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幸せになる勇気【Dr. 中島の 新・徒然草】(128)

百二十八の段 幸せになる勇気「幸せになる勇気」(岸見一郎ほか、ダイヤモンド社)とは、いささかヒネリの効きすぎたタイトルの本ですが、とあるミュージシャンのブログで絶賛されていたので、早速読んでみました。Kindle版もあるので、興味を持ったら即座にダウンロードできます。著者である岸見一郎氏はアドラー研究者として有名です。アルフレッド・アドラーは1870年生まれのオーストリアの精神科医で、フロイトやユングと並び称される心理学の三大巨頭と言われています。この本は、アドラー心理学に基づいて教育や結婚生活を中心に「いかに幸せになるか」という人類永遠のテーマを説いたものです。哲人と青年教師との対話形式なので大変読みやすく、実際、読みだしたら止まらなくなってしまいました。私も職員研修部長として、初期研修医の教育には心を砕いているのですが、考えさせられるところが多かったので、そのごく一部をかいつまんで紹介させていただきます。まずは教育の目的とは何か、ということです。われわれのところの臨床研修指導医講習会では、「教育とは学習者の行動に価値ある変化をもたらすもの」としています。これはこれで模範的な答えです。「幸せになる勇気」に登場する哲人によれば、教育の目的は「生徒の自立」だそうです。ちょっとわかりにくい答えです。そもそも「自立」とは何でしょうか?それは「わたし」の価値を自分で決定することだとされています。つまり、教師に褒められたり周囲に感心されたりなど、他者からの承認を求めるのではなく、自らの意思で、自らを承認するのです。哲人によれば、他者からの承認を欲するのはただの「依存」であり、「普通であることの勇気」が足りていないということになります。平凡な自分を、「その他大勢」としての自分を、そのまま受け入れることが大切なのだそうです。そして、教育とは介入ではなく、生徒の自立に向けた援助ということになります。ただのお手伝いですね。その結果、自立に至った生徒たちは、自らの力でそれを成し遂げたと感じます。教育者が「先生のお蔭で卒業できました」と本気で言われたりしたら、言った生徒はまだ自立に至っていないことになります。必然的に教育者は孤独な存在にならざるを得ません。生徒からの感謝を期待してはならず、生徒の自立という大きな目標に自分は貢献できたのだ、という貢献感の中に幸せを見出すしかないのだとか。「幸せになる勇気」は大変面白い本ではあるのですが、世間の常識に逆行する考え方も多いので、私もまだ自分の中で消化することができていません。アドラーの理論は、何よりも実践が大切だということなので、これからいろいろ試行錯誤してみます。職場での研修医教育や、家庭での子育てに関わっておられる読者の皆さまにとっても、一読する価値は十分にあると思います。よかったら読んでみてください。ということで、消化不良ながら最後に1句自立して 普通の自分を 承認だ

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SU薬とメトホルミン、単独服用時の低血糖リスクを比較/BMJ

 血糖降下薬SU薬単独服用者は、メトホルミン単独服用者と比べて、低血糖発症リスクが約2.5倍と有意に高く、同リスクは、グリベンクラミド服用者や、腎機能が低下している人では、さらなる増大が認められた。オランダ・マーストリヒト大学のJudith van Dalem氏らが、12万例超を対象に行ったコホート試験の結果、明らかにした。低血糖リスクの増大は、すべてのSU薬服用者で観察されたという。現行のガイドラインの中には、低血糖リスクがより低いとして、SU薬の中でもグリクラジドを第1選択薬とするものがあるが、今回の試験結果は相反するものとなった。そのため著者は、「さらなる検討が必要である」と述べている。BMJ誌オンライン版2016年7月13日号掲載の報告。1,100万人超の患者データベースを基に試験 研究グループは、英国内674ヵ所の医療機関からの1,100万例超の診療録データを包含する「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)を基に、2004~12年に非インスリン抗糖尿病薬の処方を受けた18歳以上の患者12万803例を対象に、コホート試験を行った。 SU薬の服用量や、腎障害、SU薬のタイプと低血糖症リスクについて、Cox比例ハザードモデルで解析を行った。年齢や性別、ライフスタイル、併存疾患、使用薬剤については補正を行った。低血糖症リスク、グリベンクラミドはメトホルミンに比べ7.48倍 その結果、低血糖症の発症リスクは、メトホルミンのみを服用している人に比べ、SU薬のみを服用している人では約2.5倍の有意な増大が認められた(補正後ハザード比[HR]:2.50、95%信頼区間[CI]:2.23~2.82)。グリクラジド服用患者の同ハザード比も2.50(同:2.21~2.83)だった。 SU薬単独服用者の中でも、糸球体濾過量(GFR)が30mL/分/1.73m2未満の人で、低血糖症リスクはさらに増大した(同:4.96、同:3.76~6.55)。また、SU薬服用量が多い人(グリベンクラミド10mg同等量超)や、グリベンクラミド服用患者では、よりリスクの増大がみられた。それぞれの補正後HRは、3.12(95%CI:2.68~3.62)、7.48(同:4.89~11.44)だった。なお、SU薬の第1選択薬であるグリクラジドの補正後HRは2.50(同:2.21~2.83)で、その他のSU薬(グリメピリド:1.97[1.35~2.87]、glipizide:2.11[1.24~3.58]、トルブタミド:1.24[0.40~3.87])も同程度だった。

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アジソン病〔Addison's disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義慢性副腎皮質機能低下症(アジソン病)は、アルドステロン(ミネラルコルチコイド)、コルチゾール(グルココルチコイド)、デヒドロエピアンドロステロンとデヒドロエピアンドロステロンサルフェート(副腎アンドロゲン)の分泌が生体の必要量以下に慢性的に低下した状態である。アジソン病は、副腎皮質自体の病変による原発性副腎皮質機能低下症であり、その病因として、副腎皮質ステロイド合成酵素欠損症による先天性副腎過形成症、先天性副腎低形成(X連鎖性、常染色体性)、ACTH不応症などの責任遺伝子が明らかとされた先天性のものはアジソン病とは独立した疾患として扱われるため、アジソン病は後天性の病因による慢性副腎皮質機能低下症を指して用いられる。■ 疫学わが国における全国調査(厚生労働省特定疾患「副腎ホルモン産生異常症」調査分科会)によるとアジソン病の患者は1年間で660例と推定され、病因としては特発性が42.2%、結核性が36.7%、その他が19.3%であり、時代とともに特発性の比率が増加している。先天性副腎低形成症は約12,500人出生に1人である。副腎不全症としては、10,000人に5人程度(3人が下垂体性副腎不全、1人がアジソン病、1人が先天性副腎過形成症)の割合である。■ 病因病因としては、感染症、その他の原因によるものと特発性がある。感染症では結核性が代表的であるが、真菌性、後天性免疫不全症候群(AIDS)に合併するものが増えている。 特発性アジソン病は、抗副腎抗体陽性の例が多く(60~70%)、21-水酸化酵素、17α-水酸化酵素などに対する自己抗体が原因となる自己免疫性副腎皮質炎であり、その他の自己免疫性内分泌疾患を合併する多腺性自己免疫症候群と呼ばれる。I型は特発性副甲状腺機能低下症、皮膚カンジダ症を合併するHAM症候群、II型は橋本病などを合併するシュミット症候群などがある。その他の原因によるものとしては、がんの副腎転移、副腎白質ジストロフィーなどがある。また、最近使用される頻度が増えている免疫チェックポイント阻害薬の免疫関連有害事象(irAE)として内分泌障害があり、副腎炎によるアジソン病もみられる(約0.6%)。■ 症状コルチゾールの欠乏により、易疲労感、脱力感、食欲不振、体重減少、消化器症状(悪心、嘔吐、便秘、下痢、腹痛など)、血圧低下、精神症状(無気力、嗜眠、不安、性格変化)、発熱、低血糖症状、関節痛などを認める。副腎アンドロゲン欠乏により女性の腋毛、恥毛の脱落、ACTHの上昇により、歯肉、関節、手掌の皮溝、爪床、乳輪、手術痕などに色素沈着が顕著となる。■ 分類副腎皮質の90%以上が障害されて起きる原発性副腎皮質機能低下症(アジソン病)と続発性副腎皮質機能低下症にまず大きく分類できる。続発性副腎皮質機能低下症には、下垂体性(ACTH分泌不全)と視床下部性(CRH分泌不全)に分けられる。■ 予後欧州の大規模疫学研究によると、原発性副腎不全症患者の全死亡リスクは、男性で2.19、女性では2.86との報告がある。長期予後が悪い理由は、グルココルチコイドの過剰投与によるQOLの低下、心血管イベントや骨粗鬆症のリスクの増加などが、生存率の低下につながると考えられている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)一般検査では、低血糖(血糖値が70mg/dL以下)、低ナトリウム血症(135mEq/L以下)、正球性正色素性貧血(男性13g/dL以下、女性12g/dL以下)、血中総コレステロール値低値(150mg/dL以下)、末梢血の好酸球増多(8%以上)、相対的好中球減少、リンパ球増多、高カリウム血症を示す。内分泌学的検査では、非ストレス下で早朝ACTHとコルチゾール値を測定する(絶食で9時までに)。早朝コルチゾール値が18μg/dL以上であれば副腎不全症を否定でき、4μg/dL未満であれば副腎不全症の可能性が高いが、4~18μg/dLでは可能性を否定できない。血中コルチゾール基礎値が18μg/dL未満のときは、迅速ACTH負荷試験(合成1-24 ACTHテトラコサクチド[商品名:コートロシン]250μg静注)を施行する。血中コルチゾール頂値が18μg/dL以上であれば副腎不全症を否定でき、18μg/dL未満であれば副腎不全症を疑うほか、15μg/dL未満では原発性副腎不全症の可能性が高い。迅速ACTH負荷試験では、原発性と続発性副腎皮質機能低下症の鑑別ができないため、ACTH連続負荷試験、CRH負荷試験、インスリン低血糖試験などを組み合わせて行う(図)。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)可能な限り、生理的コルチゾールの分泌量と日内変動に近い至適な補充療法が望まれる。コルチゾールを1日当たり10~20mg補充するのが生理的補充量の目安である。日本人は食塩摂取量が多いので、ヒドロコルチゾン(同:コートリル)10~20mg/日を2~3回に分割服用する(2分割投与の場合は、朝2:夕1、3分割投与では朝:昼:夕=3:2:1)。4 今後の展望現在、使用されているヒドロコルチゾンは放出が早く、内因性コルチゾールの日内リズムを完全に再現できない。わが国では使用できないが、欧州を中心にヒドロコルチゾン放出時間を遅らせる徐放型ヒドロコルチゾンの開発研究が進んでおり、生理的補充に近い薬理動態を再現できることが期待される。5 主たる診療科内科(とくに内分泌代謝内科)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本内分泌学会臨床重要課題(副腎クリーゼを含む副腎皮質機能低下症の診断基準作成と治療指針作成)(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター アジソン病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Charmandari E, et al. Lancet.2014;383:2152-2167.2)南学正臣 総編集.内科学書 改訂第9版.中山書店; 2019. p.153-160.3)矢崎義雄 総編集.内科学 第11版.朝倉書店; 2017. p.1630-1633.公開履歴初回2015年01月08日更新2016年07月19日更新2022年02月28日

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統合失調症患者の入院、1日の気温差が影響

 気候変動の重要な指標である気温の日較差(DTR)は、健康に対する気温変動性の影響を評価するために使用されることが増えている。しかし、統合失調症に対するDTRの影響は、あまりわかっていない。中国・安徽医科大学のDesheng Zhao氏らは、DTRと統合失調症の入院との関連、さらに患者特性や試験期間によりこれらの関連が変化するかを検討した。The Science of the total environment誌オンライン版2016年6月16日号の報告。 2005~14年の中国・合肥市の毎日のDTRと統合失調症のデータを、長期的および季節的傾向、平均気温、相対湿度、その他の交絡因子で調整した後、ポアソン一般化線形回帰と分散型ラグ非線形モデル(DLNM)を組み合わせて分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者において、非常に大きいDTRによる急性の悪影響が観察された。非常に高いDTR後には、統合失調症の1日の入院率が2.7%増加した(95%CI:1.007~1.047、95パーセンタイル vs.50パーセンタイル)。・大きなDTR曝露による統合失調症発症リスクは、最初の5年間(2005~09年)から次の5年間(2010~14年)にかけて増加した。・15~29歳および50~64歳、男性、春または秋生まれ、既婚の統合失調症患者は、DTRの影響に対し、とくに脆弱であると考えられる。しかし、中程度に大きいDTR(75パーセンタイル)と統合失調症との間に有意な関連は認められなかった。・本研究では、非常に大きいDTRは、中国・合肥市の統合失調症患者の入院における潜在的なトリガーであることが示唆された。関連医療ニュース 気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加 精神科再入院を減少させるポイントとは 統合失調症の再入院や救急受診を減らすには

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わかる統計教室 第3回 理解しておきたい検定 セクション13

インデックスページへ戻る第3回 理解しておきたい検定セクション13 カイ2乗検定セクション1 セクション2 セクション3 セクション4 セクション5セクション6 セクション7 セクション8 セクション9 セクション10セクション11 セクション12これまでt検定について学習しました。セクション13では、臨床統計ではおなじみのカイ2乗検定を学びます。■カイ2乗検定を学ぶ今まで学習してきたt検定は、数量データを扱うときの検定方法でしたね。これから学習するカイ2乗検定は、標本調査のクロス集計表を用いて、母集団における2項目間の関連性があるかないかを調べる方法です。表38と39を例にみてみましょう。表38 所得層と支持政党表39 所得層と支持政党のクロス集計高所得層はJ政党、中間所得層はM政党、低所得層はK政党の割合が他政党より高く、両者に関連性があるように思われますが、所得階層と支持政党の関係をカイ2乗検定で検証してみましょう。■カイ2乗検定の検定手順を学ぶカイ2乗検定の検定手順を下記に示します。1)仮説を立てる。帰無仮説所得階層と支持政党とは関連性がない。 クロス集計表の実測度数と期待度数は等しい。対立仮説所得階層と支持政党とは関連性がある。2)調査データについて、クロス集計を行う。3)仮説検定の公式を用い、実測度数、期待度数、カイ2乗値、棄却限界値、p値を算出する。4)有意差判定方法1 カイ2乗値と棄却限界値を比較カイ2乗値>棄却限界値 対立仮説を採択所得階層と支持政党とは関連性があるといえるカイ2乗値≦棄却限界値 対立仮説を採択しない所得階層と支持政党とは関連性があるといえない方法2 p値と有意点を比較(よく用いられる有意点は0.05 ) p値<0.05 対立仮説を採択所得階層と支持政党とは関連性があるといえるp値≧0.05 対立仮説を採択しない所得階層と支持政党とは関連性があるとはいえない■カイ2乗検定の計算方法表40のようなクロス集計表の件数(度数)を「実測度数」といいます。表40 実測度数表40のセルごとに、縦計×横計÷全数で求めた値を「期待度数」(表41)といいます。期待度数の横%は、どの行も同じになります。すなわち、期待度数で作られるクロス集計では、所得階層と支持政党の関連性がないことになります。表41 期待度数(縦計×横計÷全数)実測度数と期待度数の一致度を、表42のように調べていきます。表42 一致度の算出この合計をカイ2乗値といいます。自由度(項目1のカテゴリー数-1)×(項目2のカテゴリー数-1)=2×2=4棄却限界値、p値はExcelなどで求められる。棄却限界値 =CHIINV(0.05、自由度) = CHIINV(0.05、4) → 9.49p値 =CHIDIST(カイ2乗値、自由度) = CHIDIST(12.21、4)→ 0.0159カイ2乗値>9.49 or p値=0.0159<0.05所得階層と支持政党とは関連性があるといえます。■今回のポイント1)標本調査のクロス集計表を用いて、母集団における2項目間の関連性があるかないかを調べる方法がカイ2乗検定!2)実測度数が期待度数に近い値であれば関連性が弱く、かけ離れていれば関連性が強いと判断できる!インデックスページへ戻る

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認知症になりやすい人の職業は

 認知症や認知機能障害は、高齢者において有病率の高い疾患である。そのため、これらに関連する潜在的に修正可能なリスク因子を確認することが重要である。認知症のリスク因子として、生涯を通して従事した職業が関連している可能性がある。スペイン・サラゴサ大学のAna Cristina Gracia Rebled氏らは、高齢者における生涯従事した主な職業と認知症や認知機能障害との関連を分析した。Revista espanola de salud pública誌2016年6月21日号の報告。認知症リスクが高かった職業は肉体労働 1990~2014年3月までの科学文献をシステマティックレビューし、職業とMMSEを用いた認知機能との関連を分析した。ISI Web of Knowledge、PubMed、その他のデータベースよりレビューした。包括基準は、対象期間内に発表され、MMSEを用いた認知機能評価を行った55歳以上の集団、研究変数として職業および認知症、認知機能障害を含み、スペイン語、英語、フランス語で記載された論文とした。 生涯従事した主な職業と認知症や認知機能障害との関連を分析した主な結果は以下のとおり。・18文献を選定した。・断面研究5報と縦断研究6報より、職業と認知機能障害との関連を分析した。断面研究2報と縦断研究8報より職業と認知症との関連を分析した。・67%において、職業タイプと成人期の認知能力との関連が確認された。・主に肉体労働に生涯従事している人は、知的な要件の高い職業に従事している人よりも、認知機能障害や認知症のリスクが高いことが示唆された。関連医療ニュース 認知症に進行しやすい体型は 仕事の早期リタイアは認知症リスクを高める うつ病の寛解率、職業で差があるか

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更年期症状の緩和に植物ベース療法は有用?/JAMA

 植物エストロゲン含有サプリメントの利用は、更年期におけるホットフラッシュや膣乾燥の頻度をわずかだが低下する効果がある一方、寝汗は低下しない。オランダ・エラスムス大学医療センターのOscar H. Franco氏らによる、システマティックレビューとメタ解析の結果で、JAMA誌2016年6月21日号で報告している。西欧諸国の女性のうち40~50%が、更年期症状を緩和するため補完療法を用いているといわれる。研究グループは、植物ベース療法と更年期症状の関連を明らかにするため本検討を行った。システマティックレビューとメタ解析で、ホットフラッシュ等の症状との関連を分析 検討は、電子データベースのOvid MEDLINE、EMBASE、Cochrane Centralを用いて系統的に検索し、2016年3月27日以前に発表された試験を適格とした。包含した試験の参照リストなども検索した。 植物ベース療法およびホットフラッシュ、寝汗、膣乾燥について評価していた無作為化試験を特定し、2人の独立したレビュワーが、あらかじめデザインしていた収集法でデータを抽出し評価した。植物ベース療法は、(1)植物エストロゲンを含む生物学的ベース療法(食事性大豆イソフラボン、大豆イソフラボンおよびアカツメクサ・イソフラボンなどのサプリメントおよびエキスほか)、(2)メディカルハーブ(中医学ハーブやその他を含む)であった。大豆イソフラボンはホットフラッシュと膣乾燥を減少 検索により総計62試験を特定し、女性6,653例について包含した。 結果、植物エストロゲン使用と、日々のホットフラッシュの発現回数の減少(変化のプール平均差:-1.31、95%信頼区間[CI]:-2.02~-0.61)、膣乾燥スコアの減少(同:-0.31、-0.52~-0.10)との関連が認められた。一方、寝汗の発現回数についての関連は認められなかった(同:-2.14、-5.57~1.29)。 個別にみると大豆イソフラボン(食事性およびサプリメント)は、日々のホットフラッシュの改善(同:-0.79、-1.35~-0.23)、膣乾燥スコアの改善(同:-0.26、-0.48~-0.04)との関連が認められた。 メディカルハーブは、全体的に血管運動神経症状(vasomotor symptoms)の減少との関連がみられた。ただし中医学ハーブは除く。 なお今回の結果について著者は、入手できた試験の質について全体的にばらつきが大きく、46試験(74%)で、試験の質の3領域以上で高値のバイアスリスクが示されたことを指摘し、植物ベース療法と更年期の健康とに関するさらなる厳密な試験が必要だと述べている。

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混合性結合組織病〔MCTD : mixed connective tissue disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義混合性結合組織病(mixed connective tissue disease: MCTD)は、1972年にGC Sharpが提唱した疾患概念である。膠原病の中で2つ以上の疾患の特徴を併せ持ち(混合性)、しかも抗U1-RNP抗体と呼ばれる自己抗体が陽性となるものである。これは治療反応性がよく、予後も良好であったことから独立疾患として提唱された。その後、この疾患の独立性に疑問がもたれ、とくに欧米では全身性エリテマトーデスの亜型、あるいは強皮症の亜型と考えられ、英語文献でもあまりみられなくなった。しかし後述するように、高率に肺高血圧症を合併することや膠原病の単なる重複あるいは混合のみからは把握できないような特異症状の存在が明らかとなってきたことから、その疾患独立性が欧米でも再認識されている。■ 疫学本症は厚生労働省の指定難病に認定されており、その個人調査票を基にした調査では平成22年だけでおよそ9,000名の登録が確認されている。性別では女/男比で15/1と圧倒的に女性に多く、年齢分布では40代にもっとも多く、平均年齢は45歳である。また、推定発症年齢は30代が多く、平均年齢は36歳である。■ 病因本症の病因は他の膠原病と同様、不明である。全身性自己免疫疾患の1つであり、疾患に特徴的な免疫異常は抗U1-RNP抗体である。本抗体を産生するモデル動物も作成されており、関与する免疫細胞や環境因子について研究が進められている。■ 症状1)共通症状レイノー現象が必発である。また手指や手背部の浮腫傾向がみられ、「ソーセージ様手指」「指または手背の腫脹」が持続的にみられる。これらの症状は、多くの例で初発症状となっている。なお手指や手背部の浮腫傾向は強皮症でも初期にみられるが、強皮症ではすぐに硬化期に入り持続しない。2)混合所見全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎の3疾患にみられる臨床症状あるいは検査所見が混在してみられる。しかもそれぞれの膠原病の完全な重複ではなく、むしろ不完全な重複所見がみられることが多い。混合所見の中で頻度の高いものは、多発関節痛、白血球減少、手指に限局した皮膚硬化、筋力低下、筋電図における筋原性異常所見、肺機能障害などである。3)肺高血圧症肺高血圧症は一般人口では100万人中5~10人程度と非常にまれな疾患であり、しかも予後不良の疾患である。このまれな疾患がMCTDでは5~10%と一般人口の1万倍も高率にみられ、さらに本症の主要な死因となっていることから重要な特異症状として位置付けられている。大部分の症例では肺動脈そのものに病変がある肺動脈性の肺高血圧症である。心エコー検査などのスクリーニング検査やその他の画像・生理検査などが重要であるが、確定診断には右心カテーテル検査が必要である。4)その他の特徴的症状肺高血圧症以外にもMCTDに比較的特徴的な症状がある。三叉神経II枝、III枝の障害による顔面のしびれ感を主体とした症状は、MCTDの約10%にみられる。レイノー現象と同じく、神経の血流障害と推測されている。また、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬による無菌性髄膜炎が、本症の約10%にみられる。MCTDあるいは抗U1-RNP抗体陽性患者では、この薬剤性髄膜炎に留意が必要である。5)免疫学的所見抗U1-RNP抗体が陽性である。間接蛍光抗体法による抗核抗体では斑紋型を示す。抗Sm抗体や抗Jo-1抗体、抗トポイソメラーゼ1抗体など他の膠原病の疾患特異的自己抗体が出現しているときには、本症の診断は慎重にすべきである。6)合併症上記以外にシェーグレン症候群(25%)、橋本甲状腺炎(10%)などがある。■ 予後当初は、治療反応性や予後のよい疾患群として提唱されてきた。確かに発病からの5年生存率は96.9%、初診時からの5年生存率は94.2%と高い。しかし、死亡者の死因を検討すると、肺高血圧症、呼吸不全、心不全など心肺系の死因が全体の60%を占めている。とくに肺高血圧症は、一般人口にみられる特発性肺高血圧症よりもさらに予後不良であり、その治療の進歩が望まれる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)わが国では1982年に厚生省の特定疾患に指定され調査研究班が結成されて以来、研究が続けられ、1993年には特定疾患治療研究対象疾患に指定された。1988年に「疫学調査のための診断の手引き」が作成され、何度か改訂されてきた。わが国の診断基準は国際的にも評価されていて、最も普遍的なものである。2004年の改訂では、共通所見に肺高血圧症が加えられ、中核所見と名称が変更された。この3所見のうち1所見以上の陽性と抗U1-RNP抗体陽性が必須であり、さらに混合所見の中で3疾患のうち2疾患以上の項目を併せ持てばMCTDと診断する(表1)。たとえば混合所見で多発関節炎とCK高値があれば、前者が全身性エリテマトーデス様所見、後者が多発性筋炎様所見として満たすこととなる。表1 MCTD診断の手引き(2004年度改訂版)■MCTDの概念全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎などにみられる症状や所見が混在し、血清中に抗U1-RNP抗体がみられる疾患である。I.中核所見1.レイノー現象2.指ないし手背の腫脹3.肺高血圧症II.免疫学的所見抗U1-RNP抗体陽性III.混合所見A.全身性エリテマトーデス様所見1.多発関節炎2.リンパ節腫脹3.顔面紅斑4.心膜炎または胸膜炎5.白血球減少(4,000/μL以下)または血小板減少(10万/μL以下)B.強皮症様所見1.手指に限局した皮膚硬化2.肺線維症、肺拘束性換気障害(%VC:80%以下)または肺拡散能低下(%DLCO:70%以下)3.食道蠕動低下または拡張C.多発性筋炎様所見1.筋力低下2.筋原性酵素(CK)上昇3.筋電図における筋原性異常所見■診断1.Iの1所見以上が陽性2.IIの所見が陽性3.IIIのA、B、C項のうち、2項目以上につき、それぞれ1所見以上が陽性以上の3項目を満たす場合をMCTDと診断する。■付記抗U1-RNP抗体の検出は二重免疫拡散法あるいは酵素免疫測定法(ELISA)のいずれでもよい。ただし二重免疫拡散法が陽性でELISAの結果と一致しない場合には、二重免疫拡散法を優先する。(近藤 啓文. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成16年度研究報告書:2005.1-6.)また、肺高血圧症については、予後不良であり早期発見、早期治療が必要なこともあり、その診断にはとくに継続的な注意が必要である。確定診断には、右心カテーテル検査が必要であるが、侵襲的検査であり、専門医の存在が必要なため、スクリーニング検査として心臓超音波検査が重要である。これを基にした「MCTD肺高血圧症診断の手引き」(図1)が作成されており、肺高血圧症を疑う臨床所見や検査所見がある場合には、早急に心臓超音波検査をすべきである。画像を拡大する<脚注>1)MCTD患者では肺高血圧症を示唆する臨床所見、検査所見がなくても、心臓超音波検査を行うことが望ましい。2)右房圧は5mmHgと仮定。3)推定肺動脈収縮期圧以外の肺高血圧症を示唆するパラメーターである肺動脈弁逆流速度の上昇、肺動脈への右室駆出時間の短縮、右心系の径の増大、心室中隔の形状および機能の異常、右室肥厚の増加、主肺動脈の拡張を認める場合には、推定肺動脈収縮期圧が36mmHg以下であっても少なくとも1年以内に再評価することが望ましい。4)右心カテーテル検査が施行できない場合には慎重に経過観察し、治療を行わない場合でも3ヵ月後に心臓超音波検査を行い再評価する。3)肺高血圧症の臨床分類、重症度評価のため、治療開始前に右心カテーテル検査を施行することが望ましい。(吉田 俊治ほか. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成22年度研究報告書:2011.7-13.)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 総論本症は自己免疫疾患であり、抗炎症薬と免疫抑制療法が治療の中心となる。非ステロイド性抗炎症薬もしばしば用いられるが、前述のごとく、時に無菌性髄膜炎が誘発されるので、その使用には慎重な配慮が必要である。急性期には、多くの場合で副腎皮質ステロイド薬が治療の中心となる。他の膠原病と同様、臓器障害の種類と程度により必要なステロイド量が決定される(表2)。表2 臓器障害別の重症度分類a)軽症レイノー現象、指ないし手の腫脹、紅斑、手指に限局する皮膚硬化、非破壊性関節炎b)中等症発熱、リンパ節腫脹、筋炎、食道運動機能障害、漿膜炎、腎障害、皮膚血管炎、皮膚潰瘍、手指末端部壊死、肺線維症、末梢神経障害、骨破壊性関節炎c)重症中枢神経症状、無菌性髄膜炎、肺高血圧症、急速進行性間質性肺炎、進行した肺線維症、重度の血小板減少、溶血性貧血、腸管機能不全(三森 経世 編. 混合性結合組織病の診療ガイドライン(改訂第3版). 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究班:2011.)前表のように、中枢神経障害、急速に進行する肺症状・腎症状、血小板減少症を除いて大量のステロイドを必要とすることは比較的少ない。ただ、ステロイドを長期に使用することが多いため、骨粗鬆症や糖尿病、感染症の誘発などの副作用には留意が必要である。■ 肺高血圧症MCTDの生命予後を規定する肺高血圧症(PH)については、病態からみて肺動脈性のもの以外に間質性肺炎によるもの、慢性肺血栓塞栓症によるもの、心筋炎など心筋疾患によるものなどがあり、これらは治療方法も異なるため、右心カテーテル検査などで厳密に識別する必要がある。もっとも頻度の高い肺動脈性肺高血圧症については、しばしば大量ステロイド薬や免疫抑制薬が奏効するため、これらの薬剤の適応を検討すべきである。また、通常の特発性肺動脈性肺高血圧症に用いられる血管拡張薬も有用性が確認されているため、プロスタサイクリン系薬、エンドセリン受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ5阻害薬を併用して用いる(図2)。画像を拡大する<脚注>*ETR拮抗薬エンドセリン受容体拮抗薬(アンブリセンタン、ボセンタン)**PDE5阻害薬ホスホジエステラーゼ5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィル)(三森 経世 編. 混合性結合組織病の診療ガイドライン(改訂第3版). 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究班:2011.)その後、マシテンタン(ETR拮抗薬)、リオシグアート(可溶性グアニルシクラーゼ刺激薬)なども使用できるようになっており、治療の幅が広がっている。これらは肺血管拡張作用に加えて肺動脈内皮細胞の増殖抑制作用も期待されている。ただ、肺血管のリモデリングが進行した場合や強皮症的要素の強い場合、これらの薬剤はしばしば無効であり、心不全のコントロールなども重要になるため、循環器内科などと共同して治療に当たることが必要になる。4 今後の展望遺伝子多型の検討やゲノムワイド関連解析によって、MCTDやMCTD合併肺高血圧症になりやすい危険因子が解明されつつある。これにより、さらに精度が高くこれらの診断を早期に行えることが期待される。また、予後に大きな影響を与える肺高血圧症に関する薬剤が少なからず開発されつつある。これらの出現により一段とMCTD合併肺高血圧症の治療成績が上昇する可能性がある。5 主たる診療科リウマチ膠原病内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 混合性結合組織病(一般利用者と医療従事者向けの情報)患者会情報全国膠原病友の会(膠原病全般について、その患者と家族向け)1)近藤 啓文. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成16年度研究報告書:2005.1-6.2)近藤 啓文. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成16年度研究報告書:2011.7-13.3)三森 経世編. 混合性結合組織病の診療ガイドライン(改訂第3版). 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究班:2011.7-13.公開履歴初回2014年10月07日更新2016年07月05日

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双極性障害患者の脳灰白質はどうなっている

 統合失調症、双極性障害、その他の精神神経疾患でみられる精神症状の神経生物学的基盤はいまだによくわかっていない。過去10年で、核磁気共鳴画像(MRI)の多くの研究において、異なる精神医学的症候群患者と健康成人対照者との間に、局所灰白質容積の差が認められている。しかし、これら症候群でみられる症状に焦点を当てた研究はほとんどない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のCarl Johan Ekman氏らは、精神病の既往歴のある/ない双極性障害患者および健康成人を対象として、精神疾患と灰白質容量との関連を検討した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2016年6月11日号の報告。 対象は、精神病の既往のある/ない双極性障害患者167例と健康成人対照者102例。核磁気共鳴イメージングは、ボクセルワイズの単変量解析(ボクセルベースの形態計測)を使用して、グループレベルで分析した。 主な結果は以下のとおり。・精神病の既往歴のある双極性障害患者は、同既往歴のない患者、健康成人対照者と比較し、左紡錘状回、右吻側背外側前頭前皮質、左下前頭回の白質容積が小さいことが示された。・精神病の既往歴のない患者と健康成人対照者との間に、これら領域の容量の差は認められなかった。・以前より、これら領域は構造上および機能的に妄想や幻覚と結び付いているとされている。関連医療ニュース 統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学 ドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善 統合失調症、脳容積とIQの関連

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米国成人の食習慣、13年間で改善/JAMA

 1999~2012年の米国国民健康栄養調査(NHANES)を分析した米国・モンテフィオーレメディカルセンターのColin D. Rehm氏らは、自己申告による食習慣が改善していることを報告した。ただし、人種・教育・収入による差が持続または悪化していることも示唆されたという。これまで食事に関する研究の多くが、主な多量栄養素またはわずかな食事因子のみを評価したもので、個々の食品・栄養素に関する食事の質や、さまざまな集団での違いなどについては評価していなかった。著者は、「今回の結果は、米国に住んでいる人々の食習慣を改善するための機会、新たな達成、配慮が必要な地域などについて考察を与えるものである」とまとめている。JAMA誌2016年6月21日号掲載の報告。食事パターンの変化を13年間にわたり調査 研究グループは、NHANESに登録された入院歴のない20歳以上の米国成人3万3,932例を対象に、24時間思い出し法を用い1999~2012年の間に7回調査を実施した。各調査における回答数は4,237例から5,762例の範囲であった。 評価項目は、調査で重み付けした補正平均エネルギー消費量、AHA 2020 Strategic Impact Goalsの食事ガイドラインに基づく食事スコアの目標達成割合、食事スコアの構成要素(主要構成要素:果物と野菜類、全粒穀物類、魚貝類、糖添加飲料、食塩/副次構成要素:ナッツ類、種子類、豆類、加工肉類、飽和脂肪酸)、およびその他の個々の食品と栄養素とした。全粒穀物やナッツ類の摂取増加など食事が改善、ただし、人種・教育・収入で差 AHA主要食事スコア(最高50点)は19.0から21.2点へ、副次食事スコア(最高80点)も35.1から38.5点へ、いずれも増加し、食習慣が改善していることが明らかとなった(それぞれ改善率11.6%および9.7%、どちらも傾向p<0.01)。これらの変化は、1999~2000年と2011~2012年の間で全粒穀物が0.43食/日(95%信頼区間[CI]:0.34~0.53食/日)、ナッツ・種子・豆類が0.25食/日(95%CI:0.18~0.34食/日)増加していたことと、糖添加飲料が0.49食/日(95%CI:0.28~0.70食/日)低下していたことに起因していた。魚貝類の摂取量もわずかに増加したが、果物と野菜類・加工肉類・飽和脂肪酸・食塩を含む他の構成要素では有意な傾向は確認されなかった。 栄養の乏しい食事(AHA食事スコアのアドヒアランスが40%未満)をしている米国成人の割合は55.9%から45.6%へ減少し、栄養が中程度の食事(アドヒアランス40~79.9%)の割合は43.5%から52.9%へ増加した。その他の食事の傾向として、果物の摂取増加(0.15食/日、95%CI:0.05~0.26食/日)や、100%フルーツジュースの摂取減少(0.11食/日、95%CI:0.04~0.18食/日)がみられた。 食事の質は、人種・教育・収入レベルによって差異があることが観察された。たとえば、栄養の乏しい食事をしている非ヒスパニック系白人の割合は有意に減少したが(53.9%から42.8%)、非ヒスパニック系黒人またはメキシコ系アメリカ人では改善が確認されなかった。また、調査期間中、これらの差が縮減するとのエビデンスは見当たらず、収入レベルによる悪化が確認された。

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慢性疼痛へのLAオピオイドと全死因死亡リスク/JAMA

 非がん性慢性疼痛に対する長時間作用型(LA)オピオイドの処方は、抗けいれん鎮痛薬や低用量抗うつ薬の処方と比較して、過剰摂取以外の原因を含む全死因死亡リスクを有意に増大することが、米国・ヴァンダービルト大学のWayne A. Ray氏らによる検討の結果、示された。絶対リスクの差はわずかであった。著者は、「今回の結果を、治療の有害性や有益性を評価する際に考慮すべきである」と述べている。LAオピオイドは、無作為の過剰摂取リスクを増大し、心臓・呼吸器系およびその他による死亡も増大させる可能性が示唆されていた。JAMA誌2016年6月14日号掲載の報告。抗けいれん鎮痛薬/低用量抗うつ薬投与群と死亡発生を比較 研究グループは、中等度~重度の非がん性慢性疼痛を有する患者の全死因死亡について、LAオピオイド処方 vs.代替療法を比較する検討を行った。1999~2012年にテネシー州メディケイド被保険者の非がん性疼痛患者で、緩和・終末期ケア対象者ではなかった患者集団を対象とした。LAオピオイドの新規処方患者群と、傾向スコアで適合した抗けいれん鎮痛薬または低用量抗うつ薬(low-dose cyclic antidepressants)の新規処方患者群(対照群)を後ろ向きに評価した。 主要評価項目は、死亡診断書で確認した全死因および死因別の死亡。LAオピオイド群と対照群の補正後ハザード比(HR)、リスク差(1万人年当たりでみた過剰な死亡発生)をそれぞれ算出して比較した。全死因死亡1.64倍、治療初期30日間では4.16倍 評価に包含した対象期間中の新規処方は、各群2万2,912例であった(平均年齢48±11歳、女性60%)。最も多かった慢性疼痛の診断名は腰痛(75%)で、筋骨格痛(63%)、腹痛(18%)と続いた。患者の96%超で前年に短時間作用型オピオイドの処方歴があり、他の鎮痛薬や向精神薬(筋弛緩薬[63%]、NSAIDs[70%]、ベンゾジアゼピン系薬[52%]、SSRI/SNRI抗うつ薬[45%]など)の処方歴のある患者も多かった。 処方された試験薬で最も多かったのは、モルヒネSR(55%)、ガバペンチン(40%)、アミトリプチリン(36%)であった。 LAオピオイド群は、追跡期間平均176日で死亡185例、対照群は同128日で87例であった。全死因死亡HRは1.64(95%信頼区間[CI]:1.26~2.12)で、リスク差は68.5例(95%CI:28.2~120.7)であった。LAオピオイド群の死亡リスク増大の要因は、院外死亡が有意に過剰であったことによる(154 vs.60例、HR:1.90[95%CI:1.40~2.58]、リスク差:67.1例[95%CI:30.1~117.3]、p<0.001)。 院外死亡のうち無作為の過剰摂取による死亡を除くその他の要因(心血管系、呼吸器系によるものなど)の死亡発生は120 vs.53例で、HRは1.72(95%CI:1.24~2.39)、リスク差は47.4例(95%CI:15.7~91.4)であった(p=0.001)。なお、このうち心血管死(79 vs.36例)はHRが1.65(95%CI:1.10~2.46)、リスク差は28.9例(同:4.6~65.3)であった(p=0.02)。 治療初期30日間の死亡発生は53 vs.13例で、HRは4.16(95%CI:2.27~7.63)、リスク差は200例(同:80~420)に上った。

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わかる統計教室 第3回 理解しておきたい検定 セクション12

インデックスページへ戻る第3回 理解しておきたい検定セクション12 t検定の種類と選び方セクション1 セクション2 セクション3 セクション4 セクション5セクション6 セクション7 セクション8 セクション9 セクション10セクション11セクション11では、信頼区間、p値、t値による仮説検定、そして、対応のない場合の検定として、ノンパラメトリック検定、ウエルチのt検定を学習しました。セクション12では、これらの検定の選び方を簡単に紹介します。■仮説検定の選び方仮説検定の方法を3つ学習してきました。ここで3つの選び方をおさらいしてみましょう(表36、37)。 データの「対応がある」「対応がない」のどちらかを判断する。 対応のある場合で、n<100の場合、検定対象のデータが母集団において正規分布であるかを判断する。 対応のない場合で、n1+n2<100の場合、検定対象のデータが母集団において正規分布であるかを判断する。 検定対象のデータにおいて、母集団の分散が等しいか異なるかを判断する。表36 仮説検定の選び方(対応のあるデータ)表37 仮説検定の選び方(対応のないデータ)このフローチャートは便利なので、ぜひ利用してください。サンプルサイズが小さく、正規分布でない場合の検定方法は、今回は省略します。■今回のポイントデータの「対応がある」「対応がない」で、検定の種類と選び方が異なる!インデックスページへ戻る

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抗凝固療法、ポリファーマシーによる影響は?/BMJ

 ポリファーマシー(多剤併用)による抗凝固療法への影響を調べるため、英国・ラドバウド大学ナイメーヘン医療センターのJeroen Jaspers Focks氏らは、ARISTOTLE試験の事後解析を行った。同試験は、心房細動患者を対象にアピキサバン vs.ワルファリンを検討したものである。解析の結果、被験者の4分の3が5剤以上のポリファーマシーを受けており、そうした患者では、併存疾患、薬物相互作用および死亡の有意な増大や、血栓塞栓症、出血性合併症の発症率が有意に高率であることが明らかになった。そのうえで、併用薬剤数に関係なく、アピキサバンのほうがワルファリンよりも有効性に優れることが認められ、安全性も大出血に対するベネフィットはアピキサバンのほうが大きかったが、併用薬剤数が多いほどワルファリンとの差は減少することが示されたという。BMJ誌オンライン版2016年6月15日号掲載の報告。ARISTOTLE試験を事後解析、併用薬剤数で患者を分類しアウトカムとの関連を評価 ポリファーマシーは、併存疾患、フレイル(高齢者の虚弱)、薬物相互作用と関連し、有害な臨床転帰のマーカーであることが示唆されている。研究グループは、「したがって、ポリファーマシー患者では抗凝固療法への反応が異なる可能性がある。心房細動患者において、アピキサバンはワルファリンよりも有効かつ安全であるとされているが、これまで複数の薬物を併用する患者においても同様の結果であるのかについては明らかになっていない」として本検討を行った。 ARISTOTLE試験は2006年に開始、2011年に終了した多施設共同二重盲検ダブルダミー試験で、心房細動患者におけるアピキサバンの脳卒中およびその他血栓塞栓イベントの低減効果について評価が行われた。追跡中央値は1.8年であった。研究グループは同試験の被験者1万8,201例について2015年時点で事後解析を行った。 ARISTOTLE試験で被験者は、アピキサバン5mgを1日2回(9,120例)またはワルファリン(目標INR範囲2.0~3.0、9,081例)に無作為に割り付けられた。事後解析では、ベースラインでの服用薬剤数によって患者を分類(0~5、6~8、≧9剤)した。 主要評価項目は、アピキサバン vs.ワルファリンの臨床転帰および治療効果で、年齢、性別、国で補正を行った。多剤併用患者でもアピキサバンのほうが有効で安全 ポリファーマシーの中央値は6剤(四分位範囲:5~9)で、5剤以上のポリファーマシー患者は1万3,932例(76.5%)であった。また、0~5剤群(6,943例)、6~8剤群(6,502例)、9剤以上群(4,756例)別にみると、より多くの併用薬が高年齢者(各群平均年齢68、69、71歳)、女性(各群男性割合67.5、63.2、62.9%)、および米国の患者(各群北米患者の割合10.6、20.8、50.1%)で用いられていた(いずれもp<0.001)。なお、アジアの患者は各群18.3、15.9、12.9%(p<0.001)。 また、併存疾患数は、併用薬剤が増えるほど増加し、アピキサバンまたはワルファリンとの相互作用を示す患者の割合も有意に増大した。 有効性アウトカムの評価についても併用薬剤増加との有意な関連がみられた。全死因死亡の発生(100患者年当たり)は0~5剤群3.01、6~8剤群3.80、9剤以上群4.70(p<0.001)であり、脳卒中/全身性塞栓症(SE)は同1.29、1.48、1.57(p=0.004)であった。安全性アウトカムも重大出血は同1.91、2.46、3.88(p<0.001)と有意な関連が認められ、ネット有益性アウトカム(脳卒中/SE/重大出血/全死因死亡)は、同5.24、6.59、8.92(p<0.001)であった。 しかし、アピキサバン vs.ワルファリンの脳卒中/SEの相対的なリスクの低下は、併用薬剤数にかかわらず認められなかった(交互作用p=0.82)。死亡についても同様であったが(p=0.81)、重大出血については、併用薬剤数が増えてもアピキサバンのほうがわずかだが有意な抑制が認められた(交互作用p=0.017)。 ワルファリンおよびアピキサバンの作用を強化する治療(CYP3A4/P-糖蛋白阻害薬)を受けていた患者において、アピキサバン vs.ワルファリンのアウトカムは類似しており、一貫した治療効果が認められた。 これらの結果を踏まえて著者は「ポリファーマシーに関係なく、心房細動患者ではアピキサバンがワルファリンよりも有効であり、少なくとも安全であるようだ」とまとめている。

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CVIT 2016(第25回日本心血管インターベンション治療学会学術集会)会長インタビュー

第25回日本心血管インターベンション治療学会学術集会(CVIT 2016)が本年(2016年)7月7日~9日開催される。今大会の開催への思いと見どころについて、会長である東邦大学医療センター 大橋病院 中村正人氏に聞いた。今回の大会は公募演題を広く集められたそうですね?従来の大会のシンポジウム、パネルディスカッションなどは指定演題がほとんどだったのですが、日常臨床で遭遇する課題を取り上げるため、今回は公募演題を数多く採用しました。それもあって、演題数は当初の予定以上に増え、1,000題以上となりました。最近は循環器系の学会でもインターベンションを取り上げる機会が減っており、インターベンションを専門とする若い医師の発表の場が少なくなってきました。そういうこともあり、今大会は若い先生方がドキドキしながら発表するチャンスをたくさん作っています。大会テーマ「The road to Professional」の意味を教えていただけますか?それぞれの道は違えども、皆さんがプロフェッショナルという同じ目的地を目指してほしい、という思いでこのテーマにしました。ただ技術や知識があるだけではプロフェッショナルとはいえません。知識を持ったうえで、それを上手に活用してこそプロフェッショナルです。そのためには、チームワークや、自分たちができないことをできるようにするものづくりの工夫が必要となります。そのような考えから、今回は特別公演を3名にお願いしています。エディンバラ大学のKeith Fox先生には全般的なエビデンスの話を、早稲田大学で介護ロボットを作っておられる藤江 正克先生には“ものづくり”とイノベーションについて、サッカー日本代表元監督の岡田 武史氏にはチームワーク作りの話をしていただく予定です。●特別講演Unmet need of NOAC7月7日(木)16:00~17:00、第1会場 ホールCチームマネージメント~今治からの挑戦~7月8日(金)10:20~11:20、第1会場 ホールCヘルスケアロボティクスにおけるイノベーション7月9日(土)11:00~12:00、第1会場 ホールC“ものづくり”についてですが、今回の学会では「“ものづくり”のセッション」を設けていらっしゃいますね?この企画は今大会の新しい取り組みの1つで、経済産業省関東経済産業局の後援で開催します。これからは日本のインターベンションも新しいシーズを見つけて形にしていくという考え方が必要になります。そのため、日本での医療機器開発の成功例を講演していただくとともに、医療機器開発の海外との違いを議論したいと思います。また、技術展示ブースに日本のものづくり企業に出展いただき、医療側のニーズを知っていただくとともに、技術相談コーナーで開発アイデアを持つ医師との接点を持っていただければと思います。●医工産連携ものづくり企画シンポジウム「医療機器開発の成功例を知ろう」7月7日(木)13:00~16:00、展示会場(地下2階「展示ホール内」)パネルディスカッション「医療機器開発で、世界の競合に勝てるにはどうしたらよいか?」7月8日(金)9:00~12:30、展示会場(地下2階「展示ホール内」)技術相談コーナー「ホールE」内(地下2階)http://www2.convention.co.jp/cvit2016/contents/event.html産官学連携のセッションもあるそうですね?今後多くのデバイスが出てきますが、それらを無制限に使うことは医療費の観点から考えると不可能です。どのように市場に導入していくか検討し工夫していく必要があります。また今後、新規性のあるデバイスを早期に導入しようとすると未知のリスクが伴います。それを踏まえ、アカデミア、関連企業、PMDA、FDAそれぞれのスタンスを明らかにして議論したいと考え、産官学の連携セッションを企画しました。Harmonization by doing(HBD)のセッションでは、米国と日本の共同試験による早期承認の取り組みについての今までの経験を説明します。次に、近々上市が予定される話題の新デバイス生体吸収性ステント(BRS)について取り上げます。BRSは、そのベネフィットとともに血栓症リスクも議論されていますが、データは依然として限られています。このデバイスを日本にどう導入するかを議論します。さらに、CT-FFRについても取り上げます。日本にはEU全土と同じ台数のCTがあります。非侵襲的な検査としての大きなメリットがありますが、すべての施設で使うと大変なことになります。医療経済の点からマッチできるシナリオを議論したいと思います。もう1つ、近年注目されている出血合併症についても取り上げます。とくに、ハイリスクサブセットの定義は論文によってまちまちです。このサブセットの定義をどう考えるか企業とアカデミアの合意を形成していきたいと思います。日米欧 産官学共催セッション:最新テクノロジー(デバイス)の福音とリスク7月7日(木) 13:30~19:00、第14会場 G610Controversyセッションではどのようなテーマを取り上げるのですか?ここでは、DAPTの投与期間、心房細動合併患者の抗血小板薬の扱い、イメージングモダリティ(CT、FFR、OCTなど)をどのように適切に使っていくか、という従来から議論されていたテーマについて取り上げます。また、インターベンションの適切な実施については世界的に議論されており、欧米でもAUC(Appropriate Use Criteria)やハートチームといった取り組みが始まっています。しかし、それをそのまま日本に当てはめることは難しいと思います。どのように日本版のStandardized PCIを作っていくか、学会として取り上げています。Optimal Medication Following PCI Duration of DAPT after DES7月7日(木)10:30~12:00、第3会場 ホールB7-2Optimal Medication Following PCI Patients with Atrial Fibrillation7月8日(金)13:10~14:40、第3会場 ホールB7-2Imaging Appropriate Use of Multimodalities in Ischemic Heart Disease7月7日(木)17:20~18:50、第3会場 ホールB7-2日本におけるPCIの標準的適応7月8日(金)17:30~19:00、第3会場 ホールB7-2今年(2016年)4月に発生した熊本地震についても取り上げていますか?被災地である熊本の済生会熊本病院の中尾 浩一先生に、この地震での循環器医としての体験をお話しいただきます。あまり報道されませんが、この地震では多くの方が肺血栓塞栓症を発症しています。さらに、搬送の途中で亡くなる方も少なくなかったそうです。中尾先生の体験を通し、われわれ医師および医療者は、どういうことを知っておくべきかを学んでいきたいと思います。緊急企画 熊本地震の経験 現況報告7月7日(木) 18:30~19:00、第15会場 ホールE内40歳未満の参加者のための「Under 40」セッションではどのようなことが行われるのですか?このセッションの副題は「10年後のカテーテル治療を語ろう」です。インターベンションの適応はどう変わっていくか? CVITはどう変わっているか? といったテーマを事前に設定し、5名の代表演者に発表いただきます。40代未満の先生に、自分たちが携わっているインターベンションが将来どうなっているか予想していただき、自由闊達に意見交換をしていただきたいと思います。会長企画1 Under 40 ~10年後のカテーテル治療を語ろう7月7日(木)17:00~18:30、ポスター会場 ホールE教育セッションについても工夫されたそうですね?教育セッションは、従来は並列で行われていましたが、見たいものが重複してしまうという声を聞いていました。そこで今回は見たいテーマが重ならないよう、1部屋を教育セッション用に充て、3日間通して開催することにしています。教育セッション7月7日(木)16:00~18:00、第10会場 G4097月8日(金)8:30~18:00、7月9日(土)8:30~14:10、第8会場 G701その他にも興味深い取り組みがあるそうですね?「子ども体験コーナー」を作ります。このコーナーでは、CT、MRI、心電図、血圧計測を子供たちに体験してもらい、医療に興味を持ってもらいたいとの思いで企画しました。子ども体験コーナー7月8日(金)10:00~18:00、7月9日(土)10:00~18:00、地下2F セミナー室1http://www2.convention.co.jp/cvit2016/contents/kodomo.html企業展示については、参加者が楽しめ出展企業にもベネフィットがあるよう工夫しました。各ブースでアンケート調査を用意していただき、スタンプラリーを行います。集まったスタンプの数で賞品をお渡しする仕組みです。参加者の息抜きになりますし、出展企業も使用者の声を聞き、マーケティングに利用していただくことができます。また、展示ブースは格子戸などをアレンジし江戸時代の街並みを演出します。ポスター会場についても、領域ごとに照明を色分けし、わかりやすくしています。こちらは、近代的デザインにして、同じフロアにある江戸時代風の展示会場との対比を楽しんでいただけるようにします。ケアネット会員の方へメッセージをお願いします。これからは日本からエビデンスを発信する時代ですから、若い世代にはリサーチマインドを持ってほしいと思います。そういう意味でも、たくさんの若い先生に参加していただきたいと考えています。今大会は、私が思い描くこと、興味のあることを企画として取り上げました。この大会を通じて皆が同じ方向を向いて歩んでいってほしいと願っています。CVIT 2016 ホームページhttp://www2.convention.co.jp/cvit2016/index.html

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慢性リンパ性白血病〔CLL : chronic lymphocytic leukemia〕

1 疾患概要■ 定義慢性の小型成熟Bリンパ球の単クローン性の腫瘍であり、末梢血、骨髄、リンパ節で増殖する。リンパ節外の病変はなく、末梢血では5,000/mm3以上の腫瘍細胞が観察される。通常腫瘍細胞はCD5とCD23との両者を発現する。■ 疫学欧米の成人の白血病のなかでは最も多く、10万人当たり3.9人の発症率であるが、東アジアでは少なく、日本では、およそ0.48人とする報告がある1)。欧米のアジア系移民でも少ないので、遺伝的素因が考えられている。■ 病因他の白血病、リンパ性腫瘍と同様、ゲノム異常によると考えられている。第13番染色体のmiR 15、16の欠失によるBCL2の活性化を始めとして、NOTCH1、MYD88、TP53、ATM、SF3B1などの遺伝子異常が複数関与している2)。■ 症状多くはまったく無症状であり、血液検査による異常値で発見される。一部、リンパ節腫脹、肝脾腫、体重減少、発熱、全身倦怠感、貧血症状を呈する例や繰り返す感染症から発見される例がある。また頻度は低いが、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、自己免疫性血小板減少症、無顆粒球症、低γグロブリン血症を合併することが知られている。■ 分類近縁疾患に、単クローン性B細胞リンパ球増加症(monoclonal B-cell lymphocytosis: MBL)と小リンパ球性リンパ腫(small lymphocytic lymphoma : SLL)がある。MBLは、健常人に認められるモノクローナルなBリンパ球の増殖である。臨床症状はなく、Bリンパ球は、CLLと同様の細胞表面抗原を呈していることが多いが、5,000/μL以下であるのでCLLの定義は満たさない。CLLへ進行することが知られている。SLLは、末梢血や骨髄への浸潤がないCLLと同一の腫瘍と考えられ病期や治療は低悪性度B細胞リンパ腫として扱われる。■ 予後一般に緩徐な経過をたどることが知られているが、初回診断時からの生存期間は症例により2~20年と大きなばらつきがあり、生存期間中央値は約10年といわれている。そのため治療開始時期の決断が困難であり、病勢を評価し、予後を予測するための臨床病期分類がいくつか報告されている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準末梢血中のリンパ球絶対数が3ヵ月以上にわたって、継続的に5,000/mm3を超えている。末梢血塗抹標本では、細胞質をほとんど持たない成熟小型リンパ球が一様に増加しており、フローサイトメトリーで、Bリンパ球がモノクローナルに増殖している。細胞表面抗原は、Tリンパ球抗原であるCD5およびBリンパ球抗原であるCD19、CD20、CD23が発現している。細胞表面免疫グロブリンやCD20の発現レベルは、正常Bリンパ球に比べて低いことが多い。免疫グロブリン軽鎖はκ型またはλ型のいずれかのみを発現している。■ 鑑別診断リンパ球数が増加する他の疾患との鑑別が問題となる。結核、梅毒、伝染性単核球症、百日咳、トキソプラズマ症などの感染症では、リンパ球増多を呈するが、いずれも反応性であり数週間で正常化する。CLL以外のリンパ増殖性疾患との鑑別も重要であり、hairy cell leukemia、prolymphocytic leukemia、large granular cell lymphocyte leukemia、mantle cell lymphomaを代表とする、リンパ腫の白血化などがある。■ 病期分類現在広く使われている病期分類には2種類ある。Rai分類(表1)は米国で、Binet分類(表2)は欧州で用いられており、リンパ節病変数および貧血、血小板減少の有無により分類する。画像を拡大する画像を拡大する■ その他の予後予測因子RaiおよびBinet分類により予後分類を行うが、low risk群に分類された症例のなかでも急速に進行する例がある。そのため、分子生物学的研究により、新たな予後因子も近年では提唱されている。(1)短いLymphocyte doubling time(LDT)(2)高い血清マーカー(LDH、β2 microglobulin、β2M)(3)免疫グロブリン重鎖変異(IgVH mutation)がない(4)CD38陽性(5)ZAP70(Zeta chain associated protein 70)が発現している(6)細胞遺伝学的検査での11q欠失・17p欠失が予後不良とされる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 治療開始時期Rai分類low risk群およびBinet分類A群の症例では、診断早期の治療が推奨されない。Rai分類intermediate・high risk群およびBinet分類B・C群の症例で治療開始が勧められる。ただし、intermediate risk群・B群においては、症状の出現まで経過観察が一般的である。一方で、リヒター症候群と呼ばれるトランスフォームを起こし、急速にリンパ節腫大を生じ、予後不良となることがある。無治療経過観察中に一転して、治療が無効となるので、患者説明の際に留意する。■ 治療薬剤現状ではCLLに対する標準治療は確立されていない。治療の選択肢が広がり、アルキル化剤に加えプリンアナログ、モノクローナル抗体が登場している。1)アルキル化剤クロラムブチルは、わが国では本疾患には未承認である。単剤治療について奏効率は40~60%で、完全寛解(complete response:CR)は4~10%であった3)。わが国では、シクロホスファミド(商品名: エンドキサン)が使用される。差違はほとんどないとされており、伝統的に併用療法中で用いられることが多いが、アントラサイクリンを加えるメリットはない4)。2)プリンアナログフルダラビンは(同: フルダラ)、わが国では静注薬に加え経口薬も承認されており、同等の効果が知られている。北米のintergroup studyでの、未治療CLLに対するフルダラビン単剤治療の第III相比較試験の結果5)では、奏効率60~70%であり、CR率も20~40%と良好なものであった。奏効率は有意差をもってクロラムブチルに優っており、無増悪生存期間(PFS)も有意に延長していた。しかし、クロスオーバーデザインであったためか、生存率の有意差は得られていない。3)モノクローナル抗体CD20に対する抗体のリツキシマブ(同: リツキサン)は、CLLに対しては単剤では奏効率10~15%と結果は乏しい6)。毒性として輸注関連反応が強く出現する可能性がある。オファツムマブ(同: アーゼラ)は、再発・難治性の場合に使用される。リツキシマブに比べてCD20エピトープに高い親和性で結合することと、結合後の解離速度が遅いことが特徴である7)。CD52に対するモノクローナル抗体であるアレムツズマブ(同:マブキャンパス)も再発・難治性の場合に用いられる。クロラムブチルとの第III相比較試験が行われ、奏効率83%、CR率24%でより高かったが、T細胞も抑制するためサイトメガロウイルスを始めとするウイルス感染の管理が重要である8)。4)併用療法フルダラビンとシクロホスファミドとの併用(FC療法)は、奏効率80~90%、CR率30~40%とフルダラビン単剤と比較して有効性が高い。PFSも有意に延長していたが、全生存期間(OS)については、観察期間が短い影響か、有意差は認められていない9)。フルダラビンとリツキシマブの併用(FR療法)も同様にフルダラビン単剤と比較して優れていることが示されている。リツキシマブとフルダラビンの同時投与法と連続的投与法の比較では、前者で奏効率90%(CR率47%)、後者で77%(CR率28%)であり、同時投与法が有意に優れていた10)。さらにフルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブの3剤併用(FCR療法)は、FC療法と比較され、CR率、OSで有意に優れていた11)。5)新規抗がん剤ベンダムスチン(同:トレアキシン)は、アルキル化剤とプリンアナログの両者の作用特徴を有する静注薬である。悪性リンパ腫に対する有効性が報告されているが、CLLに対しても第III相比較試験にてクロラムブチルよりも優れた有効性を示している12)。わが国でも、再発例に対して承認申請され認可待ちである(平成28年5月末現在)。BTKシグナルの抑制薬であるイブルチニブ(同:インブルビカ)が欧米だけではなく、わが国でも再発・難治例に対して承認され、米国ではPI3Kδを抑える idelalisibが認可されている。いずれも経口薬である。イブルチニブ13)は、オファツムマブに対して第III相比較試験で有効性のため中途終了、 idelalisibはリツキシマブ単独に比べて14)リツキシマブとの併用療法でPFSで優っていた。さらに高齢化などのために全身状態の悪い症例でchlorambucilとの併用で、あらたなCD20抗体であるobinutuzumab(GA101)は、リツキシマブよりPFSで有意に優っており15)、米国で承認されている。6)造血幹細胞移植若年者を主体に治癒を目指して同種造血幹細胞移植が行われ、40~50%の長期生存が報告されている。リツキシマブ、フルダラビン、ベンダムスチンを用いた骨髄非破壊的前処置を用いた移植成績は、第II相比較試験の結果ではきわめて良好であった16)。■ 合併症治療CLL患者では、正常リンパ球が低下しており、免疫不全状態にあることが多く、感染症の合併には常に注意を払う必要がある。P. jiroveciによるニューモシスチス肺炎、CMV感染、帯状疱疹を発症する危険性が高く、ST合剤や抗ウイルス薬の予防内服を検討する。4 今後の展望わが国でも米国発の経口薬である新薬が、使用できるように期待したい。5 主たる診療科血液内科、血液腫瘍科、血液・腫瘍科、造血器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)アメリカ国立がん研究所のCLLの総合情報のページ(医療従事者向けの情報)1)Tamura K, et al. Eur J Haematol.2001;67:152-157.2)Puente XS, et al. Nature.2011;475:101-105.3)Dighiero G, et al. N Engl J Med.1998;338:1506-1514.4)CLL Trialists' Collaborative Group. J Natl Cancer Inst.1999;91:861-868.5)Rai KR, et al. N Engl J Med.2000;343:1750-1757.6)O'Brien SM, et al. J Clin Oncol.2001;19:2165-2170.7)Cheson BD. J Clin Oncol.2010;28:3525-3530.8)Lemery SJ, et al. Clin Cancer Res.2010;16:4331-4338.9)Flinn IW, et al. J Clin Oncol.2007;25:793-798.10)Byrd JC, et al. Blood.2005;105:49-53.11)Tam CS, et al. Blood.2008;112:975-980.12)Hillmen P, et al. J Clin Oncol.2007;25:5616-5623.13)Byrd JC, et al. N Engl J Med.2013;369:32-42.14)Furman RR, et al. N Engl J Med.2014;370:997-1007.15)Goede V, et al. N Engl J Med.2014;370:1101-1110.16)Kahr WH, et al. Blood.2013;122:3349-3358.公開履歴初回2014年07月01日更新2016年06月21日

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皮膚有棘細胞がんになりやすい職業

 皮膚有棘細胞がん(皮膚扁平上皮がん、以下cSCC)の職種間の相対危険度の差は社会経済的要因に関連し、職業性曝露にある程度関連する可能性があることが、ノルウェー・National Institute of Occupational HealthのJose Hernan Alfonso氏らによるフィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンでの45年間の追跡調査で明らかになった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年6月1日号に掲載。 北欧諸国におけるcSCCの年齢調整罹患率は過去60年間で増加しており、職種間のcSCCの相対リスクの違いの同定は、予防的な意味合いを持つ可能性がある。 この研究は、1961~2005年の1,290万人の国勢調査データとがん登録データを結合した記録に基づいた歴史的前向きコホート研究である。各国の国民全体のcSCC罹患率を基準として用い、53職種におけるcSCCの標準化罹患比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中、8万7,619例のcSCC発症が国のがん登録に報告された。・参加したすべての国で、船員、軍人、保安職業従事者、技術者、教師、輸送関連労働者、医師、歯科医師、看護師、その他の医療従事者、宗教関連労働者、事務従事者、管理者、販売代理人において、標準化罹患比の有意な増加が認められた(1.08~1.77)。

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うつ病の寛解率、職業で差があるか

 うつ病は、仕事のストレスにより悪化し、職場における障害の主な原因である。有効な治療を行っても、最初の治療で寛解する患者は全体の3分の1に過ぎず、約半数は治療に反応しない。職業レベルは、一般集団における健康アウトカムの確かな予測因子であるといわれている。イタリア・ボローニャ大学のLaura Mandelli氏らは、大規模国際サンプルを用い、うつ病の治療反応と職業レベルの潜在的な関連について調査した。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2016年5月19日号の報告。 うつ病患者654例を、職業レベル別に階層化した(高、中、低)。現在エピソードに対する直近の治療反応や治療抵抗性うつ病(2つ以上の適切な治療に対し非応答)は、アウトカム変数で考慮された。 主な結果は以下のとおり。・高職業レベルのうつ病患者は、学業成績のレベルが高かった。・高職業レベルは、低寛解率であった直近の治療に対する反応が有意に低く、その他の職業レベル群よりも治療抵抗性が多かった。・また、高職業レベルは、セロトニン再取り込み阻害薬による治療が少なかった。・潜在的な交絡因子は、主効果に影響を及ぼさなかった。 結果を踏まえ、著者らは「本知見により、高職業レベルの仕事に従事する患者は、うつ病の薬物療法に対する治療反応不良の危険因子であることが示された。臨床医や患者だけでなく雇用者や公共政策のためにも、今後のさらなる研究が重要である」としている。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのか 重症うつ病の寛解率、治療法により違いがあるか うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

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わかる統計教室 第3回 理解しておきたい検定 セクション11

インデックスページへ戻る第3回 理解しておきたい検定セクション11 対応のない場合の仮説検定セクション1 セクション2 セクション3 セクション4 セクション5セクション6 セクション7 セクション8 セクション9 セクション10セクション8~10では、対応のあるデータに対する仮説検定を学習しました。セクション11では、対応のないデータに対する仮説検定を学びます。復習事項もたくさん出てきますので、すでに学習したセクションと合わせてご覧ください。■仮説検定の手順今回は、対応のないデータに対する仮説検定のやり方を説明します。表31のデータは低下体温(投与前から投与後までに低下した体温)を調べたデータです。新薬Yについて調べた患者は8例、従来薬Xの患者は10例で、両者の患者は異なっています。サンプルサイズ、平均値、SD(標準偏差)を下記の記号で表すことにします。表31 対応のないデータ対応のない場合の仮説検定の手順は、対応のある場合とまったく同じです。手順の記載も同じなのですが、大切ですのでおさらいの意味でもう一度、仮説検定の手順をお示しします。●仮説検定の手順1)仮説を2つ立てる。仮説1「等しい」という仮説統計学では「帰無仮説」という。帰無仮説は統計学観点から立てる仮説。【例】母集団の「新薬Yの投与前体温平均値と投与後体温平均値は等しい」仮説2「異なる(解熱効果がある)」という仮説統計学では「対立仮説」という。対立仮説は分析者が結論(目的)とする仮説。【例】母集団の「新薬Yの投与前体温平均値と投与後体温平均値は異なる(解熱効果がある)」2)調査データについて、平均値、SD(標準偏差)、SE(標準誤差)を算出する。3)仮説検定の公式にSEを用いて検定統計量を算出する。検定統計は、信頼区間、t値、p値の3つ。4)比較する。方法1信頼区間の下限値と上限値の符号(+/-)を比較信頼区間の範囲が0を「またがる・挟む」の判断方法2t値と棄却限界値を比較方法3p値と有意点を比較(よく用いられる有意点は0.05 )5)判定する。3つの方法のいずれかで行う。どの方法を選択しても結論は同じ。(1)条件式が下記の場合、「等しい」という仮説を棄却し、「異なる」という対立仮説を採択する。方法1下限値と上限値の符号が同じ(信頼区間の範囲が0(ゼロ)をまたがない)方法2t値>棄却限界値方法3p値<有意点(0.05)対立仮説の採択によって、母集団において、異なる(解熱効果がある)といえる。このことを、「信頼度95%で有意な差がある」という言い方をする。【例】母集団の「新薬Yの投与前体温平均値と投与後体温平均値は、信頼度95%で有意な差がある。母集団において新薬Yは、解熱効果があったといえる。信頼度は95%である。(2)条件式が下記の場合、「等しい」という仮説を棄却できず、「異なる」という対立仮説を採択しない。方法1下限値と上限値の符号が異なる(信頼区間の範囲は0(ゼロ)を挟む)方法2t値<棄却限界値方法3p値>有意点(0.05)対立仮説を採択できず、母集団において、異なる(解熱効果がある)がいえない。このことを、「信頼度95%で有意な差があるといえない」という言い方をする。【例】母集団の「新薬Yの投与前体温平均値と投与後体温平均値は信頼度95%で有意な差があるといえない。母集団において新薬Yは解熱効果があったといえない。信頼度は95%である。■標準誤差(SE)対応のある場合、仮説検定で最初にすることは何だったでしょうか。SEを求めることです。そして、SEの求め方は、SDを√nで割った値です。対応のある場合は新薬Yの低下体温のSDを用いました。対応のない場合は、新薬Yの低下体温と従来薬Xの低下体温があるので、両方のSDを使います。SEの算定式は次のとおりです。s12、s22はSDの2乗ということです。このSDの2乗を「分散」といいますので、覚えておいてください。■信頼区間対応のある場合の信頼区間は、新薬Yの低下体温平均値について求めました。対応のない場合の信頼区間は、新薬Yと従来薬Xの低下体温平均値の差分について求めます。平均値はで表していますので、平均値差分はということになります。平均値差分がマイナスの場合は、プラスにすることを忘れないでください。対応のある場合同様、信頼区間の下限値と上限値は、SEを用いて求められます。1.96という定数は、サンプルサイズの大きさによって変わることは、すでに学習しました。サンプルサイズが大きければ定数は1.96、小さい場合は1.96より大きくなるということです。では、表32のデータで信頼区間を求めてみましょう。表32 データと基本統計量下記の表33のように計算されます。表33 信頼区間この結果から次のことがいえます。母集団における新薬Yと従来薬Xの低下体温の差分の信頼区間は0.083~1.517℃の間にあるといえます。その確からしさを示す信頼度は95%です。■信頼区間による仮説検定信頼区間による仮説検定は、セクション7で学んだ方法と同じです。先ほどの 表32のデータについて、信頼区間による仮説検定をしてみましょう。(再掲)表32 データと基本統計量では、表33より導いてみましょう。帰無仮説母集団の「新薬Yの低下体温平均値と従来薬Xの体温平均値は等しい」対立仮説母集団の「新薬Yの低下体温平均値と従来薬Xの体温平均値は異なる。新薬Yは従来薬Xに比べ解熱効果がある」信頼区間下限値=0.083 上限値=1.517判定下限値と上限値の符号が同じ。「等しい」という仮説を棄却し、「異なる」という対立仮説を採択する。母集団の新薬Yの低下体温平均値と従来薬Xの低下体温平均値は、信頼度95%で有意な差がある。母集団において、新薬Yは従来薬Xに比べ解熱効果があったといえる。信頼度は95%である。■t値t値の求め方はどうでしたでしょうか。t値とは、差分の平均値をSEで割った値でした。対応のない場合のt値は、平均値差分をSEで割ります。それでは、同じく表32のデータでt値を求めてみましょう。(再掲)表32 データと基本統計量上記表32よりとなります。■棄却限界値棄却限界値を覚えているでしょうか。t値で仮説検定をするとき、t値と比較する値でした。この値は信頼区間の定数と一致します。次の場合の定数は2.12でした。■t値による仮説検定表32のデータについて、t値による仮説検定をしてみましょう。帰無仮説母集団の「新薬Yの低下体温平均値と従来薬Xの体温平均値は等しい」対立仮説母集団の「新薬Yの低下体温平均値と従来薬Xの体温平均値は異なる。新薬Yは従来薬Xに比べ解熱効果がある」t値t値=2.37判定t値と棄却限界値を比較する。t値=2.37>2.12「等しい」という仮説を棄却し、「異なる」という対立仮説を採択する。母集団の新薬Yの低下体温平均値と従来薬Xの低下体温平均値は信頼度95%で有意な差がある。母集団において新薬Yは従来薬Xに比べ、解熱効果があったといえる。信頼度は95%である。■p値p値とは何でしたでしょうか。pの値は0~1の間の値で、pが小さいほど比較対象間(新薬Yの低下体温平均値と従来薬Xの低下体温平均値)に差がある確率が高くなるp値は、統計学が定めた基準0.05より小さければ、帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択する。「有意差がある」「解熱効果がある」といえるp値が0.05より大きければ、帰無仮説を棄却できず、対立仮説を採択できない。「有意差があるといえない」「解熱効果があるとはいえない」となるでした。■p値による仮説検定表32のデータについて、p値=0.0307となりました。この仮説検定をしてみましょう。帰無仮説母集団の「新薬Yの低下体温平均値と従来薬Xの低下体温平均値は等しい」対立仮説母集団の「新薬Yの低下体温平均値と従来薬Xの低下体温平均値は異なる。新薬Yは従来薬Xに比べ解熱効果がある」p値p値=0.0307判定p値と0.05(有意点という)を比較する。p値=0.0307<0.05「等しい」という仮説を棄却し、「異なる」という対立仮説を採択する。母集団の新薬Yの低下体温平均値と従来薬Xの低下体温平均値は、信頼度95%で有意な差がある。母集団において新薬Yは従来薬Xに比べ解熱効果があったといえる。信頼度は95%である。■対応のないt検定ここまで、対応のないデータの仮説検証を説明してきました。そして、方法として下記の3つをご説明しました。方法1信頼区間の下限値と上限値の符号(+/-)を比較信頼区間の範囲が0を「またがる・挟む」の判断方法2t値と棄却限界値を比較方法3p値と有意点を比較(よく用いられる有意点は0.05 )これを総称して「対応のないt検定(unpaired t test)」といいます。英語の論文などでは、“Independent sample T test”と記載されていることもあります。■ノンパラメトリック検定医学文献でよく出てくる「マン・ホイットニーのU検定(別名「ウィルコクソン順位和検定」と「ウィルコクソンの符号順位和検定」)について、簡単にご紹介します。母標準偏差が未知(わからない)、母集団の正規性が不明、そしてn数が30未満と少数の場合、検定統計量T値の分布はt分布にはならず、t検定を適用できません。このような場合は「ノンパラメトリック検定(ノンパラ検定ともいう)」を適用します。ノンパラメトリック検定の利点は、母集団の分布はなんでもよく、どんなデータであっても適用可能なことです。このため、データの中に飛び離れた値と思われる外れ値が含まれているような場合でも検定が行えます。一方、弱点としては、分布に関する情報を用いないので、t検定に比べ検定(検出力)が低下することです。ノンパラメトリック検定においてはデータの値を直接使わず、これを大きさの順に並べてその順位を用いることは多くあります。このことはデータの持つ情報を全部使い切っていないので情報の損失があることを意味します。他方で外れ値の影響はそれだけ受けにくくなっています。マン・ホイットニーのU検定は別名「ウィルコクソンの順位和検定」と呼ばれ、ノンパラメトリック検定の手法です。対応のない場合のデータに適用できます。ウィルコクソン符号順位和検定も、ノンパラメトリック検定の手法で対応のある場合のデータに適用できます。■ウエルチt検定t検定をマスターしたということで、少し上のレベルの話もしてみましょう。t検定は、母集団において新薬Yの低下体温と従来薬Xの低下体温の標準偏差が等しいときに使う方法です。したがって事前に母集団の分散が等しいことを調べておく必要があります。その方法には、母分散の比の検定やバートレットの検定(Bartlett's test)がありますが、この方法については省略します。母集団の分散が異なる場合は、ウエルチt検定(Welch's t test)を用います。一見新たな検定手法のようですが、t検定とほぼ同じ検定です。SEと棄却限界値の求め方が違うだけで、仮説検定の手順は一緒です。では、違いについてご説明します。t検定の場合、2つの分散は等しいので、SE(標準誤差)を求める際に、加重平均を用いています。下記の表34に詳細を記載しています。表34 t検定とウエルチt検定の違い(1)棄却限界値をExcelなどで求めるとき、代入する値が違うのです。下記式のfを自由度といいますが、ウエルチ値の自由度はすごい式になっていますね。これはExcelなどでも操作がとても大変になりますので、専用の統計解析ソフトを使った方がよいでしょう。表35 t検定とウエルチt検定の違い(2)■今回のポイント1)対応のない場合の仮説検定の手順は、対応のある場合とまったく同じ!2)対応のある場合とない場合の違いは、対応のある場合は新薬Yの低下体温の標準偏差を用いること、対応のない場合は、新薬Yの低下体温と従来薬Xの低下体温があるので、両方の標準偏差を用いること!3)母集団の分散が異なる場合はウエルチt検定(Welch's t test)を用いる!インデックスページへ戻る

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急性内科疾患への長期抗血栓療法は有効?/NEJM

 Dダイマー高値の急性内科疾患患者に対し、経口抗Xa薬のbetrixaban長期投与とエノキサパリン標準投与について比較検討した結果、有効性に関する有意差は認められなかった。英国キングス・カレッジ・ロンドンのAlexander T. Cohen氏らが国際多施設共同二重盲検ダブルダミー無作為化試験「APEX」の結果、報告した。急性内科疾患患者は、静脈血栓症(VT)の長期的リスクを有するが、抗血栓療法の適切な継続期間については明らかになっていない。NEJM誌オンライン版2016年5月27日号掲載の報告。エノキサパリン群 vs. betrixaban群の無作為化試験で評価 APEX試験は2012年3月~2015年11月に、35ヵ国460施設から被験者を募って行われた。8,589例がスクリーニングを受け、適格であった7,513例が無作為化を受けた。 研究グループは被験者を、10±4日間エノキサパリン皮下注(1日1回40mg)+35~42日間betrixabanプラセボを経口投与する群(エノキサパリン群)、または10±4日間エノキサパリンプラセボ皮下注+35~42日間betrixaban(1日1回80mg)を経口投与する群(betrixaban群)に無作為に割り付けた。 解析は、事前規定の漸増3コホート(コホート1:Dダイマー高値の患者を包含、コホート2:Dダイマー高値および75歳以上の患者を包含、コホート3:すべての登録患者を包含)について行った。統計的解析は、この連続3コホートのいずれかの解析で群間の有意差が示されない場合、その他の解析は探索的な解析と見なすこととした。 主要有効性アウトカムは、無症候性近位深部静脈血栓症(DVT)・症候性DVTの複合。第一安全性アウトカムは、重大出血で評価した。Dダイマー高値患者群の解析では有意差なし コホート1(betrixaban群1,914例、エノキサパリン群1,956例)の解析において、主要有効性アウトカムの発生は、betrixaban群6.9%、エノキサパリン群8.5%、betrixaban群の相対リスク(RR)は0.81(95%信頼区間[CI]:0.65~1.00、p=0.054)であった。 コホート2(2,842例、2,893例)では、それぞれ5.6%、7.1%(RR:0.80、95%CI:0.66~0.98、p=0.03)、コホート3(全集団;3,112例、3,174例)では、それぞれ5.3%、7.0%(RR:0.76、95%CI:0.63~0.92、p=0.006)であったが、コホート1で有意差が示されなかったため、他の2つの解析は探索的な解析結果とみなされた。 安全性について、全集団(コホート3)の解析において、重大出血の発生はbetrixaban群0.7%。エノキサパリン群0.6%で有意差は示されなかった(RR:1.19、95%CI:0.67~2.12、p=0.55)。 これらの結果を踏まえて著者は、「事前規定の主要有効性アウトカムについて、両群間で有意差は認められなかった。しかし事前規定の探索的解析の結果、より大きな2つの集団における解析では、betrixabanにベネフィットがあるとのエビデンスが示された」と報告をまとめている。

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CKD患者のナトリウム排泄量増加は心血管疾患発症リスク増大と関連する(解説:木村 健二郎 氏)-545

 21~74歳のCKD(慢性腎臓病)(eGFR:20~70mL/min/1.73m2)の住民3,757例を6.8年経過を追って、尿中の24時間ナトリウム排泄量と心血管疾患発症の関係をみた前向き観察研究。 尿中ナトリウム排泄量は、3日間蓄尿して男女別の24時間平均クレアチニン排泄量で補正している。尿中ナトリウムの排泄量の四分位でみると、最少量(2,894mg/日未満、食塩排泄量7.4g/日未満)から最大量(4,548mg/日以上、食塩排泄量11.6g/日以上)まで、心血管疾患の累積発症率はそれぞれ18.4%、16.5%、20.6%および29.3%と上昇した。しかし、心血管疾患リスクはナトリウム排泄量の三分位以下(食塩排泄量11.6g/日未満)の各群間には有意差はみられなかった。このことは、食塩摂取量の多いCKD患者では、少しの食塩摂取制限で心血管疾患リスクを減らせる可能性を示唆している。本研究の結果は、血圧やその他の心血管疾患リスクで補正しても変わらなかった。したがって、食塩摂取量が多いことによる心血管疾患リスクの上昇は、血圧を介するというよりは、食塩摂取過多による血管内皮障害、酸化ストレス、インスリン抵抗性などによる血管障害を介している可能性がある、としている。CKDにおける食塩摂取量と心血管疾患リスクの関係をみた初めてのコホート研究として注目される。

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