サイト内検索|page:184

検索結果 合計:5094件 表示位置:3661 - 3680

3661.

不眠症になりやすい食事の傾向

 不眠症は、いくつかの健康上有害なアウトカムと関連している。これは、小規模な臨床研究により、不十分な栄養状態が関連していることが示唆されているが、住民ベースコホート研究による大規模な検討は行われていない。米国・ペンシルベニア州立大学のFeon W Cheng氏らは、不眠症の疑い例や不眠症状例のエネルギー摂取量と2年後の食事指数(AHEI)を用いて評価した食事の質について調査した。その結果、不眠症疑い例では、総エネルギー、トランス脂肪酸、ナトリウムの高摂取および野菜の低摂取との関連が認められたことを報告した。The American journal of clinical nutrition誌2016年8月号の報告。 対象は、2004年に不眠症状に関する情報が報告された医療従事者フォローアップ研究に参加した、がん、心血管疾患、糖尿病でない米国男性1万5,273人(年齢:58~93歳)。食物摂取は、2002年と2006年に食品摂取頻度調査を用いて評価した。対象者と2004年に不眠症疑いなし例について、不眠症状に関連する共変量を調整しながら、2006年の総エネルギー摂取量の調整後平均差、AHEI成分スコア、95%CIを算出した。 主な結果は以下のとおり。・主要な慢性疾患やその他の潜在的交絡因子により制御された2002年の食事摂取後において、不眠症疑いの男性は、平均より35.8kcal/日消費が高く(95%CI:17.4~54.1kcal/日)、3つのAHEI要素(トランス脂肪酸、野菜、ナトリウム)で低スコアを示した。これは、トランス脂肪酸とナトリウムの消費量が多く、野菜の摂取量が少ないことを示している(すべてにおいてp≦0.01)。・個々の不眠症状については、ノンレム睡眠と中途覚醒は、高いエネルギー摂取と関連していた(p-trend≦0.007)。・入眠障害を有する男性においても、同様な傾向が確認された(p-trend=0.007)。・入眠の困難さと2年後のAHEI低スコアとの間に有意な関連が認められた(p-trend=0.004)。関連医療ニュース 不眠の薬物療法を減らすには 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは

3662.

第32回 精神科領域の巡回看視義務の範囲は?

■今回のテーマのポイント1.精神科疾患で1番訴訟が多いのは統合失調症、次いでうつ病であり、ともに約1/3を占めている2.統合失調症に関する訴訟では、巡回・看視義務が主として争われている3.統合失調に関する訴訟は、器質的疾患に関する訴訟と比し、原告勝訴率が低いことが特徴である■事件のサマリ原告患者Xの遺族被告Y病院争点不当拘束、診療の不措置、注意義務違反などによる死亡の損害賠償責任結果原告敗訴事件の概要36歳女性(X)。平成7年5月頃より、幻聴、独語、空笑などが出現したため、Y病院に入院し、以後も、情動不安定で興奮状態になることがあり、平成13年までの間に計6回入院して治療を受けていました。平成15年10月14日、被告病院を受診した際、急に暴れだして錯乱状態に陥ったことから、医療保護入院となり、保護室において身体拘束を実施されて治療を受けることとなりました。Xは点滴加療を受けていたものの、状態は不安定で、興奮も見られたことから、Xに対する身体拘束は継続されていました。身体拘束中、Xに対しては、看護師による約30分おきの巡回が行われていました。同月26日午前1時30分ころに行われた巡回時には、特に異常は認められなかったのですが、午前1時52分ころに看護師が巡回した際、Xは心肺停止の状態で発見されました。直ちに蘇生措置がとられ、救急病院への転送がなされましたが、結局、1度も心拍が再開することなく、午前2時55分に死亡が確認されました。これに対しXの遺族は、不必要な身体拘束をしたこと、肺動脈血栓塞栓症に対する予防措置をとるべきであったこと、および、巡回観察義務違反などを理由にY病院に対し、8,425万円の損害賠償請求をしました。事件の判決「約30分おきに臨床的観察等を実施すべき義務の違反」について原告らは、被告病院の担当医師又は担当看護師において、Xに対し、約30分おきに臨床的観察等をすべき義務があったのに、これを怠り、25日午後8時ころのA医師による回診以降、臨床的観察を実施しなかった旨主張する。しかし、上記認定事実によれば、本件において、上記回診以降も約30分おきに臨床的観察は実施され、26日の午前0時30分ころ、午前1時ころ及び午前1時30分ころの観察では異常は発見されず、午前1時52分ころの観察で異常が発見されたと認められるから、約30分おきの臨床的観察が法的に義務づけられるとしても、被告病院の担当の医師又は看護師においてその義務に違反したとはいえない。なお、Xは呼吸停止状態で発見されたこと、別紙知見によれば、呼吸停止後に人工呼吸を開始した時間が2分後だと約90パーセントの救命率があるが、3分後だと75パーセント、5分後だと25パーセント、8分後にはほとんどゼロとなるとされていることを踏まえると、本件において30分おきの観察によってXの異常を救命可能な段階で発見できたと認めるに足りる証拠はないというべきであり、そうすると、30分おきの観察とXの救命との間に相当因果関係を認めることはできない。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(東京地判平成18年8月31日)ポイント解説■精神科疾患の訴訟の現状今回は精神科疾患です。精神科疾患で最も訴訟が多いのは、統合失調症、次いでうつ病となっており、2疾患ともに約1/3を占めています。また、その後は境界性人格障害、アルコール依存症などと続いています(表1)。画像を拡大する精神科疾患に関する訴訟の特徴として、患者が疾患により希死念慮や自殺企図を抱き、その結果、入院・外来治療中に自殺したといったケースが多く見られること、そして、平均年齢が若いことから請求額および認容額が高額となることが挙げられます。その一方で、被害妄想や好訴妄想といった疾患自身の症状から訴訟に到ることがあるため、代理人を介さない本人訴訟の割合が高く、その結果、原告勝訴率が低くなっています(表2)。画像を拡大する■統合失調症に関する訴訟統合失調症に関する訴訟において最も多く争点となるのは、巡回・看視義務であり、次いで、薬剤の説明義務、救命措置、救急搬送と続いています(表3)。統合失調症に関する訴訟では、その多くで入院患者が自殺ないし突然死したことを受けて生じているため、これらの争点が多くなっているのです。画像を拡大するしかし、巡回監視義務違反が争われた11事例中、義務違反が認められた事例は3件ありますが、平成14年以降は、1度も巡回看視義務違反は認められていません。それは、そもそも本判決において示されているように、いくら定期的に巡回看視を行ったとしても、それによって自殺や突然死を回避することができないためです。巡回看視義務が争われる類型の1つに「転倒、転落」がありますが、転倒、転落に関する判決においても、「過失があると認められるためには、過失として主張される行為を怠らねば結果を回避することができた可能性(結果回避可能性)が認められることが必要であるところ、転倒はその性質上突発的に発生するものであり、転倒のおそれのある者に常時付き添う以外にこれを防ぐことはできないことからすると、被控訴人の動静を把握できないという上記職員らの行為がなければ本件事故を回避できたものと認めることはできない。(中略)…よって、職員らに、被控訴人の動静の把握を怠ったことを内容とする過失があったということはできない」(福岡高判平成24年12月18日)と本判決と同様の論理構成によって棄却する判断がなされています。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京地判平成18年8月31日福岡高判平成24年12月18日:この判例については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。

3663.

DPP-4阻害薬は動脈硬化を抑制するか?

 DPP-4阻害薬による糖尿病治療の動脈硬化への効果を検証したPROLOGUE研究の結果が、7月15日に都内でプレス向けに発表された。DPP-4阻害薬投与群(n=222)と通常治療群(n=220)とで頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)を比較したところ、総頸動脈の平均IMTの変化率に、両群間で有意差は認められないという結果が示された。IMT計測数では国内最大規模の研究 はじめに、研究代表の野出 孝一氏(佐賀大学医学部循環器内科 教授)が研究の概要を説明。糖尿病患者の60%が心血管障害で死亡するといわれる中、本研究では動脈硬化進展に対してDPP-4阻害薬シタグリプチンがどのような効果を示すかを研究した。主要評価項目は総頸動脈の平均IMT変化率であり、本研究はIMT計測では国内最大規模の研究となる。国内48施設の協力を得て、2型糖尿病患者463例を登録し、シタグリプチン群と通常治療群に割り付け、2年にわたり研究が続けられた。その結果、IMTは両群間に有意差がなく、シタグリプチンを通常治療に追加することによる動脈硬化進展抑制効果は証明されなかった。ただし、シタグリプチン群では低血糖発生リスクの低下、HbA1cの改善には一定の効果がみられた。両群に有意差なし 続いて研究の詳細について、田中 敦史氏(佐賀大学医学部循環器内科)が説明を行った。今回の研究目的・デザインとしては、30歳以上の2型糖尿病の患者で、HbA1cが6.2~9.4%の患者をシタグリプチン投与群と通常治療(シタグリプチン以外の経口糖尿病治療薬)群に分け、24ヵ月後の両群のIMTを測定。動脈硬化進展に対するシタグリプチンの効果を比較検討した。 主な患者背景は、男女比でシタグリプチン群(男146・女76)に対し、通常治療群(男151・女69)。平均年齢でシタグリプチン群69.2歳に対し、通常治療群69.5歳。平均BMIでシタグリプチン群25.3に対し、通常治療群24.9。平均HbA1cでシタグリプチン群、通常治療群ともに6.96。開始時の平均IMTでシタグリプチン群0.829mmに対し、通常治療群0.835mmとなっている。 結果を見てみると12ヵ月後の平均IMTは、シタグリプチン群で0.825mm、通常治療群で0.828mmだった。そして、24ヵ月後の平均IMTは、シタグリプチン群で0.827mm、通常治療群で0.841mmとシタグリプチン群のほうがやや緩やかな下降であったが、統計的な有意差は認められなかった。 副次的なものとして、今回の研究ではHbA1cの値を6.2%未満に向けて厳格に治療したこともあり、両群で治療薬の増量を行った結果、シタグリプチン群では平均HbA1c 6.56%(-0.4%)、通常治療群で6.72%(-0.24%)とシタグリプチン群のほうが有意差をもってHbA1cを低下させていた。また、有害事象について、低血糖がシタグリプチン群0例だったのに対し、通常治療群では7例が報告された。その他、心不全、狭心症などの循環器系はシタグリプチン群では14例、通常治療群では8例が報告された(これは患者さんの元々の素因が関係すると推定されている)。 まとめとして、「今回の研究では、総頸動脈平均IMTの24ヵ月後の変化率には、シタグリプチン群と通常治療群の間には有意差は認められなかった。ただし、シタグリプチン治療群のほうがHbA1cを有意に低下させたほか、同群では低血糖を認めなかったが、通常治療群では低血糖を7例認めた。今後もサブ解析などで分析結果を報告していきたい」と説明を終えた。

3664.

わかる統計教室 第3回 理解しておきたい検定 セクション14

インデックスページへ戻る第3回 理解しておきたい検定セクション14 ロジスティック回帰分析を学ぶセクション1 セクション2 セクション3 セクション4 セクション5セクション6 セクション7 セクション8 セクション9 セクション10セクション11 セクション12 セクション13近年の論文では、ロジスティック回帰分析を目にすることがとても増えてきています。ロジスティック回帰分析は、疫学調査などの大規模なスタディには必須となっています。セクション14では、このロジスティック回帰分析の手法について学んでいきます。■ロジスティック回帰はどのようなときに使うのかたとえば、脳卒中の危険因子を検討する場合、いろいろな分析方法が考えられます。脳卒中発症の有無に対して、性別、飲酒量、γ-GTP、喫煙、血圧、不整脈症状などについて t 検定を行う方法や、ある薬剤の服用の有無についてカイ2乗検定を行う方法などが簡単な分析方法です。しかし、仮に脳卒中を発症する群がγ-GTPの高い値の群に多かったとした場合、同時に飲酒量の多い群も脳卒中が多い群になってしまうかもしれません。γ-GTPで有意差が得られたとしても、それはお酒の飲み過ぎで肝臓が悪くなり、γ-GTPの検査値に影響した可能性が大きいと考えられ、正しい検定ではなくなってしまうことがあります。このような交絡因子、つまり2つ以上の因子が混じり合って、分けることができない状態が存在する場合の検定に役立つのが「ロジスティック回帰分析」です。この場合、脳卒中は目的変数(または従属変数)と、性別、飲酒量、γ-GTP、喫煙、血圧、不整脈症状などは説明変数(または独立変数)と呼びます。■ロジスティック回帰分析はどのような手法かロジスティック回帰とは、2群(たとえば健康の有無)を判別するのに、重要な要因は何かを明らかにする。任意の例の確率(健康である可能性)を予測するモデル式を作る。表43のようにモデル式を用い、Wさんの確率を予測する。という手法です。表43 モデル式適用できるデータは、目的変数は2群(1、0の2値データ)、説明変数は数量データです。■ロジスティック回帰分析の解析手順(表44)表44 解析の手順■ロジスティック回帰分析のモデル式ロジスティック回帰分析は、1、0の2値データを目的変数として、回帰分析を行う方法です。ロジスティック回帰分析は、表45のような形の式を導き出す解析手法です。表45 導入式■ロジスティック回帰-理論値の算出方法モデル式に回答データを代入し、理論値(各例の健康状態の程度)を求めます。理論値は、モデル式に説明変数のデータを代入することにより算出できます。〔例〕表46の回答者No.2について、理論値の求め方を示しましょう。表46 理論値と確率の相関モデル式モデル式の分母である下記の値を求めます。は手計算では求められません。Excelなどの計算により0.4681と算出されます。次にYの値を求めます。Y=1÷(1+0.468)=0.681理論値は、0.681 となります。■ロジスティック回帰-確率すべての回答者の理論値を算出します。理論値は、健康状態の程度を示す確率として適用できます。表46で、たとえば回答者No.2の健康状態が良い確率は68.1%です。判別分析との大きな違いは、確率が求められることです。(再掲)表46 理論値と確率の相関モデル式次に、モデル式が、予測に適用できるかどうかを検討します。統計モデルの良さを評価するための指標として、AIC(Akaike's Information Criterion: 赤池情報量基準)を用います。AICは、統計数理研究所 元所長の赤池 弘次氏が1971年に考案し、1973年に発表した、統計学の世界では非常に有名な指標であり、多くの統計ソフトに備わっています。AICはモデルの精度を調べる尺度である。AICは値が小さいほど良いモデルといえる。いくつ以下なら良いという基準はない。他のモデル式と比較するときに用いる。寄与率は、重回帰分析の決定係数と類似している。0.5以上のモデル式は良いと判断できる。判別的中率は、75%が良いモデル式と判断できる。母集団において、モデル式が適用できるかを検定します(表47)。表47 モデルの予測式の適合p<0.05は、母集団の予測に適用できると判断できます(表48)。表48 モデルの適合情報■ロジスティック回帰-モデル式の検討説明変数について検討します。回帰係数はモデル式の係数になります(表49)。オッズ比、Wald-square、標準回帰係数は、説明変数の目的変数への影響度を調べる尺度です。値が大きいほど、影響度が高い項目といえます。p値は、母集団において説明変数が有意であるかどうかを調べる尺度となります。オッズ比はe回帰係数で求められる値です。表49 回帰係数のモデル式■ロジスティック回帰-分割表の解析表50のデータについて、分割表、リスク比、オッズ比を求めてみましょう。表50 ロジスティック回帰解析のデータ表不整脈症状に対する影響度が最も強いのは喫煙の有無、次にギャンブル嗜好、飲酒の有無は3番目でした。ギャンブル嗜好のほうが、飲酒の有無より不整脈症状に対して影響度が高いのは違和感がありますね。そこで、要因相互間の関係をみてみましょう。■ロジスティック回帰-説明変数相互の関係表51の説明変数相互の分割表を作成し、リスク比を求めます。すると、ギャンブル嗜好は、喫煙の有無の影響要因となっていることがわかります。表51 データからリスク比を算出表52のリスク比で3要因の関係をみてみましょう。表52 リスク比3要因の関係喫煙するからギャンブルが好きなのか、ギャンブルが好きだから喫煙するのか因果関係の方向はわかりませんが、両者の関係は強いようです。ギャンブル嗜好と不整脈症状の関係が強いのは、ギャンブル嗜好が喫煙の有無の影響を受けているからだと考えられますね。そのため、ギャンブル嗜好と不整脈症状との真の相関関係(喫煙の有無の影響を除去した相関)を調べる必要があるのです。これを解決してくれる解析手法がロジスティック回帰です。■ロジスティック回帰 - 両解析のオッズ比の比較表53でカテゴリデータを1点、0点の数量データに変換してロジスティック回帰を行います。表53 ロジスティック回帰のためのデータ整理これによりギャンブル嗜好は、不整脈症状の影響要因でなかったことがわかります。■ロジスティック回帰 - 解析結果の解釈ロジスティック回帰を行うと、オッズ比が出力されます。オッズ比から順位が把握できるので、不整脈症状の影響要因の1位は喫煙の有無で、次に飲酒の有無となります。ギャンブル嗜好は、不整脈症状にそれほど影響がないことがわかります。表53の分割表のオッズ比とロジスティック回帰でのオッズ比が異なっています。影響要因が複数あるとき、要因相互で高い相関があるとこのような事象が起こります。ロジスティック回帰の結果は、影響要因相互の影響を除去して算出されるので、見かけでない真の結果といえると思います。■傾向スコア(propensity score : PS)とは最後に、ロジスティック回帰を用いて計算される傾向スコア(propensity score:PS)について簡単に説明します。通常の臨床試験では、無作為化割付試験を行って治療群とコントロール群に割り当てられる個々の患者の確率は、等しく50%とします。しかしながら実際の臨床現場においては、さまざまな患者の背景を考慮して治療が割り当てられるため、治療群とコントロール群(場合によっては治療A群と治療B群の比較)では患者背景が異なることがほとんどです。このような治療の割り当てに影響する因子を用いて、治療割り当ての確率であるPSを算出し、同じPSの得点の患者同士を比較することで、疑似的に観察研究のデータを無作為化割り付け試験のように解析するというのが、PSを用いた解析の概念です。PSを用いて治療群とコントロール群の背景因子を調整するために、通常はロジスティック回帰モデルを用いて、年齢、性別、人種などの背景因子から、それぞれの患者個人が介入される確率(0.0~1.0)を計算します。この確率こそがPSなのです。■今回のポイント1)ロジスティック回帰で適用できるデータは、目的変数が2群(1、0の2値データ)、説明変数が数量データ!2)ロジスティック回帰によって、特定の患者リスクを計算することができる!3)母集団において、モデル式を検定し、p<0.05であれば、母集団の予測に適用できる!インデックスページへ戻る

3665.

高度催吐性化療の制吐薬としてオランザピンが有効/NEJM

 高度催吐性化学療法(highly emetogenic chemotherapy:HEC)を受けるがん患者において、オランザピンは悪心・嘔吐の予防に有効であることが、米国・インディアナ大学のRudolph M Navari氏らの検討で示された。研究の成果はNEJM誌2016年7月14日号にて発表された。オランザピンは非定型抗精神病薬であり、中枢神経系のドパミン受容体(D1、D2、D3、D4)、セロトニン受容体(5-HT2a、5-HT2c、5-HT3、5-HT6)、アドレナリンα1受容体、ヒスタミンH1受容体など多くの神経伝達物質を遮断する。体重増加や糖尿病リスクの増加などの副作用がみられるが、とくにD2、5-HT2c、5-HT3受容体は悪心・嘔吐に関与している可能性があり、制吐薬としての効果が示唆されている。悪心・嘔吐の予防効果を無作為化試験で検証 研究グループは、HECによる悪心・嘔吐に対するオランザピンの予防効果を検証する二重盲検無作為化第III相試験を行った(米国国立がん研究所[NCI]の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、全身状態(ECOG PS)0~2で、前化学療法歴がなく、シスプラチンを含むレジメンまたはシクロホスファミド+ドキソルビシンによる治療が予定されているがん患者であった。 これらの患者が、化学療法の第1~4日にオランザピン(10mg、1日1回)またはプラセボを経口投与する群に無作為に割り付けられた。全例に、5-HT3受容体拮抗薬、デキサメタゾン、NK1受容体拮抗薬が投与された。 主要評価項目は悪心の予防とし、副次評価項目は嘔吐完全制御(CR)率などであった。「悪心なし」は、視覚アナログスケール(VAS、0~10点、点数が高いほど重度)が0点の場合とし、全期間(0~120時間)、急性期(0~24時間)、遅発期(25~120時間)に分けて評価を行った。CRは、嘔吐のエピソードがなく、かつレスキュー治療が行われなかった場合とした。 2014年8月~2015年3月までに、米国の46施設に380例が登録され、オランザピン群に192例、プラセボ群には188例が割り付けられた。第2日の鎮静が増加、食欲増進に差はない 全体の年齢中央値は57.0歳(範囲:28.0~89.0歳)、女性が72.4%を占めた。原発巣は乳がんが63.7%、肺がんが12.9%、その他が23.4%であった。化学療法は、シスプラチンを含むレジメンが35.8%、シクロホスファミド+ドキソルビシン療法は64.2%だった。 悪心なしの割合は、急性期ではオランザピン群が73.8%、プラセボ群は45.3%(p=0.002)、遅発期ではそれぞれ42.4%、25.4%(p=0.002)、全期間は37.3%、21.9%(p=0.002)であり、いずれもオランザピン群で有意に良好であった。 臨床的に問題となる悪心がない患者(VAS:0~2点)の割合も、急性期(87 vs.70%、p=0.001)、遅発期(72 vs.55%、p=0.001)、全期間(67 vs.49%、p=0.001)のすべてでオランザピン群が有意に優れた。 また、CRの割合も、急性期(86 vs.65%、p<0.001)、遅発期(67 vs.52%、p=0.007)、全期間(64 vs.41%、p<0.001)のすべてでオランザピン群が有意に良好だった。 Grade3の有害事象はオランザピン群で2件(疲労、高血糖)、プラセボ群でも2件(腹痛、下痢)にみられ、Grade4の有害事象はそれぞれ3件(そのうち2件が血液毒性)、0件だった。Grade5は認めなかった。 オランザピン群は、ベースラインと比較した第2日の鎮静の発現(5%が重度)が、プラセボ群に比べ有意に多かったが、第3、4日に継続投与しても第3~5日の鎮静の発現に有意な差はなく、鎮静による治療中止もなかった。また、第2~5日の望ましくない食欲増進の発現にも差は認めなかった。 著者は、「今後の試験では、より高用量および低用量での効果や毒性の評価、多サイクルの化学療法での効果の検討を考慮すべきである」としている。

3666.

糖尿病治療薬、死亡・心血管リスクを下げる組み合わせは?/BMJ

 糖尿病治療薬の単独療法あるいは併用療法は、使用する薬剤によって心血管疾患(CVD)・心不全・死亡リスクに臨床的に重大な差があり、概してグリプチン系もしくはグリタゾン系(チアゾリジン系)を用いた場合はこれらを使用しない場合と比べて、CVD・心不全・死亡のリスクが低いことが明らかになった。英国・ノッティンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らが、英国プライマリケアのデータベースを用いた2型糖尿病患者のコホート研究の結果、報告した。これまでいくつかの糖尿病治療薬は、臨床試験や市販後調査において心不全のリスク増加との関連が示唆され、総合的なリスクとベネフィットに関する懸念が高まったことから、大規模な2型糖尿病患者集団での糖尿病治療薬長期使用による臨床的アウトカムのリスク定量化が望まれていた。著者は、「今回の結果は、服薬アドヒアランスの程度や服薬量に関する情報はなく、適応による交絡を受けているが、糖尿病治療薬の処方に影響するかもしれない」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年7月13日号掲載の報告。英国プライマリケア約1,200施設の2型糖尿病患者約47万例を追跡 研究グループは、2007年4月1日~2015年1月31日の間、英国プライマリケア1,243施設のデータベース「QResearch」を用い、25~84歳の2型糖尿病患者46万9,688例を対象に前向きコホート研究を行った。 主要評価項目は、患者の診療記録、死亡または入院記録に基づくCVD、心不全の初発あるいは全死因死亡の記録で、糖尿病治療薬(グリタゾン系、グリプチン系、メトホルミン、SU薬、インスリン、その他)の単独または併用投与との関連について、潜在的交絡変数を補正したCox比例ハザードモデルにて解析した。リスク低下に寄与する単独または併用療法が明らかに 追跡期間中、1つ以上の糖尿病治療薬の処方を受けた患者は27万4,324例(58.4%)で、グリタゾン系が2万1,308例(4.5%)、グリプチン系が3万2,533例(6.9%)、メトホルミン25万6,024例(54.5%)、SU薬13万4,570例(28.7%)、インスリン1万9,791例(4.2%)であった。 グリプチン系の使用は、非使用と比較し、全死因死亡のリスクが18%低下、心不全リスクが14%低下したが、CVDリスクの有意な変化は認められなかった。一方、グリタゾン系使用では、全死因死亡リスクが23%、心不全リスクが26%、CVDリスクも25%有意に低下した。 無治療(糖尿病治療薬の処方を受けていなかった期間)と比較すると、グリプチン系単独療法ではいずれのリスクとも有意な関連はなかったが、グリプチン+メトホルミン2剤併用療法は3つのアウトカムすべてでリスクが有意に低下し(リスク低下:心不全38%、CVD33%、全死亡48%)、グリプチン+メトホルミン+SU薬3剤併用療法も同様であった(同:心不全40%、CVD30%、全死亡51%)。 無治療(糖尿病治療薬の処方を受けていなかった期間)と比較して、グリタゾン系単独療法は心不全リスクが50%低下し、グリタゾン系+SU薬の2剤併用療法では心不全35%、CVD25%のリスク低下が認められた。また、グリタゾン系+メトホルミンの2剤併用療法は、3つのアウトカムすべてのリスクが有意に低下した(心不全50%、CVD54%、全死因死亡45%)。グリタゾン系+SU薬+メトホルミンの3剤併用療法も同様であった(心不全46%、CVD41%、全死因死亡56%)。

3667.

幸せになる勇気【Dr. 中島の 新・徒然草】(128)

百二十八の段 幸せになる勇気「幸せになる勇気」(岸見一郎ほか、ダイヤモンド社)とは、いささかヒネリの効きすぎたタイトルの本ですが、とあるミュージシャンのブログで絶賛されていたので、早速読んでみました。Kindle版もあるので、興味を持ったら即座にダウンロードできます。著者である岸見一郎氏はアドラー研究者として有名です。アルフレッド・アドラーは1870年生まれのオーストリアの精神科医で、フロイトやユングと並び称される心理学の三大巨頭と言われています。この本は、アドラー心理学に基づいて教育や結婚生活を中心に「いかに幸せになるか」という人類永遠のテーマを説いたものです。哲人と青年教師との対話形式なので大変読みやすく、実際、読みだしたら止まらなくなってしまいました。私も職員研修部長として、初期研修医の教育には心を砕いているのですが、考えさせられるところが多かったので、そのごく一部をかいつまんで紹介させていただきます。まずは教育の目的とは何か、ということです。われわれのところの臨床研修指導医講習会では、「教育とは学習者の行動に価値ある変化をもたらすもの」としています。これはこれで模範的な答えです。「幸せになる勇気」に登場する哲人によれば、教育の目的は「生徒の自立」だそうです。ちょっとわかりにくい答えです。そもそも「自立」とは何でしょうか?それは「わたし」の価値を自分で決定することだとされています。つまり、教師に褒められたり周囲に感心されたりなど、他者からの承認を求めるのではなく、自らの意思で、自らを承認するのです。哲人によれば、他者からの承認を欲するのはただの「依存」であり、「普通であることの勇気」が足りていないということになります。平凡な自分を、「その他大勢」としての自分を、そのまま受け入れることが大切なのだそうです。そして、教育とは介入ではなく、生徒の自立に向けた援助ということになります。ただのお手伝いですね。その結果、自立に至った生徒たちは、自らの力でそれを成し遂げたと感じます。教育者が「先生のお蔭で卒業できました」と本気で言われたりしたら、言った生徒はまだ自立に至っていないことになります。必然的に教育者は孤独な存在にならざるを得ません。生徒からの感謝を期待してはならず、生徒の自立という大きな目標に自分は貢献できたのだ、という貢献感の中に幸せを見出すしかないのだとか。「幸せになる勇気」は大変面白い本ではあるのですが、世間の常識に逆行する考え方も多いので、私もまだ自分の中で消化することができていません。アドラーの理論は、何よりも実践が大切だということなので、これからいろいろ試行錯誤してみます。職場での研修医教育や、家庭での子育てに関わっておられる読者の皆さまにとっても、一読する価値は十分にあると思います。よかったら読んでみてください。ということで、消化不良ながら最後に1句自立して 普通の自分を 承認だ

3668.

SU薬とメトホルミン、単独服用時の低血糖リスクを比較/BMJ

 血糖降下薬SU薬単独服用者は、メトホルミン単独服用者と比べて、低血糖発症リスクが約2.5倍と有意に高く、同リスクは、グリベンクラミド服用者や、腎機能が低下している人では、さらなる増大が認められた。オランダ・マーストリヒト大学のJudith van Dalem氏らが、12万例超を対象に行ったコホート試験の結果、明らかにした。低血糖リスクの増大は、すべてのSU薬服用者で観察されたという。現行のガイドラインの中には、低血糖リスクがより低いとして、SU薬の中でもグリクラジドを第1選択薬とするものがあるが、今回の試験結果は相反するものとなった。そのため著者は、「さらなる検討が必要である」と述べている。BMJ誌オンライン版2016年7月13日号掲載の報告。1,100万人超の患者データベースを基に試験 研究グループは、英国内674ヵ所の医療機関からの1,100万例超の診療録データを包含する「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)を基に、2004~12年に非インスリン抗糖尿病薬の処方を受けた18歳以上の患者12万803例を対象に、コホート試験を行った。 SU薬の服用量や、腎障害、SU薬のタイプと低血糖症リスクについて、Cox比例ハザードモデルで解析を行った。年齢や性別、ライフスタイル、併存疾患、使用薬剤については補正を行った。低血糖症リスク、グリベンクラミドはメトホルミンに比べ7.48倍 その結果、低血糖症の発症リスクは、メトホルミンのみを服用している人に比べ、SU薬のみを服用している人では約2.5倍の有意な増大が認められた(補正後ハザード比[HR]:2.50、95%信頼区間[CI]:2.23~2.82)。グリクラジド服用患者の同ハザード比も2.50(同:2.21~2.83)だった。 SU薬単独服用者の中でも、糸球体濾過量(GFR)が30mL/分/1.73m2未満の人で、低血糖症リスクはさらに増大した(同:4.96、同:3.76~6.55)。また、SU薬服用量が多い人(グリベンクラミド10mg同等量超)や、グリベンクラミド服用患者では、よりリスクの増大がみられた。それぞれの補正後HRは、3.12(95%CI:2.68~3.62)、7.48(同:4.89~11.44)だった。なお、SU薬の第1選択薬であるグリクラジドの補正後HRは2.50(同:2.21~2.83)で、その他のSU薬(グリメピリド:1.97[1.35~2.87]、glipizide:2.11[1.24~3.58]、トルブタミド:1.24[0.40~3.87])も同程度だった。

3669.

アジソン病〔Addison's disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義慢性副腎皮質機能低下症(アジソン病)は、アルドステロン(ミネラルコルチコイド)、コルチゾール(グルココルチコイド)、デヒドロエピアンドロステロンとデヒドロエピアンドロステロンサルフェート(副腎アンドロゲン)の分泌が生体の必要量以下に慢性的に低下した状態である。アジソン病は、副腎皮質自体の病変による原発性副腎皮質機能低下症であり、その病因として、副腎皮質ステロイド合成酵素欠損症による先天性副腎過形成症、先天性副腎低形成(X連鎖性、常染色体性)、ACTH不応症などの責任遺伝子が明らかとされた先天性のものはアジソン病とは独立した疾患として扱われるため、アジソン病は後天性の病因による慢性副腎皮質機能低下症を指して用いられる。■ 疫学わが国における全国調査(厚生労働省特定疾患「副腎ホルモン産生異常症」調査分科会)によるとアジソン病の患者は1年間で660例と推定され、病因としては特発性が42.2%、結核性が36.7%、その他が19.3%であり、時代とともに特発性の比率が増加している。先天性副腎低形成症は約12,500人出生に1人である。副腎不全症としては、10,000人に5人程度(3人が下垂体性副腎不全、1人がアジソン病、1人が先天性副腎過形成症)の割合である。■ 病因病因としては、感染症、その他の原因によるものと特発性がある。感染症では結核性が代表的であるが、真菌性、後天性免疫不全症候群(AIDS)に合併するものが増えている。 特発性アジソン病は、抗副腎抗体陽性の例が多く(60~70%)、21-水酸化酵素、17α-水酸化酵素などに対する自己抗体が原因となる自己免疫性副腎皮質炎であり、その他の自己免疫性内分泌疾患を合併する多腺性自己免疫症候群と呼ばれる。I型は特発性副甲状腺機能低下症、皮膚カンジダ症を合併するHAM症候群、II型は橋本病などを合併するシュミット症候群などがある。その他の原因によるものとしては、がんの副腎転移、副腎白質ジストロフィーなどがある。また、最近使用される頻度が増えている免疫チェックポイント阻害薬の免疫関連有害事象(irAE)として内分泌障害があり、副腎炎によるアジソン病もみられる(約0.6%)。■ 症状コルチゾールの欠乏により、易疲労感、脱力感、食欲不振、体重減少、消化器症状(悪心、嘔吐、便秘、下痢、腹痛など)、血圧低下、精神症状(無気力、嗜眠、不安、性格変化)、発熱、低血糖症状、関節痛などを認める。副腎アンドロゲン欠乏により女性の腋毛、恥毛の脱落、ACTHの上昇により、歯肉、関節、手掌の皮溝、爪床、乳輪、手術痕などに色素沈着が顕著となる。■ 分類副腎皮質の90%以上が障害されて起きる原発性副腎皮質機能低下症(アジソン病)と続発性副腎皮質機能低下症にまず大きく分類できる。続発性副腎皮質機能低下症には、下垂体性(ACTH分泌不全)と視床下部性(CRH分泌不全)に分けられる。■ 予後欧州の大規模疫学研究によると、原発性副腎不全症患者の全死亡リスクは、男性で2.19、女性では2.86との報告がある。長期予後が悪い理由は、グルココルチコイドの過剰投与によるQOLの低下、心血管イベントや骨粗鬆症のリスクの増加などが、生存率の低下につながると考えられている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)一般検査では、低血糖(血糖値が70mg/dL以下)、低ナトリウム血症(135mEq/L以下)、正球性正色素性貧血(男性13g/dL以下、女性12g/dL以下)、血中総コレステロール値低値(150mg/dL以下)、末梢血の好酸球増多(8%以上)、相対的好中球減少、リンパ球増多、高カリウム血症を示す。内分泌学的検査では、非ストレス下で早朝ACTHとコルチゾール値を測定する(絶食で9時までに)。早朝コルチゾール値が18μg/dL以上であれば副腎不全症を否定でき、4μg/dL未満であれば副腎不全症の可能性が高いが、4~18μg/dLでは可能性を否定できない。血中コルチゾール基礎値が18μg/dL未満のときは、迅速ACTH負荷試験(合成1-24 ACTHテトラコサクチド[商品名:コートロシン]250μg静注)を施行する。血中コルチゾール頂値が18μg/dL以上であれば副腎不全症を否定でき、18μg/dL未満であれば副腎不全症を疑うほか、15μg/dL未満では原発性副腎不全症の可能性が高い。迅速ACTH負荷試験では、原発性と続発性副腎皮質機能低下症の鑑別ができないため、ACTH連続負荷試験、CRH負荷試験、インスリン低血糖試験などを組み合わせて行う(図)。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)可能な限り、生理的コルチゾールの分泌量と日内変動に近い至適な補充療法が望まれる。コルチゾールを1日当たり10~20mg補充するのが生理的補充量の目安である。日本人は食塩摂取量が多いので、ヒドロコルチゾン(同:コートリル)10~20mg/日を2~3回に分割服用する(2分割投与の場合は、朝2:夕1、3分割投与では朝:昼:夕=3:2:1)。4 今後の展望現在、使用されているヒドロコルチゾンは放出が早く、内因性コルチゾールの日内リズムを完全に再現できない。わが国では使用できないが、欧州を中心にヒドロコルチゾン放出時間を遅らせる徐放型ヒドロコルチゾンの開発研究が進んでおり、生理的補充に近い薬理動態を再現できることが期待される。5 主たる診療科内科(とくに内分泌代謝内科)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本内分泌学会臨床重要課題(副腎クリーゼを含む副腎皮質機能低下症の診断基準作成と治療指針作成)(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター アジソン病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Charmandari E, et al. Lancet.2014;383:2152-2167.2)南学正臣 総編集.内科学書 改訂第9版.中山書店; 2019. p.153-160.3)矢崎義雄 総編集.内科学 第11版.朝倉書店; 2017. p.1630-1633.公開履歴初回2015年01月08日更新2016年07月19日更新2022年02月28日

3670.

統合失調症患者の入院、1日の気温差が影響

 気候変動の重要な指標である気温の日較差(DTR)は、健康に対する気温変動性の影響を評価するために使用されることが増えている。しかし、統合失調症に対するDTRの影響は、あまりわかっていない。中国・安徽医科大学のDesheng Zhao氏らは、DTRと統合失調症の入院との関連、さらに患者特性や試験期間によりこれらの関連が変化するかを検討した。The Science of the total environment誌オンライン版2016年6月16日号の報告。 2005~14年の中国・合肥市の毎日のDTRと統合失調症のデータを、長期的および季節的傾向、平均気温、相対湿度、その他の交絡因子で調整した後、ポアソン一般化線形回帰と分散型ラグ非線形モデル(DLNM)を組み合わせて分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者において、非常に大きいDTRによる急性の悪影響が観察された。非常に高いDTR後には、統合失調症の1日の入院率が2.7%増加した(95%CI:1.007~1.047、95パーセンタイル vs.50パーセンタイル)。・大きなDTR曝露による統合失調症発症リスクは、最初の5年間(2005~09年)から次の5年間(2010~14年)にかけて増加した。・15~29歳および50~64歳、男性、春または秋生まれ、既婚の統合失調症患者は、DTRの影響に対し、とくに脆弱であると考えられる。しかし、中程度に大きいDTR(75パーセンタイル)と統合失調症との間に有意な関連は認められなかった。・本研究では、非常に大きいDTRは、中国・合肥市の統合失調症患者の入院における潜在的なトリガーであることが示唆された。関連医療ニュース 気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加 精神科再入院を減少させるポイントとは 統合失調症の再入院や救急受診を減らすには

3671.

わかる統計教室 第3回 理解しておきたい検定 セクション13

インデックスページへ戻る第3回 理解しておきたい検定セクション13 カイ2乗検定セクション1 セクション2 セクション3 セクション4 セクション5セクション6 セクション7 セクション8 セクション9 セクション10セクション11 セクション12これまでt検定について学習しました。セクション13では、臨床統計ではおなじみのカイ2乗検定を学びます。■カイ2乗検定を学ぶ今まで学習してきたt検定は、数量データを扱うときの検定方法でしたね。これから学習するカイ2乗検定は、標本調査のクロス集計表を用いて、母集団における2項目間の関連性があるかないかを調べる方法です。表38と39を例にみてみましょう。表38 所得層と支持政党表39 所得層と支持政党のクロス集計高所得層はJ政党、中間所得層はM政党、低所得層はK政党の割合が他政党より高く、両者に関連性があるように思われますが、所得階層と支持政党の関係をカイ2乗検定で検証してみましょう。■カイ2乗検定の検定手順を学ぶカイ2乗検定の検定手順を下記に示します。1)仮説を立てる。帰無仮説所得階層と支持政党とは関連性がない。 クロス集計表の実測度数と期待度数は等しい。対立仮説所得階層と支持政党とは関連性がある。2)調査データについて、クロス集計を行う。3)仮説検定の公式を用い、実測度数、期待度数、カイ2乗値、棄却限界値、p値を算出する。4)有意差判定方法1 カイ2乗値と棄却限界値を比較カイ2乗値>棄却限界値 対立仮説を採択所得階層と支持政党とは関連性があるといえるカイ2乗値≦棄却限界値 対立仮説を採択しない所得階層と支持政党とは関連性があるといえない方法2 p値と有意点を比較(よく用いられる有意点は0.05 ) p値<0.05 対立仮説を採択所得階層と支持政党とは関連性があるといえるp値≧0.05 対立仮説を採択しない所得階層と支持政党とは関連性があるとはいえない■カイ2乗検定の計算方法表40のようなクロス集計表の件数(度数)を「実測度数」といいます。表40 実測度数表40のセルごとに、縦計×横計÷全数で求めた値を「期待度数」(表41)といいます。期待度数の横%は、どの行も同じになります。すなわち、期待度数で作られるクロス集計では、所得階層と支持政党の関連性がないことになります。表41 期待度数(縦計×横計÷全数)実測度数と期待度数の一致度を、表42のように調べていきます。表42 一致度の算出この合計をカイ2乗値といいます。自由度(項目1のカテゴリー数-1)×(項目2のカテゴリー数-1)=2×2=4棄却限界値、p値はExcelなどで求められる。棄却限界値 =CHIINV(0.05、自由度) = CHIINV(0.05、4) → 9.49p値 =CHIDIST(カイ2乗値、自由度) = CHIDIST(12.21、4)→ 0.0159カイ2乗値>9.49 or p値=0.0159<0.05所得階層と支持政党とは関連性があるといえます。■今回のポイント1)標本調査のクロス集計表を用いて、母集団における2項目間の関連性があるかないかを調べる方法がカイ2乗検定!2)実測度数が期待度数に近い値であれば関連性が弱く、かけ離れていれば関連性が強いと判断できる!インデックスページへ戻る

3672.

認知症になりやすい人の職業は

 認知症や認知機能障害は、高齢者において有病率の高い疾患である。そのため、これらに関連する潜在的に修正可能なリスク因子を確認することが重要である。認知症のリスク因子として、生涯を通して従事した職業が関連している可能性がある。スペイン・サラゴサ大学のAna Cristina Gracia Rebled氏らは、高齢者における生涯従事した主な職業と認知症や認知機能障害との関連を分析した。Revista espanola de salud pública誌2016年6月21日号の報告。認知症リスクが高かった職業は肉体労働 1990~2014年3月までの科学文献をシステマティックレビューし、職業とMMSEを用いた認知機能との関連を分析した。ISI Web of Knowledge、PubMed、その他のデータベースよりレビューした。包括基準は、対象期間内に発表され、MMSEを用いた認知機能評価を行った55歳以上の集団、研究変数として職業および認知症、認知機能障害を含み、スペイン語、英語、フランス語で記載された論文とした。 生涯従事した主な職業と認知症や認知機能障害との関連を分析した主な結果は以下のとおり。・18文献を選定した。・断面研究5報と縦断研究6報より、職業と認知機能障害との関連を分析した。断面研究2報と縦断研究8報より職業と認知症との関連を分析した。・67%において、職業タイプと成人期の認知能力との関連が確認された。・主に肉体労働に生涯従事している人は、知的な要件の高い職業に従事している人よりも、認知機能障害や認知症のリスクが高いことが示唆された。関連医療ニュース 認知症に進行しやすい体型は 仕事の早期リタイアは認知症リスクを高める うつ病の寛解率、職業で差があるか

3673.

更年期症状の緩和に植物ベース療法は有用?/JAMA

 植物エストロゲン含有サプリメントの利用は、更年期におけるホットフラッシュや膣乾燥の頻度をわずかだが低下する効果がある一方、寝汗は低下しない。オランダ・エラスムス大学医療センターのOscar H. Franco氏らによる、システマティックレビューとメタ解析の結果で、JAMA誌2016年6月21日号で報告している。西欧諸国の女性のうち40~50%が、更年期症状を緩和するため補完療法を用いているといわれる。研究グループは、植物ベース療法と更年期症状の関連を明らかにするため本検討を行った。システマティックレビューとメタ解析で、ホットフラッシュ等の症状との関連を分析 検討は、電子データベースのOvid MEDLINE、EMBASE、Cochrane Centralを用いて系統的に検索し、2016年3月27日以前に発表された試験を適格とした。包含した試験の参照リストなども検索した。 植物ベース療法およびホットフラッシュ、寝汗、膣乾燥について評価していた無作為化試験を特定し、2人の独立したレビュワーが、あらかじめデザインしていた収集法でデータを抽出し評価した。植物ベース療法は、(1)植物エストロゲンを含む生物学的ベース療法(食事性大豆イソフラボン、大豆イソフラボンおよびアカツメクサ・イソフラボンなどのサプリメントおよびエキスほか)、(2)メディカルハーブ(中医学ハーブやその他を含む)であった。大豆イソフラボンはホットフラッシュと膣乾燥を減少 検索により総計62試験を特定し、女性6,653例について包含した。 結果、植物エストロゲン使用と、日々のホットフラッシュの発現回数の減少(変化のプール平均差:-1.31、95%信頼区間[CI]:-2.02~-0.61)、膣乾燥スコアの減少(同:-0.31、-0.52~-0.10)との関連が認められた。一方、寝汗の発現回数についての関連は認められなかった(同:-2.14、-5.57~1.29)。 個別にみると大豆イソフラボン(食事性およびサプリメント)は、日々のホットフラッシュの改善(同:-0.79、-1.35~-0.23)、膣乾燥スコアの改善(同:-0.26、-0.48~-0.04)との関連が認められた。 メディカルハーブは、全体的に血管運動神経症状(vasomotor symptoms)の減少との関連がみられた。ただし中医学ハーブは除く。 なお今回の結果について著者は、入手できた試験の質について全体的にばらつきが大きく、46試験(74%)で、試験の質の3領域以上で高値のバイアスリスクが示されたことを指摘し、植物ベース療法と更年期の健康とに関するさらなる厳密な試験が必要だと述べている。

3674.

混合性結合組織病〔MCTD : mixed connective tissue disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義混合性結合組織病(mixed connective tissue disease: MCTD)は、1972年にGC Sharpが提唱した疾患概念である。膠原病の中で2つ以上の疾患の特徴を併せ持ち(混合性)、しかも抗U1-RNP抗体と呼ばれる自己抗体が陽性となるものである。これは治療反応性がよく、予後も良好であったことから独立疾患として提唱された。その後、この疾患の独立性に疑問がもたれ、とくに欧米では全身性エリテマトーデスの亜型、あるいは強皮症の亜型と考えられ、英語文献でもあまりみられなくなった。しかし後述するように、高率に肺高血圧症を合併することや膠原病の単なる重複あるいは混合のみからは把握できないような特異症状の存在が明らかとなってきたことから、その疾患独立性が欧米でも再認識されている。■ 疫学本症は厚生労働省の指定難病に認定されており、その個人調査票を基にした調査では平成22年だけでおよそ9,000名の登録が確認されている。性別では女/男比で15/1と圧倒的に女性に多く、年齢分布では40代にもっとも多く、平均年齢は45歳である。また、推定発症年齢は30代が多く、平均年齢は36歳である。■ 病因本症の病因は他の膠原病と同様、不明である。全身性自己免疫疾患の1つであり、疾患に特徴的な免疫異常は抗U1-RNP抗体である。本抗体を産生するモデル動物も作成されており、関与する免疫細胞や環境因子について研究が進められている。■ 症状1)共通症状レイノー現象が必発である。また手指や手背部の浮腫傾向がみられ、「ソーセージ様手指」「指または手背の腫脹」が持続的にみられる。これらの症状は、多くの例で初発症状となっている。なお手指や手背部の浮腫傾向は強皮症でも初期にみられるが、強皮症ではすぐに硬化期に入り持続しない。2)混合所見全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎の3疾患にみられる臨床症状あるいは検査所見が混在してみられる。しかもそれぞれの膠原病の完全な重複ではなく、むしろ不完全な重複所見がみられることが多い。混合所見の中で頻度の高いものは、多発関節痛、白血球減少、手指に限局した皮膚硬化、筋力低下、筋電図における筋原性異常所見、肺機能障害などである。3)肺高血圧症肺高血圧症は一般人口では100万人中5~10人程度と非常にまれな疾患であり、しかも予後不良の疾患である。このまれな疾患がMCTDでは5~10%と一般人口の1万倍も高率にみられ、さらに本症の主要な死因となっていることから重要な特異症状として位置付けられている。大部分の症例では肺動脈そのものに病変がある肺動脈性の肺高血圧症である。心エコー検査などのスクリーニング検査やその他の画像・生理検査などが重要であるが、確定診断には右心カテーテル検査が必要である。4)その他の特徴的症状肺高血圧症以外にもMCTDに比較的特徴的な症状がある。三叉神経II枝、III枝の障害による顔面のしびれ感を主体とした症状は、MCTDの約10%にみられる。レイノー現象と同じく、神経の血流障害と推測されている。また、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬による無菌性髄膜炎が、本症の約10%にみられる。MCTDあるいは抗U1-RNP抗体陽性患者では、この薬剤性髄膜炎に留意が必要である。5)免疫学的所見抗U1-RNP抗体が陽性である。間接蛍光抗体法による抗核抗体では斑紋型を示す。抗Sm抗体や抗Jo-1抗体、抗トポイソメラーゼ1抗体など他の膠原病の疾患特異的自己抗体が出現しているときには、本症の診断は慎重にすべきである。6)合併症上記以外にシェーグレン症候群(25%)、橋本甲状腺炎(10%)などがある。■ 予後当初は、治療反応性や予後のよい疾患群として提唱されてきた。確かに発病からの5年生存率は96.9%、初診時からの5年生存率は94.2%と高い。しかし、死亡者の死因を検討すると、肺高血圧症、呼吸不全、心不全など心肺系の死因が全体の60%を占めている。とくに肺高血圧症は、一般人口にみられる特発性肺高血圧症よりもさらに予後不良であり、その治療の進歩が望まれる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)わが国では1982年に厚生省の特定疾患に指定され調査研究班が結成されて以来、研究が続けられ、1993年には特定疾患治療研究対象疾患に指定された。1988年に「疫学調査のための診断の手引き」が作成され、何度か改訂されてきた。わが国の診断基準は国際的にも評価されていて、最も普遍的なものである。2004年の改訂では、共通所見に肺高血圧症が加えられ、中核所見と名称が変更された。この3所見のうち1所見以上の陽性と抗U1-RNP抗体陽性が必須であり、さらに混合所見の中で3疾患のうち2疾患以上の項目を併せ持てばMCTDと診断する(表1)。たとえば混合所見で多発関節炎とCK高値があれば、前者が全身性エリテマトーデス様所見、後者が多発性筋炎様所見として満たすこととなる。表1 MCTD診断の手引き(2004年度改訂版)■MCTDの概念全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎などにみられる症状や所見が混在し、血清中に抗U1-RNP抗体がみられる疾患である。I.中核所見1.レイノー現象2.指ないし手背の腫脹3.肺高血圧症II.免疫学的所見抗U1-RNP抗体陽性III.混合所見A.全身性エリテマトーデス様所見1.多発関節炎2.リンパ節腫脹3.顔面紅斑4.心膜炎または胸膜炎5.白血球減少(4,000/μL以下)または血小板減少(10万/μL以下)B.強皮症様所見1.手指に限局した皮膚硬化2.肺線維症、肺拘束性換気障害(%VC:80%以下)または肺拡散能低下(%DLCO:70%以下)3.食道蠕動低下または拡張C.多発性筋炎様所見1.筋力低下2.筋原性酵素(CK)上昇3.筋電図における筋原性異常所見■診断1.Iの1所見以上が陽性2.IIの所見が陽性3.IIIのA、B、C項のうち、2項目以上につき、それぞれ1所見以上が陽性以上の3項目を満たす場合をMCTDと診断する。■付記抗U1-RNP抗体の検出は二重免疫拡散法あるいは酵素免疫測定法(ELISA)のいずれでもよい。ただし二重免疫拡散法が陽性でELISAの結果と一致しない場合には、二重免疫拡散法を優先する。(近藤 啓文. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成16年度研究報告書:2005.1-6.)また、肺高血圧症については、予後不良であり早期発見、早期治療が必要なこともあり、その診断にはとくに継続的な注意が必要である。確定診断には、右心カテーテル検査が必要であるが、侵襲的検査であり、専門医の存在が必要なため、スクリーニング検査として心臓超音波検査が重要である。これを基にした「MCTD肺高血圧症診断の手引き」(図1)が作成されており、肺高血圧症を疑う臨床所見や検査所見がある場合には、早急に心臓超音波検査をすべきである。画像を拡大する<脚注>1)MCTD患者では肺高血圧症を示唆する臨床所見、検査所見がなくても、心臓超音波検査を行うことが望ましい。2)右房圧は5mmHgと仮定。3)推定肺動脈収縮期圧以外の肺高血圧症を示唆するパラメーターである肺動脈弁逆流速度の上昇、肺動脈への右室駆出時間の短縮、右心系の径の増大、心室中隔の形状および機能の異常、右室肥厚の増加、主肺動脈の拡張を認める場合には、推定肺動脈収縮期圧が36mmHg以下であっても少なくとも1年以内に再評価することが望ましい。4)右心カテーテル検査が施行できない場合には慎重に経過観察し、治療を行わない場合でも3ヵ月後に心臓超音波検査を行い再評価する。3)肺高血圧症の臨床分類、重症度評価のため、治療開始前に右心カテーテル検査を施行することが望ましい。(吉田 俊治ほか. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成22年度研究報告書:2011.7-13.)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 総論本症は自己免疫疾患であり、抗炎症薬と免疫抑制療法が治療の中心となる。非ステロイド性抗炎症薬もしばしば用いられるが、前述のごとく、時に無菌性髄膜炎が誘発されるので、その使用には慎重な配慮が必要である。急性期には、多くの場合で副腎皮質ステロイド薬が治療の中心となる。他の膠原病と同様、臓器障害の種類と程度により必要なステロイド量が決定される(表2)。表2 臓器障害別の重症度分類a)軽症レイノー現象、指ないし手の腫脹、紅斑、手指に限局する皮膚硬化、非破壊性関節炎b)中等症発熱、リンパ節腫脹、筋炎、食道運動機能障害、漿膜炎、腎障害、皮膚血管炎、皮膚潰瘍、手指末端部壊死、肺線維症、末梢神経障害、骨破壊性関節炎c)重症中枢神経症状、無菌性髄膜炎、肺高血圧症、急速進行性間質性肺炎、進行した肺線維症、重度の血小板減少、溶血性貧血、腸管機能不全(三森 経世 編. 混合性結合組織病の診療ガイドライン(改訂第3版). 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究班:2011.)前表のように、中枢神経障害、急速に進行する肺症状・腎症状、血小板減少症を除いて大量のステロイドを必要とすることは比較的少ない。ただ、ステロイドを長期に使用することが多いため、骨粗鬆症や糖尿病、感染症の誘発などの副作用には留意が必要である。■ 肺高血圧症MCTDの生命予後を規定する肺高血圧症(PH)については、病態からみて肺動脈性のもの以外に間質性肺炎によるもの、慢性肺血栓塞栓症によるもの、心筋炎など心筋疾患によるものなどがあり、これらは治療方法も異なるため、右心カテーテル検査などで厳密に識別する必要がある。もっとも頻度の高い肺動脈性肺高血圧症については、しばしば大量ステロイド薬や免疫抑制薬が奏効するため、これらの薬剤の適応を検討すべきである。また、通常の特発性肺動脈性肺高血圧症に用いられる血管拡張薬も有用性が確認されているため、プロスタサイクリン系薬、エンドセリン受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ5阻害薬を併用して用いる(図2)。画像を拡大する<脚注>*ETR拮抗薬エンドセリン受容体拮抗薬(アンブリセンタン、ボセンタン)**PDE5阻害薬ホスホジエステラーゼ5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィル)(三森 経世 編. 混合性結合組織病の診療ガイドライン(改訂第3版). 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究班:2011.)その後、マシテンタン(ETR拮抗薬)、リオシグアート(可溶性グアニルシクラーゼ刺激薬)なども使用できるようになっており、治療の幅が広がっている。これらは肺血管拡張作用に加えて肺動脈内皮細胞の増殖抑制作用も期待されている。ただ、肺血管のリモデリングが進行した場合や強皮症的要素の強い場合、これらの薬剤はしばしば無効であり、心不全のコントロールなども重要になるため、循環器内科などと共同して治療に当たることが必要になる。4 今後の展望遺伝子多型の検討やゲノムワイド関連解析によって、MCTDやMCTD合併肺高血圧症になりやすい危険因子が解明されつつある。これにより、さらに精度が高くこれらの診断を早期に行えることが期待される。また、予後に大きな影響を与える肺高血圧症に関する薬剤が少なからず開発されつつある。これらの出現により一段とMCTD合併肺高血圧症の治療成績が上昇する可能性がある。5 主たる診療科リウマチ膠原病内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 混合性結合組織病(一般利用者と医療従事者向けの情報)患者会情報全国膠原病友の会(膠原病全般について、その患者と家族向け)1)近藤 啓文. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成16年度研究報告書:2005.1-6.2)近藤 啓文. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成16年度研究報告書:2011.7-13.3)三森 経世編. 混合性結合組織病の診療ガイドライン(改訂第3版). 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究班:2011.7-13.公開履歴初回2014年10月07日更新2016年07月05日

3675.

双極性障害患者の脳灰白質はどうなっている

 統合失調症、双極性障害、その他の精神神経疾患でみられる精神症状の神経生物学的基盤はいまだによくわかっていない。過去10年で、核磁気共鳴画像(MRI)の多くの研究において、異なる精神医学的症候群患者と健康成人対照者との間に、局所灰白質容積の差が認められている。しかし、これら症候群でみられる症状に焦点を当てた研究はほとんどない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のCarl Johan Ekman氏らは、精神病の既往歴のある/ない双極性障害患者および健康成人を対象として、精神疾患と灰白質容量との関連を検討した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2016年6月11日号の報告。 対象は、精神病の既往のある/ない双極性障害患者167例と健康成人対照者102例。核磁気共鳴イメージングは、ボクセルワイズの単変量解析(ボクセルベースの形態計測)を使用して、グループレベルで分析した。 主な結果は以下のとおり。・精神病の既往歴のある双極性障害患者は、同既往歴のない患者、健康成人対照者と比較し、左紡錘状回、右吻側背外側前頭前皮質、左下前頭回の白質容積が小さいことが示された。・精神病の既往歴のない患者と健康成人対照者との間に、これら領域の容量の差は認められなかった。・以前より、これら領域は構造上および機能的に妄想や幻覚と結び付いているとされている。関連医療ニュース 統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学 ドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善 統合失調症、脳容積とIQの関連

3676.

米国成人の食習慣、13年間で改善/JAMA

 1999~2012年の米国国民健康栄養調査(NHANES)を分析した米国・モンテフィオーレメディカルセンターのColin D. Rehm氏らは、自己申告による食習慣が改善していることを報告した。ただし、人種・教育・収入による差が持続または悪化していることも示唆されたという。これまで食事に関する研究の多くが、主な多量栄養素またはわずかな食事因子のみを評価したもので、個々の食品・栄養素に関する食事の質や、さまざまな集団での違いなどについては評価していなかった。著者は、「今回の結果は、米国に住んでいる人々の食習慣を改善するための機会、新たな達成、配慮が必要な地域などについて考察を与えるものである」とまとめている。JAMA誌2016年6月21日号掲載の報告。食事パターンの変化を13年間にわたり調査 研究グループは、NHANESに登録された入院歴のない20歳以上の米国成人3万3,932例を対象に、24時間思い出し法を用い1999~2012年の間に7回調査を実施した。各調査における回答数は4,237例から5,762例の範囲であった。 評価項目は、調査で重み付けした補正平均エネルギー消費量、AHA 2020 Strategic Impact Goalsの食事ガイドラインに基づく食事スコアの目標達成割合、食事スコアの構成要素(主要構成要素:果物と野菜類、全粒穀物類、魚貝類、糖添加飲料、食塩/副次構成要素:ナッツ類、種子類、豆類、加工肉類、飽和脂肪酸)、およびその他の個々の食品と栄養素とした。全粒穀物やナッツ類の摂取増加など食事が改善、ただし、人種・教育・収入で差 AHA主要食事スコア(最高50点)は19.0から21.2点へ、副次食事スコア(最高80点)も35.1から38.5点へ、いずれも増加し、食習慣が改善していることが明らかとなった(それぞれ改善率11.6%および9.7%、どちらも傾向p<0.01)。これらの変化は、1999~2000年と2011~2012年の間で全粒穀物が0.43食/日(95%信頼区間[CI]:0.34~0.53食/日)、ナッツ・種子・豆類が0.25食/日(95%CI:0.18~0.34食/日)増加していたことと、糖添加飲料が0.49食/日(95%CI:0.28~0.70食/日)低下していたことに起因していた。魚貝類の摂取量もわずかに増加したが、果物と野菜類・加工肉類・飽和脂肪酸・食塩を含む他の構成要素では有意な傾向は確認されなかった。 栄養の乏しい食事(AHA食事スコアのアドヒアランスが40%未満)をしている米国成人の割合は55.9%から45.6%へ減少し、栄養が中程度の食事(アドヒアランス40~79.9%)の割合は43.5%から52.9%へ増加した。その他の食事の傾向として、果物の摂取増加(0.15食/日、95%CI:0.05~0.26食/日)や、100%フルーツジュースの摂取減少(0.11食/日、95%CI:0.04~0.18食/日)がみられた。 食事の質は、人種・教育・収入レベルによって差異があることが観察された。たとえば、栄養の乏しい食事をしている非ヒスパニック系白人の割合は有意に減少したが(53.9%から42.8%)、非ヒスパニック系黒人またはメキシコ系アメリカ人では改善が確認されなかった。また、調査期間中、これらの差が縮減するとのエビデンスは見当たらず、収入レベルによる悪化が確認された。

3677.

慢性疼痛へのLAオピオイドと全死因死亡リスク/JAMA

 非がん性慢性疼痛に対する長時間作用型(LA)オピオイドの処方は、抗けいれん鎮痛薬や低用量抗うつ薬の処方と比較して、過剰摂取以外の原因を含む全死因死亡リスクを有意に増大することが、米国・ヴァンダービルト大学のWayne A. Ray氏らによる検討の結果、示された。絶対リスクの差はわずかであった。著者は、「今回の結果を、治療の有害性や有益性を評価する際に考慮すべきである」と述べている。LAオピオイドは、無作為の過剰摂取リスクを増大し、心臓・呼吸器系およびその他による死亡も増大させる可能性が示唆されていた。JAMA誌2016年6月14日号掲載の報告。抗けいれん鎮痛薬/低用量抗うつ薬投与群と死亡発生を比較 研究グループは、中等度~重度の非がん性慢性疼痛を有する患者の全死因死亡について、LAオピオイド処方 vs.代替療法を比較する検討を行った。1999~2012年にテネシー州メディケイド被保険者の非がん性疼痛患者で、緩和・終末期ケア対象者ではなかった患者集団を対象とした。LAオピオイドの新規処方患者群と、傾向スコアで適合した抗けいれん鎮痛薬または低用量抗うつ薬(low-dose cyclic antidepressants)の新規処方患者群(対照群)を後ろ向きに評価した。 主要評価項目は、死亡診断書で確認した全死因および死因別の死亡。LAオピオイド群と対照群の補正後ハザード比(HR)、リスク差(1万人年当たりでみた過剰な死亡発生)をそれぞれ算出して比較した。全死因死亡1.64倍、治療初期30日間では4.16倍 評価に包含した対象期間中の新規処方は、各群2万2,912例であった(平均年齢48±11歳、女性60%)。最も多かった慢性疼痛の診断名は腰痛(75%)で、筋骨格痛(63%)、腹痛(18%)と続いた。患者の96%超で前年に短時間作用型オピオイドの処方歴があり、他の鎮痛薬や向精神薬(筋弛緩薬[63%]、NSAIDs[70%]、ベンゾジアゼピン系薬[52%]、SSRI/SNRI抗うつ薬[45%]など)の処方歴のある患者も多かった。 処方された試験薬で最も多かったのは、モルヒネSR(55%)、ガバペンチン(40%)、アミトリプチリン(36%)であった。 LAオピオイド群は、追跡期間平均176日で死亡185例、対照群は同128日で87例であった。全死因死亡HRは1.64(95%信頼区間[CI]:1.26~2.12)で、リスク差は68.5例(95%CI:28.2~120.7)であった。LAオピオイド群の死亡リスク増大の要因は、院外死亡が有意に過剰であったことによる(154 vs.60例、HR:1.90[95%CI:1.40~2.58]、リスク差:67.1例[95%CI:30.1~117.3]、p<0.001)。 院外死亡のうち無作為の過剰摂取による死亡を除くその他の要因(心血管系、呼吸器系によるものなど)の死亡発生は120 vs.53例で、HRは1.72(95%CI:1.24~2.39)、リスク差は47.4例(95%CI:15.7~91.4)であった(p=0.001)。なお、このうち心血管死(79 vs.36例)はHRが1.65(95%CI:1.10~2.46)、リスク差は28.9例(同:4.6~65.3)であった(p=0.02)。 治療初期30日間の死亡発生は53 vs.13例で、HRは4.16(95%CI:2.27~7.63)、リスク差は200例(同:80~420)に上った。

3678.

わかる統計教室 第3回 理解しておきたい検定 セクション12

インデックスページへ戻る第3回 理解しておきたい検定セクション12 t検定の種類と選び方セクション1 セクション2 セクション3 セクション4 セクション5セクション6 セクション7 セクション8 セクション9 セクション10セクション11セクション11では、信頼区間、p値、t値による仮説検定、そして、対応のない場合の検定として、ノンパラメトリック検定、ウエルチのt検定を学習しました。セクション12では、これらの検定の選び方を簡単に紹介します。■仮説検定の選び方仮説検定の方法を3つ学習してきました。ここで3つの選び方をおさらいしてみましょう(表36、37)。 データの「対応がある」「対応がない」のどちらかを判断する。 対応のある場合で、n<100の場合、検定対象のデータが母集団において正規分布であるかを判断する。 対応のない場合で、n1+n2<100の場合、検定対象のデータが母集団において正規分布であるかを判断する。 検定対象のデータにおいて、母集団の分散が等しいか異なるかを判断する。表36 仮説検定の選び方(対応のあるデータ)表37 仮説検定の選び方(対応のないデータ)このフローチャートは便利なので、ぜひ利用してください。サンプルサイズが小さく、正規分布でない場合の検定方法は、今回は省略します。■今回のポイントデータの「対応がある」「対応がない」で、検定の種類と選び方が異なる!インデックスページへ戻る

3679.

抗凝固療法、ポリファーマシーによる影響は?/BMJ

 ポリファーマシー(多剤併用)による抗凝固療法への影響を調べるため、英国・ラドバウド大学ナイメーヘン医療センターのJeroen Jaspers Focks氏らは、ARISTOTLE試験の事後解析を行った。同試験は、心房細動患者を対象にアピキサバン vs.ワルファリンを検討したものである。解析の結果、被験者の4分の3が5剤以上のポリファーマシーを受けており、そうした患者では、併存疾患、薬物相互作用および死亡の有意な増大や、血栓塞栓症、出血性合併症の発症率が有意に高率であることが明らかになった。そのうえで、併用薬剤数に関係なく、アピキサバンのほうがワルファリンよりも有効性に優れることが認められ、安全性も大出血に対するベネフィットはアピキサバンのほうが大きかったが、併用薬剤数が多いほどワルファリンとの差は減少することが示されたという。BMJ誌オンライン版2016年6月15日号掲載の報告。ARISTOTLE試験を事後解析、併用薬剤数で患者を分類しアウトカムとの関連を評価 ポリファーマシーは、併存疾患、フレイル(高齢者の虚弱)、薬物相互作用と関連し、有害な臨床転帰のマーカーであることが示唆されている。研究グループは、「したがって、ポリファーマシー患者では抗凝固療法への反応が異なる可能性がある。心房細動患者において、アピキサバンはワルファリンよりも有効かつ安全であるとされているが、これまで複数の薬物を併用する患者においても同様の結果であるのかについては明らかになっていない」として本検討を行った。 ARISTOTLE試験は2006年に開始、2011年に終了した多施設共同二重盲検ダブルダミー試験で、心房細動患者におけるアピキサバンの脳卒中およびその他血栓塞栓イベントの低減効果について評価が行われた。追跡中央値は1.8年であった。研究グループは同試験の被験者1万8,201例について2015年時点で事後解析を行った。 ARISTOTLE試験で被験者は、アピキサバン5mgを1日2回(9,120例)またはワルファリン(目標INR範囲2.0~3.0、9,081例)に無作為に割り付けられた。事後解析では、ベースラインでの服用薬剤数によって患者を分類(0~5、6~8、≧9剤)した。 主要評価項目は、アピキサバン vs.ワルファリンの臨床転帰および治療効果で、年齢、性別、国で補正を行った。多剤併用患者でもアピキサバンのほうが有効で安全 ポリファーマシーの中央値は6剤(四分位範囲:5~9)で、5剤以上のポリファーマシー患者は1万3,932例(76.5%)であった。また、0~5剤群(6,943例)、6~8剤群(6,502例)、9剤以上群(4,756例)別にみると、より多くの併用薬が高年齢者(各群平均年齢68、69、71歳)、女性(各群男性割合67.5、63.2、62.9%)、および米国の患者(各群北米患者の割合10.6、20.8、50.1%)で用いられていた(いずれもp<0.001)。なお、アジアの患者は各群18.3、15.9、12.9%(p<0.001)。 また、併存疾患数は、併用薬剤が増えるほど増加し、アピキサバンまたはワルファリンとの相互作用を示す患者の割合も有意に増大した。 有効性アウトカムの評価についても併用薬剤増加との有意な関連がみられた。全死因死亡の発生(100患者年当たり)は0~5剤群3.01、6~8剤群3.80、9剤以上群4.70(p<0.001)であり、脳卒中/全身性塞栓症(SE)は同1.29、1.48、1.57(p=0.004)であった。安全性アウトカムも重大出血は同1.91、2.46、3.88(p<0.001)と有意な関連が認められ、ネット有益性アウトカム(脳卒中/SE/重大出血/全死因死亡)は、同5.24、6.59、8.92(p<0.001)であった。 しかし、アピキサバン vs.ワルファリンの脳卒中/SEの相対的なリスクの低下は、併用薬剤数にかかわらず認められなかった(交互作用p=0.82)。死亡についても同様であったが(p=0.81)、重大出血については、併用薬剤数が増えてもアピキサバンのほうがわずかだが有意な抑制が認められた(交互作用p=0.017)。 ワルファリンおよびアピキサバンの作用を強化する治療(CYP3A4/P-糖蛋白阻害薬)を受けていた患者において、アピキサバン vs.ワルファリンのアウトカムは類似しており、一貫した治療効果が認められた。 これらの結果を踏まえて著者は「ポリファーマシーに関係なく、心房細動患者ではアピキサバンがワルファリンよりも有効であり、少なくとも安全であるようだ」とまとめている。

3680.

CVIT 2016(第25回日本心血管インターベンション治療学会学術集会)会長インタビュー

第25回日本心血管インターベンション治療学会学術集会(CVIT 2016)が本年(2016年)7月7日~9日開催される。今大会の開催への思いと見どころについて、会長である東邦大学医療センター 大橋病院 中村正人氏に聞いた。今回の大会は公募演題を広く集められたそうですね?従来の大会のシンポジウム、パネルディスカッションなどは指定演題がほとんどだったのですが、日常臨床で遭遇する課題を取り上げるため、今回は公募演題を数多く採用しました。それもあって、演題数は当初の予定以上に増え、1,000題以上となりました。最近は循環器系の学会でもインターベンションを取り上げる機会が減っており、インターベンションを専門とする若い医師の発表の場が少なくなってきました。そういうこともあり、今大会は若い先生方がドキドキしながら発表するチャンスをたくさん作っています。大会テーマ「The road to Professional」の意味を教えていただけますか?それぞれの道は違えども、皆さんがプロフェッショナルという同じ目的地を目指してほしい、という思いでこのテーマにしました。ただ技術や知識があるだけではプロフェッショナルとはいえません。知識を持ったうえで、それを上手に活用してこそプロフェッショナルです。そのためには、チームワークや、自分たちができないことをできるようにするものづくりの工夫が必要となります。そのような考えから、今回は特別公演を3名にお願いしています。エディンバラ大学のKeith Fox先生には全般的なエビデンスの話を、早稲田大学で介護ロボットを作っておられる藤江 正克先生には“ものづくり”とイノベーションについて、サッカー日本代表元監督の岡田 武史氏にはチームワーク作りの話をしていただく予定です。●特別講演Unmet need of NOAC7月7日(木)16:00~17:00、第1会場 ホールCチームマネージメント~今治からの挑戦~7月8日(金)10:20~11:20、第1会場 ホールCヘルスケアロボティクスにおけるイノベーション7月9日(土)11:00~12:00、第1会場 ホールC“ものづくり”についてですが、今回の学会では「“ものづくり”のセッション」を設けていらっしゃいますね?この企画は今大会の新しい取り組みの1つで、経済産業省関東経済産業局の後援で開催します。これからは日本のインターベンションも新しいシーズを見つけて形にしていくという考え方が必要になります。そのため、日本での医療機器開発の成功例を講演していただくとともに、医療機器開発の海外との違いを議論したいと思います。また、技術展示ブースに日本のものづくり企業に出展いただき、医療側のニーズを知っていただくとともに、技術相談コーナーで開発アイデアを持つ医師との接点を持っていただければと思います。●医工産連携ものづくり企画シンポジウム「医療機器開発の成功例を知ろう」7月7日(木)13:00~16:00、展示会場(地下2階「展示ホール内」)パネルディスカッション「医療機器開発で、世界の競合に勝てるにはどうしたらよいか?」7月8日(金)9:00~12:30、展示会場(地下2階「展示ホール内」)技術相談コーナー「ホールE」内(地下2階)http://www2.convention.co.jp/cvit2016/contents/event.html産官学連携のセッションもあるそうですね?今後多くのデバイスが出てきますが、それらを無制限に使うことは医療費の観点から考えると不可能です。どのように市場に導入していくか検討し工夫していく必要があります。また今後、新規性のあるデバイスを早期に導入しようとすると未知のリスクが伴います。それを踏まえ、アカデミア、関連企業、PMDA、FDAそれぞれのスタンスを明らかにして議論したいと考え、産官学の連携セッションを企画しました。Harmonization by doing(HBD)のセッションでは、米国と日本の共同試験による早期承認の取り組みについての今までの経験を説明します。次に、近々上市が予定される話題の新デバイス生体吸収性ステント(BRS)について取り上げます。BRSは、そのベネフィットとともに血栓症リスクも議論されていますが、データは依然として限られています。このデバイスを日本にどう導入するかを議論します。さらに、CT-FFRについても取り上げます。日本にはEU全土と同じ台数のCTがあります。非侵襲的な検査としての大きなメリットがありますが、すべての施設で使うと大変なことになります。医療経済の点からマッチできるシナリオを議論したいと思います。もう1つ、近年注目されている出血合併症についても取り上げます。とくに、ハイリスクサブセットの定義は論文によってまちまちです。このサブセットの定義をどう考えるか企業とアカデミアの合意を形成していきたいと思います。日米欧 産官学共催セッション:最新テクノロジー(デバイス)の福音とリスク7月7日(木) 13:30~19:00、第14会場 G610Controversyセッションではどのようなテーマを取り上げるのですか?ここでは、DAPTの投与期間、心房細動合併患者の抗血小板薬の扱い、イメージングモダリティ(CT、FFR、OCTなど)をどのように適切に使っていくか、という従来から議論されていたテーマについて取り上げます。また、インターベンションの適切な実施については世界的に議論されており、欧米でもAUC(Appropriate Use Criteria)やハートチームといった取り組みが始まっています。しかし、それをそのまま日本に当てはめることは難しいと思います。どのように日本版のStandardized PCIを作っていくか、学会として取り上げています。Optimal Medication Following PCI Duration of DAPT after DES7月7日(木)10:30~12:00、第3会場 ホールB7-2Optimal Medication Following PCI Patients with Atrial Fibrillation7月8日(金)13:10~14:40、第3会場 ホールB7-2Imaging Appropriate Use of Multimodalities in Ischemic Heart Disease7月7日(木)17:20~18:50、第3会場 ホールB7-2日本におけるPCIの標準的適応7月8日(金)17:30~19:00、第3会場 ホールB7-2今年(2016年)4月に発生した熊本地震についても取り上げていますか?被災地である熊本の済生会熊本病院の中尾 浩一先生に、この地震での循環器医としての体験をお話しいただきます。あまり報道されませんが、この地震では多くの方が肺血栓塞栓症を発症しています。さらに、搬送の途中で亡くなる方も少なくなかったそうです。中尾先生の体験を通し、われわれ医師および医療者は、どういうことを知っておくべきかを学んでいきたいと思います。緊急企画 熊本地震の経験 現況報告7月7日(木) 18:30~19:00、第15会場 ホールE内40歳未満の参加者のための「Under 40」セッションではどのようなことが行われるのですか?このセッションの副題は「10年後のカテーテル治療を語ろう」です。インターベンションの適応はどう変わっていくか? CVITはどう変わっているか? といったテーマを事前に設定し、5名の代表演者に発表いただきます。40代未満の先生に、自分たちが携わっているインターベンションが将来どうなっているか予想していただき、自由闊達に意見交換をしていただきたいと思います。会長企画1 Under 40 ~10年後のカテーテル治療を語ろう7月7日(木)17:00~18:30、ポスター会場 ホールE教育セッションについても工夫されたそうですね?教育セッションは、従来は並列で行われていましたが、見たいものが重複してしまうという声を聞いていました。そこで今回は見たいテーマが重ならないよう、1部屋を教育セッション用に充て、3日間通して開催することにしています。教育セッション7月7日(木)16:00~18:00、第10会場 G4097月8日(金)8:30~18:00、7月9日(土)8:30~14:10、第8会場 G701その他にも興味深い取り組みがあるそうですね?「子ども体験コーナー」を作ります。このコーナーでは、CT、MRI、心電図、血圧計測を子供たちに体験してもらい、医療に興味を持ってもらいたいとの思いで企画しました。子ども体験コーナー7月8日(金)10:00~18:00、7月9日(土)10:00~18:00、地下2F セミナー室1http://www2.convention.co.jp/cvit2016/contents/kodomo.html企業展示については、参加者が楽しめ出展企業にもベネフィットがあるよう工夫しました。各ブースでアンケート調査を用意していただき、スタンプラリーを行います。集まったスタンプの数で賞品をお渡しする仕組みです。参加者の息抜きになりますし、出展企業も使用者の声を聞き、マーケティングに利用していただくことができます。また、展示ブースは格子戸などをアレンジし江戸時代の街並みを演出します。ポスター会場についても、領域ごとに照明を色分けし、わかりやすくしています。こちらは、近代的デザインにして、同じフロアにある江戸時代風の展示会場との対比を楽しんでいただけるようにします。ケアネット会員の方へメッセージをお願いします。これからは日本からエビデンスを発信する時代ですから、若い世代にはリサーチマインドを持ってほしいと思います。そういう意味でも、たくさんの若い先生に参加していただきたいと考えています。今大会は、私が思い描くこと、興味のあることを企画として取り上げました。この大会を通じて皆が同じ方向を向いて歩んでいってほしいと願っています。CVIT 2016 ホームページhttp://www2.convention.co.jp/cvit2016/index.html

検索結果 合計:5094件 表示位置:3661 - 3680