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コーヒー4杯/日以上で結腸がんの再発が減少?

 座りがちな生活や肥満、食事による糖負荷増大などの相対的インスリン過剰状態では、結腸がんの再発が増加することが観察研究で示されている。一方、コーヒーの高摂取が、2型糖尿病リスクの減少とインスリン感受性の増大と関連しているが、結腸がんの再発と生存率に対するコーヒーの影響は不明である。米国・ハーバード大学のBrendan J. Guercio氏らは、コーヒー摂取量とステージIII結腸がん患者の再発および死亡との関連を検討し、コーヒーの高摂取が結腸がんの再発や死亡の減少に関連する可能性を報告した。Journal of clinical oncology誌オンライン版2015 年8月17日号に掲載。 著者らは、ステージIII結腸がん953例について、術後化学療法中および終了後6ヵ月間におけるカフェイン入りコーヒー、カフェイン抜きコーヒー、ハーブティー以外の紅茶、その他128種類の摂取量を前向きに調査した。がんの再発率や死亡率におけるコーヒー、ハーブティー以外の紅茶、カフェインの影響についてCox比例ハザード回帰を用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。・コーヒー(カフェイン入りおよびカフェイン抜き)を4杯/日以上を摂取する患者の結腸がん再発または死亡の調整ハザード比(HR)は、まったく飲まない患者に比べ、0.58(95%CI:0.34~0.99)であった(傾向のp=0.002)。・カフェイン入りコーヒーを4杯/日以上摂取する患者では、がんの再発または死亡リスクがまったく飲まない人と比べて有意に減少し(HR:0.48、95%CI:0.25~0.91、傾向のp=0.002)、カフェイン摂取量の増加もがんの再発または死亡を有意に減少させた(HR:5分位の両端で0.66、95%CI:0.47~0.93、傾向のp=0.006)。・ハーブティー以外の紅茶とカフェイン抜きコーヒーの摂取量は患者の転帰と関連していなかった。・コーヒー摂取量と転帰改善の関連は、他の再発や死亡の予測因子を通じて一貫しているようにみえる。

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日本人医師からのエアメール

医学のボーダレス化は今後ますます加速していく。それに伴い、そのような状況を踏まえ、海外で活躍している臨床医の生の声を紹介し、現地の診療事情、キャリア形成術などを紹介する。侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~臨床留学通信 from Boston臨床留学通信 from NY空手家心臓外科医のドイツ見聞録空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅循環器内科 米国臨床留学記侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~白井 敬祐 ( しらい けいすけ ) 氏臨床留学通信 from Boston工野 俊樹 ( くの としき ) 氏臨床留学通信 from NY工野 俊樹 ( くの としき ) 氏空手家心臓外科医のドイツ見聞録安 健太 ( あん けんた ) 氏※終了しました。空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅安 健太 ( あん けんた ) 氏循環器内科 米国臨床留学記河田 宏 ( かわた ひろ ) 氏※終了しました。

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拡大基準ドナーからの腎移植、長期生着要因は?/BMJ

 フランス・パリ第5大学のOlivier Aubert氏らは、拡大基準ドナー(extended criteria donor:ECD)腎移植の長期アウトカムを評価し、予後を規定する主要因を明らかにする前向き住民ベースコホート試験を行った。その結果、移植7年後の移植片の生着率はECD移植レシピエントのほうが有意に低かったが、移植レシピエントにおけるドナー特異的抗HLA抗体(DSA)の非存在と冷虚血時間の短縮で、アウトカムは改善可能であることが明らかになったことを報告した。ECDは、ドナーを60歳以上もしくは50~59歳で血管系併存疾患がある人まで適応を拡大した基準である。著者は今回の結果を踏まえて、「DSAと冷虚血時間の2つの因子を修正後にECD移植は満足な長期予後を得ることができ、標準基準ドナー(SCD)腎移植と類似した移植片の生着率を達成可能である」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年7月31日号掲載の報告より。拡大(ECD) vs.標準基準ドナー(SCD)からの腎移植の長期生着について評価 試験は、フランスの4施設で2004年1月~2011年1月に腎移植を受けた連続患者を(主要コホート)、2014年5月まで追跡して行われた。また、検証コホートに2002年1月~2011年12月に別の4施設から腎移植患者を包含し評価した。 主要評価項目は、長期の腎移植片生着で、ドナー、レシピエント、移植関連の臨床的特徴(移植前生検、ベースラインのDSA値)で系統的に評価した。 試験には6,891例が包含された(主要コホート2,763例、検証コホート4,128例)。 主要コホートは、年齢中央値52歳、85.8%は死体腎で移植が行われた。ECD腎移植は、916例(33.2%)であった。移植時のDSAの非存在、冷虚血時間の短縮で長期生着率改善は可能 全体として、ECD腎移植のほうがSCD腎移植と比べて、7年後の移植片生着率が有意に低かった(80% vs. 88%、p<0.001)。 またECD腎移植患者における7年後の移植片生着率は、移植時にDSAの存在が認められた患者(12.1%)が、認められなかった患者と比べて有意に低かった(44% vs.85%、p<0.001)。 ドナー、レシピエント、移植の特徴、および移植前生検の所見、ベースラインでの免疫学的パラメータで調整後、長期の移植片生着失敗の主要因は、ECD腎移植へ割り付けたこと(ハザード比[HR]:1.84、95%信頼区間[CI]:1.5~2.3、p<0.001)、移植日のDSAの存在確認(同:3.00、2.3~3.9、p<0.001)、そして冷虚血時間が長いこと(12時間超で1.53、1.1~2.1、p=0.011)であった。 DSAの存在が認められたECD腎レシピエントは、その他の移植群と比べて、移植片生着失敗リスクが5~6倍高かった(p<0.001)。

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事例66 創傷処理(筋肉、臓器に達しない)(5cm以上)の査定【斬らレセプト】

解説事例では、時間外に左下腿挫創に縫合を行いK000創傷処理(筋肉、臓器に達しない)(5cm以上10cm未満)を算定したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす: 過剰)にて「5cm未満の区分」に査定となった。創傷処理の注には、近接した複数の創傷処理に対して、それらの長さ・範囲を合計して1つの創傷として取り扱うとある。創の大きさは、実際にカルテに記載された大きさを医療機関で判定している。傷病名からみて区分の縮小査定に疑問を感じ、レセプトを確認した。創傷処理に麻酔薬の使用がない。経験上から、麻酔薬の使用がない創傷処理などの手術は、処置で査定となることが多い。レセプトの審査員は、レセプトに記載の生理食塩液1L使用に着目し、麻酔を使用しない程度のデブリドマンを実施したことを類推、創傷処理は認めるが、麻酔薬の使用がないため最小の区分で算定するとされたものであろう。医師には、麻酔を使用しないで創傷処理などの手術を実施した場合には、あらかじめレセプトに麻酔を必要としなかった医学的理由のコメントを残すようお願いした。

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双極性障害の自殺、どの程度わかっているのか

 双極性障害患者の自殺企図や自殺死には多くの要因が影響を及ぼしている。国際双極性障害学会(ISBD)では、こうした要因の存在やその影響度に関する文献をまとめた自殺に関するタスクフォース報告書を発表した。筆頭著者であるカナダ・トロント大学のAyal Schaffer氏らは、「研究の対象やデザインが不均一性であるため、これら要因の影響度を再検討し確定するさらなる研究が必要である。このことが最終的には、双極性障害患者のリスク層別化の改善につながる」と述べている。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年7月14日号の掲載報告。 ISBDは、「双極性障害」と「自殺企図または自殺」をキーワードに1980年1月1日から2014年5月30日までに発表された論文を対象として、システマティックレビューを行った。双極性障害患者の自殺企図や自殺死に関連すると思われる要因について、すべての報告を調査した。要因を、(1)社会人口統計学的、(2)双極性障害の臨床的特徴、(3)併存疾患、(4)その他の臨床変数、の4つに分類し分析した。 主な結果は以下のとおり。・20の特異的要因が自殺企図や自殺死にどのように影響するかを調査した141件の研究を特定した。・要因については、それぞれのエビデンスのレベルや一致の程度にばらつきがあった。・その中で少なくとも1件の研究で、以下の要因について影響があることが認められた。性別、年齢、人種、婚姻状況、宗教、発症年齢、罹患期間、双極性障害のサブタイプ、初回エピソードの極性、現在/最近のエピソードの極性、優位極性、気分エピソードの特徴、精神病、精神疾患の併存、パーソナリティ特性、性的機能不全、自殺や気分障害の一親等家族歴、自殺企図歴、若年期のトラウマ、心理社会的要因。関連医療ニュース 双極性障害、退院後の自殺リスクが高いタイプは 双極性障害とうつ病で自殺リスクにどの程度の差があるか うつ病と双極性障害を見分けるポイントは  担当者へのご意見箱はこちら

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デング熱に気を付けろッ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気をつけろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そしてときにまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。今回はついに、この「気を付けろッ!」の大本命、デング熱の気を付け方について考えたいと思います。総まくりデングウイルスの基礎知識デング熱といえば、ご存じのとおり昨年日本でも大流行を起こした感染症であります。2014年は、日本国内で感染したと考えられるデング熱患者が162人も診断されました1)。デング熱は、基本的に自然に治癒する感染症ですので、すべての患者が病院を受診しているとは限りません。診断されていない症例はもっといるだろうと想像されます。熱帯・亜熱帯地域でデング熱を媒介しているのは主にネッタイシマカAedes aegyptiですが、日本では成田空港で見つかったことがあるのみです。したがって、今回のアウトブレイクの原因となった媒介蚊はヒトスジシマカAedes albopictusであり、日本の広い地域に分布しています。温暖化の影響により、ヒトスジシマカの分布域は北上しており、現在では本州(青森県以南)から 四国、九州、沖縄まで広く分布していることが確認されています(図)。画像を拡大する昨年の流行は、代々木公園(東京都渋谷区)から始まりました。最終的には代々木公園以外の場所で感染したと推定される患者さんも報告されましたが、大半は代々木公園で感染したと推定される症例ばかりでした。最初にデングウイルスを日本に持ち込んだのが、日本人旅行者であったのか、外国人旅行者であったのかはわかりませんが、とにかく海外でデングウイルスに感染した人が日本で発症し、代々木公園でヒトスジシマカに刺されたことによって、代々木公園のヒトスジシマカがデングウイルスを持つようになったのだと考えられます。このヒトスジシマカが代々木公園を訪れた人々を刺すことによって、海外渡航歴のない人もデングウイルスに感染し、デング熱を発症することになったのです。デングウイルスの爆発的な広がり具合からして、おそらく最初に持ち込んだ人は、代々木公園で一度ではなく何度も蚊に刺されたのだろうと想像します。今年の代々木公園は大丈夫か?「なぜ流行の起点が、代々木公園であったのか?」というと「たまたま代々木公園だった」ともいえますが、やはりいくつかの理由があると考えられます。1つは人と蚊が密集している場所であるということです。デング熱は、蚊を介して人から人にうつっていく感染症ですが、代々木公園はこの「人→蚊→人」のサイクルが作られやすい環境にある公園といえます。都会の中心に位置するため、連日多くの人々が集まりますし、多くの木々や水たまりは蚊の発生しやすい環境です。また、代々木公園では、毎週のように週末にはイベントが催されています。表は、アウトブレイク前夜に代々木公園で行われていたイベントの一覧です。画像を拡大するブラジルフェスティバルだの、タイフェアだの、デング熱が流行している国をフィーチャリングしたイベントの開催があったことが、おわかりいただけたかと思います。これは1つの可能性に過ぎませんが、もしかしたらこれらの国からイベントに参加した人が、デングウイルスを持ち込んだ可能性もあるのかもしれません。ちなみに最近の調査によりますと、東京都の蚊への対策のかいもあって、今年の代々木公園は蚊が昨年よりもかなり少ないと聞いております。しかし、代々木公園の蚊は減っているとはいえ、今年もデング熱の国内流行が起こる可能性は十分にありますッ! 昨年の大流行からさらにさかのぼること1年前、2013年に日本で、デング熱に感染したと考えられるドイツ人女性が、報告されたのを覚えていらっしゃいますでしょーか3)。すでに2013年には、日本国内にデングウイルスを持った蚊はいたと考えられます。また、昨年の162例の感染例のうち熱海市で報告された1例は、その他の症例とは起源の異なる株であることもわかっています。つまり、この2年間に日本国内には、3つのデングウイルスが侵入していたことになるのですッ!! 蚊は、日本では越冬できないためデングウイルスも冬にはいなくなると考えられていますが、今シーズンもデングウイルスが日本国内に持ち込まれる可能性は、十分にありますッ!さて、それでは次回は、どのようなときにデング熱を疑えば良いのか、また治療はどうするのかについて考えたいと思います。1)Kutsuna S, et al. Emerg Infect Dis. 2015;21:517-520.2)厚生労働省.デング熱国内感染事例発生時の対応・対策の手引き 地方公共団体向け(第1版).3)Schmidt-Chanasit J, et al. Euro Surveill. 2014;19:20681.

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唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ

 香辛料入り食品を習慣的に摂取すると、あまり食べない集団に比べ、全死因死亡のほか、がん、虚血性心疾患、呼吸器疾患による死亡が減少することが、China Kadoorie Biobank collaborative groupのJun Lv氏らの調査で示された。香辛料は、世界の食文化に不可欠の要素であり、食品の味や風味付け、彩り、保存食のほか医療用としても長い歴史を持つ。最近は、とくに味付けのための使用が増加しており、中国では全国的に唐辛子の消費量が多いという。一方、カプサイシンなど、香辛料の主要な生理活性成分は、種々の慢性疾患において有益な役割を果たすことが、実験的研究や地域住民研究で報告されている。BMJ誌オンライン版2015年8月4日掲載の報告より。約49万人を約350万人年追跡した前向きコホート研究 研究グループは、香辛料入り食品の習慣的な摂取状況と、全死因および原因別の死亡との関連を評価する地域住民ベースの前向きコホート研究を実施した(National Natural Science Foundation of Chinaの助成による)。 2004~2008年に、中国の地理的に多様な10地域で50万人以上の参加者の登録を行ったChina Kadoorie Biobankのデータを用いた。ベースライン時にがん、心疾患、脳卒中に罹患していた参加者を除く、30~79歳の48万7,375人(男性19万9,293人、女性28万8,082人)が解析の対象となった。 ベースライン時に、参加者は「前月に、香辛料入り食品をどのくらい食べましたか」と質問され、「まったくあるいはほとんど食べない」「数日のみ」「週に1~2日」「週に3~5日」「週に6~7日」の中から1つを選んで回答した。 「週に1~2日」「週に3~5日」「週に6~7日」と答えた者は、さらに「あなたが食べた香辛料入り食品に使用された香辛料の主な原料は何ですか」との質問に対し、「生唐辛子」「乾燥唐辛子」「唐辛子ソース」「唐辛子油」「その他」「不明」の中から回答した(重複回答可)。 香辛料入り食品をほぼ毎日(週6~7日)摂取している集団は、それ以外の集団に比べ、農村地域居住者や喫煙者、アルコール摂取者が多く、赤身肉や野菜、果物の摂取頻度が高かった。また、全体で最も摂取頻度の高い香辛料のタイプは生唐辛子(約8割)であり、次いで乾燥唐辛子(約6割)であった。 フォローアップは2004~2013年に行われ、フォローアップ期間中央値は7.2年(350万4人年)であった。この間に、男性1万1,820人、女性8,404人が死亡した。ほぼ毎日食べると全死因死亡のリスクが14%減少 香辛料入り食品の摂取頻度別の絶対死亡率は、週1日未満の群が1,000人年当たり6.1であり、週1~2日の群が4.4/1,000人年、週3~5日の群が4.3/1,000人年、週6~7日の群は5.8/1,000人年であった。 既知のリスク因子や可能性のあるリスク因子で補正後の全死因死亡率は、男女ともに摂取頻度と強い逆相関の関係を示した。全体では、週1日未満と比較した死亡の補正ハザード比(HR)は、週1~2日が0.90(95%信頼区間[CI]:0.84~0.96)、週3~5日が0.86(95%CI:0.80~0.92)、週6~7日は0.86(95%CI:0.82~0.90)であった。 香辛料入りの食品を週に6~7日食べる集団は、週に1日も食べない集団に比べ、全死因死亡の相対的リスクが14%減少した。 また、全体では、香辛料入り食品を週に6~7日食べる集団は、週1回未満の集団に比べ、がん死、虚血性心疾患死、呼吸器疾患死のリスクが有意に低かったが、脳血管疾患死や糖尿病死、感染症死には差がなかった。感染症死は、女性では週に6~7回食べる集団で有意にリスクが抑制されていた。 週に6~7日食べる集団で、生唐辛子とそれ以外(乾燥唐辛子、唐辛子ソース、唐辛子油、その他の香辛料)に分けてリスクを比較したところ、生唐辛子で有意なリスク抑制効果がみられ、それ以外では有意差のない項目として、がん死、虚血性心疾患死、糖尿病死が挙げられた。全死因死亡と呼吸器疾患死は、生唐辛子とそれ以外の香辛料ともに、リスク抑制効果が有意だった。 摂取頻度と全死因死亡の逆相関の関係は、アルコール摂取者よりも非摂取者で、より強力であった(交互作用検定:p=0.033)。 著者は、「観察研究であるため、因果関係は確定できない。これらの知見の一般化可能性を示すには、別の集団においてさらなる前向き試験を行う必要がある」とし、「エビデンスが蓄積されれば、推奨食品に加えられたり、ハーブ系の補助食品などの機能性食品の開発につながる可能性がある」と指摘している。

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かかりつけ医と薬局が連携して薬剤の一元管理を

 厚生労働省は第4回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会1)(座長:昭和薬科大学 学長 西島 正弘氏)を8月7日に開催した。冒頭に厚労省より、これまでの議論2)を踏まえ、「健康づくり支援薬局(仮称)=かかりつけ薬局の機能+積極的な健康サポート機能を有する薬局」という案が示された。具体的には、「かかりつけ薬剤師」が日頃から患者と継続的に関わって信頼関係を構築し、薬について相談できることが重要であり、その役割を発揮するために適切な業務管理や連携、薬局の構造設備が必要であることが説明された。そのうえで、かかりつけ薬局の主な機能として以下の3つが提案され、「かかりつけ薬局・薬剤師」の必要性と機能について議論が交わされた。1. 患者の服用歴や現在服用中のすべての薬剤に関する情報等を一元的に管理する機能2. 24時間対応、在宅対応を行える機能3. かかりつけ医をはじめとした医療機関との連携機能  日本医師会の羽鳥 裕氏は、昨年4月の診療報酬改定で地域包括診療料、地域包括診療加算が新設され、「処方されている薬は医師が一元的に管理する」とされた点を指摘。服薬管理は医師、服薬指導は薬剤師というように役割分担を明確にすべきだと主張した。これに対し、日本薬剤師会の森 昌平氏は、医師も服薬管理をするが、薬剤師にもOTC薬を含めた薬剤を一元的管理する役割があるため、連携を取りながら情報を確認する必要があるとした。 また、羽鳥氏は「健康食品の指導が医薬品指導と併記されていることは不適切で、食品を扱うのは栄養士のような専門家がやるべきではないか」と述べた。これに対し、日本保険薬局協会の二塚 安子氏は、薬局で健康食品に関する相談は多くあり、ファーストアクセス窓口としてきちんと情報提供していく必要があるという考えを示した。ほかの構成員からは、健康食品による健康被害事例があることや、今年から機能性表示食品制度開始になったことなどの状況から、薬剤師に健康食品などの研修を徹底すべきとの声が聞かれた。また、保険制度だけではなく、健康増進法や薬機法なども考慮し、最終的な制度設計も考えながら議論すべきとの意見も出た。 時間外対応の実態としては、秋田県薬剤師会の会営薬局の例が森氏より示された。大半の事例は電話相談で済んでおり、緊急で調剤などの店舗対応が必要なケースは少数であることが説明された。事例を踏まえて森氏は、時間外に薬局、薬剤師と必ず連絡が取れることを要件とすべきで、相談内容に応じて調剤や受診勧奨などに責任を持ってつなげられることが必要との考えを示した。 また、NPO法人 ささえあい医療人権センターCOMLの山口 育子氏の「何をもって連携していると判断するのか」という書面での質問に対して森氏は、「地域包括ケアの中で連携を図っていく。薬剤師会に入っていれば自ずと連携できる。そのための職能団体である」との考えを述べた。また、羽鳥氏より、先日のファーマシーフェア2015での日本保険薬局協会 中村 勝氏の「24時間対応・在宅対応、一元管理などは1つの薬局でできるのか疑問」という発言について意見を求められ、森氏は「患者がかかりつけとなる1つの薬局を持つ体制を進めるべきであり、1つの薬局でできないとは思っていない」と述べた。 また、医療資源が少ない地域でも実行可能な仕組みづくりや、お薬手帳の徹底、病院や診療所による血液検査等の情報共有などの必要性に関する意見が出た。【参考】1)厚生労働省第4回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会. 厚生労働省. (参照 2015.8.11).2)「健康づくり支援薬局」 資質兼ね備えた薬剤師常駐が要件 厚労省検討会

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抗精神病薬の適応外処方、年代別の傾向を調査

 成人、小児および高齢者における抗精神病薬の適応外処方について、フランス・リール第1大学のLouise Carton氏らはシステマティックレビューにて調査を行った。その結果、近年、適応外処方は広く行われており、その処方内容は患者の年齢層により異なること、使用理由としては治療に行き詰まった場合や承認薬がほとんどない特異的疾患におけるケースが多いことを明らかにした。一方で、その他の適応外処方は軽度な症状に対する処方を一時的に反映しているだけで、著者らは「安全性に対する懸念が生じる可能性がある」と指摘している。Current Pharmaceutical Design誌2015年7月号の掲載報告。 レビューは、PubMed、ScienceDirect databasesを介して、「適応外」+(「抗精神病薬」または「神経遮断薬」)をキーワードに論文検索が行われた。検索対象期間は2000年1月~2015年1月とし、英語で書かれた薬剤疫学的な研究のみを適格とした。 主な結果は以下のとおり。・77本の適格論文が特定された。・成人において、適応外処方(OLP)は、すべての抗精神病薬処方の40~75%を占めていた。・OLP処方における主な症状は、気分障害、不安症、不眠症、興奮であった。・クエチアピンは、とくに不安と不眠症に対して最も頻度が高いOLPであった。・小児において、OLPはすべての抗精神病薬処方の36~93.2%にわたっていた。・主に使用されていたのはリスペリドンとアリピプラゾールで、注意欠如・多動症、不安または気分障害に処方されていた。・高齢者において、OLPはすべての抗精神病薬処方の22~86%を占めていた。・抗精神病薬OLPは、とくに興奮に対する頻度が高かった。しかしながら、このOLPは最近、減少していることが確認された。関連医療ニュース 若年者への抗精神病薬使用、93%は適応外処方 非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状 アルツハイマー病、46.8%で不適切な薬剤が処方  担当者へのご意見箱はこちら

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事例65 入院中患者の診療所受診分すべての査定(返戻)【斬らレセプト】

解説事例では、審査支払機関から返戻があって初めて、受診した患者が入院中であったことがわかった。入院中の医療機関では、入院基本料などを算定しているため、その患者の全身管理に責任を持つとされ、特別な理由を除き他の医療機関では保険適用はできない。入院中の医療機関がDPC対象病院であり、返戻せんに「合議願います」との添え書きがあったために、幸いにも合議に応じてもらえたが、患者の勝手な受診には応じられないと合議に応じてもらえない場合には、患者に診療費と調剤薬局処方の相殺分のすべてを自費請求しなければならないなど、手数がかかることが予想される事例であった。患者やその家族の中には、どのような場合でも保険が適用になると思われている方は多い。この診療所では、受診中に入院中であることがわかれば、その場で入院中は保険で他院に受診できないため、自費であることを伝える対応を取っていた。今回のような事例の再発を防ぐために、他院入院中の受診に対しての注意を待合室に掲示した。

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早期乳がんの術後ビスホスホネート、ベネフィットは閉経女性のみ?/Lancet

 早期乳がんに対するビスホスホネート製剤による術後補助療法は、骨再発を抑制し、生存期間の改善をもたらすが、明確なベネフィットは治療開始時に閉経に至っている女性に限られることが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)の検討で示された。術後ビスホスホネート療法は、早期乳がん女性の無骨転移生存、無病生存、全生存を改善するとの報告がある一方で、全体では有意な効果はないものの、閉経後または高齢女性でベネフィットを認めたとの報告がある。これは、ビスホスホネート製剤は性ホルモンが低下した女性(閉経または卵巣抑制療法)にのみベネフィットをもたらすとの仮説を導く。Lancet誌オンライン版2015年7月23日号掲載の報告より。リスクとベネフィットをメタ解析で評価 研究グループは、早期乳がんに対する術後ビスホスホネート療法のリスクとベネフィットを評価するためにメタ解析を実施した(Cancer Research UKなどの助成による)。 早期乳がんの治療においてビスホスホネート製剤と対照を比較した無作為化試験のうち交絡因子のないすべての試験から個々の患者のデータを抽出した。 主要評価項目は、再発、遠位再発、乳がん死とした。初回遠位再発の部位(骨、その他)、閉経状況(閉経後[自然閉経、人工閉経]、閉経前)、ビスホスホネート製剤のクラス(アミノビスホスホネート[ゾレドロン酸、イバンドロネート、パミドロネート]、その他[クロドロネート])でサブグループ解析を行った。 intention-to-treat集団において、log-rank法を用いてビスホスホネート製剤と対照の初回イベント発生の率比(RR)を算出した。閉経後女性の骨再発を28%、乳がん死を18%抑制 26試験に参加した1万8,766例のデータを解析した。1万8,206例(97%)が2~5年(中央値3.4年)の治療を受け、フォローアップ期間中央値は5.6年であった。この間に3,453例が初回再発し、2,106例が死亡した。 対照と比較したビスホスホネート製剤の全体的な効果は、再発(RR:0.94、95%信頼区間[CI]:0.87~1.01、2p=0.08)、遠隔再発(0.92、0.85~0.99、2p=0.03)、乳がん死(0.91、0.83~0.99、2p=0.04)のいずれも有意水準の境界近くであったが、骨再発(0.83、0.73~0.94、2p=0.004)の抑制効果は明確であった。 閉経前女性では、どの評価項目にも明らかな効果は認めなかったが、閉経後女性1万1,767例の解析では、再発(RR:0.86、95%CI:0.78~0.94、2p=0.002)、遠位再発(0.82、0.74~0.92、2p=0.0003)、骨再発(0.72、0.60~0.86、2p=0.0002)、乳がん死(0.82、0.73~0.93、2p=0.002)が著明に改善された。 一方、ビスホスホネート製剤の骨再発抑制効果は、高齢女性で高く(2p=0.03)、閉経後女性で大きい傾向がみられたものの(2p=0.06)、年齢と閉経状況は密接に関連するため、どちらがより強く関連するかは決定できない。 薬剤のクラス、投与スケジュール、エストロゲン受容体(ER)の状態、局所リンパ節転移の有無、腫瘍の悪性度、併用化学療法の有無による差は認めなかった。また、乳がん以外の原因による死亡に差はなかったが、骨折はビスホスホネート製剤で有意に少なかった(RR:0.85、95%CI:0.75~0.97、2p=0.02)。 著者は、「ビスホスホネート製剤は、主にアロマターゼ阻害薬による治療を受けている閉経後ER陽性乳がん患者において、骨量減少や骨折リスクの抑制を目的に使用される。今回の解析結果は、これに加え、腫瘍に対する効果も有することを示しており、広範な閉経後女性において術後ビスホスホネート療法を考慮すべきであることが示唆される」と指摘している。

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わかる統計教室 第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価する セクション4

インデックスページへ戻る第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション4 カプランマイヤー法の生存曲線を比較するセクション1 セクション2 セクション3■いよいよ最後の確認ポイント!再度確認です。このデータの目的は何だったでしょう?「重症心不全のような致死的な疾患に対する薬剤の治療効果を、治療後の生存期間の延びでみようとしたもの」でした。では、これから2つの群の生存曲線を比較する方法について勉強していきましょう。■“log-rank test”と“generalized Wilcoxon test”いろいろな検定方法の中で、生存曲線で2群間に有意な差があるかどうかを調べる検定方法では“log-rank test”と“generalized Wilcoxon test”が使われます。しかし、それぞれの名前や計算方法は、別の機会に学習するとして、どちらの検定でもp値が算出されるということだけ覚えておいてください。この重症心不全のデータの場合は、log-rank testを用いています。とにかくp値にだけ着目してください。p値の判定については、p値が0.05以下ならば「母集団に違いがある」「有意な差がある」ということを表します。ですから、今回のデータでいえば、log-rank testにおけるp値が0.0033で0.05より小さいので、製品A群とプラセボ群の生存曲線に違いがある、つまり有意な差があるといえることになります。これで「2群間の生存曲線に違いがある」と判定できるのです。■生存曲線のグラフに着目p値とともに生存曲線のグラフをみてください。生存曲線は、製品A群がプラセボ群より上側に位置しています。製品A群の生存率はプラセボより高く、製品A群の追加による生命予後の改善があったと解釈できるわけです。この解釈は研究に適用した1,251例の患者データから引き出されたものですが、検定結果(=p値)によって、この解釈は別の患者についてもいえることになります。■2つの検定の違いは何?基本的な考え方だけご説明します。log-rank testは、期別死亡率がどの時点でも同等であると考えて用いるものです。generalized Wilcoxon testでは、最初のほうは例数が多いため信頼性が高く、後のほうは例数が少ないことから信頼性が低いとして、期別死亡数に重み付けをして検定計算しています。たとえば、難治性のがんのように大半の患者が死亡してしまうような時は、generalized Wilcoxon testが用いられるということになります。■ハザード比=0.56とは?ハザード比というのは、「疾患による死亡の『危険』が、治療によってどれくらいの倍率で抑えることができたか」ということです。言い換えれば、生存率がどれくらいの倍率で高くなるか、ということを計算した結果ということになります。このデータでは、「ハザード比は0.56だから、プラセボ群で治療するより製品A群のほうが生存率は1.78(1÷0.56)倍高くなる」ということになります。ちなみに、図にある「95%CI」はハザード比の95%信頼区間のことです。データをみると0.40~0.78なので、製品A投与によって、生存率が1.29~2.48倍の範囲で高くなるということです。つまり、95%の確率でその範囲内に収まるということになります。そして、「Cox比例ハザードモデル」というのはハザード比の算出方法を指しています。[ハザード比の算出は、多変量解析のCox比例ハザードモデルで、目的変数をアウトカム(死亡、打ち切り)、説明変数を観察期間、群(製品A群、プラセボ群)として算出します]※検定、信頼区間などは別の機会に学習していきます。■今回のポイント1)p値を確認!「0.05のバーをくぐると有意差あり」2)ハザード比は“危険回避度合”、つまり生存率の高まりを示す!次回より、リスク比(相対危険度)とオッズ比を学習します。インデックスページへ戻る

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20年以内に胃がん発症の可能性がある人は?/BMJ

 悪性徴候がなく胃内視鏡検査により生検を受けた人において、20年以内に胃がんを発症するのは、正常粘膜の人では約256人に1人、胃炎は85人に1人、萎縮性胃炎50人に1人、腸上皮化生39人に1人、異形成19人に1人であることが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のHuan Song氏らによる検討の結果、示された。同国低リスク集団40万人超を対象とした観察コホート研究の結果、明らかにしたもの。著者は、「さらに費用対効果の検討を行い、長期的な胃の前がん病変の内視鏡サーベイランスの施策に、これらの数字を生かしていく必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年7月27日号掲載の報告より。悪性徴候がなく胃生検を受けた40万5,211人を追跡 検討は、スウェーデンの全国疾患レジスターデータから、1979~2011年に悪性徴候がなく胃生検を受けた40万5,211人を対象とした。 主要評価項目は胃がんの発生で、ベースラインの生検結果に基づく粘膜変化別患者群(Correa’s cascade群とその他診断群)で評価した。Correa’s cascade群は、正常粘膜、軽度の粘膜変化あり、胃炎、萎縮性胃炎、腸上皮化生、異形成の各群に分類された。 スウェーデン一般集団を参照値とした標準化発生率で相対リスクを推算し評価した。Correa’s cascade群内の各粘膜変化患者群の検討では、Cox回帰モデルを用いて正常胃粘膜患者群との比較によるハザード比を算出して評価した。胃粘膜病変の進行度に伴い胃がんリスク増大が明らかに フォローアップの当初2年を除外後、Correa’s cascade群には28万8,167例(平均年齢56歳、男女比:1対1.24)、その他診断群には5万4,130例が分類された。Correa’s cascade群の追跡期間は約10年(腸上皮化生の7.9年以外は同等)であった。 追跡期間中、胃がんと診断された人は全コホートでは1,599例であった。そのうちCorrea’s cascade群は1,273例であった。 Correa’s cascade群の胃がんの粗年間発生率は、正常粘膜群20×10-5(標準化発生率1.0)、軽度の粘膜変化あり42×10-5(同1.5)、胃炎59×10-5(同1.8)、萎縮性胃炎100×10-5(同2.8)、腸上皮化生129×10-5(同3.4)、異形成263×10-5(同6.5)であった。 Cox回帰モデルによる検討の結果、胃粘膜病変の進行に伴いリスクが増大することが示され、最も高い異形成群のリスクは正常粘膜群の10.9倍であった(ハザード比:10.9、95%信頼区間[CI]:7.7~15.4)。 発生率の増大はフォローアップ期間を通して一定してみられ、各群間の累積発生率の差は広がり続けた。

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ポンプ本体全内面を生体材料で構成した全置換型人工心臓、初の臨床例を報告/Lancet

 新たに開発された生体弁を用いた全置換型人工心臓CARMAT TAH(C-TAH)の、最初の臨床使用例2例の報告が、フランス・パリ大学のAlain Carpentier氏らにより発表された。2例とも最終的には死亡となったが、うち1例は150日目に退院することができたという。著者は「今回の経験知は、生体材料を用いた全置換型人工心臓の開発に重要な貢献をもたらすことができた」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年7月28日号掲載の報告。2例に行われた初の施行例 本検討の目的は、両室心不全で移植不適者であり死が目前に迫った患者について、C-TAHの安全性と使用の可能性を評価することであった。C-TAHは、植込み型の電気駆動型拍動式両室ポンプの人工心臓装置で、バッテリー以外の部品は1装置に収められ、患者の心室を摘出して置換する。これまで、末期の心疾患患者に対する人工心臓の開発では、血栓塞栓症や出血の合併症が重大な課題となっており、これら合併症の発生は生体弁では低率であることからC-TAHが開発された。 研究グループは、フランスの3つの心臓外科センターから、2例の男性患者を選出し、植込み置換手術を行った。 患者1は76歳で、2013年12月18日にC-TAH移植を施行。患者2は68歳で2014年8月5日に移植が行われた。これまで重大な課題であった血栓問題は克服 両心バイパスに要した時間は、患者1が170分、患者2は157分であった。 両患者とも術後12時間以内に抜管。呼吸機能および循環機能は迅速に回復し、精神状態も良好であった。 患者1は23日目に心タンポナーデを呈し再介入が必要となった。術後出血により抗凝固薬は中断。C-TAHは良好に機能し心拍出量は4.8~5.8L/分であったが、74日目に、装置故障により死亡した。 剖検では、抗凝固薬が約50日間投与されなかったにもかかわらず、生体弁またその他臓器からも血栓は検出されなかった。 患者2は、一過性の腎不全および心嚢液貯留で排液を要したが、それ以外は術後経過に問題はみられず150日目に退院となった。ウェアラブルシステムのみで技術的補助は必要としなかった。 自宅に戻ってから4ヵ月後、低心拍のためC-TAHを交換。しかし多臓器不全で死亡した。

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ピオグリタゾンのがんリスクを検討~20万人のコホート試験/JAMA

 ピオグリタゾン(商品名:アクトスほか)の使用は、膀胱がんリスク増大と有意な関連は認められなかったが、がんリスクを除外することはできないことを、米国・ペンシルベニア大学のJames D. Lewis氏らが、約20万人について行ったコホート試験の結果、報告した。前立腺がんおよび膵臓がんリスク増大との関連が示され、著者は「さらなる検討を行い、それらの関連性に因果関係があるのか、偶然によるものか、残余交絡や逆相関についても調べる必要がある」とまとめている。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告。膀胱がん、その他10種類のがん発症リスクとの関連を追跡 研究グループは、米国のカイザー・パーマネンテ北カリフォルニアのデータベースから、1997~2002年時点で40歳以上の糖尿病患者19万3,099例(膀胱がんコホート)について、2012年12月まで追跡し、ピオグリタゾン使用と膀胱がんリスクについて分析した。 さらに、膀胱がんほか、前立腺がん、女性の乳がんや、肺(気管支含む)、子宮体、結腸、非ホジキンリンパ腫、膵臓、腎臓/腎盂、直腸、メラノーマの10種類のがんリスクとの関連について、40歳以上の糖尿病患者23万6,507例について、1997~2005年から2012年6月まで追跡した。ピオグリタゾン、前立腺がんを1.13倍、膵臓がんを1.41倍に 膀胱がんコホートのうちピオグリタゾンを服用したことのある人は、3万4,181例(18%)で、服用期間中央値は2.8年だった。そのうち膀胱がんを発症した人は1,261例で、ピオグリタゾン使用者の膀胱がん粗発生率は89.9/10万人年に対し、非使用者では75.9/10万人年だった。ピオグリタゾン使用者は非使用者と比べて、膀胱がん発症リスクの増大は認められなかった(補正後ハザード比:1.06、95%信頼区間[CI]:0.89~1.26)。 結果は、ケースコントロール解析でも同様であった(ピオグリタゾン使用:症例患者群19.6%、対照群17.5%、補正後オッズ比1.18、95%CI:0.78~1.80)。 補正後解析において、その他10種類のがんのうち8種類では、ピオグリタゾン使用により発症リスク増大はみられなかったが、前立腺がん(ハザード比:1.13、95%CI:1.02~1.26)と膵臓がん(同:1.41、1.16~1.71)では増大がみられた。使用者 vs.非使用者の粗発生率は、10万人年当たり前立腺がんが453.3 vs.449.3人年、膵臓がんが81.1 vs.48.4人年だった。

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ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

 ベンゾジアゼピン系薬およびZ薬(ゾピクロン、ゾルピデム、ゼレプロン)の長期使用例における投与中止戦略について、カナダ・ダルハウジー大学のAndre S. Pollmann氏らはscoping reviewを行って検討した。その結果、多様な戦略が試みられており、その1つに漸減があったがその方法も多様であり、「現時点では複数の方法を組み合わせて処方中止に持ち込むことが妥当である」と述べている。鎮静薬の長期使用が広く行われているが、これは転倒、認知障害、鎮静状態などの有害事象と有意に関連する。投与中止に伴いしばしば離脱症状が出現するなど、依存症の発現は重大な問題となりうることが指摘されていた。BMC Pharmacology Toxicology誌2015年7月4日号の掲載報告。 研究グループは、地域在住成人のベンゾジアゼピン系薬およびZ薬長期使用に対する投与中止戦略について、scoping reviewにより文献の位置付けと特徴を明らかにして今後の研究の可能性を探った。PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、EMBASE、PsycINFO、CINAHL、TRIP、JBI Ovid のデータベースを用いて文献検索を行い、grey literatureについても調査を行った。選択文献は、地域在住成人におけるベンゾジアゼピン系薬あるいはZ薬の投与中止方法について言及しているものとした。 主な結果は以下のとおり。・重複を除外した後の文献2,797件について適格性を検証した。これらのうち367件が全文評価の対象となり、最終的に139件がレビューの対象となった。・74件(53%)がオリジナル研究で、その大半は無作為化対照試験であり( 52件[37%])、58件(42%)がnarrative review、7件(5%)がガイドラインであった。・オリジナル研究の中では、薬理学的戦略が最も多い介入研究であった( 42件[57%])、その他の投与中止戦略として、心理療法、(10件[14%])、混合介入(12件[16%])、その他(10件[14%])が採用されていた。・多くは行動変容介入が併用されており、その中には能力付与による可能化(enablement)(56件[76%])、教育(36件[47%])、訓練(29件[39%])などが含まれていた。・多くの研究、レビュー、ガイドラインに漸減という戦略が含まれていたが、その方法は多様であった。関連医療ニュース 長期ベンゾジアゼピンの使用は認知症発症と関係するか 抗精神病薬の単剤化は望ましいが、難しい メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか  担当者へのご意見箱はこちら

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事例64 悪性腫瘍特異物質治療管理料(その他2項目)の査定【斬らレセプト】

解説事例では、胃がん、膵がんを疑い、D009腫瘍マーカー検査2項目を測定していたのでB001[3]悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定したところ、C事由(医学的理由による不適当)により査定となった。腫瘍マーカー検査そのものの復活は無く、静脈採血料が復活されていた。同管理料の留意事項には、「悪性腫瘍と既に確定診断された場合に腫瘍マーカー検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定できる」とある。事例では「疑い病名」のままで算定していたため同管理料の算定は不適当と判断された。また、レセプト上の検査などの実施状況から悪性腫瘍を強く疑った理由が読み取れないため、腫瘍マーカー検査の復活が認められなかったものと推測できる。再審査を考えるために、本来は悪性腫瘍が確定していたのではないかとカルテを確認したが、治療計画の記載など確定診断が読み取れる記載が確認できなかったため、再審査は行われなかった。同管理料と腫瘍マーカー検査は、査定例が多く、個別指導などでも指摘が多い項目である。算定要件に十分に留意して算定をお願いしたい。

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日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project

 うつ病は、QOLへの影響が最も大きい消耗性疾患の1つであるが、うつ病患者のうち、適切な抗うつ薬治療により寛解を達成できるのは半分以下である。うつ病治療における、その他の有望な治療オプションに認知行動療法(CBT)がある。しかし、CBTの実施には、経験豊富なセラピストや多くの施行時間を要するため、普及は容易ではない。国立精神・神経医療センターの渡辺 範雄氏らは、薬物療法のみで反応不十分なうつ病患者に対し、抗うつ薬切り替えと同時にスマートフォンを用いたCBTプログラムを併用した際の有効性を検討するための研究(FLATT Project)を開始した。Trials誌2015年7月7日号の報告。 主な研究デザインは以下のとおり。・2014年9月より、多施設無作為化試験を実施。・スマートフォンを用いたCBTプログラムは、うつ病のための「こころアプリ」という名で開発され、その実行可能性は、先行のオープン試験で確認されている。・プログラムは、イントロダクション、6つのセッション、エピローグから構成され、患者が自身で9週間以内に完了できるよう設計されている。・対象患者は、DSM-5でうつ病と診断され、4週間以上の適切な抗うつ薬治療を行ったが無反応または部分反応であった164例。「こころアプリ」を抗うつ薬切り替えに併用した群(アプリ併用群)と切り替えのみを行った群(切り替え群)に割り付ける。・切り替え群では、9週間後に「こころアプリ」の全コンポーネントを受け取る。・主要評価項目は、評価者盲検にて電話評価で行う、9週間(第0、1、5、9週)を通じたPatient Health Questinnaire-9 (PHQ-9)の合計スコアの変化とした。・副次評価項目は、Beck Depression Inventory-IIの合計スコアの変化、Frequency, Intensity, and Burden of Side Effects Ratings (FIBSER)で評価した副作用の変化、および治療満足度とした。関連医療ニュース うつ病治療、行動療法の意義はどの程度か:京都大学 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始 これからのうつ病治療はWebベース介入で変わるのか  担当者へのご意見箱はこちら

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第2世代アンチセンス薬、リポ蛋白(a)を選択的に抑制/Lancet

 第2世代のアンチセンス薬ISIS-APO(a)Rxは、血漿リポ蛋白(a)(Lp(a))濃度を選択的かつ用量依存性に減少させ、安全性や忍容性も良好であることが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のSotirios Tsimikas氏らの検討で示された。Lp(a)はアポリポ蛋白(a)(apo(a))がアポリポ蛋白B-100(apoB)と共有結合した分子で、心血管疾患や石灰化大動脈弁狭窄の独立のリスク因子とされる。apo(a)は肝細胞によって合成され、新たに合成されたapoBと共有結合してLp(a)を形成する。ISIS-APO(a)Rxは、肝におけるapo(a)の合成を減少させ、その結果として血漿Lp(a)濃度が低下するようデザインされている。Lancet誌オンライン版2015年7月22日号掲載の報告より。単回と複数回投与を評価する第I相試験 研究グループは、ISIS-APO(a)Rxの安全性と薬物動態、薬理学的効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化第I相試験を実施した(Isis Pharmaceuticals社の助成による)。対象は、年齢18~65歳、BMI<32、Lp(a)≧100mg/Lの健常成人であった。 被験者は、単回投与試験では4種の用量(50mg、100mg、200mg、400mg)またはプラセボを皮下注射する群に、複数回投与試験では3種の用量(100mg、200mg、300mg)またはプラセボを6回皮下注射(第1、3、5、8、15、22日)する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、単回投与試験が30日時、複数回投与試験は36日時の空腹時血漿Lp(a)濃度のベースラインからの変化率とした。安全性および忍容性の評価は投与終了後1週時に行い、単回投与試験は最大30日まで、複数回投与試験では12週まで継続した。 2013年2月27日~7月15日の間に47例が登録された。このうち単回投与試験は16例で、50mg群、100mg群、200mg群、400mg群にそれぞれ3例ずつが、プラセボ群には4例が割り付けられた。また、複数回投与試験は31例で、100mg群に8例、200mg群に9例、300mg群に8例が、プラセボ群には6例が割り付けられた。投与中止は2例、複数回投与で効果を確認 全体として、重篤および重度の有害事象は認めず、最も頻度の高い有害事象は軽度の注射部位反応だった。ISIS-APO(a)Rx投与群の37例のうち1例(3%、複数回投与試験の200mg群)が注射部位の有害事象で、1例(3%、同300mg群)はインフルエンザ様症候群で投与を中止したが、症状は長期化せず自然に回復した。 ISIS-APO(a)Rx投与群の10%以上に発現した他の有害事象として頭痛と疲労が認められたが、プラセボ群との間に有意な差はなかった。また、ISIS-APO(a)Rx投与群の間に、肝機能検査やその他の安全性評価にも有意な変化はみられなかった。 単回投与試験では、いずれの用量群も、ベースラインから30日時のLp(a)濃度が、プラセボ群と比較して減少しなかった。また、apoB上の酸化型リン脂質成分(OxPL-apoB)、OxPL-apo(a)、アポリポ蛋白AI(apoAI)上のOxPL(OxPL-apoAI)、プラスミノーゲン上のOxPL(OxPL-PLG)およびプラスミノーゲンにも有意な変化は認めなかった。 これに対し、複数回投与試験では、3種の用量群のいずれにおいてもベースラインから36日時の血漿Lp(a)濃度がプラセボ群よりも有意に低下した。すなわち、100mg群はプラセボ群に比べ39.6%減少し(p=0.005)、200mg群は59.0%(p=0.001)、300mg群では77.8%(p=0.001)低下した。3群とも、106日の時点(最終投与後84日)で、Lp(a)濃度がベースラインよりも低かった。 36日時のOxPL-apoBは、3種の用量群ともプラセボ群に比べ有意に減少し(100mg群:26.1%、p=0.020、200mg群:55.1%、p<0.001、300mg群:61.3%、p=0.008)、OxPL-apo(a)は2種の用量群で有意に低下した(200mg群:38.1%、p<0.020、300mg群:84.2%、p=0.001)。 著者は、「ISIS-APO(a)Rxの複数回投与は選択的かつ用量依存性に血漿Lp(a)濃度を減少させ、安全性や忍容性も良好であったことから、Lp(a)値上昇がみられる心血管疾患や石灰化大動脈弁狭窄の治療薬として開発の継続が支持される」と結論し、「本薬により、他のリポ蛋白に影響を及ぼさずにLp(a)を低下させることで治療効果がもたらされるとの仮説の検証が可能になるだろう」と指摘している。

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高齢者への1次予防ICD移植は有用か/BMJ

 心不全やその他急性の併存疾患で入院した高齢者に対し、1次予防として植込み型除細動器(ICD)移植を行っても、長期の全死因死亡や心臓突然死のリスク低減にはつながらないことが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院/ハーバード・メディカル・スクールのChih-Ying Chen氏らが、2万例超の高齢者について、後ろ向きコホート試験を行った結果、明らかにされた。BMJ誌オンライン版2015年7月14日号掲載の報告。メディケア・メディケイドやACCレジストリなどのデータを分析 研究グループは、2004~2009年の米国公的医療保険メディケア・メディケイドの運営主体「CMS」の請求データや、米国心臓病学会(ACC)の全米心血管データレジストリ(NCDR)などを基に、心不全やその他急性併存疾患で入院し、1次予防ICD移植の適応である66歳以上高齢者2万3,111例について、後ろ向きコホート試験を行った。 1次予防ICDの有効性について分析し、主要評価項目は、全死因死亡と心臓突然死とした。補正後の全死因死亡、心臓突然死リスクともに両群で同等 結果、3年補正前死亡率は、入院中にICD移植を受けなかった人が60%に対し、ICD移植を受けた人は40%と低率だった。しかし、高次元傾向スコアで調整後は、移植後180日の全死因死亡リスク、心臓突然死リスクともにICD移植によるリスク低下は認められなかった(それぞれ、補正後ハザード比:0.91、同:0.82~1.00、同ハザード比:0.95、同:0.78~1.17)。この傾向は、移植後365日についても同様だった。 なお、ICD移植により総死亡や心臓突然死リスクを低減する可能性があるグループとして、心筋梗塞を40日以上前に発症した人や、左脚ブロック、血中B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)低濃度が認められる人にそうした傾向がみられたものの、いずれも有意差には至らなかった。 著者は結果を踏まえて、「今回の結果は、高齢者においてどのようなグループが、ICD移植のメリットを得られるのか、さらなる検討を行うべき根拠を示すものであった」と述べている。また、「それら非代償性心不全や非心臓性併存疾患のリスク因子がある患者の認識が、より良好なICD施術に結び付き、デバイスが最大の有益性をもたらし、有意義な生存延長をもたらすことになるだろう」とまとめている。

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