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初診でもオンライン診療が可能に 薬局の課題は「なりすまし」をいかに防ぐか【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第46回

なかなか終わりが見えない新型コロナウイルス感染ですが、皆さんの薬局では何か影響はありましたでしょうか。日本保険薬局協会(NPhA)が実施したアンケートでは、会員企業のうち約60%が新型コロナウイルス感染拡大防止のためのオンライン診療に基づく処方箋を応需している一方で、約80%が「薬局の利用者が減っている」と回答するなど、患者さんの薬局利用や医療の流れが変わりつつあることがうかがえます。4月7日に緊急事態宣言が一部の地域に出され、その後その範囲が拡大されましたので、実際に来局される患者さんはさらに減って、オンライン診療・服薬指導が増えているのではないかと想像します。オンライン服薬指導は新型コロナウイルス感染拡大防止のために、2月28日の厚生労働省の事務連絡によって可能になりました。その後、4月10日にはさらに「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(いわゆる「0410通知」)が発出され、より具体的になりました。2月28日の事務連絡は廃止され、初診でもオンライン診療が可能になったことが一番の変化です。この通知では、オンライン診療・服薬指導の方法や処方箋のやり取り、医薬品の送付方法、患者のなりすまし防止措置など、具体的な事項が記載されています。「0410通知」の薬局における主な対応は以下のとおりです。初診で医師が患者の基礎疾患を把握できない場合は、処方日数は7日間が上限で、麻薬や向精神薬、抗がん剤などは調剤してはならない。患者がオンライン服薬指導を希望する場合は、備考欄に「0410対応」と記載した処方箋情報がFAXなどで保険薬局に送付される。保険薬局は送られてきた処方箋情報をもとに調剤し、その処方箋情報は後日入手した処方箋原本とともに保管する。患者のなりすまし防止のため、保険証の画像や口頭によって本人確認を行う。オンライン服薬指導が可能かどうかを薬剤師が判断し、対面での服薬指導が必要と判断した場合は対面を促すことができる。その場合の対応は薬剤師法の調剤応需義務に違反するものではない。調剤した薬剤は品質が保持され、確実に授与できる方法で患者へ配送し、実際に患者が授与したことを電話などで確認する。この通知を読んでオンライン服薬指導の具体的な運用を考えたときに、意外と患者のなりすましや虚偽申告が可能なのではないかと思ってしまいました。もちろん、初診で医師が基礎疾患を把握できない場合は、「処方日数は7日間まで」「麻薬や向精神薬、抗がん剤などは処方してはならない」とするなどの詐欺や悪用を阻止する対策はとられています。しかし、顔が見える通信手段ではなく普通の電話での処方も可能ですし、何度も通院している患者さんになりすました場合は上記から外れます。薬局でも本人確認のチェック項目を設け、患者さんと話をして感じ取った情報を薬歴に残すべきだと感じました。なお、そのような疑わしい事例があった場合は、都道府県に報告することが求められています。また、通知には記載されていませんが、偽造処方箋についても同様に注意が必要です。つい最近まで「オンライン診療って結局進まないよねー」なんて言っていたのが嘘のように、劇的に医療を取り巻く環境が変化しつつあります。現時点では新型コロナウイルス感染に対する特例ですが、オンラインで診察を受け、オンラインで服薬指導も受け、郵送で医薬品を受け取る…といういわゆるオンライン診療を経験した患者さんが増えていくのは間違いありません。少なくとも、この通知は「原則3ヵ月ごとに検証を行う」ことが明記されていますので、7月くらいまではこの通知が有効であると考えて、腰を据えて薬局内の手順を考えたほうがよさそうです。

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COVID-19の実効再生産数は公衆衛生介入で抑制か/JAMA

 中国・湖北省武漢市のCOVID-19集団発生(outbreak)では、都市封鎖(city lockdown)や社会的距離(social distancing)、自宅隔離、集約化された検疫・治療、医療資源の拡充など一連の多面的な公衆衛生的介入により、初発の確定症例や実効再生産数(2次感染の指標)が経時的に抑制されたことが、中国・華中科技大学のAn Pan氏らの調査で示された。COVID-19の世界的な大流行(pandemic)では、さまざまな公衆衛生的介入が行われているが、これによって集団発生状況が改善されたか明確ではないという。JAMA誌オンライン版2020年4月10日号掲載の報告。3万例以上で、公衆衛生的介入が及ぼした影響を評価 研究グループは、武漢市のCOVID-19集団発生において、公衆衛生的介入と疫学的特徴の関連を評価する目的で、5つの時期に分けたコホート研究を実施した(中国・主要大学基礎研究基金などの助成による)。 市の法定伝染病報告システムを使用し、2019年12月8日~2020年3月8日に、検査によりCOVID-19と確定された3万2,583例のデータを抽出した。データには、患者の年齢、性別、居住地区、職業、発病日(患者の自己申告による発熱、咳、その他の呼吸器症状が発現した日)、確定日(生体試料からSARS-CoV-2を検出した日)、重症度(軽度、中等度、重度、重篤)などが含まれた。 COVID-19の確定は、鼻腔および咽頭のスワブ検体を用い、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)または次世代シークエンシング法でSARS-CoV-2ウイルス陽性の場合と定義した。 公衆衛生的介入(防疫線、交通規制、社会的距離、自宅隔離、集約化検疫、全例症状調査など)が、新型コロナウイルスの感染に及ぼした影響を評価した。イベントや介入で5つの時期に分類、2次感染の指標も評価 春運期間の開始(2020年1月10日)、武漢市防疫線の開始(1月23日)、4つのカテゴリー(確定症例、推定症例、発熱・呼吸器症状患者、濃厚接触者)に分けて集約化された治療・検疫戦略の開始(2月2日)、全例症状調査の開始(2月17日)を起点として、以下の5つの時期に分類し、年齢別、性別、市内地区別の新型コロナウイルスの感染率を算出した。 I期(初期の非強力介入期、2019年12月8日~2020年1月9日、33日間、確定症例数550例)、II期(春節による大移動期、1月10日~22日、13日間、5,091例)、III期(都市封鎖/交通規制/自宅検疫期、1月23日~2月1日、10日間、1万3,880例)、IV期(集約化検疫・治療/医療資源拡充期、2月2日~16日、15日間、9,972例)、V期(集約化検疫/全例症状調査期、2月17日~3月8日、21日間、3,090例)。 また、各時期のSARS-CoV-2の実効再生産数(2次感染の指標。集団のある時刻における、典型的な初発患者が生み出した2次感染者数の平均値)も推算した。発症から確定までの期間は徐々に短縮 3万2,583例の年齢中央値は56.7歳(範囲:0~103、四分位範囲:43.4~66.8)、女性が1万6,817例(51.6%)で、40~79歳が2万4,203例(74.3%)であった。 多くの患者は1月20日~2月6日の期間に発症し、2月1日にこの日だけの感染者数の急上昇が認められた。発症から確定までの期間は、初期には実質的な遅延が認められたが、この遅延は経時的に短縮した(I~V期の発症から確定までの期間中央値の推移:26、15、10、6、3日)。 集団発生は、武漢市の都市部で始まり、5つの時期を通じて郊外および農村部へと徐々に拡大した。確定症例の割合は、地区によって大きく異なり、感染率は都市部が最も高かった。III期にピーク、医療従事者感染率はPPE普及後に低下 1日の確定症例数の割合は、I期の100万人当たり2.0件(95%信頼区間[CI]:1.8~2.1)から、II期には45.9件(44.6~47.1)へと上昇し、III期には162.6件(159.9~165.3)とピークに達したが、その後、IV期には77.9件(76.3~79.4)、V期には17.2件(16.6~17.8)へと低下した。また、全期を通じて、女性の感染率がわずかに高かった(100万人当たり43.7件/日vs.39.4件/日)。 一方、医療従事者の確定症例(1,496例)の割合は4.6%であった(I期3.8%、II期8.7%、III期5.5%、IV期3.0%、V期1.8%)。全期を通じて、100万人当たりの1日の確定症例の割合は、医療従事者が130.5件(95%CI:123.9~137.2)と、一般人口の41.5件(41.0~41.9)に比べて高かった。医療従事者の感染率はIII期にピーク(617.4件[576.3~658.4]/日/100万人)に達したが、包括的な個人用保護具(PPE)が広く使用可能となったIV期(159.5件[141.4~177.6])およびV期(21.8件[16.1~27.4])には低下した。 20歳以上では、1日の確定症例の割合はIII期にピークに達し、それ以降は低下したのに対し、小児や青少年(20歳未満)はその後も増加し続け、とくに1歳未満の増加が顕著であった。1歳未満の1日の確定症例の割合は100万人当たり7.9件(5.8~10.0)で、20歳未満の他の年齢層は2.0~5.4件だった。高齢者ほど重症化リスク高い、実効再生産数は介入後低下 重症度別の解析では、重度/重篤症例の割合は、I期の53.1%から、II期35.1%、III期23.5%、IV期15.9%、V期10.3%へと低下した(I期との比較でいずれも有意差あり)。 また、重症化のリスクは年齢が高くなるに従って増加した。20~39歳の重度/重篤症例の割合12.1%と比較して、80歳以上は41.3%(リスク比[RR]:3.61、95%CI:3.31~3.95)、60~79歳は29.6%(2.33、2.16~2.52)、40~59歳は17.4%(1.41、1.30~1.53)であったのに対し、20歳未満は4.1%(0.47、0.31~0.70)であった(いずれもp<0.001)。 一方、実効再生産数は、1月26日以前は3.0以上で著しく上下動し、1月24日にピーク値の3.82に達し、以降は下降に転じた。2月6日には1.0未満に低下し、3月1日以降は0.3未満に抑制された。 著者は、「これらの知見は、COVID-19の世界的な大流行との闘いにおいて、他の国や地域の公衆衛生上の施策に有益な情報をもたらす可能性がある」としている。

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COVID-19濃厚接触者の定義を変更し、網を拡大/国立感染研

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「濃厚接触者」の定義について国立感染症研究所 感染症疫学センターは、4月20日に「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」を発表し、定義を変更した。 新しい「濃厚接触者」の定義では、「患者(確定例)」の感染可能期間(症状を呈した2日前から隔離開始までの間)に接触した者のうち、次の範囲に該当する者として4項目を示した。・患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内などを含む)があった者・適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護もしくは介護していた者・患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い者・その他:手で触れることのできる距離(目安として1m)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況など個々の状況周辺の環境や接触の状況など個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。 これにより、従来は発症日以降に接触した人から「発症の2日前から接触した人」に拡大され、また、「2m以内を目安に接触していた人」の定義を「1m以内を目安に15分以上接触した人」に変更された。 この定義は保健所などで聞き取り調査の際に使用され、より多くの感染疑い者の絞り込みに活用される。

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新型コロナ陽性および疑い患者への外科手術について、12学会が共同提言/日本外科学会など

 日本医学会連合、日本外科学会をはじめとする外科系12学会は4月1日、連名で「新型コロナウイルス陽性および疑い患者に対する外科手術に関する提言」を発出した。流行下での手術トリアージの目安のほか、気管挿管・抜管時のリスク回避策など、医療従事者の感染リスク防止のための方策がまとめられている。 本提言の内容は以下の通り:・患者および術式選択について・個人用防護具(PPE:Personal Protective Equipment)について・気管挿管・抜管時のリスク回避について・その他の手術リスクについて・手術後の対応について・帰宅時の対応について・緊急手術について なお、今後の状況に応じて提言は適宜見直されるとし、日本外科学会では4月14日に外科手術トリアージ表の改訂版を発表。4月21日には、提言の中で推奨された排煙装置の使用について、日本外科教育研究会により「新型コロナウイルス感染症とサージカルスモーク」の解説が提供されていることを紹介。この解説では、サージカルスモークによる感染を防ぐため、関連の参考文献とともに医療用マスクや排煙装置の防護法などについて記載されている。 日本外科学会ホームページでは、「新型コロナウイルス(COVID-19)特設ページ」が設けられており、これらの情報が随時更新されている。

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化学療法+ICI、初の長期フォローアップデータ【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第13回

第13回 化学療法+ICI、初の長期フォローアップデータ1)Gadgeel S, Rodriguez-Abreu D, Speranza G, et al. Updated Analysis From KEYNOTE-189: Pembrolizumab or Placebo Plus Pemetrexed and Platinum for Previously Untreated Metastatic Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer. J Clin Oncol. 2020 Mar 9. [Epub ahead of print]NSCLCの標準治療を大きく変えることになったKEYNOTE-189試験(化学療法+免疫チェックポイント阻害剤[ICI]vs.化学療法の第III相試験)。ICIを用いた多くの試験同様、アップデート解析が今回報告された。長期生存・長期無再発はどのような集団で得られているのか、PD-L1検査の意義は…簡潔に紹介する。アップデートの内容フォローアップ期間の中央値は当初報告(Gandhi L, et al. NEJM. 2018;378:2078-2092.)における10.5ヵ月から、今回23.1ヵ月となった。PFS、OSのアップデートに加え、PFS2の解析が追加されている。なおPFS2の定義は「ランダム化から、(1)主治医判断による2次治療の病勢進行(PD)まで、もしくは(2)2次治療をPD以外で終了した場合は3次治療開始まで、あるいは(3)これら以外の死亡まで」とされている。IMpower試験(アテゾリズマブ)で話題となった、肝・脳転移の有無に関するサブセット解析が追加された。なおKN189試験では全体の16~18%の症例が肝・脳転移を有している。結果以下、Pembro群vs.Placebo群:初回報告→アップデートの順に紹介する(単独の結果記載はアップデートデータのみ)。MST:未到達vs.11.3ヵ月(HR 0.49)→22.0ヵ月vs.10.7ヵ月(HR 0.56)2年生存率:45.5% vs.29.9%PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.42/0.55/0.59→0.59/0.62/0.52mPFS:8.8ヵ月vs.4.9ヵ月(HR 0.52)→9.0ヵ月vs.4.9ヵ月(HR 0.48)2年PFS率:20.5% vs.1.5%PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.36/0.55/0.75→0.36/0.51/0.64PFS2:17.0ヵ月vs.9.0ヵ月(HR 0.49)PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.47/0.59/0.46肝転移・脳転移の有無は予後不良因子ではあるが、ペムブロリズマブ追加の効果予測因子ではなかった。追加期間において、新規の免疫関連有害事象の発生は少なかった。解説本研究の強み・興味深い点化学療法+ICIにおける初めての長期フォローアップデータ。PD-L1の有無によらず、同程度のHRが示された。一方で、長期無再発の観点でPFSを見てみると、PD-L1 50%をカットオフとして差が顕著になっている。PD-L1≧50%で曲線がプラトーになりつつある一方で、1~49%、<1%ではほぼ全例が増悪を呈している。まとめると、3剤併用はPD-L1の有無によらず選択可能、ただしその後の戦略は大きく異なる。PD-L1≧50%では3人に1人が2年間以上無増悪を期待できる。PD-L1 50%未満では、10ヵ月前後で増悪する可能性が高く、次治療を考慮する。肝転移・脳転移の有無は治療選択には大きく影響しない。総じて、日常臨床に影響するようなデータはなし。その他のポイントコントロールアームの治療成績(MST 10.7ヵ月)が本邦の一般的な印象に比してかなり悪いので、HRの解釈には少し注意が必要かもしれない。PD-L1 50%未満に対して今後はどのような治療戦略が期待されるのか? 化学療法+ICIにさらなる薬剤追加はなかなか難しいと思われる(ベバシズマブは症例を選べば可能だが…)。2019年にはKRAS変異とPD-L1発現・化学療法+ペムブロリズマブの有効性を検討したサブ解析が話題を呼んだ(Gadgeel S, et al. ESMO-IO 2019.)。バイオマーカーについて、今後追加の報告があるのか、にも注目したい。

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COVID-19、早期診断や重症化の因子は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)の予測モデルに関する公表・公表前の試験結果についてシステマティック・レビューを行ったところ、31個の予測モデルが見つかったが、大半でバイアスリスクが高く、それら予測モデルを医療現場で活用することには、信頼性の点で懸念があることが示された。オランダ・マーストリヒト大学のLaure Wynants氏らによる検討で、BMJ誌2020年4月7日号で発表した。COVID-19は世界中の医療システムに負荷をもたらしており、効果的な早期検出、診断および予後に関する差し迫ったニードが生じている。ウイルス学的検査、胸部CTは診断の標準方法となっているが時間を要する。一方、先行研究報告で、高齢で、慢性疾患(COPD、心血管疾患、高血圧)がある患者や呼吸器症状のある患者は、重症となりやすく死亡率も高まることが示唆されていた。PubMed、Embase、medRxivなどをレビュー 研究グループは、COVID-19の感染が疑われる患者の診断に関する予測モデル、および罹患者の予後に関する予測モデル、さらにCOVID-19で入院となるリスクがある人を一般集団で検出するための予測モデルについて、公表・公表前の報告をレビューおよび批評した。 PubMed、Embase、Ovid、Arxiv、medRxiv、bioRxivを基に、2020年3月24日までに発表されたCOVID-19に関する試験結果についてシステマティック・レビューを行った。COVID-19関連の多変量予測モデルの開発または検証に関する試験を抽出し、評価した。2人以上の著者がCHARMSチェックリスト(予測モデル試験のシステマティック・レビューのためのクリティカルな評価とデータ抽出を行うためのツール)を用いてそれぞれがデータの抽出を行った。診断モデル18件、予後予測モデルは10件 スクリーニングを行った2,696本の論文中に、27試験・31個の予測モデルの記述があった。 そのうち、一般集団における肺炎およびその他イベント(COVID-19肺炎の代替アウトカムとして)による入院の予測モデルは3個、COVID-19感染を検出する診断モデルは18個(うちCT画像検査の結果に基づく機械学習が13個)、死亡リスクや重症化進行リスク、および入院日数を予測する予後モデルは10個だった。また、中国以外の患者データを用いていたのは1試験のみだった。 感染が疑われる患者について最も多かった予測因子は、年齢、体温、徴候および症状であり、また、重症化について最も多かった予測因子は、年齢、性別、CT画像検査の所見、CRP、乳酸脱水素酵素値、リンパ球数だった。 予測モデルのC統計量は、一般集団を対象としたモデル(3モデルすべてで報告)は0.73~0.81、診断モデル(18モデルのうち13モデルで報告)は0.81~0.99超、予後モデル(10モデルのうち6モデルで報告)は0.85~0.98だった。 一方で、全試験についてバイアスリスクが高く、予測モデルを実際に活用した際の予測能は試験結果より低い可能性が高いとの評価が示された。理由としては、被験者にCOVID-19患者以外が含まれていない(診断モデル)、試験終了までに評価アウトカムが発生しなかった被験者は除外されている(予後モデル)、およびサンプルサイズが小さいことによるモデルの過剰適合などだった。 結果報告の質にもばらつきがあり、多くが試験対象集団や予測モデルの使用意図についての説明がなく、また予測の較正はほとんどされていなかったという。

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斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ! シーズン2

大好評だった「斬らレセプト」が帰ってきました。シーズン2では、2020年の改定を踏まえ、間違いやすい項目などについて解説します。つい起こしがちな間違い、漏れ、ミスなどを確認することで、請求漏れのないようにしていきましょう。解説執筆は、医療事務のエキスパートとして経営全般をサポートする、株式会社ソラスト。

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事例001 初診料の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説査定とは、レセプト請求内容が保険診療にそぐわないとして、バッサリと斬られて報酬が支払われないことを示します。多くの査定は、根拠がどこかに示されているにもかかわらず、気付かなかったことにあります。算定にかかる留意事項や添付文書の洪水に加えて難解な文章が、多忙な医師の手を煩わせることにつながっています。無駄な査定を避けるため、事例と解説をお届けします。医療安全と適正請求の一助にしていただけると幸いです。令和2年4月に診療報酬の定期改定が実施されました。初診料は、凍結されていた妊婦加算が廃止されたことを除き、点数と算定留意に変更はありませんでした。今回お届けする査定事例は改定前ですが、改定後も取扱いは同じとなります。事例を見てみます。何らの違和感がないにもかかわらず、初診料が再診料に査定されています。調べてみると、この患者は、前月にも急性胃炎の受診歴がありましたが、次回診療予約はなく、受診中止後の急性疾患の再燃として初診料を算定されていました。前回受診時の処方箋内容を見てみると、28日分処方されており、今回の初診と判断した診療日がこの処方日数内でした。審査支払機関において保存された電子データを照らし合わせる縦覧点検の結果、急性胃炎は、処方日数から判定して引き続きの服薬中と認められるため初診料の対象ではないと査定になったものと推測できます。さらに、事例の急性胃炎は「特定疾患療養管理料」の対象疾患となっていますので、処方期間内の受診であれば、再診料+外来管理加算+特定疾患療養管理料+処方箋料+特定疾患処方管理加算2(28日以上処方の場合)の算定となり査定を防ぎ、増収につながったものと思われます。

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第19回 服薬指導の電話は喜ばれるって本当?【噂の狭研ラヂオ】

動画解説服薬後のフォローが薬剤師の義務となりましたが、患者さんはあまりその事実を知りません。当然「なぜあなたにそんなことを言われなくちゃいけないの?」と拒否されてしまうのではないかと不安にもなります。ましてや患者さんの家に電話なんてと驚くかもしれませんが、実は患者さんにとって電話は薬局よりもクローズドでリラックスして話せる“場所”だったんです。

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新型コロナウイルス検出用抗体、開発に成功/横浜市立大

 横浜市立大学大学院医学研究科の梁 明秀氏(微生物学・分子生体防御学 教授)らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原を特異的に検出できるモノクローナル抗体の開発に成功したことを2020年4月20日に発表した。今後は、本抗体を用い簡便かつ短時間にSARS-CoV-2だけを正しく検出できるイムノクロマトキットの開発を目指す。 今回作製された抗体は、近縁のSARSコロナウイルスや風邪の原因となるヒトコロナウイルスとは交差反応を示さず、SARS-CoV-2抗原にだけ正確に反応するという。現時点でSARS-CoV-2のみを的確に検出できる高性能なモノクローナル抗体は実用化されておらず、この開発が進めば国内初の検査キットの実用化となる。 研究成果のポイントは以下のとおり。・ コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法により作製した高品質な抗原を用いて、SARS-CoV-2を正確に検出できるマウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを複数株、樹立することに成功。・ 本抗体は、SARS-CoV-2だけに高い親和性を示し、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)、およびその他の一般の風邪症状を引き起こすヒトコロナウイルスとは交差反応しない。・ 今後、本抗体を用いて、簡便かつ短時間に、しかも正確にSARS-CoV-2が検出できるイムノクロマトキットが開発できれば、PCR法などの遺伝子検出法と比べて臨床現場の負担が軽くなり、検査数の大幅増が期待できる。

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添付文書改訂:コンサータの流通管理が厳格化/タケキャブに汎血球減少など追加/イクスタンジ、アーリーダに間質性肺疾患追加【下平博士のDIノート】第47回

コンサータ:流通管理体制が厳格化第1種向精神薬に指定されているAD/HD治療薬「メチルフェニデート塩酸塩徐放錠(商品名:コンサータ)」の流通管理が厳格化され、患者情報の登録が義務化されました。これまで処方していた医師と調剤していた薬局・薬剤師も、新管理システムへの登録が必要です。覚せい剤原料に指定されているAD/HD治療薬「リスデキサンフェタミンメシル酸塩カプセル(同:ビバンセ)」と同様の扱いとなります。<対象薬剤>メチルフェニデート塩酸塩徐放錠(商品名:コンサータ錠18mg/27mg/36mg、製造販売元:ヤンセンファーマ)<改訂年月>2019年11月<改訂項目>警告承認条件<Shimo's eyes>リスデキサンフェタミンメシル酸塩(商品名:ビバンセ)の承認申請の際に、メチルフェニデート塩酸塩徐放錠の不正使用が発覚したため、流通管理体制の見直し・厳格化が行われ、今回の改訂に至りました。新しい流通管理体制では、登録された医師が本剤を処方する前に、あらかじめ患者のイニシャル、性別、生年月日、第三者から得た患者の症状に関する情報源などを登録することが義務付けられました。登録情報は定期的な更新が求められています。登録薬局・薬剤師は、メチルフェニデート徐放錠やリスデキサンフェタミンメシル酸塩カプセルの処方箋を応需したら、「ADHD適正流通管理システム」ホームページにアクセスし、処方医師名や患者さんが持参したカードのIDを入力して検索します。そのため、調剤する前に、処方箋と同時に医師から交付される患者カードと身分証明書の確認が必要になります。なお、薬機法の改正に伴い、覚せい剤取締法および覚せい剤取締法施行規則等が一部改正され、2020年4月よりリスデキサンフェタミンメシル酸塩カプセルの取り扱いが変更されています。これにより、調剤済みの覚せい剤原料が薬局・病院でも回収できるようになったため、添付文書上の「適用上の注意(薬剤交付時)」に、「本剤が不要となった場合には、医療機関又は薬局へ返却するなどの処置について適切に指導すること」との内容が追加されました。ほかにも、薬局・病院に帳簿の設置と記録の義務化などの変更がありますので、通知には必ず目を通しておきましょう。参考PMDA コンサータ錠18mg/コンサータ錠27mg/コンサータ錠36mg厚生労働省 メチルフェニデート塩酸塩製剤(コンサータ錠18mg、同錠27mg及び同錠36mg)の使用にあたっての留意事項について厚生労働省 製造販売業者が実施する流通管理の概要厚生労働省 覚醒剤原料の取扱いについて(訂正版)タケキャブ:重大な副作用に汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少が追加ボノプラザンフマル酸塩含有製剤の重大な副作用に「汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少」が追加になりました。本剤は、2019年3月にも、重大な副作用として、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(SJS)、多形紅斑が追加されています。<対象薬剤>ボノプラザンフマル酸塩錠(商品名:タケキャブ錠10mg/20mg、製造販売元:武田薬品工業)ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン(同:ボノサップパック400/800、同上)ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール(同:ボノピオンパック、同上)<改訂年月>2019年10月<改訂項目>使用上の注意<Shimo's eyes>ボノプラザンフマル酸塩の国内症例が集積し、専門委員の意見も踏まえた調査の結果から、添付文書を改訂することが適切と判断されました。直近3年度の国内副作用症例の集積状況は、血小板減少関連症例19例(うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例2例)、無顆粒球症、白血球減少関連症例15例(うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例4例)、汎血球減少17例(うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例2例)が報告されています。汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少の初期症状については、出血しやすい、鼻血、歯ぐきの出血、発熱、寒気、喉の痛み、青あざができるなどに注意が必要です。これらの副作用について、ほかのプロトンポンプ阻害薬ではすでに注意喚起がなされています。参考PMDA タケキャブ錠10mg/タケキャブ錠20mg同 ボノプラザンフマル酸塩含有製剤の「使用上の注意」の改訂についてイクスタンジ、アーリーダ:重大な副作用に間質性肺疾患追加前立腺がん治療薬エンザルタミド(商品名:イクスタンジ)およびアパルタミド(同:アーリーダ)の重大な副作用に「間質性肺疾患」が追加されました。これに伴い、重要な基本的注意などが新設され、初期症状および胸部X線検査実施などの注意事項が追加されました。<対象薬剤>エンザルタミド錠、カプセル(商品名:イクスタンジ錠40mg/80mg、同カプセル40mg、製造販売元:アステラス製薬)アパルタミド錠(同:アーリーダ錠60mg、ヤンセンファーマ)<改訂年月>2019年11月<改訂項目>慎重投与(新設)重要な基本的注意(新設)副作用重大な副作用(新設)<Shimo's eyes>過去3年の国内報告数のうち、医薬品と間質性肺疾患関連症例との因果関係が否定できない症例がエンザルタミドでは5例(死亡との因果関係が否定できない症例0例)、アパルタミドでは2例(死亡との因果関係が否定できない症例1例)報告され、国内症例が集積したと判断されて改訂されました。間質性肺疾患は、びまん性実質性肺疾患または浸潤性肺疾患とも呼ばれ、間質腔が傷害される多様な疾患の総称です。特徴的な症状は、肺胞中隔の肥厚、線維芽細胞の増殖、コラーゲン沈着、および疾患が進行した場合は肺線維化などです。患者さんには、間質性肺疾患の初期症状である息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱などについて説明するとに、症状が発現した場合には、速やかに医療機関を受診するよう伝える必要があります。参考PMDA 使用上の注意改訂情報(令和元年11月15日指示分)ヤンセンファーマ 市販直後調査 アーリーダ錠60mg適正使用に関するお願い~間質性肺疾患のリスクについて~

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早期乳がん患者の認知障害、化学内分泌療法vs.内分泌療法/JCO

 がん治療に伴う認知機能障害(CRCI)は補助化学療法中によくみられ、持続する場合がある。米国・Wake Forest School of MedicineのLynne I Wagner氏らは、TAILORx試験(早期乳がん患者の補助療法として化学内分泌療法または内分泌療法単独に無作為に割り付け)において認知障害を前向きに評価したところ、3ヵ月と6ヵ月では化学内分泌療法のほうがCRCIが有意に多かったが、時間とともに差が縮小し12ヵ月以降では有意差は見られなかった。この結果から著者らは「化学内分泌療法は内分泌療法単独に比べて早期に認知障害を引き起こしたが持続的ではなく、補助化学療法によって再発リスク低減が示されている患者や医師に安心をもたらす」としている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年4月9日号に掲載。 本研究では、TAILORx試験に登録された患者のうち、21遺伝子再発スコアが11〜25の患者を化学内分泌療法群または内分泌療法単独群に無作為に割り付けた。認知機能障害は37項目Functional Assessment of Cancer Therapy-Cognitive Function(FACT-Cog)質問票を使用し、552例においてベースライン、3、6、12、24、36ヵ月に評価した。主要評価項目である20項目Perceived Cognitive Impairment(PCI)スケールはFACT-Cogに含まれる。臨床的に意味のある変化は経験的に定義し、ベースラインのPCIスコア、治療、その他の因子に基づくPCIスコアを線形回帰によりモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・FACT-Cog PCIスコアは、両群におけるベースラインと比較して3、6、12、24、36ヵ月で有意に低く、認知障害が大きかった。・PCIスコアの変化は、内分泌療法単独群に比べて化学内分泌療法群において3ヵ月(事前に指定された主要評価項目)、6ヵ月で大きかったが、12、24、36ヵ月ではそうではなかった。・更年期のステータスと治療の相互作用は有意ではなかった。

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新型コロナで7都府県の健診中断へ/日本人間ドック学会

 2020年4月10日、日本人間ドック学会(理事長 篠原 幸人氏)は健診現場での感染拡大を防ぐため、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る緊急事態宣言を踏まえた人間ドック健診等における対応について」を通知した。 7都府県を対象とした「緊急事態宣言」が4月7日~5月6日まで発出されたことにより、国の定める法定健診(特定健康診査・特定保健指導、労働安全衛生法に基づく一般健康診断、学校保健安全法に基づく児童生徒等及び職員の健康診断)は、4月中の実施が見送られる。通知には以下の協力事項が記載されている。<人間ドック・健診施設へのご協力のお願い事項> 1)緊急事態宣言の対象地域内にある人間ドック・健診施設 人間ドック・健診等を受診される皆様に受診の延期をお願いし、少なくとも緊急事態宣言の期間中は、特定健康診査等は実施しないこと。2)緊急事態宣言の対象地域以外の人間ドック・健診施設 人間ドック・健診等を受診される皆様に対しては、受診の延期をお願いするか、もしくは新型コロナウイルスの感染拡大の防止策を徹底し、受診者(保険者)のご理解を得、充分な安全策を確認した上で実施されること。 *なお、緊急事態宣言の対象地域、対象地域外に関係なく、公的保険者以外が行う人間ドック・健診等は自粛対象事業には含まれておりませんが、自粛は当然必要とされております。また、対面形式や集合形式では行わない事が強調されております。従って受診者数、時間帯その他を十分考慮して戴き、呼吸機能検査などは後日施行して戴く、さらに結果説明や生活指導は工夫する事が成されれば実施は可能かもしれません。しかし、これは受診者・健診施設双方の自己責任で行われる場合に限ります。結論として当学会としては公的保険者以外が行う人間ドック・健診等に関しては一律の中止要請はしない事とします。3)本宣言が5月はじめに終了するとは限りません。当学会といたしましても今後を見据え、学会内に対策委員会を至急設置する予定です。

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第47回 肩の痛みには体の前面で開く服がおススメです【使える!服薬指導箋】

第47回 肩の痛みには体の前面で開く服がおススメです1)武富 由雄. 五十肩の理学療法-運動療法とその筋活動の分析. 日関外誌. 1989;8:3-10.2)福島 秀晃 ほか. 拘縮肩へのアプローチに対する理論的背景. 関西理学療法. 2014;14:17-25.

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相性の悪かった吸入器を変更して服薬習慣も改善【うまくいく!処方提案プラクティス】第18回

 今回は、喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)患者さんのアドヒアランスを上げるために、吸入器の変更を検討した処方提案です。内服薬の見直しと介護サービスの連携も同時に行うことで、QOLを改善することができました。患者情報75歳、男性(在宅、要介護1)基礎疾患:気管支喘息、肺気腫、末梢動脈疾患、両膝変形性関節症服薬管理:一包化介護状況:訪問介護(毎日午前中)喫  煙:20本/日処方内容1.エピナスチン錠20mg 1錠 分1夕食後2.モンテルカスト錠10mg 1錠 分1 夕食後3.ブロムへキシン錠5mg 3錠 分3 朝昼夕食後4.ロキソプロフェン錠60mg 2錠 分2 朝夕食後5.レバミピド錠100mg 2錠 分2 朝夕食後6.ツロブテロール錠1mg 2錠 分2 朝夕食後7.サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステルドライパウダーインヘラー250ディスカス 1日2回 朝夕吸入本症例のポイント在宅訪問を開始する際に、この患者さんは服薬アドヒアランスが悪く、喘息発作のため何度も入退院を繰り返しているという話を訪問診療医から聞き取りました。初回面談時に両膝関節痛と呼吸苦を訴えていましたが、朝も夕もほとんど内服ができておらず、残薬がたくさんある状況でした。また、吸入薬もほとんど残数が減っていませんでした。詳しく聞いていくと、患者さんは治療の必要性や治療効果を十分に感じていないようで、具合が悪くても年のせいと諦めていて、服用忘れがあっても次の分の時に飲めばいいという認識でした。吸入薬に関しても、残薬カウンターに拡大レンズを付けていたものの、残数が見えにくく、吸入したかどうかわからないため吸入しないことが多々あることが判明しました。さらに、吸入器の操作にも難があり、薬装填レバーを繰り返し押してカウンターを無駄に回していました。本人としては、飲み薬は可能な限り減らして、吸入薬も残薬がわかりやすくて使いやすいものにしてほしいという希望があったため、介入を開始しました。処方提案と経過(1)服薬管理についてまず、ケアマネジャーに、毎朝の訪問介護スタッフに朝の内服と吸入薬の声掛けをしてもらうことは可能か相談しました。もともとケアマネジャーも服薬管理が困難であることを問題視していたため、快く受け入れてもらうことができました。そこで、医師に処方薬を下記の内容で1日1回朝にまとめることを訪問報告書で相談することにしました。(処方提案内容)エピナスチン錠、モンテルカスト錠を朝内服に変更ブロムへキシン錠をアンブロキソール徐放錠45mg 朝のみに変更ロキソプロフェン錠、レバミピド錠を中止し、ロキソプロフェンテープ(1日1回朝)に変更吸入薬にLABAが含有されているため、ツロブテロール錠を中止(2)吸入薬について適切に吸入できるようにするため、1日1回かつレバーを空けるだけで薬が装填可能で、残薬カウンターも見やすいビランテロールトリフェニル酢酸塩・フルチカゾンフランカルボン酸エステルドライパウダーインヘラーへの変更を検討しました。吸気確認や操作手順の確認をするために吸入練習器を使用したところ、吸気や操作手順に問題はなく、患者さんの受け入れもよかったため、上記の報告書に練習器の吸入状況も記載して報告し、ビランテロールトリフェニル酢酸塩・フルチカゾンフランカルボン酸エステルドライパウダーインヘラーへの切り替えを提案しました。医師より電話連絡があり、提案書の内容で承認を得ることができ、翌日より朝1回の内服と吸入の管理が始まりました。訪問介護スタッフからは、変更後の吸入器は残数が見やすく、吸入できたかどうかの確認が容易なので声掛けがしやすいという報告をいただきました。その結果、服薬忘れがなくなり、頻回だった呼吸苦も改善しました。きちんと服薬すると体調が改善することを実感できたため、患者さん自ら服用忘れを防止するメモを書いてわかりやすい場所に置くなど、自分の体調を守ろうという意識に変化しました。その後、喘息発作の出現はなく、両膝関節痛も貼付薬で良好にコントロールできています。

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非典型溶血性尿毒症症候群〔aHUS :atypical hemolytic uremic syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義非典型尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome:aHUS)は、補体制御異常に伴い血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)を呈する疾患である。TMAは、1)微小血管症性溶血性貧血、2)消費性血小板減少、3)微小血管内血小板血栓による臓器機能障害、を特徴とする病態である。■ 疫学欧州の疫学データでは、成人における発症頻度は毎年100万人に2~3人、小児では100万人に7人程度とされる。わが国での新規発症は年間100~200例程度と考えられている。わが国の遺伝子解析結果では、C3変異例の割合が高く(約30%)、欧米で多いとされるCFH遺伝子変異の割合は低い(約10%)。■ 病因病因は大きく、先天性、後天性、その他に分かれる。1)先天性aHUS遺伝子変異による補体制御因子の機能喪失あるいは補体活性化因子の機能獲得により補体第2経路が過剰に活性化されることで血管内皮細胞や血小板表面の活性化をもたらし微小血栓が産生されaHUSが発症する(表1)。機能喪失の例として、H因子(CFH)、I因子(CFI)、CD46(membrane cofactor protein:MCP)、トロンボモジュリン(THBD)の変異、機能獲得の例として補体C3、B因子(CFB)の変異が挙げられる。補体制御系ではないが、diacylglycerol kinase ε(DGKE)やプラスミノーゲン(PLG)遺伝子の変異も先天性のaHUSに含めることが多い。表1 aHUSの原因別の治療反応性と予後画像を拡大する2)後天性aHUS抗H因子抗体の出現が挙げられる。CFHの機能障害により補体第2経路が過剰に活性化する。抗H因子抗体陽性者の多くにCFHおよびCFH関連蛋白質(CFHR)1~5の遺伝子欠損が関与するとされている。3)その他現時点では原因が特定できないaHUSが40%程度存在する。■ 症状溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害による症状を認める。具体的には血小板減少による出血斑(紫斑)などの出血症状や溶血性貧血による全身倦怠感、息切れ、高度の腎不全による浮腫、乏尿などである。発熱、精神神経症状、高血圧、心不全、消化器症状などを認めることもある。下痢があってもaHUSが否定されるわけではないことに注意を要する。aHUSの発症には多くの場合、感染症、妊娠、がん、加齢など補体の活性化につながるイベントが観察される。わが国の疫学調査でも、75%の症例で感染症を始めとする何らかの契機が確認されている。■ 予後一般に、MCP変異例は軽症で予後良好、CFHの変異例は重症で予後不良、C3変異例はその中間程度と言われている(表1)。海外データではaHUS全体における慢性腎不全に至る確率、つまり腎死亡率は約50%と報告されている。わが国の疫学データではaHUSの総死亡率は5.4%、腎死亡率は15%と比較的良好であった。特に、わが国に多いC3 p.I1157T変異例および抗CFH抗体陽性例の予後は良いとされている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ TMA分類の概念TMAの3徴候を認める患者のうち、STEC-HUS、TTP、二次性TMA(代謝異常症、感染症、薬剤性、自己免疫性疾患、悪性腫瘍、HELLP症候群、移植後などによるTMA)を除いたものを臨床的aHUSと診断する(図1)。図1 aHUS定義の概念図画像を拡大する■ 診断手順と鑑別診断フローチャート(図2)に従い鑑別診断を進めていく。図2 TMA鑑別と治療のフローチャート画像を拡大する1)TMAの診断aHUS診断におけるTMAの3徴候は、下記のとおり。(1)微小血管症性溶血性貧血:ヘモグロビン(Hb) 10g/dL未満血中 Hb値のみで判断するのではなく、血清LDHの上昇、血清ハプトグロビンの著減(多くは検出感度以下)、末梢血塗沫標本での破砕赤血球の存在をもとに微小血管症性溶血の有無を確認する。なお、破砕赤血球を検出しない場合もある。(2)血小板減少:血小板(platelets:PLT)15万/μL未満(3)急性腎障害(acute kidney injury:AKI):小児例では年齢・性別による血清クレアチニン基準値の1.5倍以上(血清クレアチニンは、日本小児腎臓病学会の基準値を用いる)。成人例では、sCrの基礎値から1.5 倍以上の上昇または尿量0.5mL/kg/時以下が6時間以上持続のいずれかを満たすものをAKIと診断する。2)TMA類似疾患との鑑別溶血性貧血を来す疾患として自己免疫性溶血性貧血(AIHA)が鑑別に挙がる。AIHAでは直接クームス試験が陽性となる。消費性血小板減少を来す疾患としては、播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を鑑別する。PT、APTT、FDP、Dダイマー、フィブリノーゲンなどを測定する。TMAでは原則として凝固異常はみられないが、DICでは著明な凝固系異常を呈する。また、DICは通常感染症やがんなどの基礎疾患に伴い発症する。3)STEC-HUSとの鑑別食事歴と下痢・血便の有無を問診する。STEC-HUSは、通常血液成分が多い重度の血便を伴う。超音波検査では結腸壁の著明な肥厚とエコー輝度の上昇が特徴的である。便培養検査、便中の志賀毒素直接検出検査、血清の大腸菌O157LPS抗体検査が有用である。小児では、STEC-HUSがTMA全体の約90%を占めることから、生後6ヵ月以降で、重度の血便を主体とした典型的な消化器症状を伴う症例では、最初に考える。逆に生後6ヵ月までの乳児にTMAをみた場合はaHUSを強く疑う。小児のSTEC-HUSの1%に補体関連遺伝子変異が認められると報告されている点に注意が必要である。詳細は、HUSガイドラインを参照。4)TTPとの鑑別血漿を採取し、ADAMTS13活性を測定する。10%未満であればTTPと診断できる。aHUS、STEC-HUS、二次性TMAなどでもADAMTS13活性の軽度低下を認めることがあるが、一般に20%以下にはならない。aHUSにおける臓器障害は急性腎障害(AKI)が最も多いのに対して、TTPでは精神神経症状を認めることが多い。TTPでも血尿、蛋白尿を認めることがあるが、腎不全に至る例はまれである。5)二次性TMAとの鑑別TMAを来す基礎疾患を有する二次性TMAの除外を行った患者が、臨床的にaHUSと診断される。aHUS確定診断のための遺伝子診断は時間を要するため、多くの症例で急性期には臨床的に判断する。表2に示す二次性TMAの主たる原因を記す。可能であれば、原因除去あるいは原疾患の治療を優先する。コバラミン代謝異常症は特に生後6ヵ月未満で考慮すべき病態である。生後1年以内に、哺乳不良、嘔吐、成長発育不良、活気低下、筋緊張低下、痙攣などを契機に発見される例が多いが、成人例もある。ビタミンB12、血漿ホモシスチン、血漿メチルマロン酸、尿中メチルマロン酸などを測定する。乳幼児の侵襲性肺炎球菌感染症がTMAを呈することがある。直接Coombs試験が約90%の症例で陽性を示す。肺炎球菌が産生するニューラミニダーゼによって露出するThomsen-Friedenreich (T)抗原に対する抗T-IgM抗体が血漿中に存在するため、血漿投与により病状が悪化する危険性がある。新鮮凍結血漿を用いた血漿交換療法や血漿輸注などの血漿治療は行わない。妊娠関連のTMAのうち、HELLP症候群(妊娠高血圧症に合併する溶血性貧血、肝障害、血小板減少)や子癇(妊娠中の高血圧症と痙攣)は分娩により速やかに軽快する。妊娠関連TMAは常位胎盤早期剥離に伴うDICとの鑑別も重要である。TTPは妊娠中の発症が多く,aHUSは分娩後の発症が多い。腎移植後に発症するTMAは、原疾患がaHUSで腎不全に陥った症例におけるaHUSの再発、腎移植後に新規で発症したaHUS、臓器移植に伴う急性抗体関連型拒絶反応が疑われる。aHUSが疑われる腎不全患者に腎移植を検討する場合は、あらかじめ遺伝子検査を行っておく。表2 二次性TMAの主たる原因a)妊娠関連TMAHELLP症候群子癪先天性または後天性TTPb)薬剤関連TMA抗血小板剤(チクロビジン、クロピドグレルなど)カルシニューリンインヒビターmTOR阻害剤抗悪性腫瘍剤(マイトマイシン、ゲムシタビンなど)経口避妊薬キニンc)移植後TMA固形臓器移植同種骨髄幹細胞移植d)その他コパラミン代謝異常症手術・外傷感染症(肺炎球菌、百日咳、インフルエンザ、HIV、水痘など)肺高血圧症悪性高血圧進行がん播種性血管内凝固症候群自己免疫疾患(SLE、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、血管炎など)(芦田明ほか.日本アフェレシス学会雑誌.2015;34:40-47.より引用・改変)6)家族歴の聴取家族にTMA(aHUSやTTP)と診断された者や原因不明の腎不全を呈した者がいる場合、aHUSを疑う。ただし、aHUS原因遺伝子変異があっても発症するのは全体で50%程度とされている。よって家族性に遺伝子変異があっても家族歴がはっきりしない例も多い。さらに孤発例も存在する。7)治療反応性による診断の再検討aHUSは 75%の症例で感染症など何らかの疾患を契機に発症する。二次性TMAの原因となる疾患がaHUSを惹起することもある。実臨床においては二次性TMAとaHUSの鑑別はしばしば困難である。2次性TMAと考えられていた症例の中で、遺伝子検査によりaHUSと診断が変更されることは少なくない。いったんaHUSあるいは二次性TMAと診断しても、治療反応性や臨床経過により診断を再検討することが肝要である(図2)。■ 検査1)一般検査血算、破砕赤血球の有無、LDH、ハプログロビン、血清クレアチニン、各種凝固系検査でTMAを診断する。ADAMTS13-活性検査は保険適用となっている。STEC-HUSの鑑別を要する場合は便培養、便中志賀毒素検査、血清大腸菌O157LPS抗体検査を行う。一般の補体検査としてC3、C4を測定する。C3低値、C4正常は補体第2経路の活性化を示唆するが、aHUS全体の50%程度でしか認められない。2)補体関連特殊検査現在、全国aHUSレジストリー研究において、次に記す検査を実施している。ヒツジ赤血球を用いた溶血試験CFH遺伝子異常、抗CFH抗体陽性例において高頻度に陽性となる。比較的短期間で結果が得られる。診断のフローとしては、臨床的にaHUSが疑ったら溶血試験を実施する(図2)。抗CFH抗体検査:ELISA法にてCFH抗体を測定する。抗CFH抗体出現には、CFHおよびCFH関連蛋白質(CFHR)1~5の遺伝子欠損が関与するとされているため、遺伝子検査も並行して実施する。CFHR 領域は、多彩な遺伝子異常が報告されているが、相同性が高いことから遺伝子検査が困難な領域である。その他aHUSレジストリー研究では、血中のB因子活性化産物、可溶性C5b-9をはじめとする補体関連分子を測定しているが、その診断的意義は現時点で明確ではない。*問い合わせ先を下に記す。aHUSレジストリー事務局(名古屋大学 腎臓内科:ahus-office@med.nagoya-u.ac.jp)まで■ 遺伝子診断2020年4月からaHUSの診断のための補体関連因子の遺伝子検査が保険適用となった。既知の遺伝子として知られているC3、CFB、CFH、CFI、MCP(CD46)、THBD、diacylglycerol kinase ε(DGKE)を検査する。臨床的にaHUSと診断された患者の約60%にこれらの遺伝子変異を認める。さらに詳細な遺伝子解析についての相談は、上記のaHUSレジストリー事務局で受け付けている。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)aHUSが疑われる患者は、血漿交換治療や血液透析が可能な専門施設に転送して治療を行う。TMA を呈し、STEC-HUS や血漿治療を行わない侵襲性肺炎球菌感染症などが否定的である場合には、速やかに血漿交換治療を開始する。輸液療法・輸血・血圧管理・急性腎障害に対する支持療法や血液透析など総合的な全身管理も重要である。1)血漿交換・血漿輸注血漿療法は1970年代後半から導入され、aHUS患者の死亡率は50%から25%にまで低下した。血漿交換を行う場合は3日間連日で施行し、その後は反応を見ながら徐々に間隔を開けていく。血漿交換を行うことが難しい身体の小さい患児では血漿輸注が施行されることもある。血漿輸注や血漿交換により、aHUS の約70%が血液学的寛解に至る。しかし、長期的には TMA の再発、腎不全の進行、死亡のリスクは依然として高い。血漿交換が無効である場合には、aHUSではなく二次性TMAの可能性も考える。2)エクリズマブ(抗補体C5ヒト化モノクローナル抗体、商品名:ソリリス)成人では、STEC-HUS、TTP、二次性 TMA 鑑別の検査を行いつつ、わが国では同時に溶血試験を行う。溶血試験陽性あるいは臨床的にaHUSと診断されたら、エクリズマブの投与を検討する。小児においては、成人と比較して二次性 TMA の割合が低く、血漿交換や血漿輸注のためのカテーテル挿入による合併症が多いことなどから、臨床的にaHUS と診断された時点で早期にエクリズマブ投与の開始を検討する。aHUSであれば1週間以内、遅くとも4週間までには治療効果が見られることが多い。効果がみられない場合は、二次性TMAである可能性を考え、診断を再検討する(図2)。遺伝子検査の結果、比較的軽症とされるMCP変異あるいはC3 p.I1157T変異では、エクリズマブの中止が検討される。予後不良とされるCFH変異では、エクリズマブは継続投与される。※エクリズマブ使用時の注意エクリズマブ使用時には髄膜炎菌感染症対策が必須である。莢膜多糖体を形成する細菌の殺菌には補体活性化が重要であり、エクリズマブ使用下での髄膜炎菌感染症による死亡例も報告されている。そのため、緊急投与時を除きエクリズマブ投与開始2週間前までに髄膜炎菌ワクチンの接種が推奨される。髄膜炎菌ワクチン接種、抗菌薬予防投与ともに髄膜炎菌感染症の全症例を予防することはできないことに留意すべきである。具体的なワクチン接種や抗菌薬による予防および治療法については、日本腎臓学会の「ソリリス使用時の注意・対応事項」を参照されたい。3)免疫抑制治療抗CFH抗体陽性例に対しては、血漿治療と免疫抑制薬・ステロイドを併用する。臓器障害を伴ったaHUSの場合にはエクリズマブの使用も考慮される。抗CFH抗体価が低下したら、エクリズマブの中止を検討する。4 今後の展望■ aHUSの診断2020年4月からaHUSの遺伝子解析が保険収載された。aHUSの診断にとっては大きな進展である。しかし、aHUSの診断・治療・臨床経過には依然不明な点が多い。aHUSレジストリー研究の成果がaHUS診療の向上につながることが期待される。■ 新規治療薬アレクシオンファーマ合同会社は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) の治療薬として、長時間作用型抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤ラブリズマブ(商品名:ユルトミリス)を上市した。エクリズマブは2週間間隔の投与が必要であるが、ラブリズマブは8週間隔投与で維持可能である。今後、aHUSへも適応が広がる見込みである。中外製薬株式会社は抗C5リサイクリング抗体SKY59の開発を進めている。現在のところ対象疾患はPNHとなっている。5 主たる診療科腎臓内科、小児科、血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診療ガイド 2015(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 非典型溶血性尿毒症症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)aHUSレジストリー事務局ホームページ(名古屋大学腎臓内科ホームページ)(医療従事者向けのまとまった情報)1)Fujisawa M, et al. Clin and Experimental Nephrology. 2018;22:1088–1099.2)Goodship TH, et al. Kidney Int. 2017;91:539.3)Aigner C, et al. Clin Kidney J. 2019;12:333.4)Lee H,et al. Korean J Intern Med. 2020;35:25-40.5)Kato H, et al. Clin Exp Nephrol. 2016;20:536-543.公開履歴初回2020年04月14日

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「多職種と連携する会議」とは?調剤報酬改定の疑義解釈が発出【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第45回

4月1日から施行された2020年度診療報酬改定の疑義解釈についての事務連絡が、前日の3月31日に厚生労働省より発出されました。医科、歯科なども含めて全88ページと膨大な量ですが、その中で調剤報酬に関わる内容は81ページ目からの4ページ分です。その中で、いくつか気になったものがあるのでピックアップしてご紹介します。まずは、地域支援体制加算についてです。問 地域支援体制加算の施設基準における「地域の多職種と連携する会議」とは、どのような会議が該当するのか。答 次のような会議が該当する。ア.市町村又は地域包括支援センターが主催する地域ケア会議イ.介護支援専門員が主催するサービス担当者会議ウ.地域の多職種が参加する退院時カンファレンス地域支援体制加算は2018年度の改定で新設され、2020年度改定で35点から38点に引き上げられました。5つある要件のうち4つを満たす必要がありますが、その1つとして「薬剤師研修認定制度などの研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席」という要件が追加されました。この「地域の多職種と連携する会議」とはなんぞや?ということなのですが、この疑義解釈によると、(ア)市町村または地域包括支援センターが主催する地域ケア会議、(イ)介護支援専門員が主催するサービス担当者会議、(ウ)地域の多職種が参加する退院時カンファレンスの3つが該当すると挙げられました。退院時カンファレンスに薬局が加わることを求められているのは、その地域における患者さんの受け皿としての機能を発揮することが期待されているからです。これから入院する患者さんがいる場合には、ぜひ退院時のカンファレンスへ参加できるように病院などに働きかけ、退院後のフォローにつなげてほしいと思います。また、別の項目で、「薬剤師研修認定制度などの研修を修了した薬剤師」の定義についても問われていますが、常勤薬剤師ではなく非常勤薬剤師の参加でも算定可能とされています。ただし、いくつかの薬局でアルバイトしているような非常勤薬剤師の場合は、実績として認められるのはそのうちの1つの薬局でのみということに注意が必要です。また、薬剤服用歴管理指導料のおくすり手帳の扱いについて、以下の2つの疑義解釈が出されています。問 患者が日常的に利用する保険薬局の名称等の手帳への記載について、患者又はその家族等が記載する必要があるか。答 原則として、患者本人又はその家族等が記載すること。問 手帳における患者が日常的に利用する保険薬局の名称等を記載する欄について、当該記載欄をシールの貼付により取り繕うことは認められるか。答 認められる。「薬局の名称の記載? なんのことだっけ?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。調剤報酬上では手帳について以下のように定義されています。「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次のアからウまでに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。ア.患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録イ.患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録ウ.患者の主な既往歴等疾患に関する記録手帳の当該欄については、保険薬局において適切に記載されていることを確認するとともに、記載されていない場合には、患者に聴取の上記入するか、患者本人による記入を指導するなどして、手帳が有効に活用されるよう努める。なお、手帳に初めて記載する保険薬局の場合には、保険薬局の名称、保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等を記載すること。おくすり手帳には、上記のア~ウおよび保険薬局の名称や連絡先が記載されるべきですが、今回の疑義解釈によって、薬局情報についても原則として患者さん本人またはご家族などが記載することとされました。とはいえ、薬局の名称や連絡先を患者さんが手書きで記載することはなかなか現実的には難しいと思います。そこで、薬局情報が記載されたシールを薬局が提供してもよいとされました。個人的には、「シールの貼付により取り繕う」という表現がツボだったのですが、あくまでも原則は患者さんの手書きであってシールは代替手段なんだぞ、というメッセージがにじみ出ているように思います。4月から新卒の薬剤師さんが入社した薬局も多いと思います。報酬改定や薬機法改正など変化が大きい年ですので、新人さんから聞かれたときにビシッと答えられるように参考にしていただければ幸いです。

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閣議決定を機に見直されたCOVID-19対策の特例【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第18回

新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大しており、皆さんにもいろいろな影響が出ていると思われます。そのような中、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、オンラインなどによる診療、服薬指導などに関する通知が発出され、それに基づく運用がされてきました。・参考:厚生労働省医政局医事課 厚生労働省医薬・生活衛生局総務課 事務連絡「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」令和2年2月28日「新型コロナウイルスの感染拡大防止策としての電話や情報通信機器を用いた診療等の臨時的・特例的な取扱いについて」令和2年3月19日しかし、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月7日閣議決定)において、非常時の対応として、オンライン・電話による診療、服薬指導が活用されるよう制度を見直し、できる限り早期に実施することとされ、令和2年4月10日に新たな通知が発出されました。本通知の発出に伴い、これまで出されていた前記の通知は廃止となっていますので、今後は本通知に従う必要があります。・厚生労働省医政局医事課 厚生労働省医薬・生活衛生局総務課 事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」令和2年4月10日処方箋の備考欄に「0410対応」と記載本通知では、初診の場合もオンラインなどでの診療が可能とされており、これまで以上にオンラインなどでの診療が利用される可能性があります。薬剤については、医療機関を受診した患者が電話やオンラインでの服薬指導を希望する場合には、医療機関から患者が希望する薬局に処方箋情報をファクシミリなどで送付します。この際、医療機関においては送付先の薬局をカルテに記録し、処方箋の備考欄に「0410対応」と記載した上で処方箋原本を薬局に送付することとなります。薬局においては、先の通知と同様に、処方箋の原本ではなく、ファクシミリなどによる処方箋情報に基づいての調剤が例外的に可能となり、可能な時期に医療機関から処方箋原本を入手し、このファクシミリなどによる処方箋情報とともに保管することとされています。また、「薬剤師が、患者、服薬状況等に関する情報を得た上で、電話や情報通信機器を用いて服薬指導等を適切に行うことが可能と判断した場合には、当該電話や情報通信機器を用いた服薬指導等を行って差し支えないこととする」(本通知5ページ)とされており、この情報の例として以下が挙げられています。(1)患者のかかりつけ薬剤師・薬局として有している情報(2)当該薬局で過去に服薬指導等を行った際の情報(3)患者が保有するお薬手帳に基づく情報(4)患者の同意の下で、患者が利用した他の薬局から情報提供を受けて得られる情報(5)処方箋を発行した医師の診療情報(6)患者から電話等を通じて聴取した情報注射薬や吸入薬など、手技が必要な薬剤については、患者の理解に応じてオンラインなどでの服薬指導が可能か判断することとされ、オンラインなどでの服薬指導が困難と判断して対面での指導を促すことは、応需義務(薬剤師法21条)には反しないとされています。その他、実施の際の留意点として、オンラインなどでの服薬指導について十分に説明し記録することや、事前に薬剤情報提供文書などをファクシミリなどにより送付してから服薬指導を行うこと、薬剤の到着時に再度服薬指導をすることなどを、必要に応じて行うこととされています。なりすまし防止対策や、薬剤の配送、服薬指導などで使用する機器・薬剤の配送方法などを周知するなどの留意点にも言及されていますので、本通知に目を通し、内容に沿った運用をすることが求められます。なお、オンライン服薬指導などを行う場合であっても、対面での服薬指導が必要になる場合があることなどから、本通知に基づく取り扱いは、かかりつけ薬剤師・薬局や、当該患者の居住地域内にある薬局により行われることが望ましいとされています。また、今回の特例における調剤報酬については、通常の場合と同様に算定可能とされており、本通知においても同様となるようです。・参考:厚生労働省保険局医療課 事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その2)」令和2年2月28日「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その10)」令和2年4月10日改正薬機法と特例措置本年9月1日には、一部オンライン服薬指導を認める改正薬機法が施行されますが、それを待たずに、現況を鑑み上記のような対応が認められています。また、本通知では、初めて調剤した薬剤でない場合であっても、必要に応じて「ウ 薬剤交付後の服用期間中に、電話等を用いて服薬状況の把握や副作用の確認などを実施する」、「エ 上記で得られた患者の服薬状況等の必要な情報を処方した医師にフィードバックする」とされており、改正薬機法によって義務付けられる服用期間中のフォローや努力義務となる医師などへの情報提供のような内容が要求されています。今回は特例として、このような措置が認められていますが、改正薬機法の施行を意識して運用を検討することも引き続き考えるべきでしょう。オンライン服薬指導に関する薬機法施行規則の改正についても先日公布されていますので、目を通しておきましょう。・参考:厚生労働省令第五十二号 令和2年3月27日「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則等の一部を改正する省令」

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第35回 CKDは水分摂取量を増やすほど腎機能低下が抑制されるわけではない【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 水分管理は、慢性腎臓病(CKD)患者の重要な治療の1つです。腎臓が血中の老廃物をろ過し、尿として排泄するためには水分が必要ですので、水分をしっかり摂取するように、と説明する機会は多いと思います。脱水は腎障害の原因となるため避けなければなりませんが、それ以上の水分摂取はCKD患者の腎機能維持にどの程度寄与しているのでしょうか。まず、CKD患者の飲水励行が腎機能に与える影響については、米国国立健康統計センターのNHANESデータの分析調査があります1)。NHANESは、National Health and Nutrition Examination Survey(米国国民健康栄養調査)の略で、米国疾病予防管理センター(CDC)下の国立健康統計センターにより継続的に実施されていて、その知見はCDCのホームページに掲載されています2)。今回紹介するのは、2005~06年のデータでの横断分析で、利尿薬を服用していないeGFR≧30mL/min/1.73m2の成人を対象として、食品および飲料からの総水分摂取量を、少量(<2.0L/日)、中量(2.0~4.3L/日)、多量(>4.3L/日)に分類し、総水分摂取量とCKD(eGFR 30~60mL/min/1.73m2)、自己申告による心血管疾患(CVD)の関連を調べたものです。その結果、3,427例(平均年齢46歳、平均eGFR 95mL/min/1.73m2)のうち、13%がCKDで、18%がCVDでした。CKDの割合は総水分摂取量が少ない群では、多い群よりも高く(調整オッズ比:2.52、95%信頼区間[CI]:0.91~6.96)、通常の飲料水とその他の飲料の摂取量で層別化すると、CKDは水道水やミネラルウォーターなどの飲料水の少量摂取と相関していました(調整オッズ比:2.36、95%CI:1.10~5.06)。一方で、ほかの飲料では調整済みオッズ比0.87(95%CI:0.30~2.50)と相関なしです。また、水分の少量摂取とCVDについても、調整オッズ比0.76(95%CI:0.37~1.59)と相関なしです。論文中の表からは、CKDの有病率は水分摂取量が少ない群で最も高く、摂取量の増加に伴って減少する傾向が読み取れます。まとめると、利尿薬を服用していないeGFR≧30mL/min/1.73m2のCKD患者では、水道水やミネラルウォーターなどの飲水量が多いほど腎保護効果がありそうですが、CVDでは関係が見いだされないという結果でした。横断調査のため、因果関係を判断しづらい面もありますが、日常的な疑問に対して重要な示唆が得られる内容です。通常より水分摂取を増やしても1年後の腎機能低下に寄与なしランダム化比較試験ではどうかというと、CKD患者により多くの水を飲むように勧めることにより、腎機能の低下を1年間にわたって抑制できるか検証した研究があります3)。対象はカナダのオンタリオ州の9施設で、2013年4月~2017年5月25日の間にフォローされたCKDステージ3かつ尿量が3L/日未満の患者631例という大規模な研究です。患者の平均年齢は65歳、平均eGFRは43mL/min/1.73m2、平均尿中アルブミンは123mg/日でした。イメージとしては、おおむね正常な腎臓の1/3~2/3程度の機能で、むくみや尿量変化、疲れやすさなど症状が軽度であっても存在し、カリウム制限も始めているくらいだと思います。介入群316例には通常の飲水量に加え、性別や体重に応じて1~1.5L/日以上の増量を勧め、対照群315例には通常の飲水量を維持するように説明がなされました。両群の患者像のベースラインは似通っており、おおむね平等な比較だと思います。主要評価項目は12ヵ月後までのeGFRの変化で、二次評価項目として12ヵ月後の血清コペプチン濃度の変化などがみられています。その結果、24時間尿量は、介入群で0.6L(95%CI:0.5~0.7)有意に増え、eGFRの変化は介入群-2.2mL/min/1.73m2、対照群-1.9mL/min/1.73m2で、CKDステージ3の患者が水分摂取量を増やしても1年後の腎機能低下の度合いを遅らせることはできないという結果でした。血清コペプチンが有意に減っているため、抗利尿ホルモンの放出は有意に抑制されたとみることができます。CKDステージ3クラスなら、おおむね1~1.5L/日の水分摂取ができていれば、それ以上の水分摂取増量を勧めるよりも、ほかのオプションを患者さんと相談できるとよいのかなと思います。1)Sontrop JM, et al. Am J Nephrol. 2013;37:434-442. 2)CDC National Health and Nutrition Examination Survey 3)Clark WF, et al. JAMA. 2018;319:1870-1879.

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