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臨床試験は結果を共有するだけでなく、生データについても共有する時代になった(解説:折笠 秀樹 氏)-716

 臨床試験の結果や生データの共有化あるいは透明性について、製薬企業の方針(Policy)に関する調査結果である。研究デザインはStructured auditとあったので、企業へ聞き取り調査でもしたかと思ったが、そうではなかった。グーグル検索により企業方針を調査した研究である。 全部で42社について調査したが、その中で売り上げトップ23社をサブ解析した。調査内容は何かというと、臨床試験の事前登録・臨床試験結果の公開(論文あるいはClinicalTrials.govサイトを通じて公衆と共有)・詳細な社内報告書の公開・生データの公開の4方針である。すべてにおいて、トップ23社で高かった(4方針とも21/23、96%の充足率)。全体では約70%の充足率なので、その他企業では50%程度の充足率と思われる。日本からは6社が調査対象になっていた。大日本住友製薬を除く5社(アステラス製薬・第一三共・エーザイ・大塚・武田)ではパーフェクトだった。 事前登録については、2005年にNew England Journal of Medicine誌で宣言された。その後、取り入れた企業が多かったためか、米国製薬協では2006年より事前登録を公約している。残念ながら、その他の3方針については、2010年の米国製薬協方針でもすべてNoだった。 生データの共有化については、2015年に同じくNew England Journal of Medicine誌において「展望」として記事が掲載された。その後も、多くの医学誌でData Sharingの必要性が唱えられている。本調査での充足率は全体ではまだ70%程度のようであった。私が関与したJELIS試験(持田製薬主宰)では、コクラン共同計画からIPD解析のためデータ提供が依頼され、受諾した記憶がある。多くの企業では、こうしたメタ解析で利用されるのは歓迎されているものと承知している。 ヘルシンキ宣言には、臨床試験は事前に登録し、得られた結果は結果のいかんに関わらず公表しなければならないと書かれている(35、36条)。今後は結果の共有化のみならず、生データの共有化についても進むことが予想される。情報の機密性には留意しなければならないが、苦労して収集されたデータの多くが眠ったままというのはもったいない。何か揚げ足を取られると心配する研究者もいるだろうが、それよりは限られたリソースを有効利用するよう前向きに考えたいものである。

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レボシメンダン、冠動脈バイパス術前投与に効果なし/JAMA

 人工心肺装置を用いた冠動脈バイパス術(CABG)実施予定で、左室駆出分画率が40%以下の患者に対し、levosimendanを術前投与しても、術後アウトカムは改善しないことが示された。フランス・ジョルジュ・ポンピドゥー欧州病院のBernard Cholley氏らが、336例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験「LICORN」の結果を報告したもので、JAMA誌2017年8月8日号で発表した。心臓手術後の低心拍出量症候群は、左室機能障害を有する患者で高い死亡率と関連している。術前にlevosimendanを24時間注入 研究グループは2013年6月~2015年5月にかけて、フランス国内13ヵ所の心臓外科センターを通じ、左室駆出分画率が40%以下で、人工心肺装置を用いた単独または弁置換術と同時CABGを実施予定の患者336例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に1対1の割合で2群に分け、術前の麻酔誘発前に、一方の群にはlevosimendan(0.1μg/kg/分)を、もう一方の群にはプラセボを24時間投与し、術後6ヵ月間追跡した。 主要複合エンドポイントは、次のいずれかとした。(1)levosimendan投与開始後48時間以降にカテコラミン注入を必要とする、(2)術後に左室補助人工心臓を要する、または術前に挿入した場合にはlevosimendan投与開始後96時間に離脱できない状態、(3)術後集中治療室滞在期間に腎代替療法を必要とする。 同グループは、levosimendan群の主要複合エンドポイントの発生リスクは15%低減すると仮定した。エンドポイント発生率は両群で同等 被験者の平均年齢は68歳、女性は16%。試験を終了したのは333例だった。解析には、levosimendan群167例、プラセボ群168例が包含された。 主要複合エンドポイントの発生率は、プラセボ群61%(101例)、levosimendan群52%(87例)と、両群間で有意な差は認められなかった(センターエフェクトを補正後の絶対リスク差:-7%、95%信頼区間[CI]:-17~3、p=0.15)。 事前に規定したサブグループ解析でも、左室駆出分画率30%未満、手術のタイプ別、術前のβ遮断薬の服用、動脈内バルーンポンプの使用、カテコラミン投与のいずれについても、アウトカムとの関連は認められなかった。著者は、「これら指標について、levosimendanの使用を指示しないものであった」とまとめている。 なお、低血圧(57% vs.48%)、心房細動(50% vs.40%)、およびその他の有害事象の発生率は両群で有意差はみられなかった。

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第7回 返戻は診療行為を主張するチャンスである【医師が知っておきたいレセプトの話】

前回は「症状詳記」の内容について確認しました。今回は、症状詳記の添付が必要になるケースの1つである「返戻(へんれい)」について一緒に確認していきましょう。返戻って何ですか?レセプト内容の不備などの理由から、審査支払機関が医療機関にレセプトを差し戻すことを「返戻」といいます。第5回で学んだ「査定」は、“減額しました”という決定事項の「報告」でした。一方、「返戻」は、不備によって修正が必要なため、情報の追加、訂正を行い“また提出してください”と、「再提出」を促している点が「査定」と異なります。返戻になったレセプトに関しては、以下の図にある「返戻内訳書」で、対象の患者さんと返戻の内容が医療機関に通知されます。では、どのようなレセプト内容が「返戻」の対象になるのかを見ていきましょう。画像を拡大する返戻の理由返戻理由の主だったものは、患者さんの健康保険に関する情報である「被保険者番号」や「記号番号の相違」、診療報酬の情報である「診療報酬点数の相違」といった入力内容の不備が多いようです。事務的な不備に関しては、事務職員が正しい情報に訂正し、再提出を行いますので、医師の業務領域ではありません。しかし、先生方が大きく関与する返戻理由もあるのです。まず、審査支払機関の返戻に関する方針を確認してみましょう。支払基金における審査は、医療機関等から提出されたレセプトに記載されている事項について、書面審査を基調として、療養担当規則、厚生労働大臣の定めた診療報酬点数表及び関連通知並びに薬事法による承認事項等、国が定めた保険診療ルールに基づき適正に算定されているかについて、審査委員による医学的見地から審査を実施しています。しかしながら、審査上特に疑義が生じた場合は、当該医療機関等に照会・返戻することとしています。ルールに基づきレセプトの審査を行い、適正に算定されていなければ「査定」を行い、「とくに内容の確認が必要な場合」のみ「返戻」されるということが記載されています。では、どのような内容が「返戻」の対象になるのでしょうか?一概に審査決定することが困難な事例で、診療内容から判断して医療機関等に症状詳記を求める必要があると思われる事例。また、明らかに傷病名の記載が漏れている事例(当該明細書に記載された診療行為の大部分を査定することとなる事例に限る)。返戻対象になるものとしては、提出されたレセプト内容だけでは審査員が診療内容の妥当性の判断ができない場合と、傷病名の入力漏れにより大部分が査定になってしまう場合です。先生方にはこれらのケースで、関与していただくことになります。つまり、前者のケースでは返戻されたレセプト内容を確認後、前回確認した症状詳記を作成し、後者のケースでは漏れていた傷病名の登録を行い、再提出をした後、あらためて審査してもらうことになります。医師にとっては、適切な医療を提供したという主張を行うせっかくのチャンスです。丁寧、迅速に対応し、早期に報酬面で評価されるようにしていきたいですね。参考1)社会保険診療報酬支払基金ホームページ

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問13

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問13 重回帰式(モデル式)の予測精度は?前回から重回帰分析についての説明を開始しています。今回は重回帰分析で求められた重回帰式(モデル式)の予測精度について説明します。■残差前回の質問12の事例(ドラッグストアのサプリメントXの売上)で求めた重回帰式です。売上額=0.00786×広告費+0.539×店員数+1.148表1の重回帰分析では、左辺の売上額を実績値、右辺の計算値を理論値といいます。表1 前回の事例の重回帰式からみた売上額予想そして、表2のように「実績値」と「理論値」だけ抽出し、「残差」の欄を追加してみました。表2 事例の実績値、理論値、残差図1では実績値から理論値を引いた値である残差を示しています。図1 各年の売上額の残差■決定係数により予測精度を調べる重回帰分析は、実績値と理論値とが近くなるように重回帰式の係数を見つける手法であることを述べました。それでは、重回帰分析を適用すれば、どんな場合でも実績値と理論値が近くなるのでしょうか。結論からいうと、用いる説明変数が目的変数に関係のないものばかりであれば、理論値を実績値に近づけることはできません。「サプリメントXの売上事例」のデータを図2に示す相関図で表してみると、広告費が大きければ売上額が大きくなり、両者に高い相関があることがわかります。同様に店員数と売上額の相関図から、両者の間にも高い相関があることがわかります。図2 事例の売上の相関図※相関図、相関係数 ⇒ 質問10 その1このように、売上額と相関の高い説明変数を用いたので、実績値と理論値とは近づいたのです。仮に、売上額と相関がないと考えられる店員の平均体重や平均身長だけを説明変数にしたら、実績値と理論値とは近づきません。上手な説明変数の選択方法は後ほど説明することにして、ここでは、説明変数の選択が良ければ実績値と理論値が近づき、重回帰分析を首尾よく終了できることを理解してください。実績値と理論値が近くなるほど、「分析の精度」が良い、あるいは重回帰式の当てはまり具合が良いともいえます。予測は重回帰式を使って行うので、精度の悪い重回帰式では予測ができないということになります。分析の精度を1つの数値で表すことができれば、この尺度を用いて、求められた重回帰式が予測に使えるかどうかを判断することができます。では、「サプリメントXの売上事例」での分析精度を調べてみましょう。■残差平方和表3に「ドラッグストアのサプリメントXの売上事例」の残差と残差の2乗を示します。表3 売上事例の残差平方和残差が小さいほど分析精度が良いことは、おわかりいただけたと思います。次に、残差の合計を計算してみます。残差の合計は0になります。この例だけではなく、どのような場合も0になります。したがって残差の合計は、分析の精度を知る尺度としては使えません。そこで、統計学でよく使うテクニックですが、残差の2乗を計算し、これを合計してみます。この値を「残差平方和」といい、Seで表します。残差平方和Seは2.06で、0ではありません。したがってSeが分析の精度を知る尺度として使えそうです。次に表4で、「サプリメントXの売上事例」の「偏差平方和」を求めてみます。※偏差平方和 ⇒ 第3回 理解しておきたい検定 セクション3 データのバラツキを調べる標準偏差表4 事例の売上の偏差平方和■決定係数表4の売上額の偏差平方和は56です。偏差平方和をSyyで表します。Syyに対するSeの割合を求め、これを1から引いた値をR2とします。R2を「決定係数」といいます。表5のように当てはまり具合が最も悪い場合は、すべての営業所において理論値が目的変数の平均値と等しくなるときです。このとき、Se=Syyとなり、上式よりR2=0となります。表5 当てはまり具合の最も悪い場合表6のように当てはまり具合が最も良い場合は、すべての営業所において、理論値が実績値と等しくなるときで、Se=0となります。このとき、R2は上式より1となります。表6 当てはまり具合のもっとも良い場合今まで述べてきたことからおわかりのように、決定係数R2は分析の精度を表す尺度となります。「サプリメントXの売上事例」について、決定係数を求めてみます。「ドラッグストアのサプリメントXの売上事例」の実績値と理論値の単相関係数(この値を「重相関係数」という)を算出するとr=0.98です。 r2を計算すると0.96になり、R2=0.96に一致します。よく「決定係数はいくつ以上あれば良いか」と質問されますが、残念ながらいくつ以上あれば良いという統計的基準はありません。この基準は、分析者が経験的な判断から決めることになります。ちなみに筆者は、次のように決めていますが、皆さんはいかがでしょうか。決定係数(R2)重相関係数(r)・分析の精度が非常に良い……  0.8以上……  0.9以上・分析の精度が良い……  0.5以上……  0.7以上・分析の精度が良くない……  0.5未満……  0.7未満次回は、重回帰分析を行うときの説明変数の選び方について説明します。今回のポイント1)重回帰分析で算出した理論値、そして残差で個体を評価することができる!2)重回帰分析では、実績値と理論値が近くなるほど、「分析の精度」が良い、あるいは重回帰式の「当てはまり具合」が良い!3)重回帰式(モデル式)の決定係数はR2の値でみる!インデックスページへ戻る

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米国、電子タバコ利用増で禁煙率上昇/BMJ

 過去15年間の米国成人喫煙者における電子タバコ使用の大幅な増加が、国民レベルの禁煙率上昇と統計的に有意に関連していることが、米国・カリフォルニア大学のShu-Hong Zhu氏らの検討で明らかになった。著者は「電子タバコの規制政策の立案やタバコのコントロール介入計画において、慎重な検討を要する所見だといえる」とまとめている。BMJ誌2017年7月26日号掲載の報告。2001~15年に行われた5期分の全米サーベイのデータを分析 米国では2010年頃から電子タバコの使用が目立ち始め、2014年までに劇的に増加した。そこで研究グループは、電子タバコ使用の増加が、国民レベルの禁煙率の変化と関連しているかを調べた。サンプル調査法による全米サーベイ(US Current Population Survey-Tobacco Use Supplement:CPS-TUS)の5期分(2001~02年、2003年、2006~07年、2010~11年、2014~15年)のデータを分析した。 電子タバコ使用に関するデータは、2014~15年CPS-TUSの全サンプル(16万1,054例)から入手した。禁煙率は、サーベイ実施前12ヵ月間の喫煙者(2万3,270例)のデータから得た。2014~15年CPS-TUSの喫煙率は、2010~11年CPS-TUS(2万7,280例)の喫煙率と比較し、それ以前の3期分の喫煙率とも比較を行った。 主要評価項目は、禁煙試行者の割合と禁煙成功者の割合とした。禁煙は、少なくとも3ヵ月間禁煙で定義した。電子タバコ使用者は非使用者よりも、禁煙試行者、禁煙成功者が多い傾向 2014~15年サーベイの回答者16万1,054例のうち、現在喫煙者は2万2,548例、直近の禁煙者は2,136例であった。そのうち、現在喫煙者の38.2%が、また直近禁煙者の49.3%が電子タバコを試し、現在喫煙者の11.5%、直近禁煙者の19.0%が現在も電子タバコを使用していた(毎日または数日に1回)。 電子タバコ使用者は非使用者と比べて、禁煙を試みる例が多い傾向がみられた(65.1% vs.40.1%[変動=25.0%、95%信頼区間[CI]:23.2~26.9%])。また禁煙に成功する例も多い傾向がみられた(8.2% vs.4.8%[3.5%、2.5~4.5%])。 サーベイ集団全体の禁煙率も、2014~15年(5.6%)が2010~11年(4.5%)よりも有意に高率であった(1.1%、0.6~1.5%)。また、その他のサーベイ年(禁煙率の範囲:4.3~4.5%)と比べても有意に高率であった。

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第6回 「症状詳記」って知っていますか?【医師が知っておきたいレセプトの話】

前回はレセプトの査定の理由を確認しました。その際に少し触れましたが、審査側に診療内容の補足説明を行う唯一の手段である「症状詳記(しょうじょうしょうき)」について一緒に確認していきましょう。症状詳記って何?症状詳記とはその名のとおり、患者さんの「症状」について「詳」しく「記」載したものです。簡単に言うと、「医療行為を実施した医師が、提供した診療行為の正当性をレセプト審査員に説明するもの」です。症状詳記が必要なケースレセプト提出時に症状詳記の添付が義務付けられているケースは、下記の2つです。1)診療報酬のルールで記載が定められている場合2)レセプトに記載された傷病名や請求項目のみでは、提供された診療内容に関する説明が不十分と思われる場合1)診療報酬のルールで記載が定められている場合「レセプトの合計点数が35万点以上の場合」、「診療報酬の記載要領で症状詳記の添付が求められている項目を算定する場合」の2つのケースがあります。これらのケースは症状詳記を添付せず提出すると自動的にレセプトが返戻されてしまいます。多くの医療機関では、仮に先生方が詳記の記載を忘れたとしても、事務職員のチェックによって作成の依頼を受けることが多いと思います。先生方が作成しないとレセプト自体の提出ができませんので、その際は速やかに症状詳記の作成をするようにお願いします。2)レセプトに記載された傷病名や請求項目のみでは、提供された診療内容に関する説明が不十分と思われる場合第2回で確認したとおり、レセプトの審査では「傷病名」と「診療行為」の整合性をチェックしています。同じ傷病名だとしても、患者さんによって症状は異なり、診療行為の内容がすべて同じとは限りません。つまり、同じ傷病名に関する治療でも診療内容に濃淡があり、たとえば重症な患者さんの場合、標準的なケースよりも医薬品の投与量や検査回数などが多くなることがあると思います。「定められている用法用量以上に医薬品を処方する場合」や「同月内に複数回の検査を実施する場合」は、査定の対象となることが多いのです。そのようなレセプトを請求する場合、診療行為の必要性・妥当性を審査員に説明するための補足として症状詳記をレセプトに添付します。ちなみに第4回で確認したとおり、レセプト審査は47都道府県の審査支払機関の各支部が行うため、査定傾向は都道府県により違うことがあります。各医療機関では、所在する都道府県の査定傾向を理解して、事務職員が医師に詳記を依頼していることと思います。先生方は事務職員に、どのような内容に焦点を絞って記載すればよいかを確認して記載をすると効率的かもしれません。症状詳記作成のコツ症状詳記を記載する際に、気を付けたい3つのポイントを示します。実施された診療行為が、「どうして必要だったか」を具体的に、簡潔明瞭に、正確に記述する検査結果などの客観的事実を明示して記載するカルテに記載された内容やレセプト内容と矛盾しない上記の3つのポイントを踏まえつつ、サマリーなどを単に添付するだけではなく、読み手である審査員に診療内容や経過が伝わるように記載を心がけましょう。ただし、症状詳記を記載すればすべてのレセプトが査定されないわけではありません。あくまでも保険診療のルールに則った診療が、基本中の基本であることには留意しておきたいですね。

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来たれ!リサーチ・マインドを持つ医療者…日本臨床疫学会 第1回大会開催

 日本臨床疫学会は、2017年9月30日~10月1日の2日間、第1回年次学術大会を東京大学本郷キャンパスにて開催する。 日本臨床疫学会は、「臨床研究で医療を元気にする」というキャッチフレーズのもと、2016年12月に発足した学会。クリニカル・マインドとリサーチ・マインドを持つ医療者による質の高い研究を推進し、現在の医療が直面する諸課題の解決に貢献することをミッションとしている。第1回年次学術大会のテーマは「日本の臨床疫学-天地開闢」。大会長は、東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻臨床疫学・経済学 教授康永 秀生氏。 同学術大会は、教育公演・研究実践ワークショップ・統計セミナーなどの教育的コンテンツが主体となる。特別講演、教育講演は、本邦を代表する臨床研究者・疫学研究者が登壇。シンポジウムでは、医療ビッグデータ、観察研究の統計手法、個人情報保護、臨床学会との連携、産学連携をテーマに取り上げる。また、事前登録制の参加型の研究実践ワークショップおよび統計セミナーも開催する。 大会長の康永 秀生氏は、自分たちが手に入るデータから臨床研究は可能、職種や診療科を問わず参加して欲しい、と述べる。 主なテーマは以下のとおり特別講演■臨床疫学は日本の医療を変えるか?演者:大橋 靖雄氏(中央大学 生物統計学)教育講演■医療技術評価の国際動向と今後の展開演者:池田 俊也氏(国際医療福祉大学 公衆衛生学)■コクラン・レビュー演者:森 臨太郎氏(国立成育医療研究センター 臨床疫学部)■ロコモの疫学演者:吉村 典子氏(東京大学医学部附属病院 ロコモ予防学講座)■統合研究(pooled analysis)の実際演者:二宮 利治氏(九州大学 衛生・公衆衛生学)シンポジウム■ビッグデータを用いた臨床疫学研究座長:宮田 裕章氏(慶応義塾大学 医療政策・管理学)■観察研究における統計手法座長:康永 秀生氏(東京大学 臨床疫学・経済学)■医療者と企業と官との産官学連携の新しい方向性座長:宮田 俊男氏(国立がん研究センター 企画戦略局政策室、日本医療政策機構)■日本臨床疫学会と各臨床専門学会の連携座長:川上 浩司氏(京都大学 薬剤疫学)■個人情報保護法・倫理指針の改正は臨床研究をどう変えるか?座長:山本 隆一氏(医療情報システム開発センター)■参考日本臨床疫学会第1回年次学術大会ホームページ

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問12

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問12 重回帰分析とは?質問11では多変量解析で取り扱うデータや解析の種類と解析手法名について、説明してきました。今回からは、医学統計でもよく用いられる重回帰分析について説明いたします。医学的な事例だと難しくなりがちですので、一般的でなじみやすい事例(質問11その1で取り上げたテーマ)で説明していきます。■解決したいテーマ●テーマドラッグストアでサプリメントなど、ある商品の売上をアップさせたいとき、どうすればよいでしょう表1は、あるドラッグストアのサプリメントXの売上額と広告費と店員数を示したものです。表のデータを見ると、投入する広告費や店員数が多かった年はサプリメントXの売上額も大きく、投入量が少ない年は売上額も小さくなっていることがわかります。この傾向を踏まえて、2017年の広告費を1,300万円、店員数を14人としたとき、売上額がどれほどになるかを予測したいと思います。表1 年別のサプリメントXの売上額/広告費/店員数この目的を解決してくれるのが重回帰分析です。予測したい変数、この事例ではサプリメントXの売上額を「目的変数(従属変数)」といいます。目的変数に影響を及ぼす変数、この事例では広告費と店員数を「説明変数(独立変数)」といいます。重回帰分析で適用できるデータは、目的変数、説明変数どちらも「数量データ」です。重回帰分析は、目的変数と説明変数の関係を「関係式」で表します。重回帰分析における関係式を「重回帰式」といいます(「モデル式」ともいいます)。この例の重回帰式は、次のようになります。売上額=0.00786×広告費+0.539×店員数+1.148重回帰分析はこの重回帰式を用いて、次の事柄を明らかにする解析手法です。(1)予測値の算出(2)関係式に用いた説明変数の目的変数に対する貢献度■回帰係数の算出の考え方重回帰式の係数を回帰係数といいます。まず初めに回帰係数が、どのような考え方で求められているかを説明します。回帰係数の算出方法を解説する前に、次のクイズにお答えください。いかがでしょうか。答えはいくつでもありますね。たとえば、ア=0.005、イ=0.3、ウ=3.7とすればが成立します。では、続けて次のクイズにお答えください。表2 年別のサプリメントXの売上額の年差分上の表2のように左辺(売上額)から右辺を引いた差分で一致度をみると、2011年と2012年はほぼ一致していますが、他の年の差分が1.0以上もあり、一致していません。ですから残念ながら、この答えは正解といえません。ご覧のように、手計算でこのクイズを解くのは大変です。これを解決してくれるのが重回帰分析なのです。それでは、重回帰分析が導いてくれた重回帰式に広告費と店員数を表3に代入してみます。求められた値(左辺)と売上額(右辺)との差分を調べてみましょう。※差分:左辺から右辺を引いた絶対値(マイナスはプラスにした値)です。※一致:差分が1.0未満の場合は一致していると考え「○」、1.0以上の場合を「×」としました。売上額=0.00786×広告費+0.539×店員数+1.148表3 重回帰式に広告費と定員数を代入左辺と右辺とはぴったり一致しませんが、どの年についてもほぼ近い値になっています。重回帰分析では、左辺の売上額を「実績値」、右辺の計算値を「理論値」といいます。重回帰分析は、実績値と理論値ができるだけ近くなるように、重回帰式の係数を見つける解析手法です。次回は、重回帰分析で求められた重回帰式(モデル式)の予測精度について説明していきます。今回のポイント1)重回帰分析で適用できるデータは、目的変数、説明変数どちらも数量データ!2)重回帰分析は、重回帰式(モデル式)を用いて、(1)予測値の算出、(2)関係式に用いた説明変数の目的変数に対する貢献度、を明らかにする解析手法!3)重回帰分析は、実績値と理論値ができるだけ近くなるように、重回帰式の係数を見つける解析手法!インデックスページへ戻る

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J-CLEAR夏季セミナーを開催

 NPO法人 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR/理事長 桑島 巖氏)は、2017年7月1日、都内において夏季セミナーを開催した。セミナーでは、臨床研究報道の在り方やトランスレーショナル・リサーチの具体例、今春成立した臨床研究法について講演が行われた。メディアに求められる論文を読む作法 はじめに「臨床研究報道 スポンサーとメディアの役割」をテーマに折笠秀樹氏(富山大学大学院医学薬学研究部バイオ統計学・臨床疫学教授)が、身近な特定保健用食品(以下「トクホ」)や健康情報番組を例に話題を展開し、臨床研究論文を正しく評価するポイントについて講演を行った。 最近しきりに目にするようになった「機能性表示食品」(審査なし届出制)と「トクホ」(審査あり許可制)について触れ、とくに前者では、効能・効用の表現がトクホと比較して制限が少ないこともあり、効果・効能の行き過ぎた表現が問題になることが多いと報告した。 続いて、「CLEAR! ジャーナル四天王」連載の記事を題材に、臨床研究論文を正しく評価するポイントを説明した。1)「撤回論文はもともと粗雑に書かれていた」 http://www.carenet.com/news/clear/journal/40912 (本文と抄録の齟齬、計算ミス、p値の誤りなど基本的なミスが観察されると指摘)2)「論文を読むときは最初に利益相反を確認する必要がありそうだ」 http://www.carenet.com/news/clear/journal/43368 (利益相反が見られた場合、見られない場合に比べ、約3倍ポジティブな内容であることを指摘) 1)では、ハゲタカ出版社といわれる粗雑な論文を掲載するジャーナルを発行する出版社が問題視され、ケースの比較がない、症例数が少ないなどの雑な論文を読む側(メディアも含め)は注意する必要があり、2)では、著者にメーカーの名前があれば注意が必要だと指摘する。実際、企業スポンサーのスタディとそうでないスタディを比較した場合、4倍近くも効果など差があることが報告されている。そのほか、現在もポジティブな結果のほうが論文では受理されることが多い中で、同じテーマでも国・地域によって解析方法が異なることもあり、注意を払うべきであるという。 反対にメーカーなどのスポンサーは、COIの明示、関与社員がいた場合の共著者化、全例解析の実施やパンフレットなどの作成では原著のまま行うなどの信頼性確保のための取り組みが求められるとレクチャーを終えた。基礎医学と臨床医学の間をいかに埋めるか 次に「トランスレーショナル・リサーチ ―失敗例から学ぶ―」をテーマに北風政史氏(国立循環器病研究センター 臨床研究部長)が、自身の経験を踏まえた臨床研究の進め方について講演を行った。 北風氏は、微小循環障害時の冠血流増加について研究する中で、アデノシンの役割解明に注目し、研究テーマに設定したという。 心筋虚血が起こるとアデノシンは、冠血管の弛緩、心筋のβ刺激抑制、血小板の凝集抑制を行うことがわかっている。現在判明している心筋虚血時の26の作用を抑えるためにアデノシンのほか、ニコランジル、サイクロスポリン、エリスロポエチンなどの虚血心筋保護効果をもたらすもので新しい薬物療法開発ができるか、臨床研究を行ったものである。 最初に行ったCOATスタディでは、さまざまな条件の不備もあり、目標症例が集まらず中止となった。次のAMISTADスタディは基礎研究ではポジティブだったものの、応用研究ではアデノシン、サイクロスポリン、エリスロポエチンはネガティブの結果となった。次に国の予算を得て行ったニコランジル とANPのスタディでは、前者はネガティブで後者はポジティブだった。 以上から、基礎研究が臨床に還元されたか? を考察すると「還元されなかった」と述懐する。その理由として、アデノシンがポジティブではなかったこと、実臨床への展開ができていないことが挙げられるという。 こうした研究を経てわが国の臨床試験の問題点を概観すると、日本と海外の臨床研究の仕組みの違い(海外の多くは臨床研究と治験が同一主体)、治験ができる医療機関の不足(院内に治験コーディネーターがいないなど)があり、医師主導で行う場合、時間と予算がかかると指摘する。 また、基礎医学は生物学的要素であり、臨床医学と実臨床は統計学的要素があり、この2つの間に乖離があること、臨床研究の再現性に問題があることを考える必要があるという。 終わりに、医療の最終的なゴールを目の前の患者を治療する「精密医療」と定義し、そのためにビッグデータを活用し、臨床医学を数式化する試みを行っていると現在の自身の取り組みを報告した。具体的には、心不全症例の退院時の状態をパラメータ化し数式化、その解を求めることで再入院までの日数を予測化する研究だという。 今後、「こうした既成の枠を超えた基礎医学、臨床医学、実臨床の間を連関する学問体系の構築が必要とされる」と語り、レクチャーを終えた。2018年4月施行の「臨床研究法」で変わること 最後に「臨床研究法について」をテーマに中村彩子氏(厚生労働省医政局研究開発振興課)が、2017年4月に成立した同法の概要と今後の施行スケジュールについて講演を行った。 はじめに本法制定にいたる経緯を説明し、2014年の「ディオバン事件」がきっかけだったと語った。この事件を受け、「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」が開催され、法規制の必要性や範囲、具体的な規制内容や対策が検討され、法案の骨子へとつながった。 本法でいう臨床研究とは、「医薬品等を人に対して用いることにより、当該医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究(治験その他厚生労働省令で定めるものを除く)」とされ、その中でも「未承認・適応外の医薬品等の臨床研究」と「製薬企業等から資金提供を受けた医薬品等の臨床研究」が特定臨床研究とされ、規制対象となる(ただし観察研究は規制の対象外)。 指導体制の変更事項として、研究に対する資金提供について定められた契約の締結や公表、利益相反(COI)管理などの実施基準の順守や記録保存の義務付け、認定臨床研究審査委員会の認定化、厚生労働大臣による調査権限・監視指導の強化が盛り込まれている。 実施手続きとしては、研究実施者が、認定臨床研究審査委員会に実施計画を提出→委員会の審査→委員会の意見を添付し、厚生労働大臣に実施計画を届出→特定臨床研究実施、といった手順があらましとなる。この手続き違反に対しては、立ち入り検査・報告徴収のほか、改善命令、研究の一部または全部停止命令、緊急命令(研究の停止など)が発せられ、所定の罰則も設けられている。 2018年4月の施行に向けたスケジュールとして、厚生科学審議会に「臨床研究部会」を新設、秋ごろまでに臨床研究実施基準などについて審議し、12月ごろにパブリックコメント、2018年1~2月ごろに臨床研究実施基準や実施計画の記載事項などの省令を交付し、以降、通知などの発出をする予定であるという。 本法施行に向け厚生労働省の取り組みとして、臨床研究で不足が指摘されている生物統計家人材の育成支援(主体は日本医療研究開発機構[AMED])や、倫理審査委員会認定制度構築事業を進めるほか、研究の質の担保や進捗管理のために中央治験審査委員会・中央倫理審査委員会の基盤整備をモデル事業として行っていることを説明した。 終わりに海外での動きについても触れ、アメリカでは“21st Century Cures Act”や、“コモン・ルール”の改訂により、低リスク試験で同意を不要とする例外規定の拡大や要件の緩和、米国食品医薬品局(FDA)承認プロセスの迅速化(一部の研究)、公的研究費受領研究者への研究データ共有の要請、他施設共同研究での研究倫理審査委員会(IRB)の審査の義務化、研究情報データベースへの登録・公開の義務拡大などが行われており、同様の動きはヨーロッパ連合(EU)でも見られるという。将来的には、「わが国も同じような施策を考えることになる」と含みを持たせ、レクチャーを終了した。■関連記事CLEAR! ジャーナル四天王

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学会の抄録とはどうあるべきか【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第95回

学会の抄録とはどうあるべきか いらすとやより使用 いつもとは趣向が違いますが、とても考えさせられたのでシェアしたいと思います。 西山 友貴.学会の抄録を見て思うこと.日本集中治療医学会雑誌. 1995;2:229aこの論文は、今から22年前のレターです。日本集中治療医学会雑誌に投稿された日本語のもので、オンラインであればフリーで閲覧できます。西山医師は、当時の学会の抄録に憂いを抱いており、そのことについてレターにご自身の意見を記載されています。22年たった今でも、身につまされるドクターは多いのではないでしょうか。一部を抜粋して掲載したいと思います。“(前略)今回の集中治療医学会の抄録を見てみると、「~について検討する」「~について考察を加えて報告する」など、十分にまとめられてない、おそらくまだデータがすべてそろってないような演題がある程度一定の施設で目についた。内容が最新のものならば、許容される場合もあろうが、特にいつ発表してもいいようなものばかりである。私などは十分データ整理が終わってから抄録を書くものだから、いつも同じテーマを研究している人より遅く、流行遅れになっている。(中略)結語がきちんと書けていない抄録は受理すべきではないと思う。さらにもっとひどいのは、他の学会と全く同じ発表があることである。内容が全く同じ演題を出す人にはモラルがないのであろう。題が同じなので読んでみると追加データが加えられているものがあるが、これは「第2報」などとして欲しい。”実はこの憂い、22年前から何ら変わっていないように思います。今の学会発表にも当てはまる内容です。地方会では1例報告をすることが多いですが、その結語に「●●の1例を報告した」と書かれてあると、個人的にはちょっとテンションが下がってしまいます。「船長! 目の前に島が見えます!」「ウム!私も見えている!」といった感じの、言わなくてもよい報告と大差ありませんからね。

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妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

 妊娠は薬物動態に変化を及ぼすことが知られているが、抗精神病薬の血中レベルへの影響についてはほとんど知られていない。ノルウェー・St Olav University HospitalのAndreas Austgulen Westin氏らは、妊娠前後の抗精神病薬血中モニタリングを行い、血中レベルへの影響を検討した。Clinical pharmacology and therapeutics誌オンライン版2017年6月23日号の報告。 女性103人を対象に、全110回の妊娠における抗精神病薬血中濃度モニタリング測定値を日常的に201回、同一女性より妊娠前後の血中濃度測定を512回行った。 主な結果は以下のとおり。・第3期の血中濃度は、クエチアピン(-76%、CI:-83~-66%、p<0.001)およびアリピプラゾール(-52%、CI:-62~-39%、p<0.001)でベースラインより有意に低かったが、オランザピン(-9%、CI:-28~14%、p=0.40)では認められなかった。・その他の抗精神病薬(ペルフェナジン、ハロペリドール、ziprasidone、リスペリドン、クロザピン)についてのデータは限られていたが、少なくともペルフェナジンとハロペリドールは、血中濃度が低下する可能性が示唆された。 著者らは「血中濃度低下が臨床結果に及ぼす影響はわかっていないが、妊娠中の厳密な臨床検査が求められ、治療薬モニタリングによる優先的なサポートが必要である」としている。■関連記事妊婦へのリチウム使用、幼児への影響は妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は複数の向精神薬の血中濃度を一度に測定する新手法

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第5回 どうして査定されるの?【医師が知っておきたいレセプトの話】

前回は、レセプト審査のプロセスを確認しました。そのプロセスを経て、「審査支払機関」がレセプトをチェックした結果、請求内容に問題があると判断し、医療機関が請求した診療報酬額を減額することを「査定」と呼んでいます。画像を拡大する次に、どのような内容が「査定」となるのかを見ていきましょう。まず、「査定」の理由は以下のA~D、F~H、Kの8つに分類されています。1)診療内容に関するものA:療養担当規則等に照らし、医学的に適応と認められないものB:療養担当規則等に照らし、医学的に過剰・重複と認められるものC:療養担当規則等に照らし、A・B以外の医学的理由により適当と認められないものD:告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの2)事務上に関するものF:固定点数が誤っているものG:請求点数の集計が誤っているものH:縦計計算が誤っているものK:その他※「療養担当規則」(正式名:保険医療機関及び保険医療養担当規則)とは、保険診療を行う医療機関や医師が守らなければならない基本的な規則を、具体的に定めた厚生労働省令です。次回以降で詳しく見ていきます。2)の4つに関しては、事務手続き上のミスによるものなので、医師に関連するものは「1)診療内容に関するもの(A~D)」の4つとなります。それぞれの内容を詳しく確認していきましょう。A:療養担当規則等に照らし、医学的に適応と認められないもの適切な病名がレセプトに記載されていない場合や、医薬品、診療材料を適応外に使用して認められなかった場合です。B:療養担当規則等に照らし、医学的に過剰・重複と認められるもの投薬量、検査回数、処置の頻度などが過剰と判断された場合です。C:療養担当規則等に照らし、A・B以外の医学的理由により適当と認められないものA・B以外の理由で不適当と判断された場合です。たとえば、用法用量上は添付文書に記載している範囲内で薬剤を使用していたとしても、レセプト上からそこまでの投与量や日数の必要性が感じられないケースなどが該当します。多くの場合は審査員の判断による査定となるため、A・Bの事由には当てはまらないとされます。D:告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの算定要件で定められている以上の請求をしている場合です。このように査定にもさまざまな事由があります。医師が一生懸命に取り組んだ適切な医療行為の査定を防ぐためにも、適切な病名の記載はもちろん、審査側になぜこのような診療内容になったのかを伝えられるレセプトを作成することが非常に重要です。その補足手段として、「症状詳記」というものがありますが、これはまた次回以降で解説していくことにしたいと思います。

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家族の増加で脳卒中リスクは増える?~JPHC研究

 これまで、家族の増加を含めた家族構成の変化と脳卒中リスクとの関連を検討した研究はなかった。今回、わが国の多目的コホート研究であるJPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study、主任研究者:津金昌一郎氏)で日本人の家族構成の変化と脳卒中発症を検討したところ、家族(とくに配偶者)を喪失した男性は脳梗塞リスクが高く、一方、家族(とくに親)が増えた女性は家族構成が変わっていない女性より脳出血リスクが高かった。PLOS ONE誌2017年4月13日号に掲載。 本研究では、45~74歳の7万7,001人の男女で、5年間(1990~1993年と1995~1998年の間)における配偶者・子供・親・その他の家族の増加・喪失を調査し、脳卒中リスクの関連についてCox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・男性3万5,247人および女性4万1,758人を追跡した104万3,446人年で、合計3,858人が脳卒中(脳出血1,485人、脳梗塞2,373人)を発症した。・家族を少なくとも1人喪失した人の脳卒中リスクは、家族構成が変わっていない人と比べて11~15%増加した(女性では、ハザード比[HR]:1.11、95%信頼区間[CI]:1.01~1.22、男性ではHR:1.15、95%CI:1.05~1.26)。・配偶者を喪失した人は男女共に脳卒中リスクが増加し、男性では脳梗塞、女性では脳出血で有意に高かった。・男性では、家族の増加で脳卒中リスクは増加しなかったが、女性では、親を家族に迎えると脳卒中リスクが増加した(HR:1.49、95%CI:1.09~2.28)。・配偶者の喪失に他の家族の増加が伴うと、男性では増加した脳卒中リスクが消滅した(HR:1.18、95%CI:0.85~1.63)が、女性ではリスクが増加した(HR:1.58、95%CI:1.19~2.10)。

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緩和ケアでQOLは向上するか/BMJ

 専門家による緩和ケアサービスのQOLへの効果は小さいことが、ドイツ・フライブルク大学のJan Gaertner氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告された。ただし、がん患者が早期にそのようなケアを受けることについては、効果があると断言できる可能性が示されたという。解析の結果を踏まえて著者は、「専門家緩和ケアは、早期から提供された場合、または患者の満たされていないニーズを掘り起こして提供された場合には、最大限の効果をもたらすだろう」と述べている。BMJ誌2017年7月4日号掲載の報告。システマティックレビューとメタ解析で検証 検討は、2016年7月までのMedline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、PsycINFOおよび試験登録を検索して行われた。試験の適格および選択条件は、病院、ホスピスまたは地域の入院・外来の成人患者を対象とし、介入の最低条件は、多職種チームのアプローチを含む専門家緩和ケアが行われていた無作為化試験とした。 2人のレビュワーがそれぞれデータのスクリーニングと抽出を行い、バイアスリスク(Cochraneバイアス・リスクツールによる)について評価。主要アウトカムは、メタ解析におけるHedges'gの標準化平均差(SMD)とランダム効果モデルでみたQOLであった。さらに、解析したQOLのプールSMDを、欧州がん研究・治療機構(EORTC)のQLQ-C30(尺度は0~100で高いほどQOL良好を示す、臨床的に重要な差の最小値は8.1)のglobal health/QOLスケール(項目29と30)で再算出した。専門家緩和ケアのQOLへの効果は早期から受けたがん患者では高い 発表論文3,967本のうち、12本(無作為化試験10件、被験者2,454例、がん患者は72%[1,766例])が解析に包含された。 スクリーニングによって掘り起こされた患者のニーズに応じて、多職種専門家緩和ケアが提供された試験はなかった。 解析の結果、全体的に専門家緩和ケアを支持する効果は小さかった(SMD:0.16[95%信頼区間[CI]:0.01~0.31]、QLQ-C30のglobal health/QOL:4.1[95%CI:0.3~8.2]、1,218例、6試験)。感度解析では、SMDは0.57を示した(95%CI:-0.02~1.15、global health/QOL:14.6[95%CI:-0.5~29.4]、1,385例、7試験)。 ただし、がん患者のみでみると、その効果はわずかだが大きかった(SMD:0.20[95%CI:0.01~0.38]、global health/QOL:5.1[95%CI:0.3~9.7]、828例、5試験)。とくに早期に専門家緩和ケアを受けた患者で、その効果は大きいことが示された(SMD:0.33[95%CI:0.05~0.61]、global health/QOL:8.5[95%CI:1.3~15.6]、388例、2試験)。 疼痛やその他の副次アウトカムについては、方法論的な問題(盲検化がなされていないなど)でエビデンスが弱められ、断定的な結果が得られなかった。

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レーベル遺伝性視神経症、遺伝子治療が有望

 レーベル遺伝性視神経症(LHON)患者を対象とした低~中用量のAAV2(Y444,500,730F)-P1ND4v2単回硝子体内注射の安全性および有効性を検討する非盲検臨床試験が行われ、LHONに対する遺伝子治療は安全で外側網膜神経線維層に悪影響を及ぼさないことが認められた。検討を行った米国・マイアミ大学ミラー医学校のJohn Guy氏らは、「本剤の高用量での臨床試験への道が開かれた」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年6月21日号掲載の報告。レーベル遺伝性視神経症14例を対象に視力障害を評価 研究グループは、視力障害とミトコンドリアDNA遺伝子変異(G11778A)を有するレーベル遺伝性視神経症患者14例を対象に、1眼に遺伝子治療ベクターAAV2(Y444,500,730F)-P1ND4v2を単回硝子体内注射し、視力検査、視野検査、光干渉断層撮影(OCT)、パターン網膜電図検査(PERG)および神経学的眼科検査にて視力障害を評価した。 追跡期間は12ヵ月であった。 レーベル遺伝性視神経症への遺伝子治療の主な結果は以下のとおり。・レーベル遺伝性視神経症患者14例の内訳は、両側性視力障害が12ヵ月以上持続している慢性患者6例(グループ1)、両側性視力障害が12ヵ月未満の急性患者6例(グループ2)、片側性視力障害患者2例(グループ3)で、12ヵ月以上追跡しえた患者は9例であった。・グループ1およびグループ2は、ベースラインと比較して12ヵ月後の視力が治療眼で平均0.24 logMAR、他眼で0.09 logMAR、それぞれ改善した。・グループ2を対象とした事後解析の結果、12ヵ月後における治療眼と他眼の改善の差は0.53 logMARで、これまでの急性患者の自然経過で観察された0.21 logMARより大きかった(p=0.053)。・同様に18ヵ月後ではそれぞれ0.96 logMARならびに0.17 logMARで、さらに顕著な差がみられた(p<0.001)。・2例で無症候性ブドウ膜炎を認めたが、治療なしで回復した。・OCTにおける外側網膜神経線維層の厚さ(平均値)は、治療眼でベースライン54μm、12ヵ月後55μmであったのに対し、他眼はそれぞれ56μmから50μmに減少した(p=0.013)。・一般化推定方程式法による解析の結果、PERG振幅は治療眼で他眼より約0.05μV悪化したことが示唆された(p=0.009 exchangeable)。・その他の視機能検査では、治療眼と他眼で明らかな差はみられなかった。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問11(その2)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問11 多変量解析とは何か?(その2)質問11(その1)今回は、多変量解析で取り扱うデータや、解析の種類および解析手法名についてご説明していきます。■多変量解析におけるデータ「わからないこと」を解決するための第一歩は、現在手元にあるいろいろなデータを整理・統合することです。データがないときは、アンケート調査や実験を行い、データを収集します。多変量解析はこうして収集されたデータを分析するもので、データがなければどんなに多変量解析が素晴らしくても、何の結論も導くことはできません。また、データがあっても、その内容が悪かったり、測定数が少なかったりすると、正確な結論は導けません。ですから、収集したデータがどんなデータであるかを知っておくことも大切です。データについて知るべきことは2つです。(1)原因となるデータと結果となるデータ(2)データのタイプ以下に詳しくみてみましょう。(1)原因となるデータと結果となるデータデータには原因を表すものと結果を表すものがあることを知っておいてください。表1に前回取り上げた3つのテーマをまとめました。どのデータが原因、結果なのか調べてみましょう。表1 事例のテーマ、原因、結果(2)データのタイプ質問9(その2)でデータタイプについて説明しました。表1で示した解決したいテーマのデータタイプを調べてみます(表2)。表2 事例のデータタイプ■目的変数のある場合・目的変数がない場合の多変量解析取り上げた3つのテーマを再度みてみましょう。テーマ1の例は、結果となる売上額と、原因にあたる広告費や店員数との関係を分析しています。テーマ2の例も同様に、結果となるがんであるかないかという事実と、原因となる問診票の質問項目との関係を分析しています。どちらも「結果」と「原因」との関係を分析し、関係式を作成します。これに対しテーマ3の例では、原因となるテスト成績だけを分析し、結果としてあとから文系能力や理系能力を明らかにしています。多変量解析では「結果」のことを「目的変数(従属変数)」、「原因」のことを「説明変数(独立変数)」といいます。テーマ1と2は「結果データ」と「原因データ」との分析、すなわち目的変数と説明変数との分析なので「目的変数のある場合の多変量解析」といいます。これに対し、テーマ3は「原因データ」についての分析、すなわち説明変数だけの分析なので、「目的変数がない場合の多変量解析」といいます。目的変数のある場合の多変量解析は、「健康診断からがん判別の予測」など、予測に活用されています。目的変数のある場合の多変量解析は、「予測のための多変量解析」とも言われています。これに対し、目的変数がない場合の多変量解析は、一例として「性格アンケートのデータから、外向的性格-内向的性格の軸、陽的性格-陰的性格の軸を見いだし、この軸で人々を得点化して分類」を行う場合に活用されています。目的変数がない場合の多変量解析は、「類似化・分類のための多変量解析」とも言われています。■多変量解析の種類と解析手法名多変量解析にはたくさんの解析手法がありますが、どの手法も「目的変数のある場合の多変量解析」(表3)と「目的変数がない場合の多変量解析」(表4)のどちらかに分類することができます。多変量解析の解析手法はデータのタイプによって決まります。表3 目的変数のある場合の多変量解析(予測するための解析手法)表4 目的変数がない場合の多変量解析(類似化・分類のための解析手法)このように多変量解析の手法はたくさんありますが、本シリーズでは、医学統計で用いることの多い、重回帰分析、ロジスティック回帰分析について解説していきます。次回、質問12では、「重回帰分析」について説明します。今回のポイント1)多変量解析では「結果」のことを目的変数(従属変数)、「原因」のことを説明変数(独立変数)という!2)「結果データ」と「原因データ」との分析、すなわち目的変数と説明変数との分析は「目的変数のある場合の多変量解析」(予測のための多変量解析)という!3)説明変数だけの分析は、「目的変数がない場合の多変量解析」(類似化・分類のための多変量解析)という!4)多変量解析の解析手法はデータのタイプによって決まる!インデックスページへ戻る

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DEVOTE 試験の臨床的意義

 2型糖尿病治療、とくにインスリン治療において低血糖管理は重要な問題だ。重症低血糖は心血管イベントリスク増加に関与し、患者さんの心理的負担も大きい。臨床でも、低血糖リスクの低いインスリン製剤を選択することが重要となる。これに関して今後の薬剤選択に影響を与えるデータが先日、ADAで発表された。心血管系リスクの高い2型糖尿病患者を対象にしたDEVOTE試験である。 DEVOTE試験の発表を受け、2017年7月4日都内にて、「インスリン治療の最新動向と今後の展望~第77回米国糖尿病学会の最新報告より~」と題するセミナーが開かれた(主催:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社)。演者は、門脇 孝氏 (東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授)。 以下、セミナーの内容を記載する。二重盲検CVOT試験であるDEVOTE 試験 DEVOTE試験は、基礎インスリンのインスリン デグルデクとインスリン グラルギンU100の2製剤を比較した二重盲検CVOT(心血管アウトカム)試験である。インスリン注射の臨床試験はオープンラベルで行われるものが多いが、本試験はバイアルを用いた二重盲検試験だ。この点について、門脇氏は「グラルギンかデグルデクか医療者側もわからない、という点は試験結果を評価するうえでも重要な点だ」とコメントした。 試験対象は、心血管リスクが高い2型糖尿病の成人患者7,637例(デグルデク群3,818例、グラルギン群3,819例)で、1日1回夕食~就寝の間に、デグルデク群またはグラルギン群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。デグルデク群はグラルギン群に対して、MACEで非劣性を示した 主要評価項目として、3-point MACE(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)が設定された。その結果、デグルデクのグラルギンに対する非劣性が検証され(ハザード比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.78~1.06、非劣性のp<0.001)、デグルデクはグラルギンと比較して心血管リスクを増加させないことが示された。 24ヵ月時点での2群の平均HbA1c値に有意差はなく、平均空腹時血糖値は、デグルデク群がグラルギン群よりも有意に低下していた(128±56 vs.136±57mg/dL、p<0.001)。重大な低血糖発現では、デグルデク群が優越性を示した 副次評価項目である重大な低血糖の発現件数に関しては、デグルデク群が優越性を示した(率比:0.60、95%信頼区間[CI]:0.48~0.76、優越性のp<0.001)。さらに、デグルデク群は夜間の重大な低血糖の発現件数を53%有意に低下させた。その他の有害事象の発生については、両群で差はなかった。 今回のDEVOTE試験では、心血管系リスクの高い2型糖尿病患者においてデグルデクが対照薬よりも重大な低血糖リスクが低いことが示された。これはデグルデクの他の臨床試験(BEGIN、SWITCH2)とも一貫性のある結果であった。「低血糖の心配がなければ、もっと積極的に治療する」と考える医師は多い インスリン治療において低血糖管理は重要な問題である。インスリン療法に対する医師の考えを調査した結果によると、「低血糖の心配がなければもっと積極的に治療する」との回答が7割を占めるという。医学的アウトカムも重要だが、低血糖への懸念が払拭され、患者さんのQOLが保たれるという、心理的アウトカムも同時に達成されることは、インスリン治療では重要といえるだろう。 門脇氏は、この点を踏まえ「DEVOTE試験で、デグルデクのMACEに関する非劣性と重大な低血糖リスクの有意な減少が検証されたことは、今後の治療選択においても意義深い結果である」と述べ、講演を終えた。

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重症喘息へのbenralizumab、経口ステロイドを減量/NEJM

 重症喘息患者において、抗インターロイキン-5受容体αサブユニット・モノクローナル抗体benralizumabの8週ごとの皮下投与は、年間喘息増悪率も大幅に低下し喘息コントロールを維持しながら、経口ステロイドの服用量を減少可能であることが、無作為化二重盲検並行群プラセボ対照試験の結果、示された。なお、示された効果には、1秒量(FEV1)への持続的効果は伴わなかった。カナダ・マックマスター大学のParameswaran Nair氏らによる検討で、NEJM誌2017年6月22日号(オンライン版2017年5月22日号)で発表した。benralizumabを4週ごとまたは8週ごとに皮下投与 vs.プラセボ投与 研究グループは、重症喘息患者で、中~高用量吸入ステロイド+長時間作用性β2刺激薬(LABA)を12ヵ月以上、さらに高用量吸入ステロイド+LABAを6ヵ月以上服用したことがある成人を対象に、無作為化比較試験を行った。 被験者を無作為に3群に分け、benralizumab(30mgを4週ごとまたは8週ごと[最初の3回は4週ごと]に皮下投与)、またはプラセボを投与し、喘息症状をコントロールしながら、経口ステロイド服用量を減少できるかどうかを比較した。 主要評価項目は、28週までの経口ステロイド用量の変化の割合。合わせて、年間喘息増悪率や、肺機能、症状、安全性の評価も行った。benralizumab群のステロイド減量のオッズ比は4倍超 試験に参加した369例のうち、220例について無作為化を行い、benralizumabまたはプラセボを投与した。 benralizumab群は4週ごと投与群、8週ごと投与群ともに、経口ステロイドの最終服用量の中央値が、ベースラインから75%減少した。一方、プラセボ群の同減少率は25%だった(p<0.001)。経口ステロイド減量に関するオッズは、benralizumab群がプラセボ群の4倍超だった(4週群:4.09、8週群:4.12、いずれもp<0.001)。 副次的評価項目について、benralizumab 4週ごと投与群の年間喘息増悪率は、プラセボ群に比べ55%低く(限界増悪率:0.83 vs. 1.83、率比:0.45、p=0.003)、benralizumab 8週ごと投与群はプラセボ群に比べ70%低かった(同:0.54 vs. 1.83、0.30、p<0.001)。 一方で、28週時点のFEV1については、benralizumabの両群ともにプラセボ群と比較して有意な効果は認められなかった。その他の喘息症状の指標に対する効果は混在しており、benralizumab群で有意な効果を示すものもあれば、示さないものもあった。 なお、有害事象の頻度は、benralizumab群とプラセボ群で同程度だった。

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子癇前症ハイリスク妊婦への低用量アスピリンは?/NEJM

 早期子癇前症リスクの高い妊婦に対し、妊娠11~14週から36週にかけて低用量アスピリンを投与することで、妊娠37週以前の子癇前症リスクはおよそ6割減少することが示された。英国・キングス・カレッジ病院のDaniel L. Rolnik氏らが、1,776例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年6月28日号で発表した。早期子癇前症は、母体および周産期の死亡や合併症の重大要因である。低用量アスピリン服用で、そのリスクが低下可能か、これまで確認されていなかった。アスピリン150mg/日を投与しアウトカムを比較 研究グループは、早期子癇前症リスクの高い単胎妊娠の妊婦1,776例を無作為に2群に分け、一方にはアスピリン(150mg/日)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ妊娠11~14週から36週まで投与した。 主要評価項目は、妊娠37週前の子癇前症を伴う出産で、intention-to-treat(ITT)解析にて評価した。子癇前症発症率、アスピリン群1.6%に対しプラセボ群4.3% 被験者のうち、152例が試験開始後に離脱し、また4例が追跡できなかった。そのため、分析対象はアスピリン群798例、プラセボ群822例だった。 妊娠37週前に子癇前症を発症したのは、プラセボ群の35例(4.3%)に対し、アスピリン群は13例(1.6%)と、有意に減少した(オッズ比:0.38、95%信頼区間:0.20~0.74、p=0.004)。 試験開始後に離脱した152例と、追跡できなかった4例を含む感度分析を行ったが、結果は実質的に同様だった。 服用順守率も高く、被験者の79.9%で、服用すべき錠剤数の85%以上を服用していた。なお、新生児有害アウトカムやその他の有害イベント発生率については、両群で有意差はなかった。

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第4回 レセプトを査定するのは誰?【医師が知っておきたいレセプトの話】

前回は診療報酬の請求から支払いまでの流れを確認してきました。今回はその中でも「レセプトの審査」について一緒に学んでいきましょう。審査支払機関レセプトの審査は第1回で学んだとおり、「審査支払機関」が行います。「審査支払機関」は国民健康保険加入者のレセプトを取り扱う「国民健康保険団体連合会(以下、国保連)」と、その他のレセプトを取り扱う「社会保険診療報酬支払基金(以下、支払基金)」の2つに分かれます。さらに「国保連」、「支払基金」がそれぞれに47都道府県に支部を持っており、皆さんの所属する医療機関は、所在する都道府県支部にレセプトを提出し、そのレセプトはそれぞれの支部で審査されます。審査の流れ図のようにオンラインもしくは電子媒体で提出されたレセプトは大きく4段階で審査されます。画像を拡大する1)コンピューターによるチェック患者名や傷病名などに漏れがないかといった基本的な書式の不備のほか、国が定めた保険診療のルールに適合していない項目、傷病名と医薬品の関連性の有無など、基本的かつ定型パターンになっている項目についてコンピューターが自動的にチェックを行います。そこで、疑義のあるものにはマーキングがされます。2)職員による審査事務コンピューターによるチェックでマーキングされたもの、または、コンピューターで自動的にチェックできない項目を職員が目視で確認します。そこから審査委員が審査すべきレセプトを抽出します。いよいよ3~4段階目の審査に入るのですが、まずは審査を行う審査委員の構成を確認しましょう。審査委員会は下記の三者の代表で構成されています。皆さんの近くにも審査委員の先生がいらっしゃるのではないでしょうか。(1)診療担当者代表各都道府県の医師会・歯科医師会・薬剤師会から推薦された医師・歯科医師・薬剤師から選任された者(2)保険者代表各都道府県の保険者団体から推薦された医師・歯科医師・薬剤師から選任された者(3)学識経験者医学上および薬学上の知見と臨床経験を有する者3)審査委員による審査1)、2)の点検を経て審査に回ったレセプトの審査を行います。具体的には、レセプトに記載されている内容が「療養担当規則」や「診療報酬点数表」などに定められたルールに則っているかをチェックします。4)審査委員会による決定最終的に、審査委員会の合議でその審査が合目的かつ適正かを決定します。以上の4段階のプロセスを経て、診療内容が適切でないと判断されたものは「査定」となり、申請内容に不備があるものや診療内容が適切かどうかの判断が難しいものは医療機関に「返戻」されます。皆さんが行った診療内容の証明である診療記録がレセプトとなり、多くのプロセスを経て、最終的には皆さんの身近にいる先生方に審査されるということになります。言い換えると今後、皆さんが審査をする側になる可能性も十分にあるということですね。仮に自分が審査員だったら、「このレセプトだけを見て納得するかな」と日々意識しながら確認するだけでも、「査定」や「返戻」の可能性はグッと減るのではないでしょうか。

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