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第4回 育児をする医師は負け組?【宮本研のメディア×ドクターの視座】

第4回 育児をする医師は負け組?ある日の当直中、急性心筋梗塞と判明した外来患者を前に、私は循環器内科のオンコール医師へ急いで電話をかけました。受話器の向こうでは、幼い子供の大きな泣き声が聞こえます。独身の私には事態の深刻さがピンときませんでした。「ああ、分かった、AMIね・・・。今さ、子供を風呂に入れているけど、すぐに行く。○○先生に連絡して、カテの準備を病棟スタッフに頼んで」数十分後、風呂上がりで紅潮した顔の先輩医師が到着すると、長めの髪も乾ききらないまま、心臓カテーテル室へと走って行きました。あれから10年以上が経ち、毎晩、幼い子供たちをお風呂に入れながら、この瞬間にオンコールで呼び出されることが、切実な問題として分かるようになりました。もし妻が不在であったり対応できない時間帯であれば、誰かの助け無しには、夜遅くに子供たちを置いて、病院へ駆けつけることは不可能です。親が慌てて出かける事情が理解できない彼らは大泣きし、相当に厳しい状況となるでしょう。勤務医生活をふり返ると、腎臓内科医が1人体制だった民間病院での7年間は、24時間オンコール体制が毎日続きました。大学や基幹病院よりも呼び出しが少ないとはいえ、朝5時に病棟急変の連絡が入る、深夜1時に緊急透析の判断を問われるといった立場は、精神的に苦しい環境でした。そこに育児が加われば、やっと夜泣きがおさまった子供をオンコールの着信で起こされてしまう。不意の電話は、幼児にとっては恐怖でもあります。「何を軟弱なことを言ってる! それが医者だろう!」という意見もあるかと思いますが、私の父方は100年以上の医師家系で、とくに父が外科医の多忙な日々を送り、オンコールや当直が続き、早々に家庭が崩壊した事実をお伝えしておきます。家族を犠牲にして働くことが、本当に医師の美徳なのか。父親が週末さえもいない中で、母親が「患者さんのために、パパは病院へ行ったんだよ」と言う意味は、高校生になっても理解できませんでした。しかし父と同じく医師になってみると、院内に長時間いる先生が素晴らしい、というデファクト・スタンダード的な見方が、まだあちこちにありました。長時間労働をいとわず、急変時は昼夜を問わずに駆けつけ、床やソファで仮眠を取れば超人的なパフォーマンスを発揮する医師。たびたび身体を壊しつつ、そのような望まれる医師像に挑んできて、「長続きしようがない」というのが私なりの結論です。肉体の老化は年々進み、我が身を満足にメンテナンスできない環境では、医師なりの思考回路も鈍っていく。猛烈なプレッシャーは心身の余裕も破壊します。そして、育児という連続的で多大な負荷は、自宅内での実労働として重くのしかかります。幼い子供は機嫌も体調もグズりも、常に変わり続ける。親の思うとおりにはならないし、真夜中に抱っこしてもずっと泣かれ続ければ、大人の我慢も限界にきてしまう。他人からは見えない修羅場を毎日抱えながら、ハードな医師業も年々レベルアップしろというのは、結構な無茶ぶりでしょう。育児をしている医師、とくに女性は、フルタイム勤務を続けにくい。これは他のビジネスでも同様ですが、最近は多様な支援や代替策を探すことが可能となりつつあります。人員の手当や勤務環境の調整など、医師業よりはかなり柔軟に対応できているのではないでしょうか。育児中の女性社員に優秀なパフォーマンスを発揮してもらうための経営施策は、ハードワーク男性を主戦力としてきた医師業界と比べて、明らかに進歩しているように感じます。けれども、働き方改革における先送りのように、公的な任務を背負う医師業界では、個人の状況は後回しにして、社会的な貢献度合いが優先されやすい。メディア業界で白衣を着用せずに働いてみると、世間一般の理解も医療界としての内部対策も、ともに“不足しっぱなし”であると痛感します。女性に対する「こんなときに妊娠なんて」という言葉は、医師業界でも蔓延するハラスメント行為ですが、きっと今日もどこかで実際に起こっているはず。新卒医師の3分の1以上が女性である時代にもかかわらず、毎日の育児に対する支援や理解、さらに先達たちの発言は不十分です。「忙しくて育児なんて全然しなかったけど、子供たちは奥さんが頑張って育ててくれた」という丸投げ談は、この発想を若い医師へ当てはめること自体、現代のハラスメントになりかねません。ましてや、育児をしている医師はキャリアの負け組だ、というひそかな認識も、医師の働き方が改善しない重大な要因ではないでしょうか。育児はもうひとつの無償労働である。だが、将来の日本を支える人材を懸命に育てる重要な責務でもある。―「オートマチックな育児などない」という声をもっと大きく取り上げ、医師業界に横たわる育児軽視を短期に好転させていくことが、今こそ重要です。

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第3回 無菌室のある薬局勉強会に参加&新しい患者さんの対応に緊張【はらこしなみの在宅訪問日誌】

大事なのはリスク管理。病院から新たなTPNの依頼が!在宅訪問専任薬剤師のはらこし なみです。勉強会で各薬局の無菌調整マニュアルを比較先日、無菌室を持つ薬局が集まって、勉強会をしました。それぞれの手技を確認し、無菌調製マニュアルを比較。あれが違う、これが違う...。たった5薬局なのに使っているグローブもガウンも違う。アンプルの扱いも、無菌室への入り方も...。しかし、根本にあるのはリスク管理。改めて徹底することとなりました。私にとってルートや針を扱うのは初めてのことであり、新鮮でした。でも、器材も定期的に扱わないと忘れてしまうよなあ~と思っていた矢先。患者さん+先生+器材 新しい出会いに感謝TPNはあまり扱ったことがないという泌尿器科の先生。退院時カンファレンスのとき「出してほしい物、処方箋に書くから言って!」と。「輸液セットは?ポンプは?病院で出しますか?それともこちらで準備しますか?」結局、先生がポンプを準備、輸液セットは院外処方箋で薬局から患者宅にお届けすることになりました。「とにかく、TPNが体に流れるようにしてほしいの!病院と同じように!」と医師から強く言われ、退院まで1週間。毎日ドキドキでした。病院の入退院連携室と毎日連絡を取り合い、ルート、針の品番、使用頻度、ガーゼやテープなどの衛生材料について...色々教えてもらいました。そして在宅スタート医療保険を利用し2週間は特別指示期間。 毎日看護師さんが訪問し、TPNやカニューレ管理(気管切開あり)、訪問医もほぼ毎日顔を見に。この2週間は、在宅療養ができるか?を見極める期間。本人がどんなに希望しても、必要な処置や治療がお家でできなければ、在宅療養は成り立ちません。ご家族にも、輸液バックの交換や痰の吸引(吸引器の使い方や吸引カテーテルの扱い方など)を覚えてもらう。エルネオパは開通してから持参し、ルートと針は訪問看護師さんが週1回交換。訪問医や訪問看護師さんが、在宅療養はちょっと無理だろうなぁ、と言っていたけれど、どうにか頑張ったご本人とご家族。2週間が過ぎ、介護保険に切り替わっても処方が途切れることはありませんでした。

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降圧薬が皮膚がんのリスク増加に関連

 米国・マサチューセッツ総合病院のK.A. Su氏らによる調査の結果、光感作性のある降圧薬(AD)による治療を受けた患者では、皮膚の扁平上皮がん(cSCC)のリスクが軽度に増加することが明らかになった。多くのADは光感作性があり、皮膚の日光に対する反応性を高くする。先行の研究では、光感作性ADは口唇がんとの関連性が示唆されているが、cSCCの発症リスクに影響するかどうかは不明であった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2018年5月3日号掲載の報告。 研究グループは、北カリフォルニア州の包括的で統合的なhealthcare delivery systemに登録され、高血圧症に罹患した非ヒスパニック系白人のコホート研究において、ADの使用とcSCCリスクとの関連を調べた。ADの使用については電子データを用いて分析。ADは、公表論文に基づいて、光感作性(α2刺激薬、利尿薬[ループ系、カリウム保持性、サイアザイド系および配合剤])、非光感作性(α遮断薬、β遮断薬、中枢性交感神経抑制薬およびARB)または光感作性不明(ACE阻害薬、Ca拮抗薬、血管拡張薬およびその他の配合剤)に分類された。 Coxモデルを用いて補正ハザード比(aHR)と95%信頼区間(CI)を推定した。共変量は、年齢、性別、喫煙、合併症、cSCCおよび日光角化症の既往歴、調査年、医療制度の利用、医療保険会員の期間、光感作性ADの使用歴とした。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中に、cSCCを3,010例が発症した。・AD不使用群と比較し、cSCCのリスクは、光感作性AD使用歴ありの群(aHR:1.17、95%CI:1.07~1.28)、光感作性不明AD使用歴ありの群(aHR:1.11、95%CI:1.02~1.20)で増加したが、非光感作性AD使用歴ありの群では関連は認められなかった(aHR:0.99、95%CI:0.91~1.07)。・光感作性ADの処方数の増加に伴い、cSCCのリスクが軽度に増加した。1~7剤(aHR:1.12[95%CI:1.02~1.24])、8~15剤(同:1.19[1.06~1.34])、16剤以上(同:1.41[1.20~1.67])。

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軽~中等度認知症への運動介入、進行遅延効果はなし?/BMJ

 軽度~中等度認知症に対する、中~高強度の有酸素運動と筋力トレーニングのプログラムの介入には、認知障害の進行を遅らせる効果はないことが、英国・オックスフォード大学のSarah E. Lamb氏らによる無作為化試験「Dementia And Physical Activity:DAPA試験」の結果で示された。筋トレのプログラムで体力の改善は認められたが、その他の臨床的アウトカムの明らかな改善は認められなかったという。認知症者の認知低下の遅延に果たす運動の役割について、これまで臨床に反映できる十分な規模と方法論に基づく無作為化試験は行われていなかった。BMJ誌2018年5月16日号掲載の報告。通常ケアと比較、12ヵ月時点の認知障害の進行について評価 研究グループは、研究者盲険下で多施設共同のプラグマティック無作為化対照試験で、中等度認知症者の認知障害およびその他のアウトカムに与える、中~高強度の有酸素運動と筋力トレーニングのプログラムの影響を調べた。被験者は、イングランドの15地域から集めた、NHSプライマリケアの患者、大学のコミュニティ&メモリサービス利用者、認知症研究登録者、ボランティアであった。 494例が集まり、2対1の割合で329例が運動介入群に、165例が通常ケア群に無作為に割り付けられた。運動介入群は、通常ケアに加えて監督下で行う運動を4ヵ月間、その後は継続的に運動に関するサポートを受けた。運動の介入は、地域のジム施設およびNHSの施設で行われた。 主要アウトカムは、アルツハイマー病評価スケール下位項目(ADAS-cog)の12ヵ月時点のスコアであった。副次アウトカムは、ADL、神経学的症状、健康関連QOL、要介護度などであった。運動介入群では介入期間中に体力測定(6分間歩行テストなど)が行われた。差は小さいが、運動介入群のほうが認知障害が進行、体力は改善 被験者494例は、平均年齢77歳(SD 7.9)、男性301/494例(61%)であった。 12ヵ月時点のADAS-cogスコアは、運動介入群25.2(SD 12.3)、通常ケア群23.8(SD 10.4)であった(補正後群間差:-1.4、95%信頼区間[CI]:-2.6~-0.2、p=0.03)。平均差は小さく、臨床的意義は不明であったが、運動介入群のほうが、認知障害が進んでいることが示唆された。 副次アウトカムや、認知症のタイプ(アルツハイマー病、その他)、認知障害の程度、性別、疾患別による事前に計画されたサブグループ解析について、有意差は認められなかった。 運動介入群のコンプライアンスは良好で、スケジュールセッションの4分の3以上に参加した被験者は65%(214/329例)を占めた。運動介入群の6分間歩行テストの結果は、6週間にわたって改善が認められた(平均変化:18.1m、95%CI:11.6~24.6)。

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医学部減員は2022年度以降、医師需給「第3次中間とりまとめ」了承:厚労省

 厚生労働省は「第6回医療従事者の需給に関する検討会」(座長=森田 朗・津田塾大学総合政策学部教授)および「第21回医師需給分科会」(座長=片峰 茂・長崎大学前学長)を5月28日に合同で開催し、検討会は2020年度以降の医師養成数の方向性を示した「第3次中間取りまとめ」の内容について了承した。 2020~21年度については、2019年度までの「新成長戦略」に基づく医学部定員の暫定増の方針をおおむね維持する、とした一方で、2022年度以降については「医師の働き方改革に関する検討会」で議論される時間外労働規制に関する意見等を踏まえ引き続き検討することとされた。今後、2019年度から議論を始め、2020年度には結論を出す見通し。 これまで分科会では、厚生労働省による将来の医師需給推計に基づき議論を進めてきた。性年齢階級別の詳細なデータを用いて仕事量を算出することで、医師の労働時間として3つのケースを仮定し、需給推計を算出している。これによると、労働時間の見込みを一番厳しい週55時間に制限する場合、2033年頃に約36万人で医師需給が均衡し、2040年には医師供給が約2万5,000人過剰となることが見込まれた。 また、取りまとめには「2022年度以降の医師養成数については全国レベルのマクロの医師需要推計だけでなく、ミクロの領域における医師偏在対策や、将来の都道府県毎の医師需給、診療科ごとの医師の必要数、長時間労働を行う医師の人数・割合の変化等についても適切に勘案した上で、人口構造の変化や医療技術の進展など医師を取り巻く環境がこれまでよりも短いスパンで変化していくことも踏まえ、定期的に検討をしていく必要がある」と明記されている。 しかし、日本医師会常任理事の釜萢 敏氏や日本精神科病院協会会長の山崎 學氏は、「地域かかりつけ医としての役割に対する認識や専門医制度が地域包括ケアの将来像と乖離している」と現行の新医師臨床研修制度について指摘。医師養成の現状に危惧する見解を示した。 最後に森田氏は「マクロの議論でありミクロの議論については不完全燃焼な思いの方もおられるだろう。この点は引き続き検討会や分科会で議論していきたい」と今後の方針を示した。■参考厚生労働省:医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第21回)

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会員医師の投資希望は「安全で、低利」

 ケアネットでは、「医師のためのお金の話」の評価と会員医師の「資産形成」についてのアンケートを実施した。今回、その結果がまとまったので、概要をお伝えする。 調査は、2018年5月11日にCareNet.comの医師会員を対象に、インターネット上で実施。回答者総数は324名。その内訳は、20~30代:18%、40代:30%、50代:35%、60代:15%、70代以上:2%、所属別では勤務医師:77%、開業医師:23%だった。聞きたい情報は「国内株式投資」 設問1で「『医師のためのお金の話』で今後取り上げてほしい資産形成の内容」(複数回答)について質問したところ、「国内株式投資」「円建て預貯金」「生命保険」の順で多く、低リスクの金融商品への関心が高く、「FX(外国為替保証金取引)」「不動産」「ビットコイン(仮想通貨)」など比較的リスクの高い商品、資金を大量に必要とする商品への関心は低かった。多くの会員医師は金融商品の情報に興味がない 設問2で「資産形成のため実行している情報収集法」(複数回答)について質問したところ、「とくに情報は集めていない」が一番多く、金融資産への関心の低さをうかがわせた。次いで「専門WEBサイトやブログの閲覧」「新聞、雑誌などの紙媒体」の順となり、情報収集法では新聞、雑誌、専門書などの紙媒体よりもWEBからのほうが多く、簡単に集めて閲覧・視聴できる媒体に人気が集まった。 最後に設問3で「資産形成に関する話題で、今後取り上げてほしいテーマ」について自由記入方式で質問したところ、「株式」「不動産」「税金」の順でコメントが多く、「株式」では株式投資の基礎や投資信託、株主優待などに関するコメントのほか、「不動産」ではタワーマンションへの投資、国内の不動産動向などへのコメントが寄せられた。 今回の調査の詳細と、寄せられた具体的なコメントは、CareNet.comに掲載中。

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ドクターXを探せ?(解説:今中和人氏)-858

 この論文はさまざまな科の20術式について、非待期的(入院後3日以内)に手術が行われた症例の手術死亡率(在院死亡+30日以内の死亡)と術者の年齢・性別との関連を検討している。対象は4年間の全米のMedicare受給者の89万例で、49%が整形外科手術、38%が一般外科手術、12%が心臓血管外科手術、1%がその他の手術だった。 世の中には、脳外科・形成外科などの顕微鏡下手術、泌尿器科の経尿道手術、大動脈ステントグラフトなど、もっぱら術者1人で行う術式もあるが、多くの手術はチームで行われ、術者だけでなく誰が助手かが非常に重要である。思い返せば私も駆け出しの頃、術者を務めれば自分が手術したつもりでいたが、実際には助手に回って下さったメンター頼みだったし、勘所だけは彼らが処置してくれたこともあった。独り立ち早々の時期、心得不足の助手と厳しい症例を手術したことはまれであった。丁寧に縫合しても、助手が糸をたるませればひどい出血に見舞われるのだ。手術は個人力以上にチーム力である。このことはどんなに強調しても、し足りない。だから管理職は組み合わせを考えて担当を指名するし、当番表にも一定の配慮を求める。チーム力を最大にするため、私は夜中に出ていって緊急手術の助手に回ることはザラにあり、結果に対しては自分が責任を負う。さらに各人のモチベーションやとくに欧米では報酬も大きな要因だ。高リスク手術の術者指名は、そんな甘い話や単純な話でないと知れば、本論文の20の術式にもっぱら1人で行う手術は1つもないのに、術者のみのプロファイルで成績を論じるのは見識不足であることは自明であろう(類似論文も同じ)。 さらに再認識すべきなのは、アウトカム=術前状態+手術+術後管理 の公式。術前状態は手術に負けず劣らず重要で、事実、本論文の腹部大動脈瘤手術は、たぶんほとんどが破裂なので死亡率12%、大腸直腸切除も多くは穿孔なので11%と、術者の年齢なんてどこ吹く風の高さだ。そして状態が悪い症例ほど待てないので、夜間や休日は厳しい症例が多くなるが、40歳以下の外科医も60歳以上の外科医も平等にオンコールを割り振られるわけがなく、重症例はオンコールが多い若めの外科医に偏るのだ。また、たとえば冠動脈3枝バイパスは、ICDコードが同じでも非待期手術でも、electrical stormやショック状態の症例と、「明日やりましょうか」という不安定狭心症の症例ではおよそ別もの。そして非待期例ほどバリエーションだらけで、リスク補正と言うは易いが行うは難く、「同じICDコードだから」と死亡率を直接比較するのはかなり無理がある。 なお、一部の例外を除き、外科医も夜間や休日に働きたいわけではなく、嬉々としているように見えるのは前向きに取り組むべく士気を高めているだけなので、是非、麻酔科や内科系の先生の温かいご理解をお願いしたい。 4万5,000人もの執刀医について詳細に検討されたこの論文で興味深かった知見は、平均年齢が50.5歳と意外に高いこと。女性外科医は全体の10%を占めるが、残念ながら心臓血管外科手術の執刀は2%、整形外科は3%とひどく不人気な一方、一般外科は10%超、婦人科(子宮切除)は30%と、専門科選択の格差が国際的であること。さらに、40歳未満の外科医の手術件数のうち女性の執刀は20%だが、60歳以上では3%にまで低下し、年齢が高いと女医の人数が少ないのは時代背景の反映だろうだが、1人あたりの執刀数も6割に減る。一方、男性外科医の手術件数はあまり減っていない。つまり、いくつになっても非待期的な手術も手掛けているのは圧倒的に男性で、後期高齢者もチラホラ。良く言えば、男性外科医は現役への情熱を持ち続けている、リスクと職責を担い続けている、とも言えるが、悪く言えば老害。うがった見方をすれば、高額な養育費や若い夫人との生活費やローンが見え隠れするし、「引退しても家庭に居場所がない」なんて話も、日本では大声でささやかれている。 本論文は多数の手術症例と外科医についてさまざまに解析した労作ではあるが、しばしば執刀医しか見えていない一般人に向けて、現場から乖離した認識で、「若い外科医は成績がイマイチだ」という、芳しからぬ波紋を発信してしまった。失礼ながら予想どおり、主要著者らの所属は内科と公衆衛生で、筆頭著者は(ドクターXのファンかどうかはともかく)日本人のようだ。少数の共著者の外科医は何をどの程度commitしたのか不明だが、「事件は会議室じゃない、現場で起こってるんだ!」という古の名ゼリフを思い出す。繰り返すが、手術はチーム力。机上を離れてしばらく現場に在籍なさるとよろしいように思われる。

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「医師のためのお金の話」の評価と先生の「資産形成」についてのアンケート結果

CareNet.comでは、過日、会員医師の方々に、連載中のコンテンツ「医師のためのお金の話」と金融資産への認識に関するアンケートへのご協力をお願いしました。今回、その結果がまとまりましたので、報告いたします。2018年5月11日にCareNet.comの会員医師を対象にインターネット上でアンケートを実施、回答者総数は324名でした。結果概要設問1で「『医師のためのお金の話』で今後取り上げてほしい資産形成の内容」(複数回答)について質問したところ、「国内株式投資」「円建て預貯金」「生命保険」の順で多く、リターンは低いものの、リスクも低い金融商品への人気がうかがわれました。設問2で「資産形成のため実行している情報収集法」(複数回答)について質問したところ、「とくに情報は集めていない」が一番多く、会員医師の多数が積極的に金融・投資情報などを集めていないことがわかりました。次いで「専門WEBサイトやブログの閲覧」「新聞、雑誌などの紙媒体」の順となり、参考としている情報はネット上のほうが多く、手軽に参考にできる媒体から集めていることが推測されました。設問3で「資産形成に関する話題で、今後取り上げてほしいテーマ」について自由記入方式で質問したところ、「株式」「不動産」「税金」「相続」「FX/仮想通貨」の順でコメントが多く寄せられ、現在の投資トレンドや各年代特有の悩みに関するものが多数を占めました。なお、今後、新たな試みとして会員の資産形成診断を「医師のためのお金の話」上で掲載する予定です。どうぞご期待ください。■設問1 今後「医師のためのお金の話」で取り上げてほしい資産形成内容についてご教示ください。(複数回答)1) 円建て預貯金2) 外貨建て預貯金3) FX4) 国内株式投資5) 海外株式投資6) 国債/債権投資7) 投資信託8) 生命保険9) 金などの実物資産への投資10) ビットコインなどの仮想通貨への投資11) 不動産投資12) その他画像を拡大する■設問2 資産形成のため実行されている情報収集法は何ですか。ご教示ください。(複数回答)1) 専門書籍の購入2) 専門WEBサイトやブログの閲覧3) 金融機関、証券会社への相談、  セミナーへの出席4) 身近なファイナンシャルプランナー、  税理士に相談関5) 新聞、雑誌などの紙媒体6) テレビなどの媒体の視聴7) 口コミ8) とくに情報は集めていない9) その他画像を拡大する■設問3 救資産形成に関する話題で、今後取り上げてほしいテーマについてお寄せください。(自由記入)コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)税・節税関係節税の方法について固有資産税などの税金について控除の賢い方法について節税対策について相続関係遺産相続について親からの相続の処理方法について相続の話について相続税対策について年金関係個人年金の将来性について年金の問題について年金の基本的な内容について老後の資金対策について不動産関係タワーマンションへの投資の可能性について国内不動産の資産動向について不動産投資、国内株式投資、医師の副業全般について不動産投資のメリット・デメリット、レバレッジを効かせた場合などについて貯金、貯蓄関係安全な外貨の選択法について円建て預金でいいのかどうかについて外貨の獲得について外貨預金のリスク最も安全で金利の高い預貯金について昔ながらの預貯金について積立投資について貯金の利息と分散法について資産形成の全般AIによる信託投資の可能性についてローリターンで原本割れしない資産形成法について金融機関の選択法についてリスク管理・分散の方法についてリタイア後を見据えた資産形成の方法について資産のリバランスの方法について安全な資産形成と運用の方法について海外投資の方法について開業医のための資産運用のやり方について勤務医に適した資産形成について資産形成の方法/実例/必要度について出口戦略について詳しく知りたい初期の投資入門、素人が始めるに当たって勉強すべきこと誰にでもわかる資産形成について低リスクで始めやすい資産形成についてクリニックの法人化について有望な金融商品について アンケート概要内容「医師のためのお金の話」の評価と会員医師の「資産形成」について実施日2018年5月11日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師324名属性アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。

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第1回 経口ステロイドは短期服用でも有害事象リスク増【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 経口ステロイド薬は多岐にわたる疾患に使われていて、多くの疾患の治療に必須の薬剤であることに疑いの余地はありません。しかし、長期服用した場合の有害事象もよく知られているところです。では、経口ステロイド薬を短期服用した場合はどうなのでしょうか? 私は、短期服用した場合の有害事象はそれほど多くはないだろう、となんとなく思っていたのですが、その認識を改める契機となった研究を紹介します。Short term use of oral corticosteroids and related harms among adults in the United States: population based cohort study.Waljee AK ,et al. BMJ. 2017;357:j1415.この研究は、2012~14年にかけて、医療保険に加入している18~64歳の米国人154万8,945例の記録を分析したものです。そのうち32万7,452例(21.1%)が何らかの病気に対して少なくとも1回以上、短期的にステロイド薬を服用していました。論文内では30日未満を短期と定義し、30日~5ヵ月にわたり追跡調査を行っています。5分の1の人が、3年間で1回は経口ステロイド薬を使用していたというのは、本邦とは使用の感覚が少し違うのかもしれません。組み入れられている患者の条件は次のとおりでした。・平均年齢:服用群45.5±11.6歳、非服用群44.1±12.2歳・服用期間:平均6日間(四分位範囲:6~12日)、7日以上服用は47.4%(15万5,171例)・基礎疾患や過去1年以内のステロイド使用歴なし・prednisone当量の服用量:中央値20mg/日(四分位範囲:17.5~36.8mg/日)、40mg/日以上は23.4%(7万6,701例)・主な服用理由:上気道感染症、椎間板障害、アレルギー、気管支炎、下気道疾患(これら5症状が全体の約半数)アウトカムとして服用開始30日以内および31~90日の敗血症、深部静脈血栓症、骨折リスクを評価しています。平均6日間服用で敗血症、深部静脈血栓症、骨折リスクが上昇ステロイド薬服用群で1,000人・年当たりの発生頻度がもっとも高かったのは骨折(21.4件)、次いで静脈血栓塞栓症(4.6件)、敗血症による入院(1.8件)です。下記の表のように、5~30日目の非服用群の自然発生リスクと比較して、服用群の敗血症リスクは5.30倍、静脈血栓症リスクは3.33倍、骨折リスクが1.87倍という結果で、いずれも統計学的に有意差があります。1日20mg以下という比較的低用量であっても有意差は保持されていますが、高用量になるほどリスクが増加する傾向にあります。リスク上昇傾向は31~90日後には下がるものの、それでも服用者総計の敗血症は2.91倍、静脈血栓塞栓症は1.44倍、骨折は1.40倍と有意差は保持されています。相対的な数値ですので実臨床上の感覚としては大幅に増えるというほどのものではないかもしれませんが、一定の認識は持っておいたほうがよさそうです。ちなみに、40mg以上服用の5~30日の発症率比が20~39mg/日よりも低く出ているものもありますが、症例数が少なく信頼区間の幅が極めて広いため、これをもってして20~39mg/日よりリスクが低いとは言い切れません。また、31~90日目の有害事象発症率比はやはり高用量になるほど大きい傾向にあります。画像を拡大するステロイド薬の服用理由別のリスク評価はどうなのでしょうか? ステロイド薬の服用に至った理由は呼吸器系症状か筋骨格系症状かによらず、ステロイド薬服用群では各リスクが上昇する傾向が示唆されています。筋骨格系症状で服用した群の発症率比がやや多いようですが、単純に服用量が多かったという可能性も考えられます。画像を拡大するなお、年齢別、性別、人種別でのリスク評価では、おおむね年齢が高いほどリスクが上がる傾向があるようですが、人種差や性差はさほど見られませんでした。本研究の結果をもって、実際の処方提案などの介入方法を変えるという類のものではなさそうですが、経口ステロイド薬の有害事象のモニタリングは服用が短期間、低用量であっても相応の注意をもって行ったほうがよさそうです。Short term use of oral corticosteroids and related harms among adults in the United States: population based cohort study.Waljee AK ,et al. BMJ. 2017;12;357:j1415.

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第2回 意識障害 その2 意識障害の具体的なアプローチ 10’s rule【救急診療の基礎知識】

72歳男性の意識障害:典型的なあの疾患の症例72歳男性。友人と食事中に、椅子から崩れるようにして倒れた。友人が呼び掛けると開眼はあるものの、反応が乏しく救急車を要請した。救急隊到着時、失語、右上下肢の麻痺を認め、脳卒中選定で当院へ要請があった。救急隊接触時のバイタルサインは以下のとおり。どのようにアプローチするべきだろうか?●搬送時のバイタルサイン意識:3/JCS、E4V2M5/GCS血圧:188/102mmHg 脈拍:98回/分(不整) 呼吸:18回/分SpO2:95%(RA) 体温:36.2℃ 瞳孔:3/3mm+/+意識障害のアプローチ意識障害は非常にコモンな症候であり、救急外来ではもちろんのこと、その他一般の外来であってもしばしば遭遇します。発熱や腹痛など他の症候で来院した患者であっても、意識障害を認める場合には必ずプロブレムリストに挙げて鑑別をする癖をもちましょう。意識はバイタルサインの中でも呼吸数と並んで非常に重要なバイタルサインであるばかりでなく、軽視されがちなバイタルサインの1つです。何となくおかしいというのも立派な意識障害でしたね。救急の現場では、人材や検査などの資源が限られるだけでなく、早期に判断することが必要です。じっくり考えている時間がないのです。そのため、意識障害、意識消失、ショックなどの頻度や緊急性が高い症候に関しては、症候ごとの軸となるアプローチ法を身に付けておく必要があります。もちろん、経験を重ね、最短距離でベストなアプローチをとることができれば良いですが、さまざまな制約がある場面では難しいものです。みなさんも意識障害患者を診る際に手順はあると思うのですが、まだアプローチ方法が確立していない、もしくは自身のアプローチ方法に自信がない方は参考にしてみてください。アプローチ方法の確立:10’s Rule1)私は表1の様な手順で意識障害患者に対応しています。坂本originalなものではありません。ごく当たり前のアプローチです。ですが、この当たり前のアプローチが意外と確立されておらず、しばしば診断が遅れてしまっている事例が少なくありません。「低血糖を否定する前に頭部CTを撮影」「髄膜炎を見逃してしまった」「飲酒患者の原因をアルコール中毒以外に考えなかった」などなど、みなさんも経験があるのではないでしょうか。画像を拡大する●Rule1 ABCの安定が最優先!意識障害であろうとなかろうと、バイタルサインの異常は早期に察知し、介入する必要があります。原因がわかっても救命できなければ意味がありません。バイタルサインでは、血圧や脈拍も重要ですが、呼吸数を意識する癖を持つと重症患者のトリアージに有効です。頻呼吸や徐呼吸、死戦期呼吸は要注意です。心停止患者に対するアプローチにおいても、反応を確認した後にさらに確認するバイタルサインは呼吸です。反応がなく、呼吸が正常でなければ胸骨圧迫開始でしたね。今後取り上げる予定の敗血症の診断基準に用いる「quick SOFA(qSOFA)」にも、意識、呼吸が含まれています。「意識障害患者ではまず『呼吸』に着目」、これを意識しておきましょう。気管挿管の適応血圧が低ければ輸液、場合によっては輸血、昇圧剤や止血処置が必要です。C(Circulation)の異常は、血圧や脈拍など、モニターに表示される数値で把握できるため、誰もが異変に気付き、対応することは難しくありません。それに対して、A(Airway)、B(Breathing)に対しては、SpO2のみで判断しがちですが、そうではありません。SpO2が95%と保たれていても、前述のとおり、呼吸回数が多い場合、換気が不十分な場合(CO2の貯留が認められる場合)、重度の意識障害を認める場合、ショックの場合には、確実な気道確保のために気管挿管が必要です。消化管出血に伴う出血性ショックでは、緊急上部内視鏡を行うこともありますが、その際にはCの改善に従事できるように、気管挿管を行い、AとBは安定させて内視鏡処置に専念する必要性を考える癖を持つようにしましょう。緊急内視鏡症例全例に気管挿管を行うわけではありませんが、SpO2が保たれているからといって内視鏡を行い、再吐血や不穏による誤嚥などによってAとBの異常が起こりうることは知っておきましょう。●Rule2 Vital signs、病歴、身体所見が超重要! 外傷検索、AMPLE聴取も忘れずに!症例の患者は、突然発症の右上下肢麻痺であり、誰もが脳卒中を考えるでしょう。それではvital signsは脳卒中に矛盾ないでしょうか。脳卒中に代表される頭蓋内疾患による意識障害では、通常血圧は高くなります(表2)2)。これは、脳卒中に伴う脳圧の亢進に対して、体血圧を上昇させ脳血流を維持しようとする生体の反応によるものです。つまり、脳卒中様症状を認めた場合に、血圧が高ければ「脳卒中らしい」ということです。さらに瞳孔の左右差や共同偏視を認めれば、より疑いは強くなります。画像を拡大する頸部の診察を忘れずに!意識障害患者は、「路上で倒れていた」「卒倒した」などの病歴から外傷を伴うことが少なくありません。その際、頭部外傷は気にすることはできても、頸部の病変を見逃してしまうことがあります。頸椎損傷など、頸の外傷は不用意な頸部の観察で症状を悪化させてしまうこともあるため、後頸部の圧痛は必ず確認すること、また意識障害のために評価が困難な場合には否定されるまで頸を保護するようにしましょう。画像を拡大する意識障害の鑑別では、既往歴や内服薬は大きく影響します。糖尿病治療中であれば低血糖や高血糖、心房細動の既往があれば心原性脳塞栓症、肝硬変を認めれば肝性脳症などなど。また、内服薬の影響は常に考え、お薬手帳を確認するだけでなく、漢方やサプリメント、家族や友人の薬を内服していないかまで確認しましょう3)。●Rule3 鑑別疾患の基本をmasterせよ!救急外来など初診時には、(1)緊急性、(2)簡便性、(3)検査前確率の3点に意識して鑑別を進めていきましょう。意識障害の原因はAIUEOTIPS(表4)です。表4はCarpenterの分類に大動脈解離(Aortic Dissection)、ビタミン欠乏(Supplement)を追加しています。頭に入れておきましょう。画像を拡大する●Rule4 意識障害と意識消失を明確に区別せよ!意識障害ではなく意識消失(失神や痙攣)の場合には、鑑別診断が異なるためアプローチが異なります。これは、今後のシリーズで詳細を述べる予定です。ここでは1つだけおさえておきましょう。それは、意識状態は「普段と比較する」ということです。高齢者が多いわが国では、認知症や脳卒中後の影響で普段から意思疎通が困難な場合も少なくありません。必ず普段の意識状態を知る人からの情報を確認し、意識障害の有無を把握しましょう。前述の「Rule4つ」は順番というよりも同時に確認していきます。かかりつけの患者さんであれば、来院前に内服薬や既往を確認しつつ、病歴から◯◯らしいかを意識しておきましょう。ここで、実際に前掲の症例を考えてみましょう。突然発症の右上下肢麻痺であり、3/JCSと明らかな意識障害を認めます(普段は見当識障害など特記異常はないことを確認)。血圧が普段と比較し高く、脈拍も心房細動を示唆する不整を認めます。ここまでの情報がそろえば、この患者さんの診断は脳卒中、とくに左大脳半球領域の脳梗塞で間違いなしですね?!実際にこの症例では、頭部CT、MRIとMRAを撮影したところ左中大脳動脈領域の急性期心原性脳塞栓症でした。診断は容易に思えるかもしれませんが、迅速かつ正確な診断を限られた時間の中で行うことは決して簡単ではありません。次回は、10’s Ruleの後半を、陥りやすいpitfallsを交えながら解説します。お楽しみに!1)坂本壮. 救急外来 ただいま診断中. 中外医学社;2015.2)Ikeda M, et al. BMJ. 2002;325:800.3)坂本壮ほか. 月刊薬事. 2017;59:148-156.コラム(2) 相談できるか否か、それが問題だ!「報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)」が大事! この単語はみなさん聞いたことがあると思います。何か困ったことやトラブルに巻き込まれそうになったときは、自身で抱え込まずに、上司や同僚などに声をかけ、対応するのが良いことは誰もが納得するところです。それでは、この3つのうち最も大切なのはどれでしょうか。すべて大事なのですが、とくに「相談」は大事です。報告や連絡は事後であることが多いのに対して、相談はまさに困っているときにできるからです。言われてみると当たり前ですが、学年が上がるにつれて、また忙しくなるにつれて相談せずに自己解決し、後で後悔してしまうことが多いのではないでしょうか。「こんなことで相談したら情けないか…」「まぁ大丈夫だろう」「あの先生に前に相談したときに怒られたし…」など理由は多々あるかもしれませんが、医師の役目は患者さんの症状の改善であって、自分の評価を上げることではありません。原因検索や対応に悩んだら相談すること、指導医など相談される立場の医師は、相談されやすい環境作り、振る舞いを意識しましょう(私もこの部分は実践できているとは言えず、書きながら反省しています)。(次回は6月27日の予定)

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第2回 無菌室稼働から7回目、ドキドキの独り立ち!【はらこしなみの在宅訪問日誌】

在宅訪問専任薬剤師のはらこし なみです。責任と自己判断。1人でドキドキの混注先日の無菌室稼働から7回目。そろそろ体が先に動くようになってきて、「1人でも大丈夫だろう、次からはもう1人で」と決まりました。輸液やアンプルにアルコール吹き付けたり、トレーを消毒したり、シリンジやフィルターをそろえたり・・・入室前の準備をしつつ、緊張感も出てきて、もう一度マニュアルを読んで手技のチェック。一人で気楽かと思いきや、責任と自己判断という重みがのしかかり、ドキドキの混注になりました。一通り無菌操作を終え、無菌室すべての面・・・床、壁をアルコールで拭く掃除が、思いのほか大変でした。「でも、これはきっちりとやらないと!」と、アルコールにまみれながら終了。クリーンルームの外に出て、新鮮な空気が美味しく、ひと時ほっとします。でも、この輸液が何かトラブルを起こさないだろうか、チューブの詰まりはないか、体調はどうか、お届け時間は間に合うか・・・と、新たなドキドキが待っていました。腸閉塞の患者さんが在宅中心静脈栄養(TPN)の予定今、A病院に入院されている腸閉塞の患者さんが在宅中心静脈栄養(TPN)の予定です。※TPNは心臓に近い鎖骨の下を走る中心静脈にカテーテルを入れて、そのカテーテルに直接薬 剤や栄養剤を投与する方法。現在は・・・ラクトリン®ゲル液、フルカリック®。ロピオン®静注(静注用非ステロイド性鎮痛薬)を生食100mLに入れて側注管より注入。とのことでした。ロピオン®は在宅でいけますか?と先生より質問もあり、調べています。先生はロピオン®か、デュロテップ®でいくか、考え中のよう。しかし、新たな問題が・・・うすうす勘づいていたのですが、案の定、ロピオン®の安定性(生食 or ブドウ糖5%にmix)は3日間(72時間)までの資料しかなく、ロピオン®が乳濁性製剤のため、フィルターに目詰まりを起こす可能性がある、側管からフィルターを通さない方法が推奨される、とメーカーより回答をいただきました。うちの薬局の基準では、アンプル混中でTPNの場合はフィルター使用が前提。どうしたものか・・・??結局、ロピオン®が在宅には向かないことを先生にお伝えしました。処方提案もしたかったけれど、先生がお考えのデュロテップ®以外には思いつかず・・・。力不足を味わっていました。ところが、退院時処方を見ると、ハイペン®200mgが開始に!胃を全摘していない、完全に腸閉塞しているわけではないことから、退院までの間に内服を試して、可能になったそうです。"TPNだから経口投与はできない"と端から内服薬を除外していましたが、経口できるか否かはTPNかどうかではないこと、腸閉塞といっても様々な状態があり、まさに患者さん個々の状態にもよるのだということを学んだ一例でした・・・。日々精進です!

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日本人は身長が高いと脳血管死亡リスク低い~JPHC研究

 成人の身長と死亡リスクの関連が以前の研究で示唆されているが、日本人における身長と全死因死亡率・疾患別死亡率との包括的な関連は不明である。今回、わが国の前向きコホート研究(JPHC研究)で評価したところ、成人での身長が高いと、男女共に脳血管疾患死亡リスクが低く、逆に男性のがん死亡リスクが高いことが示唆された。PLOS ONE誌2018年5月14日号に掲載。 対象は、JPHC研究のベースライン時のアンケートに回答した、40~69歳の参加者10万7,794人(男性5万755人、女性5万7,039人)。自己申告アンケートによる成人での身長により、男性では、160cm未満、160~163cm、164~167cm、168cm以上、また女性では、149cm未満、149~151cm、152~155cm、156cm以上の四分位で分けて検討した。Cox比例ハザードモデルを用いて、全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、その他の原因による死亡のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中、男性1万2,320人、女性7,030人が死亡した。・男性では、成人での身長が高いと脳血管疾患死亡リスク(160cm未満のHRを1としたときの168cm以上のHR:0.83、95%CI:0.69~0.99、5cm増におけるHR:0.95、95%CI:0.90~0.99)および呼吸器疾患死亡リスク(160cm未満のHRを1としたときの168cm以上のHR:0.84、95%CI:0.69~1.03、5cm増におけるHR:0.92、95%CI:0.87~0.97)が低かった。一方、全がん死亡率(160cm未満のHRを1としたときの168cm以上のHR:1.17、95%CI:1.07~1.28、5cm増におけるHR:1.04、95%CI:1.01~1.07)は高かった。・女性においても、成人での身長が高いと脳血管疾患死亡リスクが低かった(149cm未満のHRを1としたときの156cm以上のHR:0.84、95%CI:0.66~1.05、5cm増におけるHR:0.92、95%CI:0.86~0.99)。

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014)皮膚科っぽい語呂合わせ【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第14回 皮膚科っぽい語呂合わせしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆学生時代はずいぶんお世話になった、語呂合わせ・・・。今では、あんまりお世話になることはありませんが、ときたま思い出したように、語呂合わせを作ってみたりしています。新しいクレジットカードのセキュリティコードとか、今日泊まったホテルの部屋番号とかetc…年々、新しいことが覚えられなくなっている・・・!(危機感)学生時代は、ずいぶんといろんなことを記憶したものですが、残念なことに、反復して使われる記憶以外は、ザルのように失われつつあります。しかし不思議なことに、苦心して作った語呂合わせは、しっかり覚えていたりする~!!「我ながら、くだらない!」と、当時は一人ツッコミしたものですが・・・。語呂がなければ、覚えた内容もすっかり忘却の彼方だったことでしょう。(その語呂すら、近年はうろ覚えですが・・・汗)案外捨てたもんじゃない語呂合わせのお話でした☆ではでは!

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かかりつけに必要な「薬剤師としての実績」にこんな資格は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第1回

皆さんは、学会発表や論文執筆に取り組んでいますか? 薬剤師個人が何に取り組んできたのかという実績が重要視されるようになり、本年度からかかりつけ薬剤師に同意していただくには、自身の薬剤師としての経歴、論文発表の実績などを提示することが必要になりました。急に言われてできるものではないため、どうしたらいいのか…と戸惑われている薬剤師さんも多いのではないかと思います。そんな薬剤師さんのお役に立ちそうな情報がありますのでご紹介します。日本高血圧学会は、患者の降圧目標達成率を向上させる戦略として、「高血圧・循環器病予防療養指導士」を柱とした対策を19年版の高血圧治療ガイドラインに盛り込む方針だ。看護師や薬剤師、管理栄養士を中心に4,000人以上を育成し、高血圧や循環器病の指導を薬局や健診機関で行ってもらう。多くの薬剤を服用しなくても患者が降圧目標を達成できるようにするのが狙い。(RISFAX 2018年5月7日付)現在、2019年度の高血圧治療ガイドラインで、降圧目標が140/90mmHgから130/80mmHgへの引き下げが検討されており、もしそうなれば、高血圧患者は4,300万人から6,300万人になると言われています。2,000万人増ですから、医療機関での治療を受ける患者数も明らかに増えるのではないでしょうか。しかも境界域の患者さんには薬物療法だけでなく、とくに生活指導が必要と考えられます。医薬品に関する指導だけでなく、生活指導に関するアドバイスも薬剤師が参加するようになるため、地域における他職種との連携がより重要になることが予想されます。資格取得には学会参加や症例レポートが必要この認定制度の目的について、「第1条:この制度は、循環器病の主たる原因である高血圧等の生活習慣病の改善・予防、および、その他の危険因子の管理に関する療養指導を行うために有能な専門的知識および技術を有する職種の資質向上を図り、よって循環器病の予防や病態改善により国民の健康増進に貢献することを目的とする」(高血圧・循環器病予防療養指導士ホームページより)とあります。また、日本高血圧学会の会見では、「降圧剤を増やさなくても血圧が下がるという指導をしていきたい。多剤の問題も出てきており、薬剤師とも連携したい」という薬剤師に対する期待のコメントも出ています。すでに3回の試験が実施されており、各職種別の合格者数が開示されています。合格した薬剤師は、第1回は12名、第2回は41名でした。第2回は、保健師や看護師、臨床検査技師など、すべての医療系資格保有者の中で薬剤師がもっとも多く合格しています。現在の全認定者数は324人ですが、それをまず1,000人に増やし、将来的に4,000人以上を目指すとのこと。積極的に合格者を増やしたい今は、もしかしたら認定されやすいタイミングなのではないかとこっそり思っています。この試験の受験資格ですが、薬剤師の資格があるだけでは足りません。日本高血圧学会または日本循環器病予防学会への在籍が試験実施日までに1 年以上であることや、一定の学術大会やセミナーや試験当日の講習への参加などが必要になります。申し込み時には、「指導例記録5症例、またはそれに代わるもの」という薬歴に近い症例レポートの提出が必要です。学会への入会や症例レポート作成、もしかしたら学会発表など、かかりつけ薬剤師に求められることが一度に準備できる可能性があります。この高血圧・循環器病予防療養指導士はあくまで一例ですが、薬剤師のサポートが求められている領域に貢献でき、また、かかりつけ薬剤師に必要な実績に何から手を付ければいいかわからない薬剤師さんにとって、日々行っていることが成果として資格取得につなげられるいい機会だと思いますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。日本高血圧学会・日本循環器病予防学会・日本動脈硬化学会 認定 高血圧・循環器病予防療養指導士

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第3回 いじりの構図【宮本研のメディア×ドクターの視座】

第3回 いじりの構図『上司の「いじり」が許せない』―この書籍名を電車内で目にしたとき、古い記憶が強引に呼び出されるような、嫌な感覚がありました。表紙には『時として「いじり」は「いじめ」よりも残酷なハラスメントになる』とあり、上司からいじられた社員がストレスで嘔吐する様子が、鳥獣戯画のようなイラストで描かれています。私がアラフォーになっても嫌な感覚を拭えないのは、これまでの勤務経験で上級医から実際に「いじられ」、当時は許容しきれないまま我慢していたからです。指導の一環や、患者さんを守るためなど、当事者の言い分はたくさんあるのでしょうが。さらに難しいのは、私自身を含めて、誰かを「いじった」かもしれない可能性です。冗談のつもり、まさかそんな悪い意味で言ったわけじゃない、といった認識で、今日も「いじっている」医師が各地に実在するかもしれません。同書にはSNS経由のインタビューを含めて、会社組織での酷いエピソードが巻頭から並んでいます。読みながら強い吐き気を覚えるほど、信じがたい話の連続です。対面取材だけでないと批判が起こりそうな箇所もありますが、最近の高級官僚や政治家、財界人の不祥事でもわかるように、「おじさんが女性にハラスメントを及ぼす」パターンが多い様相が読み取れます。そして、おじさんの男性管理職・経営者が圧倒的に多い日本においては、年下に対しての「いじり」を誘発しやすい要素があります。医療組織にも、同様の素地が長年存在しているのです。ここで、病院での具体的な場面を想定して考えてみたいと思います。例えば、A医師という患者さんには優しいけれど、部下や看護師などに厳しく応対する人物がいたとします。研究を含めて大学病院で豊富な経歴を積んでおり、医局派遣先病院でもそれなりの発言力を持っている、といった場合です。あるとき、A医師がBさんという病棟看護師に対して飲み会の席で、軽いノリで「恋人はいる?」「結婚はしないの?」と発言しました。普段から指示受けに対して厳しく指導されているBさんは、その場で黙りこむしかありません。A先生はひどく酔っていますから、何も言い返せないと思い、その宴席の間中、恋愛や結婚に関する「いじり」を含めて自由奔放な発言に対応していました。キレたらペアンを投げるくらいの怖い先生であることは、皆が知っているのです。しかし今後も続くかもしれないと不安を感じたB看護師は、病棟のC看護師長へ、この「いじり」の様子を涙ながらに説明したのです。責任感が強いC看護師長は、翌朝にD看護部長へ経緯を報告。副院長を兼務しているD看護部長は、A医師について他部署の看護師からも「いじられた」報告が出ていることを問題視。E院長に対して、所属する大学医局への報告と、Bさんを含めた被害職員への謝罪を要求します。それを聞いたE院長は「寄付を続けてやっと派遣してもらった専門医なので、教授や医局長と揉めると困ります」と、内輪で解決できないかをD看護部長へ相談。こうして、院内では案件が巨大化しながら経営陣が対立し、事務側でもA医師の「いじり」被害者が続々と申し出て・・・・。(あくまでも架空の話です)この例での大きな問題点は、これらの人物の典型的な行動だけでなく、A医師からE院長までの性別や年齢が、なんとなく予想できてしまう点です。皆さんの中で、A医師=中年女性、B看護師=アラサー男性とイメージした方は少ないのではないでしょうか。男女比の偏りが大きい医療専門職では、A医師=中年男性、B看護師=アラサー女性といったイメージが定着し、かつ実際にそのようなケースが多いわけです。こうした役職や職種に対する固定イメージ自体が、部署間の複雑な関係性を生み出したり、禍根を残す院内マネジメントを起こす要素にもなりえます。個人責任だけでなく、社内風土を含む環境要素によって誘発される「いじり」も、同書は鋭く指摘しています。医療現場で働く医師にとっても、一読の価値があると思います。また、とくに他意や悪意はないが伝統的に続けている、独自の「いじり」文化が院内にあるといった場合、誰かを「いじる」ことで組織を安定化させていないかを見直すべきでしょう。多忙な労働環境において、解決が後回しになったまま業績や収益性を優先していると、架空例のような事態が起こりやすいものです。男女比からは、女性医師が被害に遭いやすいはずです。「いじり」が発生しやすい医師の職場環境についても、長時間労働と同じく、議論の俎上に載せるべきではないか、と私は思っています。過去に私は上司や指導医から「いじられた」経験があり、それらの悔しい思いを後輩達へ残さないように振る舞っているにもかかわらず、他医師の「いじり」が結果的に「いじめ」へ繋がり、若手医師が退職していく様子も目撃し、無念であったろう、と思わざるを得ません。メディアとして外からみてみると、医療業界には社会の課題が凝縮して含まれる、と痛感します。「いじり」はその1つですが、非常に深刻な課題なのではないでしょうか。 1)中野円佳著.上司の「いじり」が許せない.講談社 現代新書;2018.

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