高いのです。全米病院ランキング「老年医学部門」5年連続1位(U.S.News)の病院で診療にあたる山田悠史医師は、その差ははっきりと白黒分かれるものではなく、「認知症になりやすい⇔なりにくい」のグラデーションであると説きます。脳にいい生活習慣を日々取り入れ、よくない習慣は手放し、そのグラデーションを「認知症になりにくい」のほうに寄せていく方法を、科学的根拠を元にわかりやすく伝えていきます。またこの本では、認知症の予防や治療で本当に必要なことは、実は「安くてシンプル」ということもわかります。エビデンスをすり替えた宣伝で引きつけるサプリや、自由診療の高い検査などはだいたい必要がないのです。「長生きしても、認知症にだけはなりたくない」「このままだと親が認知症になるんじゃないか」「認知症だと診断されたけれど、どうしたらいいのか……」そんな不安を抱えるあなたにぜひ読んでほしい、認知症予防&治療の易しくて信頼できるバイブルです。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する認知症になる人 ならない人定価1,870円(税込)判型B5判頁数312頁発行2025年6月著者山田 悠史(マウントサイナイ医科大学 老年医学・緩和医療科)ご購入はこちらご購入はこちら

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HER2陽性胃がん2次治療、T-DXd vs.ラムシルマブ+PTX(DESTINY-Gastric04)/NEJM

 前治療歴のある切除不能または転移のあるHER2陽性胃がんまたは胃食道接合部腺がんの患者において、2次治療としてのトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)はラムシルマブ+パクリタキセル(RAM+PTX)と比較して全生存期間(OS)を有意に延長した。有害事象は両群で多くみられ、既知のリスクであるT-DXd投与に伴う間質性肺炎または肺臓炎は、主として低グレードであった。国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らDESTINY-Gastric04 Trial Investigatorsが、国際非盲検無作為化第III相試験「DESTINY-Gastric04試験」の結果を報告した。T-DXdは第II相試験に基づき、トラスツズマブベースの治療を含む2ライン以上の治療歴を有する進行・再発のHER2陽性胃がんまたは胃食道接合部腺がん患者に対する投与が承認されている。DESTINY-Gastric04試験では、2次治療としてのT-DXdの有効性と安全性をRAM+PTXと比較した。NEJM誌オンライン版2025年5月31日号掲載の報告。主要評価項目はOS 研究グループは、2021年5月21日~2024年10月7日に152施設で、トラスツズマブベース治療中の病勢進行後の生検(各治験施設または中央施設)で、HER2陽性が確認された切除不能または転移のある胃がんまたは胃食道接合部腺がん患者を適格として登録した。 被験者を、T-DXd(21日サイクルの1日目に6.4mg/kg)またはRAM(28日サイクルの1日目と15日目に8mg/kg)+PTX(28日サイクルの1日目、8日目、15日目に80mg/m2)を静脈内投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化では、トラスツズマブベース治療後のHER2発現状況(IHC 3+ vs.IHC 2+およびISH陽性)、試験地(アジア[中国大陸除く]vs.西ヨーロッパvs.中国大陸と世界のその他の地域)、1次治療中の病勢進行までの期間(6ヵ月未満vs.6ヵ月以上)により層別化した。 治療は、病勢進行、被験者の同意取り下げ、医師の判断、許容できない有害事象の発現まで続けられた。 主要評価項目はOSとした。副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR、少なくとも4週間以上の完全奏効[CR]または部分奏効[PR])、病勢コントロール率(DCR、6週間以上の奏効または安定[SD])、奏効期間(DOR、試験担当医師によるRECIST 1.1に基づく判定)および安全性などであった。OS中央値はT-DXd群14.7ヵ月、RAM+PTX群11.4ヵ月でT-DXd群が有意に延長 494例が無作為化された(T-DXd群246例、RAM+PTX群248例)。人口統計学的およびベースラインの臨床特性は両群でバランスが取れていた。年齢中央値はT-DXd群63.2歳とRAM+PTX群64.3歳、男性が76.0%と82.7%、原発がんは胃がんが62.2%と60.1%、また、HER2発現状況はIHC 3+が84.1%と83.9%、試験地がアジア(中国大陸を除く)は23.2%と24.2%、1次治療中の病勢進行までの期間は6ヵ月以上が75.2%と75.4%などであった。 中間解析のデータカットオフ日(2024年10月24日)時点で、T-DXd群は18.9%、RAM+PTX群は18.5%が治療を継続していた。 OSは、T-DXd群(中央値14.7ヵ月[95%信頼区間[CI]:12.1~16.6])がRAM+PTX群(11.4ヵ月[9.9~15.5])より有意に延長した(死亡のハザード比[HR]:0.70[95%CI:0.55~0.90]、p=0.004)。 PFSも、T-DXd群(中央値6.7ヵ月[95%CI:5.6~7.1])がRAM+PTX群(5.6ヵ月[4.9~5.8])より有意に延長し(病勢進行または死亡のHR:0.74[95%CI:0.59~0.92]、p=0.007)、ORRについても、T-DXd群(44.3%[95%CI:37.8~50.9])がRAM+PTX群(29.1%[23.4~35.3])より有意に改善した(群間差:15.1%ポイント、p<0.001)。 治療期間の中央値はT-DXd群が5.4ヵ月、RAM+PTX群が4.6ヵ月であった。安全性解析集団(T-DXd群244例、RAM+PTX群233例)において、あらゆるGradeの薬剤関連有害事象の発現は、T-DXd群93.0%、RAM+PTX群91.4%で報告され、うちGrade3以上は50.0%と54.1%であった。 独立した委員会で薬剤関連と判定された間質性肺炎または肺臓炎は、T-DXd群13.9%(33例がGrade1/2、1例がGrade3)、RAM+PTX群1.3%(2例がGrade3、1例がGrade5)であった。

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