サイト内検索|page:41

検索結果 合計:5052件 表示位置:801 - 820

801.

「爪白癬は外用薬で治す」は誤解?

 昨年6月にイムノクロマト法を用いた白癬菌抗原キット「デルマクイック爪白癬」が発売されたことを契機に、以前に比べ、内科医でも爪白癬の診断に対応できるようになったのをご存じだろうか。今回、常深 祐一郎氏(埼玉医科大学医学部皮膚科 教授)が『本邦初の白癬菌抗原検査キットによる爪水虫診断と正しい治療法~爪水虫診療は新たなステージへ~』と題し、今年4月に発表された爪白癬の治療実態調査の結果、新たな抗原キットなどについて説明した(佐藤製薬・マルホ共催メディアセミナー)。爪白癬は外用薬で治せる、という誤解 日本人の10人に1人は爪白癬に罹患しており、その多くが高齢者である。高齢者では足の爪白癬が転倒リスク1)やロコモティブシンドローム、フレイルの原因になるほか、糖尿病などの合併症を有する患者においては白癬病変から細菌感染症を発症し、蜂窩織炎や時には壊死性筋膜炎を発症するなど命を脅かす存在になる場合もあるため、完全治癒=臨床的治癒(爪甲混濁部の消失)+真菌学的治癒(直接鏡検における皮膚糸状菌が陰性)を目指す必要がある。 爪白癬の治療は診断さえついてしまえば、外用薬を処方して継続を促せば…と思われることが多いのだが、その安易な判断が「治療の長期化につながり、結局治癒に至らない」と常深氏は指摘した。外用薬は白癬菌が爪の表面に存在する表在性白色爪真菌症(SWO)には効果が高いが、その他の病型では経口抗真菌薬が優れているという。また、「遠位側縁爪甲下爪真菌症(DLSO)の軽症であれば外用薬でも治せると考えられているが、治癒まで時間を要し、その間に次に述べるように脱落が多くなってしまうことから、軽症の間に経口薬で治癒させることが望ましい。もちろんDLSOの中等症以上では経口薬が必要であるし、近位爪甲下爪真菌症(PSO)、全異栄養性爪真菌症(TDO)では経口薬による治療が推奨される」と、病態ごとの剤型の使い分けが重要であることに触れた。皮膚科専門医でも、経口薬を避ける傾向に そうはいっても、とくに高齢者への経口薬処方は、ポリファーマシーの観点や肝機能への影響から敬遠される傾向にある。これに対し、同氏は治療継続率のデータを引用2)し、「経口薬のほうが外用薬より治療継続率が高く、脱落しにくいことが明らかになっている。外用薬の場合は投与開始から1ヵ月時点ですでに4割強が脱落してしまう。一方で、経口薬は投与開始3ヵ月時点でも6割の人が継続している。爪白癬治療に年齢は関係ない」と説明した。 上述のように、治癒率や患者の治療継続率からも爪白癬への経口薬処方が有効であることは明確だが、診断に自信がないと、外用薬で様子を見てしまうということが多そうだ。また、皮膚科専門医は顕微鏡を用いたKOH直接鏡検法で診断することができるが、他科の医師においては視診で判断していることが多いのが実情である。この点について、「皮膚科医であっても視診のみで診断を行うと30%程度は誤った判断をするため3)、やはり検査は必要。爪甲鉤弯症などが爪白癬と誤診されることもある4)」と述べたうえで、「経口薬は外用薬と比較して検査で確定診断がつかないと処方しづらく、“本当に薬を処方していいのか”という不安が処方医に生じる」と医療者側の問題点を挙げた。<爪白癬と誤診されやすい疾患>・掌蹠膿疱症の爪病変・緑色爪(green nail)・黄色爪症候群(yellow nail syndrome)・爪甲鉤弯症・厚硬爪甲 昨年に上市された検査法『イムノクロマト法』は迅速および簡便で感度が高く、皮膚科専門医が行うKOH直接鏡検法や真菌培養法に比べ、技術や検査時間も不問であることから視診による誤診も防ぐことが可能である。同氏は「鏡検できる医師がいない場合、顕微鏡がない施設や往診先での検査に適しており、また、鏡検での見落としを防ぐために検査を併用するのも有用」と述べ、皮膚科専門医ならびに一般内科医に向けて、「精度の高い検査を患者に提供して確定診断が得られた後に適切な薬剤を処方する、という正しい診断フローに沿った治療にもつながる」とコメントした。 最後に同氏はクリニカル・イナーシャ(clinical inertia)5)という言葉に触れ、「これは直訳すると“臨床的な惰性or慣性”。患者が治療目標に達していないにも関わらず治療が適切に強化されていない状態を意味する」と定義を説明し、「患者側がクリニカル・イナーシャに陥る要因は、治療効果の正しい知識不足や経口薬による副作用への懸念、飲み合わせへの懸念などが漠然とある。一方、医師側の要因には完治が必要であるとの認識不足、治癒への熱意や責任感不足などがあり、両者のクリニカル・イナーシャが相乗的に負の方向に働き、外用薬が漫然と使用されてしまう。しかし、爪白癬の治療意義、新たな検査法や経口薬の有用性を理解していけば解決できる」と締めくくった。

802.

脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕

新たなエビデンスを加え、66項目の大改訂!最新のエビデンスを反映させるなどの目的で、例年、全面改訂の約2年後に追補版を発売してきた『脳卒中治療ガイドライン』ですが、近年の本領域の進歩は長足であり、今回は全140項目中66項目を改訂しました。エビデンスレベルの高い新しいエビデンスを加えたほか、新しいエビデンスはないものの推奨度が現実と乖離しているものなども見直したため、今回は「追補」ではなく「改訂」として発売しました。主な改訂点●抗血栓薬や血栓溶解薬などの記載変更について抗血栓薬については、その1種であるDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)の高齢者適応のほか、DOACの中和剤に関する記載も増やしました。また、血栓溶解薬は使用開始時期によって効果が左右されますが、起床時発見もしくは発症時刻不明の虚血性脳血管障害患者に対するエビデンスなどを加えました。さらに、くも膜下出血の治療後に生じる可能性がある遅発性脳血管攣縮については、新たに登場した治療選択肢にも触れるなどの変更を行いました。●危険因子としての糖尿病・心疾患・慢性腎臓病(CKD)の管理について主に糖尿病治療で使われるGLP-1やSGLT-2などの薬剤には、近年、新たなエビデンスが得られていることから、推奨度を含めて記載を見直しました。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕定価8,800円(税込)判型A4判頁数332頁発行2023年8月編集日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会

803.

転移のある膵がん1次治療、NALIRIFOXがOS・PFS改善(NAPOLI-3)/Lancet

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のZev A. Wainberg氏らは、欧州、北米、南米、アジア、オーストラリアの18ヵ国187施設で実施した無作為化非盲検第III相試験「NAPOLI 3試験」の結果、転移のある膵管腺がん(mPDAC)の1次治療としてNALIRIFOX(ナノリポソーム型イリノテカン+フルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン)はnab-パクリタキセル+ゲムシタビンと比較し、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことを報告した。膵管腺がんは依然として、生命予後が最も不良の悪性腫瘍の1つであり、治療選択肢はほとんどないとされている。Lancet誌オンライン版2023年9月11日号掲載の報告。NALIRIFOX群vs.nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群で評価 研究グループは、未治療のmPDACで18歳以上のECOG PS 0~1の患者を、地域(北米vs.東アジアvs.その他の地域)、PS(0 vs.1)、肝転移(ありvs.なし)で層別化し、NALIRIFOX群またはnab-パクリタキセル+ゲムシタビン群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 NALIRIFOX群では、28日を1サイクルとして1日目と15日目に、ナノリポソーム型イリノテカン50mg/m2、フルオロウラシル2,400mg/m2、ロイコボリン400mg/m2およびオキサリプラチン60mg/m2を46時間以上かけて持続点滴静注した。nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群では、28日を1サイクルとして1日目、8日目および15日目に、nab-パクリタキセル125mg/m2とゲムシタビン1,000mg/m2を静脈内投与した。 主要評価項目は、intention-to-treat集団におけるOSで、両群において少なくとも543件のイベントが観察された時点で評価した。副次評価項目はPFSなどであった。また、試験薬を少なくとも1回投与されたすべての患者を解析対象として安全性を評価した。 2020年2月19日~2021年8月17日の期間に、計770例が無作為に割り付けられた(NALIRIFOX群383例、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群387例)。NALIRIFOX群でOSが有意に延長 追跡期間中央値16.1ヵ月(四分位範囲[IQR]:13.4~19.1)において、OS中央値はNALIRIFOX群11.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:10.0~12.1)、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群9.2ヵ月(8.3~10.6)であった(ハザード比[HR]:0.83、95%CI:0.70~0.99、p=0.036)。12ヵ月OS率は、NALIRIFOX群45.6%(95%CI:40.5~50.5)、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群39.5%(34.6~44.4)であり、18ヵ月OS率はそれぞれ26.2%(20.9~31.7)、19.3%(14.8~24.2)であった。 また、副次評価項目であるPFSは、NALIRIFOX群7.4ヵ月(95%CI:6.0~7.7)、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群5.6ヵ月(5.3~5.8)であった(HR:0.69、95%CI:0.58~0.83、p<0.0001)。 治療関連死は、NALIRIFOX群で6例(2%)、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群で8例(2%)であった。

804.

第2章 資格試験の観点からの医師国家試験【国試のトリセツ】Introduction

Introduction第2 章は「資格試験の観点からの医師国家試験」を取り扱います。医師国家試験は、第95回(2001年実施)以降、第111回(2017年実施)までは出題問題数が500問でした。第112回(2018年実施)より400問となり、3日間実施だった日程が2日間になっています。問題の分類は、一般問題、臨床実地問題、必修問題の3区分を踏襲しており、本章ではそれぞれの傾向と対策を講じていきます。§1一般問題§2臨床実地問題§3必修問題§4演習の工夫§1 一般問題一般問題は、「設問文」→「選択肢」という構造で成り立っています。「単純な知識の想起によって解答できる問題」が大半を占めているのが特徴です。医師国家試験の問題作成のプロセスの中には「主題を定める」という留意事項があります。つまり、提示された問題には出題背景やテーマが存在しているのが通常です。問題作成者は「受験生が●●について■■できる」という到達目標を設計しているので、過去問の演習では、その到達目標に沿うことができれば学習効率が高まります(#8 出題者の意図を汲む)。設問文以外には、選択肢に一般問題の特徴が現れます。したがって、選択肢がどのような制約で作成されているのかを事前に知っていれば、選択肢を吟味する際に役に立つのです(#9 選択肢のつくり方を意識する)。正解の選択肢は、唯一であるように作られています。ここが医療現場と最も矛盾する点であり、医師国家試験と実臨床とが乖離する要因を担っています(第3 章の#42 実臨床と資格試験との乖離を知る / #47 臨床には正解がない参照)。また、提示された選択肢は、それぞれが「最もらしいもの」であることが望ましいとされており、「ナンセンス肢」を含まないように配慮されています。例えば、生後18時間の新生児がチアノーゼを呈して頻呼吸に陥っているときに考えるべき疾患は何かと問うた場合に、選択肢に「乳児肥厚性幽門狭窄症」が含まれていた場合には「ナンセンス」となるのです。この選択肢を「肥厚性幽門狭窄症」として差し替えれば、肥厚性幽門狭窄症が乳児の疾患であることを知っていなければ除外できなくなるので選択肢の適正化を図れます。医師国家試験は、多肢選択式問題の形式をとっているので、選択肢の吟味は避けられない行程となります。地道な作業ではありますが、復習の際には選択肢をひとつひとつ大切に扱うことで、効率を高めることができます(#10 正しい内容を述べた選択肢から要点を抽出する / #11 誤った内容を述べた選択肢では誤りの箇所を正す)。このように、一般問題を演習する場合には、背景に存在している出題テーマを汲み取ろうとするプロセスと、選択肢をどのように扱っていくかという2点が重要になります。ここでまずは、臨床実地問題を解く上でも重要になる一般問題へのアプローチ方法について考えていきましょう。§2 臨床実地問題臨床実地問題は、図のような構造で成り立っています。すなわち、「本文」→「画像」→「設問文」→「選択肢」という順での配置です。このセクションでは以下のように、それぞれの要素ごとに取扱原則を設けています。画像を拡大するこれらに加え、第1章 七大原則の#2〜6を組み合わせると、第112回医師国家試験から問題数の割合が増えた臨床実地問題への対策が可能となるのです。臨床実地問題では、単に知識を問うような形式ではなく、(a)与えられた情報をどのように解釈・評価するのか、(b)知識を応用してどのように問題解決するのか、を問うような形式が好んで選ばれます。(a)は「アセスメント」と呼ばれる思考過程であり、第3章の§1で重点的にとり上げます。一方、(b)は問題解決能力を要するという点で(a)よりも高次的な形式となります。この形式では、医師の思考に沿った出題が可能になるという点で、より「臨床色の強い」問題が出来上がります。医師の思考については第3章の§2と§3で触れます。このように、第2章では資格試験でのテクニカルな切り口で、(そして第3章では実臨床の要素を踏まえた切り口で)医師国家試験を多角的に眺めることを意図しています。§3 必修問題必修問題は、医師として必ず知っておくべき基本が問われます。したがって、1問あたりの難易度は一般問題・臨床実地問題と比べると平易な問題が多く配置されるのが特徴となっています。合格基準は、80%以上の得点という絶対基準が適用されています。そのため「みんなが解ける問題を確実に得点する」という原則をいかに保てるかが、基準クリアの条件となります。大学入試の試験当日には「魔物が潜んでいる」と喩えられることがありますが、医師国家試験も同様に普段通りの自分を出せないような状況が起こりえます。このセクションでは、本番でのパフォーマンスを著しく低下させるような代表的なケースを取り上げて、リスクヘッジを行うことを目指します。例えば、本番では通常の演習とは異なり、正解を確認する術がないので見直しをした後で答えを変更したり、あるいは変更しようかどうか迷う状況が起こり得ます(#17 見直しで迷ったときは最初の答えを優先させる)。禁忌問題を気にしすぎて、「みんなが解ける問題」を間違ってしまうことも有り得ます(#18 禁忌問題は治療・緊急性・倫理的配慮で察知する)。他には、自信満々で答えた問題が、実は自大学での常識に過ぎず、Global Standard から掛け離れているがために失点することもあります(#19 local factor は排除する)。また、必修問題には高正解率の問題が大半を占めますが、中には正解率が5割に満たないような難問・奇問も紛れ込んでいるのが通常です。そのような問題に対面して生じたモヤモヤとした感情をいかに切り替えるかが大事なのです(#20 モヤモヤ問題をいち早く察知して適切に対応する)。医師国家試験を解くのは人間なので、エラーがどうしても付きまといます。統計上、エラーのパターンは比較的限られており、エラーが生じるメカニズムとその対応策を事前に知っていれば、本番のパフォーマンスを普段通りに近づけることができるはずです。巻末の付録に、遭遇頻度が高く、時に致命的になりやすいエラーを集めたコラムを配置しているので、必修問題に不安を覚える受験生は、そのエラー集も参考にすると良いでしょう。合格圏に達している受験生は、普段通りに解ければ何ら心配する必要がないのが必修問題です。しかし、試験本番に潜む魔物に対して、どのような事前準備が行えるかが合否の鍵を握っているといっても過言ではありません。§4 演習の工夫まず、医師国家試験の過去問演習における鉄則から§4はスタートします(#21 過去問は直近3カ年分を徹底的に研究・演習する)。どのような理由で直近3カ年を重視するかについて言及しています。次に、学習効率を高めるためには演習の量と質について考える必要があります。つまり、一問の演習あたりの精度と速度が効率を規定しているとも換言できます。量に重きを置き過ぎたせいで結果として押さえるべきポイントを反復する機会が少なくなってしまいがちな受験生は、演習のフォームを修正する必要があります(#22 30秒サマリーで反復の回数を増やす)。一方で、質に重きを置き過ぎたせいで結果として進捗が遅くなる傾向になる受験生は、演習速度を改善することが求められます(#23 速読では(1)診断、(2)根拠、(3)治療を確認する)。演習のフォームという点では、七大原則の#3、#4、#5を徹底することで、一問あたりから得られる学びを増幅させることができます。しかし、#3、#4、#5は演習の負荷を上げる効果があり、演習の質が高まる一方で、演習速度を低下させるという欠点があります。質にしろ、量にしろ、度が過ぎた場合には成績が伸び悩む現象が起こります。適宜、演習フォームを見直して、精度と速度のバランスをうまく調整することが重要です。このように、§4では普段のトレーニングをどのように最適化すればよいかについて考察します。第2章以降は、問題ごとにCheckpointを設けています。いずれも本書に登場する「基本ルール」で構成されています。その問題を解くときに有用と思われる記述をpickupしています。解いた後で「基本ルール」を意識してアプローチしたかどうかを確認する目的で適宜利用してください。より詳しい理解が必要であれば、該当するナンバー(#)を参照できるような配置にしているので、うまく活用していただけると幸いです。

805.

日本におけるSNS上のがん情報、4割超が誤情報

 SNSの普及により、患者はがん情報に容易にアクセスできるようになった。しかし、患者の意思決定に悪影響を与えかねない誤情報や有害情報も大量に発信されている。日本のSNSにおけるがん情報はどの程度信頼できるものなのか。これについて調べた名古屋市立大学病院 乳腺外科の呉山 菜梨氏らによる研究結果がJMIR formative research誌オンライン版2023年9月6日号に掲載された。 研究者らは、Twitter(現:X)上で2022年8~9月に投稿された、日本語の「がん」という言葉を含むツイートを抽出した。1)がんの発生や予後に関する言及、2)行動の推奨・非推奨、3)がん治療の経過や有害事象に関する言及、4)がん研究の成果、5)その他がんに関連する知識・情報、を含むがん関連ツイートを抽出対象とし、「いいね」の数が最も多かった上位100ツイートを選定した。それぞれのツイートについて、日本のがんセンターまたは大学病院で臨床に携わる医師である2名の独立したレビュアーが、情報が事実か誤情報か、有害か安全かを、誤情報と有害なツイートについてはその判断理由とともに評価した。 主な結果は以下のとおり。・抽出されたツイートは計6万9,875件であった。上位ツイート100件のうち、誤情報が含まれていたのは44件(44%)、有害情報が含まれていたのは31件(31%)、誤情報と有害情報の両方が含まれていたのは30件(30%)であった。・誤情報は、証明されていない(38/94、40.4%)、反証されている(19/94、20.2%)、不適切な適用(4/94、4.3%)、エビデンスの強度の誤り(14/94、14.9%)、誤解を招く(18/94、19.1%)、その他の誤情報(1/94、1.1%)に分類された。・有害情報は安全情報よりも「いいね」される頻度が高く、誤情報がリツイートされる頻度は事実に基づいた情報よりも、有害情報がリツイートされる頻度は安全な情報よりも、それぞれ有意に高かった。・正確性と有害性を合わせた分析では、「事実-安全」「事実-有害」「誤情報-安全」「誤情報-有害」と評価されたツイートの割合は、それぞれ55%、1%、14%、30%であった。・「いいね」やリツイートの数が最も多かったのは、「日本では、米国から余った抗がん剤や廃棄される抗がん剤が輸入されているため、がんの死亡率が高い」という誤った情報であった。 著者らは、「日本では、Twitter上でがんに関連する誤った情報や有害な情報が蔓延していることが明らかであり、この問題に関するヘルスリテラシーと意識を高めることが極めて重要である。さらに、行政機関や医療従事者は、患者やその家族が十分な情報を得たうえで意思決定できるよう、正確な医療情報を提供し続けることが重要である」と結論付けている。

806.

卒業試験って大学によって違うの?傾向を教えて【医学生お悩み相談ラヂオ】第9回

動画解説第9回は、医学部6年生の女性から卒業試験に関するお悩み。日々の勉強で力がついてきている自負はあるが、やはり不安があり、最近の傾向を知りたいとのこと。大学によって出題傾向は違うのか?どの大学にも共通するものはあるのか?えど先生は、卒試で絶対気をつけるべきポイント、心構えを教えてくれました。

807.

第1類医薬品販売時の情報提供、昨年度の遵守率は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第117回

厚生労働省が2022年度の「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表しました。これは、薬局や店舗販売業が医薬品の販売に際し、店舗やインターネットで消費者に適切に説明を行っているかどうかなどについて調査したものです。結果を見た感想として、今後これらの規制が厳しくなる可能性は低くない、という気がしています。この調査は、全国の薬局1,376件、店舗販売業1,678件の計3,054件に対し、一般消費者の調査員が直接訪問して販売状況を調査しました。調査期間は2022年11月~2023年2月で、インターネット販売(特定販売)は、販売サイト505件を対象に2023年1~3月の期間で行われました。まず、店舗での販売では、全体的な遵守率は前回から横ばいでした。とくに、「第1類医薬品販売における文書による情報提供」の遵守率は80.8%、「第1類医薬品販売の情報提供された内容を理解したかどうか等の確認」の遵守率は57.7%、「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応」が適切であったのは76.5%であり、依然として低い結果でした。一方、インターネット販売では、「第1類医薬品販売時の情報提供」の遵守率は87.1%、「第1類医薬品販売の情報提供された内容を理解したかどうか等の確認」の遵守率は97.5%でした。それをクリックしないと購入に進めないというシステムの強さを感じます。インターネット販売で「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応」が適切であったのは82.0%で、「質問等されずに購入できた」が18.0%、「複数必要な理由を伝えたところ、購入できた」が7.2%、「1つしか購入できなかった」が74.8%でした。とくに質問などされずに複数個購入できてしまったケースも多く、安全よりも販売をとっている怖さを感じてしまいます。これらの遵守率に関しては、決して低くはないと思う人もいるかもしれませんが、これらは販売時の義務なので100%ではないということは問題です。昨今、コロナ禍もあいまって、「OTC医薬品の過量服薬による救急搬送が2倍に増加」「OTC医薬品を主たる薬物とする依存症患者が急増」などが報告されています。薬剤師や登録販売者という専門家が販売に関与しているにもかかわらず濫用が問題となっている現状を見ると、「専門家は不要なのでは?」という議論が出てきてもおかしくないですし、そもそも恥ずかしい気もします。これらの遵守率が100%になっても濫用が発生している場合、そこで初めて消費者の問題になると思います。店舗においては、「第1類医薬品の文書による情報提供」と「内容を理解したかどうかの確認」などの基本的な一歩が大事だと思います。少なくとも自分が関与した患者さんは守ってあげたいと思う専門家が増えれば防げる問題も多いのではないでしょうか。

808.

学生時代にしかできない体験をしたいのに時間が足りません【医学生お悩み相談ラヂオ】第8回

動画解説第8回は、医学部4年生の男性から、学生生活の時間の使い方に関するお悩み。朝から夕方まで講義と予習・復習で手いっぱいで思い描いていた学生生活からかけ離れているとのこと。自分の時間をうまく作るにはどうすればよいのか、教育者としての視点から民谷先生が切り込みます。

809.

拡張型心筋症の遺伝子構造はアフリカ系と欧州系患者とで異なっている(解説:原田和昌氏)

 次世代シークエンスを用いた網羅的な心筋症遺伝子解析による心筋症の病態解明とそれを用いたプレシジョン・メディシンに期待が集まっている。米国・DCMコンソーシアムのDCM Precision Medicine Studyのこれまでの調査によれば、拡張型心筋症(DCM)患者の約30%が家族性DCMであり、黒人のDCM患者は白人のDCM患者よりも家族性DCMのリスクが高くアウトカムが不良であった。しかし、DCMのゲノムデータの大半は白人患者のものであった。 米国・オハイオ州立大学のJordan氏らは、DCMに関係する36の遺伝子について、アフリカ系、欧州系、ネイティブ・アメリカンの患者を対象に、ゲノム祖先ごとに変異遺伝子構造を比較した。アフリカ系のゲノム祖先を持つDCM患者は、欧州系のゲノム祖先を持つDCM患者と比較し、病原性/病原性の可能性と判定できる、臨床的に治療標的として介入が期待される変異遺伝子(バリアント)を有する割合が低かった。 アフリカ系DCM患者は、タイチン(TTN)遺伝子や、病気を引き起こすメカニズムとして機能欠失が予測されるその他の遺伝子について、欧州系患者に比べ、臨床的に治療標的として介入が期待されるバリアントの割合が低かった。しかし、病原性/病原性の可能性/意義不明のいずれかに判定されたバリアント数は、アフリカ系患者と欧州系患者で同程度であった。これは、アフリカ系患者には主にミスセンス変異による、非TTN遺伝子の予測されない機能欠失バリアントで意義不明のものが多く認められたためであった。 DCMの40~50%にこれまで30種類以上の遺伝子変異が同定されているが、原因遺伝子としてはTTN変異が最多であり全体の25%を占める。さらにMYH7、TNNT2、心筋トロポニンC(TNNC1)など心筋サルコメアの関連遺伝子がこれに続く。TTN変異を有するDCMの表現型は比較的軽度であり、標準的心不全治療が奏効し左室リバースリモデリングが高率に起こる。これに対し、ラミンA/C(LMNA)は核膜内膜の構成分子であるが、LMNA変異を有するDCMでは心筋障害に加えて肢体型筋ジストロフィーやEmery-Dreifuss型筋ジストロフィーなどの骨格筋障害を合併し、予後不良であることが知られている。このようにDCMは心筋サルコメア、細胞骨格、核骨格、ミトコンドリア、細胞内カルシウム調整に関する遺伝子などに多様な遺伝子変異を有する疾患である。 一方、日本におけるDCMの有病率は10万人に対して14.0人であり、DCMの20~35%が家族性といわれている。家族性DCMの80~90%が常染色体優性であるが、まれにX連鎖性や常染色体劣性の形式をとる場合もあるという。 本論文ではゲノム祖先ごとに遺伝子構造が異なる、また、アフリカ系DCM患者の臨床データが不足していると結論しているが、次世代シークエンスを用いたプレシジョン・メディシンを推進するためには、欧州系白人におけるゲノムデータや疾患の治療反応性との関係の情報だけでは不十分であり、(アジア人を含む)異なるゲノム祖先を持つ患者における遺伝子データベースの蓄積が必要であると考えられる。

810.

中国のゼロコロナ政策終了直後、超過死亡が急増か

 中国では、コロナパンデミックの開始から厳格なゼロコロナ政策によって罹患率と死亡率は低く抑えられていた。しかし、2022年12月のゼロコロナ政策の解除により、以降2ヵ月間、中国全土の30歳以上において推定187万人の超過死亡が発生したことが、米国・シアトルのFred Hutchinson Cancer Research CenterのHong Xiao氏らの研究チームによる調査で確認された。JAMA Network Open誌2023年8月25日号掲載の報告。 本調査では、北京市の北京大学と精華大学、黒竜江省のハルビン工業大学の2016年1月1日~2023年1月31日までの職員の公開された訃報記事データが用いられた。訃報記事は、年齢、性別、役職、雇用形態(現職、退職)に関係なく、死亡したすべての職員が含まれ、掲載のプロセスはCOVID-19の流行前も流行中も一貫して行われていた。本データから30歳以上の死亡率の相対的変化を推定した。前COVID-19期(2016年1月~2019年12月)、ゼロコロナ政策期(2020年1月~2022年11月)、ポスト・ゼロコロナ政策期(2022年12月~2023年1月)の3つの期間に分け、負の二項回帰モデルを使用した。また、中国のインターネット検索エンジンBaiduにて、総検索量に対する死に関連するワード(葬儀社、火葬、埋葬など)の検索の頻度(Baidu指数:BI)の相対的変化も推計し、大学における30歳以上の死亡率との相関関係も分析した。さらに、これらの数値を基に、中国のその他の地域における超過死亡率を算出した。 主な結果は以下のとおり。・北京市と黒竜江省ともに、死亡数は2022年12月第4週にピークに達した。それと同時期の12月25日に、中国のほとんどの省で、死に関連するワードのネット検索のBIが最も高くなった。・ゼロコロナ政策の終了後、北京の2つの大学における死亡数は、予想死亡数に比べて大幅な増加を示し、2022年12月と2023年1月にそれぞれ403%(95%CI:351~461)と56%(95%CI:41~73)の増加を示した。ハルビン工業大学における死亡数は、2022年12月(12 vs.3、p<0.001)と2023年1月(19 vs.3、p<0.001)の両方で、予想された死亡数よりも統計的に有意に高かった。・ポスト・ゼロコロナ政策期の北京の大学での死亡のうち、男性は75.6%(95%信頼区間[CI]:65~84)、85歳以上は80.0%(95%CI:70~87)だった。85歳以上の死亡の割合は、前COVID-19期(51.9%)およびゼロコロナ政策期(62.3%)よりも高かった(p<0.001)。ハルビン工業大学でも同様のパターンがみられ、ポスト・ゼロコロナ政策期の死亡は、男性82.1%、85歳以上69.0%だった。・ポスト・ゼロコロナ政策期(2022年12月~2023年1月)では、中国全土で30歳以上の推定187万人(95%CI:71万~443万、1,000人当たり1.33人)の超過死亡が発生した。・チベットを除くすべての省で統計学的に有意な死亡率の増加が推計され、増加範囲は広西チワン族自治区の77%増(95%CI:24~197)から寧夏回族自治区の279%増(95%CI:109~658)であった。・超過死亡数は中国政府の公式推計値である6万人をはるかに上回ったが、超過死亡のパターンは、COVID-19に関連した病院での入院と死亡が2022年12月末にピークに達したという中国政府の報告と一致していた。 中国には包括的で一般に入手可能なデータが存在しないために、超過死亡数を推定するために行われた本研究において、中国のゼロコロナ政策の突然の解除が、全死因死亡率の有意な上昇と関連していることが明らかになった。著者は本結果について、COVID-19の集団への突然の伝播が集団死亡率に与える影響を理解するうえで重要だとまとめている。

811.

医師によるコロナのデマ情報、どう拡散された?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中、ソーシャルメディア(SNS)上で、ワクチン、治療法、マスクなどに関する誤った医療情報が広く拡散されたことが社会問題となった。このような誤情報の拡散には、一部の医師も関わっていたことが知られている。COVID-19の誤情報について、情報の種類や、利用されたオンラインプラットフォーム、誤情報を発信した医師の特徴を明らかにするために、米国・マサチューセッツ大学のSahana Sule氏らの研究チームが調査を行った。JAMA Network Open誌2023年8月15日号に掲載の報告。 本調査では、2021年1月1日~2022年5月1日の期間に米国在住の医師によって拡散されたCOVID-19の誤情報を特定するため、SNS(Twitter、Facebook、Instagram、Parler、YouTube)およびニュースソース(The New York Times、National Public Radio)の構造化検索を行った。誤情報を発信した医師の免許取得州と専門分野を特定し、フォロワー数やメッセージの質的内容分析を行い、記述統計を用いて定量化した。COVID-19の誤情報は、評価期間中の米国疾病予防管理センター(CDC)のガイダンスに裏付けされていない、またはそれに反する主張、CDCがカバーしていないトピックに関しては既存の科学的エビデンスに反する主張と定義した。 主な結果は以下のとおり。・評価期間中にCOVID-19の誤情報を伝えたことが確認された米国の医師は52人だった。うち50人は米国29州において医師免許を取得したことがあり、ほか2人は研究者だった。医師免許は1州以上で有効44人、無効3人、一時停止/取り消し4人、一部の州で停止/取り消し1人。専門は28分野にわたり、プライマリケアが最も多かった(18人、36%)。・16人(30.7%)が、America's Frontline Doctors※のような、誤った医療情報のプロパガンダを過去に行ったことがある団体に所属していた。・20人(38.5%)が5つ以上の異なるSNSに誤情報を投稿し、40人(76.9%)が5つ以上のオンラインプラットフォーム(ニュースなど)に登場した。最も利用されたSNSはTwitterで、37人(71.2%)が投稿していた。フォロワー数の中央値は6万7,400人(四分位範囲[IQR]:1万2,900~20万4,000人)。・誤情報は次の4カテゴリーに分類された:(1)ワクチンは安全ではない/効果がない、(2)マスクやソーシャルディスタンスはCOVID-19の感染リスクを減少させない、(3)臨床試験を終えていない/FDAの承認を受けていない薬剤を有効と主張する(イベルメクチン、ヒドロキシクロロキンなど)、(4)その他(国内外の政府や製薬企業に関連する陰謀論など)。・40人(76.9%)の医師は、4カテゴリーのうち1カテゴリー以上投稿していた。・カテゴリー別で投稿が多い順に、ワクチンに関する誤情報(42人、80.8%)、その他の誤情報(28人、53.8%)、薬剤に関する誤情報(27人、51.9%)。 本結果は、パンデミック中にさまざまな専門分野や地域の医師が誤情報の拡散という“インフォデミック”に加担したことを示唆している。研究チームが確認した限り、本研究はSNS上での医師によるCOVID-19誤情報の拡散に関する初めての研究だという。フェイクニュースを拡散することは、近年、医学の内外で利益を生む産業となっているという。医師による誤った情報の拡散に関連する潜在的な有害性の程度、これらの行動の動機、説明責任を向上するための法的・専門的手段を評価するために、さらなる研究が必要だと指摘している。※America's Frontline Doctorsは、遠隔医療サービスを実施し、主にCOVID-19に対するヒドロキシクロロキンとイベルメクチンを全国の患者に処方するために、1回の診察につき90ドルを請求し、少なくとも1,500万ドルの利益を得ている。このような団体は、パンデミックの公衆衛生上の危機、政治的分裂、社会的孤立という状況の中で、より声高に発言し、目立つようになっていた。

812.

心原性ショックを伴う急性心筋梗塞、VA-ECMOの有用性は?/NEJM

 心原性ショックを伴う急性心筋梗塞で早期血行再建を行う患者において、体外式生命維持装置(ECLS)とも呼ばれる静脈動脈-体外式膜型人工肺(VA-ECMO)を用いた治療は、薬物治療のみと比較し30日全死因死亡リスクを低下せず、むしろ中等度または重度の出血や治療を要する虚血性末梢血管疾患のリスクを高めることが示された。ドイツ・ライプチヒ大学のHolger Thiele氏らが、ドイツとスロベニアで行われた医師主導の多施設共同無作為化非盲検試験「ECLS-SHOCK試験」の結果を報告した。死亡に対するECLSの有効性に関するエビデンスはないにもかかわらず、梗塞関連心原性ショックの治療におけるECLSの使用が増加していた。NEJM誌オンライン版2023年8月26日号掲載の報告。主要アウトカムは30日全死因死亡 研究グループは、心原性ショックを伴う急性心筋梗塞で、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または冠動脈バイパス術(CABG)による早期の血行再建が予定されている18~80歳の患者を、ECLS+通常の薬物治療群(ECLS群)または通常の薬物治療のみの群(対照群)に、1対1の割合に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、30日全死因死亡、安全性評価項目は中等度または重度の出血(BARC出血基準のタイプ3~5)、脳卒中、外科的治療またはカテーテル治療を要する虚血性末梢血管疾患などで、intention-to-treat解析にて評価した。30日全死因死亡率はECLS群47.8% vs.対照群49.0%で有意差なし 2019年6月~2022年11月に、877例がスクリーニングを受け、420例が無作為に割り付けられた。このうち同意が得られなかった3例を除く417例(ECLS群209例、対照群208例)が解析対象となった。 30日全死因死亡は、ECLS群で209例中100例(47.8%)、対照群で208例中102例(49.0%)に認められ、相対リスクは0.98(95%信頼区間[CI]:0.80~1.19、p=0.81)で有意差は認められなかった。事前に規定したサブグループ解析および事後解析でも、同様の結果であった。 その他の副次アウトカムである機械的換気期間中央値は、ECLS群7日(四分位範囲[IQR]:4~12)、対照群5日(3~9)であった(群間差中央値:1日、95%CI:0~2)。 安全性については、中等度または重度の出血の発現率はECLS群23.4%、対照群9.6%(相対リスク:2.44、95%CI:1.50~3.95)、外科的治療またはカテーテル治療を要する虚血性末梢血管疾患はそれぞれ11.0%および3.8%(2.86、1.31~6.25)であった。

813.

CVD2次予防でのアスピリン、低所得国では不十分/JAMA

 アスピリンは、アテローム動脈硬化性心血管疾患(CVD)のイベントを減少させ、CVD既往例の死亡率を改善する効果的で安価な選択肢とされる。米国・セントルイス・ワシントン大学のSang Gune K. Yoo氏らは、CVDの2次予防においてアスピリンは世界的に十分に使用されておらず、とくに低所得国での使用が少ないことを明らかにした。研究の成果は、JAMA誌2023年8月22・29日合併号で報告された。51ヵ国の健康調査のデータを用いた横断研究 研究グループは、51の低・中・高所得国で2013~20年に実施された全国的な健康調査から収集した個々の参加者のデータを用いて横断研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成を受けた)。 参加者は年齢40~69歳の非妊娠成人で、対象となった健康調査には自己申告によるCVD既往歴とアスピリン使用に関するデータが含まれた。国別の1人当たりの所得水準、地域、個々の参加者の社会経済的な人口統計学データに基づき、自己申告によるCVDの2次予防におけるアスピリンの使用状況を評価した。 12万4,505人が解析に含まれた。年齢中央値は52歳(四分位範囲[IQR]:45~59)で、50.5%(IQR:49.9~51.1)が女性、53.4%(95%信頼区間[CI]:52.0~54.8)が農村部に居住していた。1万589人(8.2%)が自己申告によるCVDの既往歴を有していた。使用率は40.3%、WHO目標値を下回る CVD既往例における2次予防のためのアスピリン使用率は40.3%(95%CI:37.6~43.0)であった。 所得別の2次予防のためのアスピリン使用率は、低所得国(7ヵ国)が16.6%(95%CI:12.4~21.9)、低中所得国(23ヵ国)が24.5%(20.8~28.6)、高中所得国(14ヵ国)が51.1%(48.2~54.0)、高所得国(7ヵ国)は65.0%(59.1~70.4)だった。 CVDの2次予防におけるアスピリン使用率の世界保健機関(WHO)の目標値(適格者の50%以上)を満たした国は、ベラルーシ、チェコ、英国(評価はイングランドで行われた調査データに基づく)、イラン、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、トルクメニスタン、米国であった。 CVD既往例では、若年より高齢、女性より男性、低学歴より高学歴、農村部より都市部居住者でアスピリンの使用率が高く、これらの個々の特性(年齢別、性別、学歴別、居住地別)では、所得が高い国ほど使用率が高くなる傾向を認めた。低所得国と比較して高所得国では、年齢別、性別、学歴別、居住地別の2次予防のためのアスピリン使用率が、相対的には2~5倍に達し、絶対的には20~60%大きかった。 著者は、「CVDを含む非感染性疾患による早期死亡を減少させるという目標を達成するには、国の保健政策と保健システムが、エビデンスに基づくアスピリンの使用を促進する方法を開発し、これを実践し、結果を評価する必要がある」としている。

814.

不安で眠れない時はどうしたらいい?【医学生お悩み相談ラヂオ】第7回

動画解説第7回は、医学部6年生の女性からのお悩み。卒業試験が徐々に近づくにつれ、不安感が増して眠れなくなるとのこと。大学受験とはまた違った緊張感に苦しんでいる様子です。卒業試験、マッチングで失敗も成功も経験してきたえど先生のアドバイスには説得力があります。

815.

臓器がわかる3Dグラフィックス ORGAN ROOMS

医学専門出版社がつくったしっかり学べるアートブック本書は、イユダエマさん(2021年大阪芸術大学デザイン学科グラフィックデザインコース卒業)による卒業制作作品「ORGAN ROOMS」をもとに制作したアートブックです。本作品は9つの臓器をそれぞれの部屋に見立ててその働きをわかりやすく表現したもので、大阪芸術大学卒業制作選抜展で公開された段階でも、医学的にかなり調べこんで制作されたものでした。単行本化にあたり、アートのよさを残しつつ、医学専門出版社として、より正しくわかりやすい表現にできないかと検討を重ねるとともに、アートブックとしてだけでなく、読み物としても楽しめるよう、臓器にまつわる豆知識を盛り込んでいます。なお、幅広い読者層を想定し、全ページにわたり振り仮名をつけています。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    臓器がわかる3Dグラフィックス ORGAN ROOMS定価2,750円(税込)判型A4判頁数42頁発行2023年7月著者ORGAN ROOMS編集部(編・著)

817.

統合失調症患者の認知機能を含む症状に対するメトホルミンの影響~メタ解析

 統合失調症または統合失調感情障害患者の抗精神病薬誘発性メタボリックシンドローム(MetS)のマネジメントに対し、メトホルミンは優れた有効性を示す薬剤である。メトホルミンによる抗うつ効果や認知機能改善への影響も検討されているものの、これらの情報はシステマティックに評価されていなかった。イタリア・ミラノ大学のVera Battini氏らは、抗精神病薬治療中の統合失調症患者における認知機能およびその他の症状に対するメトホルミンの影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、統合失調症の認知機能やその他の症状に対し、メトホルミンのある程度の効果が確認された。メトホルミンの潜在的な薬理学的効果を明らかにするためには、適切な尺度を用いた長期にわたる研究が必要であるとしている。Frontiers in Psychiatry誌2023年7月12日号の報告。 2022年2月までに公表された、統合失調症および統合失調感情障害と診断された後、体重増加の治療のために抗精神病薬の追加療法としてメトホルミン治療を実施した患者を対象に、精神症状および認知機能の変化を評価したランダム化比較試験(RCT)をPubMed、ClinicalTrials.gov、Embase、PsycINFO、WHO ICTRPのデータベースより検索した。 主な結果は以下のとおり。・該当したRCT19件のうち、適格基準を満たした12件をメタ解析に含めた。・安定期統合失調症患者において、24週間のメトホルミン治療により、良好な傾向が認められた(標準化平均差:-0.40[95%信頼区間[CI]:-0.82~0.01]、オッズ比:0.5[-2.4~3.4])。・統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)および陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)による評価は、研究間の不均一性が低く、より良い影響が確認された。・1つの研究では、プラセボにおいてBACSの言語記憶サブドメインの好ましい変化が報告されていた(平均差:-16.3[95%CI:-23.65~8.42])。・最も報告された副作用は、胃腸障害、口腔乾燥症、錐体外路症状であった。・精神医学的有害事象、とくに統合失調症の再発に起因する症状も報告されていた。

818.

divarasib、既治療のKRAS G12C変異固形がんに有望/NEJM

 KRAS G12C変異陽性固形がんに対し、divarasibの単剤療法は持続的な臨床効果をもたらし、有害事象はほとんどがGrade2以下であった。カナダ・トロント大学のAdrian Sacher氏らが、12ヵ国35施設で実施された第I相試験「GO42144試験」の結果を報告した。divarasib(GDC-6036)は共有結合型KRAS G12C阻害薬で、in vitroにおいてソトラシブやadagrasibより高い効力と選択性を示すことが報告されていた。NEJM誌2023年8月24日号掲載の報告。非小細胞肺がん、大腸がん、その他の固形がんを対象に単剤療法の第I相試験を実施 研究グループは2020年7月29日〜2022年10月7日に、KRAS G12C変異を有する既治療の局所進行または転移を有する固形がん患者137例(非小細胞肺がん60例、大腸がん55例、その他の固形がん22例)に、divarasib 50~400mgを1日1回経口投与した。まず、50mgと100mgの単回用量漸増コホートに順次登録した後、3+3デザインを用いて200mgと400mgの用量漸増コホートに追加登録し、さらに400mgの用量拡大コホートに登録した。 試験の主要目的は安全性の評価であり、薬物動態、抗腫瘍効果、奏効および耐性のバイオマーカーについても評価した。忍容性は良好、奏効率は非小細胞肺がんで53%、大腸がんで29% 検討したいずれの用量(50mg、100mg、200mg、400mgを1日1回投与)においても、用量制限毒性および治療に関連した死亡は報告されなかった。 治療関連有害事象(TRAE)は127例(93%)に発現し、主な事象は悪心(74%)、下痢(61%)、嘔吐(58%)であった。Grade3のTRAEは15例(11%)に、Grade4は1例(1%)に発現した。TRAEにより19例(14%)で投与量が減量され、4例(3%)が投与を中止した。 抗腫瘍効果は、非小細胞肺がんで奏効率53.4%(95%信頼区間[CI]:39.9~66.7)、無増悪生存期間(PFS)中央値は13.1ヵ月(95%CI:8.8~推定不能)、大腸がん患者でそれぞれ29.1%(95%CI:17.6~42.9)、5.6ヵ月(95%CI:4.1~8.2)であった。その他の固形がん患者においても、奏効が観察された。 血中循環腫瘍DNAの経時的評価において、奏効に関連するKRAS G12C変異アレル頻度の低下が示され、divarasibに対する耐性に関与する可能性のあるゲノム変化が同定された。

819.

便通異常症診療ガイドライン2023―慢性下痢症

本邦初の慢性下痢症のガイドライン日本消化管学会編集による『便通異常症診療ガイドライン2023』の「慢性下痢症」編。Mindsの作成マニュアルに準拠し、臨床上の疑問をCQ(clinical question)、BQ(background question)、FRQ(future research question)に分けて解説。冒頭には診断・治療のためのフローチャートを掲載し、下痢症の定義・分類・診断基準から疫学、病態生理、診断検査、内科的治療について、最新知見を盛り込み、日常診療に必携の1冊となっている。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    便通異常症診療ガイドライン2023―慢性下痢症定価3,080円(税込)判型B5判頁数80頁発行2023年7月編集日本消化管学会電子版でご購入の場合はこちら

820.

手術見学で何も教えてもらえない【医学生お悩み相談ラヂオ】第6回

動画解説第6回は、医学部5年生の男性から。外科志望にもかかわらず、手術見学で縫合の練習しかさせてもらえないと、臨床実習に対する不安の声が届きました。多くの医学生や研修医の悩みに向き合ってきた民谷先生が、解決に導くある工夫を提案します。

検索結果 合計:5052件 表示位置:801 - 820