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医師こそ起業を考えよう!【医師のためのお金の話】第11回

医師こそ起業を考えよう!こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回まで、資産形成の総論、金融投資、および不動産投資を詳述してきました。そして、ここまで実践できている方には、ぜひ挑戦してほしいことがあります。それは、新規ビジネスでの起業です。株式・通貨などの金融投資や不動産投資は、既存の仕組みに対する投資です。市場への流動性の供給や快適で便利なスペースの提供などは、社会的に意義のあることでしょう。その一方で、新規ビジネスの立ち上げは、今までこの世に存在しなかった仕組みを創り上げる作業です。社会の発展のためには、新しいサービスの創造が欠かせません。もちろん、自分にできることは、本当に小さなことかもしれません。しかし、その小さな創造の積み重ねが、社会の健全な発展に資するのです。金融投資や不動産投資で培ってきたマネジメント能力があれば、新規ビジネスを立ち上げる際にも有利です。あなたも、今まで世界に存在しなかったモノを創ってみませんか?たしかに起業は難しい起業という言葉に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか? 何となく「かっこいい!」や「裕福そう!」などといったポジティブなイメージがあるかもしれません。しかし、いざ自分で新規ビジネスを立ち上げるとなると話は別です。「失敗したらどうしよう」「そもそも何をどうすればよいのかわからない」という方が大半なのではないでしょうか?多くの人が、起業は「難しい」「怖い」というネガティブなイメージを持つことは当然のことです。実際に新規ビジネスを立ち上げても、最初から順風満帆に事業が拡大できることは「まれ」です。なぜならば起業には、「タイミング」「アイデア」「コミュニケーション能力」「人材のマネジメント能力」「資金調達能力」などの総合力が必要とされているからです。これだけ広い範囲の能力を、ひとりの人間が網羅することは容易ではありません。そして、おそらくこれらの能力の1つでも欠けていれば、ビジネスが成功する可能性は著しく低下します。このように言うと、新規ビジネスの立ち上げなんか自分には無理だと思ってしまいそうです。医師が起業に向く3つの理由確かに、この世に存在しない仕組みを創り上げる作業が難しいことは事実です。しかし、起業するうえで、医師はかなり有利なポジションにあることをお伝えしたいと思います。その理由として、下記の3つが挙げられます。1.医師免許というセーフティネットがある2.医師免許という高い参入障壁を利用して戦うことができる3.同業の人脈を利用できるやはり、医師が起業するうえで医師免許の強みを語らずにはおれません。私たちは、医師免許の存在を普段あまり感じません。自分たちが身に付けている高度な医学的知識や技術こそが、報酬を得る源泉であると思っている方が大半ではないでしょうか。もちろん、そのとおりなのですが、実際には医師免許がなければ医療行為は認められません。そして、業務独占資格として供給が絞られているため、医師免許さえあれば経済的に困ることはありません。つまり、起業に失敗しても、医師免許さえあれば食うに困る状態にはならないのです。このアドバンテージはきわめて大きいと思います。失敗しても経済的にはさほど困らないので、思い切って起業に挑むことができるからです。また、前述のように医師免許は業務独占資格なので、一般の人は医療行為を行うことができません。このことはきわめて高い参入障壁となります。普通のビジネスでは海千山千の強者と同じ土俵で戦わなければならないのですが、医師免許の範囲内に留まる限り、彼らが脅威になることはありません。競争相手が少なく、レベルも高くないので、温室のような環境でビジネスを構築することが可能になります。人脈に関しても医師は有利です。医師をはじめとする各種医療系資格保有者と接触できるため、一般人と比較してもビジネスの横展開が容易になります。実は私が、現在注力しているスタートアップにおいても、医師として人脈を最大限利用しています。医療業界以外の人では、決して真似のできないアドバンテージなのです。リスクが低いなら躊躇しない!ここまで詳述してきたように、医師と起業は親和性が高いと思います。実際、医療は進歩が目覚ましい領域なので、起業のネタには事欠きません。最近では、AIや再生医療での起業事例が多いようですが、それ以外にもたくさんの起業家医師が登場しています。失敗しても失うものがほとんどないので、チャンスがあれば起業にチャレンジすることは理にかなっています。自分には無理だと自らブレーキをかける前に、キャリア選択の1つとして、起業も考えてみてはいかがでしょうか。

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第13回 【最終回】薬剤師ってなんでしょうか。私の答えは。【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。薬剤師ってなんでしょうか。薬を扱うだけでなく、人と向き合う職業。人として...の部分も成長させなければ、と思いつつ、薬剤師業務も幅広く、健康サポート、禁煙、セルフメディケーションなどからTDM、処方解析、感染予防、がん専門、認知症専門...など専門薬剤師も多々あり。自分が何を目指していくのか、悩む反面、様々な可能性があると感じています。医療と介護を繋いだり、患者さんと医療者を繋いだり。健康な時から関わることができる薬局(薬剤師)は人生全般に寄り添うことが可能で、アドバンスケアプランニング※にも大きく影響してくる...。これは凄いことでは?※将来の意思決定能力の低下に備えて、患者さまやそのご家族とケア全体の目標や具体的な治療・療養について話し合うプロセス。もしバナのすすめ(アドバンス・ケア・プランニングって何ですか?)よりhttp://www.kameda.com/patient/topic/acp/index.html 薬局の外に出るまで「薬剤師がいなくちゃ!」な時に巡り会うことがあまりなく特に調剤薬局では、病名も分からないまま、処方箋調剤し、主治医と処方について話せるわけでもなく、効率よく患者さんをさばき...しかし、外に出て、医師や看護師と話して、世界が広がりました。医療者として、頼られたり認められたりしながら、主治医から意見を求められることも増えてきました。処方提案し、症状が悪化して、薬剤が原因だろう、と言われて落ち込み、責任の重さを痛感しています。薬剤師法第1条・・・国民の健康な生活を確保する今になって、その重みを感じています。そう、原点はここ。時代が変わっても。薬剤師業務が拡がっても。 そして、チーム。私は在宅チームに参画して、薬剤師として、だけでなく、対人援助者としても存在意義がある、と思えるようになりました。患者さんの前で、薬剤師だけではどうにもならないとき...。それでも私を必要としてくれる人がいることを学びました。事例検討、難病対策や意思決定支援、エンディングノートを書いたり、栄養や薬剤の勉強をしたり、保険点数のテストを一緒に解いたり、日々の悩みを共有し、笑って、泣いて、いつしかチームが私の癒しに。メンバーがチームとしてまとまると1人ではないと感じます。訪問時は1人(孤独)ですが、相談できる仲間がいる安心感。 薬局の外に出て、命を前にした時の怖さ、緊張...命を考える時間は、私の死生観を深いものにしてくれました。逃げられない責任は、喜びと使命感に変わりました。「今、私は何ができるのか?」「今、私がすべきことは?」いつまでも探して、そうやって進むしかない。在宅訪問専任の薬剤師として思い悩む日々が、今の私を作ってくれました。「多くのすべきことがある」今は、そう考えています。悩みはつきないけれど、私のことを待っている患者さんがいます。必要としてくれるメンバーもいます。 なぜか、在宅は大変・・・のように言われますが(暑くても、台風でも、拒否されても、怒鳴られても・・・行かねばなりませんが)、大変なだけではない面白さや魅力がこの連載を通じて伝わったらよいなと思っています。私の思い、読者のみなさんに届くといいなーーー!!さ、今日も在宅に行ってきます。

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弊社ウェブサイトのセキュリティ強化(TLS1.0/TLS1.1の停止)について

弊社ウェブサイトのセキュリティ強化(TLS1.0/TLS1.1の停止)についてこのたび、ケアネットではセキュリティ強化のために、2018年9月1日以降、暗号化通信方式「TLS1.0」「TLS1.1」のサポートを順次終了し、今後は、より安全な方式である「TLS 1.2」以降での接続のみをサポートすることとなります。※TLSとは、ご利用者がウェブサイトを閲覧する際の通信を暗号化することで、第三者による通信の盗聴や改ざんを防ぐための仕組みです。この変更により、一部のバージョンの古いOSやWebブラウザーからは弊社ウェブサービスがご利用いただけなくなります。何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。影響を受ける可能性のある主なWebブラウザーやOSは以下の通りです。該当するWebブラウザー、OSを利用している場合、新しいバージョンへの更新をご検討いただくようお願いいたします。WebブラウザーInternet Explorer 10 以前Chrome 29以前Firefox 26以前Safari 6以前OSWindows XP 以前Mac OS X 10.8(Mountain Lion)以前Android OS 4.4 以前iOS 4以前また、最新のWebブラウザーを利用している場合でも、「TLS 1.2」を有効にしていない場合、正しくアクセスできない場合があります。各Webブラウザーの設定画面等で、「TLS 1.2」を有効にするように設定変更をお願いいたします。ご不便をおかけいたしますが、なにとぞご理解を賜りますよう、お願いいたします。

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1日1回服用のMAO-B阻害パーキンソン病治療薬「アジレクト錠1mg/0.5mg」【下平博士のDIノート】第6回

1日1回服用のMAO-B阻害パーキンソン病治療薬「アジレクト錠1mg/0.5mg」今回は、「ラサギリンメシル酸塩錠(商品名:アジレクト錠1mg/0.5mg)」を紹介します。本剤は、セレギリン(商品名:エフピーOD錠)に続く2剤目の選択的モノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害薬です。セレギリンと同様に、レボドパ含有製剤併用の有無にかかわらず使用できますが、アンフェタミン骨格を有さないため、覚せい剤原料の規制を受けないなど薬剤管理上のメリットがあります。<効能・効果>パーキンソン病の適応で、2018年3月23日に承認され、2018年6月11日より販売されています。本剤は、MAO-Bと非可逆的に結合することで、脳内のドパミンの分解を抑制し、シナプス間隙中のドパミン濃度を高めることにより、パーキンソン病の症状を緩和します。<用法・用量>通常、成人にはラサギリンとして1mgを1日1回経口投与します。肝臓に軽度の障害がある患者、低体重の患者、高齢の患者では、副作用が発現する可能性があるため、低用量での投与を考慮します。セレギリン塩酸塩、トラマドール塩酸塩、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRIなどと併用すると、相加・相乗作用などによって、重篤な副作用発現の恐れがあるため併用禁忌となっています。<承認>2018年3月時点で50以上の国または地域で承認されています。<副作用>国内臨床試験において、696例中346例(49.7%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められています。主な副作用は、ジスキネジア(8.0%)、転倒(3.7%)、鼻咽頭炎(3.2%)でした(承認時)。重大な副作用として起立性低血圧、傾眠、突発的睡眠、幻覚、衝動制御障害、セロトニン症候群、悪性症候群が報告されています。本剤は、レボドパ含有製剤と併用されることもありますが、海外臨床試験における併用時の副作用は544例中299例(55.0%)と頻度が高まるため注意が必要です。<患者さんへの指導例>1.本剤は脳内でドパミンの分解を抑えることで脳内のドパミン濃度を増加させ、パーキンソン病の症状を改善します。2.めまい、立ちくらみ、ふらつきなどの症状が現れたらお知らせください。3.眠気、前兆のない急な眠り込みが現れることがありますので、服用中は自動車の運転や機械の操作、高い所での作業など危険を伴う作業はしないでください。4.レボドパ含有製剤と併用することで、副作用が強まることがあります。意志に反して舌や口が動いたり、体が動いたりする症状(ジスキネジア)が現れた場合にはすぐに連絡してください。5.喫煙や、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含有する健康食品を摂取すると、本剤の作用が弱まることがあるので控えてください。6.チーズ、ビール、赤ワインなど、チラミンを多く含む飲食物の摂取により、血圧上昇が報告されているため摂取は控えてください。<Shimo's eyes>本剤は、すでに海外ではパーキンソン病治療の中心的な薬剤の1つとして幅広く使用されており、医療上の必要性が高い薬剤として「未承認薬・適応外薬の要望」が日本神経学会より出されていました。「パーキンソン病診療ガイドライン2018」(日本神経学会監修)において、「早期パーキンソン病患者に対する運動症状改善効果は、セレギリンとラサギリンで差はないが、オフ時間の短縮にはラサギリンより高いエビデンスがある」と記載されており、患者さんのQOL改善が期待されます。覚せい剤原料の規制を受けると、厳重な保管管理のほか、廃棄の際は保健所職員(覚せい剤監視員)の立ち会いが必要であったり、1錠でも紛失した際は「覚せい剤原料事故届」の提出が必要であったりするなど、管理や手続きが煩雑でした。本剤は覚せい剤原料に指定されておらず、流通上の規制を受けないため、大変取り扱いが簡便です。薬力学的相互作用については、併用薬との相加・相乗作用によるセロトニン症候群などへの注意が必要です。また、薬物動態学的相互作用については、本剤はCYP1A2で代謝されますので、喫煙によるCYP1A2の誘導などに注意する必要があります。患者さんの併用薬や生活習慣に気を配り、適切な服薬指導ができるようにしましょう。■参考日本神経学会 パーキンソン病診療ガイドライン2018

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第6回 柑橘類からバナナにかえて、胃食道逆流症の悪化リスクを削減【使える!服薬指導箋】

第6回 柑橘類からバナナにかえて、胃食道逆流症の悪化リスクを削減1)Feldman M, et al. Gastroenterology. 1995 Jan;108:125-131.2)古田賢司,他. 上部消化管疾患の栄養療法. 日本消化器病学会雑誌. 2007;104:1698-1706.

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第12回 初めての死後訪問【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。薬の処分に困っている、という方は多いのですね家族から「薬どうしよう」施設から「残っている薬を処分してほしい」薬の処分に困っている、という方は多いようです。今まではケアマネさんや看護師さん、病院の事務さんが処理してくれていました。これからは私がこの役を担おう。そう思っています。生老病死を見つめる目グリーフケアに行ったスタッフから聞いた話ですが、「家族(息子夫婦、その子供さん3人)で看取ったその後、その子供が、パパも僕が看取ってあげる、と言ったと聞いて感動しました。その目でしっかり生老病死を見つめていたのだ」と。「グリーフ」は"悲嘆"という意味で、近しい人を亡くした人がその悲嘆を乗り越えようとする心の努力。死別に伴う苦痛や環境変化などを受け入れようとすることを、グリーフワークと言います。そして、これを支援するのが『グリーフケア』です。死後訪問を経験A病院のスタッフは、必ず死後訪問をするそうです。在宅に関わるようになって、私も死後訪問を経験しました。在宅療養していて、最期は病院で看取られた患者さんのお宅に、あいさつに伺いました。事務さん、ケアマネさん、OT(作業療法士)さんと車で。ベテラン勢がいつもと変わらない様子で、ちょっと安心...。車の中では「毎日忙しい~大変~」と慌しい日常を垣間見ましたが、患者さん宅に着くと、ゆったりと時間が流れました。死後訪問に慣れていない私は、心ここにあらずといった感じで動揺を隠せませんでした。そんな私に、看護師さんもケアマネさんも「一度、家に帰ってこられたのよ。あのタイミングしかなかったのだから」「さあ、支援が必要な人がたくさん待っているわよ」と声をかけてくれます。少しでも家に帰れてよかったここ最近、終末期の新患さんの1回きり訪問が続きました。契約書は次回、未収。電話がかけにくい...。ご家族が納得されている場合でも気が引ける。歳が若かったり、突然の別れの場合はなかなか電話できず...。でも訪問してみると皆さん「少しでも家に帰れてよかった」と。その言葉にほっとします。 これからはグリーフケアにも積極的に関わっていこうと思います。

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見過ごされている毒ヘビ咬傷、世界的な実態は?/Lancet

 毒ヘビ咬傷は、見過ごされている頻度の高い罹患率と死亡率の原因である。しかし、ヘビの生態やヘビ咬傷治療に関するデータは乏しく、正確な負荷評価をしようにも限りがある。英国・オックスフォード大学のJoshua Longbottom氏らは、「世界的な関心の低さが、新たな治療法や十分な医療資源、ヘルスケアの入手を阻んでいる」として、世界の最新のヘビ咬傷対策のための“ホットスポット”の描出を試みた。Lancet誌2018年7月12日号掲載の報告。ヘビ種リストをまとめ、咬傷リスクの最弱集団を特定 研究グループは、ヘビ咬傷リスクの最弱集団を特定するため、現在入手可能なデータを集約し、この世界的な問題に対処するため、どのような追加データが必要かを調べた。WHOガイドラインを用いてヘビ種リストをまとめ、WHOまたはClinical Toxinology Resourcesから専門家の見解に基づく分布(expert opinion range:EOR)マップを入手、また、VertNet、iNaturalistなど種々のウェブサイトから(spocc R package[version 0.7.0]を使用)、各種ヘビ種の出現データを入手した。 重複出現データは削除し、グループA(入手可のEORマップまたは種の出現記録がない)、グループB(EORマップありだが出現記録が5種未満)、グループC(EORマップありで出現記録5種以上)の3群のヘビ分類を作成した。グループCについては、2008 WHO EORマップとできるだけ新しいエビデンスを用いて多変量環境類似性分析を行った。 これらのデータとEORマップを用いて、医学的に重要な毒ヘビ種の最新分布マップを5×5km格子間隔で作成した。その後、これらのデータを3つのヘルスケアシステムの測定基準(抗毒法の利用能、都市部センターへのアクセシビリティ、Healthcare Access and Quality[HAQ]指数)を用いてトライアンギュレーションで、ヘビ咬傷の罹患と死亡に対しても最も脆弱な集団を特定した。ヘビ種278の世界分布マップを作成、地理的弱者は約9,266万人 研究グループは、ヘビ種278の世界分布マップの作成に成功した。世界でヘビが生息する地域には68億5,000万人が住んでいるが、約1億4,670万人が、質的に医療提供が乏しい辺境に住んでいることが判明した。 HAQ指数を用いた比較で、有効な治療がなくあらゆるヘビ種の曝露リスクがあるのは、低HAQ指数群は2億7,291万人(65.25%)であった一方、高HAQ指数群は5億1,946万人(27.79%)で、既存の抗毒利用能が不均衡であることが明らかになった。 抗毒法は、WHOによる評価では278種のうち119種(43%)のヘビについて入手可能であったが、世界でヘビが生息している場所で暮らす人のうち7億5,019万人(10.95%)が、人々が住む地域から1時間以上離れた場所で暮らしている。 全体的に、地理的弱者と呼べる人(多くはサハラ以南の国やインドネシア、その他東南アジアの一部に住む人)は、約9,266万人と特定された。 著者は、「世界の地域レベルで、毒ヘビ咬傷の最も重大な転帰にさらされやすい集団を識別することは重要である。新たなデータを収集し、照合することを優先し、抗毒治療と既存のヘルスケアシステムを強化し、現在入手可能なさらには将来的な介入を展開することである」との見解を示し、「今回のマップは、今後、生態学的および公衆衛生の両面において、ヘビ毒への効果的な対策を研究するのに役立つだろう。また、この顧みられない熱帯病の負荷の将来的な推定値について、よりよい目標値を導くものになるだろう」とまとめている。

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第4回 GERDを発症・増悪させにくいCa拮抗薬は?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 胃酸などの胃の内容物が食道に逆流して生じる胃食道逆流症(Gastroesophageal reflux disease:GERD)の原因の1つに、「下部食道括約筋(Lower esophageal sphincter:LES)」の機能低下があります。LESは胃と食道のつなぎ目にあり、胃酸の逆流を防ぐ筋肉ですが、加齢に伴う機能低下だけでなく、嗜好品や生活習慣および薬剤によっても緩まることがあります。GERDは頻度の高い疾患ですので、これらの悪化要因を把握しておくと服薬指導にとても有用です。MSDマニュアルには、下記の記載があります。「逆流をもたらす要因として、体重増加、脂肪食、カフェイン含有飲料、炭酸飲料、アルコール、喫煙、薬物がある。LES圧を低下させる薬物には、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬、カルシウム拮抗薬、プロゲステロン、硝酸薬がある」(参考文献1)より引用)実際、アムロジピンの服用開始後にGERDの症状が悪化したと訴え、医師からの指示でアムロジピンを中止したところ症状が改善した患者さんに、私も会ったことがあります。その件の因果関係は不明ですが、今回はCa拮抗薬とGERDの関連について検討した後ろ向きコホート研究を紹介します。Do calcium antagonists contribute to gastro-oesophageal reflux disease and concomitant noncardiac chest pain?Hughes J, et al. Br J Clin Pharmacol. 2007;64:83-89.対象となったのは、虚血性心疾患や硝酸薬の使用歴がなく、Ca拮抗薬を使用していた高血圧患者で、GERDの既往の有無および、Ca拮抗薬服用前と服用後でGERD症状に変化があったかどうかについてアンケート調査を行っています。15軒の薬局(地域薬局14軒、病院薬局1軒)から371例が登録され、平均年齢64歳、女性51.2%、男性48.8%でした。信頼度が高い方法というわけではありませんが、地域の薬局で研究を行うには現実的な方法ではないでしょうか。Ca拮抗薬服用前後におけるGERD症状の変化は下表のとおりです。画像を拡大するCa拮抗薬服用前からすでにGERDの症状がある130例中59例(45.4%)で、Ca拮抗薬服用により症状の悪化がみられています。症状の悪化の頻度がもっとも高かった薬剤がアムロジピン(61.3%、p<0.0001)で、もっとも低かったのがジルチアゼム(12.5%)という結果でした。Ca拮抗薬服用前にGERD症状がなかった241例においては、85例(35.3%)がCa拮抗薬服用によりGERDを発症しており、もっとも頻度が高かったのがベラパミル(39.1%、p=0.001)で、もっとも低かったのがジルチアゼム(30.7%)という結果でした。ニフェジピンの増悪リスクはジルチアゼムの4.22倍発症・増悪リスクがもっとも低かったジルチアゼムを基準とした場合の、GERD症状の増悪頻度のオッズ比は下表のとおりです。ニフェジピンやアムロジピンにおいて有意にGERDが増加しています。二フェジピンやアムロジピンの添付文書を参照すると、嘔気・嘔吐や腹部不快感、腹部膨満などGERDに類する副作用症状の記載はありますが、明示的にGERDの記載があるわけではないため見落としに注意が必要です。交絡因子を調整しきれる研究ではないため解釈に注意が必要ですが、血管平滑筋を緩めるCa拮抗薬がLESまで緩めてしまう可能性があることは、患者さんの症状を聞き取る際に頭の片隅に入れておくとよいでしょう。1)MSDマニュアル 胃食道逆流症(GERD)(2018年7月16日参照)2)Do calcium antagonists contribute to gastro-oesophageal reflux disease and concomitant noncardiac chest pain?Hughes J, et al. Br J Clin Pharmacol. 2007;64:83-89.

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第11回 退院時処方の確認で訪問。緊急ミーティング【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。退院時処方を確認しに訪問したら...退院の知らせを聞いてお家へ伺うと、別人のようになった患者さんがベッドに横になっていました。痩せて、小さく小さくなってしまい、ベッドの上にちょこっと乗っている感じ。この日は退院後の初回訪問診療。診療に合わせて退院時処方を確認するために訪問しました。ケアマネさんから退院後3日間食べていない、と聞きました。薬だって飲めていない。尿も出ていない。これはまずいのでは...。なぜこの状態で帰ってきた?!訪問医も「なぜこの状態で帰ってきたのか!?」と。連携がスムースではなかったようです。食べられなかったら死ぬということでよいのか。お家に戻ったら食欲が出ると考えたのか。ご家族の意向はどうなのか。患者さんの意向は...確認できません。緊急ミーティング点滴や経管栄養で栄養を入れるか。病院に戻るのか。それともお家で、このまま看取るのか。在宅でできるとしたら、末梢点滴を週1回→それが意味のあることか。入れ歯を付けたら、咀嚼ができる可能性があるかも。→もともと偏食、どこまでの回復が見込めるか。ご本人の意志が確認できない以上、ご家族の思いも含め、考えなければなりません。ご家族も含めて話し合います。そして確認「救急車は呼ばない。ということでよいのですね」「はい」「では、最後にもう一度確認しますね。救急車は呼ばない」「はい」自宅で看取る。そう決めていても、最後にはやっぱり入院させて下さい。という場合もあります。病状の変化があれば、いつでも話し合いが開かれます。 そして、この患者さんのご家族は...「本人が『食べられなくなったらもういい、家にいたい』と言っていました。家で看取るために帰ってきました。このまま逝かせてあげてください」そして、処方ストップとなりました。退院時処方も無理に服用しなくてよいと。お看取り緊急ミーティングが終わりかけたとき、患者さんの容態が急変。最終確認が始まりました。それぞれがやるべきこと。主治医、看護師、ケアマネ、ヘルパー、薬剤師...。薬剤師?あれ?ない?ない。ない!薬はストップしているし、薬剤師ができることなんて何もない。患者さんとの思い出ばかりが頭の中に「17:07。お亡くなりになりました」先生の最終確認。気付けば張り詰めた空気が充満していました。

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016)カルテに星印の真相【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第16回 カルテに星印の真相しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆ちょっとやっかいな患者さん、どこの病院にも訪れますよね~。クレーマー気質で文句が多かったり、病院側とトラブルを起こした過去を持っていたり、etc…そんな「要注意」な患者さんには、スタッフ間の情報共有のため、ご本人には気付かれないように、カルテの名前の横にマークが付けられていたりします。赤丸もしくは星マークが使われることが多いのですが、このマークは、問題を起こすたびに1つ2つと増えていきます! 見たことがあるなかでは三ツ星が最高ですが、そんな三ツ星の患者さんも、医師の前では意外と大人しい…ということがあります。医師以外の医療従事者には強く出て、事務や看護師などと揉めた過去をもつ人がこのパターンです。もちろん、医師に向かってガンガン来るタイプの患者さんもいらっしゃいます。何もトラブルが起きないのが1番ですが、いろんな人がいる以上、トラブルは避けて通れないのかな~と思いつつ、なるべく穏便にやり過ごしたい! と願う、小心者のデルぽんなのでした☆ちなみに、電子カルテだと、紙カルテのようにはいきません!電子カルテの場合、診療録にまぎれて、それとなく注意書きがしてあったり、メモ(付箋)機能を使って申し送りがあったりなど…。いずれにしても、記載は直接的な表現になってしまうので、このように小回りが利くのは、やっぱり紙カルテならではかなぁと思います。それでは、また~!

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製薬会社からのお弁当が禁止になる日は近い!?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第5回

製薬会社のMRさんなどが病院や薬局で説明会を行う際にお弁当を提供してもらった、という経験は医療者であれば一度はあるかと思います。そのお弁当に関して、新たな動きがありそうです。メーカー公取協(医療用医薬品製造販売業公正取引協議会)が、医局など医療関係者向けに行う自社医薬品説明会での弁当の提供について、公正競争規約で禁止する方向で検討に着手していることが、複数の関係者への取材でわかった。「説明会に参加していない人の分も弁当を提供」するなど、不適切な事例が後を絶たないことが理由のようだ。(RISFAX 2018年7月12日付)現在、説明会の開催時間が食事時間帯の場合、お弁当などの提供は認められています。この記事によると、午後の遅い時刻に説明会を開催したにもかかわらず、昼食時前にお弁当を提供した事例や、実際には説明会を実施していないにもかかわらずお弁当だけを提供した、参加していないスタッフのお弁当まで提供した、などの不適切な事例が複数報告されているそうです。適正使用情報の提供が目的なのではなく、お弁当の提供が目的になっていると思われても仕方ありません。度が過ぎれば公正な競争が妨げられる恐れがあると、メーカー公取協は問題視しているのでしょう。これまでも製薬会社から医療者に提供する物品や接待などのサービスは過剰であるとして、問題視されてきました。製薬業界の自主規制のための団体であるメーカー公取協がたびたび規制を見直し、接待が原則不可になりました。その際にお弁当に関しても問題になり、業界内で新たに「自社医薬品の説明会に伴う茶菓・弁当は1人単価3,000円を上限とする」という自主規制が設けられています。お弁当の質でMRの良しあしが決まる!なんて思っている医療者はいないと思いますが、医療者側がお弁当のお店や内容を指定していた、なんて話もちらほら耳にします。説明会とは本来、製薬会社の担当者が医療者に医薬品の適正使用情報を提供する場です。説明会が食事時間に重なった場合に、お弁当とお茶を準備してもらっていたのは、忙しい医療者の時間を割いていることへの気遣いだったと思われます。今回の事例のように「お弁当だけ昼前に届けていた」などは受け取る医療者側のモラルにも問題があるのではないでしょうか。私個人としては、製薬会社は医薬品およびガイドラインなどの情報をたくさん持っているので、お弁当はなくても説明会はどんどん実施したほうがいいと思っています。説明会時のお弁当の提供は大変助かることではありますが、医療業界では当たり前とされている常識を見直す時期に来ていることは間違いありません。お弁当がなくなったので説明会参加者が激減した…なんてことにならなければいいのですが。

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心房細動の遠隔モニタリング検診は有効か/JAMA

 心房細動(AF)検出のための自己装着型のウエアラブル心電図(ECG)パッチを用いた遠隔モニタリングの効果と、そのような任意型検診(opportunistic screening)に類する検出戦略(積極的モニタリング)と臨床的帰結との関連を調べる検討が、米国・Scripps Translational Science InstituteのSteven R. Steinhubl氏らにより行われた。その結果、AF高リスクの高齢者におけるAF診断率は、試験登録後即時に開始した即時モニタリング群が、4ヵ月遅れて実施したdelayedモニタリング群と比べて高率であった。また、1年時点の評価で両モニタリング群を統合した積極的モニタリング群のほうが、非モニタリング群と比べてAF診断率は高く、抗凝固薬治療を開始した割合も高かった。医療サービスの利用率も高かったという。JAMA誌2018年7月10日号掲載の報告。無作為化臨床試験と前向き適合観察試験で、AF検出および治療開始を評価 本検討は、デジタル環境を活用した被験者直接参加型の無作為化臨床試験と前向き適合観察試験にて、全米規模の医療保険組織(Aetna Fully Insured Commercial、Medicare Advantage)加入者を対象に行われた。被験者登録は2015年11月17日に開始し、2016年10月4日に終了。1年間の保険請求ベースの追跡調査を2018年1月に行った。 臨床試験には2,659例が参加し、自宅にて自己モニタリングを、試験登録後即時(2週間以内)に開始する即時モニタリング群(1,364例)または4ヵ月後に開始するdelayedモニタリング群(1,291例)に無作為に割り付けられた。モニタリングは、自宅にて日常活動の間、自己装着型のウエアラブルECGモニタリングパッチを用いて最長4週間行われた。 観察試験では、無作為化試験のモニタリング実施者(割り付け群は問わず)1人につき2人の割合で、年齢、性別、CHA2DS2-VAScスコアで適合した対照を選出して行われた。 主要エンドポイントは、無作為化を受けた被験者における、即時モニタリング群とdelayedモニタリング群を比較した4ヵ月時点の新規AF診断率。副次エンドポイントは、両モニタリング統合(積極的モニタリング群)と適合観察対照(非モニタリング群)を比較した1年時点の新規AF診断率であった。また、その他のアウトカムとして、1年時点の抗凝固薬の新規処方率、医療サービス利用(循環器部門の外来受診、プライマリケア受診、AFに関連した救急部門受診および入院)などが評価された。早期診断、適切治療の開始に結びつくことが示唆 無作為化を受けた2,659例は、平均年齢72.4歳(SD7.3)、女性が38.6%で、割り付けられたモニタリングを完了したのは1,738例(65.4%)であった。観察試験の被験者総数は5,214例(無作為化試験群1,738例、適合対照3,476例)で、平均年齢73.7歳(SD7.0)、女性が40.5%、CHA2DS2-VAScスコア中央値3.0であった。 無作為化試験において、新規AFは4ヵ月時点で、即時モニタリング群3.9%(53/1,366例)、delayedモニタリング群0.9%(12/1,293例)であった(絶対差:3.0%、95%信頼区間[CI]:1.8~4.1)。 1年時点で、AFの新規診断例は積極的モニタリング群109例(6.7/100人年)、非モニタリング群81例(2.6/100人年)であった(絶対差:4.1、95%CI:3.9~4.2)。 積極的モニタリングは、抗凝固薬の開始増(5.7 vs.3.7例/100人年、差:2.0[95%CI:1.9~2.2])、循環器科の外来受診(33.5 vs.26.0例/100人年、差:7.5[7.2~7.9])、プライマリケア受診増(83.5 vs.82.6例/100人年、差:0.9[0.4~1.5])と関連していた。AFに関連した救急部門受診および入院について差はなかった(1.3 vs.1.4例/100人年、差:0.1[-0.1~0])。

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第10回 救急車を呼ぶ=蘇生に力を尽くしてください【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。目の前で亡くなりそうな(亡くなっている)人を見たら...目の前で亡くなりそうな(亡くなっている)人を見たら...。とっさに警察や救急車の手配をしますよね。これが在宅療養患者さんだったら。主治医も看取ることはできず、お家の中は警察官だらけ。遺体収納袋に入れられて搬送されてしまいます。医師が死亡確認したり、家族が触ったりできないようです。事件性がなくても証拠保全のためだとか。発見者や家族は、聞き取り調査をされる(犯人探しのように...)、と。ご存じの方も多いかもしれません。でも、今は...現在は在宅医療の普及からか、ヘルパーさんなどが救急車を呼んでも、その後すぐに主治医が駆けつけて在宅で看取ったこともあります。死亡時の場合に救急隊員が運ばずにいてくれたり。「救急車を呼ぶ=助けて下さい、蘇生に力を尽くしてください」ということをしっかり理解するよう医師から言われています。患者さんやご家族には、在宅療養が開始になるときに、主治医が"在宅療養の心得"として、救急車を呼ぶ意味とその覚悟について口頭で伝えたり、書類を渡したりします。看護師や薬剤師の私も、その都度伝えたり、確認したりします。家族に見守られ・・・穏やかに・・・自然に。在宅療養で看取りを希望する際に、どのように医師が伝えているかと言うと...。「できる限り駆けつけますが、亡くなった後の訪問になることがほとんどです。急変してもあわてない。なるべく主治医に連絡してください。救急車では手の届かない病院に行ってしまう場合があります。救急車を呼ばない覚悟はありますか?呼ばずに家族で看取るのです。」最初は家族も迷います、揺れます。思いを重ねて、重ねて...結論を出していきます。「自宅で看取る。」そう決めていても、最後にはやっぱり入院させて下さい。という場合もあります。病状の変化があれば、いつでも話し合いが開かれます。話し合いの場で薬剤師は何ができるのか...。思い悩んでいます。

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小児にも使えるスギ花粉症の減感作療法薬「シダキュア舌下錠」【下平博士のDIノート】第5回

小児にも使えるスギ花粉症の減感作療法薬「シダキュア舌下錠」今回は、「スギ花粉エキス舌下錠2,000JAU/5,000JAU(商品名:シダキュアスギ花粉舌下錠)」を紹介します。本剤は、国内で初めて成人のみならず小児においても使用可能となったスギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法(減感作療法)薬です。本剤を継続することで、スギ花粉症の諸症状軽減や抗アレルギー薬の減量によるQOL改善などが期待できます。<効能・効果>スギ花粉症(減感作療法)の適応で、2017年9月27日に承認され、2018年6月29日より販売されています。減感作療法とは、アレルギー疾患の原因となるアレルゲンを少量から投与開始し、徐々に増量することで、アレルゲンに対する過敏性を減少させる治療法です。重症の気管支喘息患者では、本剤の投与により、喘息発作を誘発する恐れがあるため、投与することができません。なお、国内臨床試験において、小児(5~17歳)と成人(18~64歳)の有効性および安全性は同等であることが確認されています。<用法・用量>通常、投与開始後1週間は、シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAUを1日1回1錠、投与2週目以降は、5,000JAUを1日1回1錠、舌下にて1分間保持した後、飲み込みます。その後5分間は、うがいや飲食を控えるようにします。投与期間は3年以上が推奨されています。初回投与時は医師の監督のもと、投与後少なくとも30分間は安静な状態を保ち、ショックやアナフィラキシーなどが発現した際に救急処置ができるようにします(一般にI型のアレルギー反応は30分以内に発現するため)。なお、スギ花粉飛散時期は、アレルゲンに対する患者の過敏性が高まっている可能性が高いため、新たに投与を開始することはできません。<副作用>国内第II/III相臨床試験において、783例中394例(50.3%)に、臨床検査値異常を含む副作用が認められています。主な副作用は、口腔浮腫113例(14.4%)、咽頭刺激感112例(14.3%)、耳そう痒症98例(12.5%)、口腔そう痒症67例(8.6%)、咽喉頭不快感57例(7.3%)、口腔内不快感47例(6.0%)でした。なお、ショック、アナフィラキシーなどの重篤な副作用は報告されていません。<患者さんへの指導例>1.スギ花粉症の原因であるアレルゲンを長期間投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげることができます。治療は、3年以上続ける必要があります。2.舌の下に置くと唾液で溶けてなくなりますが、薬の溶けた唾液はすぐに飲み込まず1分間舌の下に保持してください。飲み込んだ後、5分間はうがいや飲食を控えてください。3.錠剤は吸湿性があるため、服用直前までシートを開けないでください。4.シートから取り出す際は、裏のシートを剥がした後、爪を立てずに指の腹で押し出してください。取り出す際に割れてしまっても、全量を服用すれば問題ありません。5.口の中の違和感や口内炎、唇の腫れ、咽頭や耳にかゆみなどがあらわれた場合は、相談してください。6.お子さんが服用する場合は、飲み終わるまで目を離さないようにしてください。7.飲み忘れた場合、同日中に気付いたときは服用して構いませんが、1日空いてしまった場合、前日の用量から再開してください。<Shimo's eyes>減感作療法は、対症療法とは異なり、治癒あるいは長期寛解が期待できる治療方法です。原因アレルゲンを投与する治療法であるため、服用中はショックやアナフィラキシーの発現にとくに注意が必要です。従来、アレルゲンを皮下注射により取り込む皮下免疫療法が主流でしたが、2014年にはスギ花粉エキス舌下液(商品名:シダトレンスギ花粉舌下液)が発売され、舌下免疫療法が開始されました。皮下免疫療法と比べ、2日目からは自宅で服薬可能で、長期に渡る定期通院が不要になること、注射による痛みなく治療できることなどから、患者さんの負担軽減につながりました。本剤は、舌下液の問題点を改良したものと言えます。錠剤になったことで扱いやすくなり、かつ舌下の保持時間が2分間から1分間に短縮され、煩雑だった増量期間も開始1週間後の1段階のみになるなど、服用方法が簡便になりました。また、保管方法も、冷所から室温になったので、出張や旅行がある患者さんにとってはとくに喜ばしいことでしょう。本剤は、維持期の投与量が舌下液の2,000JAUよりも高力価の5,000JAUになったため、高い有効性が期待できます。よって、舌下液から本剤への切り替えが想定されますが、その場合も初回投与として扱われますので、注意が必要です。なお、本剤は新有効成分含有医薬品として承認を受けているので、2019年4月末までは、1回の処方につき14日分までの処方日数制限があります。本剤は、講習会やeラーニングなどの受講を修了し、鳥居薬品株式会社の製品適正使用eラーニング受講およびeテスト合格を経て登録された医療機関・医師のみが処方可能です。薬剤師は、本剤の処方せんを受け取ったとき、必ず処方医が「受講修了医師」であることを、登録医師確認窓口で確認しなくてはなりません。また、患者に交付されている「患者携帯カード」の記載内容について、確認を行う必要があります。

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急性心筋梗塞後の心原性ショックに対するエピネフリン vs.ノルエピネフリン【Dr.河田pick up】

 心筋梗塞後の心原性ショックに対して、昇圧薬はある特異的な効果をもたらす可能性があり、それが予後に影響をあたえうる。ノルエピネフリンとエピネフリンは最もよく使われる薬剤ではあるが、無作為化試験でその効果が調べられたことはなく、十分なデータが得られていない。フランス・CHRU NancyのBruno Levy氏らは、心筋梗塞後の心原性ショックにおいて、エピネフリンとノルエピネフリンの効果を比較することを目的に、多施設共同の前向き二重盲検無作為化試験を実施した。Journal of American College of Cardiology誌7月10日号に掲載。18歳以上で、PCIが成功した急性心筋梗塞患者が対象 本試験では、18歳以上で、下記の項目をすべて満たした患者が対象となった。・PCIによる冠動脈の再灌流が成功している・収縮期血圧<90mmHgまたは平均動脈圧<65mmHg・心係数<2.2L/min/m2・肺動脈圧>15mmHgもしくは心エコーによる肺動脈圧上昇・心エコーによるEF<40%・少なくとも1つの組織の低灌流の証拠がある・肺動脈カテーテルが留置されている また、その他の原因でショックを起こしている患者や、体外循環を用いている患者は除外されている。  主要有効評価項目は心係数の改善で、主要安全評価項目は抵抗性の心原性ショックの発生とされた。抵抗性の心原性ショックは持続した低血圧、末梢臓器不全や乳酸値の上昇および高用量の強心薬や昇圧薬の使用と定義された。エピネフリン群で抵抗性ショックの頻度が有意に高く、試験は早期中止 57例の患者がエピネフリン群とノルエピネフリン群の2群に無作為に割り付けられた。主要有効評価項目である心係数の改善は72時間後において2群間で同等であった(p=0.43)。主要安全評価項目に関しては、エピネフリン群で抵抗性ショックの頻度が有意に高かったため(エピネフリン群:10/27[37%] vs.ノルエピネフリン群:2/30[7%];p=0.008)、試験は早期中止となった。心拍数はエピネフリン群で2時間後~24時間後において有意に高くなったが、ノルエピネフリン群では変化がなかった(p<0.0001)。いくつかの代謝に関する変化は、ノルエピネフリン群と比較して、エピネフリン群において好ましくない結果がみられ、たとえば心臓のダブルプロダクト(=収縮期血圧×心拍数)(p=0.0002)と2時間後~24時間後における乳酸値(p

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希少疾病の海外情報紹介サイト開設

 神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(センター長:福島雅典氏、以下「TRI」と略す)は、希少・難治性疾患の海外情報を国内へ届けるウェブサイト“Orphanet Japan Website”を開設した。 TRIは日本医療研究開発機構(AMED)からの推薦を受け、2017年10月、希少疾患情報を収集・管理している国際的な機関であるOrphanet*(本部:フランス)にアジアで初めて加盟。その目的は、国内における難病情報の充実と、海外への情報共有からもたらされる難治性疾患の克服と説明する。そして、この加盟を受けて、今回同サイトの開設に至ったものである。 具体的なサイトメニューとしては、ニュース、国際ニュース、イベント、一般情報、ドキュメントなどの項目に分かれていて、さまざまなコンテンツが順次公開されていく。*Orphanetとは1997年、フランス国立保健医学研究所(Inserm)によって設立され、世界のあらゆる人々へ高品質な難病情報を提供し、診断・治療の向上を目指している。現在、ヨーロッパを中心に、約40ヵ国が参加。6,000を超える難病情報を保有。 今後、TRIではOrphanet加盟国として、次の活動を予定している。1)Orphanetが保有する難病情報などを日本語に翻訳し、同サイトより発信2)日本国内の難病領域に関する医療・検査施設などの情報をOrphanetデータベースに登録(Orphanet International Websiteから閲覧可能) なお、これらの活動は、Orphanet加盟各国で同じように実施されており、Orphanet Japan Websiteは日本での発信ツールとして位置付けられている。■参考オーファネットジャパン■関連記事希少疾病ライブラリ

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好評につき再配信決定!長門流 総合内科専門医試験『出るズバッ!LIVE』アンコール(CareNeTV会員限定)

「長門流 総合内科専門医試験『出るズバッ!LIVE』」概要【再配信】日 時 :9月2日(日) 14:00~17:10 (休憩なし)概 要 :長門流 総合内科専門医試験『出るズバッ!LIVE』アンコール講 師 :長門 直氏(中国中央病院 内科部長)会 場 :インターネット配信受講料 :無料(CareNeTV会員限定)※8月19日のLIVEを録画したものとなります。生配信ではございません。※本コンテンツはダウンロード対象外です。※オンデマンド配信でないため、配信中の巻き戻し、早送り、一時停止などはできませんのでご注意ください。視聴ページへは CareNeTVトップページ からアクセスできます。対象はCareNeTV会員のみです。CareNeTVにご入会いただくと当日のライブを視聴することができます。※視聴ページはライブ開始直前に公開いたします。8月19日(日)に配信した「長門流 総合内科専門医試験 『出るズバッ!LIVE』」。その日限りのLIVE配信とお伝えしておりましたが、大変好評のため、9月2日(日)にアンコール配信を行うこととなりました。ご覧いただけなかった皆さま、今回が本当に最後のチャンスです。ぜひ、お見逃しなく!!視聴環境について有線LANでのご視聴をお勧めします。無線LANでのご視聴に対するお問い合わせはご対応いたしかねます。スマートフォン、タブレットでのご視聴の場合は、下記の専用アプリが必要です。iOS       Android視聴環境についてはこちら 視聴環境のチェックページはこちら<スマートフォンやタブレットでの視聴に関する注意事項>スマートフォン、タブレットでのご視聴の場合は専用のアプリが必要です。アプリを通じた視聴方法については、以下を必ずご確認ください。配信 株式会社ブイキューブ開催当日のお問い合わせ窓口 TEL:03-5677-1744(受付時間 9:00~18:00)視聴ページへは CareNeTVトップページ からアクセスできます。対象はCareNeTV会員のみです。CareNeTVにご入会いただくと当日のライブを視聴することができます。※視聴ページはライブ開始直前に公開いたします。

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第6回 ほぼほぼ空冷エンジンで楽しむ、そこそこ旧車生活【ドクター クルマ専科】

私は、東京都大田区にて訪問診療を中心とするクリニックを開業している。患者さんの平均年齢は82歳。1日10件程度の患者さんのお宅や高齢者施設を診療車で回るのが私の日常である。今はドライバーが運転してくれることが多いが、開業当初は自家用車やバイク、スクーターを自分で運転していた。元来運転好きな私にはうってつけの働き方である。私と車の付き合いは、幼い頃にさかのぼる。祖父は、戦前に大阪と海外でタイヤ会社を経営していたと聞いている。そして叔父は私が物心ついた頃から大阪マツダの重役をしていた。当時、宝塚南口駅前にあった叔父宅のガレージは、他社製の乗用車から小さなリア・エンジン、マツダクーペ、程なくオシャレなキャロルへと変わっていったのを鮮明に記憶している。当時の日本のモータリゼーションの進行を目前に見ていたことになる。このエピソードが今につながっているのはいうまでもない。そして多感な中・高生時代、先輩のBMWのオシャレなクーペ2.8CSi、亀田総合病院の亀田兄弟の乗るモーガン4+4に度肝を抜かれ、親友の横田 治重君(その後、東大産婦人科医局に入局)宅にあったアウディやジャガーに強烈な刺激を受けた。西麻布の立体交差の上をホンダの2気筒エンジンの中型バイク、360Tのリアに前川 慶一君(その後、日産自動車に就職)が乗せてくれた時の爽快感は今でも忘れられない。素晴らしい爆音だった。私自身はといえば、大学入学後間もなくスズキRG250Eにまたがり、卒業後結婚して初めて買った新車は白いシティカブリオレ。その当時、万澤 康夫氏が『POPEYE』誌にホンダの単気筒オフロードXL250を「23インチのワークブーツ」という表題で取り上げていたことが懐かしい。万澤さんとは、その後家族付き合いさせていただいた。大学時代、空冷マルチエンジンが人気であった一方で、空冷単気筒のヤマハSRが人気であった。高値の花だったドゥカティの750SやMHR、ビモータ、モト・グッツィも羨望の的であったが、ドゥカティのイエロー・シングルのデスモエンジンとそのシンプルなスタイルに心をわしづかみされるのにそんなに時間はかからなかった。その当時目黒にあったドゥカティ単気筒専門のシルバーストーンに大学の休みのたびに訪れた。同社の村山 輝久社長にはいつもイギリスのGoodWood Festivalに行こうと声をかけていただいているが、引退するまではさすがに無理だ。大学卒業後、結婚式前日に限定解除を受け、スズキ650Gの中古を手に入れた。画像を拡大するたまたま引っ越した北千住の商店街にある肉屋の店先にドゥカティ単気筒が週替わりでおいてあるという不思議な光景に目を奪われ、恐る恐る声をかけるとなんと旧車レースでドゥカティチームとして有名なチームセンジュドーのメンバーだという。早速仲間に入れていただき、岩城 滉一さんもその昔参加されていたレースタイムトンネルやその後を受けたLOC(レジェンド オブ クラシック)、サイドウェイトロフィーレースには、チームセンジュドーのリーダー佐藤 要さんにチューンアップいただいた1960年代の250マッハ1、450デスモ(その昔環八沿いの専門書店リンドバーグに飾ってあったもの)で、今でもドライバーとして参加させていただいている。サイドウェイトロフィーレースでレジェンド生沢 徹氏がポルシェ911Tでトップを走る姿は圧巻である。画像を拡大する今手元にあるバイクはドゥカティ250レーサーレプリカ、同じくシルバーショットガン、MH900e、モトモリーニダート400、ヤマハSRVとアディバ150というスクーターで、日々の診療にも赴くという幸せなVintage Lifeを送っている。画像を拡大する画像を拡大するさて自動車についてだが、一時は古いマセラティに傾きかけていたのだが、佐藤さんご夫妻のおススメもあり、2010年頃から空冷ポルシェへの道が始まった。まず964スピードスターが見つかったので早速手に入れ、オープンエアーモータリングを楽しんでいた。2016年からいわゆるナローポルシェが気になりだし、メンテナンスでお世話になっているガレージ911の大山 泰さんからの強いおススメで73年型のポルシェ911Sを半ば強制的に手に入れることになった(笑)。乗り始めにクラッチをメタメタに壊したがその後はすこぶるご機嫌である。クーラーがついていないので真夏は少々厳しいことと燃費が悪いことがたまにキズだが、往年の190馬力を心から楽しんでいる。もう1台の珍車はキア・ビガートである。ロータスエデンのいわゆるフェイクモデルのような車で、件の北千住の肉屋さんに安くしておくからといわれ、家内には借りているだけだとウソをついて(笑)購入した。乗り始めたら面白くてやめられない。横置きFF、1800cc、DOHCでちょうどよい大きさ・軽さでスポーツシューズのような気軽なスポーツカーである。毎年7月初旬の日曜日、八ヶ岳でHighland Gatheringというクラシックバイク、クラシックカーの気楽なイベントのお手伝いをしている。昔のライレーやモーガン、スリー・ホイラーや名も覚えきれないヨーロッパの名車が並ぶ。ドライブがてらぜひ日曜日の朝早くに足を運んでいただきたい(見学無料)。いつかはクラシックポルシェスポーツデイのスポーツラン@袖ケ浦に参加したいとチャンスを伺っている。いずれオシャレな356スピードスターとお友達になりたいという夢を見つつ…。

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第3回 乳がん術後のタモキシフェンが10年継続となった根拠【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 抗エストロゲン薬であるタモキシフェンは、エストロゲンを取り込んで増殖するエストロゲン受容体陽性乳がんに有効性が高く、乳がん術後の再発予防の目的でよく処方されます。術後補助療法として、タモキシフェンを5年間投与し、場合によってはさらに5年継続して計10年間投与するという治療選択肢がNCCNやASCOの診療ガイドライン、日本乳癌学会による「乳癌診療ガイドライン」に2014年以降記載されるようになりました。薬局においても、「タモキシフェンは5年よりも10年継続したほうが乳がんの再発率が低いので、10年間服用すると医師に説明を受けた」とおっしゃる患者さんに会った経験が何度もあります。薬剤の服用を5年間延長するということは、服用の手間や経済的負担が少なからず増えますから、そのメリットとデメリットについて相談を受けた経験のある薬剤師さんもいるのではないでしょうか。そこで今回は、なぜタモキシフェンを10年継続するという選択肢が診療ガイドラインに提示されるようになったのか、その背景にある試験を2つ紹介します。1つ目が、2013年にLancet誌に掲載された通称ATLAS試験です。Long-term effects of continuing adjuvant tamoxifen to 10 years versus stopping at 5 years after diagnosis of oestrogen receptor-positive breast cancer: ATLAS, a randomised trial.Davies C, et al. Lancet. 2013;381:805-816.これは、すでに5年間タモキシフェン20mg/日によるホルモン療法を完了した早期乳がんの女性患者1万2,894例を、追加でさらに5年間投与した10年継続群と5年時点で中止した群にランダムに割り付けて比較検討した試験です。結論としては、10年継続群は中止群と比べて、エストロゲン受容体陽性の早期乳がん患者の死亡率および再発率を有意に低下させました。組み入れ患者1万2,894例の内訳を少し詳しく見ると、6,846例(53%)はエストロゲン受容体陽性、1,248例(10%)はエストロゲン受容体陰性、4,800例(37%)は陰性か陽性か不明とされており、治療継続に難ありと見られた場合は除外されています。患者の91%が診断から10年のフォローアップを、77%が15年のフォローアップを完遂しています。エストロゲン受容体陽性の患者に関しての結果は下表のとおりです。期間別に見ると、乳がんによる死亡のリスク比は、5~9年では0.97(95%信頼区間:0.79~1.18)、10年目以降では0.71(95%信頼区間:0.58~0.88)、再発率は5~9年では0.90(95%信頼区間:0.79~1.02)、10年目以降では0.75(95%信頼区間:0.62~0.90)と、有害アウトカムの抑制効果は10年目以降のほうが大きい傾向が見られました。なお、エストロゲン受容体陰性と受容体不明の患者における乳がんアウトカムに有意な差は見いだされませんでした。エストロゲン受容体ステータスと関係なくすべての被験者における副作用リスクの解析では、10年継続で子宮内膜がん(リスク比:1.74、95%信頼区間:1.30~2.34)と肺塞栓症(リスク比:1.87、95%信頼区間:1.13~3.07)の発生率が増加したものの、虚血性心疾患(リスク比:0.76、95%信頼区間:0.60~0.95)および対側乳がん(リスク比:0.88、95%信頼区間:0.77~1.00)は減少傾向にありました。「長く飲んだほうがいいと言っても、10年間服用しても、5年間服用したときより死亡や再発が2%程度減るだけか」と思われる方もいるかもしれませんが、10年続けることで約40~50人に1人が再発ないし死亡を免れるのですから少なからずインパクトがあります。一方で長く続けると、肺塞栓などの血栓症や子宮内膜症、子宮筋腫、子宮内膜がんなどの発症率がやや増えることも示唆されているので注意も必要です。10年継続に有意な再発・死亡抑制効果2つ目の試験として、ATLASと並行して行われていたaTTom試験を紹介します。こちらも、基本的なデザインは似通っており、タモキシフェンによるホルモン療法を5年間受けた早期乳がん患者(6,953例)を、さらに5年間投与した10年継続群(3,468例)と5年時点で中止した群(3,485例)にランダムに割り付け、乳がんの再発率や全死亡を比較したものです。乳がんの再発は、中止群で3,468例中672例(19.3%)、10年継続群で3,485例中580例(16.7%)と2.6%の減少(p=0.003)で、これはタモキシフェン服用期間を5年から10年に延ばすと、およそ38例に1例で乳がん再発予防の恩恵を受けられるだろうという計算になります。一方で、子宮内膜がんによる死亡は中止群で20例(0.6%)、10年継続群で37例(1.1%)と服用期間が延長するとやや増える傾向にあります。10年継続したほうが良好なアウトカムであったという大まかな結果の方向性は、ATLASとそう大きくずれはなく、こうした論文が2本立て続けに出たためか、ASCOのガイドラインは2014年に改訂されています。タモキシフェンを長期服用する場合、ホットフラッシュなどの副作用はある程度認容する必要がありますし、上記で紹介してきた副作用の懸念もあることから、血栓塞栓症の初期症状である痺れ、息切れ、胸痛、めまいや、子宮系の副作用徴候である不正出血などがみられたら受診を促すということも考慮しておくことが大切です。また、何らかの理由でタモキシフェンが使えない場合の選択肢も聞かれたら答えられるとよいかもしれません。いずれにせよ、副作用リスクとベネフィットを十分理解しておきたいところです。1)Long-term effects of continuing adjuvant tamoxifen to 10 years versus stopping at 5 years after diagnosis of oestrogen receptor-positive breast cancer: ATLAS, a randomised trial.Davies C, et al. Lancet. 2013;381:805-816.2)aTTom: Long-term effects of continuing adjuvant tamoxifen to 10 years versus stopping at 5 years in 6,953 women with early breast cancer.Gray RG, et al. J Clin Oncol. 2013;31:suppl 5.3)ASCO Guideline Update Recommends Tamoxifen for Up to 10 Years for Women With Non-Metastatic Hormone Receptor Positive Breast Cancer4)NCCNガイドライン5)日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として、タモキシフェンおよびLH-RH アゴニストは勧められるか(薬物療法・初期治療・ID10050)

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