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Dr.清水のおいしい栄養療法

第1回 「栄養療法のスゴイところ!」第2回 「病院はガイコツだらけ!」第3回 「問診と身体診察でできる低栄養の評価」第4回 「アルブミンを使いこなそう!」第5回 「どうする?必要エネルギー量」第6回 「栄養の中身に気を配ろう!」第7回 「栄養の経路の考え方!」第8回 「栄養の経路の実例」第9回 「末梢静脈栄養の考え方(1)」第10回「末梢静脈栄養の考え方(2)」第11回「中心静脈栄養     メニューを決めるステップ」 このDVDは、これから「栄養療法をやってみよう」という方が入門編として気楽に学べる分かりやすい内容になっています。第1回「栄養療法のスゴイところ!」栄養療法は、低栄養の解消だけが目的ではありません。“褥瘡”や“MRSA”が治りやすい体を作ったり、NSTの活動により病院経営を増収させる、といった効果もあります。第1回では薬物療法とは違う、栄養療法の「スゴイところ」を紹介します。第2回「病院はガイコツだらけ!」たった一日の禁食がどれほど患者さんの体に影響するかご存知ですか?実は、太っていても低栄養になっている患者さんがいます。見た目だけでは判断しにくい低栄養。自分の担当患者さんを“隠れガイコツ”にしたくない方は、必見です。第3回「問診と身体診察でできる低栄養の評価」患者さんの栄養状態は、「誰でも、簡単に」評価できます。今日からできる、問診と身体診察での栄養状態の評価を紹介します。第4回「アルブミンを使いこなそう!」アルブミンを使いこなすと、栄養状態だけではなく、他の疾患を診断する力もつきます。「低アルブミンだけど低栄養ではない」という鑑別疾患を見分けるコツと、誤りがちな「アルブミンの落とし穴」を紹介。アルブミンを、徹底的に使いこなしましょう !第5回「どうする?必要エネルギー量」個々の患者さんに合った「一日分の必要エネルギー量」の算出方法を解説。最初は大変ですが、数をこなすうちに慣れてゆくので、まずは自分が担当している患者さんに実践してみましょう !第6回「栄養の中身に気を配ろう!」実は、ブドウ糖だけの点滴では、栄養補給は不十分です。ブドウ糖、つまり糖質だけの栄養だと、人体には何がおこるのか?どんな栄養を、どんな配分で患者さんに供給するのか?栄養の「中身」を組み立てる基本を解説します。第7回「栄養の経路の考え方!」ところで・・・「経口」「経鼻チューブ」「経腸チューブ」「末梢静脈(点滴)」・・・はたして、どの経路を選択することが、目の前の患者さんにとって最善なのでしょうか。患者さんの状態にあった経路選択の考え方と、目指すべき目標について解説。第8回「栄養の経路の実例」臨床現場では、さまざまな患者さんに栄養を投与していかなくてはいけません。「嘔吐や下痢がある患者さん」「脳梗塞で意識はないが胃は正常に活動している患者さん」等、具体的な5つの症例を元に、リスクを避けた的確な投与経路の選択の仕方を学びます。第9回「末梢静脈栄養の考え方(1)」病気が治った時すぐに退院できる“体”を作っておくためには、末梢静脈栄養をどのように組み立てたら良いのか。「考え方(1)」では、4つの構成要素のうち2つ、「糖質」「タンパク質(アミノ酸)」についてを、製剤名や投与量も含めて具体的に解説 !第10回「末梢静脈栄養の考え方(2)」脂肪乳剤を点滴しないと、たった2週間で大変なことに・・ ? 点滴による栄養補給、「考え方(2)」では、「脂質」「ビタミン」について。末梢静脈栄養を効果的に使って、患者さんを必須脂肪酸欠乏や乳酸アシドーシスから守るコツ、教えます ! 番組の最後に、清水先生はこの製剤をこの量で投与していますよ、という“メニュー例”があります。要チェック !第11回「中心静脈栄養 メニューを決めるステップ」どんな時に、中心静脈栄養に踏み切るの ? どのようにメニューを決めていくの ? さあ、考え方はもう勉強済みです。これまで学んできたことをもとに、中心静脈のメニューをつくってゆきましょう !

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出産後の復職への不安は? 女性医師から寄せられたコメントやエピソードを多数掲載

 いまや国家試験合格者の3割が女性である現在、妊娠中のフォロー、出産・子育て期間中の業務分担をどうするかは避けて通れない問題である。ケアネットが2012年12月19日~29日に、ケアネット・ドットコム会員の女性医師1,000人に行ったアンケート調査で、出産後の復職について尋ねた。 1月25日に発表した結果からは、制度の利用、上司・同僚の反応、仕事と家庭生活の両立、キャリア形成の壁など、いくつもジレンマを抱えていることが明らかになった。寄せられたコメントやエピソードも多数紹介している。 今後出産を考えている女性医師のうち、施設の別を問わず『短時間あるいは非常勤で復帰したい』と回答したのは約7割。一方、実際に出産した医師の経験で最も多い回答は『同じ施設にフルタイム勤務』で37.7%。『別の施設でのフルタイム勤務』(8.4%)と併せると約半数がフルタイムでの復帰という結果となった。50代以上では「時短勤務どころか育休すらなかったため」「妊娠中・授乳中も当直した」「夜間の呼び出しに子どもを連れて行った」といったエピソードが多く寄せられた。経験者のうち『時短・非常勤』を選択した医師は若い年代ほど増えるが、30~40代においても「フルで復帰するか退職かを迫られた」「上司の理解がなく、制度があっても使えなかった」といった声が多数みられた。 また、産後の生活を検討する際の不安材料について上位3つまで選択してもらったところ、経験者から最も多く挙がったのが『保育所・病児保育など施設の利用』で48.9%に上った。「自院の保育所は看護師しか利用できない」「自分が手術中に、発熱した子どもをすぐ迎えに来るよう保育所から連絡がきて途方にくれた」といったコメントが寄せられ、通常の保育所の確保に加え、病院勤務にもかかわらず病児保育探しに奔走していることを嘆く声が多く挙がった。一方、「子どもはペットではない、長時間預けっぱなしにできれば解決する問題ではなく、医師全体での勤務時間短縮が必要」といった意見も寄せられた。 今回のアンケートに寄せられたコメントやエピソードは、こちらに掲載している。「女性医師1,000人に聞きました!出産後の復職どうする?復帰にあたっての不安材料は」

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医療の価値とは何か、本当の競争とは何かを考える3時間!

11月10日(土)東京女子医科大学・河田町キャンパスにおいて山本雄士氏(株式会社ミナケア 代表取締役)主催による「山本雄士ゼミ」の第7回(後期第2回)が開催された。前半では、山本氏が邦訳を行った『医療戦略の本質』(日経BP社)を題材としてディスカッションを行い、後半ではケーススタディとして「西ドイツ頭痛センター」(『The West German Headache Center: Integrated Migraine Care』)のケースを題材にディスカッションを行った。山本雄士ゼミは、ハーバード・ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得した山本氏をファシリテーターに迎え、ケーススタディを題材に医療の問題点や今後の取組みをディスカッションによって学んでいく毎月1回開催のゼミである。医療の価値とは何か?イントロダクションとして山本氏が、『医療の本質』の内容について概要を説明した。「現在は医療サービスが分断され、医療提供者側の論理だけで行われている。競争といっても同じ設備や同じ考え方では、競争が起ることは難しい」と説明した後、再度医療保険の三面構造(患者・支払側・提供者の関係)を詳しく解説、日本の国民皆保険だけでなく、海外の医療保険制度もレクチャーした上で、次の問題提起を行った。「あなたが、医療保険会社の社長だとして、収益を増やすために何をするか?」との山本氏からの問いかけに対し、ゼミ生からは次の様な回答が寄せられた。・近い将来疾病リスクのある人の除外(保険に加入させない)・支払いの項目の適正化(一定の上限や免責疾病事項を設ける)・病院の機能分化促進(病院へのアクセスの見直し)・医療サービスの単価の見直し(検査、手術の適正化)・保険料を上げる・加入者を増やすこれらの回答を踏まえた上で医療コストパフォーマンスの点に注目し、現在、医療経営や医療経済の世界に「HEOR(医療経済評価)」などの医療のアウトカムも含めた評価の実施しようという動きがある。アメリカでいうと、「現在は患者側と支払側で医療コストの押し付け合いの状況が続いていて、本当の意味での医療の価値を向上させる競争が起っていない(経済的な競争のみ)。本当の医療の価値すなわち、『コストあたりの健康上の成果』をきちんと訴求していくことが大事と本書では述べている」と解説した。「今後は、患者、提供側、支払い側の三者が意識変革をし、本当の意味での医療の価値での競争を考え、実行していくことが大切」と山本氏が述べ前半を終了した。ドイツ型改革を学ぶ!ケーススタディとして「西ドイツ頭痛センター」(『The West German Headache Center: Integrated Migraine Care』)を題材に、主に病院(提供者)と保険(支払い側)の関係について、ディスカッションを行った。「西ドイツ頭痛センター」(以下「WGHC」と略す)は、ドイツの医療保険制度改革を受けて、慢性疾患管理サービスを目的に生まれた医療施設である。WGHCは、エッセン大学付属病院の敷地内にあり、頭痛患者が必要とするサービス全般を提供している。頭痛に関する教育、入院、診療、慢性期のフォローなどの一連の流れを医師、看護師、理学療法士が診療チームとして提供する仕組みがあり、診療を受けた患者の約9割が診療に満足を示し、診療面では成功をしている。医療経営的には、当初1社のみの健康保険会社の保険料で採算割れだったが、後に複数の健康保険会社と契約を結ぶようになり改善傾向にある。はじめに山本氏より「WGHCの良い点・悪い点は何か?」という質問から始まり,現状を把握した上で,「頭痛診療は収益を生んでいるか?」と病院のシステムや収益に関しても,深く分析していった。次にドイツの大胆な医療保険改革について、被保険者、保険者、提供者の三面構造で考察。山本氏より「なぜ保険者や提供者は、他と差別化しないと生き残れないのか?」という問題に対し、ゼミ生からは、「良い競争が生れるから」や「被保険者より低コストで、良質なケアの提供が求められるから」などの回答がなされた。ここで山本氏のミニレクチャーとなり、「保険社間で競争が起これば(いい提供者を選ぶようになる)、被保険者は安くて良質なケアができる医療機関を選ぶようになり、医療の提供側も保険会社へのアピールのために、より質の高い医療を提供するようになる」という構造を押さえておく必要があると話した。ドイツでは、被保険者が自由に保険会社を選択できるようになった。その結果、被保険者がコストの低い医療ばかりを求め、保険者が支払いに疲弊し、これが原因で医療の質が低下しないように最小限の規制として保険料率の均てん化や保険会社への徴収強化や利益の再配分などの安全装置の施策が行われていると説明した。最後に、山本氏がまとめとして糖尿病患者を例にわが国の問題点を説明。日本の民間保険会社は、「病識のない患者予備軍」を将来の支払いコスト上昇を抑えるために、保険の加入には慎重な審査を課している。今後、「こうした患者群をどのように考え、公的私的保険を問わず加入させるのか、国民健康保険との開発も急がれる」と示唆を行い、ゼミを終えた。

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メディケアプランの5つ星評価、加入動機に反映されているのか?/JAMA

 米国のメディケア・メディケイドサービスセンターは、Medicare Advantage(民間保険会社がサービスを代行運営するプラン、通称:メディケアパートC)加入の判断指標とするために、5つ星評価プログラムを実施している。これまで同評価が加入者の判断指標として反映されているのかは調べられていなかったことから、同センターのRachel O. Reid氏らが調査を行った。JAMA誌2013年1月16日号掲載より。2011年の5つ星評価と加入者動向との関連を調査 Reid氏らが調査したのは、2011年にMAPD(Medicare Advantageと処方給付保険のメディケアパートDの統合)に関して行った5つ星評価の結果と加入との関連についてであった。 5つ星評価は、Healthcare Effectiveness Data、Information Set quality measures、Consumer Assessment of Healthcare Providers、Systems surveys、the Health of Seniors surveyなどのデータを組み込んで行われており、2011年のMAPD評価は2.5~5星にわたったという。 本研究では、それら5つ星評価と加入者(新規加入95万2,352人とプラン切り換え加入者32万2,699人)との関連について検討された。分析は、条件付き(加入者・プラン特性を調整)ロジット回帰モデルで分析にて行われた。星が上がることに、また最高評価が付いているものを選択している傾向がみられる 結果、新規加入者では、星が1ランクあがることに、加入傾向は9.5ポイント(95%信頼区間:9.3~9.6)上昇する傾向が認められた。最高評価が付いているサービスについては、1.9ポイント(同:1.8~2.1)上昇する傾向がみられた。 プラン切り換え加入者では、星が1ランクあがることに、加入傾向は4.4ポイント(同:4.2~4.7)上昇する傾向が認められた。以前の加入プランよりも高い評価が付いているプランへの加入の傾向は6.3ポイント(同:6.0~6.6)の上昇がみられた。 星の評価との関連は、黒人、地方在住、低収入、年齢階層で最も若いという加入者特性では、それほど強くなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「5つ星評価と加入決定との関連はポジティブであることが認められた」と結論している。

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女性医師1,000人に聞きました!出産後の復職どうする?復帰にあたっての不安材料は

先生の勤務先には、出産後に職場復帰された女性の先生はいらっしゃいますか?あるいは先生ご自身がまさに子育て真っ最中でしょうか。いまや国家試験合格者の3割が女性である現在、妊娠中のフォロー、出産・子育て期間中の業務分担をどうするかは避けて通れない問題です。今回は女性医師1,000人に、出産後の復職についてどのように考えるか、経験者の方へは経験談をお尋ねしました。制度の利用、上司・同僚の反応、仕事と家庭生活の両立、キャリア形成の壁などいくつもジレンマを抱えていることが明らかに…セキララコメントも必見です!コメントはこちら結果概要約7割の女性医師が時短・非常勤の勤務を望むが、経験者の半数近くがフルタイムで復帰今後出産を考えている女性医師のうち、施設の別を問わず『短時間あるいは非常勤で復帰したい』と回答したのは約7割。一方、実際に出産した医師の経験で最も多い回答は『同じ施設にフルタイム勤務』で37.7%。『別の施設でのフルタイム勤務』(8.4%)と併せると約半数がフルでの復帰という結果となった。50代以上では「時短勤務どころか育休すらなかったため」「妊娠中・授乳中も当直した」「夜間の呼び出しに子どもを連れて行った」といったエピソードが多く寄せられた。経験者のうち『時短・非常勤』を選択した医師は若い年代ほど増えるが、30~40代においても「フルで復帰するか退職かを迫られた」「上司の理解がなく、制度があっても使えなかった」といった声が多数見られた。いちばんの不安材料は『子どもを預ける施設』、病院に勤務しながら病児保育探しに奔走産後の生活を検討する際の不安材料について上位3つまで選択してもらったところ、経験者から最も多く挙がったのが『保育所・病児保育など施設の利用』で48.9%に上った。「自院の保育所は看護師しか利用できない」「自分が手術中に、発熱した子どもをすぐ迎えに来るよう保育所から連絡がきて途方にくれた」といったコメントが寄せられ、通常の保育所の確保に加え、病院勤務にも関わらず病児保育探しに奔走していることを嘆く声が多く挙がった。一方「子どもはペットではない、長時間預けっぱなしにできれば解決する問題ではなく、医師全体での勤務時間短縮が必要」といった意見も寄せられた。同僚の厳しい視線、精神的に耐えかねて退職・転職も産後の復帰形態を大きく左右する要因として、“上司・同僚の理解”を挙げる声が多く寄せられた。「施設の制度が整っていても、『所属科の前例がない』と言われる」「産後の当直免除について男性医師から『オレにも子どもはいる』などと反対された」などのほか、子どものいない女性医師の視線がいちばん厳しいといった意見もあった。周囲の冷遇に加えて、同僚の負担が増えることへの申し訳なさから退職を選んだとする回答も。子どものいる女性医師だけの問題ではなく、医師全体が過重労働であることの改善が必要との声も挙がった。家族の協力の有無に大きく左右される復帰形態特にフルタイム勤務の継続に関し、家族(特に実母)の育児協力の有無が大きいとした意見が多かった。実家から遠いその他の理由で協力が得られない状況の場合、時短・非常勤勤務を選ばざるを得ない医師が多いこともコメントからうかがえる。一方、「子どもはほとんど母が育てたようなもので、それでよかったのか疑問」といった声も。また夫も医師という場合は特に家事・育児への協力が得られない場合が多く、「夜中に患者が急変し、寝ている子どもをおいて出かけざるを得ず、綱渡りのような生活」など、周囲の環境と子ども、自分の心身のバランスに疲弊する日々を“綱渡り”と表現する医師も複数見られた。描いていた将来像に必要な知識・経験の不足から、やむなくキャリア転換も今後出産したいとする医師の最大の不安点として、『現場感覚の薄れ』『技術・知識の遅れ』が挙げられた。実際に経験者からは、「勉強や学会参加など自己研鑽に充てられる時間が大幅に減った」「病棟を担当できず知識・経験を蓄積できないため専門医取得ができないまま」、その他、本来の専門をあきらめ転科あるいは産業医や公衆衛生関係などに転向したというケースも寄せられた。設問詳細女性医師の出産後の復職についてお尋ねします。12月3日の長崎新聞によると『厚生労働省の2010年の調査によると、医師は全国に約29万5千人おり、そのうち女性は18.9%の約5万6千人。県内でも医師4062人のうち、15.3%の621人が女性で、1996年の327人からほぼ倍増した。20年後には医師の4人に1人が女性になるのではないかともみられている。しかし、医師不足などを背景に産休や育児休暇を取りにくいなど、職場環境が整備されていないために妊娠、出産を機に辞めてしまうケースもある。女性医師が増える中でそうした課題を放置しておくことは、医療崩壊を招く原因にもなるという(略)』とのこと。そこで先生にお尋ねします。Q1.ご自身について当てはまるものをお選び下さい。1.配偶者あり、子どもあり2.配偶者あり、子どもなし3.配偶者なし、子どもあり4.配偶者なし、子どもなしQ2.出産後数年間について、どういった働き方を選びたいですか?出産された方は当時の選択に近いものをお答え下さい。1.出産前と同じ施設にフルタイム勤務2.出産前と同じ施設に短時間あるいは非常勤で勤務3.一度退職し、別の施設でフルタイム勤務4.一度退職し、別の施設で短時間あるいは非常勤で勤務5.退職し、医師としての仕事はしない6.子どもをもうけるつもりはない7.その他(Q2で「子どもをもうけるつもりはない」を選択した方以外)Q3.出産後の生活をどうするか検討するにあたり、特に不安に感じることはありますか?出産された方はその当時の考えをお選び下さい(3つまで選択可) 1.医療技術・知識が遅れること 2.臨床現場の感覚が薄れること 3.勤務施設内で、短時間・非常勤勤務などの仕組みが整備されていないこと 4.勤務施設内で、先輩女性医師の実例があまりないこと 5.職場の同僚・上司の、理解・協力が得られるかどうか 6.託児所・保育所・病児保育など子どもを預ける施設の利用について 7.専門医など資格取得について 8.診療科選択、留学の有無などキャリア形成について 9.自分の働き方に対する、夫・家族との考えの違い10.仕事と家庭生活との両立について11.特にない12.その他Q4.コメントをお願いします(Q2.3の選択に関して思うこと、周囲の方を含め具体的なエピソード、出産された方は想像していたことと現実とのギャップ、施設や社会に望むことなどどういったことでも結構です)2012年12月19日(木)~29日(金)実施有効回答数1,000件調査対象CareNet.com会員の女性医師コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)【子どものいる医師】「託児所等は子供が病気になったとき預かってくれません。医療施設に勤めているのだから、そうなった時のサポートを配慮してくれたらいいのにと思いました。」(40代,内科,その他)「男性医師の感覚では、最も理解のある方々でさえ、子供を長時間預かる施設や病児保育所さえ開設すればよいと考える人が多いですが、子供はペットではないので勤務時間の短縮は不可欠。また、そして勤務時間短縮によってまず諦めなければいけないのは学会活動や研究、自己研鑽の時間となります。今の状況で子育て中の医師がバランスのよいキャリアを築くことはほぼ絶望的です。」(50代,麻酔科,一般病院)「17年前に第1子を出産。先輩女医の実例がほとんどなく、妊娠判明と同時に退職、医局に戻らされる状態でした。医局でも特に仕事に対する義務や強制はなく、自然と仕事の割合が減り家庭に入っていくという状態でした。しかしそれが前例となり、どんどん後輩達も出産後は当直なし・パートと負の連鎖となり、むしろ医局崩壊の一原因になったように思います。組織としての女医の未来のビジョンがあったらと思います。」(40代,小児科,一般病院)「医師としてキャリアを積むには病棟管理は必要。となると緊急呼び出しにも対応せざるを得ないが、子供が小さいうちは、夜間でもいつでも頼める人がいないと難しい。年老いた母に気軽に毎回お願いするのも気が引ける。信頼できる第三者にはなかなか巡り会えず、結局自分が非常勤でみている。外来だけで専門医の知識・経験の蓄積は難しいです。本当はフルタイム勤務したい。家事育児のサポートが必要。」(40代,腎臓内科,一般病院)「出産は女性にしかできないが、育児、家事は男性でもできる。男性の家事育児への積極的な参加が必要と思われる。男性は参加しているつもりでも、女性にしてみればまだ不十分と思うことはたくさんある。育児についての支援は、女性ばかりでなく、男性にも反映されるものである。」(40代,内科,一般病院)「出産前後で勤務先を変えるかどうかは出産前の勤務先が短時間勤務でも可能か、自宅から通いやすいか、職場での理解が得られるかなど、様々なことに影響されると思います。実際に産後、復帰に向けて勤務先と調整をしていく中では、事前に話し合っていた条件と少しずつずれる場合もあり、育児をしながらの復帰についてはまだまだ理解が得られにくいと感じています。保育園は長時間預かってもらえますが、小学校は下校が早い日も多く、仕事と育児の両立がより難しい。地域によって、学童保育の終了時間も様々なようです。」(20代,精神・神経科,一般病院)「勉強をする時間がない、病棟を持ちづらくなる、家事の負担は大きくのしかかる、加えて、とくに教育機関病院の場合診療時間を超えた仕事(研究会発表、学生の勧誘、指導など)ができないことで、年齢を重ねフルタイムで働いていても立場は研修医と同じ、それが現実です。」(40代,血液内科,大学病院)「祖父母の応援がない、子供が病気がちなど、どうしても突発での休み・早退が避けられないことがあります。特に医師は男性的社会なので育児に関して理解のない人が多い。『男性社会』でなく『男性的社会』というのは女性医師であっても理解のない人が数多くいることを指します。意識改革をしなければ働きにくい職場が減らず、復職しない又はフルタイムで働かない女性医師が増え、医師不足はどんどん加速すると思います。」(40代,放射線科,一般病院)「当時は院内保育所はあっても女医は利用できず、看護師さんのためだけのものでした。病院から一番近い保育所に預けましたが、手術中に保育所から電話がかかり、子供が発熱したのですぐに迎えに来て欲しいと言われ途方にくれたことがありました。「あと3時間何とかみていて欲しい、責任は自分が取るから」とお願いしたことが忘れられません。結局5時間後となり、保母さんたちから白い目で見られ針の筵のように感じました。病児保育がなかったことが一番つらいことでした」(50代,皮膚科,一般病院)「院内保育に預け、時短で勤務しています。時短ゆえ主治医免除なのですが、主治医制なので、担当がなく手持ち無沙汰なことも。周りは担当患者の仕事で忙しくしている中、どう観られているのだろうと気になります。手術も第2助手程度で、後輩たちが助手や執刀医として手術するのに焦りを感じます。かといって、主治医になって、こどもがインフルエンザにでもかかろうものなら遅刻、早退となりかねず・・・キャリアは頑張ればいつでも積めるが、子育ては今しかできない、そう言い聞かせて毎日仕事に向かっています。朝6時から夜11時、12時まで仕事をしているときにはつらいと思ったことはありませんが、今の勤務の方が精神的につらい。意外でした」(30代,産婦人科,大学病院)「勤務先は女性に優しい職場で、出産後は復帰を考えていました。 が、つわり時に半休を月1-2回取った時点で、”今後絶対に休まないという100%の保証ができないなら、年度末に辞めてもらう”と言われました。結局、妊婦検診のときの代診も他科Drに頼んで、必死で産休までつなげて職場を去ることになりました。産前、産後に使える制度があっても上司、同僚がそれを認めなければ何の意味もないと思いました。」(40代,腎臓内科,その他)「近くに頼れる親類がいないため、子供の急な病気の時や休日出勤、出張などで困る。自分はバリバリ働くタイプだと思っていたが、子供の病気の際などは置いて出たり病児保育に預けるのもはばかられ、結局比較的自由のきく研究職にとどまっています。一番仕事のできる30代をこのように過ごしてしまい、今後自分が医師としてどうやって生きていけばいいのかわからなくなることが多い。」(40代,消化器科,その他)「子供は急に病気をします。事前に急病時の体制を依頼し事務長も了解との事でしたが、実際は『代替えの医師はいない』と言われ困った記憶があります。診療所出向時は、3歳児と一緒に出勤した事があります」(50代,内科,一般病院)「子育てというと『3歳あるいは就学まで』ととらえられがちですが、子供の成長を見守る上では少なくとも大学入学までは親の目(見守り)が必要。子供一人あたり約20年間という長い目での支援が望まれます。具体的には小学生・中学生をひとり置いて、宿泊を伴う学会参加はかなりの困難が伴います。 未就学児であれば学会で託児が可能ですが、小学生以上はそれもありません。いざという時に子供を夜間、安心して任せられるサービスがあればと思います。保育園・学校・職場・学会活動、いつも「すみません」と謝ってばかりでちょっと疲れます。(心の中では「悪いことをしている訳ではないのに…」と独り言を言っていますが)」(50代,神経内科,一般病院)「どんな形でも働き続けていれば、いつかは貴重な戦力となりうる。子育ても社会貢献であり、プライベートなこととして切り捨てない社会であってほしい。子育ての経験は、患者に共感できる医師になるために大切」(50代,内科,診療所)「法的に産休があっても、教師の産休用員のような補填システムがないため同僚に多大な迷惑をかけることになり、精神的に非常につらい。また産休は6週(今は8週)しかないが、0歳児を預かる認可保育所でも4月時点で6カ月になっていなければ入れず、無認可保育所で浪人しなければならない。そういう制度の矛盾が障壁」(60代以上,内科,その他)「産休以外は働いてきました。子守りは両方の親に助けてもらいながら、2人目の出産後は夫の実家に同居。当時は出産した女性Drが復帰すること自体珍しく、出産前後の当直を免除する規定さえ院内にはありませんでした。妊娠4カ月目で当直の夜中にDOAがきて心マッサージをしながら病棟に挙げ、その後お腹が張って具合が悪くなり、やっと診療部長に当直免除を申し出たことを覚えています。今はだいぶん環境が整備されてきましたが、女性側から妊娠出産に関連する要望を主張しにくい雰囲気は続いていると感じます。また現在の女性医師復帰援助の流れ自体、『医師が不足しているから』であって、女性医師の生涯の負担の大きさについて本当に理解し改善しようとしているわけではないのではと皮肉に考えてしまいます。」(50代,神経内科,一般病院)「復帰に向けての研修制度のようなものがあれば利用したかった。フルタイム=朝から夜まで(残業有)の勤務・病棟主治医(休日回診、呼び出し有)と、パート=時短・外来のみの格差がありすぎ。もっと負担を軽減しながらも臨床の仕事が可能な制度の確立が必要と感じる。」(30代,消化器科,一般病院)「周囲の環境整備もとても大切ですが、一番大事なのは、子育てを楽しみながら、医者として第一線でよい仕事がしたいという高いモチベーションだと自分の経験上、確信しています。」(60代以上,眼科,大学病院)「専門医取得準備期間中に産休になりました。年齢的にも女性は専門医取得と出産は重なりやすいと思う。認定機関に連絡したところ、『産前6週、産前8週以上休むと専門医取得要件を満たさないため1年遅れになる』とのこと。産後8週の時点でまだ帝王切開の傷が痛んだし、歩くだけで痔になる状態での復帰をしましたが、産前産後の体調は全員が良好とは限らない。母乳も出ていたのにあきらめました。専門医を同級生が取っていく中で自分だけ遅れたくないとの思いで頑張りましたが、産休期間の取り扱いについてもう少し選択肢の幅を持たせてほしい」(30代,泌尿器科,一般病院)「女性医師は転地・休職・復職を余儀なくされがちである。その是非はさておき、キャリアが途切れがちであるからこそ資格取得は必須と考えられます。産休中の自宅学習についてプランニング・指導など厚生労働省が主導となりe-learning,各大学、大学院との連携モデルを確立していただきたい。男性の育児休業取得に繋がるよう確固なシステム構築をお願いしたい。医師はその人口問題に介入すべき職種と考える」(50代,内科,一般病院)「周囲におられる年配の女医は家政婦を雇って開業医を続けている人が多く、比較的若い女医さんは実家のお母様が同居され手助けをうけつつ勤務医を続けている人が多いように思います。逆に親のサポートがない女医さんは、子供を保育園に預けて勤務時間を短くされています。常勤で勤務しようと思ったら両親(特に実母)のサポートが不可欠のように思います。」(40代,耳鼻咽喉科,診療所)「育児と大学でのキャリアの両立を目指している。第1子出産時は産休のみの取得で復帰したが、キャリア上に受けた不利益を思い出すとなかなか第2子妊娠に踏み切れない。」(30代,神経内科,大学病院)「優秀でかつ人間的にも申し分ない女医の知人の多くが子どもをあきらめている。 こうした女性が子供を産まないことは社会にとって損失だと思う。」(40代,眼科,大学病院)「今は良い時代になったと思います。私はこどもと一緒に当直もしましたし、重症の患児がいるときは自分のこどもと小児科病棟で寝泊まりもしました。病児保育も未だそれほどなかった。核家族で、夫が産婦人科医で、私がフルタイムで働くことは無理で、2人目から非常勤に。ロールモデルもいなかったし、なにより孤独でした。」(40代,小児科,一般病院)「周囲の人々の協力なくしては、女性医師が仕事を続けていくことは不可能。保育園、自分の親、兄弟、知人、近所のおばちゃんなど、子育てに総動員。悩む時間すらもなかった、あのころが懐かしいなあ・・・」(50代,整形外科,診療所)「勤務医では周囲の理解が得られず、結局開業医をえらびました。」(40代,内科,診療所)「Q3は全部選びたいぐらいでしたが、上位3つにしました。 医師は“卒後○年目”で見られるので、年数だけ経ってしまい、復職した際の研修・指導が十分ではないのでは、などの不安があります。 医局などでの位置も産前より低いところに置かれているように感じます」(30代,代謝・内分泌科,一般病院)「しばらくは義母に子どもを預けて当直もしていましたが、どうしても帰宅時間が遅くて家事ができなくなり、当直なしの外来のみの個人病院へうつりました。そこで数年間働きましたが、自分の専門の患者さんを診る機会がなくなって技術も知識も古くなってしまいました。もう本来の専門分野の一線では働けないとあきらめています。」(50代,小児科,その他)「いわゆる「昇進」は遅れましたが、出産後研究生活で学位取得、専門領域での研究、学会発表等、得るものはたくさんありました。ただ、専門外来で予約制でしたので、子供が具合悪くても休めず、朝早く実家の母に1時間半かけて出てきてもらうことがあり「自分の子供は診られないの」と言われたのが、辛く、申し訳なかったです。」(50代,内科,診療所)「医師になるまでに、多くの税金や学費が使われている。女医は、出産育児などある一定の時期は、仕事をペースダウンせざるをえない。しかし、どのようなかたちであれ仕事を継続しやめないことが、社会への還元として重要と考える。そういう覚悟をもって、現在、育児と仕事を継続している。」(40代,耳鼻咽喉科,大学病院)「勤務先に病児保育室が併設されているのでとても便利です。保育園も勤務先から徒歩数分圏内。 発熱などで、園から連絡があったら、10分だけ仕事を中断し迎えに行き、そのまま病児保育室へ入れてます。恵まれた環境だと思います。育児が落ちつく数年間はお給料の安さや仕事の内容関係なく、今の環境で仕事する予定」(30代,小児科,一般病院)「当時は、フルタイムでの勤務でしたが、当直や病棟から外れて、外来、検査を中心とした仕事内容にかわりました。 周囲に女性医師が多く、経験した先輩に相談しながら、仕事を続けました。検査(心エコー)を中心に仕事をしましたが、のちにその仕事から、留学や論文に結び付き、帰国後の就職にも心エコーを中心の仕事に就くことができました。 出産を機に自分のできることが新たに見つかることもあるのだと思います。 若い先生にも、希望を持って仕事を続けていただきたいです。」(40代,循環器科,診療所)「就学前までは保育所やシッターサービス等、子供が病気の時や時間外、休日など保育をサポートしてくれる方法が複数ありました。むしろ小学校に入学し、1人で過ごさせるのが心配な1,2年生の頃、学童になじめなかったり、学童自体がなかったりして短時間勤務や休職を余儀なくされるケースが散見されました。低学年児童を抱えるワーキングマザーを支える方策(ワークシェアリングなど)がもう少しあった方がよいと思います。」(40代,産業医,その他)「私の働いている病院はとても制度も文化も恵まれていて、出産後、産休、育休をとって、娘が1歳から家庭医療の後期研修をスムーズにスタートし、育休中も給与はある程度保障されていましたし、働き始めても、こどもの急な病気などでの急な欠勤なども問題なく過ごすことができています。今後第2子も考えていますが、後期研修も途中で途切れても継続できる仕組みになっています」(20代,総合診療科,一般病院)「まだ勉強したいことも多いのにドロップアウトしそうで怖かった。大学院+パート勤務で復帰したが、子供の体調変化等で穴をあけがちで、気持ちと現実のギャップを感じました。周囲も忙しいし、身近に頼れる環境もなく皆さんに迷惑をかけた」(40代,内科,診療所)「看護師からの見えない意地悪に翻弄させられましたが、自分が先陣をきっているので、後輩たちが仕事をしやすいよう頑張り続けました。男性医師の三倍は仕事をしました。ひたすら根性です。子供の寝顔で救われました。」(50代,精神・神経科,一般病院)「出産まではほかの先生達とも問題なく仕事をしており、第1子出産後職場に復帰したところひどいいじめにあい、退職しました。その後もっと責任を持って働きたいのですが、近くの病院に適切な病院がなく、つらい思いをしています。子供をもつと他の医師と全く同じように働くことは不可能であり、 病院として枠組みをきちんと整備されていない現在、自分のような医師が多数いると思う」(30代,皮膚科,一般病院)「『夫も医師で経済的にも困っていないのにどうしてそんなに頑張るの?』と聞かれると心が折れそうになります。身近な友人や親戚から『子供がかわいそう』とか『しつけや教育が行き届かないのでは』と無神経な言葉を投げかけられることも。 そんな中、上司や同僚の励まし、夫の就業に前向きな姿勢に助けられています。」(30代,麻酔科,一般病院)「第2子出産後、仕事育児に関しての夫との考えの違いが広がった。第3子の妊娠中、育児と仕事に頑張りすぎ肉体的精神的無理がたたり、死産となった。この子の死をきっかけに夫と子育てについての歩み寄りができた。」(50代,小児科,一般病院)「実は、女性同士のほうがつめたい」(40代,腎臓内科,大学病院)「意外だったのは、独身女性の同僚や子育て経験のある15~20年上の女性医師の視線が1番厳しいこと。もっとも理解があるのは、同じ境遇か子育て世代の男性医師(特に奥様が女医の家庭)。」(20代,麻酔科,大学病院)「職場では、当時出産した女医はほとんどいなくて、こどもが1歳過ぎたら当直は当然という風潮がありました。が、こどもによって、母がいなくても夜寝られるかどうかは全く違い、私の場合は全く不可能でした。1年~小学校低学年の現在まで、当直でなく日直に振り替えてやらせてもらい、フルタイムの勤務を続けることができています。必要に応じて選択できるとありがたいです。 発熱時は、幸い主人の職場に病児保育があったので、外来に穴を開けずに済みましたが、働き続けるには、病児保育は必須と思います。」(40代,血液内科,一般病院)「出産前は大学病院に医員で勤めていました。出産時は当然のように一旦退職し、1年後に復帰しました。看護師は産休、育休などがきちんとあるのに、医師はやめてもらわなければ補充できないとのこと。すこし不満に感じました。」(40代,内科,一般病院)「大学院で研究をする・・という選択は時間的や精神的には非常に居心地がよかった。研究のペースを子供の病気などで都合することができたし、臨床に多忙を極める同僚にもあまりあてにされずに楽だったように思う。ただし、経済的な部分や臨床のスキルはどうしてもペースダウンしたが、その後非常勤として戻り、リハビリすることができた。」(40代,麻酔科,その他)「周囲は『働くのであれば前と同様に』って感じ。当直や緊急の呼び出しは無理なので、結局仕事をあきらめざるを得ない状況。健康診断ばかりで専門的な知識を活かす場所がない。周囲は別に頑張らなくてもいいんじゃないかという雰囲気。働きたいのに。」(40代,血液内科,一般病院)「短時間、非常勤のシステムがなく、自分のできないことをほかの医師に押し付けてしまう(当直、入院の受け持ち、救急など)ことに罪悪感を感じ、職場をやめた。」(40代,その他,その他)「大学病院勤務だが、附属の保育園が看護師しか利用できない。医師、検査技師、放射線技師、栄養士、医療事務など多数の女性職員がいるのに全く理解できない。一番困るのが病児保育や病後児保育の手配。せっかく病院が隣にあり、小児科も充実しているのだから是非とも院内保育園で病児保育を導入してほしい。」(30代,神経内科,大学病院)「多様な就労形態を許容するシステム作りが必要.例えば当直は一切しないが昼間はOK,という人と,当直も昼間の勤務もするという人との基本給が全く同じでは不公平感が生ずる可能性がある.基本給が同じで当直手当を手厚くするなど工夫が必要. 出産後の女性医師側も,日和らないでまずはフルで戻ることを考え,何が障害なのか,何ができないのかを考えて,戻るためにはどういう配慮が必要なのかを申し出るべき.最近は,出産したらフルで働きたくないから非常勤,という後ろ向きな人がいて不愉快かつ残念. 復帰は早い方がいい.時短でもいいから早く復帰する.育休が長い方がいいということは絶対ない.」(40代,産婦人科,大学病院)「いかに意識を維持するかが大切で、家族の考えも大きい。医師を妻にするという意義を良く考えていただきたいと思います。男性にも責任があります。」(50代,呼吸器科,大学病院)「働く母親にとっては自分の母親(もしくは実家)がしっかりとサポートしてくれている場合は比較的キャリアも子育ても安定しているケースが多いと思います。そうでなければ(自分含む)、自分が3役こなさなければならず、フルの仕事は厳しい。特に夫も医師で多忙である場合は余計困難 」(40代,腎臓内科,一般病院)「来年度から復職予定ですが、働き先は大学病院しかないと言われました。通勤にかなり時間がかかるため一歳の子供を一日12時間も保育園に預けることになり、心が痛みます。」(30代,代謝・内分泌科,大学病院)「上司が理解のある人で、その方のおかげで続けてこられたようなものだったと思う。今と比べ保育所も少なく、綱渡りのような生活だったが、続けてきてよかった。若い先生にも、短縮勤務でもいいから続けて欲しいと思うし、そのための助力としたいと願っています。医師会でも相談窓口を作っているので、困ったときには相談してみてください。医師会に加入していなくても構いません。」(50代,耳鼻咽喉科,その他)「実母と姑の全面的な応援により、仕事をすることができました。つらいことは沢山ありましたが、こどもは母が必死に仕事していたことをきちんと理解していました。 ただ、私のようなつらい思いは、娘や嫁にはさせたくありません。」(50代,耳鼻咽喉科,その他)「勤めていた施設に託児所がなく、別の病院に転勤しました。そこで二人目も出産しましたが、同僚の先生方が協力してくださるので、非常に快適に仕事を続けられました。職場の人間関係と院内保育園この二つが大事だと感じます」(40代,小児科,一般病院)「第1子妊娠時に痛烈な嫌味を言う上司がおり、大学では産後復帰は無理だなと思いました。復帰はアルバイトに行っていた先(保育所あり)の外来時短勤務を直接交渉してお願いしました。第2子出産後は家族のサポートが必要となるため転居し、以前お世話になっていた先輩に相談して新しい職場(保育所あり)で外来時短勤務で復職しています。実際に子供のことで急にお休みをせざるをえないことがあるので自分がやすんでも助けていただける環境を探しました。人の好まない仕事を率先してすることで他の先生方とのバランスをとって働いています。子供をもつまで救急対応をずっとしてきていたのでかなり違う状況になっているのが現状です。子供の成長をみつつ過ごせる時間をもつためには仕方がありません。」(30代,循環器科,一般病院)「独身の頃と同じように働きたいと思って努力したが、難しかった。身近な同僚、所属大学の医局は理解があったが、派遣先の病院では他科の男性医師から嫌味や陰口を言われ、辛かった。」(40代,眼科,一般病院)「主人も勤務医(中間職)で、子供が病気になった時も夜間の面倒はみられないと言われました。私も産前同様に仕事をしたかったが、夜間呼び出しに応じられないこともあり、短時間・非常勤勤務としました。」(40代,内科,診療所)「出産するまでは、育児中で当直をしない時短勤務の人が同じ職場にいると、働くモチベーションが激しく低下していました。自分が出産後に同様の勤務体制となったとき、同僚たちが同様に考えるのではないかと思い、時短勤務は自分としてしたくありませんでした。現在当直は免除させてもらってますが、それ以外はフルタイムで働いています。 周囲の人の理解とは言いますが、こちらが理解して欲しいと思っても、不公平と思ってしまうのは事実で、そう思われてまで働きたいとは思えません。」(30代,小児科,一般病院)「3人目を出産後、体力的にも精神的にもきつくなって、退職しました。一度退職してから、復職するのは大変でした。また、離職期間が長かったので、以前と同じような働き方はできなくなり、また専門医取得もできませんでした。」(50代,内科,診療所)「医師になった息子から『乳児期から何故自分を他人に預けてまで仕事をしたのか』と非難されました。仕事、育児、家事で息つく暇も無かった30年ほど前の自分の生活は、子供にとっては憎むべき姿だったのかと」(60代以上,内科,一般病院)「病院併設の保育園の充実が大切だと実感しました。当時無認可保育園でしたので保育士や職員のボーナスの獲得にバザーを開いたり寄付をお願いしたりしてなんとかしのぎました。技術的な遅れは後からとりもどせます。 最初はあせりましたが、63歳の現在もまだまだ勉強は続けています。家族や医局の先輩、後輩の理解があったこともラッキーだったと思います。娘たちも同じ職業を選んでくれました。大変な時は一時です。 恐れず、腐らず一生懸命やればなんとかなります。」(60代以上,循環器科,診療所)「職場で時間外勤務を免除してもらい、常勤で仕事を続けることができている。 しかし子供の病気の時に病児保育や親に頼らざるを得ず、場合によっては仕事を休まなければならないのでいつも綱渡りの状態。」(30代,代謝・内分泌科,一般病院)「出産前は脳神経外科専攻だったので、両立困難であった。私の場合は母親が子供をほとんど育ててくれたが、それはそれで寂しい思いもしたし、これでいいんだろうかとずいぶん迷った。結局は内科系に移らざるを得なかった」(60代以上,神経内科,一般病院)「子育てしながらフルタイムで働いていて、子どもの急な病気の時に、自分の外来を代われる医師がおらず、休むことが難しかった。ベビーシッター、病児保育、県外の祖父母など子どもをみてくれる人・場をやりくりしたり、夜中に患者さんが急変した時も、寝ている子どもだけを家において出かけることもあり、今から思い起こしても綱渡りのような生活だった。 一人で責任を負う形ではなく、仕事を同僚とシェアできたり、労働時間も個人の状況に合わせ、フレキシブルに選択できるような働き方ができると子育て中の女性医師は働きやすくなると思う。」(40代,小児科,一般病院)「単独主治医制でなく、複数主治医制になっていくことがこれからは必要と思う。」(40代,内科,一般病院)「臨床特有の「勘」が薄れてしまって、取り戻せるのかどうかがとても怖かったです。 出産して職場復帰して思うのは、「早めの復帰に限る」これに尽きます。 ただそれには、周囲の理解や環境整備がまだまだ必要だと思います」(30代,精神・神経科,一般病院)「出産後、大学勤務を退職し、夫の留学についていったが、子供が小さかったため自分はセミナーにしか参加できず、せっかくの海外留学の機会もうまく活かせなかった。また夫は医師であるため、育児を分担することはほぼ不可能で、帰国後も保育所、一時保育の問題から、常勤勤務、研究会、学会への参加は難しく、アルバイト生活を続けた。そのため、自分のキャリアは出産前から著しく後退してしまった。常勤復帰後、出産前に技術がもどるまで約2年がかかり、さらに専門医取得は同期男性と比べると4年以上遅れた。 常勤の職場や研究会にも保育所または学童等の施設を併設しなければ、女医が常勤で働くことは難しいと思われる。」(40代,基礎医学系,大学病院)「どんなに頑張っていてもつわりによる仕事の量激減で周囲の評価が下がる(出産経験のある女性医師からは理解が得られるが)。子供の突然の発熱などでの早退、休診の場合のフォロー体制、子供の迎え時間に制限があることなどなかなかまだ理解が得られにくい。『わかるけど、あとの仕事は誰がするの?』って感じです」(30代,外科,大学病院)「同僚に女性医師がいなかったので、その科の医局会(20名程度出席)で、『出産後はいつから当直が可能か』などその時点では答えることが困難な質問をいくつもされ、誰も助け舟を出してくれず、セクハラ・パワハラにあたるのではないかと思われる状況でした。若い医師であったならば退職に追いこまれていたかもしれません」(40代,内科,一般病院)「現在、子供2歳。フルタイムで夜間・休日呼び出しありの勤務であるが、正直きつい。近くに住む祖父母の助けを借りて何とかこなしているが、綱渡りのような日々である。そろそろ、勤務形態を変えようと思っている。」(30代,耳鼻咽喉科,一般病院)「保育園は子ども3人合わせて15年間通いました。毎朝診療前に保育園に送り届けるという戦争のような日々は、体力・気力が必要でとても疲れます。しかしこれなしには仕事も続けられず、フレキシブルな保育園の存在が大切」(50代,代謝・内分泌科,診療所)【子どものいない医師】「上司に来年度子供を作る予定だから妊娠中は当直業務からはずしてほしいというと『他の医師にしめしがつかない、今の働き方ができないなら辞めてもらう』といわれました。私だって働きたいけど、先輩たちの流産、切迫早産を見ているので退職することにしました。仕事を継続している医師でも、小学校に上がると子供を預けるシステムがなくなるためそこでやめざるを得ない、という人も。妊娠・育児しながら働きたい、けれども上司との意見の相違・医療界のシステム(36時間労働など)の問題でやめていく女医は本当に沢山いると思います。」(20代,心療内科,大学病院)「残念なことですが、女性が男性と対等になるには、同じではだめで、それ以上の働きを示す必要があります。 例え2~3か月の産休でさえ、劣ってみなされてしまいます。 そう考えると産む気になりません」(40代,形成外科,診療所)「出産適齢期に不妊治療を受けられるようにしてほしい」(40代,神経内科,その他)「出産後の女医が働きやすければ離職せず、独身女医や男性医師の負担も軽減するので、出産後の女医が働きやすい環境はすべての人にとって重要だと考えます。私の属する医局は今大変な人手不足ですが、職場環境が整備されていないため、医局を離れ民間病院に転職する女医が後を絶たないという悪循環。そういった女医のために、私たち後輩まで「女医はいつ妊娠してやめるかわからない」という目で見られて、非常に迷惑しているのも事実です。産後の女医ばかりに目が行って、独身女医や男性医師にしわ寄せが行くことはあってはならないと思います。この高齢社会では、男性医師も家族の看病や介護をする可能性は十分にあります。職場の全員が働きやすく、必要時は休みやすい環境を整えていくことが大切だと考えます。」(20代,産婦人科,一般病院)「医学部増設よりも女医の復職環境を整備する方が、医師不足の解決に繋がる」(40代,循環器科,診療所)「出産はしていませんが、介護でも結局同じことだと思います。経過さえ順調なら、ある意味出産のほうが気持ちの上での準備ができるだけよいのかも。患者から、医師は時間外対応も休日がつぶされても当然と思われているような状況では、一般病院は男女とも単身で親も元気というときでないと勤務は無理なのでは?」(40代,産業医,その他)「高齢となり、妊娠は難しそうです。当直して流産したことが悔やまれてなりません。」(40代,精神・神経科,一般病院)「今妊娠中ですが、不妊治療など含め理解を得ることが難しく、一生懸命働くことも一人の女性としての幸せも両方という選択肢を選ぶのが難しく感じてしまう。病院側は大事な戦力を最終的には失う方向になるのではないでしょうか。」(30代,消化器科,一般病院)「育児を理由に働かない先輩医師がいます。純粋に能力給が支払われるなら良いのですが。週4日外来のみ・入院診ない・オンコールや当直免除にも関わらず常勤扱いを受けている人をみると、働く意欲を失う」(30代,小児科,一般病院)「私は結婚しませんでした。どうしても医師として、しっかりした仕事をしたかった為です。周りの出産後の女医を見ていると、嫌な面が多くどうしても好きになれません。せっかく多くの税金を使って、あるいは親の金を使って医師になったのに辞めてしまう女医、そのために医学部に入れずに医師になれなかった人がでるんですよ、と言いたい。税金を、親の苦労を無駄にしている。仕事に出てくる人にも言いたい、仕事をするのなら、他医に甘えるな、負担をかけるな、どれだけ同僚に迷惑を掛けているかわかっているのか、と。」(60代以上,小児科,診療所)「キャリア・収入・勤務内容、これらに優先順位をつけて周囲と折り合っている女医さんは応援したいと思う。正直、自分のキャリアアップに繋がる仕事、収入に繋がる仕事はする、だが医局の皆でまわしている雑用は子持ちだからしない、という母親医師は応援したくない。周囲が納得して協力できるような体制も考えてもらえたらと思う。」(40代,内科,一般病院)「私の年代では育児をしながら仕事を続けている女性医師のロールモデルが身近にありませんでした。私自身こどもを持たない人生を選択しました。」(40代,精神・神経科,一般病院)「女性医師の出産や子育てを考えていくのはいいが、一方で結婚しない女性医師、子供を産まない女性医師、子供が産めない女性医師の気持ちは置き去りになっている気がする。ある意味、逆差別のような・・・。そう考えるのは、子供が産めない女のひがみでしょうか。」(40代,代謝・内分泌科,一般病院)「医師の世界は男性を中心に回っているので、結婚・妊娠・出産は考えられない状況にある。」(40代,代謝・内分泌科,診療所)「私の勤務先では女性医師の待遇改善を積極的に進めており、診療部長の先生や事務長が率先的に週30時間以上で常勤扱い、夜間オンコールや当直免除などを導入しているので、そういった病院を探して転職するのもよいかと思います。産婦人科のくせに医局員は妊娠出産禁止と言っていた大学病院とは大違いです。」(30代,小児科,一般病院)「女医さんが多ければ理解を得て働きやすいかと思いきや、若い女医さんが産休や当直免除に入ると晩婚の女医さんが妊娠出来なくて大変そう。男性と女性のバランスが大事。人手不足の診療科、医員を守れる医局かどうかは大事と思う。施設の整備(遅い時間の保育、病児保育)を進めて欲しい。」(30代,内科,大学病院)「欧米のように当たり前に働き方が選べたり、勤務時間の調整が受けられ、それに対して後ろめたさを感じないでいいようになればいいと思います。 男性医師がフルタイムで働けるのも、妻が女性医師の場合、そうやって時間をやりくりしているおかげだと思うから。 子育てで一時的に休職することは、とても大切なことだと思いますが、以後完全に医師をやめてしまう人に関しては少し憤りも感じます。 何のために医師になったのか。だったら、その人の代わりにずっと医師を続けられる人を合格させた方が社会にとって良かったのではと思います。」(30代,その他,一般病院)「出産後の女医が働きやすければ離職せず、独身女医や男性医師の負担も軽減するので、出産後の女医が働きやすい環境はすべての人にとって重要だと考えます。私の属する医局は今大変な人手不足ですが、職場環境が整備されていないため、医局を離れ民間病院に転職する女医が後を絶たないという悪循環。そういった女医のために、私たち後輩まで『女医はいつ妊娠してやめるかわからない』という目で見られて、非常に迷惑しているのも事実です。産後の女医ばかりに目が行って、独身女医や男性医師にしわ寄せが行くことはあってはならないと思います。この高齢社会では、男性医師も家族の看病や介護をする可能性は十分にあります。職場の全員が働きやすく、必要時は休みやすい環境を整えていくことが大切だと考えます。」(20代,産婦人科,一般病院)「2回の流産歴があり、通院しながら常勤で働いています。通院時間の都合もあり、専門病院の消化器内科から地域病院の内科に転職しました。無事に妊娠・出産する方も仕事を続けるにあたり苦労があると思いますが、不妊・不育症の場合は周りが気づかなかったり理解してもらえなかったりするので、本当のことを上司や同僚に伝えられず肉体的にも精神的にもつらかったことがあります。 専門分野は続けられないと思い半分あきらめていますが、非常勤でも勤務ができるところがないかまた探そうと思っています。 仕事は続けたいので、ワークシェアや非常勤など、ある程度自由の利く勤務体制が広まるといいなと思います」(30代,消化器科,一般病院)「家庭の協力がある先輩は上手に両立していて、独身の医者より活動的に働いていた。周囲の状況と本人自身の意思が、結果を左右すると思う。」(40代,麻酔科,診療所)「今妊娠中ですが、不妊治療など含め理解を得ることが難しく、一生懸命働くことも一人の女性としての幸せも両方という選択肢を選ぶのが難しく感じてしまう。病院側は大事な戦力を最終的には失うのでは」(30代,消化器科,一般病院)「両立という言葉はどちらも中途半端という意味に聞こえる」(30代,循環器科,一般病院)「外科医であるため妊娠から産後の落ち着くまでの期間は第一線を退かざるを得ないということが一番不安。現場に少しでも携われるように外来などにはできる限り関わっていたい。」(20代,外科,一般病院)「子供がいるという理由で、周りに何の配慮もなく早く帰り自分の論文を仕上げていた時には許せないと思った」(40代,内科,診療所)「診療体制としては主治医制度をやめていく方向とし,夫側は育児休暇を取りやすくする,本人側としては病児保育・24時間保育のある病院(もしくは確保できる病院環境)で出産・育児したり職場内で出産・育児期間が重ならないように計画するなどの工夫が必要。また両親・親族などの協力が得られない状況での出産・育児は無計画と言わざるを得ない。」(40代,その他,一般病院)「家庭を持ち、出産あるいは子供のいる同僚の手助けはもちろんしたいと考えています。しかし、「手助けされて当然」という受け身は納得いきません。全てではないが、そういった方に対しては、手助けするのも躊躇されます(終日の講習会や夜の飲み会などには出席するのに、午前中のみ1日のみの出勤を拒否される、とか)。」(30代,救急医療科,一般病院)「現在勤めている病院では、産休をとった先輩女性医師がおらず、自分が将来出産したり、復職したりする際、立場や勤務体制がまったく分からない。病院側からは、「将来出産しても勤務を継続してほしい」とのことだが、口約束であり心配である。出産・育児もしたいが、フルタイム勤務は難しいだろうし、親も年をとってきておりどれだけ子供を預かってもらえるか分からず、保育所の確保も難しそうで、不安だらけである。」(30代,眼科,一般病院)

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無作為化試験の報告データは、試験で得られた全データのごく一部/BMJ

 米国・カリフォルニア大学医学部のDavid L Schriger氏らは、無作為化試験における連続アウトカムの割合について調査した。臨床研究報告は、高度に選択されたデータサブセットが発表され、ジャーナルの読者に対して全部のデータセットはめったに示されない。Schriger氏らは断面研究の手法にて調査を行い、その結果、無作為化試験の連続主要アウトカムは、獲得したデータのごくわずか(<5%)しか示されていないことが確認されたという。BMJ誌2013年1月12日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載の報告。主要専門20誌の無作為化試験200を検証 研究グループは本検討において、無作為化試験報告の連続アウトカムについて、獲得したアウトカムデータに占める割合を特徴づけること、およびそのことが不完全な報告バイアスへもたらす可能性を評価することを目的とした。 2007~2009年の間のさまざまな専門領域の医学雑誌20冊から、ランダムに選んだ200の無作為化試験を対象とし、記述的断面調査を行った。 主要評価項目は、各論文が報告しているベストな主要アウトカムについて、明確なスコアリングルールを用いた場合に算出される報告データに占める割合とした。たとえば、サンプルサイズが両群ともに100患者、標準偏差報告が6/200(1.5%)、しかし点図表で200ポイントが示され、スコアは200/200(100%)であるなどで、結果の報告に関する2001 CONSORT項目のコンプライアンスについても評価した。100%データを用いていた論文は17% 結果、ベストな連続主要アウトカムが報告データに占める割合の中央値は9%(範囲:3~26)だった。しかし、サンプルサイズ100患者の条件で調整した場合は、わずかに3.5%(同:3~7)だった。100%のデータを用いていた論文は、17%であった。 表データは、最も頻度の高い提示データを示す手法であった(論文の59%)が、図を利用した報告のほうが、より高いデータを報告していた。 本試験の主要アウトカムおよびCONSORTコンプライアンスに関して、雑誌間のばらつきが大きかった。 著者は、本研究の限界について「影響力の強い雑誌の無作為化試験の連続アウトカムを検討したものにすぎず、結果は、アウトカム別、その他の試験デザイン、またその他の雑誌に適用できない」と言及した上で、「試験担当者は獲得データのごくわずかしか提示していない。こうしたデータの不十分さが、不完全な報告バイアスを増している可能性があり、試験で得られた所見についてすべての関連情報を提示する障壁となっていると思われる」とまとめている。

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うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

 うつ病では悲哀感、希望喪失、易刺激性、身体機能障害などの特徴がみられ、数週間にわたり重症の症状を呈する。また、気分変調症は軽度の抑うつ気分が漫然と続いた状態である。うつ病の治療には、精神療法、薬物療法、光線療法などがあるが、これまでの臨床的および経験的エビデンスから、適切な食事が抑うつ症状を軽減しうることが示唆されている。オランダ領アンティル・Saint James School of MedicineのFaisal Shabbir氏らは、食事が抑うつに及ぼす影響について考察した。神経伝達物質であるセロトニンの低下はうつ病の一因であるが、セロトニンの前駆体であるトリプトファンを多く含む食事の摂取が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した。Neurochemistry international誌オンライン版2013年1月7日号の報告。トリプトファンの含有量が少ない食事を摂取しているとうつに陥る可能性 トリプトファンを多く含む食事が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した主な知見は以下のとおり。・脳内で合成される神経伝達物質のセロトニン(5-HT)は、気分緩和、満足感、睡眠の調節などに重要な役割を果たしている。5-HTを多く含む果物や野菜があるが、血液脳関門の存在により5-HTは中枢神経系に容易に到達できない。しかしながら、5-HTの前駆体であるトリプトファンは容易に血液脳関門を通過できる。・トリプトファンは、ビタミンB6誘導体であるピリドキサールリン酸存在下で、トリプトファンハイドロキシダーゼおよび5-HTPデカルボキシラーゼにより5-HTに変換される。・タンパク質の多い食品であっても、必須アミノ酸は体内でつくることができないため、トリプトファンの含有量が少ない食事を摂取しているとうつに陥る可能性がある。・たとえば月経前後の女性、心的外傷後ストレス障害、慢性疼痛、がん、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存など、うつに陥りやすい状況にある患者ではトリプトファンを多く含む食事の摂取が重要である。・中枢神経におけるトリプトファンのバイオアベイラビリティは炭水化物の欲求に関連するが、炭水化物を多く含む食事はインスリン反応の引き金となりトリプトファンのバイオアベイラビリティを高める。・セロトニン再取り込み阻害薬は(SSRI)は、抑うつ症状を呈する肥満患者に処方されるが、これらの患者ではセロトニン濃度が厳格に調節されず、モノアミンオキシダーゼ阻害薬と併用した際には生命を脅かす有害事象が発現する可能性がある。しかし、トリプトファンを多く含む適切な食事を摂取することでセロトニン合成が調節されうる。・以上より、さまざまな神経変性疾患で観察される抑うつ症状に対し、セロトニン神経伝達を助ける上でトリプトファンを多く含む食事とビタミンB6は臨床的に重要と言える。ただし、うつに対するセロトニン神経伝達を修飾する薬理学的介入は、従来と変わらず臨床的に重要な事項である。また、うつの病態にはその他にもいくつかの分子メカニズムが関わっている可能性がある。関連医療ニュース ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効? ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・認知症の進行予防に有効か?「ビタミンE」

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妊娠中のSSRI服用と死産、新生児・0歳時死亡には有意な関連みられず/JAMA

 妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)服用と死産および新生児死亡、0歳児死亡リスクについて、有意な関連は見いだせなかったことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のOlof Stephansson氏らによる全北欧住民ベースのコホート研究の解析の結果、報告された。妊婦の精神疾患は有害な妊娠転帰と関連しており、一方で妊娠中のSSRI服用は、新生児の先天異常や離脱症候群、遷延性肺高血圧症などと関連していることが知られている。しかし、これまで母体の精神疾患と死産や乳児死亡のリスクとの関連については明らかではなかった。JAMA誌2013年1月2日号掲載より。全北欧5ヵ国の10年間の単胎児出産163万3,877例について解析 研究グループは、本研究において死産や乳児の死亡とSSRI服用とのリスクを明らかにすることを目的とし、1996~2007年に行われた全北欧(デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン)の住民ベースコホート研究を解析した。 単胎児を出産した女性を組み込み、処方レジストリから妊娠時のSSRI服用の有無を調べ、母体特性、妊娠および出産時のアウトカムの情報を、患者および分娩レジストリから入手し解析した。 主要評価項目は、死産、新生児死亡、0歳児死亡と、妊娠中のSSRI服用との関連で、母体特性と精神病院の入院歴について考慮した。 試験期間中に単胎児出産は163万3,877例であった。そのうち死産が6,054例、新生児死亡3,609例、0歳児死亡は1,578例であった。有意な関連はみられなかったが投与は他のリスクを考慮して慎重であるべきと指摘 妊娠期間中にSSRIの処方を受けた母親は、2万9,228人(1.79%)だった。 SSRI曝露群は非曝露群よりも、死産(出産1,000例当たり4.62対3.69、p=0.01)、0歳児死亡(同1.38対0.96、p=0.03)の割合が有意に高かった。新生児死亡は同程度(同:2.54対2.21、p=0.24)だった。 しかし多変量モデル解析では、いずれも有意な関連がみられなかった。死産(補正後オッズ比:1.17、95%信頼区間:0.96~1.41、p=0.12)、新生児死亡(同:1.23、0.96~1.57、p=0.11)、0歳児死亡(同:1.34、0.97~1.86、p=0.08)。 精神病院入院歴で階層化すると、さらに関連は弱まった。入院歴のある人の死産の補正後オッズ比は0.92(95%信頼区間:0.66~1.28、p=0.62)であり、一方で入院歴のない人は1.07(同:0.84~1.36、p=0.59)だった。同じく新生児死亡は、0.89(同:0.58~1.39、p=0.62)と1.14(同:0.84~1.56、p=0.39)、0歳時死亡は、1.02(同:0.61~1.69、p=0.95)と1.10(同:0.71~1.72、p=0.66)だった。 著者は、上記のように有意な関連はみられなかったと結論した上で、「しかし妊娠中のSSRI投与の判断は、母体の精神疾患とともに、その他の分娩アウトカムとリスクを考慮しなければならない」とまとめている。

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第10回 療養指導義務:「何かあったら受診ください」ではダメ!どうする患者指導!!

■今回のテーマのポイント1.療養指導義務は説明義務の一類型であるが、治療そのものである2.「重大な結果が生ずる可能性がある」場合には、たとえ当該可能性が低くとも、療養に関する指導をしなければならない3.「何か変わったことがあれば医師の診察を受けるように」といったような一般的、抽象的な指導では足りず、しっかりと症状等を説明し、どのような場合に医師の診察が要するか等具体的に指導しなければならない事件の概要母X2は、Y産婦人科医院にて、妊娠34週に2200gの第3子(児X1)を出産(吸引分娩)しました。低出生体重児ではありましたが、出生時に児の異状は認められませんでした。しかし、出生後、X1には早期黄疸が認められるようになり、徐々に黄疸は増強してきました。第一子、第二子出産の際にも新生児期に黄疸が出ていたことから、母X2の依頼によりX1の血液型検査をしたところ、母X2と同じO型と判定されました(後に再検査したところX1の血液型はO型ではなくA型と判明しました)。そのため、医師Yは、母X2に対し、黄疸について、「大丈夫だ。心配はいらない」と伝え、退院時(出生より10日目)にも母X2に対し「血液型不適合もなく、黄疸が遷延しているのは未熟児だからであり、心配はない」、「何か変わったことがあったらすぐに当院あるいは近所の小児科の診察を受けるように」とだけ説明をしました。ところが、退院3日後(出生より13日目)より黄疸の増強と哺乳力の減退が現れました。母X2は、医師Yの退院時説明や、受診を急ぐことはないとの夫からの意見もあり、様子をみることとし、結局、外来受診したのは退院から8日後となりました。その結果、X1は核黄疸が進行し、治療を受けたものの、強度の運動障害のため寝たきりとなりました。X1及び両親は、医師Yに対し、X1に対する処置及び退院時の療養指導に不備があったとして約1億円の損害賠償請求を行いました。第1審では「X1に対する処置及び療養指導について過失はない」として原告の請求を棄却しました。同様に控訴審においても、「新生児特に未熟児の場合は、核黄疸に限らず様々な致命的疾患に侵される危険を常に有しており、医師が新生児の看護者にそれら全部につき専門的な知識を与えることは不可能というべきところ、新生児がこのような疾患に罹患すれば普通食欲の不振等が現れ全身状態が悪くなるのであるから、退院時において特に核黄疸の危険性について注意を喚起し、退院後の療養方法について詳細な説明、指導をするまでの必要はなく、新生児の全身状態に注意し、何かあれば来院するか他の医師の診察を受けるよう指導すれば足りる」として原告の請求を棄却しました。これに対し原告が上告したところ、最高裁は、療養指導義務につき過失を認め、原判決を破棄差し戻しとし、下記の通り判示しました(差し戻し審後の認容額約6400万円)。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過母X2は、Y産婦人科医院にて、妊娠34週に2200gの第3子(児X1)を出産(吸引分娩)しました。低出生体重児ではありましたが、出生時に児の異状は認められませんでした。しかし、出生後、X1には早期黄疸が認められるようになり、徐々に黄疸は増強してきました。母X2は、第一子、第二子出産の際にも新生児期に黄疸が出ており、知人からこのような場合には、黄疸が強くなると児が死ぬかもしれないと聞かされていたことから不安に思い、医師YにX1の血液型検査を依頼しました。検査の結果、X1の血液型は、母X2と同じO型と判定されました(後に再検査したところX1の血液型はO型ではなくA型と判明しました)。X1の黄疸は、生後4日目には肉眼的に認められるようになり、生後6日目に測定した総ビリルビン値は 2.5mg/dLでしたが、その後、X1が退院するまで肉眼的には黄疸が増強することはありませんでした。医師Yは、母X2に対し、血液型不適合はなく、黄疸が遷延するのは未熟児だからであり心配はないと伝えました。そして、退院時(出生より10日目)にも母X2に対し「血液型不適合もなく、黄疸が遷延しているのは未熟児だからであり、心配はない」、「何か変わったことがあったらすぐに当院あるいは近所の小児科の診察を受けるように」とだけ説明をしました。ところが、退院3日後(出生より13日目)より黄疸の増強と哺乳力の減退が現れました。母X2は、医師Yの退院時説明や、受診を急ぐことはないとの夫からの意見もあり、様子をみることとし、結局、A病院の小児科外来を受診したのは退院から8日後となりました。A病院受診時のX1は、体重2040gで顕著な肉眼的黄疸が認められ、自発運動は弱く、診察上、軽度の落葉現象が認められ、モロー反射は認められるものの反射速度は遅くなっており、総ビリルビン値は 34.1mg/dL(間接ビリルビン値 32.2mg/dL)でした。直ちに交換輸血が行われたものの、X1は強度の運動障害のため寝たきりとなりました。事件の判決「新生児の疾患である核黄疸は、これに罹患すると死に至る危険が大きく、救命されても治癒不能の脳性麻痺等の後遺症を残すものであり、生後間もない新生児にとって最も注意を要する疾患の一つということができるが、核黄疸は、血液中の間接ビリルビンが増加することによって起こるものであり、間接ビリルビンの増加は、外形的症状としては黄疸の増強として現れるものであるから、新生児に黄疸が認められる場合には、それが生理的黄疸か、あるいは核黄疸の原因となり得るものかを見極めるために注意深く全身状態とその経過を観察し、必要に応じて母子間の血液型の検査、血清ビリルビン値の測定などを実施し、生理的黄疸とはいえない疑いがあるときは、観察をより一層慎重かつ頻繁にし、核黄疸についてのプラハの第一期症状が認められたら時機を逸ずることなく交換輸血実施の措置を執る必要があり、未熟児の場合には成熟児に比較して特に慎重な対応が必要であるが、このような核黄疸についての予防、治療方法は、上告人X1が出生した当時既に臨床医学の実践における医療水準となっていたものである。・・・・(中略)・・・・そうすると、本件において上告人X1を同月30日の時点で退院させることが相当でなかったとは直ちにいい難いとしても、産婦人科の専門医である被上告人Yとしては、退院させることによって自らは上告人X1の黄疸を観察することができなくなるのであるから、上告人X1を退院させるに当たって、これを看護する上告人母X2らに対し、黄疸が増強することがあり得ること、及び黄疸が増強して哺乳力の減退などの症状が現れたときは重篤な疾患に至る危険があることを説明し、黄疸症状を含む全身状態の観察に注意を払い、黄疸の増強や哺乳力の減退などの症状が現れたときは速やかに医師の診察を受けるよう指導すべき注意義務を負っていたというべきところ,被上告人Yは、上告人X1の黄疸について特段の言及もしないまま、何か変わったことがあれば医師の診察を受けるようにとの一般的な注意を与えたのみで退院させているのであって、かかる被上告人Yの措置は、不適切なものであったというほかはない」(最判平成7年5月30日民集175号319頁)ポイント解説今回は「療養指導義務」がテーマとなります。前回までのテーマであった説明義務には、大きく分類して2種類あり、一つはインフォームド・コンセントのための説明義務、もう一つが今回のテーマである療養指導義務です。糖尿病における食事療法、運動療法に代表されるように、疾患の治療は、医師のみが行うのではなく、患者自身が療養に努めることで、功を奏します。しかし、医療は高度に専門的な知識を必要としますので、患者自らが適切な療養をするために、専門家である医師が、患者がなすべき療養の方法等を指導しなければなりません。インフォームド・コンセントのための説明義務が患者の自己決定のために行われるのに対し、療養指導義務は、患者の疾病に対する治療そのものであることに大きな違いがあります。すなわち、インフォームド・コンセントのための説明義務違反があったとしても、通常は、自己決定権の侵害として、精神的慰謝料(数十~数百万円程度)が認められるにとどまりますが、療養指導義務違反においては、患者の身体に生じた損害(死傷)として場合によっては数千万~数億円単位の損害賠償責任を負うこととなります。療養指導義務が民事訴訟において争われる類型としては、(1)退院時の療養指導(2)経過観察時の療養指導(3)外来通院時の療養指導があります。特に注意が必要となるのが、本事例のように医師の管理が行き届きやすい入院から目の届かない外来へと変わる退院時の療養指導(1)及び、頭部外傷等で救急外来を受診した患者を帰宅させる際に行う療養指導(2)です。本事例以外に退院時の療養指導義務が争われた事例としては、退院時に処方された薬剤により中毒性表皮壊死症(TEN)を発症し死亡した事例で、「薬剤の投与に際しては、時間的な余裕のない緊急時等特別の場合を除いて、少なくとも薬剤を投与する目的やその具体的な効果とその副作用がもたらす危険性についての説明をすべきことは、診療を依頼された医師としての義務に含まれるというべきである。この説明によって、患者は自己の症状と薬剤の関係を理解し、投薬についても検討することが可能になると考えられる。・・・(中略)・・・患者の退院に際しては、医師の観察が及ばないところで服薬することになるのであるから、その副作用の結果が重大であれば、発症の可能性が極めて少ない場合であっても、もし副作用が生じたときには早期に治療することによって重大な結果を未然に防ぐことができるように、服薬上の留意点を具体的に指導すべき義務があるといわなくてはならない。即ち、投薬による副作用の重大な結果を回避するために、服薬中どのような場合に医師の診察を受けるべきか患者自身で判断できるように、具体的に情報を提供し、説明指導すべきである」(高松高判平成8年2月27日判タ908号232頁)と判示したものがあります。また、救急外来において頭部打撲(飲酒後階段から転落)患者の帰宅時の療養指導が争われた事例(患者は急性硬膜下血腫等により死亡)では、「このような自宅での経過観察に委ねる場合、診療義務を負担する医師としては、患者自身及び看護者に対して、十全な経過観察を尽くし、かつ病態の変化に適切に対処できるように、患者の受傷状況及び現症状から、発症の危険が想定される疾病、その発症のメルクマールとなる症状ないし病態の変化、右症状ないし病態変化が生起した場合に、患者及び看護者が取るべき措置の内容、とりわけ一刻も早く十分な診療能力を持つ病院へ搬送すべきことを具体的に説明し、かつ了知させる義務を負うと解するのが相当である」(神戸地判平成2年10月8日判時1394号128頁)と判示されています。本判決を含めた判例の傾向としては、1)「重大な結果が生ずる可能性がある」場合には、たとえ当該可能性が低くとも、療養に関する指導をしなければならないとしていること2)「何か変わったことがあれば医師の診察を受けるように」といったような一般的、抽象的な指導では足りず、しっかりと症状等を説明し、どのような場合に医師の診察が要するか等、具体的に指導することが求められています。患者の生命、身体に関する必要な情報は提供されるべきであることは当然ですが、この医師不足の中で医師は多忙を極めており、すべての患者に対し、上記内容を医師が直接、口頭で説明することは、残念ながら現実的には非常に困難であるといえます。だからといって、医師による直接、口頭にこだわる余り、説明、指導の内容を縮減することは患者のためになりません。したがって、療養指導義務の主体や方法については、第8回「説明義務 その2」で解説したように、書面による指導や他の医療従事者による指導を適宜用いることで、柔軟に対応すべきです。もちろん、このような方法により法的な療養指導義務や説明義務を果たした上で、医師患者関係の形成のための医師による直接、口頭の説明、指導を行うことは、法的責任とは離れた「医師のプロフェッションとしての責任」として、果たすべきであることも忘れてはなりません。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)最判平成7年5月30日民集175号319頁高松高判平成8年2月27日判タ908号232頁本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。神戸地判平成2年10月8日判時1394号128頁本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。

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ネクサバール、放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がん患者の無増悪生存期間の延長を達成

 ドイツのバイエル ヘルスケア社と米国オニキス・ファーマシューティカル社は3日、放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行性または転移性分化型甲状腺がん患者を対象としたネクサバール錠(一般名:ソラフェニブトシル酸塩)の第III相臨床試験において、主要評価項目である無増悪生存期間の統計学的有意な延長が認められたことを発表した。バイエル薬品が10日に報告した。 DECISION (stuDy of sorafEnib in loCally advanced or metastatIc patientS with radioactive Iodine refractory thyrOid caNcer)試験は、無作為化プラセボ対照の国際多施設共同試験。 同試験では、化学療法やチロシンキナーゼ阻害剤、VEGFまたはVEGF受容体を標的としたモノクローナル抗体、またはその他の分子標的薬の前治療歴のない、放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行性または転移性分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん、ヒュルトレ細胞がん、低分化がん)の患者さん417名が登録され、ネクサバール400mgを経口で1日2回投与する群と、同量のプラセボを投与する群に、無作為に割り付けられた。プラセボ群の患者の病勢が進行した場合は、患者の状態を考慮した上で、治験責任医師の判断により、ネクサバールの投与に切り替えるとが可能であった。本試験の主要評価項目は、RECIST基準に基づいた無増悪生存期間で、副次評価項目は、全生存期間、無増悪期間、奏効率、奏効期間などであり、併せて安全性と忍容性も検討されたという。 試験の有効性および安全性に関する詳細な分析の結果は、今後開催される医学学会で発表される予定とのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://byl.bayer.co.jp/html/press_release/2013/news2013-01-10.pdf

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人工膝関節形成術へのドクターフィー年5%減で起きた総医療費の劇的上昇

 米国では1997年8月に財政赤字への懸念から連邦均衡予算法(Balanced Budget Act of 1997)が可決され、メディケアプログラム下の医師への診療報酬(ドクターフィー)の引き下げが命じられた。個々のドクターフィー引き下げそのものによる節減効果と、加えて報酬引き下げは労働インセンティブを低下させ、結果としてアウトプットが減り節減効果がもたらされる、という2つの支出コスト抑制効果があると考えられたためであったという。その一方で、「症例数を増やして個々の減額分の穴埋めをするようになるから、かえって支出コストの増大につながる可能性がある」との指摘もあった。米国・ペンシルベニア大学整形外科のJoseph Bernstein氏らは、個々の症例に対する報酬の引き下げは総量の増大に結びつくとの仮説を整形外科領域で検証するため、1995~2006年の間の人工膝関節形成術(TKA)数などを調べた。Orthopedics誌2012年12月号の掲載報告。 整形外科治療の総コストは一般に、ドクターフィーの何倍も大きく、大部分はインプラントのコストが占めている。そのため、労働アウトプットの増大は、とくに整形外科手術のような分野でかなりの経済的影響がみられることから、研究グループはTKAを対象に調査を行った。 手術件数は、Healthcare Cost and Utilization Project(HCUP)の全国入院患者サンプルから入手し、メディケア・メディケイドサービスセンターから65歳以上患者の数を入手し分析した。 主な結果は以下のとおり。・1996~2005年の10年間で、TKAに対するドクターフィーは年率でおよそ5%ずつ引き下げられ、2,847ドルから1,685ドルへと減額していた。・一方で同期間に、手術件数は25万3,841件から49万8,169件へと増加(年間のメディケア受給者1,000人当たりTKA件数は7.6から13.9へと増加)していたこと、また病院に対する支払いが医師への支払いを大きく上回っているため、TKAに関する総コストは劇的に増大した。・1996年のドクターフィー総計は7億2,300万ドルであったが、その後の9年間は平均6億5,400万ドルであった。10年間の総計は66億800万ドルであった。・一方、ホスピタルフィー総計は、10年間で推定71億ドル以上増えていた。10年間の総計は360億ドルであった。・以上の結果を踏まえて著者は、「ドクターフィーを引き下げ続けると、医療費コストは増大し続ける結果が示された。、全体的な医療費コストをコントロールするための最良の戦略としては、外科の報酬は低くするよりも、高くするほうがよい可能性がある」と述べている。

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直伝!Dr.守屋の素人独学漢方<上巻>

第1回「素人独学漢方の世界へようこそ!」第2回「まずは体験!漢方的診療」第3回「キーワード ①漢方脳 ②モデル」第4回「キーワード③方剤=症候群」第5回「漢方理論の概観」第6回「桂枝湯から始める4段階独学法」 第1回「素人独学漢方の世界へようこそ!」先ずは、漢方診療の基本となる4つの用語を解説。「生薬」と「方剤」の違いは何?「証」って何?そして、漢方医学の歴史を知っておきましょう。実は、私たちが接する日本の漢方は、起源となる中国の漢方とは似て非なる発展を遂げてきたのです!第2回「まずは体験!漢方的診療」漢方診療の入口として、第一回は基本となる用語の解説と漢方医学の歴史を紹介。第二回では“西洋医学”的診療と“漢方”的診療のアプローチを比較。一体、どこが違うのか?先ずは、独学に必要な基本知識を身につけましょう!第3回「キーワード ①漢方脳 ②モデル」漢方を独学しようとするとき、大きな壁として立ちはだかるのが、漢方特有の“曖昧”さ。西洋医学からかけ離れたこの世界に足を踏み入れる際、心にしっかりと留めておくべき3つのキーワードがあります。1つ目のキーワードは「漢方脳」。“分析的”思考の対極にある“感覚的”思考が、漢方の理解には欠かせません。そして、2つ目のキーワードは「モデル」。抽象化/簡略化をベースとするモデル診断&治療を身につけて、漢方独学の壁を乗り越えましょう!第4回「キーワード ③方剤=症候群」<3つのキーワード>と<4段階独学法>でマスターする守屋式漢方。今回は、3つ目のキーワード「方剤=症候群」について解説します。漢方を理解する上で欠かせない概念的なキーワード「漢方脳」と「モデル」に対して、「方剤=症候群」は実践的なコツをつかむためのキーワードです。例えば、桂枝湯が適応となる風邪の症状を“桂枝湯症候群”と名付けることで、桂枝湯にまつわる漢方理論を個別に学んでいきます。つまり、特定の“方剤”が有効な症状の集まりを“症候群”という枠でくくって、とらえどころのない漢方を少しずつマスターしていくのです。第5回「漢方理論の概観」“漢方理論”の把握に欠かせない6つのキーワードを網羅!①八綱(はっこう)→患者さんの症状を<寒・熱><表・裏>など、二項分類で把握。②六病位(ろくびょうい)→疾患の進行度を6段階に分類。③気血水(きけつすい)→体内の循環バランスが崩れると疾病状態に。④五臓(ごぞう)→人体の機能を、5つの<臓>=<肝心脾肺腎>に割り当てて解釈。⑤四診(ししん)→漢方流の問診・診察手技。⑥生薬・方剤(しょうやく・ほうざい)→漢方流の薬理学。これらの理論を念頭に、いよいよ実践に臨みましょう!第6回「桂枝湯から始める4段階独学法」“桂枝湯症候群”をサンプルとして、漢方流アプローチを具体的に紐解いていきましょう。患者さんに悪寒はありますか?関節痛は?咳は?熱は?舌苔は?・・・それらの有無で決まる分類の違いは何でしょうか?悪寒の有無は<八綱>の寒熱、関節痛や咳は<八綱>の表裏・・・等々、桂枝湯がもっとも効果的な症例を一つマスターするだけで、漢方理論の大枠がスラスラと頭に入ってきます!

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世界中で起きている障害を有する人の高齢化/Lancet

 1990~2010年の20年間の世界の障害生存年(years lived with disability:YLD)について、オーストラリア・School of Population HealthのTheo Vos氏らがGlobal Burden of Diseases Study 2010(GBD2010)の系統的解析を行い報告した。その結果、10万人当たりのYLD有病率は20年間でほぼ一定であったが、年齢に伴う着実な上昇が認められたという。背景には人口増加と平均年齢の上昇があった。またYLDの最も頻度の高い原因(メンタル問題、行動障害、筋骨格系障害など)の有病率は減少しておらず、著者は「各国のヘルスシステムは死亡率ではなく障害を有する人の増加について対処する必要があり、その上昇する負荷に対する効果的かつ可能な戦略が、世界中のヘルスシステムにとって優先すべきことだ」と提言した。Lancet誌2012年12月15/22/29日合併号掲載の報告。世界の289の疾患・外傷の1,160の後遺症について系統的な解析を実施 研究グループは、GBD2010のデータを基に、その291の疾患・外傷リストのうち、障害をもたらす289の疾患・外傷の1,160の後遺症について、有病率、発生率、軽快した割合、障害持続期間、超過死亡率について系統的解析を行った。データは、公表されている研究、報告症例、住民ベースがんレジストリ、その他疾患レジストリ、マタニティクリニック血清サーベイランス、退院データ、外来ケアデータ、世帯調査、その他サーベイおよびコホート研究から構成された。 YLDを、シミュレーション手法により共存症について補正し、年齢、性、国、年度レベルで算出した。主因は、メンタル問題、行動障害、筋骨格系障害、糖尿病や内分泌系疾患 解析の結果、2010年の全年齢統合の1,160の後遺症の世界的な有病率は、100万人当たり1例未満から35万例まで広範囲にわたった。有病率と健康損失をもたらす重症度との関連はわずかであった(相関係数:-0.37)。 2010年のあらゆるYLDの有病者は7億7,700万人で、1990年の5億8,300万人から増加していた。 YLDをもたらした主要な要因は、メンタル問題と行動障害、筋骨格系障害と糖尿病や内分泌系疾患であった。 YLDの主要な特異的要因は、1990年と2010年でほぼ同様であり、腰痛、大うつ病、鉄欠乏性貧血、頸痛、COPD、不安障害、偏頭痛、糖尿病、転倒であった。 年齢別YLD有病率は、全地域で年齢に伴う上昇がみられたが、1990年から2010年にかけてわずかだが減少していた。 10万人当たりのYLD有病率は20年間でほぼ一定であった。 YLDの主要な要因の地域別パターンは、早期死亡による生命損失年(YLL)とよく似ていた。サハラ以南のアフリカでは、熱帯病、HIV/AIDS、結核、マラリア、貧血がYLDの重大な要因であった。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(45)〕 腎障害を伴った心不全に対して持続的限外濾過療法は有害?

本研究は、腎機能悪化を伴う急性非代謝性心不全例に対して持続的静静脈限外濾過治療と通常治療(フロセミドの静脈内投与)の効果や副作用を比較したものである。このような急性心腎症候群例は実臨床ではよく遭遇するが、エビデンスのある治療法は確立されていない。 本研究は、このような例を対象に限外濾過法を早期から使用することによりその予後を改善できることを期待して行われたが、その結果は、残念ながら明らかな改善効果はみられず副作用が若干多かったというものであった。しかし、この研究を解釈するにあたり、考慮しなければならない事がいくつかある。 第一に、患者群は比較的若年(中央値で68歳)で、軽症(早期)の心腎症候群と思われる(割り付け前の血清クレアチニン上昇値は0.45 mg/dL)。つまり、利尿薬やその他の抗心不全薬でまだ改善が期待できそうな例が含まれている。第二に、研究開始時には血管拡張薬と強心薬が静脈内投与されていた例は除外されているが、最終的(第1エンドポイント確定前)に限外濾過群と比較して通常群で強心薬の静脈内投与が多く用いられている(3% vs 12%、p < 0.05)。第三に、心不全の原因として虚血性心疾患の割合が通常治療群に比較して、限外濾過群で有意に高いことである(51% vs 70%、 p < 0.01)。虚血性心疾患による心不全例は非虚血性心疾患によるものに比較して予後が悪いことが知られている。最後に、論文中でも述べられているように、急性心腎症候群に対する適切な限外濾過治療法(濾過の速度、量、時間)がまだ確立されていない事も問題である。 以上より、本研究を解釈する際には、利尿薬静注の工夫でまだ改善させうる余地がある急性心腎症候群例に対し、限外濾過群が若干不利な状況(虚血性心疾患が多い、強心薬併用頻度が低い、濾過の適切使用法が未確立)で行った結果であることを考慮する必要があろう。

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