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事例71 通院・在宅精神療法の査定【斬らレセプト】

解説事例では、毎週金曜日に定期的に通院されている患者のI002通院・在宅精神療法が、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)で査定となった。同精神療法は、「精神科を標榜している医療機関で精神科を担当する医師が、一定の治療計画のもとに対人関係の改善、社会適応能力の向上などを図るため、1回5分以上の助言等の働きかけを継続的に行う治療法を実施したときに週1回を限度に算定する」と記載がある。週1回とは、特別な定めがない限り「日曜日から土曜日」までの間に1回と定められている。事例では、気分不良を理由に6月末に定期外の受診がされており、同精神療法が算定されていた。7月3日金曜日にも来院しており、同精神療法が算定されていた。前月以前のレセプトを比較する縦覧点検にて、「週1回の算定要件に合致していない」と判断され、査定となったものである。電子レセプトには項目ごとに日付データを持たせている。月が替わっていても同一週に2回算定の判断ができるようである。レセプトは月単位での請求のため、単独月のレセプト点検では、このような誤りは発見できない。受診時の注意の他に、レセプトチェックシステムの活用も必要であろう。

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軽度うつ病患者の大うつ病予防効果を検証するRCTは実施可能か

 大うつ病の基準に満たない持続性抑うつ症状は、大うつ病に進行するリスクの高い慢性状態を表す。それら抑うつ患者や軽度うつ病に対する、人間中心療法(Person-Centred Counselling)や低強度の認知行動療法といった心理療法のエビデンスは限られており、とくに長期アウトカムは限定的であった。ブラジルのジュイス・デ・フォーラ連邦大学のElizabeth Freire氏らは、大うつ病の基準に満たない抑うつ症状および軽度うつ病患者を対象とした心理療法に関する無作為化対照試験の、実行可能性について検証を行った。BMC Psychiatry誌2015年8月15日号の掲載報告。 パイロット/実行可能性試験であった本検討は、被験者募集登録率、ベースラインから6ヵ月時点でのアドヒアランスと継続(非脱落)率を主要評価項目とした。また重大副次評価項目として、6ヵ月時点でのうつ病回復またはうつ病発症予防とし、これらの評価は被験者の治療状況を盲検化したうえで独立した評価者が構造化臨床面接により行った。5件の一般診療所(GP)で36例の患者が登録され、週1回8週にわたる人間中心療法のセッションを受ける群(各々最大1時間)と、週1回8週にわたる認知行動療法(毎回20~30分間、電話サポートでリソースの活用を促す)のセッションを受ける群に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・GPの患者数からみた被験者登録率は1.8%であった。・両群の介入に関して、患者は平均5.5セッション参加した。・追跡6ヵ月時点の評価に組み込まれた患者は、72.2%であった。・6ヵ月時点で評価が行われた被験者のうち、ベースライン時に軽度うつ病と診断された被験者の71.4%で回復が認められ、ベースライン時に持続性うつ病と診断された被験者のうち66.7%は大うつ病への進行を認めなかった。・6ヵ月時点での回復およびうつ病発症予防、その他のいずれのアウトカムにおいても、治療群間で有意な差は認められなかった。・以上から、被験者登録は実行可能であり、プライマリケア設定で大うつ病の基準に満たない患者および軽度のうつ病患者に対して、人間中心療法と認知行動療法はいずれも提供可能であることが示された。・ただし、GPでの登録には多大な労力を要することも示唆された。・本研究は、短期間の人間中心療法と低強度の認知行動療法は有効であると思われること、その効果については、医療経済面の評価を含む大規模無作為化対照試験で評価すべきであることを示唆するものであった。関連医療ニュース うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project 自殺リスク評価の無作為化試験は実施可能なのか  担当者へのご意見箱はこちら

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日本アレルギー学会主催「第2回総合アレルギー講習会」のご案内

 日本アレルギー学会は2015年12月12日・13日の2日間、『第2回 総合アレルギー講習会 ~Total Allergistを目指して~』を、パシフィコ横浜にて開催する。本講習会は会員、非会員を問わず、アレルギーについて関心のある医師をはじめ医療関係者の受講を広く歓迎している。 開催概要は以下のとおり。【日時】2015年12月12日(土)、13日(日)【会場】パシフィコ横浜 会議センターアクセス情報はこちら【会長】大田 健氏(独立行政法人国立病院機構東京病院)【定員】2,000名【受講料】20,000円(テキスト代を含む)【対象】会員・非会員を問わず受講可能【講習内容】講義および実習当日のプログラムはこちら【取得単位】アレルギー専門医 認定・更新単位 10単位【受講申し込み】事前参加登録のため、オンライン登録をお願いします。詳細はこちら※当日の参加受付はできません。【その他】託児室(事前申し込み制)関連書籍販売(2店舗開設)「日本アレルギー学会 第2回 総合アレルギー講習会」詳細はこちら(昨年開催した第1回講習会の様子もご覧いただけます。)

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新世代MRA、糖尿病性腎症のアルブミン尿を有意に抑制/JAMA

 ACE阻害薬またはARBを服用中の糖尿病性腎症患者に対する、新世代の非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)finerenoneは、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を用量依存的に抑制することが示された。米国・シカゴ大学医学部のGeorge L. Bakris氏らが、23ヵ国148施設共同で、患者821例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告した。これまで慢性腎臓病患者において、RA系阻害薬へのステロイド系MRA追加は、アルブミン尿を抑制するが、有害事象リスクが高く活用されていなかった。JAMA誌2015年9月1日号掲載の報告。90日後のUACRを比較 研究グループは、23ヵ国(148ヵ所)の医療機関を通じ、高値(UACRが30~300mg/g未満)または非常に高値(同300mg/g以上、本検討では被験者の75%以上)のアルブミン尿を呈し、RA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)を服用する糖尿病患者821例を対象に、finerenone併用の安全性と有効性を検討した。 研究グループは被験者を無作為に8群に分け、finerenoneを1日1回、1.25mg/日、2.5mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、プラセボをそれぞれ90日間投与した。 主要評価項目は、90日後 vs.ベースラインのUACR比とした。90日UACRは7.5mg群で0.79倍、20mg群で0.62倍に 被験者は、2013年6月~2014年2月の間に集められ、試験は2014年8月に完了した。1,501例がスクリーニングを受け、823例が無作為化を受け、821例が試験薬を服用した(1.25mg/日群96例、2.5mg/日群92例、5mg/日群100例、7.5mg/日群97例、10mg/日群98例、15mg/日群125例、20mg/日群119例、プラセボ94例)。被験者の平均年齢は64.2歳で、78%が男性だった。 結果、finerenoneは、用量依存的にUACRを抑制した。 主要評価項目である、プラセボ補正後のベースラインに対する90日UACR比は、7.5mg群が0.79(90%信頼区間:0.68~0.91、p=0.004)、10mg群が0.76(同:0.65~0.88、p=0.001)、15mg群が0.67(同:0.58~0.77、p<0.001)、20mg群が0.62(同:0.54~0.72、p<0.001)だった。 副次アウトカムの高カリウム血症による服用中止率は、7.5mg群2.1%、15mg群3.2%、20mg群1.7%で認められ、プラセボ群と10mg群では認められなかった。 推算糸球体濾過量(eGFR)の30%以上減少の発生や、有害事象・重度有害事象発生頻度は、プラセボ群とfinerenone群で同等だった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、その他の有用薬と比較をすべきであろう」とまとめている。

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H. pylori 除菌治療のリスク・ベネフィット:システマティックレビューとメタ解析(解説:上村 直実 氏)-414

 ピロリ除菌に対する世界的な標準レジメンである3剤併用治療法(プロトンポンプ阻害薬:PPI+アモキシシリンAMPC+クラリスロマイシンCAM)の除菌成功率が低下する一方、近年、高い除菌率を示すレジメンが数多く報告されている。今回、最も有効性が高く安全な治療レジメンを探索する目的で、世界中から報告されている除菌治療法について、システマティックレビューとネットワークメタ解析により検討した研究論文が、中国から報告された。 Cochrane Library、PubMed、Embaseから入手した、14種類の除菌治療レジメンに関するデータを解析した結果、標準レジメンである3剤併用治療法7日間の除菌率が最も低かった。最も有効であったのは、4剤併用療法(PPI+抗菌薬3剤)で、次いで抗菌薬3剤+プロバイオティクス、レボフロキサシン(LVFX)を用いる3剤併用治療、ハイブリッド療法(PPI+AMPCに続いてPPI+AMPC+CAM+メトロニダゾールMNZを服用する方法)、順次療法(PPI+AMPCを5~7日間、引き続きPPI+CAM+MNZまたはMNZを5~7日間服用)などが除菌成功率が高いレジメンであった。一方、安全性に関しては、LVFXを用いるものと、抗菌薬3剤+プロバイオティクスを用いたレジメンにおいて、ほかのレジメンと比較して有害事象の発生が高率であった。 ピロリ感染に対する除菌治療の有効性・除菌率は、地域の耐性菌率により大きな影響を受けるとともに、除菌判定法の精度によっても大きく左右される。したがって、今回の報告による有効性の高い除菌治療レジメンが万国共通に優れた治療法とは言い難い。わが国の保険診療では、ピロリ感染症に対して保険適用とされているのは、PPI+AMPC+CAMの3剤併用レジメンが1次除菌治療として、CAMをMNZに変更したレジメンが2次治療レジメンとして保険承認されているが、その他のレジメンは未承認で自費診療となっている。なお、最近使用可能となった新たなPPIを用いたレジメンの1次除菌率が、90%以上であると報告されている。

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統合失調症治療、安定期の治療継続は妥当か

 抗精神病薬の継続的な治療は、すべての統合失調症患者に対するゴールドスタンダードの治療パラダイムとして推奨されているが、安定状態にあるすべての統合失調症患者に対し継続的な抗精神病薬が必要なのか、またそれが理にかなっているのか疑問を抱く臨床医も少なくない。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学精神科センターのMarc De Hert氏らは、安定状態にある統合失調症患者に対し、治療の継続が妥当であるか否かを明らかにするシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、治療継続は、プラセボおよび治療中断に比べて再発リスクが低く、再発までの期間も長いことを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2015年8月21日号の掲載報告。 本検討は、(1)統合失調症患者における再発/入院リスクを治療継続、治療中断、プラセボ投与で比較する、(2)再発リスクと治療状況との関連について、複数の研究特性を調べる、(3)再発までの期間と抗精神病薬による治療期間との関連性を調べることが目的であった。MEDLINE(1950~2014年11月まで)により系統的文献検索を行った。試験適格基準は、安定状態にある統合失調症患者を対象とし、再発/再入院または再発までの期間を、プラセボまたは治療中断と、治療継続[経口および持効性注射剤の第1または第2世代抗精神病薬(FGA/SGA)による治療]とで比較した無作為化対照試験で、6ヵ月以上のフォローアップが行われており、英語で発表されたものとした。また、他のシステマティックレビューやコクランレポートの参考文献を検索し、追加の研究を選定した。2件のメタ解析(プラセボ vs.継続、中断 vs.継続)を実施し、これら治療下で安定している統合失調症患者における再発/入院リスクの最適評価を行い、研究特性の役割を検証した。再発までの期間のデータに関しては、記述的分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析に適格と思われた48件の報告が同定され、そのうち21件が適格基準を満たした。・さらに、コクランおよびその他のシステマティックレビューで特定され、適格基準を満たした25件のデータを追加し、結果的に合計46件の報告が解析に組み込まれた。・治療期間6ヵ月以上の安定状態にある統合失調症患者の再発リスクは、治療継続群に比べて、治療中断群は3倍(オッズ比[OR]:3.36、95%信頼区間[CI]:2.36~5.45、p<0.0001)、プラセボ投与群は6倍(OR:5.64、95%CI:4.47~7.11、p<0.0001)高かった。・全試験を通して救済治療の有用性(p=0.0102)が、プラセボ群 vs.治療継続群の再発ORに関する系統的な差異を説明できる唯一の試験特性であった。・再発までの期間を報告した複数の試験で、再発(徴候)までの期間は、プラセボ群または治療中断群と比べて、治療継続群において一貫して有意な延長が認められた。・治療中断から症状再発までの期間は、ばらつきが大きかった。・臨床的安定の失敗を示す再発までの期間平均値は、治療中断では7~14ヵ月、プラセボでは5ヵ月早まっていることが示唆された。・解析に組み込んだすべての報告において、治療継続群において試験終了までに再発した患者が50%未満であったため、同群の再発までの期間中央値は評価できなかった。・治療継続は、プラセボおよび治療中断に比べ再発リスクが低く、無再発期間を延長した。また、治療中断群の“成功率”は、実際の成功率より高く見積もられていると思われた。・現時点では統合失調症の潜在的な再発予測因子はほとんど確認されておらず、再発が統合失調症患者における治療抵抗性のみならず機能悪化を惹起する可能性も示唆されることから、継続治療が、良好な臨床診療の“ゴールドスタンダード”であると思われる。関連医療ニュース 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か 統合失調症患者の抗コリン薬中止、その影響は ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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青色光への瞳孔対光反射、緑内障の早期発見に有用

 瞳孔対光反射は視覚系の完全性の評価に用いられる。シンガポール、デューク・シンガポール国立大学医科大学院のAnnadata V. Rukmini氏らは、色刺激瞳孔測定検査が原発開放隅角緑内障(POAG)における内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGCs)の機能障害の検出や、視神経損傷および視力障害の評価に用いることができるかどうかを検討する目的で横断研究を行った。その結果、緑内障では視野障害や視神経乳頭陥凹の程度に応じて高照射量の青色光に対する対光反射が減弱していることを明らかにした。著者は、「ipRGCsの機能を評価する短時間の色刺激瞳孔測定は、POAGにおいて、イメージ形成の視覚が伝わる網膜神経節細胞がどの程度損傷しているか推定するのに使用できる。この方法は緑内障の発見に役立つだろう」とまとめている。Ophthalmology誌2015年9月号の掲載報告。対光反射は高レベルの光照射量でのみ減少 本研究には、50歳以上の健常者161人(男性55人、中国系住民151人)およびPOAG患者40人(男性22人、中国系住民35人)が参加した。 Ganzfeld dome型光刺激装置を用いて片眼に青色光または赤色光の局所刺激を行い、赤外線瞳孔測定システムにて瞳孔径を記録した。各光刺激は、桿体、錐体およびipRGCsを順次活性化させるため、2分間にわたり徐々に増強した。 POAG患者では、標準自動視野測定(ハンフリー視野検査:HVF)および走査型レーザー検眼鏡検査(ハイデルベルグ網膜断層撮影:HRT)も行い瞳孔反応との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対光反射はPOPG患者において、ipRGCs活性化の範囲に相当する高レベルの光照射量でのみ減少した。・高照射量の青色光による刺激では、HVFのMD値のみならずHRTの陥凹/乳頭径比やその他の視神経乳頭パラメータと瞳孔径との間に有意な相関が観察された。・高照射量の青色光への瞳孔対光反射は赤色光への反応と比較して疾患の重要度とより強く関連していた。

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急性STEMIへのPCI前シクロスポリンは効果なし/NEJM

 急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対するプライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)前のシクロスポリン静注投与は、1年後の臨床的アウトカム改善には結び付かず、有害な左室リモデリングを予防しないことを、フランス・Arnaud de Villeneuve大学付属病院のThien-Tri Cung氏らが、多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、報告した。先行研究により、PCI前のシクロスポリン投与により、再灌流傷害の軽減および心筋梗塞のサイズ縮小が期待されていた。NEJM誌2015年9月10日号(オンライン版2015年8月30日号)掲載の報告より。3ヵ国42施設で970例を対象に二重盲検プラセボ対照無作為化試験 試験は2011年4月~2014年2月に、3ヵ国42施設で970例を登録して行われた。被験者は、責任冠動脈が完全閉塞しており発症後12時間以内にプライマリPCIを受けた急性前壁STEMI患者で、PCI前にシクロスポリン静注(2.5mg/kg体重)投与もしくはプラセボ投与を受ける群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、1年時点で評価した全死因死亡、初回入院中の心不全の悪化、心不全による再入院、有害な左室リモデリング(左室拡張終末期容積が15%超増加)の複合であった。1年時点の複合アウトカム発生オッズ比、シクロスポリン群が1.04 試験薬の投与を受け1年時点の主要アウトカム評価を受けたのは、シクロスポリン群395例、プラセボ群396例であった。 主要アウトカムの発生率は、シクロスポリン群59.0%、プラセボ群58.1%であり、シクロスポリン群のオッズ比は1.04(95%信頼区間[CI]:0.78~1.39、p=0.77)であった。 主要アウトカムの評価項目を個別にみても、また再梗塞、不安定狭心症、脳卒中などその他のイベント発生についても、シクロスポリンの抑制効果は認められなかった。オッズ比は、全死因死亡1.09(7.1% vs.6.6%、p=0.76)、心不全悪化または再入院1.01(22.8% vs.22.7%、p=0.97)、有害な左室リモデリング1.09(42.8% vs.40.7%、p=0.53)、心筋梗塞再発0.59(2.3% vs.3.8%、p=0.22)、心原性ショック1.09(6.6% vs.6.1%、p=0.77)、脳卒中0.58(1.8% vs.3.0%、p=0.25)などだった。 安全性プロファイルについては、治療群間で有意な差はみられなかった。

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事例70 セレコキシブ(商品名:セレコックス)錠100mgの査定【斬らレセプト】

解説事例は、セレコキシブ(セレコックス®)錠100mgを、初回投与として400mgを14日分院内処方したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす:過剰)を理由に半分量に査定となった。同じような事例が複数あったために調べてみた。添付文書の効能・効果には、「関節リウマチや、変形性関節症、腰痛症などに加えて手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎・鎮痛」とある。レセプトには、腰椎椎間板ヘルニアと腰部打撲症があり、外傷後と腰痛が含まれると推測できるため傷病名からみると問題はない。用法・用量をみると、通常、成人にはセレコキシブとして1回100mgを1日2回、朝・夕食後に経口投与する。「手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎・鎮痛」に対しては、臨時的に投与する場合を含め、通常、成人には初回のみ400mg、2回目以降は1回200mgを1日2回経口投与するとある。400mgは「服用初回のみ」に投与できる量であった。医師に確認すると、初回とは初回処方全体であると思い込んでいた。添付文書を示して説明したところ誤解に気づかれた。医療安全の確保のためにも、処方に対し、患者に投与する前に薬剤師のチェックがかけられるよう、システムの変更中である。

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わかる統計教室 第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比 セクション2

インデックスページへ戻る第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション2 よくあるオッズ比の間違った解釈セクション1はじめに、簡単な事例でオッズ比を勉強していきましょう。オッズは、競馬など賭け事でよく使われますので、勝負事の例で解説していきましょう。たとえば、スマホやパソコンにあるゲームを何でも良いので、5セットを1回として計2回やったとします。下の表5は、1回目と2回目のゲームの勝敗の成績を示したものです。ゲームの勝敗の成績を、仮に、セクション1で学んだ喫煙の有無と不整脈の有無との関係と同じ結果になるようにしました。では、オッズの説明をする前に、リスク比についてもう一度おさらいしておきましょう。この表5についてリスク比を求めて、表6でリスク比から何がいえるかを考えてみます。1回目の勝率は60%、2回目の勝率は20%、勝率の比、すなわちリスク比は、60%÷20%により3となります。リスク比から、1回目の勝率は2回目に比べ3倍であり、勝率をゲームの強さと考えると、1回目のゲームの強さは2回目に比べ3倍強いといえます。それでは、この成績表を用いてオッズ比について説明していきます。まず、1回目の勝数を2回目の勝数で割った値を「オッズ(Odds)」といいます。そして、1回目の負数を2回目の負数で割った値もオッズといいます。どちらもオッズというので混乱しそうになりますね。もう少し説明を続けます。勝数に着目すると、1回目の勝数(3勝)は2回目(1勝)に比べ3倍、すなわち、勝数オッズは3です。負数に着目すると、1回目の負数(2敗)は2回目(4敗)に比べ半分、すなわち、負数オッズは0.5となります。そして、ここからが大切なところですが、勝数オッズと負数オッズの比を「オッズ比(Odds Ratio)」というのです。オッズ比は3÷0.5で算出しますので、6となります。では、このオッズ比から、1回目の勝率が2回目に比べ6倍、1回目のゲームの強さは2回目の6倍だといってよいでしょうか?答えは間違い! 絶対ダメです。大間違いとなります! ここが、多くの方が陥るオッズ比の典型的な間違った解釈です。勝率(強さ)の比較は、リスク比でしかできないのです。では、オッズ比から何がわかるのでしょうか。実は、オッズ比の値が大きいとか、小さいといったことがわかるだけなのです。ですからオッズ比は、リスク比に比べ理解しにくく、そのため使い方に注意がとても必要となるのです。■オッズ比でわかるのは影響要因かどうかということ前回の表3の分割表を用い、喫煙の有無と不整脈の有無の事例について、リスク比とオッズ比を求めて、解釈してみましょう。リスク比とオッズ比を、下の表7にまとめてみました。喫煙者の不整脈のリスクが60%、非喫煙者の不整脈のリスクは20%、リスク比は60%÷ 20%で3となります。ですから、喫煙者が不整脈となるリスクは非喫煙者に比べ3倍であるといえます。次に、オッズ比を計算してみましょう。不整脈があるケースのオッズは、喫煙者が3、非喫煙者が1ですから、3÷1からオッズは3。不整脈がないケースのオッズは、喫煙者が2、非喫煙者が4のため、2÷4からオッズは0.5。これより、オッズ比は3÷0.5 で6となります。オッズ比の値は6と大きいので喫煙の有無は、不整脈の影響要因といえそうですが、絶対に間違ってはいけないのは、「喫煙者が不整脈となるリスクは、非喫煙者に比べ6倍だといってはいけない!」ということです。このように解説していくと、オッズ比はリスク比と比べるとあまり使い道がないように思われるかもしれません。しかし、実際の臨床研究の論文では、オッズ比はよく使われています。このように理解しにくいオッズ比が、なぜ臨床研究で使われているのか。それはそれなりに、オッズ比の活用法があるからということです。次回は、オッズ比を使うシーンを踏まえながら学習していきます。■今回のポイント1)オッズやオッズ比を算出して、「喫煙者は非喫煙者に比べ●倍、不整脈につながる」ということはいえない!2)オッズ比でわかるのは、影響要因かどうか、ということ!インデックスページへ戻る

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高齢者の認知機能に運動は影響しない?/JAMA

 ほとんど体を動かさない高齢者(sedentary older adults)を対象に、24ヵ月にわたる適度な運動プログラム介入 vs.健康教育プログラム介入を比較した結果、総合/特定領域認知機能の改善について有意な差はみられなかったことが示された。Kaycee M. Sink氏らが1,635例を対象に行った無作為化試験LIFEの結果、報告した。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。70~89歳高齢者1,635例を対象に24ヵ月間の介入効果を比較 LIFE(Lifestyle Interventions and Independence for Elders)試験は、2010年2月~2011年12月に米国内8施設で、1,635例を登録して行われた。被験者は、70~89歳の椅子に座っていることの多い生活を送る高齢者で、運動機能障害のリスクを有している(Short Physical Performance Batteryスコア[12ポイント]が9ポイント以下)が、400m歩行(15分以内)は可能であった。 被験者は、体系化した適度な身体活動(ウオーキング、筋肉トレーニング、柔軟体操など)プログラムの介入、もしくは健康教育(研修会と上肢ストレッチ)プログラムの介入を受けた。 LIFE試験では、認知機能のアウトカムは副次アウトカムとして規定され、Wechsler Adult Intelligence Scale(スコア範囲:0~133、高スコアほど機能良好を示す)のDigit Symbol Coding(DSC)タスクサブセット、および修正Hopkins Verbal Learning Test(HVLT-R、12単語リストの想起タスク)による評価が、被験者1,476例(90.3%)で行われた。また、3次アウトカムとして、24ヵ月時点の総合認知機能および実行認知機能、軽度認知障害(MCI)または認知症の発生などが含まれた。認知機能の改善、両群で差はみられず 24ヵ月時点で、DSCタスク/HVLT-Rスコア(施設、性別、ベースライン値で補正)について、群間差はみられなかった。 平均DSCタスクスコアは、運動介入群46.26ポイント vs.健康教育介入群46.28ポイント(平均差:-0.01ポイント、95%信頼区間[CI]:-0.80~0.77ポイント、p=0.97)であった。 平均HVLT-R遅延想起スコア(単語数)は、運動介入群7.22単語 vs.健康教育介入群7.25単語(同:-0.03単語、-0.29~0.24単語、p=0.84)であった。 その他のあらゆる認知機能評価および複合評価についても、差はみられなかった。 運動介入群で80歳以上の被験者(307例)、ベースラインの活動体力がより脆弱であった被験者(328例)は、健康教育介入群と比較した実行認知機能複合スコアの変化が有意に良好であった(両群間比較の相互作用p=0.01)。 MCIまたは認知症が認められたのは、運動介入群98例(13.2%)、健康教育介入群91例(12.1%)であった(オッズ比:1.08、95%CI:0.80~1.46)。

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世界の疾病負担は改善しているか:GBD 2013の最新知見/Lancet

 2012年、「世界の疾病負担(Global Burden of Disease:GBD)」の最初の調査(1993年)以降、初めての全面改訂の結果が公表された。この取り組みはGBD 2010研究と呼ばれ、世界187ヵ国の死亡および疾病の原因の情報に基づき、1990年と2010年の国別の障害調整生命年(disability-adjusted life-years:DALY)および健康調整平均余命(health-adjusted life expectancy:HALE)を報告している。その後、GBDは必要に応じて毎年更新することとなり、GBD 2013研究については、すでに国別の損失生存年数(years of life lost; YLL)や障害生存年数(years lived with disability; YLD)などのデータが公表されており、今回は最新の解析結果が報告された。Lancet誌オンライン版2015年8月27日号掲載の報告。1990~2013年の188ヵ国、306の疾病原因のDALY、HALEを評価 研究グループは、世界188ヵ国における1990~2013年の306種の傷病に関するDALYおよびHALEの評価を行った(Bill & Melinda Gates Foundationの助成による)。 既報のGBD 2013研究の年齢特異的死亡率、YLL、YLDのデータを用いて、1990、1995、2000、2005、2013年のDALYおよびHALEを算出した。 HALEの計算にはSullivan法を用い、国別、年齢別、性別、年度別の年齢特異的死亡率および1人当たりのYLDの不確定性を示す95%不確定性区間(uncertainty interval:UI)を算出した。 306の疾病原因に関する国別のDALYは、YLLとYLDの総和として推算し、YLL率とYLD率の不確定性を表す95%IUを算出した。 「疫学転換(epidemiological transition)」のパターンは、個人収入、15歳以降の学校教育の平均年数、総出生率、平均人口年齢から成る「社会的人口統計状況(sociodemographic status)」の複合指標で定量化した。 すべての国で疾病原因別のDALY率の階層的回帰分析を行い、社会的人口統計状況因子、国、年度に関する分散分析を行った。健康が増進しても保健システムへの需要は低下しない 世界的な出生時平均余命は、1990年の65.3年(95%UI:65.0~65.6)から2013年には71.5年(71.0~71.9)へと6.2年(5.6~6.6)延長した。 この間に、出生時HALEは56.9年(54.5~59.1)から62.3年(59.7~64.8)へと5.4年(4.9~5.8)上昇しており、総DALYは3.6%(0.3~7.4)減少し、10万人当たりの年齢標準化DALY率は26.7%(24.6~29.1)低下した。 1990年から2013年までに、感染性疾患、母体疾患、新生児疾患、栄養疾患の世界的なDALY、粗DALY率、年齢標準化DALY率はいずれも低下したのに対し、非感染性疾患の世界的なDALYは上昇しており、粗DALY率はほぼ一定で、年齢標準化DALY率は減少していた。 2005年から2013年の間に、心血管疾患や新生物などの特定の非感染性疾患のほか、デング熱、食物媒介吸虫類、リーシュマニア症のDALYが上昇したが、他のほぼすべての疾病原因のDALYは低下していた。2013年までのDALY上昇の5大原因は、虚血性心疾患、下気道感染症、脳血管疾患、腰頸部痛、道路交通傷害であった。 下痢/下気道感染症/他の一般的な感染性疾患、母体疾患、新生児疾患、栄養疾患、その他の感染性疾患/母体疾患/新生児疾患/栄養疾患、筋骨格系障害、その他の非感染性疾患の各国間の差や経時的な変動の50%以上は、社会的人口統計状況によって説明が可能であった。 一方、社会的人口統計状況は、心血管疾患、慢性呼吸器疾患、肝硬変、糖尿病/泌尿生殖器疾患/血液疾患/内分泌疾患、不慮の外傷のDALY率の変動については10%も説明できなかった。 また、予測されたとおり、社会的人口統計状況の上昇により、負担がYLLからYLDへと転換しており、筋骨格系障害、神経障害、精神/物質使用障害によるYLLの減少およびYLDの上昇が、これを促進したと考えられる。 平均余命の上昇はHALEの上昇よりも大きく、DALYの主原因には各国間に大きなばらつきが認められた。 著者は、「世界の疾病負担は改善している」と結論し、「人口増加と高齢化がDALYを押し上げているが、粗DALY率には相対的に変化はなく、これは健康の増進は保健システムへの需要の低下を意味しないことを示している。社会的人口統計状況が疾病負担の変動をもたらすとする疫学転換の概念は有用だが、疾病負担には、社会的人口統計状況とは関係のない大きな変動が存在する」とまとめている。 また、「これは、保健政策の立案や関係者の行動に向けて適切な情報を提供するには、国別のDALYおよびHALEの詳細な評価が必要であることをいっそう強調するもの」と指摘している。

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事例69 腫瘍マーカーの査定【斬らレセプト】

解説事例では、前々月の病名開始日のまま実施したD009腫瘍マーカー4項目以上がD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの:算定要件誤り)にてすべて査定となった。医師は、「腫瘍マーカーの値が異常値を示しているために、頻回の検査を要した」とコメントしている。しかし、点数表の腫瘍マーカーの注1には、「診療及び腫瘍マーカー以外の検査の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者に対して、腫瘍マーカーの検査を行った場合に、1回に限り算定する」とある。審査支払機関では、コンピュータを使った過去6ヵ月間の縦覧点検も毎月行っている。その縦覧点検において、5月のレセプトに腫瘍マーカーの算定があり、7月のレセプトにも5月のレセプトと同じ疑い病名と同じ診療開始日、ならびに腫瘍マーカーの算定があることが指摘された。このため7月に算定された腫瘍マーカーは5月の診療開始日から2回目であると判断され、注1に掲げられた「転帰又は病名確定までの期間に1回のみ」との取り扱いが適用、査定となったのである。医学的には検査値を追うことが診断の補助になるが、保険診療では悪性腫瘍であることを強く疑った検査などの実施がないと、予防的検査として査定対象となる。注意して算定をしていただきたい。

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音楽療法が不眠症に有用

 不眠症は、現代社会において一般的な睡眠障害であり、生活の質の低下を引き起こし、身体的および精神的健康を損なう。音楽鑑賞が睡眠を助ける手段として広く用いられているが、それが成人の不眠症を実際に改善しうるか否かは依然不明確であった。デンマーク・オーフス大学のKira V Jespersen氏らは、成人の不眠症に対する音楽療法の有効性を明らかにするため、メタ解析を行った。その結果、音楽療法は通常の治療法に比べ、睡眠の質の改善に有効であることを示唆するエビデンスが得られたことを報告した。今回の結果を踏まえて著者らは、「音楽療法は安全で、その導入は簡便である。さらなる研究により、音楽鑑賞等の睡眠の側面に対する効果や、不眠症に起因する日中の症状に対する効果を確立することが求められる」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviews誌オンライン版2015年8月13日号の掲載報告。 研究グループは、音楽鑑賞が成人の不眠症に及ぼす効果と、その効果を減じる可能性がある特定の事象の影響について評価した。2015年5月にCENTRAL、PubMed、Embase、その他の9つのデータベース、2件の試験登録を検索した。さらに、音楽療法に特化した雑誌、試験に掲載されている参考文献リストを手動検索したり、未発表あるいは進行中の試験を含めて包含に適格な追加試験を特定するため、公表されている著者への問い合わせなども行った。試験の選択基準は、成人の不眠症において、音楽療法単独と未治療または通常の治療法の効果とを比較しているランダム化対照試験および準ランダム化対照試験とした。著者2人が個別に抄録をスクリーニングして試験を選択し、バイアスリスクを評価して、適格基準を満たすすべての試験からデータを抽出した。2件以上の試験で一貫した報告がなされていた場合は、事前に規定されたアウトカムのデータについてメタ解析を行った。メタ解析は固定効果モデルとランダム効果モデルの両方を用いて実施した。試験間における不均質性はI2検定で検証した。 主な結果は以下のとおり。・6試験、被験者計314例が解析対象例となった。・試験では、事前に録音された音楽を毎日25~60分間、3日間~5週間聴くことの効果を検討していた。・音楽鑑賞が睡眠の質に及ぼす効果を評価している5試験のエビデンスについて、Grades of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation(GRADE)アプローチに基づき判定した結果、中等度の質と判断された。・睡眠の別の側面(下記参照)を検討した1試験のエビデンスについては、質が低いと判定した。・試験デザインの限界や公表されている唯一の試験であることなどを主な理由とし、エビデンスレベルのダウングレードを行った。・バイアスリスクに関しては、大半の試験で1項目以上に高いバイアスリスクを認めた。 ●選択バイアスのリスクが高い試験が1件、同試験のリスクは不明と判断された。 ●施行バイアスのリスクが高い試験が6件。 ●検出バイアスのリスクが高い試験が3件。 ●症例減少バイアスのリスクが高い試験が1件、同試験のリスクは不明と判断された。 ●報告バイアスのリスクが不明確と判断された試験が2件。 ●その他のバイアスリスクが高い試験が4件。・メタ解析には、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いて睡眠の質を評価した5試験(264例)を包含した。・ランダム効果を用いたメタ解析により、音楽療法に優位な結果が示された(平均差[MD]:-2.80、95%信頼区間[CI]:-3.42~-2.17、Z=8.77、p<0.00001、エビデンスの質は中等度)。・エフェクトサイズから、未治療または通常の治療に比べ、介入(音楽療法)は睡眠の質向上において、約1標準偏差、優れることが示唆された。・睡眠潜時、総睡眠時間、中途覚醒、睡眠効率のデータを報告した試験が1件(50例、エビデンスの質は低い)のみあった。それらのアウトカムに介入が有益であることを示唆するエビデンスは認められなかった。・いずれの試験においても、有害事象の報告はなかった。関連医療ニュース 不眠症併存患者に対する非薬物療法の有効性 睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか 温泉療法でうつや睡眠も改善  担当者へのご意見箱はこちら

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Dr.林の笑劇的救急問答11 心臓以外の胸痛編

第1回 肺塞栓(診断編)「突き刺すような胸痛を訴える47歳男性」第2回 肺塞栓(Massive)「胸痛と息切れの70歳男性」第3回 食道破裂 「嘔吐後に突然発症の胸背部痛の50歳男性」第4回 自然気胸 「ランニング中 息苦しくなった25歳男性」 Dr.林による救急シリーズも第11作目に突入!ますますパワーアップの今作は心臓以外の胸痛編とショック編の2部構成。心臓以外の胸痛編では肺塞栓、食道破裂、気胸を取り上げます。「検査のしすぎは悪いことはあってもいいことはない。」救急診療の場面で、どうやって必要な検査を選択し、診断を絞り込んでいくのか。Dr.林の愛があふれる講義で身につけていきましょう。笑いあり、涙ありの爆笑症例ドラマにもヒントがいっぱい!笑いながら楽しく学んでください。第1回 肺塞栓(診断編)「突き刺すような胸痛を訴える47歳男性」胸痛の3大疾患の1つである肺塞栓の診断についてみていきます。ここでは軽症の肺塞栓を取り上げます。軽症の場合は、「数日かかって発症」、「下肢のDVTがない」、「呼吸困難、頻呼吸、胸膜痛がない」こともあります。その上、バイタルサインが安定してもPEがあるこことも・・・。こうやって騙されていくのです、そう安易に除外してはダメなのです。それでは、どうすればよいのでしょうか?全例CT?D-dimerも?「検査のし過ぎは悪いことはあってもいいことはない」。面倒くさがらないでリスク評価を行いましょう。第2回 肺塞栓(Massive) 「胸痛と息切れの70歳男性」今回は肺塞栓の中でも広範型、亜広範型、つまり高リスクな肺塞栓について解説します。広範型の肺塞栓は素早い判断と処置が求められます。そのために必要な検査は?どうやって診断を絞るのか?そして、その治療方法は?たくさんの選択肢の中から、本当に必要なこと、その優先順位を明確にお教えします!第3回 食道破裂 「嘔吐後に突然発症の胸背部痛の50歳男性」胸痛といえば、心筋梗塞、大動脈解離、肺塞栓が3大疾患となりますが、それらが否定できたとき、鑑別に上げるべき疾患を考えてきましょう。今回は「食道破裂」です。食道破裂は、非常にまれな疾患ですが、見逃すと命にかかわる重篤な疾患です。めったに診ることのないこの疾患に出会ったときに見逃さないためのポイントをDr.林が徹底的にお教えします。臨床像、疫学、症状、病、身体所見、そして有用な検査まで、しっかりと学んでください。第4回 自然気胸 「ランニング中 息苦しくなった25歳男性」今回は、自然気胸を中心に解説します。小さな気胸は見落としやすく、なかなか診断がつかないことも。今回はすぐにできて侵襲の少ない検査、超音波で見つけ出す方法を詳しくお教えします。Aライン、Bライン、バットマン、Sliding sign、Lung pointなど、肺エコーの肝を学びましょう。そして、気胸⇒胸腔ドレナージ・・・ちょっと待って!それはきちんと気胸を評価してから行うかどうかを考えましょう。その他、心臓由来以外の胸痛で、ちょっと覚えておくべき疾患もチェック!

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チック症に対する非定型抗精神病薬の有用性は

 チック症群は、小児における一般的な神経精神疾患である。これまで、チック症状をコントロールするため、ハロペリドールやピモジドといった古典的な抗精神病薬が第1選択薬として用いられてきた。最近では、副作用の問題から新規抗精神病薬が用いられており、アリピプラゾールは、その選択肢の1つである。中国・四川大学中国西部第二病院のChun-Song Yang氏らは、チック症群の小児に対するアリピプラゾールの有効性、安全性を評価するため、系統的レビューとメタ分析を行った。BMC psychiatry誌2015年7月29日号の報告。 チック症群の小児を対象にアリピプラゾールを評価した無作為化比較試験、準ランダム化比較試験、対照研究を、PubMed、Embase、Cochrane library、Cochrane Central、4つの中国データベースおよび関連文献リストから同定した。質の評価には、Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsを参照した。 主な結果は以下のとおり。・935例を含む12件の研究が同定されたが、全般的な質は不良だった。・1件の研究のみが、対照群としてプラセボを使用しており、その他は実薬を対照薬として用いていた。・対象患者の年齢は4~18歳、治療期間は8~12週であった。・7件の研究(600例)は、アウトカム測定にYGTSSスケールを使用しており、アリピプラゾール群と実薬対照群との間で、総YGTSSスコアの減少に有意な差は認められなかった(MD:-0.48、95%CI:-6.22~5.26、p=0.87、I2:87%)。・ハロペリドールとアリピプラゾールを比較した4件の研究(285例)のメタ分析では、総YGTSSスコアの減少に有意差は認められなかった(MD:2.50、95%CI:-6.93~11.92、p=0.60、I2:88%)。・チアプリドとアリピプラゾールを比較した2つの研究(255例)のメタ分析では、総YGTSSスコアの減少に有意差は認められなかった(MD:-3.15、95%CI:-11.38~5.09、p=0.45、I2:86%)。・有害事象は、11件の研究で報告されていた。共通な有害事象は、眠気(5.1~58.1%)、食欲増加(3.2~25.8%)、悪心(2~18.8%)、頭痛(2~16.1%)であった。 以上の結果より、著者らは「アリピプラゾールは、チック症群の小児に対し有望な治療薬であるとし、適切な対照を置いた無作為化比較試験で明らかにする必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 抗精神病薬のQT延長リスク、アリピプラゾールはどうか 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症にアリピプラゾール補助療法 2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは  担当者へのご意見箱はこちら

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ステント内再狭窄の至適治療戦略は?/Lancet

 ステント内再狭窄(ISR)の経皮的治療について、エベロリムス薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈介入(PCI)と薬剤コーティングバルーン(drug-coated balloons:DCB)治療の2つが、考慮すべき治療戦略であることが、スイス・ベルン大学病院のGeorge C M Siontis氏らによるネットワークメタ解析の結果、示された。その理由について著者は、「前者は、血管造影の径狭窄率が最も良好である。後者は、新たなステント層を追加することなく良好な成績が得られるからだ」と述べている。薬剤溶出ステントを用いたPCIは、未治療の冠動脈狭窄症の標準治療となっている。しかし、これまでベアメタルステントや薬剤溶出ステントのISRに対する至適治療は確立されていなかなった。Lancet誌2015年8月15日号掲載の報告より。ネットワークメタ解析で、エビデンスを統合しランク付け 研究グループは、ISRの経皮的治療戦略を比較しランク付けるため、ネットワークメタ解析で、関連するすべての無作為化比較試験のエビデンスを統合して検討した。2014年10月31日時点でPubMed、Cochrane Library Central Register of Controlled Trials、Embaseを検索し、タイプを問わない冠動脈ISRの治療に関する種々のPCI戦略についての無作為化比較試験の発表論文を特定した。 主要アウトカムは、フォローアップ血管造影時の径狭窄率であった。考慮すべき戦略は、エベロリムス薬剤溶出ステント・PCIとDCB 検索で適格条件を満たした27試験・5,923例のデータが解析に組み込まれた。介入後フォローアップの期間は6ヵ月から60ヵ月。そのうち、血管造影のフォローアップが入手できたのは、4,975/5,923例(84%)・介入後6~12ヵ月であった。 解析の結果、径狭窄率でみた有効性が最も優れていたのは、エベロリムス薬剤溶出ステント・PCIで、その他の治療戦略との差は、対DCBで-9.0%(95%信頼区間[CI]:-15.8~2.2)、対シロリムス溶出ステント-9.4%(-17.4~-1.4)、対パクリタキセル溶出ステント-10.2%(-18.4~-2.0)、対冠動脈内放射線治療(vascular brachytherapy)-19.2%(-28.2~-10.4)、対ベアメタルステント-23.4%(-36.2~-10.8)、対バルーン血管形成術-24.2%(-32.2~-16.4)、対ロタブレーション-31.8%(-44.8~-18.6)であった。 2番目に有効性が高い治療としてランク付けされたのはDCBであった。シロリムス溶出ステント(-0.2%、95%CI:-6.2~5.6)やパクリタキセル溶出ステント(-1.2%、-6.4~4.2)と有意な差は認められなかったが、著者は、「新たなステント層を追加することなく良好な成績が得られるので」と述べている。 これらの結果を踏まえて著者は、「あらゆる冠動脈ISRに関して、2つの治療が考慮すべき戦略であることが示された」とまとめている。

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事例68 脈波図、心機図、ポリグラフの査定【斬らレセプト】

解説事例では、左下肢の冷感と間歇性跛行を訴え受診、脈波図4検査を行い、D214脈波図、心機図、ポリグラフ「3」3又は4検査を算定したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす:過剰)を理由にD214「6」 血管伸展性検査に減額査定となった。脈波図などの算定留意事項をみると、「血管伸展性検査は、描写し記録した脈波図により脈波伝達速度を求めるものであり、このために行った脈波図検査と併せて算定できない」と規定されている。閉塞性動脈硬化症の状態を判断するためには、脈波図を参考にして、脈波伝播速度まで計算する。算定留意事項に直接的な記載がなくても、閉塞性動脈硬化症に対する脈波図等検査は、血管伸展性検査で算定することになる。医師にこのことを伝え、事例のような場合には、直接的には脈波図の測定であっても血管伸展性検査を入力するようにお願いした。なお、まれに脈波図2検査のみで脈波伝播速度を求める場合には、点数の低い2検査の区分での算定は認められるとされている。

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トランス脂肪酸だけが健康に悪いのか/BMJ

 飽和脂肪酸の摂取と、全死因死亡、心血管疾患(CVD)、冠動脈疾患(CHD)、虚血性脳卒中、2型糖尿病との関連は認められなかったが、そのエビデンスは限定的であることが示された。一方、トランス脂肪酸の摂取は、全死因死亡、総CHD発生、CHD死と関連していたが、それは工業型トランス脂肪酸の摂取が反すう動物由来トランス脂肪酸の摂取よりも多いためであることが示唆された。カナダ・マックマスター大学のRussell J de Souza氏らが、観察試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年8月11日号掲載の報告より。飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の健康アウトカムとの関連を評価 食事のアドバイスに関して、直近のシステマティックレビューおよびメタ解析の著者らは、飽和脂肪酸の摂取と過剰な心血管リスクとの関連性はないと主張している。また米国では最近、加工食品に部分水素添加植物性油脂を使用しないよう求めるポリシーアクションを採択した。一方で健康ガイドラインでは、これら栄養素の有害性エビデンスについて、代替栄養素にも焦点を当てて慎重にレビューと評価を行うことを定めており、今回研究グループは、飽和脂肪酸とトランス不飽和脂肪酸(すべて、工業型、反すう動物由来)の摂取と全死因死亡、CVD(発生および死亡)、CHD(発生および死亡)、虚血性脳卒中、2型糖尿病との関連を調べるシステマティックレビューとメタ解析を行った。 発行開始から2015年5月1日時点までのMedline、Embase、Cochrane Central Registry of Controlled Trials、Evidence-Based Medicine Reviews、CINAHLを検索。検索論文および既往レビューの参考文献も検索対象に含め、上記の関連について報告していた観察試験を選択した。2人のレビュワーがそれぞれデータを抽出し、試験のバイアスリスクを評価。多変量相対リスクをプールして、不均一性を評価し定量化した。潜在的出版バイアスを評価し、サブグループ解析も行った。エビデンスの質および結論の確実性の評価にはGRADEアプローチを用いた。飽和脂肪酸の低リスクエビデンスは「非常に低い」 飽和脂肪酸について適格基準を満たしプールされた前向きコホート試験は、3件(CVD死との関連試験)~12件(総CHDおよび虚血性脳卒中との関連試験)にわたっていた。比較検討は5件(CVD死との関連試験)~17件(総CHDとの関連試験)、被験者数は9万501例(CVD死との関連試験)~33万9,090例(虚血性脳卒中との関連試験)であった。 結果、飽和脂肪酸摂取と、全死因死亡(相対リスク:0.99、95%信頼区間[CI]:0.91~1.09)、CVD死(0.97、0.84~1.12)、総CHD(1.06、0.95~1.17)、虚血性脳卒中(1.02、0.90~1.15)、2型糖尿病(0.95、0.88~1.03)との関連はいずれも認められなかった。CHD死との関連は説得力がないとは言えないものであった(1.15、0.97~1.36、p=0.10)。 トランス脂肪酸についてプールされた前向きコホート試験は、1件(反すう動物由来の全死因死亡との関連試験)~6件(すべてのトランス脂肪酸の2型糖尿病との関連試験)。比較検討は2件~7件、被験者数は1万2,942例(反すう動物由来の2型糖尿病との関連試験)~23万135例(すべてのトランス脂肪酸の2型糖尿病との関連試験)であった。なお、工業型トランス脂肪酸と虚血性脳卒中および2型糖尿病との関連、また反すう動物由来トランス脂肪酸と虚血性脳卒中との関連については、プール可能な試験が得られなかった。 分析の結果、すべてのトランス脂肪酸摂取と、全死因死亡(1.34、1.16~1.56、p<0.001)、CHD死(1.28、1.09~1.50、p=0.003)、総CHD(1.21、1.10~1.33、p<0.001)との関係が認められた一方、虚血性脳卒中(1.07、0.88~1.28、p=0.50)、2型糖尿病(1.10、0.95~1.27、p=0.21)との関連は認められなかった。 工業型トランス脂肪酸との関連は認められたが反すう動物由来トランス脂肪酸との関連は認められなかったのは、CHD死(1.18[1.04~1.33、p=0.009] vs.1.01[0.71~1.43、p=0.95])、CHD(1.42[1.05~1.92、p=0.02] vs.0.93[0.73~1.18、p=0.55])であった。 一方で、反すう動物由来トランス脂肪酸と2型糖尿病では逆相関の関連がみられた(0.58、0.46~0.74、p<0.001)。 しかし、GRADEによる検討の結果、飽和脂肪酸とすべてのアウトカムとの関連の確実性は「非常に低い」もので、トランス脂肪酸とCHDアウトカムとの関連性の確実性は「中程度」であり、その他の関連については「非常に低い」か「低い」ものであった。 これらの結果を踏まえて著者は、「食事ガイドラインは、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸に代わる推奨主要栄養素が、健康に与える影響を十分に考慮すべきである」と述べている。

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治療薬の開発が進むアミロイドーシスの最新知見

 第3回日本アミロイドーシス研究会学術集会(大会長:安東 由喜雄氏[熊本大学大学院 生命科学研究部 神経内科学分野 教授])が、8月21日、東京都内にて開催された。今回は約60題に上る演題発表のほか、シンポジウム、特別講演が行われた。多様な症候を示すアミロイドーシス モーニングセミナーでは、山下 太郎 氏(熊本大学医学部附属病院 神経内科 アミロイドーシス診療体制構築事業 特任教授)が、「アミロイドーシスの早期診断と早期治療の重要性」と題し、レクチャーを行った。 セミナーでは、「本症は約60年前に発見されて以来、今日まで診断法と治療法の研究がされてきた」と疾患の歴史からひも解くとともに、主に家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)にフォーカスをあて解説が行われた。 アミロイドーシスは、特異なタンパクであるアミロイドがさまざまな臓器の細胞外に沈着することで、機能障害を引き起こす疾患群である。現在31種類のアミロイド前駆タンパク質が確認され、沈着する種々のタンパク質に応じて分類がされている(その1つにFAPに関連するトランスサイレチン〔TTR〕がある)。これら原因タンパクにより病型が異なり、病型により治療法も変わるために、確実な診断が重要となる。しかし、一般に全身性アミロイドーシスでは、多臓器に障害がみられ、多彩な症候を示すために、確定診断まで難渋される。 初発症状としては、全身倦怠感などの非特異的症状のほか、末梢神経障害による手足のしびれ、自律神経障害による起立性低血圧、消化管アミロイドーシスによる吐気、下痢、巨舌、心アミロイドーシスによる心肥大や不整脈、腎障害によるタンパク尿、浮腫、皮下出血などがみられる。 検査では、抗TTR抗体を用いた免疫染色などの組織診断、血清診断、遺伝子診断などが鑑別診断のため行われる。確定診断には、病理学的な検査が不可欠であり、組織の生検部位として障害臓器はもとより、消化管粘膜や腹壁脂肪での生検診断も可能である。また、近年では、レーザーマイクロダイセクションと液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析など検査機器の進歩により、沈着タンパクの同定が可能となってきた。現在、熊本大学や信州大学などの施設で病型診断が行われている。その他の所見として、心胸郭比の拡大、心エコーによる心筋肥厚や輝度上昇、BNP、NT-proBNPの上昇も参考となる。 本症では、早期診断による、迅速な治療が患者の生命予後を左右するので、専門医や専門医療機関への紹介をお願いしたい。開発が待たれる内科的治療 現在、アミロイドーシスの治療ではFAPで肝移植や内科的治療、ALアミロイドーシスに対する自家末梢血幹細胞移植、AAアミロイドーシスに対する生物学的製剤などが行われている。 とくにFAPでは、TTRが肝臓で産生されることから早期の患者には肝移植が行われている。確かに肝移植後の生命予後は改善され、病期の進行も抑制される一方で、移植後でも症候が残ること、一部の患者では症候の悪化があること、移植ドナーの不足の問題など多くの課題が残されている。こうしたこともあり、内科的治療が模索され、2013年からは、アミロイド形成に関わるTTR四量体を安定化させるタファミジス(商品名:ビンダケル)が保険適用となり、FAPの肝移植が困難な患者や移植抵抗性の患者に対し、使用されている。そして、病期の進行を抑制する有効な治療薬となっている。 その他にも、siRNAやASOによる肝臓でのTTR発現抑制を目的とした核酸医薬医療は、世界規模の臨床試験がスタートしており、治療への効果が期待されているほか、免疫療法として、沈着したアミロイドに対する治療の研究も現在進められている。 次回第4回学術集会は、2016年8月19日に山田 正仁 会長(金沢大学大学院 教授)のもと都内において開催される予定である。参考サイト日本アミロイドーシス研究会 熊本大学 アミロイドーシス診療体制構築事業ホームページ ケアネットの関連コンテンツ希少疾病ライブラリ 家族性アミロイドポリニューロパチー家族性アミロイドポリニューロパチー 早期診断のコツ画像を拡大する

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