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高血糖の進行に影響を及ぼす抗精神病薬の関連因子

 抗精神病薬は、高血糖リスクを高める危険性がある。高血糖の進行に影響を及ぼす因子として、抗精神病薬の種類、1日投与量、数量などが挙げられているが、これらとの関連を調査した研究は少ない。北海道大学の石川 修平氏らは、高血糖の進行に関連すると考えられる背景因子で調整した後、高血糖の進行に影響を及ぼす抗精神病薬治療の関連因子について調査を行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2021年10月9日号の報告。 新規に抗精神病薬治療を開始した患者を対象に高血糖の発生率を12ヵ月間調査した全国多施設共同プロスペクティブ研究を実施した。ベースライン時に正常な血糖値であった患者631例を対象に人口統計データ、処方歴、血液検査値を収集した。主要評価項目は、高血糖の発生率(正常状態から糖尿病予備軍または糖尿病が疑われる状態への進行)とし、統合失調症患者を対象とした日本のモニタリングガイダンスに基づき評価を行った。経時的なグルコース代謝に対する抗精神病薬の影響を調査するため、各抗精神病薬治療開始3、6、12ヵ月後のHbA1cレベルの変化を調査した。 主な結果は以下のとおり。・ゾテピンおよびクロザピンの使用が、高血糖の発生率の高さと有意に関連していることが示唆された。・ゾテピン治療開始6ヵ月後のHbA1cレベルの変化は、ブロナンセリンおよびハロペリドール治療と比較し、有意に高かった。・対照的に、同期間の総コレステロール、トリグリセライド、HDLコレステロール、BMIの変化に有意な変化は認められなかった。・高血糖の発生と抗精神病薬の1日投与量および数量との関連は認められなかった。・しかし、抗精神病薬のH1、M1、M3、5-HT2C受容体に対する阻害作用の強さに基づき2つの群に分類した事後分析では、抗精神病薬の中~高用量治療群における高血糖の発生は、低用量群と比較し高かった。 著者らは「抗精神病薬の1日投与量や数量ではなく、種類が高血糖の発生率に影響を及ぼしている可能性が示唆された。なかでもゾテピンは、高血糖の発生率を増加させる可能性が高く、とくに注意が必要であろう」としている。

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精神神経疾患や発達障害に対する音楽療法の有効性

 音楽療法は、身体的、感情的、精神的な健康を維持・回復・促進するために用いられる。オーストリア・AIHTAのLucia Gassner氏らは、自閉スペクトラム症(ASD)、認知症、うつ病、不眠症、統合失調症に対する音楽療法の有効性を評価した。European Journal of Public Health誌オンライン版2021年10月1日号の報告。 システマティックレビューおよび医療技術評価レポートの検索により、139件の文献が抽出された。コクランレビューが利用可能な5疾患の診断グループに焦点を当てた。第2検索は4つのデータベースを用いて実施した。独立した2人のレビュアーが、研究の選択、データ抽出、方法論的質の評価を行った。バイアスリスクが中~低の試験のみを選択した。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たしたランダム化比較試験は10件(1,248例)であった。・統合失調症では、バイアスリスクが中~低の研究がなかった。コクランの著者らは、統合失調症のQOL、社会的機能、全体的症状および精神症状の改善が認められたが、全体的な機能の改善は認められなかったとしていた。・ASDでは、行動、社会的コミュニケーション、脳内ネットワーク、親子関係の改善が認められた。・うつ病では、気分の高揚の改善が認められた。・不眠症では、睡眠の質、ストレス、不安、総睡眠時間、疾患重症度、心理的QOLの改善が認められた。・認知症では、気分症状、神経精神医学的行動、無気力、コミュニケーション、身体機能の改善が認められた。また、重症の場合では、行動および心理的症状の改善、軽度アルツハイマー病では、記憶力と言語の流暢さの改善が認められた。認知機能の改善が認められた研究は、4件中1件であった。・認知症に対する音楽療法では、能動的(演奏する)および受動的(聴く)方法が用いられたが、ASDとうつ病で用いられたのは能動的方法のみであった。また、不眠症では受動的方法のみが用いられた。 著者らは「精神神経疾患や発達障害に対する音楽療法は、身体的および心理社会的な健康の改善に役立つことが示唆された。これらの効果の長期的な影響を評価するためには、さらなる研究が求められる」としている。

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肉の消費とメンタルヘルス

 肉の消費や制限がうつ病や不安症に及ぼす影響を明らかにするため、米国・サザンインディアナ大学のUrska Dobersek氏らは、これらの定量的な関連を評価した。Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌オンライン版2021年10月6日号の報告。 2020年6月、5つのオンラインデータベースを検索し、肉の摂取を制限している人と消費している人を明確に区分し、うつ病および不安症の有病率を調査した初期研究を抽出した。バイアス補正(Hedges's gエフェクトサイズ)を用いて、肉消費群と肉制限群の間の影響の大きさを計算した(高スコアおよび正のスコアが肉消費群にとって良好な結果であったことを示す)。 主な結果は以下のとおり。・20研究より、肉消費群15万7,778人と肉制限群1万3,259人を含む17万1,802人が選択基準を満たした。・肉消費群は、肉制限群と比較し、うつ病リスク低下(g=0.216、95%CI:0.14~0.30、p<0.001)および不安症リスク低下(g=0.17、95%CI:0.03~0.31、p=0.02)との関連が認められた。・肉消費群は、ビーガンと比較し、うつ病リスク(g=0.26、95%CI:0.01~0.51、p=0.041)および不安症リスク(g=0.15、95%CI:-0.40~0.69、p=0.598)が低かった。・性別による影響は認められなかった。・研究の質については、研究間の不均一性が、うつ病に関して58%、不安症に関して76%認められた。・さらに、研究がより厳格であるほど、肉の消費と良好なメンタルヘルスとの一貫した関連が認められた。・これらの関連性に関して、因果関係および時間的推論は考慮されていない。

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特発性基底核石灰化症〔IBGC:idiopathic basal ganglia calcification〕

1 疾患概要■ 概念・定義特発性基底核石灰化症(idiopathic basal ganglia calcification:IBGC)は従来、ファール病と呼ばれた疾患で、歴史的にも40近い疾患名が使われてきた経緯がある。欧米では主にprimary familial brain calcification(PFBC)の名称が用いられることが多い。基本は、脳内(両側の大脳基底核、小脳歯状核など)に生理的な範囲を超える石灰化を認める(図1)、その原因となる生化学的異常や脳内石灰化を来す基礎疾患がないことである。最近10年間で、原因遺伝子として、4つの常染色体優性(AD)遺伝子(SLC20A21)、PDGFRB2)、PDGFB3)、XPR14))、2つの常染色体劣性(AR)遺伝子(MYORG5)、JAM26))が報告された。日本神経学会で承認された診断基準が学会のホームページに公開されている(表)。図1  IBGCの典型的な頭部CT画像画像を拡大する69歳・男性。歯状核を中心とした小脳、両側の大脳基底核に加え、視床、大脳白質深部、大脳皮質脳回谷部などに広範な石灰化を認める。表 特発性基底核石灰化症診断基準<診断基準>1.頭部CT上、両側基底核を含む病的な石灰化を認める。脳以外には病的な石灰化を認めないのが特徴である。病的とする定義は、大きさとして斑状(長径で10mm以上のものを班状、10mmm未満は点状)以上のものか、あるいは点状の両側基底核石灰化に加えて小脳歯状核、視床、大脳皮質脳回谷部、大脳白質深部などに石灰化を認めるものと定義する。注1高齢者において生理的石灰化と思われるものは除く。注2石灰化の大きさによらず、原因遺伝子が判明したものや、家族性で類似の石灰化を来すものは病的石灰化と考える。2.下記に示すような脳内石灰化を二次的に来す疾患が除外できる。主なものとして、副甲状腺疾患(血清カルシウム(Ca)、無機リン(Pi)、iPTHが異常値)、偽性副甲状腺機能低下症(血清Ca低値)、偽性偽性副甲状腺機能低下症(Albright骨異栄養症)、コケイン(Cockayne)症候群、ミトコンドリア病、エカルディ・グティエール(Aicardi Goutieres)症候群、ダウン(Down)症候群、膠原病、血管炎、感染(HIV脳症など、EBウイルス感染症など)、中毒・外傷・放射線治療などを除外する。注1iPTH:intact parathyroid hormone インタクト副甲状腺ホルモン注2小児例では、上記のような先天代謝異常症に伴う脳内石灰化である可能性も推測され、全ゲノム解析などの遺伝子検索が望まれる。3.下記に示すような 緩徐進行性の精神・神経症状を呈する。頭痛、精神症状(脱抑制症状、アルコール依存症など)、てんかん、精神発達遅延、認知症、パーキンソニズム、不随意運動(PKDなど)、小脳症状などの精神・神経症状 がある。注1PKD:paroxysmal kinesigenic dyskinesia 発作性運動誘発性ジスキネジア注2無症状と思われる若年者でも、問診などにより、しばしば上記の症状を認めることがある。神経学的所見で軽度の運動機能障害(スキップができないなど)を認めることもある。4.遺伝子診断これまでに報告されているIBGCの原因遺伝子は常染色体優性遺伝形式ではSLC20A2、PDGFRB、PDGFB、XPR1、常染色体劣性遺伝形式ではMYORG、JAM2があり、これらに変異を認めるもの。5.病理学的所見病理学的に脳内に病的な石灰化を認め、DNTCを含む他の変性疾患、外傷、感染症、ミトコンドリア病などの代謝性疾患などが除外できるもの。注1 DNTC:Diffuse neurofibrillary tangles with calcification(別名、小阪-柴山病)この疾患の確定診断は病理学的診断であり、生前には臨床的にIBGCとの鑑別に苦慮する。●診断Definite1、2、3、4を満たすもの。1、2、3、5を満たすもの。Probable1、2、3を満たすもの。Possible1、2を満たすもの。日本神経学会ホームページ掲載のものに、下線を修正、追加(改訂申請中)してある。■ 疫学2011年に厚生労働省の支援により本症の研究班が立ち上がった。研究班に登録されている症例は、2021年現在で、家族例が40家系、孤発例が約200例である。症例の中には、頭部外傷などの際に撮影した頭部CT検査で偶発的にみつかったものもあり、実際にはこの数倍の症例は存在すると推定される。■ 病因2012年に中国から、IBGCの原因遺伝子としてリン酸トランスポーターであるPiT2をコードするSLC20A2の変異がみつかったことを契機に、上記のように4つの常染色体優性遺伝子と2つの常染色体劣性遺伝子が連続して報告されている。また、症例の中には、過去に全身性エリテマトーデス(SLE)の既往のある症例、腎透析を受けている症例もあり、2次性とも考えられるが、腎透析を受けている症例すべてが著明な脳内石灰化を呈するわけではなく、疾患感受性遺伝子の存在も示唆される。感染症も含めた基礎疾患の関与によるもの、外傷、薬剤、放射線など外的環境因子の作用も推測される。原因遺伝子がコードする分子の機能から、リン酸ホメオスタシスの異常、また、周皮細胞、血管内皮細胞とアストロサイトの関係を基軸とした脳血管関門の破綻がこの石灰化の病態、疾患の発症機構の基盤にあると考えられる。■ 症状症状は中枢神経系に限局するものである。無症状からパーキンソン症状など錐体外路症状、小脳症状、精神症状(前頭葉症状など)、認知症を来す症例まで極めて多様性がある。発症年齢も30~60歳と幅がある。自験例の全202例の検討では、パーキンソニズムが26%、認知機能低下26%、精神症状21%、てんかん14%、不随意運動4%であった7)。不随意運動の内訳はジストニアが4例、ジスキネジアが2例、発作性運動誘発性ジスキネジア(Paroxysmal kinesigenic dyskinesia:PKD)が2例であった。わが国では諸外国と比して、不随意運動の頻度が低かった8)。必ずしも遺伝子変異によって特徴的臨床所見があるわけではない。国内外でもSLC20A2遺伝子変異患者ではパーキンソニズムが最も多く、PDGFB遺伝子変異では頭痛が多く報告されている。筆者らの検索でも、PDGFB変異患者では頭痛の訴えが多く、患者の語りによる質的研究でも、QOLを低下させている一番の原因であった。PKDはSLC20A2遺伝子変異患者で多く報告されている。筆者らはIBGC患者、とくにSLC20A2変異患者の髄液中の無機リン(Pi、リン酸)が高いことを報告している9)。頭部CT画像にも各遺伝子変異に特徴的な画像所見はないが、JAM2遺伝子変異では、他ではあまりみられない橋などの脳幹に石灰化がみられることがある。■ 分類原因遺伝子によって分類される。遺伝子の検索がなされた家族例(FIBGC)では、40%がSLC20A2変異10)、10%がPBGFB変異11)で、他XPR-1変異が1家系、PDGFRB変異疑いが1家系で、この頻度は国内外でほぼ一致している。■ 予後緩徐進行性の経過を示すが、症状も多彩であり、詳しい予後、自然歴を調べた論文はない。石灰化の進行を評価するスケール(total calcification score:TCS)を用いて、遺伝子変異では、PDGFRB、PDGFB、SLC20A2の順で石灰化の進行が速く、さらに男性、高齢、男性でその進行速度が速くなるという報告がある12)。原因遺伝子、二次的な要因によっても、脳内石灰化の進行や予後は変わってくると推定される。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)基本的には原因不明の脳内に限った石灰化症である。National Center for Biotechnology Information(NCBI)には、以下のPFBCの診断基準が挙げられている。(1)進行性の神経症状(2)両側性の基底核石灰化(3)生化学異常がない(4)感染、中毒、外傷の2次的原因がない(5)常染色体優性遺伝の家族歴がある常染色体優性遺伝形式の原因遺伝子として、すでにSLC20A2、PDGFB、PDGFRB、XPR1の4遺伝子が報告され、現在、常染色体劣性遺伝形式の原因遺伝子MYORG、JAM2がみつかってきており、上記の(5)は改訂が必要である。わが国では孤発例の症例も多く、疾患の名称に関する課題はあるが、診断は前述の「日本神経学会承認の診断基準」に準拠するのが良いと考える(上表)。鑑別診断では、主なものとして、副甲状腺疾患(血清カルシウム、Pi、iPTHが異常値)、偽性副甲状腺機能低下症(血清カルシウム低値)、偽性偽性副甲状腺機能低下症(オルブライト骨異栄養症)、コケイン症候群、ミトコンドリア脳筋症(MELASなど)、エカルディ・グティエール症候群(AGS)、ダウン症候群、膠原病、血管炎、感染(HIV脳症など、EBウイルス感染症など)、中毒・外傷・放射線治療などを除外する。IBGCの頭部CT画像は、タツノオトシゴ状、勾玉状などきれいな石灰化像を呈することが多いが、感染症後などの二次性の場合は、散発した乱れた石灰化像を呈することが多い。後述のDNTCの病理報告例の頭部CT所見は、斑状あるいは点状の石灰化である。IBGCは小児期、青年期は大方、症状は健常である。小児例では、AGSを始め、多くは何らかの先天代謝異常に伴う脳内石灰化症、脳炎後など主に二次性の脳内石灰化症が示唆されることが多い。今後の病態解明のためには、とくに家族例、いとこ婚などの血族結婚の症例を含め、エクソーム解析や全ゲノム解析などの遺伝子検索が望まれる。高齢者の場合は、淡蒼球の生理的石灰化、また、初老期以降で認知症を呈する“石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病”(diffuse neurofibrillary tangles with calcification:DNTC、別名「小阪・柴山病」)が鑑別に上がる。DNTCの確定診断は、病理学的所見に基づく。しかし、最近10年間の班研究で調べた中ではDNTCと病理所見も含めて診断しえた症例はなかった。脳内石灰化をみた場合の診断の流れを図2に提示する。図2 脳内石灰化の診断のフローチャート画像を拡大する脳内に石灰化をみた場合のフローチャートを示す。今後、病態機構によって、漸次、更新されるものである。全体をPFBCとして包括するには無理がある。名称として現在は、二次性のものを除外して、全体をPBCとしてまとめておくのが良いと考える。【略号】(DNTC:Diffuse neurofibrillary tangles with calcification、FIBGC:Familial Idiopathic Basal Ganglia Calcification、IBGC:Idiopathic Basal Ganglia Calcification、PBC:Primary Brain Calcification)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)根本的な治療法はまだみつかっていない。遺伝子変異を認めた患者の疾患特異的iPS細胞を用いて、PiT2、PDGFを基軸に創薬の研究を進めている。対症療法ではあるが、不随意運動や精神症状にクエチアピンなど抗精神病薬が用いられている。また、病理学的にもパーキンソン病を合併する症例があり、抗パーキンソン病薬が効果を認め、また、PKCではカルバマゼピンが効果を認めている。4 今後の展望中国からAR遺伝形式の原因遺伝子MYORG、JAM2が見出され、今後さらなるARの遺伝子がみつかる可能性がある。また、疾患感受異性遺伝子、環境因子の関与も想定される。IBGC、とくにSLC20A2変異症例では根底にリン酸ホメオスタシスの異常があることがわかってきた。ここ数年で、Pi代謝に関する研究が大いに進み、生体におけるPi代謝にはFGF23が中心的役割を果たす一方、石灰化にはリン酸とピロリン酸(二リン酸, pyrophosphate:PP)の比が重要である指摘やイノシトールピロリン酸 (inositol pyrophosphate:IP-PP)が生体内のリン酸代謝に重要であることが注目されている。最近では細胞内のPiレベルの調節にはイノシトールポリリン酸 (inositol polyphosphate: InsPs)、その代謝にはイノシトール-ヘキサキスリン酸キナーゼ、(inositol-hexakisphospate kinase:IP6K)がとくに重要で、InsP8が細胞内の重要なシグナル分子として働き、細胞内Pi濃度を制御するという報告がある。また、SLC20A2-XPR1が基軸となって、クロストークを起こすことによって、細胞内のPiやAPTのレベルを維持する作用があることも明らかとなってきた。生体内、細胞内でのPi代謝の解明が大きく進展している。5 主たる診療科脳神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。IBGCでは通常は小児期には症状を呈さない。小児期における脳内石灰化の鑑別では小児神経内科医へのコンサルトが必要である。精神発達遅滞を呈する症例あり、脳内石灰化の視点から、多くの鑑別すべき先天代謝異常症がある。とくに、MELAS、AGS、副甲状腺関連疾患、コケイン症候群、Beta-propeller protein-associated Neurodegeneration (BPAN、 SENDA)などは重要である。また、家族例では、IRUD-P(Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases in Pediatrics:小児希少・未診断疾患イニシアチブ)などを活用したエクソーム解析や全ゲノム解析などの遺伝子解析が望まれる。   そのほか、症例の中には、統合失調症様や躁病などの精神症状が前景となる症例もある。これらはある一群を呈するかは今後の課題であるが、精神科医との連携が必要なケースもまれならずある。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本神経学会診断基準(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)NCBI GeneReviews Primary Familial Brain Calcification Ramos EM, Oliveira J, Sobrido MJ, et al. 2004 Apr 18 [Updated 2017 Aug 24].(海外におけるPFBCの解説、医療従事者向けのまとまった情報)●謝辞本疾患の研究は、神経変性疾患領域の基盤的調査研究(20FC1049)、新学術領域(JP19H05767A02)の研究助成によってなされた。本稿の執筆にあたり、貴重なご意見をいただいた岐阜大学脳神経内科 下畑 享良先生、林 祐一先生、国際医療福祉大学 ゲノム医学研究所 田中 真生先生に深謝申し上げます。1)Wang C, et al. Nat Genet. 2012;44:254–256.2)Nicolas G, et al. Neurology. 2013;80:181-187.3)Keller A, et al. Nat Genet. 2013;45:1077-1082.4)Legati A, et al. Nat Genet. 2015;47:579-581.5)Yao XP et al. Neuron. 2018;98:1116-1123. 6)Cen Z, et al. Brain. 2020;143:491-502.7)山田 恵ほか. 臨床神経. 2014;54:S66.8)山田 恵ほか. 脳神経内科. 2020;92:56-62.9)Hozumi I, et al. J Neurol Sci. 2018;388:150-154.10)Yamada M, et al. Neurology. 2014;82:705-712.11)Sekine SI, et al. Sci Rep. 2019;9:5698.12)Nicolas G, et al. Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet. 2015;168:586-594.公開履歴初回2021年12月2日

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精神疾患発症リスクの高い人に対する抗精神病薬の予防効果

 既存のガイドラインでは、精神疾患における臨床的にハイリスクな人に対する抗精神病薬の使用は推奨されていないが、抗精神病薬がハイリスクな人の精神疾患を予防できるかは、よくわかっていない。中国・上海交通大学医学院のTianHong Zhang氏らは、精神疾患発症リスクの高い人において、抗精神病薬の予防効果を比較するため、本研究を実施した。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2021年9月18日号の報告。 統合失調症前駆症状の構造化面接(SIPS)を用いて精神疾患発症リスクの高い人300人を特定し、3年間フォローアップを行った。ベースライン時にNAPLS-2リスク計算(NAPLS-2-RC)を実施した人は228人(76.0%)、フォローアップが完了した人は210人(92.1%)であった。リスクレベルに応じて層別化を行った。ハイリスクの定義は、NAPLS-2-RCスコア20%以上およびSIPS陽性症状合計スコア10以上とした。主要アウトカムは、精神疾患発症、機能アウトカム不良(フォローアップ時のGAFスコア60未満)とした。 主な結果は以下のとおり。・精神疾患発症リスクの高い人において、抗精神病薬使用の有無により、精神疾患発症や機能アウトカム不良に有意な差は認められなかった。・抗精神病薬治療を受けたリスクの低い人では、抗精神病薬を使用しなかった人と比較し、機能アウトカム不良の割合が高かった(NAPLS-2-RC推定リスク:χ2=8.330、p=0.004、陽性症状重症度:χ2=12.997、p<0.001)。・精神疾患発症予防に効果的な因子は特定されなかった。また、高用量の抗精神病薬で治療された精神疾患発症リスクの高い人において、機能アウトカム不良リスクに有意な増加が認められた。 著者らは「精神疾患発症リスクの高い人に対する抗精神病薬治療は、機能アウトカム不良リスクを考慮する必要がある。また、実臨床下において、抗精神病薬使用が精神疾患発症予防に寄与するとは考えにくいことが示唆された」としている。

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若年性認知症患者さんを支える諸制度・保険の知識【コロナ時代の認知症診療】第9回

EODで鑑別すべきはうつ病関連だけではない若年性認知症(EOD)にかかっていることに、当事者や家族、同僚などの周りが早期から気づくことは稀である。経験的に、本人は何となくこれまでとは違うなと違和感を抱いていることもあるがまったく無頓着であることも多い。勤務している人の場合、変調に一番気づいているのは、本人の失敗を直接に被りやすい同僚や部下だろう。最近では一定規模以上の会社において、ストレスチェックが義務化され、「うつ病」の概念が浸透しているので、こうした当事者に対してうつ病やその周辺疾患などを想起する人が多いかもしれない。前回述べたように、認知症に派生する問題が事例化してくると、会社も捨て置けなくなって受診を促すことになる。ストレスチェックの結果を心配する人に、産業医が最初の相談先とされるせいか、まずこうした医師への相談が勧められることが多い。しかし産業医で認知症を専門とする人は例外的だろう。そこでかかりつけ医を夫婦で受診することも多いようだ。EODで鑑別すべきはうつ病関連だけではない。てんかんや睡眠時無呼吸症あるいは遅発性の妄想性疾患などと幅広い。仮にEODと診断が固まっても当事者が現役で家族の大黒柱の場合には、その人のこれからを思うと容易に診断名は告げられない。それだけに認知症専門医への相談が必要になる。知り合いに専門医がいない場合には、ネット検索がいいだろう。日本老年精神医学会か日本認知症学会のホームページをみれば、地域別に専門医の氏名や所属機関、また外来日などがわかるはずである。なおここまで男性の勤務者を想定して既述したが、EODの約半数は女性である。その場合も基本は同じだろう。知っておきたい「傷病手当金」や「精神障害者保健福祉手帳」さて次は治療となるが、既存4薬以外にこれというものがない。確かにアルツハイマー病に対してのAducanumabが2021年6月にアメリカで承認されたところだが、その使用に要する精査や経費などを考えると、当面はわが国での投与はそう容易ではない。それだけに福祉的な対応の基本は知っておきたい。EODの人に対する組織の姿勢はさまざまである。ピンは、その職場の中で定年の時まで働いてもらおうというものである。職位や給料は下がっても、その時々の能力に応じてできることを組織内のどこかでやってもらうというところもある。そうした組織の姿勢はさておき、医療者が関わる面について以下に述べる。福利厚生では、休職になるケースが多いだけに、まず基本は傷病手当金である。これは、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される。連続して休んだ日があった場合、4日目以降、休んだ日に対して支給され、その期間は、支給を開始した日から最高1年6ヵ月である。なお退職後でも、ある条件を満たしていれば、引き続いて残りの期間も傷病手当金を受けることができる1)。次は「精神障害者保健福祉手帳」である。これは認知症などの精神疾患があり、日常生活に支障をきたす場合に申請できる。さらに血管性認知症やレビー小体型認知症などにより身体症状がある場合には、「身体障害者手帳」に該当する例もある。これに関連して、従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務がある。(障害者雇用促進法43条第1項)。具体的に、民間企業の法定雇用率は2.3%。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければならない、とされる。この「障害者」の範囲については、障害者雇用率制度の上では、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象としている(短時間労働者は原則0.5人カウント)。患者さんの生活を支えるために、医師にできること以上の公的な制度に加えて、民間でも使えるものがある。その代表が生命保険の高度障害である。これは被保険者が、責任開始期(日)以後の病気やケガを原因として、両眼の視力や言語機能を永久に失ったときなど、定められたいずれかの障害状態に該当した場合に、死亡保険金と同額の高度障害保険金が受け取られるものである。具体的な障害内容として、1)両眼の視力を全く永久に失ったもの、2)言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの、3)中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの、など7つの例が示されていることが多い。特記すべきは、認知症は入っていないことである。したがっていわば寝たきりになった認知症ではなく、「動ける状態の認知症」では2)もしくは3)の障害として、医師は診断書を書くのが現実である。なお一回では申請が受理されなくても、状態の進行に応じて繰り返し申請すれば必ず受理されることを経験してきた。参考1)全国健康保険協会「傷病手当金について」

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うつ病・不安症患者の病欠や職場復帰のパターン

 不安症やうつ病による病欠は、差し迫った公衆衛生上の問題である。ノルウェー科学技術大学のKenneth Sandin氏らは、うつ病および不安症の患者における仕事に焦点を当て、治療前、治療中、治療後の病欠パターンを特定するため、29.5ヵ月に及ぶ縦断的研究を行った。また、これらの軌跡の背景と臨床的特徴との関連も併せて調査を行った。BMJ Open誌2021年9月29日号の報告。 患者の背景や臨床データは、専門のメンタルヘルスケアクリニックにおける観察研究で実施した患者の自己報告(619例)に基づき収集した。病欠に関する情報は、national registry dataより収集した。軌跡の特定には、潜在成長混合モデルを用いた。背景特性の違いは多項ロジスティック回帰を、臨床的な違いは一元配置分散分析(one-way ANOVA)を用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・次の3つの軌跡が特定された。●レジリエント群:47.7%●リカバリー群:31.8%●ハイリスク群:20.5%・レジリエント群は、期間を通じて病欠が少なかった。・他の2群は、治療前と同様の軌跡を示し、1年前に病欠が少なかった人では治療開始時に病欠リスクの増加が認められた。・治療後、リカバリー群は、ほぼ職場復帰が果たされたが、ハイリスク群は病欠リスクが高いままであった。・リカバリー群およびハイリスク群は、レジリエント群と比較し、女性の割合が高く、より高齢であった。・すべての群において、治療開始時には同様の臨床スコアが示されたが、ハイリスク群では、治療終了後も抑うつ症状の残存が認められた。・不安症およびうつ病のエフェクトサイズは、すべての群において中~大であり(Cohen's d=0.74~1.81)、87.2%は治療1年後には完全に職場復帰していた。 著者らは「軌跡の異なる3つの群が確認された。女性と高齢は、治療開始時の病欠リスクの高さと関連が認められ、治療終了時の抑うつ症状の残存は、継続的な病欠を予測していた。患者の特性に合わせて治療を調整し、層別化することで、将来の患者の治療アウトカムが改善する可能性がある」としている。

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混合症状を伴う双極性障害患者への推奨治療~CANMAT/ISBDガイドライン

 2018年、カナダ気分・不安治療ネットワーク(CANMAT)および国際双極性障害学会(ISBD)のガイドラインでは、双極性障害に対する実臨床における治療に関する推奨事項が示されている。これらのガイドラインにおいて、混合症状が治療選択に及ぼす影響について解説されているが、特定の推奨事項は示されておらず、現時点でアップデートが必要な重大なポイントである。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のLakshmi N. Yatham氏らは、CANMATおよびISBDガイドラインにおける混合症状を伴う双極性障害患者への推奨治療について解説を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2021年10月2日号の報告。 双極性障害における混合症状に関する研究の概要、改訂されたCANMATおよびISBDの評価方法を用いた推奨治療について解説した。高品質のデータ不足、専門家の意見への依存、制限などについても解説した。 主な結果は以下のとおり。・DSM-Vで定義された混合症状を伴う躁病エピソードまたはうつ病エピソードに対する第1選択治療に関して、水準を持たした薬剤はなかった。・躁病+混合症状の場合には、第2選択治療として、アセナピン、cariprazine、バルプロ酸、アリピプラゾールが挙げられた。・うつ病+混合症状の場合には、第2選択治療として、cariprazine、ルラシドンが挙げられた。・研究の歴史の長いDSM-IVで定義された混合症状に対しては、第1選択治療にアセナピンとアリピプラゾール、第2選択治療にオランザピン(単剤または併用)、カルバマゼピン、バルプロ酸が挙げられている。・DSM-Vでは、混合症状後の維持療法に関する研究は非常に限られており、第3選択治療は、専門家の意見に基づいていた。・DSM-IVでは、混合症状後の維持療法に対し第1選択治療にクエチアピン、第2選択治療にリチウム、オランザピンが挙げられていた。 著者らは「CANMATおよびISBDでは、これらのガイドラインを通じてさまざまな症状を有する患者に対応する臨床医をサポートし、このような一般的かつ複雑な臨床状態の診断・治療を改善するための研究への投資に影響することが望まれる」としている。

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アトピー性皮膚炎の精神面への影響、4歳児でも

 英国の小児1万1千例超を長期10年にわたって追跡したコホート研究で、小児におけるアトピー性皮膚炎(AD)とメンタルヘルスの関連が明らかにされた。重症ADは、小児期のうつ症状および内在化症状を呈する可能性を約2倍増大することが、また、軽症~中等症ADはうつ症状との関連は認められなかったが、4歳という早い時期に内在化問題行動との関連が認められたという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のChloe Kern氏らが報告した。 先行研究で成人におけるADとメンタルヘルス状態の関連は明らかにされているが、小児に関しては、世界中でADの大きな負荷が問題になっているが、メンタルヘルス併存疾患の発症に関する文献は限られている。JAMA Dermatology誌2021年10月号掲載の報告。 研究グループは、小児および思春期の複数時点で、ADと内在化問題行動およびうつ症状との関連を調べ、また喘息/鼻炎、睡眠、炎症など潜在的な媒介因子を調べる住民ベースの縦断的出生コホート研究を行った。UK Avon Longitudinal Study of Parents and Childrenの登録児について、出生から平均10.0年間(SD 2.9)追跡した児のデータを解析した。データの収集期間は1990年9月6日~2009年12月31日で、解析は2019年8月30日~2020年7月30日に行われた。 屈面性皮膚炎(flexural dermatitis)に関する標準化質問票によって測定した年間AD有病率を、月齢6ヵ月~18歳の11時点で評価。主要評価項目は、うつ病の症状(10~18歳の5時点でShort Moods and Feelings Questionnaireを用いて得た小児からの回答で測定)、内在化問題行動(4~16歳の7時点でEmotional Symptoms subscale of the Strength and Difficulties Questionnaireを用いて得た母親からの回答で測定)であった。 主な結果は以下のとおり。・解析には、1万1,181例の小児が含まれた(男子5,721例[51.2%])。・期間中のうつ症状有病率は、6.0~21.6%、内在化問題行動は10.4~16.0%であった。・軽症~中等症ADは、うつ症状との関連は認められなかったが、内在化問題行動は4歳という早い時期に関連が認められた(補正後モデルにおける小児期全体の平均増大オッズ:29~84%)。・重症ADは、うつ症状(補正後オッズ比:2.38、95%信頼区間[CI]:1.21~4.72)、内在化問題行動(1.90、1.14~3.16)と関連していた。・睡眠の質は、上記の関連の一部を媒介していたが、睡眠時間、喘息/鼻炎、炎症マーカー(IL-6、CRP)値の違いによる関連は認められなかった。

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抗精神病薬の最小有効維持用量への挑戦~10年間のフォローアップ調査

 初回エピソード精神疾患に対する抗精神病薬による長期治療の必要性については議論の余地がある。台湾・国立台湾大学のChen-Chung Liu氏らは、抗精神病薬治療の継続か、投与中止かの2つの案を超えた代替案があるかを調査した。Frontiers in Psychiatry誌2021年9月7日号の報告。 本レトロスペクティブ観察研究では、2006年スタートの早期精神疾患研究に参加した患者のカルテデータを分析した。低用量の抗精神病薬投与で良好な機能を達成できている患者にとくに注目した。 主な結果は以下のとおり。・初回エピソード精神疾患患者81例のうち、55例(67.9%)は5年以上のフォローアップ期間を有していた。・多くの患者は非情動性精神疾患に罹患していた(46例、83.6%)。・55例中20例(36.4%)は、最終診察時までフルタイムで就業/教育を続けていた。そのうち15例は、最小有効用量以下の抗精神病薬投与を受けていた(クロルプロマジン[CP]換算量:200mg/日)。・また、55例中10例(18.2%)は、維持療法期間中の抗精神病薬の投与量がCP換算量50mg/日未満と非常に少なく、このことが良好な機能と有意に関連していた。・機能低下と関連していた因子は、男性、入院歴、クロザピン治療歴であった。・抗精神病薬治療が行われていなかった患者は、非情動性精神疾患患者の2例のみであった。 著者らは「抗精神病薬の長期使用を完全に中止できなかったとしても、多くの患者では、初回エピソード精神疾患後の維持治療において、抗精神病薬の低用量投与を実現し、良好な機能を達成することができると考えられる。維持療法中、抗精神病薬の用量を微調整することで再発予防と機能維持のバランスを最適に保つ治療を行うことは、臨床的に注目されるべき課題である」としている。

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精神症状に書道が効果的というメタ解析【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第198回

精神症状に書道が効果的というメタ解析いらすとやより使用中国書道療法(Chinese calligraphy therapy)、要は漢字をきれいに毛筆で書く行動療法の1つですが、これまでの研究を集めてメタ解析したものがあります。ちなみに私、書道は大の苦手で、高校のときに真剣に書いた字を笑われたことがあります。Chu K, et al.Does Chinese calligraphy therapy reduce neuropsychiatric symptoms: a systematic review and meta-analysisBMC Psychiatry. 2018 Mar 7;18(1):62.英語および中国語のデータベースを検索し、入手可能な文献(出版年の下限は問わず)から2016年12月までの文献を検索しました。ランダム化比較試験など信頼性の高い文献を集め、21論文を解析しました。ヘテロな集団ではありますが、書道療法は精神症状を有意に改善させました(p<0.01)。また、不安症状(p<0.001)、抑うつ症状(p<0.001)についても、有意な改善をもたらすことが示されました。統合失調症の症状についても、有意に軽減したと報告されています(陽性症状:p=0.003、陰性症状:p<0.001)。メタ解析に含まれた研究は、ほとんどが15~30人という小規模な比較試験であり、統合して解析するにあたり、不均一な集団になってしまう点が懸念です。大規模な比較試験を行うには、少々手間が掛かる行動療法であることから、なかなかレクリエーションの域を出ない治療法に位置付けられたままになるかもしれません。身体を動かすという点では、大きな筆を持ってパフォーマンスをする書道のほうがメンタルにはよさそうですが、ランダム化比較試験を行うには少々大掛かりになってしまいます。

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血中サイトカインによるうつ病と双極性障害の鑑別

 双極性障害は、うつ病と診断されることも少なくない。その結果、治療が奏効せず、臨床アウトカムが不良となってしまうこともある。現在の双極性障害の診断は、臨床症状の評価に依存しており、これは主にレトロスペクティブであり、記憶バイアスの影響を受ける。フランス・コートダジュール大学のEmanuela Martinuzzi氏らは、うつ状態にある双極性障害患者の鑑別において、うつ病と双極性障害を区別する血液バイオマーカーを特定するため、検討を行った。Brain, Behavior, & Immunity - Health誌2021年3月10日号の報告。 双極性障害またはうつ病の包括基準を満たしたうつ病エピソードを有する患者を対象とした2つの独立した自然主義的コホート研究より臨床データおよび血清サンプルデータを収集した。discovery cohortは462例、replication cohortは133例の患者で構成されていた。患者に対し標準的な診断面接により臨床症状を評価し、現在の治療を含む臨床変数を記録した。採取した血液より31種のサイトカインレベルの評価を行うため、高感度マルチプレックスアッセイを用いた。双極性障害に関連するサイトカインを特定するため、ノンパラメトリックブートストラップ法を組み合わせたペナルティ付きロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・discovery cohortでは、インターロイキン(IL)-6、IL-10、IL-15、IL-27、C-X-Cリガンドケモカイン(CXCL)-10は、双極性障害と正の相関が認められた。・上記の5つのサイトカインのうち、IL-10、IL-15、IL-27は、replication cohortにおいても双極性障害との関連が認められた。 著者らは「気分障害の病態生理学的メカニズムに関する新たな知見が得られる可能性があるため、本結果については、プロスペクティブコホート研究で検証されるべきであろう」としている。

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妊娠中の抗うつ薬、子供の数学の成績に影響か/JAMA

 妊娠中に抗うつ薬を処方された母親の子供は、処方されなかった母親の子供と比較して、数学のテストの点数は2点低く有意差が認められ、国語のテストの点数には差がなかったことが、デンマーク・オーフス大学のJakob Christensen氏らの調査で示された。結果について著者は、「数学の平均点は曝露群で低かったが、差は小さいことから臨床的な意義は不確実である。この研究結果は、妊娠中の母親にうつ病治療を行うことの利点と比較して検討する必要がある」としている。JAMA誌2021年11月2日号掲載の報告。デンマークの後ろ向きコホート研究 研究グループは、妊娠中の抗うつ薬の処方が、義務教育期の子供の標準化されたテストの成績に影響を及ぼすかを評価する目的で、住民ベースの後ろ向きコホート研究を行った(Central Denmark Regionなどの助成を受けた)。 解析には、1997年1月1日~2009年12月31日の期間にデンマークで出生し、公立の小学校または中学校に通い、2010年1月1日~2018年12月31日の期間に「デンマーク全国テストプログラム」の国語(2、4、6、8年生が対象)または数学(3、6、8年生が対象)のテストを受けた7~17歳の児童生徒が含まれた。「デンマーク処方箋登録」から、妊娠中に抗うつ薬の処方を受けた母親の情報が収集された。 関連する交絡因子を補正した線形回帰モデルを用いて、母親が抗うつ薬を処方された子供と処方されなかった子供で、数学と国語の標準化された点数(1~100点、得点が高いほどテスト成績が良い)の差が推算された。数学:52.1点vs.57.4点、国語:53.4点vs.56.6点 57万5,369例(男児51.1%)の児童生徒が解析に含まれ、このうち1万198例(1.8%)が妊娠中に抗うつ薬を処方された母親の子供(抗うつ薬曝露群)であった。テストを受けた時の児童生徒の平均年齢(SD)は、2年生の8.9(0.4)歳から8年生の14.9(0.4)歳の範囲だった。 数学のテストの平均点は、抗うつ薬曝露群が52.1点(95%信頼区間[CI]:51.7~52.6)と、非曝露群の57.4点(57.3~57.4)に比べて有意に低かったが、群間の差は小さかった(補正後群間差:-2.2点、95%CI:-2.7~-1.6)。 一方、国語のテストの平均点は、曝露群が53.4点(95%CI:53.1~53.7)、非曝露群は56.6点(56.5~56.6)であり、両群間に差は認められなかった(補正後群間差:-0.1[95%CI:-0.6~0.3])。

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うつ病の寛解に対する夜型生活改善の影響

 夜型生活は、うつ病のより悪いアウトカムと関連している。時間生物学的治療による夜型生活の改善の可能性や、その結果がうつ病の長期アウトカムに及ぼす影響については、よくわかっていない。これらの影響を明らかにするため、香港中文大学のJoey Wy Chan氏らは、うつ病治療における夜型生活改善効果について検討を行った。Journal of Clinical Sleep Medicine誌オンライン版2021年9月21日号の報告。 5週間の補助的光療法のランダム化比較試験に参加した非季節性単極性うつ病で夜型生活の成人患者91例を対象とし、そのデータを分析した。夜型生活の定義は、朝型夜型質問票(MEQ)スコア41以下とした。治療5週目でのMEQスコア41超を達成した場合を夜型生活の改善とし、治療後5ヵ月目までMEQスコア41超を維持した場合を夜型生活の持続的な改善と定義した。 主な結果は以下のとおり。・治療5週目に夜型生活の改善が認められた患者は33例(36%)であった。・一般化推定方程式モデルでは、治療5週目の夜型生活の改善は、5ヵ月後のうつ病寛解の2倍増を予測していた(OR:2.61、95%CI:1.20~5.71、p=0.016)。・夜型生活の持続的な改善が認められた患者は25例(75.7%)であり、5ヵ月後のうつ病寛解の可能性が高かった(OR:3.18、95%CI:1.35~7.50、p=0.008)。 著者らは「夜型生活のうつ病患者に対する5週間の時間生物学的治療は、約3分の1の患者で夜型生活を改善し、5ヵ月後の寛解の可能性が高まることが示唆された」としている。

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双極性障害に対するアドヒアランス強化戦略

 双極性障害患者は、服薬アドヒアランスが不良であることが少なくない。米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学のMartha Sajatovic氏らは、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬を組み合わせたカスタマイズアドヒアランス強化(CAE)戦略が双極性障害患者のアドヒアランス、症状、機能へ及ぼす影響を評価するため、パイロット研究を実施した。The Primary Care Companion for CNS Disorders誌2021年9月16日号の報告。 アドヒアランスが不良な双極性障害患者30例を対象に、LAI抗精神病薬を組み合わせたCAE戦略の有効性を評価するため6ヵ月間の非対照試験を行った。アドヒアランスの評価にはTablets Routine Questionnaire(TRQ)、症状の評価には簡易精神症状評価尺度(BPRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD)、臨床全般印象評価尺度(CGI)を用いた。機能は、社会的職業的機能評定尺度(SOFAS)、機能の全体的評定尺度(GAF)を用いて評価した。評価は、スクリーニング時、ベースライン時、12週目、24週目(6ヵ月後)に実施した。調査期間は、2018年4月~2020年5月であった。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は49.5±9.3歳、黒人の割合は56.7%であった。・研究を途中で中止した患者は9例(30%)であり、副作用による中止は1例(振戦)のみであった。・LAIの平均投与量は、314.3±96.4mgであった。・過去1週間で服薬を守れなかった割合(平均TRQ)は、スクリーニング時の50.1±24.8%から24週目の16.9±27.0%へ有意な改善が認められた(p<0.001)。過去1ヵ月間のTRQについても40.6±23.8%から19.2±24.0%への改善が認められた(有意傾向、p=0.599)。・ベースライン時から24週目のTRQの変化に有意な差は認められなかった。・BPRS(p<0.001)、MADRS(p=0.01)、YMRS(p<0.001)、CGI(p<0.001)、SOFAS(p<0.001)、GAF(p<0.001)においても、有意な改善が認められた。 著者らは「LAIを組み合わせた個別のアドヒアランス強化戦略は、ハイリスク双極性障害患者のリカバリー向上が期待できる」としている。

796.

統合失調症症状別の抗精神病薬至適用量~用量反応メタ解析

 統合失調症の急性期治療において抗精神病薬の最適な投与量を決定することは、臨床的に非常に重要なポイントである。また、急性期治療後には維持期治療へ移行するため、陰性症状に対する抗精神病薬の効果を考慮することも求められる。スイス・ジュネーブ大学のMichel Sabe氏らは、急性期統合失調症に対する抗精神病薬の有効性を評価した固定用量ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューに基づき、陰性症状および陽性症状の用量反応メタ解析を実施した。NPJ Schizophrenia誌2021年9月13日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・40件のRCTより、1万5,689例が抽出された。・各薬剤の1日当たりの95%有効量は、以下のとおりであり、多くの薬剤で陰性症状と陽性症状で違いが認められた。 ●amisulpride(陰性症状:481mg、陽性症状:690.6mg) ●アリピプラゾール(陰性症状:11.9mg、陽性症状:11mg) ●アセナピン(陰性症状:7.61mg、5.66mg) ●ブレクスピプラゾール(陰性症状:2.1mg、陽性症状:4mg) ●cariprazine(陰性症状:4mg、陽性症状:6.51mg) ●ハロペリドール(陰性症状:6.34mg、陽性症状:7.36mg) ●ルラシドン(陰性症状:58.2mg、陽性症状:86.3mg) ●オランザピン(陽性症状:15.5mg、陽性症状:9.52mg) ●オランザピン長時間作用型注射剤(陰性症状:15.7mg、陽性症状:13.5mg) ●パリペリドン(陰性症状:7.2mg、陽性症状:7mg) ●パリペリドン長時間作用型注射剤(陰性症状:7.5mg、5.9mg) ●クエチアピン即放性製剤(陰性症状:264.2mg、陽性症状:316.5mg) ●クエチアピン徐放性製剤(陰性症状:774mg、陽性症状:707.2mg) ●リスペリドン(陰性症状:7.5mg、陽性症状:7.7mg) ●リスペリドン長時間作用型注射剤(陰性症状:5.13mg、陽性症状:6.7mg) ●sertindole(陰性症状:13.5mg、陽性症状:16.3mg)●ziprasidone(陰性症状:71.6mg、陽性症状:152.6mg)・用量反応曲線の形状は薬剤により異なっていたが、ほとんどの薬剤は高用量で定常状態に達していた。 著者らは「ほとんどの薬剤の最大有効量は、各薬剤の承認用量の低~中程度の範囲であることが確認された。最適な用量を把握するためには、さらなるRCTが必要とされる」としている。

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日本人双極性障害患者における気分エピソードと就労との関連

 産業医科大学の近野 祐介氏らは、双極性障害患者の就労状況を改善するため、気分エピソードと就労との関係について調査を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年9月7日号の報告。 2016年9月~10月に日本精神神経科診療所協会の会員クリニック176施設を受診した双極性障害患者のすべてのカルテデータを、2017年9月~10月に調査した。カルテデータの詳細は、就労状況を含む調査シートを用いて収集した。就労状況による気分エピソードのオッズ比(OR)を分析するため、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・60歳以下の患者において、2,292例の職業を把握できた。・単変量解析では、うつ病エピソードおよび躁病エピソードとの有意な関連が認められたが、混合エピソードでは認められなかった。●うつ病エピソード(OR:2.68、95%CI:1.50~4.78、p=0.001)●躁病エピソード(OR:2.64、95%CI:1.07~6.47、p=0.034)●混合エピソード(OR:1.72、95%CI:0.69~4.33、p=0.246)・多変量解析でも、同様の結果が認められた。●うつ病エピソード(OR:2.16、95%CI:1.13~4.13、p=0.020)●躁病エピソード(OR:3.55、95%CI:1.36~9.25、p=0.010)●混合エピソード(OR:1.83、95%CI:0.65~5.14、p=0.254) 著者らは「外来治療中の日本人双極性障害患者の就労率は、43.5%であった。寛解エピソードと比較し、うつ病および躁病エピソードを有する患者は、失業リスクが高いことが示唆された」としている。

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日本人双極I型障害患者に対するルラシドンの長期安全性試験

 日本うつ病センターの樋口 輝彦氏らは、日本人双極I型障害患者に対するルラシドン治療(リチウムまたはバルプロ酸の有無にかかわらず)の長期(52週間)安全性と有用性について評価を行った。International Journal of Bipolar Disorders誌2021年8月2日号の報告。 本研究は、オープンラベルで行われたルラシドンのフレキシブルドーズ試験(20~120mg/日)である。対象は、6週間のルラシドン二重盲検プラセボ対照試験を完了したうつ病エピソードを有する患者(うつ群)および長期試験へのエントリーを同意した躁病、軽躁病、混合性エピソードを有する患者(非うつ群)。有害事象と安全性については、治療に起因する有害事象、バイタルサイン、体重、心電図、臨床検査値、自殺傾向、錐体外路症状を測定した。症状改善効果の測定には、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ルラシドンに関連する最も一般的な有害事象は、アカシジア(30.7%)、鼻咽頭炎(26.6%)、悪心(12.1%)、傾眠(12.1%)であった。・脂質に関する最小限の変化が認められ、血糖コントロール対策の実施も行われた。・体重の平均変化は、うつ群で-0.8kg、非うつ群で+1.0kgであった。・MADRS合計スコアは、過去6週間の試験でプラセボを投与されたうつ群において、2.0±14.7ポイントの減少が認められた。・過去6週間の試験でルラシドンを投与されたうつ群では、うつ症状の改善は持続していた。・非うつ群では、YMRS合計スコアの経時的な減少が認められた。・本研究は非盲検試験で、対照群を含んでいなかった。また、52週間の試験を完了した患者の割合は、49.7%であった。 著者らは「日本人双極性障害患者に対するルラシドンの長期治療では、うつ症状の継続的な改善や、躁病、軽躁病、混合性エピソードを有する患者での症状改善が認められた。体重や代謝パラメータの変化は、ほとんど認められなかった」としている。

799.

統合失調症における呼吸器系疾患の有病率~メタ解析

 統合失調症患者は、死亡リスクが高く、その主な原因は呼吸器系疾患であるにもかかわらず、有病率などの調査は十分に行われていない。オーストラリア・クイーンズランド大学のShuichi Suetani氏らは、統合失調症患者における呼吸器系疾患の有病率を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2021年9月11日号の報告。統合失調症患者の呼吸器系疾患の有病率は有意に高かった 2020年4月27日までに公表された統合失調症患者(可能であれば対照群を含む)の呼吸器系疾患について調査した研究を、主要な電子データベースより検索した。分析では、ランダム効果メタ解析を実施した。 統合失調症患者における呼吸器系疾患の有病率を分析した主な結果は以下のとおり。・引用文献1,569件中21件をメタ解析に含めた。対象数は、統合失調症患者61万9,214例、対照群5,215万9,551例であった。・統合失調症患者は、対照群と比較し、COPD(オッズ比[OR]:1.82、95%CI:1.28~2.57)、喘息(OR:1.70、95%CI:1.02~2.83)、肺炎(OR:2.62、95%CI:1.10~6.23)の発症率が有意に高かった。・統合失調症患者の主な呼吸器系疾患の有病率は、以下のとおりであった。 ●COPD:7.7%(95%CI:4.0~14.4) ●喘息:7.5%(95%CI:4.9~11.3) ●肺炎:10.3%(95%CI:5.4~18.6) ●結核:0.3%(95%CI:0.1~0.8)・出版バイアスで調整した後、統合失調症患者のCOPD有病率は、19.9%(95%CI:9.6~36.7)まで増加した。 著者らは「今回調査した呼吸器系疾患の有病率は、一般集団よりも統合失調症患者において有意に高かった。統合失調症患者の死亡リスクを軽減するためにも、呼吸器系疾患の予防やマネジメントの改善に焦点を当てる必要がある」としている。

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第76回 過労自殺の半数はうつ病発症から6日以内/過労死等防止対策白書

<先週の動き>1.過労自殺の半数はうつ病発症から6日以内/過労死等防止対策白書2.12月開始の3回目ワクチン、接種対象者は限定せず/厚労省3.新型コロナワクチンの接種率、日本は人口の7割に到達4.制度にそぐわないDPC病院に是正か退出を/中医協5.研修医マッチング、昨年に続き6割以上が大学病院外で内定1.過労自殺の半数はうつ病発症から6日以内/過労死等防止対策白書政府は、「過労死等防止対策白書」を10月26日に閣議決定した。これは2014年に成立した過労死等防止対策推進法に基づいて国会に毎年報告を行っており、過労死等の概要や政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況を取りまとめたもの。今回の白書によれば、うつ病など精神障害で労災認定された過労自殺者は、発症から6日以内と短期間で亡くなる人が半数に上るとの調査結果が明らかとなっており、より一層の対策を求めている。(参考)コロナ影響の悩み、ストレスチェックで気付きを 厚労省が過労死等防止対策白書を公表(CBnewsマネジメント)過労自殺の半数、うつなど発症から6日以内 厚労省報告(日経新聞)資料 令和3年版過労死等防止対策白書の概要(厚労省)2.12月開始の3回目ワクチン、接種対象者は限定せず/厚労省厚生労働省は、10月28日に厚生科学審議会予防接種を開催し、新型コロナウイルスワクチンの追加接種(3回目)の対応方針をめぐって議論を行った。国内外の感染動向やワクチン効果の持続期間、諸外国の対応状況から、追加接種の必要があるとした。また、追加接種の時期は2回目接種完了からおおむね8ヵ月以上経過後に実施、使用するワクチンは、原則1・2回目に用いたワクチンと同一のものを用いることとされる。3回目接種の実施対象者は、高齢者や重症化リスクのある人に限定せず、2回目接種が完了したすべての人とする方針で一致した。(参考)“3回目接種”12月から順次開始へ 気になる副反応は(NHK)3回目ワクチン接種、対象者を限定せず 2回目終えた全員に、厚科審・分科会(CBnewsマネジメント)資料 新型コロナワクチンの接種について(厚労省)3.新型コロナワクチンの接種率、日本は人口の7割に到達政府は10月26日に、新型コロナウイルスワクチンの2回目接種を終えた人が、全人口の70.1%である8,879万人に到達したと発表した。アメリカは全人口の57%、フランス68%、イギリス67%、ドイツ66%であり、G7では2位のイタリア(71%)とほぼ肩を並べ、1位のカナダ74%に次ぐトップ水準となった。(参考)新型コロナワクチンについて(内閣府)ワクチン2回接種終えた人、人口の7割超える…海外より高水準(読売新聞)人口7割がワクチン完了 G7でトップ水準(産経新聞)Which countries are on track to reach global COVID-19 vaccination targets?(Our World in Data)4.制度にそぐわないDPC病院に是正か退出を/中医協厚労省は10月27日に中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会を開催し、2022年度診療報酬改定に向けて検討結果の取りまとめを行った。そこでDPC病院において、診療密度や在院日数が平均から外れている病院も認められ、DPC制度にそぐわない可能性があると指摘があったことから、調査報告について、支払い側の委員から「イエローカードを出し、それでも是正がなければレッドカードを出すべきだ」と意見が出された。今後、DPC制度にそぐわない病院をどのように対処するか仕組みの検討がなされるだろう。(参考)DPC外れ値病院、当面は「退出ルール」設定でなく、「診断群分類を分ける」等の対応検討しては―入院医療分科会(Gem Med)DPC外れ値病院へ、「是正なければレッドカードを」中医協・小委で支払側委員(CBnewsマネジメント)資料 第206回 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会(厚労省)5.研修医マッチング、昨年に続き6割以上が大学病院外で内定厚労省は10月28日に、2021年度「医師臨床研修マッチング」の結果を発表した。新医師臨床研修制度が2004年4月に導入され、その翌年から大学病院以外の研修病院で研修を受ける医師が半数を超えている。今回、大学病院の内定割合36.7%(前年度38.1%)に対し、大学病院以外の臨床研修病院での内定割合は63.3%(前年度61.9%)と、大学病院以外での研修がさらに浸透してきていることが明らかとなった。(参考)2022年4月からの臨床研修医、都市部6都府県以外での研修が59.2%、大学病院以外での研修が63.3%に―厚労省(Gem Med)医師臨床研修の内定者数が増加 厚労省が2021年度のマッチング結果公表(CBnewsマネジメント)資料 令和3年度 研修医マッチングの結果(医師臨床研修マッチング協議会)資料 2021年度 研修プログラム別マッチング結果(同)

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