サイト内検索|page:169

検索結果 合計:5062件 表示位置:3361 - 3380

3361.

医療者が壊れる前のファーストエイド

 医療事故に直面し傷ついた患者・遺族と医療者双方をケアし、支援していくシステムの普及を目指し設立された一般社団法人Heals(Healthcare Empowerment and Liaison Support)の設立シンポジウムが、2017年12月23日に都内において開催された。シンポジウムでは、医師、看護師をはじめとする医療従事者、弁護士など法曹関係者、患者団体など約170名が参加し、現状の問題点や今後の展望についてディスカッションが行われた。医療事故で傷ついた人々の橋渡しに はじめに同団体の代表理事の永尾 るみ子氏が、「Healsの理念」について講演を行った。講演では、乳幼児突然死症候群(SIDS)により自身が愛児を失い医療不信になったこと、その後看護師として医療の世界に身を置き感じた医療システムなどの不安定さについて語った。これらを踏まえ、医療事故後の患者と医療者の関係性について、傷を負った双方が心の問題を抱え込まず、ケアをすることができないかとHealsを考え、団体設立となったと説明した。 とくに医療事故の後、医療者の多くは自責の念や事故への対応や裁判への不安など非常に不安定な心理状態におかれているにも関わらず、周囲に相談できず、負の感情を抱えたまま職場を去ったり、心のバランスを崩したりする人がいると問題を浮き彫りにする。医療事故後には、「遺族、医療者の双方がケアされる環境づくりが大事だ」と同氏は指摘し、そのためには、「Healsを通じて患者・遺族への相談、医療者へのピアサポーター養成、遺族と医療者の対話のあり方について学ぶテキスト、さまざまな研修プログラムの開発などを行っていきたい」と展望を語った。事故医療者へ必要なファーストエイド 次に曽根 美穂氏(青山心理発達相談室・臨床心理士)が、「傷ついた医療者の心理とケア」をテーマに説明を行った。 医療事故は突然起こるものであり、事故が起きると患者・遺族も医療者も強いストレスを受け、心的外傷(トラウマ)を負う。そして、負ったトラウマは、心理面(自責の念、後悔の念など)、身体面(不眠、動悸など)、社会生活面(孤立化、過敏反応など)で影響を及ぼし、ケアされないと心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)を発症する。 PTSDを発症すると再体験(フラッシュバックやパニック状態)、回避・まひ(事故の現場へ行けない、周囲との付き合いを避けるなど)、過覚醒(常時緊張や不眠・悪夢)を起こし、社会生活が困難となるばかりか、専門的な治療が必要になる。そのため、トラウマの段階でのケアが重要であり、治療では秘密が守れる場所で、事故者本人が信頼できる人が、本人を孤立させず、気持ちに寄り添い、話を聞きその内容を言語化する必要がある。「トラウマの解消には言語化が必要であり、言語化されることで気持ちが整理され、本人にとって受け入れられる出来事になる」と同氏は説明し、「医療事故が起きた場合、医療機関は、傷ついた医療者のファーストエイドに、医療メディエーターを活用して欲しい」と説明を終えた。ファーストエイドを担うピアサポーターの役割 次に井上 真智子氏(浜松医科大学地域家庭医療学講座 特任教授)が「ピアサポートのしくみと過程」をテーマに、アメリカのピアサポートを例に解説した。 ピアサポートとは、心理的ファーストエイドとして同じ立場の人間が支援をし合う仕組みであり、アメリカでは、医療者をシステムエラーの第2の被害者として捉え、ピアサポートが医療者のバーンアウトを防ぐとされ、10数年前から行われている。 アメリカでは、2002年に医療事故の患者と医療者の交流・赦しを目的にNPO法人MITSS(Medically Induced Trauma Support Services )が設立され、サポートが開始された。 ピアサポートは、グループセッションと個人セッションの2形態があり、事故の発生後に最大48時間以内にサポートを実施するフローになっている。ピアサポーターの役割として、「本人の感情の正当化」「能力・適正に自信を持たせる」「専門的ケアの必要性の評価」などが挙げられ、その一方で「事故の原因究明」「患者への説明・謝罪の助言」「職務能力の評価」などは行わないとされている。また、サポーターは研修への参加、メールでの報告(内容は実施件数と状況のみ)、サポーターミーティングへの参加が求められている。これらはボランティアの形で行われ、ピアサポートの医療者のミスを責めない姿勢は、医療者を疲弊させない文化で院内を変えていくと説明されている。 医療者の心が傷ついたとき、回復には6段階プロセスがあるという。すなわち(1)混乱と反応→(2)侵入思考・振り返り→(3)自己一貫性の修復→(4)調査への対応→(5)感情への対応 →(6)切り替え・前進の順で本人は回復していき、(6)の「切り替え・前進」では、「職場の移動・退職」「事態をやり過ごして生き残り」「成長・洞察」の3パターンがある。早い段階からサポートすることで、その後のキャリアへの影響を防ぐことが大切という。 最後に井上氏は「医療の現場では、個人を責めない『公正な文化』に基づく、職場内での支援が必要」と語り、レクチャーを終えた。電話相談から始まるピアサポート 次に和田 仁孝氏(早稲田大学大学院法務研究科 教授)が、「Healsの果たすべき役割」について説明を行った。 医療事故で傷ついた当事者である患者・遺族と医療者に対して、電話相談か面接によるケアサポートを実施する。その導入として、現況のアセスメント、施設適合的なシステムの提案、関連部署管理者へのレクチャー、サポートシステム管理者の研修が行われる予定である。早い時期での実施を計画しているが、ボランティアベースによるものなので、開催は月1回からのペースになるという。 参考までにアメリカでは、医療事故以外の事由のサポートも行われ、個々の医療機関独自のやり方でよいとしている。ピアサポーターの75%が医師で、看護師も多く、宗教者もいる。 今後の展望としては、「医療機関だけでなく学会での普及も視野に入れるとともに、私見ながら『患者・医療者の対話カフェ』の実現やピアサポート導入パッケージの推進、サポーター養成の研修事業などを行っていきたい」と将来の発展を語った。患者・患者遺族、医療者の視点で医療事故後の対応を考える 後半のシンポジウムでは大磯 義一郎氏(浜松医科大学医療法学 教授)を司会に迎え、先ほどの講演者と会場とで活発な意見交換が行われた。 シンポジウムでは、患者視点として肉親を医療事故で失くし、自身も医療事故の被害者となった女性が事故後の対応の問題(一例として医療者からの情報不足など)を語った。これに対し近年では、医療者が患者に共感をもって接し、医療情報の提供、謝罪を行うように変化している現状が報告され、こうした案件に対してHealsには、両者が対立軸にならないように、患者・遺族、医療者の重大な心理的負担を受け止める役割が期待されると今後の働きを示した。 また、医療者の視点からは薬剤誤投与での患者死亡のケースが報告され、当時のサポートの状況と反省点などが語られた。事故には医師を含む複数の医療者が関係し、事故後に医療者には病院が主体となって弁護士相談やメンタルサポート、就業支援が行われた一方で、遺族との交渉状況は何ら医療当事者には知らされなかったという。また、医師の精神面でのフォローがなかったことから、精神状態が不安定な状況におかれた点は反省すべきであったと説明された。経過として、その後遺族側から医師と面談したいとの提案により面談が実現し、医師が謝罪し、遺族も医師に同情を示し、精神的な安定へとつながった。このケースを踏まえて「医療者が一番癒されるのは、患者や遺族からの『赦し』を受け取ることであり、そのためには双方が落ち着いて話せる安全なコミュニケーションの場が大切ではないかと考える。事故後、早い段階で医師に声をかけ、想いを語る機会をもつ必要があったと思う。情報を遮断して守るのではなく、医師のトラウマケアを意識した守り方が必要だったと考える」と提言を述べた。 同団体では、今後もホームページなどで情報発信を行っていくので、参照していただきたい。■参考一般社団法人Heals ホームぺージ

3362.

突然やってくる!? 外国人患者さん対応エピソード集 第8回

第8回 海外では前払いが主流!? 未払いにつながるトラブルを防ぐために2017年10月27日(金)、JIGH主催で「【外国人患者受入れ体制整備支援セミナー】訪日外国人4000万人時代の 医療機関に求められる新たな備えとは〜医療安全から訴訟・医療費未払い対策まで〜」と題したセミナーが開催され、医療機関の外国人患者受け入れ担当者と医療法学の専門家によるパネルディスカッションが行われました。外国人患者受け入れ体制を整備しなければならないが、一体何をどこまでやるべきか。体制整備をしないとどんなことが起こり得るのか。備えるべきリスクとはどのようなものなのか。医療機関の担当者からの疑問に医療法学の専門家が答える形で議論は進められました。ここでは、未払い問題についての議論を一部抜粋してご紹介します。パネラー浜松医科大学医学部 医療法学教授(医師・弁護士) 大磯 義一郎 氏群馬大学医学部附属病院 医事課 医療安全係 天田 麻里 氏国立国際医療研究センター 国際診療部 堀 成美 氏当日のパネルディスカッションと会場の様子JIGH:外国人患者さんに対して、事前に価格を提示せず、会計時に金額を知らせたところ「そんなの事前に聞いていない」と言われ、支払いを拒否されてしまうというケースにどう対応すべきかというご質問がきています。医療機関ではこういったケースが実際に起きているのでしょうか。堀:当院(国立国際医療研究センター)では今は事前に概算を提示しているため起きていないですが、以前はよく起きていたようです。JIGH:概算費用の事前提示を始めてから、未払いは減っているということですか。堀:難民の仮放免中で本当に支払い能力がないなどのケースもあり、完全に0にするのはなかなか難しいですが、医療機関としての努力で限りなく0に近づけることはできています。支払いの問題の多くは、患者さん側ではなく、医療機関側の努力不足にあり、きちんと対応すれば支払ってもらえます。海外では前払いが当たり前の国が多いですから、治療に緊急性のない場合は事前に、緊急性のある場合でもできるだけ早い段階で概算費用を提示して、支払いについて工面を開始してもらうことが重要です。とくに初期、患者さんがとにかく治して欲しいという気持ちを強く持っている間にお金の話をして、前納していただくのがとても有効ですね。回復してきて、後は退院するだけの段階になると、支払いに対する気持ちが下がってきてしまい渋られるケースもありますので、支払いの話はとにかく早い段階ではじめたほうが未払いは防げます。先にお金の話をするのは、日本の医療者からすると違和感があるかもしれません。でも世界的に見ると前払いは一般的ですし、そういう文化の国から来た患者さんからすると、お金の話を最初にすることに違和感はありません。逆にお金の話をまったくしないと「一体いくらかかるんだろう、支払えるだろうか。」と不安を感じる方が多いので、患者さんのためにも、できるだけ早めに支払いについての話を始めるほうが良いと思います。天田:当院(群馬大学医学部附属病院)の場合、まだまだ医療機関としての努力が不足していると感じています。先日、研修(注:JIGH主催の「外国人患者受入れ医療コーディネーター研修」のこと。堀成美さんが講師として登壇。)で堀さんの未収金対策の講義を受け、・写真付きの身分証明書の確認とコピーをとること・概算費用を早めにお伝えすること・家族など本人以外の人の力も借りて支払いをしてもらうことなど、未払い防止に重要なことを学びました。それを持ち帰って、入院費の算定係といろいろと話をしました。その後、旅行中に救急搬送された外国人患者さんがいたのですが、算定の担当者とソーシャルワーカーの連携で、一緒に旅行に来ていた家族に働きかけ、無事100%回収できたという事例ができました。そういった成功事例を積み重ねていくことが重要であると感じており、未払い防止のための体制整備を院内にさらに働きかけていきたいと思っています。大磯:事前の請求は法律的にも可能ですので、法律的な側面から確認しておきたいと思います。民法649条で「委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない」とあり、入院の際などに前払いをお願いすることは、民法649条に基づく請求になります。<本事例からの学び>訪日外国人患者さんの医療費の未払いは、医療機関の努力次第で限りなく0に近づけることができる。海外では前払いが一般的であることを理解し、お金の話を早期に始めることが、外国人患者さんの不安軽減にもつながる!※パネラーに岡村 世里奈氏(国際医療福祉大学大学院 医療経営管理分野/医療通訳・国際医療マネジメント分野 准教授)を加え、応召義務や体制整備について議論したセミナー全体のレポートをご希望の方は、下記申し込みフォームからお申し込みください(JIGH運営の外部サイトに移動します。リンク先のフォームはケアネットが運営するものではないことをご了承ください。入力いただいた情報の取扱い等に関するご要望・質問等については、当該フォームの運営者にお問い合わせください)。フォームはこちら

3363.

ペットは老化の進行を抑制する?/BMJ

 動物との交遊は、老化の修正可能な特性である可能性があるが、高齢者がペットを飼うことと老化のバイオマーカーとの関連はほとんど知られていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのG. David Batty氏らは、約8,800例の高齢者を調査し、ペットの飼育は老化のバイオマーカーに影響を及ぼさないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2017年12月13日号に掲載された。英国では高齢者の半数がペットを飼っており、オーストラリアの調査では高齢者の12%が「動物は交遊の主要形態」と答えているという。ペットの有無で11のバイオマーカーを比較 研究グループは高齢者を対象に、動物を飼うことと老化のバイオマーカーの関連を前向きに評価するコホート研究を行った(米国国立老化研究所と、英国経済社会研究会議が組織した政府機関の助成による)。 英国で進行中の全国的なコホート研究であるEnglish Longitudinal Study of Ageing(ELSA試験)へ2010~11年に登録された8,785例(平均年齢67歳[SD 9]、女性55%)を、約2年間フォローアップした(平均年齢69歳[SD 8])。 ペット(イヌ、ネコ、その他)の有無別に、老化との関連が確立されている11項目のバイオマーカー(身体機能、免疫学的機能、心理学的機能)との関連を評価した。すべてのバイオマーカーが、ペットの飼育と強い関連なし ベースライン時に対象者の約3分の1がペットを飼っており(イヌ1,619例[18%]、ネコ1,077例[12%]、その他274例[3%])、5,815例は飼っていなかった。ペットを飼っている高齢者は飼っていない高齢者に比べ、年齢が4~5歳若く、あまり運動しない者の割合がわずかに低く、喫煙者は多い傾向がみられた。イヌの飼い主は、孤独感が強く、健康状態が劣る傾向があった。 多変量で補正した解析では、ペットを飼っていることと、歩行速度、肺機能(1秒量)、椅子からの立ち上がり時間、握力、レッグレイズ(足上げ)、身体バランス、3つの全身性炎症のマーカー(C反応性蛋白、白血球数、フィブリノゲン)、記憶、うつ症状には関連がなかった。 イヌの飼い主はペットを飼っていない高齢者に比べ、歩行速度がわずかに遅く、椅子から立ち上がる時間が長かったが、肺機能はわずかに高かった。ネコの飼い主はその他のペットの飼い主に比べ、レッグレイズ検査に失敗する傾向がみられた。 著者は、「大小を問わず、動物と交遊することは、標準的な身体的、心理学的な老化のバイオマーカーとは基本的に関連しないことが示された」と結論している。

3364.

医療勤務環境改善マネジメントシステム普及促進TOPセミナー開催のお知らせ

 長時間労働や当直、夜勤・交代制勤務などにより厳しい労務環境に置かれている医療従事者。働き方改革の機運が高まる中、医療現場にもより健康で安心して働くことのできる環境整備が求められている。厚生労働省は、「医療勤務環境改善マネジメントシステム」を活用した取り組みを推進するため、昨年より、医療機関の経営者や管理者を対象にしたセミナーを実施してきたが、その締めくくりとなるTOPセミナーが2月に東京で開催される。 セミナーでは、日本病院会会長で相澤病院最高経営責任者の相澤 孝夫氏や、厚労省「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員などを務める裵 英洙氏(ハイズ株式会社代表取締役社長、慶應義塾大学特任教授)が登壇し、働き方改革をテーマにした講演などが予定されている。概要は以下の通り。<医療勤務環境改善マネジメントシステム普及促進TOPセミナー>日時:2018年2月3日(土) 13:30~16:45会場:AP浜松町 B1階F(東京都港区芝公園2-4-1芝パークビルB館地下1階)定員:200名申込期限:開催日の1週間前、もしくは定員に達した時点で受け付け終了参加のお申込みはこちらからお問い合わせ先:株式会社日本能率協会総合研究所(厚生労働省委託事業実施機関)本件担当:医療勤務環境改善マネジメントシステム普及促進セミナー事務局     河野(カワノ)TEL:フリーダイヤル0120-676-715 (平日10:00~17:00)

3365.

世界の株式に毎月定額で投資する方法【医師のためのお金の話】第4回

世界の株式に毎月定額で投資する方法明けましておめでとうございます。本年も「医師のためのお金の話」のご愛読、よろしくお願いします。自由気ままな整形外科医です。前回は、資産形成にあたって、税制は、株式や不動産投資より重要だとお話ししました。タネ銭を貯めたり、税制を学習したりと、資産形成もいろいろ大変だなと思っている先生も多いことでしょう。本当はもう少し総論をお話ししたいのですが、あまり話を引っ張るのもどうかと思うので、そろそろ各論に入りたいと思います。金融資産投資は最も手軽だが、勝つことは難しい資産形成の中でも、株式投資や外国為替証拠金取引(FX)などの金融資産投資は、最もメジャーな投資手段です。やる気さえあれば少額の資金でも投資可能なので、手軽に始めることができます。しかし、金融資産投資は簡単に開始できるものの、首尾よく投資資金を殖やして結果を出すことは、意外なほど難しいのが現実です。日本証券業協会によると、2014年3月末時点の投資口座は2,500万口座です。2017年11月の日本の総人口は1億2,672万人なので、投資人口比率は約20%です。一方、富士経済グループによると、株式投資を行っている人の中で利益を出している人は、全体の20%しかいないそうです。信用取引をしている人の損失状態を見る信用評価損益率では、実際に利益を出している人の比率は、もう少し低いかもしれません。この2つの数字を掛け合わせると、日本人の約20%が株式投資を行っているけれど、利益を出している人は、全体のわずか4%(=20%×20%)に過ぎないという驚くべき結果がでます。投資では「VT+ドル・コスト平均法」がお勧めこのように、金融資産投資を始めるのは簡単ですが、利益を出すことは簡単ではないのが難点です。では、医師に代表される忙しい職種の人で、投資活動に多くの時間を割くことのできない人が、金融資産投資で結果を出すにはどうすればよいのでしょうか? これに対する答えは、「資本主義の未来を信じることだ」と言われています。具体的には、世界全体の株式市場への継続的な投資です。この投資は、「VT」を「ドル・コスト平均法」で購入することによって、誰でも簡単に達成できます。VTとは「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」のことで、約8,000銘柄で構成される世界株指数をベンチマークにしているETF*です。VTは、たった1銘柄で全世界の投資可能な市場時価総額の98%をカバーしています。つまり、VTに投資すれば、新興国から先進国まで世界中の株式市場への投資が可能となるのです。一方、ドル・コスト平均法とは、毎月決まった金額を投資する手法です。株価が低いときには多くの株数を、株価が高いときには少ない株数を購入することになるため、平均購入単価を抑えることができます。ドル・コスト平均法は、単一銘柄に投資するのに適しています。2008年に世界株ETFのVTが登場したおかげで、世界全体の株式市場へのドル・コスト平均法での投資が、誰でも簡単にできるようになりました。2008年当初は、米国の証券会社を通じて投資するしかありませんでしたが、最近では国内の主要証券会社でもVTを購入することが可能となりました。*ETFとは、日経平均株価などの指数に連動する投資信託で、株式市場に上場している金融商品のこと。すべてを解決する投資方法ではないここまで、忙しい医師でも堅く投資する手法を説明しました。しかし、VTをドル・コスト平均法で投資する手法は、決して手放しでお勧めできるものではありません。次回は、この投資手法を実践するうえでの注意点をお話ししたいと思います。

3366.

わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問23

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問23 ロジスティック回帰の各種統計量の求め方前回は、ロジスティック回帰分析の具体的な事例についてご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析の各種統計量の計算方法について、ご説明いたします。■AIC(赤池情報量基準)ロジスティック回帰の関係式の算出方法は、判別スコアから尤度(尤もらしい度合い)を求めます。求めた尤度の対数(対数尤度)を求め、対数尤度の合計が最大となるように回帰係数を求めます(これを「最尤法」といいます)。"対数尤度の合計"を最大化した値をLLと表現します。LL=-2.168-2LLを「逸脱度」といいます。-2LL=4.336モデル選択基準「AIC」は次式によって求められます。AIC=-2LL+2×(説明変数個数+1)AIC=-2×(-2.168)+2×(2+1)=4.336+6=10.336AICの第1項はモデルの当てはまりの良さ、第2項は変数の増加に伴うペナルティーを表し、AICは小さいほど望ましいといえます。■寄与率表1をご覧ください。表1 寄与率算出の元データLL0=(a)+(b)-(c)=-6.1827「寄与率」=(-2LL0-(-2LL))/(-2LL0)-2LL0=12.365 -2LL=4.336=(12.365-4.336)÷12.365=8.029÷12.365=0.649寄与率が高いほど判別精度は良いといえます。■モデル適合情報「検定統計量」=-逸脱度-2kk=n1×log(n1)+n2×log(n2)-n×log(n)ただし、n1、n2、n は群1、群2、全体の個体数k=4×log(4)+5×log(5)-9×log(9) =4×1.386+5×1.609-9×2.197=5.544+8.045-19.773=-6.184検定統計量=-4.336-2×(-6.184)=-4.336+12.368=8.032自由度=説明変数個数=2検定統計量は自由度2のカイ2乗分布に従います。カイ2乗分布における、検定統計量の上側確率p値を求めます。Excel関数 =CHIDIST(8.032,2)→ Enterキー → 0.0180p=0.0180<0.05 より、モデルは観察データの判別に適合していると判断できます。■ピアソン残差表2について、目的変数1,0データと判別スコアの残差を算出します。表2 ピアソン残差のための事例データ計3.561を「ピアソン残差」といいます。自由度=n-説明変数個数-1=9-2-1=6検定統計量は自由度6のカイ2乗分布に従います。カイ2乗分布における、検定統計量の上側確率p値を求めます。Excel関数 = CHIDIST(3.561,6)→ Enterキー → 0.736p=0.736>0.05 より、モデルは観測データの判別に適合していると判断できます。※ピアソン残差の検定は「p>0.05」が有意なので注意してください。※逸脱度は、自由度(n-説明変数の個数-1)のカイ2乗分布に従います。この検定の判定は「p<0.05」が有意です。■Wald検定回帰係数の有意性を確認するために用いられる検定です。回帰係数を標準誤差で割ったものを2乗した値を「Wald-square」といいます。表3の事例で具体的に説明します。帰無仮説:回帰係数は0である。対立仮説:回帰係数は0でない。検定統計量:Wald-square=(回帰係数÷標準誤差 )2表3 Wald検定のためのデータ表検定統計量は、自由度1のカイ2乗分布に従います。p値 Excelの関数で求められます。= CHIDIST(検定統計量,1)喫煙本数、飲酒日数は、いずれも「p>0.05」より、帰無仮説を棄却できず、対立仮説を採択できません。喫煙本数、飲酒日数の回帰係数は、いずれも有意でなく、不整脈の有無の判別に寄与しているといえません。■オッズ比からの寄与順位の把握説明変数のデータ単位がすべて同じ場合は、オッズ比は寄与順位に適用できます。しかし、データ単位が異なる場合、オッズ比の単純比較はできません。Wald統計量は、先述の通り(回帰係数÷標準誤差)の2乗で検定統計量です。標準誤差で割ることによって基準化され、寄与順位に適用できます。■信頼区間:Confidence Interval(CI)CIについて上掲の表3の事例を利用して説明していきます。●回帰係数CI:95%下限値:b1=回帰係数-1.96×標準誤差上限値:b2=回帰係数+1.96×標準誤差●オッズ比:95%下限値=eb1上限値=eb299%CIは、定数1.96を2.58として計算します。同じく表3を例に喫煙本数のオッズ比95%CIを求めます。●回帰係数CI:95%下限値:b1=0.3079-1.96×0,3099=-0.2994上限値:b2=0.3079+1.96×0.3099=0.9152●オッズ比:95%下限値=e-0.2994=0.7413上限値=e0.9152=2.4973同様の計算で飲酒日数のオッズ比の95%CIを求めます。●オッズ比:95%下限値=0.7038上限値=2.4231次回は、カイ2乗分布による検定、カイ2乗検定についてご説明いたします。インデックスページへ戻る

3367.

Dr.志賀のパーフェクト!基本手技

第1回 腰椎穿刺 第2回 気管挿管 第3回 胸腔ドレーン挿入 第4回 胃管挿入第5回 中心静脈挿入第6回 大腿動脈採血 第7回 肘内障整復 第8回 動脈内留置カテーテル挿入 第9回 指脱臼整復 臨床医がマスターしなければならない必須の基本手技を、シミュレーターを使用して、臨床現場さながらに実演し、解説します。このシリーズでは、腰椎穿刺をはじめとして、気管挿管、中心静脈挿入、大腿採血など9の手技を取り上げます。各手技を実践するうえで必要な手順の確認はもちろんのこと、ポイントやコツ、ピットフォール、そしてトラブルシューティングまでしっかりとカバーします。Dr.志賀の現場目線にこだわった、アツい!レクチャーは必見です。第1回 腰椎穿刺 第1回目の基本手技は、腰椎穿刺。腰椎穿刺は解剖から立体的な構造を意識して挑む必要があります。また、穿刺後頭痛、神経根症状など、手技に伴う合併症は、ちょっとしたコツで防ぐことができます。秘訣をお教えします!この番組で、ぜひ、腰椎穿刺をマスターしてください。第2回 気管挿管 今回の基本手技は、“気管挿管”。気道を制する者は救急を制する!この番組では、一刻を争う状況下で行う気管挿管の手技を見せるだけでなく、それぞれのポイントで陥りがちなピットフォールを提示し、正確に行うためのコツをしっかりと伝授します。迅速かつ正確な気管挿管の手技をマスターしてください!第3回 胸腔ドレーン挿入 今回の基本手技は胸腔ドレーン挿入。胸腔ドレーン挿入は患者さんの覚醒下で行う手技なので、痛みをきちんとコントロールすることが重要です。また、致死的な合併症を起こし得る手技なので、安全に行えるようコツをしっかりとマスターしてください!第4回 胃管挿入今回の基本手技は「胃管挿入」。胃管挿入は、単純そうに見えますが、決して簡単な手技ではありません。覚醒下で行うため、患者さんにとって非常につらく、不快感があるの手技です。手技を行う際には、しっかりとした配慮が必要です。また、頭蓋内挿入、気管内挿入、そして穿孔など、重大な事故につながる恐れもあります。それらを避けるためのポイントとコツ、そしてトラブル対処法をしっかりと分かりやすく伝授します。この番組で、ぜひ、胃管挿入をマスターしてください。第5回 中心静脈挿入今回の基本手技は、中心静脈挿入。最近では、安全にかつ、成功率を高めるため、超音波を使用して行う手技が当たり前となってきました。より安全に、正確に手技が行えるためのポイントを伝授します。もちろん超音波画像もお見せしながら解説します。この番組で、中心静脈挿入をマスターしてください。第6回 大腿動脈採血 今回の基本手技は「大腿動脈採血」。動脈血の採取は、いくつかの部位で行うことができますが、最も、簡単で、合併症の少ない大腿部での採血の手技をお教えします。ポイントは、解剖を理解することと皮膚に対する針の角度。この番組で、大腿動脈採血の手技をマスターしてください。第7回 肘内障整復 今回の手技は肘内障整復です。肘内障は5歳くらいまでの乳幼児に起こる橈骨頭亜脱臼で、整復は数秒で完了します。この番組では、回内法と回外屈曲法の2通りの方法を説明します。整復が成功するポイントは、「迅速」に行うこと。この番組で肘内障整復をマスターしてください。第8回 動脈内留置カテーテル挿入 今回の基本手技は持続的な血圧測定や、頻回な採血を必要とする場合に実施する手技である「動脈内留置カテーテル挿入」。穿刺部位はいくつかありますが、安静の制限や感染の少ない橈骨動脈の手技を解説します。手技の手順はもちろんのこと、ちょっとしたコツやトラブルシューティング術などをしっかりとお教えします。第9回 指脱臼整復 今回の基本手技は経験が少ないとハードルの高い「指脱臼整復」。左中指背側脱臼を例に2種類の整復方法を提示します。一方で整復できないときは、もう一方を行いましょう。この番組でぜひ指脱臼整復をマスターしてください!

3368.

餅による窒息での院外心停止、三が日に集中

 餅は日本における食品窒息事故の主な原因であるが、餅が原因の窒息による院外心停止(OHCA)の疫学はよくわかっていない。今回、大阪府心肺蘇生効果検証委員会のウツタイン大阪プロジェクトにおける集団ベースの観察研究で、窒息によるOHCAの約10%が餅による窒息が原因であり、その25%が正月三が日に発生していたことが報告された。Journal of epidemiology誌オンライン版2017年10月28日号に掲載。 本研究では、2005~2012年のOHCAデータを大阪府の集団ベースのOHCAレジストリから取得した。救急医療サービス(EMS)要員の到着前に発生した窒息によるOHCAを経験した20歳以上の患者について、窒息の原因(餅、餅以外)により、患者特性、病院前医療、転帰を比較した。主要アウトカムはOHCA後の1ヵ月生存率であった。 主な結果は以下のとおり。・期間中に計4万6,911例の成人OHCAが観察された。・OHCAのうち窒息が原因だったのは7.0%(3,294/46,911)、そのうち餅が原因の窒息は9.5%(314/3,294)、そのうち24.5%(77/314)が正月三が日に発生した。・粗解析による1ヵ月生存率は、餅による窒息では17.2%(54/314)、その他の原因による窒息では13.4%(400/2,980)であった。・すべての原因による窒息の多変量解析では、「低い年齢」「バイスタンダーに目撃された心停止」「早いEMS反応時間」が高い1ヵ月生存率と有意に関連していた。

3369.

1型糖尿病発症予防は見果てぬ夢か?(解説:住谷哲氏)-790

 1922年に初めてインスリンが臨床応用されるまで、1型糖尿病は不治の病であった。その後、1型糖尿病のnatural historyが明らかとなり、現在では1型糖尿病発症に至る3つのstageが提唱されている1)。1型糖尿病発症の高リスクグループの同定が可能となったことで、1型糖尿病発症予防の試験がこれまでにいくつか実施されてきた。大規模試験としては、インスリン投与による1型糖尿病発症予防を検討したDiabetes Prevention Trial-Type 1 Diabetes(DPT-1)2,3)と、ニコチンアミドの有効性を検討したEuropean Nicotinamide Diabetes Intervention Trial(ENDIT)4)があるが、残念ながら両試験において結果はnegativeであった。 DPT-1は独立した2つの試験から構成されている。これまでの研究から、膵島関連自己抗体と静脈内ブドウ糖負荷試験(IVGTT)でのインスリン初期分泌能を組み合わせることで、1型糖尿病患者の近親者における、将来5年間の1型糖尿病発症リスクをほぼ正確に予測することが可能となっている。本試験では、まず膵島細胞自己抗体(ICA)でスクリーニングを行い、ICA陽性患者に対してインスリン自己抗体(IAA)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体(GAD-Ab)、抗インスリノーマ関連抗原-2抗体(IA-2-Ab)、さらにIVGTTの結果を総合して各患者の発症リスクを計算した。5年間の発症リスクが>50%の群に対してヒトウルトラレンテインスリンの皮下投与を、26~50%の群に対しては経口ヒトインスリン(7.5mg/日)を投与して、約4年間にわたり1型糖尿病の発症頻度をプラセボと比較した。その結果はすでに述べたように、両試験において1型糖尿病の発症は予防できなかった。しかし経口ヒトインスリン投与試験のサブ解析では、IAA>=80nU/mL患者においては、プラセボ群と比較して相対リスク減少(ハザード比[HR]:0.566、p=0.015)を示唆する結果であった。そこでDPT-1を引き継いだ本試験では、DPT-1とは異なりICAではなくIAAでスクリーニングを行い、その他の膵島関連自己抗体とIVGTTの結果を用いて各患者のリスクを計算し、リスクごとに患者を4群(Primary Stratum、Secondary Stratum 1、Secondary Stratum 2、Secondary Stratum 3)に分けて経口ヒトインスリンの効果を検討した。 その結果は、主要評価項目であるPrimary Stratum(これがDPT-1でのIAA>=80nU/mL患者に相当する)での1型糖尿病発症は、経口インスリン投与により有意な減少を認めなかった(HR=0.87、p=0.21)。一方、Secondary Stratum 1ではプラセボと比較して有意に発症が減少していた(HR=0.45、p=0.006)。しかしこれは多重検定について未調整であり、あくまで仮説生成(hypothesis generating)と見なすべきだろう。 動物実験の結果や、ヒトにおける少数のパイロット試験の結果のみに基づいて臨床判断を決定することは、患者に害を与える可能性がある。さらにこれまでの大規模臨床試験において、サブ解析や副次評価項目で有効性が示唆された場合でも、それを主要評価項目に設定し直して確認することで有効性が否定されたことも少なくない。1型糖尿病発症予防の研究の歴史も、まさにこのことを証明している。したがって、今回の研究で有効性が示唆された患者群を対象として、同様のRCTを実施することが次のステップとなる。残念ながら現時点では1型糖尿病発症予防は見果てぬ夢といえるだろう。

3370.

小児の急性上気道感染症への抗菌薬、広域 vs.狭域/JAMA

 小児の急性気道感染症において、広域抗菌薬(アモキシシリン-クラブラン酸、セファロスポリン系、マクロライド系薬)の投与と狭域抗菌薬(アモキシシリン、ペニシリン)の投与は、臨床的アウトカムや大部分の患者中心アウトカムについて同等であることが示された。一方で有害事象の発生頻度は、広域抗菌薬群が狭域抗菌薬群よりも高率だった。米国・フィラデルフィア小児病院のJeffrey S. Gerber氏らが、3万例超の小児を対象にした後ろ向きコホート試験と、約2,500例の小児を対象とした前向きコホート試験を行って明らかにしたもので、著者は「今回の結果は、大部分の小児の急性気道感染症に対しては、狭域抗菌薬を使用することを支持するものだ」とまとめている。JAMA誌2017年12月19日号掲載の報告。生後6ヵ月~12歳の小児を対象に試験 研究グループは、米国ペンシルベニア州とニュージャージー州の小児プライマリケアネットワークに参画する診療所31ヵ所を通じて、2015年1月~2016年4月に急性気道感染症の診断を受け経口抗菌薬を投与した生後6ヵ月~12歳の小児を対象に、臨床的アウトカムを検証する後ろ向きコホート試験と、患者評価のアウトカムを検証する前向きコホート試験をそれぞれ行った。広域抗菌薬と狭域抗菌薬のアウトカムについて比較した。 後ろ向きコホート試験では、主要アウトカムは診断後14日間の治療失敗と有害事象だった。前向きコホート試験では、主要アウトカムは生活の質(QOL)、その他の患者評価のアウトカム、患者報告の有害事象だった。 両コホート試験について、層別解析や傾向スコアマッチング解析を行い、医療者による交絡因子や患者個人の背景による交絡因子をそれぞれ補正した。患者報告QOL、広域抗菌薬群でわずかに低スコア 後ろ向きコホート試験の被験者数は3万159例で、そのうち1万9,179例が急性中耳炎、6,746例がA群レンサ球菌性咽頭炎、4,234例が急性副鼻腔炎だった。このうち、広域抗菌薬を投与されたのは、14%(4,307例)だった。治療失敗率は、広域抗菌薬群3.4%、狭域抗菌薬群3.1%と同等だった(完全マッチング解析によるリスク差:0.3%、95%信頼区間[CI]:-0.4~0.9)。 前向きコホート試験の被験者は2,472例で、うち1,100例が急性中耳炎、705例がA群レンサ球菌性咽頭炎、667例が急性副鼻腔炎だった。広域抗菌薬を投与されたのは35%(868例)だった。小児患者のQOLについて、狭域抗菌薬群の平均スコアが91.5点だったのに対し、広域抗菌薬群では90.2点と、わずかに低かった(同リスク差:-1.4%、95%CI:-2.4~-0.4)。一方、その他の患者評価のアウトカムについては、両群で同等だった。 医療者が報告した有害事象の発生率は、狭域抗菌薬群2.7%に対し広域抗菌薬群は3.7%と高率だった(同リスク差:1.1%、95%CI:0.4~1.8)。患者が報告した有害事象の発生率も、狭域抗菌薬群25.1%に対し広域抗菌薬群は35.6%と高率だった(同リスク差:12.2%、95%CI:7.3~17.2)。

3371.

ニボルマブ1回240mgの固定用量を国内申請

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁)とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2017年12月22日、抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、単剤投与の用法・用量に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。 今回の申請は、すでに承認取得している効能・効果「根治切除不能な悪性黒色腫」、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」および「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」において、1回3 mg/kgを2週間間隔で点滴静注する用法・用量から、1回240 mgを2週間間隔で点滴静注する用法・用量への変更を目的としたもの。 その他ニボルマブに関して、悪性黒色腫術後補助療法の適応拡大、切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫に対する効能・効果に係る製造販売承認事項一部変更承認を,同日申請している。

3372.

わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問22

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問22 ロジスティック回帰分析の事例前回は、ロジスティック回帰分析の説明変数の選び方についてご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析の具体的な事例についてご説明いたします。■ロジスティック回帰分析の事例すでに確認されている「不整脈症状がある患者」のグループと、「ない患者」のグループでパソコン診断を行います。診断は、喫煙の有無、飲酒の有無、ギャンブル嗜好についてアンケートに回答してもらうものです。表1に20例の診断結果を示しました。表1のデータについて不整脈症状の有無と診断項目との関係を調べ、不整脈症状であるかどうかを判別するモデル式を作ります。このモデル式をパソコンにセットします。あとは来院した人がパソコンの質問に回答すると、その回答はモデル式にインプットされ、不整脈症状の有無が判定されます。この事例はモデル式の作り方、モデル式を使っての予測方法を示したものです。表1 事例のモデル式目的変数である不整脈症状の有無をカテゴリーデータ、説明変数である喫煙の有無、飲酒の有無、ギャンブル嗜好を1点、0点の数量データとして、ロジスティック回帰分析を適用します。■ロジスティック回帰分析の回帰係数はモデル式の係数ロジスティック回帰の回帰係数、調整済みオッズ比を表2に示します。表2 事例の回帰係数、調整済みオッズ比、Wald-square、p値回帰係数はモデル式の係数です。調整済みオッズ比は、説明変数の目的変数への影響度を調べる尺度です。値が大きいほど影響度が高い項目といえます。調整済みオッズ比から、不整脈症状の原因となる要因の1位は「喫煙の有無」で、次に「飲酒の有無」となります。「ギャンブル嗜好」は、不整脈症状にそれほど影響がないことがわかります。Wald-squareは検定統計量です。この値からp値が算出されます。p値は母集団において説明変数が有意であるかどうかを調べる値です。p<0.05である項目は、不整脈症状の有無の判別に有意であるといえます。喫煙の有無の調整済みオッズ比が14.1と大きいにもかかわらず、p>0.05です。これはサンプルサイズが20例と小さく、有意であるかどうか判断できないと解釈します。●留意点説明変数のデータ単位がすべて同じ場合、調整済みオッズ比は寄与順位に適用できます。データ単位が異なる場合、調整済みオッズ比の単純比較はできません。検定統計量Wald-squareの大小で比較できます。※検定統計量Wald-squareはこちら不整脈症状の有無の事例について、表3の分割表でリスク比、オッズ比を計算してみます。表3 分割表によるリスク比、オッズ比表4で調整済みオッズ比とオッズ比を比較します。両者の順位の違いがみられました。表4 事例のオッズ比の比較■変数相互の影響を除去した真の関係ギャンブル嗜好の順位をみると、ロジスティック回帰では3位、分割表では2位です。どちらの結果も事実ですが、統計学の世界では前者の順位を「真」、後者の順位を「偽」と考えます。後者が「偽」となる理由を考えてみます。表5は、項目間の相関係数を示したものです。表5 項目間の相関係数喫煙するからギャンブルが好きなのか、ギャンブルが好きだから喫煙するのか因果関係の方向はわかりませんが、両者には強い関係が見られます。また、ギャンブル嗜好と不整脈症状の相関が0.47と高いのは、ギャンブル嗜好が喫煙の有無の影響(相関0.68)を受けているからだと考えられます。このことから、ギャンブル嗜好と不整脈症状は見かけの相関(偽)と考えます。そのため、ギャンブル嗜好と不整脈症状との真の相関関係を調べることになります。真の相関関係とは喫煙の有無の影響を除去した関係のことです。そして、真の相関関係かどうかを解決してくれる解析手法が「ロジスティック回帰」です。ロジスティック回帰のギャンブル嗜好の調整済みオッズ比は、他要因(喫煙の有無)の影響を除去して算出され、順位は3位となりました。医学統計でよく用いられる多変量解析には、上記の2つに加えて、Cox比例ハザードモデルがあります。どのようなときにどの解析手法を用いるのかを誤ると、当然間違った解析結果がアウトプットされることになります。いずれの解析手法も、目的変数と説明変数のデータタイプ(数量データかカテゴリーデータ)の組み合わせです。表6のように、そこに時間的要素が入るかどうかで用いる解析手法は決まります。表6 解析方法の選択の考え方※Cox比例ハザードモデルについては、質問8 Cox比例ハザードモデルとは?をご参照ください。次回は、ロジスティック回帰の各種統計量の計算方法について、ご説明いたします。今回のポイント1)ロジスティック回帰分析の調整済みオッズ比は、説明変数の目的変数への影響度を調べる尺度、値が大きいほど影響度が高い項目といえる!2)ロジスティック回帰分析の調整済みオッズ比は、変数相互の影響を除去した真の関係を見いだすツール!インデックスページへ戻る

3373.

心房細動患者の脳卒中予防に対するDOACのメタ解析/BMJ

 心房細動(AF)患者に対する直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の脳卒中予防効果について、英国・ブリストル大学のJose A. Lopez-Lopez氏らがネットワークメタ解析による有効性、安全性および費用対効果の解析を行い、BMJ誌2017年11月28日号で発表した。解析の結果、DOACはクラスとしてワルファリンよりも、AF患者の脳卒中および死亡リスクを抑制し、国際標準比(INR)2.0~3.0維持用量での大出血および頭蓋内出血に関してより安全であり、数種のDOACはコスト高にもかかわらずネットベネフィットが認められることが示された。予想される増分純便益(incremental net benefit:INB)は、アピキサバン5mgを1日2回投与が最も高く、次いでリバーロキサバン20mgを1日1回、エドキサバン60mgを1日1回、ダビガトラン150mgを1日2回であったという。ネットワークメタ解析で23試験を包含し有効性、安全性、費用対効果を解析 検討は、Medline、PreMedline、Embase、The Cochrane Libraryをデータソースとし、AF患者の脳卒中予防効果に対するDOAC、ビタミンK拮抗薬または抗血小板薬の使用を評価した、公表されている無作為化試験をシステマティックレビュー検索して行われた。 検索により、患者9万4,656例が関与した23試験が適格基準を満たし、解析に組み込まれた。このうち、INR 2.0~3.0目標達成用量についてDOACとワルファリンを比較検討していたのは13試験であった。また、解析に包含された介入法は27種あった。 被験者は、平均年齢70.0歳、男性63.3%、BMI値28.0、脳卒中既往20.2%(いずれも中央値)などであった。また、ワルファリン群の治療期間中に占めたTTR(time in therapeutic range)の割合は、中央値63.8%(範囲:45.1~83.0)であった。大半のアウトカムでアピキサバン5mgの1日2回投与が最高位にランク 有効性と安全性に関する解析の結果、ワルファリンと比較して脳卒中または全身性塞栓症リスクを抑制したのは、アピキサバン5mgを1日2回(オッズ比[OR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.66~0.94)、ダビガトラン150mgを1日2回(0.65、0.52~0.81)、エドキサバン60mgを1日1回(0.86、0.74~1.01)、リバーロキサバン20mgを1日1回(0.88、0.74~1.03)であった。DOAC間における比較では、ダビガトラン150mgを1日2回よりも、エドキサバン60mgを1日1回(1.33、1.02~1.75)、リバーロキサバン20mgを1日1回(1.35、1.03~1.78)が、脳卒中または全身性塞栓症リスクが高いとのエビデンスが認められた。 全死因死亡リスクは、ワルファリンと比較して、すべてのDOACで抑制効果が認められた。 大出血リスクは、ワルファリンと比較して、アピキサバン5mgを1日2回(0.71、0.61~0.81)、ダビガトラン110mgを1日2回(0.80、0.69~0.93)、エドキサバン30mgを1日1回(0.46、0.40~0.54)、エドキサバン60mgを1日1回(0.78、0.69~0.90)で低かった。頭蓋内出血リスクは、ほとんどのDOACでワルファリンよりも大幅に低かった(ORの範囲:0.31~0.65)。一方で消化管出血リスクがワルファリンよりも高いDOACが一部で認められた(ダビガトラン150mgを1日2回のOR:1.52[95%CI:1.20~1.91]、エドキサバン60mgを1日1回のOR:1.22[1.01~1.49]など)。 アピキサバン5mgを1日2回は、大半のアウトカムについて最高位にランクしており、ワルファリンとの比較によるINBは7,533ポンドで、費用対効果も最も認められた(その他投与群のINBは、ダビガトラン150mgを1日2回が6,365ポンド、リバーロキサバン20mgを1日1回が5,279ポンド、エドキサバン60mgを1日1回が5,212ポンド)。 著者は、「ネットワークメタ解析はDOACの直接比較の試験を不要なものとし、AF患者における脳卒中予防に関する選択肢を知らしめてくれるものである」と述べ、「作用機序が類似するDOACの中で、アピキサバンの常用量が最も有効かつ安全であり、費用対効果があると思われた」とまとめるとともに、「さらなる長期データで安全性に関する洞察を深め、DOACからベネフィットを得られない患者を特定し、各DOACの中和薬を開発することが重要である」と指摘している。

3374.

雨が降ると関節痛の受診は増えるのか/BMJ

 降雨と関節痛や背部痛による外来受診に関連はないことが、米国・ハーバード大学医学大学院のAnupam B. Jena氏らによる、155万人以上の米国人高齢者のデータを解析した研究で明らかとなった。多くの人々が、とくに関節炎の患者において、気象条件の変化で関節痛や背部痛の症状が増悪すると考えている。気象パターンと関節痛の関連を検討した研究において至った結論はさまざまであり、種々の気象条件下で関節痛を詳細に評価した研究は、どれも症例数が少ないという。BMJ誌2017年12月13日号掲載のクリスマス特集での報告。医療保険申請データと降雨データを関連付け 研究グループは、降雨と関節痛や背部痛による外来受診の関連を評価する観察研究を行った(研究助成は受けていない)。 米国のメディケア医療保険申請データと、米国気象台(US weather stations)の降雨データを関連付けた。2008~12年に一般内科医の外来診療を受けた65歳以上の155万2,842例(総受診件数:1,167万3,392件)を解析の対象とした。 疾患(関節リウマチ、変形性関節症、脊椎症、椎間板障害、その他の非外傷性関節障害)に関連した関節痛または背部痛による外来受診の割合を、雨が降った日と降らなかった日で比較した。患者の背景因子、慢性疾患、地理的な固定効果(同一地域内の降雨日と非降雨日で、外来受診関連の関節痛または背部痛の割合を比較)で調整した。予想とは逆の結果だが、関連の可能性はまだ残る メディケア加入者による1,167万3,392件の外来受診のうち、209万5,761件(18.0%)が降雨日のものであった。 患者の平均年齢は、降雨日が77.0歳、非降雨日は77.1歳、女性がそれぞれ62.1%、62.2%、白人が87.3%、85.8%であった。主な慢性疾患として、高血圧が降雨日で89.0%、非降雨日で88.8%にみられ、脂質異常症がそれぞれ85.2%、85.1%、関節リウマチが62.3%、62.9%、冠動脈疾患が58.3%、58.7%に認められた。 補正前および補正後解析では、関節痛または背部痛患者の割合は、降雨日のほうが非降雨日よりも低く(補正前解析:6.23% vs.6.42%、p<0.001、補正後解析:6.35% vs.6.39%、p=0.05)、予想とは逆の結果が示された。しかし、その差は小さいため臨床的な意義はないと考えられた。 外来受診した週に関節痛または背部痛で保険申請をした割合とその週の降雨日数にも、統計学的に有意な関連は認められなかった。たとえば、雨の日が7日間すべてだった週と雨の日が1日もなかった週で、関節痛や背部痛の割合は類似していた(p=0.18)。 地域、年齢層、人種別のサブグループ解析でも、関節痛や背部痛と降雨に関連はみられず、関節リウマチ患者においても有意な関連は認められなかった。 著者は、「降雨と関節痛や背部痛に関連がある可能性はまだ残っており、この一般的な通念の妥当性を立証するには、疾患の重症度や疼痛に関する、より大規模で詳細なデータが有用と考えられる」としている。

3376.

日本人2型糖尿病のCHD発症、肉摂取量に関連

 健康成人における心血管疾患の主な原因として食肉の過剰摂取が研究されているが、アジア人の糖尿病患者における研究はわずかである。今回、The Japan Diabetes Complications Study(JDCS)グループが日本人2型糖尿病患者で調査したところ、食肉の高摂取が冠動脈疾患(CHD)発症率上昇に関連することがわかった。European journal of nutrition誌オンライン版2017年12月8日号に掲載。 本研究は、全国コホート研究の一環として、HbA1c 6.5%以上の40~70歳の日本人2型糖尿病患者における食肉摂取量と心血管疾患発症の関連を調査した。ベースラインでの食事調査の回答者は1,353人で、食品群に基づく食事摂取頻度調査票で評価した。主要アウトカムは、CHDおよび脳卒中を含む心血管疾患イベントの8年間のリスクであった。食肉摂取量について、年齢、性別、BMI、HbA1c、喫煙、エネルギー摂取量、その他の交絡因子で調整されたハザード比(HR)を、Cox回帰分析を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・平均食肉摂取量の四分位範囲は、9.9~97.7g/日であった。・交絡因子の調整後、第2、第3、第4四分位のCHDのHRは、第1四分位と比較して、それぞれ2.84(95%信頼区間:1.29~6.24、p=0.01)、3.02(同:1.36~6.70、p<0.01)、2.99(同:1.35~6.65、p=0.01)であった。・食肉摂取量に応じた2群において、20g/日以上の食肉を摂取する患者は、20g/日未満の患者よりもCHDリスクが2.94倍高かった(p<0.01)。・脳卒中と食肉摂取との関連は認められなかった。

3377.

税制は株式や不動産投資より重要【医師のためのお金の話】第3回

税制は、株式や不動産投資より重要こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回は、資産形成に必要なタネ銭を貯めるに当たって、目標を設定することの重要性をお話ししました。首尾よく目標金額である1,000万円に到達できれば、すぐに株式投資や不動産投資を始めるぞ! と意気込んでいる先生もいらっしゃるかもしれません。しかし、ちょっと待ってください。その前にやるべきことがあります。税制を知ることは、株式投資や不動産投資よりも効果あり資産形成を行うに当たって学習するべき知識の中では、「税制」が最も重要です。なぜ税制を熟知することが重要なのかというと、「税制はお金に関する社会のルール」だからです。たとえば、野球やサッカーをする際に、ルールを知らなければお話になりません。それと同様に、日本の社会の中で効率的に資産形成を行うには、その大本となっているお金に関するルール、つまり税制を知らなければ要らぬ苦労を強いられます。そして、資産規模が小さいうちは、株式投資などによって得られる利益よりも多くのお金を手元に残せる可能性が高いです。もちろん、資産規模が大きくなるほど、税制を知っているか否かで決定的な違いが出てきます。つまり、最も効率良い資産形成の手法は、税制を知ることなのです。税制の知識を日常生活に応用たとえば、子供が中学生や高校生になると、各人にスマートフォンを持たせている家庭も多いと思います。仮にスマートフォン代が毎月1万円増えてしまうと、家計のキャッシュフローの均衡を保つためには、収入をいくら増やさないといけないでしょうか? そりゃ、1万円に決まっているだろう! と思う方が多いといますが、正解は1万円ではありません。人によって異なりますが、おおむね1万5,000円~2万円程度は収入を増やす必要があります。少し驚きの数字ですね。なぜ、スマートフォン代の1万円ではなく2万円なのかというと、給与などの収入には税金がかかるからです。そして課税所得金額が900万円を超えると、所得税と住民税を合わせると43%もの税率になります。多くの先生方は、課税所得金額が900万円を超えているはずです。この点は見落とされることが多いので、十分に理解しておく必要があります。税制を熟知していれば、無駄な固定費を増やすことを回避することができます。知っておくべき税制あれこれ固定費に対する考え方以外にも、資産形成に有用な税制は多いです。具体的に挙げると、個人所得税における損益通算、築古木造戸建などの不動産を用いた減価償却、小規模企業共済などです。今回はそれらの内容にまで踏み込みませんが、別の機会にお話ししたいと思います。

3378.

わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問21

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問21 ロジスティック回帰分析の説明変数の選び方は?前回は、ロジスティック回帰分析のオッズ比についてご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析の説明変数の選び方についてご説明いたします。ロジスティック回帰分析の説明変数は、何でもよいということでありません。説明変数の選び方にはルールがあります。そのルールについて説明します。■選択肢が3つ以上のカテゴリーデータの項目は適用できない説明変数に適用できるデータは数量データです。表1に示します喫煙本数、飲酒日数、性別、血液型から息切れ症状の有無を予測したいと思います。表1のデータが、ロジスティック回帰分析に適用できるかどうかを考えてみてくだい。表1 特定の症状予測に生活習慣をデータ化する性別、血液型はカテゴリーデータなので、ロジスティック回帰分析には適用できません。ただし、カテゴリー数が2つの項目ならば適用できます。たとえば、性別を「男性→1、女性→0」(または「女性→1、男性→0」)として、数量データに変換すれば扱えます。血液型は4カテゴリーなので適用できません。●留意点血液型にはA型、O型、B型、AB型がありますが、これらを説明変数にどうしても適用したい場合、1つを除けば適用できるというルールがあります。たとえばB型を除いた場合、下表のように設定します。A型:Yes→1 No→0 O型:Yes→1 No→0 AB型:Yes→1 No→0血液型を説明変数に変える裏技■データがすべて同じ値の説明変数は、ロジスティック回帰分析に適用できないアンケート調査で、段階評価(1.良い 2.どちらともいえない 3.悪い)を用いた場合などで、回答者全員が「2.どちらともいえない」に回答する、といったことがあります。この場合、この変数のデータはすべて「2」となり、この変数はロジスティック回帰分析には使えません。データがすべて同じだと、標準偏差が0になってしまうからです。ロジスティック回帰分析を行う前に標準偏差を計算してチェックしてください。■説明変数の個数は「個体数-1」より少なくなければならない説明変数の数をq、個体数をnとしたとき、ロジスティック回帰分析では、次の式を満足させなくてはなりません。q<n-1息切れ症状の有無のデータの場合、n-1は9-1=8です。q=2なので、q<n-1が成立し、ロジスティック回帰分析が適用できました。この例においてはnが3以下だとロジスティック回帰分析は行えません。■数値以外のデータがある個体は分析から除外されるブランク、記号、文字などの数値以外のデータがある個体は、分析からは除外されます。表2のデータの個体数は9例ですが、数値以外のデータがある個体は4例存在するので、解析に適用できる個体は右側の表の5例となります。表2 解析に適用できるデータを抽出次回は、ロジスティック回帰分析の具体的な事例についてご説明いたします。今回のポイント1)ロジスティック回帰分析の説明変数には、選択肢が3つ以上のカテゴリーデータの項目は適用できない!2)データがすべて同じ値の説明変数は、ロジスティック回帰分析に適用できない!3)説明変数の個数は「個体数-1」より少なくなければならない!4)数値以外のデータがある個体は分析から除外される!インデックスページへ戻る

3379.

大腿骨骨折手術、実施は24時間以内に/JAMA

 大腿骨骨折手術を受けた成人患者において、待機時間が長いと30日死亡およびその他の合併症のリスクが増大することが明らかにされた。カナダ・トロント大学のDaniel Pincus氏らによる住民ベースの後ろ向きコホート試験の結果で、待機時間24時間が、リスクが高まる閾値と定義される可能性が示唆されたという。世界中で、大腿骨骨折手術の待機時間は死亡と関連しており、ケアの質の指標として用いられているが、合併症に結び付く待機時間については議論の的となっていた。JAMA誌2017年11月28日号掲載の報告。オンタリオ州72病院で手術を受けた4万2,230例について分析 研究グループは、合併症リスクが増大する前に大腿骨骨折手術を行うべき至適な時間帯を特定するために、住民ベースの待機時間データを用いて検討を行った。 2009年4月1日~2014年3月31日に、カナダ・オンタリオ州の72病院で同手術を受けた成人を対象とした。待機時間でみた各合併症の発生率を、リスク補正後の制限3次スプラインモデルで描出し、合併症が増大し始めた変曲点(時間)を用いて、手術実施が早期と定義されるのか、待機的と定義されるのかを調べた。また、この定義の頑健さを評価するために、傾向スコアで適合した早期手術群と待機的手術群でアウトカムの比較を(%でみた絶対リスク差[%RD]を95%信頼区間[CI]とともに用いて)行った。 待機時間は、病院到着から手術までの時間と定義。主要アウトカムは、30日以内の死亡率で、副次アウトカムは、死亡またはその他の内科的な合併症(心筋梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症、肺炎)の複合などであった。 試験適格基準を満たした大腿骨骨折患者は4万2,230例。平均年齢(SD)80.1(10.7)歳、女性が70.5%であった。30日死亡率、合併症発生率ともに、24時間を過ぎてから手術を受けた群で有意に高率 30日時点の死亡率は、全体で7.0%であった。 待機時間が24時間より長い場合、考えられる合併症リスクはいずれも増大が認められた。 30日死亡リスクは、24時間を過ぎてから手術を受けた待機的手術群(1万3,731例)が、傾向スコアで適合した24時間以内に手術を受けた早期手術群(1万3,731例)と比較して有意に高かった。死亡件数はそれぞれ898例(6.5%)vs.790例(5.8%)で、%RDは0.79(95%CI:0.23~1.35、p=0.006)であった。また、合併症複合アウトカムの発生も待機的手術群が有意に高く、1,680件(12.2%)vs.1,383件(10.1%)、%RDは2.16(95%CI:1.43~2.89、p<0.001)であった。

3380.

悪性胸水への胸腔カテーテル留置とタルク胸膜癒着術に有意差/JAMA

 悪性胸水を有する患者に対し、胸腔カテーテル留置法はタルク胸膜癒着術と比べて、治療から死亡に至る間の入院日数を有意に短縮するが、両者の差は臨床的に意義のあるものではないことが、オーストラリア・サー・チャールズ・ゲアードナー病院のRajesh Thomas氏らによる非盲検無作為化試験「AMPLE試験」の結果、示された。胸腔カテーテル留置法とタルク胸膜癒着術は、悪性胸水を有する予後不良の患者の治療として確立している。著者は、「今回の結果は、患者が悪性胸水の治療法を選択するのに役立つ情報となるだろう」と述べている。JAMA誌2017年11月21日号掲載の報告。胸腔カテーテル留置法とタルク胸膜癒着術に無作為に割り付け 研究グループは、悪性胸水を呈した患者の残された時間において、胸腔カテーテル留置法がタルク胸膜癒着術よりも、病院で過ごす時間を減らせるかについて検討した。 2012年7月~2014年10月に、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、香港の9施設で、症候性の悪性胸水を有する患者を登録して行われた。被験者を無作為に1対1の割合で、胸腔カテーテル留置法を受ける群またはタルク胸膜癒着術を受ける群に割り付け、悪性腫瘍(中皮腫 vs.その他)、trapped lungの認否で最小化し、試験地域(オーストラリア vs.アジア)による層別化も行った。フォローアップ期間は12ヵ月であった(最終フォローアップは2015年10月16日)。 主要エンドポイントは、処置から死亡に至るまで、または12ヵ月時点までに病院で過ごした全日数。副次アウトカムは、胸膜ドレナージの介入追加、患者が申告した呼吸困難、EQ-5D質問票スコアやVASスコアなどで測定したQOLの程度、有害事象などであった。胸腔カテーテル留置法群とタルク胸膜癒着術群に有意差 146例(年齢中央値70.5歳、男性56.2%)が無作為化を受けたが、intention-to-treat解析には、介入前に離脱した両群1例ずつを除外した144例(胸腔カテーテル留置法群73例、タルク胸膜癒着術群71例)が包含された。右肺に施術を受けたのは胸腔カテーテル留置法群59%、タルク胸膜癒着術群53%、中皮腫が原因であった患者は各群27%、25%、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)スコア0~2は72%、74%など、両群のベースライン特性は良好に適合していた。 病院で過ごした全日数は、胸腔カテーテル留置法群が中央値10日(IQR:3~17)、タルク胸膜癒着術群が同12日(同:7~21)で、統計的有意差が認められた(推定差:2.92日、95%信頼区間[CI]:0.43~5.84、p=0.03)。その要因は主に、悪性胸水に関連した入院日数の有意差にあり、胸腔カテーテル留置法群1日(IQR:1~3日)、タルク胸膜癒着術群4日(同:3~6)で、両群のHodges-Lehmann(HL)法による推定差は2.06日(同:1.53~2.58)であった(p<0.001)。また、同側胸膜ドレナージの実施も、胸腔カテーテル留置法群(4.1%)がタルク胸膜癒着術群(22.5%)よりも有意に少なかった(率差:0.18、95%CI:0.08~0.29、p=0.001)。 息苦しさやQOLについて、群間の有意差は認められなかった。有害事象は両群ともに認められ、胸腔カテーテル留置法群22例(30%)で30件、タルク胸膜癒着術群13例(18%)で23件が報告された。

検索結果 合計:5062件 表示位置:3361 - 3380