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事例54 宛先の無い診療情報提供料(I)の査定【斬らレセプト】

解説事例では、患者の転居転勤を理由に、転居先での通院予定医療機関が未定のまま、患者の求めに応じて作成して交付したB009 診療情報提供料が、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となったと問い合わせがあった。本来ならば、診療報酬明細書(レセプト)記載要領により、医療機関名記載の必要はない(記載協力を求められる地域があるので注意:筆者注)のであるが、事務において「転居先保険医療機関宛」と付記されていた。診療情報提供料は、算定留意事項によって患者の同意が前提であり、原則として紹介元と紹介先においても、患者および患者情報の提供に合意があることが求められている。事例の場合は、「紹介先の医療機関を特定せずに、診療状況を示す文書を患者に交付しただけの場合には算定できない(2008年12月26日 疑義解釈その6)」ことに該当し、査定となったものである。レセプトに交付先医療機関名の表示がなければ査定対象とならないが、カルテを見ながら行われる個別指導などでは、算定要件を満たしていないことを理由に自主返還を指摘される項目でもある。事例のような場合には、患者に交付された診断書などとみなしてよいため、当該患者から「文書料」として自費徴収するのが妥当である。

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認知症への運動療法、効果はあるのか

 最近の複数の研究とシステマティック・レビューにおいて、認知症患者に対する運動の効果について信頼性の高い結果が報告されている。カナダ・アルバータ大学のDorothy Forbes氏らは、認知症高齢者に対する運動の効果について、患者および介護者の両面から明らかにするためメタ解析を行った。その結果、運動プログラムが認知症患者の日常生活動作を改善する可能性、および認知機能、神経精神症状、抑うつに対する運動の効果に関するエビデンスは認められなかったことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月15日号の掲載報告。 本報告は、2013年に行ったレビューのアップデートであった。「認知症高齢者に対する運動プログラムは認知機能、日常生活動作(ADLs)、神経精神症状、抑うつ、死亡率を改善するか?」の検討を主要目的とした。また、「認知症高齢者に対する運動プログラムは家族介護者の負担、QOL、死亡率に対し間接的に影響を及ぼすか?」、「認知症高齢者に対する運動プログラムは、患者および家族介護者の医療サービス(救急科への来院など)の使用回数を減らすか?」などの検討を副次目的とした。 2011年9月4日、2012年8月13日、2013年10月3日にALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group's Specialised Registerの検索を行い、無作為化比較試験を検索した。適格条件は、認知症と診断された高齢者を対象とし、認知機能、ADLs、神経精神症状、抑うつ、死亡率の改善を目的として、運動群と対照群(通常治療あるいは社会的コンタクト/活動)に割り付けて検討しているものとした。副次アウトカムには家族介護者に関連する項目(介護者の負担、QOL、死亡率、医療サービスの使用)とした。 2人以上の評価者が、独立して検索文献の評価を行い、方法論的質の評価を行ったうえで、データの抽出を行った。効果の要約に関するデータを分析し、連続データについては平均差または標準化平均差(SMD)を算出し、試験間に大きな不均一性が認められなければ固定効果モデルを用いて各アウトカムのデータを統合し、それ以外の場合はランダム効果モデルを用いた。認知症の重症度とタイプ、そして運動プログラムの内容・回数・期間に関連した不均一性を調査した。また、有害事象の評価も行った。 主な結果は以下のとおり。・17件、1,067例が選択基準に合致した。しかし、3件の試験における必要なデータおよび4件目の試験データには公表されてないものがあり、利用できなかった。・認知症サブタイプと重症度、そして運動の内容、期間、回数などの点において、試験間に顕著な不均一性がみられた。・2件の試験のみが在宅患者を対象としていた。・メタ解析により、運動による認知機能への効果を示す明確なエビデンスは確認されなかった。運動群と対照群における推定標準化平均差は0.43(95%CI:-0.05~0.92、p=0.08、9試験、409例)であった。しかし、きわめて高い不均一性が認められ(I2値80%)、そのほとんどが説明不能であり、エビデンスの質は非常に低かった。・6件の試験の被験者289例において、運動プログラムが認知症患者のADLに効果的に働くことが判明した。運動群と対照群の間の推定標準化平均差は0.68(95%CI:0.08~1.27、p=0.02)であった。しかし、このメタ解析でも、説明できない高い不均一性が認められ(I2値77%)、エビデンスの質は非常に低いと評価された。・さらに詳細な分析において、1件の試験で、自宅で介護を行う家族介護者が認知症家族の運動プログラムへの参加を指導する立場にある場合、介護者としての負担が減少する可能性がみられた。運動群と対照群の間の平均差は-15.30(95%CI:-24.73~-5.87、1試験、40例、p=0.001)であった。同試験において明らかなバイアスリスクは認められなかった。・さらに、運動が神経精神症状(MD:-0.60、95%CI:-4.22~3.02、1試験、110例、p=0.75)あるいは抑うつ(SMD:0.14、95%CI:-0.07~0.36、5試験、341例、p=0.16)に有効であることを示す明らかなエビデンスはみられなかった。その他のアウトカム、QOL、死亡率、医療コストに関しては、適したデータが報告されていなかった、あるいはこれらのアウトカムを扱った試験を検索していなかったかのどちらかの理由により評価できなかった。関連医療ニュース 認知症、早期介入は予後改善につながるか 適切な認知症薬物療法を行うために 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン  担当者へのご意見箱はこちら

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事例53 アモキシシリン(商品名: サワシリン)カプセルの査定【斬らレセプト】

解説事例では、発熱・咽頭痛を主訴に夜間時間帯に受診され、紅斑を認めたため典型症状の溶連菌感染症と診断、検査を行わずにアモキシシリン(サワシリン®)カプセル250mgを10日分処方したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて「過剰」と判断され、7日分に査定となった。「ガイドラインに沿った投与にもかかわらず査定となった理由を教えてほしい」と問い合わせがあった。確かにA群溶連菌感染症診断が確定した場合には、「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011」に沿って、基本的に第1選択のペニシリン系薬が10日間投与される。しかし、確認のためのD012[22]A群β溶連菌迅速試験定性の実施がなかった。溶連菌の型式などの確定が行われない段階での10日分投与は、同剤の添付文書にある「耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間(7日間以内:筆者経験則)の投与にとどめる」から考えて、予防的もしくは炎症疾患への投与とみなされ、3日分が査定となったものであろう。典型的症状であっても、検査が必要とされる疾病に対しては、検査の実施もしくは確定診断に至った医学的理由の注記がレセプトに必要なのである。

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下大静脈フィルター併用、肺塞栓症の再発リスク低下せず/JAMA

 重症急性肺塞栓症入院患者において、抗凝固療法+回収可能型下大静脈フィルター留置を行っても、3ヵ月時点の症候性肺塞栓症の再発リスクは抗凝固療法単独と比べて減少しなかったことが示された。フランス・サンテティエンヌ大学中央病院のPatrick Mismetti氏らが無作為化試験の結果、報告した。回収可能型下大静脈フィルターは、急性静脈血栓塞栓症患者において抗凝固療法と併用して行われる頻度が高いが、そのリスク-ベネフィットについては不明であった。今回の結果について著者は、「抗凝固療法治療が可能な患者に対する同タイプフィルターの使用を支持しないという所見が示された」とまとめている。JAMA誌2015年4月28日号掲載の報告より。抗凝固療法+回収可能型下大静脈フィルター留置vs. 抗凝固療法単独 検討はPREPIC2と称され、非盲検だがエンドポイント盲検の無作為化試験にて、2006年8月~2013年1月にフォローアップ6ヵ月間を設定して行われた。  適格被験者は、急性の症候性肺塞栓症入院患者で下肢静脈血栓症を有しており、1以上の重症度判定基準を有していた。  被験者を、抗凝固療法+回収可能型下大静脈フィルター留置群(フィルター群)と、抗凝固療法単独群(対照群)に割り付け、外来でフォローアップした。なお初回入院の発生場所は、フランスにある17の医療センターだった。  全患者に6ヵ月以上のfull-doseの抗凝固療法が行われ、フィルター群に割り付けられた患者のフィルター回収は、留置後3ヵ月時とされた。  主要有効性アウトカムは、3ヵ月時点での症候性肺塞栓症の再発とし、副次アウトカムには、6ヵ月時点の肺塞栓症の再発、症候性深部静脈血栓症、重大出血、死亡で3ヵ月、6ヵ月時点で評価した。またフィルター関連合併症も評価に含まれた。3ヵ月時点、有意差はないがフィルター群の相対リスク2.00 フィルター群に200例が、対照群には199例が割り付けられた。 フィルター群のフィルター留置の成功例は193例。フィルター回収が予定どおり行われたのは、回収が試みられた164例中153例であった。  結果、3ヵ月時点での、肺塞栓症再発発生例はフィルター群6例(3.0%、すべて致死例)、対照群は3例(1.5%、2例が致死例)で、フィルター群の相対リスク(RR)は2.00(95%信頼区間[CI]:0.51~7.89、p=0.50)であった。6ヵ月時点の結果も同様であった(RR:1.75、95%CI:0.52~5.88、p=0.54)。  その他のアウトカムについても、2群間の差は観察されなかった。深部静脈血栓症の再発は3ヵ月時点のRRは1.00(p>0.99)、6ヵ月時点0.50(p>0.99)、重大出血は0.80(p=0.63)と0.87(p=0.69)、死亡は1.25(p=0.55)と1.40(p=0.29)であった。死亡の主原因は両群ともがんであった。  なお、フィルター塞栓症は3例で報告されている。

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認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか

 認知症高齢者は、危険運転のリスク群であるが、すべての認知症タイプにおいて同様であると考えてよいのだろうか。オランダ・フローニンゲン大学のDafne Piersma氏らは、認知症の病因が異なっても運転能力に同様の影響があるのかを検討するため、文献レビューを行った。Traffic Injury Prevention誌オンライン版2015年4月15日号の掲載報告。 レビューは、PubMed、PsychINFO、Google Scholarを介して、認知症の病因と運転に焦点を当てた試験を特定して行った。 主な結果は以下のとおり。・初期症状と予後は、病因が異なる認知症間で異なっていた。・認知症の病因ごとに、運転への適応度が異なる可能性が示唆された。さらに、認知症の病因ごとに、起こりうる運転問題のタイプを予測できる可能性がある。・一方で、認知症のほぼすべての病因において、運転への影響に関するデータや知識はかなり不足していた。・1つの仮説として、アルツハイマー型認知症患者は、ルートを見つけるといった戦略的側面の困難さに苦しめられる一方、前頭側頭型認知症患者は、危険認知機能が障害され戦術レベルに誤りを来しやすい傾向があると考えられた。・また、運動症状を伴っているその他の病因を有する認知症患者は、運転操作レベルでの問題が生じる可能性があった。・しかしながら、認知症のさまざまな病因の運転への影響について、十分に検討されたものはなかった。・認知症患者の運転における問題を検出するために、患者のみならず家族も含めた構造的インタビューが重要だと思われた。・神経心理学的評価は、認知障害を識別する根拠となりうる。また、そのような障害の運転への影響については、運転シミュレーターによっても調査可能であり、運転シミュレーターでは運転行動における長所と短所の観察が可能であった。・これらの知識を用いて、患者の運転適応度や運転サポートの選択(補完技術、自動車の補助機能など)についてアドバイスが可能であった。・しかしながら、運転適応度の評価について、妥当性があり信頼性が高く、広く認められた試験がない限り、コストを要するオンロード運転検査を行うしかない。・認知症の病因の違いが考慮された認知症患者の運転適応検査が開発されれば、オンロード運転検査の代替となりうる。関連医療ニュース 認知症タイプ別、各認知機能の経過を比較 認知症患者が車で徘徊、発見方法は? 重度の認知障害を有する高齢者、視力検査は行うべき

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事例52 ベラプロストナトリウム(商品名: プロサイリン)錠20の査定【斬らレセプト】

解説事例では、慢性動脈閉塞症に対して処方したベラプロストナトリウム(プロサイリン®)錠20が、A事由(医学的に適応と認められないもの)を理由にすべて査定となった。査定原因を調べるために同薬の添付文書を確認した。「慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善」に適応があり、用法・用量として「通常、成人には、ベラプロストナトリウムとして1日120μg(6T)を3回に分けて食後に経口投与する」とあった。事例の傷病名は「慢性動脈閉塞症」のみであり、「潰瘍、疼痛及び冷感の改善」が伴った状態であるのかどうかが読み取れない。また、用量としては20μg 2錠であり、定められた1日3回の用法・用量と一致しない。これらのことから査定となったものであろう。症状などに対して添付文書と異なる薬剤投与が必要であれば、その医学的必要性をあらかじめレセプトに記載することが必要である。しかし、経験上では添付文書と用法が異なる場合には、再審査請求を行っても認めてくれないようである。

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コーヒー摂取量と死亡リスク~日本人9万人の前向き研究

 これまで、コーヒー摂取と死亡・主要死因別死亡との関連を検討した前向きコホート研究はほとんどなかったが、今回、わが国における前向き大規模コホート研究(JPHC Study※)により、習慣的なコーヒーの摂取が全死亡および心疾患、脳血管疾患および呼吸器疾患による死亡リスクを減らす可能性が示唆された。The American journal of clinical nutrition誌2015年5月号(オンライン版2015年3月11日号)に掲載。 本研究では、ベースライン調査において、がん、脳血管疾患、虚血性心疾患の既往のない40~69歳の日本人9万914人について、コーヒー摂取量と主要死因別死亡(全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外傷、その他)との関連を調査した。平均18.7年追跡調査を行い、その間に1万2,874人が死亡した。潜在的な交絡因子の調整後、コーヒー摂取量と全死亡および死因別死亡リスクとの関連について、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・男女とも、コーヒー摂取量と全死亡リスクとの間に逆相関の関連が認められた。・コーヒーをまったく飲まない人と比べた全死亡のハザード比(95%CI)は、コーヒー摂取量が1日1杯未満の人は0.91(0.86~0.95)、1~2杯の人は0.85(0.81~0.90)、3~4杯の人は0.76(0.70~0.83)、5杯以上の人は0.85(0.75~0.98)であった(傾向のp<0.001)。・コーヒー摂取量は、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクと逆相関していた。※JPHC Study「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」(主任研究者:国立がん研究センター 津金 昌一郎氏)において、全国11保健所と国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、大学、研究機関、医療機関などとの共同研究として行われている。

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統合失調症への支持療法と標準的ケア、その差は

 英国・チェリイ・ノウル病院のLucy A Buckley氏らは、統合失調症に対する支持療法の有効性を、その他の治療法と比較するレビューのアップデートを行った。24件の無作為化試験(RCT)を組み込み評価した結果、標準的ケアとの比較では再発、入院、全般的機能に有意差は認められず、また心理的あるいは心理社会的療法のほうが入院、精神状態の改善、患者の治療満足度において有意に良好であったという。ただし、いずれの試験もエビデンスの質がきわめて低いものであったため、支持療法とその他の治療法との差異を明確化するには至らなかったと述べている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月14日号の掲載報告。 レビューは、Cochrane Schizophrenia Group's register of trials(2012年11月)のデータを検索して行った。統合失調症患者を対象とし、支持療法とその他の治療あるいは標準的ケアを比較検討したすべてのRCTを検索対象とした。信頼性の高いソースから試験を選択し、質の評価ならびにデータを抽出。固定効果モデルを用いてリスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を推算した。可能な限りintention-to-treat解析を実施した。連続データについては主に固定効果の平均差(MD)をCIと共に算出した。不均質性、公表バイアスも算出し、GRADEを用いてエビデンスの質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・2012年以降に4件の新規試験が追加され、本レビューでは妥当な研究24件(2,126例)を対象とした。全体的に、エビデンスの質はきわめて低かった。・主要アウトカムである再発、入院、全般的機能において、支持療法と標準的ケアの間に有意差は認められなかった。・一方、心理的あるいは心理社会的療法は、支持療法と比べて有意に良好な成績であることが示された。すなわち、入院率(4件、306例、RR:1.82、95%CI:1.11~2.99、エビデンスの質は非常に低い)、精神状態の臨床的改善(3件、194例、RR:1.27、95%CI:1.04~1.54、エビデンスの質は非常に低い)、患者の治療満足度(1件、45例、RR:3.19、95%CI:1.01~10.7、エビデンスの質は非常に低い)において有意差が認められた。・再発率、試験からの早期脱落、QOLに関して有意差は認められなかった。・支持療法を認知行動療法(CBT)と比較した場合も、主要アウトカムに有意差は認められなかった。・支持療法を家族療法および心理教育療法と比較したデータはきわめて限定的であり、関心の高い主要アウトカムの1つである全般的機能に関しては、いずれの研究においても臨床的に重要な変化を示すデータはなかった。・支持療法と標準的ケアのアウトカムにおける差異を明確にするにはデータが不十分であった。・入院、全般的な精神状態など、支持療法に比べ、その他の心理療法のほうが優位であることを示すアウトカムが複数認められた。しかしこれらの結果は、エビデンスの質が非常に低いと評価された数少ない小規模試験に基づいたものであった。支持療法を比較対照群とせず、主要な治療群に設定した大規模試験により研究を進めることで、成果が期待できるであろう。関連医療ニュース 統合失調症の妄想低減へ、新たな介入方法 統合失調症治療、家族への介入に効果はあるか 重度アルツハイマー病に心理社会的介入は有効か:東北大  担当者へのご意見箱はこちら

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事例51 外来栄養食事指導料の査定【斬らレセプト】

解説事例では、高度肥満に対する栄養指導を目的に内科外来を受診、外来医師も高度肥満の状態から「症候性肥満」であり、特別食による食事療法から始めることが必要と診断された。患者に栄養食事指導の必要性を説明したのち、管理栄養士に対して外来にて栄養指導の実施を指示していた。B001「9」外来食事栄養指導料の算定要件を満たしていると判断したので同指導料を算定したところ、A事由(医学的に適応と認められないもの)を理由に査定となった。診療報酬点数表の留意事項には、「同指導料対象の特別食には肥満症に対する治療食が含まれる」とあり、その治療食は「高度肥満症(肥満度が+40%以上又はBMIが30以上)の患者に対する治療食が該当する」とあった。レセプトを見直すと傷病名が「症候性肥満」であり、肥満度に対する記述はなかった。そのため特別食を必要とする状態が審査側に伝わらない状態であった。したがって、「症候性肥満」は「高度肥満症」とは異なる疾患として、不適当の査定となったものであろう。医学上の傷病名と診療報酬上の傷病名が異なる場合は、診療報酬で認められた傷病名もしくは数値を満たしていることをレセプトに記載することが、査定対策では必要なことである。

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梅雨の季節。原因不明の咳は真菌のせい!?

 4月21日、東京都内において「梅雨から要注意!カビが引き起こす感染症・アレルギー  -最新の研究成果から導く“梅雨カビ”の対策ポイント-」(主催:株式会社衛生微生物研究センター、協力:ライオン株式会社)と題し、メディアセミナーが開催された。 これから梅雨の季節を迎え、家中のさまざまなところで発生するカビについて、その性質と健康に及ぼす影響を概説し、具体的にどのような疾患を生じさせるかをテーマに講演が行われた。カビを吸い込むことで喘息やアレルギー性疾患を誘発 はじめに「カビ」の研究者である李 憲俊氏(衛生微生物研究センター所長)が、「身の回りのカビと、人体への影響」と題して、家カビの発生とその影響について解説を行った。 カビは、水の溜まるシンク周りや浴室に多く繁殖し、また、湿気のこもる下駄箱、押し入れ、結露する北側の壁、窓枠、浴室天井などに多く発生する。とくに天井のカビは、思いのほか気が付きにくく、掃除も難しい。また、胞子が舞い落ちることで人が吸い込む可能性もある。そして、カビを吸い込むことで、喘息、アレルギー性疾患を誘発、悪化させるほか、肺炎などの感染症の原因ともなる。李氏は「現在のように密封性の高い家屋では、カビの増殖が容易なため、いかにカビを発生させないか対策が大事」とまとめた。原因不明の咳はカビによるアレルギー性疾患の疑い 続いて、「カビが引き起こす感染症・アレルギー」と題して、亀井 克彦氏(千葉大学真菌医学研究センター 臨床感染症分野 教授)が、カビ(真菌)が原因となる呼吸器疾患のレクチャーを行った。 真菌が原因となる病気は、水虫が広く知られているが、その他にも感染症、アレルギー、(食物摂取による)中毒症などがある。そして、私たちは1日に1万個以上の真菌を吸い込んでおり、真菌が原因の疾患で亡くなる方も現在増加中だという。 原因不明の咳などの診療でのポイントとしては、「古い木造一戸建てに引っ越した」「梅雨ごろから症状が始まった」「しつこい乾いた咳」「家の外だと軽快」「次第に息切れする」「中年女性」といったファクターがあった場合、「夏型過敏性肺臓炎」や「カビによるアレルギー性疾患」などが疑われ、早期の検査と治療が必要となる。とくに「夏型過敏性肺臓炎」は、わが国独特の疾患であり、風邪などと区別がつきにくいために見過ごされ、治療が遅れることも散見されるので、注意が肝要とのことである。 また、頻度は少ないが、喫煙者や糖尿病などの慢性疾患を持つ人が罹りやすい「慢性壊死性肺アスペスギルス症」などは治療薬も効果が弱く、進行すると予後不良となるため、定期健診での早期発見が大切だという。 真菌感染症は、容易に感染しないものが多いが、一度感染すると難治性となり、治療薬も効果が弱く副作用も強い。また、再発しやすく、アレルギーなどのさまざまな疾患の原因ともなるので、原因不明の咳などで「前述の疾患を疑ったら呼吸器科の中でもアレルギー疾患領域に明るい専門医の受診が必要」とのことだった。 最後に、患者に指導できる予防策として、肺の老化予防のために「禁煙の実施」、住宅内の「カビの排除」(とくにエアコン、水まわりなど)、原因不明のしつこい咳や息苦しさがあれば「専門医師への受診」を患者に伝えることが重要だと亀井氏は述べ、「カビについて過度に神経質になる必要はないが、適度な心配はしてほしいと患者に指導をお願いしたい」とレクチャーを終えた。

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緑茶で死亡リスクが減る疾患

 日本における大規模集団コホート研究において、緑茶の摂取が全死因および3つの主な死因の死亡リスクを減らす可能性が示唆された。わが国のJPHC Studyにおいて、緑茶の摂取量と原因別死亡率(全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外傷、その他)との関連を調査した結果が、Annals of epidemiology誌オンライン版2015年3月25日号に掲載された。 JPHC Studyは「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」(主任研究者:国立がん研究センター 津金 昌一郎氏)において、全国11保健所と国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、大学、研究機関、医療機関などとの共同研究として行われている。 本研究で、1990~1994年に40~69歳だった日本人男女9万914人をフォローアップしたところ、18.7年の追跡期間中に1万2,874人が死亡した。緑茶摂取量と全死因および主な死因による死亡リスクとの関連について、潜在的交絡因子の調整後、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・男性における全死因死亡のハザード比は、緑茶を1日1杯未満しか飲まない人と比較して、1~2杯飲む人では0.96(0.89~1.03)、3~4杯飲む人では0.88(0.82~0.95)、5杯以上飲む人では0.87(0.81~0.94)であった(傾向のp<0.001)。また、女性におけるハザード比は、順に0.90(0.81~1.00)、0.87(0.79~0.96)、0.83(0.75~0.91)であった(傾向のp<0.001)。・緑茶摂取は、男女両方における心疾患による死亡率、男性における脳血管疾患および呼吸器疾患による死亡率と逆相関していた。・緑茶摂取と全がん死亡率との間には関連が認められなかった。

3755.

事例50 ヘモグロビンA1C(HbA1c)の査定【斬らレセプト】

解説事例の検査が、「縦覧点検(複数月にわたるレセプトの通覧点検により補正・査定された内容のこと)」のコメント付きでB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)を理由に査定となった。最近増えている査定なので原因を調べてみた。診療報酬点数表には、「同検査はグリコアルブミン他の類似する検査と併せて月1回に限り算定する」とあった。それ以外の記載はない。縦覧点検のコメントをヒントに事例に対する過去の検査歴を見てみた。慢性C型肝炎の患者であってHbA1c値が上限に近いことを理由に、連月の同検査実施と併せて「糖尿病疑い」の病名開始日の変更と中止が行なわれていた。医師からは「日本糖尿病学会の『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』と関係があるのではないか」とあった。同診療ガイドラインには「血糖値のみ糖尿病型であって典型症状もしくは確実な糖尿病網膜症を認める場合及びHbA1cのみ糖尿病型の場合は、なるべく1か月以内に血糖値とHbA1cをセットで再検査、糖尿病疑いの場合は、3~6ヵ月以内に同セットで再検査」と図示があった。糖尿病疑いの場合には、当初の再検査を除き、3~6ヵ月以降の再検査実施が推奨されていた。この基準で査定となったものと推測できる。この期間以前や連月の実施には、医学的に必要とした症状詳記をお願いしている。

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巨大児出産、分娩誘発のほうが安全?/Lancet

 巨大児出産が疑われる場合には、自然分娩よりも分娩誘発を行うほうが肩甲難産や関連疾患のリスクを低下することが、スイス・ジュネーブ大学のMichel Boulvain氏による無作為化試験の結果、示された。分娩誘発は、帝王切開となるリスクを増大することなく自然経腟分娩の尤度を改善することも示されたという。結果を踏まえて著者は、「早期分娩誘発の影響とバランスをみながら検討すべきである」とまとめている。巨大児については、肩甲難産のリスクが高いことが知られている。Lancet誌オンライン版2015年4月8日号掲載の報告より。フランス、スイス、ベルギーの19施設で無作為化試験 研究グループは、妊娠期間に比して大きい過体重児(large-for-date fetuses)の出産について、肩甲難産およびその他の新生児および母体疾患の予防に関して、分娩誘発と自然分娩を比較した。 検討は2002年10月1日~2009年1月1日に、フランス、スイス、ベルギーの19ヵ所の3次医療機能センターで行われた。 対象は、単体児を妊娠しており、在胎児の体重が95パーセンタイル値(36週時3,500g、37週時3,700g、38週時3,900g)超と推定される妊婦を適格とし、妊娠期間37~38週目に3日以内に、分娩誘発を行う群または自然分娩とする群に、無作為に割り付けた。無作為化は施設単位で行われ、被験者と看護者には割り付け情報はマスクされなかった。 主要アウトカムは、臨床的に顕著であった肩甲難産、鎖骨骨折、腕神経叢損傷、頭蓋内出血、死亡の複合とした。分娩誘発群、肩甲難産発生が有意に低下、自然経腟分娩の可能性上昇 分娩誘発群に409例、自然分娩群に413例が割り付けられ、それぞれ、最終解析には407例、411例が組み込まれた。出生児の平均体重は、分娩誘発群3,831(SD 324)g、自然分娩群4,118(SD 392)gであった。 分析の結果、肩甲難産または関連疾患の発生は、分娩誘発群8例、自然分娩群25例で、前者の有意なリスク低下が認められた(相対リスク[RR]:0.32、95%信頼区間[CI]:0.15~0.71、p=0.004)。 腕神経叢損傷、頭蓋内出血、死亡については両群で発生がみられなかった。 自然経腟分娩の尤度は、分娩誘発群のほうが自然分娩群よりも高かった(59% vs. 52%、RR:1.14、95%CI:1.01~1.29)。なお、帝王切開(28% vs. 32%)や新生児罹患について、両群間で有意な差はみられなかった。

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事例49 ファムシクロビル(商品名: ファムビル)錠の査定【斬らレセプト】

解説事例では、口唇ヘルペスの患者にファムシクロビル(ファムビル®)錠250mgを6錠投与したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて減額査定となった。各地でよく見られる査定内容でもある。調べたところ、「早く治したいという患者の希望を医師が汲み取り、倍量投与した」とあったが、レセプトに注記は無かった。医師も添付文書を確認して、単純疱疹に対して投与の場合は、通常、成人には1回250mgを1日3回経口、帯状疱疹に対する投与の場合は、通常、成人には1回500mgを1日3回経口であることを理解していた。そして、同じ薬剤で処方量によって適応病名が異なる場合でも、裁量権は認められると解釈していた。しかし、レセプトでは、請求根拠として病名が鍵であり最重要視されていることを伝え、基本量以上の投与が医学的に必要であった場合には、その旨が伝わるような病名もしくはコメントを記載して、審査の判断を仰ぐことをお願いした。医師と相談したところ、事例の場合は医学的な必要性に乏しい過量投与であったために再審査請求は行っていない。

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本当にあった医学論文 2

人間を科学する医学論文からはぐれた真面目な集大成大好評の『本当にあった医学論文』が帰ってきました!今回も「ヘッドバンギングで脳出血」「力士の左室肥大は発見しにくい」「浮気の予防薬が存在する?」「結婚すると女性の体重は何kg増える?」「ネギを用いた導尿」「手術と満月の関係」などなど、実在する驚きの症例報告、大真面目なだけにどこか笑える論文、臨床に役立つ(かもしれない)論文を紹介します。これを読めば、あなたも奥深い医学論文ワールドの虜になるかも!?画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   本当にあった医学論文2定価 2,000円 + 税判型 A5判頁数 146頁発行 2015年4月著者 倉原 優Amazonでご購入の場合はこちら

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【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(3)

近年の研究で、ヒトの脳にも“神経幹細胞”が存在し、新たな神経細胞をつくっていることが証明された。この神経幹細胞を有効に活用することで、脳神経を再生させる。それを実現する再生医薬品、SB623が開発されている。すでに米国での臨床試験も終了し、著しい効果を示しているという。今回は米国でその臨床試験を統括したスタンフォード大学 神経外科 総責任者である Gary Steinberg氏に聞いた。喜ばしい結果をもたらした初回の臨床試験今回の臨床試験では18人の移植患者に対し、SB623の影響をみた。当初は安全性試験であったが、同時に効果もみることとなった。まず安全性の結果を振り返ると、重篤な有害事象はみられず、また軽度なものも薬剤関連のものはみられなかった。一方、効果の1次評価項目はESS、2次評価項目としてその他の脳卒中評価指標および画像所見も取り入れている。その結果、統計学的にもベースラインからの有意な神経学的な改善が、投与1ヵ月後からみられている。改善は3ヵ月後にはさらに上昇し、6ヵ月後および12ヵ月後も有意な改善が維持されている。この改善効果は、ESS以外の神経評価指標でも確認された。Steinberg氏は「この一連の効果はわれわれの予測を大きく上回り、非常に喜ばしい驚きを与えてくれた」と述べた。予想外 画像所見と神経学的回復が相関したまた、予想外の事実の1つとして、脳MRI所見の変化がある。この所見は投与1週間後にみられた新しいシグナル変化である。この変化は1~2ヵ月後には消失するものの、患者の神経機能は改善し続ける。このシグナルは脳卒中のシグナルではない。このシグナルは運動機能に影響する前運動野に出現する。驚くべきことは、この所見の変化が6ヵ月と12ヵ月の神経学的回復と統計学的に有意に相関する。今後さらに探索する必要があるが、細胞にとって有益な何らかの炎症反応という可能性がある。もう1つ興味深い所見がある。脳のグルコース代謝をみているPETスキャンで脳卒中の病変部位と反対側の領域の代謝活性が上がっていたのである。そして、この代謝活性の上昇は6ヵ月と12ヵ月の神経機能改善と相関している。動物やヒトの研究が今盛んに行われているが、この反対側は卒中部位の回復促進に非常に重要で、卒中側の機能を引き継ぐ、あるいは卒中域を調整できることがわかっている。講演で紹介した患者は非常に印象的な回復をみせた。回復は投与1日で確認された。このようなケースは体験したことがなく、その驚きはショックと表現したほうが適切であった。とはいえ、すべての患者がこのように急速に回復するわけではない。18人の患者の全体像をみると、早期は1ヵ月程度で回復がみられ、3ヵ月で改善が増加し、6ヵ月、12ヵ月においても持続している。24ヵ月観察している患者は多くはないが、同様に改善が持続している。ちなみに、神経学的改善は年齢、用量、罹病期間とも相関せず、前述のフレアシグナルの出現と相関する。脳卒中発症後6ヵ月経過すると脳神経回路は死んで回復できないというのが、従来の定説である。しかし、この試験の結果は考え方を変えさせるものだ。個人的な推察ではあるが、脳卒中になっても脳の神経回路は死んでおらず、大きな阻害により働かない状態になっているが、再活性化されることで回路が再び働き始めるのではないだろうか。SB623の今後の可能性脳卒中においては、さまざまな幹細胞が研究されている。SB623はすでに臨床プログラムに進んでおり、またこれほどの効果を示せたことは画期的である。他の細胞は臨床に入ったばかりであり、それらと比べると明らかにアドバンテージがある。また、慢性脳卒中で効果をみせた意味は大きく、これは時間が経つとともに大きなベネフィットを生むだろう。この試験結果はわれわれに希望を与えるものだった。しかし、症例数は少なく対照群もない。解明すべき点も多々ある。次の段階として150人のアームで対照群と比較するPhase2B試験に進む。そして、より多くの被験者で効果を確認するPhase3試験へとさらに発展させる必要がある。脳卒中は破壊的な病気である。世界では1500万人の患者がいる。この薬剤の効果が証明されれば非常に多くの患者の人生が変化する。脳卒中の治療においては飛躍的進歩になると考えられる。日本の臨床医へのメッセージSteinberg氏メッセージ:2’11″

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【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(3)

近年の研究で、ヒトの脳にも“神経幹細胞”が存在し、新たな神経細胞をつくっていることが証明された。この神経幹細胞を有効に活用することで、脳神経を再生させる。それを実現する再生医薬品、SB623が開発されている。すでに米国での臨床試験も終了し、著しい効果を示しているという。今回は米国でその臨床試験を統括したスタンフォード大学 神経外科 総責任者である Gary Steinberg氏に聞いた。喜ばしい結果をもたらした初回の臨床試験今回の臨床試験では18人の移植患者に対し、SB623の影響をみた。当初は安全性試験であったが、同時に効果もみることとなった。まず安全性の結果を振り返ると、重篤な有害事象はみられず、また軽度なものも薬剤関連のものはみられなかった。一方、効果の1次評価項目はESS、2次評価項目としてその他の脳卒中評価指標および画像所見も取り入れている。その結果、統計学的にもベースラインからの有意な神経学的な改善が、投与1ヵ月後からみられている。改善は3ヵ月後にはさらに上昇し、6ヵ月後および12ヵ月後も有意な改善が維持されている。この改善効果は、ESS以外の神経評価指標でも確認された。Steinberg氏は「この一連の効果はわれわれの予測を大きく上回り、非常に喜ばしい驚きを与えてくれた」と述べた。予想外 画像所見と神経学的回復が相関したまた、予想外の事実の1つとして、脳MRI所見の変化がある。この所見は投与1週間後にみられた新しいシグナル変化である。この変化は1~2ヵ月後には消失するものの、患者の神経機能は改善し続ける。このシグナルは脳卒中のシグナルではない。このシグナルは運動機能に影響する前運動野に出現する。驚くべきことは、この所見の変化が6ヵ月と12ヵ月の神経学的回復と統計学的に有意に相関する。今後さらに探索する必要があるが、細胞にとって有益な何らかの炎症反応という可能性がある。もう1つ興味深い所見がある。脳のグルコース代謝をみているPETスキャンで脳卒中の病変部位と反対側の領域の代謝活性が上がっていたのである。そして、この代謝活性の上昇は6ヵ月と12ヵ月の神経機能改善と相関している。動物やヒトの研究が今盛んに行われているが、この反対側は卒中部位の回復促進に非常に重要で、卒中側の機能を引き継ぐ、あるいは卒中域を調整できることがわかっている。講演で紹介した患者は非常に印象的な回復をみせた。回復は投与1日で確認された。このようなケースは体験したことがなく、その驚きはショックと表現したほうが適切であった。とはいえ、すべての患者がこのように急速に回復するわけではない。18人の患者の全体像をみると、早期は1ヵ月程度で回復がみられ、3ヵ月で改善が増加し、6ヵ月、12ヵ月においても持続している。24ヵ月観察している患者は多くはないが、同様に改善が持続している。ちなみに、神経学的改善は年齢、用量、罹病期間とも相関せず、前述のフレアシグナルの出現と相関する。脳卒中発症後6ヵ月経過すると脳神経回路は死んで回復できないというのが、従来の定説である。しかし、この試験の結果は考え方を変えさせるものだ。個人的な推察ではあるが、脳卒中になっても脳の神経回路は死んでおらず、大きな阻害により働かない状態になっているが、再活性化されることで回路が再び働き始めるのではないだろうか。SB623の今後の可能性脳卒中においては、さまざまな幹細胞が研究されている。SB623はすでに臨床プログラムに進んでおり、またこれほどの効果を示せたことは画期的である。他の細胞は臨床に入ったばかりであり、それらと比べると明らかにアドバンテージがある。また、慢性脳卒中で効果をみせた意味は大きく、これは時間が経つとともに大きなベネフィットを生むだろう。この試験結果はわれわれに希望を与えるものだった。しかし、症例数は少なく対照群もない。解明すべき点も多々ある。次の段階として150人のアームで対照群と比較するPhase2B試験に進む。そして、より多くの被験者で効果を確認するPhase3試験へとさらに発展させる必要がある。脳卒中は破壊的な病気である。世界では1500万人の患者がいる。この薬剤の効果が証明されれば非常に多くの患者の人生が変化する。脳卒中の治療においては飛躍的進歩になると考えられる。日本の臨床医へのメッセージSteinberg氏メッセージ:2’11″

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